令和四年東京都議会会議録第三号

   午後四時四十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十五番磯山亮君。
   〔二十五番磯山亮君登壇〕

○二十五番(磯山亮君) 初めに、スマートシティの実現について伺います。
 私は、スマートシティとは、デジタルの力で利便性が高められ、人々の暮らしが豊かになっていくまちづくりであると考えています。
 しかし、都民の生活にとっての利点が見えにくく、スマート化への関心や進捗の度合いにも地域ごとに濃淡があります。デジタルの力で生活がどう変わるのか、具体的に実感できるようにすることが必要です。
 例えば、多摩地域では、民間事業者と自治体が連携し、データを活用したサービスを展開するプラットフォームを構築するなど、新たな取組も始まっています。
 まちのスマート化の取組を大きく育て、都内各地に広げていくためには、都においても強力に後押ししていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
 まちのスマート化を進めていく上では、様々なサービスのデジタル化を図る必要があり、行政もその例外ではありません。直接住民サービスを担う市区町村こそ、DX推進を図ることが重要です。
 私の地元である小平市でも、住民の利便性向上に直結するオンライン申請への対応や、行政内部の業務の効率化とともに、こうした取組を担う職員の働き方改革も進めているところです。
 市区町村はDXを進める上で様々な課題を抱えています。マンパワーや知見、ノウハウ等を十分に備えられず、対応に苦慮している状況も見られます。
 行政サービスの向上に向けたデジタルツールを活用した市区町村の働き方改革に対して、都が一層の支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 少子化の進む日本において、デジタル人材の確保はますます困難になります。この課題を乗り越えるためには、ニューロダイバーシティの普及、浸透を通じた発達障害者の方の活躍促進が非常に有効です。
 ニューロダイバーシティとは、神経学を表すニューロロジカルと多様性を表すダイバーシティが合わさってできた言葉です。
 発達障害者には高度な能力を有する者が多く、特にデジタル関係の業務内容との相性がよいともいわれ、周囲による少しの支援、協力、理解があれば、その能力が開花されるケースも少なくありません。
 海外の大手企業では、発達障害人材を高度デジタル人材として積極的に活用する取組が広がりつつありますが、日本での注目度は十分とはいえない現状です。
 将来的には、具体的な数値目標を取り入れることも必要であると考えますが、まずは、デジタル分野における発達障害者の一層の活躍促進に向けて、企業への普及啓発を進めるとともに、IT企業における就業機会の拡大を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 デジタルの活用により、個別最適化された教育システムの構築がより現実味を帯びています。
 特に、特定の分野に特異な才能のある児童、いわゆるギフテッドの児童生徒に対しては、大きな可能性を秘めています。
 しかしながら、特異な才能のある児童生徒には、才能を有するがゆえ、学校での生活について、なじみにくさを感じているケースも少なくありません。中でも、2Eと呼ばれる、特異な才能と学習困難を有する児童については、読み書きなど様々な学習障害を抱えていたり、対人関係でぎくしゃくしたり、こだわりが強く、ルールを守ることに厳格な気質のため、学校生活の中で様々な困難に直面しています。
 このような困難を解消し、才能を伸ばすためには、個々に応じた多様な学びを提供することが重要です。
 そこで、いわゆるギフテッドといわれる特定分野に特異な才能のある子供たちへの指導や支援について、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、プログラミング教育について伺います。
 コロナ禍においてGIGAスクール構想に注目が集まり、全ての学校でPC端末が導入され、一部オンライン授業が行われてきました。PC端末の配備が前倒しして行われたことは歓迎すべきことです。今まで以上に論理的思考の習得やプログラミングの実践などを積極的に進めていくことが必要です。
 二〇二五年の大学入学共通テストでは、情報について、全ての国立大で原則受験生に課されることになります。都立高校でも、今春から情報Iが新たに導入されます。
