令和五年東京都議会会議録第八号

   午後一時開議

○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 収用委員会会長より、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定による東京都議会説明員の委任について、説明員杉崎智恵子に委任していたが、病気療養中のため、総務課長鳥生幹夫に変更したとの通知がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十一番清水孝治君。
   〔百十一番清水孝治君登壇〕

○百十一番(清水孝治君) 初めに、名誉都民の北浦雅子さんがご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 令和五年第二回定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 五月にコロナ感染症が五類に移行しました。再拡大への備えを怠ることなく、平常の医療体制に移行していくための新たな一歩が踏み出されました。
 他方、燃料価格や物価高騰の影響が長引く中、都民生活と都内経済活動を回復し、コロナ後に向けて後押ししていくことが求められています。今定例会にはこうした取組を進めるための補正予算が提案されています。
 また、日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を更新したり、円相場やインバウンドが回復傾向を示すなど、経済状況は少しずつ上向いています。
 一方で、日本各地で地震が頻発し、六月二日の梅雨前線による大雨並びに台風二号によって、河川の氾濫による床上浸水や航空機、鉄道の運行中止など、大きな被害を受けました。
 刻々と変化する社会経済状況に機敏に対応しつつ、都民の安全・安心を守り、少子高齢化、情報化、環境対策など、都が直面する課題解決に着実に取り組むことが求められております。こうした観点から質疑をさせていただきます。
 まずは、補正予算について伺います。
 五月八日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが五類へと移行し、三年余り続いたコロナをめぐる対策は大きな転換点を迎えました。
 その一方で、エネルギーや原材料の価格高騰は長引いており、都内の中小企業の経営は大変厳しい状況に置かれています。
 我が会派に対しても、これまでの支援の対象から外れていた特別高圧で受電する事業者やLPガスの利用者をはじめ、様々な都民、事業者からも切実な声が寄せられております。
 こうした状況の中、政府は、三月末に物価高克服に向けた追加対策として、自治体が独自に物価高騰対策を講じるための臨時交付金の増額を決定いたしました。
 都議会自民党は、こうした国の交付金を活用し、中小零細事業者の実情を踏まえた支援などを都に対して要望したところですが、今回提出された補正予算の考え方について、まずは知事の見解を伺います。
 次に、中小企業の取引適正化について伺います。
 昨年以来、エネルギーや原材料価格の高騰が続く一方で、それに見合った価格の転嫁をすることは、なお一層厳しく、中小企業からは、経営的に限界に近いといった声が寄せられています。こうした中、中小企業に対するサポートは、もはや待ったなしの状況です。
 都議会自民党は、中小企業がエネルギーなどの値上がり分を価格に転嫁できるよう、下請取引の一層の適正化について四月に緊急要望を行いました。
 都は、価格転嫁できずに経営状況が厳しい中小企業に対し、迅速に支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 気候変動などの環境問題や電力需給の逼迫が引き続き懸念される中、二〇五〇年CO2排出実質ゼロに向けて、革新的な技術開発が求められています。とりわけ、脱炭素社会の核となる再生可能エネルギー等の環境エネルギーに関する産業分野は、将来にわたり高い成長性が見込まれるため、技術開発競争が激しくなっています。
 優れた技術力を持つ都内の中小企業やスタートアップにとっては、参入の可能性が高い分野であり、ビジネスチャンスである一方、多額の研究開発費や人材不足等の固有の課題を抱えており、中小企業が一歩踏み出すためには、大企業などの経営資源を中小企業が活用できるように、一定のサポートが必要です。
 そこで、都は、脱炭素社会の実現に向け、積極的に技術や製品の開発を通じ、イノベーションに取り組む中小企業を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 建設業と運輸業の働き方改革について伺います。
 ガソリン価格の高騰は、運輸業の経営を直撃しており、荷主や元請との十分な値上げ交渉などが難しく、厳しさは増す一方です。また、資材価格の高騰は、中小建設業の経営に大きな影響を与え、さらに深刻な人手不足にも直面する中、建設業界の担い手確保もますます難しくなっています。
 しかも、来年四月からは、建設業と運輸業に対し、これまで猶予されていた時間外労働の上限規制が適用されますので、残業の削減などにも取り組まなければならず、人材確保のためにも、働き方改革は待ったなしであります。
 そこで、都は、建設業や運輸業の中小企業が自社の働き方改革に速やかに取り組めるよう、着実に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 中小企業を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続いています。そのような中においても、賃上げ機運の高まりや人材確保のため、従業員への支給額を増やす中小企業も増えていますが、人件費の上昇に対応する上で、生産性を高めてより高い収益を確保できるように支援することが急務です。
 都議会自民党は、こうした事業者の状況を踏まえ、従業員の賃上げができるよう、環境整備の後押しについて、四月に知事宛てに緊急要望を行いました。
 都はこれまで、中小企業が行うIoTなどのデジタル技術を活用した機器の導入を後押しし、生産性向上による収益を賃金の引上げへ充てる支援を行ってきましたが、それにとどまらず、生産性を効果的に高める設備投資を後押しして、収益をより多く確保して賃上げにつなげる支援も重要です。
 設備投資を支援する仕組みを効果的に活用することにより、中小企業の賃金引上げを後押しする手厚い支援を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 水際対策が終了し、都内の観光地もようやく旅行者でにぎわいを見せる中、コロナの五類移行に伴い、今後はインバウンドをはじめ、東京を訪れる観光客がますます増加していくことが期待されます。
 増加する観光需要について、事業者からは歓迎の声が上がる一方、急激な回復に旅行者を受け入れる体制が十分に整っていないといった声も届いています。旅行者を確実に受け入れていくためには、DXを活用して、予約や受付などの業務の効率化を図ることや、さらには、国内外からの来訪者のニーズ等を把握した上で、適切なサービス提供などを行うことも必要です。
 こうした観点から、都は、観光事業者のDXの後押しを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都内の畜産農家は中小零細で恒常的な人手不足に悩んでおり、生産性向上に向けた新たな設備の導入等、経営基盤の強化が重要な課題です。加えて、ウクライナ情勢や円安等の影響による飼料価格の高止まりが春以降も続いており、様々なやりくりをした畜産農家も極めて厳しい経営状況に置かれております。
 とりわけ、酪農においては、生産コストの牛乳価格への転嫁が難しいため、餌代の高騰が直接、経営を圧迫しています。現在の状況が続くと、事業の継続も危ぶまれます。
 都議会自民党は、これまで畜産農家への支援の強化を求め、飼料代の助成や経営改善への支援を実現してきましたが、現下の状況を踏まえると、負担を減らすための緊急的な対応が必要です。
 そこで、都は、省力化の推進など、畜産農家の経営力の強化を図るとともに、特に酪農家の費用負担の軽減に向けて速やかにさらなる支援を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京では、各地域でその土地の特性を生かした特色ある農業が展開されています。このうち多摩・島しょには、総合的、重点的に農業の振興を図る農業振興地域が指定されており、地域の農業生産の中心となっております。
 農業振興地域の農地では、広い面積を活用し、農業機械を使った効率的な生産が可能であります。また、農業以外の用途への使用が制限されていることから、農地を借りる方にとっては、長期の貸借が可能で、パイプハウスなどの設備投資が行いやすいというメリットもあります。
 その反面、交通の利便性が悪い農地の中には、十分な耕作が行われていないところもあります。また、相続などが発生した場合であっても、売却が難しく、このままだと不耕作地が増えていく可能性があります。
 そこで、都は、この農業振興地域の活性化に向けてしっかりと支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、中央卸売市場について伺います。
 経済活動が本格化する兆しが見える中、今後も卸売市場が生鮮食料品等の流通を支えるためには、コロナ禍の経験を踏まえて、市場業者への支援や市場のにぎわい創出などを通じて都民の理解を深めることにより、市場のより一層の活性化を図ることが重要です。
 そして、流通を支えてきた市場業者の経験を次代に生かし、コロナ禍後の消費行動の変化やエネルギーコストの上昇などの環境変化に市場業者が柔軟に対応し、生鮮品等の安定的な流通を確保できるよう都が支援すべきであります。
