令和四年東京都議会会議録第十八号

○副議長(本橋ひろたか君) 八十四番谷村孝彦君。
   〔八十四番谷村孝彦君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十四番(谷村孝彦君) 都が新たなビジョンとして多摩の将来像二〇〇一を策定し、二十年が過ぎました。それまでの三多摩格差の解消という、常に二十三区との比較をして発展を目指すというスタンスを改め、自立した多摩を構築していくという画期的なものでありました。
 多摩の人口四百万人は、都道府県別人口ランキングで換算すれば、当時の人口も、現在も、静岡県より上の第十位に入るからであります。
 古今東西、国家の都を起点として放射線状に交通網が整備され、それに沿って経済圏、生活圏、文化圏が構築されてきました。自立した多摩を築くためには、大都心という強烈な引力を生かしながらも、南北交通の整備が必要不可欠であり、この二十年間、圏央道や多摩南北道路主要五路線が着実に整備されてきました。
 一方、公共交通機関の整備としては、四十年前に公明党が、全長九十三キロメートルに及ぶ、多摩地域を循環するモノレール構想を打ち出しました。これは多摩の山手線であり、私は多摩の手線と呼んでおりますが、現在、その構想の一七%が開通しております。
 先日、箱根ケ崎への延伸に向けた都市計画素案の説明会が、武蔵村山市、東大和市、瑞穂町で開催されました。
 小池知事はこれまで、一万名署名などを推進されてきた、モノレールを呼ぼう!市民の会の米原義春会長、澤田泉副会長にも直接お会いしてくださり、施政方針演説や所信表明演説で、幾度も多摩都市モノレールの箱根ケ崎への延伸について言及されております。
 自立した多摩を構築していく上で、多摩都市モノレールは、欠くことのできない交通インフラであります。
 箱根ケ崎への延伸実現に向けて、今後の取組と開業時期の見通しについて、知事の見解を求めます。
 我が国における重要課題は三つ、一に教育、二に教育、三に教育。これは、十年間にわたって英国を牽引した宰相トニー・ブレアの公約演説の有名な一文であります。国家や都市の発展にも、国民、都民の皆様の暮らしをよくするためにも、教育こそがその鍵を握っております。
 東京都では、都議会公明党の推進で、二〇一七年度から私立高校授業料の実質無償化をスタートさせ、その後、所得制限を緩和。その対象も通信制高校まで拡大し、全国にも波及しました。どの高校に進学するかは、人生の進路を大きく左右することにもつながります。
 スタートして五年になりますが、現在、課題もあります。それは、四月から十二月までは授業料を一旦納入し、九か月後にようやく補助金が支給されるという仕組みであり、これが保護者の負担となっております。
 これまで都議会公明党は、再三にわたり、代表質問でこの解消を求めてまいりました。来年度からの支給早期化に向けて、明確な答弁を求めます。
 次に、都立高校についてであります。
 来春の入学試験で合否判定に反映される英語スピーキングテスト、いわゆるESAT-Jが、先月二十七日に初めて実施されました。各種報道でも大きく取り上げられましたが、その実施状況について、教育長の答弁を求めます。
 今回初めて実施されたESAT-Jは、英語教育の在り方を大きく転換するものとなりました。昨年には都内約八万人の中学三年生を対象にプレテストが実施されており、その以前から、既に、中学校における英語教育も、聞く、話す、読む、書くという四技能習得への取組に大きくかじが切られております。
 そこで、最も重要なことは、中学校の英語教育に及ぼしたインパクトを踏まえて、都立高校の英語教育が、それにふさわしいレベルになっているのかどうかということであります。最低でも、全ての都立高校でオンライン英会話の授業を導入し、英語検定試験の活用も対象校を拡大するべきであります。
 都立高校の英語スピーキング教育の強化策について、明快な答弁を求めます。
 次に、都の工事契約でのダンピング防止策について質問します。
 工事契約での最低制限価格は、不当なダンピングを防ぐため、国も都も、予定価格の九二%を上限に設定されております。
 都議会公明党の要請を受け、都は、本年七月、最低制限価格の算出式における一般管理費が占める比率を、国に準じて引き上げたところであります。
 一方、国は、一般管理費の比率を引き上げても、最低制限価格の上限設定の見直しは見送り、都もこれに追随しておりました。
