令和四年東京都議会会議録第十三号

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 令和四年九月二十二日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案二件の送付がありました。
 また、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、令和三年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
 次に、地方自治法第百五十条第六項の規定により、令和三年度東京都内部統制評価報告書等の提出がありました。
 次に、監査委員より、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第二百四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)外議案一件、決算二件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十三番三宅正彦君。
   〔百十三番三宅正彦君登壇〕

○百十三番(三宅正彦君) 都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 名誉都民、三宅一生さん、森英恵さん、笹本恒子さん、三人の方がご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 我が会派の八王子市選出西山賢議員が病に倒れ、八月十八日にお亡くなりになりました。
 西山議員の思いを引き継ぎ、都政の発展に向けて会派一丸となって力を尽くしてまいります。
 七月八日の選挙応援演説中に凶弾に倒れた安倍晋三元総理の国葬が昨日執り行われました。民主主義の根幹ともいえる選挙活動に対する極めて卑劣な蛮行であり、断じて許すことはできません。
 安倍元総理のご冥福をお祈りするとともに、この事件にひるむことなく、民主的で開かれた議員活動に邁進していくことをお誓い申し上げ、質問に入ります。
 首都東京の治安を守り、都民生活の安全・安心を確保することは警視庁の責務です。
 先般の安倍元総理の銃撃事件を受け、人、物、経済などが集中する国際都市東京において、安全・安心に対する意識を醸成するために、今後どのような姿勢で警備に臨んでいくのか、警視総監の見解を伺います。
 全世界を巻き込んだ新型コロナウイルス感染症の感染者数は、七月には過去最多を更新しました。
 現在では減少傾向に転じているものの、医療体制を確保し、都民の生命を守りながら、社会経済との両立をいかに図るかが大きな課題となっています。加えて、ロシアのウクライナ侵攻による原油や原材料価格の高騰、円安による影響などにより、都民の暮らしや中小企業の経営環境は大きな影響を受けています。また、過去五年間で最も高い水準となっている電気料金や、厳しい電力逼迫が見込まれるこの冬に備えた電力確保への対応も必要です。
 一方、将来を鑑みれば、脱炭素の取組は待ったなしであり、再生可能エネルギーの導入、DX、デジタルトランスフォーメーションや、GX、グリーントランスフォーメーションの取組など、新たに産業構造を変えるような施策も推し進める必要があります。
 まさに感染症やエネルギー危機といった、様々な課題が幾重にも重なり合う大きな難局に直面しています。こうした危機に対峙し、将来を見据え、どのように都政のかじ取りをしていくのかが問われているのではないでしょうか。
 我々、都議会自民党はこれまで、命を守る、東京を動かすをスローガンに、コロナ感染症対策や経済再生の特効薬としての減税など、昨年の都議選で掲げた十六の政策の柱を胸に刻み、第一党としての責任ある立場から、全力で都政に邁進してきました。そして、同時かつ複合的な難局が押し寄せる中、多くの都民の家計と中小零細事業者の経営が極めて厳しい状況にある今こそ、大都市東京ならではの大胆な支援策を打つべきときと考えています。
 そこで、今後の都政のかじ取りと大胆な支援策について、知事の見解を伺います。
 都議会自民党は、コロナ感染症対策はもとより、物価高騰等の影響の長期化に伴う事業者や都民への支援の充実など、多岐にわたる事項を都に要望したところですが、今回の補正予算編成の考え方について、知事の見解を伺います。
 コロナ感染症の新規感染者数は、全国的にも減少傾向が確認されたことなどを受け、先日、岸田総理は、国内外に蓄積した知見、専門家の意見を踏まえ、ウイズコロナの新たな段階への移行を進め、社会経済活動との両立を強化していくことを表明いたしました。
 今月二十六日からは、全国一律で療養の考え方を転換し、全数届出が見直されました。この感染症にどのように対応していくのか、まさにその転換期にあります。
 今後は、感染拡大防止と社会経済活動との両立を重視した感染症対策の強化が求められますが、知事の見解を伺います。
 さて、今後、コロナへの対応は新たな段階に移行します。オミクロン株については、若者の重症化リスクは低いといわれる一方で、高齢者の重症化リスクは引き続き高いとされていることから、第八波に向けては、リスクの高い高齢者等に重点を置いた対策が一層求められます。
 都は、本議会に提出している補正予算で、旧こどもの城の酸素ステーションの機能を転換する方針を打ち出していますが、今後、高齢者の入院受入れをどのように進めていくのか、見解を伺います。
 第七波において、都立病院はコロナ感染による多くの欠勤者が出た中で、多数の患者を受け入れているにもかかわらず、病床使用率が低いと指摘されています。病床を確保していても、認知症高齢者など人手を要する患者がいれば、受入れ可能な患者数が少なくなるのは当然です。
 現在、病床使用率の算出には都の計画上の確保病床数が用いられていますが、それを稼働可能なコロナ病床数に転換するなど、医療現場の実態を都民に正確に伝えるべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍を通じ、我が国全体としてのデジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。こうした中、都は、デジタル化の取組を爆速で進めてきたといいますが、都民の実感とは程遠く、満足度や利用率はまだまだ高まっていません。住民サービスの最前線を担っているのは市区町村であり、我が党ではこれまでも、オール東京でのDX加速には、市区町村へのよりカスタマイズされたきめ細かな支援が必要と主張してきました。
 このたび、都は、デジタル化を推進する新団体を設立する構想を公表しましたが、都民がデジタルによる利便性やサービスの質の向上を具体的に享受できるよう、地に足のついた実効性のある取組を進めることが重要です。また、そのためには、国との緊密な連携も求められます。
 デジタル化の遅れを取り戻し、都民がデジタルの恩恵を実感できるよう、市区町村を含めたオール東京のDX推進に向けた今後の展開について、知事の見解を伺います。
 コロナ禍により芸術文化活動の多くが制約を受け、東京二〇二〇大会文化プログラムも中止や延期などを余儀なくされるなど、多大な影響を受けました。
 こうした状況の中、都は、より多くの都民が芸術文化に親しむことができる機会を創出するため、今年度から、地域の振興にもつながる芸術文化活動などを対象に、芸術文化魅力創出助成を開始しました。この事業では、複数の団体が参画する様々なジャンルのフェスティバルや、各地域の特色を生かした企画などが採択されております。
 今後、今回の結果や地域等の意見を踏まえ、多彩な芸術文化活動が数を増して行われるためのさらなる支援や、こうした活動を支える市区町村との連携を一層深めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会開催から一年以上が経過しました。四月以降、新規恒久施設の再開業が続き、各施設では競技大会や音楽ライブなどが開催されるなど、多くの都民が来場し、にぎわいを見せています。東京二〇二〇大会で整備した施設が負の遺産といわれないためにも、このにぎわいを継続し、さらに発展させなければなりません。
 そのためには、各施設の強みを発揮し、スポーツはもとより、多様な活用を推進していくことが重要です。再整備した新規恒久施設を今後どのように有効活用していくのか、見解を伺います。
 水害への対応について伺います。
 今般、都では、大規模水害時に都営住宅の共用部分や空き住戸等を緊急避難先として活用する取組が示され、各市区町と覚書や協定を締結しました。
 災害から住民の命を守るために緊急避難場所を確保することは非常に重要ですが、現場の実態に即していなければ意味がありません。上流部決壊などによる大規模な水害では、浸水の深さが五メートルを超え、二週間以上も水が引かない地域も予想されています。だとすれば、停電や断水、下水の浸水による使用停止などが発生し、一時的であったとしても避難場所として適切なのかは不明です。
 また、都営住宅においては、近隣住民の避難より先に、建物内の下層階に住んでいる住民の避難が優先され、地域への貢献は後回しとならざるを得ません。
 こうした状況を考えると、まさに実態に即した避難体制をつくり、住民に適切な避難行動を促すための対策を一層強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都では、他の市区町村への避難なども想定し、広域避難の取組も進めています。しかし、台風が近づく以前の時点で遠方に避難することは様々な困難を伴います。加えて、障害者や高齢者など自力では避難が困難な災害時要支援者も少なくありません。
 こうした広域避難対策の検討においても、現実的な課題を踏まえ、実態に即した避難誘導策の具体化を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東日本大震災時、東京は約三百五十二万人もの帰宅困難者が発生し、大混乱となりました。来るべき大災害時に発生する帰宅困難者問題に対して十分な備えが不可欠です。
