令和四年東京都議会会議録第三号

   午後二時三十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十七番やまだ加奈子さん。
   〔六十七番やまだ加奈子君登壇〕

○六十七番(やまだ加奈子君) デジタルサービス局発足後、都政の様々な分野でDXの取組が進み、各局で数多くのデジタル技術やサービスの活用事例が生まれています。
 例えば、建設局が来年度本格的に導入予定のMy City Reportは、道路に関する都民からの投稿を受け付け、道路補修につなげていく、都民との協働した非常に魅力的な取組であります。
 こうした各局で実施している取組を他の局でも活用できるか検討し、可能なものは広く各局に導入していくことも、さらなる都政のDX推進に必要だと考えます。
 都政DXの推進役であるデジタルサービス局がその役割を担い、全庁的な視点でデジタル技術やサービス実装の横展開を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナの影響により、人と人との触れ合いに重きを置いた対面サービスやイベントで地域のにぎわいをもたらしてきた商店街にも、デジタル技術の活用や買物スタイルの変化への柔軟な対応が必要となっています。
 商店街が生活に不可欠なものとして、地域の中核的な役割を担い発展をしていけるよう、将来を見据えた戦略と女性や若手リーダーの育成支援が大切です。
 そこで、社会の変化や多様化する消費者ニーズに対応した商店街づくりを支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 厳しい経営環境が続く中、中小企業における安定的な経営を支えるためには、一つ一つの業務の効率化を図り、短い時間で多くの製品やサービスを確実に提供できる生産性の高い体制をつくっていくことが不可欠であります。
 企業にとって生産性向上への取組を担う人材を確保し継続的に育成していくことは極めて大切ですが、経営資源やノウハウが限られる中小企業にとって、現場改善を支える人材を自社で育成していくことは厳しいとの声も聞かれます。
 とりわけコロナ禍により一層人手不足が深刻化するサービス業でも、こうしたニーズが高まっています。
 そこで、中小企業の安定的な経営を支えるため、サービス業も含め、生産性向上に向けた人材育成を支援する取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 都は、都市づくりのグランドデザインにおいて、地域特性を踏まえた新たな地域区分を示し、東京全体で特色ある個性を生かしたまちづくりを進めていくとしています。
 環状七号線内側の中枢広域拠点域では、これまで品川や渋谷など大規模な拠点駅で、都市再生特別地区等も活用し、駅を中心に周辺開発と連携した駅まち一体開発の取組が進められています。
 一方、地域のポテンシャルや開発規模の差などから、特に城北地区ではなかなか取組が進んでいない現状もあります。
 私の地元、北区王子駅周辺でも、区が検討委員会を立ち上げ、区役所の移転や広場づくりなど、ウオーカブルなまちへの転換、駅前低地部から高台への避難経路確保など、まちづくりの検討を進めていますが、課題も多くあります。
 そこで、大規模な拠点はもとより、地域の拠点について、エリア的な課題も踏まえたまちづくりの取組を促進するため、都市開発諸制度など、様々な制度や仕組みを柔軟に活用し、駅まち一体開発を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年の災害対策基本法改正により、高齢者や障害者が対象となる避難行動要支援者の災害時個別避難計画の作成が区市町村の努力義務とされました。
 これまで都は、区市町村に対し個別避難計画作成経費を補助してきましたが、国の努力義務化に伴い費用が地方交付税措置され、都の区市町村に対しての補助は対象外となっています。
 しかし、区市町村の計画作成の取組は、昨年度の調査で、対象者全員に作成した区市町村は僅か三自治体、一部作成は三十九自治体、未作成は十九自治体と遅れている現状です。
 災害時に高齢者や障害者の方が取り残されることなく安心して避難ができるよう、都として区市町村に対し財政支援を行い、遅れている取組を後押しすべきであります。
 そこで、都は区市町村に対し、個別避難計画作成の支援をどのように行うのか、見解を伺います。
 高齢者が生涯にわたって趣味の会や就労、ボランティアなど、社会に参加することは、健康な生活を後押しし、また豊かな知見を社会に還元する社会貢献の意味でも大きな意義があります。
 一方で、都の高齢期における地域活動等の意向調査や在宅高齢者の生活実態調査報告書によりますと、高齢期の地域活動等の参加希望は約八割に対し、現在の高齢者の社会参加は約五割にとどまっており、社会参加の意欲が実際の活動に結びついていないことが分かります。ウイズコロナ、ポストコロナでの新たな社会参加促進の支援が重要となります。
