令和五年東京都議会会議録第二号

   午後五時三十分開議

○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君。
   〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 先日、トルコ南東部を震源とする大地震が発生し、甚大な被害が生じました。犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また、速やかに国際緊急援助隊として現地に入られ、本当に苛酷な現場で救助に当たられた警視庁、東京消防庁の職員に対して、心より敬意を表し、感謝を申し上げます。
 さて、東京は、出生率一・〇八という極めて厳しい少子化、さらにはいつ起こるかもしれない大地震、そして毎年のように起こる集中豪雨など、大胆に対策を講じなければならない課題が山積しています。
 そのような中、インドの偉大な指導者であったマハトマ・ガンジーが重大な判断を下すときに述べた言葉を思い起こします。それは、これまで会った中で最も貧しく最も無力な人の顔を思い出してください、そしてあなた自身に次のように問いかけてください、自分のしようと思っていることは彼の役に立つだろうか。この言葉は、自分と同じ世界に生き、苦境に陥っている人々の姿を思い描けということだと思います。このような思いで、都議会公明党は代表質問を行います。
 初めに、子育て、教育支援についてです。
 まず、乳幼児保育について質問します。
 都議会公明党は、少子化における支援策として、ゼロから二歳児の保育料の第二子の無償化について、さきの都議選の重点政策チャレンジエイトとして、その実現を議会質問など度重ねて訴えてきました。来年度予算案に計上され、十月より開始するとしたことを高く評価するものです。
 その上で、就労の有無にかかわらず、保育利用ができることも重要な課題です。
 都議会公明党は、乳幼児期の他者との関わりが、非認知能力の向上など、子供のよりよい成長につながることを重視し、保護者の就労の有無にかかわらず、希望すれば、ゼロ歳から二歳の乳幼児が保育を受けることができる仕組みの構築を提案してきました。これを受け、都が来年度から新たな取組を開始する予算を計上したことを高く評価します。
 実施に当たっては、区市町村と事業の考え方をよく情報共有するとともに、取り組む意向がある保育所等を支援することが必要です。また、利用料については、低所得世帯に加え、第二子以降の無償化を提案しますが、都の見解を求めます。
 次に、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援について質問します。
 都議会公明党は、国の出産・子育て応援交付金を活用して、都の従来の取組をさらに充実させるよう求めてきました。
 来年度予算案に、相談支援に加え、妊娠時六万円、出産時十万円、一歳または二歳時に六万円の経済的支援を盛り込みました。
 このうち、国の出産・子育て応援交付金は区市町村負担分がありますが、都全ての区市町村で取組が進むよう、都がその負担分を支援すべきと考えます。また、支援に当たっては、これまでの区市町村の取組を生かせるよう柔軟に対応すべきですが、都の見解を求めます。
 次に、私立中学校と都立大学への授業料の助成について質問します。
 初めに、私立中学校への助成についてです。
 本年に入り、東京都私立中高協会と父母の会から、都が子育て支援を加速化させている今こそ、長年の悲願であり、都内中学生の四分の一が通う私立中学校への授業料の助成を実現してもらいたいという強い要請を受けました。
 そのため、一月十九日、同様の強い要請を受けている都議会自民党さんの皆さんと共に、知事に緊急の申入れを行いました。そして、知事が決断をされ、年収九百十万円未満の世帯に対し、一人当たり十万円の助成を令和五年度予算に盛り込みました。私立中高協会と父母の会からは、歴史的な第一歩であると感激の声が上がっています。特に、父母の会からは、私立中学校に通わせる世帯は、実は若い世帯が多いため、経済的にもかなりの負担をしているという声がありました。
 そこで、今回の支援の予算規模で、私立中学に通う生徒の何割が支援を受けることになるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 また、今回、知事の決断により、令和六年度から、東京都立大学の授業料が年収九百十万円未満の世帯を対象に無償化する準備経費が令和五年度予算に盛り込まれました。
 そこで、この授業料の無償化を年収九百十万円未満とした理由について、私立中学校への助成の質問と併せて、知事の見解を求めます。
 次に、不登校児童生徒への支援拡充について質問します。
 文部科学省が昨年秋公表した調査によると、令和三年度の全国の小中学校の不登校児童生徒は、コロナ禍の影響も大きく、初めて二十万人を超えました。都内公立小中学校でもその生徒数は過去最多であり、九年連続で増加しており、中学生は小学生の二倍近い数となっています。子供や親が孤立しないよう、SOSを見逃さず、これまで以上に心に寄り添った取組が重要です。
 都は、都議会公明党の要請に応え、今年度から、フリースクール等に通う不登校児童生徒の支援ニーズ等を把握するための調査研究を行い、その保護者へ月一万円の協力金を給付しています。
 都は、この協力金を増額し、協議会などをさらに発展拡充していくべきですが、今後の取組について都の見解を求めます。
 子供たちにとって、学校や家庭とは違う居場所であり、心のよりどころとなっているフリースクール等への支援も必要です。
 フリースクール等の運営者からは、異なる年齢の子供たちのニーズは多種多様であり、活動を充実させるための人材確保や活動スペースの家賃負担に大変に苦慮しているとの声が寄せられています。都として直接的な支援を行うべきですが、見解を求めます。
 次に、障害を持ったお子さんの放課後等デイサービスについて質問します。
 平成二十四年度から全国でスタートした本施策は、都の取組の結果、令和五年一月一日時点で、都内の事業所数は千百二十二か所まで増えています。
 しかし、この事業での子供負傷事故などが全国の総計で四千百件に上るとの報道もあるなど、質の向上が課題となっています。
 これを踏まえ、都は令和四年度から都型放課後等デイサービス事業を開始しました。現場経験豊富なコア職員の配置や送迎の実施など、具体的な質の向上を目的としています。
 しかし、事業開始時点での都内事業所の参画数は僅か三か所にとどまっており、約七か月を経た現在でも六か所と思うように伸びておりません。
 質の高いサービスの提供には、より多くの人の配置や、より優れた人材の確保に見合う人件費の増強が必要です。補助額の増額を視野に入れながら、本制度の充実を図るべきです。見解を求めます。
 次に、日本語を母語としない子供たちの教育について質問します。
 都内在留外国人は増加傾向にあり、日本語指導が必要な児童生徒への支援が急務となっています。
 昨年の第三回定例会では、実態把握とともに、児童生徒や教員が抱える課題調査を求めたところですが、浮き彫りとなった課題を明らかにすべきです。さらに、こうした調査は継続して行い、新たな施策に生かしていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、日本語指導支援員などの人材確保と育成を進め、指導が必要な生徒が在籍する全ての学校に人員を配置すべきと求めましたが、その対応策について見解を求めます。
 そして、日本語を母語としない小中高の児童生徒に切れ目ない充実した教育を行えるよう、日本語教育を推進する専管部署の設置など教育庁の体制強化を求めましたが、その取組についても見解を求めます。
 次に、教員の確保について質問します。
 都教育委員会は、令和五年度から、年度当初に教員に欠員が発生することがないように、都議会公明党の提案を受け、大学三年生の一部前倒し受験や、民間企業の内定式前の合格発表、そして社会人特例選考の年齢要件緩和、途中退職した教員のカムバック採用の新設など、新たな教員確保の取組を開始することになっています。こうした取組に加えて、年度途中に発生する産休、育業などに対する教員の確保も取り組んでいかなければなりません。
 都議会公明党は、昨年の第四回定例会で、前年度中に把握できる産休、育業については、年度当初から代替教員を確保する必要があると訴え、都教育委員会は国の動向を踏まえて検討すると答弁しました。
 教員が安心して産休、育業を取得できるよう、国の方策にとどまらず、都として意欲的に取り組んでいくべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 次に、チャイルド・デス・レビュー、いわゆるCDRについて質問します。
 CDRは、十八歳以下の子供の全死亡例を対象に詳細な死因究明をし、予防できる死から子供を守る安全で安心な社会を構築していくものであります。これは、公明党が推進して成立した東京都こども基本条例を具現化するものでもあります。
 医療、保健、福祉、教育、警察など、子供と家族に関わる様々な機関が連携していくことが求められ、非常にデリケートな個人情報を取り扱うため、情報管理にも十分な配慮が必要となります。とりわけ、お子さんを亡くしたご遺族のご理解とご協力が不可欠であります。ご遺族へのケア等も含めて、CDRの取組体制について見解を求めます。
 次に、防災対策についてです。
 初めに、木造住宅の耐震化について質問します。
 都議会公明党は、昨年の第三回定例会で、阪神・淡路大震災で明らかになった昭和五十六年以降に建築された新耐震住宅での耐震性の課題に言及し、第四回定例会でも、新耐震基準の木造住宅の耐震化への支援の実施を求め、前向きな答弁を得ていたところであります。
