令和四年東京都議会会議録第九号

   午後三時開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十八番荒木ちはるさん。
   〔百十八番荒木ちはる君登壇〕

○百十八番(荒木ちはる君) 質問に先立ちまして、新型コロナウィルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたしますとともに、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念を申し上げます。
 また、ロシアによるウクライナ侵攻においてお亡くなりになられた全ての皆様のご冥福をお祈りいたします。
 武力による侵略行為に強く抗議をするとともに、ウクライナの人々に対する支援を東京都としても強化することを求めます。
 令和四年第二回定例会に当たりまして、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び警視総監、教育長、関係局長に質問をいたします。
 新型コロナウイルス感染症の本格的な流行から二年以上が経過をし、感染者は世界累計で五億三千万人を超え、死者は六百三十万人に及んでいます。
 一方、新規の感染者や死亡者は、日本も含めて大きく減少してきており、ワクチンの普及等もあり、感染症との闘いは大きな転換期を迎えつつあります。
 加えて、ウクライナ情勢は、物価高騰等を通じて、コロナで疲弊している経済や生活に大きな影響を与えており、迅速な経済対策と生活支援策が必要であります。新型コロナの克服に引き続き全力で取り組むとともに、感染拡大の防止と経済活動の両立を今こそ図っていかなければなりません。
 これまで、私たち都民ファーストの会東京都議団は、デジタル、グリーン、そしてダイバーシティを軸に、都政においては多くの改革を実現してまいりました。それらは、単にコロナ前の社会に戻るのではなく、コロナによる人々の価値観や社会の変化を踏まえて、東京の未来を描き、新しい社会を目指すものであります。
 私たちは、人類史に残るパンデミックを乗り越え、多様性と包摂性にあふれた、強靱で持続可能な東京を築いていくことを改めてお誓いし、質問に入ります。
 エネルギーや原料資材の価格の高騰、急激な円安の進行は、感染症の長期化によって既に苦しい状況にある事業者や都民生活に深刻な打撃を与えかねません。私たちは、こうした状況を見据え、いち早く企業支援や雇用対策等を講じるよう、小池知事に緊急要望を重ねてまいりました。
 また、戦火に追われたウクライナ避難民の方々が日本に滞在する間、現地に残る家族との通信環境などを保ちながら、安心して快適に暮らせる環境を用意すること、これは、私たちの都民としてのエールであり、避難先として東京を選んだ方々への真心であります。
 先日も私たちは、ウクライナ避難民の方々と共に、小池都知事に直接、語学や住まい、就学、就労など、様々な困難があることの生の声をお届けするとともに、きめ細やかな支援策を提言いたしました。こうした要望を踏まえた補正予算が迅速に編成され、今定例会に提案されたことを評価しております。
 新型コロナウイルス感染症への対応とともに、ロシアによるウクライナ侵攻による様々な生活と経済への影響に、迅速かつ柔軟に対応していくことが求められています。本定例会の補正予算をもって、都民や事業者を守り、都民生活や東京の経済をしっかり支えるとともに、ウクライナ避難民の方々への支援を講じるべきですが、知事の見解を伺います。
 傷んだ地域経済と消費を支えるために私たちが緊急提案したデジタルプレミアム付商品券による百億円規模の生活支援について、迅速に補正予算に計上されたことを高く評価いたします。
 また、昨年度、私たちの提案によりまして、商品券発行のデジタル化に取り組んだ場合にプレミアムを上乗せする支援を行いました。原則デジタルとすることにより、非接触のキャッシュレス決済を普及させるとともに、従来の紙での発行に比較して、自治体の事務手数料の大幅削減につながることや、さらに利用データが蓄積されるなどのことで様々な分析ができるようになるなど、多くの効果があったと聞いております。
 昨年度の成果を踏まえ、特にデジタル化を効果的に活用することができた自治体の好事例を横展開することや、キャッシュレス決済の導入が進んでいない地域に対する支援を講じるべきです。
 今回の商品券発行を機会として、物価高の影響が直撃をする都民の消費を喚起し、またコロナ禍で疲弊している地域経済に再び活力を与えていくべきですが、知事の見解を伺います。
 原料コストや運輸コストの大幅な増加により、コロナで既に厳しい状況にある都内事業者は、さらなる経済的な打撃を受けています。
 特に、運送業、タクシー事業者や市場で冷凍庫などを取り扱う食品関連事業者などは、燃料の価格の高騰などに対して直接影響を受けているため、早期に支援を実施すべきですが、見解を伺います。
 約二十年ぶりの水準となる円安の進行は、資源や部品を輸入に頼ってきた事業者にとって、調達コストのさらなる増加につながり、経営上の大きな課題となっています。
 こうした世界経済の動向に柔軟に対応し、持続的な成長につなげていくためには、調達を海外から都内や国内に切り替えることを支援するとともに、東京と日本の産業が品質の高い製品を提供できることを再認識して購入を促すようなPRキャンペーンを展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方、円安は、輸出においては国際競争力を向上させます。しかし、輸出は、海外市場や現地の企業に関する情報の収集、貿易取引に関する知識、ノウハウなどが求められ、経営資源が限られる中小企業に対して適切な支援が必要であります。
 円安の好機を逃さず支援策を講じ、海外販路の拡大を目指す中小企業の攻めの取組を後押しすべきですが、見解を伺います。
 食料安全保障上、都市の農業は極めて重要です。東京都内では、各地域で特色のある農業が営まれています。都市部では、狭い農地でも収穫量の多いトマトやコマツナ、山間部では、清流でのワサビの栽培、島しょ地域では、温暖な気候を生かしたアシタバなどの栽培が行われています。
 しかし、原油や飼料、肥料などの価格の高騰が続き、生産コストが上昇しています。農業経営に大きな影響が及んでおります。
 ウクライナ情勢等の影響を踏まえ、東京の農業の持続的な発展を図るために、農業者が抱えている課題をしっかり把握をし、地域特性を踏まえた上で速やかな支援を行うべきですが、見解を伺います。
 都市農地の保全は、食料自給率を高める上でも重要です。しかしながら、区部や区部周辺の生産緑地は、商業地や住宅地に囲まれ、後継者の不足や、また相続の問題から、維持を図ることが重要な課題となっています。
 こうした観点から、ニーズの高い農作物の開発やブランド力を高める研究を進めるとともに、生産緑地の状況をしっかりと把握をした上で、農家の実情を踏まえたきめ細かいサポートが不可欠です。都内の生産緑地を守るとともに、区部の農業振興に向けた支援策や体制の強化を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京の水産業や林業についても、現下の状況の下、目まぐるしく環境が変化をしており、原油、そして原材料の価格の高騰や深刻化するウッドショックなどへの適切な対応が求められます。
 とりわけ水産業では、こうした喫緊の課題に加え、将来にわたり持続可能な漁業を営むため、水揚げする魚の種類の見直しや環境への配慮、人材の確保、育成など、様々な課題への対応が急務となっています。
 東京の水産業の振興に向けて、社会情勢の変化に柔軟に対応し、施策のバージョンアップを図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、林業については、中長期的な視点から、林業経営における生産性と収益性の向上や、木材の利用拡大に取り組んでいく必要があります。東京の林業の振興に向けた知事の見解を伺います。
 我が国では、小麦などの穀物の大部分を輸入に依存をしています。そのような中で小麦の国際価格が大幅に上昇したことから、食品メーカーによる商品の値上げが始まっています。一方、我が国の食料自給率は、令和二年度に三七%になるなど、低迷が続いています。
 こうした中、小麦の代わりとして、国内で調達できる米粉を活用しようという動きが出てきています。米粉の切替えは、我が国の食料自給率の向上にもつながります。先日、有明で行われた春の食フェスティバルでも米粉パンが販売をされ、多くの方が買い求めていました。
 大消費地である、ここ東京が率先して米粉の活用を推進することは、都民の安定した食生活を支え、また、食料自給の根幹である米の消費喚起において大変重要ですが、知事の見解を伺います。
 私たちは、コロナ禍の雇用への影響に対応するため、早期から東京版ニューディールとして雇用対策を提言し、都はそれを受けて、デジタル分野などのスキル獲得と就業支援をセットにした取組など、二万人規模の雇用対策を講じてきました。
 長引くコロナ禍に加え、ウクライナ情勢の影響により離職を余儀なくされた方に対して、人材が不足している分野への再就職が早期にできるよう支援を強化すべきですが、見解を伺います。
 一方、特に非正規雇用の解雇や雇い止め、シフト勤務の減少など、非正規雇用の多くが女性であることから、雇用就労の影響は女性により強く表れています。特に、ひとり親など、子育てをしながら就職活動や学び直しをする方々には大きなハードルがあります。
 厳しい経済情勢が続く中で、より大きな影響を受けている女性が、早期の再就業やスキルアップに安心して取り組むことができるよう、子育て支援や生活支援等と連携をして就労支援に取り組むべきですが、見解を伺います。
 ウクライナからの避難民は全国で一千人を超え、増加が続いています。東京でも受入れ人数が百人を超え、増加が続いています。
 ウクライナからの避難民の多くは、男性を戦地に残してきた女性や子供たちであり、日本語が話せるわけでもありません。生活に順応できるような相談対応や日本語学習、ソーシャルファームも活用した就労など、都として支援をしていくべきです。
 また、居住地確保として都営住宅等を利用して受け入れている一方で、水道光熱費や公共交通、戦地に残る家族と連絡を取るためのインターネット通信環境など、生活に必要な負担は大変大きく、こうした面でもきめ細やかな支援を実施するべきと考えますが、併せて知事の見解を伺います。
 今年に入り、北朝鮮から弾道ミサイルが高い頻度で発射されており、核実験に踏み切る可能性も指摘をされています。また、ロシアのウクライナ侵攻では、ミサイル攻撃等により、まちが破壊され、多くの民間人が犠牲になっている現状が連日のように報道されており、ミサイル攻撃等は現実的な脅威であることを改めて都民、国民が認識をしたところであります。
 こうした脅威に対し、都民の不安は非常に高まるとともに、いざというときの身の安全確保について関心が高まっています。
 そうした中、都が先日、都営地下鉄や都が所管する地下道を緊急一時避難施設として新たに指定したことは、重要な一歩を踏み出したものとして評価をします。一方、ミサイル発射から最短十分もしないうちに着弾することを考えると、より多くの施設を確保していくことが必要です。
 ミサイル攻撃等の直接の被害を最小限にとどめるため、今後、緊急一時避難施設のさらなる確保に向け、民間事業者からの協力も得ながら取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、核兵器の使用に対して、核シェルターとしての機能を果たせる地下施設等についても検討を進めるべきと求めます。
 遠く離れたウクライナ情勢について、映像やインターネットの力で現地の状況をつぶさに把握することができ、我が国においても、戦争の苛酷な状況から改めて平和や安全保障への関心が高まっています。
 都は、東京が空襲を受けた際の膨大な資料を保有しています。こうした空襲関連資料について、デジタルの力を活用し、長期的に散逸することなく、かつ広く都民が当時の状況をリアリティーを持って情報を得ることができるようにしていくべきと考えます。
 東京都が保有している東京空襲関連資料のデジタル化に着手をし、活用を進めていくべきですが、資料の保存や公開方法の選択肢も増えている中で、今後どのように活用していくのか見解を伺います。
 ワクチンの普及や治療方法の改善等により、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や重症化のリスクは当初に比べ大きく下がっています。そうした中、今週から外国人観光客の受入れが再開されるなど、経済と感染症対策の両立に向けてステージが大きく変わろうとしています。
 ステージが変わる中で、感染症法の類型の変更は先送りをされています。二類相当とされていることで医療費や検査費用が公費負担されている反面、経済活動の制限や保健所の負荷など、様々な課題があります。
 このため、例えば、新型コロナの措置として、治療や検査は無料を維持しつつ、全数疫学調査や就業規制などは廃止するなど、現在の新型コロナウイルスの状況を踏まえ、いわば四・五類ともいうべき新たな分類の設定のための感染症法の改正が今こそ必要です。
 都としてこれまで培ってきた新型コロナ対策での経験も踏まえ、法改正を国に求めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 感染拡大の防止と経済の両輪を回す上で、私たちが強く求めてきた国のGO TO施策に先駆けた、もっとTokyo事業の再開に当たっては、接種率が相対的に低い若年層に対しては補助の拡充や、都民割の開始に向けた早期接種を促す広報キャンペーンを重ねるなど、ワクチン接種の加速と併せた戦略的な都民割の実施をすべきですが、知事の見解を伺います。
