令和四年東京都議会会議録第十八号

○副議長(本橋ひろたか君) 九番桐山ひとみさん。
   〔九番桐山ひとみ君登壇〕

○九番(桐山ひとみ君) ミライ会議の桐山です。
 東京には、国全体を覆う停滞を突破する力があると確信をしています。そのためには、東京の改革を成し遂げ、明治維新以来の過度な中央集権、縦割りや多重行政を改める必要があります。
 改革は、政策ではありません。政策をどう実施するかの仕組みを変えることです。都民のための、都民による、都民の都政を基本とした行財政改革と情報公開が必要です。
 都庁や都議会の意思決定過程を透明化していくことが第一歩と考え、議会改革でも、議会運営委員会をはじめとする全ての委員会のネット中継は当然のこと、理事会協議の都民への説明など、情報公開にも取り組んでまいります。
 まず、中止を求めている英語スピーキングテストについて質問します。
 実施前から、スピーキングテストの運営に問題があるとの指摘が続いていますが、都教育委員会は、着実に準備をしており、確実に実施すると説明をしてきました。
 知事は、大きなトラブルはなかったと話しておられますが、知事は、誰から、どのような情報に基づいて、何を根拠として、大きなトラブルはなかったと発言をされたのか伺います。
 仮に、ご発言の意図が、中止にならずに開催をできたということならば、実際に現場で発生したトラブルや中学校の学習指導要領から逸脱した出題問題などの重大事案が無視されたことになります。
 受験生から意見や困り事の声が届いています。受験生の意見も聞かず、事実確認もせず、このまま公正な採点ができるのか、このまま都立高校の活用を実施するのか、お答えください。
 昨年のプレテストは五百六十会場で実施され、そのうち五百五会場が中学校でした。今回の会場は全て都立高校等の外部会場です。
 到達度を測る試験として、英検や漢検は中学校で実施できるのに、なぜ今年度の英語スピーキングテストの会場を中学校で行わなかったのか、その理由について伺います。
 教育委員会は、英語スピーキングテストの根拠は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の東京都教育施策大綱に基づく知事の肝煎り施策のように述べましたが、大綱に英語スピーキングテストの記述はありません。また、大綱の施策の実施権限と責任は、公立中学校は教育委員会に、私立中学校は知事にあります。
 英語スピーキングテストの実施及び都立高校入試への活用は、東京都教育施策大綱に基づく知事肝煎り施策なのか。また、大綱に基づく英語スピーキングテストを私立中学の三年生に実施してこなかった理由を知事に伺います。
 教育委員会は、今年九月に希望する国立、私立の中学生にも受験を認める方針に変更しました。しかし、私立中学校の所管は教育委員会ではなく、生活文化スポーツ局です。
 国立、私立中学校の都立高校志願者に対して、英語スピーキングテストを受験できるようにすべきだという要望はどこからあったのか。また、それは国立、私立中学校の英語の授業に役立てるためなのか。教育長及び私立中学校を所管する生活文化スポーツ局長に伺います。
 都立高校入試の所管は教育委員会です。英語スピーキングテストを受験しなければ零点になる公立中学校の生徒と、受けなくても零点にならずに仮想得点が与えられる国立、私立の中学校の生徒への対応は、憲法第十四条第一項の平等の原則違反ですが、知事の見解を伺います。
 英語スピーキングテストが都教委の都立高校入試事務なら、都立高校志願者だけに受験させ、また、都立高校志願者全員に公平に実施すべきであり、さらに、中学校が作成する調査書に英語スピーキングテストの成績を記載させるべきではないと考えますが、見解を求めます。
 教育委員会制度の政治的中立は、地域住民の意向の反映、住民による意思決定の確保が前提ですが、英語スピーキングテストの検討及び英語スピーキングテスト都立高校入試への活用に当たって、地域住民の意向の反映や住民による意思決定はどのように行われたのか伺います。
 入学試験の在り方は子供の権利義務に関わる重要事項ですが、教育委員会で決定していないのは、教育委員会制度の特性である合議制を無視するものではないか伺います。
 説明責任を果たすために情報公開が不可欠です。英語スピーキングテストに関する資料は、ベネッセの利益よりも受験生の権利や公教育、都立高校入試の適正の確保という公益上の理由を優先して、公表すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 また、会場を提供する都立高校からの質問、要望の記載欄もノリ弁となっている理由を伺います。
 監査委員は、地方自治法第百九十九条第二項により、教育委員会の英語スピーキングテストに対して、財務監査、行政監査を実施する権限があるのか、また、権限があればそれを発動すべきと考えますが、常勤の監査委員に見解を伺います。
 監査委員は、平成三十年四月一日施行の地方自治法で、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができると改正をされました。
 東京都監査委員条例第二条は、議員のうちから選任する監査委員の数は二人とするとありますが、賛否が分かれる政策の監査の公正を期するため、監査委員全員を中立的、専門的な有識者とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会について質問します。
 デフリンピック開催を歓迎します。他方で、東京二〇二〇大会をめぐる招致段階の招致委員会及び嘉納治五郎財団の不明朗な経理、実施段階のスポンサー契約をめぐる贈収賄など、不祥事が相次いでおり、二〇三〇年の札幌招致などで繰り返してはいけません。
 東京都として、招致段階、実施段階の不祥事について、しがらみのない第三者による調査を完全に透明化をして行うべきと考えますが、見解を伺います。
