令和四年東京都議会会議録第十三号

令和四年九月二十八日(水曜日)
 出席議員 百二十二名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
六番松田りゅうすけ君
八番上田 令子君
九番漢人あきこ君
十番岩永やす代君
十一番おじま紘平君
十二番山田ひろし君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十四番星  大輔君
二十五番磯山  亮君
二十六番もり  愛君
二十七番龍円あいり君
二十八番あかねがくぼかよ子君
二十九番保坂まさひろ君
三十番桐山ひとみ君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番渋谷のぶゆき君
四十二番やまだ加奈子君
四十三番林あきひろ君
四十四番松田 康将君
四十五番ほっち易隆君
四十六番鈴木 錦治君
四十七番米川大二郎君
四十八番清水やすこ君
四十九番白戸 太朗君
五十番入江のぶこ君
五十一番田の上いくこ君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番小松 大祐君
六十五番柴崎 幹男君
六十六番早坂 義弘君
六十七番本橋たくみ君
六十八番山加 朱美君
六十九番鈴木あきまさ君
七十番関野たかなり君
七十一番菅原 直志君
七十二番平けいしょう君
七十三番森口つかさ君
七十四番成清梨沙子君
七十五番福島りえこ君
七十六番風間ゆたか君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十七番こいそ 明君
八十八番小宮あんり君
八十九番田村 利光君
九十番伊藤しょうこう君
九十一番川松真一朗君
九十二番山崎 一輝君
九十三番藤井あきら君
九十五番内山 真吾君
九十六番石川 良一君
九十七番伊藤 ゆう君
九十八番本橋ひろたか君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番高倉 良生君
百七番まつば多美子君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番清水 孝治君
百十二番菅野 弘一君
百十三番三宅 正彦君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番尾崎 大介君
百十七番村松 一希君
百十八番後藤 なみ君
百十九番たきぐち学君
百二十番小山くにひこ君
百二十一番増子ひろき君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 一名
九十四番 森村 隆行君
 欠員
    五番 七番 十三番
    二十三番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長浜 佳葉子君
東京都技監建設局長兼務中島 高志君
政策企画局長中村 倫治君
総務局長野間 達也君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監大石 吉彦君
政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村 恵一君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
子供政策連携室長山下  聡君
デジタルサービス局長久我 英男君
主税局長小池  潔君
生活文化スポーツ局長横山 英樹君
生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西 康弘君
都市整備局長福田  至君
環境局長栗岡 祥一君
消防総監清水 洋文君
福祉保健局長西山 智之君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
港湾局長矢岡 俊樹君
会計管理局長須藤  栄君
交通局長武市 玲子君
水道局長古谷ひろみ君
下水道局長奥山 宏二君
住宅政策本部長山口  真君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長松永 竜太君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長小室 一人君
労働委員会事務局長桜井 政人君
収用委員会事務局長杉崎智恵子君

九月二十八日議事日程第二号
第一 第百七十三号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第二 第百七十四号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百七十五号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百七十六号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百七十七号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百七十九号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百八十号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百八十一号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百八十二号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百八十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十一 第百八十四号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百八十六号議案
  東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例
第十三 第百八十七号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第十四 第百八十八号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第十五 第百八十九号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百九十号議案
  東京都瑞江葬儀所(四)改築工事請負契約
第十七 第百九十一号議案
  都営住宅四H—一二九東(足立区鹿浜五丁目)工事請負契約
第十八 第百九十二号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
第十九 第百九十三号議案
  豊島区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第二十 第百九十四号議案
  土地の買入れについて
第二十一 第百九十五号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第二十二 第百九十六号議案
  特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その一)について
第二十三 第百九十七号議案
  特種用途自動車(普通ポンプ車)の買入れ(その二)について
第二十四 第百九十八号議案
  特種用途自動車(水槽付ポンプ車)の買入れ(その一)について
第二十五 第百九十九号議案
  特種用途自動車(水槽付ポンプ車)の買入れ(その二)について
第二十六 第二百号議案
  特種用途自動車(小型ポンプ車)の買入れ(その一)について
第二十七 第二百一号議案
  特種用途自動車(小型ポンプ車)の買入れ(その二)について
第二十八 第二百二号議案
  特種用途自動車(はしご車)の買入れについて
第二十九 第二百三号議案
  特種用途自動車(化学車)の買入れについて
第三十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都立病院機構中期計画の認可の報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 第二百四号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第二 第二百五号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第三 令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第四 令和三年度東京都公営企業各会計決算の認定について

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 令和四年九月二十二日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案二件の送付がありました。
 また、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、令和三年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
 次に、地方自治法第百五十条第六項の規定により、令和三年度東京都内部統制評価報告書等の提出がありました。
 次に、監査委員より、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第二百四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)外議案一件、決算二件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十三番三宅正彦君。
   〔百十三番三宅正彦君登壇〕

○百十三番(三宅正彦君) 都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 名誉都民、三宅一生さん、森英恵さん、笹本恒子さん、三人の方がご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 我が会派の八王子市選出西山賢議員が病に倒れ、八月十八日にお亡くなりになりました。
 西山議員の思いを引き継ぎ、都政の発展に向けて会派一丸となって力を尽くしてまいります。
 七月八日の選挙応援演説中に凶弾に倒れた安倍晋三元総理の国葬が昨日執り行われました。民主主義の根幹ともいえる選挙活動に対する極めて卑劣な蛮行であり、断じて許すことはできません。
 安倍元総理のご冥福をお祈りするとともに、この事件にひるむことなく、民主的で開かれた議員活動に邁進していくことをお誓い申し上げ、質問に入ります。
 首都東京の治安を守り、都民生活の安全・安心を確保することは警視庁の責務です。
 先般の安倍元総理の銃撃事件を受け、人、物、経済などが集中する国際都市東京において、安全・安心に対する意識を醸成するために、今後どのような姿勢で警備に臨んでいくのか、警視総監の見解を伺います。
 全世界を巻き込んだ新型コロナウイルス感染症の感染者数は、七月には過去最多を更新しました。
 現在では減少傾向に転じているものの、医療体制を確保し、都民の生命を守りながら、社会経済との両立をいかに図るかが大きな課題となっています。加えて、ロシアのウクライナ侵攻による原油や原材料価格の高騰、円安による影響などにより、都民の暮らしや中小企業の経営環境は大きな影響を受けています。また、過去五年間で最も高い水準となっている電気料金や、厳しい電力逼迫が見込まれるこの冬に備えた電力確保への対応も必要です。
 一方、将来を鑑みれば、脱炭素の取組は待ったなしであり、再生可能エネルギーの導入、DX、デジタルトランスフォーメーションや、GX、グリーントランスフォーメーションの取組など、新たに産業構造を変えるような施策も推し進める必要があります。
 まさに感染症やエネルギー危機といった、様々な課題が幾重にも重なり合う大きな難局に直面しています。こうした危機に対峙し、将来を見据え、どのように都政のかじ取りをしていくのかが問われているのではないでしょうか。
 我々、都議会自民党はこれまで、命を守る、東京を動かすをスローガンに、コロナ感染症対策や経済再生の特効薬としての減税など、昨年の都議選で掲げた十六の政策の柱を胸に刻み、第一党としての責任ある立場から、全力で都政に邁進してきました。そして、同時かつ複合的な難局が押し寄せる中、多くの都民の家計と中小零細事業者の経営が極めて厳しい状況にある今こそ、大都市東京ならではの大胆な支援策を打つべきときと考えています。
 そこで、今後の都政のかじ取りと大胆な支援策について、知事の見解を伺います。
 都議会自民党は、コロナ感染症対策はもとより、物価高騰等の影響の長期化に伴う事業者や都民への支援の充実など、多岐にわたる事項を都に要望したところですが、今回の補正予算編成の考え方について、知事の見解を伺います。
 コロナ感染症の新規感染者数は、全国的にも減少傾向が確認されたことなどを受け、先日、岸田総理は、国内外に蓄積した知見、専門家の意見を踏まえ、ウイズコロナの新たな段階への移行を進め、社会経済活動との両立を強化していくことを表明いたしました。
 今月二十六日からは、全国一律で療養の考え方を転換し、全数届出が見直されました。この感染症にどのように対応していくのか、まさにその転換期にあります。
 今後は、感染拡大防止と社会経済活動との両立を重視した感染症対策の強化が求められますが、知事の見解を伺います。
 さて、今後、コロナへの対応は新たな段階に移行します。オミクロン株については、若者の重症化リスクは低いといわれる一方で、高齢者の重症化リスクは引き続き高いとされていることから、第八波に向けては、リスクの高い高齢者等に重点を置いた対策が一層求められます。
 都は、本議会に提出している補正予算で、旧こどもの城の酸素ステーションの機能を転換する方針を打ち出していますが、今後、高齢者の入院受入れをどのように進めていくのか、見解を伺います。
 第七波において、都立病院はコロナ感染による多くの欠勤者が出た中で、多数の患者を受け入れているにもかかわらず、病床使用率が低いと指摘されています。病床を確保していても、認知症高齢者など人手を要する患者がいれば、受入れ可能な患者数が少なくなるのは当然です。
 現在、病床使用率の算出には都の計画上の確保病床数が用いられていますが、それを稼働可能なコロナ病床数に転換するなど、医療現場の実態を都民に正確に伝えるべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍を通じ、我が国全体としてのデジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。こうした中、都は、デジタル化の取組を爆速で進めてきたといいますが、都民の実感とは程遠く、満足度や利用率はまだまだ高まっていません。住民サービスの最前線を担っているのは市区町村であり、我が党ではこれまでも、オール東京でのDX加速には、市区町村へのよりカスタマイズされたきめ細かな支援が必要と主張してきました。
 このたび、都は、デジタル化を推進する新団体を設立する構想を公表しましたが、都民がデジタルによる利便性やサービスの質の向上を具体的に享受できるよう、地に足のついた実効性のある取組を進めることが重要です。また、そのためには、国との緊密な連携も求められます。
 デジタル化の遅れを取り戻し、都民がデジタルの恩恵を実感できるよう、市区町村を含めたオール東京のDX推進に向けた今後の展開について、知事の見解を伺います。
 コロナ禍により芸術文化活動の多くが制約を受け、東京二〇二〇大会文化プログラムも中止や延期などを余儀なくされるなど、多大な影響を受けました。
 こうした状況の中、都は、より多くの都民が芸術文化に親しむことができる機会を創出するため、今年度から、地域の振興にもつながる芸術文化活動などを対象に、芸術文化魅力創出助成を開始しました。この事業では、複数の団体が参画する様々なジャンルのフェスティバルや、各地域の特色を生かした企画などが採択されております。
 今後、今回の結果や地域等の意見を踏まえ、多彩な芸術文化活動が数を増して行われるためのさらなる支援や、こうした活動を支える市区町村との連携を一層深めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会開催から一年以上が経過しました。四月以降、新規恒久施設の再開業が続き、各施設では競技大会や音楽ライブなどが開催されるなど、多くの都民が来場し、にぎわいを見せています。東京二〇二〇大会で整備した施設が負の遺産といわれないためにも、このにぎわいを継続し、さらに発展させなければなりません。
 そのためには、各施設の強みを発揮し、スポーツはもとより、多様な活用を推進していくことが重要です。再整備した新規恒久施設を今後どのように有効活用していくのか、見解を伺います。
 水害への対応について伺います。
 今般、都では、大規模水害時に都営住宅の共用部分や空き住戸等を緊急避難先として活用する取組が示され、各市区町と覚書や協定を締結しました。
 災害から住民の命を守るために緊急避難場所を確保することは非常に重要ですが、現場の実態に即していなければ意味がありません。上流部決壊などによる大規模な水害では、浸水の深さが五メートルを超え、二週間以上も水が引かない地域も予想されています。だとすれば、停電や断水、下水の浸水による使用停止などが発生し、一時的であったとしても避難場所として適切なのかは不明です。
 また、都営住宅においては、近隣住民の避難より先に、建物内の下層階に住んでいる住民の避難が優先され、地域への貢献は後回しとならざるを得ません。
 こうした状況を考えると、まさに実態に即した避難体制をつくり、住民に適切な避難行動を促すための対策を一層強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都では、他の市区町村への避難なども想定し、広域避難の取組も進めています。しかし、台風が近づく以前の時点で遠方に避難することは様々な困難を伴います。加えて、障害者や高齢者など自力では避難が困難な災害時要支援者も少なくありません。
 こうした広域避難対策の検討においても、現実的な課題を踏まえ、実態に即した避難誘導策の具体化を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東日本大震災時、東京は約三百五十二万人もの帰宅困難者が発生し、大混乱となりました。来るべき大災害時に発生する帰宅困難者問題に対して十分な備えが不可欠です。
 東日本大震災を踏まえ、都は、帰宅困難者条例を制定し、企業等に従業員の三日間の備蓄を義務づけました。しかし、近年は、企業、都民の条例認知度が低下傾向にあるといわれ、災害時の帰宅行動について、都民、事業者に改めて知ってもらう必要があります。
 我が党は、DXによる帰宅困難者の安全確保のためのオペレーションシステムについて、現場で最大限活用できるようにすべき、また、企業の防災対策を担う事業所防災リーダーが役割を果たせるようサポートすべきと提案してきました。こうした提案を踏まえ、帰宅困難者対策を強化すべきと考えますが、都の取組を伺います。
 帰宅困難者対策の要は、一斉帰宅抑制の徹底です。その円滑な実施には、家族間の安否確認が確実に行われることが必要です。東日本大震災のときは、公衆電話前に行列ができた一方で、通信制限を受けにくい公衆電話はこの十年で半減しました。安否確認のための電話が一斉に集中すると回線がパンクし、帰宅行動につながるおそれがあります。
 そこで、電話以外の安否確認手段を普及させるとともに、通信環境を整備するなど、施策の実効性を上げていくことも必要です。都の見解を伺います。
 こうした通信環境の確保は、帰宅困難者対策に限らず、他の災害対応でも不可欠です。
 災害時に一時滞在施設や避難所になり得る都立施設において、率先してWi-Fi設備を設置するとともに、公立小中学校など都立施設以外においても、つながる通信環境の整備に向け、まずは現状を把握することが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 風水害はもとより、首都直下型地震への備え、火山など災害対策は待ったなしの課題です。一方で、懸念されるのは、例えば、地震直後に台風が来襲することで被害がさらに甚大になる、いわゆる複合災害のリスクです。こうした複合災害にも備えを講じることで、東京の生活と経済を守る必要があります。そのためには、大きなビジョンを示すことが重要です。
 東京が直面する災害のリスクに対し、都全体で危機意識を共有し、同じ視点に立って、インフラ整備などの都市強靱化に向けた施策を練り上げていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 東京の強靱化に向けた重要な課題として、電力確保の問題があります。東京は、他県等にある発電所から送配電網を経由して電力を受けています。その設備や鉄塔が被災して機能を失った場合、東京では直接の被害を受けていないのに、都内で停電が発生するリスクがあります。
 東京電力管内での送電線延長は約四万キロ、また、それらを支える鉄塔などは約五万基にも及び、高度経済成長期に建設された大量の送配電設備の経年が進んでいます。こうした点を踏まえると、東京都外のインフラ施設の強靱化といった視点も必要と考えます。
 我が国の政治と経済の中枢である首都東京が、災害時の停電のリスクに備えるため、都市の強靱化にどのように向き合っていくのか、知事の考えを伺います。
 北朝鮮は頻繁にミサイルを発射し、中国の弾道ミサイルが初めて日本の排他的経済水域内に落下するなど、日本を取り巻く脅威がさらに増しており、都民の安全の確保は急務です。
 そのため、本年五月、都は、ミサイル攻撃の爆風などから被害を軽減するため百九の地下施設を指定しましたが、都内には地下施設が少ない地域もあり、そうしたエリアからは不安の声が出ています。
 緊急一時避難施設は、地下施設だけではなく、鉄筋コンクリート造りの堅牢な建物も指定可能であり、今後、地下施設に限らず、堅牢な建物を積極的に指定していくことが必要です。
 また、緊急一時避難施設はJアラート発出から安全が確認されるまでの一時間から二時間程度に対応しますが、引き続き避難が必要となれば、滞在型の避難施設等に誘導できるよう、市区町村とも連携して備えておかなければなりません。
 都民の安全・安心を確保するため、こうした対策をさらに進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 国は、六月に発表された、いわゆる骨太の方針二〇二二において、新しい資本主義に向けて、計画的、重点的に投資する分野として、スタートアップを挙げています。スタートアップが新たに生まれ、飛躍を遂げることができる環境を整備するため、育成五か年計画を本年度に策定し、政策を大胆に展開するとしており、八月には担当大臣のポストが新たに設けられました。
 国の成長のために、スタートアップが活躍できる環境整備をすることは非常に重要な課題であり、東京においても、国や経済団体とも連携して、取組を強力に進めていくことが必要です。
 知事は、先日、スタートアップの支援等を担当する新たな体制を築きましたが、重要なのは政策の実効性をいかに高めていくかです。知事の見解を伺います。
 産業政策について伺います。
 先日、国は、旅行の割引の対象を全国に広げた全国旅行支援について、十月十一日からの開始を発表しました。
 これまで厳しい環境に置かれた中小のホテル、旅館や旅行代理店、さらには飲食関連の事業者の期待は大きなものがあります。この支援をどう進めていくのか、都の見解を伺います。
 コロナ禍に加えて、原油価格等の高騰が長期化する中、円安の進行も重なり、都内経済は大きな打撃を受けており、事業者の製造コストにも直接影響しています。企業の現場からは、部品の切替え、調達先の変更など経費の削減に取り組んでいるが限界がある、受注の減少につながるおそれがあるため値上げに踏み切れないといった様々な声が多く寄せられています。
 こうした状況を受け、都議会自民党は、先日、売上高が減少している中小零細事業者に対して販路開拓に向けた取組など経営基盤の安定化に向けた支援を行うとともに、資金繰り支援など負担軽減に向けた取組を強化するよう緊急要望を行いました。
 厳しい状況が続く中、中小企業による経営基盤の安定化に向けた取組へのサポートを充実させるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今後も経済状況は刻々と変化していくことが想定されます。今回の補正予算の取組を迅速に進めると同時に、新たな対策についても、引き続き検討を進めていくよう強く求めておきます。
 肥料や家畜の餌となる飼料価格の高騰が続いています。農業者の生産コストは確実に上昇していますが、農産物の価格に転嫁することは難しいため、結局、農業者の収入が減少しているのが現状です。特に、畜産部門における生産コストは三割から五割が餌代で占められており、急激な価格上昇は畜産農家の経営を直接的に圧迫しています。
 農業者が、この物価高騰に対応し、これからも都内で生産活動を続けられるよう、都は、速やかにさらなる対策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 島しょ地域の漁業は、水揚げの減少や魚価の低迷により長期的に厳しい状況が続いております。とりわけ、昨今の燃油価格の高騰により、漁船の燃料費や出荷の際の資材価格は高止まりが続き、漁業者に深刻な影響を与えています。
 都は燃料費の高騰対策を実施していますが、漁業者の経営環境は依然として厳しく、燃料費の抑制だけでは限界があることから、現状を乗り越える新たな支援を速やかに行う必要があります。
 また、主力商品であるキンメダイについて、資源管理の点から漁獲が制限される可能性も出てきており、不安を抱える漁業者へのサポートが必要です。
 さらに、伊豆諸島周辺では他県の漁業者も多く操業していることから、国に対して働きかけを行い、一定のルールの下、資源が減少しないようにしていくことも重要です。都は、どのように対応していくのか、見解を伺います。
 また、島しょ地域の漁業振興のためには、中央卸売市場を通じた取引を活性化させ、消費拡大を図る必要があります。
 市場業者は全国の多種多様な水産物を輸出しており、そのノウハウを生かし、東京産水産物の魅力を海外にも発信することで、産地の活性化と市場業者の成長機会の創出を図ることができます。現在の円安などの貿易環境なども追い風にして、東京ブランドの看板を掲げた水産物を輸出し、世界に広く普及させる、今こそ好機ではないでしょうか。
 そこで、市場業者の持てる力を生かし、東京産生鮮品等の海外展開を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 アフターコロナを見据え、経済を活性化していくことが必要ですが、職種によっては人手不足が顕著であり、介護や建設など、人材確保に深刻な課題を抱える業界では、外国人材の活躍への期待も大きくなってきています。
 今まで都は、外国人の就労支援事業や国の特区制度などを活用して、外国人の在留を支援してきています。今後、さらに外国人の活躍の場を広めるには、手続やルール、コミュニケーションの取り方などのノウハウが必要です。
 そこで、人手不足に悩む中小企業が、その企業の課題に沿って特定技能制度など外国人受入れの様々な手法を活用できるよう支援し、外国人材の採用につなげていくべきと考えますが、これまでの取組も含めて見解を伺います。
 原油等の価格高騰により、中小零細事業者の経営や、そこで働く従業員の生活は大きな影響を受けています。企業現場からは、利益が圧迫されて賃金に振り分ける余裕もないという切実な声が寄せられています。
 都議会自民党は、企業の生産性の向上や従業員の取組を支援するよう緊急要望いたしました。
 小規模零細の企業でも、デジタル技術を活用するなど、生産性を高め、従業員の収入の増加につながるサイクルが生まれるよう支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進するとしています。
 昨今、子供や若者を取り巻く状況が深刻さを増している中、全ての子供の健やかな成長のために家庭、学校、職域、地域等が一体的に取り組むとともに、子供の意見については、従来の手法にとどまることなく、現場に足を運び、生の声を捉えるなど工夫を凝らし、年齢や発達段階に応じて政策に反映していくことが重要です。
 東京都こども基本条例が昨年四月に施行され、子供政策連携室が立ち上がった今こそ、あらゆる機会を通じて、子供の意見を受け止めながら、新たな子供政策を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、子供は遊びを通した他者との触れ合いで人間関係や社会の縮図を理解していくなど、遊びは学びにも通じ、健全な成長発達に欠かすことができません。しかし、従来の行政の枠組みでは十分に対応できませんでした。したがって、子供政策連携室が中心となって、これまでの行政の領域を超えた遊びという政策課題に真正面から向き合っていくべきです。
 外遊び等を通じて、子供たちの人間性や社会性を育むため、都として、子供たちの多様な遊びの環境づくりに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年九月の国による医療的ケア児支援法の施行を踏まえ、都では、九月に支援センターが開設され、医療的ケア児とその家族への相談支援の拠点が整備されました。
 現在、医療的ケア児の実態は必ずしも十分に把握されておらず、対応できる看護師の配置など、地域の支援体制も充実しているとはいい難い状況です。
 医療的ケア児とその家族が、その度合いに応じた適切なサポートを受けながら、充実した生活を送ることができる社会の実現に向けた動きを加速するためにも、都のセンター設置を契機に、地域の支援体制充実等、課題への対応をさらに前進させていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 今月初旬、静岡県の認定こども園で、三歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされて亡くなる痛ましい事件がありました。
 そして先日、沖縄では、コミュニティバスに小学生が置き去りにされる事件が発生しました。国が安全管理の徹底を求める通知を出していますが、教訓は生かされませんでした。
 事故が起こるたびに安全管理を徹底する通知を出していますが、通知だけではもう実効性がないということは明白です。大切な子供の命を守るためには、人を基本とし、最新技術なども活用した様々な実効性の高い取組が必要であると考えます。
 子供の置き去り防止という喫緊の課題について、実施可能なものから即時に多角的な対策を講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 安全・安心に関して一言申し上げます。先日、電動スケーターによる初の死亡事故が発生しました。電動スケーターの在り方については、一層慎重に対応するよう求めておきます。
 先日の所信表明で、知事は、新たな国際ネットワークであるG-NETSを築くとともに、来年二月に世界の主要都市トップを招く国際会議を開くと発言しました。
 都はこれまでも、例えば、アジアの首都や大都市との連携を強化するため、アジア大都市ネットワーク21を立ち上げ、危機管理や環境対策などの共通の課題に取り組み、議会も含めた多様なチャンネルにより、海外の都市との連携を進め、成果を上げてきました。
 こうしたこれまでの海外都市とのつながりや積み上げた成果を生かし、その上でG-NETSを構築するべきと考えます。何をどのように展開していくのか、知事の見解を伺います。
 グローバル人材の育成について伺います。
 最近、グローバル化が叫ばれる中、世界経済フォーラムが公表した国際競争力ランキングでは、日本は九位、また高校生、大学生の日本人留学生数に至っては世界で三十位以下となっており、現在の日本は、若い世代の海外に対する意識の低さが数字にも表れているといえます。
 また、日本のグローバル化低迷の背景には、国際社会でビジネスや研究開発を行うことのできる人材や国際感覚が豊かな技術経営ができる人材が不足していることが挙げられます。
 このような現状を考えると、グローバル人材の育成という喫緊の課題に対し、生徒や教員の海外派遣機会拡充の取組をさらに積極的に進めていくことが必要なのではないでしょうか。
 また、現在取り組んでいる海外学習体験や海外研修などの活動が、コロナ感染症等により、大きな影響が出ていると聞いていますが、様々な工夫を凝らして事業の推進を図っていくべきと考えます。
 そこで、今後の海外派遣機会の拡充とコロナ禍における事業実施について、教育長並びに生活文化スポーツ局長に見解を伺います。
 さきの第二回定例会において、党派を超え、都議会議員全員の総意として手話言語条例を制定し、今月一日から条例が施行されました。内容が充実した実効性のある条例として全国的にも評価されており、この条例が聴覚障害者の方たちの社会参加と安全な生活に結びつき、未来を担う聞こえない子供たちの礎となるよう、首都にふさわしい総合的な支援制度を拡充していくことが重要です。
 今後は、手話を都民に広く知ってもらうとともに、手話通訳者の身分保障の抜本改善をはじめとする手話通訳者人材の育成や確保など、手話を使用しやすい環境整備を進めることが必要であると考えますが、見解を伺います。
 東京都パートナーシップ宣誓制度がこの十一月から開始されますが、混乱なく円滑に運用していくためには、都内市区町村との連携が不可欠です。現在、都内各自治体の対応は様々であり、制度内容は必ずしも同一ではありません。
 都は、自らの制度をただ運用すればよいというものではなく、制度利用者の目線に立ち、市区町村が提供する行政サービスでも都の証明書の活用が図れるよう、都自らが汗をかき、各自治体の理解と協力を得ながら協議を進めていく必要があります。
 こうした取組を着実に進め、性的マイノリティーの方々が抱える困り事の軽減に真に役立つ制度としていくことが重要ですが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍による一時的な落ち込みがあったとはいえ、世界経済の中で国際貿易はますます増加し続けております。こうした状況下で、東京港が国内外の荷主や物流関係者に選ばれ、グローバルな競争に打ち勝っていくためには、なお一層の抜本的な改革が必要です。
 現状の東京港が解決すべき最大の課題は貨物処理能力です。狭隘なコンテナヤード内では荷役作業が非効率となり、その結果、ふ頭周辺の交通混雑をも引き起こしています。
 一方、物流確保の観点からは、首都直下地震などの大規模災害の発災時にも機能が継続して発揮できるよう、ふ頭の耐震強化を進めることも重要です。
 都では、新たな港湾計画の策定を進めているところですが、中長期的な将来を見据えれば、コンテナを効率よく処理することができる十分な広さのヤードを有する国内最大級の新たなふ頭を整備すべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、今後増大が予想される取扱い貨物量に適切に対応していくためには、新規のふ頭整備のみならず、最先端技術を積極的に活用し、ターミナル運営をより効率的に行っていくことも必要です。
 既存のふ頭だけでは大幅な拡張はできません。だからこそ、新規ふ頭整備を契機に東京港全体を再編整備すべきである、我々は、こう主張を続けてまいりました。
 その際には、ハードとともにソフト施策を前進させるべきであることはいうまでもありません。コンテナターミナル運営のさらなる効率化をどのように進めていくのかを伺います。
 地球温暖化対策の推進、SDGsの取組といった環境に対する意識は国際的にも高まる一方です。港湾物流においても例外ではなく、脱炭素化の取組は必要不可欠となっています。輸送や荷役に加え、倉庫、工場などに携わる様々な事業者とともに、GXを進めていかなければ世界の潮流から外れてしまいます。
 東京港がカーボンニュートラルポートとして脱炭素化の取組を前進させていくべきと考えます。都の見解を伺います。
 本年七月、自民党本部において、二階会長が率いる小笠原を応援する会が開催され、私も含めて都議会からも八名が参加しました。
 関係省庁、東京都を交えての意見交換が行われ、特に航空路開設について、小笠原村議会議長から改めて強い要望があり、早期実現に向け、それぞれの立場で力を尽くしていくことをお互いに確認いたしました。
 その場では、総務局長より小池知事からのメッセージが披露され、小笠原航空路は極めて重要、具体的な航空路案につなげていく、関係省庁及び小笠原村と緊密に連携し、実現できる検討を進めていくと、極めて前向きな考えを表明されました。
 命を守るための島民の悲願である航空路の早期開設に向けてどのように取り組まれるのか、知事の力強い決意を伺います。
 都内には、朝夕のラッシュ時に四十分以上も遮断している開かずの踏切が約二百九十か所残されており、全国の半数を占めています。開かずの踏切は、道路交通のボトルネックとなるだけではなく、交通渋滞や地域の分断により、都市の活力や魅力を損ないます。また、災害時には、列車の緊急停止などに伴い、長時間にわたって踏切が閉鎖され、緊急、救急活動の妨げになるおそれもあります。
 連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路交通の円滑化と市街地の一体化により、都市防災の強化とともに、安全で快適なまちづくりに寄与する事業であり、東京のさらなる発展に必要不可欠です。
 このため、我が会派は連続立体交差事業の推進を強く要望してきました。
 そこで、連続立体交差事業の推進について伺います。
 我が会派はこれまで、旧築地市場跡地は民間売却し、道路や鉄道、舟運といった基盤整備と連携しながら、民間の活力を最大限活用して創意工夫を積極的に生かした開発を進めるべきであると主張してきました。
 都は、こうした主張も踏まえ、将来の変化などにも柔軟に対応しながら、良質な開発を誘導していくとして、都市基盤などに関する事項を可能な限り示すことにより、民間が優良な提案を検討しやすくなるような取組を進めてきたと受け止めています。
 一方、東京二〇二〇大会の延期に加え、コロナ感染症や急激な円安による地域経済へのダメージ、終息が見えないウクライナ情勢に端を発する建設資材の高騰など、昨今の情勢の変化に適切に対応していく視点も重要です。
 三月に公表した事業実施方針で、都は、七十年の定期借地で事業を行う方針を示しましたが、事業者の募集に当たっては、本開発の事業性を高め、より魅力的な提案を引き出すよう、土地の一部売却も検討すべきと考えます。
 築地再開発について、これまで我が会派が一貫して主張してきたのは、民間の力が最大限に活用されるよう取り組むべきということです。改めて、土地の一部売却について、都の見解を伺います。
 都は、年内に事業者募集要項を公表するとしています。募集に当たっては、応募や提案の条件、事業の制限などを民間企業が活躍しやすい合理的なものとし、今後の状況変化にも柔軟に対応できるようにすることで、民間の力を幅広く引き出し、東京のまちづくりの力を結集していくよう強く求めておきます。
 太陽光発電設備の設置義務化について伺います。
 都が実施したパブリックコメントでは、条例改正に賛成が全体の五六%を占めた一方、反対が四一%に上ったことは無視できるものではありません。
 いまだ日当たりの悪い住宅も全ての新築住宅に義務化される、この制度で再エネ賦課金が大幅に上昇するといった誤解に基づく意見や、設置後の維持管理に不安があるといった意見が噴出しており、制度内容が都民に十分に理解されているとはいい難い状況にあります。
 都は、こうした状況を真摯に受け止め、都民が不安を抱くことのないよう、これまで以上に適切な情報発信や丁寧な説明を行っていくことが不可欠であると考えますが、見解を伺います。
 また、事業者への対応も課題です。先般、カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針が公表され、断熱、省エネ性能の確保、太陽光発電設備の設置等の義務づけを行う新制度施行に向けたスケジュールが示されました。
