令和四年東京都議会会議録第九号

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十一番柴崎幹男君。
   〔百十一番柴崎幹男君登壇〕

○百十一番(柴崎幹男君) 令和四年第二回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 新型コロナ感染症のリバウンド警戒期間が終了し、通常医療との両立に向けた医療提供体制の見直しとともに、都内観光や地域経済の活力を取り戻すためのもっとTokyoの再開など、東京はウイズコロナに向けて一歩を踏み出しました。
 その一方で、ウクライナ危機に端を発する原油や原材料価格の高騰、円安による物価高騰、電力需給の逼迫といった新たな危機への対応を迫られています。
 今後は、都民生活と都内経済の再生を目指しつつ、感染状況やウクライナ情勢が及ぼす影響にも的確かつ機敏に対応することが必要です。
 また、都の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に推進する子供政策連携室を設置し、二〇三〇年に向けた環境基本計画の中間まとめを発表し、五月二十五日には首都直下地震の新たな被害想定を公表しました。こうした先行き不透明な中にあっても、迅速な対応を迫られる喫緊の課題や将来の都民への責任を果たすために必要な取組など、多岐にわたる課題を踏まえて質疑を行います。
 限られた財源の中で、一つ一つ対策が厳しい情勢下で苦しんでいる方々に真に必要な支援となること、そして、こうした方々に速やかに支援が行き届くことが極めて重要です。
 ウクライナ危機による影響の長期化が懸念される中、今後の予算編成も見据え、より一層機動的かつ堅実な財政運営を行っていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、中小企業における原油価格高騰の長期化対策について伺います。
 ロシアによるウクライナへの侵攻が今年の二月に開始されて以降、約三か月半が過ぎた今でもなお国際情勢は不安定な状況にあります。それに伴い、原油価格や様々な原材料価格の高騰も長期化が見込まれ、都内経済においても、コロナ禍からの経済回復の兆しに水を差している状況です。
 都は、今年三月から、ものづくり企業への緊急対策を実施し、専門家の派遣や設備導入の支援を行ってきたところです。しかし、経済の血液といわれる原油をはじめ、様々な原材料の価格高騰が長期化することによる企業経営への影響は多様な業種に及んでいます。とりわけ、燃料を多く使用する運送業やクリーニング業等では、さらなる燃費向上に資する機器や生産性の高い設備の導入など、これまで以上の対策が求められています。
 そこで、原油価格高騰の長期化等により、経済的な打撃を受けている多くの中小企業が、生産性を高めるための設備投資などに前向きに取り組めるよう支援を充実させ、事業者への下支えを強固なものにしていく必要があると考えます。都の見解を伺います。
 コロナ禍の影響がいまだ残る中、原材料価格の高騰に加え、新たな課題として、電力の十分な確保に関わる問題も出てきています。特に夏場は、電力をしっかりと確保しながら、経済活動の回復のためには生産活動を維持しながらも、この課題に対応することが重要です。また、電気料金は過去五年間で最も高い水準にまで達しており、経営者の方からは、ただでさえ厳しい状況にあるにもかかわらず、これ以上のコスト負担は厳しいとの声が聞かれています。
 こうした中、中小企業が継続的に事業を続けていくためには、日々の電力消費を抑え経費の節減を図ることや電力の安定した確保に向けた対策を事前に講じておくことも必要です。
 そこで、中小企業における省エネの推進や電力を確保して事業活動が継続できる取組などを支援していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 ウクライナ情勢の長期化への懸念、急速な円安の進行、原油価格の高騰など、経済の先行きは極めて不透明な情勢となっています。
 とりわけ漁業においては、生産コストのうち燃油費の割合が一〇%から三〇%を占めるといわれており、その影響は深刻です。東京の漁業は、キンメダイをはじめとした多様で新鮮な水産物を供給する都民にとってなくてはならない産業であり、我が党は令和四年第一回定例会において、漁業者の経営安定が図られるよう施策の充実、強化を求めてきました。
 しかしながら、その後も都内の漁業用燃油価格は高止まりし、漁業者からは、このままでは操業を続けていくことが難しくなるとの声が寄せられています。
 こうした状況を踏まえ、都は、漁業者が漁業活動を継続することができるよう、さらなる対策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、三年ぶりに行動制限のなかったゴールデンウイークは最大十連休だったこともあり、報道によると、国内線や鉄道の利用が昨年度を大幅に上回ったほか、都内の主要観光地である浅草や高尾山なども久しぶりににぎわいを見せていました。しかし、こうした人出による効果は一時的なものであることから、都議会自民党はこれまで、もっとTokyoの早期再開を強く求めてきました。このたび、知事がこれをトライアル的に開始すると表明したことは評価します。
 こうした都の動きは、旅行事業者の期待に応えるものですが、コロナ禍における旅行者意識の変化により、三密回避につながる旅行への志向が高まっていることから、団体旅行を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況が続くものと考えられます。
 団体旅行は、小規模の旅行業者の売上げに占める割合が高く、また、飲食や小売など関連する事業者も多いことから、コロナ禍で疲弊するこうした事業者の経営を改善するために、都が支援を行うことで団体旅行の機運を高め、早期に需要の回復を図っていくことが重要です。
 そこで、十分な感染対策を行った団体旅行を取り扱う事業者への支援を始めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都市強靱化について伺います。
 三月の電力不足問題、ウクライナ情勢の長期化、北朝鮮のミサイル発射など、都が幾つもの脅威にさらされる中、知事はさきの所信表明において、いかなる危機にも揺らぐことのない真に持続可能な都市を実現すると語られました。
 都は、政府の中枢機能を有し、日本経済を牽引する首都東京として、その機能をいかに維持していくかという視点でも対策を講じていく必要があります。
 こうした中、今般、都は新たに都市の強靱化に向けた議論を開始したと聞いていますが、今後の議論に当たっては、都庁内部にとどまらず、外部の有識者等の考えを聞いて、幅広く検討していくことが重要です。
 首都東京の強靱化に向け、外部の知見を生かしながら取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先般、十年ぶりとなる首都直下地震の新たな被害想定が公表されました。今回の被害想定では、耐震化、不燃化の取組が効果を上げ、前回の想定より物的被害は大きく減少しました。
 一方、耐震化や不燃化の取組は道半ばであり、発災時には、建物の倒壊等による道路閉塞が至るところで発生し、救出救助活動などの遅滞が懸念される点は大きく変わっていません。
 また、通信の途絶やマンション居住者のエレベーター、トイレ対策など、大都市東京の脆弱性も改めて浮き彫りとなりました。こうした中、都は、今後、地域防災計画震災編の修正に着手すると聞いています。
 そこで、十年間の社会環境の変化や新たな被害想定を踏まえて、今後どのような認識の下に都の防災対策の実効性を高めていくのか、知事の見解を伺います。
 我が国におけるブロードバンドのデータ流通量はこの十年で十六倍と飛躍的に増大する一方で、公衆電話や固定電話の契約件数は半減するなど、通信を取り巻く環境は劇的に変化しています。
 こうした状況の中、発災時に通信が途絶した場合は、家族と連絡を取り合うことも困難となり、外出先の方々は自宅に帰ろうとして道路にあふれかえり、救出救助活動に支障が生じるなど大きな影響が出ることも想定されます。
 例えば知事は、先日、救助体制を強化するため、映像通信システム、Live一一九を多摩地域にも導入することを表明しましたが、こうしたシステムも通信がつながっていることが大前提となります。まさに、通信の確保は被災された都民にとって極めて重要な課題であり、都市の強靱化に欠かすことができません。
 そこで、今後、地域防災計画の改定に当たっては、関係各局、事業者と連携し、災害時における通信の確保に向けた対策の具体化、強靱化を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、国民保護法に基づき、武力攻撃などから避難するための緊急一時避難施設として地下施設百九か所を新たに指定しました。その後の知事の会見でも、地下施設の有効活用の重要性や確実な避難先となるよう工夫するなど、地下施設のさらなる確保について言及がありました。