 オリンピックは、都市再開発の名目として使われてきました。神宮外苑地区は風致地区等に指定され、高い建物が建てられない地区でしたが、都は、二〇一一年に神宮外苑のスポーツクラスター構想を公表し、これを実現するために、国立競技場の建て替えを契機として、計画的に高さ制限の大幅な緩和を続け、今日の神宮外苑の環境問題をもたらしています。
 オリンピックの東京開催が決定したのは二〇一三年九月ですが、日本スポーツ振興センターの公募条件である高さ七十メートルを超え、八十メートルと目された新国立競技場ザハ案が選定されたのは二〇一二年十一月、神宮外苑地区地区計画決定で、新国立競技場が立地するA—2地区の高さ制限が七十五メートルに変更されたのは二〇一三年六月です。建設された隈研吾氏の設計の新国立競技場の高さは四十九メートルです。
 東京都の佐藤広副知事と安井順一技監が衆議院議員会館に森喜朗氏を訪問されたのが二〇一二年五月ですが、その際どのようなお話をされたのか伺います。
 また、IOCの東京二〇二〇大会決定前に、新国立競技場が立地する神宮外苑のA—2地区の高さ制限を七十五メートルに、A—4地区の高さ制限を八十メートルに変更した理由を伺います。
 組織改革の質問です。
 都を退職した方の民間等への再就職に賛成ですが、民間の方々の再就職と公平でなければなりません。都の退職管理は、都庁と団体の癒着、補助金や指定管理者の不公正な決定や税金の無駄遣いなど、天下りの弊害にあまりにも無頓着です。知事は天下りの弊害についてどう考えているのか伺います。
 都は、退職管理条例の例外として、規則の別表で令和二年度で働きかけ規制適用除外団体百七団体、適材推薦団体百二十四団体を指定しており、これでは例外が原則となった天下り天国です。
 働きかけ規制適用除外団体及び適材推薦団体のうち、政策連携団体で働いている都の退職者の人数、政策連携団体に都が支払っている補助金などの総額は幾らか伺います。
 天下り天国の元凶である退職管理条例第六条を削除すべきですが、知事の見解を伺います。
 最後に申し上げます。六年前、私たちは都民から都政改革の期待を受けて議席をいただきました。この原点を貫いてまいります。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 桐山ひとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、スピーキングテストの実施状況についてでございますが、都教育委員会は、テスト終了時に事業者及び配置した都職員からの報告により、解答に影響を与えるようなトラブルがなく行われたことを確認し、知事に報告しています。
 次に、スピーキングテストの実施状況に関するもう一点のお尋ねについてですが、都教育委員会は、テスト終了後に区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、解答に影響を与えるような事例の報告を中学校から受けていないことを確認しています。
 先月行ったスピーキングテストは適切に実施されており、都教育委員会は、都立高校入試においてその結果を活用していきます。
 次に、スピーキングテストの会場についてですが、スピーキングテストの会場は平成三十一年二月に発表した実施方針において、公平、公正な環境で実施するために、島しょ部を除き中学校以外の外部施設を利用することとしています。
 次に、スピーキングテストの実施と都立高校入試への活用についてですが、都教育委員会では、教育施策大綱で示されたグローバル人材の育成に向けて、四技能の習得を通じた使える英語力の育成を重視した施策を展開しており、スピーキングテストもこうした取組の一つです。
 スピーキングテストは、授業で学んだ内容の到達度の確認や英語指導の充実を図ることを目的として、都教育委員会が都内の公立中学校の三年生を対象として実施するものです。私立中学校の生徒のうち、都立高校の受検を検討する生徒は、スピーキングテストを受験することができます。
 次に、国立、私立中学校の生徒の受験についてですが、国立、私立中学校の生徒のうち、都立高校の受検を検討する生徒はスピーキングテストを受験することができます。
 なお、こうした国立、私立中学校の生徒の取扱いに関する要望は受けておりません。
 スピーキングテストにおける国立、私立中学校の生徒への対応についてですが、国立、私立中学校の生徒のうち、都立高校の受検を検討する生徒はスピーキングテストを受験することができます。また、テストの実施日以降に都立高校への志願を決定することとなった生徒については、著しく不利にならないよう、不受験者の措置を行います。
 こうした対応は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては、合理的で最善の方策であります。
 次に、スピーキングテストの実施についてですが、スピーキングテストは、都内の公立中学校の三年生全員を対象にアチーブメントテストとして実施するものであり、都立高校入試事務ではありません。
 また、国立、私立中学校の生徒の受験については、先ほどご答弁したとおりでございます。
 都立高校入試においては、スピーキングテストの結果を調査書に記載することを求めています。
 次に、スピーキングテストの実施等についてですが、都教育委員会は、平成三十年二月にスピーキングテストの実施や都立高校入試への活用に関する施策を含むグローバル人材育成計画の策定に当たり、パブリックコメントを行っています。
 また、スピーキングテスト事業や都立高校入試への活用における関連予算については、これまで都議会での審議を経て、議決で承認いただいております。