 そこで、都内公立学校のプログラミング教育の充実には、教員の指導力向上が必要と考えます。都教育委員会のこれまでの成果と今後の取組について伺います。
 都は、eスポーツフェスタの開催などにより、eスポーツの振興に努めていますが、全国ではさらに幅広い分野で活用されています。
 例えば、生まれつきの事故、病気の後遺症などで体に麻痺がある方々のリハビリに取り入れている施設や、好きなゲームをきっかけに精神障害者や知的障害者が自分の世界を広げてもらうために活用する施設もあります。
 このような取組の背景には、人間関係の広がりや技術の向上などを通じ、社会参加だけにとどまらず、自らが将来、ゲーム関連の制作者になることにより、経済的自立につなげるきっかけにしたいという関係者の強い思いもあります。
 そこで、eスポーツを都立特別支援学校でも積極的な活用が図られることを期待しています。この活用に向け、まずは、子供たちがオンラインを介して交流する経験を積んでいくことが大切です。都教育委員会の今後の取組について伺います。
 都内の農地は減少を続けており、私の地元小平市でも、三十年間で百三十ヘクタール、四三%減少しました。
 東京の農業を維持発展させるためには、農業者が安定した経営を営むことができるよう、農業所得の向上が不可欠です。
 そのためには、身土不二という言葉が示すように、地産地消を促進して、東京産農産物の需要を喚起することが肝要です。
 小平市では、全ての公立小中学校の給食に地場産農産物が供給されており、利用率は三〇%を超えています。こうした取組を都内全域に広げ、消費拡大を図ることが大切です。
 また、農地のない都心の需要を掘り起こしていくことも重要です。
 都は、農業所得の向上に向けて、東京産農産物の地域における消費を促進するとともに、都心部も含めた新たな販路の開拓につながるよう支援すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 西武新宿線田無駅から花小金井周辺までの踏切は、踏切対策基本方針において、立体交差化の検討区間に位置づけられています。花小金井駅西側の小金井街道は渋滞がひどく、都道として本来果たすべき主要幹線の役割を果たしていません。
 また、公立昭和病院付近では、救急車が日常的に踏切を渡れない状況が続いています。地元からは、市民の命を守るという自治体の根本的な役割さえ放棄しているのかとさえいわれることもあります。
 そこで、西武新宿線田無駅から花小金井駅付近の鉄道立体化について、渋滞解消により、沿線都民の交通利便性向上はもちろんのこと、命の安全・安心を守るためにも、関係自治体とも連携を深め、早期事業化を目指すべきだと考えますが、見解を伺います。
 また、小平駅の踏切も開かずの踏切といわれ、安全性も含め問題になっています。歩道の拡幅などを行ってはいるものの、抜本的な解決には至っていません。
 しかしながら、小平駅北口に関しては、現在、再開発事業が計画されており、周辺のまちづくりも進んでいます。鉄道立体化とまちづくりは、時期を合わせて進めることで、事業効果も高くなると考えます。
 二〇二五年には現在の踏切対策基本方針の目標年度を迎えることになりますが、仮に方針の中で鉄道立体化の検討対象区間に示されていない場合であっても、周辺のまちづくりと併せて、立体化に取り組んでいくことが必要です。鉄道立体化以外の対策の検討対象区間に対する見解を伺います。
 都は、ゼロエミッション東京戦略において、3Rの推進やプラスチック対策を資源循環分野の施策の柱に位置づけています。
 多摩地域では、ほぼ全ての自治体で容器包装プラスチックの分別収集によるリサイクルが実施されていることもあり、二〇一九年度のリサイクル率は三六・九%となっています。都が掲げる二〇三〇年の目標である三七%をほぼ達成しています。
 四月には、プラスチック資源循環促進法が施行されます。都は、令和二年度からプラ製容器包装・再資源化支援事業を開始し、分別収集の実施を促していますが、容器包装プラスチックのリサイクルが進む多摩地域において、製品プラスチックの分別収集への取組を進めるためには、都のさらなる後押しが必要です。
 昨年十二月の第四回定例会における都議会自民党の代表質問に対し、都は、市区町村への支援拡充を検討すると答弁しました。また、国においても、自治体の負担軽減を図るため、経費の一部を地方交付税で措置するとの報道も目にしました。
