令和四年東京都議会会議録第十四号

○副議長(本橋ひろたか君) 七十六番風間ゆたか君。
   〔七十六番風間ゆたか君登壇〕

○七十六番(風間ゆたか君) 初めに、学校教育における課題について四点質問いたします。
 今月九日、公立学校教員採用試験の実施状況が文科省より公表されました。昨日のほかの会派の代表質問でもありましたが、私は特に小学校教員の応募者減少に危機感を抱いており、採用倍率は全国平均で二・五倍となっています。さらに、受験者数と受験倍率共に昨年度を下回る深刻な状況であり、国でも既に中教審にて教採試験の早期化検討などが議論されています。
 例年、全国で最初に一次試験が行われる高知県は九・二倍と高水準を維持していますが、東京都においては、この数年、毎年受験者が一割程度ずつ減少し続け、昨年度も三百二十八人減少、倍率二・三倍でした。
 学校現場からは、四月当初に教員が配置されない状況や低倍率による新規採用教員の指導力低下への懸念、奨学金返済免除を都として取り組むことを期待する声が届いています。
 教員採用選考応募者増に向けた都教育委員会の取組について伺います。
 小学校教員応募者減の一つの理由として、公立小学校の勤務状況があまりにブラックであるという声もあります。民間企業と比べればDX化は進まず、アナログ業務も多く業務改善が進まない印象ですが、外部人材活用を進め、教員は有免許者業務に集中できるようにすべきです。外部人材の中でもスクールサポートスタッフは、教員の負担軽減に寄与しているとの声が現場からも届いており、さらに進めるべきです。
 文科省も、この教員業務支援員については、来年度概算要求で今年度の倍以上計上していますが、この事業における都教育委員会の開始からこれまでの事業規模推移について伺います。
 外部人材の活用は、子供たちの心の状況に対応する専門職の存在も大変に重要であり、コロナ禍におけるスクールカウンセラーの配置増は、今後も恒常的に進める必要があります。また、年々増加し続ける不登校の子供はその理由や要因が多岐にわたり、初期対応も学校だけでは解決が困難な状況です。学校が福祉の関係機関等と連携して子供や家庭を支援する外部人材として、スクールソーシャルワーカーは重要です。
 区市町村がスクールソーシャルワーカーの活用を拡充できるようにすべきと考えますが、都教育委員会の取組について伺います。
 不登校の子供たちの状況は多様であることから、様々な支援をしていく必要があります。
 今年度、都教育委員会が行うフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業は重要であり、昨今、民間団体によるオンライン不登校支援も広がっています。
 私の地元世田谷区は、NPO法人と連携してオンラインの居場所、学び場を開設したことが報じられ、不登校の子供の保護者からは期待する声が届いています。
 不登校の子供たちのために、区市町村教育委員会が設置する教育支援センターについては、都教育委員会が人材登用や民間委託などの活動支援をしており、大変重要な取組と認識しておりますけれども、こうした取組について、都教育委員会の認識を伺います。
 次に、保育に関する懸念について何点か伺います。
 今年度の保育待機児童数は、調査以来最少の三百人となりました。東京都として様々な事業者参入を促進してきた成果といえますが、一方で、営利を追求する株式会社参入により幾つかの事件が発生していますので、子供の命を預ける保育サービスは信頼性が大変重要との観点から、二点質問をいたします。
 まずは、今夏に発覚した上場企業であるグローバルキッズによる職員配置偽装事案について伺います。
 報道によると、都内八区の十六施設で、実際より多い保育士らが配置されているように見せかけるために偽造した職員名簿や出勤簿を各区に報告し、運営費を不正に二千二百万円ほど得ていたとのことです。ほとんどの民間保育事業者が誠実に事業運営していると思われますが、このような不正をする事業者もいるわけです。
 認可保育所は、原則、都道府県による年一回以上の実地検査が義務づけられていますが、東京都が年間に実地検査を行えたのは、約三千施設ある認可保育所の一割にも満たないと聞いています。
 今後、保育需要の低下に伴い、運営に窮した事業者によるトラブルのリスクも増加することが考えられますから、都として不正防止に注力すべきです。
 都は、今回の事案に関して、当該事業者に特別監査を行ったと聞いていますが、どのように取り組んだのか、指導状況を伺います。
 次に、保育サービスを利用する保護者としては、保育の密室性による犯罪が懸念としてあります。
 先月三十日には、ベビーシッター派遣大手キッズラインのマッチングアプリで保育を請け負った元ベビーシッターが、男児二十人への強制性交罪等の罪で懲役二十年の実刑判決をいい渡され、改めて保育を必要とする保護者から懸念の声が届いています。キッズラインといえば、一昨年に登録ベビーシッター二名が強制わいせつ罪等で逮捕起訴されており、そのうちの一人は東京都のベビーシッター利用支援事業で登録されていたことが明らかになっています。
 都議会でも、この事業者の認定を取り消すべきとの意見があったと承知していますが、いまだに認定事業者であることに不安を抱く保護者もいます。
 都のベビーシッター利用支援事業において、保護者の不安を解消するために、どのような取組を行っているのかを伺います。
 国は今後、人口減少社会において、保育政策の方向性として、これまでの待機児童解消対応から良質な保育を提供し続けることが大きな課題として打ち出しています。
