令和四年東京都議会会議録第十七号

○副議長(本橋ひろたか君) 百七番まつば多美子さん。
   〔百七番まつば多美子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百七番(まつば多美子君) 都議会公明党を代表して質問します。
 二〇二二年は、新型コロナへの対応やロシアのウクライナ侵略の影響により、都政の果たすべき責任が大きくなる中、目下の都政の喫緊の課題は都民生活を直撃している物価高騰対策です。
 都議会公明党は、九月の緊急要望の際、物価高騰の中、特に住民税非課税の高齢者世帯から生活困窮の相談が多く寄せられていることから、生活支援の対策を求め、第三回定例会の代表質問でも対策の強化について質問いたしました。
 その際、小池知事からは、必要な対応を検討していくとの答弁があり、このたび、四定補正予算案に東京おこめクーポン事業が盛り込まれたことを評価するものです。
 事業の対象世帯には、高齢者の世帯が含まれることを踏まえ、様々な配慮が必要だと考えます。また、都内米店など、ご協力をいただきながら進め、できるだけ早期の実施を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、新型コロナウイルス対策について質問します。
 感染が拡大傾向にある中、高齢者の場合は、急性期治療を終えたものの、身体機能が低下するケースがあるとの声を伺いました。こうした事態も踏まえ、都議会公明党は先月中旬、高齢者等の受入れ体制整備や年末年始など休日診療の体制強化を求める緊急要望を知事に申し入れました。
 今般の感染症法改正により、全ての医療機関が都道府県との協議に応じるよう義務づけられ、医療提供を事前に約束する協定を結べるようになりました。法施行は二年後ですが、実効性ある病床確保のため、事前に医療機関と協議し、対策に生かすべきです。
 そこで、コロナ病床の確保やコロナの急性期から回復期を通じた高齢者の療養環境確保等、今後のコロナ対策の取組について見解を求めます。
 国において、新型コロナの法律上の位置づけについて検討が開始されました。
 都議会公明党は、今年の第一回定例会代表質問で、国産経口薬の承認とワクチン接種の進展を前提に、季節性インフルエンザ並みに患者診療がより柔軟に対応できるよう、新型コロナの感染症法上の分類を二類相当から五類に見直し、治療費やワクチン接種の無償化の特例措置を実施することとともに、治験など、国産経口薬の開発に継続的に協力していくことを訴えています。
 五類相当とするためには、経口薬の普及が不可欠です。先月、国内企業が開発した経口薬が国により緊急承認されており、この新たな経口薬が都内で安定して供給される体制を整えるべきです。
 また、五類相当になっても、医療費等の公費負担を当面は継続するよう、国へ重ねて求めていくべきです。併せて見解を求めます。
 次に、帯状疱疹ワクチン助成について質問します。
 第二回定例会一般質問で、都議会公明党は帯状疱疹について取り上げました。その際、都は今後、適切な予防と治療がなされるよう、発症の原因や症状、予防方法や抗ウイルス薬による治療などの情報をホームページで発信すると答弁しました。
 帯状疱疹の予防にはワクチンが有効であり、都は区市町村に対して支援すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、盲ろう者支援について質問します。
 都議会公明党は、視覚と聴覚の障害を併せ有する盲ろう者の支援に取り組んできました。特に、先天的に盲ろうの障害がある場合、人とのコミュニケーションを取るために、言葉の存在を認識するところから始める必要があるなど、非常に専門的な教育スキルが求められます。
 先日、都議会公明党は、ある盲ろうの高校生のお母様から話を伺いました。生後六か月で視覚、聴覚の重複障害と診断を受けましたが、都の療育センターや特別支援学校でも的確な相談や対応を受けることができず、途方に暮れたとおっしゃっていました。
 盲ろうの子供の療育、医療、教育について、生後直後から保護者が相談できる窓口をつくり、的確な情報やサービスを得られるようにするべきです。知事の見解を求めます。
 都議会公明党は先月、横浜市にある横浜訓盲学院を視察しました。重複障害の児童生徒の教育に取り組む私立の特別支援学校で、四人に一人が盲ろうの子供たちでした。生後すぐの相談に始まり、幼小中高、そして高卒後の三年間の特別コースまで特別支援の一貫教育が行われ、教員のコミュニケーション力など、スキルを高めるために、触手話などの研修を定期的に行っていました。
 一方、都立の特別支援学校には、触手話等ができる教員が少なく、学校では専門的なスキルを持った大学の研究者等による校内研修を実施していますが、盲ろうの児童生徒と十分なコミュニケーションが取れているとはいえません。
 例えば、集団での活動では、触手話などがなければ、盲ろうの児童生徒は状況を把握できません。休憩時間や部活動は社会性を学ぶ機会になりますが、盲ろうの児童生徒は孤立しがちです。
 教員が盲ろうの児童生徒と様々な方法でコミュニケーションを図ることができるようにするために、専門家と連携して指導力を高めていくべきです。見解を求めます。
 学校とともに福祉施設などにおいても、盲ろう者とコミュニケーションが取れる教員や職員はほとんどおらず、円滑なコミュニケーションが取れるよう環境を整備する必要があります。見解を求めます。
 昨年の東京パラリンピックでは、聖火点火式に盲ろう者ランナーが参加し、完走しました。それを可能にしたのが、指先に信号を送り遠隔で指点字ができる機器でした。こうしたデジタル機器を活用すれば、盲ろう者の社会参加やスポーツの機会は増えていきます。
 盲ろう者の情報保障や生活支援につながるこうしたデジタル機器等の普及を積極的に進めていくべきです。見解を求めます。
 次に、二〇二五年のデフリンピック東京大会について質問します。
 デフリンピックを成功に導くためには、日本手話や国際手話の人材の育成、デフの各競技団体の結成、アスリートや審判団の育成、練習会場や競技会場における情報保障の充実、大会経費の財源確保などにおいて、数多くの課題があります。
 都は今後、大会の成功に向けたタイムテーブルを作成するとともに、当事者団体を積極的に支援し、スポーツ庁や国の一般スポーツの競技団体との連携を強化すべきです。見解を求めます。
 近年、学校現場では教職員不足が深刻化しています。年度初めに教員がそろわない、また、年度途中でも補充ができないケースが散見され、今年度も九月一日現在、都内小学校では百三十名程度の欠員があり、今日に至るまで大きな改善はないと聞いています。
 教員確保に向けて、一度教職に就きながら、親の介護や病気などの理由で退職せざるを得なかった方たちに教員に復帰してもらうという取組も重要だと考えます。現場経験のある教員であれば、即戦力となり、現場の負担軽減にもつながります。
 そこで、例えば、一定のスキルを持つ退職教員が復帰しやすい仕組みを検討し、復帰を力強く後押しすべきと考えます。見解を求めます。
 年度途中に発生する産休、育休などに対する教員の確保も重要です。都議会公明党は、欠員が出た場合、学校側が代替教員を円滑に確保できるよう、都教育委員会による支援とともに、代替教員を速やかに探せるシステムを構築するよう提案してきました。
 代替教員確保のシステムの早期実現とともに、産休、育休は、取得予定が前年度中に把握できるものについては、年度当初から代替となる教員を確保していくことも有効であると考えます。見解を求めます。
 十一月八日、公明党は、結婚、妊娠、出産から子供が社会に巣立つまで切れ目のない支援策を掲げた子育て応援トータルプランを発表しました。これは、子供の幸せ最優先社会を目指し、少子化、人口減少の克服に向けた具体策を示したものです。
 その中でも、出産前後とゼロから二歳児の伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行う事業を先行的に実施するとし、政府の総合経済対策に盛り込まれ、今回の国の補正予算に計上されました。
