令和四年東京都議会会議録第二号

令和四年二月二十二日(火曜日)
 出席議員 百二十一名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
四番吉住はるお君
五番森澤 恭子君
六番松田りゅうすけ君
八番上田 令子君
九番漢人あきこ君
十番岩永やす代君
十一番成清梨沙子君
十二番おじま紘平君
十三番もり  愛君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番西山  賢君
二十四番星  大輔君
二十五番磯山  亮君
二十六番龍円あいり君
二十七番あかねがくぼかよ子君
二十八番保坂まさひろ君
二十九番米川大二郎君
三十番清水やすこ君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番本橋たくみ君
四十二番渋谷のぶゆき君
四十三番林あきひろ君
四十四番伊藤しょうこう君
四十五番田村 利光君
四十六番菅野 弘一君
四十七番白戸 太朗君
四十八番たきぐち学君
四十九番田の上いくこ君
五十番関野たかなり君
五十一番後藤 なみ君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番川松真一朗君
六十五番清水 孝治君
六十六番三宅 正彦君
六十七番やまだ加奈子君
六十八番早坂 義弘君
六十九番山加 朱美君
七十番菅原 直志君
七十一番平けいしょう君
七十二番内山 真吾君
七十三番森口つかさ君
七十四番福島りえこ君
七十五番藤井あきら君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番まつば多美子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番長橋 桂一君
八十七番鈴木あきまさ君
八十八番こいそ 明君
八十九番鈴木 錦治君
九十番ほっち易隆君
九十一番松田 康将君
九十二番山崎 一輝君
九十三番森村 隆行君
九十四番村松 一希君
九十五番入江のぶこ君
九十六番桐山ひとみ君
九十七番本橋ひろたか君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百六番小磯 善彦君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番柴崎 幹男君
百十二番小松 大祐君
百十三番小宮あんり君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番山田ひろし君
百十七番伊藤 ゆう君
百十八番荒木ちはる君
百十九番小山くにひこ君
百二十番増子ひろき君
百二十一番尾崎 大介君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 五名
三番   石島 秀起君
五十八番 原田あきら君
七十六番 風間ゆたか君
九十八番 石川 良一君
百五番  あぜ上三和子君
 欠員
    七番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
政策企画局長野間 達也君
総務局長村松 明典君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監大石 吉彦君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
デジタルサービス局長寺崎 久明君
主税局長砥出 欣典君
生活文化局長武市 玲子君
オリンピック・パラリンピック準備局長延與  桂君
環境局長栗岡 祥一君
福祉保健局長中村 倫治君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
消防総監清水 洋文君
建設局長中島 高志君
港湾局長古谷ひろみ君
会計管理局長堤  雅史君
交通局長内藤  淳君
水道局長浜 佳葉子君
下水道局長神山  守君
都民安全推進本部長小西 康弘君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長西山 智之君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長桃原慎一郎君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長岡安 雅人君
労働委員会事務局長鈴木  勝君
収用委員会事務局長後藤 啓志君

二月二十二日議事日程第二号
第一 第一号議案
  令和四年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  令和四年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  令和四年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  令和四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  令和四年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六 第六号議案
  令和四年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七 第七号議案
  令和四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第八 第八号議案
  令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
第九 第九号議案
  令和四年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第十 第十号議案
  令和四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  令和四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十二 第十二号議案
  令和四年度東京都と場会計予算
第十三 第十三号議案
  令和四年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十四 第十四号議案
  令和四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十五 第十五号議案
  令和四年度東京都都市開発資金会計予算
第十六 第十六号議案
  令和四年度東京都用地会計予算
第十七 第十七号議案
  令和四年度東京都公債費会計予算
第十八 第十八号議案
  令和四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  令和四年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  令和四年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  令和四年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  令和四年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  令和四年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  令和四年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  令和四年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  令和四年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  令和四年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  令和四年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  令和四年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都公文書館条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  東京都恩給条例及び東京都恩給条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例に基づく給付等の年額の改定に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都組織条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  東京都行政書士試験手数料条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  令和三年度分の都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都防災会議条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  東京都国民保護協議会条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計条例
第四十八 第四十八号議案
  東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  租税特別措置法施行令に基づく譲渡予定価額審査に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都消費者行政活性化基金条例を廃止する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  マンションの管理の適正化の推進に関する法律関係手数料条例
第六十一 第六十一号議案
  宅地建物取引業法等関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都国民健康保険事業費納付金条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都受動喫煙防止条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構に係る地方独立行政法人法に規定する重要な財産を定める条例
第七十六 第七十六号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都立病院条例を廃止する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都立皮革技術センター条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  電気工事士法関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  都営住宅三H─一一〇東(大田区東糀谷六丁目)工事請負契約
第九十一 第九十一号議案
  都営住宅三H─一〇一東(荒川区荒川七丁目)工事請負契約
第九十二 第九十二号議案
  都営住宅三H─一一四西(日野市平山四丁目第二)工事請負契約
第九十三 第九十三号議案
  都営住宅三H─一〇五西(八王子市大谷町)工事請負契約
第九十四 第九十四号議案
  都立小台橋高等学校(三)改修及び新築工事請負契約
第九十五 第九十五号議案
  包括外部監査契約の締結について
第九十六 第九十六号議案
  土地の信託の変更について
第九十七 第九十七号議案
  中野区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第九十八 第九十八号議案
  板橋区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第九十九 第九十九号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構中期目標について
第百 第百号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構に承継させる権利を定めることについて
第百一 第百一号議案
  東京都立有明親水海浜公園の指定管理者の指定について
第百二 第百二号議案
  東京都立晴海緑道公園の指定管理者の指定について
第百三 第百三号議案
  令和四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百四 第百四号議案
  令和三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区の負担の変更について
第百五 第百五号議案
  都道の路線の認定及び廃止について
第百六 第百六号議案
  多摩川流域下水道北多摩二号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百七 第百七号議案
  令和三年度東京都一般会計補正予算(第十八号)
第百八 第百八号議案
  令和三年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百九 第百九号議案
  令和三年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百十 第百十号議案
  令和三年度東京都国民健康保険事業会計補正予算(第一号)
第百十一 第百十一号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
