令和四年東京都議会会議録第三号

○議長(三宅しげき君) 三十番清水やすこさん。
   〔三十番清水やすこ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十番(清水やすこ君) 今も激しい頭痛や脱毛などの後遺症がありますが、皆様の前にこうして立てることに感謝しながら、一般質問に入ります。よろしくお願いいたします。
 私自身、昨年夏の第五波の真っただ中に罹患し、自宅療養の後、入院しました。入院中の最後の数日は意識も戻り、自分で体温も測れ、食事も取れるようになりました。そのときに感じたことは、転退院の仕組みをつくるということでした。
 現在は、都においても転退院の仕組みがつくられたと聞いていますが、その取組を促進していくべきです。東京都の見解を伺います。
 次に、人手が足りない介護施設など、いわゆるエッセンシャルワーカーの方々への支援が喫緊の課題です。エッセンシャルワーカーの代替人員確保を支援し、東京の社会的機能の維持支援を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先日の代表質問で、誰もが使いやすい駅づくりの答弁がありました。青梅線の各駅を車椅子の方と一緒にチェックしました。障害者用のトイレなど、表示方法がばらばらでした。特に古い建造物では、改修時以外は、ピクトグラム表示など、義務化されていないと聞いています。
 東京都の率先した取組が必要と思いますが、見解を伺います。
 令和三年八月に、ひきこもりに係る支援の充実に向けてという提言書が当事者、家族の方々も交えた協議会より公表されました。
 そこでは、就労、社会的自立に至る前段階から、当事者や家族の方々が抱える多くの悩みが明らかにされました。
 今後は、早期のニーズ把握、支援につなげるための普及啓発を行うとともに、ひきこもりの状態にある方やご家族への相談窓口を設置するなど、身近な地域で切れ目のない支援体制を整備する区市町村を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症に罹患する前は、毎日二時間、西多摩の小中学校の通学路をチェックしてきました。それは、小一の壁ともいうべく、自分の子育ての経験から続けていることです。毎朝といっても、二十三区全体より面積が広いため、一巡するまで二か月以上かかります。
 これまで、瑞穂町、日の出町、あきる野市などのPTA、自治会の皆様、警視庁、建設局と共に改善してきました。
 今回は、緊急輸送道路に指定されている国道四一一号の迂回道路でもある吉野街道の万世橋についてお聞きします。
 万世橋は歩道の幅が七十五センチ。ちなみに、低学年の子供の傘の幅は九十センチですので、雨の日も晴れの日も、擦れ違うときはどちらかが道路に降ります。トラックが横をすぐ通過する際は、風であおられたり巻き込まれたりする危険な状況です。二時間たつと、約六百台、十トントラックも含め、通過します。そして、万世橋は七十年近く経過しているため、早期に新たな橋に架け替える必要があると考えています。
 そこで、万世橋の架け替えに向けた取組状況について伺います。
 また、今後、地元小中学校PTAなどから様々な要望が提出された際には、真摯に回答してくださるよう要望いたします。
 瑞穂町では、令和二年に町内の有志町民が中心となり、モノレールを呼ぼう瑞穂の会を発足させ、上北台から箱根ケ崎への延伸に向けた活動も進められています。
 先日、知事の施政方針表明では、来年度、都市計画等の手続に着手すると明らかにされていました。
 そこで、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への早期延伸に向けた都の取組について伺います。
 今般、都は、三月末までに地域公共交通の基本方針を定め、今後五年間を重点取組期間として取り組んでいくとしていますが、デマンド交通の中には、法規制上の位置づけが不明確との指摘もあり、安全確保の観点から、ルールの明確化にも取り組まれることを要望します。
 そこで、交通と都市機能の結節点である、いわゆるトランジットセンターの形成も視野に、地域公共交通の充実強化に取り組む自治体に対する支援を強化し、持続的な地域公共交通を実現していくべきですが、見解を伺います。
 これまで、群馬県や栃木県などに行き、Iターン、Uターンについて視察を重ねてきました。残念なのは、西多摩地区の森林環境、住環境とそう違いないのに、どうして西多摩地区がIターン、Uターンの選択肢に出てこないかということです。
