令和四年東京都議会会議録第四号

○議長(三宅しげき君) 二十六番龍円あいりさん。
   〔二十六番龍円あいり君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十六番(龍円あいり君) 私は、誰もが自分らしく輝きながら、参加している実感ができるインクルーシブな社会の実現を目指しております。そのためには、日本独特の、人はみんなきっと同じを前提としている社会から、基本的に一人一人みんなが違うということを前提にした社会へとシフトしていくことが重要です。
 何か大きな政策をぼんとやって変わるということではなくて、一つ一つの政策の場面において違いがあることで、参加しにくい人がいないかチェックしながら変えていくことが重要です。その観点から質疑をいたします。
 インクルーシブ社会の実現には、何といっても、人を育てていく必要があります。特別支援教育について考えたとき、この日本において、スペシャルニーズ、障害のある子供は、ない子供から物理的に分けて別の場所で教育するというのが一般的です。
 分離された環境の中で育ちながら大人になって、これからの時代はインクルーシブだから、双方ともにあまり会ったことないと思うけれども、これからは社会に出たら互いに違いを理解し合って、手を取り合ってくださいといってできるんだったら、もうとっくにインクルーシブな社会は実現しているはずなんです。学校が変わっていくことは重要です。
 一九九七年に国連子どもの権利委員会では、学校におけるインクルージョンについて一般議論した内容が発表されました。障害のある子供のインクルージョンは、限られた場合に与えられる特権ではなくて、権利であると示されました。つまり、通常の学級にいる場合だけインクルードされるのは特権になってしまうわけで、都では、特別支援学校や支援学級に在籍する児童生徒も含めて、全てのスペシャルニーズのある子供のインクルージョンを保障していく必要があると考えます。
 全ての学びの場において、東京ならではのインクルーシブな教育を進めていくべきだと考えますが、都教委の見解を伺います。
 一方で、通常の学級の中にスペシャルニーズのある子供がいれば、即インクルーシブなのかというと、そんなことはありません。個々の教育ニーズに合った支援が必要です。
 都教委では、全ての小中学校に特別支援教室を設置して、通常の学級の中で学ぶ発達障害がある子供たちへの支援を始めたことは高く評価いたします。次に重要なのが、特別支援教室で学んだことを、在籍する学級に戻って生かせるような橋渡しです。
 そのためには、在籍する学級において、支援する人の配置を拡充すべきです。今後の見解を伺います。
 次に、遊びのインクルージョン、インクルーシブ公園についてです。
 都議会議員になって、最初の一般質問で提案させていただいたインクルーシブ公園は、二〇二〇年に都立砧公園の中に誕生して以来、驚くほどの反響をいただき、日本全国に取組が広がっています。できれば、このままインクルーシブ公園が日本に定着してほしいというふうに思っております。
 しかし、実は一つ懸念がありまして、インクルーシブ遊具を設置すればいいんでしょうといった誤った認識が広がってしまっているようです。遊具をぽんと置いたところで、その地域に大きな変化が生まれにくいということは、海外の事例からも分かっています。
 設計段階から、インクルーシブな公園の在り方を地域の方々と一緒に考えるワークショップを重ねることで、インクルーシブコミュニティの核となるものを育て、公園が完成した後の運用でも、地域の方々が関わり続けていただけるような工夫が必要です。
 こうした本当のインクルーシブ公園の意義や在り方も含めた取組を周知するために、都として情報発信を行うなど、環境づくりを進めることが重要だと考えますが、見解を伺います。
 さて、私の地元渋谷区に隣接する明治公園と、岸体育館跡地は代々木公園の一部として、パークPFIにより民間企業によって再整備される予定です。
 明治公園は、バリアフリーで評価が高い国立競技場とつながっていますので、ぜひ、インクルーシブな公園整備をしていただきたいと思っています。近隣住民からは、一緒に公園を育てていきたいという要望の声もありまして、地域連携も求められております。
 代々木公園の方は、渋谷区から東京二〇二〇大会の新種目だったスケートボードや3x3といったスポーツが楽しめる場所にしてほしいとの声もありました。
 今後、明治公園と代々木公園において、民間と連携し、どのような公園づくりにするのか、取組を伺います。
 さて、既存の代々木公園の方の池とか水路については、リボーンプロジェクトとして再整備されることが発表されました。これまでは水に触れることができなかったんですけれども、水に触ることは本当に癒やされますので、子供も大人も、そして散歩で訪れるペットの犬も、気軽に水に触れられるような施設になってほしいと思います。また、夏がどんどん暑くなっていることから、暑さ対策も期待されます。
 代々木公園の水景施設について、今後どのように再生に取り組んでいくのか見解を伺います。