議事日程第二号追加の一
第一 第百十二号議案
  令和三年度東京都一般会計補正予算(第十九号)

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和四年二月十八日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案一件の送付がありました。
 次に、収用委員会会長より、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定による東京都議会説明員について、忌引であった事務局長後藤啓志の職務復帰により、担当部長総務課長事務取扱松井裕から事務局長に委任を変更したとの通知がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第百十二号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十九号)が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十三番小宮あんりさん
   〔百十三番小宮あんり君登壇〕

○百十三番(小宮あんり君) 去る二月一日、石原慎太郎元東京都知事が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、ご冥福を心よりお祈りいたします。
 石原慎太郎知事は、四期十三年半の長きにわたり、その深い見識に基づいた政策判断と並々ならぬ存在感によって、首都東京を力強く牽引してこられました。
 就任前、今日とは全く違う破綻寸前にあった都財政を再建し、その後、東京の空をよみがえらせた排ガス規制を実現しました。また、今でこそ注目されるようになった大都市の課題である待機児童対策には、東京独自の基準を設けて認証保育所を創設しました。そして、オリンピック・パラリンピック大会の招致に取り組むなど、その功績は数知れません。
 真に都民と東京の将来を考え、時に痛みを伴う決断をもいとわず、国に先んじて数々の政策を打ち立ててこられた石原慎太郎知事の実績は、いずれも現在の都政を大きく形づくるものでした。
 我々都議会自民党は、石原慎太郎知事の東京から日本を変えるという強い意思を胸に刻み、未来の子供たちが誇りに思える東京をつくるべく、全力をささげていくことをお誓い申し上げ、質問に入ります。
 最初に、来年度予算案編成の考え方について伺います。
 今回の大型予算の編成を可能としたのは、予想外ともいえる大幅な税収増が要因の一つです。しかしながら、いつ何どき、経済が下振れをし、再び税収減に転じるとも限りません。
 歳出に目を向ければ、コロナ禍で山積する都政の諸課題への対応にとどまらず、社会保障関係経費など、今後確実に増大していく財政需要への対応も必要です。税収増の恩恵により、目先の財政危機は乗り切れるかもしれませんが、冷静に見れば、都財政は安心できる状況にはありません。
 来年度予算を編成した今、都財政を取り巻く現状をどう捉え、今後どのような考え方を基本として財政運営に臨んでいくのか、知事の見解を伺います。
 次に、コロナ感染症対策について伺います。
 今回の第六波は、感染力の強いオミクロン株により、新規感染者数が初めて二万人を超える日があるなど、感染が急拡大しました。医療現場では、検査キットの不足が深刻化し、現場の医師からも必要な検査ができないという声が上がりました。
 都では、無症状者への無料PCR検査など、様々な検査が実施できるようになりましたが、感染が急拡大する中にあっては、発熱など症状のある方を検査する医療機関にキットを優先して配分するなど、検査体制の転換が必要です。
 平時はともかく、感染拡大時には、優先度の高い検査が確実に実施できる体制を確保しなければなりません。見解を伺います。
 また、発熱外来を行っていることを公表している医療機関が一部にとどまっているため、発熱外来を受診する人が集中をして、検査や診察の予約が取りづらいという状況が発生しましたが、過日、厚生労働大臣は、日本医師会会長に対して、発熱外来の積極的な公表に向けた協力を求めています。
 都内においては、発熱外来の実に半数が公表されていませんが、今般のオミクロン株による感染急拡大を受けて、医療機関における受診や検査体制の強化に取り組むべきと考えます。都の見解を伺います。
 高齢者の施設においては、デルタ株に比べて感染力の強いオミクロン株により、施設内での集団感染も多く発生しています。重症化リスクが高い感染者向けの経口薬も高齢のため飲み込めず、治療もままならないといったケースが多く見られます。また、感染だけでなく、職員の就業制限により、事業継続そのものが困難となる事例が多く発生しています。
 そこで、感染リスク、重症化リスクの高い方が入所する高齢者施設への取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 国は、新型コロナウイルス感染症の影響により保育所等が休園となった場合に、一時預かり事業を活用して、受皿を確保することとしました。
 都は、区市町村が迅速に事業を活用できるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍においても、東京の未来を担う子供たちの学びを継続することは重要です。
 昨年十二月の予算編成では、我が党の重点項目の一つに、コロナ禍で多くの学生が希望する進路を目指せるよう、学習塾の費用や受験料など、家計負担軽減に向けた支援に取り組むよう要望したところです。
 家庭の経済的な理由で子供たちの学びが左右されることのないよう、受験生チャレンジ支援貸付事業の強化がこのコロナ禍において必要ですが、知事の見解を伺います。
 また、今回急遽、高校生等への医療費助成について関連予算が提案をされました。本来、この事業は区市町村が実施の主体となるものですが、区市町村との調整が全くないままシステム改修費が提案されたということもあり、区市町村からは様々な困惑の声が届いています。
 最も重要な事業内容に関して、区市町村との事前調整を全く行わず、都が一方的に、中身も決まっていない事業を実施するための事務費として、このシステム改修経費七億円を計上するというのは余りに拙速です。
 こうしたやり方で予算化をするのであれば、その後の制度設計や財源について、東京都として責任を持って対応すべきと考えます。都の見解を伺います。
 このような予算要求の在り方は、日頃、区市町村との連携を重視する都政として誠にふさわしくないものであり、執行機関には、都議会に対する説明責任が著しく欠如していることを強く抗議をしておきます。
 都の予算は都民のものです。長引くコロナ禍で子供や家庭への支援は大切ですが、必要な検討や調整を全て後回しにして、制度ありきといった今回のような強引な予算計上は、小池知事が掲げてこられた都政の見える化に反し、また、いわゆるブラックボックスを排するといった東京大改革に逆らうものです。
 東京の未来を、強引にごく一部の都民と決めてはなりません。それこそ都政の私物化につながります。東京都には改めて予算審議にふさわしい、都民や都議会に説明のつく予算案の計上をするよう強く求めておきます。
 さて、国の発表によると、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、解雇や雇い止め等により離職をされた方は、これまでの累計で全国で十二万人、東京都内でも二万五千人を超える見込みとなっています。
 とりわけ飲食業や宿泊業などのサービス業で非正規雇用として働いた方々の離職が顕著となるなど、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いています。一方で、デジタル関連や介護分野などでは深刻な人手不足が継続しています。
 しかし、人手不足の業界と求職者とのマッチングは簡単なものではなく、機会を増やすだけでなく、業務に必要なスキル等を求職者が習得をし、定着できるような支援が必要です。都の見解を伺います。
 令和四年度予算案の都税収入は、企業収益の持ち直しなどにより、前年度比一一・六%増の五兆六千三百八億円となりましたが、地元企業に話を伺っても、景気回復を実感しているという事業者は多くないと感じます。
 中小、小規模事業所の経営状況は大変厳しく、とりわけ国の調査によると、都内で約八十六万人が従事している飲食や宿泊などのサービス業は、長引くコロナの影響で売上げが減少し、経営が圧迫された状況であり、今もなお、生き残りをかけて土俵際で懸命に踏ん張っていることを忘れてはなりません。
 コロナにより深刻な影響が続く業界の状況を踏まえた的確な支援により、中小、小規模事業者の事業継続をしっかりと支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 日本のGDPの二割を占める基幹産業である製造業は、コロナ禍にあっても投資額が減価償却額を上回るなど、東京の経済を支えています。
 しかし、デジタル化技術が急速に進歩し、社会の在り方が大きく変化する中、製造業においても最先端のデジタル技術を活用した設備を積極的に導入し、生産性向上や高収益化を図っていく必要があります。
 一方で、中小、小規模事業所などにおいては、業種にかかわらず最先端のデジタル技術の導入を担う人材やノウハウがなく、十分な予算がないことにより、進捗は芳しくありません。
 都においては、来年度、生産性の向上に向けて、中小企業のデジタル技術の導入をサポートする取組を行うとしていますが、中小、小規模事業者の課題を踏まえて、導入しやすい方法を提案するなど、きめ細かい支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 今年に入ってからも、オミクロン株の急速な拡大により再び蔓延防止措置期間となり、依然として観光産業は大きな影響を受けています。
 今後、観光需要が回復した際に、その経済効果を東京都内各地に広く行き渡らせるためには、コロナ前のように、銀座や浅草など人気の観光地だけでなく、身近な地域の歴史や文化などにも光を当てるとともに、東京二〇二〇大会のレガシーも活用して、コロナ後の観光客誘致に結びつけるべきです。
 そのためには、コロナ禍における観光事業者の事業展開を着実に支えるとともに、観光事業を担う観光協会をはじめ、その活動を支える地域の経済団体や地元の町会、自治会などが力を合わせて、都内の観光産業全体を盛り上げていくことが必要です。都の今後の観光振興について伺います。
 十七日に地域観光支援事業について補正予算案が発表されました。ゴールデンウイーク以降、GO TOトラベルの事業主体が国から都に代わるということです。二年余り続くコロナ禍で、観光産業は厳しい経営環境にあります。特に、密を避ける必要から団体での旅行は激減しており、今後、都が観光都市を目指す上でも確実な支援が必要です。
 都は、都内の旅行業者、宿泊業者の立場に立った制度設計となるよう、国と調整を進めるよう強く求めておきます。
 さて、保育の待機児童対策については、この間、ハード整備だけでなく、保育人材の確保策など、年間五百億円以上を予算化するとともに、区市町村や近隣住民の理解を得て推進をしてきました。さらに、今後は小学校低学年の子供の居場所も地域の中につくる必要があります。
 これまで東京都は、子供の居場所づくりのために様々な事業を構築してきましたが、地域によっては、学童クラブで待機児童が発生しているなど十分ではありません。
 子供や親を地域で孤立させないためにも、区市町村の実情に応じた子供の居場所を確保することは重要です。来年度の都の取組を伺います。
 東京の私立幼稚園は、建学の精神と独自の教育理念に基づく個性豊かで特色ある教育を展開し、都の幼児教育において重要な役割を担っています。
 各園が質の高い教育を継続して提供していくためには、現場を担う優秀な教員の確保が欠かせませんが、ここ数年、待機児童対策として保育所等の整備が進んだこともあり、幼児教育を担う人材の確保が困難になっており、各園では、処遇改善などに取り組まざるを得ない状況となっています。
 そうした中で、政府の方針に基づき、国は本年二月から、幼稚園教諭等の処遇改善に向けて各園の取組を直接支援する事業を始めますが、東京に多く存在する私学助成を受ける個人立や宗教法人立等の幼稚園が対象外となっており、東京都独自の支援が必要です。
 国の動きとも連携しつつ、都として私立幼稚園の人材確保を含めた支援をしっかりと行っていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 今後、超高齢社会を支える介護ニーズの増加が見込まれる中、東京では介護人材の確保が急務の課題であることを都議会自民党はこれまで継続して主張してまいりました。
 もちろん介護サービスは国の保険制度の中で運営されるものですが、若い人材が介護を継続的に仕事として選択するためには、家賃負担の重いこの東京の実情を踏まえて、介護職員の宿舎借り上げ支援のさらなる充実を図るべきと考えます。都の見解を伺います。
 住宅確保要配慮者の入居を拒まない東京ささエール住宅について、特に専用住宅の登録促進は、要配慮者の居住の安定を図るために重要な取組です。
 先日公表された次期東京都住宅マスタープラン案や、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画改定案では、東京ささエール住宅の専用住宅の供給目標を、二〇三〇年度までに三千五百戸と定めています。
 この目標に向けて貸主への支援が重要であると考えますが、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 昨年十二月、地域公共交通の基本方針に係る中間まとめが公表されました。元気な高齢者が住み慣れた地域に生き生きと暮らし続けるためには、気軽に外出できる環境づくりが欠かせません。高齢者だけでなく、小さい子供やベビーカーを押す家族、障害のある人など、それぞれの住民の移動ニーズを踏まえて、地域公共交通を充実強化することは非常に重要です。
