令和四年東京都議会会議録第十三号

○副議長(本橋ひろたか君) 六十番加藤雅之君。
   〔六十番加藤雅之君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十番(加藤雅之君) 先月、名誉都民である三宅一生さん、森英恵さん、笹本恒子さん、都議会議員である西山賢さんがご逝去されました。謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 都議会公明党を代表して質問します。
 物価高騰の影響が長期化する中、都民生活にも深刻な影響を与えています。資材価格の急騰は特定品目に限らず、過去に例のない物価高騰となっています。
 我が国は、コロナ禍による輸入資材の枯渇、ウクライナ危機による穀物や原油、天然ガスなどの燃料の高騰、さらに、円安の急激な進行が新たに加わるなど、全く先行きが見えない状況であり、迅速な対策が喫緊の課題であります。
 都議会公明党は、現場の声を生かし、都民生活の安定と安心のために全力で取り組んでまいりますことをお誓いし、質問に入ります。
 初めに、物価高対策について質問します。
 国と東京都は、下請企業などが受注金額の見直しが進まないため泣き寝入りすることがないよう、下請Gメンが活躍し、発注者に対し是正の協力を求め、一定の成果を上げているところであります。
 こうした物価高対策への協力を民間の取引に求めているからには、都は、自らが発注者となっている契約価格の適正な見直しに率先垂範で取り組む必要があります。
 契約事務だけでなく、例えば区画整理事業に協力した都民においても、コロナ禍で事業が遅れ、二年前に契約を結んだ自宅家屋などの建築費が瞬く間に高騰している事例や、事業所などを開設する場合の費用も急騰し、決定済みの補助金額では不足する事例も生じています。
 前例のない物価急騰に対して、過去の事例に縛られず、大胆かつ迅速に政策的対応を図るべきです。都庁並びに都の政策連携団体を挙げて、既存事業の見直しと具体的な対策の立案が進むよう、リーダーシップを発揮し成果を上げるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 財務局は、かねてからの我が党の求めに応じて、この八月二十九日に単品スライド制度の運用の見直しを公表し、受注者の実際の購入金額に応じてスライド額を決定できる新しい取組を九月一日から施行しました。
 都は、この見直しについて運用の開始を急ぐとともに、財務局事業だけでなく、各局の個別の工事契約、さらには都の政策連携団体にも、例外なき適用を求めて周知徹底し、実現が果たされるまで責任を持って誘導するべきです。
 加えて、個別の工事契約以上に受注事業者が苦しんでいるのが各種の単価契約です。単価契約では年に一度しか価格が改定されません。そのため、個別の工事契約での単品スライド以上に、調査日時点と改定日時点とのタイムラグが発生しやすい性質を持っています。ある単価契約では、実勢価格で値上がりしている品目が、この七月の改定では値下げ改定されている事例さえありました。
 単価契約の受注事業者は、昨年度中から毎週のように、それぞれの品目について、仕入れ元企業から値上げを告げるファクスが相次いでいるとの声も聞かれます。
 こうした傾向が今後も継続することが必至と見込まれる中、あと一年、価格改定を待てと告げるのはあまりにも酷であり、都は、目下の特殊事情に鑑み、臨時の措置として、年内にいま一度、単価契約の価格改定を行うべきです。
 また、単品スライドの運用改善と同様に、単価契約事業を発注する都の政策連携団体に対しても、臨時的価格改定を実施するよう求めるべきです。併せて見解を求めます。
 都が発表した補正予算案は、低所得のひとり親家庭への支援や、医療機関や高齢者施設等への燃料費高騰に対する支援金の支給、高齢者の季節性インフルエンザ定期予防接種への支援など、都議会公明党の要望を踏まえた対応となっています。
 しかし、特別区への交付金を除いた総額六千二十九億円のうち、物価高騰対策は二百六十三億円と全体の四%です。苦しんでおられる方々の立場に立った支援策がますます重要であり、対策の強化が必要です。例えば、生活を年金に頼らざるを得ない一人暮らしの高齢者の方や高齢者夫婦世帯の方、また、ボランティアや寄附などで運営している子供食堂などからは、支援を求める声が届いています。
 また、特に生活困窮する高齢者世帯等の暮らしは、ますます苦境に立たされることが懸念されます。今後、生活が苦しい方への支援について、さらなる検討が必要と考えますが、知事の見解を求めます。
 現在、子供食堂には、都から感染症対策費を含めた運営費として月三万円が、また、新たな立ち上げや設備整備費等への支援として年五十万円が補助されています。
 しかし、子供食堂の活動は、例えば、食品メーカーやスーパー、地域住民から、食材など善意の提供により支えられています。この間の物価高騰の影響により、こうした善意の支えによる運営が立ち行かなくなっていることは明らかです。
 都は、子供食堂への緊急的な支援として運営費の補助の増額をすべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、中小企業における人材の確保に向けた支援について質問します。
 まず、中核的な人材確保についてです。
 現在、都内の大企業には、人生百年時代を見据え、これまで培ったスキルや経験を生かして新たなキャリアをスタートさせたいシニア世代やミドル世代の方があふれています。
 一方、この間のコロナ禍やデジタル化の進展は、リモートワークや非接触によるサービス、AIや仮想空間を活用した製品開発や顧客対応、新しいビジネスモデルの登場など、企業に様々な変革をもたらし、人材需要にも影響を及ぼしています。
 こうした潮流は、脱炭素化によりさらに加速していくことが見込まれ、新たなキャリアを探す人と人材を確保したい企業の双方にとって絶好の機会であるともいえます。
 都は、企業の変革や人材移動の潮流を好機と捉え、企業と人材の様々なニーズが集積する東京ならではの方法で、中小企業の発展につながる人材マッチングをさらに加速していくべきと考えます。
 そこで、中小企業を支える中核人材の確保に向けた支援について、現在の都の取組と今後の展開について見解を求めます。
 また、若手の人材確保も重要であります。
 都は本年二月、都議会公明党の要望を受け、三年間で最大百五十万円の奨学金返還支援事業を開始したことを高く評価します。
 一方で、若者の生活にいまだ重い負担となっているのが住宅費です。都内の一人暮らしの家賃相場は約七万円から八万円と全国的にも割高であり、若者からは、東京に住み続けることに不安を感じる、将来の人生設計が立たないといった声も多数聞かれ、コロナ禍や物価高騰が生活を直撃する中、若者世代が安心して東京に住み続けられる環境づくりが重要な課題となっています。
 このような中、企業においては、従業員満足度を重視し、社宅の借り上げや健康ケアの充実など、従業員が働きやすい環境づくりを進める取組も見られます。こうした取組は、社員を大切にする企業の姿勢として評価され、人材の確保、定着につながる一方、企業側には導入ノウハウなども必要となってきます。
 そこで、若手社員向けの住まいの確保など、社員満足度を高め、人材確保、定着につながる中小企業の取組を都として後押ししていくべきと考えます。見解を求めます。
 コロナ禍からの中小企業の立ち直りには、さらに都の支援の上乗せが必要です。
 国は、公明党の主導により、大幅な賃上げや人的投資を行う企業に対しては、所得税、法人税、法人住民税について大胆な税額控除を令和五年度末までを期限に用意し、オフ・ザ・ジョブの研修などの人的投資の要件を満たした場合には、さらに上乗せした税額控除が可能となります。
 しかし、オフ・ザ・ジョブ研修となりますと、企業側に一定の経費の負担が伴います。
 そこで、都内中小企業の経営体力の回復をコスト面から支援するとともに、国の税額控除制度を活用して、都内中小企業がオフ・ザ・ジョブ研修を実施して人材の育成の推進を図る場合などに、都は、その研修費用を補助していくべきと考えます。見解を求めます。
 また、デジタル分野は、その積極的な導入のいかんが今後の企業収益を大きく左右するおそれがあり、都内の中小企業でも改善の前倒しを急ピッチで進めていく必要があります。
 コロナ禍で経営的に厳しい状況にある中小企業でもデジタル化が進むよう、都事業の拡充、運用の改善に向け、早急に方針を決め、年内にも都内中小企業での活用を広めていくべきです。見解を求めます。
 次に、新型コロナ対策について質問します。