 代々木公園は、本当に地元の方に愛されている公園なんですが、これまでの課題として、公園側と利用者の間の交流が少ないということがありました。それが去年から園内に、QRコードを読み取ると、スマホから自分の声を公園に届けられるようになりました。これはとても喜ばれまして、多くの人が回答しているようです。ただ、一方通行になるのではなくて、声を運営にどのように反映するのか、フィードバックがあることが公園と利用者の交流となっていきます。
 代々木公園の利用者アンケートをどのように活用していくのか、また、今年度のアンケート結果について、いつ、どのように公表するのか、所見を伺います。
 次に、インクルーシブアートについてです。
 去年、アール・ブリュットの総本山、東京都公園通りギャラリーのワークショップにダウン症がある息子と親子で参加しました。スペシャルニーズのある子やない子が交流しながら、同じ素材を使っているんですが、それぞれ自由に表現したものを最終的には大きな一つの作品に組み立てて展示されました。
 アートは、バリアがとても少なく、インクルーシブな活動に向いていますし、心と感性が動く瞬間でもありますので、アートを通じて交流したり、共有していくというインクルーシブアートの取組はとても重要だというふうに感じました。
 都では、東京二〇二〇大会文化プログラムの成果などを受けて、今年度、文化戦略を策定する予定としていますが、その中で、インクルーシブなアート活動を通じたインクルーシブな社会づくりについて、どのように位置づけて、今後の文化施策を展開していくのか、小池都知事に見解を伺います。
 さて、渋谷区では落書きが課題になっています。景観を汚すだけではなく、ごみのポイ捨てを増長させ、治安悪化につながります。
 区では、落書き消し事業を立ち上げて消去作業も続けていますが、数が多過ぎて数年にわたる事業になりそうです。そして、費用も膨大です。ですから、消すだけではなくて、同時に、落書きさせないまちづくりを進める必要があります。
 落書きは次の落書きを呼び込むので、すぐに消す、貼り紙をする、防犯カメラの設置、きれいに掃除することなどが必要なので、行政と地域住民が連携して取り組む必要があります。それでも落書きが繰り返されるところには、地域の人が参加する形でアートペイントを施すことが大きな防犯効果があることが分かっています。インクルーシブアートの力でまちを守れるようになったらいいなというふうに考えています。
 東京都には、こうした落書き消し対策をする区市町村を支援する取組を進めてほしいと要望させていただいたところですが、来年度の取組について伺います。
 去年の一般質問では、スペシャルニーズの親にとって、小一は断崖絶壁だとお話をしました。就労継続のための支援が必要だというふうに訴えております。
 都は今年度から、学童クラブでは、都独自の障害児を受け入れる加算を新設しました。また、医療的ケア児の親の就労支援も目的とした、放課後の居場所づくりをする区市町村への支援も創設しました。これはとても大きなことです。
 しかしながら、医療的ケア児の数が多い自治体では、大きな事業の一部に補填されてしまうだけで終わり、少ない自治体では、一体どんな事業をしたらいいのだろうということで、まだ制度が利用されていないと聞いております。課題解決のために取組を進める必要があります。
 都は、医療的ケア児の保護者が子育てと仕事を両立し、安心して働き続けられるようにするため、就学している児童生徒の放課後の支援について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 医療的ケア児には、放課後を自宅で過ごすことができるという選択肢があることも重要です。そういう意味では、これまでは就労目的では使えなかった在宅レスパイト事業について、就労のためにも利用できるようになることが切望されてきました。
 東京都として、医療的ケア児の家族の支援について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 去年の一般質問では、医療的ケア児は災害などで停電すると、命にも関わることから、電源の確保の支援について質問し、都は、自家発電機を無償で貸与、給付する区市町村を支援していると答弁がありました。
 この自家発電機なのですけれども、排気ガスが出て家の中で使えないことや、音が大きいからマンションや住宅密集地で使いにくいというお声があり、保護者からの声を都に届けさせていただきました。
 医療的ケア児の非常時用の電源確保のため、都の支援事業の対象に、家の中でも使うことができる蓄電池を加えることが必要だと考えますが、見解を伺います。
 次に、都のパートナーシップ宣誓制度の素案についてなんですけれども、制度を利用したい、そしてするかもしれない方々からは、おおむねポジティブな反応が戻ってきていますが、要望やご意見も頂戴しております。特に多いのは、制度を導入したからには、生活が変わったなと実感できるようになってほしいというものです。
 そのためには、宣誓証明をするだけではなくて、様々な都のサービスが改善される必要もありますし、区市町村との連携も必要です。また、何よりも民間企業との取組が変わっていく必要があります。
