令和五年東京都議会会議録第八号

   午後三時五分開議

○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十七番村松一希君。
   〔百十七番村松一希君登壇〕

○百十七番(村松一希君) 令和五年第二回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び警視総監、教育長、関係局長に質問をいたします。
 都は、子育て、教育やスタートアップ等、未来への投資を先送りしてきた国に対して、牽引する役割を引き続き果たさなければなりません。
 例えば、教育分野において、教職員の過重労働の解消や待遇改善は喫緊の課題ですが、国の議論は、給特法の枠組みを維持したまま教職調整額を引き上げるにとどまっています。一方、民間企業においては、この二十年間で、時間外勤務時間を適切に把握、管理し、時間外勤務手当を適切に支払うと同時に時間外勤務時間を縮減、いわゆる働き方改革を進めてきました。結果、教職員を取り巻く制度と慣行は大きく遅れているといわざるを得ません。
 私たちは、我が国が飛躍を遂げるには、あるべき未来の姿を想定して、変化やあつれきを恐れることなく、パラダイムシフトを起こしていく必要性を訴え続けています。三年以上に及んだコロナ禍から脱し、ポストコロナを迎えるこの機に、東京の抜本的な課題に向き合い、東京から日本の抱える課題解決につながる政策を提案してまいります。
 五月八日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが五類に変更となり、一月が経過しました。感染状況は緩やかに増加傾向にはありますが、急激な感染拡大には至らず、経済や市民活動との両立が見えてきたともいえます。
 今定例会には、補正予算二千二百十九億円が計上されておりますが、コロナ対策として必要な医療体制の確保や高齢者を対象とした対策を継続するとともに、目下の物価高に対して都民や各種事業者を支える取組を講じ、その上で、ポストコロナの東京へと力強く歩みを進めていくべきですが、今回の補正予算を編成する考え方について、知事の見解を伺います。
 次なる感染症への備えは極めて重要です。国の感染症法改正を踏まえ、都は感染症予防計画を改定するとしていますが、特にコロナの初期対応を重点的に振り返り、将来の未知なるウイルスに対して、早期かつ効果的な対応が取れるよう対策すべきです。
 海外での感染症の発生時から水際対策まで、国の指示を待つだけではなく、首都東京を守るために、iCDCを活用し、海外諸都市を含めた情報を収集、分析し、対処できる体制を整えておくべきです。また、ワクチン接種や保健所の対応などでは、人員が大きく不足しました。計画的な保健医療の人材育成も重要です。
 今回の感染症予防計画では、迅速に対処するためのボトルネックとなった部分を踏まえ、平時から解消していくよう取り組むべきですが、知事の見解を伺います。
 また、感染症の危機から首都東京を守るために、海外諸都市との連携など、東京iCDCを活用し、情報を収集、分析し、対処できる体制を整えるとともに、感染症の危機発生時に対応できる医療人材の育成、確保を図っていくべきですが、知事の見解を伺います。
 エネルギー価格、とりわけ電気料金の高騰は、多くの中小企業の経営を圧迫しており、先行きへの不安や懸念の声が上がっています。補正予算において、都が国の財源を活用して、特別高圧の電力を使用する中小企業への支援に踏み出したことを評価しています。
 特に、特別高圧の電力を直接契約している事業者だけでなく、テナントビルが多いという東京の特性も踏まえ、こうした中小企業テナントにもきめ細かな支援を行うこととしたことも高く評価しています。
 苦しい状況に置かれた中小企業の負担を速やかに軽減するため、支援を一刻も早く中小企業に行き渡らせることが重要ですが、知事の見解を伺います。
 中小企業庁は昨年度、十五万社の中小企業を対象に、親事業者との価格交渉や価格転嫁に関するアンケート調査を実施、価格交渉に応じてもらえたと回答する企業は約六割にとどまり、全く交渉できていないとする企業も約一割存在していることが明らかとなりました。
 今年度に入ってからエネルギーや原材料の価格高騰が続いており、都内中小企業からも、価格転嫁が難しく、経営状況はさらに厳しくなっているとの声が届いています。こうした立場の弱い中小企業に対し、価格転嫁に向けたアドバイスなど、様々な支援を早期に実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 エネルギーの大消費地である東京が、その需要や供給の両面で先導的な役割を果たすことが重要です。
 所信表明において知事は、エネルギーの政策を戦略的に展開すると同時に、再エネなどは速やかに実装化を進めるため、二つの有識者会議を立ち上げる方針を明らかにしました。この有識者会議がそれぞれどのような役割を果たすべきと考えるのか、知事の見解を伺います。
 中でも重要になるのが水素です。私たちは、需要創出と併せて、供給側の取組として、グリーン水素の導入や供給網の構築を求めてきました。
 都は、グリーン水素を製造する山梨県と協定を結ぶとともに、受入れを進める川崎市や大田区とも連携するとしています。これらを踏まえ、今後、水素の供給の仕組みを早期に構築していくべきですが、見解を伺います。
 次に、都民の安全・安心を守る防災対策について伺います。
 平成七年に起きた阪神・淡路大震災では、自助、共助による救出が八割を超えていたといわれています。そのため、私たちは、TOKYO強靱化プロジェクトの策定において、コミュニティを明確に位置づけ、防災力向上に向けて、より多くの都民の皆様が自分事として関われるように事業設計していくよう求めてきました。
 関東大震災から百年の節目を迎える本年、各局が様々な防災訓練やイベントを開催すると理解していますが、これまでの行政の企画は参加者層が固定的であり、広がりが出ないことを懸念します。
 関東大震災百年を迎え、今年度、TOKYO強靱化プロジェクトの一環として様々な取組を行う中で、都民参加型の防災イベント等を、これまで参加ができていない層にリーチし、より幅広く多くの方が参加できるような形態を展開すべきですが、見解を伺います。
 また、災害の疑似体験は効果的ですが、体験できる場所は、防災館や消防庁に一台しかないVR車に限られます。今年度、東京都は、「東京くらし防災」を更新、配布することを表明していますが、例えば、VR映像を見るための簡便で安価なゴーグルを併せて配布するなど、多くの都民が映像を使った疑似体験ができる工夫を求めます。
 私たちは、都民の多くが集合住宅に住む現状から、マンション防災の重要性について提案してきました。都はそれに応え、東京とどまるマンションへと事業名称を変更し、防災マニュアルの策定、訓練の実施、備蓄や応急用資器材の確保、連絡体制の整備などに対する補助事業を開始しました。また、地域の底力発展事業による支援策について、自治組織のあるマンションも手を挙げられるようになりました。
 しかしながら、自治組織を有するマンションや地域の町会、自治会へのマンション住民の加盟は限定的であり、分譲と賃貸でも事業が異なることなど、マンション防災として様々な課題に対応する必要があります。
 マンションの防災力を高めるために、住民同士が助け合う共助がなされるよう、地域のコミュニティが十分機能するよう働きかけることが重要と考えますが、これからの展開について知事の見解を求めます。
 また、震災から都民の命を守るためには、地域防災の要である消防団も極めて重要です。
 大規模災害の被害を最小限に抑えるため、消防団の災害対応力をさらに高める実戦的な訓練や訓練環境の整備が必要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 区部と多摩の消防団の重要性は変わらず、多摩地域の消防団の装備や環境等についても、遅滞することなく充実させていくよう改めて強く求めます。
 改正道路交通法の施行により、自転車に乗る際のヘルメット着用が四月から努力義務化されました。令和四年に自転車乗車中に亡くなられた方の損傷主部位は、頭部が六割を占めており、頭部の保護は大変重要です。
 一方、着用が進んでいないとの声もあり、ヘルメットの有用性の啓発と着用を促す取組を我が会派から要望しました。都はこれを受け、ヘルメット購入補助を行う区市町村に対する支援を開始しました。死亡事故等を減少させる実効性ある取組につながることを期待します。