 あわせて、コロナを乗り越えた今、人や物、情報が集まるリアルの強みを生かして、プロによる市場取引と一般消費者によるにぎわいの体感を両立させながら、東京の魅力というべき市場の存在価値を多くの方々に理解していただく取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 先月のG7広島サミット時に、岸田首相がアメリカのバイデン大統領と会談し、研究イノベーション拠点、グローバルスタートアップキャンパスを都心に創設することを明らかにし、MIT、マサチューセッツ工科大学と連携した最先端研究を推進するとしています。
 スタートアップは成長戦略の柱であり、世界を視野にグローバルな成長を生み出せるか否かが、国の将来を左右する最重要課題であり、国、都、民間等、都内の総力を挙げた取組が求められます。
 都は、スタートアップ戦略を展開し、関係者が集うInnovation Baseを構築するとしていますが、こうした国の流れと整合性を図りながら、強力にタッグを組んで取組を推進すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 都内で総延長約二千四百キロメートルに及ぶ都道は、基礎的な都市インフラとして、都民生活を支える重要な役割を果たしています。
 これらの都道は、適切な補修や修繕が重要ですが、維持管理を支える建設業は、担い手不足という大きな課題に直面しており、このまま放置すれば、近い将来、大きな問題となるのは確実な状況であります。
 また、道路舗装に用いるアスファルトは、製造の際に多くの二酸化炭素を排出するため、道路の維持管理においても脱炭素社会に向けた取組が必要です。すなわち、都はこれらの課題に適切に対応し、持続可能な道路の維持管理を実施できる取組を進めるべきと考えます。
 そこで、都道の維持管理を実施する上で、担い手不足や脱炭素社会の実現という課題に対し、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 都内には、朝夕のラッシュ時に四十分以上も遮断する開かずの踏切が約二百九十か所あり、全国の半数を占めています。
 開かずの踏切は、交通渋滞や地域の分断により都市の活力や魅力を損なうだけでなく、災害時には、列車の緊急停止などに伴う長時間の踏切閉鎖により、緊急、救急活動の妨げになるおそれがあります。
 連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路交通の円滑化と市街地の一体化により、都市防災の強化とともに、安全で快適なまちづくりに寄与します。
 都議会自民党は、東京のさらなる発展に必要不可欠な連続立体交差事業の推進をこれまで強く要望してきました。
 そこで、TOKYO強靱化プロジェクトにおいても、防災性の向上に資する連続立体交差事業を推進することとしていますが、その取組について伺います。
 東京港は、日本と世界の主要港とを結ぶ多様な航路ネットワークを有し、国内最多のコンテナ貨物を取り扱うなど、我が国経済を牽引する極めて重要な国際貿易港であります。
 近年、アジア地域との取扱貨物量が大きく増加する中、地域的な包括的経済連携等の自由貿易協定の発効などにより、グローバルな物の動きは加速し、貨物量は一層増加していく見込みです。加えて、世界的に船舶の大型化が進展していることから、東京港においても大型船を受け入れられる十分な能力を備えたふ頭整備が必要です。
 また、東京港は、国内の重要な海上輸送拠点でもあります。現在、環境対策やドライバー不足への対応として船舶へのモーダルシフトが進展しており、国内航路、貨物船の大型化も進んでいます。
 都は、こうした情勢変化を踏まえ、東京港の将来像を示した長期構想に基づき、今後十年間の港湾施設の整備等を定める第九次改訂港湾計画の中間報告を先月公表したと承知しております。
 東京港が今後も日本経済を牽引していくためには、新たな港湾計画において長期的な取組を示し、将来を見据えた港湾機能の強化を積極的に進める必要がありますが、見解を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 今年は関東大震災から百年の節目の年であります。甚大な被害を繰り返してはならない、そうした強い思いで、都にも防災施策に取り組んでいただきたいとまずは思います。
 本年五月、石川県能登地方を震源とし、最大震度六強を観測した地震が発生し、建物の倒壊や落石による通行止め、断水などの被害が生じました。その後も余震が度重なる中、千葉県南部の震度五強を筆頭に、利島や新島も含め、震度三以上の地震が全国各地で多発しており、改めて災害の脅威が明らかになりました。
 都においては、昨年末に策定したTOKYO強靱化プロジェクトに基づく様々な事業が本年度から予算化されました。
 国内外で災害が繰り返し発生する中、都民の安全・安心を確保するためには、このプロジェクトの着実な推進と併せて、施策の強化を図ることが不可欠でありますが、知事の見解を伺います。
 火山防災対策については、地域防災計画火山編において、都及び各機関が行うべき予防、応急、復旧の各段階における火山対策を定めています。
 また、島しょ地域では、過去に度々火山災害を経験しており、島民の避難やその後の生活確保、降灰等の除去、道路やライフラインの復旧を行うなど、様々な対策を進めてきました。
 一方、富士山のリスクにおいて懸念されるのが首都機能への影響です。首都圏等に降灰が発生すると、広域かつ非常に多くの住民の生活や経済活動に長期間影響を及ぼす可能性が高いことが想定されています。
 そこで、富士山の大規模噴火に備え、火山灰対策として、ゴーグルや防じんマスクの常備を呼びかけるなど、すぐにできる対策をはじめ、除灰、火山灰処分、健康被害への調査、下水道管の閉塞や浄水場への降灰、Wi-Fi基地局への影響など、首都機能を維持するための対策等について、関係各局等と連携し、早急に具体化すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 大規模水害の発生時に広域で浸水すると予想される江東五区などにおいて、高速道路高架部を緊急的な避難先として利活用することが可能となり、命を守るための有効な取組として期待しています。
 しかし、この活用に当たっては、車両の通行止めを行い、住民を避難誘導し、最大三十メートル程度の高さに向かって長いスロープを徒歩で登るなど、多くの課題も見受けられます。
 こうした課題を乗り越え、安全に避難できるよう、実効性を持たせるためにどのような対応をしていくのか、見解を伺います。
 国土交通省道路局による「二〇四〇年、道路の景色が変わる」には、災害から人と暮らしを守る道路として、激甚化、広域化する災害に対し、耐災害性を備えた幹線道路ネットワークが、被害地への人流、物流を途絶させることなく確保し、人命や経済の損失を最小化すると記されてあります。
 今般の高速道路高架部の活用において、緊急的な避難先としてのみならず、高規格堤防や高台化した公園といった高台まちづくりと、この高架部が連携することによって、まさに人流、物流の確保策の一つとして機能させていくことは大変重要と考えます。今後の取組について伺います。
 関東大震災は、死者、行方不明者が十万人を超える甚大な被害をもたらしました。震災後は、災害に強いまちづくりを進めるため、後藤新平を中心に、幅広な道路や公園等が盛り込まれた復興計画が策定され、今日の東京にもつながる安全・安心な社会資本が整備されてきました。
 首都直下地震をはじめ、大規模地震の発生がより現実的なものとなっており、災害に強いまちづくりや、都民に対する防災意識の啓発を一層推進していく必要があります。
 そこで、震災百年の機会を捉え、様々な施策を通じて、大震災やその後の復興の理解を深める中で、災害に強いまちづくりへの都民の意識啓発を行う必要があると考えますが、その取組について伺います。
 令和元年東日本台風など、頻発する豪雨により、各地で毎年のように水害が発生しており、都においても近年の気候変動を踏まえ、豪雨に対する総合的な取組を加速させる必要があります。
 TOKYO強靱化プロジェクトにおいても、風水害は重要なテーマの一つに位置づけられ、二〇四〇年代に目指す東京の姿と目指すべき到達点として、気候変動に伴う一・一倍の降雨量に対応可能とすることが示されています。今後、この目標を実現するために、河川や下水道等の整備と併せて、雨水の流出を抑える流域対策を加速していくことが重要であります。
 東京では、毎年多くの住宅が新築されていますが、その一定数が流域対策に取り組めば大きな効果があると考えます。そのためにも、都民一人一人の理解を深めることが重要です。
 こうした流域対策のさらなる促進に向けて、個人住宅を含めた取組の支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 内閣府の被害想定によれば、首都直下地震では、全体で約二千件の火災が発生し、そのうち最大約六百件は消火が間に合わず延焼すると推測され、消防の対応力を超えた同時多発火災が発生するおそれがあるとのことであります。
 また、昨年更新された東京都の被害想定では、都市直下のみならず、多摩東部、西部直下地震も想定されています。
 そこで、都内が被災した際、消防と地元の情報が集積する区市町村との緊密な連携による災害対応力強化が重要と考えますが、消防庁の見解を伺います。
 各地で地震災害が発生する中、生活の基盤である水道をはじめとするライフラインに被害が発生すると、その復旧には長期間を要するため、避難生活は困難を極めます。
 また、道路上の漏水により復旧活動に必要な車両通行を妨げることにもなりかねません。
 このことから、被害や断水の影響が大きい地域、施設において、重点的に水道管の耐震継ぎ手化を推進することが重要と、十年以上も前から都議会自民党は主張してまいりました。