 東日本大震災を踏まえ、都は、帰宅困難者条例を制定し、企業等に従業員の三日間の備蓄を義務づけました。しかし、近年は、企業、都民の条例認知度が低下傾向にあるといわれ、災害時の帰宅行動について、都民、事業者に改めて知ってもらう必要があります。
 我が党は、DXによる帰宅困難者の安全確保のためのオペレーションシステムについて、現場で最大限活用できるようにすべき、また、企業の防災対策を担う事業所防災リーダーが役割を果たせるようサポートすべきと提案してきました。こうした提案を踏まえ、帰宅困難者対策を強化すべきと考えますが、都の取組を伺います。
 帰宅困難者対策の要は、一斉帰宅抑制の徹底です。その円滑な実施には、家族間の安否確認が確実に行われることが必要です。東日本大震災のときは、公衆電話前に行列ができた一方で、通信制限を受けにくい公衆電話はこの十年で半減しました。安否確認のための電話が一斉に集中すると回線がパンクし、帰宅行動につながるおそれがあります。
 そこで、電話以外の安否確認手段を普及させるとともに、通信環境を整備するなど、施策の実効性を上げていくことも必要です。都の見解を伺います。
 こうした通信環境の確保は、帰宅困難者対策に限らず、他の災害対応でも不可欠です。
 災害時に一時滞在施設や避難所になり得る都立施設において、率先してWi-Fi設備を設置するとともに、公立小中学校など都立施設以外においても、つながる通信環境の整備に向け、まずは現状を把握することが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 風水害はもとより、首都直下型地震への備え、火山など災害対策は待ったなしの課題です。一方で、懸念されるのは、例えば、地震直後に台風が来襲することで被害がさらに甚大になる、いわゆる複合災害のリスクです。こうした複合災害にも備えを講じることで、東京の生活と経済を守る必要があります。そのためには、大きなビジョンを示すことが重要です。
 東京が直面する災害のリスクに対し、都全体で危機意識を共有し、同じ視点に立って、インフラ整備などの都市強靱化に向けた施策を練り上げていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 東京の強靱化に向けた重要な課題として、電力確保の問題があります。東京は、他県等にある発電所から送配電網を経由して電力を受けています。その設備や鉄塔が被災して機能を失った場合、東京では直接の被害を受けていないのに、都内で停電が発生するリスクがあります。
 東京電力管内での送電線延長は約四万キロ、また、それらを支える鉄塔などは約五万基にも及び、高度経済成長期に建設された大量の送配電設備の経年が進んでいます。こうした点を踏まえると、東京都外のインフラ施設の強靱化といった視点も必要と考えます。
 我が国の政治と経済の中枢である首都東京が、災害時の停電のリスクに備えるため、都市の強靱化にどのように向き合っていくのか、知事の考えを伺います。
 北朝鮮は頻繁にミサイルを発射し、中国の弾道ミサイルが初めて日本の排他的経済水域内に落下するなど、日本を取り巻く脅威がさらに増しており、都民の安全の確保は急務です。
 そのため、本年五月、都は、ミサイル攻撃の爆風などから被害を軽減するため百九の地下施設を指定しましたが、都内には地下施設が少ない地域もあり、そうしたエリアからは不安の声が出ています。
 緊急一時避難施設は、地下施設だけではなく、鉄筋コンクリート造りの堅牢な建物も指定可能であり、今後、地下施設に限らず、堅牢な建物を積極的に指定していくことが必要です。
 また、緊急一時避難施設はJアラート発出から安全が確認されるまでの一時間から二時間程度に対応しますが、引き続き避難が必要となれば、滞在型の避難施設等に誘導できるよう、市区町村とも連携して備えておかなければなりません。
 都民の安全・安心を確保するため、こうした対策をさらに進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 国は、六月に発表された、いわゆる骨太の方針二〇二二において、新しい資本主義に向けて、計画的、重点的に投資する分野として、スタートアップを挙げています。スタートアップが新たに生まれ、飛躍を遂げることができる環境を整備するため、育成五か年計画を本年度に策定し、政策を大胆に展開するとしており、八月には担当大臣のポストが新たに設けられました。
 国の成長のために、スタートアップが活躍できる環境整備をすることは非常に重要な課題であり、東京においても、国や経済団体とも連携して、取組を強力に進めていくことが必要です。
 知事は、先日、スタートアップの支援等を担当する新たな体制を築きましたが、重要なのは政策の実効性をいかに高めていくかです。知事の見解を伺います。
 産業政策について伺います。
 先日、国は、旅行の割引の対象を全国に広げた全国旅行支援について、十月十一日からの開始を発表しました。
 これまで厳しい環境に置かれた中小のホテル、旅館や旅行代理店、さらには飲食関連の事業者の期待は大きなものがあります。この支援をどう進めていくのか、都の見解を伺います。
 コロナ禍に加えて、原油価格等の高騰が長期化する中、円安の進行も重なり、都内経済は大きな打撃を受けており、事業者の製造コストにも直接影響しています。企業の現場からは、部品の切替え、調達先の変更など経費の削減に取り組んでいるが限界がある、受注の減少につながるおそれがあるため値上げに踏み切れないといった様々な声が多く寄せられています。
 こうした状況を受け、都議会自民党は、先日、売上高が減少している中小零細事業者に対して販路開拓に向けた取組など経営基盤の安定化に向けた支援を行うとともに、資金繰り支援など負担軽減に向けた取組を強化するよう緊急要望を行いました。
 厳しい状況が続く中、中小企業による経営基盤の安定化に向けた取組へのサポートを充実させるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今後も経済状況は刻々と変化していくことが想定されます。今回の補正予算の取組を迅速に進めると同時に、新たな対策についても、引き続き検討を進めていくよう強く求めておきます。
 肥料や家畜の餌となる飼料価格の高騰が続いています。農業者の生産コストは確実に上昇していますが、農産物の価格に転嫁することは難しいため、結局、農業者の収入が減少しているのが現状です。特に、畜産部門における生産コストは三割から五割が餌代で占められており、急激な価格上昇は畜産農家の経営を直接的に圧迫しています。
 農業者が、この物価高騰に対応し、これからも都内で生産活動を続けられるよう、都は、速やかにさらなる対策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 島しょ地域の漁業は、水揚げの減少や魚価の低迷により長期的に厳しい状況が続いております。とりわけ、昨今の燃油価格の高騰により、漁船の燃料費や出荷の際の資材価格は高止まりが続き、漁業者に深刻な影響を与えています。
 都は燃料費の高騰対策を実施していますが、漁業者の経営環境は依然として厳しく、燃料費の抑制だけでは限界があることから、現状を乗り越える新たな支援を速やかに行う必要があります。
 また、主力商品であるキンメダイについて、資源管理の点から漁獲が制限される可能性も出てきており、不安を抱える漁業者へのサポートが必要です。
 さらに、伊豆諸島周辺では他県の漁業者も多く操業していることから、国に対して働きかけを行い、一定のルールの下、資源が減少しないようにしていくことも重要です。都は、どのように対応していくのか、見解を伺います。
 また、島しょ地域の漁業振興のためには、中央卸売市場を通じた取引を活性化させ、消費拡大を図る必要があります。
 市場業者は全国の多種多様な水産物を輸出しており、そのノウハウを生かし、東京産水産物の魅力を海外にも発信することで、産地の活性化と市場業者の成長機会の創出を図ることができます。現在の円安などの貿易環境なども追い風にして、東京ブランドの看板を掲げた水産物を輸出し、世界に広く普及させる、今こそ好機ではないでしょうか。
 そこで、市場業者の持てる力を生かし、東京産生鮮品等の海外展開を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 アフターコロナを見据え、経済を活性化していくことが必要ですが、職種によっては人手不足が顕著であり、介護や建設など、人材確保に深刻な課題を抱える業界では、外国人材の活躍への期待も大きくなってきています。
 今まで都は、外国人の就労支援事業や国の特区制度などを活用して、外国人の在留を支援してきています。今後、さらに外国人の活躍の場を広めるには、手続やルール、コミュニケーションの取り方などのノウハウが必要です。
 そこで、人手不足に悩む中小企業が、その企業の課題に沿って特定技能制度など外国人受入れの様々な手法を活用できるよう支援し、外国人材の採用につなげていくべきと考えますが、これまでの取組も含めて見解を伺います。
 原油等の価格高騰により、中小零細事業者の経営や、そこで働く従業員の生活は大きな影響を受けています。企業現場からは、利益が圧迫されて賃金に振り分ける余裕もないという切実な声が寄せられています。
 都議会自民党は、企業の生産性の向上や従業員の取組を支援するよう緊急要望いたしました。
 小規模零細の企業でも、デジタル技術を活用するなど、生産性を高め、従業員の収入の増加につながるサイクルが生まれるよう支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進するとしています。
 昨今、子供や若者を取り巻く状況が深刻さを増している中、全ての子供の健やかな成長のために家庭、学校、職域、地域等が一体的に取り組むとともに、子供の意見については、従来の手法にとどまることなく、現場に足を運び、生の声を捉えるなど工夫を凝らし、年齢や発達段階に応じて政策に反映していくことが重要です。