 ヘルメット着用促進に向けて、区市町村の取組を加速していくとともに、ヘルメット購入、販売に合わせて自転車ルールを改めて普及啓発すべきですが、見解を伺います。
 有機フッ素化合物、PFASについて伺います。
 代表的な有機フッ素化合物であるPFOS等は、半導体製造や撥水加工、泡消火剤など、幅広い用途で使用されてきました。
 中でも、分解されにくく体内にたまりやすいPFOSとPFOAについて、都は平成二十二年度から地下水のPFOS等の測定を始め、令和三年度からは、水質汚濁防止法の測定計画に位置づけ、四年間の都内全域調査を進めていると聞いています。
 一方、都のこれまでの調査結果では、PFOS等が広域に検出されていることから、身近な地下水も汚染されているのではないかと心配する声も高まっています。
 都内では、PFOS等が広域に検出されている状況にあるため、汚染源の特定は難しく、利用している井戸の水質状況をきちんと把握し、利用を控えることが重要です。都は調査を進めていますが、さらに加速し、都内各地域の状況をできる限り早く把握して周知し、都民の不安を解消していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都は、PFOS等について、水道水の原水、浄水及び給水口についても濃度を測定し、安全な飲用水が飲めるよう対応するとともに、さきの定例会での私たちの代表質問に対し、専門家会議の設置、情報のオープンデータでの提供、科学的根拠に基づいた分かりやすい情報発信、専用電話による健康相談の実施などを答弁しました。飲料水の摂取源となる水道水、地下水の双方を適切に対処し、安全・安心としていくことを求めます。
 ニューヨーク、ロンドン、シンガポールなど、東京のライバルである世界の主要都市では、公園や緑を都市づくりの中核に据え、人々を引きつける居心地のよい都市空間とその機能性に着目した取組が進んでいます。
 具体的には、コンクリートでできた貯水池や下水施設等のいわゆるグレーインフラではなく、植栽等の雨水浸透性を最大限に高め、治水やヒートアイランド対策など、グリーンインフラとして活用する考え方が、費用対効果が高く、まちの魅力や生物多様性にも資する取組として、近年、欧米の都市づくりに取り入れられています。
 特に、米国ニューヨーク市では、二〇一〇年よりグリーンインフラ計画を定め、二〇三〇年までに十五億ドル、日本円で二千億円を投資し、雨水の地表面流出を削減する数値目標を定めて取り組んでいます。歩道等に整備されたレインガーデンは、施工中のものも含めて二千三百か所以上あるとのことです。
 また、グリーンインフラを導入するガイドラインが整理されており、雨天時に雨水を庭や広場の一面に貯留できるレインガーデンや、道路脇や敷地境界で水路のように雨水を貯留できるバイオスウェルなどの具体的な手法が示されています。
 グリーンインフラの導入など、東京都としても方針を定め、まち中の様々な場所に緑や自然を取り入れていく、新たなまちづくりへと転換していくべきですが、知事の見解を伺います。
 先ほど紹介したレインガーデンのような貯留性、浸透性を高めた緑の施設を取り入れることで、費用対効果の高い雨水対策となることから、グリーンインフラは、災害対策、豪雨対策の予算を効果的に活用して緑を増やしていく取組ともいい換えることができます。
 まち中の様々な場所に緑を生み出す新たなまちづくりに向けて、豪雨対策基本方針においても雨水流出抑制に資するグリーンインフラを掲げ、都道や都立学校、都有施設などから導入を進めていくとともに、民間開発や戸建て住宅などにおいて導入を後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、開発敷地などで、想定される雨水流出量についても評価することで、民間の開発等においても、グリーンインフラなどによる雨水流出の抑制を誘導すべきと考えますが、見解を伺います。
 なお、米国では、ハドソン川の水質対策としてグリーンインフラの導入が始まっており、この点は都も大いに参考にすべきです。都の下水道でも多くを占める合流式下水道では、大量の降雨により流れ込んだ雨水と汚水が一定量を超えると、未処理のまま放流するしかなく、このため、河川や東京湾の水質悪化が避けられません。グリーンインフラの導入により、雨水の流出速度を抑えることは、未処理下水の放流量の減少、ひいては東京湾の水質改善につながります。この観点からもグリーンインフラを推進することを求めます。
 都は、関東大震災から百年の節目として、焼失地に造られた復興小公園の再整備に当たるとしています。
 関東大震災は、発生時間が昼食時だったことから、同時多発的に火災が発生、倒壊した家屋を燃やしながら三日間燃え続け、人々が逃げ込んだ場所の空間や植栽などの条件の違いで生死を分けたといわれています。
 例えば、多くの樹木が防火効果を発揮した岩崎邸では、避難した約二万人が無事だったのに対し、樹木がなく、広い空き地であった陸軍被服本廠跡地では、熱旋風が起こり、約四万人が焼死したとされています。
 都が復興小公園を再生するに当たり、防火の観点とともに、水害を抑制し、かつ都民が自然に触れることにより、精神を豊かにするグリーンインフラの観点、さらには生物多様性の観点と、多角的な機能を有する空間とすべきと考えますが、見解を伺います。
 KK線を歩くイベント、銀座スカイウォークがゴールデンウイークに開催されました。KK線を歩行者空間として再生することを広く都民に伝え、また、空中回廊、スカイコリドーとしての将来像を体感できる取組でありました。
 私たちは、銀座、八重洲、有楽町、新橋などに隣接する立地条件を生かし再開発と連携するなど、周辺建物とデッキ等でつなぐことで回遊性を高め、緑あふれる連続的なにぎわいを創出することを事業の早期化と併せて求めてきました。
 ゴールデンウイークに開催されたイベントで得られた声も生かし、景観確保と都市空間における緑の創出など、KK線を世界から注目される東京の新たな魅力にしていくよう再生に取り組むべきですが、知事の見解を伺います。
 また、さきの都市整備委員会で、KK線上部空間及び沿道の良好な景観形成の観点から、屋外広告物の規制の在り方や手法等について、関係者間で早期に検討、調整を行うと答弁しており、改めて適切な対応を求めておきます。
 続いて、未来への投資につながる我が会派の重点領域について順次伺います。
 最初の重点領域は、女性やスタートアップ、デジタルなど、東京の経済と社会を支える人と基盤への投資です。
 昨年末の予算要望で、私たちは百三万円、百三十万円の壁対策を求めました。これを受けて、都が年収の壁を含む働き方や生き方を議論する東京くらし方会議を設置したことを評価します。
 今年度新設された産業労働局働く女性応援担当は、今年度、くらし方会議の開催に加えて、シンポジウムや啓発等の様々な取組を行うとしており、女性活躍の後押しになることを期待します。
 先日開催された第二回会議では、正社員の夫と専業主婦という家庭を前提とした社会保障が、暮らし方、働き方を固定化する要因になってきたことが専門家から指摘されるなど、踏み込んだ議論が展開されています。実際、六十四歳以下の現役世代では、共働き世帯が七割を超えており、現行制度は実態とかけ離れているといわざるを得ません。
 東京くらし方会議の議論も踏まえ、女性活躍の後押しに向け国に対して提言する等、都が牽引して取り組んでいくべきですが、知事の見解を伺います。
 なお、スーパーや飲食店などでパートタイマーが現場を支えていますが、意欲があるにもかかわらず、年収の壁が理由で働く時間を制限していたり、最低賃金が上昇したため、まだ働けるのに働く時間を削ることになるなど、働き手と事業者の双方から課題がある制度という声を聞いています。
 深刻な人手不足の中、年収の壁によって働き手が十分に生かされない状況に対し、東京の経済を支える面からも、年収の壁を穴埋めする支援策を講じるなど、国に先駆けた対応を強く求めます。
 これからの東京を支えるスタートアップの支援拠点として、都がこの秋にも有楽町にTokyo Innovation Baseをプレオープンするとし、迅速な対応を評価します。プレオープン段階から様々な関係者を巻き込み、スタートアップや支援者が足を運びたいと思うクリエーティブで先進的な空間づくりや取組を求めます。
 また、私たちは、公共調達においてスタートアップを活用し、ファーストカスタマーとなることでの後押しも求めてきました。