 現状、一部の区市を除いては、新耐震への対応を想定していないため、都民への補助制度が広く普及するよう、都は区市町村との連携の強化にも取り組むべきです。令和五年度予算案での対応について見解を求めます。
 次に、液状化対策について質問します。
 東日本大震災では、都内の五区で液状化による建物被害が発生しました。また、昨年五月に都が公表した被害想定の見直しでは、都心南部直下地震の場合で、建物の全壊件数は、葛飾、江戸川、大田、足立の順で多く、いずれも百棟を超えるほか、被害は二十三区全域に及び、千五百棟が全壊するとしています。また、全壊でなくても、床が傾いた建物で生活が困難になる等の重大な影響が発生します。
 都市整備局は、都議会公明党の提案に応え、液状化対策アドバイザーを創設し、窓口での相談に応じています。しかし、都民はまだ被害内容を具体的にはイメージできておらず、対策の必要性を実感できていません。
 必要な場合には、該当地域での新築について、アドバイザーの無料派遣により工法のアドバイスを受けられるようにすべきです。
 その上で、液状化が予想される地域全域で、より広範な面的対策が必要です。アドバイザーのさらなる活用の促進や支援、さらに、区画整理事業などに合わせた面的対策を急ぐべきです。見解を求めます。
 また、都の液状化対策では、発生の見込みを知らせる予測図の作成にとどまっており、液状化の被害内容や対策を記載した区市町村ごとのハザードマップまでには進んでいません。国は、液状化についてはハザードマップの作成を推奨しています。
 都は今後、都議会公明党がかねてから主張してきたとおり、建設局が主導し、液状化ハザードマップの作成を急がせるべきであります。都技監に見解を求めます。
 次に、マンション防災について質問します。
 都内では、二〇二〇年度は十年前に比べ、タワーマンションが四割増加し、六階以上の集合住宅に住む世帯は百三万六千世帯と急増しています。
 都が昨年五月に策定した新たな首都直下地震等のタイムラインごとの被害想定では、被災者は発災直後から下水利用が制限され、水道供給が再開してもトイレの利用はできません。その後、多くの地域で下水の利用制限が解消されても、高層集合住宅棟の下水排水管などの修理が完了していなければ、在宅の水洗トイレは利用できません。排水管が破断しているにもかかわらずトイレを利用すれば、下層階で汚物があふれ出す事態も起こり、在宅避難が困難になることが明らかにされました。
 都は、都議会公明党が提案し、推進してきた東京都LCP住宅をとどまるマンションに再構築しましたが、とどまるというのであれば、最も重要なのは災害時のトイレ問題です。
 そこで、東京とどまるマンションでは、発災時に排水管が損傷し、使用できない場合を想定したトイレ対策を強化すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 分譲や賃貸の相違にかかわらず、耐震性が不足するマンションで耐震化工事を行う場合には、費用が高額となり、その点も大きな課題になっています。
 特に、分譲マンションでの耐震化の促進には、居住者の合意形成が必要であり、都は管理組合の届出制度を整えており、その合意形成を支援していくことが重要です。
 都は、来年度予算で、大地震発生時に倒壊等の危険性が高いピロティーを有する旧耐震基準の分譲マンション支援策を打ち出しています。本格的な耐震化にすぐ取り組めないケースの有効策と期待するものです。
 そこで、都は、届出制度の推進と連動して、専門家派遣など、検討段階での支援策も活用しながら、ピロティーへの助成事業の実施につなげるべきです。見解を求めます。
 次いで、医療、福祉施策についてです。
 初めに、新型コロナウイルスについて質問します。
 国は、本年五月八日以降、新型コロナの感染症法の分類を二類相当から五類に移行することを決定しました。今のところ、ワクチン接種や感染した場合の治療費、感染をした患者の病床確保料などについては、公費で負担を継続する方向を示しています。
 現在、東京都で取り組んでいる発熱相談センターなどの相談体制、高齢者、障害者施設などへの検査体制、病床確保や発熱外来などの医療提供体制や宿泊療養施設の確保、在宅患者へのサポートなどのいわゆる東京モデルの財源の大半は、国庫補助金によって賄われています。その額は年間三千億ほどになります。
 国は、感染症法の分類を二類相当から五類に移行した後も、一定期間、財源を支援するとしていますが、現在のところ、財源措置する内容や期間は明らかになっていません。
 そのような中、都は、当面見込まれる四月からの三か月のコロナ対策の補正予算を今定例会に提出いたしました。
 大事なのはその後であります。新型コロナウイルスは今後も季節的に拡大をしていくことが懸念されます。特に、発熱相談センターや在宅のフォローアップセンターなどをなくすと消防の救急体制が崩壊をしてしまいます。さらには、リスクの高い高齢者や妊婦の検査体制や受入れ体制の確保など、国庫補助金がなくなっても、都として対策を講じていかなければならないことは幾つかあります。
 都民や関係する医療機関などの不安を払拭するためにも、二類相当から五類に移行した後の都の取組方針を明らかにすべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、在宅医療と介護の提供体制の充実について質問します。
 団塊の世代が七十五歳となる二〇二五年を目前に控え、地域包括ケアシステムの構築を一層推進し、訪問診療や訪問看護のときだけでなく、二十四時間健康観察を行い、症状の変化をいち早く察知し医療につなげることが、都民の安全・安心につながるものと考えます。
 都議会公明党は、コロナ対策として、自宅療養者の容体急変に備えて、身につけて測定するウエアラブルの機器を活用した健康観察を提案し、都は順次その導入を図っています。
 今後、こうしたデジタル機器の活用を進め、過度にマンパワーに頼らず、在宅医療の充実を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、病院の災害対応について質問します。
 都議会公明党は、平成十九年の第一回定例会を皮切りに、都議会で先陣を切って災害対応としてのBCPの重要性を指摘してきました。
 都はこれまで、都内で八十三か所の災害拠点病院と、百三十七か所存在する災害連携拠点病院でのBCPの策定に向け、補助を実施しています。
 しかし、災害時には、最寄りの病院がまさに命を守るその人自身の拠点病院となります。今後は、都内の全病院でのBCPの策定を視野に補助制度の充実を図るべきであります。
 加えて、これまでのBCPは、地震による停電等を想定したものでしたが、今後は大規模な水害に備えた新たな取組が必要です。東部低地帯や多摩川流域などを中心に水没に備えたBCPの策定を図るためには、取組の目安が必要であり、都が自らガイドラインを急ぎ示すべきであります。併せて見解を求めます。
 次に、医療、保健、福祉分野の充実について質問します。
 知事は今般、福祉保健局を廃止し、福祉局と保健医療局を設置すると決断されました。都議会公明党が長年にわたって要望してきたことであります。
 これまでの福祉保健局は、法に基づく感染症対応や食中毒の予防などの規制行政と、民間事業者の活動を支援、調整する役割の双方を併せ持ち、業務は多岐にわたっています。
 この機を捉えて、さらに良質な医療、福祉サービスを安定して都民に提供できるよう、デジタル化も大いに進めつつ、第一線で働く事業者や担い手に寄り添って、医療、保健、福祉分野の潜在的可能性を大いに引き出し、サービスを利用する都民の声にも一層敏感にきめ細かく対応できる両局の執行体制とするべきです。
 そこで、都の医療、保健、福祉部門の再編を決断した知事に見解を求めます。
 次に、避難所運営について質問します。
 大規模な災害が発生した際、区市町村は、それぞれの地域防災計画に基づき、避難所を速やかに設置するとされています。
 一方で、都は、東京都地域防災計画に基づき、避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しています。また、発災時の避難所に関わる区市町村からの報告の窓口役も担っています。
 これら区市町村が開設する避難所の管理運営に関わる事務事業を福祉保健局の少子社会対策部が所管をしています。しかし、区市町村の防災部局との連携など、総務局が防災分野全般にわたって調整機能を発揮することが重要です。
 そこで、区市町村の避難所運営に関わる関係部局の役割について、必要な見直しを図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都保健所の機能強化について質問します。
 多摩地域に立地する都の保健所は、複数の市町村の保健衛生行政を管轄しており、従来から市町村との連携が課題とされてきました。今回のコロナ禍における保健所職員の方々の懸命な努力には深く敬意を表するものですが、組織体としての保健所が直面する課題に向き合う必要があります。
 都議会公明党が令和二年第三回定例会で提起した都保健所の在り方への検討がようやく始まったところであり、その進展に期待を寄せています。
 都は、令和五年度から、各都保健所に副所長を新設し、管内市町村との連携に当たるとのことですが、改善策としては不十分です。保健所内に市町村ごとの担当管理職やリエゾン機能を置き、担当市町村と保健所内の各セクションとの調整役を担ってこそ、連携の効果が上がるものと考えます。
 市町村の実情を踏まえた都保健所の連携の強化策について見解を求めます。
 次に、がんの粒子線治療について質問します。
