令和五年東京都議会会議録第四号

○副議長(本橋ひろたか君) 二十三番星大輔君。
   〔二十三番星大輔君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十三番(星大輔君) 初めに、緊急一時避難施設のさらなる確保について伺います。
 昨年、第二回定例会の私の一般質問において、ミサイル攻撃等が行われ、この都庁舎の機能が損なわれた場合のバックアップ体制を構築していくことが必要という質問に対し、知事は、立川地域防災センターを代替施設として活用し、オープンフロア化などの大規模な修繕や通信システムの稼働確認などを行う訓練を継続して行っていくと答弁をいたしました。
 先日もEEZ内の中に弾道ミサイルが飛来するなど、脅威が高まっています。都内では高層ビル、高層マンション等が多く立ち並んでいますが、一方で、多摩地域では駅前にはビル等が立ち並んでいるものの、少し離れるとベッドタウンとして住宅街が占め、さらに里山の風景、緑豊かな公園や農地が広がっています。
 そのため、昨年、第三回定例会の我が会派の代表質問において、緊急一時避難施設は、地下施設だけでなく、鉄筋コンクリート造りの堅牢な建物も指定可能であり、今後、地下施設に限らず、堅牢な建物を積極的に指定していくことが必要であると申し上げました。
 そこで、今後、緊急一時避難施設の確保について、具体的にどのように取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 昨年のブラボーなサッカーワールドカップで、日本代表チームが世界の強豪国を次々に打ち破り、日本中に歓喜の渦を巻き起こしたことは記憶に新しいところです。日本の将来を担う子供たちにも大きな感動と希望を与え、スポーツのすばらしさを、その力を再認識しました。
 東京にはサッカーJリーグだけでなく、多くのプロスポーツリーグが存在し、様々なプロスポーツチームが活動しています。地域貢献活動にも積極的に取り組んでいるチームが多くあります。子供たちにとっても、競技を始めたい、スポーツ選手になりたいといった夢や希望を描くきっかけとして、プロスポーツの迫力、アスリートの一流なプレーをテレビ越しだけでなく、目の前で体感することが大変に重要だと考えます。
 次代を担う子供たちが将来に希望を持ち、夢を描けるように、東京を拠点とする多くのプロスポーツチームと連携して、こうした取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、身近なスポーツ施設についてです。
 東京二〇二〇大会を契機に、都内ではスポーツ施設の整備が進み、公式競技の舞台となる施設は飛躍的に増えたと思います。一方で、都民が日常的にスポーツに親しめる場については、多くの公園でボール遊びが禁止されているなど、必ずしも増えたとはいえないようにも思います。
 もちろん公園は様々な方が利用される場なので、制限があるのは理解できますが、例えば公園内にボールを使ったスポーツができる場所を区切って新たにつくるなど、子供たちや保護者の方が一緒にスポーツを楽しめる場所がもっと身近にたくさんあればという思いを持っています。
 私自身、子供の頃からの夢、Jリーグの選手となりました。その原点は、身近な場所でサッカーに親しむ環境に恵まれていたことでありますので、その経験からも強く思っているところです。
 また、二〇二五年に開催を控えているデフリンピック大会に向け、市区町村施設のユニバーサルデザイン化を推進するとともに、また、大会に参加するアスリートはもちろん、日常的にスポーツに親しむ障害者の方々にとっても重要だと考えます。
 誰もがスポーツを楽しめる場所が身近なところにあることが重要であり、ひいてはスポーツの実施率の向上につながるのではないでしょうか。
 都はこれまでも、市区町村によるスポーツの場の整備に対し支援を行ってきましたが、障害の有無にかかわらず、誰もが身近にスポーツに親しめる場をつくり、スポーツ実施率を高めていくためには、さらに支援を強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年十二月末にスポーツ庁、文化庁は、学校部活動の適正な運営や効率的、効果的な在り方とともに、新たな地域クラブ活動を整備するために必要な対応などの国の考えや、令和五年度から七年度までの三年間を改革推進期間と位置づけることが示されました。
 そこで、中学校の部活動の地域連携や地域移行に向けた都教育委員会の取組を伺います。
 また、東京都では、国の方針を踏まえ、今年度末をめどに総合的なガイドラインと部活動の地域連携、地域移行に関する推進計画を策定すると聞いています。この推進計画の策定に向けた検討の状況についてお伺いをいたします。
 次に、児童相談体制の強化についてお伺いします。
 都は先日、町田市、西多摩、多摩中部の三か所の児童相談所の新設を含む多摩地域の管轄区域見直しの素案を市長会、町村会に提示しました。今後も関係市町村の意見も聞きながら、連携して取り組んでいってほしいと思います。
