令和五年東京都議会会議録第四号

   午後一時開議

○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第一号、個人情報の保護に関する法律施行条例の一部を改正する条例外条例四件、知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件二件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) 一昨日に引き続き質問を行います。
 二番かまた悦子さん。
   〔二番かまた悦子君登壇〕

○二番(かまた悦子君) 都立学校の担うべき使命は何か、その問いの答えの一つは、あらゆる子供たちが生き生きと学べる環境を提供することであり、中でも特別に配慮が必要な子供たち、困難さを抱えている子供たちに最適な環境を提供することは、公立学校の役目の一つであります。
 都教育委員会は、一人一人の個性や能力を最大限に生かすため、様々な特色ある都立高校を開設するとともに、不登校経験や高校での中退経験を持つ生徒が通うチャレンジスクールを今年度までに六校開設し、生きづらさを感じて苦しんできた多くの子供たちの可能性を引き出してきました。
 しかしながら、現在は倍率の関係で、再チャレンジしようと受験をしても希望者全員が入学できる状況ではありません。さらに、市部には八王子拓真高校のチャレンジ枠のみの入学枠であり、より一層、入学倍率が高くなっています。
 そこで、これまで生きづらさを抱えながらも、再チャレンジを決意した子供たち全員に学びの場を提供するため、チャレンジスクールを拡充するべきと考えますが、都の見解を求めます。
 私は、昨年の第二回定例会の一般質問で、人は親身になって関わってくれる人には心を開いていくものであり、学校や社会の中で生きづらさを抱える、例えば不登校の子供たちには、いつでも安心して相談できる第三者の存在が重要であることを訴えさせていただきました。
 そこで、困難さや生きづらさを抱える生徒が多いチャレンジスクールにこそ、教員だけではなく、様々な立場の大人が親身に子供たちに関わり、支援していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 スウェーデンのあるスーパーのエピソードを伺ったことがあります。このスーパーでは、発達障害のある方が売場マネジャーを務めており、同僚たちから、この商品の仕入れはいつか、この商品の在庫状況はどうなっているかという商品管理に関する様々な質問に対して、持ち前の記憶力を生かしてスムーズに返答していき、苦手な対人スキルについては上司がサポートしつつ、マネジャーとして十分に職責を果たしているとのことです。
 発達障害等、困難さを抱える子供たちは、自分の苦手を補う方法を習得したり、苦手が表に出ない環境を整えたりすれば、自分の持つ力を十分に発揮し、社会で活躍することができます。
 私は、社会全体があらゆる人を受け入れ、理解する社会であってほしいと願うとともに、障害者雇用の拡充こそが誰一人取り残さない社会の構築につながると考えています。
 そこで、全ての都立学校の障害等で困難さを抱える生徒が就労し、社会の中で自分らしく活躍できるよう、職場定着まで支援する体制を構築するべきと考えますが、見解を求めます。
 学校や地域から離れてしまい、不安や悩みを抱える子供やご家族とつながっていく仕組みを構築することは重要であります。
 都は、ファミリーアテンダントという子育て家庭の抱える不安や悩みに寄り添うアウトリーチ型支援を展開するとのことですが、不安や悩みを抱える方々に寄り添う支援を成功させるか否かは、支援者のスキルや人間力にかかっています。
 先日、子育て中の方に話を伺いました。その方がおっしゃるには、産後ケアの一環として面談に来てくださった保健師の方と話をしたものの、自身の苦しさを伝えることもなく面談が終わってしまい、再度その方に相談してみたいと思うことができなかったとのことです。つまり、ファミリーアテンダント事業の成功の鍵を握るのは、相談者の不安や悩みに寄り添うことができる人材の確保であります。
 そこで、先行して実施する区市町村との連携により、都がモデルケースをしっかりつくり上げ、その成果を都内に広げていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、グリーフケアについて質問します。