 家族旅行等も控えられ、学校での修学旅行や遠足等の行事も中止が続いてきた中で、子供たちが東京の文化や魅力に触れ、様々な体験ができる機会を創出していくことは重要であります。
 さきの定例会で、私たちから、都民割について子供連れの家族旅行等への助成を拡充するよう求め、小池知事からは支援を検討する旨の答弁を得ています。
 都民割の開始に当たり、子供連れの家族旅行等への助成を加算し、子供たちに東京の文化や魅力に触れ、様々な体験ができる機会とすべきですが、知事の見解を伺います。
 先日公表された東京iCDC後遺症タスクフォースの分析によりますと、軽症以下の罹患者にも後遺症は現れ、オミクロン株では咳や倦怠感の割合が高い傾向にあるとの統計が示されています。重症化リスクは減りましたが、後遺症は依然として未知の部分も多く、仕事や学業に大きな支障を来すこともあり、警戒が必要です。
 私たちは、後遺症によって、仕事、学業、生活など、様々な面で困難を抱える都民を支援するため、都立、公社病院等において、相談対応や、症状のみならず様々な支援につながる情報提供を行うことを求めてきました。また、後遺症のある生徒について、学校現場等で丁寧な対応を要望してまいりました。
 コロナ後遺症によりやむを得ず欠席をする場合に、生徒が安心して治療、療養を行えるよう、学校の出席日数の取扱いなどについて特別な配慮をすべきですが、見解を伺います。
 今後、季節性インフルエンザ等の従来の病気と同程度のリスクに収束させていく上で、ワクチンの接種に加えて、経口薬は非常に重要であります。既に海外で開発された経口抗ウイルス薬が国内でも複数承認をされていますが、現時点では投与対象が重症化リスクの高い患者等に限られており、供給力に比べて投与が進んでいないとされています。このため、投与対象の拡大に向けた臨床試験が進められています。
 一方、国内企業で開発された現在承認申請中の治療薬においては、重症化リスクによらず使用できるよう承認される可能性があり、既に生産、出荷体制も整えられているとされています。
 新型コロナウイルス感染症との闘いの局面を変えるゲームチェンジャーとなり得る新たな経口薬について、治療薬の承認審査を適切かつ迅速に行うよう引き続き国に求めるとともに、承認後迅速に都内で利用ができるよう、国、自治体、医療機関と連携をし、供給の確保と運用体制を整えておくべきですが、見解を伺います。
 女性初の東京都知事となった小池都知事の就任以降、女性の輝ける社会の実現に向けて、都政の様々な面で環境改善が進みました。都議会でも女性活躍も進み、我が会派も三割以上が女性で構成をされています。私も、この国では少ない女性の、党の代表を務めてまいりました。
 一方、世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップ指数において、我が国は、二〇二一年は百五十六か国中百二十位にとどまっています。諸外国に比べ、いまだ男女間格差が著しく、長年にわたり改善されていません。特に、経済と政治分野における格差が顕著であることが大きな課題であります。
 そうした状況を変えていくため、まず、都の様々な方針策定に影響のある審議会において、女性委員が一定割合以上となるクオータ制を導入するよう、かねてより私たちは提案をしてまいりました。
 今般、東京都は、東京都男女平等参画基本条例を改正し、取組を加速するとしていますが、これまでの女性活躍の取組成果を伺うとともに、今後の取組として、審議会委員の任用や都庁の管理職登用などによる率先行動と、民間事業者等における取組の推進をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 ジェンダーギャップレポート等を基にした内閣府による主要国の分析では、男女間に格差がないほど出生率が高い、管理職比率に差がないほど出生率が高い、男性の家事、育児等労働時間割合が高いほど出生率が高いといった相関関係が示されています。そうした観点からも、私たちはかねてより男性の育児休業の取得や家事、育児時間の男女間格差を是正する必要を指摘してまいりました。
 小池都知事は、隗より始めよで、自身を先頭に全ての管理職がイクボス宣言を行うなど意識改革を進めるとして、庁内の取組を加速してきました。また、直近では、社会の意識改革の一つとして、育児休業に代わる新たな愛称を募集しています。
 都庁は政策連携団体において取組を加速するとともに、民間企業における育児休業を推進する上で、特に鍵となる男性の育休取得をさらに進める取組が重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 子育てや教育などの公的負担、家族関係社会支出についても、OECD各国を比較すると日本は最低水準にあり、出生率との相関も指摘をされています。様々な支援策があるものの、実際には所得制限が設けられているため、中高所得者層にも子供を希望の人数持つことをちゅうちょさせています。所得制限を意識するがあまり、年間の総就労時間の抑制やキャリアアップの忌避につながるケースもあります。
 こうしたゆがみを是正するため、例えば、欧州の主要国では、児童手当等に所得制限を設けていませんが、国は本年十月より、児童手当を年収が一定以上の場合に支給しない制度に改正をします。世帯年収や資産の多寡など家計の実態を考慮しない制度は、多様な働き方や現代の家族形態に合わない、不公平感につながり、特に東京では大きなゆがみが生じることを強く懸念しています。
 東京都として、出生率二・〇七を目指していく上で、ゆがみを生じさせている子育て、教育の支援策の所得制限を廃して、あらゆる家庭で子供を希望の人数持てることを社会全体として推し進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 一昨年の私たちの提案により実現をした東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業について、都民の皆様から多くの感謝の声が届いています。十万円のサービスを提案した理由として、東京都内の出産費用が全国平均に比べ十万円以上高いという実態があり、育児費用も割高であることに鑑み、引き続き出産を希望する都民を力強く支援することが必要です。
 出生率二・〇七を目指す東京都として、出産、育児、教育の個人負担を大幅に軽減し、社会で子供を歓迎し、育てていくよう転換していくことは不可欠であります。都民から寄せられる声を踏まえ、来年度以降も継続をして、東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、出産、育児の準備に間に合うよう、適切な時期に出産応援事業を案内するなど、改善を求めますが、見解を伺います。
 私たちがかねてより強く訴えてきた、家庭のDXによる家事、育児負担を軽減していく視点は重要であります。それを受けて、都として、ママパパ応援事業において、家電等の家事支援用品の購入支援を新たに進めていることを大いに歓迎をいたします。一方で、改善点もあり、今後、さらなる制度充実が必要であります。
 産後の家事、育児支援や、家事支援用品の購入支援事業について、共働き家庭やゼロ歳児のいる家庭も含めるなど改善をすべきと考えますが、とうきょうママパパ応援事業を検証し、さらなる充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 妊婦が助産所で妊婦健康検査を受診した場合、東京都では妊婦健診受診票の直接使用ができず、償還払いになっています。一度健診費用を立替えた上で申請を行わなければならず、妊婦にとっては利便性が悪く、負担の一つとなっています。群馬県や埼玉県では、県が各県の助産師会と集団契約を結ぶことで、直接使用できており、参考とすべきです。
 また、そもそも受診券はいまだ紙で発行されており、携帯をしなければならず、紛失した際には、やむを得ない事情でない場合は再発行ができないことも課題です。デジタルを活用し、妊婦健診受診券の利便性を上げていくことも重要であります。
 東京都において、ICTを活用しながら、助産所での受診票の直接使用など、妊婦健診をスムーズに受診できる仕組みを導入し、妊婦の負担軽減を行うべきですが、見解を伺います。
 受験生チャレンジ支援貸付事業は、経済的に厳しい子供たちの学びやチャレンジを支える仕組みとして重要な施策です。将来を担う子供たちが希望する進路を選択できるよう支援することは、家庭の経済格差を子供の学力格差や将来の所得格差につなげないためにも極めて重要です。
 私たちが予算要望の最重点項目の一つとして求めてきた子供たちの学びを支える塾代支援について、都が今年度から収入要件を緩和し、対象世帯が三倍に増えたことを評価します。
 一方で、新たに対象となった子供たちや保護者情報が伝わっていないとの声も耳にします。塾代や受験料を前払いで利用できることを知らない保護者もおり、支援内容を適切に伝え、着実に負担を軽減することを求めます。
 受験生チャレンジ支援貸付事業について、進路指導などを行う学校現場を通じた周知を徹底し、また、学習塾の協力も得るなどして、子供たちと保護者に必要な支援を届けるべきですが、教育長に見解を伺います。
 主に低所得者世帯の生徒に対する東京都独自の支援制度として、給付型奨学金制度がありますが、執行率が低位にとどまっており、より活用しやすい制度とすることが必要であると、さきの予算特別委員会において私たちから指摘をしました。
 私たちの指摘に対して、対象とする経費の在り方を検討していくとの答弁がありましたが、早急に給付型奨学金の利用範囲を拡大し、活用を推進することで、生徒の多様なニーズにしっかりと応えていくべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、児童相談所の一時保護所の改善に向けて様々な形で提案を行ってきました。懲罰的に行われてきたとの指摘もあった入所時の頭髪の黒染めなどの個別指導の在り方の見直しも言及されており、非行児童を前提とした管理的、懲罰的な運営から、被虐待児童や様々な困難な家庭で育った児童を対象とした一時保護施設として、歴史的な転換期にあるといえます。
 この中で、一時保護所に入所する子供たちの通学の保証も重要な課題です。昨年度から、児童相談センターにおいて男子生徒の通学が実施をされたことは大きな前進です。一方、女子生徒においては、いまだ実績がありません。虐待などで家庭に居場所がない子供たちにとって、先生や友達のいる学校は居場所となっている場合も多く、既に他県の多くの児童相談所で子供たちの通学が可能になっていることから、都でも早急に対応を進めるべきです。
 そこで、一時保護所に入所する子供たちが、性別にかかわらず、できる限り学校に通えるよう丁寧なケースワークを行い、通学支援を加速すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、一時保護所、一時保護委託先の慢性的な不足も大きな課題であります。入所者数が定員の一五〇%、二〇〇%ともなっており、受入れ限度から、虐待などで警察の一時通告で保護しても、すぐに親元に戻されてしまうというケースも起きています。
 一時保護されなかったために、仕方なく家出をして繁華街を放浪し、泊め男といわれる大人に性搾取に遭ったり、特殊詐欺の末端に取り込まれるなど、子供たちが被害を受けるケースが多発しています。
 そこで、慢性的な一時保護所の受入れ先不足を解消するため、婦人保護施設の活用など、受入れ先を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、いわゆる監視的処遇として、不合理なルールがいまだに指摘をされており、今の一時保護所は子供たちが絶対に入りたくない施設ともなっていますが、安心して保護が受けられる施設となるよう、不合理なルールは見直しを求めます。
 子供や若者などのユース世代が、学校の性教育などだけでは対応し切れない、性や健康上の具体的な困り事などを幅広く相談、対応しているスウェーデンの事例を参考に、私たちは、東京版ユースクリニックの設置を提案してきました。
 設置に当たり、高校生や大学生などの若者に認知され、安心して利用ができる、利用したいと思ってもらえる場所づくりをすることがまず重要です。有識者の意見に加え、若者自身が場所づくりから主体的に関われるような工夫が必要です。
 さきの定例会における私たちの質問に対し、小池都知事から、若者が主体的に関わっていけるようにするとの強い答弁もありました。若者を検討過程に入れ、ユースクリニックの場所についても、若者が利用しやすい場所にするなど、意見を反映させて早期に実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年、鉄道内における刺傷や放火などの事件が多発し、改めて鉄道車両内の犯罪について課題が浮き彫りになりました。
 私たちは、ホームドアの開閉の問題に加えて、車内の防犯カメラについて、早期の設置拡大と運用改善を求めてきました。
 また、車内の防犯カメラの設置拡大は、刺傷放火事件等のみならず、痴漢などに対しても犯罪抑止につながるものであります。東京がジェンダーギャップをなくし、誰もが輝ける環境をつくっていく上でも、世界にも痴漢が多いと知られてしまっている状況も変えなければなりません。
 都営地下鉄が率先して、防犯カメラの設置拡大をはじめ、痴漢対策を含むセキュリティ対策を強化すべきですが、見解を伺います。
 都内におけるストーカー行為は、相談件数でいまだ毎年一千件を超えており、八割を女性が占めています。近年のGPS等の位置情報を利用した付きまとい行為等を防止することを目的に、昨年、ストーカー規制法の改正が行われました。
 法改正を受け、都は、迷惑防止条例を改正するとしておりますが、相談体制の強化やパトロール等の迅速な対応や個人情報保護のための支援措置の適切な実施、支援組織と連携したシェルターなどの一時避難等、ストーカー被害対策を関係機関と連携して一層強化すべきですが、警視総監の見解を伺います。