 国の出産・子育て応援交付金への対応については、国において公明党が主導して実現されたものであります。また、都議会公明党は、地域の総合子育て支援を重要な柱の一つと位置づけ、フィンランドのネウボラを参考にして、切れ目のない子育て支援体制、東京版ネウボラの構築を求め、併せて質問を通し、取り上げ続けてきました。
 それを受け、平成二十七年から都は、ゆりかご・とうきょう事業を開始しました。その後、とうきょうママパパ応援事業として、事業の充実、拡充が図られてきましたが、まさに妊娠期から出産、乳幼児期までの伴走型支援であり、今回の国の伴走型支援のモデルともなり、先行自治体として、その取組が評価されています。
 伴走型支援である、このとうきょうママパパ応援事業と経済的支援と出産家庭のニーズを把握する東京都出産応援事業を、このたびの国の出産・子育て応援交付金を活用して、より充実していくべきと考えます。見解を求めます。
 また、来年度以降は、ゼロから二歳児の保育において、専業主婦も定期的に利用できる保育制度の創設を前進させていくとしています。
 都議会公明党も、これまで幼児教育の無償化に合わせて、ゼロから二歳児の保育料の無償化を提案し、都は、第三子以降の保育料の無償化、第二子の保育料の半額助成を実現させてきました。
 都議会公明党は、希望する子供の数が二・三二人に対し、東京都の出生率が一・〇八と、全国平均よりもさらに低い現実を踏まえ、第三回定例会代表質問で、ゼロから二歳児の子育て世帯の経済的な負担軽減を主張、知事からは、経済的な面も含め子供を持ちたいという思いを諦めることのないよう、政策分野の垣根を超えて対策を強化し、子供を産み育てやすい社会の実現に取り組んでいくと答弁がありました。
 そこで、第二子以降の子育ての経済的な負担を軽減するためにも、今こそゼロから二歳児の保育料の第二子の無償化に踏み出し、安心して子育てできる社会を実現する取組を行うべきです。知事の見解を求めます。
 次に、幼児教育、保育の充実について質問します。
 先月、都議会公明党は、新宿せいが子ども園を視察し、見守る保育の実践を見学させていただきました。同園は、保育士の見守りや援助の下、子供たちが主体性を持ちながら、他者と共感し、協力的な人間関係を築いて問題解決を図っていくことを基本理念に実践を進めておられます。
 また、第七回東京都こども未来会議では、東京大学大学院の発達保育実践学センターの遠藤利彦教授が講演され、乳幼児期からの家庭外での経験の充実が生涯の土台たる非認知的な心の発達の鍵であるとし、集団共同型保育の重要性について語られました。
 質の高い集団保育は、親の就労の有無にかかわらず、様々な家庭環境の違いを超えて、子供の健全な発育にとって必要な取組であり、本来的に都が取組を進めていくべき重要課題です。
 都は今後、多くの乳幼児が質の高い幼児教育、保育の効果を享受できるような選択肢となる環境を整え、提供していくことができるよう、積極的に取り組むべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、児童相談体制の強化について質問します。
 平成二十八年の児童福祉法の改正を受け、これまでに六つの特別区が区立の児童相談所を設置し、今後も六区が区立児相の具体的な設置時期を表明しています。残る十一区の動向に注目が集まっています。
 都は、自区内に都立児相が存在しない区に対して、希望に応じてサテライト施設の増設を図るなど、相応の配慮をもって臨むべきと考えます。
 一方で、多摩地域では、四か所の都立児相のうち二か所で管轄内の人口が令和三年に国が上限の目安として示した百万人を超えています。区部の児相に比較し管轄区域も広大であり、再編を急ぐべきです。都内全体の児童相談体制の構築について知事の見解を求めます。
 また、現時点でも政令基準に対し約百五十名が不足するといわれている児童福祉司について、確保と育成を急ぐ必要があります。都立児相の優秀で経験を積んだ職員が過度に流出しないよう、都内全体の人材育成と併せて対策の強化を図るべきです。
 家出などにより都外から居場所を求めて都内に移り、都心の繁華街に集まる子供たちという新たな課題も生じています。こうした子供たちを保護した場合は、住民登録のある他県の児相に移送することが担当児相の職員の大きな負担になっています。
 このような事態に対応するべく、都が協定を結んだNPO法人が職員に同行して負担の緩和を図る取組を開始しており、こうした民間の力の活用も図るべきと考えます。
 児童相談所の人材確保と育成に向け、児童福祉司の中長期的な確保、育成に取り組むとともに、NPO法人等の民間事業者と連携した取組を進めるべきと考えます。併せて知事の見解を求めます。
 増加を続け、複雑かつ困難化する相談事案に少ない人員で対応するためには、児相業務のデジタル化が有効です。サービスの質の向上にもつながるものと期待されます。
 児童相談所の相談内容や、保護者に対する費用請求などのデータ量は膨大であり、とても貴重なものです。しかし、現状では、データ同士のクロス集計を行うとすれば、CSVなどの形式で抜き出し、手作業で解析しなければならず、実務上は対応困難です。
 児童相談所が保有するビッグデータを活用した様々な分析においても、さらには、区立児相への相談ケースの円滑な移管においても、職員の業務負担を軽減できるよう、現状の課題を踏まえ、現行のシステムの改善を図るべきです。見解を求めます。
 次に、東京ささエール住宅の充実について質問します。
 都議会公明党は、国の補助制度の活用促進に加え、登録協力報奨金制度の創設を提唱するなど、事業を後押ししてきました。
 また、都も、今年三月に策定した住宅マスタープランで、住宅確保要配慮者のみが入居可能な専用住宅について、二〇三〇年度末までに三千五百戸を登録する目標を掲げるなど、取組の強化を図っています。
 そうした中、不動産業界団体からは、貸主の立場に立った魅力的な制度とするように国への制度改善を働きかけるとともに、登録に向けた支援を一層充実してほしいとの要望が届いています。専用住宅の拡大をさらに図るためには、これらの要望も踏まえ、より一層強力なインセンティブが必要と考えます。
 そこで、貸主や不動産事業者など、セーフティーネット住宅に関わる多岐に及ぶ関係者への支援が重要であり、とりわけ貸主への直接的なインセンティブを強化するべきと考えます。見解を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 近年は豪雨が激甚化、頻発化しています。知事は所信表明で、都市強靱化プロジェクトを年内に策定して、都民の命、暮らしを守り抜くと決意を述べていますが、豪雨から都民を守る取組として大きな期待が寄せられているのが調節池の整備です。
 都はこれまで、二〇二五年度までに総容量約百十万立方メートルとなる調節池の新規稼働を目指して整備を進めるとともに、新たな調節池の事業化も検討していますが、豪雨災害から首都東京を守っていくためには、調節池の整備をさらに加速して安全性を向上させることが重要であると考えます。見解を求めます。
 都内で大規模な水害が発生すると、都の高潮浸水想定区域図によれば、区部では十七区の約二百平方キロメートルが浸水し、約四百万人に影響を与えます。
 一方、直近の広域避難計画策定支援ガイドラインによれば、江東五区などの東部低地帯域では、浸水が長期間継続し、自宅などから避難が必要な人が二百六十九万人、そして、屋内にとどまることが可能でも浸水区域にいる人は百二十六万人となり、計三百九十五万人の人々に甚大な影響を及ぼします。広大な浸水地域で多くの都民が孤立化すれば、健康障害や命の危険性が生じる可能性もあります。
 都議会公明党は、二〇一六年の緊急提言や、本会議や委員会などで、大規模な水害時における排水作業の重要性を指摘し続けており、都が本年八月、東京都における排水作業準備計画を作成したことは評価いたします。
 しかし、計画を実行するために、排水ポンプ車の護岸や堤防などへの配置、具体的な訓練の実施、排水機場を確実に稼働させる体制の整備、国や自治体などとの緊密な連携などの取組を速やかに具体化すべきです。見解を求めます。
 被害想定の見直しを踏まえた、都内建造物に対する都の耐震化補助の見直しを急ぐ必要があります。
