令和四年東京都議会会議録第十四号

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十号、東京都公衆浴場振興条例外条例三件、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件六件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) 昨日に引き続き質問を行います。
 九十一番川松真一朗君。
   〔九十一番川松真一朗君登壇〕

○九十一番(川松真一朗君) 初めに、新築住宅の太陽光パネル設置に向けた新制度について伺います。
 現在、太陽光パネルの生産は中国に集中し、その中でも人権問題が懸念されている新疆ウイグル自治区製が多くを占めているといわれています。これから議会に上程しようとしている条例案では、この点が最も懸念されるという声もたくさんあり、私自身もこの課題整理なしにルールをつくるというのはあってはならないと考えています。
 実際に、アメリカでは本年六月、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって生産された製品の輸入を全面的に禁止する法律が施行されました。
 また、EU、欧州委員会は今月、強制労働を通じて作られた製品の輸入を禁止にすることを可能にする法案を公表しました。この法案は地域指定こそしていないものの、新疆ウイグル自治区を念頭に置いていると考えられており、今後、EU加盟国と欧州議会が同意すれば成立し、成立してから二年後に適用されることとなります。
 そして、国において今月、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを策定し、企業による人権尊重の取組を促進すべく、企業に対する周知、啓発活動を推進するとともに、企業の取組を後押しするさらなる方策についても検討を進めていくとしています。
 こうした状況を踏まえて、都としても、企業のサプライチェーンにおける人権尊重に関する継続的な取組を促進するのが筋であると考えますが、小池都知事の見解を伺います。
 昨日の我が党の代表質問で、東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近については、鉄道立体化の事業候補区間に位置づけたと東京都技監の答弁がありました。
 本区間には、補助一二〇号線との交差部に、開かずの踏切である伊勢崎十七号踏切が存在し、地域分断や災害時の円滑な避難の障害となっており、昨年逝去された瀧澤良仁元区議を中心に、昭和四十年代から取り組んできた地域の課題でありました。
 ちなみに瀧澤氏は、昭和四十六年初当選から十二期四十八年間にわたって踏切除去に向けて奔走され、私たち後進に望みを託された案件でもあります。このことは、いかに今回の東京都の決断が重いものかを物語っております。当然ですが、鐘ケ淵駅エリアの皆様方には早速喜びの声が広がっています。
 こうなれば、一日も早い国による着工準備採択に向けて、都と区の連携が望まれるところです。今月の墨田区議会では、自民党のたきざわ正宜区議の代表質問に山本亨区長は、私自身、都知事との意見交換において、事業候補区間の早期位置づけを強く要望するなど、あらゆる機会を通して働きかけを行っていますと答弁し、特別区議長会の東京都への要望活動でも、墨田区議会議長から強い要望が出ておりました。
 それだけ墨田区の悲願であった鐘ケ淵駅の立体化ですが、これから墨田区では、鐘ケ淵駅周辺地区まちづくり計画の改定に着手することになります。東京都にはこちらへの支援を強く要望いたします。
 そこで、周辺まちづくりを含む東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取組の状況について伺います。
 さて、今年七月に都立病院は独法化されました。利用者の方から、独法化後、予約が取りにくくなっているという不満の声が直接的、間接的に寄せられています。また、職員の方からは、給料を保障すると説明されてきたのに、給料が下がったという声も寄せられています。
 この独法化に当たっては、各都立病院の院長をはじめ、様々な意見を尊重し、制度設計を提案し、議会審議を繰り返してきました。その過程では、いずれの患者さんにも不利益があってはならない。むしろ医療サービス提供の質向上のためにも、独法化は有効であると主張してきた私にとっては看過できないのが、先ほど提示した様々な声です。
 そこで、独法化後、実際にこのような事実はあるのかを伺います。
 また、これまで東京都の独法化の中身を理解しないまま、ネガティブキャンペーンを展開し、デモ活動やビラ配布を行ったグループもいました。それだけに、今後、患者さんや職員の方々が不安を感じないような広報発信を強めていくべきですが、七月以降、そこに力を入れているようには思えません。併せて見解を伺います。
