令和五年東京都議会会議録第十二号

   午後三時十分開議

○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 九十七番森村隆行君。
   〔九十七番森村隆行君登壇〕

○九十七番(森村隆行君) 質問に先立ち申し上げます。
 去る八月三十日、名誉都民である福原義春さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 令和五年第三回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問をいたします。
 平成の三十年間、我が国の政治、経済、社会は停滞してきました。この間、世界では様々なイノベーションが生まれ、かつて途上国といわれた国々が、人口と内需を拡大させながら、その競争力を高めてきました。
 このような中、我が国最大の資源である人が集積し、国際競争に日々向き合う東京が日本を牽引しなければなりません。都民ファーストの会は、東京の活力を生かし、伸ばし、ポテンシャルを開花させるために必要な仕事をしていきます。
 新たな価値を創造する起業家、学識経験者や各分野の専門家、様々な現場で課題に直面する都民の声に耳を澄ませながら、多様な人が活躍する社会の実現に向け、課題解決策と未来への投資を提言いたします。動き始めたポストコロナの社会において、改めて東京の本質的な課題に向き合うことをお誓いし、質問に入ります。
 まず、都民の安全・安心を守る取組についてです。
 知事は、「未来の東京」戦略で水と緑あふれる東京戦略を掲げ、ゆとりと潤いのある東京の実現に取り組まれてきました。都心三区における緑被率が増加するなど着実な進展が見られます。
 加えて、私たちが提案してきた緑や自然の持つ機能をまちづくりに生かすグリーンインフラの導入が東京グリーンビズに掲げられ、来年度予算の重点方針として盛り込まれたことを高く評価します。
 グリーンインフラの普及には、都有施設における率先的な導入や、複数の局が連携しての取組、高台や低地、区部、多摩・島しょなど、エリアごとのモデル事業も効果的と考えます。また、広く都民への啓発や、造園や土木建築などの分野における人材育成も重要です。さらには、民間の大規模開発においてグリーンインフラが適切に導入されるよう、海外の事例を参考に、ガイドライン策定や認証制度などの枠組みを設けることも有効です。
 東京グリーンビズの下、グリーンインフラについて議論を進め、今後、都市づくりにおいて積極的に導入していくべきですが、知事の見解を伺います。
 北朝鮮による弾道ミサイル発射の報が相次いでいます。都が民間事業者の協力を得ながら、急ピッチで避難場所の指定に取り組んでいることを評価します。先般、知事は、ロシアと国境を接するフィンランドの避難施設を視察されましたが、諸外国の先行事例が今後の都の取組に反映されることを期待いたします。
 有事において関係機関がスムーズに連携できるよう、今後は、訓練の実施などソフト面での取組も必要です。
 避難施設の確保というハード面、そして関係機関との連携というソフト面の両面から、ミサイル攻撃への備えを進めるべきですが、見解を伺います。
 東京は、百年に一度といわれる大規模な再開発のただ中にあります。この機会を捉えて、避難施設の確保を行うなど、さらなる取組を求めます。
 災害発生時には、ペットを同伴して避難するための環境整備も重要です。ペット同伴避難のためには、キャリーバッグやケージに慣れさせるなど、基本的なしつけを行うことに加え、動物が苦手な方やアレルギーのある避難者への配慮など、避難所ごとの環境を踏まえた受入れ体制が求められます。
 東京都獣医師会では、ペット防災BOOKを発行し、啓発を行っており、受入れのためのスターターキットなども提言しています。全ての避難者に関わる課題として、都の取組強化を求めます。
 都の総合防災訓練や区市町村の防災訓練などに、ペット防災の観点からの取組を進めるべきと考えます。その際、東京都獣医師会との連携を進め、地域の市民団体の活動も支援するなど、総合的な取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 鉄道の安全対策について伺います。
 私も利用しているJR中央線では、人身事故で電車が一時間以上ストップすることが珍しくありません。ホーム上の事故を防ぐにはホームドア整備が有効であり、都は私たちの提案を受け、二〇一八年、利用者十万人未満の駅にも補助を拡大、それまで進んでこなかった多摩地域の駅が整備対象になりました。先般、鉄道各社は、ホームドアなどの整備を目的とし、多くの路線で値上げを実施しましたが、これを機に取組を加速せねばなりません。
 六月に各社から整備に向けた資料が発表されましたが、残念ながら具体的なロードマップが示されているとはいえません。ターミナル駅にもかかわらずいまだ整備されていない新宿駅、ホーム上に段差のある御茶ノ水駅、盲学校が近くにある西八王子駅など、視覚障害者団体からも早期整備を求める声が届いています。
 運賃値上げによる利用者負担と補助継続による公費負担とで、財源を都民が負担している中、多摩地域で特に遅れている中央線などのホームドア整備が加速するよう、JRなどと具体的な工程を定め、早期整備につなげるべきですが、見解を伺います。
 有機フッ素化合物、PFASについて、さきの定例会の私たちの代表質問に対し、都は、都内全域の地下水の水質調査を前倒しで実施し、暫定指針値を超過した井戸水の飲用を控える取組を徹底するとの方針を示しました。
 その後、横田基地におけるPFOSを含有する泡消火薬剤の漏出について、都や自治体への報告が何年も遅れていたという事実が明らかになりました。基地周辺のみならず、広く多摩地域の住民の方々の心配の声が高まっています。
 泡消火薬剤の漏出による地下水への影響の分析、評価や、健康影響の科学的評価などについて、国に要請、要求していると理解していますが、何より大切なのは、地域住民の方々の不安を払拭する具体的取組です。
 加えて、関係自治体が実施する地下水調査との連携や支援も必要と考えます。
 まずは、我が会派の要望で実施することとなった地下水の前倒しの調査を活用し、基地周辺自治体をはじめ、各地域の状況をできる限り早く把握するとともに、例年の公表時期よりも前倒しし、都民の不安を解消していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ダイバーシティの推進についてです。
 コロナ禍の厳しい状況にありましたが、東京二〇二〇大会は、多くの皆様のご協力により成功させることができました。極めて困難な状況の中で大会を成功させたことにより、都の国際的な信用も高まったものと考えています。
 大会のレガシーを東京の未来の発展につなげていく上で、二〇二五年の世界陸上とデフリンピックの開催は極めて意義があり、二〇二五年に向けて、両大会の一体的な機運醸成を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 オリンピックは文化の祭典ともいわれ、東京二〇二〇大会と併せて開催した文化イベントでは、様々なアートが展開されました。新たなビジネス市場の可能性や観光資源としての魅力、障害者アートなど、様々な面でアートは注目されており、両大会と併せた振興を図るべきです。
 世界陸上、デフリンピックに向けて、国際的な発信力のあるアートイベントを開催するなど、アート振興も併せて実施すべきですが、都の見解を伺います。
 社会のデジタル化を進める上で、高齢者や障害のある方などが取り残されることがないよう対応を求めてきました。都がこうした声を受け、今年度末までに約五万人に対する高齢者向けのデジタルデバイド対策を図り、障害のある方に対しても、自治体と連携したスマホ教室を実施してきたことを評価します。
 近年、スマホを使った障害者向けのアプリやサービスも増えており、生活の質の改善につながることから、障害のある方に対するデジタルデバイド対策をさらにきめ細かく実施し、サポートしていくべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会の開催を前に、都は、宿泊施設のバリアフリー対応などを条例に定め、障害者や高齢者など、様々な事情により配慮が必要な方も、観光を楽しめるアクセシブル・ツーリズムを推進してきました。
 他方、コロナ禍で光が当たったのがアウトドア、野外活動であり、アドベンチャーツーリズムとしてさらなる推進が求められます。
 そこで、障害のある人もない人も、自然の中で様々な体験を楽しむことができる新たな観光の在り方を都として推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 ソーシャルファームの創設に関する条例が制定されて約四年が経過しました。既に、認証、予備認証を合わせて四十六の事業者がソーシャルファームとしての活動を行っており、就労困難者については約二百名の雇用が生まれました。