 一方で、深刻化する児童虐待相談に対応していくためには、児童相談所だけでなく、パートナーである市区町村の子供家庭支援センターも強化していくことが重要でありますが、都としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、東京農産物の学校給食での活用拡大について伺います。
 東京都は、人口一千四百万人を誇る世界有数の大都市であり、巨大な消費地でもあります。
 現在、東京農業は新鮮で安心・安全な農産物を都民に供給するために様々な取組を行っています。特に市区町村の小中学校で実施されている学校給食における都内農産物の活用は、地産地消のみならず、食育の推進、ひいては農産物の消費拡大につながる取組であります。
 しかし、生産、供給側からは、どんな食材が必要なのか、安定的に供給することができない、学校給食側からは、どんな地場産食材があるのか分からないなど、双方に疑念が存在し、学校給食で地場産野菜の活用が思うように進んでいないのが現状です。
 そこで、都は、生産、供給側と学校給食の溝を解消することが必要であり、都市農業の発展のために取り組まなければならないと考えます。東京産の農産物の学校給食における活用を拡大する取組についてお聞かせください。
 次に、消防団への入団の促進について伺います。
 二月六日、トルコ南東部において、マグニチュード七・八の地震が発生しました。その後も何度も余震が発生し、多くの方が犠牲となりました。これは、プレートの境界で発生した直下型地震であり、日本に住む私たちにとっても、決して他人事ではありません。
 また、気候変動の影響により風水害は大規模な被害になることが多く、東京においても、いつ、どんな災害が起こるか分かりません。今こそ、地域住民が主体となって、有事の際に即時に対応できる消防団の重要性がますます高まっています。
 一方で、消防団の数は、全国的にも都内でも減少が続いており、特に市町村においては、消防団員数の確保が大きな課題となっています。消防団が地域の安全を守るため、昼夜を問わずに様々な活動をしていることをもっと多くの都民に知っていただくことが、新たに消防団に入団される方を増やしていくことにつながるのではないかと考えます。
 都は、消防団の役割やその活動をもっと都民にPRし、新たな入団者の確保に努めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 屋外広告物条例について伺います。
 東京都における屋外広告物は、中核市として屋外広告物条例を制定している八王子市を除き、都の条例により都内一律の基準が適用されています。
 そうした中、私の地元町田市では、屋外広告物について独自のガイドラインを策定し、地域特性に応じた景観誘導に取り組んでいます。しかし、ガイドラインには強い強制力がなく、魅力的な景観づくりに結びついていないのが実情です。
 このため、現在町田市では、生活風景に魅力と豊かさを感じられるまちの実現に向け、市の景観審議会において、今後取るべき景観施策について検討を行っており、その中で、都から条例制定権限の移譲を受け、独自の基準を持った屋外広告物条例を制定することも検討課題の一つとしています。
 こうした取組を行っているのは、今のところ町田市だけのようでありますが、町田市に限った課題ではないと思います。
 そこで、市区町村から屋外広告物条例の制定権限の移譲について相談があった場合、都としてどのように対応をするのか所見を伺います。
 次に、障害者の鉄道割引について伺います。
 障害者の社会参加の促進の観点から、精神障害者もJRや私鉄を利用した際の割引制度が導入されていることが望ましいと考えます。都として、国や事業者に働きかけるべきだと考えますが、見解を伺います。
 また、関東ICカード相互利用協議会は、障害者割引対応の新たなICカードサービスについて、三月十八日に開始することとしています。新たなICカードサービスの対象は、第一種身体障害者、知的障害者の大人の方と障害者本人を介護する任意の一名の方となっており、第二種身体障害者、知的障害者の方はサービス対象外となっています。こちらのサービス拡充についても、都からの働きかけを行っていくことを要望しておきます。
 次に、事業承継等に向けた支援について伺います。
 都内中小企業等には、独自の技術やサービスを持っていても後継者が見つからず、休業や廃業を選択せざるを得なくなるケースもあるとの声を聞きます。こうしたことは、地域経済の活力低下につながる上、東京の産業にとっても大きな損失となってしまいます。
 都では、地域の商工会議所と連携して支援拠点を設置し、中小、小規模企業が事業を円滑に引き継ぐための様々なサポートを行っていますが、原材料価格の高騰、脱炭素化への対応など、企業の経営を取り巻く環境は日々変化をしており、企業がこうした課題を乗り越え、発展を遂げながら次世代に引き継いでいけるよう後押ししていくことが重要です。
