令和四年東京都議会会議録第三号

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 一昨日に引き続き質問を行います。
 百二十三番西沢けいた君。
   〔百二十三番西沢けいた君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二十三番(西沢けいた君) 質問に先立ち、去る二月一日に逝去された石原慎太郎元東京都知事に対しまして、謹んで哀悼の意を表するとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に質問いたします。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 二月四日、「未来の東京」戦略が更新されました。これまで私たちは、都民の暮らしと人に着目をし、貧困や格差などの将来不安を解消してこそ希望の持てる社会となると訴えてきましたが、コロナ禍でますます厳しさを増す格差や貧困などの問題に十分対応できているとはいえません。
 二〇一六年十二月に策定された都民ファーストでつくる「新しい東京」では、都内GDPを二〇二〇年までに百二十兆円、訪都外国人旅行者数を二千五百万人などとする四つの挑戦を掲げていましたが、その後、これらはどう総括されたのでしょうか。
 私たちの求めに応じる形で、四つの挑戦の一つに都民の生活満足度が掲げられましたが、これも五一・一%と計画策定時より悪化しており、不満の理由も経済的なものが最多です。
 四年度予算案を見ても、こうした都民の経済的不満、暮らしや生活に対する都民の満足度を向上させていく視点が希薄であると感じています。
 そこで、私は、改めて都民の暮らしと人に着目をし、貧困や格差などの将来不安の解消に向けて取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 令和四年度一般会計歳出総額は過去最大、政策的経費である一般歳出も五兆八千四百七億円、前年度比プラス四・一%となっています。
 私たちは、無駄は削って弱者に回す、コロナ禍において好調な企業から得た税収は、長引くコロナ禍で生活苦に陥った方、従来からあった不安定雇用や低賃金など、コロナ禍でより一層顕在化した課題に対して重点的に振り向けるべきだと考えます。
 令和四年度予算において、増えた税収が弱者に対して十分に振り向けられていると考えているのか、知事の見解を伺います。
 令和四年度予算の編成では、初めて政策評価と事業評価を一体的に行いました。私は、財務局のやってきた事業評価は、一定の効果、実績を上げてきたと考えております。そのため、この政策評価と事業評価の一体的実施について、昨年の予算特別委員会では、財源をしっかり確保するという事業評価の姿勢と外部の目が入った政策評価、この双方の長所を生かした取組を求めました。
 歳出膨張の抑制、新規事業に対する財源確保、そして無駄を切る観点から、政策評価と事業評価の一体的実施においてどのような成果があったと考えるのか、見解を伺います。
 来年度予算には、事業評価の取組でも紹介されているMy City Report、市民投稿アプリの本格導入予算が計上されています。これは、都民から道路損傷の情報を受け付けるもので、対応状況などの経過も都民と共有できるものです。
 これは、かねて私が提案してきた行政サービスのクラウド化、ガバメント二・〇、すなわちアプリを通じた都民参画であり、効率化だけではなく、日頃行政との接点が少ない都民からの情報提供とそのレスポンス、さらには所管違いの情報を共有して仕事を進めるという大変貴重な行政改革経験でもあります。
 DXをデジタル化、効率化にとどめるのではなく、行政の在り方、質を変える行政改革につなげる取組をもっと推進すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、東京都パートナーシップ宣誓制度について伺います。
 私たちは、同性パートナーシップ制度について、早期の条例による実現を求め、東京都として、現状の差別的な扱いを解消していく必要があると提案してきました。
 先般、都の制度案が公表され、予算案にはオンライン登録の経費〇・四億円が計上されるなど、条例に基づく早期の制度化に向けた取組を評価するものです。
 今後は、当事者の意見を受けて、より人権に配慮した具体的な制度設計、運用となるよう、さらなるブラッシュアップが必要です。また、民間事業者や区市町村の協力が必要であることから、都としての政策推進についても、より具体的な姿勢を明記することが求められます。
 そこで、東京都パートナーシップ宣誓制度によって、LGBTQプラスの当事者の権利をどのように実現していこうとしているのか、知事の見解を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 私たちがかねてより求めてきた、蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言の要請基準を東京都が明らかにしたことは前進です。しかし、何がどうなったらいつ解除なのかは明らかにされていません。
 病床使用率が上がっており、都の要請基準に達したなどの報道を受け、緊急事態宣言に移行してしまうのか、蔓延防止等重点措置期間が延長なのか、三月六日以降の見通しが示されないことが問題であり、経済活動などの損失につながるとの声が後を絶ちません。
 経済を止めないというのであれば、こうした点にも配慮し、都民生活や事業運営に対する見通しを持てるよう、解除の基準についても明らかにするべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、オミクロンの特性に対応して要請基準を変更したことは是とするものの、その根拠や過程が十分説明されていないために、場当たり的に変更したのではないかとの疑念の声もいまだに聞かれます。
 都民の納得と共感がなければ、コロナとの闘いは難しくなってしまいます。大きな変更を行う場合は過程についても明らかにし、しっかりと説明をするべきであると私たちは繰り返し求めてきました。
 こうしたことが繰り返されるのも、都の対策や対応の検証が行われていないことに起因するものと考えます。新たな変異株への対応においても繰り返すことのないよう、しっかりとした検証を求めるものですが、見解を伺います。
 感染状況を見ると、重症者数は高齢者を中心に増加傾向にあり、高齢者施設での感染も増えています。亡くなる方も高齢者が多くなっています。
 私たちは、当初からこれまで一貫して、必要な医療が受けられなかったり、遅れたために亡くなる方のないようにすることを求めてきました。