 我が党は、昨年の第四回定例会の代表質問で、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化で効果を上げている区市町村との連携を一般緊急輸送道路にも拡大するよう提案しました。
 また、今年の第三回定例会の代表質問で、昭和五十六年以降に建築された新耐震住宅での耐震上の課題に言及し、新たな補助制度の確立を求めました。
 昭和五十六年以降で平成十二年までに建築され、耐震性が不足すると見込まれる住宅の数は推定で二十万から二十五万戸といわれており、対策は急務であります。
 都は、令和五年度の早期から新耐震住宅への耐震診断や耐震化工事の補助を実施できるよう取り組むべきと考えます。一般緊急輸送道路沿道の建造物への取組の状況と併せて見解を求めます。
 次に、スタートアップについて質問します。
 都は、新たなスタートアップ戦略を発表しました。スタートアップの生み出すイノベーションを様々な社会課題の解決につなげていくことは重要であると考えます。
 都政は幅広い分野にわたっている一方で、これまでスタートアップとのなじみがない局も多いと思います。戦略を契機に、庁内横断のチームが全庁に横串を刺し、スタートアップとの協働が都政全体に広がるよう取組を進めるべきであると考えますが、見解を求めます。
 次に、東京しごとセンターの機能強化について質問します。
 飯田橋の東京しごとセンターでは、就職相談、キャリアカウンセリング、就職支援セミナー、企業合同就職面接会などが実施され、利用者からは高い評価を得ており、さらに、仕事に必要な知識や技能を習得する訓練を実施し、高い就職率を誇る職業能力開発センターの役割も就職支援として欠かせません。
 現在、職業能力開発については、主に高齢者向けに東京都職業能力開発センター高年齢者校が東京しごとセンター内に設置され、ヤング、ミドル世代は、改めて都内十二か所にある東京都職業能力開発センターを受講しなければなりません。利用者からは、ヤング、ミドル世代についても、東京しごとセンター内において職業能力開発が行われれば大変にありがたいという声が寄せられています。
 現在、東京しごとセンターはリニューアルを進めている最中ですが、東京都職業能力開発センター高年齢者校は新宿に移転しています。この改修を機に、従来から要望のあった高齢者のみならず、ヤング、ミドル層についても東京しごとセンターと同じ施設で職業能力開発ができるように機能を強化し、真のワンストップサービスの提供を実現すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、現在十三か所ある職業能力開発センター等は、五十年以上経過している校もあり、老朽化が進んでいます。
 利用者によりよい環境で訓練を受けていただくためにも、順次、建物の建て替えと設備についても更新を行っていくとともに、その更新の機を捉え、就職をサポートする機能も強化していくべきであります。見解を求めます。
 次に、デジタル人材育成について質問します。
 国では、公明党の要請を受け、四月に女性デジタル育成プランを策定いたしました。本プランは、コロナ禍で厳しい状況に置かれている女性などを対象に、デジタル分野のスキル向上と就労を支援するものとなっており、女性デジタル人材を育成する計画的な取組を進めています。
 今後、より一層、女性の活躍を進めていくためには、女性デジタル人材の専門性を高め、所得をさらに引き上げていけるよう、スキルアップの支援を強化していくことが重要です。
 そこで、都は、女性が高度なデジタルスキルを習得し、正社員として活躍できるように支援を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、行政サービスのデジタル化について質問します。
 公明党が取り組む女性のための政策応援プロジェクト、ミラコメでは、本年春、都民向けウェブアンケートを行い、デジタルなどの重点政策について約百九万件もの応援が寄せられました。
 一方、都では、都議会公明党の提案を受けて、本年二月に都営住宅の毎月募集の申込みをオンライン化したところ、九割以上の方がオンライン申請を利用しています。
 このように、デジタルを活用した行政サービスへの都民の期待度は非常に高く、加えて、都民のスマートフォン保有率は八割を超えており、スマートフォンで簡単かつ便利に行政サービスを使えるようにすることも重要です。
 政策応援プロジェクト、ミラコメでは、小池知事に対して、健康、防災、移動、教育など六分野の施策をデジタルの力で充実させるべきとの提案を行いました。
 都政の様々な分野でデジタルの力を最大限に活用した取組が進められるべきであり、デジタルサービス局が各局を支援し、都のDXを推進していくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けた施策について質問します。
 住宅等の一定の新築建築物に太陽光パネルの設置など環境性能の向上を求める環境確保条例の改正案が本定例会に提出されました。
 これに先立ち、我が党は、事業者や都民の皆様からの様々な声を受け、必要な支援策を実施するよう緊急要望を行いました。
 住宅等への太陽光発電設備の設置は、初期費用負担が増えるといった課題があります。リースや電力販売など、第三者所有による太陽光発電設置の初期費用ゼロスキームは、その課題に対応するものですが、三キロワット以下の設置では事業採算性が厳しく、事業者が提供する商品プランの数が少ない上に、プラン提供を開始するとしても、その準備に一定の時間を要すると聞いています。
 太陽光発電設備の設置拡大に向けては、低容量の太陽光発電設備を設置する事業者への支援につながる初期費用ゼロスキームを強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 新制度については、制度内容や太陽光パネルの土地や取扱い等に対する問合せが多く来ていると聞いています。
 一方、都では、環境性能の高い住宅を建築する都民、事業者に向け、様々な支援策を行っています。こうした情報を全て一か所の窓口で得られれば、都民、事業者の利便性は非常に高まるのではないかと思います。
 そこで、ワンストップ相談窓口を速やかに設置し、こうした様々な問合せ等に的確に対応すべきと考えますが、見解を求めます。
 都は、環境性能の高い戸建て住宅及び集合住宅の普及を図るため、都独自の基準を定め、建築費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しています。断熱、省エネ性能の水準に応じて、その費用を支援する本事業は非常に好評と聞いております。
 一方、今後さらなる普及が期待される蓄電池は、いまだ高額で導入が進んでいないのも事実です。今後、東京ゼロエミ住宅などの環境性能の高い住宅を増やしていくためには、さらなる支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、生物多様性の保全について質問します。
 本日十二月七日から、生物多様性条約第十五回締約国会議、COP15がカナダのモントリオールで開催されます。
 生物多様性は、様々な生き物の生息、生育基盤となるだけでなく、人間の生活に欠かせない食料、水の供給、気候の調整や大雨被害の軽減などの恩恵を与えてくれています。
 東京においても、奥多摩の森林や丘陵地の里山、市街地における農地や屋敷林、企業の緑地、公園など、多様な生態系から様々な恵みを受けています。
 生物多様性保全に当たっては、自然公園や条例に基づく保全地域、農地や森林、公園、緑地など、庁内の多くの部局が関わることから、気候変動対策と同様に、知事のリーダーシップにより全庁的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 科学者による国際組織の報告書では、人間活動の影響により生物種の絶滅が加速し、このままでは生物多様性の恵みを受けられなくなる危機的状況と指摘しています。
 再エネ電力の普及や脱炭素化の実現に向けたESG投資が急速に拡大するなど、気候変動対策の重要性は、都民や企業にも浸透してきている一方で、生物多様性の保全は、その重要性や危機感が認識されておらず、都民や企業の行動につながっていないのが現状です。
