令和四年東京都議会会議録第九号

○議長(三宅しげき君) 百一番山口拓君。
   〔百一番山口拓君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百一番(山口拓君) 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 コロナ禍は、もともと苦しい生活をしていた人たちを厳しい状況に追い込み、さらに原油や原材料価格の高騰、円安の進行に伴う物価高騰の影響などによって、都民生活はますます苦しくなっています。
 小池知事も補正予算を提案するなど、都民生活を守る取組を打ち出していますが、その規模は他の項目の予算と比べても小さく、生活危機に瀕する都民に十分に寄り添った内容とはいえません。
 今後も物価高騰が続くといわれる中にあって、より踏み込んだ抜本的な対策を講じていくことが求められているのではないでしょうか。
 例えば、家計の底上げをすべく、賃金引上げの取組、とりわけ都が直接関与できる保育士や介護士など、福祉の現場で働く人たちの処遇改善、建設現場で働く人のための公契約条例の制定などを通じた賃金の引上げは急務です。あわせて、非正規雇用の正規化、同一労働同一賃金の推進、男女の賃金格差の是正にも取り組む必要があります。
 また、分野別では、家賃補助など住宅セーフティーネットの構築、子育て世帯に対しては、学校給食の無償化や給付型奨学金の拡充、ひとり親家庭への支援強化などが必要です。
 私は、これらの取組を着実に進めることで、経済的にも格差や段差のない社会の実現を目指すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、新型コロナ対策について伺います。
 知事は所信表明において、コロナに係る取組と課題をまとめたと述べましたが、私たちが求め続けているコロナ対策の検証とは、到底かけ離れたものといわざるを得ません。検証のないままでのコロナ対策補正予算となっていることは残念でなりません。
 コロナ禍からの脱却に際して、都として明確な軸が必要ですが、率先した動きは見られず、知事は積極的な判断、発信をしていません。難しいことや微妙なことは国に委ねて、様子見を決め込んでいるようにも見えています。
 また、対策本部会議のコロナ対策のまとめにおいて、昼夜を問わずコロナに向き合い続け、膨大な業務をこなされた職員の皆様の労を多としつつも、第五波における医療崩壊などの深刻な事態に対して、深掘りし、未来に伝えるべき課題や教訓を率直に書かれなかったことは残念です。
 国は、コロナ対応を検証した後、感染症対策の司令塔となる庁を創設し、対策の強化を図ると報じられています。都においても、第六波を脱しつつある今こそ、私たちが再三求めてきた検証を行った上で、新型感染症対策の体制を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、経済支援について伺います。
 都内中小企業は、混迷さを増す経済、いつ切れるかどうか分からない雇用調整助成金、コロナ禍で抱えた多額の借金返済など、先行きに対する大きな不安を抱えています。
 都の補正予算では、中小企業支援として、私たちが求めていた資金調達策や輸出支援などが盛り込まれました。計上された事業予算の規模感に不満は残るものの、これらの予算を中小企業が最大限に活用していくよう、取り組まれることが重要です。
 中小企業がコロナ禍で抱えた負債を解消し、明るい未来を迎えられるよう、さらなる成長に直結する売上げ増加、付加価値向上等に向けた支援を強化していくべきです。
 経済活動を再び活性化させる中小企業支援策がさらに必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、観光業、飲食業支援について伺います。
 三年ぶりに行動制限のなかった大型連休では、都内の人出が大幅に増え、観光、旅行への意欲や需要は既に大きく高まっています。
 しかしながら、せっかく観光客や旅行客が来ても、受入れ側においては、コロナ禍による業績の悪化やそれに伴って人材が流出してしまったことから、誘致とともに受入れの体制も整えなければなりません。
 東京都は、補正予算で観光、飲食事業者への支援を行うこととしていますが、こうした業界への経営支援や人材不足への対策が不可欠となっています。また、業界において関わる人たちがキャリア構築を望め、やりがいを高める対策も必要です。
 観光業、飲食業における振興策を推進させるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、東京の農業支援について伺います。
 国内では、肥料の流通価格が最高値となり、燃料費やビニールといった資材費が上昇し、都内農業のコスト負担は一段と重くなっています。
 都においては、農業などへの支援を補正予算で行いますが、都内農業の経営、収益向上に資する支援に取り組むべきです。都内の消費者などに、島しょ部を含めた都内各地で生産された農産物を供給する取組です。