 新規感染者が減少傾向に転じたと報道されていますが、六十五歳以上の高齢者においては依然として非常に多く、割合は九・六%に上昇していることから、重症病床などの逼迫が進み、必要な医療を提供できなくなってしまうことも懸念されます。
 飲み薬や点滴薬による治療を迅速に行える体制整備、ワクチンの三回目接種をさらに加速化するなど、高齢者を含む都民の命を守る対策をより一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 現在直面している第六波においては、比較的軽症の方が多数とはいえ、過去に経験のないスピードで感染者数が拡大し、多くの方が自宅療養されている中、問題が発生したことも事実です。
 こうした中で、重症化の見逃しを防ぐため、自宅療養者に対する健康観察をはじめとした療養支援体制の拡充を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、経済対策、人材確保策について伺います。
 私たちは、人への投資を重視した、幸福を実感できる東京の経済発展を目指しており、都民生活に必要不可欠な製品、コンテンツなどを確実に確保できることが重要だと考えています。
 現在、ベンチャー、中小企業のテック企業によるイノベーションにより開発された製品やサービスが、社会的課題の解決に貢献しています。
 イノベーションを生む新たな技術と商品開発、東京の雇用、所得に貢献する事業に投資を行い、都の成長戦略につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の地場産業に関して、さらなる対策も必要です。
 コロナ禍による巣籠もり需要もあって、漫画の海賊版被害が過去最悪となっています。海賊版サイトで、ただ読みされた漫画は二〇二一年だけで売上げ換算一兆円を超え、正規の漫画市場の一・六倍にも当たると報じられています。このままでは漫画文化が破壊されかねません。
 また、昨年八月の中国におけるゲーム規制の導入により、中国国内で一万四千社が倒産する一方で、残った大手企業は日本などへの海外展開に力を入れると公言しており、早めの対応策が必要です。
 そこで私は、コンテンツ産業の育成支援に積極的に取り組みながらも、漫画、アニメを含めた知的財産保護策の拡充に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 経済成長には、企業の生産性向上が鍵となりますが、それには、デジタル人材の確保、育成が欠かせません。しかし、デジタル人材は不足しており、とりわけ中小企業には、新たな人材を雇う余裕もありません。
 そこで、データサイエンス教育の推進を図るとともに、都において中小企業へのデジタル人材の派遣、中高年従業員を含めた全社員の学び直し、リスキリング支援などに取り組むべきです。
 デジタル人材育成、確保策にさらに力を入れるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍の中で、東京ビッグサイトでのイベントを予定している事業者は、来春四月から六月のイベントの開催可否や規模をはかりかねています。イベント主催者は、開催断念によるキャンセル料の支払いリスクを考え、規模を縮小しがちです。また、再開催を判断して会場を借りれば、さらに費用がかかる場合があります。
 そこで私は、主催者が開催の可否や規模を判断できるように、従来行ってきたキャンセル費用の減免の取組を再度行うべきではないかと考えます。
 この対策が、現在大変な苦境にあるイベント主催者及び関連事業者への支援になるだけではなく、遠からず来るであろうピークアウト後に、速やかに経済回復につなげていくための施策になり得るものと考えますが、見解を伺います。
 MICEは、参加者など一人当たりの支出額も大きく、ダメージが大きい観光、飲食業界などへのコロナ後の経済波及効果が期待できます。一方で、企業系会議の誘致は長くて二年、国際会議は三年以上かかります。コロナ後を見越して今誘致に尽力しなければなりません。都内においては、開業を控えている東京たま未来メッセをはじめ、各所で誘致に取り組んでいます。
 しかしながら、海外主催者に対する適切な働きかけやハイブリッド形式への支援、開催地全体の受入れ環境の整備、協力体制の不足などの課題があり、対策が必要です。
 長期的、全体的展望を持った効果的なMICE誘致策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、経済対策の一つとして賃金の引上げが必要だと考えており、賃上げはコストではなく、未来への投資だと考えています。しかし、日本では賃金が上がりにくく、物価が上昇基調にあり、消費も低迷し、今や中間層は分厚いとはいえません。一方で、産業界ではデジタル化や脱炭素など変革に迫られており、イノベーションの実現には人への投資が欠かせません。
 知事においては、中小企業などの賃上げに関して取り上げることや、都が日本の賃金課題である企業規模格差や男女格差を見える化するなど、賃上げの機運醸成に努めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、賃金引上げには、賃上げの原資確保が必要ですが、中小企業にはその余力がありません。大企業の下請を担う中小企業の八割は、原材料費などの上昇に対して、製品への適切な価格転嫁ができずにいるとの調査結果もあり、それらは、取引先による買いたたきといわざるを得ません。その結果、賃上げも進みません。国はこれを厳しく認定し、独占禁止法上の優越的地位の濫用を防止するための対策調査室を新設します。
 東京都としても、下請いじめ対策を行うことで中小企業を支援し、賃上げをも支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 低賃金の状況を脱するには、職業訓練など人的資本への投資も欠かせません。日本では、主要国との比較で労働政策の公的支出額が低い水準にあるため、職業能力開発計画の改定に取り組む都において、産業人材のさらなる確保、育成策を推進する必要があります。
 北欧諸国の職業教育においては、労使代表などが参加する委員会組織が、労働市場における技能需要の状況把握や提供すべき職業訓練の内容改善などの役割を果たしています。
 そこで私は、公労使による協議を進め、民間教育機関などへの委託訓練を含む公共職業訓練のさらなる拡充を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 国は、四月から賃上げ企業に公共調達における総合評価落札方式への評価点を上げるなど、優遇措置を行う方針です。
 都においても、賃上げの企業へのインセンティブとして同様の取組が必要だと考えますが、見解を求めます。
 次に、貧困対策について伺います。