 そこで、都は、都民や企業など、様々な主体に広く生物多様性の価値やその意義を伝え、生物多様性の保全、回復に貢献する行動を促進していくべきです。見解を求めます。
 次に、芸術文化について質問します。
 都は本年、東京文化戦略二〇三〇を策定しました。芸術文化政策を推進するに当たって、都議会公明党は、昨年の第四回定例会代表質問で、アーティストが必要とする情報を分かりやすく手軽に入手できるよう一元的な窓口の整備を求め、さらに、本年の予算特別委員会で、アーティストの様々な相談に対して、ワンストップで対応を可能とすべきと提案しました。
 今後、東京を芸術文化で躍動させていくためには、芸術文化を担い、志す方々の活動を支援し、積極的なサポート体制構築に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 また、地域において多様な芸術創造活動をされている方々の力も、東京の芸術文化の魅力向上に大きく寄与しております。
 都議会公明党は、本年の第一回定例会代表質問で、地域で芸術文化の裾野を広げるために活動されている方々や団体への支援を求めましたが、今後も多くの方々にとって使い勝手のよい支援を充実させていくべきであります。見解を求めます。
 さらに、子供たちが芸術文化に親しむ機会を創出していくことが重要であります。都議会公明党はかねてより、この点について言及してまいりましたが、今後、芸術文化団体等と積極的に共同し、子供の芸術文化体験をさらに充実させていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、都市農業について質問します。
 都は、都市農業の振興に向け、二〇一七年に東京農業振興プランを策定しました。東京二〇二〇大会を経て、世界に向けて東京の魅力を発信する中、大都市東京における持続的な都市農業の展開は、東京の魅力向上のために一層寄与するものと考えます。
 都市農業を発展させていく上で、農地の確保を図っていくことはもちろんのこと、農業を担う人材の育成が極めて重要であります。
 都では、東京農業アカデミーを開設し、都内で就農を目指す方の育成に取り組んでおりますが、担い手の確保に当たっては、まずは気軽に農業に触れる機会を積極的に提供し、農業に関心を持ってもらう中で、就農へいざなう取組を進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 東京二〇二〇大会では、東京の農業を発信すべく、東京都独自のGAP認証制度を取得した農家が育てたコマツナやトマトが選手に提供され喜ばれましたが、GAP認証制度の取組は着実に進めていく必要があると考えます。
 国は今後、国際水準GAPに取り組むべく、都道府県GAPの国際水準への引上げを図っていく方針を打ち出しました。
 こうした流れを踏まえ、東京都GAP認証制度の見直しを行うとともに、農業者に対する制度の普及啓発や取得に当たっての経費負担の軽減を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、運転免許証更新について質問します。
 運転に不安を感じる高齢者が運転免許証を自主返納した際に受け取れる運転経歴証明書を提示することで、自主返納サポート協議会の加盟店で眼鏡や補聴器の購入費やタクシー料金の割引等、様々な特典を受けることができます。
 一方、運転免許を更新する場合、七十歳以上の方は高齢者講習を、そして、七十五歳以上の方は高齢者講習に加えて判断力等を測る認知機能検査が義務づけられています。
 本年十月末現在、高齢者講習の平均予約待ち約五十四日、認知機能検査においては約十四日と聞いています。他県では、受講、検査日時をあらかじめ指定して通知する方式を導入し、待機期間の短縮をした好事例もあり、警視庁においても同様の方式を実施することを要望します。
 受講場所の増加や指定教習所の受入れ枠の拡大を進めていくべきと考えますが、警視庁の見解を求めます。
 また、認知機能検査について、都議会公明党はこれまで、検査時間の短縮のためタブレット端末の早期導入を求めてまいりました。これを活用すれば、検査しながらの採点が可能となり、実施人数枠の拡大が見込めます。可及的速やかにタブレット端末を導入した認知機能検査を実施すべきと考えますが、警視庁の見解を求めます。
 次に、都営大江戸線への女性専用車両の導入について質問します。
 二〇〇三年、都議会公明党は、痴漢被害から女性を守るために、都営地下鉄への女性専用車両の導入を提案し、二〇〇五年に都営新宿線に導入されました。また、本年の代表質問、予算特別委員会においての我が党の質問に対し、交通局長から、都営大江戸線への導入を検討していくとの前向きな答弁がありました。
 こうした中、来年一月十八日から、大江戸線で女性専用車両の運行を開始するとの発表が先日行われたところであり、高く評価するものです。
 誰もが利用する公共交通機関であるからこそ、女性専用車両の運行について、多くの方の理解や協力を得ていくことが重要であると思います。大江戸線での女性専用車両の円滑な運行に向けて、啓発を強化するなど、より多くの方に共感いただけるよう取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、五輪テスト大会における株式会社電通などの談合事件について質問します。
 東京二〇二〇大会は、多方面の関係各位の多大なる尽力により、大成功に終えることができました。大会終了後の世論調査においても、オリンピックについては、六〇%の方が、パラリンピックについては、七〇%の方が開催して良かったという回答があり、多くの方に感動を与えた大会となりました。
 そのような中、大会組織委員会の元理事であった高橋氏が東京二〇二〇大会をめぐる汚職事件で、四度にわたり逮捕、起訴されたことは本当に残念であり、多くの方の努力を一瞬にして消し去ったといっても過言ではありません。
 さらに今回、五輪のテスト大会において電通などによる談合事件が発覚しました。今回の問題は、今まで都が、個人の問題であると片づけてきた理屈は成り立ちません。まさに組織の構造がもたらした問題であります。
 都議会公明党はこれまで、組織委員会や都に対し、組織委員会の発注者側に電通が入り、受注者側に電通が入れば、必ず癒着が起きる、そのため、この構造を変えていく必要があると申し上げてきました。組織委員会や都は、必ずといっていいほど、電通の協力なくして今回の大会は運営できない、今さら外すのは無理だという回答でした。まさに、今回の談合事件は、こういった構造がもたらしたものであり、本当に残念で仕方ありません。
 有識者などからは、第三者によるチェック機関を入れるべきであったとマスコミ等でコメントしていますが、今大会の組織委員会には、第三者のチェック機関として、監査法人による会計監査も行われていました。この監査法人は、十年間の組織委員会の決算における監査報告書で、全て適正意見を述べていました。
 したがって、都はこの事件について、潮田副知事を責任者とする調査チームを立ち上げましたが、十年間にわたって適正意見を表明してきた監査法人へのヒアリングも行うべきであります。そして、チームの調査結果を議会に報告すべきであります。知事の見解を求め、都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) まつば多美子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、盲ろう児への支援についてのお尋ねでございます。
 視覚と聴覚の両方に障害を併せ持ち光と音が失われた盲ろう児は、日常の様々な場面で困難や苦労を抱えておられます。
 このような子供たちにとって、できるだけ早くから、生活する力を身につけ、言語を習得する、そのことは自らの未来を切り開くことにもつながります。
 このため、都は、様々な相談対応や必要な情報提供などを行う中核的な機能の整備に向けまして、今後、具体的な検討を進め、難聴児や聴覚障害児とともに、盲ろう児を乳幼児期から切れ目なく支援してまいります。
 どんなに障害が重くとも、一人一人が輝き、誰もが自分らしく暮らせる社会、こうした社会の実現を目指してまいります。