 そこで、今後、基本方針をどう取りまとめ、将来像の実現に向けて取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 令和三年度の国の報酬改定により、障害児の居場所となる多くの放課後等デイサービスが打撃を受けており、都議会自民党は、小規模でも熱心に事業に取り組む方々からの声を東京都に伝え、支援策を求めてきました。
 これを受けて東京都は、来年度から新たな支援制度を開始するとしていますが、実施に当たっては、障害児のために真面目に取り組み、質の高いサービスを提供している事業者が報われる制度とすべきです。
 また、事業者からは、放課後デイは人員も少なく、できるだけ事務処理に負担がかからぬようにしてほしいという声も聞きます。
 そこで、放課後等デイサービスにおけるサービス提供の現状と新たな都の支援策について伺います。
 本来、大人が担うとされる家事や家族の世話を日常的に行っている、いわゆるヤングケアラーの支援については、関係機関が連携して早期に把握をし、適切な支援につなげることが重要です。
 ヤングケアラーやその家庭の実態は様々であることから、適切な支援につなげるためには、専門家だけでなく、当事者や現場の支援者などの意見を十分に取り入れながら、支援策を検討することが必要です。
 また、実際にヤングケアラーが気軽に悩みを共有できるような支援も必要です。来年度の都の取組について伺います。
 女性活躍には、働く場だけでなく、女性の生活全般にわたり、その人ごとの生き方を尊重し、希望がかなえられるような取組が必要です。
 しかし、令和二年十一月に東京都が実施した男女平等参画に関する世論調査では、多くの女性が仕事、家庭生活、個人の生活の全てをバランスよく優先したいと希望しているにもかかわらず、現実には多くの女性が、仕事や家庭生活のどちらかを選択しなければならないという調査結果が出ており、希望と現実の間には大きなギャップが存在しています。
 全ての女性が自ら望む生き方ができる社会を実現するためには、社会のあらゆる場面において存在する、女性を取り巻く障壁を取り除いていかなければなりません。
 東京都では、男女平等参画推進総合計画を今年度改定予定ですが、この計画ではどのような女性活躍を目指し、取り組んでいくのか、知事に伺います。
 昨年の都内における刑法犯罪認知件数は七万五千二百八十八件で、平成十五年以降十九年連続で減少し、戦後最少を更新しました。しかし、都民の体感治安は必ずしも好転しているとはいい難く、特殊詐欺被害については、昨年一年間で増加に転じています。
 特殊詐欺については、さきの定例会で我が会派からの質問に対し、警視庁は、引き続き水際対策を含めた様々な施策を行っていくとの答弁がありましたが、特殊詐欺を根絶するためには、関与が疑われる暴力団等の犯罪組織の取締りや、組織に流れる資金を遮断することが必要です。
 そこで、組織犯罪取締り強化のため、警視庁は組織犯罪対策部を改編するとのことですが、犯罪組織壊滅に向けた今後の取組について警視総監に伺います。
 小田急線や京王線での傷害事件など、公共交通機関の安全・安心を脅かす車内での事件が続けて発生しており、対策の強化が必要です。とりわけ防犯カメラについては、事件や迷惑行為の抑止並びに事後的な検証の視点から、設置を進めるべきと考えます。
 こうした中、交通局では、新たな経営計画案において、車両更新に合わせて防犯カメラの設置を進めるとしています。
 車内防犯カメラの各社の設置状況は、現状、様々ではありますが、例えば、刺傷事件があった京王線では、二〇二三年度末を目途に全車両へ防犯カメラを設置すると先日発表しました。
 相互直通している都営地下鉄においても、防犯カメラの設置を加速していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都内のCO2削減対策について伺います。
 都内のCO2排出量の部門別構成比を見ると、業務、産業部門が五割、家庭部門が三割、運輸部門が二割となっています。
 東京都は、二〇三〇年温室効果ガス半減の達成に向け、各部門における目指すべきCO2排出量の削減目標として、各部門が現状から五〇%程度の削減を目指すという案を提示しており、各部門における削減対策の促進が不可欠です。
 まず、排出量の五割を占める業務、産業部門についてですが、都内ではそのCO2排出量の約六割が中小規模事業所によるものです。二〇三〇年温室効果ガス半減の実現のためには、これらの事業所への対策が重要です。
 しかし、多くの中小企業は資金繰りや事業継続といった足元の課題の対応に追われており、資金や人材等の面からも省エネ化に取り組む余裕がなく、取り組むメリットを感じていない事業者も多いと聞きます。
 こうした状況を踏まえ、中小規模事業所、とりわけ中小企業のCO2削減への取組機運を醸成し、積極的な対策につなげるための施策が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、排出量の三割を占める家庭部門におけるCO2削減対策について伺います。
 知事は昨年、住宅等の新築の建築物への太陽光発電設備の設置義務化に向けた検討を開始することを表明し、十一月の環境審議会の分科会において、個別の建物ごとではなく、都内に一定以上の新築住宅等を供給する住宅供給事業者に対して設置を義務づけるという新たな制度を提案しました。
 現在、分科会において議論が進められておりまして、先日も、制度対象となる事業者等が制度の在り方に関する意見を表明する場が設けられましたが、その中では、住宅関連団体から、太陽光発電設備の設置困難な住居に対する設置回避や例外規定、さらには、規制的措置を取った場合、都がサポートする体制や措置の必要性について、丁寧な検討を求める意見が提出をされています。
 新たな負担を伴う制度の検討に当たっては、義務対象となる建物や義務量等の考え方を明確にするとともに、実現可能な制度となるよう、事業者等の声に耳を傾けて丁寧な検討を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都内では、年間約四万三千棟の新築住宅が建てられている一方で、既存住宅のストック数は約二百万棟、住宅の九八%が既存住宅ということになります。
 そのため、家庭部門の対策を進める上では、新築住宅だけでなく、このように圧倒的に棟数の多い既存住宅における取組が重要であることを、これまで都議会自民党としても求めてまいりました。
 こうした既存住宅では、都内に限ったデータではないものの、省エネ基準に適合しているものが一割程度しかないという国の推計もあります。
 二〇三〇年カーボンハーフの達成に向けては、こうした既存住宅において、省エネや再エネ導入の取組を強力に進めていくことが必要不可欠だと考えますが、都の見解を伺います。
 都内CO2排出量の二割を占める運輸部門対策は、エネルギーごとの特性を生かした施策の推進が重要です。水素は、利用時にCO2を排出せず、温暖化対策の切り札となるだけでなく、エネルギー安全保障と国際競争力の向上にも貢献する、将来性の高いエネルギーです。
 現在、都は、燃料電池自動車やバスの導入を進めていますが、自動車メーカーではトラックの開発が進められており、小規模ながら実証走行も始まっています。商用車両での水素活用は、大量の水素需要を創出し、水素ステーションなどのサプライチェーンの構築にも寄与することから、早期の社会実装化が重要です。
 東京都は、燃料電池商用車両の実装化を進め、並行して水素ステーションの整備を加速するとともに、都民や事業者に対して来るべき水素社会の展望を示すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、水素と酸素により発電する燃料電池バスの導入を推進するために、民間バス事業者へは実質自己負担なしで購入できるよう補助金を拡大することが来年度予算に計上されているとともに、バス事業者が自らの営業所等に水素ステーションを整備、誘致する場合にも大幅な補助を上乗せすることとしています。
 小池知事は日頃より、まず隗より始めよと標榜されておりますが、民間事業者だけでなく、東京都交通局のバス営業所に水素ステーションを整備するべきではないでしょうか。今後の取組について伺います。
 気候危機が一層深刻化する中、世界は二〇五〇年CO2排出実質ゼロという共通のゴールに向けて、急速に歩みを進めています。とりわけ脱炭素社会の核となる再生可能エネルギー等の環境エネルギーに関する産業分野は、将来にわたり高い成長性が見込まれるため、国際的にも技術開発競争が激しくなっています。
 優れた技術力を持つ都内の中小企業やベンチャー企業にとっては、参入の可能性が高い分野であり、ビジネスチャンスである一方、大企業と比べて多額の研究開発費や人材の不足等の固有の課題を抱えており、中小企業が一歩踏み出すためには一定のサポートが必要です。
 そこで、東京都は、脱炭素社会の実現に向けて、積極的に技術や製品の開発に取り組もうとする中小企業やベンチャー企業を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 建物の解体などによって発生するコンクリートをリサイクルして活用するということも重要な環境対策であるとともに、これからの都市の更新に欠かせません。現在、コンクリートの塊を砕いたものは、再生砕石として道路の路盤材などに利用され、それが全体の九九%を占めています。その再生砕石をさらに砕いて、骨材、使える石を取り出しまして、生コンクリートに利用しているというものは全体の一%程度であります。
 九九%のこの再生砕石が、昨今の相次ぐ都市更新と、また道路建設需要の低迷から利用が進んでいない中で、コンクリートに使える再生骨材の普及に力を入れて、コンクリート塊のリサイクルの推進と活用を民間事業者と連携して取り組む必要があります。
 今後、建設副産物のリサイクル推進をさらに進めるための再生骨材コンクリートの活用について、都の見解を伺います。
 多摩地域においては、多くの人工林が植栽後五十年以上経過しており、これらを木材として積極的に利用すべき時期を迎えています。
 しかし、木材需要の多くを占める民間住宅では、建築に用いられる木材の多くを輸入材に依存している状況です。
 一方で、近年の輸入木材の価格上昇などの影響から、住宅メーカーはこれまでの体制を転換し、国産木材を積極的に活用しようとする動きも見られるなど、国産木材の需要が拡大する好機が到来しています。
 また、日本の木造住宅では、古くから木材以外にも土壁や畳などの内装が施されてきました。高い吸湿性など、様々な効能を持つこうした伝統的な技能を用いた内装についても、国産木材の利用促進と併せて後押ししていくことが重要です。
 こうした視点を持って、多摩産材をはじめとする国産木材の利用拡大を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都はこれまで、無電柱化加速化戦略を策定し、計画的に進めてきました。東京都の無電柱化は、第一次緊急輸送道路や災害時の復旧拠点となる施設を結ぶ路線等を優先して、重点的に取り組んでいることは承知しています。
 一方、無電柱化の目的には、歩道の快適性の確保やまちの美しい景観の創出もあります。多くの人が集まる駅周辺など、都民が無電柱化の効果をより実感できる道路でも整備を進めるべきです。
 利用する人の多い駅周辺道路の無電柱化をどのように進めていくのか伺います。
 また、施政方針では、木密地域における私道の無電柱化について新たな取組を始めるとの知事の発言がありました。
 木密地域の面的な無電柱化は防災性の向上に資する重要な意義があると思いますが、どのような私道を支援の対象とするのか見解を伺います。
 また、無電柱化事業は、その完成に際して、道路や歩道のバリアフリー化を同時に進める好機となります。
 無電柱化に合わせた道路のバリアフリー化を一体的に進めることが重要と考えますが、見解を伺います。
 知事は、施政方針演説において、いわゆる生産緑地の二〇二二年問題を乗り越えるべく、緑地を維持する区市を積極的に支えると表明しました。また、将来にわたり農地を脈々と引き継ぐためには、担い手たる農業者の育成が欠かせないとも述べられ、都市農業の発展につながる方向性を表明いただいたことを評価するものです。
 そうした方向性に合わせて、今回、農地の保全等と併せた防災性向上まちづくり支援事業が新たに提案されましたが、施策の概要を伺うと、農地を有する地域において、農地の保全を促すとともに、将来、無秩序な宅地開発が行われたとしても、防火規制などを地区計画としてあらかじめかけておくことで、市街地の安全性を高めるというものです。
 しかしながら、知事がお示しになられた方針のように、防災性の確保だけでなく、貴重な都市の農地を残す取組を考えるべきであり、そのためには所有者へのインセンティブが不可欠です。
 今後、区市への働きかけに当たっては、防災性の確保だけでなく、農地を残すという視点を持って臨むことが重要です。見解を伺います。
 昨年の第四回定例会において知事が表明された高台まちづくりについてお尋ねします。
 東京都は、災害に強い首都「東京」形成ビジョンに基づき、高台まちづくりを推進するため、地域ごとの水害リスク等を踏まえた高台まちづくりの在り方や、モデル地区等における課題に対する具体的な推進方法について検討を行うことを目的としたワーキンググループを国と共に設置しました。
 本年一月にも、江東五区など関係する七区が加わり、ワーキンググループが開かれまして、地域における課題の共有と、流域治水関連法の改正に基づいた新たな対策について議論が交わされたと聞いています。
 今後、国土交通省とも連携をさらに深め、モデル地区における事業推進に向けて、より実効性のある支援を行っていくとともに、各地区における取組が進展するよう国に一層の制度拡大を求めるべきと考えます。知事の高台まちづくりに対する所見を伺います。
