令和四年東京都議会会議録第十三号

   午後三時五分開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十九番たきぐち学君。
   〔百十九番たきぐち学君登壇〕

○百十九番(たきぐち学君) 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたします。
 本年八月五日に名誉都民である三宅一生さんが、八月十一日に同じく森英恵さんが、八月十五日に笹本恒子さんが逝去されました。
 また、八月十八日、都議会議員である西山賢議員がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 令和四年第三回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、教育長、関係局長に質問をいたします。
 日本は、平成の失われた三十年から続く長いトンネルから抜け出せずにいます。停滞する経済に加えて、世界最速で進む少子高齢化、世界的な気候変動危機など、多くの課題が山積する中で、日本は実効性のある対策を講じることなく眠っていたといわざるを得ません。
 こうした状況を打破するためには、首都東京が世界でも存在感を示す成熟した魅力ある都市として競争力をつけ、停滞する現状への新たな答えを切り開き、日本全体へ波及させていくことが必要です。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、デジタル、グリーン、そしてダイバーシティを軸に、都政において多くの改革を実現してまいりました。それらは、単にコロナ前の社会に戻るのではなく、コロナによる人々の価値観や社会の変化を踏まえて、長期的な視点で東京の未来を描き、変化を恐れず歩みを進めるものです。
 危機こそがイノベーションの好機と捉え、不断の改革を断行していくことを改めてお誓い申し上げ、質問に入ります。
 長期化する新型コロナウイルス感染症の影響や物価高騰等に対して、十分な経済対策と生活支援策を講じていく必要があります。支援策を講じるに当たっては、ポストコロナを見据えた産業や企業の構造転換、人への投資や賃金の向上、食料や電力の国内自給力の向上など、山積する課題につながるよう対応しなければなりません。
 本定例会に上程された補正予算をもって、医療、介護、物流等を中心に、目下の様々な生活と経済への影響を緩和する措置を講ずるとともに、中長期の目線では、危機から機会へと転換する施策を戦略的に講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 物価高騰の背景にある二十四年ぶりとなる円安水準は、日米の金融政策の違いなどから、当面続く可能性があります。事業者には、原材料やエネルギーコストの上昇が重くのしかかるとともに、電力供給の逼迫等も大きな懸念があります。
 こうした危機を機会とも捉えて、東京のエネルギーの消費構造を大胆に転換していくことが重要です。事業者のHTT、電力を減らす、つくる、ためる取組を支援し、エネルギー利用の見直しを早急に実現していくべきですが、見解を伺います。
 また、事業者に講ずる各種支援策が、従業員の待遇改善や働き方改革につながる必要があります。つまり、働く人のための支援が必要です。厚生労働省の業務改善助成金は、最低賃金の引上げや生産性の伸び率が要件を満たした場合に、助成金を割り増すという新たな取組です。我が会派では、都にも同様の取組を求めてきました。
 都は、生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業において、事業後に生産性を高める取組のフォローアップを行っていますが、今後、この取組が従業員の賃金の引上げによる待遇改善に確実につながるような事業設計が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、感染症対策です。
 全数把握の見直しが始まりました。My HER-SYSを活用した健康観察サービスの提供や、経口治療薬の一般流通の開始に伴い、医療現場や保健所の事務負担を軽減する措置であり、実施を評価いたします。
 一方、冬場に向けて新たな感染拡大も想定される中で、感染傾向の把握と病床の確保等の対策を的確に行うための指標の管理や、発生届の対象外となる患者について、容体が急変した場合の迅速な対応などが課題となります。
 全数把握の見直しを受け、都として感染拡大防止や医療提供体制において迅速かつ的確な対応を行えるよう備えるとともに、季節性インフルエンザの同時流行も見据えた対策を講じるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 約二千床ものコロナ病床を有する東京都立病院機構の重症、中等症患者への対応歴は世界有数のもので、蓄積された臨床データは極めて貴重です。
 こうした東京都立病院機構に蓄積された臨床データを活用し、ワクチン接種の促進等の施策の策定に生かしていくべきでありますが、見解を伺います。
 今後も、新たな感染症の流行や首都直下地震等の大規模災害により、通常の医療提供体制を超えた対応が必要となる事態が想定されます。こうした事態が発生する都度、臨時医療施設を設置していくことも考えられますが、例えば、平時は様々な緊急事態に対する医療従事者等への研修や訓練を行いつつ、有事には速やかに医療施設に転用することが可能な施設を都として整備しておくことも、より機動的な選択肢と考えます。
 有事に機動的に対応できる医療インフラを都として整備することについて、有識者を交えて検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、災害対策です。
 東日本大震災から十年がたち、都は、東京都の新たな首都直下地震等の被害想定を今年五月に公表し、それを踏まえた都市強靱化プロジェクトの論点を取りまとめました。
 我が会派では、何度も被災地を訪れ、自治体や被災者の方々の声を聞いており、早期復興や災害対策においてコミュニティの役割が極めて重要であると認識しています。しかしながら、論点の中には十分に盛り込まれておりません。
 都市強靱化プロジェクトにコミュニティの役割を入れ、コミュニティの活性化に向けた取組を盛り込むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 首都直下地震等における人命被害を減らす上で、住宅の耐震化は重要な要素を占めますが、旧耐震基準の建築物の耐震化率が九二%にまで進捗してきた中で、今後は、グレーゾーン住宅と指摘され、課題があるといわれている平成十二年以前に建築された新耐震基準の建築物についても、実態を精査し、危険度が高いものについて耐震化を進められるよう支援を検討すべきです。
 平成十二年以前に建築された新耐震基準の住宅で、耐震性能が不十分な、いわゆるグレーゾーン住宅に対し耐震化の取組を拡充することで、首都直下地震等で想定される被害をさらに低減すべきですが、見解を伺います。
 令和二年の国の報告書では、軽微の降灰でも鉄道の運行停止や停電などが想定され、交通、電気、通信をはじめ様々なインフラに支障が出ると指摘されています。富士山が噴火した場合に備えたハード、ソフト両面の対策や火山灰の撤去計画等の策定など、速やかに対応すべきですが、見解を伺います。
 なお、火山灰撤去のための機器の調達に当たっては、そのほかの災害時にも有効利用できるものにすることや、近隣自治体との共同調達など、効率的に進めるよう求めておきます。
 脱炭素社会の実現に向けたGX、グリーントランスフォーメーションの加速は、地球規模での課題解決に必要不可欠であり、東京も大きく貢献していかなければなりません。
 一方、個々の家庭に目を向けても、電気代の上昇傾向が強まっており、今年の冬にも電力需給逼迫のおそれがあります。再エネ、省エネの推進により、住宅のエネルギー効率を上げることは、家計負担の軽減にもつながります。
 都の試算では、住宅で一般的とされる規模の四キロワットの太陽光パネルを設置した場合、初期費用九十八万円は十年で、現行の補助金を活用した場合は六年で回収が可能であり、三十年間の収支は最大百五十九万円の黒字としています。
 これに対し、廃棄、リサイクル費用は三十万円程度であることから、ライフサイクルを通じ、十分に経済的メリットがあると想定されます。また、災害時の電力確保ができることも大きなメリットです。
 改めて、一定規模以上の住宅供給事業者に対して太陽光発電の設置義務化を行う意義と具体的なメリットを伺うとともに、義務化に伴い、購入者、事業者を後押しする経済的支援をさらに強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、義務化を進める上で、特に直接関係する新築住宅の購入者、事業者に対し、正確かつ丁寧な情報提供をこれまで以上に行うことが不可欠ですが、見解を伺います。
 なお、廃棄、リサイクルも含めたライフサイクル全体における環境配慮が重要であり、パネルのリサイクル体制の構築と、処理費用の低減に関する取組の加速を求めておきます。
 SNS等によって、都の政策について、不正確な理解や、意図的に情報を切り抜き、事実とは異なる主張を喧伝することなどにより、都民の混乱を招く事例が横行しています。