 そこで、高齢者の社会参加に向けて、地域にある老人クラブ、シルバー人材センター、ボランティア団体など、既存の団体を支援するとともに、さらに広域的な活動につながる新たな取組をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 新たな時代に対応した教育を展開していくため、学校現場におけるデジタル教育環境整備は急務であり、公私の区別なく進めていかなければなりません。
 昨年の第三回定例会でも、都議会自民党として強く求めてまいりました。
 そうした中、都立高校が来年度入学生から生徒一人一台端末が整備されることに合わせて、私立高校においても都立高校と同等の支援を行うとしたことは高く評価しています。
 しかし、実際には、教育方針がそれぞれ異なる私立高校に対して、都立高校と同等の支援でデジタル教育環境整備を進めていくには相応の工夫が必要になると考えます。
 そこで、支援の基本的な考え方について伺います。
 来年度の都立高校入試から中学校英語スピーキングテストの成績が反映される仕組みとなります。
 英語をツールとして使いこなす力を早い時期に習得し、英語学習を通じて世界に関心を広げていくことは教育効果も高いものと期待しています。
 一方で、全ての中学三年生を対象としており、視覚や聴覚、吃音など、様々な特別措置を必要とする生徒も多数いることから、合理的配慮を踏まえた制度設計が前提条件になると考えます。
 しかし、昨年十一月に実施されたプレテストの十四項目の受験上の特別措置に対し、当事者や保護者の方からは心配や不安の声が私たちの下にも届いています。
 全員が義務教育の一環で受けるテストであり、都立高校入試の合否にも関わる試験です。英検などの自らの意思で受験する外部試験以上に合理的配慮が求められます。
 そこで、教育庁の認識と今後に向けた取組について伺います。
 令和二年度の都内不登校児童生徒数は一万七千六百八十八名と、前年より千六百二十名増え、八年連続で増加の一途をたどっています。
 不登校支援においては、公的な支援施設である教育支援センターが役割を担います。ここでは、生活リズムの改善や学力の補充、また専門家による相談で必要な機関と連携するなど、社会的な自立を目指す寄り添った支援が行われており、重要であります。
 しかし、都内のセンター数は九十二施設、定員数は約三千五百名程度であり、圧倒的に不足しています。
 公的施設である教育支援センターの定数増や多様な体験のための民間活用、また効果的な活動の共有など、取組支援も重要であると考えます。
 そこで、不登校児童生徒への支援として、教育支援センターの充実に向けた都教育委員会の取組について伺います。
 プレコンセプションケアとは、男女を問わず、若い時期から自分の体について知り、将来の妊娠のための健康学習、管理を促す取組であります。
 特に、女性にとって妊娠に関係する体の状態を知ることは、納得し、幸せな生き方の選択肢が増える意味で重要な取組であります。
 具体的には、普及啓発、相談体制整備、検査支援という段階を取組として進めることが有効であります。
 昨年の第四回定例会でもプレコンセプションケアを取り上げてまいりました。
 都では妊娠しやすい体づくりに必要なことや妊娠の仕組みについてなど普及啓発を進めていますが、さらなる充実が必要だと考えます。
 そこで、相談支援の実施など、プレコンセプションケアの今後の取組について伺います。
 都は、待機児童対策として、六年間で認可保育園を千百三十五施設、定員数は八万三千三十人増やすことにより、待機児童数は平成二十九年の八千五百八十六名をピークに、今年度九百六十九名まで解消され、成果が表れています。引き続き、必要な方が利用できるよう、寄り添った対応を行うべきです。
 一方で、新たな課題として、保育園の定員割れの懸念が都内各地で顕在化しています。
 国は昨年、地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会の中間の取りまとめを公表しました。その中では、保育園の在宅育児支援への活用強化や子育てのかかりつけ相談機関としての活用など、多様化する保育ニーズや新たな役割を担う施設として検討がされています。
 都としても、これまで待機児童対策でつくられた保育資源を活用し、保育施策の新たな展開が必要な時期に来ており、令和四年度予定されている子供・子育て支援総合計画中間見直しにおいて検討すべきと考えます。
 そこで、都として、社会の変化を踏まえ、新たな保育ニーズにも応えられるよう展開していく必要があると考えます。
