令和五年東京都議会会議録第十二号

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十三番菅野弘一君。
   〔百十三番菅野弘一君登壇〕

○百十三番(菅野弘一君) 都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 東京都の名誉都民、福原義春さんがご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 燃料、そして物価の高騰が続く中、コロナ後に向けて各種課題を解決し、東京の発展につながる施策を着実に展開していくことが、今、求められています。こうした観点から質問いたします。
 まず、財政運営について伺います。
 新型コロナの五類移行により、インバウンドの増加など、まちには活気が戻ってきており、経済は回復に向けて着実に進み始めています。
 一方で、新型コロナの感染者数が増加傾向にあるなど、先行きが不透明な状況は続いており、今後とも突発的な財政需要に備え、万全を期していくことが必要です。
 加えて、頻発する地震や豪雨災害への備えとしての都市の強靱化や少子高齢化、環境対策など、首都東京が将来を見据えて対応していかなければならない課題が山積しています。
 同時に、厳しい経済状況にある都民、都内事業者の皆さんを支援するには、減税という大胆な対策も含め、さらなる支援策の充実も欠かせません。
 そして、限られた財源を駆使し、各種対策に取り組んでいるさなか、七月の全国知事会議で、さらなる偏在是正を求める意見が出たとのことです。都の税収を奪い、地方に再配分するいわゆる偏在是正措置は、地方分権に逆行し、東京の活力をそぐ不合理な措置であり、到底容認できません。
 都政に課せられた課題に対応していくには、都の財源を守り、安定的かつ堅実な財政運営を行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 世界で最も少子高齢化が進む我が国では、生産年齢人口が中長期にわたって減少し、将来の経済成長を阻害する要因になることが懸念されます。また、三十年前には、世界時価総額ランキングの上位を日本企業が席巻するなど、世界屈指の経済大国として注目を集めた日本の国際競争力は、低下の一途をたどっています。
 こうした状況にある中、今こそGX、DX、新たな産業構造への転換など、社会課題の解決を図ることで、東京が日本経済のハブとして国全体を牽引していかなければなりません。
 そこで、首都東京のポテンシャルを生かし、東京ひいては日本の成長の実現にいかにつなげていくのか、知事の見解を伺います。
 感染症対応について伺います。
 感染症対応は保健所が中心に対応することになりますが、保健所設置区市と保健所がない市町村で、住民対応や支援に差異があってはなりません。都保健所管内の市町村は、通常業務としては感染症対応を行っていませんが、新型コロナ対応においては、保健所と市町村の協力体制の下、地域の実情に応じた支援の充実が図られてきました。
 今後の感染症拡大等に備え、都保健所は市町村と連携して対応できるよう準備をしておくことが重要です。
 先月末に公表された都保健所のあり方検討会の報告書の中でも、市町村委員から、今回の経験を踏まえて、次の有事に備えて平時から都保健所と市町村の連携を強化すべきとの意見が出されています。
 都保健所と市町村が日頃から相互に業務を理解し、連携協力体制を強化していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 ウクライナ侵攻や北朝鮮などの不安定な国際情勢、気候変動や、これに伴う自然災害、そしてエネルギー、食料危機など、世界は今、持続可能性を揺るがす様々な問題に直面しています。東京、そして日本は、こうした諸課題を乗り越え、好機へと転じていくため、今こそ成長への投資を加速させなければなりません。
 岸田政権は、去る六月に、骨太の方針及び新しい資本主義実行計画を策定しました。過去最大規模の一兆円予算を活用したスタートアップの推進や、二千兆円の家計金融資産を開放する資産運用立国の実現など、大胆な政策展開を図ろうとしています。こうした成長戦略の実行は、国との強力な連携の下、東京が取組を牽引していかなければなりません。
 都は、スタートアップを多く生み出し、世界に向けて飛躍させるため、一大支援拠点、Tokyo Innovation Baseの構築を進めていますが、こうした場に世界や全国から官民の様々な主体を呼び込み、成長への大きなうねりを引き起していくべきだと思います。知事の見解を伺います。
 様々なデジタルサービスが生み出されている今、光ファイバーや携帯電話などの通信基盤は、都民の生活を支える重要なインフラとなっています。
 我が会派はこれまでも、5GやWi-Fiなど、様々な通信手段の活用により、災害時の膨大な需要にも耐え得る強靱な通信環境の確保や、最先端サービスを享受できる高度な通信基盤整備の必要性を主張してきました。
 このたび都は、「つながる」東京展開方針を発表し、二〇三〇年を見据えた整備の方向性を示しましたが、肝心なのは、それをいかに実現するかです。
 例えば、現在の5Gは速度の遅い4G周波数帯の転用が多く、5G本来の特徴である高速大容量の通信を実現するためには、ミリ波など、高周波数帯のアンテナ基地局整備を加速させることが必要です。
 通信事業者をはじめとする様々な関係者を巻き込み、つながる東京の実現に向けて、官民を挙げて新たな角度から取り組んでいくことが求められますが、都の見解を伺います。
 九月には、GovTech東京の事業が開始され、区市町村への支援に対する期待が高まっています。それに応えるためにも、自治体の実情を踏まえ、目に見える成果を出していくことが求められています。特に、デジタル人材不足に悩む島しょ地域の町村など、小規模な自治体への目配りを忘れてはなりません。
 一方で、先を見据えた取組を進めることも重要です。都は先般、東京のデジタルの将来像を発表しました。都民や事業者の利便性をさらに高めるサービスの実現に向けては、自治体の垣根を越えたデータ連携など、基盤の構築が不可欠です。これは都だけで実現できるものではなく、国と密接に協働していくことが欠かせません。
 都は、GovTech東京と連携し、身近なデジタル化の取組、先を見据えた基盤づくりまでを視野に入れ、東京全体のDXをさらに進めることが必要と考えますが、見解を伺います。
 今年は関東大震災から百年の節目の年です。都の災害対策について伺います。
 近年、各地で毎年のように水害が発生しており、今年も梅雨前線や台風七号などにより、全国的に被害が発生しています。都においても近年の気候変動を踏まえ、豪雨に対する総合的な取組を推進する必要があります。
 このため、河川、下水の整備のみならず、個々の取組は小さいながら、皆で取り組むことで、大きな力を発揮する流域対策を一層強化することが重要です。
 例えば、対象となる雨水貯留浸透施設の拡充や、現在、対策強化流域に係る区市町に限られている流域対策の支援対策地域の拡大など、都内全域で対策を強化することも効果的と考えます。
 都では、気候変動に対応するため、東京都豪雨対策基本方針の改定を予定していると聞いています。改定に当たり、流域対策の強化の取組について見解を伺います。
 続いて、下水道事業における震災対策について伺います。
 東京は、関東大震災の復興から現在まで、防災力の強化に努めてきました。そうした中、下水道局では避難所などを対象施設として重点化し、下水道管の耐震化を進めており、対策がおおむね完了するなど、一定の成果を上げてきたと認識しています。
 今後、より多くの避難者が滞在できるようにするには、避難所などの確保に合わせ、下水道管の震災対策を引き続き推進していく必要があります。
 東京下水道のさらなる強靱化に向けた耐震化のレベルアップやスピードアップなど、下水道管の震災対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 関東大震災からの復興を目的に、帝都復興計画が策定され、道路や河川、公園など、都市基盤整備が進められてきました。これまで東京は、自然災害に度々見舞われており、今後も地震や火山噴火などが複合的に発生する事態が想定されています。
 一たび道路など公共インフラが寸断されると、都民生活へ多大な影響が及ぶことになります。首都東京においては、いつ起きてもおかしくない大規模地震など、直面する危機に備える必要があり、自然災害による通行不能などにより都市機能に影響を及ぼすことのないよう、道路ネットワークを形成し、併せて無電柱化を進めていくことが重要です。
 そこで、防災機能を高める上で重要な道路ネットワークの形成に向けた都の取組について伺います。
 大規模災害が発生したときに、適切に命を守る行動を取るためには、日頃から十分に備えておくことの重要性や、実際に災害が起きたときにはどのように行動したらよいかなどについて、都民の皆さんに丁寧にお知らせしていかなければなりません。
 都は、「東京防災」を八年ぶりに、「東京くらし防災」を五年ぶりにリニューアルし、九月一日に電子版を公表しています。今後、これらの防災ブックを都内の全世帯に配布すると聞いていますが、より都民の理解が深まるよう、学校や町会など、地域での活用が必要と考えます。
 そこで、都は、リニューアルした防災ブックをどのように活用していくのか伺います。
 今年は、平成二十五年十月に伊豆大島において、台風二十六号により死者三十六名、行方不明者三名という甚大な被害が発生してから十年の節目の年です。あのとき島内の至るところで深刻な土砂災害が発生しましたが、そこで痛感したのは、事前の備えとしての道路や砂防施設などのインフラ整備が非常に重要だということです。
 また、地元自治体の財政力などを考えれば、島しょ地域では、都が、島全体のインフラを強く意識して取組を進める必要があります。今年も、これまで経験したことがないような豪雨などが各地で相次いでおり、防災力向上は喫緊の課題となっています。
 そこで、都は、島しょ地域の防災力を向上させるためのインフラ整備について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 近年、世界的にも水害による被害が多数発生しており、国内でも、先日の台風十三号では、千葉、茨城など多くの県で水害による被害が発生しました。こうした水害により、病院が被災した場合、入院患者に対する医療の継続が困難になる可能性があります。