 世界がウクライナ侵略、大量破壊兵器の使用リスクの高まりといった未曽有の危機に直面している中、我が国の隣国である北朝鮮によるミサイル発射回数は今年だけで十七回にも及んでいます。また、五月二十五日には大陸間弾道ミサイルを含む三発を、六月五日には八発の短距離弾道ミサイルが発射されました。首都機能を有する東京都は、危機管理の想定をさらに広げ、進化させる必要があると考えます。
 今回指定された百九の地下施設については、全て区部にある施設になっていることから、今後は多摩地域の指定も進めていく必要があります。今後、都内全域に地下施設などの緊急一時避難施設の確保をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 大規模災害に加え、気候変動や大量破壊兵器の使用リスクなど新たな脅威にも万全に備えるべく、政府や自衛隊とさらに緊密な連携が求められています。
 都は、都市強靱化プロジェクトを立ち上げましたが、国家中枢機能が集積し、我が国経済の牽引役として、本来、首都強靱化という名称こそふさわしいと一言申し添え、次の質問に移ります。
 来年は関東大震災の発生から百年を迎えますが、こうした大規模地震は周期的に発生するともいわれており、昨年十月には千葉北西部を震源とした地震により都内でも震度五強を観測するなど、大規模地震への備えは喫緊の課題です。
 近年、気候変動に伴う豪雨災害が全国各地で発生しており、東京でも、令和元年の台風十九号では、荒川で避難判断水位を超えるなど水害リスクが高まっています。東京を取り巻く災害リスクは拡大しており、災害はいつ何どき発生してもおかしくありません。防災まちづくりを推進するとともに、被災後の都市復興への備えとして、平時から実効性の高い取組を継続的に進めていく必要があります。
 先月、新たな被害想定が公表された首都直下地震に加え、大規模水害など災害リスクも高まっています。こうした事態を的確に捉え、有事の際に迅速に都市復興を進められるよう、行政職員への復興訓練もさらに進化させることが重要と考えます。
 都はどのように取り組んでいくのか、その効果も含め、取組を伺います。
 次に、都の豪雨対策について伺います。
 都では、平成十七年に時間百ミリを超える豪雨に見舞われたことを踏まえ、東京都豪雨対策基本方針を定め、改定を経て、対策を強化しつつ、豪雨対策を着実に進めてきました。
 しかし、その後も、東京をはじめ、広く被害が発生した令和元年東日本台風や、昨年八月に九州などを襲った記録的な豪雨など、近年、全国各地で毎年のように大規模な水害が発生しています。さらに、IPCCの最新の報告書によれば、地球温暖化の進行に伴い、台風など熱帯低気圧の強さが増す可能性が指摘されており、我が国でも将来の降雨量が増加することなどが懸念されています。
 東京は、政治経済の機能が集中する国家の中枢であり、その機能が失われた場合の影響は計り知れません。いかなる危機や災害においても、都市機能が確保された、安全・安心な都市づくりに向けて万全の備えを行うことが極めて重要です。
 このため、近年の気候変動を踏まえ、激甚化、頻発化する豪雨に対する総合的な取組を加速する必要があると考えますが、今後の都の豪雨対策の取組について伺います。
 豪雨対策において、大きな効果を発揮する取組の代表が中小河川の整備です。
 都がこれまで進めてきた護岸や神田川・環状七号線地下調節池などの調節池の整備により、近年は河川からの溢水被害が減少するなど、整備効果を実感しているところです。一方、将来激甚化、頻発化するといわれている豪雨に対しても安全性を確保していくことは必要です。
 このような中、今後、強靱な都市東京を実現するためには、河川の施設整備を着実に推進することに加え、将来の気候変動の影響も踏まえた検討を速やかに進める必要があると考えます。
 そこで、中小河川の洪水対策に関する都の取組について伺います。
 豪雨対策では、中小河川の洪水対策と並び、下水道の浸水対策も重要な取組です。下水道は、都市に降った雨を一つ一つの下水道管で集め、川や海に速やかに流すことで、東京を浸水から守る重要な役割を担っています。
 これまで都は、一時間五十ミリ降雨への対応を基本に、早期に浸水被害を軽減するため、浸水の危険性が高い地区を重点化し、大規模なポンプ所や下水道幹線の施設整備を行うなど、着実に対策を推進してきましたが、今後も浸水対策を一層取り組むべきと考えます。
 そこで、下水道の浸水対策に関する都の取組について伺います。
 気候変動が進む中、ロシアのウクライナ侵攻により、世界中を巻き込んだエネルギー危機が生じています。また、福島県沖地震により発電所が停止するなど、今夏、今冬の電力逼迫が危ぶまれています。
 こうした状況は、エネルギー供給を化石燃料に過度に依存し、さらにその大半を海外からの輸入に頼らざるを得ない我が国の脆弱性が改めて明らかになりました。省エネや再エネの活用も重要ですが、それだけでは現下の未曽有のエネルギー危機を乗り越えることは困難です。
 こうしたことから、先日、島根県では知事自ら、安定的かつ安価に電力を供給するには、再生可能エネルギーでは限界があるとして、島根原発二号機の再稼働に同意を表明しました。
 我が国最大のエネルギー消費都市である東京こそ、エネルギー問題に正面から向き合い、具体的な施策をもって取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化について伺います。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、再エネ電力の導入拡大が不可欠です。現在、都は、環境審議会において、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化の検討を進めています。
 これまでの検討案では、延べ床面積の合計で二万平方メートル以上の新築建物を供給する事業者に対し、個別の建物ごとではなく、事業者単位で設置を求める仕組みとしていますが、二〇三〇年の再エネ利用割合の数%にしかならないと聞いています。また、最近、都民の声やSNS等で非常に多くの反対の声が寄せられています。
 こうした都民や事業者の声を受け止め、理解と共感を得られる制度構築を行っていかなければなりません。
 そこで、今後のパブリックコメントの結果を踏まえ、義務化については慎重な議論をさらに重ねるべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、子供政策について伺います。
 子供、子育ての現場は区市町村であり、その推進に当たっては、都だけで考えるのではなく、区市町村との連携が重要です。地域ニーズや資源がそれぞれ異なる中、区市町村を尊重し、ともに取り組んでいく姿勢が大事であり、それが施策の実効性にもつながっていきます。
 子供政策連携室ができた今こそ、区市町村の声を取り入れ、取組を進めるべきと考えますが、区市町村との連携をどのように進めていくのか、また、都庁においても、子供・子育て計画をはじめ、各局が所管する計画について、子供政策という観点から捉え直し、施策の充実につなげていく必要があります。併せて知事の見解を伺います。
 また、福祉保健局では、子どもの貧困対策法の改正や東京都子供への虐待の防止等に関する条例の制定等を踏まえ、令和二年に第二期子供・子育て支援総合計画が策定されました。この計画には、保育サービス、学童クラブのさらなる充実をはじめとして、安心して子供を産み育てられる環境の整備が盛り込まれています。
 策定から二年がたち、新型コロナウイルス感染症をはじめとして、子供をめぐる環境も急速に変化をしています。また、今春、子供政策連携室も立ち上げられました。
 そこで、子供、子育てを取り巻く状況の変化を踏まえ、この計画をどのように見直していくのか、都の見解を伺います。
 次に、児童相談所における児童虐待の相談業務では、子供や保護者の意向を確認しながら援助方針を決定すると伺っています。しかし、子供の年齢が低いなど、子供が自ら意向を十分に表明することができないケースもあり、その場合は、子供の保護者の意見に援助方針が大きく左右されることもあるかと思います。
 虐待を認めない親や児童相談所の援助を避ける親もいる中、親の意見だけを尊重するのではなく、子供の意向を十分に聞きながら、子供にとって最も適切な援助方針を決定することが重要であると考えます。都の見解を伺います。
 次に、児童相談所の一時保護は、子供を家庭から離して安全・安心な生活を提供するものですが、その一方で、子供の権利擁護にも十分に配慮する必要があります。特に、一時保護児童は外出制限があることから学校に通学できないため、学習権保障の観点から課題があると考えます。
 児童が学習する機会を保護所内においても十分に保障するとともに、学校の通学について可能な限り進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、コロナ禍で制限がある子供たちに、楽しいと感じる体験から明るく前向きな気持ちになるために企画された、子供を笑顔にするプロジェクトについて伺います。
 三月に実施した学校への意向調査では、参加の意向は、都立学校の約三割、区市町村立学校の二割にとどまっています。学校現場からは、どのような事業が対象になるのか分からないといった声も聞こえてきます。
 今後、できる限り多くの学校が参加するようにするため、どのような取組を進めていくのか伺います。