 高台まちづくりに当たっては、その周辺の様々なインフラ整備を行うことが重要であり、緊急的な避難場所や救出救助等の活動拠点となる高台の整備とともに、より安全に、そしてスムーズに移動できる避難経路が確保されてこそ、その機能が発揮されることとなります。
 都内を流れる多くの大河川では、堤防の高規格化が進行し、堤防自体が命を守る高台としての役割を果たすことが期待されるとともに、河川沿いのオープンスペースも災害時には活用されることになります。
 河川空間を活用した高台まちづくり、避難経路の確保についての取組を伺います。
 下水道は、ふだんは目に触れませんが、都民生活を支える重要なインフラです。
 多摩地域では、都の管理する流域下水道と市町村の管理する公共下水道が一体となって機能しており、その八割は汚水と雨水を別々の下水道管で集める分流式下水道で整備されています。
 近年、豪雨時などに市町村の管理する分流式下水道の汚水管に大量の雨水が入り込む雨天時浸入水により、マンホールからの溢水など浸水被害が発生しています。雨天時浸入水は、汚水管の老朽化や民地からの雨水排水の誤接続が主な原因と聞いています。
 雨天時浸入水対策は、発生源となる公共下水道での対策が基本ですが、対策を行う市町村の下水道の技術系職員は、建設から維持管理の時代に移行する中で大幅に減少しており、都の技術的な支援が不可欠となっています。
 そこで、東京都と市町村の連携した雨天時浸入水対策の取組を伺います。
 一昨日閉幕をした北京冬季オリンピック大会では、過去最高数のメダルを獲得するなど、多くの日本人選手が活躍をしました。
 昨夏に開催された東京二〇二〇大会においても、コロナ禍の中で人類が英知を結集し、世界中のアスリートが東京に集い、活躍し、私たちに夢と希望、そしてチャレンジする勇気を与えてくれました。コロナ終息の際には、そうした選手団のパレードを実施するなど、改めて感動と感謝、喜びの機会の創出を要望しておきます。
 大会は、スポーツの力で世界を一つにした象徴として歴史に新たなページを残しました。
 一方で、招致のときから指摘してきましたが、大会の開催自体がゴールではありません。その成功を通じて、都民、国民が自らの自信と誇りを新たにするとともに、ハード、ソフト両面から、東京を世界で一番の都市へと飛躍させることこそ最終的な目標です。
 大会は東京を、そして日本をさらに発展させるための跳躍台であり、長期的な視点に立って、レガシーをつくり上げていくことが肝要です。
 大会の成果を今後の都政運営にどのように生かしていくのか、開催都市の長として、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会は、大会史上初の一年の延期を経て、コロナ禍という困難な状況下での開催となりました。このような中、大会を成功させることができたのは、二〇一六年招致から始まり、約二十年にわたり関係者が大会の開催と成功を固く信じ、ワンチームとなって取り組んできたからにほかなりません。
 懸案だった大会経費についても、昨年末に、都民、国民に新たな負担が生じない見込みであることが示されました。これは、東京都、国、組織委員会がそれぞれの責務を果たしつつ、連携して取り組んだ成果です。
 大会経費の見通しの公表に至るまで、どのように関係者と取り組んできたのか伺います。
 スポーツの観点では、大会を通じて都内のスポーツ環境は大きく向上しました。また、パラスポーツも含め、スポーツへの興味、関心が高まっています。
 オリンピック・パラリンピック準備局は他局に統合されるとのことですが、スポーツ行政を停滞させることなく、この機を捉えて、大会の様々な取組をスポーツレガシーとして発展させていかなければなりません。
 大会を契機に整備拡充されるスポーツ施設の活用や国際大会を直接観戦できる機会の拡充など、大会の成果を生かし、スポーツ施策を積極的に展開していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 大会の成功は、多くの関係者、そして都民、国民の協力によるものです。これまでの定例会でも繰り返し指摘してきましたが、感謝の思いを伝えるとともに、大会の感動を改めて共有し、未来に伝えていくことが重要です。
 大会本番時は、コロナの影響で、残念ながら世界のトップアスリートが最高峰の競技を繰り広げる姿を直接見る機会はなく、大会に出場した日本人選手を会場で応援することはできませんでした。
 また、文化の祭典という面でも、イベントがウェブ発信に切り替わるなど、大きな変更を余儀なくされました。
 そのため、来年度、大会一周年記念行事を実施するに当たっては、アスリートとの交流や文化事業との連携など、大会時に十分実施できなかった様々な取組も行うべきと考えますが、見解を伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックの文化レガシーを生かすため、都議会自民党は、都民が芸術文化を気軽に楽しむ機会をさらに増やしていくべきと主張してきました。東京大会が終わり、芸術文化へと向かう民間の活力を東京都はさらに支援していくべきと考えます。
 今回策定される文化戦略二〇三〇において、それをどのように反映し、施策を展開していくのか、知事の見解を伺います。
 東京都はこれまで、地域の文化資源を活用した助成制度を創設し、世界に発信していく創造活動や地域の文化の振興のため、せたがや梅まつりや阿佐谷ジャズストリートなど、地域における活動も支援してまいりました。
 今後も、都内の様々な地域において、特徴のある魅力的な芸術文化活動がより活発に行われるよう、地域の実情やニーズを丁寧に聞き取り、次世代へとつないでいく必要があります。
 そのためにもさらなる地域の芸術文化施策の充実を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 さて、石原都政の功績の一つが東京の教育再生です。
 学校教育の現場でも、知、徳、体をバランスよく習得することの重要性を訴え、中でも道徳教育には熱心に取り組まれてきました。現在でも、道徳授業地区公開講座が継続されています。都のこうした取組実績から、国においても道徳は教科化されました。
 もう一つの教育再生の実績は、都立高校改革です。
 社会のニーズ、子供の特性が生かせる多様なタイプの学校の設置や学区制の廃止など、改革を強力に進め、進学実績の向上や中途退学率の改善など、着実な成果が出始めています。
 現行計画は今年度末で終了となりますが、こうした節目を迎えるに当たり、今後の社会環境の変化等も踏まえ、都立高校の役割や人材育成についてどう考えるのか、見解を伺います。
 東京都は、来年度より、中学校英語スピーキングテストを全ての中三生を対象に実施し、そのテスト結果を、都立高入試の際、内申書の点数同様に加点するという仕組みとしています。小中高等学校で一貫した英語教育を推進していく上で重要な事業であり、昨年のプレテストを受験した生徒からも、英語を話すよい機会となったなどの声もあるようです。
 一方で、吃音症の生徒にとっては、本来の英語能力を過小評価されるのではないかとの懸念の声が届いています。都の英語スピーキングテストの取組は、全国の自治体が注目をしています。全国に先駆けて取り組むからこそ、実施に当たっては、障害等により不公平にならないような受験上の合理的配慮が不可欠です。
 こうした観点を踏まえ、今後、世界を舞台に活躍する人材の育成にどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
 真の共生社会を目指す中で、多様性を尊重することは重要です。
 知事は、パートナーシップ制度を来年度導入すると表明していますが、制度の検討に当たっては、当事者だけでなく、広く都民に理解されるよう、丁寧な議論と検討が必要です。
 制度化に当たっては、受理証明書の適用範囲や婚姻制度との整合性、先行基礎自治体との適切な協議など、様々な課題があります。
 このような点を踏まえながら、知事はどのような考えの下で制度素案を構築したのか、知事の見解を伺います。
 国際金融都市の構想は、小池知事就任以来、公約に掲げてこられた最重要政策の一つです。
 しかし、これまでのところ、シンクタンクによるランキングを含め、成果や都民理解は十分とはいえません。今後、東京経済を牽引し、都民生活の向上につなげていかなくてはなりません。
 東京都は、国際金融都市東京の実現に向け、金融系外国企業の誘致をはじめとする幅広い分野の外国企業の東京への誘致を推進してきていますが、こうした取組は都民の理解を得ながら進めていくことが重要です。
 改めて、外国企業誘致の意義と今後の方向性について、知事に伺います。
 また、外国企業誘致を進めるに当たっては、租税回避などの懸念もある中、都内経済への還元を確実にし、経済の成長につなげることが重要ですが、このための取組について伺います。
 行政のデジタル化を推進していく上で、デジタルサービスを支える人材の育成は極めて重要です。
 東京都だけでなく、住民に身近な行政サービスを展開する区市町村においても、デジタル化の推進に向けて、区市町村職員のデジタルに関する能力向上などの課題を抱えています。
 先般、都は、デジタル人材の確保、育成に関する基本方針を公表し、その中で、東京都職員の人材育成の取組だけでなく、区市町村との連携も一つの軸とする東京デジタルアカデミーを新たに展開していくことを示しています。
 今後、区市町村のデジタル化の取組が本格化していく中で、個々の区市町村の取組状況を踏まえ、よりきめ細かな支援を実施していくことが必要です。
 区市町村のデジタル人材の育成に向けて、都がこれまで以上に支援を充実させていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 島しょ地域においても、デジタルの力によって遠隔診療が可能となるなど、距離や時間の制約を解消するだけでなく、魅力あるサービスの創出によって、島民生活の利便性向上や安心の確保につなげていくことができます。
 一方で、これらのサービスを支える通信基盤については、そもそも電波が届かない地域の存在や、いまだ3Gしか利用できない地域があるのが実情であり、通信困難地域の解消や5G通信網の整備について、島民からの切実な願いが寄せられています。
 都はこれまでも、つながる東京の実現に向けて様々な施策を実施していますが、新たに島しょ地域の通信環境整備の加速を打ち出したことは、我が会派として評価をしています。そして何よりも島民の期待が大きい取組です。
 そこで、来年度における島しょ地域の通信環境の向上に向けた取組について伺います。
 都議会自民党入札契約制度改革プロジェクトチームでは、よりよい入札制度構築を目指し、様々な問題提起と課題解決に向けた新たな提案をしてまいりました。
 そうした中、東京都は、我々の要請を受ける形で、最低制限価格制度を請負においては初めて印刷業に導入し、試行を続けてきました。改正担い手三法においても、ダンピング防止は発注者の責務とされ、労賃確保の観点からも、また、印刷業界の発展にも寄与する制度として機能してきたと考えています。
 昨年の第三回定例会の代表質問においても、しっかりと業界の意見を踏まえ、本格実施に向けて取り組むべきことを申し上げました。
 試行の結果を集約し、見直しを行い、速やかに本格実施に移行すべきときだと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年の第三回定例会において、我が会派からの質問に対し、都は、地下鉄八号線と品川地下鉄の二路線について、早期の事業化を図っていくことを表明し、事業化に向けた大きな一歩を踏み出しました。
 これらの二路線は、開発が目覚ましい豊洲、あるいはリニア中央新幹線の始発駅となる品川へのアクセス利便性を向上させ、東京の国際競争力の強化に資する重要なインフラであり、早期の事業化に向け、さらに歩みを進める必要があります。
 国など関係者と緊密に連携をし、スピード感を持って具体的な取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、さきの第四回定例会において、我が会派の主張を踏まえ、築地再開発については、民間の自由度を高めていくと、都は答弁しています。
 今年度中に実施方針を取りまとめるとのことですが、このまちづくりを進める上で、地区内外に計画されている道路や鉄道など、日々の都民生活を支える基盤整備との連携が不可欠です。道路でいえば高速晴海線、鉄道でいえば臨海地下鉄、水辺でいえばスーパー堤防や防災船着場などがあります。
 築地まちづくりにおいて、民間からの優良な提案を受けるためにも、こうした交通インフラ整備の計画を示すことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、築地まちづくりの中でも重要な交通インフラとなる臨海地下鉄について伺います。
 臨海地下鉄が計画されている築地や晴海、豊洲、有明などの沿線地域では、民間事業者等による開発が進展しています。
 臨海地下鉄の導入空間を確保するとともに、さらなる民間投資の誘発や新たな需要の創出につなげるためにも、早期に事業計画を具体化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 外環道の東京都区間は、昭和四十五年に、地元と話し得る条件の整うまでは強行すべきではないと当時の建設大臣による凍結発言によりまして、事業が凍結された過去があります。
 その後、平成十一年、知事に就任した石原慎太郎氏が、東京の発展のため、効率的な物流ネットワーク構築の必要性や、慢性化した渋滞の緩和を目指して検討を再開し、国の不合理な税制改正に対して石原知事が強く進言をいたしまして、四十年近く凍結をしていた東京外かく環状道路整備が再開されることとなったわけです。