 都は、令和元年度から、いち早く災害拠点病院などが行う自家発電機の高所移設等を支援しており、その取組は評価しますが、都内には、水害対策が必要な病院がまだ百以上あると聞いています。
 そこで、都内病院の水害対策を加速するための取組が必要だと考えますが、その検討状況について伺います。
 なお、震災などの災害に対応する災害拠点病院は、平時において地域の中核的な急性期病院であるため、常時、入院患者を多数収容しており、サージキャパシティーを即座につくることができません。平時は患者を収容せず、災害時やパンデミックなどの非常時に一気に患者を収容できる危機対応専用病院の設置を検討すべきであると指摘しておきます。
 令和四年中の救急出場件数は過去最多でしたが、本年は、前年を大きく上回るペースで出場件数が伸び続けていると聞いています。救急出場が多くなれば、最前線で救急の対応に当たる救急隊員への負担が増加しているものと考えます。緊急性がなく、自分で病院に行くことができる場合など、適時適切な救急車の利用を広く都民に理解してもらうことが重要と考えます。
 そこで、年々救急需要が増大し、救急隊の負担も増える中、救急体制の充実強化や救急車の適時適切な利用の促進がさらに必要と考えますが、消防総監の見解を伺います。
 昨年、東京都から公表された、東京都の新たな被害想定によりますと、震災時には、同時多発的な火災や多くの倒壊建物、けが人の発生、多数の帰宅困難者など、様々な課題が具体的に示されました。
 これは、消防や警察をはじめとした災害対応機関だけで対応できるものではありません。地域を守るためには、自助共助能力を高め、地域防災力の向上を図るべきだと考えます。そして、地域防災力の向上には、地域住民のみならず、地元企業などとも連携しながら取り組んでいく必要があります。
 そこで、日常的に直接、防火防災訓練や指導を行っている消防庁が核となることで、地域一体のさらなる連携を図り、地域防災力の向上を図るべきと考えますが、消防総監の見解を伺います。
 〇一八サポートの申請が九月一日から始まりました。〇一八サポートは、所得制限がなく、零歳から十八歳までの全ての子供に支給するもので、対象者は約二百万人となります。給付の手続などには課題がありますが、子育て世代からは喜びの声が寄せられています。
 都民の期待に応えるためにも、事業の実施期間、財源の確保など、事業継続に必要な検討をしっかりと行い、来年度以降も継続をして取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、申請をしないと給付が受けられないという課題もあります。誰一人取り残すことなく申請をしてもらえるように、区市町村とも連携をして、広報に力を入れるべきだと思いますが、併せて知事に見解を伺います。
 在宅で子育てをしている家庭の孤立を防ぎ、安心して子育てできる環境を整備することが重要です。
 都内で保育所を利用せずに家庭で育つ児童は、ゼロ歳児で約七割、三歳児でも三割を超えています。出産後も就業継続しながらの子育てが可能となるよう、都では保育所整備を進めてきましたが、子育て家庭のライフスタイルは様々であり、在宅での子育てを希望する親に寄り添い、親子がいろんな人と触れ合う機会も確保することが必要です。
 子供目線に立って施策を進めていく上でも、在宅子育て家庭が孤立しないように、実態を把握し、施策に反映していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 我が会派は、第一回定例会において、子育てに配慮した住宅の供給促進に向けた施策を都内全域で速やかに進めることが必要と考え、都にその見解を伺いました。
 これに対し都から、新たな認定制度の創設と認定マークなどによる制度の認知度の向上について取り組む旨の答弁があったところです。
 これを受けて、都では今年四月より、東京こどもすくすく住宅認定制度を開始しました。都によれば、四月以降、本制度を活用して、新築マンションにおいて認定取得が堅調に進んでいるようですが、既存マンションに対しては取組の余地が大きいかと考えられます。
 あわせて、制度の認知度向上のための取組などについても、今後ますます徹底して取り組んでいくことが重要です。
 そこで、既存マンションに対し、都がどのように取組を進め、認定住宅の供給を促進させていくのか伺います。
 今、子供たちを狙った性犯罪の発生が後を絶ちません。昨年四月には、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が施行され、都は新たに初動対応を策定し、適切かつ迅速に対処する責務があると定め、取り組んできました。にもかかわらず、九月十日、女子中学生を撮影したと見られるわいせつ画像を所持していた疑いで、東京都練馬区の公立中学校の校長が逮捕されました。
 文科省によれば、性犯罪、性暴力、セクハラによる懲戒処分を受けた教職員は、過去五年間、毎年二百人台で推移を続けているとのことです。
 改めて、都教育委員会には、速やかな改善に向けた取組が期待されます。見解を伺います。
 東京都において、性被害を受けた十八歳未満の子供の数は二〇二二年は約百四十人と高止まりをしています。そのような中、子供たちへの性犯罪を防ごうと政府が動き出しました。日本版DBSといわれる仕組みです。
 学校や保育所などについては就職希望者の性犯罪歴の照会を義務化する一方で、学習塾や学童保育、スポーツクラブなど民間では就職希望者の性犯罪歴の照会は任意となります。
 小倉前担当大臣は、自主的に性犯罪歴を確認した事業者を認定する制度を設け、実質的には義務化と同じような状況を目指す意向を示しています。都内の多くの児童生徒が家庭や学校以外の場所でも安心した生活を送るため、施策の実効性を都においてどのように確保するのか、知事に伺います。
 先般、東京都青少年問題協議会において、いわゆるトー横問題を念頭に置いた答申が出され、その中で新たな相談窓口の構築についても提言がなされました。
 知事も先般、新宿区長と共にトー横を視察され、新宿区などと連携しながら、青少年が安心して相談できる場をつくることを検討していくとの決意表明をされており、今後、都としての検討が進められるものと思います。
 ただ、そもそも行政を忌避する傾向のある青少年が、都が主導となってつくる窓口に来るのでしょうか。誰も寄りつかない窓口となっては意味がないと思います。また、相談に来た青少年を機械的にほかの機関につなぐ役割しか果たさないならば、つくる意味がありません。
 こうした窓口を構築するならば、青少年が気軽に相談できるようにするとともに、彼らにしっかりと寄り添い、悩み苦しむ彼らから真に求められるものとする必要があります。
 都として今後、答申を踏まえ、具体的にどのような相談窓口を構築していくことを想定しているのか、知事の見解を伺います。
 様々な困難を抱えた若年女性については、自ら悩みを抱え込み、問題が顕在化しにくく、公的な支援につながりにくいといった側面が指摘されています。
 そのため、都は、平成三十年度から若年被害女性等支援事業を開始し、民間団体等と連携して、SNSを活用した相談や見回り等のアウトリーチなどを行っており、今年度から本事業を補助事業化し、事業執行のさらなる適正化を図っているところです。
 令和六年四月に施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律においても、都道府県が民間団体と協働して支援を行うことが規定されていますが、民間団体と協働していく上では、都民の信頼を得ながら着実に事業を進めていくことが重要です。
 都は、民間団体の取組状況を確実に把握するとともに、地域に密着した活動を行う民間団体が、日頃から連携している地元自治体とも情報共有を図り、民間団体、都、地元自治体が三位一体となって若年被害女性への支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 困難な問題を抱える女性への支援については、国において法律も制定され、都においても、今申し上げた若年被害女性等支援事業を行ってきたところです。しかし、トー横に象徴されるような困難を抱えた若者は、女性だけではなく、男性も数多くいます。
 男女区別なく困難な問題を抱える若者への支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、ほぼ毎日のように特殊詐欺事件が報道されています。これまで、警視庁のみならず、様々な省庁、報道機関でも注意喚起を呼びかけていますが、残念ながら根絶には至っていません。繰り返し注意喚起を行っても、だまされてしまうお年寄りは後を絶ちません。
 一方、最近では、犯罪者グループが海外から指示を出し、日本の各地から集められた面々がSNSなどを通じて集まり、各種の犯罪行為を行っているようです。
 このようなケースでは、ある意味では犯罪の素人が、犯罪のプロに手引きされる前に、サイバー対策の強化を早急に整え、その連絡手段を遮断することが新たな加害者予備軍を減らすことになると考えます。また、犯罪者グループが使う電話番号などを早く見つけ、早期に排除していくことも有効打となるのではないでしょうか。
 そこで、改めてお聞きいたします。特殊詐欺に加担する若者を減らし、加害者を増やさない取組や電話番号の供給を断つ対策について、警視庁の見解を伺います。
 次に、障害者、高齢者対策について伺います。
 まず、精神科病院における虐待防止についてです。
 少し前に遡りますが、一九八四年に発覚した宇都宮病院事件では、看護師からの暴行によって患者二人が死亡しました。二〇二〇年には、兵庫県の神出病院で看護師らによる患者虐待事件があり、そして今年二月には、八王子市の滝山病院での虐待事件が発覚いたしました。
 本来、安心して治療が受けられるべき精神科病院において、患者への虐待は絶対にあってはならないことです。精神医療を受けようとしている患者の不安を解消し、また、精神科病院で真面目に働く職員のためにも、精神科病院に対する信頼回復が重要です。
 折しも現在、東京都保健医療計画の改定に向けた議論を進めているとのことです。
 精神科病院における虐待防止に向けた取組を次期東京都保健医療計画に位置づけ、都としてもしっかりと進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 介護ニーズがますます増大していく中、介護人材対策は喫緊の課題であり、我が会派では支援の充実を一貫して主張してきました。
