令和四年東京都議会会議録第十号

○副議長(本橋ひろたか君) 九十九番宮瀬英治君。
   〔九十九番宮瀬英治君登壇〕

○九十九番(宮瀬英治君) 五年前の総選挙、小池知事は希望の党代表として土日を問わず選挙を応援し、惨敗後この都議会で、総選挙に当たり私自身の行動により、多くの皆様にご困惑、ご心配をおかけしました、自らを厳しく省み、改めて都民第一の姿勢で都政に専念してまいりますと、自らの言葉で謝罪されました。
 ですから、よもやこのたびの参議院選挙で前回のようにご自身と関係のある候補の応援に行くことはないですよね。知事の簡潔明瞭な答弁を求めます。
 ロシアによるウクライナ侵攻後、知事は姉妹都市のモスクワとの交流を停止しました。立場を鮮明にした以上、私はウクライナの首都キーウと姉妹都市を結ぶよう提案します。
 戦後は、インフラ復旧や医療などあらゆる支援が必要です。また、現在でもCLAIRを通じたニーズ調査、都響チャリティーコンサートや写真展などが可能です。知事と都の見解を伺います。
 また、現地ニーズのある消防、救命の資機材は今すぐ提供すべきです。これまでの国際協力活動と併せて消防総監の見解を伺います。
 物価の高騰です。
 最初に家です。私にも息子が生まれ、一歳八か月となりました。子供の成長に伴い、住まいの問題が生じます。二十三区の新築マンション平均価格はバブル期を上回り、八千五百万円と過去最高です。
 知事、私も家が買えません。このままでは、東京は家族や子育て世帯が住めないまちになります。実際、近隣県に流出し、都の人口は二十六年ぶり、子供も十九年ぶりに減っています。住宅価格高騰に直結する太陽光パネル設置義務化の前にやることがあります。一般の都民が住宅を購入できるよう対策を取るべきですが、知事の認識を伺います。
 鍵となるのは空き家です。
 空き家は八十万戸もあり、その利活用や市場への流通が広がれば、物件選択の幅が広がり、住宅価格の下落につながります。
 しかし、今の施策は大幅な改善が見られていません。そこで、他自治体の先進事例を参考にすべきです。例えば、税制。空き家があると、固定資産税の特例で税が六分の一になります。そこで神戸市では、倒壊のおそれ等がある空き家には、固定資産税の特例をなくしました。また、京都市では、空き家に新たな税を今後導入する予定です。
 都も今後、対策を強化し、空き家の有効活用によって中古住宅市場を活性化させるべきですが、見解を伺います。
 次に、制服です。
 今年、都立高校の制服が入学式までに一部の生徒に届きませんでした。制服は、学校が仕様書を作成し、コンペでメーカー一社、販売店一社が価格により選定されますが、私は以前より、談合の疑いや、それに学校が結果的に加担していると指摘してきました。仕様書には、特定のメーカー一社のみが有する特許技術が要件とされ、また、懇意でない販売店が卸値に一円の利益も乗せなくとも選定されていない現実があります。
 現在も、学校が生地に対し、特定一社を指定するなど同じことが繰り返され、保護者はほかに選択肢のないまま、制服代に約五万円もの負担を強いられています。学校はデザインのみを規定し、生地や仕立ては同等品も可とすることで、複数メーカー、複数販売店の参入を徹底すべきです。
 そうでない学校は何校なのか。保護者が複数の選択肢を持つことは、健全な競争による価格の下落や、制服が届かない場合のバックアップとなります。体操着など制服以外も含め、見解を伺います。
 学校に関連して伺います。
 ある都立学校の校長が卒業式の直前に逮捕され、式に出席できなかったのではとの声をいただきました。式の一週間後の三月末、校長は定年退職となりました。教育庁に確認したところ、副校長が代理を務め校長は欠席したこと、本部への連絡は校長本人ではなく、学校側が伝えたことは認めましたが、欠席理由、逮捕の有無、服務事故件数、退職金の支払いなどの重要な情報は、個人情報を理由に都は真実を明らかにしていません。明らかにすべきです。
 一般論として、本来懲戒免職となれば、事実と氏名を公表するのが原則です。処分確定までの間に定年退職してしまえば、事件は公にされず、外部による検証や再発防止策も取ることができません。
 都立学校の信頼を損なわぬよう、情報公開の在り方や今の規定を見直すべきですが、見解を伺います。
 物価対策です。
 SDカードは、車で一年以上無事故無違反であれば六百七十円で発行でき、カードの提示で全国二万店以上で、ガソリン、飲食、旅行、引っ越し代などが最大五割引き、車ローンの優遇などもあります。ですが、知られていません。
 私は、運転免許センターでの免許取得や更新の際に、配布封筒に案内を同梱すれば一〇〇%認知が進むと考えます。SDカードの認知率向上、普及拡大は、交通事故の減少にもなります。警視総監の見解を求めます。
 子育てです。