 各局で少なくとも一つはスタートアップを事業に活用されるよう、各局での自発的な取組を促していく必要があります。スタートアップ戦略で掲げた官民協働十倍を早期に実現するため、都庁各局で総力を挙げてスタートアップの活用に取り組むべきですが、知事の見解を伺います。
 なお、依命通達なども通じ、各局の検討を予算面からも後押しすることも求めておきます。
 また、国は、官公需において、創業十年以内の新規中小企業者との契約について三%以上を目指すとしています。都の公共調達において、スタートアップとの契約の割合等について指標とし、集計、公開することを求めます。
 都民の利便性の高いデジタル化の推進について、私たちはかねてより重点を置き、デジタルファースト条例の制定、デジタルサービス局の設置、行政手続のデジタル化など、様々な成果につなげてきました。
 今年九月には、高度民間人材の活用や、都と区市町村の連携の核となるGovTech東京が立ち上がり、東京全体のDXがさらに加速することを期待します。
 都、区市町村とGovTech東京が協働体制を組み、都民目線で、これまでにないデジタルサービスを実現し、オール東京のDXを飛躍的に進展させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 チャットGPTなどのAIチャットボットや画像生成AIなど、急速に進むAIの活用可能性について話題となっています。
 さきの予算特別委員会において、我が会派の質問に対し、宮坂副知事から、生成系AIには大きな可能性があり、今後、都政の幅広い分野で実践していくとの答弁がありました。
 今後、こうした技術の最新の動向なども踏まえ、都民サービスの向上に向けた幅広い分野でAIを活用していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 本年七月一日に改正道路交通法が施行され、電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車に関する新たな走行ルールが導入されます。
 新たな法律では、車道における最高速度が自転車と同程度以下の時速二十キロ、歩道では時速六キロまでの走行とすることで、自転車と同等の車両と位置づけられ、走行場所などを含むルールも類似の扱いとなります。一方、時速二十キロを超えるスピードで走行できる電動キックボードは、引き続き、いわゆる原付バイクと同等の扱いとなります。
 これまでにない変則的な速度制限となることから、民間事業者とも連携し、都民に対してルールの周知を徹底する必要があります。また、特定小型原動機付自転車の速度制限に対応していない車両については、特に原付と同様のルールが求められることから、適切な指導等により、安全な運行を促す必要があります。
 今後、電動キックボードの利用者増加が予想され、また、道路交通法改正によりルールが複雑化する中で、交通安全対策を適切に実施すべきですが、警視総監の見解を伺います。
 一方、電動キックボードのシェアリング事業等に必要なポート等の設置に関して、新しいモビリティーを実装するためのインフラとして、大規模開発等における公開空地の利用ができるようにすべきですが、見解を求めます。
 次に、東京港の取組強化について伺います。
 近年、産業構造の変化等により、取扱貨物量がさらに増加するとともに、国際的な船舶の大型化への対応、物流業界の人手不足や二〇二四年問題、燃料高や環境への対応など、首都東京の国際競争力の根幹を担う物流の効率化、高度化は極めて重要な都政課題です。
 特に、東京港の機能強化は待ったなしの状況にあり、ふ頭の整備とデジタルや先端技術の活用を組み合わせ、世界の主要港に伍する先端的な国際港を構築していくべきですが、見解を伺います。
 二つ目の重点領域は、医療、介護分野です。この分野では、少子高齢化が進む中で、支出の拡大を抑えながらも享受できるサービスの質を高める取組が重要です。
 団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年、いわゆる二〇二五年問題に向けて、深刻な人材不足との声が上がっているのが介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーです。介護福祉士の待遇改善が進む中、介護支援専門員の処遇改善は一向に進まないことから、受験者数は近年激減し、介護保険創設当初は九万名を超えていた合格者数が、令和三年度は一万人程度まで減少しています。
 その結果、この十年間で介護支援専門員の平均年齢は約五歳も引き上がっており、今後、ケアマネジャー不足が一層深刻化するといわれています。介護保険制度の根幹をなす介護支援専門員の不足は、介護難民の発生へとつながりかねず、早急な実態把握と対策が必要です。
 現在の高齢者保健福祉計画では、介護人材の需給調査項目に介護支援専門員が入っていないため、今後の計画改定では、実態把握を含め、介護支援専門員の課題について検討し、実効性の高い支援策を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、かねてよりフレイル対策の重要性を訴え、都は区市町村への取組の支援、人材育成、フレイル予防の普及啓発のための冊子やホームページの構築、東京都健康長寿医療センターでの研究や診療の蓄積などを行ってきました。
 一方、コロナにより三年近く都民の様々な活動が縮小し、五類への移行後も、いまだ外出を控えているシニアも多くいます。
 健康への深刻な影響が顕在化する前に、改めて栄養、身体活動、社会参加の三つのフレイル対策の重要性を周知し、シニアの皆様が具体的な行動が取れるよう支援を強化すべきです。
 昨年度より実施している高齢者の健康づくりに資するスマートウオッチ等デジタル機器活用事業では、健康長寿医療センターのフレイル外来の患者にもご協力いただいているとのことですが、各種フレイル対策の効果検証にも活用し、都や自治体による効果の高いフレイル対策につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、フレイル対策の中でも、栄養に関して、歯の健康、口腔ケアは極めて重要です。高齢者の歯科健診の受診を促すとともに、歯科健診や歯の治療の機会を通じて、シニア世代のための食育を組み合わせることで、フレイル対策の効果を高めるべきと考えますが、見解を伺います。
 性的マイノリティーの方々にとって深刻な困り事に医療の壁があります。八割が医療や福祉サービスで困難さを感じており、そのうち三割は、具合が悪くても受診を控え、病状悪化や心身の不調を経験したという調査があります。医療機関での配慮が欠け、医療従事者の無理解等によって起きている問題です。
 都立病院では、パートナーを親族と同様に扱うなどの配慮をしていることは、これまでの私たちの質問で確認してきました。
 今後、さらに都立病院全体の細部に至るまで、LGBTQフレンドリーな配慮を行き渡らせ、性的マイノリティーの方々が安心して医療にアクセスできる東京にすべきです。また、トランスジェンダー外来のような先進的な事例を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、こうした取組を都立病院以外にも広げていくよう、ノウハウの共有や配慮の周知について対応を求めます。
 最後の重点領域は、チルドレンファーストの東京に向けた子供、子育て、教育の分野です。本領域は、最重点領域として私たちは取り組んでまいりました。
 教育は我が国の根幹です。小中学校を中心とした教員不足や、それに起因する教育や子供たちをサポートする質の低下は深刻で、我が会派にも生徒、学生から不安の声が多く届いています。
 公立学校の教員の待遇は、いわゆる給特法で定められていますが、月給の四%分を一律に上乗せする代わりに残業代は支払われません。これは、時間管理の軽視と長時間労働の要因にもなっています。
 国が給特法の見直しに着手したことは歓迎するものですが、現時点の自民党案は上乗せを一〇%に引き上げるというものであり、本質的な解決策であるとは思えません。
 教育はコストではなく投資です。都は、この大きな方向転換を牽引し、労働時間の管理と労働時間に応じた残業代の支払いをセットで行う抜本的な改革を牽引すべきです。
 都内公立学校では、出退勤システムなどを活用し、教員の勤務時間の客観的把握が進んでいるとの理解ですが、特に他の校種と比べても長時間労働の傾向にある中学校における時間外労働の状況を伺います。