 国は、令和五年度以降、学校の働き方改革の一環として、中学校における休日の部活動を段階的に地域に移行を進める方針を示しています。スポーツ庁は、休日の部活動の段階的な地域移行を着実に実施するため、検討会議を設置し、先日提言が示されました。
 提言では、都道府県が策定した計画を基に、区市町村が計画を策定すること、また、令和五年度から令和七年度までを集中移行期間とすることが盛り込まれています。
 そこで、今後の都教育委員会の取組について伺います。
 次に、不登校児童生徒への取組について伺います。
 不登校の子供の人数は年々増加しています。これまで我が党は、不登校の子供の社会的自立を支援するために、区市町村が設置する教育支援センターが十分に機能するよう、都教育委員会の取組を強化すべきと主張してきました。不登校が長期化している子供への支援と併せて、新たに不登校にならないようにする対策も大切です。
 そこで、小中学校において、不登校の未然防止のための取組を充実させることが必要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、難聴児支援について伺います。
 都議会では、昨年十一月より超党派十二名の議員で構成するワーキングチームを設置し、七か月にわたり手話言語条例の検討を続けてきました。この間、有識者や当事者の方からの意見を伺うだけでなく、執行機関とも協議を重ね、本条例に、理念だけではなく、実効性を持たせるよう努めてきたところです。
 難聴児の言語能力の発達には早期からの支援が必要であり、平成二十四年に請願が採択されたことにより、補聴器への支援が始まりました。
 難聴児が自立した生活を営むためには、聞こえの補償はもとより、コミュニケーション手段の獲得など、総合的な対応が必要と考えますが、都の取組について伺います。
 第六波と第五波を比べると、新規陽性者数の最大値は、第六波は第五波の四倍でしたが、重症患者数の最大値は三分の一でした。都は、コロナ病床を七千二百二十九床確保しましたが、コロナ患者用にベッドを確保した結果、通常医療が逼迫したとの声も聞きます。
 今後の感染再拡大に備えるとともに、通常医療との両立の中で、いかにしっかりと病床確保を行っていくのか、見解を伺います。
 第六波の感染拡大時においては、高齢者施設で集団感染が多く発生し、重症化リスクがある高齢者への対応が課題となりました。入院することができた場合でも、高齢者は身体機能が低下し、元の生活に戻ることが困難な事例も生じました。こうした課題に対応するため、都では、酸素・医療提供ステーションを柔軟に活用するなどの対応を取りました。
 今後も高齢者への対応を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 一方で、通常の医療も途切れることなく続けていかなければなりません。中でも、救急医療は、都民の生命を守るために、いつでもどこでも誰でも、その症状に応じた適切な医療を迅速に受けられる体制確保が重要です。
 救急搬送人員は全国的に増加しており、総務省消防庁の統計によると、平成二十一年からの十年間で百二十万人以上も増え、令和元年には約六百万人に達しました。そのうち、六十五歳以上の高齢者が六割となっています。
 超高齢化により、今後さらに重篤な救急患者の増加が見込まれる中、生命の危機が切迫している患者に一刻も早く医療を提供するためには、救命救急センターの整備が必要です。
 そこで、都における救命救急センターの位置づけと今後の取組について伺います。
 新型コロナウイルス感染症に代表されるように、感染症は人類の脅威であり、その六〇%以上が野生動物由来といわれております。本年五月にも、イギリスで、主にアフリカに生息するリスやネズミなどウイルスを保有する動物から人に感染するとされるサル痘の発生が確認されており、以後、欧米での感染報告が相次いでおります。国内でも、マダニが媒介するSFTSについて、西日本を中心に感染が確認されています。
 東京都では、都の感染症対策全般について、常設の司令塔である東京iCDCを設置しました。一方、米国CDCでは、ワンヘルスの考えの下、人と動物の健康に関する調査研究及び情報発信をしております。
 今後、動物由来の未知なる感染症の脅威が高まる中で、東京iCDCの知見も活用するとともに、動物由来感染症に関する調査を実施するなど、都の取組を強化するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 デジタルサービス局を立ち上げて二年目となり、長年の懸案事項であったデジタル関連経費の見える化をはじめ、都民サービスを向上させるデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの取組にも積極的に着手しています。
 また、オール東京でのDX化を掲げ、区市町村へのDX支援等を通じて、都と区市町村との連携が深まる一方で、小規模自治体の中には、専門部署もなく、IT人材の確保にも難航する等の課題もあります。
 オール東京でのDX加速には、よりカスタマイズしたきめ細かな支援が必要だと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍により一年延期となった東京二〇二〇大会の成功には、都民、国民の協力が不可欠でした。
 本年七月から十月の東京二〇二〇大会一周年期間は、リオ大会後にアスリートが集まった虎ノ門から銀座を通り、日本橋までのパレードで感謝の思いを伝えました。このように大会成功に対する都民、国民への感謝を伝えるとともに、大会の感動や記憶を改めて共有していく重要な期間です。
 また、大会が無観客となり、アスリートとの交流や文化事業との連携などが、大会時には一部オンラインでの実施を余儀なくされました。そこで、我が党は、今年の第一回定例会代表質問において、一周年記念行事でこれらの取組を改めて実施していくことの重要性を指摘しました。
 そこで、大会一周年の機会を捉えたこの記念行事において、都民、国民に感謝の思いなど、どのように伝えていくのか、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会で追加種目として採用されたスケートボードなどのアーバンスポーツは、日本人メダリストを含む多くのアスリートの活躍もあり、コロナ禍にある都民、国民を大いに熱狂させました。
 東京二〇二〇大会の競技会場となった場所に整備する有明アーバンスポーツパークをアーバンスポーツの新たな聖地とするとともに、そこを核として、都内各地へ競技の裾野の拡大を図っていくことは重要です。しかし、利用者のマナーとして、認められていない場所での滑走による騒音や施設の破損といった点についても特に注意が必要です。
 多くの人に親しまれるアーバンスポーツ拠点となるためにも、地域の住環境にも留意し、競技団体や区市町村とも連携しながら、有明アーバンスポーツパークを運営する必要があると考えます。都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会から約一年が経過しようとしています。その大会が無観客になったことにより、とりわけ未来の子供たちにスポーツのすばらしさを直接届けることができませんでした。
 東京二〇二〇大会と同様に、関係者が一丸となって二〇二五年の世界陸上を東京で開催し、東京大会で十分にかなえられなかった子供たちの参画が実現すれば、子供たちに夢と希望を与え、東京全体の活力を高める絶好の機会になると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、先日の所信表明で、知事は、世界陸上と併せてデフリンピックの開催について、招致主体を応援していくことを表明しました。
 障害の有無を問わずパラスポーツを楽しみ、観戦し、交流する機運が高まってきている中、パラスポーツの普及を推し進め、共生社会の実現に向けたエンジンの一つとしていくことが肝要です。
 アスリートが常に最善を尽くすように、スポーツに関わる人や団体が未来に向かってたゆまぬ努力を重ね、一体となってこそ、スポーツは東京に根づきます。
 都は、デフリンピックへの対応を検討していますが、開催に当たっては、その機を捉え、聴覚障害者のスポーツを含めたパラスポーツを社会に浸透させていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、地域における芸術文化活動の支援について伺います。
 我が都議会自民党はこれまで、東京オリンピック・パラリンピックの文化レガシーを生かすため、都民が美術館や芸術だけでなく、まち中などでより身近に芸術文化を楽しむ機会を増やしていくべきと主張してきました。
 これを受け、都が今年度から開始した芸術文化魅力創出助成について、地元から多くの反響があったと聞いています。
 今後、都民が芸術文化に気軽に触れる機会の拡大につなげていくためにも、地域の方々からの意見を聞きながら、様々な活動がより一層活発に行われるよう支援していくべきべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多様性を尊重する社会の構築は重要で、パートナーシップ制度についても、その意義については理解できます。
 都は、制度の導入に向け、都民アンケート調査やパブリックコメントなど、当事者の意見も取り入れて制度案を取りまとめてきました。しかし、制度の対象となる性的マイノリティーの当事者の方々からは、制度導入後の運用についても様々な意見が寄せられていると聞いています。
