令和四年東京都議会会議録第十号

○議長(三宅しげき君) 二十四番星大輔君。
   〔二十四番星大輔君登壇〕

○二十四番(星大輔君) 昨日、我が会派の代表質問で、危機管理として、ミサイル攻撃がなされた場合などを想定し、都民の命を守るための施設確保を進めるべきことを申し上げました。
 ロシアのウクライナ侵攻を見ても、首都を防衛することの意義はいうまでもありません。都は、有事においても、国と連携し、首都東京が機能するよう、万全の準備を行う必要があります。
 首都機能といった場合、国会や霞が関などももちろん含まれるわけでありますが、東京都の心臓部は、この都庁舎です。
 このため、万が一の備えとして、この都庁舎の機能が損なわれた場合のバックアップ体制を構築していくことが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、中小企業支援、スタートアップについて伺います。
 ウクライナ情勢等により、経済活動が制約される状況が続いており、中でもスタートアップは資金調達にも影響を及ぼしているのではないかという専門家の意見も聞かれます。実際に、海外投資家からの資金調達が急減したという声や取引先がなくなったという声も多く聞かれます。
 そうした中、国においては、先月公表した経済政策、新しい資本主義の実行計画案において、スタートアップへの投資を重点投資先の一つとして捉えるとともに、スタートアップについて、五年で十倍増を視野にした五か年計画を本年末に策定し、強力に支援をしていくこととしております。
 こうした状況の中で、スタートアップが、経営や資金面で力を高め、その発展を後押しするような取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、障害者雇用の促進について伺います。
 今般のコロナ禍では、多くの企業がテレワークを新たに導入しました。テレワークの普及には、移動に困難を伴うことの多い障害者の方にとって、活躍の場を広げるものであり、ぜひともテレワークを定着させ、障害者の方の多様な働き方を推進していただきたいと思います。
 一方、都内の障害者の就職件数は、これまで順調に増加してきましたが、令和二年度は、コロナ禍の影響により就職面接会などの多くの支援が開催できなかったことなどにより、大きく減少してしまいました。
 今後は、コロナの終息も見据えつつ、事業活動の正常化が見込まれるほか、これまでの感染症の懸念から求職活動を控えていた障害者の方も就職活動を再開するなど、企業における雇用ニーズ、障害者の就労ニーズはより高まっていくものと考えます。
 こうした考えから、我が会派は、本年の第一回定例会において、障害者の雇用機会の拡大に向けた取組を強化すべきという提案を行い、都からは、マッチング機会の充実を図るために、大規模な就職面接会を今年度新たに開催をするという答弁がありました。
 ぜひとも、テレワークを活用した働き方を進める企業にも幅広く案内いただき、希望する障害者の就労チャンスを広げていただきたいと考えます。
 このため、都は、障害者のテレワークを活用した働き方の導入、定着を支援するとともに、企業と障害者とのマッチング機会を拡大することを通じて、障害者雇用を一層推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、マスクの着用について伺います。
 リバウンド警戒期間が終了し、これから暑い季節を迎えます。引き続きの感染症予防と同時に、熱中症対策が必要になります。
 例えば、運動する場合や運動の前後のマスクの取扱いなどについては、特に運動を安全に行う上でも正しく知っていただく、こういうことが必要と考えます。
 先般、国から様々な場面におけるマスクの着用に関する考え方が示されたところでありますし、また、外国人観光客の受入れ再開に当たり、旅行業者や添乗員向けにまとめたガイドラインの原案が示されました。
 そこで、都からもしっかりとした情報発信を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 小学校における教科担任制は、専門性の高い教科指導を行えるとともに、教員の負担軽減を図ることができるため、積極的に進めていくべきだと考えています。
 都教育委員会では、昨年度から令和五年度まで、十校で教科担任制のモデル事業を実施していますが、現段階での成果と今後の取組について伺います。