 東京都における介護業界の状況を見ると、深刻な人手不足の状況にあり、令和二年度の有効求人倍率は、全産業の一・一四に対して、介護関連は六・一五に上ります。特に、東京の地価等は高く、平均賃金も他県と比較して高いため、人材確保に苦労しています。二〇二五年には三万一千人の介護人材が不足する見込みであり、超高齢社会を迎える上で喫緊の課題であります。
 私たちは、都が実施をしてきた介護職員の宿舎借上げ支援は要件が厳しく、介護現場で働く職員の待遇改善に十分につながっていないことを指摘し、大幅拡充するよう予算要望の最重点項目として強く訴え、それを本年度予算で実現されたことを高く評価いたします。
 今回の拡充で、これまで施設に限られていた対象が、在宅サービスの事業所や居宅介護支援事業所に広がったところですが、現場の声を聞くと、十分に事業者や職員にまだ伝わっていないと感じられます。制度の拡充について広く周知を行い、より多くの介護現場で利用を進められるようにすることで、深刻な人手不足にある介護職の人材確保を進めていくべきですが、見解を伺います。
 また、デジタル技術を活用するなど、介護職の業務負担の軽減についても取組の強化が必要ですが、併せて見解を伺います。
 社会福祉施設等に対して行われている指導監査は、適切な福祉政策の実行に不可欠でありますが、一方で、行政と事業者の双方にとって負担が大きく、デジタル技術を活用することで負担軽減と監査の質の向上を図るべきですが、見解を伺います。
 私たちは、社会全体のデジタル化を牽引すると同時に、かねてより、シニア世代も含めたあらゆる都民の皆様がデジタル化の恩恵を享受できるよう、デジタルデバイド解消のための支援事業を提案してきました。
 提案を受け、都は昨年度には、スマートフォンの使い方講座や地域の町会、自治会活動のデジタル化支援、キャッシュレス決済の推進、デジタルプレミアム商品券の導入等、多くの取組を進めました。さらに今年度は、地域で活動するスマホサポーター事業を実施するとしています。
 こうしたデジタルデバイド対策において、都内大学生等を雇用し、若い世代を活用するとともに、例えば、学生が夏休みに入る期間を利用してスマホサポーター事業を先行実施するなど、取組の前倒しを図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、誰もががんにかかる可能性がある中で、有識者や患者団体等へのヒアリング等を重ね、がん検診など、がんの予防、AYA世代への支援強化や妊孕性の温存など、患者の年齢、性別、心身の状態等に応じた適切な医療や緩和ケアの提供、がん罹患後も就学、就労及び地域社会での生活ができる、がんとの共生等の施策を総合的かつ計画的に推進することをこれまでも強く求めてまいりました。
 東京都がん対策推進計画は六年ごとに改定しており、来年度が現行計画の最終年となりますが、次期計画の策定に向けて、これまでの取組の見直しや新たな課題に対する対応など、がんとの共生ができる社会づくりを進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 私たちは、誰もが自分らしく輝きながら生きられるインクルーシブな社会の実現を目指して、これまでも様々な取組を進めてきましたが、LGBTQ、性的マイノリティーの方々の我が国での生きにくさは依然深刻です。
 私たちは、差別を禁止する条例が必要だと都議会に求め、二〇一八年に人権尊重条例が施行されましたが、さらなる課題の解消に向けて、その後もパートナーシップ制度の導入を強く求めてきました。
 今定例会に東京都パートナーシップ宣誓制度案が条例改正案として提出されたことを高く評価します。
 今年四月には、東京レインボープライドに参加をし、多くの当事者の皆様とお話をさせていただきましたが、本制度が、当事者の生きにくさを徹底して東京から払拭をし、生きるための希望につながるという期待を強く感じました。
 制度の導入に加え、行政サービスを見直し、都職員の福利厚生の要件の見直し、お子さんのニーズも踏まえた性的マイノリティーカップルへの里親委託、保育所や学校への周知徹底など、多岐にわたって対応を進める必要があります。
 今後、東京都パートナーシップ宣誓制度を機に、都営住宅の入居条件など、東京都と政策連携団体等で実施できる取組の早期実現をしていくとともに、住宅や医療分野など、性的マイノリティーの方々の様々な生活上の課題が解決されるよう、市区町村や民間企業、首都圏での連携を、東京都が旗を振り推進していくべきですが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会から間もなく一年となります。特に、世界で初めてパラリンピックを二度開催した都市となった東京として、パラリンピックのレガシーを残していくことは重要です。
 障害者スポーツの世界大会は、主に身体障害者による競技大会であるパラリンピックだけではなく、聴覚障害、ろうの方のデフリンピックや知的障害のある方のスペシャルオリンピックスがあり、東京大会に続き、デフリンピックやスペシャルオリンピックスを開催していくことにより、理解の促進や、これらのスポーツに対する練習場所や競技の機会の確保についても一層推進すべきと考えます。
 また、デフリンピックが予定されている二〇二五年には世界陸上の開催が予定をされており、東京招致が実現すれば、東京二〇二〇大会のレガシーとなる大会にもなります。
 私たちがかねてデフリンピック東京開催を求めてまいりましたが、東京都として、二〇二五年デフリンピックの開催を検討するに当たっては、同年の世界陸上の開催と併せて、東京が目指す社会像を実現するための大会とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、レガシーを絶やすことなく、継続的にパラスポーツの環境整備や理解促進を進めていくため、パラスポーツの振興条例の制定を議員提案も含めて検討してまいります。
 私たちが推進してきたインクルーシブ公園は、現在、都立公園で砧公園と府中の森公園が開設をされ、大変人気のスポットとなっています。誰もが分け隔てなく遊べる場所として大きな関心が集まっており、全国各地から東京都への問合せや視察が来ており、多くの自治体で具体的な動きが出てきていると把握をしています。
 都は、区市町村のインクルーシブ公園の設置を推進するため、補助制度を整えるとともに、ガイドラインを作成し、都内でも、豊島区、渋谷区、品川区、国立市などで取組が進んでいます。
 そのほかにも、区市町村のインクルーシブ公園の機運が高まってきており、大いに歓迎すべきですが、一部の自治体では、担当者がカタログを見て、遊具を設置するだけで済ませようとしている事例も見受けられ、課題があります。
 本来、インクルーシブ公園をきっかけに、インクルーシブなコミュニティや社会が形成されることが重要であり、そのためには、計画立案段階から市民参加が不可欠です。都のガイドラインにも、計画段階から、想定される公園利用者、福祉の支援団体、周辺住民、学識経験者、公園管理者などによるワークショップの開催を検討することが望ましいと明記されておりますが、趣旨が理解されず、徹底されていないと見受けられます。
 計画段階から利用者や周辺住民等の関係者によるワークショップが開催されるなど、区市町村の公園においても、都のガイドラインの趣旨が適切に反映され、インクルーシブ公園がさらに普及促進するよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちの求めに応じ、今年度新たに、芸術文化魅力創出助成として、地域の活性化を目指すものなど、複数の芸術文化団体が連携して実施するイベントを支援するとしたことを評価します。今後、より利用しやすい仕組みとし、こうした支援を拡充していくことが重要です。
 今年度スタートした芸術文化魅力創出助成をはじめ、地域の芸術文化団体等の活動を支える幅広い支援を行っていくべきですが、見解を伺います。
 応募状況や期待される効果に鑑み、今後、芸術文化魅力創出助成の拡充や年度後半に向けた二次募集の機会を求めます。
 インターネットの新潮流、ウェブスリーの時代がやってきたといわれます。特に、ブロックチェーン技術を使い、デジタルデータを複製できなくさせたNFT、非代替性トークンの市場が全世界で急速に拡大し始めています。
 東京には、アニメやゲームなど、国際競争力を有する知的財産が集積していますが、一方で、今やスマホゲームやオンラインゲームなどで中国企業が市場を席巻しており、日本はeスポーツでも後進国になりつつあります。日本は成長産業を育ててこなかったともいわれておりますが、NFTビジネスやウェブスリーにおいて世界に後れを取ってはなりません。
 これまでも私たちは、ブロックチェーン技術を、暗号資産の領域のみでなく、非金融領域での活用を推進するために、この技術を活用した製品、サービスの開発などに取り組む中小企業やスタートアップ企業の支援をしていくよう提案してきましたが、NFTビジネスを東京の成長戦略にも位置づけるべきです。
 特に、音楽、ファッション、映画、アニメ、ゲームなど、クリエーターや起業者向けにNFTを使ったビジネスの相談窓口開設や、事業支援の検討が必要だと考えますが、見解を伺います。
 また、都が率先してロゴ等をNFTにしてみることや、デジタルに関する有識者会議をメタバース空間で開催してみるなど、象徴的な取組を進めることも、都がこうしたテクノロジーを後押しする強いメッセージとなることから、取組の検討を求めます。
 コロナ禍において、文化芸術やライブエンターテインメントの関係者は大きな打撃を受けています。私たちは、先月、ライブエンターテインメントを支える関係者の皆様から厳しい現状をお聞きしました。約六千億ともいわれるライブエンタメの産業は、飲食業や観光業など、関連産業に与える影響も大きい産業です。
 一方で、それらを支えるスタジオやライブ会場などは、コロナ禍において閉鎖が相次ぎ、今も負債を抱え、閉鎖の危機にさらされている事業者も多くいます。また、プレーヤーの多くはフリーランスであり、経済的に不安定な中で東京の文化発信を担っていただいています。
 今後も、他の事業形態に比べても、長くかつ深刻なコロナの影響を受け続けることが想定される中で、スタジオやライブ会場などの事業者やライブエンターテインメントの担い手に対して支援を講じ、さらに東京の産業として発展できるよう後押しをすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、さきの質問にもあるように、NFTやメタバースを活用したアートやイベントの取組は、産業振興と文化振興の両面で重要であり、関係局と連携して支援するよう求めます。
 私たちの提案を受け、都が多摩都市モノレールにおける子育て応援事業として、小児特別運賃の実施を開始したことを高く評価します。まずは早期実施と運用確認の側面もあり、百円の小児一日乗車券、たまモノこどもワンデーパスポートを五月に期間的に実施を行ったと理解しています。
 期間中には、都民の皆様から、子供を連れて気軽に出かけられたといった声が聞かれましたが、多摩都市モノレールにおける小児特別運賃の本格的な導入に向けて、夏以降の取組を進めていくべきです。あわせて、子育て応援車両を、多摩都市モノレールにおいても導入を進めるべきですが、知事に見解を伺います。
 コロナ禍を経て、自然豊かな郊外に住むことへのニーズも高まっていることを契機に、多摩都市モノレールの延伸を促進する面でも、沿線開発や多摩移住の促進、特に子育て世帯を引きつける取組を複合的に進め、多摩地域の振興を図るべきですが、知事の見解を伺います。
 移住、定住促進に当たり、特に島しょにおける教育機会の確保が重要であるが、移住、定住を希望する家庭の高校生が、島しょにある都立高校を受検しやすくするよう対応するべきですが、見解を伺います。
 また、多摩地域の振興において、空路を切り開いていくことも重要です。横田基地の軍民共用化も長年求めてまいりましたが、立川市に所在する陸上自衛隊立川駐屯地の滑走路の軍民共用化について、都として検討されることを強く申し上げておきます。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、海外から旅行客が一時的に激減しましたが、東京のさらなる成長には、インバウンドの需要の復活、さらに拡大させることで、活気ある東京を取り戻すことが不可欠であります。
 あわせて、空港アクセス強化も大きなテーマでありますが、とりわけ多くの旅客を一度に輸送できる鉄道アクセスの拡充が必要です。
 そこで、新空港線を含めた空港アクセスの充実に向けて取組を加速すべきですが、知事の見解を伺います。
 空港アクセス線の整備を経て、多摩地域と空港のアクセスについても改善が図られるよう求めます。
 首都直下地震等による東京都の被害想定を新たに改定し、先日公表されました。住宅の耐震化率が九二%となるなどにより、建物倒壊等による死者数の想定が、平成二十四年、前回の想定よりも約四割減少し、約六千百人となるなど、この間の様々な取組の成果が出てきたことを評価します。
 一方で、いまだ残る一九八一年までの旧耐震基準の未対応建設物を、建替え等を行うことでさらに六割、死者を減らせると想定されています。今から十年後の旧耐震基準が改定されて五十年目の節目となる二〇三一年をめどに、耐震化率一〇〇%とできるよう、建物所有者に対する取組などを強化すべきです。
 また、救出救助活動や帰宅困難者対策など、発災直後から数日間の初期対応の強化、エレベーターの閉じ込めの課題など、私たちが特に求めてきた避難所のスフィア基準などの環境や災害関連死への対応など、様々な新しい課題があります。