 都が制度を導入するのであれば、運用に当たっては、こうした当事者の方々の意見を受け止める姿勢が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 都はこれまでも、女性も男性も参画できるよう取り組んできており、その一環として、条例で附属機関等の男女の構成比率の数値目標を定めるとしています。多様な意見を反映し、女性も男性も参画できる社会をつくるためのプロセスであると認識しています。
 この条例を生きた条例とするためには、各審議会の目的の達成に必要な専門性を有する女性を積極的に任用することや、希望に応じて、企業や団体、地域など、あらゆる場で女性が活躍できる社会の実現に向けた取組も重要と考えます。都の見解を伺います。
 日々報道されるロシアのウクライナ侵攻の出来事を目の当たりにし、私たちが今、享受している平和がいかに大切であるかを再認識したところです。
 東京においても、さきの大戦では、度重なる空襲により甚大な被害を受けました。中でも昭和二十年三月十日、下町地区を中心に襲った大空襲では、一夜にして十万人ともいわれる尊い命が奪われました。大空襲により焦土と化した当時の悲惨な光景と、家族や友人を失った深い悲しみは、今なお被災した方々の心の中に重く深く刻み込まれています。亡くなられた方々のご無念と最愛の肉親を失われたご遺族の心中に思いを致すと、誠に痛惜の念に堪えません。
 戦後七十六年が過ぎ、さきの大戦を経験した世代が少なくなる中で、こうした多くのかけがえのない命が失われた事実や、平和の尊さを後世に伝えていくためのたゆまぬ努力をすることは、我々世代に課せられた責務であると考えます。
 戦争の記憶を風化させないためにも、都が保有している東京空襲関連資料の活用を進めるということですが、知事の見解を改めて伺います。
 先般、ストーカー規制法が一部改正され、同法で規定する付きまとい等の規制対象行為が拡大されたところ、いわゆる迷惑防止条例においても同様の規定が整備されると聞いております。
 都民生活の平穏の保持を目的として昭和三十七年に制定をされた同条例は、平成十五年に悪意の感情に基づく付きまとい行為等が規制対象に追加されました。そして、平成三十年には、スマートフォンの普及やカメラの高性能化に対応して、盗撮行為の規制場所の拡大やSNSによる送信行為が規制対象となりました。科学技術の発展は日進月歩であり、我々を取り巻く環境も時代によって変化し続けています。
 今回、改めてこの条例における規制対象行為を拡大する改正を行うとのことですが、改正後、本条例運用に向けた警視庁の具体的な取組について、警視総監に伺います。
 次に、この付きまとい行為等に関わる被害相談窓口について伺います。
 付きまとい、ストーカー行為等の被害に遭った場合でも、警察への相談は、現状、電話のみとなっており、ハードルが高いと感じる方もいるようです。
 東京都をはじめ、警察以外の様々な行政機関でも被害の相談に対応しており、若者の利用率が高いSNS等での相談も実施しておりますが、あまり知られていないのが現状です。パンフレットを手に取っても、そこに電話番号しか書かれていなければ、相談をちゅうちょしてしまう方もおられると思います。
 そこで、迷惑防止条例の一部改正に合わせ、こうした相談窓口もより広く知ってもらう必要があると考えますが、都の見解について伺います。
 本年四月、民法の改正に伴って成年年齢が十八歳に引き下げられました。これによって、公認会計士や司法書士など国家資格の取得ができるようになるとともに、親の同意が必要なく、ローンを組む、クレジットカードをつくる、一人暮らしの部屋を契約する等が可能となりました。十八歳は高校生であることも多い年齢であり、社会経験が乏しい若者を狙った悪質な商法や契約トラブルが発生することが懸念されます。
 そこで、こうした被害から若者を守るための警視庁の取組について、警視総監に伺います。
 さて、昨年度、電車内での刺傷事件が立て続けに発生したことを受け、鉄道各社で車内防犯カメラの整備が進み始めています。防犯カメラは、犯罪や迷惑行為への一定の抑止効果が期待されるところであり、痴漢対策としても有効と考えられます。
 都営地下鉄において設置を加速していくべきとの本年一定での我が会派の代表質問に対し、交通局からは、残る全車両への速やかな設置を目指し、技術的検証を実施しているとの答弁がありました。
 そこで、日暮里・舎人ライナーも含め、いつまでに全車両への設置を完了する考えなのか伺います。また、防犯カメラの設置を十分に周知することが犯罪等の抑止効果を高める上で重要と考えますが、併せて見解を伺います。
 次に、外環道整備について伺います。
 事業効果が極めて高く、整備が急がれている三環状道路の一つである外環道について、事業者は、一昨年、調布市で発生した陥没事故以降、家屋補償や地盤補修の対応を行うことを最優先しています。大泉や中央の再発防止対策等を取りまとめた上で、シールド工事を本年二月から再開しました。
 こうした中、本年四月、大泉ジャンクション側から発進したシールドマシンが破損する事態が発生し、掘進作業が停止しました。補修に半年間かかるとされており、地域の方々から整備時期に対し心配する声が聞こえてきています。
 このような事象があったものの、今こそ踏ん張りどころであり、首都圏を支える重要な道路である外環の早期開通に向け、事業者はふんどしを締め直し、現在、事業中の関越道から東名高速までの区間を進めることが必要だと考えます。外環道の整備に向けた知事の所見を伺います。
 一方、上部に都道として整備される外環ノ2は、地域交通の円滑化や生活道路に流入する通過交通の排除など、安全性の向上や都市の防災機能の強化などを図るために重要な路線であり、外環本線とともに着実に整備していく必要があります。
 現在、大泉ジャンクション周辺や上石神井駅周辺では事業が進められていますが、その間を結ぶ約二キロメートルの区間はいまだ事業化されていません。外環本線の整備効果を最大限に発揮するためには、本区間の整備も着実に進め、ネットワーク化を図っていかなければなりません。
 そこで、本区間の事業化について、進捗状況と今後の予定を伺います。
 最後に、新空港線について伺います。
 東京の国際競争力を強化させるためには、空港へのアクセス利便性の向上が必要です。昭和六十年代から構想されてきた新空港線は、大田区内の東西交通の分断解消とともに、東京圏の各方面と羽田空港間のアクセス性の向上が期待されています。先日、数年にわたり協議を続けてきた新空港線整備に関わる地方負担について合意に至ったとのことです。そこで、新空港線に対する知事の見解を伺います。
 世界規模の感染症、世界に影響を及ぼすウクライナ情勢など、首都東京を取り巻く状況は日々変化しています。
 一方、防災対策、環境問題、子供政策の充実、高齢者支援、デジタルの推進といった都政の基本となる政策も着実に推進していかなければなりません。
 こうしたときこそ、国、そして都内区市町村と緊密に連携し、都政運営の道筋を都民に丁寧に説明し、政策への理解と協力をいただくことが重要です。
 都議会自民党は、先行き不透明な状況に不安を抱えている都民の皆様、困難な状況に直面している都内事業者の方々の声を大切にしながら課題解決に邁進していくことをお誓いし、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 柴崎幹男議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、財政運営についてのご質問がございました。
 今回の補正予算におきましては、原油、原材料価格や物価の高騰等の影響により、厳しい環境に置かれている事業者や都民の生活を支えるための様々な対策を盛り込んでおります。
 加えまして、観光需要の回復に向けた事業者支援や円安を契機とした東京産製品の輸出促進など、事業者の状況に応じた支援策を盛り込んでおりまして、経済回復の足がかりとなる対策にもしっかりと取り組んでおります。
 一方、ウクライナ危機の長期化が懸念される中、都内経済や都民生活を守るためには、今後とも、迅速かつ的確に対策を講じる必要がございます。
 このため、財政面におきましては、政策評価及び事業評価の一体的な実施によりまして、成果重視の視点から無駄をなくすとともに、施策の新陳代謝を促進してまいります。
 また、基金や都債など財政の対応力を最大限活用いたしまして、施策展開を支える持続可能な財政運営を行い、都政に課せられた使命を確実に果たしてまいります。
 次に、都市の強靱化についてでございます。
 東京は、政治経済の機能が高度に集積する国家の中枢であります。
 いかなる状況におきましても、都民を守り、都市機能を維持するため、首都直下地震や火山噴火、頻発化、激甚化する豪雨など、あらゆるリスクを想定しまして、万全の備えを講じていかなければなりません。
 こうした認識の下、都市強靱化プロジェクトを立ち上げたわけでございます。今なすべき対策に直ちに着手するとともに、長期的な視点から、都市の強靱化を実現する具体的な施策を年度内に取りまとめることといたしております。
 プロジェクトの推進に当たりましては、様々な観点から検証を進めるため、災害等に関する有識者やライフラインを提供している事業者と継続的に意見交換を行うなど、幅広い知見を集積してまいります。