 都議会公明党は、重点政策のチャレンジエイトに都立病院への粒子線治療の導入を掲げています。一昨年には山形大学病院の重粒子線治療施設を、今年一月には筑波大学病院の陽子線治療施設をそれぞれ視察するなど、知見を深めてきました。
 粒子線の一つである陽子線は、照射一回当たりのがん細胞の殺傷効果は重粒子線よりも低いものの、その分、小児がんや脳腫瘍、抗がん剤との併用治療などに優れているとされており、肝臓がんや膵臓がんなど多くのがんで、重粒子線と治療効果は変わらず、施設規模も小さく、整備費用が重粒子線と比べて半分以下であるとされています。
 このような観点を考慮し、粒子線治療をがん診療の連携拠点である駒込病院や多摩総合医療センターなどに早期に導入すべきです。また、導入のために、専門医や医学物理士、放射線技師、専門看護師などスタッフの確保と人材育成も欠かせません。
 そこで、粒子線治療の導入とスタッフ確保について、知事の見解を求めます。
 次に、がん患者へのアピアランスケアについて質問します。
 都議会公明党は、脱毛や乳房の切除など、がん治療に伴う外見、いわゆるアピアランスの変化の悩みを抱えている患者に対し、ウィッグなどの購入にかかる費用を助成する区市町村を支援すべきと一貫して求めてきました。
 都は、昨年の第四回定例会で、我が党の提案に対し、アピアランスケアに取り組む都内の自治体や他県へのヒアリング調査等を行い、支援を検討していく方針を示し、来年度予算案に支援事業を盛り込んだことを評価いたします。
 そこで、がん患者に対するアピアランスケア事業の具体的な支援内容について、見解を求めます。
 次に、帯状疱疹ワクチン助成について質問します。
 都は、昨年の第四回定例会で、我が党の質問に対し、ワクチン接種の費用助成について区市町村への支援を検討すると答弁し、来年度予算案に、ワクチン接種費を助成する区市町村への補助を盛り込んだことを高く評価いたします。
 希望する区市町村全てが助成を実施できるようにするとともに、都民に帯状疱疹についての予防や治療に関する情報の周知、広報を積極的に行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、国民健康保険について質問します。
 昨年十一月に都が公表した仮係数での令和五年度国民健康保険事業費納付金の算定では、一人当たりの納付金額の伸びは前年度比八・一%となることが示されました。
 これを受けて、都議会公明党が、納付金の伸びを抑えるために、都道府県に設置された財政安定化基金のうち、特例基金の一部を納付金算定上の調整財源として活用できるよう、我が党の国会議員を通じて国に要望を行った結果、昨年末に活用が可能となった旨、都道府県に通知されました。
 そこで、この通知を踏まえた都の対応について見解を求めます。
 次に、加齢性難聴への支援について質問します。
 年齢以外に特別な理由が見当たらない難聴が加齢性難聴であり、一般に五十歳頃から発症が見られ始め、六十代後半では三人に一人と急増し、七十五歳以上では七割以上に達するとの報告もあります。加えて、中等度以上の難聴状態の放置は、日常での事故や社会的な孤立と抑鬱を深め、認知症の発症リスクにもつながります。しかし、補聴器を適切に使用すれば、聞こえが改善され、社会参加が進んで健康寿命の増進につながります。
 都は現在、高齢者への補聴器の支給に取り組む区市町村を包括補助で支援していますが、さらに支援の強化を図り、加齢性難聴の早期発見と適切な補聴器利用の進展を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問します。
 初めに、住宅政策本部の局への再編についてです。
 都議会公明党は、住宅政策の充実と併せて、多角化する事業にふさわしい体制として、住宅局の設置を提言してきました。
 それに応え、都は今年度から、重層的な住宅セーフティーネットの機能強化に向けた取組を推進するため、まずは民間住宅部を設置しました。
 他方、昨年十二月の環境確保条例の改正により、住宅への再生可能エネルギーの利活用の促進に向けて、今後、具体的な取組のさらなる進展が期待されています。
 そこで、環境局の所管である住宅部門の再生可能エネルギーの推進について、より効果的なものとしていくために、日頃より業界団体と連携している住宅政策本部に移管すべきと考えます。あわせて、体制が強化される住宅政策本部を住宅局に拡充すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、都営住宅での断熱性の向上について質問します。
 住宅のゼロエミッション化に向けて、都は、民間住宅を対象に、住宅の断熱性能の向上に向けて補助制度を整え、活用の促進に努めているところです。
 一方、都営住宅の所有者は東京都であり、模範の取組として率先して取り組む姿勢が求められています。
 都営住宅の建て替え後の新しい住棟での性能の向上は当然のこととして、既存住宅においても断熱性能を高める取組を検討すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、住宅確保要配慮者支援についてです。
 東京ささエール住宅制度では、専用住宅の確保が課題となっており、都議会公明党は、令和四年第四回定例会で、不動産業界団体の要望も踏まえ、貸主への直接的なインセンティブの強化を求めたところであります。
 貸主には、物件の所有者に加え、居住支援法人が丸ごと転貸契約を結び、本事業への協力を進める場合もあり、物件を借り受けた居住支援法人への支援の拡充も図るべきです。
 また、専用住宅に登録し、登録協力補助を利用した場合、十年間の登録の継続が前提条件となっており、所有者側で相続の可能性がある場合などには、登録をちゅうちょする要因の一つとなっており、改善すべきであります。具体的な答弁を求めます。
 次に、東京の経済を成長させていくための人へのリスキリング支援について質問します。
 デジタル化の進展などによって急速に変化する社会経済の動きに対応していくためには、会社もそこで働く従業員も変化する必要があります。
 そのため、知識や技能を学び直し、職業能力を磨き直すリスキリングの重要性は高まっており、既に欧米やアジア各国では国を挙げて推進しています。
 政府も、公明党の主張を受けて、総合経済対策において、リスキリングを含む人への投資を強化する施策のパッケージを五年間にわたり行うとしています。
 都においても、リスキリングプロジェクトとして、東京の経済を成長させていくためには、成長産業への労働移動やキャリアチェンジが不可欠であるとし、産業構造に対応できる若者から高齢者まで幅広い世代の方々のリスキリングの支援を実施するとしていますが、その取組の具体的な進め方について、知事の見解を求めます。
 次に、中小企業の若手人材の確保、定着について質問します。
 中小企業における人手不足は一層深刻化しています。コロナ禍からの回復には必要な人材を確保することが不可欠ですが、募集しても採用に至らないという現実があります。
 とりわけ、若手世代にとって、家賃が割高な東京で住まいを確保することは大きな負担となっており、東京で働く若手人材を確保する上で社員の居住支援は重要な課題です。
 昨年の第三回定例会で我が党は、住まいの確保などを通じて、若手人材の確保と定着につなげる中小企業の取組を都として後押ししていくべきと主張し、検討を進めるとの答弁がありました。
 若手人材の確保や定着に向けた中小企業の取組に対し、来年度の都の支援について見解を求めます。
 次に、島しょ振興について質問します。
 都はこれまで、一部貨物の運賃補助を行うことにより、物価の抑制及び島内産業の振興を図り、島民生活の安定を支えてきました。
 さらに、新型コロナの感染拡大により、島民生活への影響が広がり、都は、海上貨物運賃補助について、五〇%の補助率を一〇〇%に引き上げて支援を実施してきました。
 しかし、現在も、世界情勢の混乱による原油価格の高騰や、かねてからの物価高等の影響で、島しょ地域の農業、漁業従事者は引き続き厳しい状況にあります。
 都は来年度も、海上貨物運賃補助の引上げ措置を継続していくべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、伊豆諸島海上貨物運賃補助は、主に農業、漁業の生鮮品を対象としていますが、島の事業者からは、長年にわたり、焼酎やくさや、ジャム、菓子などの加工品も支援してほしいという声が上がっています。
 都は、島しょ地域の特産品のブランド化支援として、東京ISLANDS SPIRITSフェアなどの取組を行っていますが、こうした加工品等に関わる海上貨物運賃についても補助するとともに、補助の利用促進に向け、事業者等の支援に取り組んでいくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、首都東京の交通政策について質問します。
 初めに、羽田空港への多摩地域からのアクセスの利便性向上についてです。
 二月十五日、都議会公明党は、JR東日本に対し、二〇二九年に羽田空港アクセス線東山手ルートが完成した際に、現在の東京駅終着の中央特快と青梅特快を羽田空港まで延伸する要望を行いました。
 JR東日本からは、東京駅において中央線と羽田空港アクセス線を結ぶことは物理的には厳しいが、新宿駅で中央線と羽田空港アクセス線西山手ルートを結ぶことは物理的に可能であるという回答を得ました。その上で、西山手ルートは、湘南新宿ラインの大崎駅から臨海高速鉄道に入り、トンネル部分から東京貨物ターミナルにつなぐ接続線を建設しなければならず、臨海高速鉄道の九〇%の株主である東京都の協力が不可欠であるとのことでありました。