 あわせて、教員の長時間労働を抜本的に改善するために、都として業務の効率化や負担軽減等の取組を進めるとともに、教員の勤務実態に応じた処遇改善を実現するよう国に求めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 また、今後、部活動の地域移行に当たり、学外の指導員に対して手当を支給することが想定されますが、その際、学校教職員が引き続き部活動を担当する場合には、同様の手当を支給できるようにすることも求めておきます。
 教員の働き方改革にも直結する部活動の地域移行について、国は、今後三年間で段階的に地域移行を進めるとし、都も、部活動の地域連携、地域移行の方向性を示した総合的なガイドライン及び推進計画を昨年度策定しました。
 地域移行は、教職員の負担を軽減し、子供たちに向き合う時間を生み出すことや、部活動としてもより専門的な指導を受けられる可能性、学外との連携やオンライン指導の導入など、様々なメリットが想定されます。一方で、指導者や団体などの受皿確保、保護者の費用負担の増加懸念、大会運営等の地域移行に係るルール改定など、様々な課題も挙げられています。
 こうした大きな改革については、学校関係者だけでなく、多様な地域資源や人材、スポーツも文化系も含めた多様な人材によって議論し、子供たちの可能性を引き出す取組としなければなりません。
 部活動の地域連携、地域移行に関して、生徒の活動機会の確保や教員の働き方改革を実現するためには、各区市町村の取組が確実に進むよう、都が適切にリードしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 四月に杉並区の荻窪小学校で児童が転倒した際に、校庭のくぎが原因で膝に大けがをした問題を受け、杉並区が区内の公立学校六十八施設に緊急点検をしたところ、荻窪小学校を含む四十三施設で合計千三百五十本のくぎやフックが見つかりました。
 学校において児童生徒が安心して過ごすためには、学校の安全管理が適切に行われていることが必要です。今回、多くのくぎが見つかった事例では、運動会等で校庭にラインを引く際の目印として、先端にテープをつけたくぎを地中に埋め込んでいるという実態があると聞いています。こうした学校活動と安全管理をどのように両立させるかは、都内の全ての小中学校や高校に共通する問題です。
 こうした学校の安全管理について、例えばくぎなどのけがになりかねない因子を校内へできる限り持ち込まないような仕組みを構築したり、安全な用具に切り替えるなど、学校の安全対策に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新学習指導要領では、主体性や協働性の育成が求められています。都は、笑顔と学びの体験活動プロジェクトとして、協働して課題解決に取り組む体験や、他者理解、共生社会に資する体験、科学、先端技術等に触れる機会を拡充するとしています。
 また、令和四年度から始めた国際的に活躍できる人材の育成を目的としたグローバル人材育成に関わる国際交流も、今年度大幅に拡充し、さらに来年度からは、最先端、世界水準の研修先での体験等研修プログラムの一層の充実がなされると聞いています。
 いずれも主体性や協働性の育成につながるブラッシュアップであり、評価するものです。
 グローバル人材には、こうした学力などの従来型の指標でははかれない非認知能力も求められており、エビデンスベースでの施策を進めるため、グローバル人材育成に関わる施策の成果検証の在り方について検討すべきですが、見解を伺います。
 子供に関する定点調査について、ヤングケアラーや言語、遊びに関する質問や、危険な場所に関する調査、東京都こども基本条例の認知度に関する質問といった昨今の重要な政策課題に加え、これまで会派として求めてきたソーシャルキャピタルや、子供の生活実態に関する質問項目が盛り込まれたことを高く評価します。また、二十一世紀出生児縦断調査、日本財団の十七から十九歳意識調査などの既存の調査との比較が可能な調査項目も盛り込まれました。
 本アンケート結果を分析し、子供政策連携室はじめ、都で取り組んでいる各種事業をブラッシュアップすることに加え、ソーシャルキャピタルなど、研究領域についてはしっかり成果を分析した上で論文化するなど、国内のエビデンスベースの子供施策の牽引につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
 障害のある子とない子が共に同じ教室で学ぶインクルーシブな教育についてです。
 東大バリアフリー教育開発研究センター長の小国教授によると、インクルーシブな教育は、障害のない子供たちにとっても学びやすく、お互いを思いやる心が育つことで、不登校やいじめといった課題も減ることが期待できるそうです。インクルーシブ教育が万人のための教育とされるゆえんはそこにあります。
 しかし、インクルーシブな教育環境を整えたくても、人的な支援を配置する予算が区市町村に足りないことがボトルネックになっています。区市町村立の小中学校に障害のある児童生徒をサポートする支援員の配置に必要な経費は区市町村の負担となるため、配置が進まない状況にあります。
 小中学校でのインクルーシブな教育を進めるためにも、都として区市町村による支援員の配置を支援することが重要と考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍で不登校の児童生徒が増え、中学校では二倍弱になったといわれます。これは、各クラスに二名程度の不登校生徒がいることに相当します。
 不登校特例校は、不登校状態にある児童生徒を対象とした、学習指導要領にとらわれずに教育が行える学校として、こうした子供たちの学びの機会を提供する重要な役割を担っています。現在、全国で二十一校、都内では八校が運営されていますが、文部科学省は、将来的には全国に三百校の設置を目指す方針を今年発表しました。
 都内に八校ある不登校特例校は、民間主導や区市町村が設置する学校など、それぞれ個性的な運営を行っており、先進的で多様な実例があります。一方で、国の方針に合わせて不登校特例校を拡充しようにも、経費、土地、施設の確保が難しいとの声も聞いています。
 こうした課題に応え、不登校特例校設置について、区市町村の取組を後押しする強力な支援体制が必要と考えますが、見解を求めます。
 これまで都は、都立高入試において、外国籍で日本語を母語としない来日三年以内の生徒を対象とした在京外国人生徒対象入試を行う学校数を、少しずつではありますが拡大してきました。また、一般入試における来日六年未満または三年未満の生徒を対象とした特別措置は、国籍によらず受けられるようにしました。
 しかしながら、日本国籍を持つ生徒の場合、来日三年以内で日本語がまだできなくても、現状は在京外国人生徒対象入試を受けることができません。
 今後、日本国籍がある場合も含め、日本語を母語としない生徒がさらに増加すると予想されることから、こうした生徒に対する都立高校入試の在り方について検討を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 また、私たちは、都内公立小中学校における外国人児童生徒数に占める日本語指導が必要な外国籍児童生徒数の割合が、小学校で約二割、中学校で約三割程度にとどまることを課題として指摘してきました。日本語指導を必要とする児童生徒が指導を受けられるよう、速やかな対応を求めます。
 都は、昨年二月にNext Kogyo START Projectを策定、この四月から、工業高校を、工学と科学を融合した工科高校に名称を変更するなど、魅力の向上に努めています。
 また、私たちが提案して実現したTokyo P-TECHや全校で工業IT科目を導入するなど、今後の工業分野で必要なIT知識についても、全ての工科高校で体系的な学習が行えるよう、教育内容の充実を図っていることを評価します。
 一方、入試志願者が全体では前年度を下回るなど、東京のものづくりの担い手を十分に育成していくためには、一層の魅力向上が求められます。
 そこで、ものづくりの技能やデジタルスキル等の技能習得の強化など、これまでの取組に加え、スタートアップ経営者との交流など、テクノロジーで社会を変える面白さに触れる新たな取組を開始し、工科高校の魅力を広く都民に発信していくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、多摩地域の振興についてです。
 一八九三年に多摩地域が東京に移管されてから今年で百三十周年を迎えます。多摩地域は、東京の発展とともに成長を遂げ、東京の発展に欠かすことができない地域へと進化しており、圏央道や多摩都市モノレール、リニア等の広域交通ネットワークの充実により、さらなる成長が見込まれています。
