令和五年東京都議会会議録第二号

   午後三時十分開議

○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十九番たきぐち学君。
   〔百十九番たきぐち学君登壇〕

○百十九番(たきぐち学君) 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対して、心よりご冥福をお祈りいたします。
 また、トルコ・シリア地震では、多くの人命が失われました。謹んで哀悼の意を表するとともに、現地に派遣された警視庁及び東京消防庁の職員の皆様のご尽力に心から敬意を表します。
 令和五年第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、警視総監、教育長、関係局長に質問をいたします。
 日本が失われた三十年とも呼ばれる長く続くトンネルを抜け出し、飛躍を遂げるために必要なものは、未来への投資です。
 国においても、ここに来て、出産、子育てやスタートアップへの支援が議論されるようになったことは評価するものですが、さきの定例会でも指摘したとおり、スタートアップ等の新産業に対する投資額の対GDP比は、G7で最低水準、子育て関連支出はヨーロッパ諸国の約半分、そして、教育費に対する公的支出はOECD加盟国で最低水準となっており、これまで対策を先送りしてきた国が、今回も掛け声倒れとならないか危惧するものであります。
 私たちは、変化やあつれきを恐れることなく、あるべき東京の未来を想定して、都政のパラダイムシフトを促し、東京から日本の抱える課題解決にもつながる政策を提案してまいります。
 令和五年度の予算案では、一般会計の歳出総額は八兆四百十億円となり、過去最大となりました。私たちは、こうした未来への投資につながる予算案の実効性を高めると同時に、これまで進めてきた東京大改革の成果や改革の知見を各地域、自治体に還元していくことを改めてお誓いし、質問に入ります。
 さきの定例会でも指摘したとおり、ポストコロナを見据えた産業の構造転換、人への投資や賃金の向上につながる取組、また、電力の国内自給や災害対応も見据えた、再生エネルギーの利活用を加速していかなければなりません。
 さらには、社会の基盤を揺るがす少子化の問題に対して、具体的でインパクトのある政策を迅速に講じ、子供を産み育てたいと期待や希望を持てる環境に大転換を図る必要があります。
 来年度予算は、コロナ対応に縛られた三年間から大きく一歩を踏み出し、東京、そして日本の未来を左右する大きな転換点としていく、未来につながる予算とすべきでありますが、知事の見解を伺います。
 先般、政府は、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の位置づけを五類に変更する方針を示しました。感染症との闘いは新たな段階へと移ります。
 感染症の分類が変わる中で新たな運用が求められる保健、医療提供体制については、今後の経済活動との整合を図るとともに、都民の暮らしや経済を守っていく政策を推進していかなければなりません。
 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類変更等、感染症との闘いの段階が変化する中でどのように対応していくのか、令和五年度補正予算の編成における知事の見解を伺います。
 政府は、五月にも二類相当から五類に変更しようとしており、都、保健所、医療機関、関係機関等の対応は、法制度上も根底から大きく変わります。
 都は、分類変更後も、重症、中等症の患者を受け入れるために病床を維持確保していく方針ですが、一方で、発熱等の軽微な症状や軽症者については、一般の病院、クリニックにおいて、他の病気と同様に通常の診療として受け入れていただく必要があります。
 五類への分類変更後に、今回の補正予算後の対応も見据えながら、コロナに感染した可能性がある患者を病院やクリニックが安全に受け入れることができるよう都として支援すべきですが、見解を伺います。
 あわせて、医師法十九条一項に基づき、医療機関等が原則患者を受け入れる必要があることについて、国から新たな通知を出すよう要請すべきですが、見解を伺います。
 足元を見ると、令和四年度の救急出動件数は過去最多を大幅に更新しています。救急隊の活動時間について、件数の増加に加えて、病院が受入れ前に実施しているコロナ検査の結果待ちや陽性患者を再転送する場合などにより、大きく増加しています。
 緊急性が高い事案においても、搬送に支障が出ているケースや救急隊員に大きな負担がかかっていることから、救急体制のさらなる強化や適正な利用の促進などの取組が必要ですが、消防総監の見解を伺います。
 また、今後、五類に変更となった際に、医療機関が受入れ拒否をすることなく、適切、迅速に救急患者を救急隊から引き渡すことができるように運用の整理が必要です。特に、新型コロナ以外の傷病者も含めてコロナの検査を行い、結果が出るまで救急隊が病院前で待機している、そうした現在の状況については、迅速に改善するよう求めておきます。
 今月発生したトルコ・シリア地震では、死者数が四・七万人を超える痛ましい事態になっています。決して対岸の火事ではなく、首都東京を預かる都政として、防災への意識をさらに高く持たなければなりません。
 本年九月に関東大震災から百年の節目を迎えます。それに先立ち、都は昨年、首都直下地震等による被害想定を十年ぶりに見直し、年末には、TOKYO強靱化プロジェクトを公表いたしました。
 TOKYO強靱化プロジェクトや現在修正を行っている東京都地域防災計画震災編に基づき、都の防災対策の一層の加速を図るべきですが、知事の見解を伺います。
 知事は所信表明で、無電柱化の一層の推進や調節池の整備の加速などに加え、「東京防災」と「東京くらし防災」のリニューアルと再配布により、都民一人一人の意識を高めるムーブメントを起こすとしています。行政の公助に加えて、こうした自助の取組も大変重要です。
 加えて、我が会派では、かねてより防災、減災の要となる共助の取組、コミュニティの強化を求め、町会、自治会の防災施策を提案し、実現してまいりました。
 今回、関東大震災百年、町会、自治会防災力強化助成において、不足する防災物品の購入費用助成が拡充され、予算化されたことを評価しますが、事業の推進に当たっては、町会、自治会への加入を促すなど、加入促進を組み合わせた施策とすべきですが、知事の見解を伺います。
 さきに述べた首都直下地震等による被害想定では、人的被害の多くは火災由来であることが確認されました。しかしながら、初期消火、延焼防止に有効な感震ブレーカーは約八%しか普及していないことから、私たちは迅速に普及させるよう支援を要望してきました。
 感震ブレーカーの配布について、木密地域を対象に、町会、自治会等とも連携するなどにより、速やかに普及率を高める工夫をすべきですが、知事の見解を伺います。
 今や都民の七割は集合住宅に居住していますが、その多くが町会、自治会に加入しておらず、地域の連携不足は、災害時の弱点となりかねません。また、避難所の収容力も課題であり、災害時にマンション等の集合住宅で生活が継続できるようにしていく必要があります。
 私たちはこれまで、都として取組が遅れているマンション防災の強化に向けて、東京都LCP住宅の改称とともに、必要な備品を助成することを提案してまいりました。今後、東京とどまるマンションの登録促進に向け、マンションの防災力を強化するための必要な備品を助成するとともに、自治会、町会など、地域との連携を促すべきと考えますが、見解を伺います。
 続いて、未来への投資につながる我が会派の重点領域について順次伺います。
 まず、チルドレンファーストの東京に向けた子供、子育て、教育の分野です。本領域は、会派結成以降、最重点領域として取り組んでまいりました。
 特に、少子化対策としては、長年にわたり進んでいなかった待機児童対策を小池知事と共に推進、ほぼ解消するところまで前進させるとともに、不妊治療の助成や出産一時金の上乗せを提案、実現してまいりました。
 さらには、とうきょうママパパ応援事業や赤ちゃんファースト事業など、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の制度化を提案、来年度予算に盛り込むなど、国をも牽引する政策を提案、実現する都議会に変えてまいりました。
 一方、国においては、昨年十月より、所得制限によって、児童手当の特例給付を一部廃止するなど、子育て世代の分断を招き、子育て罰とも呼ばれる状況を助長してきました。
 私たちは、所得階層によらず、あらゆる子育て世代が希望する人数の子供を産み育てられるよう、また、将来への期待を持てるよう、子育て、教育は社会全体で負担をしていくべきであり、所得制限のない負担軽減策を大胆に講じていくべきとかねてより訴えてまいりました。
 そのような背景から、昨年末の我が会派の予算要望では、最重点項目として、所得制限のない都独自の児童手当の上乗せを提案いたしました。それを受け、知事が〇一八サポートとして予算化したことを高く評価しますが、〇一八サポートに込めた知事の決意を伺います。
 また、実施に当たっては、区市町村の負担に配慮しながら、より効果的なスキームを構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 都が「未来の東京」戦略で掲げる合計特殊出生率二・〇七という目指す姿を達成するためには、二人目以降の子供を持てるようにする多子世帯への支援も重要です。
 私たちは、二〇一九年の国の幼児教育、保育の無償化に合わせて、住民税非課税世帯以外は国の無償化の対象外であったゼロ歳から二歳に対して、都独自の上乗せ支援策を講じるよう要望し、親の所得や第一子の年齢にかかわらず、第二子半額、第三子以降無償化を実現しました。
 さらに、昨年末の予算要望において、第二子についても無償化を求めました。多子世帯の保育料負担をさらに軽減し、第二子、第三子と希望する人数の子供を持てるよう、支援を拡充すべきですが、知事の見解を伺います。
 子育て世帯の負担軽減に向けて、私たちはかねてより、家庭のDXによる家事の合理化を都が支援するべきと強く訴えてまいりました。今年度、都が、とうきょうママパパ応援事業において、家電等の家事支援用品に対する購入支援を新たに始めたことを高く評価しています。
 しかしながら、産後の家事、育児支援や家事支援用品の購入支援事業について、現状では、一部の家庭を除いて保育園利用家庭は対象外とされており、共働き家庭では利用できない仕組みとなっています。令和五年度に向けて、共働き家庭も事業対象に含めるなど、改善すべきと考えますが、見解を伺います。
 核家族化の進行に伴い、祖父母、親族などが近くにおらず、育児に親以外が関わる機会が少ない環境で育つ子供たちも増えています。また、在宅子育て家庭では、親の育児不安や孤立につながりやすいことも課題です。
 在宅子育て家庭においても、乳幼児が他者と関わり、育つことのできる環境を創出することや、親の不安や負担を軽減し、孤立を防止する観点から、保育所等での一時預かりなどの支援に取り組むべきですが、知事の見解を伺います。
 子供がマンションから転落するなどの事故を防ぐには、家庭における安全対策も重要な課題です。子供は日々成長し、行動範囲も広がるため、家庭で思いがけない事故に巻き込まれることもあることから、見守りや注意喚起だけで事故を防ぐのは難しいのが現状です。
 さきの定例会で、私たちの質問に対し、死亡事例を含む子供の事故情報や検証内容を一元的に収集、分析した上で、成長、発達段階に応じたエビデンスベースの事故予防策を講じていくとの知事の答弁がありました。
 事故予防の一つとして、子育てがしやすく、安全な住宅の整備は極めて重要ですが、平成二十七年度に創設された東京都子育て支援住宅認定制度は、令和三年度末時点での認定実績が一千六百七十八戸にとどまっています。
 今後、都は制度を再構築して、東京こどもすくすく住宅認定制度に改称することとしていますが、住宅事業者が創意工夫を生かし、利用しやすい制度にするとともに、整備費用を補助し、子育てしやすい住宅の供給を大きく進めていくべきです。
 あわせて、子育て支援住宅に積極的な事業者とともにムーブメントを起こしていくなど、取組に前向きな事業者を強く後押ししていくべきですが、知事の見解を伺います。
