令和四年東京都議会会議録第十七号

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 令和四年十二月五日付で、知事より、本定例会に提出するため議案一件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第二百六十九号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第六号)が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十二番菅野弘一君。
   〔百十二番菅野弘一君登壇〕

○百十二番(菅野弘一君) 令和四年第四回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 サッカーワールドカップ・カタール大会での日本代表、サムライブルーの活躍は、念願のベストエイト進出こそかないませんでしたが、優勝経験のあるドイツ、スペインに勝った見事な試合など、日本中に夢と感動を与えてくれました。
 明るい話題に沸いた一方で、年末に向かい新型コロナウイルス感染症も再拡大となり、原油高、物価高、円安などが続き、世界情勢は混沌としています。
 そうした中、都民生活や都内事業者の経営環境への影響を最小限に抑え、しっかりとしていくのが都の責務であります。
 こうした困難な局面で最も重要なのは、都政運営に対する都民の信頼と協力であります。
 そのためには、都内の実態を直視し、都民の声に耳を傾けることが必要です。今日は、こうした観点から質疑を行います。
 原油、原材料の価格高騰や円安による輸入コストの上昇など、都内中小企業の経営環境は依然として厳しい状況にあります。企業の経営者からは、光熱費や仕入価格の上昇が止まらない、円安の影響により原材料の値上げが厳しいといった切実な声が届いています。東京の経済の基盤ともいえる中小企業が、現下の社会経済環境の変化を乗り越えていくためには、企業の実情に寄り添った支援が必要と考えます。
 そこで、原油や原材料などの価格高騰が中小企業の経営に重くのしかかる中、経営の下支えや、その先を見据えた取組をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 また、仕入価格の高騰に伴い、資金繰りや価格転嫁の問題など、経営に関する様々な影響が発生しています。こうした状況の中、政府は先月、総合経済対策の実行に向けた令和四年度第二次補正予算案を国会に提出し、先週末に可決されました。
 都議会自民党は、政府の総合経済対策と足並みをそろえた都民生活や事業者への支援などを都に対して要望したところですが、今回提出された補正予算の考え方について、知事の見解を伺います。
 今回、所信表明演説で、知事は、都庁の組織強化、福祉保健局の見直しについて表明されました。
 福祉保健局は、都庁最大の組織ですが、改編に当たっては、単に機構を分割して効率性を発揮させるといった理由のみではなく、また、目先の事象にとらわれた朝令暮改の組織見直しを行うのではなく、行政サービスの質を向上させ都政の実行力を高める、つまり、真に都民に資する都庁を目指していくという大きな意思が伴わなければなりません。
 改正感染症法が成立するなど大きな変化がある中で、都の組織も長期的な展望の下、将来にわたって機能する執行体制を確立することが求められます。
 福祉保健局の組織改正について、知事の見解を伺います。
 新型コロナの感染症法上の位置づけについて、政府は見直しに向けた検討を開始するなど、経済との両立に向けた議論が本格化しており、都も、この冬の感染拡大には行動制限は行わないとの基本的な考え方を示しています。都の現下の感染状況は、感染者数は増加傾向にありましたが、このところ増加率は穏やかになってきています。経済活動とコロナ対策との両立に向けて、医療提供体制もしっかりと整えていくことが重要です。
 そこで、我が党が、オミクロン株の流行下で特に重要視している高齢者対策や自宅療養体制の確保をはじめ、ウイズコロナに向けた医療提供体制について、知事の見解を伺います。
 また、特に年末年始は受診可能な医療機関が限られることになります。都は、年末年始の医療提供体制をどのように確保していくのか伺います。
 世界の変革スピードが速まる中、日本が再び成長するためには、首都東京が日本を牽引する必要があります。
 こうした中、知事は、第三回定例会でSusHi Tech Tokyoという言葉を生み出し、今後、国際的な発信を強めていく旨を表明しました。
 そして、来年二月に開催するCity-Tech.Tokyo、G-NETSといった国際会議、そして令和六年度には、東京ベイeSGプロジェクトでの一大国際イベントにつなげていくと説明をしています。
 東京の国際的なプレゼンス向上は重要ですが、単なるイベントを展開していくだけで、それぞれのつながりや、SusHi Tech Tokyoが一体何を行うのか、都民にとって理解しづらいと感じます。
 また、知事のみならず、都議や都職員も含めた多様なチャンネルにより、オール東京で発展的に世界に訴える必要があります。
 そこで、SusHi Tech Tokyoの狙い、具体的に、一体何をしたいのか、また、これまでの成果を踏まえた今後の展開方針について、知事に伺います。
 国は、新しい資本主義の柱として、社会課題の解決と成長の牽引役となるスタートアップの育成に向けた五か年計画を先日決定しました。スタートアップの年間投資額を二〇二七年度に十兆円規模とし、我が国がアジア最大のハブとして世界有数のスタートアップ集積地になることを目指すなど、大きな目標を掲げています。
 我が国の経済を再び力強いものとしていくためには、首都東京が先頭に立って、国や経済団体、都内に数多くある大学などと連携し、オールジャパンでスタートアップを生み出していく必要があります。
 都は、新たに策定したスタートアップ戦略について、どのようにして実効性の高い施策を推進していくのか、知事の見解を伺います。
 コロナ禍での世界的な出入国規制によって、東京を訪れる外国人の数は三年の長きにわたり激減してきました。厳しい状況は、観光業だけにとどまらず、外国人による経済効果は、今や東京のあらゆる産業に直結しています。
 外国人を誘客する究極の目的は、東京の経済の活性化にあります。円安が続く今、観光は重要な外資獲得手段であると改めて認識すべきです。
 東京二〇二〇大会は、延期の上、無観客開催となり、当時計画され、結果としてできなかった観光振興施策もいまだたくさんあるはずです。水際対策が抜本的に緩和され、東京を訪れる外国人が増えてきた今、感染防止対策は徹底しながら、東京の観光の回復との両立を図ることは急務です。そのためには、東京でしかできない、かつ、経済効果の裾野が広い具体策こそ求められています。
 例えば、日本の文化や習慣などに直接触れる体験型のプログラムや、海外で人気のあるアニメなどを使った取組など、外国人の多様なニーズを的確に捉え、常に新しいコンテンツを打ち出すことが重要です。
 そこで、水際対策の緩和を踏まえて、今後どのように観光振興を進めていくのか、知事の見解を伺います。
 近年、新しいツールやシステムの導入などで、デジタル技術の進展により企業現場の抜本的な業務改善につながる事例が出ています。こうした取組は、デジタル化が難しいとされていた工場などでも始まっており、自動車整備工場では、定期点検などを迅速かつ正確に行うため、デジタル技術のツールが活用されています。
 しかし、厳しい経営環境が続き、資金的な余裕もない中小企業では、経営改善につながると分かってはいても、対応が困難な状況にあります。
 都においてはこれまでも、我が党の要望を踏まえ、中小企業のデジタル化に向けた取組を進めていますが、様々な業態の企業に幅広く活用してもらえるよう、現場のニーズを踏まえた支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 デジタルトランスフォーメーション、DXやグリーントランスフォーメーション、GXの進展により、デジタル関連や脱炭素、環境関連の業務など、成長が見込まれる分野は、今後、人材不足が見込まれます。一方、GX等により不要となる業務が発生し、失業が増大するおそれもあります。よって、社会環境の変化に対応したスキルを身につけるための支援は重要であります。
 また、就職氷河期世代など、望まず非正規雇用となった方も多いといわれています。こうした方々が正規雇用にキャリアチェンジできるよう、スキル習得やマッチング支援などの支援策が求められています。
 今後の取組について、都の見解を伺います。
 都の職業訓練校である職業能力開発センターは、多くの人材を育成し、雇用就労の一助として役割を果たしてきましたが、昨今は時代についていけない現状が表面化しております。Society五・〇の時代、DX等も進み、従来型の設備では実技が学べず、時代の変化によるリスキリングにも対応ができなくなっています。
 したがって、企業が求める人材を育成するためには、最新の機器類を備えるなど、新しい技術を身につけるための環境整備を行う必要があります。と同時に、訓練する科目も、ITなど時代に見合ったものへと変更していかなければなりません。
 最新の施設、設備に更新し、訓練の質を高め、時代や雇用する側のニーズに合った人材育成を果たす必要があると考えますが、見解を伺います。
 一方で、求職者に対して職業訓練の情報や内容を正確に提供し、雇用に結びつけてこそ訓練が生きることになるわけで、そのための橋渡し役として重要なのが、飯田橋と立川にある東京しごとセンターです。
 東京都中小企業団体中央会の会長からも、公労使会議の場で、しごとセンターの利用者が職業訓練などの体験ができるよう一体として整備すべきとの声が上がっているように、職業能力開発センターとしごとセンターが双方からアプローチができるよう、一体的に施設整備を進めるべきと考えます。