 本年、都は百三十周年に当たり、記念イベントを開催する予定ですが、多摩地域の多彩な魅力を発信し、多くの都民が多摩地域に足を運ぶきっかけとすべきです。
 私たちはこれまでも、多摩都市モノレールにおける子育て応援事業として、小児特別運賃の実施を提案、実現しています。
 百三十周年記念イベントにおいて、例えば多摩都市モノレールの乗車運賃割引を行うなど、地域の企業とも連携し、より多くの都民に多摩地域を訪れてもらうための工夫が必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、多摩地域の将来像を描き、多摩の課題の解決や振興を図るための知見の蓄積も重要です。百三十周年を機に、有識者による多摩振興の検討についても求めます。
 以上、私たちは、コロナを乗り越え、東京が抱える根本的な課題の解決に向けて取り組むと同時に、パラダイムシフトを起こすべく、国をリードする政策を提案し続けていくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 村松一希議員の代表質問にお答えいたします。
 補正予算についてでございます。
 新型コロナが五類に位置づけられたことを踏まえまして、今後も、都民の健康と安全を守りながら、平時の医療体制への円滑な移行を促進していかなければなりません。加えまして、国の臨時交付金を活用し、物価高騰の影響の下、都民生活と東京の経済を下支えするため、補正予算を編成することといたしました。
 具体的には、コロナ対策につきまして、全国一律の方針に基づく事業に加えて、高齢者等のハイリスク層を守る取組など、東京モデルとして当面継続すべき事業を実施いたします。
 また、臨時交付金を活用した支援として、LPガスを利用する家庭への負担軽減のほか、物価高騰に直面する医療機関等への支援など、取組の強化を図っております。
 これらの施策を迅速かつ着実に実施し、都民の暮らし、都内経済を守り抜くことで、サステーナブルリカバリーの実現に向けた歩みを力強く進めてまいります。
 次に、次なる感染症危機への備えについてでございます。
 人や物の動きが活発な現代におきましては、感染症は急速に広がるおそれがあり、新型コロナ感染症との闘いの中で、感染症に広域的に対応していくことの重要性が改めて明らかとなりました。
 このため、都は、いち早く都域全体を対象といたしましたうちさぽ東京による自宅療養者の支援体制や、高齢者等医療支援型施設におけます患者受入れなど、保健所設置区市を包含した東京モデルを構築しまして、新型コロナによる死亡者数をOECD諸国の中でも低い水準とすることができました。
 こうした取組の成果を踏まえまして、国に要望を行い、昨年の感染症法改正におきましては、知事の総合調整権の強化や都道府県による連携協議会の設置が定められまして、感染症対策における広域自治体の権限が強化されました。
 感染症予防計画の改定に当たりましては、保健所設置区市や医師会等の関係機関が参画する連携協議会も活用しまして、都が統一的かつ機動的に対策を講じられる仕組みを構築して、未知の感染症にも揺るがない都市をつくり上げてまいります。
 次に、感染症に係る調査、分析と医療人材についてのお尋ねです。
 感染症に的確に対応するためには、科学的な知見に基づく施策と、それを実現するための体制が重要であります。都は、コロナ禍におきまして、東京iCDCを立ち上げ、専門家の知見を対策に生かすとともに、医療人材バンクの運用や高齢者施設向けの研修などを行ってまいりました。
 今後、次なる感染症危機に備えるため、東京iCDCと国内外の研究機関等とのネットワークを拡充いたしまして情報連携を密にし、感染症全般にわたる調査分析機能を強化いたしてまいります。
 また、感染症専門医や都内各病院におけます感染対策のリーダーを養成するなど、医療人材の確保、育成をさらに促進してまいります。
 こうした取組によりまして、今後起こり得る危機に迅速に対応できる体制を整え、感染症に強い都市東京を実現してまいります。
 次に、特別高圧電力に係る事業者の支援についてでございます。
 産業活動に不可欠な電気の価格は高止まりが続き、中小企業の経営への重い負担となっております。国による低圧や高圧の電力利用へのサポートに加え、特別高圧の使用に係る支援は待ったなしであります。
 特別高圧は、生産現場で日々多くの電力を必要とする町工場などの経営に直結し、その使用の負担を引き下げる速やかな支援が必要であります。都内の数多くの事務所や商店は、特別高圧を受けるビルにテナントとして入居しておりまして、そうした中小の事業者へのきめ細かい対応も進めなければなりません。
 このため、特別高圧の電力を生産活動で使う中小の製造業等のほか、ビルの中でテナントとして利用する事業者を対象に料金の負担を和らげるため、国の交付金を活用しまして、それぞれ適正な水準で一定の金額を定めて速やかな給付を進めてまいります。
 これによりまして、東京の産業の担い手である中小企業のエネルギーのコストを抑え、経営の持続と発展を確実にサポートしてまいります。
 続いて、エネルギー政策についてであります。
 エネルギー安定確保は都民生活や事業活動を支え、日本の国力の維持、増強のために不可欠でございます。エネルギーに関する構造的な課題から目をそらさず、都として、有識者の知見を幅広く取り入れながら、自らの責務となすべき政策を導き出すことといたしました。
 新たに設置いたしましたエネルギー問題アドバイザリーボードでは、電力の需給バランスの実現に役立つ施策や、脱炭素社会実現に向け、水素の普及拡大など、エネルギーの在り方に関し、大局的観点から意見をいただき、エネルギー政策の戦略性を一層高めてまいります。
 とりわけ、再エネの実装促進は喫緊の課題でありますことから、再エネ実装専門家ボードを立ち上げて、技術的、専門的な助言を得ながら、再エネの基幹エネルギー化を加速度的に進めてまいります。
 この戦略と実装を支える二つの有識者会議での知見も踏まえまして、持続可能なエネルギー基盤を有する安全・安心な東京をつくり上げてまいります。
 次に、マンション防災の推進についてのお尋ねがございました。
 自然災害の脅威から都民の命、暮らしを守るためには、東京の防災力を高めていくことが重要であり、中でも、多くの都民が居住するマンションの防災力の強化は待ったなしの課題であります。
 そのためには、公助はもとより、マンションの居住者自らが備えを進める自助、居住者同士や地域住民との連携による共助の取組が欠かせません。
 今後、助け合いの精神の醸成を図るため、住民や管理組合などの防災知識の向上に資する普及啓発を充実するほか、マンションで設立された自治会の取組や地域コミュニティとの連携の好事例を広めるなど、自助、共助の強化に取り組んでまいります。
 地域で安全・安心に暮らしていける東京の実現に向けまして、区市町村とも連携を図りながら、都庁内で横串を刺し、総力を挙げまして、マンション防災を戦略的に推進してまいります。
 次に、特別区消防団の震災時における活動力の強化についてであります。
 昨年公表いたしました首都直下地震等による東京の被害想定におきましては、都市の不燃化の進展や各種防災対策によって、十年前の前回の想定よりも被害が軽減したものの、依然として約六百件もの延焼火災が同時多発的に発生し、八万棟以上の建物の倒壊等が想定をされております。これらの被害を軽減するためには、地域防災の中核を担う消防団の活動力の向上が重要であると認識をいたしております。
 このため、消防団と消防署が連携し、消火や救助などの実動訓練や、震災図上訓練を日頃から実施しています。さらには、東京消防庁と連携しまして、都内全域で実施されます総合的な震災消防訓練に全ての消防団が参加し、活動力の向上に努めております。
 今後は、特別区消防団の活動力をさらに向上させるため、消防隊用の訓練施設を有効活用いたしました実戦的な訓練を一層推進するとともに、新たに訓練施設の充実や確保も含めまして、よりよい訓練環境の整備について取り組んでまいります。
 次に、緑の充実についてでございます。
 高度な都市機能を有するだけでなく、緑豊かな自然と調和した持続可能な都市へと進化させることは世界の潮流であります。
 「未来の東京」戦略では、あらゆる機会を通じまして、緑の量的な底上げと質の向上を図っていくこととし、庁内横断のプロジェクトチームを立ち上げて取組を進めております。