 我が子を見ていると、ずっと元気でいてほしいと心からそう思います。しかし、病気や障害を除くと、子供の死因第一位は、九歳までは不慮の事故、十歳から十九歳までが自殺です。小中高生の自殺数は、過去二番目の水準で対策は急務です。
 私も相談を受け、ある人を自殺相談センターにつなげました。そこで紹介を受けた消費生活総合センターでは、ここは相談窓口につなぐ総合的なところなので、事務的にお話しくださいといわれるなど、お役所仕事そのものでした。事実確認及び所見を伺います。
 また、自殺相談ダイヤルに二十回以上電話してもつながらず、つながっても保留にすらなりません。
 自殺未遂者は何人で、そのうち直接支援した人はどの程度なのか、今後その支援を一層強化すべきですが、見解を伺います。
 不慮の事故です。
 国の統計では、建物やその周辺で滑る、転ぶ、落ちるということで亡くなる方は火災の五倍以上、交通事故の八割強です。とりわけ子供の事故は七割が住宅内とされ、ベランダや窓からの落下は命取りです。
 都が推奨するベランダの手すりの高さは一・二メートル以上ですが、民間調査によると、三歳から六歳までの多くがよじ登ることが可能です。五年前、都の協議会が危険性を指摘しており、いまだ注意喚起にとどまる対策は改めるべきです。見解を伺います。
 また、建築基準法では、ベランダの手すりの高さは一・一メートル以上ですが、転落や落下物による危険性が高いマンションなどに対し、手すりや壁、柵の高さについて、都は独自に対策を強化すべきですが、見解を伺います。
 室内にも危険があります。
 先日、私の子供が休日に転倒し、頭を打ちました。親としては救急車を呼ぶべきか苦慮し、シャープ七一一九に電話しました。状況を正確に伝え、近隣三病院を紹介されましたが、それは対応できない、小児科はやっていないなど、結局どこも対応していただけませんでした。
 こうした状況は紹介前に把握し、適切な医療機関を案内するよう改めるべきですが、見解を求めます。
 災害です。
 災害時には、避難所のニーズは時間とともに多様化し、行政が対応し切れないという課題があります。例えば、子育てにはおむつ、ミルク以外にも必要なものがたくさんあります。一方、募金や物資支援をしたいという善意の声が届きますが、マッチングさせる仕組みがありません。
 そこで、新たに都、アマゾン、配送業者の三者で協定を結ぶことを提案します。アマゾンが避難所の必要物資を欲しいものリストとして掲載し、支援したい方々が購入、配送業者が避難所に届ける仕組みです。行政は、調達や配送コストを大幅に減らしながら、被災者の細やかなニーズに対応することができ、一石三鳥です。見解を伺います。
 少子化対策です。
 知事は、知事就任後、出生率は一・二四から低下し、現在一・〇八です。不妊治療対策は重要ですが、私は加齢による不妊を生まない取組が必要と考え、全ての高校生に妊娠率曲線など、妊娠適齢期に関する授業の実現を長年訴えてまいりました。見解をお伺いいたします。
 以上、三たび私を都議会に送り出してくれた板橋区民に感謝申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 宮瀬英治議員の一般質問にお答えいたします。
 今般の参議院選挙についてのご質問がございました。
 先日、所信表明でも述べましたとおり、東京の明るい未来を実現する決意の下で、東京大改革に全力で邁進をしているところでございます。そのために必要な日本の改革へとつなげるべく、志を同じくする方と必要なとき、必要な形で力を合わせてまいりたいと考えております。
 次に、キーウとの姉妹友好都市提携についてのご質問でございます。
 姉妹友好都市提携は、相互理解の促進と、そして、両都市共通の課題に共同して取り組むことを目的といたしております。
 締結に当たりましては、両都市間で友好親善的な交流や実務的な協力など、様々な交流の積み重ねが必要でございます。
 新たな姉妹友好都市提携につきましては、こうした目的、都市間の交流状況、相互のメリットなどを勘案して判断してまいります。
 次に、住宅価格の高騰を踏まえた都の取組についてのご質問であります。
 住宅価格につきましては、東日本大震災以降の建設工事の増加などによりまして、中長期的に工事費が上昇してきたことに加えて、ウッドショックなどによる資材価格の高騰が影響を及ぼしております。そして、都民の住宅購入の意欲への影響が懸念されていることは承知をいたしております。
 こうした状況の中で、都民がニーズに応じた住宅を取得できますように、環境を整備するため、都は、良質な住宅の供給促進や、既存の住宅の流通の促進、不動産取引におけます公正性の確保など、総合的に取組を推進しております。
 今後とも、東京都住宅マスタープランを羅針盤として、都民の豊かな住生活を実現してまいります。