 東京の農業を持続させるために支援を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、賃金の引上げです。
 大幅な物価上昇による実質賃金の低下は、個人消費を冷え込ませ、企業収益にも悪影響を及ぼします。
 こうした状況の中、国は地域の中小企業も含めた賃上げ推進を打ち出しており、都としても企業の賃上げを後押ししていくべきです。とりわけ、食料品など生活必需品の価格急騰によって、所得の低い非正規労働者などの暮らしはますます厳しくなっています。
 そこで私は、都としても不本意非正規の正規雇用化をはじめ、男女間賃金格差の是正など、あらゆる取組を通じて、企業における賃上げを後押ししていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、雇用、就労対策の充実について伺います。
 私たちは五月九日の要望で、グリーン、テクノロジーなどの成長分野や介護など、人手不足だが重要な分野に働き手を移動させる取組を増やすことを求めてきました。
 しかし、補正予算では十分なものとはなっていません。
 国においても、約百万人を対象に職業訓練などを行う施策パッケージを示していますが、その規模では不十分だとの声もあります。
 成長分野や人手不足の分野に働き手を移動させるためにも、職業訓練の拡充や就職支援の推進など、雇用、就労対策を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、労働相談体制の強化について伺います。
 国分寺と八王子の労働相談情報センターが立川の新たな拠点に統合され、二つの労政会館が廃止となります。
 雇用就労状況は、非正規労働者が四割近くとなり、コロナ禍が長期化する中、五万件を超える労働相談を受けていますが、今後多摩地域では、一事務所での対応となってしまいます。多摩中央南部の相談拠点がなくなる一方で、対面での相談やあっせんで初めて分かることがあるのです。
 そこで私は、労働相談体制の機能を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、島しょ振興について伺います。
 東京都議会立憲民主党として八丈島を訪れ、農業、水産業、障害者福祉、看護人材、特別支援学校など、様々な課題について視察してまいりました。これら課題への対応を進め、さらには若い世代が新たに取り組んでいるワーケーションや魅力発信など、島の未来を輝かせる種を大きく育てていかなければなりません。
 東京の島しょ部では、人口減少により五町村が過疎地域に指定されており、コロナ禍でさらに厳しい状況になっています。人口が減ることで、教育、医療、防災など、基礎的な生活条件の確保に支障を来しかねず、担い手不足などから、地域の生産機能低下も危惧されています。
 島の主体性というだけではなく、コロナ禍から立ち直ろうとしている島しょ地域の活性化に向けて、都が伴走支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 この夏に懸念されている電力需給の逼迫に対して、国政においては、原子力発電を最大限活用しようとする動きが見られます。
 しかし、最大限活用すべきなのは、再生可能エネルギーなのではないでしょうか。
 ここ数年、大手電力会社が再生可能エネルギーの発電事業者に対して、太陽光発電の出力抑制を要請するような事態が頻発していますが、こうした事態を早急に改善することが必要です。
 東京電力や国への積極的な働きかけをはじめ、再生可能エネルギーを最大限活用するための取組について、知事の見解を伺います。
 次に、省エネルギー対策について伺います。
 現在、直面しつつある電力不足、燃料費高騰への対応はもちろんですが、そもそも我が国は資源を輸入に頼っており、技術革新と創意工夫による省エネルギーを徹底するため、もっと注力して取り組む必要があります。
 そのためには、熱効率や熱利用の高度化、そして高断熱等の住宅普及に係る課題や東京に多い賃貸住宅でも、省エネ性能がよい住宅を増やす方策など、幅広い取組が必要です。
 都として、徹底した省エネルギー推進により一層取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新築住宅への太陽光パネル設置義務化について伺います。
 省エネへの徹底した取組と同時に、全速力で進めなければならないのが再生可能エネルギーへのシフトです。
 そんな中、知事が提案する太陽光パネルの義務化に、都民の間で反発の声が高まっています。この原因は、建物が密集する東京においては、比較的不利となる太陽光パネルをなぜ義務化するのかという疑問もさることながら、突然義務化が課されるという印象を都民が持ってしまったことにあると考えます。
 私たちは、都民との草の根の対話、都民目線で政策をつくり上げる気候変動都民会議の設置や太陽光発電や蓄電池、熱利用や高断熱化などを組み合わせたZEH一〇〇%を目指した支援策が必要と考えています。