 現在、国や事業者は陥没事故の再発防止に努めておりますが、今後、残された整備区間である東名高速から湾岸道路間については、羽田空港や京浜港へのアクセス強化の面からも整備の必要性は高く、事業化への早期移行が期待されます。
 外環道の整備に向けた知事の見解を伺います。
 港湾の物流機能の強化についてですが、世界の海運市場においては、自由貿易協定の進展や国際的な電子商取引の拡大などにより、コンテナ貨物量が今後さらに増加すると予想されています。
 我が国を取り巻くこのような経済構造の変化に適切に対応し、日本経済の成長につなげていくためにも、我が国最大のコンテナ港である東京港の貨物処理能力を抜本的に高めることが必要不可欠です。
 また、東京港では、貨物の搬出入を行うトラックによる交通混雑も発生しており、円滑な物流を確保する上で深刻な課題となっています。
 東京都は、新たなコンテナふ頭の整備はもとより、既存のコンテナふ頭についても再編を進めることに加え、デジタル技術を活用した運営の効率化を図るなど、ハード、ソフト両面から積極的に東京港の機能強化を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 平成二十八年の児童福祉法改正により、特別区においても児童相談所が設置できるようになって五年が経過しました。
 この間、四区が児童相談所を開設しまして、来年度は、中野区が四月に、板橋区が七月に開設を予定しているだけでなく、練馬区を除く二十二区が開設の意向や検討を示しています。
 また、国は昨年、児童相談所の設置基準を定める政令を発出いたしまして、管轄人口が百万人を超える児相は、区域の見直しも求められることとなりました。
 こうした児童相談所の再編ともいえる状況下で、二十三区における管轄区域の見直しや、東京都全体の児童相談の体制づくりを今後どう進めていくのか、東京都の見解を伺います。
 一方で、現下の児童虐待の対応件数が増加の一途をたどっておりまして、現場が多忙を極める中、いうまでもなく児童相談所の体制強化をしっかり図るべきです。
 専門職である児童福祉司、児童心理司などの増員はもとより、専門職がその能力を十分に発揮できるよう、人材育成の強化策も併せ、取組をさらに進めていくべきと考えます。都の見解を伺います。
 都立病院は、民間医療機関だけでは対応できない行政的医療など、都民にとって重要な役割を果たしています。だからこそ、その役割を果たし続けられるよう、医療環境が大きく変化する中で、より柔軟で機動的な病院運営を行っていくことが重要です。
 都立病院の独法化は、機動的な病院運営が可能となるメリットを生かして、新たな医療課題など、その時代に求められる医療や、都民が必要とする医療等を着実に提供していくためのものであると考えます。
 独法化後も、都民の生命と健康を守り抜く、都民のための病院としてあり続けるために、各病院が提供する医療の特徴をさらに際立たせることや、機能強化をすることを期待しますが、知事の認識を伺います。
 東京都では、少子化やコロナの影響による転出により、二十五年ぶりに人口が減少しています。そんな中にあっても、引き続き東京の中小企業を支援して、経済の活力を維持しながら、まだまだ先の見えないコロナ禍により、支援が必要となっている子供や女性、働く方々や高齢者にしっかりと光が届く、そういう予算であることを求めて質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小宮あんり議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、財政運営についてのお尋ねがございました。
 足元の税収は回復したものの、感染症による影響や原材料価格の上昇、国際情勢の緊張など、我が国の景気は様々な下振れリスクがあって、今後の税収動向は楽観できない状況にございます。
 一方で、都は、激甚化する自然災害への備えや、熾烈な世界の都市間競争に勝ち抜くための取組など、将来にわたり多くの財政需要を抱えております。
 こうした中、令和四年度予算におきまして、危機管理体制の強化に加え、グリーンやデジタルなど、東京の持続的成長につながる分野に重点的に投資を行うなど、積極的な施策展開を図っております。
 同時に、事業の無駄をなくすため、見直しが必要な事業にマイナスシーリングを導入したほか、新たに政策評価と事業評価を一体的に実施するなど、施策の新陳代謝を一層強化いたしまして、めり張りのついた予算としております。
 また、将来の財政環境の変化にも対応し得るよう、財政調整基金など、基金全体で約一兆円の残高を確保するとともに、都債の発行を抑制し、将来に向け発行余力を培うことで財政対応力を強化いたしました。
 今後も持続可能な財政基盤を堅持すべく、不断の見直しなど、無駄をなくす取組を徹底した上で、基金や都債を活用し、実効性の高い施策展開を図るなど、中長期を見据えた戦略的な財政運営を行ってまいります。
 次に、受験生チャレンジ支援貸付についてのお尋ねでございます。
 新たな時代を担う子供たちが、家庭の経済状況等によることなく、自らが伸び、育つことができるよう支援していくことは重要であります。
 都は、自立に向けまして進学に取り組む子供たちを支援するため、一定所得以下の世帯の中学三年生、高校三年生等を対象に、受験料と学習塾受講料の無利子貸付を行っております。
 コロナ禍が長期化し、社会経済状況等に影響を及ぼす中、子供たちの挑戦をより一層後押しするため、来年度から貸付対象世帯の収入要件を引き上げまして、対象の拡大を図るとともに、申請窓口となる区市町村への補助を拡充いたします。
 引き続き、どのような環境におきましても、子供たちが自らの手で希望する将来を切り開いていけますよう、その学びを支援してまいります。
 次に、地域公共交通についてのお尋ねがございました。
 超高齢社会の到来など、都民生活を取り巻く環境が変化する中、日々の生活の豊かさにも直結する地域公共交通の取組を加速して、誰もが移動しやすく、自由自在な交流が可能な都市を実現することが重要でございます。
 高齢者や子育て世帯等の気軽な外出を支える移動手段の充実や、区市町村の境界を意識することのない移動の実現に向けまして、区市町村への支援を強化し、地域の特徴を踏まえた様々なニーズにきめ細かく対応してまいります。
 都民の皆様からのご意見などを踏まえまして、来月末に基本方針を取りまとめて、地域の公共交通を担う区市町村や事業者など、多様な主体と連携しまして、持続可能な地域公共交通サービスを実現してまいります。
 次に、女性の活躍についてのお尋ねでございます。
 自らの希望に応じて生き方、働き方を選択できることは重要であります。その実現のためには、家庭を支えることと社会における自己実現の二者択一というのではなく、双方を両立できる環境を整えていく必要がございます。
 改定計画では、このための仕組みづくりを着実に進めるとともに、仕組みが十分活用されますよう、人々の行動変容を促す意識改革に重点的に取り組む。
 具体的には、テレワークなど、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方の普及や定着を進めるとともに、働く場に限らず、地域や教育現場など、様々な場で女性が活躍している先進的な取組を表彰し、多様な媒体で広く発信するなど、都民一人一人の意識改革につなげてまいります。
 自らの選択が尊重されまして、誰もが輝ける社会の実現に向け、スピード感を持って、実効力ある施策を強力に推し進めてまいります。
 次に、高台まちづくりについてのお尋ねでございます。
 大規模な水害によって深刻な被害が想定される東部低地帯への備えは、喫緊の課題であり、水害に対して安全性の高い、高台まちづくりを加速させなければなりません。
 国との連絡会議で、私も参加して取りまとめましたビジョンの方策につきまして、地区特性を踏まえた適用を図るため、都は、国や荒川、江戸川沿川七区と共に検討を進めております。
 先行する船堀地区におきましては、地元区におきまして、国が創設した支援スキームを全国で初めて活用して、将来的に浸水区域外への避難用通路にもなる建築物の連絡デッキの整備などの検討を行っております。
 都は、こうした取組を後押しするため、来年度から、計画を策定する区に対しまして、新たに支援を行います。
 検討を進める中で、必要となる制度の拡充を国に働きかけながら事業推進を図って、災害の脅威から都民を守る強靭な東京を実現してまいります。
 次に、大会のレガシーについてのご質問がございました。
 コロナ禍や一年の延期、そして無観客という前例のない状況の下、多くの方々の協力を得て、東京二〇二〇大会を成功裏に開催することができました。世界から寄せられました信頼は、東京が誇るべき、かけがえのない財産であります。
 大会を通じて得られた様々な取組の成果や、サステーナブルや共生社会など、都民と共有した大切な価値を東京全体に広げることで、都市のレガシーへと発展させてまいりたい。
 徹底した感染対策などの危機管理の取組をさらに推し進め、安全・安心な都市を実現するとともに、ハード、ソフトのバリアフリーを都内全域に広げて、段差のない社会を創出してまいります。
 加えまして、大会施設の戦略的な活用や芸術文化の振興、被災地や全国との絆を継承した共存共栄の展開など、あらゆる政策分野で大会の成果を未来へとつないでまいります。
 開催都市の長として、レガシーを大切に育て上げ、世界を魅了する未来の都市東京をつくり上げてまいります。
 スポーツ施策の積極的な展開についてのお尋ねでございます。
 東京二〇二〇大会を通じまして、人々のスポーツに対する関心は大いに高まりました。この機を捉えてスポーツを東京に一層根づかせるため、先般、スポーツレガシービジョンを公表いたしました。
 大会を契機に、最新の国際水準の設備を有する新規恒久施設を整備するとともに、既存施設のバリアフリー化などの機能強化を進めるなど、東京のスポーツインフラはバージョンアップをいたしました。
 さらに、スケートボード、スポーツクライミング、3x3バスケットボールの三つのレガシーを生かした有明アーバンスポーツパークなども新たに誕生いたします。
 これらの施設を戦略的に活用しまして、全部で十八施設のネットワークでポテンシャルを最大限発揮するとともに、各施設の特性を生かした多様な活用を進めてまいります。
 また、国際スポーツ大会の誘致、開催を促進することで、より多くの都民に対しましてトップアスリートの活躍に触れる場を提供するなど、スポーツへの関心をさらに高めてまいります。
 こうした取組を強力に進めまして、大会で得た成果をスポーツフィールド東京の実現につなげてまいります。
 次に、芸術文化に触れる機会の創出についてのお尋ねでございました。
 今年度末に策定する文化戦略におきましては、東京二〇二〇大会のレガシーを発展させ、誰もが芸術文化に身近に触れられる環境を整え、人々の幸せに寄与する戦略を掲げて、芸術文化の敷居を低くする取組を展開することといたしております。
 そこで来年度は、東京で活動する多くのアーティストや団体がそれぞれの力を発揮するとともに、都民が芸術文化に触れる機会の拡大につながるイベントへの助成を新たに開始をいたします。
 この助成におきましては、東京のまち中を舞台として展開される事業や、伝統芸能や祭りなどの地域の文化資源を活用した事業などを重点的に支援をいたします。
 また、手話通訳や子供の一時預かりなどの鑑賞サポートや、新たなテクノロジーを使ったプログラムなどを実施する場合には、その費用を一定の範囲で上乗せをいたします。
 こうした取組を通じまして、芸術文化で躍動する都市東京の実現を目指してまいります。
 世界を舞台に活躍する人材の育成についてのお尋ねがございました。
 地球規模の課題解決が求められる社会におきまして、子供たちが豊かな国際感覚を持ち、多様な人々と協働していくためには、英語をツールとして使いこなす力を身につけることが大切であります。
 中学校英語スピーキングテストは、中学校における成果を高校での学習につなぎ、学ぶ意欲を高めることを目的としております。
 実施に当たりましては、一人一人の子供が自らの力を存分に発揮できますよう、子供や保護者の意見を丁寧に聞きながら、個々の状況に応じたきめ細やかな支援を行っていくことが重要であります。
 全ての子供が将来への希望を持って、英語を学び続け、世界を視野に入れ、新たな時代を切り開く人材を育成してまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてのお尋ねでございます。
 性的マイノリティーの方々をはじめとする全ての都民が自分らしく生活し、多様性が尊重され、誰もが認め合う共生社会を実現することは重要です。
 都はこれまで、都民等へのアンケート調査や様々な有識者などへのヒアリングを行いまして、関係法令との整合性を踏まえ、婚姻制度とは異なるものとして、当事者の困り事の軽減と多様な性に関する都民理解を促進する目的で素案を策定いたしました。
 都が発行する受理証明書につきましては、当事者のニーズ等を踏まえまして、都において住宅や医療サービス等で活用できるよう検討するほか、民間での活用も進みますように協力を呼びかけてまいります。
 また、制度導入済みの都内自治体とは、証明書の相互活用などについて丁寧に協議をして、連携を図ってまいります。
 今後、パブリックコメントなどの意見も踏まえまして、制度を構築し、本年秋の運用開始を目指して取り組んでまいります。
 次に、外国企業の誘致に関してであります。
 脱炭素化、デジタライゼーションの進展など、世界の激しい変化に的確かつ迅速に対応し、激化する都市間競争を勝ち抜き、東京の持続的成長を実現していかなければなりません。
 金融系企業を含む外国企業の誘致は、雇用創出などの直接的な経済効果のみならず、技術、人材、情報などの集積を通じ、都内企業の事業機会の拡大につながります。
 これにより、経済の発展や都民の豊かな生活の実現に貢献するものであります。
 都はこれまで、東京進出を検討する外国企業に対するビジネスコスト軽減を図る施策や、誘致企業の定着に向けた支援を実施してまいりました。
