令和四年東京都議会会議録第十三号

○議長(三宅しげき君) 百二十三番西沢けいた君。
   〔百二十三番西沢けいた君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二十三番(西沢けいた君) 質問に先立ち、八月十八日、西山賢都議会議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、知事及び関係局長に、警視総監に質問をいたします。
 初めに、安倍晋三元首相の国葬について伺います。
 安倍晋三元総理大臣が亡くなられた事件は社会に強い衝撃を与え、国民の多くが銃撃への憤りとともに、非業の最期を遂げた故安倍氏への哀惜の念を抱きました。
 しかし、閣議で拙速に決定し、国会での議論は事後、予備費から全額を国費で支出するなど、政治色の強まりにより、国葬に対する世論は大きく二分されました。
 政治的評価はともかく、総理大臣の重責を長期間担われたことへの敬意、そして何人も暴力で命を奪われてはならないという気持ちは、当然私たちも同じです。しかし、その気持ちと政治色が強い国葬等への行政としての対処は別でなければならず、政府のこうしたやり方には到底納得できるものではありません。
 都は、家族葬に際して都施設で半旗を掲揚、知事は、国葬をやらないとあれっと思われると述べ、ご出席もされ、都庁舎には再び半旗を掲げました。
 国葬について、改めて政治家としての知事の認識を伺います。
 家族葬の際には、都から各機関に半旗掲揚の事務連絡が出されました。私たちは、取扱基準もない中では実質的な強制であり、国葬に際しては半旗の掲揚、その通知などを行わないよう申入れをしました。また、学校に対して半旗掲揚を求めたことは教育基本法に反するとの指摘もあり、世論の反発も高まりました。
 こうしたことを受けて、昨日の国葬当日、都は、都庁舎に半旗を掲げ、半旗掲揚に関する通知などは行いませんでした。この判断の理由は何か、また知事からの指示はあったのか伺います。
 次に、要人警護について伺います。
 国葬には、国内だけでなく、海外からも多くの要人が訪問されました。銃撃事件を踏まえ、警察庁では検証結果と再発防止のための報告書をまとめ、警視庁も再発防止に向け全身全霊で警備に当たるとして臨んだことと思います。
 暴力によって政治的主張を訴えることは断じて防がなければならず、私たちもやるのであれば、警備については万全に万全を期す体制で臨まなければ民主主義の根幹に関わると要請してきました。
 昨日の国葬での警備について、どのような姿勢で臨んだのか、警視総監の見解を伺います。
 安倍元首相の死去や国葬を契機に、旧統一教会の活動、政治家との関わりに注目が集まり、悪質商法や人権侵害などの教会による諸問題がクローズアップされています。
 過去、教会などによる都のイベント参加や都への寄附、関係団体のキャンペーンへの都の参加、教会関連の新聞や雑誌などの購読など、東京都として旧統一教会や関係団体との関わりがあったのか、あった場合、今後どう対応するのか伺います。
 旧統一教会の問題で深刻なのが、いわゆる二世信者といわれる子供たちへの支援の不足です。自分自身の信教の自由や、権利の主体としての人権すら守られないまま育ち、社会から孤立して苦しむ人々が現に多く存在します。そうした方々に対して、自立支援や生活保護といった社会福祉につなぐことや、心情の部分までもケアできる支援体制が求められており、例えば富山県は今月十四日から、宗教二世などを対象とした総合電話窓口を設置しています。
 都は来月二日間、霊感・開運商法特別相談を実施すると聞いておりますが、常設の窓口と併せて、二世問題を含む旧統一教会に関するご相談があった際には、その方の事情や背景まで丁寧に酌み取り、各機関と連携しながら困り事を解決していく支援体制が必要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック大会汚職事件について伺います。
 八月十七日、組織委員会の元理事が、AOKIに関する受託収賄の疑いで逮捕され、その後、KADOKAWA、大広など、汚職事件は、なお広がりを見せています。
 これは元理事による事件ではありますが、東京都は組織委員会と一体となって開催準備を進めてきており、人ごとではないと考えます。冬季五輪の招致を目指す札幌への影響も甚大です。
 私は、政治家小池百合子自らがこの問題に主体性を持って、他に同様の事例がないか、出向していた職員へのヒアリングを含め徹底して調査をし、都民に対して説明責任を果たすべきと考えます。見解をお伺いいたします。