 都民の理解を得ることなく、太陽光パネルなどの設置義務化を導入すれば、省エネ、再エネの推進に対して逆効果となりかねないことを危惧するものです。
 知事自身が改めて真摯に義務化の意図を説明し、都民の共感と納得が得られる形で進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、神宮外苑のまちづくり、樹木の保全について伺います。
 東京の文化と歴史の面から、神宮内外苑は大変重要な地区であり、当時の都は、風致地区に指定することによって、その緑を守る姿勢を示したといわれています。
 また、都は緑の創出、保全にも取り組んでいます。五月二十六日、私たちが都に樹木の伐採を最大限行わないよう、事業者に求める要請を行ったその当日に、都が都民参加などを求めた申入れを実施しました。
 神宮外苑の再開発においては、樹木伐採を減らすことを求め、改めて緑を守る姿勢を示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、子供施策について伺います。
 子供政策連携室がヤングケアラーなどの課題を掘り下げていくことは否定しませんが、子育てを社会全体で担っていくという価値観の転換に向けた取組こそが必要です。
 例えば、私たちは、学校給食の無償化や給付型奨学金の拡充などを訴えていますが、就学援助制度など、親の所得で制度の対象とする、しないを分けるのではなく、親の所得に関係なく、全ての子供を社会全体で育てるとの普遍主義的な取組こそが必要であると考えます。
 子育てを社会全体で担っていくという価値観の転換に向けて率先した行動を求めますが、知事の見解を伺います。
 東京都議会立憲民主党は、ヤングケアラー対策の条例化、日本語を母語としない子供への支援など、子供施策の推進を求めてきました。
 子供政策連携室においては、これまで各局の事務分担の隙間になっていた部分をカバーするような都の施策構築に役割を果たすことを期待しています。
 そこで私は、スピード感を持って施策、事業実施に結びつけるよう求めるものですが、見解を伺います。
 子供施策を進める上で、教育の役割は極めて重要です。
 このような中、さきの本会議における浜教育長の新任挨拶の中で、子供を人材と捉える発言もありました。東京都こども基本条例が制定されて以降、初めての教育長の就任挨拶でもありましたので、もっと子供目線、子供の最善の利益を踏まえた発言があってもよかったのではないでしょうか。
 そこで、東京都こども基本条例の理念を踏まえ、どのような教育施策に取り組んでいかれるのか、改めて教育長の見解を伺います。
 ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手という二つの役割を一人で担うため、負担も大きくなります。加えて、コロナ禍やウクライナ危機により、雇用が不安定となったひとり親もいます。
 こうした状況を踏まえれば、低所得が多いひとり親への支援拡充は欠かせません。ひとり親への支援をさらに強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、補正予算では、養育費確保支援事業として、区市負担分を都が全面負担する予算も計上されていますが、当該事業を実施しているのは令和三年度現在、十五区市にとどまっています。
 私は、都内全ての自治体で養育費確保支援事業が実施されるよう、都の継続的な支援を求めるものですが、補正予算の内容も含め、見解を伺います。
 保育所について伺います。
 小池知事就任以降、保育園待機児童数は大きく減少しています。今後も引き続き、隠れ待機児なども含め、その解消に取り組んでいただきたいと思いますが、一方で、地域によっては空き定員が生じている保育所も見られます。今後、少子化の進行もあり、より厳しい経営を強いられる保育所も増えるのではないかと懸念します。
 ゼロ歳児の定員に余裕が出てくる一方、一歳児の待機児が解消されない中、都は今年度から、ゼロ歳児から一歳児への定員変更を行う保育所への補助を始めていますが、今後もこうした取組のさらなる拡大が求められます。
 私は、待機児童や空き定員など地域の実態を踏まえながら、保育所への支援策をさらに強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、男女平等参画社会の推進について伺います。
 今定例会には、審議会等の男女比をいずれの性も四〇%以上とする男女平等参画基本条例の改正案が提案されています。
 一方で、この間の現場の声を踏まえると、特定の委員に依頼が集中することや、同じような分野から、同じような意見を持つ人が複数選任されることも懸念されなくはありません。より幅広い分野から積極的な登用することで、多様な意見が反映されるよう取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、審議会の女性四〇%の早期達成、女性ゼロの審議会ゼロの徹底をすべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都は、都庁職員のうち、行政系管理職に占める女性割合を二〇二五年までに二五%にする目標を掲げていますが、一方で、都の政策連携団体は、女性管理職についての目標もなく、固有職員における女性管理職がゼロの団体も少なくありません。