 また、国際金融都市を目指す取組に関するプロモーション映像の活用などによりまして、国内外への発信も行ってまいります。
 今後とも、外国企業の誘致を積極的に進めまして、東京の持続的な成長と都民生活の向上につなげてまいります。
 地下鉄八号線及び品川地下鉄についてのお尋ねがございました。
 東京の地下鉄ネットワークは、首都機能や経済活動を支える重要な基盤であり、そのさらなる充実が不可欠でございます。
 昨年七月、国の審議会から、地下鉄八号線及び品川地下鉄につきまして、早期の事業化を図るべきと答申がされました。
 この答申を踏まえまして、国と共に東京メトロへ財政支援を行うこととして、これを受けて、先月、東京メトロは事業主体として両路線の事業許可を国へ申請をいたしました。
 今後、国や地元区、東京メトロなど、関係者と一層連携をいたしまして、早期の事業化に向け、来年度早々にも都市計画や環境影響評価の手続に着手するなど、地下鉄ネットワークのさらなる充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、外環道の整備につきましてであります。
 首都圏におけます交通、物流の根幹をなす外環は、人と物のスムーズな流れの確保や国際競争力の強化を図るとともに、首都直下地震など災害時の避難や救急活動のルートを確保するなど、極めて重要な道路でございます。
 国など事業者は、関越道から東名高速間のうち、陥没箇所周辺では補償や地盤補修などを進めているところであります。
 また、本事業の再発防止対策を取りまとめ、不安払拭などに向けまして、沿線各地で説明会などを進めており、練馬区などでは、安全を最優先に、事業用地内での掘進作業に取り組むことにしております。
 都は、事業者に対しまして、引き続き、再発防止対策等の確実な実施、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明やきめ細やかな対応を求めてまいります。
 東名以南の湾岸道路までの区間につきましては、羽田空港などへの広域的なアクセス強化へもつながるものでございまして、計画の具体化に向け、引き続き国や関係機関と共に着実に取り組んでまいります。
 都立、公社病院の独法化についてのお尋ねが最後にございました。
 都立病院は、災害医療や感染症医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療をはじめ、都民にとって必要な医療を提供しており、独法化後もこうした役割を確実に果たしてまいります。
 独法化は、人、物、予算の面から、機動的な病院運営を可能とするものでありまして、各病院の特徴を明確にしながら、今まで以上に都民や地域のニーズに即した医療機能強化を図ることができます。
 例えば、駒込病院におきましては、移植コーディネーターを新たな職として設定をしまして、専門人材を安定的かつ確実に確保することで、がん移植治療の充実強化を図ってまいります。
 独法化後は、都民のための新たな都立病院として、各病院の強みを発揮しながら、医療環境の変化にも迅速的確に対応して、都民の生命と健康を守ってまいります。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたさせます。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 区市町村のデジタル人材の育成支援についてお答えいたします。
 クオリティー・オブ・サービスの高いデジタルサービスの実現の鍵になるのは人であり、その育成の重要性は区市町村も同様です。
 昨年八月から、二十四自治体のCIO等との個別の座談会を実施し、デジタル人材育成について生の声を伺い、都の積極的な支援が不可欠だと改めて認識しました。
 都はこれまで、区市町村のデジタル化の中核人材向けの勉強会を開催し、八十六名が参加するほか、都庁職員向けのセミナーにも区市町村職員が受講できる環境を提供してきました。
 来年度は新たに、住民と接する窓口などの最前線の職員を対象に、最新のデジタルツール等をテーマにした研修会を六回程度開催します。
 また、区市町村が行政手続のデジタル化を進める中で、都の専門人材がBPR等の取組を支援することで、職員が実践的な知見を得られる機会を確保してまいります。
 さらに、東京デジタルアカデミーを新設し、都と区市町村が共同で海外等の先進事例の調査、分析を行うことで、区市町村職員の知識と能力の向上を図ってまいります。
 こうした取組を通じて、オール東京で、デジタルを理解し、使いこなし、つくり上げる職員を育成し、東京全体のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 犯罪組織等の壊滅に向けた取組についてでありますが、現在、暴力団をはじめとする犯罪組織等は、実態の不透明化、非定型化、多国籍化の様相を強めておりまして、時代の変化に合わせ、手口を巧妙に変化させながら、違法な資金獲得活動を敢行しております。
 当庁の最重要課題である特殊詐欺につきましても、昨年は約六十六億円もの多額の被害が発生しておりまして、犯行グループの背後には暴力団等が暗躍をしており、犯行により詐取した被害金が組織の資金源となっている実態があります。
 警視庁では、こうした情勢を踏まえまして、犯罪収益対策に特化した全国警察で初となる犯罪収益対策課を設置するなど、組織犯罪対策部門の体制強化を図ることといたしました。
 これにより、犯罪組織の実態解明を加速させ、中枢幹部等の徹底的な検挙につなげるとともに、違法な資金獲得活動による犯罪収益をより強力に遮断、剥奪するなど、犯罪組織にさらなるダメージを与えることが期待されるところでありまして、今後も犯罪組織等の実態を捉えた実効性のある対策を推進し、その壊滅を図ってまいります。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 今後の都立高校の役割と人材育成についてでございますが、都教育委員会は、知、徳、体のバランスの取れた生徒の育成はもとより、スマートスクールの実現に向けた取組やグローバル人材の育成、専門高校の充実など、社会の変化や生徒の多様なニーズに応える取組を推進しているところでございます。
 Society五・〇時代の到来など、社会の変革がさらに加速する中、生徒が個性や能力を最大限に伸ばし、新たな価値の創造に向け、自ら考え行動できるよう、時代の流れを機敏に捉え、施策を展開していく必要がございます。
 都立高校では今後、デジタル技術や外部の人材を活用し、個別最適な学びや探求学習を充実するとともに、学校の個性化、特色化を一層推進するなど、未来を担う人材の育成に引き続き取り組んでまいります。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、再生骨材コンクリートの活用についてでございます。
 建設資材としての利用も重要でございまして、都は、環境物品等調達方針におきまして、再生骨材コンクリートなどを環境負荷の少ない建設資材として位置づけまして、公共工事での使用を推進しております。
 一方、その活用を図る上で、運搬距離や供給能力などが制約となっております。そこで、製造者へのヒアリング等によりまして、今後整備予定のプラントの情報等を収集し、まずはこれを庁内において共有しながら、都の発注工事における使用実績を積み重ねてまいります。
 こうした取組により、再生骨材コンクリートの利用拡大を図り、建設副産物のリサイクルを推進してまいります。
 次に、木密地域における私道の無電柱化についてでございます。
 木密地域では、各区において防災生活道路等の無電柱化に取り組まれている中で、震災時における避難や消火救援活動をより効果的に進めるためには、特に区道等に連なる私道の無電柱化を推進する必要がございます。
 このため、特に重点的、集中的に改善を図るべき重点整備地域におきまして、区道等に接続する私道の無電柱化を対象に、新たに来年度から、都が区に対しまして経費を支援いたします。
 区や電線管理者とも連携しながら、無電柱化の面的展開を図り、木密地域における防災性を向上させてまいります。
 次に、農地保全等と併せた防災まちづくりについてでございます。
 農地は、防災の機能を持った貴重な緑の空間でございまして、まちづくりにおいて、最大限その保全活用を図っていくことが重要でございます。
 そこで、農地を有する地域におきまして、来年度から、新たに、地区計画の策定など農地の保全に効果的な手法等を検討する区市の取組を支援いたします。
 また、やむを得ず宅地化される場合に、延焼の危険性が増大する可能性があることから、防火規制による市街地の耐火性能の向上などを行う区市の取組につきましても、支援をいたします。
 地域の特性を十分に踏まえながら、農地の保全等と併せた木密地域の拡大の未然防止を図ってまいります。
 次に、築地まちづくりについてでございます。
 当地区では、海、川、陸が交差する要所を生かし、舟運、バス、地下鉄などのインフラから成る広域交通結節点を形成するため、中長期にわたり調整しながら、民間開発と公共側の整備との連携を図っていくことが重要でございます。
 防災船着場は都が整備いたしまして、舟運ネットワークの要となるよう、民間等が活用してまいります。水辺は魅力的な憩いの場となるよう、民間開発とスーパー堤防の整備を連携して進めてまいります。高速晴海線や臨海地下鉄につきましては、都として検討する中で、民間開発との調整、連携を図ってまいります。
 年度末に公表予定の事業実施方針におきまして、基盤整備などに関する事項を可能な限り示せるよう検討いたしまして、優れた民間提案を引き出しながら、持続的な成長につながるまちづくりを進めてまいります。
 最後に、臨海地下鉄についてでございます。
 本路線は、国際競争力の強化に資する路線でございまして、都心部と開発が進む臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割を有してございます。
 昨年七月、国の交通政策審議会から、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべきと答申されたことを踏まえまして、本路線の実現に向けた都の取組に対し、国は協力することを合意いたしました。
 この合意に基づき、国の参画も得て、昨年九月に検討会を設置いたしまして、概略のルートや駅位置等を含め、事業計画の策定に向けた検討を進めているところでございます。
 引き続き、関係者と連携して検討を積極的に進めるなど、本路線の具体化をさらに加速してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染拡大時における検査キットの確保についてでございますが、感染急拡大に伴う検査需要の増加によりまして、医療現場におきまして検査キットが不足しているとの声を踏まえまして、都は、検査キット等の安定的な確保と医療機関への優先供給を国や卸売業協会に対し要請するとともに、医師会に情報提供をいたしました。国がメーカーに増産を要請するとともに、医療機関への優先供給が行われた結果、検査キットの不足は解消されつつあります。
 今後とも、検査キットの確保を国に求めるとともに、キットが不足するおそれがある場合には、行政検査の実施に支障が生じないよう、あらかじめ都の様々な検査事業につきまして、優先度に応じた調達を検討するなど、感染拡大時におきましても、行政検査などの必要性の高い検査が確実に実施できるよう、体制確保に取り組んでまいります。
 次に、医療機関における診療、検査体制についてでありますが、感染拡大時には、発熱等の症状のある方が確実に受診し、必要な検査を受けられる体制の確保が重要でございます。
 都はこれまでも、診療・検査医療機関の拡充に努めるとともに、第五波の経験を踏まえまして、昨年九月、同意した医療機関を都のホームページに公表をいたしました。
 今般の感染急拡大に伴いまして、公表している一部の医療機関に患者が集中し、有症状の方が速やかに検査を受けられない状況が発生したため、緊急的な混雑緩和策として、無症状の濃厚接触者が自宅で受診前に検査を行うことができるよう、検査キットの個別配布を始めております。
 今後、医療機関における診療、検査体制をさらに拡充するため、全ての診療・検査医療機関の原則公表に向けまして、都医師会の協力の下、働きかけを強化してまいります。
 最後に、高齢者施設の新型コロナ対策についてでありますが、重症患者のうち、六十歳以上の方が八割を占めるなど、重症化リスクの高い高齢者への対策が重要であります。
 そのため、高齢者施設で複数の陽性者が発生した場合に、嘱託医等による診療を促進するほか、広域的に往診する医療機関や医師会と連携した体制を整備しております。
 さらに、施設職員の感染により運営に支障が生じる場合に備え、人材派遣を活用した応援体制を構築しております。
 また、都の大規模接種会場で、施設職員へのワクチンの追加接種を行うとともに、入所者に対し、ワクチンバスによる接種を今後増強し、加速化してまいります。
 さらに、国との協働により、高齢者等医療支援型の臨時の医療施設を開設し、高齢者施設からの受入れや転退院の拠点とするなど、高齢者への支援を強化してまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、保育所が休園した場合の受皿についてでありますが、臨時休園する保育所が増加する中で保育所の果たす社会的機能の維持を図るため、国は、一時預かり事業に新型コロナウイルス感染症特例型を新たに設け、公民館等で代替保育を実施する区市町村に対し、財政支援をすることといたしました。
 都は、直ちに区市町村に対して事業内容を周知するとともに、一時預かりで代替保育を行う場合の実施場所や保育従事者の確保方法などについて調査をいたしました。
 今後、調査結果を早急に取りまとめ、事業実施の参考となるよう区市町村に提供するなど、代替保育の確保に取り組む区市町村を支援してまいります。