 初めに、新型コロナ後遺症についてであります。
 症例の分析と周知、医師、薬剤師等への研修会の開催、さらには後遺症に対応できる医療機関の拡充と周知など、都議会公明党は一貫して、都の具体的な対応と取組の強化を求めてきました。
 そこで、都の取組状況について答弁を求めます。
 後遺症の治療について、現段階では対症療法が中心となっています。しかしながら、効果があった治療や薬剤の事例も増えてきています。
 そこで、それぞれの患者が症状に適した後遺症の治療につながるよう、医療機関相互の連携を促進すべきと考えますが、見解を求めます。
 現在、新規感染者数は減少してきているものの、今なお一日の新規感染者数は数千人で推移しており、油断はできない状況です。いつ感染力の強い変異株が出てくるか分かりません。
 第七波において宿泊療養を希望する方も多く、宿泊療養施設を拡大しましたが、第八波に向けて、多摩地域も含め万全の体制を整えるべきと考えます。見解を求めます。
 また、第七波までの教訓として、緊急時の対応能力が不足していたという課題があります。震災などの災害に対応する災害拠点病院、連携病院や今般のパンデミック時の感染症入院医療機関は、平時において地域の中核的な急性期病院であるため、常時入院患者を多数収容しており、サージキャパシティーを即座につくり出すことは困難です。
 平時は患者を収容せず訓練のみ行い、災害やパンデミックなどの非常時において、一気に患者を収容できる規模の危機対応専用病院または臨時医療施設の設置を検討すべきであります。見解を求めます。
 次に、UDタクシーの整備補助について質問します。
 コロナ禍で客離れが進み、苦境にあえいだタクシー各社は、ようやく見え始めた景況回復の契機を捉えるべく、退職が相次いでいる乗務員の確保など、サービス提供体制の整備を急いでいるところであります。
 中でも、半導体部品の輸入が滞っており、車両の生産が停滞していたUDタクシーについては、利用客の好評を呼んでいたにもかかわらず、昨年度に発注した分でさえ、まだ納品が進んでいない現状もあります。
 我が党は、改めて九月五日、環境局に対し、UDタクシーの納品遅れの現状を伝え、本年度で打ち切ることを予定した都の補助事業を来年度も実施するよう求めたところであります。それが大きな契機となって、今回の二十六億円の補正予算の編成に結びついたものと考えております。
 今回の補正予算において、令和五年度事業で執行予定分も含める効果について見解を求めます。
 コロナ禍で影響を受けた宿泊事業者などへのさらなる支援も重要です。
 国は、新たな観光需要喚起策である全国旅行支援を十月十一日から始めると発表しましたが、都としても実施すべきと考えます。さらに効果を一層高めるためには、現在トライアル実施している、いわゆる都民割、もっとTokyoの本格実施や、都議会公明党が推進した被災地応援ツアーと併せて行うべきと考えます。見解を求めます。
 次に、子供施策について質問します。
 東京都は本年七月、「未来の東京」の実現に向けた重点政策方針二〇二二を七つの分野にわたって発表しました。
 その一つの分野が、人を輝かせ成長を生み出す社会を実現するであります。そして、その実現のための一つとして、夫婦が望む子供の数については、理想と現実の間に乖離があるため、子供と子育て世代に寄り添った様々な施策を強力に推進する必要があると明記しました。
 この中において、国立社会保障・人口問題研究所の調査を引用し、全国平均において、夫婦が望む子供の数は、二・三二人であるということを明らかにしました。現在、合計特殊出生率が全国で一・三〇に対し、東京都の場合一・〇八と、この乖離がさらに広がっています。
 国が、三歳児からの幼児教育の無償化を実施した際、都は、都議会公明党の要望を受け、ゼロ歳児から二歳児までの保育料について、第三子から保育料を無償化、第二子については、保育料の半額を補助する制度を実施しました。
 東京都が「未来の東京」の実現に向けた重点政策方針二〇二二において、これらの課題を明記した今こそ、子育てにおいて誰もが希望をかなえられる社会を実現するため、ゼロ歳児から二歳児までの子育て世帯の経済的負担の軽減を含め、施策の充実を図るべきと考えます。知事の見解を求めます。
 都は、二〇一七年度から、都議会公明党の強い要請を受けて、私立高校授業料の実質無償化をスタートさせました。その後、所得制限の緩和や通信制高校への対象拡大など、着実に保護者負担を軽減してきたことを評価します。
 こうした中、授業料の実質無償化の対象となった保護者の方でも、現状では、四月から十二月までの授業料を一旦納入するケースがあるなど、その負担が重くのしかかっています。
 都議会公明党の指摘に対し、都は、申請、審査のオンライン化や所得審査に必要な税額取得の自動化のためのシステムを構築すると答弁しており、保護者の負担軽減のために、償還までの期間を早める取組を早急に実施すべきです。見解を求めます。
 次に、子供の安全対策について質問します。
 先日、静岡県の認定こども園において、三歳の女の子が通園バスに置き去りにされて亡くなるという大変に痛ましい事故が発生しました。二度とこのような事故を起こさないために、従来の対策の在り方を見直す必要があると考えます。
 これまでも、痛ましい事故が起こるたびに注意喚起や普及啓発といった対処がなされていますが、残念ながら、依然として、毎年多くの子供たちが事故に遭っています。従来の対策から脱却し、子供たちが安全で健やかに成長できる環境をつくることを最重要とする社会へと変革していかねばなりません。
 ヒューマンエラーを補う技術の導入など、実施可能な対策を速やかに講じるとともに、組織横断の推進チームを活用しながら新たな安全確保策を検討すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、教育について質問します。
 都議会公明党は一貫して、日本語を母語としない子供たち一人一人の実情に寄り添った教育の重要性を訴えてきました。それは、その子供たちの個性を伸ばすとともに、安心して学び、日本社会での活躍のみならず、日本と外国のかけ橋となる人材として成長を願うからです。
 そこで、都立高校において、来年度から始まる特別の教育課程に向けて、効果的な日本語指導が着実に行われるよう、急ぎ体制を構築すべきと考えます。
 まず、日本語指導を必要とする生徒たちの直近の実態を把握するとともに、新たな取組に対して教員が抱える課題について調査を行うべきです。見解を求めます。
 そして、日本語指導を行うに当たり、その指導体制の構築、強化は喫緊の課題です。
 そこで、日本語指導コーディネーターや日本語指導支援員などの人材確保と育成を確実に図るべきです。その上で、日本語指導が必要な生徒が在籍する全ての学校に日本語指導支援員を配置すべきです。併せて見解を求めます。
 また、日本語を母語としない小中高の児童生徒たちの一層充実した教育を行えるよう、日本語教育を推進する専管部署を設置するなど、教育庁の体制を整備すべきです。見解を求めます。
 次に、公立学校の教員確保について質問します。
 ここ数年、学校現場では教員の確保が困難になっており、今年度、教員が四月当初配属されないという中学校が出たり、小学校で欠員補充用の名簿の登載者がいなくなり、補充の教員を探すのが困難な事態に陥りました。また、令和五年度採用の教員応募者数は九千四百三十八人と、五年前の六一・八%にとどまっています。
 現在、大学では、教職課程を履修しながらも途中で教員になることを諦めたり、教員以外の道を志望したりする学生もおり、教員確保のためには、学生や大学の状況を把握し、実態に応じた対策を検討するべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
 また、学校現場では、フルタイムで働く教員以外にも、特定の教科を週に何日か教える時間講師など、様々な任用形態の教員がいます。そこで、教員確保に向けては、それぞれの任用形態ごとに選考の仕組みを改善する必要があります。
 例えば、選考試験の大学三年生での実施や時間講師の選考時期の見直しなど、早期に人材を確保する取組を検討していくことが必要だと考えますが、選考制度の改善に向けて、都教育委員会の見解を伺います。
 一方、教員の確保や質の向上に向けては、長時間労働の改善とともに、教員給与の在り方も重要な要素であります。
 公立学校の教員の給与を定めた法律、いわゆる給特法では、給料月額の四%に相当する額が教職調整額として支給されることとなっております。これは残業代の月五時間相当にすぎないとの指摘もあり、早急な処遇改善をすべきであります。
