令和四年東京都議会会議録第十七号

   午後三時開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十八番後藤なみさん。
   〔百十八番後藤なみ君登壇〕

○百十八番(後藤なみ君) 令和四年第四回定例会に当たりまして、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、教育長、関係局長に質問をいたします。
 日本が失われた三十年から長く続くトンネルを抜け出し、飛躍を遂げるために必要なものは、いうまでもなく未来への投資です。
 国においても、出産、子育てやスタートアップへの支援が議論されるようになったことは評価をするものですが、現状、スタートアップ等、新産業への投資額対GDP比はG7で最低レベル、子育て関連支出の対GDP比は欧州の約半分、そして、教育費に対する公的支出はOECD加盟国最低レベルとなっており、掲げる目標に対して実態が十分でないといわざるを得ません。
 失われた四十年の入り口から脱却し、状況を打破するためには、成長のエンジンとなる人や新しい産業への投資へ大きくかじを切り、制度を抜本的に変えていく、まさに東京大改革への取組が必要不可欠であります。
 私たちは、変化やあつれきを恐れることなく、あるべき東京の未来を想定して、都政のパラダイムシフトを促し、東京から日本の抱える課題解決にもつながる政策を提案、実行していくことをお誓いし、質疑に入ります。
 長引くコロナの影響や物価高騰等に対して、都民生活や事業者を後押しする取組が引き続き必要です。加えて、中長期の目線では、ポストコロナを見据えた産業や企業の構造転換、人への投資や賃金の向上につながる官民での取組、また、電力の国内自給や災害対応も見据えた再生エネルギーの利活用を加速していかなければなりません。
 本定例会に上程された補正予算をもって、長期化するコロナ対応や物価高騰に対処するとともに、中長期の目線で産業構造の転換や脱炭素の取組を加速していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症に関して、週平均の感染者数が一万人を超え、徐々に感染者数が増加をしており、社会経済活動を維持しながらも、年末年始に向けた警戒が求められています。
 高齢者などハイリスク層への対応の拡充、ワクチンの追加接種が迅速に行える体制、また、診療、相談や陽性者登録など、医療や支援の提供体制の増強が必要です。
 第八波に向けて、変異株の状況も注視しながら、感染の急拡大や患者が急増する場合などの医療逼迫に備え、医療提供体制など総合的な対策を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 第八波に備えて検査体制も重要です。これまで各地の検査センターで検査ができるほか、都として、濃厚接触者や発熱等の症状がある人を対象に無償で検査キットを郵送配布していましたが、これまでの検査キットの郵送配布では、到着が翌日か翌々日となり、即日検査をすることができませんでした。
 無料の検査キット配布について、感染の早期確認とともに、感染拡大期の相談センターや医療機関への負担軽減の観点から、検査キット配布の迅速化や家庭での備蓄を促進するなどの運用を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 また、国は、先般ようやく重い腰を上げて、感染症法上の位置づけについて見直しの検討を始める旨を公表しましたが、都は、こうした議論を国任せにせず、三年間に及ぶ現場での経験を踏まえて、意見をしっかり伝えて反映させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 今定例会には、環境確保条例案が上程されています。私たちはかねてより、新築住宅等への太陽光パネルの設置について、設置の義務化と支援策をセットで進めるべきと求めてきました。そうした求めに応じ、初期費用や更新費用への補助などの支援策が今回補正予算にも組み込まれ、前回定例会で指摘した、条例の義務化対象となっていない中小メーカーや工務店にもインセンティブを設ける仕組みを新たに講じたことを評価いたします。
 改めて、二〇三〇年カーボンハーフとその後の脱炭素社会の実現に向けて、条例改正による制度創設の意義と支援策の強化について、知事の見解を伺います。
 太陽光パネルの生産において、部品となるシリコンの生産が現在は中国に集中していることから、特に新疆ウイグル自治区における人権問題への対応が懸念されています。
 政府も本年九月に、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを公表していますが、太陽光パネルを含め、都内企業のビジネス展開に当たっては、人権課題への対応が重要性を増しており、都としても後押しが必要だと考えます。
 今後、都内企業のサプライチェーンにおける人権課題への対応強化を後押しするとともに、国産技術であり、折り曲げやすく、柔軟性や軽量化の実現にもつながるペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた支援も行うべきと考えますが、見解を伺います。
 東京オリ・パラ大会をめぐっては、組織委員会元理事がスポンサー選定に関する汚職事件で起訴されたことに加え、テスト大会に関する談合疑惑に対しても捜査が進展しています。組織委員会と大手広告会社が受注調整を主導し、テスト大会の落札企業が本大会の運営業務についても事実上一体的に請け負う形となっていたとされ、その場合の関連金額は数百億円に上るとされています。
 そうした状況を受けて、先日、潮田副知事をトップとした調査チームが設置をされました。組織委員会に派遣された都庁職員からの聞き取りや書類の調査、清算法人においても調査を行うとのことであり、改めて清算法人や組織委員会の元幹部、元職員も含め、徹底した調査を求めます。
 一方、清算法人は、清算関連業務が終わり次第、清算結了することとなっていますが、このような問題を抱えたまま清算結了することは、都民の理解を到底得ることはできないと考えます。
 テストイベントを担った大会運営局へ派遣された都庁職員の数と今後の調査方針を確認するとともに、談合疑惑が解明するまで清算法人が清算結了しないよう対応することや、仮に官製談合に広告会社が関わっていた場合は、都の入札参加に制限をかけるなどの対応が必要と考えますが、調査体制のリーダーである潮田副知事に併せて見解を伺います。
 私たちはかねてより、組織委員会のガバナンスに関して様々な問題を指摘してまいりました。にもかかわらず、このような事態が生じていることは極めて遺憾といわざるを得ません。今後の捜査の状況に応じ、高橋理事の任命経緯や、発注等に関わる組織の意思決定や監督責任に瑕疵がなかったのか、あらゆる手段を視野に、議会の責任を果たしていくべきと指摘をしておきます。
 私たちがかねてより求めてきたデフリンピックが、二〇二五年に東京で開催をされる予定となっています。また、世界陸上も同年に東京で開催されることとなり、二つの大会では、東京二〇二〇大会を契機に醸成された都民のスポーツやボランティアへの関心、共生社会の実現に向けた取組などをさらに磨きをかけていくべきだと考えます。
 一方で、国際的な大会を再び開催していくに当たり、さきに取り上げた二〇二〇大会に関わる談合疑惑は暗い影を落としています。二〇二〇大会においては、かねてより、組織委員会の意思決定が不透明であることや情報開示が不十分であること、都負担があるにもかかわらず、東京都がグリップを利かせられないなど、組織の立てつけに問題がありました。
 二〇二五年デフリンピック大会開催に向け、立ち上げ段階からしっかりとコンプライアンスを確保できる体制を整え、大会準備を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、防災とまちづくりに関して伺います。
 関東大震災発生から、来年で百年の節目を迎えます。私たちはこれまでも新たな課題に対応し、例えば、タワーマンションの停電対策などのマンション防災や、発災時に共助の要となるコミュニティの強化を提案してまいりました。
 コミュニティに関しては、町会、自治会への防災グッズの配布事業などに取り組んできましたが、町会、自治会や商店街などの加入率低下を踏まえ、これらに加入していない人たちを巻き込む実効性のある対策が必要であると考えます。
 都が今後策定する都市強靱化プロジェクトでは、こうした課題に対応するなど、ハード、ソフト両面で備える視点が必要です。
 迫り来る危機に対して、発災後も都民生活への影響を最小限に抑えることができる強靱な東京を実現するため、新たな課題への対応も含め、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 先般、築地市場跡地再開発の事業者公募が公表されました。かねてより私たちは、築地市場跡地は単純な売却をするのではなく、都心、築地、臨海部を結び、さらにはつくばエクスプレスや羽田空港へも接続することが可能な鉄道網、都心部・臨海地域地下鉄構想を前進させるなどのインフラ整備と併せて付加価値を最大化することで、東京の魅力を牽引する都市開発となるよう求めてまいりました。
 都は、優先整備するとした六路線に加えて、この臨海地下鉄の事業性の検討を国と共に進め、今般十一月末の検討会で事業計画案を策定、公表するに至ったことを高く評価いたします。これは、平成二十八年当時、国の交通政策審議会の答申では熟度が低いとされていたところから、大きな進展を得たものです。