 今回、首都直下地震等に対する東京都の新たな被害想定を公表しましたが、新たな課題を含め、様々な観点から総点検し、対策を強化することで、都民の命と暮らしを守るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 地域の防災力の強化も重要です。私たちの求めにより、都が今年度、町会、自治会が行う防災の取組において、防災グッズを配布することを新たに支援することを評価いたします。
 新たな被害想定の公表の機会と捉え、地域防災力を一層高める取組を強化していくべきと考えますが、これも知事の見解を伺います。
 また、近年、気候変動に伴う豪雨に対して、水害対策は極めて重要であります。
 私も先般、東京消防庁と国立市、立川市、昭島市との多摩川での合同水防訓練を視察し、水害対策をさらに強化すべきことの必要性を改めて感じたところであります。
 そこで、近年激甚化する自然災害のうち、特に毎年全国各地で被害を及ぼしている風水害への備えを万全にすべきと考えますが、東京消防庁の取組を伺います。
 東京都は、ゼロエミッション東京の実現、二〇三〇年までのカーボンハーフの実現に向けた取組強化として、東京都環境基本計画の改定と並行して、環境確保条例の改正を進めています。中間報告では、特に新たな取組として、住宅供給事業者等に対して、新築住宅等に太陽光発電設備の設置を一定割合で義務化する方向性を示しています。
 二〇三〇年はもちろん、二〇五〇年代まで影響が残る建築物に対して対応を強化することは避けて通れませんが、一方で、かねてより指摘してきたとおり、義務化等の厳しいルールの制定においては、都民や事業者の負担を軽減する支援策がセットでなければいけません。
 東京都環境基本計画の改定、環境確保条例の改正に向けた中間報告を示している中で、新築建築物の供給事業者に対して、省エネ、再エネについて一定程度の義務を求めるのであれば、時を置かず、併せて十分な補助制度を設計して示すべきですが、知事の見解を伺います。
 また、一部では、都で検討している義務化制度について、切り取りや誤解があるようにも見受けられ、個々の新築住宅ではなく、供給事業者を通じて、導入可能な場所に太陽光を導入していくよう工夫した制度設計としていることを改めて丁寧に説明すべきですが、見解を伺います。
 一方、海外製の一部太陽光パネルの製造や原料調達において、環境破壊や人権侵害があるといったことも指摘されており、例えば、フランスでは、製造過程で温室効果ガスの排出量が少ない太陽光パネルを使用する事業者等に対して、インセンティブをつける仕組みを構築しています。また、事業者や所有者が責任を持って廃棄、リサイクルまで適切に行うことも必要となります。
 国産の太陽光パネルをはじめ、原料調達、製造段階から廃棄、リサイクルまでライフサイクルを通じて、環境、SDGsに優れた製品やサービスを後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 ZEVの普及に必要な充電設備において、私たちは、今年度導入された超急速充電器の設置費用補助や戸建て住宅における充電器の補助新設、また、都市開発諸制度を利用した大規模開発における充電器の設置義務台数の拡充などを求めてきました。また、コインパーキングなどの駐車場への設置も新たな補助としていくと聞いています。
 東京都公安委員会が道路上に指定している時間制限駐車区間、つまりパーキングメーターが設置されている場所になりますが、こうした道路上のパーキングメーター設置エリアにも充電器を設置し、ZEVの普及促進に貢献していくべきですが、見解を伺います。
 居住者の高齢化や車離れなどを背景に、都営住宅における駐車場が三割以上空いており、これは概算で二十万平米にも上ります。
 これまでもコインパーキングへの転換などに取り組んできたと理解をしておりますが、抜本的な改善には至っておりません。時代の変化に適切に対応し、都有財産を有効に活用する観点から、空き区画を居住者のみならず、地域で様々に活用できるよう、民間の創意工夫も生かして対応すべきです。
 カーシェアリングの拡大や、今後は、シェアサイクルや電動キックボードなどのポートとしての活用を進めることや、例えばキッチンカーやトレーラーハウスなどを利用した店舗や施設など、移動が可能な空間の活用も考えられます。
 都営住宅における未利用の駐車場区画を都民の貴重な財産であると改めて認識し、シェアリングポートの設置など、民間の創意工夫も生かして、未利用区画を減らすべきと考えますが、見解を伺います。
 今後、こうした新たな利用形態を進め、都有地、都有資産のワイズスペンディングの観点から、目標を定めて未利用区画の適正化に取り組むことを求めます。
 また、都営住宅の建て替えなどにおいて、附置義務等の運用により、新たに使われない駐車場区画が増えてしまうことのないよう、関係局や自治体と連携をして、地域の実情に合った駐車場設置としていくよう対応を求めます。
 今から遡ること六年弱、平成二十八年八月二日、小池百合子知事が知事として誕生しました。翌年、平成二十九年の東京都議会議員選挙で、私たち都民ファーストの会が多くの都民の皆様から信託をいただき、まさに小池都知事と都民ファーストの会が車の両輪で多くの共感を受けて、東京大改革を進めてまいりました。
 東京大改革が始まった平成二十八年を振り返れば、国内では、熊本の地震や九州での記録的大雨、そして、相模原市の障害者施設での痛ましい事件が発生したりしました。国外では、米国でのトランプ大統領の就任、イギリスのEU離脱、そして観測史上最高の世界平均気温の記録など、様々な面から今後の社会の在り方を問う事象が発生をしています。
 一方、都内に目を向けてみれば、災害リスクに恐々とする中で、多くの自治体に待機児童があふれ返り、依然として意思決定の場は男性で支配され、世界で進むデジタル化の気配は感じられないほど、世界に誇る首都東京として望ましい環境ではなかったことは間違いありません。
 このままではいけない、まさに改革、変革を待ち望む多くの都民に応えたのが小池都知事であり、都民ファーストの会であり、東京大改革であります。
 現在、都政が様々な危機に直面する中で、この東京大改革の意義を改めて振り返り、改革をさらに前に進めていくことが必要であります。これまでの東京大改革が東京に何をもたらしてきたのか、改めて伺います。
 まず、知事が都政の最重要課題として掲げた待機児童対策です。保育士の処遇改善をはじめ、都民ファーストの会の提案を着実に政策効果に結びつけてきました。
 改めて、待機児童の解消に向けて、都としてどのような取組を進めてきたのか。小池知事就任前と比べた予算措置の比較、この六年間の予算総額、そして、待機児童ゼロの自治体数がどのように変化したのか、定量的な観点も含め、待機児童対策から見る東京大改革の成果を伺います。
 また、未来をつくるという観点で、同じく都政の重要課題として掲げられるのが東京の安全・安心の確保に向けた取組です。
 さきの質問でも取り上げましたが、先日、被害想定見直しが発表されました。十年前の被害想定と比べて、死者数等の被害が三、四割減少したことが明らかになりました。これはまさに、都民の生活を守るセーフシティを目指す東京大改革の進捗の成果であります。
 小池都知事は、無電柱化の推進に向けた取組を国会時代から長く続けており、備えよ常にを座右の銘とされています。環境大臣、沖縄北方担当大臣に加え、防衛大臣などを歴任した、まさに命を守る専門家であります。
 この小池都知事の下、都の防災力強化のため、どのような取組を進めたのか。就任前と比べた予算措置の状況の比較、この六年間の予算総額といった定量的な観点も含め、防災の観点から見る東京大改革の成果を伺います。
 一方、都政運営全般を見れば、ただ予算をつぎ込めばよいというわけではなく、幅広い都の施策全体を安定的、計画的に推進できるだけの足腰の力、財政対応力が極めて重要です。積極的な施策展開に目を奪われがちではありますが、その実、小池都政では、ワイズスペンディングを旗印に、堅実な財政運営にも同時に目配せをしてきたことも高く評価すべきです。
 財政運営について、新規施策の構築に向けた財源確保策、そして都債の残高についても都民に分かりやすい形で示すなど、六年間の実績について伺います。
 最後に、ここまでの東京大改革が、東京、そして都民に何をもたらしてきたのか。就任から間もなく六年を迎えようとする今、東京大改革をさらに進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上、私たちは東京から日本を変える、まさに東京大改革から日本大改革へとつなげていく決意を申し上げまして、都民ファーストの会東京都議団を代表しての質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 荒木ちはる議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、補正予算についてであります。
 ウクライナ情勢の影響の長期化に伴う物価高騰や電力需給の逼迫など、都政を取り巻く様々な環境の変化から、都民生活や東京の経済を何としても守り抜いていかなければならない。
 また、新型コロナウイルス感染症につきましては、病床使用率や新規陽性者数は減少傾向にありますが、引き続き、感染状況を踏まえながら、万全の備えを講じていくことが重要であります。
 このような考えの下、必要な対策を取りまとめまして、総額四千二百八十三億円の補正予算を編成いたしました。
 具体的には、影響を受ける事業者向けの融資におきまして、新たに利子補給を行うとともに、専門家派遣や設備投資への助成など、金融と経営の両面から事業者支援を展開してまいります。
 また、都民の暮らしを守るため、キャッシュレスによるポイント還元など、区市町村と連携した生活応援事業に取り組んでまいります。
 あわせまして、HTT、電力を減らす、つくる、ためる観点から、省エネ、再エネに向けた施策を加速させてまいります。
 さらに、感染が再拡大した場合にも十分な対応が図れますよう、引き続き、検査体制や医療提供体制等の確保にも取り組んでまいります。
 同時に、ウクライナから避難された方々が安心して暮らすことができますよう、様々なニーズに応じまして、きめ細かな支援を行ってまいります。
 補正予算に盛り込んだこれらの施策を迅速かつ着実に実施することで、都民生活や都内経済をしっかりと支えてまいります。
 お尋ねのデジタル商品券についてであります。
 原油や資源価格の高騰により、電気、ガス料金や生活必需品が値上がりをして、都民生活が圧迫され、地域経済の活力も低下しております。
 こうした状況を踏まえまして、都民の生活を支えるために、緊急的な対策として東京都生活応援事業を実施いたします。
 キャッシュレスによるポイント還元などを行う区市町村への補助率を四分の三とし、取組を支援してまいります。
 各自治体の取組の支援に向けましては、キャッシュレスに取り組んだ区市町村の事例の紹介やデジタルを活用した実施方法を提案してまいります。
 区市町村に対してきめ細かな対応を行うことで、本事業の一層の活用を促しまして、都民生活の応援と地域の元気につなげてまいります。
 次に、都内や国内の生産品の購入促進についてのお尋ねがございました。
 ウクライナ情勢や円安による輸入品の供給不安、価格高騰が続いて、海外からの調達に頼る企業の経営に大きな影響が生じております。こうした中、国内や東京の優れた生産品を見直して、その調達や購入を後押しするということは重要であります。
 中小企業が部品や材料費の調達につきまして、外国から国内や東京の事業者に切り替えられますよう、専門家を活用して新たな取引先を紹介する取組を進めてまいります。これにより、生産された製品などがさらに国内のマーケットで販売できるように支援をいたしてまいります。
 このような支援によって、都内の企業が国内の生産品等を効果的に利用した事例のほか、我が国や東京の製品等の優れた品質や魅力をウェブサイトやSNSなどを通じまして幅広く紹介をしてまいります。
 私自身も、そうした国内の生産品のすばらしさを伝える取組の先頭に立ちまして、その利用を呼びかけるメッセージを発信してまいります。
 これらのキャンペーンを展開することで、我が国や東京が育んできたものづくりの力に光を当て、将来に向け持続的に発展できる基盤をつくり上げてまいります。
 次に、都市部における農業振興についてであります。
 農作物の生産を消費地に最も身近な場所で行う都市農業は、都民に新鮮な野菜を提供し、地産地消により脱炭素化にも貢献をしております。また、都市の農地は、ヒートアイランド現象の緩和や防災など、重要な役割を果たしております。
 農業の基盤である都市部の生産緑地を次の世代に確実に継承するサポートを速やかに進める必要もございます。区部の農業振興を図るため、消費者のニーズに合った農作物を効率よく生産するとともに、販売の促進につながるブランド化を後押しする視点も重要であります。
 今後は、個々の農家の状況を十分に把握しながら、農地の貸手と借手のマッチングを行うなど、生産緑地を守るためのサポートに一層力を入れてまいります。
 また、消費者の好みに合った味わいや、料理しやすい農作物を生み出す研究に加えまして、DXを活用した効率的な生産技術の開発に向けた取組の一層の充実を図ってまいります。さらに、販売の促進につながりますブランド戦略を提供して、農家の経営力を着実に高めてまいります。
 こうした取組を総合的に行う機能や体制を強化いたしまして、都市農業が未来に向けて発展できるよう、しっかりと支援を行ってまいります。
 水産業の振興でありますが、東京の水産業は、東京湾から伊豆・小笠原諸島に至る広大な海域で営まれ、新鮮で安全・安心な水産物の供給を通じまして、豊かで健康な都民の食生活を支えております。
 一方で、ウクライナ情勢などによる燃油価格の高騰は、漁船の操業や出荷の際の運送経費の増加によりまして、漁業者の経営に大きな影響を及ぼしており、こうした課題への迅速な対応は不可欠であります。