 現在、多摩地域の中央線、青梅線を利用する沿線十二市の都民は、鉄道を利用して羽田空港に行く際に、最低でも二回の乗換えを強いられています。空港に行く際、トランクなどの荷物を持っての乗換えは大変だという声があります。
 そこで、一日も早く羽田空港アクセス線西山手ルートを完成させるために、都が積極的に取り組むべきであります。そして、中央特快と青梅特快を新宿駅経由で羽田空港まで延伸し、エアポートライナーとして乗換えなしで羽田空港まで行けるようにすべきです。知事の見解を求めます。
 次に、都内高速道路上の本線料金所の早期撤廃について質問します。
 都内高速道路の渋滞は、最大の経済損失であります。その渋滞の要因の一つが、高速道路上にある本線料金所であります。料金所を撤廃するためには、都内高速道路の全面ETC化が不可欠であります。
 首都高は、令和四年に料金所三十四か所でETCの運用を開始いたしましたが、令和五年にはETC専用化するところは、今のところ明らかにされていません。
 他方、社会的な要因でクレジットカードによるETCカードをつくれない方のために、一定の金額を預託することにより使えるETCパーソナルカードがつくられ、本年三月から三千円の預託金でETCパーソナルカードが使えるようになりました。
 このような環境が整い始め、首都高の代表取締役に元副知事を起用し、大株主でもある都は、もっとリーダーシップを発揮して取り組むべきであります。
 まずは、今年度にETC専用化する料金所を増やし、全ての料金所でETC専用化を加速すべきであります。そして、永福料金所をはじめとする都内七か所の本線料金所の撤廃を一日も早く実現すべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、東京たま未来メッセを活用した産業振興について質問します。
 東京たま未来メッセが昨年十月に開業し、四か月が経過しました。この間、様々なイベントが開催され、地域の方々も含めて多くの方に来場していただいています。まさに多摩地域の産業交流の拠点として、その役割を果たしているところを実感するところであります。
 多摩地域には、高い技術力を持つものづくり企業が数多く立地しており、地域経済の活性化を図るためには、その活力の源泉でもある中小企業に対して、商談機会の提供や多様な企業と連携を図り、新たな製品やサービスの創出を促進するなど、企業の成長を後押しする取組が有効と考えます。
 また、国際的な会議などを同メッセで開催することで、地域の飲食業や小売業などにも幅広く経済的なメリットを及ぼします。
 そこで、東京たま未来メッセにおいて、東京ビッグサイトで毎年行われている産業交流展のような新たな顧客獲得や企業の成長につながる取組の実施、国際的なイベント等の開催により、多摩地域の産業活性化につなげていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、観光バスを利用した団体旅行支援の継続について質問します。
 国の全国旅行支援の活用や、都のもっとTokyo、水際対策の緩和などにより、観光需要は回復しつつありますが、インバウンドも含めて、コロナ前の水準には至っていません。
 三年にわたり苦しんできた観光事業者の経営を後押しするためには、観光需要の回復に合わせ、切れ目ない支援が必要です。
 特に、団体旅行は、中小の旅行業者が取り扱い、小学校や町内会など観光バス利用が多いほか、旅行先でも、飲食や小売など、様々な事業者への波及効果が高いため、都は、感染対策を実施し、観光バス利用の団体旅行に助成する独自の事業を実施してきました。この事業は、観光バス会社や旅行会社にメリットがあるのみならず、利用する旅行者も安価で旅行できるメリットがあるため、大変に好評でした。
 観光バスを利用する団体旅行の需要が徐々に回復してきている今こそ、切れ目なく支援をしていくことが必要であり、今後もこうした事業を継続して実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、東京二〇二〇大会のレガシー関連の展示施設について質問します。
 都議会公明党は、平成三十年の第一回定例会で、集客施設を活用し、東京大会の記憶を後世に長く伝える記念施設を設置すべきと主張しました。知事からは、社会の大きなレガシーとなるよう、保存、活用を行う施設の在り方を検討する旨の答弁がありました。
 多くの都民がテレビ等を通じての観戦だったため、その舞台裏に輝くドラマや取組を掘り起こして、大会の記憶や記録として未来に引き継ぐ社会全体のレガシーとして、末永く人々の心の中に刻まれるようにしていくべきと考えます。
 そこで、我が党が主張してきた東京大会のアーカイブ資産やボランティアの映像等を活用し、都が大会を成功に導いた取組を体感できるような展示を、交通至便で人の集まる都有施設で行うべきです。見解を求めます。
 次に、五輪談合事件及び世界陸上選手権大会の開催について質問します。
 東京二〇二〇大会は、コロナ禍という困難な状況下にあっても、成功を収め、レガシーを残し、共生社会への取組を前進させることができました。
 しかし、残念なことに、高橋元理事が贈収賄事件で四度にわたり逮捕、起訴され、加えて、テストイベントに関する談合事件では、組織委員会大会運営局の元次長と電通の社員らが逮捕されました。
 これまで都議会公明党は、組織委員会の発注者側と受注者側の双方に電通が入るという構造について何度も指摘し、また、非公表箇所の多い組織委員会の体質については、都の監視を強めるよう、繰り返し強調してまいりました。
 こうした一連の事件は、大会の成果を深く傷つけるとともに、都民の皆様からの信頼を著しく損ねるものであります。
 特に、組織委員会の契約における談合については、逮捕者を出した大会運営局にも都の幹部職員を派遣しており、都としても責任を重く受け止めるべきであります。都としての責任を明らかにしていく上でも、談合が認定された場合は、企業に対して損害賠償請求を行うよう清算法人に求めるとともに、都としても公費の返還を求めるべきです。都の今後の調査と併せて、知事の見解を求めます。
 こうした一連の事件によって、スポーツの国際大会への行政の関与の在り方について、チェック機能を果たすことが求められています。
 都は、二〇二五年の世界陸上開催に向けて、日本陸連が設立する大会運営組織の準備会議へ三回にわたり参加しています。大会運営組織の設立後も、引き続き関与していくならば、最も必要なことは、東京二〇二〇大会での運営手法とは明確に異なる一線を引くべきであります。
 そのためには、五輪談合事件の総括を明確に示すとともに、組織運営には政治家や利益相反となる者を一切入れない、民間との契約についても原則公開にする、リスクアプローチの監査手法を導入するなどの三条件を満たすことによって信頼回復をすることが大前提であります。都が世界陸上を支援する意義について、併せて見解を求めます。
 次に、二〇二五年デフリンピック東京大会について質問します。
 二〇二五年大会は、デフリンピックにとって、一九二四年にパリで第一回夏季大会が開催されてからちょうど百周年目となる世界的な節目の大会であり、多くの聴覚障害者の方々にとって、まさに悲願の達成です。
 ただ、大会を成功させるためには、幾つかのハードルを越えなければなりません。
 一点目は、昨年の第四回定例会で求めたとおり、成功に向けたタイムテーブルの作成や関係者との連携強化を急ぐべきです。
 二点目は、国内では、世界大会の運営に必須とされる国際手話の人材が少なく、急ピッチな育成を図る必要があります。目標を明確にして取り組むべきです。
 三点目に、国際ろう者スポーツ委員会の総会で採択された計画案には、まだ日本国内でデフリンピックの競技団体が設立されていないものが四競技含まれていると聞きます。
 アスリートを支えるこうした競技への対策が急務であり、都は、二〇二五年のデフリンピック大会に向けて、関係者と改めて課題を共有し、当事者団体や関係団体との連携を密にしつつ、効率よくスタートダッシュを図っていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都政のデジタルトランスフォーメーションについて質問します。
 DXを真に進展させるには、都民や都内事業者が恩恵を実感できることが重要です。
 都議会公明党は、DXの推進によって生活に何の変化も感じられない、都発注工事において依然として紙の書類を求められるとの声が寄せられています。
 今こそ都庁職員の意識改革が不可欠であり、デジタルの力によって、社会や生活の形、スタイルがよりよい方向へ変化することが求められています。
 そのためには、まずは、DXそのものの意義について、本庁から事業所に至るまで都庁の津々浦々に浸透させ、全職員を東京デジタルアカデミーで学ばせるなど、意識改革を促進させるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 コロナ禍で進展したテレワークや遠隔教育、オンライン診療などを今後も推進するためには、通信環境を地域間で格差が出ないように整備することが重要です。
 都議会公明党は、5Gアンテナ基地局の設置促進に向けて、特に多摩地域で都や政策連携団体、市町村が保有する行政財産について開放を推進してきました。
 加えて、山間部や島しょ地域などの通信困難の解消や、災害発生時の継続的かつ安定した通信環境の確保が喫緊の課題です。ウクライナでは、通信復旧に衛星インターネットサービスが貢献しています。
 そこで、都民が利便性を実感できるデジタルサービスを提供するためには、人工衛星のような最先端技術を都政に積極的に取り入れていく必要があると考えますが、宮坂副知事の見解を求めます。
 次に、更生保護施設について質問します。