 都が政策を公表する際に、過去の経緯や関連する政策と併せて分かりやすく伝え、誤解を減らすなどの工夫がまずは必要ですが、こうしたSNS上の事実と異なる発信に対して、適切、迅速に、かつ拡散力のある形で初動対応することは、今後ますます必要となります。
 都民の理解や信頼があっての都政運営であることから、こうしたSNS上における、まさに瞬発力を求められる対応について、外部のプロ人材も活用してチームを編成する等、専門的に対処できる体制を構築すべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会をめぐる汚職疑惑事件で、捜査当局は、組織委員会の元理事の逮捕やスポンサー企業等への強制捜査を進めています。大会の意義を大きく損なう事態となり、極めて残念といわざるを得ません。知事の受け止めを伺います。
 ガバナンス強化の必要性を訴え、議員提案により、五輪文書保管条例の成立を実現しましたが、やはり組織委員会のガバナンスには極めて大きな課題があり、条例の意義も改めて確認されたものです。
 都として、清算法人に対し、捜査に全面的に協力するよう促すことを求めるとともに、大会スポンサーに係るコンプライアンス上の手続や実態などについて、改めて組織委員会のガバナンスがどうであったのか、見解を伺います。
 次に、霊感商法をはじめとする反社会的なカルトへの対策強化が社会全体で大きな課題となっていますが、旧統一教会についてどのように認識しているか、知事の見解を伺います。
 我が会派では、長年霊感商法の被害者救済に尽力してきた弁護士らからヒアリングをするなど、課題の整理を進めてきました。対応強化に必要な法改正は、国で行われるべきでありますが、都においても、被害を未然に防ぎ、適切に被害救済につなげていくよう、取組の強化が必要です。
 さらに、都民への注意喚起を積極的に行うとともに、寄附の形式であっても、相談の中身に応じて、返金等の紛争であれば専門性の高い弁護士へ、ネグレクト、経済的困窮等の場合には福祉的サポートへと、消費者問題に関する相談窓口と様々な支援策との間で連携を強化することも重要です。
 現在の霊感商法の実態に即した普及啓発の強化と、都の消費者相談窓口に関し、弁護士等の専門家や福祉部門等との連携強化など、多角的な霊感商法対策の強化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 今月、静岡県で三歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされて亡くなる痛ましい事件がありました。昨年も福岡県で同様の事件があり、国は安全管理の徹底を指示していましたが、不十分な対応であったといわざるを得ません。ヒューマンエラーは起こり得ることを前提に、デジタルの力も利用して、多層的に死亡事故防止に取り組むべきです。
 我が会派では、バスに設置する置き去り検知センサー等を早速視察し、今回の事故のような、職員の思い込み、確認、連携不足によるミスを防止する方法について提案してまいりました。今後、幼稚園、保育園、認定こども園等において、送迎バス等への園児の置き去りによる死亡事故を防ぐため、置き去り検知センサー及び置き去り防止アプリの導入について、共同調達や導入費補助などにより早期に進めるべきでありますが、知事に見解を伺います。
 あわせて、各園での管理運営の確認徹底と、園児自身が身を守る行動を取れるような指導についても推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、我が会派が提案してきた東京都パートナーシップ宣誓制度の具体的取組の一つとして、都職員の福利厚生制度が改正されることを契機に、民間企業等においてもパートナーシップ制度を活用した福利厚生の充実を促進するとともに、十一月の開始に合わせて都庁舎のライトアップなど、機運醸成を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、医療機関においても、同性パートナーによる付添いやみとりなど、適切な取り計らいが行われるよう、医師会や各種医療機関等に対しても周知など必要な対応を求めておきます。
 さて、我が会派は、これまで都民ファーストの立場で、民間の視点、女性の視点、子育て世代、若い世代の視点を取り入れ、以前の都議会では議論が立ち遅れていたデジタル、グリーン、そしてダイバーシティに注力し、例えば、パートナーシップ制度の創設、赤ちゃんファースト事業の創設、待機児童の解消、デジタルサービス局の設置など、都政に新しい風を吹き込み、様々な成果を生み出してまいりました。
 今後、都政と社会の構造改革をさらに進めるため、会派内に重点政策を議論するプロジェクトチームを立ち上げ、東京の未来の姿を描いた上で、必要な中長期的な取組について、代表質問でも継続的に取り上げてまいります。
 また、様々な政策課題に対して、公開勉強会や都民意見を取り入れる工夫によって、都民と共に政策を形成する政策のオープンイノベーションを行ってまいります。
 改めて姿勢を表明し、以下、質問を続けます。
 まず、最初の重点領域として、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策です。
 海外から選ばれる都市の実現に向けて、スタートアップや文化など、これからの東京を支える人やデジタル基盤への投資、加えて、都民が文化を消費するライフスタイルを築き上げる必要があります。
 都が先月、Tokyo with STARTUPを発表し、スタートアップ担当局長と担当部署を設置することを評価いたしますが、この構えを機能させるため、この分野のエキスパート人材を民間から確保するとともに、外部人材の活用も組み合わせて推進していくことを求めます。
 また、都として早期にできるスタートアップ支援として、公共調達への参加推進も重要です。新規参入の障害となるような入札条件や、予算単年度主義による弊害をなくすことなどの取組を求めておきます。加えて、数百億円規模のファンドの創設も検討を求めます。
 スタートアップを創出する基盤となる起業意欲を有する割合は、米国が五四・九%、中国が三五・三%に対して、日本は一二・五%にとどまっています。さらに、日本でアントレプレナーシップ教育を受けた大学生の割合は、僅か一%にすぎないといわれています。東京都立大学をはじめ、起業家を増やすための実践的なアントレプレナーシップ教育をさらに加速させるべきですが、知事に見解を伺います。
 一方、海外事例に学ぶことも重要です。フランスでは、マクロン大統領就任後、スタートアップ大国にするビジョンを掲げ、フレンチテックとして強力に推進し、十社を超えるユニコーンが誕生しています。世界最大級のスタートアップキャンパス、ステーションFでは、起業家約三千人が活動できるほか、公的機関、投資家、アクセラレーターなどを一ところに招致することで、有望起業家が集い、相互に影響し合う場となっており、海外に向けてもフランスの姿勢を示す象徴的な意味合いも持っています。
 また、フレンチテックの根幹は、官民連携の工夫など、ほかにもあるといわれており、先行事例を様々な角度から検討することが必要です。
 先般、宮坂副知事らが海外のスタートアップ拠点等を視察したと伺っていますが、その成果も踏まえ、諸外国の事例等をスタートアップのプロと共に分析し、東京版ステーションFの設置検討も含め、東京都で取り組むべきスタートアップ戦略と施策を早期に取りまとめるべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 都庁及び東京全体のDXを世界レベルに引き上げるには、優秀なデジタル人材を現状より一桁多い一千人規模で行政として確保する必要があります。そのためには、柔軟な給与体系や雇用形態の導入が必須であること等をかねてより指摘してまいりました。
 今般、行政課題をテクノロジーの力で解決するGovTech東京の設立が打ち出されました。この新たな組織が有効に機能するためには、官民の間で人材が自在に行き来できるリボルビングドアのような柔軟な仕組みが必要不可欠です。また、この組織を牽引するトップもとても重要です。民間の強力なデジタル人材を招聘することを求めておきます。
 GovTech東京が、区市町村も含めた東京全体のDXを牽引する人材プールとなるよう、特に人材確保の面で、官民の垣根を超えた柔軟で迅速な仕組みを備えるとともに、官民の新しい関係により様々な社会課題を解決していくべきですが、知事の見解を伺います。
 DXは、ダイバーシティやインクルーシブの実現にも大きな手段となります。今月、国際ろう者スポーツ委員会の総会で、二〇二五年のデフリンピック大会の東京開催が決定しました。
 世界を見渡すと、例えば、今年三月にアメリカで開催された世界最大規模のCSUN障害者支援技術会議において、音声認識、音声合成、点字表示、点字入力が同時入力できるスマホサイズの機器や、網膜の中に小さなディスプレーを入れて視野をサポートする機器など、多くの障害支援ツールが紹介されました。
 私たちは、これらをテクノロジーの力で、バリアを超えるインクルーシブテクノロジーとして、あらゆる分野で導入を検討するよう求めてまいりました。二〇二五年のデフリンピック開催でもレガシーを残せるよう、最新のデジタル技術を活用して、物理的、心理的なバリアを取り除き、障害にかかわらず、誰とでもスムーズなコミュニケーションができる社会の実現に取り組むべきでありますが、知事の見解を伺います。