 東京都こども基本条例が昨年四月に施行され、子供政策連携室が立ち上がった今こそ、あらゆる機会を通じて、子供の意見を受け止めながら、新たな子供政策を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、子供は遊びを通した他者との触れ合いで人間関係や社会の縮図を理解していくなど、遊びは学びにも通じ、健全な成長発達に欠かすことができません。しかし、従来の行政の枠組みでは十分に対応できませんでした。したがって、子供政策連携室が中心となって、これまでの行政の領域を超えた遊びという政策課題に真正面から向き合っていくべきです。
 外遊び等を通じて、子供たちの人間性や社会性を育むため、都として、子供たちの多様な遊びの環境づくりに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年九月の国による医療的ケア児支援法の施行を踏まえ、都では、九月に支援センターが開設され、医療的ケア児とその家族への相談支援の拠点が整備されました。
 現在、医療的ケア児の実態は必ずしも十分に把握されておらず、対応できる看護師の配置など、地域の支援体制も充実しているとはいい難い状況です。
 医療的ケア児とその家族が、その度合いに応じた適切なサポートを受けながら、充実した生活を送ることができる社会の実現に向けた動きを加速するためにも、都のセンター設置を契機に、地域の支援体制充実等、課題への対応をさらに前進させていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 今月初旬、静岡県の認定こども園で、三歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされて亡くなる痛ましい事件がありました。
 そして先日、沖縄では、コミュニティバスに小学生が置き去りにされる事件が発生しました。国が安全管理の徹底を求める通知を出していますが、教訓は生かされませんでした。
 事故が起こるたびに安全管理を徹底する通知を出していますが、通知だけではもう実効性がないということは明白です。大切な子供の命を守るためには、人を基本とし、最新技術なども活用した様々な実効性の高い取組が必要であると考えます。
 子供の置き去り防止という喫緊の課題について、実施可能なものから即時に多角的な対策を講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 安全・安心に関して一言申し上げます。先日、電動スケーターによる初の死亡事故が発生しました。電動スケーターの在り方については、一層慎重に対応するよう求めておきます。
 先日の所信表明で、知事は、新たな国際ネットワークであるG-NETSを築くとともに、来年二月に世界の主要都市トップを招く国際会議を開くと発言しました。
 都はこれまでも、例えば、アジアの首都や大都市との連携を強化するため、アジア大都市ネットワーク21を立ち上げ、危機管理や環境対策などの共通の課題に取り組み、議会も含めた多様なチャンネルにより、海外の都市との連携を進め、成果を上げてきました。
 こうしたこれまでの海外都市とのつながりや積み上げた成果を生かし、その上でG-NETSを構築するべきと考えます。何をどのように展開していくのか、知事の見解を伺います。
 グローバル人材の育成について伺います。
 最近、グローバル化が叫ばれる中、世界経済フォーラムが公表した国際競争力ランキングでは、日本は九位、また高校生、大学生の日本人留学生数に至っては世界で三十位以下となっており、現在の日本は、若い世代の海外に対する意識の低さが数字にも表れているといえます。
 また、日本のグローバル化低迷の背景には、国際社会でビジネスや研究開発を行うことのできる人材や国際感覚が豊かな技術経営ができる人材が不足していることが挙げられます。
 このような現状を考えると、グローバル人材の育成という喫緊の課題に対し、生徒や教員の海外派遣機会拡充の取組をさらに積極的に進めていくことが必要なのではないでしょうか。
 また、現在取り組んでいる海外学習体験や海外研修などの活動が、コロナ感染症等により、大きな影響が出ていると聞いていますが、様々な工夫を凝らして事業の推進を図っていくべきと考えます。
 そこで、今後の海外派遣機会の拡充とコロナ禍における事業実施について、教育長並びに生活文化スポーツ局長に見解を伺います。
 さきの第二回定例会において、党派を超え、都議会議員全員の総意として手話言語条例を制定し、今月一日から条例が施行されました。内容が充実した実効性のある条例として全国的にも評価されており、この条例が聴覚障害者の方たちの社会参加と安全な生活に結びつき、未来を担う聞こえない子供たちの礎となるよう、首都にふさわしい総合的な支援制度を拡充していくことが重要です。
 今後は、手話を都民に広く知ってもらうとともに、手話通訳者の身分保障の抜本改善をはじめとする手話通訳者人材の育成や確保など、手話を使用しやすい環境整備を進めることが必要であると考えますが、見解を伺います。
 東京都パートナーシップ宣誓制度がこの十一月から開始されますが、混乱なく円滑に運用していくためには、都内市区町村との連携が不可欠です。現在、都内各自治体の対応は様々であり、制度内容は必ずしも同一ではありません。
 都は、自らの制度をただ運用すればよいというものではなく、制度利用者の目線に立ち、市区町村が提供する行政サービスでも都の証明書の活用が図れるよう、都自らが汗をかき、各自治体の理解と協力を得ながら協議を進めていく必要があります。
 こうした取組を着実に進め、性的マイノリティーの方々が抱える困り事の軽減に真に役立つ制度としていくことが重要ですが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍による一時的な落ち込みがあったとはいえ、世界経済の中で国際貿易はますます増加し続けております。こうした状況下で、東京港が国内外の荷主や物流関係者に選ばれ、グローバルな競争に打ち勝っていくためには、なお一層の抜本的な改革が必要です。
 現状の東京港が解決すべき最大の課題は貨物処理能力です。狭隘なコンテナヤード内では荷役作業が非効率となり、その結果、ふ頭周辺の交通混雑をも引き起こしています。
 一方、物流確保の観点からは、首都直下地震などの大規模災害の発災時にも機能が継続して発揮できるよう、ふ頭の耐震強化を進めることも重要です。
 都では、新たな港湾計画の策定を進めているところですが、中長期的な将来を見据えれば、コンテナを効率よく処理することができる十分な広さのヤードを有する国内最大級の新たなふ頭を整備すべきと考えます。都の見解を伺います。
 また、今後増大が予想される取扱い貨物量に適切に対応していくためには、新規のふ頭整備のみならず、最先端技術を積極的に活用し、ターミナル運営をより効率的に行っていくことも必要です。
 既存のふ頭だけでは大幅な拡張はできません。だからこそ、新規ふ頭整備を契機に東京港全体を再編整備すべきである、我々は、こう主張を続けてまいりました。
 その際には、ハードとともにソフト施策を前進させるべきであることはいうまでもありません。コンテナターミナル運営のさらなる効率化をどのように進めていくのかを伺います。
 地球温暖化対策の推進、SDGsの取組といった環境に対する意識は国際的にも高まる一方です。港湾物流においても例外ではなく、脱炭素化の取組は必要不可欠となっています。輸送や荷役に加え、倉庫、工場などに携わる様々な事業者とともに、GXを進めていかなければ世界の潮流から外れてしまいます。
 東京港がカーボンニュートラルポートとして脱炭素化の取組を前進させていくべきと考えます。都の見解を伺います。
 本年七月、自民党本部において、二階会長が率いる小笠原を応援する会が開催され、私も含めて都議会からも八名が参加しました。
 関係省庁、東京都を交えての意見交換が行われ、特に航空路開設について、小笠原村議会議長から改めて強い要望があり、早期実現に向け、それぞれの立場で力を尽くしていくことをお互いに確認いたしました。
 その場では、総務局長より小池知事からのメッセージが披露され、小笠原航空路は極めて重要、具体的な航空路案につなげていく、関係省庁及び小笠原村と緊密に連携し、実現できる検討を進めていくと、極めて前向きな考えを表明されました。
 命を守るための島民の悲願である航空路の早期開設に向けてどのように取り組まれるのか、知事の力強い決意を伺います。
 都内には、朝夕のラッシュ時に四十分以上も遮断している開かずの踏切が約二百九十か所残されており、全国の半数を占めています。開かずの踏切は、道路交通のボトルネックとなるだけではなく、交通渋滞や地域の分断により、都市の活力や魅力を損ないます。また、災害時には、列車の緊急停止などに伴い、長時間にわたって踏切が閉鎖され、緊急、救急活動の妨げになるおそれもあります。
 連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路交通の円滑化と市街地の一体化により、都市防災の強化とともに、安全で快適なまちづくりに寄与する事業であり、東京のさらなる発展に必要不可欠です。
 このため、我が会派は連続立体交差事業の推進を強く要望してきました。
 そこで、連続立体交差事業の推進について伺います。
 我が会派はこれまで、旧築地市場跡地は民間売却し、道路や鉄道、舟運といった基盤整備と連携しながら、民間の活力を最大限活用して創意工夫を積極的に生かした開発を進めるべきであると主張してきました。
 都は、こうした主張も踏まえ、将来の変化などにも柔軟に対応しながら、良質な開発を誘導していくとして、都市基盤などに関する事項を可能な限り示すことにより、民間が優良な提案を検討しやすくなるような取組を進めてきたと受け止めています。
 一方、東京二〇二〇大会の延期に加え、コロナ感染症や急激な円安による地域経済へのダメージ、終息が見えないウクライナ情勢に端を発する建設資材の高騰など、昨今の情勢の変化に適切に対応していく視点も重要です。
 三月に公表した事業実施方針で、都は、七十年の定期借地で事業を行う方針を示しましたが、事業者の募集に当たっては、本開発の事業性を高め、より魅力的な提案を引き出すよう、土地の一部売却も検討すべきと考えます。
 築地再開発について、これまで我が会派が一貫して主張してきたのは、民間の力が最大限に活用されるよう取り組むべきということです。改めて、土地の一部売却について、都の見解を伺います。