 更生保護施設は、円滑な社会復帰を助け、再犯を防止する役割を担い、当面の住まいの場の提供だけでなく、生活や金銭管理の指導や就労あっせん、飲酒や薬物への依存の解消などに取り組む役割を担っています。
 都内には十九か所の施設があり、今後、築年数の経過により、次々と建て替えの必要性が高まっていきます。
 他の道府県では、施設が少ないこともあり、既に国庫補助だけでなく、独自の補助制度も整えられつつありますが、都には、現状、建て替えに関する補助制度が存在していません。
 そこで、都議会公明党は、具体的に都が運営費補助に加えて施設整備について支援すべきと求めました。国は、令和五年度から補助額を増額すると聞いていますが、都においても、更生保護施設の建て替えに関する補助制度の新設に踏み出すべきです。見解を求めます。
 最後に、都が新たに整備を目指す動物愛護相談センターについて質問します。
 都議会公明党は、シェルターのような動物保護機能を持つ拠点にすべきと提案してきました。
 動物の殺処分をなくす取組をさらに進めるには、病気やけがをした動物も、できる限り保護して生存させることが必要です。
 新施設の整備に向けて、都は、令和四年度に有識者による検討組織を設け、議論を重ねてきました。令和五年度予算案には、新施設の基本計画策定のための予算が盛り込まれました。
 動物保護を本格的に進めるためには、新施設がその中心拠点となって施策を推進するとともに、保護動物への高度医療も可能にする新たな体制構築が強く求められます。また、保護に取り組む民間団体との連携や支援も強化する必要があります。
 新施設の基本計画では、保護施設としての機能や、都民から親しまれる動物との共生拠点にふさわしい施設内容などを明らかにすべきと考えますが、知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 私立中学校と都立大学の授業料負担軽減についてのお尋ねがございました。
 次世代へ希望を引き継ぐ社会の実現に向けましては、少子化対策、子育て支援のため、大胆に教育費の負担軽減を図ることが重要であります。
 私立中学生につきましては、国が行っていた支援事業が終了したことを踏まえまして、厳しい家計状況であっても、個性に応じて学校選択ができるよう、都が独自に私立中学生の授業料のうち十万円を助成するものです。私立高校生への負担軽減支援を基に、私立中学生の約半数となる三万六千人を対象と見込み、四十億円を予算案に計上いたしております。
 また、高等教育への支援に関する一つの問題提起としまして、令和六年度から、都立大学の授業料の実質無償化を行います。具体的には、都立、私立の高校における要件と同額であります年収九百十万円未満の世帯を対象といたします。
 こうした施策の推進によりまして、未来への投資となるチルドレンファースト社会を実現してまいります。
 新型コロナ五類移行後の都の取組についてのお尋ねです。
 新たなステージへの移行に伴い、何よりも重要なことは、都民の不安や医療現場における混乱を招かないことです。
 そのため、都は、段階的な移行を進めていくことといたしております。高齢者等医療支援型施設の運営など、リスクの高い患者を守る取組を継続するとともに、発熱患者からの不安に対応するため、相談機能を統合した新たな相談センターを開設いたします。これらの取組を六月まで確実に実施をいたします。
 七月以降の対応につきましては、感染動向や新型コロナとの共生の基盤となる医療提供体制の状況などを総合的に勘案しながら、都民の不安や医療現場の混乱を招かないよう、適切に取り組んでまいります。
 次に、福祉保健局の再編についてであります。
 三年にわたり積み重ねた知見や経験を踏まえまして、さらなる感染症危機への万全の備えを行うとともに、福祉分野では、子供、子育て支援や長寿社会への対応など、高度化、複雑化した社会的課題やニーズへの対応が必要であります。
 こうしたことから、都民の命や健康を守り、持続可能な医療、福祉サービスを実現するため、福祉保健局を、福祉局、保健医療局に再編いたします。
 福祉、保健、医療のあるべき姿を展望し、人材確保に向けた戦略的な取組や、デジタル技術を用いたサービス基盤の構築など、強力に推進する体制を整えてまいります。
 福祉、保健医療の専門性をより高め、都民や事業者のニーズに寄り添い、柔軟かつ機動的に対応できる組織へ変革し、実効性ある施策をスピーディーに展開をしてまいります。
 次に、粒子線治療についてのお尋ねです。
 都は、東京都がん対策推進計画に基づきまして、患者本位のがん医療の実現に向けた取組を進めております。今年度は、都立病院機構におきまして、最先端のがん治療に関する調査を実施しております。
 粒子線治療は、がん病巣への集中的な照射が可能であり、体への負担が少なく、仕事や日常生活との両立も可能な治療法であります。
 一方で、治療装置が大規模になるほか、専門医や医学物理士等の確保が必要なことなどもあり、現在、都内に治療施設はございません。
 都は来年度、導入する都立病院や治療装置、独法化のメリットを生かした人材の確保、育成策、施設の整備、運営手法などを検討しまして、関係機関とも意見交換して、粒子線治療施設の整備計画を策定いたします。誰もが必要に応じまして質の高い医療を受けられる環境整備を一層推進してまいります。
 次に、脱炭素化の推進に伴う住宅部門の局の設置に関してであります。
 エネルギーの大消費地である東京の責務として、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、多様な主体と協働し、脱炭素社会の基盤を早期に確立することが急務であります。
 こうした背景の下、新築住宅等への太陽光発電設備の設置や、断熱、省エネ性能の確保等を義務づけます。その制度の創設に合わせ、環境局の体制充実を図り、再生可能エネルギーの利用拡大を推進してまいりました。
 来年度は、環境局と住宅政策本部の連携を強化し、先行的に取り組む事業者を積極的に後押しするとともに、住宅政策本部の体制も拡充することで、脱炭素化の取組を一層促進いたします。
 こうした取組によりまして、より効果的かつ効率的な執行体制の確立に向けた検討を進めてまいります。
 リスキリングの支援についてであります。
 デジタル化などによって産業構造の転換が進む中、会社で働く方や求職者が新たな知識や技能を身につけ、今後の発展が見込まれる事業分野で活躍できるよう支援することは重要です。
 このため、都は、女性をはじめ、若者からシニアまであらゆる世代の方々が成長産業の中で力を発揮できますよう、能力開発や就職支援を実施する年間二万人の規模のリスキリングプロジェクトを展開いたします。
 従業員の新たなスキルの習得に向けまして、教育の機会を提供する企業にこれまでよりも手厚く経費支援を行います。また、再就職を目指す女性がデジタルの知識を基礎から学ぶプログラムを新たに実施しますほか、退職したシニアが新しい仕事を見つけるきっかけにつながる講座の充実を図ります。
 一人一人が主役となり、輝くことのできる社会の実現に向けまして、リスキリングの支援を総合的に展開してまいります。
 次に、羽田空港アクセス線西山手ルートに関してであります。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限に発揮させるためには、鉄道によるアクセスの充実を図ることが重要です。
 ご指摘のあった西山手ルートについては、中央線や埼京線など既存の路線と接続することで、多摩方面も含めた広範囲にわたる空港アクセス利便性の向上が期待されます。
 加えまして、多摩地域と都心部とのアクセス利便性を高める中央線の輸送力増強などによりまして、さらなる効果も期待されます。
 二〇二九年度の運行開始を目指しております東山手ルートの進捗状況などを勘案しながら、都としては、西山手ルートの事業スキームの具体化に向けまして、国やJR東日本等との協議調整を積極的に進めるなど、空港アクセス利便性の向上に取り組み、東京の国際競争力のさらなる強化につなげてまいります。
 次に、高速道路の本線料金所の早期撤廃についてであります。
 料金所のETC専用化につきましては、私自ら国土交通大臣に要望したことも実を結びまして、圏央道とその内側の料金所を対象にしまして、二〇二五年度までに概成する予定でございます。
 高速道路会社は、ETC普及促進の一環として、クレジットカードがなくてもETCを利用しやすくするため、来月からETCパーソナルカードの利用限度額の引上げなどを行うことといたしました。
 また、ETC専用料金所におきまして、ETCを搭載せず誤進入した車に対して、国は料金を確実に徴収する一環として、運転者に加え使用者にも請求することが可能となる法改正案を提出したところでございます。
 都としては、国や高速道路会社に対し、料金所のETC専用化を早期に実施するよう強く働きかけまして、永福料金所などの本線料金所のできる限り早期の撤廃に向けて取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇大会です。
 二〇二〇大会のような国際大会には、都民、国民の信頼が何よりも重要でございます。談合事件は、その信頼を損なうものであり、都は、その重大性に鑑み、速やかに調査チームを設置いたしました。
 現在、外部有識者の下で、調査の範囲を拡大しまして、会計監査人との意見交換も含め、第三者の専門家の見地から調査を深掘りしているところでございます。必要に応じて都職員以外からの聞き取りも検討いたします。捜査の状況にもよりますが、調査結果は可能な限り速やかに取りまとめていただきます。
 なお、談合によります排除措置命令等に基づいて、清算法人に対しまして、損害賠償請求等の適切な対応を行うよう強く働きかけてまいります。その上で、対象となる公費につきまして、清算法人に対して返還を求めてまいります。
