令和五年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議

○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十三番三宅正彦君。
   〔百十三番三宅正彦君登壇〕

○百十三番(三宅正彦君) 都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 初めに、トルコ・シリア大地震の犠牲者の方々に心より哀悼の意を表します。そして、現地に派遣された警視庁、東京消防庁の皆様に敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。
 また、北朝鮮が再度ミサイルを発射しました。我が国の安全保障に関わる重大な問題であり、厳重に抗議いたします。
 では、令和五年度当初予算案について伺います。
 過去最大となる都税収入を背景に、一般会計の歳出総額も八兆円を超える予算規模で編成されました。
 また、コロナの二類から五類への変更を見据え、引き続き必要な対策を進めていくための令和五年度補正予算案も提案されています。
 長引く新型コロナへの対応、燃料高騰や物価高の影響を受ける都民や事業者への支援など、様々な課題が山積する中、当初予算案においては、従来の発想を打ち破る施策を積極的に展開しているとのことですが、これらは税収増の恩恵により対策を講じることができた点も否めません。
 また、少子化対策をはじめ、真に都民に役立つ実効性のある取組を進めていくことが重要ですが、知事が唐突に発表した子供への五千円給付事業は、具体的な事業スキームや国や区市町村との連携、さらには将来的に都財政に及ぼす影響など、細部まで詰められているのか疑問が残ります。
 東京は、法人関係の税収が多く、不安定な歳入構造にある中で、都民が必要とする施策を将来も見据えて継続的な取組としていくことが必要です。
 都が直面する課題に着実に対応しながら、中長期的な視点に立ち、将来に過度な負担を強いることなく、持続可能な財政運営をどのように行っていくのか、知事の見解を伺います。
 昨年の第三回定例会の代表質問において、多くの都民が、コロナ禍、ウクライナ情勢による物価高騰の中で疲弊している今こそ、大都市東京ならではの大胆な支援策が必要だと知事に求めました。
 我が会派が提案している個人都民税などの減税は、目の前の苦しい状況に置かれている都民、事業者に対して、手元の使えるお金を増やし、生活や事業活動を応援することで、経済活動の活性化にもつながる迅速かつ効果的な手法の一つです。
 国は、所得の向上につながる賃上げに向けた環境整備を進めていますが、成長の果実がしっかりと分配され、効果が発現されるまでの間、減税を含め、時限的な取組として、都が大胆な支援を講じるべきです。
 物価高騰などにより、今なお苦しい状況が続く都民、事業者に対して、迅速かつ効果的に支援が行き届くよう、必要な対策を講じるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先日のトルコ、シリアの大地震など、予測不可能な大規模自然災害、世界規模でのエネルギー、食料危機、サプライチェーンの混乱など、まさに先の見通せない時代の中、世界各国は厳しいかじ取りを迫られ、国際競争も激化の一途をたどっています。
 日本国内に目を向ければ、少子化に歯止めがかからず、高齢化は進み、我が国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際に立たされている状況にあります。
 先般、都は長期計画である「未来の東京」戦略version up二〇二三を発表しました。「未来の東京」戦略は、東京のあるべき姿を描き、それを実現するための戦略であると認識しています。
 今回のバージョンアップを踏まえ、どのように都政のかじ取りをしていくのか、知事の決意を伺います。
 都政の構造改革、シン・トセイでは、ペーパーレスや都庁のオフィス改革などを進め、様々な成果が上がっているとのことです。
 今般、シン・トセイ3へと改定し、改革を次のステージに進めるとのことですが、都庁の仕事の仕方や職場環境を変えることで満足するのではなく、それによって都庁の生産性を高め、実際に都民に届けるサービスの質が上がり、都民生活の向上につながっていくことが何よりも重要です。
 そこで、これまでの構造改革をどのように総括し、次のステージでは、改革をどのように展開していくのか、知事の見解を伺います。
 新たに策定したスタートアップ戦略に基づき、令和五年度予算には、スタートアップを生み出す場づくりや海外の投資家や支援機関等の誘致、大学発スタートアップファンドなど、様々な事業が盛り込まれています。
 国も、人材ネットワークの構築や資金供給の強化、オープンイノベーションの推進の三つを柱としたスタートアップ育成五か年計画を推進しています。
 世界に打って出ていくためには、都と国がばらばらではなく、強力なタッグを組んでスタートアップ政策を推進し、日本全体にその成果を還元していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国内移動や海外渡航の制限緩和に伴って、観光客の増加に回復の兆しが見られる一方で、観光産業では、人手不足が大きな課題となっています。ホテルや旅館だけではなく、サービスを提供するのに不可欠な清掃やリネンなどの関連事業者を含めて、必要な従業員が確保できないため、客室を十分に稼働できず、増加する観光需要に対応できないとの声を聞いています。
 今後、国内や海外から多くの観光客が東京を訪れるようになっても、このままでは人手不足が足かせとなり、貴重なビジネスチャンスを生かすことができません。長引くコロナ禍の影響で苦しんできた観光産業が、今後順調に回復していくためにも、人手不足の課題を克服できるよう、積極的に後押しをすることが重要です。
 都は、人手不足の課題を抱える観光事業者について、関連産業を含め、支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 こうした状況は、観光産業に限ったことではなく、多くの分野で深刻になっています。取引の機会が増えても、必要な人材がいないために断らざるを得ず、次の仕事にも影響してしまうという切実な声も出ています。
 こうした中、中小企業は、採用活動の経験が少なく、知識やノウハウがないために、求人を出しても応募がなかったり、採用できたとしてもすぐに退職してしまうなど、人材を確保できない場合が多いとも聞いています。
 また、業界によっては、仕事がきついといったイメージが先行し、企業の努力だけでは人材確保につながらないケースもあるようです。
 そこで、人手不足に悩む企業が人材確保できるよう、採用活動を支援するとともに、就職活動をしている方々に、業界や業種の魅力が伝わるよう後押しすべきですが、都の見解を伺います。
 中小企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、持続的に成長していくためには、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービスを改良するとともに、業務そのものや組織風土を変革し、競争上の優位性を確立することが必要です。
 しかし、都内中小企業の人材不足は深刻で、変革を進めるには、その中心となり、組織を引っ張っていく経験を持つ人材の確保が必要です。また、変革の鍵を握るといわれているのがデジタル化ですが、中小企業では、その知識を持つ従業員が不足しているのが実態です。
 こうした状況に、国は、人への投資を強化し、リスキリング支援を行うとしています。
 都も、中小企業が業務改革を進めるために必要な人材の確保や従業員のデジタル面でのリスキリングに取り組みやすくなるよう支援を強化し、企業の経営改善を促していくべきと考えますが、見解を伺います。
 製造業における人材不足も深刻です。今後の事業の発展の妨げとなることがないよう、時代の変化や技術動向を見据え、企業が求める人材の確保の対策を強化すべきです。
 我が会派では、ものづくり人材の確保に向け、職業能力開発センターとしごとセンターを一体的に整備すべきことやSociety五・〇の到来などに対応した人材を育てられるよう、職業能力開発センターの施設や設備等の更新を求めました。
 都では、職業能力開発センターについて、しごとセンター校の新設や赤羽校の建て替えを実施するとしています。
 そこで、都は、しごとセンター校の新設や老朽化した赤羽校の建て替えを契機に、職業能力開発センター全体の施設のブラッシュアップを通じ、ものづくりの担い手やデジタル化に対応できる人材の育成に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
 中小企業が生産性を高め、事業の経営基盤を強化するためには、デジタル技術を活用していくことが重要ですが、中小企業の状況は様々であり、積極的に最先端の技術を取り入れ、事業革新を図る企業もあれば、小規模零細企業などにおいては、人材やノウハウがなく、十分な予算も確保できないことに加え、そもそもデジタル化への関心がない企業も多く、なかなか取組が進まない現状があります。
 都においては、来年度、中小企業のDXを強力に後押しするための取組を進めていくとしていますが、デジタル化への関心を持つよう企業へ気づきを与える取組や本格的な事業展開にDXを活用する中小企業へのサポートなど、中小企業の状況に寄り添ったきめ細かい支援を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、入札制度について伺います。
 都は、持続可能な社会を目指しており、知事も、サステーナブルな東京の実現を標榜されています。
 都の公共調達においても、持続可能な将来を見据えた発注を進めていくべきと考えます。
 例えば、都有施設の整備を行うに当たり、施設の完成のみを目指すのではなく、設計の段階から完成後のメンテナンスをも考慮するということです。つまり、イニシャルコストのみならず、完成後のランニングコストをも考慮した発注をしていくべきではないかとの考えです。これは、昨今の世界的な潮流であるとのことです。
 都において、こうした公共調達の在り方を検討すべきときに来ていると考えますが、見解を伺います。
 また、定期的、周期的な維持更新計画も重要だと考えます。一定期間の経過により消えてしまう横断歩道などの道路標示は、住民の通知を受け、それを現認し、予算化されて実行されるまで一年以上経過するといった事例があり、その間に事故につながりかねないことが考えられます。これを定期的、周期的な発注とすることにより、安全性の確保、住民サービスの向上につながることとなります。
 都有施設の維持更新については、その計画を策定するだけにとどまることなく、維持更新計画を定期的、周期的に行うことにより、実効性を高めていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 今年九月は、近代化した首都圏を襲った唯一の巨大地震である関東大震災の発生から百年を迎えます。特に被害の大きかった墨田区の旧陸軍被服廠跡地では、火災旋風により三万八千人もの尊い命が失われました。こうした痛ましい惨事が再び起こることのないよう、災害対策の充実が欠かせません。