 新制度は、二年程度の準備、周知期間を設けた上で、令和七年四月施行を目指していくとしています。この二年の期間は、義務対象となる事業者の準備や都民への十分な周知期間を考慮したものと思いますが、注文住宅メーカーや建て売り分譲住宅メーカーなど、事業者ごとに置かれた立場は様々であります。
 制度は理解しつつも、開始までの体制整備など準備が必要な事業者も多いと聞いています。加えて、業界全体で本制度を推進していく観点からも、制度の対象となっていない事業者の取組を促すことも忘れてはなりません。
 都は、こうした住宅供給事業者の声に耳を傾け、置かれた実情を把握し、事業者の状況に寄り添った支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 そして、太陽光パネルの義務化を進めれば、当然、将来廃棄されるパネルも増えることになります。こうしたパネルを単に破砕して埋め立てるのであれば、かえって環境負荷の増大を招くおそれもあることから、しっかりとリサイクルし、資源の循環利用を図ることが重要です。
 住宅用の太陽光パネルは、通常、屋根の上に設置されており、高所かつ狭い場所での撤去作業となることや、一件当たりの排出量が少なく、収集運搬等が非効率になることから、費用が割高でリサイクルされないことも多いと聞いています。
 都は、こうした課題を踏まえ、住宅用の太陽光パネルが適切にリサイクルされる仕組みを構築していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、再生可能エネルギーの利用拡大について伺います。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、あらゆる分野で再生可能エネルギーの利用を増やしていくことが重要です。
 これまで都議会において様々な議論がなされてきましたが、推進する取組が太陽光発電に偏っているのではないかと危惧しています。近年、民間事業者の中には、小水力発電事業への参入、島しょ地域での洋上風力発電の導入検討などの動きも出てきています。
 都は、こうした民間事業者の動向や様々な再エネ発電技術のメリット、デメリットを踏まえ、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの利用拡大も図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、今月策定した環境基本計画において、気候危機とエネルギー危機という二つの危機を踏まえ、気候変動対策を抜本的に強化、徹底していくとしています。二〇五〇年の脱炭素社会に向けては、EVの推進等、ますます電力化が推進され、その使用量が増大することが予想されます。
 国際エネルギー機関の推計では、二〇五〇年には二〇二〇年比で二・六倍の発電量が必要になるとされ、増大する電力の需要に応じて再生可能エネルギーを供給することは相当困難だと考えます。気候変動対策を進めるためには、再生可能エネルギーの導入も重要ですが、徹底した省エネ対策の深掘りが不可欠です。
 エネルギー価格の高騰も続く中、省エネ対策を徹底して進める必要が一層高まっていると考えますが、環境基本計画で掲げる目標達成に向けどのように取組を進めていくのか、都の見解を伺います。
 そして、カーボンハーフという高い目標の実現に向けて、都民、事業者の理解や協力を得るためにも、都の管理する施設での率先的な取組が不可欠であり、都庁自らが強い意思を持って実践していくべきと考えますが、見解を伺います。
 我が国のエネルギー安全保障という問題は長期化しており、将来に向けたエネルギーの安定確保は最優先課題の一つです。だからこそ、知事も、今般、新たに産業・エネルギー政策部という新組織を立ち上げたのだと思います。
 現在の電力需給の状況は、国による対策の進展で改善が見込まれるものの、異常気象や発電所のダウンなど不測の事態の備えが必要です。加えて、電気料金の著しい上昇が都民生活や企業活動に大きな負担を強いています。
 本年八月、国のGX実行会議の場で、原発の新増設について言及した岸田総理の発言を受け、定例記者会見の場において、小池知事の原発に対する発言がありました。
 今から五年前、幅広く与野党合意を形成し、原発ゼロを憲法に明記するとおっしゃられていたときとは、原発に対するスタンスが大幅に変化したと受け止めております。
 原子力発電の稼働等については、国の専権事項であるとはいえ、エネルギーの大消費地であり、恩恵を受けている東京都として、我関せずという態度だとすれば、それはあまりにも無責任といわざるを得ません。
 必要不可欠であるエネルギーの安定確保にとって重要な割合を占める原子力発電について、知事の率直なお考えをお尋ねいたします。
 最後に、知事の都政運営について一言申し上げます。
 都政は、都民や都内事業者の方々の声を聞きながら、東京の実態を直視し、市区町村ともしっかり意見交換をしながら進めていかなければなりません。
 知事が記者会見で唐突に発表し、市区町村や関係事業者はもとより、多くの都民の方々に混乱を招くようなことがあってはなりません。都民の理解と納得の上に地に足のついた都政運営を行っていただくよう強く要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 三宅正彦議員の代表質問にお答えいたします。
 都政のかじ取りと大胆な支援策についてのお尋ねがございました。
 ロシアのウクライナ侵攻により顕在化したエネルギー問題や物価の高騰、気候危機の影響等によります自然災害の頻発化、激甚化、いまだ続く新型コロナへの対応など、世界規模で危機が生じております。
 我が国におきましては、円安の進行も加わって、社会経済に大きな影響を及ぼしております。こうした状況を打破し、日本経済を牽引していくことこそが首都東京に課せられた使命でございます。
 こうした観点から補正予算を編成しまして、足元の危機を乗り越えるために、価格転嫁が困難な事業者への直接的な支援など、一歩踏み込んだ対策を実施してまいります。加えまして、GXやDXなど新たな成長分野を活用してHTTの取組を加速、そしてサステーナブルリカバリーを実現してまいります。
 今後も、都民生活や東京の経済を支えるために、様々な観点から必要な支援を検討するとともに、持続可能な社会の実現に向けまして、長期的な視点に立った都政運営を行ってまいります。
 次に、補正予算についてでございます。
 歴史的な円安の進行、エネルギー情勢の変化など、都政を取り巻く環境は厳しさを増しております。こうした中にありましても、東京が活力を維持し、持続可能な都市へと進化していくには、必要な対策を機を逸することなく的確に講じることが重要であります。
 これまでも状況の変化を適切に見極めて、機動的に予算措置を講じてまいりましたが、昨今の物価高等の影響の深刻化を踏まえまして、様々な危機への対策を一段と強化する観点から、今回の補正予算を編成いたしました。
 具体的には、増額された国の臨時交付金を活用しまして、運輸事業者などに対して燃料費等の支援を行うなど、一歩踏み込んだ対策を実施いたします。加えまして、旅行需要の回復に向けました観光業への支援や資材価格高騰の影響を受けております農林水産業への支援など、きめ細かく対策を講じております。
 また、冬の電力確保に向けた対策の強化とともに、環境配慮型の設備投資への支援、GXの加速化など、将来も見据えまして脱炭素化を一層推進してまいります。さらに、コロナ対策に係る予算を年度末まで確保しまして、社会経済の流れを止めずに感染終息を図ってまいります。
 補正予算に盛り込んだこれらの施策を速やかに実行に移すことで、都民の暮らしを守り、東京の経済の回復を力強く後押しをしてまいります。
 次に、感染拡大防止と社会経済活動の回復との両立についてのお尋ねです。
 今回、全国一律で新型コロナの発生届の対象が高齢者や重症化リスクのある方に限定され、保健、医療提供体制を重点化していく中にありましても、都民一人一人の命と健康を守るという都の方針には変わりはございません。
 これまで東京モデルとして強化してきた保健、医療提供体制を基本とし、希望する全ての方が健康観察を受けられる体制を整えるとともに、うちさぽ東京などの機能を最大限発揮して、体調が急変したときにも迅速に対応してまいります。
 また、新型コロナとの共存を目指しまして、より多くの医療機関が一般医療の提供を行いながら感染症医療にも対応できますよう、施設整備などを支援しております。
 さらに、社会経済活動の回復との両立に向けまして、オミクロン株対応ワクチンにつきまして、区市町村とも協力し、接種を一層加速させてまいります。有効な武器となる経口薬につきましては、国産の治療薬の開発支援や、迅速かつ安定的な供給を国に対して引き続き求めてまいります。
 こうした取組を先手先手で進め、この見えざる敵に的確に対応し、感染拡大防止と社会経済活動の回復との両立を推進してまいります。
 次に、DX推進に向けた今後の展開についてでございます。
 デジタルは、あらゆる人や情報をつなぎ、都民の豊かで便利な生活を実現する大きな可能性を秘めております。その効果を最大化するには、都のみならず、区市町村も含め、東京全体を一体的に捉えてDXを強力に進めていく必要がございます。
 その取組を加速するため、このたび、新団体、GovTech東京の設立構想を打ち出しました。従来の政策連携団体にはない仕組みによりまして、様々な専門性を持った民間の高度デジタル人材を多数確保し、激増するニーズに柔軟かつスピーディーに対応してまいります。
 伴走型サポートや人材紹介など、新たな人材シェアリングの仕組みを導入するほか、スケールメリットを生かしたデバイス等の共同調達やシステムの共同利用の推進などによりまして、区市町村が抱える課題にきめ細かく応えてまいります。
 都と新団体、そして区市町村の協働、共に働くことによりまして、協力して働くことによりまして、オール東京のDX推進の新たな体制を構築し、国の進めるデジタル戦略とも緊密に連携しながら、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会の実現に取り組んでまいります。
 都市の強靱化についてのお尋ねです。
 激甚化する風水害や大規模な地震など、東京が直面する危機は、いつ起こるか分からず、それらが複合的に発生するリスクもあります。都は、こうした危機から都民の生命と暮らしを守り、首都東京の壊滅的な被害を防がなければなりません。
 こうした考えの下、今年七月に、都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点を公表いたしました。それぞれの危機への対応に加えて、複合災害を乗り切るための取組の方向性についてお示しをいたしました。
 この論点を踏まえまして、気候変動や地震被害等に関して、都庁全体で共通の目線を持ち、インフラ整備を中心に、ソフト対策も組み合せて、年度内のプロジェクトの策定に向けて施策のレベルアップを図ってまいります。
 今後、本プロジェクトをてこに、二〇四〇年代に目指すべき姿の実現に向けて、万全の備えを固めることで、様々な脅威から都民を守る安全・安心な東京を築き上げてまいります。
 次に、都市強靱化に向けた電力の確保についてのお尋ねがございました。
 様々な災害のリスクに直面する中にありましても、首都東京の機能を維持していくためには、都民生活と事業活動の基盤となる電力の確保は重要であります。
 そのため、都市の強靱化に向けたプロジェクトの論点整理において、道路の無電柱化の推進、非常用発電設備や蓄電池の導入促進など、災害時の電力不安の解消に向けた取組をお示しいたしました。
 また、国に対しましては、広域に及ぶ発電、送電システム等の耐震性の向上や災害時にも電力供給の確保を図るよう提案しておりまして、その確実な実現を引き続き求めてまいります。
 今後、国や事業者等との連携を図りつつ、本プロジェクトを着実に推進することで、災害時にも電力が確保できる強靱な都市の実現に取り組んでまいります。
 次に、スタートアップ政策についてでございます。
 東京の未来を切り開き、新たな成長を生み出すのは、斬新なアイデアでイノベーションを起こすスタートアップの力です。
 我が国が国際競争を勝ち抜くために、もはや一刻の猶予もなく、スタートアップ政策を抜本的に強化しなければなりません。都の本気を示すため、司令塔となる担当局長を設置し、庁内横断型の新たなチームを編成いたしました。
 先日、経団連初のスタートアップ出身の副会長、南場智子さんとも会談するなど、国や経済団体、民間の支援機関との議論を開始いたしております。
 公共調達や規制改革の推進、イノベーションを起こすための場づくり、アントレプレナーシップの育成など、幅広い取組につきまして、スタートアップの目線に立ち、国が策定する計画とも連動させ、効果的な支援策を構築してまいります。
 次に、子供の置き去り防止への支援についてのお尋ねがございました。
 先般、送迎バスに子供が取り残され、亡くなるという痛ましい事故が起こりました。亡くなられたお子様のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
 子供たちにとって、安全・安心な場所であるはずの保育所、幼稚園、認定こども園などにおきまして、二度とこのような悲しい出来事を繰り返してはなりません。
 今回の事故を受けまして、直ちに都内全ての保育所等に対して緊急点検を開始いたしました。今後、実地調査やヒアリングを実施いたします。また、施設管理者向けのオンライン講習会を速やかに開催をし、優れた取組事例を共有してまいります。
 さらに、すぐに実施可能な対策や導入可能なデジタル技術を活用した取組を現場の実情に応じて財政的に支援をしてまいります。
 人を基本としながら、様々な知恵と技術を結集し、多角的に対策を講じることにより、子供にとって安全・安心な社会を実現させてまいります。
 次に、G-NETSについてのお尋ねでございます。
 世界は、感染症の脅威や気候変動など、深刻な危機に直面しておりまして、その対応の最前線に立つ世界の都市が連携を深めていくことは必要でございます。
 都はこれまでも、二都市間や多都市間のネットワークを活用しまして、環境、防災、まちづくりなど様々な分野において、海外都市との交流や緊密な協力関係の構築など多くの成果を得たところでございます。
 昨年夏には国際会議、Re StaRTを開催し、東京宣言としてコロナ禍からのサステーナブルリカバリーの実現を世界に提唱いたしました。
 今年度、この宣言に賛同した都市をはじめ、これまでつながりのありました都市にも広く参加を呼びかけて、環境や安全・安心などをテーマとし、知見の共有、連携強化などを図るために、国際ネットワーク、G-NETSを構築するものであります。
 来年二月には、都市のトップを招く会議を開催いたしまして、先進事例の共有により互いの知見を高めるなど、連携を強化してまいります。さらに、定期的に国際会議を開催することで議論を深めて、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
 パートナーシップ宣誓制度についてであります。
 性的マイノリティーの方々が抱える様々な生活上の困り事の軽減につなげていくため、制度の運用に当たりましては、身近な行政サービスを担う都内区市町村と連携を図っていくことが重要であります。
 都はこれまで、都内の区市町村に対しまして、制度の趣旨や連携の方向性について説明をし、各自治体の理解と協力を得ながら、制度導入の準備を進めてまいりました。
 制度の開始に向けて、既に制度を導入している自治体とは、証明書の相互活用のための調整を進めてまいります。未導入の自治体につきましては、都の証明書を活用した行政サービスの事例を情報提供するなど、各自治体の状況に応じまして、丁寧に協議を重ねてまいります。
 こうした証明書の活用に係る対応と併せまして、都民への広報におきましても、都内区市町村と連携しまして、制度の普及を図ってまいります。
 全ての都民が自分らしく生活し、誰もが認め合う社会を実現してまいります。
 小笠原航空路についてのご質問がございました。
 小笠原航空路の開設は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展、さらに住民の安心・安全を守るという観点からも極めて重要でございます。
 現在、都は、より実現性の高い洲崎地区に絞りまして、集中的に調査を実施しております。航空機につきましては、開発中の一千メートル以下の滑走路で運用可能な二種類の機体を中心に検討を進めておりまして、今後、さらに詳細な機体性能などの情報収集に努めてまいります。
 加えまして、世界自然遺産である小笠原におきましては、貴重な自然環境への配慮が欠かせません。昨年は、世界遺産委員会に対しまして、航空路の検討状況を報告いたしました。また、外来種対策や環境影響評価に関する助言をいただいておりまして、今後の取組に生かしてまいります。
 さらに、航空路案の取りまとめには、国の支援が不可欠でございまして、あらゆる機会を通じて、技術面や財政面での協力を求めてまいります。
 今後とも、国や小笠原村とも緊密に連携を図りまして、航空路の早期開設に向けて精力的に検討を進めてまいります。
 最後に、エネルギー施策についてのご質問がございました。
 HTTを含め、都が実現を目指す持続可能な回復、サステーナブルリカバリーに向けた取組は、クリーンエネルギー中心の社会変革を目指すGXの推進と軌を一にするものでございます。
 この実現に向けまして、省エネ、節電の徹底や再生可能エネルギーの地産地消の推進に全力を尽くして、脱炭素型の社会経済構造への移行を積極的に進めてまいります。
 我が国における電源構成につきましては、安定供給や経済効率性、さらには脱炭素化への対応といった多岐にわたる観点を踏まえまして、総合的に検討していくことが必要でございます。
 原子力発電の運転の可否や新技術を活用した新増設につきましては、最終的には国等の判断によりますが、安全性の確保を大前提としまして、まずは地元の理解が得られることが何よりも大事であります。
 都といたしましては、現下のエネルギー危機を乗り越えるとともに、その先の脱炭素社会の実現に向けまして、電力を減らす、つくる、ためる、HTTの取組を一層加速させてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 安倍晋三元内閣総理大臣銃撃事件を踏まえた今後の警視庁の警備についてお答えをいたします。
 ご質問の安倍晋三元内閣総理大臣に対する犯行を私ども警察が阻止できなかったことにつきましては、当庁といたしましても極めて重大に、重く受け止めております。現在、警察庁による警護に関する検証結果、これに伴う警護の見直しに基づいて、要人警護体制の強化に努めているところであります。
 昨日、日本武道館において執り行われました故安倍晋三国葬儀に伴う警備につきましては、警察の存在意義が問われる非常に重要な警備であるとの認識の下、都民、国民の皆様のご協力をいただきながら、当庁をはじめ全国警察が総力を挙げて警備に取り組んだ結果、国内外要人を含む参列者の安全と国葬儀の円滑な進行を確保するという所期の目的は達成できたものと考えております。
 当庁には、首都東京を狙ったテロ等不法行為の未然防止という重要な責務が課せられております。当庁は、引き続き、警護体制の強化、先端技術の導入等による装備資機材の充実、教養訓練による部隊の練度向上に不断に取り組み、警備の万全を図ることにより、都民の安全・安心の確保という責務を果たしてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 都立高校生の海外派遣についてでございますが、社会の課題を主体的に解決する力や豊かな国際感覚を身につけ、世界を視野に新しい時代を切り開いていくことができる人材を育成することは重要でございます。
 都教育委員会は、都独自の留学制度を設け、高校生を海外に派遣してまいりました。今年度は、コロナ禍においてデジタルを活用した交流などを実施するとともに、キャリア形成や多文化共生社会の実現に向けた意識の醸成を目的に、新たに専門学科高校等の生徒をヨーロッパや中東等に派遣いたします。生徒は、最先端技術の視察や現地での交流を通じて、専門分野の知識や多様な文化を学習いたします。また、引率した教員は、派遣先での成果を指導に還元してまいります。
 これらの取組を通じて、世界を舞台に様々な分野で活躍できる人材を育成してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 連続立体交差事業の取組についてでございますが、連続立体交差事業は、道路整備の一環として実施しておりまして、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消し、防災性の向上にも資する極めて効果の高い事業でございます。さらに、事業に合わせ、駅前広場の整備が進むなど地域のまちづくりにも寄与いたします。
 都はこれまで、三十九か所で事業を完了し、三百九十五の踏切を除却してまいりました。現在、六路線七か所で事業を実施し、四路線五か所で事業化に向けて準備を進めております。
 さらに、新たに鉄道立体化の可能性の検討を行う箇所として、東武伊勢崎線の鐘ケ淵駅付近を事業候補区間に位置づけたところでございます。
 今後とも、地元区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業を積極的に推進してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 高齢者の新型コロナ対策に関するご質問にお答え申し上げます。
 高齢者が安心して療養生活を送るためには、医療の提供に加えまして、介護度に応じ、きめ細かなサービスを提供することが重要でございます。都はこれまで、既存の施設を活用いたしまして、高齢者を受け入れる医療施設を設置してまいりました。
 今般、青山の酸素・医療提供ステーションを二十四時間、救急要請にも対応し、要介護五の方も受け入れる高齢者等医療支援型施設に転換をいたします。加えて、築地、立川の施設も高齢者の受入れを促進してまいります。
 さらに、夏の感染拡大期に多くの転院患者を受け入れた回復期支援病院の取組を検証いたしまして、その結果を他の病院に展開することで、患者の円滑な転院を図り、病床を効率的に活用してまいります。
 こうした取組により、高齢者の受入れ体制を強化してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都立病院の新型コロナ対応についてでございますが、都立病院は、第七波の爆発的な感染拡大により、多くの職員が欠勤する中で、都民の生命を守る観点から、重症、中等症の患者や新型コロナによる症状は軽くても重い基礎疾患のある方、認知症など介護度の高い方、障害のある方など、対応にマンパワーを要する患者を積極的に受け入れてまいりました。
 また、熱中症患者等の増加や救急医療機関でのクラスター発生等の地域の状況を踏まえ、救急患者を多く受け入れるなど、病床や入院患者の状況等を確認しながら、臨機応変に対応してまいりました。
 今後、独法化のメリットを一層生かし、こうした都立病院の使命を引き続き果たしていくとともに、都立病院が担っている役割や現場の取組のほか、新たに病床の稼働状況についても、都民に分かりやすく発信してまいります。
 次に、医療的ケア児とその家族への支援についてでございますが、医療的ケア児とその家族が身近な地域で安心して生活するには、地域の支援体制を充実させ、個々の心身の状況に応じた適切な支援を受けられることが必要でございます。
 このため、都は昨年度、医療的ケア児とその家族やサービスを提供する事業所を対象に行った調査で、地域の支援体制を支える人材の確保や関係機関の連携などが課題であることを把握いたしました。
 今後、家族などからの様々な相談に対応する都の医療的ケア児支援センターと区市町村が連携しながら、個々の相談事例を通じて実態の把握をさらに進めるとともに、医療的ケア児を受け入れてサービス提供を行う事業所の人材育成や関係機関のネットワークの構築などを進め、地域の支援体制の充実につなげてまいります。
 最後に、手話の普及に向けた取組についてでございますが、手話を使用しやすい環境を整備するためには、都民への理解を深め、手話のできる都民の裾野を広げることや専門人材を育成することなどが必要でございます。
 都は、パンフレットや大学と連携したイベント等により、都民への手話の理解促進を図るほか、ホームページなどで手話言語条例の意義等を周知してございます。また、手話通訳者等の養成にも取り組み、昨年度からは、医療など専門性の高い手話の研修も行ってございます。
 今後、学齢児等が対象の体験型イベントを実施するなど、区市町村や障害者団体等とも連携し、将来の人材の掘り起こしを行うとともに、手話通訳者等のさらなるスキルアップの充実策を検討するなど、手話の利用が普及するよう環境整備を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の芸術文化活動に対する支援についてでございます。
 今年度創設した芸術文化魅力創出助成には、地元の小規模なお祭りなどに加え、より広いエリアで開催するアート展や落語鑑賞とその舞台を実際に巡るイベントなど、地域を活性化する新たな企画が多く寄せられております。
 伝統芸能や美術などの文化団体や区市町村からは、地域での取組が活性化するよう支援を求める意見が出ております。そのため、手続や要件の緩和など使いやすく工夫するとともに、地域のニーズに即してきめ細やかに対応し、多彩な芸術文化活動が広がるよう取組を進めてまいります。
 今年十一月には、区市町村との連携に向けた会議を開催し、都と区市町村が協働して文化事業の展開を進めるなど、都内各地における芸術文化の取組を支援してまいります。
 次に、新規恒久施設の有効活用についてでございます。
 新規恒久施設を大会のレガシーとして、多くの都民に利用され、親しまれる施設としていくことが重要でございます。
 各施設では、再開業以降、競技団体と連携し、数多くの大会や体験会など様々なスポーツの利用機会が提供されております。また、広い屋外敷地を生かしたライブやファッションショーなど、多角的活用を進めております。
 今後、大会施設を巡るレガシーツアー、子供たちへの見学会、地元と連携したスポーツを通じた地域振興などを実施していくとともに、国際大会の誘致も進めてまいります。
 スポーツやエンターテインメントをはじめ幅広い活用を展開し、都民の健康や豊かさ等かけがえのない価値を提供できるよう取り組んでまいります。
 最後に、私立学校でのグローバル人材の育成についてでございます。
 将来を担う国際感覚豊かな人材の育成のためには、建学の精神に基づく特色ある教育を行っている私立学校の役割は重要でございます。
 そのため、都は、教員を海外研修に派遣する際の補助や高校生の海外留学への支援などを実施しております。
 コロナウイルス感染症等の影響による期間や行き先、教育内容の変更などがある場合にも、現場の声を聞きながら、これらの施策が使いやすいものとなるよう、工夫を重ねてまいりました。
 今後とも、社会的な状況変化を踏まえ、制度を柔軟に運用することで、私立学校におけるグローバル人材の育成を支援してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、適切な避難行動を促すための対策についてでございますが、大規模風水害時は、広範囲で浸水被害が発生し、かつ長期化する地域もあるため、知人宅等への自主避難や垂直避難、行政区域を越える広域避難等、住民一人一人のリスクを踏まえた分散避難を促すことが重要でございます。
 このため、都はこれまでも、区市町村と連携し、分散避難について広く周知するとともに、東京マイ・タイムライン等を活用した普及啓発に積極的に取り組んでまいりました。
 今後は、より一層都民が水害リスクを自分事として認識できるよう、関係区や町会等と連携し、居住地ごとのリスクや推奨される避難行動等を住民に直接発信するモデル事業を実施するなど、対策を強化してまいります。
 こうした取組を着実に進めることで、災害時における都民一人一人の適切な避難行動を促してまいります。
 次に、避難誘導策の具体化についてでございますが、大規模風水害時の広域避難は、鉄道等の計画運休開始前に行政区域を越える遠方への避難が必要となるなど、通常の避難に比べ困難な課題が存在いたします。
 このため、都は、国と共に検討会を設置し、関係自治体やメディア関係者、交通事業者なども交え、適切な避難行動につながる情報発信の在り方や避難先への避難手段の確保策などについて検討を行ってございます。
 今後、早期の避難行動を促すための防災情報等の発信、伝達のルールや鉄道等の増便による輸送力の確保のほか、バスによる避難先への移送方法等を具体化してまいります。
 こうした取組を通じまして、大規模風水害時における避難対策の充実強化を図ってまいります。
 次に、帰宅困難者対策についてでございますが、大規模地震から都民の生命と財産を守るためには、帰宅困難者対策を進化させていくことが重要でございます。
 都はこれまで、新たな広報媒体を活用した普及啓発や補助金の充実による一時滞在施設の確保等に取り組んでまいりました。これに加えまして、対策の新たな柱となる帰宅困難者の安全な誘導をサポートするオペレーションシステムの開発に着手するとともに、事業所の防災対策の旗振り役となる事業所防災リーダーの設置拡大を推進してございます。
 今後は、帰宅困難者への迅速かつ正確な情報発信に向け、システムの実効性を訓練で検証し、精度を高めてまいります。また、帰宅困難者対策を含む災害時の対応への理解を深め、企業の防災力向上を図るため、事業所防災リーダー向けの教育、研修を実施してまいります。
 次に、帰宅困難者対策の実効性向上についてでございますが、巨大地震発生時の一斉帰宅を抑制するためには、家族等と速やかに安否確認ができることが重要でございます。
 このため、都は、動画やデジタルサイネージ等により安否確認手段を周知するとともに、災害時にも連絡が取れるよう、通信基盤の充実や耐震化を地域防災計画に位置づけ、積極的に推進してまいりました。
 今後は、安否確認手段を普及させるため、ウェブ広告などの新たな媒体を活用することに加えまして、都民が災害伝言板を体験する機会を設けてまいります。また、地域防災計画改定に合わせ、基地局の非常用電源の長時間化やさらなる耐震化など災害時の通信確保について事業者等と検討してまいります。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組を進め、帰宅困難者対策を強化してまいります。
 次に、災害時の通信環境についてでございますが、大規模災害時の速やかな避難など、適切な防災行動につなげるためには、災害情報の収集等に不可欠な通信環境の整備が重要でございます。
 このため、都は、関係各局が連携し、一時滞在施設や避難所に指定されている都有施設へのWi-Fi整備を積極的に進め、引き続き設置拡大を図ってございます。
 また、公立の小中学校や民間施設など、都有施設以外の一時滞在施設や避難所につきましても、通信環境の確保に係る今後の検討につなげるため、毎年行っている調査により、Wi-Fi機器や非常用電源の整備の状況等を速やかに把握し、年度内に取りまとめてまいります。
 こうした取組を通じまして、災害に強い首都東京をつくり上げてまいります。
 最後に、緊急一時避難施設の指定と避難誘導についてでございますが、ミサイル等の武力攻撃から都民の生命を守るためには、爆風等からの被害を軽減する緊急一時避難施設を確保するとともに、適切な避難行動を促すことが重要でございます。
 都は、施設のさらなる拡大に向け、本年六月、区市町村と緊密に連携いたしまして、都内の公共施設の総点検を実施いたしました。安全性や堅牢さから、七百を超える施設が候補となってございます。
 今後とも、地域の特性や偏在状況等も考慮し、民間施設も含め、都内全域で戦略的に指定を進めてまいります。また、実践的な訓練につなげていくため、区市町村や施設管理者等と連携した避難誘導策の検討に速やかに着手いたします。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組により、都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えいたします。
 最初に、全国旅行支援についてでございますが、東京の観光産業の回復を後押しするため、国の全国旅行支援の仕組みを活用して、各地から都内に旅行者を誘致する取組は重要でございます。
 国では、全国旅行支援を来月十一日から開始をいたしますが、この仕組みを使い、都道府県が観光客を誘致する場合には、旅行代金の助成やクーポンの提供が可能となります。
 これまで都は、東京での観光を都民が行う場合の助成について、感染症の状況と専門的な意見を踏まえ、実施に関わる判断を行ってまいりました。今回の支援に関しましても、開始の時期について、専門家からの意見を踏まえ、適切に判断を行うことといたします。
 この支援を行う場合、利用可能なホテルやクーポンを使える店舗の募集などに関し、おおむね一か月の準備を行い、効果の高い観光振興として実施いたします。
 次に、原材料価格の高騰や円安などへの対応についてでございますが、中小企業は、原材料価格の高騰により、コスト面での負担が重くなり、経営改善に向けた様々な取組を進めることが必要となっております。
 都は、中小企業が原油などエネルギーのコスト等を削減できるよう、専門家の助言に基づき、新たな設備を導入する経費に助成を行っており、今後、その支援規模を拡充いたします。また、新たな取引先を増やすため、ECサイトに出店するほか、調達がより確実な材料を使う製品を開発する場合、その経費の五分の四を二百万円を上限に助成いたします。さらに、円安の影響で製造拠点を国内に移す中小企業の資金需要を支えるため、制度融資の保証料補助の充実を図ります。
 これらによりまして、中小企業の経営を着実にした下支えしてまいります。
 続いて、次に、農業者への経営支援についてでございますが、東京の農業者は、肥料や飼料の価格の高騰などによりまして、厳しい事業環境に直面してございまして、生産コストの軽減に加え、経営力の向上を図るための支援が重要でございます。
 このため、都は、高騰している化学肥料の使用を減らし、堆肥を使う取組を後押しするほか、乳牛などを飼育する畜産農家が、飼料となる牧草を購入したり、栽培する経費の一部に助成を行います。
 また、経営の改善に向け、事業内容の診断や販売促進活動などを行う畜産農家に対し、家畜の種類や数に応じ、総額で約二億円の緊急的な支援金の交付を行うこととし、受付を来月より開始をいたします。
 これらによりまして、持続可能な農業経営の後押しを着実に進めてまいります。
 次に、島しょ地域の漁業者への支援についてでございますが、東京の漁業者を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いてございまして、操業や出荷の負担軽減を図ることが重要でございます。
 都は現在、漁業者の操業で必要となる燃油のコスト負担を軽減するための支援を行っているところでございます。このほかに漁業では、水産物の出荷に使う箱や保冷用のシートなどの経費の割合が大きく、その価格も高止まりをしており、今後はそうした資材の購入経費に助成を行います。
 また、漁業者の売上げの多くを占めるキンメダイについて、資源管理の面から漁獲の抑制に向けた動きも出ております。このため、収入への影響に備える漁業者への支援を検討するとともに、資源管理と漁業経営の両立に向けて、国に効果的な対応を求めてまいります。
 これらによりまして、東京の水産業の振興を進めてまいります。
 次に、中小企業の外国人材活用の支援についてでございますが、人手不足に悩む中小企業の働き手の確保に向け、外国人材の採用のサポートを行うことが重要でございます。
 これまで都は、外国人材の採用を希望する中小企業に対し、セミナーを通じた情報提供や窓口での相談対応を行うほか、専門家派遣により、社内の受入れ体制の整備等に向けた助言を実施してまいりました。
 また、各地域の自治体に対し、地元の中小企業での外国人材の採用を後押しする取組に助成をするほか、経済団体と協力いたしまして、海外の学生がものづくり企業に就職するための支援も行っているところでございます。
 さらに、特定技能制度を踏まえまして、会社と外国人材のマッチングを進め、就職の事例を増やすほか、今年度は採用や職場での様子を紹介し、受入れの拡大に結びつけてまいります。
 最後に、生産性向上と従業員の賃金引上げの取組についてでございますが、中小企業が生産性を高め、収益を確保し、それを働き方の改善を通じ、従業員の意欲や収入の向上につなげ、事業の発展を図る好循環をつくり出すことは重要でございます。
 このため、都は、中小零細企業が生産性向上を目的に、専門家の派遣を受けてIoT等のデジタル技術を活用した設備を導入する支援につきまして、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、今後、助成の率を引上げます。
 また、職場の働き方のルールを改善し、従業員の意欲を高めるため、専門家の助言によりまして、勤務やキャリア形成の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者に、最大百万円の奨励金を新たに支給をいたします。
 こうした取組によりまして、厳しい経営環境に直面する中小企業の事業の発展を後押ししてまいります。
   〔中央卸売市場長河内豊君登壇〕

○中央卸売市場長(河内豊君) 生鮮品等の海外展開についてでございますが、中央卸売市場は、東京をはじめ全国の産地からの生鮮品等を消費者に安定的に供給しており、今後もその役割を果たしていくためには、海外を含む販路拡大への支援により、市場業者の経営基盤の強化を図ることが重要でございます。
 このため、都は、多様な品ぞろえや豊富な商品知識等を有する市場業者の強みを生かした海外販路開拓に向け、意欲ある業者同士をグループ化した上で、事業計画の策定支援やマーケティング研修など、輸出力向上に向けた取組を後押ししております。さらに、商談会等の販売促進活動や国際的な第三者認証取得を支援してまいります。加えて、都内漁業者と市場業者との連携を進め、輸出力の強化に向けてこれらの取組を加速させることにより、東京産水産物のブランド化を推進してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の意見を反映した子供政策についてでございますが、子供目線に立った取組を推進する上で、子供の実情に寄り添いながら、多様な意見を的確に捉えることが重要でございます。
 このため、子供政策の加速に向けた論点整理を踏まえた政策立案に当たりましては、小学生、中学生、高校生を対象とした出前授業に加えまして、デジタルを活用したアンケートにより、幅広く多くの子供の意見を聞いてまいります。また、NPO等と連携して、子供食堂など身近な場所で子供と交流しながらヒアリングを実施するとともに、子供を日常的にサポートしている大人への聞き取りも実施してまいります。
 今後、様々な手法を活用いたしまして、子供の意見を聞く取組を庁内各局に広げ、実効性のある政策を練り上げてまいります。
 次に、子供の遊びについてでございますが、子供は、遊びを通じて友達同士で関わりながら、様々な挑戦を経験することによりまして、実社会で生きる力を育んでいきます。
 今回策定した論点整理では、子供の遊びという政策課題を新たに設定いたしまして、子供が伸び伸びと遊ぶことができる環境づくりに向けた政策の方向性を示しております。
 子供が思い切り外遊びを楽しむことができるよう、区市町村等と連携しながら、子供自身が泥遊びや木登りなど自由な発想で遊べる場の創出や、遊びや体験の幅を広げる役割を担う人材の育成について検討してまいります。
 こうした取組を通じて、子供の笑顔があふれる遊びの環境づくりを多面的に推進してまいります。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、東京港のふ頭整備についてでございますが、東京港は、経済連携による自由貿易の進展等に伴い、取扱貨物が今後さらに増加することが予想されておりますが、国際海上物流の一大拠点としての役割を果たし続けていくためには、港湾機能の抜本的な強化が必要であります。