 都も、施設の老朽化を受け、リニューアルに前向きだと聞きましたが、DXやGXに対応できる人材育成、人材確保のための支援と就業支援をしっかりと行っていくべきと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。
 去る十月、都議会自民党では、産業施策の視察として都立産業技術研究センターに行ってきました。3Dプリンターによる開発支援、温度や圧力など様々な条件を満たしているかを検証するための耐久性試験、最近の新たな研究としては化粧品開発なども手がけていると聞き、都内中小企業の製品開発に大いに寄与していることが分かりました。
 昨今のコロナやウクライナ侵攻による影響、原油をはじめとする資材高騰など、中小企業、零細企業を取り巻く環境は刻々と変化するとともに、進化し続ける最先端技術への対応も苦慮しているのが現状です。そうした変化に迅速に対応するためにも、技術開発支援は大変重要です。
 産技研を中心に、今後も中小企業に対する技術支援をより充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、視察の際には、産技研の理事長とも意見交換をさせていただきました。今後の様々な変化に対応するためには、当然、最新の機械、設備が必要で、最先端を追いかけ続けることには一定の限界はあるとのことでしたが、何より重要なのは、知識、スキル、技術などを身につけた職員の育成と新規採用をも含めた人材登用でありますとのことでした。
 中小企業を支える人材をどのように採用し育成していくのか伺います。
 我が会派はこれまでも、豊洲や大田といった大規模市場だけではなく、ほかの市場にも目を配るべきだと主張してきました。そうした市場は、地元の小売店や飲食店などの仕入先として地域を支え、生鮮品などを供給する重要な役割を担っています。
 一方で、そうした市場の多くは老朽化が著しく、高度な品質衛生管理を求める市場内外のニーズに応えられず、世間から取り残されてしまうのではないかと危惧される状況にあります。
 また、狭隘な施設しかない市場では、そこで働く従業員やトラックドライバーの人手不足が拍車をかけ、場内混雑がより一層深刻化しており、多くの市場関係者からは、豊洲の次は我が市場が整備される番だと心待ちにしている声を聞きます。東京の十一の市場の開設者の責任として、こうした声に耳を傾け、真摯に老朽化対策や維持更新などを進め、機能強化を図っていくことが重要だと考えます。
 そこで、都は、豊洲や大田といった大規模市場だけではなく、それぞれの地域で都民生活を支えている市場について、今後どのように機能強化に取り組んでいくのか、見解を伺います。
 我が会派が尽力して設置された実務者協議会の中でも、首都圏鉄道網の拡充は最重要テーマであり、東京都と国とのかけ橋として、国の様々な機関と独自に協議を進めてきました。
 その成果でもある昨年七月の交通政策審議会の新たな答申では、地下鉄ネットワークとして、地下鉄八号線、都心部・品川地下鉄、都心部・臨海地域地下鉄の三つの路線について、課題解決の方向性が示されました。
 リニア中央新幹線の始発駅でもある品川駅や臨海部、スカイツリーといった観光拠点など、様々な拠点がつながることで活力ある東京の実現が期待され、都はこの間、これらの路線について精力的に取り組んできたものと認識しています。
 とりわけ、東京や銀座といった日本の核である都心部と、居住や商業、エンターテインメントなどの拠点として発展していく臨海部とをつなぐ都心部・臨海地域地下鉄の実現により、新たなにぎわいの軸が形成されるとともに、都市の魅力と活力を飛躍的に向上させる起爆剤となって、日本の持続的な成長へとつながっていきます。
 これら三つの地下鉄新線の事業を進める意義と決意について、知事のお考えを伺います。
 都営住宅居住者などへの生活支援について伺います。
 我が党はこれまでも、都営住宅居住者の利便性向上のため具体的な提案を行っており、都は、令和二年度より、オープン型宅配ボックス設置のモデル事業を二つの団地で開始しました。
 この事業は、都が都営住宅敷地を有償で貸し付け、事業者が宅配ボックスを設置し管理運営を行うもので、多くの団地居住者などに利用されています。
 宅配のニーズはますます高まっており、さらなる居住者などの利便性向上に努める必要があるとともに、再配達を削減するため、環境負荷の低減や物流の効率化にも資する取組と考えます。
 都は、先行実施の成果を踏まえ、ほかの都営住宅についても宅配ボックスの設置拡大を図るべきですが、見解を伺います。
 次に、東京農業の振興について伺います。
 東京農業は、新鮮な農産物の供給や災害時のオープンスペースの確保など多様な役割を果たしていますが、様々な課題も抱えています。
 例えば、都内の農業者数は年々減少している一方で、経営拡大を目指す農家や他業種からの参入など新たに農業を始めたい方の中には農地を探している方も多くいらっしゃいます。両者のマッチングを進め、貸借を促進することができれば、東京農業の活性化につながると考えます。
 これまで都は、新規就農者等に対し、地元の農業委員会を通じ生産緑地の貸借を行ってきましたが、借手の方からは、居住地だけでは適当な農地の情報が得られない、あるいは、ビニールハウスなど施設整備を投じるためには、契約期間が短く安定した農業を営むことは難しいなどという声を聞いております。また、所有者の側からも、先祖から引き継いだ農地を他人に長期間貸すことになかなか踏み切れないなどとの意見が出ています。
 そこで、都は、現下の状況を踏まえ、借手と貸手の双方に恩恵が生じるような支援を行うべきであり、例えば、生産緑地を十年以上貸し出す場合、面積に応じて奨励金を支給するなど貸借の促進に向けた施策をさらに充実すべきと考えますが、その見解を伺います。
 東京は、頻発化、激甚化する風水害や首都直下地震はもとより、複合的な災害など、自然災害のリスクに常に直面しています。こうした中にあって、都民の命と財産を守り、首都機能や経済活動を維持することが都に課せられた重大な使命であります。
 この使命を確実に果たすためには、将来の強靱化された東京の姿を具体的に明らかにした上で、国や区市町村と有機的に連携し、強靱化につながる取組をレベルアップすることが必要です。
 そのためには、中長期にわたって災害に強い東京の実現に向けた真に効果の高い対策に重点投資すべきです。そして、練り上げた都の防災対策の全容を、将来の事業規模も含め、都民に明確に提示することが最も重要です。
 来年、関東大震災から百年を迎える中にあって、今後策定する都市強靱化プロジェクトの基本的な考え方について、知事の所見を伺います。
 大規模災害発生時は、国や道路などの管理者、救出救助機関など様々な機関が被害情報の収集や分析を行います。しかし、それらの情報が関係機関の間で共有され、災害対策に生かされなければ、応急対策が遅滞し、ひいては復旧、復興への重大な影響を及ぼしかねません。
 都内で発生する大規模災害への対処において、東京都災害対策本部は司令塔であり、本部に各機関の情報が効果的に集約され、迅速な応急対策に生かされるべきですが、膨大な量の情報をマンパワーのみで集約し、分析することは困難です。
 そこで、大規模災害時において多くの都民の命を守るため、DXを活用して様々な災害情報を効果的に集約、分析活用し、応急対策につなげるなど、都の災害対応力を向上すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、今年五月に被害想定を十年ぶりに見直し、住宅の耐震化や家具の転倒防止対策、出火防止、初期消火対策など、今後の取組による対策の効果を明らかにしました。
 一例を挙げると、感震ブレーカーや消火器設置促進などの対策を総合的に進めた場合、火災死者数が七割から九割程度減少するなど、対策の効果を推計しています。
 災害による被害を減らすためには、日頃から住民や地域の自助、共助を促す区市町村の取組が重要です。
 一方、木造住宅やタワーマンションなどの住民の居住形態やコミュニティの状況は地域によって大きく異なるため、各区市町村が住民や地域に対して優先して行うべき取組も大きく異なります。
 そこで、今後、区市町村による自助、共助を促す取組が一層推進されるよう、都は個々の実情に応じた支援を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 新たな被害想定では、首都直下地震の発生から二十四時間で最大六百二十三件の火災が発生するとされています。よって、東京を守るためには、同時多発する膨大な火災の発生が想定されるための初期消火能力の向上が重要な課題になっています。
 そこで、自助、共助などの地域防災力の向上に向けた東京消防庁の取組について、消防総監の見解を伺います。
 二〇二〇大会のレガシーは非常に重要であり、特に新設の都有施設のレガシー利活用を進めなければなりません。新設会場であるカヌー・スラロームセンターは、七月の再開場以来様々な利用がされてきました。
 まずは、スポーツとしてのカヌー競技。強化選手の練習会場としてはもちろんのこと、十月にはNHK杯日本選手権などの競技大会が開催されました。また、レクリエーションとして、ラフティングなどの遊び場として機能し、都によるカヌーフェスタなども開催してにぎわいを創出しました。
 我々が主張してきたもう一つは、社会貢献としての施設利用です。ロンドン五輪のカヌー施設では、大会後に水難救助訓練の会場として利用されており、同様の訓練などに利活用すべきと考えます。
 このたび、東京消防庁が、大規模水害に対する活動体制強化のため、センターを利用すると聞きました。地元の江戸川区はゼロメーター地帯が広がり、こうした水害対応訓練に大いに期待を寄せています。