 DXやテクノロジーというと、先進的な人だけがその利益を享受できるというイメージが一般にはまだ持たれがちですが、このことからも明らかなように、実際はその逆で、これまでリーチできなかった人にまでリーチできる効果が期待できるものであります。欧米では、官公庁のあらゆる情報発信に加えて、GAFAやIT企業においても、全ての人にユニバーサルなデザインであるかがサービス開発の前提条件となっています。
 さきのGovTech東京とともに、都が進めていく行政のDXにおいても、デジタルアクセシビリティーの視点を重視し、字幕や音声解説がついているかをチェックするなど、開発におけるインクルーシブな視点を入れていくための仕組みを導入すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会のレガシーとして、文化やスポーツイベントを充実させることに加えて、都民が参加できる機会を増やすとともに、海外からも人を引きつけるレベルの高い文化、スポーツを都民の手で育てることが重要です。
 我が会派は、環境に優しく、健康にもよい自転車の利用促進のため、東京二〇二〇大会のレガシーとして、公道を利用した大規模レースの開催を求めてきました。これを受け、本年十一月に開催されるGRAND CYCLE TOKYOに加え、多摩地域で本格的な自転車レースを来年秋に開催することが発表されたことを高く評価いたします。
 とりわけ、自転車ロードレースは、都内の公道で開催された事例が少なく、大会が実現されれば極めて画期的です。かつて、東京マラソンの開催が全国にランニングブームを起こし、大きな経済効果を生んだことや、世界の五大マラソンで構成されていたワールドマラソンメジャーズに名を連ねることになったことなどを踏まえ、ポテンシャルの大きさに期待をいたします。
 多摩地域での公道を使った新たな自転車レースについて、国内外から注目される取組にするとともに、都民、国民の裾野の広いムーブメントの形成に寄与するよう開催していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 コース設計や地元市との調整はこれからだと思いますが、コースとなった道路には何らかの形でそのあかしを残し、サイクリストやドライバーが認知できるよう工夫することや、一九六四年大会でも利用された場所など、当時のレガシーの活用についても検討を求めておきます。
 ベイエリアの魅力創出では、光や音の活用が比較的実施しやすいエリアの特性や、東京ベイeSGプロジェクトで掲げるテクノロジーの社会実装の観点を取り入れた具体的な取組が求められます。
 ベイエリア、とりわけ臨海副都心において、水辺空間を生かしながら光や音を活用し、新たな魅力創出を行っていくとともに、先端技術、テクノロジーの実装や地域観光の推進にもつながるよう取り組むべきでありますが、見解を伺います。
 我が会派の提案により、アートにエールを!東京プロジェクトが実現し、今年度も芸術文化魅力創出助成として、地域の活性化やインクルーシブを目指すイベントを新たに支援していることを評価いたします。
 加えて、コロナ禍において公演回数や入場者の減少に加えて、中止した場合の会場費なども、特に小規模な芸術文化団体等の大きな負担となっており、公演開催をちゅうちょしたり、団体の存続が危ぶまれたりといった状況にあることから、こうした芸術文化団体等の活動を支える新たな支援策を講じるべきでありますが、見解を伺います。
 国は、全国旅行支援とイベント割の実施を公表しましたが、イベント割は実施に当たり都道府県の同意が必要とされています。
 コロナ禍で苦しんでいる宿泊業、旅行業、エンタメ業などの新たな支援として、イベント割を都としても早期に実施し、観光のみならず、東京の文化、エンタメ産業をしっかりと支えるべきでありますが、見解を伺います。
 次の重点領域は、都民のQOL向上に向けた都有資産の一層の活用として、都営住宅を取り上げます。
 まず、都営住宅はセーフティーネットとして重要な役割を果たしてきましたが、今後は住宅供給だけではなく、居住者を必要な支援につなぐソーシャルワークや、必要な人には就労支援に結びつけ、自立へとつなげていくような、局横断的な取組を進めていくべきです。
 氷河期世代、ひとり親など、多様な困難さを抱える都民が増えている現状を踏まえて、困難を抱える方々が新たに入居する機会を得られ、多様な自立を目指していけるような取組が必要です。
 低廉な都営住宅に入居する間に、入居者の特性に合わせて就労や収入増加の機会が得られるよう、都営住宅と就労支援部門が連携して取り組むべきでありますが、見解を伺います。
 次に、都営住宅の屋上などを活用した太陽光発電です。令和二年度末時点で設置済みの住棟は全体の約八%、発電能力は一棟当たり平均五キロワットと、戸建て住宅並みにとどまっていることを指摘し、取組の抜本的な強化を求めてまいりました。
 都営住宅における太陽光発電設備は、これまでは建て替えを中心に約五百二十棟に設置されていると聞いており、今後さらなる設置と発電能力の拡大に向けて取り組むべきでありますが、見解を伺います。また、設置に当たっては、災害時において居住者や近隣住民の避難に際しての電力供給機能も確保すべきでありますが、併せて見解を伺います。
 また、都営住宅の運営に使用している都有地は、新宿区の面積と同程度で、資産価値は推定で数兆円と見られています。この巨額の資産を最大限有効に活用することが責務であることはいうまでもありません。
 そもそも、使用している資産の価値が幾らなのか、空室の回転率がどのようになっているのか、容積率は最大限使用されているのかといった経営指標を見える化して、事業運営することは極めて重要です。
 都営住宅用地として使用している都有資産をワイズスペンディングの観点で運用する上で、例えば容積率が十分に使われているかといった民間経営では当然の指標の見える化を行い、事業を進めるべきであると考えますが、見解を伺います。
 三つ目の重点領域は医療分野の改革です。
 先進諸国では、オンライン診療の普及に加え、医療データの利活用により医療資源の効率化を図っています。高齢化が進む我が国でも、社会福祉費の増大を抑えつつ、一人一人のヘルスケアを充実させるためには、生涯を通じた医療データ、いわゆるライフコースデータを管理分析することで、日常の健康管理から受診、治療までを一連の流れとして捉え、予防や医療、介護に生かしていく必要があります。
 それに向けた第一歩として、既存の医療資源につながりやすくするとともに、自らの健康について知ることができる、一人一人に寄り添った医療環境の整備を取り上げます。
 まずは、医療資源へのアクセスの改善に向けたオンライン診療の普及ですが、都がオンライン診療の体制整備に対する補助を開始した令和二年度に約二千の医療機関に導入された後は、導入が頭打ちになっています。
 オンライン診療について導入や利用を阻害する要因を調査し、普及のための政策に反映すべきと考えますが、見解を伺います。
 喫緊のアクセス改善が求められる医療資源として、緊急避妊薬、アフターピルがあります。日本の年間の中絶件数は約十五万件に及んでいます。緊急避妊薬は、七十二時間以内の服用が必要とされるため、主要先進国を含む世界九十か国以上において薬局で迅速に入手できるのに対して、日本では医師の診察、処方が求められることから、土日祝日や夜間の診療の難しさが課題となっています。また、費用が高いことから、経済的に困窮する女性や若年層にとっては、利用が困難でもあります。
 我が会派はこれまで、性教育の充実、産後ケア、プレコンセプションケアの実施、東京版ユースクリニックなど、自身の性や健康を大切にし、他者も尊重できるような取組について、女性や子供、若者目線から真に必要な取組を求めて、実現してまいりました。
 緊急避妊薬について、時間や休日、祝日を問わず、電話やLINEにより相談できる環境、オンラインで分かりやすく情報を入手できる環境、場所によらず迅速に処方箋を得るためのオンライン診療等にアクセスできる環境などの構築が必要です。加えて、若年層など、利用者の置かれた状況によっては費用負担を軽減すべきでありますが、併せて見解を伺います。
 緊急避妊薬を薬局で購入できるようにするスイッチOTC化について、検討を早期に進めることを国に対して要請するよう求めておきます。また、都として、性犯罪被害者に限らず、緊急避妊薬の入手に関する費用負担を軽減することを強く求めておきます。
 十代から二十代前半の子供、若者が、性に関することも含めた健康に関する相談支援や検査、治療にアクセスしづらいことも課題です。我が会派は、スウェーデンのユースクリニックを参考にした東京版ユースクリニックの必要性を提案し、これを受け、都は今年度中にユースヘルスケア事業を立ち上げることとなりました。
 子供、若者が安心して広く利用してもらえる場所となるよう、子供、若者の意見を生かすよう要望してきたところでありますが、今年度の東京ユースヘルスケア推進事業の取組について伺うとともに、子供、若者の意見を反映するためにどのような取組をするのか、併せて伺います。