 このため、都は昨年度、東京港の将来像を明らかにした長期構想を取りまとめ、現在、その構想を基に、港湾計画の改定に向け検討を進めているところでございます。
 具体的には、新海面処分場地区に大規模なコンテナヤードを有する新たなふ頭整備を計画化し、隣接する中央防波堤外側ふ頭と併せて、現在主力の大井ふ頭に匹敵する貨物取扱能力を確保するよう検討してまいります。
 今後とも、将来を見据えながら、東京港の機能強化の実現に向けた取組を全力で進めてまいります。
 次に、コンテナターミナルの運営の効率化についてでございますが、市街地に近接しエリアが狭隘な東京港において、より多くの貨物を取り扱うためには、デジタル技術を積極的に活用し、ターミナルでのスムーズな貨物の搬出入を実現させることが重要でございます。
 このため、都は、国と連携し、トラックの来場時間の平準化と貨物の搬出入の効率化を目的とする予約システムCONPASを一部のターミナルで先月から運用開始しました。
 今後、予約された貨物に関する情報を物流の情報プラットフォームを活用して関係者間で共有し、最適なコンテナ配置となるよう事前に荷役しておくことなどにより、トラックの入場から貨物の受渡しに至る一連のターミナル運営のさらなる効率化を図ってまいります。
 最後に、東京港の脱炭素化に向けた取組についてでございますが、都は、二〇五〇年CO2排出実質ゼロの実現を目指し、脱炭素化に向けた取組を強力に推進しており、物流の要である東京港での取組も重要となっております。
 これまで、荷役機械の省エネ化や太陽光発電設備の設置などを進めてまいりましたが、東京港全体で脱炭素化を戦略的に推進していくため、本年六月、港湾関係事業者やエネルギー関係の企業等から成る検討会を設置いたしました。
 現在、東京港の脱炭素化に向けた取組やロードマップ等を検討しており、年度内を目途に、カーボンニュートラルポート形成計画を取りまとめ、荷役機械の水素活用など、新たな取組を国の支援も求めながら具体化してまいります。
 今後とも、東京港が選ばれ続ける港湾となるよう、ハード、ソフト両面から様々な取組を加速してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 築地跡地についてでございます。
 旧築地市場跡地は、都心のまたとない大規模で貴重な土地であり、そのポテンシャルを生かし、中長期的に東京全体としての価値の最大化を目指すこととしております。
 お話の築地の土地の一部売却についてでございますが、将来にわたって地区全体の一体的なまちづくりを進めていけるよう、土地を民間に売却することはせず、都が所有者の立場から適切に関与することができる定期借地権を活用していくこととしております。
 今後、募集要項の策定に向け、民間事業者が参画意欲を高め、創意工夫を発揮しやすい事業となるよう、将来の社会経済情勢の変化への対応など実施条件等についてさらに検討し、民間の優れた提案を引き出すことで、東京の持続可能な成長につながるまちづくりを進めてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、太陽光発電設備への理解促進についてでございますが、カーボンハーフの実現に向け、新制度を実効性のあるものとするためには、制度に対する都民の正しい理解と共感を得ることが重要でございます。
 そこで、都は、都民目線のQ&Aや新制度を分かりやすく解説したリーフレットの作成、新制度に関する電話窓口の臨時設置等、様々な手段で情報発信を行ってまいりました。
 今後は、太陽光発電設備の設置からメンテナンスまでのライフサイクル全般に対応するワンストップ窓口を設置するほか、業界団体と連携したセミナー等を実施してまいります。
 また、年代別などターゲットに応じてSNS等多様な媒体を活用し、きめ細かな情報発信を行ってまいります。
 こうした取組によりまして、太陽光発電設備の設置に向けた機運の醸成を図り、円滑な制度導入に向けて万全を期してまいります。
 次に、住宅供給事業者への支援についてでございます。
 円滑な制度施行に向けては、準備状況に応じた支援を行い、環境性能の高い住宅の普及を図ることが重要でございます。
 これまで都は、大手ハウスメーカーに対しましてヒアリングを重ね、実態把握に努めてきておりまして、既に商品ラインナップが十分に備わっている事業者がいる一方で、これから準備を始める事業者もいるなど状況は様々でございました。
 今後、都は、準備を行う事業者に対しまして、太陽光パネル設置に向けた施工技術の向上等の支援を行ってまいります。また、先行する事業者に対しましては、事業者の積極的な取組をさらに後押ししてまいります。加えて、大手ハウスメーカー以外の事業者も利用可能となる仕組みといたしまして、業界全体の取組促進につなげてまいります。
 円滑な制度施行に向け、支援策の具体化を早期に図り、事業者の集中的な取組を促進してまいります。
 次に、住宅用太陽光パネルのリサイクルについてでございますが、二〇三〇年半ばに見込まれる大量廃棄に備え、都内約七割の住宅用パネルを資源として循環利用させるリサイクルの仕組みを早期に確立することが重要でございます。
 首都圏では、事業用パネルのリサイクルは既に複数の施設で実施されておりまして、住宅用パネルについても、こうした施設等を活用していくことが有効でございます。
 そこで、都は、住宅用パネルのリサイクルルートの確立に向け、建物解体、収集運搬、リサイクル等の関係事業者で構成する協議会を立ち上げました。今後は、パネルの収集運搬を実際に行い、効率的な運搬方法、素材別リサイクル等の検証、取り外し作業マニュアルの策定などを行ってまいります。
 こうした取組と併せまして、都民への分かりやすい情報発信を行い、太陽光パネルの高度循環利用を進めてまいります。
 次に、多様な再エネ利用の拡大についてでございます。
 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、さらなる省エネ対策に加えまして、地域や建物等の特性を踏まえた再エネ設備の選択、導入が重要でございます。
 このため、都は、再エネ設備の導入支援策におきまして、太陽光発電設備に加え、地中熱、太陽熱利用設備等を補助対象とするなど、都民や事業者による様々な再エネ設備の導入を促してございます。また、普及の初期段階にある再エネ技術につきましては、都有施設において率先的に導入し、見える化を行うことで認知度向上を図っております。
 今後、臨海部での最先端技術の実装に向けた取組なども進めまして、技術や事業の普及を積極的に図るとともに、さらなる支援策等の拡充について検討するなど、多様な再エネ利用の拡大を推進してまいります。
 次に、省エネ対策の徹底についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現には、まずは建物等の使用エネルギーの最大限の効率化、省エネが不可欠でございます。
 部門別で唯一エネルギー消費量が増加している家庭部門では、新築住宅への断熱、省エネ性能の義務化や既存住宅での窓等の断熱改修補助の拡充に加えまして、集合住宅向けの新たな支援策の検討など幅広い取組を加速してまいります。
 また、キャップ・アンド・トレード制度や地球温暖化対策報告書制度等を強化し、事業所でのさらなる省エネ対策を促すとともに、資金やノウハウが必要な中小企業には、事業所の状況に応じたきめ細やかな支援を講じてまいります。
 住宅関係団体や経済団体と連携して積極的にこれらの取組の周知を図り、行動を呼びかけることで、誰もが当たり前に省エネ行動に取り組める社会を実現してまいります。
 最後に、都有施設での率先的な脱炭素の取組についてでございます。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けまして、都自身が、隗より始めよの意識の下、温室効果ガス削減などの取組を一層強化していくことは重要でございます。
 このため、都は、昨年三月策定のゼロエミッション都庁行動計画におきまして、新築や改築時の高断熱化など省エネの強化に加え、小水力発電の導入による再エネの推進等の率先行動を掲げ、全庁を挙げて取組を開始してございます。
 また、本年には、太陽光発電設備の設置目標を大幅に引き上げるとともに、既存施設における高効率機器への更新手法と効果等を定めた省エネ更新基準の策定に取り組むなど、都有施設のゼロエミッション化を加速させてございます。
 都庁自身が強い危機感を持って脱炭素行動を進めまして、都民、企業、行政等のあらゆる主体の取組を牽引してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十二分休憩

   午後三時五分開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十九番たきぐち学君。
   〔百十九番たきぐち学君登壇〕

○百十九番(たきぐち学君) 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたします。
 本年八月五日に名誉都民である三宅一生さんが、八月十一日に同じく森英恵さんが、八月十五日に笹本恒子さんが逝去されました。
 また、八月十八日、都議会議員である西山賢議員がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 令和四年第三回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、教育長、関係局長に質問をいたします。
 日本は、平成の失われた三十年から続く長いトンネルから抜け出せずにいます。停滞する経済に加えて、世界最速で進む少子高齢化、世界的な気候変動危機など、多くの課題が山積する中で、日本は実効性のある対策を講じることなく眠っていたといわざるを得ません。
 こうした状況を打破するためには、首都東京が世界でも存在感を示す成熟した魅力ある都市として競争力をつけ、停滞する現状への新たな答えを切り開き、日本全体へ波及させていくことが必要です。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、デジタル、グリーン、そしてダイバーシティを軸に、都政において多くの改革を実現してまいりました。それらは、単にコロナ前の社会に戻るのではなく、コロナによる人々の価値観や社会の変化を踏まえて、長期的な視点で東京の未来を描き、変化を恐れず歩みを進めるものです。
 危機こそがイノベーションの好機と捉え、不断の改革を断行していくことを改めてお誓い申し上げ、質問に入ります。
 長期化する新型コロナウイルス感染症の影響や物価高騰等に対して、十分な経済対策と生活支援策を講じていく必要があります。支援策を講じるに当たっては、ポストコロナを見据えた産業や企業の構造転換、人への投資や賃金の向上、食料や電力の国内自給力の向上など、山積する課題につながるよう対応しなければなりません。
 本定例会に上程された補正予算をもって、医療、介護、物流等を中心に、目下の様々な生活と経済への影響を緩和する措置を講ずるとともに、中長期の目線では、危機から機会へと転換する施策を戦略的に講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 物価高騰の背景にある二十四年ぶりとなる円安水準は、日米の金融政策の違いなどから、当面続く可能性があります。事業者には、原材料やエネルギーコストの上昇が重くのしかかるとともに、電力供給の逼迫等も大きな懸念があります。
 こうした危機を機会とも捉えて、東京のエネルギーの消費構造を大胆に転換していくことが重要です。事業者のHTT、電力を減らす、つくる、ためる取組を支援し、エネルギー利用の見直しを早急に実現していくべきですが、見解を伺います。
 また、事業者に講ずる各種支援策が、従業員の待遇改善や働き方改革につながる必要があります。つまり、働く人のための支援が必要です。厚生労働省の業務改善助成金は、最低賃金の引上げや生産性の伸び率が要件を満たした場合に、助成金を割り増すという新たな取組です。我が会派では、都にも同様の取組を求めてきました。
 都は、生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業において、事業後に生産性を高める取組のフォローアップを行っていますが、今後、この取組が従業員の賃金の引上げによる待遇改善に確実につながるような事業設計が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、感染症対策です。
 全数把握の見直しが始まりました。My HER-SYSを活用した健康観察サービスの提供や、経口治療薬の一般流通の開始に伴い、医療現場や保健所の事務負担を軽減する措置であり、実施を評価いたします。
 一方、冬場に向けて新たな感染拡大も想定される中で、感染傾向の把握と病床の確保等の対策を的確に行うための指標の管理や、発生届の対象外となる患者について、容体が急変した場合の迅速な対応などが課題となります。
 全数把握の見直しを受け、都として感染拡大防止や医療提供体制において迅速かつ的確な対応を行えるよう備えるとともに、季節性インフルエンザの同時流行も見据えた対策を講じるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 約二千床ものコロナ病床を有する東京都立病院機構の重症、中等症患者への対応歴は世界有数のもので、蓄積された臨床データは極めて貴重です。
 こうした東京都立病院機構に蓄積された臨床データを活用し、ワクチン接種の促進等の施策の策定に生かしていくべきでありますが、見解を伺います。
 今後も、新たな感染症の流行や首都直下地震等の大規模災害により、通常の医療提供体制を超えた対応が必要となる事態が想定されます。こうした事態が発生する都度、臨時医療施設を設置していくことも考えられますが、例えば、平時は様々な緊急事態に対する医療従事者等への研修や訓練を行いつつ、有事には速やかに医療施設に転用することが可能な施設を都として整備しておくことも、より機動的な選択肢と考えます。
 有事に機動的に対応できる医療インフラを都として整備することについて、有識者を交えて検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、災害対策です。
 東日本大震災から十年がたち、都は、東京都の新たな首都直下地震等の被害想定を今年五月に公表し、それを踏まえた都市強靱化プロジェクトの論点を取りまとめました。
 我が会派では、何度も被災地を訪れ、自治体や被災者の方々の声を聞いており、早期復興や災害対策においてコミュニティの役割が極めて重要であると認識しています。しかしながら、論点の中には十分に盛り込まれておりません。
 都市強靱化プロジェクトにコミュニティの役割を入れ、コミュニティの活性化に向けた取組を盛り込むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 首都直下地震等における人命被害を減らす上で、住宅の耐震化は重要な要素を占めますが、旧耐震基準の建築物の耐震化率が九二%にまで進捗してきた中で、今後は、グレーゾーン住宅と指摘され、課題があるといわれている平成十二年以前に建築された新耐震基準の建築物についても、実態を精査し、危険度が高いものについて耐震化を進められるよう支援を検討すべきです。
 平成十二年以前に建築された新耐震基準の住宅で、耐震性能が不十分な、いわゆるグレーゾーン住宅に対し耐震化の取組を拡充することで、首都直下地震等で想定される被害をさらに低減すべきですが、見解を伺います。
 令和二年の国の報告書では、軽微の降灰でも鉄道の運行停止や停電などが想定され、交通、電気、通信をはじめ様々なインフラに支障が出ると指摘されています。富士山が噴火した場合に備えたハード、ソフト両面の対策や火山灰の撤去計画等の策定など、速やかに対応すべきですが、見解を伺います。
 なお、火山灰撤去のための機器の調達に当たっては、そのほかの災害時にも有効利用できるものにすることや、近隣自治体との共同調達など、効率的に進めるよう求めておきます。
 脱炭素社会の実現に向けたGX、グリーントランスフォーメーションの加速は、地球規模での課題解決に必要不可欠であり、東京も大きく貢献していかなければなりません。
 一方、個々の家庭に目を向けても、電気代の上昇傾向が強まっており、今年の冬にも電力需給逼迫のおそれがあります。再エネ、省エネの推進により、住宅のエネルギー効率を上げることは、家計負担の軽減にもつながります。
 都の試算では、住宅で一般的とされる規模の四キロワットの太陽光パネルを設置した場合、初期費用九十八万円は十年で、現行の補助金を活用した場合は六年で回収が可能であり、三十年間の収支は最大百五十九万円の黒字としています。
 これに対し、廃棄、リサイクル費用は三十万円程度であることから、ライフサイクルを通じ、十分に経済的メリットがあると想定されます。また、災害時の電力確保ができることも大きなメリットです。
 改めて、一定規模以上の住宅供給事業者に対して太陽光発電の設置義務化を行う意義と具体的なメリットを伺うとともに、義務化に伴い、購入者、事業者を後押しする経済的支援をさらに強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、義務化を進める上で、特に直接関係する新築住宅の購入者、事業者に対し、正確かつ丁寧な情報提供をこれまで以上に行うことが不可欠ですが、見解を伺います。
 なお、廃棄、リサイクルも含めたライフサイクル全体における環境配慮が重要であり、パネルのリサイクル体制の構築と、処理費用の低減に関する取組の加速を求めておきます。
 SNS等によって、都の政策について、不正確な理解や、意図的に情報を切り抜き、事実とは異なる主張を喧伝することなどにより、都民の混乱を招く事例が横行しています。
 都が政策を公表する際に、過去の経緯や関連する政策と併せて分かりやすく伝え、誤解を減らすなどの工夫がまずは必要ですが、こうしたSNS上の事実と異なる発信に対して、適切、迅速に、かつ拡散力のある形で初動対応することは、今後ますます必要となります。
 都民の理解や信頼があっての都政運営であることから、こうしたSNS上における、まさに瞬発力を求められる対応について、外部のプロ人材も活用してチームを編成する等、専門的に対処できる体制を構築すべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会をめぐる汚職疑惑事件で、捜査当局は、組織委員会の元理事の逮捕やスポンサー企業等への強制捜査を進めています。大会の意義を大きく損なう事態となり、極めて残念といわざるを得ません。知事の受け止めを伺います。
 ガバナンス強化の必要性を訴え、議員提案により、五輪文書保管条例の成立を実現しましたが、やはり組織委員会のガバナンスには極めて大きな課題があり、条例の意義も改めて確認されたものです。
 都として、清算法人に対し、捜査に全面的に協力するよう促すことを求めるとともに、大会スポンサーに係るコンプライアンス上の手続や実態などについて、改めて組織委員会のガバナンスがどうであったのか、見解を伺います。
 次に、霊感商法をはじめとする反社会的なカルトへの対策強化が社会全体で大きな課題となっていますが、旧統一教会についてどのように認識しているか、知事の見解を伺います。
 我が会派では、長年霊感商法の被害者救済に尽力してきた弁護士らからヒアリングをするなど、課題の整理を進めてきました。対応強化に必要な法改正は、国で行われるべきでありますが、都においても、被害を未然に防ぎ、適切に被害救済につなげていくよう、取組の強化が必要です。
 さらに、都民への注意喚起を積極的に行うとともに、寄附の形式であっても、相談の中身に応じて、返金等の紛争であれば専門性の高い弁護士へ、ネグレクト、経済的困窮等の場合には福祉的サポートへと、消費者問題に関する相談窓口と様々な支援策との間で連携を強化することも重要です。
 現在の霊感商法の実態に即した普及啓発の強化と、都の消費者相談窓口に関し、弁護士等の専門家や福祉部門等との連携強化など、多角的な霊感商法対策の強化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 今月、静岡県で三歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされて亡くなる痛ましい事件がありました。昨年も福岡県で同様の事件があり、国は安全管理の徹底を指示していましたが、不十分な対応であったといわざるを得ません。ヒューマンエラーは起こり得ることを前提に、デジタルの力も利用して、多層的に死亡事故防止に取り組むべきです。
 我が会派では、バスに設置する置き去り検知センサー等を早速視察し、今回の事故のような、職員の思い込み、確認、連携不足によるミスを防止する方法について提案してまいりました。今後、幼稚園、保育園、認定こども園等において、送迎バス等への園児の置き去りによる死亡事故を防ぐため、置き去り検知センサー及び置き去り防止アプリの導入について、共同調達や導入費補助などにより早期に進めるべきでありますが、知事に見解を伺います。
 あわせて、各園での管理運営の確認徹底と、園児自身が身を守る行動を取れるような指導についても推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、我が会派が提案してきた東京都パートナーシップ宣誓制度の具体的取組の一つとして、都職員の福利厚生制度が改正されることを契機に、民間企業等においてもパートナーシップ制度を活用した福利厚生の充実を促進するとともに、十一月の開始に合わせて都庁舎のライトアップなど、機運醸成を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、医療機関においても、同性パートナーによる付添いやみとりなど、適切な取り計らいが行われるよう、医師会や各種医療機関等に対しても周知など必要な対応を求めておきます。
 さて、我が会派は、これまで都民ファーストの立場で、民間の視点、女性の視点、子育て世代、若い世代の視点を取り入れ、以前の都議会では議論が立ち遅れていたデジタル、グリーン、そしてダイバーシティに注力し、例えば、パートナーシップ制度の創設、赤ちゃんファースト事業の創設、待機児童の解消、デジタルサービス局の設置など、都政に新しい風を吹き込み、様々な成果を生み出してまいりました。
 今後、都政と社会の構造改革をさらに進めるため、会派内に重点政策を議論するプロジェクトチームを立ち上げ、東京の未来の姿を描いた上で、必要な中長期的な取組について、代表質問でも継続的に取り上げてまいります。
 また、様々な政策課題に対して、公開勉強会や都民意見を取り入れる工夫によって、都民と共に政策を形成する政策のオープンイノベーションを行ってまいります。
 改めて姿勢を表明し、以下、質問を続けます。
 まず、最初の重点領域として、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策です。
 海外から選ばれる都市の実現に向けて、スタートアップや文化など、これからの東京を支える人やデジタル基盤への投資、加えて、都民が文化を消費するライフスタイルを築き上げる必要があります。
 都が先月、Tokyo with STARTUPを発表し、スタートアップ担当局長と担当部署を設置することを評価いたしますが、この構えを機能させるため、この分野のエキスパート人材を民間から確保するとともに、外部人材の活用も組み合わせて推進していくことを求めます。
 また、都として早期にできるスタートアップ支援として、公共調達への参加推進も重要です。新規参入の障害となるような入札条件や、予算単年度主義による弊害をなくすことなどの取組を求めておきます。加えて、数百億円規模のファンドの創設も検討を求めます。
 スタートアップを創出する基盤となる起業意欲を有する割合は、米国が五四・九%、中国が三五・三%に対して、日本は一二・五%にとどまっています。さらに、日本でアントレプレナーシップ教育を受けた大学生の割合は、僅か一%にすぎないといわれています。東京都立大学をはじめ、起業家を増やすための実践的なアントレプレナーシップ教育をさらに加速させるべきですが、知事に見解を伺います。
 一方、海外事例に学ぶことも重要です。フランスでは、マクロン大統領就任後、スタートアップ大国にするビジョンを掲げ、フレンチテックとして強力に推進し、十社を超えるユニコーンが誕生しています。世界最大級のスタートアップキャンパス、ステーションFでは、起業家約三千人が活動できるほか、公的機関、投資家、アクセラレーターなどを一ところに招致することで、有望起業家が集い、相互に影響し合う場となっており、海外に向けてもフランスの姿勢を示す象徴的な意味合いも持っています。
 また、フレンチテックの根幹は、官民連携の工夫など、ほかにもあるといわれており、先行事例を様々な角度から検討することが必要です。
 先般、宮坂副知事らが海外のスタートアップ拠点等を視察したと伺っていますが、その成果も踏まえ、諸外国の事例等をスタートアップのプロと共に分析し、東京版ステーションFの設置検討も含め、東京都で取り組むべきスタートアップ戦略と施策を早期に取りまとめるべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 都庁及び東京全体のDXを世界レベルに引き上げるには、優秀なデジタル人材を現状より一桁多い一千人規模で行政として確保する必要があります。そのためには、柔軟な給与体系や雇用形態の導入が必須であること等をかねてより指摘してまいりました。
 今般、行政課題をテクノロジーの力で解決するGovTech東京の設立が打ち出されました。この新たな組織が有効に機能するためには、官民の間で人材が自在に行き来できるリボルビングドアのような柔軟な仕組みが必要不可欠です。また、この組織を牽引するトップもとても重要です。民間の強力なデジタル人材を招聘することを求めておきます。
 GovTech東京が、区市町村も含めた東京全体のDXを牽引する人材プールとなるよう、特に人材確保の面で、官民の垣根を超えた柔軟で迅速な仕組みを備えるとともに、官民の新しい関係により様々な社会課題を解決していくべきですが、知事の見解を伺います。
 DXは、ダイバーシティやインクルーシブの実現にも大きな手段となります。今月、国際ろう者スポーツ委員会の総会で、二〇二五年のデフリンピック大会の東京開催が決定しました。
 世界を見渡すと、例えば、今年三月にアメリカで開催された世界最大規模のCSUN障害者支援技術会議において、音声認識、音声合成、点字表示、点字入力が同時入力できるスマホサイズの機器や、網膜の中に小さなディスプレーを入れて視野をサポートする機器など、多くの障害支援ツールが紹介されました。
 私たちは、これらをテクノロジーの力で、バリアを超えるインクルーシブテクノロジーとして、あらゆる分野で導入を検討するよう求めてまいりました。二〇二五年のデフリンピック開催でもレガシーを残せるよう、最新のデジタル技術を活用して、物理的、心理的なバリアを取り除き、障害にかかわらず、誰とでもスムーズなコミュニケーションができる社会の実現に取り組むべきでありますが、知事の見解を伺います。
 DXやテクノロジーというと、先進的な人だけがその利益を享受できるというイメージが一般にはまだ持たれがちですが、このことからも明らかなように、実際はその逆で、これまでリーチできなかった人にまでリーチできる効果が期待できるものであります。欧米では、官公庁のあらゆる情報発信に加えて、GAFAやIT企業においても、全ての人にユニバーサルなデザインであるかがサービス開発の前提条件となっています。
 さきのGovTech東京とともに、都が進めていく行政のDXにおいても、デジタルアクセシビリティーの視点を重視し、字幕や音声解説がついているかをチェックするなど、開発におけるインクルーシブな視点を入れていくための仕組みを導入すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会のレガシーとして、文化やスポーツイベントを充実させることに加えて、都民が参加できる機会を増やすとともに、海外からも人を引きつけるレベルの高い文化、スポーツを都民の手で育てることが重要です。
 我が会派は、環境に優しく、健康にもよい自転車の利用促進のため、東京二〇二〇大会のレガシーとして、公道を利用した大規模レースの開催を求めてきました。これを受け、本年十一月に開催されるGRAND CYCLE TOKYOに加え、多摩地域で本格的な自転車レースを来年秋に開催することが発表されたことを高く評価いたします。
 とりわけ、自転車ロードレースは、都内の公道で開催された事例が少なく、大会が実現されれば極めて画期的です。かつて、東京マラソンの開催が全国にランニングブームを起こし、大きな経済効果を生んだことや、世界の五大マラソンで構成されていたワールドマラソンメジャーズに名を連ねることになったことなどを踏まえ、ポテンシャルの大きさに期待をいたします。
 多摩地域での公道を使った新たな自転車レースについて、国内外から注目される取組にするとともに、都民、国民の裾野の広いムーブメントの形成に寄与するよう開催していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 コース設計や地元市との調整はこれからだと思いますが、コースとなった道路には何らかの形でそのあかしを残し、サイクリストやドライバーが認知できるよう工夫することや、一九六四年大会でも利用された場所など、当時のレガシーの活用についても検討を求めておきます。
 ベイエリアの魅力創出では、光や音の活用が比較的実施しやすいエリアの特性や、東京ベイeSGプロジェクトで掲げるテクノロジーの社会実装の観点を取り入れた具体的な取組が求められます。
 ベイエリア、とりわけ臨海副都心において、水辺空間を生かしながら光や音を活用し、新たな魅力創出を行っていくとともに、先端技術、テクノロジーの実装や地域観光の推進にもつながるよう取り組むべきでありますが、見解を伺います。
 我が会派の提案により、アートにエールを!東京プロジェクトが実現し、今年度も芸術文化魅力創出助成として、地域の活性化やインクルーシブを目指すイベントを新たに支援していることを評価いたします。
 加えて、コロナ禍において公演回数や入場者の減少に加えて、中止した場合の会場費なども、特に小規模な芸術文化団体等の大きな負担となっており、公演開催をちゅうちょしたり、団体の存続が危ぶまれたりといった状況にあることから、こうした芸術文化団体等の活動を支える新たな支援策を講じるべきでありますが、見解を伺います。
 国は、全国旅行支援とイベント割の実施を公表しましたが、イベント割は実施に当たり都道府県の同意が必要とされています。
 コロナ禍で苦しんでいる宿泊業、旅行業、エンタメ業などの新たな支援として、イベント割を都としても早期に実施し、観光のみならず、東京の文化、エンタメ産業をしっかりと支えるべきでありますが、見解を伺います。
 次の重点領域は、都民のQOL向上に向けた都有資産の一層の活用として、都営住宅を取り上げます。
 まず、都営住宅はセーフティーネットとして重要な役割を果たしてきましたが、今後は住宅供給だけではなく、居住者を必要な支援につなぐソーシャルワークや、必要な人には就労支援に結びつけ、自立へとつなげていくような、局横断的な取組を進めていくべきです。
 氷河期世代、ひとり親など、多様な困難さを抱える都民が増えている現状を踏まえて、困難を抱える方々が新たに入居する機会を得られ、多様な自立を目指していけるような取組が必要です。
 低廉な都営住宅に入居する間に、入居者の特性に合わせて就労や収入増加の機会が得られるよう、都営住宅と就労支援部門が連携して取り組むべきでありますが、見解を伺います。
 次に、都営住宅の屋上などを活用した太陽光発電です。令和二年度末時点で設置済みの住棟は全体の約八%、発電能力は一棟当たり平均五キロワットと、戸建て住宅並みにとどまっていることを指摘し、取組の抜本的な強化を求めてまいりました。
 都営住宅における太陽光発電設備は、これまでは建て替えを中心に約五百二十棟に設置されていると聞いており、今後さらなる設置と発電能力の拡大に向けて取り組むべきでありますが、見解を伺います。また、設置に当たっては、災害時において居住者や近隣住民の避難に際しての電力供給機能も確保すべきでありますが、併せて見解を伺います。
 また、都営住宅の運営に使用している都有地は、新宿区の面積と同程度で、資産価値は推定で数兆円と見られています。この巨額の資産を最大限有効に活用することが責務であることはいうまでもありません。
 そもそも、使用している資産の価値が幾らなのか、空室の回転率がどのようになっているのか、容積率は最大限使用されているのかといった経営指標を見える化して、事業運営することは極めて重要です。
 都営住宅用地として使用している都有資産をワイズスペンディングの観点で運用する上で、例えば容積率が十分に使われているかといった民間経営では当然の指標の見える化を行い、事業を進めるべきであると考えますが、見解を伺います。
 三つ目の重点領域は医療分野の改革です。
 先進諸国では、オンライン診療の普及に加え、医療データの利活用により医療資源の効率化を図っています。高齢化が進む我が国でも、社会福祉費の増大を抑えつつ、一人一人のヘルスケアを充実させるためには、生涯を通じた医療データ、いわゆるライフコースデータを管理分析することで、日常の健康管理から受診、治療までを一連の流れとして捉え、予防や医療、介護に生かしていく必要があります。
 それに向けた第一歩として、既存の医療資源につながりやすくするとともに、自らの健康について知ることができる、一人一人に寄り添った医療環境の整備を取り上げます。
 まずは、医療資源へのアクセスの改善に向けたオンライン診療の普及ですが、都がオンライン診療の体制整備に対する補助を開始した令和二年度に約二千の医療機関に導入された後は、導入が頭打ちになっています。
 オンライン診療について導入や利用を阻害する要因を調査し、普及のための政策に反映すべきと考えますが、見解を伺います。
 喫緊のアクセス改善が求められる医療資源として、緊急避妊薬、アフターピルがあります。日本の年間の中絶件数は約十五万件に及んでいます。緊急避妊薬は、七十二時間以内の服用が必要とされるため、主要先進国を含む世界九十か国以上において薬局で迅速に入手できるのに対して、日本では医師の診察、処方が求められることから、土日祝日や夜間の診療の難しさが課題となっています。また、費用が高いことから、経済的に困窮する女性や若年層にとっては、利用が困難でもあります。
 我が会派はこれまで、性教育の充実、産後ケア、プレコンセプションケアの実施、東京版ユースクリニックなど、自身の性や健康を大切にし、他者も尊重できるような取組について、女性や子供、若者目線から真に必要な取組を求めて、実現してまいりました。
 緊急避妊薬について、時間や休日、祝日を問わず、電話やLINEにより相談できる環境、オンラインで分かりやすく情報を入手できる環境、場所によらず迅速に処方箋を得るためのオンライン診療等にアクセスできる環境などの構築が必要です。加えて、若年層など、利用者の置かれた状況によっては費用負担を軽減すべきでありますが、併せて見解を伺います。
 緊急避妊薬を薬局で購入できるようにするスイッチOTC化について、検討を早期に進めることを国に対して要請するよう求めておきます。また、都として、性犯罪被害者に限らず、緊急避妊薬の入手に関する費用負担を軽減することを強く求めておきます。
 十代から二十代前半の子供、若者が、性に関することも含めた健康に関する相談支援や検査、治療にアクセスしづらいことも課題です。我が会派は、スウェーデンのユースクリニックを参考にした東京版ユースクリニックの必要性を提案し、これを受け、都は今年度中にユースヘルスケア事業を立ち上げることとなりました。
 子供、若者が安心して広く利用してもらえる場所となるよう、子供、若者の意見を生かすよう要望してきたところでありますが、今年度の東京ユースヘルスケア推進事業の取組について伺うとともに、子供、若者の意見を反映するためにどのような取組をするのか、併せて伺います。
 ユースクリニックを創設しても、自身の性や体の健康を大切にしようとする意識が子供、若者に育たなければ利用が促進されません。スウェーデンでは、学校で包括的な性教育をするとともに、授業でユースクリニックを訪れるなどして、困ったときに正しい相談支援機関に子供、若者がアクセスできるようにしています。都教委においても同様な取組を進めていくべきです。
 まずは、都立高校生等の健康に関する悩みに対応するため、学校という生徒たちにとって身近な場所において、専門医に相談ができ、必要な支援につなげられるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
 日本では、人工中絶総数の約八%が二十歳未満で推移していることから見ても、子供、若者が正しい避妊の知識や避妊器具を得られるとともに、さきの緊急避妊薬についても、ユースクリニック等を通じて無償での提供を可能とするよう要望いたします。
 高額であるがゆえにハードルが高かった不妊治療については、我が会派が、東京で働く夫婦の実態を踏まえた負担軽減を訴え、都が国に先駆けて所得制限と年齢制限の緩和を措置したことを評価しています。
 国においても、ようやく本年四月より不妊治療が保険適用されることとなりましたが、第一回定例会で指摘したとおり、一部の治療は保険適用外となるなど課題があることから、都として支援すべきであります。
 さきの所信表明において、知事は、保険適用外となっている先進医療の費用について都独自の助成制度を創設すると述べ、補正予算にも計上していますが、都として子供を持ちたい親の思いに応えて、十分な支援を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される取組として、海外では既に選択肢として普及している卵子凍結に対しても支援の創設を求めます。加えて、体に残された卵子の目安を知り、妊活、不妊治療に生かすことのできるAMH検査に対しても支援の創設を求めておきます。
 最後の重点領域として、子供、子育て、教育を取り上げます。
 今までの延長線上にはない、未来を生き抜く子供や若者のために我々ができることは、時代に応じた環境整備と一人一人の個性を伸ばす教育や学びへの投資です。
 今月九日、国連の障害者権利委員会から、日本に対して、分離した環境の教育をやめることを目指し、個に応じた支援や学びを提供しながらも、障害のある子とない子が共に同じ場で学び育つ質の高いインクルーシブ教育を推進するよう、強い勧告が出されました。国は法整備を含めた行動計画を早急に立てることが求められています。
 令和元年の東京都教育委員会の発表によりますと、都内の障害のある小学生の九一%、中学生の九五・一%が、支援学級や支援学校という分離された場で教育を受けています。
 都は、この状況を変えるために、インクルーシブな教育を推進しようとしていると認識していますが、改めて、勧告を踏まえ、東京から日本のインクルーシブ教育を牽引する気概で、さらに力強く進めることを求めます。
 必要な合理的配慮や教育が提供されないことにより、分離された教育環境を選ばざるを得ない状況にある障害児が、希望するインクルーシブな環境で学べるよう、さらにインクルーシブな教育を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京が世界と伍して戦う競争力を養うには、未来を担う子供たちの教育が重要であることはいうまでもありません。中でも、英語力を含む、国際社会を生き抜くコミュニケーション能力は必要不可欠です。しかしながら、各国を比較した英語力ランキングは十一年連続で下落し、三十八位の韓国を大きく下回る百十二か国中七十八位という結果となっており、特に、英語を話す力の低さに大きな課題があります。
 都が本年度から新たに実施するとしている都立高校入試のスピーキングテストについて、過渡期において生じる課題や生徒や保護者の不安に対して、先日の文教委員会においても、我が会派が提案し、経済格差への対応や不受験者承認の厳格化、得点開示、相談窓口の設置など、多くの答弁を得ています。