 そもそも、この給特法が制定されたのは昭和四十六年のことであり、この四%という水準が、様々な社会情勢の変化の中で現在の教員の働き方に合わなくなっており、そのことが、教員の確保や質の向上にも大きく影響を及ぼしていることは明らかであります。
 長時間労働の改善とともに、一日も早いこの教職調整額の見直しが必要であると考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 次に医療施策について質問します。
 初めに、不妊治療における先進医療の新たな助成制度についてであります。
 今年四月から不妊治療の保険診療が拡充され、利用者の経済的負担は大幅に軽減されました。一方、保険適用外となった治療の一部については、先進医療として保険診療との併用が特例で認められたものの、全額自己負担であり、経済的な負担が大きいことから、我が党はさきの第二回定例会の代表質問において、不妊治療の保険適用の効果や課題について実態調査を行うとともに、先進医療への助成を検討すべきと求めてきました。
 今回の補正予算に、先進医療への費用助成とともに、我が党が小池知事に要望した、四月まで遡って助成することを盛り込んだことを高く評価します。不妊治療費の先進医療の助成制度の概要と今後の具体的な進め方について見解を求めます。
 また、都立病院では、都議会公明党の要請を受け、今年四月から不妊治療の相談窓口を開設するとともに、プロジェクトチームを設置して、都立病院が不妊治療において果たすべき役割等の検討を開始しております。
 これまでの相談窓口の実績と現在のプロジェクトチームでの検討状況について答弁を求めます。
 次に、歯科健診について質問します。
 近年、歯の健康が全身の健康に影響を与えるという見方が強まっており、二〇二一年の国の骨太の方針では、生涯を通じた切れ目のない歯科健診の重要性が訴えられています。
 しかし、現状は、高校卒業以降において、歯周疾患検診の対象年齢である四十歳までの間において、法定の歯科健診がないため、成人後の学生や社会人は歯科健診の習慣化が難しい状況があります。
 二十代、三十代から、かかりつけ医での定期的な歯科健診や予防処置を継続的に受診できるような取組を進めるべきです。見解を求めます。
 また、児童の歯の健康状態と児童虐待との関係性は重要です。
 児童虐待の早期発見、早期対応のため、平成十四年度に東京都歯科医師会が、都の一時保護所等の入所児童を対象に口腔内の実態調査を行っており、当時、我が党は、予算特別委員会の中で取り上げ、重要性を訴えてきたところであります。
 児童虐待が深刻化する中、虐待の早期発見、早期対応に結びつけるため、二十年ぶりに実施する児童の口腔内の実態を把握する歯科医師会の取組を支援すべきと考えます。見解を求めます。
 都民の健康寿命の延伸のためには、多職種連携をキーワードに、医療職全体でフレイルやサルコペニアの予防に取り組んでいくことが必要であります。そのためには、リハビリテーション病院と地域の歯科医師会などが、医科歯科連携を構築していくことが効果的と考えます。
 また、かんだり飲み込んだり話たりする口腔機能が衰えるオーラルフレイルや、筋肉の量が減少していくサルコペニアについては、歯科医療従事者の専門性の向上や都民への普及啓発が重要であり、東京都歯科医師会と連携し、こうした取組を進めるべきです。見解を求めます。
 次に、住宅施策について質問します。
 初めに、都営住宅の空き住戸についてです。
 都営住宅の空き住戸には、入居手続中や公募準備中のもののほか、建て替え事業の対象となった従前居住者が移転するために確保される事業用空き住戸があります。
 都議会公明党は、かねてから、退去後の修繕を速やかに行って公募用に回すとともに、建て替え事業での移転用や被災者支援用にも活用してきた事業用空き住戸の必要数を効率的に分析し、新規入居用の公募戸数を増やすよう求めてきました。
 都は、都政全体の事務のデジタルトランスフォーメーションが急がれる中で、我が党の要請に応え、新たに募集のオンライン申請用のシステムを稼働させ、オンライン申請を実現させています。
 そこで、都営住宅の事業用空き住戸の情報を管理する事務においても、新たに電子管理システムを稼働させるなどして、事業用空き住戸を縮減し、募集に活用していくべきです。見解を求めます。
 住宅確保要配慮者が安心して入居できる賃貸住宅を増やすためには、公社住宅を東京ささエール住宅として、家賃低廉化補助の適用を可能とする専用住宅で活用していくことが、民間住宅へ波及させていくためにも効果的であり、我が党は、令和四年第一回定例会の代表質問でその実施を求め、都からは、専用住宅の確保に向け、前向きに検討する旨の答弁があったところであります。
 家賃負担の面で、住宅確保に困窮する都民の期待に、都は年内にも具体的な成果で応えるべきと考えます。見解を求めます。
 カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正について質問します。
 我が党は、第二回定例会代表質問で、住宅価格の上昇など、多くの都民から疑問の声が寄せられている現状を踏まえ、太陽光発電設備を建築する地域の環境、住宅面積、効果的な太陽光パネルの設置可否などに十分配慮して、最終的には都民に選択の余地を残すなど、最終答申に向けて納得と理解を得るべきだと知事に求めました。
 今回発表された基本方針では、都議会公明党の主張を受け入れた内容になっており、加えて戸建て住宅を建築、購入する都民や事業者への支援の方向性なども打ち出されました。
 今後は、支援の具体策をより魅力的なものとしていくとともに、義務化という都民が受けるマイナスイメージを払拭し、地球温暖化対策を都民と共に一層効果的に推進するための条例との位置づけで、都民に周知、広報していけるよう取り組むべきと考えます。知事の見解を求めます。
 また、制度対象となる事業者に対しては、これまでの太陽光発電設備を搭載した住宅の供給実績や、昨今の建材価格の高騰等による住宅価格への影響に十分配慮する必要があります。こうした点から、制度の円滑な施行に向けては、ハウスメーカーなど事業者の意見等を聴取し、支援の在り方等を検討するとともに、国や都の住宅政策部門とも連携し、事業者にとって使い勝手のよい制度としていくべきです。見解を求めます。
 省エネな住宅に向け、日射熱を減らす取組について質問します。
 現在、窓ガラスからの日射熱を減らすことで、室内の快適性の向上や空調負荷の低減を図る取組が注目されています。この日射熱を大幅にカットする素材も開発されており、一部の基礎自治体では、このような日射熱を減らす技術や事業者を活用する補助制度を創設しています。
 そこで、都は、HTT推進の一環として、住宅の省エネに資する断熱、遮熱製品の利用を推進すべきです。見解を求めます。
 エアコンに関しては、これまで都が実施してきた省エネ性能に優れた機器への取替えの推進だけでなく、新たに室外機に着目し、消費電力の抑制を図るべきであります。
 最近では、特殊な配合の塗料を塗布することで、夏も冬も室外機の中の温度を一定に保つ工夫に注目が集まり始めています。
 都では、環境局、産業労働局が地球温暖化防止に向けた各種支援事業を行っていますが、新たな工夫の活用を都内で広く推進していくべきであります。
 まず、環境局では、効果的な取組の紹介や簡易な窓断熱材などへの支援を行う区市町村への補助を行っていますが、活用が進んでおりません。室外機への断熱塗料にも適用が可能であることを明示して通知するなど、活用の促進に取り組むほか、地元区市町村が制度を設けていない都民も支援を活用できるよう改善するべきです。
 また、産業労働局では、機器を購入、設置する場合への補助が中心となっています。既存エアコンへの工夫などに対する補助は、金融機関による紹介やコンサルタントによる分析が条件であるため、より即効的に補助を活用できるよう改善するべきです。併せて見解を求めます。
 これまで、室外機からの排熱については、具体的な政策上の重要課題として踏み込んで検討されることはありませんでした。しかし、大都市であればあるほど、排熱の抑制は温暖化防止に向けた社会的責任として重要であります。
 今後は、再開発などの際に地域での熱交換、活用の仕組みを一層誘導するだけでなく、既存の個々の建物においても、費用面でも取り組みやすい排熱の活用や抑制が進むよう、都は今後、業界団体と連携しながら、効果的な排熱抑制策の立案に向け検討を開始するべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、パートナーシップ宣誓制度について質問します。
