令和四年東京都議会会議録第十号

○議長(三宅しげき君) 七十番菅原直志君。
   〔七十番菅原直志君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○七十番(菅原直志君) 孤独、孤立の問題がコロナ禍で顕在化し、政府は孤独・孤立担当室を設置いたしました。
 都が、子供食堂、宅食の活動強化など様々な施策を展開してきた取組は重要です。今後、現場を知る各種団体との連携が必要と考えます。外国籍の方々や、日本語が苦手な方々も対象として、孤独、孤立対策の包括的な施策展開が期待をされます。
 都は、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームで得た知見なども生かして、各局とも連携して、共生社会実現のための重要な課題である孤独、孤立対策を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 若者と女性の自殺者が増加をしています。都知事は、東京大改革二・〇の中で自殺対策の強化を明記しています。都は、自殺総合対策計画の改定に向け検討を開始したと聞いていますが、深刻な状況を踏まえ、積極的な生きる支援策の提示が求められます。
 コロナ禍で若者と女性の自殺リスクが高まる中、さらなる重層的な施策展開が求められます。都知事の見解を求めます。
 若者と女性への自殺対策としては、検索連動型広告も有効と考えられます。悩みを抱える方へ、その内容に応じた情報をダイレクトに届けられる特徴がありますが、今後、都としての取組を伺います。
 インターネット上の誹謗中傷が社会問題となっています。これをデジタル暴力ともいいます。
 デジタル暴力に対して、国、自治体がそれぞれの立場で対応する仕組みが必要で、特に都道府県は、被害者支援、相談の窓口となり、ネットリテラシーを推進する立場です。
 国は、昨年、改正プロバイダ責任制限法を策定し、群馬県、愛知県、大阪府、江戸川区などがデジタル暴力の被害者救済の条例を策定いたしました。
 被害者支援の観点から、必要とされる対応を早く受けられるように、都の相談窓口の広報の充実を図るとともに、区市町村と連携し、相談対応の強化を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 がん患者は闘病しながら生活をしています。患者の声を聞き、QOLを上げていくことが大事です。
 例えば、前立腺がんの患者の場合、男性トイレにサニタリーボックスがあると安心して外出できるという声があり、既に一部の自治体や病院では設置が始まりました。
 都内の公共施設や民間施設で男性トイレの汚物入れ、サニタリーボックスの設置が進むように取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 文部科学省が公表した教師不足に関する実態調査によると、昨年四月に全国で二千名を超える教師不足が報告されました。都では、今年四月の教師不足は五十名を超えたと伺っております。
 この原因は、確保していた期限付任用教員の候補者の多くが民間企業などへの就職を決めていることなどが挙げられます。これは教員採用の構造的な問題です。
 教員の確保のため、あらゆる施策を展開することが必要と考えますが、都教育委員会の取組について伺います。
 女性の生理の問題を質問します。
 現在、小中高校では生理休暇の制度がありませんし、対応するガイドラインを持つ学校が極端に少ないことが分かってきました。
 生理による体調不良のため、登校が難しい児童生徒に対して、まずは体調を整えることが大事ですが、学びの保障の観点から、オンラインを活用した自宅学習などを提供すべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 生理がひどくても、成績や進路への悪影響を心配し、無理をして登校している児童生徒がいるという話も聞きます。生理による欠席などは生徒の瑕疵によるものではないので、単位認定や、進級、卒業、進路などへの妨げにならないように、各学校が丁寧な対応を行うことや、関係者に対して周知すべきと思いますが、都教育委員会の見解と取組を伺います。
 中学校の休日の部活動の地域移行については、国の議論が進んでいます。東京都では、昨年度、渋谷区と日野市の中学校部活動の地域移行を試行いたしました。
 中学校の部活動の地域移行については、国の議論を踏まえて、スムーズな地域移行にするために準備を進めることが求められます。