 これを受けて、水道局では、耐震継ぎ手化を推進し、令和四年に公表された首都直下地震等による東京の被害想定では、最大となる断水率が平成二十四年時点で四五・二%あったものが、二六・四%まで軽減されました。しかし、揺れの強い地域や液状化する地域は点在しており、いまだ断水の発生が見込まれています。
 そこで、断水被害を軽減させるためには、水道管の耐震継ぎ手化をより効果的、重点的に進めることが必要と考えますが、これまでの成果と今後の取組について伺います。
 次に、災害廃棄物の処理について伺います。
 首都直下地震等による被害想定では、建物の被害棟数は全壊だけで約八万二千棟となっています。耐震化の進展等により、従前よりは減少したものの、それでも膨大な量の災害廃棄物が発生し、その処理は困難を極めると想定されます。
 こうした中で、復旧、復興期間を短縮するためには、事前にしっかりと処理計画を立て、備えを万全にするとともに、行政、民間を問わず、関連する様々な主体が連携しながら、災害廃棄物の処理に取り組むことが不可欠と考えます。
 現在、都は、災害廃棄物処理計画の改定を進めていますが、今後、効率的かつ迅速な災害廃棄物処理に向けてどのように取り組むのか、見解を伺います。
 東日本大震災で、大量な災害廃棄物処理が復興促進に大きく寄与したことは、いまだに記憶に新しいところであります。
 現在、都では、災害廃棄物の処理について、産業廃棄物処理事業者との協定を結んでいますが、実際の処理には、現場からの積込み、運搬など、処理過程において多種多様な機器や人材が必要です。
 そこで、都が中心となり、様々な事業体へ声をかけ、処理に必要な体制の検討などを行い、災害廃棄物処理に関わる事業者のネットワークを構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、全国各地で毎年のように水害が発生しており、今月初めの豪雨でも、静岡県をはじめとして多くの自治体が被災いたしました。
 水害時には、震災時とは異なり、災害直後から、家具、家電等のいわゆる片づけごみが排出され、また、畳や布団などは水分を多く含み、重量が増すことに加え、腐敗による発火のおそれもあることから、より迅速な処理が必要となります。
 これまで、災害廃棄物対策では、震災時の対応が中心でしたが、水害への対応は急務であり、都は、今回の計画改定において、水害等への対応力の強化も図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、デジタル化について伺います。
 これまで我が会派は、区市町村のデジタル化への取組が本格化する中で、都が実情を踏まえて支援し、底上げを図ることが重要と指摘してきました。
 各区市町村のDXの取組状況には開きがあり、デジタル化を進める人材やノウハウも不足していることから、人材や調達の共同化などに取り組むGovTech東京の役割は重要と考えます。当該団体は、設立時の理事など組織体制が固まりつつあり、協働で進める事業内容についても、区市町村と活発に議論していると聞いています。
 そこで、区市町村のDXは喫緊の課題であり、九月のGovTech東京の事業開始後は直ちに具体的な事業を進めていくべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 また、事務の効率化やコスト削減へ区市町村の期待が高いことから、GovTech東京が協働して行う事業実施に当たっては、スケールメリットを生かした取組が重要と考えますが、見解を伺います。
 通信基盤は、上下水道、道路などに並ぶ基幹的インフラであり、山間部や島しょを含め、全ての都民がその恩恵を受けられるようにすることが重要です。また同時に、災害時にもつながるように、通信基盤のさらなる強靱化が不可欠であります。
 我が会派は、さきの第一回定例会で、この強靱化の質疑を行い、通信の多重化と安全性の確保のため、安全で利便性の高いオープンローミングWi-Fiを、災害時の拠点となる都立学校等に導入するとの答弁を得たところであります。
 都は、都有施設のアセット開放により、通信事業者の5G携帯基地局設置を後押しするなど、つながる環境の確保に取り組んできましたが、それに加え、日本でも商用サービスが開始された衛星通信の活用やWi-Fi整備の推進などにより、通信困難地域の解消や災害時の通信環境の確保を図るべきと考えます。
 今後、4G、5G、衛星やWi-Fiなど、様々な通信手段を活用し、何があってもつながる環境を都内全域で実現することが重要ですが、その取組をお伺いします。
 次に、太陽光パネルのリサイクルについて伺います。
 パネルの廃棄、リサイクルの在り方について、国は四月に検討会を立ち上げ、年内に方針を取りまとめる予定であります。
 一方、都においても、太陽光パネルの義務化により、将来廃棄されるパネルの増加が予想されています。こうした設備がしっかりとリサイクルされる資源循環の流れを推進していくことが重要です。
 三月の予算特別委員会において、我が会派は、二年後の太陽光パネル設置義務化施行に向けて、どのようにリサイクルに取り組むのかを質疑し、都は今年度から、パネルの廃棄時にリサイクル費用の一部を補助する新たな事業を立ち上げる旨の表明がありました。
 そこで、リサイクル補助事業に具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、サプライチェーン上の人権配慮について伺います。
 これまで都議会自民党は、都に対し、太陽光発電設備の設置義務化の導入に際し、サプライチェーン上の人権問題に対する懸念への対応を再三再四求めてきたところであります。
 こうした中、都と業界団体である太陽光発電協会が連携し、本年四月に業界独自の人権尊重に係る取組ガイダンスを策定したことは評価いたします。しかし、策定自体がゴールではなく、企業がガイダンス等に基づき、人権配慮への取組を確実に実施することが重要です。
 また、国会においても、超党派の議連において、人権デューデリジェンスの法制化に向けた提言を取りまとめ、政府に提出したと聞いておりますが、国に先駆けて義務づけを行った都だからこそ、その取組姿勢が問われます。
 太陽光義務化の制度開始に際し、サプライチェーン上の人権配慮に向けて、今後、都はいかにして企業の取組を促していくのか、見解を伺います。
 また、人権問題を含む太陽光パネル義務化について、我が会派は、今後も重要な課題という認識の下、注視していくことを申し添えておきます。
 次に、水素ステーション整備について伺います。
 都内CO2排出量の二割が運輸部門、そのうち八割が自動車に起因しており、二〇三〇年温室効果ガスの五〇%削減達成に向け、自動車の脱炭素化は重要な課題であります。
 燃料電池バスの導入拡大には、水素ステーションの整備が不可欠であり、都議会自民党は、燃料電池バスを国内で最大の七十三両導入している交通局が、率先して営業所内に水素ステーションを整備すべきとかねてから主張してまいりました。
 これまでは、営業所内のスペース確保のほか、費用面での課題があり、検討を継続しているとのことでありましたが、都の補助金も拡充されており、整備に踏み出すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、生物多様性の保全について伺います。
 先般、都の生物多様性地域戦略が改定、公表されました。今後、生物多様性の保全と回復に向けた取組を進めるとともに、都民や企業、団体などを巻き込むための普及啓発も求められます。
 また、先日は、「山の日」全国大会開催都市に立候補すると知事が表明されました。普及啓発に向けては、こうした機会も活用しながら、生物多様性の重要性などを広く発信していくことを期待しております。
 さて、生物多様性の損失は、気候変動とともに地球規模の深刻な課題であり、対策が急務となっています。新たな国際目標では、生態系の健全性の回復に向け、二〇三〇年までに世界の陸域と海域の少なくとも三〇%以上を保全する、いわゆるサーティー・バイ・サーティーが行動目標の一つに挙げられました。
 都の地域戦略によると、サーティー・バイ・サーティーに含まれる都内の自然公園面積は約三六%とされていますが、都としては、これに甘んじることなく、生物多様性保全に向けた取組を関係局が一丸となってさらに推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、空き家対策について伺います。
 都議会自民党はこれまで、空き家対策について、利活用促進に向けた区市町村の取組への支援や、民間活力を活用した情報提供の充実などの要望を行うとともに、既存住宅市場の活性化もさらに進めるべきと主張してきました。
 これらを受け、都は、昨年度末に東京における空き家施策実施方針を策定し、今年度は、既存住宅市場の活性化をはじめ、新たにモデル的な取組を実施していくとのことであります。
 しかし、東京では、世帯数の将来的な減少や空き家予備軍の存在などにより、今後さらなる空き家の増加が懸念されており、行政の対応のみならず、民間事業者との連携がますます肝腎となります。
 空き家対策は、調査、活用から除却に至るまでの多様な事業であり、より多くの不動産事業者や建築関係の事業者が、空き家対策に関わることが成功の鍵となります。
 そこで、今年度開始する新規事業の成果を都内の多くの民間事業者による取組にどのようにつなげるのか伺います。
 次に、子供の意見表明等支援員について伺います。
 全国で、子供の意見表明権を保障するための子供アドボカシーの取組が始まりつつあります。
 そもそも、子どもの権利条約では、子供が自由に自らの意見を表明する権利の確保が求められており、本年四月施行のこども基本法においても、全ての子供の意見表明の機会が確保されることは、基本理念の一つとして記されています。
 しかし、社会的養護を必要とする子供やケアリーバーは、置かれている環境から、自分の気持ちや考えをなかなかいい出せない場合があるのが実情です。