 一方、試験の導入が英語の話す力を伸ばし、子供たちの未来につながるものでなければなりません。今後、東京の子供たちの英語力を向上させるためには、テストの仕組み改革と併せて、現場の英語教育の改革も極めて重要です。
 公立学校において、TGGのさらなる活用で英語に楽しく触れる体験を増やすことや、一人一台端末として配布されたタブレットなどを用いて、音声学習の機会や海外の人と話す機会を増やすなど、これまで以上に子供たちの英語を話す力の向上に対して支援に力を入れるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 スピーキングテストに限らず、私たちは提案する政党、会派として、入試のあるべき姿に加えて、未来を生きる子供たちの公教育の在り方そのものについても、今後、会派で議論を重ねて提案してまいります。
 次に、学校のデジタル化についてです。
 一人一台端末の導入による教育のデジタル化を進めていますが、学校への提出物や保護者との連絡については、いまだに紙であることが多く、アプリなどでオンライン化を望む保護者からの要望は少なくありません。また、生徒一人一人に向き合う時間を確保するためにも、先生方の負担軽減も重要です。
 都が実施したオンライン学習等の実態調査では、九〇%以上の小中学校が保護者との連絡手段でデジタル化が進んでいると回答していますが、単にホームページに連絡を載せることも含んでおり、実際の利便性向上につながっていない学校もあるようです。
 保護者と学校との連絡手段のデジタル化について、保護者の利便性向上、教師の業務負担削減につながるよう、先駆的な好事例などを参考に、どういった形でデジタル化を進めるべきなのか選択肢を示して、より詳細な調査で実態を把握するとともに、取組を区市町村と各学校に促すべきと考えますが、見解を伺います。
 子供の健全な成長において、教育と同じくらい重要なのは遊びです。豊かな遊びは子供の身体的能力を伸ばし、探求心、好奇心、感性を育み、他者との関わりからコミュニケーション力にも影響を与えるなど、あらゆる育ちが凝縮されています。
 しかしながら、建設局では、ハード面での整備が中心であり、例えば、子供が自由な発想で自然の中で冒険をするような遊び、創造性や自主性を育むプレーパークのような遊びのメソッドやプログラムといった、ソフト面での支援については範疇外とされ、支援する所管がこれまでありませんでした。
 そこで、子供政策連携室が対処すべき課題として、既存の公園等のみならず、多様な遊び場の確保を区市町村、民間企業、地域と連携して進めるとともに、プレーパークなどを支援し、遊びの体験や学習を充実させるソフト面の取組にも力を入れるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京都こども基本条例にも定めているように、今後、子供たちの遊びに関しては、都民提案事業の活用など、子供たちの意見やアイデア等を反映させていくことを強く要望いたします。
 一方、遊び場の確保では、既存の公園のみならず、駅ナカや大型施設などの民間の中核的な施設における遊び場の誘導、商店街等における空き店舗のイノベーションや空き地の活用、都有施設、未利用都有地や都営住宅の空き室や空き駐車場の活用など、様々な場所を活用していくよう求めます。
 最後に、東京が世界に伍する都市となるためには、世界を俯瞰する目を持ち、積極的に交流することが必要です。感染症に関する各国の規制も緩和が進み、再び世界の人々の動きが活発化しています。
 小池知事も三年ぶりに海外に赴き、各都市との連携を図りましたが、再び現場職員の海外派遣についても強化し、国際感覚を身につけ、新たな発想で政策立案できる職員を幅広い政策分野で育てるべきです。
 今後、様々な分野で最先端を進む都市との国際交流を通じて、都市外交力をさらに高める取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上、私たちは、東京から日本を牽引していく東京大改革を旗印に、危機こそがイノベーションの好機と捉え、都民の声を聞き、都民のために不断の改革を断行していくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) たきぐち学議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、補正予算についてのお尋ねがございました。
 依然としてコロナとの闘いが続く中、物価の高騰や電力需給の逼迫などが都民生活や都内経済に与える影響は長期化、深刻化し、予断を許さない状況が続いております。
 こうした中、都がなすべきことは、まず、足元の危機から都民や事業者を守り抜く、そして、危機の中にあっても将来の希望につながる機会を見いだし、確実に歩みを進めていくことでございます。このような考えの下、総額六千百三十五億円の補正予算を編成し、これまでに講じてきた対策のさらなる強化充実を図っております。
 具体的には、社会の基礎的機能が止まることのないよう、さらに踏み込んだ物価高騰対策として、医療機関や運輸事業者への財政支援を行う。加えまして、中小企業の販路開拓への支援や、現下の状況を契機として、国産木材の供給拡大につなげる取組など、中長期的な視点も踏まえまして、多岐にわたる幅広い対策を講じてまいります。
 また、この冬の電力確保に向けました取組に加えまして、将来の脱炭素社会を見据えた対策も推し進めてまいります。さらに、都民の命と健康を守る観点から、量と質の両面で万全のコロナ対策を講じてまいります。同時に、債務負担行為等を活用いたしまして、防災対策など重要施策のスピードアップを図ります。
 補正予算に盛り込みました対策をこれまでの施策と一体的に講じていくことで、直面する危機への対処をしっかりと図りながら、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 次に、新型コロナの全数届出の見直し後の取組についてどうか、このようなご質問がございました。
 発生届の有無にかかわらず、都民一人一人の命と健康を守ることが重要でありまして、都は、国に対し、発生届の対象外となる方へのフォローアップ体制の構築、経口薬の流通改善などを要望してまいりました。
 今般、希望する方にはMy HER-SYSを活用した健康観察サービスを提供できること、経口薬の一般流通が開始されることが国から示されたところでございます。
 このため、都は、東京モデルとして強化してきた保健、医療提供体制を基本としまして、希望する全ての方が健康観察を受けられる体制を整えるとともに、うちさぽ東京やフォローアップセンターの機能を最大限発揮しまして、体調急変時には往診や入院調整を行うなど、迅速に対応してまいります。
 また、モニタリング分析でございますが、新規陽性者数や年代別の推移などを継続するほか、酸素投与が必要な入院患者数を追加するなど、重症、中等症の患者数に焦点を当てまして、次の感染拡大も見据えた政策判断の参考といたします。
 さらに、インフルエンザとの同時流行も見据えて、高齢者等のインフルエンザワクチン接種にかかる自己負担分を支援するなど、先手先手で対策を講じ、全ての方が安心して療養できる環境を整えてまいります。
 次に、都市の強靱化に向けたコミュニティの役割についてでございます。
 気候変動の影響によりまして激甚化する風水害、大規模地震など、いつ起きてもおかしくない災害から都民を守るためには、公助の取組と併せまして、自助、共助、それぞれの機能を発揮することが重要です。
 阪神・淡路大震災では、生き埋めや閉じ込められた場所から救出された方々の多くが、家族や近所の人々によって命が救われています。このように地域で助け合う共助の取組が安全・安心を確保する上で大きなポイントとなります。
 こうした考えの下、都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点におきましては、ハードの取組に加え、多様な主体との連携などのソフト対策を掲げております。
 今後、このプロジェクトに、共助の中核を担う役割としてコミュニティを位置づけます。また、若年層を含むあらゆる世代の都民と防災意識を共有するなど、地域の防災力を向上させ、都市の強靱化を実現してまいります。
 次に、太陽光発電の設置義務化についてであります。
 気候危機やエネルギー危機への対応は一刻の猶予もなく、脱炭素社会の実現は急務であります。
 都内CO2排出量の七割超が建物でのエネルギー使用に起因しておりまして、今後数十年にわたって使用される新建築物への対策は極めて重要です。
 太陽光発電設備は、電気代削減による経済性や停電時に電気を使用できる防災性など、多様なメリットを有しておりまして、大都市の強みである屋根を最大限活用することで、地産地消のエネルギー源の確保にもつながります。
 こうした意義やメリットを踏まえまして、新築住宅等への太陽光発電設備の設置などを大手住宅供給事業者等に義務づける全国初の制度を創設し、世界の潮流に遅れることなく、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて行動を加速してまいります。
 新制度の実施に当たりましては、住まい手や事業者の共感と協働を得ながら取り組むことが不可欠であります。
 そこで、住まい手が安心して設置できるよう、初期費用に対する補助制度の新設、拡充や、設置から処分までの各段階に応じた支援を図る。また、円滑な施行に向け、準備を行う事業者に対して支援を行うとともに、先行的に取り組む事業者を積極的に後押しする。その際、中小ハウスメーカーや工務店も支援対象といたしまして、太陽光パネルの標準設置ムーブメントを醸成してまいります。
 新制度が、我が国における再生可能エネルギー導入の流れを大きく変える転機となりますよう、都民、事業者と共に力を合わせて取り組んでまいります。
 次に、組織委員会の元理事についてのご質問がございました。
 大会は、一年延期、そして無観客という前例のない状況の下で、多くの方々の協力を得ながら、困難を乗り越えて開催することができたわけであります。
 大会を通じまして、共生社会への道筋やソフト、ハード両面のバリアフリーの取組など、未来の東京につながる様々なレガシーを残すことができました。
 一方で、このような事件が起きましたことは誠に残念であります。
 本件は捜査中の案件でございまして、清算法人に対しましては、状況に応じ、必要な報告等を行うよう働きかけるとともに、引き続き捜査に全面的に協力するように求めてまいります。
 旧統一教会への認識についてのお尋ねもございました。
 総理も述べておられますように、社会的に問題が指摘される団体との付き合いは慎重であるべきでございます。政治や行政は、こうした団体の活動等の助長につながるようなことを行うべきではない。
 今後とも、旧統一教会に関連いたしまして、不安や困難を抱える都民に対し、都として適切な対応を進めてまいります。
 次に、子供の置き去り防止への支援についてであります。
 先般、送迎バスに子供が取り残され亡くなるという痛ましい事故が起こりました。亡くなられたお子様のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
 子供たちにとりまして、安全・安心な場所であるはずの保育所、幼稚園、認定こども園等におきまして、二度とこのような悲しい出来事を繰り返してはなりません。
 今回の事故を受けまして、直ちに緊急点検を開始いたしました。また、今後、実地調査やヒアリングを実施いたします。また、施設管理者向けのオンライン講習会を速やかに開催いたしまして、園児への指導方法など、様々な取組事例を共有してまいります。
 今後、導入可能となる感知センサー等のデジタル技術を活用した取組や、現場の知恵や工夫により、直ちに実施可能な対策につきまして、財政的に支援をいたします。
 ヒューマンエラーが起こり得ることを前提といたしまして、テクノロジーの力も活用した実効性のある対策を講じることによって、子供にとって安全・安心な社会を実現させてまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてのお尋ねがございました。
 広く都民に多様な性に関する理解を深めていただくとともに、民間事業者の福利厚生にも活用いただけますよう、制度の周知や機運の醸成を図ることは重要です。
 都は、制度の開始に合わせまして、都庁舎とレインボーブリッジをレインボーカラーにライトアップし、広く都民にアピールをしてまいります。
 また、制度を分かりやすく紹介するため、新たに作成した動画を活用しまして、SNSなど様々な媒体で効果的に周知をしてまいります。
 さらに、福利厚生に都の受理証明書を一社でも多くの民間事業者にご活用いただけるよう、経済団体や業界団体等と連携しまして、会員企業向けの広報媒体等を通じて広く呼びかけてまいります。
 今後とも、こうした取組を進めることで、多様性の輪を一層広げ、誰もが生き生きと活躍できる共生社会を実現してまいります。
 次に、アントレプレナーシップ教育についてのお尋ねでございます。
 先日視察をいたしましたニューヨークで強く感じましたのは、世の中を変える志を持ち、切磋琢磨しながら、失敗を恐れずにチャレンジをする若者たちの熱量でありました。このスタートアップを志す若者のマインド、そしてアントレプレナーシップこそが、東京の未来を切り開く重要な鍵となります。
 多くの大学が集積する東京におきましては、全国の四分の一に当たる約七十万人の学生が学んでおり、このポテンシャルを引き出さなければなりません。
 このため、起業家との触れ合いや社会課題の解決に取り組む経験などを通じて、スタートアップを身近に感じ、キャリアの選択肢としていくことが重要です。大学との定例懇談会でも、アントレプレナーシップの涵養について議論を深めました。
 今後、様々な関係者の意見を伺いながら、新たなワンチームでの検討をさらに進めて、都立大学における実践型教育の導入や都内の大学と連携した取組の強化など、施策をバージョンアップすることで、世界に誇るスタートアップシティ東京を実現してまいります。
 官民共創によるDXの推進についてであります。
 複雑化する社会課題や立ち塞がる危機を克服し、未来を切り開いていく鍵を握るのは、官と民のフラットな共創、オープンイノベーションです。
 行政だけで政策を進めるのではなく、官民の新しい関係を築き、デジタル技術を駆使したサービス開発により社会課題の解決につなげる。その推進を担うのが、今回設立構想を打ち出しましたGovTech東京であります。
 様々な専門性を持つ高度デジタル人材を登用するため、民間を踏まえた給与水準、兼業、副業など、柔軟な勤務体系といった従来の政策連携団体にはない仕組みを導入いたします。また、グローバルな視点で東京のDXを牽引する経営管理体制を整えまして、GovTech東京がデジタルサービス局と一体となって、各局や区市町村のDXを強力に進めてまいります。
 また、スタートアップコミュニティの中にデジタルソリューションを生み出す共創の場をつくり、未来を構想する政策形成にもつなげてまいります。
 行政と民間がデジタルを通じて共に未来をつくり上げる新たな共創文化を浸透させ、政策イノベーションを起こしてまいります。
 デジタル技術を活用したユニバーサルコミュニケーションについてのお尋ねであります。
 日進月歩のデジタルテクノロジーの力で、障害の有無にかかわらず、誰もが自由に心を通わせることができるようになる。これが私の目指す社会の姿であります。
 二〇二五年の東京開催が決定したデフリンピック大会は、アクセシビリティーをさらに飛躍的に向上させる絶好の機会であります。世界から人々が集う機会を捉えて、最新技術が実装され、活用されている東京を示してまいりたい。
 AIが手話や音声をテキストに変換する技術やコンパクトな同時通訳機など、日常生活や旅行といった様々な場面で、ユニバーサルコミュニケーションを実現する技術やアイデアが国内外で生み出されつつあります。
 今回、設立構想を打ち出しましたGovTech東京におきましては、高度な知識とスキルを有する多様な専門人材を確保いたしてまいります。その力も活用して、最新のデジタル技術を駆使したサービスの導入を促進して、東京で生き生きと活動する人々のユニバーサルな交流を後押ししてまいりたい。
 次に、多摩地域での自転車ロードレースについてでございます。
 東京二〇二〇大会の自転車ロードレース競技におきましては、多摩地域のまち中を世界のトップアスリートが駆け抜け、その迫力ある姿は見る人に感動をもたらしました。
 この貴重な経験を引き継ぎ、身近なスポーツとしての自転車への興味や関心につなげるため、レガシーコースを生かしたロードレース大会を来年秋に開催することといたしました。
 大会では、本格的なロードレースに加えまして、スポーツサイクル初心者もチャレンジできる一般参加型レース、子供から大人まで楽しめる自転車試乗会など、自転車に親しめる様々な機会を提供してまいります。
 新たな大会の開催によりまして、健康にも環境にも優しい自転車の魅力や価値を身近なものとして感じてもらい、自転車の活用を促進していく大きな機会といたしたい。
 また、各地を巡るロードレースの特性を生かしまして、豊かな緑や歴史、多彩なまち並みを有する多摩地域の魅力を伝えてまいります。
 国内外から多くの目が注がれる大会を実現して、東京二〇二〇大会がもたらしたスポーツの価値を社会に広く浸透させ、未来につないでまいります。
 次に、英語による発信力の強化についてであります。
 目まぐるしく変化する世界におきまして、子供たちが視野を広げ、将来の可能性を伸ばし、未来を切り開いていく。そのためには、英語をツールとして使いこなす力を身につけることは待ったなしで取り組むべき課題であります。
 このことから、都は、子供たちが国際社会で活躍できる発信力を高められますよう、デジタル技術や体験型学習施設の活用のほか、海外への派遣や国際交流など、多様な文化や価値を持つ人々と直接英語を使ってコミュニケーションを図る取組を強化してまいります。
 全ての子供たちが、言葉の壁を乗り越え、国際都市東京から世界に羽ばたき、グローバルに活躍できる人材の育成を一層推し進めてまいります。
 次に、子供の遊び場についてであります。
 社会の宝である子供の健やかな成長には、遊びを通じた幅広い人的交流や多様な経験が必要です。
 このため、福祉や教育といった政策分野の垣根を超えた発想で、子供の遊びという政策テーマについて、組織横断の推進チームを新たに立ち上げまして、未来への投資を実践してまいります。
 子供たちが自由な発想で外遊びを楽しむことができるよう、区市町村やNPOなどと連携しながら、お話のプレーパークといった遊び場などを創出するとともに、公共空間等のさらなる利活用に取り組んでまいります。また、子供の遊びや体験の幅を広げる役割を担う、いわゆるプレーリーダーの育成等を推進してまいります。
 地域における様々な実情を踏まえまして、ハード、そしてソフトの両面から多面的に取組を展開して、子供の遊びを全力で応援してまいります。
 東京の都市外交力について、最後にお尋ねがございました。
 我が国はこれまで、伝統を生かしつつ、諸外国の技術や文化も積極的に取り入れて、未来を切り開いてまいりました。
 コロナ禍を経て、デジタル化の遅れなど、新たな課題が顕在化しつつあります。現状を打破して、常にイノベーションを生み出す都市として成長を続けていくため、今こそ、海外都市の先進事例から学び、連携していくことが求められています。
 先日訪れましたニューヨークでは、脱炭素化や経済活性化にも貢献するスタートアップ育成などの取組を視察したほか、クアラルンプールでは、都市における技術的課題に関する協力を行うことで合意書を締結いたしました。
 今後も様々な機会を捉えまして、積極的に海外都市との交流を進めるとともに、職員自らもグローバルな視点を養い、世界の潮流を捉えた施策に磨き上げることで、国際都市としてのプレゼンスを高めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長から答弁といたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、スタートアップ戦略の推進についてでございますが、世界で活躍するスタートアップ企業を数多く生み出すためには、これまでの枠組みにとらわれない大胆な発想が必要であり、そのヒントとなるのは、スタートアップ大国となった諸外国の成功事例です。
 六月に訪問したフランスでは、約千のスタートアップが入居するステーションFにおいて、様々な支援機関や大企業が立ち上げをワンストップで支援しています。そこでは、フランスだけではなく、世界中から新しいビジネスに挑戦する多くの人々が集まり、交流を通じてイノベーションが生み出されていました。
 最も強く感じたのは、行政がスタートアップとフラットに向き合う姿勢です。ミッションフレンチテックという政府の部門横断型のワンチームが、スタートアップの課題や要望を共有し、連携して解決に当たっています。
 こうした取組を参考として新たに立ち上げたTeam Tokyo Innovationでは、官民の協働をキーワードに、スタートアップや支援機関などとフラットな議論を重ねてまいります。そして、交流の場づくりをはじめ、公共調達や資金供給等、世界を意識した視点からの戦略を十一月をめどに練り上げ、迅速に実行してまいります。
 次に、デジタルアクセシビリティーについてでございますが、デジタルサービスの開発に当たっては、年齢や障害の有無、言語などにかかわらず、都民の誰もが使いやすく、満足度の高いサービスを提供することが重要です。
 本年三月に策定した行動指針では、職員が遵守すべき基本的な理念として、顧客視点でデザインしよう、誰一人取り残されないようにしようを掲げており、新団体、GovTech東京においても、インクルーシブな視点からの取組を進めてまいります。
 具体的には、庁内のデジタルサービスやウェブサイトの構築、運用に当たり、AIによる音声の自動テキスト化や表示の読み上げ機能など、アクセシビリティーの視点からの対応を徹底していきます。
 また、サービスの品質向上に向けて、ユーザーとなる多様な都民が参画するテストを実施し、その声を改善に反映させてまいります。
 さらに、ユニバーサルコミュニケーションを実現する新たなデジタル技術の調査研究等も進めていきたいと考えています。
 こうした取組を推進し、新団体と共に、ユニバーサルデザインを重視したデジタルサービスの提供に取り組んでまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校等におけるユースヘルスケアについてでございますが、都立高校等の生徒が抱える思春期特有の様々な健康上の悩みの中には、月経や摂食障害など、医療的な専門知識に基づいた対応が必要なものもございます。
 このため、都教育委員会は、新たに産婦人科医を学校医として任用し、ヘルスケアに関する専門的な相談を、来月から十校の都立高校等で開始いたします。産婦人科医は養護教諭と連携して、対面やオンラインにより助言を行うとともに、専門的な診療が必要な場合は、医療機関の受診を案内いたします。
 こうした取組に加え、産婦人科医等による教員向け研修や公開授業を実施し、ヘルスケアに関する正しい理解や対処方法について、幅広く普及啓発を行ってまいります。
 次に、インクルーシブな教育についてでございますが、共生社会の実現には、障害のある子供とない子供が共に学び、体験し、相互理解を深めることが重要でございます。
 都教育委員会はこれまでも、特別支援学級等と通常学級の子供の交流や共同学習を進めるインクルージョンに関する実践的研究や、特別支援学校の子供が地域の学校に副次的な籍を持つ副籍制度の活用等に取り組んでまいりました。
 国連の障害者権利委員会の日本国に対する総括所見が公表されたことに関しても、こうした観点から、国の動向を注視するとともに、今後、これまでの取組の成果を公立小中学校へ周知し、普及を図るなど、それぞれの学びの場においてインクルーシブな教育を一層推進してまいります。
 次に、学校と保護者との連絡手段のデジタル化についてでございます。
 デジタル技術の活用などにより、確実にコミュニケーションが図られるようにするとともに、学校と保護者の負担軽減にも配慮することが重要でございます。
 都教育委員会が行っている調査では、多くの区市町村立学校において、学校からのお知らせだけでなく、保護者からの欠席等の連絡にもデジタルを活用しています。
 今後は、具体的な連絡方法等について調査項目を追加するとともに、保護者の利便性向上と学校の負担軽減につながる好事例を収集してまいります。
 こうした結果を広く周知し、区市町村において一層デジタルが活用されるよう、取組の拡大を促してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、事業者のエネルギー利用についてでございますが、電力需給が逼迫し、燃料価格も高騰が続く中、事業者の電気利用の効率化とその定着を図ることは重要でございます。
 これまで都は、節電に役立つ高効率の空調機器や、エネルギーの確保につながる太陽光パネルや蓄電池の導入等に係る経費への支援を行ってまいりました。
 今後は、こうした設備などを含め、事業所全体の節電をマネジメントできる仕組みの導入を支援いたします。
 具体的には、需給逼迫時に、小売電気事業者からの要請に速やかに対応し、一定程度の節電を達成した事業所に年間最大で二十万円を提供いたします。これに合わせまして、小売電気事業者が事業者ごとの電気の利用状況を把握し、最適な節電を図るためのシステムづくりも支援いたします。
 こうした取組によりまして、事業者の効率的なエネルギー利用の定着を後押ししてまいります。
 次に、従業員の賃金引上げについてでございますが、中小企業の事業の発展を図る上で、デジタル技術などを活用し生産効率を高め収益を確保することを通じ、従業員の賃金の引上げに結びつけることは重要でございます。
 このため、都は、中小企業が生産性向上を目的にIoT等のデジタル技術を活用した設備を導入する際、三百万円を上限に支援する取組について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、今後、助成の率を引き上げます。
 この助成を行うに当たりまして、中小企業は、設備導入のプランに合わせて、従業員の賃金について一定額以上引き上げる具体的な計画を作成することといたします。これらの効果的な実現に向けて、専門家が助言を実施し、支援の成果の見極めも行います。
 こうした取組によりまして、中小企業の従業員の待遇の改善を後押ししてまいります。
 最後に、観光振興やイベント開催への支援についてでございますが、東京の旅行者の数やイベントの開催を増やすことによりまして、観光関連の業種を含めた幅広い事業者に優れた影響が及ぶよう支援を行うことは重要でございます。
 国では、全国旅行支援を来月十一日から実施いたしますが、この仕組みを使い、都道府県が観光客を誘致する場合には、旅行代金の助成やクーポンの提供が可能となります。また、コンサートなどのイベントについて、国は、都道府県の意向を確認した上で、参加者のチケット代を割り引きする取組を開始いたします。
 こうした観光振興やイベント開催への支援に関しまして、都では、開始の時期などについて、専門家からの意見を踏まえ適切に判断を行うことといたします。
 これらの支援と都民の都内観光への助成などを効果的に活用し、様々な事業者への後押しに結びつけてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 新型コロナワクチンに関する患者データについてのご質問にお答え申し上げます。
 都はこれまで、都立病院の患者データを集積するとともに、ワクチン接種歴別の新規陽性者の発生割合に関する分析や、独自に実施した抗体保有調査等に基づき、ワクチンの接種促進を国に要望してまいりました。
 第七波の感染が拡大した七月以降に、入院調整本部を通じて都立病院に入院をした患者の接種歴を確認いたしますと、三回目接種から罹患までの期間はおおむね三か月が約一割、四か月が四割弱、五か月以上が約半数であり、国に対し、さらなる科学的知見を得た上で、オミクロン株対応ワクチンの接種間隔を柔軟にするよう要望をしております。
 患者データの活用は、今般の発生届の見直し以降も重要でありまして、東京iCDCの知見も得ながら、ワクチンの接種促進に向け、実効性のある取組を進めてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、非常時における医療体制の在り方についてでございますが、都は、災害時に多数発生する入院患者や外来患者を受け入れられるよう、災害拠点病院を指定し、応急用医薬品や資器材等の支援を行うなど、災害医療体制を確保してございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の対応では、感染症入院重点医療機関等による患者の受入れ体制に加え、臨時の医療施設を設置し、病床確保に努めてございます。
 一方、災害や感染拡大時に医療施設を稼働させるためには、医師、看護師等の医療人材の確保が不可欠であり、民間医療機関の人材逼迫状況等にも配慮が必要でございます。
 災害時や感染症流行時の医療体制の在り方につきましては、こうした課題を踏まえ、専門家の知見をいただきながら検討し、体制の強化を図ってまいります。
 次に、オンライン診療についてでございますが、都は、オンライン診療を推進するため、五百五十を超える医療機関に情報通信機器等の整備に係る補助を独自に実施しているほか、医療機関案内サービス「ひまわり」を通じて、オンライン診療を行っている病院等の情報を都民へ提供してございます。
 また、国では本年一月、これまでコロナ特例として認めてきた初診からのオンライン診療を恒久的に可能としたほか、四月の診療報酬改定で点数の引上げや対象疾患の要件撤廃を行ったところでございます。
 都は来月、都内の全医療機関を対象に、初めてオンライン診療に関する項目を設けた調査を実施することとしておりまして、その結果も踏まえながら、オンライン診療のさらなる普及に向け、より効果的な方策を検討してまいります。
 次に、緊急避妊に関する情報提供についてでございますが、都は、妊娠相談ほっとラインやLINEのチャットボットで緊急避妊に対応する医療機関や薬局等を案内してございます。また、性犯罪被害者等に対し、警視庁などで二十四時間電話相談を受け付け、被害者の意向を踏まえ、医療機関への付添いや緊急避妊薬の費用助成を行ってございます。
 緊急避妊は、速やかに適切な対応を取ることが重要であり、利用者が必要とする情報に円滑にアクセスできる環境整備が必要でございます。
 今後、ホームページに専用ページを設け、夜間でも対応可能な医療機関のリストや、関係する相談機関を取りまとめて掲載するなど、都民の目線で情報提供の方法を工夫し、緊急避妊に関する情報をより早く、かつ分かりやすく得られるよう、速やかに取り組んでまいります。
 次に、東京ユースヘルスケア推進事業についてでございますが、都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応するため相談窓口を設置し、来月から電話相談を、十一月以降に対面やメールでの相談を開始いたします。
 これまで、相談の内容や方法、体制等について、大学生等と意見交換をするとともに、全ての都立高校生を対象に健康に関するアンケートを実施し、相談しやすい時間帯や場所等を聞いてございます。また、現在、こどもシンポジウムにおいて、中高生が、思春期の健康や性について相談したいときをテーマにグループ研究を進めておりまして、その成果等も活用してまいります。
 相談開始後も、若者の意見を聴取し、相談を実施する地域や会場、方法に反映するなど、若者が安心して利用できるよう、事業内容の充実を図ってまいります。
 最後に、不妊治療への助成についてでございますが、本年四月から不妊治療が保険適用され、基本的な治療にかかる自己負担は三割となりましたが、保険診療との併用が現在認められている十種類の先進医療は、全額自己負担となってございます。
 都は、四月以降に受診した先進医療について、保険診療と同程度の負担で複数の治療を受けられるよう、十五万円を上限に費用の七割を助成することとし、補正予算案に計上いたしました。また、助成の回数は、保険診療に準じ、治療開始日の妻の年齢が三十九歳までの夫婦は六回、四十二歳までの夫婦は三回を上限としてございます。
 助成申請の受付は、令和五年一月に開始する予定でありまして、今後、医療機関との調整や区市町村への情報提供を行うなど、円滑な実施に向け、準備を進めてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 住宅の耐震化についてでございます。
 地震による住宅の倒壊を防ぐことは、都民の生命と財産を守るとともに、都市の防災力向上の観点からも重要であるため、都は、住宅の耐震化に取り組んでまいりました。
 本年改定された被害想定におきましては、平成十二年以前に建築された新耐震基準の建築物の耐震化が進むと、人的被害や建物被害がさらに軽減されることが明らかになりました。
 地震による被害を最小限に抑えるため、こうした基準の木造住宅の耐震化の推進について、本年七月に公表した都市強靱化プロジェクトの論点の中で示したところでございます。
 今後、新耐震基準の木造住宅の耐震化に対する支援の在り方を検討し、区市町村と連携して取組を強化することで、安全・安心な都市を実現してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 富士山の火山灰への対応についてでございますが、富士山の噴火時には、降灰に伴う交通網の混乱や停電、通信障害など、社会経済活動への影響が広範囲にわたり生じることが想定され、降灰対策は重要な課題でございます。
 このため、都は、国に対して広域的な降灰対策の前提となる指針策定等を求めてございます。また、都といたしましても、いつ起きるとも知れない噴火に備え、都市強靱化プロジェクトにおきまして、降灰時でもインフラ、ライフライン等の機能を維持する方策の検討に着手いたしました。
 今後、降灰対策に係る先進自治体等の取組も踏まえ、除灰に必要な資機材の確保や火山灰の処理方法等について検討を進め、地域防災計画火山編の修正につなげてまいります。
 こうした取組によりまして、ハード、ソフト両面から富士山噴火時の降灰対策の強化を図ってまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 太陽光発電の設置義務化の情報発信についてでございますが、脱炭素の推進に向けた新制度を円滑に導入するためには、都民や事業者の理解が不可欠でございます。
 都は、制度内容に加え、停電時の電力確保等のメリットや処分費用を含めても経済的な点を各種媒体で発信するほか、事業者と意見交換を重ね、理解促進に努めてまいりました。
 今後は、都民や事業者からの意見を分析し、例えば、住宅購入者向けに専門誌やイベントによりメリットの浸透を図るなど、関係部署と連携し、世代や対象に応じた戦略的な広報を実施してまいります。また、事業者向けには、新制度に関するセミナー等により、さらなる理解促進につなげてまいります。
 制度導入に向け、こうした取組を戦略的かつ継続的に実施することで、住まい手や事業者と共に太陽光発電設備の設置ムーブメントを醸成してまいります。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、SNSによる情報発信についてであります。
 SNS等により情報伝達のスピードが速まる中、正確な情報をタイムリーに発信していくことは重要であります。
 都はこれまでも、データ等を織り込んだビジュアルに訴える解説資料を作成し、SNSで発信するなど、情報を分かりやすく迅速に届ける取組に努めてまいりました。
 一方で、不正確なSNS投稿等により、都政への信頼に影響を及ぼしかねない事態にも的確に対応する必要があります。
 このため、広報の専門人材の知見も活用しながら、事例検証を行い、そのノウハウを全庁で共有いたします。さらに、今後、企業において危機管理広報の経験を有する人材を増員し、機動的に対応できる体制を構築いたします。
 危機対応力の強化と体制の充実を図り、スピード感を持って、都民の理解と共感を得られる広報を実現してまいります。
 次に、大会のスポンサーに係る手続等についてであります。
 組織委員会では、会計処理規程等にのっとり、業務を遂行してきたと認識しております。
 スポンサー契約については、IOCのトップパートナーを除く、専任代理店が募集した国内スポンサーに対し、組織委員会がIOCの承認を得た後、法務や財務など複数部署の確認を経て六十八社と締結をしております。
 また、ライセンス契約は、申請のあった商品などについて、組織委員会内に設置した審査会や、IOCの承認などを経て、百二十七社と締結しております。
 都は、一連の報道を踏まえ、清算法人に対し、契約手続等について改めて確認を行っております。引き続き、捜査に全面的に協力するよう伝えるとともに、状況に応じ、必要な報告等を求めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、霊感商法等への対策についてでございますが、都民の関心が高まっている現状を踏まえ、都は今月、庁内連携会議を開催し、福祉、人権などの相談窓口を持つ局や警視庁などと情報を共有するとともに、霊感商法等に関する都民への注意喚起を集中的に実施しております。
 あわせて、都内三弁護士会に協力を依頼し、消費生活総合センターにおいて、個々の相談者の状況に応じた相談に応えられるよう、対応の強化を図っております。さらに、来月には、専門の弁護士が幅広い相談に対応する緊急特別相談も実施いたします。
 こうした取組を通じて関係機関と連携を一層強化し、霊感商法等への対策を進めてまいります。
 次に、芸術文化活動への支援についてでございますが、東京の芸術文化は、ロングランミュージカルや演劇等の大規模公演だけでなく、小規模な劇団の公演や若手ミュージシャンのライブ等の多様な魅力で構成されております。
 しかし、コロナ禍により公演中止が相次いでおり、演劇やライブエンタメなどの芸術文化団体との会議でも支援を求める声が多く寄せられました。
 東京に存在する小劇場やライブハウスでの公演は、クリエーティブで実験的な新たな表現が生まれる場であり、こうした活動を持続させる取組が重要でございます。
 芸術文化団体等とのネットワークを生かし、現場の声をきめ細やかに聞き取りながら、継続的な活動ができるよう取組を進めてまいります。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 臨海副都心の魅力創出についてでございますが、ベイエリアは水辺と緑を生かした空間が広がり、にぎわいの交流拠点が形成されるなど、人々を引きつける大きなポテンシャルを持つエリアでございます。
 とりわけ、臨海副都心は、豊かな水辺と夜景を有しており、これらとテクノロジーを融合させ、新たなにぎわいを創出することが、ベイエリアのさらなる発展にとって重要であります。
 このため、都は来月以降、お台場海浜公園の水域において、噴水やウオータースクリーンへ映像を投影する取組に加え、花火と連動した3Dホログラム映像を浮かび上がらせる鑑賞会など、エリア全域で様々なイベントを展開いたします。
 こうした取組により、国内外からの来訪者を呼び込むとともに、先端的なテクノロジーの実装にもつなげ、このエリアの魅力をさらに高めてまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の入居者に対する就労支援についてでございますが、都営住宅の入居者は、高齢者世帯をはじめ、若年ファミリーやひとり親世帯など多様であることから、就労への意欲や意識は様々でございますが、就労支援を必要とする方につきましては、的確に支援していくことが大切でございます。
 そこで、就労希望者が就職に関するカウンセリングやスキル習得などの機会を得られるよう、都営住宅の入居手続の機会や、入居者に毎月配布しております広報紙「すまいのひろば」を活用しまして、積極的に就労支援に関する情報を新たに提供してまいります。
 また、就労支援に取り組む関係局や地元自治体、NPOなどによる就労に関するプログラムを都営住宅の集会所において実施できるよう、具体的な方策を検討してまいります。
 次に、都営住宅での太陽光発電設備の設置についてでございますが、脱炭素社会の実現に向け、都営住宅におきましても、再生可能エネルギーの利用に率先して取り組む必要がございます。
