令和四年東京都議会会議録第九号

○副議長(本橋ひろたか君) 八十五番谷村孝彦君。
   〔八十五番谷村孝彦君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十五番(谷村孝彦君) 都議会公明党を代表し、質問します。
 二十一世紀の第三の十年に入り、人類は新型コロナによるパンデミックに遭遇し、五億人を超える人々が感染、六百万人を超える命が奪われました。コロナとの闘いが三年目となった二月二十四日、ロシアによるウクライナへの軍事侵略が勃発。戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイドまで指摘されております。
 国際社会の秩序は、今、その根幹が大きく揺るがされ、この影響はアフリカ諸国の深刻な食料危機にまで及んでおります。核兵器と世界屈指の軍隊を持つ国家による武力行使を前に、言論の力、対話の力、文化の力が、あたかも無力であるかのように感じられる報道が続いております。
 しかし、ソ連元大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏は、すぐさま声明を出しました。世界には人間の命より大切なものはなく、あろうはずもない、対話こそが解決のための唯一の手段であると。軍事力のみを信じ仰ぐロシアによる軍事侵略は、一日も早く終わらせなければなりません。
 公明党は、生命の尊厳、平和主義、人道主義という明確な理念を掲げてこの歴史的暴挙に断固抗議し、即時停戦を求めるとともに、世界平和の構築に向けて全力で取り組んでいくことをお誓いし、質問に入ります。
 まず、補正予算案について質問します。
 ウクライナ危機による原油や原材料の高騰に加え、円安の進行、電力需給逼迫の懸念などが広がる中で、都議会公明党は五月、三回にわたり知事に対して、補正予算に盛り込むべき対策について緊急要望をしてまいりました。
 一方、国も総合緊急対策を策定し、公明党が強く推進した地域の実情に応じて活用できる地方創生臨時交付金が盛り込まれ、東京都にも約二百五十六億円が交付されております。
 今回の補正予算には、交付金を活用し、中小企業制度融資の拡充、生活応援商品券の実施、都立学校の給食支援、短期集中型資格取得支援、ウクライナ避難民への就労支援など、多くの事業が盛り込まれております。
 このうち生活応援商品券は、交付金が物価高や生活困窮対策を目的としたものであることや、デジタル活用に課題のある高齢者や低所得者の方々を考慮すれば、紙による発行に、より重きを置くべきであります。
 都は、プレミアム率や事業主体の区市町村への補助率について、紙とデジタルの実施に格差が生じないよう取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 コロナ禍に加え、ウクライナ危機や円安の影響により、都内事業者は厳しい状況に陥っております。
 都議会公明党は、代表質問や知事への緊急要望で、中小企業への支援を強く求め、特に、ウクライナ危機を踏まえた新たな制度融資の創設を求めるとともに、信用保証料の負担軽減だけでなく、利子補給も強く求めてまいりました。補正予算案による中小企業支援について、知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、コロナ禍で長期にわたり打撃を受け続けてきた観光関連事業者への支援強化も訴えてまいりました。特に団体旅行については、経済波及効果が大きいことから、感染防止に留意しつつ積極的に後押しすべきでありますが、補正予算案での取組について見解を求めます。
 また、六月から、もっとTokyoを試行的に実施する方針を示しておりますが、観光関連業界の期待は大きく、都外旅行も対象に加えて、早期に本格実施する必要があります。
 国においても、GO TOトラベルの実施が検討されており、昨年度末に国から都に配分された地方版GO TOの財源の活用も早期に明示していくべきであります。あわせて、福島県への被災地応援ツアーについても早期に再開すべきと考えます。観光需要創出に向けた知事の見解を求めます。
 次に、デジタル人材の育成についてであります。
 さきの予算特別委員会における都議会公明党の質問を受け、都は、非正規で働く方々や、出産や育児のために退職し現在働いていない女性など、多くの方々が職業訓練を受講できる取組を進めております。
 さらに、今回の補正予算案では、短期間で集中的にデジタル分野の資格を取得し、早期の再就職につなげる取組が盛り込まれました。インターネットによるeラーニングは、パソコンと通信環境があれば、どこでも受講可能であります。
 そこで、デジタルスキルを習得し、キャリアアップを図れるよう、支援を充実強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、多摩地域の雇用就業拠点について質問します。
 都は本年十月一日に、八王子市と国分寺市にある労政会館を廃止し、現在有している東京しごとセンター多摩と労働情報センターの機能を都と立川市の合同庁舎に移転します。
 これらの統合が単なる移転統合では、八王子市と国分寺市にある労政会館を廃止する意味がありません。移転統合により、従来の機能をバージョンアップさせていくことが何よりも重要と考えます。移転統合による多摩地域の雇用就業拠点の今後の機能について、都の見解を求めます。
 次に、ウクライナ避難民支援についてであります。
 都議会公明党の要望により、都は三月から避難民に都営住宅を提供し、様々な生活支援をしてきたことを高く評価します。さらに先日、都議会公明党は緊急要望を行い、その後、Wi-Fiの無償貸与がスタートし、補正予算案に、日常生活に不可欠な光熱水費等の支援経費が盛り込まれました。
 言語や風習が異なる環境の下、都営住宅で生活を始められた避難民の方々は様々な困難に直面しており、よりきめ細やかな支援が必要となっております。特に、避難民の方々には、東京での不慣れな団地生活の中で、住まい方などもよく分からず、近隣とのコミュニケーションなどに不安を感じている方もおられます。また、ウクライナは地震のリスクが低く、災害への知識も必要であります。
 都は、避難民の方同士や都営住宅及び近隣の住民の方との交流の場を設けるなど、工夫を図るとともに、都営住宅での住まい方について母国語による分かりやすい案内を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、子供政策について質問します。
 東京都こども基本条例が、昨年、都議会公明党の主導で全会派一致により可決、成立し、本年四月には子供政策連携室が新たに設置されました。
 一方、国会では、こども基本法案やこども家庭庁設置法案に関する審議が、まさに今進められているところであります。
 いわば、都の先駆的な取組が国を動かしているといっても過言ではありません。都は、子供政策連携室を核に、子供政策を着実に進めるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 四月末に設置された、知事を本部長とする子供政策総合推進本部では、ヤングケアラーや乳幼児の集団生活など、六つの推進チームを立ち上げ、都庁一丸で取り組んでいく方針が示されました。
 コロナ禍では、子供や子育て家庭の孤立が改めて課題になっております。
 例えば、支援が必要なヤングケアラーも孤立しているがゆえに周囲が気づかず、本人の声が届いていない状況にあります。孤立を防ぐには、子供や子育て世代と継続的につながる仕組みが必要であり、物理的な居場所に加えて、日常生活の中での信頼できる第三者の存在が重要であります。
 推進チームにおいても、人と人とのつながりという視点を取り入れながら、施策の具体化を図るべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、児童生徒を含むウクライナからの避難民の方も言葉の壁が問題となっております。
 都議会公明党はかねてより、日本語を母語としない児童生徒に対する日本語教育の支援を推進してまいりました。
 そこで、推進チームにおいて、日本語教育の充実、就学の促進、キャリア教育などの課題に対し、支援策を検討すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、新型コロナのワクチン接種についてであります。
 新規感染者数は、現在減少傾向にあり、このまま感染を抑え込んでいくためには、五月から始まった四回目のワクチン接種の着実な推進が必要であります。
 一方、これまでの接種の中で、各自治体においてワクチンが余っている状況が指摘されており、大量のワクチンの期限切れが懸念されております。
 ワクチン不足により、不安が広がった時期もあったことを考えれば、貴重なワクチンは無駄なく活用する必要があります。
 都は、都内の状況を正確に把握するとともに、効果的な活用を進めていくべきであります。見解を求めます。