 そこで、女性管理職の登用をさらに進めるなど、都の政策連携団体における男女平等参画の推進を求めるものですが、現状を含め、見解を伺います。
 男女平等参画社会の推進には、男性の育児休業の取得促進も不可欠です。
 さきの育児・介護休業法の改正によって、男性育休の分割取得が可能となったことなどから、補正予算では、男性育休の分割取得を支援する育休取得によるパワーアップ応援事業二億円が計上されています。
 私は、制度や事業の周知をはじめ、支援拡充などを通じて、男性の育休取得をさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、パートナーシップ宣誓制度について伺います。
 今定例会には、東京都版パートナーシップ制度を導入する条例改正が提案されています。
 都に先行して導入した自治体で制度を利用した方からは、二人の関係は、社会に隠さなければという潜在意識があったが、公的に関係性を認知してもらい、宣誓が心の支えになった、病院等で家族と同様に扱ってもらえるという期待、安心感があるといった声があります。制度を導入するからには、こうした期待に応える取組を一つ一つ進めていかなければなりません。
 性的マイノリティーが日常生活や社会生活において差別的な取扱いを受けることがないようにするため、条例改正を機に、区市町村との連携をより一層深めるとともに、都としての新たな実施計画が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、ウクライナ支援と反戦への取組について伺います。
 ウクライナからの避難民を受け入れることは当然ですが、保護を求めて日本にやってくる外国人は、ミャンマーやアフガニスタンなど、ウクライナからだけではありません。国際都市を標榜する東京都として、これらを分け隔てなく受け入れるという姿勢を内外に示していく必要があるのではないでしょうか。
 ウクライナからの避難民支援をきっかけに、ミャンマーやアフガニスタンをはじめ、保護を求める人たちが希望を抱けるよう、都の率先した取組を求めるものですが、知事の見解を伺います。
 ロシアによるウクライナ侵攻、そしてまた、アジアにおいても緊張感が高まっている現状を受けて、都民の平和への思いもますます高まっています。
 先日、これまで東京都平和祈念館について言及をしてこなかった東京空襲犠牲者遺族会の方々から話を伺う機会がありました。東京大空襲をはじめとする戦争の実相とその歴史を、世代を超えて語り継いでいくことは、再び戦争の惨禍を繰り返さないためにも不可欠です。
 改めて、東京都として平和祈念館を整備していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、もともと公開を前提にして録画された東京空襲体験者の証言ビデオについては、早急にデジタル化し、全面的公開、活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○知事(小池百合子君) 山口拓議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、段差のない社会の実現についてのお尋ねがございました。
 コロナ禍で、人々の暮らしや働き方が影響を受ける中、都はこれまでも「未来の東京」戦略におきまして、仕事や住居をなくした方などの自立支援、また就労に困難を抱える若者へのきめ細かなサポートなど、誰一人取り残さないセーフティーネットの構築に取り組んでまいりました。
 こうした中、今般の物価の高騰などが都民生活にさらなる影響を及ぼしており、民生児童委員による相談体制の充実や、ひとり親世帯の就業、養育費確保の支援など取組を一層強化することといたしました。
 今後とも、社会情勢の変化に的確に対応しながら、誰もが自分らしく生き生きと活躍できる段差のない社会を実現させてまいります。
 次に、今後のコロナ対策についてでございます。
 二年半にわたるコロナとの闘いの中で、都は対策本部を設置して、総力を挙げて感染拡大防止対策や医療提供体制の充実に取り組み、そこで得られた知見や経験を次の対策に生かすことで、幾度かの感染の波を乗り越えてまいりました。
 また、この間の都の体制につきましては、担当局長の設置や関連部門の強化、応援体制の構築など臨機応変に対応してまいりました。
 皆様のご尽力で、病床使用率等も下降傾向にございますが、コロナとの闘いは終わったわけでございません。
 都は、今般、今なお続くコロナとの闘いを振り返り、改めて成果や課題などを取りまとめたところでございます。これまで培った知見と経験を武器に、今後とも万全な体制の下、柔軟かつ機敏な対策で立ち向かってまいります。
 次に、中小企業への支援についてでございます。