 特に保護者の経済的負担が増えないようにすべきと考えますが、教育委員会の見解を求めます。
 都は、性別による無意識の思い込みエピソードの募集を開始いたしました。この観点から見ると、学校における男女別名簿も無意識の思い込みを助長する一つではないかと考えます。
 都立高等学校は基本的に全て混合の名簿となっています。一方で、区市町村立の小学校では九〇%、中学校では七〇%が混合名簿という報道もあります。
 学校名簿の作成は学校長の権限ですので、それは尊重しつつも、男女平等の観点からの見解を示すことは有効ではないかと思います。
 無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスを見詰め直す視点から、学校教育における性別によらない名簿、混合名簿などについて、都教育委員会の見解を伺います。
 物価高などの影響は学校給食にも影響を及ぼしています。政府は、学校給食費の保護者負担が増える分はコロナ交付金で補助するという方針を発表いたしました。問題になるのはお弁当の学校です。都内には、お弁当の学校も相当数あります。お弁当の子供たちには政府の補助金が届きません。
 一方で、小麦の輸入への懸念から、米粉パンが注目をされています。米粉パンの活用は日本の食料自給率を守ることにも直結いたします。
 都内公立小中学校の学校教育において、米粉を原料としたパンを活用することにより、米粉パンのよさを伝え、国産食材への理解を深めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 檜原村の産業廃棄物処理施設の建設計画について伺います。
 この計画に対しては、村の有志などから反対署名が提出されるとともに、村や村民からは、水環境や大気環境への影響を危惧する多くの意見書が提出されたと聞いています。
 先日、地元の方々の話を聞く機会がありましたが、不安の多くは事業者の説明不足と感じました。
 村民など利害関係者からの意見書提出は締め切られ、今後、審査が本格化します。
 都は、住民の疑問や不安を踏まえた上で、内容を専門家に伝え、オープンな場で専門家の意見を聞くべきだと考えますが、見解を伺います。
 内閣府が公表している資料からは、交通死者の中で、歩行者と自転車の割合という数字があります。スウェーデンやフランスは二〇%前後です。対して日本は五〇%が全体の中で歩行者と自転車の死亡者ということになっています。日本の道路は歩行者と自転車にとって非常に危険な状態なのです。
 本日は、ゾーン三十の拡充について伺います。
 自動車事故は三十キロを超えると致死率が急上昇することから、一定区間を三十キロ制限にする交通政策がゾーン三十です。
 ゾーン三十の今後の整備について警視総監に伺います。
 ゾーン三十を整備するに当たり、地域の交通問題は地元自治会などの理解が不可欠です。
 そこで、自治会などに説明するなど、ゾーン三十について周知する取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 インバウンドの入国規制が緩和されるなど、観光需要の回復が期待される中、これらの観光資源を活用し、地域の活性化につなげることは重要です。
 しかし、コロナ禍の影響を受け、お店の維持保全に費用がかかり、閉鎖の危機にある施設もあるそうです。この状況は、これらの事業者共通の課題です。経営状況が厳しい観光関連事業者が多い中、魅力的な観光資源を守るために、都が積極的に支援をすべきです。
 そこで、観光資源となる施設などの保全への支援について、都の見解を伺います。
 コロナの影響、ウクライナ情勢も重なり、都内の経済は打撃を受けています。
 都は、今年度、MICE誘致の予算を拡充し、都内経済の復活を後押しします。今後は、より国際的な競争の激化が予想され、都としては、計画的かつ重層的な取組が求められます。
 今後、MICE誘致を着実に進めていくための取組について伺います。
 コロナの終息を見据えて、フィルムコミッション業界全体が活性化してきました。
 従来のロケ支援はもちろんのこと、例えばハリウッド映画のような海外作品の撮影を東京に誘致するような取組を提案いたします。都の見解を求めます。
 病院に入院している患者の中には、インターネットが社会とつながる唯一の手段という場合もあります。患者と医療事業者の間に手話通訳者が必要な場合も、Wi-Fi環境が整っていれば、外部からの手話通訳が可能です。入院患者のQOLを保つためにも、病室のWi-Fi環境の整備が急がれます。