 こうした背景を踏まえ、国は、令和四年六月に児童福祉法を改正し、これを受け、東京都児童福祉審議会は、児童相談所が関わる子供の意見表明を支援する仕組みの在り方について、本年一月に提言を取りまとめました。提言は多岐にわたりますが、その中で、意見表明等支援員、いわゆる子供アドボケートの導入についての提言は極めて重要と考えます。
 そこで、意見表明等支援員の在り方について見解を求めます。
 次に、施設退所者、ケアリーバーに対する支援について伺います。
 児童養護施設等の退所後の自立に向けた課題が浮き彫りになっています。児童福祉法では、施設等で暮らせるのは原則十八歳未満とされている中で、退所者は一人で家を借りることも難しい、学業、就労も安定しないことが多く見受けられます。
 こうした現状を踏まえ、都内には、自ら私財をなげうって、退所者同士が支え合いながら、共同して生活する場の提供を長年続けている施設関係者もいらっしゃいます。
 ケアリーバーに対する自立支援が求められる中、都としても施策の充実が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、難病対策について伺います。
 成人における難病のことを、小児の分野では小児慢性特定疾病といいます。聞きなじみのあるものだと小児がんや筋ジストロフィーなどが難病指定とされていますが、他の疾病も含めると、その数は実に七百八十八疾病にも上ります。
 小児慢性特定疾病が原因で、長期にわたり療養を余儀なくされている子供やその家族は、病気だけでなく、学習や就職など様々な不安や悩みを抱えています。
 慢性的な疾病を抱える子供やその家族が不安を解消し、安心して暮らせるよう、相談支援はもとより、学習支援など総合的に取組を進め、支援を必要とする人に漏れなく周知することが重要と考えますが、取組について伺います。
 次に、広尾病院について伺います。
 これまで、老朽化する広尾病院を現地で建て替えるに当たっては、都議会自民党としては、工事期間中の周辺への配慮、島しょ医療や災害医療の継続などを求めてまいりました。
 また、コロナ禍においては、都立病院は重要な役割を果たし、特に広尾病院は、重点医療機関としてコロナ対策対応病床を確保し、多くの入院患者を受け入れるなど、地域に不可欠な存在であることを再認識いたしました。
 大切なことは、基幹災害拠点病院である広尾病院が、新病院の整備を通じて、その役割や機能を高め、災害、救急、島しょ医療、さらには感染症医療まで、東京の安心を支える責務を果たすことであります。
 一方で、現在、ロシア、ウクライナ問題に端を発し、物価高騰等が都民生活を直撃しており、広尾病院の整備についても影響が少なくありません。
 物価高騰の影響により、広尾病院の入札も不調になりましたが、スピード感を持って本事業を進め、都民の期待に応えるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、保健医療計画の改定について伺います。
 これまで、新興感染症等への対応は、感染症法に基づき都道府県が策定する予防計画において、感染症指定医療機関での対応を中心に定められてまいりました。
 しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大では、感染症指定医療機関の病床だけでなく、平時に感染症以外の通常医療を担っている医療機関の病床がコロナ患者の入院に活用され、一般の医療提供体制にも大きな影響が生じたのも事実であります。
 このため、国は、次の新興感染症等に備えて、あらかじめ地域の行政、医療関係者の間で議論、準備を行い、感染拡大時には機動的に対策が講じられるよう医療法を改正いたしました。それに伴い、令和六年度からの都道府県医療計画の記載事項は、現行の五疾病五事業に、新興感染症等の感染拡大時における医療を追加した五疾病六事業となりました。
 そこで、今年度進められる東京都保健医療計画の改定において、新興感染症等の拡大時における医療を計画に反映するに当たっては、通常医療の提供の継続が重要な課題と考えますが、見解を伺います。
 三年以上にわたり、都民や事業者の活動に甚大な影響を与えた新型コロナウイルス感染症は、五月から分類が五類へと移行しました。一刻も早く日常生活を取り戻すことは誰もが望んでいますが、コロナウイルス自体が消えたわけではなく、五類に移行しても感染に不安を抱く都民は多い状況であります。
 また、感染の再拡大が起きれば医療機関に負荷がかかり、一般医療に影響が出ることも考慮する必要があります。
 特に、高齢者や障害のある方、妊婦など、重症化リスクが高い方々に対する安全・安心をしっかり確保しながら、平時の医療提供体制への移行を進める必要がありますが、都としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、介護人材確保について伺います。
 介護保険制度の中で、人材の確保が大きな課題となっています。今後ますます介護ニーズが増大していく中で、都においては、二〇二五年には約三万一千人の介護人材の不足が見込まれています。
 第九期高齢者保健福祉計画の策定に当たり、国が示す基本指針の見直し方針においても、介護人材の確保は充実すべき事項として挙げられており、都の計画においても最重点分野として取り組むべきと考えます。
 実際の介護の現場では、外国人の活用を進めており、都も様々な施策で事業者を支援していますが、事業者からは、外国人を雇用した場合の受入れ調整機関に支払う手数料などが負担となっているとの声も聞きます。
 計画の改定に当たり、介護サービスを継続するため、外国人人材の活用は必要不可欠であり、さらなる外国人人材の確保の支援をすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、学校部活動の安全対策について伺います。
 四月下旬にスポーツ庁から出された水泳等の事故防止についての通知には、水泳の授業や水泳部での飛び込み事故の防止について、飛び込みによるスタート時に深く入水し、水底に頭部を打つ重大事故の事例とともに、飛び込みによるスタートが安全に行えるプールであること、安全に指導できる指導者が直接指導すること、生徒の体力や技能の程度を踏まえた段階的な指導を行うことといった適切な安全対策を確実に講じること等が記されています。
 水泳部などの部活動を含む体育的活動中の事故は、指導者が安全に配慮して指導していれば未然に防げるものもあり、指導者の指導力の向上が重要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 国は、今年度から令和七年度までを改革推進期間と定め、中学校の休日の部活動の地域連携、地域移行に関する取組が始まったところであります。一方、今後の連携に向けて、具体的な対応について検討を始めたいという地域のスポーツ団体も数多くあります。しかし、これまで正確な情報が迅速に届かず、何を検討していいのかも分からないという声が、地域のスポーツ団体から上がっていました。
 そこで、部活動の地域連携、地域移行を進める上では、受皿の一つとなる地域のスポーツ、文化芸術団体との協議が必要であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、AI教材の活用について伺います。
 都立学校の中には、過去に学習につまずいた経験を持つなど、授業についていくことに苦労している生徒もいます。このような生徒に対して、都教育委員会は、様々な取組により支援を行ってきたと聞いています。
 一人一台端末の整備などが進む中、これからはAIなど新しい技術を活用することにより、生徒が分かったという実感を持ちながら学習を進めることも効果的と考えます。
 都教育委員会は、AI教材の活用について研究を進めてきたとのことですが、このような教材は学習につまずいた経験のある子供にも有効であると考えます。
 そこで、AI教材を活用した取組について伺います。
 次に、文化、スポーツ振興について伺います。
 著名なピアノコンクールでの入賞や国際映画祭での数多くの受賞に加え、最近では、若手の現代美術作家が海外のアートフェスティバルに呼ばれるなど、日本人アーティストの活躍の幅も広がりを見せつつあります。
 一方で、国策としてのコンテンツ産業の育成や海外輸出に取り組む諸外国と比較して、芸術分野における日本の存在感は希薄といわざるを得ない状況です。
 グローバル社会において、東京が芸術文化の分野でも国際的な評価を勝ち取るためには、将来有望な若者が海外に出て活躍できる機会の創出が重要です。
 都がこれまで、コロナ禍でも、現代美術の賞の創設等を通じて、海外で活躍できるアーティスト育成のため、様々な支援を行ってきたことは評価いたします。
 アフターコロナとなり、人流が活発となった今、東京の魅力の源泉である芸術文化を世界に発信していくためにも、より多くの若者が海外との交流機会に挑戦できるよう支援するとともに、積極的に周知すべきと考えますが、見解を伺います。
 先般行われたWBCは、全世界が興奮と熱狂に包まれ、スポーツのもたらす力は世界共通のものだと再確認をいたしました。
 本年十月、女子U15ソフトボールワールドカップの記念すべき第一回大会が東京で開催されます。
 この大会は、若手選手の育成強化はもとより、国を超えた同世代の子供たちが、お互いの文化を理解し、共に夢や希望を育むなど、国際感覚を醸成する観点からも大きな意義があるといえます。そのためには、大会の成功はもちろん、選手間や同世代の子供たちの国際交流の機会を創出することが重要です。
 そこで、都は、女子U15ソフトボールワードカップを通じた国際交流にどのように関わり取り組んでいくのか、お伺いします。
 次に、移住、定住の促進について伺います。