 都は、年内に事業者募集要項を公表するとしています。募集に当たっては、応募や提案の条件、事業の制限などを民間企業が活躍しやすい合理的なものとし、今後の状況変化にも柔軟に対応できるようにすることで、民間の力を幅広く引き出し、東京のまちづくりの力を結集していくよう強く求めておきます。
 太陽光発電設備の設置義務化について伺います。
 都が実施したパブリックコメントでは、条例改正に賛成が全体の五六%を占めた一方、反対が四一%に上ったことは無視できるものではありません。
 いまだ日当たりの悪い住宅も全ての新築住宅に義務化される、この制度で再エネ賦課金が大幅に上昇するといった誤解に基づく意見や、設置後の維持管理に不安があるといった意見が噴出しており、制度内容が都民に十分に理解されているとはいい難い状況にあります。
 都は、こうした状況を真摯に受け止め、都民が不安を抱くことのないよう、これまで以上に適切な情報発信や丁寧な説明を行っていくことが不可欠であると考えますが、見解を伺います。
 また、事業者への対応も課題です。先般、カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針が公表され、断熱、省エネ性能の確保、太陽光発電設備の設置等の義務づけを行う新制度施行に向けたスケジュールが示されました。
 新制度は、二年程度の準備、周知期間を設けた上で、令和七年四月施行を目指していくとしています。この二年の期間は、義務対象となる事業者の準備や都民への十分な周知期間を考慮したものと思いますが、注文住宅メーカーや建て売り分譲住宅メーカーなど、事業者ごとに置かれた立場は様々であります。
 制度は理解しつつも、開始までの体制整備など準備が必要な事業者も多いと聞いています。加えて、業界全体で本制度を推進していく観点からも、制度の対象となっていない事業者の取組を促すことも忘れてはなりません。
 都は、こうした住宅供給事業者の声に耳を傾け、置かれた実情を把握し、事業者の状況に寄り添った支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 そして、太陽光パネルの義務化を進めれば、当然、将来廃棄されるパネルも増えることになります。こうしたパネルを単に破砕して埋め立てるのであれば、かえって環境負荷の増大を招くおそれもあることから、しっかりとリサイクルし、資源の循環利用を図ることが重要です。
 住宅用の太陽光パネルは、通常、屋根の上に設置されており、高所かつ狭い場所での撤去作業となることや、一件当たりの排出量が少なく、収集運搬等が非効率になることから、費用が割高でリサイクルされないことも多いと聞いています。
 都は、こうした課題を踏まえ、住宅用の太陽光パネルが適切にリサイクルされる仕組みを構築していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、再生可能エネルギーの利用拡大について伺います。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、あらゆる分野で再生可能エネルギーの利用を増やしていくことが重要です。
 これまで都議会において様々な議論がなされてきましたが、推進する取組が太陽光発電に偏っているのではないかと危惧しています。近年、民間事業者の中には、小水力発電事業への参入、島しょ地域での洋上風力発電の導入検討などの動きも出てきています。
 都は、こうした民間事業者の動向や様々な再エネ発電技術のメリット、デメリットを踏まえ、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの利用拡大も図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、今月策定した環境基本計画において、気候危機とエネルギー危機という二つの危機を踏まえ、気候変動対策を抜本的に強化、徹底していくとしています。二〇五〇年の脱炭素社会に向けては、EVの推進等、ますます電力化が推進され、その使用量が増大することが予想されます。
 国際エネルギー機関の推計では、二〇五〇年には二〇二〇年比で二・六倍の発電量が必要になるとされ、増大する電力の需要に応じて再生可能エネルギーを供給することは相当困難だと考えます。気候変動対策を進めるためには、再生可能エネルギーの導入も重要ですが、徹底した省エネ対策の深掘りが不可欠です。
 エネルギー価格の高騰も続く中、省エネ対策を徹底して進める必要が一層高まっていると考えますが、環境基本計画で掲げる目標達成に向けどのように取組を進めていくのか、都の見解を伺います。
 そして、カーボンハーフという高い目標の実現に向けて、都民、事業者の理解や協力を得るためにも、都の管理する施設での率先的な取組が不可欠であり、都庁自らが強い意思を持って実践していくべきと考えますが、見解を伺います。
 我が国のエネルギー安全保障という問題は長期化しており、将来に向けたエネルギーの安定確保は最優先課題の一つです。だからこそ、知事も、今般、新たに産業・エネルギー政策部という新組織を立ち上げたのだと思います。
 現在の電力需給の状況は、国による対策の進展で改善が見込まれるものの、異常気象や発電所のダウンなど不測の事態の備えが必要です。加えて、電気料金の著しい上昇が都民生活や企業活動に大きな負担を強いています。
 本年八月、国のGX実行会議の場で、原発の新増設について言及した岸田総理の発言を受け、定例記者会見の場において、小池知事の原発に対する発言がありました。
 今から五年前、幅広く与野党合意を形成し、原発ゼロを憲法に明記するとおっしゃられていたときとは、原発に対するスタンスが大幅に変化したと受け止めております。
 原子力発電の稼働等については、国の専権事項であるとはいえ、エネルギーの大消費地であり、恩恵を受けている東京都として、我関せずという態度だとすれば、それはあまりにも無責任といわざるを得ません。
 必要不可欠であるエネルギーの安定確保にとって重要な割合を占める原子力発電について、知事の率直なお考えをお尋ねいたします。
 最後に、知事の都政運営について一言申し上げます。
 都政は、都民や都内事業者の方々の声を聞きながら、東京の実態を直視し、市区町村ともしっかり意見交換をしながら進めていかなければなりません。
 知事が記者会見で唐突に発表し、市区町村や関係事業者はもとより、多くの都民の方々に混乱を招くようなことがあってはなりません。都民の理解と納得の上に地に足のついた都政運営を行っていただくよう強く要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 三宅正彦議員の代表質問にお答えいたします。
 都政のかじ取りと大胆な支援策についてのお尋ねがございました。
 ロシアのウクライナ侵攻により顕在化したエネルギー問題や物価の高騰、気候危機の影響等によります自然災害の頻発化、激甚化、いまだ続く新型コロナへの対応など、世界規模で危機が生じております。
 我が国におきましては、円安の進行も加わって、社会経済に大きな影響を及ぼしております。こうした状況を打破し、日本経済を牽引していくことこそが首都東京に課せられた使命でございます。
 こうした観点から補正予算を編成しまして、足元の危機を乗り越えるために、価格転嫁が困難な事業者への直接的な支援など、一歩踏み込んだ対策を実施してまいります。加えまして、GXやDXなど新たな成長分野を活用してHTTの取組を加速、そしてサステーナブルリカバリーを実現してまいります。
 今後も、都民生活や東京の経済を支えるために、様々な観点から必要な支援を検討するとともに、持続可能な社会の実現に向けまして、長期的な視点に立った都政運営を行ってまいります。
 次に、補正予算についてでございます。
 歴史的な円安の進行、エネルギー情勢の変化など、都政を取り巻く環境は厳しさを増しております。こうした中にありましても、東京が活力を維持し、持続可能な都市へと進化していくには、必要な対策を機を逸することなく的確に講じることが重要であります。
 これまでも状況の変化を適切に見極めて、機動的に予算措置を講じてまいりましたが、昨今の物価高等の影響の深刻化を踏まえまして、様々な危機への対策を一段と強化する観点から、今回の補正予算を編成いたしました。
 具体的には、増額された国の臨時交付金を活用しまして、運輸事業者などに対して燃料費等の支援を行うなど、一歩踏み込んだ対策を実施いたします。加えまして、旅行需要の回復に向けました観光業への支援や資材価格高騰の影響を受けております農林水産業への支援など、きめ細かく対策を講じております。
 また、冬の電力確保に向けた対策の強化とともに、環境配慮型の設備投資への支援、GXの加速化など、将来も見据えまして脱炭素化を一層推進してまいります。さらに、コロナ対策に係る予算を年度末まで確保しまして、社会経済の流れを止めずに感染終息を図ってまいります。
 補正予算に盛り込んだこれらの施策を速やかに実行に移すことで、都民の暮らしを守り、東京の経済の回復を力強く後押しをしてまいります。
 次に、感染拡大防止と社会経済活動の回復との両立についてのお尋ねです。
 今回、全国一律で新型コロナの発生届の対象が高齢者や重症化リスクのある方に限定され、保健、医療提供体制を重点化していく中にありましても、都民一人一人の命と健康を守るという都の方針には変わりはございません。
 これまで東京モデルとして強化してきた保健、医療提供体制を基本とし、希望する全ての方が健康観察を受けられる体制を整えるとともに、うちさぽ東京などの機能を最大限発揮して、体調が急変したときにも迅速に対応してまいります。
 また、新型コロナとの共存を目指しまして、より多くの医療機関が一般医療の提供を行いながら感染症医療にも対応できますよう、施設整備などを支援しております。
 さらに、社会経済活動の回復との両立に向けまして、オミクロン株対応ワクチンにつきまして、区市町村とも協力し、接種を一層加速させてまいります。有効な武器となる経口薬につきましては、国産の治療薬の開発支援や、迅速かつ安定的な供給を国に対して引き続き求めてまいります。