 全ての都立、公社病院でWi-Fiを使えるように整備を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、十年ぶりに地域防災計画の改定を明らかにしました。この十年間に、建物の耐震化を進め、帰宅難民の問題解決に取り組み、女性の目線や感染症に配慮した避難所の在り方も改善が進んでいます。
 私は、阪神・淡路大震災以降、全国各地の災害現場でボランティアを経験してきて、既に七十回以上、百日以上経験してまいりました。その中で感じたのは、大規模災害のときに全国から集まるボランティアの受皿の必要性です。
 東日本大震災のときは、例えば石巻専修大学がボランティアキャンプとなり、熊本地震のときは崇城大学がボランティアキャンプを設置いたしました。日野市では、実践女子大学にボランティアキャンプの設置の議論が進んでいます。ぜひ、今後の検討を進めていただきたいと思います。
 都は、災害時に東京都社会福祉協議会と協働で東京都災害ボランティアセンターを設置することにしています。
 これまでの各地での災害を経験した中で培った課題や、今回の新たな被害想定を受けて、東京都災害ボランティアセンターについて、その機能をブラッシュアップしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩地域の浸水対策について伺います。
 多摩地域では、市町村が単独で雨水を多摩川などに放流する区域もあり、下水道管理者となる市町村が内水の浸水予想区域図を作成する必要がありますが、現時点では十一市町で完成していないと伺っています。
 市町村が作成する内水の浸水予想区域図作成に対する技術面と財政面の課題があり、都の支援が必要と考えますが、見解を伺います。
 以上お伺いし、私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅原直志議員の一般質問にお答えをいたします。
 孤独、孤立対策についてでございます。
 子供、若者、ひとり親、障害者の方々などの様々な悩みや不安を抱えた方が、望まない孤独や社会的孤立に陥らないよう、誰一人取り残さないセーフティーネットを構築することが重要であります。
 都はこれまで、組織横断の孤独・孤立対策プロジェクトチームを通じて、地域における居場所づくりや包括的な支援体制の構築などの検討を進め、各区市町村と連携し、対策を講じてまいりました。
 困難を抱える方々はコロナ禍で厳しい状況にあって、今般の原油価格の高騰などによる電気料金の上昇や物価高などが生活にさらなる影響を与えています。
 こうした状況を鑑みまして、これまでの取組に加え、新たに、民生児童委員へのデジタル機器の導入等による相談体制の強化を図るほか、食の提供を行うフードパントリーへの支援など、都民生活を守る取組を一層強化することといたしました。
 社会情勢の変化を的確に捉え、国や関係機関との連携も強化しつつ、人々の不安や困難に寄り添った包摂的な社会の実現に向けまして、全庁を挙げて取り組んでまいります。
 次に、自殺対策についてのお尋ねがございました。
 都内の自殺者数、令和二年以降、女性や若年層を中心に増加しておりまして、私は非常に心を痛めているところでございます。
 自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っていることから、都は、福祉、医療、経済、教育等の関係機関や区市町村などから成る自殺総合対策東京会議を設置いたしておりまして、コロナ禍における自殺対策など、近年の社会情勢を踏まえて検討を重ねてまいりました。
 その結果も踏まえまして、令和二年度以降、相談体制の充実や普及啓発の強化等の緊急的な対策を実施してまいりました。
 今般の補正予算案におきましても、自殺リスクの高まりが生じている層などへのゲートキーパーの啓発、周知の強化や、検索連動型広告の充実に係る経費を計上いたしております。
 誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けまして、今後も職場における自殺対策の推進や、自死遺族の方への支援など、区市町村や関係機関と一丸となりまして、都民のかけがえのない命を守る取組を進めてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ゾーン三十の今後の整備についてでありますが、ゾーン三十は、住宅地域や学校周辺などの生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的に、警視庁と道路管理者が連携して行っている交通安全対策でございます。