 欧州では、ホテル産業でソーシャルファームが普及していると聞いておりますが、東京においても、例えばデジタルや農業など、一定の産業分野との親和性が見られると思われます。
 全国に先駆けてスタートしたソーシャルファーム事業が今後さらに普及し、拡大していくためには、各産業分野との戦略的な連携が有効です。
 そこで、産業分野ごとの特性を踏まえた普及啓発活動を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 八王子市にある精神科病院、滝山病院で、暴行事件による逮捕者が出ました。精神障害のある方やその家族の方は、次は自分や家族が犠牲になってしまうのではないかと不安を募らせています。今定例会には、都内最大の精神障害者の家族会連合会である東京つくし会から、創立五十年の同会の歴史の中で初めて陳情が出されるなど、事態の深刻さがうかがわれます。
 精神に障害のある方々が安心して都内のどの医療機関でも利用できるよう、虐待について速やかに相談し、解決につなげる仕組みを構築しなければなりません。
 来年度、法改正により都道府県への通報が義務化されます。身体的、性的虐待のみならず、心理的虐待や放棄、放置なども起こりやすく、専門的な知識を持つ人材による対応が求められます。
 そのため、都において、専門性のある人を配置した精神科病院における虐待通報窓口を設け、速やかに対応が取れる体制を整備すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都パートナーシップ宣誓制度が昨年十一月にスタートして以来、これまでに約八百組のカップルが宣誓を受けてきました。東京は人口が多いとはいえ、全国でも突出した数です。私たちが提案したオンライン申請等、性的マイノリティーの方々が利用しやすく、困り事を解消するための工夫により、多くの利用につながっています。
 一方、制度創設以来、事実婚カップルもこの制度を利用したいという声が上がっています。名前が変わることでキャリアや仕事上の不都合があることから、事実婚を選ばざるを得ない一方で、住宅ローンや金融機関等での公的な証明がないなど様々な困り事が発生します。これらの問題解決には、パートナーシップ宣誓制度の対象を事実婚の方まで拡大することに加えて、より本質的には、選択的夫婦別姓の導入などの法改正が欠かせません。法務省の調査によれば、法律で夫婦同姓を義務づけているのは日本のみです。
 都として、積極的に異性の事実婚カップルの方々が抱える課題の解決に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 続いて、未来への投資につながる我が会派の重点領域について順次伺ってまいります。
 まずは、女性やスタートアップ、デジタルなど、東京の経済と社会を支える人と基盤への投資です。
 社会が大きく変化する中、都民や事業者から様々な要望が寄せられており、中でもデジタル面で、行政サービスの利便性向上や抜本的な変革が期待されています。未来への投資として、改めて重点的に取組を進めることが必要です。
 さきの定例会では、都民目線でオール東京のDXを飛躍的に進展させることを求めました。都は、都庁のデジタル化だけでなく、その先も見据えて、東京デジタル二〇三〇ビジョンを策定し、DXの将来像を示しました。
 GovTech東京の技術力も生かし、新たなビジョンで示された行政の垣根を越えた一歩先の将来像に向けて、多様な主体と連携し、都民ファーストの視点でデジタルサービスの変革にチャレンジしていくべきですが、知事の所見を伺います。
 先般、私たちは関連事業者からのヒアリングを実施し、小池都知事に対してスタートアップを後押しする総合的な提案をいたしました。
 間もなくTIB、Tokyo Innovation Baseが開設されますが、スタートアップ側の目線で、官民の連携が真に進む魅力的な拠点となるよう準備の加速を求めます。
 具体的には、民間で実施が難しいシード、プレシード期に重点を置いた支援、支援拠点同士を連携させるハブ機能、法務、会計、海外対応などの専門サービス、研究開発に必要な測定機器などの設備の提供等です。
 また、運営に当たっては、スタートアップの目利きができる専任のコミュニティマネジャーの配置や、関係者と中長期の信頼関係を築けるように、担当する都庁職員のローテーションを長期化させることも重要です。
 スタートアップファーストで、こうした取組が取り入れられるよう、様々な団体や事業者と協力してTIBをつくり上げるとともに、拡散力のあるSNSの利用など、集客戦略を徹底していくことが重要ですが、知事の見解を伺います。
 また、スタートアップからのヒアリングでは、公共調達とともに、都が旗振り役として、大企業などの民間企業におけるスタートアップからの調達も促進すべきであるという指摘がありました。今後の取組を強く求めます。
 また、宇宙開発では、かつては政府主導の領域でありましたが、海外では民間企業、特にスタートアップが大きな存在感を示し始めています。裾野が極めて広い産業であり、都内に国内有数の宇宙スタートアップ企業もあることから、同分野の振興に取り組むことも求めます。
 東京のスタートアップを起業する数を十倍にするという目標において、若いうちから起業を将来の選択肢として身近に捉え、慣れ親しむ機会をつくることが重要です。
 実際にスタートアップを立ち上げた起業家の皆様から、母校の高校などで学生向けに講演等を行ってもよい、貢献をしたいという声をいただいております。都職員の負担にならないよう、年に一度、放課後に起業家を招いて講演するだけで十分に効果があるとのことです。
 スタートアップや起業をキャリアの選択肢として身近に感じてもらうために、卒業生のスタートアップ起業家が母校の高校等で講演し交流するなど、学生が起業を身近に感じる機会を設けていくべきですが、見解を伺います。
 来月、池袋に新たにアニメ東京ステーションが開設されます。東京には、漫画やアニメ、ゲームなど、国際競争力を有する知的財産が集積しており、東京が日本のコンテンツ産業を牽引し、世界と戦える環境を築いていかなければなりません。
 しかし、近年、国策としてコンテンツ産業を育成してきた中国や韓国が市場を席巻してきたことで、日本の優位性は失われつつあり、強い危機感を持ち、抜本的な対策を進めていかなければなりません。
 最も注力すべきは人、クリエーターの挑戦を支援することであり、制作資金の支援や海外展開のための各種支援、また、制作スタジオなどの場づくりも重要です。
 コンテンツ産業を支える場を生み出すまちづくりを促進するため、都市開発や既存建築物の活用の両面で、まちづくり制度の活用などに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 農地の面積が限られる東京において、農業者が収益力を上げるためには、技術力の向上とともにブランド化等に取り組み、付加価値を高めることが必要です。その際、地域の実情に詳しく、農業者のニーズを踏まえて助言を行う普及指導員の役割が重要になります。
 都はこれまでも、普及指導の充実に取り組んでいますが、今後、都内全域でさらなる体制強化を進め、農業経営の充実を図るべきですが、見解を伺います。
 都は、日本産の海産物への風評を払拭し、応援するため、魚介類の消費喚起キャンペーンの実施を発表しました。知事のリーダーシップの下、大消費地である東京がその力を発揮し、漁業者や水産関連の事業者を後押しするムーブメントを起こすことには大きな意義があります。機を逸することなく、デジタルの力も活用し、迅速に取り組むべきです。また、被災地の復興にも役立てるため、福島県との連携も重要になります。
 さらには、中国依存から脱却し、輸出先の多様化にも取り組む必要があり、新たな海外販路の開拓について力強い後押しを求めます。
 こうした日本産海産物の風評払拭、消費喚起、輸出先の多角化などの観点を踏まえ、今回のキャンペーンにどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 卸売市場を取り巻く環境の変化や、市場会計の将来的な見通しの厳しさを踏まえ、市場経営の抜本的な改革の必要性をかねてより訴えてきました。東京都卸売市場審議会においても、根本的な市場の在り方も含め議論されております。
 市場施設、駐車場等の外部への貸出し、市場の改修に際しては、将来的な需要の変動に応じて柔軟に対応できる建物構造への変化など、あらゆる方策を総動員し、市場の収益向上に取り組むべきですが、見解を伺います。