 二〇二〇年の第一回定例会で、私たちも共同提案者となり、オリンピック・パラリンピック大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例が可決、成立しましたが、文書を保存していても、それが活用されなければ全く意味をなしません。速やかに関連文書を公開すべきと考えますが、見解を伺います。
 オリンピック汚職では、ユニホームの製作でも便宜画策かとの報道も見られます。一方で、都民の税金を充当して実施された共同実施事業でも、株式会社AOKIホールディングスとの間で大会技術役員のフォーマルユニホームの製作として一億八千三百四十万円余りのパートナー供給契約を交わしています。
 また、株式会社大広とも、江の島ヨットハーバーの関係で計七回、二億四千五百八十万円の特別契約を交わしています。
 私は都民の税金を充当している以上、最低限、これら共同実施事業での契約については、都が率先して契約内容や契約締結までの経過などについて調査し、説明すべきであったと考えますが、見解を伺います。
 次に、補正予算について伺います。
 十月に値上げされる食品等が六千三百五品目にも上り、今年最多となった八月の二・五倍、値上げの秋といわれ、物価高騰対策は喫緊の課題です。
 私たちが要請をした低所得のひとり親世帯などへの給付金やコロナ禍で生活福祉資金を借りた方のフォローアップなどの支援策、事業者への支援策が計上されました。また、私たちが提案した都有施設の電力RE一〇〇早期達成にも資する蓄電池等を含めた分散型エネルギーリソースの活用も計上されており、その点は評価するものです。
 しかし、コロナ禍や物価高騰の影響のさらなる長期化も懸念されており、コロナ前から苦しかった方も含め、物価高騰から都民の生活を守り、誰も取り残すことなく反転攻勢するステージへと進むためには、今後ともさらなる取組が必要ではないでしょうか。
 私たちは、例えば家賃補助など生活のベースを支える施策にもっと予算を振り向けるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナ対策については、医療体制の確保などの予算が十月分までしか計上されていないため、十一月から三月までの分を追加する内容が多くを占めています。
 都は全数把握を見直すとしましたが、届出の数が減ることで現場の負担が減るとしても、変異株流行の察知が遅れてしまったり、現場の疲弊が再び繰り返されることがあってはなりません。
 私たちが何度も提案してきた都のコロナ対策の検証、診療情報と届出とのデータ連携や感染増加期における保健所とその他の関係機関等との業務、役割分担、ここまでの運用の見直しなど、感染状況が落ち着いたこのタイミングでしかできないことがたくさんあるはずです。再び感染の波が起きた場合に備え、こうした取組を求めるものですが、見解を伺います。
 コロナ禍に円安や原材料高などの経営リスクが加わり、企業倒産件数は前年同月比で五か月連続で増えており、対策は待ったなしの状況です。国は今月末に、実質無利子、無担保融資を終了すると発表しており、今後は返済の負担軽減が重要になります。
 都としても、中小企業ごとの実情を踏まえ、相談や販路開拓支援、資金繰り支援などの中小企業支援に関係機関と共に取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、賃上げ、人への投資について伺います。
 都は、「未来の東京」重点政策方針で、成長を生み出す社会の実現に、所得水準の向上が課題と明記したことは重要ですが、課題に対する処方箋は「未来の東京」には書かれていません。
 来月から最低賃金が上がります。茨城県知事は、県内経済四団体と労働局へ最低賃金の上乗せ引上げを要請しています。小池知事においても、所得向上に向けた率先した取組が必要だと考えます。
 今後、知事は、所得水準の向上を実現するためにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 補正予算では、賃上げ計画を策定した場合の補助率引上げや賃上げに取り組む企業への奨励金支給などが盛り込まれました。
 しかし、これだけでは十分とはいえません。都内中小企業の賃上げへの動きに確実に結びつけるために、事業の周知とさらなる支援の拡大に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 賃金を大きく引き上げるためには職場外訓練やリスキリングを推進、拡充することも必要です。企業や労働者には学びに対する意欲がありますが、現在提供されている再教育の内容とはギャップがあります。さらに、DX、GX人材不足、グリーン分野での人材育成を支援するグリーンリスキリングという新たなニーズにも対応する必要があります。