 四回目のワクチン接種について、国は、六十歳以上の方や基礎疾患があり重症化リスクが高いと医師が判断した人を対象に接種するとしております。しかし、これでは、接種対象者かどうかの判断に曖昧さも残ります。また、早期に接種が必要な医療従事者や介護職など、エッセンシャルワーカーの方々への接種が明確になっておりません。
 都は、接種対象者をより明確にし、また、都民生活の維持に重要な役割を果たしている方々への接種が早期に進むよう取り組むべきであります。見解を求めます。
 次いで、新型コロナ後遺症についてであります。
 都は、都議会公明党の提案を踏まえ、昨年春から後遺症の相談窓口を都立、公社病院に開設し、四月三十日までに約七千三百件の相談が寄せられました。さらに、相談窓口で蓄積したデータを東京iCDCへ提供して分析を行い、後遺症の実態把握やリーフレットの作成を進めてきました。
 一方、この症例結果から新たな問題点も浮き彫りになっております。最も多い後遺症が強い倦怠感であり、加えて、全体の六五%が息切れや頭痛、せき、嗅覚、味覚異常など、複数の症状を訴えており、それが長期化しております。また、労災保険や傷病手当の対象となり得る症状にもかかわらず、医師から、申請に必要な診断書を書けない、労災にならないとされるケースがあるとの指摘もあります。
 したがって、まず都は、東京iCDCの分析結果から、後遺症の症状と特徴、患者への公的支援などの情報を医療機関、医師、都民へ周知すべきであります。
 さらに、厚生労働省が四月に示した、診療の手引き、罹患後症状のマネジメントの活用や医師の現場経験などを参考に、医師、薬剤師等に対して治療支援や学習研修会を開催し、理解を深めるべきであります。
 その上で、都内各地域に後遺症を診察できる医療機関を配置拡充し、広く周知すべきであります。これらの対策について都の見解を求めます。
 次に、シルバーパスの一斉更新についてであります。
 都は昨年、一昨年と、高齢者の感染拡大防止のため、会場方式から郵送方式に切り替えて一斉更新を実施しました。
 これを踏まえ、都議会公明党は、本年九月の一斉更新も郵送方式で行うよう、五月二十日に知事に要望し、補正予算案に計上されたところであります。
 そこで、昨年度の郵送方式の実施状況と今年度の取組について見解を求めます。
 次に、環境施策について質問します。
 二月二十一日に、新装となった町田市の廃棄物処理施設において、リチウムイオン電池が原因と思われる火災が発生し、臭気を伴う煙が周辺に広がりました。
 国の調査では、令和二年度にリチウムイオン電池など二次電池の破損による収集車両、ごみ処理施設の火災等は九千七百三十二件に上っております。
 リチウムイオン電池は、家電量販店等の窓口回収と、自治体の不燃物収集や清掃事務所等での拠点回収などがあり、JBRCという電池メーカー等が出資する組合が引き取り、リサイクルしております。
 しかし、JBRCは製品のままでは引き取らず、自治体の拠点回収でも排出ルールが守られないなど課題が顕在化しております。
 都民に、リチウムイオン電池の危険性と安全な廃棄の方法を十分周知するとともに、電池が内蔵された製品をそのまま回収する仕組みを都が主導して構築すべきであります。知事の見解を求めます。
 続いて、電力需給逼迫とエネルギー対策についてであります。
 燃料価格の高騰に加えて、地震による火力発電所の操業停止により、真夏や真冬の電力逼迫が懸念されております。
 これに対して都議会公明党は、知事に対策の申入れを重ねてきました。
 都はまず、電力需要を減らすための、都民を巻き込んだ節電運動を大々的に行うべきであります。
 例えば、都の家庭の省エネハンドブックなどの情報を、誰もが簡易に入手し、生活に生かせる情報発信を行うとともに、節電チェックや電力の見える化を進め、都民自らが日常的に節電に取り組めるようにすべきと考えます。見解を求めます。
 家庭における省エネ家電への切替えをより一層促すためには、ゼロエミポイントの対象拡大が必要であります。また、LED照明の補助制度創設が必要と考えます。今後の取組について見解を求めます。
 建物の省エネ対策では、費用対効果の高い窓の断熱が有効であります。今後、都営住宅の建て替え時においてもペアガラスを標準化するなど、断熱性能を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 また、共用部電灯のLED化も省エネ効果が高く、電気代の大幅削減や交換頻度の減少にもつながります。今年度計画している既存住棟へのLED化を確実に完了させるとともに、今後は、目標としている全住棟への設置完了時期を早めるべきと考えますが、見解を求めます。
 再生可能エネルギーで発電した電力を買い取る固定価格買取り制度、FITに伴って発生する発電賦課金も家計を圧迫しております。この賦課金は、FITによって買取りに要する費用を国民全員の電気料金に上乗せする形で、電力会社から全国一律に請求されております。
 二〇一二年のスタート時には、一月三百キロワットアワーを使用する標準家庭で月額六十六円でしたが、今年度は千三十五円と約十五倍に上昇しております。再生可能エネルギーは推進すべきではありますが、これでは、再エネが拡大されればされるほど賦課金が増えることになります。
 また、太陽光発電等を所有していなければ電気を売ることもできず、それでもひとしく賦課金を課せられる現在の制度は不公平感を生む側面があります。
 将来的には、FITによらなくても自家消費の再エネが拡大することによって電力市場の競争に打ち勝つようにする必要があると考えます。知事の見解を求めます。
 次いで、太陽光発電設置義務化についてであります。
 五月二十四日の環境審議会で中間答申がまとまり、二千平米未満の建物には住宅メーカーなど、施工業者に義務が課せられることになりました。ただし、小規模工務店などへの配慮から、年間施工実績が二万平米未満の施工業者は対象外であります。
 都民からは、住宅価格に設置費用が上乗せされてしまえば、発注者である都民への義務化と変わらないとの指摘が出ております。
 また、環境公社による東京ソーラー屋根台帳のデータから、日照条件を考慮して、八五%程度の建物が義務対象になりますが、都心の住宅密集地域と郊外では日照条件に差があるため、発電効果に差が生じます。
 さらには、敷地面積や建蔽率など、地域事情によっては発電量が十分確保できる太陽光パネルが設置できないことも想定されます。
 そこで、建築する地域の環境、住宅面積、効果的な太陽光パネルの設置可否などに十分配慮して、最終的には都民に選択の余地を残すなど、最終答申に向けて納得と理解を得るべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、外堀浄化についてであります。
 竹谷とし子参議院議員を座長とする公明党東京都本部の水と緑の回廊・国際都市東京の実現プロジェクトチームは、玉川上水上流から外堀、日本橋川を経て隅田川に至る、水と緑あふれる豊かな都市東京の実現に取り組んでおります。
 そして、都議会公明党は、外堀の水質浄化を都議会で繰り返し取り上げ、河川水の導水による清流復活を提案し、玉川上水や荒川の活用を促してまいりました。
 そこで、先日公表された基本計画を踏まえ、人々が憩う外堀の水辺再生を早急に進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、食品ロス削減についてであります。
 都は、都議会公明党の提案を受け、未利用食品の有効活用のため、防災備蓄品とフードバンクをマッチングするシステムの構築を進めてきました。さらに、食品ロス削減のための取組として、家庭からの未利用食品を寄附して有効活用するフードドライブを都内各地で行うべきであります。その際、集められた食品の一時保管場所として、フードバンクの倉庫設置などの支援も必要と考えます。
 都有の施設や区市町村でフードドライブの窓口設置を図り、未利用食品を有効活用することにより、一層、食品ロス削減へ向けて取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、都立学校においては、賞味期限が切れてしまった防災備蓄食料品がいまだに廃棄処分されております。令和四年度の都教育委員会の防災備蓄食料品の購入予算額は、約一億円になっております。
 都教育委員会は、こうした廃棄処分の在り方を急ぎ改善すべきであります。見解を求めます。
 次に、首都直下地震等による被害想定について質問します。
 都は、五月二十五日、首都直下地震の新たな被害想定を十年ぶりに見直し、公表しました。
 今回の見直しは、最新のデータや科学的な裏づけに基づき、直近の中央防災会議報告を踏まえ策定されたものであります。
 定量評価が可能な事項は限られるため、定性評価による記述を充実させ、被害の様相を詳細に表現したのが今回の特徴であり、時系列に沿った想定も記載されております。