 このため、今後建設する住棟では、可能な限り太陽光発電設備を設置できるよう、基準設計の見直しを進めております。既存住棟では、一定の耐用年数があるものについて、荷重等を抑えた新たな工法を導入しまして、一棟当たりの平均の発電能力がこれまでの四倍となる約二十キロワットの設備を、今年度から二年間で約二百棟に設置いたします。
 こうした取組を検証した上で、令和六年度から既存住棟への設置をさらに加速してまいります。あわせまして、停電時に太陽光発電設備で発電した電力を使用できるコンセントを共用部に整備し、居住者等が防災情報の収集に必要なスマートフォンの充電等を行う非常用電源としての活用を図ってまいります。
 最後に、都営住宅用地の有効活用についてでございますが、都営住宅の建て替えに当たりましては、容積率、建物の高さや日影など、様々な建築規制を踏まえまして、地域の居住環境にも配慮し、団地内の住棟の配置などを計画しております。
 都営住宅用地は、都民共有の財産であり、単にストックの更新だけではなく、住棟の高層化により用地を創出し、有効活用を図りながら、道路、公園等の整備や緑化の推進など、地域の課題解決に貢献してまいりました。
 さらに、大規模団地などでは、創出用地を活用しまして、地元自治体と連携した子育て、高齢者施設等の整備や、民間活用事業による商業、医療施設等の誘導を図ってまいりました。
 今後、建物敷地の容積率の活用とともに、地域への貢献を考慮しながら、これらの情報発信の在り方にも検討を加えまして、都営住宅の建て替え事業を推進してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 六十番加藤雅之君。
   〔六十番加藤雅之君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十番(加藤雅之君) 先月、名誉都民である三宅一生さん、森英恵さん、笹本恒子さん、都議会議員である西山賢さんがご逝去されました。謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 都議会公明党を代表して質問します。
 物価高騰の影響が長期化する中、都民生活にも深刻な影響を与えています。資材価格の急騰は特定品目に限らず、過去に例のない物価高騰となっています。
 我が国は、コロナ禍による輸入資材の枯渇、ウクライナ危機による穀物や原油、天然ガスなどの燃料の高騰、さらに、円安の急激な進行が新たに加わるなど、全く先行きが見えない状況であり、迅速な対策が喫緊の課題であります。
 都議会公明党は、現場の声を生かし、都民生活の安定と安心のために全力で取り組んでまいりますことをお誓いし、質問に入ります。
 初めに、物価高対策について質問します。
 国と東京都は、下請企業などが受注金額の見直しが進まないため泣き寝入りすることがないよう、下請Gメンが活躍し、発注者に対し是正の協力を求め、一定の成果を上げているところであります。
 こうした物価高対策への協力を民間の取引に求めているからには、都は、自らが発注者となっている契約価格の適正な見直しに率先垂範で取り組む必要があります。
 契約事務だけでなく、例えば区画整理事業に協力した都民においても、コロナ禍で事業が遅れ、二年前に契約を結んだ自宅家屋などの建築費が瞬く間に高騰している事例や、事業所などを開設する場合の費用も急騰し、決定済みの補助金額では不足する事例も生じています。
 前例のない物価急騰に対して、過去の事例に縛られず、大胆かつ迅速に政策的対応を図るべきです。都庁並びに都の政策連携団体を挙げて、既存事業の見直しと具体的な対策の立案が進むよう、リーダーシップを発揮し成果を上げるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 財務局は、かねてからの我が党の求めに応じて、この八月二十九日に単品スライド制度の運用の見直しを公表し、受注者の実際の購入金額に応じてスライド額を決定できる新しい取組を九月一日から施行しました。
 都は、この見直しについて運用の開始を急ぐとともに、財務局事業だけでなく、各局の個別の工事契約、さらには都の政策連携団体にも、例外なき適用を求めて周知徹底し、実現が果たされるまで責任を持って誘導するべきです。
 加えて、個別の工事契約以上に受注事業者が苦しんでいるのが各種の単価契約です。単価契約では年に一度しか価格が改定されません。そのため、個別の工事契約での単品スライド以上に、調査日時点と改定日時点とのタイムラグが発生しやすい性質を持っています。ある単価契約では、実勢価格で値上がりしている品目が、この七月の改定では値下げ改定されている事例さえありました。
 単価契約の受注事業者は、昨年度中から毎週のように、それぞれの品目について、仕入れ元企業から値上げを告げるファクスが相次いでいるとの声も聞かれます。
 こうした傾向が今後も継続することが必至と見込まれる中、あと一年、価格改定を待てと告げるのはあまりにも酷であり、都は、目下の特殊事情に鑑み、臨時の措置として、年内にいま一度、単価契約の価格改定を行うべきです。
 また、単品スライドの運用改善と同様に、単価契約事業を発注する都の政策連携団体に対しても、臨時的価格改定を実施するよう求めるべきです。併せて見解を求めます。
 都が発表した補正予算案は、低所得のひとり親家庭への支援や、医療機関や高齢者施設等への燃料費高騰に対する支援金の支給、高齢者の季節性インフルエンザ定期予防接種への支援など、都議会公明党の要望を踏まえた対応となっています。
 しかし、特別区への交付金を除いた総額六千二十九億円のうち、物価高騰対策は二百六十三億円と全体の四%です。苦しんでおられる方々の立場に立った支援策がますます重要であり、対策の強化が必要です。例えば、生活を年金に頼らざるを得ない一人暮らしの高齢者の方や高齢者夫婦世帯の方、また、ボランティアや寄附などで運営している子供食堂などからは、支援を求める声が届いています。
 また、特に生活困窮する高齢者世帯等の暮らしは、ますます苦境に立たされることが懸念されます。今後、生活が苦しい方への支援について、さらなる検討が必要と考えますが、知事の見解を求めます。
 現在、子供食堂には、都から感染症対策費を含めた運営費として月三万円が、また、新たな立ち上げや設備整備費等への支援として年五十万円が補助されています。
 しかし、子供食堂の活動は、例えば、食品メーカーやスーパー、地域住民から、食材など善意の提供により支えられています。この間の物価高騰の影響により、こうした善意の支えによる運営が立ち行かなくなっていることは明らかです。
 都は、子供食堂への緊急的な支援として運営費の補助の増額をすべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、中小企業における人材の確保に向けた支援について質問します。
 まず、中核的な人材確保についてです。
 現在、都内の大企業には、人生百年時代を見据え、これまで培ったスキルや経験を生かして新たなキャリアをスタートさせたいシニア世代やミドル世代の方があふれています。
 一方、この間のコロナ禍やデジタル化の進展は、リモートワークや非接触によるサービス、AIや仮想空間を活用した製品開発や顧客対応、新しいビジネスモデルの登場など、企業に様々な変革をもたらし、人材需要にも影響を及ぼしています。
 こうした潮流は、脱炭素化によりさらに加速していくことが見込まれ、新たなキャリアを探す人と人材を確保したい企業の双方にとって絶好の機会であるともいえます。
 都は、企業の変革や人材移動の潮流を好機と捉え、企業と人材の様々なニーズが集積する東京ならではの方法で、中小企業の発展につながる人材マッチングをさらに加速していくべきと考えます。
 そこで、中小企業を支える中核人材の確保に向けた支援について、現在の都の取組と今後の展開について見解を求めます。
 また、若手の人材確保も重要であります。
 都は本年二月、都議会公明党の要望を受け、三年間で最大百五十万円の奨学金返還支援事業を開始したことを高く評価します。
 一方で、若者の生活にいまだ重い負担となっているのが住宅費です。都内の一人暮らしの家賃相場は約七万円から八万円と全国的にも割高であり、若者からは、東京に住み続けることに不安を感じる、将来の人生設計が立たないといった声も多数聞かれ、コロナ禍や物価高騰が生活を直撃する中、若者世代が安心して東京に住み続けられる環境づくりが重要な課題となっています。
 このような中、企業においては、従業員満足度を重視し、社宅の借り上げや健康ケアの充実など、従業員が働きやすい環境づくりを進める取組も見られます。こうした取組は、社員を大切にする企業の姿勢として評価され、人材の確保、定着につながる一方、企業側には導入ノウハウなども必要となってきます。
 そこで、若手社員向けの住まいの確保など、社員満足度を高め、人材確保、定着につながる中小企業の取組を都として後押ししていくべきと考えます。見解を求めます。
 コロナ禍からの中小企業の立ち直りには、さらに都の支援の上乗せが必要です。
 国は、公明党の主導により、大幅な賃上げや人的投資を行う企業に対しては、所得税、法人税、法人住民税について大胆な税額控除を令和五年度末までを期限に用意し、オフ・ザ・ジョブの研修などの人的投資の要件を満たした場合には、さらに上乗せした税額控除が可能となります。
 しかし、オフ・ザ・ジョブ研修となりますと、企業側に一定の経費の負担が伴います。
 そこで、都内中小企業の経営体力の回復をコスト面から支援するとともに、国の税額控除制度を活用して、都内中小企業がオフ・ザ・ジョブ研修を実施して人材の育成の推進を図る場合などに、都は、その研修費用を補助していくべきと考えます。見解を求めます。
 また、デジタル分野は、その積極的な導入のいかんが今後の企業収益を大きく左右するおそれがあり、都内の中小企業でも改善の前倒しを急ピッチで進めていく必要があります。
 コロナ禍で経営的に厳しい状況にある中小企業でもデジタル化が進むよう、都事業の拡充、運用の改善に向け、早急に方針を決め、年内にも都内中小企業での活用を広めていくべきです。見解を求めます。
 次に、新型コロナ対策について質問します。
 初めに、新型コロナ後遺症についてであります。
 症例の分析と周知、医師、薬剤師等への研修会の開催、さらには後遺症に対応できる医療機関の拡充と周知など、都議会公明党は一貫して、都の具体的な対応と取組の強化を求めてきました。
 そこで、都の取組状況について答弁を求めます。
 後遺症の治療について、現段階では対症療法が中心となっています。しかしながら、効果があった治療や薬剤の事例も増えてきています。
 そこで、それぞれの患者が症状に適した後遺症の治療につながるよう、医療機関相互の連携を促進すべきと考えますが、見解を求めます。
 現在、新規感染者数は減少してきているものの、今なお一日の新規感染者数は数千人で推移しており、油断はできない状況です。いつ感染力の強い変異株が出てくるか分かりません。
 第七波において宿泊療養を希望する方も多く、宿泊療養施設を拡大しましたが、第八波に向けて、多摩地域も含め万全の体制を整えるべきと考えます。見解を求めます。
 また、第七波までの教訓として、緊急時の対応能力が不足していたという課題があります。震災などの災害に対応する災害拠点病院、連携病院や今般のパンデミック時の感染症入院医療機関は、平時において地域の中核的な急性期病院であるため、常時入院患者を多数収容しており、サージキャパシティーを即座につくり出すことは困難です。
 平時は患者を収容せず訓練のみ行い、災害やパンデミックなどの非常時において、一気に患者を収容できる規模の危機対応専用病院または臨時医療施設の設置を検討すべきであります。見解を求めます。
 次に、UDタクシーの整備補助について質問します。
 コロナ禍で客離れが進み、苦境にあえいだタクシー各社は、ようやく見え始めた景況回復の契機を捉えるべく、退職が相次いでいる乗務員の確保など、サービス提供体制の整備を急いでいるところであります。
 中でも、半導体部品の輸入が滞っており、車両の生産が停滞していたUDタクシーについては、利用客の好評を呼んでいたにもかかわらず、昨年度に発注した分でさえ、まだ納品が進んでいない現状もあります。
 我が党は、改めて九月五日、環境局に対し、UDタクシーの納品遅れの現状を伝え、本年度で打ち切ることを予定した都の補助事業を来年度も実施するよう求めたところであります。それが大きな契機となって、今回の二十六億円の補正予算の編成に結びついたものと考えております。
 今回の補正予算において、令和五年度事業で執行予定分も含める効果について見解を求めます。
 コロナ禍で影響を受けた宿泊事業者などへのさらなる支援も重要です。
 国は、新たな観光需要喚起策である全国旅行支援を十月十一日から始めると発表しましたが、都としても実施すべきと考えます。さらに効果を一層高めるためには、現在トライアル実施している、いわゆる都民割、もっとTokyoの本格実施や、都議会公明党が推進した被災地応援ツアーと併せて行うべきと考えます。見解を求めます。
 次に、子供施策について質問します。
 東京都は本年七月、「未来の東京」の実現に向けた重点政策方針二〇二二を七つの分野にわたって発表しました。
 その一つの分野が、人を輝かせ成長を生み出す社会を実現するであります。そして、その実現のための一つとして、夫婦が望む子供の数については、理想と現実の間に乖離があるため、子供と子育て世代に寄り添った様々な施策を強力に推進する必要があると明記しました。
 この中において、国立社会保障・人口問題研究所の調査を引用し、全国平均において、夫婦が望む子供の数は、二・三二人であるということを明らかにしました。現在、合計特殊出生率が全国で一・三〇に対し、東京都の場合一・〇八と、この乖離がさらに広がっています。
 国が、三歳児からの幼児教育の無償化を実施した際、都は、都議会公明党の要望を受け、ゼロ歳児から二歳児までの保育料について、第三子から保育料を無償化、第二子については、保育料の半額を補助する制度を実施しました。
 東京都が「未来の東京」の実現に向けた重点政策方針二〇二二において、これらの課題を明記した今こそ、子育てにおいて誰もが希望をかなえられる社会を実現するため、ゼロ歳児から二歳児までの子育て世帯の経済的負担の軽減を含め、施策の充実を図るべきと考えます。知事の見解を求めます。
 都は、二〇一七年度から、都議会公明党の強い要請を受けて、私立高校授業料の実質無償化をスタートさせました。その後、所得制限の緩和や通信制高校への対象拡大など、着実に保護者負担を軽減してきたことを評価します。
 こうした中、授業料の実質無償化の対象となった保護者の方でも、現状では、四月から十二月までの授業料を一旦納入するケースがあるなど、その負担が重くのしかかっています。
 都議会公明党の指摘に対し、都は、申請、審査のオンライン化や所得審査に必要な税額取得の自動化のためのシステムを構築すると答弁しており、保護者の負担軽減のために、償還までの期間を早める取組を早急に実施すべきです。見解を求めます。
 次に、子供の安全対策について質問します。
 先日、静岡県の認定こども園において、三歳の女の子が通園バスに置き去りにされて亡くなるという大変に痛ましい事故が発生しました。二度とこのような事故を起こさないために、従来の対策の在り方を見直す必要があると考えます。
 これまでも、痛ましい事故が起こるたびに注意喚起や普及啓発といった対処がなされていますが、残念ながら、依然として、毎年多くの子供たちが事故に遭っています。従来の対策から脱却し、子供たちが安全で健やかに成長できる環境をつくることを最重要とする社会へと変革していかねばなりません。
 ヒューマンエラーを補う技術の導入など、実施可能な対策を速やかに講じるとともに、組織横断の推進チームを活用しながら新たな安全確保策を検討すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、教育について質問します。
 都議会公明党は一貫して、日本語を母語としない子供たち一人一人の実情に寄り添った教育の重要性を訴えてきました。それは、その子供たちの個性を伸ばすとともに、安心して学び、日本社会での活躍のみならず、日本と外国のかけ橋となる人材として成長を願うからです。
 そこで、都立高校において、来年度から始まる特別の教育課程に向けて、効果的な日本語指導が着実に行われるよう、急ぎ体制を構築すべきと考えます。
 まず、日本語指導を必要とする生徒たちの直近の実態を把握するとともに、新たな取組に対して教員が抱える課題について調査を行うべきです。見解を求めます。
 そして、日本語指導を行うに当たり、その指導体制の構築、強化は喫緊の課題です。
 そこで、日本語指導コーディネーターや日本語指導支援員などの人材確保と育成を確実に図るべきです。その上で、日本語指導が必要な生徒が在籍する全ての学校に日本語指導支援員を配置すべきです。併せて見解を求めます。
 また、日本語を母語としない小中高の児童生徒たちの一層充実した教育を行えるよう、日本語教育を推進する専管部署を設置するなど、教育庁の体制を整備すべきです。見解を求めます。
 次に、公立学校の教員確保について質問します。
 ここ数年、学校現場では教員の確保が困難になっており、今年度、教員が四月当初配属されないという中学校が出たり、小学校で欠員補充用の名簿の登載者がいなくなり、補充の教員を探すのが困難な事態に陥りました。また、令和五年度採用の教員応募者数は九千四百三十八人と、五年前の六一・八%にとどまっています。
 現在、大学では、教職課程を履修しながらも途中で教員になることを諦めたり、教員以外の道を志望したりする学生もおり、教員確保のためには、学生や大学の状況を把握し、実態に応じた対策を検討するべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
 また、学校現場では、フルタイムで働く教員以外にも、特定の教科を週に何日か教える時間講師など、様々な任用形態の教員がいます。そこで、教員確保に向けては、それぞれの任用形態ごとに選考の仕組みを改善する必要があります。
 例えば、選考試験の大学三年生での実施や時間講師の選考時期の見直しなど、早期に人材を確保する取組を検討していくことが必要だと考えますが、選考制度の改善に向けて、都教育委員会の見解を伺います。
 一方、教員の確保や質の向上に向けては、長時間労働の改善とともに、教員給与の在り方も重要な要素であります。
 公立学校の教員の給与を定めた法律、いわゆる給特法では、給料月額の四%に相当する額が教職調整額として支給されることとなっております。これは残業代の月五時間相当にすぎないとの指摘もあり、早急な処遇改善をすべきであります。
 そもそも、この給特法が制定されたのは昭和四十六年のことであり、この四%という水準が、様々な社会情勢の変化の中で現在の教員の働き方に合わなくなっており、そのことが、教員の確保や質の向上にも大きく影響を及ぼしていることは明らかであります。
 長時間労働の改善とともに、一日も早いこの教職調整額の見直しが必要であると考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 次に医療施策について質問します。
 初めに、不妊治療における先進医療の新たな助成制度についてであります。
 今年四月から不妊治療の保険診療が拡充され、利用者の経済的負担は大幅に軽減されました。一方、保険適用外となった治療の一部については、先進医療として保険診療との併用が特例で認められたものの、全額自己負担であり、経済的な負担が大きいことから、我が党はさきの第二回定例会の代表質問において、不妊治療の保険適用の効果や課題について実態調査を行うとともに、先進医療への助成を検討すべきと求めてきました。
 今回の補正予算に、先進医療への費用助成とともに、我が党が小池知事に要望した、四月まで遡って助成することを盛り込んだことを高く評価します。不妊治療費の先進医療の助成制度の概要と今後の具体的な進め方について見解を求めます。
 また、都立病院では、都議会公明党の要請を受け、今年四月から不妊治療の相談窓口を開設するとともに、プロジェクトチームを設置して、都立病院が不妊治療において果たすべき役割等の検討を開始しております。
 これまでの相談窓口の実績と現在のプロジェクトチームでの検討状況について答弁を求めます。
 次に、歯科健診について質問します。
 近年、歯の健康が全身の健康に影響を与えるという見方が強まっており、二〇二一年の国の骨太の方針では、生涯を通じた切れ目のない歯科健診の重要性が訴えられています。
 しかし、現状は、高校卒業以降において、歯周疾患検診の対象年齢である四十歳までの間において、法定の歯科健診がないため、成人後の学生や社会人は歯科健診の習慣化が難しい状況があります。
 二十代、三十代から、かかりつけ医での定期的な歯科健診や予防処置を継続的に受診できるような取組を進めるべきです。見解を求めます。
 また、児童の歯の健康状態と児童虐待との関係性は重要です。
 児童虐待の早期発見、早期対応のため、平成十四年度に東京都歯科医師会が、都の一時保護所等の入所児童を対象に口腔内の実態調査を行っており、当時、我が党は、予算特別委員会の中で取り上げ、重要性を訴えてきたところであります。
 児童虐待が深刻化する中、虐待の早期発見、早期対応に結びつけるため、二十年ぶりに実施する児童の口腔内の実態を把握する歯科医師会の取組を支援すべきと考えます。見解を求めます。
 都民の健康寿命の延伸のためには、多職種連携をキーワードに、医療職全体でフレイルやサルコペニアの予防に取り組んでいくことが必要であります。そのためには、リハビリテーション病院と地域の歯科医師会などが、医科歯科連携を構築していくことが効果的と考えます。
 また、かんだり飲み込んだり話たりする口腔機能が衰えるオーラルフレイルや、筋肉の量が減少していくサルコペニアについては、歯科医療従事者の専門性の向上や都民への普及啓発が重要であり、東京都歯科医師会と連携し、こうした取組を進めるべきです。見解を求めます。
 次に、住宅施策について質問します。
 初めに、都営住宅の空き住戸についてです。
 都営住宅の空き住戸には、入居手続中や公募準備中のもののほか、建て替え事業の対象となった従前居住者が移転するために確保される事業用空き住戸があります。
 都議会公明党は、かねてから、退去後の修繕を速やかに行って公募用に回すとともに、建て替え事業での移転用や被災者支援用にも活用してきた事業用空き住戸の必要数を効率的に分析し、新規入居用の公募戸数を増やすよう求めてきました。
 都は、都政全体の事務のデジタルトランスフォーメーションが急がれる中で、我が党の要請に応え、新たに募集のオンライン申請用のシステムを稼働させ、オンライン申請を実現させています。
 そこで、都営住宅の事業用空き住戸の情報を管理する事務においても、新たに電子管理システムを稼働させるなどして、事業用空き住戸を縮減し、募集に活用していくべきです。見解を求めます。
 住宅確保要配慮者が安心して入居できる賃貸住宅を増やすためには、公社住宅を東京ささエール住宅として、家賃低廉化補助の適用を可能とする専用住宅で活用していくことが、民間住宅へ波及させていくためにも効果的であり、我が党は、令和四年第一回定例会の代表質問でその実施を求め、都からは、専用住宅の確保に向け、前向きに検討する旨の答弁があったところであります。
 家賃負担の面で、住宅確保に困窮する都民の期待に、都は年内にも具体的な成果で応えるべきと考えます。見解を求めます。
 カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正について質問します。
 我が党は、第二回定例会代表質問で、住宅価格の上昇など、多くの都民から疑問の声が寄せられている現状を踏まえ、太陽光発電設備を建築する地域の環境、住宅面積、効果的な太陽光パネルの設置可否などに十分配慮して、最終的には都民に選択の余地を残すなど、最終答申に向けて納得と理解を得るべきだと知事に求めました。
 今回発表された基本方針では、都議会公明党の主張を受け入れた内容になっており、加えて戸建て住宅を建築、購入する都民や事業者への支援の方向性なども打ち出されました。
 今後は、支援の具体策をより魅力的なものとしていくとともに、義務化という都民が受けるマイナスイメージを払拭し、地球温暖化対策を都民と共に一層効果的に推進するための条例との位置づけで、都民に周知、広報していけるよう取り組むべきと考えます。知事の見解を求めます。
 また、制度対象となる事業者に対しては、これまでの太陽光発電設備を搭載した住宅の供給実績や、昨今の建材価格の高騰等による住宅価格への影響に十分配慮する必要があります。こうした点から、制度の円滑な施行に向けては、ハウスメーカーなど事業者の意見等を聴取し、支援の在り方等を検討するとともに、国や都の住宅政策部門とも連携し、事業者にとって使い勝手のよい制度としていくべきです。見解を求めます。
 省エネな住宅に向け、日射熱を減らす取組について質問します。
 現在、窓ガラスからの日射熱を減らすことで、室内の快適性の向上や空調負荷の低減を図る取組が注目されています。この日射熱を大幅にカットする素材も開発されており、一部の基礎自治体では、このような日射熱を減らす技術や事業者を活用する補助制度を創設しています。
 そこで、都は、HTT推進の一環として、住宅の省エネに資する断熱、遮熱製品の利用を推進すべきです。見解を求めます。
 エアコンに関しては、これまで都が実施してきた省エネ性能に優れた機器への取替えの推進だけでなく、新たに室外機に着目し、消費電力の抑制を図るべきであります。
 最近では、特殊な配合の塗料を塗布することで、夏も冬も室外機の中の温度を一定に保つ工夫に注目が集まり始めています。
 都では、環境局、産業労働局が地球温暖化防止に向けた各種支援事業を行っていますが、新たな工夫の活用を都内で広く推進していくべきであります。
 まず、環境局では、効果的な取組の紹介や簡易な窓断熱材などへの支援を行う区市町村への補助を行っていますが、活用が進んでおりません。室外機への断熱塗料にも適用が可能であることを明示して通知するなど、活用の促進に取り組むほか、地元区市町村が制度を設けていない都民も支援を活用できるよう改善するべきです。
 また、産業労働局では、機器を購入、設置する場合への補助が中心となっています。既存エアコンへの工夫などに対する補助は、金融機関による紹介やコンサルタントによる分析が条件であるため、より即効的に補助を活用できるよう改善するべきです。併せて見解を求めます。
 これまで、室外機からの排熱については、具体的な政策上の重要課題として踏み込んで検討されることはありませんでした。しかし、大都市であればあるほど、排熱の抑制は温暖化防止に向けた社会的責任として重要であります。
 今後は、再開発などの際に地域での熱交換、活用の仕組みを一層誘導するだけでなく、既存の個々の建物においても、費用面でも取り組みやすい排熱の活用や抑制が進むよう、都は今後、業界団体と連携しながら、効果的な排熱抑制策の立案に向け検討を開始するべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、パートナーシップ宣誓制度について質問します。
 昨年の第二回定例会で都議会公明党の同僚議員が紹介議員となった同性パートナーシップ制度の創設を求める請願が全会一致で趣旨採択され、それを受けて、今年十一月に都の宣誓制度がスタートすることになりました。
 都議会公明党は、制度創設をアピールするために、都庁をレインボーカラーでライトアップしてはどうかと、テレビ討論会や委員会審議で提案してきましたが、制度の開始に向けた都の広報や周知の対応について、知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、まずは都自らが制度創設に対応した取組を進めるべきとして、条例、規則の中で、配偶者等の文言がある規定について、同性パートナーも対象にするよう求めてきました。
 これを受けて、今定例会には、都職員や教職員の福利厚生制度等を改善する条例改正案が提出されますが、これらは、都職員の当事者から東京都人事委員会に出されてきた措置要求にも全面的に応えるものです。
 制度創設に対応した都の新たな取組と都の政策連携団体への対応について見解を求めるとともに、制度開始に向けた都内自治体との連携、さらには民間への理解と対応を求めていくべきです。見解を求めます。
 また、都の行政サービスへの活用はもとより、都の政策連携団体とも連携して、それぞれの団体が提供する都民サービスでも前向きに取り組んでいくべきであります。この点では、東京都住宅供給公社での取組を期待しており、評議員会でも我が党所属の評議員が、いち早く対応を求めたところであります。公社住宅でのパートナーシップ宣誓制度の活用を都における宣誓制度の導入と同時に実現すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、障害者施策について質問します。
 先般、公明党が推進してきた二〇二五年のデフリンピック大会の東京開催が、国際ろう者スポーツ協会、ICSDの総会で決定されました。デフリンピックの東京開催のためには、手話の一層の普及拡大が必要であります。
 都は、今定例会で上程されている補正予算案で、これまでの学生向けの手話でのオンラインイベントに加え、子供たちが楽しく対面で参加できる手話イベントなどを開催していくとしています。
 イベント参加呼びかけの方法については、手話に興味を持てるよう、それぞれの地域の当事者団体の方々と連携し、工夫を凝らすべきと考えます。また、ビジネスや研究開発、医療や法律など、様々な分野で専門用語を駆使する手話での人材育成がまだ進んでいません。
 こうした認識を踏まえ、今後は、様々な役務でデフリンピックの開催を支える手話習得者数の達成を目指すことだけでなく、当事者団体の方々との連携を重視し、当事者の方々が日常生活の中で手話人口の増加を実感できること、あわせて、社会の様々な分野での当事者の活躍が広がることを目標に加えて、手話の拡大に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、動物愛護について質問します。
 施策のさらなる拡充を目指し、都は、東京都動物愛護相談センターの新たな整備を目指しています。都議会公明党は、国内外の動物保護の取組について調査を重ね、新たなセンターにはシェルター的な動物保護機能を持たせるように都に提案するとともに、専門家や関係者の意向も十分反映させるべきと対応を求めてきました。
 これを受けて、都は、有識者で構成する都民等との協働による動物との共生推進拠点の整備検討会を設置し、今後、人と動物の共生推進拠点として必要な機能や、身近で親しみやすい魅力的な施設の在り方を議論すると聞いています。
 動物保護の機能を有する共生推進拠点を早期に実現するため、候補地の選定を含め検討を進めるべきと考えます。新たなセンター整備に向けた知事の見解を求めます。
 次に、住宅の耐震化について質問します。
 さきの被害想定の見直しを踏まえ、都内建造物に対する耐震化補助においても制度の見直しを図る必要があります。平成七年に発生した阪神・淡路大震災により、昭和五十六年以降に建築された新耐震住宅での耐震性の課題が明らかになりました。
 都内の総住宅数は六百九十万五千四百戸と見込まれる中、昭和五十六年以降で平成十二年までに建築され耐震性が不足する住宅数は約二十万戸から二十五万戸と推定されています。
 さきの被害想定では、そうした状況を踏まえ、死者数で約一千二百人、全倒壊棟数で三万二千棟と推計しています。
 今後は、新耐震基準の住宅についても新たに補助を実施するなどして、地震被害のさらなる低減を図るべきです。加えて、新耐震基準の住宅が抱える不安の解消につながる工夫の事例についても、都民や事業者に周知するべきです。併せて見解を求めます。
 耐震化に加え、防災まちづくりを向上させる一つが連続立体交差事業です。
 例えば、私の地元墨田区にある東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近は高架化されておらず、南北の避難道路が鐘ヶ淵踏切で遮断され、防災上の課題があることから、都議会公明党はかねてから一貫して立体化を推進してきました。
 連続立体交差事業は防災力向上のために大変重要であり、鐘ヶ淵付近の鉄道立体化に向けた取組を加速していくべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、都民を豊かにするデジタルサービスについて質問します。
 都は先日、デジタルトランスフォーメーションの推進強化を掲げ、新たな政策連携団体、GovTech東京の設立構想を発表しました。
 都議会公明党はこれまで、行財政改革の旗振り役として、かつての監理団体改革に取り組み、整理統合や役員の退職金廃止、報酬の引下げも実現してきました。今般の新団体は、単なる政策連携団体の増加にとどまるものであってはならず、必要不可欠なものであると都民に明らかにしていく必要があります。
 デジタル化は、それ自体が目的ではなく、デジタルの力を通じて都民生活がどれだけ豊かになり、その恩恵を受けられるようになるのかが鍵です。例えば、母子健康手帳や身体障害者手帳の申請手続をオンライン化することにより、わざわざ役所に出向かずとも手続が可能となったり、子育て世帯が区市町村をまたいで引っ越ししたときにもシームレスなサービスが受けられたり、こうしたことをデジタルの力で実現すべきです。
 そこで、都と新団体が都民の視点に立って、区市町村と連携して、暮らしが豊かになったと実感できるようなデジタルサービスを実現することを期待しますが、知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 加藤雅之議員の代表質問にお答えいたします。
 物価高騰等への対応についてですが、ロシアによるウクライナ侵攻から半年以上が経過をいたしまして長期化の様相を呈しております。ここに近年歴史的な円安も相まって、エネルギー、原材料や食料などの価格が上昇し続けておりまして、都民生活をはじめ社会の全体に影響を及ぼしているところであります。
 こうした状況に対応するため、五月にエネルギー等対策本部を設置いたしまして、電力の確保はもとより、都民の暮らしや事業者の活動を守るための取組など、迅速に対策を講じてまいりました。
 加えまして、今回、東京の経済を守り抜くため、原油価格や資材の高騰等に対する緊急対策や、価格転嫁が困難な事業者等への直接的な支援など、これまでから一歩踏み込んだ施策を補正予算に盛り込みました。
 幾重にも重なる危機に対しまして、今こそ政策連携団体も含め、都庁が一丸となって立ち向かわなければなりません。従来の延長線上の取組だけではなく、様々な手だてを先手先手で講じることによりまして、都民の生活を守り、将来の経済成長へとつなげてまいります。
 都民生活を守る取組についてでございます。
 ウクライナ危機の長期化や近年における歴史的な円安の進行に伴いまして、物価高騰等の影響が拡大をしております。都民の暮らしのおもしとなっております。
 都は、仕事と住まいを失った方などへの支援に加えまして、本定例会に提案した補正予算案には、低所得のひとり親世帯などへの支援の充実に必要な経費を計上いたしております。
 燃料費や物価の高騰が今後も拡大し、さらに深刻な事態が生じる場合、高齢者をはじめ生活に困窮する方々がより困難な状況に陥ることが懸念されます。
 こうした方々への支援の実施は区市町村との連携が必要であり、社会情勢を見据えながら、関係者と共に必要な対応を検討してまいります。
 子育て支援の充実についてのご質問がございました。
 次世代に幸せと希望に満ちた子供の笑顔があふれる社会を引き継ぐため、少子化の問題には正面から向き合っていかなくてはなりません。
 そのため、誰もが希望する子供の数を持つことができ、安心して子育てができる環境を整えることは重要であります。
 結婚や出産、子育てだけではなく、働き方や人とのつながり、経済的な面も含めまして子供を持ちたいという思いを諦めることのないよう、このような課題に政策分野の垣根を超えて対策を強化していく必要がございます。
 今後、さらに、子供を産み育てやすい社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、子供の置き去り防止への取組についてでございます。
 先般、送迎バスに子供が取り残され亡くなるという痛ましい事故が起こりました。亡くなられたお子様のご冥福をお祈り申し上げ、ご家族の皆様に心よりのお悔やみを申し上げたいと存じます。
 子供たちにとって安全・安心な場所であるはずの保育所、幼稚園、認定こども園等におきまして、二度とこのような悲しい出来事を繰り返してはならない。
 今回の事故を受けまして、各施設に対する緊急点検に加えて、実地調査やヒアリング、オンライン講習会を実施する。また、すぐに実施可能な対策や、導入可能なデジタル技術を活用した取組を財政的に支援いたします。
 さらに、子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームにおいて、科学的なエビデンスに基づいた事故の予防策、こちらを戦略的に展開することで、子供が安心して暮らせる社会の実現を目指してまいります。
 次に、カーボンハーフの実現に向けた条例制度の改正でございます。
 二〇五〇年脱炭素社会の実現に向けましては、住宅供給事業者と住まい手である都民の理解と共感を得ながら、住宅やビルなど、建物が集積する東京の特性を踏まえまして、建物の環境性能の向上を図るということが重要と考えております。
 そのため、今般創設する新制度でございますけれども、まず、太陽光パネルに関しましては、一棟当たりの基準量を二キロワットとしまして、屋根面積が二十平方メートル未満の住宅などは除外が可能、また、日照条件などを考慮して、事業者が供給する建物全体で設置基準の達成を義務的に求める仕組みとする。
 さらに、住宅供給事業者が住まい手に対しましては、住宅の断熱、省エネ、再エネなどの環境性能に関する説明を行うという制度となっております。
 その上で、注文住宅の施主等は、再エネ導入等につきまして必要な措置を講ずるように努めまして、注文等について判断、また、建て売り分譲住宅の購入者等は、環境性能などの理解を深め、購入等について判断。
 都は、このような環境負荷の低減に努めるという住まい手の判断を支援するために、環境配慮に加えて、経済性、快適性、防災性などのメリットを分かりやすく発信してまいります。また、各主体の行動を促進するために効果的な支援策を練り上げまして、直ちに実施すると考えております。
 我々現役世代の責任ある行動が未来を形づくるという認識の下で、子供たちに誇れる東京を残していくためにも、再生可能エネルギー、様々ございますが、最大限活用した環境性能の高い住宅の供給を着実に進めるということで、大目的である脱炭素社会を実現してまいります。
 人工排熱対策についてのご質問がありました。
 近年、夏の暑さは厳しさを増しております。そして、熱中症予防のためには空調の適切な使用は不可欠なんですが、都市の暑さ対策の上からは、人工排熱を抑制していくことも重要であります。
 建物からの排熱を抑制する、そのためには、高断熱化、そして高効率な空調設備の導入など、建物の環境性能を高めていくことが有効な手段でございます。
 そのため、都といたしまして、排熱対策を含めたガイドラインを策定、それとともに、大規模な開発での空調排熱を有効利用する地域冷暖房の活用などを誘導してまいりました。
 今後、お話が今ございました既存の建物を含めて、制度の強化、そして支援策の検討を行います。そして、事業者の取組を促進することによりまして、人工排熱対策と脱炭素化を同時に進めてまいる考えであります。
 次に、パートナーシップの宣誓制度についてのご質問をいただきました。
 多様な性に関する理解を促進して、ダイバーシティ東京を実現するためには、制度創設の意義を広く都民に周知する、そして社会に浸透させていくということが重要です。
 制度開始に向けましては、ホームページや「広報東京都」などによるPRに加えまして、新たに作成した動画をSNSなどを活用して発信し、制度を分かりやすく紹介するなど、効果的な周知に取り組んでまいります。
 さらに、多様性を認め合うことの大切さをより多くの都民の皆様に効果的に伝えるために、受付を開始する十月十一日と、制度を開始する十一月一日に合わせまして、都庁舎とレインボーブリッジをレインボーカラーにライトアップをしまして機運の醸成を図ってまいります。