 介護人材対策は都の役割です。特に、他県と比べて家賃の高い東京においては、介護職員の宿舎借り上げ支援は大変重要な事業です。
 事業者からは、介護人材対策の切り札となり得る事業で大変助かっているという声を多く聞く一方で、助成対象が四年間となっていること、来年度も事業が継続されるのかということに不安の声や利用をちゅうちょする声も聞きます。
 介護事業者が必要な人材を確保し、安心して運営できるよう宿舎借り上げ支援の充実など、介護人材対策を強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 真の共生社会実現に向け、円滑な移動の確保は不可欠であり、環境の整備をこれまで以上に進めていく必要があります。特に、車移動で施設の駐車場を利用する際、バリアフリー法等により整備が進められている車椅子使用者などへの駐車区画に、必要としない人が駐車することなどにより、真に必要な人が利用できていない状況も発生しています。
 これらの問題を解決するためには、不適正な利用をしない、させないために、今まで以上に社会モラルの向上を図り、さらなる普及啓発に取り組むことが必要です。
 また、障害者駐車区画のほかに、外見からは分かりづらい不自由さを有する方や、高齢者や妊産婦等、ヘルプマークを所有している移動に配慮が必要な人も広く対象とした優先駐車区画がありますが、依然、区画の数が少なく、今後増やしていく必要があります。
 世界で初めて二度目のパラリンピックを成功させたレガシーを次の二〇二五年のデフリンピックにつなげ、真に配慮が必要な方が安心して円滑に社会参加できるよう、駐車場区画の適正な利用に向けた普及啓発に取り組むとともに、優先駐車区画を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都が昨年度実施した特別養護老人ホームへの入所申込状況に関する調査によれば、昨年四月一日時点で優先度の高い申込者数が三千十六人となっていますが、一方で、本年六月末時点で、特養定員数から入所者数を差し引いた空き床数は三千人です。
 この空き床数には、施設の改修のため一時的に入所を停止している施設なども含まれるものの、都内では、優先度の高い待機者は、施設を選ばなければおおむね入所可能な状況ともいえます。
 こうした状況が生じている背景には、地域包括ケアシステムの考え方に基づき、特養の入所申込みから入所の決定に至るまでの一連の手続が、区市町村単位で行われてきたという経緯があるのではないかと考えます。
 そこで、都道府県の指定する広域型特養については、区市町村という行政単位に縛られることなく、都民の希望をかなえるために、空床のある施設と入所申込者をマッチングできる仕組みを構築し、効率的なサービスの提供を実現することを行政として目指すべきではないでしょうか。
 そのためには、区市町村の協力や施設自身の努力も不可欠であることから、段階的に改善を進めていく必要があります。
 都として、特養の入所希望者の円滑な入所に向けてどのように取り組むのか、見解を伺います。
 東京の経済を支えているのは、都内企業の九九%を占める中小企業であり、その活性化を支えるのは、新しいビジネスに果敢に挑戦する起業家です。世界を目指すスタートアップを育成することも大事ですが、地域に密着したビジネスなどに取り組む起業家を次々に生み出していくことも重要です。
 しかし、人材や資金などの経営資源や、税務や販路開拓のノウハウなどが十分ではないため、優れたアイデアを持ちながらも起業を断念したり、経営が伸び悩むケースも多いと聞いています。
 都は、こうした起業家がビジネスを着実に軌道に乗せることができるよう支援を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 水際対策の終了以降、都内もインバウンドをはじめ多くの観光客でにぎわうようになりました。観光需要の回復は、地元経済を潤す反面、地域によっては、観光客による過度な混雑やマナー違反など、いわゆるオーバーツーリズムの問題が発生し、地域住民の生活環境に影響を及ぼしています。将来にわたり、観光と地域住民の暮らしを両立していくためには、この課題を解決していかなければなりません。
 一方、オーバーツーリズムがもたらす問題は、交通機関や道路の混雑、ごみのポイ捨てなど様々であり、ハード、ソフトの両面から複合的な対策を講じることが必要です。地元自治体はもとより、行政、民間の幅広い関係者の協力なくしては、なかなか解決しない課題です。
 こうしたことから、都においては、地域と連携しながらオーバーツーリズム対策に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 豊洲市場の開場から来月で間もなく五年を迎えます。その一方で、淀橋市場をはじめ、都内にある十市場は、建設から期間が経過し、老朽化への対策はもとより、産地や実需者の多様なニーズに応えていくための機能強化、流通環境の変化など、市場を取り巻く外部環境に着実に適応していくための整備が求められています。
 特に、物流分野では、ドライバーの労働時間の上限規制適用を来年度に控える中、サプライチェーンの担い手それぞれが、より一層の物流効率化に取り組まなければ、輸送能力が大幅に低下しかねない、いわゆる二〇二四年問題が課題となっています。
 そこで、淀橋市場などの施設再整備の機を捉え、市場関係者と開設者である都が一体となって、物流の効率化などの課題解決に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の農業者数はこの十年で大幅に減少しており、新たな農業の担い手を確保することは喫緊の課題です。就農を開始する方は、栽培技術の習得や設備の購入など準備することが多い一方で、経営が軌道に乗るまでは十分な収入が得られません。
 こうした方々の生活を支えるため、都は、国の制度を活用して支援を行っていますが、法律改正により、今後、市街化区域内農地で就農する方は、国の制度の対象から外れることになります。
 都は、今後の国の動きも踏まえ、都内での就農と着実な定着に向けて支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 来年度から労基法の改正に伴う時間外労働の罰則つき上限規制が適用されます。建設業界は喫緊の課題として捉え、対応に追われています。
 建設工事は、実作業の前後に、資材の積込み、取り下ろし、現場への移動、作業の準備から後片づけまで、様々な作業を要することから、標準八時間の実作業時間が確保できないとも聞いています。
 一方、発注者は予定価格の算出の基になる積算や歩掛かり、工期設定を標準八時間により行っており、受注者は時間外労働により作業時間を確保せざるを得ない状況です。このままでは、上限規制を守れないどころか、時間外労働が常態化するばかりです。
 そこで、建設工事を多く発注している建設局の対応について伺います。
 入札契約制度における総合評価方式についてお聞きします。
 総合評価方式工事によって品質確保が期待されますが、都の総合評価方式の技術点の評価は、過去の実績が重視され、新規の事業者には参入が難しいという声も聞きます。
 優れた技術力を有する中小企業の参入意欲を高められるよう、技術提案を重視するなど、総合評価方式を見直していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 なお、個人事業税に関して、長引くエネルギーや原材料の価格高騰を受けて、事業主控除額を引き上げるべきとの要望が我が会派に届いています。
 事業主控除は、平成十一年に二百九十万円に引き上げられてから現在に至るまで、見直しがなされていません。個人事業税の現状の課題について、時代や経済状況の変化に応じて見直すべきであることを指摘しておきます。
 次に、環境対策について伺います。
 まず、既存建物の脱炭素化についてです。
 東京は、建物からのCO2排出量が全体の七割を占めており、新築の建物への対策とともに、既存の建物の排出量の削減も重要です。
 都が導入しているキャップ・アンド・トレード制度において、大規模事業者自らの削減努力や排出量取引により、二〇二一年度実績では、削減義務率を上回る三三%の削減となっています。
 本定例会において、都は、二〇二五年度から始まる第四期計画期間の制度に向けた環境確保条例の改正案を提案し、新たな削減義務率として五〇%を提示しています。二〇三〇年カーボンハーフを見据えた目標とはいえ、削減義務率の大幅な引上げとなります。
 事業者が着実にCO2削減を進めていけるよう、さらなる省エネに加え、質の高い再エネの導入など、事業者の創意工夫による積極的かつ幅広い取組が反映される制度にすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都内の業務、産業部門のCO2排出量の約六割を中小規模事業者が占めており、これらの排出量を削減していくことも重要です。
 都では、二〇一〇年度から報告書制度を導入し、事業者自らの排出量を把握することで省エネ対策を促進しており、毎年、三万を超える事業所が報告書を提出しています。
 本定例会に提案されている環境確保条例の改正案においては、二〇三〇年カーボンハーフに向けて、中小企業事業者が省エネや再エネ利用の目標を設定し、その達成状況を報告する制度が設けられることになります。
 対象となる事業者のうち、経営資源が乏しい中小企業者などが制度に参加しやすくしながら、脱炭素化の取組を後押しすることで、省エネや再エネ利用の取組をさらに進めていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 国際民間航空機関、通称ICAOは、二〇五〇年カーボンニュートラルを採択し、航空業界の脱炭素化の取組が加速しています。とりわけ持続可能な航空燃料、SAFは、様々な原料から製造可能で、かつ現在の航空機にそのまま使用可能なことから、脱炭素化の切り札といわれています。
 一方で、コストダウン、大量生産技術に加えて、安定的な原料の確保やサプライチェーンの構築などが課題となっています。
 こうした中、廃食用油からのSAF製造は進んでおり、海外では既に廃食用油からのSAFの商用生産が始まっており、我が国においても二〇二五年頃の供給開始に向け、製造施設の建設が進んでいます。
 食用油の大消費地である大都市東京は、SAF原料となる廃食用油の調達においてポテンシャルがあります。