 具体的には、今回初めて、集合住宅においては、水道供給が再開しても、排水管等の修理が終了するまで一か月以上もかかり、トイレが使えないことが明記されました。
 さらに、通信環境については、携帯電話の音声通信もパケット通信も利用困難な状況が、発災直後から一か月後まで続く可能性があることが示されております。十年前と比べ、固定電話も半分に減っており、通信手段の確保についても課題があることが示されました。
 こういった被害想定を踏まえて、被害の見える化を図り、都民に分かりやすく伝えるとともに、今後策定する東京都地域防災計画の修正に反映させていくべきであります。知事の見解を求めます。
 地域防災計画の改定に当たっては、あらゆる想定外を排さなければなりません。データを十分分析し、望ましい防災対策の姿を見定めた上で、その到達に向け、都庁各局の、そして各局の連携の取組を導き直す必要があります。
 知事が先般表明した副知事をトップとする新たな防災の推進組織は、まずは今回の地域防災計画と深く連携し、具体的な成果を示すべきであります。さらに、令和四年度内に都市強靱化に向けた検討内容の公表を行うべきであります。
 加えて、公表後もその具体的な進捗をしっかりと監督し、推進を図るべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、都営住宅についてであります。
 都営住宅の自治会では、活動をしたくても担い手が不足し、居住者間の近隣トラブルなどを自治会が独自に解決していくことが困難になってきております。
 今年の予算特別委員会の都議会公明党の提案に応え、都は、令和四年度から自治会専用ダイヤルの設置や、団地内の居住者間トラブル等に関する無料の弁護士相談を実施すると答弁しました。
 そこで、都は、都営住宅、都民住宅において相談専用ダイヤルの設置や、弁護士の法律相談を早期に実施すべきと考えますが、見解を求めます。また、今後、公社住宅についても同様の取組を実施することを強く求めておきます。
 水道局は、都営住宅の建て替えに合わせ、スマートメーターやスマートフォンアプリの導入を進めております。
 都議会公明党は、これを高齢者等の安否確認に活用するよう要望してまいりました。十月から自動検針が開始され、スマホアプリが稼働しますが、その機能と活用について見解を求めます。
 また、見守りが必要な方々には、身寄りのない高齢者等も多く、アプリを通じた見守りには工夫と配慮が必要であります。
 そこで、高齢者等への見守り機能の活用については、区市町村や事業者等と連携を図っていくべきと考えますが、併せて都の見解を求めます。
 次に、社会的弱者への支援について質問します。
 日常生活のあらゆる分野でデジタル化が進み、デジタルに不慣れな高齢者がワクチン接種予約などに困難を来すなど、行政サービスを受けにくくなっている状況があります。また、デジタルを利用することに不安を感じ、利用をためらう方もおられます。
 そこで、高齢者が活用できるよう、より一層支援する必要があります。スマホ教室、相談会の開催や、スマホサポーター事業など、デジタルデバイド対策を早期に進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 障害者の方が交通機関を利用する際、障害者手帳等を提示すれば、介護者の運賃が半額になります。また、本人がシルバーパスを使用し、都営交通を利用する場合には、障害者手帳と併用することで、本人は全額、介護者はこれまでどおり半額割引となります。
 しかし、近年、都内の民間バス事業者の場合、シルバーパスと障害者手帳等の併用が認められず、シルバーパスを使用した場合、本人負担はありませんが、介護者の運賃は全額負担を求められるケースが増えております。
 そこで、都は、障害のある高齢者の方がシルバーパスを使用する際、必要とする介護者のバス運賃割引と併用できるよう取り組むべきであります。見解を求めます。
 少子高齢社会において、介護、看護、助産等の訪問事業は必要不可欠であり、業務も訪問先が広範囲にわたるなど、多忙を極めております。
 しかし、事業で利用する車両の駐車許可申請は、管轄する警察署ごとに手続を行う必要があるため、事業者の負担が大きくなっております。
 都議会公明党は、申請手続の負担を軽減するため、これまで警視庁に対し、申請手続を一つの警察署で済むよう対応を求めてまいりました。警視庁の現在の取組について、警視総監の見解を求めます。
 コロナ禍において、企業はテレワークの取組を進めておりますが、通勤の負担などが大きい障害者の方にとっても、テレワークは必要性が増しております。
 しかし、都内では、こうした在宅就労支援体制が十分に取られておらず、就労支援施設での障害者特性に応じた十分な訓練が必要であります。
 そこで、障害の有無に関係なくテレワークが進むよう、都は障害者就労を支援する機関に専門家の派遣や研修を行うなど、障害者の方の在宅就労への支援に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 また、重度障害者が分身ロボットを自宅から遠隔操作してカフェで接客するなど、ITが雇用の新しい道を開こうとしております。
 しかし、常時介護が必要な重度障害者の方は、在宅就労中に重度訪問介護が使えず、就労を困難としている課題もあります。
 これに対し、都は、国の助成制度を活用し、区市町村と費用を負担して、雇用と福祉の連携による就労支援を行っておりますが、現時点では、一区だけにとどまっているのが現状であります。
 今後、区市町村へのさらなる制度周知を図るなど、重度障害者の就労支援を拡大させていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、スポーツ振興について質問します。
 昨年開催された東京二〇二〇大会の機運を生かして、都は、スポーツフィールド東京の実現を目指すとしておりますが、する、見る、支えるのそれぞれの取組を整え、スポーツを都民生活に広く根づかせていくことが重要であります。
 そのために都は、情報の発信の強化、スポーツの機会や施設の増強、支える人材の拡大に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 競技会場で、生のスポーツを目の前で観戦し、応援することは、迫力や熱気を直接体感することができます。東京二〇二〇大会では、パラスポーツに関心が集まりました。
 都議会公明党は、スポーツの国際大会、とりわけパラスポーツの大会がレガシーとして、東京で多く開催されるよう訴えてまいりました。
 このたび、二〇二三年の車椅子ラグビーのアジア・オセアニアチャンピオンシップの東京開催が決定しましたが、今後も国際大会が東京で開催されるよう取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 また、二〇二五年の世界陸上の東京誘致では、東京二〇二〇大会の準備で得られた知見やノウハウを生かし、国際的にも評価されたボランティアが再び活躍できるなどの優位性に期待が集まるものと考えます。都の取組について、知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、デフリンピックの東京での開催に向けた取組を加速するため、ブラジル大会の状況を把握することを繰り返し都に求めてまいりました。
 今般、ブラジルで開催された実際の大会を通じて得た情報や経験を生かし、デフリンピック開催に向けて検討を本格化させ、国や関係機関に対して、都から積極的に応援を呼びかけていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次いで、スポーツを通じた被災地支援についてであります。
 先月、都議会公明党は、今年初めて福島のJヴィレッジで開催された東京国際ユースサッカー大会を視察しました。美しい天然芝のフィールドで東京と被災地の子供たちが伸び伸びとサッカー競技を行う姿は、これまでつないできた絆をより深く感じさせるものでもありました。
 今後、都は、被災地の要望を確認しつつ、どこまでも寄り添いながら、スポーツを通じた被災地支援に取り組むべきであります。見解を求めます。
 都議会公明党は、令和三年の第四回定例会の代表質問において、コロナ禍で運動の機会が減った働き盛り世代を対象に、職場や通勤途中のターミナル駅近くなどの場所を活用して、スポーツを楽しむ機会の提供を求めました。
 働き盛り世代のスポーツ振興は、介護や医療などの社会保障費用の抑制だけでなく、労働や社会貢献に取り組む意欲の増進にもつながります。
 今後、都は、スポーツ振興に取り組む民間の力なども活用し、様々な働き方やライフスタイルの違いに応じて、スポーツを楽しむ機会を積極的に提供することにより、スポーツ実施率の向上を図り、健康増進を進めるべきであります。見解を求めます。
 次に、東京空襲について質問します。