 ユースクリニックを創設しても、自身の性や体の健康を大切にしようとする意識が子供、若者に育たなければ利用が促進されません。スウェーデンでは、学校で包括的な性教育をするとともに、授業でユースクリニックを訪れるなどして、困ったときに正しい相談支援機関に子供、若者がアクセスできるようにしています。都教委においても同様な取組を進めていくべきです。
 まずは、都立高校生等の健康に関する悩みに対応するため、学校という生徒たちにとって身近な場所において、専門医に相談ができ、必要な支援につなげられるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
 日本では、人工中絶総数の約八%が二十歳未満で推移していることから見ても、子供、若者が正しい避妊の知識や避妊器具を得られるとともに、さきの緊急避妊薬についても、ユースクリニック等を通じて無償での提供を可能とするよう要望いたします。
 高額であるがゆえにハードルが高かった不妊治療については、我が会派が、東京で働く夫婦の実態を踏まえた負担軽減を訴え、都が国に先駆けて所得制限と年齢制限の緩和を措置したことを評価しています。
 国においても、ようやく本年四月より不妊治療が保険適用されることとなりましたが、第一回定例会で指摘したとおり、一部の治療は保険適用外となるなど課題があることから、都として支援すべきであります。
 さきの所信表明において、知事は、保険適用外となっている先進医療の費用について都独自の助成制度を創設すると述べ、補正予算にも計上していますが、都として子供を持ちたい親の思いに応えて、十分な支援を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される取組として、海外では既に選択肢として普及している卵子凍結に対しても支援の創設を求めます。加えて、体に残された卵子の目安を知り、妊活、不妊治療に生かすことのできるAMH検査に対しても支援の創設を求めておきます。
 最後の重点領域として、子供、子育て、教育を取り上げます。
 今までの延長線上にはない、未来を生き抜く子供や若者のために我々ができることは、時代に応じた環境整備と一人一人の個性を伸ばす教育や学びへの投資です。
 今月九日、国連の障害者権利委員会から、日本に対して、分離した環境の教育をやめることを目指し、個に応じた支援や学びを提供しながらも、障害のある子とない子が共に同じ場で学び育つ質の高いインクルーシブ教育を推進するよう、強い勧告が出されました。国は法整備を含めた行動計画を早急に立てることが求められています。
 令和元年の東京都教育委員会の発表によりますと、都内の障害のある小学生の九一%、中学生の九五・一%が、支援学級や支援学校という分離された場で教育を受けています。
 都は、この状況を変えるために、インクルーシブな教育を推進しようとしていると認識していますが、改めて、勧告を踏まえ、東京から日本のインクルーシブ教育を牽引する気概で、さらに力強く進めることを求めます。
 必要な合理的配慮や教育が提供されないことにより、分離された教育環境を選ばざるを得ない状況にある障害児が、希望するインクルーシブな環境で学べるよう、さらにインクルーシブな教育を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京が世界と伍して戦う競争力を養うには、未来を担う子供たちの教育が重要であることはいうまでもありません。中でも、英語力を含む、国際社会を生き抜くコミュニケーション能力は必要不可欠です。しかしながら、各国を比較した英語力ランキングは十一年連続で下落し、三十八位の韓国を大きく下回る百十二か国中七十八位という結果となっており、特に、英語を話す力の低さに大きな課題があります。
 都が本年度から新たに実施するとしている都立高校入試のスピーキングテストについて、過渡期において生じる課題や生徒や保護者の不安に対して、先日の文教委員会においても、我が会派が提案し、経済格差への対応や不受験者承認の厳格化、得点開示、相談窓口の設置など、多くの答弁を得ています。
 一方、試験の導入が英語の話す力を伸ばし、子供たちの未来につながるものでなければなりません。今後、東京の子供たちの英語力を向上させるためには、テストの仕組み改革と併せて、現場の英語教育の改革も極めて重要です。
 公立学校において、TGGのさらなる活用で英語に楽しく触れる体験を増やすことや、一人一台端末として配布されたタブレットなどを用いて、音声学習の機会や海外の人と話す機会を増やすなど、これまで以上に子供たちの英語を話す力の向上に対して支援に力を入れるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 スピーキングテストに限らず、私たちは提案する政党、会派として、入試のあるべき姿に加えて、未来を生きる子供たちの公教育の在り方そのものについても、今後、会派で議論を重ねて提案してまいります。
 次に、学校のデジタル化についてです。
 一人一台端末の導入による教育のデジタル化を進めていますが、学校への提出物や保護者との連絡については、いまだに紙であることが多く、アプリなどでオンライン化を望む保護者からの要望は少なくありません。また、生徒一人一人に向き合う時間を確保するためにも、先生方の負担軽減も重要です。
 都が実施したオンライン学習等の実態調査では、九〇%以上の小中学校が保護者との連絡手段でデジタル化が進んでいると回答していますが、単にホームページに連絡を載せることも含んでおり、実際の利便性向上につながっていない学校もあるようです。
 保護者と学校との連絡手段のデジタル化について、保護者の利便性向上、教師の業務負担削減につながるよう、先駆的な好事例などを参考に、どういった形でデジタル化を進めるべきなのか選択肢を示して、より詳細な調査で実態を把握するとともに、取組を区市町村と各学校に促すべきと考えますが、見解を伺います。
 子供の健全な成長において、教育と同じくらい重要なのは遊びです。豊かな遊びは子供の身体的能力を伸ばし、探求心、好奇心、感性を育み、他者との関わりからコミュニケーション力にも影響を与えるなど、あらゆる育ちが凝縮されています。
 しかしながら、建設局では、ハード面での整備が中心であり、例えば、子供が自由な発想で自然の中で冒険をするような遊び、創造性や自主性を育むプレーパークのような遊びのメソッドやプログラムといった、ソフト面での支援については範疇外とされ、支援する所管がこれまでありませんでした。
 そこで、子供政策連携室が対処すべき課題として、既存の公園等のみならず、多様な遊び場の確保を区市町村、民間企業、地域と連携して進めるとともに、プレーパークなどを支援し、遊びの体験や学習を充実させるソフト面の取組にも力を入れるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京都こども基本条例にも定めているように、今後、子供たちの遊びに関しては、都民提案事業の活用など、子供たちの意見やアイデア等を反映させていくことを強く要望いたします。
 一方、遊び場の確保では、既存の公園のみならず、駅ナカや大型施設などの民間の中核的な施設における遊び場の誘導、商店街等における空き店舗のイノベーションや空き地の活用、都有施設、未利用都有地や都営住宅の空き室や空き駐車場の活用など、様々な場所を活用していくよう求めます。
 最後に、東京が世界に伍する都市となるためには、世界を俯瞰する目を持ち、積極的に交流することが必要です。感染症に関する各国の規制も緩和が進み、再び世界の人々の動きが活発化しています。
 小池知事も三年ぶりに海外に赴き、各都市との連携を図りましたが、再び現場職員の海外派遣についても強化し、国際感覚を身につけ、新たな発想で政策立案できる職員を幅広い政策分野で育てるべきです。
 今後、様々な分野で最先端を進む都市との国際交流を通じて、都市外交力をさらに高める取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上、私たちは、東京から日本を牽引していく東京大改革を旗印に、危機こそがイノベーションの好機と捉え、都民の声を聞き、都民のために不断の改革を断行していくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) たきぐち学議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、補正予算についてのお尋ねがございました。
 依然としてコロナとの闘いが続く中、物価の高騰や電力需給の逼迫などが都民生活や都内経済に与える影響は長期化、深刻化し、予断を許さない状況が続いております。
 こうした中、都がなすべきことは、まず、足元の危機から都民や事業者を守り抜く、そして、危機の中にあっても将来の希望につながる機会を見いだし、確実に歩みを進めていくことでございます。このような考えの下、総額六千百三十五億円の補正予算を編成し、これまでに講じてきた対策のさらなる強化充実を図っております。
 具体的には、社会の基礎的機能が止まることのないよう、さらに踏み込んだ物価高騰対策として、医療機関や運輸事業者への財政支援を行う。加えまして、中小企業の販路開拓への支援や、現下の状況を契機として、国産木材の供給拡大につなげる取組など、中長期的な視点も踏まえまして、多岐にわたる幅広い対策を講じてまいります。