 今回の新たな被害想定では、耐震化、不燃化が進んだことなどにより、人的、物的被害は、前回の想定から三から四割程度減少したものの、それでもなお、死者約六千人、建物倒壊約十九万棟の甚大な被害が発生するとされています。
 こうした中で、一人でも多くの命を救うためには、発災後の初期対応における自助、共助の果たす役割が極めて重要です。阪神・淡路大震災においても、共助によって救われた人命が八割といわれています。
 関東大震災百年という節目は、実際に東京で起きた過去の大災害を振り返りながら、都民一人一人が、いざ被災した際にどのように行動すべきかを考えてもらう、まさに絶好の機会です。
 この機を逸することなく、都民や地域の防災意識を高めていくことが不可欠であると考えますが、知事の見解を伺います。
 昨年、十年ぶりに公表された新たな被害想定では、新耐震基準の建築物についても、耐震化を進めると倒壊による被害が八割減少すると指摘されています。
 倒壊まで至らなくても、損傷が大きいと結局解体せざるを得なくなることから、TOKYO強靱化プロジェクトが目指している都民の生命と暮らしを守り、日本を支える首都東京の機能や経済活動を維持する強靱で持続可能な都市を実現させるためには、倒壊させないだけでは十分とはいえません。
 新耐震基準の住宅について、耐震化の重要性をどのように認識し、強靱化プロジェクトの目標に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。
 東京の強靱化に資する道路整備について伺います。
 道路は、一朝一夕に整備が進むものではありませんが、極めて重要な都市インフラです。
 これまでも我が会派は、国際競争力や防災機能の強化にも寄与し、都市づくりの基本となる都市の骨格を形成する幹線道路、地域幹線道路や山間、島しょ地域の振興を図る道路の整備を推進することを要望してきました。
 都は昨年末、災害時にも都民の生命と暮らしを守ると同時に、壊滅的な被害を防ぐため、TOKYO強靱化プロジェクトを策定し、この中でも、道路整備に関するプロジェクトが幅広く位置づけられています。
 そこで、東京の強靱化に資する今後の道路整備について、都の見解を伺います。
 大地震によって生じる長周期震動は、高層ビルの長時間の揺れ、家具等の転倒とともに、液状化被害も発生させます。加えて、震源地から遠く離れた場所にも多大な影響を与えることがあります。
 東日本大震災のときには、震源近くの東北地方はもとより、都が隣接する浦安市においても、液状化現象によって上下水道等のインフラが大被害を受け、住居が大きく傾くなど、生活困難を強いられる被害が発生しました。
 これを受け、葛飾区では、いち早く液状化対策の助成を行ってきましたが、都では、都道などの液状化防止、マンホールの浮上抑制等の対策にとどまり、都民の生活を守る取組はなされておりません。
 都は、耐震助成と同様に、液状化対策の助成を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 今回の地域防災計画の改定では、新たに町会、自治会活動の活性化が地域防災力向上の柱の一つとして明記されました。町会、自治会は、災害時の共助の拠点であり、その役割をしっかり果たしていくためには、日頃の活動が重要です。
 我が会派は、以前より、地域の底力発展事業助成を提案し、町会、自治会の防災をはじめ、様々な活動を支援してきました。
 防災力向上の観点から、町会、自治会の取組をこれまで以上に支援することで、活発な活動につなげることが必要ですが、見解を伺います。
 近年の災害は、気候変動の影響もあり激甚化しており、震災だけではなく、大規模風水害への備えも万全にしなければなりません。
 中央防災会議による報告では、荒川右岸低地氾濫が発生した場合、地下鉄の最大十七路線九十七駅が浸水すると同時に二千人が死亡、孤立者は最大八十六万人に達するとの被害想定もあります。
 風水害の場合は、台風の接近等が事前に予見されるため、あらかじめの避難行動や被害を軽減する対策の準備などが可能という側面もありますが、大規模風水害時には、広範囲に氾濫、浸水等が発生し、東京の都市機能が停止し、復旧に数か月かかるおそれがあります。
 こうした点を踏まえ、地域防災計画風水害編の個別計画の見直しを図る必要があります。
 また、東京都業務継続計画(都政のBCP)や東京都災害時受援応援計画は、首都直下型地震への対応が主であり、風水害対応は不十分といわざるを得ません。
 東京都の風水害対応計画を抜本的に見直し、都の大規模風水害対策をより実効性のあるものにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京都の東部低地帯のみならず、荒川や多摩川等の川沿いの地域においては、大規模水害時に極めて深刻な被害が発生し、多くの都民の生命や財産が失われるおそれがあることから、我が会派は、以前から高台まちづくりを進めるよう主張してきました。
 都は、災害に強い首都「東京」形成ビジョンに基づき、国や地元区と共に検討を進めていますが、避難を必要としている都民の数に対し、高台が全く足りていないといわれており、都民の命を守る強い決意の下、施策の大幅なスピードアップが望まれます。
 高台まちづくりについては、都民が風水害に不安を感じずに暮らしていけるよう、高台確保の取組の加速とともに、避難場所整備や高台への避難経路の確保等、安全策の迅速な推進が必要です。
 都は、TOKYO強靱化プロジェクトに高台まちづくりの加速と位置づけ推進していくとしていますが、都民の安心・安全を守る高台まちづくりについて、今後の取組を伺います。
 下水道事業における風水害の対策について伺います。
 都はこれまで、浸水被害に度々見舞われてきましたが、現在の状況は、さらに厳しさを増しており、気候変動の影響による気温上昇と降雨量の増加が見込まれ、激甚化、頻発化する豪雨への備えが急務です。
 下水道局では、津波に対する施設の耐水化を実施してきましたが、大規模地震発生後に大型台風が襲来するなどの複合災害の可能性が想定されます。
 このような中、都では、風水害に対する下水道施設整備の強化に取り組み、都市の強靱化を図ることが必要不可欠です。
 一方、多摩地域の分流式下水道区域においては、市町村が実施する公共下水道の雨水整備率が約三割となっていることから、都による市町村へのさらなる支援が必要です。
 そこで、下水道事業における風水害の対策について伺います。
 都営地下鉄の大規模水害対策について伺います。
 強靱化を目指す東京の公営交通として、都営地下鉄には、浸水被害を受けた場合にも、できるだけ早期に復旧し、都市機能の回復に貢献していくことが求められます。
 我が会派の提言を受け、交通局では、このたび浸水対策に係る施設整備計画を公表しましたが、施設整備の効果を確実に発揮させていく上でも、発災時のオペレーションなどソフト面での対策が重要となります。
 大規模水害に備えたソフト対策のさらなる充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年十二月にTOKYO強靱化プロジェクトが発表されました。警視庁でも、平成二十九年の警視庁大規模災害対策推進プランを五年ぶりに改定し、首都直下地震のみならず、近年頻発化、激甚化する水害や富士山をはじめとした火山の噴火に向けた対策が示されました。大規模災害が発生し、警察庁舎が被災した際も、庁舎や電気、通信機器が使用不能になるなど、都民の財産保持並びに治安維持の活動が中断することがないよう、ふだんから災害に備え、人員の確保、庁舎、インフラの整備、備蓄の強化に努めていかなければなりません。
 そこで、大規模災害時における警視庁の対応と業務継続性に対する取組について伺います。
 刑法犯の認知件数が平成十五年から令和三年まで減少が続いていましたが、昨年、令和四年は二十年ぶりに増加しました。認知件数の内訳を見ると、ひったくりや自転車盗などの街頭犯罪が増加しているとのことです。さらに、現在、狛江の事件をはじめとして、全国各地で凶悪な強盗犯罪が多発しており、その対策は喫緊の課題となっています。また、警察庁のアンケートでも、六七%の国民が治安が悪くなったと回答をしています。
 そこで、都民の期待と信頼に応えていくため、警視庁としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 昨年の東京消防庁管内の救急出場件数は、新型コロナウイルス感染症や高齢化等の影響により、過去最多を記録したということですが、その中には、不要不急な一一九番通報もあると聞いています。救急車は、救命処置が必要な方など、一刻も早く真に病院に行く必要がある人が利用すべきです。
 今後、救急要請が急激に増大した場合でも、真に救急車を必要とする都民に迅速に対応できるよう、救急車の適時適切な利用や緊急を要しない救急要請への対応など、さらに取り組むべきと考えますが、東京消防庁の見解を伺います。
 現在、都では、多摩のまちづくりについて、新たなまちづくり戦略の策定に向けた検討を進めていると聞いていますが、まちづくりと両輪をなす交通基盤についても、併せて検討を進めることが重要です。
 特に、鉄道についていえば、国の答申に位置づけられるプロジェクトのうち、多摩都市モノレールの町田延伸については、先日請願が出されたものの、計画策定の見通しが立っていません。
 また、中央線の複々線化は、多摩地域の東西軸を強化する観点から非常に重要であるものの、平成六年に都市計画決定されており、事業予定者であるJR東日本が進めるべきと考えますが、いまだ具体的な動きはありません。
 一方で、JR東日本は、中央線のグリーン車サービス導入を進めており、輸送力の増強につながるものと考えていますが、一層の輸送力増強や事故発生時のリダンダンシーの確保の観点から、複々線化は非常に有効であり、この実現により、さらなる多摩の発展につながっていくと考えます。
 こうした多摩地域の交通基盤強化、ひいては多摩地域の活性化のためには、これら鉄道ネットワークの充実が必要不可欠です。
 そこで、これら二路線を含め、今後の多摩地域における鉄道ネットワークについてどのように取り組むのか、都の見解を伺います。
 次に、多摩産材や国産木材の利用拡大について、民間住宅での活用という観点から伺います。
 民間住宅の建築において、多摩産材をはじめとする国産木材を利用することは、林業の振興につながるだけではなく、その断熱性能や吸湿性などにより、住む人の健康にもよい効果があることが知られています。
 一方、ウッドショックで外国産木材の輸入が滞った経験から、住宅メーカーや工務店の中には、外国産木材に代えて、国産木材に興味を持つところも出てきていますが、燃料費の高騰に伴う輸送コストの上昇が木材価格にも影響を及ぼしており、国産木材の利用拡大を妨げる要因の一つとなっています。
 国産木材に対する工務店等の関心が高まっているこの絶好の機会に、木材の新たな需要の創出に合わせ、流通の円滑化を同時に支援することにより、多摩産材等の活用がさらに進むと考えますが、見解を伺います。