 DX推進に向けた職員の意識改革についてでございます。
 デジタルトランスフォーメーションとは、デジタルをてこに、仕事の仕方を大転換することであります。DとXが合わさってこそ、都民サービスの飛躍的な向上につながります。
 デジタル化が進みつつある中、次なるステップはDXのX、トランスフォーメーションのさらなる深化であります。各局にCIO補佐官を導入し、都民目線でサービスをデザインするという意識変革を徹底し、全庁の連携の下で取組を強力に推進をいたします。
 そして、全職員のデジタルアカデミーを通じた学びによりまして、DXのマインドを都政の隅々に根づかせ、都民ニーズに応える質の高いサービスを実現してまいります。
 最後に、動物愛護相談センターの整備についてのお尋ねです。
 動物愛護相談センターは、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向けまして、普及啓発や動物譲渡など、都が行う取組の中核を担う施設であります。
 都は今年度、センターを利便性等も考慮しまして、都民に開かれ、より親しみやすく身近な施設とするため、機能や施設像について検討する会議を設置いたしまして、専門家等から、保護した動物の飼養環境の向上や獣医系大学との連携、ボランティア等との協働、効果的な情報発信などの意見をいただいております。
 来年度は、こうした意見も参考にいたしながら、新たなセンターの基本計画を策定することとしておりまして、その中で動物との共生を推進する拠点としての機能を明らかにしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 都政への人工衛星の活用についてでございますが、宇宙では、民間衛星を使った通信や観測サービスが始まるなど、科学技術の進歩は目をみはるものがあります。通信の確保は都民生活の基盤であり、つながる東京の実現に向け、都は来年度、衛星を活用し、山間部や船舶など、不感地域での可能性を検証いたします。
 また、宇宙からの目で新たな課題に向き合うことも重要です。地表や海面の変化の観測データを土砂災害の早期検知や環境保全等に生かすことが考えられ、全庁的なプロジェクトチームにより、専門家の知見も得ながら、都政の様々な分野での活用を見いだしてまいります。
 最先端技術を積極的に取り入れ、真に都民に役立つサービス創出に向け、果敢に取り組んでまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、フリースクールに通う子供への支援についてでございますが、都教育委員会は令和二年度から、区市町村教育委員会、学校、フリースクールの教職員等による協議会を開催し、効果的な事例の共有を図るなどしてまいりました。
 今後、この協議会に、子供の実態に応じて柔軟な指導を行っている不登校特例校の教員の参加を求め、フリースクールに加え、特例校における多様な支援の在り方を学校等の取組に生かせるようにします。
 また、来年度は、フリースクールに通う子供の支援ニーズ等を把握するための調査研究の協力金を月額二万円に増額し、より多くの保護者から調査への協力が得られるよう取り組んでまいります。
 次に、日本語指導の実態調査についてでございますが、昨年九月に実施した調査では、都立高校における日本語指導が必要な生徒が五十七校六十六課程に六百八十八人在籍していること、十四校十四課程で来年度から特別の教育課程を編成する意向であることが分かりました。また、これらの学校においては、日本語の習熟度を測るノウハウや、日本語の指導方法に専門的な知見を有する人材の確保等が求められています。
 今後、必要な生徒に対しては、特別の教育課程を活用するよう学校に働きかけるとともに、各学校の実態を把握する調査を継続して実施し、日本語指導の充実を図ってまいります。
 次に、都立高校における外国人生徒等の支援についてでございますが、都立高校に在籍する日本語指導を必要とする生徒に対して、日本語学習や相談支援の体制の充実を図ることが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、在京外国人生徒向け入試を行う学校に、NPO等と連携して、日本語指導支援員や通訳、在留資格について相談できる人材等の専門家を派遣する取組を、本年度は八校で実施しております。
 来年度は、新たに東京学校支援機構と連携し、これらの専門家を、定時制課程も含め対象の生徒が在籍する全ての都立高校に派遣するとともに、派遣人材に対する学校現場の事前研修を実施し、効果的な支援を行ってまいります。
 次に、日本語指導の体制についてでございますが、都教育委員会は、日本語指導を必要とする児童生徒への教育の充実に向けて、来年度新たに設置するグローバル人材育成部に日本語指導担当部署を設け、日本語指導に関する施策を総合的に検討、推進いたします。
 今後、関係局や区市町村等関係団体と連携を深め、都内公立小中高等学校の全ての段階で日本語指導を一層充実してまいります。
 次に、産休、育業代替教員の確保についてでございますが、産休、育業代替教員の任用は、これまで産休等の期間に限られており、任用開始時期を合わせて代替教員を確保することに苦労を要する面がございました。
 国は、小中学校において、七月末までの産休等取得に係る教員の代替を年度当初に限り任用できるとする方針を示しましたが、都教育委員会はこれにとどまらず、高等学校、特別支援学校を含む全ての公立学校において、年間を通じ、産休等の開始の最大四か月前から代替教員を任用できることといたします。
 代替教員の着実な確保を図るとともに、産休等を取得する教員との引継ぎをより円滑にできるようにし、安心して出産、育児に専念できる環境を整えてまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 液状化対策についてでございますが、被害の具体的なイメージを共有し、都民が対策の必要性を理解する上で、液状化ハザードマップは重要でございます。
 国は令和二年度に液状化被害を軽減するため、住民と行政との間のリスクコミュニケーションを促進することを目的に、ハザードマップ作成の手引を公開いたしました。
 既に一部の区市では作成に取り組んでおりまして、今後は区市町村との協議会の場等を通じて、最新の液状化予測図の土質データ等を提供するなどの技術的な支援を行い、国の手引を踏まえたハザードマップの作成を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、液状化対策を推進してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 十一点のご質問にお答えをいたします。
 まず、就労等の有無にかかわらない保育所等の利用についてでございますが、都は来年度から、他者との関わりの中で非認知能力の向上など子供の成長が図られるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず、保育所等で児童を預かる取組を新たに開始いたします。先般、区市町村に対して本事業の趣旨を説明し、積極的に取り組んでいただくようお願いをいたしました。
 実施に当たっては、保育所等の取組を支援するため、運営費のほか開設準備経費等を補助いたします。また、家庭の経済状況等にかかわらず、より多くの児童が利用できるよう、低所得世帯等を対象に負担を軽減いたします。
 本事業は来年度から開始する取組であり、保育所等での実施状況や在宅子育て家庭のニーズ等も把握しながら、利用料も含め、今後の事業の在り方について検討してまいります。
 次に、国の出産・子育て応援交付金への対応についてでございますが、都は、とうきょうママパパ応援事業で、育児パッケージの配布や相談支援等に取り組む区市町村を支援しております。
 来年度は、国の交付金も活用し、子育て家庭への切れ目のない支援を充実させるため、妊娠時、出産後、子供が一歳または二歳前後の各段階で、相談支援と経済支援を実施する都独自のスキームを構築いたします。
 より多くの区市町村で取組が進むよう、都のスキームに参画する場合は、国の交付金事業に係る区市町村の負担を都が全額支援いたします。
 また、妊娠時に配布する育児パッケージについては、現在、区市町村が様々な取組を行っていることから、今後、事業の実施に当たっては、区市町村の意向も確認しながら支援の在り方を工夫してまいります。
 次に、都型放課後等デイサービス事業についてでございますが、都は今年度から、放課後等デイサービスの質の向上に向け、経験豊富なコア職員の配置など、都が定める基準を満たす事業者に運営費等を独自に補助しております。
 事業開始後も関係者との意見交換を重ね、より多くの事業者の参画を促すため、補助要件であるサービス提供時間を保護者の送迎の必要に応じて設定できるようにするなど様々な工夫を行っており、引き続き、説明会や個別相談などを通じて事業者へ強力に働きかけてまいります。
 来年度は、コア職員の基準の柔軟化など運用をさらに工夫するほか、報酬水準の改善を引き続き国に要求するとともに、事業実施状況の検証や令和六年度報酬改定の動向なども踏まえ、補助の在り方についても検討してまいります。
 次に、チャイルド・デス・レビューについてでございますが、都は今年度、国のモデル事業における事例検証の流れや実施体制、海外の制度や運用状況について調査をしており、来月、医療や警察等の関係機関による連絡会議を開催し、連携強化等を図ることとしております。
 来年度は、国のモデル事業に参画し、関係機関と共に検証等の取組を開始いたします。
 実施に当たっては、遺族の理解と協力を得て、死亡した子供の情報を収集することが必要であり、医師や心理士などの専門家の意見も聞きながら、遺族への協力依頼やケア等の在り方について検討してまいります。
