令和五年東京都議会会議録第四号〔速報版〕

令和五年二月二十四日(金曜日)
 出席議員 百二十二名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番松田りゅうすけ君
六番上田 令子君
七番漢人あきこ君
八番岩永やす代君
十二番平けいしょう君
十三番山田ひろし君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番星  大輔君
二十四番磯山  亮君
二十六番米川大二郎君
二十八番森口つかさ君
二十九番もり  愛君
三十番龍円あいり君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番渋谷のぶゆき君
四十二番やまだ加奈子君
四十三番林あきひろ君
四十四番松田 康将君
四十五番ほっち易隆君
四十六番鈴木 錦治君
四十七番田の上いくこ君
四十八番保坂まさひろ君
四十九番清水やすこ君
五十番入江のぶこ君
五十一番あかねがくぼかよ子君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番小松 大祐君
六十五番柴崎 幹男君
六十六番早坂 義弘君
六十七番本橋たくみ君
六十八番山加 朱美君
六十九番鈴木あきまさ君
七十番菅原 直志君
七十一番関野たかなり君
七十二番白戸 太朗君
七十三番おじま紘平君
七十四番成清梨沙子君
七十五番福島りえこ君
七十六番風間ゆたか君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十七番こいそ 明君
八十八番小宮あんり君
八十九番田村 利光君
九十番伊藤しょうこう君
九十一番川松真一朗君
九十二番山崎 一輝君
九十三番藤井あきら君
九十四番内山 真吾君
九十五番石川 良一君
九十六番伊藤 ゆう君
九十七番森村 隆行君
九十八番本橋ひろたか君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番高倉 良生君
百七番まつば多美子君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番清水 孝治君
百十二番菅野 弘一君
百十三番三宅 正彦君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番尾崎 大介君
百十七番村松 一希君
百十八番後藤 なみ君
百十九番たきぐち学君
百二十番小山くにひこ君
百二十一番増子ひろき君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 一名
  九番  桐山ひとみ君
 欠員
    十番 十一番 二十五番
    二十七番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長浜 佳葉子君
東京都技監建設局長兼務中島 高志君
政策企画局長中村 倫治君
総務局長野間 達也君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監小島 裕史君
政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村 恵一君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
子供政策連携室長山下  聡君
デジタルサービス局長久我 英男君
主税局長小池  潔君
生活文化スポーツ局長横山 英樹君
生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西 康弘君
都市整備局長福田  至君
環境局長栗岡 祥一君
消防総監清水 洋文君
福祉保健局長西山 智之君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
港湾局長矢岡 俊樹君
会計管理局長須藤  栄君
交通局長武市 玲子君
水道局長古谷ひろみ君
下水道局長奥山 宏二君
住宅政策本部長山口  真君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長松永 竜太君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長小室 一人君
労働委員会事務局長桜井 政人君
収用委員会事務局長杉崎智恵子君

二月二十四日議事日程第四号
第一 第一号議案
  令和五年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  令和五年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  令和五年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  令和五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  令和五年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六 第六号議案
  令和五年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七 第七号議案
  令和五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第八 第八号議案
  令和五年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
第九 第九号議案
  令和五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第十 第十号議案
  令和五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  令和五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十二 第十二号議案
  令和五年度東京都と場会計予算
第十三 第十三号議案
  令和五年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十四 第十四号議案
  令和五年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十五 第十五号議案
  令和五年度東京都都市開発資金会計予算
第十六 第十六号議案
  令和五年度東京都用地会計予算
第十七 第十七号議案
  令和五年度東京都公債費会計予算
第十八 第十八号議案
  令和五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  令和五年度東京都工業用水道事業清算会計予算
第二十 第二十号議案
  令和五年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  令和五年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  令和五年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  令和五年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  令和五年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  令和五年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  令和五年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  令和五年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  令和五年度東京都下水道事業会計予算
第二十九 第百十号議案
  令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第三十 第二十九号議案
  非常勤職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十号議案
  東京都組織条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十一号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十二号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十三号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十四号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十五号議案
  東京都工業用水道事業清算会計条例
第三十七 第三十六号議案
  東京強靱化推進基金条例
第三十八 第三十七号議案
  東京都防災街づくり基金条例を廃止する条例
第三十九 第三十八号議案
  東京二〇二〇大会レガシー基金条例
第四十 第三十九号議案
  東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金条例を廃止する条例
第四十一 第四十号議案
  東京都人に優しく快適な街づくり基金条例を廃止する条例
第四十二 第四十一号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十二号議案
  東京都芸術文化振興基金条例を廃止する条例
第四十四 第四十三号議案
  東京都障害者スポーツ振興基金条例を廃止する条例
第四十五 第四十四号議案
  東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十五号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十六号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十七号議案
  東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十八号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十 第四十九号議案
  高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十号議案
  東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十一号議案
  東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十二号議案
  東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十三号議案
  東京都子供・子育て会議条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十四号議案
  東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十五号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十六号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十七号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例及び東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十八号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第六十 第五十九号議案
  東京都立療育センター条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十号議案
  東京都おもてなし・観光基金条例を廃止する条例
第六十二 第六十一号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十二号議案
  東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十三号議案
  東京都新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金条例
第六十五 第六十四号議案
  東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十五号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十六号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十七号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十八号議案
  東京都無電柱化推進基金条例を廃止する条例
第七十 第六十九号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十一号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十二号議案
  東京都高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る信号機等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十三号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十四号議案
  都立中野工業高等学校(四)改築工事請負契約
第七十六 第七十五号議案
  社会福祉施設建替え促進用仮移転施設(仮称)(四)新築工事請負契約
第七十七 第七十六号議案
  都営住宅四H—一〇五西(村山)工事請負契約
第七十八 第七十七号議案
  都営住宅四H—一〇一東(江東区南砂三丁目)工事請負契約
第七十九 第七十八号議案
  都営住宅四H—一〇九西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
第八十 第七十九号議案
  都営住宅四H—一〇四西(日野市新井)工事請負契約
第八十一 第八十号議案
  都営住宅四H—一〇三東(江東区南砂五丁目)工事請負契約
第八十二 第八十一号議案
  都営住宅四H—一一〇東(足立区谷在家三丁目)工事請負契約
第八十三 第八十二号議案
  都営住宅四H—一二七東(北区桐ケ丘二丁目GN十二街区)工事請負契約
第八十四 第八十三号議案
  都営住宅四H—一二二東(足立区東保木間一丁目第二)工事請負契約
第八十五 第八十四号議案
  都営住宅四H—一一一西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
第八十六 第八十五号議案
  都営住宅四H—一二三東(足立区東保木間一丁目第二)工事請負契約
第八十七 第八十六号議案
  東京都江戸東京博物館(四)改修空調設備工事その二請負契約
第八十八 第八十七号議案
  谷沢川分水路放流施設工事請負契約
第八十九 第八十八号議案
  箱根ケ崎陸橋(四)鋼けた製作・架設工事その二請負契約
第九十 第八十九号議案
  稲城多摩トンネル(仮称)(四)擁壁築造工事請負契約
第九十一 第九十号議案
  古川整備工事(その二十四)請負契約
第九十二 第九十一号議案
  包括外部監査契約の締結について
第九十三 第九十二号議案
  土地の信託の変更について
第九十四 第九十三号議案
  土地の売払いについて
第九十五 第九十四号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可について
第九十六 第九十五号議案
  建物の譲渡について
第九十七 第九十六号議案
  令和五年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第九十八 第九十七号議案
  令和四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係市の負担の変更について
第九十九 第九十八号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百 第九十九号議案
  多摩川流域下水道北多摩一号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百一 第百号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第百二 第百一号議案
  多摩川流域下水道浅川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三 第百二号議案
  荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百四 第百三号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)
第百五 第百四号議案
  令和四年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百六 第百五号議案
  令和四年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百七 第百六号議案
  令和四年度東京都国民健康保険事業会計補正予算(第一号)
第百八 第百七号議案
  令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計補正予算(第一号)
第百九 第百八号議案
  令和四年度東京都用地会計補正予算(第一号)
第百十 第百九号議案
  令和四年度分の都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
  東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第四号追加の一
第一 東京都収用委員会委員の任命の同意について(四財主議第五四一号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(四財主議第五四二号)
第三 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(四財主議第五四三号)
第四 議員提出議案第一号
  個人情報の保護に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第五 議員提出議案第二号
  東京都税制調査会条例
第六 議員提出議案第三号
  東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第七 議員提出議案第四号
  東京都島しょ地域外の医療機関への通院に係る交通費等の補助に関する条例
第八 議員提出議案第五号
  東京都補聴器の購入費の補助に関する条例

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第一号、個人情報の保護に関する法律施行条例の一部を改正する条例外条例四件、知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件二件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) 一昨日に引き続き質問を行います。
 二番かまた悦子さん
   〔二番かまた悦子君登壇〕

○二番(かまた悦子君) 都立学校の担うべき使命は何か、その問いの答えの一つは、あらゆる子供たちが生き生きと学べる環境を提供することであり、中でも特別に配慮が必要な子供たち、困難さを抱えている子供たちに最適な環境を提供することは、公立学校の役目の一つであります。
 都教育委員会は、一人一人の個性や能力を最大限に生かすため、様々な特色ある都立高校を開設するとともに、不登校経験や高校での中退経験を持つ生徒が通うチャレンジスクールを今年度までに六校開設し、生きづらさを感じて苦しんできた多くの子供たちの可能性を引き出してきました。
 しかしながら、現在は倍率の関係で、再チャレンジしようと受験をしても希望者全員が入学できる状況ではありません。さらに、市部には八王子拓真高校のチャレンジ枠のみの入学枠であり、より一層、入学倍率が高くなっています。
 そこで、これまで生きづらさを抱えながらも、再チャレンジを決意した子供たち全員に学びの場を提供するため、チャレンジスクールを拡充するべきと考えますが、都の見解を求めます。
 私は、昨年の第二回定例会の一般質問で、人は親身になって関わってくれる人には心を開いていくものであり、学校や社会の中で生きづらさを抱える、例えば不登校の子供たちには、いつでも安心して相談できる第三者の存在が重要であることを訴えさせていただきました。
 そこで、困難さや生きづらさを抱える生徒が多いチャレンジスクールにこそ、教員だけではなく、様々な立場の大人が親身に子供たちに関わり、支援していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 スウェーデンのあるスーパーのエピソードを伺ったことがあります。このスーパーでは、発達障害のある方が売場マネジャーを務めており、同僚たちから、この商品の仕入れはいつか、この商品の在庫状況はどうなっているかという商品管理に関する様々な質問に対して、持ち前の記憶力を生かしてスムーズに返答していき、苦手な対人スキルについては上司がサポートしつつ、マネジャーとして十分に職責を果たしているとのことです。
 発達障害等、困難さを抱える子供たちは、自分の苦手を補う方法を習得したり、苦手が表に出ない環境を整えたりすれば、自分の持つ力を十分に発揮し、社会で活躍することができます。
 私は、社会全体があらゆる人を受け入れ、理解する社会であってほしいと願うとともに、障害者雇用の拡充こそが誰一人取り残さない社会の構築につながると考えています。
 そこで、全ての都立学校の障害等で困難さを抱える生徒が就労し、社会の中で自分らしく活躍できるよう、職場定着まで支援する体制を構築するべきと考えますが、見解を求めます。
 学校や地域から離れてしまい、不安や悩みを抱える子供やご家族とつながっていく仕組みを構築することは重要であります。
 都は、ファミリーアテンダントという子育て家庭の抱える不安や悩みに寄り添うアウトリーチ型支援を展開するとのことですが、不安や悩みを抱える方々に寄り添う支援を成功させるか否かは、支援者のスキルや人間力にかかっています。
 先日、子育て中の方に話を伺いました。その方がおっしゃるには、産後ケアの一環として面談に来てくださった保健師の方と話をしたものの、自身の苦しさを伝えることもなく面談が終わってしまい、再度その方に相談してみたいと思うことができなかったとのことです。つまり、ファミリーアテンダント事業の成功の鍵を握るのは、相談者の不安や悩みに寄り添うことができる人材の確保であります。
 そこで、先行して実施する区市町村との連携により、都がモデルケースをしっかりつくり上げ、その成果を都内に広げていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、グリーフケアについて質問します。
 来年度、都は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の中で、相談支援とともに、経済支援をさらに充実させるとしており、評価するものです。その上で、本事業を進めるに当たっては、グリーフケアの取組も重要です。
 女性の七人に一人が流産を経験するといわれており、私の友人で流産を経験した方は、その当時、公園で子供を見るだけで心が痛み、見るテレビ番組も赤ちゃんが出てくるものは見られなかったそうです。
 厚労省の調査によると、死産、流産後に深い悲しみによって、約六割の方が日常生活への支障を抱えたとのことです。
 そこで、妊娠、出産事業を進める際は、このような方々の心に寄り添ったグリーフケアにも取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、都は、不妊治療や不育症治療と仕事の両立に取り組む企業を応援する研修、奨励金事業を進めておりますが、本事業にもグリーフケアの視点を取り入れるべきと考えます。都の見解を求めます。
 トルコ南東部で発生した地震では、多くの方々の尊い命が失われました。亡くなられた皆様のご冥福と被災されている方々が一日も早く安穏な日常を取り戻せることを心よりお祈り申し上げます。
 そして、災害が起きても都民の命を守るための対策を進めることは、私たちの責務であることを改めて実感します。
 我が党はこれまで、女性をはじめ、配慮が必要な方々の立場に立った防災対策の重要性を訴え、都は、防災会議に女性など多様な立場の方々を人選したり、女性視点の防災ブック「東京くらし防災」を作成したりしてきました。
 命を守るため、改めて見直された自助、共助の重要性を考えたとき、都民が災害に備える際の参考書となる「東京防災」や「東京くらし防災」を被害想定や社会の変化に対応して見直していくことは重要であります。
 特に「東京くらし防災」については、女性の視点はもちろんのこと、高齢者や障害者など配慮が必要な方々の視点も踏まえてバージョンアップする必要があると考えますが、都の見解を求めます。
 また、災害が直接の原因ではなく、発災後の様々な要因で亡くなる、いわゆる災害関連死を防ぐ対策も重要です。中でも人が健康に生活するために必要なトイレの確保は大きな課題の一つです。
 都が十年ぶりに見直した被害想定によると、避難者数の想定は一割以上減少しているものの、都は、いまだ最大二百万人程度の方々が避難所に避難することが想定されており、在宅避難者も含めると、都が多くの被災者を見据えたトイレの数の確保を進めることは重要であります。
 私は、先日、防災産業展に参加いたしましたが、その中で自己処理型水洗トイレといって、浄化処理技術と再生可能エネルギー蓄電システムが搭載され、平常時は公園や川辺で使用し、発災時には避難所等に移動することができる移動可能なトイレも開発されていました。
 さらに、昨年の四月には内閣府の避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインが改定され、下水道処理区域内でも災害時に備えて浄化槽を整備することがトイレの確保を図る上で有効とする内容が追記されたことからも、災害時におけるトイレの新たな技術活用も都として検討するべきであります。
 そこで、新たな技術の活用も視野に入れつつ、様々なトイレのメリット、デメリットを踏まえながら、災害時のトイレ確保に向けた取組を着実に進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 私の地元板橋には、武蔵野台地の自然とニリンソウの自生地を有し、赤塚城址など郷土史も伝える都立赤塚公園があります。
 この赤塚公園は地元地域の方々に親しまれていますが、地域外から人が集い合う公園ではなく、地域住民にとって都立赤塚公園のにぎわい創出は大きな願いであります。
 令和元年に赤塚公園で多面的活用プロジェクトとして民間事業者を公募する運びとなり、大いに期待をいたしましたが、残念ながらコロナ禍ということもあり、希望する企業がありませんでした。しかしながら、どの地域であっても、自分の地域の公園は魅力あふれる公園であってほしいと願うのが都民の思いであります。
 そこで、都がパークマネジメントマスタープランに掲げる民間活力の導入により、都立公園の魅力をさらに高め、東京の活性化に寄与するという目標を達成するため、民間との連携をさらに推進していくべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、板橋市場について質問します。
 板橋市場の周りには、UR団地の再生を予定している高島平団地や、国交省の事業、かわまちづくりに指定された新河岸、舟渡地域など、まちづくりに向けた機運が高まっている地域が隣接をしております。
 私はかねてより、板橋市場が城北地区における生鮮品等の物流拠点としての役割を発揮できるよう機能充実を求めてきましたが、今後は地域のまちづくりの機運を捉えて、地域の方々にとってもメリットが感じられるような市場経営を進めるべきです。
 そこで、板橋市場の基本構想を作成するに当たり、地域と一体となってまちの魅力向上につながる取組を検討すべきと考えますが、都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) かまた悦子議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、グリーフケアについてのご質問がございました。
 流産や死産などで子供を失うという体験は、家族にとって耐え難く悲しい出来事であり、心情に寄り添った丁寧なケアが必要でございます。
 都は、保健師や同じ体験をした方などによる電話相談を実施いたしまして、様々な悩みに対応するとともに、必要な支援等の情報を提供しております。また、妊産婦への支援を担う区市町村の職員などを対象にしまして、遺族への適切な支援等についての研修を行い、知識と技術の向上を図っております。
 妊娠や出産に係る支援に当たりましては、かけがえのない子供さんを亡くされた方にも十分配慮しまして、区市町村と連携しながら、それぞれの事情に寄り添った支援をきめ細かく実施をしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、チャレンジスクールの拡充についてでございますが、チャレンジスクールにおける入学者選抜の応募倍率は依然として高い状況にあり、都教育委員会は令和七年度、立川市に多摩地域初となるチャレンジスクールの開校を予定しております。
 立川地区チャレンジスクールでは、基礎、基本を重視したきめ細かい学習指導や、生徒のニーズに応える幅広い選択科目の設置に加え、将来、社会で自立する意欲を育むため、福祉施設や保育所と連携した就業体験やボランティア活動なども行うこととしています。
 来年度には開設準備室を設置し、具体的な教育課程の編成など、着実に準備を進めてまいります。
 次に、チャレンジスクールにおける生徒への支援についてでございますが、チャレンジスクールでは、スクールカウンセラーを週二日配置し、教育相談機能の充実を図るとともに、ユースソーシャルワーカー等から成る自立支援チームを派遣し、福祉的な支援や就労に向けた支援を行っています。
 また、精神科医を学校医として任用し、心理面で不安や悩みを抱える生徒に対して医学的な知見に基づいた助言を行うなど、重層的な支援体制を整備しています。
 今後、経験豊富なユースソーシャルワーカーを増員し、対応力を強化するなど、生徒の目線に立った支援の充実に努めてまいります。
 次に、障害のある都立学校生への就労支援でございますが、都教育委員会は、都立特別支援学校高等部において、生徒の障害特性に応じて就労に必要となる能力を伸長させた上で、就職から職場定着までを支援するなど職業教育の充実に取り組んでいます。
 今後は、都立高校においても発達障害等により困難を抱える生徒の就労に向け、必要となるビジネスマナーや具体的な就労スキルなどを身につけさせるとともに、障害特性に応じたインターンシップや就労先の開拓、就職後に職場定着するまでを一体的に支援するなどの就労支援事業を実施いたします。
 こうした取組を通じ、都立学校に在籍する障害のある生徒の就労を支援してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 都立公園における官民連携の推進についてでございますが、都立公園に新たなにぎわいを創出し、魅力や価値を高めるために民間の力を活用することは効果的でございます。
 都は、緑とオープンスペースがもたらす公園の本来機能を確保しつつ、利用者ニーズや採算性等を踏まえ、官民連携を推進し、浮間公園などでカフェ等を設置し、新たな魅力を創出いたしました。
 また、現在、パークPFI制度により明治公園などの整備を進めており、日比谷公園大音楽堂においても、さらなるにぎわい創出を目指し、再整備を進めていきます。
 今後も民間のアイデアやノウハウを生かす官民連携の取組をさらに進め、都立公園の魅力を向上させてまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) ファミリーアテンダントについてでございますが、コロナ禍の影響等により、子育て家庭の感じる孤独や不安が増す中、子育て家庭とつながり、日常的な不安や悩みに寄り添い支援していくことは重要でございます。
 このため、都は来年度より、地域の民間団体等の人材を活用し、アウトリーチ型支援を行うファミリーアテンダント事業に取り組む区市町村に対する補助制度を創設いたします。
 また、その担い手となる人材の質を確保するため、相談内容に応じた傾聴スキルを習得するための実践的な研修を都が企画、実施し、区市町村の取組を人材面からサポートいたします。
 これらを通じまして、区市町村の地域特性を生かしながら事業の実効性を高め、都内全域への展開につなげてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) グリーフケアに取り組む企業への支援についてのご質問にお答えいたします。
 出産を望みながら、それがかなわない女性を支える職場づくりは重要でございます。
 都では、不育症や不妊症の治療を行う社員のため休暇制度の導入を図る会社に奨励金を支給しております。また、それらの治療に係る基礎知識や労務管理のポイント等を学べる研修を経営者や人事担当者に行ってまいりました。
 こうした中、流産や死産を経験した方の心身の負担を和らげるサポートであるグリーフケアへのニーズは高まっております。
 今後は、経営者等への研修の中で、グリーフケアに向けた職場の配慮や休暇制度の仕組みのほか、柔軟な勤務方法の重要性について、きめ細かい説明を行います。これにより、職場でのグリーフケアを後押ししてまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、「東京くらし防災」についてでございますが、災害から自分や家族、地域を守るためには、一人一人の日頃からの備えや地域での助け合いが重要でございます。
 このため、都は、「東京防災」に加え、女性ならではの視点を生かした「東京くらし防災」により、日常の暮らしの中で災害に備えられるよう普及啓発を行ってまいりました。
 「東京くらし防災」の発行から約五年がたち、社会情勢の変化や頻発する風水害、新型コロナの流行など、新たな災害も経験してまいりました。この間得られた知見や被災者の声を踏まえ、女性の視点に加え、高齢者や障害者など、より多様な視点から命を守るための情報を充実させてまいります。
 きめ細かな普及啓発を行い、自助、共助の意識を高めてまいります。
 次に、災害時のトイレ確保に向けた取組についてでございますが、大規模地震発生時には被災者用のトイレが不足するため、家庭の備蓄を促すだけではなく、行政の側での確保も重要でございます。
 このため、都は、先般公表した東京都地域防災計画の修正素案において、二〇三〇年度までの目標として、災害時のトイレ空白エリアの解消を掲げたところでございます。
 災害時のトイレは、簡易型、マンホール型、自己処理型など、種類によって確保できる数量や処理能力等が大きく異なります。
 このため、今後は区市町村等と連携し、各トイレの配備状況等の把握に努め、様々な種類のトイレを組み合わせ、必要数の確保に取り組んでまいります。
 こうした取組によりまして、災害時の生活環境の確保を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長河内豊君登壇〕

○中央卸売市場長(河内豊君) 板橋市場における地域連携の取組についてでございますが、中央卸売市場は、生鮮品等の安定的供給という役割に加え、市場が持つにぎわいや活気等の魅力に触れる機会を提供いたしまして、卸売市場に対する理解を深め、豊かな食文化を発信するなど、地域社会に貢献する役割を果たすことが重要でございます。
 これまで板橋市場では、市場まつりの開催や地元の小学生等を対象とした社会科見学の受入れなど、地域の方々と一体となった取組を行ってまいりました。
 来年度予定しております基本構想の策定に当たりましては、野菜や果物に対する知識を育む食育活動や、切り花の魅力を引き出すフラワーアレンジメント教室の開催など、他の市場で好評であった事例も参考にしながら、地域社会との交流をさらに充実させる観点から取り組んでまいります。