 その際には、警視庁など関係機関との協力体制や地元自治体や地域住民との連携も図るべきと考えます。消防総監の見解を伺います。
 官民連携によるデジタルサービスの創出について伺います。
 行政データを活用して実際にサービスへとつなげる提案を競う都のオープンデータハッカソンでは、私の地元である港区が公表している保育園一覧データを活用し、手軽に自宅の近くの入りやすい保育園が分かるサービスが区民との協働で実装され、これを契機に、台東区でもオープンデータ化され、サービス拡大につながったことは大変有意義と考えます。
 これらの取組を数多くの区市町村に広げていくために、行政のオープンデータ化や職員の意識改革の推進が重要ですが、官民連携によるサービス創出に向けた都の見解を伺います。
 東京のDX推進強化に向けた区市町村へのDX支援について伺います。
 都は、九月に区市町村を含めた東京全体のDXを加速させる新たな仕組みとして、新団体GovTech東京の設立構想を発表しました。GovTech東京が区市町村のDX推進に貢献するためには、具体的なニーズを踏まえた地に足のついた実効性ある取組となるよう、区市町村の声を聞き、議論を十分尽くしていくべきと考えます。
 引き続き、より自治体の現場レベルでの意見交換をさらに進めることも大切ですし、また、東京都内の六十二区市町村は人口などの行政規模の違いも大きいので、各自治体の実情に合わせた対応や必要とされるデジタル人材の確保など支援の内容は多岐にわたります。そして、成功事例だけではなく失敗事例も横展開で共有することなど、広域行政をつかさどる都の役割は極めて大きいものがあります。
 国においても、十月にはデジタル庁が自治体の情報システムの統一、標準化に向けて、住民記録、税、介護、福祉など主要な二十の事務の基盤業務のシステムを対象に基本方針を発表しましたので、国とも連携を深め取組を加速していくことが重要です。
 区市町村へのDX導入は、すなわち各役所の業務や仕組みを変える努力が問われますが、都は、来年のGovTech東京の設立を見据え、DX推進に向けて区市町村が抱える喫緊の課題にどのように取り組むのか、宮坂副知事の見解を伺います。
 バスの置き去り事故をはじめとして、子供たちを取り巻くリスクや課題は刻々と変化していることから、子供政策自体も固定的ではなく、常にニーズを的確に捉えていくことが求められています。
 このため、都が年度内を目途に策定予定であるこども未来アクションに各局の子供関連施策を羅列し、単に記載された内容を計画どおり実施するだけでは不十分であり、子供目線に立って不断に見直す姿勢をこども未来アクションの中核に据え、子供との対話を通じた取組を実践していくことが求められています。
 さきの第三回定例会の代表質問では、子供の意見を反映した子供政策について提案したところでありますが、こども未来アクションの策定に当たっても、子供の意見をただ聞くだけではなく、子供たちの意見をどのように都が受け止めたのかという観点からしっかりと記載するなど、子供との対話を実効性のある形で実践すべきであります。
 都は、真に子供目線に立ってこども未来アクションを策定すべきと考えますが、見解を伺います。
 少子化については、コロナ禍の中で、日本における出生率が将来人口推計よりも七年ほど早く減少するなど危機的な状況にあります。このまま少子化が進行すれば、我が国の社会に多大な影響を与えることになり、少子化を国家存亡の危機、国民、都民共通の重大な危機と捉えなければなりません。
 都においては、昨年の合計特殊出生率が一・〇八まで低下しており、全国で最も低い状態が続いています。
 結婚支援、妊娠、出産支援、子育て支援、働き方改革など、あらゆる側面から対策を推し進めていくことが極めて高い中、知事は、本定例会の所信表明において、大胆な政策拡充に向けた検討を進め、少子化問題に真正面から取り組んでいくと述べられました。
 少子化を克服し、結婚、妊娠、出産、子育てに夢や希望を感じられる社会を実現するため、総合的な対策を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 大きな社会問題として周知されながらも、その実態が見えにくいひきこもりですが、内閣府の調査では、ひきこもりの人数は全国で約百十五万人、そのうち自宅に半年以上閉じこもっているひきこもりの四十歳から六十四歳が約六十一万人、十五歳から三十九歳の若者は約五十四万人と、四十歳以上が最も多く、ひきこもりの高齢化、長期化が鮮明になっています。
 さきに江戸川区が実施した全世代を対象に直接行ったひきこもり調査では、四十歳以上の潜在化したひきこもりの人たちが行政につながったというケースもあり、大人のひきこもりは、新しい社会的問題として様々な検討、分析を加えて適切に対応していくべき課題であります。
 これまで我が会派としても、幅広い年代のひきこもりを含め、行政から最も遠い場所にいる人にこそ支援の手を差し伸べるべきだと述べてきたところでありますが、都は、今まで支援の手が届かなかった中高年層にも光を当て、誰も孤立させない社会の実現を図っていく必要があると考えます。都の見解を伺います。
 国は、昨年七月、児童相談所の設置基準を政令等で新たに設定しており、管轄人口が百万人を超える児童相談所については、新設等による管轄区域の見直しが求められています。
 都は今年度、多摩地域における児童相談所の管轄区域に関する調査を実施していますが、市町村の意見も聞きながら、国の設置基準を踏まえた管轄区域の見直しを着実に進めるべきです。また、見直しに当たっては、人口だけではなく、これまで課題とされていたアクセスの改善などにも配慮すべきです。
 今後、具体的なスケジュールも含め、管轄区域の見直しをどのように進めていくのか伺います。
 パラスポーツについて伺います。
 東京二〇二〇大会からはや一年、パラリンピックのレガシーを最大限に生かし、共生社会を実現するためには、パラスポーツを社会に根づかせていくことが大切です。
 スポーツをする障害者は、厳しい練習を重ねるアスリートもいれば、気軽なスポーツに親しむ人もいるなど、裾野が広がっています。そのため、置かれた状況や特性なども踏まえて、スポーツを楽しむ環境の整備が欠かせません。
 現状として、障害者からは、活動できる場所が少ない、自分の障害を理解してサポートしてくれる人が不可欠、また、スポーツ施設まで行くことさえ難しいといった声を聞きます。
 こうした様々な方が、競技、レクリエーションスポーツなど幅広いスポーツに親しめるようにするには、障害者のスポーツ環境の整備に着実に対応していくことが重要ですが、都の取組について伺います。
 さて、都内の都立特別支援学校は、東京各地に点在しており、学校教育活動に支障のない範囲で開放しています。
 今後、障害者のスポーツ環境の整備の観点からは、都立特別支援学校の施設の開放をさらに進めていくべきですが、都教育委員会の見解を伺います。
 障害者が行うスポーツの普及についても伺います。
 車椅子操作とシュートの応酬が魅力の車椅子バスケ、広く普及しているボッチャといったパラリンピック競技は多くの人の知るところであります。
 しかし、二〇二五年に東京で開催が決まったデフリンピックのように、聴覚障害者の総合的な大会もあれば、スペシャルオリンピックスのように知的障害のある人たちが共に成長し、楽しむ大会もあります。
 障害者は、種別も程度も、さらには受傷時期も一人一人違い、スポーツをする目的も、リハビリや仲間との交流、世界の頂点を目指す者など様々です。
 障害者が自分に合ったスポーツを見つけ、楽しめる機会が多様にあることも重要ですが、都の取組を伺います。
 我が国の伝統的な芸能、文化はもとより、日本の様々な芸術文化は世界的にも認知されております。こうした中、芸術文化活動がより発展していくよう、あらゆる機会を通じて支援すべきであり、特に身近な地域での活動を充実させるべきと考えます。
 東京都指定の有形無形文化財などは地域に根づいており、こうした文化財を活用した地域の芸術文化活動は、市区町村との関わりも深く、都と地元自治体による協働が非常に重要となります。
 都として、地域の多様な芸術文化活動が発展するようさらなる支援策を講じるとともに、地域の活動を支える区市町村の取組を後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
 世界におけるeスポーツの競技人口は、今や一億三千万人以上といわれ、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国を中心に市場が拡大しています。
 最近では、日本においても様々なeスポーツの大会が開かれるようになり、東京都でも東京eスポーツフェスタが始まり、年明け一月には四回目の大会が予定されているなど、東京中でも普及拡大中であります。
 この動きは、経済産業省だけではなく文部科学省も注目しており、eスポーツを日本の新しい文化として育み発展させていくためにスタートした高校生対象のeスポーツ大会の後援には文部科学省が名を連ねるようになりました。
 同時に、プロ選手も増加し、彼らの活躍がSNSなどを通じて広がっていることで、新たにプロを目指す中高生も今後増えてくるものと予想されます。
 一方で、各学校のPTAなどの関心も高まり、活用の仕方によっては、知育、コミュニケーション能力など、児童生徒たちの成長に大きく寄与されるのではないかと期待する声も多々あります。
 今後、eスポーツが拡大していく中、都立高校などの部活動においてeスポーツに取り組む生徒に対してどのように支援していくのか、都教育委員会の見解を伺います。
 都立高校における教育の充実について伺います。
 教育現場には、教育を支える教育の質と量の確保など様々な課題がありますが、都立高校においては、次代の東京を担う生徒の育成に向けて、教育内容の一層の充実を図る必要があります。