 そこで、SAF製造へつなげるサプライチェーン構築に向け、都は、区市町村や事業者の回収を強力に後押しすべきだと考えますが、見解を伺います。
 「未来の東京」戦略の強化に向けた重点政策方針と同時に、緑に関する新たなプロジェクトとして、東京グリーンビズが発表されました。まちづくりによって新たな緑が生み出されるとともに、多摩地域においては、保全地域の指定など着実な保全も進められています。
 しかし、都内の農地は年間百ヘクタールも消失しているという事実もあります。緑の創出は一朝一夕で進むものではありません。これまでの取組を評価しつつ、将来を見据えて着実に歩みを進めていくことが重要です。
 そこで、東京グリーンビズの下、今後どのように緑施策を推進していくのか、知事の見解を伺います。
 一方、今、東京の森では緑の砂漠化が広がっています。緑の砂漠とは、空から見ると緑に覆われていますが、地表は裸地化し、木の根がむき出しになっている山のことです。ニホンジカによる下層植生の食害が要因の緑の砂漠では、生態系が破壊され、雨水涵養機能が働かず、土砂災害の可能性が高まり、林業被害も懸念されます。
 この鹿害から森を守るため、これまでも市町村が中心となり、鹿の捕獲に取り組んできましたが、都としてもさらなる捕獲強化が必要です。今後の取組の方向性について伺います。
 東京港は、国内最多の外貿コンテナ貨物を取り扱う我が国を代表する国際貿易港であり、首都圏のみならず、東日本の生活と産業を支える重要な物流拠点です。
 近年、国際分業の進展等に伴い、アジア貨物を中心としてコンテナ貨物量が増加しており、昨年は年間五百万TEUに迫る貨物を取り扱っています。一方で、東京港の貨物処理能力は約四百万TEUであり、現状でも約百万TEUが不足している状況です。
 今後も貨物量はさらに増加することが見込まれることから、これまでも繰り返し指摘してきたとおり、処理能力の向上に向け、新規ふ頭の整備だけではなく、既存ふ頭の機能を強化させる必要があります。
 特に、数多くのアジア貨物を取り扱う青海公共コンテナふ頭においては、狭い敷地で旧型の荷役機械を使用しながら大量の貨物を荷さばきしていることから、オペレーションが非効率となり、ふ頭周辺ではコンテナ車による交通混雑が発生しています。
 今後、東京港の抜本的な機能強化を実現させるためには、青海公共コンテナふ頭などの既存ふ頭の再編整備を速やかに進めるべきですが、都の見解を伺います。
 長年、様々な取組を重ねてきた舟運については、昨年度までの社会実験の段階から、今年度から新たな運航が始まるなど、いよいよ実装の段階に進んできました。
 また、新たな水辺に顔を向けたまちづくりも進んできていることから、舟運を身近な観光や移動の手段として定着させ、水辺のまちが舟運で結ばれれば、新たなにぎわいが生まれ、東京の魅力はさらに高まっていくと考えます。
 そのためには、舟運だけに目を向けるのではなく、いかにまち中と連携させるのかが重要になってまいります。
 そこで、水辺のまちづくりとも連携し、さらなる舟運の活性化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 東京には分譲マンションが約百九十七万戸存在し、総世帯数の約四分の一に相当する多くの都民が生活をしています。しかし、近年はマンションの修繕金不足が叫ばれるようになっています。
 そもそも国交省は、ガイドラインで、修繕積立金の目安をマンションの階数と建築延べ面積ごとに示していますが、この金額も大幅に上昇しています。人手不足に伴う修繕工事費の高騰が大きな要因として考えられます。
 また、建ってから時間のたっているマンションでは、建物が老朽化していても修繕積立金が不足し、計画変更を余儀なくされるケースもあります。しかし、区分所有者の高齢化もあって、急に積立金を上げるわけにもいきません。
 これから東京中のマンションは、年々似たような問題が発生してくることが容易に想像でき、マンションの管理状況に重大な影響を及ぼすことになります。
 そこで、こうしたマンションの課題について、都は、詳細に状況を把握し、対応を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都営地下鉄においては、平成十二年より先駆的にホームドア整備に取り組んでおり、三田線、新宿線、大江戸線の全駅でホームドア整備が完了し、現在、浅草線においても整備を推進しています。
 世界的な半導体不足による影響は、自動車の製造など様々な分野に及んでおり、また、一部の鉄道事業者ではホームドア整備に遅れも出ています。
 こうした中でも、安全確保に効果の高いホームドアを早期に整備していく必要があると考えますが、局の見解を伺います。
 首都東京の高速道路網は、都内における人や物の流れをスムーズにするだけでなく、激甚化、頻発化する自然災害から首都機能を守る生命線となる極めて重要なインフラです。これを将来にわたって継承していくためには、大規模更新などの老朽化対策の計画的な実施やさらなる機能強化が重要です。
 このため、我が会派はかねてより、大規模更新などの老朽化対策や、それに加えて、高速晴海線の延伸部の整備をはじめとする高速道路網のさらなる機能強化を訴えてきました。
 こうした中で、本年五月の道路整備特別措置法の改正により料金徴収期間が延長され、高速道路の更新だけではなく、ネットワーク機能の強化などの進化に必要な財源投入の可能性が広がりました。
 この機を捉えて、首都東京の経済活動を支える大動脈である首都高速道路の更新や進化に向けて、さらなる取組を推進すべきと考えますが、都の認識を伺います。
 東京のまちづくりに関して一言申し上げます。
 築地まちづくり事業については、八月三十一日に事業提案を受けたとのことです。本来、このような事業者募集では、事業者名や事業内容などの情報は第三者が知り得ないものであるのに、一部とはいえ報道されたことを憂慮しております。今後、審査を進めていくこととなると思いますが、審査に当たっては、さらなる情報管理の徹底を求めておきます。
 多摩地域は、本年、東京移管百三十周年の節目を迎え、今後さらに地域に根差した取組により、多摩地域の振興を推し進めていくことが重要です。
 都は、現行の新しい多摩の振興プランを令和三年に策定し、様々な施策や事業を進めてきましたが、人口減少や少子高齢化の進展、道路交通インフラのさらなる充実など、引き続き対応が求められる地域の課題はいまだ多く残されています。
 多摩をより魅力あふれる地域として発展させていくためにも、多摩振興を所管する総務局を中心として各局が連携し、全庁一丸となって多摩振興プランを改定していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私も参加しましたが、八月、自由民主党本部において、二階会長の下、小笠原を応援する会が開催されました。今年で返還五十五周年を迎えた小笠原の諸課題について様々な意見交換が行われ、特に航空路については、当日披露された知事のメッセージにおいて、村民の切なる願いです、現在、開設に必要な調査を実施し、開発中の二種類の航空機の詳細な機体性能の情報収集なども行っています、この成果を具体的な航空路案につなげてまいりますと述べられていました。
 候補となる航空機が開発途上である中、都は自然環境の調査を行っていますが、どこまで調査が進み、いつ完了するのか、明らかにすることが必要です。航空路を長年待ち望む島民の声に応え、一刻も早い航空路線開設に向け、どう取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 都立高校について、令和六年度入学者選抜から男女合同選抜へ移行することになりました。都には他道府県と比較しても多くの私立高校があり、とりわけ男子高校、女子高校も多数存在しています。都立高校の男女合同選抜の移行に伴い、中学生の進路選択に影響があることも想定されます。
 東京の高等学校教育は、引き続き都立高校と私立高校が連携協力しながら、生徒を受入れていくことが求められますが、都の見解を伺います。
 二〇二五年には、二〇〇五年の愛知での愛・地球博以来、二十年ぶりとなる関西・大阪万博が開催されます。私も六月に万博開催予定地を視察し、日本国際博覧会協会からも現状と課題について伺ってまいりました。
 八月三十一日には岸田総理が、万博の成否には国際社会からの日本への信頼がかかっています、私は内閣総理大臣として万博成功に向けて政府の先頭に立って取り組む決意でありますと述べられています。
 東京都は、東京オリンピック・パラリンピック二〇二〇大会において、全国から協力を得ながら開催を成功裏に導くことができました。今度は東京都が万博に対して協力をすることが求められています。
 そこで、万博に対して、都としてどのような協力をしていくのか、知事の見解を伺います。
 大阪・関西万博開幕五百日前となる十一月三十日には入場チケットの販売が開始されます。万博には海外からもたくさんの来場者が訪れることが見込まれ、その数は約三百五十万人と想定されています。
 また、東京では、同じ年の秋に世界陸上とデフリンピックが開催され、大きな人の流れが生まれます。
 こうした機会をチャンスと捉え、海外の旅行者に大阪と東京を周遊し、魅力を知っていただくために、着実な準備を進めていくべきと考えます。
 そこで、都は、こうしたビッグイベントを契機として、さらなる旅行者誘致に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会は、有形無形の様々なレガシーを残しましたが、無観客での開催であったため、会場でスポーツの迫力や魅力を多くの方が直接体感し、子供たちがパラアスリートなど、世界のアスリートの活躍を目にし、国籍や障害の有無を超えて理解し合う共生社会を実感する機会が十分に実現できなかったこともあります。
 一方、先月のバスケットボールや現在開催中のラグビーワールドカップを通じて、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮する姿は、都民、国民に勇気と感動をもたらし、改めてスポーツの力を実感したところです。
 二〇二五年に、ここ東京で世界陸上とデフリンピック、二つの国際大会が開催されることは、東京にとって大きなチャンスであり、単に大会を開催するだけにとどまらない価値をもたらすことが期待されます。
 二〇二五年の世界陸上とデフリンピックについて、東京、そして都民にとって意義のある大会にし、併せてその意義をしっかりと伝えていくべきだと思いますが、知事の見解を伺います。