○議長(三宅しげき君) 五十四番須山たかし君
   〔五十四番須山たかし君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十四番(須山たかし君) ウクライナ侵攻から一年ということでございます。一日も早い平和の回復を願うとともに、平和や人権というものは、やはり政治がつくっていくこと、そのことを強く決意を改めまして、質問に入らせていただきます。
 「未来の東京」戦略二〇二三などを見ると、東京都として多摩振興に力を入れようとしているように見受けられました。
 多摩地域に育ち、暮らしている一都民としても、また、多摩地域選出の議員としても期待をすることですし、例えばラジオでも、今年になって多摩を盛り上げる、そういった番組ができたりと、多摩地域の活性化がだんだんと進んできているのかなと感じております。
 知事の施政方針でも多摩振興に触れていただいていましたし、各会派の代表質問、一般質問でも多くの方が取り上げられておりました。
 そこでまず、改めて多摩地域の振興に向けた知事の基本姿勢を伺います。
 昨年十月に、東京たま未来メッセが八王子にできました。地元の皆様にも様々ご活用いただいておりますし、産業交流拠点として、MICEの開催拠点として、とてもいい施設ができました。
 先日も東京都MICEシンポジウム二〇二三が開催され、早稲田大学リサーチイノベーションセンターの稲田修一教授や慶應義塾大学メディアデザイン研究科、南澤孝太教授などが講演をされて、コロナ禍やDXを踏まえ、デジタル技術やメタバースを活用することにより、MICEの誘致活動を進めていくことの重要性をお話しされておりました。
 中核となる拠点としてのたま未来メッセと、それをより一層活用するための技術の活用はとても重要だと考えますが、MICE誘致活動において、デジタル技術やメタバースを活用し、どのように進めていくのかをお聞きします。
 現在、八王子市と立川市が多摩ビジネスイベンツ重点支援エリアとして指定されております。その中で、観光財団や東京都から様々なご支援をいただいております。この指定が二〇二五年度までとなっておりますが、地元からはその後どうなるのかといった声が聞かれました。
 多摩振興において、大切な拠点として動き出しているエリアですので、今後とも力を入れていただきたいと考えておりますが、所見を伺います。
 婚活について、施政方針でも挙げられたように、婚活が目玉政策の一つと見受けられました。
 結婚したい人が結婚できる環境をつくることはとても大切なことだと考えますが、一方で行政が個人の結婚や出産等にどこまで口を出すのかとも思ってしまいます。そもそも結婚をしたい人にとっては、マッチングが必要なのではなく、収入や将来への不安が課題として挙げられるのではないでしょうか。
 例えば、内閣府の調査でも、結婚しない理由の一位は適当な相手に巡り会わないからとなっておりますが、その具体的な対策に関しては、男女ともに雇用対策をもって安定した雇用機会を提供するが最も大きく挙げられており、次いで、男性では賃金を上げて安定した家計を営めるよう支援する、女性では夫婦がともに働き続けられるような職場環境の充実が挙げられております。
 今回、マッチング事業に約九千万円という額が予算では計上されておりますが、これで課題が解決できるのかという声も聞こえております。
 そこで、結婚支援マッチング事業の考え方と狙いについて伺います。
 とはいえ、少子化対策で婚活事業を行うということは、現行の法制度の中では一定の理解はできます。また、東京都の少子化対策は様々行っていただいていることは、我が会派の代表質問での答弁でもあったとおりですし、そこに関しては評価をいたします。
 少子化の課題として結婚が挙げられるのであれば、私は婚外子等の問題の解決も必要になってくると考えます。
 よくフランスでは、婚外子を認めて少子化対策につながったといわれておりますが、家族というものをより広く捉えていくことが東京都として取る施策として求められるのではないでしょうか。
 そこでまず、例えば昨年制定されたパートナーシップ宣誓制度について、子供の視点を踏まえ、ファミリーシップも明確に入れ込む必要があると考えますが、所見を伺います。
 チルドレンファースト、人権について伺います。
 二〇二〇東京大会には、たくさんのレガシーがあるといわれております。その中で、私は東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例、いわゆる人権尊重条例こそが東京大会のレガシーであると考えます。
 オリ・パラに関しては、私はコロナ禍での開催をするべきではないという立場でありました。しかし、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章における人権意識の下、性的マイノリティーや外国人にも触れたこの条例を東京都が制定をしたということは、非常に意味のあることだと考えますし、我々が求めてきたパートナーシップ制度の実現にもつながりました。
 そこでまず、この条例の重みに関して、改めて知事の所見を伺います。
 未来への投資、チルドレンファーストとして様々な施策を展開していることは評価いたします。
 未来を担う大切な子供たちを社会で育てるという考え方は、旧民主党時代に子供手当に言及したとおり、私たちはあのときから訴えてまいりました。それから十年余りたって、格差や貧困が広がる中で、当時はばらまきと批判してこられた方々までが必要に迫られるようになってしまったこの国の状況を考えると、複雑な心境にならざるを得ません。
 さて、チルドレンファーストを掲げる上でやはり重要なのは東京都こども基本条例だと考えます。
 子供を権利の主体として位置づけ、子どもの権利条約の子供に対するあらゆる差別の禁止、子供の最善の利益の確保、生命、生存、発達への権利及び子供の意見の尊重を理念としている条例を議員提出条例として都議会が全会一致で可決したことは、前期の皆様には本当に敬意を表します。
 このこども基本条例を基に、朝鮮学校の補助金の復活を求めた動きがあります。
 この間、一年近く学習会などを行ってきて、何とか補助金の復活が認められないかと様々な方々が活動を続けてきました。私の地元八王子だけでなく、いろいろな地域でも学習会が開かれ、昨年末に都議会で行われた会では、ほぼ全会派の皆さんが集まりました。
 私立外国人学校教育運営費補助金は九五年から始まり、対象は当時で二十七校、うち十校が朝鮮学校で、補助金は交付をされておりました。しかし、二〇一〇年に、政治的、外交的な理由で朝鮮学校だけが突然不交付とされました。
 この間、様々な方が補助金の復活を求めてきましたし、何も朝鮮学校を優遇しろといっているのではなく、ほかの外国人学校と同等に扱ってほしいという願いはよく理解ができます。私は、この朝鮮学校だけが不交付である状況は差別だと考えます。
 二月十日には、補助金復活を求めて市民団体の方たちが東京都に要望書を出しに参りました。そこでは丁寧に対応していただいたと伺っております。
 要望書の提出の後には集会が開かれ、そこに当事者である朝鮮学校の生徒たちも来ており、本人たちの生の声を聞かせてもらいました。その声は知事に届いているんでしょうか。
 日本で生まれ、日本で育ち、暮らしてきた、その上で自分のルーツを知るために民族教育を受けたいという思いは当然のことだと考えます。しかし、様々な理由でそれがかなわず、だんだんと生徒が減ってきてしまっている状況を何とかしたいという活動をすることは、人として当然のことであります。
 二〇一九年の決算特別委員会で、私たちの会派の中村議員が知事に外国人学校の補助金がないことを質問したところ、知事は、都民の理解が得られないと判断し、不交付としていると答弁をしました。
 私は、人権の問題では多数派が正しいとか、そういったものではないと考えております。当事者がどうであるのか、不利益を被っていないか、都民の理解を得るために動くことこそが行政の役割だと考えます。
 もう一つ、これは政治家として訴えたいのですが、十年、二十年がたち、子供たちが成長し、大人になったとき、あのとき東京都はちゃんと私たちのことを考えてくれた、人権を守ってくれた、そんな思いを持つ未来の大人が増えれば、紛争などは起きないのではないでしょうか。これこそが私は未来への投資であり、政治の役割にほかならないと考えます。
 そうしたことを踏まえて、冒頭にお聞きをしました人権尊重条例、そして、こども基本条例では、あらゆる差別をしないという理念の下に条例が成り立っておりますが、ここに照らしたときに、また、未来への投資、チルドレンファーストを打ち出す東京都として、朝鮮学校への補助金の不交付を続けることにそごはないのでしょうか。見解を伺います。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 須山たかし議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩地域の振興についてのお尋ねがございました。
 多摩地域は、緑豊かな自然、企業や大学の集積など、多様な魅力とポテンシャルにあふれたエリアでございます。
 都は、こうした多摩地域のさらなる発展に向けまして、今年度、体験型英語学習施設や産業交流の拠点を開設したほか、多摩南北方向の道路等の交通インフラを整備するなど、新しい多摩の振興プランに掲げた取組を進めております。
 今後とも、多摩地域が輝く取組を展開いたしまして、その魅力に磨きをかけ、多摩地域の持続的な発展を目指してまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長から答弁いたします。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、デジタル技術等によるMICE誘致についてでございますが、東京にMICEを誘致する上で、デジタル技術の活用を図ることは効果的でございます。
 このため、都は、MICE誘致のため、リモートと対面を併用した国際会議等の開催への助成を行っております。
 来年度は、メタバース空間を立ち上げ、都内の会議場の紹介を行います。
 これらによりまして、東京の観光振興を進めてまいります。
 次に、多摩地域へのMICE誘致についてでございますが、東京の観光振興に向け、多摩地域でのMICE開催を増やすことは重要でございます。
 このため、都は、会議場等が確保できるエリアを重点的に支援し、イベントを開催し、MICEの受入れ体制づくりに結びつけております。
 今後とも、こうした取組によりましてMICE誘致を進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、結婚支援事業についてでございますが、結婚を希望していながら婚活に一歩を踏み出せない人たちに対しましては、様々な取組により後押しが必要でございます。
 都は来年度、AIによるマッチングや都有施設等を活用した出会いの機会の創出、ウェブによる個別相談を実施いたします。
 こうした事業を総合的に実施し、社会全体の結婚機運を醸成してまいります。
 次に、朝鮮学校に対する外国人学校教育運営費補助金の交付についてでございますが、施策の実施に当たりましては、東京都こども基本条例等の理念と施策の性質を踏まえて判断するものと考えております。
 朝鮮学校の運営等の実態を確認するため、平成二十三年十二月から平成二十五年十月にかけて実施をした調査結果や、その後の状況などを総合的に勘案いたしまして、朝鮮学校に外国人学校教育運営費補助金を交付することは、都民の理解が得られないと判断しております。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パートナーシップ宣誓制度についてでございますが、本制度では、届出者に子供がいる場合、受理証明書の特記事項欄に子供の名前を記載できることとしてございます。
 これによりまして、病院の付添時などに、子供とその親のパートナーとの関係を説明しやすくなるなど、子供に関する困り事の軽減を図れるものと考えております。
 引き続き、制度の周知や啓発に取り組んでまいります。
 次に、人権尊重条例についてでございますが、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念を広く浸透させていく上で、全ての都民が個人として尊重されることが重要でございます。
 こうしたことから、都は、平成三十年に人権尊重条例を制定し、人権施策の充実を図ってまいりました。
 今後とも、条例に基づく取組を着実に進めてまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 十二番平けいしょう君
   〔十二番平けいしょう君登壇〕

○十二番(平けいしょう君) 千代田区は、首都のど真ん中でビル群が存在する一方、風情あふれたまち並みが広がっています。
 皇居を中心として、古書店街や、伝統文化とアニメなどの現代文化が融合する神田地区、大学や高校が多く、外堀や城壁跡など江戸の歴史も感じながら大規模な再開発が進む飯田橋地区、歴史あるお屋敷が立ち並んでいた閑静な住宅街の番町地区、同じ千代田区内でも多様な特色がありながら、粋な人々によって、町会や祭礼など、歴史と伝統が守られています。
 その千代田に存在する都立日比谷公園も、多くの人々に愛され、守られてきた歴史ある場所です。日比谷公園の大音楽堂について、再整備に着手するとの知事の施政方針表明がありました。大音楽堂は、開設から百年を迎え、様々なポップカルチャーの舞台として全国的に知名度が高く、観光や経済の活性化につながる可能性のある施設です。
 日比谷公園大音楽堂について、歴史や伝統を守りつつ、時代のニーズに応えながら、この先も多くの人々から愛される施設とすべく、再整備を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 日比谷公園内には、かつて飼い主のいない猫が約八十匹存在していましたが、ちよだニャンとなる会によって、昨年一月に、最後の猫三頭が保護され、現在はゼロとなりました。
 この三頭のうち、一頭は三か月後に譲渡、もう一頭は、がんが見つかり、闘病の末に同年十一月にみとられ、もう一頭は、会で保有する秋葉原のシェルターで余生を過ごしています。
 知事が殺処分ゼロを公約に掲げ、平成二十八年に犬、平成三十年度に猫の殺処分ゼロを実現し、今なおゼロを継続していることに称賛の声が広がっています。殺処分ゼロの継続には、地域に根差して動物の引取り、譲渡を行っている方々の献身的な動きと、その方々を支える都の施策が重要です。
 都が令和二年度から実施する地域における動物の相談支援体制の整備事業は、各区市のボランティア団体の後押しとなり、飼育継続困難、多頭飼育崩壊、負傷猫の保護、譲渡につながったと聞いています。
 しかし、昨年度、この事業が三区にとどまっていると知り、私は予算特別委員会において、多くの区市町村が事業を活用できるよう取り組むことを都へ要望いたしました。
 その結果、今年度実施している自治体は十三区市と大幅に増えましたが、本事業が多くの区市町村で活用されるよう、さらに取組を進めるべきと考えますが、知事の見解、都の見解を伺います。
 コロナ禍、ロシアのウクライナへの侵攻、円安による消費者物価の高騰は、ボランティアの方々も直撃しました。ペットフードが一〇から二〇%値上げするほか、飼育ケージ、ペットシーツ等の消耗品も価格が上がっています。また、シェルターの家賃や光熱費、輸送費、医療費など、引き取った動物を譲渡するまでにボランティアが負担する経費は多岐にわたります。
 そこで、動物の引取り譲渡に貢献しているボランティア団体の負担を軽減すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、来年度、前年を上回る十三億円の予算案を計上、結婚支援の施策を充実させ、出会いのきっかけをつくる交流イベント等を予定しています。
 交流イベントでは、美術館やスポーツ施設、水上バスなど、都の資産を活用することで、よりイベントの魅力が高まり、結婚に踏み出せない人が一歩を踏み出すことにつながると考えます。知事の見解を伺います。
 昨年、都民、国民が歓喜に沸いたスポーツの祭典がありました。それは、ブラボーの言葉とともに喜びを分かち合い、日本が一つになったサッカーワールドカップ。選手の活躍は、多くの子供たちに勇気と感動を与え、子供たちが未来に希望を持ちながら、豊かで健康な人生を送るためのメッセージとなりました。
 都の調査によると、スポーツへの関心が高まるのに比例し、スポーツを週に一回以上行う十八歳以上の大人は、平成十九年の三九・二%から令和四年の六五・九%へと上昇傾向にあります。
 その一方で、これからの社会を担う子供たちの状況に目を向けると、スポーツ庁の調査によれば、小中学生は男女とも体力の数値低下が見受けられます。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、運動時間の減少やスクリーンタイムの増加が原因として挙げられます。
 こうした中、子供たちがスポーツを身近に感じられる環境を整えていくことは重要と考えます。
 次世代を担う子供たちがスポーツに親しみ、健やかに成長できるよう、子供たちのためのスポーツ施策を展開していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 都教育委員会は、科学的トレーニングを取り入れながら競技力を高めるため、都立高校の五十六部の部活動をスポーツサイエンスプロモーションクラブに指定して強化を図り、関東大会や全国大会等への出場機会を得ています。
 現在、指定している五十六部のうち、二十四部にアスレチックトレーナーなどスペシャリストを派遣して指導していると伺いました。
 さらに生徒の競技力を高めていくためには、指定する部活動の支援を充実させていくべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 兵庫県生まれの小池知事、私も同じ兵庫県で生まれ育ちましたが、東京の魅力に引かれ、十四歳のときに夢を抱き、情熱を持って、一人で東京へ上京いたしました。その経験から、頑張る子供たちを応援したいと強く思っています。
 情熱をかけてスポーツに取り組み、日の丸を背負い、世界大会へと出場を果たす部活動も存在します。
 関東第一高校のチアリーディング部は、本年二月三日から五日にアメリカのフロリダ州にて行われた世界大会へ日本代表として出場、見事優勝しました。こうした機会は、生徒の将来にとって大変貴重な経験ができる場であり、グローバル化が進む現代で、世界に羽ばたき活躍する人材の育成に重要であると考えます。
 しかし、努力の末、世界大会への切符を手にしても、家庭の経済状況によっては世界の舞台に立てない可能性もあります。所得階層によらず、あらゆる家庭の子供が夢や希望を持って活動を行えるよう、都には後押しをしていただきたいと思います。
 そこで、生徒に貴重な海外経験を提供する取組を行っている私立学校に対しては相応の支援が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、子供からシニアまで、あらゆる世代と文化が融合するまち、秋葉原と神田の客引き行為等防止パトロールについてです。
 安全で安心なまちをつくるために、秋葉原駅周辺及び神田駅周辺では、毎月、地域の皆さん、事業者、樋口千代田区長や万世橋警察署長をはじめ、多くの署員の皆さんが熱心にパトロールに取り組まれています。その結果、客引き行為は一時期より減少傾向にあります。
 私も参加させていただいておりますが、寒さが厳しい夜も、雨の降る夜もパトロールを続け、尽力される皆さんの姿に感動し、ここで手を緩めてはならぬと強く感じています。
 安心・安全で快適なまちの実現を目指し、客引きや迷惑行為の問題解決に向けて、組織が幅広く連帯、連携をしながら、社会を挙げた取組を粘り強く継続していくべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。
 多くの中小企業が集まる千代田、次に、中小企業の事業承継について伺います。
 ガソリン車から電気自動車への転換をはじめとして、技術革新の大きな流れの中で、中小企業が持続的な成長を続けていくには、新たな事業展開に挑戦していくことが必要です。
 しかし、経営資源に限りのある中小企業が、今ある技術がどのような分野で活用できるのか、また、情報が不足していることや、それを支える人材の確保が難しいことなどの理由によって、なかなか進まないのが現状です。
 その結果、後継者の不在や取引先の減少などから、自分の代で会社を閉じてしまう企業もあります。
 私も父が事業を展開しており、兄二人も私も事業を継承せず、私の弟が引き継いだ経験があるため、中小企業の存続の大変さはよく理解をしています。
 中小企業が長い年月をかけて培ってきた高い技術力は、一度失われたら戻すことが難しく、事業を着実に承継し、技術という武器を生かして、さらなる発展を目指すためには、行政がしっかりとサポートしていく必要があります。
 そこで、優れた技術を途切れさせることなく、より一層磨きをかけて、新たな事業分野への展開を図り、円滑な承継を目指す中小企業の取組を後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、グリーントランスフォーメーションについて伺います。
 今月閣議決定された国のGX実現に向けた基本方針では、今後十年間で百五十兆円の官民投資が必要とされています。
 脱炭素目標の実現に向けた膨大な投資を財政資金だけで賄うことは困難であり、民間資金をうまく引き出しながら取組を進めていくことが重要です。
 都はこれまでも、再生可能エネルギーの導入拡大などの政策課題の解決に官民連携ファンドの手法を活用してきた実績があります。
 さらに、来年度予算案に新たに盛り込まれた創エネ・蓄エネ推進ファンドは、都が全体の四〇%を占める二十億円を出資し、GXをこれまで以上に後押しする上で重要な施策となり得ます。
 蓄電池という新しい分野への民間投資を促進し、脱炭素社会の実現をさらに加速させていくためにも、ファンドの設置目的に照らした実効性の担保に留意して事業を進めていくことが重要と考えますが、最後に宮坂副知事の見解を伺いまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 平けいしょう議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、日比谷公園大音楽堂の再整備についてであります。
 日比谷公園大音楽堂、いわゆる野音でございますが、大正十二年に開設、今年で百年を迎えます。都内で唯一の屋外にある大規模な音楽堂となっております。
 日比谷公園の豊かな緑に囲まれた自由で開放的な空間が野音の大きな魅力で、これまで幅広いジャンルの音楽において、数々の伝説的なコンサートが行われてまいりました。
 こうした魅力と歴史を継承しながら、これからの百年にふさわしい野音へと、民間の知恵も取り入れながらリニューアルしてまいります。
 音楽の殿堂として歴史を刻んできた野音をこれからも都民やアーティストから愛される文化の発信拠点として再生、新たな歴史を生み出してまいります。
 結婚支援についてであります。
 都は、ポータルサイト、TOKYOふたりSTORYでの情報提供やオリジナル婚姻届の配布など、結婚を希望する方を支援してまいりました。
 現在、都の出生数は戦後最低となっておりまして、少子化問題は待ったなしです。その一因に婚姻数の減少があるため、これまでにない大胆な政策展開をすることといたしました。
 来年度、AIによるマッチングや交流イベントによる出会いの機会の創出など、トータルな支援を開始いたします。
 美術鑑賞ツアーやスポーツ体験、クルージングなど、参加者同士が趣味を通じて交流できるイベントを、都の施設の魅力を最大限活用しながら開催してまいります。
 これらを通じて、より一層の結婚機運の醸成を図り、結婚を希望する方がその一歩を踏み出せるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、子供のためのスポーツ施策の展開につきまして、スポーツを通じて多くを学び、生涯にわたって健康で過ごすことができるよう、子供がスポーツに取り組む習慣を身につけることは重要です。
 東京で大規模な国際大会が開催される二〇二五年には、子供たちが世界から集うアスリートのパフォーマンスを目の当たりにし、夢と希望に触れ、学び、成長する機会が訪れます。
 先般公表しましたビジョン二〇二五では、子供たちが夢を見るを柱の一つにして、大会に合わせて競技観戦や競技体験など、スポーツのすばらしさを感じられる機会を提供します。
 また、子供たちになじみのある自転車のイベントGRAND CYCLE TOKYO等におきまして、スポーツの楽しさを体験できる場を創出してまいります。
 これらをはじめ、明日をつくる子供のための施策を積極的に推し進め、スポーツの力で子供が輝く、笑顔にあふれた社会を実現してまいります。
 最後に、私立学校が行う海外交流等の支援についてであります。
 将来を担う国際感覚豊かな人材の育成のためには、建学の精神に基づく特色ある教育を行っている私立学校の役割は重要です。
 都ではこれまでも、グローバル人材の育成という観点から、私立高校における生徒の海外留学や教員の海外派遣、外国語指導助手の活用など学校の取組に対して、様々な支援を行ってまいりました。
 グローバル化が進む中では、海外交流、海外留学、これを一層促進しまして、異文化体験の機会を創出することが重要です。
 そのため、世界で活躍できる人材を東京から輩出できますよう、各私立学校のニーズや取組を幅広く調査し、支援策をしっかり検討をいたします。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 創エネ・蓄エネ推進ファンドについてでございますが、世界では、グリーントランスフォーメーション、GXに向けた投資競争が激化しており、その成否は企業のみならず都市の競争力にも直結します。
 また、ウクライナ情勢などを契機に、エネルギー安全保障の問題が再認識されています。脱炭素化とエネルギーの安定確保の両立には、再エネの導入拡大が重要であり、そのためには、電力系統の安定化に資する蓄電池設備等への投資を加速させていくことが不可欠です。
 そこで、来年度、都が二十億円を出資して官民連携ファンドを創設し、蓄電池ビジネスのファイナンスモデルの確立を目指してまいります。
 ファンドの組成に当たっては、投資や会計等の専門家による審査を行い、政策目的に合致する運営事業者を選定します。
 こうした取組により、脱炭素社会へのシフトを金融の力で一層加速させてまいります。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 安心・安全で快適なまちの実現に向けた取組についてでありますが、警視庁では健全な盛り場環境の維持に向け、各地域の状況に応じ、盛り場環境を害する犯罪の取締りや関係機関等と連携した諸対策を推進しているところであります。
 こうした中、ご指摘の秋葉原地区においては、メイド姿の女性による執拗な客引きやメイドカフェを仮装した違法風俗店等の取締りに加え、千代田区や地域住民、地元飲食店等事業者と連携した合同パトロール、広報啓発活動等を実施した結果、違法な客引きが大幅に減少するなど、一定の成果が見られたところであります。
 当庁では、盛り場の環境浄化に向けた取組をより一層推進してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 都立高校におけるスポーツサイエンスプロモーションクラブについてでございますが、都教育委員会は、スポーツサイエンスプロモーションクラブに指定した部活動に対し、専門家の配置や練習環境の整備など、科学的なトレーニングが充実するよう支援するとともに、大会等への遠征費の補助を行っております。
 生徒からは、管理栄養士の指導で体調管理の在り方を学んだ、ボールの回転数を分析するマシンを使うことで、より早く投球できるようになったなどの声が寄せられています。
 今後は、フィジカルトレーナーやスポーツ心理士などの配置を今年度の二十四部から五十六部の部活動に拡充して、生徒のさらなる競技力向上を図ってまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域における動物の相談支援体制整備事業についてでございます。
 都は令和二年度から、ボランティア団体等と連携して、地域で動物に係る問題を解決する仕組みを構築する区市町村を支援しております。
 今年度は、この事業に取り組んでいる自治体の具体的な事例を紹介するリーフレットを作成し、区市町村に改めて周知するとともに、個別にきめ細かく助言するなど働きかけた結果、事業を実施する自治体数は、昨年度の三から十三に拡大をしております。
 今後、未実施の区市町村にヒアリングを行い、事業の活用を積極的に促すなど、より多くの区市町村が動物の相談支援体制を構築できるよう取り組んでまいります。
 続いて、動物愛護ボランティア団体への支援についてでございます。
 人と動物との調和の取れた共生社会を実現するには、区市町村やボランティアなど多くの関係者が互いに連携協力して取り組んでいく必要がございます。
 このため、都は、動物の飼養が困難となった飼い主への助言や、地域住民を主体とした飼い主のいない猫対策などの取組をボランティアと協力して行う区市町村を包括補助で支援をしております。
 今後、区市町村を通じ、ボランティア団体の活動内容や課題のほか、譲渡会の経費や保護した動物の医療費などの状況を把握し、ボランティア団体の負担軽減に向けた支援策を検討してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 事業承継に向けた効果的な支援についてのご質問にお答えいたします。
 中小企業が新たな事業展開を進めることで、これを円滑な事業承継に結びつけることは重要でございます。
 都は、地域の経済団体と連携し、都内に拠点を設け、経営相談や現場への専門家派遣により助言を行い、事業承継を後押ししてまいりました。
 来年度は、事業承継をスムーズに進めるため、新たな事業分野への進出に取り組む会社に対し、必要な技術の転用や設備の導入に向けた支援を開始いたします。
 具体的には、経済団体の協力の下、区部と多摩に拠点を増やし、これらを通じ技術開発や設備投資への助成を行います。
 また、経営や技術の面で高度な知識と経験を持つ人材の確保もサポートいたします。
 これらによりまして、事業承継を支援してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 二十三番星大輔君
   〔二十三番星大輔君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十三番(星大輔君) 初めに、緊急一時避難施設のさらなる確保について伺います。
 昨年、第二回定例会の私の一般質問において、ミサイル攻撃等が行われ、この都庁舎の機能が損なわれた場合のバックアップ体制を構築していくことが必要という質問に対し、知事は、立川地域防災センターを代替施設として活用し、オープンフロア化などの大規模な修繕や通信システムの稼働確認などを行う訓練を継続して行っていくと答弁をいたしました。
 先日もEEZ内の中に弾道ミサイルが飛来するなど、脅威が高まっています。都内では、高層ビル、高層マンション等が多く立ち並んでいますが、一方で、多摩地域では、駅前にはビル等が立ち並んでいるものの、少し離れるとベッドタウンとして住宅街が占め、さらに里山の風景、緑豊かな公園や農地が広がっています。
 そのため、昨年、第三回定例会の我が会派の代表質問において、緊急一時避難施設は、地下施設だけでなく、鉄筋コンクリート造りの堅牢な建物にも指定可能であり、今後、地下施設に限らず、堅牢な建物を積極的に指定していくことが必要であると申し上げました。
 そこで、今後、緊急一時避難施設の確保について、具体的にどのように取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 昨年のブラボーなサッカーワールドカップで、日本代表チームが世界の強豪国を次々に打ち破り、日本中に歓喜の渦を巻き起こしたことは記憶に新しいところです。日本の将来を担う子供たちにも大きな感動と希望を与え、スポーツのすばらしさを、その力を再認識しました。
 東京にはサッカーJリーグだけでなく、多くのプロスポーツリーグが存在し、様々なプロスポーツチームが活動しています。地域貢献活動にも積極的に取り組んでいるチームが多くあります。子供たちにとっても、競技を始めたい、スポーツ選手になりたいといった夢や希望を描くきっかけとして、プロスポーツの迫力、アスリートの一流なプレーをテレビ越しだけでなく、目の前で体感することが大変に重要だと考えます。
 次代を担う子供たちが将来に希望を持ち、夢を描けるように、東京を拠点とする多くのプロスポーツチームと連携して、こうした取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、身近なスポーツ施設についてです。
 東京二〇二〇大会を契機に、都内ではスポーツ施設の整備が進み、公式競技の舞台となる施設は飛躍的に増えたと思います。一方で、都民が日常的にスポーツに親しめる場については、多くの公園でボール遊びが禁止されているなど、必ずしも増えたとはいえないようにも思います。
 もちろん公園は様々な方が利用される場なので、制限があるのは理解できますが、例えば公園内にボールを使ったスポーツができる場所を区切って新たにつくるなど、子供たちや保護者の方が一緒にスポーツを楽しめる場所がもっと身近にたくさんあればという思いを持っています。
 私自身、子供の頃からの夢、Jリーグの選手となりました。その原点は、身近な場所でサッカーに親しむ環境に恵まれていたことでありますので、その経験からも強く思っているところです。
 また、二〇二五年に開催を控えているデフリンピック大会に向け、市区町村施設のユニバーサルデザイン化を推進するとともに、また、大会に参加するアスリートはもちろん、日常的にスポーツに親しむ障害者の方々にとっても重要だと考えます。
 誰もがスポーツを楽しめる場所が身近なところにあることが重要であり、ひいてはスポーツの実施率の向上につながるのではないでしょうか。
 都はこれまでも、市区町村によるスポーツの場の整備に対し支援を行ってきましたが、障害の有無にかかわらず、誰もが身近にスポーツに親しめる場をつくり、スポーツ実施率を高めていくためには、さらに支援を強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年十二月末にスポーツ庁、文化庁は、学校部活動の適正な運営や効率的、効果的な在り方とともに、新たな地域クラブ活動を整備するために必要な対応などの国の考えや、令和五年度から七年度までの三年間を改革推進期間と位置づけることが示されました。
 そこで、中学校の部活動の地域連携や地域移行に向けた都教育委員会の取組を伺います。
 また、東京都では、国の方針を踏まえ、今年度末をめどに総合的なガイドラインと部活動の地域連携、地域移行に関する推進計画を策定すると聞いています。この推進計画の策定に向けた検討の状況についてお伺いをいたします。
 次に、児童相談体制の強化についてお伺いします。
 都は先日、町田市、西多摩、多摩中部の三か所の児童相談所の新設を含む多摩地域の管轄区域見直しの素案を市長会、町村会に提示しました。今後も関係市町村の意見も聞きながら、連携して取り組んでいってほしいと思います。
 一方で、深刻化する児童虐待相談に対応していくためには、児童相談所だけでなく、パートナーである市区町村の子供家庭支援センターも強化していくことが重要でありますが、都としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、東京農産物の学校給食での活用拡大について伺います。
 東京都は、人口一千四百万人を誇る世界有数の大都市であり、巨大な消費地でもあります。
 現在、東京農業は新鮮で安心・安全な農産物を都民に供給するために様々な取組を行っています。特に市区町村の小中学校で実施されている学校給食における都内農産物の活用は、地産地消のみならず、食育の推進、ひいては農産物の消費拡大につながる取組であります。
 しかし、生産、供給側からは、どんな食材が必要なのか、安定的に供給することができない、学校給食側からは、どんな地場産食材があるのか分からないなど、双方に疑念が存在し、学校給食で地場産野菜の活用が思うように進んでいないのが現状です。
 そこで、都は、生産、供給側と学校給食の溝を解消することが必要であり、都市農業の発展のために取り組まなければならないと考えます。東京産の農産物の学校給食における活用を拡大する取組についてお聞かせください。
 次に、消防団への入団の促進について伺います。
 二月六日、トルコ南東部において、マグニチュード七・八の地震が発生しました。その後も何度も余震が発生し、多くの方が犠牲となりました。これは、プレートの境界で発生した直下型地震であり、日本に住む私たちにとっても、決して他人事ではありません。
 また、気候変動の影響により風水害は大規模な被害になることが多く、東京においても、いつ、どんな災害が起こるか分かりません。今こそ、地域住民が主体となって、有事の際に即時に対応できる消防団の重要性がますます高まっています。
 一方で、消防団の数は全国的にも、都内でも減少が続いており、特に市町村においては、消防団員数の確保が大きな課題となっています。消防団が地域の安全を守るため、昼夜を問わずに様々な活動をしていることをもっと多くの都民に知っていただくことが、新たに消防団に入団される方を増やしていくことにつながるのではないかと考えます。
 都は、消防団の役割やその活動をもっと都民にPRし、新たな入団者の確保に努めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 屋外広告物条例について伺います。
 東京都における屋外広告物は、中核市として屋外広告物条例を制定している八王子市を除き、都の条例により都内一律の基準が適用されています。
 そうした中、私の地元町田市では、屋外広告物について独自のガイドラインを策定し、地域特性に応じた景観誘導に取り組んでいます。しかし、ガイドラインには強い強制力がなく、魅力的な景観づくりに結びついていないのが実情です。
 このため、現在、町田市では、生活風景に魅力と豊かさを感じられるまちの実現に向け、市の景観審議会において、今後取るべき景観施策について検討を行っており、その中で、都から条例制定権限の移譲を受け、独自の基準を持った屋外広告物条例を制定することも検討課題の一つとしています。
 こうした取組を行っているのは、今のところ町田市だけのようでありますが、町田市に限った課題ではないと思います。
 そこで、市区町村から屋外広告物条例の制定権限の移譲について相談があった場合、都としてどのように対応をするのか所見を伺います。
 次に、障害者の鉄道割引について伺います。
 障害者の社会参加の促進の観点から、精神障害者もJRや私鉄を利用した際の割引制度が導入されていることが望ましいと考えます。都として、国や事業者に働きかけるべきだと考えますが、見解を伺います。
 また、関東ICカード相互利用協議会は、障害者割引対応の新たなICカードサービスについて、三月十八日に開始することとしています。新たなICカードサービスの対象は、第一種身体障害者、知的障害者の大人の方と障害者本人を介護する任意の一名の方となっており、第二種身体障害者、知的障害者の方はサービス対象外となっています。こちらのサービス拡充についても、都からの働きかけを行っていくことを要望しておきます。
 次に、事業承継等に向けた支援について伺います。
 都内中小企業等には、独自の技術やサービスを持っていても後継者が見つからず、休業や廃業を選択せざるを得なくなるケースもあるとの声を聞きます。こうしたことは、地域経済の活力低下につながる上、東京の産業にとっても大きな損失となってしまいます。
 都では、地域の商工会議所と連携して支援拠点を設置し、中小、小規模企業が事業を円滑に引き継ぐための様々なサポートを行っていますが、原材料価格の高騰、脱炭素化への対応など、企業の経営を取り巻く環境は日々変化をしており、企業がこうした課題を乗り越え、発展を遂げながら次世代に引き継いでいけるよう後押ししていくことが重要です。
 支援拠点について、これまでの事業承継など支援を拡充し、将来に向けた企業の成長をサポートできるよう様々な関係機関と連携しながら取組の強化を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、多摩都市モノレール町田方面延伸についてお聞きします。
 多摩都市モノレール町田方面延伸について、先日、請願が採択されました。本請願は三万名を超える署名が集まったとともに、私も紹介議員として名を連ねたものであります。ぜひともご検討をいただきたいと思います。
 私の一般質問を終了いたします。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 星大輔議員の一般質問にお答えいたします。
 緊急一時避難施設のさらなる確保についてのお尋ねでございました。
 北朝鮮により繰り返されるミサイル発射など、国際情勢が緊迫する中、武力攻撃等の脅威から都民の生命を守ることが都の責務であります。
 都はこれまで、ミサイル攻撃の爆風等からの被害を軽減するため、国や区市町村と連携し、都内の公共施設や商業施設などの民間施設を含め、昨年十二月までに三千九百四十九か所指定をいたしております。
 緊急一時避難施設は堅牢な建築物や地下施設であることが求められ、今後とも、こうした要件を充足する民間施設等の地域ごとの立地条件を踏まえ、さらなる指定に向け、管理者などに協力を呼びかけてまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中学校における部活動の地域連携、地域移行についてでございますが、生徒数や指導者が減少しても部活動の機会を保障するとともに、教員の負担軽減を図ることが重要でございます。
 都教育委員会は本年度、国の方針を受け、中学校長、保護者代表、関係団体の職員等で構成する検討会議を設置し、地域連携や移行に向けた区市町村への支援の在り方等について協議をしてまいりました。
 今後、この協議を踏まえ、都内全ての公立中学校において、地域の実態に応じた部活動の地域連携や移行に向けた取組が推進できるよう、区市町村に対し、部活動指導員の配置に加え、新たに令和五年度から運営団体の設置等を支援してまいります。
 次に、部活動の推進計画についてでございますが、都教育委員会は、部活動の在り方を示したガイドライン策定に向けパブリックコメントを募集しており、本年度末にガイドラインと併せて令和五年度から三年間の推進計画を策定いたします。
 この推進計画には、指導者確保の方法や、クラブチームや民間事業者等との連携の在り方などを示し、区市町村における部活動の円滑な地域連携や地域移行に資するようにしてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、プロスポーツチームとの連携についてでございますが、プロスポーツの観戦や選手との交流は、子供たちがスポーツに憧れを抱き、始めるきっかけとなります。
 都は、都内を拠点とするプロスポーツチーム等と連携し観戦事業を実施しており、今年度は、これまでサッカー等十七件のイベントに子供たちを招待いたしました。
 今後は、連携するチームを増やし、都内の子供たちが観戦できる機会をより多く提供するとともに、選手を講師とした子供向けの競技体験会なども充実を図ります。
 こうした取組を通じて、子供たちが間近にトップレベルのスポーツに触れ、楽しむ機会を幅広く提供してまいります。
 次に、市区町村のスポーツの場の整備支援についてでございますが、スポーツ実施率の向上には、都民が身近でスポーツに親しめる環境を整えることが重要でございます。このため、都は、市区町村の公共施設を活用してスポーツの場を拡充する取組等に対し支援を行ってまいりました。
 来年度は、これに加え、施設のユニバーサルデザイン化や学校施設の開放に必要な整備などを新たに補助対象とし、支援を強化いたします。
 さらに、二〇二五年デフリンピック大会に向けましては、会場となる市区町村のスポーツ施設の改修等に対する補助率を五分の四に引き上げ、より手厚い支援を行います。
 このような取組を通じて、市区町村と連携し、身近なスポーツの場の拡大につなげてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、児童相談体制の強化についてでございますが、都は、区市町村の子供家庭支援センターの体制強化に向け、関係機関との調整などを担う虐待対策コーディネーター等の配置を包括補助により支援しております。
 来年度は、コーディネーターへの補助を充実するほか、福祉職の育成方針の策定を要件に、コーディネーターや経験豊富な虐待対策ワーカーの増配置を支援します。
 また、子供家庭支援センターが通告を受けて行う家庭訪問や安全確認等の業務の一部を、知識や経験を有する民間事業者に委託する場合も補助をいたします。
 こうした取組により、子供家庭支援センターが児童相談所と連携しながら、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応できるよう支援をしてまいります。
 次に、精神障害者に対する運賃割引についてでございますが、鉄道やバスなどの公共交通機関は、国からの協力依頼を踏まえ、それぞれの約款等に基づき障害者に対する運賃割引を実施しており、多くの事業者では身体障害者と知的障害者を対象としてございます。
 都は、精神障害者についても同様に割引を適用するよう、毎年、JR東日本と関東鉄道協会に要望するとともに、国に対しても、関係機関への働きかけを強化するよう提案要求をしております。
 精神障害者の自立や社会参加の促進を図るため、本年も来月、鉄道会社等に運賃割引の適用を求めるとともに、国に対しても引き続き働きかけてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、農産物の学校給食を通じた利用拡大についてでございますが、農産物の地産地消を推進するため、都内の学校が東京で取れた野菜等を利用するよう後押しをすることは重要でございます。
 これまで都は、地元で取れた野菜を区市町村が学校給食に提供する取組に対し助成を行ってまいりました。
 来年度は、多摩地域で収穫した野菜を区部の学校等に提供するため、自治体の区域を越えて集荷や配送を行うJAなどの団体の取組に助成を開始いたします。また、農家と学校が協力して野菜を計画的に給食で利用するための協議の場を設けるよう働きかけます。
 これらによりまして、東京産農産物の地産地消を後押ししてまいります。
 次に、事業承継等に向けた支援の充実についてでございますが、中小企業等の維持と発展に向け、新たな事業展開による会社の円滑な承継を後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、地域の商工会議所等と連携し、都内七か所に拠点を設け、経営相談や現場での専門家による助言により、事業承継を後押ししてまいりました。
 来年度は、新たな事業分野への進出に必要な技術の活用や人材の確保などに向けた支援を通じ、事業の再生を効果的にサポートいたします。
 具体的には、商工会議所等と協力して区部と多摩に一か所ずつ拠点を増やし、これらを窓口に産業技術研究センターによる技術支援や中小企業振興公社を通じた人材確保の後押しにつなげます。
 こうした取組によりまして、事業承継を着実に支援してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 多摩・島しょ地域の消防団への入団促進についてでございますが、消防団を充実強化するためには、その活動を広く都民に周知して理解を促し、入団者の確保を図ることが重要でございます。
 このため、都は、市町村と連携し、ホームページや各種イベントを通じた活動紹介や団員募集のPRを行ってまいりました。
 昨年度からは、女性や若い方も含めたより幅広い世代に消防団について知っていただけるよう、SNSやウェブ広告などの多様な媒体を活用してございます。
 今後、こうしたPRの一環として、現役の女性団員や学生団員等の活動の様子を発信するなどにより、市町村の団員確保を支援してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、屋外広告物条例についてでございます。
 屋外広告物は、景観を構成する重要な要素であることから、屋外広告物法では、都道府県が景観行政団体である市区町村と協議の上、条例制定権限を移譲できるとされております。
 都といたしましても、都条例との整合性の確保などを前提に、市区町村が地域特性に応じた基準を定め、景観行政と一体となって屋外広告物の規制や誘導を行うことは、地域の魅力や活力を高める上で有効と考えます。
 現在、都内では六市二十区が景観行政団体となっており、条例制定権限の移譲について相談があった場合は、法の趣旨を踏まえ、適切に対応いたします。
 次に、多摩都市モノレールの町田方面の延伸についてでございます。
 延伸により開業区間と一体となり南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
 事業化に向けては、収支採算性の確保等が課題であり、需要創出に向けて地元市は、まちづくり構想の策定を目指し、昨年八月にまちづくり検討会を設立いたしました。
 これまで三回開催しており、地元市が沿線の特徴や課題等について整理するとともに、まちづくりの課題に対する施策の方向性の検討に着手いたしました。
 都といたしましては、引き続き、検討会に参画し、地元市の取組を支援するなど、関係者と事業化について協議、調整を進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時二十八分休憩