 来年度、都は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の中で、相談支援とともに、経済支援をさらに充実させるとしており、評価するものです。その上で、本事業を進めるに当たっては、グリーフケアの取組も重要です。
 女性の七人に一人が流産を経験するといわれており、私の友人で流産を経験した方は、その当時、公園で子供を見るだけで心が痛み、見るテレビ番組も赤ちゃんが出てくるものは見られなかったそうです。
 厚労省の調査によると、死産、流産後に深い悲しみによって、約六割の方が日常生活への支障を抱えたとのことです。
 そこで、妊娠、出産事業を進める際は、このような方々の心に寄り添ったグリーフケアにも取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、都は、不妊治療や不育症治療と仕事の両立に取り組む企業を応援する研修、奨励金事業を進めておりますが、本事業にもグリーフケアの視点を取り入れるべきと考えます。都の見解を求めます。
 トルコ南東部で発生した地震では、多くの方々の尊い命が失われました。亡くなられた皆様のご冥福と被災されている方々が一日も早く安穏な日常を取り戻せることを心よりお祈り申し上げます。
 そして、災害が起きても都民の命を守るための対策を進めることは、私たちの責務であることを改めて実感します。
 我が党はこれまで、女性をはじめ、配慮が必要な方々の立場に立った防災対策の重要性を訴え、都は、防災会議に女性など多様な立場の方々を人選したり、女性視点の防災ブック「東京くらし防災」を作成したりしてきました。
 命を守るため、改めて見直された自助、共助の重要性を考えたとき、都民が災害に備える際の参考書となる「東京防災」や「東京くらし防災」を被害想定や社会の変化に対応して見直していくことは重要であります。
 特に「東京くらし防災」については、女性の視点はもちろんのこと、高齢者や障害者など配慮が必要な方々の視点も踏まえてバージョンアップする必要があると考えますが、都の見解を求めます。
 また、災害が直接の原因ではなく、発災後の様々な要因で亡くなる、いわゆる災害関連死を防ぐ対策も重要です。中でも人が健康に生活するために必要なトイレの確保は大きな課題の一つです。
 都が十年ぶりに見直した被害想定によると、避難者数の想定は一割以上減少しているものの、都は、いまだ最大二百万人程度の方々が避難所に避難することが想定されており、在宅避難者も含めると、都が多くの被災者を見据えたトイレの数の確保を進めることは重要であります。
 私は、先日、防災産業展に参加をいたしましたが、その中で自己処理型水洗トイレといって、浄化処理技術と再生可能エネルギー蓄電システムが搭載され、平常時は公園や川辺で使用し、発災時には避難所等に移動することができる移動可能なトイレも開発されていました。
 さらに、昨年の四月には内閣府の避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインが改定され、下水道処理区域内でも災害時に備えて浄化槽を整備することがトイレの確保を図る上で有効とする内容が追記されたことからも、災害時におけるトイレの新たな技術活用も都として検討するべきであります。
 そこで、新たな技術の活用も視野に入れつつ、様々なトイレのメリット、デメリットを踏まえながら、災害時のトイレ確保に向けた取組を着実に進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 私の地元板橋には、武蔵野台地の自然とニリンソウの自生地を有し、赤塚城址など郷土史も伝える都立赤塚公園があります。
 この赤塚公園は地元地域の方々に親しまれていますが、地域外から人が集い合う公園ではなく、地域住民にとって都立赤塚公園のにぎわい創出は大きな願いであります。
 令和元年に赤塚公園で多面的活用プロジェクトとして民間事業者を公募する運びとなり、大いに期待をいたしましたが、残念ながらコロナ禍ということもあり、希望する企業がありませんでした。
 しかしながら、どの地域であっても、自分の地域の公園は魅力あふれる公園であってほしいと願うのが都民の思いであります。
 そこで、都がパークマネジメントマスタープランに掲げる民間活力の導入により、都立公園の魅力をさらに高め、東京の活性化に寄与するという目標を達成するため、民間との連携をさらに推進していくべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、板橋市場について質問します。