 東京都も急速に保育サービス整備を進めた結果、このような問題も生じたことを重く受け止め、今後の方向性を打ち出していく必要があります。
 今後は定員に満たない保育施設も増加していくことが予測できますが、在宅子育て家庭支援や一時預かりなど施設利活用が有効と考えます。都の見解を伺います。
 また、保育待機児童解消のめどは立ってきたものの、障害に対する認知の広がりや利用ニーズの高まりによって、児童発達支援や放課後等デイサービスは都内で待機児童が増加傾向にある地域もあります。今後、都としてもこの課題に取り組む必要がありますが、一方で、法整備も進み、株式会社などが参入したことで、障害児支援の理解に乏しい事業者も存在すると承知しています。都は、実地検査により、基準違反の指摘や改善指導を積極的に行うべきと考えます。
 都は、事業所急増に対応し切れていない状況と認識していますが、今後、区市町村との連携によって指導検査体制の一層の充実を図るべきです。都の見解を問います。
 また、指導検査だけでなく、事業者の質の向上についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、公共交通機関における痴漢、盗撮対策について伺います。
 国内外における感染症への対応変化に伴い、公共交通機関を利用した通勤者も増え、車内などはコロナ禍以前のような状態に戻ってきています。私のところにも、電車通学をする女子中高生や保護者などからは、痴漢を心配する声が届くようになってきており、このところ満員電車などで、痴漢や盗撮犯を検挙したとの報道も度々目にします。
 そこで、人の往来が増え、満員電車や混雑する駅構内での痴漢、盗撮対策について、警視庁の取組状況を伺います。
 最後に、スケートボードの普及振興について、スポーツ競技の発展という観点ではなく、スケートボードによる東京ブランディングという観点で伺います。
 スケートボードといえば、聖地はアメリカ西海岸とオーストラリアといわれているようで、スケボーツーリズムにより、世界中の愛好者たちが集まると耳にします。
 オリンピックで初めて公式競技が行われ、男女共に若い開催国メダリストが誕生した東京は、それらに追随するポテンシャルを秘めていると感じますが、都の見解を伺います。
 スケートボードをする人たちの多くは、スケートボードを競技スポーツとして取り組んできたわけではなく、クリエーティブにまち中を滑ることによる自己表現と、年齢性差問わずチャレンジにリスペクトする相互承認文化に魅力を感じて楽しんできたのだと聞きます。
 既存のスケートボードスポットでも、そのような文化が育まれてきたようですが、二〇二〇大会後の裾野の広がりに応じて、都として、場所の創出に取り組むべきと考えます。
 私の地元の駒沢公園SS広場は、人気のスケートボードパークのようで、休日など常時過密となっています。今後は、こちらの拡充も期待しますが、他の都立公園での整備状況について、都の見解を伺います。
 裾野が広がり、初心者、初級者増加に伴い、事故リスクも高まります。駒沢公園SS広場のパークは幼い子も多く利用しており、小学生以下には保護者の付添いルールがありますが、実際付き添っていた保護者が巻き込まれて、両膝靱帯断裂の重症となった事故もありました。再発防止に向けて、管理体制や安全対策の見直しも必要だと感じます。都の見解を問います。
 以上で私からの質問を終わります。(拍手)
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 風間ゆたか議員の一般質問にお答えいたします。
 満員電車や混雑する駅構内での痴漢、盗撮被害対策についてでありますが、警視庁では、被害が多発する通勤通学の時間帯を中心に、駅構内において警戒活動を実施しているほか、被害防止や犯人検挙のため、警察官が被害者と同乗して、電車内において警戒するなどの対策を実施しております。
 また、当庁が配信する防犯アプリ、Digi Policeは、痴漢被害発生時に警告を発することや、画面表示により助けを求めたり、周囲の人が被害の有無を確認したりできる機能を有しており、この機能が活用され、検挙に至った事例もあることから、あらゆる機会を通じて、活用促進を図っております。
 今後とも、鉄道事業者と連携した広報啓発活動を実施するなど、痴漢、盗撮被害防止に向けた取組を進めてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、教員採用選考に関する取組についてでございますが、都教育委員会ではこれまで、地方会場での選考の実施やSNSを活用した情報発信などの方策を講じてまいりました。
 今年度は、社会人が合格後に免許取得を目指せる選考の仕組みを開始したほか、採用セミナー、TOKYO教育Festa!を開催いたします。
 引き続き、教員確保に向けた取組を検討してまいります。
 次に、スクールサポートスタッフについてでございますが、都教育委員会は、教員の負担軽減を図るため、平成三十年度から配置支援事業を行っております。事業開始年度は四百人、令和元年度は千人、二年度は千五百人の配置ができる予算を確保してまいりました。
 三年度からは、都内全区市町村立学校に配置できる予算を確保しております。
 次に、スクールソーシャルワーカーの活用についてでございますが、子供が抱える課題が複雑化、多様化している中、学校と福祉等の関係機関が協働して支援する体制の充実を図るため、都教育委員会は、スクールソーシャルワーカーの活用を促進してまいりました。