 島しょ地域において、農漁業は地域経済を支える重要な産業の一つです。
 農漁業の振興を図るため、これまで都は、魚介類や野菜など、主に生鮮品を本土へ出荷する際の海上輸送費の二分の一を補助し、生産者の負担軽減を図ってきました。さらには、新型コロナ発生以降は、取引価格の低迷等による収入の減少に苦しむ生産者を支援するため、我が会派の求めに応じて、暫定的に全額を補助しているところです。
 一方で、島しょ地域からは、くさやなどの加工品や島の魅力をアピールする様々な特産品なども多く出荷されていますが、現在これらは貨物運賃補助の対象とはなっていません。
 また、事業者からは、加工品等の生産に必要となる原材料や出荷用の段ボールなどを本土から島へ輸送する際の輸送費についても補助の対象にしてほしいとの要望も寄せられています。
 都は、加工品や梱包資材等の海上輸送費に対しても補助を実施することで、島しょ地域の産業のさらなる振興を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、マンション施策について伺います。
 都民の主要な居住形態である分譲マンションを取り巻く状況が大きく変化する中、高経年マンションの急増や管理をめぐる諸問題が顕在化するなど、マンション施策は都の住宅施策の中でも重要な取組です。
 我が会派は、かねがねマンションの管理不全の予防、改善だけではなく、優良な管理を行っているマンションを適正に評価することが、資産価値の維持向上にも好影響をもたらすため、こうしたマンションを後押ししていく視点も重要であると主張してきました。
 昨年四月から、国の管理計画認定制度や、関連の民間団体でも良好な管理状況のマンションを評価する制度が開始されています。
 国においては、管理計画認定制度の取得等と長寿命化工事の実施を条件として、固定資産税を減額する特例措置の創設が昨年末に閣議決定され、こうしたことを契機に、管理計画認定制度の利用促進に期待しているところです。
 しかしながら、管理計画認定制度については、まだ現状では利用が進んでいない状況にあります。
 そこで、都は、関連団体とも連携しつつ、良好な管理に取り組むマンションを適正に評価する仕組みの一層の普及を図ることが重要であると考えますが、見解を伺います。
 子育て世帯に対する環境の整備は重要であり、特に、生活の基盤となる住宅において、子育てに配慮された設備を有することなど、子育て世帯に寄り添った環境の実現を図ることが必要です。
 我が会派は、これまで継続して、子供を産み育てる環境整備のため、子育てに適した優良な住宅の供給促進を要望してきましたが、そのような住宅である東京都子育て支援住宅の認定実績は、昨年度末で約千六百戸となっています。
 今後、少子化対策に向けた取組の強化は急務であり、子育てに配慮した住宅の供給促進に向けた施策を都内全域で速やかに進めていくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 先般、都は、子供の声を中心に据えて、子供政策を体系的に取りまとめたこども未来アクションを発表しました。
 我が会派は、さきの第四回定例会代表質問において、子供の意見をどのように受け止めたのかという観点も取り入れ、真に子供目線に立ってこども未来アクションを策定すべきと提案しました。
 これまでの行政計画は、発表すると同時に陳腐化していくことが通例でしたが、子供が直面する課題が刻々と変化する中、このアクション策定はスタートであり、今後も常時的確に対応していくことが重要です。
 都は、こども未来アクションの策定を機に、改めて子供の意見と真正面から向き合い、子供目線に立った政策を着実に推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、児童相談体制の強化について伺います。
 全国で児童虐待が問題となっています。都内でも虐待対応件数は急増し、令和二年度は二万五千七百三十六件と、平成二十三年度に比べ、約五倍に跳ね上がっています。
 これまで我が会派は、児童相談行政の要である児童相談所の強化、特に管轄人口が多い多摩地域での増設が相談体制強化に必要不可欠であると訴えてまいりました。
 このたび都は、それに応える形で、多摩地域の児童相談所管轄区域の見直し素案を策定し、西多摩、町田及び多摩中部の三か所に児童相談所が新設される予定となっています。
 他方、実際の相談業務に当たる児童心理司や児童福祉司といった専門職員は、いまだに足りていません。国基準である三万人に一人の割合で配置しなければならない専門職員は、現在、東京都で児童福祉司が百四十七名、児童心理司が七十八名にとどまっており、二百二十九名の欠員状態となっています。
 深刻化する児童虐待に、迅速かつ的確に対応するためには、人員体制の確保、強化が何よりも重要です。
 そこで、今後の都の取組についてお伺いいたします。
 次に、命を守る対策、自殺対策について伺います。
 都内の自殺者数は、平成二十三年をピークに減少傾向にありましたが、令和二年以降増加に転じ、中でも、二十代女性の自殺者数が大きく増加しています。
 過去の調査研究によると、自殺の要因は、健康問題や経済、生活問題、家庭問題など多様な領域に及んでおり、これらの積み重ねにより、最終的に自殺以外の方策が思い浮かばない状況に追い込まれるとのことです。
 このようなことから、自殺対策は、幅広い分野で、生きづらさを減らし、生きる意欲を増やす取組を行う必要があります。
 都は、新たな東京都自殺総合対策計画を三月に策定する予定ですが、今後、自殺対策をどう強化していくのか伺います。
 新型コロナウイルスについては、現在、感染者数は落ち着きを見せており、今年五月に感染症法上の五類へ移行します。
 一方で、近年発症率の増加が見られる帯状疱疹、さらには、若い世代を中心に急増している梅毒や毎年陽性者が報告されているHIVなど、新型コロナの陰に隠れて見過ごされがちだった感染症についても、適切に対策を講じていく必要があります。
 今後は、新型コロナウイルスとの共存が求められる中で、こうした都民にとって身近な感染症への対策にも積極的に取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 団塊の世代が全て後期高齢者となる令和七年、二〇二五年が目前に迫り、高齢者が住み慣れた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、生活支援等が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が欠かせません。
 地域における医療、介護、福祉等の機能が一体として有機的に連携することで、地域全体で高齢者を支える仕組みづくりを進める必要があります。
 さらに、その先を見据えると、ますます高齢化が進展し、通院困難な患者に対応する在宅医療の需要が増すことに加え、自宅で最期まで暮らし続けることを望む方も多く、これを実現するには、急変時の二十四時間診療体制などの切れ目のない在宅医療の提供体制が重要です。また、こうした各地域の在宅医療の体制に差があるのは課題でもあります。
 今後、一層在宅医療の体制を強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 近年、医療的ケアを必要とする障害児者が増加していますが、医療的ケア児をめぐっては、まだまだ利用できる資源が少なく、日常的に保護者が身を削ってケアしているのが実情です。
 こうした医療的ケア児が在宅生活を送る上で課題となっていることの一つとして、短期入所先が不足していることが挙げられます。
 医療的ケア児を受け入れることで、児童やその家族が身近な地域で安心して生活ができるよう、短期入所サービスの整備を進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 我が会派はこれまでも、区市町村のデジタル化への取組が本格化していく中で、個々の区市町村の取組状況などを踏まえ、よりきめ細かな支援を実施していくことが必要と主張してきました。とりわけ、行政におけるデータ利活用を推進するためには、専門的な観点からのサポートが不可欠です。
 都は、高度デジタル人材による支援を行っていますが、来年度は、新団体GovTech東京を設立し、区市町村のニーズに応じた、サポートのさらなる充実を図るとしています。
 また、東京データプラットフォームの稼働により、官民連携でのさらなる利活用も期待されます。
 東京全体のDXを実現していくために、区市町村全体の底上げが重要です。それに向け、都はどのように取り組んでいくのか、宮坂副知事の見解を伺います。
 次に、通信インフラの強靱化について伺います。
 デジタル技術の活用により、もはや当たり前となってきたスマートフォンでの情報収集や電子マネー決済など、都民にとって利便性の高い様々なサービスの提供には、通信につながっていることが大前提となります。
 国の調査では、今や携帯電話の電波は、都内の人口カバー率が九九・五%となっていますが、いまだ電波の届かない地域も存在します。
 また、昨年七月に発生した携帯電話の大規模な通信障害の際には、大変多くの方が通話や通信ができず、都民生活に大きな影響が出ました。
 全ての都民がデジタルの恩恵を受けられるよう、誰もが通信できる環境の確保に向け、都は、通信基盤のさらなる強靱化を図るべきですが、見解を伺います。
 教育条件の整備について伺います。
 発達障害のある高校生は、都立高校にも多数存在しています。都教育委員会が令和三年度に実施した調査では、全日制、定時制、全生徒十二万九千三十五人のうち四千四百人、約三・四%の生徒が発達障害の可能性があるとのことでした。
 特に、普通科高校に在籍し、卒業後に就労を希望する生徒は、学校で特別な支援を受けたとしても、就労に必要なスキルや知識を身につけることができずに、就労そのものに困難を来したり、就労後に職場になじめずに退職を余儀なくされることもあるとのことです。
 こうした生徒を生み出さないよう、コミュニケーション能力などのスキルだけではなく、基本的な労働習慣を身につけさせることや障害の特性に応じた職業のマッチングを行うなど、生徒を適切な就労につなげ、生き生きと仕事を続けていけるよう育成することが重要です。
 こうした生徒に対し、都教育委員会はどのような取組を進めていくのか、見解を伺います。
 次に、グローバル人材の育成について伺います。
 次代を担う子供たちが世界の舞台で活躍できるようにする取組は極めて重要です。
 今定例会における知事の施政方針表明でも、総合的な英語力を高める施策の説明がありました。
 しかし、英語そのものは国際化対応に必要なツールにすぎず、真のグローバル人材を育成するためには、東京グローバル人材育成指針にも記されているように、英語力を基盤とする中で、創造的、論理的な思考力の育成や世界の中の日本人としての自覚と自己の確立、多文化共生の精神が求められており、使える英語の取組と同時並行に醸成を図らなければなりません。