 この臨海地下鉄、都心部・臨海地域地下鉄を整備するに当たっては、その事業効果を最大化するため、東京まで延伸が計画されているつくばエクスプレスに接続し、都心部やベイエリアを経由し、りんかい線から羽田空港へ直通させるよう整備を進めるべきです。そうした可能性も見据えた上で、東京有明ビッグサイトまでの区間について、一日も早い実現に向けて検討を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、築地市場跡地再開発では、利便性と魅力の高い交通結節点の整備など、双方の価値を高めるよう進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 神宮外苑の再開発では、緑の総量が増加し、そのエリアが育んできた様々な価値が適切に継承されるように取り組むこと、また、創建時の趣旨を踏まえて、都民の共感を得ながら将来につなげていく取組を行っていくことが重要であると私たちは主張してまいりました。これを踏まえ、都は、本年五月に事業者に対して、幅広い都民参画の取組や既存樹木の保全などについて要請を行いました。
 事業者においては、この要請を受け、既存樹木の一層の伐採回避などの見直しを行いましたが、伐採本数を削減するだけではなく、都民の共感と参画を得て新たな植樹も行い、次の百年に向け、みんなで育てていく取組こそが創建の趣旨にかなうと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、多摩地域振興について伺います。
 小池都知事の就任後、国際競争力に資する鉄道ネットワークとして、六路線及び臨海地下鉄構想を大きく前進させてきたことを高く評価します。
 一方で、多摩地域の鉄道網については、さらなる強化が必要です。特に、多くの多摩地域においては空港へのアクセスが悪く、所要時間が一時間以上、三回以上の乗換えを要するエリアがほとんどであり、今後、多摩地域に住む都民の利便性を高め、競争力をさらに高める上で、空港、特に羽田空港へのアクセス向上は必要不可欠であります。
 既存の鉄道インフラを活用し、武蔵野南線の貨物路線がつながっている府中本町から鶴見間と、その先の貨物路線を旅客利用することで、多摩地域の多くの地域から羽田空港にダイレクトに接続することが可能になりますが、これらを長期的な東京、特に多摩地域の競争力を高める路線と位置づけ、国や神奈川県内の自治体とも協議し、推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 それ以外にも、南武線の南武支線である浜川崎を通じて羽田空港に直結する路線についても検討を求めます。また、空港アクセス線の整備に併せて、普通列車も含めて中央線の羽田直通運転が認められるようJRとの調整も求めておきます。
 子育ての負担軽減は重要であり、来年度から高校生世代に対しても医療費助成を拡充することを評価しています。
 このような中で、二十三区では足並みをそろえて、所得制限や一部の自己負担をなくすことで高校生まで無償化する方針を表明していますが、財政力の弱い自治体、特に二十三区と多摩地域との差がさらに明確になることは望ましくありません。
 都では、高校生等まで医療費助成を拡充するに当たり、今後、区市町村との間で協議していくとしていますが、その際、財源力の弱い自治体が取り残されることのないよう、特に配慮して対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 区市町村に対する都の各種支援策は重要ですが、医療費助成に限らず、一定割合を自治体が負担する取組がほとんどであり、多摩地域を中心に、財政力の弱い自治体は自己負担する財政余力がないために、むしろ都の支援策を利用できないという逆転現象が様々な分野で起きています。
 そうした支援策の逆転現象を緩和する上でも、市町村総合交付金の役割は極めて重要です。来年度は、多摩地域が東京都に移管されてから百三十年を迎えますが、改めて市町村総合交付金のさらなる拡充と鉄道等のインフラ整備加速など、多摩地域の様々な魅力を創出する事業の拡充を強く求めておきます。
 次に、前回定例会でも申し上げた未来への投資につながる我が会派の重点領域について、順に取り上げてまいります。
 まずは、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策についてです。海外から選ばれる都市の実現に向けて、スタートアップ企業や日本の豊かな文化を支えるプレーヤーなど、これからの東京を支えていく人と、基盤となるデジタルに対する投資を加速していかなければなりません。
 特に、スタートアップは成長のドライバーであり、イノベーションの創出、将来の雇用、所得、財政を支える新たな担い手となります。特に、気候変動対策、環境分野でクライメートテックが世界で注目を集めていますが、ゼロエミッションを掲げる東京こそが、アジアでナンバーワンの国際クライメートテックのハブ都市となるべきです。
 EVモビリティーはアメリカのテスラ、低炭素コンクリートはカナダのカーボンキュアテクノロジーズなどの外資系企業にビジネスの根幹を押さえられつつあり、スタンフォード大学がサステーナビリティー学部をつくるなどして、次世代の人材輩出環境も整い始めています。
 長期的な目線で、クライメートテックなどグリーン分野のスタートアップを積極的に育成、活用、協業することが必要であり、都の様々な事業や補助金について、例えば一定割合を優先的にスタートアップに振り向けるなど、ダイナミックな転換を起こす必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派のデジタル・スタートアップPTでは、スタートアップ等へのヒアリングを重ね、先日、網羅的な取組課題を記した要望書を提出いたしました。その要点は、スタートアップファーストに取り組むということです。
 都の入札要件において、スタートアップが不利になる条件を設けることがないよう、既存の入札要件を総点検し、徹底的にスタートアップファーストに見直しを図り、むしろ、特段の理由がない限り、スタートアップを優先するよう取り組むべきであると考えます。
 また、都庁各局所管の公有地、公有空間の活用や各局事業において、スタートアップが実施する新たなサービスの実現に協力し、後押ししていくことが重要です。
 スタートアップに対して、現場を提供し、実績を共につくり、各局の事業においてスタートアップを後押ししていくことが重要であり、各局の予算編成や人員配置において指針を示すなど、全庁を挙げて取り組むべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 私たちは、コロナ禍の雇用への影響に対応するため、東京版ニューディールとして雇用対策を提言し、都は、デジタル分野でのスキル獲得と就業支援をセットとした取組など、二万人規模の雇用対策を講じてきました。
 一方で、付加価値の高い分野への人材の流動化や産業のシフトが進んでいないことは、中長期の目線で大きな懸念となっています。成長分野であるデジタル、グリーン分野に人材をシフトさせ、東京、日本の国際競争力を高めていくことは不可欠です。雇用創出にとどまらず、人材の流動化やシフトを生み出す東京版グリーンニューディールを検討すべきであります。
 デジタルとグリーンを柱に、雇用対策としての東京版ニューディールに磨きをかけるとともに、特にリスキリングについては、再就職や正社員化等の視点だけでなく、大企業等の人材の活用も促し、転職や副業、兼業等を通じて成長分野に人材が供給される環境をつくるよう、企業と個人を大胆に支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、都内十三か所の職業能力開発センター等を有しており、建築や電気など様々な分野の職業訓練を実施していますが、昨今の企業ニーズを踏まえ、就職先で即戦力として活躍できるとともに、環境変化に強い人材を育成するための環境を整える必要があります。
 そこで、今後、DX、GXの動向を見据え、職業能力開発センターの施設、設備のバージョンアップを戦略的に行い、時代のニーズに応える人材を育成していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 中小企業のデジタル化、DXについては、そもそも本業が忙しく人手が足りない中で、社内で取り組む時間がなかったり、人員を研修に出す余裕がなく、目先の業務を優先させざるを得ずに推進できていないという場合も少なくありません。
 人手不足により、デジタル化に踏み込むことができない中小企業に対して、業務を遂行しながらデジタル化のノウハウを蓄積していくことができるよう、例えば支援員を派遣し、業務最適化を並走したり、社内教育体制のサポートを行うなど、労務負担を軽減しながらデジタル化を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 デジタル化を推進する上でも、高齢者等がデジタル化に取り残されない環境をつくることは極めて重要です。そのため、私たちは、デジタルデバイド対策をかねてから提案してまいりました。特に、スマホサポーター事業を先行的に実施するなど、取組の前倒しを求め、都が、都内大学生を活用した相談会等を夏休み等を利用して早期に開催したことを評価します。
 今後、大学生等を活用したスマホサポーター制度を本格実施し、高齢者等もデジタルの恩恵を受けられるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 テクノロジーの力でバリアを超えていく社会の実現を目指し、インクルーシブテクノロジーとして、障害のある方の暮らしを支えるデジタルやテクノロジーの導入をあらゆる分野で検討するよう、さきの定例会で求め、知事からは、デフリンピック大会を絶好の機会としたいとの力強い答弁がありました。
 二〇二五年十一月の大会開催までの三年間、実装に向けた具体的な動きを迅速かつコミュニケーションだけでない様々な分野での取組として進めるべきだと考えます。
