○議長(三宅しげき君) 五十一番あかねがくぼかよ子さん。
〔五十一番あかねがくぼかよ子君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○五十一番(あかねがくぼかよ子君) 国力の基軸は人口ですが、東京の合計特殊出生率は一・〇八まで低下をしています。これは都民が望んだ結果ではなく、望みがかなわなかった結果の数字です。
都は、国に先駆け、体外受精などの高度不妊治療に係る費用の助成を拡充し、今年度からは同治療が保険適用となりましたが、少子化対策の決定打にはなりません。
日本は世界最大の不妊治療大国と呼ばれており、体外受精の実施件数は世界一であり、二十代、三十代の女性の人口換算で比較すると、二位の北米の六倍の件数です。不妊治療の医療技術も世界一にもかかわらず、一回の採卵当たりの出産率は世界で最下位です。
その最大の要因の一つは、採卵した際の卵子年齢であるといわれています。卵子は、他の細胞と異なり細胞分裂を行わないため、新しく生まれ変わることのない特異な細胞です。
妊娠する力、妊孕性は二十代後半から低下し、三十代半ばからは急速に低下することが分かっています。これは、高度な医療をもってしても、年齢とともに低下する妊孕性にあらがうことは難しいことの証左です。
しかし、この妊孕性についての教育は、日本ではされてこなかったため、出産年齢は上昇し続け、三十代後半で不妊の問題に直面し、苦しむ人が後を絶ちません。四十代の有名人の出産報道などで、四十代でも普通に出産できるのだろうと誤解をしている人も多いのです。
四年前の一般質問でも妊娠適齢期についての効果的な普及啓発をお願いしました。都は、妊孕性に関する正しい知識と情報が届くように、ウェブサイトの作成、成人式でのリーフレット配布など、取組を進めてきたところでありますが、少子化に歯止めをかけるためには、妊孕性についての正しい知識が全ての都民の知るところとなることが大前提です。
都の出生率二・〇七に向け、東京動画などあらゆるチャネルを活用し、妊娠適齢期や妊孕性についての正しい知識を全ての都民に向けて、より一層積極的に伝えるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
妊孕性についてのリテラシーは、思春期における性を含む健康教育で伝えていくべきであると考えますが、高校生に対し、どのように普及啓発を図っていくのか、都教育委員会の見解を伺います。
コロナ禍では、非正規雇用で従事する女性の多くが解雇や雇い止めにより離職を余儀なくされるなど、就労に大きな影響が及びました。中でもシングルマザーの方は、極めて厳しい状況に追い込まれました。
非正規雇用では、勤務先での研修の機会もなく、自ら研修を受講しようとしても、時間が取れなかったり費用が工面できないという事情があります。正社員雇用や個人事業主として独立など、新たなキャリアを望んでいても、それに必要なスキルを習得できていないことが足かせになっています。
そこで、都は、非正規雇用の女性がリスキリングによるスキルアップなどの機会を得て、多様な働き方へのキャリアシフトを実現できるよう支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
限られた財源の中で多くの社会課題を解決するためには、補助金など都の財政支出のみならず、金融の手法により民間資金も有効に活用し、より少ない支出で大きな政策効果を生み出そうとする発想が重要です。
都は今年度中に、医療、介護、ヘルスケア領域のソーシャルインパクト投資ファンドを創設する予定です。インパクト投資の残高は急増していますが、インパクト投資マネジメントの知見は世界的にもまだ少なく、手法の高度化が課題です。
発展途上にあるインパクト投資を活性化していくためには、このファンドへの出資を通じて得られる知見をファンド内のみにとどめることなく、広く共有をしていくことが有効と考えますが、都の見解を伺います。
スタートアップの公共調達について伺います。
昨日の我が会派の代表質問で、スタートアップは成長のドライバーであり、スタートアップファーストで取組を進めるべきことを、都が現場を提供し、実績につながることを求めました。
スタートアップの成長を後押しするため、都として公共調達への参加促進を一層進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
東京都認証ソーシャルファームは、従来の障害者の就労を支援する福祉事業所とは思想が異なり、企業的な経営を目指し、開業後五年のうちに、就労困難者を二割以上雇用しながら、完全に財政的に自立をすることが求められます。