 また、この冬の電力確保に向けました取組に加えまして、将来の脱炭素社会を見据えた対策も推し進めてまいります。さらに、都民の命と健康を守る観点から、量と質の両面で万全のコロナ対策を講じてまいります。同時に、債務負担行為等を活用いたしまして、防災対策など重要施策のスピードアップを図ります。
 補正予算に盛り込みました対策をこれまでの施策と一体的に講じていくことで、直面する危機への対処をしっかりと図りながら、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 次に、新型コロナの全数届出の見直し後の取組についてどうか、このようなご質問がございました。
 発生届の有無にかかわらず、都民一人一人の命と健康を守ることが重要でありまして、都は、国に対し、発生届の対象外となる方へのフォローアップ体制の構築、経口薬の流通改善などを要望してまいりました。
 今般、希望する方にはMy HER-SYSを活用した健康観察サービスを提供できること、経口薬の一般流通が開始されることが国から示されたところでございます。
 このため、都は、東京モデルとして強化してきた保健、医療提供体制を基本としまして、希望する全ての方が健康観察を受けられる体制を整えるとともに、うちさぽ東京やフォローアップセンターの機能を最大限発揮しまして、体調急変時には往診や入院調整を行うなど、迅速に対応してまいります。
 また、モニタリング分析でございますが、新規陽性者数や年代別の推移などを継続するほか、酸素投与が必要な入院患者数を追加するなど、重症、中等症の患者数に焦点を当てまして、次の感染拡大も見据えた政策判断の参考といたします。
 さらに、インフルエンザとの同時流行も見据えて、高齢者等のインフルエンザワクチン接種にかかる自己負担分を支援するなど、先手先手で対策を講じ、全ての方が安心して療養できる環境を整えてまいります。
 次に、都市の強靱化に向けたコミュニティの役割についてでございます。
 気候変動の影響によりまして激甚化する風水害、大規模地震など、いつ起きてもおかしくない災害から都民を守るためには、公助の取組と併せまして、自助、共助、それぞれの機能を発揮することが重要です。
 阪神・淡路大震災では、生き埋めや閉じ込められた場所から救出された方々の多くが、家族や近所の人々によって命が救われています。このように地域で助け合う共助の取組が安全・安心を確保する上で大きなポイントとなります。
 こうした考えの下、都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点におきましては、ハードの取組に加え、多様な主体との連携などのソフト対策を掲げております。
 今後、このプロジェクトに、共助の中核を担う役割としてコミュニティを位置づけます。また、若年層を含むあらゆる世代の都民と防災意識を共有するなど、地域の防災力を向上させ、都市の強靱化を実現してまいります。
 次に、太陽光発電の設置義務化についてであります。
 気候危機やエネルギー危機への対応は一刻の猶予もなく、脱炭素社会の実現は急務であります。
 都内CO2排出量の七割超が建物でのエネルギー使用に起因しておりまして、今後数十年にわたって使用される新建築物への対策は極めて重要です。
 太陽光発電設備は、電気代削減による経済性や停電時に電気を使用できる防災性など、多様なメリットを有しておりまして、大都市の強みである屋根を最大限活用することで、地産地消のエネルギー源の確保にもつながります。
 こうした意義やメリットを踏まえまして、新築住宅等への太陽光発電設備の設置などを大手住宅供給事業者等に義務づける全国初の制度を創設し、世界の潮流に遅れることなく、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて行動を加速してまいります。
 新制度の実施に当たりましては、住まい手や事業者の共感と協働を得ながら取り組むことが不可欠であります。
 そこで、住まい手が安心して設置できるよう、初期費用に対する補助制度の新設、拡充や、設置から処分までの各段階に応じた支援を図る。また、円滑な施行に向け、準備を行う事業者に対して支援を行うとともに、先行的に取り組む事業者を積極的に後押しする。その際、中小ハウスメーカーや工務店も支援対象といたしまして、太陽光パネルの標準設置ムーブメントを醸成してまいります。
 新制度が、我が国における再生可能エネルギー導入の流れを大きく変える転機となりますよう、都民、事業者と共に力を合わせて取り組んでまいります。
 次に、組織委員会の元理事についてのご質問がございました。
 大会は、一年延期、そして無観客という前例のない状況の下で、多くの方々の協力を得ながら、困難を乗り越えて開催することができたわけであります。
 大会を通じまして、共生社会への道筋やソフト、ハード両面のバリアフリーの取組など、未来の東京につながる様々なレガシーを残すことができました。
 一方で、このような事件が起きましたことは誠に残念であります。
 本件は捜査中の案件でございまして、清算法人に対しましては、状況に応じ、必要な報告等を行うよう働きかけるとともに、引き続き捜査に全面的に協力するように求めてまいります。
 旧統一教会への認識についてのお尋ねもございました。
 総理も述べておられますように、社会的に問題が指摘される団体との付き合いは慎重であるべきでございます。政治や行政は、こうした団体の活動等の助長につながるようなことを行うべきではない。
 今後とも、旧統一教会に関連いたしまして、不安や困難を抱える都民に対し、都として適切な対応を進めてまいります。
 次に、子供の置き去り防止への支援についてであります。
 先般、送迎バスに子供が取り残され亡くなるという痛ましい事故が起こりました。亡くなられたお子様のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
 子供たちにとりまして、安全・安心な場所であるはずの保育所、幼稚園、認定こども園等におきまして、二度とこのような悲しい出来事を繰り返してはなりません。
 今回の事故を受けまして、直ちに緊急点検を開始いたしました。また、今後、実地調査やヒアリングを実施いたします。また、施設管理者向けのオンライン講習会を速やかに開催いたしまして、園児への指導方法など、様々な取組事例を共有してまいります。
 今後、導入可能となる感知センサー等のデジタル技術を活用した取組や、現場の知恵や工夫により、直ちに実施可能な対策につきまして、財政的に支援をいたします。
 ヒューマンエラーが起こり得ることを前提といたしまして、テクノロジーの力も活用した実効性のある対策を講じることによって、子供にとって安全・安心な社会を実現させてまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてのお尋ねがございました。
 広く都民に多様な性に関する理解を深めていただくとともに、民間事業者の福利厚生にも活用いただけますよう、制度の周知や機運の醸成を図ることは重要です。
 都は、制度の開始に合わせまして、都庁舎とレインボーブリッジをレインボーカラーにライトアップし、広く都民にアピールをしてまいります。
 また、制度を分かりやすく紹介するため、新たに作成した動画を活用しまして、SNSなど様々な媒体で効果的に周知をしてまいります。
 さらに、福利厚生に都の受理証明書を一社でも多くの民間事業者にご活用いただけるよう、経済団体や業界団体等と連携しまして、会員企業向けの広報媒体等を通じて広く呼びかけてまいります。
 今後とも、こうした取組を進めることで、多様性の輪を一層広げ、誰もが生き生きと活躍できる共生社会を実現してまいります。
 次に、アントレプレナーシップ教育についてのお尋ねでございます。
 先日視察をいたしましたニューヨークで強く感じましたのは、世の中を変える志を持ち、切磋琢磨しながら、失敗を恐れずにチャレンジをする若者たちの熱量でありました。このスタートアップを志す若者のマインド、そしてアントレプレナーシップこそが、東京の未来を切り開く重要な鍵となります。
 多くの大学が集積する東京におきましては、全国の四分の一に当たる約七十万人の学生が学んでおり、このポテンシャルを引き出さなければなりません。
 このため、起業家との触れ合いや社会課題の解決に取り組む経験などを通じて、スタートアップを身近に感じ、キャリアの選択肢としていくことが重要です。大学との定例懇談会でも、アントレプレナーシップの涵養について議論を深めました。
 今後、様々な関係者の意見を伺いながら、新たなワンチームでの検討をさらに進めて、都立大学における実践型教育の導入や都内の大学と連携した取組の強化など、施策をバージョンアップすることで、世界に誇るスタートアップシティ東京を実現してまいります。
 官民共創によるDXの推進についてであります。
 複雑化する社会課題や立ち塞がる危機を克服し、未来を切り開いていく鍵を握るのは、官と民のフラットな共創、オープンイノベーションです。
 行政だけで政策を進めるのではなく、官民の新しい関係を築き、デジタル技術を駆使したサービス開発により社会課題の解決につなげる。その推進を担うのが、今回設立構想を打ち出しましたGovTech東京であります。