 国内外で既に研究や実装が進む様々なインクルーシブテクノロジーについて、東京都がハブとなり、障害のある方々や技術を持つ事業者等と連携して、実装に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 文化支援については、小規模な芸術文化団体等がコロナ禍で大きな影響を受けており、私たちはそうした団体等の行動を支える新規の支援策の創設をかねてより求めてまいりました。
 例えば、ライブハウスや小規模の劇団などは、独創的な作品を生み出すポテンシャルがあるものの、資金調達に困難な面があり、新たな公演の開催をちゅうちょするような不安定な環境に置かれています。
 コロナ禍を乗り越え、意欲を持った団体の活動が存続できるよう、ライブハウスや小規模の劇団など、中小規模の芸術文化団体等を支える新たな支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、芸術文化の業界においても、性別や年齢によるハラスメント等やフリーランスならではの課題があると聞いています。芸術文化をより一層振興していくためには、事業に対する支援だけではなく、担い手であるアーティスト等の活動環境についても支援していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 そして、二つ目の私たちが掲げる重点領域は医療、介護分野であります。
 少子高齢化が進む中でも、医療や介護の質を維持するために、私たちは生涯を通じた医療データ、いわゆるライフコースデータを医療、介護の関係者と共有していくべきだと考えています。
 コロナ禍により医療業界にもたらされた変革として、スマートフォンを使った往診や医師が自宅に行く往診など、新たなサービスとして拡大をしています。こうしたデジタルを活用した新しいサービスは、感染症対策において、対面の発熱外来の逼迫や、一般診療へのしわ寄せを軽減しただけでなく、地域包括ケアにおいても不可欠な二十四時間体制につながる取組であると考えます。
 医療分野における新しいサービスの導入が進むよう、ユーザーである都民の視点を取り入れて、医療提供体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、これらの新しいサービスは、切れ目なく在宅医療と介護が一体的に提供される体制への構築にもつながります。地域の病院、診療所に加え、往診も組み合わせた地域の医療、介護の環境整備に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 そして、三つ目の重点領域は、子供、子育て、教育の分野です。
 私たちはこれまで、待機児童対策の推進、そして不妊治療の助成、赤ちゃんファースト事業の提案など、子供を産み育てやすい東京の実現に向けた政策を推し進めてきましたが、コロナ禍における出生率のかつてない落ち込みに対し、取組の一層の加速が求められています。
 また、今までの延長線上にはない未来を生き抜く子供や若者のためには、学びをアップデートし、時代に応じた環境整備と一人一人の個性を伸ばす教育や、学びへの一層の投資を行う必要があります。
 出産支援については、平均的な実費に比べ、出産一時金や妊婦健診の助成額が不足をしていたことに対し、今般、ようやく国が十万円相当の出産準備金制度を創設したということは、遅きに失するものの、大いに歓迎するものです。
 一方、都で先行していた東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業は、私たちが重点要望として提案し、昨年度から実現をいたしました。この事業で十万円相当額を提案した背景は、東京都内の出産費用が全国に比べて十万円以上高いという実態に基づいたものです。
 そうした背景の違いも鑑み、東京都出産応援事業、赤ちゃんファーストは、今後も十万円規模の予算を確保し、継続するとともに、今般導入される見込みの国の制度と効果的に併用できるよう、支給の時期や使い道など、ユーザーである子育て中のパパ、ママが使いやすい仕組みとすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、かねてより、東京で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊治療の負担軽減等の取組を国に先駆けて進めてまいりました。一方、海外では、妊孕性を高め不妊治療の短期化も期待される取組として、卵子凍結についても選択肢として普及しており、従業員に支援策を講じている民間企業もあります。また、不妊治療に至る前に、自身の体のことを知り、将来設計を促す取組として、AMH検査の推進も重要です。
 妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される取組として、海外では既に選択肢として普及している卵子凍結に対しても支援を創設すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、体に残された卵子の目安を知り、妊活、不妊治療に生かすことのできるAMH検査に対して、不妊治療に至る前に若年世代が受診できるよう、支援を拡充するよう求めておきます。加えて、女性の体と健康を守る観点から、子宮頸がん検診の受診啓発やHPVワクチンの接種促進に向けた取組についても、さらなる対応強化を求めておきます。
 育児に関わる男性の一〇%が鬱になるという指摘を受け、私たちは専門家を招いた勉強会を開催いたしました。そこで、知識や経験がないだけでなく、支援も薄い男性が、実は子育てで孤立しやすいということ、復職後の過重労働や責任感など、社会的要因も鬱の原因になることなどを伺いました。
 男性育児の先進国フランスでは、普及促進だけでなく、父親学級や育児支援を展開したことで、育児休業の取得率が大幅に増加をしていると聞きます。
 男性の育児休業取得の推進とともに、都は、育児に関する男性の鬱について、幅広く普及啓発と相談支援の充実を図りながら、育業についても推進していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 待機児童解消に伴い、保育所ニーズを補完する役割を担ってきた認証保育所も、役割の転換期を迎えていると考えます。一方、在宅子育て家庭では、コロナ禍での孤独な出産、育児が増えており、子供の育ちの意味からも、孤立防止の意味からも、保育園等の社会につながることが重要です。
 また、医療的ケア児や発達障害を持つ子供たちを受け入れる保育園が現状少なく、受皿の確保も急務であります。
 待機児童が解消されつつある今、認証保育所は、子育て家庭を誰一人取り残さず包括する、子育て家庭の課題解決拠点としての役割が求められています。
 保護者の就労状況や障害の有無等にかかわらず、誰でも利用しやすい、認証保育所の新たな仕組みを構築すべきだと考えますが、見解を伺います。
 少子化に伴って進行する人口減少は、まさに静かなる有事であり、国家の根幹に関わる喫緊の課題であります。その課題解決のため、私たちはこれまでも、とうきょうママパパ応援事業や赤ちゃんファースト事業等について提案し、実現をしてまいりました。
 少子化の主要な原因は、教育費など子育てにかかる費用が重く、希望する子供数を諦める夫婦がいるということです。ある調査では、夫婦が理想の子供数を持たない理由の一位は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからとなっており、三十五歳未満の八割近い夫婦が理由として挙げている現状があります。
 国は、今年十月から、親の年収が一定以上の場合には児童手当の支給を廃止いたしましたが、子供を望む人が希望する数の子供を持てる社会を実現するためには、親の所得に制約されない子育て支援も重要だと考えています。
 そこで、全ての家庭が希望する数の子供を持てる社会の実現に向けて、今こそあらゆる支援を講じていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 子供、子育てにおいて、遊び、遊び場は非常に重要な要素ですが、さきの定例会において、私たちからプレーパークなどのソフト面の取組を支援するよう提案し、知事からは、プレーパークなどの遊び場やプレーリーダーの育成支援に乗り出すとの答弁があったことを高く評価しています。
 一方、子供の遊び場の確保についても取組の強化が必要です。公共施設に限らず、例えば駅ナカや大型施設などの民間の中核的な施設における遊び場の誘導、また商店街等における空き店舗のリノベーションや空き地の活用、都有施設、未利用都有地や都営住宅の空き地や空き駐車場の活用など、様々な場所を活用していくことが重要であると考えますが、子供の遊び場確保にどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
 新型コロナは、子供たちの学校生活にも大きな影響を与えました。休校、オンライン授業で実際に顔を合わせる機会が失われ、学校に戻っても多くの制約がありました。そんな環境が子供たちの成長に大きな影響を及ぼすと考えます。
 だからこそ、子供たちに体験の機会を通じて、笑顔になれたり、コミュニケーションを図り、前向きな気持ちで学校生活を送ってもらいたいと私たちが強く要望し、実施されたのが子供を笑顔にするプロジェクトです。
 今年度、都内公立学校の約八割が参加申込みをするなど、好意的な反響を得たことは伺っておりますが、今年度の総括をしっかりと行い、意義、効果の高い体験を精査した上で、来年度も取組を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 未来を担う子供たちが、変化の激しい社会においても、生きる力を高め、豊かな人生を切り開いていくためには、科学的な知識や考え方だけでなく、コミュニケーション能力や創造力の醸成が重要です。