 その他のご質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) SDカードの認知率向上、普及拡大についてでありますが、SDカードは、ドライバーの安全運転意識の向上や交通違反の抑止に資すると認識しております。
 警視庁におきましては、各種講習の機会に、自動車安全運転センターが作成しているリーフレットの配布等に協力しているところであり、今後とも普及に協力してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立学校における制服等の供給についてでございますが、制服等の製造業者や販売業者の選定は各都立学校で行っております。選定に当たっては、一部の学校において、他の事業者が事実上受注できない仕様書を作成していることが確認できました。
 また、最も低廉な価格を提示した事業者だけでなく、それと同等の条件で提供を申し出た他の事業者と契約することも推奨していますが、約八割の都立学校で単一の販売業者と契約をしております。
 今後、都教育委員会では、制服等の円滑な供給に向けて、適切な仕様書の作成や、複数の販売業者との契約方式の活用について、改めて各学校への指導を徹底してまいります。
 次に、校長の欠席理由等についてでございますが、個々の教職員の勤怠状況等につきましては、身分の取扱いに係る情報であり、個人情報保護の観点からお答えできません。
 次に、服務事故を起こした教職員が定年退職した場合の対応についてでございますが、都教育委員会では、教職員が服務事故を起こした場合は、厳正に処分するとともに、懲戒処分の内容について公表しております。
 一方、退職者は、教職員の身分を有しておらず、懲戒処分は行えないため、公表の対象とはなっていませんが、在職中に懲戒免職処分等を受けるべき行為があったと認められた場合には、条例に基づき、退職手当を不支給とするなど、在職者と同様に厳しく対処しております。
 公表につきましては、服務事故防止の徹底を図る観点から、懲戒処分の公表に準じた取扱いを検討してまいります。
 次に、高校での妊娠、不妊等に関する教育についてでございますが、都教育委員会は、令和四年度からの新学習指導要領の実施等に合わせ、性教育の手引に妊娠、不妊と年齢の関係などの指導事例を掲載し、教員を対象とした研修会等で手引の内容や活用方法等について説明し、指導力向上に努めてまいりました。
 引き続き、生徒が妊娠適齢期を含む妊娠、不妊等に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう、これらの指導事例等を保健体育科教員が参加する協議会等において周知してまいります。
   〔政策企画局長野間達也君登壇〕

○政策企画局長(野間達也君) ウクライナ及び避難した方への支援についてでございますが、国は、ウクライナ及び周辺国におきまして、国連難民高等弁務官事務所等の国際機関を通じた人道支援を行ってございます。
 都は、東京に避難された方々に安心して生活していただくための支援を行っているところでございます。
 今後とも、国や自治体国際化協会等から現地の情報を収集し、全庁で情報共有してまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、消防分野における国際貢献等についてでございますが、東京消防庁ではこれまで、諸外国で発生した地震等の被災地に国際消防救助隊員として職員を派遣するとともに、海外消防機関の要請に基づき、消防車両の譲渡や救助技術、消防車両の整備技術の支援等を行ってまいりました。
 また、現在、横浜において開催されておりますが、アジア、オセアニア地域の消防長による国際会議であるアジア消防長協会総会等を通じて、消防事情に関する最新の知見を共有し、各国が消防施策にそれぞれ反映しております。
 今般のウクライナへの物資支援につきましては、国からの依頼により、防火衣八十着、発電機九台、平担架二十個及び滅菌ガーゼ千七百枚など、消火や救助活動等で活用が見込まれる計九種類の個人装備品や資機材の支援を行っております。
 次に、適切な医療機関案内についてでございますが、救急相談センターでは、相談内容に応じて適応する医療機関を案内し、緊急性が高いと判断した場合には、救急車を出動させております。
 都民への案内は、医療機関が提供する最新の診療情報を基に、通常、三か所を選定しておりますが、医師が他の患者に対応している等の理由により受入れできない場合もあると把握しております。
 引き続き、各医療機関に正確な診療情報が提供されるよう要請するとともに、今後は、より都民ニーズに応じた案内について検討するなど、関係機関と緊密に連携しながら、都民サービスの向上に努めてまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都の空き家対策の強化についてでございますが、空き家対策の実効性を高めるためには、区市町村の主体的な取組への後押しが重要でございます。