 そこで、企業や労働者、地域ごとに異なる企業のニーズを踏まえて、所得向上にも資する教育訓練、学び直しのさらなる支援の拡充が必要だと考えますが、見解を伺います。
 次に、都民生活への支援について伺います。
 補正予算では、九月五日の私たちの要望にもある、低所得者のひとり親世帯などに対する生活支援事業として、児童一人当たり五万円の上乗せ給付が盛り込まれたことは評価します。
 賃金が上がらない中、生活必需品を中心に物価は高騰し、今後も低所得者の方たちの生活はますます苦しくなることが想定されます。
 そこで、今後とも低所得者に対する都としての積極的な経済的支援を求めるものですが、今回の五万円上乗せの考え方を含め、見解を伺います。
 コロナ禍で困窮した人に対する国の生活福祉資金の特例貸付の返済が来年一月から始まります。全国的にも返済不能な人が相当数発生すると見られており、生活保護への移行をはじめ、生活再建、自立支援に向けた継続的な伴走支援が求められます。
 補正予算では生活福祉資金貸付補助として四億円が計上されましたが、生活福祉資金を借りた人が償還困難な状況にある場合、継続的な相談が不可欠です。これをどう区市町村の相談や支援につなげていくのか、見解を伺います。
 関連して、区市が行う生活困窮者自立支援事業、就労支援までの包括的、伴走型支援は、困難を抱えつつも、就労して生活の自立を目指す人にとっては大変有益な事業になると思われます。特に就労支援においては、当事者とマッチングする就労先の開拓に相当の労力、時間を費やすとの声を聞きます。また、就労先は区市町村の区域を越える場合もあるとも聞きます。
 そこで、区市の就労支援事業を支援するため、都が率先して多様な訓練先や就労先を開拓し、区市と当該情報の共有、紹介を行うとともに、区市の就労支援事業との連携を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育について伺います。
 子供の心身の健全な発達に直結する学校給食は、ウクライナ危機など、様々な環境の変化が生じても、確実に維持されなければならない重要な施策です。
 こうした認識の下、第二回定例会では、政府に対して、学校給食への更なる支援に関する意見書が全会派一致で採択されました。都としても、子育て家庭の負担軽減に向けて取組を強化すべきと考えます。
 現在、都内五つの自治体で給食費を実質無償化しており、先日も葛飾区が二〇二三年度から完全無償化する方針を打ち出したほか、多くの区市町村で給食費に補助をしています。九月十五日には、千葉県が公立小中学校の第三子以降の給食費を無償化するための補正予算を県議会に提案しました。
 そこで、東京都も学校給食の無償化に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 英語スピーキングテストについて申し上げます。
 私たちは、東京都教育委員会が都立高等学校の入学者選抜に活用しようとしている中学校英語スピーキングテストは、評価及び判定の基準を標準化することが困難であり、評価者による評価及び判定のばらつきを完全に避けることは難しいことから、入学者の選抜の平等性及び公平性を確保する必要があると考えています。
 そのため、今定例会において、東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する条例案を議員提案するものです。皆様のご賛同を切にお願い申し上げます。
 次に、高校生等の医療費助成について伺います。
 高校生等医療費助成事業については、市長会などから、令和八年度以降も市などに財政負担が生じないよう、都の責任で恒久的に財源を負担することをはじめ、所得制限や一部負担金を撤廃することなど、極めて強い要望がありました。
 そこで、市長会などからの要望に対して都としてどのように対応していくのか、見解を伺います。
 次に、障害福祉の推進について伺います。
 補正予算では、新規事業として手話の普及拡大事業六千万円が計上されました。手話言語条例は私たちも肝煎りで進めてきたこともあり、早速補正予算での対応が見られたことをありがたく思っています。
 しかし、これでゴールというわけではありません。条例をつくっただけでは社会は変わらず、行政の粘り強い取組が求められます。
 デフリンピック二〇二五年大会の東京開催が決まり、今後、国際手話をはじめ、ますます言語としての手話を広め、普及させていくことが求められると考えますが、今回の補正予算も含めて、知事の見解を伺います。