 コロナ禍にウクライナ情勢や円安などが加わりまして、中小企業の経営に大きな影響が生じております。こうした状況に適切に対応する施策を行うことは重要です。
 中小企業の経営環境を取り巻く様々な状況を踏まえまして、その資金繰りを支える制度融資の見直しを図り、新たなメニューを創設いたします。
 また、原油価格高騰の影響が長引く中、エネルギーコストを減らす工夫などを支援してまいります。
 さらに、円安等によります生産コストの上昇を踏まえまして、適切な下請取引を支援するほか、輸出を効果的に進める取組への後押しを行ってまいります。
 こうした支援によりまして、東京の経済を支える中小企業の経営をサポートしてまいります。
 次に、企業の賃上げの支援についてでございます。
 賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けまして、中小企業が非正規雇用の方の正社員化に取り組む場合や公正な待遇確保に向けた環境整備に支援を行っております。
 これらの取組によりまして、働く方の労働条件の向上を進めてまいります。
 次に、島しょ地域の振興についてでございます。
 東京の島々は、豊かな自然環境や特色ある特産品、独自の伝統文化などを有しております。私自身、全て十一の島々を訪問いたしまして、その多様な魅力を実感いたしております。
 しかしながら、観光客の減少や少子高齢化による地域活力の低下など、様々な課題を抱えております。こうした課題の克服に向けまして、各島にある宝物のさらなる磨き上げや移住、定住の促進など様々な取組を展開いたしております。
 今後とも、各町村長をはじめとする多くの皆様と意見交換を重ねるなど、緊密に連携をいたしまして、島しょ地域の持続的な発展を図ってまいります。
 再生可能エネルギーの最大限の活用についてのお尋ねがございました。
 再エネの導入拡大を図るためには、太陽光発電などの再エネ電力が制限されることなく送配電網に供給され、利用されることが重要です。
 そのため、都は、国や東京電力に対しまして、電力系統の増強や最大限活用による電力融通の拡大等につきまして、緊急要望等を実施いたしております。
 また、電力の送配電網への負荷軽減にも資する、自家消費型再エネ設備や蓄電池の導入に対する支援を拡充するとともに、環境価値の都内への還元を条件に、都外への再エネ発電設備設置に対する新たな支援を実施いたします。
 こうした取組によりまして、再エネ電力の地産地消を進めながら、今後とも再エネ導入拡大を図ってまいります。
 新築住宅等への太陽光発電の設置義務化についてのお尋ねであります。
 都内CO2排出量の約七割が建物由来であり、今後の東京の姿を規定する新築建物のゼロエミッション化は急務でございます。
 世界では今、ウクライナ情勢による影響等を踏まえまして、カリフォルニア州やニューヨーク市等に続いて、先月、EUにおいても、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化を表明したところです。
 東京におきましても、エネルギーの大消費地の責務として、危機感を持って行動を加速していかなければなりません。
 現在都は、設置義務化に向けて、個人ではなく事業者を対象とした制度を検討しておりまして、審議会からは、この制度を高く評価するとともに、都民に分かりやすく説明すべきとの意見もいただいております。
 このため、都は、環境局ホームページに専用サイトを開設いたしまして、SNSを活用するなど、制度の意図や仕組みにつきまして積極的な情報提供を開始いたしました。
 今後も、都民、事業者の意見等に真摯に耳を傾け、分かりやすい広報活動を丁寧に展開し、理解と共感を得てまいります。
 神宮外苑のまちづくりについてでございます。
 神宮外苑は、かの渋沢栄一翁らの尽力により、国民の献金、献木によって、開かれた庭として造営されたものでございます。
 今回のまちづくりにおきましても、多くの都民の共感と参画を得ながら進めていくことが重要であり、事業者に対し、その成り立ちを踏まえ、幅広い都民参画に取り組むよう要請をいたしました。
 既存の樹木につきましては、一本一本大切に扱い、様々な工夫により極力保存、または移植するとともに、象徴である四列のイチョウ並木の保全には万全を期すなど神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めるよう求めたところであります。
 創建時に託された人々の思いを未来へと継承し、多くの都民がスポーツに親しみ、にぎわいあふれる緑豊かなまちへと発展させてまいります。
 次に、子供政策についてです。
 未来を担うかけがえのない存在である子供を社会全体で守り育て、笑顔であふれる東京を実現したい。こうした決意の下、子供政策連携室を核に、政策分野の垣根を超えた取組や先進的な取組に挑戦するとともに、民間等を巻き込みながら、こどもスマイルムーブメントを展開してまいります。
 こうした取組を実践することによりまして、チルドレンファーストの社会をつくり上げてまいります。