 アメリカなどで既に定着しつつあるSTEAM教育でも、これからの時代を生き抜く五つの力として、科学、技術、ものづくり、そして芸術、数学を掲げ、重視する教育方針が取られています。子供たちがコミュニケーション能力や創造力を高めるためには、幼い頃から芸術文化に触れることが重要であり、それらを子供たちみんなが享受できる環境づくりが不可欠です。
 子供たちの豊かな感性を育むため、エンターテインメント等も含め、多様な芸術文化に全ての子供たちが主体的に親しむ機会を提供していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 子供の貧困や居場所の不足などの課題が顕在化する中で、都がフードパントリーや子供食堂への支援を強化してきたことは重要です。子供食堂の運営経費の補助は、二十九区市、二百六十九か所に実施したと認識をしています。
 今年度は、子供食堂に調査を行い、立ち上げ時に活用できる補助金や運営ノウハウの提供などが要望されていると聞いており、今後の支援拡充を求めます。また、継続的に役割を果たしてもらうためにも、例えば基金を積むなどの年度の変わり目の懸念が少ない仕組みを求めておきたいと思います。
 一方、成長期の子供たちにとって、朝食は成長のために重要であり、脳の活性化についても必要な取組であります。学校で朝ご飯という取組を実施している自治体もあります。
 多様化する働き方や生活習慣、家庭の経済状況等を踏まえ、子供たちの食生活を支える観点と食育の観点から、子供食堂やフードパントリーの支援策を拡充し、継続的な取組とするとともに、学校なども活用し、地域で子供に朝食を提供できる取組について都として支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 さきの定例会において、私たちは、保育園等のバスへの置き去り防止の取組で、センサー等の導入費補助を行うべきと提案し、迅速な対応を行うため、本定例会の補正予算に計上したことを高く評価するものであります。
 一方、自家用車における置き去りや子供がマンションから転落する事故なども相次いでおり、家庭における安全対策も重要な課題であります。子供は日々成長し、行動範囲も広がるため、家庭で思いがけない事故に巻き込まれることがあり、見守りや注意喚起だけで事故を防ぐのは難しいのが現状です。
 乳幼児の家庭内での事故予防策をはじめ、チャイルド・デス・レビューとの連携や科学的な手法も取り入れながら、子供の状況に応じた効果的な安全対策を講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、今後、家庭における子供の安全対策を講じることを推奨するため、例えば、落下防止ネットや子供の見守りカメラ、クッションマットや指挟み防止、感電防止など、安全対策グッズ購入などの支援と啓発をセットで取り組むことも求めておきます。
 これからの時代を生きる子供たちに大切だとされる資質として、従来の学力に加え、主体性、協働性、自ら学ぶ力、探求心、課題設定力などが挙げられています。これらを伸ばすための教育は、これまでの延長線上にはなく、児童生徒一人一人に向き合う、画一的ではない取組が教育現場には求められています。
 教員不足も差し迫った状況において、これらの課題を解決するための重要な方策が教育に関わるデータの利活用です。
 児童生徒一人一台端末や高速通信網、大容量のクラウド等、必要なICT環境が整備されたことから、今後は、教育データを学力の向上や新しい授業のスタイルの構築等に役立てていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
 学校の教員採用において、近年、倍率の著しい低下など、担い手の不足が顕著であり、未来を担う子供たちの教育の基盤となる教員の数と質の確保は非常に重要な課題であります。
 教員確保のためには、新卒者だけでなく、幅広い層の受験を促していくことが必要です。都教育委員会では、今年度から、社会人を対象に、採用選考合格後に免許取得を目指せる制度を始めましたが、社会人受験の増加に向けて、さらに取組を充実させる必要があると考えますが、見解を伺います。
 未来を担う子供たちが希望する進路を選択できるよう支援することは、経済格差を子供の学力格差や将来の所得格差につなげないためにも極めて重要であり、私たちはこれまでも予算要望の最重点項目として、学びを支える塾代支援、受験生チャレンジ支援貸付事業についても対象拡大を求め、実現するなどしてきました。
 一方、経済環境の観点のみならず、学力の向上や大学受験等に対応するには、学校教育の場だけでなく、ノウハウのある民間事業者を活用することが重要であることも、これまで指摘してまいりました。
 都立高校において、学ぶべき学力や人間形成についての取組を強化するとともに、特に大学進学を希望する生徒が経済的な環境に左右されずに、学習塾等の民間事業者の持つノウハウを活用し、進学に向けた準備ができるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちでは子供たちの多様な学びの場を確保すべきとの観点から、フリースクール等に通う児童生徒やご家庭の負担を軽減する支援を提案してまいりました。
 都がそれに応え、今年度は、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業として、都として実態の把握を強化する仕組みとともに、調査協力金により負担の軽減に寄与することを全国でも先駆けて構築したことは高く評価するところであります。
 一方、事業に参加しているのは対象の児童生徒の約三割から四割程度と聞いており、より調査に協力しやすい制度となることが重要であります。
 今年度の調査事業で出てきている声を確認するとともに、特に十分に支援が行き届くよう事業をさらに継続し、いまだ事業に参加していない児童生徒、保護者の利用が促進されるよう取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、対象となる児童や保護者は、様々な負担や学校とのやり取りにも支障があるなど、事情がある場合も多く、今後の当該調査事業に当たっては、調査内容を事前に明示したり、学校長の捺印を必要とする書類をなくすなど、できる限り参加のハードルを下げる工夫もしておくべきと指摘しておきます。
 また、不登校の子供たちの状況は様々で、フリースクールや教育支援センターであれば学びを継続できる子もいれば、家から一歩も出ることができない子供たちもいます。
 既に一部の自治体では、インターネット上の仮想空間、いわゆるメタバースを不登校の子供たちの新たな居場所として活用しており、我が会派でヒアリングを行った熊本県熊本市教育委員会では、前年に不登校児だった児童生徒のうち、オンラインによるやり取りに参加できた児童は五割以上であったという結果も出ています。
 東京都としても、フリースクールや不登校特例校など、リアルな場の支援に合わせて、メタバース等のICT技術も活用して、オンラインで子供たち一人一人が自分に合った環境を選び取ることができる仕組みを構築すべきだと考えますが、見解を伺います。
 未来への投資を積極果敢に進めていくに当たっては、都庁組織の実効性の高い運営体制や事業の効果検証を行い、PDCAサイクルを回していく仕組みづくりも重要であります。
 今回、福祉保健局の組織の見直しについて、保健医療と福祉の二部門に独立させていく旨の表明がありました。私たちはこれまでも、子供政策連携室の機能強化などの必要性を述べてきたように、組織の実行力を高めていくためには、子供、子育てや高齢者、健康長寿など、解決すべき課題に対応させていくことが重要であると考えています。
 今回の福祉保健局の組織改正に関わる考え方について、知事の見解を伺います。
 また、都民サービスの最前線を担う三十二ある都の政策連携団体については、個々の事業について不断の見直しとPDCAサイクルを回しながら、政策の実効性を高めるためのチェック体制が重要です。
 都の事務事業に関しては、昨年度から予算編成過程において政策評価と事業評価を一体的に実施することとなっていますが、そこで、政策連携団体の評価制度についても、団体の個々の事業に着目し、政策評価、事業評価の取組と一体的に運用するなど、これまで以上に都民がその成果を実感できるような仕組みへと進化させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上、私たちは、変化やあつれきを恐れることなく、あるべき東京の未来を想定し、未来への投資を積極果敢に進めていく都政のパラダイムシフトを牽引していくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 後藤なみ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、補正予算についてのご質問です。
 深刻化する物価高騰や長引くコロナ禍の影響から都民の暮らしと東京の経済を守り抜き、未来への活路を切り開いていくためには、取組のさらなる充実と、機を捉えた戦略的な施策展開が重要でございます。
 また、気候危機、エネルギー危機への対処は一刻の猶予もなく、脱炭素社会の実現に向けまして、環境政策を新たなステージへと導いていかなければなりません。
 このような考えの下、総額一千百六十二億円の補正予算を編成いたしまして、これまでの取組を一層強化してまいります。
 具体的には、物価高の影響を受けやすい低所得世帯に対しまして、主食である国産のお米や、また野菜などの食料品を支援するなど、生活安定のためのきめ細かな取組を実施してまいります。
 また、事業者の国内回帰や輸出促進の後押しなど、円安を追い風にいたしまして、産業構造の転換を推し進めてまいります。
 さらに、環境確保条例の改正案の提出に伴いまして、新たな制度への準備に着手する事業者を強力に支援するなど、太陽光発電をはじめとする住宅の再エネ導入を加速化してまいります。