 様々な専門性を持つ高度デジタル人材を登用するため、民間を踏まえた給与水準、兼業、副業など、柔軟な勤務体系といった従来の政策連携団体にはない仕組みを導入いたします。また、グローバルな視点で東京のDXを牽引する経営管理体制を整えまして、GovTech東京がデジタルサービス局と一体となって、各局や区市町村のDXを強力に進めてまいります。
 また、スタートアップコミュニティの中にデジタルソリューションを生み出す共創の場をつくり、未来を構想する政策形成にもつなげてまいります。
 行政と民間がデジタルを通じて共に未来をつくり上げる新たな共創文化を浸透させ、政策イノベーションを起こしてまいります。
 デジタル技術を活用したユニバーサルコミュニケーションについてのお尋ねであります。
 日進月歩のデジタルテクノロジーの力で、障害の有無にかかわらず、誰もが自由に心を通わせることができるようになる。これが私の目指す社会の姿であります。
 二〇二五年の東京開催が決定したデフリンピック大会は、アクセシビリティーをさらに飛躍的に向上させる絶好の機会であります。世界から人々が集う機会を捉えて、最新技術が実装され、活用されている東京を示してまいりたい。
 AIが手話や音声をテキストに変換する技術やコンパクトな同時通訳機など、日常生活や旅行といった様々な場面で、ユニバーサルコミュニケーションを実現する技術やアイデアが国内外で生み出されつつあります。
 今回、設立構想を打ち出しましたGovTech東京におきましては、高度な知識とスキルを有する多様な専門人材を確保いたしてまいります。その力も活用して、最新のデジタル技術を駆使したサービスの導入を促進して、東京で生き生きと活動する人々のユニバーサルな交流を後押ししてまいりたい。
 次に、多摩地域での自転車ロードレースについてでございます。
 東京二〇二〇大会の自転車ロードレース競技におきましては、多摩地域のまち中を世界のトップアスリートが駆け抜け、その迫力ある姿は見る人に感動をもたらしました。
 この貴重な経験を引き継ぎ、身近なスポーツとしての自転車への興味や関心につなげるため、レガシーコースを生かしたロードレース大会を来年秋に開催することといたしました。
 大会では、本格的なロードレースに加えまして、スポーツサイクル初心者もチャレンジできる一般参加型レース、子供から大人まで楽しめる自転車試乗会など、自転車に親しめる様々な機会を提供してまいります。
 新たな大会の開催によりまして、健康にも環境にも優しい自転車の魅力や価値を身近なものとして感じてもらい、自転車の活用を促進していく大きな機会といたしたい。
 また、各地を巡るロードレースの特性を生かしまして、豊かな緑や歴史、多彩なまち並みを有する多摩地域の魅力を伝えてまいります。
 国内外から多くの目が注がれる大会を実現して、東京二〇二〇大会がもたらしたスポーツの価値を社会に広く浸透させ、未来につないでまいります。
 次に、英語による発信力の強化についてであります。
 目まぐるしく変化する世界におきまして、子供たちが視野を広げ、将来の可能性を伸ばし、未来を切り開いていく。そのためには、英語をツールとして使いこなす力を身につけることは待ったなしで取り組むべき課題であります。
 このことから、都は、子供たちが国際社会で活躍できる発信力を高められますよう、デジタル技術や体験型学習施設の活用のほか、海外への派遣や国際交流など、多様な文化や価値を持つ人々と直接英語を使ってコミュニケーションを図る取組を強化してまいります。
 全ての子供たちが、言葉の壁を乗り越え、国際都市東京から世界に羽ばたき、グローバルに活躍できる人材の育成を一層推し進めてまいります。
 次に、子供の遊び場についてであります。
 社会の宝である子供の健やかな成長には、遊びを通じた幅広い人的交流や多様な経験が必要です。
 このため、福祉や教育といった政策分野の垣根を超えた発想で、子供の遊びという政策テーマについて、組織横断の推進チームを新たに立ち上げまして、未来への投資を実践してまいります。
 子供たちが自由な発想で外遊びを楽しむことができるよう、区市町村やNPOなどと連携しながら、お話のプレーパークといった遊び場などを創出するとともに、公共空間等のさらなる利活用に取り組んでまいります。また、子供の遊びや体験の幅を広げる役割を担う、いわゆるプレーリーダーの育成等を推進してまいります。
 地域における様々な実情を踏まえまして、ハード、そしてソフトの両面から多面的に取組を展開して、子供の遊びを全力で応援してまいります。
 東京の都市外交力について、最後にお尋ねがございました。
 我が国はこれまで、伝統を生かしつつ、諸外国の技術や文化も積極的に取り入れて、未来を切り開いてまいりました。
 コロナ禍を経て、デジタル化の遅れなど、新たな課題が顕在化しつつあります。現状を打破して、常にイノベーションを生み出す都市として成長を続けていくため、今こそ、海外都市の先進事例から学び、連携していくことが求められています。
 先日訪れましたニューヨークでは、脱炭素化や経済活性化にも貢献するスタートアップ育成などの取組を視察したほか、クアラルンプールでは、都市における技術的課題に関する協力を行うことで合意書を締結いたしました。
 今後も様々な機会を捉えまして、積極的に海外都市との交流を進めるとともに、職員自らもグローバルな視点を養い、世界の潮流を捉えた施策に磨き上げることで、国際都市としてのプレゼンスを高めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長から答弁といたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、スタートアップ戦略の推進についてでございますが、世界で活躍するスタートアップ企業を数多く生み出すためには、これまでの枠組みにとらわれない大胆な発想が必要であり、そのヒントとなるのは、スタートアップ大国となった諸外国の成功事例です。
 六月に訪問したフランスでは、約千のスタートアップが入居するステーションFにおいて、様々な支援機関や大企業が立ち上げをワンストップで支援しています。そこでは、フランスだけではなく、世界中から新しいビジネスに挑戦する多くの人々が集まり、交流を通じてイノベーションが生み出されていました。
 最も強く感じたのは、行政がスタートアップとフラットに向き合う姿勢です。ミッションフレンチテックという政府の部門横断型のワンチームが、スタートアップの課題や要望を共有し、連携して解決に当たっています。
 こうした取組を参考として新たに立ち上げたTeam Tokyo Innovationでは、官民の協働をキーワードに、スタートアップや支援機関などとフラットな議論を重ねてまいります。そして、交流の場づくりをはじめ、公共調達や資金供給等、世界を意識した視点からの戦略を十一月をめどに練り上げ、迅速に実行してまいります。
 次に、デジタルアクセシビリティーについてでございますが、デジタルサービスの開発に当たっては、年齢や障害の有無、言語などにかかわらず、都民の誰もが使いやすく、満足度の高いサービスを提供することが重要です。
 本年三月に策定した行動指針では、職員が遵守すべき基本的な理念として、顧客視点でデザインしよう、誰一人取り残されないようにしようを掲げており、新団体、GovTech東京においても、インクルーシブな視点からの取組を進めてまいります。
 具体的には、庁内のデジタルサービスやウェブサイトの構築、運用に当たり、AIによる音声の自動テキスト化や表示の読み上げ機能など、アクセシビリティーの視点からの対応を徹底していきます。
 また、サービスの品質向上に向けて、ユーザーとなる多様な都民が参画するテストを実施し、その声を改善に反映させてまいります。
 さらに、ユニバーサルコミュニケーションを実現する新たなデジタル技術の調査研究等も進めていきたいと考えています。
 こうした取組を推進し、新団体と共に、ユニバーサルデザインを重視したデジタルサービスの提供に取り組んでまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校等におけるユースヘルスケアについてでございますが、都立高校等の生徒が抱える思春期特有の様々な健康上の悩みの中には、月経や摂食障害など、医療的な専門知識に基づいた対応が必要なものもございます。
 このため、都教育委員会は、新たに産婦人科医を学校医として任用し、ヘルスケアに関する専門的な相談を、来月から十校の都立高校等で開始いたします。産婦人科医は養護教諭と連携して、対面やオンラインにより助言を行うとともに、専門的な診療が必要な場合は、医療機関の受診を案内いたします。
 こうした取組に加え、産婦人科医等による教員向け研修や公開授業を実施し、ヘルスケアに関する正しい理解や対処方法について、幅広く普及啓発を行ってまいります。
 次に、インクルーシブな教育についてでございますが、共生社会の実現には、障害のある子供とない子供が共に学び、体験し、相互理解を深めることが重要でございます。
 都教育委員会はこれまでも、特別支援学級等と通常学級の子供の交流や共同学習を進めるインクルージョンに関する実践的研究や、特別支援学校の子供が地域の学校に副次的な籍を持つ副籍制度の活用等に取り組んでまいりました。
