令和四年東京都議会会議録第十号

○副議長(本橋ひろたか君) 二番かまた悦子さん。
   〔二番かまた悦子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二番(かまた悦子君) 私は、都議会議員になる前、小学校の教員として二十五年間勤務し、子供たちと向き合ってまいりました。その視点から、まず、障害者雇用について質問をいたします。
 学校現場では、障害のあるなしにかかわらず、一人一人の状況に応じた、きめ細かな支援や指導を実施するよう努めています。
 私も発達障害のある子供たちや、障害はなくとも生きづらさを抱えている子供たちと関わる中で、その生きづらさがなかなか理解されず、悩んだり、苦しんだり、自信をなくしたりしている子供たちの現状を知りました。
 この子供たちが成長し、大人になったとき、社会全体がどんな人でも受け入れ、理解する社会であってほしいと願うとともに、障害者雇用の拡充こそが、誰一人取り残さない社会の構築につながると考えています。
 このコロナ禍、障害者雇用については、各企業の働き方の変化から、これまで従事していた業務がなくなったり、全く別の業務が新たに生まれたりしています。
 また、社会のデジタル化の進展に伴い、必要とされる業種も変化することから、障害者雇用についても社会の変化に対応した対策を検討する必要があります。
 都立特別支援学校では、就業技術科や職能開発科を設置し、障害のある生徒たちの就労支援に力を入れており、その成果が大いに期待されるところであります。
 しかしながら、既にこのコロナ禍、卒業生の雇用先の状況も変化しています。
 そこで、特別支援学校の就労支援については、ウイズコロナ社会等、社会の変化に対応していく職業教育に常に内容を改善していくべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
 今年の二月に開催された東京都障害者就労支援協議会では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、東京のハローワークにおける令和二年度の障害者新規求人数は、対前年度比約四〇%と大幅に減少しているとの報告がありました。
 そこで、東京都障害者就労支援協議会でも、コロナ禍や今後の社会の変化を見据えた就労先の確保の在り方について積極的に協議し、対策を検討するべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、ひきこもりに係る支援について質問します。
 都はこれまでも、都議会公明党が提案してきた当事者やそのご家族の要望を生かした理解促進や相談支援策を進めており、令和三年八月に東京都ひきこもりに係る支援協議会が出したひきこもりに係る支援の充実に向けての提言にも、今後必要な取組として、身近な地域における相談体制の充実が掲げられております。
 しかしながら、一方では、当事者が相談を望んでいないとか、相談支援に至るまで長期間経過しているケースが多く、対応が難しいとの意見も出されています。
 実際、地域には、こんなことを相談してはいけないと考えている当事者や、他人に知られたくないという思いからSOSを発信できないでいるご家族も多くいらっしゃいます。
 私自身も、学校で多くの子供や保護者と関わる中、長い期間、生きづらさや孤立感を味わうと、なかなかSOSが出せなくなるということを実感しております。
 だからこそ、こちらから歩み寄り、当事者やご家族の思いに寄り添いながら、ゆっくりと支援の手を差し伸べていく、仮称コンタクトパーソンの必要性を提唱させていただきます。
 私が考えるコンタクトパーソンとは、当事者やご家族と最初に出会い、粘り強く信頼関係を構築しながら支援につなげていく存在であり、当事者と支援機関をつなげるかけ橋的な存在のことをいいます。
 そこで、都は、当事者やその家族と信頼関係を構築しながら、様々な支援に結びつけていくコンタクトパーソンづくりという考え方を支援策の一つの柱にしていくべきと考えますが、見解を求めます。
 また、当事者やご家族の体験などを聞くことは、ひきこもりの状態にある当事者やその家族が失った自己肯定感を取り戻すきっかけになります。
 今現在、悩んでいる当事者やそのご家族に、元当事者やその家族の声を伝える取組も進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 私は、不登校児童と関わる中で、当事者やそのご家族とつながるためには、多くの時間が必要であり、特に、不登校の当事者と直接つながることは、年齢が上がれば上がるほど困難さを増すことを経験いたしました。