 パートナーシップ制度導入に向けて、生活の様々な場面において変化を生み出すために、都における全庁的な取組、そして、基礎自治体や民間企業に対してどのように連携し、働きかけていくのか伺います。
 そして、これは要望なんですけれども、制度導入後は、東京以外で同様の制度がある都市とも相互乗り入れを検討して、取組を面で日本中に広げていくことも検討していただけますようお願いいたします。
 なお、今後の都の施策で注目しているのが、次期の男女平等参画推進総合計画です。
 最近の統計では、性的マイノリティーの方
々は人口の一〇%という発表もあります。男女平等について考える際にも、性に多様性があることを前提にした計画でなければ、本当の意味での男女平等、ジェンダー平等は実現していきません。
 次期の男女平等参画推進総合計画に、性の多様性や性的マイノリティーについて盛り込む考え方についてお伺いいたします。
 私が生まれ育ったスウェーデンは、世界ジェンダーギャップ指数五位で、常に世界のトップランクに位置しています。また、世界幸福度ランキングというのもあるんですけれども、こちらも去年は七位となっているんですね。この二つのランキングを見比べてみますと、トップテンのうち、六か国がどちらにも入っているということなので、ジェンダー平等を実現しているということが、幸福度も高まるということが分かります。
 スウェーデンのジェンダー平等を実現する上で大きな役割を担っているのが、世界最先端とされる学校における包括的な性教育と、子供と若者向けの公的医療機関、ユースクリニックです。
 ユースクリニックは、医師、看護師、助産師、カウンセラーがいて、性感染症や妊娠検査、避妊具や緊急避妊薬の提供、幅広い内容の相談、正しい知識の提供などを通じて、ユースに徹底的に寄り添う機関です。
 これらを通して、自身の性や健康を大切にすることを学び、他者を同じように尊重できるようになるユースの成長をサポートしています。
 日本では、こういった取組が著しく足りていない状況にあります。代表質問において、都は今後、ユースクリニックを参考にした事業を立ち上げることを示しました。これは大きな意義があることだと期待を寄せています。
 こういう施設は、ついつい女子のための場所とされがちなんですけれども、全てのユースが利用できる必要があります。そして、ユースが本当に安心して利用できる場所にしなければ、利用されません。ですので、ユース世代チームをつくって、主体的に検討に関われるようにすることも重要だと思います。
 ユース世代の意見を聞きながら計画を進め、ユースが性と健康に前向きに向き合い、自信を持って自分らしく生きられることができる取組として、東京版ユースクリニックともいうべき、東京ユースヘルスケア推進事業を、福祉保健局と東京都教育庁でしっかりと連携して進めていただきたいと思います。都知事の見解をお伺いいたします。
 四年半前から一貫してこのインクルーシブ社会の実現について質疑を続けてきて感じているのは、少しずつですけれども、着実に東京都が変わっているということです。都知事、同僚の議員、そして、東京都職員の皆様に感謝申し上げて、質疑を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 龍円あいり議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、アートを通じたインクルーシブな社会づくりについてのご質問がございました。
 人々の共感力や想像力を養い、私たちの生活をより豊かにする芸術文化には、共生社会の実現を目指すための重要な役割が求められています。
 このため、新たに策定する文化戦略では、誰もが芸術文化に身近に触れられる環境を整え、人々の幸せに寄与することを戦略の一つに位置づけまして、誰もが文化でつながるプロジェクトを推進いたしてまいります。
 都立文化施設でのアクセシビリティー向上に加え、障害者や子供、外国人など多様な人々が参加し、交流するプログラムの充実や、その成果を発信する国際会議の開催など、共生社会につなげるための施策を幅広く展開いたします。
 こうした取組を通じまして、芸術文化による多様な価値観の形成を実現し、東京をダイバーシティインクルージョンの先進都市へと導いてまいります。
 次に、東京ユースヘルスケア推進事業についてのお尋ねがございました。
 中高生や若者が、年齢に応じた体の特徴など正しい知識を身につけることは、自身の成長のために重要です。
 都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応できるよう、有識者や医療機関等と意見交換をして、新たな相談支援の開始に向け、対象や方法などを検討いたします。
 また、相談体制の構築に若者が当事者目線で主体的に関われますよう、福祉部門と教育部門が連携して、若者の意見を聞く様々な場や機会を用意いたします。