 次に、デジタル技術を活用した在宅医療についてでございますが、都はこれまで、地域で在宅療養患者を支える医療、介護関係者が、患者の情報を効果的に共有する多職種連携システムなどの取組を推進してまいりました。
 新型コロナの流行下では、多くの自宅療養者の安全・安心を確保するため、オンラインによる健康相談や、ウエアラブル機器を活用した健康観察などを進めてまいりました。
 コロナ禍におけるこうした取組がさらに広がるよう、来年度、デジタル技術を活用し、脈拍や呼吸数等の健康状態を遠隔でモニタリングする取組などを進める地区医師会や、オンラインによる病診連携を推進する医療機関を新たに支援することにより、在宅医療体制のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、病院のBCPについてでございますが、都はこれまで、大規模地震等の災害発生時に病院が医療機能を継続できるよう、BCPの策定手順や記載項目を明示したガイドラインを策定するほか、災害拠点病院及び災害拠点連携病院に対して、アドバイザーを活用したBCPの作成や改定を支援してまいりました。
 来年度は、支援対象を都内全ての病院に拡大し、新たに対象とする病院に対しては、補助基準額を百万円、補助率を十分の十で支援し、病院の規模や機能に応じたBCPの作成や改定を促してまいります。
 また、台風や豪雨等の水害対策に特化したBCPガイドラインを新たに策定し、多様化する自然災害への備えを充実させ、災害時の医療体制のさらなる強化を図ってまいります。
 次に、都保健所と市町村との連携強化についてでございますが、感染症の発生時に的確に対応するには、都保健所と住民に身近な市町村とが平時から協力関係を培い、緊密に連携して取り組むことが重要でございます。
 新型コロナへの対応では、都は、自宅療養者等の情報を市町村と共有し、市町村から生活用品の配布が行われるなど、地域の事情に応じた支援の充実を図っております。
 来年度は、多摩地域の都保健所のマネジメント体制を強化するため、副所長を配置いたします。また、都保健所の在り方検討会において、地域ごとの連携協力体制の構築を主要な論点の一つに位置づけており、市町村や医師会等との円滑な情報共有や連絡調整を行う保健所内の体制整備など、連携強化の方策等について検討を進めてまいります。
 次に、がん患者へのアピアランスケア支援についてでございますが、がん患者が治療を受けながら、その人らしく生活するためには、脱毛や乳房の切除など治療による外見の変化を補うアピアランスケアが重要でございます。
 このため、都は来年度から、がん患者へのウィッグや人工乳房等の購入費用の助成に取り組む区市町村に対し、包括補助による支援を開始いたします。
 具体的には、区市町村が患者に助成する費用の二分の一を都が支援することとし、一人二回まで、一回当たりの補助基準額を十万円といたします。
 今後、多くの区市町村で取組が進むよう働きかけ、がん患者が地域社会において治療を受けながら、自分らしく生活できるよう取り組んでまいります。
 次に、国民健康保険の納付金算定についてでございますが、都道府県は、一人当たり医療費の伸び等を推計して積算した保険給付の必要総額から、国や都の公費を差し引いて区市町村の納付金総額等を算出するとされております。
 都が今月公表した令和五年度の確定係数の算定では、昨年の十一月の仮算定から、医療費の推計を直近の実績を踏まえて補正し、保険給付の総額を算出いたしました。
 また、十二月の国通知により、納付金算定上の調整財源として認められていなかった財政安定化基金の財政基盤強化分の残高の一部が活用できることとなり、約三十六億円の残高のうち約二十七億円を財源に納付金総額を減額いたしました。
 こうしたことなどから、確定係数における一人当たり納付金額は、仮算定時より抑えられたものでございます。
 次に、加齢性難聴に対する支援についてでございますが、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によりますと、加齢に伴う難聴は治療が困難な反面、補聴器で聞こえを補うことにより、生活の質の改善が可能とされております。
 都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援をしてございます。この補助実績は、平成三十年度の二自治体から、今年度は十五自治体へと増加をしておりまして、さらに来年度の実施に向け、複数の自治体が新たに補助申請を検討しております。
 加齢性難聴は、早期発見、早期対応が重要であることから、今後、区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら、効果的な施策を検討してまいります。
 最後に、更生保護施設の建て替え補助についてでございますが、国は、更生保護施設の新築、増築、改築等の整備事業に補助しており、都は東京都再犯防止推進計画において、更生保護施設を、帰るべき住居のない刑務所出所者等の主要な受皿と位置づけ、運営費の一部を補助しております。
 令和四年第三回定例会で、更生保護施設の建て替えに関する補助制度新設を求める請願が採択されたことから、建て替え工事を行った更生保護施設が所在する十四県に対し、県独自の補助金の交付状況等について照会をするとともに、都内の施設の運営や建設年次等の状況を調査いたしました。
 建て替えに関する都の補助制度の在り方については、調査結果や国の令和五年度における補助内容も踏まえて検討してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) フリースクール等への支援についてでございますが、学齢期の子供を取り巻く様々な課題を背景に、都内における不登校児童生徒数は増加傾向にあり、子供が自分らしくありのままでいられる居場所を創出していくことが喫緊の課題でございます。
 このため、都は、学齢期の子供の育ちに関する推進チームを新たに立ち上げ、フリースクール等に通う子供や運営団体に対するアウトリーチ型のヒアリングに加え、国内外の先進事例調査等を通じてニーズや課題を分析し、実効性ある施策の方向性について多角的に検討してまいります。
 庁内各局とも連携しながら、子供目線に立った政策を企画立案し、誰一人取り残さない視点から、不登校の子供をサポートするための居場所の創出を図ってまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新耐震基準の住宅の耐震化についてでございます。
 首都直下地震等による被害を軽減するため、昭和五十六年以前に建築された旧耐震基準の住宅に加え、来年度から新たに、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅も支援の対象とし、診断や設計、改修について、旧耐震と同様の助成を開始いたします。
 あわせて、新耐震に対する助成を行っている六区市以外にも取組を拡大させるため、区市町村に対し、この助成制度の活用を働きかけてまいります。
 こうした取組により、耐震性が不十分な住宅を令和十七年度末までにおおむね解消することを目指してまいります。
 次に、建築物における液状化対策についてでございます。
 液状化被害の低減のためには、建て主等が専門家の助言を受け、対策を検討できる仕組みの整備が重要でございます。
 都は、平成二十五年に窓口を設置し、都民の相談に対応してまいりましたが、令和五年度からは新たに無償で専門家を派遣し、対策を提案できるよう相談体制の充実を図ります。
 また、十か所程度で行う地盤調査等を踏まえ、区市の取組を含む現状や課題を把握し、支援の在り方を検討してまいります。
 面的対策については、道路等と宅地との一体的対策を推進する国の補助事業が都内で活用されていないことから、区市と課題を検討してまいります。これらの取組により、液状化対策を一層推進してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京とどまるマンションのトイレ対策についてでございますが、災害による停電時にマンションでの生活を継続するためには、ハード、ソフトの両面での対策が重要でございます。
 都は、エレベーターやポンプ等の非常用電源の確保や防災訓練などを行うマンションを登録、公表してまいりました。
 今後、防災訓練等を行っているマンションにアンケート等を行いまして、このうち東京とどまるマンションに登録するマンションに対しまして、簡易トイレなど防災備蓄資器材の費用の一部を補助いたします。また、排水管等ハード面の対策強化につきまして、技術的検証も踏まえ、制度改善を検討いたします。
 こうした取組を通じまして、マンションにおける災害時の生活継続を後押ししてまいります。
 次に、マンションの地震対策についてでございますが、地震による建物の倒壊を防ぐことは、都民の生命と財産を守る上で重要でございます。
 これまで都は、耐震化促進事業により、分譲マンションの耐震化に取り組んでまいりましたが、費用や合意形成等が課題となり、実施が困難なマンションもございます。
 しかし、首都直下地震による建物の倒壊から人命を守ることは急務であり、来年度から危険性が高いピロティー階の改修等を支援いたします。
 支援に当たりましては、都の届出制度の情報も活用いたしまして、対象となるマンションを絞り込み、個別に事業の活用を促すとともに、専門家を無料派遣し、費用対効果や施工の容易さを説明するなど本事業の利用へつなげまして、都市の強靱化に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅の断熱性能の向上についてでございますが、脱炭素化に加えて、居住者の健康確保の観点からも、都営住宅の断熱性能を高めていくことは重要でございます。