 都立高校の令和四年度入学者選抜における応募倍率は全体で約一・四倍となっていますが、普通科の一部の高校においては、生徒の獲得に苦戦している状況となっています。
 改めて申し上げるまでもなく、都立高校は、将来の東京を支える人材を育成する重要な使命があり、この状況の改善に向けた取組が早急に求められています。
 我が会派は、かねてより、都立高校においては、デジタル化やグローバル化に対応した有用なスキルを習得できるようにするなど、都立高校の生徒が社会に出た際に活躍できるような支援を行うべきと提案してきました。
 このような観点から、次代の東京を担う人材育成に向けて、都教育委員会ではどのような取組を展開していくのか、見解を伺います。
 東京都はこれまで、十期にわたり世界を舞台に活躍する国際感覚豊かでたくましい若者を東京から輩出していくことを目的として、次世代リーダー育成道場を実施、延べ千五百名を超える高い志を持った高校生の留学支援を行ってきました。
 先日の所信表明で知事も述べられたように、これからの未来を生きる子供たちには、ツールとしての英語はもとより、豊かな国際感覚を身につけ、将来への可能性を広げてほしい、この思いは我々も同じです。
 しかし、同じ都立高でありながら、これまで都立特別支援学校の生徒の留学実績はありません。都立高校では、様々な地域への海外派遣に力を入れ、現地でなければ得られない異文化に触れられる機会を拡大していくとのことですが、来年一月にはオリ・パラレガシーの一環として、特別支援学校の生徒が都立高校の生徒と一緒にパリに赴くと聞いています。
 こうした経験も踏まえながら、障害のある子供たちも、海外において体験的に学ぶことができる機会を充実させていくことが重要であると考えます。知事の見解を伺います。
 東京二十三区の大学における定員抑制について、我が会派は、本規制が不合理な措置であるとして、明確に反対の意思を表明するとともに、地方創生に当たっては、東京対地方の構図をつくるのではなく、東京と地方が共存共栄し、日本全体の発展に寄与する仕組みを構築するよう求めてきました。
 また、先般、国の予算委員会においても、萩生田政調会長が本規制の見直しに関する質疑を行ったところであります。
 社会経済状況の変化が厳しい今日において、世界との競争に打ち勝っていくためには、高度な研究機関や機能を有する大学の存在が重要です。大学を規制するのではなく、大学と企業が連携し、事業と研究を結びつけることで成果を上げ、都市と地方が分かち合うことが必要です。特に、昨今、デジタル化やAIなどの新しい産業や技術が生まれ、こうした社会のニーズに合わせた人材を育成していくことも重要です。
 先般、都が国に対して本規制に関する緊急要望を行ったことは承知していますが、今後さらに、国に対してどのように働きかけをしていくのか、知事の見解を伺います。
 新築住宅などへの太陽光発電設備の設置義務化について伺います。
 地球規模での気候危機に加え、長期化するロシア、ウクライナ情勢により顕在化したエネルギー危機への対応として、二〇三〇年カーボンハーフの実施に向けた施策、とりわけ都内のエネルギー消費量が唯一増加している家庭部門への対策が急務であることは、何ら否定するものではありません。
 しかし、その対策として、太陽光パネルの設置を義務化することが果たして都の政策として適切なのか、都民が本当に納得しているのか、こうした疑問に誠意を持って答える責任が知事にはあります。
 義務化の意義や政策効果などについて、都民の理解、納得が得られるよう、丁寧な説明を行っていくことを再三再四求めてまいりましたが、現時点でも十分納得できるような説明はありません。
 そこで、改めて伺います。なぜ義務化という強い手法を用いなければならないのか、新制度でどれだけの政策効果が見込めるのか、知事の見解を伺います。
 次に、人権尊重に関連する取組について伺います。
 中国の新疆ウイグル自治区で、太陽光パネルの主要な原材料であるシリコンの採掘などにおいて、少数民族の人権弾圧と強制労働が行われているとの懸念が伝えられています。このことは、太陽光パネル義務化に当たって慎重に取り扱うべき問題であり、各国は、既に輸入規制などに動いているのが現状です。こうした中、日本の首都東京が太陽光パネルの義務化に取り組むとなれば、国際社会から強い視線が向けられることになります。
 そこでお聞きします。国に先駆けて、他に類を見ない条例改正を進めるのであれば、知事自らが前面に立って、都民、国民に義務化の必要性、妥当性、合理性を説明するとともに、サプライチェーンでの人権尊重に関する企業の取組を促進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、都民理解の促進について伺います。
 都が今年の五月から六月にかけて実施した条例改正に係るパブリックコメントでは、賛成意見が全体の五六%を占める一方で、反対意見も四一%に上り、都民から様々な意見が寄せられました。
 これは、都内全域にわたって個人住宅にパネルを設置するという事業です。この事業は、都民お一人お一人の理解と納得、そしてご協力の上に成り立つものです。令和七年四月には義務化を開始するとのことですが、現段階で都民の方に十分にご理解いただいているかどうか、疑問が残ります。
 どのようにして都民理解を促進していくのでしょうか、都の見解を伺います。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、太陽光発電にこだわることなく、あらゆる分野で再生可能エネルギーの利用拡大も図っていくことも重要です。エネルギーの安定供給の観点から、我が党はこれまで、繰り返し水素エネルギーの重要性と将来性を主張してきました。
 二〇五〇年にゼロエミッション社会の実現を目指す動きは国際的なコンセンサスとなっており、水素製造時にCO2を出さないグリーン水素への早期移行が重要です。
 しかし、国内におけるグリーン水素の製造は、現状ごく僅かで、到底、カーボンニュートラルに貢献する状況にはありません。真にカーボンニュートラルを実現するためには、グリーン水素の製造スピードを飛躍的に加速させる必要があります。
 そこで、エネルギーの大量消費地である都は、自ら民間事業者や全国の自治体を牽引する気概で、グリーン水素の製造や普及拡大に取り組んでいく必要があると考えますが、その見解を伺います。
 先月、都税調において報告が取りまとめられました。今年度の報告では、税制のグリーン化は税制改革の基本的視点に位置づけられております。気候変動問題に国境はなく、長期的な視点を持って国際社会が連帯を深めることが不可欠であり、都税調の報告にもこうした考え方が反映されています。
 東京都は、エネルギーの大消費地として、また、世界の大都市の責務として、直面する気候変動に対し、先頭に立って立ち向かわなくてはなりません。そのためには、あらゆる政策手段を駆使する必要があり、中でも税制は、人々の行動に影響を与える大切な手段の一つと考えます。
 そこで、税制も活用しながら、ゼロエミッション東京の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 最後に、環境確保条例の改正について一言述べさせていただきます。
 今定例会では、条例案と補正予算が同時提案されていますが、パネル義務化は令和七年開始で、補正予算案は今年度内三か月分の事業費です。そして、七年以降の全体規模、そして、事業総額、事業期間、事業効果など、全体像が不明のままです。
 知事は所信表明で、来年度予算を待つことなくとして、本定例会に提案している補正予算案にも必要な経費を盛り込んだと発言しています。しかし、都民理解の進み具合、事業者の対応など、本事業を取り巻く現状を勘案すれば、そこまで緊急性があるものとは思えません。
 補正予算とすることで、議案審議が委員会審議の一日だけになってしまいます。条例案についても同様で、本格化実施は令和七年です。来年三月の予算審議を待つことができない理由が判然としません。このことをまず今日は指摘しておきます。
 以上、都議会自民党は、都民の皆様をはじめ、国、区市町村、各種団体とも緊密に連携して、都民の命と仕事と暮らしを守るため、新型コロナウイルス対策と経済の再生、そして首都東京の持続的発展に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅野弘一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、原材料価格の高騰や円安などへの対応についてのお尋ねがございました。
 事業活動に必要な原材料等の高騰と円安によりまして、中小企業の経営に大きな影響が生じております。こうした厳しい経営環境を乗り越え、将来に向け事業を継続し、その発展を実現できるよう効果の高い支援を速やかに展開することは必要です。
 中小企業を経営と金融の両面から下支えするため、省エネによりコストを抑えながら事業の展開を図る様々な工夫や設備の導入をサポートいたします。地域の金融機関とも連携し、融資制度の充実を進め、事業活動の命綱である資金繰りを万全の体制で支援をいたします。
 中小企業の加入する業界団体が共同で原材料を確保して仕入れのコストを抑える取組に助成を行います。また、製品の受注を受けた事業者が発注側と適正な取引を行うことができるよう、専門家が現場に赴き、きめ細かく助言をいたします。
 これらによりまして、事業運営の足元を固めた上で、より生産性の高い経営の実現を目指す会社には、最新のデジタル技術などを計画的に導入できるよう様々な知識やノウハウの提供に加え、経費の負担の軽減まで一貫した支援を検討いたします。
 こうした取組を通じまして、東京の経済の基盤である中小企業の振興を適切に進めてまいります。
 補正予算についてであります。