   午後二時五十分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 一番北口つよし君
   〔一番北口つよし君登壇〕

○一番(北口つよし君) 初めに、環境政策について質問します。
 二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーの活用は必須です。そして、数ある再エネの中でも唯一の地球外のエネルギーである太陽光発電を活用することは大変有効です。この分野の技術革新は日進月歩であり、今後も発電効率の向上や薄型、軽量化、信頼性の向上はさらに進むと見込まれます。
 一方、太陽光発電は天気によって発電量が変化するため、そのエネルギーの調整役として長期貯蔵にも優れた水素の活用が期待されています。また、この水素は、次世代のエネルギー源として一部バスや乗用車などで実用化されていますが、残念ながら化石燃料からつくられるグレー水素が主流です。
 このため、私は、製造時もCO2を出さない太陽光発電などの再エネ由来によるグリーン水素の活用を図ることが大変重要であると昨年の一般質問でも主張したところです。
 これに対し、都は、来年度予算案に新規に水素製造の実機実装支援事業などを計上しており、評価しています。
 こうした事業を通じてグリーン水素を普及させ、将来的にはモビリティー分野をはじめ、様々な分野に活用を広げていくことが重要と考えます。
 そこで、都は、民間によるグリーン水素の生成、活用を後押しするとともに、都も普及に向けてグリーン水素の活用を積極的に進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、ゼロエミ推進策の一つであるEVの普及に重要な充電能力の強化について質問します。
 現在、日本で主流の急速充電器は五十キロワットであり、利用者が占有するのを避けるため一回の充電時間は三十分に制限されることが多く、条件がよくても二十五キロワットアワーしか充電できません。このため、小型の軽自動車EVなどでは十分な充電容量を確保できるものの、大型のバッテリーを積む普通車EVには能力不足です。例えば、高速道路などで遠出を考えた場合、一度充電が減ってしまうと三十分の充電では百キロから百五十キロ程度しか走行できないことになります。
 一方、世界では、より高出力の充電器の設置が急速に進んでいます。日本でも高出力の充電器に対応する車種が出始めており、今後は少なくとも出力百キロワットを超える超急速充電器の整備が必要です。世界的なEVシフトも見据え、事業者による高出力の充電インフラの整備をしっかりと後押しすべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、家庭の省エネ対策について質問します。
 家庭でのCO2削減を進めるには、住宅の断熱性能の向上とともに、家電の省エネ化が効果的です。このため、都議会公明党は、省エネ家電への買換えを促す東京ゼロエミポイント事業の拡充と継続を要望してまいりました。都は、要望を踏まえ、昨年七月にはLED照明機器を新たに対象とするなど、都民がより取り組みやすい制度への充実を図るとともに、来年度も事業が継続して実施されることになりました。
 そこで、これまでの成果と今後のさらなる省エネ家電への買換え促進策について、都の見解を求めます。
 次に、生物多様性の保全について質問します。
 東京には、山間部から島しょ部、区部も含めて多様な生態系があり、野生生物が暮らしています。しかし、市街地の進展や外来種による捕食など様々な要因により生物が減少し、絶滅危惧種が増えているのが現状です。
 私の地元葛飾区の都立水元公園も、緑豊かで水郷の景観に優れる公園です。公園の前面に広がる小合溜は、生物多様性の観点から環境省の重要湿地にも選定され、都内でも有数の自然環境を誇ります。また、隣の池には、都の天然記念物で絶滅が危惧されるオニバスなど希少な水生植物も自生しています。
 しかし、環境保護団体の方の話によれば、近年はアカミミガメやアメリカザリガニなどの外来種により貴重な自然環境が脅かされているとのことです。
 そこで、都内の生物多様性の保全に向け、希少な野生生物を守るために区市町村や各種団体とも連携をして積極的に外来種対策を進めるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、水害対策について質問します。
 ゼロメートル地帯が広がる東部低地帯において、水害対策は大変重要です。都では、河川の堤防整備をはじめ、様々なハード面での整備事業を進めていますが、併せて水害に対する自助、共助の備えを整えることも重要です。
 都は、江東五区と連携し、各家庭に水害リスク等を記載した診断書を直接通知する新しい事業、「我が家・我が事」プロジェクトの検討を開始しました。今年度は、そのモデル事業として、地元葛飾区の二町会をはじめ、東部低地帯の各区で説明会が実施されています。
 私も地元の説明会に参加しましたが、この診断書には、その地域の水害リスクの有無、推奨する避難行動、備蓄品リストなど各家庭のリスクに合わせた取組が記載されており、参加された町会の方々も被害のリスクを真剣に聞いておられました。
 水害時に避難行動を取らない多くの住民は、水害リスクを我が事として実感できていないという調査もあることから、都と関係区の連携によるこの取組は大変有効と考えます。
 そこで、今後は、浸水リスクの高いエリアなどに対象を拡大して実施するとともに、ネットを活用する若い世代などにも本事業を積極的に発信していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 いざ水害が発生した場合、垂直避難場所の確保も重要です。国と都は、令和二年十二月に災害に強い「首都」東京形成ビジョンを策定し、高台まちづくりの方策の一つとして、既存建物等を活用した緊急時の垂直避難先の確保についても示しています。
 葛飾区では、本ビジョンの下、区内全域をモデル地区とし、垂直避難場所の確保に向けて既存マンションなどに対する二十三区初の補助制度を構築いたしました。この制度は、大規模水害発生時に、水が引くまでの間、既存マンションや商業施設等で避難生活が送れるよう、浸水想定以上の階への電気設備の移設費用や災害備蓄倉庫、避難スペースなどの整備費用を区が補助するものです。
 そこで、都も、マンションや商業施設など既存の建物を活用した緊急時の垂直避難先の確保に向けて率先して取り組む必要があると考えますが、都の見解を求めます。
 次に、障害者スポーツの振興について質問します。
 障害者の社会進出のきっかけとして、スポーツの果たす役割は重要です。例えば、葛飾区においては、毎年フロアホッケーの大会が開催されています。フロアホッケーは主に知的障害がある方々が健常者と一緒に汗を流せるスポーツです。
 障害の有無に関係なく障害者と健常者が共にプレーをする中で、障害者は自信を深め、健常者はより障害を理解します。大会関係者の一人は、障害があるお子さんは内向的になる傾向がある、ご家族も自立を諦めてしまっているケースが多い、こうしたスポーツを通して体を動かしながら、ご本人とご家族の意識を前向きに改革していくことが重要だと語っておりました。こうした視点は、真の共生社会の実現に向けてとても大切だと考えます。
 そこで、障害者と健常者が一緒にスポーツの楽しさや魅力を味わい、交流できるスポーツ大会を開催すべきと考えますが、今後の都の取組について見解を求めます。
 次に、私立学校のデジタル化推進について質問します。
 国のGIGAスクール構想を契機に、近年、急速に学校のデジタル化が進み、一人一台端末の時代となりました。都内の私立学校にも、都は、タブレットやパソコン等、ハード整備に関する補助を実施しています。一方で、地域の学校関係者からは、端末を使用した効果的な授業方法や児童生徒の端末操作をサポートする支援員配置などのサポートを望む声を聞いております。
 そこで、私立学校のデジタル環境整備において、支援員配置など、ソフト面での支援も必要と考えますが、都の見解を求めます。
 次に、教員の確保に向けた中途退職者の復帰支援と、教育実習生の受入れに対する支援について質問します。
 教員不足の解消に当たっては、多様な層から教員を目指せる仕組みが重要であり、都議会公明党は、昨年の代表質問において、即戦力となる中途退職者の復帰を後押しすべきと求めたところです。これを受け、都教育委員会は、来年度からカムバック採用を新設するとのことですが、中途退職者が再度教職を目指す場合、教壇を降りてから月日が経過していることもあり、不安を覚えるケースが少なくないと考えます。
 そこで、復帰を目指す人材に対して、復帰条件の緩和とともに、不安を取り除くための支援をすべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 また、新たに教員を目指す学生が初めて教育現場に触れる機会が教育実習です。実習では、学生が子供や現役教員と接し有意義な経験を得ることで、教員になりたいとの思いをより強く持てるようにすることが大切です。昨年の委員会質疑でも、教員確保につながる教育実習生への多様な支援を都に求めたところです。
 そこで、教育実習生の受入れに対しても、さらなる支援をすべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 最後に、児童生徒の心のケアについて質問します。
 コロナ禍で、多くの児童生徒が問題を抱えている可能性が指摘されています。都議会公明党はこれまで、潜在的なリスクを抱える児童生徒を教員が見過ごすことのないように支援の必要性を訴えてきました。
 これに対し、都教育委員会は、昨年度、都立高校をモデル校として、生徒が毎日自分のスマートフォン等から心身の状況を簡単に入力し、教員が確認するシステムの実証研究を行っています。こうしたシステムの活用で、児童生徒の状況の変化をより早く把握し、必要な支援につなげることが期待されます。
 そこで、実証研究の成果を踏まえ、こうしたシステムを早期に全都立高校に導入すべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 北口つよし議員の一般質問にお答えいたします。
 電気自動車への充電能力の強化についてのお尋ねでした。
 脱炭素化に向けまして、世界各国はEVの開発にしのぎを削り、一度の充電で走行できる距離は大幅に伸びております。
 これに合わせまして、充電のスピードを高める技術も日進月歩で進み、その設置箇所も増えています。
 世界に遅れることなく充電能力の高い機器を増やすことは、EVの普及に向けた重要テーマの一つでございます。身近な様々な場所に超急速で充電のできるスポットを広げるため、事業者の取組を強力に後押しをするのは不可欠でございます。
 そこで、都は、充電のスピードを飛躍的に高めた機器の設置に対する支援を大幅に充実をいたします。
 また、これを整備する事業者に対しまして、充電機器の維持管理や電力の使用に係るコストの軽減につながるサポートを拡充することで、東京にふさわしい利便性の高い充電のインフラを速やかにつくり上げてまいります。
 こうした取組を通じまして、EVの普及をさらに加速し、脱炭素社会の実現をしっかりと進めてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中途退職した教員の復帰支援についてでございますが、都教育委員会では、介護等で中途退職した都の公立学校教員が改めて教員を目指す場合、一定の要件に基づき、一次選考を全て免除するカムバック採用を新たに開始いたします。
 さらに、教員復帰者や、いわゆるペーパーティーチャー向けに、大学等と連携し模擬授業等の実践的な講習を実施するなど、教育現場から離れていた人も安心して着任できる仕組みを整えます。
 これらの取組により、経験者を含む多様な層から着実に教員確保を図ってまいります。
 次に、教育実習生の受入れに対する支援についてでございますが、教育実習は、学生が実地体験を通して教員として必要な知識や心構えを学ぶとともに、教員志望を固める重要な機会でございます。
 このため、都教育委員会は、実習生への接し方のポイントを各学校に周知するほか、受入れを行う区市町村教育委員会に対し、実習生が授業準備に使う端末等や、担当教員が実習生の指導に専念するためのサポート人材に係る経費を補助するモデル事業を新たに実施いたします。
 これらにより、教育実習生がより意義のある経験ができるよう、各学校を支援してまいります。
 次に、都立高校における生徒の心のケアについてでございますが、都教育委員会は昨年度、都立高校の生徒の心身の変化を把握するためのシステムの実証研究を行いました。その結果、生徒からは教員に相談したいという意思を伝えやすくなったなどの感想が、教員からは必要な支援を迅速に行うことができるようになったなどの報告がございました。
 これらの成果を踏まえ、本年三月より、全ての都立高校でこのシステムを活用できるようにし、相談体制の一層の充実を図ってまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) グリーン水素の製造と活用についてのご質問にお答えいたします。
 東京でゼロエミッションを実現するため、再生可能エネルギーにより水素を生産し、活用する取組を進めることは重要でございます。
 このため、都は来年度、プラントメーカーの提案に基づき、工場などの敷地の中で水素の生産から活用まで一体的に行う民間の取組を後押しいたします。
 また、都有地において、都がグリーン水素を最先端の技術を用い生産する取組を開始いたします。
 さらに、都は、グリーン水素の製造等で実績のある山梨県と協定を結んでおり、来年度、同県で生産された水素の活用を開始いたします。
 これらによりまして、グリーン水素の普及拡大を適切に進めてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、省エネ家電への買換え促進についてでございますが、都内の部門別エネルギー消費量は、家庭部門が唯一増加しており、その対策は喫緊の課題でございます。
 そのため、都は、省エネとなる家電への買換えを促す東京ゼロエミポイント事業を令和元年から実施し、拡充を図ってまいりました。
 昨年度同期比で四割増の申請を受け付けており、累計で約六十五万台と着実に買換えが進んでございます。
 家庭における省エネ対策をさらに推進するため、今後、対象機器に応じた付与ポイントをおおむね二割引き上げ、家電買換えを強力に後押ししてまいります。
 こうした取組をHTT普及啓発とも連動させ、広く都民に活用を促すことで、脱炭素で省エネな生活を実現してまいります。
 次に、生物多様性保全に向けた外来種対策についてでございますが、希少種の保全を図るためには、生態系被害を及ぼす外来種の対策を多様な主体と連携して進めることが重要でございます。
 都はこれまで、対策強化に向け、区市町村やNPOへの被害状況調査や専門家ヒアリングなどを実施してございます。
 来年度、優先的対策種を選定し、効果的な対策の在り方をまとめた方針策定に着手してまいります。
 これに先行し、特に対策が急務のアカミミガメとアメリカザリガニについて、普及啓発や実務者向け手引の作成に取り組んでまいります。
 区市町村や環境団体等と共に対策を進めて希少種保全につなげ、良好な生物多様性の保全と回復を図ってまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 関係区と連携した水害に関する普及啓発についてでございますが、風水害時に住民の適切な避難行動を促すためには、あらかじめ水害リスク等を分かりやすく周知する必要がございます。
 都は今年度、居住地ごとの水害リスクや推奨される避難行動等を診断書としてまとめ、参加者に配布する事業を実施いたしました。アンケートでも、多くの参加者が、自宅周辺にここまでリスクがあるとは思わなかったと回答しており、自身の水害リスクを認識する契機となってございます。
 来年度は、浸水リスクの高い地域を対象に、診断書を各戸配布する事業を新たに実施いたします。その際、若い世代にも関心を持っていただけるよう、発信方法を工夫いたします。
 こうした取組を通じまして、普及啓発の実効性を一層高めてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 垂直避難についてでございます。
 東部低地帯での水害への備えとして、都では都有施設の活用、地元自治体では既存建物等の活用による緊急時の垂直避難先の確保に取り組んでおります。
 各区では、商業施設などと避難者受入れに係る協定を締結しているほか、葛飾区では、建物の新設、改修時における退避空間整備への独自の補助を開始しております。
 一方、国が昨年度設けた退避空間整備に対する補助制度は、規模要件が厳しく活用が進んでおりませんが、都から国へ補助要件の緩和を求めた結果、来年度より要件緩和が実現することとなっております。
 今後とも、さらなる垂直避難先の確保に向け、取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、スポーツを通じた交流機会の提供についてでございますが、障害のある人とない人が共にスポーツをする中で、お互いを理解し尊重し合うことは重要でございます。
 都は、東京二〇二〇大会のレガシーとして、誰もが参加できるボッチャ大会を開催してまいりました。全国大会の出場権が与えられるこの大会は、真剣勝負の場であり、貴重な交流の機会となっております。
 また、東京都障害者スポーツ大会におきましても、障害のある人とない人が共にスポーツに親しみ、競い合う競技を行っております。来年度も新たな競技を実施することで、参加者の裾野拡大につなげ、相互理解を図ってまいります。
 今後も、こうした取組により、交流機会の創出に努め、スポーツを通じた共生社会の実現を目指してまいります。
 次に、私立学校のデジタル環境整備についてでございます。
 これからの時代に求められる多様な学びを提供するためには、デジタル機器の導入に係るハード面での支援とともに、機器を活用した教育を推進するためのソフト面での支援が重要でございます。
 そのため、これまで行ってきた私立学校デジタル教育環境整備費補助事業におきまして、教育用端末や電子黒板、校内無線LAN等の整備に係る補助に加え、来年度からは、機器の活用に際し専門的な知見を持つアドバイザー等の助言支援や研修などを受けられるよう、補助対象を拡充いたします。
 こうした取組によりまして、私立学校のデジタル教育環境の充実を一層後押ししてまいります。