 また、集合住宅において、居住部分だけではなく、子育てスペースなど共有部分において、子育てに資する取組を行うことについても推進することを求めます。
 子供を持ちたい夫婦が子供を持てるように、私たちはかねてより不妊治療の支援の強化を求めてきました。さきの定例会で私たちの提案に対し、知事が、社会的適応を目的とした卵子凍結についても対応を検討すると答弁し、来年度予算案に計上したことは画期的です。
 妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される取組として、また、女性のライフプランの選択肢ともなる卵子凍結に対して、迅速に支援制度の構築を行うべきですが、知事の制度にかける思いと見解を伺います。また、従業員の卵子凍結等に前向きな企業を支援すべきですが、併せて見解を伺います。
 さらに、不妊治療に至る前に自身の体のことを知り、将来設計を促す取組として、AMH検査の推進も求めてきました。体に残された卵子の目安を知り、妊活、不妊治療に生かすことのできるAMH検査に対して、不妊治療に至る前に若年世代が受診できるよう支援を拡充すべきですが、知事の見解を求めます。
 妊婦が助産所で妊婦健康検査を受診した場合、東京都では妊婦健診受診票の直接使用ができず、償還払いになっていること、また、そもそも受診票がいまだ紙の発行であり、都度、携帯をしなければならない点や紛失リスクがあることなどについて、昨年、第二回定例会で問題提起しました。
 都からは、妊婦の負担軽減に向けて、受診票の取扱いについて、今後、ICTを活用した仕組みの導入など、専門家の意見を聞きながら研究していくとの答弁がありました。
 東京都において、助産所での受診票の活用や超音波検査への支援、妊婦健診も含めた母子保健分野のICT化など、妊婦健診に係る一連の取組を妊婦目線で行うべきと考えますが、見解を伺います。
 困難を抱えた若年女性に対するアウトリーチや居場所の確保、自立支援は重要です。
 一方で、若年被害女性等支援事業に関して昨年末に住民監査請求があり、東京都監査委員から、委託料の不正受給はないとされたものの、一部の経費精算について再調査するよう指示が出されました。公金を投入する以上、公正で理解の得られるものにする必要があります。
 本事業に関し、国からは、民間団体を活用する場合、委託で実施することとされていますが、団体ごとに支援対象者の年齢、支援拠点、手法なども異なり、客観的に同一の成果を求める委託のスキームはなじみにくいと考えます。
 小規模なものも含めると、担い手となる団体も増えてきており、団体の規模にかかわらず、より多くの民間ノウハウを活用できるよう、補助によるスキームに改めることを検討すべきです。これにより、経費の使途もより明確になることから、都民の理解も得やすくなると考えますが、見解を伺います。
 子供たちが将来、国内だけでなく、国外でも成果を出せる人材になるには、異文化への理解を持ち、現地の人ともコミュニケーションしながら、共に課題解決できる能力が求められます。このコミュニケーションの柱となるのが国際語である英語の習得です。
 しかしながら、これまで日本の英語教育は、読む、聞くが重視され、その結果、長く学んだ割には話せないという状況が長く続いてきました。
 この状況を踏まえ、都は、聞く、話すを強化するため、外国語指導助手、ALTの小中学校への配置支援や、区部に加え、多摩地域にも体験型英語学習施設のTGGを開設、さらには、都立高校入試にスピーキングテストを導入するなど、先進的な取組をしてきました。
 子供たちが国際語である英語を使いこなし、国の垣根を超える交流ができるための使える英語の習得に向けた取組を強化すべきと考えますが、英語力の東京の実現に向けた知事の見解を伺います。
 小中学校では、まず英語に興味を持ち、自律的に学びに向かえるような設計とすること、さらに高等学校では、単なる異文化交流ではなく、共通の課題に向けて協力し、解決していく課題解決型学習、PBLを通じて、多様性や違いが価値を生み出す経験ができるよう設計するなど、学齢に応じた取組にすべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇三〇年に最大七十九万のIT人材が不足するといわれています。小中学校に一人一台環境が整備されたものの、日常的に使う学校は限られており、教師の二割は指導に不安があるという調査結果もあります。
 学校教育でプログラミングに触れて、より学びたいと児童生徒が思った場合、民間の教室は高額なため、授業料を払える家庭でなければ十分に学ぶことができないという問題があります。
 そうした課題認識から、委員会質疑や予算要望において、いわゆるコンピュータークラブハウスのように、放課後に無償で最新のテクノロジーに触れられる場所の設置を求め、アメリカや加賀市などの国内外の先進事例も紹介してきました。
 コンピュータークラブハウスの取組を参考に、区市町村とも連携し、都として、子供たちが気軽に最新のテクノロジーに触れられる機会や場所を積極的に整備すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 学校教育の負担軽減は極めて重要な課題ですが、その中でも、特に土日も含めた部活動の負担は大きい割合を占めます。国においてもようやく議論が進み、二〇二三年度から三年間を改革推進期間として、部活動の地域移行を進めていくことになっています。
 我が会派の議員による一般質問では、渋谷区と日野市の試行においても、保護者の経済的負担、学校施設の使用に関する管理の在り方などの課題が明らかになり、支援を検討していくとの答弁がありました。
 それ以外にも、指導者として適切な人材の確保、研修や資格取得等の推進、これまで学校単位で参加が認められていた地域のスポーツ大会の見直しなど、様々な課題があります。
 区市町村において、人材の確保、育成の仕組みの構築、関係団体との調整など、部活動の地域移行が円滑に進むよう、都が積極的に支援していくべきですが、見解を伺います。
 これまで学校教育について取り上げてきましたが、そもそも学校に通えない、不登校になる子供たちが年々増加、我が会派の議員のもとにも相談が多数寄せられています。学校内での支援が行き届く取組に加え、不登校となっている子供たちの学びや体験の選択肢も充実させることが必要です。
 まず、学校内では、いじめや不登校など、子供たち一人一人に寄り添うことのできる人員として、支援員やスクールソーシャルワーカーなどをさらに拡充するなど、対応体制を強化すべきですが、見解を伺います。
 また、不登校の子供たちの中には、学校には戻りにくいケースも多々あり、学校外における居場所や様々な体験の機会が極めて重要です。そうした観点から、学校外の体験活動について取組を強化すべきですが、見解を伺います。
 不登校の子供の受皿として、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行う民間の施設であるフリースクールの役割が高まっています。その費用が高額であることから、私たちは一貫して経済的支援を求めてきました。
 私たちの提案に応え、今年度より、都はフリースクールに通う家庭へ、実態調査への協力金として月一万円相当を開始しましたが、昨年度実施した調査事業では、フリースクールの月額負担費用は約四万五千円となっており、いまだ親の所得によって子供の教育格差が生じている現状があります。
 こうした実態を踏まえ、都として、フリースクールへ通う家庭への協力金の拡充をすべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、私たちはフリースクールを学びの一つの選択肢とするため、都がフリースクールを認証化することで、質の担保や多様な事業者参入を促す仕組みを来年度予算要望においても提案いたしました。
 今般、こうしたフリースクールの認証制度を含めた検討について予算化されましたが、検討に当たっては、事業者の実態や子供の多様性に配慮しながら実効性ある制度とすべきですが、知事の見解を伺います。
 二つ目の重点領域は、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策についてです。
 海外から選ばれる都市の実現に向けて、スタートアップ企業や文化、芸術を支えるプレーヤーなど、これからの東京を支えていく人と基盤に投資していかなければなりません。
 東京全体のDXを推進するため、今年、都は新団体GovTech東京を設立し、九月にサービスをスタートすると聞いています。GovTech東京においては、民間でサービス開発の経験を積んだ高度IT人材を採用するとともに、その専門性を十分に生かし、官民共創の政策イノベーションを加速していく必要があります。
 世界水準のDXを推進するために、GovTech東京が専門的な力を大いに発揮し、都庁全体、さらには区市町村のデジタルサービスの品質を飛躍的に高めていくべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。
 これからの東京を支えるスタートアップの支援拠点として、私たちは昨年の第三回定例会において、フレンチテックの事例を参考に、東京版ステーションFを設置するよう求めました。これを受けて、来年度予算案にTokyo Innovation Baseの整備が計上されたことを大いに歓迎いたします。
 当該施設が、プラットフォームとなる機能を十分に有することに加えて、立地は国内外のスタートアップやVC、ベンチャーキャピタルにとって魅力的でなくてはなりません。また、機能と立地にも増して重要なのは、そこに集う人々の魅力です。
 施設のトップには、国内だけではなく、グローバルにスタートアップを引きつけることができる顔となれる人物を民間から招聘すべきです。また、トップだけでなく、例えば、一目会いたいと思われる影響力のある五十人をアドバイザーとして、一週間ずつ持ち回りで施設内に滞在してもらう仕組みができれば、一年中スタートアップ等を引きつけることが可能となります。
 国内外からTokyo Innovation Baseにスタートアップ創業者やVC、アクセラレーターなどのスタートアップエコシステム関係者で、これはという方々を集めて、魅力あるプラットフォームとしていくべきですが、知事の見解を伺います。
 なお、組織再編により、スタートアップ・国際金融都市戦略室が新たに設置されることを評価いたしますが、スタートアップ推進のトップには、著名な民間のプロフェッショナルを招聘するなどの大胆な人事を併せて行うべきと求めておきます。
 また、産業の新たな担い手を生み出し、育成するためには、将来性があり、資金需要のあるスタートアップを金融面から支援することも重要です。
 創業期に経営者を保証人とせずに融資できる仕組みを本年三月中に創設すると国が公表したことを歓迎しますが、これを受け、都としても創業時における金融支援をさらに拡充すべきですが、見解を伺います。
 一方、都内中小企業のDX推進においては、丁寧な取組が必要であることを私たちはかねてより指摘してきました。特に零細企業では、DXの意義を認識していないという当事者の声もいまだに根深くあります。
 私たちの要望を受け、デジタル化の取組が進んでいない中小企業に対して必要性や効果を周知するとともに、ナビゲーターがデジタル化診断を行い、必要な支援メニューにつなげる中小企業のデジタル化を底上げする事業を、来年度に向けて都が予算化したことを評価しています。
 一方で、デジタル人材が不足する中、給与面で劣る中小企業ではなかなか人材を確保できないという声もあります。
 そこで、デジタル技術に知見のあるスタートアップを活用して、GovTech東京のようにDX人材のプラットフォームを構築し、中小企業のリスキリングをサポートする仕組みを新たに展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 中小企業の賃上げも重要な課題です。私たちは二〇二一年夏の東京都議会議員選挙において、所得向上を重要な政策課題として掲げ、東京版ニューディールによるスキルアップとセットの就労支援強化など、具体的な取組を進めてきました。
 ようやく国全体で賃上げの機運が高まりつつありますが、都においては、前回補正予算で生産性などを高めて収益を増加させ、これを賃上げにつなげる事業者に対する奨励金を支給する事業を創設しました。このような流れをいかに波及させていくかが大きな課題です。