 一方、いわゆるグリーンインフラでありますが、自然環境の有する機能により、気候変動への適応や生物多様性の保全など、社会的な課題の解決への活用が期待されております。
 その活用や、都民や民間と協働した新たな緑の創出など、都市の緑化もまちづくりの核として捉えまして、有識者の意見や海外諸都市の動向なども参考に、早急に議論を深めてまいります。
 今後、世界から選ばれる都市の実現に向けまして、潤いや憩いが感じられ、緑あふれる東京を構築してまいります。
 次に、東京高速道路、KK線の再生についてであります。
 都では、人中心の空間を生み出し、何度でも歩きたくなるウオーカブルなまちづくりを進めておりまして、その象徴となりますのが、銀座を走る高速道路、KK線を人々が歩く空間へと再生するプロジェクトでございます。
 ゴールデンウイークに開催いたしましたイベントでは、気持ちのいい青空の下、多くの方々に歩行者中心の空中回廊を体感いただいて、再生への期待とともに、緑の創出やアートの設置などを求める声もいただきました。
 今後、こうした声も生かしまして、世界から注目される観光拠点を目指し、緑豊かで高質な空間づくりや良好な景観形成、にぎわいの創出などにつきまして、専門家の意見も聞きながら、整備の主体となります東京高速道路株式会社と調整を進めてまいります。
 二〇二〇年代中頃には整備に着手をいたしまして、周辺まちづくりとも連携しながら、一部区間の早期開放を図るなど、人が主役のまちづくりを推進してまいります。
 次に、働く女性の活躍の推進についてであります。
 女性が自らの意欲と能力に応じまして、経済の分野で十分に活躍する状況につきまして、我が国は世界に大きな後れを取ったままであります。女性の力を最大限に引き出す速やかな対応は不可欠であります。
 都では、人々の働き方や生き方をテーマとする東京くらし方会議で二回の議論を行う中、女性の活躍にとりまして課題となる様々な制度や職場の実態が浮き彫りとなりました。女性が力を発揮するため、今の社会保障等の制度を理解し使いこなすとともに、新しい働き方にふさわしい国の仕組みや職場をつくり上げることが大切です。
 女性活躍に立ちはだかります年収の壁の問題などに関しまして、制度の見直しを検討するよう国に提言するほか、将来の暮らしにメリットをもたらす社会保障の正確な知識を提供し、一層意欲的に働けるように後押しをしてまいります。また、民間で女性がマネジメントを担う機会を増やすための働きかけを行ってまいります。
 さらに、今月、G7女性活躍担当大臣の会合に合わせまして、女性首長や企業経営者の女性リーダーと意見交換を行います。これに先駆けて、第三回くらし方会議も開催いたします。
 これらによりまして、女性が輝く社会の実現を加速してまいります。
 次に、ファーストカスタマーとしての取組についてであります。
 昨年の戦略に掲げたスタートアップとの協働を五年で十倍にするという高い目標を達成するためには、その優れた製品等をファーストカスタマーとして率先して利用することを都政の日常にする必要があります。
 そのため、各局にスタートアップ担当を配置いたしまして、全庁挙げた取組を推進してまいります。来月には、行政とスタートアップが一堂に会するイベントを開催しまして、交流と理解を深めてまいります。職員がスタートアップが集う様々な場へ積極的に参加し、各局で活用できる製品やサービスを掘り起こし、早期に協働の具体化を図ってまいります。
 また、スタートアップの着想やアイデアを生かす提案制度を開始しまして、新たなサービスにつなげるほか、入札参加要件の見直しなども進めてまいります。区市町村にも呼びかけまして、協働の輪を広げるということで、ファーストカスタマーとしての役割を果たしてまいります。
 都におけるAIの活用についてのお尋ねです。
 都はこれまで、AIを都政の様々な業務で活用して、業務効率化や都民サービスの向上に取り組んでまいりました。
 世界が注目する生成AIでございますが、幅広い分野において業務変革を加速し、行政を大きく変化させる可能性を秘めております。
 黎明期の技術ゆえに、正確性や情報漏えい等の懸念もあることから、有効性の検証や、また、ガイドラインの策定を進めております。
 八月には職員が安全に利用できる環境を整備した上で、全ての局で利用を開始いたします。読み手に合わせました文書やQ&Aの作成など、職員のアイデアソンでの発想を実践してまいります。
 この革新的な技術のプラス面とマイナス面を見極めながら、様々な行政分野での活用を進め、よりよい都政の実現に生かしてまいります。
 学校の安全管理についてお尋ねがありました。
 学校は、子供たちが学びの過程において多くの時間を過ごす場所であり、安全であるべきことはいうまでもありません。
 今回の事故を受けまして、全ての都立学校及び区市町村教育委員会において速やかに点検を実施し、二百五十五校の都立学校のうち四十校で、くぎなどの危険物を確認、除去するなど、安全を確保したとの報告を受けております。
 学校で使用する物品は、安全なものを採用することにより一層配慮するとともに、今回のことに限らず、子供たちが安心して活動できますよう、全国の事故事例に加えまして、学校生活の安全に関わる情報も積極的に活用して、都としての学校での安全確保に向けた取組を進めてまいります。
 最後に、多摩地域の振興についてのお尋ねがございました。
 都はこれまで、多摩地域のポテンシャルを高めるため、産業交流拠点や英語学習施設の開設、交通インフラの整備など、多岐にわたる取組を進めてまいりました。
 本年は、多摩東京移管百三十周年の節目であり、これを好機と捉えまして、多摩地域に注目を集め、さらなる発展へつなげるべく、十月に立川におきまして記念イベントを開催いたします。
 より多くの都民に多彩な顔を持つ多摩の魅力に触れていただけますよう、デジタル技術を活用したスタンプラリーや子供も大人も参加できるプログラムを実施いたします。
 また、この夏は、たまモノ子育て応援事業といたしまして、子供と大人が一緒にモノレールをお得に利用できる一日乗車券を新たに企画いたします。この企画も踏まえて、記念イベントにおきましても、多摩都市モノレールと連携を図るなど、地域の企業等と協力しまして、多くの人を引きつけてまいります。
 これらを通じ、多摩地域のプレゼンスを高め、持続的発展に向け全力で取り組んでまいります。
 その他のご質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 電動キックボードの交通安全対策についてでありますが、警視庁では、改正道路交通法の施行に伴い、電動キックボードの販売事業者等に利用者等に対する交通安全教育を行う努力義務が課されることから、当該取組が適切に行われるよう指導してまいります。
 また、電動キックボードに関する新たな交通ルールを周知するために、東京都や国、事業者団体、交通安全関係団体等と連携をして、ホームページや各種キャンペーン等を通じた情報発信に取り組んでおります。
 当庁では、全ての交通参加者の安全を確保するため、交通ルールの周知や交通安全教育、指導取締り等の各種対策をさらに推進してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、教員の長時間労働についてでございますが、都教育委員会は、教員の長時間労働の改善を図るため、在校等時間を客観的に把握し、教員の意識改革を促すとともに、外部人材の活用等を進め、負担軽減を図ってまいりました。
 都内公立中学校では、一月当たりの時間外労働の上限としている四十五時間を超える教諭の割合が昨年十月時点で四九%であるなど、さらなる改善を図っていく必要がございます。
 一方、国においては、教職の魅力向上の観点から、さらなる学校における働き方改革や教員の処遇改善の在り方等について検討が始まったところでございます。
 今後、教員の処遇改善について国と課題を共有するとともに、都として働き方改革を一層推進してまいります。
 次に、中学校における部活動の地域連携、地域移行についてでございますが、都教育委員会は昨年度から、部活動の地域連携、地域移行に向けて、運営団体の設立やスポーツ団体との連携等を先進的に行っている区市町村の事例を収集し、周知を図っております。
 また、区市町村が主体的に取組を進められるよう、実施に必要な財政支援を行うことに加え、本年三月に策定した推進計画において、協議会の設置を求めるとともに、そこで検討すべき具体的な項目例等を示すなど、着実な実施を支援しています。
 現在、全ての区市町村から進捗状況や課題等の聞き取りを行っており、必要な助言を行うとともに、多様な実践事例の共有化を図ることにより、中学校における部活動の地域連携、地域移行を後押ししてまいります。