福祉事業所は、公的な補助金なしに運営は成り立たないことに鑑みると、五年以内にビジネスを軌道に乗せられるかどうかがその後も存続できるかの分岐点となります。
そこで、都として、政策目的随意契約の制度を活用した公共調達における優先的な取扱いや、民間市場での取引活性化を支援することが重要です。
都の認証を受けたソーシャルファームが自律的経営を実現することは、社会的企業の新たな担い手が増え、就労困難者が働ける職場を増やすことにつながることから、都はしっかりと支援をしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
障害者の就労施設であるB型事業所の工賃は非常に安く、処遇改善に向けた取組について、前回の一般質問でも提案をさせていただきました。
都は、障害者優先調達推進法に基づき、障害者就労施設などから年間五億円程度の優先調達を実施していますが、過去の調達実績の推移を見ますと、まだまだ伸び代があるのではと考えます。
そこで、障害者就労支援施設等からの優先調達について、一層積極的に推進すべきと考えますが、優先調達をどのように推進していくのか伺います。
都は、令和元年度に東京都ひきこもりに係る支援協議会を設置し、支援の在り方について、家族会など当事者の状況を踏まえた検討を進めた結果、就労や自立支援にとらわれずに、自己肯定感を抱けるよう支援をしていく方針に進化した点を評価します。
一方で、私の地元杉並区では、行政支援が遅れており、相談窓口はあるものの、知見やノウハウがないため、相談に行っても、たらい回しにされたり、的確な支援にたどり着けないのが実態です。
問題が長期化し、八〇五〇、九〇六〇と年齢が上がってしまうことで、親亡き後の経済的な問題も大きな懸念になっています。
ひきこもり問題に苦慮する当事者や家族が最初に相談をする基礎自治体に対して、都として予算やノウハウの面できめ細かく支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
また、就労したいという方も多いですが、一般就労は極めてハードルが高いので、ソーシャルファームなどの短時間から就労ができる職場の拡充が望まれています。
ひきこもりの支援において、就労支援との連携も重要ですが、都の取組について伺います。
令和二年、人口動態統計によると、十代の死因の第一位は自殺となっており、対策が急務です。都はこれまでも、若者の自殺を防止するため、相談体制の拡充や普及啓発の強化等に取り組んできました。
今年度は、チャイルド・デス・レビューの実施に向けて検討を進めているところですが、この事業においても、自殺を含めた子供の死因について分析をし、対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
再生可能エネルギーについて伺います。
諸外国においては、既に新築のみならず、既存の建物に対しての太陽光パネルの設置を義務化する制度が施行されています。例えば、EUのヨーロッパ屋上太陽光戦略では、二〇二七年までに二百五十平米以上の全ての公共、商業施設に太陽光発電設備の設置を義務づけています。
都においても、都営住宅における率先的な取組を進めるとともに、今後、マンション等の既存集合住宅への太陽光パネルの設置を進め、さらに、太陽光パネルと併せて蓄電池を設置することで防災力を高めるべきと考えますが、見解を伺います。
太陽光発電は、東京の地域特性に最も適した再生可能エネルギーでありますが、ほかにも、地面さえあれば二十四時間三百六十五日安定的に利用ができる地中熱も存在します。しかし、初期費用や専門技術が必要などで普及が進まないと聞いています。
住宅等への再生可能エネルギーの導入に対し、太陽光以外の地中熱なども含めたエネルギー源の利用拡大も図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
都営住宅は、名義人の約七割が六十五歳以上と高齢化が進んでいます。また、抽せん倍率百倍以上の団地もあれば、逆に、何度募集してもなかなか応募がない団地もあります。空室は年々増加傾向で、令和二年以降は二万戸を超えています。
他の自治体では、目的外使用により、ひとり親やDV被害家庭を支援するNPOなどに、十年を期限として公営住宅を貸し出したりしています。
都においても、グループホームやチャレンジネット事業で、住宅確保困難者へ特例で利用できる仕組みはありますが、空室数の割に極めて少ないのが実態です。
都営住宅の二万戸の空き部屋を有効に活用するため、様々な理由で住宅に困窮をしている都民に対して、迅速に住宅を供給できる仕組みづくりを進める視点が重要と考えますが、知事の見解を伺います。