 こうした取組を通じて制度の普及を図って、一人一人がお互いを認め合い尊重し合う社会を実現してまいります。
 次に、動物愛護相談センターの整備についてでございます。
 センターは、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向け、普及啓発や動物譲渡など、都が行う取組の中核を担う施設でございます。その整備に当たりましては、必要な機能の確保や利便性などを勘案するほか、動物愛護の取組を都民と供に推進する施設とすることが重要であります。
 先月、センターの施設像や機能を具体的に検討する会議を設置して、動物福祉に配慮した飼養管理や国内外の施設の事例などについて、ボランティアや獣医学などの専門家から意見を頂きました。
 今後、検討を精力的に進めまして、その結果を年度内に取りまとめ、整備に生かしていく、そのことでセンターを都民に身近な動物との共生推進拠点としてまいります。
 最後に、デジタルです。都民を豊かにするデジタルサービスについてのご質問でございます。
 手続のデジタル化や、便利で使いやすいサービスなど、障害のある方や子育て世代を含めまして、誰もがデジタルの恩恵を実感できる社会の実現がDX、デジタルトランスフォーメーションが目指すものでございます。
 この取組をさらに強力に推し進めるため、このたび、新団体、GovTech東京の設立構想を打ち出したところでございます。この新団体におきましては、高度専門人材を多数確保いたしまして、これまでの枠にとらわれない発想によって、個々人のニーズに対応したプッシュ型支援などの質の高いサービスを開発、提供していくことを目指してまいります。
 都と協働いたしまして、各局事業の企画立案段階から参画するとともに、都民に分かりやすい、使いやすいサービスデザインの徹底、そしてユーザーテストによる都民の声の反映を通じまして、品質の改善を推進してまいります。子育て、そして福祉など、共通化による効果の高い分野で区市町村と連携、協働したサービスを提供するなど、住民ニーズに寄り添った取組を進めてまいります。
 都と新団体、区市町村、これらの強力な連携によりまして、オール東京でのさらなるDXを推進しまして、都民が生活の質の向上を実感できる社会を実現してまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本語指導に関する調査についてでございますが、都立高校等において個別指導を受ける必要がある生徒に対し、日本語の能力に応じた特別の教育課程を適切に実施することができるよう、組織的な指導体制を構築することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、日本語指導が必要な生徒が在籍する学校に対して、特別の教育課程の対象と想定される生徒の人数や、指導を行うに当たっての課題等について把握するための調査を開始したところでございます。この調査の結果を踏まえ、各学校において円滑に特別の教育課程が行われるよう指導助言を行ってまいります。
 次に、特別の教育課程における外部人材の確保と教員の育成についてでございますが、都教育委員会は、現在、日本語指導を必要とする生徒が在籍する都立高校において、必要に応じ、東京学校支援機構、TEPROやNPO等と連携し、日本語指導に関わる外部人材の活用を支援しており、来年度以降について特別の教育課程を実施する学校に外部人材を確保できるよう、引き続き検討を進めてまいります。
 また、特別の教育課程を実施する都立高校において、日本語指導をコーディネートする教員を対象とした独自の研修を実施するなど、組織的な指導体制の構築と教員の指導力の向上を図ってまいります。
 次に、日本語指導の体制についてでございますが、日本語を母語としない子供が学校生活を円滑に送るためには、一人一人の状況に応じた日本語指導を充実することが重要でございます。
 都教育委員会は、今後、関係局や区市町村等関係団体と連携を深めつつ体制を整備し、都内公立学校における日本語指導を充実してまいります。
 次に、教員確保に向けた対策についてでございますが、採用選考における応募者の増加に向けて、今年度、複数の教員養成大学の教授や学生から聞き取りを行いました。
 これにより、教育現場の状況や教員のライフスタイル、都独自の研修や若手教員への支援など、志望を固めるための情報が十分に伝わっていないことが分かりました。
 これらを踏まえ、大学説明会や個別相談会のほか、十月に初めて開催する採用セミナーTOKYO教育Festa!などにおいて詳細な情報発信を行ってまいります。
 TOKYO教育Festa!では、現職教員との座談会や給与、休暇制度、キャリアプランの紹介など、教職の魅力をリアルに伝え、幅広く応募を促進してまいります。
 次に、教員確保に向けた選考制度の改善についてでございますが、教員を確保するためには幅広い人材を発掘できるよう選考の仕組みを整えることが重要でございます。
 都教育委員会では、今年度から採用選考において、社会人を対象に合格後に免許取得を目指せる仕組みを開始したほか、臨時的任用教員の募集を通年で行うことといたしました。また、時間講師の選考時期を早めることとしております。
 こうした取組に加え、学生や社会人がより教員を目指しやすい選考制度を多角的に検討し、教員の確保に努めてまいります。
 次に、教員確保に向けた勤務条件の改善等についてでございますが、都教育委員会は平成二十九年度に勤務実態調査を実施し、その結果等を踏まえて策定した学校における働き方改革推進プランに基づき、スクールサポートスタッフや部活動指導員の活用など、様々な取組を進めております。
 一方、給与の在り方につきましては、現在、国において教員の勤務実態調査を実施しており、その結果等を踏まえ、いわゆる給特法の在り方等について検討していくこととしております。
 今後、こうした国の動向を注視するとともに、国への働きかけについても検討してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取組についてでございますが、鉄道立体化は、交通渋滞や踏切事故の解消とともに、鉄道により分断された市街地の一体性を高めることから、地域のまちづくりと併せて進めていく必要がございます。
 墨田区はこれまでに、まちづくりの基本的な計画を策定するとともに、その具体化に向けて取り組んでおります。
 また、鉄道と交差する道路につきましても、都が補助第百二十号線の整備を進めており、区が新たに交差する道路について整備に向けた準備を進めております。
 こうした状況を踏まえまして、都は、このたび鉄道立体化の可能性の検討を行う箇所として事業候補区間に位置づけました。地元区や鉄道事業者と連携して積極的に取り組んでまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 工事契約における物価変動への対応についてでございますが、現下の社会経済情勢の中で、鋼材等主要資材の価格上昇は例年にない水準に達していることから、都は、単品スライドについて、実情をより適切に反映できるよう、国に準じて九月一日から運用を見直しております。運用開始日以降の事業者からの請求に確実に対応できるよう、本見直し内容を改めて庁内に周知徹底してまいります。
 一方、多数の項目から成り、今後の工事数量が不確定な単価契約では、スライド条項を直接適用すると混乱を生じさせる懸念がございますことから、緊急的な対応として、受注者との協議に基づき、最新の資材価格を契約単価に反映する運用を検討してまいります。
 これらの運用の見直しは、関係局と連携し、政策連携団体に対しても活用へ向けて働きかけを行ってまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子供食堂への支援についてでございますが、都は、コロナ禍において、集合して食事することが困難な中でも子供食堂が食事の提供を継続できるよう、令和二年度から、会食等における感染対策費を上乗せするほか、配食、宅食の実施に必要なワゴン車のリースやクーラーボックスなどの経費を支援してございます。
 また、今年度は新たに、物価高騰を踏まえ、子供食堂の立ち上げに必要な設備等の経費も補助してございます。
 現在、子供食堂の運営状況を把握するため、補助実績のある子供食堂に対し、食材の調達や実施場所の確保、周知方法等についてアンケート調査を行っており、今後この結果も踏まえ、必要な支援を検討し、区市町村と連携しながら子供食堂の活動の充実に向け取り組んでまいります。
 次に、緊急時に対応した医療体制についてでございますが、都は、新型コロナウイルス感染症の患者を適切に受け入れられるよう、感染症入院重点医療機関等による受入れ体制に加え、都有施設等を活用した臨時の医療施設を設置し、病床確保に努めてございます。また、災害時に患者を迅速に受け入れるため、重症患者に対応する災害拠点病院や、中等症患者に対応する災害拠点連携病院を整備するなど、重層的な体制を確保してございます。
 一方、災害や感染拡大時に医療施設等を稼働させるためには、医師、看護師等の医療人材の確保が不可欠であり、民間医療機関の人材逼迫状況等にも配慮が必要でございます。
 災害時や感染症流行時の医療体制の在り方につきましては、こうした課題を踏まえ、関係機関等との連携の下、検討し、体制の強化を図ってまいります。
 次に、不妊治療への助成と都民への周知についてでございますが、本年四月から不妊治療が保険適用されましたが、都は、保険適用となった治療とともに行われる先進医療の自己負担の七割について、一回の治療につき十五万円を上限に助成することとし、補正予算案に計上いたしました。助成の適用時期は、保険適用と併せて本年四月一日といたします。
 まずは、現在治療を受けている方が先進医療をためらわずに受診できるよう、不妊治療の実施医療機関に対し、助成対象となる治療や助成額などについて診療時の説明を依頼します。
 さらに、令和五年一月の申請受付開始に向け、ホームページ等を通じて制度の概要を早期に周知するとともに、申請手続に関するリーフレットを作成し、医療機関や区市町村に配布するなど、不妊治療を希望する方に確実に情報が届くよう取り組んでまいります。
 次に、都立病院における不妊治療についてでございますが、今年度から大塚病院など五つの都立病院で開始した不妊治療の相談窓口では、先月までの五か月間で六十二件の相談を受け付けました。主な内容は、治療費や助成金等の費用面や、不妊への不安、治療方法の悩みであり、必要に応じて不妊治療を行う医療機関を紹介しております。
 また、本年四月に設置したPTでは、都立病院の産科医が中心となって、今後取り組むべき不妊治療について、これまでの相談内容等を踏まえた具体的な議論をしてございます。
 不妊治療に対する都民の期待に応えられるよう着実に検討を進めるとともに、不安や悩みを抱える方々に寄り添いながら丁寧に相談対応を行ってまいります。
 次に、若い世代の歯科健診についてでございますが、歯周病などの歯科疾患は、糖尿病、心疾患など全身の健康と深く関わるとされており、その予防や早期発見のため歯科健診を定期的に受診することが重要でございます。
 高校卒業後は学校歯科医による健診や指導の機会がなくなり、歯周病等のリスクが高まる傾向にあるため、都は、定期的な口腔衛生管理の重要性等を解説したリーフレットなどで普及啓発をするとともに、若い世代の歯科健診に取り組む区市町村を支援してございます。
 来年度の歯科保健推進計画の改定に向けまして、今後、十八歳から三十歳を対象に、健診受診状況やかかりつけ歯科医の有無等について調査を実施し、その結果も踏まえ、若い世代の歯科健診受診がより一層進むよう取組を推進してまいります。
 次に、保護児童の口腔ケアについてでございますが、都は、平成十四年度に東京都歯科医師会と連携して、児童虐待と口腔内の状況に関する調査を実施しており、その結果、一時保護された被虐待児童は、一般の児童に比べて虫歯が多いことが明らかになりました。
 こうした結果なども踏まえまして、都の全ての一時保護所を歯科衛生士が月一回訪問し、児童に対して歯の正しい磨き方や食生活を指導するとともに、口腔内を確認し、虫歯などの症状があった場合には必要に応じて歯科医への通院などにつなげてございます。
 保護児童の歯と口腔の健康の保持増進は重要であり、こうした歯科保健指導の実施状況を踏まえた保護児童の口腔実態を把握するため、東京都歯科医師会が今年度実施する調査に協力をしてまいります。
 次に、フレイル予防等の取組についてでございますが、口腔機能の低下は身体機能の低下と密接に関わるとされており、フレイル予防等のためには、いわゆるオーラルフレイル対策に早期から取り組むことが重要でございます。
 このため、都は、東京都歯科医師会に委託して、歯科医師等を対象に研修会を実施しており、在宅患者に対して早期から多職種で連携して取り組んだ口腔ケア事例を講義内容に盛り込むなど、知識の向上に取り組んでございます。
 今後、都歯科医師会をはじめとする関係団体とも連携し、高齢者一人一人の身体機能、口腔機能に応じた効果的なリハビリテーションを実施するため、地域の医療機関と歯科医師との連携を推進するとともに、口腔ケアの大切さに関する都民へのさらなる啓発を行うなど、フレイル予防等の取組を推進してまいります。
 最後に、手話の拡大に向けた取組についてでございますが、手話を必要とする人が生き生きと活躍できる社会を実現するには、手話のできる都民を増やし、様々な生活場面で手話が使える機会を増やしていくことが必要でございます。
 都は、手話への関心を広く高めるため、障害者団体等と連携し、基本的な手話を紹介したパンフレットの作成や、大学と連携した若年層向けイベントなどを実施してございます。今後、学齢児等を主な対象に体験型のイベントを行う予定であり、障害者団体等とも連携して参加を呼びかけてまいります。
 また、手話通訳者や手話通訳士などの養成に当たり、昨年度からは医療や法律等の専門分野にも対応できるよう取り組んでおり、今後、専門性のさらなる強化を検討してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、中小企業の中核人材の確保についてでございますが、東京の中小企業がデジタル化の進展など様々な経営環境の変化に適切に対応をする上で、新たな事業展開や社内の体制整備の中心となる人材の確保は必要でございます。
 こうした中核人材の確保に向け、都は、中小企業に知識やノウハウを提供するセミナーを開催するほか、採用の計画づくりや方法に関して相談窓口やコンサルタントの派遣により、きめの細かい助言を行ってまいりました。また、経営者向けに、中核人材の育成に役立つ講座を開き、その内容の実践を専門家がサポートしております。
 今後は、中核人材の確保をより効果的に進めることができるよう、金融機関や経済団体等と連携し、人材マッチングの体制づくりなどの支援を検討してまいります。
 次に、中小企業の人材の確保と定着の支援についてでございますが、中小企業が若手の人材を採用し、その定着を図る上で、仕事のやりがいや働きやすさを高めるほか、安心で快適な生活を送るためのサポートを行うことが重要でございます。
 これまで都は、中小企業の採用活動や従業員の定着に向けた取組を後押しするため、窓口相談やセミナーの開催により、会社の事業を分かりやすく伝える方法や柔軟で働きやすい勤務条件の導入に関わる知識やノウハウの提供を行ってまいりました。
 今後は、中小企業の社員が日常生活を送る際に重要な住まいや食事のほか、健康の維持などの面から会社のサポートが充実するよう支援を検討いたします。
 こうした取組によりまして、中小企業で若手の人材が活躍できるよう後押しを進めてまいります。
 次に、中小企業の人材育成の支援についてでございますが、東京の中小企業が、厳しい経営環境の続く中、将来に向け事業の継続と発展を図る上で、社員の力を伸ばし、労働生産性を高める取組は重要でございます。
 このため、都は、中小企業が従業員に対し、仕事で必要となる技能を高め、ノウハウを学ぶ訓練や研修を社内においてオフ・ザ・ジョブ・トレーニングで実施した場合、その経費の一部に助成を行っております。
 今後は、こうした支援の規模を拡充するほか、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングに取り組む中小企業を増やすため、経済団体と協力して事業内容のPRを進めます。
 こうした取組によりまして、中小企業の人材育成を着実に後押しをしてまいります。
 次に、中小企業のデジタル化に向けた支援についてでございますが、東京の中小企業が厳しい経営環境を克服する上で、デジタルの技術を活用して業務を効率化し、経営の改善に結びつけることは重要でございます。
 都は現在、中小企業の業務運営の効率化を後押しするため、様々な事務などのデジタル化に必要となる経費について助成を行っております。
 一方で、最新のデジタル技術により、社内での業務にクラウドの仕組みなどを活用する事例は着実に増えているところでもございます。
 このため、中小企業の事務手続に関わるデジタル化の加速に向け、助成規模の拡充を図るとともに、支援内容のPRの強化を行ってまいります。
 これによりまして、中小企業の経営力の向上を着実に後押しをしてまいります。
 最後に、全国旅行支援に合わせた観光振興についてでございますが、東京の観光産業の回復を後押しするため、国の全国旅行支援の仕組みなどを活用し、都内での旅行者を増やす取組は効果的でございます。
 国では、全国旅行支援を来月十一日から開始しますが、この仕組みを使い、都道府県が観光客を誘致する場合には、旅行代金の助成やクーポンの提供が可能となります。都では、開始の時期について、専門家からの意見を踏まえ適切に判断を行うことといたします。
 また、全国旅行支援の活用に合わせ、都民の都内観光への助成事業を本格的に展開いたします。さらに、これと足並みをそろえ、被災地応援ツアーも開始いたします。
 こうした取組によりまして、東京の観光産業の振興を着実に進めてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナの後遺症対策についてでありますが、後遺症は、年齢や基礎疾患の有無などにかかわらず、全ての方に起こる可能性がありまして、診断や治療等の知見を集積し、的確に情報を発信していくことが重要でございます。
 都は先般、東京iCDCの専門家の協力を得て、都立病院におけるオミクロン株の症例データを分析するとともに、その内容や最新の情報も含め、後遺症リーフレットを改定いたしました。また、後遺症への医療従事者等の理解促進に向け、治療に当たっている医師等によるセミナーを開催し、約千名の医師や薬剤師等が聴講をいたしました。
 さらに、都民が身近な医療機関で受診できるよう、後遺症に対応している四百二の医療機関を公表したところであり、今後、後遺症への対応が可能な医療機関のさらなる増加に向け、取組を進めてまいります。
 後遺症に関する医療機関の連携についてでございます。
 後遺症に悩む都民が適切な医療を受けられるようにするためには、患者に身近な医療機関から、後遺症の症状の種類や程度に応じて、対応可能な医療機関へと円滑につなげていくことが重要でございます。
 そのため、都は今後、倦怠感やせきなどの症状別や地域別にまとめた後遺症対応医療機関リストを作成し、東京都医師会の協力も得ながら、地域の診療所などへ情報提供することで、かかりつけ医等から後遺症対応医療機関へ患者を確実につなげてまいります。
 さらに、症状が重いケースなどにも対応している専門的な医療機関の治療内容を都が取りまとめ、他の医療機関向けに研修会を開催して情報を共有するなど、都民がより適切な医療を受けられるよう取り組んでまいります。
 最後に、宿泊療養施設の受入れ体制についてのご質問にお答え申し上げます。
 都は、この夏の感染拡大におきまして、病床を補完する宿泊療養施設の機能をより発揮させるため、これまで七十歳未満としていた入所者の対象年齢の上限をなくすとともに、重症化リスクのある方に優先的に入所していただくなどの対応を行いました。
 また、入所時に、療養される方の健康状態をより迅速に把握するため、AIを活用した問診を導入するなど運営を効率化いたしまして、第六波を上回る療養者を受け入れたところでございます。
 今後、宿泊療養を希望する都民が円滑に施設に入所できるよう、居室利用のさらなる効率化を図るほか、入所の際の施設までの移動の負担を軽減するため、多摩地域を含め、感染状況に応じた適切な受入れ体制の整備に取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの補助を補正予算とした効果についてでございますが、都は、UDタクシーに平成二十八年度から補助を開始し、これまで一万五千台以上に対して実施してまいりました。
 昨今の燃料価格の高騰等によりまして、環境性能が高いUDタクシーへのニーズが高まってございます。一方で御党からも、補助期限の今年度内の納車が困難なため、発注をためらう事業者があるとのお話を伺ってございます。
 そこで、来年度の納車でも確実に補助金が受給できることを明らかにすることで、早くから安心して発注してもらうため、今般、補助期間を令和五年度まで延長し、必要な経費として約二十六億円を計上いたしました。
 今後、タクシー事業者や業界団体等に補助期間の延長等について丁寧に説明し、普及拡大に取り組んでまいります。
 次に、太陽光発電設備に係る制度の円滑な実施に向けた取組についてでございますが、新制度の導入に向けては、現場の実態を踏まえた、事業者の理解と共感を得ることが重要でございます。
 これまで、関係団体や大手ハウスメーカー等と意見交換を重ねる中で、十分な準備期間の確保や初期費用の懸念、報告手続の簡素化について強い要望が寄せられました。
 都は、初期費用なしで太陽光発電設備を設置するサービスへの新たな支援や補助制度の拡充を検討してまいります。
 また、報告手続は国の制度に準じて簡素化を図り、事業者の負担軽減に配慮してまいります。
 なお、事業者の準備や都民への周知を図る観点から、令和七年四月を施行日といたしました。
 今後、関係部局と共に、省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム等を通じまして、事業者の理解を一層深め、国とも連携を図りながら、実効性のある制度としてまいります。
 次に、住宅の省エネに資する断熱、遮熱についてでございますが、住宅における熱の出入りの多くは窓からでございまして、比較的経費のかかる高断熱窓などの改修だけでなく、都民自身が手軽な作業で断熱できる製品の利用も有効でございます。
 そのため、都は、今年度から窓の断熱性を向上できる断熱フィルムなどの利用に対し支援を行う区市町村への補助を開始いたしました。
 今後、区市町村における支援の実態を踏まえまして、さらにこの補助制度を利用いただけるよう、断熱、遮熱技術を活用した製品を幅広く対象とするなど柔軟に対応してまいります。
 こうした取組を通じまして、区市町村及び都民と一体となりながら、断熱、遮熱性能を確保し、住宅の環境性能を高めてまいります。
 最後に、エアコンの消費電力の抑制についてでございますが、建物における冷暖房のエネルギー消費は二割以上でございまして、その省エネ化には設備の買換えだけでなく、既に設置されている機器を効率的に運用することも重要でございます。
 そのため、住宅については今年度から開始した簡易な省エネ対策への区市町村を通じた補助におきまして、室外機への対策を対象として明確化し、多くの区市町村に活用を促してまいります。あわせまして、都民が一層利用しやすい支援とするためのさらなる拡充も検討してまいります。
 また、中小企業が専門家の提案により設備の電力使用を抑えるシステム等の導入を支援してございます。今後は事業者が自ら計画をつくり、省エネに役立つ機器を導入する取組への支援を検討してまいります。
 こうした取組を通じまして、様々な省エネ対策を後押しし、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 私立高校授業料の保護者負担軽減についてお答えをいたします。
 補助金の支給早期化に向けましては、DXを活用し、申請手続の簡素化及び審査事務の効率化を実現することが重要でございます。
 そのため、保護者や学校がスマートフォンやパソコンを利用して簡便に申請や確認ができるようにするとともに、所得審査に必要な税額情報をマイナンバーから自動的に取得する新たなシステムを構築いたします。
 こうした新たな仕組みを利用者が安心して活用できるよう、都民の意見や専門家の評価もいただきながら、万全な情報管理体制を整備してまいります。
 引き続き、令和五年度からの補助金の支給早期化に向け着実に取り組んでまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の事業用空き住戸についてでございますが、都は、都営住宅の建て替え事業を計画的に推進するため、対象世帯数以上の事業用空き住戸を居住者に提示することによりまして、円滑な移転につなげております。
 このため、一定数の事業用空き住戸が必要でございますが、希望がなかった住戸の中には、引き続き他団地の建て替え事業用として長期間保有せざるを得ないものもございました。
 そこで、都営住宅の管理システムから抽出した空き住戸データを活用して保有状況を容易に分析できる新たなツールを導入した上で、建て替え計画を見据えて必要性を精査し、活用見込みの低い住戸は公募用等に切り替えてまいります。
 今後、さらなるデジタルの活用を図ることで、建て替え事業に必要な戸数は確保しながら、事業用空き住戸数を段階的に縮減しまして、ストックを有効活用してまいります。
 次に、東京都住宅供給公社の住宅を、東京ささエール住宅の専用住宅として活用することについてでございますが、公社住宅は重層的な住宅セーフティーネット機能の一翼を担っており、その機能の一層の強化が必要でございます。
 これまで公社は、地元自治体の意向を踏まえながら、空き住戸を専用住宅として活用する検討を進め、複数の区市と具体化に向けた協議を行ってまいりました。
 来月には、足立区との間で、児童養護施設等退所者及びひとり親世帯を対象とした専用住宅の提供に関する協定を締結いたします。年内に入居者の募集を開始する予定であり、家賃低廉化補助により入居者支援を行います。
 今後は、他の自治体に対してもその意向等を確認しながら積極的に協議を行いまして、公社住宅の専用住宅としての活用を広く進めてまいります。
 最後に、東京都住宅供給公社の住宅への入居におけるパートナーシップ宣誓制度の活用についてでございますが、ダイバーシティ東京を実現するためには、都の住宅政策の一翼を担う公社におきましても、パートナーシップ関係にある当事者の方々に配慮しながら居住支援を図っていくことが重要でございます。公社住宅ではこれまで、ルームシェア制度により、一部の住戸におきましてパートナーシップ関係にある方々の入居も可能としてまいりました。
 今後は、都のパートナーシップ宣誓制度が施行される十一月一日に合わせまして、全ての公社住宅を入居申込みの対象とするほか、パートナーシップ制度を導入している他の自治体で証明を受けた方の入居申込みも可能といたします。
 こうした取組を通じて、誰もが安心して暮らしやすい居住環境を整備してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) パートナーシップ宣誓制度の活用についてでございますが、制度創設と併せて、都はもとより、政策連携団体や都内自治体、民間事業者等、様々な主体で制度が活用されていくことが重要でございます。
 本定例会においては、都職員の福利厚生等で制度を活用するため条例改正案を提出してございまして、今後は政策連携団体にも、都の見直しを踏まえた対応を促してまいります。
 また、パートナーシップ宣誓制度を広く普及していくため、当事者に身近な都内自治体においても都の制度を活用した行政サービスの提供が図られますよう、各自治体の状況にも配慮し、丁寧に協議を重ねてまいります。
 さらに、民間事業者に対しましては、多様な性の理解の促進と併せまして、顧客向けサービスや社内福利厚生において都の制度の活用が広がりますよう、協力を呼びかけてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 新耐震基準の住宅の耐震化についてでございます。
 平成二十八年の熊本地震におきましては、平成十二年に基準が強化される以前に建築された新耐震基準の木造住宅の一部に倒壊等の被害が見られたことから、都は、区市町村と連携し、所有者が自ら安全点検を行うよう普及啓発などに取り組んでおります。
 本年五月、十年ぶりに改定された新たな被害想定におきましては、こうした耐震基準の建築物の耐震化が進むと、人的被害や建物被害がさらに軽減されることが示されました。
 これらを踏まえ、地震による建物被害をさらに軽減していくためには、安全点検の結果を踏まえた具体的な取組を促していくことが重要であることから、新耐震基準の木造住宅の耐震化に対して、普及啓発のさらなる強化や支援の在り方を検討してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時六分休憩

   午後六時三十分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十六番斉藤まりこさん。
   〔五十六番斉藤まりこ君登壇〕

○五十六番(斉藤まりこ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 コロナ禍と物価高から都民の命と暮らし、営業を守り抜くことは都政の重要課題です。
 新型コロナ第七波は過去最悪の感染爆発となり、亡くなる方も増えました。高熱があっても発熱外来を受診できない、炎天下の順番待ちを余儀なくされるなどの事態が起きました。入院が難航し、救急要請しても搬送できず、自宅や救急車の中で亡くなった方もいます。
 深刻な事態をまたしても招いた教訓を知事はどう考えていますか。補正予算案も、全体としてはこれまでの延長線上です。今回の反省と教訓を次の対策にどう生かすのですか。
 知事は所信表明で、今回も検査に触れませんでした。PCR検査の重要性をどう考えていますか。
 引き下げられたコロナ検査の診療報酬を元に戻すよう国に求めることや、医師会が進めるセンター方式の発熱外来などの医療機関への支援の強化が必要です。いかがですか。
 都の陽性者登録センターでは、診療や処方ができないため、医療機関を受診する方も多くいました。センターから直接オンライン診療につながり、薬も処方してもらえる仕組みをつくるべきです。見解を伺います。
 保健所の逼迫も深刻です。知事は都政の加速化を強調していますが、多摩地域の保健所の増設、拡充こそ急ぐべきではありませんか。
 介護施設や福祉施設の現場から、コロナ禍の下、経験したことのない緊張状態にあるとの声が上がっています。
 利用者に次々感染が広がりました。ある特養ホームの施設長は、コロナに感染して亡くなった方のご遺体は、感染防止のため、全身を密封する納体袋に入れられて施設から出ていく。何十年と仕事をしてきて初めてのこと、とてもつらかったと話しています。
 職員にも感染が広がり、職員不足の中、利用者の尊厳を守るために頑張っています。こうした福祉施設、福祉従事者の現状をどう認識していますか。職員の増員や給与の引上げなど、支援の抜本的強化が必要ですが、いかがですか。
 第七波が始まりつつあった七月一日、知事は、都民、職員の強い反対を押し切って、都立、公社病院の独立行政法人化を強行しました。日本共産党都議団は、満身の怒りを込めて抗議します。
 コロナ禍の下、都立、公社病院は、最大二千二百十床のコロナ病床を確保し、介護が必要な高齢者、障害者、透析患者、妊婦など、入院先の確保が難しい患者を受け入れてきました。ところが第七波では、コロナ病床の利用率は約四割でした。
 都は、介護が必要で人手がかかる患者が増えたことや、職員に感染者と濃厚接触者が増えたことが理由だとしています。
 知事、コロナ患者をより多く受け入れるために、職員をより多く配置することが必要ではありませんか。
 第七波では、重症心身障害児者、重度の知的障害者や盲ろう者がコロナで入院できない事態となりました。肢体不自由特別支援学校のPTA連合会は、速やかに適切な病院に入院できるよう、早急な対策を求めています。
 入院先の確保が難しい患者は、独法化前と同様、都立病院で最大限受け入れるべきです。知事の答弁を求めます。
 そもそも、医療には多くの人手が必要です。貧弱な診療報酬の下、経営効率優先で、ぎりぎりの体制しかなければ、パンデミックのような危機に対応できないことが、コロナ禍で明らかになっています。平時から余裕のある医療体制をつくることが必要です。認識を伺います。
 独法化中止を求める署名は、合計で四十万人を超え、空前の都民運動になりました。独法化の狙いは、もうかる医療を優先し、都の財政支出を減らすことです。
 日本共産党都議団は、都立、公社病院が担ってきた都民の命のとりでとしての役割を後退させず、充実させるとともに、直営に戻すために、幅広い皆さんと力を合わせていく決意です。
 暮らしの支援も急務です。十月以降に値上げされる食料品だけで約七千品目に上ります。電気代、ガス代の値上げも続いています。消費者物価指数は、前年同月比で三%も上昇し、長期化、深刻化が予想されています。
 一方、今年六月の東京都生計分析調査では、勤労者世帯の実収入は一二%以上減少しています。知事は、補正予算案を提出しましたが、総額六千百三十五億円のうち、物価高騰対策は三百七十億円、全体の僅か六%であり、事態の深刻さに照らして不十分です。
 知事、都民の暮らしを守り、経済の回復を後押しするには、さらに手厚く、きめ細やかな支援が必要です。認識と対応を伺います。
 上下水道料金の減免は、今年六月以降だけでも、全国で百六十を超える自治体が決めました。昭島市では、国の臨時交付金を活用し、上下水道料金の基本料金を減免することになりました。長引くコロナ禍に加え、物価高騰の影響を受けて、大変になっている市民の負担を少しでも軽くし、役に立ちたいから決めたとのことです。
 今すぐできる効果的な支援策だと思いませんか。都も踏み出すことを求めます。いかがですか。
 都が十八歳までの医療費助成に踏み出すことは重要です。区長会は、都の制度に上乗せして、十八歳まで完全無料にすると発表しました。
 一方、多摩二十六市は、各自治体の財政力が異なるため、上乗せするか否かは各自治体の判断となり、完全無料化は四市にとどまります。
 知事は所信表明で、子育てしやすい環境が整う多摩地域の魅力向上に取り組むと述べましたが、これではさらなる多摩格差になるのではありませんか。
 多くの市民から、多摩の子供たちも無料にしてほしいと切実な声が上がっています。
 市長会は、子供の医療費助成の拡充を都への来年度予算要望の最重点要望に位置づけ、小中学生の医療費助成における格差是正、十八歳まで所得制限や一部負担金を撤廃することを求めています。これらの声に応え、完全無料化することを求めます。
 給食費の無償化も急務です。
 葛飾区は、二十三区で初めて、来年度から区立小中学校の給食費無償化を実施します。区長は記者会見で、教育的な観点から考えても大切なことだと述べています。
 千葉県は、都道府県で初めて、公立小中学校に通う第三子以降の給食費を無償化すると発表しました。こうした動きをどう受け止めていますか。
 足立区で無償化を求めて署名活動を始めた保護者は、物価高騰で家計が圧迫されている、子供たちの発達を保障する上でも、ふだん節約している食費に給食費を充てることができればうれしいと話しています。今こそ、給食費無償化に向けて、東京都が役割を果たすべきではありませんか。
 特別支援学校や定時制高校など都立学校から給食費の無償化に踏み出すことも重要です。
 コロナ禍と物価高騰は、学生の生活も追い詰めています。食費を切り詰めている学生や、バイト先の飲食店などの経営難でシフトが大幅に減ってしまった学生が少なくありません。
 京都府は、この間、六度の補正予算で大学や学生支援を行ってきました。さらに六月には、京都府と京都市が学生支援の補正予算を組みました。
 京都府は、大学が学食の割引や食料品などを学生に配布する際に全額補助、京都市は、大学が実施する教科書代の割引、家賃支援、独自の奨学金に全額補助します。都内の学生から、これ全部あったらすごく助かるといわれました。
 京都府、京都市のこうした学生支援の新たな取組を把握していますか。
 全国の学生の四分の一、六十七万人を超える学生が集中している東京都として、学生の生活実態を把握することが必要ではありませんか。
 そして、学生への直接支援または学生支援に取り組む大学への支援に踏み出すことを強く求めます。
 京都府にも京都市にも、学生を担当する組織があります。それにより、学生や大学の困難を把握し、必要な支援を行うことができるのです。
 東京都にも、学生を所管し、学生の声を受け止める組織が必要です。いかがですか。
 次に、住まいの支援です。
 住宅問題に取り組む団体の調査によると、昨年度末現在、都営住宅の空き住戸は約三万戸、全体の一二%に及びます。建て替えの際の仮移転先として一定数の空き住戸は必要ですが、あまりにも多過ぎます。多くの都民から、なぜこんなに空いているのに入れないのかと怒りの声が上がっています。
 台東、北、武蔵村山、港など七区市は、空き住戸率が一五%を超えています。北区だけで二千五百戸を超え、一棟丸ごと一年以上空いたままの都営住宅もあります。
 北区は、こうした空き住戸の活用を要望した区議会の質問に対し、都営住宅の新規募集が実施されるよう東京都に求めていくと答弁しました。
 コロナ禍と物価高騰で住宅に困っている人が増えています。空き住戸を積極的に活用して、新規募集を増やすべきではありませんか。
 中小建設業者は、地域で雇用を生み、経済を支える大事な役割を果たしていますが、資材不足や燃料高騰による二重三重の困難に直面しています。
 中小建設業者が果たしている役割と支援の重要性をどう認識していますか。
 公共工事の発注に当たり、都は、事業者に契約金の四〇%の前払い金を支払うことになっていますが、三億六千万円が上限です。
 この前払い金の上限額について、国土交通省は、二〇一五年、二〇二〇年の二度にわたり見直しを求める通知を出しています。ところが都は、そのまま続けています。
 四十七都道府県のうち、前払い金の上限額を続けているのは、東京都のほかに何県ありますか。
 下請事業者や労働者への円滑な支払いを促進するため、前払い金の上限額を撤廃するべきです。
 公共工事を発注する際、賃金や物価水準の変動によって契約金額を変更できるスライド条項の全体スライドは、契約から九か月経過しなければ適用されません。資材の値上げが繰り返されている下で、これでは安心して受注できません。九か月という条件を短縮するべきではありませんか。
 住宅や店舗の段差解消などのリフォーム工事に都が助成することは、小規模の建設事業者が直接受注できる仕事を増やし、地域経済の活性化に大きな効果があります。どう認識していますか。GO TOリフォーム事業として実施することを提案します。いかがですか。
 物価高騰などの影響は、あらゆる業種に及んでいます。補正予算案で、燃料費の高騰に苦しむ公衆浴場や運輸事業者への支援が盛り込まれたことは重要ですが、さらに幅広い業種への支援が必要です。知事の認識と対応を伺います。
 西東京市では、経費の高騰による影響を受けている中小企業、個人事業者に業種を問わず直接支援を行っています。
 都もこの立場で、物価高騰の影響を受ける全ての業種への直接支援を行うべきではありませんか。
 英語スピーキングテストまで二か月となりました。中止を求める都民の声と運動はますます大きくなっています。
 この間、採点の公平性、国立、私立や都外の中学生、不登校の生徒などの不受験者への対応をはじめとした不公平、株式会社ベネッセの商品であるGTECとそっくりなこと、個人情報の保護など、多くの懸念や問題点が指摘されてきました。
 そもそも、なぜ受験生全員が受けるわけではないテストを高校入試に活用するのですか。
 このテストは、公立中学三年生全員を対象とする到達度を測るアチーブメントテストであり、入試の学力検査ではありません。入試の学力検査ではないテストを、都教委が区市町村教育委員会や公立中学校に強制することはできません。