 いわゆる年収の壁について、負担なき給付と指摘されている第三号被保険者の見直しや、海外事例等も参考にした壁を緩やかにするなど、制度の抜本的な改正が求められています。男性は外で仕事、女性は家庭を守るといった価値観は、現役世代では完全に変容しており、国は早期に取組を進めるべきです。
 都としても、国に根本的な制度改正の要望を行うとともに、働く人に対する正しい知識の普及啓発に加えて、伝統的な男女の役割分担意識に根づいた制度を改革し、男性も女性も働きやすい環境を整備する企業への支援など、独自の支援を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 シングルマザーが児童手当が途切れた後に改めて就労しようとしても、年齢が障害となり、困窮するケースが見られます。専門家によると、シングルマザーは、時間的制約に加え、経験不足等が原因で自らの能力を低く捉える傾向があり、結果、正規就労を目指さないことや、他方で、子供が幼い段階で、就労による自立に向けて寄り添った支援を受けることで、平均年収以上も目指すことができることなどが指摘されています。
 こうした実態を踏まえ、私たちは、都営住宅に住むシングルマザーを対象とした支援を提案、都営住宅の集会所を利用した支援について、具体的な方策を検討していく旨の答弁をいただきました。
 都営住宅における就労支援の実施に当たっては、就労支援を本来必要とする、より多くの方に参加いただけるよう工夫を重ねながら、多くの都営住宅において取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇二五年には国民の五人に一人が後期高齢者になるといわれており、シニアの生きがいや活動の機会の確保の観点から、シルバー人材センターには一層の機能拡大が期待されます。
 一方、シルバー世代のスキルや認識も時代とともに変わり、現役時代のスキルを生かしたい、若い世代や子供と関わって役に立ちたい、空いた時間を有効に活用したいなどの意欲的なニーズに応えていくことが必要です。
 そこで、シルバー人材センターが、事務系やIT関係の仕事などを希望する高齢者や、そうした働き手を確保したい発注者にとって選択肢となるよう、デジタルの活用も取り入れながら、センターのイメージチェンジを図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、センターに依頼する個人や団体からは、センターの認知度、信頼度や、オンライン等での依頼のしやすさなどに課題があるという声が上がっています。この際、依頼する側の視点でも、イメージチェンジを図ることを求めます。
 インボイス制度の導入が十月一日に迫っていますが、都内の中小零細企業やフリーランスにも大きな影響があります。特に、免税事業者が大半のフリーランスは制度開始に不安を抱き、約二割は仕組みがよく分からないためにインボイス登録をまだしていないという調査結果もあります。本来、国において対策すべきことではありますが、制度開始後、ますます大きな混乱が生じることも想定されます。
 東京都として、都内の中小零細企業やフリーランスがインボイス制度へ的確に対応できるよう、丁寧かつ踏み込んだ支援を行い、不安払拭に全力を尽くすべきではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
 中小建設事業者からは、品質の確保や安全管理に加え、資材価格の高騰や働き方改革推進と、将来の担い手育成、確保がまさに喫緊の課題であるとの声をいただいております。
 建設業では、二次、三次以上の下請で形成される重層下請構造がありますが、施工に関する役割や責任が不明確になり得ること、品質や安全性の低下等の弊害が生じ得ることなどが指摘されています。国の持続可能な建設業に向けた環境整備検討会でも、正確な実態把握が重要であるとされています。
 都として速やかに、都発注工事における重層下請構造の現状を把握すべきですが、見解を伺います。
 残業上限規制の実施が猶予されてきた建設業、運送業において、二〇二四年四月より規制が本格適用されます。労働基準法の改正から五年の猶予があったものの、様々な業界努力を重ねても、なお課題が山積しているとの現場からの切実な声が届いています。都のさらなる支援策を求めるとともに、官民の発注者側の協力や配慮も必要です。
 特に、公共調達において特段の配慮が必要であることはいうまでもなく、これまで都も取組を進めてきたものと認識していますが、今後、都が発注する工事について、週休二日の実施、必要な労務費の設定、発注時期の平準化、適切な工期設定、工事書類の削減、簡素化など、建設業の働き方改革をさらに進めるべきですが、見解を伺います。
 カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラは増加傾向にあり、厚労省の二〇二〇年度調査による過去三年間の相談件数では、パワハラ、セクハラに次いで一九・五%を占めるに至っています。
 私たちは、悪質クレーム、まあ迷惑行為ですが、流通や介護などサービス業に従事する方々のメンタルヘルスの悪化や離職を招いていることを指摘してきました。公社の相談窓口にクレーム対応を項目として加え、今年度からセミナーを開催するなど、都も対応を進めてきました。
 また、教員や自治体職員などの公務員も含め、様々な業種や職種に広がるカスハラを防止するためには、社会全体の機運を醸成する必要があります。カスハラを防止するための都民への啓発や条例の制定など、都としての取組をさらに一歩前進させるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 続く重点領域は、医療、介護分野です。この分野では、少子高齢化が進む中で、支出の拡大を抑えながらも享受できるサービスの質を高める取組が重要です。
 私たちはかねてより、フレイル対策強化を訴えてきました。中でも、聞き取る機能の衰えであるヒアリングフレイルは、全体的なフレイルの進行や認知症の原因になるといわれています。六十五歳以上の約半数の方に聞こえの問題があるともいわれている中、都内自治体で補聴器の購入支援などが進んでいますが、補聴器は高額であり、自治体間格差が生じないよう、聞こえの支援の強化は都内全域で推進すべきです。
 都は、区市町村に対し包括補助による支援を行っていますが、補聴器支給の支援を強化すべきと考えます。見解を伺います。
 毎年、約三千名もの女性が命を落としている子宮頸がんの予防策として、HPVワクチンの接種は有効ですが、副反応に対する懸念から長らく日本では接種が控えられ、接種率は先進国の中で最低水準にとどまっています。
 二〇二二年より女性への積極的な接種勧奨が再開され、二〇二三年から九価のHPVワクチンの定期接種が決まりましたが、改めての普及啓発が必要です。
 一方、男性に対するワクチンは自費接種のため五、六万円と高額であり、必要性が十分に認識されていないことで接種が進んでいません。とりわけ経済的に厳しい家庭の男児は、接種が難しいワクチンとなっているのが現状です。
 こうした状況を踏まえ、今年八月より中野区で男性へのHPVワクチン接種に助成が始まるなど、自治体単位での取組が進み始めました。
 都でも、HPVワクチンの積極的な啓発に加えて、自費接種となっている男性への接種助成についても進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、私たちが最重点領域として取り組んできたチルドレンファーストの東京に向けた子供、子育て、教育の取組について伺います。
 私たちの提案によって実現した〇一八サポートの申請が始まり、多くの喜びの声が届いています。国の少子化対策が遅れる中で、都がスピード感を持って事業を進めていることを高く評価いたします。
 学びなど子供の育ちを切れ目なくサポートし、子育てのしやすい東京を実現するという〇一八サポートの趣旨も鑑みて、来年度以降も継続的に実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方で、この給付金は生活保護世帯の収入にも算定され、生活保護費が減り、結果として、厳しい生活環境にある世帯の支援になっていないという現状が指摘されています。この点に関する我が会派の要望を受け、小池都知事は、厚生労働大臣宛てに子供に対する経済的支援に関する緊急要望を提出しています。引き続き国への交渉をお願い申し上げます。
 また、申請に際しては、手間がかかる、時間がかかるなど、ネット申請に苦戦したというご意見もいただきました。子供や仕事など、忙しいことの多い保護者のストレスとならないよう、ネット申請の方法を改善すべきですが、見解を伺います。