 昨年の第二回定例会で都議会公明党の同僚議員が紹介議員となった同性パートナーシップ制度の創設を求める請願が全会一致で趣旨採択され、それを受けて、今年十一月に都の宣誓制度がスタートすることになりました。
 都議会公明党は、制度創設をアピールするために、都庁をレインボーカラーでライトアップしてはどうかと、テレビ討論会や委員会審議で提案してきましたが、制度の開始に向けた都の広報や周知の対応について、知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、まずは都自らが制度創設に対応した取組を進めるべきとして、条例、規則の中で、配偶者等の文言がある規定について、同性パートナーも対象にするよう求めてきました。
 これを受けて、今定例会には、都職員や教職員の福利厚生制度等を改善する条例改正案が提出されますが、これらは、都職員の当事者から東京都人事委員会に出されてきた措置要求にも全面的に応えるものです。
 制度創設に対応した都の新たな取組と都の政策連携団体への対応について見解を求めるとともに、制度開始に向けた都内自治体との連携、さらには民間への理解と対応を求めていくべきです。見解を求めます。
 また、都の行政サービスへの活用はもとより、都の政策連携団体とも連携して、それぞれの団体が提供する都民サービスでも前向きに取り組んでいくべきであります。この点では、東京都住宅供給公社での取組を期待しており、評議員会でも我が党所属の評議員が、いち早く対応を求めたところであります。公社住宅でのパートナーシップ宣誓制度の活用を都における宣誓制度の導入と同時に実現すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、障害者施策について質問します。
 先般、公明党が推進してきた二〇二五年のデフリンピック大会の東京開催が、国際ろう者スポーツ協会、ICSDの総会で決定されました。デフリンピックの東京開催のためには、手話の一層の普及拡大が必要であります。
 都は、今定例会で上程されている補正予算案で、これまでの学生向けの手話でのオンラインイベントに加え、子供たちが楽しく対面で参加できる手話イベントなどを開催していくとしています。
 イベント参加呼びかけの方法については、手話に興味を持てるよう、それぞれの地域の当事者団体の方々と連携し、工夫を凝らすべきと考えます。また、ビジネスや研究開発、医療や法律など、様々な分野で専門用語を駆使する手話での人材育成がまだ進んでいません。
 こうした認識を踏まえ、今後は、様々な役務でデフリンピックの開催を支える手話習得者数の達成を目指すことだけでなく、当事者団体の方々との連携を重視し、当事者の方々が日常生活の中で手話人口の増加を実感できること、あわせて、社会の様々な分野での当事者の活躍が広がることを目標に加えて、手話の拡大に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、動物愛護について質問します。
 施策のさらなる拡充を目指し、都は、東京都動物愛護相談センターの新たな整備を目指しています。都議会公明党は、国内外の動物保護の取組について調査を重ね、新たなセンターにはシェルター的な動物保護機能を持たせるように都に提案するとともに、専門家や関係者の意向も十分反映させるべきと対応を求めてきました。
 これを受けて、都は、有識者で構成する都民等との協働による動物との共生推進拠点の整備検討会を設置し、今後、人と動物の共生推進拠点として必要な機能や、身近で親しみやすい魅力的な施設の在り方を議論すると聞いています。
 動物保護の機能を有する共生推進拠点を早期に実現するため、候補地の選定を含め検討を進めるべきと考えます。新たなセンター整備に向けた知事の見解を求めます。
 次に、住宅の耐震化について質問します。
 さきの被害想定の見直しを踏まえ、都内建造物に対する耐震化補助においても制度の見直しを図る必要があります。平成七年に発生した阪神・淡路大震災により、昭和五十六年以降に建築された新耐震住宅での耐震性の課題が明らかになりました。
 都内の総住宅数は六百九十万五千四百戸と見込まれる中、昭和五十六年以降で平成十二年までに建築され耐震性が不足する住宅数は約二十万戸から二十五万戸と推定されています。
 さきの被害想定では、そうした状況を踏まえ、死者数で約一千二百人、全倒壊棟数で三万二千棟と推計しています。
 今後は、新耐震基準の住宅についても新たに補助を実施するなどして、地震被害のさらなる低減を図るべきです。加えて、新耐震基準の住宅が抱える不安の解消につながる工夫の事例についても、都民や事業者に周知するべきです。併せて見解を求めます。
 耐震化に加え、防災まちづくりを向上させる一つが連続立体交差事業です。
 例えば、私の地元墨田区にある東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近は高架化されておらず、南北の避難道路が鐘ヶ淵踏切で遮断され、防災上の課題があることから、都議会公明党はかねてから一貫して立体化を推進してきました。
 連続立体交差事業は防災力向上のために大変重要であり、鐘ヶ淵付近の鉄道立体化に向けた取組を加速していくべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、都民を豊かにするデジタルサービスについて質問します。
 都は先日、デジタルトランスフォーメーションの推進強化を掲げ、新たな政策連携団体、GovTech東京の設立構想を発表しました。
 都議会公明党はこれまで、行財政改革の旗振り役として、かつての監理団体改革に取り組み、整理統合や役員の退職金廃止、報酬の引下げも実現してきました。今般の新団体は、単なる政策連携団体の増加にとどまるものであってはならず、必要不可欠なものであると都民に明らかにしていく必要があります。
 デジタル化は、それ自体が目的ではなく、デジタルの力を通じて都民生活がどれだけ豊かになり、その恩恵を受けられるようになるのかが鍵です。例えば、母子健康手帳や身体障害者手帳の申請手続をオンライン化することにより、わざわざ役所に出向かずとも手続が可能となったり、子育て世帯が区市町村をまたいで引っ越ししたときにもシームレスなサービスが受けられたり、こうしたことをデジタルの力で実現すべきです。
 そこで、都と新団体が都民の視点に立って、区市町村と連携して、暮らしが豊かになったと実感できるようなデジタルサービスを実現することを期待しますが、知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 加藤雅之議員の代表質問にお答えいたします。
 物価高騰等への対応についてですが、ロシアによるウクライナ侵攻から半年以上が経過をいたしまして長期化の様相を呈しております。ここに近年歴史的な円安も相まって、エネルギー、原材料や食料などの価格が上昇し続けておりまして、都民生活をはじめ社会の全体に影響を及ぼしているところであります。
 こうした状況に対応するため、五月にエネルギー等対策本部を設置いたしまして、電力の確保はもとより、都民の暮らしや事業者の活動を守るための取組など、迅速に対策を講じてまいりました。
 加えまして、今回、東京の経済を守り抜くため、原油価格や資材の高騰等に対する緊急対策や、価格転嫁が困難な事業者等への直接的な支援など、これまでから一歩踏み込んだ施策を補正予算に盛り込みました。
 幾重にも重なる危機に対しまして、今こそ政策連携団体も含め、都庁が一丸となって立ち向かわなければなりません。従来の延長線上の取組だけではなく、様々な手だてを先手先手で講じることによりまして、都民の生活を守り、将来の経済成長へとつなげてまいります。
 都民生活を守る取組についてでございます。
 ウクライナ危機の長期化や近年における歴史的な円安の進行に伴いまして、物価高騰等の影響が拡大をしております。都民の暮らしのおもしとなっております。
 都は、仕事と住まいを失った方などへの支援に加えまして、本定例会に提案した補正予算案には、低所得のひとり親世帯などへの支援の充実に必要な経費を計上いたしております。
 燃料費や物価の高騰が今後も拡大し、さらに深刻な事態が生じる場合、高齢者をはじめ生活に困窮する方々がより困難な状況に陥ることが懸念されます。
 こうした方々への支援の実施は区市町村との連携が必要であり、社会情勢を見据えながら、関係者と共に必要な対応を検討してまいります。
 子育て支援の充実についてのご質問がございました。