 昭和二十年三月十日、夜間の大空襲により、一夜にして十万人ともいわれる方が尊い命を落とし、罹災者は百万人以上といわれております。
 都は、三月十日を東京都平和の日と定め、東京空襲資料展を毎年実施してきました。しかし、資料展の開催を知らない都民も多く、史実の風化が懸念されます。
 そこで、空襲の記憶と記録をしっかりと継承していくために、東京都平和の日の周知を含め、東京空襲資料展の広報を強化充実させるとともに、規模を拡大していくべきと考えますが、見解を求めます。
 また、都が保有している東京空襲に関する証言映像をデジタル化し、保存することが、先日の平和の日記念行事企画検討委員会で示されました。空襲体験の語り部が少なくなっている中、今後様々な形で活用していくことが必要であります。
 制作から二十年以上経過していることも踏まえ、貴重な証言映像の公開の仕方を検討していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 都議会公明党は、交通政策の取組として、新空港線、いわゆる蒲蒲線の整備推進を繰り返し主張してまいりました。整備を進める上での課題について、昨日、東京都と大田区が合意に至り、整備に向けて前進することになったことを歓迎するものであります。
 今後、本事業を特別区都市計画交付金の対象とする調整や、空港アクセスの利便性向上に資する整備などについて、協議、調整を行うとしておりますが、早期実現に向けて、さらに迅速な取組を進めていくべきであります。合意に至った経緯とその内容、実現に向けた今後のプロセスについて、見解を求めます。
 次に、痴漢対策について質問します。
 第一回定例会代表質問及び予算特別委員会において、都議会公明党は、痴漢対策のために、都営地下鉄の女性専用車両の導入拡大を求め、都からは、まずは大江戸線を対象に検討を進めていくとの答弁がありました。その際にも指摘しましたが、社会全体で痴漢撲滅の機運を高めていくべきであります。
 交通局においても、女性専用車両の導入拡大に加え、鉄道事業者として、痴漢撲滅に向けて様々な観点から取組を進める必要があると考えます。見解を求めます。
 次に、HPVワクチン接種についてであります。
 子宮頸がん罹患の原因とされるHPVの感染を予防するHPVワクチンの積極的勧奨が、本年四月に再開されました。平成二十五年に積極的勧奨が控えられてから九年ぶりとなりますが、昨年、厚生労働省の専門部会で、安全性について特段の懸念が認められない、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると判断されたことから、正式に再開となりました。
 今回の接種再開に当たっては、過去の経緯も十分に踏まえた対応が必要であると考えます。
 具体的には、接種勧奨を差し控えていた時期に接種機会を逃した方に対するキャッチアップ接種の周知や、接種対象者等に対し、接種の判断材料とするための必要な情報の提供、また、接種後の体調の変化等に対する相談や医療提供を行う体制を充実していくべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、不妊治療について質問します。
 公明党は二〇〇〇年に不妊治療の保険適用を求める署名運動を全国で行い、約五十五万人のお声を政府に届け、二〇〇四年に助成制度が創設されました。そして、今年四月からは、ようやく人工授精や体外受精、顕微授精などの不妊治療が保険適用となりました。
 一方で、保険適用外の治療を選択される方も一定数おり、支援が求められております。
 今回、有効性や安全性が確認された治療のみが保険適用となっておりますが、保険適用にならなかった治療のうち、国が認めた先進医療については、保険診療との併用が可能となっております。しかし、その費用は高額で全額自己負担となっております。
 そこで、保険適用の効果、課題について実態調査を行うとともに、先進医療については、助成の検討をしていくべきと考えますが、都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
 東京都生活応援事業についてのご質問です。
 原油や資源価格の高騰、円安の進行によりまして、電気、ガス料金や様々な生活必需品が値上がりをして、都民の生活を圧迫しております。
 こうした状況を踏まえまして、地方創生臨時交付金を活用して、都民生活を守る目的で、キャッシュレスによるポイント還元やプレミアム付商品券などの取組を行う区市町村を支援してまいります。
 実施に当たりましては、プレミアム率の上限を、デジタルのみの場合と紙併用の場合、いずれも三〇%として、補助率については、それぞれ四分の三、三分の二とすることで、区市町村の工夫を凝らした取組を後押ししてまいります。
 様々な厳しい状況に直面する都民の暮らしを区市町村と連携してサポートして、一人一人の明日の活力へとつなげてまいります。
 次に、中小企業に対する支援についてであります。
 コロナ禍にウクライナ情勢や円安が加わって、中小企業の経営に大きな影響が生じております。こうした状況の中で、金融と経営の両面からより効果的な支援を行うことは重要です。
 中小企業の経営環境を取り巻く様々な状況を踏まえ、その資金繰りを支える制度融資の見直しを図りまして、新しいメニューを創設いたします。
 これにより、信用保証料の補助を充実するとともに、当初一年間に生じる利子の二分の一に助成を行うほか、借入金の返済は最長五年間据え置くことができる仕組みといたします。
 また、原油価格高騰の影響が長引く中、固定費の削減に加えまして、新たにエネルギーコストを減らす工夫や機器の導入に取り組む中小企業を支援いたします。
 さらに、円安等による生産コストの上昇を踏まえまして、国産品の利用を促すほか、下請取引において適切な価格転嫁ができるよう支援を充実いたします。輸出を効果的に進めることができますよう、その手続のサポートや貿易保険の活用を後押しいたします。
 こうした支援によりまして、都内経済を支える中小企業の経営をしっかりと後押ししてまいります。
 観光需要の創出についてのお尋ねです。
 長引くコロナ禍の影響で、観光産業は大変厳しい状況が続いてまいりました。現在、感染症のリバウンドを警戒する期間は終わって、基本的な感染防止対策を徹底しながら、観光の再開に向けた一歩を踏み出す時期となっております。
 感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図るため、ワクチンの接種をより一層促進することは重要でございます。接種を終えた都民の方などが都内の身近な地域を観光できるよう、もっとTokyoで少しずつ後押しを進める。
 もっとTokyoは、ワクチンの三回目接種を受けた都民の方などを対象にトライアルで実施をするものであります。
 この取組の成果を踏まえまして、これからの感染状況を見ながら、GO TOトラベル事業が開始となった際には、都外の自治体と協力して本格的な観光振興に結びつけてまいります。
 被災地応援ツアーにつきましても、全国の観光振興と足並みをそろえる中で展開をしてまいります。
 次に、子供政策の推進についてのご質問です。
 時代を切り開き、この先の未来を担う子供を大切に育む。子供の権利を守り、誰一人取り残すことなく、全ての子供の健やかな成長を社会全体で後押ししていかなければなりません。
 そのため、四月に子供政策連携室を新設いたしまして、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に政策を推進する体制を構築いたしました。
 子供や子育て家庭が直面する複雑化する課題に対しまして、分野横断的な視点から新たな施策を具体化いたします。
 また、国内外の先進事例の調査研究や課題抽出等を通じまして、既存の枠組みや政策分野の垣根を超えた先進的な取組に挑戦してまいります。
 国では現在、こども基本法案とこども家庭庁設置法案が審議されているところであります。
 今後、国とも連携し、子供政策連携室を核に、都庁の総力を挙げまして、実効性ある政策を機動的に推進してまいります。
 同じく子供政策についてでありますが、子供政策を進める上での視点についてのお尋ねであります。
 コロナ禍におきまして、対面だけではなく、非対面でのコミュニケーションが定着する中で、人と人とのつながりの重要性が再認識されております。
 いかなる状況にありましても、全ての子供、子育て家庭が、様々なつながりの中で、自分らしく生活することができる包摂的な社会を実現していかなければなりません。
 こうした強い思いを持って、子供政策総合推進本部の下に、組織横断で取り組む六つの推進チームを立ち上げまして、人と人とのつながりを重視いたしました新たな施策や支援の枠組みを構築してまいります。
 例えば、ネウボラ的仕組みの検討に当たりましても、人と人とのつながりを紡ぎ出していくことが極めて重要であり、新しい時代にふさわしい、リアルとバーチャル双方の視点を取り入れた東京ならではのシステムを創出してまいります。