 女性活躍推進と同様に、賃上げ推進企業に対し、制度融資での優遇措置等、様々な支援を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 女性の大学進学率の向上に伴い、社会進出が進み、男女雇用機会均等法や育児休業法、次世代育成支援対策推進法等の法整備など、働く女性の環境整備が進んでいますが、その能力は十分生かされているとはいえません。
 配偶者の所得控除から外れる百三万円の壁、社会保険料の自己負担が発生する百三十万円の壁により、パート等の働き方を選択し、仮に時給が上がったとしても就業時間を減らすなど、就業調整をしながら働く要因となっています。
 人が輝く東京の実現には、さらなる女性活躍が必要であり、私たちは、昨年の予算要望の重点項目として、百三万円等の壁の打破に向けた取組を求めました。本来、税制や社会保険制度において国で対応すべき事項ですが、これまで何度も議論が先送りされており、国による解決は見えていません。
 年収の壁をはじめとした様々な課題について、幅広い視点で検討を速やかに開始するとともに、働く女性の多い東京都が率先して取組を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、女性の経済力向上に向け、リスキリングのできる環境も大変重要です。働きながらリスキリングをすることは時間の確保が難しく、仕事とリスキリングの両立のためには、週休三日制などの柔軟な働き方の導入も効果的です。
 都として、週休三日制の導入など、リスキリングのための環境確保に取り組む企業を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の魅力を高めるため、私たちはかねてより、意欲を持った団体やアーティストなど、芸術文化の担い手が活躍できる環境の整備や支援を求めてまいりました。コロナ禍ではアートにエールを、そして今年度からは、芸術文化魅力創出助成が開始されました。
 感染症の分類変更など、コロナとの闘いの局面が変わっていく今、芸術文化魅力創出助成の拡充や、中小規模芸術文化団体等を支える新たな支援、アーティスト等の活動環境への支援など、芸術文化の活動を促進し、東京の魅力を取り戻し、さらに発展させていく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 先般、渋谷区に最先端のテクノロジーとアートが融合するこれまでにない拠点として、CCBT、シビック・クリエイティブ・ベース東京が誕生しました。
 東京がイノベーションや文化について開かれたまちであること、そして、世界でも最先端のテクノロジーを貪欲に社会実装していくことの象徴として、東京都全体に波及する取組を求めます。
 海外からの来訪者にとっても、東京に行けば世界の最先端に触れることができるということを目指すべきであり、今後、インバウンドが再開する中で、極めて重要なブランディングになります。
 CCBT、シビック・クリエイティブ・ベース東京を世界的に見ても、最先端のテクノロジーとアートを融合させ、新たなイノベーションを創出する象徴的な場所としていくとともに、それがまちに波及していくよう、拠点の外での取組につなげていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 世界の都市総合力ランキングによれば、東京の課題は観光地の充実度とされていますが、今後の東京の新たな魅力として、世界でも先端のテクノロジーやアート、イノベーションが体験できることを、国内外からの観光や誘客、そしてビジネスに結びつけることが必要です。
 先月、アメリカで開催されたテクノロジーの見本市であるCESで、テスラ社が地下トンネルに車両を通して展示場の間を移動させたことが話題を集めましたが、最先端の情報収集や関係構築に加えて、新しいテクノロジーを体感できるということは、世界中からテクノロジーやスタートアップ関連の人が集まる動機にもなります。
 逆に、日本、東京を訪れても最先端を体験できないとなれば、観光や誘客においても競争力を落としかねません。
 今後、SusHi Tech Tokyoの取組で、世界中からスタートアップ関係者を招致、誘客する機会が増えていくことになりますが、そうした機会も視野に、インバウンド観光の文脈においても、テクノロジーやアート、イノベーションで人を引きつける取組を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 観光施策において、テクノロジーやアートで人を引きつける取組については、今後、産業労働局と生活文化スポーツ局、政策企画局が連携して進めていくよう求めておきます。
 夜のまちにも出かけてもらうためには、夜の彩りも重要です。都は、プロジェクションマッピングを東京を代表する観光資源として磨き上げ、誘客に結びつけていくとしています。
 東京のランドマークとなるような場所において、プロジェクションマッピングを定期的に行う場所とするなど、観光資源となるよう取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今後は、都心のみならず多摩地域も含めた取組を行うよう、早期の検討、実施を強く求めます。また、民間主体の取組についても後押しするよう求めておきます。
 次の重点領域として、医療、介護分野について質問いたします。
 この分野では、少子高齢化が進む中で、特に財源の拡大を抑えながらも享受できるサービスの質を高める取組が重要です。
 昨年度の介護給付費用は十一兆円を超えており、介護保険の創設以来、三倍以上に増大しました。人生百年時代における介護の質の向上と持続可能な社会保険制度の両立には、見守る介護から元気にする介護への転換が急務です。
 国の介護保険制度においては、介護度が高いほど事業者に支払われる介護報酬が高くなっており、事業者にとって、高齢者の介護度を下げるインセンティブが働きにくいという課題が指摘されてきました。
 こうしたことから、私たちは、令和五年度に向けた最重点要望の一つとして、科学的なデータに基づき、介護度の改善等に努める介護事業者への報奨金制度を提案いたしました。
 今後、報奨金制度や科学的なデータなども活用しながら、事業者の介護度低下や重度化予防につながる取組を都内全域で展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 がん患者の場合は、抗がん剤治療により見た目が大きく変化する場合があり、医学的、整容的、心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完するアピアランスケアが、がん患者の苦痛を軽減することが知られています。がんと就労の両立により、仕事をしながら治療を続ける患者が増える中で、見た目の変化から患者が感じる苦痛を取り除くことは、生活の質、QOLの向上に大きく貢献します。
 多くの関係者の尽力により、医療施設でのアピアランスケアは浸透してきましたが、今後さらに、医療施設だけでなく、社会全体でアピアランスケアに向き合うことが必要です。都として、がん患者の生活の質、治療の質を高めるための取組として、アピアランスケアの取組を支援すべきですが、見解を伺います。
 先天的な病気が発見されずに放置され、神経障害や生命に関わる先天性代謝異常などにつながるケースがあります。新生児のうちに見つけ、発病させないような早期治療につなげることは極めて重要です。新生児からごく少量の血液を採取し、先天的な病気の有無を調べる新生児マススクリーニングは、単なる検査ではなく、予防事業ともいえます。
 この新生児マススクリーニングの対象を拡大し、感染に対する抵抗力のない重症複合免疫不全症、SCIDと、全身の筋力が低下する脊髄性筋萎縮症、SMAの二つの検査を行う自治体が増えており、実施していないのは、東京都を含む二十六の都道府県といわれています。
 この二つの難病は、近年、新しい治療法が発見され、早期であれば治療に大きな効果が見込まれます。本来は国が実施すべき事業ではありますが、国の結論を待つのではなく、東京都として早期に事業化すべきです。
 新生児に対して、重症複合免疫不全症、SCIDや脊髄性筋萎縮症、SMAの検査を行い、早期発見、早期治療につなげていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 三つ目の重点領域として、都営住宅について伺います。
 私たちは、都営住宅のセーフティーネットとしての役割に加え、チャレンジする人に向けては跳躍するための土台となる期間となるよう、就労支援等のサポートを強化するよう求めてまいりました。
 内閣府令和二年度少子化社会に関する国際意識調査によると、独身の理由について、経済的に余裕がないとの回答が約三割に上り、各国の調査よりも割合が高いといわれています。実際に、相手はいるが経済的な事情により結婚や子供を持つことをちゅうちょしている都民もいることから、都が新たに結婚予定者を対象に都営住宅等を提供し後押しするとしたことを評価したいと思います。
 結婚予定者を対象に都営住宅を提供していくに当たっての取組を伺うとともに、期間を定めて入居してもらう分、その間に入居期間後の将来を想定して自立できるよう、就労や所得増やライフプランの構築などを支援していくべきですが、見解を伺います。
 我が会派の重点領域として、多摩地域の振興についても重点的かつ継続的に取り上げ、都の取組を抜本的に強化してまいります。
 河川空間のオープン化の取組は、この十年程度、国土交通省や様々な地方自治体が取組を強化し、官民連携でのミズベリングの取組など進展しています。
 東京都においては、かわてらすとしてカフェを開設するなど、主に隅田川沿いでの取組が行われてきましたが、他の道府県で続々と事例が増えていることに比べると、見劣りするといわざるを得ません。特に、多摩地域、多摩川水系での取組事例が少ないことも課題です。
 例えば、八王子の高尾山口の案内川の河川沿いの広場整備や、浅川、南浅川合流部で、今後、河川整備に合わせて親水空間を整備していくに当たり、河川空間の利用を促進するような取組が必要です。
 国土交通省、市町村及び地域と連携し、例えばミズベリングの会議やフォーラムを各地で開催するなど、今後、都として、多摩地域、多摩川水系においても河川空間のオープン化が推進するよう取り組んでいくべきですが、見解を伺います。
 近年、気候変動の影響により頻発化、激甚化する豪雨、風水害に対する取組は重要です。特にゲリラ豪雨や郊外部の都市化の影響により、河川の中上流にある多摩地域においても氾濫等のリスクが増しています。直近では、令和元年の東日本台風において、多摩地域を中心に東京都でも様々な被害があり、その後、豪雨、風水害対策の見直し、強化を行ってきました。
 一方、多摩地域では、河川や都が管理する流域下水道幹線に接続する形で、市町村が管理する公共下水道が張り巡らされており、内水氾濫を防ぐ上でこうした公共下水道における水害対策は重要ですが、財政的事情により顕著に遅れているのが実態です。
 多摩地域の市町村が管理する公共下水道について、都として財政支援を行い、災害対策の強化、加速を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩地域の水道水から有機フッ素化合物が検出されたことが報道等で取り上げられています。
 有機フッ素化合物のうち、かつて界面活性剤や調理器具のコーティング等に幅広く使用されていたPFOSとPFOAについては、令和二年四月に水道法における水質管理目標設定項目に位置づけられ、水道水一リットル中にPFOSとPFOAの合算で五十ナノグラム以下という暫定目標値が設定されました。
 都は、この基準が策定されて以降、水道水の原水、浄水に加え、給水口についても測定することで安全性を確保してきましたが、測定結果はPDFで提供されており、分かりやすいとはいえません。例えば、オープンデータにするなど、より分かりやすく、そして活用しやすい形で都民に提供するべきです。
 また、調査において、比較的高濃度のPFOS、PFOAが検出された地域の住民などからは、健康への影響などを心配する声が上がっており、都としてはこれに寄り添う必要があると考えます。
 都は、有機フッ素化合物に関する都民の不安を解消するため、対策を講じるべきですが、見解を伺います。