 なお、東京二〇二〇大会の重要なレガシーにボランティアの活用があります。二〇二五年の両大会でも積極的に参加してもらい、特にデフリンピックでは、手話を学んでいる学生などにボランティアとしての活動の機会を提供していただくことを要望いたします。
 東京電力は、今月十一日、福島第一原子力発電所のALPS処理水について初回分の海洋放出を完了しました。
 今後、少なくともおよそ三十年は続くといわれるこのALPS処理水放出の安全性については、国際安全基準に合致していることをIAEAが報告したとおりですが、福島はもとより、我が国の水産物に関する風評被害が懸念されています。
 政府、国においては、風評被害などへの対策をはじめ漁業者の事業継続、さらには新たな販路開拓等を全力を挙げて支援する姿勢を示しています。
 また、民間においても、全国展開の総合スーパーにおける福島産の鮮魚販売、社員食堂、外食チェーンにおける活用、個人ではふるさと納税の利用など、官民挙げての支援が行われ始めています。
 世界最大の取扱量を有する豊洲市場を預かるとともに、巨大な電力消費地であり、東京電力の株主でもある都としての支援、協力への姿勢が大きく問われております。どのように風評対策に取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 コロナ感染拡大への拭えない不安、長引く燃料や物価の高騰など、都民、そして都内事業者の皆様を取り巻く環境は厳しく、先行きは不透明です。
 こうしたときこそ、都の実態を直視し、将来を見定め、都民の皆様への説明責任を果たし、実効性のある施策を迅速かつ的確に進めていくことが大切です。
 そして、東京都政は都内区市町村との連携協力の上に成り立っています。
 このことを忘れず、東京の発展、健全な都政運営に向けて全力で取り組んでいくことを申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅野弘一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、財政運営についてのお尋ねでございました。
 東京、ひいては日本の輝かしい未来を切り開き、一人一人が輝く明るい未来の東京をつくり上げていくためには、これを支える強固な財政基盤の堅持が不可欠であります。都は、景気変動の影響を受けやすい財政構造にありまして、地方交付税の不交付団体でもあることから、他の自治体以上に自立的な財政運営が求められております。
 このため、基金や都債を戦略的かつ計画的に活用しまして、より成果重視の視点から事業評価の取組を一層強化するなど、将来に向けた財政対応力にさらに磨きをかけてまいります。
 いわゆる偏在是正をさらに求める意見に対しましては、エビデンスを示し、しっかりと反論を行い、都政に課された使命を確実に果たすべく、持続可能な財政運営を行ってまいります。
 次に、東京と日本の成長についてであります。
 変化する国際社会の中、東京が都市としての集積や魅力を生かし、産業や経済、社会の構造転換に挑むことは、我が国全体の未来にとりまして重要でございます。
 そのため、持続的成長の基礎となる人への投資に向けまして、誰もが個性を生かし、輝ける社会の実現、世界で活躍する人材の育成に向けました取組を強化いたします。また、スタートアップの育成など、イノベーションの創出、オール東京のDX等によりまして国際競争力を高めるとともに、都市課題の解決に向けました挑戦や東京の多彩な魅力を、SusHi Tech Tokyoの下、国内外へ発信してまいります。
 さらに、経済、エネルギー、食料など、様々な分野におけます安全保障への備え、都民生活と成長の基盤となる都市の強靱化によりまして、安全・安心の確保を進めてまいります。
 東京が持続可能な都市へと発展するための大胆な施策を積極的に構築、展開していくことによりまして、日本の成長を牽引してまいります。
 次に、Tokyo Innovation Baseについてのお尋ねでございます。
 世界へ飛躍するスタートアップにつきましては、様々な発想や技術を持つ人々が交ざり合い、互いに刺激し合う中から生まれてまいります。有楽町で新たに構築するこの拠点におきましては、官民の力を結集し、あらゆるスタートアップやその支援者を呼び込み、人と人をつなぎ合わせてまいります。
 都内各地の拠点や世界の支援機関と連携をいたしまして、様々な交流プログラムを実施するほか、全国の大学や大企業が参画して、オープンイノベーションを誘発する仕掛けを展開してまいります。
 国や全国の自治体にも利用いただいて、多くの関係者が集う開かれた場としてまいります。有楽町の施設全館を活用しまして、人々を引きつけるイベントなどによって、夢に向かって挑戦する人たちを大いに盛り上げ、イノベーションを生み出す一大プラットフォームへと育ててまいります。
 次に、〇一八サポートについてであります。
 都は、今日の危機的な少子化の状況を踏まえまして、これまで進めてきた少子化対策のさらなる充実強化に取り組んでおり、その一環として〇一八サポートを実施しております。
 一方、国におきましても、少子化対策について児童手当などの検討が進められています。
 都としましては、引き続き、子供一人一人の成長を支えていく観点から、国の動向などを見定めながら、予算編成の中でしっかりと検討してまいります。
 また、対象となる方に確実に申請いただけますよう、引き続き、区市町村と連携して事業の周知に取り組んでまいります。
 次に、いわゆる日本版DBS制度についてであります。
 子供に対する性犯罪、性暴力は、被害者の心身に甚大な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて卑劣で悪質な行為でございます。断じて許すことはできません。
 現在、国におきまして、子供の安全の確保をより確実なものとし、子供に対する性犯罪の予防につなげるため、いわゆる日本版DBS制度の創設に向けて検討されているということは承知をいたしております。
 子供が学習塾や学童保育、スポーツクラブなどの日常的な居場所におきまして、安心して過ごし、健やかに成長できますよう、国の制度創設に向けた議論を注視して、国との連携も適切に図りながら、全庁を挙げまして迅速かつ的確な対応を図ってまいります。
 次に、安全・安心策につきまして相談窓口の構築についてであります。
 居場所を求め、トー横に集まった青少年が苦しむ現状を見過ごすことはできません。
 青少年を犯罪被害等から守るためには、同じ目線で向き合い、適切な支援を行うことが重要でございます。
 都はこれまでも、地元の民間団体や新宿区、警視庁等と有機的に連携をしまして、青少年が抱える課題に応じたきめ細かな相談対応や情報発信を行ってきております。
 また、先月も啓発イベントを実施するなど、青少年の声に真摯に耳を傾けております。
 こうした声も踏まえまして、今後一層誰もが気軽に安心して相談できますよう体制を充実し、地元区をはじめとした関係機関と共に、一人一人の悩みに寄り添った支援を継続的に実施をしてまいります。
 次に、緑施策の推進についてでございます。
 都はこれまで、あらゆる機会を通じまして、緑の量、質ともに向上させるべく取り組んでまいりました。公園等の整備に加えまして、まちづくりに合わせて良質かつ重層的な緑空間を創出したことにより、都心部では着実に緑が増加をしております。
 一方で、気候危機や感染症との闘いを契機に、人々の価値観や都市の役割は多様化し、自然環境と都市機能の調和が一層求められております。こうした状況を踏まえまして、緑の価値を高め、次世代へと継承していくという強い思いから、新たに東京グリーンビズを始動したところでございます。
 これまでの取組を強化することに加えまして、植え替えが必要な樹木を再活用するツリーバンク、自然の機能を社会課題の解決に生かすグリーンインフラの導入など、新たな緑施策を展開いたしてまいります。
 全庁一丸であらゆる施策を講じまして、都民や事業者の皆様と共に、緑を守る、増やしつなぐ、生かすことで、百年先を見据え、緑と生きるまちづくりを進めてまいります。
 次に、小笠原航空路についてのお尋ねがございました。
 小笠原航空路の開設は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展、さらに住民の安心・安全を守るという観点からも極めて重要でございます。
 都は、飛行場の建設に向けまして、より実現性の高い洲崎地区に絞って、飛行場の配置や構造、工法、候補となる航空機の性能等の調査を実施いたしております。自然環境につきましては、環境影響評価に必要な動植物等の調査を重ね、基礎的な情報はおおむね取得をいたしておりまして、専門家等の助言を得ながら情報の更新などを行ってまいります。
 また、小笠原は世界自然遺産に登録されているため、ユネスコ等が発行したガイダンスに基づくアセスメントの実施に向けました準備も進めております。
 航空路の早期開設に向けまして、国や小笠原村とも緊密に連携しつつ検討を重ね、貴重な自然環境と調和した実現可能な航空路案につなげてまいります。
 万博についてであります。
 万博は、食や文化といった日本らしさ、各地域の魅力など、日本の強みを世界にアピールする好機でございます。
 開催に向けました節目を捉えた都庁舎等でのPRに加えまして、教育やスポーツなどの分野で機運醸成を行っております。
 二〇二五年には、東京で世界陸上とデフリンピックを開催いたします。この機を捉えまして、国や都内区市町村をはじめとする各自治体や経済界等と共に、オールジャパンで盛り上げてまいります。
 次に、世界陸上とデフリンピックの開催意義についてであります。
 世界陸上は、二百にも上ります国、地域から集まるトップアスリートの熱戦を間近で見ることができる絶好の機会でございます。次代を担う子供たちに夢と希望を与えるとともに、世界中の人々との交流を通じまして東京の魅力を伝え、国際的プレゼンスを高める好機でもあります。
 また、デフリンピックは、デフスポーツへの理解の裾野を広げ、障害のあるなしにかかわらず、共にスポーツを楽しみ、互いの違いを認め、尊重し合う共生社会づくりに貢献するものであります。
 都は、両大会に向けまして関係者と連携し、年内に基本計画を取りまとめるなど、準備を加速させるとともに、大会の意義をあらゆる機会を捉えまして都民、国民に発信をし、開催の機運を盛り上げてまいります。