 部活動は、学校生活を充実させるために大変に重要なものだと認識をしております。一方で、先ほども申し上げたように、部活動により教員の負担が重くなっているという指摘があります。
 国は、休日の中学校の部活動を地域移行するという方針を示しましたが、生徒が何も心配することなく、部活動に打ち込めることができる環境の整備を都としても早急に進めることを求めておきます。
 昨年、東京二〇二〇大会が開催され、アスリートが躍動する姿は、子供たちに勇気と感動をもたらし、スポーツの力を改めて実感させられました。
 東京二〇二〇大会を通じ、その後の人生の糧となるような、かけがえのないレガシーを子供たち一人一人の心と体に残していくことは重要です。
 また、パラリンピアン、オリンピアンだけでなく、十一月末から、サッカーワールドカップも開催されることから、二〇一九年のラグビーワールドカップ同様、都内のJリーグなどのプロスポーツ選手、プロスポーツチームと連携を図っていくことも、子供たちにとって、スポーツのすばらしさや楽しさ、そういったことを感じてもらうような、非常に必要なことだと思っております。
 教育委員会では、学校にアスリートを派遣し、子供たちが直接交流することにより、運動やスポーツの特性を学び、楽しさを実感して、夢、希望、感動との出会いやスポーツへの親しみを促進する取組を行っていることは承知をしております。
 今後、交流のみならず、アスリートが専門性を生かして、学校で体育等の授業を行い、子供たちの教育の質の向上につなげていくべきだと考えておりますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、無電柱化であります。
 昨年、都内で震度五強の地震が発生し、大規模地震がいつ起きても不思議ではない状況です。また、今年に入り、台風の影響で一部の地域で停電が発生するなど、安全で安心な都民生活を守るためにも、無電柱化は重要な取組です。
 現在、区部の地中化率は約六割と一定の進捗が図られているところでありますが、一方で、多摩ではまだ二割にとどまっているのが現状です。多摩地域の魅力を高めるため、商店街や主要道路などで、無電柱化のさらなるスピードアップを図っていくことが重要です。
 そこで、多摩地域における無電柱化にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、多摩都市モノレール延伸についてです。
 成熟した都市東京が持続可能な発展をするためには、多摩地域の役割は非常に重要です。多摩モノレールは、一九八一年に、多摩都市モノレール等基本計画調査報告が発表されたことで計画が動き出しました。複数計画案のうち、多摩都市モノレールの現在の終着駅である上北台駅から瑞穂町JR箱根ケ崎駅の箱根ケ崎ルート、約七・二キロの区間については、既に調査、設計に着手しているところであります。
 町田方面延伸の早期実現も、町田エリアが持つ都市ストックを多摩の発展に生かすことにつながると考えます。
 都は、町田方面延伸に関して、学識経験者等で構成するルート検討委員会において、客観的、合理的なルート検討を行い、本年一月には、その検討委員会の検討結果を都のホームページに公表をしました。こうした動きを受けて、現在、早期実現を熱望する声がますます高まっています。
 そこで、多摩都市モノレール町田方面延伸について、今後、都はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 国は、昨年、児童相談所の設置基準を定める政令を発出し、管轄人口が百万を超える児童相談所は、区域の見直しを求められることになりました。
 都は、これを受け、多摩地域に新たな児童相談所を設置するため、今年度、施設規模や設置場所、設置形態等に関する調査を実施することとしています。
 児童相談所の業務は、一時保護などの法的対応を行うための高度な専門性が求められます。そのため、新たな児童相談所の設置に向けては、ハード整備のみならず、質の高い人材を計画的に確保し、育成していくことが必要であります。
 都は、児童福祉司などの人材確保、育成について、どのように進めていくのか見解を伺います。
 昨日の代表質問で、知事は、世界陸上の東京招致に関し、世界陸上の招致主体である競技団体を積極的に支援していくと答弁されました。
 一方、報道によれば、複数の国が二〇二五年大会に立候補しているとの情報もあり、一段と気を引き締める必要もあります。
 東京は、昨年、コロナ禍でも東京二〇二〇大会を成功裏に終え、スポーツの可能性はもとより、未来に向かう東京、日本の可能性を示すことができたと考えます。