 これによりまして、通行車両の走行速度が抑制され、歩行者等の安全確保が優先されるなどの効果がございます。
 警視庁におきましては、平成二十三年度から令和三年度までに四百二十二か所の整備を完了しており、令和四年度には新たに約二十か所の整備を計画しております。
 警視庁といたしましては、地域の方々のご意見を伺いながら、道路管理者と連携の上、ゾーン三十の計画的な整備を推進してまいります。
 次に、ゾーン三十の周知に関する取組についてでありますが、警視庁におきましては、ゾーン三十の目的、効果について、道路管理者等と連携して、ホームページへの掲載や各種キャンペーンでのチラシの配布などにより、広報啓発に努めているところであります。
 警視庁といたしましては、ゾーン三十の一層の整備を推進するため、自治会等を含め、住民の方々への周知にさらに努めてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、教員の確保についてでございますが、都教育委員会では、SNS等で幅広く応募を呼びかけるとともに、大学や教員OB等に個別に働きかけ、人材の獲得に取り組んでおります。
 また、安定的な教員確保に向け、校務のDX化のほか、スクールサポートスタッフや部活動指導員、副担任業務を行う外部人材の導入など、児童生徒への指導に注力できる環境を整え、教職の魅力向上に取り組んでおります。
 採用選考では、社会人の年齢要件緩和や合格後に免許取得を目指す制度の導入など、受験者層の拡大を図っております。
 こうした取組を学生や社会人に広くPRするとともに、他県と連携して教員の処遇改善等を国に緊急要望するなど、教員確保に向けた総合的な取組を進めてまいります。
 次に、生理で登校できない子供の学びの保障についてでございますが、生理による体調不良などにより登校できない子供の学びを支えるため、オンラインを活用することは有効でございます。
 これまで都教育委員会は、都内公立学校における個人端末等を活用した自宅学習を可能にすることにより、登校できない子供の学びの保障を図るための環境整備を支援してまいりました。
 今後、オンラインの活用など様々な方策による学びの機会の確保について、校長や区市町村教育委員会と情報共有を行い、各学校における取組の充実を図ってまいります。
 次に、生理により欠席した子供への対応についてでございますが、体調不良の子供の訴えを聞き取り、各学校が個々の子供の状態に応じて適切に対応することが必要でございます。
 これまで都教育委員会は、校長連絡会等で、体調不良などで欠席した子供の単位や進級、卒業の認定を行うに当たっては、校内規程を柔軟に運用することなどについて周知をしてまいりました。
 今後とも、都内公立学校における、体調不良などやむを得ない理由で欠席した子供に対する適切な対応について、都立高校や区市町村教育委員会に周知するなど、積極的に働きかけてまいります。
 次に、中学校における部活動についてでございますが、中学校での休日における部活動の地域への移行に当たっては、部活動を安定的に継続することができる体制を整えていく必要がございます。
 都教育委員会は昨年度、国の実践研究を二地区で実施しており、この研究では、専門的な知識や経験のある指導者から指導を受けることにより技能が向上したなどの成果が見られました。
 一方で、保護者の経済的負担や、学校施設の使用に関する管理の在り方などの課題が明らかになりました。
 今後、これらの成果や課題及び国の動向を踏まえ、関係機関等と連携した会議で、部活動の運営に関する支援について検討してまいります。
 次に、無意識の思い込みを見直すことについてでございますが、都教育委員会は、本年四月に全公立学校の教員に配布した指導資料人権教育プログラムに、学校指定の持ち物等を男女別に色分けすることや、男女別の名簿の使用など、男女で分ける必然性があるかどうか、慣例を適切に見直し、性別による無意識の思い込み等に気づくことの重要性などについて記載いたしました。
 また、五月には、都内公立学校の校長を対象とした研修会などで同様の内容を取り上げ、意識啓発を図りました。
 今後とも、男女平等参画への子供の意識醸成につながるよう、性別による役割分担意識を解消することの大切さを学校に周知してまいります。