 両大会を多くの方々の理解と参画の下、つくり上げ、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京を実現してまいります。
 水産物の風評に対しましての都の取組についてのお尋ねでございます。
 首都東京の役割として、日本の水産物に対する風評の懸念を払拭し、消費の拡大を図り、日本全体を元気にすることが重要です。
 都は、電力供給で東京を支えていただいた被災地を応援するため、被災地産品の魅力の発信や消費喚起を行いまして、復興支援や全国との連携強化に取り組んでおります。
 これに加えまして、水産物への風評の懸念を払拭し、漁業者等の応援にも結びつけるため、魚や貝類の消費を喚起するキャンペーンを展開いたします。
 また、豊洲市場などにおきまして、風評を乗り越え、販路拡大等に取り組む市場業者に向けまして、専門家による経営相談や助成制度を周知し、利用を促進するなど、きめ細かく支援を行ってまいります。
 今後とも、大消費地である東京の力を生かしまして、福島県等とも連携して、我が国が誇る日本の食の魅力向上を図ってまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 若者を特殊詐欺に加担させないための取組等についてでありますが、本年三月、犯罪対策閣僚会議において、犯罪実行者募集情報、いわゆるヤミバイトに関する緊急対策プランが策定され、当庁においても、サイバーパトロール等で認知したSNS上のヤミバイトを募集する投稿への警告文の送信、サイト管理者への削除要請のほか、ヤミバイト応募者の年齢を踏まえ、大学生や高校生を対象とした啓発など、実行犯を生まないための対策をより強化しております。
 また、電話番号等の犯行ツールを物理的に排除することも重要であり、昨年、国内最大規模の悪質電話事業者を検挙するなど、犯行グループへの電話番号の供給を遮断するための対策を鋭意推進しております。
 こうした取組により、本年八月末現在の特殊詐欺の認知件数は、昨年同期比で約九%減少しております。しかしながら、被害金額は増加していることから、今後も事業者等と連携の上、特殊詐欺の根絶に向けた取組を強力に進めてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、教職員による性暴力の防止についてでございますが、教職員による児童生徒への性暴力は断じてあってはなりません。都教育委員会では、全教職員による自己点検の実施や、今年度新たに開始した初動対応訓練におけるロールプレー等を通じて、性暴力に関する理解を深め、発生防止の徹底を図っております。
 また、弁護士による第三者相談窓口を設置し、広く相談を受け付けるとともに、児童生徒への相談シートの配布や啓発ポスターの掲示等により、子供たちが声を上げやすい環境を整えています。今回の事案も、窓口への相談をきっかけに、警察等と連携して対応したものでございます。
 今後も児童生徒への性暴力の根絶に取り組んでまいります。
 次に、都立高校の男女合同選抜への移行についてでございますが、都は、今月開催された公私連絡協議会において、東京私立中学高等学校協会と合意し、令和六年度入学者選抜から男女合同選抜へ移行することといたしました。
 男女合同選抜への移行に当たっては、中学校の進路指導や私立高校に与える影響等を考慮し、募集人員の一定割合を男女合同とする緩和措置を段階的に実施してまいりました。この緩和措置の結果等について、本協会と協議を重ね、男女合同選抜への移行の合意形成を図ったものでございます。
 今後とも、高校への進学を希望する意欲と熱意のある生徒を、公教育の両輪である都立高校と私立高校で確実に受け入れてまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、道路ネットワークの形成についてでございますが、大規模地震等から都民を守る上で、災害時の輸送路や避難路等の役割を担う道路の整備は重要でございます。
 このため、都は、緊急輸送道路となり得る幹線道路や、地域の防災性向上に資する道路の整備を推進しております。
 例えば、新宿区内の補助第七四号線では、鉄道交差部において大型の緊急車両の通行を可能とする本線トンネルを年内に交通開放する予定でございます。また、区部と多摩地域を結び、広域避難場所にアクセスする補助第五四号線及び調布三・四・一〇号線を今年度に事業化いたします。
 道路整備に合わせて、災害時の道路閉塞を防止する無電柱化も実施し、首都東京の防災力を一層強化してまいります。
 次に、島しょ地域のインフラ整備についてでございますが、災害から都民の命と暮らしを守るためには、避難や救援活動の要となる道路や、土石流を止める砂防施設等の整備を推進することが必要でございます。
 このため、都は、大島での土砂災害の発生以降、島しょ地域におきまして、都道沿いの百五十六か所の斜面対策に加え、大島大金沢等の砂防事業や神津島沢尻、長浜等の海岸事業、都道の計画的な整備、町村道の改良などへの支援を実施してまいりました。
 また、令和四年に無電柱化整備計画を策定し、大島差木地などで事業を推進しているところでございます。
 今後とも、地元自治体等と連携し、島しょ地域の防災力の向上にさらなるスピード感を持って取り組んでまいります。
 最後に、建設工事における積算についてでございますが、来年四月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されるに当たりまして、時間外労働の抑制に向けて、現場の実態により即した工事の積算を行うことが重要でございます。
 国は、作業前の指示や後片づけなど、実作業以外についても就業時間に含むものとし、一部の工種において、実態調査の結果を基に、本年四月に積算基準を改定いたしました。これを踏まえ、建設局においても来月から足場工などの歩掛かり及び日当たり施工量等を改定いたします。
 引き続き、国の動向も注視しながら、積算の適正化に努めてまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都保健所についてでございますが、新型コロナ対応の知見を踏まえ、今後の新興感染症に的確に対応するには、平時から市町村と連携協力体制を強化し、保健所の対応力を向上することが重要でございます。
 都保健所のあり方検討会では、デジタル化による業務効率化の一層の推進や、有事の際の都保健所、本庁、市町村等の役割分担の明確化などが重要との意見をいただくとともに、平時からの市町村との人事交流や、市町村職員向けの感染症研修の実施などの要望をいただきました。
 こうした意見も踏まえまして、都民の安全・安心につながりますよう、都保健所と市町村との顔の見える関係づくりの推進に向けた具体的な取組を検討し、連携強化を図ってまいります。
 次に、病院の水害対策についてでございますが、昨年度の国の調査では、都内の約二百の病院が大規模豪雨発生時等に被害が想定される浸水想定区域に所在しており、水害対策を遅滞なく進めていくことは重要でございます。
 このため、都は、浸水被害が発生した場合にも医療の提供を継続できるよう、災害拠点病院等が行う自家発電機の高所への移設やBCP策定などを支援しております。
 また、災害医療協議会におきまして、これまでの取組から得られた課題を踏まえ、対策の充実に向け検討を進めており、水害に特化したBCPガイドラインの策定と併せ、ハード、ソフト両面から病院の水害対策を加速し、発災時にも必要な医療を提供できますよう取り組んでまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、つながる東京の実現に向けた取組についてでございますが、通信インフラのさらなる強靱化と高度化に向け、新たな視点で官民が連携した取組を推進することが重要でございます。
 高速大容量の5Gについては、新たな取組として、まちづくりの計画段階からその導入を組み込む仕組みの構築を進めるとともに、防災拠点や集客施設周辺等を重点エリアに設定し、整備を促進いたします。
 また、区市町村のアセット開放への伴走型支援を強化いたします。さらに、オープンローミング対応Wi-Fiを都内全体に展開するとともに、衛星通信の活用も見据えて取組を進めてまいります。
 今後三年間の集中的な取組をアクションプランとして年内に策定し、官民協働でつながる東京の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、東京全体のDXのさらなる推進についてでございますが、GovTech東京と協働し、都民に身近な区市町村のDXを着実に進めるとともに、行政サービスの質を飛躍的に高めるための基盤整備の取組が重要でございます。
 区市町村に向けては、スケールメリットを生かした共同調達を行います。また、共通課題に即応する新たな伴走サポートを開始するとともに、システムの共同開発にも取り組んでまいります。
 島しょ等町村には、個別訪問で把握した課題に即した支援を行ってまいります。さらに、将来を見据え、国と連携し、行政の垣根を越えたデータ基盤の整備にも取り組み、顧客視点で一気通貫のサービス提供につなげてまいります。
 多様な主体の力を掛け合わせて、東京のDXを加速してまいりたいと思っております。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、流域対策の推進についてでございます。
 気候変動の影響により激甚化、頻発化する豪雨に対応するためには、河川や下水道の整備と併せて、それらへの負荷を軽減する流域対策の一層の強化が必要でございます。
 都では、流域対策促進のため、公共施設や個人住宅等の貯留浸透施設設置への支援制度を創設し、補助対象の拡充などを行ってまいりました。
 対策強化には、多様な関係者の理解と協力が不可欠であることから、年内に改定を予定している基本方針については、素案段階で広く都民の意見を聞くとともに、広報の強化、積極的に取り組む都民や事業者への支援の充実等、幅広に検討を進めてまいります。
 次に、舟運の活性化についてでございます。
 東京には川、海、運河などの水辺があり、その資源を生かして多くの人々でにぎわう水の都を再生していくためには、舟運の活性化が重要でございます。
 このため、都は今年度から、舟運の実装に向けた補助制度を創設し、これを活用した二つの新たな航路において、各事業者が十月以降順次運航を開始いたします。
 また、地域のまちづくりと併せて、船着場のアクセス改善やオープンスペースの確保、船着場周辺の商業施設との連携などを図ることにより、にぎわいの創出と、まち中との回遊性を向上させてまいります。