 子供たちが、将来、世界の人々と協働して課題を解決していけるようにするためには、英語をツールとして使いこなす力を身につけるとともに、我が国の伝統文化を理解し、日本人としての自覚を高めることが重要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 令和四年度、都は、コロナ禍での感染症対策から、学校生活で様々な制約を受けている子供たちのために、子供を笑顔にするプロジェクトを実施しました。
 これによって、憧れのオリンピアン、パラリンピアンによる実技指導や交流、ボッチャなどのパラスポーツ体験、本格的な観劇や地域に伝わる伝統文化の体験、デジタル技術の体感や科学に親しむサイエンスショーなど、様々なプログラムを実施することができました。
 参加校は、公立の小中高等学校、特別支援学校全体の八割に達し、特別支援学校では六十三校全校が参加をしたとのことです。また、私立学校からも参加がありました。
 来月には、この取組を利用して、WBC、ワールド・ベースボール・クラシックに百十五校、約一万一千人の子供たちが観戦をすると聞いております。
 多様な体験を通じて、子供たちの豊かな感性を育んでいくことは大切であり、そのために、取組を今年度限りとすることなく、引き続き、子供たちに多様な体験の機会を提供していくことが重要と考えますが、教育長の見解を伺います。
 令和三年度の調査では、東京都の公立小中学校の不登校の子供の数は、平成二十五年度から連続して増加しています。また、都立学校においても、多くの不登校の子供がいます。
 都教育委員会はこれまで、不登校特例校の設置促進、区市町村が設置する教育支援センターの機能強化に向けた支援、不登校経験のある高校生等のためのチャレンジスクールの設置など、様々な不登校対策を推進してきました。
 来年度は、オンライン上の仮想空間に居場所を創出する取組の拡大、フリースクール調査研究の規模の拡充などに取り組むこととしています。
 こうした不登校の子供を支援する多様な学びの場がある中で、学校における組織的な対応の強化により、教室に戻ることができるようにすることも大切と考えます。
 そこで、小中高等学校において、不登校の子供の状況に応じた教育を充実するための新たな都教育委員会の取組について伺います。
 次に、私立中学生の授業料負担軽減について伺います。
 東京の私立学校は、建学の精神に基づく特色ある教育を展開しており、公立と共に東京の公教育において重要な役割を果たしています。
 中高一貫校も増えており、また、学習、進学面の充実したサポート、校風や伝統への魅力など、様々な理由により私立中学校を選択する生徒も相当な数に上っています。
 一方で、私立中学の平均授業料は約四十九万円と私立高校よりも高くなっており、保護者からも負担軽減の声が高まっております。
 こうしたことから、今回、我が会派は、都議会公明党の皆さんと共同で、私立中学校においても、私立高校と同じ年収九百十万円未満の保護者に対して、十万円の授業料の助成を行うよう、緊急要望を行ったところです。
 都は、要望の趣旨を踏まえ、私立中学授業料の保護者負担を軽減するための補助を予算案に計上しましたが、本事業を実施する意義について伺います。
 文化、スポーツ振興について伺います。
 東京の各地域には、住民が主体となって文化活動や芸能の伝承に取り組む団体があり、その活動が活発になることは、地域の振興やにぎわいの創出にもつながります。
 昨年開催された東京二〇二〇大会の一周年の記念事業には、多くの地域の芸術文化団体に協力していただきました。
 また、都と区市町村との連携がこれまで以上に深まってきているなど、地域の芸術文化がより活発化する環境が整いつつあります。
 来年度の予算では、地域の芸術文化活動に対する助成が拡充されるようですが、この助成を分かりやすく使いやすい制度とするとともに、文化活動を担う多くの方々にしっかりと周知し、活用してもらうことで、地域における活動の支援を充実すべきと考えます。都の見解を伺います。
 近年、日本舞踊、邦楽、華道、茶道といった長い歴史の中で続いてきた伝統文化、芸能について、受け継ぐ人や鑑賞する人の減少が続いており、コロナ禍もあって、伝承がより困難になっています。
 こうした貴重な文化、芸能を後世につないでいくために、都民がその魅力を身近に感じ、親しむ機会をつくるとともに、その担い手である実演家や団体を支えていくことが重要だと考えます。
 昨年度から始まった伝統芸能を体験できる活動の実施に対する助成には、今年度、多くの応募があったと聞いており、こうした取組を広げていくことも必要です。都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会について反省すべきところをしっかりと踏まえ、今後につなげていく必要があります。
 一方、スポーツ実施機運やパラスポーツへの関心の高まり、ボランティアの活躍など、東京二〇二〇大会が様々なレガシーを残したことも事実で、レガシーの創出は今後の国際スポーツ大会においても引き継がれるべきです。
 令和七年、二〇二五年には、トップアスリートが集う世界最高レベルの陸上競技の祭典である世界陸上と、デフアスリートによる国際総合スポーツ大会であるデフリンピックがここ東京で開催されます。
 両大会に向けて、今後、準備が本格化する中で、大会運営組織のガバナンス確保はもちろんのこと、両大会の開催を通じ、都の政策実現につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 環境対策について伺います。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、グリーン水素の製造スピードを飛躍的に加速させる必要があります。
 これまで、水素の製造から利用に至るまで、国内企業は積極的に技術開発を進め、世界をリードしてきました。グリーン水素の製造に関しても、激化する国際的な競争に勝てるよう、国内企業と連携した施策を展開していくことが重要です。
 また、第四回定例会において、都は、グリーン水素の製造に自ら取り組むなど、グリーン水素の普及拡大を先導していくとの答弁がありました。
 今定例会の知事の施政方針表明の中でも、グリーン水素は持続可能な社会を実現する切り札であり、モビリティーのみならず、まちづくりの観点から導入事例を面的に拡大する必要がありますと言及しています。
 そこで、グリーン水素拡大の施策を今後どのように展開していくのか、見解を伺います。
 知事は、水素こそが切り札だと施政方針で述べられておりましたが、真に持続可能な社会を実現するのであれば、もっと視野を広げる必要があります。
 次世代のカーボンフリー燃料として、世界で注目され始めているのはアンモニアです。
 アンモニアは、水素などと同様に、燃焼時にCO2を排出しないだけではなく、水素に比べて運搬や貯蔵が簡易であり、コストも低く抑えることができるという利点があります。また、石炭火力発電に混入することにより、発電効率が上昇し、大幅なCO2排出削減につながること等が実証されています。
 令和三年に閣議決定された第六次エネルギー基本計画にも電源構成の一つに盛り込まれ、世界でもアンモニアの生産を始める国は少なくありません。
 将来に向け、カーボンフリーなアンモニア利用を促進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 世界的に事業活動において脱炭素化を図ることが必須となる中、港湾物流についても、荷主や船会社が港湾を選択するに当たっては、脱炭素化に向けた取組が行われていることが必要条件となってきています。国内最多のコンテナを取り扱う東京港においても、グローバルな国際競争の中で取り残されないよう、脱炭素化の取組を強力に進めることが求められています。
 今般、東京港の脱炭素化に向けて、都は、東京港カーボンニュートラルポート形成計画(案)を公表し、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けた取組を示しましたが、脱炭素化に実際に取り組むのは主に東京港で活動する民間事業者であり、東京都は計画を策定するだけではなく、その取組を促すよう支援していくことが必要です。
 今後、東京港の民間事業者の脱炭素化に向けた取組を促すため、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 集合住宅の脱炭素化について伺います。
 都民の多くが集合住宅に住んでおり、二〇三〇年のカーボンハーフ、二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向けては、既存集合住宅の脱炭素化を進めていく必要があります。
 一方で、集合住宅への対策には、建物の所有状況や改修内容により、家主や住民の合意形成が必要となることや、太陽光発電設備の屋上への設置工事や機械式駐車場への充電設備導入のように、建物や設備の構造上、改修費用が高額になるなど、様々な課題があります。
 こうした集合住宅特有の課題に対して、きめ細やかな対応が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 太陽光パネルの設置義務化について伺います。
 我が会派は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けた施策、とりわけ、都内のエネルギー消費量が唯一増加している家庭部門への対策が急務であることを否定するものではありません。
 昨年、第四回定例会において提案された、太陽光パネルの設置義務化を内容とした条例改正案には、都民の理解が深まっていないことから反対いたしました。条例改正案は成立したものの、現時点においても、状況は変わっていないというのが我が会派の認識です。多くの都民からも疑問の声が寄せられている事柄に対して、明確な回答が示されない中、都内の新築建築物への再エネ機器設置等に関する基金一千五百億円を新規に創設するという条例案が、令和四年度の最終補正予算案として提案されています。
 基金新設を提案するのであれば、その前に議会や都民に対して、基金に基づく今後の補助事業の全体像や効果、基金創設の妥当性や必要性を丁寧に説明すべきです。
 その上で、制度施行に向けて、都民の納得を十分に得て事業を進めていくことが不可欠であると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、事業者支援について伺います。
 これまで都は、新築住宅を取得しようとする都民に向けて、東京ゼロエミ住宅の補助制度を設けるなど、環境性能の高い住宅の普及を推進してきました。
 二〇三〇年カーボンハーフに向けては、こうした支援の拡充に加え、ハウスメーカー等の住宅供給事業者に対し、高い断熱、省エネ性能や再エネ設備の設置を標準化した魅力ある商品ラインナップの拡充を促していくことが重要です。
 さらに、現場での施工を担う地域の中小工務店においても、住宅の環境性能向上に向けた取組を促進していくべきと考えます。
 今後、住宅供給事業者に対してどのように実効性のある支援を講じていくのか、都の見解を伺います。