 今年度は、その活用を充実させる区市町村に対して、スクールソーシャルワーカーを派遣する経費を補助しております。
 次に、不登校の子供への支援についてでございますが、都教育委員会は、令和二年度から、民間団体によるオンライン活用を含む教育支援センターの活動を支援しております。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立公園におけるスケートボード広場の整備についてでございますが、都はこれまで、駒沢オリンピック公園などにおいて、気軽にスケートボードが楽しめる広場を設けてまいりましたが、東京二〇二〇大会後の人気の高まりなどを踏まえ、都立公園における取組を拡充することといたしました。
 広場の整備に当たりましては、利用に伴う騒音や、安全に利用できる場所の確保等の課題に対応するとともに、他の公園利用者や地域住民の方の理解を得ることなどが必要でございまして、現在、競技団体等の意見を参考にしながら、設置場所の調査や整備内容について検討を進めております。
 次に、スケートボード広場の安全管理についてでございますが、例えば、駒沢オリンピック公園ストリートスポーツ広場では、施設を安全に利用するため、ヘルメットなど保護具の着用の推奨や小学生以下の利用における保護者の付添いなどの利用ルールを設定しております。さらに、指定管理者によるキッズスクールを通じて、子供の事故防止やマナー向上に取り組んでいるところでございます。
 こうした取組により、子供や初心者でも安心してスケートボードが楽しめるよう、引き続き安全管理に努めてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、大手保育事業者に対する指導についてでございますが、都は、区からの情報に基づき、本年一月から、事業者が運営する都内百四か所の認可保育所等を対象に、特別指導検査等を実施いたしました。
 その結果、十六か所の認可保育所等が区に対し、施設での勤務実態のない保育士を在籍していたかのように虚偽の報告を行っていた事実を確認したため、区と連携して、事業者に対し、速やかに是正するよう指導いたしました。
 現在、事業者から報告された改善状況を確認しており、施設運営が適切になされるよう、引き続き指導してまいります。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてでございますが、都は、本事業に参画する事業者を、独自の基準で審査、認定するとともに、全てのベビーシッターに対し、都が実施する研修の受講を義務づけております。
 今般判決のありました事件は、本事業とは異なり、マッチングサイトで起きたものではありますが、都は昨年度から、事業者の管理責任者向けの研修を行うほか、事業者による保護者宅への巡回訪問やウェブカメラの活用への支援を実施するなど、本事業のベビーシッターの質の向上を図ってございます。
 また、保護者が安心して本事業を利用できるよう、パンフレットに留意点を記載し、周知をしてございます。
 次に、保育所を活用した子育て家庭への支援についてでございますが、都は、保育所等が空き定員や余裕スペースを活用し、保護者の外出やレスパイト等のために、地域の子育て家庭の子供を受け入れる取組を支援してございます。
 また、今年度から、認証保育所が余裕スペースを有効に活用して、学齢児の放課後の居場所を提供することもできるようにいたしました。
 今後とも、区市町村と連携しながら、地域の子育て家庭を支える保育所の取組を支援してまいります。
 次に、放課後等デイサービスへの指導検査についてでございますが、都は、区市町村からの情報等を基に、運営状況に課題のある事業所などに対し、実地で指導検査を行うとともに、不適切な利用者支援などが疑われる場合には、速やかに監査を実施しています。昨年度からは、全ての事業所を対象に、オンラインによる集団指導を実施しています。
 また、区市町村の検査技術のさらなる向上を図るため、合同検査や派遣研修の受入れなども行ってございます。
 今後とも、区市町村と連携し、事業が適正に運営されるよう、指導検査を着実に実施してまいります。
 最後に、放課後等デイサービスについてでございますが、都は、放課後等デイサービスの事業者の指定に当たり、省令や都の基準等に基づき、サービス提供の方法等を詳細に確認しています。
 事業開始後は、全事業者を対象とした説明会を通じて、運営上の留意事項を周知するとともに、区市町村と連携して、国のガイドライン等に基づく個別指導を行うなど、サービスの質の向上と運営の適正化を図っています。
 また、今年度から、都が定めた基準を満たす事業者を支援する都型放課後等デイサービス事業を実施しておりまして、引き続き、放課後等デイサービスの質の向上に努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) スケートボードの普及振興についてでございますが、東京二〇二〇大会で盛り上がった機を逃さず、レガシーとして引き継ぎ、発展させていくことが重要でございます。
 都では、大会で使用されたスケートボード施設をそのまま生かし、都民に幅広く利用していただけるよう準備を進めており、都内各地の施設や競技団体などとも連携することで、競技の裾野の拡大を図ってまいります。
 あわせて、国際的なイベントの誘致も行い、トップレベルの競技を間近で見られる環境をつくることで、東京の魅力を発信してまいります。

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