 聴覚障害者の情報保障について、二〇二一年七月から公共インフラとしての二十四時間対応の電話リレーサービスが始まりました。しかし、通訳者の公的派遣受付は、土日、夜間実施されていないため、緊急時には警察などに電話連絡できても、現場における情報支援は、通訳がいないため、十分ではありません。
 コロナで苦しんだ当事者の方からは、救急搬送先の医療機関が住んでいる自治体とは別の自治体で、ましてや夜間であったので通訳も頼めなかった旨の話も聞きました。都として、二十四時間対応の広域派遣受付体制の構築に向けた取組が必要です。
 最低限、医療機関において手話での対応ができるよう医療機関に対して働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、現在、都内には手話言語を中心とした聞こえない乳幼児のための公的な事業所はありませんが、京都や大阪では、聞こえない子供たちが手話言語を獲得するための事業を実施していると聞いております。
 そこで、東京都としても、京都や大阪を参考にして、聞こえない乳幼児の手話言語獲得に向けての環境を整備するなど、難聴児への支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、高次脳機能障害者施策の推進です。
 脳梗塞や、くも膜下出血といった脳血管障害や、事故などによる脳外傷などによる高次脳機能障害を持つ人は、高齢化などに伴い年々増えています。しかし、施策を展開する上での基礎となる実態調査は、今から十五年前の平成十九年のものしかなく、この間の社会状況の変化に対応したものとなってはいません。
 そこで、高次脳機能障害の実態調査を改めて実施し、施策の改善、拡充に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 共生社会をつくっていく中での課題の一つに、補助犬の認知がまだまだ進んでいないということがあります。補助犬ユーザーは、補助犬と共に暮らす中で多くの困り事を抱えていますが、今特に改善を強く望まれているのが補助犬の排せつについてです。
 補助犬は、排せつを車椅子使用者対応トイレで適切に処理できるようにトレーニングされています。しかし、このことが十分に理解されておらず、時に非難されることもあるとのことです。
 この現状を改善し、理解を広げるよう取り組むとともに、すぐにもできる第一歩として、都庁舎、都有施設の車椅子使用者対応トイレにほじょ犬マークを掲示すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、脱炭素社会づくりについて伺います。
 八月二十四日、岸田総理大臣はこれまでの方針を大転換し、原子力発電所の新増設や稼働期間の延長について検討を進める考えを表明しました。
 一方で小池知事は、希望の党の代表だった二〇一七年に、二〇三〇年までに原発ゼロを公約として掲げていました。このことを記者会見で問われた知事は、原発再稼働は東京電力管内は入っていない、新増設についても新しい技術をどう信頼を得ていくのかに尽きるとの発言にとどまっています。
 そこで、原発ゼロ、原発再稼働や新増設の賛否について、政治家として、明確な小池知事の見解を伺います。
 次に、建築物環境報告書制度(仮称)について伺います。
 新築住宅への太陽光パネルの設置義務化の言葉が独り歩きし、都議会にも太陽光パネルの設置義務化に反対する意見がいまだに届いています。知事や都からの条例改正に向けた説明が尽くされていないと考えるものです。
 一方で、都内に建つ新築住宅は狭小なものも多く、立地や形状などからパネルを設置できない物件も少なくないと思います。パネル設置後に日照を遮られることも考えられ、設置費用の回収などにも差が出ると予想されます。また、パネルを設置できる環境になく、高い電気料金を払い続けることになる既存住宅や賃貸住宅に住む人々の理解を得ることができるのかも課題です。
 新築住宅への再エネ設備の設置を進めるに当たっては、都民間で新たな不公平感を生じさせることのないよう、パネル設置ができない人や、既存住宅、賃貸住宅に住む人などの多くの都民も賛同するゼロエミッションへの取組が必要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 新しい制度を契機に、中小ハウスメーカー等の中にも、太陽光パネル設置に積極的に取り組む事業者は少なくないと考えます。