 ウクライナ情勢による燃料価格の高騰などの影響を受け、電気料金の上昇が続き、都民生活や事業活動への影響が大きなものとなっています。
 こうした中で、東京電力は六月からの電気料金値上げを国に申請しました。現在は国が電気料金に補助を行っていますが、この措置が終了した後は、さらに厳しい状況となることが避けられません。
 一方で、関西電力や九州電力においては、休止中の原子力発電所が順次再稼働しており、値上げの動きは出ていません。電気料金の東西格差ともいえる状況であり、都内の経済活動活性化に向けては、燃料価格の影響を受けにくく、安定したエネルギー源である原発は不可欠ではないでしょうか。
 都内の中小事業者にとっては、電気料金の上昇を価格に転嫁することは容易ではなく、その事業環境は急速に悪化しています。
 知事は、多くの事業者を抱える東京都の首長として、こうした原子力発電の再稼働を含めたエネルギーに関する問題についてどのように考えているのか、知事の見解を伺います。
 厳しい経済状況の中、ようやくコロナから立ち直る一歩を踏み出そうとしている都民、そして都内事業者の皆様を後押しするのが東京都の役割です。一隅を照らすとの言葉があります。片隅の誰も注目しないような物事にちゃんと取り組む人こそ尊い人だという意味と理解しています。
 多くの人の注目を浴びる話題ばかりではなく、我々は足元の課題に光を当て、都内区市町村としっかりと連携しながら都政を推進していくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 答弁に先立ちまして、一言申し上げます。
 先日、トルコ南東部を震源とする大地震が発生し、甚大な被害が生じております。犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に改めて心よりお見舞いを申し上げます。
 先週、漫画家の松本零士氏が逝去されました。世界からも愛される数々の作品を世に送り出されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 それでは、三宅正彦議員の代表質問にお答えさせていただきます。
 まず、財政運営についてであります。
 社会の存立基盤を揺るがす少子化の進行や自然災害の頻発化、激甚化など、都を取り巻く環境は厳しさを増しています。歴史の転換点を迎える今こそ、新たな発想で様々な知恵を出し合い、希望に満ちた東京を次世代に引き継ぐための未来への投資を行うことが不可欠であります。
 こうした考えの下、令和五年度予算では、チルドレンファースト社会の実現、都市の強靱化、脱炭素社会の実現に向けた取組など、都が抱える諸課題の解決に向けて大胆に財源を振り向けたところであります。
 一方で、持続可能な財政運営との両立を図るべく、事業評価による見直しなど無駄をなくす取組を一層強化いたしました。さらに、基金残高の確保に加え、都債の発行抑制を継続するなど、将来に備えた財政対応力を培う手だてを講じております。
 今後も、健全な財政基盤を維持しながら、戦略的な施策展開を図ることで、成長と成熟が両立した明るい未来の東京の実現につなげてまいります。
 次に、都民、事業者への支援についてであります。
 都はこれまでも、長期化するコロナ禍や物価高騰の影響などにより苦境に立たされている都民や事業者に効果的に支援が行き届くよう、日々刻々と変化する状況を見極めながら、機動的に対策を講じてまいりました。
 令和五年度予算におきましても、フードバンクを通じた地域における食の支援を強化するほか、離職者等に対する生活相談、就労支援、住まいの確保など、重層的な支援策を盛り込んでおります。
 事業者に対しましては、中小企業制度融資により資金繰りの安定化を図るほか、再エネ設備導入への支援などにより、経営基盤の改善、強化を後押しいたします。
 今後とも、中長期を見据えた持続可能な財政運営の下、機を逸することなく必要な手だてを講じ、直面する様々な危機から都民生活と東京の経済を守り抜いてまいります。
 次に、都政のかじ取りについてのお尋ねでございます。
 国際秩序の不安定化、長引くコロナ禍や気候危機、そして自然災害など、世界は混迷の中にあって、今、まさに歴史の転換点を迎えています。大きなうねりの中にあるからこそ、東京の置かれた現状や課題に向き合い、大胆な政策で変革を起こしてまいります。
 まずは、安全・安心を確保し、人への投資を進め、新たな産業を生み出し、成長へとつなげる。こうした観点から戦略をバージョンアップいたしました。
 具体的には、一刻の猶予も許されない少子化対策、DX、GX、激甚化する自然災害への備えなど、国や区市町村とも連携し、東京から未来を変えてまいります。
 百年先も豊かさにあふれる持続可能な東京を次世代に引き継ぐことが我々の大きな使命であります。こうした強い決意の下、都政のかじ取りに邁進いたします。
 次に、都政の構造改革の新たな展開についてのお尋ねであります。
 都はこれまで、シン・トセイ戦略に基づいて、DXをてこに新しい仕事の仕方の浸透や行政手続のデジタル化などに取り組み、着実に変革を進めてまいりました。
 今後は、シン・トセイ3の下、これまでの成果を生かし、ユーザーとの対話やデザイン思考を徹底したサービス開発を進めてまいります。また、都庁内外の知恵を融合し、効果的な政策を生み出す、オープンでフラットな組織に進化させてまいります。
 都政のミッションは、都民に質の高いサービスを提供していくことであります。これまでの取組を発展させ、より本質に踏み込んだ改革を展開し、都政のQOSをさらに高めてまいります。
 次に、世界を見据えたスタートアップ政策の推進についてでございます。
 日本が再び世界で存在感を発揮するためには、グローバルに展開するスタートアップを生み出し、その力を経済成長と社会変革につなげる必要がございます。
 東京が先頭に立ってスタートアップ政策を展開しなければ、我が国に明るい未来は訪れない。強い危機感の下、高い目標を掲げ、それを実行する予算、戦略、体制を三位一体で推し進めてまいります。
 来年度、一大支援拠点を整備いたしまして、様々な支援策などをワンストップで提供するとともに、海外とも連携したグローバル市場に挑む資金供給の仕組みをつくり上げてまいります。
 世界に日本のスタートアップの魅力を戦略的に発信するなど、国の五か年計画も踏まえまして、オールジャパンで連携した取組を進め、世界市場で打ち勝つスタートアップを育ててまいります。
 次に、関東大震災百年を契機とした防災意識の啓発についてでございます。
 関東大震災は、死者、行方不明者が十万人を超えるなど、東京を中心に壊滅的な被害をもたらしました。近年では、地震のみならず、気候変動による豪雨災害や富士山などの火山噴火、新たな感染症の流行など、様々なリスクが想定され、これらに対する備えを強化しておくことが重要であります。
 東京を強靱化していくためには、公助はもとより、自助、共助の取組が欠かせません。
 今年を地域防災力の再興元年と位置づけまして、防災意識を高めるための取組を重点的に行います。現代でも生きる関東大震災の教訓を多様な手法により都民に伝えるとともに、防災行動を実体験できる訓練などを通じ、都民や地域の機運醸成に取り組んでまいります。備えよ常にの精神の下、持続可能な首都東京の実現に向け邁進してまいります。
 次に、多摩地域の鉄道ネットワークについてのお尋ねに関してであります。
 多摩地域が活力や魅力ある暮らしやすいまちとしてさらに発展するためには、交通基盤の一層の充実が必要です。
 都は、お話の二路線を含めまして、国の答申において事業化に向けて検討などを進めるべきとされた路線等について、関係者間で連携し、収支採算性の確保に向けた検討などを実施しておりますが、例えば中央線の複々線化で申しますと、事業化には事業主体であるJR東日本の判断が重要なポイントとなります。
 都としては、多摩地域において来年度新たに基礎的な調査を行い、地域内や都市間の鉄道ネットワーク等、交通基盤について現状を把握するとともに、その在り方を検討いたします。
 こうした取組によりまして、多摩地域の交通基盤の強化、ひいては魅力あふれる多摩地域の実現に向け取り組んでまいります。
 次に、世界陸上及びデフリンピックについてであります。
 両大会は、世界の国、地域から多くの選手、大会関係者、メディアなどが東京を訪れることから、世界からの注目が集まり、東京、日本に新たな活力をもたらす好機となります。
 両大会の開催に当たりましては、透明で公正な大会となり、都民、国民の信頼を得ることができるよう、都は今後設立される両大会の運営組織のガバナンス確保に向け関与してまいります。
 両大会の開催を通じまして、芸術文化、食、観光、おもてなしの心など、東京の持つ多彩な魅力を世界に発信し、国際的なプレゼンスをさらに向上させます。また、子供たちに夢や感動を届けるとともに、トップアスリートとの交流など、開催地ならではの大会への参画機会を提供してまいります。
 両大会を成功させ、これらの取組を通じまして、レガシーの創出や都民参画の機会確保を図り、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京の実現を目指してまいります。
 次に、太陽光発電パネルの設置義務化についてのお尋ねでございます。
 条例施行までの二年間は、円滑な制度運用に向けました大切な準備期間でありまして、東京のグリーンシフトを加速する好機として、都民、事業者の理解と共感を育むことが重要です。
 そこで、都は、二〇三〇年カーボンハーフに向けまして、新築建築物への再エネ設備や蓄電池の設置などを安定的かつ継続的に支援するため、この定例会に基金の設置を提案いたしました。これにより、家庭部門で必要な削減量の約三%に当たります三十万トンのCO2削減を見込んでおります。
 その経済効果は、発電コスト低減で約一千三百億円、工事費の直接投資効果で約七百億円など、合わせまして二千億円以上と期待できます。
 加えまして、都は、新制度に関する戦略的な広報や太陽光パネルの維持管理等への専門相談等を継続的かつ効果的に展開をしまして、都民、事業者と一体となって、太陽光発電ムーブメントを加速してまいります。
 エネルギー問題への対応についてでございます。
 都は、エネルギーの大消費地として、その安定確保と気候危機の回避を両立するため、省エネ、節電を徹底するとともに、再生可能エネルギーの地産地消の推進により、脱炭素型の社会経済構造への移行を進めております。
 来年度は、中小企業の幅広い省エネ対策や再エネ設備の導入などへの支援を拡充することで、その経営基盤の安定化を図るとともに、中長期的な事業の発展を後押しいたします。
 一方で、原子力発電を含めた我が国のエネルギー政策は、安定供給や経済効率性、さらには脱炭素化への対応といった多岐にわたる観点を踏まえ、国レベルで議論、検討が行われるべきでございます。
 都として、厳しいエネルギー情勢への対応と脱炭素化の進展に向けまして、電力を減らす、つくる、ためる、HTTの取組を加速させてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 区市町村のデジタルトランスフォーメーションの推進についてでございますが、区市町村のデジタルトランスフォーメーションは、各団体の実情や直面する課題を把握し、ニーズを踏まえ、広域的視点で進める必要があります。