 次に、高校生等への医療費助成についてでありますが、高校生の世代は、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、自らの健康をコントロールし、改善できるよう支援することは重要であります。
 このため、都は、子育てを支援する福祉施策の充実に向け、来年度予算案に、高校生等への医療費助成事業の準備経費として、区市町村のシステム改修経費等を計上いたしました。
 具体的な制度内容については、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、準備経費補助の詳細や、事業実施に向けた制度の考え方や内容、経費を含めた課題等について、都として丁寧に議論を重ね、調整し、検討してまいります。
 次に、子供の居場所づくりについてであります。
 都は、民間事業者等のノウハウを活用しながら、子供や親が安心して過ごせる居場所を整備する区市町村を支援しており、来年度は、これまで必須としていました学習支援と食事提供について、いずれかを選択して行えるようにするなど、取り組みやすいものとしてまいります。
 また、学童クラブの待機児童対策の計画を策定する区市町村については、学童クラブに加え、既存の施設を活用するなど、地域の実情に応じた放課後の居場所の確保に係る経費を幅広く支援してまいります。
 さらに、放課後の居場所の選択肢を広げるため、認証保育所において学齢児を受け入れる仕組みを新たに整備するなど、安全・安心な子供の居場所の確保に向け、地域における様々な取組を支援してまいります。
 次に、介護職員の宿舎借り上げ支援についてであります。
 都は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化のため、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施しておりまして、これまでも、一事業所当たりの補助上限戸数を四戸から最大二十戸まで拡大するなど、支援を充実してまいりました。
 来年度からは、さらなる人材の確保、定着を促進するため、補助対象をこれまでの福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加えまして、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所やその他の在宅サービス事業所等にも拡大し、本事業をより多くの事業所で活用できるようにしてまいります。
 今後とも、介護職員の働きやすい職場環境の整備などの取組を一層推進し、介護人材の確保、定着を図ってまいります。
 次に、放課後等デイサービスについてであります。
 放課後等デイサービスは、多様な訓練や創作活動など質の高いサービスを提供する事業者がある一方、特定の活動に偏った事業者も見受けられるなど、事業者によって支援の内容は様々であります。
 このため、来年度、都型放課後等デイサービス事業を開始し、自立した日常生活を営むために必要な訓練や経験豊富なコア人材の配置、学校との連携、地域交流、第三者評価の受審など、都の基準を満たし、サービスの質の向上に取り組む事業者を支援いたします。
 また、事業の実施に当たっては、事業者におけるデジタル機器等の導入も支援しながら、電子申請など手続の効率化についても検討してまいります。
 次に、ヤングケアラーへの支援についてであります。
 都は来年度、ヤングケアラーへの支援策を検討するため、有識者や区市町村、元当事者、介護や医療等に関わる各関係機関などで構成する検討委員会を設置いたします。
 委員会では、具体的なニーズを把握するため、区市町村への調査や支援者団体へのヒアリングなどを実施することとしており、それらを踏まえ、ヤングケアラーを把握するポイントや有効なつなぎ先、関係機関の役割や連携の在り方などをマニュアルとして取りまとめ、区市町村の子供家庭支援センターや学校等に周知いたします。
 また、ヤングケアラーが悩みや経験を共有できるよう、SNSやオンラインサロンなどを活用した交流の場を提供する民間団体を支援してまいります。
 次に、児童相談体制についてであります。
 昨年七月、児童相談所の設置基準が政令等で新たに設定され、管轄人口が百万人を超える児童相談所は、管轄区域の見直しが求められております。
 都は、これに対応し、区部に所在する児童相談所の管轄区域については、地理的条件や交通事情等を総合的に考慮した上で、特別区の設置計画も確認しながら検討する考えであります。
 また、都内における児童相談体制については、全区市町村が参画する検討会において、人事交流や保有施設の活用、情報共有の方策などを検討してきました。
 今後、この検討会の場を活用しながら、管轄区域の考え方や効果的な連携方策等について、区市町村と意見交換し、東京全体の児童相談の役割分担や相談体制の強化に向けて検討してまいります。
 最後に、児童相談所の人材確保、育成についてであります。
 都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司及び児童心理司を増員するほか、困難ケースで職員に助言指導等を行う専門課長を配置するなど、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
 今年度は、意欲ある人材を継続的に確保するため、専任チームを設置し、大学等への訪問や専門サイトの開設、採用動画の作成等、採用活動を積極的に展開しております。
 また、来年度は、旧世田谷児童相談所を活用してトレーニングセンターを開設し、児童や保護者との面接スキル向上に向けたロールプレーイングやゼミ形式の事例検討など、実践的な研修を実施いたします。
 こうした取組により、児童相談所の体制強化に向け、一層の人材確保、育成を進めてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えいたします。
 コロナ禍における再就職支援についてですが、コロナ禍で再就職が必要な方へのサポートとして、今後の成長が見込まれるIT等の業界で就業できるよう、新たなスキルの習得を支援することは効果的でございます。
 このため、都は、コロナ禍でも採用意欲の高いITや介護等の企業の求人を開拓し、求職者に、派遣就労を通じて業務スキルを身につける機会を提供しております。これにより、派遣先の企業が、求職者を正社員として採用した後に、その定着に向けてスキルアップ研修を実施した場合、助成金を支給しております。
 来年度は、成長産業のITや人材不足の介護分野の業界等と連携し、専門的な知識を学ぶ講習と就職面接会を組み合わせたプログラムを拡充いたします。
 これらの取組により、成長産業等への人材シフトを促し、東京の持続的な発展に結びつけてまいります。
 次に、中小企業の経営の下支えについてですが、コロナ禍にあって厳しい状況に置かれている業界の企業に、きめ細かく即効性のある支援を行うことが重要でございます。
 このため、都では、商工会議所等との連携により、経営状況が厳しい飲食業や観光業をはじめとする様々な中小企業に専門家を派遣して経営計画をつくり、その進み具合に応じた見直しをサポートする新たな取組を開始いたします。
 特に、飲食事業者に対しては、専門家の助言に基づき実施する新たな事業展開への支援を拡充いたします。
 また、観光事業者向けにワンストップで相談できる窓口を新たに設置するほか、旅行代理店等に対し、専門家を派遣してDXを導入する計画をつくり、その実行に必要な経費の助成を行います。
 こうした取組によりまして、経営改善を進める中小企業の事業継続を着実に後押しをしてまいります。
 次に、中小企業の生産性向上に向けた支援についてですが、中小企業が事業の発展を図るためには、その生産活動や業務の効率化に向け、設備や機器の充実を行うことが重要でございます。
 このため、都は、中小企業がIoTやロボットなどの先端技術を業種ごとの実態に即して導入ができるよう、専門家を現場に派遣し、生産ラインの改善や環境負荷の軽減等に関し助言を行っております。
 また、それに基づく設備導入の経費に対し助成を行っており、来年度は、その支援規模の拡充を図ります。
 さらに、会計などの事務手続をデジタル化するソフトウエアなどの導入に必要な経費への支援を新たに開始し、業務の効率化を後押ししてまいります。
 こうした取組により、中小零細企業のDX化を促し、生産性向上による継続的な成長をサポートしてまいります。
 次に、観光産業の活性化に向けた取組についてですが、東京の観光振興を効果的に行うため、地域の観光資源を活用した取組を様々な事業者や団体と協力して進めることが必要でございます。
 このため、都は、来年度創設するワンストップ支援センターにおいて、新たなビジネス展開につながるよう、観光関連事業者間や地域のネットワークづくりを後押しいたします。
 また、旅行事業者が旅館などと協力し、地域の観光資源を周遊するツアーをつくる取組や、観光協会が文化芸術団体と連携し、伝統芸能を活用したイベントを開催する取組等を支援いたします。
 さらに、都が地元と協力して、東京二〇二〇大会のレガシーを生かした観光プロモーションを展開いたします。
 これらによりまして、東京の観光産業の活性化を実現してまいります。
 次に、脱炭素社会の実現に向けた技術開発についてですが、ゼロエミッションを実現する上で、中小企業の技術力を生かして、環境に配慮した製品やサービスを生み出し、その普及を進めていくことが重要でございます。
 このため、都は、環境分野で高い技術力を持つベンチャー企業が、大企業と連携して革新的な製品やサービスの開発を行う取組を支援しております。
 来年度は、環境分野で活用のできる技術を持つ中小企業に対して、専門家が技術の転用について助言を行うほか、大企業とのマッチングを働きかけるなど、きめ細かい支援を行います。
 また、環境負荷の低減につながる技術を用いた新製品の開発と販路開拓に対し、助成を開始いたします。
 こうしたゼロエミッションの推進に役立つ取組を総合的に支援し、中小企業の成長を促してまいります。
 最後に、国産木材の利用拡大についてですが、森林を適切に維持するためには、木材の利用を増やし、樹木を植え替え、育てる循環を進めることが重要でございます。
 このため、都は、都有施設の整備などを行う際に、積極的に多摩産材を活用するほか、区市町村の公共施設や集客力のある商業ビル等における木材利用の促進を図っているところです。
 来年度は、多摩産材を利用した、断熱性など省エネ性能の高い住宅の新築を後押しするため、木材の利用量に応じ、ポイントを提供する事業を開始いたします。ポイントは、東京の農林水産物や伝統工芸品などとの交換のほか、しっくいの壁や畳など伝統技能による内装等への活用を可能とし、住宅での木材需要の増加に結びつけてまいります。
 こうした取組によりまして、国産木材の利用をより一層拡大し、持続可能な森林循環につなげてまいります。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立幼稚園における処遇改善についてでございますが、約十三万人の園児が通う東京の私立幼稚園は、都の幼児教育において重要な役割を担っており、都はこれまでも、基幹的補助である経常費補助をはじめ、施設整備や預かり保育、教育水準向上の取組への補助など、各園に対する補助の拡充を図ってまいりました。
 各園の処遇改善に向けた取組を国が直接支援するのは、本年二月から九月までとされているため、都は、十月以降、国制度を活用した新たな支援を行います。
 また、国の支援の対象外となる個人立や宗教法人立等の幼稚園に対しても、都独自で国と同様の支援を開始いたします。
 今後とも、現場の声を聞きながら、各園の多様な取組を幅広く支援し、東京の私立幼稚園の振興に努めてまいります。
 次に、地域の芸術文化活動の振興についてでございますが、都はこれまで、地域で活動する芸術文化団体等の協力を得て事業を実施するほか、東京地域芸術文化助成などにより、地域における芸術文化活動も支援してまいりました。
 今後さらにその活動を活発化させていくため、都民に身近な区市町村との連携を強化し、意見交換をしながら、地域の文化資源の活用や、地元の方々の活躍の場が広がるよう、助成制度をはじめとした施策を推進してまいります。
 また、区市町村との足並みをそろえた事業展開に向けまして、新たに戦略パートナーシップ会議を設置いたします。
 こうした取組を通じ、芸術文化と地域社会とを結びつけ、地域振興にも寄与する魅力的な芸術文化活動を強力に支援してまいります。
   〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進についてでございますが、住宅確保要配慮者の居住の安定確保を図るためには、貸主の理解を得ながら、要配慮者のみが入居できる専用住宅の登録を促進することは重要でございます。
 都はこれまで、見守り機器の設置費等への補助や、安心居住パッケージ事業などによるきめ細かい居住支援サービスにより、貸主の不安軽減を図ってまいりました。
 今後は、要配慮者の入居をサポートする区市町村の居住支援協議会への支援を強化するなど、貸主がより安心して専用住宅に登録できる環境を整備してまいります。
 加えて、安全性の向上などに資する住宅設備の改善への新たな補助を実施するなど、貸主の取組を後押しし、専用住宅の供給促進に取り組んでまいります。
   〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営地下鉄の車内防犯カメラの設置についてでございますが、都営地下鉄では、迷惑行為の未然防止やテロ対策等、セキュリティ強化を図るため、車両更新に合わせまして、車内への防犯カメラの設置を進めております。
 今後、令和六年度までの三か年で十六編成を更新いたしまして、全体で約五割の車両への防犯カメラ設置を完了する予定でございます。