 板橋市場の周りには、UR団地の再生を予定している高島平団地や、国交省の事業、かわまちづくりに指定された新河岸、舟渡地域など、まちづくりに向けた機運が高まっている地域が隣接をしております。
 私はかねてより、板橋市場が城北地区における生鮮品等の物流拠点としての役割を発揮できるよう機能充実を求めてきましたが、今後は地域のまちづくりの機運を捉えて、地域の方々にとってもメリットが感じられるような市場経営を進めるべきです。
 そこで、板橋市場の基本構想を作成するに当たり、地域と一体となってまちの魅力向上につながる取組を検討すべきと考えますが、都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) かまた悦子議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、グリーフケアについてのご質問がございました。
 流産や死産などで子供を失うという体験は、家族にとって耐え難く悲しい出来事であり、心情に寄り添った丁寧なケアが必要でございます。
 都は、保健師や同じ体験をした方などによる電話相談を実施いたしまして、様々な悩みに対応するとともに、必要な支援等の情報を提供しております。また、妊産婦への支援を担う区市町村の職員などを対象にしまして、遺族への適切な支援等についての研修を行い、知識と技術の向上を図っております。
 妊娠や出産に係る支援に当たりましては、かけがえのない子供さんを亡くされた方にも十分配慮しまして、区市町村と連携しながら、それぞれの事情に寄り添った支援をきめ細かく実施をしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、チャレンジスクールの拡充についてでございますが、チャレンジスクールにおける入学者選抜の応募倍率は依然として高い状況にあり、都教育委員会は令和七年度、立川市に多摩地域初となるチャレンジスクールの開校を予定しております。
 立川地区チャレンジスクールでは、基礎、基本を重視したきめ細かい学習指導や、生徒のニーズに応える幅広い選択科目の設置に加え、将来、社会で自立する意欲を育むため、福祉施設や保育所と連携した就業体験やボランティア活動なども行うこととしています。
 来年度には開設準備室を設置し、具体的な教育課程の編成など、着実に準備を進めてまいります。
 次に、チャレンジスクールにおける生徒への支援についてでございますが、チャレンジスクールでは、スクールカウンセラーを週二日配置し、教育相談機能の充実を図るとともに、ユースソーシャルワーカー等から成る自立支援チームを派遣し、福祉的な支援や就労に向けた支援を行っています。
 また、精神科医を学校医として任用し、心理面で不安や悩みを抱える生徒に対して医学的な知見に基づいた助言を行うなど、重層的な支援体制を整備しています。
 今後、経験豊富なユースソーシャルワーカーを増員し、対応力を強化するなど、生徒の目線に立った支援の充実に努めてまいります。
 次に、障害のある都立学校生への就労支援でございますが、都教育委員会は、都立特別支援学校高等部において、生徒の障害特性に応じて就労に必要となる能力を伸長させた上で、就職から職場定着までを支援するなど職業教育の充実に取り組んでいます。
 今後は、都立高校においても、発達障害等により困難を抱える生徒の就労に向け、必要となるビジネスマナーや具体的な就労スキルなどを身につけさせるとともに、障害特性に応じたインターンシップや就労先の開拓、就職後に職場定着するまでを一体的に支援するなどの就労支援事業を実施いたします。
 こうした取組を通じ、都立学校に在籍する障害のある生徒の就労を支援してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 都立公園における官民連携の推進についてでございますが、都立公園に新たなにぎわいを創出し、魅力や価値を高めるために民間の力を活用することは効果的でございます。
 都は、緑とオープンスペースがもたらす公園の本来機能を確保しつつ、利用者ニーズや採算性等を踏まえ、官民連携を推進し、浮間公園などでカフェ等を設置し、新たな魅力を創出いたしました。
 また、現在、パークPFI制度により、明治公園などの整備を進めており、日比谷公園大音楽堂においても、さらなるにぎわい創出を目指し、再整備を進めていきます。