 こうした取組を先手先手で進め、この見えざる敵に的確に対応し、感染拡大防止と社会経済活動の回復との両立を推進してまいります。
 次に、DX推進に向けた今後の展開についてでございます。
 デジタルは、あらゆる人や情報をつなぎ、都民の豊かで便利な生活を実現する大きな可能性を秘めております。その効果を最大化するには、都のみならず、区市町村も含め、東京全体を一体的に捉えてDXを強力に進めていく必要がございます。
 その取組を加速するため、このたび、新団体、GovTech東京の設立構想を打ち出しました。従来の政策連携団体にはない仕組みによりまして、様々な専門性を持った民間の高度デジタル人材を多数確保し、激増するニーズに柔軟かつスピーディーに対応してまいります。
 伴走型サポートや人材紹介など、新たな人材シェアリングの仕組みを導入するほか、スケールメリットを生かしたデバイス等の共同調達やシステムの共同利用の推進などによりまして、区市町村が抱える課題にきめ細かく応えてまいります。
 都と新団体、そして区市町村の協働、共に働くことによりまして、協力して働くことによりまして、オール東京のDX推進の新たな体制を構築し、国の進めるデジタル戦略とも緊密に連携しながら、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会の実現に取り組んでまいります。
 都市の強靱化についてのお尋ねです。
 激甚化する風水害や大規模な地震など、東京が直面する危機は、いつ起こるか分からず、それらが複合的に発生するリスクもあります。都は、こうした危機から都民の生命と暮らしを守り、首都東京の壊滅的な被害を防がなければなりません。
 こうした考えの下、今年七月に、都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点を公表いたしました。それぞれの危機への対応に加えて、複合災害を乗り切るための取組の方向性についてお示しをいたしました。
 この論点を踏まえまして、気候変動や地震被害等に関して、都庁全体で共通の目線を持ち、インフラ整備を中心に、ソフト対策も組み合せて、年度内のプロジェクトの策定に向けて施策のレベルアップを図ってまいります。
 今後、本プロジェクトをてこに、二〇四〇年代に目指すべき姿の実現に向けて、万全の備えを固めることで、様々な脅威から都民を守る安全・安心な東京を築き上げてまいります。
 次に、都市強靱化に向けた電力の確保についてのお尋ねがございました。
 様々な災害のリスクに直面する中にありましても、首都東京の機能を維持していくためには、都民生活と事業活動の基盤となる電力の確保は重要であります。
 そのため、都市の強靱化に向けたプロジェクトの論点整理において、道路の無電柱化の推進、非常用発電設備や蓄電池の導入促進など、災害時の電力不安の解消に向けた取組をお示しいたしました。
 また、国に対しましては、広域に及ぶ発電、送電システム等の耐震性の向上や災害時にも電力供給の確保を図るよう提案しておりまして、その確実な実現を引き続き求めてまいります。
 今後、国や事業者等との連携を図りつつ、本プロジェクトを着実に推進することで、災害時にも電力が確保できる強靱な都市の実現に取り組んでまいります。
 次に、スタートアップ政策についてでございます。
 東京の未来を切り開き、新たな成長を生み出すのは、斬新なアイデアでイノベーションを起こすスタートアップの力です。
 我が国が国際競争を勝ち抜くために、もはや一刻の猶予もなく、スタートアップ政策を抜本的に強化しなければなりません。都の本気を示すため、司令塔となる担当局長を設置し、庁内横断型の新たなチームを編成いたしました。
 先日、経団連初のスタートアップ出身の副会長、南場智子さんとも会談するなど、国や経済団体、民間の支援機関との議論を開始いたしております。
 公共調達や規制改革の推進、イノベーションを起こすための場づくり、アントレプレナーシップの育成など、幅広い取組につきまして、スタートアップの目線に立ち、国が策定する計画とも連動させ、効果的な支援策を構築してまいります。
 次に、子供の置き去り防止への支援についてのお尋ねがございました。
 先般、送迎バスに子供が取り残され、亡くなるという痛ましい事故が起こりました。亡くなられたお子様のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
 子供たちにとって、安全・安心な場所であるはずの保育所、幼稚園、認定こども園などにおきまして、二度とこのような悲しい出来事を繰り返してはなりません。
 今回の事故を受けまして、直ちに都内全ての保育所等に対して緊急点検を開始いたしました。今後、実地調査やヒアリングを実施いたします。また、施設管理者向けのオンライン講習会を速やかに開催をし、優れた取組事例を共有してまいります。
 さらに、すぐに実施可能な対策や導入可能なデジタル技術を活用した取組を現場の実情に応じて財政的に支援をしてまいります。
 人を基本としながら、様々な知恵と技術を結集し、多角的に対策を講じることにより、子供にとって安全・安心な社会を実現させてまいります。
 次に、G-NETSについてのお尋ねでございます。
 世界は、感染症の脅威や気候変動など、深刻な危機に直面しておりまして、その対応の最前線に立つ世界の都市が連携を深めていくことは必要でございます。
 都はこれまでも、二都市間や多都市間のネットワークを活用しまして、環境、防災、まちづくりなど様々な分野において、海外都市との交流や緊密な協力関係の構築など多くの成果を得たところでございます。
 昨年夏には国際会議、Re StaRTを開催し、東京宣言としてコロナ禍からのサステーナブルリカバリーの実現を世界に提唱いたしました。
 今年度、この宣言に賛同した都市をはじめ、これまでつながりのありました都市にも広く参加を呼びかけて、環境や安全・安心などをテーマとし、知見の共有、連携強化などを図るために、国際ネットワーク、G-NETSを構築するものであります。
 来年二月には、都市のトップを招く会議を開催いたしまして、先進事例の共有により互いの知見を高めるなど、連携を強化してまいります。さらに、定期的に国際会議を開催することで議論を深めて、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
 パートナーシップ宣誓制度についてであります。
 性的マイノリティーの方々が抱える様々な生活上の困り事の軽減につなげていくため、制度の運用に当たりましては、身近な行政サービスを担う都内区市町村と連携を図っていくことが重要であります。
 都はこれまで、都内の区市町村に対しまして、制度の趣旨や連携の方向性について説明をし、各自治体の理解と協力を得ながら、制度導入の準備を進めてまいりました。
 制度の開始に向けて、既に制度を導入している自治体とは、証明書の相互活用のための調整を進めてまいります。未導入の自治体につきましては、都の証明書を活用した行政サービスの事例を情報提供するなど、各自治体の状況に応じまして、丁寧に協議を重ねてまいります。
 こうした証明書の活用に係る対応と併せまして、都民への広報におきましても、都内区市町村と連携しまして、制度の普及を図ってまいります。
 全ての都民が自分らしく生活し、誰もが認め合う社会を実現してまいります。
 小笠原航空路についてのご質問がございました。
 小笠原航空路の開設は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展、さらに住民の安心・安全を守るという観点からも極めて重要でございます。
 現在、都は、より実現性の高い洲崎地区に絞りまして、集中的に調査を実施しております。航空機につきましては、開発中の一千メートル以下の滑走路で運用可能な二種類の機体を中心に検討を進めておりまして、今後、さらに詳細な機体性能などの情報収集に努めてまいります。
 加えまして、世界自然遺産である小笠原におきましては、貴重な自然環境への配慮が欠かせません。昨年は、世界遺産委員会に対しまして、航空路の検討状況を報告いたしました。また、外来種対策や環境影響評価に関する助言をいただいておりまして、今後の取組に生かしてまいります。
 さらに、航空路案の取りまとめには、国の支援が不可欠でございまして、あらゆる機会を通じて、技術面や財政面での協力を求めてまいります。
 今後とも、国や小笠原村とも緊密に連携を図りまして、航空路の早期開設に向けて精力的に検討を進めてまいります。
 最後に、エネルギー施策についてのご質問がございました。
 HTTを含め、都が実現を目指す持続可能な回復、サステーナブルリカバリーに向けた取組は、クリーンエネルギー中心の社会変革を目指すGXの推進と軌を一にするものでございます。
 この実現に向けまして、省エネ、節電の徹底や再生可能エネルギーの地産地消の推進に全力を尽くして、脱炭素型の社会経済構造への移行を積極的に進めてまいります。
 我が国における電源構成につきましては、安定供給や経済効率性、さらには脱炭素化への対応といった多岐にわたる観点を踏まえまして、総合的に検討していくことが必要でございます。
 原子力発電の運転の可否や新技術を活用した新増設につきましては、最終的には国等の判断によりますが、安全性の確保を大前提としまして、まずは地元の理解が得られることが何よりも大事であります。
 都といたしましては、現下のエネルギー危機を乗り越えるとともに、その先の脱炭素社会の実現に向けまして、電力を減らす、つくる、ためる、HTTの取組を一層加速させてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 安倍晋三元内閣総理大臣銃撃事件を踏まえた今後の警視庁の警備についてお答えをいたします。
 ご質問の安倍晋三元内閣総理大臣に対する犯行を私ども警察が阻止できなかったことにつきましては、当庁といたしましても極めて重大に、重く受け止めております。現在、警察庁による警護に関する検証結果、これに伴う警護の見直しに基づいて、要人警護体制の強化に努めているところであります。