 次世代に幸せと希望に満ちた子供の笑顔があふれる社会を引き継ぐため、少子化の問題には正面から向き合っていかなくてはなりません。
 そのため、誰もが希望する子供の数を持つことができ、安心して子育てができる環境を整えることは重要であります。
 結婚や出産、子育てだけではなく、働き方や人とのつながり、経済的な面も含めまして子供を持ちたいという思いを諦めることのないよう、このような課題に政策分野の垣根を超えて対策を強化していく必要がございます。
 今後、さらに、子供を産み育てやすい社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、子供の置き去り防止への取組についてでございます。
 先般、送迎バスに子供が取り残され亡くなるという痛ましい事故が起こりました。亡くなられたお子様のご冥福をお祈り申し上げ、ご家族の皆様に心よりのお悔やみを申し上げたいと存じます。
 子供たちにとって安全・安心な場所であるはずの保育所、幼稚園、認定こども園等におきまして、二度とこのような悲しい出来事を繰り返してはならない。
 今回の事故を受けまして、各施設に対する緊急点検に加えて、実地調査やヒアリング、オンライン講習会を実施する。また、すぐに実施可能な対策や、導入可能なデジタル技術を活用した取組を財政的に支援いたします。
 さらに、子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームにおいて、科学的なエビデンスに基づいた事故の予防策、こちらを戦略的に展開することで、子供が安心して暮らせる社会の実現を目指してまいります。
 次に、カーボンハーフの実現に向けた条例制度の改正でございます。
 二〇五〇年脱炭素社会の実現に向けましては、住宅供給事業者と住まい手である都民の理解と共感を得ながら、住宅やビルなど、建物が集積する東京の特性を踏まえまして、建物の環境性能の向上を図るということが重要と考えております。
 そのため、今般創設する新制度でございますけれども、まず、太陽光パネルに関しましては、一棟当たりの基準量を二キロワットとしまして、屋根面積が二十平方メートル未満の住宅などは除外が可能、また、日照条件などを考慮して、事業者が供給する建物全体で設置基準の達成を義務的に求める仕組みとする。
 さらに、住宅供給事業者が住まい手に対しましては、住宅の断熱、省エネ、再エネなどの環境性能に関する説明を行うという制度となっております。
 その上で、注文住宅の施主等は、再エネ導入等につきまして必要な措置を講ずるように努めまして、注文等について判断、また、建て売り分譲住宅の購入者等は、環境性能などの理解を深め、購入等について判断。
 都は、このような環境負荷の低減に努めるという住まい手の判断を支援するために、環境配慮に加えて、経済性、快適性、防災性などのメリットを分かりやすく発信してまいります。また、各主体の行動を促進するために効果的な支援策を練り上げまして、直ちに実施すると考えております。
 我々現役世代の責任ある行動が未来を形づくるという認識の下で、子供たちに誇れる東京を残していくためにも、再生可能エネルギー、様々ございますが、最大限活用した環境性能の高い住宅の供給を着実に進めるということで、大目的である脱炭素社会を実現してまいります。
 人工排熱対策についてのご質問がありました。
 近年、夏の暑さは厳しさを増しております。そして、熱中症予防のためには空調の適切な使用は不可欠なんですが、都市の暑さ対策の上からは、人工排熱を抑制していくことも重要であります。
 建物からの排熱を抑制する、そのためには、高断熱化、そして高効率な空調設備の導入など、建物の環境性能を高めていくことが有効な手段でございます。
 そのため、都といたしまして、排熱対策を含めたガイドラインを策定、それとともに、大規模な開発での空調排熱を有効利用する地域冷暖房の活用などを誘導してまいりました。
 今後、お話が今ございました既存の建物を含めて、制度の強化、そして支援策の検討を行います。そして、事業者の取組を促進することによりまして、人工排熱対策と脱炭素化を同時に進めてまいる考えであります。
 次に、パートナーシップの宣誓制度についてのご質問をいただきました。
 多様な性に関する理解を促進して、ダイバーシティ東京を実現するためには、制度創設の意義を広く都民に周知する、そして社会に浸透させていくということが重要です。
 制度開始に向けましては、ホームページや「広報東京都」などによるPRに加えまして、新たに作成した動画をSNSなどを活用して発信し、制度を分かりやすく紹介するなど、効果的な周知に取り組んでまいります。
 さらに、多様性を認め合うことの大切さをより多くの都民の皆様に効果的に伝えるために、受付を開始する十月十一日と、制度を開始する十一月一日に合わせまして、都庁舎とレインボーブリッジをレインボーカラーにライトアップをしまして機運の醸成を図ってまいります。
 こうした取組を通じて制度の普及を図って、一人一人がお互いを認め合い尊重し合う社会を実現してまいります。
 次に、動物愛護相談センターの整備についてでございます。
 センターは、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向け、普及啓発や動物譲渡など、都が行う取組の中核を担う施設でございます。その整備に当たりましては、必要な機能の確保や利便性などを勘案するほか、動物愛護の取組を都民と供に推進する施設とすることが重要であります。
 先月、センターの施設像や機能を具体的に検討する会議を設置して、動物福祉に配慮した飼養管理や国内外の施設の事例などについて、ボランティアや獣医学などの専門家から意見を頂きました。
 今後、検討を精力的に進めまして、その結果を年度内に取りまとめ、整備に生かしていく、そのことでセンターを都民に身近な動物との共生推進拠点としてまいります。
 最後に、デジタルです。都民を豊かにするデジタルサービスについてのご質問でございます。
 手続のデジタル化や、便利で使いやすいサービスなど、障害のある方や子育て世代を含めまして、誰もがデジタルの恩恵を実感できる社会の実現がDX、デジタルトランスフォーメーションが目指すものでございます。
 この取組をさらに強力に推し進めるため、このたび、新団体、GovTech東京の設立構想を打ち出したところでございます。この新団体におきましては、高度専門人材を多数確保いたしまして、これまでの枠にとらわれない発想によって、個々人のニーズに対応したプッシュ型支援などの質の高いサービスを開発、提供していくことを目指してまいります。
 都と協働いたしまして、各局事業の企画立案段階から参画するとともに、都民に分かりやすい、使いやすいサービスデザインの徹底、そしてユーザーテストによる都民の声の反映を通じまして、品質の改善を推進してまいります。子育て、そして福祉など、共通化による効果の高い分野で区市町村と連携、協働したサービスを提供するなど、住民ニーズに寄り添った取組を進めてまいります。
 都と新団体、区市町村、これらの強力な連携によりまして、オール東京でのさらなるDXを推進しまして、都民が生活の質の向上を実感できる社会を実現してまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本語指導に関する調査についてでございますが、都立高校等において個別指導を受ける必要がある生徒に対し、日本語の能力に応じた特別の教育課程を適切に実施することができるよう、組織的な指導体制を構築することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、日本語指導が必要な生徒が在籍する学校に対して、特別の教育課程の対象と想定される生徒の人数や、指導を行うに当たっての課題等について把握するための調査を開始したところでございます。この調査の結果を踏まえ、各学校において円滑に特別の教育課程が行われるよう指導助言を行ってまいります。
 次に、特別の教育課程における外部人材の確保と教員の育成についてでございますが、都教育委員会は、現在、日本語指導を必要とする生徒が在籍する都立高校において、必要に応じ、東京学校支援機構、TEPROやNPO等と連携し、日本語指導に関わる外部人材の活用を支援しており、来年度以降について特別の教育課程を実施する学校に外部人材を確保できるよう、引き続き検討を進めてまいります。
 また、特別の教育課程を実施する都立高校において、日本語指導をコーディネートする教員を対象とした独自の研修を実施するなど、組織的な指導体制の構築と教員の指導力の向上を図ってまいります。