 新型コロナ対策につきましては、インフルエンザとの同時流行への備えを強化いたします。
 補正予算に盛り込んだ施策を迅速かつ着実に実施することで、直面する危機への対処をしっかりと図りながら、東京の持続的な成長へとつなげてまいります。
 この冬の新型コロナ感染拡大への備えについてでございます。
 都はこれまで、東京モデルとして構築してまいりました保健、医療提供体制の枠組みをさらに拡充いたしまして、感染拡大防止と社会経済活動との両立を進めるため、新たな行動制限は行わず、先手先手で必要なコロナ対策を講じております。
 この冬は、インフルエンザとの同時流行も念頭に、診療・検査医療機関の拡大、陽性者登録センターの対応能力の引上げに加えまして、オンライン診療センターの開設など、対応強化を図ってまいります。
 さらに、子供が発熱した場合、近くのかかりつけ医で受診できるよう体制を整えています。
 自宅療養者への支援につきましては、発熱相談センターやフォローアップセンターなどの対応能力を大幅に拡充、また、医療提供体制につきましては、障害のある方の病院への受入れを促進するとともに、重症化リスクの高い高齢者につきましては、高齢者等医療支援型施設を積極的に活用いたします。
 都民の皆様に対しましても、引き続き、ワクチン接種、換気の徹底など、感染防止対策に協力を求めてまいります。
 こうした万全な医療提供体制の確保などによりまして、社会経済活動を止めることなく、感染拡大を防止してまいります。
 同じく新型コロナについて、感染症法上の位置づけについてのご質問です。
 現在、新型コロナは感染症法上、新型インフルエンザ等感染症と位置づけられ、就業の制限や入院勧告、外出自粛の協力要請など、様々な措置が適用されているところです。
 都はかねてから、国に対しまして、重症化リスクなど他の感染症との比較や科学的エビデンスに基づいて、速やかに見直しの議論を進めるように求めてまいりました。
 今般の感染症法の改正に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の位置づけについて、速やかに検討する旨の規定が加えられまして、見直しの議論が開始されたところです。
 都は、保健、医療提供体制の在り方、そして医療費、ワクチン接種の公費負担、感染症対策の財源負担といった論点につきまして、現場を担う自治体や医療機関等の意見を十分に聞いて、検討を進めるよう国に求めてまいります。
 次に、制度創設の意義と支援策の強化についてでございます。
 建築物環境報告書制度は、供給事業者が住まい手などと共に建物の環境性能の向上を推進する制度であります。
 住宅の規格に大きな影響力を持つ大手ハウスメーカーなどの事業者に対しまして、太陽光パネルの設置等の義務や、住宅の環境性能に関する説明を住まい手に行う義務を課すことによりまして、環境性能の高い住宅の標準化を推進いたします。
 補正予算におきましては、義務化に伴う新制度の円滑な施行に向け、速やかに準備に着手する住宅供給事業者等が環境性能の高い住宅モデルの整備拡充を行う際に必要となる経費に対して、新たに支援をいたします。
 また、総合相談窓口の設置など、住まい手などの理解促進に向けました支援や、太陽光発電設備の設置等に係ります補助制度の充実など、きめ細かな支援メニューを用意いたします。
 さらに、事業者の創意工夫を促すため、経済性、快適性、防災性を備え、住まい手からも支持される住宅モデルを先行的に供給する事業者に対します表彰制度を今後創設いたします。
 こうした支援などを通じまして、事業者の取組をさらに加速化し、環境性能の高い住宅の標準化に向けましたムーブメントを醸成してまいります。
 都市強靱化プロジェクトについてのご質問でございます。
 気候変動の影響によりまして頻発化、激甚化する風水害や、人口構造や住環境等の変化に伴いまして課題が重みを増す首都直下地震など、これまでの想定を超える自然災害のリスクが高まっております。
 こうしたリスクに直面する中にありましても、都民の生命と暮らしを守り抜くため、そのためには、発災後の都民生活の継続性も見据えて、ハード面の備えに万全を期すことはもとより、多様な主体との連携などソフト面の取組を充実する必要がございます。
 そのため、従来の防災施策を前提条件から見直しをしまして、風水害や地震等の対策をレベルアップした都市強靱化プロジェクトを、総事業規模も併せ年内に公表いたします。その中で、中高層住宅も含めました防災対策の強化や、町会、自治会をはじめとするコミュニティでの共助を、関心が低い方々や幅広い世代にも促す取組など、新たな課題への対策を含めまして加速してまいります。
 来年は、関東大震災から百年の節目の年であります。百年先も安心できる東京を目指しまして、本プロジェクトをてこに、自助、共助、公助の取組をさらに強化することで、強靱で持続可能な東京をつくり上げてまいります。
 次に、都心部・臨海地域地下鉄についてであります。
 都心部と臨海部とをつなぐこの地下鉄は、国際競争力を有する両地域を支える基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割が期待されております。
 昨年九月から、国の参画も得た事業計画検討会におきまして検討を進め、先月、ルートや駅の位置を含めました事業計画案を取りまとめいたしました。
 この路線の実現によりまして、東京から東京ビッグサイトまでが約三十五分から約十五分となりまして、都民など利用者の利便性やアクセス性が飛躍的に向上いたします。さらに、東京、銀座、築地、晴海、有明といった拠点がつながることによりまして、各地域の魅力が高まるなど、高い整備効果が見込まれるところであります。
 この事業計画案を基に、都は、早期事業化に向けまして計画のブラッシュアップと事業主体の検討に着手するとともに、検討会におきまして、つくばエクスプレスや羽田空港との接続による本路線の事業性などについても検討をいたします。
 引き続き、国を含めた関係者と連携しまして、本路線の事業化に向けた取組を加速してまいります。都心部と臨海部のポテンシャルを引き出すことで、国際競争力の強化につなげ、東京の持続的な発展、ひいては日本全体の成長を確かなものとしてまいります。
 次に、神宮外苑のまちづくりについてであります。
 神宮外苑は、かの渋沢栄一翁らの尽力により、国民からの献金、献木などにより造営されて、緑とスポーツの拠点として多くの人々に愛され続けてまいりました。
 その再整備に向けた都民の皆様の声、それを踏まえた都の要請に対しまして、明治神宮など事業者からは、きめ細かな情報発信や関係者一体となった樹木の保全などに加え、質の高い新たな緑も創出をして、従来よりも樹木の本数や緑の割合を増加させる計画が示されております。
 また、これからの百年の緑をみんなでつくるというコンセプトの下、献木による植樹などを行う構想も示されておりまして、現在、事業者において具体化に向けた検討が進められていると聞いております。
 都民参加がなされる献木の取組は、創建時の先人たちの思いを大切に引き継ぐものと考えておりまして、百年先の未来につなげるまちづくりが進むよう、事業者の取組を広く情報提供するなど、都としても後押しをしてまいります。
 次に、グリーン分野のスタートアップ育成についてであります。
 人類と地球の持続可能性を脅かす気候危機、これを克服するためには、CO2の吸収分解技術など、これまでにないイノベーションが必要であって、社会課題を解決するスタートアップの力が不可欠でございます。
 江戸の昔から、自然と共生し、サーキュラーエコノミーを実現してきた東京から、クライメートテックといわれるグリーン分野のスタートアップを数多く生み出し、サステーナブルな世界に向けたモデルを示していかなければなりません。
 東京に集積する大学の研究シーズを生かし、グリーン分野における大学発スタートアップの育成を強力に推進いたします。
 また、新たなファンドの組成を通じたスタートアップに資金が流れる仕組みや、国内外の挑戦者が交わる一大拠点の構築を進めます。
 さらには、都政フィールドを活用し、最先端再生可能エネルギーの社会実装を進めるなど、重層的に施策を展開いたします。
 競争力強化の鍵を握るグリーン分野の成長とスタートアップの育成、協働を全力で推進をし、我が国の成長と持続可能な都市を実現してまいります。
 次に、成長産業分野の人材確保に向けた支援についてでございます。
 将来の成長が見込まれるデジタルや脱炭素の産業分野で人材を確保するためには、様々な業種でリスキリングを進めるとともに、DXなどで対応の進む大企業の人材の力を効果的に活用する視点も大切であります。
 これからの産業構造の転換に中小企業が柔軟に対応できますよう、その人材確保に向けましたリスキリングを着実に進めていかなければなりません。また、大企業でデジタルに精通した人材が中小企業に出向いて、そして、実力を発揮する工夫や後押しも重要です。
 中小企業の社員がデジタルのスキルを習得する機会を増やし、後押しを進めるほか、IT企業を目指す求職者には、様々な知識や技術を学ぶ場を提供しまして、就職のサポートも行う一体的な支援を行っております。
 大手の企業からITや環境関連の産業への就職を目指す方などと中小企業をマッチングするイベントを開催するほか、今後は、大企業で力を培った社員が中小企業の職場で様々なノウハウを提供する後押しや、また、その働き方に副業や兼業を取り入れる支援の充実を検討いたします。
 これらによりまして、新たな産業分野で活躍する人材の育成と確保を着実に促してまいります。
 そして、GXなどに柔軟に対応する人材の育成についてであります。
 社会や経済のデジタル化やGXの動きを受けまして、産業構造の転換が進む中で、仕事で必要となるスキルの変化に柔軟に対応して新たな担い手を育成することは、東京の持続的な発展に不可欠でございます。