 まず、女性の貧困についてです。
 東京都議会立憲民主党は、審議会など意思決定への女性参加、女性起業家の支援に加えて、予算の一つ一つをジェンダー平等の視点からチェックするジェンダー予算を提案してきました。
 中でも、女性の貧困対策は喫緊の課題であり、女性の非正規労働者や失業者、低所得者の視点から、相談支援施策を充実させることは欠かせない視点の一つです。
 コロナ禍において女性ホームレスの増加が顕著になったことを受けて、昨年行われた女性による女性のための相談会が、この年末年始にも行われました。
 女性目線の支援については、支援を行っている民間との連携により、都の施策をより一層充実させるべきと考えますが、見解を伺います。
 生活保護の扶養照会について、昨年第一回定例会の代表質問でも取り上げ、その後、昨年二月及び三月に厚生労働省から各自治体に対して、扶養義務の履行が期待できると判断される者に対して行うことという旨の事務連絡がなされました。申請者の意向に反した扶養照会は、生活保護の利用をためらう要因となっています。
 都は、国の事務連絡の内容を福祉事務所に徹底し、民間団体が作成した扶養照会をしないでほしいという事由が書かれた書類を提出するなど、本人が拒んでいる場合には、扶養照会をやめる対応を福祉事務所が行うようにすべきと考えますが、見解を伺います。あわせて、書面での申出は一つの意向を伝える方法だと考えますが、見解を伺います。
 また、扶養照会をしないでほしいという事由が書かれた書類が提出をされたとき、その書類を受け取らず、扶養照会をしないでほしいという意向があるという事実をも受けないという判断は、都の通知に照らしても適切ではないという認識でよいか、見解を伺います。
 次に、子供、若者施策について伺います。
 昨年の第三回定例会で、私たちは、子供、子育てに関わる政策を一元的、総合的に推進するための組織体制の抜本的強化を求めました。
 このことからも、今回、新たに子供政策連携室が提案されたことは評価するものです。この専管部署が専ら政策の連携にとどまることなく、子育て世帯への経済的な支援策の拡充こそが求められていますが、組織設置の狙いも含め、知事の見解を伺います。
 次に、児童虐待について伺います。
 来年度予算では、児童虐待対策として、児童福祉司や児童心理司で五十七名、一時保護所で四名の増員をはじめ、サテライトオフィスや多摩児童相談所の検討など、積極的な姿勢を打ち出していることは評価します。
 しかし、一方で、児童虐待の相談件数はこの三年で二倍近くに増えており、早急かつ抜本的な対策が欠かせません。児童虐待対策の拡充に向けて、知事の見解を伺います。
 ヤングケアラー対策について伺います。
 私たちは、ケアラーの支援が必要であると求めてきました。中でもヤングケアラーへの支援は喫緊の課題であり、新年度予算案に盛り込まれたことに期待をしています。
 ヤングケアラーが存在する背景には、家族の介護や看護、経済的困窮など複数の要因が絡み合っていることも少なくなく、また、所属を持たない子供は見落とされがちであるなど、様々な難しさがあります。継続的な支援や個人情報保護の観点から、今後、各市区町村が対策に大きな役割を果たすことが欠かせません。しかし、各市区町村も、ヤングケアラー対策はまだほとんど手つかずの状態です。
 ヤングケアラー対策における東京都の役割と自治体の位置づけを明確にし、自治体が必要な体制を取れるよう適切に支援する必要があると考えますが、見解を伺います。
 ヤングケアラーの発見と支援において、学校の存在は重要であり、小中学校ではスクールソーシャルワーカー、都立学校においてはユースソーシャルワーカーの役割が期待されます。ただ、スクールソーシャルワーカーは現状でも市区町村からの増員要望が多く、また、自治体の財政力によっては配置しにくい実態もあるため、市区町村の負担を減らす施策が都として必要と考えます。また、都立学校のユースソーシャルワーカーもヤングケアラー対策にも対応できるよう、人材の拡充が必要と考えますが、併せて見解を伺います。
 さらに、障害や病気のあるきょうだいのケアの一端を担う、いわゆるきょうだい児についても、実態やニーズの把握とピアカウンセリングなどの支援に踏み出すべきと考えますが、見解を伺います。
 児童生徒の不登校は毎年増加している状況であり、誰一人取り残すことのない教育実現のために、不登校対策は大変重要です。
 私は、この間、不登校対策における民間団体との連携強化を求めてきました。不登校の児童生徒を民間のフリースクールなどに通わせる保護者からは、経済的な負担もあり、行政による支援を求める声も上がっています。
 四年度予算案には、フリースクール等に通う不登校児童生徒支援が盛り込まれたことは評価できることであり、今後は民間団体と連携し、不登校対策を拡充していくべきと考えます。
 民間団体には、フリースクールだけではなく、例えば元不登校やひきこもりだった方が、支援側で活動をしているNPOなどもありますが、不登校対策に取り組む民間団体との連携についての見解と、フリースクール等に通う不登校児童生徒支援について伺います。
 また、教育機会確保法では、地方公共団体は、不登校特例校の整備に努める旨規定されており、東京都として取り組んできた不登校特例校のさらなる整備も必要です。
 都内では、平成十六年に八王子市で創立された不登校特例校に続き、平成三十年に調布市で全国初の分教室型不登校特例校が設置され、その後、福生市、今年度には大田区、来年度は世田谷区で新設されます。
 年々増加する不登校の児童生徒の学びを保障するために、この不登校特例校を各自治体で整備できるよう支援するとともに、不登校特例校について広く都民に周知をしていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 四年度予算案では、十八歳までの医療費助成制度の開始に向けた経費が計上されています。子育て世帯の経済的負担の軽減策の一つとして前向きに評価するものですが、一方で、市町村からは、財政力の違いなどによるサービス格差を指摘する声も上がります。
 納得感のある公平な制度設計が求められますが、今後の取組も含め、見解を伺います。
 次に、都立、公社病院の独立行政法人化について伺います。
 今定例会には、東京都立病院条例を廃止する条例案などが提案をされています。私たちは、この間、コロナ禍において都立、公社病院の独立行政法人化は強行すべきではないと主張してきましたが、昨年の第三回定例会で、独立行政法人化に関する定款が可決され、今年七月の独法化が進んでおります。
 しかし、こうした状況にあっても、都立、公社病院で働く職員への説明などがほとんど進んでいないと聞いています。説明資料を送付しただけでは、説明したとはいえません。