 プラスチック資源循環促進法の施行が目前に迫るなど、リサイクル推進の機運が高まる中、どのように市区町村への支援を拡充するのか、知事の見解を伺い、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 磯山亮議員の一般質問にお答えいたします。
 プラスチックリサイクルへの支援についてのお尋ねがございました。
 気候危機が一層深刻さを増す中、焼却時にCO 2を排出するプラスチックは可能な限り使用を減らすとともに、積極的にリサイクルしていくことが重要であります。
 こうした中、本年四月に施行されますプラスチック資源循環促進法は、従来の容器包装に加え、製品プラスチックも分別収集、リサイクルすることとしており、プラスチックの利用を持続可能な形へと転換する絶好の機会でございます。
 都は昨年度から、プラスチックの分別収集経費などにつきまして、市区町村を支援する事業を開始いたしておりますが、新法の施行を踏まえまして、来年度、従来の容器包装に加え、製品プラスチックのリサイクルを開始する自治体への支援等を大幅に拡充することで、自治体の取組を強力に後押しいたします。
 あわせて、コロナの影響による準備の遅れ等に配慮いたしまして、事業期間を令和八年度まで二年間延長いたします。
 これにより、プラスチック資源の循環を促進し、ゼロエミッション東京の実現に向けた取組を加速してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、子供の資質、能力を伸ばす指導や支援についてでございますが、学校では、授業に物足りなさを感じる子供に対して、発展的な内容の教材の提示や課題学習の設定などの工夫を行いながら指導に取り組んでいるところでございます。
 今後さらに、特定分野に特異な才能のある子供にも適切に対応し、その資質、能力を伸ばしていくことが必要でございますが、これらの子供の中には、学校での学習や生活になじみにくさを感じているケースがございます。そのため、こうした困難さを解消できるよう、より効果的な指導や支援が必要であり、国においても検討が進められているところでございます。
 都教育委員会は、子供の個性を受け止め、一人一人に応じたきめ細かな学びの実現に取り組むとともに、国の動向も注視してまいります。
 次に、プログラミング教育における教員の指導力向上についてでございますが、デジタル社会で必要とされる力を育むためには、子供たちが論理的な思考を働かせて問題を解決する実践的な授業を行うことが重要でございます。
 都教育委員会では、小中学校の各教科等の中で、生活を支えている身近な技術を題材として、コンピューターが命令によって動作する仕組み等の理解を図る指導資料を都内全公立学校に提示しております。
 高校では、新科目情報Iを担当する全教員に、社会で求められるプログラミングの具体的な指導方法に関する研修を実施いたしました。
 今後は、子供が自ら学習を進めることができるプログラミング教材を活用した指導資料を作成、公開するなど、教員の指導力の一層の向上を図ってまいります。
 最後に、都立特別支援学校でのオンラインを活用した交流についてでございますが、オンラインを活用することで、障害のある児童生徒が様々な人との交流を通し、協働して活動する経験を深めていくことは重要でございます。
 都教育委員会は、今年度の特別支援学校総合文化祭で、将棋やオセロの対局をeスポーツのようにオンライン上で実施し、障害により移動が困難な生徒が自校にいながら他校の生徒との対戦を楽しみ、交流への意欲を深めることができました。
 また、来年は複数の学校をオンラインでつなぎ、児童生徒が共に学び合う授業を行います。
 今後、授業や学校行事においてもオンラインを活用し、児童生徒がより多くの人と交流する学びの機会を増やしてまいります。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、西武新宿線田無駅から花小金井駅付近についてでございます。
 都は、交通渋滞や踏切事故等の踏切問題を解消するため、踏切対策基本方針を策定いたしまして、この中で本区間を鉄道立体化の検討対象区間に位置づけております。
 鉄道立体化は、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元市が主体となり、地域の将来像や、まちづくり方針等との関係などについて検討する必要がございます。
 また、未整備の都市計画道路西東京三・四・二五号線及び三・四・二六号線と交差し、道路整備計画と整合を図る必要もございます。