 国は、異次元の少子化対策と銘打ち、大胆な政策を行うと宣言しましたが、具体的にどのような取組を進めるのか、いまだ見えてきません。一方、都は、私たちの要望や提案を受けて、〇一八サポート、赤ちゃんファースト事業など、先進的な取組を迅速に実現してきました。
 一方、コロナ禍もあり、少子化をとどめるにはいまだ至っていません。子供政策連携室が公表した論点整理では、東京都内での子育ての家計負担は大きく、特に教育費、住宅費が課題と指摘されています。また、物価高等で実質年収が低下し続けていることも併せて指摘されており、若者の経済的安定の確保は極めて重要です。
 抜本的な構造改革をせず、ツケを若者に押しつけてきたことの答えが、今の少子化という現状であることに政治家は改めて向き合い、日本、東京の次世代を担う若者全般に対する公的なサポートをしっかりと検討すべき時期に来ています。
 抜本的な少子化対策を進めるため、例えば教育、住宅支援や経済的安定に向けた支援など、若年層に対する強力な策を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新宿歌舞伎町のいわゆるトー横かいわいには、家庭などに問題を抱えた青少年が居場所を求めて集まり、悪意のある大人によって犯罪被害等に遭うなど、大きな問題になっています。
 都は本年、青少年問題協議会を立ち上げ、七月に答申を取りまとめました。これを受けて、八月には青少年のサポートをする民間団体やインフルエンサーを中心とした啓発イベント、きみまもを開催しました。
 青少年にとっては、行政職員も大人の物差しで裁く無理解な人たちと映る傾向があり、それだけに、青少年の目線で活動を展開する民間団体との連携は重要です。今回のイベントでそうした視点を踏まえたことを評価いたします。
 青少年問題協議会の答申を踏まえ、今後の取組を総合的に推進していく必要がありますが、今このときも苦しんでいる青少年がいるというトー横問題の緊急性を踏まえ、実施可能な対策から早急に進めていくべきですが、見解を伺います。
 ジャニーズ事務所の性加害問題は、芸能界だけでなく、社会全体を揺るがす、根深く深刻な人権侵害事案です。映画界などにおいても、監督等の俳優に対する優越的関係性の中で性加害が生じているとの報道もあります。こうした状況は、特に人権問題に対して対策が進んでいる欧米諸国からも極めて厳しい目で見られていることに留意しなければなりません。
 性加害に関する重大事案に対する東京都の基本スタンスは国内外から注目されており、性加害問題に対して、都としての姿勢を明確に示すとともに、被害者への対応を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 首都東京の関東大震災からの復興を主導した後藤新平は、後世に残すべきものとして、お金や事業ではなく、人の重要性を説いたといわれています。人の育成の根幹は教育であります。
 全国学力テストで中学生の英語が全国トップとなるなど、スピーキングテストをはじめとする都の先進的な取組が着実に実を結びつつありますが、東京の教育には、新たな教育内容への対応、さきの定例会においても改善を求めた教員不足や長時間労働、学校施設の老朽化、学費、教育費の家計負担など、まだまだ多くの課題が山積しており、教育予算の抜本的な拡充など、これまでとは異なる規模での施策の強化を求めます。
 学校トイレの洋式化や体育館への冷暖房整備など、学校施設の充実についても、私たちは強くこれまで訴えてきました。都立学校はこれまで、計画的に施設更新を進めてきたものの、老朽化施設が多く、更新を加速し、東京の未来を担う子供たちの学びの環境の充実をハード面でも進めていく必要があります。
 老朽化が進み、対策が必要な都立学校について、現状の把握と課題の整理を行い、主要施設十か年維持更新計画の第Ⅱ期、第Ⅲ期の計画施設として位置づけ、都立学校の施設更新を迅速に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、学校施設の中でも、本年の夏の酷暑なども踏まえ、生徒を守るための空調設備の改修は喫緊の課題です。
 都立高校の生徒を熱中症等の危険から守り、快適な学習環境を確保するため、今後、老朽化した空調設備の改修を早急に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 大学は、東京の未来を担う人の育成、そして新たなイノベーション創出の拠点であり、都市の国際競争力を高めるものです。
 私たちはかねてより、都立大学の国際競争力を高めるため、英語を活用した教育体制の強化、留学生の積極的な受入れや学生の留学促進、そして学部での秋入学の導入を強く求めてまいりました。その結果、秋入学の導入を含め、国際化の大幅な強化が示されました。
 来年六月の入学者選抜に向け、優秀な留学生などの確保策を講じるとともに、在学学生の海外留学等も後押しするなど、都立大学を世界水準の大学へと進化させるための取組を強力に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 データに基づく政策立案、EBPMは、医療や教育分野に適性が高いことを踏まえ、かねてより、教育や校務に関わる情報を紙からデジタルへ移行させ、教育指導に生かす、いわゆる教育ダッシュボードの必要性を訴えてまいりました。
 都教育委員会は、校務系データと学習系データを格納する教育ダッシュボードを今年度中に運用開始するとのことで、大きな一歩を踏み出すことを高く評価いたします。まずは、生徒の過去から現在のデータを教師が一元的に閲覧して指導に生かせるようにすると聞いています。
 今後、エビデンスベースの指導を一層推進することを目的に、教育ダッシュボードに取り込む教育データの項目の拡充や、教育におけるビッグデータの活用についての研究にも着手すべきですが、見解を伺います。
 私たちは、昨年の予算要望の最重点項目の一つとして、フリースクールを取り上げ、学校復帰を前提とせず、多様な学びを支援する方向へと東京を変革していくことを強く求めました。これを受け、フリースクールをはじめとした学校外の学びの場が都の政策課題として認識され、速やかに組織横断の推進チームが立ち上がったことを評価します。
 また、私たちの提案を受けて実現した保護者に対する月額二万円の調査協力金は、非常に重要な一歩ですが、これを保護者の負担軽減のための経済的支援として明確にしていくことが必要だと考えます。
 本年六月、知事出席のこども未来会議では、学校外の学びの在り方が議題となり、不登校によって子供も保護者も様々な悩みを抱えていること、ギフテッドなど才能がある子供たちが学校生活に適応できずに苦しんでいることなど、子供や保護者を取り巻く課題が指摘されています。
 子供の多様性に配慮した居場所の創出に向けて、保護者、スクールのそれぞれに対して、チルドレンファーストの視点から、今こそ、経済的支援も含めた実効性のある対策を講ずるとともに、様々な子供の可能性を育む学びの実現に向けてチャレンジすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 六月、全国知事会のPTから休み方改革推進の提言が公表されました。実際に、年三日まで欠席扱いとならずに、平日に学校を休める制度を開始する自治体も出始めました。
 この取組については、さきの定例会で我が会派の議員の一般質問で言及しましたが、東京くらし方会議において有識者から導入を求める声や、八割を超える保護者が導入に肯定的という民間調査も存在しておりまして、都としても積極的な検討が必要だと考えます。
 子供目線で見ますと、学校、教室の場だけが学びではありません。課外活動では、例えば議会の傍聴、スポーツや芸術の大会など、平日にしかできない活動もあります。子供も自らが考え、判断して、学校外での活動を効果的に生かすことを後押しするためにも、学校を一定の日数休むことができる子供の休み方改革、ラーケーションの導入を検討すべきだと考えます。
 東京都として、都立学校はじめ、都内の子供たちが学校の外で学び、人生を豊かにするための活動を後押しするため、子供の休み方改革、ラーケーションの創設など、子供目線での休み方改革を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、偏在是正措置に関する対応について伺います。
 全国知事会において、総務省及び同省出身の知事が中心となり、東京都から新たに財源を奪い取ろうという動きがあると一部報道がなされました。これがもし事実であれば、自治体や全国知事会の独立性という、地方自治の根幹を揺るがしかねないゆゆしき問題です。
 現時点でも、いわゆる偏在是正措置により、都の本年度予算ベースでは一兆二千七百六十五億円もの財源が国に収奪をされており、これは、都民一人当たりで換算すると九万円以上のマイナスという大変な規模になります。