 次に、子育て施策の充実についてであります。
 次の世代を担う子供たちは、未来そのものであり、望む人誰もが子供を産み育てやすい環境を整え、可能性にあふれる子供たちの成長を支えることは、最大の未来への投資であります。
 人口は国家の最も基本的な要素であり、少子化からの転換は待ったなしといえましょう。
 都はこれまでも、第二子、第三子以降の保育料負担軽減におきまして要件を緩和するなど、妊娠、出産や子育てを積極的に支援し、国をも先導してまいりました。
 コロナ禍や物価高騰など、子供や子育て家庭を取り巻く環境は厳しさを増す中、不安に寄り添いながら、時代に合った支援をあらゆる側面から講じていかなければなりません。
 都は、これまでの取組や現状を踏まえまして、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向け、子育て対策の充実について具体的に検討してまいります。
 次に、幼児教育、保育の充実についてのお尋ねがございました。
 私は、就任直後から待機児童の解消に取り組んでまいりました。待機児童数は九割以上減少しまして、量の課題への取組は大きく進展をいたしました。
 これまでの取組に加えて、子供を客体としてではなく主体として捉えて、チルドレンファーストの視点から、幼児教育、保育のさらなる質の向上を図っていくことが重要であります。
 親の就労の有無という親の事情ではなく、子供の最善の利益という観点から、幼児教育、保育の在り方を捉え直していくことが今まさに求められております。これは、私たちの果たすべき未来への投資そのものであります。
 全ての乳幼児が、多彩な経験に触れ合うことのできる仕組みなど、乳幼児期の子供の育ちを支える取組の抜本的な充実を図ってまいります。
 次に、児童相談体制についてであります。
 深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するためには、東京全体で児童相談体制の強化が必要であります。
 都はこれまで、児童福祉司などを増員するほか、区市町村の体制充実を図るため、関係機関との連携や調整を担う虐待対策コーディネーターの配置を支援してまいりました。
 また、虐待予防の観点から、妊婦や子育て家庭に対しまして効果的な支援を行えるよう、子育て部門と母子保健部門との連携を強化する取組も進めております。
 今後、区市町村の意見や、今年度実施した調査結果、児童相談所の設置基準なども踏まえまして、多摩地域における新たな児童相談所の設置を含めた管轄区域の見直し案を取りまとめます。
 また、サテライトオフィスの設置を推進するなど、地域の実情に即したよりきめ細かな児童相談体制を構築してまいります。
 次に、都の児童相談所の体制についてでございますが、都は、児童相談所の体制を強化するため、人材の確保や育成、民間事業者の活用をした取組を進めております。
 人材の確保につきましては、児童相談センターに専任チームを設置しまして、大学等への訪問などの採用活動を積極的に展開しまして、今年度、児童福祉司を三十六名増員いたしました。
 また、人材育成に向けまして、トレーニングセンターを開設し、ロールプレーイングによる面接技法の習得など実践的な研修を行っております。
 さらに、職員の負担軽減を図るため、民間事業者の協力を得ながら、他の自治体等へ児童を移送する取組も始めております。
 来年度、こうした民間事業者のさらなる活用に向け検討するなど、児童相談所の体制を一層強化してまいります。
 次に、就職支援と能力開発の連携についてでございます。
 産業構造の転換によって将来の成長が期待される産業や、医療や介護など人手不足が続く事業分野におきまして、求職者が様々なスキルを身につけた後に、生き生きと活躍できるよう支援することは重要でございます。
 求職者をサポートするため、しごとセンターでは、本人の希望や状況を聞き、様々な企業を紹介し、就業に結びつけています。
 職業能力開発センターにおきましては、幅広い業種からのニーズを受け止めまして、仕事で必要となる技能を丁寧に指導しております。
 しごとセンターを訪れる様々な方が、これからの成長産業などに確実に就職するため、個々人の意欲や適性に応じまして職業訓練を受け、技能を身につけるよう働きかける取組は重要であります。
 また、多様な求職者が、職業能力開発センターの訓練の内容に触れ、技能を学ぶ必要性を感じ、能力開発に進んで取り組むよう後押しをすることも大切でございます。
 今後は、幅広い世代の方から就業の相談を受けるしごとセンターが、職業能力開発センターを通じたスキルの習得に向けた橋渡しを行うことによって、総合的で一体的な支援の体制づくりを検討してまいります。
 次に、生物多様性保全に向けた取組についてのお尋ねがございました。
 生物多様性は、人間活動の影響によって、気候変動とともに地球規模の深刻な環境問題として、世界全体で対策の必要性が急速に高まっております。
 都内におきましても、開発による土地利用の変化や侵略的な外来種の侵入などによる生物多様性の損失が課題となっております。
 現在策定中の新たな生物多様性地域戦略におきましては、二〇三〇年の目標として、生物多様性を回復軌道に乗せる、ネイチャーポジティブの実現を掲げております。
 今後、その実現を図るため、保全地域や都立公園の拡大、自然公園や水道水源林の適切な保全など、動植物の生息、生育環境の拡大や向上の取組、これを全庁一丸となりまして力強く推進、そして、都民や事業者など様々な主体と共に自然と共生する豊かな社会を目指してまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会についてでございます。
 世界に勇気と感動を届けるスポーツの力。その最大の発露となる国際的な大会におきまして最も重要なのは、都民、国民からの信頼であります。
 そうした中、東京二〇二〇大会に関しまして、組織委員会が発注した業務の契約をめぐって、司法当局による捜査が及んだことは誠に遺憾でございます。
 清算法人には、捜査に全面的に協力するよう伝えるとともに、都も、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げております。
 調査チームにつきましては、捜査に支障を来さない範囲で、当該契約に係る手続や意思決定過程の適正性などを確認するため、清算法人の協力を得まして、関係書類の確認や都派遣職員からの聞き取りを行っておりまして、必要に応じて、都派遣職員以外からの聞き取りも検討いたします。
 まずは、しっかりと確認と調査を行って、その結果について、今後の捜査の状況にもよりますけれども、今月中をめどに中間のまとめを行い、都議会へも報告し、公表する予定でございます。
 その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 二点のご質問についてお答えをいたします。
 まず、高齢者講習の受講場所の増加と指定教習所の受入枠の拡大についてでありますが、警視庁では、高齢者講習の受講待ち日数の短縮を図る取組といたしまして、各教習所別の予約可能日を警視庁ホームページに掲載しているほか、電話による問合せに対して、受講枠が空いている教習所に予約申込みがなされるよう案内を行っております。
 また、今後、高齢者講習の対象者がさらに増加することを見据え、各教習所に対して受入枠をさらに増やすよう申入れを行っているほか、鮫洲及び府中運転免許試験場において高齢者講習の受入人数を増やすなど、引き続き、高齢運転者の免許更新の円滑化に向けた取組を推進してまいります。
 次に、タブレット端末を導入した認知機能検査についてでありますが、警視庁では、現在、タブレット端末を導入した認知機能検査を来年度中に実施できるよう準備を進めているところであります。
 タブレット端末の導入により、検査時間が短縮されるなど高齢運転者の負担軽減につながるほか、検査関係事務の効率化にも資するものと考えております。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、視覚と聴覚の障害を併せ有する子供と教員のコミュニケーションについてでございますが、都立特別支援学校では、教員が、大学の研究者等の助言を得ながら、視覚と聴覚の障害を併せ有する子供に対し、直接手に触れて理解させる触手話、点字、場所や物などを立体的に表したカードなどを組み合わせ、工夫してコミュニケーションを図っております。