 しかし、都には、国とは異なり、中小企業の保護を目的とした予定価格の事前公表制度があります。新たな比率に従い一般管理費を見積もっても、事前公表案件では、最低制限価格の上限比率が従来と変わらないため、ダンピング対策の効果が発揮されず、応札価格が頭打ちとなってしまい、都議会公明党は改善を求めてまいりました。
 これを受けて都の改善策を示し、丁寧かつ早急な周知を急ぐべきであります。見解を求めます。
 私の地元東村山市には九つの鉄道駅があり、線路によって東西南北に分断されており、その解消は市民の皆様の悲願でもあります。
 特に東村山駅前を走る都道、府中街道は、市役所や警察、消防各署があり、市の中心街でありながら、多くの通過車両によって慢性的な渋滞となっております。
 そこで、私は、二〇〇八年三月の予算特別委員会で、渋滞解消に向けた早期の対応を求めました。建設局は、当時の道家局長を先頭に全力で取り組んでくださり、すぐさま国との協議が開始され、翌二〇〇九年四月には、国交省が新規着工準備採択をし、二〇一二年十月に都市計画決定、二〇一五年一月に工事着手をしております。
 連続立体交差事業によって、府中街道や鷹の道、東村山駅北側の大踏切など五か所の踏切がなくなるだけでなく、府中街道の渋滞を避けて、裏道と称して生活道路に進入してくる車両も大幅に減少するなど、生活道路の安全性も向上します。
 また、東西に分断されている東村山駅周辺の新たなまちづくりも可能となり、この工事に合わせてホームドアの設置も決まりました。
 西武線東村山駅における連続立体交差事業の現在の進捗状況と、今後の見通しについて答弁を求めます。
 次に、村山貯水池、いわゆる多摩湖についてであります。
 多摩湖東側の堤体は、約六年かけて二〇〇八年に耐震化が完了しましたが、多摩湖中央の堤体は、現在、耐震化工事が続いております。この堤体は、東日本大震災級の地震が発生した場合、約二メートル下に沈むことなどが判明し、耐震補強をすることが決定しました。
 一方で、この堤体の上を走る道路は、時間帯によっては交通量がとても多く、欄干にぶつけてしまう車両も少なからずあり、歩道は湖面近くまで下りるという危険な道路であったことなどから、堤体の耐震補強の際には、同時に、六メートルの車道を九メートルに拡幅し、車道に平行した歩道の設置も要請しておりました。
 しかし、二〇一五年一月に提示された計画素案では、技術的に困難との結論でした。
 私は、五十年に一度の大きな工事なので、車道の拡幅と歩道設置を粘り強く要請いたしました。これを受けて技術的検討を重ねてくださり、半年後には、車道を九メートルに拡幅し、並行して歩道も設置する計画案が決定しました。
 二〇一九年七月に着工し、いよいよ完成間近となりました。多摩湖中央の堤体強化事業の取組状況と、完成時期について答弁を求めます。
 次に、都立多摩北部医療センターについてであります。
 多摩北部医療センターは、一九八六年に都立多摩老人医療センターとして、高齢者専門の病院として設置されました。その後、小児救急など、医療ニーズの変化により、二〇〇五年に当時の東京都保健医療公社に移管され、いわゆる公社病院として総合病院化されました。
 その際、日本共産党は、多摩北部医療センターが都立病院から公社病院になることに大反対しましたが、先般、独法化によって、公社病院から都立病院に戻ることになった際にも大反対しております。
 この多摩北部医療センターも、老朽化によって建て替え、改築することとなりました。
 東村山市内に出産できる病院がないため、私は、最優先課題として産科を設置することを求めるとともに、小児救急体制や感染症対策の強化、ドクターヘリ、災害用ヘリが離着陸できるヘリポートの設置を求めてまいりました。
 基本構想検討委員会の結論も踏まえ、明快な答弁を求めます。
 次いで、水害対策についてであります。
 近年、記録的な大雨による被害が多発し、特に東大和市南部では、床上、床下浸水被害が頻発しております。
 調べてみると、東大和市、武蔵村山市、そして立川市が隣接する地域一帯が、地形的に低いがゆえに浸水、冠水が繰り返されていることが分かりました。
 再三再四にわたり要請した結果、都は、二〇一八年第三回定例会の公明党の代表質問に対する答弁で、都が広域雨水幹線を整備し、流域下水道事業として実施することを表明しました。
 三市、九キロメートルという事業区間が長いため、特に東大和市では先行して事業効果の発揮が求められております。現在の取組状況について答弁を求めます。
 最後に、都内最大のアスレチック遊具がある、都立野山北・六道山公園についてであります。
 同公園には、都内有数の長い滑り台などがあり、コロナ禍にあっても、入り口付近の都道に渋滞ができるほどにぎわう公園であります。特にお子さん連れに人気の高い冒険の森とあそびの森は、自然環境を大切にするあまり、樹木が生い茂り、どこが入り口なのかさえ分かりにくい状況にありました。