 多摩地域をさらに発展させていくためには、交通基盤の整備は極めて重要であり、まずは今般、多摩の交通ネットワーク調査について予算計上されたことを評価いたします。
 私たちは、さきの定例会で、多摩地域から空港へのアクセス改善の必要性を指摘し、武蔵野南線や南武線の南武支線を活用した鉄道ルートの整備に向けた検討を提案いたしました。
 多摩地域の振興や国際競争力の向上、また、東京の人口の三割が住む多摩地域の都民の利便性向上のため、武蔵野南線や南武線の南武支線の活用も含め、多摩地域から空港へのアクセス改善について、当該調査において取り組むべきですが、見解を伺います。
 また、中央線の複々線化については、日々の生活や通勤通学において非常に大きな影響力があることから、新たな事業スキームを検討し、早期実現に向けた歩みを進めるべきですが、見解を伺います。
 平成二十一年に策定されて以来、更新されていなかった多摩の拠点整備基本計画を抜本的に見直し、今般、多摩のまちづくり戦略(仮称)として、新たに多摩地域の都市づくりの方針を策定するとしていることを評価いたします。
 鉄道網は都市の骨格となることから、この新たな戦略においても、先ほど取り上げた武蔵野南線や南武線を通じた羽田空港へのアクセスなどについても考慮するとともに、デジタルや環境、創業、イノベーションの取組拠点の集積など、今後の新たなまちづくりに必要な切り口を関係局で連携して戦略に取り入れていくべきですが、見解を伺います。
 次に、都営大江戸線について伺います。
 大江戸線の延伸は、練馬区の北西部に残された二十三区でも少ない鉄道空白地域を解消するとともに、首都圏の広域交通ネットワークの強化充実に資するものです。
 平成二十八年四月の交通政策審議会の答申で、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトと位置づけられています。練馬区、とりわけ延伸地域の方々にとっては長年の悲願であり、延伸の実現に大いに期待を膨らませております。
 都は、関係者との協議、調整を加速し、調整が整った路線から順次事業に着手する路線と位置づけ、今年度は調査費を計上して取り組んでいます。このような中、有楽町線や南北線、多摩モノレールの延伸などが事業化されました。
 都営大江戸線の延伸についても検討を加速し、遅れることなく事業化を進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 気候変動対策として、カーボンニュートラルに向けた都の取組は重要です。さきの定例会において、改正環境確保条例が可決され、全国で初めて大手住宅メーカー等の事業者に対して、一定の条件の下、太陽光パネルの設置等を義務づける建築物環境報告書制度が創設されました。脱炭素の取組として、都が全国に先駆けて、住宅等の中小新築建物を対象とした新たな制度を創設したことを評価します。
 今後、制度施行に向け、事業者への支援や都民の理解促進に加え、サプライチェーンにおける人権尊重の取組など、もう一段ギアを上げた取組を進めていくことが必要です。
 また、需給が適切に調整されるよう、太陽光パネルと併せて蓄電池の設置についてもセットでの推進が必要です。制度施行に向け、こうした取組を加速していくべきですが、知事の見解を伺います。
 なお、サプライチェーンにおける人権尊重に関して、欧米では法規制による対応が近年行われていますが、政府はガイドラインの制定にとどめており、実効性に課題があります。国に対し、実効性ある制度設計を求めることを要望いたします。
 太陽光による発電と蓄電に加えて、輸送、貯蔵に利点のある水素、特に再生可能エネルギーで製造するグリーン水素の実用化は、脱炭素社会の実現に向けて極めて重要です。
 昨年、小池都知事は、エジプトで開催されたCOP27に出席され、東京の果たすべき役割や、再生可能エネルギー由来のグリーン水素の活用などに向けて水素パイプライン構想を表明されました。
 供給の面では、グリーン水素の導入や供給網の構築を進めるとともに、需要の面では、特に水素利用に適したバスや物流など業務用利用の実装を加速するべきですが、見解を伺います。
 また、こうしたグリーン水素や太陽光、EVの利用について、必要なインフラを集積させ、利用基盤が整ったエリアを創り出す必要があります。
 水素や太陽光などの再生可能エネルギーの活用を進めるため、先端テクノロジーの実装を進める臨海副都心において、カーボンニュートラルに向けた先進的な取組を展開し、実装のモデルをつくり出していくべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会組織委員会については、スポンサー選定に関連して元理事が起訴されただけにとどまらず、テスト大会をめぐる入札談合で元幹部が逮捕されるなど、ゆゆしき事態となっています。
 私たちはかねてより、組織委員会の意思決定が不透明であること、情報開示が不十分であること、組織委員会のガバナンスに関して様々な問題を指摘してきましたが、報道によれば、組織委員会の元幹部が入札前から受注調整をしていたことや、テスト大会、本大会の運営も一体として約束していたことなどがあり、言語道断といわざるを得ません。
 また、スポンサー選定については、二〇一五年一月、舛添知事時代に、組織委員会の理事会において、組織委員会会長であった森喜朗元首相に一任することが満場一致で決定されたことも、検察側の冒頭陳述で明らかになっています。
 今回の事件は組織委員会の契約に関するものですが、都は、その重大性に鑑み、潮田副知事をリーダーとする調査チームを立ち上げ、事実確認を進めています。
 今後は、外部の有識者を入れてさらに調査を深めると聞いていますが、例えば、都派遣職員に加え、受注事業者等からも聞き取りを行うなど、徹底した調査が必要であり、具体的にどのように進めていくのか、潮田副知事に見解を伺います。
 また、このような中で、汚職事件の解明を待たずして、三月に清算法人が清算結了するとの一部報道もありましたが、断じて都民の理解を得られるものではありません。
 こうした問題が解決されるまで、清算法人を清算結了させるべきではなく、談合が認定された場合に清算法人が損害賠償を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 また、事件を受けて、都は、電通など三社に対して、都が発注する事業に対して指名停止としました。東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱によれば、東京都が直接発注する契約ではないため、標準指名停止期間は九か月とされています。また、指名停止を受けた事業者のグループ会社は対象外とされています。
 しかしながら、都民の税金を多額に投入した東京二〇二〇大会での談合という社会的影響の大きさを考えると、前例にとらわれず、厳しい措置を取るべきです。また、現在は、業務委託契約の総合評価方式において、過去に指名停止を受けた事業者を減点する仕組みはありませんが、今後は、一定期間減点する仕組みなども必要であると考えます。
 こうした取組により、談合等の不正行為に対して、東京都は厳しい態度で臨むべきと考えますが、見解を伺います。
 また、さきの定例会でも指摘しましたが、東京二〇二〇大会で行われた不正を踏まえ、今後計画されている国際大会である世界陸上やデフリンピックの開催に当たっては、都民が納得できる明確なガバナンスの強化が求められます。
 先般逮捕された大会組織委員会大会運営局の元次長は、就任前は日本陸上競技連盟で副事務局長を務め、国際大会の開催を担っていたとされており、今後の大会開催に当たって、組織体制や人事などは都民から厳しい見られ方をするといわざるを得ません。
 例えば、大会運営組織における理事長、事務局長や発注等を担う担当部門の枢要には、大会開催等の受委託をしている企業等以外から人材を登用し、実務面から汚職、癒着の可能性を減らしていくことも行っていくべきです。
 今後の国際スポーツ大会の開催について、ガバナンスを強化すべきですが、見解を伺います。
 今年に入り、強盗殺人事件が各地で相次いでいます。組織的な犯行で、実行犯をいわゆるSNSのヤミバイトで募集、金銭を目的に、弱者を狙って命まで奪うという極めて凶悪な犯行です。報道によれば、この強盗グループによる犯行は三十件以上、一都五県にまたがり、主犯は海外にいるという広域かつ深刻な状況となっています。
 警察庁は、ヤミバイト対策として、インターネット上の有害情報の通報受付やサイト管理者への削除依頼の対象に、三月から殺人、強盗を追加する等、監視体制の強化を進めています。
 一方、アポ電強盗は、家族や警察等を装って、現金の有無や家族の在宅状況など情報を聞き出した上で、あえて高齢者の在宅中に強盗に入ることから、アポ電に対する対応強化が必要です。
 ヤミバイトで実行犯を募集するアポ電強盗の対策強化を迅速に進めるべきですが、警視総監の見解を求めます。
 私たちは、多角的な霊感商法対策の強化についてこれまでも取り上げてまいりました。さらに先月、宗教二世問題ネットワークと全国霊感商法対策弁護士連絡会からヒアリングを行いました。そこでは、自らが望まない形で宗教二世の立場に置かれ、大変苦しい思いをされてきた実態について、当事者の方々からの切実なお声をいただきました。
 信教の自由は、憲法上保障されている人権の一つであり、一人一人が自分らしく人生を歩んでいくために重要なものです。
 しかし、当然ながら、子供自身にも信教の自由があり、自らが望まない形で信仰を強制されてはなりません。親の信仰等により、子供が精神的、経済的に追い込まれている状況に対しては、都としても対応を強化する必要があります。
 厚生労働省は、昨年十二月に宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&Aを作成しており、これは、当事者の方々からも高い評価を得ているものです。自治体は、この宗教的虐待Q&Aの内容に基づき、現場での取組を進めていかなければなりません。
 子供たちの意見を継続的に伺いながら、この宗教的虐待Q&Aを学校等でも展開し、子供が自身の状況が虐待である事実に気づき、必要な相談、支援先にアクセスできる取組を進めるべきです。また、その内容を子供が関わる部署に徹底し、現場対応力の向上につながるべきと考えますが、併せて見解を伺います。
 痴漢行為は身近で卑劣な犯罪の一つです。WeToo Japanの調査では、電車や道路などの公共空間で、体を触られる、体を押しつけられるなどの経験を持つ女性が七割、さらに、痴漢被害は若年世代の被害が多い傾向にあります。
 都はこれまで、性被害に遭われた方への相談支援に加え、都民に対する普及啓発や痴漢の未然防止にも取り組んできましたが、対策は十分ではなく、泣き寝入りをしている被害者も少なくありません。
 痴漢被害の本気の問題解決に向けて、痴漢についての実態調査を実施した上で、取組をアップデートするべきと考えますが、痴漢被害のない社会の実現に向けどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 痴漢をはじめ、性加害は再犯性が高く、依存症と診断された場合は治療が必要です。未然防止を目的とした意思の力に訴えかける啓発ポスター等は、科学的なメカニズムを踏まえれば効果は薄く、意識の問題であるという誤った理解が広まることは、SNSで見られがちな被害者側を責める風潮や、被害者が自身を責めることにもつながりかねません。専門家の意見を踏まえた対策を求めておきます。
 昨年二月から続くロシアによるウクライナへの侵攻では、首都キーウに弾道ミサイル攻撃が行われており、有事において首都がミサイル攻撃の対象となることを現実のものとしています。
 一方、北朝鮮から発射された弾道ミサイルは、昨年、過去最高の三十七回を数えており、加えて、今月十八日にはICBM、大陸間弾道ミサイル級のミサイル、そして、昨日二十日にも弾道ミサイル二発が発射されています。
 昨年、都は、地下鉄駅など民間事業者と連携して緊急一時避難施設の指定を進めてきました。高まる弾道ミサイルの脅威から都民の生命と財産を守るため、シェルターなどのさらなる取組を進めていく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 以上、私たちは、変化やあつれきを恐れることなく、あるべき東京の未来を想定し、未来への投資を積極果敢に進めていくことで、都政のみならず、各自治体と連携し、東京全体のパラダイムシフトを牽引していくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) たきぐち学議員の代表質問にお答えいたします。