 次に、学校教育における学校給食を活用した米粉パンの普及についてでございますが、子供が日本の食文化への理解を深めるため、学校給食に国産食材を用いることは食育の推進に有効でございます。また、米粉を材料とするパンを活用することは、生産地の学習や交流などにもつながり、学びを深めることができます。
 学校給食で米粉パンを提供するためには、必要となる米粉の確保やパン工場の生産体制、供給価格などの課題がございます。
 そのため、今後、農業者の団体にもご協力をいただき、学校給食における米粉パンの活用について検討を進めてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、検索連動型広告を活用した自殺対策についてであります。
 都では、悩みを抱える方を早期に適切な支援につなげるため、インターネットの検索連動型広告を用いて、相談窓口等の情報に誘導する取組を実施しております。
 昨今の社会情勢の変化等により自殺リスクの高まりが懸念されることから、今回の補正予算案に、悩みを抱える方へ効果的に訴求できるキーワードや、相談行動を促すための広告文などに関する調査研究を新たに実施するために必要な経費を計上しております。
 調査研究の結果は、検索連動型広告の運用に生かすとともに、区市町村や民間団体などへも提供し、引き続き、関係機関と連携して自殺対策の強化を図ってまいります。
 次に、男性用トイレの汚物入れについてであります。
 都は、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルで、望ましい整備として、車椅子使用者対応トイレ等に汚物入れを設けることとしております。
 また、本年三月に作成し、区市町村や民間事業者に周知しております施設管理者向けのトイレづくりハンドブックに、男性用トイレの汚物入れのニーズを利用者の声として掲載しております。
 今後、既に設置している施設の事例について調査し、実態を把握した上で、施設管理者に汚物入れの設置を促してまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) インターネット上の誹謗中傷対策についてですが、インターネットやSNSの利用が拡大する中、その匿名性や拡散性などから誹謗中傷による被害が発生しております。
 都では、インターネット上の人権侵害を重要な人権課題と位置づけ、人権プラザや被害者支援都民センターにおける相談窓口におきまして、被害の相談に対応しているところでございます。
 今後は、被害者がこれらの窓口に速やかにアクセスできますよう、SNSのほか、新たに電車内や街頭のデジタルサイネージなども活用して一層の周知に取り組むこととしております。
 また、被害者に身近な相談窓口である市区町村の職員向けに、事例を活用した実践的な研修を行うなど、人材育成を通じて市区町村の相談対応力の向上を図ってまいります。
 こうした取組を通じて、誹謗中傷による被害の拡大防止を図り、被害者支援を推進してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 廃棄物焼却施設の設置に係る審査についてでございますが、産業廃棄物処理施設の設置に当たり、周辺地域の生活環境に配慮し、住民の理解を得ることは重要でございます。
 廃棄物処理法では、焼却施設の設置許可に当たり、生活環境保全上の意見について、地元自治体からの聴取と、利害関係者から意見書を提出できることを定めてございます。
 また、審査に当たっては、生活環境の保全に関する専門家の意見を聞くことが定められてございます。
 都は、今後、法に定める手続にのっとり、許可要件への適否について、公正かつ厳正に審査を進めます。
 その際、専門家からの意見聴取を公開で行い、住民等から提出された意見についても、事業者に分かりやすい回答を促すなど、住民等の疑問や不安に対し真摯な対応を求め、丁寧かつ開かれた形で審査を実施してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光資源である建物の維持等の支援についてでございますが、コロナ禍の影響が続く中、東京の観光資源である伝統的な建物のほか、文化や技能を守り、今後の旅行者の誘致に役立てることは重要でございます。
 このため、都は、伝統的な建物や技能等を有し集客に活用している観光関連の事業者が、それらを維持する取組に対し、支援を開始いたします。
 具体的には、老舗の料理店などが老朽化した建物の補修や料理人の確保を行う際に必要となる経費を最大一千万円まで助成いたします。また、観光事業者が建物の維持に向け必要な資金をクラウドファンディングを使い確保する場合、その手数料に助成を行います。