 そもそも地方創生は、自助努力や創意工夫を通じて独自性を追い求める、各自治体の取組を後押しするものでなければなりません。しかし、近年、自治体の国への依存は逆に高まっており、地方創生の成果は一向に上がっていないのが実態です。国から地方への権限と財源の大胆な移譲による地方分権の抜本的な見直しが必要です。
 あるべき地方税財政制度の在り方について、偏在是正措置の都財政への弊害も含め、あらゆる機会を通じて、改めて広く都民に普及啓発するとともに、国などに対して抜本的な見直しを強く求めるべきですが、知事の見解を伺います。
 以上、様々な現場で課題に直面する都民の声に耳を澄ませながら、多様な人が活躍する社会の実現に向け、課題解決策と未来への投資を提言していくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森村隆行議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、グリーンインフラについてであります。
 気候危機による自然災害の激甚化が進む中で、都市において緑が果たす役割はこれまで以上に重要となっております。憩いや潤いを与えるだけでなく、保水能力など自然が有する力を都市の安全・安心へつなげていくことが必要です。
 このため、百年先を見据えまして、貴重な緑を未来へ継承していく新たなプロジェクト、東京グリーンビズを始動いたしました。緑を守る、増やしつなぐ、生かすことによって、緑と生きるまちづくりを進めてまいります。
 その柱の一つであるグリーンインフラは、自然環境が有する多様な機能を活用するものでございまして、都市の緑化はもとより、雨水の貯留浸透や流出抑制、生物の生息環境の創出等にもつながりますことから、都として積極的に導入してまいります。
 全庁一丸となりまして取組を前に進めるとともに、区市町村や民間事業者による導入も促進するなど、取組の輪を社会全体に拡大していくことで、緑あふれる持続可能な東京をつくり上げてまいります。
 次に、事実婚の方々の困り事に関してでございます。
 多様性が尊重され、温かく優しさにあふれるダイバーシティを目指すためには、一人一人が活躍できる社会を実現することが重要です。
 事実婚を選択する理由の一つといたしまして、自身の姓を変えることによる不利益が結婚の障壁になることなどが指摘されております。
 都は、選択的夫婦別姓制度に係る議論を早急に深め、結論を出すことの旨の国への提案要求を実施しておりますけれども、国での議論は遅々として進まない状況でございます。
 また、税控除の問題など、他の法制度から生じる不利益も存在しております。
 今後、都は、事実婚につきまして、まずは専門家から立法政策上の課題につきましてヒアリング等を実施いたしまして、国へ要望していくとともに、選択的夫婦別姓制度についても研究を進めてまいります。
 こうした取組によりまして、事実婚の方々が抱えている課題の解決に向けて、積極的に取り組んでまいります。
 次に、東京デジタル二〇三〇ビジョンについてでございます。
 デジタルの力で都民サービスを飛躍的に高めていくため、未来に向けて一歩を踏み出す。GovTech東京を推進力に、同じ志を持つ全ての区市町村と共に、一人一人に最適化したサービスを行政の垣根を越えてタイムリーに届ける変革に挑んでまいります。
 まずは、子育て分野から着手をいたします。利用者の声に耳を傾けながら、身近な母子手帳アプリなどを入り口に構築を進めてまいります。妊娠、出産から保育まで、必要な情報をプッシュ型で提供しまして、迅速なサービスや支援の実施につなげてまいります。
 事業者に向けましては、申請のたびに同じ情報の入力や書類の提出をなくす手続サクサクプロジェクトを進めます。さらに、AIなど新技術の活用によります審査の効率化を図りまして、さらなるスピードアップを実現してまいります。
 国や区市町村をはじめ、多様な主体の参画を得て、デジタルをてこに、都民のQOLを高め、一人一人が輝く社会を築き上げてまいります。
 次に、Tokyo Innovation Base、TIBについてでございます。
 スタートアップ支援に関わります各地の拠点や、あらゆる人々を結びつけまして、オール東京でスタートアップの挑戦を後押ししてまいります。これこそがTIBの目指すところでございます。十一月に国内外のキーパーソンが一堂に集う大規模なプレオープンイベントを開きまして、この理念を参加者と共有しまして、広く発信してまいります。
 大学、企業、支援機関など、思いに共感する様々な人材が運営チームに参画いたしまして、垣根を越えて交ざり合う、アイデアを掛け合わせ、企業単独では難しいグローバルを見据えた支援プログラムなどをつくり出してまいります。
 ウェブサイトによるPRや海外イベントでのプロモーションに加えまして、チームメンバーによる口コミの情報拡散や、若者目線での動画配信など、SNSを戦略的に活用することによりまして、人が人を呼ぶ大きなプラットフォームに育ててまいります。
 次に、水産物の消費喚起についてであります。
 水産物への風評の懸念を払拭しまして、漁業者等の支援にも結びつけるため、東京の大きな消費の力を迅速に活用することが重要であります。
 都は、新鮮な海の幸をすし店で食べるほか、鮮魚店で購入する場合、支払いの三〇%を、一人当たり一千円相当までのポイントで還元するキャンペーンを展開いたしまして、消費の喚起に結びつけてまいります。
 この取組におきましては、キャッシュレス決済でポイントを提供する仕組みといたしまして、まち中でデジタル化を進める工夫の一つといたしてまいります。
 また、十月に開催する農林水産と食への関心を高めます東京味わいフェスタ、この場におきまして、福島県等の水産品コーナーによる紹介を充実するほか、海外の食品展示会で水産物をPRするなど、魚介類の安全と安心を幅広く発信してまいります。
 これらによりまして、水産物の速やかな消費喚起と水産関連の事業者のサポートをしっかりと進めてまいります。
 次に、女性が働きやすい環境づくりについてでございます。
 女性が自らの能力と意欲に応じ、経済の分野で活躍することへの期待が高まる中で、こうした潮流に我が国はますます乗り遅れているのが現状であり、働く女性を支える仕組みづくりは、もはや待ったなしでございます。
 東京くらし方会議の議論によりまして、社会保障に係る正確な理解を広げ、女性の活躍を後押しする職場をつくる必要性が浮き彫りとなっております。女性の働く意欲を高めるため、国に正確な情報発信を要望するほか、民間での登用を働きかけてまいりました。男性が子育てを担う社会的な機運を高める取組も進めているところでございます。
 今後は、会社の中で、女性がキャリアアップにより、一層力を発揮する仕組みづくりをサポートするほか、育業した男性がその経験を進んで職場に伝え、働く女性を家庭で支える同僚や後輩を増やしたい。
 これらによりまして、女性が輝き、誰もが活躍できる社会の実現を進めてまいります。
 シルバー人材センターに関してでございます。
 長寿社会が進展をしまして、会社の定年を迎えた後も、その意欲や経験に応じ、様々な仕事に取り組む力のある高齢者は増えております。そうした方々が働くふさわしい機会を確保しまして、仕事を効率的に提供する工夫を進めなければなりません。
 東京の各地域にあるシルバー人材センターは、高齢者に負担の少ない仕事を、地元の自治体などから長年にわたり受注をし、希望者には順番などを取り決めて提供してまいりました。これからは、高齢者の活躍する新たな仕事を増やし、働き手に的確につなぐ仕組みづくりが重要となっております。
 今後は、シルバー人材センターにそのサポートを進める東京しごと財団が協力しまして、地域に出向き、子育てや見守りなどの新たな仕事を掘り起こすほか、DXの技術を利用して、働き手と仕事の速やかなマッチングを進めてまいります。
 これらにより、高齢者が生き生きと活躍できるシルバー人材センターの新たなイメージの確立に結びつけてまいります。
 次に、中小企業のインボイス制度への対応についてであります。
 厳しい経営環境にある中小企業などが、インボイス制度の導入に伴い免税を選んだ場合、取引の打切りや受取代金の減少につながる懸念があり、課税事業者になると納税の事務を担わざるを得ないわけであります。これらの状況を乗り越えるための後押しは不可欠であります。
 これまで都は、インボイス制度に関する正確な知識を提供するセミナーを開くほか、実務上の相談に対応してまいりました。今後、制度の開始に伴う取引や税務の面での課題に対応するため、相談体制の大幅な拡充を図りまして、現場で専門家が助言をする新たな仕組みも導入をいたします。