 令和五年度予算についてのご質問です。
 国際秩序の不安定化、気候危機の深刻化など、世界は目まぐるしく変貌を続けております。一方、国内では、出生数が減少の一途をたどるなど、社会の存立基盤を揺るがす脅威にさらされています。この困難な状況を大きな転換点と捉え、明るい未来の東京の実現に向けまして、果敢に挑戦を続けてまいります。
 こうした決意の下、令和五年度予算案では、未来への投資に大胆に財源を振り向けております。
 具体的には、〇一八サポートや第二子保育料無償化など、出会いから結婚、妊娠、出産、子育ての全てのステージでシームレスな支援を継続的に行う。
 また、関東大震災の発生から百年を迎える節目を契機といたしまして、東京の強靱化を強力に進めるほか、脱炭素化の一層の推進、スタートアップ支援や共生社会の実現など、総合的な施策を展開してまいります。
 これらの施策を迅速に実行し、成長と成熟が両立した未来の東京への歩みを力強く進めてまいります。
 令和五年度補正予算についてのお尋ねです。
 国の新型コロナに係る方針を踏まえまして、都民などの不安を招かないよう、必要な体制を継続しつつ段階的に移行を進めるため、四月から三か月分の経費といたしまして、総額一千七百七十五億円の補正予算を編成いたしました。
 五月七日までは、これまでと同様の考え方に基づいて必要な取組を着実に進めてまいります。全国一律の方針に基づき実施する事業につきましては、今後示される国の方針に基づき、適切に執行してまいります。
 また、これまで構築してまいりました東京モデルの取組を五類移行後も当面継続してまいります。
 具体的には、高齢者などを守るため、高齢者等医療支援型施設を運営するほか、多くの医療機関で診療等が行えるよう支援、さらに、感染再拡大に備えまして、機動的に対応できる体制を維持いたします。
 これらの施策を通じて、サステーナブルリカバリーの実現に向けた歩みを着実に進めてまいります。
 次に、防災対策の推進についてであります。
 いつ起こるとも知れない首都直下地震や南海トラフ地震への備えを万全なものとし、発生時の被害を最小限に抑えることが知事である私に課せられた責務でございます。
 このため、強靱化された首都東京の実現に向けて、今後十年間の震災対策といたしまして、三兆七千億円規模の事業を見込んでおります。
 また、東京都地域防災計画の修正素案では、二〇三〇年度までに人的、物的被害をおおむね半減させる減災目標を掲げております。
 目標達成に向けまして、家庭や地域における防災、減災対策の推進、都民の生命と我が国の首都機能を守る応急体制の強化、全ての被災者の安全で質の高い生活環境と早期の日常生活の回復、この三つの視点で施策を強力に推進してまいります。
 自助、共助、公助の総力を結集いたしまして、全庁を挙げて都民の生命、財産を守り抜いてまいります。
 次に、町会、自治会の防災力強化についてであります。
 町会、自治会は、災害時において、地域コミュニティで相互に助け合う共助の要であります。本年は、関東大震災から百年目の節目に当たり、この機会に地域の災害対応力を強化することが重要です。
 このため、救護用品や通信機器等、災害時の活動に必要な備蓄品につきまして、再点検し充実を図れますよう、町会、自治会を支援いたします。
 また、これを機に、町会、自治会が災害時における役割を住民に広くPRすることや、災害への備えにつきまして、地域で話し合うことを後押しし、若い世代をはじめ、未加入の方々の加入促進にもつなげてまいります。
 これらの取組を通じまして、地域の一体感を高め、防災力の強化を図ってまいります。
 町会、自治会等と連携した防火対策についてであります。
 百年前、東京を中心に甚大な被害をもたらした関東大震災におきましては、犠牲者の約九割が火災により亡くなっています。切迫性が高いとされる首都直下地震など、大規模災害発生時におきましても、火災による被害の拡大が懸念されています。
 過去の震災の教訓も踏まえ、被害を最小限に抑えるためには、燃えない、燃え広がらないまちづくりに加えまして、自助、共助の力を生かした出火防止や初期消火など、多面的な取組が重要です。
 このため、都は、町会、自治会などと連携しまして、木造住宅密集地域の世帯を対象に、出火防止に効果的な感震ブレーカーを無償で配布いたします。その際、設置により期待される効果などをリーフレット等で周知をしまして、普及率の向上を図ってまいります。また、初期消火に関する知識の普及啓発などに取り組む区市町村を支援してまいります。
 こうした取組を総合的に進めることによって、都民の安全・安心を確保してまいります。
 〇一八サポートについてであります。
 我が国の出生数は、令和四年、統計開始以来初めて年間八十万人を下回る見通しとなっております。少子化対策は、本来、国が取り組むべき課題でありますが、一刻の猶予も許されない状況を踏まえまして、都独自に支援を開始することといたしました。
 この事業では、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、所得制限は設けずに、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付いたします。
 東京から少子化を止める、この強い決意の下、区市町村とも連携しながら、〇一八サポートを通じて、子供を産み育てたいという願いを都が本気で応援していくというメッセージを伝えてまいります。
 保育料の第二子無償化についてです。
 私は、子供を持ちたいと願う方々が安心して子供を産み育てることができる環境を整備するため、待機児童対策をはじめとする様々な子供、子育て支援施策を強力に推進してまいりました。
 令和元年には、認可保育所や認証保育所等を対象に、収入や第一子の年齢にかかわらず、第二子以降の保育料を軽減する都独自の取組を開始いたしました。この間、少子化が一層進行しておりまして、経済的理由で、子供を二人以上育てたいという願いを諦めずに済むよう、本年十月から第二子の保育料を無償化いたします。
 子供を持ちたいという一人一人の思いに真剣に向き合い、子供とその家庭への支援に全力で取り組んでまいります。
 乳幼児の多様な他者との関わりでございます。
 子供たちの健やかな育ちのためには、発達の早い段階から、同年齢や異年齢の子供など多様な他者と関わる中で、様々な学びや経験ができる環境を整えることが必要です。
 このため、都は来年度から、保護者の就労等の有無にかかわらず、幼稚園や保育所等で児童を定期的に預かる仕組みを創出し、子供のための子育ちを支援いたします。
 また、在宅子育て家庭の中には、日常的に子育ての助言を受けられる場が少なく、育児不安を抱える家庭もあることから、この取組を通じまして地域とのつながりをつくって、支援が必要な場合は関係機関につないでまいります。
 子供の笑顔にあふれた社会を実現するため、チルドレンファーストの視点に立ち、子供と子育て家庭を全力で支援をしてまいります。
 次に、東京こどもすくすく住宅についてです。
 望む人誰もが安心して子供を産み育てやすい社会を実現していくに当たりまして、居住者の安全性の確保や家事のしやすさなどに配慮され、子育てに適した住宅の供給が急務であります。
 そのため、来年度、現行認定制度を再構築しまして、東京こどもすくすく住宅認定制度を開始いたします。事業者の様々な取組への対応が可能になるよう、認定モデルを複数設定するなど、柔軟性の高い仕組みといたします。
 あわせまして、認定住宅の供給を促進するために、一戸当たり最大二百万円を上限として、子供の安全性に関する設備などの整備費の一部を認定モデルに応じ、都が直接支援をしてまいります。
 好事例を広く発信するなど、普及啓発により、認定住宅が市場で評価され、住まい手からも積極的に選択されるよう、認知度の向上を図ってまいります。
 子供が健やかに成長できる住まいが当たり前のようにある社会を実現してまいります。
 次に、卵子凍結についてであります。
 子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情により、すぐには踏み切ることができない方にとって、卵子凍結は将来の妊娠に備える手段の一つであります。
 都は、卵子凍結につきまして、今後の本格的な支援に向けて、来年度、医療機関と連携した調査を実施し、調査に協力していただいた方に対しまして凍結に係る費用を助成いたします。また、凍結卵子を用いた妊娠のための治療につきましても助成を開始いたします。
 企業に対しましては、卵子凍結の正しい知識を広めるとともに、職場環境の整備により、従業員の卵子凍結の支援に取り組む会社への助成も新たに実施をいたします。
 こうした取組によりまして、女性が自分らしく人生を送るためのライフプランの選択肢を広げられるよう支援をしてまいります。
 AMH検査についてです。
 若いときから男女を問わず、妊娠や出産に関する正しい知識を持って、自分の将来設計を考えることは重要です。
 都は来年度、動画を作成するなど、普及啓発の取組をさらに強化いたします。また、新たに妊娠や出産に関する講座を本年七月以降、定期的に開催をいたします。実施に当たりましては、SNSや結婚情報誌等で広く周知するとともに、参加しやすいようオンラインでの受講にも対応いたします。
 講座では、卵巣内に卵子がどの程度残っているのかを調べるAMH検査の内容や効果を説明し、希望された方が、指定する医療機関におきまして、無料で検査や助言を受けられるようにいたします。
 若い世代が将来の妊娠や出産に正しく向き合えるよう、支援をより一層充実してまいります。
 次に、英語力の東京の実現についてです。
 グローバル化が急速に進む現代におきまして、もはや英語は、その国の国力を決定づけるインフラの一つです。
 居心地のよい日本語という壁に囲まれたまま首都東京が内向き志向に陥っては、国際社会で競争力を失うばかりであります。
 次代を担う子供たちが、海外で通用する高い英語力を身につけるとともに、多様な国や地域の人々と交流することを通して将来の可能性を広げられるよう、小学校から高等学校まで、グローバル人材育成の取組を抜本的に強化いたします。
 一人でも多くの子供たちが世界に通用するコミュニケーション力を身につけられますよう、英語力の東京をキーワードとして、世界で活躍できる人材の育成を加速させてまいります。
 次に、子供のデジタル体験についてであります。
 子供の柔軟な発想と想像力は、デジタルテクノロジーで社会を大きく変化させる力を秘めています。その可能性を開花させるために、ひとしくデジタルに触れ、楽しむことのできる機会や環境を創出することが重要です。その実現に向け、来年度、新たに子供向けデジタル体験向上プロジェクトを立ち上げます。専門家や大学、NPOなどと連携し、幅広いデジタル創作活動を学べる良質なプログラムを開発いたします。意欲ある自治体と連携しまして、身近な場所で実践し、子供たちの声を聞きながら充実を図っていく。
 子供たちを応援する民間の協力も得ながら、デジタル社会を生きる子供たちが、創造性や未来を切り開く力を育めるよう取り組んでまいります。
 次に、フリースクールについてのお尋ねです。
 子供が自分らしく伸び伸びと成長し、自らが持つ力を育める環境を整える。これは、今を生きる私たちの責務であります。
 一方で、不登校の児童生徒の数は一貫して増加傾向にあります。友人関係をめぐる問題などに加えて学びに対する意欲と学校とのミスマッチなど、様々な要因により多くの子供たちが苦しんでいます。この現実を正面から受け止め、これまでの延長線上ではない発想から、具体的な手だてを講じていかなければなりません。
 新たに教育や福祉といった政策分野の垣根を超えたチームを立ち上げ、フリースクールなどに通う子供や支援団体に対するアウトリーチ型ヒアリングに加え、国内外の先進事例調査等に取り組んでまいります。これらを通じて、多様なニーズに応える環境の創出に向け、多面的に検討してまいります。
 一人一人の実情に寄り添い、子供を大切に育んでまいります。
 次に、Innovation Baseについてのお尋ねがございました。