 そこで、都立、公社病院で働く職員への説明はどのようになっているのか、見解を伺います。
 厚生委員会でも指摘をしてきましたが、このままでは、コロナ禍を経験した貴重な医療人材、スタッフが流出しかねません。
 そのため、医療人材、スタッフの雇用、魅力ある賃金、労働条件、不断の医療技術の習得、向上に必要な費用を安定的に確保するとともに、人材流出の防止のため、独法化前から働く医療人材、スタッフの雇用を確保し、賃金、労働条件の低下を招かないようにすることが求められます。
 行政的医療をはじめ、質の高い医療を提供していくためには、職員が安心して働き続けられる環境整備が重要です。
 そのためにも、行政的医療の提供などに必要な費用は、これまでと同様、東京都が将来にわたり負担をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、良質な医療を提供する体制の構築のためには、誇りを持って仕事ができる職場環境が必要です。
 そこで、現場の医療人材、スタッフと経営側とのコミュニケーションを密にし、現場の意見を経営に反映できるようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 都は、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、太陽光発電の既存住宅への設置拡充と新築住宅への設置義務化、断熱住宅のさらなる普及に向けた事業を大幅に増額しました。
 しかし、事業者の協力や、建築主である都民の理解をどう得て、都の二〇三〇年目標、家庭部門でのエネルギー消費量三〇%程度削減に近づけられるのかが課題です。また、コストや環境の面では、パネルの低コスト化や軽量化、更新時のリサイクルなどの課題があります。
 家庭におけるCO 2排出状況の改善や都民意識、太陽光発電の課題を踏まえ、脱炭素化実現に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京都は、二〇五〇年CO 2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現に向けて、都の率先した行動が重要として、二〇三〇年に都有施設の使用電力の再エネ一〇〇%化を目標に掲げ、ゼロエミッション都庁行動計画、とちょう電力プランなどの取組を進めています。
 とちょう電力プランでは、家庭の卒FIT電力の買取りによる再生可能エネルギー調達の対象施設を、今年度は都立高校や消防庁舎にも拡大したと聞いており、より一層の推進が望まれます。
 私は、都有施設で使用する電力のRE一〇〇は、二〇三〇年といわず、早期達成に向けて、こうした取組をより一層スピードアップすべきと考えますが、見解を伺います。
 プラスチックごみについては、まずは3Rの一つ、リデュース、削減に製造者と重点的に取り組むことが必要です。
 一方で、四月からプラスチック製品の多くが分別回収、リサイクルの対象となり、自治体の努力義務となります。都は、容器包装プラスチックの分別収集について、自治体によるスタートアップを支援していますが、容器包装プラスチックのみでの回収費用の負担が大きく、都の補助終了後の費用負担を考え、実施にちゅうちょする自治体があると聞いています。
 そこで、私は、都内自治体への支援を拡充するなどして、多様なプラスチック製品の再資源化を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 阪神・淡路大震災から二十七年を迎えました。全半壊した住宅は約二十五万棟、非住家の公共建物その他の建築物四万二千棟に被害が出ています。
 都内では、住宅やマンションなどの耐震化が進められており、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率は八七・一%、耐震が不足する建築物は二千二百七十七棟などとなっています。
 建築耐震工学の学識者は、銀座通りでも耐震性が不足する建物がそれなりに多く残っていると述べていることから、段階的改修を含めた、さらなる都市部のビルの耐震化を広めることが必要です。
 都市型震災の教訓を生かし、建築物による被害リスクを減じる改修を進めるなど、さらなる防災力向上に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、コロナ下では災害が発生した時点で複合災害であるとし、早急に感染症流行下での災害対策を行うよう提案をしてきました。
 これを受け、都は、備蓄物資を充実し、避難所の感染対策への区市町村補助などを実施、昨年三月の東京防災プラン二〇二一では、感染症と自然災害の複合災害対策を掲載するなど、都の複合災害対策に前進が見られたことを評価しています。
 私たちは、東日本大震災を実体験した現場からの声、備えていたことしか役に立たなかった、備えていただけでは十分ではなかった、備え、しかる後にこれを超越してほしいという教訓を生かし、首都東京の安全向上に資する取組を強力に推し進めていかなければなりません。
 都は現在、首都直下地震の被害想定を見直しており、二十二年度初めに公表予定です。
 日本各地で災害が頻発している中、東京都においても、地震後の水害など大規模自然災害が複合的に発生した場合や、感染症蔓延下の災害、すなわち複合災害対策について、さらなる強化を図っていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 昨年十二月に起きた大阪市のビル放火殺人事件は、二方向避難の確保が不可能な既存不適格ビルでの火災が大きな被害をもたらしかねないことを示しました。階段が一つしかなく、不特定多数の人々が出入りする診療所や飲食店が三階以上に入る特定一階段等防火対象物の建築物は、都内では七千九百三十四棟存在しています。改修するには時間やコスト面などで課題が多いため、後づけの安全対策など早急な対応が求められています。
 こうした雑居ビルのオーナーやテナントである中小企業において、追加の対策を行うことも厳しい状況にあるため、火災時の安全対策を支援する取組が必要だと考えますが、見解を伺います。
 以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西沢けいた議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、人に焦点を当てた政策についてのご質問であります。
 東京の持続的な発展を支えるのは人であります。私はこれまでも、東京に暮らす人々に寄り添った施策の推進に邁進をしてまいりました。
 昨年策定いたしました「未来の東京」戦略において、子供の貧困対策やひとり親家庭への支援をはじめ、不安を抱える人に対する幅広い施策を展開いたしております。