 漁業者の収入を支えるキンメダイ等の水揚げが伸び悩む中、新たな魚種を見出し、アワビなどの貝類を増やす工夫を後押しすることも大切です。SDGsの観点に立って、持続可能な水産業や海洋環境の保全に役立つ取組に力を入れてまいります。
 また、操業の効率化のため、DXの力を取り入れて、水産物のブランド化や子供たちへの食育により、魚の消費拡大につなげてまいります。これらの担い手となる漁業者の確保にも努めてまいります。
 そのため、各分野の第一線で活躍する専門家や有識者の意見を幅広く取り入れまして、効果的な施策づくりを速やかに行ってまいります。
 こうした取組を果敢に行って、東京の水産業の振興を確実に展開をしてまいります。
 続いて、林業であります。
 東京の森林は、木材を供給し、水源を涵養するほか、二酸化炭素の吸収を通じ環境負荷を減らすなど、豊かな都民生活を支える重要な役割を担っております。
 こうした貴重な森林を守り育て、木材の利用を図る林業の振興は、都政の重要な責務であります。現在のウッドショックは、輸入材から多摩産材に利用を切り替えるまたとない機会であり、この機を逃さず取組を強化しなければなりません。
 一方で、将来の発展の基盤づくりに向けまして、林業経営を行う会社の力を高め、木材の伐採や搬出の効率化に役立つ最新の機械の導入を後押しいたしまして、高度な技術を持つ担い手の育成を図ってまいります。多摩産材を使った中高層の木造建築物を増やす工夫を行います。
 今後は、各分野に詳しい専門家の意見も聞きながら、効果的な施策をつくり上げてまいります。こうした取組で木の都市東京を実現してまいります。
 次に、米粉の活用の推進についてであります。
 ウクライナ情勢の影響や北米での不作によりまして、輸入小麦の価格が高騰する中、その代わりとなる国産の米粉の活用を図ることは重要です。
 このため、都は、農業者の団体であるJAと協力し、日本有数の米どころ、新潟の米粉を使用したパンを作り、販売するキャンペーンを展開してまいります。
 また、都内におきましては、数多くのパン屋さんが米粉のパンを工夫して売り出し、店の魅力につなげています。こうした店舗をウェブサイトなどを通じて紹介をして、都民の身近な場から関心を高めてまいります。さらに、食をテーマとするイベントや車内広告などを活用して、米粉パンのよさを幅広く伝えてまいります。
 こうした取組により、東京で米粉の需要を喚起するムーブメントを起こし、米の消費と生産の好循環を生み出し、都民の食生活をしっかりと守り抜いてまいります。
 次に、ウクライナからの避難民の支援についてのお尋ねがございました。
 戦禍を逃れてきたウクライナの方々に、言語や文化の異なる東京で安心して暮らしていただきたい、こうした思いの下、東京は、いち早く相談窓口を設置いたしまして、一時滞在施設や都営住宅での受入れを行ってまいりました。
 一方、避難生活が長期化する中で、地域で自立して安定した日常生活を送るための様々なニーズが顕在化しております。
 こうしたニーズに対応するため、日本語学習をはじめ、様々な支援を行う各種支援団体とのマッチングや、ソーシャルファームなどを通じた就労の後押し、都営交通の運賃負担軽減などの対策を講じてまいります。また、都営住宅におけますWi-Fiの無償貸与や、光熱水費の全額支援等、きめ細かな支援を行ってまいります。
 全庁一丸となって取組を進めることはもとより、国や区市町村とも連携を図り、東京に避難された方々一人一人に寄り添ったサポートをしてまいります。
 次に、緊急一時避難施設のさらなる確保についてのお尋ねがございました。
 ロシアによるウクライナの首都キーウへの武力攻撃や北朝鮮による度重なるミサイル発射に対しまして、かつて防衛大臣を務めた私だけではございません、多くの都民の方々が強い危機感を抱いておられます。
 これまで都は、ミサイル攻撃の爆風等から被害を軽減するための緊急一時避難施設として、地下施設百八十八を含む約二千九百の施設を指定してまいりました。今般、地下駅舎等百九の施設を新たに指定をしたところであります。
 今後、さらなる確保に向けまして、都や区市町村の公立施設はもとより、民間企業にも働きかけまして、地下施設や堅牢な建物の指定を進めてまいります。
 指定に当たりましては、施設管理者に避難誘導や備蓄などを求めないという基本的考え方を示しまして、不安の払拭を図ってまいります。また、施設管理上の責任や補償等につきましても、全国知事会と連携をいたしまして、国に統一的な考え方を明示するよう求めてまいります。
 これらによりまして、緊急一時避難施設の指定をさらに進めて、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、感染症法の改正についてのお尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症との闘い、もう二年を超えます。そして、この間、都は、都民、事業者、医療従事者の皆様の多大な協力を得ながら、不断の見直しを重ねまして、都独自の取組を機動的に実施するなど、総力を挙げて対策を講じてまいりました。
 現在、病床使用率、そして重症病床使用率は大幅に減少しておりまして、新規の陽性者数も下降傾向にあり、今後も感染拡大を抑えていくためには、基本的な感染防止対策の徹底を図ることが重要でございます。
 また、感染拡大を防ぎつつ、社会経済活動をコロナ前の日常に戻していくためには、全数報告となっている患者等の届出や就業制限、コロナ診療を行う医療機関や病床の在り方など、現行の感染症法の分類を基にした取扱いにつきまして、状況に応じ、見直しを検討することが必要となっております。
 そのため、都は、東京iCDCなど専門家の知見を収集するとともに、国に対しては、ウイルスに対する科学的知見、治療法の開発状況、医療費の公費負担の取扱いなどを含めまして、法令に基づく措置の変更も含め、必要な対応を求めてまいります。
 ワクチン接種につながる、いわゆる都民割の実施についてでございます。
 長引くコロナ禍の影響で、観光産業は大変厳しい状況が続いてまいりました。現在、感染症のリバウンドを警戒する期間は終わりまして、基本的な感染防止対策を徹底しながら、観光の再開に向けた一歩を踏み出す時期となりました。
 感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図るため、ワクチンの接種をより一層促進することは重要であります。接種を終えた都民の方などが都内の身近な地域を観光できるよう、もっとTokyoで少しずつ後押しを進めてまいります。
 もっとTokyoは、ワクチンの三回目接種を受けた都民の方などを対象としてトライアルで実施をするとともに、十八歳までの高校生を含めた若い世代には、より手厚い支援を行うということで、接種の促進につながることも期待をいたしております。
 また、観光の業界団体や旅行会社等へ接種に向けた協力を依頼するほか、その必要性をメディアやSNSを活用して広く発信をいたしてまいります。
 こうした取組によって、若年層をはじめ、一人でも多くの方の接種が進むことで、安心して都内観光のできる環境が整う中、今後の本格的な観光振興を進めてまいります。
 次に、子供連れの旅行等に配慮した、いわゆる都民割についてでありますが、コロナ禍が続く中、都民の皆様は家族旅行を控えたり、とりわけ子供たちは、楽しみにしていた修学旅行や遠足が中止となるなど、やりきれない思いを抱えてこられました。
 そうした子供たちの気持ちに配慮の行き届いた支援を行うため、もっとTokyoのトライアル実施では、通常の宿泊費五千円の助成に上乗せを行う仕組みといたしまして、子連れの旅行などの後押しを行ってまいります。
 子供には千円の助成が加わることで、家族や友達同士で連れ立って旅行に出るきっかけとなることを期待いたしております。そうした観光を通じまして、子供たちが都内の様々な地域を訪れ、自然や文化、歴史に親しみ、地元の人々との交流を楽しんでいただきたいと思います。
 東京の未来を担うかけがえのない存在である子供たちに、旅での体験を通じまして、豊かな感性を養い、笑顔を取り戻してもらえるよう、全力でサポートしてまいります。
 次に、女性の活躍についてであります。
 いつの時代も未来を切り開くのは人であります。東京が持続可能な都市として進化し続けていくには、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会づくりが重要であります。
 知事就任以来、女性活躍の推進を都政の重要課題と位置づけてまいりました。そして、家庭と仕事の両立支援をはじめ、女性起業家の支援、企業などの先進的な取組の普及啓発、男性の家事、育児参画の促進など、幅広く取り組んで、男性の育休取得率は就任時から三倍以上となるなど、着実に成果を上げてまいりました。
 今後、さらに取組を加速させるため、審議会等の委員を男女いずれの性も四〇%以上とするクオータ制を導入いたしまして、政策決定過程に多様な価値観、発想を取り入れてまいります。
 また、都庁の女性管理職比率につきましては、令和七年の二五%を目標といたしまして、キャリアの形成支援や研修などの取組を拡充してまいります。
 民間事業者等に対しましては、女性の採用や育成に関する行動計画策定支援や女性従業員のスキルアップ、意識づけの強化など、具体的な取組を後押ししてまいります。
 こうした取組を重層的に進めて、女性をはじめ、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現を目指しまして、全力で取り組んでまいります。
 育児休業の推進に関してであります。
 育児休業を取得しやすい環境を整え、男女問わず、誰もが我が子と過ごす時間を大切にできる社会を実現することは重要です。
 都は今年度、男性育休の取得への理解を広げるため、優れた成果を上げた企業に登録マークを提供いたしまして、その事例を幅広く発信するキャンペーンを行います。
 専門家が会社に出向きアドバイスを行うほか、母親に引き続き父親が育休を取得する場合には、新たに助成金を提供いたしまして、男性の育休を後押ししてまいります。
 ちなみに、都庁におきましては、三千人を超える全管理職が、毎年自らの言葉でイクボス宣言を行って、男性職員の育休取得に向けた意識改革を進めております。
 今後、男性の育休取得率を令和七年度に五〇%とする目標の早期達成に向けまして、育児と仕事の両立支援の取組を加速してまいります。
 政策連携団体につきましても、男性職員の育休取得促進に向けまして、雇用環境の整備を促してまいります。
 そもそも、休むことを連想させる育休という言葉自体を変えていかなければなりません。このため、育休のイメージを一新する愛称を今月中に決定をいたしまして、社会のマインドチェンジを促してまいります。
 働くママ、パパ、誰もが育児休業等の制度を当たり前のように利用して、子供を育む活動として応援し合える社会を官民一体となって実現してまいります。
 子育て、教育支援策についてであります。
 そもそも人口問題は国家の根幹に関わる課題でありまして、少子化からの転換は待ったなしといえます。誰もが子供を産み育てやすい環境を整えるということは、少子化に直面する東京、ひいては日本の明るい未来を実現するために重要であります。
 結婚や出産、子育てだけではなく、教育や働き方、社会の意識、家族構成などにも目配りをして、時代に合った支援をあらゆる側面から講じていかなければなりません。
 施策における対象範囲の設定に当たりましては、それぞれの施策の目的などを踏まえて適切に判断されるべきものでございます。
 今後とも、子供を産み育てやすい社会の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 東京都出産応援事業についてであります。
 都は、コロナ禍で不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しをするため、令和三年度から二か年の事業として、東京都出産応援事業を実施しております。
 これまでに約十一万九千世帯に案内を送付して、お掃除ロボットや空気清浄機、ミルクやだっこひもなど、育児に関わる様々な品物をご利用いただいております。
 都民からは、コロナ禍で出産を控えていたが、この事業を知って出産に前向きになった、第三子の出産も考えたいと思ったなど、数多くの感謝の声もいただいております。
 現在、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化やウクライナ危機を発端とする物価高騰など、子供と子育て家庭を取り巻く環境というのは厳しさを増しているところでございます。
 こうした中にありましても、子供を持ちたいと願う方々に、引き続き必要な支援をしていくことによって、誰もが安心して子供を産み育てられる社会の実現を目指してまいります。
 次に、デジタルデバイド対策についてのお尋ねでございます。
 日常生活のあらゆる分野において、デジタル化が加速度的に進展をしております。
 こうした中で、誰もがその恩恵を享受できる社会を実現するためには、若者の力も活用して、デジタルに不慣れな高齢者が身近な場所で学べる環境を整える必要がございます。
 都は今年度、区市町村等と連携したスマホ教室や相談会を大幅に拡充するほか、地域社会で支え合う新たな仕組みとして、TOKYOスマホサポーター制度を立ち上げます。
 七月から、講師の経験などを有する方にサポーターとして先行的に活動していただきます。
 また、夏休み期間中に開催するスマホ相談会では、デジタルネーティブ世代である学生などを有償スタッフとして活用して、そこで得られた意見や気づきをサポーターの育成プログラムや活動の場づくりに生かしてまいります。
 NPOや地域団体に加えまして、学生、元気な高齢者などにご参画いただいて、幅広い世代の交流につなげるとともに、誰一人取り残されないデジタル社会を実現してまいります。