 イノベーションは、人と人との交わりから始まります。世界を席巻する巨大IT企業も、仲間たちがアイデアやひらめきを持ち寄って生まれたものです。世界中の人が集うフランスのステーションFからは数多くのユニコーンが生まれています。
 夢やアイデアを持つ人々が集い、切磋琢磨し、人を引きつけるサービスを生み出す一大拠点がTokyo Innovation Baseであります。拠点では、育成プログラムや資金供給などの面で様々な関係者が持てる力を発揮して、全力で支援をいたします。
 実業家や海外の投資家と起業を志す者が直接会い、語り合う場を通じて、アイデアの化学反応を生み出す。来年度中のプレオープンを目指しまして整備を進め、この拠点を核に、民間支援施設とのネットワークも生かした大きなプラットフォームを築いてまいります。
 次に、働く女性の活躍の推進についてです。
 女性が自らの能力と意欲に応じまして、経済の分野で十分に活躍することは不可欠です。一方、世界経済フォーラムの報告によりますと、我が国は世界から大きく後れを取る状況が続き、女性の力を引き出す速やかな対応が重要です。
 企業の最前線の現場で働く女性は、税や社会保険の仕組みが生み出す年収の壁に阻まれ、働く機会を自ら手放す場合が多いものです。会社や職場のマネジメントを担う女性の数を飛躍的に増やす取組はいまだ緒に就いたばかりであります。
 都では、働き方や生き方に関わる国の税制や社会保障制度、企業の現場の実情などをテーマとする有識者会議を新たに設けまして、来月に第一回目を開催いたします。学識経験者や経営者、働き手の代表などが検討を進める中で、働く女性の活躍の推進に焦点を当てます。
 こうした議論を踏まえまして、国への制度改善の提案や女性管理職を増やす機運醸成に体制を強化し、取り組みます。また、働く女性が年収の壁を超え、所得の確保を実現できる正確な知識の提供を速やかに行ってまいります。
 これらによって、女性が輝く社会の実現を進めてまいります。
 次に、芸術文化活動への支援についてです。
 芸術文化は人々に喜びや感動をもたらすものであり、誰もが芸術文化を身近で楽しめる環境をつくるためには、その担い手であるアーティストの活動の活性化が重要です。
 都は、東京二〇二〇大会で得たレガシーやコロナ禍での経験を踏まえまして、東京文化戦略二〇三〇を策定し、東京の芸術文化活動を力強く支援してまいりました。
 今後、人流の活発化も見据え、発信力の高い大規模事業対象の芸術文化魅力創出助成を拡充いたします。また、中小団体の舞台公演を支援する事業を新たに開始いたしまして、多彩な芸術文化の魅力を創出してまいります。
 さらに、ハラスメントなどの悩み事への対応や資金調達のノウハウを提供いたすサポートセンター機能を整備いたします。
 東京の魅力の源泉である芸術文化を振興し、芸術文化で躍動する都市東京を目指してまいります。
 次に、イノベーションを体感できる観光についてであります。
 東京はイノベーションによりまして常に最新のテクノロジーを生み出し、伝統的な芸術についてデジタル技術を駆使し、新たな魅力を引き出すことを可能としております。
 イノベーションを感じることのできる観光資源を数多くつくり上げ、メタバースの空間を通じて世界に紹介し、リアルの東京への誘客に戦略的に結びつけていくことは重要な取組です。
 都内のスタートアップなどがリアルとバーチャルの融合した空間をつくって、観光客がそこを訪れ、ARスポーツなどを楽しむツアーづくりを後押しいたします。
 デジタルの力によってつくり出された映像や芸術作品に直接触れることのできる新たなスポットなどを海外に幅広く発信をいたします。
 東京でイノベーションを体感する視点を持って、インバウンド誘致にしっかり取り組んでまいります。
 プロジェクションマッピングの活用についてでございます。
 プロジェクションマッピングは、高い芸術性を持ち、デジタル分野で我が国が世界をリードする芸術の粋により制作され、数多くの観客を国内外から引きつける魅力があります。
 こうした光の技術を観光のキラーコンテンツへと磨き上げていくためには、東京の高層ビルの壁面などを効果的に使って、その鮮やかさやスピード感を楽しむ機会を増やして、存在感を高めることが必要です。
 東京の代表的なランドマークである都庁舎を投影場所として活用し、海外からの観光客が一度は訪れる名所に育て上げてまいりたい。
 西新宿や再開発エリアの民間ビルとも連携をいたしまして、投影のできるスポットを増やすとともに、年末にはプロジェクションマッピングを効果的に使うイベントを開催し、東京のまち全体での取組につなげてまいります。
 東京の夜を彩る新たな観光資源をつくり上げ、国内外からの数多くの旅行者の誘致を実現してまいります。
 要介護度の改善等に取り組む事業者への支援についてのお尋ねがございました。
 介護が必要になっても、誰もが自分らしく暮らせますよう、データの活用などで科学的に効果が裏づけられました質の高いサービスの提供によって、自立支援と重度化防止を図ることが重要です。
 都は来年度から、科学的介護の定着促進に向けまして、要介護度等の維持改善に取り組む事業者に対して、最大四十万円の報奨金を都独自に支給する制度を新たに開始いたします。
 また、介護事業者を対象にして、科学的介護の意義やメリットを講演会の開催や動画の配信等により、分かりやすく周知をいたします。
 こうした取組を都が主体となって展開することで、高齢者が生き生きと暮らせる長寿社会を実現してまいります。
 次に、多摩地域からの空港アクセスについてのお尋ねであります。
 多摩地域は、緑豊かな自然、多様な産業の集積など、バランスの取れた暮らしやすいまちとして発展を遂げてきましたが、地域のさらなる成長に向けましては、交通基盤の一層の充実が必要です。
 このため、来年度、多摩地域の交通基盤につきまして新たに基礎的な調査を行って、地域の現状を把握するとともに、在り方を検討します。
 そのうち、羽田空港アクセスにつきましては、様々な路線や交通モードが考えられまして、これらについて、所要時間や費用、乗換え回数など、多角的に交通ネットワークの在り方を検討いたします。
 都といたしましては、こうした取組によって、交通のネットワーク効果を高めることで、魅力あふれる多摩地域の実現に向け取り組んでまいります。
 次に、都営大江戸線の延伸についてのお尋ねであります。
 東京の持続的な成長を実現するためには、東京の強みである鉄道ネットワークを生かしまして、さらに充実させていくことが重要です。
 大江戸線の延伸につきましては、区部北西部と都心部とのアクセスを向上させる意義がありますが、鉄道事業として成り立つためには、収支採算性の確保について、十分見定める必要がございます。
 そのため、都は今年度、将来の旅客需要につきまして調査を実施しておりまして、来年度は調査費を増額して収支採算性などの検証を深度化し、事業化に当たりましての課題を明確にしてまいります。
 今後、鉄道政策全般を所管する武市副知事をトップとする庁内検討組織を立ち上げまして、練馬区と一層連携を図って、協議、調整を重ねながら、課題解決の方策や今後の進め方について、スピード感を持って検討を深めてまいります。
 次に、建築物環境報告書制度についてです。
 新制度の施行までの二年間は、都民、事業者の理解と共感を一層深める期間であり、スピード感を持って取組を展開することが重要です。
 まず、支援策につきましては、住宅供給事業者等の商品開発や技術力向上への補助を今月開始いたしました。加えまして、千五百億円の基金を創設しまして、太陽光パネルや蓄電池などの設置を継続的に支援してまいります。
 次に、人権配慮では、太陽光発電協会と連携しまして、本年四月末の公表に向けて、業界独自の取組基準の策定を後押しするなど、取組を促進してまいります。
 さらに、将来的な太陽光パネルの本格廃棄を見据えまして、関係団体と連携し、資源循環の仕組みの構築や費用負担への支援を行って、リサイクルの流れをつくります。
 こうした取組を着実に積み重ねながら、理解促進に向けた戦略的な広報を展開しまして、都民、事業者と共に円滑な制度施行につなげてまいります。
 痴漢対策についてであります。
 痴漢は重大な人権侵害であるとともに、被害者に身体的、精神的な苦痛を与える卑劣で許しがたい犯罪です。
 痴漢被害をなくしていくためには、これまでの被害者に寄り添った取組に加えまして、加害者を生まない、周りも見て見ぬふりをしないというムーブメントを創出し、社会全体として取り組むことが効果的です。
 そのため、都は新たに、関係各局や警視庁から成るチームを立ち上げまして、痴漢撲滅プロジェクトを展開いたします。若年層を中心とした被害実態調査を行い、その結果を踏まえたキャンペーンを実施します。また、現場に居合わせた方が被害を止められるよう、行動変容を促す啓発動画を作成するなど、専門家の意見を聞きながら、様々な施策を推進いたします。
 今後、民間事業者とも連携しまして、都民の皆様と共に、痴漢被害のない社会の実現を目指してまいります。
 最後に、弾道ミサイル攻撃からの避難施設についてのお尋ねがございました。
 ロシアによるウクライナへの侵攻が続いており、また、北朝鮮からはかつてない頻度でのミサイル発射が繰り返されています。
 世界情勢が緊迫する中、武力攻撃などの脅威から都民の生命を守ることが都の責務であります。
 これまで都は、ミサイル攻撃の爆風などから被害を軽減するため、昨年十二月までには、三千九百四十九か所の緊急一時避難施設を指定いたしまして、東京の全人口を収容できる規模の施設を確保いたしました。
 今後は、地域の特性や偏在状況なども踏まえまして、戦略的に指定を進めてまいります。
 加えて、来年度は、弾道ミサイルのリスクを明らかにするとともに、被害を軽減するための避難施設であるシェルターに具備すべき構造、深さや面積など活用可能な施設の要件、衛生設備等につきまして、技術的調査を実施いたします。
 これらの取組によりまして、東京の安全・安心の確保に向け邁進をしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事潮田勉君登壇〕

○副知事(潮田勉君) テストイベントに関する調査についてでありますが、都は、事業協力団体である組織委員会の契約手続や意思決定過程等が適正に行われていたかを確認するため、清算法人の協力を得て、調査チームにおいて、組織委員会の規程や手続等について確認をいたしました。
 現在、弁護士など外部有識者の下で、第三者の専門的見地から調査を進めております。
 具体的には、本大会まで調査範囲を広げ、都職員のヒアリングでは、入札参加事業者との接触や職場風土などコンプライアンスやガバナンスについても確認し、課題を抽出、分析いただくなど調査を深掘りしていきます。さらに、都職員以外の関係者からの聞き取りも含め、捜査等に支障が生じない範囲で、徹底した調査が行われるよう、有識者をサポートしてまいります。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、GovTech東京についてでございますが、都民に満足度の高いデジタルサービスを届けるため、専門人材の技術力を生かす仕組みを構える必要があります。
 そこで、区市町村等の行政ニーズや課題への窓口となるプロジェクトマネジメント部門と、デザインやアーキテクト等、各領域の高度専門人材によるエンジニアリング部門を設けます。両部門のメンバーでチームを機動的に編成し、区市町村等と協働して開発を進めることで、高いサービス品質を確保していきます。
 また、成功事例や課題、国内外の最新技術動向等を踏まえ、技術提案を行ってまいります。都と区市町村、GovTech東京との協働により、企画、開発、検証、フィードバックの好循環を生み出すことで、オール東京のサービス品質を高めていきたいと考えています。
 次に、CCBTの取組についてでございますが、都市東京のクオリティー・オブ・ライフの向上には、世界を引きつける芸術文化の創造が不可欠であり、今、世界のアートシーンでは、デジタルが表現の可能性を飛躍的に広げています。
 昨年開設したシビック・クリエイティブ・ベース東京は、私がスーパーバイザーとして参画しており、アートとデジタルテクノロジー等の創造拠点として、ラボやスタジオを備え、発見、共創、開発、連携をコンセプトに事業を展開しています。