 一方で、このコロナ禍の二年間、テレビなどで西多摩の映像が増えました。地元の役場では、たった数人の職員が、年間数千件の移住を希望する電話対応に追われています。せっかくのビジネスチャンス、地元にも東京都にも影響する課題だと思いますが、市町村のマンパワーでは限界があります。
 都として、市町村の取組を後押しするためにも、総合的な情報発信を強化するなど、移住、定住を促進することが重要と考えますが、見解を伺います。
 西多摩地区には多くの空き家がありますが、有効活用に向けて空き家バンクに登録されている件数は、各市町村で非常に少ない状況です。所有者が特定できないものや、建物状況確認が必要であるものなど、登録に向けた手間がかかり、活用できていない状況です。
 都は、空き家の有効活用や発生抑制など、区市町村が行う空き家対策をしっかりと支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 私の地元の西多摩では、開発事業者が資材置場の建設のために建設発生土を計画以上に持ち込んだ盛土から、一部土砂が道路に崩落する箇所があります。地元自治体は、土砂災害等の危険性が高いことから、都に対して現場指導の強化を要望しています。
 自然地における盛土について、都は制度上、どのような規制を行っているのか、また、違法な盛土が生じないよう、制度をどのように強化し、事業者に対応していくのか、都の見解をお伺いします。
 令和二年度の農業センサスでは、都内の農家数がついに一万戸を割り込み、販売農家よりも自給的農家の数が上回る逆転現象が起きています。
 私の地元の西多摩地域でも、ブドウやオレンジを栽培して、ワインやリキュールの加工品の開発や、無農薬、西洋野菜などを新たに栽培してレストランに出荷したり、農家レストランを併設するなど、新しい販売を模索する農家も増えています。
 持続的な稼げる東京の農業を実現するためには、農業者が高い収益を上げて、安定的な経営ができるよう、支援を充実していくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の林業政策は、林業の担い手の減少や高齢化が進む中で、多くの労力と時間を要している森林での作業を効率的に行い、木材の供給力を高めていく必要があります。
 東京の林業を振興し、健全な森林を次の世代に引き継ぐため、都は、DXの推進などにより、林業における生産性の向上を図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、伐採のほか、植栽や間伐などの施策を数多く展開しています。例えば、所有者は分からないけれど、長年、日当たりが悪いため伐採してほしいとの要望を受けます。
 こうしたケースの場合、まず、みんなで福生の法務局に行き、公図と登記簿から森林所有者を割り出すことから始まります。でも、うまく伐採などまでに至るのは十件に一件ぐらいしかかなっていません。私も税理士の知識を合わせながら、都度都度案内していますが、限界があります。
 都は、森林所有者の探索を進めるとともに、積極的に所有者等に支援策を分かりやすく伝える工夫をすべきと考えますが、見解を伺います。
 ちょくちょく視察している日の出町の多摩木材センターでも、多くの杉などの樹皮が山積みされ、産業廃棄物として費用をかけ、処分されています。
 例えば、視察に行った群馬県上野村。ここは東京都の森林面積の約四分の一規模なんですが、樹皮などの端材も無駄なく再利用し、木材乾燥施設やシイタケハウスなどに届け、障害者雇用にも貢献しています。
 そこで、都は、多摩産材をはじめとする国産木材の利用拡大を図るだけでなく、樹皮などの木材に係る産業廃棄物についても一層の活用を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 最後の質問です。
 西多摩の消防団の活動拠点となる詰所や装備品についても老朽化が著しく進んでいます。消防団活動に大きな支障が生じる懸念があり、市町村総合交付金による消防団への支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 以上、皆様のご清聴ありがとうございました。
 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水やすこ議員の一般質問にお答えいたします。
 社会的機能の維持に対しての支援についてのご質問がございました。