 日本に避難した方々への対応についてでございます。
 ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為であるとして、国は、ウクライナの人々との連帯をさらに示すべく、避難された方々の我が国への受入れを表明いたしました。これを受け、都は速やかに都営住宅等での受入れを開始するなど、独自の支援策を実施しております。
 日本に避難してきた方々につきましては、今後もこうした国の判断を踏まえ、その都度、必要に応じた対応を検討してまいります。
 最後に、東京都平和祈念館についてでございますが、平和祈念館の建設につきましては、平成十一年の予算審議において、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯がございまして、その重みを十分認識しております。
 したがって、都議会での一定の審議と合意が必要であると、このように考えております。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) こども基本条例の理念を踏まえた教育についてでございますが、子供は社会の宝であり、子供の最善の利益を確保し、健やかな成長を促していくために、教育の果たす役割は大きいと認識しております。
 これからの時代において、子供たちには、様々な困難を乗り越え人生を切り開いていくことや、多様な人々が共に生きる社会の実現に寄与することが求められております。
 誰一人取り残さず、全ての子供が将来への希望を持って自ら伸び、育つ教育の実現に向け、関係各局と連携し、取り組んでまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光業等に対する支援についてでございますが、コロナ禍の影響により、厳しい経営状況にある観光業と飲食業への支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、観光業等の事業者が感染防止対策などを行う際に、専門家が助言する支援を拡充します。また、人材不足への対応を進める企業などの求人を開拓し、求職者とのマッチングにつなげる面接会を開催いたします。
 これらによりまして、観光業と飲食業の経営の下支えを行ってまいります。
 次に、東京の農業への支援についてですが、東京の農業の持続的な発展に向け、農業者の経営力の強化や都内での消費の拡大を図ることは必要でございます。
 これまで都は、農産物の加工品の開発に向け、専門家による助言などを行ってきたところでございます。今後は、収穫した野菜の出荷作業を効率化する設備の導入などに対し、支援を行います。
 また、都内で取れた野菜を学校給食に提供するなど、地産地消の取組を進めてまいりました。引き続き都内の飲食店など新たな販売先とのマッチングを行います。
 これらによりまして、東京の農業振興を進めてまいります。
 次に、成長産業分野等への就職支援についてでございますが、コロナ禍などによりまして離職を余儀なくされた方々が、求人の多い業種に就職できるよう支援することは重要でございます。
 このため、都は、成長産業分野等への就職を後押しするため、eラーニングによる資格取得訓練と試験の直前の集中的な指導を行います。
 また、事業拡大を目指す企業などの求人を開拓し、求職者とのマッチングにつなげる面接会を開催いたします。
 こうした取組によりまして、離職者の就職を後押ししてまいります。
 次に、労働相談の体制についてでございますが、都は、多摩の労働相談情報センターの機能を立川に移転し、労働者に対するきめ細かなサポートを展開いたします。
 具体的には、土曜日も相談業務を行うほか、リモートで市役所等からも同センターを利用できる仕組みといたします。
 これらによりまして、多摩地域における雇用就労支援を進めてまいります。
 最後に、男性の育児休業の取得促進についてでございますが、男性の育児休業の取得に向け、その機運を高め、職場環境の整備を図ることが重要でございます。
 都は、男性育休の取得への理解を広げるため、優れた成果を上げた企業の事例を幅広く発信するキャンペーンを行います。
 また、専門家が会社に助言するほか、母親に続き父親が育休を取得する場合に新たな助成を行います。
 これらによりまして、男性の育児休業の取得を後押ししてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 住宅の徹底した省エネルギーの推進についてでございますが、健康的で快適な居住空間を確保しつつ、住宅のエネルギー消費を削減するためには、新築及び既存住宅ともに、高断熱化と設備の高効率化が不可欠でございます。
 このため、都は、高断熱など都独自の基準を満たす東京ゼロエミ住宅への支援や、中小新築建物を対象とした新たな制度の検討を行ってございます。
 さらに、既に存在する約七百万戸の都内住宅ストックの断熱化も加速するため、都は今年度、窓等の改修の支援規模を大幅に拡大いたしました。