 都といたしましては、小平市や西東京市が行うまちづくりの取組を支援しながら、その状況や道路整備計画の具体化などを踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、鉄道立体化以外の検討対象区間についてでございます。
 方針におきましては、これらの区間につきまして、踏切道の拡幅、踏切システムの改修等、早期に実現可能な対策を関係者間で検討すべきとする一方、将来、まちづくりの進展や周辺環境の変化が生じた場合などには鉄道立体化を検討することもあり得るともしております。
 例えば、東急大井町線戸越公園駅付近につきましては、特定整備路線である補助第二九号線の整備や、地元区によるまちづくりの進展を踏まえ、連続立体交差化に向けた取組を行うこととし、事業化の準備が進められております。
 今後とも、地元区市町や鉄道事業者等と連携いたしまして、地域の実情やまちづくりの将来的な動向等も踏まえながら、踏切対策を推進してまいります。
   〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、まちのスマート化についてでございますが、先端技術を活用し、各地のスマート化を推進していくためには、住民ニーズや地域特性を捉えたスマートサービスの早期実装が重要でございます。
 都はこれまで、大手町、丸の内、有楽町、いわゆる大・丸・有や竹芝、豊洲において都市OSの構築等を支援してまいりました。
 来年度は新たに、区市町村が大学や地元企業等と連携し、地域が主体となって進めるまちのスマート化の取組の支援を開始いたします。先行実施エリアでの知見や事業者とのネットワークを活用し、各地域の特性を生かした取組を複数年にわたり、きめ細かく支援してまいります。
 こうした取組を通じて、地域課題を解決するサービスを実装するとともに、その成果を他地域へ発信することで、都内全体のスマートシティの実現につなげてまいります。
 次に、区市町村のDX支援についてでございますが、職員の能力を最大限発揮させるためには、デジタル技術を活用し、働き方改革を進めていくことが重要でございます。
 これまで都は、区市町村のペーパーレスやテレワーク導入に向けた取組に対し、専門人材による技術的相談を実施してまいりました。
 来年度は新たに、区市町村とのワーキンググループにおいて、働き方改革に資するRPA、ロボティック・プロセス・オートメーションや、AI等の自動化ツールの共通化、標準化を推進してまいります。
 さらに、これらの成果をSNSで発信するとともに、新たに導入する共通チャットツールの活用により、相互交流を促進し、知見やノウハウを都内全体へ広げてまいります。
 こうした多角的な取組を行うことで、区市町村が進める働き方改革を積極的に支援してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、デジタル分野での発達障害者の活躍についてでございますが、発達障害者の中には、高い集中力や分析力を持つ方がおり、そうした特性等を生かしIT企業などでの就業を推進することは、企業の人材確保の観点から効果的でございます。
 このため、都は来年度、経営者等に対して、デジタル分野における発達障害者の特性や能力に関する普及啓発を実施するとともに、その採用促進と定着に向けた後押しを行います。
 具体的には、障害者雇用を促進するイベントにおいて、IT企業での活躍事例や定着のノウハウを紹介いたします。
 また、IT関連の業界団体と連携して、職場体験実習の受入先を開拓し、企業とのマッチング機会の拡充につなげます。
 さらに、ITの知識を有するジョブコーチを職場に派遣し、定着支援を行います。
 これらにより、発達障害者のデジタル分野での活躍を推進してまいります。
 次に、農業による収入の増加に向けた支援についてでございますが、都市農業における経営力を高めるためには、地元での消費を拡大するとともに、新たな販路開拓を進め、収入の増加につなげることが重要でございます。
 このため、都は、地元で取れた野菜のイベント等でのPR販売や学校給食への供給など、区市町村が地域と一体となって地産地消を進める取組を複数年にわたり支援しております。
 また、販路の拡大に向けて、販路開拓ナビゲーターにより、生産者と販売先とのマッチングのサポートを行っているところでございます。
 来年度は、多摩地域等で取れた農作物を都心の百貨店などで購入できるよう、新たに受発注や集荷、配送の仕組みを構築し、東京産食材の流通拡大を図ります。
 こうした取組による収入の増加を通じ、東京農業の持続的な発展を実現してまいります。

ページ先頭に戻る