 さらに、今回公表した戦略のversion upには、コロナ禍であらゆる世代の人々が様々な困難に直面している状況を踏まえました政策の強化を盛り込んでおります。
 生活困窮者や高齢者、障害者、女性など、困難を抱える方々の状況に応じた相談体制の充実や、NPO等と連携した支援の強化を図ってまいります。
 また、多世代が交流する地域の居場所づくりや自殺対策など、分野横断的な取組を強化いたします。
 誰一人取り残さないセーフティーネットを強化し、誰もが自分らしく活躍できる社会をつくり上げてまいります。
 次に、令和四年度予算についてのお尋ねでございます。
 都はこれまでも、コロナ禍での離職の増加や、人と人とのつながりの希薄化など、都民生活の様々な面への影響を踏まえ、時機を逸することなく対策を講じてまいりました。
 その上で、令和四年度予算におきましても、事業の見直しにより生み出した財源などを活用して、様々な対策を実施してまいります。
 具体的には、離職した方に対しまして、デジタルスキル分野における職業訓練の充実や、大規模なマッチングイベントを実施するとともに、働く場における女性の活躍を推進する取組を進めてまいります。
 加えまして、社会全体で孤独や孤立に悩む方を支えるため、相談内容の充実や、自殺を未然に防止する取組など、総合的な対策を展開してまいります。
 これらの取組を通じまして、長引くコロナ禍で困難な状況に置かれた方々の生活をしっかりと支えてまいります。
 次に、DXを通じました行政の変革についてのお尋ねです。
 デジタル技術は、時間と場所にとらわれず、多くの情報を瞬時に収集、発信することができ、都民と行政を直接つなげる力を持っています。
 これを活用し、都民との協働でサービスを生み出し、その質を高めていくのが我々の目指す行政の姿であります。
 こうした考えの下、先般バージョンアップした都政の構造改革、シン・トセイ2では、ユーザーとの対話の徹底を改革実践のスタンスとして掲げております。
 デジタルサービスに関する満足度レビューや開発時のユーザーテストの徹底、市民やシビックテックのアイデアを生かす都知事杯ハッカソンの実施など、都民の意見を施策に反映させる様々な取組を展開してまいります。
 こうしたデジタルの力を活用した協働の取組を積み重ねて、都政の構造改革を実現してまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてであります。
 性的マイノリティー当事者の生活上の困り事の軽減を図り、暮らしやすい環境づくりにつなげることなどを目的として、制度素案を策定いたしました。
 受理証明書につきましては、都が実施する住宅や医療サービスなどで活用できるよう検討を行ってまいりますとともに、民間での活用も進むよう、協力を呼びかけてまいります。また、証明書の相互活用など、都内区市町村とも丁寧に協議し、連携を図ってまいります。
 今後、パブリックコメント等を踏まえまして、本年秋の運用を目指し、当事者に寄り添った制度を構築してまいります。
 デジタル人材の育成についてでございます。
 コロナ禍では、我が国のデジタルシフトの遅れが顕在化しており、今後、産業分野のDXを進める上でその担い手の育成は欠かせません。
 このため、都は来年度、デジタル人材プロジェクトを展開し、中小企業が行うリスキリングの支援などによる人材育成を進めてまいります。
 具体的には、デジタル教育の計画づくりからその実施までを専門家が伴走型でサポートする取組や、従業員が社外でのDXの講習を受ける費用等の助成を新たに開始をいたします。これらの取組を通じまして、人材を集中的に育成し、DXの加速化につなげてまいります。
 次に、子供政策連携室についてのお尋ねであります。
 子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在、全ての子供の笑顔を育む社会をつくり上げていかなければなりません。
 こうした思いから、子供政策連携室を設置し、子供に係る複合的な課題など、幅広い行政分野に関わる施策を展開してまいります。
 総合調整権を有する新組織を軸に、子供や子育て家庭が抱える様々な課題に向き合い、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、各局と連携しながら取り組んでまいります。さらには、官民一体となったこどもスマイルムーブメントを戦略的に展開してまいります。
 新たな体制の下、全庁が一丸となって、全ての子供たちが生き生きと活躍できる社会の実現に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待への対応についてであります。
 児童相談所で受ける虐待の相談や通告の件数は、近年、増加の一途をたどっております。
 深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、都はこれまで、児童福祉司や児童心理司を増員するとともに、虐待対策班の設置や一時保護所の拡充など、児童相談所の体制強化を図っております。
 来年度は、児童福祉司等をさらに増員するほか、トレーニングセンターを設置して実践的な研修を実施いたします。
 児童虐待は、子供たちの心に深い傷を残すだけではありません。その将来の可能性をも奪いかねない、決して許されない行為であります。児童相談所の体制を一層強化し、子供の安全・安心をしっかりと守ってまいります。
 都立、公社病院の独法化についてのお尋ねがございました。
 感染症医療や周産期医療など、採算の確保が難しく、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供は、東京のセーフティーネットである都立病院が果たさなければならない重要な役割であり、都としての責務であります。
 このため、独法化後も、行政的医療に必要な経費は、これまでと同様に都が確実に財源を措置する、また、医療は、医師や看護師など多様な医療人材によって支えられておりまして、働きやすく、働きがいのある環境を整備して、人材を機動的かつ安定的に確保することで、都民に必要な医療を着実に提供してまいります。
 家庭部門のCO 2の削減に向けた取組についてのお尋ねであります。
 二〇三〇年カーボンハーフに向け、CO 2削減が進みにくい家庭部門におきましても、あらゆる取組を通じ、住宅のゼロエミッション化や都民全体の行動変容等を後押ししていく必要がございます。
 このため、都は、住宅供給事業者等へ太陽光発電設備の設置を義務づける新たな制度の導入などにつきまして、事業者等の意見も伺いながら審議を重ねております。あわせまして、初期費用の負担を軽減する方策や太陽光パネルのリユース、リサイクルの推進方策の検討など、民間事業者との連携を進めております。