 これらの取組によりまして、住宅の省エネ化を推進し、二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 子供政策の推進についてでございますが、子供が抱える困難は、家庭環境などの様々な要因が重なり合い、多様な形で顕在化しております。
 このため、子供、子育てをめぐる組織横断的な今日的課題に対し、六つのテーマを設定し、関係各局から成る推進チームを立ち上げました。
 今後、チームごとに機動性を持ちながら、既存の枠組みを超えて先進的な取組の検討を進めるとともに、国内外の先進事例調査や有識者へのヒアリングなども踏まえ、子供が直面する課題の解決に向けた施策の具体化を図ってまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ひとり親家庭への支援についてです。
 都は、ひとり親家庭支援センターにおいて、生活相談や就業相談、職業紹介を行うほか、養育費相談や離婚前後の法律相談なども実施しております。
 今年度は、就職や転職を目指すひとり親家庭の方を対象に、それぞれの希望や適性に応じたスキルアップ訓練から就労後のアフターフォローまで、伴走型でサポートする事業を実施しておりまして、この取組を拡充するための経費を今回の補正予算案に計上しております。
 次に、養育費確保支援事業についてです。
 都は、ひとり親に対し、養育費の立替え保証をはじめ、養育費の取決めを行う際の公正証書の作成や、裁判によらない紛争解決手続であるADRの利用等に要する費用を助成する区市を支援しております。
 今回の補正予算案では、より多くの区市が本事業に取り組むことで、ひとり親家庭が養育費を継続的に受け取り、生活の安定を図ることができるよう、区市への支援を充実しております。
 最後に、保育所への支援についてであります。
 都は、待機児童解消に向けて、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱に保育サービスを拡充してきております。
 また、保育所等が空き定員を活用して、在宅子育て家庭の子供を受け入れる取組も支援しているところでございます。
 さらに、今年度からは、ゼロ歳児の空き定員を一歳児の受入れに活用できるよう、定員変更を行う保育所を支援することとしており、今後とも保育の実施主体である区市町村と連携しながら、保育所の取組を支援してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、審議会等における女性の任用についてですが、政策決定過程に多様な価値観、発想を反映することは重要でございます。各審議会等の委員構成を、男女いずれの性も四〇%以上とするクオータ制を導入するため、男女平等参画基本条例の改正を本定例会に提案しており、令和四年度末までに目標を達成することを目指します。
 また、改正案では、審議会等を一つの性の委員のみで組織しないことを義務づけております。
 次に、証言映像の公開、活用についてですが、平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないためにも、資料のデジタル化に着手し、より広く活用していくことといたしました。
 証言映像の公開に向けましては、個人情報の取扱いや当事者の意向などを十分踏まえて、慎重に検討を進めてまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、政策連携団体の女性管理職割合についてですが、都政の様々な分野において事業活動を展開しております政策連携団体においても、多様な価値観や発想を取り入れるため、女性の力を最大限に生かしていくことが重要でございます。
 これまで各団体において、固有職員の女性管理職への登用を進めております。昨年八月現在、その割合は、団体全体では十六・一%でございまして、民間企業の平均を上回っているところでございます。
 都といたしましては、引き続き、業務内容や職員構成、人事制度など団体ごとの状況を踏まえまして、女性の固有職員が組織の中心的な役割を担える職場環境の整備が進みますよう、適切に指導監督してまいります。
 次に、性的マイノリティーに関する施策についてですが、都では、人権尊重条例に基づき、令和元年に性自認及び性的指向に関する基本計画を策定し、不当な差別の解消や啓発等の推進に取り組んでいるところでございます。
 本計画は、計画期間の終了に伴い今後改定する予定でございます。パートナーシップ宣誓制度の導入を含め、性的マイノリティーを取り巻く状況の変化などを踏まえまして改定いたします。
 また、都と全区市町村とで構成されます施策推進連絡会の場なども活用いたしまして、連携強化を図って、多様な性に関する都民の理解促進を図ってまいります。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時二十三分散会

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