 東京都は今年、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の東京における被害想定を十年ぶりに改定し、発表しました。
 十年前の平成二十四年、二〇一二年被害想定に基づいて、各種防災、減災対策に力強く取り組んできたことで、耐震化率が向上し、被害軽減効果があることが推計されています。ただし、木造住宅密集地域があり、特にこの点の課題が多い墨田区の選出議員としては気になる点があります。
 今回の発表では、令和二年、二〇二〇年時点で東京都の住宅の耐震化率は九二%ですが、旧耐震基準で建てられた一九八一年以前の建物について耐震化を推進し、全ての建物が建て替え、耐震補強等の実施によって、全壊棟数及び死者は現況より六割減少するという推計が出ています。
 その上で、二〇〇〇年耐震基準による耐震化が実現した場合、全壊棟数及び死者はさらに約五割減少するという推計も公表されました。
 この被害想定が公表されたことで、一日も早く、倒壊危険認識がありながら、現実的に取り残されてしまっている一九八一年から二〇〇〇年の新基準までの木造住宅耐震助成を東京都が責任を持って進めるべきであるのはいうまでもありません。
 まちの防災性を高めるため、地元区市町村との連携はもとより、建築士など専門家の協力も欠かせません。新耐震基準を含めた住宅の耐震化をどのように進めていくのか、見解を伺います。
 次に、都営地下鉄の大規模水害対策について伺います。
 荒川氾濫のような大規模水害が発生した場合に、都市機能を回復させていく上で、人々の移動を支える地下鉄の早期復旧は重要な課題です。
 私の地元墨田区には都営地下鉄浅草線、新宿線、大江戸線の三路線四駅があり、いずれも浸水想定区域内に位置しています。被災により地下鉄が長期間麻痺すれば、区民生活への影響が懸念されるところです。
 こうした中、都議会自民党による提言を受けて、交通局は浸水対策に係る整備計画を年度内に策定するとしていますが、施設整備には相当な時間を要することから、効率的、効果的に対策を講じていく必要があります。
 また、大規模水害時に浸水を全てを防ぐことは困難であり、施設が浸水した場合の復旧手順等をあらかじめ定めておくことが早期の運行再開を図る上で不可欠です。
 そこで、都営地下鉄の大規模水害対策に関する取組について伺います。
 近年、全国的に若者を中心として大麻による検挙者が急増しています。大麻使用のきっかけは、友人に誘われて、興味本位で、悪気もなくというのが最多なのが実態です。インターネットなどでは、大麻はほかの薬物より安全だ、体に害がない、依存性がない、いつでもやめられるだろう、海外では合法化されているから問題ないといった情報も氾濫していることで、警戒心が薄れてしまっているのも要因であると考察できます。
 しかしながら、そうした情報は間違っています。大麻の有害性や依存性などを警視庁も積極的に情報発信を行い、悪の手から若者を守っていかなければなりません。
 そこで、若者らを対象とした大麻の乱用防止に向けた警視庁の取組について伺います。
 女性をめぐる課題は、生活困窮、DV、性暴力など、多様化、複雑化している中、様々な困難を抱える女性への支援を強化する新法、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立しました。
 女性の人権尊重や福祉の増進を目的に掲げ、六十六年前にできた売春防止法を根拠にした枠組みを抜本的に改めるものです。
 新法は、都道府県に対して女性相談支援センターの設置を義務づけ、相談対応に加え、緊急時の一時保護も行います。売春防止法で定めた婦人相談所を転換して発足させることになります。
 今後、都道府県で令和六年度の法施行に向けて基本計画を策定することになっております。新たな法の趣旨を確実に実現するため、この計画策定に当たっては、都市部の課題をしっかり把握し、実効性のある計画にすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、アスベスト対策について伺います。
 アスベストの飛散防止対策は、大気環境の保全のみならず、人の健康や安全の確保のためにも重要です。
 我が会派ではこれまで、アスベスト対策の強化について訴えてまいりました。大気汚染防止法では、アスベストの飛散防止に向け、解体やリフォームを請け負う事業者等に対し、アスベストの有無を確認するための事前調査の実施を義務づけていますが、近年、事前調査のアスベスト見落としなどによるアスベストの飛散が指摘されていました。
 そのため、法改正により、今年の四月から事前調査結果を行政に報告する制度が導入され、調査の信頼性を確保するなど対策が強化されています。
 事前調査の費用に対して、一部の区市では国の支援制度等を活用した補助制度を設けていますが、区市によって補助対象となるアスベスト含有建材や補助上限額が異なるなど、必ずしも公平とはいえない実態があります。