 感染力が極めて強いオミクロン株の拡大により、社会機能の低下が懸念されております。特に医療や福祉、保育、輸送業や清掃業など、都民の命と暮らしを守り、社会経済活動の維持に欠かせない分野の事業継続は極めて重要であります。
 このため、都では、ワクチンの大規模接種会場を順次開設いたし、日夜ご尽力されているエッセンシャルワーカーの皆様への三回目の接種を加速しているところでございます。ぜひ大規模接種会場をご活用いただければと思います。
 また、代替要員の確保につきましては、医療分野に加え、この二月には、生活に欠かせない食料品を扱う中小規模のスーパーマーケットなどに対しましても支援策を拡充いたしました。
 さらに、運営継続が困難となった高齢者施設に対しましては、人材派遣を活用した新たな応援の仕組みを構築して、保育所につきましても、運営継続のための職員の確保を後押しするなど、重層的に取組を進めております。
 今後も、感染を止める、社会は止めない、そのことを念頭にいたしまして、臨機応変に、あらゆる対策を総動員し、都民の命と暮らしを守ってまいります。
 次に、林業におけるDXの推進についてのお尋ねがございました。
 東京の林業振興をより一層進めていくためには、デジタルの力を用いて林業の生産性を高め、木材の供給力を向上させることは重要であります。
 都は、東京特有の急峻な地形での作業を効率化するために、斜面における苗木などの運搬にドローンを活用する事業者の取組などを後押しいたしております。
 今後はこれに加えまして、木材を伐採し搬出する作業でもDXを積極的に推進し、生産力の向上を図ってまいります。
 伐採した木材をAIが画像で認識し、機械を使って自動でつかんで集めるシステムなどの開発も支援をいたします。
 さらに、木材を運ぶためのワイヤーを自在に張り巡らせて、リモコンで遠隔操作ができる高性能機械などを、林業の先進国でもありますオーストリアから導入して、事業者に無償で貸与いたします。
 こうした最新の技術を積極的に活用し、産業としての力の底上げを図ることで、東京の林業の持続的な発展に結びつけてまいります。
 その他の質問につきましては、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸についてでございます。
 本区間の実現により、開業区間と一体となり、南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
 都は昨年度から、現況調査及び基本設計等を実施してきております。また、地元市や町が策定した沿線まちづくり構想の具体化に向けて、技術的な助言を行っております。
 こうした取組を進め、来年度、都市計画等の手続に着手いたします。
 引き続き、早期の事業化に向けた関係者との協議、調整を加速し、多摩地域における交通インフラの充実強化に向けて取り組んでまいります。
 次に、地域公共交通の取組についてでございます。
 地域に適した移動サービスを構築し、誰もが活動しやすいまちを実現するためには、区市町村が関係者と緊密な連携を図りながら、主体的に取り組むことが重要でございます。
 そのため、地域の公共交通計画を策定する市区町村への支援を新たに開始するとともに、デマンド交通等の本格導入及び既存路線の見直しなどを新規に支援の対象として追加してまいります。
 加えて、結節機能を充実し、移動手段相互の乗換えや、買物など日常生活の利便性が向上できるよう、市区町村に対しまして、鉄道駅はもとより、核となる商業施設などとも連携した取組を促してまいります。
 こうした支援等を通じ、地域公共交通サービスを持続可能なものとすることで、誰もが移動しやすく、自由自在な交流が可能な都市を実現してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 新型コロナウイルス患者の転退院に関するご質問にお答え申し上げます。
 確保した病床を効率的に運用するためには、患者の症状に応じて転退院を進めることが重要でございます。
 このため、都は、新型コロナウイルス感染症から回復後も、引き続き入院が必要な方の転院を受け入れる回復期支援病院や、転退院により、新たに重症、中等症の患者を受け入れる医療機関に助成するとともに、入院調整本部の転退院支援班による病院間の調整や、説明会の開催などにより、転退院を促進してまいりました。
 こうした支援によりまして、本年一月以降、約七百件の転退院が行われております。