 入学者選抜に関する教育委員会での決定についてですが、入学者選抜に関する事務は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などに基づき、教育委員会が管理し、執行いたしますが、都教育委員会の権限に属する事務に係る決定権限は、東京都教育委員会事案決定規程に基づき、教育長などに合理的に配分されています。
 スピーキングテストに関しては、事務局における決定後、教育委員会に適宜報告をしており、教育委員と議論を重ね、適切に事業を執行しております。
 次に、スピーキングテストに関する資料の開示についてですが、資料を公にすることにより、スピーキングテスト事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものなど以外は開示をしております。
 スピーキングテストの会場についてですが、会場予定となる都立高校の調査の一部については、事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、非開示としております。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 英語スピーキングテストについてでありますが、当局としては、私立中学校の生徒の取扱いに関する要望は受けておりません。
   〔監査事務局長小室一人君登壇〕

○監査事務局長(小室一人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地方自治法第百九十九条第二項に基づく監査についてでございますが、監査委員は、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務の執行について監査をすることができるとされております。
 また、監査の実施に当たりましては、同法第百九十八条の四の規定に基づき、監査委員は、東京都監査委員監査基準を定め、この基準により、監査委員が毎年定める監査基本計画等に基づき監査を実施することとしております。
 次に、監査委員の選任についてでございますが、地方自治法第百九十六条第一項におきまして、監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、識見を有する者及び議員のうちから、これを選任すると定められております。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 東京二〇二〇大会についてであります。
 招致活動は、都と招致委員会が役割分担の上、行っていたものでありまして、国際招致プロモーション活動は招致委員会が担当し、都からは公費も支出してございません。
 なお、海外コンサルタントとの契約につきましては、JOCの調査チームにより、法令等への違反を見いだすことはできないとの結論が示されております。
 また、組織委員会元理事に係る事件につきましては、既に起訴されており、捜査により事実関係が明らかにされるものと考えております。
 テストイベントの契約につきましては、既に調査チームを立ち上げ、関係局の助言を得ながら調査を実施しており、今後、中間のまとめを公表する予定となっております。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、神宮外苑地区における関係者への説明についてでございます。
 平成二十四年五月に当時の日本ラグビーフットボール協会会長であった森喜朗氏に対し、都から神宮外苑の再整備について説明した記録があり、都市整備局のホームページで公表しているとおりでございます。
 次に、神宮外苑地区における都市計画についてでございます。
 平成二十四年三月に国が策定したスポーツ基本計画において、日本スポーツ振興センターは、国立霞ヶ丘競技場等の施設の整備、充実等を行い、オリンピック、ワールドカップ等、大規模な国際競技大会の招致、開催に対し支援すると定められました。
 同センターは、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会の開催に向け、国立競技場を建て替えるとともに、スポーツクラスターとして地区一帯の再整備等を進めるため、同年十二月、高さ制限などを含む地区計画の企画提案書を都に提出し、都はこれを踏まえ、必要な手続を経て、翌年六月に都市計画決定をいたしました。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、職員の退職管理についてでございますが、職員の再就職について、都民から公正な都政運営が損なわれるといった疑念を持たれることがあってはならないと考えております。
 都においては、退職管理条例に基づき、外部有識者による退職管理委員会の設置や利害関係企業等への求職活動の禁止、再就職情報の公表などを行い、再就職の公正性、透明性を確保してございます。
 次に、政策連携団体についてでございますが、政策連携団体で常勤役職員として勤務している都職員関係者は、令和四年八月現在、都からの派遣者が約千四百名、都を退職して再就職した者が約六百四十名となっております。
 また、都からの補助金等の総額は、政策連携団体を通じて都民、事業者等に対して交付される補助金や、都民サービスの向上、効率的な事務執行を確保するための委託料など、令和三年度決算額で約二千四百二十五億円でございます。
 最後に、退職管理条例についてでございますが、都を退職した職員がこれまで培ってきた知識、経験、能力を社会に還元することは有意義でございます。
 そうしたことから、外部有識者で構成する退職管理委員会への諮問を経た上で、退職管理条例第六条に基づき、適材推薦団体への職員の推薦や、営利企業等からの求人の申込みに対する人材情報の提供を行ってございます。
 今後とも、退職管理について厳格な運用を図ってまいります。

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