 今後、こうした知見や社会情勢の変化を本プロジェクトに的確に反映をいたしまして、より実効性ある対策を講じるなど、国の発展を牽引する強靱な首都東京の実現に向けまして取り組んでまいります。
 次に、防災対策の実効性の向上についてのお尋ねがございました。
 都民が災害への不安を感じることなく、安全・安心に生活できるようにするためには、東京の防災対策上の弱点を明らかにした上で、対策を講じていくことが重要でございます。
 そのため、今回の被害想定では、救出救助活動に不可欠な道路の閉塞リスクを明らかにするとともに、ライフラインの復旧の見通しとそれに伴う避難生活等への影響などを発災後のタイムラインに沿って詳細にお示しをいたしました。
 被害想定結果を踏まえまして、安全・安心な東京を実現するため、今後の防災対策を推進する上での羅針盤である地域防災計画を改定してまいります。
 具体的には、耐震化の強化によります道路閉塞リスクの軽減や上下水道などのライフライン被害を踏まえました生活必需品の備蓄の充実など、被害想定で明らかになりました課題の克服に、ハード、ソフト両面から取り組んでまいります。
 こうした取組によって、実効性のある防災対策を推進し、強靱化された都市東京を確実に実現してまいります。
 次に、緊急一時避難施設のさらなる確保についてのお尋ねでございます。
 本年二月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。また、隣国である北朝鮮は、ミサイル発射を繰り返しております。世界情勢が緊迫する中、武力攻撃等の脅威から都民の生命を守ることが、都の責務でございます。
 先般、都は、ミサイル攻撃の爆風などから被害を軽減するため、特別区にある百九の地下施設を指定いたしました。
 今後、お話の多摩地域を含めまして、都内全域において指定を進めてまいります。
 具体的には、まず、国有施設も含めまして、都内にある公共施設の総点検を実施し、堅牢な施設の立地や規模、地下施設の有無などを把握してまいります。
 また、地域の実情に精通している区市町村とも連携をしまして、活用可能な民間施設につきましても、詳細な調査を行います。
 その上で、緊急一時避難施設が存在しないエリアを生じさせないよう、地域ごとの人口、偏在状況等を考慮いたしまして、戦略的に指定し、その周知にも努めてまいります。
 武力攻撃や大規模テロなどの場合に備えまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、将来のエネルギーの安定確保についてでございます。
 ロシア、ウクライナ情勢や地震による火力発電所の停止等によりまして、東京は、今夏、今冬の電力逼迫をはじめ、都民生活に大きな影響を及ぼす様々な危機に直面しております。
 こうした目の前に迫る危機を乗り越え、その先の脱炭素社会も見据えた取組をさらに推進するため、私を本部長といたしますエネルギー等対策本部を先月立ち上げました。
 この本部で、差し迫った危機感を共有するとともに、二〇三〇年カーボンハーフの実現を確実にするため、中間年である二〇二六年におけます目標を定めるなど、新たにロードマップをお示しいたしました。
 この目標達成に向けて、都外に設置される再エネ発電設備に対する補助の拡充や系統用大規模蓄電システムの導入支援をはじめ、今回新たな施策を補正予算に盛り込んだところでございます。
 電力の最大消費地である東京として、脱炭素化など産業構造を変えるエネルギーの安定確保に向けまして、省エネ、再エネを軸に、あらゆる施策を総動員し、取組を加速させてまいります。
 次に、子供政策の推進についてであります。
 未来を担う子供たちが、夢や希望を抱いて育ち、笑顔があふれる東京をつくってまいりたい。そのためには、子供たちが健やかに成長できる環境の整備が重要であり、これは未来への投資そのものでございます。
 こうした思いの下で、四月に新設した子供政策連携室を核に、都民に身近な政策を担う区市町村としっかり連携しながら、子供の目線に立った取組を進めてまいります。
 地域における実情や子供のニーズを把握するため、施策検討の段階から、区市町村長や現場の方々と意見交換を重ね、取組に反映してまいります。
 同時に、区市町村の先駆的、横断的取組を支援し、子供目線の政策や子育てに優しいまちづくりを推進いたします。
 また、庁内の横串を刺しまして、新たな取組を展開するとともに、各局の子供関連の計画策定等に当たりましては、子供の参加や子供との対話を取り入れるなど、直面する課題や実情を踏まえまして、政策の質を高めてまいります。
 実効性ある取組を進め、全ての子供たちの可能性を社会全体で大切に育んでまいります。
 次に、二〇二五年の世界陸上における子供たちの参画についてでございます。
 世界陸上は、二百を超える国、地域が参加する世界最高峰のスポーツの祭典であります。
 東京で開催されることとなりますれば、都民にトップアスリートの躍動する姿を直接見ていただく貴重な機会となります。
 とりわけ、次代を担う子供たちにとって、大会を間近で観戦する機会や世界レベルのアスリートとの交流は、心にかけがえのない思い出を刻むこととなりましょう。
 また、世界陸上を契機に、子供たちがスポーツを楽しむきっかけをつくることで、スポーツをする、見る、支えるの定着を図り、そのにぎわいを都市の活力につなげてまいります。
 次代を担う子供たちに夢と希望を与え、未来の東京、日本社会の活力を高めるよう、国や関係機関と密に連携しながら、世界陸上の招致主体である競技団体を積極的に応援してまいります。
 デフリンピックについてのお尋ねがございました。
 東京二〇二〇パラリンピック競技大会では、性別や年齢、障害を超え、競い合うアスリートの姿に、共生社会への可能性を実感いたしました。
 真のダイバーシティ東京を目指し、大会を機にバージョンアップした都立施設も最大限活用しながら、世界レベルの様々なパラスポーツの大会を開催していくことが重要であります。
 デフリンピックが開催されることになれば、様々なパラスポーツのPRを併せて展開することで、障害がある人もない人も、パラスポーツを楽しむ機会を創出することができます。
 東京での開催に当たりましては、国の財政支援をはじめ、競技団体との連携など、様々な関係者の協力が不可欠であります。
 都といたしましても、デフリンピックの招致主体である全日本ろうあ連盟を、関係者と密に連携しながら、積極的に応援をいたします。
 今後もパラスポーツの一層の発展とともに、共生社会の実現につながるように取り組んでまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてであります。
 性的マイノリティーの方々が直面する様々な生きづらさを取り払い、自分らしく生き生きと生活していけるよう、当事者の思いに寄り添った制度とすることが不可欠であります。
 都は、都民等へのアンケート調査や様々な有識者などへのヒアリングを実施するとともに、パブリックコメントを通じて、都民や当事者からの意見を丁寧に伺いながら、制度案を策定いたしました。
 導入に向けましては、より多くの都民の皆様に理解を深めていただけるよう、都内自治体や民間事業者と連携しながら制度の周知に努めるとともに、性的マイノリティー当事者からの様々な意見や疑問にも丁寧に対応してまいります。
 また、導入後の運用に当たりましては、当事者の困り事などをメール等により継続的に把握をし、暮らしやすい環境づくりにつなげてまいります。
 こうした取組を通じまして、全ての都民が自分らしく生活をし、誰もが認め合う共生社会を実現してまいります。
 次に、東京空襲関連資料の活用についてでございます。
 ウクライナ情勢を目の当たりにし、都民の平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないための取組を進め、平和の大切さを訴えていくことは重要でございます。
 都はこれまでも、三月十日の東京都平和の日に合わせた東京空襲資料展の開催などによりまして、保有している資料の活用を図ってまいりました。
 一方で、都が保有している東京空襲関連資料は、資料の収集や証言映像の制作から二十年以上が経過しておりまして、将来にわたり継承していくための対策が急務でございます。
 そこで、資料や証言映像のデジタル化に着手いたしまして、空襲資料展などで貴重な資料をより広く活用していくことで、後世に平和の尊さを引き継いでいきたいと考えております。
 次に、外環事業の推進についてであります。
 首都圏における交通、物流の根幹をなす外環は、人と物の流れをスムーズにするとともに、災害時の避難や救急活動のルートを確保するなど、都として極めて重要な道路であると認識をしております。
 外環事業は、国及び高速道路会社により事業が進められております。一昨年の陥没事故発生以降、事業者は、陥没箇所周辺におきまして、家屋の補償や緩んだ地盤の補修に向けた準備等を行っております。
 また、大泉及び中央ジャンクション側におきましては、事業用地内で再発防止対策等を確認しながら、本年二月からシールド工事を再開いたしております。このうち、大泉側におきましては、四月にシールドマシンの一部損傷が確認されまして、現在、補修などの対応を行っております。