 GovTech構想発表後、区市町村と対話を重ね、人材、システム、調達の共同化など二十四項目の要望をいただきました。新団体設立を契機にデジタル人材を拡充し、アプリ開発や主要二十業務の標準化、共通化のシステム対応など、区市町村の課題に即した支援を拡大します。
 また、ニーズが高いツールやデバイスの共同調達にも取り組んでまいります。
 さらに、来年度稼働する東京データプラットフォームを通じて、区市町村の共通データセットの提供を開始するほか、東京デジタルアカデミーを拡充し、職員のスキルの底上げを図るなどにより、デジタルトランスフォーメーションを強力に後押ししていきます。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 二点のご質問についてお答えいたします。
 まず、大規模災害時における警視庁の対応と業務継続性に対する取組についてであります。
 大規模災害発生時には、警視庁を挙げて被災者の救出救助、公共の安全と秩序の維持等に当たることとなりますが、これらの任務を迅速的確に遂行するため、昨年、その指針となる警視庁大規模災害対策推進プランを改定いたしました。同プランでは、富士山噴火等の想定を追加し具体的な備えを進めることとしたほか、大規模災害発生時における救出救助活動と一般警察活動を確実に両立するため、業務継続性を確保することとしております。
 これを踏まえ、当庁では昨年、業務継続計画の見直しを図り、有事の際に組織が持てる力を遺憾なく発揮できる体制を構築するとともに、長時間稼働可能な非常用発電装置の導入、通信回線の二重化、備蓄の増強など、業務継続性の確保に向けた警察基盤の構築を図っております。
 今後も、大規模災害発生時における各種警察活動の円滑化に向けた取組を推進してまいります。
 次に、都民の期待と信頼に応えていくための治安対策についてであります。
 昨年来、主に関東地方で強盗事件等が連続発生している中、都内においても本年一月に狛江市で強盗殺人事件が発生いたしました。現在、私の指揮の下、事件の全容解明に向けた捜査と幅広い防犯対策を警視庁の総力を挙げて取り組んでいるところであります。
 加えて、都内における昨年の刑法犯認知件数が二十年ぶりに前年比で増加いたしました。その要因の一つに、自転車盗や暴行など主に街頭犯罪が増加していることから、新型コロナの感染状況による人流の増加が一定程度影響したと見られ、今後の動向を注視する必要があります。
 こうしたことを受け、当庁では、被害の未然防止や犯罪発生時の的確な対応を支える防犯カメラの活用、地域社会の安全・安心を支える防犯ボランティア活動の活性化など、都民に不安を与える身近な犯罪の抑止に向けた対策を地域社会や関係機関、団体等と連携しながら鋭意推進しております。
 今後も、安全・安心を求める都民の皆様に思いを致し、諸対策を総合的に推進することで、首都東京の治安維持に邁進してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、発達障害のある都立高校生への支援についてでございますが、都教育委員会は、生徒の学習上、生活上の困難の改善を図るため、障害の状態や特性に応じ、外部人材を活用した授業や学校外でコミュニケーションを学ぶ講座等を実施しております。
 令和五年度は、就労を目指す生徒に対し、産業界等で活躍できる力を育成するため、社会人として必要な対人スキルやビジネスマナー、障害の特性等に応じた業務処理能力などを身につけさせ、就労に結びつけさせる就労支援事業を、民間等を活用して実施いたします。
 こうした取組により、障害による困難を抱える生徒の就労等を支援し、社会で活躍できる人材を育成してまいります。
 次に、グローバル人材の育成についてでございますが、国際社会において多様な人々と協働していくためには、地球規模の課題について学ぶとともに、自国の伝統や文化を理解し、自分の考えを英語で表現できるようにすることが必要でございます。
 都教育委員会は、都立学校の代表生徒を海外に派遣し、英語でやり取りしながら、事前に学習したテーマについて議論を深めたり、互いの国の文化を紹介したりして、現地の高校生と交流する機会を設けてまいりました。
 今後、使える英語力を育成する取組を強化するとともに、海外の生徒と交流する機会を拡充し、日本人としての自覚を一層高めることができるようにしてまいります。
 次に、子供たちの体験活動についてでございますが、今年度実施している子供を笑顔にするプロジェクトでは、全公立学校の八割を超える参加があり、学校からは、コロナの制約の中でも子供が前向きな気持ちになったという反響のほか、体験活動を通じた学びがあったなどと評価する声がありました。
 令和五年度は、引き続き、都内全ての公立学校、私立学校を対象に、学校が日常を取り戻していく中で取組を進め、協調性や積極性、他者理解など子供の豊かな心の育成を図る多様な体験活動の機会を提供してまいります。できるだけ多くの学校、一人でも多くの児童生徒が参加できるよう、積極的な活用を促してまいります。
 次に、学校における不登校対応の強化についてでございますが、都教育委員会は、不登校の子供の社会的自立に向け、一人一人に応じた学びを保障するため、支援のポイントをまとめた冊子を学校に配布し、活用を促してまいりました。
 また、学校において、教室とは別の場で相談に応じながら学習指導等を行う実践研究校を指定し、不登校の子供への対応を行う教員と支援員を配置するなど、子供に寄り添った支援の在り方を検証してまいりました。
 今後、こうした取組の成果を踏まえ、不登校の子供が多い小中高等学校約二百校に、別室で子供に対応する支援員を新たに配置するなど、子供が安心して学べる環境の整備に向けた取組を推進してまいります。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 東京の強靱化に資する道路整備についてでございますが、首都直下地震等から都民を守るためには、災害時に輸送路や避難路、代替路となる道路の整備が重要でございます。
 こうした認識の下、広域的な防災機能の向上に資する骨格幹線道路や山間・島しょ部において地域の孤立化を防止する道路などの整備を推進してまいります。
 例えば、TOKYO強靱化プロジェクトに位置づけた立川広域防災基地へのアクセスを強化する立川三・一・三四号線の事業化に向けまして、来年度は地元市等と調整する会議体を設置し、事業手法等の検討を進めてまいります。
 引き続き、強靱化に資する道路整備を推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光産業の人材確保に向けた支援についてでございますが、東京への旅行者が増える中、その受入れを確実に図るため、観光関連事業者が業務の効率化を進めるほか、現場で必要な人材を採用できるよう後押しをすることは重要でございます。
 これまで都は、業務の効率化につながるデジタル技術を用いた機器の導入に必要な経費に助成を行ってまいりました。
 来年度は、より高度なデジタルの機器やシステムを導入できるよう助成を充実するほか、現場の状況を踏まえ、DXの導入を助言する専門家の派遣を開始いたします。また、今後、観光関連の事業者が確実に人材を確保できるよう、業界の紹介を行うセミナーや合同就職面接会を開催いたします。
 これらによりまして、観光産業の振興を着実に進めてまいります。
 次に、中小企業の人材確保に向けた支援についてでございますが、中小企業が人材を確保するため、採用のノウハウを蓄積するとともに、その仕事の魅力を適切に発信できるよう後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、中小企業の人材確保に役立つ知識をセミナーや専門家の派遣により提供をしてまいりました。
 来年度は、その取組の中で、人手不足の業種が採用を円滑に進め実現した事例等をきめ細かく提供いたします。また、ウェブサイトを通じて、職場のイメージを高める工夫の紹介や、その内容を重点的に特集する対応を行います。さらに、学生がインターンにより中小企業で仕事を経験する機会を拡充いたします。
 これらによりまして、中小企業の人材確保を支援いたします。
 次に、経営改善のための人材の確保、育成支援についてでございますが、中小企業の経営力を高める上で、事業の改善を適切に進める人材を確保するとともに、デジタル対応の優れた担い手となる社員を育成することは必要でございます。
 このため、都は来年度、大企業で新たな事業展開の知識や経験を身につけたシニア人材が、中小企業で円滑に実力を発揮するノウハウを学び、就職する後押しを行います。また、中小企業が従業員のデジタル技術の習得のため必要となる経費への支援に関し、規模を拡充いたします。
 具体的には、民間教育機関に通う講習に加え、新たに社内に講師を招き、オーダーメードで実施する研修も対象といたします。
 これらによりまして、中小企業の経営改善を後押しいたします。
 次に、ものづくり等の新たな担い手の育成についてでございますが、東京の産業の発展を支えるものづくりの担い手や新たな技術に対応できる人材を育成することは重要でございます。
 このため、都は、求職者がものづくりに関心を持つことができるよう、東京しごとセンターの建物内に、作業を学ぶ訓練を見学し体験できる仕組みを持つ訓練校を新設することとし、令和六年度の開設を目指します。
 また、デジタル技術等に対応する人材の育成に向け、来年度、職業能力開発センター赤羽校に関し、環境配慮型の最新の空調システムを操作する実習を導入するとともに、DXを学ぶ訓練の充実に向け施設の建て替えに着手いたします。
 今後も、能力開発の施設や設備の適切な更新に向け、その計画的な整備を進めてまいります。
 次に、中小企業におけるDXの推進についてでございますが、中小企業の経営力を高めるため、計画的にDXを用いた業務改善を図るとともに、デジタル技術を活用した新たな事業展開を進めることが重要でございます。
 このため、都は来年度、DXにより事務手続等を改善する場合の支援の充実を図るほか、中小企業にデジタル化を進めるよう働きかけを行い、専門家が業務の見直しを提案する取組を開始いたします。
 また、中小企業が最新のデジタルを活用した新たな事業展開を図る場合、専門家の助言に基づき、機器等を導入する経費に支援を行います。
 こうした取組によりまして、中小企業のDXを後押ししてまいります。
 次に、多摩産材等の活用の促進についてでございますが、多摩産材や国産木材の利用を進める上で、住宅の資材としての活用を増やすほか、その流通に係るコストを抑えることは重要でございます。
 これまで都は、多摩産材等を利用し、省エネ性能の高い住宅を新築した方に対し、東京の農林水産物などと交換できるポイントを提供しております。来年度から、この取組について住宅をリフォームする場合にも広げます。
 また、都では、木材の問屋が多摩産材等の取扱量の増加に伴い必要となる輸送費に助成を行っております。来年度は、製材業者が工務店に多摩産材の出荷を増やす場合の輸送費への支援も開始いたします。