 多摩・島しょ地域の一部では、既に人口減少が始まっており、全体でも今後減少していくことが見込まれています。一方で、コロナ禍において、働き方や暮らし方などに新しい価値観が生まれています。この機会に、多摩・島しょ地域の魅力を発信し、移住、定住施策を進めることが大変重要だと認識しています。
 都は昨年度から、移住、定住施策に力を入れており、今年度は新たに暮らし体験ツアーを実施するとのことですが、ツアーの参加者をいかに実際の移住、定住につなげていくかが重要だと考えますが、見解を伺います。
 最後に、少子化対策について伺います。
 今月二日に国が発表した人口動態統計によると、我が国の令和四年の合計特殊出生率は過去最低の一・二六、出生数は統計史上初めて八十万人を割るなど、少子化が加速している状況が改めて浮き彫りとなりました。
 そして、都の合計特殊出生率も一・〇四となり、昨年の一・〇八からさらに下落し、全国最低となっています。静かな有事である少子化に歯止めをかけるためには、若年層が多く暮らす東京が重要な鍵を握っています。
 都は今年度、少子化対策の予算を大幅に拡充しましたが、ニーズを的確に押さえた効果的な取組が求められています。
 少子化対策を展開する上では、東京特有の要因をしっかりと押さえるとともに、地域の状況に精通する区市町村とも連携しながら取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 知事は所信表明で、大きな転換点を迎え、新たな段階に移行する、本格的に動き出した社会の成長の兆しを大きく育てていくという決意を述べられました。
 都民の安全・安心を守り、少子高齢化に対応し、都内経済を支え、災害対策、都市インフラ整備などを着実に進めながら、環境対策やデジタル化の推進など、東京の発展を支える政策を推進していくことが求められています。
 多岐にわたる課題に適切に対応していくには、東京都の施策が各方面に及ぼす影響に配慮し、事前の調整と丁寧な手続を順守することが欠かせません。
 誠意に勝る知恵はなしと申します。都が事業を提案するに当たっては、いきなり発表するのではなく、関係区市町村や国と誠実に向き合い、話合いを重ねていくことが、真に役立つ政策につながっていくと考えます。そのことを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水孝治議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、補正予算についてであります。
 都はこれまでも、物価高騰等により苦境に立つ都民や事業者に支援が行き届きますよう、機動的に対策を講じてまいりました。令和五年度当初予算におきましても、セーフティーネット支援など、重層的な支援策を盛り込んでおります。
 今回の補正予算では、国の臨時交付金を活用し、医療機関等における物価高騰への支援、特別高圧電力や工業用LPガスを利用する企業への支援など、都民、事業者に対し直接的な支援を実施いたします。
 さらに、新型コロナ対策として、五類移行後の対応方針等に基づき、平時の医療体制への移行促進や感染拡大時に機動的に対応できる体制の確保を進めてまいります。
 こうした取組を速やかに実行することで、足元の危機から都民生活と都内経済を守り、活気あふれる東京の実現に取り組んでまいります。
 次に、国などと連携したスタートアップ戦略の展開についてでございます。
 世界に羽ばたくスタートアップを数多く生み出し、我が国の成長に結びつける。この大きなミッションを成し遂げるには、国や全国の自治体、民間など、あらゆる主体が一致団結して取り組む必要がございます。
 このため、スタートアップが交流する場でありますInnovation Baseのこの秋の先行開業に向けまして、様々な関係者が集い、議論と実践を重ねてまいります。国と連携して海外の有力な支援機関を招聘し、グローバルな育成プログラムを年内に開始いたします。
 さらに、こうして築き上げたネットワークを生かしまして、国が進める高度研究拠点構想とも連動して、先端技術と東京や全国のスタートアップを結びつけるなど、オールジャパンの取組により、世界に通用するイノベーションを創出してまいります。
 次に、TOKYO強靱化プロジェクトについてでございます。
 昨年十二月にこのプロジェクトを公表した後も、各地で大規模な風水害や地震が相次ぐなど、我々は常に災害の脅威にさらされております。
 迫りくる危機に対し、備えよ常にの精神で都民の命と暮らしを守り、首都東京の機能や経済活動を維持していく。そのためには施策を不断に見直し、国や関係自治体等とも連携しながら、リスクへの備えを強化しなければなりません。
 そこで、二〇四〇年代の目指すべき姿に向けまして、新たに二〇三〇年における目標を定めるとともに、ハード、ソフトの両面から施策を強化しまして、年度内にプロジェクトのアップグレードを図ってまいります。
 様々な脅威から都民を守ることが、都政に課せられた最大の使命であります。関東大震災から百年を契機とし、百年先も安心できる強靱な首都東京の実現に向けまして、プロジェクトを強力に推進してまいります。
 次に、富士山の降灰対策についてのお尋ねがございました。
 富士山の大規模噴火に備え、降灰に伴う様々なリスクへの対策を強化しておくことは重要です。
 富士山の噴火による降灰は大量かつ広域に及ぶため、都はこれまで、国に処分指針の早期の策定や、ライフラインなど都市基盤への影響と対策についての検討を求めてまいりました。
 また、都といたしましても、道路啓開体制の構築や降灰の処分方法など具体的な降灰対策を講じていくため、先月、関係局や有識者で構成する検討会を設置いたしました。
 今後、降灰が発生した場合の対策を年内を目途に取りまとめまして、地域防災計画火山編の修正に反映させてまいります。
 最後に、生物多様性保全に向けました取組についてお答えいたします。
 地球上の生物多様性の損失は深刻化しておりまして、都民の安全で豊かな生活環境を確保する上で、生き物の生息空間や生態系サービスの維持向上を図ることが急務となっております。
 都は、新たに策定した地域戦略におきまして、こうした維持向上を図るエリアを二〇三〇年までに一万ヘクタールとするなどの行動目標を掲げたところでございます。
 今後、保全地域の新規の指定や水源林の適切な保全、荒廃した人工林の間伐など具体的な取組を、新たな全庁推進体制の下、着実に進めてまいります。
 こうした取組によりまして、国際目標であるネーチャーポジティブの実現に貢献をし、自然と共生する豊かな社会を目指してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、部活動を含む体育活動中の事故防止についてでございますが、都教育委員会は、毎年、都立学校や区市町村教育委員会に、部活動を含む体育活動中の安全対策に関する資料を配布しております。特に水泳については、都立学校や地区の代表教員等を対象とした講習会で指導上の留意点を示し、水泳指導を行う全ての指導者に事故防止が徹底されるよう取り組んでおります。
 また、本年三月に都内公立学校に配布した部活動に関するガイドラインの中に、各競技の特性を踏まえた安全対策の具体的な取組を示し、理解を促しております。
 さらに、指導のポイントなどを分かりやすく解説した研修動画を作成中で、今月中には配信を開始することとしており、指導者の安全に対する意識や指導力を高めてまいります。
 次に、部活動の地域連携、地域移行についてでございますが、都教育委員会は、本年三月に、都内公立中学校等の部活動において、地域連携や地域移行が円滑に進められるよう、地域のスポーツ、文化芸術団体等との連携に向けた取組を具体的に示した推進計画を策定いたしました。
 この計画を踏まえ、今年度から、関係局と連携して、地域の関係団体や大会等を運営する組織の関係者等により構成される連絡会を定期的に開催いたします。
 また、区市町村においても、この連絡会での協議内容を参考にし、部活動の地域連携、地域移行に係る方針や、地域との協力体制の構築等について検討する協議会が開催されるよう、都教育委員会が経費の補助や助言を行い、各地区の取組を支援してまいります。
 次に、AI教材の活用についてでございますが、AI教材は生徒の習熟の程度に応じて問題を提示する機能を有しており、都教育委員会は、令和四年度から都立高校七校で授業や放課後における効果的な活用について実証研究を行っております。
 昨年度の検証では、AI教材により、学び直しや主体的な学習など、理解度に応じた学習が可能となる効果が認められました。一方で、学ぶ意欲を継続させるためには、教員の適切なサポートが欠かせないことも分かりました。
 今年度は、これまでの取組を踏まえ、教員がAI教材の特性を理解して、学習意欲に課題のある生徒の個々の状況に応じた指導の中で活用するなど、AI教材を取り入れた学びの在り方について研究してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都道の維持管理における取組についてでございますが、道路は都民生活や経済活動を支える社会資本であり、様々な社会的ニーズを捉え、維持管理を行う必要がございます。
 具体的には、生産性を高める取組として、昨年度、十件の路面補修工事で活用したICT施工について、自動化した重機を使用するメリットを建設業の方々に広く周知するなど、さらなる利用拡大を図ってまいります。
 また、脱炭素化の推進に向けまして、昨年度より使用を開始した低炭素アスファルトの利用拡大を目指し、通常のアスファルトに加え、需要の九割を占める再生材にも使用が可能となるよう取り組んでまいります。
 今後とも、新技術、新材料を積極的に活用し、効率的、効果的に道路の維持管理を推進してまいります。