 また、制度の導入に先駆けまして、来年度は東京ゼロエミ住宅への支援を拡充いたしまして、不動産取得税の減免措置を創設するとともに、既存住宅の断熱改修、太陽光発電設備の設置などへの支援も拡充をいたしてまいります。
 あわせまして、省エネ行動によるメリットや、そのための支援策の拡充などにつきまして積極的に周知を図り、都民の行動を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、都民が当たり前に省エネ、再エネ利用に取り組める社会を実現し、二〇三〇年カーボンハーフを達成してまいります。
 建築物の耐震化による防災力向上について、最後にご質問がございました。
 都は、阪神・淡路大震災を教訓に、救援、復旧活動に不可欠な緊急輸送道路の沿道建築物につきまして、全国に先駆けて条例を制定し、耐震診断の義務づけや診断結果の公表を行うなど、耐震化を推進してまいりました。
 首都直下地震などの発生が懸念される中、昨年の十月に都内で震度五強の地震が発生するなど、東京における巨大地震の発生が一層現実的なものとなってまいっております。
 都市の強靱化に向けまして、緊急輸送道路の沿道に立地する大規模マンション等への補助を来年度から拡充いたしまして、建築物の耐震化をさらに加速をしてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁をいたさせます。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、スクールソーシャルワーカー等の活用についてでございますが、都教育委員会では、ヤングケアラーなど、子供が抱える課題に対応するため、区市町村教育委員会や都立学校におけるスクールソーシャルワーカー等の活用について支援をしております。
 学校では、こうした人材を活用して、家庭の状況を把握し、関係機関と連携しながら、適切な支援につなげております。
 これらの取組を促進するため、区市町村に対するスクールソーシャルワーカーへの補助の拡充や、都立学校における専門性の高いユースソーシャルワーカーの増員を行い、学校における相談体制を整えてまいります。
 次に、不登校対策に取り組む民間団体との連携についてでございますが、学校に通うことができない子供に多様な学びの機会を確保するためには、フリースクール等の知見を活用していくことが重要でございます。
 都教育委員会は、引き続き、区市町村教育委員会が設置する教育支援センターでフリースクール等と連携した体験活動の実施などを促進し、より子供に寄り添い、意欲を引き出すよう学びを支援いたします。
 また、来年度は、フリースクール等の利用者である子供や保護者の意見等を把握する調査を実施し、それに協力をいただける子供や保護者を支援してまいります。
 最後に、子供の実態に応じた特例的な学校についてでございますが、都教育委員会では、学校に通うことができない子供の学びの場を増やすため、国の制度を活用し、子供の生活や学習の状況に合った柔軟な教育活動ができる学校を設置する区市町村を支援しております。
 この学校では、ゆとりある時間割の設定により、子供が登校しやすい環境を整えるほか、体験的学習の機会を多く設け、子供の学習意欲やコミュニケーション能力などを高めております。
 今後とも、こうした特例校の設置に向けた取組を推進するため、教職員や都民が参加する講演会等で、この学校の特色や効果的な実践事例などを周知してまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、政策評価と事業評価の一体的実施についてでございますが、令和四年度予算では、編成プロセスの一環として、目標の達成度や外部有識者の意見を踏まえ、政策全体の方向性を評価する政策評価と、一つ一つの事業の実効性と効率性の向上を図る事業評価を一体的に実施し、評価制度をさらにブラッシュアップいたしました。
 例えば、パラスポーツの推進については、活動拠点の整備や関心の継続を取組の軸とし、既存事業の見直しに加え、新規事業の構築も図るなど、政策を充実しております。
 このように、施策の方向性という大きな視点を踏まえ、既存事業の評価や、新規事業の構築を含めた様々な選択肢の検討などを行い、より効果的な事業構築へとつなげるなど、評価制度の実効性の向上と施策の新陳代謝の一層の促進を実現しております。
 次に、賃上げ企業への公共調達での優遇についてでございますが、国においては、経済対策を契機とした成長と分配の好循環の実現に向けて、政府調達の対象企業の賃上げを促進するため、総合評価方式の評価項目に賃上げの項目を設定いたします。
 具体的には、事業者が一定の基準以上の賃上げを表明した場合には加点をし、賃上げの実績が基準に満たない場合には、後の案件の入札において減点する仕組みでございます。
 引き続き、都民や事業者への影響などを慎重に見極めるとともに、国の制度設計などの動向も注視してまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、重点措置の解除についてですが、基本的対処方針においては、都道府県の感染及び医療提供体制等の逼迫の状況を踏まえ、国が総合的に判断することとされております。
 先日、国におきまして、沖縄県など五県については、新規陽性者数が継続して下降傾向等にあること、病床使用率や重症病床使用率が五〇%を下回っていることなどから、重点措置を終了とし、当該五県以外の重点措置の終了につきましては、新規陽性者数や医療の負荷の状況を見て、総合的に判断するという考え方が示されたところでございます。
 都といたしましては、引き続き、医療提供体制の充実や感染拡大防止に取り組むとともに、国とも綿密な意見交換を行い、専門家の意見も聞きながら、適切に対応してまいります。
 次に、コロナ対策の検証と都民への説明についてですが、都はこれまでも、総力を挙げて感染拡大防止対策や医療提供体制の充実に取り組み、そこで得られた知見や経験を次の対策に生かしてまいりました。
 例えば、第五波での病床や保健所業務の逼迫を踏まえ、さらなる病床確保はもとより、転退院の促進等により、確保病床の有効活用を図るとともに、入院医療に加えまして、宿泊療養、自宅療養を含めた総合的な医療提供体制を強化しております。また、デジタル技術を活用し、保健所業務の効率化を推進しているところでございます。
 こうした対策につきましては、モニタリング会議等を通じて、都民等に対して迅速かつ丁寧に発信しております。今後も感染の状況に応じて適切に対策を講じてまいります。
 最後に、感染拡大時の災害への対応についてですが、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、地震や風水害の発生など、複合的な事態も想定いたしまして、都民が安全かつ確実に避難できるよう対策を講じることは重要でございます。