 こうした中、例えば、若い世代の方々が中古住宅を購入してリフォームをする際に、住もうとする自治体の支援が手薄なために、事前調査を行わずに安く請け負う不適正な事業者に発注し、結果としてアスベストが不適切に処理され、子供の世代も含めて不利益を被ることにつながるおそれがあります。
 このような状況について、都はどのように認識し、アスベストの飛散防止に取り組んでいくのかを伺います。
 最後に申し上げます。
 昨日の代表質問で我が党の三宅幹事長は、多くの都民がコロナ禍、ウクライナ情勢での物価高騰の社会情勢の中で疲弊している今こそ、大都市東京ならではの大胆な支援策が必要だと知事に求めました。
 私は去年、令和三年三月十一日の予算特別委員会で、時限的なものであったとしても、減税を決断していただきたいと求めました。
 減税が必要な理由を改めて申し上げます。
 東京は豊かと思われがちですが、総務省の全国消費実態調査を基にした国土交通省の中間世帯の経済力分析によれば、東京は四十七都道府県で最下位なのです。これは諸経費を引いた後の自由に使えるお金が最も少ないことを示しています。だからこそ、特に子育て世代や若者世代が使える手元のお金を増やし、生活を応援し、ひいては経済を活性化させたいと考えています。そのための都民税二〇%減税です。
 そして、企業に対しても同じように、事業継続や再始動を支援するため、事業所税の五〇%減税を都議会自民党は提起したのであります。
 政治とは何かという問いに、大平正芳総理はよくこういっていたといいます。それは明日枯れるかもしれない花にも水をやることだ。
 私も同じ考えです。けれども、私たちはそれだけにとどまりません。今のコロナ禍、このままだとみんな干上がってしまいます。枯れるかもしれない花にも水をやる。その先です。絶対に今を枯らさないために、小池都知事に減税の決断を強く強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 川松真一朗議員の一般質問にお答えいたします。
 サプライチェーンでの人権の尊重についてのお尋ねでございます。
 持続可能な社会の実現に向けましては、サプライチェーンにおける企業の責任ある人権尊重への継続的な取組を促進することは重要です。
 業界団体である太陽光発電協会は、行動指針に基づきまして、太陽光発電産業に係る事業者が人権の尊重を遵守した事業活動を行うことなどを推進しています。
 都はこれまで、この協会と連携しまして、ヒアリング等を通じ、国内太陽光パネルメーカーの取組状況等の把握に努めてまいりました。
 国においては、今月、国際スタンダードを踏まえた企業による人権尊重の取組をさらに促進するため、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを策定しております。
 今後、都は、このガイドラインを踏まえまして、太陽光パネルメーカーに対しまして継続してヒアリングや意見交換を行い、各メーカーの適正な取組と情報公開を促してまいります。
 人権問題がグローバルなサプライチェーンでの課題であるとの認識の下で、引き続き、各国や国の状況を注視するとともに、業界団体と連携し、普及啓発を行うなど、SDGsを尊重した事業活動を促進してまいります。
 残余の質問につきましては、警視総監、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 警視庁における若者らを対象とした大麻の乱用防止に向けた取組についてお答えをいたします。
 都内の大麻事犯検挙人員は、若年層を中心に増加傾向が見られることから、当庁では、大麻の所持は犯罪であること、健康に有害であること等に関する正しい認識を持っていただくための取組を推進しております。
 具体的には、若年層を対象とした大麻乱用防止を啓発する映像を作成し、警視庁防犯アプリ、Digi Policeによる配信や、都内のデジタルサイネージでの放映などの情報発信を行っているほか、都内の学校や企業に向けた薬物乱用防止の講話を行うなど、規範意識の醸成を図っております。
 今後とも、薬物事犯の徹底検挙はもとより、こうした薬物乱用防止対策を強力に推進し、違法薬物の根絶を図ってまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取組の状況についてでございますが、本箇所には、現在、都が事業を進めている都市計画道路補助第一二〇号線との交差部に開かずの踏切があり、交通渋滞や地域分断の解消等が課題となっております。
 道路と鉄道の立体化については、地域におけるまちづくりと連動させていくことが重要でございます。
 こうした認識の下、地元区によるまちづくりへの取組の熟度や、交差する区道の整備の具体化などを踏まえまして、都は、本箇所を鉄道立体化の事業候補区間に位置づけたところでございます。