 次に、日本語指導の体制についてでございますが、日本語を母語としない子供が学校生活を円滑に送るためには、一人一人の状況に応じた日本語指導を充実することが重要でございます。
 都教育委員会は、今後、関係局や区市町村等関係団体と連携を深めつつ体制を整備し、都内公立学校における日本語指導を充実してまいります。
 次に、教員確保に向けた対策についてでございますが、採用選考における応募者の増加に向けて、今年度、複数の教員養成大学の教授や学生から聞き取りを行いました。
 これにより、教育現場の状況や教員のライフスタイル、都独自の研修や若手教員への支援など、志望を固めるための情報が十分に伝わっていないことが分かりました。
 これらを踏まえ、大学説明会や個別相談会のほか、十月に初めて開催する採用セミナーTOKYO教育Festa!などにおいて詳細な情報発信を行ってまいります。
 TOKYO教育Festa!では、現職教員との座談会や給与、休暇制度、キャリアプランの紹介など、教職の魅力をリアルに伝え、幅広く応募を促進してまいります。
 次に、教員確保に向けた選考制度の改善についてでございますが、教員を確保するためには幅広い人材を発掘できるよう選考の仕組みを整えることが重要でございます。
 都教育委員会では、今年度から採用選考において、社会人を対象に合格後に免許取得を目指せる仕組みを開始したほか、臨時的任用教員の募集を通年で行うことといたしました。また、時間講師の選考時期を早めることとしております。
 こうした取組に加え、学生や社会人がより教員を目指しやすい選考制度を多角的に検討し、教員の確保に努めてまいります。
 次に、教員確保に向けた勤務条件の改善等についてでございますが、都教育委員会は平成二十九年度に勤務実態調査を実施し、その結果等を踏まえて策定した学校における働き方改革推進プランに基づき、スクールサポートスタッフや部活動指導員の活用など、様々な取組を進めております。
 一方、給与の在り方につきましては、現在、国において教員の勤務実態調査を実施しており、その結果等を踏まえ、いわゆる給特法の在り方等について検討していくこととしております。
 今後、こうした国の動向を注視するとともに、国への働きかけについても検討してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取組についてでございますが、鉄道立体化は、交通渋滞や踏切事故の解消とともに、鉄道により分断された市街地の一体性を高めることから、地域のまちづくりと併せて進めていく必要がございます。
 墨田区はこれまでに、まちづくりの基本的な計画を策定するとともに、その具体化に向けて取り組んでおります。
 また、鉄道と交差する道路につきましても、都が補助第百二十号線の整備を進めており、区が新たに交差する道路について整備に向けた準備を進めております。
 こうした状況を踏まえまして、都は、このたび鉄道立体化の可能性の検討を行う箇所として事業候補区間に位置づけました。地元区や鉄道事業者と連携して積極的に取り組んでまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 工事契約における物価変動への対応についてでございますが、現下の社会経済情勢の中で、鋼材等主要資材の価格上昇は例年にない水準に達していることから、都は、単品スライドについて、実情をより適切に反映できるよう、国に準じて九月一日から運用を見直しております。運用開始日以降の事業者からの請求に確実に対応できるよう、本見直し内容を改めて庁内に周知徹底してまいります。
 一方、多数の項目から成り、今後の工事数量が不確定な単価契約では、スライド条項を直接適用すると混乱を生じさせる懸念がございますことから、緊急的な対応として、受注者との協議に基づき、最新の資材価格を契約単価に反映する運用を検討してまいります。
 これらの運用の見直しは、関係局と連携し、政策連携団体に対しても活用へ向けて働きかけを行ってまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子供食堂への支援についてでございますが、都は、コロナ禍において、集合して食事することが困難な中でも子供食堂が食事の提供を継続できるよう、令和二年度から、会食等における感染対策費を上乗せするほか、配食、宅食の実施に必要なワゴン車のリースやクーラーボックスなどの経費を支援してございます。
 また、今年度は新たに、物価高騰を踏まえ、子供食堂の立ち上げに必要な設備等の経費も補助してございます。
 現在、子供食堂の運営状況を把握するため、補助実績のある子供食堂に対し、食材の調達や実施場所の確保、周知方法等についてアンケート調査を行っており、今後この結果も踏まえ、必要な支援を検討し、区市町村と連携しながら子供食堂の活動の充実に向け取り組んでまいります。
 次に、緊急時に対応した医療体制についてでございますが、都は、新型コロナウイルス感染症の患者を適切に受け入れられるよう、感染症入院重点医療機関等による受入れ体制に加え、都有施設等を活用した臨時の医療施設を設置し、病床確保に努めてございます。また、災害時に患者を迅速に受け入れるため、重症患者に対応する災害拠点病院や、中等症患者に対応する災害拠点連携病院を整備するなど、重層的な体制を確保してございます。
 一方、災害や感染拡大時に医療施設等を稼働させるためには、医師、看護師等の医療人材の確保が不可欠であり、民間医療機関の人材逼迫状況等にも配慮が必要でございます。
 災害時や感染症流行時の医療体制の在り方につきましては、こうした課題を踏まえ、関係機関等との連携の下、検討し、体制の強化を図ってまいります。
 次に、不妊治療への助成と都民への周知についてでございますが、本年四月から不妊治療が保険適用されましたが、都は、保険適用となった治療とともに行われる先進医療の自己負担の七割について、一回の治療につき十五万円を上限に助成することとし、補正予算案に計上いたしました。助成の適用時期は、保険適用と併せて本年四月一日といたします。
 まずは、現在治療を受けている方が先進医療をためらわずに受診できるよう、不妊治療の実施医療機関に対し、助成対象となる治療や助成額などについて診療時の説明を依頼します。
 さらに、令和五年一月の申請受付開始に向け、ホームページ等を通じて制度の概要を早期に周知するとともに、申請手続に関するリーフレットを作成し、医療機関や区市町村に配布するなど、不妊治療を希望する方に確実に情報が届くよう取り組んでまいります。
 次に、都立病院における不妊治療についてでございますが、今年度から大塚病院など五つの都立病院で開始した不妊治療の相談窓口では、先月までの五か月間で六十二件の相談を受け付けました。主な内容は、治療費や助成金等の費用面や、不妊への不安、治療方法の悩みであり、必要に応じて不妊治療を行う医療機関を紹介しております。
 また、本年四月に設置したPTでは、都立病院の産科医が中心となって、今後取り組むべき不妊治療について、これまでの相談内容等を踏まえた具体的な議論をしてございます。
 不妊治療に対する都民の期待に応えられるよう着実に検討を進めるとともに、不安や悩みを抱える方々に寄り添いながら丁寧に相談対応を行ってまいります。
 次に、若い世代の歯科健診についてでございますが、歯周病などの歯科疾患は、糖尿病、心疾患など全身の健康と深く関わるとされており、その予防や早期発見のため歯科健診を定期的に受診することが重要でございます。
 高校卒業後は学校歯科医による健診や指導の機会がなくなり、歯周病等のリスクが高まる傾向にあるため、都は、定期的な口腔衛生管理の重要性等を解説したリーフレットなどで普及啓発をするとともに、若い世代の歯科健診に取り組む区市町村を支援してございます。
 来年度の歯科保健推進計画の改定に向けまして、今後、十八歳から三十歳を対象に、健診受診状況やかかりつけ歯科医の有無等について調査を実施し、その結果も踏まえ、若い世代の歯科健診受診がより一層進むよう取組を推進してまいります。
 次に、保護児童の口腔ケアについてでございますが、都は、平成十四年度に東京都歯科医師会と連携して、児童虐待と口腔内の状況に関する調査を実施しており、その結果、一時保護された被虐待児童は、一般の児童に比べて虫歯が多いことが明らかになりました。
 こうした結果なども踏まえまして、都の全ての一時保護所を歯科衛生士が月一回訪問し、児童に対して歯の正しい磨き方や食生活を指導するとともに、口腔内を確認し、虫歯などの症状があった場合には必要に応じて歯科医への通院などにつなげてございます。