 私は、この二つの森のそれぞれに、エントランスやその広場の新設と駐車場の拡充を要望してまいりました。現在の整備状況や完成時期について答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸についてでございます。
 多摩地域は、東京の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁し、豊かな自然や良好な住環境に恵まれ、また、多くの大学や研究機関が集積するなど、その発展は活力ある東京に欠くことができません。
 箱根ケ崎方面への延伸を実現することによりまして、都内で唯一、鉄道のない市において利便性が飛躍的に向上するとともに、開業区間と一体となって南北方向の拠点も結び、多摩地域の活力や魅力をさらに高めることができます。
 都は、沿線市町によります沿線まちづくり構想の策定なども踏まえまして、令和二年度に調査検討を開始し、本年十月には沿線自治体の住民向け説明会を開催いたしました。
 今後、国や沿線市町、運営会社など関係者と一層連携を図りまして、二〇三〇年代半ばの開業を目指してまいります。また、沿線市町と共に地域の個性と魅力を生かしたまちづくりを推進してまいります。
 引き続き、多摩地域におけます公共交通ネットワークの充実を図り、地域のさらなる発展へとつなげてまいります。
 残余の質問は、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 スピーキングテストについてでございますが、本テストは、中学校の学習で身につけた英語の話す力を客観的に評価するとともに、都立高校入試に活用することで、中学校と高校における英語指導の充実を図り、生徒の使える英語力の育成を推進するために実施するものでございます。
 今年度の本試験は、十一月二十七日に都立高校等百九十七の会場において実施いたしました。都内公立中学校第三学年の生徒約六万九千人が受験し、体調不良等による欠席者がいたものの、採点結果に影響を与えるようなトラブルがなく終了いたしました。
 引き続き、十二月十八日に実施する追試験が円滑に行われるよう、万全の準備をしてまいります。
 次に、都立高校における英語力の強化についてでございますが、中学生が身につけてきた英語の話す力を都立高校に入学後もさらに伸ばすために、実際に英語を使う機会をより充実させることが重要でございます。
 都教育委員会ではこれまで、都独自の動画コンテンツを活用した指導実践の充実や、全都立高校に配置している外国人指導助手を活用した英語によるディスカッションの実施など、指導の改善に取り組んでまいりました。
 今後、より多くの生徒がオンライン英会話を利用できるようにするほか、外部の英語検定試験を活用した話すことに関する指導の工夫など、英語力強化に向けた取組の拡大について検討することにより、英語をツールとして使いこなす力の育成の加速化を図ってまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、市内五か所の踏切を除却することで、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 平成二十五年度に着手し、用地については、現在九割以上取得していますが、一部の用地で権利者との折衝が難航し、時間を要しております。
 一方で、並行して高架橋の工事を進めておりまして、先月、鷹の道の上空に橋桁を一部架設し、来年度には府中街道や駅北側の都道にも架設いたします。
 今後は、早期の事業完了に向け、残る用地の取得に努めますとともに、工事工程を見直しながら、関係機関と連携し、本事業を積極的に推進してまいります。
 次に、野山北・六道山公園についてでございますが、本公園は、狭山丘陵に位置する都立公園であり、里山の豊かな自然環境を有しております。公園の東側のエリアには、丘陵地の斜面を生かし、アスレチック遊具の広場である冒険の森とあそびの森を整備しておりまして、多くの子供に親しまれています。
 昨年度から、これらの森につながる新たなエントランス広場と駐車場の整備を進めております。広場には、日よけのためのパーゴラやベンチなどの休憩施設を設けますとともに、駐車場は臨時を含め約九十台分を確保し、来年の二月に供用を開始する予定でございます。