 シビック・クリエイティブ・ベース東京では、次世代アーティストを支援しており、来月には、その作品をまち中で展開することにより、最先端のアートを体感できる機会を提供いたします。また、学生、アーティストが未来の東京を共に考え、デザインやものづくりに取り組むプログラムも開始しました。
 今後は、連携イベント等を通じ、企業や大学とも交流を深め、シビック・クリエイティブ・ベース東京を自ら創造し発信する人のプラットフォームとして、東京の未来にイノベーションを生み出してまいります。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) いわゆるアポ電強盗への対策についてでありますが、警視庁では、犯行予兆電話、いわゆるアポ電を受けた世帯に対する周辺の警戒、防犯カメラの設置、居住者の避難措置等、被害に遭う危険度に応じた対策を行っているところであります。
 こうした中、狛江市の事件を踏まえ、過去にアポ電を受けた世帯周辺はもとより、高齢者宅の警戒強化、戸別訪問等による注意喚起や防犯指導を行うなど、各種対策をさらに強化しております。
 また、近年、犯罪への加担の誘いが、いわゆるヤミバイトとしてSNS等を通じて行われ、これに応じた者が強盗等を敢行することも多いことから、こうした投稿に対する返信機能を活用した警告等を実施しているところであります。
 当庁では、都民の皆様の安全・安心を確実に守るための各種対策を推進してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、小中高等学校における英語教育についてでございますが、都教育委員会は来年度、希望する小学校に一週間ネーティブ人材を配置し、子供が授業、給食、休み時間など、学校生活全体での交流を通して、英語を楽しむことができるようにいたします。
 また、中学校では、新たに一、二年生でスピーキングテストを実施し、三年間を通じた英語指導の充実、改善を行い、英語を話す力を高めてまいります。
 さらに、高等学校では、オンライン英会話など、学校での英語教育の充実のほか、海外の高校生の受入れや生徒の海外派遣を拡充し、様々な国や地域の若者と交流する中で、世界を取り巻く課題について議論する機会を設けるなど、英語を使いこなしながら多様な考え方や価値観を認め合える取組を充実してまいります。
 次に、部活動の地域連携、地域移行についてでございますが、都教育委員会は、来年度新たに、区市町村における部活動改革の中核を担う総括コーディネーターや、各中学校でスポーツ、文化芸術団体、外部人材等との調整を行うコーディネーターの配置を支援してまいります。
 また、来年度以降、地域のスポーツクラブとして競技大会に参加したり、外部指導者がこの大会に生徒を引率したりできるよう、主催者団体と調整を行いました。
 こうした取組を通して、都内全ての公立中学校における部活動の地域連携、地域移行を推進してまいります。
 次に、不登校の子供たちへの学校での支援についてでございますが、これまで都教育委員会は、都内全ての公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置し、不登校の子供や保護者への相談体制の充実を図ってまいりました。また、組織的な対応の在り方などを示したガイドブックを作成し、学校における活用を促してまいりました。
 来年度からは、不登校生徒の多い中学校に対応の核となる教員を配置し、校内の居場所づくり、アプリを活用した学習支援、オンラインによる授業や相談対応など、不登校の子供たちへの個別支援を充実してまいります。
 こうした取組を通して、不登校の子供が安心して学べる環境を一層整えてまいります。
 次に、学校外における体験活動についてでございますが、都教育委員会は令和五年度から、不登校支援に実績のあるNPOや区市町村の教育支援センター等と連携し、不登校の子供へ体験活動のプログラムを提供いたします。
 このプログラムについては、実施の都度、子供の興味、関心や参加意欲などを分析、評価し、内容を改善するPDCAサイクルを導入し、より効果の高いものとしてまいります。
 都教育委員会は、こうした取組により、自己肯定感の向上や積極的態度の醸成を図り、不登校の子供の社会的自立を支援してまいります。
 次に、フリースクールに通う子供の調査研究についてでございますが、近年、不登校の子供の増加に伴い、フリースクールに通う子供の人数も増えていることから、その実態や支援ニーズを把握するために、都教育委員会はフリースクールの調査研究を行っております。
 今年度の調査では、調査協力の負担が大きいという保護者からの声もあり、来年度は、調査協力金を月額二万円に増額し、さらに多くの方に調査に協力していただけるよう、この事業の一層の周知を図るとともに、調査から得られた保護者の声を今後の施策に生かしてまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 多摩地域の河川空間のオープン化についてでございますが、都はこれまで、河川敷地の特例占用により、隅田川を中心に民間事業者のオープンカフェ等の設置を進めてまいりました。
 令和二年には、多摩地域へ展開するため、オープン化の取組を地元自治体へ周知するとともに、河川空間の利活用に関する調査を実施いたしました。その結果を受け、地域ニーズが高い自治体へ助言等を行い、昨年、八王子市が南浅川でマルシェの開催等による社会実験を実施いたしました。
 今後は、こうした取組の情報発信を行いますとともに、特例占用の適用に向けまして、地元自治体とさらなる連携を図り、多摩地域の水辺のにぎわいを創出してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナ感染症の五類移行後の医療提供体制についてでございますが、五類への移行に当たりましては、医療を必要とする方が速やかに受診できるよう、より多くの医療機関で新型コロナ患者に対応できる体制を構築することが重要でございます。
 都は来年度、PCR等検査機器の導入支援や、感染防止用のゾーニング等の設備整備支援の対象機関を拡大するほか、コロナ病床を持たない医療機関にコロナ患者の対応に必要な人件費や備品購入費等を支援してまいります。
 また、国に対しては、医師の応招義務との関係を整理した上で、内科や小児科等を標榜する全ての医療機関で発熱患者に対応する方針を示すことを要望しております。
 こうした施策を確実に実施し、七月以降も見据えながら、コロナとの共生の基盤を構築し、平時の医療を取り戻してまいります。
 続きまして、有機フッ素化合物についてのご質問でございます。
 都は、蛇口におきまして国の暫定目標値を超過するおそれがある場合は、直ちに濃度の高い井戸からの取水を停止するとともに、市町村営水道につきましても目標値内であることを確認するなどの対策を講じてきております。
 国は本年一月、有機フッ素化合物に関する専門家会議を設置し、最新の科学的知見や検出状況の収集、評価を行い、科学的根拠に基づく総合的な対応を検討しております。
 都は今後、都営水道の蛇口濃度の推移などの情報をオープンデータで提供するとともに、国の専門家会議の検討結果を踏まえまして、都民の安心に資するよう、科学的根拠に基づいた分かりやすい情報発信や、専用電話による都民からの健康相談を実施してまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 救急出場逼迫時における対応と今後の取組についてでございますが、昨年は救急出場件数が過去最多、活動時間も過去最長を記録するなど、救急出場の逼迫により救急隊員の労務負担が増大いたしました。
 このため、非常用救急隊を臨時で編成し、急増した救急要請に対応するとともに、救急隊員の交代要件の厳格化や、交代要員を確保するための本庁職員の消防署への応援派遣など、組織の総力を挙げて緊急的な対応を行ってまいりました。
 今後は、救急隊の計画的な増隊及び救急相談センターの利用促進を図るほか、救急隊の交代要員のさらなる拡充や、救急出場逼迫時における一一九番通報内容の緊急度に応じた新たな対応策の検討を進めるなど、救急活動体制の総合的な強化に努めてまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京とどまるマンションについてでございますが、災害による停電時にマンションでの生活を継続するためには、ハード、ソフトの両面での対策が重要でございます。
 都は、エレベーター等の非常用電源の確保や防災訓練などを行うマンションを登録し公表してまいりました。
 今後、東京とどまるマンションへの登録等を条件に、小型蓄電池など防災備蓄資器材の整備費用に対しまして、補助率三分の二かつ六十六万円を上限に支援いたします。併せまして、マンションの管理組合等に対し、地域との連携の意義や自治会、町会への加入に関する情報提供を行います。
 こうした取組を通じまして、マンションにおける災害時の生活継続と地域との連携を後押ししてまいります。
 次に、結婚予定者のための都営住宅の提供についてでございますが、結婚される方々が安心して新たな生活に踏み出せるよう、住宅の確保など、必要な支援を行うことは重要でございます。
 本年四月から、都営住宅の毎月募集におきまして、交通利便性の高い住宅を年間二百五十戸、定期使用住宅として提供してまいります。
 また、本年三月以降に定期使用住宅へ入居する方々に対しまして、就労支援に関するリーフレットの提供等、情報発信を開始しております。今後、入居者がそれぞれの状況に応じた就労機会などが得られるよう、関係機関と連携いたしまして様々な取組を進めてまいります。
 これらを通じまして、結婚される方々が経済基盤を整え、将来の良好な生活設計を組み立てることを後押ししてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、〇一八サポートについてでございますが、本事業では、区市町村にできる限り負担が生じないよう、実施主体である都が対象者への案内の送付や申請の受付、給付金の振込み等の業務を直接実施いたします。
 実施に当たっては、申請手続を分かりやすく解説したリーフレットを作成するほか、都民からの問合せに一元的に対応する専用コールセンターを設置します。また、時間や場所を問わず申請ができるよう、オンライン等を活用した効率的な仕組みの導入を検討いたします。
 区市町村に対しては、この間、本事業の概要や今後のスケジュール等について情報提供しており、引き続き区市町村の意見も聞きながら、事業の実施に向け着実に準備を進めてまいります。
 次に、とうきょうママパパ応援事業についてでございますが、都は、三歳未満の在宅子育て家庭を対象に、保護者の家事、育児の負担を軽減するため、家事育児サポーターの派遣に取り組む区市町村を支援してございます。
 今年度は、コロナ禍で家事育児サポーターの利用が難しい家庭に対して、家電等の家事支援用品の購入支援を実施しています。
 来年度は、家事育児サポーターを利用できる対象を、三歳未満の子供がいる全ての家庭に拡大をいたします。また、一歳または二歳前後の子供がいる家庭に配布している育児パッケージの基準額を、現行の一万円から六万円に拡充し、家事支援用品も含めて幅広く提供できるようにするなど、子育て家庭への支援を一層充実してまいります。
 次に、妊婦健康診査についてでございますが、子供を産み育てたいと願う方が安心して妊娠、出産に臨むには、妊娠期を支える取組の充実が必要でございます。
 都は来年度、妊婦健診の受診票を助産所でも利用できるよう、区市町村や関係機関と協議を進めてございます。
 また、妊婦健診の超音波検査の都内における公費負担対象を、現在の原則一回から望ましいとされる四回まで拡大できるよう、区市町村への独自支援を開始いたします。
 さらに、妊婦健診や乳幼児健診などの受診状況や結果を把握し、適切な支援につなげられるよう、母子保健分野におけるデータ整備等を行う区市町村を支援いたします。こうした取組により妊婦の負担を軽減し、妊娠期を安心して過ごせる環境を整備してまいります。
 次に、若年被害女性等支援事業についてでございますが、困難を抱える若年女性の自立の推進を図るため、支援することは必要であり、都は、国の要綱に基づき、民間団体等と連携し、SNSによる相談や見回り等のアウトリーチなどを行ってございます。民間団体を活用する場合は委託とされており、事業開始当初から民間団体に委託してございます。