 庁内関係局が連携をいたしまして、若者の健康上の悩みに寄り添い、若い世代が自らの心身の状態を把握し、健やかに成長できるよう支援してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長からの答弁といたします。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、インクルーシブな教育の推進についてでございますが、共生社会の実現には、障害のある子供とない子供が共に学び、体験し、相互理解を深めることが重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、特別支援学校の子供が居住地の小中学校の子供と交流する副籍制度を創設し、子供同士のつながりの充実を図ってまいりました。
 また、区市町村と連携し、小中学校の特別支援学級と通常の学級の子供たちが、学校行事に一緒に取り組み、授業の中で共に学ぶことを進める研究事業を実施しているところでございます。
 今後は、保護者等の声も踏まえながら、オンラインなど多様な手法を用いて副籍交流を推進するとともに、研究事業の成果を普及することにより、小中学校における交流を促進するなど、それぞれの学びの場において、子供の状況に応じた取組をさらに推進してまいります。
 次に、小中学校での発達障害のある子供への支援についてでございますが、特別支援教室を利用する子供は、ほとんどの時間を在籍学級で過ごしていることから、在籍学級での支援をより充実させることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、今年度から、在籍学級で子供を支援する人材を区市町村が配置する際に、その経費の一部を補助しております。この支援員は、学級担任等と連携し、一人一人特性の異なる子供に寄り添いながら、授業の進行に合わせて適切に助言等を行っております。
 今後、支援員の人件費に係る補助単価を増額するなどの充実を図るとともに、制度定着のため、来年度も特例的に補助率を二分の一とする措置を継続するなど、区市町村教育委員会と連携し、在籍学級で子供が安心して学べる環境づくりをさらに推進してまいります。
   〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 四点の質問にお答えいたします。
 初めに、インクルーシブな公園づくりについてでございますが、都は公園の新規整備や遊具広場の改修の機会を捉えて、ユニバーサルデザインの遊具を整備するとともに、誰もが気軽に公園で楽しむことができる環境づくりを進めております。
 具体的には、これまで、砧公園みんなのひろばで利用者ヒアリングを基に施設の改良を行い、府中の森公園に昨年開設いたしました、もり公園にじいろ広場では、来園者による投票で遊具の愛称を決めるなどの取組を行ってまいりました。
 今後は、誰もが参加し、楽しめるイベントの定期的な開催や、専用ホームページの新設等により、他の自治体とも連携しながら、広く情報発信を行ってまいります。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組を通じまして、インクルーシブな公園づくりを推進してまいります。
 次に、パークPFIによる都立公園の整備についてでございますが、公園の整備や管理運営において、民間の発想や資金を活用して公園の魅力や価値を向上させるため、都立公園で初めてパークPFI制度を導入し、本年四月から明治公園及び代々木公園の拡張整備に着手いたします。
 明治公園では、都民協働による樹林づくりや、インクルーシブ広場を整備し、多様な来園者の交流を生み出します。また、地元と連携したイベントにより、地域の活性化を図ってまいります。
 代々木公園では、大人から子供まで楽しめるよう、屋内外でスケートボード等ができる環境を整備いたしますとともに、ステージを併設した広場空間で様々なイベントを開催いたします。
 こうした民間事業者と連携した取組により、地域に開かれた新しい公園づくりを進めてまいります。
 次に、代々木公園の水景施設の再整備についてでございますが、代々木公園は、明治神宮の森と一体となった緑豊かな公園でございまして、中央の草地広場と噴水がつくり出す景観は、都立公園を代表するものとして都民に親しまれております。
 噴水池と水回廊で構成されている水景施設は、整備から三十年が経過しておりまして、老朽化対策に合わせ、新たな魅力の場として再整備することといたしました。
 来年度から再整備に向けた調査に着手し、噴水がつくり出す様々な水の動きとイルミネーションによる光の演出や、ミストの活用等により多様な世代が水に親しめる施設を目指してまいります。水景施設の再生を通じて、代々木公園の魅力をさらに高めてまいります。
 最後に、代々木公園の利用者アンケートについてでございますが、公園利用者によりよいサービスを提供するためには、適切に利用者の意見等を把握し、公園の管理運営に反映させることが重要でございます。
 代々木公園では、日頃から公園利用者からの意見や要望の把握に努めますとともに、公園の満足度や改善点などについて、毎年利用者アンケートを実施しております。