 都教育委員会は、こうした効果的な指導事例を積み重ね、特別支援学校において活用できるようにすることにより、教員の指導力を向上させてまいります。
 次に、教員経験者が復帰しやすい仕組みについてでございますが、一度退職した教員経験者は、現場ですぐ力を発揮できる貴重な人材であり、そうした方々が復帰しやすい仕組みを整えることは重要でございます。
 現在、都教育委員会では、都の公立学校教員経験者が介護等で中途退職後、改めて教員を目指す場合、採用選考の一部免除を行っていますが、今後、さらに受験しやすい選考制度や、合格後の支援策について検討し、経験者の復帰を促してまいります。
 次に、産休、育休代替教員の確保についてでございますが、都教育委員会は、代替教員の確保及び円滑な配置を図るため、今年度から選考を通年実施としたほか、学校に代わって候補者との折衝を行う支援を開始いたしました。また、学校と候補者をマッチングするシステムの開発準備を進めており、早期の稼働に向けて取り組んでまいります。
 前年度中に把握できる産休、育休については、現在、文部科学省において、五月から七月に取得する産休、育休を対象として、年度当初から代替教員を配置する支援策が検討されているところであり、国の動向を踏まえ対応を検討してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、調節池整備のさらなる推進についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。
 都はこれまでに、二十七か所、総容量二百六十四万立方メートルの調節池を整備しております。
 また、現在、八か所で工事を実施しておりまして、このうち境川木曽東調節池では、取水開始時期の前倒しを検討し、整備効果の早期発現を目指していきます。
 さらに、「未来の東京」戦略では、二〇三○年度までに約百五十万立方メートル分の新規事業化を掲げ、神田川等九河川で候補地や形式を検討しておりまして、早期の事業化に向け取り組んでまいります。
 今後、こうした取組を加速し、水害に強い都市東京を実現してまいります。
 次に、高潮による水害時における排水作業についてでございますが、大規模水害時に早期に復旧、復興を図るためには、速やかな排水により浸水を解消することが重要でございます。
 このため、都は、本年八月に浸水時において、排水機場などの施設へ燃料を補給するルートや、施設を補完するための排水ポンプ車の運用方法などを取りまとめた東京都における排水作業準備計画を作成いたしました。
 今後は、本計画に基づき、新たに浸水規模に応じたポンプ車の配置場所及びアクセスルート等を定める図上訓練や、地元区等と合同で、堤防上などでの実際の排水作業を想定したポンプ車の実地訓練を実施してまいります。
 引き続き、水害に強い都市東京の実現に向け、災害対応力の強化に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京おこめクーポン事業についてでございますが、都は、物価高の影響を受けやすい高齢者を含めた低所得世帯の生活を支援するため、国産の米や野菜などの食料品の配布に要する経費を補正予算に計上しております。
 本事業では、食料品と引換え可能なクーポンを対象世帯に配布し、対象者がクーポンを利用して専用サイトまたははがきで申し込むことにより、一世帯当たり米二十五キログラム相当の食料品を対象者に届ける予定でございます。
 食料品を自宅に配送することで、高齢者等の買物にかかる負担を軽減するほか、対象世帯の生活状況に応じ、複数回の配送や、米や野菜等の複数のメニューから選択できる仕組みも検討してまいります。
 補正予算成立後、速やかに事業者や区市町村等と調整し、来年二月からの事業開始を目指し準備を進めてまいります。
 次に、盲ろう者のコミュニケーションについてでございますが、視覚と聴覚の障害が重複している盲ろう者は、一人一人の障害に至った経緯や状態等により、触手話や指点字など、用いるコミュニケーション手段も様々でございます。
 このため、都は、盲ろう者支援センターにおいて、盲ろう者が自身に合ったコミュニケーション方法を学ぶ訓練や、盲ろう者への教育や支援に関わる職員等が的確な支援方法などを学ぶ研修を実施してございます。
 盲ろう者に関わる職員等がコミュニケーションをより適切に図れるよう、今年度実施した盲ろう者の支援ニーズに関する調査を踏まえ、研修の充実に向け検討し、盲ろう者が円滑に意思疎通できる環境整備を一層進めてまいります。
 次に、盲ろう者向けの情報保障機器についてでございますが、都は、障害者IT地域支援センターにおいて、視覚や聴覚などに障害がある方のコミュニケーションを支援するデジタル機器を展示して普及を図るほか、障害者の相談支援や機器等の給付に関わる区市町村職員等を対象とした研修を実施してございます。
 近年、デジタル技術の進歩などによりまして、障害者の日常生活や社会活動を支える様々な製品が開発されており、盲ろう者のコミュニケーションを支援する機器や用具についても製品化が進んでおります。
 こうした状況を踏まえ、今後、最新機器の情報等に関し、区市町村との意見交換の場や、より幅広く紹介する機会を設けるなどの検討を進め、盲ろう者を含めた障害者の情報保障機器の取組を推進してまいります。
 次に、国の出産・子育て応援交付金の活用についてでございますが、都は、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制を整備する区市町村を支援しており、令和二年度からは、とうきょうママパパ応援事業として、家事育児サポーターを導入するなど支援を充実してございます。
 この事業では、妊婦面接時や一歳または二歳の子供を育てる家庭に育児用品等を提供し、家庭状況を把握して必要な支援を行っており、伴走型相談支援と経済的支援とを一体で実施する国の出産・子育て応援交付金は、こうした都の取組の後押しにもつながるものでございます。
 子供を産み育てる家庭を支援するため、とうきょうママパパ応援事業及び東京都出産応援事業のさらなる充実に向け、区市町村の意見も聞きながら、国の事業の活用を検討してまいります。
 最後に、児童相談所のシステムについてでございますが、都は、平成十四年度に、児童相談所情報管理システムを導入し、児童相談業務や里親に関する業務、措置費の費用徴収に活用してございます。
 本システムは、度重なる改修により複雑化し、更新費用の増大が見込まれることや、多様な決済方法への対応、ペーパーレス化などの課題がございます。
 この課題に対応するため、新システムに再構築することとし、あわせて、大学提案事業での検討を踏まえ、入力項目を標準化し、虐待リスク判定機能を追加するなど、児童相談業務等の効率化を図ってまいります。
 今年度、現行システムの問題点を抽出した上で、解決策などを盛り込んだ基本構想を検討しており、令和八年度の新システムの導入を目指して取り組んでまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナに係る療養体制の確保についてでございますが、都は、医療機関に病床確保を要請し、医療機関から確保可能な病床数の報告を受け、都と医療機関との合意の下、実効性ある病床確保に努めております。
 改正感染症法には、都道府県と医療機関との病床確保に関する協定等が規定されておりまして、都がこれまで培ってきた経験を基に、確実な確保に取り組んでまいります。
 また、高齢者の療養環境の確保につきましては、高齢者等医療支援型施設を新たに四施設開設したほか、回復期支援病院の診療科やリハビリの内容などの情報を集約し、転院元の病院に提供するなど、コロナ回復後も入院が必要な個々の患者の状態に応じた転院を円滑に進めてまいります。
 今後、医療機関とさらに緊密に連携しながら、高齢者の療養環境など必要な体制を確保してまいります。