 円安や原材料価格の高騰により、消費者物価と企業物価の上昇率がいずれも歴史的な高水準を記録するなど、都民生活と事業者を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。
 こうした中、深刻化する物価高騰の影響から都民生活と東京の経済を守り抜き、希望ある未来を切り開いていくため、今回の補正予算を編成し、対策の強化充実を図っております。
 具体的には、低所得世帯に対しまして、米や野菜などの国産農作物を活用した独自の支援を行うほか、国の対策も活用しまして、子供の安全対策を強化してまいります。また、円安を契機に事業者の国内回帰を後押しするなど、東京の稼ぐ力を高めてまいります。
 同時に、再エネ導入の早期の社会定着を促進し、脱炭素化に向けた歩みを加速化させてまいります。コロナ対策につきましては、インフルエンザとの同時流行を見据えた万全の備えを講じてまいります。
 補正予算に盛り込んだ施策を速やかに実行に移すことで、直面する危機を乗り越え、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 次に、福祉保健局の組織の在り方についてのお尋ねがございました。
 感染症の拡大防止に万全を期し、都民の皆様が安心して暮らす日常を取り戻す。これまでの闘いを通じて得られた英知を生かし、平時からの戦略的な備えを進め、東京の経済を再生、回復、充実の軌道に乗せていくことが重要であります。
 一方、様々な困難に支援を必要とする人の増加や、今後、二〇四〇年代に向けて深刻化するサービス提供の担い手の急減など、医療、福祉を取り巻く状況が大きく変化する中、高度化、多様化するニーズへの対応も求められております。
 こうした認識の下、健康危機管理を担う中核機能の強化や福祉サービスの多面的な展開など、将来を見据えた事業推進の加速化を図るため、福祉保健局を保健医療と福祉部門に独立させることといたしました。
 都民の命と健康を守り、将来世代に確かな安心を引き継ぐ保健医療、福祉施策の推進に向けまして、高い専門性と機動性を発揮できる新たな体制の検討を進めてまいります。
 次に、新型コロナとの共存に向けた医療提供体制でございます。
 都はこれまで、東京モデルとして構築してまいりました保健、医療提供体制の枠組みをさらに拡充をいたしまして、感染拡大防止と社会経済活動との両立を進めるため、新たな行動制限は行わず、先手先手で必要なコロナ対策を講じております。
 この冬は、インフルエンザとの同時流行も念頭に、重症化リスクの高い高齢者等を確実に医療につなげるため、診療・検査医療機関の拡大、オンライン診療センターの開設などによりまして、外来医療体制の整備を図ってまいります。
 また、自宅で安心して療養できますよう、相談や困り事に二十四時間体制で応じる発熱相談センター及びうちさぽ東京の回線の増強や健康観察を行うフォローアップセンターの体制拡充によりまして、支援の強化を図ります。
 入院医療体制につきましては、通常医療とのバランスを踏まえながら必要な病床数を確保しつつ、高齢者等医療支援型施設を新たに四か所設置をいたしまして、要介護五の方々の受入れや救急要請への対応など、高齢者の受入れを一層強化いたします。
 こうした万全な医療提供体制の確保などによりまして、社会経済活動を止めることなく、コロナとの共存を図ってまいります。
 SusHi Tech Tokyoについてのお尋ねがございました。
 新型コロナ、気候危機、さらにはウクライナ情勢など世界はうねりの中にあって、時代は大きく転換しようとしております。
 世界が新時代へと移行しようとしているこの機に、東京の技術を世界に示し、日本のプレゼンスを向上させる必要があります。そこで、持続可能な社会の実現に向けまして、東京の高度な技術力、すなわちサステーナブル・ハイ・シティテックを戦略的に世界へ披瀝し、浸透させてまいります。
 これがSusHi Tech Tokyoであり、この考えの下、国内外のスタートアップが集うCity-Tech.Tokyo、東京発の都市ネットワークG-NETS首長級会議を来年二月の同時期に開催をいたします。
 この新たな国際展開を機に、各局で行います様々な取組も結集しまして、多彩なアイデアとテクノロジーによる都市課題の解決策を発信してまいります。
 そのためには、都議会の皆様方とも協力し、世界の最先端に触れ、知見を深め、多様化、高度化する都市課題に向き合う必要がございます。これまでの国際ネットワークも生かしまして、SusHi Tech Tokyoを通じ、持続可能な未来を切り開いてまいります。
 次に、スタートアップ戦略の推進についてであります。
 新たなイノベーションで、停滞する社会からのゲームチェンジを図り、経済成長と社会変革を生み出す。強い危機感と意思を持って、新たなスタートアップ戦略を策定いたしました。
 キーワードは、ボーングローバル、国内で成功してから世界を目指すのではなく、最初から世界を視野に挑戦をする。世界市場でのグローバルな競争に打ち勝つには、東京だけでなく、国などと連携したオールジャパンの取組が不可欠であります。
 国のスタートアップ育成五か年計画とも連動させまして、スタートアップの交流拠点づくりや効果的な支援、海外VCやアクセラレーターと連携したグローバルな資金供給の仕組みづくりに取り組みます。
 また、東京の強みである大学の集積を生かしまして、研究開発型の大学発スタートアップを生み出してまいります。
 大企業や経済団体を含めまして、スタートアップに関わる様々なプレーヤーと議論を重ねながら、ワンチームで戦略を展開する、そのことによりまして、世界一スタートアップフレンドリーな都市東京をつくり上げてまいります。
 次に、水際対策の緩和を踏まえた観光振興についてのお尋ねでございます。
 海外から東京を訪れる方を増やすため、水際対策が大幅に緩和されたことをきっかけに、円安のメリットも追い風にして、インバウンドの需要を確実に取り込み、観光産業の裾野の広さを十分に生かし、都内経済の活性化につなげることは重要でございます。
 世界に東京の多彩な魅力を幅広く発信しながら、海外からのお客様を快適に迎える環境を十分に整え、数々の観光資源をつくり、磨き上げる取組を速やかに進めていくことが大切です。
 東京の優れた魅力である伝統と革新の共存が変わらずに続いている様子を、海外メディアなどを通じ、正確に紹介をしてまいります。また、海外からの旅行者に良質なサービスを提供できる人材の育成や、旅館を改修し滞在の満足度を高める取組など後押しをしてまいります。
 欧米の主要都市のまち中に観光広告を掲出するほか、世界的な大規模イベントに出向き、PR活動も行います。外国人に人気のアニメを活用した観光の後押しや、伝統を感じる和室で日本文化を体験できる機会を設けるなどの取組を検討いたします。
 これらの取組を通じまして、インバウンドの誘致を効果的に進め、観光産業の活性化を図ります。
 次に、ものづくり企業の人材確保の支援についてであります。
 社会や経済のデジタル化により、産業構造の転換が着実に進む中、様々な事業活動の基礎となるものづくりの担い手の確保と育成は、東京の持続的な発展に必要であります。
 ものづくり人材を育て上げるため、職業能力開発センターにおきましては、製造業種の団体からのニーズを受け止め、現場での作業に不可欠な技能を丁寧に指導しております。こうした訓練の様子は、しごとセンターで、求職者に対し、きめ細かく伝える努力を重ねております。
 製品や部品を作り上げる楽しさを求職者の方に確実に伝えて、そうした技能を訓練により習得できるよう働きかける取組は一層重要となります。
 また、職業訓練でスキルを身につけて、ものづくり企業で働くことの魅力について、しごとセンターを通じ、より効果的に伝える仕組みづくりも大切です。
 今後は、職業能力開発センターで、見学や体験により訓練の様子に触れ、ものづくりの担い手を目指すきっかけを増やす工夫を進めるとともに、そうした機会をしごとセンターが着実に提供することができますよう、一体的な支援の取組を検討してまいります。
 次に、地下鉄ネットワークについてであります。
 東京の地下鉄ネットワークは、首都機能や経済活動を支える重要な基盤であり、国際的な都市間競争を勝ち抜き、持続可能な東京を実現するためには、そのさらなる充実が不可欠であります。
 地下鉄八号線及び品川地下鉄につきましては、本年三月、東京メトロが鉄道事業許可を取得し、都といたしましては、都市計画等の手続を着実に進めております。
 都心部・臨海地域地下鉄につきましては、国の参画も得た事業計画検討会におきまして、先月、事業計画案を取りまとめ、これを基に計画のブラッシュアップと事業主体の検討に着手するなど、この路線の早期事業化に向けました取組を加速してまいります。
 これらの路線の実現によりまして、地下鉄ネットワークをさらに充実をさせ、例えば、六本木から僅か九分で品川までアクセスできるなど都民の利便性を飛躍的に向上させるとともに、世界から人と投資を呼び込み、東京の持続的な発展、ひいては日本全体の成長を牽引してまいります。
 次に、都市強靱化プロジェクトにつきましてであります。
 これまで東京は、自然災害に度々襲われており、今後、気候変動の影響で激甚化する風水害や、首都直下地震、大規模な火山噴火などがいつ起きてもおかしくない状況です。
 これら様々な危機に直面する中にありましても、都民の命を守り、首都東京の機能や経済活動を維持するためには、災害に対して、国や他自治体、事業者と連携しながら、中長期的な視点で不断に備えを講じておくことが重要であります。
 こうした考えの下、年内に策定いたしますこのプロジェクトにおきましては、風水害や地震などの危機ごとに、都が目指す到達点を示した上で、全庁共通の前提条件に基づきましてレベルアップする施策や、総事業規模など、二〇四〇年代までの取組の全体像を提示いたします。