 続いて、がんとの共生についてのお尋ねについてでございます。
 都は、都民ががんになっても自分らしく生きることができますよう、東京都がん対策推進計画に基づいて、専門家や患者の皆様のご意見を伺いながら、様々な施策を展開いたしております。
 具体的には、生殖機能温存治療などAYA世代のがん患者に対する支援や、中小企業向けセミナーなど働く世代の治療と仕事の両立支援、患者が住み慣れた地域で安心して緩和ケアを受けられる体制の構築などを進めております。
 また、予防や早期発見に関する知識も含めまして、がんに関する正しい理解が進みますよう、がんの教育や健康教育に取り組むほか、検診の重要性についても普及啓発してまいります。
 今後、さらなる施策の推進に向けましては、患者のライフステージに応じたニーズをきめ細かく把握するとともに、企業や患者団体等とも連携を深めながら、がん患者が尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会を実現してまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてでございます。
 ダイバーシティ東京を実現するためには、多様な性に関する都民の理解を促進するとともに、性的マイノリティー当事者の方々が抱えておられる様々な生活上の困り事の軽減を図っていくことが重要であります。
 そのため、都におきましては、制度の開始に合わせて都営住宅等に新たに入居が可能となりますように、本定例会に条例改正案を提案するとともに、様々な分野の行政サービスが活用できるように取り組んでまいります。
 また、制度を導入している都内自治体とは、証明書の相互活用を図ってまいります。未導入の自治体には、都の証明書を活用して行政サービスが提供されますように働きかけていくとともに、首都圏自治体とも、証明書のより有効な活用に向けまして情報交換を行ってまいります。
 さらに、住宅や医療分野をはじめとする様々なサービスが展開されますよう、政策連携団体はもとより、経済団体等と連携して、民間事業者にも協力を呼びかけてまいります。
 こうした取組を通じて、誰もが生き生きと活躍することができる共生社会を実現してまいります。
 次に、デフリンピックと世界陸上についてのご質問がございました。
 東京二〇二〇大会を契機として、東京は、共生社会への大きな一歩を踏み出しました。大会のレガシーを引き継ぎ、未来を切り開く取組を加速させ、成長と成熟が両立した持続可能な都市を実現していくことが重要であります。
 デフリンピックが開催されることとなれば、ITやAIなどのデジタル技術を活用して、物理的、心理的なバリアを取り除き、誰とでもスムーズなコミュニケーションができる社会の創出へとつなげることができます。
 また、世界陸上も、東京で開催されることとなりましたら、都民のスポーツへの関心を一段と喚起をして、体力の向上や健康増進への意識が高まり、健康長寿の実現につながってまいります。
 両大会の開催に当たりましては、国や競技団体など様々な関係者の協力が不可欠でございます。
 都としても、招致主体となる団体を、関係者と密に連携しながら積極的に応援をしてまいります。
 都民一人一人が生き生きと輝く東京を実現するため、今後も様々なスポーツが社会に根づきますよう、取り組んでまいります。
 たまモノ子育て応援事業についてのご質問がございました。
 多摩地域は、緑豊かな自然、多様な産業の集積など、バランスの取れた暮らしやすいまちであって、その特性を生かし、子供の笑顔と子供を産み育てたい人であふれる地域にすることが不可欠であります。
 子育てする世帯の支援策の一つとして、多摩都市モノレールにおきまして、ゴールデンウイークを中心に小児一日乗車券を百円で販売したところ、利用者からは、これをきっかけに初めて乗車し、多摩地域の新しい魅力を発見したなどとの声がございました。
 次回は、夏休み期間を中心として、七月の中旬から約二か月半実施をするとともに、子供が多く利用する眺めのいい先頭車両の座席付近に子育て応援シートを設置するなど、支援策の充実を図ってまいります。
 こうした取組を引き続き推進するとともに、アンケート調査結果や利用実態などから政策効果を分析しまして、将来の小児運賃の在り方などについて、運営会社等と協議をしてまいります。
 同じく、多摩地域の振興についてでありますが、多摩地域は、緑豊かな自然、都心へのアクセスのよさ、企業や大学の集積など、多様な魅力やポテンシャルを有しております。
 コロナ禍による新しい働き方、暮らし方の浸透は、多摩地域がより一層発展する機会でもございます。こうしたことから、職住近接で、働き暮らせる環境の整備など、多摩地域だからこそ輝く取組を展開してまいります。
 また、教育環境の充実、交通ネットワークの強化、地域の特性を踏まえたまちづくりなどを進めてまいります。
 こうして磨き上げた魅力あふれる多摩地域に多くの人を引きつけるため、都では先月、有楽町に東京多摩島しょ移住定住相談窓口を開設いたしました。この相談窓口を活用して、子育て世帯をはじめとする方々に対しまして、地域の魅力や支援制度の紹介を行うなど、市町村への橋渡しを行ってまいります。
 また、関係各局による横断的な庁内プロジェクトチームを設置いたしまして、移住、定住促進のさらなる支援策を検討してまいります。
 これらの取組を着実に進めることによって、にぎわいと活力に満ちあふれた多摩をつくり上げてまいります。
 次に、空港への鉄道アクセスの充実についてであります。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限に発揮させるため、そのためには、鉄道によるアクセスの充実を図ることが重要です。
 国の答申では、空港アクセスの向上に資するプロジェクトといたしまして、新空港線や羽田空港アクセス線などが示されております。
 新空港線は、先日、私と大田区長との間で、課題とされていた事業費の地方負担につきまして、都がその三割を負担することなどを合意いたしまして、今後、区が中心となり、事業化に取り組むこととしております。
 また、羽田空港アクセス線は、田町駅付近から羽田空港へと向かうルートについて、JR東日本が、二〇二九年度の運行開始を目指しまして、工事着手に向けた手続を進めています。
 大井町駅付近や東京テレポート駅と羽田空港を結ぶそれぞれのルートにつきましては、事業スキームの構築に向けました、国やJR東日本などの協議、調整を進めてまいります。
 こうした路線の整備を進めまして、東京の国際競争力のさらなる強化につなげてまいります。
 新たな被害想定を踏まえた今後の防災対策の強化についてのご質問です。
 都は、阪神・淡路や東日本大震災を教訓に、耐震化や不燃化などのあらゆる対策を強力に推進をしており、今回の被害想定では、十年前と比較して、人的、物的被害が三割から四割程度減少することとなりました。
 一方、マンション居住者の増加に伴うエレベーター内の閉じ込めや、避難の長期化による震災関連死の懸念といった様々なリスクが顕在化しております。
 こうしたリスクに的確に対応し、さらなる人的、物的被害の軽減に向けまして、地域防災計画を改定いたします。
 改定に当たりましては、ハード、ソフトの両面からこれまでの取組を検証して、その成果や課題を踏まえて、より実効性の高い施策を構築してまいります。
 また、発災時には、都や区市町村、関係防災機関が有機的に連携できますよう、各主体の取組や役割を地域防災計画において明確にいたします。
 こうした取組によって、都の防災対策をバージョンアップしてまいります。
 地域防災力の強化についてであります。
 阪神・淡路大震災では、多くの方々が近隣住民によって救出されるなど、地域における助け合いの重要性が改めて認識されました。一方で、新たな被害想定では、住民同士のつながりが希薄なことで助け合いが進まず、救助活動が遅れる可能性があるなど、地域における災害時の課題が浮き彫りとなっております。
 このため、都は、今後、新たな被害想定を基に、地域の住民が発災後の状況をイメージしながら、救出救助や避難所支援などの防災活動につきまして具体的に検討できるセミナーを開催いたします。
 また、共助の中核であります町会、自治会が、被害想定などの状況提供と併せまして、防寒アルミシートや携帯トイレなどの防災グッズを配布する取組を支援してまいります。
 これらにより、地域における防災意識を一層高め、防災力のさらなる向上を図ってまいります。
 新築住宅等への太陽光発電の設置義務化に合わせた支援についてでございます。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けましては、今後数十年にわたって使用される新築建築物のゼロエミッション化が急務であります。
 世界は今、ウクライナ情勢等の影響によるエネルギー危機に直面をしており、先月、EUは、カリフォルニア州やニューヨーク市等に続きまして、新築住宅等に太陽光発電の設置を義務づける、脱炭素化に向けたさらに強力な道筋を示したところであります。こうした世界の趨勢に危機感を持って行動を加速すべきときであります。
 都が現在検討している制度は、個人ではなく、事業者を義務の対象としておりまして、審議会からは、この制度を高く評価するとともに、都民に分かりやすく説明すべきとの意見もいただいております。
 これまで都民に対しましては、東京ゼロエミ住宅等におきまして、太陽光発電設備への補助を拡充してまいりました。
 今後、より実効性のある制度とするため、専門家の意見を伺いながら丁寧に検討し、必要な支援等につなげてまいります。
 こうした取組によって、都民や事業者の理解と共感を得られる制度構築を進めてまいります。
 東京大改革について、まず、待機児童の対策についてのご質問です。
 私は、就任直後から待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、保育所等の整備の促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱に保育サービスを拡充してまいりました。
 予算面で申し上げますと、平成二十八年度当初には九百七十八億円だった保育関連予算が、今年度は千九百六十三億円と倍増しておりまして、累計にしますと約一兆七百億円を措置いたしております。
 こうした取組の結果、平成二十八年度時点で八千四百六十六人を数えました待機児童は、九割以上減少し、直近で三百人程度となる見込みとなっております。また、待機児童ゼロの自治体数は、平成二十八年の十三から、令和三年には二十六となりました。
 今後、これまでに整備したサービス基盤も活用し、区市町村や保育事業者の皆様と連携しながら、子供と、そして子育て家庭を支援するため、多様な保育サービスの充実に積極的に取り組んでまいります。
 また、東京大改革の六年間の防災対策についてのお尋ねがございました。
 防災は、都民のあらゆる活動、東京の成長の大前提でありまして、セーフシティの実現は東京の未来を左右する重要課題であります。
 このため、私は就任以来、災害に強い都市づくりに全力で取り組んでまいりました。
 例えば、無電柱化の施策を防災の観点から捉え直し、都道府県で初めてとなる推進条例を制定するなど、取組を加速化した結果、都道のセンター・コア・エリアの九九%にまで整備が進んでおります。
 また、近年の集中豪雨への対策として、区部で時間七十五ミリ、多摩では時間六十五ミリの降雨に対応できるよう、地下調節池の整備を計画的に進めております。
 これらの取組を含めまして、防災対策を強化するため、平成二十八年度時点で約七千二百億円だった予算を、今年度には約八千七百億円まで増やしまして、六年間の累積では五兆円を超える防災関連予算を措置してきたところであります。
 今後も、世界一安全な都市東京の実現を目指して、都市強靱化プロジェクトをはじめとした様々な防災対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、財政運営についてでございます。
 都政を取り巻く喫緊の課題への対応を図りながら、将来を見据え、戦略的に施策を展開するためには、財政対応力を強化いたし、健全な財政基盤を構築することが不可欠であります。
 そのため、事業評価におきましては、全ての事業に終期を設定いたしまして、事業の検証を徹底してまいりました。さらに、政策評価との一体的実施によりまして、成果重視の評価を進め、これまでの六年間で約五千八百億円の財源確保を実現して、新規事業の構築につなげてまいりました。
 また、都債、都の債券につきましては、将来世代の負担も考慮し、戦略的に発行することで、都民一人当たりの残高は、平成二十八年度予算の約四十三万円から、令和四年度末は約三十六万円へ減少する見込みでございます。
 加えまして、財政環境の変化にも対応し得るよう、財政調整基金などの基金の確保に努めてきた結果、コロナ禍の中でも機動的かつ積極的な対策を講じることができたところであります。
 こうして培った財政対応力を十二分に活用しながら、今後とも都政に課された使命を確実に果たし、都民の負託に応えてまいります。
 東京大改革の取組と成果について、最後にご質問がございました。
 私は、東京都知事に就任して初めての所信表明におきまして、今の都民のために、そして、まだ見ぬ百年後の都民のために働く、都民が希望を持てる都政を展開するとの決意を語ったところでございます。
 この思いは、いささかも揺らぐことはございません。まさに都民ファーストの視点から、この六年弱、東京大改革を全身全霊で推し進めてきたところであります。その足跡は、大都市東京が見違えるように成長してきた軌跡そのものと存じます。