 支援拠点について、これまでの事業承継など支援を拡充し、将来に向けた企業の成長をサポートできるよう様々な関係機関と連携しながら取組の強化を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、多摩都市モノレール町田方面延伸についてお聞きします。
 多摩都市モノレール町田方面延伸について、先日、請願が採択されました。本請願は三万名を超える署名が集まったとともに、私も紹介議員として名を連ねたものであります。ぜひともご検討をいただきたいと思います。
 私の一般質問を終了いたします。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 星大輔議員の一般質問にお答えいたします。
 緊急一時避難施設のさらなる確保についてのお尋ねでございました。
 北朝鮮により繰り返されるミサイル発射など、国際情勢が緊迫する中、武力攻撃等の脅威から都民の生命を守ることが都の責務であります。
 都はこれまで、ミサイル攻撃の爆風等からの被害を軽減するため、国や区市町村と連携し、都内の公共施設や商業施設などの民間施設を含め、昨年十二月までに三千九百四十九か所指定をいたしております。
 緊急一時避難施設は堅牢な建築物や地下施設であることが求められ、今後とも、こうした要件を充足する民間施設等の地域ごとの立地状況を踏まえ、さらなる指定に向け、管理者などに協力を呼びかけてまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中学校における部活動の地域連携、地域移行についてでございますが、生徒数や指導者が減少しても部活動の機会を保障するとともに、教員の負担軽減を図ることが重要でございます。
 都教育委員会は本年度、国の方針を受け、中学校長、保護者代表、関係団体の職員等で構成する検討会議を設置し、地域連携や移行に向けた区市町村への支援の在り方等について協議をしてまいりました。
 今後、この協議を踏まえ、都内全ての公立中学校において、地域の実態に応じた部活動の地域連携や移行に向けた取組が推進できるよう、区市町村に対し、部活動指導員の配置に加え、新たに令和五年度から運営団体の設置等を支援してまいります。
 次に、部活動の推進計画についてでございますが、都教育委員会は、部活動の在り方を示したガイドライン策定に向けパブリックコメントを募集しており、本年度末にガイドラインと併せて令和五年度から三年間の推進計画を策定いたします。
 この推進計画には、指導者確保の方法や、クラブチームや民間事業者等との連携の在り方などを示し、区市町村における部活動の円滑な地域連携や地域移行に資するようにしてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、プロスポーツチームとの連携についてでございますが、プロスポーツの観戦や選手との交流は、子供たちがスポーツに憧れを抱き、始めるきっかけとなります。
 都は、都内を拠点とするプロスポーツチーム等と連携し観戦事業を実施しており、今年度は、これまでサッカー等十七件のイベントに子供たちを招待いたしました。
 今後は、連携するチームを増やし、都内の子供たちが観戦できる機会をより多く提供するとともに、選手を講師とした子供向けの競技体験会なども充実を図ります。
 こうした取組を通じて、子供たちが間近にトップレベルのスポーツに触れ、楽しむ機会を幅広く提供してまいります。
 次に、市区町村のスポーツの場の整備支援についてでございますが、スポーツ実施率の向上には、都民が身近でスポーツに親しめる環境を整えることが重要でございます。このため、都は、市区町村の公共施設を活用してスポーツの場を拡充する取組等に対し支援を行ってまいりました。
 来年度は、これに加え、施設のユニバーサルデザイン化や学校施設の開放に必要な整備などを新たに補助対象とし、支援を強化いたします。
 さらに、二〇二五年デフリンピック大会に向けましては、会場となる市区町村のスポーツ施設の改修等に対する補助率を五分の四に引き上げ、より手厚い支援を行います。
 このような取組を通じて、市区町村と連携し、身近なスポーツの場の拡大につなげてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、児童相談体制の強化についてでございますが、都は、区市町村の子供家庭支援センターの体制強化に向け、関係機関との調整などを担う虐待対策コーディネーター等の配置を包括補助により支援しております。
 来年度は、コーディネーターへの補助を充実するほか、福祉職の育成方針の策定を要件に、コーディネーターや経験豊富な虐待対策ワーカーの増配置を支援します。
 また、子供家庭支援センターが通告を受けて行う家庭訪問や安全確認等の業務の一部を、知識や経験を有する民間事業者に委託する場合も補助をいたします。