○議長(三宅しげき君) 九十四番内山真吾君
   〔九十四番内山真吾君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○九十四番(内山真吾君) コロナ禍において、子供たちを取り巻く環境が厳しくなってきています。昨年十月に公表された小中学校における不登校児童生徒は平成二十四年から九年連続増加し、小学校では七千九百三十九名で、出現率は一・三三%。中学校では一万三千五百九十七名で、出現率は五・七六%となり、過去最多を更新しました。また、令和二年度、前年度からの伸び率も、小中学校ともに過去最高となっています。
 一方、コロナ感染回避を理由に長期欠席している児童生徒も急増しています。こちらは不登校にはカウントされておらず、小学校では不登校とほぼ同数の七千四百四十四名、中学校でも二千六百四十三名と、かなりの数に上っています。
 学校現場に伺うと、このコロナ感染回避の中には、不登校とする方が妥当なケースが一定数入っているとの声もあり、不登校の実態は、コロナ禍で数字以上に深刻になっているという懸念もあります。
 そのような中で、今年度実施されている子供を笑顔にするプロジェクトでは、コロナ禍で失われた子供たちの体験活動の機会を取り戻すべく、約百七十種類の多種多様なプログラムを学校の選択により提供しております。
 そもそもコロナ禍以前から、子供たちは体験活動の機会が失われつつあると指摘をされており、私も事あるごとに、都教委が目指す不登校を生まない魅力ある学校づくりには体験活動の充実が重要な要素の一つであることを訴え、質疑をしてまいりました。
 体験活動の中には、不登校や理数離れ、多様性への理解等、既に政策課題として挙げられているものへの有効なアプローチが期待できるものもありますが、現状では、このプロジェクトは、ほぼここ限りで完結をしてしまっています。
 例えば、子供政策連携室が百四十四ページにわたりまとめた、こども未来アクションについて、このプロジェクトとの親和性のありそうな内容はかなり記載されているにもかかわらず、ごく一部の連携内容にとどまってしまっています。このプロジェクトの重要性、有用性を考えれば、こども未来アクションの中でも打ち出し、連携を高めていくべきだと思います。
 来年度は、名称も変え、体験活動としての側面をクローズアップし、より教育的意義や効果が高い体験活動を展開していくと伺っています。仲間との課題解決型の体験や、コミュニケーションの促進を図るようなプログラムについては、体験時期を年度当初まで早めれば、新学年のクラスの仲間づくりが進み、中一ギャップや高一クライシスの対策にもつながり、不登校対策としても効果が期待できると思います。
 そこで、様々な政策課題にアプローチできそうなプログラムに対し、教育庁内はもちろん、局を超えて連携をすることで、より深いプロジェクトとすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、ただ一日の体験とするだけではなく、前後の学校等での指導、取組と合わせることで、より高い効果を引き出すことができると考えます。
 体験をその場限りとするのではなく、より高い効果を引き出すため、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 続きまして、教員採用試験における学生や社会人等の応募者増の取組についてお伺いをいたします。
 教員採用選考においては、毎年応募者が減少しており、大変厳しい状況が続いています。都教委では、積極的な広報などの取組を進めていることは承知しておりますが、団塊の世代の定年退職や、三十五人学級の導入などにより、大量採用が続いてきたこともあり、教員志望の既卒者はほぼ採用になってしまっているのも苦しい原因の一つかと思います。
 もちろん、教員の働き方改革を不断に進めることが大前提となりますが、採用選考の時期等がネックになっているケースもあることから、それらを見直すことで、学生や社会人の応募を増やしていくことができると思います。
 そこで、採用選考の応募者増加に向けた都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。
 続きまして、予期せぬ妊娠についてお伺いいたします。
 私たちは、先月、熊本県慈恵病院のこうのとりのゆりかご事業、通称赤ちゃんポストを視察してまいりました。その中で改めて感じたことの一つは、予期せぬ妊娠をした方が、悩みや不安について相談できるようにすることの重要性です。そのためには、対象となる方々にどのようにリーチするかが課題となってきます。
 私は、二つの経路があると思います。
 一つ目は、妊娠検査薬購入のタイミングです。
 既に、都は、幾つかの薬局などにポップを置き、カード配布をしておりますが、まだまだ限定的です。より効果が出るよう、多くの店舗を持つチェーン薬局や、妊娠検査薬を取り扱っている繁華街で深夜まで営業しているディスカウントストア等にも広げるべきであると考えます。
 二つ目は、インターネット検索をするタイミングです。
 都は、インターネット広告にも既に取り組んでいますが、広告により誘導しているホームページが文字のみで硬く、いかにも行政的なページになってしまっていて、様々な事情を抱えている方が相談しようと思えるようなものになっておりません。より親しみやすいデザインにするなど、相談しやすい雰囲気づくりが必要と考えます。
 そこで、この二つのタイミングで、支援、相談が必要な方にしっかりとリーチできるようにするのが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 続きまして、産後間もない時期における母子への支援についてお伺いをします。
 産後間もない時期は、健康状態や育児等、家庭の状況変化などにより、母子ともに不安定な時期があり、切れ目のない手厚い支援が必要です。
 現在、ほぼ全ての新生児と産婦は、医療機関での一か月健診を受診しております。しかし、妊婦健診や三、四か月健診以降は公費で受けることが可能であるにもかかわらず、一か月健診のみ全額自己負担となっており、ここで切れ目が生じてしまっています。
 一方、新生児訪問と産婦健診は、産後二週間から二か月ほどで行われており、こちらは公費で受けることができますが、現在、この産婦健診の制度を都内で活用しているのは葛飾区と町村部のみで、多くの自治体では行われておりません。こちらの制度は、一か月健診への転用も可能とのことですので、活用すれば切れ目のない支援をすることができます。
 そこで、産後間もない時期の母子に対する支援の充実に向け、産婦健診の制度活用を市区町村へ働きかけ等を強化するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 続きまして、児童相談所一時保護所についてお伺いをいたします。
 区の児童相談所の設置が進み、都内全体の一時保護の受入れ枠は、都児相、二百五十名定員に合わせて、区児相、百三十七名が新設をされています。
 しかし、それにもかかわらず、都の一時保護所では定員を超えて児童を受け入れる状況が依然として続いております。区児相ができたことにより、今まで支援が届かなかった子供たちへのリーチができているということであれば、それはいい方向だと思います。
 一方、都児相の受入れの変化としては、特にトー横キッズといわれる女子児童の一時保護が増えていると聞いています。
 私は、以前より、一般質問や予算特別委員会の質疑において、一時保護所における児童の支援について言及し、都に改善を求めてまいりました。この間、子供の意向を踏まえた支援改善が着実に進められているとは認識しておりますが、一方、定員を超えた保護所での生活は、個別の支援が難しくなるほか、落ち着かず、児童相互のトラブルも多くなります。
 一時保護所が、児童一人一人のニーズに寄り添い、通学にも対応するなど、きめ細やかな支援を行いながら、安心を実感できる環境となるよう、早急に保護需要に対応する受皿を確保すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 続きまして、被措置児童等の虐待についてお伺いをいたします。
 被措置児童とは、児童養護施設に入所している児童や里親の下で生活をしている児童など、社会的養護下にある児童のことで、残念ながらその中での虐待が毎年報告をされております。
 子供が自らの権利について知り、嫌だなと思うことを周りの大人に相談できることが重要ですが、幼児や知的に障害のある子供たちには、それを理解することに一定の困難性があります。また、学齢児以上だとしても、自分の唯一の居場所の中で頼れるはずの大人にされること、特に性的なことについては、なかなかほかの大人に話せないという状況もあり、それがまさしく虐待リスクとなってしまっています。
 虐待等で保護され、施設等で育ちながら、そこでまた虐待を受けるというのは絶対にあってはなりません。
 現在、都は、子供の権利ノートを活用し、学齢児以上の子供たちには啓発を行っておりますが、幼児や障害児に対しては行われていません。ここにしっかりと光を当てるとともに、学齢児以上の子供たちに対しても、虐待のリスクにさらされないよう、日頃から施設での生活に関する不満や疑問、相談の声をしっかりと上げやすい環境を整えることも重要だと思います。
 そこで、都は、被措置児童の権利擁護を進めるためどのように取り組んでいくのか、見解を求めます。
 続きまして、ヤングケアラーに対する支援の強化についてお伺いします。
 我が会派では、早くからヤングケアラーの問題を取り上げ、昨年の予算特別委員会においても、都としての実態把握や相談の場や家事支援など、具体的な支援策の強化を求めてまいりました。
 都は、我が会派の要望を受け、今年度からピアサポートや家事支援に取り組む団体への補助を開始しました。
 しかしながら、ヤングケアラーの支援はまだまだ始まったばかりです。
 今後、関係機関が緊密に連携しながら、ヤングケアラーを早期に把握し、支援につなげられるよう、取組をさらに進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 受動喫煙対策についてお伺いします。
 受動喫煙防止条例が施行され二年弱が経過しましたが、家族経営ではない一部の居酒屋などにおいて、喫煙目的施設を独自にうたい、全面的に喫煙を認めている店舗が見受けられます。こうした店舗について、都民が自治体に問題を指摘したところ、厚生労働省の喫煙目的施設の定義や解釈が曖昧なために指導ができないとの回答がありました。
 厚生労働省が健康増進法で定める喫煙目的施設は、喫煙をする場所を提供することを主たる目的とすること、通常主食と認められる食事を主として提供するものを除くことと記載されておりますが、主たる目的や主として提供すると曖昧な表記とされていることで解釈が曖昧となっています。
 都は、既にこの問題に対し、一般的な居酒屋は喫煙目的施設に当たらないとの見解を示しておりますが、厚生労働省が明確な解釈を示していないため、保健所や自治体が対応に苦慮する事態となっています。
 そこで、国が解釈を示すよう要請することを求めるとともに、制度が適切に運用されるよう、効果的な啓発を行っていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 最後に、昭島市内における道路整備についてお伺いをいたします。
 現在、都は、JR青梅線の東中神駅周辺において、立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業に合わせて、昭島三・二・三号線及び昭島三・二・一一号線の整備を進めております。
 昭島三・二・三号線は、昭島市北部地域から立川駅北口方面のアクセスを強化する東西方向の重要な路線であり、このうち、区画整理事業地の西側の約四百三十メートルの区間で事業中であります。
 一方、昭島三・二・一一号線は、南北方向の交通の円滑化や立川基地跡地昭島地区へのアクセスをするために重要な路線であり、このうち、JR青梅線との立体交差を含む約三百九十メートルの区間で事業中であります。
 近年、青梅線東中神駅から昭島駅までの線路北側では慢性的な交通渋滞が発生をしており、また、大規模物流施設の建設が計画をされていることから、さらなる渋滞の悪化も懸念されます。昭島市内における道路網の整備は急務であり、地元住民からの早期整備を望む声は極めて大きくなっています。
 そこで、昭島三・二・三号線及び昭島三・二・一一号線の今後の取組について伺い、私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 内山真吾議員の一般質問にお答えいたします。
 子供の体験活動についてでございます。
 可能性にあふれる子供たちの学びや経験を豊かにしていくことは、私たちの果たすべき最大の未来への投資でございます。
 全ての子供が、長い人生を歩む上で欠かせない大切な力を育めるよう、多彩な体験、経験ができる機会を創出していくことが必要です。
 都教育委員会が実施する体験活動は、多様な経験を通じまして、子供たちの豊かな心を育むことを目的とするものであって、こうした育ちを支える取組の一環です。
 庁内の連携をさらに強化し、子供に関わる政策課題への取組とこの事業を有機的につなげ、次代を担う子供たちの可能性を広げてまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び福祉保健局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の体験活動における取組についてでございますが、今年度の子供を笑顔にするプロジェクトの実施事例の中には、コロナ下における運動不足や体力低下を課題として、運動の楽しさを体感させた学校や、障害者理解に関する年間カリキュラムを作成し、事前学習の上、パラスポーツを体験し、振り返りを行う取組がございました。
 体験活動を行うに当たり、課題や狙い、期待する効果を明確にすることや、体験後の振り返り学習など、事前事後の取組を充実させることにより、体験の効果が高まったと考えております。
 来年度は、こうした取組事例の周知を図り、子供たちの豊かな心の育成に向けて、より事業効果が高まるよう取り組んでまいります。
 次に、採用選考の応募者増加に向けた取組についてでございますが、都教育委員会では、大学三年生での採用選考の一部前倒し受験を導入するとともに、合格発表を民間企業の内定式より早い九月下旬に前倒しすることで、学生の受験意欲を喚起してまいります。
 また、今年度、合格後二年以内に免許取得した場合に採用する社会人選考を新たに導入いたしましたが、来年度からは、選考の対象を四十歳以上から、第二新卒といわれる二十五歳まで引き下げ、受験者層の拡大を図ります。
 これらの取組により、学生や社会人等が教員を目指しやすい仕組みを整え、応募者の一層の増加を図ってまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 昭島三・二・三号線外一路線についてでございますが、両路線とも、立川広域防災基地等へのアクセス性を高める重要な路線でございます。
 昭島三・二・三号線の用地取得率は一一%であり、今後は、国有地や都営住宅敷地など、残る用地の早期取得に努めますとともに、来年度、道路詳細設計に着手いたします。
 また、昭島三・二・一一号線の用地取得率は九九%であり、現在、JR青梅線との交差部の道路構造や施工方法について、関係機関と協議中でございます。
 今後とも、工事着手に向けた検討を着実に進めてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、予期しない妊娠についてでございますが、都は、妊娠相談ほっとラインやチャットボットにより、妊娠や出産、避妊などの相談に対応してございます。
 これらの取組を周知するため、PR用のカードを作成し、保健所や福祉事務所のほか、高校、大学、ネットカフェなどで配布をしています。今後、ドラッグストア等での配布がさらに進むよう、薬局などの関係団体に一層の協力を求めてまいります。
 また、インターネット広告から誘導している相談先等を掲載したホームページについて、今後、デザインを親しみやすく工夫するなど、妊娠や出産等に関する情報をより分かりやすく得られるように取り組んでまいります。
 次に、産後間もない時期の母子への支援についてでございますが、産後間もない時期は、母子の心身が不安定なこともあり、その状況をきめ細かに把握する必要がございます。
 都は、とうきょうママパパ応援事業において、産後二週間及び一か月の二回、産婦に対する健康診査を行う区市町村を支援しています。
 自治体の中には、医療機関が実施する新生児の健康診査の際に、この事業を活用した産婦健診を併せて実施している例がございます。
 今後、こうした事例を区市町村に紹介するなど、より多くの自治体で、産後間もない時期の母子への支援が進むよう、働きかけを強化してまいります。
 次に、一時保護需要への対応についてでございますが、都は、児童虐待の増加に伴う一時保護需要に対応するため、新たな一時保護所の整備や婦人保護施設への保護委託の拡大などを進めてございます。
 来年度は、一時保護ケースの増加に緊急的に対応するため、児童福祉分野の知識や経験を有する事業者が、足立児童相談所の仮設一時保護所や民間の物件等を活用し、保護児童を受け入れます。
 児童の受入れに当たっては、個室対応を基本とするほか、通学を可能とするなど、個々の状況に応じたきめ細かな支援を実施いたします。
 こうした取組により、高まる一時保護需要に対応し、児童相談体制を一層強化してまいります。
 次に、児童養護施設等における子供の権利擁護についてでございます。
 都は、児童養護施設の学齢期の入所児童に対し、入所時等に子供の権利ノートを配布し、意見や希望をいえることを説明するほか、困ったときの主な相談窓口を紹介しています。また、権利ノートには、子供の権利擁護専門員への相談はがきを差し込んでございます。
 来年度は、児童の年齢や発達の状況に合わせて、よりきめ細かな周知を行うため、幼児や障害児に対する効果的な啓発方法を検討してまいります。
 また、施設に対しては、子供が意見を伝えるための仕組みである第三者委員や意見箱を一層有効に活用するよう働きかけるなど、年齢などを問わず、全ての子供が意見をいいやすい環境を整備してまいります。
 次に、ヤングケアラーへの支援についてでございます。
 都は、今年度、ヤングケアラーを早期に把握するポイントや各関係機関の役割などを盛り込んだマニュアルを取りまとめます。
 来年度は、このマニュアルを活用して、児童福祉や教育など関係職員向けの合同研修や、新たに配置するコーディネーターへの専門研修を行うほか、各関係機関や区市町村等による協議会を設置し、支援策を検討するなど、多機関連携を強化いたします。
 また、ピアサポートや家事支援等を行う民間団体への補助も拡充するなど、地域におけるヤングケアラーへの支援を一層進めてまいります。
 最後に、健康増進法における喫煙目的施設についてでございますが、喫煙目的施設は、シガーバー等の喫煙場所の提供を主目的とする施設であり、都は、ホームページやリーフレット等で、国が定める要件を事業者や関係団体に周知していますが、要件が分かりづらいとの意見が寄せられてございます。
 このため、国に対し、喫煙目的施設の明確な定義や基準、証明書類等を示すよう、繰り返し提案要求してございますほか、九都県市と連携した要望等も行っており、保健所設置区市の意見も踏まえ、改めて国に見解を求めてまいります。
 また、今月末にはリーフレットを改定し、一般的な居酒屋等は喫煙目的施設に該当しないことを飲食店等に啓発するなど、受動喫煙対策を一層推進してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 六十四番小松大祐君
   〔六十四番小松大祐君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十四番(小松大祐君) 児童手当の所得制限撤廃に注目が集まっています。同時に、限られた財源で何を優先するのかは大事な論点です。今回は、障害児を支える医療、福祉サービスの制度について伺ってまいります。
 障害児のケアに卒業はありません。生活用具や補装具も、成長のたびに高額な費用が生じます。中学生になるまでに車一台分の自費負担が生じることも、まれではありません。きょうだい児の進路にも影響します。付添いのために、就労も難しいのが実情です。
 都は、国に先駆けて、あらゆる子育て家庭に月五千円を給付することを予算案に盛り込むなど、子育てに係る経済的負担の軽減策を示しています。一方で、障害や病気、そして経済負担の二重苦にある障害児家庭にこそ真っ先に応えるべきなのではないかとの声も届いています。補助が受けられた場合との差額が数百万円にも及ぶケースもあります。知事は、こうした実態をご存じでしょうか。
 都における障害児への医療、福祉サービスの中には、所得制限を設けて実施している施策が現在も残されています。障害児に切れ目のない支援を講じるため、これらの施策における所得制限の在り方を今後どのようにしていくのか、小池知事の見解を伺います。
 本年一月、オリ・パラレガシーの一環として、都立特別支援学校の生徒が、都立高校の生徒と共にパリに五日間派遣され、国際交流を行いました。来年度以降も継続して実施することを求めておきます。
 さて、東京都は、障害の有無にかかわらず、一人一人が主役になる社会を築くことや、英語力の東京を目指した抜本的施策の強化を掲げています。ところが、都立高校生を対象とした留学プログラム、次世代リーダー育成道場には、都立特別支援学校生の派遣実績は、これまで一名もありません。
 一方、民間企業や文科省のトビタテなどの海外研修派遣では、障害のある生徒の留学実績が豊富にあります。これらの事業を参考に、国際交流にとどまらず、留学プログラムにまで展開を広げることを目指すべきと考えます。
 こうした背景を踏まえて、障害の有無にかかわらず、意欲の高い子供たちが国際社会で活躍できるよう、海外で体験的に学ぶ機会をさらに増やす取組こそ重要です。都教育委員会の見解を伺います。
 産業政策について、二点伺います。
 国のスタートアップ育成五か年計画では、スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化の一つとして、個人からベンチャーキャピタルを通じたスタートアップへの投資をさらに促進する施策の検討を盛り込むなど、個人一人一人のスタートアップへの出資を促す動きがあります。
 都が昨年公表した新しい戦略においても、社会全体でスタートアップを応援していくべきとの記載がありました。こうした潮流から、都民がスタートアップ企業を応援する機運醸成のためにも、例えば、個人からの小口投資なども含め、都民が様々な形で応援できる仕組みをつくることは重要だと考えます。見解を伺います。
 次に、農業について伺います。
 日本の食料自給率は低水準にあり、最大消費地である東京都も、農業生産の維持拡大を図っていくことは重要です。こうした中、都内農業生産の中核は、認定農業者が担っています。
 認定農業者制度は、農業経営の改善を計画的に進めようとする農業者を区市町村が認定する国の制度で、この認定農業者になれば、融資や税制の面での優遇など、多くのメリットを享受することができます。なお、都内では、昨年度末時点で一千六百八十五経営体が認定をされています。
 しかし、認定要件として、区市町村が定めた農業振興の基本構想に合致した経営改善計画を提出する必要があるため、農地が少ないなどの理由で基本構想を策定していない自治体では、認定農業者の申請を行うことができません。
 東京の貴重な農地と農業を次世代に継承していくためには、意欲的に農業に取り組む認定農業者を増やすことが大切です。都は、農業団体等と連携し、区などにおける農業基本構想の策定が進むようにすべきと考えます。見解を伺います。
 災害並びに危機管理対策について、四点伺います。
 まず、災害廃棄物の処理について伺います。
 昨年五月に示された首都直下地震の新たな被害想定では、建物の被害棟数が減少したことなどに伴い、災害廃棄物の発生量も二五%程度減少となりました。しかし、それでも約三千万トンが発生すると想定されています。これは、都内区市町村が処理するごみ総排出量の七年半分の量に相当します。事前の準備と計画的な処理が重要であることはいうまでもありません。
 都は、二〇一七年に、主に首都直下地震を念頭に、災害廃棄物処理計画を策定いたしました。それから五年が経過し、現在、その計画の改定に着手していると聞いています。
 首都直下地震では、都内の多くの区市町村や廃棄物事業者も同時に被災し、処理が滞る事態に陥ることが想定されます。こうした状況においても、迅速な災害廃棄物処理を行うために、例えば、建設事業者や他県の自治体など、多様なプレーヤーとの連携強化についても、あらかじめ検討しておくべきと考えます。都の見解を伺います。
 首都直下地震が発生すれば、過去の災害と同様、大量の電柱倒壊が懸念されます。阪神・淡路大震災では八千本以上、東日本大震災では二万八千本以上が倒壊し、救助活動やその後の復旧活動に大きな支障を来しました。
 都の無電柱化の取組は評価するものですが、区市町村道や私道を含めた全ての道路で無電柱化が完了するまでには、数百年もの時間を要するともいわれています。
 TOKYO強靱化プロジェクトでは、都の様々な取組が掲げられていますが、電柱の倒壊などによる道路閉塞を防止するためには、電柱を設置、管理する通信、電力事業者に対し、点検や補強を改めて求めるなど、具体的な要請や官民連携の強化が不可欠です。
 災害時における電柱倒壊など、道路閉塞防止に向けた都の取組の推進について見解を伺います。
 自然災害の脅威から都民の安全・安心を確保するために、いつでも誰もが通信ネットワークが途切れることなく連携している、つながる東京の実現は不可欠です。スマホ利用率が激増する中、ネットワークがつながらなければ、安否確認もままならず、混乱はより大きなものになります。
 5Gの基地局やWi-Fi環境の整備だけではなく、様々な無線通信技術の活用も視野に入れて、災害への備えを進めることは重要です。例えば、東京電力の次世代スマートメーターは、電力量の検針のみならず、様々なサービスに活用することも想定して検討されています。
 現在、水道局も、通信機能を備え、使用量を自動検針ができるスマートメーターを二〇三〇年代までに都内全戸への設置を目指す大規模なプロジェクトを進めています。
 こうした背景を踏まえ、都民サービスの質向上にとどまらず、災害時の通信インフラの強靱化を見据え、民間で導入されている最先端のデジタル技術を生かした無線通信技術も視野に検討を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
 ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮により繰り返されるミサイルの発射実験など、世界情勢が急速に深刻化する中、ミサイル攻撃に対する都民の避難行動への理解は必ずしも進んでいません。
 ミサイル攻撃に対しては、来年度予算に調査費として示されたシェルターの整備のみならず、まずは都民が自発的かつ的確な避難行動を取れるようにすることが肝要です。都は、このことを着実に周知、浸透させる必要があります。
 昨今の状況を踏まえると、より実践的な訓練の実施が求められますが、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施は、平成三十年に文京区で一度実施したのみです。
 そこで、都民の避難行動に関する周知及び実践的訓練の実施に向け、今後どのように取り組むのか伺います。
 上下水道事業について、三点伺います。
 ロシア、ウクライナ情勢により顕在化したエネルギーの安全保障という課題は長期化しています。火力発電所の稼働停止などによる電力需給の逼迫は、一年が経過しようとする中でも、いまだ予断を許しません。
 こうした事態は、我が国最大の電力消費地東京の都市活動を支える上で、いかに電力が不可欠なものであるかを再認識させる機会にもなりました。
 都民のライフラインを支える水道事業も同様です。
 むしろ、都内の年間電力使用量の約一%に相当する八億キロワットアワーの電力を使用する大口需要家である水道局においては、円滑な事業運営のため、安定的な電力確保はもとより、より少ない電力で事業運営ができるよう、効率的にエネルギーを使用すべく、一層の経営努力が求められます。
 電力需給逼迫が続く中、適切にエネルギーを管理した上で、安定給水を継続させる必要があります。見解を伺います。
 また、同様に、下水道事業においても、二十四時間三百六十五日、下水道機能を維持し、汚水処理や雨水排除の役割を果たすことが求められていますが、下水処理により約十億キロワットアワーという大量の電力を消費することから、停電や電力逼迫など、非常時への備えが極めて重要です。
 そこで、水再生センターやポンプ所において、非常時のエネルギー対策が必要と考えますが、下水道局の見解を伺います。
 電力需給逼迫の影響は、電力の使用量だけではなく、電気料金にも顕著に表れています。また、電気料金のみならず、人件費や原材料費など、様々な物の価格が毎月のように改定され、物価高騰の影響は、都民生活にも大きく及んでいます。
 都の水道事業においても例外ではありません。物価高騰が財政運営に多大な影響を与え、大きな負担となってのしかかっています。こうした厳しい環境においても、水道局が料金水準を平成六年以降も維持しつつ、給水所の整備や配水管の耐震継ぎ手化など、施設整備を着実に進めてきたことは、局の努力のたまものといえます。
 先日、トルコでマグニチュード七・八という大規模な地震が発生し、多くの人命が失われ、都市インフラにも甚大な被害を与えました。
 東京都においても、同様の事態が起きる可能性は十分予見されています。震災対策に万全を期すためにも、施設整備を止めるわけにはいきません。
 物価高騰が続き、財政的な負担もさらに増大していく厳しい経営環境下にありますが、施設整備を着実に推進し、都市の強靱化を実現しなければならないと考えます。見解を伺います。
 最後に、道路整備について伺います。
 都道一一八号線のうち、榎交差点から祖師谷公園までの区間については、相互交通であるにもかかわらず、現況幅員が五メートルから八メートルと大変狭く、歩道もないため、通学路として利用する児童などが危険にさらされています。加えて、周辺駅へアクセスする路線バスの往来も激しく、大変危険な状況です。
 現在、都は、都道一一八号線と並行する新設道路、補助第五四号線の整備を進めています。児童などへの安全確保のためにも、一日も早い整備が求められます。
 また、近年は、隣接する都立祖師谷公園においてスケートボード利用者が急増しており、本路線及び公園の整備に合わせて、専用スペースの早期設営も期待されています。
 そこで、補助第五四号線の現在の整備状況について伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松大祐議員の一般質問にお答えいたします。
 障害児施策についてのお尋ねです。
 障害のある子供たちが、自分らしく輝ける共生社会をつくっていくため、本人と家族を社会全体で支えることが重要です。
 そのため、都は、障害児の保育所等での受入れ促進や医療的ケア児の在宅支援の充実などに加えまして、来年度、障害児を含む全ての子供を応援する〇一八サポートや高校生などへの医療費助成の区市町村支援など、経済的負担を軽減する取組を新たに実施をいたします。
 施策における対象範囲の設定に当たりましては、それぞれの施策の目的などを踏まえまして、適切に判断されるべきものでございます。
 今後とも、障害児のライフステージに応じた切れ目のない支援を講じてまいります。
 その他のご質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長がご答弁いたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 様々な無線通信技術についてでございますが、いつでも何があっても、人と物がネットワークでつながり、便利なサービスを提供する社会に向け、多様な無線通信の研究開発や実装が進められています。規格ごとに周波数帯や速度、距離、電力消費等が異なるため、サービスに応じた適切な規格が選定されます。
 災害対策としては、大規模水害に備えた河川の水位観測や水門の遠隔監視などに、低消費電力と長距離通信を特徴とするLPWA規格を活用することが考えられます。
 今後、都政の様々なサービスにIoTを導入していくに当たっても、その内容に応じた効果的な通信規格を用いる必要があることから、通信事業者や有識者から成るスマート東京・TOKYO Data Highway戦略推進協議会において、幅広く検討を進めてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 障害のある子供たちの海外での体験についてでございますが、都教育委員会は、今年度初めて、ろう学校高等部の生徒三人を都立高校の生徒と共にパリに派遣し、現地の高校生と互いの文化等について意見交換するなど、交流の場を設けました。
 今後、都立高校のみならず、特別支援学校についても、海外に派遣する生徒の人数を増やし、意欲ある子供たちが、海外で多様な人々と関わり合うことで、障害の有無にかかわらず、将来への希望を持って自らの可能性を広げられるよう取り組んでまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 補助第五四号線の整備についてでございますが、本路線は、渋谷区富ヶ谷から世田谷区上祖師谷に至る約九キロメートルの地域幹線道路であり、多摩地域へつながる重要な道路でございます。
 現在、榎交差点から成城通りまでの六百八十メートルの区間で事業中でございます。このうち、榎交差点から都立祖師谷公園までの約四百三十メートルの区間につきまして、交通の円滑化や歩行者の安全性向上等、事業効果の早期発現のため、先行して今年の春に交通開放する予定でございます。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、残る区間についても着実に事業を推進してまいります。
   〔政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村恵一君登壇〕