 都はこれまで、避難所が不足する事態に備えて、区市町村等と連携し、ホテルなどの多様な避難先を確保してまいりました。また、避難者用のマスクや消毒液等の購入に係る区市町村への補助を実施するなど、避難所機能の向上を図ることにより、複合災害への対応を強化してきたところでございます。
 さらに、避難所の開設や混雑の状況を防災ホームページで速やかに発信するなど、避難所の三密回避に向けた仕組みを構築しております。
 今後とも、様々な災害を想定し、都民の命と安全を守る取組を一層進めてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、経口薬等による治療やワクチンの追加接種についてでございます。
 都はこれまで、経口薬や中和抗体薬、ワクチンにつきまして、必要量の早期確保と確実な供給を国に求めてまいりました。
 経口薬は東京都医師会や薬剤師会等と連携した提供体制を、中和抗体薬は医療機関と連携し、都民の投与希望に速やかに対応できる体制を構築しております。
 また、ワクチンの追加接種の加速に向けまして、区市町村との情報共有や都の大規模接種会場の体制を強化してまいります。
 今後とも、こうした取組を進めることで、高齢者を含む都民の安全・安心を確保してまいります。
 続きまして、自宅療養者への支援についてでございます。
 都は、フォローアップセンターの人員体制を拡充するとともに、医療機関による健康観察を先月から開始してございます。
 また、新たに自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京を開設いたしまして、自宅療養者への食料の提供や療養生活を送る上での様々な相談に対応してございます。
 加えて、東京都医師会と連携し、自宅療養者への往診等を行っており、今後とも、感染状況に応じ、自宅療養者への支援体制を確保してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 八点のご質問にお答えいたします。
 最初に、イノベーションの創出についてですが、社会的課題の解決を図る上では、中小企業やベンチャー企業が持つイノベーションを生み出す力を活用することが効果的でございます。
 都はこれまで、環境や医療などの分野における課題の解決に向け、中小企業が大企業や大学等と連携して新しい製品や技術をつくり出すことができるよう、開発に係る経費の一部を助成してまいりました。
 また、ベンチャー企業が社会的課題の解決にも取り組めるよう、ファンドを通じて資金と経営の両面から支援を行っているところでございます。
 今後も、こうした取組によりまして、中小企業やベンチャー企業のイノベーション創出を後押ししてまいります。
 次に、コンテンツ産業の支援についてでございますが、東京のコンテンツ産業の成長を促すためには、国際競争力の強化や、知的財産の保護や活用に向けた支援が必要でございます。
 このため、都は、優れた企画力を持つアニメ制作会社等を対象に、海外の見本市への出展を支援するなど、外国でのプロモーション活動を後押ししております。
 また、中小企業のアニメ作品の著作権等を保護するため、知的財産総合センターの窓口で専門家が相談対応を行うとともに、海外で著作権等を登録する場合の費用に支援をしております。
 今後とも、こうした支援により、コンテンツ産業の成長をサポートしてまいります。
 次に、イベント事業者への対応についてですが、都が二〇二〇年三月に策定した新型コロナウイルス感染症に関連した都民利用施設等の対応についての考え方では、イベント中止に当たって、施設運営事業者が主催者から既に受け取っている施設使用料を返還するか否かは、事業者の経営責任に基づいて自主的に判断することとなっております。
 現在、観客等が大声を出さないイベントでは、感染防止安全計画等を策定することで、施設の定員まで収容することが可能となっております。
 これらを踏まえ、東京ビッグサイトにおいては、イベントの開催を制限していないことから、既に受け取っている施設使用料については返還しない対応を取っていると聞いております。
 次に、MICE誘致についてですが、観光産業の活性化に向け、感染症の状況を踏まえながら、MICEの誘致を効果的に進めることが重要でございます。
 コロナ禍においても旅行先としての東京に注目が集まる中、東京は、専用のウェブサイトなどを通じたPRにより、MICE誘致の働きかけを行っております。
 また、オンラインによる国際会議の開催に対応できるよう、会場に設備を導入する場合に、その経費に助成を行っております。
 さらに、MICEにふさわしい施設の多いエリアで地元の事業者等と協力し、受入れ体制の整備を支援しております。
 これらによりまして、東京へのMICE誘致を進めてまいります。
 次に、中小企業等の賃金についてですが、賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において、労使間の協議により、自律的に定めるものでございます。
 都は、この考え方を踏まえ、労使間の協議の参考となるよう、都内中小企業の賃金や賞与、各種手当等に関する調査を行い、ベースアップの実施状況のほか、従業員規模別や男女別の平均賃金等を公表するなど、幅広くその情報を提供しております。
 次に、中小企業の取引価格の適正化についてですが、中小企業が経営の継続と発展を着実に進める上で、適正な価格で取引を行うことが必要でございます。
 このため、都は、中小企業振興公社に専門の組織を設置し、企業同士の取引に係る相談への対応や紛争の解決を図るほか、講習会の開催などを通じ、取引の適正化に向けた普及啓発の取組を実施しているところでございます。
 また、企業取引の実務に精通した相談員を下請企業に派遣し、値引き要請や不利益な契約への対応方法などについて、アドバイスを行っているところでございます。
 引き続き、中小企業の現場での実態を踏まえ、適正な取引が行われるよう支援を行ってまいります。
 次に、公共職業訓練についてですが、公共職業訓練は、地域における求職者の訓練ニーズとともに、企業における人材ニーズを的確に把握し、これらを踏まえ、実施することが重要でございます。
 このため、都は、国が設置する東京都地域訓練協議会において、経済団体や労働者団体、教育関係機関等と職業訓練の実施分野や規模などに関して意見交換を行い、それを踏まえ、毎年度、公共職業訓練の実施計画を策定しているところでございます。
 来年度も引き続き、この実施計画に基づき、IT等の成長が見込まれる分野などにおいて公共職業訓練を実施してまいります。