 年間二万平米以上の住宅、ビルを建築しない事業者による太陽光パネルなどの設置の取組を評価するためにも、建築物環境報告書制度(仮称)において、任意での提出を推奨すべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、パネルのリサイクルシステムの構築を進める必要があります。そのためには、パネル重量の約六割から七割を占めるガラスのリサイクル、リユースルート確立、リデュースも見据えた取組、そして、収集費用の削減には購入時デポジット制の導入などの手法も考えられます。
 太陽光パネル設置促進の出口戦略でもあるリサイクルシステムの構築にどう取り組むのか、見解を伺います。
 以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○知事(小池百合子君) 西沢けいた議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、国葬への認識についてのお尋ねでありました。
 国葬は、故人に対する敬意と弔意を表すため、国内外から四千人を超える方々の参加の下、執り行われたものであります。
 また、外には多くの方が献花に訪れられて長蛇の列ができておりました。
 私も多くの方々と共に安倍元総理に感謝の思いをお伝えし、お見送りをすることができたと存じます。
 組織委員会の元理事についてのお尋ねです。
 大会は、多くの方々の協力を得ながら困難を乗り越えて開催することができました。一方で、このような事件が起きたことは誠に残念であります。
 本件は捜査中の案件でありまして、引き続き清算法人に対して捜査に全面的に協力するよう求めてまいります。
 なお、都は、一連の報道を踏まえまして、清算法人に対し、契約手続等について改めて確認をいたしました。
 次に、補正予算についてですが、都はこれまでも、新たな変異株の流行や円安の進行に伴う物価の高騰など、刻一刻と変化する状況を見極め、迅速に予算措置を講じるなど、都民の安全・安心の確保と経済の回復に向け、全力で取り組んでまいりました。
 今回の補正予算におきましても、医療機関への物価高騰に対する直接的な支援など、これまでよりも一歩踏み込んだ対策を講じます。
 さらに、低所得のひとり親世帯等に対する支援など、都民生活を守るための対策を一段と強化しております。
 今後とも、都民の暮らしを守り抜くため、必要な施策を機動的かつ的確に講じていくことで、誰もが希望を持てる社会の実現につなげてまいります。
 続いて、所得水準の向上についてであります。
 賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業による様々な取組に支援を行っておりまして、生産性の向上と賃上げの両立する働きがいのある職場づくりも促進してまいります。
 こうした取組により、働く方の所得水準の向上につなげてまいります。
 次に、手話の普及についてでございます。
 手話は、独自の文法を持つ一つの言語であり、聴覚障害のある方にとりまして重要なコミュニケーション手段の一つであります。
 都はこれまで、都民への手話の理解促進、そして手話通訳者の養成などに取り組んでまいりました。
 今月、さきの定例会で成立した手話言語条例が施行され、今後、体験型のイベントを実施するなど、広く手話の普及に取り組んでまいります。
 障害のある方への情報保障を確立し、誰もが自然に手を差し伸べられる社会を根づかせ、東京を一人一人が輝く都市にしてまいります。
 エネルギー施策についてのお尋ねです。
 原子力発電の運転の可否、そして新増設につきましては、最終的に国等の判断によりますが、安全性の確保を大前提として、地元の理解が得られることが何より大事でございます。
 都は、引き続き、現下のエネルギー危機を乗り越えるとともに、脱炭素社会の実現に向けまして、電力を減らす、つくる、ためる、HTTの取組を一層加速させてまいります。
 住宅の脱炭素化に向けた取組について、最後にご質問がありました。
 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、都内エネルギー消費量の約三割を占め、部門別で唯一その値が増加している家庭部門への対策が急務でございます。
 このため、都は、新築住宅等への太陽光発電設備の設置などを大手住宅供給事業者等に義務づける全国初の制度を創設しまして、世界の潮流に遅れることなく、住宅の脱炭素化を加速してまいります。
 なお、この制度では、注文住宅の施主は再エネ導入等につきまして必要な措置を講じて環境負荷の低減に努めるという義務が、また、建て売り分譲住宅の購入者等は再エネ導入等について理解を深め環境への負荷低減に努めるという義務が課せられることとなります。