 都の職業能力開発センターにおきましては、東京のものづくりやサービス提供を支える様々な技能を学ぶ訓練を行っておりまして、これからは、IT技術の活用や地球環境に配慮した取組によって、成長を目指す産業で力を発揮できる人材づくりは待ったなしでございます。
 職業訓練で学ぶデジタル化の知識や技能の水準は、日進月歩の技術革新に合わせて、速やかに高めていかなければなりません。EVの普及を見据え、実際の車体や構造に触れ、現場で役立つ力を身につける後押しが必要です。
 再生可能エネルギーである太陽光を生かし、それを蓄電して効果的に利用する一連の整備ノウハウを、最新の実習機材を使い習得する訓練を充実いたします。
 職業能力開発センターで、デジタルやEVなどの教材と機材のレベルを高めるとともに、GXの担い手を重点的に育てる拠点を選んで、設備と施設の更新により、そのバージョンアップを図ります。
 新たな時代のDXやGXに対応した技能を持つ担い手を数多く育て、東京の産業の一層の発展に結びつけてまいります。
 次に、中小規模の芸術文化団体への支援についてのお尋ねがございました。
 世界でも有数の芸術文化都市である東京におきましては、三百六十五日、劇場やホール、ライブハウスにおいて、多種多様な演劇や音楽、ライブエンターテインメントの公演が行われております。
 中でも、都内に多数存在する個性豊かな小規模な劇団や音楽グループなどは、クリエーティブで実験的な公演を展開し、都民に新鮮な感動をもたらすとともに、東京ならではの芸術文化の魅力を発信しています。
 そこで、今後の国内外の人流の活発化やインバウンドを見据えまして、中小規模の団体による幅広い芸術文化、エンターテインメント活動を後押しする支援を検討いたします。
 中小規模の団体ならではの困難な状況も踏まえまして、活動が活性化できるよう取組を進めて、東京の芸術文化の多様性をさらに進化させてまいります。
 次に、医療提供体制の構築についてであります。
 都はこれまで、医療を取り巻く環境の変化に対応して、がん、救急医療、災害医療、在宅療養など、都民の安全・安心の確保に向けました医療提供体制の整備を進めてまいりました。
 東京の医療は、さらなる高齢化の進展や、激甚化する自然災害、新興、再興感染症への対応など、様々な課題に直面しております。
 一方で、デジタル技術を活用した医療と介護の関係者間の情報共有や、新型コロナウイルス感染症の流行下におけますオンライン診療の活用、二十四時間の往診など、都民の安心を支える取組も広がっております。
 こうした取組を都民の視点に立ちながら充実し、誰もが住み慣れた地域で質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を図ってまいります。
 次に、東京都出産応援事業についてであります。
 都は、コロナ禍で不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しをするため、東京都出産応援事業を実施しております。
 都民の皆様方からは、子供が生まれることが世の中から歓迎されている、応援されていると感じられた、都の子育て施策に非常に助けられているなど、高い評価をいただいております。
 今般、国は、総合経済対策として、妊娠及び出産時を通じて計十万円相当を支援する事業を創設いたしました。
 この事業の実施に当たりましては、都の出産応援事業を先行例として取り上げ、都道府県と区市町村とが連携した広域的な取組が推奨されているところであります。
 現在、広域連携の実施につきまして区市町村の意向を確認しておりまして、国の事業も活用し、本事業が子育て家庭のニーズにより即したものとなりますように、さらなる充実策と継続的に支援していく仕組みを検討してまいります。
 次に、卵子凍結についてのお尋ねがございました。
 子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情によってすぐには踏み切ることができない方にとりまして、卵子凍結は将来の妊娠に備える手段の一つであります。
 都は、若年がん患者などが、治療に伴う負担や将来への不安を軽減できますように、生殖機能温存に係る費用を支援いたしております。
 こうした医学的適応とは別に、女性従業員のキャリア形成支援として、福利厚生に卵子凍結への助成を導入する企業が現れるなど、健全な女性の間で、将来の選択肢としての卵子凍結への関心が高まっているところでございます。
 このいわゆる社会的適応につきましては、関係者間で様々な議論がなされておりますが、都といたしましては、子供を望む方に対する支援の充実という観点から、対応を検討してまいります。
 次に、少子化対策についてであります。
 次の世代を担う子供たちは未来そのものです。そして、生まれた家庭の環境にかかわらず、全ての子供の成長はひとしく応援されなければなりません。望む人誰もが子供を産み育てやすい環境を整える、そのことが、少子化に直面する東京、ひいては日本の夢と希望にあふれる明るい未来の実現につながっていくものでございます。
 都はこれまでも、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の充実や、家事、育児の負担軽減に向けた取組、保育料や教育費の経済的負担の軽減など、子育て世帯に寄り添った政策を多面的、複合的に推進をいたしまして、国をも先導してまいりました。
 急激な少子化とそれに伴う人口減少は、静かなる有事であるとのお話のとおりでございます。社会の存亡の危機に直面する今、あらゆる手だてを早急に講じていかなければなりません。
 子供を望む人が希望する数の子供を産み育てやすい社会となるよう、対策の充実について具体的に検討してまいります。
 次に、子供の遊び場づくりについてであります。
 子供の遊び場は、多彩な体験、経験ができる学びやであります。子供たちは、外遊びを通じて、友達同士で関わりながら、実社会で生きる力を育んでまいります。
 子供の笑い声であふれ、思い切り遊ぶことができる環境をつくっていくということは、私たちの果たすべき未来への投資であります。
 今後、遊び場づくりという政策課題に真正面から取り組んでいくため、公共空間や施設などの多様な地域資源を活用した、区市町村におけます遊び場の創出を後押ししてまいります。この遊び場の創出に当たりましては、子供たちの意見を反映させることによって、子供を主体として捉えた象徴的な取組といたします。
 地域における遊び場づくりを多面的に促進をして、子供の笑顔であふれる東京を実現してまいります。
 次に、子供の事故予防についてであります。
 子供は、様々な挑戦を通じまして、成功や失敗を繰り返しながら成長していきます。成長、発達段階に応じて、子供たちが思い切りチャレンジできる安全な環境をつくっていくことは何より重要です。
 一方で、乳幼児の家庭内での不慮の事故が依然として発生する中、従来の注意喚起にとどまることなく、効果的な予防策を講じていくことが急務であります。
 このため、庁内各局などが保有いたします死亡事例を含む子供の事故情報や検証内容を一元的に収集、分析をいたしまして、子供の行動特性について、AIなどの最新技術を活用して解析をいたします。その上で、成長、発達段階に応じたエビデンスベースの事故予防策を開発、考案してまいります。
 さらに、その予防策を関係機関にフィードバックして、社会全体で事故予防に取り組む仕組みを構築してまいります。
 これらの取組を通じて、都庁一丸となって家庭内での事故を効果的に予防し、子供に優しい、安全な社会を実現してまいります。
 福祉保健局の再編の在り方についてのご質問です。
 東京の福祉、保健、医療を取り巻く社会経済情勢は、変化のスピードを速めております。
 新型コロナウイルス、一段と進んだ少子高齢化、共生社会の実現に向けました機運の高まり、デジタル化の潮流など、都民が求めるニーズや社会的課題は、高度化、多様化の一途をたどっております。
 今般、福祉、保健、医療サービスを将来にわたって盤石なものとするために、福祉保健局の組織再編の準備を開始いたしました。
 保健医療と福祉の部門に独立をさせ、新たな組織へ変革をいたします。また、これまで局が培ってまいりました知見やノウハウなど、多くの財産も引き継ぎながら、行政分野をまたぐ政策課題への連携にも取り組んでまいります。
 来年七月の組織改正に向けまして、健康危機管理に関する科学的な知見や最新技術の活用促進など、高い専門性と機動性を兼ね備えた体制について検討を深めてまいります。
 そして、政策連携団体についての評価について、最後にご質問がございました。
 都政には、強靱で持続可能な都市の形成、人への投資の強化、子供政策の充実など、課題は山積しております。こうした諸課題の解決に向けまして、都庁グループの総力を挙げて大胆な施策を積極的に展開していくことが重要でございます。
 こうした中、政策連携団体への評価制度につきまして、都庁グループとしてのアウトカム、都民のQOL向上を重視いたしまして、個々の事業のブラッシュアップへつながる仕組みを構築することは有益でございます。
 現在、一つ一つの事業を検証しまして、効率性、実効性を向上させる事業評価、施策単位で事業の方向性を評価する政策評価を適切に運営いたしております。
 これらに加えて、都と政策連携団体が協働して実施する事業に対する評価を一体的に実施するなど、評価制度全体のさらなる進化に向けて、早急に取り組んでまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事潮田勉君登壇〕

○副知事(潮田勉君) テストイベントに係る都の調査についてでありますが、都は、清算法人に対し、捜査に全面的に協力するよう求めるとともに、テストイベントに係る契約手続等の適正性などを確認するため、速やかにチームを立ち上げ、関係局により調査を進めております。