 知事の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) やまだ加奈子議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、保育施策についてのお尋ねに対してのお答えでございます。
 私は、就任直後から待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけ、都独自に様々な取組を講じ保育サービスを拡充してまいりました。その結果、昨年四月の待機児童数は千人を切ったところであります。
 また、空き定員を活用いたしまして、在宅子育て家庭の子供を受け入れる認可保育所等を支援しております。
 来年度から、認証保育所が多様な子育てニーズに対応するため、短時間勤務の保護者が利用しやすくなりますよう要件を見直すとともに、放課後の居場所対策として学齢児の受入れも可能といたします。
 保育施策を展開していく上で、テレワーク等の普及による働き方の変化や地域の子育てニーズの多様化を踏まえることも必要でありまして、区市町村と連携しながら認可保育所や認証保育所等の特性を生かしまして子育て家庭を支えてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、スピーキングテストにおける合理的配慮についてでございますが、来年度の本実施に向け、全ての生徒が安心してテストを受けられるようにするためには、障害等に応じた合理的な配慮に基づく適切な措置を設定するとともに、生徒、保護者への確実な情報提供や教員の十分な理解が不可欠でございます。
 このことから、来年度は特別措置に関する情報を、リーフレットに加え、ウェブサイトを通じて提供するとともに、申請の受付期間を延長することにより、生徒、保護者が教員等と十分に相談しながら措置を申請できるようにいたします。また、採点の際には障害特性に応じた配慮を引き続き行ってまいります。
 今後とも、生徒の能力が適正に評価されるよう、生徒、保護者の意見を丁寧に聞き、適切に対応してまいります。
 次に、教育支援センターにおける取組についてでございますが、学校に通うことができない子供に、人との関わりや学ぶ機会を確保し、社会的自立に向けた支援を充実させるためには、教育支援センターの機能の強化が重要でございます。
 都教育委員会は、同センターでの子供の主体性を生かす体験活動や発達の特性に応じた学習活動の充実を図るために、安心できる居場所の確保やフリースクール等と連携した取組に係る経費の一部を補助しているところでございます。
 今後、子供一人一人の状況に応じた支援を一層推進するため、心理士等を活用した相談体制の強化など、区市町村の取組に対する支援を拡充するとともに、支援員等を対象とする連絡会を新たに設け、子供の意欲を引き出す力の向上を図ってまいります。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 駅まち一体開発の取組についてでございます。
 飯田橋や高田馬場、大井町など、複数の鉄道が乗り入れ都市機能が集積する地域の拠点駅周辺等では、その多くでいまだ慢性的な混雑を抱え、またバリアフリー動線やまちの顔となる空間の不足などの課題がございます。
 このため、駅周辺のまちづくりと連携し、都市開発に関する様々な制度等を効果的に運用し、地域の課題の解決を図る駅まち一体開発の取組が必要でございます。
 例えば、王子駅周辺では、新庁舎の整備や駅周辺の開発とも連携して、地域の回遊性や防災性を高める歩行者ネットワークの形成などに向けて、区の検討会に都も参画し、技術的助言を行うなど、積極的に支援を行っております。
 地元自治体とも連携し、民間の活力も生かしながら、駅まち一体開発を推進し、東京全体の魅力を高めてまいります。
   〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) デジタルサービスの横展開についてでございますが、都政のデジタル化に当たりましては、サービス向上につながる技術等を全庁横断的に活用していくことは重要でございます。
 デジタルサービス局では、今年度、都民からの相談等を受け付けるアプリ開発やローコードツールの活用など、二百件を超える各局案件を技術的に支援をしてまいりました。
 来年度は、これまでの支援を通じて蓄積してきた好事例を各局へ新たにプッシュ型で情報発信を行いますとともに、全局が参加するスマート東京推進会議の場などを活用して、各局に導入を促すことで、デジタルサービスの横展開につなげてまいります。
 こうした取組によりまして、全ての都民が利便性を実感できる行政サービスの質の向上に積極的に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街の活性化についてですが、商店街が将来に向け発展できるよう、その活性化に係る計画的な取組を支援するとともに、新たな発想を持つ若手や女性の活躍を後押しすることは重要でございます。