 保護児童の歯と口腔の健康の保持増進は重要であり、こうした歯科保健指導の実施状況を踏まえた保護児童の口腔実態を把握するため、東京都歯科医師会が今年度実施する調査に協力をしてまいります。
 次に、フレイル予防等の取組についてでございますが、口腔機能の低下は身体機能の低下と密接に関わるとされており、フレイル予防等のためには、いわゆるオーラルフレイル対策に早期から取り組むことが重要でございます。
 このため、都は、東京都歯科医師会に委託して、歯科医師等を対象に研修会を実施しており、在宅患者に対して早期から多職種で連携して取り組んだ口腔ケア事例を講義内容に盛り込むなど、知識の向上に取り組んでございます。
 今後、都歯科医師会をはじめとする関係団体とも連携し、高齢者一人一人の身体機能、口腔機能に応じた効果的なリハビリテーションを実施するため、地域の医療機関と歯科医師との連携を推進するとともに、口腔ケアの大切さに関する都民へのさらなる啓発を行うなど、フレイル予防等の取組を推進してまいります。
 最後に、手話の拡大に向けた取組についてでございますが、手話を必要とする人が生き生きと活躍できる社会を実現するには、手話のできる都民を増やし、様々な生活場面で手話が使える機会を増やしていくことが必要でございます。
 都は、手話への関心を広く高めるため、障害者団体等と連携し、基本的な手話を紹介したパンフレットの作成や、大学と連携した若年層向けイベントなどを実施してございます。今後、学齢児等を主な対象に体験型のイベントを行う予定であり、障害者団体等とも連携して参加を呼びかけてまいります。
 また、手話通訳者や手話通訳士などの養成に当たり、昨年度からは医療や法律等の専門分野にも対応できるよう取り組んでおり、今後、専門性のさらなる強化を検討してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、中小企業の中核人材の確保についてでございますが、東京の中小企業がデジタル化の進展など様々な経営環境の変化に適切に対応をする上で、新たな事業展開や社内の体制整備の中心となる人材の確保は必要でございます。
 こうした中核人材の確保に向け、都は、中小企業に知識やノウハウを提供するセミナーを開催するほか、採用の計画づくりや方法に関して相談窓口やコンサルタントの派遣により、きめの細かい助言を行ってまいりました。また、経営者向けに、中核人材の育成に役立つ講座を開き、その内容の実践を専門家がサポートしております。
 今後は、中核人材の確保をより効果的に進めることができるよう、金融機関や経済団体等と連携し、人材マッチングの体制づくりなどの支援を検討してまいります。
 次に、中小企業の人材の確保と定着の支援についてでございますが、中小企業が若手の人材を採用し、その定着を図る上で、仕事のやりがいや働きやすさを高めるほか、安心で快適な生活を送るためのサポートを行うことが重要でございます。
 これまで都は、中小企業の採用活動や従業員の定着に向けた取組を後押しするため、窓口相談やセミナーの開催により、会社の事業を分かりやすく伝える方法や柔軟で働きやすい勤務条件の導入に関わる知識やノウハウの提供を行ってまいりました。
 今後は、中小企業の社員が日常生活を送る際に重要な住まいや食事のほか、健康の維持などの面から会社のサポートが充実するよう支援を検討いたします。
 こうした取組によりまして、中小企業で若手の人材が活躍できるよう後押しを進めてまいります。
 次に、中小企業の人材育成の支援についてでございますが、東京の中小企業が、厳しい経営環境の続く中、将来に向け事業の継続と発展を図る上で、社員の力を伸ばし、労働生産性を高める取組は重要でございます。
 このため、都は、中小企業が従業員に対し、仕事で必要となる技能を高め、ノウハウを学ぶ訓練や研修を社内においてオフ・ザ・ジョブ・トレーニングで実施した場合、その経費の一部に助成を行っております。
 今後は、こうした支援の規模を拡充するほか、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングに取り組む中小企業を増やすため、経済団体と協力して事業内容のPRを進めます。
 こうした取組によりまして、中小企業の人材育成を着実に後押しをしてまいります。
 次に、中小企業のデジタル化に向けた支援についてでございますが、東京の中小企業が厳しい経営環境を克服する上で、デジタルの技術を活用して業務を効率化し、経営の改善に結びつけることは重要でございます。
 都は現在、中小企業の業務運営の効率化を後押しするため、様々な事務などのデジタル化に必要となる経費について助成を行っております。
 一方で、最新のデジタル技術により、社内での業務にクラウドの仕組みなどを活用する事例は着実に増えているところでもございます。
 このため、中小企業の事務手続に関わるデジタル化の加速に向け、助成規模の拡充を図るとともに、支援内容のPRの強化を行ってまいります。
 これによりまして、中小企業の経営力の向上を着実に後押しをしてまいります。
 最後に、全国旅行支援に合わせた観光振興についてでございますが、東京の観光産業の回復を後押しするため、国の全国旅行支援の仕組みなどを活用し、都内での旅行者を増やす取組は効果的でございます。
 国では、全国旅行支援を来月十一日から開始しますが、この仕組みを使い、都道府県が観光客を誘致する場合には、旅行代金の助成やクーポンの提供が可能となります。都では、開始の時期について、専門家からの意見を踏まえ適切に判断を行うことといたします。
 また、全国旅行支援の活用に合わせ、都民の都内観光への助成事業を本格的に展開いたします。さらに、これと足並みをそろえ、被災地応援ツアーも開始いたします。
 こうした取組によりまして、東京の観光産業の振興を着実に進めてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナの後遺症対策についてでありますが、後遺症は、年齢や基礎疾患の有無などにかかわらず、全ての方に起こる可能性がありまして、診断や治療等の知見を集積し、的確に情報を発信していくことが重要でございます。
 都は先般、東京iCDCの専門家の協力を得て、都立病院におけるオミクロン株の症例データを分析するとともに、その内容や最新の情報も含め、後遺症リーフレットを改定いたしました。また、後遺症への医療従事者等の理解促進に向け、治療に当たっている医師等によるセミナーを開催し、約千名の医師や薬剤師等が聴講をいたしました。
 さらに、都民が身近な医療機関で受診できるよう、後遺症に対応している四百二の医療機関を公表したところであり、今後、後遺症への対応が可能な医療機関のさらなる増加に向け、取組を進めてまいります。
 後遺症に関する医療機関の連携についてでございます。
 後遺症に悩む都民が適切な医療を受けられるようにするためには、患者に身近な医療機関から、後遺症の症状の種類や程度に応じて、対応可能な医療機関へと円滑につなげていくことが重要でございます。
 そのため、都は今後、倦怠感やせきなどの症状別や地域別にまとめた後遺症対応医療機関リストを作成し、東京都医師会の協力も得ながら、地域の診療所などへ情報提供することで、かかりつけ医等から後遺症対応医療機関へ患者を確実につなげてまいります。
 さらに、症状が重いケースなどにも対応している専門的な医療機関の治療内容を都が取りまとめ、他の医療機関向けに研修会を開催して情報を共有するなど、都民がより適切な医療を受けられるよう取り組んでまいります。
 最後に、宿泊療養施設の受入れ体制についてのご質問にお答え申し上げます。
 都は、この夏の感染拡大におきまして、病床を補完する宿泊療養施設の機能をより発揮させるため、これまで七十歳未満としていた入所者の対象年齢の上限をなくすとともに、重症化リスクのある方に優先的に入所していただくなどの対応を行いました。
 また、入所時に、療養される方の健康状態をより迅速に把握するため、AIを活用した問診を導入するなど運営を効率化いたしまして、第六波を上回る療養者を受け入れたところでございます。
 今後、宿泊療養を希望する都民が円滑に施設に入所できるよう、居室利用のさらなる効率化を図るほか、入所の際の施設までの移動の負担を軽減するため、多摩地域を含め、感染状況に応じた適切な受入れ体制の整備に取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの補助を補正予算とした効果についてでございますが、都は、UDタクシーに平成二十八年度から補助を開始し、これまで一万五千台以上に対して実施してまいりました。