○政策企画局スタートアップ戦略担当局長(吉村恵一君) スタートアップを応援する社会についてのご質問にお答えいたします。
 数多くのスタートアップを生み出し、成長につなげるためには、経済団体、大学、民間支援機関など幅広い主体と連携し、社会全体で応援する環境を整えていくことが重要でございます。
 このため、来年度予算には、イノベーションを起こす場づくり、アクセラレータープログラムの拡充、大学発スタートアップ等促進ファンドによる資金供給、若者や学生が交流する機会の創出などの様々な施策を盛り込みました。
 これらの施策を関係者と強力に展開するとともに、国が検討する個人からの投資促進施策等も踏まえまして、都民が幅広くスタートアップを応援できる環境づくりを推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 認定農業者を増やすための取組についてのご質問にお答えいたします。
 東京農業の活性化に向けて、各地域の団体、自治体が農業振興の基本となる計画をつくり、それに基づき認定農業者を増やしていくことは重要でございます。
 これまで都は、農業会議と協力して、自治体の職員に対し研修会を開き、農業振興に役立つ施策などについて、様々な知識を提供してまいりました。これによりまして、自治体が農業基本構想をつくるよう働きかけ、それに基づく認定農業者を目指す方からの申請手続のサポートを行っております。
 今後、農地や農業者が少なく、基本構想を策定していない自治体に、その職員と地元の農業団体等から成る勉強会の開催を働きかけ、認定農業者の増加に結びつけます。
 こうした取組によりまして、各地域の農業振興を後押ししてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 災害廃棄物の処理についてでございます。
 被災後に大量に発生する災害廃棄物をより円滑に処理するため、都は災害廃棄物処理計画の改定を進めてございます。
 過去の災害では、様々な事業者が災害廃棄物処理に大きな役割を果たしてまいりました。都は現在、処理業者の団体と協定を締結してございまして、さらなる処理の実効性向上に向け、建設事業者等多様な主体との連携の在り方を検討してまいります。
 また、国が設置する災害廃棄物対策に係る協議会で情報交換を行うなど、都外自治体との関係を強化してまいります。
 本年秋の新計画策定に向けまして、審議会等で議論を深めるとともに、様々な主体との連携強化を図ってまいります。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 災害時における道路閉塞防止についてのお尋ねにお答えいたします。
 首都直下地震や大型台風の際、建物倒壊や倒木、さらにはそれらによる電柱等の倒壊が懸念されます。
 TOKYO強靱化プロジェクトでは、こうした電柱等が道路を閉塞して避難や救助等を妨げないよう、無電柱化の取組の強化に加えまして、建物の耐震化促進や街路樹診断の集中実施等を掲げております。
 今後、こうした取組を着実に進めるとともに、東京電力などの事業者に対し、無電柱化のさらなる加速に向けた取組はもとより、発災時を想定した必要な対策を求めるなど、官民の連携を推進することで強靱な都市を実現してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) ミサイルの着弾を想定した避難訓練等についてでございますが、有事の際、自らの生命を守るためには、都民一人一人が速やかに避難行動を行うとともに、関係機関が連携し、避難者の安全を確保していくことが重要でございます。
 このため、都は、避難行動を分かりやすく記載したリーフレットを作成し、SNS等での発信や都立学校への配布等により周知を行ってございます。また、今月、図上訓練を実施し、攻撃を受けた場合の関係局等との手順を確認いたしたところでございます。
 引き続き、多様な媒体により、都民の理解を深めていくとともに、住民避難や避難誘導等について、より実践的な訓練内容の検討を具体的に進めてまいります。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、エネルギー管理と安定給水についてでございますが、水道局は、浄水処理やポンプ加圧に多くのエネルギーを消費しており、その使用量の抑制に努めることが必要でございます。
 そのため、浄水場や給水所ごとに、給水エリアや高低差等を踏まえた運転計画を策定し、効率的なエネルギー管理に努めております。
 また、電力需給逼迫時には、電力使用状況を常時把握しておりますモニタリングシステムを活用し、電力のピーク時間帯において、浄水場からの送水の減量や自家用発電設備の増強運転などにより、使用電力を抑制しております。
 こうした取組により、エネルギーを適切に管理しつつ、水道事業者としての責務であります安定給水を継続してまいります。
 次に、水道局の施設整備についてでございますが、都の水道事業は、最も重要な基幹ライフラインとして、都民生活と首都東京の都市活動を支え、安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現してまいりました。
 一方、近年の自然災害の頻発、激甚化や物価高騰など、水道事業を取り巻く環境は常に変化しており、財政運営は一層厳しさを増しております。そうした中でも、さらなる経営努力に加え、企業債を適切に活用することなどにより、健全な財政運営を維持しつつ、管路の耐震継ぎ手化や浄水施設の覆蓋化など、必要な施設整備を着実に進めてまいります。
 引き続き、様々な脅威への備えに万全を期すため、強靱で持続可能な水道システムを構築し、将来にわたり安定給水を確保してまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 下水道事業における非常時のエネルギー対策についてでありますが、下水道局では、非常用発電設備を全ての施設に設置しており、停電時においても、下水処理を安定的に継続するため、発電容量の増強を王子ポンプ所等で進めております。また、太陽光発電設備等の導入拡大による電源の多様化に加え、灯油または都市ガスで運転可能なデュアルフュエル型の非常用発電設備を森ヶ崎水再生センターへ導入するなど、燃料の多様化を図ってまいります。
 さらに、電力逼迫時には、下水道管内での汚水の貯留によるポンプ運転台数の抑制や電力貯蔵設備の活用などにより、ピーク時間帯の電力使用量を削減してまいります。
 今後も、下水道機能の安定的な確保に向け、非常時のエネルギー対策を強化してまいります。

○議長(三宅しげき君) 十四番関口健太郎君
   〔十四番関口健太郎君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十四番(関口健太郎君) 私ごとではありますが、昨年の九月に第二子が誕生しました。予定日の二か月前に生まれ、生まれたときの体重は約千グラム、NICUやGCUで二か月過ごし、我が家に帰ってきました。現在、生後五か月、今では成長のスピードも追いつきつつあり、元気に過ごしております。
 このように、医療の高度化に伴い、低出生体重児は、迅速に治療が行われることで無事に退院するケースも増えてきております。
 そうしたNICU等入院児が増えていく中で、その母親への支援の必要性もより高まっているといえます。出産後は、子供と一緒に過ごすことによって愛着を深め、親としての役割を獲得していく時期です。しかし、子供がNICU等に入院していることによって、母親は不安やストレスを抱えることが多くなります。
 また、低出生体重児にとっては、母乳は欠かせない栄養です。そのため、母親は、自宅で搾乳をして、入院している子供ために、母乳を病院に届けます。しかし、母親自身は、産科を退院している状況のため、母乳に関するケアを受けることが難しいといった声や産後ケアを適切に受けることができなかったという声があります。
 地域において、こうした母親への心理的支援や母乳等の身体的な支援を行うため、産後ケアの取組を一層推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私自身、第二子の誕生を通じて、改めて、出産、産後はお金がかかると痛感をしました。経済的支援を充実させることは重要です。また、先述したような伴走型の相談支援で、子供と保護者を支えることはさらに重要です。
 都は、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援を充実させる独自のスキームを構築していますが、このスキームでどのような社会を目指していくのか、知事の見解を伺います。
 続いて、新生児マススクリーニングについて伺います。
 新生児マススクリーニングは、原則として全ての新生児に実施をしています。この検査は、国が指定する二十種類の病気を調べることになっていますが、重症複合免疫不全症、脊髄性筋萎縮症の二つの難病の検査は、自治体によって対応が異なります。この二つの難病の検査を両方とも実施している自治体は十八府県、重症複合免疫不全症の検査を実施しているのが三道府県、東京都を含む二十六都府県では、どちらの難病も検査対象となっていません。
 しかし、現在、都が新生児マススクリーニングを委託する東京都予防医学協会では、これら二つの難病を含む先行研究を都内医療機関と進めています。私の第二子も、偶然にも先行研究を実施している医療機関で生まれたため、この新生児マススクリーニングの先行研究に協力をしたところでありました。既に東京都予防医学協会における重症複合免疫不全症、脊髄性筋萎縮症を含めたマススクリーニングを受ける土台はできているものと考えます。
 都においても、早急にこれらの難病を新生児マススクリーニングの検査対象とすべきです。これらの疾患は、早期の発見により、早期治療につながる可能性があるといわれています。今後の新生児マススクリーニングの実施について伺います。
 また、これらの疾患を追加するに当たって、保護者の負担を軽減することが重要です。例えば、千葉県では、脊髄性筋萎縮症の検査事業を全国に先駆け、二〇二〇年度から無料で実施をしました。しかし、二〇二一年度では有料となり、検査を受ける新生児の割合は八〇%台から四〇%台まで落ち込みました。
 これらの疾患については、早期に発見をし、治療につなぐことができます。障害の発生予防となることから、新生児マススクリーニングの公費負担の対象とすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 地域公共交通について伺います。
 月額五千円で乗り放題の商業目的の乗合タクシーが、二十三区の中でも試験導入がされています。渋谷区では試験導入が終了しましたが、豊島区においては現在も試験導入中です。渋谷区、豊島区では、試験導入の際に、基礎自治体の地域公共交通会議において議論がされませんでした。こうした会議で議論なく試験導入されたことに私は強い懸念を抱いております。
 私は、過疎地域や交通空白地域における乗合タクシーは重要だと考えますが、公共交通の充実する都心地域での乗合タクシーの導入には危機感を抱きます。
 このサービスは、採算性や持続性のない激安の価格設定をしています。試験導入における事業収支では、どちらの自治体でも赤字です。しかし、激安価格のサービスを継続することで、既存の公共交通のパイを奪い、既存交通の撤退を招くことを私は恐れています。結果として困るのは地域住民です。
 そこで、試験導入された月額制で乗り放題の乗合タクシーについてどう捉えるのか、都の見解を伺います。
 また、こうした商業目的の乗合タクシーの導入は、基礎自治体の地域公共交通会議で審議をされるものですが、広域自治体としての都の役割は大きいと考えます。なぜならば、地域公共交通は基礎自治体で完結するものではなく、広域的な広がりがあるからです。
 そこで、俯瞰的な目で地域公共交通を見るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 精神科医療について伺います。
 東京八王子市にある精神科の病院、滝山病院は、入院患者を殴ったとして看護師が暴行の疑いで逮捕され、この看護師を含む四人が、それぞれ別の患者の頭を殴るなどの暴行を加えた疑いがあるとして警視庁の捜査を受けています。
 都は昨年五月、滝山病院で虐待が行われているとの情報を受けて、病院側に聞き取り調査をしました。その後、六月に年一回の定期立入検査を実施、さらには九月、十月にも聞き取り調査をしました。これら四回全てで虐待の事実は確認されなかったのでしょうか。これまでの都の対応経緯について伺いたいと思います。
 滝山病院の死亡退院率が、ほかの病院に比べて高いことが指摘をされています。報道によりますと、二〇二一年六月の一か月に退院した患者十四人のうち、死亡による退院は九人と六四%、その前年の二〇二〇年六月は退院患者十五人中死亡が十二人で八〇%、さらにその前年の二〇一九年六月は退院患者七人全員が死亡による退院です。また、民間団体による少し古いデータでありますが、二〇一三年の調査ではこの病院の死亡退院率は六五%でしたが、都内七十の精神科の病院の平均は三%です。
 都は、この死亡退院率を把握していたのでしょうか。また、他の病院に比べて極めて高い死亡退院率である滝山病院に対して疑義を持たなかったのでしょうか、伺います。
 年一回の定期立入検査などでは、事前に病院側と日程を調整して検査に入っています。それでは病院側が都合の悪いことは隠したいと考えるのは容易に想像がつきます。事前連絡なしの検査を含めることで、精神科病院に対して一定程度の緊張感や精神障害者への暴行の抑止などにつなげることができると考えます。
 虐待などの情報提供が寄せられる病院などについて、定期立入検査に加え、今まで以上の臨時の立入検査も実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 そして、まさに本日の朝五時半頃、滝山病院へ、都が抜き打ちで二度目の検査に入りました。今後の対応について注視をしてまいりたいと思います。
 そして、最後に、旧統一教会の渡韓女性についてであります。
 旧統一教会の本部がある韓国には、合同結婚式で韓国に渡った日本人女性信者が約七千人住んでいるといわれています。主に、彼女たちは農村部に住んでいます。韓国の農村では、入信すれば、日本人女性と結婚できるということが勧誘の入り口となっていました。結婚難に悩む韓国の農村部では、日本人女性との結婚目的で入信する男性も多かったそうです。
 教団では、朝鮮半島を植民地支配した歴史を持つ日本は、韓国に贖罪しなければならないと教えているそうです。日本人女性が韓国人男性と結婚し、夫や夫の家族に尽くすことが日本の過去への贖罪になると教えており、家庭での苦労に耐えることが信仰の実践だと信じる女性が多いそうです。そのため、経済的に厳しい生活を送る人も多く、夫の暴力に耐えている日本人女性も多くいます。
 その一方、既に信仰心がなくなった女性においても、パスポートを家族が取り上げたり、帰国費用がなかったり、生まれた子供がいるという観点から、帰国が困難な女性が多くいます。
 実は、外務省では、パスポートがなくとも、お金がなくとも、日本への帰国が可能なスキームが既にございます。しかし、彼女たちにとってネックになるのは、その後の日本における生活と、国内における居場所です。そして、既存の福祉施策で十分に彼女たちを救うことは可能です。
 仕事がなく、金銭的な困窮をしている渡韓女性や子供のいる渡韓女性が、都に帰還した際、既存の都の福祉施策につなげることが重要だと考えますが、都の見解を伺います。
 そして知事、ぜひ、合同結婚式で韓国に渡った、帰りたくても帰れない、困っている日本人女性に対して、困っているなら東京に来てほしい、東京にはあなたたちの居場所がある、そうした呼びかけをぜひしてほしいのです。
 そうした呼びかけが、彼女たちにとって大きな励みになります。そのことを最後に要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 関口健太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援についてでございます。
 都は、妊婦や子育て家庭に対する相談支援や産後ケア、育児パッケージの提供等を行う区市町村を支援いたしております。
 来年度は、国の出産・子育て応援交付金も活用しまして、妊娠時、出産後などの各段階で相談支援と経済的支援を行う独自のスキームを構築し、誰もが安心して子供を産み育てられる社会の実現を目指してまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、産後ケアについてでございますが、都は、とうきょうママパパ応援事業により、産後ケア事業を行う区市町村を支援しており、令和二年度からは区市町村負担分を全額補助しています。
 より多くの区市町村が産後ケア事業に取り組めるよう、研修や説明会等の機会を通じて、医療機関と連携した取組事例を紹介するなど、引き続き働きかけてまいります。
 次に、新生児マススクリーニング検査についてでございますが、新生児マススクリーニング検査は、先天性の代謝異常等の早期発見、早期治療により、障害の発生を予防することを目的に、国通知に基づき実施しています。
 重症複合免疫不全症や脊髄性筋委縮症等は、国通知の検査対象疾患ではなく検査は任意となっており、都内では、本年四月から東京都予防医学協会が医療機関と連携して試験的に検査を実施する予定です。
 次に、新生児マススクリーニング検査の対象疾患でございますが、現在、国通知に基づき、都道府県は二十疾患について新生児マススクリーニング検査を公費で実施しています。
 関東知事会では、重症複合免疫不全症や脊髄性筋委縮症等についても対象疾患とするよう、国に要望しています。
 次に、精神科病院に対する立入検査等についてでございますが、都は、関係法令等に基づき、当該病院に対し、昨年六月に実施した定例の実地指導、立入検査に加えて、複数回調査を実施しました。
 虐待の事実は認められなかったが、今回、虐待が強く疑われる情報提供があったため、速やかに立入検査を実施いたしました。
 次に、精神科病院における退院患者についてでございますが、都は、国の依頼に基づき毎年実施する、精神保健福祉資料調査などにより、都内の精神保健福祉に関する状況を把握しております。
 当該病院については、関係法令等に基づき、実地指導、立入検査等を実施しています。
 次に、精神科病院に対する立入検査についてでございますが、都は、関係法令等に基づき、定期の立入検査に加え、必要と判断した場合は速やかに立入検査を実施しています。
 最後に、生活困窮者への支援についてでございますが、生活に困窮する方に対しては、生活困窮者自立支援制度や生活保護制度など、状況に応じた様々な支援制度があり、都は、都内に定住される方には、必要に応じて区市と連携して対応しています。
 なお、国は、在外公館で相談に応じるほか、法テラスに相談窓口を設け、国内外からの相談に対応しております。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、定額乗り放題の乗合タクシーについてでございます。
 ご指摘の事業は、タクシー車両を活用し、限られたエリア内を定額で乗り放題とする、民間事業者が行う乗り合い型のオンデマンド移動サービスでございます。
 この実証運行は、道路運送法に基づき国から乗り合い運送の許可を得て運行されるものであり、都といたしましては、その実施に当たり、地元自治体や既存の交通事業者など、地域の関係者で協議することが望ましいと考えております。
 次に、地域公共交通会議における都の役割についてでございます。
 地域公共交通会議は、区市町村等が主宰し、関係する公共交通事業者等が地域の移動サービスの在り方について協議する場として位置づけられております。
 新たな移動サービスを本格的に導入する場合には、国の通達により、地域公共交通会議等の場で協議を整えることとなっております。
 都は、区市町村からの要請に応じて、地域公共交通会議等に参加し、広域的、専門的な立場から必要な助言や情報提供を行っております。