 また、新制度では、住宅の環境性能の決定に大きな役割を担う事業者を義務対象とすることによりまして、断熱性や省エネ性にも優れ、経済的で健康にも資する住宅の標準化を促します。そして、都民生活全体に多様なメリットを波及させてまいります。
 さらに、これまでも既存の住宅や賃貸住宅等に対して再エネ設備の導入や高断熱化、省エネ家電への買換え等、幅広い支援策を積極的に展開をしております。
 新制度の導入に加えて、これらの多様な取組を通じ、都民の共感を得ながら住宅の脱炭素化を実現してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 国葬儀での警備についてお答えいたします。
 昨日、日本武道館において故安倍晋三国葬儀が執り行われ、警備に当たりましたが、国内外要人を含む参列者の安全と国葬儀の円滑な進行を確保するという所期の目的は達成できたものと考えております。
 警視庁では、本警備の発端が安倍晋三元内閣総理大臣に対する犯行を私ども警察が阻止できなかったことにあるということを極めて重大に、重く受け止めており、当庁、ひいては警察の存在意義が問われる非常に重要な警備であるとの認識の下、各県から派遣いただいた多数の応援部隊と緊密に連携しながら、全職員が全身全霊で警備諸対策に取り組んでまいりました。
 多数参列された要人の警護に関しては、先月警察庁から示された警護に関する検証結果、これに伴う警護の見直しの内容に基づいて実施をいたしました。
 国葬儀は無事執り行われましたが、いまだ都内には多くの外国要人が滞在中であることから、気を緩めることなく警備を続けてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 学校給食の無償化に向けた取組についてでございますが、学校給食法では、学校給食は学校の設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされており、無償化については国の責任と負担によるべきものと考えております。
 物価が高騰する中、都立学校においては、こうした考え方に立って、既に国の地方創生臨時交付金を活用し、給食費の負担軽減を図る支援を行っております。
 区市町村立小中学校においても同様に、学校設置者が判断して保護者の負担軽減を図っております。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 半旗掲揚についてでございますが、国は今回、国全体としての弔意を表明するため、国葬を実施いたしました。都といたしましても、半旗の掲揚による弔意の表明を行ったところでございます。
 なお、弔意表明を強制するとの誤解を招かないようにとの国の考えを踏まえまして、都庁本庁舎で半旗の掲揚を行ったところでございます。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、旧統一教会や関連団体と都の関わりについてであります。
 都においては、イベント等に係る後援名義等について、文書の保存年限である三年間において調査を行った結果、旧統一教会や、報道、インターネット等で関連団体とされている団体等に対して承認は行っていないと確認をいたしております。
 なお、現在、委託事業、補助事業、寄附等につきまして、確認を各局において行っているところでございます。
 次に、関連文書の公開についてでございます。
 組織委員会の清算法人からは、捜査が行われている中で、本件に関連する文書の公開は困難であると聞いております。
 また、清算法人が所有する文書は、契約相手の事業情報など守秘義務が課されているものがあるほか、個人情報を含む文書もあり、このような文書は公開になじまないとのことでございます。
 最後に、共同実施事業の契約についてでございます。
 共同実施事業は、組織委員会、東京都、国で構成いたします共同実施事業管理委員会において、必要性、効率性、納得性などの観点から、案件ごとに経費の精査と確認を行っており、また、その内容については既に都のホームページに公表しております。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 都民からの相談への対応についてお答えいたします。
 都では、消費生活や福祉、人権などの窓口を設置しており、日頃から相談内容に応じて、関係機関とも連携しながら多様な相談に応じております。
 このたび、霊感商法等への関心が高まっている現状を踏まえ、都では、庁内連携会議を開催して情報を共有するとともに、都内三弁護士会に協力を依頼し、相談対応の強化を図っております。