 来年は関東大震災から百年を迎える、この節目の年に当たりまして始動するこのプロジェクトを強力に推し進め、スピードアップを図ることによりまして、ハード、ソフト両面で取組を強化し、都民が安心できる強靱な東京を築き上げてまいります。
 次に、少子化対策でございます。
 次の世代を担う子供たちの存在は、未来への希望そのものでございます。コロナ禍により少子化の進行に拍車がかかった我が国、そして東京における状況は、極めて危機的であると認識しております。
 都はこれまでも、子育て世帯に寄り添い、妊娠、出産、子育てなど、それぞれのステージを切れ目なく応援する様々な政策を実施してまいりました。また、女性も男性も活躍できる社会の実現に向けまして、ライフ・ワーク・バランス、働き方改革、育業取得促進等の取組を推進してまいります。
 少子化は、未婚化、晩婚化の進行、子育てに多くの費用がかかること、育児と仕事の両立の難しさなど、様々な要因が絡み合った構造的な問題です。
 望む人誰もが子供を産み育てやすい社会を実現するため、少子化に歯止めをかけられるよう、対策の充実について具体的に検討してまいります。
 次に、障害のある子供の海外での学びについてであります。
 子供たちが、障害の有無にかかわらず、将来への希望を持って、自らの可能性を広げられるよう、様々な人々と関わり合いながら、体験的に学ぶ機会を創出することが重要であります。
 障害のある子供たちが、海外に赴き、現地の人々と交流しながら異なる文化に触れる体験を通じて、豊かな国際感覚を身につけ、共生社会を実現する人材を育んでまいります。
 次に、東京二十三区の大学における定員抑制への対応についてであります。
 熾烈な国際競争が繰り広げられる中、大学は、知の拠点として、次代を担う人材の育成やイノベーションの創出に極めて重要な役割を担っています。世界で戦い、貢献する人材を輩出していかなければ、人こそ資源の我が国の国力そのものの低下につながりかねません。
 こうした中、本規制は大きな足かせとなるものであり、これまで都は、国に対して繰り返し早期撤廃を訴えてまいりました。
 今般、法の中間見直しが行われる機会を捉え、本規制の早期撤廃に向けまして、デジタル分野などの先端分野につきましては、先行して規制の対象から外すよう、国へ緊急要望を行っております。お話の国会における質疑とも、同様の問題認識を持っているものでございます。
 世界は、社会の潮流に応じた人材を見極めて育成しています。今後も、区長会や教育関係者、経済団体等とも連携しながら、様々な機会を捉えて、日本の持続的な発展の妨げとなる本規制の早期撤廃を強く訴えてまいります。
 太陽光発電の設置義務化の意義などについてのお尋ねであります。
 先月のCOP27におきましては、直面する気候危機に対しまして、各国首脳や大都市の首長と対策強化の必要性を共有して、無駄にできる時間は少しもないと改めて認識をいたしました。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けましては、従来の発想の延長線上にとどまらない実効性のある政策を迅速かつ果敢に進めていく必要がございます。
 こうした決意の下、建物が集積する東京の屋根を最大限活用し、大手住宅供給事業者等に新築住宅への太陽光パネルの設置などを義務づける全国初の条例改正案を提出いたしております。
 この義務づけを行うことによりまして、現在は事業者の取組状況が様々である中にありましても、今後、多くの事業者が太陽光パネル設置の標準化を進め、魅力ある商品ラインナップの拡充を一層加速化することで、都民が環境性能の高い住宅を当たり前に取得できる環境を整備いたします。
 こうした取組を進めることで、波及効果なども含めますと、都内の住宅に二〇三〇年までに新たに百万キロワット程度の導入が期待できます。この発電量は家庭部門の電力消費量の約六%に相当いたしまして、そのCO2削減効果は二〇三〇年カーボンハーフの実現に必要な家庭部門の削減量の約五%に貢献をいたします。
 今回の取組や都有施設への太陽光パネルの設置加速化、さらには、集合住宅の環境性能の向上、多様な再生可能エネルギーの導入など、あらゆる施策を複合的、重層的に講じることで、二〇三〇年カーボンハーフの実現につなげてまいります。
 次に、サプライチェーンでの人権の尊重についてであります。
 持続可能な社会の実現に向けましては、企業の責任ある人権尊重への継続的な取組を促進することが重要であります。
 都はこれまで、業界団体である太陽光発電協会と協議を重ねまして、パネルメーカーの取組状況等を把握するとともに、人権配慮に関するさらなる対応を求めてまいりました。こうした働きかけによりまして、本年十月、同協会と会員企業は、サプライチェーンにおける人権問題の防止、軽減に最大限努める旨を宣言しておられます。
 加えて、先般、都は、太陽光パネル等の普及拡大や人権尊重に関する取組をさらに促進していくため、同協会との間で連携協定を締結いたしました。
 今後は、本協定を基に、持続的なサプライチェーンの構築に関する取組や人権尊重等のSDGsに配慮した事業活動の促進に関する取組などを実施いたします。
 年明け後には、事業者説明会におきまして、新たに人権尊重に関する研修を開催するほか、太陽光パネルメーカー等との継続的な意見交換等を通じまして、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。
 人権問題がグローバルなサプライチェーンでの課題であるとの認識の下、都と業界団体が協働し、SDGsを尊重した企業の事業活動を促進してまいります。
 ゼロエミッション東京の実現に向けました税制の活用についてのお尋ねです。
 気候危機への対応は一刻の猶予もなく、脱炭素社会の実現は急務であります。
 脱炭素化を加速させるためには、様々な政策手法を組み合わせて取り組むことが重要であり、税制の活用も有効な手段の一つであると認識をいたしております。
 都はこれまで、税制面からの取組として、ZEV導入促進税制や太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制など、都独自の税制措置を講じてまいりました。
 また、東京都税制調査会では、税制の一つの基軸に環境を据え、今般、カーボンプライシングの取組の推進や住宅の脱炭素化促進のための税制などにつきまして力強い提言をいただきました。
 今後とも、都独自の税制措置を効果的に活用しながら、都税調からの提言も踏まえまして、国への積極的な働きかけを行うなど、税制のグリーン化を推進していくとともに、都民や事業者など様々な主体と力を合わせて、ゼロエミッション東京の実現に取り組んでまいります。
 その他の質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 区市町村のデジタルトランスフォーメーションの推進についてでございますが、九月に新団体、GovTech東京の設立構想を発表後、区市町村CIOの皆さんと直接の意見交換を行うとともに、デジタル人材のシェアリングやシステムの共同調達や開発などの新たな枠組みの構築に向け、実務的な検討を進めております。
 区市町村が直面している主要二十業務の標準化、共通化については、自治体間で課題や進捗状況も様々なことから、練馬区や瑞穂町への伴走型支援を通じて、システム規模が大きく複雑な区部や対応職員に限りがある町村部など、それぞれに特有の課題の把握を進めております。
 また、税務、福祉等の行政分野に応じて課題を深掘りするため、新たに区市町村と都の所管局が参画するワーキングチームを設置し、デジタルサービス局の専門人材と共に、業務とシステムの両面からの検証を進め、その成果をほかの自治体にも横展開してまいります。
 こうした取組をGovTech東京の立ち上げを契機にさらに強化し、人材、調達、システムなどの共通化、共同化に精力的に取り組むことで、東京全体のデジタルトランスフォーメーションを推進していきたいと考えております。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別支援学校の施設開放についてでございますが、特別支援学校は、障害者に配慮した体育館やグラウンド等の体育施設が整備されているため、障害のある方や障害者スポーツ競技団体等が身近な地域でスポーツ活動を行う上で有用な施設でございます。
 都教育委員会では、障害のある方等のスポーツ活動に資するよう、各学校において、トイレや倉庫の位置など、学校施設を使いやすくするなどの配慮も行い、体育施設を開放しております。
 引き続き、生活文化スポーツ局と連携し、学校の施設開放にさらに取り組んでまいります。
 次に、eスポーツに取り組む生徒に対する支援でございますが、eスポーツを含む全ての部活動において、生徒が用具等が確保された中で、適切な指導を受けながら活動できるようにすることが重要でございます。
 都教育委員会は、都立高校等の部活動に対して、施設や用具等の環境整備を行うほか、専門的な技術指導などを行う部活動指導員等の外部人材の配置を促進しております。
 eスポーツなど新たな部活動についても、学校から申請があった場合には、指導員の配置など適切に対応し、生徒が意欲的に活動できるよう、学校の取組を支援してまいります。
 次に、都立高校における次代を担う人材育成についてでございますが、都立高校においては、大学進学に向けた学習に加え、生徒が卒業後の実社会で様々な課題を解決するための実践的なスキルの習得を支援していくことが重要でございます。
 このため、今後、都教育委員会では、進学や就職など進路が多様な普通科高校において、民間の教育機関等と連携し、基礎的なデジタルスキルや使える英語力、多様な業界の職場体験を通じたコミュニケーションスキル等を習得するための新たな支援を検討してまいります。