 昨日、日本武道館において執り行われました故安倍晋三国葬儀に伴う警備につきましては、警察の存在意義が問われる非常に重要な警備であるとの認識の下、都民、国民の皆様のご協力をいただきながら、当庁をはじめ全国警察が総力を挙げて警備に取り組んだ結果、国内外要人を含む参列者の安全と国葬儀の円滑な進行を確保するという所期の目的は達成できたものと考えております。
 当庁には、首都東京を狙ったテロ等不法行為の未然防止という重要な責務が課せられております。当庁は、引き続き、警護体制の強化、先端技術の導入等による装備資機材の充実、教養訓練による部隊の練度向上に不断に取り組み、警備の万全を図ることにより、都民の安全・安心の確保という責務を果たしてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 都立高校生の海外派遣についてでございますが、社会の課題を主体的に解決する力や豊かな国際感覚を身につけ、世界を視野に新しい時代を切り開いていくことができる人材を育成することは重要でございます。
 都教育委員会は、都独自の留学制度を設け、高校生を海外に派遣してまいりました。今年度は、コロナ禍においてデジタルを活用した交流などを実施するとともに、キャリア形成や多文化共生社会の実現に向けた意識の醸成を目的に、新たに専門学科高校等の生徒をヨーロッパや中東等に派遣いたします。生徒は、最先端技術の視察や現地での交流を通じて、専門分野の知識や多様な文化を学習いたします。また、引率した教員は、派遣先での成果を指導に還元してまいります。
 これらの取組を通じて、世界を舞台に様々な分野で活躍できる人材を育成してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 連続立体交差事業の取組についてでございますが、連続立体交差事業は、道路整備の一環として実施しておりまして、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消し、防災性の向上にも資する極めて効果の高い事業でございます。さらに、事業に合わせ、駅前広場の整備が進むなど地域のまちづくりにも寄与いたします。
 都はこれまで、三十九か所で事業を完了し、三百九十五の踏切を除却してまいりました。現在、六路線七か所で事業を実施し、四路線五か所で事業化に向けて準備を進めております。
 さらに、新たに鉄道立体化の可能性の検討を行う箇所として、東武伊勢崎線の鐘ケ淵駅付近を事業候補区間に位置づけたところでございます。
 今後とも、地元区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業を積極的に推進してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 高齢者の新型コロナ対策に関するご質問にお答え申し上げます。
 高齢者が安心して療養生活を送るためには、医療の提供に加えまして、介護度に応じ、きめ細かなサービスを提供することが重要でございます。都はこれまで、既存の施設を活用いたしまして、高齢者を受け入れる医療施設を設置してまいりました。
 今般、青山の酸素・医療提供ステーションを二十四時間、救急要請にも対応し、要介護五の方も受け入れる高齢者等医療支援型施設に転換をいたします。加えて、築地、立川の施設も高齢者の受入れを促進してまいります。
 さらに、夏の感染拡大期に多くの転院患者を受け入れた回復期支援病院の取組を検証いたしまして、その結果を他の病院に展開することで、患者の円滑な転院を図り、病床を効率的に活用してまいります。
 こうした取組により、高齢者の受入れ体制を強化してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都立病院の新型コロナ対応についてでございますが、都立病院は、第七波の爆発的な感染拡大により、多くの職員が欠勤する中で、都民の生命を守る観点から、重症、中等症の患者や新型コロナによる症状は軽くても重い基礎疾患のある方、認知症など介護度の高い方、障害のある方など、対応にマンパワーを要する患者を積極的に受け入れてまいりました。
 また、熱中症患者等の増加や救急医療機関でのクラスター発生等の地域の状況を踏まえ、救急患者を多く受け入れるなど、病床や入院患者の状況等を確認しながら、臨機応変に対応してまいりました。
 今後、独法化のメリットを一層生かし、こうした都立病院の使命を引き続き果たしていくとともに、都立病院が担っている役割や現場の取組のほか、新たに病床の稼働状況についても、都民に分かりやすく発信してまいります。
 次に、医療的ケア児とその家族への支援についてでございますが、医療的ケア児とその家族が身近な地域で安心して生活するには、地域の支援体制を充実させ、個々の心身の状況に応じた適切な支援を受けられることが必要でございます。
 このため、都は昨年度、医療的ケア児とその家族やサービスを提供する事業所を対象に行った調査で、地域の支援体制を支える人材の確保や関係機関の連携などが課題であることを把握いたしました。
 今後、家族などからの様々な相談に対応する都の医療的ケア児支援センターと区市町村が連携しながら、個々の相談事例を通じて実態の把握をさらに進めるとともに、医療的ケア児を受け入れてサービス提供を行う事業所の人材育成や関係機関のネットワークの構築などを進め、地域の支援体制の充実につなげてまいります。
 最後に、手話の普及に向けた取組についてでございますが、手話を使用しやすい環境を整備するためには、都民への理解を深め、手話のできる都民の裾野を広げることや専門人材を育成することなどが必要でございます。
 都は、パンフレットや大学と連携したイベント等により、都民への手話の理解促進を図るほか、ホームページなどで手話言語条例の意義等を周知してございます。また、手話通訳者等の養成にも取り組み、昨年度からは、医療など専門性の高い手話の研修も行ってございます。
 今後、学齢児等が対象の体験型イベントを実施するなど、区市町村や障害者団体等とも連携し、将来の人材の掘り起こしを行うとともに、手話通訳者等のさらなるスキルアップの充実策を検討するなど、手話の利用が普及するよう環境整備を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の芸術文化活動に対する支援についてでございます。
 今年度創設した芸術文化魅力創出助成には、地元の小規模なお祭りなどに加え、より広いエリアで開催するアート展や落語鑑賞とその舞台を実際に巡るイベントなど、地域を活性化する新たな企画が多く寄せられております。
 伝統芸能や美術などの文化団体や区市町村からは、地域での取組が活性化するよう支援を求める意見が出ております。そのため、手続や要件の緩和など使いやすく工夫するとともに、地域のニーズに即してきめ細やかに対応し、多彩な芸術文化活動が広がるよう取組を進めてまいります。
 今年十一月には、区市町村との連携に向けた会議を開催し、都と区市町村が協働して文化事業の展開を進めるなど、都内各地における芸術文化の取組を支援してまいります。
 次に、新規恒久施設の有効活用についてでございます。
 新規恒久施設を大会のレガシーとして、多くの都民に利用され、親しまれる施設としていくことが重要でございます。
 各施設では、再開業以降、競技団体と連携し、数多くの大会や体験会など様々なスポーツの利用機会が提供されております。また、広い屋外敷地を生かしたライブやファッションショーなど、多角的活用を進めております。
 今後、大会施設を巡るレガシーツアー、子供たちへの見学会、地元と連携したスポーツを通じた地域振興などを実施していくとともに、国際大会の誘致も進めてまいります。
 スポーツやエンターテインメントをはじめ幅広い活用を展開し、都民の健康や豊かさ等かけがえのない価値を提供できるよう取り組んでまいります。
 最後に、私立学校でのグローバル人材の育成についてでございます。
 将来を担う国際感覚豊かな人材の育成のためには、建学の精神に基づく特色ある教育を行っている私立学校の役割は重要でございます。
 そのため、都は、教員を海外研修に派遣する際の補助や高校生の海外留学への支援などを実施しております。
 コロナウイルス感染症等の影響による期間や行き先、教育内容の変更などがある場合にも、現場の声を聞きながら、これらの施策が使いやすいものとなるよう、工夫を重ねてまいりました。
 今後とも、社会的な状況変化を踏まえ、制度を柔軟に運用することで、私立学校におけるグローバル人材の育成を支援してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、適切な避難行動を促すための対策についてでございますが、大規模風水害時は、広範囲で浸水被害が発生し、かつ長期化する地域もあるため、知人宅等への自主避難や垂直避難、行政区域を越える広域避難等、住民一人一人のリスクを踏まえた分散避難を促すことが重要でございます。
 このため、都はこれまでも、区市町村と連携し、分散避難について広く周知するとともに、東京マイ・タイムライン等を活用した普及啓発に積極的に取り組んでまいりました。
 今後は、より一層都民が水害リスクを自分事として認識できるよう、関係区や町会等と連携し、居住地ごとのリスクや推奨される避難行動等を住民に直接発信するモデル事業を実施するなど、対策を強化してまいります。
 こうした取組を着実に進めることで、災害時における都民一人一人の適切な避難行動を促してまいります。
 次に、避難誘導策の具体化についてでございますが、大規模風水害時の広域避難は、鉄道等の計画運休開始前に行政区域を越える遠方への避難が必要となるなど、通常の避難に比べ困難な課題が存在いたします。
 このため、都は、国と共に検討会を設置し、関係自治体やメディア関係者、交通事業者なども交え、適切な避難行動につながる情報発信の在り方や避難先への避難手段の確保策などについて検討を行ってございます。
 今後、早期の避難行動を促すための防災情報等の発信、伝達のルールや鉄道等の増便による輸送力の確保のほか、バスによる避難先への移送方法等を具体化してまいります。
 こうした取組を通じまして、大規模風水害時における避難対策の充実強化を図ってまいります。