 また、十月にオープンする芸術文化相談サポートセンターにおきまして、芸術文化の仕事でインボイスの問題に直面する方に対しましても相談を受け付けるなど、適切な支援を進めてまいります。
 さらに、制度の導入後の適正な取引を確保するため、中小企業に発注を行う大企業を含めました様々な会社に対して、法令上のルールなどに詳しい実務家が巡回をし、働きかけを行うなど、総合的な取組を展開いたします。
 カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラの対応についてであります。
 製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、従業員が人格を傷つけられ、精神的なダメージを受ける状況を放置することはできません。このことは、学校や警察など公共サービスを提供する現場でも例外ではありません。
 国は、こうした問題の解決に向けまして、指針をつくり、会社としての対応の進め方を示しておりますが、民間での取組はいまだ緒に就いたばかりでございます。
 都では、対応の方法の紹介や助言などを進めてまいりましたが、今後、ウェブやポスターなどによる啓発を行いますほか、官民一体での意見の交換をするため、経済団体や労働団体の代表が一堂に会します公労使会議の場を活用しまして、カスタマーハラスメントについて議論を行い、適切な対応の在り方について検討してまいります。
 次に、HPVワクチンの男性への接種についてであります。
 HPVワクチンは、女性のみならず男性のがん予防にも効果があるとされておりまして、男女が接種することで集団免疫効果が期待できます。また、男性も公的接種の対象としている国では、男女とも比較的高い接種率を示しております。国内でも、中野区を含めました幾つかの自治体が、男性への接種費用を助成し、接種を進めています。
 国は、男性の定期接種化に向けました検討の中で、有効性や安全性、費用対効果に関する最新の情報を現在整理しておりまして、都は、検討の促進を働きかけているところであります。
 今後、女性への接種が進みますよう、区市町村と連携して啓発をより積極的に行うとともに、諸外国や国内の動向、国の検討状況を総合的に勘案しまして、HPVワクチンの男性接種に係る区市町村への支援について検討してまいります。
 次に、〇一八サポートについて。
 都は、今日の危機的な少子化の状況を踏まえまして、これまで進めてきた少子化対策のさらなる充実強化に取り組んでおり、その一環として〇一八サポートを実施しております。
 国におきましても、少子化対策を進めていることは承知しておりますが、例えば児童手当につきましては、拡充の方向性が示されたものの、財源や地方負担は今後議論することとされております。
 都といたしまして、引き続き、子供一人一人の成長を支えていくという観点から、国の動向などを見定めながら、予算編成の中でしっかりと検討してまいります。
 次に、少子化対策であります。
 歯止めのかからない少子化は、我が国が直面する最大の試練であります。先送りが許されない課題に対しまして、私は強い危機感と意思を持って、都としてなし得る対策を積極的に講じ、スピード感を持って展開をしているところであります。この手を緩めることなく、取組をさらに加速していかなければなりません。
 少子化の背景には、若い世代や子育て世帯が様々な理由で不安を抱え、希望を持ちつつも結婚や子供を持つことをためらう状況がございます。
 そのため、ご指摘の論点整理において、子育て環境はもとより、教育、住宅費の高さ、そして不安定な雇用、仕事と子育ての両立を阻む働き方など、幅広く現状分析を行いまして、政策課題を提示いたしました。
 今後、若い世代や子育て世帯の希望をかなえる効果的な施策を検討いたしまして、望む人が安心して子供を産み育てることができる東京をつくり上げてまいります。
 性加害に伴う人権侵害への対応についてでございます。
 性的被害を受けた方は、心身ともに長期にわたりまして傷を負うなど、個人の尊厳が著しく踏みにじられることとなり、そのような行為は決して許されるものではございません。
 都は、十月にオープンいたします東京芸術文化相談サポートセンターにおきまして、外部の専門家等と連携した相談窓口を開設するなど、ハラスメント対策も含めまして、アーティストなどの持続的な活動の支援に取り組んでまいります。
 また、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター事業におきまして、民間支援団体等と連携して、二十四時間三百六十五日の相談対応を行って、被害直後から相談、医療、精神的ケアなどをワンストップで支援をしております。
 今般の事案を受けまして、支援を必要とする方に確実に情報が届くよう、戦略的な広報を展開してまいります。
 性被害の未然防止と性被害者への支援に全力で取り組み、誰もが尊厳を持って生きられる社会を実現してまいります。
 次に、都立大学の国際化についてであります。
 社会のグローバル化が加速する中、東京が世界と伍していくためには、異なる価値観を有する海外の学生との切磋琢磨を通じ、優れた国際感覚や強いリーダーシップを身につけた人材を育成、輩出していくことは重要であります。
 その一翼を担う都立大学におきましては、国際色豊かなキャンパスの実現に向けて、理学部生命科学科で秋入学を導入いたします。来年六月の入学者選抜に向けまして、海外広報を積極的に展開するなど準備を進めておりまして、本年十二月に募集要項を公表いたします。
 秋入学の導入と併せて、英語で実施する科目の増設などによって、海外の学生が集い学び合う環境を整備していきます。また、留学を必須とする教育プログラムを拡充しまして、日本人学生の海外への挑戦を後押しする取組を推進してまいります。
 こうした取組によりまして、世界標準の教育環境を構築し、未来を切り開く人材を育成する都立大学を都としても積極的に支援をしてまいります。
 次に、フリースクールに関してであります。
 いわゆる不登校が増加の一途をたどっております。こうした児童生徒をはじめ、学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供たちにも、個性や強みを伸ばして大きな花を咲かせてほしい。子供たちがフリースクールなどに安心して通えるよう、保護者へのサポートの在り方について検討を深めてまいります。また、子供目線に立ちまして、フリースクール等に求められる役割を後押しする方策の在り方について検討してまいります。
 さらに、子供の様々な可能性を育む学びにつきまして議論を深め、未来を切り開き、新しい価値を創造する力を培ってまいります。
 全ての子供がありのままで自分らしく成長できる東京の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
 そして、地方税財政制度の在り方についてであります。
 いわゆる偏在是正措置につきましては、地方分権の理念と逆行する不合理なものでございまして、さきの全国知事会議でも、さらなる措置を求める一部の知事の発言に対して、都知事といたしまして、エビデンスを示しながら強く反論したところでございます。
 我が国の財政は、国と地方の歳出配分が四対六である一方、国税と地方税の配分は六対四と逆転しておりまして、地方税の割合は低下の一途をたどっております。日本全体が持続的成長を遂げるためには、地方同士で限られたパイを奪い合うのではなく、地方が果たすべき役割と権限に見合うよう、地方税を充実、確保していくことこそが重要であります。
 真の地方自治の実現に向けまして、国の不合理な措置が地方分権にいかに逆行し、都にどれだけの影響を与えているのか、こうした点も含めまして、都の主張を都民の皆さんに共感いただけますよう、様々な機会を捉え、分かりやすく発信をしてまいります。
 また、国や他県などに対しまして、国、地方間におけます税財源の配分見直しなど、地方税財政制度の抜本的な改革に向けて取り組むよう、しっかりと働きかけてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立学校の施設更新についてでございますが、都教育委員会は、築年数や老朽化の度合い、今後の児童生徒数の推移等を総合的に勘案し、都の主要施設十か年維持更新計画に位置づけ、都立学校の改築や大規模改修を計画的に進めております。
 更新計画に位置づけるに当たり、仮設校舎の設置をはじめ、工事ヤードや工事車両動線の確保、日照等の周辺環境への影響などについて、学校ごとに様々な事前の調査を行っております。
 今後、こうした個別の調査を来年度中に完了し、第Ⅱ期、第Ⅲ期の更新計画に着実に位置づけ、速やかに改築等に着手できるよう取り組んでまいります。