 次に、グローバル人材育成に係る施策の検証についてでございますが、都教育委員会は、グローバル人材育成指針に基づき、東京にいながら世界を疑似体験できるTOKYO GLOBAL GATEWAYの活用や、学校での学びを現地ならではの経験を通じて実践的に深める高校生の海外派遣などを推進しています。
 こうした取組により、子供たちが世界を視野に新たな時代を切り開いていくことができるよう、英語力を基盤として、課題を主体的に解決していく力や多様な人々と協働する力などを、小中高等学校を通じて育成してまいりました。
 今後、個々の生徒について、英語力の伸長のみならず、意識や行動の変容等について、卒業後も継続的に調査、分析するなど、成果検証について検討し、グローバル人材育成に向けた施策の充実を図ってまいります。
 次に、特別支援教育支援員についてでございますが、教育上特別の支援を必要とする児童生徒が、可能な限り本人や保護者の意向を尊重した就学をするためには、小中学校における支援員の役割が重要でございます。
 支援員の配置に係る経費については地方財政措置されていますが、区市町村からは、地方財政措置によらない財政支援を求める要望があり、都教育委員会は、国の補助事業として区市町村の負担を軽減するよう、国に要望しています。
 今後、都教育委員会は、必要とされる支援員の配置や活用等について検証を行うなど、区市町村と連携して、インクルーシブな教育のために必要な取組を推進してまいります。
 次に、不登校特例校の設置支援についてでございますが、不登校特例校では、子供の実態に配慮した特別の教育課程を編成しており、学力の定着に応じたコース別学習や、演劇、農作業といった友人と関わる活動の設定など、様々な工夫により、多くの子供が学習意欲やコミュニケーション力を高め、生き生きと登校しています。
 都教育委員会は、こうした特例校の設置を促進するため、教員の配置や新設時の環境整備に必要な経費の補助など、区市町村への支援を行っております。
 今後、学校外のみならず、校内の空き教室にも特例校が設置されることにより、大きな経費負担を伴わずに、不登校の子供にとって通いやすい学びの場が確保できるよう、制度の改正を国に提案してまいります。
 次に、日本語指導が必要な生徒を対象とした都立高校入試についてでございますが、都教育委員会は、現在、都立高校入試において、外国籍の生徒や海外に在住していた日本国籍の生徒を対象とする特別枠を設けた選抜をそれぞれ実施しています。また、学力検査問題への平仮名のルビ振りや、辞書の持込みとそれに伴う時間延長の特別措置も行っています。
 今後、日本語指導が必要な生徒の数が増加していく状況も見据え、こうした生徒に対する現行の都立高校入試の検証を行うとともに、中学校や都立高校、区市町村教育委員会等の関係者の意見も聞きながら、応募資格や検査方法等について必要な検討を行ってまいります。
 次に、都立工科高校の魅力の向上と発信についてでございますが、東京の産業基盤を支えるものづくり人材の育成に向けて、工科高校の教育内容を充実させ、その魅力を発信し、志願者の確保を図ることは重要でございます。
 今後、都教育委員会は、プログラミング等の実践的なデジタルスキルの習得や、ものづくり技能の資格取得の促進、ビジネス現場で必須となる英語力の育成に加え、技術を生かした新ビジネスを創出したスタートアップに触れる機会を設けるなど、取組をさらに充実させてまいります。
 また、工科高校のPRイベントを新たに開催し、ものづくり技能の体験や在校生との交流、起業家等の講演などを実施いたします。
 さらに、工科高校の紹介冊子を全ての公立中学生に配布するとともに、新たに構築する都立高校のPRサイトにおいても、その魅力を発信してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の価格転嫁への支援についてでございますが、原材料等の価格高騰の続く中、中小企業が適正な販売価格で取引を行い、経営状況を改善できるよう、様々なサポートを速やかに実施することは重要でございます。
 都は今年度、中小企業が適正な条件で取引を行う上で役立つ知識を学ぶセミナーの実施を予定しております。この開催時期を前倒しをし、交渉方法のノウハウの提供も開始いたします。
 また、民間の取引業務の経験が豊富な専門家を今月より配置し、価格交渉等のサポートを行っているところです。
 さらに、適正な価格による受発注の実現を図る年四回の商談会に関しまして、今後、うち一回を適正な取引を行う宣言をした会社を中心に参加を募り、受注企業の出展数も増やします。
 これによりまして、中小企業の取引の適正化を後押ししてまいります。
 次に、水素エネルギーの供給についてでございますが、脱炭素社会の実現に役立つ水素の利活用を図るため、その供給方法に関し、実例や構想をつくるとともに、東京のポテンシャルを生かした取組を進めることは必要でございます。
 このため、都は、山梨県からグリーン水素の提供を受け、東京ビッグサイトで発電を開始したところでございます。今月には、パイプラインを含めた供給体制の構築に向け、川崎市と大田区と協定を結び、計画的に空港臨海エリアで取組を進めてまいります。
 また、国の基本戦略の改定に先立ち、エネルギー問題アドバイザリーボードで水素をテーマといたしました。
 さらに、グリーン水素ラウンドテーブルにより民間から意見等をいただき、水素需要が大きく伸びる可能性のある東京の特性を踏まえ、国の戦略への要望を行いました。
 これらによりまして、水素の早期の社会実装を進めてまいります。
   〔政策企画局長古谷ひろみ君登壇〕

○政策企画局長(古谷ひろみ君) 強靱化プロジェクトの推進についてでございますが、プロジェクトを効果的に推進するためには、公助を担う都の取組に加え、自助、共助の担い手でございます都民が、災害を自分事として対策を講じることが重要でございます。
 そのため、関東大震災百年を契機に、震災から学ぶシンポジウムの開催や子供向け学習教材の作成、大学生対象の出前講座の実施等、将来を担う世代を含めて、幅広い層の方々が防災に触れるきっかけを数多く設けてまいります。
 これらの情報を特設ホームページに集約し、SNSや動画配信などを通じて発信し、こうした取組により、より多くの方々に参加いただくことで、都民の防災意識の向上を図り、東京の強靱化につなげてまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 自転車用ヘルメットの着用促進等についてでございますが、自転車死亡事故を減少させる上で、ヘルメット着用は極めて有効であり、これを普及することが重要であると認識しております。
 そのため、都は、区市町村がヘルメット購入助成事業を行う場合、その額の二分の一を補助する制度を今月から開始いたしました。
 今後、より多くの区市町村の取組が進むよう、本制度の活用を促してまいります。
 また、現在、自転車販売時にリーフレットを活用して行っております交通ルール、マナーの啓発を、ヘルメット販売時にも行うよう販売店に働きかけを行ってまいります。
 あわせまして、イベントやSNS、自転車安全学習アプリ、輪トレの利用促進などを通じて、自転車安全利用の普及啓発を行ってまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 都内地下水のPFASの調査についてでございますが、都民の不安解消には、暫定指針値の超過が判明した地下水を飲用しない取組を徹底することが重要でございます。
 都はこれまでも、都内全域の地下水の水質調査を行ってまいりました。
 今後は、測定計画を前倒しするなど実態把握を早急に進め、令和六年度に終了予定としていた都内全域二百六十ブロックの調査を今年度中に完了させてまいります。
 また、比較的高濃度の地域では、調査地点を追加し、区市町村とも連携して、きめ細かく把握してまいります。
 こうした取組によりまして、都民に地下水の水質の調査結果を情報提供するとともに、関係局と連携して、指針値を超過した井戸水の飲用を控える取組の徹底を図ってまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、グリーンインフラの導入についてでございます。
 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方であり、雨水を地下に浸透させ、流出を抑制する流域対策はこうした趣旨にも整合するものでございます。