 今月から、高齢者の転退院などの拠点といたしまして、旧東京女子医大東医療センターに臨時の医療施設を開設しており、引き続き症状に応じた受入れが進むよう、さらに医療機関に対する働きかけを強化してまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、トイレのピクトグラム表示についてであります。
 法令等の規定によりまして、一定規模以上の施設の新設や改修の際には、車椅子使用者用トイレ、オストメイトや乳幼児用の設備のあるトイレについて、JIS規格に定められたピクトグラムにより、分かりやすく表示することとされております。
 また、都は、区市町村が既存施設のトイレについて、新たにこのピクトグラムにより表示を行う場合に補助しているほか、現在作成しております施設管理者等向けのハンドブックには、ピクトグラムの統一が重要であることを記載し、周知してまいります。
 こうした取組によりまして、公共施設や駅等で適切なピクトグラムの表示が進むよう、関係機関に働きかけてまいります。
 次に、ひきこもりに係る支援についてであります。
 都は、東京都ひきこもりに係る支援協議会の提言等を踏まえまして、身近な地域での支援体制の充実に向け、昨年十月、都と区市町村による支援推進会議を設置しております。
 また、当事者やその家族が安心して相談できるよう、地域住民等のひきこもりへの理解を促進するため、インターネットや新聞広告などを活用した普及啓発を実施しております。
 来年度は、支援協議会の広報部会において、こうした取組の効果検証などを行い、より効果的な広報を展開してまいります。
 あわせて、区市町村による相談窓口の設置等への支援や、都のひきこもりサポートネットに新設する多職種専門チームが区市町村の取組を支えることにより、身近な地域における相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
   〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 奥多摩町の万世橋の架け替えについてでございますが、西多摩地域の橋梁は、地域住民の方の生活や産業の振興に欠かすことのできない重要な社会基盤でございます。
 万世橋は、吉野街道終点付近で多摩川の渓谷部を渡る昭和三十二年に架設された橋梁でございまして、構造等の問題から、十分な歩道幅員を確保することが困難となっております。
 このため、都は平成十七年に、隣接して新たに橋梁を増設する案を作成し、地元と調整してまいりましたが、既設橋梁の活用等についての様々なご意見もあり、現在、再検討を行っているところでございます。
 町等と意見交換を行いつつ、今後、地元の理解と協力を得ながら、事業化に向けて取り組んでまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、移住、定住促進に向けた取組についてですが、多摩・島しょ地域は、人口減少に転じている地域がある一方、豊かな自然環境、特色ある文化や歴史など、多くの魅力を有しております。コロナ禍により生じた新しい働き方、暮らし方の浸透は、さらなる発展の機会でもあります。
 この機を捉え、都では、市町村と共に地域の魅力を発信し、移住、定住の促進を図るため、来年度、相談対応窓口を設置いたします。
 本窓口では、子育て支援策や空き家活用事業など、各市町村の移住、定住関連情報や支援制度を一元的に集約し、相談者のニーズに応じたきめ細かい相談対応を行ってまいります。
 また、都と市町村とで連携いたしまして、移住、定住セミナーを実施いたします。
 こうした取組により、多摩・島しょへの関心を高め、移住、定住を促進してまいります。
 次に、消防団施設や装備品の老朽化に対する財政支援についてですが、市町村総合交付金は、地域の発展に向けて市町村が取り組む各種施策に要する一般財源の補完制度として重要な役割を果たしてまいりました。
 庁舎などの公用施設に係る建て替えや改修の経費は原則対象外としてまいりましたが、消防団施設につきましては、地域防災に果たす役割の大きさに鑑みまして、対象として取り扱ってきたところでございます。
 また、装備品や資機材につきましても、特別区と同様の配備基準に基づき新たに購入する場合に支援してまいりましたが、さらに来年度からは、その更新についても支援してまいります。
 引き続き、市町村総合交付金を効果的に活用し、地域の課題解決に向けた市町村の取組を支援してまいります。
   〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 市区町村が行う空き家対策への支援についてでございますが、空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している市区町村の主体的な取組への後押しが重要でございます。
 これまで都は、空き家を有効活用するための対策として、定住促進住宅に改修する費用や、空き家バンクに登録するための調査費用などに補助を行っております。
 また、空き家の発生を抑制する対策として、市区町村における住宅の相続に関する相談体制の整備や、住まいの終活セミナーに関する費用などに補助を行っております。
 こうした補助に加えまして、今後は、空き家対策がより計画的、効果的に展開できるよう、地域特性に応じて重点的に取り組むべき空き家対策の考え方や効果的な手法などを指針として示すことで、市区町村の主体的な取組を一層支援してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 盛土の安全対策についてでございますが、都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地で盛土等による土地の形質変更行為をする者に対し、あらかじめ開発許可を受けていることを求めてございます。
 昨年十月から、自然の保護と回復に加え、安全にもより一層配慮するため、盛土の安定性に係る基準も強化し、厳格に審査してございます。
 また、許可後の監視指導の強化を図るため、新たに指針を策定し、地元自治体とも連携しながら、専従の監視員が計画的に現場を監視し、違反事案の早期発見及び是正指導に努めてございます。
 違反事案につきましては、事業者に対し指導を重ねるとともに、改善しない場合は罰則適用もある行政処分により、一層強力に是正を求め、盛土の安全確保を図ってまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京農業の稼ぐ力を高める支援についてでございますが、高収益な農業を実現する上で、生産性や農作物の付加価値の向上に向けた支援が重要でございます。
 このため、都は、民間企業等と連携し、限られた土地でも多くの収穫量を確保できるよう、ビニールハウス内の温度や湿度等を調整するシステムや、数多くの品目の栽培を効率的に進めるためのスケジュール管理アプリを開発いたしました。
 これらについて、普及指導員による巡回指導や講習会を通じ、農業者に導入の働きかけを行っているところでございます。
 また、来年度は、加工品の開発に詳しい専門家による相談や助言の体制を拡充し、農作物の付加価値を高める取組を強化いたします。
 これらによりまして、農業者の収益力向上を支援してまいります。
 次に、森林所有者の把握と森林整備の推進についてでございますが、森林の循環を進めるため、その所有者を明確にした上で、そうした所有者による適切な森林整備が進むよう後押しを行うことが必要でございます。
 このため、都は来年度から、森林の所有者を登録する市町村の台帳を基に詳しい情報を調べ、現在の正確な所有者の特定を進めます。
 また、そうして特定された所有者に対して、市町村と協力し、森林整備を行うよう働きかけます。
 さらに、それに合わせ、伐採や植樹などに応じた様々なサポート策を分かりやすくまとめたパンフレット等によりまして、情報の提供を行い、都の支援事業の活用を促してまいります。
 こうした取組によりまして、適切な森林の整備を一層後押ししてまいります。
 最後に、木材に係る未利用材の活用についてでございますが、資源の循環利用の促進や林業振興の観点から、木材の加工や流通の段階で発生する樹皮や端材などの未利用材を有効に活用していくことは重要でございます。
 このため、都は、製材所において、樹皮等を燃料にして木材を乾燥する設備を導入する経費に対し助成を行っております。
 来年度は、未利用材のより幅広い活用に向け、樹皮を堆肥の原料として果樹農園などに販売する民間の工夫事例等についてPRを行います。
 また、都内における未利用材の発生量や形状、特性などについて調べ、他県の先進事例も踏まえながら、その活用に向けた新たな施策づくりに結びつけてまいります。
 これらによりまして、木材に由来する未利用資源の有効活用を促進してまいります。

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