 これらによりまして、多摩産材等の利用を促進してまいります。
 次に、グリーン水素の製造と普及拡大についてでございますが、東京でゼロエミッションを実現するため、再生可能エネルギーにより水素を生産し活用する具体的な事例を増やすことは重要でございます。
 このため、都は来年度、プラントメーカーの提案に基づき、工場などの敷地の中で水素の生産から活用まで一体的に行う民間の取組を後押しいたします。
 また、都有地において、都がグリーン水素を最先端の技術を用い生産する取組を開始いたします。この生産体制の整備に当たって、グリーン水素の生産から利用までの脱炭素化を見据え、近隣で利用の見込めるエリアを念頭に置き場所を選定いたします。
 これらによりまして、グリーン水素の普及と拡大を先導いたします。
 最後に、アンモニアの燃料としての活用についてでございますが、東京でゼロエミッションを実現するため、CO2を排出しない新たな燃料を活用する技術開発は重要でございます。
 国では、将来のエネルギー需給に関し、アンモニアと水素による発電が一定程度開始すると仮定し、それらが二〇三〇年には電源構成の一%程度を賄う想定をしております。また、アンモニア等の燃料を使ったゼロエミッション船の商業運航を目指す方針も示しております。
 こうした中、都は、アンモニアなどの脱炭素に役立つ新しいエネルギーの活用を図るため技術開発に対し支援を行っており、来年度、この取組の拡充を図ります。
 これによりまして、新たなエネルギーの活用を後押しいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、維持管理も考慮した公共調達の在り方についてでございますが、都有施設は都民サービスの拠点であるとともに、災害発生時には防災拠点となるなど、重要な役割を果たしております。
 こうした都有施設におきましては、将来にわたり十全にその機能を発揮できるよう、設計、工事の段階から日常の点検や更新周期を踏まえた改修などの維持管理が適切に行えるよう取り組む必要がございます。
 そのため、設計段階における保全やライフサイクルコストの視点に着目した提案の反映や、保守性向上に資する整備手法の在り方など、必要な契約制度上の対応について引き続き検討を進めてまいります。
 次に、都有施設の維持更新についてでございますが、都有施設の維持更新に当たりましては、計画段階からライフサイクルコストを意識した維持更新を図っていくことが重要であり、都はこれまで、主要施設十か年維持更新計画を策定し、計画的な維持更新を実施してまいりました。
 また、日常的な維持管理につきましては、劣化の程度が軽微な段階で修繕を施し、効率的に長寿命化を図っていくことが必要であり、こうした取組に関する職員への定期的な講習会や維持修繕に係るサポートを実施しております。
 今後とも、定期的、長期的な維持更新、管理を適切に推進してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新耐震基準の住宅の耐震化についてでございます。
 首都直下地震等による倒壊被害を軽減するとともに、震災後の継続的な居住を実現する上でも、新耐震基準の木造住宅の耐震化を進めることは重要でございます。
 このため、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅に対し、来年度から新たに耐震化助成を開始いたします。さらに、耐震キャンペーンなど普及啓発を行うとともに、建築士等の専門家や区市町村等による所有者への個別訪問を実施いたします。
 こうした取組により、新耐震基準の木造住宅の耐震化を進め、強靱で持続可能な都市を実現してまいります。
 次に、建築物における液状化対策についてでございます。
 都市の強靱化を進めるためには、木造住宅等への液状化被害を低減し、都民の生活再建が早期に図られるよう取組を強化していくことが重要でございます。
 このため、液状化の可能性が高い地域において戸建て住宅の敷地を選定し、地盤調査により状況を把握した上で、複数の対策工法の費用や有効性等を検証してまいります。その結果を基に、区市の取組を含む現状や課題を把握し、支援の在り方など具体的な促進策を検討いたします。
 こうした取組に加え、アドバイザー制度の拡充を図り、液状化対策の取組を一層推進してまいります。
 最後に、高台まちづくりの今後の取組についてでございます。
 東部低地帯等では深刻な水害被害が想定されており、安全性の高い高台まちづくりを加速させることが重要でございます。
 都は、国と策定したビジョンを踏まえ、強靱化プロジェクトの下、長期までを見据えた施策を展開いたします。
 具体的には、来年度から公共施設等の垂直避難先から浸水区域外への避難経路整備を行う地元区への新たな支援を開始いたします。中長期的には、救急救助等の機能も担う高規格堤防が整備されるよう、荒川、江戸川、多摩川において、国と連携し実効力を伴う新たな仕組みの検討を進めます。
 今後も、強靱な東京の実現に向け、取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、町会、自治会の防災力強化についてでございますが、町会、自治会は共助の中核を担っており、地域防災においても要となる存在でございます。
 そのため、これまで都は、住民の安否確認や要配慮者の避難所への誘導、集会施設での炊き出しといった防災訓練等を地域の底力発展事業助成により促進してまいりました。
 来年度はこれに加え、関東大震災百年の節目を契機に、各町会、自治会が災害への装備を見直し、必要な防災備蓄品を購入する際の経費を支援いたします。
 こうした防災対策の取組への支援を通じて地域の防災力向上を図るとともに、町会、自治会活動のさらなる活性化につなげてまいります。
 次に、私立中学生の授業料負担軽減についてでございます。
 私立学校は、それぞれの学校の建学の精神に基づき、個性的で特色ある教育を展開しており、東京の公教育において重要な役割を担っております。
 都内では、中学生の四人に一人が私立中学に通っており、全国平均の三倍を上回ります。また、多くの私立学校で中高一貫教育を推進しております。
 今般、国が行っていた中学生への支援事業が終了したことを踏まえ、教育費負担を軽減することで、厳しい家計状況でも学校選択の自由度を高められるよう、子育て世帯に寄り添った支援として、都が独自に授業料の一部を助成することといたしました。
 次に、地域の芸術文化活動への支援についてでございます。
 身近な地域での文化活動の活性化は、地域のにぎわいの創出にもつながるため、きめ細かな支援が重要でございます。
 そこで、地元の方々が意欲を持って活動できるように規模を拡充するとともに、来年度から多くの人が参加できる取組には新たに二百万円の区分を設定するなど、支援を強化いたします。
 事業の開始に当たり、今年度立ち上げた区市町村とのネットワークを活用し、公共施設などでのポスターの掲出のほか、これまで文化事業に参加いただいた団体に情報提供を行うなど、きめ細かく対応いたします。
 こうした取組を通じ、地域における多様な芸術文化活動がさらに活性化するよう、後押しを行ってまいります。
 次に、伝統文化、芸能の普及支援についてでございます。
 伝統文化や芸能の魅力を伝えるためには、鑑賞にとどまらず、体験し理解を深めてもらうことが重要でございます。
 そのため、都は、伝統芸能活動体験助成を通じ、初めての人も参加しやすく、継続的に実技体験ができるような伝統芸能の普及に取り組む団体への支援を開始いたしました。
 また、本年度からは、現役世代の都民に実際に三味線の演奏や日本舞踊の所作などを学んでもらう体験型の事業を開始し、多くの参加者から、本格的に習いたい、理解が深まったなどの声が寄せられ、好評を得ております。
 来年度は会場を増やし、さらなる体験の機会を設けるなど、今後も、伝統文化、芸能の普及に向けて取組を推進してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 応急対応に係る計画の見直しについてでございますが、地域防災計画をはじめとする各種の防災計画は、近年の災害発生状況や全国の被災自治体における教訓等を踏まえて、不断の見直しを図ることが重要でございます。
 都では、熊本地震の教訓等を踏まえ、都政のBCPを改定するとともに、全国の自治体と円滑な連携を図るため、東京都災害時受援応援計画を策定いたしました。
 一方、近年、甚大な被害をもたらす風水害が発生しております。災害の種類や被害状況等により、職員の参集状況や優先業務の種類等は大きく異なるため、今年度、これらの計画の見直しに着手いたしました。
 こうした取組によりまして、大規模風水害対策の実効性を高めてまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 下水道事業における風水害への対策についてでありますが、区部では、目標整備水準を年超過確率二十分の一規模、時間七十五ミリ降雨に対応するため、浸水の危険性が高い六十七地区を重点化し、施設整備に取り組んでまいりました。
 今後、来年度改定予定の東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、気候変動に伴う一・一倍の降雨量に対応するため、関係各局と連携した対策をさらに進めてまいります。
 また、万が一、大規模地震により堤防等が損傷した場合の大型台風の襲来に備え、高潮等に対して下水道機能を確保するため、施設の耐水化をレベルアップしてまいります。
 多摩・島しょ地域では、市町村が管理する公共下水道の強化促進のため、技術支援に加え、浸水対策などを対象に来年度から新たな補助制度を創設いたします。
 今後も市町村と一体となって下水道施設の強靱化を図ってまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 大規模水害に係るソフト対策の充実についてでございますが、都営地下鉄では、大規模水害が発生した際にも迅速かつ的確に対応できるよう、お客様の避難誘導訓練や浸水対策施設を活用した自然災害対応訓練など、日頃から多様な訓練を積み重ねております。
 また、被災状況に応じて一部の区間からでも運行再開できますよう、今般、車両避難や施設の復旧に係る手順を取りまとめたところでございまして、訓練を通じて実効性を高めるとともに、施設整備の進捗に合わせ随時見直してまいります。
 さらに、被災後の円滑な復旧に資するよう要員や資機材の調達における支援など、他の鉄道事業者との相互協力体制の構築に向けて協議を進めてまいります。
 こうした様々な取組を通じ、大規模水害発生時の対応力を高め、浸水対策に万全を期してまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 救急車の適時適切な利用等に向けた取組についてでございますが、昨年は、救急出場件数及び活動時間が過去最多、最長を記録するなど救急搬送体制が逼迫したほか、シャープ七一一九の救急相談受付件数も過去最多を記録いたしました。