 都はこれまで、豪雨対策基本方針に基づき、道路や学校、公園、庁舎などの都の管理施設の更新時などに雨水貯留浸透施設の設置を行うなど、流域対策を進めてまいりました。
 今後、基本方針の改定に当たっては、ニューヨークなど海外の諸都市の先進事例も学びながら、公共施設や民間住宅へのレインガーデンを含めた雨水貯留浸透施設などの導入を促す仕組みづくりの検討を行ってまいります。
 次に、グリーンインフラによる雨水流出抑制についてでございます。
 緑など自然環境が有する多様な機能を活用することは、気候変動にも適応した持続可能で魅力ある都市づくりを進める上で重要でございます。
 都はこれまで、都市開発諸制度の適用に当たり、通常よりも高い緑化率の設定、周辺の緑との連続性や生物多様性の確保の評価など、緑化空間の充実を図ってまいりました。グリーンインフラの趣旨も踏まえ、今後、緑の持つ雨水貯留浸透機能にも着目し、民間の開発などにおいて、こうした効果が高い植栽等の整備を誘導する仕組みづくりの在り方などについて検討してまいります。
 次に、復興小公園の再生についてでございます。
 復興小公園は、関東大震災後の帝都復興計画において、東京市が防災拠点等として整備し、後に復興のシンボルになるとともに、都市公園のモデルとなりました。
 都は、震災百年の機会を捉え、この公園を再生する区を後押ししてまいります。今年度は、現存する公園の防災機能や、ご指摘のグリーンインフラの趣旨も踏まえて植生物等を調査するとともに、公園再生の事例等の情報収集を行ってまいります。
 今後、こうした結果を関係区に提供し、復興小公園の再生を通じて防災意識の啓発等につなげるとともに、地域の防災性や都市の魅力のさらなる向上を図り、震災百年のレガシーとして、人に優しく、ゆとりある空間を継承してまいります。
 最後に、電動キックボードのポートの設置についてでございます。
 都市開発諸制度を活用して整備される公開空地においては、不特定多数の者が自由に通行または利用できる状態に保つことが必要でございます。
 一方で、公共公益にも資する場合には、安全性を確保した上で、一定のルールの下での例外的な活用を認めており、これまで区市町が実施する自転車シェアリング事業でのサイクルポートの設置などの事例がございます。
 電動キックボードについても、自転車シェアリング事業と同様、公開空地の活用が可能であることを明確にするため、区市町の取組状況等を踏まえ、都市開発諸制度活用方針の改定について検討してまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) オール東京のDXのさらなる推進に関するご質問にお答えいたします。
 都民がデジタルの恩恵を実感できるサービスを提供するためには、政策立案を担う都と高い技術力を持つGovTech東京が一体となり、取り組むことが重要であります。GovTech東京に、官民の第一線で活躍する人材を経営層に迎え、多様なスキルを持つデジタル人材の確保を進めるなど、事業開始に向けた体制構築を進めております。
 さらに、九月には、都が目指す東京のDXの将来像を示し、例えば子育てや高齢者支援等について、都や区市町村の垣根を感じることなく受けられる行政サービスの提供や、個々人のニーズに応じプッシュ型で届ける支援など、都民目線でのサービスの変革に、GovTech東京と共に取り組んでまいります。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) 東京港の機能強化についてでございますが、東京港が日本経済を牽引する国際貿易港としての役割を果たし続けていくためには、ハード、ソフト両面から港湾機能を強化していくことが重要でございます。
 具体的には、中央防波堤外側地区に新たにY3コンテナターミナルを整備するとともに、青海ふ頭など既存ふ頭の再編を進めてまいります。
 また、荷主等が利用する物流の情報プラットフォームとターミナルの運営システムを連携させ、さらに、遠隔操作が可能な荷役機械等にも連動させることで、貨物引渡し等に係る手続の簡素化と時間短縮を図るとともに、労働環境の改善にもつなげてまいります。
 都は、こうした取組等を内容とする新たな港湾計画を年度内に策定し、東京港を世界から選ばれる港へと進化させてまいります。
   〔福祉保健局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護支援専門員への支援についてでございます。
 介護が必要な高齢者の在宅生活を支えるためには、多様なサービス主体の連携が重要であり、介護支援専門員は、その中核的な役割を担っております。
 都はこれまで、介護支援専門員の確保、定着を図るため、宿舎借り上げ支援事業の補助対象を居宅介護支援事業所にも拡大するほか、業務負担を軽減するデジタル機器の導入経費への補助を行うなど、支援を強化してまいりました。
 今後、次期高齢者保健福祉計画の策定に当たり、介護支援専門員の団体や区市町村などから意見を聞くとともに、昨年度実施いたしました在宅サービス事業者等を対象とする運営実態調査の結果も踏まえ、介護支援専門員をはじめとした介護人材対策の強化に向けて検討を行ってまいります。
 続きまして、デジタル機器を活用したフレイル対策についてでございます。
 東京都健康長寿医療センターは、フレイル外来の患者や、板橋区、千代田区の協力を得て募集した高齢者にバイタルや身体活動量を計測できるスマートウオッチ等を配布いたしまして、収集したデータ等を分析することで、フレイル等の健康リスクとの関係性を解明する取組を行っております。
 今年度は、収集したデータと健康診断結果を詳細に比較分析して健康リスクを可視化いたしまして、高齢者が自ら確認できるアプリの試作モデルを開発する予定でございます。
 今後、さらに開発を進めるとともに、都としても、アプリから得られた情報を区市町村がフレイル対策に活用できる仕組みを検討するなど、効果的なフレイル予防の取組につなげてまいります。
 続きまして、フレイル対策における歯と口の健康についてでございますが、フレイル予防のためには、口腔機能の維持向上により、日々の食事を通じて良好な栄養状態を保つことが重要でございます。
 このため、都は、歯科医師等を対象に、高齢者に対する早期からの口腔ケアや摂食・嚥下機能支援等を内容とした研修を実施するほか、都民に対し、かむ力を維持する体操などを、ホームページ等を通じて広く普及啓発をしております。
 今後、東京都歯科医師会等と連携し、健診や口腔ケアの大切さ、栄養摂取の必要性を啓発するとともに、定期健診と栄養指導の一体的な実施を区市町村に働きかけるなど、フレイル予防の取組を推進してまいります。
 最後に、都立病院における患者への配慮についてでございます。
 都立病院では、原則として、診察室等への誘導は番号で案内をしておりまして、氏名で案内する場合は、戸籍上の氏名と自身の性表現との間に違和感がある方の希望に応じて呼び方を工夫するなど、柔軟に対応しております。
 また、面会者の範囲や手術等の同意者を法的な親族に限定せず、パートナーシップ関係の相手方も含め、患者自身に決定していただいているほか、診察は患者の状況に応じて、適切な医療従事者が担当しております。
 さらに、東部地域病院に設置したトランスジェンダー外来では、年齢や戸籍上の性別を問わず、性別違和や性同一性障害に関する医療の相談を行っております。
 今後、社会状況の変化を踏まえながら、LGBTQの方への配慮に一層努めてまいります。
   〔子供政策連携室長田中慎一君登壇〕

○子供政策連携室長(田中慎一君) 子供に関する定点調査についてのご質問にお答えいたします。
 子供を取り巻く課題は、複雑化、複合化していることから、子供の実情を経年分析し、中長期的な視点から、エビデンスに基づいた子供政策を展開することが重要です。このため、子供の実態や意識の変化を継続的に把握、分析する定点調査を今年度から開始いたします。
 調査項目につきましては、学識経験者等による専門家会議の議論を踏まえ、国内外の調査も参考にして、幸福感や自己肯定感、居場所などの普遍的な設問に加え、社会情勢等の影響を測る設問も設定しております。
 今後、調査結果につきましては、専門家会議による多角的な分析、検証を行った上で、毎年度報告書を作成し公表するとともに、庁内各局とも共有することで、子供に寄り添った実効性の高い政策につなげてまいります。

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