 こうした取組を通じて、全ての子供の笑顔を育むチルドレンファーストの社会を実現してまいります。
 リチウムイオン電池の回収等についてのご質問でございます。
 希少金属を含む製品等のリサイクル促進は、資源の乏しい我が国におきまして極めて重要です。
 現在、こうした取組を行う市区町村の清掃リサイクルの現場におきましては、リチウムイオン電池やこれを内蔵する製品の破損に起因する火災が多発しており、その対策は急務でございます。
 その要因としては、排出方法が分かりにくいことや回収拠点が少ないことから、他のごみと一緒に廃棄されることなどがございます。
 このため、今後、都は、市区町村と連携をいたしまして、より身近な場所で電池内蔵製品等を回収するなど、収集時などの安全性も確保できるルートを確立いたします。あわせて、分別の重要性等の周知徹底を図りながら、この拡大に取り組んでまいります。
 また、パラジウムなどを多く含みますパソコン等のリサイクルを促すレアメタル緊急回収プロジェクトにおきましても、電池内蔵製品等の回収を進めます。
 こうした、住民の利便性を高める取組を展開し、より安全で持続可能な資源利用を推進してまいります。
 再生可能エネルギーの自家消費の拡大についてであります。
 エネルギーの大消費地である都は、ゼロエミッション東京の実現に向けまして、また、災害時等のレジリエンス強化の観点からも、再エネの地産地消を最大限進める必要がございます。
 このため、都は、発電した電力をその場で活用できるよう、民間事業者などが都内外に導入する自家消費型再エネ設備などや、家庭への蓄電池の導入に対する支援に取り組んでまいります。
 また、電力需給逼迫への備えとして、再エネ設備への支援拡充に合わせ、蓄電池の単独設置への支援や容量上限の引上げ等の拡充を図るとともに、EVやビークル・ツー・ホームへの支援策も強化をいたします。
 こうした取組によりまして、将来的にはFIT制度に頼らずとも再エネの導入を拡大することができます。
 今後とも、再エネの地産地消を進めて、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。
 新築住宅等への太陽光発電の設置義務化についてのお尋ねでございます。
 今後の新築建物は、二〇五〇年時点で過半数を占める見込みでありまして、将来の東京の姿を規定することを意味いたしますので、新築建物のゼロエミッション化は急務でございます。
 制度の検討に当たりましては、日照条件の差異や都内の太陽光発電設備の設置実態等、地域特性に配慮した仕組みとすることが重要であります。
 審議会では、事業者への義務につきまして、日照条件に応じた地域ごとの設置率を定めること、また、建物一律ではなく、事業者が敷地の特性や個人の意向等を考慮できる仕組みにすべきと示されたところであります。
 今後は、答申を踏まえまして、個人が設置の有無を選択できる弾力的な仕組みを前提に、具体的な義務量や対象となる建物の基準、太陽熱や地中熱利用等による履行方法などにつきまして、さらに具体的な検討を進めてまいります。
 こうした検討を丁寧に行うと同時に、分かりやすく効果的な情報発信を行うことで、都民や事業者の理解と共感を得てまいります。
 次に、被害想定の見える化と地域防災計画の修正についてのご質問であります。
 東京の防災力を強化するためには、都民の防災意識の向上と実効性ある防災対策が欠かせません。
 そのため、今回の被害想定では、ご自宅や避難所など発災時に身の回りで起こり得る被害の様相をタイムラインに沿ってお示しいたしました。
 今後は、地域ごとの建物の倒壊や焼失などの被災リスクを見える化したデジタルマップを作成いたします。
 また、災害を我が事として認識し、備えにつなげられるよう、世帯構成や居住環境等に応じた発災後のリスクを分かりやすく伝えてまいります。
 地域防災計画の改定に当たりましては、長期にわたるエレベーターやトイレの利用停止といったマンション特有のリスクなど、新たに顕在化した課題にも対応できるように、区市町村や関係機関と共に対策を検討してまいります。
 こうした取組によりまして、実効性ある施策を構築し、東京の災害対応力の強化に取り組んでまいります。
 都市機能の強靱化についてでありますが、気候変動の影響により頻発化、激甚化する風水害、いつ起きてもおかしくない首都直下地震や火山噴火、未知の感染症など、様々な脅威から都民の命と暮らしを守る対策の強化は待ったなしであります。
 こうした危機感の下、ハード面の備えをさらに強化するとともに、ソフト対策も含めた実効性ある対策を講じるなど、災害への備えをアップグレードし、都市強靱化プロジェクトとして具体的な施策を年度内に取りまとめてまいります。
 今後、客観的データに基づく様々な検証を通じまして、災害に強い都市のあるべき姿を示し、それを実現するための政策を練り上げ、「未来の東京」戦略はもとより、地域防災計画をはじめとする関連計画や方針にも的確に反映してまいります。
 計画は、策定して終わりではありません。実行し、確実に成果を上げることこそが重要でございます。本プロジェクトを推進力として、スピード感を持って対策を進め、強靱で持続可能な東京をつくり上げてまいります。
 次に、世界陸上における東京二〇二〇大会の知見やノウハウの活用についてのお尋ねがございました。
 東京二〇二〇大会は、史上初となる一年の延期、無観客での開催となりましたが、関係者と緊密に連携するとともに、都民、国民のご協力を得て、安全に開催することができました。
 世界陸上は、二百を超える国、地域が参加する世界最高峰のスポーツの祭典であります。
 このような大規模な国際スポーツ大会では、競技会場の運営や選手、観客の輸送、ボランティアの参画など、東京二〇二〇大会で蓄積された経験やノウハウを十分に生かしていくことが重要であります。
 先月の下旬、ワールドアスレティックスの評価パネルが来日した際には、東京側から、コロナ禍での大会開催という困難を乗り越えた東京の運営能力などを丁寧に説明をいたしました。
 今後の国際大会におきまして、東京二〇二〇大会で得た成果を生かして、スポーツフィールド東京の実現につなげてまいります。
 次に、デフリンピックについてであります。
 デフリンピックは、選手が躍動する姿を通じて、ろう者やろう文化について理解する機会となります。ろう者自身が運営する国際大会を聞こえる人と一緒につくり上げられることになりますと、バリアのない社会実現のきっかけとなります。
 ブラジルにおけるデフリンピックの現地調査におきましては、開催都市の実情に合わせた施設の整備や簡素な運営、手話や視覚情報などによる情報保障、情報発信拠点でのろう学校の生徒の絵画展示など、大会の実態や運営状況を確認することができました。調査結果を今後の検討に活用してまいります。
 東京での開催に当たりましては、国の財政支援をはじめ、競技団体との連携など、様々な関係者の協力が不可欠でございます。
 今後は、都といたしましても、招致主体である全日本ろうあ連盟を積極的に応援をして、関係者との連携を深めてまいります。
 その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長から答弁といたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 訪問介護等の事業車両に対する駐車許可申請手続についてでありますが、警視庁では、訪問介護等の社会的な重要性やその業務の実情に鑑みまして、申請者の負担軽減を図るため、このたび、申請手続の簡素合理化を行ったところであります。
 具体的には、これまで訪問先が複数の警察署の管轄区域に及ぶ場合には、それぞれの警察署に申請しなければならなかったところ、今回の簡素合理化によりまして、関係する一の警察署で申請を受理することができるようにしたほか、駐車許可時間に幅を持たせるなどの見直しを行いました。
 警視庁といたしましては、新たな駐車許可事務の運用を通じて、申請者の負担軽減と良好な駐車秩序の確立にさらに努めてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 都立学校の非常災害用備蓄食料についてでございますが、都立学校で保管されているアルファ化米やクラッカー等の備蓄食料につきましては、食品ロスの観点から、可能な限り有効活用を図ることが重要でございます。
 現在、都立学校においては、賞味期限が迫った備蓄食料について、防災訓練での活用やNPO団体への提供などの取組を行っておりますが、一部にとどまっており、そのほかは全て廃棄しております。
 今後、こうした取扱いを早急に見直し、備蓄食料を有効に活用するための具体的な方策の検討を進め、適切な管理、運用を行ってまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 団体旅行の安全・安心の確保についてでございますが、コロナ禍で利用が減った団体の旅行を伸ばしていく上で、ツアーにおける感染防止対策を徹底して、観光客の安全・安心の確保を図ることは重要でございます。