 次に、新型コロナの経口薬等についてでございますが、都が宿泊療養施設等を治験の実施場所として提供するなど開発に協力してきた国産の経口薬が、先月薬事承認されました。
 この経口薬は、重症化リスク因子のない方も服薬可能であり、軽症、中等症患者の治療の選択肢を広げ、感染症対策と社会経済活動との両立を図る上で有効であることから、都は、国に必要十分な量の確保を求めてまいります。
 また、新型コロナの位置づけにつきまして、都は、ウイルスの特性に応じた見直しを国に重ねて求め、先般、改正感染症法に速やかに検討する旨の規定が加えられ、国で見直しの議論が開始をされました。現在、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられていることから公費負担となっている医療費などについて、今後、自治体等の意見を十分に聞き、検討を進めるよう国に求めてまいります。
 最後に、帯状疱疹についてでございますが、都は、帯状疱疹に関する正しい知識を持って予防することが重要との観点から、その原因や症状、予防方法等の情報を本年八月からホームページで広く発信をしております。
 発症を防ぐワクチンにつきましては、現在、国の厚生科学審議会において定期接種化に向けた検討が行われており、罹患率など疾病による健康への負荷が明らかとなりました。
 審議会では、期待される効果や対象年齢に関して引き続き議論を進めていくこととされており、都は、国に対して検討の促進と適時の情報共有を求めております。
 こうした国の動向を踏まえ、都におけるワクチン接種費用の助成につきましては、先行自治体の事例も参考に、区市町村への支援の検討を進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二〇二五年デフリンピック大会についてですが、大会成功のためには、多様な関係者が協力してつくり上げていくことが重要でございます。
 先月、全日本ろうあ連盟等の関係者と共に大会開催に向けた準備運営体制に関する検討会を立ち上げました。検討会におきましては、デフリンピックは日本初開催であり、デフスポーツの国際大会の開催経験が少ないことから、全日本ろうあ連盟、東京都、国やスポーツ団体が連携して体制を構築することで一致をいたしました。
 今後、関係者間で大会にふさわしい準備運営体制やコンプライアンス等の議論を深めるとともに、課題を整理、共有し、より詳細なスケジュールを作成するなど大会準備を着実に推進してまいります。
 次に、アーティスト等の活動支援についてでありますが、東京の多彩な文化や芸術を支える担い手の裾野を広げるためには、芸術文化に関わる人々の持続的な活動を支えることが重要でございます。
 都はこれまでも、様々な助成を行うほか、これらの情報をホームページにより分かりやすく発信するなどアーティストや芸術文化団体への支援に取り組んでまいりました。
 今後はさらに、創作活動を継続するための様々な相談に対応するほか、国の助成事業なども含む一元的な情報発信や自立的な活動を後押しするための資金調達に関する講座事業などアーティスト等の活動を支援するサポートセンターの設置などについて検討してまいります。
 次に、地域の芸術文化活動に対する支援についてでありますが、地域の芸術文化団体やアーティストが活躍し、都民が身近な場所で芸術文化に触れることができる環境をつくることは、都民の鑑賞や参加の機会を広げるためにも重要でございます。
 今年度、芸術文化の魅力を創出するための助成事業を開始し、地域住民が中心となって企画、運営したマーチングフェスティバルや、市民とアーティストが連携したまち中での人形劇の公演など、多くの団体等の活動を支援いたしました。
 今後は、地域の文化活動の発展につながるよう、芸術文化に対する助成事業の対象を広げるなど支援の枠組みの拡充を検討してまいります。
 最後に、子供の芸術文化体験についてでありますが、劇場や音楽ホールなどの芸術文化資源が集積し、日々演劇やミュージカル、音楽コンサートなど多様な演目が上演されていることは東京の大きな魅力の一つであります。
 こうした環境を生かし、小さな頃から劇場に足を運ぶなどその生の魅力に触れることは、子供たちの芸術文化を愛する心を育み、将来にわたるファンを生み出すことにつながります。
 そのため、芸術文化団体と協力し、舞台などを支える人々の仕事や作品の背景などに触れ、子供たちが芸術文化を深く理解できるよう、教育庁とも連携しながら仕組みを検討してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 専用住宅の登録に向けた貸主支援についてでございますが、住宅確保要配慮者のみ入居できる専用住宅は、入居中の事故やトラブルのほか、空室リスクなど貸主に様々な不安があるとの不動産業団体からの意見もございまして、登録を進めるにはその不安軽減を図ることが必要でございます。
 これまで都は、国の補助制度を活用いたしまして、貸主に対し補助を行う区市への財政支援や、都独自に不動産事業者等に対する登録協力補助を実施するほか、要配慮者の実情等を踏まえた補助要件の緩和を国へ働きかけてまいりました。
 今後は、これらの取組に加えまして、要配慮者の入居支援や見守り等を行う居住支援法人との連携強化のほか、貸主にとって分かりやすくメリットのある支援策を検討いたします。
 こうした貸主等への幅広い支援を通じ、専用住宅の登録を着実に増やしまして、要配慮者の居住の安定を確保してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 建築物の耐震化の取組についてでございます。
 平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅のうち、耐震性が不十分な住宅は、住宅・土地統計調査を基に推計すると、都内に約二十万戸と見込まれます。
 地震による被害をさらに軽減させるためには、これらの住宅についても耐震化を進める必要があり、都は、耐震診断や改修等の助成を行うなどの支援策を検討しております。
 また、一般緊急輸送道路沿道建築物については、所有者へ個別訪問を行い、助成額を引き上げる区市町村に対し、今年度から新たに補助を拡充したところ、六区市が活用することとなっており、より多くの区市町村の活用に向け、引き続き働きかけてまいります。
 今後とも、安全な都市の実現に向け、建築物の耐震化に取り組んでまいります。
   〔政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村恵一君登壇〕

○政策企画局スタートアップ戦略担当局長(吉村恵一君) スタートアップとの協働についてのご質問にお答えいたします。
 変化の激しい現代において、社会のニーズを機微に捉え、新たな価値を生み出すスタートアップと都が協働することは、東京の未来を切り開く上で重要でございます。
 そのため、八月に編成した庁内横断型のチームが民間支援拠点に設けた出島に常駐し、官民協働をキーワードに様々な関係者とフラットな議論を重ね、公共調達など幅広い取組を戦略に盛り込みました。
 今後、スタートアップに提供する都政フィールドの大幅な拡大に向け、幅広くアイデアやサービスを提案する新たな枠組みを設けるとともに、各局の現場ニーズを掘り起こし、マッチングを促進してまいります。
 庁内横断チームが、各局とスタートアップとの結節点となり、都政における協働を強力に推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、職業能力開発の施設や設備についてでございますが、東京の産業の新たな担い手を育成するために、職業訓練を行う環境の充実を図り、その中で就職をサポートする態勢を整備することは重要でございます。
 これまで都は、職業能力開発センター等におきまして、ものづくりやサービス提供の現場で必要となる最新の知識や技能を学ぶことができるよう、施設や設備の更新を図ってまいりました。また、施設を更新する場合、就職をサポートする相談スペースなどの確保を行う工夫も進めてきたところでございます。
 今後、築年数の経過した施設や訓練ニーズの変化に伴い新たな機能が必要となった設備について着実に更新を行うほか、これに合わせて、就職相談などをきめ細かく実施する環境の整備も検討いたします。