 誰もが輝く社会の実現という観点では、先ほど申し上げました待機児童解消の取組にとどまることではなく、女性の就業率については、五二・六%から五七・九%に上昇、一桁台だったテレワークの実施率は、昨年には最大六五%に到達、百歳大学東京プレミアム・カレッジの開設、高齢者の安全運転装置設備補助といった取組も——急発進しないようにする、これも実施をいたしました。
 また、先ほどの防災で触れました自然災害の背景たる気候変動への危機感を胸にいたしまして、自治体で初めてグリーンボンドを発行、現在進行形で乗用車の非ガソリン化や太陽光発電設備の設置義務化といった先進的な施策を進めております。
 世界のデジタルの波に乗り遅れてはならない。そのため、宮坂学氏を副知事に招聘いたしまして、先鋭的なデジタル戦略を構築いたしております。これを機に、西新宿を皮切りとした都内のDX化、都庁のデジタルガバメント化などを進めております。
 そして、受動喫煙防止条例、人権尊重条例、ソーシャルファーム条例など、都民に寄り添いながら、時代の潮流を踏まえた様々な条例の制定も実現をしてまいりました。
 新型コロナウイルスのみならず、原油、原材料等の高騰、エネルギーリスク、円安など、今、都政は数々の危機に直面をいたしております。ちなみに、今日は一ドル百三十二円の円安、このように聞いております。
 ここで立ち止まるわけにはまいりません。都民の命、そして東京の経済を守り、明るい未来を切り開くべく、これまで以上に強力に東京大改革を推し進めてまいる所存でございます。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 関係機関と連携したストーカーの被害対策についてでございますが、警視庁では、警視庁ホームページやリーフレット等の媒体を通じ、各種相談窓口や被害防止対策等について周知を図っております。
 また、ストーカーに関する相談等を受理した場合には、被害者等の安全確保を最優先とした保護対策を迅速に実施するとともに、区市町村が行う住民基本台帳の閲覧等に係る支援措置への対応、宿泊施設への一時避難や転居に伴う費用の一部の公費支出など、関係機関と連携した支援を充実強化しております。
 さらに、加害者対策につきましては、あらゆる法令を駆使した加害者の検挙活動を徹底するとともに、医療機関と連携した再犯防止のための取組も強化しております。
 警視庁といたしましては、関係機関等と密接に連携し、これらの取組を進めていくことにより、都民の安全・安心の確保にさらに万全を期してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症の後遺症への対応についてでございますが、都教育委員会は、都立学校に対して、本年四月以降、校長会等様々な機会において、後遺症を含む新型コロナウイルス感染症に関連して登校できない場合は、出席を要しない日と扱うことができることや、学びの保障を図るため、オンライン等を有効に活用することなどについて周知いたしました。また、区市町村教育委員会に対しても同様の内容を通知いたしました。
 後遺症につきましては、解明されていないことも多いため、今後、感染症等のやむを得ない理由で登校できない子供について、都立学校や区市町村教育委員会と情報を共有しながら、個々の状態に応じた適切な配慮がなされるよう、より一層働きかけてまいります。
 次に、受験生チャレンジ支援貸付事業の周知についてでございますが、これまで都教育委員会は、本事業について福祉保健局と連携し、都立高校等の校長連絡会や区市町村教育委員会への案内文書の送付を通じて、生徒への周知を働きかけてまいりました。
 今年度は、これに加えて、都立高校の全ての二、三年生に案内を配布するほか、都立高校の合同説明会においても、参加した中学校の生徒や保護者に対して周知を図ってまいります。また、公立中学校の全ての二、三年生に対しても、進路等に関する面談時等を通じ案内するなど、様々な機会を捉えて直接周知をしてまいります。さらに、学習塾にも生徒への周知を働きかけてまいります。
 子供たちが、家庭の経済状況等にかかわらず希望する進路を選択できるよう、各学校や区市町村教育委員会とも連携し、本事業の一層の活用に向けて取り組んでまいります。
 次に、給付型奨学金の活用についてでございますが、家庭の経済状況にかかわらず、都立高校に通う生徒が主体的に教育活動に参加できるよう、必要な経費に奨学金が十分に活用されることが重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、模擬試験や各種検定試験の受講料のほか、TOKYO GLOBAL GATEWAYの利用料など、学力向上に係る経費等を給付型奨学金の対象とし、支援をしてまいりました。また、今年度からは、一人一台端末の購入費を支援対象に追加いたしました。
 今後は、厳しい環境に置かれている低所得者世帯の生徒の多様な教育ニーズに十分対応するため、修学旅行や校外学習の経費に対する支援を拡充し、生徒、保護者へのさらなる周知を図ることにより、奨学金の活用を促進してまいります。
 次に、島しょ地域の都立高校の受検についてでございますが、都教育委員会はこれまで、島しょ以外の地域から島しょにある都立高校を受検する際の応募資格として、介護や病気療養等の特別な事情がある場合を除いては、父母と共に転居し、入学後も父母と同居することを要件としてまいりました。
 今後、島しょ地域への移住、定住を希望する家庭の幅広いニーズに対応するため、父母のどちらか一方と転居し、同居することで応募資格を満たせるよう、要件の緩和に向けた検討を行います。
 あわせて、転居に伴う都立高校の受検の応募資格について、都立高校合同説明会や都の移住定住相談窓口等を通じて十分に周知してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) インクルーシブな公園の普及促進についてでございますが、区市町村が管理する身近な公園において、誰もが安心して楽しめる遊具広場を整備していくことは重要でございます。
 昨年度、都は、整備費用の補助を開始するとともに、整備や管理運営に関するガイドラインを提供しておりまして、整備された公園は幅広く子供たちに利用されております。
 さらなる整備を加速するため、今年度は、区市町村の担当者が一堂に会し、都立公園の遊具に実際に見て触れて、管理運営のノウハウの共有等、理解を深める機会を設けます。加えて、整備に当たっての地域コミュニティの参画を促すため、ワークショップの実施事例をガイドラインに追加してまいります。
 今後、区市町村との一層の連携を図りながら、インクルーシブな社会の実現に向けた取組を推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 原油価格の高騰等への対応についてですが、中小の運輸業や冷凍設備を持つ食品関連業は、原油価格の高騰などが続き、経営に大きな影響が生じており、それら事業者への一層の支援が必要でございます。
 これまで都は、運輸業等の会社に省エネに詳しい専門家を派遣し、営業所で使う電気などのエネルギーを減らす助言と、その実現に必要な経費に助成を行ってまいりました。
 今後は、これらに加え、運送業務や冷凍保存などで使うエネルギーのコスト削減につながる工夫や機器導入の後押しを行います。
 具体的には、車両に風の抵抗を減らす導風板を取り付け、燃費を改善する取組や、省エネ効率の高い冷凍庫の導入等に必要な経費の五分の四に対し、新たに助成を行います。
 これらによりまして、中小企業の効率的な経営の実現をサポートしてまいります。
 次に、円安を活用した輸出の取組についてでございますが、円安で製品の価格面の競争力が高まる中、中小企業が輸出を効果的に進める取組を支援することは重要でございます。
 このため、都は、金融機関と協力し、中小企業による輸出促進に役立つ情報提供を行います。また、商社OBなどの専門家を派遣し、海外の取引先を紹介するほか、輸出手続に必要な実務のサポートなどを実施いたします。
 さらに、輸出品の代金の回収に役立つ貿易保険について、その保険料負担を軽減する新たな助成制度を開始いたします。
 これらに加えまして、会社の情報を英語でウェブサイトやSNSにより宣伝できるよう、アドバイザーが支援を行うほか、外国語による発信を強化し、越境ECを活用した販路開拓に向けたサポートを行います。
 これらによりまして、中小企業の輸出を着実に後押しをしてまいります。
 次に、地域の実情に応じた農業振興についてでございますが、ウクライナ情勢などによりまして、ビニールハウスの資材等が高騰し、農業経営に厳しさが増す中、地域の特性に応じて生産効率を高める工夫を行うことは重要でございます。
 これまで都は、山間部の傾斜地や島しょ部の厳しい自然環境での生産を下支えするため、農作物の運搬機器や強風に耐える丈夫な施設の整備などを支援してまいりました。今後は、野菜の効率的な選別や、生乳の乳製品への加工ができる設備の導入などの支援を進めます。
 また、新たに、都市部の農家が収穫した野菜の出荷作業を効率化する設備や無人販売機などを導入する取組に支援を行います。さらに、各エリアに経営の専門家を派遣し、設備を導入する計画づくりから、事後のサポートまでをきめ細かく支援をいたします。
 これらによりまして、東京農業の振興を迅速に進めてまいります。
 次に、離職者の早期再就職に向けた支援についてですが、長期にわたるコロナ禍にウクライナ情勢の影響が加わる中、離職を余儀なくされた方々が、求人の多い業種へ早期に就職できるよう支援することは重要でございます。
 このため、都は、成長産業分野等への就職を後押しするため、eラーニングによる二か月間の資格取得訓練を行い、試験直前には、合宿により集中的な指導を行う仕組みを組み合わせ、早期の資格取得につなげてまいります。
 また、デジタル業界向けの就職面接会を年三回行うほか、業態の転換や事業拡大を目指す企業などを対象に求人を開拓し、マッチングにつなげる大規模な面接会を新たに開催いたします。
 こうした取組によりまして、離職者の早期の再就職を後押ししてまいります。
 次に、女性の再就職支援の強化についてですが、コロナ禍などで離職した女性が早期に再就職できるよう、様々な相談に対応し、就職活動に必要な情報の提供やスキルアップに向けた支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、離職中の女性を対象とする就職相談会やセミナーを都内五十か所で開催いたします。
 また、ひとり親の女性等に対し、パソコンや通信機器を無料で貸し出し、デジタルスキルを学ぶeラーニング訓練や求人企業の紹介を行うなど、オンラインを活用し、就職活動を支援いたします。
 さらに、関係局と連携を深め、子育てを含めた生活面の支援に関するサイトやSNSで新たに情報発信を行うとともに、区市町村の窓口などを通じ周知をいたします。
 こうした取組によりまして、女性の早期の再就職を、関係機関と連携し、適切に後押しをしてまいります。
 次に、NFTを使用する事業者への支援についてでございますが、NFTは、音楽やアニメ分野のデジタル作品の作成者を明確にし、無断での複製利用等を防ぐことができ、デジタルによる事業展開にとって重要な技術でございます。
 このため、都は、創業支援施設におきまして、NFTを用いたビジネスを目指すスタートアップを対象にセミナーを開催するとともに、施設に入居する音楽関連の起業家とNFTの事業者とのマッチングを行うなどの支援を実施しております。
 今後は、音楽やアニメなどのコンテンツ産業の事業者等に対して、NFTに関する最新の情報を提供するとともに、新たな事業展開に向けた相談対応を行います。
 こうした取組を通じまして、NFTの活用を目指す中小企業を後押ししてまいります。
 最後に、ライブ会場の運営事業者等への支援についてでございますが、音楽のライブ会場の運営事業者やアーティストなどは、東京の魅力と稼ぐ力を高める重要な存在でございまして、コロナ禍によりその活動に大きな影響が生じる中、適切にサポートを行うことが必要でございます。
 都は今年度より、ライブでの音楽などを含めた幅広い芸術文化活動を担う団体への助成を開始しております。ライブ会場や劇場を運営する中小の事業者等の資金繰りを支えるため、今回の補正予算で、制度融資のメニューの充実を図ります。
 また、ホール等の施設で感染症対策を効果的に推進できるよう、換気設備の導入などを進める場合の助成規模を増やし、受付期間も延長いたします。
 今後、感染症の状況や事業者等のニーズを踏まえながら、産業と文化の両面から支援を検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京空襲関連資料の活用についてでございます。
 都民の平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないためにも、都が保有している空襲関連資料の活用を図ることは重要でございます。
 現在保有している資料は、収集時から適切に管理してまいりましたが、デジタル技術の進展を踏まえ、確実に次代に継承していくために、資料や証言映像のデジタル化を図ることといたしました。
 デジタル化することで、長期保存とともに、より多くの方々に見ていただくことが可能になること等を踏まえ、東京空襲資料展などにおける活用について、今後検討してまいります。
 次に、地域の芸術文化振興についてでございます。
 都は、コロナ禍にあっても、芸術文化団体等の協力を得て、様々な文化事業を実施するとともに、助成事業によって民間の活動を支援してまいりました。
 さらに、多くの芸術文化団体等の活動の後押しができるよう、地域の活性化や、インクルージョン・アンド・サステーナビリティーなどをテーマとした伝統芸能や音楽、演劇、ライブエンターテインメントなどの様々な分野を対象に、芸術文化魅力創出助成を今年度新たに開始し、想定を超える応募をいただいております。