 今後も関係機関と連携しながら、都民からの様々な相談に、相談者個々の事情を踏まえ丁寧に対応してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 新型コロナの感染拡大に備えた取組についてご質問にお答えいたします。
 都は、これまでの感染の波の経験や専門家の科学的な知見を踏まえまして、必要とする方が必要な医療やサービスを受けられるよう、保健所のDX化や役割、業務の重点化を図るなど、保健、医療提供体制を強化してまいりました。
 今般の全数届出の見直しに際しましても、この体制を基本に、都民一人一人の命と健康を守る環境を整えております。
 また、現場で対策に当たる都といたしまして、国に対し、医療機関におけるシステム間の連動性の確保や医療用物資の確保、国産の治療薬やワクチンの開発などを要望しております。
 こうした取組を着実に進めまして、対応に万全を期してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業への支援についてでございますが、中小企業の経営改善に向けた様々な取組を支援することは必要でございます。
 都では、経営上の相談を行う窓口を設けるほか、経済団体と協力し、中小企業のサポートを行っております。
 今後は、新たな取引先を増やすため、ECサイトに出店する経費に助成を行うほか、円安の影響による資金繰りを下支えするため、制度融資の保証料補助の充実を図ります。
 これらの取組によりまして中小企業の経営を支援いたします。
 次に、賃金の引上げに向けた取組についてでございますが、中小企業が事業の発展に向け、生産性を高め、賃金の引上げを図ることは必要でございます。
 このため、都は、中小企業が効率的な設備を導入する支援について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成の率を引き上げます。また、働き方のルールを改善し、勤務の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者に奨励金を支給いたします。
 これらによりまして、中小企業の従業員の処遇改善を着実に後押しいたします。
 最後に、人材育成への支援についてでございますが、東京の中小企業が事業の継続と発展のため、社員の力を伸ばし、労働生産性を高める取組は重要でございます。
 都は、中小企業が従業員に対し、仕事で必要となるノウハウを学ぶ研修等を社内において実施した場合、その経費の一部に助成を行っております。
 今後は、この支援の規模を拡充し、中小企業の人材育成を後押しいたします。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、低所得のひとり親家庭への支援についてでございますが、都は、コロナ禍が長期化する中で、ひとり親家庭等を支援するため、子育て世帯生活支援特別給付金の支給や母子及び父子福祉資金の返済猶予などを行ってまいりました。
 今般、物価高騰等の影響を踏まえ、地域の実情に応じて低所得のひとり親家庭等に独自に給付金等を支給する区市町村を支援することとし、給付実績等を踏まえ、児童一人当たり五万円を基準として、必要な経費を補正予算案に計上してございます。
 これらの取組により、引き続きひとり親家庭を支援してまいります。
 次に、生活福祉資金の償還が困難な方への支援についてでございますが、生活福祉資金の償還が困難な方を含め、生活困窮者からの相談は、区市等が生活困窮者自立支援法に基づき設置する窓口で対応してございます。
 今月末で生活福祉資金の特例貸付が終了することから、都は、区市等及び貸付けの実施主体である東京都社会福祉協議会に対して、償還が困難な方などには必要に応じて生活状況を丁寧に聞き取り、生活困窮者自立支援金や生活福祉資金の通常貸付け、生活保護など、個々の状況に応じた適切な支援につなげるよう周知してございます。
 次に、生活困窮者の就労支援についてでございますが、都は、雇用による就業継続が困難な方に就労の機会等を提供する事業所を認定就労訓練事業所として認定し、ホームページで公表するとともに生活困窮者の相談窓口を設置する区市に情報提供しております。
 また、東京しごとセンターでは、就労に困難を抱える方のため、求人のある企業などを紹介しており、こうした取組について区市町村と情報を共有してございます。
 引き続き、区市町村と連携し、生活困窮者の就労支援に取り組んでまいります。
 次に、高校生等医療費助成事業についてでございますが、都は、事業の実施主体である区市町村との負担割合を二分の一とし、所得制限や一部自己負担を設けることを基本的な枠組みとしており、早期の事業開始を促進するため、令和五年度から七年度までの間は都の負担割合を十分の十としてございます。