 次に、連続立体交差事業の取組についてでございますが、本事業は道路整備の一環として実施しておりまして、数多くの踏切を同時に除却することで交通渋滞や地域分断を解消し、防災性の向上にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 都は現在、京王京王線など六路線七か所で事業を実施しております。また、四路線五か所で準備を進めておりまして、このうち、今年度、JR南武線の矢川駅から立川駅付近については、都市計画等の手続に着手いたします。また、西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間につきましては、都市計画事業認可を取得し、事業に着手いたします。
 今後とも、地元区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業を一層推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の取引価格の適正化についてでございますが、原材料等の価格高騰の続く中、中小企業がコストの上昇を反映した適正な価格で取引ができるよう、速やかにサポートを行うことは重要でございます。
 都は今年度、中小企業が適正な条件で取引を行う上で役立つ法律等の知識を学ぶセミナーの実施を予定しております。これについて、開催時期を前倒しをし、交渉方法などの実践的なノウハウを提供いたします。
 また、発注側の会社と受注企業が適切な取引を行う商談会を年四回開催します。このうちの一回に関し、下請企業との間で適正な取引を行う宣言をした会社を中心に参加を呼びかけ、受注企業の出展数も増やします。
 これによりまして、中小企業の取引の適正化を後押ししてまいります。
 次に、脱炭素社会の実現に向けた技術開発についてでございますが、ゼロエミッションの実現に向け、優れた技術を持つ中小企業が、大企業と協力してその力を効果的に活用し、より規模の大きい製品開発等を進めることは重要でございます。
 これまで都は、環境分野で高い技術力を持つ中小企業が、大企業と連携して革新的な製品やサービスの開発を行う取組を支援してまいりました。今年度は、中小企業が優れた事業効果を期待できる大企業連携を後押しする交流の場を新たに設けます。また、中小企業と大企業が協力して進める製品等の開発経費の助成額の充実も行います。
 これによりまして、中小企業の技術開発を支援いたします。
 次に、中小の建設や運輸の事業者の働き方改革についてでございますが、中小企業は、原材料や燃料の価格高騰により厳しい経営環境が続いております。特に、建設や運輸の分野では、来年四月から時間外労働に上限規制が適用され、職場での働き方を見直し、経営の改革を速やかに進める必要がございます。
 都は今年度、中小の建設業等の事業者に対しまして、会社の働き方の見直しや法令改正の内容などの知識について情報提供をするセミナーを実施しております。また、これを受講した中小企業を対象に専門家を派遣し、現場の実態に合わせた働き方改革のきめ細かな助言を行います。
 今後は、セミナーの参加にかかわらず、建設や運輸の中小企業に専門家がアドバイスを迅速に行う仕組みを新たに導入いたします。
 次に、従業員の賃金引上げに向けた支援についてでございますが、中小企業が事業を展開する上で、生産効率を高め、競争力の強化を図り、収益を確保することによりまして、従業員の賃金引上げに結びつける取組は重要でございます。
 これまで都は、中小企業が生産性向上を目的に、IoT等のデジタル技術を活用した機器を導入する際の支援について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成率を引き上げております。
 今後は、中小企業が競争力を強化するため、最新の機械設備等を導入する取組への支援におきまして、従業員への賃上げを計画的に進める場合、助成率の引上げを図ります。
 これによりまして、中小企業の賃金引上げを後押しいたします。
 次に、観光事業者のDXの推進についてでございますが、東京への旅行者が増える中、その受入れを確実に行うため、観光事業者がDXを活用し、業務の効率化を図るほか、来訪者の動向を正確に把握することが必要でございます。
 このため、都は今年度、業務の効率化につながるデジタルの機器やシステムを導入するための助成の充実を図ります。また、DXを現場の状況に合わせ効果的に活用するための助言を行う専門家を派遣いたします。
 さらに、観光客のニーズや旅行ルートに関し、デジタル技術で情報を集め、データベースをつくり、それを事業者が来訪者の予測やサービスの提供に役立てる取組等を支援いたします。
 これらによりまして、観光産業の活性化を進めてまいります。
 次に、畜産農家の経営への支援についてでございますが、東京の畜産農家は、厳しい事業環境を乗り越えるため、生産効率の向上を進めるほか、飼料価格の重い負担が続く中、コストの軽減を図ることが必要でございます。
 このため、都は今年度、生産性を高めるため、家畜に餌やりを自動で行う設備等を導入する経費への助成について、支援の規模の拡充を図りました。これに加え、今後、乳牛等を飼育する農家が飼料となる国産の牧草の購入や、その栽培を行う経費への支援について助成の率の引上げを行います。
 こうした取組によりまして、畜産農家の経営の改善を速やかに後押しをいたします。
 最後になりますが、農業振興地域の活性化についてでございますが、東京の農業振興地域には大規模な一団の農地が数多くあり、生産力や販売力を高める基盤や施設の整備を通じて、その一層の利活用を図ることが重要でございます。
 これまで都は、同地域におきまして、農道や用水路などのインフラの整備や、農産物を集め出荷する施設の建設に助成を行い、農業の活性化を後押ししてまいりました。
 今年度は、農業振興地域の活性化に向け、市町村が整備計画の見直しを行う場合、農地に関する最新の耕作の状況や農業経営に向けた意欲等を把握するために必要な経費を支援することで、その実現を効果的にサポートいたします。
 これによりまして、東京農業の振興を進めてまいります。
   〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕

○中央卸売市場長(早川剛生君) コロナ禍後における市場の活性化についてでございますが、中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的インフラとして役割を果たすためには、市場業者の経営強靱化に加え、地域の方々が市場への理解を深めることが重要でございます。
 そこで、今後も市場業者が環境変化に対応するための新たな取組に着手できるよう、経営等の専門家によるセミナーを開催するとともに、新商品開発や販路開拓などに要する経費を補助し、市場業者の取組を後押しいたします。
 さらに、地域との交流やにぎわい創出に向け、来年二月に開業する千客万来施設や民間事業者等を活用し、市場見学や食育活動等に都と業界が協働して取り組んでまいります。
 こうした取組により、市場のさらなる活性化を図り、豊かで活気ある都民生活を下支えしてまいります。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) 東京港の港湾機能の強化についてでございますが、東京港が日本の重要な物流拠点としての役割を果たし続けるためには、今後予測される貨物量の増加や船舶の大型化に対応できる港湾施設の整備を進め、荷主や船会社にとって利便性の高い港としていくことが重要でございます。
 このため、都は、新たな港湾計画を今年度中に策定し、施設能力の向上を図ってまいります。
 具体的には、新海面処分場コンテナふ頭の計画を拡充し、隣接するふ頭と併せて延長約千七百メートルとなる国内最大級の外貿コンテナふ頭を整備いたします。また、国内航路の大型船が複数係留できる新たなふ頭を中央防波堤内側に整備してまいります。
 都は、新たな計画による施設整備等を戦略的に進め、東京港をさらに競争力の高い港へと進化させてまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、大規模水害時の垂直避難についてでございます。
 本取組は、やむを得ず逃げ遅れた方の緊急安全確保先として道路高架部を活用するものであり、避難者の事情にも配慮して安全な誘導がなされる必要がございます。
 例えば、高齢者など配慮が必要な方については、避難指示の発令前の早い段階から自主的に広域避難をすることが原則ですが、緊急安全確保の発令後に、やむを得ず道路高架部を利用する場合には、徒歩でスロープを登ることとなり、その際、区が主体となって安全に誘導することとしております。
 今後、関係者で実施する机上訓練において具体的な行動を確認、検証していくことで、住民が安全に移動できるよう取組を進めてまいります。
 次に、高台まちづくりと道路高架部の連携についてでございます。
 東部低地帯等では深刻な水害被害が想定されており、安全性の高い高台まちづくりは重要でございます。
 都は、令和二年に国と策定したビジョンの下、国や地元区と共に、土地区画整理事業と高規格堤防の一体実施や避難スペースを確保した建築物の整備など、複数のモデル地区を定めて高台まちづくりの検討を進めております。
 これらの高台を、想定される浸水の深さよりも高い位置にある道路や通路等により、線的、面的につなぐことで、浸水区域外への避難等が可能となります。
 今後、高速道路高架部との連携方法などについても、国や地元区などと検討を進めてまいります。
 次に、災害に強いまちづくりの意識啓発についてでございます。
 災害に強いまちづくりの推進には、都民にその重要性を理解していただくことが不可欠でございます。このため、都は、震災百年の機会を捉え、庁内連携の下、区市町村や民間等と共に多様な取組により機運を醸成してまいります。
 まちづくりに関連した取組といたしましては、次世代を担う子供を対象とする復興訓練や民間の防災イベントへの支援等を行います。また、当時の東京市が防災拠点等として整備した復興小公園について、現況調査のほか、設置の考え方をまとめたパンフレットなどによるPRを通じ、公園を再生する区を後押しいたします。