 次に、都立高校の空調設備の改修についてでございますが、都立高校には、既に全校で空調設備が設置されていますが、老朽化により空調機能が低下した学校もあり、改修工事に期間を要する全館空調方式の学校では、スポットクーラー等の設置により、その機能を補っております。
 現在、都教育委員会は、老朽化した全館空調設備の更新工事を順次進めております。これまでに、全館空調設備を設置している三十二校中、改修が完了している学校は十二校、設計、改修工事中の学校は九校となっております。
 改修工事等に着手できていない十一校についても、来年度以降、速やかに全ての学校で改修工事に向けた設計等に着手できるよう、必要な対応を行ってまいります。
 次に、教育データの活用についてでございますが、都教育委員会は、成績、出席などの各種データを分析、可視化し授業改善に活用する教育ダッシュボードについて、令和六年一月から段階的に利用を開始してまいります。
 今後は、有識者の意見等を踏まえて、取り扱うデータの種類の拡大を検討するなど、教育ダッシュボードの一層の充実を図ってまいります。
 また、ダッシュボードに蓄積したデータと生徒の学習に対する取組の傾向を分析するなど、教育データを一層活用した指導についても研究を進め、子供一人一人の力を最大限伸ばす教育を実現してまいります。
 次に、子供たちの学校外での学びと活動の後押しについてでございますが、全ての子供が今後の人生を豊かに暮らすための力を育めるよう、学校内外での様々な活動の機会を創出することは重要でございます。
 一方で、様々な課題への配慮も必要と考えられることから、今後も、都教育委員会は、先行自治体の動向も注視しつつ、一人一人の子供の置かれた様々な状況に応じ、適切に対応してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) ミサイル攻撃への備えの強化についてでございますが、都民の生命や身体を守るには、避難施設の確保に加え、関係機関等と連携した避難者の安全確保が重要でございます。
 このため、都は、緊急一時避難施設のさらなる指定とともに、施設の安全性を高めるための技術的調査を実施しております。また、本年七月に図上訓練を行い、関係機関等との連携手順を確認いたしました。さらに、今年度中に、緊急一時避難施設を初めて活用した実動訓練を行い、関係機関等と避難誘導の連携要領などを検証いたします。
 今後、技術的調査の結果や、ヘルシンキ市など海外の事例も参考にしながら、地下駐車場の活用等、東京の特性に合ったハード、ソフト両面の取組を推進し、都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 災害時におけるペットとの避難に関するご質問にお答えいたします。
 都は、災害時に飼い主と動物の安全を確保するため、避難所を設置する区市町村に対し、地域防災計画に動物救護対策を位置づけるよう働きかけ、現在、六十の区市町村が計画に記載しております。
 また、避難所の管理運営体制の整備等を盛り込んだマニュアルを作成し、提供するほか、避難所で必要となるケージや応急処置用品の備蓄などに要する経費を包括補助で支援しております。
 今後、区市町村の防災と動物行政双方の担当者に、関係団体やボランティア等と連携した取組の好事例等について情報提供を行うなど、災害時の動物救護対策に一層取り組んでまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域のホームドア整備の加速についてでございます。
 ホームドア整備の促進には、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 都は、さらなる整備の加速を図るため、補助継続と併せ、事業者に整備計画の充実を求め、JR東日本からは、多摩地域も含め路線単位で九十六駅を追加した計画が提出されました。中央快速線では、令和六年度末のグリーン車導入に必要な駅改良工事を行っており、ホームドアは、令和十三年度末までに整備していくことが示されております。
 鉄道事業者に対し、整備計画の前倒しに加え、新たに駅ごとの進捗状況の明示を求めるなど、ホームドアの早期整備を働きかけてまいります。
 次に、コンテンツ産業を支えるまちづくりについてでございます。
 東京の強みであるコンテンツ産業の集積を地域の個性としてまちづくりに生かすことは、都市の魅力を向上させる上で重要であり、都は区市と連携し、まちづくり制度の活用による施設整備の促進などに取り組んでまいりました。
 例えば、容積率緩和などの制度を活用し、池袋ではサブカルチャーやアニメなどを、渋谷では音楽やファッションなどを世界に発信する文化交流施設の整備などが進められております。
 今後は、これまでの取組に加え、既存建物のリノベーションなども誘導しながらまちづくりを進めることでコンテンツ産業を育成し、世界をリードする魅力ある都市づくりを推進してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 有機フッ素化合物の前倒し調査についてでございます。
 都内の様々な地点でPFOS等が検出されている中、飲用水における都民の安心・安全をより高めていくことが重要でございます。
 このため、都は、地下水の前倒し調査及び多摩地域をはじめとする比較的高濃度のPFOS等が検出された地域における追加調査を実施してまいります。現在、地元自治体の意見、要望を踏まえ、調査地点の選定を行ってございまして、今後、順次測定を進め、年度内の調査結果の公表を目指してまいります。
 あわせて、水道水の安全性を引き続き確保していくとともに、指針値を超える井戸の所有者に対しまして、飲用に供さないよう助言を行うなど、都民の不安払拭に努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 世界陸上とデフリンピックの機運醸成についてでございますが、両大会は、スポーツのすばらしさ、多様な価値観を認め合う共生社会の大切さなど共通したメッセージがあり、相乗効果を発揮し、盛り上げていくことが重要でございます。
 そのため、都は、陸上アスリートやデフアスリートを双方の大会関連イベントで起用するほか、ホームページをはじめとした様々な広報媒体を通じて両大会の魅力を同時に発信するなど、一体的な取組を展開いたします。
 今後、それぞれの大会について関係者と連携し、年内に基本計画を取りまとめるとともに、機運醸成の取組を効果的に推進いたします。
 こうした取組を通じて、都民、国民の期待感を高め、大会の成功につなげてまいります。
 次に、大会に向けたアートの振興についてでございます。
 世界の注目を集める両大会の機を捉えた東京の芸術文化の発信は、大会の機運を醸成し、国内外の人々との絆を深めることにつながります。
 都は、東京二〇二〇大会の経験を生かし、アートを身近に感じてもらうための国際的アートフェアと連携したイベントや、デジタルを活用した新たな表現を創造する拠点開設などを通じて東京の芸術文化を発展させてまいりました。
 二〇二五年の両大会の開催に向けても、東京を訪れるあらゆる人々が楽しめる文化プログラムを展開し、大会のコンセプトである共生社会の実現に向けたメッセージを発信してまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 障害者のデジタルデバイド対策に関するご質問にお答えいたします。
 視覚、聴覚に障害のある方が、身近なデバイスであるスマートフォンを使いこなせるよう、その目線に立ったサポートを充実させていくことが重要でございます。
 九月からは、これまでの地域での取組に加え、障害種別に応じた新たな体験会を都内全体で展開いたします。障害者団体の意見等を踏まえ、経験豊富な講師とスタッフを十分に配置し、複数回で段階的に学べるようにいたします。
 さらに、聴覚障害者向けには手話や要約筆記を用意し、視覚障害者向けには点字や音声の教材を事前配布するなど、きめ細かくサポートをしてまいります。
 デジタルの力で生活がより豊かになるよう、ニーズに沿った支援を引き続き充実させてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害のある方の観光についてでございますが、障害のある方が東京の豊かな自然に触れ、観光を楽しむ取組を後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、障害者が多摩地域の自然の中を観光で巡る場合、車椅子での移動が可能なルートなどの情報について、ウェブサイトを通じ紹介をしてまいりました。また、障害のある方が安全に自然を楽しむツアーを増やすため、観光関連事業者向けにセミナーを開催しております。