 昨今の燃料価格の高騰等によりまして、環境性能が高いUDタクシーへのニーズが高まってございます。一方で御党からも、補助期限の今年度内の納車が困難なため、発注をためらう事業者があるとのお話を伺ってございます。
 そこで、来年度の納車でも確実に補助金が受給できることを明らかにすることで、早くから安心して発注してもらうため、今般、補助期間を令和五年度まで延長し、必要な経費として約二十六億円を計上いたしました。
 今後、タクシー事業者や業界団体等に補助期間の延長等について丁寧に説明し、普及拡大に取り組んでまいります。
 次に、太陽光発電設備に係る制度の円滑な実施に向けた取組についてでございますが、新制度の導入に向けては、現場の実態を踏まえた、事業者の理解と共感を得ることが重要でございます。
 これまで、関係団体や大手ハウスメーカー等と意見交換を重ねる中で、十分な準備期間の確保や初期費用の懸念、報告手続の簡素化について強い要望が寄せられました。
 都は、初期費用なしで太陽光発電設備を設置するサービスへの新たな支援や補助制度の拡充を検討してまいります。
 また、報告手続は国の制度に準じて簡素化を図り、事業者の負担軽減に配慮してまいります。
 なお、事業者の準備や都民への周知を図る観点から、令和七年四月を施行日といたしました。
 今後、関係部局と共に、省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム等を通じまして、事業者の理解を一層深め、国とも連携を図りながら、実効性のある制度としてまいります。
 次に、住宅の省エネに資する断熱、遮熱についてでございますが、住宅における熱の出入りの多くは窓からでございまして、比較的経費のかかる高断熱窓などの改修だけでなく、都民自身が手軽な作業で断熱できる製品の利用も有効でございます。
 そのため、都は、今年度から窓の断熱性を向上できる断熱フィルムなどの利用に対し支援を行う区市町村への補助を開始いたしました。
 今後、区市町村における支援の実態を踏まえまして、さらにこの補助制度を利用いただけるよう、断熱、遮熱技術を活用した製品を幅広く対象とするなど柔軟に対応してまいります。
 こうした取組を通じまして、区市町村及び都民と一体となりながら、断熱、遮熱性能を確保し、住宅の環境性能を高めてまいります。
 最後に、エアコンの消費電力の抑制についてでございますが、建物における冷暖房のエネルギー消費は二割以上でございまして、その省エネ化には設備の買換えだけでなく、既に設置されている機器を効率的に運用することも重要でございます。
 そのため、住宅については今年度から開始した簡易な省エネ対策への区市町村を通じた補助におきまして、室外機への対策を対象として明確化し、多くの区市町村に活用を促してまいります。あわせまして、都民が一層利用しやすい支援とするためのさらなる拡充も検討してまいります。
 また、中小企業が専門家の提案により設備の電力使用を抑えるシステム等の導入を支援してございます。今後は事業者が自ら計画をつくり、省エネに役立つ機器を導入する取組への支援を検討してまいります。
 こうした取組を通じまして、様々な省エネ対策を後押しし、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 私立高校授業料の保護者負担軽減についてお答えをいたします。
 補助金の支給早期化に向けましては、DXを活用し、申請手続の簡素化及び審査事務の効率化を実現することが重要でございます。
 そのため、保護者や学校がスマートフォンやパソコンを利用して簡便に申請や確認ができるようにするとともに、所得審査に必要な税額情報をマイナンバーから自動的に取得する新たなシステムを構築いたします。
 こうした新たな仕組みを利用者が安心して活用できるよう、都民の意見や専門家の評価もいただきながら、万全な情報管理体制を整備してまいります。
 引き続き、令和五年度からの補助金の支給早期化に向け着実に取り組んでまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の事業用空き住戸についてでございますが、都は、都営住宅の建て替え事業を計画的に推進するため、対象世帯数以上の事業用空き住戸を居住者に提示することによりまして、円滑な移転につなげております。
 このため、一定数の事業用空き住戸が必要でございますが、希望がなかった住戸の中には、引き続き他団地の建て替え事業用として長期間保有せざるを得ないものもございました。
 そこで、都営住宅の管理システムから抽出した空き住戸データを活用して保有状況を容易に分析できる新たなツールを導入した上で、建て替え計画を見据えて必要性を精査し、活用見込みの低い住戸は公募用等に切り替えてまいります。
 今後、さらなるデジタルの活用を図ることで、建て替え事業に必要な戸数は確保しながら、事業用空き住戸数を段階的に縮減しまして、ストックを有効活用してまいります。
 次に、東京都住宅供給公社の住宅を、東京ささエール住宅の専用住宅として活用することについてでございますが、公社住宅は重層的な住宅セーフティーネット機能の一翼を担っており、その機能の一層の強化が必要でございます。
 これまで公社は、地元自治体の意向を踏まえながら、空き住戸を専用住宅として活用する検討を進め、複数の区市と具体化に向けた協議を行ってまいりました。
 来月には、足立区との間で、児童養護施設等退所者及びひとり親世帯を対象とした専用住宅の提供に関する協定を締結いたします。年内に入居者の募集を開始する予定であり、家賃低廉化補助により入居者支援を行います。
 今後は、他の自治体に対してもその意向等を確認しながら積極的に協議を行いまして、公社住宅の専用住宅としての活用を広く進めてまいります。
 最後に、東京都住宅供給公社の住宅への入居におけるパートナーシップ宣誓制度の活用についてでございますが、ダイバーシティ東京を実現するためには、都の住宅政策の一翼を担う公社におきましても、パートナーシップ関係にある当事者の方々に配慮しながら居住支援を図っていくことが重要でございます。公社住宅ではこれまで、ルームシェア制度により、一部の住戸におきましてパートナーシップ関係にある方々の入居も可能としてまいりました。
 今後は、都のパートナーシップ宣誓制度が施行される十一月一日に合わせまして、全ての公社住宅を入居申込みの対象とするほか、パートナーシップ制度を導入している他の自治体で証明を受けた方の入居申込みも可能といたします。
 こうした取組を通じて、誰もが安心して暮らしやすい居住環境を整備してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) パートナーシップ宣誓制度の活用についてでございますが、制度創設と併せて、都はもとより、政策連携団体や都内自治体、民間事業者等、様々な主体で制度が活用されていくことが重要でございます。
 本定例会においては、都職員の福利厚生等で制度を活用するため条例改正案を提出してございまして、今後は政策連携団体にも、都の見直しを踏まえた対応を促してまいります。
 また、パートナーシップ宣誓制度を広く普及していくため、当事者に身近な都内自治体においても都の制度を活用した行政サービスの提供が図られますよう、各自治体の状況にも配慮し、丁寧に協議を重ねてまいります。
 さらに、民間事業者に対しましては、多様な性の理解の促進と併せまして、顧客向けサービスや社内福利厚生において都の制度の活用が広がりますよう、協力を呼びかけてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 新耐震基準の住宅の耐震化についてでございます。
 平成二十八年の熊本地震におきましては、平成十二年に基準が強化される以前に建築された新耐震基準の木造住宅の一部に倒壊等の被害が見られたことから、都は、区市町村と連携し、所有者が自ら安全点検を行うよう普及啓発などに取り組んでおります。
 本年五月、十年ぶりに改定された新たな被害想定におきましては、こうした耐震基準の建築物の耐震化が進むと、人的被害や建物被害がさらに軽減されることが示されました。
 これらを踏まえ、地震による建物被害をさらに軽減していくためには、安全点検の結果を踏まえた具体的な取組を促していくことが重要であることから、新耐震基準の木造住宅の耐震化に対して、普及啓発のさらなる強化や支援の在り方を検討してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時六分休憩

ページ先頭に戻る