 にもかかわらず、そのテストの結果を調査書、いわゆる内申書に記入させて高校入試の合否判定に使うことは、実施しなければ生徒に不利益が生じる結果となり、事実上の強制です。
 これは、区市町村教育委員会と公立中学校の自主性、自立性への侵害であり、都教委による不当な支配に当たります。この重大問題をどのように考えているのですか。
 保護者や専門家による集会やスタンディングなどが各地で行われ、五十三人もの都民が監査請求を提出し、公金支出中止と事業の停止勧告を求めています。先日の教育委員会には傍聴席を超える人が詰めかけましたが、自分たちの声は届かなかったと怒りが広がっています。
 いまだに都民の合意形成ができていないことをどう考えているのですか。
 中学三年生のある生徒は、制度をよく理解して、次のようなメールを寄せています。
 勉強が嫌いになる理由の一つはテストです。英会話は好きですが、このテストを行って話す力がつくとは思えません。採点の方法にも疑問を感じました。これからの人生を決める大切な試験に、公平かどうかも分からないものを導入してはいけないと思います。ただでさえ負担の大きい僕たちにこんなテストを受けさせないでください。
 知事はこの声をどう受け止めますか。
 十五日の文教委員会では、テストの延期、見直しを求める請願が継続審査となりました。議会が結論を出していない下での強行は許されません。継続審査の重みをどう認識していますか。
 入学試験の在り方を根本からゆがめる英語スピーキングテストは中止すべきです。答弁を求めます。
 次に、ジェンダー平等及び気候危機への対応です。
 私たちの生きるこの社会は、女らしさ、男性はこうあるべきなど、社会的につくられたジェンダー不平等がシャワーのように降り注いでいます。知事も所信表明でジェンダーギャップについて、世界から後れを取っていると述べました。
 私自身、かつて転職の面接で、男性面接官からお子さんのご予定はと聞かれたことがありました。イギリスBBCの記者にこのことを話したところ、イギリスで聞いたら絶対に裁判で会社が負けるといわれました。また、外資系の会社では、女性が何歳とか、既婚か未婚かは関係ないといわれ、圧倒的な認識の差を実感しました。
 これは個人的な問題ではなく、仕組みや制度を見直すなど、政治や社会が取り組む問題です。認識を伺います。
 お酌やお茶出しは女性がやること、PTAや保護者会に行くのは母親などの思い込みは、無意識の偏見、アンコンシャスバイアスと呼ばれています。過去の経験や見聞きしたことに影響を受けて培われたものです。アンコンシャスバイアスに気づき、意識改革を進めるために、都はどういう役割を果たすのですか。
 都庁内でも取組が必要ですが、いかがですか。
 同時に、ジェンダー不平等となっている根本を解決していく必要があります。
 日本における無償労働時間は、女性が男性の五・五倍に及び、OECD加盟国で最も大きい格差となっています。その特徴は、男性の有償労働時間が圧倒的に長く、女性は、有償労働と無償労働を合わせると、男性よりも労働時間が長いことが挙げられます。
 こうした状況が、男性を家事、育児、介護などを担うことが困難なケアレスマンにし、一方で女性は仕事も家事も両方行い、ワンオペは当然ということにつながっており、労働時間を減らすために、調査や研究、政策誘導が必要です。
 男女の家事、育児などの時間格差についてどう認識していますか。
 岸田政権は、原発の再稼働に加えて新増設の検討を表明しました。しかし、福島原発事故はいまだ解決のめども立っていません。
 一方、米国エネルギー情報局は、原発の発電コストについて、太陽光や風力などに比べて二倍以上かかるとしています。今や、原発の再稼働、新増設は、道義的にも経済合理性の点でもあり得ません。
 知事は会見で、原発の新増設を容認するかのような発言をしましたが、きっぱり反対するべきです。答弁を求めます。
 この冬、そして今後も続く電力逼迫への備えが急がれます。
 補正予算案に事業者等のピーク電力抑制支援を計上したことは重要です。対策を一気に進めるために、高断熱窓、高断熱ドア改修等の補助率を再度引き上げるなど、省エネ対策のさらなる強化が必要ではありませんか。
 学校の省エネ、再エネ対策も大きな課題です。
 学校施設のゼロエネルギー化を進めている自治体に話を伺うと、国の補助制度は学校の改築には使いにくく、対応に苦慮しているとのことでした。
 学校施設のゼロエネルギー化に適した補助制度を国に求めるとともに、都独自に使いやすい補助制度を実施するべきです。いかがですか。
 知事は所信表明で、東京五輪の汚職事件に一言も触れませんでした。都合の悪いことに蓋をする姿勢は許されません。
 組織委員会の元理事、高橋容疑者が、スポンサー契約に関わり、受託収賄容疑で逮捕されました。AOKIホールディングス前会長、KADOKAWA会長らが相次いで贈賄容疑で逮捕されています。
 青木氏から森喜朗元組織委員会会長に現金が渡されたことも明らかになりました。さらに、高橋氏が広告大手大広から現金を受領した疑いで大広が家宅捜索を受けました。その後も次々と疑惑が明らかになり、底なしの様相です。これらは個人の不祥事で済まされる問題ではありません。
 東京都には、五輪の開催都市としての責任があります。組織委員会は都とJOCが設立し、都の職員が大量に派遣され、同理事と職員は法律により、みなし公務員とされ、大会には多額の税金が投入されました。
 東京五輪は極めて公的な性格を持つ大会であり、その運営は公平公正であったのか、収入と支出は適正であったのか、なぜ今回このような事件が起こったのか、都として徹底的に検証すべきです。この大問題について知事はどう受け止めているのですか。
 この間、都として組織委員会に関係した職員への聞き取り調査など行ったのですか。
 都と組織委員会の共同実施事業でも、AOKIがスポンサーとして優先的に約一億八千万円、大広が二億五千万円の契約をしています。都の税金が投入されている共同実施事業に不正がなかったか、都として改めて調べる必要があります。いかがですか。
 また、スポンサーの選定や契約、ライセンス商品の販売などの過程をはじめ、大会報告書と大会経費の全体について全面的に検証して、都民に明らかにするべきです。見解を求めます。
 我が党も提案者となり成立した五輪文書保管条例の目的は、大会の開催経費等の検証を行うこと、大会に対する都民の信頼の向上を図ることです。
 文書が保管されることは重要ですが、情報公開の対象となる文書はあるのですか。組織委員会が作成し、保管している文書を情報公開できるようにすることが必要ではありませんか。
 神宮外苑再開発も、その背景には五輪をめぐる巨大利権があります。森喜朗元組織委員会会長や萩生田光一衆議院議員が深く関わってきたことを我が党は明らかにしてきました。この利権構造にもメスを入れることが必要です。
 神宮外苑再開発について、知事は所信表明で、事業者からきめ細やかな情報発信や関係者一体となった樹木の保全など、新たな構想が示されたと述べましたが、事実は違います。
 八月の環境影響評価審議会答申には、都民から事業計画の十分な周知、公開を求める意見や樹木伐採への反対意見が多く出されたこと、樹木の保全方針を示した評価書案に対して根拠の不明瞭さが指摘されたことなどが明記されました。
 さらに、極めて異例なことに、答申を受けて事業者が提出する環境影響評価書に対し、改めて審議会が意見する機会を持つことが確認されました。環境影響評価条例が制定されてから四十二年間で初めてのことです。
 審議会がこうした異例の対応を取った重要性をどう受け止めていますか。
 石川幹子中央大学研究開発機構教授は記者会見で、新宿御苑トンネルの工事が樹木に与えた影響を公表しました。
 トンネルから十五メートル以上離れたところでは、イチョウを含め樹木の保全に成功しています。ところが、神宮外苑再開発では、イチョウ並木から新球場の基礎まで六メートルしかありません。
 十五メートル以上確保できるよう建物の配置を抜本的に変更しなければ、イチョウ並木は保全できないのではありませんか。
 外環道の大深度地下工事は、調布市内で陥没事故、練馬区内でシールドマシンの損傷事故が起き、いずれも工事が止まっています。リニア新幹線の大深度地下工事も、品川から掘削を始めて、五十メートルも進まず事故を起こし、中断しています。原因は経験不足とされています。
 もともと大深度地下の工事は未知の領域で、地盤や地下水の状況の把握が難しいことや地盤沈下をゼロにはできないことなど、多くの技術的課題が指摘されていました。日本で初めての本格的な大深度地下工事である外環、二例目のリニア新幹線、相次いでその懸念が現実のものとなりました。
 経験不足や未熟な技術で、事故の原因解明も再発防止策も不明確なまま、他人の土地の地下を断りなく掘り進める大深度地下工事は中止すべきです。答弁を求めます。
 都心上空を大型航空機が低空飛行する羽田新ルートは、実施から二年半がたちました。住民は、深刻な騒音や落下物の危険に悩まされています。国は、新ルートの固定化回避検討会をこれまで五回開きましたが、具体策は見えていません。
 ところが、先週末、東京湾上空の新たな飛行ルートを国が検討しているとの報道がありました。我が党の聞き取りに、国土交通省は報道内容を否定し、検討会とは無関係だとしています。
 都は、報道された内容が事実かどうか把握していますか。
 住民は、八月の第五回検討会で報告された、シミュレーションの検証の際に設定した飛行経路などを具体的に示すよう求めています。ところが、国は一切明らかにしていません。国に情報の公開を強く求めるべきですが、いかがですか。
 第五回検討会では、江東区や江戸川区上空の離陸経路は現状維持とされました。つまり、離陸時の荒川ルートは固定化されるのではありませんか。
 我が党は、羽田新ルートの抜本見直し、都心上空の低空飛行の中止を、多くの住民の皆さんと力を合わせて引き続き強く求めてまいります。
 荒川流域の水害対策について伺います。
 完成まで二百年かかるとも試算されている国の高規格堤防は見直して、現実的な対策を急ぐ必要があります。
 荒川沿いの足立区新田一丁目では、高さ約八メートルもある高規格堤防の盛土の上に都営住宅を建て替える工事が行われています。近隣住民の方から、巨大な擁壁が目の前に迫る現状への不安の声が寄せられています。
 この高規格堤防は、今は都営住宅の敷地だけの、島のような状態です。これでは堤防として役に立ちません。この暫定的な形状はいつまで続き、いつ堤防として完成するのですか。
 国土交通省は、洪水時に堤防から漏水するおそれがあるなど危険が予想される箇所を重要水防箇所として公表しています。荒川下流域の足立区など七区には八十か所があります。
 しかし、国交省が取り組んでいる巡視点検や応急処置だけでは問題は解決しません。専門家も整備の緊急性を訴えています。荒川堤防の対策は、この八十か所をはじめとした重要水防箇所の抜本的強化こそ急ぐべきではありませんか。
 横田基地と平和の課題について質問します。
 横田基地にも配備されているCV22オスプレイに、クラッチが滑る不具合が起きることを受けて、米空軍は全世界五十二機全ての地上待機、飛行停止を八月十七日に命じました。
 米空軍の報道官ヘイズ中佐は、不具合が起きると機体を制御できなくなり墜落する可能性がある、不具合が起きる原因は分かっていないとコメントし、機体に欠陥があることを認めています。
 ところが、訓練でパイロットの技量を高めることで問題は回避できるとして、九月二日に早くも飛行が再開されました。こんな状態で飛行を再開したのは、あまりにも危険で無謀だと思いませんか。
 都と横田基地周辺五市一町は要請文を出しました。青梅市やあきる野市、日の出町も、横田基地に直接出向いて事情を聞く予定です。
 CV22オスプレイの機体の安全性に対し、基地周辺住民の不安はこれまで以上に大きくなっていることをどう認識していますか。飛行再開に当たり、米軍が説明責任を果たしていないことは明らかだと思いますが、見解を伺います。
 知事、いつ墜落するか分からないCV22オスプレイの飛行中止、横田基地からの撤去、今後の増配備計画の中止を、直接米国、米軍に申し入れるべきですが、いかがですか。
 前定例会で、我が党は非核平和都市宣言をするよう求めました。ところが知事は、国の安全保障に関わる問題であり、都として非核平和都市宣言を行う考えはございませんと答弁しました。
 知事は、全国四十二もの道府県が非核平和都市宣言を行っていることに意味がないというのですか。
 ロシアのプーチン大統領は、核兵器使用の発言を繰り返しています。広島、長崎に次いで被爆者が多く暮らしている首都東京の知事として、核兵器廃絶のメッセージを都民と世界に強く発信するべきではありませんか。
 その一つとして、非核平和都市宣言を検討するべきです。知事の答弁を求めます。
 最後に、統一協会の問題です。
 統一協会は、資金づくりを担う事業部門や、各国の政権に食い込もうとする政治部門などを備えた複合体であり、最大の関心事は、日本の信者から際限のない献金と人材を韓国側の教団組織にささげること、これは全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士による指摘です。
 また、九州大学法学部、南野森教授は、霊感商法や法外な献金の強要など、裁判所で違法、不法行為が繰り返し認定されており、ほかの宗教団体とは異質だと述べています。
 知事は、統一協会についてどう考えていますか。違法、不法行為を繰り返しているカルト集団であり、今も深刻な被害が続いているという認識はありますか。
 政治家や行政は、統一協会と一切の関係を絶つべきです。
 都庁と統一協会の関係について、都は過去三年間について調査をしましたが、詳しい結果を公表すべきです。また、それ以前の調査も必要です。お答えください。
 二〇一五年に始まった多文化おもてなしフェスティバルの主催者は統一協会関連団体です。都はこれを後援したのではありませんか。事実をお答えください。過去に遡って後援を取り消すべきです。答弁を求めます。
 都が被害者救済に取り組むことは重要です。高額な献金などにより家庭が崩壊し、二世、三世と被害が及んでいます。
 統一協会のマインドコントロールによる被害者の救済は専門性が求められ、支援の体制は極めて不十分です。専門の相談窓口の設置や専門性を持った支援員の育成などを行うべきではありませんか。
 被害者支援や相談活動を行う団体に、都として運営費の補助などを行うことも重要です。見解を伺います。
 被害防止のための法的規制、統一協会の解散命令を国に求めるべきです。答弁を求めます。
 都議会議員、元都議会議員についても、統一協会との関わりが複数明らかになっています。重く受け止め、徹底した調査を行い、厳しく襟を正して関係を絶つべきことを強く訴え、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤まりこ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナの感染拡大への備えについてのご質問であります。
 都は、この夏の感染拡大におきまして、陽性者登録センターの設置をはじめ、宿泊療養施設や臨時の医療施設への入所、往診による見守りを徹底するなど、これまで築き上げてきた保健、医療提供体制をさらに強化するほか、保健所の体制強化、ワクチン接種の推進など、先手先手で取り組んでまいりました。
 今後も、感染拡大への警戒を緩めることなく、高齢者等のインフルエンザワクチン接種に係る自己負担分への支援を都独自に行うなど、総合的に対策を講じてまいります。
 新型コロナ患者の受入れについてでございます。
 都は、患者一人一人の基礎疾患の有無や障害の程度など、配慮すべき点やかかりつけ医の意見なども踏まえまして、入院先を調整しております。
 都立病院では、独法化前と同様に、引き続き、重症、中等症の患者や、新型コロナの症状は軽くても重い基礎疾患のある方、障害のある方などを積極的に受け入れてまいります。
 補正予算についてでございます。
 都はこれまでも、コロナ禍や物価の高騰などにより苦境に立たされている都民、事業者への支援など、状況の変化に即応し、きめ細かな対策を講じてまいりました。
 今般、都民生活に与える影響が長期化している現状を踏まえまして、補正予算を編成し、低所得のひとり親世帯等への生活支援など、対策のさらなる充実を図っております。
 今後とも、都民の暮らし、東京の経済を守るため、必要な施策を機動的かつ的確に講じてまいります。
 事業者への支援についてのお尋ねです。
 原材料価格の高騰の長期化などによりまして、事業者の経営に大きな影響が生じております。
 都は、中小企業の資金繰りを支えるため、制度融資により、引き続き支援を行ってまいります。
 また、事業者によるエネルギーのコスト等を削減できるよう支援を充実するほか、取引先を増やす販路開拓のサポートを行ってまいります。
 これらにより、事業者への支援を進めてまいります。
 次に、エネルギー施策についてのお尋ねであります。
 原子力発電の新増設については、安全性の確保を大前提として、国レベルで議論、検討がなされるべきでございます。
 都は引き続き、脱炭素社会の実現に向けまして、電力を減らす、つくる、ためる、HTTの取組を一層加速させてまいります。
 組織委員会の元理事についてであります。
 大会は、多くの方々の協力を得ながら、困難を乗り越えて開催することができました。一方で、このような事件が起きたことは誠に残念でございます。
 本件は捜査中の案件でありまして、引き続き、清算法人に対して捜査に全面的に協力するよう求めてまいります。
 次に、CV22オスプレイについてであります。
 安全保障に関することは国の専管事項であります。米軍の運用に当たりまして、住民に不安を与えないよう最大限の配慮が払われなければなりません。
 国からは、機体自体の安全性に問題がなく、教育訓練や機体点検等を継続的に行うことで、飛行の安全が確保できると確認したと聞いております。
 都はこれまでも、安全対策の徹底等につきまして、地元自治体と共に、国や米軍に要請してまいりました。今後も、都民の生命、安全・安心を守る立場から、必要なことを申し入れてまいります。
 非核平和都市宣言についてでありますけれども、核廃絶に向けた取組は国の安全保障に関わる問題でございます。
 我が国は、一九九四年以降、毎年、核兵器のない世界に向けた決議案を国連に提出するなど、国際社会におきまして、核廃絶への取組を続けているところでございます。
 以上です。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校給食についてでございますが、区市町村立小中学校の学校給食費については、学校設置者である区市町村が決定しており、保護者負担の軽減策等についても、区市町村の判断により行われていると認識しております。
 学校給食法では、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされており、無償化については、国の責任と負担によるべきものと考えております。
 次に、都立高校入試におけるスピーキングテストの活用についてでございますが、スピーキングテストは、学校の授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善、充実に活用する教育活動の一環として実施するものであり、都内公立中学校の三年生全員を対象としております。
 都立高校の入試では、本テストの結果を適切に活用してまいります。
 次に、スピーキングテストの実施についてでございますが、都教育委員会は、グローバル人材の育成に向けて様々な施策を展開しており、スピーキングテストもその一環として実施するものでございます。
 本テストは、教育基本法第十六条第三項に定める地域における教育の振興を図る観点から、都教育委員会が行う施策でございます。
 次に、スピーキングテストの都民への周知についてでございますが、都教育委員会はこれまで、区市町村教育委員会や中学校を対象に説明会等を実施するとともに、生徒や保護者に対しては、全員にリーフレット等を配布するなど、事業の趣旨や内容を周知してきており、引き続きテストに関する周知に取り組んでまいります。
 次に、スピーキングテストに対する生徒の意見についてでございますが、本テストは、中学校の学習で身につけた話すことの力を客観的に評価するとともに、都立高校入試に活用することで中学校と高校における英語指導の充実を図り、生徒の使える英語力の育成を推進するために実施するものでございます。こうした事業趣旨等について、引き続き丁寧に説明してまいります。
 スピーキングテストの実施についてでございますが、スピーキングテストの実施と都立高校入試への活用における関連予算につきましては、既に第一回定例会の審議を経て議決でご承認をいただいております。
 都教育委員会としてはこれまでも、スピーキングテストの実施に向けて準備を整えてまいりましたが、引き続き進めてまいります。
 本定例会において、テストに係る請願が継続審査となっていることは承知しております。
 次に、スピーキングテストの活用についてでございますが、入試においては、義務教育の最終段階として、学習指導要領で求められている力が身についているかを測る必要がございます。英語については、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことの四技能の習得状況を測ることが重要でございます。
 都教育委員会は、スピーキングテストを着実に実施し、都立高校の入試に活用してまいります。
 次に、学校施設整備の国の補助制度の活用についてでございますが、都教育委員会では、公立学校施設における環境負荷の低減を図るため、区市町村立学校において、環境を考慮した施設整備が促進されるよう、補助制度の活用を促すとともに、国に対し、補助要件の緩和を要望しております。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、足立区新田一丁目地区における荒川の高規格堤防の完成時期についてでございますが、国からは、今後、当該箇所に隣接する地域の新たなまちづくりの機会を捉えながら、高規格堤防の事業化に向けた調整を図っていくと聞いてございます。
 なお、高規格堤防は、部分的に整備した場合においても、堤防の安全性が向上し、災害発生時には周辺の住民などの避難場所として機能いたします。
 次に、荒川堤防の重要水防箇所についてでございますが、国からは、荒川において、これまでに荒川水系河川整備計画に基づき、堤防の耐震対策などの河川改修を進めてきており、それらが重要水防箇所の対策にもつながっていると聞いております。
 都といたしましては、引き続き荒川の治水対策の着実な推進を国に求めてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、新型コロナの検査についてでございます。
 都は、検査が必要な方に対して、感度の高いPCR検査や、簡便かつ迅速に結果が判明いたします抗原定性検査など、それぞれの特性を踏まえまして、その組み合わせにより適切に受検できる体制を整備しております。
 また、地区医師会等が設置をいたします地域外来・検査センターの運営費を支援しております。
 検査に係る診療報酬につきましては、国が中央社会保険医療協議会の議論を踏まえ決定しており、保険収載価格の見直しは実勢価格を踏まえて行われたと聞いております。
 続きまして、陽性者登録センターについてでございます。
 都の陽性者登録センターは、発熱外来への受診集中を緩和することを目的としておりまして、六十五歳未満で症状が軽く、自宅療養が可能な方を対象にしております。
 自宅療養中に症状が悪化した場合は、うちさぽ東京へご連絡をいただき、往診やオンライン診療につなげる仕組みを構築しておりまして、薬の処方を受けることも可能でございます。
 最後に、非常時にも備えた医療体制についてでございます。
 医療機関における医師や看護師等の配置につきましては、その管理者が国の定める診療報酬上の配置基準を踏まえ判断するものと認識をしております。
 新型コロナウイルス感染症対策におきましては、東京都医療人材登録データベースを運用し、医療資源を有効に活用するとともに、臨時の医療施設の整備を進めております。
 今後とも、必要な医療提供体制を確保してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、都保健所についてでございますが、多摩地域の都保健所は、二次保健医療圏における広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担ってございます。
 都は、新型コロナの感染拡大に伴い、保健師の増員や業務の効率化など、体制の強化や負担軽減に取り組んでおり、引き続き、感染状況に応じ体制の確保を図ってまいります。
 なお、今後、感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、その在り方について検討していくこととしております。
 次に、コロナ禍での高齢者施設等への支援についてでございますが、現場に従事している職員や利用者が陽性者や濃厚接触者になってもサービスを継続できることが重要であり、都は、人材確保に要する割増し賃金や手当等のかかり増し経費を補助し、コロナ禍における福祉現場の負担軽減に取り組んでおります。
 また、人材派遣会社を活用した代替職員の派遣等を行うほか、施設内療養者への診察を行う医療支援チーム等を現場に派遣するなど、必要な支援体制を構築しており、今年度末まで継続して実施できるよう、必要な経費を補正予算に計上してございます。
 次に、都立病院の新型コロナ患者の受入れについてでございますが、都立病院は、第七波においても、都民の生命を守る観点から、重症、中等症の患者や、新型コロナによる症状は軽くても重い基礎疾患のある方、介護度の高い方などを積極的に受け入れてきました。
 受入れに際しては、感染症科や内科以外の医師も協力して診療に当たるとともに、看護師についても新型コロナ病棟への応援体制を構築するほか、独法化のメリットを生かして機動的に人材の確保に取り組んでおります。
 最後に、高校生等医療費助成事業についてでございますが、都は、所得制限や一部自己負担を設けた上で、区市町村との負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとしており、早期の事業開始を促進するため、令和五年度から三年間は都の負担割合を十分の十としてございます。
 各自治体における具体的な実施内容は、実施主体である区市町村がそれぞれの地域の実情を勘案しながら定めるものと認識してございます。
 なお、令和八年度以降の取扱いなどについては、今後、区市町村との間で協議の場を設置し、検討することとしてございます。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) 上下水道料金の減免についてでございますが、上下水道料金の減免措置は、受益者負担の原則、公営企業における独立採算制の原則及び使用者間の負担の公平に対する例外措置でございまして、その拡充については慎重に考えるべきものであると認識しております。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、大学生支援の取組についてでございますが、京都府や京都市が大学や大学生等へ支援をしていることについては承知をしております。
 次に、ジェンダー平等に関する認識についてでございますが、固定的な性別役割分担意識は今なお存在しており、全ての都民が性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会づくりは重要でございます。
 女性参画を促進し、施策に多様な意見を反映するため、都の審議会等にクオータ制を導入するなど、様々な施策を推進しており、引き続き男女平等参画社会の実現に向け取り組んでまいります。
 次に、性別による無意識の思い込みについてでございます。
 働く場や家庭など社会の様々な場面に存在しており、女性活躍を阻む一つの要因ともなっております。
 都は、都民から広くエピソードや動画を募集するなど、無意識の思い込みに気づき、共に考える取組を行っております。
 次に、男女の家事、育児などの時間格差についてでございますが、生活と仕事が両立できる社会を実現するためには、長時間労働を前提とした働き方を見直すとともに、男女が協力して家事、育児などを担うことが重要でございます。
 都はこれまで、都内企業の働き方改革の取組を支援するとともに、男性の主体的な家事、育児参画を促す情報発信などを行っており、引き続きこうした取組を進めてまいります。
 次に、情報公開の対象文書についてでございますが、組織委員会が作成、受領し用いた文書は、関係法令に基づき清算人が保存する文書とアーカイブ文書に分けられます。
 アーカイブ文書のうち、都が管理することとなった文書は、一般への公開を行うこととしております。
 清算人保存文書は、都として管理する文書ではないため、その対象外でございます。
 次に、旧統一教会についてでございますが、過去にその活動について違法性が指摘されており、都は、旧統一教会に関連して不安や困難を抱える都民に対して、消費生活などの相談や、弁護士会など様々な機関との連携などにより、適切に対応しております。
 次に、お話の多文化おもてなしフェスティバルへの後援名義についてでございます。
 書類の保存年限を過ぎておりますが、聞き取りなど必要な調査を行い、適切に対応していくこととしております。
 次に、旧統一教会に関する相談窓口についてですが、都では、消費生活や福祉、人権などの相談窓口を設置しており、日頃から相談内容に応じて、関係機関とも連携しながら多様な相談に対応しております。
 また、庁内連携会議を開催して情報を共有するとともに、都内三弁護士会に協力を依頼し、相談対応の強化を図っております。
 次に、旧統一教会の被害者支援等を行う団体への対応についてでございますが、都としては、関係機関と連携しながら多様な相談に応じております。民間団体は、様々な活動を自主性を持って行っていると承知しております。
 最後に、宗教法人の解散命令等についてでございますが、当該法人の所管である国において適切に対応すべきものでございます。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西康弘君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(小西康弘君) 学生等若者の生活実態の把握についてでありますが、都は、若者全般の支援施策を推進するため、東京都子供・若者支援協議会において、各機関が把握している若者の状況について情報共有を図っております。
 また、若者総合相談センター、若ナビαにおいては、約三割が学生からの相談であります。学生の方々からは、進路や就職、家族関係に関する相談等が寄せられており、その時々の状況を引き続き把握しております。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、学生、若者施策の推進体制についてでございますが、都は、若者等からの仕事や生活支援等の相談内容に応じて、各所管局が国や各関係機関と緊密に連携を図りつつ、きめ細かく対応してございます。
 今後とも、適切な執行体制の下、学生、若者施策に取り組んでまいります。
 次に、男女平等参画に関する取組についてでございますが、都はこれまでも、男女平等参画を含めた人権意識の醸成を職員研修における重点事項として位置づけ、全ての職員を対象として研修を実施してございます。
 研修においては、男女の役割を固定的に捉える意識の解消などを含む基本的な知識を習得するための講義を行うなど、人権課題に対する理解促進を図ってございます。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅の募集についてでございますが、都営住宅の建て替え事業を計画的に推進するためには、居住者の移転先についての様々な要望に応えられるよう、必要かつ十分な事業用の空き住戸の確保が不可欠でございます。
 その必要性につきましては随時検討を行っており、今後も、建て替え計画を見据えて、必要戸数を精査しまして、事業用から公募用等に切り替えます。
 公募につきましては、平成三十年一月から毎月募集を、令和二年二月からは随時募集を開始するなどの方策を講じており、今後とも募集戸数の増加を図ってまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小建設事業者の役割についてでございますが、建設業は、都民生活や経済活動の基盤となる社会資本を整備する公共工事の担い手として、また、災害時における地域の守り手としての役割を担っており、中でも、地域の実情に精通した中小建設事業者の果たす役割は重要と認識してございます。
 都は、公共工事の発注者として、その品質が現在及び将来にわたり確保されるよう、社会経済情勢の変化を踏まえた適切な入札契約制度の運営や工事における働き方改革の推進等を通じて、中小建設業をはじめ建設業全体の健全な発展と中長期的な担い手の育成及び確保に取り組んでおります。
 次に、工事における前払い金についてでございますが、国の調べによりますと、四十七都道府県におきまして、支払い限度額を定めているのは都のみとなっておりますが、その限度額は比較的大規模な工事に設けているものでございます。
 都における前払い金制度は、契約金額総額に応じた前払い金を契約時に一括して支払うものであり、中小建設事業者の工事着手時における資金需要に対応できる独自の制度となってございます。
 最後に、全体スライドについてでございますが、全体スライドは、契約後における受発注者間の経常的な物価等の変動リスクに対応するものとして、国に準じて契約から十二か月が経過した工事を対象として制度の運用を開始いたしました。
 都発注工事は、国と比較して工事規模が小さく、受注者の多くが中小企業であるという実態を踏まえまして、有識者による議論も経て、平成二十七年度に全体スライドの適用対象を九か月経過した工事に期間を短縮しております。
 このほか、賃金改定等の急激な物価等の変動に対応するインフレスライドや、今般、取引の実情を反映しやすく運用を見直した単品スライドを適切に運用することで、今後も公共工事の発注者としての責務を果たしてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小規模事業者への支援についてでございますが、都は、小規模企業の経営基盤の強化を図るため、経営相談や技術支援、金融支援、各種助成などを行っているところでございます。
 次に、中小企業への支援についてでございますが、都はこれまでも、中小企業の資金繰りを支えるため、制度融資による支援を行ってまいりました。
 また、事業者がエネルギーのコスト等を削減できるよう支援を充実するほか、取引先を増やす販路開拓のサポートを行います。
 これらによりまして、中小企業への支援を進めてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、家庭の省エネ対策についてでございますが、都内のエネルギー消費量は、唯一、家庭部門が増加しており、この部門の対策を強化していく必要がございます。
 都は、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向け、今こそ行動を加速するときとの認識の下、これまで高断熱窓改修の補助率引上げ、さらに、今年度は省エネ家電への買換え補助の対象拡充など、家庭におけるエネルギー消費の削減を強力に推進してございます。
 加えて、家庭での省エネ対策に取り組んでいただけるよう、様々な機会を通じて、都民はもとより、地域工務店やリフォーム事業者等の団体も含めた多様な主体に、支援策の活用を働きかけてございます。
 引き続き、こうした取組を通じまして家庭の省エネ対策を促進してまいります。
 次に、神宮外苑再開発の環境影響評価審議会の対応についてでございますが、今後、審議会が着工前を含め継続的に関与していくことについては、答申で示された保全措置の着実な履行のため、条例に基づき、審議会の決定により設けられたものでございまして、事業者に対しては適切に対応してもらいたいと認識してございます。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、職員への調査などについてでございます。
 本件は捜査中の案件であり、引き続き、清算法人に対して捜査に全面的に協力するよう求めてまいります。
 なお、都は、一連の報道を踏まえまして、清算法人に対し、契約手続等について改めて確認をいたしました。
 次に、共同実施事業の契約についてでございますが、共同実施事業は、組織委員会、東京都、国で構成する共同実施事業管理委員会において、必要性、効率性、納得性などの観点から、案件ごとに経費の精査と確認を行っており、また、その内容については、既に都のホームページに公表しております。
 次に、大会の検証についてでございます。
 スポンサーに係る手続等につきましては、組織委員会の規程等にのっとり、業務を遂行してきたと認識しております。
 組織委員会は、令和四年六月に大会報告書を公表するとともに、大会経費について理事会で最終報告を行い、関係法令や定款に基づき残務を結了させ、解散しております。
 その後、債権者に対する二か月間の公告を経て債権、債務を確定し、残余財産の帰属先を決定したと聞いております。
 最後に、旧統一教会や関連団体と都の関わりについてでございます。
 都におきましては、イベント等に係る後援名義等について、文書の保存年限である三年間において調査を行った結果、旧統一教会や、報道、インターネット等で関連団体とされている団体等について、承認は行っていないと確認はされております。
 それ以前のものについては、文書が保管されていない中ではございますが、可能な範囲での確認を各局において行っているところでございます。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、神宮外苑のイチョウ並木の保全についてでございます。
 四列のイチョウ並木は神宮外苑の象徴であり、都は、その保全には万全を期すよう、本年五月、事業者に要請をいたしました。
 この要請を受け、事業者は、環境影響評価審議会において、イチョウの根を保全するための具体的な基礎構造や施工方法を提示するとともに、今後、根の詳細調査の結果を踏まえ、必要に応じて、野球場の壁面後退など設計の工夫等を行うと説明しております。
 なお、都は、同審議会の答申を踏まえ、イチョウ並木の保全に当たり、留意すべきことなどを盛り込んだ審査意見書を本年八月、事業者へ送付しております。
 次に、外環道及びリニア中央新幹線のシールド工事についてでございます。
 外環道の工事につきましては、一昨年の陥没事故以降、事業者は地元対応を行うとともに、有識者委員会の報告を踏まえ、再発防止対策を取りまとめた区間から順次工事を進めており、都としても丁寧な説明や、きめ細やかな対応を求めてきております。
 リニア新幹線の工事につきましては、添加材が設備内部に漏れたことによる故障について、専門家の助言も踏まえ、事業者が必要な修繕等を行っていくこととしております。
 いずれの工事につきましても、事業者が適切な安全対策を講じ、地元に説明等を行いながら施工していくものであり、都としても、引き続き住民の安全・安心確保に向けた取組を求めてまいります。
 次に、羽田新飛行経路についてでございます。
 国では、地元区の意見等を踏まえ、新経路の固定化回避に係る技術的方策について、現在の滑走路の使い方を前提として検討が進められております。
 先月開催された第五回検討会では、前回、技術的な観点等から選定された二つの飛行方式について、羽田空港への導入に向けた安全性評価等の取組が進められている旨の報告がございました。
 先日の報道内容について国に確認いたしましたが、現在、安全性評価等の取組を進めている段階であり、飛行経路案については何も定まっていないと聞いております。
 次に、検証中の飛行経路についてでございます。
 国に確認いたしましたが、新たな飛行方式において、平行する滑走路の同時運用を見据えた安全性評価等の取組を進めているところであり、具体的な飛行経路や運用イメージを示す段階にないと聞いております。
 都は、国の検討会における安全性評価等の検討状況に応じて、適宜、都民の理解が深まるよう、引き続き丁寧な情報提供を国に求めてまいります。
 次に、離陸時の荒川ルートについてでございます。