 今後、地元区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化の可能性について着実に検討を進めてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院の広報等についてでございますが、都立病院では、コロナ禍において、独法化以前から新型コロナ対応を最優先するため、一般診療の制限や不急の手術の延期などを行っており、その旨を患者や家族をはじめ、都民に対し、広報誌やホームページ、SNS等で広く周知しております。
 また、職員の給与については、独法化前後で同水準の基本給を維持しながら、働きがいと能力、スキルの向上につながる人事給与制度とし、メールやオンラインでの個別説明など様々な方法で周知しております。
 今後、職員への制度周知にさらに努めるとともに、都民への広報強化に向けたPTを設置することとしており、都立病院の取組や魅力を多様な媒体を活用して発信するなど、より分かりやすく効果的な広報に一層取り組んでまいります。
 次に、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律への都の対応についてでございますが、令和六年に施行される法律では、国が基本方針を定め、都道府県がその方針に即して基本計画を策定しなければならないと規定されております。
 今後、国から示される基本方針を踏まえ、都は、新たに法に定められた女性相談支援センターの役割や、民間団体との連携のほか、若年女性への支援など、東京における課題について、区市町村や民間団体、婦人保護施設などから成る会議体で幅広く検討していくこととしております。
 人権が尊重され、女性が安心して自立して暮らせる社会の実現という法の趣旨を踏まえ、各団体の役割や強みも生かし、地域の実情に応じた施策を構築してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 新耐震基準の住宅の耐震化についてでございます。
 木造住宅密集地域などの地域の防災性を向上させるためには、耐震化や不燃化が重要であるため、これまで都は、区市町村と連携して、住宅等の耐震化を進めてまいりました。
 その結果、本年五月、十年ぶりに改定された新たな被害想定において、建築物の耐震化や不燃化が進展したことなどにより、被害が軽減されることが示されました。
 また、平成十二年以前の新耐震基準の建築物の耐震化に取り組むと、人的被害や建物被害がさらに軽減されることも示されました。
 都民の生命と財産を守り、地域の防災性を向上させるため、これまでの取組を進めることに加え、新耐震基準の木造住宅の耐震化について、区市町村や関係団体との連携や支援の在り方を検討してまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営地下鉄の大規模水害対策についてでございますが、お客様の安全確保はもとより、公共交通機関として、被災後早期に運行を再開することが重要でございます。
 この間、被害軽減に向け、駅出入口等の対策に加え、トンネルを経由した浸水拡大防止策を検討し、浸水範囲を大幅に圧縮できる防水ゲート等の整備箇所を確認いたしました。
 こうした結果に基づき、効果的な整備手順等を定め、年度内に策定する整備計画に反映いたします。
 また、計画策定を待つことなく、既存の防水ゲートの耐圧機能の強化など、大規模水害対策に係る施設整備に速やかに着手いたします。
 あわせて、車両の避難手順や浸水した施設の復旧手順を年度内に取りまとめ、BCPである危機管理対策計画を改定し、訓練を通じて対応力の向上を図るなど、ハード、ソフト両面から取組を進め、東京の都市活動や都民生活を支える役割を果たしてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) アスベスト対策についてでございますが、効果的な対策を進めるためには、解体やリフォームに際し、発注者や工事業者がアスベストの飛散防止や事前調査の意義を理解し、規制を遵守する環境づくりが重要でございます。
 そのため、都は、事前調査の解説動画の配信や、都の断熱改修補助制度を通じた周知等により、発注者の理解を呼びかけるとともに、工事業者向けには、区市と共に解体等の届出情報を活用して立入検査を実施するなど、事前調査の徹底等に取り組んでございます。
 これらに加えまして、区市の支援の実態等も踏まえ、今後、全てのアスベスト含有建材を対象とした調査費の助成制度を創設するよう国に直接要望してまいります。
 こうした取組によりまして、アスベストの適正処理に向けた取組を一層推進し、飛散防止の徹底を図ってまいります。

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