 これらの取組によりまして、受講生にとって利用しやすい職業能力開発の支援を進めてまいります。
 次に、女性のデジタルスキルの習得支援についてでございますが、非正規で働く女性の方が、高度なデジタルスキルを習得して、これからの成長が見込まれるDX関連の業界で正社員として活躍することは重要でございます。
 これまで都は、出産や育児等によりまして退職した後に再就職を目指す女性などに対し、事務処理ソフトの基本操作を学ぶ訓練を託児サービスのある会場で実施しております。
 また、今年度から新たに、プログラミングの経験のない方でも簡単に習得のできるローコードを使ったシステム開発を学ぶ訓練を実施しているところでございます。
 今後は、女性が専門的な技能を身につけ、IT企業等に正社員として就職できるよう、より高度なプログラミングの訓練の実施と併せて、就職サポートも行う取組を検討いたします。
 次に、農業に触れる機会を増やす取組についてでございますが、これからの東京の農業の担い手を増やす上で、都民が身近な場で農作業などを体験できる機会を確保する取組は重要でございます。
 都は現在、地元の自治体が生産緑地の購入や借り上げにより住民向けの農園等を開設する場合に、畑地の整備や農機具倉庫の設置などに必要な経費を助成しております。
 今後は、区市町村が公営の施設や未利用地を活用して新たに農園等を開設する場合の支援を検討いたします。また、農業者が体験農園を開いて農作業のスキルやノウハウを住民に提供する場合、その整備や宣伝に係る負担へのサポートも検討してまいります。
 こうした取組によりまして、東京農業の担い手の確保に結びつけてまいります。
 最後に、新たな東京都GAPについてでございますが、東京の農業者がGAPのルールにのっとって、安全で安心な農作物をつくり、生産性の向上を図ることは、消費者の信頼の確保や農業経営の発展に向けた重要な取組でございます。
 これまで都は、国のGAP指針を基に、都市農地と周辺の住宅との良好な関係を確保するため、農薬の利用に工夫を加えるなど独自の仕組みをつくり、農業者への普及啓発や、認証取得の働きかけを行ってまいりました。
 国では、GAPについて経営や労務の管理を充実する国際的な基準の導入を進めております。
 これを踏まえ、都は、国際水準に適合した新たな東京都GAPをつくり、農業者に対する説明を行うとともに、ルール変更に係る負担軽減を検討し、新制度への円滑な移行や新規の認証取得に結びつけてまいります。
 こうした取組によりまして、東京農業の振興を進めてまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) DX推進に向けた各局との協働についてでございますが、都民が簡単便利に質の高いサービスを受けられるよう、都民目線で開発を徹底することが重要でございます。
 これまで、民間登用のデジタル人材の技術支援により、都民が身近に使える防災や水道のアプリ開発、運用支援、保健所のデジタル化などを行ってまいりました。今年度上期の支援実績は二百件を超えてございます。
 今年度は、次年度の予算要求段階から各局と複数回の意見交換を行い、例えば、日本語を母語としない子供などへのオンラインでの学習支援や自転車安全学習アプリなど、都民生活に役立つ様々なサービスを検討しております。
 今後、重要案件を選定し、重点的に支援するなど上流工程から各局DXに参画してまいります。
 デジタルサービス局が旗振り役となって、全ての都民が利便性を実感できるサービスの実現に向け、全庁のDXを牽引してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、低容量の太陽光発電設備に係る支援についてでございますが、太陽光発電の設置義務化に当たっては、狭小住宅が多い東京の地域特性を踏まえた補助制度を展開することが重要でございます。
 このため、都は、今回の補正予算案によりまして、昨年度まで実施していた住宅向け太陽光発電設備の初期費用ゼロスキームへの補助を新たに立ち上げます。
 具体的には、これまで一律一キロワット当たり十万円としていた補助単価を見直しまして、新築住宅への三キロワット以下の設備への補助を十五万円に割り増すなど、低容量の商品プランが提供されるよう支援してまいります。
 新たな補助の対象となるプラン提供事業者の登録は今年度から開始し、事業者の積極的な取組を後押しすることで、住まい手が安心して太陽光発電設備を設置できる環境を整えてまいります。
 次に、都民、事業者等への情報発信についてでございますが、新制度の円滑な施行に向けては、都民や事業者の利便性等を考慮した情報発信を行うことが重要でございます。
 これまで都は、太陽光ポータルサイトや太陽光パネル設置に関するQ&A、補助金、支援策ガイド等の作成など、様々な手法により情報発信を行ってございます。
 今後は、新制度の仕組みや太陽光パネルのメリット、断熱、省エネや再エネ設備に係る支援策等、様々な情報をワンストップで提供する総合相談窓口を年明けに新設してまいります。さらに、都の支援策等に加えまして、国や区市町村に係る様々な情報を提供するなど、都民、事業者の利便性の向上に努めてまいります。
 こうした都民、事業者のニーズに応じた仕組みとすることで、環境性能の高い住宅等の建築を促してまいります。
 次に、東京ゼロエミ住宅等の促進についてでございますが、環境性能の高い住宅を普及拡大していくためには、従前の支援に加えまして、太陽光発電や蓄電池の設置実態に応じた支援を講ずることが重要でございます。
 そのため、都は、今般の補正予算案におきまして、集合住宅への導入をさらに促進するため、太陽光発電設備設置時の架台費用を補助対象に追加するとともに、再エネ電力を導入する際の高圧一括受変電設備の費用を最大一千万円支援してまいります。また、蓄電池の設置につきましては、補助率の二分の一から四分の三への引上げや、五キロワットアワー未満の蓄電池を設置する場合の上乗せ補助を実施いたします。
 これらの取組を通じまして、東京ゼロエミ住宅等の普及拡大を図るとともに、今後、新制度と連携した補助制度の在り方を検討してまいります。
 最後に、生物多様性に係る行動の促進についてでございます。
 生物多様性の持続的利用には、都民や企業がその意義を正しく理解した上で主体的に行動することが重要であり、改定中の地域戦略では、行動を促す目標を掲げてございます。
 目標である生物多様性都民行動一〇〇%では、都民に対し、生物多様性への配慮商品や自然体験の情報をホームページ等で分かりやすく発信するとともに、自然体験プログラムの充実による人材育成などを進めてまいります。
 また、Tokyo—NbSアクションの推進では、防災に寄与するグリーンインフラなど、自然を活用して社会的課題を解決する先進的な取組事例を発信し、企業等に対しまして、自然の様々な価値を見える化してまいります。
 こうした取組によりまして、生物多様性の意義を伝え、都民や企業の意識醸成を図ることで、主体的な行動を促してまいります。
   〔交通局長武市玲子君〕

○交通局長(武市玲子君) 大江戸線における女性専用車の導入についてでございますが、女性専用車は、痴漢対策の一環として、お客様のご理解とご協力の下、運行するものであり、来年一月からの大江戸線への導入を機に、女性専用車の趣旨につきまして丁寧に周知していくことが重要と考えております。
 このため、ホームページに導入の目的などに関するQ&Aを追加して内容を充実させるとともに、SNS等で積極的に情報発信いたします。
 また、駅構内や車内での案内放送、中づり広告やポスター、ホームドアのステッカーなど様々な媒体を活用し、ご理解、ご協力いただけますよう呼びかけてまいります。
 あわせて、一月中旬から警視庁と連携した新たな痴漢撲滅キャンペーンを展開するなど、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりを進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時一分休憩

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