 国連の障害者権利委員会の日本国に対する総括所見が公表されたことに関しても、こうした観点から、国の動向を注視するとともに、今後、これまでの取組の成果を公立小中学校へ周知し、普及を図るなど、それぞれの学びの場においてインクルーシブな教育を一層推進してまいります。
 次に、学校と保護者との連絡手段のデジタル化についてでございます。
 デジタル技術の活用などにより、確実にコミュニケーションが図られるようにするとともに、学校と保護者の負担軽減にも配慮することが重要でございます。
 都教育委員会が行っている調査では、多くの区市町村立学校において、学校からのお知らせだけでなく、保護者からの欠席等の連絡にもデジタルを活用しています。
 今後は、具体的な連絡方法等について調査項目を追加するとともに、保護者の利便性向上と学校の負担軽減につながる好事例を収集してまいります。
 こうした結果を広く周知し、区市町村において一層デジタルが活用されるよう、取組の拡大を促してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、事業者のエネルギー利用についてでございますが、電力需給が逼迫し、燃料価格も高騰が続く中、事業者の電気利用の効率化とその定着を図ることは重要でございます。
 これまで都は、節電に役立つ高効率の空調機器や、エネルギーの確保につながる太陽光パネルや蓄電池の導入等に係る経費への支援を行ってまいりました。
 今後は、こうした設備などを含め、事業所全体の節電をマネジメントできる仕組みの導入を支援いたします。
 具体的には、需給逼迫時に、小売電気事業者からの要請に速やかに対応し、一定程度の節電を達成した事業所に年間最大で二十万円を提供いたします。これに合わせまして、小売電気事業者が事業者ごとの電気の利用状況を把握し、最適な節電を図るためのシステムづくりも支援いたします。
 こうした取組によりまして、事業者の効率的なエネルギー利用の定着を後押ししてまいります。
 次に、従業員の賃金引上げについてでございますが、中小企業の事業の発展を図る上で、デジタル技術などを活用し生産効率を高め収益を確保することを通じ、従業員の賃金の引上げに結びつけることは重要でございます。
 このため、都は、中小企業が生産性向上を目的にIoT等のデジタル技術を活用した設備を導入する際、三百万円を上限に支援する取組について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、今後、助成の率を引き上げます。
 この助成を行うに当たりまして、中小企業は、設備導入のプランに合わせて、従業員の賃金について一定額以上引き上げる具体的な計画を作成することといたします。これらの効果的な実現に向けて、専門家が助言を実施し、支援の成果の見極めも行います。
 こうした取組によりまして、中小企業の従業員の待遇の改善を後押ししてまいります。
 最後に、観光振興やイベント開催への支援についてでございますが、東京の旅行者の数やイベントの開催を増やすことによりまして、観光関連の業種を含めた幅広い事業者に優れた影響が及ぶよう支援を行うことは重要でございます。
 国では、全国旅行支援を来月十一日から実施いたしますが、この仕組みを使い、都道府県が観光客を誘致する場合には、旅行代金の助成やクーポンの提供が可能となります。また、コンサートなどのイベントについて、国は、都道府県の意向を確認した上で、参加者のチケット代を割り引きする取組を開始いたします。
 こうした観光振興やイベント開催への支援に関しまして、都では、開始の時期などについて、専門家からの意見を踏まえ適切に判断を行うことといたします。
 これらの支援と都民の都内観光への助成などを効果的に活用し、様々な事業者への後押しに結びつけてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 新型コロナワクチンに関する患者データについてのご質問にお答え申し上げます。
 都はこれまで、都立病院の患者データを集積するとともに、ワクチン接種歴別の新規陽性者の発生割合に関する分析や、独自に実施した抗体保有調査等に基づき、ワクチンの接種促進を国に要望してまいりました。
 第七波の感染が拡大した七月以降に、入院調整本部を通じて都立病院に入院をした患者の接種歴を確認いたしますと、三回目接種から罹患までの期間はおおむね三か月が約一割、四か月が四割弱、五か月以上が約半数であり、国に対し、さらなる科学的知見を得た上で、オミクロン株対応ワクチンの接種間隔を柔軟にするよう要望をしております。
 患者データの活用は、今般の発生届の見直し以降も重要でありまして、東京iCDCの知見も得ながら、ワクチンの接種促進に向け、実効性のある取組を進めてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、非常時における医療体制の在り方についてでございますが、都は、災害時に多数発生する入院患者や外来患者を受け入れられるよう、災害拠点病院を指定し、応急用医薬品や資器材等の支援を行うなど、災害医療体制を確保してございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の対応では、感染症入院重点医療機関等による患者の受入れ体制に加え、臨時の医療施設を設置し、病床確保に努めてございます。
 一方、災害や感染拡大時に医療施設を稼働させるためには、医師、看護師等の医療人材の確保が不可欠であり、民間医療機関の人材逼迫状況等にも配慮が必要でございます。
 災害時や感染症流行時の医療体制の在り方につきましては、こうした課題を踏まえ、専門家の知見をいただきながら検討し、体制の強化を図ってまいります。
 次に、オンライン診療についてでございますが、都は、オンライン診療を推進するため、五百五十を超える医療機関に情報通信機器等の整備に係る補助を独自に実施しているほか、医療機関案内サービス「ひまわり」を通じて、オンライン診療を行っている病院等の情報を都民へ提供してございます。
 また、国では本年一月、これまでコロナ特例として認めてきた初診からのオンライン診療を恒久的に可能としたほか、四月の診療報酬改定で点数の引上げや対象疾患の要件撤廃を行ったところでございます。
 都は来月、都内の全医療機関を対象に、初めてオンライン診療に関する項目を設けた調査を実施することとしておりまして、その結果も踏まえながら、オンライン診療のさらなる普及に向け、より効果的な方策を検討してまいります。
 次に、緊急避妊に関する情報提供についてでございますが、都は、妊娠相談ほっとラインやLINEのチャットボットで緊急避妊に対応する医療機関や薬局等を案内してございます。また、性犯罪被害者等に対し、警視庁などで二十四時間電話相談を受け付け、被害者の意向を踏まえ、医療機関への付添いや緊急避妊薬の費用助成を行ってございます。
 緊急避妊は、速やかに適切な対応を取ることが重要であり、利用者が必要とする情報に円滑にアクセスできる環境整備が必要でございます。
 今後、ホームページに専用ページを設け、夜間でも対応可能な医療機関のリストや、関係する相談機関を取りまとめて掲載するなど、都民の目線で情報提供の方法を工夫し、緊急避妊に関する情報をより早く、かつ分かりやすく得られるよう、速やかに取り組んでまいります。
 次に、東京ユースヘルスケア推進事業についてでございますが、都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応するため相談窓口を設置し、来月から電話相談を、十一月以降に対面やメールでの相談を開始いたします。
 これまで、相談の内容や方法、体制等について、大学生等と意見交換をするとともに、全ての都立高校生を対象に健康に関するアンケートを実施し、相談しやすい時間帯や場所等を聞いてございます。また、現在、こどもシンポジウムにおいて、中高生が、思春期の健康や性について相談したいときをテーマにグループ研究を進めておりまして、その成果等も活用してまいります。
 相談開始後も、若者の意見を聴取し、相談を実施する地域や会場、方法に反映するなど、若者が安心して利用できるよう、事業内容の充実を図ってまいります。
 最後に、不妊治療への助成についてでございますが、本年四月から不妊治療が保険適用され、基本的な治療にかかる自己負担は三割となりましたが、保険診療との併用が現在認められている十種類の先進医療は、全額自己負担となってございます。
 都は、四月以降に受診した先進医療について、保険診療と同程度の負担で複数の治療を受けられるよう、十五万円を上限に費用の七割を助成することとし、補正予算案に計上いたしました。また、助成の回数は、保険診療に準じ、治療開始日の妻の年齢が三十九歳までの夫婦は六回、四十二歳までの夫婦は三回を上限としてございます。
 助成申請の受付は、令和五年一月に開始する予定でありまして、今後、医療機関との調整や区市町村への情報提供を行うなど、円滑な実施に向け、準備を進めてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 住宅の耐震化についてでございます。
 地震による住宅の倒壊を防ぐことは、都民の生命と財産を守るとともに、都市の防災力向上の観点からも重要であるため、都は、住宅の耐震化に取り組んでまいりました。
 本年改定された被害想定におきましては、平成十二年以前に建築された新耐震基準の建築物の耐震化が進むと、人的被害や建物被害がさらに軽減されることが明らかになりました。