また、空き住戸を迅速に供給するためには、募集や入居など、必要な業務を素早く進めていくことが肝腎です。都は、入居者や住戸の管理に関するデータをシステムで管理していますが、一部の情報はエクセルなど、システムの外で管理せざるを得ない、そういった状況だということです。
都営住宅の管理システムの再構築を予定しているということですが、これを機に業務プロセス全体を見直し、さらなる効率化、スピードアップを図るべきと考えますが、見解をお伺いしまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) あかねがくぼかよ子議員の一般質問にお答えいたします。
妊娠や出産に係る普及啓発についてのお尋ねがございました。
若いときから男女を問わず、妊娠や出産に関する正しい知識を持って、自分のライフプランを考えることは重要であります。
都は、妊娠相談ほっとラインにおきまして、妊娠や出産に関する様々な相談に専門職が応じているほか、若者が利用しやすいよう、妊娠や避妊の問合せに対応するチャットボットを導入しております。
また、妊娠に関する基礎知識や、不妊、不育の情報等を掲載した小冊子を配布するほか、妊娠支援ポータルサイト、東京都妊活課を通じまして、有用な情報を一元的に発信しております。
若い世代が妊娠や出産に正しく向き合えますように、様々な広報ツールを効果的に活用して、積極的に普及啓発を進めてまいります。
次に、女性の多様なキャリア形成への支援についてでございます。
東京の持続的な発展を実現するため、いまだ十分に生かし切れていない女性の力を社会の中で最大限に引き出すことができるよう、多様な働き方を後押しすることは不可欠であります。
特に、女性の中で、非正規雇用により安定した仕事の経験のない方は、その適性や意欲に応じ力を発揮できますよう、速やかなリスキリングにより知識や技能を身につけ、様々な仕事の中から自分に最もふさわしい職業の選択が可能となる、きめの細かい就労支援を行うことが必要でございます。
女性が限られた時間の中で職場の実務に役立つスキルを習得する訓練を実施しておりますが、より幅広い業務に柔軟に対応できる力を磨くサポートとなるよう、充実を図ってまいりたいと考えております。
身近な地域で正規雇用や、自分に合った働き方につながる様々な知識や情報を得るセミナーや相談の機会をこれまでよりも増やすことも検討してまいります。
今後、職業訓練をeラーニングにより効果的に提供しながら、専門家が適切な助言を行う支援に合わせ、就職の後押しも一体で進める新たな取組を検討しまして、仕事の選択の幅を広げてまいります。
これによって、非正規雇用やひとり親の女性が、自らの希望に応じた働き方を実現できますよう、着実にサポートを進めてまいります。
次に、ソーシャルファームの経営の後押しについてのお尋ねがございました。
ソーシャルファームは、就労に困難を抱える方々に働く場を提供するとともに、一般企業と同様にビジネスを展開し、自律的に経営を行っており、その活動や発展を着実に支援することが重要です。
こうしたソーシャルファームの経営の力を高めるため、行政からの受注の機会を増やして、民間企業との取引を拡大できますよう、効果の高いサポートを進めていきたいと考えます。
都をはじめとする様々な地方自治体が、ソーシャルファームとの間で製品やサービスに関わる契約を結びやすくなるよう、国に対して働きかけを続けております。
普及啓発のイベントを開き、民間企業との新たな取引に成功した事例を発信するとともに、ウェブサイトを通じて事業や商品の内容をよりきめ細かく紹介する取組に力を入れてまいります。
商取引に詳しい専門家の派遣の充実を検討し、販売先を増やすノウハウを着実に伝えてまいります。
こうした取組によって、ソーシャルファームが就労困難者の働く意欲を高め、経営の力を伸ばし発展できますよう、しっかりサポートしてまいります。
都営住宅の空き住戸の活用についてのお尋ねであります。
住宅に困窮する低額所得者や高齢者、障害者、子育て世帯など、都民の居住の安定を確保していくことは重要であります。
都は、こうした認識の下、都民一人一人が安心して暮らしていけますよう、近年、都営住宅の募集戸数を毎年度増やしまして、入居機会の拡充を図っております。
社会経済情勢が大きく変化する中で、障害者のグループホームやTOKYOチャレンジネット事業の一時利用住宅として活用するほか、大学と連携しまして、学生が入居し、団地のコミュニティ活動を支援する取組なども行っております。