 芸術文化団体の意見や提案も踏まえながら、幅広いジャンルを対象に助成等を行い、多様な地域の芸術文化団体の活動を後押しし、都市の魅力向上につなげてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 経口薬の承認審査と供給体制等に関するご質問にお答え申し上げます。
 医薬品の承認過程におきまして、候補薬の有効性や安全性を確認する治験は、新たな医薬品の開発にとって必要不可欠な手続でございます。都は、公的な役割として、宿泊療養施設等を経口薬の治験の実施場所として提供するなど、円滑な実施に向け支援をしてまいりました。
 また、経口薬を必要とする都民に速やかに投与できるよう、東京都医師会、東京都薬剤師会等と連携をいたしまして、供給体制を都内全域に構築してまいりました。
 国に対しましては、医療機関及び薬局における経口薬の在庫上限の緩和など、より柔軟な流通体制の構築を引き続き求めるとともに、関係機関と緊密に連携し、経口薬を迅速かつ確実に提供できる体制を整えてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都出産応援事業の案内についてでございます。
 都は、区市町村の窓口や都内五百か所以上の産科医療機関等を通じましてリーフレットを配布するほか、インターネットやSNS等で子育て世代をターゲットにした広告を配信するなど、本事業を広く周知してございます。
 また、都のホームページに商品カタログを掲載し、出産を控えている方が事前に七百点以上の利用可能な子育て支援サービスや育児用品等の情報を入手できるようにしているところでございます。
 今後、母子健康手帳の交付時や、とうきょうママパパ応援事業で実施している全ての妊婦との面接時等に本事業をご案内するなど、出産、育児の準備を行う家庭に対して確実に情報が届くよう、区市町村と連携して広報を工夫してまいります。
 次に、とうきょうママパパ応援事業についてであります。
 都は、平成二十七年度から、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制を整備する区市町村を支援しており、令和二年度からは、とうきょうママパパ応援事業として、産後の支援を大幅に拡充しております。
 今年度は、コロナ禍で産後の家事、育児を支援するサポーターの利用が難しい家庭に対しまして、家事時間の短縮による負担軽減が図れるよう、スマート家電等の家事支援用品の購入支援を開始しております。
 江戸川区では五月に補正予算を編成し、事業開始を公表するなど、現在、区市町村において実施に向けた準備が進んでいるところでございます。
 今後、事業の利用動向や区市町村の意見等を踏まえて、とうきょうママパパ応援事業のさらなる充実を検討してまいります。
 次に、妊婦健康診査についてであります。
 妊婦は、心身の状態の様々な変化により日常生活の負担が増えるため、その負担をできる限り軽減する必要があります。
 現在、妊婦健康診査は、区市町村が妊婦の方に受診票を交付し、都内医療機関等での健診の際に受診票を提出することで、公費負担により受診が可能となっております。
 健診手続に関する妊婦の負担軽減に向け、本人や区市町村への健診結果の通知や医療機関への支払いなど、使途や利用機関が多岐にわたる受診票の取扱いにつきまして、今後、ICTを活用した仕組みの導入など、専門家の意見を聞きながら様々な観点から研究してまいります。
 次に、一時保護所における通学についてであります。
 一時保護所では、児童一人一人の状況に応じて学べるよう、タブレット端末を配布し、学習環境の充実に取り組むとともに、在籍校と連携して行事への参加や受験対策、オンライン授業などを実施するほか、単位取得のための短期間の通学などを支援しております。
 また、安全が確保できる場合には、保護所からの通学を支援することとし、昨年度から児童相談センターの保護所において、高校生の在籍校への通学支援をモデル的に実施しております。
 今後は、より多くの保護児童が在籍校に通えるよう、通学圏を考慮して、児童養護施設や里親などの一時保護委託先を選定するなど、在籍校とも緊密に連携しながら、通学支援の充実に努めてまいります。
 次に、一時保護の受入れ先についてであります。
 都は、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を拡大してきており、昨年度は、児童相談センターの保護所を拡張したほか、新宿区が所有する施設を借り上げ、新たに開設しております。
 今年度は、立川児童相談所跡地での保護所の開設に向け、基本設計に着手いたします。
 また、児童養護施設や里親への一時保護委託に加え、婦人保護施設への保護委託の拡大に向け、関係機関との調整を迅速に進めるなど、多様な受皿を確保し、高まる一時保護需要に対応してまいります。
 次に、東京ユースヘルスケア推進事業についてであります。
 都は現在、思春期特有の健康上の悩みなどに対応する相談支援の実施に向けて、若者の健康支援に詳しい有識者や医療関係者等と意見交換をしております。実施に当たっては、支援が必要な若者にこの取組を認識してもらうとともに、安心して利用できるものとすることが重要であります。
 そのため、こどもシンポジウムにおいて、思春期の健康や性について相談したいときをテーマに、中高生にグループ研究してもらい、それを通じて意見を聞くこととしており、今月、参加者を募集いたします。
 また、大学生等ともヘルスケアについて意見交換等を行う予定であり、こうした取組により、様々な若者の主体的な関わりの中で意見を把握し、それらを踏まえ、相談支援の開始に向けて検討を加速してまいります。
 次に、介護職員の宿舎借り上げ支援についてであります。
 都は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を目的に、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施してまいりました。
 今年度からは、本事業がより多くの事業所で活用され、人材の確保、定着が図られるよう、補助対象を、福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加えまして、在宅サービス事業所や居宅介護支援事業所にも拡大し、昨年度の二千三百四十四戸分から大幅に増加した六千八百四十七戸分を予算に計上しております。
 事業の実施に当たりましては、今回の対象拡大の内容を分かりやすく説明したリーフレットを作成し、事業所に広く周知することに加え、区市町村や事業者団体等を通じて本事業の活用を働きかけるなど、本年十一月からの申請受付に向け、一層の周知を図ってまいります。
 次に、介護職員の負担軽減についてであります。
 都は、介護職員の負担軽減や業務の効率化を図るため、介護施設、事業所に対し、ロボット技術の応用により、入浴や見守りなどを支援する次世代介護機器や介護記録の作成、情報共有のためのタブレット端末などのデジタル機器の導入経費を補助しております。
 また、実際に機器を体験できる展示スペースや専門相談窓口を設置するとともに、具体的な導入事例を紹介するセミナーや施設見学会を開催し、機器の効果的な活用や定着を支援しております。
 今年度は、次世代介護機器導入経費補助の予算規模を、昨年度の百五十事業所から百八十事業所に拡大しておりまして、より多くの介護現場でデジタル化を推進し、介護職員の業務負担の一層の軽減を図ってまいります。
 最後に、社会福祉施設等の指導検査のデジタル化についてであります。
 都は、特別養護老人ホームや保育所などの社会福祉施設等の適正な運営やサービスの質の確保を図るため、関係法令に基づく指導検査を実施しておりまして、これまでも負担軽減と検査の質の向上に向け、提出書類の精査や電子データでの作成、提出などの見直しを行ってまいりました。
 こうした取組をさらに進めるため、昨年度、デジタル技術を効果的に活用した、よりきめ細かで効率的な検査方法について、事業者の意見も聞きながら、基本構想を取りまとめております。
 来年度からの新たな業務システム導入に向け、今後、業務プロセスのさらなる改善、ウェブ会議やタブレットの導入などデジタル環境の整備、情報共有の基盤となるシステム開発などを進め、さらなる負担軽減と検査の質の向上に取り組んでまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営地下鉄のセキュリティ対策についてでございますが、交通局では、痴漢等の犯罪の未然防止など、車内のセキュリティ強化を図るため、防犯カメラを車両の更新に合わせて設置してまいりました。
 今後は、更新前の車両にも設置を進め、令和六年度までに全ての車両への設置完了を目指すとともに、犯罪等の抑止効果が高まるよう、カメラ設置の広報も充実してまいります。
 また、痴漢撲滅に向けて、他の鉄道事業者等と共同でのキャンペーンに加えまして、独自の対策強化期間を設けて重点的に呼びかけを行ってまいります。
 さらに、有識者の意見も聞きながら、効果的なポスターを作成、掲示するとともに、警視庁とも連携し、防犯アプリ、Digi Policeの活用をホームページやSNS等で促すなど、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりを進めてまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 風水害への備えについてでございますが、東京消防庁では、浸水地域の活動力を強化するため、全地形活動車やエアボート等を備えた即応対処部隊を創設し、航空消防救助機動部隊との統合的な運用により、陸上、水上及び上空からのアプローチによる救助体制を整備いたしました。
 また、先般、関係各局、区市町村、消防団、町会等が一堂に会する合同水防訓練を三年ぶりに実施いたしましたが、事前の検討による相互理解や実動訓練の重要性について再認識したところでございます。
 これらに加えまして、今年度は、区市町村災害対策本部とのパイプ役となる災害対策調整担当課長を消防署に新たに設置し、風水害を含めた大規模災害時における対策の強化を図ることといたしました。
 今後さらに、消防活動体制の充実や、災害発生時における関係機関との連携強化を図り、風水害への対応に万全を期してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、太陽光発電の設置義務化の仕組みについてでございますが、現在検討している制度では、個人ではなく、都内に年間延べ床面積で二万平米以上の新築住宅等を供給する大手ハウスメーカー五十社程度が対象となり、年間新築棟数の約五割が該当する見込みでございます。
 事業者単位で判断するため、例えば日照条件が同じであっても、住宅購入者の意向によって、多く設置したり、設置しないことができる仕組みとなってございます。
 都は、このような仕組みを都民、事業者に正しく伝えるため、環境局ホームページに専用サイトを開設し、検討状況やQ&A等を掲載し、情報提供を行ってございます。
 引き続き、制度設計を丁寧に行うとともに、都民、事業者の声に真摯に耳を傾け、今後は分かりやすい広報活動を積極的に展開し、都民、事業者の理解と共感を得てまいります。
 次に、環境に配慮された太陽光パネル推進についてでございますが、環境負荷軽減に向け、パネルの製造等の各段階で環境負荷に配慮した取組を実践することが重要でございます。
 都は、関係団体へのヒアリングにより、パネルのライフサイクルの状況把握に努めてございます。関係団体では、環境負荷低減につながる設計基準を定めたガイドラインを作成し、取組を推奨するなど、業界内での取組も進んでおり、こうした動きを発信し、後押ししてまいります。
 また、リサイクル等に関しましては、専門家による検討会で取りまとめた提言等を踏まえまして、製造やリサイクル等の事業者で構成する協議会を立ち上げ、効果的なリユース、リサイクルの仕組み等を構築してまいります。
 今後とも、パネルのライフサイクル全般での環境負荷が一層低減されるよう、関係団体と連携して取り組んでまいります。
 最後に、パーキングメーター設置エリアへの充電器設置についてでございますが、都内には都心部を中心にパーキングメーターが約一万基設置されており、こうしたエリアを活用して充電器を設置することは、ZEVの普及促進に有効と考えてございます。
 パーキングメーター設置エリアの駐車可能時間は最大六十分のため、設置には急速充電器が適してございます。
 一方、パーキングメーター設置エリアは、充電のための駐車需要が周辺交通へ影響を与えますとともに、充電器を設置する歩道では、歩行者の安全を確保するスペースが必要となるなどの課題もございます。
 都は今後、こうした課題について具体的に検証できるよう、関係機関との調整を進め、パーキングメーター設置エリアへの充電器設置の可能性について検討してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅の駐車場の空き区画の活用についてでございますが、都営住宅では、区市町の条例等に定める附置義務に基づきまして駐車場を整備しております。
 駐車場の利用状況は、令和三年度末時点で全区画数の約三五%、約一万七千区画が空き区画となっております。
 これまで都は、空き区画の有効活用のため、地域住民等への貸出しを進めるとともに、約六十団地に約四百八十区画のコインパーキングを設置してまいりました。また、カーシェアリングについて、二団地六区画で実施をしております。
 今後、こうした取組をさらに進めるとともに、他の方法につきましても、モビリティーなどの民間事業者の意見を聞きながら調査検討を行うなどにより、都民の貴重な財産の有効活用を図ってまいります。

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