 令和八年度以降の取扱いなどにつきましては、今後、区市町村との間で協議の場を設置し、検討することとしてございます。
 次に、手話に関する医療機関への働きかけについてでございますが、都は、障害者差別解消条例に基づき、過重な負担のない範囲で障害のある方への合理的配慮を事業者に義務づけており、意思疎通の配慮の具体例として、手話や筆談などを用いることを周知してございます。
 また、都庁舎や事業所等で導入しているタブレット端末等を活用した遠隔手話通訳や公共インフラの電話リレーサービスをホームページ等で広く紹介してございます。
 医療機関に対しては、障害者差別解消法に基づく国のガイドラインを周知するとともに、都が策定した病院管理の手引に障害者への理解促進に関する項目を設けており、引き続き適切な対応が図られるよう働きかけてまいります。
 次に、難聴児への支援についてでございますが、都立聴覚障害特別支援学校では、乳幼児教育相談において手話や指文字、聴覚活用などの多様なコミュニケーション手段の獲得を支援してございます。
 また、一部の民間事業所では、手話の指導や手話環境の中での集団活動、学習指導などを行ってございます。
 これらの支援をはじめ、難聴児と保護者を個々の状況に応じたサービスや医療などにつなげるため、都は、医療、保健、療育、教育などの関係機関で構成する協議会を設置し、相談対応や情報提供などを担う中核的機能の在り方などを検討することとしてございます。
 次に、高次脳機能障害者施策についてでございますが、都は、心身障害者福祉センターを支援拠点として高次脳機能障害に関する施策を展開するに当たりまして、高次脳機能障害者の生活実態等を平成十九年度に調査し、この結果も踏まえ、普及啓発や相談支援、人材育成を行うほか、地域におけるネットワークの構築等に取り組んでございます。
 また、これまでもセンターや区市町村、地域の医療機関、就労支援機関などで構成する検討の場や、定期的に行う障害者の実態調査などにより、高次脳機能障害者の生活実態や課題を把握しておりまして、引き続き、こうした調査結果等も活用しながら施策を進めてまいります。
 最後に、ほじょ犬マークについてでございますが、身体障害者補助犬法では、公共施設等での補助犬の受入れを義務づけており、国は、法の理解促進を図るため、ほじょ犬マークを作成してございます。
 都は、ほじょ犬マークをホームページなどで広く紹介するほか、動画やパンフレットを作成し、補助犬の受入れに関する理解促進を図ってございます。
 また、障害者の差別解消に関する相談事例集などでマークを庁内に周知しており、引き続き、補助犬を同伴する障害者が円滑に施設等を利用できるよう、ほじょ犬マークの普及を図ってまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、仮称でございますが、建築物環境報告書制度における任意提出についてでございます。
 脱炭素社会の実現に向けては、高い断熱、省エネ性能や太陽光発電設備等を備えた住宅等が標準仕様となるよう取組を強化していくことが重要でございます。
 今月に発表した基本方針でもお示ししましたとおり、本制度案では大手住宅供給事業者を対象とするほか、制度対象以外の事業者による任意での報告書の提出を認める仕組みとしてございます。
 こうした取組を通じまして、中小事業者も含め、都内に供給される建物全体の環境性能の向上につなげてまいります。
 次に、太陽光パネルのリサイクル等についてでございますが、太陽光パネルはガラスやアルミ等の再利用可能な資源を含むことから、将来の大量廃棄を見据え、確実にリサイクルできる体制を整えていくことが重要でございます。
 都は本年六月、住宅用パネルに関して、リサイクルにおける効率的な収集運搬やリユースにおける発電性能の把握などの課題について取組方針を取りまとめました。
 今月には、住宅用パネルのリサイクルに向け、建物解体、収集運搬等の事業者で構成する協議会を立ち上げました。
 協議会では既に、事業用パネルをリサイクルしている処理施設へ住宅用パネルも誘導するとともに、収集方法等の検証を実施してまいります。
 今後も関係事業者と連携しながら、住宅用パネルのリサイクルルートを構築し、資源循環を推進してまいります。

○六十七番(本橋たくみ君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時三十七分散会

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