 令和二年度のアンケート結果は、ベンチの増設や案内板の充実、子供が楽しめるイベントの開催など、利用者へのサービス向上の取組に反映させました。
 今年度の結果につきましては、来月、管理所での掲示に加えまして、新たに公園のホームページ上で公表し、今後の管理運営に活用してまいります。
 このような取組により、利用者から喜ばれる魅力的な公園づくりを推進してまいります。
   〔都民安全推進本部長小西康弘君登壇〕

○都民安全推進本部長(小西康弘君) 落書き対策に係る区市町村への支援についてお答えいたします。
 落書き等の軽微な犯罪の放置は、治安の悪化につながるおそれがあるため、地域の安全・安心の向上に向け、落書き対策などを行い、環境美化に努めることが重要でございます。
 このため、都は、地域住民の方が区市町村との連携の下、落書き対策に粘り強く継続的に取り組めるよう、地域団体に対して落書き消去活動のための資機材購入の経費を補助する制度を設けております。
 また、令和四年度は、区市町村が自ら実施する事業についても、注意のための看板や消去剤、再度落書きがされないよう描く絵画のペイント剤など、落書きの消去や、未然防止に要する経費を補助対象といたします。
 こうした支援を通じて、地域の防犯環境の改善に向けた取組の活性化を図ってまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療的ケア児の放課後等の支援についてであります。
 医療的ケア児が放課後等に安心して過ごせる場所を確保するため、都は今年度、障害児の通所施設等で看護師の配置や送迎などを行い、医療的ケア児の受入れを促進する区市町村に対して支援を開始しております。
 また、昨年十二月の補正予算において、医療的ケア児の保護者が安心して仕事と子育てを両立できるよう、本事業の充実を図り、施設の開所時間の延長などに対する加算を新設しております。
 今後とも、事業の積極的な活用を働きかけ、医療的ケア児の放課後等の居場所づくりや、保護者の就労継続に向けた環境整備を進めてまいります。
 次に、医療的ケア児の家族への支援についてであります。
 医療的ケア児とその家族が安心して生活を送るため、都は、家族の病気などで一時的に家庭での療育が困難となった際に、病院や入所施設等に短期間入所する病床を確保しているほか、家族の休養を目的に看護師が自宅を訪問し、家族に代わって一定時間ケアする在宅レスパイト事業を実施しております。
 今年度からは、これまでの取組に加えまして、就労を目的に訪問看護師の派遣を開始し、離職や減収となった保護者の復職、就職などの活動も支援しております。
 今後とも、医療的ケア児を在宅で支える保護者が子育てと仕事を両立し、地域で安心して暮らせるよう取り組んでまいります。
 最後に、医療的ケア児の非常用電源の確保についてであります。
 都は、災害時に備え、在宅で人工呼吸器を使用する医療的ケア児などに、自家発電装置等を無償で貸与、給付する区市町村を包括補助で支援しております。
 今年度から、過去に台風や大雪などによる被害を受けた他の道府県の状況や、在宅医療に関わる専門家からの意見等を踏まえまして、屋内で安全に電源が確保できる蓄電池を支援の対象品目に追加しております。
 引き続き、より多くの区市町村が本事業を活用することで、災害時の停電に対する備えが進むよう、説明会などを通じて働きかけてまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) パートナーシップ宣誓制度についてですが、今般公表いたしました制度素案においては、都が発行する受理証明書について、様々な場面で活用できるように制度を構築することとしております。
 まず、都が提供する行政サービスにおいて、当事者のニーズ等を踏まえて、住宅や医療をはじめとした多くの分野で証明書を活用できるよう検討してまいります。
 また、都の受理証明書の活用による区市町村の行政サービスの利用や、既に制度を導入している自治体の証明書を、都のサービスでも活用できるよう調整を図ってまいります。
 さらに、民間事業者に制度の意義等について周知を図ることによりまして、各種サービスや従業員の福利厚生での活用が進むよう取り組んでまいります。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 男女平等参画推進総合計画における性の多様性についてでございますが、都は、男女平等参画基本条例において、男女が性別により差別されることなく、その人権が尊重される社会を基本理念に掲げ、これまでもその実現を目指して施策を推進してまいりました。
 計画改定に先立ち、基本的考え方を諮問した審議会の答申では、性的少数者は日常生活において、性差に関する偏見や差別を受ける可能性があり、社会全体が多様性を尊重する環境づくりを進めることが必要との考えが示されております。
 これを踏まえ、改定計画では、人権尊重の観点からの配慮が必要との考え方の下、性的少数者への偏見や差別の解消を目指した施策等に取り組むこととしております。

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