 このため、都は、団体による旅行を企画する事業者に対し、感染防止対策を行う際に専門家が助言する支援を拡充いたします。
 また、観光客同士が密になることのないよう、観光バスの台数を増やす際に必要な経費の最大五分の四を十二万円まで助成するほか、追加の添乗員に要する経費も助成いたします。
 さらに、旅行業者が宿泊施設に持ち込む非接触型の体温計や消毒液の噴霧器等を購入する際に必要な経費に助成を行います。
 こうした取組によりまして、旅行者が安心して団体旅行を行う環境の整備を後押ししてまいります。
 次に、デジタル人材の育成についてでございますが、将来の成長が見込まれるデジタル分野の担い手を増やす上で、非正規雇用の方や女性など、受講者の状況を踏まえて職業訓練をきめ細かく行うことが効果的でございます。
 デジタル分野の訓練を非正規雇用の方がeラーニングで受ける場合、習得の度合いに応じて、講師がリモートで個別のサポートを行うことといたします。
 また、デジタル関係の資格の取得を目指す訓練では、eラーニングで学習をした後、試験の直前に対面で集中的に講義を行い、確実に成果が上がる仕組みといたします。
 さらに、女性がデジタル技術を学ぶ訓練では、少人数のクラスに複数の講師を配置して、丁寧な指導を行います。
 こうした取組によりまして、デジタル人材の育成を着実に進めてまいります。
 最後に、多摩地域の雇用就業支援拠点についてでございますが、都は、多摩のしごとセンターと労働相談情報センターの機能を立川に移転し、新たな支援拠点を設け、求職者や労働者に対するきめ細かなサポートを展開してまいります。
 新たな拠点では、同じ建物に入るハローワークと協力し、女性や非正規雇用の方など様々な求職者向けにセミナーやマッチング支援を行うほか、就業者への労働相談も実施するなど、ワンストップで対応を行います。
 また、土曜日も相談業務を行うほか、リモートで市役所等からも利用できる仕組みといたします。
 さらに、社会人経験の少ない方などに対し、職場実習を含む就業に向けたプログラムを提供するなど、サポートの充実を図ります。
 こうした取組によりまして、多摩地域における雇用就労支援の強化に取り組んでまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ウクライナから避難された方々への生活支援でございますが、都営住宅における避難民の方が、地域に溶け込み、安心して暮らすためには、団地居住者や近隣住民との良好なコミュニケーションの下で、日本での暮らし方等を理解できるよう支援していくことが必要でございます。
 このため、都では、海外との文化交流に知見を持つ団体等と連携しまして、都営住宅の集会所等で東京みんなでサロンを開催し、地域での交流の機会を提供してまいります。
 また、都営住宅の住まい方の留意点や自治会活動等に加えまして、地震の経験が少ない避難民の方に役立つ日頃の備えなども記載した「住まいのしおり」のウクライナ語及びロシア語版を新たに作成し、配布いたします。
 今後も、避難民の方が抱える生活上の不安などを丁寧に聞き取り、暮らしに寄り添った支援を行ってまいります。
 次に、都営住宅の断熱性能の向上についてでございますが、脱炭素化に加えまして、居住者の健康確保の観点からも、都営住宅の断熱性能を高めていくことは重要でございます。
 これまで都は、国の公営住宅等整備基準に基づき、いわゆる住宅の品質確保法で定める断熱等性能等級におきまして、最上位の等級四の基準を満たす仕様で都営住宅の建て替えを実施してまいりました。
 令和四年四月に国の整備基準が改正されたことも踏まえまして、今後、都営住宅の基準設計を見直し、複層ガラスの窓の採用や壁の断熱材の増強などにより、断熱性能をこれまでより約三割高いゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEH水準に引き上げてまいります。
 都営住宅におけるこうした率先的な取組によりまして、住宅の脱炭素化を推進してまいります。
 次に、都営住宅の共用部照明のLED化についてでございますが、脱炭素社会実現に向けまして、都営住宅におきましても、省エネ性能が高いLED照明の設置を推進することが重要でございます。
 このため、都は、令和十二年度末の設置完了に向け、建て替え工事では平成二十七年度から、既存住棟の改修では平成二十九年度から共用部照明のLED化を進めております。
 現在、世界的な半導体不足に伴いまして、照明器具の生産、納入の遅れが懸念されていることから、今年度は改修工事の発注時期の前倒しにより照明器具の確保を図り、計画戸数約二万戸の既存住棟に着実に設置してまいります。
 今後、改修工事内容の簡素化によるコスト低減などを行いまして、全体計画の前倒しを図り、都営住宅における共用部照明のLED化の早期完了を目指してまいります。
 最後に、都営住宅等の自治会支援についてでございますが、都営住宅等では、居住者の高齢化や居住者間のトラブルの増加等により、自治会役員等が対応に苦慮することが多く、自治会の円滑な運営を支援する取組が必要でございます。
 このため、都は、自治会専用ダイヤルを本年八月に開設し、東京都住宅供給公社の十六の窓口センターごとに受付体制を整え、相談に迅速かつ丁寧に対応できるようにいたします。
 また、自治会向けの無料の法律相談を本年九月から開始いたしまして、東京都住宅供給公社が委託した弁護士に、自治会役員等が電話で直接相談できる体制を整えます。まずは、月に一度、法律相談日を設けまして、利用状況等に応じて、その後の展開を検討してまいります。
 こうした取組につきまして、事前に案内のチラシを全自治会へ配布し、きめ細かく周知を図ってまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 日本語を母語としない児童生徒への支援についてでございますが、日本語指導が必要な児童生徒が増加する中、不就学や学校への適応、居場所の確保、進路、就労といった様々な問題への早急な対応が求められております。
 こうした分野横断的な課題に対しまして、子供政策連携室が核となり、関係局から成るチームを立ち上げ、現在の取組の共有や児童生徒を取り巻く課題の洗い出しを開始いたしました。
 今後、NPO団体、有識者などとの意見交換や国内外の先進事例調査等を行いまして、学校や地域といった既存の枠組みにとらわれない取組を幅広く検討してまいります。
 これらを通じまして、日本語を母語としない児童生徒が活躍できる社会の実現に全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ワクチンの活用についてでございますが、都はこれまで、ワクチンを有効期限の短いものから使用するよう区市町村等に周知するとともに、区市町村間の融通調整を行うなど、有効活用を図ってまいりました。
 また、ワクチンの保有状況や接種の進捗、予約状況などを踏まえ、区市町村ごとに供給調整を行っておりまして、今後も区市町村の状況把握に努め、可能な限り余剰ワクチンが生じることのないよう調整してまいります。
 引き続き、区市町村と連携しながら、若者世代を中心に三回目接種を促進するとともに、四回目接種を着実に進め、ワクチンを有効活用してまいります。
 次に、ワクチンの四回目接種についてでございますが、都は、重症化リスクの高い方に確実に接種を受けていただくため、混乱が生じないよう、基礎疾患を有する者等の判断基準等の明確化を国に求めております。
 また、医療機関や薬局等と連携し、接種対象となる基礎疾患の範囲を掲示するほか、かかりつけ医を通じて声がけを行うなど、区市町村とも協力し、対象者への確実な周知に努めております。
 一方、医療従事者や介護従事者等は接種対象とされておらず、関係団体からは、医療、介護従事者への四回目接種を検討してほしいとの声が上がっております。
 このため、国に対し、専門家の科学的知見を十分得て、医療従事者や介護従事者等を接種対象に加えるよう要望しており、引き続き、四回目接種の促進に向け、必要な取組を進めてまいります。
 次に、新型コロナ感染症の後遺症対策の三点についてでございます。
 都は、都立、公社病院に後遺症の相談窓口を設置し、症状に応じて医療機関の受診につなげるとともに、相談内容に沿って、生活全般や教育等の各種相談窓口を紹介しております。
 また、東京iCDCでは、オミクロン株も含めた相談データやデルタ株以前の症例を分析し、その結果を公表するとともに、医療機関等へ周知をしております。
 今後、オミクロン株の陽性者の後遺症についても症例のデータを分析し、その内容を速やかに発信するとともに、労災保険などの公的支援の情報につきましても、医療機関や都民等に広く周知していくことで、後遺症に悩む方を適切に支援してまいります。