 次に、帰宅困難者対策についてでございますが、大規模地震から都民の生命と財産を守るためには、帰宅困難者対策を進化させていくことが重要でございます。
 都はこれまで、新たな広報媒体を活用した普及啓発や補助金の充実による一時滞在施設の確保等に取り組んでまいりました。これに加えまして、対策の新たな柱となる帰宅困難者の安全な誘導をサポートするオペレーションシステムの開発に着手するとともに、事業所の防災対策の旗振り役となる事業所防災リーダーの設置拡大を推進してございます。
 今後は、帰宅困難者への迅速かつ正確な情報発信に向け、システムの実効性を訓練で検証し、精度を高めてまいります。また、帰宅困難者対策を含む災害時の対応への理解を深め、企業の防災力向上を図るため、事業所防災リーダー向けの教育、研修を実施してまいります。
 次に、帰宅困難者対策の実効性向上についてでございますが、巨大地震発生時の一斉帰宅を抑制するためには、家族等と速やかに安否確認ができることが重要でございます。
 このため、都は、動画やデジタルサイネージ等により安否確認手段を周知するとともに、災害時にも連絡が取れるよう、通信基盤の充実や耐震化を地域防災計画に位置づけ、積極的に推進してまいりました。
 今後は、安否確認手段を普及させるため、ウェブ広告などの新たな媒体を活用することに加えまして、都民が災害伝言板を体験する機会を設けてまいります。また、地域防災計画改定に合わせ、基地局の非常用電源の長時間化やさらなる耐震化など災害時の通信確保について事業者等と検討してまいります。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組を進め、帰宅困難者対策を強化してまいります。
 次に、災害時の通信環境についてでございますが、大規模災害時の速やかな避難など、適切な防災行動につなげるためには、災害情報の収集等に不可欠な通信環境の整備が重要でございます。
 このため、都は、関係各局が連携し、一時滞在施設や避難所に指定されている都有施設へのWi-Fi整備を積極的に進め、引き続き設置拡大を図ってございます。
 また、公立の小中学校や民間施設など、都有施設以外の一時滞在施設や避難所につきましても、通信環境の確保に係る今後の検討につなげるため、毎年行っている調査により、Wi-Fi機器や非常用電源の整備の状況等を速やかに把握し、年度内に取りまとめてまいります。
 こうした取組を通じまして、災害に強い首都東京をつくり上げてまいります。
 最後に、緊急一時避難施設の指定と避難誘導についてでございますが、ミサイル等の武力攻撃から都民の生命を守るためには、爆風等からの被害を軽減する緊急一時避難施設を確保するとともに、適切な避難行動を促すことが重要でございます。
 都は、施設のさらなる拡大に向け、本年六月、区市町村と緊密に連携いたしまして、都内の公共施設の総点検を実施いたしました。安全性や堅牢さから、七百を超える施設が候補となってございます。
 今後とも、地域の特性や偏在状況等も考慮し、民間施設も含め、都内全域で戦略的に指定を進めてまいります。また、実践的な訓練につなげていくため、区市町村や施設管理者等と連携した避難誘導策の検討に速やかに着手いたします。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組により、都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えいたします。
 最初に、全国旅行支援についてでございますが、東京の観光産業の回復を後押しするため、国の全国旅行支援の仕組みを活用して、各地から都内に旅行者を誘致する取組は重要でございます。
 国では、全国旅行支援を来月十一日から開始をいたしますが、この仕組みを使い、都道府県が観光客を誘致する場合には、旅行代金の助成やクーポンの提供が可能となります。
 これまで都は、東京での観光を都民が行う場合の助成について、感染症の状況と専門的な意見を踏まえ、実施に関わる判断を行ってまいりました。今回の支援に関しましても、開始の時期について、専門家からの意見を踏まえ、適切に判断を行うことといたします。
 この支援を行う場合、利用可能なホテルやクーポンを使える店舗の募集などに関し、おおむね一か月の準備を行い、効果の高い観光振興として実施いたします。
 次に、原材料価格の高騰や円安などへの対応についてでございますが、中小企業は、原材料価格の高騰により、コスト面での負担が重くなり、経営改善に向けた様々な取組を進めることが必要となっております。
 都は、中小企業が原油などエネルギーのコスト等を削減できるよう、専門家の助言に基づき、新たな設備を導入する経費に助成を行っており、今後、その支援規模を拡充いたします。また、新たな取引先を増やすため、ECサイトに出店するほか、調達がより確実な材料を使う製品を開発する場合、その経費の五分の四を二百万円を上限に助成いたします。さらに、円安の影響で製造拠点を国内に移す中小企業の資金需要を支えるため、制度融資の保証料補助の充実を図ります。
 これらによりまして、中小企業の経営を着実にした下支えしてまいります。
 続いて、次に、農業者への経営支援についてでございますが、東京の農業者は、肥料や飼料の価格の高騰などによりまして、厳しい事業環境に直面してございまして、生産コストの軽減に加え、経営力の向上を図るための支援が重要でございます。
 このため、都は、高騰している化学肥料の使用を減らし、堆肥を使う取組を後押しするほか、乳牛などを飼育する畜産農家が、飼料となる牧草を購入したり、栽培する経費の一部に助成を行います。
 また、経営の改善に向け、事業内容の診断や販売促進活動などを行う畜産農家に対し、家畜の種類や数に応じ、総額で約二億円の緊急的な支援金の交付を行うこととし、受付を来月より開始をいたします。
 これらによりまして、持続可能な農業経営の後押しを着実に進めてまいります。
 次に、島しょ地域の漁業者への支援についてでございますが、東京の漁業者を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いてございまして、操業や出荷の負担軽減を図ることが重要でございます。
 都は現在、漁業者の操業で必要となる燃油のコスト負担を軽減するための支援を行っているところでございます。このほかに漁業では、水産物の出荷に使う箱や保冷用のシートなどの経費の割合が大きく、その価格も高止まりをしており、今後はそうした資材の購入経費に助成を行います。
 また、漁業者の売上げの多くを占めるキンメダイについて、資源管理の面から漁獲の抑制に向けた動きも出ております。このため、収入への影響に備える漁業者への支援を検討するとともに、資源管理と漁業経営の両立に向けて、国に効果的な対応を求めてまいります。
 これらによりまして、東京の水産業の振興を進めてまいります。
 次に、中小企業の外国人材活用の支援についてでございますが、人手不足に悩む中小企業の働き手の確保に向け、外国人材の採用のサポートを行うことが重要でございます。
 これまで都は、外国人材の採用を希望する中小企業に対し、セミナーを通じた情報提供や窓口での相談対応を行うほか、専門家派遣により、社内の受入れ体制の整備等に向けた助言を実施してまいりました。
 また、各地域の自治体に対し、地元の中小企業での外国人材の採用を後押しする取組に助成をするほか、経済団体と協力いたしまして、海外の学生がものづくり企業に就職するための支援も行っているところでございます。
 さらに、特定技能制度を踏まえまして、会社と外国人材のマッチングを進め、就職の事例を増やすほか、今年度は採用や職場での様子を紹介し、受入れの拡大に結びつけてまいります。
 最後に、生産性向上と従業員の賃金引上げの取組についてでございますが、中小企業が生産性を高め、収益を確保し、それを働き方の改善を通じ、従業員の意欲や収入の向上につなげ、事業の発展を図る好循環をつくり出すことは重要でございます。
 このため、都は、中小零細企業が生産性向上を目的に、専門家の派遣を受けてIoT等のデジタル技術を活用した設備を導入する支援につきまして、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、今後、助成の率を引上げます。
 また、職場の働き方のルールを改善し、従業員の意欲を高めるため、専門家の助言によりまして、勤務やキャリア形成の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者に、最大百万円の奨励金を新たに支給をいたします。
 こうした取組によりまして、厳しい経営環境に直面する中小企業の事業の発展を後押ししてまいります。
   〔中央卸売市場長河内豊君登壇〕

○中央卸売市場長(河内豊君) 生鮮品等の海外展開についてでございますが、中央卸売市場は、東京をはじめ全国の産地からの生鮮品等を消費者に安定的に供給しており、今後もその役割を果たしていくためには、海外を含む販路拡大への支援により、市場業者の経営基盤の強化を図ることが重要でございます。
 このため、都は、多様な品ぞろえや豊富な商品知識等を有する市場業者の強みを生かした海外販路開拓に向け、意欲ある業者同士をグループ化した上で、事業計画の策定支援やマーケティング研修など、輸出力向上に向けた取組を後押ししております。さらに、商談会等の販売促進活動や国際的な第三者認証取得を支援してまいります。加えて、都内漁業者と市場業者との連携を進め、輸出力の強化に向けてこれらの取組を加速させることにより、東京産水産物のブランド化を推進してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の意見を反映した子供政策についてでございますが、子供目線に立った取組を推進する上で、子供の実情に寄り添いながら、多様な意見を的確に捉えることが重要でございます。
 このため、子供政策の加速に向けた論点整理を踏まえた政策立案に当たりましては、小学生、中学生、高校生を対象とした出前授業に加えまして、デジタルを活用したアンケートにより、幅広く多くの子供の意見を聞いてまいります。また、NPO等と連携して、子供食堂など身近な場所で子供と交流しながらヒアリングを実施するとともに、子供を日常的にサポートしている大人への聞き取りも実施してまいります。