今後、都営住宅につきましては、福祉サービスや生活、就労支援施策との連携を図りながら、様々な理由で住宅に困窮する、より多くの都民が公平に利用できますよう、既存ストックを有効活用する新たな仕組みを構築し、適切な供給に努め、住宅セーフティーネットの中核としての機能の一層の充実に取り組んでまいります。
残余の質問につきましては、教育長、関係局長が答弁をいたします。
〔教育長浜佳葉子君登壇〕
○教育長(浜佳葉子君) 性を含む健康教育についてでございますが、都教育委員会は今年度、都立高校六校をモデル校に指定し、指定校では、産婦人科医を招聘して、妊娠しやすい時期を含むライフプランと健康についての授業を実施するなど、効果的な健康教育の在り方について研究を行っております。
今後、指定校の取組を踏まえ、医師や学識経験者等からの助言も得ながら、ライフプラン等への理解を深めるためのリーフレットを作成し、全ての都立高校の授業等で活用することにより、指導の充実を図ってまいります。
〔政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君登壇〕
○政策企画局国際金融都市戦略担当局長(児玉英一郎君) インパクト投資の活性化についてでございます。
都が今年度出資するソーシャルインパクト投資ファンドは、経済的リターンと社会的インパクトを同時に生み出すことを意図するインパクト投資を活性化し、社会課題の解決に官民協働で取り組む新しい金融の流れを加速することを目的としています。
選定されたファンド運営事業者は、投資先が目指す社会的インパクトの目標設定、達成状況のモニタリングや分析、さらなるインパクト創出に向けた改善を支援するとともに、投資により生み出されたインパクトの状況等について、年一回、レポートとして公表することとしております。
都といたしましても、ファンドへの出資を通じて得られた投資の事例やノウハウ等を広く発信していくことで、我が国のインパクト投資の拡大につなげてまいります。
〔政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村恵一君登壇〕
○政策企画局スタートアップ戦略担当局長(吉村恵一君) スタートアップの公共調達への参入促進のご質問にお答えいたします。
スタートアップを数多く生み出し、その成長を促進するためには、都が製品やサービスの最初の利用者となり、信頼性を高める取組が重要でございます。
そのため、公共調達への参入促進に向け、分かりやすい入札契約ガイドを作成するとともに、入札参加資格の登録支援体制を構築いたします。
また、優れた技術や製品を有すると認められるスタートアップにつきまして、資格等級にかかわらず、都の入札に参加できる仕組みの検討を進めます。
さらに、IT分野での柔軟で迅速な調達を実現するための国のデジタルマーケットプレースの検討に参加し、連携して進めてまいります。
こうした取組により、様々な分野での公共調達を拡大し、スタートアップの飛躍につなげてまいります。
〔福祉保健局長西山智之君登壇〕
○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、障害者就労支援施設等からの優先調達についてでございますが、都は、障害者が就労する施設等の仕事を確保し、経営基盤の強化を図るため、事務用品などの物品や印刷、清掃などについて、施設等から優先的に調達する方針を策定し、全庁で取組を進めてございます。
これまで、各局による調達を促すため、発注可能な物品等の内容や受注実績を定期的に情報提供するほか、受注可能な施設等を紹介する専門相談窓口の設置などを行ってまいりました。
今年度は、各局の取組状況や実施上の課題などに関する調査を実施しており、今後、個別に状況を確認し、発注につながらなかった事例の検証や、発注に向けた具体的対応などについて関係各局で意見交換を行い、施設等の受注機会のさらなる拡大を図ってまいります。
次に、ひきこもりに係る区市町村支援についてでございますが、ひきこもりの方やその家族の状況に応じたきめ細かな支援を行うには、身近な地域における相談体制を充実することが重要でございます。
このため、都は昨年度、都と区市町村による支援推進会議を設置し、施策や好事例を共有するほか、東京都ひきこもりサポートネットにおいて、地域の実情に応じた関係者間の連携づくりを支援しております。
また、今年度は新たに、区市町村に対し、ひきこもり支援事業の立ち上げに要する経費への補助や、ひきこもりサポートネットに設置した多職種専門チームによる複雑困難な事例への助言などを行っております。