 都はこれまで、商店街の再生に向けたプランづくりに対し、専門家を三年間派遣しサポートを行ってまいりました。また、商店街に若手や女性が出店し、商売を学ぶ機会を提供してきたところでございます。
 来年度は、商店街を活性化する取組について、専門家がプランの作成から実行までをアドバイスするほか、その実現に必要な経費に助成を行います。また、商店街の若手や女性が中心となり企画するイベントに対する新たな助成も開始し、担い手づくりに結びつけてまいります。
 こうした取組によりまして、商店街の振興を着実に進めてまいります。
 次に、中小企業の生産性を高める人材育成についてですが、長引くコロナ禍により中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、生産性を高めるための中核となる人材を育成することは重要でございます。
 これまで都は、製造業を対象に、講義と現場実習を組み合わせたプログラムを行い、職場においてリーダーとして生産性向上に取り組む人材を育成してまいりました。
 来年度からは、新たにサービス業向けのコースも設け、各プログラムの修了後には会社に専門家を派遣し、フォローアップを行います。さらに、プログラムの修了者がお互いに交流して情報交換を行う機会を提供するとともに、各社の優れた取組を幅広く発信してまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業の生産性向上の担い手の育成を進めてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、個別避難計画の作成についてであります。
 今年度の災害対策基本法改正により、避難行動要支援者の個別避難計画の作成が区市町村の努力義務とされたことを受けまして、都は区市町村の取組状況を調査いたしております。
 取組が進んでいる区市町村では、計画作成に必要な情報を効率的に取得するシステムを導入しているほか、自主防災組織等を中心とした計画作成など、地域の実情に合わせた取組が行われております。
 区市町村の取組が一層進むよう、こうした好事例を紹介するとともに、来年度からは情報システムの整備や地域の関係者等による計画作成などにより、個別避難計画を効率的、効果的に作成する区市町村を包括補助で支援してまいります。
 次に、高齢者の社会参加についてであります。
 高齢期を生き生きと過ごすには、高齢者が意欲や関心等に応じて社会参加できる環境づくりが重要であり、都はこれまで、高齢者による文化、教養活動や老人クラブ等の多様な活動を区市町村等を通じて支援しております。
 来年度からは、就労、ボランティア、趣味活動などの社会参加に意欲のある高齢者等と地域の様々な活動等を結びつけるため、社会参加に関する情報提供や紹介等を行う相談窓口の設置や活動等の場となる地域資源の掘り起こしに取り組む区市町村への支援を開始いたします。
 あわせて、有識者や区市町村等からも意見を聞きながら、高齢者等の意欲や希望に応じた幅広い分野における社会参加のきっかけづくり、マッチングを広域的に支援するための施策を検討し、実施してまいります。
 最後に、プレコンセプションケアについてであります。
 若いときから妊娠、出産の正しい知識を身につけ、将来のライフプランを考えることは重要であります。
 このため、都は、妊娠に関する基礎知識や不妊治療に関する情報等を掲載した小冊子を作成、配布するほか、こうした情報を一元化し、ポータルサイトで幅広く発信しております。
 来年度は、妊娠を考える男女のプレコンセプションケアなどに関する相談支援の開始に向け、相談の実施方法等の在り方を検討するほか、区市町村においても妊娠適齢期や不妊症、不育症等に関する相談支援の取組が進むよう、支援を拡充することとしております。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 私立高校の一人一台端末の整備についてでございますが、学校現場におけるデジタル教育環境の充実は喫緊の課題であり、高校の一人一台端末につきましても、その整備を進めていく必要がございます。
 私立高校は、各学校の方針に基づき教育環境の充実を図っておりまして、端末の整備方法も、学校が端末を直接購入する場合や保護者の端末購入費用への負担軽減に取り組む場合など、様々でございます。
 このため、都内の私立高校が新たに入学する生徒を対象に一人一台端末の整備をする場合、整備方法にかかわらず都立と同等の支援ができますよう、学校ごとに経費の一部を補助いたします。
 今後とも、デジタル教育環境の充実に向けた都内の私立高校の取組を支援してまいります。

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