○副議長(本橋ひろたか君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時二十一分休憩

   午後四時四十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十七番本橋たくみ君
   〔六十七番本橋たくみ君登壇〕

○六十七番(本橋たくみ君) 初めに、少子化対策について伺います。
 少子化は、社会の基盤を揺るがす危機といえます。
 年明け以降、都は矢継ぎ早に新たな少子化対策を公表しましたが、都だけでなく、様々な主体、特に住民に最も近い基礎自治体である区市町村と連携して取り組むことが重要です。
 同じ都内であっても、地域によって、子供や子育て世代を取り巻く環境などには違いがある実態があり、だからこそ、子育て施策を行う区市町村に対して、都として連携し、支援をしていく必要があります。
 そこで、都は、少子化対策に取り組む区市町村をどのように支援していくのか、知事に見解を伺います。
 次に、多摩地域の児童相談所について伺います。
 児童虐待が深刻化し、児童相談所の体制強化が求められている中、児童虐待を早期に発見し、対応していくためには、市区町村や警察、保健所等と緊密に連携を図っていくことが重要です。
 今回、児童相談所の新設により、多摩地域のエリアを四つから七つにする素案が出されましたが、管轄区域の見直しを機に、関係機関との連携を一層強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、新設する児童相談所の設置場所については、管内の全ての自治体と緊密な連携体制が取れるよう、市町村の意見も聞きながら、バランスを考慮して検討を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 虐待対応件数が毎年増え続けるとともに、一時保護件数も増加しており、都の一時保護所では定員超過が常態化していると聞いています。また、児童福祉司等は、国が示す配置基準に対して大幅に不足しており、最近では、トー横キッズなどの影響などから、夜間の警察からの身柄付通告も多く、児童相談所職員の業務の負担増及び一時保護所の逼迫が課題となっています。
 こうした中でも、児童相談所がより専門性の高い業務を発揮できるよう、児童相談分野のノウハウのある民間の力を活用するなど、児童相談所の体制を強化する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、理系人材の育成について伺います。
 我が国の国際競争力を支えてきたのは科学技術であり、科学技術の発展に寄与できる人材を育成することが求められています。一方で、高校生の理数離れが進んでいるといわれており、国際競争力の低下につながりかねない状況が生じています。
 そうした危機から、都議会自民党は、かねてより、都立高校における理数教育の充実を主張してきました。我が国の科学技術の発展のためには、理数好きの子供たちの裾野を拡大する取組も重要です。
 そこで、都立高校における理数教育の取組の成果について伺います。
 さらに、今後、Society五・〇の到来を見据え、理数分野で活躍する人材を多く輩出することにより、我が国が科学技術の分野で世界をリードできるようにする必要があります。
 そのためには、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、マセマティクスの頭文字を取ってSTEAM教育といわれる、科学、芸術、数学等の教科の枠を超えた教育を新たに創出していくことが重要であり、STEAM教育の推進を図っていくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、統合型校務支援システムの共同調達について伺います。
 教育分野においてもデジタル化、データ利活用が進む中、島しょ地域においても教育DXを進めていくことは重要であり、教員の働き方改革を進めるに当たって、島しょ部での情報連携も有用ではないかと考えますが、島しょ地域の小中学校では、都内のほとんどの区市町村で導入されている統合型校務支援システムが導入されておらず、島しょ地域の自治体では、校務のデジタル化を単独で進めていくのは難しい現状があります。
 そこで、島しょ地域の校務のデジタル化を一層支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、児童生徒の個別最適な学びを実現するためには、一人一人に合わせた丁寧な指導をしていく必要があります。
 島しょ地域は学校の規模が小さく、配置される教員の人数が少ないため、教員同士で指導方法について学び合う機会も限られています。また、児童生徒は、小学校から高校まで一つの島で過ごすことが多い現状があるため、都内にある教育データを効果的に活用していくことで、教育内容を充実させていくことができると考えます。
 そこで、島しょ地域それぞれの小中高校間でデータを活用した教育を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ジュニア世代のスポーツ育成支援について伺います。
 都は、ジュニア世代のスポーツ選手の育成、支援に様々な形で取り組んでいますが、その中でも国際大会を通じた育成が特に重要だと考えます。
 私自身、都が実施している東京国際ユースサッカー大会で審判員として関わった経験がありますが、ジュニア選手たちが海外選手との対戦で多くの刺激を受けていると感銘をいたしました。
 日頃の練習の成果を海外の選手にぶつけ、また、試合後の交流を通じてお互いの理解を深めることは、感受性が豊かで吸収の早いジュニア世代の選手にとって大きな刺激となり、選手たちがトップアスリートとしてさらに成長するきっかけになります。
 都は、国際大会を通じたジュニア選手の育成を今後も積極的に実施していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、中小企業支援について伺います。
 原材料価格の高騰や円安などが続く中、電気料金の値上がりにより、中小企業の経営は一層深刻な影響を受けています。
 都は、昨年三月から中小企業によるエネルギーコスト削減の取組へのサポートを行っていますが、電気料金の値上がりの影響を極力回避し、安定的な経営を行っていくためには、節電などの省エネに取り組み、使用電力を減らすことに加え、自社で必要な電力をつくり、蓄えることが重要であると考えます。
 一方、中小企業の現場にとって、発電や蓄電の設備の導入はハードルが高く、どのような設備を導入できるのか分からないという声や、ノウハウや予算がなく、目の前の事業を運営することで精いっぱいという意見を伺います。
 都は、来年度、中小企業による発電や蓄電の取組を後押ししていくこととしています。
 そこで、中小企業の実情に寄り添ったきめ細かい支援を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、農産物のブランド化について伺います。
 狭小な東京の農地において稼ぐ農業を展開していくためには、農産物のブランド化が重要です。
 私の地元の花の生産者は、高い技術力を生かして魅力的な商品を作り出し、全国的な品評会で毎年のように入賞するなど、自らブランド化に成功していますが、個人の生産者ができる取組には限界があります。
 一方、国分寺市においては、市内で生産された農畜産物を、地元飲食店や流通事業者と連携して、こくベジという愛称でブランド化を図っています。
 東京農業の活性化を図るためには、生産者だけでなく、様々な関係者の知恵を活用しながら、農産物の品質を向上させ、幅広い方に認知していただくような取組が重要です。
 都は、東京農産物の魅力を高めるとともに、そのブランド化に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 また、ブランド化した農産物を新鮮なうちに消費者に届けるためには、流通が大きな課題となっています。
 都内の農家は、一般的に売上規模が小さく、直売所等で販売しているところが多い実態があります。しかし、営農の規模を拡大し、生産量が増えてくると、新たな販売先を見つける必要があります。
 一方、都心部のスーパーや百貨店などは、東京産の新鮮な農産物に関心を持っているが、農産物の輸送などにかかるコストが高いために、取引につながらない例もあると聞いています。
 農家と小売店等との取引を実現するためには、収穫後できるだけ早く、コストを抑え、効率的に売場まで運べるような流通システムが求められています。
 都は、東京産の農産物の円滑な流通に向けて取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、多摩・島しょの観光振興について伺います。
 水際対策の大幅な緩和以降、私の地元の多摩地域でも外国人旅行者を見かけるようになりましたが、都心部ほどのにぎわいは見られません。
 多摩や島しょ地域は、都心部に比べアクセスが容易ではなく、外国人旅行者に足を運んでいただくには長期的な滞在が前提となります。そのためには、滞在環境を整えることが必要であるのはもちろんですが、その地域にとどまり、時間をかけて楽しめる魅力的なコンテンツも必要であります。多摩・島しょ地域には、魅力的な自然や文化が数多くあるものの、外国人を引きつけ、長い期間滞在してもらうには至っていません。
 そこで、多摩・島しょ地域へのインバウンドの誘客を図るため、地域観光資源の一層の活用を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、多摩地域の消防団について伺います。
 近年、地震や台風など、各地で甚大な被害が発生することが多くなっています。しかしながら、地域防災の要である消防団員が全国的に減少しており、私の地元の多摩地域においても、成り手不足などの問題が深刻化しています。
 加えて、平成二十九年の道路交通法の改正で、準中型免許ができたことにより、普通免許で運転できる車両総重量が三・五トンとなってから、約四トンの消防ポンプ車を運転できない団員が徐々に増えてきていることも懸念しています。
 そこで、都は、団員の中型免許取得などの課題に対応し、団員が安心して長く活躍をできるような活動環境の整備に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、中央線の複々線化について伺います。
 JR中央線は、都心部と多摩地域をつなぎ、日常生活において通勤通学での利用者も多く、多摩地域にとって大変重要な路線です。
 一方、通勤時ダイヤが大幅に遅れることが常態化しており、解決に向け、複々線の実現に大きな期待が寄せられています。
 この路線には、中央線複々線事業促進のための国会議員の会や、三鷹・立川間立体化複々線促進協議会などの精力的な活動もあり、地元が期待する中、取組が進められてきましたが、代表質問でも申し上げたとおり、平成六年に都市計画決定をされたにもかかわらず、事業予定者であるJR東日本にいまだ実現に向けた動きがありません。
 そこで、中央線複々線化について、これまでの経緯を踏まえ、現在の状況と今後の取組について伺います。
 次に、スタートアップについて伺います。
 多摩地域には数多くの大学や専門学校があり、都外から来る学生たちも含め、多くの若者がその希望に満ちた将来に向けて準備をしています。
 こうした若者たちが社会に変革をもたらすべく、スタートアップなどに挑戦しやすい環境としていくことが、これからの日本の発展に大きくつながり、挑戦を後押しすることで多くのスタートアップが生まれ、それが社会の成長につながり、税収が上がり、都民のQOLが高まる好循環を生み出していくべきだと考えます。
 若者がスタートアップと交流するイベントを多摩地域でもぜひ開催すべきだと考えます。
 そこで、スタートアップへの挑戦に向けて、学生や若者とスタートアップとの交流をどのように生み出していくのか、見解を伺います。
 また、こうした交流を通じて起業への意識に目覚め、踏み出そうとする学生や若者の夢やアイデアを大切に育て、成功に導いていくことも重要であります。
 よりきめ細かな支援が成功の確率を高めていくと考えますが、挑戦を後押しする支援について都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 本橋たくみ議員の一般質問にお答えいたします。
 少子化対策についてです。
 次の世代を担う子供たちが減り続けています。我が国は、子供を持ちたいという一人一人の思いに真剣に向き合わなければなりません。
 そのためには、都自らの取組に加え、国や区市町村、民間企業などが一体となり、社会全体で少子化対策に取り組むという大きなうねりを起こしていくことが必要です。とりわけ、住民に身近な自治体である区市町村が、地域の実情に応じたきめの細かい取組を進めていくことが重要です。
 都は来年度から、区市町村が行う独自の少子化対策への支援を新たに開始をいたします。子育て支援に加えまして、結婚支援、住宅の確保、雇用、就労環境整備など、地域における多様な取組を積極的に後押しすることで、子供を望む人がより産み育てやすい東京の実現を目指してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校における理数教育の成果についてでございますが、都教育委員会は、今年度から、理数好きの生徒を増やすことを目的として、都立高校四校を指定し、希望者を対象に、最先端の科学施設の見学や研究職による講演、フィールドワークなどを実施いたしました。
 この事業に延べ千百人を超える生徒が参加し、生徒から、環境問題に関心が高まった、理科や数学の実用性が分かったといった感想が寄せられるなど、生徒の理数に関する興味、関心を高めることができました。
 次に、STEAM教育の推進についてでございますが、都教育委員会は、生徒の理数、芸術分野での活躍につながるよう、来年度から、都立高校生の希望者を対象に、世界トップランキングの大学を訪問して講義を体験するなど、STEAM教育に直接触れる機会を設定いたします。
 また、都立高校生が、高度な問題解決力が求められる国内外の科学オリンピック等に参加する場合の費用を補助いたします。
 こうした取組を通して、STEAM教育を充実させることにより、生徒の論理的思考力や創造性を高め、将来の科学技術立国日本を支える人材を育成してまいります。
 次に、島しょ地域の教育DXの推進についてでございますが、島しょ地域の教育を充実するには、校務等のデジタル化が必要であり、都は、各町村教育委員会と議論を重ね、共同して統合型校務支援システムを導入することといたしました。
 クラウドサービスの導入など国の最新の方針を参考に、調達や運用コストの低廉化、導入期間の短縮を図り、令和五年度に速やかにシステム整備を進めてまいります。
 各学校でこのシステムを活用することにより、島ごとの垣根を超えた教員の情報共有にも取り組み、教員の指導力向上や働き方改革につなげてまいります。
 教育のデジタル化に各町村教育委員会と連携して取り組み、島しょ地域における教育の質の向上を図ってまいります。
 次に、島しょ地域でのデータの利活用についてでございますが、島しょ地域の児童生徒は島内の高校に進学することが多いという特徴を生かして、都教育委員会は来年度から、町村教育委員会と連携して、小中高の校種をまたいだ一貫した教育データの分析を行ってまいります。
 各校種の出欠席や成績などのデータをつなげ、小学校から高校まで連続して分析することで、一人一人の子供に合わせた適切な指導ができる環境を検証してまいります。
 こうした取組を通じて、島しょ地域ならではの魅力的な教育の実現を目指してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、多摩地域の児童相談所についてでございますが、都は先月、市長会、町村長会に児童相談所の管轄区域の見直し素案を提示しており、その中で、管轄人口を百万人以下とするとともに、各児童相談所の管轄自治体数を見直すこととしております。
 これにより、各市町村の子供家庭支援センターや警察、学校など地域の関係機関とのよりきめ細やかな連携体制を構築し、虐待相談等の対応を強化してまいります。
 また、来年度は、新設する児童相談所の設置場所や整備工程などの詳細な調査を実施いたします。設置場所等については、管轄区域内の関係機関との連携が図りやすくなるよう、市町村の意見も聞きながら、交通のアクセス等に考慮し、具体的な検討を進めてまいります。
 次に、児童相談所における民間事業者の活用についてでございますが、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、都は来年度、児童福祉分野の知識や経験を有する民間事業者を活用し、児童相談所の体制を強化します。
 具体的には、一時保護ケースの増加に緊急的に対応するため、事業者が、足立児童相談所の仮設一時保護所や民間の物件等を活用し、保護児童を受け入れます。また、保護児童を他道府県へ移送する際の同行業務や夜間の相談受付業務も民間事業者を活用し、児童相談所職員の負担を軽減することで、よりきめ細やかな支援を行ってまいります。
 こうした取組により、民間事業者も活用しながら、児童相談所の体制を一層強化してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 国際大会を通じたジュニア選手の育成についてでございますが、ジュニア選手にとって、技術力を高め、国を超えた相互理解を深める上で、国際試合の経験は重要でございます。
 こうしたことから、都は、東京国際ユースサッカー大会やジュニアスポーツアジア交流大会を開催してまいりました。コロナ禍により、大会の中止や海外チームの参加が困難になる等の影響が続きましたが、来年度は、両大会とも海外チームの招聘を再開し、交流の充実を図ります。
 さらに、国内外で行われる国際大会に日本代表候補としてジュニア選手が出場する際、遠征費用等を支援するなど、国際大会の経験を積めるよう引き続き後押しをしてまいります。
 これらの取組により、コロナ後を見据えながら、国際大会を通じたジュニア世代の育成を一層推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の電力確保の取組への支援についてでございますが、中小企業が電力を安定して確保し、事業を継続できるよう、再生可能エネルギーを活用した電気の地産地消を後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、省エネにより電気代を抑え、固定費を減らす助言とその実現に必要な経費に助成を行ってまいりました。
 来年度は、電力の安定確保に役立つ地産地消を進める中小企業へのサポートを開始いたします。具体的には、専門の窓口を設け、電力を再エネで生み出し、蓄える効果的な仕組みについて相談対応を行います。また、技術に詳しいアドバイザーが現場に出向き、中小企業の実情に合わせ、小型の風力発電機や蓄電池の導入等に関して、きめ細かい助言とその実現に向けた経費への助成を行います。
 次に、農産物のブランド力を高める取組についてでございますが、農産物を販売して収益を上げる上で、そのブランド化を推進し、付加価値を高める取組は重要でございます。
 これまで都は、農産物のブランド化に取り組む農業者に対し、新たなラベルのデザインなどについて専門家が助言を行い、その作成等の必要経費に助成をしてまいりました。また、農林総合研究センターで開発した優れた品質のイチゴを東京おひさまベリーと名づけ、ロゴやパッケージに工夫を行うなどのブランド化を進めたところでございます。
 来年度は、農業者のグループと都が協力して、ブランド化を進める協議会を設置します。これによりまして、ブランド化の対象となる農産物を選び、マーケティングを行い、販売戦略をつくり、効果的なPRキャンペーン等を実施いたします。
 こうした取組によりまして、東京農業の振興を進めてまいります。
 次に、農産物の流通の促進についてでございますが、東京産の野菜や果物の地産地消を推進する上で、新しい流通ルートを増やし、その効率化を進めていくことは重要でございます。
 これまで都は、多摩地域等で取れた農産物をJAの直売所に集め、それを民間の配送車が都内の百貨店などに配送する取組を行ってまいりました。
 来年度は、農産物を生産者やJAから仕入れた上で、区部の飲食店やスーパーまで運搬し、納品を行う事業者への支援を開始いたします。また、こうしたルートのPRにも力を入れて、生産者による利用の後押しにつなげます。
 こうした取組によりまして、東京産農産物の地産地消を着実に進めてまいります。
 最後に、多摩・島しょ地域の観光振興についてでございますが、海外から東京を訪れる外国人旅行者を多摩・島しょ地域に誘客するため、優れた観光資源を数多くつくる取組が必要でございます。
 このため、都は、地元の観光協会などが外国人旅行者向けに工芸品づくりを体験できるツアーをつくる場合の経費に対し、助成を行っております。
 来年度は、地元の豊かな自然と文化を組み合わせて、より魅力的なツアーをつくり出すことができるよう、観光関連の団体に専門家を派遣し、地元の実情に応じた助言を行い、その実現に必要な経費を助成いたします。
 これらによりまして、多摩・島しょ地域の観光振興を着実に進めてまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 消防団員の資質向上に向けた取組についてでございますが、地域の安全・安心を守るためには、消防団活動の充実強化が重要でございまして、新たな入団者の確保はもとより、団員の資質や能力の向上に向けた取組が不可欠でございます。
 このため、都は、消防操法や応急救護、ドローンの操作技術等、様々な教育訓練を実施しております。
 また、準中型免許の取得につきましては、市町村において免許取得支援制度を導入している事例の横展開や、普通免許でも運転可能な軽量の消防車両の導入に向け、必要な情報提供や助言を行ってございます。
 こうした取組を通じまして、市町村の消防団活動を支援してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) JR中央線の複々線化についてでございます。
 本路線は、国の答申において、多摩地域と都心部とのアクセス利便性が向上するとの効果が示されております。
 一方、都や国、事業予定者であるJR東日本等が参画した事業検討委員会において、多額の費用や採算性の確保等の課題が示されていることから、都は国に対し、国の支援も含め、新しい整備の仕組みづくりなど必要な措置を講じるよう、引き続き要請してまいります。あわせて、JR東日本に対して具体的な検討を早期に進めるよう求めてまいります。
 今後、国やJR東日本等と一層の連携を図りながら、課題の解決に向けた取組を進めてまいります。
   〔政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村恵一君登壇〕

○政策企画局スタートアップ戦略担当局長(吉村恵一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、若者や学生のスタートアップとの交流についてでございます。
 起業の裾野を広げるためには、若者や学生がスタートアップの仕事や働き方に触れ、起業を身近に感じ、人生の選択肢にしてもらえるようにすることが重要でございます。
 そのため、都は今年度、採用を目指すスタートアップと関心のある人々が一堂に会するキャリアフェアや、起業家に学生がアイデアをぶつけ、交流するセミナーを開催いたしました。多くの方が参加し、スタートアップから生の話が聞けて有意義だったとの声をいただいております。
 来年度は、こうした声も踏まえ、数多くの大学等がある多摩地域を含めまして、イベントを定期的に開催し、交流の充実を図ってまいります。
 次に、若者の挑戦を後押しする取組でございます。
 若者がビジネスで成功を収めるまでには、アイデアの磨き上げや資金調達など様々な課題がございます。このプロセスを乗り越えるには、起業を志望する方と対話を重ね、的確なサポートを届ける伴走型の支援が有効でございます。
 そのため、都は、来年度、独創的なアイデアを持つ若者に対し、新たな支援を開始いたします。メンターとの対話を通じてアイデアをブラッシュアップし、市場調査や技術実証の経費を支援し、ビジネスプランを高めてまいります。その後の資金調達や販路開拓を含め、きめ細かくサポートいたします。
 多くの若者の挑戦を後押しし、誰もが夢に向かって羽ばたける東京の実現に向け、取り組んでまいります。