 次に、医療従事者等の後遺症への理解促進についてでございますが、後遺症に悩む都民が身近な医療機関で適切な医療を受けられるようにするためには、より多くの医療従事者に後遺症への理解を深めていただくことが重要でございます。
 このため、都は、東京iCDCがこれまで公表した後遺症の症例データや相談分析の結果を都内の医療機関に提供するとともに、後遺症の診療の参考とするため、国が発行した罹患後症状のマネジメントを東京都医師会と連携して都内の病院や診療所に周知したほか、保健所にも情報提供をしております。
 今後、東京iCDCにおきまして、後遺症治療に当たっている医師等によるセミナーの開催を検討するなど、医療従事者等の後遺症への理解促進に向けた取組を進めてまいります。
 次に、後遺症に対応可能な医療機関についてでございますが、都はこれまで、後遺症に対応可能な医療機関の情報を提供するため、約四千か所の診療・検査医療機関に対し、後遺症の診療に関する調査を行い、対応可能な三百十九か所の医療機関情報を都立、公社病院の相談窓口等で活用をしてまいりました。
 今後、後遺症の診療が可能な医療機関のさらなる増加に向けまして、医療従事者等の後遺症に関する理解促進を深めるとともに、都内の医療機関に対し、後遺症への対応の可否等に関する調査を幅広く行いまして、その結果を公表できるよう、医療機関へ丁寧に働きかけてまいります。
 最後に、HPVワクチンの積極的勧奨再開についてでございますが、都は、接種対象者が安心して接種を受けられるよう、ワクチン接種の効果とリスクや接種後の体調に関する相談窓口、積極的勧奨の差し控え期間中に機会を逃した方へのキャッチアップ接種等につきまして、本年三月からホームページで情報発信をしております。
 また、主な対象が学校に通う若い世代の方であるため、接種後の症状や通学、学習など学校生活に関する相談にも対応できるよう、教育庁や生活文化スポーツ局と連携し、相談体制を整えております。
 今後、ワクチンに関する周知を一層進めるとともに、専門的知見を有する医療機関や区市町村との連携を強化いたしまして、地域の診療所に対し、接種時の対象者への接し方や、副反応が現れた際の対応等につきまして情報提供するなど、安心して接種を受けられる環境整備を進めてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、シルバーパスの一斉更新についてであります。
 令和元年度まで、毎年九月、都内各地に設置した会場でシルバーパスの一斉更新を実施してまいりましたが、二年度、三年度は新型コロナウイルスの感染拡大リスクの軽減等を図るため、郵送方式で実施しております。
 昨年度は、対象者約百三万人に更新案内等を発送し、申請のあった約九十五万人分のパスを更新しております。
 今年度も、コロナ禍における高齢者の心理的不安等を考慮して、郵送方式での実施に必要な経費を今回の補正予算案に計上しており、八月中に約百一万人に更新案内等を発送する予定であります。
 今後、東京バス協会と連携し、「広報東京都」やホームページ、ポスターなど様々な媒体により周知するとともに、専用のコールセンターを開設するなど、利用者が円滑に更新手続を行えるよう取り組んでまいります。
 次に、障害者割引とシルバーパスの併用についてであります。
 国は、障害者等への運賃割引について、鉄道やバス等の事業者に協力を求めておりまして、多くの事業者は、国の通知等を踏まえまして、障害者と介護人の運賃を半額としております。
 しかしながら、割引を実施している事業者において、障害者本人がシルバーパスを利用した場合の介護人の運賃の取扱いについては、半額とする事業者と割引を適用しない事業者がございます。
 都といたしましては、障害者の社会参加に向けた環境整備を図るため、事業者に対して、障害者割引とシルバーパスが同時に利用できるよう働きかけ、理解と協力を求めてまいります。
 次に、障害者の就労移行への支援についてであります。
 障害者の就労移行を進めるためには、多くの企業で導入が進みますテレワークに対応する必要があります。テレワークには、生活リズムを自ら律する能力や、パソコンなどを援助なしで操作するスキルなどが求められますが、現在、テレワークに対応した訓練を体系的に実施している就労移行支援事業所は少なくなっております。
 そのため、都は今年度から、テレワーク支援に取り組む事業所の先進事例を紹介しながら、在宅の障害者に対する健康管理の方法や、ICT機器の操作方法などの効果的な訓練のノウハウを学ぶ事業所向けの研修を開始いたします。
 こうした取組を通じまして、就労移行支援事業所の多様な働き方に対応した支援力を向上させることにより、障害者の円滑な就労移行を促進してまいります。
 次に、重度障害者等への就労支援についてであります。
 重度障害者等の職場や通勤等における支援は、IT機器の入力援助や身体介助等を一体的に行う雇用施策と福祉施策が連携した制度として令和二年度に創設され、現在、都内では一区が実施しております。
 都はこれまで、区市との会議等を通じ、本制度の活用を働きかけるとともに、制度に関する意見交換を行っており、今年度は新たに二つの自治体が開始を検討しております。
 この取組を広げていくためには、先行事例の周知や活用しやすい制度とすることが重要であり、今後、取組実績等を区市町村と共有するほか、国に対しては、具体的な取組事例の収集や制度の簡素化等について提案要求してまいります。
 最後に、不妊治療への対応についてであります。
 令和四年四月からの診療報酬の見直しに伴い、これまで自由診療であった不妊治療のうち、採卵から胚移植に至るまでの一連の基本的な診療は保険適用となり、利用者の経済的負担は大幅に軽減されております。
 保険適用外となった治療の一部は、先進医療として保険診療との併用が特例として認められたものの、先進医療に係る治療費は全額自己負担であり、経済的な負担となっております。
 都は、今後、保険適用後の不妊治療の実施状況等を把握し、不妊に悩む方が安心して治療できるよう、対応を検討してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民への節電に係る取組の推進についてでございますが、電力逼迫を回避するためには、都内におけるエネルギー消費量の約三割を占める家庭部門での節電が重要でございます。
 そのため、まず、都民が一元的に節電の具体的な方法を把握できるよう、都は、減らす、つくる、ためるのHTTポータルサイトを開設いたしました。
 今後は、SNSなど様々な媒体を活用し、動画などで分かりやすく家庭での節電方法や電力の逼迫状況の情報発信を強化してまいります。
 さらに、都民の節電行動に加え、電力使用時間帯のシフトを促すことなども重要でございます。そのため、電気事業者が、タイムリーな節電要請や、それに応じた家庭等へのポイントを付与し、プッシュ型でHTT情報を発信する場合に、その取組を新たに支援してまいります。
 こうした取組を通じまして、都民の協力を得ながら、家庭の節電行動を促してまいります。
 次に、家庭における省エネ家電への切替えについてでございます。
 家庭部門の電力消費量の約二割は照明でございまして、都は消費電力の少ないLEDへの切替えを推進してまいりましたが、いまだリビングの約四割は蛍光灯などのままでございます。
 そこで、都は、今夏、今冬の電力逼迫への備えとして、さらなる家庭の節電を加速するため、東京ゼロエミポイントの対象に新たに節電効果の高いLED照明器具を加え、三千ポイントを付与いたします。あわせて、高齢者など、天井の照明器具を自分で取り替えることに不安な都民を支援するため、取替え作業費用もポイントの対象とし、二千ポイントを付与いたします。さらに、エアコンにつきましては、一層の買換えを促すため、省エネラベルで二つ星以上に対象を拡大いたします。
 こうした取組によりまして、LED照明や高効率エアコンなどの省エネ家電への買換えをより強力に推進いたします。
 最後に、フードドライブの拡大についてでございますが、未利用食品の有効活用を進めていくためには、都民、事業者、行政等が連携し、フードドライブを拡大する必要がございます。
 都はこれまで、区市町村の地域に根差したフードドライブ事業の支援、地元のフードバンクと小売と連携した優良事例の発信等、各地域の取組を後押ししてまいりました。
 今後、さらなる拡大を図るため、都の施設において、イベント等の機会を捉えて寄附窓口を設置し、広く都民にフードドライブの参加を促してまいります。
 さらに、東京サーキュラーエコノミー推進センターと連携し、区市町村の窓口やイベント時の臨時窓口等の情報を発信することなどによりまして、各地域での取組を広げて、未利用食品の有効活用を一層促進してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、外堀の水辺再生についてでございます。
 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力あるまちづくりを進めることが重要でございます。