 こうした取組により、子供家庭支援センターが児童相談所と連携しながら、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応できるよう支援をしてまいります。
 次に、精神障害者に対する運賃割引についてでございますが、鉄道やバスなどの公共交通機関は、国からの協力依頼を踏まえ、それぞれの約款等に基づき障害者に対する運賃割引を実施しており、多くの事業者では身体障害者と知的障害者を対象としてございます。
 都は、精神障害者についても同様に割引を適用するよう、毎年、JR東日本と関東鉄道協会に要望するとともに、国に対しても、関係機関への働きかけを強化するよう提案要求をしております。
 精神障害者の自立や社会参加の促進を図るため、本年も来月、鉄道会社等に運賃割引の適用を求めるとともに、国に対しても引き続き働きかけてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、農産物の学校給食を通じた利用拡大についてでございますが、農産物の地産地消を推進するため、都内の学校が東京で取れた野菜等を利用するよう後押しをすることは重要でございます。
 これまで都は、地元で取れた野菜を区市町村が学校給食に提供する取組に対し助成を行ってまいりました。
 来年度は、多摩地域で収穫した野菜を区部の学校等に提供するため、自治体の区域を超えて集荷や配送を行うJAなどの団体の取組に助成を開始いたします。また、農家と学校が協力して野菜を計画的に給食で利用するための協議の場を設けるよう働きかけます。
 これらによりまして、東京産農産物の地産地消を後押ししてまいります。
 次に、事業承継等に向けた支援の充実についてでございますが、中小企業等の維持と発展に向け、新たな事業展開による会社の円滑な承継を後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、地域の商工会議所等と連携し、都内七か所に拠点を設け、経営相談や現場での専門家による助言により、事業承継を後押ししてまいりました。
 来年度は、新たな事業分野への進出に必要な技術の活用や人材の確保などに向けた支援を通じ、事業の再生を効果的にサポートいたします。
 具体的には、商工会議所等と協力して区部と多摩に一か所ずつ拠点を増やし、これらを窓口に産業技術研究センターによる技術支援や中小企業振興公社を通じた人材確保の後押しにつなげます。
 こうした取組によりまして、事業承継を着実に支援してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 多摩・島しょ地域の消防団への入団促進についてでございますが、消防団を充実強化するためには、その活動を広く都民に周知して理解を促し、入団者の確保を図ることが重要でございます。
 このため、都は、市町村と連携し、ホームページや各種イベントを通じた活動紹介や団員募集のPRを行ってまいりました。
 昨年度からは、女性や若い方も含めたより幅広い世代に消防団について知っていただけるよう、SNSやウェブ広告などの多様な媒体を活用してございます。
 今後、こうしたPRの一環として、現役の女性団員や学生団員等の活動の様子を発信するなどにより、市町村の団員確保を支援してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、屋外広告物条例についてでございます。
 屋外広告物は、景観を構成する重要な要素であることから、屋外広告物法では、都道府県が景観行政団体である市区町村と協議の上、条例制定権限を移譲できるとされております。
 都といたしましても、都条例との整合性の確保などを前提に、市区町村が地域特性に応じた基準を定め、景観行政と一体となって屋外広告物の規制や誘導を行うことは、地域の魅力や活力を高める上で有効と考えます。
 現在、都内では六市二十区が景観行政団体となっており、条例制定権限の移譲について相談があった場合は、法の趣旨を踏まえ、適切に対応いたします。
 次に、多摩都市モノレールの町田方面の延伸についてでございます。
 延伸により開業区間と一体となり南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
 事業化に向けては、収支採算性の確保等が課題であり、需要創出に向けて地元市は、まちづくり構想の策定を目指し、昨年八月にまちづくり検討会を設立いたしました。
 これまで三回開催しており、地元市が沿線の特徴や課題等について整理するとともに、まちづくりの課題に対する施策の方向性の検討に着手いたしました。
 都といたしましては、引き続き、検討会に参画し、地元市の取組を支援するなど、関係者と事業化について協議、調整を進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時二十八分休憩

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