 これらの支援によりまして、東京の魅力ある観光資源を守り、今後の旅行者誘致に結びつけてまいります。
 次に、東京へのMICE誘致についてでございますが、MICEの誘致に当たり、コロナ禍によりリモート開催が増え、環境問題や地域特性に配慮した取組も必要となるなど、様々な変化に戦略的な対応が不可欠となっております。
 これまで都は、MICE誘致の方針にのっとり、誘致や開催に必要な経費への助成の充実等を進めてまいりました。
 今年度は、リモートと対面を併用した国際会議等の開催への助成を開始いたします。
 また、会議の開催時のCO2排出量を予測するプログラムの開発を行います。
 さらに、島しょエリアでの開催について、交通事情等を踏まえた支援を実施いたします。
 こうしたMICEに係る様々な施策について、より戦略的に展開することができるよう、今後、誘致に向けた新たなプランの策定を検討いたします。
 これらによりまして、MICE誘致の国際競争力を高めてまいります。
 最後に、東京への海外映画等の撮影の誘致についてでございますが、都内に映画やテレビドラマの舞台となるロケ地を増やすことは、そこを訪れる国内外からの旅行者の誘致につながる効果的な取組でございます。
 このため、都は、ロケ撮影の支援窓口である東京ロケーションボックスを運営し、映画関係者と道路交通や施設の管理者との調整を図り、円滑な撮影を後押ししております。
 また、撮影をサポートしたロケ地についてホームページで紹介し、来訪者を増やす工夫を行っているところでございます。
 さらに、今年度から、東京をロケ地とする海外向けの作品の撮影等の費用に対する助成を開始いたします。
 こうした取組によりまして、東京の魅力を国内外に発信し、観光客の誘致に結びつけてまいります。
   〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 患者用Wi-Fiの整備についてでございますが、病棟のWi-Fi環境整備は、動画やSNSの利用など、アメニティーの向上だけでなく、来院が難しい家族や友人など、外部とのコミュニケーションにも活用可能なものでございます。
 本年六月現在、都立、公社十四病院のうち六病院で病棟の全部または一部に患者用Wi-Fiを整備済みとなっており、そのほか二病院でモバイルルーターの貸出しを行っております。
 今後、スマートフォンなどをストレスなく利用できるよう、患者用Wi-Fiが整備されていない病院や、一部にとどまっている病院についても、利用者ニーズや建物の改修状況などを踏まえながら、速やかに整備を進め、患者サービスの向上を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 災害ボランティアの支援についてでございますが、東京都災害ボランティアセンターは、コーディネーターの派遣等により区市町村の災害ボランティアセンター等を支援してきており、直近では、令和元年の台風に伴い被災した地域の支援を行いました。
 これらの経験から、支援団体との迅速な連携や支援活動の拠点確保などが重要と認識しております。
 このため、地域の社会福祉協議会等の支援団体と、より効果的な運営に向けた検討を進めております。今回、新たな被害想定が発表されたことを契機に、ボランティアが被災地において円滑な活動ができるよう、さらに議論を深めてまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 市町村が作成する浸水予想区域図についてでございますが、浸水予想区域図は、住民の防災意識の向上や迅速で安全な避難に必要なハザードマップを作成する上で、その基となる重要なリスク情報を示すものでございます。
 しかし、その作成に必要な経験やノウハウが不足しているなどの状況から、昨年度末時点で、多摩地域の十一の市町で内水氾濫の浸水予想区域図が完成しておりません。
 このため、都はこれまで、市町に対して、雨水の流出解析手法の勉強会を開催するなど、技術支援を行ってまいりました。
 加えまして、今年度には、国が内水浸水へのソフト対策を支援する交付金制度を創設しており、これを活用した区域図の作成を促すなど、必要な支援を行ってまいります。
 このような取組を通じまして、多摩地域における市町村と連携した浸水対策の充実を図ってまいります。

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