 都は、外堀の浄化に向け、下水再生水と荒川河川水を、玉川上水路等を経由して導水する概略ルートなどを定めた基本計画を先月公表いたしました。この計画を踏まえ、二〇三〇年代半ばの整備完了を目指し、今年度より施設の基本設計を行うなど、具体的な取組に着手いたします。
 あわせて、将来にわたり水と緑の空間を残していくため、新たに地元の小学生を対象とした勉強会を開催し、外堀の歴史的価値や維持管理の大切さを伝えてまいります。
 引き続き、国や地元区とも連携しながら、人々が憩い、地域に親しまれるよう、外堀の水辺再生を着実に進めてまいります。
 次に、新空港線についてでございます。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限発揮させるため、鉄道アクセスの充実は重要でございます。
 本路線は、空港アクセスの向上が期待される一方、関係者間の費用負担の在り方等が課題とされてまいりました。
 都と大田区は、令和二年九月に協議の場を設置し、まちづくりの観点等も加味した事業プランの検討や需要予測等の精査、その結果を踏まえた都区負担等に関する協議を行い、費用負担などについて合意に至ったところでございます。
 今後、合意に基づき、区が中心となり、整備主体となる第三セクターの設立や都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整、都市計画手続などの取組を進めてまいります。
 都といたしましては、関係者と必要な協議、調整を進めながら、こうした事業化に向けた取組を支援してまいります。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) スマートフォンアプリについてでございますが、本年十月の利用開始を予定しておりますスマートフォンアプリには、スマートメーターを設置いたしましたお客様を対象に、異常な使用水量を検知した際に随時通知する機能や、一時間ごとの使用水量を確認できる機能等を搭載することとしておりまして、これらを漏水の早期発見や遠方の親族等による見守りに活用することが可能と考えております。
 現在、水道局では、区市町と協定を締結し、検針業務などの際に異常を検知した場合には、区市町の福祉部門などへ情報提供を行っております。
 アプリ導入後も、見守り機能の活用に向け、区市町とも連携を図るとともに、都庁各局や他のインフラ企業に加え、見守りサービス等を提供する事業者等と意見交換やニーズの把握を行ってまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) 高齢者のデジタル活用支援についてでございますが、都が、昨年度開始いたしました高齢者向けのスマホ教室や相談会では、参加者にスマートフォンの利便性を実感していただく一方で、利用への不安の声も頂戴しております。
 そのため、今年度は、実施規模を拡大して五月から開始するとともに、スマホを安全・安心に使うための注意点なども学んでいただいているところでございます。
 さらに、サポーター制度を立ち上げ、まずは講師経験等を有する方に七月から先行して活動していただきます。
 今後、同じ目線からの支援が期待できる高齢者やスマホを使いこなす若者へとサポーターの裾野を広げるため、学生などを有償スタッフとして活用しながら、育成プログラムの策定等を進めてまいります。
 こうした取組を通じまして、高齢者を地域で支え合うデジタル社会を目指してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京大会後のスポーツ振興についてでございます。
 大会をきっかけとして、スポーツが生活に根づいていくような取組を行うことが重要でございます。
 このため、都のスポーツポータルサイト等でイベント情報を幅広く発信するとともに、順次再開業する新規恒久施設での多様なスポーツ体験や、DXを活用した新しい楽しみ方を提供するなど、スポーツに触れる機会を拡大してまいります。
 さらには、選手の経験を生かした競技の普及促進やボランティアの活動フィールドの提供など、裾野拡大にも取り組んでまいります。
 今後も機を逃さず、大会で得た成果を積極的に活用し、スポーツフィールド東京の実現につなげてまいります。
 次に、国際スポーツ大会の誘致、開催支援についてでございます。
 都は、スポーツの振興と都市のプレゼンス向上を目的に、国際大会を誘致段階から支援しております。今年度の支援対象のうち、車椅子ラグビーのアジア・オセアニアチャンピオンシップは、二〇二三年の東京開催が決定いたしました。この大会に多くの都民が足を運び、楽しんでいただけるよう、引き続き大会PR等の支援を行ってまいります。
 また、より多くの観戦機会を提供し、一層の振興を図るため、特にパラスポーツについては、幅広い競技や様々な規模の大会を対象とするなど、きめ細かく支援をしております。
 こうした取組により、多くの大会が開催され、観戦できるスポーツフィールド東京の実現を目指してまいります。
 次に、スポーツを通じた被災地支援についてでございます。
 復興オリンピック・パラリンピックの理念をレガシーとして次世代へ継承することは重要でございます。これまで築いてきた被災地との絆を一段と深めるために、五月に東京国際ユースサッカー大会をJヴィレッジで初めて開催いたしました。
 こうした取組を踏まえ、新たに、被災地の競技会場等も活用して、子供たちを対象としたスポーツの交流事業を計画しており、被災三県と共に準備を進めております。
 また、この夏は、被災地の子供たちを一周年記念事業に招待し、大会の感動を共有してもらうほか、これまで交流した都内の野球、サッカーチームと試合などを行います。
 引き続き、被災地の意向を十分に踏まえながら、スポーツの力で復興を後押しする取組を進めてまいります。
 次に、スポーツを通じた健康増進についてでございます。
 スポーツ実施率の向上には、日頃からスポーツに親しむ機会が少ない働き盛り世代にきっかけを提供することが重要でございます。
 このため、フィットネスマシンやボッチャ等、仕事帰りに気軽な運動体験ができるアーバン・フィットネス推進事業を、昨年度初めて丸の内で実施いたしました。
 専門家の個別指導などが好評で、アンケートでは約九割の方から、運動を始めたくなった、さらにしたくなったとの回答をいただきました。今年度は、内容を充実させ、多摩地区でも開催するなど、引き続き取り組んでまいります。
 また、従業員へのスポーツ支援に取り組むスポーツ推進企業の認定など、企業や民間団体等と連携し、働き盛り世代をはじめとした都民の健康増進を図ってまいります。
 次に、東京空襲資料展の広報強化と規模拡大についてでございます。
 空襲資料展は、毎年三月十日の東京都平和の日に合わせて開催しており、これまでも東京都のホームページや「広報東京都」、新聞などにより広く周知を図ってきております。
 今後は、区市町村の協力も得て、デジタルサイネージやSNSの活用などにより、広報をさらに強化してまいります。
 また、都民の平和に対する意識が高まっている今、貴重な資料のデジタル化に着手し、空襲資料展で広く活用していくなど、より多くの都民に見ていただけるような資料展について検討してまいります。
 最後に、証言映像の公開についてでございます。
 戦争の記憶を風化させないためにも、空襲関連資料の活用を図ることは重要でございます。
 証言映像につきましては、制作当時から社会状況も変化しており、より広く活用していくためには、個人情報への配慮が必要でございます。
 そのため、公開に向けましては、個人情報の取扱いや当事者の意向などを十分に踏まえまして、今後、慎重に検討を進めてまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営地下鉄等における痴漢対策についてでございますが、交通局では、痴漢行為を防止するため、車内防犯カメラの設置や鉄道事業者等と共同での痴漢撲滅キャンペーンの実施、駅係員等による巡回などを継続的に行ってまいりました。
 また、新宿線での女性専用車両の運行に加え、現在、大江戸線を対象に導入拡大に向けた検討を進めております。
 車内防犯カメラにつきましては、令和六年度までに地下鉄と日暮里・舎人ライナーの全車両への設置完了を目指してまいります。
 また、痴漢撲滅キャンペーンのほか、重点的に呼びかけを行う独自の対策強化期間を新たに設けるとともに、有識者の意見も聞きながら、効果的なポスターを作成し、掲示いたします。
 さらに、警視庁防犯アプリの活用をホームページやSNS等で促すなど、誰もが安心して利用できる都営交通の実現に向けて取組を進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時五十三分休憩

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