 都はこれまで、全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会におきまして情報を共有するとともに、区市町村の空き家等対策計画策定に対して財政支援を行っております。
 引き続き、他自治体の取組事例等を区市町村と共有するほか、今後は、都の空き家対策の考え方や取組の方針を分かりやすく指針として示しまして、区市町村における空き家対策が計画的、効果的に展開できるよう支援してまいります。
 こうした取組によりまして、都内の空き家の有効活用を進め、既存住宅の流通促進に結びつけてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、消費生活総合センターにおける相談対応についてですが、東京都消費生活総合センターでは、消費者相談窓口を設け、消費者トラブルの解決に向けて、専門の相談員による具体的な助言等を行っております。
 お尋ねの件につきまして、相談機関として個別の相談内容を公にすることは困難でございますが、このたびの相談対応についてのご意見を真摯に受け止め、センター全体で共有を行っております。
 相談者はそれぞれ困難な事情を抱えているため、一人一人の心情にも寄り添いながら、状況や意向を丁寧に聞き取り、適切な助言等を行うことで問題の解決につながるよう、引き続き努めてまいります。
 次に、子供のベランダからの転落防止に関する取組についてですが、都は、都内保育所、幼稚園等に子供の転落防止に関するリーフレットを配布するとともに、ホームページでも事故を防ぐポイント等を紹介しております。
 事業者団体に対しましては、手すりの高さの安全基準や注意表記の強化等について、東京都商品等安全対策協議会の提言に基づき、改善提案を行っております。
 今後、こうした取組の効果等について調査し、その結果を踏まえて、事業者団体等へのさらなる働きかけを行うこととしております。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自殺相談ダイヤルについてであります。
 都はこれまで、電話やSNSによる自殺相談の受付時間や体制を段階的に拡充してきております。
 また、自殺総合対策ホームページ、東京都こころといのちのほっとナビにおいても、悩みに応じた相談窓口を検索できるよう充実を図っております。
 今後とも、悩みを抱える方を早期に適切な支援につなげてまいります。
 次に、自殺未遂者支援についてであります。
 東京消防庁の統計によれば、令和二年の都内の自損行為による救急出動件数は五千七百件でございます。
 救急医療機関の中には、区市町村と連携して自殺未遂者を支援するところもあり、都は、こうした取組が進むよう、医師や看護師等に対する研修を実施しております。
 また、区市町村等への助言や未遂者本人を支援する事業を実施しておりまして、令和二年度の対応件数は千五百九十四件でございます。自殺未遂者が地域で継続した支援を受けられるよう、令和四年三月からは、本事業に従事する保健師等を増員し、体制を拡充しております。
 今後とも、こうした取組により、区市町村等と連携して、自殺未遂者を支援してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 高層マンション等への安全対策についてでございますが、高層階からの落下対策は、落下防止はもとより、地上部の歩行者等の安全を確保する上でも重要でございます。
 都では、総合設計制度を適用する高層建築物の場合、危険防止の措置が必要なものには、バルコニー等の手すりを、高さ一・三五メートル以上の二重手すりまたは一・六メートル以上とするなど安全上の対策を求めております。
 今後、こうした取組を行っていくとともに、特定行政庁でもある区市に対しても同様の取組が図られるよう働きかけるなど、安全対策の強化に取り組んでまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 避難所ニーズへのきめ細かな対応についてですが、大規模災害が発生した直後は、膨大な量と種類の物資需要が生じるため、需要側と供給側のマッチングを確実かつ迅速に行う必要がございます。
 このため、都は昨年度、全国共通の物資調達・輸送調整等支援システムを導入し、避難所のニーズと供給可能な支援物資の情報を国と自治体間で共有した上で、効率的かつ確実に需要と供給の調整を行うことができる体制を確保いたしました。
 お話のように、自治体によっては、それぞれの事情に沿った様々な工夫がなされていることは承知しております。
 今後も必要に応じ、他自治体の状況も参考にしながら、都の実情に応じた避難所への物資支援の強化に取り組んでまいります。

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