 今後とも、さらなる航路の拡大を図り、東京の魅力を高めてまいります。
 最後に、首都高速道路の更新、進化についてでございます。
 首都高は都市活動を支える基幹的なインフラであり、その機能の維持向上は不可欠でございます。本年五月の法改正では、有料道路の料金徴収期間の延長により、更新や進化のための財源確保が可能となりました。
 これを踏まえ、新たな更新事業が早期に着手されるよう、都は、国などの関係機関と連携して取り組んでまいります。
 加えて、高速晴海線の延伸など、ネットワーク機能の強化や都市の強靱化に資する進化事業についても、有料道路事業を積極的に活用して整備を進めるよう、国などに強く働きかけてまいります。
 引き続き、都は首都高の機能確保や強化に取り組んでまいります。
   〔下水道局長佐々木健君登壇〕

○下水道局長(佐々木健君) 下水道管の震災対策の強化についてでございますが、区部では、下水道機能を確保するため、避難所などから排水を受ける管渠とマンホールの接続部の耐震化などを推進しております。
 加えて、避難所が不足する場合に備え、対象施設の拡大に向けて地元区と連携を図ってまいります。
 また、液状化によるマンホールへの土砂流入の防止技術を新たに開発し、本年より先行的に工事を実施しております。
 多摩地域では、市町村下水道の震災対策を加速するため、本年度より市町村が負担する費用の二分の一を支援する新たな補助制度を開始しております。
 これらの取組によりまして、下水道管の震災対策を加速、強化し、首都東京の強靱化に貢献してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、リニューアルした防災ブックの活用についてでございますが、将来の防災の担い手である子供や地域の防災力の要である町会、自治会等に、日頃の備えや発災時の行動などの情報を分かりやすく伝えることは重要でございます。
 このため、教育庁等と連携し、防災ブックの学習教材である防災ノートを学校の授業等で活用してもらうほか、町会、自治会等を対象に防災ブックの内容を学ぶセミナーを開催するなど、普及啓発に取り組んでまいりました。
 今後も、今月公開いたしました電子版とともに、関係局と連携し、町会、自治会等に専門家を派遣して行うセミナー等の様々な機会を捉えて活用することで、都民一人一人の災害への備えを万全にいたしてまいります。
 次に、多摩の振興プランについてでございますが、コロナ禍を経て、人と人とのつながりの大切さが再認識され、暮らし方や働き方に新しい価値観が生まれました。
 こうした状況の中、人口減少、自然災害、地域振興などの課題に取り組む必要があるため、多摩地域の持続的発展に向けた戦略を示す多摩の振興プランを改定いたします。
 改定に当たりましては、総務局が中心となり、住んでよし、働いてよし、訪れてよしという、多摩が持つ魅力を一層高めていく視点を全庁で共有し、市町村等の意見も踏まえながら施策を取りまとめ、多摩地域のさらなる振興につなげてまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 二点のご質問にお答えします。
 初めに、増大する救急需要への対応についてでございますが、昨年は救急出場件数及び活動時間が過去最多、最長を記録しましたが、本年はこれを上回るペースで推移しております。
 このため、交代要員を動員し、救急隊を増強することで対応しておりますが、救急資格者の不足が生じたことから、資格研修枠を二百名から四百二十名に拡大し、救急体制の維持に努めております。
 また、救急出場の逼迫状況を救急車逼迫アラートとして新たに発信するとともに、各種メディア等を活用したシャープ七一一九救急相談センターの周知等により、救急需要の抑制を図っております。
 今後、救急資格者及び救急隊の計画的な増強に加え、救急車の適時適切な利用をさらに周知し、救急需要に的確に対応してまいります。
 次に、地域防災力の向上への取組についてでございますが、地震等の災害による被害を軽減するためには、地域の様々な主体が防災力を高め、相互に連携を図ることが重要であると認識しております。
 このため、AR機器等の導入により防火防災訓練を充実させるとともに、地域住民、地元企業等が連携した訓練を推進することで、共助体制の構築に努めております。
 また、知事の諮問機関である火災予防審議会では、地域住民、地元企業に加え、多様な主体が連携した効果的な自助、共助の在り方について審議される予定でございます。
 今後、地域に密着した消防署が核となり、地域が一体となった防火防災訓練等を推進し、さらなる地域防災力の向上を図ってまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、在宅子育て家庭への支援についてでございます。
 地域のつながりが希薄化する中、孤立しがちな在宅子育て家庭を支援することは重要でございます。
 都は、東京都子供・子育て支援総合計画において、子育て家庭を地域で支える仕組みの充実を掲げ、親子が気軽に集い、相互に交流を図る場を提供する子育て広場や、育児疲れ等の保護者が事情に応じて利用する一時預かり事業などの拡充に取り組んでおります。
 今後、こうした取組について、保護者の利用意向等の実態を把握し、東京都子供・子育て会議において事業効果等を評価しながら、在宅で子育てしやすい環境を整備するなど、子育て支援策を推進してまいります。
 次に、若年被害女性への支援についてでございます。
 都は、様々な困難を抱えた若年女性の自立を推進するため、若年被害女性等支援事業を実施しており、民間の創意工夫を生かし、個々の状況に応じた柔軟な対応ができるよう、今年度から補助事業化いたしました。
 また、民間団体等と協働して、支援が必要な女性を確実に自立につなげるため、女性相談センターに専任の職員を配置するなど体制を強化しており、民間団体へのヒアリングを通じて、取組状況を詳細に把握しております。
 専任職員を中心に、民間団体の活動拠点となる地元自治体を含め、関係機関との連携強化を図りながら、若年被害女性等への支援を充実してまいります。
 続いて、困難を有する若者への支援についてでございます。
 困難を有する子供や若者は、児童虐待、いじめ、ひきこもり等の問題を複合的に抱えており、男女問わず、個々のニーズに応じた相談支援を行うためには、民間団体や地元自治体等の関係機関と都が連携して対応することが必要でございます。
 こうした観点から、都は、児童相談所や子供の権利擁護専門相談事業、若者総合相談センターなどにより相談支援を行っており、今後、関係機関の代表者から成る東京都要保護児童対策地域協議会などのネットワークを通じて、各機関との連携を密にし、困難を有する子供や若者への支援策を一層推進してまいります。
 次に、精神科病院における虐待防止の取組についてでございます。
 都は、都内精神科病院での虐待事件を受け、精神科病院への迅速な立入検査に加え、都内全病院への人権擁護に係る研修資料配布などの虐待防止に取り組んでおります。
 現在、次期保健医療計画の策定に向け、東京都地方精神保健福祉審議会において、精神科病院で発生した虐待の通報窓口の整備や、患者の人権擁護に対する職員の意識向上に向けた取組などについて議論を進めております。
 こうした議論も踏まえ、次期計画では、虐待防止に向けた取組の推進を新たに重点課題として位置づけることを検討し、今後、虐待の未然防止や早期発見、虐待発生時の迅速かつ的確な対応などの取組を一層進めてまいります。
 続いて、介護人材対策についてのご質問でございます。
 都はこれまで、職場体験や資格取得支援のほか、デジタル機器の導入を行う事業者への支援など、様々な介護人材対策を実施してまいりました。
 また、平成二十八年度に開始した介護職員宿舎借り上げ支援事業では、補助対象を、福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加え、昨年度からは、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所やその他の在宅サービス事業所等にも拡大をしております。
 今後、介護人材の確保、定着、育成を一層推進するため、次期高齢者保健福祉計画の策定に向けた議論の中で、介護人材対策の強化について検討してまいります。
 次に、障害者等が利用する駐車区画についてのご質問にお答えいたします。
 都は、法令で設置が義務づけられている車椅子使用者等の駐車区画の適正利用に向け、一都三県共同でリーフレット等を作成し、普及啓発を行っております。
 また、都は独自に、障害者や高齢者、妊産婦等、移動に配慮が必要な方のために、優先駐車区画の設置を望ましい整備基準としてマニュアルで定めるほか、公共施設等での設置が進むよう、包括補助で区市町村を支援しております。
 今後、デフリンピックの開催も見据え、これらの区画の適正利用がさらに進むよう、ヘルプマーク等の利用対象者を明示した標識の作成や動画等による普及啓発の強化など、取組を一層進めてまいります。
 最後に、特別養護老人ホームの入所についてのご質問でございます。
 入所の必要性が高い方が円滑に入所できるためには、申込みの受付や優先度の判定等が適切に行われる必要がございます。
 そのため、都は、住所地を問わず利用できる広域型特養の入所申込者を住民に限定したり、申込者名簿の更新頻度が低いなどの一部の区に対し、改善を求めております。
 また、介護保険法に基づき施設等の情報を公表しているシステムで入所希望者等が空き状況を確認できるよう、施設に情報の速やかな更新を求めるとともに、区市町村に対しては情報の活用を促してまいります。
 こうした取組により、空床のある施設と入所希望者のマッチングが進むよう、支援してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京こどもすくすく住宅認定制度についてでございますが、認定住宅の供給促進には、新築に加え都内住宅ストックの多くを占める既存マンションの取組が重要であり、とりわけ賃貸マンションの貸主等の理解が不可欠でございます。
 このため、制度活用に関する手引を作成し、作り手の制度活用の検討段階からきめ細かに対応できる環境を整えるとともに、住宅管理やリフォーム団体等との連携を強化して、既存マンションの認定取得を促進してまいります。