 具体的には、捜査に支障を来さない範囲で、共同実施事業について書類の確認を行うほか、清算法人に対して契約手続等を改めて確認するよう求めております。また、テストイベント等に関係した職員からヒアリングを行い、当該契約に係る手続や意思決定過程等を聞き取るなど、事実関係の確認を行っております。
 これらの調査について、必要に応じてコンプライアンスや契約調整の担当部署などから助言を得て、確認を行っております。
 なお、都から大会運営局に派遣されていた職員は、平成三十年八月一日時点で百十六名でございます。
 今後の捜査の状況にもよりますが、今月中を目途に中間のまとめを行い、公表する予定であります。
 東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱におきましては、談合容疑による逮捕または起訴の事実が確認された場合などは、指名停止などの措置が定められております。
 清算結了については、清算法人における債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しなど、法令に定められた清算業務が終了した場合は、評議員会の承認をもって行われることとなります。
 清算法人においては、本件が清算業務にどのような影響を与えるか、法的側面などからも確認しているところであり、都としても適切に対応するよう伝えているところであります。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) スタートアップとの協働についてでございますが、知恵とアイデアでイノベーションを起こし、社会課題を解決するスタートアップとの協働で、都政は新しい政策を生み出すことができ、そして、スタートアップの都政現場での活躍は、その信用力を高め、大きな飛躍につながります。
 このため、新たな戦略では、スタートアップの裾野を十倍、グローバルな成長を十倍、官民協働の実践の数を十倍に増やす、三次元のイノベーションのビジョンを掲げました。
 公共調達の大胆なスタートアップへの拡大に向け、入札参加資格の登録支援体制を構築するとともに、デジタルマーケットプレースなど、優れた技術や製品を持っているスタートアップが、都の調達に積極的に参加できる仕組みづくりを進めてまいります。
 環境、産業、都市づくりなど都政のあらゆる分野で、スタートアップが活躍できるフィールドを開拓し、全庁を挙げて協働の取組を推進することで、数多くのスタートアップの成長を生み出してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供を笑顔にするプロジェクトについてでございますが、都内公立学校の約八割から参加申込みがあり、各地の学校で、子供たちを笑顔にする多様な体験活動が展開されております。
 プロジェクトを活用した学校から、プログラムの選択理由や期待する効果、評価等を、順次アンケートにより集約しており、体験学習や子供の心理の専門家など、外部有識者の知見も活用しながら、プロジェクトを総括してまいります。
 こうした総括を踏まえ、積極性、協調性、他者理解など、豊かな心の育成に効果が高いと考えられる体験活動が引き続き実施できるよう、調整を進めてまいります。
 次に、教育データの活用についてでございますが、都教育委員会は、本年四月から都立高校に、成績や出欠などのデータを一元管理するシステムや、定期考査の採点業務を効率化するシステムを導入いたしました。
 それらのデータを分析して授業改善等に取り組む実証事業に参加している教員からは、定期考査の結果を解析したデータが生徒の弱点を指導する根拠になる、授業科目ごとの出欠状況の詳細を把握して指導することができ、生徒の学習に向き合う態度の改善につながったなどの声が上がっています。
 今後は、これらの取組を全校に周知するとともに、データを可視化して、教員がより分析しやすくなる教育ダッシュボードを令和五年度に向け構築し、エビデンスに基づいて価値創造、課題解決型の学びを充実させてまいります。
 次に、社会人の採用選考受験者増加に向けた取組でございますが、都教育委員会では、今年度から新たな社会人向け特例選考を導入し、選考時に免許取得見込みがなくても、合格後二年以内に免許取得すれば、教員として採用することといたしました。今後、より多くの方に教員を目指していただけるよう、さらなる受験要件の緩和を検討してまいります。
 また、教員免許取得後、企業等に就職し、実際に教壇に立ったことがない方々に安心して受験してもらえるよう、着任前の支援策を検討してまいります。
 これらの取組により、教職に関心のある幅広い層が受験しやすい環境を整え、教員の確保を図ってまいります。
 次に、都立高校の生徒の進路実現に向けた支援についてでございますが、都立高校において、生徒が自らの経済的環境にかかわらず、希望する大学への進学を実現できるよう、支援の充実を図ることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、模擬試験や英語検定の受検に係る経費等について、給付型奨学金の対象とするなど、都立高校の生徒の進学に向けた支援を行ってまいりました。
 今後は、複雑化する傾向にある大学入試問題にも的確に対応できるよう、予備校等と連携し、校内で効果的な受験対策を実施できる新たな仕組みを構築するなど、受験勉強を支援する方策の検討を進めてまいります。
 こうした取組は、都立高校の魅力向上に向けて、当面三年間に集中的に実施する施策を取りまとめた実行プログラムを今後策定する中で具体化してまいります。
 次に、フリースクール等に通う子供の調査研究についてでございますが、本年九月末時点で調査協力者として登録している不登校の子供の人数は、四百十八人でございました。現在までの調査の中で、保護者が学校やフリースクール等に期待することとして、登校することだけが全てではないことを教員に理解してほしい、子供の本来のよさが生かせる環境が欲しいなどの回答がございました。
 さらに多くの方に調査に協力していただけるよう一層の周知を図るとともに、年度内に本年度の調査経過について取りまとめを行います。
 今後、フリースクール等に通う子供やその保護者の実態及びニーズについて分析を行い、不登校の子供に対する効果的な支援の在り方について検討してまいります。
 次に、学びの環境へのデジタル技術の活用についてでございますが、仮想空間などのデジタルも活用し、不登校の子供たちの学びの環境を整えることは有効でございます。
 都教育委員会は、支援が必要な子供たちがネット上で相談や学習ができる空間など、新たな居場所や学びの場となるバーチャルラーニングプラットフォームを構築し、区市町村に提供いたします。令和四年度は、新宿区と連携して検証を進めてまいります。
 今後は、他の自治体の取組やメタバース等の最新の技術動向等も踏まえながら、子供たちの個性に応じた学びの環境を充実してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 新型コロナの検査キットの配布に関するご質問にお答えいたします。
 重症化リスクの高い方などが適切に医療を受けられるよう、発熱外来等の負担を軽減することは重要でございます。
 このため、症状のある方が自ら検査を行い、感染拡大時の検査や受診の集中を緩和できるよう、抗原定性検査キットの自宅配送や、地域の医療機関や区市町村を通じた配布を行ってまいりました。
 自宅への配送は、現在、申込み日の翌日から翌々日にかけて配送しておりますが、より迅速な検査につなげるため、原則、申込み翌日の到着とするなど、配送期間を短縮してまいります。
 また、検査キットや医薬品の備蓄を都民に呼びかけており、こうした取組を総合的に進めることで、都民がより速やかに適切な医療やサービスにアクセスできる環境を整えてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) サプライチェーンでの人権の尊重についてでございますが、持続可能な社会の実現に向けては、企業の責任ある人権尊重への継続的な取組を促進することが重要でございます。
 先般、都は、太陽光発電の技術開発や人権尊重の取組をさらに促進するため、業界団体と連携協定を締結いたしました。
 今後は、本協定を基に、持続的なサプライチェーンの構築を推進するとともに、継続的な意見交換や研修等を通じて、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。
 また、新制度の施行に当たっては、国内メーカーが強みを持つ建材一体型や軽量なパネルなど、東京の実情を踏まえた商品の普及等を後押ししてまいります。加えて、国内企業とペロブスカイト太陽電池の共同研究を進め、製品化の進展に応じて都施設に率先導入するなど、国産の新技術の実用化を促進してまいります。
 本件につきましては、企業の人権尊重の取組と国産技術の開発の推進が車の両輪と考えてございまして、こうした取組を積極的に後押ししてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二〇二五年デフリンピック大会についてでありますが、大会開催に当たって、コンプライアンスを十分に確保していくことは重要でございます。
 このため、先月、全日本ろうあ連盟等の関係者と共に立ち上げた検討会において、都民、国民の信頼が得られるよう、適切な準備運営体制を構築していくことについて、構成員全体で確認いたしました。
 引き続き、デフリンピックの大会準備に向けては、公正な執行体制を確保するため、政策連携団体等公的な団体の有効活用なども含め、関係者と共に議論を深めてまいります。
 今後、都が開催する有識者会議の検討状況も参考に、デフリンピックが都民、国民から歓迎される大会となるよう、万全の準備運営体制を構築してまいります。