 こうした民間の教育機関等との連携をさらに進め、教員の指導力やノウハウの向上とともに、生徒が自ら未来を切り開くための力の育成を図ることで、選ばれる都立高校を目指してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 年末年始の発熱外来の確保に関するご質問にお答えいたします。
 都はこれまで、年末年始やお盆などに診療等を実施する診療・検査医療機関や保険薬局に協力金を支給し、発熱外来が手薄となる期間の体制を強化してまいりました。例年、一月四日以降の平日も休診が多いことから、今年の冬は、協力金の対象期間を正月明け三連休の一月九日まで延長いたします。
 小児につきましては、小児科を標榜する全ての医療機関で発熱患者を診療していただけるよう謝金の対象を拡大するなど、受診機関の確保に向け、働きかけを強めております。
 また、臨時オンライン発熱診療センターの活用や、リスクが低く症状の軽い方には、陽性者登録センターへの登録を働きかけ、発熱外来の負担を軽減いたします。
 こうした取組により、年末年始に必要な方が適切に医療を受けられるよう体制を整えてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業のデジタル化の後押しについてでございますが、様々な業種の中小企業が、事業の現場でデジタル技術を効果的に導入する取組をサポートすることは重要でございます。
 このため、都は、ものづくりの中小企業が、AIやロボット等の技術を活用し、新しい製品を生み出すために必要となる設備の導入への助成を行ってまいりました。また、サービス業の会社が生産性を高めるため、専門家から助言を受け、最先端のデジタル機器を導入する場合の経費への助成も実施をしております。
 今後は、社内での事務手続などをデジタル化する取組への支援につきまして、現在の規模や制度を充実し、幅広い業種の事業者が活用できるよう検討いたします。こうした取組によりまして、中小企業のデジタル化を後押ししてまいります。
 次に、非正規雇用の方への支援についてでございますが、非正規で働く方が、今後の成長が期待できるデジタル産業などで力を発揮することができるよう、その就職やスキルの向上を後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、厳しい雇用環境の中でも、採用意欲の高いITや人材不足が続く介護等の企業の求人を開拓し、そうした会社に求職者が派遣で働き、正社員を目指す取組を支援してまいりました。また、中小企業が、非正規で働く社員にデジタルスキルを学ぶ機会を提供する場合の経費について、その一部に助成をしております。
 今後、非正規雇用の方の正社員化に向け、IT分野に加えGX関連の会社とのマッチングや、デジタルの基礎を学び再就職を目指す女性への支援のほか、人材育成を進める中小企業へのサポートの拡充を検討いたします。
 次に、ものづくりに関する能力開発についてでございますが、東京のものづくりの担い手が、経済のデジタル化などによる産業構造の転換に対応し、新たな技能を習得できるよう支援することは重要でございます。
 これまで都は、職業能力開発センター等におきまして、業界団体のニーズを踏まえて、科目の見直しを行いながら、製造現場で必要となる加工などの作業や様々な機器類の操作方法を学ぶことができるよう、施設や設備の更新を図ってまいりました。これによりまして、中小企業の従業員に対しても、新たな技能習得に向けた能力開発の機会を提供しております。
 今後は、工場で最先端のIT技術により様々な生産をより効率的に進める知識やノウハウを身につけることができるよう、引き続き、能力開発センターの施設や設備の更新と訓練の充実を検討し、製造業を後押ししてまいります。
 次に、中小企業の技術を高めるための支援についてでございますが、中小企業が経営力の向上を図るため、技術に係る研究を進め、その製品化を行うとともに、産業面の最新の動向に柔軟に対応をすることが重要でございます。
 このため、都の産業技術研究センターでは、中小企業と共に様々な技術を開発する効果的な研究を行うほか、試作品の開発から製品化までを一貫して支援しております。
 また、最先端のデジタルやヘルスケアの技術や海外でも通用する技術力を確保できるよう、サポート体制を整えております。
 今後は、環境保護に役立つ技術へのニーズの高まりを踏まえまして、廃棄物を再利用するための研究等に力を入れるほか、海外展開の促進に向け、国際規格への新たな対応を後押しする支援を検討いたします。
 これらによりまして、中小企業への技術支援を適切に進めてまいります。
 次に、中小企業の技術支援を担う人材の育成についてでございますが、中小企業への技術支援を効果的に進めるため、優れた知識や専門的なノウハウを持つ人材の育成や確保は重要でございます。
 産業技術研究センターでは、職員の能力をより一層高めるため、学術的な会議で研究成果を公表する後押しや大学等への派遣による研究活動を行っております。また、大学と協力し、マイクロプラスチックを減らす研究を行うほか、中小企業のロボット開発に加わることなどで、現場に即した知識を確保しております。さらに、最新のバイオ技術の分野等で専門的な知識を持つ外部人材を活用しております。
 今後は、職員の専門性と意欲をより一層高めるキャリア形成の仕組みを検討し、産技研で働くことの魅力を向上させることで、優れた人材の確保につなげてまいります。
 次に、生産緑地の貸借の後押しについてでございますが、東京の農業の維持と発展に向けて、市街地にある生産緑地の貸借を促進し、経営規模の拡大や新たな就農者の増加につなげることは重要でございます。
 これまで都は、農業者に対し、地元の農業委員会によりまして、生産緑地の貸借が可能となる仕組みを紹介してまいりました。また、農業委員会が生産緑地の貸借を円滑にまとめることができるよう、農業会議を通じ、サポートを行ってきたところでございます。
 今後は、生産緑地の貸借を一層増やすため、自治体の区域を超え、貸手と借手をマッチングする支援を検討いたします。また、生産緑地を長期にわたり貸し出す意欲を高める奨励制度を検討します。
 土地の貸出しを安心して行えるよう、農業委員会を通じて、農業者の相談にきめ細かく対応しながら、東京農業の振興を進めてまいります。
 最後に、グリーン水素の製造と普及拡大についてでございますが、東京でゼロエミッションを実現するため、再生可能エネルギーにより水素を幅広く生産し、活用する機運を高めることは重要でございます。
 これまで都は、グリーン水素の製造設備を工場の限られた敷地に導入する取組等を支援してまいりました。また、十月にはグリーン水素の製造などで実績のある山梨県と協定を結びまして、その生産や活用に向けた取組を進めることといたしました。
 今後、生産から活用まで一体的に行う事例の収集と情報発信にも力を入れ、民間の取組を促してまいります。また、都有地において、都がグリーン水素を最先端の技術を用い、より規模の大きい設備で生産する取組を検討いたします。
 これらによりまして、グリーン水素の普及拡大を先導してまいります。
   〔中央卸売市場長河内豊君登壇〕

○中央卸売市場長(河内豊君) 市場の機能強化に向けた取組についてでございますが、東京の市場は、豊洲などの大規模な市場に加え、地域に密着した市場など全体で生鮮品等流通を担っており、施設の計画的な維持更新等により、各市場それぞれの特質を生かした役割を最大限発揮させることが重要でございます。
 そのため、まず、淀橋市場の拡張整備事業により老朽化対策や場内物流の効率化を進め、また、板橋市場におきましては、交通利便性を生かした機能強化に取り組むことで、市場内外のサプライチェーンの強化や品質衛生管理の高度化など、環境変化への着実な対応を図ってまいります。さらに、他の市場につきましても、施設の劣化度調査を踏まえながら、計画的な維持更新等を行ってまいります。
 今後、各市場の関係者と意見交換を重ねながら具体化を図り、都民生活を支える市場の役割を強化してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅における宅配ボックスの設置についてでございますが、宅配ボックスは、団地居住者や周辺住民の利便性の向上はもとより、配送事業者の再配達を削減し、環境負荷の低減や物流の効率化に資するものと考えております。
 このため、都は、令和二年度から二か所の都営住宅敷地に、複数の配送事業者の荷物の受け取り、発送が可能な、誰でも利用できるオープン型宅配ボックスを設置しております。
 設置当初に比べ認知度が向上し、取扱件数は大幅に増加しておりまして、こうした成果も踏まえながら、現在、地域のニーズや、最寄り駅からの距離など、設置場所に係る事業採算性確保の条件等につきまして、情報収集、分析を行っております。
 今後、宅配ボックスの設置拡大に向けた取組を推進いたしまして、都営住宅の敷地の有効活用を積極的に図ってまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害対応力の向上に向けた取組についてでございますが、大規模災害時には、各機関が収集する被害情報等を集約し、迅速かつ適切な災害対応を行うことが重要でございます。
 このため、都は昨年度、災害情報システムを再構築し、区市町村や関係機関と情報を迅速に共有する体制を確保いたしました。また、発災時には、職員の受入れや派遣を通じて、被害状況や関係機関の活動状況等を把握することで、的確に災害対応を行ってまいりました。
 現在、各機関が独自に収集している情報をより効果的に共有する仕組みづくりを進めるとともに、AIを用いた被害予測など最新のデジタル技術も活用することで、災害対応力を強化してまいります。
 デジタルの力を活用し、各機関の情報連携を深めることで、都民の安心・安全を確保してまいります。