○議長(三宅しげき君) 四十七番田の上いくこさん
   〔四十七番田の上いくこ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○四十七番(田の上いくこ君) ミライ会議の田の上いくこです。
 国では、岸田総理の少子化と防衛とその財源が議論されています。少子化と防衛の二つの政策が、産めよ増やせよ、軍事増強のいわゆる新しい戦前にならないよう、情報公開を進めて隠し事のない政治を実現し、未来への希望を示す大胆な改革を進めていかなければなりません。
 まず、子供政策と公教育について伺います。
 小池百合子都知事は、十八歳までの子供に月五千円給付とおっしゃいました。
 子育て政策は、自民党の、子供は家庭で育てるもので、給付は貧困対策、所得制限なしの給付は、愚か者のばらまき政策という考え方があります。一方、旧民主党の、社会全体で子育てを支えるという社会連帯の思想で、給付は所得制限なし、高額所得者には税で公平を期するという考え方もあります。
 自民党時代の所得制限ありの政策から所得制限なしの給付に踏み切ったのは、社会連帯の思想に変わったからなのか、それとも単なるばらまきなのか、小池知事に伺います。
 また、税制における所得再配分を行わなければ、高額所得者に給付することに対する不公平感は払拭できないと考えますが、小池知事の見解を伺います。
 月五千円の支給なら、毎月支給、四半期支給をすべきです。予算案の概要では、月額五千円、括弧書きで年六万円と書いてありますが、年一回支払いは、手当ではなく一時金です。
 都知事選挙の年の二〇二四年一月に支給という遅すぎる六万円の一時金になった理由について、小池知事に伺います。
 産み育てたい子供の数と現実は、経済的要因で左右されます。非正規雇用では、賃金格差があり、不安定な雇用により将来への確たる見通しを持てません。まずは隗より始めよで、お膝元の東京都庁から改革するべきです。
 都には、会計年度任用職員等非正規公務員は何人いるのでしょうか。都の非正規職員の待遇改善や正規職員化に取り組むことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 知事は、少子化対策として結婚支援をうたっておられますが、子供を産み育てるのに結婚が全てではありません。戸主を筆頭とする戸単位の戸籍制度は、百五十年前に明治維新政府が徴税、徴兵のためにつくったもので、日本古来の伝統ではありません。
 また、子供の虐待死や中絶数も目をみはるものがあります。
 予期せぬ妊娠で葛藤し、産み落とされてゼロ日で亡くなる命を救うため、相談体制を充実して医療につなげ、その方法以外には医療にたどり着けない方の選択肢として内密出産、さらに、出産後の母子支援や特別養子縁組への支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 知事は、英語力の東京を強調されますが、東京都では和製英語のようなキャッチコピーが氾濫しており、都民からは訳が分からないという声が聞こえます。
 英語を話すことは、国際人としての一つの要素にすぎず、話すだけなら、自動翻訳アプリもあり、日常で困ることはありません。また、日本は国内市場が大きく、中継貿易で国家運営をしようとするシンガポールやドバイとは国情が異なります。フランス人全員が英語を話すわけではありませんし、その必要もありません。
 東京都総合教育会議の委員が指摘する、日本のことをきちんと理解して、それを外国語を使って伝えることができるグローバル人材育成のため、国語、歴史、文化の教育に力を注ぐべきだと考えますが、グローバル人材とは何か、小池知事に伺います。
 新たに、予備校講師を都立高校の大学受験対策に活用する施策が盛り込まれました。都立高校の教員は大学入試には対応できないと天下に公言するもので、教員の能力を軽視し過ぎています。
 生活指導や課外活動の担当スタッフの雇用など、まず、先生方が公教育に専念できる方向へと教員の働き方改革をすべきです。公教育をどう考えているのか、伺います。
 情報公開について、教育庁は、公開できるものは全て公開しているといいますが、これは詭弁です。英語スピーキングテストのベネッセとの協定書など、ほとんどの文書は、事業の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるという教育庁の都合で、公開できないものにしているのが実態です。
 情報を隠さなければ事業の適正な執行ができない教育からは、自ら考え、行動するグローバル人材も生まれません。英語スピーキングテストに関する資料は全面公開するべきですが、浜佳葉子教育長の見解を伺います。
 次に、東京二〇二〇大会の不祥事と明治神宮外苑再開発について伺います。
 知事は、東京二〇二〇大会に談合や不祥事が発覚すると、泥縄式に調査チームを立ち上げますが、本格的に調査を行って都民の信頼を取り戻すべきです。東京都が招致委員会や組織委員会の資金の流れに知らぬ顔を決め込むなら、世界陸上も札幌オリンピックも開催するべきではありません。
 東京都は、招致委員会の不透明な資金の流れに対して、責任を持って資金の流れを明確にするべきです。小池知事の見解を伺います。
 都は、須藤栄会計管理局長を組織委員会の監事に送り込んでいました。
 そこで伺います。組織委員会の監事は東京都の職務でしょうか。職務でないとすれば、監事としての仕事を行っている間は、職務専念義務の解除手続を行ったのでしょうか。また、監事が充て職として選任された理由についても伺います。
 組織委員会の談合事件で、運営局元次長の森泰夫容疑者は、二〇一八年三月に、現在は都の局長をしている上司に見せたとのことです。入札の制度設計をするための検討資料で、一覧表にあるのは、実績から想定する事業者だと説明された、受注調整のための一覧表という認識はなかったと答えたと報道されています。
 報道は事実か伺います。また、受注調整の可能性を指摘できなかった監督責任について伺います。
 パネルです。東京二〇二〇大会組織委員会の収支の最終報告では、六千四百四億円の収支均衡です。清算後の処理が全く必要がない、幸せの決算になっています。自然体で収支均衡になるのか、素朴な疑問を持ちます。
 国内スポンサー企業収入三千七百六十一億円、マーケティング支出千二百九十九億円、ロイヤリティー等の収入連動経費一千七十七億円は、対スポンサー収益二八・六%です。
 仮に、収入連動経費一千七十七億円のうち、電通手数料、IOCへの支払い、JOCへの支払いを一対一対二として計算すると、JOCの収入が五百三十八億円になります。これは極めて多額で、この相当部分を組織委員会の黒字として計上すれば、定款上、清算後は公益法人、国、地方自治体に受け継がれるので、東京都に戻る可能性もあります。
 組織委員会の収入連動経費一千七十七億円は、誰に幾ら支払われたのか明確にするべきですが、都の見解を伺います。
 検証のため、公開されている組織委員会の正味財産増減計算書内訳表を確認してみましたが、国内スポンサー三千七百六十一億円、マーケティング支出千二百九十九億円の数値になりません。
 国内スポンサー三千七百六十一億円、マーケティング支出千二百九十九億円の数値は、公開されている正味財産増減計算書などの資料からどう導き出せるのか、ご教示願います。
 明治神宮外苑には、JAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREビルがあり、ここに、嘉納治五郎財団から日本レガシーコミッションへ、さらに衣替えした一般財団法人日本スポーツ政策推進機構があります。事務局長は小池知事と旧知の遠藤利明氏、理事に小池知事が立ち上げた希望の党の結党届にある一人、笠浩史氏、評議員に日本新党時代からの長年の盟友、樽床伸二氏がいます。
 収入連動経費の一千七十七億円は、日本スポーツ政策推進機構の活動資金となる懸念もありますが、それはあり得ないと断言できますか。小池知事の見解を伺います。
 知事は、外国人特派員協会で、明治神宮外苑再開発は、明治神宮などの地権者が進めてきたと述べています。これは事実に反します。
 平成二十四年五月の森喜朗氏との会談で、当時の佐藤広副知事は、神宮外苑全体の再整備は進めると決意を語り、明治神宮の協力が必要と述べています。明治神宮主導でないことは明らかです。都は開発の主導者であり、開発は事業者が行うといって逃げてはいけません。
 都市政策専門家、越澤明氏は、「後藤新平 大震災と帝都復興」で、折下吉延氏が整備した四列のイチョウ並木や内外苑連絡道路がある明治神宮外苑は、日本の都市計画上、画期的な街路であり、公園であると評価しています。
 明治天皇と昭憲皇太后の遺徳をしのび、国民の奉仕によってつくられ、奉呈された明治神宮外苑の価値をどのように認識されているのか、小池知事に伺います。
 環境破壊に対して、イコモスなどが意見書を提出し、事業者との対話を求めていますが、事業者は事業実施で対話を封じようとしているのが現状です。
 都市計画変更で可能となった明治神宮外苑再開発によっても、イチョウ並木が保全されると考えておられるのか、その根拠とともに、小池知事に伺います。
 また、都は、明治神宮外苑を文化財保護法により仮指定して文化庁に報告し、明治天皇の遺徳をしのぶ外苑を保全する意思を示すべきと考えますが、浜教育長の見解を伺います。
 次に、建築物バリアフリーと私の地元葛西臨海公園についてです。
 東京都建築物バリアフリー条例の見直しでは、三年前の附則に盛り込んだように、宿泊施設の一般客室のユニットバスへの間口が七十五センチになり、車椅子ユーザーが利用しやすくなりました。
 今後のハードのバリアフリー整備における数値規定においては、ユーザーの声を聞いて実証実験を実施し、制度設計をするべきと考えますが、都の見解を伺います。
 千代田区の神田警察署前のイチョウの木も、打ち首状態で伐採されました。明治神宮外苑も、緑は守られるという知事の発言と現実は異なります。そして、今度は葛西臨海公園です。
 葛西臨海公園は、自然豊かな海辺の公園として、葛西海浜公園共々、葛西住民に愛されてきた公園です。葛西臨海水族園の新設に当たり、脱炭素化に向けて太陽光パネル設置や緑化基準面積を確保する一方で、樹木が伐採されるのは本末転倒です。
 葛西臨海水族園は、芝生広場を中心に設置し、樹木を守りながらサステーナブルな建築とするべきですが、都の見解を伺います。
 今回、私の質問に対して、関係局が全ての知事質問を局長質問へ変更しました。執行機関が議会の質問に介入することは、令和二年十一月二十五日の最高裁判決で示されている議員の質問権の侵害、憲法の住民自治の否定です。

○副議長(本橋ひろたか君) 時間が参りました。田の上議員、終了をお願いします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 田の上いくこ議員の一般質問にお答えいたします。
 初めに、グローバル人材の育成についてでございますが、都教育委員会は、令和四年三月に策定した東京グローバル人材育成指針において、小中高等学校を通して育成すべき資質、能力を四つ設定しております。
 具体的には、主体的に英語を学び続ける態度と英語力を基盤とし、国内外の諸課題の解決を追求する思考力、自分らしさ、郷土を理解し、世界の一員として社会参画する力、多様な文化を背景とする人々と協働する力を身につけることを目指し、多様な取組を展開しております。
 次に、都立高校における教育の在り方についてでございますが、都教育委員会は、教員が主体となり、効果的な教育が実現できるよう、専門知識や技能を有する外部人材の活用や民間企業との連携を進めています。
 今回、都教育委員会が予備校等と連携し、受験対策を実施する施策は、生徒が自らの経済的環境にかかわらず、希望する大学への進学に向けて、複雑化する傾向にある大学入試に的確に対応できるようにするための取組であり、教員の働き方改革にも資するものでございます。
 次に、スピーキングテストに関する資料についてでございますが、個人に関する情報や、公にすることにより、事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合などを除き、公開できるものは全て公開しております。
 次に、明治神宮外苑についてでございますが、明治神宮外苑は、文化庁が発行した近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書において、文化財の指定の可能性がある事例として挙げられておらず、史跡名勝天然記念物に指定する文化財としての価値について、国は判断を示しておりません。
 仮指定は、国の史跡名勝天然記念物に指定されることが前提となるため、都教育委員会として明治神宮外苑を仮指定することは考えておりません。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 葛西臨海水族園の整備事業についてでございますが、新施設は、公園の緑など周辺環境と一体となり、自然との共存をコンセプトに整備することとしております。
 こうした観点から、樹木の少ない芝生広場を中心に建設することとし、支障となっている樹木についても移植を前提に設計を進めております。
 また、新施設の屋上に太陽光パネルを設置するとともに、外壁等の高断熱化を図るなど、建物全体において徹底した環境負荷低減を実現していきます。
 引き続き、持続可能な社会の実現に寄与する施設整備に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、〇一八サポートについてでございますが、〇一八サポートは、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、所得制限を設けず、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付するものでございます。
 本事業は、子供を産み育てたいという願いを応援するものでございます。
 次に、〇一八サポートの給付の考え方についてでございますが、本事業は、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付するものでございます。
 次に、〇一八サポートの給付の時期についてでございますが、来年度は、区市町村との調整や支給手続の準備等のため、令和六年一月をめどに、年額六万円を一括で給付する予定でございます。
 最後に、予期しない妊娠についてでございますが、都は、妊娠や出産に悩みを抱える方に、妊娠相談ほっとライン等で対応するとともに、産科受診等が困難な方には、医療機関等への同行支援を行っています。
 また、妊婦が身元情報を医療機関の一部の者にのみ明らかにして出産せざるを得ない場合には、出産までの手続や出生した子供の特別養子縁組などについて、国通知に基づき対応することとしています。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 都における非常勤職員についてでございますが、知事部局の非常勤職員数は、令和四年八月一日現在、八千二百五十四名でございます。
 非常勤職員の報酬の額は、法律等に基づき、職員の職務の複雑性、困難性等に応じ、常勤職員の給与との均衡を考慮し、適切に定めてございます。
 なお、令和二年度から、会計年度任用職員には、在職期間等に応じ、常勤職員と同じ月数分の期末手当を支給してございます。
 また、現在非常勤職員に任用されていることをもって常勤化することは、地方公務員法に定める成績主義や平等取扱いの観点から、原則としてできないこととなってございます。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 六点のご質問にお答えします。
 まず、招致委員会についてであります。
 招致活動は、都と招致委員会が役割分担の上、行っていたものであり、国際招致プロモーション活動は招致委員会が担当し、都から公費も支出しておりません。
 なお、海外コンサルタントとの契約については、JOCの調査チームにより、法令等への違反を見いだすことはできないとの結論が示されているところであります。
 また、招致委員会の決算につきましては、招致活動報告書に取りまとめられ、公表されております。
 次に、組織委員会の監事についてであります。
 組織委員会からの依頼を受け、会計管理局長が兼職手続を行い、監事に就任をしております。
 なお、組織委員会の監事として職務に従事する際には、職務専念義務免除の手続を行っております。
 次に、談合に関する報道についてでございますが、捜査に関わることであり、お答えは差し控えさせていただきます。
 次に、組織委員会のマーケティング支出の収入連動経費についてであります。
 清算法人によりますと、収入連動経費は、IOC、IPCへの権利使用料、JOC、JPCへの共同マーケティング活動に伴う支払い、専任代理店契約に伴う支払いでありまして、相手方との契約に基づき、金額は公表していないと聞いております。
 次に、国内スポンサー収入等についてでありますが、正味財産増減計算書は、法令等に基づき、組織委員会の全ての収益や費用を勘定科目ごとに整理し、事業年度ごとに作成された会計上の計算書類でございます。
 一方、お話の収入及び支出の項目は、大会経費の全体像を分かりやすく示すため、業務の区分ごとに整理したものの一部であります。
 このように、それぞれ目的に応じて整理しているものとなっております。
 最後に、収入連動経費についてでございます。
 清算法人によりますと、組織委員会とお話の団体とは、契約関係になかったと聞いております。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、神宮外苑の価値についてでございます。
 神宮外苑は、国民からの献金、献木などにより造営され、緑地や文化、スポーツ施設の提供を通じて、多くの人々に開かれた庭として機能してきたものと認識しております。
 今回の再開発は、こうした歴史や文化を適切に継承しながら、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点として、さらに発展させていくものでございます。
 次に、建築物バリアフリー条例の見直しについてでございます。
 今回の規定の見直しでは、障害者団体やホテル業界などと定期的に意見交換を行い、検討を進めてまいりました。また、障害者団体やユニットバスメーカーの実証実験も参考に、電動車椅子でも円滑に利用できる出入口幅や通路幅の検証を行ってまいりました。
 今後も、関係者の声や利用実態の的確な把握に努め、あらゆる方が利用しやすい建築物の整備を誘導してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四列のイチョウ並木の保全についてでございますが、都は、その保全に万全を期すよう、昨年五月、事業者に要請するとともに、昨年八月の審議会の答申を踏まえ、審査意見書を事業者に送付してございます。
 これを受け、事業者は、根系調査の実施や、その結果を踏まえた保全措置等の実施、評価の結果を評価書に盛り込んでいると認識してございます。

○副議長(本橋ひろたか君) 七番漢人あきこさん
   〔七番漢人あきこ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○七番(漢人あきこ君) 環境破壊の都市計画道路小金井二路線について、まず質問します。
 昨年十一月二十七日、小金井市長選が行われ、二名が立候補、いずれも重要公約として、はけと野川の自然環境を壊す都市計画道路二路線、小金井三・四・一号線、三・四・一一号線について、事業化の中止と都市計画決定の見直しを東京都に求めることを掲げて市長選に臨みました。二路線の推進を求める候補者はいませんでした。
 投票率が低かったことは残念ではありますが、結果は、白井亨さんが得票率七五%で当選しました。二路線の中止を明確にした新市長の誕生によって、小金井市の民意が再び示されたといえます。
 白井新市長は、当選直後の十二月の市議会で、二路線中止を都に申し入れることを明言し、現在開会中の第一回定例会の施政方針では次のように述べています。
 国分寺崖線はけと野川の自然や、その豊かな自然環境から生み出される文化は、本市にとってかけがえのない財産であり、宝です。都市の近郊であり宅地開発が進む利便性の高い地域であるからこそ、豊かな自然の保全が一層重要となります。こうした観点から、優先整備路線である小金井都市計画道路三・四・一号線及び三・四・一一号線については、施行者である東京都に対し事業化の中止を求める要望書を提出するなど、今後も、はけと野川を守り、豊かな暮らしや文化を後世に継承していくため、適切に対応していきたいと考えております。以上です。
 知事、地元小金井市長の二路線中止を求める意向が明確になりました。これは大いに尊重されるべきと思いますが、知事はどのように受け止めていますか。今後の東京都の対応について伺います。
 次に、PFASによる地下水汚染について質問します。
 有機フッ素化合物、PFAS汚染は、全都的に広がりを見せています。特に深刻なのが多摩東部で、全国的にもかなり高濃度の汚染が確認されています。
 地下水汚染は水道事業に大きな影響を与えているだけでなく、井戸水を直接水源とする膨大な数の飲用井戸の汚染を通して、市民の日常生活や健康に対しても深刻な脅威となっています。
 まず、PFASによる地下水汚染の状況をどのように受け止めているのか、都としての基本的な認識を伺います。
 多摩地域を管轄する都の保健所が行っている調査によれば、全体で千を超える飲用井戸があり、そのうち、福祉施設や学校などに給水しているものも含め、二割程度の井戸で毎年、目標値を超過するPFASが検出されています。また、災害時の飲用水源として期待されている井戸も少なくありません。これら飲用に供されている地下水の汚染状況をどのように認識していますか。また、飲用井戸利用者の健康と安全を確保するためにどのような対策を講じていくのですか。
 多摩地域は、良質で豊富な地下水を飲用に用いてきた歴史があります。湧水として河川等の公共水域とつながり、土壌環境とも深く関連しています。地下水環境の保全は多摩地域ではとても大切な課題です。その中での汚染の広がりは衝撃的で、大きな不安を感じる声が広がっています。
 そこで伺います。
 環境省のPFASの手引にある汚染井戸周辺地区調査や排出源特定のための調査は行われていますか。
 多摩東部の汚染は、国分寺、府中、国立、立川、小金井、狛江と、横田基地から東、南側で、地下水位が下がっていく方向へと広がっていて、横田基地が大きな汚染源の一つではないかと思われますが、いかがですか。
 都として、米軍に情報提供や調査協力を求めるべきではないですか。
 PFASに関する調査は、局や自治体ごとにばらばらで、情報の相互の活用や検証がなされている気配がありません。
 関係局の連携を密にし、井戸水の独自調査を行っている武蔵野市や国分寺市など、各自治体との協力体制をつくり上げるべきではありませんか。
 自治体の独自検査などへの財政支援や、井戸所有者等の検査経費の助成を検討しませんか。
 蓄積されつつある汚染状況データを効果的に活用して、オープンに比較検証できるように、汚染地点の公開、調査地点の増加、計画的、継続的な検証体制を確立することを求めます。いかがですか。
 次に、新宿御苑における放射能汚染土再生利用の実証事業について質問します。
 環境省は、福島県内の放射能汚染土の再生利用のため、新宿御苑の花壇で実証事業を行うと発表し、十二月二十一日に新宿区内で住民説明会を開催しました。
 多くの都民が暮らし、日本有数の昼間人口を誇る新宿で行われる実証事業に、多くの都民は疑問や不安を感じています。都は、都民の思いに寄り添って対応するべきだと考えます。まず知事の見解を伺います。
 次に、事業計画について環境省から都への事前の連絡の時期と内容、都の対応を伺います。
 十二月の説明会は、新宿一、二丁目の住民僅か五十名に限定されたものでした。環境省に対して、誰もが参加できる説明会を再び開くよう求めませんか。
 最後に、周辺住民、来園者など関係者全ての安全が保障されない限り、事業中止を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、玉川上水の生物多様性地域戦略に基づく管理について質問します。
 玉川上水は、都心部と多摩地域をつなぐ緑の回廊としての役割を果たしています。地域住民にとっては散歩や癒やしの場であり、復活と保全の市民活動も活発です。
 この間、小金井エリアでは、生物多様性への配慮が大変不十分な樹木の皆伐が行われました。近く「山階鳥類学雑誌」で発表予定の論文で、桜以外が伐採された小金井エリアは、交通量が多く道路に挟まれ緑地も少ない杉並エリアよりも、鳥類相は最も貧弱であることが示されます。また、桜だけの小金井エリアは、二〇一八年の台風のときに、他地域の七倍もの倒木があったとの論文も発表されています。
 来年は小金井桜名勝指定百周年です。私も大好きな桜並木の伝統を重視しつつ、生物多様性にも配慮した新しい時代を迎える契機としたいと思います。
 都としての玉川上水の生物多様性地域戦略に基づく対応について伺います。
 次に、こども基本条例に基づく朝鮮学校に通う子供たちの学びの環境整備について質問します。
 二月十日、都内十校ある朝鮮学校を支援する地域市民の会が、都知事宛ての、東京都こども基本条例に基づき、朝鮮学校に通う子供たちの学びの環境整備を求める要請書を提出し、三十六人の朝鮮学校に通う子供たちから、条例に基づく意見表明も提出されました。
 朝鮮学校への私立外国人学校教育運営費補助金は、十三年前、石原知事が、補助金の扱いに関しては、まず議会の方で議論していただきたいなどと答弁し、支給停止になっています。
 しかし、二〇二一年四月、子どもの権利条約を色濃く反映したこども基本条例が、議員提出、全会派一致で制定され、施行となりました。昨年末には、自民党、公明党、立憲民主党、共産党、無所属の党派を超えた都議有志主催で、こども基本条例都議会学習会を開催し、私も含む参加者は、補助金再交付に向けて取り組むことを確認しました。趣旨に賛同する都議は、現在三十名を超えるとのことです。
 提出された要請書の一部を紹介します。この間、都の返答は同じ、都民の理解が得られないでした。しかし、差別や偏見があるのであれば、都民の理解を得るために努力するのが行政の役割です。都民の理解が得られないは、朝鮮学校に関する補助金の停止への正当化根拠とはなりません。すなわち都の現状は、なすべき是正措置をなさない、行政の不作為状態といえます。都民の理解が得られないとの回答を直ちに撤回し、条例に基づき、一刻も早く私立外国人学校教育運営費補助金を朝鮮学校に関して復活させることを求めます。以上です。
 都は、こども基本条例を踏まえて、朝鮮学校に対する私立外国人学校教育運営費補助金の交付を再開すべきです。見解を伺います。
 最後に、関東大震災百年に当たっての歴史的事実を踏まえた人権尊重の取組について質問します。
 今年は、関東大震災百年として様々な取組が行われようとしていますが、忘れてはならない歴史的事実である朝鮮人や中国人などの虐殺の悲劇を繰り返さないという視点がありません。
 二〇一六年熊本地震では、朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだといったデマがネット上で出回り、二〇一八年大阪北部地震では、ツイッター上で外国人に対する差別的な投稿が相次ぐなど、決して過去の出来事ではありません。二〇一八年には、法務省人権擁護局はツイッターで、災害発生時には、ネット上に差別や偏見をあおる意図で虚偽の情報が投稿されている可能性もあり得ますなどと冷静な行動を呼びかけました。
 都は、人権尊重条例でヘイトスピーチ解消を掲げています。関東大震災百年を契機に、二度と悲劇を繰り返さないためにも、災害発生時の差別や偏見による人権侵害を起こさないよう人権啓発事業を行いませんか。
 再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 漢人あきこ議員の一般質問にお答えいたします。
 小金井三・四・一号線及び三・四・一一号線ほかの今後の対応についてでございますが、この二路線は、第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけられておりまして、武蔵野公園などの広域避難場所へのアクセス向上や、生活道路への通過交通抑制による地域の安全性向上に資する重要な路線でございます。
 この二路線について、様々な意見があることは承知しております。引き続き、事業化に向けて市民の皆様と意見交換を行うなど、丁寧に対応してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、地下水中の有機フッ素化合物の状況についてでございますが、PFOS等の有機フッ素化合物は、撥水性や化学的安定性等の特性から、様々な用途で使用されてまいりました。
 都は、平成二十二年度からの四年間、島しょを除く都内全域で地下水中のPFOS等の調査を行ってきました。この間に、いずれの区市町村からもPFOS等の有機フッ素化合物が検出されてございます。
 その後、こうした状況も踏まえまして、比較的濃度が高かった地点については、継続して測定し、その結果を公表するとともに、関係各局で共有を図り、飲用井戸所有者に対して飲用を控えるよう助言を行っているほか、一部の水道水の取水井戸で取水を停止してございます。
 次に、地下水中の有機フッ素化合物の調査についてでございますが、都は令和三年度からは、地下水中のPFOS等について、水質汚濁防止法に基づき調査を実施してございますが、測定結果が暫定指針値を超過した場合には、調査に協力いただいた井戸所有者等に対して飲用を控えるよう助言を行うほか、経年変化を把握するため、継続監視調査を行ってございます。
 次に、地下水中の有機フッ素化合物についてでございますが、PFOS等の有機フッ素化合物は、半導体の製造、撥水加工、泡消火剤など様々な用途で使用され、都のこれまでの調査では、全区市町村で検出されてございます。また、暫定指針値を超過した地点は、多摩や区部のそれぞれの地域で確認されてございます。
 都は、引き続き都内全域で調査を進めてまいります。
 次に、有機フッ素化合物の地下水調査に係る協力体制についてでございますが、都は、都内全域の調査の状況等について、関係各局と共有するほか、暫定指針値を超過した飲用井戸の所有者に対して、連携して飲用を控えるよう助言を行ってございます。
 また、区市と定例的な会議等を通じて情報共有や意見交換を行っているほか、調査を行う際には、各自治体の要望や地域特性等を踏まえ、測定地点を選定してございまして、調査に協力いただく井戸所有者との調整等についても、各自治体と連携して取り組んでございます。
 次に、自治体や井戸所有者に対する調査経費の助成についてでございますが、都は現在、都内全域を対象として、計画的にPFOS等の汚染状況の把握と未把握の汚染の発見を進めてございます。また、暫定指針値を超過した地点に対する継続測定も実施してございます。
 引き続き、都内の実態把握を着実に進めてまいります。
 次に、有機フッ素化合物の汚染状況データの効果的な活用についてでございますが、国が本年一月に設置した専門家会議では、PFASに対する総合的な戦略を検討するほか、国民に対して分かりやすい情報発信を行っていくとしてございます。
 都は、こうした国の動向を注視しながら、引き続き地下水の調査を着実に実施し、その結果をホームページ等で公表してまいります。
 最後に、国が進める放射能除去土の再生利用についてでございますが、当件は、環境省が国の事業として自らの施設内で行うものでございます。環境省には、放射線の安全性等について、地元自治体や住民への説明、適切な情報開示などをしっかり行うよう伝えてございます。
 なお、環境省は、全国自治体を対象に除去土利用の普及啓発活動を行っており、都に対しても、昨年の八月以降、数度にわたって取組概要等に係る説明がございました。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 飲用井戸等における有機フッ素化合物に関するご質問にお答えいたします。
 都は、多摩地域の飲用井戸等の設置者に対し、国が定める暫定目標値を情報提供するとともに、水質等の状況を把握するための検査で目標値を超えた場合は、飲用を控えるなどの助言を行っております。
 国は本年一月、専門家会議を設置し、最新の科学的知見や検出状況の収集、評価を行い、科学的根拠に基づく総合的な対応を検討しており、都はその結果を踏まえ、分かりやすい情報発信や専用電話による健康相談を実施してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 米軍への情報提供、調査協力依頼についてでございます。
 国からは、在日米軍が保有するPFOS等を含む泡消火剤について、二〇一六年以降は訓練を目的として使用しておらず、厳格に管理している旨の説明を米側から受けていると聞いております。
 また、環境補足協定では、漏出など環境に影響を及ぼす事故が現に発生した場合に基地への立入りを行えると規定されており、そうした調査協力を求める状況にはございません。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) 玉川上水の生物多様性に係る対応についてでございますが、水道局では、史跡玉川上水を適切に保存管理し、後世に継承していくことを目的とし、史跡玉川上水整備活用計画に基づき、水路、のり面の保全や名勝小金井桜の保存、倒木による被害防止を図るとともに、生物多様性にも配慮し、樹木の伐採や剪定を実施しております。
 引き続き、地域住民との意見交換を行い、緑の保全に配慮いたしました植生管理を進めるとともに、生物多様性が保たれた適切な生態系の維持に努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 朝鮮学校に対する外国人学校教育運営費補助金の交付についてでございますが、施策の実施に当たりましては、東京都こども基本条例の理念と施策の性質を踏まえて判断するものと考えております。
 朝鮮学校の運営等の実態を確認するため、過去に実施した調査結果やその後の状況などを総合的に勘案して、朝鮮学校に外国人学校教育運営費補助金を交付することは、都民の理解が得られないと判断しております。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) ヘイトスピーチ解消に向けた啓発についてでございますが、災害時における人権侵害を防止するためには、平時から都民の意識啓発を図ることが重要でございます。
 都は、人権尊重条例に基づき、啓発冊子や動画等を活用した広報、人権啓発イベントでの展示など都民への啓発に取り組むとともに、ヘイトスピーチと認められる表現活動の概要を公表してございます。
 引き続き、様々な機会を捉えた効果的な啓発を行い、ヘイトスピーチは決して許されないという都民の意識を醸成してまいります。
   〔七番漢人あきこ君登壇〕