 しかしながら、人は、幼少期から長い期間、親身に関わってくれる人には心を開いていくものであります。
 だからこそ、学校や社会の中で生きづらさを抱える当事者やご家族を早期に支援するために、いつでも安心して相談できる第三者の存在は重要であります。
 そこで、例えば、地域のボランティアの方や教員退職者、また、保育ママ登録者の方々等に地域の子供やそのご家族の担任になっていただき、進路や就職や人間関係等で悩んだときに相談できる第三者として活躍していただく社会にしていく必要があると考えます。
 都は、社会全体で子供を育み、チルドレンファーストを実現していくためにも、学校や地域から離れてしまった子供ともつながっていく仕組みを構築すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 昨年、仕事が続かずひきこもりがちになっていた若者と共に、令和二年九月に開設された東京しごとセンターの中にある専門サポートコーナーを訪れました。
 その際、やっとの思いでサポートコーナーにつながった一人一人の状況に応じ、担当者が丁寧な伴走型の支援を進めていることを知り、私は深く感銘を受けました。
 専門サポートコーナーは、ひきこもり傾向にある方や障害者手帳がない方などを含め、様々な状況に応じたサポートを推進していますが、令和三年度に支援した方は百三十七名にとどまっています。
 今後は、しごとセンターにある専門サポートコーナーのさらなる周知を図るとともに、多くの支援希望者をサポートできる体制の強化が必要であると考えますが、都の見解を求めます。
 日本若者協議会が中心となり、二〇二一年十月にインターネットによるアンケート調査、学校での生理休暇導入についてが実施され、高校生、大学生を中心とした三百名の回答が公表されました。
 調査結果によりますと、生理を経験する生徒の八割以上が腹痛や頭痛などの理由から学校を休みたいと思ったことがある反面、そのうちの約七割の生徒が主に成績や内申点への悪影響を心配して休めなかったと回答していることが分かりました。
 生理による腹痛や頭痛等につきましては、近年、PMS、月経前症候群とも呼ばれており、個人差が非常に大きく、かなり症状が重い方だと、電車等の移動はもちろんのこと、歩くことすらできない状態になります。
 また、さらに気になる点は、重い症状の方々ほど誰にも相談できずに一人で苦しんでいる場合も多いとのことです。
 そこで、生徒が生理による体調不良がある場合でも、例えばヘルス休暇など、安心して学校を休んだり、校内で安心して相談できる体制づくりを都立高校から進めるべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
 次に、帯状疱疹について伺います。
 最近、帯状疱疹に罹患したという方の声を伺ったり、テレビで帯状疱疹ワクチンのCMを目にしたりするようになりました。
 帯状疱疹にかかった方に伺うと、神経痛のような痛みを伴い、日常生活に影響が出るほどのつらい状態になることも多いようです。特に高齢者の方々の中には、皮膚の水膨れや発疹が治っても痛みが続く、帯状疱疹後神経痛になる方も多いそうです。
 帯状疱疹は、多くの方が子供の頃にかかる水ぼうそうのウイルスが原因で発症し、五十歳代から発症率が増え、八十歳までの三人に一人がかかると推定されています。
 今後は、さらなる高齢化の進展により、罹患して苦しむ方が増えることが予想されます。
 そこで、都は、ワクチン接種助成を実施する区市町村の支援について検討を進めるとともに、帯状疱疹の予防や治療に関する情報を必要な方に周知する体制を整えるべきだと考えますが、見解を求めます。
 私の地元板橋区を走る東武東上線は、踏切による渋滞や踏切事故の危険性などの課題を抱えており、二〇一三年四月に、公明党として東武東上線連続立体化の早期実現を求める署名を十四万九千七十三人分集め、要望書を国土交通大臣と都知事に提出し、立体化に向けて大きく後押しをさせていただきました。
 そして、ついに昨年十二月、大山駅の連続立体交差事業が認可されました。
 そこで、東武東上線の大山駅付近における連続立体交差事業の今後の取組について見解を求めます。
 また、板橋区内を走る都営三田線につきましては、近年の沿線沿いの人口増加に伴い、ラッシュ時の混雑が大きな課題であり、混雑緩和はかねてより板橋区民の悲願でありました。