 引き続き、都市の強靱化に向け、都民の防災まちづくりへの意識啓発に取り組んでまいります。
 最後に、流域対策の推進についてでございます。
 気候変動の影響により、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と財産を守るため、一層の対策強化が必要でございます。
 都では、東京都豪雨対策基本方針を策定し、河川や下水道整備と併せて、流域対策を推進してまいりました。
 流域対策の一層の推進のため、公共施設への雨水貯留浸透施設設置補助の規模要件撤廃や、個人住宅への設置補助の対象拡充等を行ってまいりました。
 今年度予定している基本方針の改定に当たっては、流域対策等について地元自治体へ意見聴取を行うとともに、都民及び事業者に向けた広報の充実を図るなど、幅広に施策を検討し、雨水流出抑制対策を強化してまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 震災発生時における災害対応力の強化についてでございますが、被害の軽減を図るためには、消防機関と区市町村との緊密な連携が重要であると認識しております。
 このため、東京消防庁では昨年度から、災害時に臨機応変かつ迅速に意思決定を行える災害対策調整担当課長を二十一の消防署に配置し、区市の災害対策本部において相互の情報を共有するとともに、消防的見地からの助言や関係機関との活動調整を実施するなど、連携体制の強化を図ってまいりました。
 今後、震災のみならず、火山災害や武力攻撃事態などにも的確に対応していくため、区市町村と連携した訓練の推進や、災害対策調整担当課長のさらなる活用を図るなど、災害対応力の強化に努めてまいります。
   〔水道局長西山智之君登壇〕

○水道局長(西山智之君) 水道管の耐震継ぎ手化についてでございますが、配水管路の延長は膨大なため、断水時の影響等を踏まえ優先順位を明確化し、重点的に耐震継ぎ手化を推進することが重要でございます。
 このため、平成十九年度以降、首都中枢機関や救急医療機関、避難所等の重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を優先的に推進し、令和四年度末に概成をいたしました。
 今後、断水被害をより効果的に軽減するため、断水率が高い取替え優先地域を区市町村単位から、よりきめ細かい二百五十メートル四方の区域に設定して耐震継ぎ手化を進めていくこととしており、十年度までに解消いたします。
 こうした重点的な取組により、断水被害を一層軽減し震災時の給水確保に万全を期してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害廃棄物処理計画の改定についてでございますが、被災後の早期復旧、復興に向けては、大量に発生する災害廃棄物を計画的に処理していくことが重要でございます。
 今般の計画改定では、処理の実効性向上や各主体との役割分担の整理、連携強化等を大きな柱として検討を進めてございます。
 具体的には、日頃、一部事務組合により廃棄物処理を実施している自治体間で平時から検討組織を設置し、清掃工場等で処理可能な災害廃棄物を分類いたします。
 また、処理が困難な瓦礫類等は、速やかに民間事業者に委託できるよう事前に調整することなどを示してございます。加えて、都が産業廃棄物の業界団体と締結している協定を活用し、災害時の連絡方法や初動対応等を平時から調整できるよう、都がコーディネートしてまいります。
 次に、事業者のネットワーク構築についてでございますが、これまで他県で発生した災害では、災害廃棄物業者に加え、様々な事業者が災害廃棄物の処理に貢献しており、こうした事業者と連携強化を図ることは重要でございます。
 今回の計画の改定に当たりまして、迅速に災害廃棄物処理を進める上で、民間事業者への支援要請が必要となる事項と、対応可能な事業者団体の洗い出しを行いました。
 具体的には、建物を解体する際には解体事業者に、災害廃棄物の運搬や仮置場の設置運営については建設事業者に支援を求めることなどが想定されてございます。
 今後、多様な事業者の団体への災害時の支援要請の内容を精査し、協定締結を検討するほか、連絡体制の構築が進むよう、情報共有の場を設定するなど、各業種間の連携を促進してまいります。
 次に、水害への対応力強化についてでございますが、今回の処理計画の改定では、風水害への対応力強化についても柱の一つに位置づけ、検討を進めてございます。
 具体的には、区市町村が水害で発生する廃棄物の量を事前に把握し、仮置場設置や必要車両を確保できるよう都独自の推計式を新たに提示してございます。
 また、気象情報等で事前準備も可能な一方、水が引いた直後から廃棄物が発生する水害の特性を踏まえまして、処理を依頼する民間事業者等への連絡や廃棄物の出し方の周知など、迅速な初動対応に必要な発災前から取り組むべき事項を掲げてございます。
 今後、こうした点につきまして、区市町村職員を対象とした研修、訓練の場を活用し、周知を図ることなどによりまして、水害時の廃棄物処理が円滑に進むよう努めてまいります。
 次に、住宅用太陽光パネルのリサイクルについてでございますが、現状では廃棄量は少ないものの、二〇三〇年代半ば以降の廃棄の本格化に向けまして、今から環境負荷の少ない効率的なリサイクル体制を整えていくことが重要でございます。
 そこで、都は、リサイクルへ誘導するため、埋立処分と比べ割高となる費用に対しまして、今年度より支援を実施いたします。
 具体的には、太陽光パネルの総重量の八〇%以上を再生利用等できる高度なリサイクル施設を公募の上指定し、当該施設でリサイクルされるパネルを対象に、六月から補助事業を開始いたします。
 今後は、本事業をハウスメーカーや収集運搬、解体工事業者等へ広く周知し、確実に利用されるよう促すことで、資源循環の流れを確かなものとしてまいります。
 最後に、サプライチェーンでの人権の取組についてでございますが、持続可能な社会の実現に向けては、太陽光パネルメーカーの責任ある人権尊重への継続的な取組が重要でございます。
 都と太陽光発電協会は連携して、国の指針や専門家の知見も踏まえたガイダンスを策定しており、製造から廃棄に至る過程の可視化と人権デューデリジェンスの取組方法を具体的に盛り込んでございます。
 今後、都は、人権研修の継続的な実施や企業との意見交換を重ねることで、企業の適正な取組と人権デューデリジェンス等の取組状況の定期的な公表を促してまいります。
 都は、協会と一体となって、業界全体に取組を浸透させるとともに、国等の動向を注視し、適宜ガイダンスを見直すことなどによりまして、企業ごとの着実な取組につなげてまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、GovTech東京の取組についてでございますが、東京のDX推進のためには、全体戦略を担う都と高い技術力を持つGovTech東京、身近な行政主体である区市町村が協働して取り組んでいくことが重要であります。
 この間、新団体の事業の方向性について区市町村と協議を重ね、四月末までにDX推進の新たな枠組みにつき合意を得たところであります。事業開始する九月からは、各自治体へのきめ細かなサポートに加え、セキュリティなど共通課題ごとの実施メニューを通じて、効果的に伴走型で支援いたします。
 さらに、デバイスの共同調達や施設予約等のシステムの共同開発、人材育成等、ニーズが高い取組を進めてまいります。
 GovTech東京が自治体のニーズに柔軟かつ機動的に対応することで、区市町村のDXを強力に後押ししてまいります。
 次に、区市町村との協働事業についてでございますが、人材育成やシステム等の共同調達において、スケールメリットを生かした事業を展開するためには、区市町村が参加しやすい環境の構築が重要でございます。
 これまで、全ての区市町村を対象とした複数回のヒアリングを通じて、ニーズや優先度を把握し、AIツールの導入等メニューを具体化してまいりました。
 今後、GovTech東京において、各自治体が利用しやすい手続の検討を進めるとともに、協働事業への参加の判断に資する情報をタイムリーにプッシュ型で提供するなどの取組を行ってまいります。
 こうした取組を通じて、自治体のマンパワーやコスト縮減を図り、区市町村DXの推進に貢献してまいります。
 次に、強靱な通信環境の整備についてでございますが、通信基盤は都民生活を支える基幹的インフラであり、通信手段の多重化により、災害時にもつながる環境を確保することが重要であります。
 このため、都は、山間部や島しょ等の通信困難地域で衛星通信活用の実証を今年度から開始いたします。また、5Gエリア拡大に向け、先行事例の横展開を図る交流会を新たに開くなど、区市町村のアセット開放を促進いたします。
 加えて、安全で利便性の高いオープンローミングWi-Fiについて整備を進めるとともに、区市町村や利用者の多い民間施設にも導入を働きかけるなど、都内全体に広げてまいります。
 これらを戦略的に進めるため、八月に通信手段ごとの整備手法やロードマップ等を示した展開方針を策定し、つながる東京の実現に取り組んでまいります。
   〔交通局長久我英男君登壇〕

○交通局長(久我英男君) 営業所内への水素ステーション整備についてでございますが、交通局では、燃料電池バスの導入を先導的に進めており、令和六年度までに八十両まで拡大する計画でございます。
 さらなる導入拡大には、営業所内へのステーション整備が効果的であり、この間、大型設備のためのスペース確保や整備、運営手法の検討、補助制度に関する国や関係局等との調整を重ね、今般、有明営業所に国内初となるバス営業所内ステーションを整備することといたしました。