 私自身は、ふんどしとは縁がございませんけれども、都は事業者に対しまして、引き続き、再発防止対策等の確実な実施、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明や、そしてきめ細やかな対応を求めてまいります。
 新空港線につきましてお答えいたします。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限に発揮させるためには、鉄道によるアクセスの充実を図ることが重要であります。
 空港アクセス向上に資する新空港線につきましては、国の答申では、関係者間での費用負担等の合意形成が課題とされてまいりました。
 このため、都と大田区では、令和二年九月から、まちづくりの観点等を加味いたしまして、事業プランを検討するとともに、都と区の負担などに関する協議も行ってまいりました。
 このたび、私と大田区長との間で、新空港線につきまして、整備主体となる第三セクターに区が出資することや、広域的な空港アクセスの向上等に資することから、事業費の地方負担分のうち、その三割を都が負担することなどについて合意をいたしました。
 今後、合意に基づきまして、区が主体となって、事業化に向けた取組を進めることといたしておりまして、都は、こうした関係者による取組を支援してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 区市町村と共に進めるデジタルトランスフォーメーションについてお答えいたします。
 東京全体のデジタルトランスフォーメーションを実現するには、住民に身近なサービスを担う区市町村と一体となった取組が不可欠です。国の計画では、令和七年度までに二十の基幹システムの標準化、共通化を求められるなど、区市町村のデジタル化は喫緊の課題であり、区市町村とのCIOフォーラム等では、デジタル人材の確保、育成が大きな課題であるとの声が寄せられました。また、区市町村によってデジタルトランスフォーメーションの進捗状況に開きがあることも分かりました。
 このため、都は今年度、デジタル人材をさらに拡充し、より踏み込んだ区市町村への伴走型支援を新たに開始しました。多様なスキルを有する専門人材が区市町村のプロジェクトチームに参加し、ニーズや課題を踏まえた支援を行ってまいります。
 また、先月開講した東京デジタルアカデミーでは、最新デジタルツールに関する研修会を開始するなど、都職員のみならず、区市町村職員についても、デジタル能力の全体的な向上を後押しします。
 こうした取組を強力に展開するとともに、海外の先進事例に学びながら、人材確保やアジャイル開発の仕組みなど、官民を通じた熾烈な人材獲得競争の中にあっても、オール東京でデジタルトランスフォーメーション推進を加速する方策について、区市町村と共に検討を進めてまいります。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、改正迷惑防止条例の運用に向けた取組についてでございますが、GPS機器に関する行為等が新たに規制の対象となることにつきまして、警視庁ホームページをはじめとする各種媒体を活用して広報を行うことで、広く周知を図ってまいります。
 また、改正条例で新たに規制の対象となる行為を含む悪意の感情に基づく付きまとい行為等に対しまして、引き続き、被害者等の安全確保を最優先とした保護対策を迅速に実施するとともに、的確な捜査を行い、加害者の検挙を徹底してまいります。
 警視庁といたしましては、付きまとい行為等への的確な対応により、都民の安全・安心の確保にさらに万全を尽くしてまいります。
 次に、成年年齢の引下げにより、発生が懸念される悪質商法等の被害から若者を守るための取組についてであります。
 警視庁では、被害を未然に防止するため、大学、専門学校、高校等において防犯講話を行っているほか、悪質商法の手口に関する情報を警視庁防犯アプリ、Digi Police等の媒体を活用し、発信しております。
 また、悪質商法や契約トラブルに関する相談を受理した際には、クーリングオフ等の対応策の助言や東京都の消費生活相談窓口を案内するなど、相談者の不安解消に努めております。
 警視庁といたしましては、関係機関、団体等と連携し、悪質商法等の被害防止と取締りをさらに徹底してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供を笑顔にするプロジェクトについてでございますが、三月に実施した第一回の意向調査では、事業実施前であり、具体的なイメージをつかみにくかったことや新型コロナウイルス感染症の状況が不明であったことから、参加を意向する回答は少数でございました。
 この段階で、参加の意向があった学校と実施内容の調整を進め、四月以降、順次実施しております。
 こうした先行事例を積み重ね、情報発信や学校への働きかけを行ったことで、五月末時点では、千校を超える学校が参加する意向でございます。
 今後は、多様な体験プログラムを具体的に例示し、学校に分かりやすく周知し働きかけていくことで、より多くの学校、一人でも多くの児童生徒が参加できるよう、さらなる活用を推進してまいります。
 次に、中学校における部活動についてでございますが、都教育委員会は昨年度、渋谷区と日野市の二地区における国の実践研究を通して、学校と地域企業の調整について、区市町村が主体となって行う方法や運営団体を設立して行う方法を検証してまいりました。
 今年度は、さらに杉並区を追加して、地域企業等が主体となった部活動運営や複数の学校による合同部活動の実施など、各地区の実態に応じた移行の在り方について検証してまいります。
 今後、関係機関等と連携した会議を設置し、国の動向を踏まえ、円滑な地域移行について検討するとともに、検討内容を区市町村等と共有し、取組を進めてまいります。
 次に、小中学校における不登校の未然防止についてでございますが、都教育委員会は、平成三十年度に、不登校の適切な対応に関するガイドブックを独自に開発し、都内全公立小中学校に配布いたしました。また、令和二年度には、本ガイドブックに基づく校内研修資料を作成し、学校での活用を促すなど、新たな不登校を生まない取組を推進してまいりました。これらを通して、子供が自己存在感や充実感を感じながら、互いに認め合って活動できるようにしてまいりました。
 今年度は、このような魅力ある学校づくりを強化するモデル校を福生市に一校指定して、実践研究を行っておりまして、今後その成果を全ての区市町村教育委員会に周知し、不登校を未然に防止する学校の取組を進めてまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小河川の洪水対策に関する取組についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池等の整備を一層推進することが重要でございます。
 都は現在、善福寺川などで護岸整備を着実に進めますとともに、城北中央公園調節池など九か所で、調節池等の整備を実施しているところでございます。
 これに加えまして、将来の気候変動の影響による降雨量の増加や台風の大型化などを考慮した河川施設の整備方針の検討を進めております。今月末からは、有識者等による委員会での議論を開始し、令和五年度に、河川施設の在り方を取りまとめてまいります。
 今後とも、気候危機に打ちかつ強靱な都市東京の実現に向け、中小河川の整備を推進してまいります。
 次に、外環ノ2石神井台区間の事業についてでございますが、外環ノ2は、東京の都市計画道路ネットワークの一部として、南北方向の交通利便性の向上などに寄与する重要な路線でございます。
 新青梅街道から前原交差点の約二キロメートルの区間につきましては、昨年度に現況測量が完了し、本年三月に用地測量に着手いたしました。
 このうち、富士街道から前原交差点までの区間について、令和五年度の事業化を目指しますとともに、残る新青梅街道から富士街道までの区間については、引き続き、用地測量を進めてまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、事業化に向けて着実に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 原油価格の高騰等への対応についてでございますが、中小の運輸業や大型の乾燥機を使うクリーニング業等では、原油価格の高騰などが続き、コスト面で大きな負担が生じており、それら事業者への一層の支援が必要でございます。
 これまで都は、運輸業等の会社に省エネに詳しい専門家を派遣し、電気などを減らし、固定費の削減につながる助言とその実現に必要な経費への助成を行ってまいりました。
 今後は、これらに加えまして、運送業務や乾燥機の運転などで必要なエネルギーのコスト削減につながる工夫や機器導入の後押しを行います。
 具体的には、燃費を改善し、効率的な運送を促すシステムや省エネ効率の高い乾燥機の導入等に必要な経費の五分の四に対し、新たに助成を行います。
 これらによりまして、中小企業の経営を着実に支援してまいります。
 次に、中小企業の省エネや電力確保の取組についてですが、東京の中小企業が電力の需要を抑えるため省エネを行うとともに、事業を安定して継続できるように、自ら電源を確保することは重要でございます。