こうした区市町村への支援を通じて、身近な地域における相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
次に、ひきこもりの方への就労支援についてでございますが、就労等を希望する当事者に対して、自己肯定感を大切にしながら、必要に応じて継続的に支援を行うことが重要でございます。
このため、都は、ひきこもりに関する合同相談会において、東京しごとセンターや地域若者サポートステーションのブースを設けるなど、就労に関する機関と連携し、当事者やその家族を支援してございます。
また、区市町村との支援推進会議で就労支援も含めた意見交換等を行うほか、地域におけるネットワーク体制の構築を推進するため、ひきこもりサポートネットが区市町村の状況に応じた連携づくりを支援してございます。
こうした取組を通じ、就労に関する機関等と一層連携を図り、ひきこもりの方への就労支援を推進してまいります。
最後に、チャイルド・デス・レビューについてでございますが、令和三年人口動態統計によると、都における十代の死亡数は百六十八人で、このうち自殺は八十人でございます。
都は今年度、チャイルド・デス・レビューの実施体制や個人情報の取扱いなどについて、医療機関や先行自治体等にヒアリングし、警察等の関係機関との連携や、遺族からの同意の取得などに関する情報を収集いたしました。
また、国のモデル事業の実施状況を把握するとともに、海外の取組事例なども調査をいたしました。
これらを踏まえ、今後、都内の医療機関や保健所、警察等の関係機関と、都における実施体制等を検討する場を設け、自殺も含めた子供の死因について、年齢別の特徴や最近の傾向等について幅広く意見交換をしてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕
○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、既存集合住宅への太陽光パネル設置についてでございますが、都民の約七割の世帯が集合住宅に住んでおり、環境性能の高い住宅を普及する上で、集合住宅対策も重要でございます。
集合住宅の多くは陸屋根であるため、パネルに傾斜をつける架台や高所での強風に耐えられる構造等が必要になるなど、設置費用が増大するケースが多うございます。
都営住宅では、率先して今年度から二年間で約二百棟の既存住棟に太陽光パネルの設置を進めていくこととしてございまして、荷重等を抑えた新たな工夫を導入してまいります。
民間住宅に対しましては、今回の補正で、集合住宅特有の負担を軽減するため、架台等を補助対象に追加し、停電時に給電できる蓄電池の補助率引上げなど支援を拡充してまいります。
これらの取組によりまして、集合住宅に対して環境性能と防災力向上に資する太陽光パネル等の設置を促進してまいります。
次に、住宅等への多様な再エネ利用拡大についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、地域や建物等の特性を踏まえた再エネ設備の選択、導入が重要でございます。
都はこれまで、住宅等への再エネ導入の可能性を都民や事業者が視覚的に確認できるよう、太陽光、太陽熱、地中熱、おのおののポテンシャルマップを公開するとともに、導入を支援してございます。
さらに、HTTを強力に推進するため、補正予算により、地中熱、太陽熱利用設備に対する補助についても拡充することといたしました。
こうした取組を通じまして、再エネを活用した住宅等の普及を促進し、二〇五〇年ゼロエミッション東京を実現してまいります。
〔住宅政策本部長山口真君登壇〕
○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅の管理業務の効率化についてでございますが、都営住宅の入居者の利便性向上と管理の効率化を図るためには、管理業務のデジタル化が必要でございます。
このため、都は、令和八年度を目途に、都営住宅管理総合システムの再構築に向けた取組を進めております。
現在、業務内容の詳細な分析を行いまして、業務の簡素化や統合化などを検討するとともに、キャッシュレス決済をはじめ、他自治体の先進的な取組や、市場で流通している公営住宅の管理システムなどを調査しておりまして、必要な機能などを次期システムに反映させてまいります。
こうした再構築を通しまして、入居者が行う申請や届出などの手続全般のオンライン化を図るとともに、職員が手作業で行っている業務をデジタル化しまして、都民のQOLと都政のQOSの向上を図ってまいります。
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