 今年度、多摩や島しょの自然の中を観光する際に、車椅子で坂道を移動できるようサポートする装置等の導入にも活用できる助成を開始いたしました。様々な事例等を踏まえ、誰もが自然を楽しめる観光を推進してまいります。
 次に、ソーシャルファームへの支援についてでございますが、都は、就労に困難を抱える方が働き、一般企業と同様の自律的な経営を行うソーシャルファームの認証と支援を行っており、これらを一層効果的に増やす取組は重要でございます。
 事業者を増やす上で、難病を抱える方等がリモート勤務で力を発揮できるデジタル産業や、障害者などが地道に作業に取り組み、成果を出すことのできる農業は有望な分野となります。
 こうした分野での取組を増やすため、ソーシャルファームと新たな事業の立ち上げを目指す経営者との交流の場を活用し、様々な知識やノウハウの共有を支援いたします。
 また、そうしたソーシャルファームの設立に向け、経営者からの要望に応じ、専門家が相談や助言を行ってまいります。
 最後に、東京の農業経営の充実についてでございますが、都内の農業者が最新の技術により、優れた農産物を作り、そのブランド化を図る取組を支援することは重要でございます。
 これまで都は、普及指導員による巡回指導や講習会を通じ、栽培技術の向上に役立つ知識やノウハウの提供を行ってまいりました。
 また、農作物のブランド化に取り組む農業者に対し、新たなラベルのデザイン等について専門家が助言を行い、その作成経費に助成をしてきたところでございます。
 今後は、普及指導において新たな情報機器の活用を進めるなど、栽培技術の支援の仕組みを充実するほか、都と農業者が協力し、ブランド化を進める協議会を立ち上げ、マーケティングを後押しいたします。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、精神科病院における虐待通報への対応についてでございます。
 都はこれまで、障害者虐待等に対応してきた東京都障害者権利擁護センターに加え、来年四月の改正精神保健福祉法の施行に向け、精神科病院で虐待を受けたと思われる患者を発見した方や虐待を受けた患者、その家族からの通報、相談窓口の設置に向けた準備を進めております。
 通報、相談窓口におきまして、虐待等に関する通報や様々な相談に対応し、寄せられた情報を的確に判断して速やかな立入検査等につなげていくためには、専門的な知識や経験を有する人材の配置が必要でございます。
 今後、虐待等の通報、相談窓口の必要な体制を確保し、安心して精神科病院を利用できるよう取り組んでまいります。
 次に、高齢者への補聴器支給等の支援についてでございます。
 都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援をしており、補助実績は平成三十年度の二自治体から、昨年度は十五自治体へと増加をしておりますが、その事業内容は自治体によって様々でございます。
 今後、補聴器を希望する方がお住まいの地域にかかわらず必要な支援を受けられるよう、都は本事業を実施していない区市町村に対し、補助制度の活用を働きかけてまいります。また、引き続き区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら、効果的な施策を検討してまいります。
 最後に、〇一八サポートの申請手続についてでございます。
 オンラインでの申請手続が煩雑で時間がかかるなどの様々なご意見をいただいております。
 こうしたご意見をしっかり受け止め、速やかに課題の分析や対応策の検討を行っておりまして、申請される方への案内の充実や、申請サイトの表示の見直し、システムの増強による待ち時間の短縮など、日々改善に努めております。
 これらの取組に加えまして、来月、申請を行った方へのアンケートを実施するなど、都民の皆様の声をきめ細かく伺いながら、申請手続がスムーズにできるよう不断の改善を行ってまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 起業の裾野を広げるための取組についてのご質問にお答えいたします。
 若い頃から起業家と触れ合う経験を通じ、人生の選択肢として起業を身近に感じてもらうことが重要でございます。
 都は、起業に関心のある学生や若者を後押しするため、七月にスタートアップの仕事の魅力に触れるイベントを開催いたしましたが、この夏休み期間中に学生向けインターンシップを初めて実施しております。
 今後さらに、将来の進路や就職を意識する前の高校生などへのアプローチとして、起業家が母校に出向いて自らの体験を語り、チャレンジすることの大切さや面白さを伝えるなど、スタートアップと生徒との交流の枠組みづくりを進め、失敗を恐れず挑戦する若者を応援してまいります。
   〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕

○中央卸売市場長(早川剛生君) 市場の収益向上についてでございますが、中央卸売市場が将来にわたって市場を安定的に運営するには、内部努力により一層の経費削減を図るとともに、収益向上に様々な視点から取り組むことが重要でございます。
 このため、都はこれまで、維持管理費の不断の見直しや資産の有効活用により、経費削減と収入増加に努めてまいりました。今後はこれらに加え、未利用資産の柔軟な活用策を検討いたしますとともに、市場業者が機動的に設備投資できる仕組みを導入することにより、市場取引の活性化を促進してまいります。
 こうした取組による市場全体の収益向上を通じて、持続可能な市場運営の実現を図ってまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅における就労支援についてでございますが、シングルマザーをはじめ、就労支援を本来必要とする居住者に対して丁寧に支援していくことが大切でございます。そこで、新たに関係局と連携し、まずは大規模な団地の集会所において、就労に関するミニセミナーや希望者には個別相談を実施いたします。
 子育て中の女性にも人気のあるヨガ教室と組み合わせ、また集会所には託児コーナーを併設するなど工夫を行い、本年十一月頃の開催を目途に準備を進めております。
 さらに、参加者アンケート等により、ニーズに沿った実施時期や方法等について検証し、その結果を踏まえまして、他の都営住宅においても実施をしてまいります。
   〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都発注工事における重層下請構造の現状把握についてでございますが、重層下請構造は、いわゆる繁忙、閑散、繁閑の対応や、工事の高度化等に伴う専門化、分業化など、合理的な理由に基づいて構造化してきたものであると認識しております。
 都はこれまでも、担い手確保等の観点から、元請事業者団体に対し、書面による契約締結など下請契約の適正化等について要請を行ってまいりましたが、建設業における持続可能性確保に向けましては、都発注工事における施工体制の実態を把握することも重要でございます。
 そこで、新たに今年度、都が発注する工事を対象に、下請次数等に関する状況調査を実施してまいります。
 次に、建設業における働き方改革についてでございますが、都は、工事に直接必要な日数のほか、施工条件や休日等を考慮した日数を加え、適切な工期を設定するとともに、工事の分散化を図るため、施工時期の平準化にも取り組んでおります。
 週休二日につきましては、平成二十七年度からモデル工事を実施してまいりましたが、来年度からは、原則として全ての工事で週休二日が実施できるよう準備を進めております。
 また、紙ではなく、インターネット上で工事関係書類の提出等を行う情報共有システムの活用を進めており、今後は、さらなる利用拡大に向け、受注者に働きかけてまいります。
 今後こうした取組を一層推進し、建設業の働き方改革を後押ししてまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) トー横の青少年をめぐる対応についてお答えをいたします。
 青少年の犯罪被害等防止に向け、関係機関が密接に連携し、協議会の答申を踏まえた対策に早期に着手するため、都は、警視庁、新宿区等が参画する情報共有等を目的とした連絡会を来月に立ち上げます。
 また、青少年が危険を察知し、自ら身を守ることができるよう、彼らの心情に寄り添ったターゲティング広告をSNSで発信するなど、青少年に響く啓発を行ってまいります。
 先月実施いたしました啓発イベントでは、悩みを聞いてくれる場所の設置や、犯罪被害等防止に向けた社会機運の醸成を求める声が多く聞かれたことから、こうした声も踏まえまして、今後着実に取組を進めてまいります。

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