 あわせて、新たな認定マークを作成し、認定住宅の広告等に活用することにより、子育て世帯を中心に制度の認知度を高めるなど、普及促進に積極的に取り組んでまいります。
 こうした取組によりまして、認定住宅の供給を加速させてまいります。
 次に、マンションでの適切な修繕の実施についてでございますが、建物の老朽化と居住者の高齢化の二つの老いが進む中、計画的な修繕により適正に管理を行っていく必要がございます。
 都は、昭和五十八年以前に建築されたマンションを対象に管理状況届出制度を運用しており、三十年以上の長期修繕計画が約六割で未作成であること、修繕積立金のないマンションがあることなどの課題を把握しております。
 高経年マンションが増える中、こうした状況は将来の管理不全につながるおそれがあり、アドバイザー派遣を一層活用するとともに、今後、外部専門家の意見を聞きながら、社会環境の変化等も踏まえ課題の検証を進めてまいります。
 これらによりまして、マンションの管理不全を抑制してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、起業した方への支援の充実についてでございますが、優れたスタートアップを数多く生み出す上で、起業を目指す方や創業後の事業への支援は重要でございます。
 これまで都は、創業を目指す方に対して、丸の内と立川の支援拠点で相談に応じ、起業に必要な様々な情報を提供し、事業を立ち上げるプランづくりのサポートを行っております。また、創業して間もない時期に必要となるコストの負担を減らす支援も実施をしているところでございます。
 スタートアップに発展する力を持つ企業を増やすため、今後は、立ち上げた事業を経営の専門家が支援し伸ばす取組や、そのための経費へのサポートにも工夫を行います。
 次に、観光客の著しい増加に伴う影響についてでございますが、インバウンドの回復等によりまして、多くの旅行者が来訪する地域では、住民の生活に影響が生ずる場合があり、これに対応する地元の自治体などを支援することは必要でございます。
 これまで都は、海外からの旅行者向けに観光のマナーをウェブにより提供し、観光客で混雑するエリアでの混乱を抑える取組につなげてまいりました。また、地元の自治体が観光客の著しい増加による問題、いわゆるオーバーツーリズムに効果的な対応ができるよう、後押しをしてきたところでございます。
 さらに、区市町村からの相談に応じ、様々な部署と情報を共有し、必要なサポートを行ってまいります。
 次に、新規就農者に対する支援についてでございますが、東京の農業の振興を進める上で、新規の就農者を確保するほか、その定着に向け支援をすることは重要でございます。
 このため、都は、新たに農業を始める方が基礎知識から実践的な作業までを一貫して学ぶ研修を実施するほか、農地の確保に向けた相談窓口を設置するなどのサポートを行っております。また、農業を始めて間もない時期の生活を支えるため、資金面から支援を行っているところでございます。
 国では、新たに就農した方への支援を見直すこととしております。
 都は、国に対し働きかけるなど、こうした方が都内の全てのエリアで安心して農業経営をできるよう、適切なサポートを行います。これらによりまして、農業の担い手の確保を図ってまいります。
 最後に、万博等の開催に係る観光振興についてでございますが、大阪で開催される万博や東京の世界陸上などの大会を訪れる旅行者が、それぞれのエリアを周遊するよう促すことは必要でございます。
 これまで都は、大阪の観光振興の財団と協力し、東京と大阪の観光スポットに関しウェブで紹介するほか、海外の著名な旅行雑誌のサイトで発信を行ってまいりました。
 今年度は、海外向けの発信を継続するとともに、都内と大阪の主要な駅でサイネージを用い、相互の観光PRを行うほか、大阪での大規模な旅行博覧会に出展し、都内観光の魅力を宣伝いたします。
   〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕

○中央卸売市場長(早川剛生君) 中央卸売市場の施設整備についてでございますが、中央卸売市場が生鮮食料品等を安定的に供給する役割を将来にわたって果たしていくには、いわゆる二〇二四年問題をはじめとした市場を取り巻く環境に迅速に適用していくことが必要でございます。
 そこで、淀橋市場の拡張整備事業では、市場業者が自ら効率的な物流の仕組みづくり等を行えるよう、柔軟な設備導入が可能なスケルトンインフィルの考え方を導入いたします。また、トラック運転手の負担軽減等に向けまして、自動立体冷蔵倉庫や車両入場の予約システムを業界と連携し導入するなどの物流改革に取り組んでまいります。
 本事業を契機に、今後、各市場において、物流問題など社会的課題の解決にも資する整備を推進してまいります。
   〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 工事における総合評価方式に関するご質問にお答えいたします。
 品質の確保等に有効でありますことから、都では、工事規模や技術的課題に応じて四類型の総合評価方式を運用しております。
 このうち、技術提案型は技術的工夫の余地が大きい工事を対象に、創意工夫を生かした技術提案を評価するものでございまして、これまでアクアティクスセンターなど主に大型の施設整備において活用してまいりましたが、審査など手続が複雑になる傾向にあります。
 今後は、民間の技術提案を幅広い工事で活用するため、受発注者双方の負担にも配慮した簡易な総合評価方式の導入につきまして検討を進めることとしております。
 引き続き、工事の品質確保を図りながら、入札に参加しやすい制度の整備に取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、キャップ・アンド・トレード制度についてでございます。
 カーボンハーフの実現に向け、CO2削減を一層加速させるため、省エネのさらなる深掘りと再エネ利用の拡大を促進する制度に強化してまいります。
 都は、専門家による検討会での検討を経て、バイオマス燃料に環境面等の要件を設けるなど再エネの質も考慮しながら、事業所外からの再エネ導入等の義務履行手段を拡充してまいります。
 また、パブリックコメントを踏まえ、削減に向けた取組を先行して実施する事業者の努力がより反映されるよう改善を図ってまいります。
 今後、事業者に改正内容を丁寧に周知するとともに、制度開始に向けた準備を着実に進めてまいります。
 次に、地球温暖化対策報告書制度における省エネや再エネ利用についてでございますが、資金や人材面等で対策が進みにくい中小企業等に対しましては、取組を促す仕組みが必要でございます。
 そのため、報告書作成を簡便にするとともに、省エネ、再エネ利用及びCO2削減の三つの指標を用いて優良事業者を公表し、取引先からの評価につなげてまいります。
 あわせて、区市町村や業界団体等とも連携し、都が実施する省エネ、再エネ利用のノウハウの提供や設備導入支援等に関する情報提供を充実してまいります。
 こうした取組を通じまして中小企業等のCO2削減を後押しし、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。
 次に、持続可能な航空燃料、いわゆるSAFについてでございます。
 航空分野の脱炭素化においてSAFの利用は必要であり、その原料となる廃食用油の回収拡大は重要でございます。
 都は今年度、廃食用油回収の拡大に取り組む区市町村に対して財政支援を開始いたしました。また、回収事業を共同で行う事業を公募いたしまして、都内のスーパーの店舗等で専用容器を用いて家庭から回収する取組と、SAFの普及啓発イベント等を通じて家庭や商業ビル等から回収拡大を図る取組の二件を採択したところでございます。
 今後は、これらを着実に進めながら、利用に向けた性状分析等を行い、事業者等と連携し、廃食用油をSAF製造へつなげるサプライチェーン構築を後押ししてまいります。
 最後に、ニホンジカ対策についてでございます。
 ニホンジカによる食害を抑え、森林の生態系の保全と林業振興を図るためには、生態系の現状把握や関係団体と連携した捕獲が重要でございます。
 都はこれまで、鹿の生息状況調査や保護柵の設置などの取組のほか、市町村や猟友会と連携し、鹿の捕獲を行ってまいりました。
 加えて昨年度から、希少植物の食害を受けている高山地域での専門の事業者による集中的な捕獲に取り組み、鹿の捕獲頭数は過去最高となってございます。
 今後、ドローンを活用した効率的な捕獲を進めるとともに、専門事業者による捕獲の拡充を検討するなど対策の強化を進め、貴重で豊かな森林を保全してまいります。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) 東京港の既存ふ頭の再編整備についてでございます。
 東京港の機能強化を実現させるためには、既存ふ頭のリニューアルを進め、貨物処理の効率性を高める必要がございます。
 このため、都は、アジア貨物の急増により交通混雑が発生している青海公共コンテナふ頭におきまして、今年度から大規模な再編整備に着手いたします。
 具体的には、荷役作業を行うコンテナヤードを約一・四倍に拡張しますとともに、遠隔操作が可能な最先端の荷役機械を導入してまいります。
 令和七年度から順次新たなヤードの供用を開始し、十一年度には全ての整備を完了いたします。
 今後とも、都は、世界から選ばれ続ける港となるよう、東京港の機能強化に着実に取り組んでまいります。
   〔交通局長久我英男君登壇〕

○交通局長(久我英男君) 都営地下鉄のホーム上の安全対策についてでございますが、ホームドアはお客様の転落防止等に高い効果を有しており、現在、残る浅草線において整備を推進しております。
 世界的な半導体不足の影響により、ホームドアの製造が最大十か月遅延いたしましたが、設置後の動作確認手順を見直すとともに、複数駅で同時に施工を進めることで工程を大幅に圧縮いたしました。
 これにより、当初計画より四か月早い本年十一月までに当局管理全駅での整備を終え、来年二月には京成電鉄が設置する押上駅も含め、都営地下鉄全駅で整備を完了する見込みでございます。
 今後とも、安全対策に積極的に取り組み、誰もが安心して利用できる都営地下鉄を実現してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

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