 最後に、雑居ビルの火災時の対応強化についてでございますが、雑居ビルを所有したり、そこに入居する中小企業が、火災対策を自らの力だけで行うことは難しい場合も多く、行政による適切な支援が必要でございます。
 このため、都は、中小企業が火災の初期対応を着実に実施できるよう、高性能な消火器を導入する場合に必要となる経費の一部への助成を開始いたします。
 こうした支援によりまして、中小企業による安全・安心の確保に向けた取組を後押ししてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、女性への支援についてであります。
 都は、様々な困難を抱えました若年女性の自立を図るため、民間団体と連携し、相談やアウトリーチ支援、居場所の確保等を行っております。
 来年度は、相談員のスキルアップに向けた研修受講を促進するとともに、より安全・安心な居場所を確保するため、生活支援員を増員いたします。
 また、TOKYOチャレンジネットにおいて、コロナ禍で仕事と住まいを失った女性に対し、緊急的な一時宿泊場所を提供するなど支援しており、こうした取組により、困難を抱えた女性を支援してまいります。
 次に、生活保護の扶養照会についてであります。
 要保護者が、書面や口頭等の形式にかかわらず、扶養照会を拒否する意向を示した場合は、理由を確認した上で、照会を一旦保留し、扶養照会が必要となる際は、理解を得るように努める旨を、都は福祉事務所に通知しております。
 次に、扶養照会に関する書面の取扱いについてであります。
 扶養照会を拒否する意向が示された際は、都の通知等に基づき、福祉事務所において適切に対応されるべきものと認識しております。
 次に、ヤングケアラーへの支援についてであります。
 都は来年度、有識者や関係機関等で構成する検討委員会を設置し、ヤングケアラーを把握するポイント、都や区市町村、関係機関の役割や連携の在り方等を検討いたします。
 検討内容はマニュアルとして取りまとめ、区市町村の子供家庭支援センターや学校等に周知し、地域におけるヤングケアラーを支える取組を支援してまいります。
 次に、障害児のきょうだいを持つ子供への支援についてであります。
 都は来年度、ヤングケアラーが悩みを気軽に相談できる環境を整備するため、ピアサポートやオンラインサロンなどを行う民間団体を支援いたします。
 こうした取組を通じて、障害や病気のあるきょうだいのケアを行う子供を含めたヤングケアラーの状況を把握し、検討委員会で作成するマニュアルに反映してまいります。
 最後に、高校生等への医療費助成についてであります。
 都は、来年度予算案に区市町村のシステム改修等の準備経費を計上しております。
 具体的な制度内容については、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、制度の考え方や内容等について、丁寧に議論を重ね調整してまいります。
 なお、乳幼児及び義務教育就学児に対する医療費助成は、実施主体である区市町村がそれぞれの議会における審議を経て、条例を定めて実施しているものであります。
   〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、独法化に関する職員への説明についてでございますが、これまで、都立、公社病院では、新法人の人事給与制度案を現場の職員が常に見られるようイントラネットに掲載をするとともに、理解が深まるよう、随時職員の質問に回答するほか、説明会や相談会を実施してまいりました。
 新法人設立を目指す本年七月が近づく中、職員からの質問も増加するなど、勤務条件に関する職員の関心も高まってきております。
 本年一月からは、多忙な職員向けに、制度のポイントを短時間で解説した音声付資料の公開や、全都立病院の希望者を対象としたオンラインでの個別相談会などを実施しております。
 より多くの職員が新法人の制度理解を深め、疑問や不安を解消し、働きやすさや働きがいを感じられるよう、一層丁寧な説明を行ってまいります。
 次に、独法化後の病院運営についてでありますが、都民に質の高い医療を提供していくためには、病院現場の職員が高い意欲を持ち続けられ、働きがいのある職場環境を実現することが重要でございます。
 このため、独法化後も、病院幹部が院内各部門に出向いて職員と定期的に意見交換を行うとともに、職員満足度調査を実施するなど、職員の意見や要望をきめ細かく把握し、迅速に勤務環境の改善につなげるなど、現場の声を病院運営に反映させてまいります。
 職員とのコミュニケーションをこれまで以上に積極的に取りながら、新たな都立病院として、職員にとって魅力ある病院づくりを行ってまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都有施設のRE一〇〇等についてでございますが、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、都自身が隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギーの導入等の取組を一層強化していくことが重要でございます。
 このため、都は、二〇二四年における知事部局等の都有施設の再エネ電力利用割合五〇%を目指し、来年度も引き続き、とちょう電力プランの実施施設を拡大してまいります。
 さらに、都有施設における二〇二四年度までの太陽光発電の設置目標を、一万二千キロワットから二万キロワットへ大幅に引き上げ、再エネ導入を加速させてまいります。
 こうした都有施設における率先的な取組によって、都内での再エネ利用の拡大を牽引してまいります。
 次に、プラスチック製品の再資源化支援についてでございますが、限りある資源を持続可能な形で利用する社会の実現に向け、プラスチックの3Rを推進することは重要でございます。
 都はこれまで、リユース容器の活用やプラスチックの高度リサイクルなどに取り組む事業者を支援するとともに、昨年度からは、容器包装プラスチックの分別収集経費等について、区市町村を支援する事業を開始してございます。
 本年四月のプラスチック資源循環促進法の施行を踏まえ、来年度から本事業の補助対象に製品プラスチックも加えることとしてございます。
 あわせて、使い捨てプラスチックのリデユース等につながる革新的な技術の開発やビジネスモデル構築に取り組む事業者への支援を拡充してまいります。
 今後とも、自治体や事業者等、多様な主体との連携を強化し、ゼロエミッション東京の実現に取り組んでまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時十分休憩

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