 この間、若年女性の支援に取り組む団体も増えてきており、そうした民間のノウハウを幅広く活用し、支援対象の状況に応じて柔軟に対応できる仕組みとすることが必要となってございます。
 こうしたことを踏まえ、来年度からは、それぞれの特色を生かして、若年女性等の支援に取り組む団体の活動を一定の基準に基づき後押しできるよう、補助制度化に向け、国と調整してございます。
 次に、がん患者へのアピアランスケアについてでございますが、がん医療の進歩により、治療を継続しながら社会生活を送るがん患者が増加しており、患者のQOLの維持向上を図るためには、治療に伴う外見の変化に対するアピアランスケアが重要でございます。
 このため、都は来年度から、がん患者へのウイッグや人工乳房等の購入費用の助成に取り組む区市町村に対し、包括補助による支援を開始いたします。
 また、アピアランスケアの社会全体への理解促進に向け、治療と仕事の両立支援に関する企業向けセミナーで紹介するとともに、がんポータルサイトの内容を充実するなど、がん患者が、がんに罹患する前と変わらず自分らしく生活ができるよう取り組んでまいります。
 次に、新生児マススクリーニング検査についてでございますが、新生児マススクリーニング検査は、先天性の代謝異常等の早期発見、早期治療により、障害の発生を予防することを目的に、国の通知に基づき都道府県が実施しております。
 重症複合免疫不全症や脊髄性筋萎縮症等については、新しい治療法が開発され、早期に発見し、発症前に治療へつなぐことが期待されるものの、国通知の検査対象疾患ではなく、検査は任意となっていることから、関東知事会では、全国一律で対象疾患とするよう国に要望しております。
 都内では、本年四月から東京都予防医学協会が医療機関と連携して検査を試験的に実施する予定であり、都としては、この状況等を踏まえて対応を検討してまいります。
 最後に、宗教二世と言われる子供への対応についてでございますが、国は、昨年十二月、宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&Aを発出し、児童虐待の定義に該当する場合は、その背景に保護者の宗教の信仰があったとしても、一時保護等の措置を含めた対応が必要であるとし、想定される支援策、相談窓口等も明示いたしました。
 今後、都は、この内容を子供自身が理解し、必要な相談、支援先にアクセスできるよう、分かりやすくまとめてホームページに掲載し、SNSや、学校で配布している虐待相談窓口の案内カードなどを通じて周知してまいります。
 また、児童相談所の職員の理解が深まるよう、Q&Aや国が作成する資料等も活用して研修を行うなど、子供の権利侵害である虐待に迅速かつ的確に対応してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、創業に係る金融支援についてでございますが、創業して間もない中小企業は、経営者が保証人となり、金融機関から融資を受ける状況がございます。こうした保証人となるリスクを減らし、スタートアップなどが資金を調達しやすい環境をつくることは必要でございます。
 国では今般、創業時の経営者による保証を不要とする保証制度を三月から導入すると発表いたしました。都は、この開始に合わせ、制度融資に新たなメニューを創設いたします。
 具体的には、創業して五年未満の会社に対し、金融機関が経営者の保証を取らず低利で融資を行い、その信用保証料の半分に都が補助を行います。また、来年度からは、その保証料への補助率の引上げを行います。
 これらによりまして、創業時の円滑な資金調達を支援いたします。
 次に、スタートアップを活用したDX支援についてでございますが、中小企業がデジタル技術を取り入れた事業展開に向け、社内のDXのスキルを底上げするためにスタートアップの力を活用することが必要でございます。
 これまで都は、経営改善に向けたセミナーの中でデジタル技術を学ぶコースを設け、人材育成を後押ししてまいりました。
 来年度は、中小企業のDXを効果的に後押しするため、優れたデジタル知識を持つスタートアップの力の活用を進めます。
 具体的には、AI等の高度な知識を持ち、デジタルの教育方法にも詳しいスタートアップが、中小企業に人材育成プログラムを提供する取組を支援いたします。
 これによりまして、DXのスキル等の定着を伴走型で支援し、最新のデジタル機器などの導入の後押しにつなげてまいります。
 次に、従業員の賃金引上げに向けた支援についてでございますが、中小企業が働き方の改善を通じ、生産性を高め、収益を確保し、従業員の意欲や収入の向上に結びつける取組への支援は重要でございます。
 このため、都は、会社の生産性と従業員の意欲を高めるため、多様な勤務制度の導入のほか賃金の引上げなどを行う事業者に奨励金を支給しており、来年度はその支援の充実を図ります。
 また、非正規から正規雇用に転換した社員に手厚い賃上げを行う企業への助成を開始いたします。
 さらに、これらの支援を活用し、職場環境を改善するため必要な資金等について、制度融資に新たなメニューを設け、借入れに係る信用保証料の負担の軽減を図ります。
 これらによりまして、中小企業の従業員の賃上げを後押しいたします。
 次に、女性のリスキリングに向けた支援についてでございますが、中小企業で働く女性が育児と仕事の両立などに取り組みながら、より高度な業務や新しい実務に的確に対応する力を習得できる職場環境をつくることは重要でございます。
 このため、都は来年度、企業の労務担当者を対象に、社員のリスキリングを後押しする必要性を伝えるセミナーを開催いたします。その内容を踏まえ、会社が従業員に、リスキリングのため活用できる休暇や週休三日制などの勤務制度を整備する場合、新たに奨励金を支給いたします。
 また、業務のスキルを高めた女性社員が、これまでと異なる分野で力を発揮することのできる人事制度をつくる場合に、専門家を派遣し助言を行います。
 これらによりまして、働く女性の活躍を後押ししてまいります。
 最後に、水素エネルギーの普及についてでございますが、脱炭素社会の実現につながる水素エネルギーの普及に向け、その利用の加速と供給体制の整備は重要でございます。
 都はこれまで、燃料電池を搭載した自動車のほか、バスやトラックの導入を支援しております。特に、バスなど大型車の利用拡大は水素ステーション整備の促進につながるため、関連事業者と都による検討会をつくり、取組を推進いたします。
 また、来年度から、フォークリフトやごみ収集車の導入支援も開始し、業務での水素利用を後押しいたします。
 さらに、水素の供給力を高めるため、グリーン水素を製造するほか、海外から受け入れる水素に関し、パイプラインを含む供給ネットワーク構築に向けた検討を進めてまいります。
 これらによりまして、水素エネルギーの普及を促進してまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 市町村の公共下水道への財政支援についてでありますが、多摩地域の八割を占める分流式下水道区域では、公共下水道の雨水管の整備率が三割にとどまっており、一部の地域で浸水被害が発生していることに加え、汚水管に雨水が流入する雨天時浸入水による被害も発生するなど、激甚化、頻発化する降雨に備えた対策が重要となっております。
 そこで、都は、TOKYO強靱化プロジェクトに基づき、市町村が実施する浸水対策等の強化、加速を図るため、新たな補助制度を創設いたします。
 具体的には、市町村が実施する新たな雨水管の整備や雨天時浸入水対策としての下水道管の改良などに対して、市町村が負担する費用の二分の一を支援いたします。
 今後、市町村が策定する下水道強靱化計画に基づき、市町村の対策を後押しし、浸水対策を加速させてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、JR中央線の複々線化についてでございます。
 本路線は国の答申において、多摩地域と都心部とのアクセス利便性が向上するとの効果が示された一方、都や国、事業予定者であるJR東日本等が参画した事業検討委員会においては、採算性の確保などの課題が示されました。
 都は来年度、多摩地域の交通基盤について基礎的な調査を行い、その在り方を検討するとともに、本路線については、国やJR東日本に対し国の支援も含め、新しい整備の仕組みづくりや具体的な検討を要請してまいります。
 今後、国やJR東日本等と一層の連携を図りながら、課題の解決に向けた取組を進めてまいります。
 次に、多摩のまちづくり戦略についてでございます。
 多摩の発展に向けては、豊かな自然や子育てしやすい環境などを生かしながら、コロナ禍やDX等の社会情勢の変化も踏まえてまちづくりを進めることが重要でございます。
 変貌する課題に対応し、ハード、ソフト両面からまちづくりを進めるために、本戦略の検討に当たり関係局による検討会を設置し、意見交換を行ってまいりました。
 今後も、庁内各局と連携を図りながら、二〇四〇年代を目標年次とした本戦略を年内に取りまとめてまいります。
 また、まちづくりと両輪をなす交通基盤についても、多摩地域の交通ネットワーク等の現状の把握や今後の在り方の検討を本戦略の策定に合わせて実施いたします。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 臨海副都心の脱炭素化についてでございますが、その推進に当たっては、都が自ら先駆的な取組を行うことにより、まち全体を牽引することが重要でございます。
 そこで、新たに、最先端の水素活用技術を有する研究機関と連携し、地域熱供給にグリーン水素を活用した水素混焼ボイラーを全国で初めて実装してまいります。
 加えて、グリーン水素と太陽光によるハイブリッド型の電力供給モデルを実現することにより、安定的な再エネ由来の電力を創出し、ビル照明等に活用してまいります。
 こうした先進的な技術の実装や脱炭素化モデルを示すことで、まち全体の脱炭素化に向けた取組を加速させてまいります。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 組織委員会の清算結了についてのお尋ねにお答えいたします。
 清算法人は、法令に定められた清算業務が終了した場合、評議員会の承認をもって清算結了となります。
 現在、談合についての捜査が行われており、清算結了の前提となる条件が整っていないものと認識しております。
 なお、談合による排除措置命令等に基づき事業者に対する損害賠償請求を行うなど、法令にのっとり対処するよう、清算法人に求めてまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 談合事件への契約制度上の対応についてでございますが、今般、独占禁止法違反の容疑で役員等が逮捕された三事業者については、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱に基づき、令和五年二月九日付で終期未定の指名停止措置を行いました。
 今後、要綱に基づき措置期間を定めることとなりますが、各事業者から報告書を徴取した上で、厳正に対応してまいります。
 加えて、業務委託契約等における指名停止を受けた事業者の総合評価方式での取扱いについては、工事契約における減点の取組を参考に今後検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 世界陸上及びデフリンピックについてでございますが、都は、国際スポーツ大会の大会運営組織のガバナンス強化等を図るため、昨年末、法律等の専門家から成る有識者会議を設置し、都の関与のガイドラインを策定いたしました。
 このガイドラインも踏まえ、大会運営組織においては、ガバナンス、コンプライアンスの確保、役員等の適切な選任プロセス、人材登用の面からの利益相反防止等について具体化をしていかなければなりません。
 また、ガイドラインの実効性を担保するため、運用状況を確認する仕組みも重要でございます。
 都は今後、国のプロジェクトチームが提示した指針案等も踏まえ、ガイドラインを充実し、必要な関与も行いながら、世界陸上及びデフリンピックを公正で信頼される大会としてまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時十分休憩

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