 地震による被害を最小限に抑えるため、こうした基準の木造住宅の耐震化の推進について、本年七月に公表した都市強靱化プロジェクトの論点の中で示したところでございます。
 今後、新耐震基準の木造住宅の耐震化に対する支援の在り方を検討し、区市町村と連携して取組を強化することで、安全・安心な都市を実現してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 富士山の火山灰への対応についてでございますが、富士山の噴火時には、降灰に伴う交通網の混乱や停電、通信障害など、社会経済活動への影響が広範囲にわたり生じることが想定され、降灰対策は重要な課題でございます。
 このため、都は、国に対して広域的な降灰対策の前提となる指針策定等を求めてございます。また、都といたしましても、いつ起きるとも知れない噴火に備え、都市強靱化プロジェクトにおきまして、降灰時でもインフラ、ライフライン等の機能を維持する方策の検討に着手いたしました。
 今後、降灰対策に係る先進自治体等の取組も踏まえ、除灰に必要な資機材の確保や火山灰の処理方法等について検討を進め、地域防災計画火山編の修正につなげてまいります。
 こうした取組によりまして、ハード、ソフト両面から富士山噴火時の降灰対策の強化を図ってまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 太陽光発電の設置義務化の情報発信についてでございますが、脱炭素の推進に向けた新制度を円滑に導入するためには、都民や事業者の理解が不可欠でございます。
 都は、制度内容に加え、停電時の電力確保等のメリットや処分費用を含めても経済的な点を各種媒体で発信するほか、事業者と意見交換を重ね、理解促進に努めてまいりました。
 今後は、都民や事業者からの意見を分析し、例えば、住宅購入者向けに専門誌やイベントによりメリットの浸透を図るなど、関係部署と連携し、世代や対象に応じた戦略的な広報を実施してまいります。また、事業者向けには、新制度に関するセミナー等により、さらなる理解促進につなげてまいります。
 制度導入に向け、こうした取組を戦略的かつ継続的に実施することで、住まい手や事業者と共に太陽光発電設備の設置ムーブメントを醸成してまいります。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、SNSによる情報発信についてであります。
 SNS等により情報伝達のスピードが速まる中、正確な情報をタイムリーに発信していくことは重要であります。
 都はこれまでも、データ等を織り込んだビジュアルに訴える解説資料を作成し、SNSで発信するなど、情報を分かりやすく迅速に届ける取組に努めてまいりました。
 一方で、不正確なSNS投稿等により、都政への信頼に影響を及ぼしかねない事態にも的確に対応する必要があります。
 このため、広報の専門人材の知見も活用しながら、事例検証を行い、そのノウハウを全庁で共有いたします。さらに、今後、企業において危機管理広報の経験を有する人材を増員し、機動的に対応できる体制を構築いたします。
 危機対応力の強化と体制の充実を図り、スピード感を持って、都民の理解と共感を得られる広報を実現してまいります。
 次に、大会のスポンサーに係る手続等についてであります。
 組織委員会では、会計処理規程等にのっとり、業務を遂行してきたと認識しております。
 スポンサー契約については、IOCのトップパートナーを除く、専任代理店が募集した国内スポンサーに対し、組織委員会がIOCの承認を得た後、法務や財務など複数部署の確認を経て六十八社と締結をしております。
 また、ライセンス契約は、申請のあった商品などについて、組織委員会内に設置した審査会や、IOCの承認などを経て、百二十七社と締結しております。
 都は、一連の報道を踏まえ、清算法人に対し、契約手続等について改めて確認を行っております。引き続き、捜査に全面的に協力するよう伝えるとともに、状況に応じ、必要な報告等を求めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、霊感商法等への対策についてでございますが、都民の関心が高まっている現状を踏まえ、都は今月、庁内連携会議を開催し、福祉、人権などの相談窓口を持つ局や警視庁などと情報を共有するとともに、霊感商法等に関する都民への注意喚起を集中的に実施しております。
 あわせて、都内三弁護士会に協力を依頼し、消費生活総合センターにおいて、個々の相談者の状況に応じた相談に応えられるよう、対応の強化を図っております。さらに、来月には、専門の弁護士が幅広い相談に対応する緊急特別相談も実施いたします。
 こうした取組を通じて関係機関と連携を一層強化し、霊感商法等への対策を進めてまいります。
 次に、芸術文化活動への支援についてでございますが、東京の芸術文化は、ロングランミュージカルや演劇等の大規模公演だけでなく、小規模な劇団の公演や若手ミュージシャンのライブ等の多様な魅力で構成されております。
 しかし、コロナ禍により公演中止が相次いでおり、演劇やライブエンタメなどの芸術文化団体との会議でも支援を求める声が多く寄せられました。
 東京に存在する小劇場やライブハウスでの公演は、クリエーティブで実験的な新たな表現が生まれる場であり、こうした活動を持続させる取組が重要でございます。
 芸術文化団体等とのネットワークを生かし、現場の声をきめ細やかに聞き取りながら、継続的な活動ができるよう取組を進めてまいります。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 臨海副都心の魅力創出についてでございますが、ベイエリアは水辺と緑を生かした空間が広がり、にぎわいの交流拠点が形成されるなど、人々を引きつける大きなポテンシャルを持つエリアでございます。
 とりわけ、臨海副都心は、豊かな水辺と夜景を有しており、これらとテクノロジーを融合させ、新たなにぎわいを創出することが、ベイエリアのさらなる発展にとって重要であります。
 このため、都は来月以降、お台場海浜公園の水域において、噴水やウオータースクリーンへ映像を投影する取組に加え、花火と連動した3Dホログラム映像を浮かび上がらせる鑑賞会など、エリア全域で様々なイベントを展開いたします。
 こうした取組により、国内外からの来訪者を呼び込むとともに、先端的なテクノロジーの実装にもつなげ、このエリアの魅力をさらに高めてまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の入居者に対する就労支援についてでございますが、都営住宅の入居者は、高齢者世帯をはじめ、若年ファミリーやひとり親世帯など多様であることから、就労への意欲や意識は様々でございますが、就労支援を必要とする方につきましては、的確に支援していくことが大切でございます。
 そこで、就労希望者が就職に関するカウンセリングやスキル習得などの機会を得られるよう、都営住宅の入居手続の機会や、入居者に毎月配布しております広報紙「すまいのひろば」を活用しまして、積極的に就労支援に関する情報を新たに提供してまいります。
 また、就労支援に取り組む関係局や地元自治体、NPOなどによる就労に関するプログラムを都営住宅の集会所において実施できるよう、具体的な方策を検討してまいります。
 次に、都営住宅での太陽光発電設備の設置についてでございますが、脱炭素社会の実現に向け、都営住宅におきましても、再生可能エネルギーの利用に率先して取り組む必要がございます。
 このため、今後建設する住棟では、可能な限り太陽光発電設備を設置できるよう、基準設計の見直しを進めております。既存住棟では、一定の耐用年数があるものについて、荷重等を抑えた新たな工法を導入しまして、一棟当たりの平均の発電能力がこれまでの四倍となる約二十キロワットの設備を、今年度から二年間で約二百棟に設置いたします。
 こうした取組を検証した上で、令和六年度から既存住棟への設置をさらに加速してまいります。あわせまして、停電時に太陽光発電設備で発電した電力を使用できるコンセントを共用部に整備し、居住者等が防災情報の収集に必要なスマートフォンの充電等を行う非常用電源としての活用を図ってまいります。
 最後に、都営住宅用地の有効活用についてでございますが、都営住宅の建て替えに当たりましては、容積率、建物の高さや日影など、様々な建築規制を踏まえまして、地域の居住環境にも配慮し、団地内の住棟の配置などを計画しております。
 都営住宅用地は、都民共有の財産であり、単にストックの更新だけではなく、住棟の高層化により用地を創出し、有効活用を図りながら、道路、公園等の整備や緑化の推進など、地域の課題解決に貢献してまいりました。
 さらに、大規模団地などでは、創出用地を活用しまして、地元自治体と連携した子育て、高齢者施設等の整備や、民間活用事業による商業、医療施設等の誘導を図ってまいりました。
 今後、建物敷地の容積率の活用とともに、地域への貢献を考慮しながら、これらの情報発信の在り方にも検討を加えまして、都営住宅の建て替え事業を推進してまいります。

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