 こうした施設の整備により、来園者の利便性の向上を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 私立高校授業料の保護者負担軽減についてでございますが、補助金の早期支給は、授業料を負担している保護者にとって重要でありますことから、都はこれまで、DXを活用した申請及び審査手続の検討を行ってまいりました。
 このたび、新たな申請及び審査に係る情報管理体制について、専門家評価において了承が得られたことから、支給スケジュールが確定いたしました。
 具体的には、令和五年度から、保護者負担軽減補助金は、都外の私立高校に通う生徒など一部の例外を除く受給者に対しまして、現在の十二月末から十月中旬に最大二か月半前倒しして支給をいたします。
 今後は、関係者と連携し、保護者や学校に対して丁寧な説明、周知を実施するなど、補助金支給の早期化を着実に推進してまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 工事における最低制限価格等についてでございますが、都はこれまで、最低制限価格制度や低入札調査制度を活用してダンピング対策を図ってきたところでございますが、ダンピング対策のさらなる徹底を図るため、本年七月に国の基準に合わせてこの算定基準を引き上げました。
 算定基準の引上げ以降に実施した入札案件について、影響の分析を行ったところ、最低制限価格等が上限値に達する案件の増加が確認されました。
 こうした案件についてもダンピング対策の効果を行き渡らせるため、最低制限価格等の上限値について、都独自に予定価格の九二%から九三%に引き上げ、来年一月から適用することとしております。
 本見直しは、既にホームページの掲載や業界への周知を図っており、個々の案件ごとに明示して進めてまいります。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) 村山上貯水池堤体強化事業についてでございますが、水道局では、大規模地震の発生時における安定給水の確保を目的として、盛土による堤体の強化を進めており、来年八月の完了を予定しております。
 また、堤体上部の車道につきましては、交通の安全性を向上させるため、幅員を六メートルから九メートルに拡幅するとともに、渋滞緩和のため右折レーンを新設してまいります。
 あわせて、堤体下部に迂回していた歩道は、歩行者の利便性や安全性確保のため、車道と並行して幅員六メートルで整備するほか、地域住民に一層親しまれるよう、貯水池を眺望できるベンチを設置いたします。
 これらの整備は、令和六年一月の完成を予定しており、引き続き、水道事業に対する都民の皆様のご理解をいただきながら工事を着実に推進してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 多摩北部医療センターの改築に関するご質問にお答えをいたします。
 多摩北部医療センターは、救急医療やがん医療などの提供を通じて、北多摩北部医療圏で重要な役割を果たしてまいりました。
 先般公表された新病院の基本構想検討委員会報告では、地域に医療資源が少ない産科の新設や地域医療機関との連携による小児救急の充実の検討に加えて、感染症医療に必要な陰圧病床や災害医療の対応に必要なヘリコプター離発着場の整備等を求めてございます。
 新病院が、より質の高い医療を提供し、地域住民の安全・安心の確保に一層貢献できるよう、都立病院機構では、この委員会報告や都民アンケートの結果なども踏まえ、今年度末までに基本構想を策定してまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 空堀川上流雨水幹線の取組状況についてでありますが、都は、東大和市、武蔵村山市、立川市と連携し、浸水被害の軽減に向けて取り組んでおりまして、延長約九キロメートルの雨水幹線を複数の工区に分けて整備することとしております。
 これまで流出解析シミュレーションを実施し、一時間当たり六十五ミリの降雨に対応できることを確認するとともに、浸水被害が頻発している東大和市駅前などを含む延長約二キロメートルの区間につきまして、設計や関係機関との調整を行ってまいりました。
 その結果、今年度中に工事に着手できる見込みとなったことから、本年八月から九月にかけて住民説明会を開催いたしました。当該区間の完成後は、早期に整備効果を発揮させるため、暫定的に貯留施設として稼働させる予定でございます。
 今後とも、空堀川上流雨水幹線の整備を着実に推進してまいります。

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