 二〇二五年世界陸上の東京招致を確実なものにしていくためには、この困難を乗り越えた二〇二〇大会の経験も生かし、招致の主体である日本陸連をはじめ、関係者と連携していくことが重要と考えておりますが、見解をお伺いさせていただいて、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 星大輔議員の一般質問にお答えいたします。
 都庁舎のバックアップ体制についてのお尋ねがございました。
 国民保護法におきましては、ミサイル攻撃や大規模テロ等が発生いたしました場合、地方自治体は、避難指示や救出活動などの措置を的確に実施することとされております。
 このため、都は、都の防災センターが被災した際、立川地域防災センターを代替施設として活用することとし、必要な設備等を整備いたしております。
 具体的には、都と区市町村、関係機関等を結ぶ災害情報システムや画像伝送システムなど、有事のオペレーションに必要な機器を配備いたしております。また、関係機関が緊密に連携をいたしまして活動できるよう、オープンフロア化などの大規模改修を進めております。
 さらに現在、有事の際にバックアップ機能を迅速に発揮するため、通信システムの稼働確認などを行う訓練を継続して実施いたしております。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組を進めまして、バックアップ機能を強化してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小学校における教科担任制についてでございますが、高学年における教科担任制は、専門性の高い教科指導や複数の教員による多面的な児童理解が可能になるなど、発達段階に応じた指導体制として有効でございます。
 そのため、都教育委員会は、昨年度から推進校を十校指定し、音楽や図工等の専科教員に加え、理科または体育に中学校教員を配置しております。こうした取組の結果、教員からは、担当教科が減ることで教材研究が充実し授業の質が向上した、児童からは、学習面でも生活面でも相談できる先生が増えたなどの声が寄せられております。
 今後、これらの成果を指導体制の充実につなげられるよう、他の区市町村教育委員会に周知してまいります。
 次に、アスリートの授業での活用についてでございますが、都教育委員会では、小学校の外国語活動において外部人材を講師として任用する取組を昨年度から実施しており、今年度は、体育においてもアスリートなどの専門性が高い外部人材を配置することとしております。
 これにより、競技の専門的知識や競技経験などを有するアスリートが授業を行うことを可能にし、子供たちの学びの充実を図ってまいります。
 また、継続的に授業を行うことができる場合は、特別免許状制度を活用するよう、区市町村教育委員会へ促してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 多摩地域の無電柱化についてでございますが、無電柱化は、都市防災機能の強化や良好な都市景観の創出などの観点から重要な事業でございます。
 都は、昨年六月に改定した無電柱化計画に基づき、防災性の向上に資する緊急輸送道路や利用者の多い主要駅周辺の無電柱化などを推進しております。
 現在、多摩地域では、第一次緊急輸送道路である鶴川街道や新小金井街道などの都道で整備を実施いたしますとともに、町田駅や八王子駅周辺などの市道の整備について、技術的、財政的な支援を行っているところでございます。
 今後とも、地元市町村と連携しながら、多摩地域の無電柱化を着実に推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、スタートアップに対する支援についてでございますが、ウクライナ情勢等の影響で厳しい状況にあるスタートアップが、経営の力を高め、将来に向け事業を大きく伸ばすことができるよう、適切な支援を行うことは重要でございます。
 これまで都は、起業を目指す方に、事業計画の作成やその実現に向けた後押しを行うとともに、創業間もない時期に、経営や資金調達などの知識を学ぶ場を提供し、事業展開に向けた取引のきっかけづくりもサポートをしてまいりました。
 今後は、創業の初期に、経営や金融に関する様々なノウハウを学ぶ機会の拡充を図ります。また、事業の拡大を目指すスタートアップが、国内外の投資家や大企業等と交流するための支援体制を充実いたします。