 国からは、荒川ルートについて固定化した事実はないと聞いております。
 第五回検討会では、騒音軽減出発方式の効果について検証した結果、騒音軽減手法として確立されている三つの方式のうち、現在の荒川ルートに適用中の二つの方式が優位であると報告がございました。
 次に、CV22オスプレイの飛行再開についてでございます。
 国からは、米国防省は、オスプレイの飛行を一律に見合わせるべき機体の安全性に係る技術的課題は存在しないとの立場であり、この点については、国としても米国防省に改めて確認している。その上で、米空軍がCV22に求められる運用の特性も踏まえ、教育訓練や機体点検等を継続的に行っていくとしていることを踏まえれば、米空軍が今般、CV22の飛行を再開するとしたことに問題があるとは考えていないと聞いております。
 最後に、CV22の飛行再開の説明についてでございます。
 安全保障に関することは国の専管事項であり、CV22を含む米軍機の安全確保は、国が責任を持って行うべきことでございます。
 今般、都は、国や米軍に対して、機体の安全や運用に関する基地周辺住民の不安が解消されるよう、十分な説明責任を果たすことを強く要請いたしました。国からは、都及び地元自治体に対し、飛行再開後もオスプレイの安全性や飛行再開に関する考え方等について説明が行われております。
 今後も、都民の生命、安全・安心を守る立場から、必要なことを申し入れてまいります。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 一点だけ答弁を忘れましたので、加えさせていただきます。
 旧統一教会への認識についてのお尋ねです。
 総理も述べておられますように、社会的に問題が指摘される団体との付き合いは慎重であるべきでございます。
 政治や行政は、こうした団体の活動等の助長につながるようなことは行うべきではない。
 以上です。
   〔五十六番斉藤まりこ君登壇〕

○五十六番(斉藤まりこ君) 英語スピーキングテストについて再質問します。
 教育長は、英語スピーキングテストは中学校の授業で学んだ内容の到達度を把握するものと答弁しました。
 しかし、このような到達度を把握するための学力テスト、アチーブメントテストの実施を都教委が区市町村教育委員会や中学校、中学生に強制する権限はありません。
 さらに、教育長は、英語スピーキングテストは教育活動の一環だと答弁しました。教育活動は学校や教師が行うものであり、教育委員会がその内容を強制することはできません。教育は上から押しつけてはならない、それが教育の大原則です。
 ところが、都教委は、英語スピーキングテストの結果を入試に使うことで、実施しない選択肢を塞ぎ、事実上強制し、子供たちや学校現場を不当に苦しめています。
 これは、都教委による区市町村教育委員会や公立中学校の自立性、自主性の侵害であり、教育基本法第十六条が禁止している不当な支配そのもので、許されるものではありません。都教委にその認識はありますか。お答えください。
 英語スピーキングテストの中止を重ねて強く求め、質問を終わります。(拍手)
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 再質問にお答えいたします。
 教育基本法第十六条第三項に、地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならないとございます。
 本スピーキングテストは、これに基づきまして、都教育委員会が学校の授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善充実に活用する教育活動の一環として、都内公立中学校の三年生全員を対象に実施するものでございます。
 都立高校の入試では、本テストの結果を適切に活用してまいります。

○議長(三宅しげき君) 百二十三番西沢けいた君。
   〔百二十三番西沢けいた君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二十三番(西沢けいた君) 質問に先立ち、八月十八日、西山賢都議会議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、知事及び関係局長に、警視総監に質問をいたします。
 初めに、安倍晋三元首相の国葬について伺います。
 安倍晋三元総理大臣が亡くなられた事件は社会に強い衝撃を与え、国民の多くが銃撃への憤りとともに、非業の最期を遂げた故安倍氏への哀惜の念を抱きました。
 しかし、閣議で拙速に決定し、国会での議論は事後、予備費から全額を国費で支出するなど、政治色の強まりにより、国葬に対する世論は大きく二分されました。
 政治的評価はともかく、総理大臣の重責を長期間担われたことへの敬意、そして何人も暴力で命を奪われてはならないという気持ちは、当然私たちも同じです。しかし、その気持ちと政治色が強い国葬等への行政としての対処は別でなければならず、政府のこうしたやり方には到底納得できるものではありません。
 都は、家族葬に際して都施設で半旗を掲揚、知事は、国葬をやらないとあれっと思われると述べ、ご出席もされ、都庁舎には再び半旗を掲げました。
 国葬について、改めて政治家としての知事の認識を伺います。
 家族葬の際には、都から各機関に半旗掲揚の事務連絡が出されました。私たちは、取扱基準もない中では実質的な強制であり、国葬に際しては半旗の掲揚、その通知などを行わないよう申入れをしました。また、学校に対して半旗掲揚を求めたことは教育基本法に反するとの指摘もあり、世論の反発も高まりました。
 こうしたことを受けて、昨日の国葬当日、都は、都庁舎に半旗を掲げ、半旗掲揚に関する通知などは行いませんでした。この判断の理由は何か、また知事からの指示はあったのか伺います。
 次に、要人警護について伺います。
 国葬には、国内だけでなく、海外からも多くの要人が訪問されました。銃撃事件を踏まえ、警察庁では検証結果と再発防止のための報告書をまとめ、警視庁も再発防止に向け全身全霊で警備に当たるとして臨んだことと思います。
 暴力によって政治的主張を訴えることは断じて防がなければならず、私たちもやるのであれば、警備については万全に万全を期す体制で臨まなければ民主主義の根幹に関わると要請してきました。
 昨日の国葬での警備について、どのような姿勢で臨んだのか、警視総監の見解を伺います。
 安倍元首相の死去や国葬を契機に、旧統一教会の活動、政治家との関わりに注目が集まり、悪質商法や人権侵害などの教会による諸問題がクローズアップされています。
 過去、教会などによる都のイベント参加や都への寄附、関係団体のキャンペーンへの都の参加、教会関連の新聞や雑誌などの購読など、東京都として旧統一教会や関係団体との関わりがあったのか、あった場合、今後どう対応するのか伺います。
 旧統一教会の問題で深刻なのが、いわゆる二世信者といわれる子供たちへの支援の不足です。自分自身の信教の自由や、権利の主体としての人権すら守られないまま育ち、社会から孤立して苦しむ人々が現に多く存在します。そうした方々に対して、自立支援や生活保護といった社会福祉につなぐことや、心情の部分までもケアできる支援体制が求められており、例えば富山県は今月十四日から、宗教二世などを対象とした総合電話窓口を設置しています。
 都は来月二日間、霊感・開運商法特別相談を実施すると聞いておりますが、常設の窓口と併せて、二世問題を含む旧統一教会に関するご相談があった際には、その方の事情や背景まで丁寧に酌み取り、各機関と連携しながら困り事を解決していく支援体制が必要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック大会汚職事件について伺います。
 八月十七日、組織委員会の元理事が、AOKIに関する受託収賄の疑いで逮捕され、その後、KADOKAWA、大広など、汚職事件は、なお広がりを見せています。
 これは元理事による事件ではありますが、東京都は組織委員会と一体となって開催準備を進めてきており、人ごとではないと考えます。冬季五輪の招致を目指す札幌への影響も甚大です。
 私は、政治家小池百合子自らがこの問題に主体性を持って、他に同様の事例がないか、出向していた職員へのヒアリングを含め徹底して調査をし、都民に対して説明責任を果たすべきと考えます。見解をお伺いいたします。
 二〇二〇年の第一回定例会で、私たちも共同提案者となり、オリンピック・パラリンピック大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例が可決、成立しましたが、文書を保存していても、それが活用されなければ全く意味をなしません。速やかに関連文書を公開すべきと考えますが、見解を伺います。
 オリンピック汚職では、ユニホームの製作でも便宜画策かとの報道も見られます。一方で、都民の税金を充当して実施された共同実施事業でも、株式会社AOKIホールディングスとの間で大会技術役員のフォーマルユニホームの製作として一億八千三百四十万円余りのパートナー供給契約を交わしています。
 また、株式会社大広とも、江の島ヨットハーバーの関係で計七回、二億四千五百八十万円の特別契約を交わしています。
 私は都民の税金を充当している以上、最低限、これら共同実施事業での契約については、都が率先して契約内容や契約締結までの経過などについて調査し、説明すべきであったと考えますが、見解を伺います。
 次に、補正予算について伺います。
 十月に値上げされる食品等が六千三百五品目にも上り、今年最多となった八月の二・五倍、値上げの秋といわれ、物価高騰対策は喫緊の課題です。
 私たちが要請をした低所得のひとり親世帯などへの給付金やコロナ禍で生活福祉資金を借りた方のフォローアップなどの支援策、事業者への支援策が計上されました。また、私たちが提案した都有施設の電力RE一〇〇早期達成にも資する蓄電池等を含めた分散型エネルギーリソースの活用も計上されており、その点は評価するものです。
 しかし、コロナ禍や物価高騰の影響のさらなる長期化も懸念されており、コロナ前から苦しかった方も含め、物価高騰から都民の生活を守り、誰も取り残すことなく反転攻勢するステージへと進むためには、今後ともさらなる取組が必要ではないでしょうか。
 私たちは、例えば家賃補助など生活のベースを支える施策にもっと予算を振り向けるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナ対策については、医療体制の確保などの予算が十月分までしか計上されていないため、十一月から三月までの分を追加する内容が多くを占めています。
 都は全数把握を見直すとしましたが、届出の数が減ることで現場の負担が減るとしても、変異株流行の察知が遅れてしまったり、現場の疲弊が再び繰り返されることがあってはなりません。
 私たちが何度も提案してきた都のコロナ対策の検証、診療情報と届出とのデータ連携や感染増加期における保健所とその他の関係機関等との業務、役割分担、ここまでの運用の見直しなど、感染状況が落ち着いたこのタイミングでしかできないことがたくさんあるはずです。再び感染の波が起きた場合に備え、こうした取組を求めるものですが、見解を伺います。
 コロナ禍に円安や原材料高などの経営リスクが加わり、企業倒産件数は前年同月比で五か月連続で増えており、対策は待ったなしの状況です。国は今月末に、実質無利子、無担保融資を終了すると発表しており、今後は返済の負担軽減が重要になります。
 都としても、中小企業ごとの実情を踏まえ、相談や販路開拓支援、資金繰り支援などの中小企業支援に関係機関と共に取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、賃上げ、人への投資について伺います。
 都は、「未来の東京」重点政策方針で、成長を生み出す社会の実現に、所得水準の向上が課題と明記したことは重要ですが、課題に対する処方箋は「未来の東京」には書かれていません。
 来月から最低賃金が上がります。茨城県知事は、県内経済四団体と労働局へ最低賃金の上乗せ引上げを要請しています。小池知事においても、所得向上に向けた率先した取組が必要だと考えます。
 今後、知事は、所得水準の向上を実現するためにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 補正予算では、賃上げ計画を策定した場合の補助率引上げや賃上げに取り組む企業への奨励金支給などが盛り込まれました。
 しかし、これだけでは十分とはいえません。都内中小企業の賃上げへの動きに確実に結びつけるために、事業の周知とさらなる支援の拡大に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 賃金を大きく引き上げるためには職場外訓練やリスキリングを推進、拡充することも必要です。企業や労働者には学びに対する意欲がありますが、現在提供されている再教育の内容とはギャップがあります。さらに、DX、GX人材不足、グリーン分野での人材育成を支援するグリーンリスキリングという新たなニーズにも対応する必要があります。
 そこで、企業や労働者、地域ごとに異なる企業のニーズを踏まえて、所得向上にも資する教育訓練、学び直しのさらなる支援の拡充が必要だと考えますが、見解を伺います。
 次に、都民生活への支援について伺います。
 補正予算では、九月五日の私たちの要望にもある、低所得者のひとり親世帯などに対する生活支援事業として、児童一人当たり五万円の上乗せ給付が盛り込まれたことは評価します。
 賃金が上がらない中、生活必需品を中心に物価は高騰し、今後も低所得者の方たちの生活はますます苦しくなることが想定されます。
 そこで、今後とも低所得者に対する都としての積極的な経済的支援を求めるものですが、今回の五万円上乗せの考え方を含め、見解を伺います。
 コロナ禍で困窮した人に対する国の生活福祉資金の特例貸付の返済が来年一月から始まります。全国的にも返済不能な人が相当数発生すると見られており、生活保護への移行をはじめ、生活再建、自立支援に向けた継続的な伴走支援が求められます。
 補正予算では生活福祉資金貸付補助として四億円が計上されましたが、生活福祉資金を借りた人が償還困難な状況にある場合、継続的な相談が不可欠です。これをどう区市町村の相談や支援につなげていくのか、見解を伺います。
 関連して、区市が行う生活困窮者自立支援事業、就労支援までの包括的、伴走型支援は、困難を抱えつつも、就労して生活の自立を目指す人にとっては大変有益な事業になると思われます。特に就労支援においては、当事者とマッチングする就労先の開拓に相当の労力、時間を費やすとの声を聞きます。また、就労先は区市町村の区域を越える場合もあるとも聞きます。
 そこで、区市の就労支援事業を支援するため、都が率先して多様な訓練先や就労先を開拓し、区市と当該情報の共有、紹介を行うとともに、区市の就労支援事業との連携を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育について伺います。
 子供の心身の健全な発達に直結する学校給食は、ウクライナ危機など、様々な環境の変化が生じても、確実に維持されなければならない重要な施策です。
 こうした認識の下、第二回定例会では、政府に対して、学校給食への更なる支援に関する意見書が全会派一致で採択されました。都としても、子育て家庭の負担軽減に向けて取組を強化すべきと考えます。
 現在、都内五つの自治体で給食費を実質無償化しており、先日も葛飾区が二〇二三年度から完全無償化する方針を打ち出したほか、多くの区市町村で給食費に補助をしています。九月十五日には、千葉県が公立小中学校の第三子以降の給食費を無償化するための補正予算を県議会に提案しました。
 そこで、東京都も学校給食の無償化に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 英語スピーキングテストについて申し上げます。
 私たちは、東京都教育委員会が都立高等学校の入学者選抜に活用しようとしている中学校英語スピーキングテストは、評価及び判定の基準を標準化することが困難であり、評価者による評価及び判定のばらつきを完全に避けることは難しいことから、入学者の選抜の平等性及び公平性を確保する必要があると考えています。
 そのため、今定例会において、東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する条例案を議員提案するものです。皆様のご賛同を切にお願い申し上げます。
 次に、高校生等の医療費助成について伺います。
 高校生等医療費助成事業については、市長会などから、令和八年度以降も市などに財政負担が生じないよう、都の責任で恒久的に財源を負担することをはじめ、所得制限や一部負担金を撤廃することなど、極めて強い要望がありました。
 そこで、市長会などからの要望に対して都としてどのように対応していくのか、見解を伺います。
 次に、障害福祉の推進について伺います。
 補正予算では、新規事業として手話の普及拡大事業六千万円が計上されました。手話言語条例は私たちも肝煎りで進めてきたこともあり、早速補正予算での対応が見られたことをありがたく思っています。
 しかし、これでゴールというわけではありません。条例をつくっただけでは社会は変わらず、行政の粘り強い取組が求められます。
 デフリンピック二〇二五年大会の東京開催が決まり、今後、国際手話をはじめ、ますます言語としての手話を広め、普及させていくことが求められると考えますが、今回の補正予算も含めて、知事の見解を伺います。
 聴覚障害者の情報保障について、二〇二一年七月から公共インフラとしての二十四時間対応の電話リレーサービスが始まりました。しかし、通訳者の公的派遣受付は、土日、夜間実施されていないため、緊急時には警察などに電話連絡できても、現場における情報支援は、通訳がいないため、十分ではありません。
 コロナで苦しんだ当事者の方からは、救急搬送先の医療機関が住んでいる自治体とは別の自治体で、ましてや夜間であったので通訳も頼めなかった旨の話も聞きました。都として、二十四時間対応の広域派遣受付体制の構築に向けた取組が必要です。
 最低限、医療機関において手話での対応ができるよう医療機関に対して働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、現在、都内には手話言語を中心とした聞こえない乳幼児のための公的な事業所はありませんが、京都や大阪では、聞こえない子供たちが手話言語を獲得するための事業を実施していると聞いております。
 そこで、東京都としても、京都や大阪を参考にして、聞こえない乳幼児の手話言語獲得に向けての環境を整備するなど、難聴児への支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、高次脳機能障害者施策の推進です。
 脳梗塞や、くも膜下出血といった脳血管障害や、事故などによる脳外傷などによる高次脳機能障害を持つ人は、高齢化などに伴い年々増えています。しかし、施策を展開する上での基礎となる実態調査は、今から十五年前の平成十九年のものしかなく、この間の社会状況の変化に対応したものとなってはいません。
 そこで、高次脳機能障害の実態調査を改めて実施し、施策の改善、拡充に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 共生社会をつくっていく中での課題の一つに、補助犬の認知がまだまだ進んでいないということがあります。補助犬ユーザーは、補助犬と共に暮らす中で多くの困り事を抱えていますが、今特に改善を強く望まれているのが補助犬の排せつについてです。
 補助犬は、排せつを車椅子使用者対応トイレで適切に処理できるようにトレーニングされています。しかし、このことが十分に理解されておらず、時に非難されることもあるとのことです。
 この現状を改善し、理解を広げるよう取り組むとともに、すぐにもできる第一歩として、都庁舎、都有施設の車椅子使用者対応トイレにほじょ犬マークを掲示すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、脱炭素社会づくりについて伺います。
 八月二十四日、岸田総理大臣はこれまでの方針を大転換し、原子力発電所の新増設や稼働期間の延長について検討を進める考えを表明しました。
 一方で小池知事は、希望の党の代表だった二〇一七年に、二〇三〇年までに原発ゼロを公約として掲げていました。このことを記者会見で問われた知事は、原発再稼働は東京電力管内は入っていない、新増設についても新しい技術をどう信頼を得ていくのかに尽きるとの発言にとどまっています。
 そこで、原発ゼロ、原発再稼働や新増設の賛否について、政治家として、明確な小池知事の見解を伺います。
 次に、建築物環境報告書制度(仮称)について伺います。
 新築住宅への太陽光パネルの設置義務化の言葉が独り歩きし、都議会にも太陽光パネルの設置義務化に反対する意見がいまだに届いています。知事や都からの条例改正に向けた説明が尽くされていないと考えるものです。
 一方で、都内に建つ新築住宅は狭小なものも多く、立地や形状などからパネルを設置できない物件も少なくないと思います。パネル設置後に日照を遮られることも考えられ、設置費用の回収などにも差が出ると予想されます。また、パネルを設置できる環境になく、高い電気料金を払い続けることになる既存住宅や賃貸住宅に住む人々の理解を得ることができるのかも課題です。
 新築住宅への再エネ設備の設置を進めるに当たっては、都民間で新たな不公平感を生じさせることのないよう、パネル設置ができない人や、既存住宅、賃貸住宅に住む人などの多くの都民も賛同するゼロエミッションへの取組が必要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 新しい制度を契機に、中小ハウスメーカー等の中にも、太陽光パネル設置に積極的に取り組む事業者は少なくないと考えます。
 年間二万平米以上の住宅、ビルを建築しない事業者による太陽光パネルなどの設置の取組を評価するためにも、建築物環境報告書制度(仮称)において、任意での提出を推奨すべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、パネルのリサイクルシステムの構築を進める必要があります。そのためには、パネル重量の約六割から七割を占めるガラスのリサイクル、リユースルート確立、リデュースも見据えた取組、そして、収集費用の削減には購入時デポジット制の導入などの手法も考えられます。
 太陽光パネル設置促進の出口戦略でもあるリサイクルシステムの構築にどう取り組むのか、見解を伺います。
 以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○知事(小池百合子君) 西沢けいた議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、国葬への認識についてのお尋ねでありました。
 国葬は、故人に対する敬意と弔意を表すため、国内外から四千人を超える方々の参加の下、執り行われたものであります。
 また、外には多くの方が献花に訪れられて長蛇の列ができておりました。
 私も多くの方々と共に安倍元総理に感謝の思いをお伝えし、お見送りをすることができたと存じます。
 組織委員会の元理事についてのお尋ねです。
 大会は、多くの方々の協力を得ながら困難を乗り越えて開催することができました。一方で、このような事件が起きたことは誠に残念であります。
 本件は捜査中の案件でありまして、引き続き清算法人に対して捜査に全面的に協力するよう求めてまいります。
 なお、都は、一連の報道を踏まえまして、清算法人に対し、契約手続等について改めて確認をいたしました。
 次に、補正予算についてですが、都はこれまでも、新たな変異株の流行や円安の進行に伴う物価の高騰など、刻一刻と変化する状況を見極め、迅速に予算措置を講じるなど、都民の安全・安心の確保と経済の回復に向け、全力で取り組んでまいりました。
 今回の補正予算におきましても、医療機関への物価高騰に対する直接的な支援など、これまでよりも一歩踏み込んだ対策を講じます。
 さらに、低所得のひとり親世帯等に対する支援など、都民生活を守るための対策を一段と強化しております。
 今後とも、都民の暮らしを守り抜くため、必要な施策を機動的かつ的確に講じていくことで、誰もが希望を持てる社会の実現につなげてまいります。
 続いて、所得水準の向上についてであります。
 賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業による様々な取組に支援を行っておりまして、生産性の向上と賃上げの両立する働きがいのある職場づくりも促進してまいります。
 こうした取組により、働く方の所得水準の向上につなげてまいります。
 次に、手話の普及についてでございます。
 手話は、独自の文法を持つ一つの言語であり、聴覚障害のある方にとりまして重要なコミュニケーション手段の一つであります。
 都はこれまで、都民への手話の理解促進、そして手話通訳者の養成などに取り組んでまいりました。
 今月、さきの定例会で成立した手話言語条例が施行され、今後、体験型のイベントを実施するなど、広く手話の普及に取り組んでまいります。
 障害のある方への情報保障を確立し、誰もが自然に手を差し伸べられる社会を根づかせ、東京を一人一人が輝く都市にしてまいります。
 エネルギー施策についてのお尋ねです。
 原子力発電の運転の可否、そして新増設につきましては、最終的に国等の判断によりますが、安全性の確保を大前提として、地元の理解が得られることが何より大事でございます。
 都は、引き続き、現下のエネルギー危機を乗り越えるとともに、脱炭素社会の実現に向けまして、電力を減らす、つくる、ためる、HTTの取組を一層加速させてまいります。
 住宅の脱炭素化に向けた取組について、最後にご質問がありました。
 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、都内エネルギー消費量の約三割を占め、部門別で唯一その値が増加している家庭部門への対策が急務でございます。
 このため、都は、新築住宅等への太陽光発電設備の設置などを大手住宅供給事業者等に義務づける全国初の制度を創設しまして、世界の潮流に遅れることなく、住宅の脱炭素化を加速してまいります。
 なお、この制度では、注文住宅の施主は再エネ導入等につきまして必要な措置を講じて環境負荷の低減に努めるという義務が、また、建て売り分譲住宅の購入者等は再エネ導入等について理解を深め環境への負荷低減に努めるという義務が課せられることとなります。
 また、新制度では、住宅の環境性能の決定に大きな役割を担う事業者を義務対象とすることによりまして、断熱性や省エネ性にも優れ、経済的で健康にも資する住宅の標準化を促します。そして、都民生活全体に多様なメリットを波及させてまいります。
 さらに、これまでも既存の住宅や賃貸住宅等に対して再エネ設備の導入や高断熱化、省エネ家電への買換え等、幅広い支援策を積極的に展開をしております。
 新制度の導入に加えて、これらの多様な取組を通じ、都民の共感を得ながら住宅の脱炭素化を実現してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 国葬儀での警備についてお答えいたします。
 昨日、日本武道館において故安倍晋三国葬儀が執り行われ、警備に当たりましたが、国内外要人を含む参列者の安全と国葬儀の円滑な進行を確保するという所期の目的は達成できたものと考えております。
 警視庁では、本警備の発端が安倍晋三元内閣総理大臣に対する犯行を私ども警察が阻止できなかったことにあるということを極めて重大に、重く受け止めており、当庁、ひいては警察の存在意義が問われる非常に重要な警備であるとの認識の下、各県から派遣いただいた多数の応援部隊と緊密に連携しながら、全職員が全身全霊で警備諸対策に取り組んでまいりました。
 多数参列された要人の警護に関しては、先月警察庁から示された警護に関する検証結果、これに伴う警護の見直しの内容に基づいて実施をいたしました。
 国葬儀は無事執り行われましたが、いまだ都内には多くの外国要人が滞在中であることから、気を緩めることなく警備を続けてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 学校給食の無償化に向けた取組についてでございますが、学校給食法では、学校給食は学校の設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされており、無償化については国の責任と負担によるべきものと考えております。
 物価が高騰する中、都立学校においては、こうした考え方に立って、既に国の地方創生臨時交付金を活用し、給食費の負担軽減を図る支援を行っております。
 区市町村立小中学校においても同様に、学校設置者が判断して保護者の負担軽減を図っております。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 半旗掲揚についてでございますが、国は今回、国全体としての弔意を表明するため、国葬を実施いたしました。都といたしましても、半旗の掲揚による弔意の表明を行ったところでございます。
 なお、弔意表明を強制するとの誤解を招かないようにとの国の考えを踏まえまして、都庁本庁舎で半旗の掲揚を行ったところでございます。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、旧統一教会や関連団体と都の関わりについてであります。
 都においては、イベント等に係る後援名義等について、文書の保存年限である三年間において調査を行った結果、旧統一教会や、報道、インターネット等で関連団体とされている団体等に対して承認は行っていないと確認をいたしております。
 なお、現在、委託事業、補助事業、寄附等につきまして、確認を各局において行っているところでございます。
 次に、関連文書の公開についてでございます。
 組織委員会の清算法人からは、捜査が行われている中で、本件に関連する文書の公開は困難であると聞いております。
 また、清算法人が所有する文書は、契約相手の事業情報など守秘義務が課されているものがあるほか、個人情報を含む文書もあり、このような文書は公開になじまないとのことでございます。
 最後に、共同実施事業の契約についてでございます。
 共同実施事業は、組織委員会、東京都、国で構成いたします共同実施事業管理委員会において、必要性、効率性、納得性などの観点から、案件ごとに経費の精査と確認を行っており、また、その内容については既に都のホームページに公表しております。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 都民からの相談への対応についてお答えいたします。
 都では、消費生活や福祉、人権などの窓口を設置しており、日頃から相談内容に応じて、関係機関とも連携しながら多様な相談に応じております。
 このたび、霊感商法等への関心が高まっている現状を踏まえ、都では、庁内連携会議を開催して情報を共有するとともに、都内三弁護士会に協力を依頼し、相談対応の強化を図っております。
 今後も関係機関と連携しながら、都民からの様々な相談に、相談者個々の事情を踏まえ丁寧に対応してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 新型コロナの感染拡大に備えた取組についてご質問にお答えいたします。
 都は、これまでの感染の波の経験や専門家の科学的な知見を踏まえまして、必要とする方が必要な医療やサービスを受けられるよう、保健所のDX化や役割、業務の重点化を図るなど、保健、医療提供体制を強化してまいりました。
 今般の全数届出の見直しに際しましても、この体制を基本に、都民一人一人の命と健康を守る環境を整えております。
 また、現場で対策に当たる都といたしまして、国に対し、医療機関におけるシステム間の連動性の確保や医療用物資の確保、国産の治療薬やワクチンの開発などを要望しております。
 こうした取組を着実に進めまして、対応に万全を期してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業への支援についてでございますが、中小企業の経営改善に向けた様々な取組を支援することは必要でございます。
 都では、経営上の相談を行う窓口を設けるほか、経済団体と協力し、中小企業のサポートを行っております。
 今後は、新たな取引先を増やすため、ECサイトに出店する経費に助成を行うほか、円安の影響による資金繰りを下支えするため、制度融資の保証料補助の充実を図ります。
 これらの取組によりまして中小企業の経営を支援いたします。
 次に、賃金の引上げに向けた取組についてでございますが、中小企業が事業の発展に向け、生産性を高め、賃金の引上げを図ることは必要でございます。
 このため、都は、中小企業が効率的な設備を導入する支援について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成の率を引き上げます。また、働き方のルールを改善し、勤務の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者に奨励金を支給いたします。
 これらによりまして、中小企業の従業員の処遇改善を着実に後押しいたします。
 最後に、人材育成への支援についてでございますが、東京の中小企業が事業の継続と発展のため、社員の力を伸ばし、労働生産性を高める取組は重要でございます。
 都は、中小企業が従業員に対し、仕事で必要となるノウハウを学ぶ研修等を社内において実施した場合、その経費の一部に助成を行っております。
 今後は、この支援の規模を拡充し、中小企業の人材育成を後押しいたします。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、低所得のひとり親家庭への支援についてでございますが、都は、コロナ禍が長期化する中で、ひとり親家庭等を支援するため、子育て世帯生活支援特別給付金の支給や母子及び父子福祉資金の返済猶予などを行ってまいりました。
 今般、物価高騰等の影響を踏まえ、地域の実情に応じて低所得のひとり親家庭等に独自に給付金等を支給する区市町村を支援することとし、給付実績等を踏まえ、児童一人当たり五万円を基準として、必要な経費を補正予算案に計上してございます。
 これらの取組により、引き続きひとり親家庭を支援してまいります。
 次に、生活福祉資金の償還が困難な方への支援についてでございますが、生活福祉資金の償還が困難な方を含め、生活困窮者からの相談は、区市等が生活困窮者自立支援法に基づき設置する窓口で対応してございます。
 今月末で生活福祉資金の特例貸付が終了することから、都は、区市等及び貸付けの実施主体である東京都社会福祉協議会に対して、償還が困難な方などには必要に応じて生活状況を丁寧に聞き取り、生活困窮者自立支援金や生活福祉資金の通常貸付け、生活保護など、個々の状況に応じた適切な支援につなげるよう周知してございます。
 次に、生活困窮者の就労支援についてでございますが、都は、雇用による就業継続が困難な方に就労の機会等を提供する事業所を認定就労訓練事業所として認定し、ホームページで公表するとともに生活困窮者の相談窓口を設置する区市に情報提供しております。
 また、東京しごとセンターでは、就労に困難を抱える方のため、求人のある企業などを紹介しており、こうした取組について区市町村と情報を共有してございます。
 引き続き、区市町村と連携し、生活困窮者の就労支援に取り組んでまいります。
 次に、高校生等医療費助成事業についてでございますが、都は、事業の実施主体である区市町村との負担割合を二分の一とし、所得制限や一部自己負担を設けることを基本的な枠組みとしており、早期の事業開始を促進するため、令和五年度から七年度までの間は都の負担割合を十分の十としてございます。
 令和八年度以降の取扱いなどにつきましては、今後、区市町村との間で協議の場を設置し、検討することとしてございます。
 次に、手話に関する医療機関への働きかけについてでございますが、都は、障害者差別解消条例に基づき、過重な負担のない範囲で障害のある方への合理的配慮を事業者に義務づけており、意思疎通の配慮の具体例として、手話や筆談などを用いることを周知してございます。
 また、都庁舎や事業所等で導入しているタブレット端末等を活用した遠隔手話通訳や公共インフラの電話リレーサービスをホームページ等で広く紹介してございます。
 医療機関に対しては、障害者差別解消法に基づく国のガイドラインを周知するとともに、都が策定した病院管理の手引に障害者への理解促進に関する項目を設けており、引き続き適切な対応が図られるよう働きかけてまいります。
 次に、難聴児への支援についてでございますが、都立聴覚障害特別支援学校では、乳幼児教育相談において手話や指文字、聴覚活用などの多様なコミュニケーション手段の獲得を支援してございます。
 また、一部の民間事業所では、手話の指導や手話環境の中での集団活動、学習指導などを行ってございます。
 これらの支援をはじめ、難聴児と保護者を個々の状況に応じたサービスや医療などにつなげるため、都は、医療、保健、療育、教育などの関係機関で構成する協議会を設置し、相談対応や情報提供などを担う中核的機能の在り方などを検討することとしてございます。
 次に、高次脳機能障害者施策についてでございますが、都は、心身障害者福祉センターを支援拠点として高次脳機能障害に関する施策を展開するに当たりまして、高次脳機能障害者の生活実態等を平成十九年度に調査し、この結果も踏まえ、普及啓発や相談支援、人材育成を行うほか、地域におけるネットワークの構築等に取り組んでございます。
 また、これまでもセンターや区市町村、地域の医療機関、就労支援機関などで構成する検討の場や、定期的に行う障害者の実態調査などにより、高次脳機能障害者の生活実態や課題を把握しておりまして、引き続き、こうした調査結果等も活用しながら施策を進めてまいります。
 最後に、ほじょ犬マークについてでございますが、身体障害者補助犬法では、公共施設等での補助犬の受入れを義務づけており、国は、法の理解促進を図るため、ほじょ犬マークを作成してございます。
 都は、ほじょ犬マークをホームページなどで広く紹介するほか、動画やパンフレットを作成し、補助犬の受入れに関する理解促進を図ってございます。
 また、障害者の差別解消に関する相談事例集などでマークを庁内に周知しており、引き続き、補助犬を同伴する障害者が円滑に施設等を利用できるよう、ほじょ犬マークの普及を図ってまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、仮称でございますが、建築物環境報告書制度における任意提出についてでございます。
 脱炭素社会の実現に向けては、高い断熱、省エネ性能や太陽光発電設備等を備えた住宅等が標準仕様となるよう取組を強化していくことが重要でございます。
 今月に発表した基本方針でもお示ししましたとおり、本制度案では大手住宅供給事業者を対象とするほか、制度対象以外の事業者による任意での報告書の提出を認める仕組みとしてございます。
 こうした取組を通じまして、中小事業者も含め、都内に供給される建物全体の環境性能の向上につなげてまいります。
 次に、太陽光パネルのリサイクル等についてでございますが、太陽光パネルはガラスやアルミ等の再利用可能な資源を含むことから、将来の大量廃棄を見据え、確実にリサイクルできる体制を整えていくことが重要でございます。
 都は本年六月、住宅用パネルに関して、リサイクルにおける効率的な収集運搬やリユースにおける発電性能の把握などの課題について取組方針を取りまとめました。
 今月には、住宅用パネルのリサイクルに向け、建物解体、収集運搬等の事業者で構成する協議会を立ち上げました。
 協議会では既に、事業用パネルをリサイクルしている処理施設へ住宅用パネルも誘導するとともに、収集方法等の検証を実施してまいります。
 今後も関係事業者と連携しながら、住宅用パネルのリサイクルルートを構築し、資源循環を推進してまいります。

○六十七番(本橋たくみ君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時三十七分散会

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