 建て替え住棟では、今後、基準設計を見直しまして、複層ガラスの窓の採用や壁の断熱材の増強などにより、断熱性能をこれまでより約三割高いZEH水準に引き上げてまいります。
 既存住棟では、断熱塗料を含めた建設材料などの技術開発動向を注視するとともに、建物の外壁に断熱材を貼る工法と、窓を複層ガラス等に改修した場合の効果やコストを検証いたしまして、対策の検討につなげてまいります。
 これらを通じまして、住宅の脱炭素化に向けた取組を推進してまいります。
 最後に、東京ささエール住宅の専用住宅についてでございますが、登録戸数の目標を達成していくためには、これまで以上に貸主に寄り添った新たな支援策の構築が必要でございます。
 そのため、都は来年度から、耐震改修費補助を新設するなど直接補助のメニューを充実させるとともに、分かりやすくパッケージ化し貸主への支援を広げます。
 また、居住支援法人等が住宅を借り上げ、貸主のリスクを引き受けながら住宅提供や支援を行う取組に対しまして新たに補助を行います。
 こうした取組に加えまして、登録協力補助の要件である専用住宅の登録期間を十年から二年まで短縮可能とすることなどによりまして、専用住宅の登録を加速してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 避難所運営支援における関係局の役割についてでございますが、災害発生時は災害対策本部において、救出救助や避難所運営を含む被災者支援等の方針を定め、各局の役割に応じて部門ごとに体制を立ち上げ対応することとなります。
 現在は、本部の司令塔となる総務局と、避難所の衛生環境確保や要配慮者対応等、区市町村支援を担任する福祉保健局が相互に連携して被災者対応に当たっております。また、総務局が持つ区市町村とのネットワークと福祉保健局の専門的な知見を活用し、指針の改定等、避難所運営の支援策の充実に取り組んでおります。
 今後、より効果的な被災者支援に向け、全体を統括する総務局と、福祉保健局をはじめとする各局がそれぞれの力を発揮できますよう、その役割や連携強化の方策を検討してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 帯状疱疹ワクチンの接種に係る支援に関するご質問にお答えいたします。
 帯状疱疹は、成人の九割以上がウイルスを保有し、加齢等に伴い誰もが発症する可能性があり、今後の高齢化も踏まえ、予防に向けた取組を強化することが重要でございます。
 このため、都は、現在国が検討しているワクチンの定期接種化までの措置として、来年度から独自に、ワクチン接種に取り組む区市町村が負担した接種費用の二分の一を支援いたします。
 実施に当たり、帯状疱疹の予防に有効な生ワクチンと不活化ワクチンの二種類のワクチンを対象とするなど、区市町村が被接種者の希望に柔軟に対応できるよう制度を構築いたします。さらに、区市町村による事業の実施状況を都のホームページで分かりやすく紹介するなど、帯状疱疹の予防等に関する情報発信を強化してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の人材の確保と定着の支援についてでございますが、中小企業が若手の人材を採用し、その定着を図る上で、仕事のやりがいや働きやすさを高めるほか、安心で快適な生活を送るための環境をつくることが重要でございます。
 このため、都は来年度、中小企業が従業員の生活面での満足度を高める取組を計画的に進めることができるよう支援を開始いたします。
 具体的には、仕事と生活の両立を着実に進めるための様々な知識を持つ専門家を会社に派遣し、福利厚生の充実に向けた計画づくりに関し助言を行います。そうした計画に基づき、若手の社員のために住宅を借り上げる場合などにおける経費について、その半額を助成いたします。
 こうした取組によりまして、若手人材の確保、定着を促進いたします。
 次に、東京たま未来メッセの活用についてでございますが、多摩地域の経済の活性化に向け、東京たま未来メッセにおいて、中小企業の取引の拡大につながる展示会や技術力の向上に役立つMICEを開催することは重要でございます。
 都は来年一月、同メッセにおいて多摩地域で最大級の展示会を開催し、中小企業の販路開拓を支援いたします。
 具体的には、都内や近隣県の中小企業同士が商談を行い、大企業とも取引を始める契機となる場を設けます。
 また、スタートアップが消費者ニーズを技術開発に生かせるよう、来場者がそのサービス内容などを体験できる機会をつくります。さらに、地元自治体等と連携し、企業の技術力向上に役立つ国際的なシンポジウムの開催を後押しいたします。
 これらによりまして、多摩地域の産業振興を進めてまいります。
 最後に、団体旅行への支援についてでございますが、東京の観光産業の回復を後押しする上で、旅行地での消費などを地域に効果的な形でもたらす団体旅行の数を増やすことは必要でございます。
 これまで都は、団体による旅行を企画する事業者に対し、観光客同士が密になることのないようバスの確保を行う場合、その経費の一部に助成を行ってまいりました。これにより感染症への対応を徹底し、旅行者が安心して団体旅行を行う環境づくりと観光による消費の活性化などを実現してまいりました。
 こうした支援が観光産業に優れた影響を及ぼすことを踏まえ、来年度、団体旅行の利用を増やす取組を継続し、事業者を着実に後押しをしてまいります。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、伊豆・小笠原諸島の海上輸送費補助についてでございます。
 都は従来、野菜や魚介類等を対象に二分の一の補助を行ってまいりましたが、新型コロナの拡大以降は、取引価格の低迷等による島内生産者への影響を軽減し、島民生活の安定を図るため、暫定的に全額補助とする措置を講じております。
 現在、魚介類等の出荷額は回復しつつありますが、一方で原油価格の高騰など、島内生産者にとって厳しい状況が続いていることから、来年度も全額補助の措置を継続し、生産者の負担軽減を図ることといたします。
 今後とも、島しょの農漁業者を積極的に支援することで、島の経済の活性化を一層進めてまいります。
 次に、伊豆諸島に係る海上貨物の運賃補助についてでございますが、都は来年度、国の交付金を活用し、新たな補助事業を実施いたします。
 具体的には、加工品や原材料等も含めた全ての生産品の中から、各町村が国の制度にのっとり、自主的に指定した五品目を限度として補助を行います。事業者負担は原則として二割としますが、来年度は原油高騰等の影響を踏まえ全額を補助いたします。また、申請に伴い必要となる計画策定等の業務について、町村や事業者が円滑に事業を進められるよう、きめ細かに支援いたします。
 こうした取組を通じ、多様な生産者が積極的に本土に出荷できる環境を整え、さらなる産業振興につなげてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、レガシー関連の展示施設についてでございますが、都は、昨年策定した活用方針に基づき、将来、江戸東京博物館での常設展示を予定しておりますが、現在休館中のため、その間、東京スポーツスクエアで展示を行います。
 その際、再生金属で作成したメダルの解説やボランティアの映像等で大会の意義を伝えてまいります。また、競技体験の機会を提供するとともに、来場者への案内等でボランティアの方にも参画をいただく予定でございます。
 なお、来場が困難な方にもアーカイブ資産をご覧いただけるよう、デジタルアーカイブを構築し、先行して段階的にウェブで公開をいたします。
 これらの取組を通じ、大会の経験が次の時代につながるよう、魅力ある展示に努めてまいります。
 次に、二〇二五年の世界陸上についてでございますが、大会を公正で信頼されるものにすることが不可欠であります。談合調査チームの調査結果を受け、ガバナンス、コンプライアンスを徹底した大会運営組織を設立してまいります。
 大会運営組織におきましては、二〇二〇大会の経験を踏まえ慎重に役員等の選任を行い、その理由やプロセスを公開するとともに、企業からの出向の在り方を見直し、利益相反問題を確実に防止していかなければなりません。
 また、情報は原則公開とし、民間との契約等で例外扱いとなるものも第三者により公正性を確保する等新たな仕組みや、リスクを想定した効果的な監査も必要となります。
 こうした考え方に基づき、都民の信頼を回復した上で、スポーツや健康への意識を高め、東京の魅力も発信するなど、大会の開催意義を広く還元できるよう取り組んでまいります。
 次に、二〇二五年デフリンピック大会についてでございます。
 大会成功には関係者との連携協力が不可欠であるため、先日、全日本ろうあ連盟とともに、関係者で調整、協議する場として大会準備連携会議を開催し、重要事項の準備スケジュールを共有いたしました。
 また、大会に必要となる国際手話人材につきましては、来年度より育成講座の受講費用を支援し、百六十人程度を育成いたします。デフ競技団体がない競技につきましては、全日本ろうあ連盟がJOC加盟の競技団体に大会の出場資格がある選手の有無を調査し、都もこれらの競技団体に協力を依頼しております。
 大会運営実務は東京都スポーツ文化事業団が担い、デフ競技団体等と連携し、大会準備を着実に推進してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後七時七分休憩

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