 こうした取組によりまして、スタートアップの事業展開を着実に後押ししてまいります。
 次に、障害者雇用の促進についてでございますが、障害者の方が就職し職場に定着できるよう、テレワークなど多様な働き方を広げていくとともに、企業とのマッチングの機会を増やす取組は重要でございます。
 このため、都は、障害者を初めて雇用する中小企業に対し、職場環境の整備やITに詳しい専門家を派遣し、テレワークを活用した働き方の導入と定着に向けた助言等による後押しを行います。また、こうした助言に基づき、テレワークの機器を導入する場合の助成を開始いたします。
 さらに、障害者のため年明けに国が開催する就職面接会につきまして、都がテレワーク求人のある会社を開拓しその参加を図り、相談会やセミナーも組み合わせ、大規模なイベントとして共同で開催をいたします。
 こうした取組を通じまして、障害者の雇用拡大と職場定着を後押ししてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) コロナ禍におけるマスクの着用に関するご質問にお答えいたします。
 新型コロナウイルスの感染を予防するためには、換気の励行、三密の回避、手指消毒などと併せて、マスクを場面に応じて適切に着用することが重要でございます。
 国が示した方針では、運動時などの着用につきましては、屋外で人との距離が確保できる場合や会話をしない場合などは必要ないとされ、夏場の屋外で必要がない場合では、熱中症防止の観点からマスクを外すことが推奨されております。また、先般のモニタリング会議では、東京iCDCの専門家から、身体的距離や会話の有無、屋外か屋内かといったマスクの着用を考える際の三つのポイントなどが示されております。
 今後とも、基本的な感染防止対策に関する情報が都民にしっかりと届くよう、分かりやすく発信してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 多摩都市モノレールの町田方面延伸についてでございますが、延伸により、開業区間と一体となり南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
 延伸に向けては、収支採算性の確保等に加え、導入空間となり得る道路整備の課題があるため、学識経験者等から成るルート検討委員会において検討を進め、昨年十二月末の委員会において、ルートが選定されました。
 これを踏まえ、今後、地元町田市等では、選定されたルートを基本として、需要の創出に資するまちづくりの計画策定に向けた取組を進めることとしております。
 都といたしましては、こうした地元市が進めるまちづくりの取組を支援するなど、関係者と事業化について協議、調整を進めてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 児童相談所の人材確保、育成に関するご質問にお答えいたします。
 都は、昨年度から、児童相談センターに専任チームを設置し、大学等への訪問など採用活動を強化しているほか、若手職員が働きやすい環境を整備するため、職員住宅の借り上げを開始しております。
 今年度は、福祉分野の経験者の採用試験を福祉職の専門性を重視した選考内容とするほか、職員住宅の戸数を五十戸から百戸に拡大いたします。
 また、旧世田谷児童相談所を活用して、トレーニングセンターを設置し、新任職員向けに、ロールプレーイングやゼミ形式の事例検討など、実践的なプログラムによる研修を五月から開始しております。
 こうした取組により、児童相談所における質の高い人材の確保、育成を一層進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 世界陸上招致における関係者との連携についてでございます。
 東京は、東京二〇二〇大会で使用された実績のある国立競技場や都立施設、大会運営を経験した豊富な人材を有しております。世界陸上を東京で開催する場合、これらは大会成功に直結する重要な要素でございます。
 先月下旬、招致計画を評価するワールドアスレティックス評価パネルの来日時には、こうした東京の強みを東京二〇二〇大会に実際に携わった職員が説明するなど、日本陸上競技連盟と一体となって対応いたしました。
 開催地決定は七月中旬となります。日本陸上競技連盟と意見交換を重ねつつ、国など関係者と十分連携を図り、招致活動を積極的に応援してまいります。

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