 次に、防災力向上に向けた区市町村の取組支援についてでございますが、発災時の被害を軽減させるためには、日頃からの備えと発災直後の迅速な対応が重要でございまして、それを担う住民の自助、共助の取組が不可欠でございます。
 このため、都は、区市町村が実施する好事例を横展開するとともに、防災リーダーを育成し地域での活用を促すなど、区市町村が行う自助、共助を促進する取組を支援してまいりました。
 今後、自助、共助への理解を深める普及啓発や出火防止対策等、地域によって異なる課題やニーズにきめ細かく対応するため、区市町村から地域の実情を伺いながら、自助、共助が促進されるよう支援策を検討してまいります。
 区市町村と連携し、地域の特性に応じた取組を進めることで、東京全体の災害対応力を一層向上させてまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、地域防災力の向上への取組についてでございますが、震災時における火災被害の軽減を図るには、地域防災力の要である消防団の活動はもとより、発災初期における地域住民や事業所従業員による消火活動が重要でございます。
 このため、東京消防庁では、防火防災訓練や自衛消防訓練を推進しているほか、特に今年度から二十一消防署に配置した災害対策調整担当課長が、区市町村との連携強化や木密地域等における防火防災訓練の促進に努めております。
 さらに、地域住民等による初期消火能力の向上のため、火災を疑似体験し、消火訓練等ができる資機材の導入や、地震による火災を想定した事業所用訓練動画の作成を検討しております。
 今後とも、セーフシティの実現に向け、地域防災力のさらなる向上に努めてまいります。
 次に、水災等への対応力の強化についてでございますが、東京消防庁ではこれまで、水災等の大規模災害が発生した際の被害を最小限に抑えるため、即応対処部隊を発隊させたほか、出水期を前に実戦的な水防訓練を実施し、警視庁、区市町村等の関係機関や地域住民との連携を強化してまいりました。
 また、東京二〇二〇大会の競技会場のカヌー・スラロームセンターを新たな訓練場所として活用し、流水河川等の急流環境下における救助や消防ヘリコプターからのホイスト降下による水没地域での救出など、実災害に即した様々な環境下での訓練の実施を検討しております。
 今後は、こうした訓練においても、警視庁、区市町村等の関係機関や地域住民との連携をさらに強化し、地域一丸となった災害対応力の向上に努めてまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) 官民共創によるデジタルサービスについてでございますが、都民満足度の高いサービスを生み出すためには、民間の知恵や新たな発想を生かしていくことが重要でございます。
 都は昨年度から、オープンデータを活用して新たなサービスを創出するハッカソンを開催し、自治体のデータを基に、AIによるごみ分別や、ランチ難民と移動販売車のマッチングなどのサービスが実装されました。
 こうした民間発想のサービスが都内全体で展開されるよう、データの整備、公開に関する区市町村への技術サポートを開始いたしました。
 また、今月、都や区市町村の職員と民間エンジニアが地域課題に取り組むワークショップを開催するなどによりまして、職員の意識改革を図ってまいります。
 これらの取組を通じて官民共創の意識を高め、都民が利便性を実感できるサービスを数多く生み出してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) こども未来アクションについてでございますが、子供政策の加速に向けた論点整理では、子供を客体ではなく主体として捉えていくことを基本スタンスとしております。この子供政策の基本スタンスを象徴する取組といたしまして、こども未来アクションの策定に当たりましては、子供との対話を実践しながら取りまとめを行ってまいります。
 具体的には、ボール遊びをする場所が少ないといった意見をはじめ、子供たちの様々な思いをヒアリング等により把握し、それらが策定内容にどのように反映されたのか、今後、分かりやすく見える化をしてまいります。
 また、策定後も、こども未来アクションを題材といたしまして、子供食堂をはじめとした地域の居場所における子供との対話等を実践し、子供の意見を政策に反映させるなど、継続的に子供目線に立った取組を推進してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ひきこもりの方の社会参加の場についてでございますが、ひきこもりの方への支援に当たりましては、当事者の年齢を問わず、人と人とのつながり等を通じて、生きる意欲を高め、社会とつながる機会を増やすことが重要でございます。
 都は、都と区市町村による支援推進会議を設置し、区市町村における居場所づくりや、対象者の年齢を問わない相談支援の事例などを共有してございます。
 また、中高年層を含めた当事者やその家族が、活動の場など多様な地域資源を活用できるよう、現在、学識経験者や当事者団体等で構成する支援協議会の部会で、ひきこもり支援プログラムの改定に向け検討してございます。
 こうした取組を通じて、今後、中高年層を含む全ての世代を対象とした多様な社会参加の場の充実に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域の児童相談所についてでございますが、昨年七月に公布された政令等により、管轄人口が百万人を超える児童相談所は管轄区域の見直しが求められており、都は、多摩地域における見直しに向けて、今年度、今後三十年の人口推計や現在の各児童相談所から市町村までの移動時間を調査いたしました。
 その結果、三十年後も管轄人口が百万人を超える区域が二つあり、児童相談所から市役所、町村役場までの所要時間が四十分を超える自治体が十ございました。
 この調査結果等を踏まえ、新たな児童相談所の設置を含めた管轄区域の見直し素案を作成し、市町村の意見を集約した上で、計画案として取りまとめ、年度末をめどに決定をいたします。新設する場合は、来年度以降、設置場所等を検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、障害者のスポーツ環境の整備についてでございますが、障害者のスポーツ活動の充実に向けては、身近な地域における場の確保や支える人材の育成が不可欠でございます。
 そのため、都はこれまで、区市町村のスポーツ施設のバリアフリー化や特別支援学校の体育施設の活用等を実施してまいりました。加えて、現在、パラスポーツの競技力向上と普及振興の場を味の素スタジアム内に整備しております。また、知識や指導力を持つ人材やボランティアの育成に向け、障害特性に応じた支援方法の講習会などを実施しております。
 今後は、こうした取組に加え、福祉施設への指導者派遣等により、行き慣れた場所でスポーツを楽しめる仕組みや区市町村の施設整備への支援の充実などを検討してまいります。
 次に、障害者が行うスポーツの普及についてでございます。
 障害者が、種別や程度、目的に応じて楽しめるよう幅広くスポーツの普及を図ることは重要でございます。
 都はこれまで、特別支援学校を活用した体験教室や世界を目指す選手を発掘する事業等において、パラリンピック競技を含め、知的障害者や聴覚障害者等のスポーツを体験する場を提供してまいりました。また、精神障害や視覚障害の方が多く取り組む競技スポーツなど、幅広いスポーツの情報を専用サイトで発信しております。
 今後、障害特性に応じて一人一人に合った種目を選択できる機会の充実を図るなど、多様なスポーツの普及に努めてまいります。
 次に、地域の芸術文化活動に対する支援についてでございますが、身近な地域における芸術文化活動の活性化は、都民が気軽に芸術文化に触れ、参加しやすくなる点からも重要であり、地域のにぎわいの創出にもつながるものでございます。
 これまでは、例えば、地域の芸術文化を支援する助成事業の対象をおはやしなど無形民俗文化財等に限定しておりましたが、歴史的建造物など地域の有形文化財を活用したイベントも対象とするなど、支援の枠組みの拡充を検討してまいります。
 また、今年度立ち上げた区市町村とのネットワーク会議での議論を踏まえ、区市町村職員に企画や事業運営のノウハウを伝える講座の開催や都立文化施設が企画した演劇などの公演を区市町村と共同し、身近なホールで実施するなど、事業での連携も強化してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 太陽光発電設備義務化への理解促進についてでございますが、新制度の円滑な導入に向けましては、都民の理解と納得が不可欠でございます。
 条例案で設定しております制度開始までの二年余りの期間につきましては、事業者には取組の準備期間として、都民には経済性、防災性、快適性等の理解を深めていただく極めて重要な期間と考えてございまして、都はこの間に、集中的、重層的な取組を推進してまいります。
 まず、本制度の意義や効果等について、戦略広報部門と連携し、年代別等ターゲットに応じた媒体によりまして、きめ細かな広報を行ってまいります。
 また、補正予算案でセミナー経費等を計上するほか、事業者支援を通じまして、住まい手等に対する環境性能の説明スキル向上を図ってまいります。
 さらに、ワンストップ窓口の設置やイベント等の機会を捉えた個別相談を実施するなど、都民に寄り添った対応を行ってまいります。
 これらによりまして、太陽光パネルの標準設置機運を醸成してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十分休憩

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