 このため、東京消防庁では、非常用救急隊を臨時で編成し対応したほか、救急車の適時適切な利用を強く都民に呼びかけるなど緊急的な対応を行ってまいりました。
 今後は、救急隊の計画的な増隊や柔軟な救急相談受付体制の構築などによる救急需要対策を強化してまいります。さらに、救急出場逼迫時における一一九番通報段階での傷病者の緊急度に応じた対応など既存の枠組みにとらわれない新たな対応策の検討も進め、真に救急車を必要とする都民に迅速に対応できるよう努めてまいります。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、島しょ地域に係る海上貨物運賃補助についてでございますが、都は来年度、伊豆諸島の各町村が経済活性化に資すると判断して選定した生産品に関し、国制度を活用して、その海上輸送費を補助する事業を新たに実施いたします。
 具体的には、加工品や梱包資材等も含めた全ての生産品の中から、各町村が国の制度にのっとり自主的に指定した五品目を限度として補助を行います。補助率は原則八割としますが、来年度は原油高騰等の影響を踏まえ、全額補助といたします。
 また、国制度の対象外である小笠原諸島では、令和六年度の特措法改正に向けて加工品等の輸送実態の把握のため調査を実施いたします。
 今後とも、都は、地元と連携しつつ、産業振興に取り組んでまいります。
 次に、東京港の脱炭素化についてでございますが、脱炭素化を進めるには、都はもとより、CO2排出量の多くを占める民間事業者の活動の脱炭素化が必要でございます。
 そこで都は、事業者との意見交換の場を設け、関係局と連携しながら、都の支援制度の活用を促すなど、事業者の実情に沿って脱炭素化の取組を具体化してまいります。
 加えて、水素エネルギーへの転換に向け、来年度から燃料電池に換装できる荷役機械の導入を支援するとともに、既存の荷役機械へ水素を充填し稼働させるプロジェクトも実施いたします。
 今後、国にも支援を求めながら、民間事業者としっかり連携して脱炭素化を進め、世界から選ばれ続ける港湾を実現してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンションの管理についてでございますが、管理の良好なマンションが適正に評価される市場の形成に向け、管理計画認定制度の早期の普及が重要でございまして、都はこれまで、実施主体である区市の制度導入を支援するとともに、都民向けのセミナーの開催等によりまして普及啓発に努めてまいりました。
 今後、制度の一層の普及に向けまして、来年度から区市がマンション管理士の団体と連携して実施いたしますマンション管理会社向けの出前講座の開催や、管理会社による管理組合に対する認定取得に向けた働きかけ等に対しまして費用の一部を補助し、区市における制度導入と良好な管理がなされたマンションの認定の取得を加速してまいります。
 次に、東京こどもすくすく住宅認定制度についてでございますが、次代を担う子供たちを育む基盤整備は重要でございまして、都はこれまで、子育て支援住宅認定制度により子育て世帯に配慮された住宅を供給する事業者を支援してまいりました。
 来年度、供給を加速させるため、幅広い事業者による取組を促すよう認定モデルの多段階化など制度を再構築するとともに、専有部や居住者間の交流機会の創出にもつながるキッズルームなど共用部への直接補助を行います。
 認定マークにより認知度を高め、住宅の情報を区市町村等と連携して子育て世帯に提供いたしまして、子育てに適した設備が備わり、また、コミュニティ形成に配慮された良質な住宅の選択が都内全域で可能となるよう取り組んでまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) こども未来アクションについてでございますが、このアクションの策定の過程におきましては、子供食堂など地域の居場所におけるヒアリングやSNSを活用したアンケート等を通じて、二千五百人を超える子供から生の声を聴取してまいりました。
 例えば、自由に遊べる場所がもっと欲しいといった声が具体的にどのように施策に反映されたのか、イラストを活用しながら子供に分かりやすい言葉で記載するとともに、子供の生の声を見える化いたしました。
 今後、こども未来アクションを題材に、引き続き、地域の居場所におけるヒアリング等を行うとともに、子供版都政モニターを創設いたします。また、デジタル手法も活用しながら子供との対話を実践し、多様な意見を反映させることで子供政策のバージョンアップを図ってまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、児童相談所の人材確保、育成についてでございますが、都は、意欲ある人材を継続的に確保するため、昨年度から専任チームを設置し、大学等への訪問やインターンシップなど採用活動を展開しています。
 今年度から経験者向けの試験を実践的な能力を重視する内容としたほか、来年度は新規採用の対象年齢を三十九歳まで拡大します。
 また、専門性の高い人材を育成するため、トレーニングセンターにおいて新任職員向けに面接技法の習得等の研修を実施しており、来年度は配属三、四年目の職員まで対象を拡大します。さらに、組織の中核を担う職員がリーダーとして能力を発揮できるよう、マネジメントやコーチングなど研修内容も充実いたします。
 こうした取組により、児童相談所のさらなる体制強化を図ってまいります。
 次に、自殺対策についてでございますが、自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っており、都は、来月公表予定の次期東京都自殺総合対策計画で、若年層の自殺防止など六項目を重点項目として位置づけ、生きることの包括的な支援として自殺対策を強化いたします。
 学生など若年層の自殺者数が増加傾向にあることから、来年度、動画コンテンツを新たに作成し大学の講義等での活用を促していくほか、検索連動型広告の充実などデジタル技術を活用した普及啓発を一層強化してまいります。また、新たに自死遺族の相談窓口を設置し、様々な問題に直面する遺族を早期から支援してまいります。
 今後、関係各局と連携しながら次期計画を着実に実施し、幅広い分野で自殺を防ぐための取組を推進してまいります。
 次に、在宅医療体制についてでございますが、増大する在宅医療のニーズに対応していくためには、地域の医療と介護の関係者が相互に連携して切れ目のない支援体制を構築することが重要でございます。
 都は、在宅医療を推進する区市町村への支援や、医師、看護師、介護職など、多職種の人材育成等に取り組むとともに、在宅療養患者を支援する体制を構築するためのプロセスや好事例を盛り込んだ区市町村向けの手順書の作成を進めてございます。
 来年度は、在宅医療の担い手である地区医師会とも連携し、往診医療機関の活用や、デジタル技術の導入による二十四時間の診療体制の構築を進めるなど、地域における在宅医療体制のさらなる充実を図ってまいります。
 最後に、医療的ケア児の短期入所についてでございますが、医療技術の進歩により多くの医療的ケア児が在宅で生活を送っており、家族の一時的な休養等のため医療的ケア児を医療機関等で預かる短期入所の拡充が必要でございます。
 このため、都は、医療の必要性が高い重症心身障害児のための病床確保や看護職員配置の補助事業について、来年度から医療的ケア児も対象とするとともに、福祉職の配置にも加算を行います。また、受入れに際し新たに必要となる医療機器の整備についても支援をしてまいります。
 今後、より多くの医療機関等で取組が進むよう、受入れのノウハウを学ぶための講習会を開催するほか、新規開設に向けた個別相談対応や働きかけを行い、短期入所の整備を促進してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 感染症対策に係る今後の取組に関するご質問にお答えいたします。
 新型コロナの発生以降、都の感染症対策はコロナ対策に重点的に対応してまいりましたが、今後はこの経験も生かし、他の感染症にも積極的に取り組むことが重要でございます。
 近年、若年層を中心に急増している梅毒につきましては、来月緊急対策として、都内四か所での即日検査や、感染経験者の体験等を伝える動画配信、SNSや地下鉄での広告、医療従事者向け研修など、普及啓発を強化いたします。また、保健所での梅毒やHIV検査をコロナ禍前の水準に戻すなど、体制を整えてまいります。
 高齢化に伴い発症リスクが高まる帯状疱疹につきましても、来年度からワクチン接種に取り組む区市町村を支援いたします。
 今後、専門家や地域の関係者と連携し、感染症対策のさらなる強化を図ってまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) 通信基盤のさらなる強靱化についてでございますが、デジタル社会において通信は不可欠なインフラであり、多重化や安全性の確保などにより、強靱な通信環境を整えていく必要があります。
 このため、都は、安全で利便性の高い国際規格、オープンローミングWi-Fiを広く公共施設などに導入することを有識者などが参画する協議会で検討してまいります。来年度は、都市強靱化に向け、先行して災害時の拠点となる都立学校など約三百三十か所を対象に整備を進めてまいります。
 また、通信困難地域での基地局整備支援の拡充や衛星通信活用の実証を進めるとともに、島しょ地域の通信を支える海底ケーブルの強靱化対策工事を行うなど、つながる東京の実現に取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、既存集合住宅の脱炭素化の推進についてでございますが、カーボンハーフの実現には、約七割の都民が住む集合住宅特有の事情を踏まえた対策が必要でございます。
 このため、都は、特に省エネが進みにくい賃貸集合住宅の断熱改修の支援事業を今年度実施してございます。今後、本事業参画の家主、借主双方の意見を見える化し、改修意欲を掘り起こしてまいります。
 また、再エネによる建物全体の脱炭素化のため、再エネ電気の利用を条件とした高圧一括受電設備の導入支援等を開始いたします。
 さらに、ZEVの普及を見据え、機械式駐車場への充電器設置補助を強化するなど、集合住宅の脱炭素化を加速させてまいります。
 次に、事業者に対する実効性ある支援についてでございますが、住宅の脱炭素化に向けて、建物の環境性能の決定に影響を持つ住宅供給事業者の取組を促すことが重要でございます。
 都は、先般開始した助成事業によりまして、住宅メーカー等による断熱性能等が高く太陽光パネルを搭載した住宅モデルの開発や、地域工務店による設計、施工技術の向上を支援し、業界全体で底上げを図ってまいります。加えて、住宅メーカー等へ再エネ機器等を一括補助する新たな仕組みを構築し、計画的な取組を加速してまいります。
 支援策を効果的に展開し、都民が健康で快適な住環境を享受でき、防災力の高い都市づくりに貢献してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

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