 今後も民間のアイデアやノウハウを生かす官民連携の取組をさらに進め、都立公園の魅力を向上させてまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) ファミリーアテンダントについてでございますが、コロナ禍の影響等により、子育て家庭の感じる孤独や不安が増す中、子育て家庭とつながり、日常的な不安や悩みに寄り添い支援していくことは重要でございます。
 このため、都は来年度より、地域の民間団体等の人材を活用し、アウトリーチ型支援を行うファミリーアテンダント事業に取り組む区市町村に対する補助制度を創設いたします。
 また、その担い手となる人材の質を確保するため、相談内容に応じた傾聴スキルを習得するための実践的な研修を都が企画、実施し、区市町村の取組を人材面からサポートいたします。
 これらを通じまして、区市町村の地域特性を生かしながら事業の実効性を高め、都内全域への展開につなげてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) グリーフケアに取り組む企業への支援についてのご質問にお答えいたします。
 出産を望みながら、それがかなわない女性を支える職場づくりは重要でございます。
 都では、不育症や不妊症の治療を行う社員のため休暇制度の導入を図る会社に奨励金を支給しております。また、それらの治療に係る基礎知識や労務管理のポイント等を学べる研修を経営者や人事担当者に行ってまいりました。
 こうした中、流産や死産を経験した方の心身の負担を和らげるサポートであるグリーフケアへのニーズは高まっております。
 今後は、経営者等への研修の中で、グリーフケアに向けた職場の配慮や休暇制度の仕組みのほか、柔軟な勤務方法の重要性について、きめ細かい説明を行います。これにより、職場でのグリーフケアを後押ししてまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、「東京くらし防災」についてでございますが、災害から自分や家族、地域を守るためには、一人一人の日頃からの備えや地域での助け合いが重要でございます。
 このため、都は、「東京防災」に加え、女性ならではの視点を生かした「東京くらし防災」により、日常の暮らしの中で災害に備えられるよう普及啓発を行ってまいりました。
 「東京くらし防災」の発行から約五年がたち、社会情勢の変化や頻発する風水害、新型コロナの流行など、新たな災害も経験してまいりました。この間得られた知見や被災者の声を踏まえ、女性の視点に加え、高齢者や障害者など、より多様な視点から命を守るための情報を充実させてまいります。
 きめ細かな普及啓発を行い、自助、共助の意識を高めてまいります。
 次に、災害時のトイレ確保に向けた取組についてでございますが、大規模地震発生時には被災者用のトイレが不足するため、家庭の備蓄を促すだけではなく、行政の側での確保も重要でございます。
 このため、都は、先般公表した東京都地域防災計画の修正素案において、二〇三〇年度までの目標として、災害時のトイレ空白エリアの解消を掲げたところでございます。
 災害時のトイレは、簡易型、マンホール型、自己処理型など、種類によって確保できる数量や処理能力等が大きく異なります。
 このため、今後は区市町村等と連携し、各トイレの配備状況等の把握に努め、様々な種類のトイレを組み合わせ、必要数の確保に取り組んでまいります。
 こうした取組によりまして、災害時の生活環境の確保を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長河内豊君登壇〕

○中央卸売市場長(河内豊君) 板橋市場における地域連携の取組についてでございますが、中央卸売市場は、生鮮品等の安定的供給という役割に加え、市場が持つにぎわいや活気等の魅力に触れる機会を提供いたしまして、卸売市場に対する理解を深め、豊かな食文化を発信するなど、地域社会に貢献する役割を果たすことが重要でございます。
 これまで板橋市場では、市場まつりの開催や地元の小学生等を対象とした社会科見学の受入れなど、地域の方々と一体となった取組を行ってまいりました。
 来年度予定しております基本構想の策定に当たりましては、野菜や果物に対する知識を育む食育活動や、切り花の魅力を引き出すフラワーアレンジメント教室の開催など、他の市場で好評であった事例も参考にしながら、地域社会との交流をさらに充実させる観点から取り組んでまいります。

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