 このため、都は、中小企業が競争力を高めながら、CO2排出量の削減や省エネを図るために、最新鋭の設備を導入する場合、必要となる経費の四分の三に助成を行います。また、新たに工場の室温を抑えて、省エネに結びつけるために、建物の表面に断熱性のシートを貼る工夫などを行う場合も支援いたします。さらに、電力需給の状況を踏まえ、安定して事業を行う計画をつくり、その実施のために蓄電池等を導入する場合の助成率を五分の四に引き上げます。
 こうした取組によりまして、中小企業の省エネルギーと事業継続を着実に下支えしてまいります。
 次に、漁業者に対する支援についてですが、燃油価格が高止まりする中、漁業者が着実に操業を継続できるよう、漁船の燃料費の負担軽減を図ることは重要でございます。
 このため、都は昨年度より、燃油価格が一定の基準を超え上昇した場合に補填を行う国の積立金制度につきまして、漁業者が負担する積立金に対する助成の率を引き上げました。
 今後、この助成率をさらに高めるほか、新たに、漁業協同組合を通じて燃油を購入する場合の経費に対し助成を行うなど、漁業者のコスト負担の一層の軽減を図ります。
 また、燃油等の価格上昇の影響を受ける漁業者の資金繰りを支える無利子の融資制度について、年度末まで受付を延長いたします。
 今後とも、漁業者の実情に応じた支援を展開し、その経営の安定を図ってまいります。
 最後に、団体での旅行を増やすための支援についてでございますが、コロナ禍で利用が減った団体の旅行を伸ばしていく上で、ツアーにおける感染防止対策を徹底して、その取組内容を確実に発信していくことが重要でございます。
 このため、都は、団体による旅行を企画する事業者に対し、感染防止対策を行う際に、専門家が助言する支援を拡充いたします。また、観光客同士が密になることのないよう、観光バスの台数を増やす際に必要な経費の最大五分の四を十二万円まで助成するほか、追加の添乗員に要する経費も助成いたします。さらに、感染症対応を確実に実施し、安全なツアーであることをホームページなどによりPRする経費にも助成を行います。
 こうした取組によりまして、団体旅行の利用を増やし、観光産業の振興を進めてまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 災害時の通信確保についてですが、災害発生時に都民や事業者が適切な防災行動を行うためには、情報収集や家族、従業員の安否確認などに必要となる通信環境の確保が極めて重要でございます。
 このため、都は、地域防災計画の改定に当たって、通信などライフラインの確保を重点施策の一つとして位置づけ、東京都防災会議の下に、庁内関係局やライフライン事業者等で構成される部会を設置いたします。
 その中で、災害時にもつながる通信基盤の確保や早期復旧に向けた関係者間での連携強化など、予防、応急、復旧の観点から、幅広く議論を重ねてまいります。
 今後、都市強靱化プロジェクトとも連携しながら、検討結果を計画に反映させ、災害に強い情報通信ネットワークの確保に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市復興訓練についてでございます。
 都市の事前復興は、被災後の都市復興の在り方や手順、執行体制をあらかじめ検討し、都民等と共有を図る取組であり、都は全国に先駆けてこの取組を進めております。
 その一環として、平成十年度から、都や区市町村の職員等を対象に、様々な被害を想定して、都市復興に関わる計画策定などの図上訓練を行っております。
 先月公表されました被害想定の見直しや昨今の豪雨災害の激甚化等も踏まえ、今年度から新たに震災と水害との複合災害を想定した図上訓練を実施いたします。また、航空写真データ等を活用し、効率的に家屋被害を把握する訓練を新規に行います。
 こうした訓練を通じて、行政職員の実践的な対応能力の強化が図られ、計画的かつスピード感ある復興につなげることが可能となります。
 今後とも、事前復興の取組を積極的に進めてまいります。
 次に、豪雨対策の取組についてでございます。
 これまで都は、豪雨対策基本方針を策定し、河川や下水道の整備、貯留浸透施設の設置等の取組を定め、総合的な治水対策を推進してまいりました。
 令和元年東日本台風では、これまで整備してきた施設が、浸水被害の軽減に一定の効果を発揮した一方、一部地域では大きな被害が発生いたしました。気候変動の影響により、経験したことのない危機に直面しており、激甚化する豪雨災害から、都民の命と財産を守るため、一層の対策強化が必要でございます。
 このため、本年夏より、学識経験者等から成る検討委員会を立ち上げ、これまでの取組を検証するとともに、データ等に基づき、長期的な視点に立った検討を行い、令和五年度には、関係各局と連携して基本方針を改定し、強靱な都市の実現に向けて取り組んでまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 下水道の浸水対策の取組についてでございますが、下水道局では早期に浸水被害を軽減するため、浸水の危険性の高い区部の五十七地区を重点地区として施設整備を推進しております。このうち、八割に当たる四十八地区で事業が完了、または事業中でございます。
 一方、激甚化、頻発化する豪雨や将来の気候変動の影響により、降雨量の増加が予想されており、取組のさらなる強化が必要でございます。
 このため、本年三月、計画期間を十五年とする下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、目標整備水準を一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルを上げ、新たに十地区を重点地区に位置づけました。
 今後、これまでの重点地区の残りの施設整備を着実に推進するとともに、新たに選定した重点地区につきまして、早期の事業化に向けて取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 太陽光発電設備の設置義務化についてでございますが、二〇五〇年脱炭素社会の実現に向け、また、エネルギーの大消費地として、都は再生可能エネルギーの地産地消を進めていく必要がございます。そのため、二〇三〇年の都内太陽光発電設備導入目標を二百万キロワット以上に引き上げ、設置を加速してまいります。
 現在検討中の制度では、今後、毎年新築される住宅の約五割、最大二万棟程度への設置が見込まれてございます。
 これは、脱炭素化に貢献するとともに、エネルギー自給率を高め、停電時にも電気を使用できる災害に強い都市づくり等に大きく貢献してまいります。
 さらに、各住宅でも、電気代の削減や売電収入により、約十年で投資回収が可能と試算してございます。
 今後、都民や事業者から出ている様々な課題にも、一つずつ丁寧にお答えするとともに、理解と共感を得られる制度と支援策を検討してまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都子供・子育て支援総合計画についてであります。
 第二期計画の期間は、令和二年度から六年度までの五年間でありまして、中間年に当たる今年度に見直しを行うこととしております。
 この間、保育所の待機児童は大幅に減少する一方、学童クラブの待機児童は依然として多い状況にございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の長期化などが、子供や子育て家庭に与える影響も懸念されております。
 こうした状況や、子供を権利の主体として尊重する東京都こども基本条例の理念も踏まえまして、今後、当事者である子供の意見も聞きながら、子供政策連携室をはじめとした関係各局や区市町村と連携して計画を見直し、子供、子育て施策の充実を図ってまいります。
 次に、児童相談所での援助方針の決定についてであります。
 児童相談所が虐待相談を受理した際、児童福祉司が、生育歴や家庭環境、親子関係などを把握する社会診断を行うほか、児童心理司が面談や検査等を通じまして子供の心理状況を判定する心理診断や一時保護所での生活から子供の状況を観察する行動診断を行うなど、子供と家庭の状況について、専門職が様々な観点から調査をいたします。
 この結果に基づきまして、児童相談所長や専門課長などで構成いたします援助方針会議で、保護者の養育態度の振り返りや親子関係の改善状況、親族等による養育支援の状況を確認いたします。その上で、今後の生活について、子供の希望を踏まえながら、子供の最善の利益を図ることを最優先に、施設入所や里親委託、在宅での指導など、具体的な方針を決定しております。
 次に、一時保護児童の学習支援についてであります。
 都は、一時保護所に学習指導員を配置いたしまして、習熟度に応じた学習指導を行うとともに、在籍校と連携した受験対策やオンライン授業などを実施しております。
 昨年度からは、個々の意欲に応じて学べるよう、学齢児にタブレット端末を配布し、AIによる学習アプリを活用するなど学習環境の充実に取り組んでいるほか、児童相談センターの保護所では、高校生の在籍校への通学支援をモデル的に実施しております。
 今年度は、より多くの保護児童が在籍校に通学できるよう支援するとともに、オンライン授業も推進するなど、学習支援の充実に努めてまいります。