 そこで、公明党は、二〇一三年と二〇一九年と二度にわたり、三田線の八両化の署名活動を行い、合わせて二十五万七千百八人に及ぶ賛同が寄せられました。
 この署名運動や都議会公明党による議会質問が後押しとなり、ついに先月の五月十四日、八両編成の車両運行が開始されました。
 しかしながら、三田線は八両と六両の車両が混在しており、せっかく車椅子をご利用の方が乗車しやすいよう、車椅子スペースのある位置に合わせてホームにスロープを設置してあっても、八両編成に乗車すると、駅によっては乗った場所と同じところにスロープがない場合があります。
 そこで、八両編成と六両編成、どちらに乗車しても、車椅子のご利用の方が安心して乗り降りできるよう、段差、隙間対策を進める必要があると考えますが、今後の取組について見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) かまた悦子議員の一般質問にお答えいたします。
 子供政策についてでございます。
 誰一人取り残さない包摂的な社会を実現する上で鍵となるのは、人と人とのつながりであります。様々な困難を抱える子供に寄り添いながら、子供と地域、学校等との多様なつながりを創出していくことが重要です。
 このため、子供政策総合推進本部の下に立ち上げた推進チームでは、つながりという視点を重視いたしまして、新たな施策や支援の枠組みを構築してまいります。
 今後、幅広い分野の有識者へのヒアリングや、国内外の先進事例調査等に取り組みながら、教育や福祉といった多様な人材が活躍できるプラットフォームづくりを推進して、子供と学校、地域等とのつながりを創出してまいります。
 その他のご質問は、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別支援学校における就労支援についてでございますが、生徒の企業での就労に向け、社会の変化に対応して実習内容を見直し、実践的な知識や技能を習得できるようにすることが大切でございます。
 近年では、新型コロナ対策としての消毒や清掃へのニーズが高まっていることから、清掃技能検定の実施を通じて清掃業務の実習を充実させてきております。
 また、業務報告等にパソコンを用いる企業が多いことから、記録の作成や電子メールによる報告、連絡などの実習を行っております。
 今後とも、生徒が就労先において、学校で身につけた力を発揮して働けるよう、職業教育の内容の改善を図ってまいります。
 次に、生理で登校できない都立高校生への相談体制でございますが、体調不良の生徒が相談しやすい環境を整え、各学校が個々の生徒の状態に応じて適切に対応することが必要でございます。
 これまで都教育委員会は、校長連絡会等で、体調不良等で欠席した生徒の単位や進級、卒業の認定を行うに当たっては、校内規程を柔軟に運用することなどについて周知してまいりました。また、生徒の体調不良等に関する相談には、養護教諭などが対応しております。
 今後とも、体調不良などのやむを得ない理由で欠席した生徒に対しては、相談を受けた養護教諭等と連携して対応するよう、管理職や教科主任等に周知してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 東武東上本線大山駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、鉄道を高架化し、八か所の踏切を除去することで、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございまして、昨年十二月に事業認可を取得いたしました。本年夏には用地補償説明会を開催し、積極的に用地取得を進めてまいります。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携し、令和十二年度の完成に向けまして、事業を着実に推進してまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の就労支援についてであります。
 都はこれまで、障害者の就労状況を踏まえ、就労支援と生活支援とを一体的に行う区市町村就労支援センターの体制強化や、障害者雇用のノウハウを伝える企業向けセミナーの開催など、障害者の就労機会の確保に取り組んでまいりました。
 また、今年度からは、コロナ禍による働き方の変化に対応するため、就労支援事業者を対象に、テレワークを想定した支援方法などを学ぶ研修を開始しております。