 今後、様々な手法を活用いたしまして、子供の意見を聞く取組を庁内各局に広げ、実効性のある政策を練り上げてまいります。
 次に、子供の遊びについてでございますが、子供は、遊びを通じて友達同士で関わりながら、様々な挑戦を経験することによりまして、実社会で生きる力を育んでいきます。
 今回策定した論点整理では、子供の遊びという政策課題を新たに設定いたしまして、子供が伸び伸びと遊ぶことができる環境づくりに向けた政策の方向性を示しております。
 子供が思い切り外遊びを楽しむことができるよう、区市町村等と連携しながら、子供自身が泥遊びや木登りなど自由な発想で遊べる場の創出や、遊びや体験の幅を広げる役割を担う人材の育成について検討してまいります。
 こうした取組を通じて、子供の笑顔があふれる遊びの環境づくりを多面的に推進してまいります。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、東京港のふ頭整備についてでございますが、東京港は、経済連携による自由貿易の進展等に伴い、取扱貨物が今後さらに増加することが予想されておりますが、国際海上物流の一大拠点としての役割を果たし続けていくためには、港湾機能の抜本的な強化が必要であります。
 このため、都は昨年度、東京港の将来像を明らかにした長期構想を取りまとめ、現在、その構想を基に、港湾計画の改定に向け検討を進めているところでございます。
 具体的には、新海面処分場地区に大規模なコンテナヤードを有する新たなふ頭整備を計画化し、隣接する中央防波堤外側ふ頭と併せて、現在主力の大井ふ頭に匹敵する貨物取扱能力を確保するよう検討してまいります。
 今後とも、将来を見据えながら、東京港の機能強化の実現に向けた取組を全力で進めてまいります。
 次に、コンテナターミナルの運営の効率化についてでございますが、市街地に近接しエリアが狭隘な東京港において、より多くの貨物を取り扱うためには、デジタル技術を積極的に活用し、ターミナルでのスムーズな貨物の搬出入を実現させることが重要でございます。
 このため、都は、国と連携し、トラックの来場時間の平準化と貨物の搬出入の効率化を目的とする予約システムCONPASを一部のターミナルで先月から運用開始しました。
 今後、予約された貨物に関する情報を物流の情報プラットフォームを活用して関係者間で共有し、最適なコンテナ配置となるよう事前に荷役しておくことなどにより、トラックの入場から貨物の受渡しに至る一連のターミナル運営のさらなる効率化を図ってまいります。
 最後に、東京港の脱炭素化に向けた取組についてでございますが、都は、二〇五〇年CO2排出実質ゼロの実現を目指し、脱炭素化に向けた取組を強力に推進しており、物流の要である東京港での取組も重要となっております。
 これまで、荷役機械の省エネ化や太陽光発電設備の設置などを進めてまいりましたが、東京港全体で脱炭素化を戦略的に推進していくため、本年六月、港湾関係事業者やエネルギー関係の企業等から成る検討会を設置いたしました。
 現在、東京港の脱炭素化に向けた取組やロードマップ等を検討しており、年度内を目途に、カーボンニュートラルポート形成計画を取りまとめ、荷役機械の水素活用など、新たな取組を国の支援も求めながら具体化してまいります。
 今後とも、東京港が選ばれ続ける港湾となるよう、ハード、ソフト両面から様々な取組を加速してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 築地跡地についてでございます。
 旧築地市場跡地は、都心のまたとない大規模で貴重な土地であり、そのポテンシャルを生かし、中長期的に東京全体としての価値の最大化を目指すこととしております。
 お話の築地の土地の一部売却についてでございますが、将来にわたって地区全体の一体的なまちづくりを進めていけるよう、土地を民間に売却することはせず、都が所有者の立場から適切に関与することができる定期借地権を活用していくこととしております。
 今後、募集要項の策定に向け、民間事業者が参画意欲を高め、創意工夫を発揮しやすい事業となるよう、将来の社会経済情勢の変化への対応など実施条件等についてさらに検討し、民間の優れた提案を引き出すことで、東京の持続可能な成長につながるまちづくりを進めてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、太陽光発電設備への理解促進についてでございますが、カーボンハーフの実現に向け、新制度を実効性のあるものとするためには、制度に対する都民の正しい理解と共感を得ることが重要でございます。
 そこで、都は、都民目線のQ&Aや新制度を分かりやすく解説したリーフレットの作成、新制度に関する電話窓口の臨時設置等、様々な手段で情報発信を行ってまいりました。
 今後は、太陽光発電設備の設置からメンテナンスまでのライフサイクル全般に対応するワンストップ窓口を設置するほか、業界団体と連携したセミナー等を実施してまいります。
 また、年代別などターゲットに応じてSNS等多様な媒体を活用し、きめ細かな情報発信を行ってまいります。
 こうした取組によりまして、太陽光発電設備の設置に向けた機運の醸成を図り、円滑な制度導入に向けて万全を期してまいります。
 次に、住宅供給事業者への支援についてでございます。
 円滑な制度施行に向けては、準備状況に応じた支援を行い、環境性能の高い住宅の普及を図ることが重要でございます。
 これまで都は、大手ハウスメーカーに対しましてヒアリングを重ね、実態把握に努めてきておりまして、既に商品ラインナップが十分に備わっている事業者がいる一方で、これから準備を始める事業者もいるなど状況は様々でございました。
 今後、都は、準備を行う事業者に対しまして、太陽光パネル設置に向けた施工技術の向上等の支援を行ってまいります。また、先行する事業者に対しましては、事業者の積極的な取組をさらに後押ししてまいります。加えて、大手ハウスメーカー以外の事業者も利用可能となる仕組みといたしまして、業界全体の取組促進につなげてまいります。
 円滑な制度施行に向け、支援策の具体化を早期に図り、事業者の集中的な取組を促進してまいります。
 次に、住宅用太陽光パネルのリサイクルについてでございますが、二〇三〇年半ばに見込まれる大量廃棄に備え、都内約七割の住宅用パネルを資源として循環利用させるリサイクルの仕組みを早期に確立することが重要でございます。
 首都圏では、事業用パネルのリサイクルは既に複数の施設で実施されておりまして、住宅用パネルについても、こうした施設等を活用していくことが有効でございます。
 そこで、都は、住宅用パネルのリサイクルルートの確立に向け、建物解体、収集運搬、リサイクル等の関係事業者で構成する協議会を立ち上げました。今後は、パネルの収集運搬を実際に行い、効率的な運搬方法、素材別リサイクル等の検証、取り外し作業マニュアルの策定などを行ってまいります。
 こうした取組と併せまして、都民への分かりやすい情報発信を行い、太陽光パネルの高度循環利用を進めてまいります。
 次に、多様な再エネ利用の拡大についてでございます。
 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、さらなる省エネ対策に加えまして、地域や建物等の特性を踏まえた再エネ設備の選択、導入が重要でございます。
 このため、都は、再エネ設備の導入支援策におきまして、太陽光発電設備に加え、地中熱、太陽熱利用設備等を補助対象とするなど、都民や事業者による様々な再エネ設備の導入を促してございます。また、普及の初期段階にある再エネ技術につきましては、都有施設において率先的に導入し、見える化を行うことで認知度向上を図っております。
 今後、臨海部での最先端技術の実装に向けた取組なども進めまして、技術や事業の普及を積極的に図るとともに、さらなる支援策等の拡充について検討するなど、多様な再エネ利用の拡大を推進してまいります。
 次に、省エネ対策の徹底についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現には、まずは建物等の使用エネルギーの最大限の効率化、省エネが不可欠でございます。
 部門別で唯一エネルギー消費量が増加している家庭部門では、新築住宅への断熱、省エネ性能の義務化や既存住宅での窓等の断熱改修補助の拡充に加えまして、集合住宅向けの新たな支援策の検討など幅広い取組を加速してまいります。
 また、キャップ・アンド・トレード制度や地球温暖化対策報告書制度等を強化し、事業所でのさらなる省エネ対策を促すとともに、資金やノウハウが必要な中小企業には、事業所の状況に応じたきめ細やかな支援を講じてまいります。
 住宅関係団体や経済団体と連携して積極的にこれらの取組の周知を図り、行動を呼びかけることで、誰もが当たり前に省エネ行動に取り組める社会を実現してまいります。
 最後に、都有施設での率先的な脱炭素の取組についてでございます。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けまして、都自身が、隗より始めよの意識の下、温室効果ガス削減などの取組を一層強化していくことは重要でございます。
 このため、都は、昨年三月策定のゼロエミッション都庁行動計画におきまして、新築や改築時の高断熱化など省エネの強化に加え、小水力発電の導入による再エネの推進等の率先行動を掲げ、全庁を挙げて取組を開始してございます。
 また、本年には、太陽光発電設備の設置目標を大幅に引き上げるとともに、既存施設における高効率機器への更新手法と効果等を定めた省エネ更新基準の策定に取り組むなど、都有施設のゼロエミッション化を加速させてございます。
 都庁自身が強い危機感を持って脱炭素行動を進めまして、都民、企業、行政等のあらゆる主体の取組を牽引してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十二分休憩

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