○七番(漢人あきこ君) 新宿御苑の放射能汚染土再生利用実証事業について再質問します。
 先ほどの答弁で、東京都は、地元自治体や住民への説明、適切な情報開示などしっかり行うよう伝えているとのことでした。
 しかし、そのような、住民が納得するような説明、そして情報公開は行われておりません。知事、当然再度の住民説明会の開催を国に求めるべきではないでしょうか。知事の答弁を求めます。
 そもそもこの事業は、放射性廃棄物は集中管理すべきという原則から外れ、根本的解決からも逃げ、将来世代に対して全く無責任なものです。そして、このような国のやり方は、福島に真の復興をもたらすものではないということも申し上げておきます。
 以下、意見、要望を述べます。
 都市計画道路小金井二路線については、近く小金井市長から、事業化の中止を求める要望書が提出されます。小金井市民の民意をしっかりと受け止めた対応を強く求めます。
 PFASについては、各局、自治体との一層の連携による取組を求めます。
 玉川上水については、十三年前策定の当初の計画期間を既に終了した整備活用計画に基づく答弁でした。生物多様性地域戦略に基づく計画の見直しを市民参加で至急行う必要があることを指摘しておきます。
 朝鮮学校運営費補助金不支給は、こども基本条例にも人権尊重条例にも反するものであり、都民の理解が得られないとの答弁は、なすべき是正措置をなさない行政の不作為状態であることを重ねて指摘をします。
 また、二月十日の市民団体の要請にも、三十六人の子供たちの意見表明にも、全く向き合おうとしない知事の姿勢に強く抗議します。
 最後に、関東大震災百年を契機とした人権啓発事業に大いに期待をしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 繰り返しになりますけれども、本件は、環境省が国の事業として自らの施設内で行うものでございます。環境省には、放射線の安全性等について、地元自治体や住民への説明、適切な情報開示などをしっかり行うよう伝えてございます。

○議長(三宅しげき君) 八番岩永やす代さん
   〔八番岩永やす代君登壇〕

○八番(岩永やす代君) 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。
 多額の税金をつぎ込んで開催したオリンピック東京大会は、談合や贈収賄など汚職まみれのイベントとなってしまいました。犯罪捜査が進み、組織委員会や電通から逮捕者が出る事態で、札幌をはじめ、今後のオリンピックや国際イベント招致にも大きな影響を与えています。この問題を都が解明できないならば、日本では国際大会など開催できなくなることは明らかです。都は、開催都市の責任として、第三者機関による徹底した調査をすべきです。
 組織委員会から清算法人に引き継がれた文書の保存期間は、清算結了から十年間であり、文書の所有権はIOCにあります。しかし、東京都は、組織委員会に人も金も提供しており、契約文書も含めて、都が保存すべきと考えます。
 そのために、IOCと交渉する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 電気代やガス代が高騰し、暖房を我慢して低体温で死に至る高齢者も出ていると報じられているところです。住まいの断熱化は、省エネにより冷暖房費を節減できるだけでなく、ヒートショック予防や結露によるカビ発生防止など、住人の健康にも寄与します。
 建物の断熱改修は、現在、環境局が補助金を出して推進していますが、光熱費が高騰している今こそ、環境と福祉をセットで推進する視点に着目すべきです。CO2削減とともに、光熱費削減と医療費削減にもつながり、貧困対策や健康づくりに役立ちます。まずは、都営住宅での断熱改修導入が必要と考えます。
 新たに建設する建て替え住棟の断熱性を高めるよう二年前に提案したときは、公営住宅の整備基準以上はできないということでした。
 都営住宅では、これまで消極的だった太陽光発電も導入し始めており、既存の住棟の断熱化を大規模改修に合わせて実施するなど、都営住宅の断熱改修を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、断熱改修について、窓やドア一つでも補助しています。二重窓にするなど工事を伴う手法のほか、簡易で断熱効果が比較的高い方法を伝授している建築の専門家もいます。そのような人材やNPOが地域で具体的な相談に対応できる仕組みが必要です。
 最近、マスコミでも断熱の有効性が取り上げられており、自分の家の断熱改修を検討する人が増えています。
 都では、断熱改修を含め、住宅の環境性能向上に関する多くの補助制度を設けていますが、それらに関する相談に対してどのように対応しているのか伺います。
 東京にはマンションが大変多くあります。古いマンション一棟丸ごと外断熱の工事をすることで、建物の長寿命化が図られるとともに、健康や快適な生活にも資するといわれており、資産価値が上がる場合もあるとのことです。
 外断熱改修を進めるために、見積りの相談や補助などを実施することが重要と考えますが、見解を伺います。
 子供の権利を守る仕組みの一つとして、都が実施している子供の権利擁護専門相談事業は、子供の権利侵害事案に対応し、子供に寄り添って解決していく取組です。いじめや虐待が増加し、子供をめぐる状況が改善されない今、さらなる拡充が求められています。
 これまで、子供の意見を聞くよう求めてきましたが、ようやく二〇二三年度に、児童相談所が関わる子供のアドボケイトについて検討する委員会を開催するとしています。一時保護や児童養護施設への措置決定などを本人抜きで大人だけが決めることは問題であり、子供自身が意見を述べることは重要です。しかし、子供が本心を言葉で伝えることが難しいため、アドボケイトはそれを引き出し、意見表明を支援するための制度であり、担い手のスキルがとても重要になります。子供自身が声を出せるようなエンパワーメントにつながり、さらなる広がりも期待しています。
 アドボケイトを担う意見表明等支援員については、今後の検討の中で具体化されますが、検討項目及びスケジュールについて伺います。
 生活者ネットワークは、ジェンダー主流化を掲げ、男女平等やSOGI、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツなどの課題に取り組んでいます。人権に基づく性教育の必要性はもちろん、若者が性の相談を安心して気軽にできるユースクリニックや年齢の近い大学生などと語り合える場をまち中につくるよう、二十年以上前から提案してきました。
 しかし、二〇〇三年ごろから吹き荒れたバックラッシュの影響で進展せず、性教育も相談機能も、若者の性に関する取組は置き去りにされてきたのです。
 今年度、ユースヘルスケア推進事業の取組として、ようやく相談窓口を設置しました。どのような事業を実施しているのか、今後の取組と併せて伺います。
 日本語を母語としない、外国にルーツのある子供が増えています。孤立しがちな子供たちが地域で共に育つように、親子で安心して過ごせる居場所として子供食堂などが各地で活動しています。
 文科省では二〇一九年度から、市区町村と連携し、全ての外国人の子供に教育機会が確保されるよう外国人の子供の就学状況調査を行っており、二〇二一年の調査では、就学実態が不明または不就学の子供が都内で約三千九百人いることが確認されています。多文化共生社会を掲げ、外国人が多く暮らす東京都こそ、こうした事態を解決していかなければなりません。
 こども未来アクションでは、日本語を母語としない子供への支援が重点項目の一つとして位置づけられました。一人一人がアイデンティティーを持ち、自分らしく育ち学ぶことができるような環境づくりに期待を寄せています。
 地域や学校での多文化、多民族共生の取組を進めるために、新たにスタートする多文化キッズコーディネーターの配置や多文化キッズサロンについて、きめ細やかに支援していく必要がありますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 外国人は、高校卒業資格があれば就労制限なく働くことができますが、家族滞在の在留資格では、原則、週に二十八時間以内という就労制限があり、高卒の資格は子供の将来に大きく影響します。
 文科省の調査では、日本語の支援が必要な外国にルーツのある子供の高校中退率は、二〇二一年度に六・七%、全体の中退率一%の六倍以上となっており、高校への進学と高校までの支援が大変重要です。
 個々に合わせた受入れ体制や学びの支援をどのように充実させていくのか伺います。
 朝鮮学校への私立外国人学校教育運営費補助金支給が、二〇一〇年から知事の判断で停止になっています。この補助金は、外国人学校、インターナショナルスクールも対象となっているにもかかわらず、朝鮮学校だけ外すことは、特定の学校への差別、民族差別にほかなりません。
 先日、再開を求めて市民団体が都に要請し、当事者である子供たちの声も届けられました。都議会全会派の賛成で制定された東京都こども基本条例の趣旨も踏まえ、一日も早く復活することを求めます。見解を求めます。
 介護離職ゼロを実現するためには、介護サービスの充実が必要です。ところが、介護施設に入所している場合でも、通院同行を家族に求められることがあります。また、介護保険制度では、在宅高齢者が通院するときの院内介助にヘルパーの待ち時間が算定されないなどの制約があるため、病院内でヘルパーが使えず、通院の付添いのために家族が同行しなければならない状況があるとの声を聞きます。
 家族からは、負担が大きく仕事との両立ができないと、悲鳴が上がっています。訪問介護事業所からも、ヘルパーの仕事が細切れになるため、何とかしてほしいという訴えがこちらにも届いています。
 都として、こうした実態を是正するべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩地域の水道水PFAS汚染が大きく報じられ、住民に不安が広がっています。
 地下水は、多摩地域の大切な財産であり、地下水を飲み続けたいと活動してきた多摩地域の市民は、水質保全のために、化学物質に頼らない生活の実践や、水量確保のために雨水浸透ますの設置を進めるなどしてきました。
 PFASの汚染源を究明し、対策を図るとともに、汚染浄化に取り組むことが必要です。汚染によって地下水が水道水源として使えなくなっている今こそ、地下水の水質と水量を守るための地下水保全条例が必要です。
 東京のPFAS汚染が話題になったのは、横田基地周辺の井戸から検出したという新聞記事に端を発しており、汚染データ収集のためには、横田基地への調査が欠かせません。
 横田基地内の井戸の状況や泡消火剤などに関して、都に提供されている情報はどれくらいあるのか伺います。また、東京都として基地への立入調査を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩地域では、多くの畑で農産物が作られており、地産地消の取組は地域でも喜ばれています。農業用井戸も使われており、農業者も住民もPFAS汚染を心配しています。
 水から農産物へのPFASの移転について、東京都農林総合研究センターなどで研究していただきたいと考えますが、見解を伺います。
 血液検査で高い値が検出された住民は、健康被害を心配しています。国のエコチル調査の対象には、東京都の住人はいないと聞いています。データ収集を国に働きかけるとともに、都としても調査や研究を進めていただきたいと考えますが、見解を伺います。
 地下水は、一旦汚染されると水質を回復するのが難しいです。現在、濃度の高い地下水については、水道水源井戸の取水がとめられており、個人宅の井戸でも飲用を控えることが求められています。
 しかし、汚染源が分からないままでは、いつまでも市民が望む地下水利用が再開できません。そのため、汚染源特定のための調査を実施し、汚染物質を取り除くなどの対策を講じていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 汚染源特定のためにはデータの集積が重要で、環境局、水道局や福祉保健局、保健所設置自治体からも測定データを集め、また、湧水も測定するなどして、都内全域で地下水のPFAS汚染実態を把握し、公表することが必要です。
 この問題を解決するために、縦割りを排し、各局が協力して東京都全体で取り組むことを要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 岩永やす代議員の一般質問にお答えいたします。
 組織委員会の文書の保存についてのご質問がございました。
 それらにつきましては、法令に基づき、清算人が清算結了後十年間保存することとなっております。
 清算人保存文書のうち、守秘義務が課されているものや個人情報を含む文書などを除きまして、IOCとの協議によって、都が管理するアーカイブ文書については、既に公開をいたしております。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 外国にルーツのある子供への支援についてでございますが、都立高校に在籍する日本語指導が必要な生徒の指導の充実を図るため、教員にとって必要な情報を掲載したハンドブックを作成し、今年度中に都立高校に配布いたします。
 また、対象の生徒が在籍する全ての都立高校に対して、来年度、外部人材を派遣する事業を実施いたします。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の断熱改修についてでございますが、省エネルギー化に加え、居住者の健康確保の観点からも、都営住宅の断熱性能を高めていくことは重要でございます。
 既存住棟におきまして、住戸の内側から断熱性能を向上させるには、壁や天井等に断熱材を貼る必要がございまして、居住しながらの改修が困難であることから、現在、建物の外壁に断熱材を貼る工法と窓を複層ガラス等に改修した場合の効果やコストを検証しております。
 今後とも、都営住宅における省エネルギー化に向けた取組を進めてまいります。
 次に、マンションの外断熱改修についてでございますが、外断熱改修工事は、マンションの省エネ化を進める手法の一つでございまして、都は今年度から、既存住宅の外断熱を含む断熱改修工事等に対する補助事業を実施しております。
 また、住宅関係団体等と連携した東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームのホームページ等を通じまして、補助事業や関係団体の相談窓口等を紹介しております。
 今後とも、こうした取組を進めてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、断熱改修を含めた補助制度の相談についてでございますが、都は先月、住宅等を対象とする新制度や、断熱、省エネ等に係る各種補助制度に関する問合せをワンストップで受け付ける電話相談窓口を開設いたしました。
 相談窓口では、都の補助の申請手続等に加えまして、国や区市町村の関連する補助制度も含め情報提供を行うなど、きめ細かく対応してございます。
 今後とも、都民からの問合せに丁寧に対応することにより、環境性能の高い住宅の普及を促進してまいります。
 次に、地下水中の有機フッ素化合物の調査についてでございますが、都は、平成二十二年度から、島しょ部を除く都内全域でPFAS調査及びそのフォローアップ調査を行ってまいりました。
 令和三年度からは、国がPFOS等を要監視項目に規定したことから、水質汚濁防止法の測定計画に位置づけまして、都内二百六十ブロックで測定するとともに、暫定指針値を超過した地点は継続測定し、結果を公表してございます。
 国は本年一月、PFASの専門家会議を設置し、最新の科学的知見や国内の検出状況を踏まえまして、総合的な戦略の検討と分かりやすい情報発信を行うとしてございます。
 都は、こうした国の動向を注視しながら、引き続き、地下水の調査を着実に実施してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子供の意見表明についてでございますが、東京都児童福祉審議会は本年一月、児童相談所が関わる子供の意見表明等の理解促進や支援の仕組みの充実等について、提言を取りまとめました。
 都は、この提言を受け、来年度検討会を設置し、意見表明等支援員の職務や研修等について検討することとしております。
 次に、ユースヘルスケアについてでございますが、都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応する相談窓口である、とうきょう若者ヘルスサポート、わかさぽを開設し、昨年十月から週二回の電話相談を実施しています。十一月からは対面相談を、地域や会場を変えながら月に二回程度、十二月からはメール相談も行っており、来年度は、固定の相談場所を区部に設置する予定でございます。
 最後に、高齢者の通院時の院内介助についてでございますが、国の通知では、要介護高齢者の院内での介助は医療機関の職員による対応が基本であるが、保険者である区市町村の判断で訪問介護の利用が可能とされています。
 この判断を行う際の参考として各自治体の具体的な対応事例が示されており、都は、こうした内容を区市町村に引き続き周知してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本語を母語としない子供への支援についてでございます。
 区市町村が地域の実情を踏まえて施策を実施していくことが重要と考えております。
 そのため、都は来年度、日本語を母語としない子供の居場所となる多文化キッズサロンの設置や、困り事等を聞き取り適切な支援につなげる多文化キッズコーディネーターの配置を行う区市町村を支援いたします。
 これらを通じて、多文化共生社会の実現のために取り組んでまいります。
 次に、朝鮮学校に対する外国人学校教育運営費補助金の交付についてでございますが、施策の実施に当たりましては、東京都こども基本条例の理念と施策の性質を踏まえて判断するものと考えております。
 朝鮮学校の運営等の実態を確認するため過去に実施した調査結果やその後の状況などを総合的に勘案して、朝鮮学校に外国人学校教育運営費補助金を交付することは、都民の理解が得られないと判断しております。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 横田基地内の井戸や泡消火剤等についてでございます。
 国からは、在日米軍が保有するPFOS等を含む泡消火剤については、二〇一六年以降は訓練を目的として使用しておらず厳格に管理している、泡消火剤の交換作業は、昨年十二月までに海軍や海兵隊等の施設において順次完了しており、二〇二四年九月までに、横田基地を含む全施設において完了する計画であると聞いております。
 基地への立入調査については、環境補足協定で、漏出など環境に影響を及ぼす事故が現に発生した場合に立入りを行えるとされており、立入調査を求める状況にはございません。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) PFASの農産物への影響についてのご質問にお答えいたします。
 国は、農産物に係るPFASの分析方法等について研究をしており、都は、引き続きその動向を注視してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 有機フッ素化合物の健康影響に関するご質問にお答えいたします。
 国は、子供の発育に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにするため、平成二十三年から十万組の親子を対象に、子供の健康と環境に関する全国調査を実施しており、調査項目には有機フッ素化合物が含まれております。
 この調査とは別に、国は本年一月、専門家会議を設置し、最新の科学的知見や検出状況の収集、評価を行い、科学的根拠に基づく総合的な対応を検討しておりまして、都は、その結果を踏まえ、分かりやすい情報発信や専用電話による健康相談を実施してまいります。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(三宅しげき君) これより日程に入ります
 日程第一から第百十二まで、第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算外議案百十一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事武市敬君。
   〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) ただいま上程になりました百十二議案についてご説明申し上げます。
 第一号議案から第二十八号議案までの二十八議案は、令和五年度予算案でございます。
 明るい未来の東京の実現に向け、将来にわたって成長と成熟が両立した光輝く都市へと確実に進化し続ける予算と位置づけ、編成いたしました。
 第百十号議案は、令和五年度補正予算案でございます。新型コロナウイルス感染症対策として、令和五年度予算案を補正するものでございます。
 第一号議案は一般会計予算でございまして、第百十号議案の補正予算と合わせて、総額八兆二千百八十五億円を計上しております。
 第二号議案から第十九号議案までの十八議案は、特別会計予算でございます。それぞれの事業に必要な経費として、総額六兆二千七百八十二億円を計上しております。
 第二十号議案から第二十八号議案までの九議案は、公営企業会計予算でございます。交通、水道、下水道などの経営に要する経費として、総額一兆七千六百二十九億円を計上しております。
 第二十九号議案から第七十三号議案、第百九号議案、第百十一号議案及び第百十二号議案の四十八議案は、条例案でございます。
 まず、新設の条例が五件ございます。
 第三十五号議案、東京都工業用水道事業清算会計条例は、工業用水道事業の清算に関する経理を明確にするため、特別会計を設置するものでございます。
 第三十六号議案、東京強靱化推進基金条例は、自然災害等の危機から都民の生命と暮らしを守り、強靱で持続可能な都市を実現するため、基金を設置するものでございます。
 第三十八号議案、東京二〇二〇大会レガシー基金条例は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて進めてきた多面的な取組を都市のレガシーとして発展させ、都民の豊かな生活につなげていくため、基金を設置するものでございます。
 第六十三号議案、東京都新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金条例は、脱炭素社会の実現に向け、新築建築物に係る再生可能エネルギー設備設置等の推進に要する資金に充てるため、基金を設置するものでございます。
 第百九号議案、令和四年度分の都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整の特例に関する条例は、都区財政調整について再算定を行うものでございます。
 次に、一部を改正する条例が三十六件ございます。
 第二十九号議案、非常勤職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例は、非常勤職員の報酬の限度額等を改定するものでございます。
 このほか、給料、報酬等に関するものが一件ございます。
 第三十号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例は、東京都の福祉及び保健医療行政の推進を図るため、福祉局及び保健医療局を設置するものでございます。
 このほか、組織、施設に関するものが三件ございます。
 第三十一号議案、東京都職員定数条例の一部を改正する条例は、令和五年度の職員定数を定めるものでございます。
 このほか、職員定数に関するものが二件ございます。
 第三十二号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、特別区における事務処理の特例に関する規定を改めるものでございます。
 このほか、区市町村に関するものが二件ございます。
 第四十一号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、固定資産税等の軽減措置を継続するものでございます。
 第四十四号議案、東京都体育施設条例の一部を改正する条例は、海の森水上競技場及びカヌー・スラロームセンターにおける施設の新設等に伴い、利用料金に係る規定を設けるものでございます。
 このほか、使用料、手数料に関するものが八件ございます。
 第四十七号議案、東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例は、用途地域等の変更に伴い、日影規制の対象区域等を改めるものでございます。
 第四十九号議案、高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例は、ホテルまたは旅館において、電動車椅子を含む車椅子の使用者が、より利用しやすい客室の整備を図るため、一般客室に関する基準を改めるものでございます。
 このほか、福祉に関するものが五件ございます。
 第六十九号議案、東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例は、公営企業局において臨時的任用職員を新たに任用することに伴い、規定を整備するものでございます。
 第七十二号議案、東京都高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る信号機等の基準に関する条例の一部を改正する条例は、関係法令の一部改正に伴い、信号機に関する基準を改めるものでございます。
 以上のほか、法令改正に伴い、規定を整備するものが五件ございます。
 次に、廃止する条例が七件ございます。
 第三十七号議案、東京都防災街づくり基金条例を廃止する条例外一件は、東京強靱化推進基金の新設に伴い、基金を廃止するものでございます。
 第三十九号議案、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金条例を廃止する条例外四件は、東京二〇二〇大会レガシー基金の新設に伴い、基金を廃止するものでございます。
 第七十四号議案から第九十号議案までの十七議案は、契約案でございます。
 第七十四号議案、都立中野工業高等学校(四)改築工事請負契約など、契約金額の総額は約三百十三億円でございます。
 第九十一号議案から第百二号議案までの十二議案は、事件案でございます。
 包括外部監査契約の締結についてなど、それぞれ地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものでございます。
 第百三号議案から第百八号議案までの六議案は、令和四年度最終補正予算案でございます。
 予算の執行過程において歳出及び歳入を精査し、また、都税収入の伸び、歳出の精査などにより生まれた財源を基金へ積み立てることで、持続可能な財政基盤を構築するとともに、都民生活に関わる必要な事項について所要の経費を計上した結果、一般会計、特別会計を合わせまして八千百二十八億円を増額するものでございます。
 上程になりました百十二議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
 まず、東京都収用委員会委員でございます。
 三月三十一日に任期満了となります松尾弘氏及び川添義弘氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 一名の予備委員が三月三十一日に任期満了となりますので、磯部達雄氏を新たに任命いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)
○議長(三宅しげき君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 人事委員会の回答は、第二十九号議案、第三十号議案及び第百十一号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
(速報においては公文省略)

○六十七番(本橋たくみ君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第二十九までについては、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) ただいまの動議は、
起立により採決いたします。
 ただいまの動議のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(三宅しげき君) 起立多数と認めます。よって、日程第一から第二十九までは、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員の選任について、起立により採決いたします。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(三宅しげき君) 起立多数と認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。
(速報においては委員名簿省略)

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第三十から第百十二までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、日程第三十から第百十二までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一及び第二、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
   〔古賀議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件
     松尾  弘
     川添 義弘
(速報においては公文省略)
○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 追加日程第三、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔古賀議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について一件
     磯部 達雄
(速報においては公文省略)
○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 追加日程第四から第八まで、議員提出議案第一号、個人情報の保護に関する法律施行条例の一部を改正する条例外条例四件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)
○六十七番(本橋たくみ君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第一号から第五号までについては、趣旨説明を省略し、第一号は総務委員会に、第二号及び第三号は財政委員会に、第四号及び第五号は厚生委員会にそれぞれ付託されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第一号から第五号までは、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願一件及び陳情三件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 明二十五日から三月一日まで五日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、明二十五日から三月一日まで五日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、三月二日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時四十分散会

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