 次に、デフリンピックを契機としたインクルーシブな取組の推進についてでございますが、二〇二五年には大会に海外から多くの選手、大会関係者、観客が東京を訪れます。この機を捉え、日本の最新技術を活用し、社会の多様性や包摂性を一層高め、共生社会実現への弾みとしていくことが重要でございます。
 現在、駅の音を文字や手話で視覚化する表示装置など、様々な技術が創出されており、日本の持つ優れた最新技術の調査、発掘を進め、障害のある方の声も伺いながら、そうした技術の活用促進について検討してまいります。
 今後、大会に向け、関係局や事業者等と連携し、都庁各局等が実施する各種展示会やイベントにおけるPRとともに、競技会場や文化施設等の都立施設をはじめ、まち中の様々な場面における技術活用の実証を進めてまいります。
 次に、アーティスト等の活動環境の整備についてでございますが、東京の芸術文化は、アーティストや制作スタッフ等による幅広い活動によって支えられておりまして、これらの担い手の方々が安心して活動できる環境を整備することが重要でございます。
 しかし、現在、制作の現場におけるハラスメントや書面によらない不明確な契約など、例えば女性やフリーランスなどの弱い立場にあるアーティスト等が、多くの課題に直面しております。
 そこで、ハラスメントなどの悩み事への対応や、外部の専門家を活用した契約や税務に関する法律相談など、アーティスト等の活動環境の向上に寄与するサポートセンターの設置などについて検討してまいります。
 最後に、子供の芸術文化体験についてでございますが、子供たちの感性を磨き、自ら考え、生み出す創造性を育むためには、日常から離れた様々な芸術文化の体験を通して、多様な価値観に触れ、リアルな魅力を体感することが重要でございます。
 東京には、多彩な芸術文化、エンターテインメント資源が集積しており、多様で奥深い東京の魅力を構成する重要な要素の一つとなっております。
 こうした資源を生かし、都内の芸術文化団体と協力して、ミュージカルやダンス、演劇などの幅広い分野の芸術文化の鑑賞と、その背景に触れる機会を子供たちが選択できるよう、教育庁とも連携しながら検討してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都心部・臨海地域地下鉄を踏まえた築地再開発についてでございます。
 本年三月に公表した事業実施方針では、水と緑に囲まれた都心の大規模な土地などのポテンシャルを生かしながら、都心と臨海部を効果的に結びつけていくことを基本的な考え方としております。
 これを踏まえ、先月公表した事業者募集要項では、民間事業者に対し、将来、地下鉄が整備されることを考慮して、地下鉄、舟運、バスなどのインフラから成る広域交通結節点の整備を行うことなどを求めております。
 民間事業者の優れた提案を引き出すとともに、築地再開発と地下鉄整備との連携を図り、周辺地域の様々な機能と相乗効果を生み出し、東京や日本の持続的な成長につながるまちづくりを進めてまいります。
 次に、武蔵野南線を活用した羽田アクセスについてでございます。
 東京圏における鉄道ネットワークについては、基本的に国の交通政策審議会の答申に基づいて整備などが進められていることから、まず答申に反映されることが必要であると考えております。
 答申に位置づけのない本路線につきましては、多摩地域から空港へのアクセス利便性の向上などの効果が見込まれる一方、収支採算性の確保など、検討すべき様々な課題があり、沿線自治体や鉄道事業者間でこれらの課題について検討することが必要でございます。
 都としては、沿線自治体の取組などを見極めながら、適切に対応してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、高校生等医療費助成事業についてでございますが、都は、所得制限や一部自己負担を設け、実施主体である区市町村との負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとした上で、全ての区市町村で令和五年度から事業開始できるよう、開始から三年間の都の負担割合を十分の十に引き上げることとしております。
 また、事業の開始に当たり必要となるシステム改修費や制度周知等に要する経費、人件費などの準備経費も十分の十で補助しております。
 本事業に係る令和八年度以降の財源や所得制限の取扱いなどについては、都と区、都と市町村との間でそれぞれ協議の場を設置し、各区市町村における事業実施の状況や課題等も踏まえ、検討してまいります。
 次に、地域の医療と介護の環境整備についてでございますが、在宅療養をさらに充実させていくためには、地域の医療、介護関係者が相互に連携した切れ目のない支援体制が重要であり、その整備に当たっては、二十四時間対応可能な仕組みづくりや病状変化時の受入れ病床の確保といった課題がございます。
 今般の新型コロナの流行下で、在宅医療のみを実施する医療機関を活用した夜間、休日等の自宅療養者への往診や、デジタル技術を活用した健康観察などの取組が広がっております。
 今後、こうしたコロナ禍における取組も取り入れながら、二十四時間対応可能な体制整備に積極的に取り組む地域を支援するなど、在宅療養体制のさらなる充実を図るとともに、次期保健医療計画改定の検討に反映してまいります。
 次に、認証保育所についてでございますが、都は、保護者と事業者との直接契約により、事業者の創意工夫を生かし、都民の多様な保育ニーズに対応する認証保育所を平成十三年度に創設しました。
 その後、育児休業制度が充実してきたほか、テレワークなど働き方が多様化することに伴い、子供と家庭を取り巻く状況は変化しております。
 こうした状況を踏まえ、必須としていたゼロ歳児保育の要件を緩和し、一歳児の受入れを促進するとともに、短時間利用や学齢児の受入れなど新たな仕組みを設け、利用者のニーズに対応できるよう、制度を見直しました。
 今後、認証保育所が子育て支援の拠点として、子育て家庭の様々な課題に対応できるよう、必要な支援や制度のさらなる見直しについて検討してまいります。
 最後に、地域における子育て家庭への食の支援についてでございますが、フードパントリーや子供食堂は、地域における食の支援として重要な活動でございます。
 都は、フードパントリーの設置に取り組む区市町村へ立ち上げ経費を支援するほか、今年度から、食料等の価格高騰の影響を踏まえ、運営事業者に食料調達費等を補助しております。
 また、子供食堂に対しては、区市町村を通じ、朝食の提供を含む会食の開催や、配食、宅食の経費を支援しており、今年度は、物価高騰対策として、新たに事業の立ち上げ経費も補助しております。
 さらに、区市町村が地域の実情に応じ、学校施設等を活用して食事を提供する場合も包括補助で支援をしてございます。
 今後、事例集を作成し、朝食にも活用が可能なことを区市町村を通じて周知するなど、本制度を活用した子供と家庭への食の支援の充実を図ってまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 中小企業のデジタル化に向けた支援についてお答えいたします。
 中小企業がデジタル化を円滑に進める上で、ITに係る知識を効率的に確保し、社内でリスキリングを着実に進めることが重要でございます。
 これまで都は、中小企業が生産性を高めるため、デジタル技術を活用した設備を導入する場合、専門家を派遣し、現場の実態を踏まえた効果的な助言を二年間にわたり実施しております。また、社員向けに、eラーニングなどによりDXの知識を学ぶ機会を設ける中小企業への助成も行っているところでございます。
 今後は、専門家が中小企業に出向き、業務フロー全体を見直した上でデジタル化を効果的に進める取組のほか、社内でリスキリングを計画的に行うため助言をするサポートの充実を検討いたします。これによりまして、中小企業のデジタル化を着実に支援をしてまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) TOKYOスマホサポーター制度についてでございますが、七月から先行的に活動いただきました延べ約二百人の講師経験者や意欲ある大学生などからは、スマホの知識だけではなく、高齢者に丁寧に寄り添えるコミュニケーションスキルを磨くことが重要などの意見があり、現在策定中の育成プログラムに反映することといたしました。
 来年一月には新たに一般の方から広く募集を開始し、オンラインによる講習やスキルチェックを経て、学生や元気な高齢者などをサポーターとして登録し、今年度は都のスマホ相談会などで活動していただきます。
 区市町村やNPO、地域で活動する団体、大学などと連携して、幅広い方々に参画いただき、来年中に登録者を千人まで拡大し、地域で支え合い、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会を築いてまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 育業の推進についてでございますが、改正育児・介護休業法の施行を契機といたしまして、男性の育業取得率を高めていくことが重要であり、その中で、男性の鬱につきましても理解を図る必要がございます。
 育業の推進に当たりましては、関係局と連携し、男性に対して家事、育児に役立つ情報を伝えるほか、企業に対してセミナー等を通じ、育児との両立支援の重要性を啓発しております。その中で今後、育児を行う男性が鬱になるリスクや家族、職場の理解と協力の重要性につきましても伝えてまいります。
 また、男性の育業支援に取り組む企業、団体の好事例を発信するとともに、育児に悩む父親への相談支援の充実に向けまして、区市町村に都の補助事業の活用を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、誰もが安心して働き、育児ができる社会の実現を目指してまいります。

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