 次に、難聴児への支援についてでございます。
 聴覚障害児を含む難聴児が、言語を習得し、生活能力やコミュニケーション能力の向上を図るためには、一人一人に応じた早期からの適切な支援が重要であります。
 このため、都は、新生児聴覚検査の体制整備や中等度難聴児の補聴器購入に対する独自の支援を行うほか、都立聴覚障害特別支援学校における乳幼児教育相談を通じ、多様なコミュニケーション手段の獲得を支援しております。
 今後、こうした取組を推進するとともに、切れ目のない支援につなげるため、難聴児と保護者に対する相談対応や情報提供などを担う都の中核的機能の在り方について、具体的検討を進めてまいります。
 最後に、救命救急センターについてであります。
 救命救急センターは、重篤な救急患者に高度な医療を総合的に提供する医療機関でありまして、都内全域を一つの圏域として整備を進め、現在二十六か所を指定しております。
 近年、センターへの搬送は増加傾向にありまして、救命救急医療を提供しながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時や災害時に緊急性の高い重症患者を受け入れるなど、担うべき役割は増加しております。
 こうした救急医療の需要や医療資源の状況、地域バランス等を踏まえまして、今年度、同等の機能を有する施設二か所について、救急医療対策協議会において選定手続を進め、新たにセンターに指定いたします。
 今後、新たなセンターも含めまして、全体の運営状況等の評価、検証を行い、救急医療体制の確保を図ってまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、コロナ病床の確保についてでございます。
 都は、感染が急速に拡大するオミクロン株の特性を踏まえ、先月から病床確保レベルをこれまでの三段階から約五千床と約七千床の二段階といたしました。レベルの見直しに当たりましては、引上げ時は病床使用率が四割、引下げ時は二割に達したことを目安とするほか、入院患者数の増減のスピード等を踏まえ、総合的に判断をいたします。
 また、一般医療や救急の逼迫状況等に応じて、確保病床の一部を通常医療に振り替えるなど柔軟な運営を行ってまいります。
 さらに、一般患者の安全な動線を確保するため、施設の増改築や設備整備等を行う医療機関への支援を拡充いたします。
 こうした取組により、通常医療と感染症医療の両立を図りながら、適切に病床を確保してまいります。
 続いて、高齢者のコロナ病床の確保についてでございます。
 オミクロン株が流行した第六波では、介護が必要な高齢者の医療機関への受入れが課題となっていたことから、本年二月から五月までの間、荒川区内の旧東京女子医大東医療センター跡地を活用した高齢者等医療支援型施設を運営いたしました。
 この施設が有効に機能したことから、後継施設として、北区赤羽の酸素・医療提供ステーションを、医療に加え、介護やリハビリテーションの機能を有する施設に転換をいたしました。
 今後、入院が必要な高齢者の受入れをさらに進めるため、民間の医療機関等と連携し、新たに二百床程度の病床確保を目指すなど、高齢者が安心して療養できる体制を強化してまいります。
 最後に、動物由来感染症への対応についてお答え申し上げます。
 新興、再興感染症の多くが動物を感染源としていることから、動物由来感染症への対策は重要でございます。
 都は平常時から、飼養動物の動物由来感染症の発生動向を監視するため、病原体の保有状況を調査し、健康安全研究センター等で検査するとともに、都民に感染症の正しい知識や予防方法等を普及啓発しております。
 また、海外で発生している動物由来感染症の国内での発生が疑われる場合などには、感染源となり得る動物の調査を機動的に実施いたします。
 今後、動物由来感染症に詳しい獣医師や東京iCDCの専門家の知見も活用するなど、動物由来の未知なる感染症への対応力を高めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会一周年記念行事についてでございます。
 都民、国民へ感謝を伝え、改めて大会の意義、感動や記憶を共有し、レガシーを引き継ぐことが重要でございます。
 そのため、東京大会のメダリストをはじめとするアスリートや聖火ランナー等の入場パレードを国立競技場で実施し、都民、国民に大会時を思い起こしていただくとともに、感謝をお伝えいたします。また、有明アリーナで車椅子バスケットボールの日本代表戦などパラスポーツの魅力に触れる機会を創出し、関心や応援の機運をさらに高めてまいります。
 あわせて、アスリートとの交流の場や文化団体等の発信の場など、大会時に実施できなかった参画の機会を設けることで、記念行事を共につくり上げてまいります。
 こうした取組により、大会のレガシーを着実に未来につないでまいります。
 次に、有明アーバンスポーツパークについてでございます。
 東京二〇二〇大会で関心が高まったアーバンスポーツをレガシーとしてさらに普及させることは重要でございます。
 このため、有明アーバンスポーツパークにおいて体験会や競技会を行うとともに、様々なレベルの利用ニーズに応えられるよう、都民の意見を伺いながら、都内各地のアーバンスポーツ施設や競技団体、区市町村とも連携してまいります。
 また、スケートボードにつきましては、施設近隣への配慮など利用者に対するマナー啓発にも関係者と連携して取り組み、幅広い都民の理解促進につなげてまいります。
 有明アーバンスポーツパークの整備を契機として、アーバンスポーツを多くの都民、国民に親しまれるスポーツとして普及を図ってまいります。
 次に、地域の芸術文化活動の支援についてでございます。
 都は、東京二〇二〇大会の文化プログラムをはじめとして、多くの地域の団体の協力の下、多様な文化イベントを実施するとともに、地域の文化資源を活用した創作活動への助成など様々な支援を行ってまいりました。
 今年度新たに、地域の活性化に資する事業などを対象に、幅広いジャンルの団体等を支援する芸術文化魅力創出助成を開始いたしました。まち中を舞台にしたアート展や子供からお年寄りまで気軽に参加できる伝統芸能イベントなど、都内の各地域の特色を生かし、工夫を凝らした企画が多数寄せられております。
 さらに、今年度実施する区市町村との連携による戦略パートナーシップ会議で地域の実情やニーズ等を吸い上げ、引き続き地域の多様な芸術文化活動を支援してまいります。
 最後に、女性活躍に向けた取組でございます。
 自らの希望に応じて生き方、働き方を選択できる社会の実現のためには、意思決定過程に多様な価値観、発想を反映させることが必要でございます。
 そのため、都の率先行動として、審議会等にクオータ制を導入する条例改正を本定例会に提案しております。
 庁内各局に改正の意義を浸透させるため、研修や説明会を開催するとともに、専門的知見を有する女性委員候補者を紹介し、女性任用を促進してまいります。
 さらに、こうした取組を民間企業等へも広く波及させ、女性参画が進むよう、企業と連携した啓発事業を実施するとともに、先進的な地域等の取組を発信してまいります。
 今後も、行政と民間が連携し、多面的に取り組むことで、女性も男性も活躍できる社会を目指してまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西康弘君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(小西康弘君) 付きまとい行為等に係る被害相談窓口についてでございますが、付きまとい、ストーカー行為等の被害の拡大防止や早期解決に向けまして、警視庁のほかに行政機関の様々な相談窓口を幅広く知っていただくことは重要でございます。
 都では、DVやストーカー被害の防止に関するリーフレットを区市町村や警察署、学校等を通じて配布しており、もしものときの電話相談窓口を一覧にして掲載するなど、周知を図っております。
 今後は、リーフレットにSNS相談等のQRコードや若者の様々な悩みを受け付ける総合相談窓口、若ナビαの情報を新たに掲載し、配布先の拡充も検討いたします。
 このような取組を通じまして、お困りの方々が安心して相談への第一歩を踏み出すことができるよう、環境の整備を図ってまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営地下鉄等の車内防犯カメラ設置についてでございますが、交通局では、迷惑行為や痴漢等犯罪の未然防止、テロ対策などセキュリティ強化を図るため、車両の更新に合わせて車内への防犯カメラの設置を進めております。
 加えて、他社線での事件を踏まえ、今年度から更新前の車両にも新たに防犯カメラを設置することといたしました。
 世界的な半導体不足の影響等がございますが、必要な機器の確保に努めまして、令和六年度までに、都営地下鉄と日暮里・舎人ライナーの全ての車両への設置完了を目指してまいります。
 また、犯罪等の抑止効果を高めるため、車内防犯カメラの設置についてステッカーを掲示するほか、ポスターやホームページでの広報を充実するとともに、SNSにおいても積極的に発信するなど、お客様の安全・安心の確保に努めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

ページ先頭に戻る