 令和七年の開所に向け、今月、専門的な技術力等を有する整備、運営事業者の公募を行うこととしており、こうした取組を通じて、ゼロエミッション東京の実現に貢献してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 東京における空き家対策についてでございますが、空き家問題の解決を図る上で、空き家対策に取り組む民間事業者の裾野を広げていくことは重要でございます。
 都は本年度から、既存住宅の流通促進や空き家を利活用する先導的な取組を行う民間事業者等を支援いたします。これらにより蓄積した事例をホームページなどで発信するほか、新たにシンポジウムを開催し、事業者が情報交換や交流する場を提供することで、空き家対策に関心がある不動産取引や住宅リフォームに携わる事業者の参入を促してまいります。
 こうした施策によりまして、都内における民間事業者の積極的な取組を誘導してまいります。
   〔福祉保健局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局長(佐藤智秀君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の意見表明等支援員についてでございます。
 児童相談所が関わる子供が様々な場面で意見を表明できる環境の整備は、子供の権利擁護をより一層推進する観点から重要であり、都は、意見表明等支援員の導入等につきまして検討を進めております。
 支援員は、援助方針決定の過程などで子供が自らの意見を形成することや、その意見を周囲に伝えることを支援いたします。こうした役割を十分に果たせますよう、児童福祉等の現場経験者や児童養護施設の入所経験者など担い手として、演習等の実践的な研修により養成をいたします。
 今後、支援員の導入に向けた検討をさらに進め、いわゆる子供アドボケートなど、子供の意見表明を支援する仕組みを構築してまいります。
 次に、ケアリーバーへの支援についてでございます。
 都は、児童養護施設の退所者等であるケアリーバーが自立して安定した生活を送れるよう、相談支援などを行う自立支援担当職員を配置する施設を支援しておりまして、今年度からは、居住費支援を充実するほか、職員が定期的に自宅を訪問するための経費を補助しております。
 また、ケアリーバーが気軽に集まって交流し、専任のスタッフに悩みを相談できる場を提供するふらっとホーム事業を実施しており、今年度からは、心理士や保健師等の専門職を新たに配置し、精神面に不安を抱える方の相談にも応じております。
 今後とも、こうした取組を施設と連携しながら進め、ケアリーバーの自立を支援してまいります。
 次に、慢性疾患を抱える児童への支援についてでございます。
 都はこれまで、慢性疾患を抱える児童とその家族を支援するため、医師等の専門職による相談や児童と遊ぶボランティアの派遣、家族同士の交流会など、様々な取組を行ってまいりました。
 今年度は、国の制度を活用しながら、長期入院などに伴い学習の遅れが生じている小中学生を対象に、学習支援員が病室や自宅への訪問またはオンラインにより学習指導を行う取組を開始し、支援を拡充しております。
 今後、こうした取組をより多くの方に利用していただけるよう、リーフレットを作成いたしまして、対象家庭や関係機関に送付するなど積極的に周知をしてまいります。
 続きまして、広尾病院等の整備についてでございます。
 都立病院機構では、PFI法に基づき、病院等整備事業の入札事務を進めてまいりましたが、建設資材や労務費の高騰などの影響を受けまして、入札が不調となりました。
 そのため、事業者が一層の経費削減や工期短縮に向け、創意工夫した提案を行えるよう、整備基本計画を修正するとともに、専門的知見を有するアドバイザーの助言を踏まえ、現下の社会情勢を反映した事業費を積算し、先般、実施方針の改定版を公表いたしました。
 現在、この実施方針に基づき、事業者との意見交換を進めておりまして、来月、入札公告を行う予定でございます。
 今後とも、広尾病院が救急医療や災害医療、島しょ医療などの行政的医療を確実に提供していけるよう、迅速かつ着実に整備を進めてまいります。
 次に、保健医療計画の改定についてでございます。
 感染症の拡大時におきましては、早急に必要な感染症医療提供体制を構築しつつ、通常医療との両立を図りながら、都民の命と健康を守ることが重要でございます。
 このため、都は、今年度行う計画の改定に当たりまして、同時に改定する感染症予防計画と整合を図ることとしております。
 具体的には、感染症の発生や蔓延の状況に応じまして、必要な通常医療を提供するための医療機関の診療機能や地域における医療機関相互の役割分担、連携体制について検討してまいります。
 コロナ対策の経験を生かし、今後起こり得る感染症危機においても、救急医療をはじめ、通常医療との両立を含め機能する体制を確保してまいります。
 最後に、外国人介護従事者の受入れ支援についてでございます。
 都は、介護施設等で外国人介護従事者の受入れが円滑に進むよう、施設経営者や指導担当者向けの研修等を実施するほか、受入れ施設等に対しまして、多言語翻訳機の導入や、在留資格に応じた日本語や介護技能の学習等に必要な経費を補助しております。
 今年度からは、技能実習生の受入れ施設等に対し、日本語学習等に必要な経費の補助を、雇用後一年間から三年間に拡充をしております。
 外国人を含めた介護人材対策の強化につきましては、今年度予定している次期高齢者保健福祉計画の策定に向けた議論も踏まえ、検討してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長雲田孝司君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(雲田孝司君) 新型コロナウイルス感染症対策に関するご質問にお答えをいたします。
 五類感染症へ移行した中、高齢者等のハイリスク層を守りつつ、より多くの医療機関が患者に対応できる平時の体制構築が重要でございます。
 このため、都は、八つの高齢者等医療支援型施設の運営のほか、高齢者や障害者の施設等の職員に対する検査などを継続しております。あわせまして、医療従事者や施設等の職員を対象とする感染防止対策の研修を開催するほか、受入れ可能な病床を診療所等が把握できるシステムを活用し、医療機関同士での入院調整を促進してまいります。
 こうした取組により、感染が拡大した際にもハイリスク層を守るとともに、より多くの医療機関で都民が安心して必要な医療を受けられますよう、平時の医療提供体制の確保を着実に進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、芸術文化の海外発信に向けた人材育成についてでございますが、世界を魅了する作品を生み出す人材を育成するため、都は、コロナ禍におきましても、発表の場の提供や関係者との交流の促進などによりアーティストを支援してまいりました。
 今年度は、世界で活躍できる映画人材育成事業、タレンツ・トーキョーの参加枠の拡大に加え、演出家やキュレーター等のアートマネジメント人材を対象に、海外の専門家と交流し、最先端の作品制作を学べるよう、短期海外派遣事業を新たに開始いたします。
 派遣者の募集に当たりましては、SNSなどを活用して広く周知を図るとともに、芸術文化団体とのネットワークを通じてより多くの若手人材に呼びかけるなど、意欲あふれる若者の海外への挑戦を後押ししてまいります。
 次に、女子のソフトボールワールドカップについてでございますが、本年十月に東京で第一回が開催される本大会には、十二の国と地域から選手が参加いたします。各国のジュニア選手による熱戦が期待されることに加え、子供たちの国を超えた交流を図り、国際感覚を育む絶好の機会となるものと考えます。
 大会期間中には、海外チームと都内選抜チーム等の親善試合を行うほか、日本舞踊等の体験の場を設け、大会に参加する選手たちに東京や日本の魅力を伝えてまいります。
 さらに、観戦に来場する子供たちからの応援メッセージの掲出や選手との記念撮影を行うなど、東京の子供と選手との交流を深めてまいります。
 大会における様々な機会を通じて、子供たちの国際交流を進めてまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 移住、定住の促進についてでございますが、多摩・島しょ地域への移住、定住を促進するためには、移住希望者に、実際にそこで暮らす実感を持っていただくことが重要でございます。
 このため、都は、移住定住相談窓口と連携しながら、今年度から新たに多摩・島しょ暮らし体験ツアーを開始いたします。体験ツアーでは、市町村と連携し、生活関連施設の見学や地域活動等の体験、地元の方との交流などを実施いたします。また、参加者に対して移住関連情報を継続的に提供いたします。
 こうした取組を通じまして、多摩・島しょ地域の持続的発展につなげてまいります。
   〔子供政策連携室長田中慎一君登壇〕

○子供政策連携室長(田中慎一君) 少子化対策についてのご質問にお答えいたします。
 実効性ある少子化対策を展開するためには、都民の価値観の変化や地域の状況等を絶えず把握、分析し、施策に反映していくことが重要です。
 そのため、若年層に焦点を当てた調査を実施し、就業形態や居住地域を踏まえ、多角的な分析を行ってまいります。また、有識者からの意見聴取やデータ整理を通じまして、東京特有の課題や対策強化の視点などを取りまとめてまいります。
 あわせて、区市町村が地域の実情を踏まえて実践する少子化対策を積極的に後押しするため、今年度、補助事業を設けたところであり、区市町村と丁寧に意見交換を行いながら、創意工夫を凝らした取組を支援してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十一分休憩

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