 今後、企業や就労支援事業者等で構成する就労支援協議会において、社会変化も見据えた障害者就労の在り方に関して議論を深め、こうした議論も踏まえながら、多様な働き方に対応した障害者の就労支援を進めてまいります。
 次に、ひきこもりに係る支援についてであります。
 生きづらさを抱える当事者の尊厳を守り、身近な人や地域とのつながりを回復するには、当事者やその家族に寄り添い、信頼関係を構築し、見守り、伴走し続ける地域の理解者や協力者を増やすことが重要であります。
 都は、ひきこもりは誰にでも起こり得る自分の身を守る反応の一つであることなどについて、都民や関係者等の理解促進を図るため、インターネットや新聞広告、交通広告などを活用して普及啓発をしているところでございます。
 今年度は、東京都ひきこもりに係る支援協議会で、より効果的な広報について検討し、充実を図るほか、新たに民生児童委員向けに研修を実施いたします。
 こうした取組を通じて、当事者やその家族の孤立を防ぎ、支援につなげてまいります。
 最後に、ひきこもりの元当事者等の声を伝える取組についてであります。
 支援協議会の提言では、普及啓発や相談体制に、同じ悩みを共有できる元当事者やその家族が関わることで、相談に対する心理的なハードルが下がるとされております。
 そのため、都は、元当事者等に出演を依頼してドキュメンタリー番組を制作し、東京動画に掲載しているほか、家族会と連携し、ピアオンライン相談を実施しております。
 今年度は、元当事者等の体験談を盛り込んだパンフレットを作成し、相談機関等に広く配布するとともに、ピアオンライン相談の実施回数を拡充いたします。
 こうした取組を通じて、元当事者やその家族の声を広く伝え、継続的な支援につなげてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 就労に困難を抱える方への支援についてでございますが、様々な事情により就労に困難を抱える方について、コロナ禍の長期化で雇用環境が厳しさを増す中、より一層の支援を行うことが必要でございます。
 このため、都は、就職に関する専門知識を持つキャリアカウンセラーや臨床心理士などのチームによる相談対応を行っているところでございます。今年度は、体制の拡充を図り、一人一人の状況や希望を踏まえた、よりきめ細かな支援を行います。
 これらの取組について、これまでのSNSや求人情報誌による広報に加え、今後はウェブ広告を活用した発信や、福祉施設でのPRなどにより周知の強化を図ります。
 こうした対応によりまして、就労に困難を抱える方の支援を着実に進めてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 帯状疱疹に関するご質問にお答えいたします。
 国立感染症研究所の報告によりますと、成人の九割以上が帯状疱疹の原因となる水痘帯状疱疹ウイルスの抗体を保有しており、免疫低下や加齢に伴い、誰もが発症する可能性があることから、都民に帯状疱疹についての正しい理解を広げることが重要でございます。
 このため、都は今後、適切な予防と治療がなされるよう、発症の原因や症状、予防方法や抗ウイルス薬による治療などの情報をホームページで分かりやすく発信してまいります。
 また、ワクチン接種につきましては、国の厚生科学審議会におきまして、期待される効果や対象年齢に関する検討が引き続き必要とされていることから、この検討を加速するよう国に働きかけるなど、適切に対応してまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営三田線の段差、隙間対策についてでございますが、三田線では、車椅子をご利用のお客様が乗り降りしやすいよう、六両編成の車椅子スペースの位置に合わせて、ホームに固定式スロープを設置しております。
 八両編成の運行開始に伴い、新たに車椅子スペースの乗降口となる箇所には、今後、固定式スロープを整備いたします。また、ホームと車両との隙間が広い箇所には、隙間を縮小するための部材であるくし状ゴムを設置いたします。
 今年度、工事に着手し、令和六年度までに順次整備を進めていくとともに、駅係員がお客様に声かけをしながら、ご要望に応じて、乗り降りの際に介助を行うなど、きめ細かく対応してまいります。
 今後とも、お客様に安心してご利用いただけますよう、段差、隙間対策を推進してまいります。

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