 加えまして、他社線での事件を受け、国において防犯カメラに関する検討が行われており、都営地下鉄におきましても、残る全車両への速やかな設置を目指し、現在、カメラの仕様や設置方法等につきまして技術的検証を進めているところでございます。
 こうした取組を通じまして、引き続き、お客様の安全確保に万全を期してまいります。
 次に、営業所内への水素ステーション整備についてでございますが、交通局では、燃料電池バスを順次導入いたしまして、現在、全国で最大の七十一両を運用してございます。
 今後、大幅に導入を拡大していくためには、バスに対応した水素ステーションの拡充が不可欠でございまして、とりわけ営業所内へのステーション整備が効果的と認識してございます。
 整備に当たりましては、大型設備のための十分なスペースが必要となるなど課題はございますが、国や都における補助制度の充実など、近年、燃料電池バス普及促進のための環境整備が進められております。この機を捉えまして、交通局といたしましても、補助制度を活用した営業所内への水素ステーション整備に向けまして検討してまいります。
 今後とも、環境に優しい車両を積極的に導入し、ゼロエミッション東京の実現に貢献してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の省エネ対策についてでございますが、資金や人材面等で対策が進みにくい中小企業に対しては、ノウハウ提供等、様々な面での後押しが必要でございます。
 このため、都は、無料の省エネ診断や、地域金融機関と連携した無料の省エネコンサルティング事業を実施しており、今年度は合わせて四百件以上を受け付けてございます。
 また、今年度開始した省エネ型の換気や空調設備の導入支援につきましては、先般の補正予算で補助率の引上げ等を行い、来年度も継続実施してまいります。
 さらに、簡単にCO2排出量を把握し、削減に取り組むことができる地球温暖化対策報告書制度について、事業者の削減努力をより効果的に評価、公表する方策等の検討を進めてまいります。
 こうした多面的な取組を通じまして、中小企業のCO2削減に向けた機運を高め、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。
 次に、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化の検討についてでございますが、新たな制度構築に当たっては、事業者等の実態の把握に努め、建物のゼロエミッション化に資する実効性のある制度とすることが重要でございます。
 都は、東京ソーラー屋根台帳での設置ポテンシャルを踏まえつつ、狭小な用地が多い都内の住宅事情等も考慮し、事業者の弾力的な対応が可能となる仕組み等の提案を行うなど、実態に即した検討を進めてございます。
 また、これまで七団体から意見表明をいただいており、今後も事業者等の意見を丁寧に伺いながら、都の地域特性等を踏まえたより具体的な制度の在り方について、検討を深めるとともに、都民等への理解促進を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、建物のゼロエミッション化に資する制度構築を進めてまいります。
 次に、既存住宅におけるCO2削減の取組についてでございますが、既存住宅におきましては、冷暖房時の熱の出入りの六、七割を占める窓やドアの開口部の断熱化が重要でございます。
 このため、都は、窓等の断熱化への補助について、先般の補正予算において補助率を二倍の三分の一に引き上げたところ、申請が大幅に増加してございまして、来年度も規模を拡大し、支援を継続してまいります。
 こうした断熱住宅で太陽光発電設備を設置すると、CO2削減効果が高まるとともに災害時のレジリエンス向上にもつながる一方、既存住宅では設置費が割高となるため、断熱改修の際等に太陽光発電設備を設置する場合は、新築時の補助額より割増しした支援を新たに実施してまいります。
 これらの取組により、既存住宅におけるCO2削減を促進し、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。
 最後に、水素社会実現に向けた取組についてでございますが、都はこれまでも、燃料電池自動車やバスの普及、水素ステーションの整備に向けて取り組んでまいりました。今後、一層の水素利用拡大には、台数もエネルギー消費量も多い商用車両における水素活用の早期実装とそれを支えるインフラ整備を同時に進めることが重要でございます。
 このため、都は、来年度新たに、動脈物流を担う運送事業者への車両導入補助を開始するとともに、水素ステーションの整備に係る支援を大幅に拡充してまいります。
 あわせて、都民の理解や事業者の投資を促すため、二〇五〇年の水素エネルギー活用の絵姿を分かりやすく描く東京水素ビジョンを年度内に策定、公表してまいります。
 こうした取組によりまして、都民、事業者の共感を得て、将来の水素社会を実現してまいります。
   〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに駅周辺の道路の無電柱化についてでございますが、駅は、多くの人が集う場であり、駅周辺の無電柱化を推進することで、防災性の向上はもとより、美しい景観の創出や快適な歩行空間の確保を図ることは重要でございます。
 都は、昨年六月に改定した無電柱化計画で、第一次緊急輸送道路や環状七号線の内側のエリアに加えまして、主要八十駅周辺で都道の無電柱化に取り組むこととしており、二〇三五年度の完了を目指しております。
 このうち、荻窪駅や八王子駅などでは、区市道においても無電柱化チャレンジ支援事業等を活用し、面的な無電柱化を推進してまいります。また、道幅の狭い道路の整備に当たりましては、変圧器と一体型の街路灯や既存の地上機器を活用して、その数を減らす技術的な検討を進めてまいります。
 引き続き、都内全域で無電柱化を推進してまいります。
 次に、無電柱化に合わせた道路のバリアフリー化についてでございますが、道路のバリアフリー化を効果的、効率的に進める上で、安全で快適な歩行空間を確保する無電柱化事業と一体的に実施することは有効でございます。
 このため、都は、無電柱化の舗装復旧工事に併せまして、段差の解消や勾配の改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置など、道路のバリアフリー化を進めております。
 来年度は、中杉通りのうち阿佐ケ谷駅から杉並区役所までの区間や、尾竹橋通りのうち三河島駅周辺の区間など、約四十か所で工事を実施してまいります。
 今後とも、無電柱化事業をはじめ、あらゆる機会を捉えてバリアフリー化を進め、誰もが利用しやすい、質の高い道路空間を創出してまいります。
 最後に、河川空間を活用した高台まちづくりについてでございますが、現在、高台まちづくりにおいては、モデル地区を設定し、国や区等と連携して避難拠点や避難ルートの確保などについて検討を進めております。その中で、地盤が高い堤防やその周辺の空間を活用していくことは有効でございます。
 堤防を活用したモデル地区である中川左岸地区では、こうした観点に立った整備等に取り組んでいくこととしております。具体的には、西新小岩の緩傾斜型堤防を隣接する区立公園の再整備と併せまして、高台ゾーンとして一体的に整備いたします。
 また、堤防上部の通路を使って地盤が高い地域へ避難できるよう、横断する橋梁などにより分断されている通路の連続化に向けて取り組んでまいります。
 引き続き、高台まちづくりを推進し、首都東京の安全性を高めてまいります。
  〔下水道局長神山守君登壇〕

○下水道局長(神山守君) 多摩地域の雨天時浸入水対策についてでございますが、対策を効果的に進めるためには、市町村への技術支援が重要でございます。
 これまでも都では、雨天時浸入水調査などを実施いたしまして、水量が多い地域を絞り込んでまいりました。今回、民間企業と共同開発した、浸入水量をリアルタイムで把握できる多機能型のマンホールの蓋を三十七か所設置いたしました。これにより収集いたしました多くのデータを基に、降雨とともに浸入水量が増加する地域と発生要因などを分析いたします。
 これらの結果を活用して、市町村が浸入水量の多い地域での汚水管の調査や対策を優先して行えるよう、技術支援を実施してまいります。
 加えて、発生源特定のため、都と市町村による現地合同調査を実施いたしましてノウハウを継承してまいります。
 引き続き、市町村と連携し、雨天時浸入水対策を推進してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大会経費についてでございます。
 組織委員会、東京都、国の三者は、平成二十九年の大枠の合意や、大会延期後の追加経費負担の合意に基づいて、開催準備を進めてまいりました。IOC等の関係者と協力して、大会の簡素化や経費の削減を図るとともに、コロナ対策の検討を重ね、その対策経費については、国と都が全額を負担するなど、大会を成功させるため、それぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組んでまいりました。
 今回、三者は、こうしたこれまでの経緯と観客数の取扱いなど、V5予算以降の後発事象を共有した上で、役割分担を踏まえた対応を図ることに合意いたしました。これにより、新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなりました。大会の決算に向けまして、引き続き三者で連携して取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇大会一周年記念行事についてでございます。
 大会一周年の機会を捉え、都民、国民への感謝を伝え、大会開催の意義、感動や記憶を共有し、大会の数々のレガシーを未来に引き継いでいくことは重要でございます。
 このため、令和四年七月から十月までを大会一周年記念期間といたしまして、大会のレガシー発信と併せ、スポーツの価値を伝え、関心を高める様々な取組を推進してまいります。
 主な取組として、オリンピック開会式から一年目に当たる七月二十三日の大会記念セレモニーをはじめ、八月にはパラリンピック記念イベント、十月十六日は東京レガシーハーフマラソンを実施する予定であります。
 記念期間中は、子供たちを含む都民の催しへの参画やアスリートとの交流のほか、文化、観光事業等との連携を行えるよう、検討を進めてまいります。
   〔政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君登壇〕

○政策企画局国際金融都市戦略担当局長(児玉英一郎君) 外国企業誘致の都内経済への還元についてでございますが、誘致対象企業の選定に当たり、例えばAIなどの第四次産業革命関連分野においては、技術の先進性だけではなく、都内でのサービス実装の可能性なども見定めております。
 また、都内企業との協業の意思や都内産業の課題解決につながる技術等を有する企業であることなどを考慮しております。
 さらに、誘致後においても、外国企業と都内企業との取引拡大に向けた支援を行うなど、継続的なフォローも実施しております。
 引き続き、このような取組により、外国企業誘致による都内経済への還元を着実に図り、さらなる経済成長へとつなげてまいります。
   〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 島しょ地域の通信環境の向上に向けた取組についてでございますが、デジタル通信基盤は、サービスの利便性や効率性を高め、住民生活の質の向上に資する基幹的インフラでございます。
 都はこれまで、島しょ各島を結ぶ海底ケーブルの整備、強靱化や、インターネット接続環境の調査、通信事業者への整備促進の働きかけなどに取り組んでまいりました。
 来年度は、これらの取組の充実に加えまして、新たに通信困難地域の解消に向け、町村への計画策定や基盤整備に対する財政支援を行うほか、小笠原の通信設備を大容量化し、5Gの導入に対応することといたします。また、町立八丈病院での医療DX推進のためのインフラ整備など、総合的に取組を進めてまいります。
 今後とも、関係町村や通信事業者と一層連携し、島民の皆様が安心して利用できる通信環境を早期に構築してまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 最低制限価格制度について、ご質問にお答えいたします。
 低価格入札を防止し、品質確保や担い手の中長期的な育成、確保を図っていくことは重要でございまして、こうした認識のもと、印刷請負においては、最低制限価格制度を平成二十八年度から六年間にわたり試行を続けてまいりました。
 この間、積算手法の確立など、庁内における統一的な運用に向けて創意工夫を重ねるとともに、事業者の意見を聞きながら適用範囲などを確定し、令和四年度、速やかに本格的に実施してまいります。
 今後とも、庁内はもとより、事業者の声にも丁寧に耳を傾けながら、制度を適切に運用してまいります。
   〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 東京港の機能強化についてでございますが、都心に近接し、エリアが狭隘な東京港が、国際分業のさらなる進展等によりまして予想される貨物量の増加に適切に対応するためには、新規ふ頭の整備に加え、既存ふ頭についても、貨物取扱能力の抜本的な強化を図る必要がございます。
 このため、都は来年度、青海ふ頭ではターミナル拡張や荷役機械更新に本格的に着手し、品川ふ頭では船舶大型化に対応するために岸壁改良の基本設計を進めます。
 また、ふ頭運営を一層効率化するため、貨物搬出入手続のデジタル化や荷役機械の遠隔操作化を行う事業者支援等により、ふ頭周辺の交通混雑緩和を図ってまいります。
 今後とも、世界から選ばれる港となりますよう、ハード、ソフト両面で、ふ頭機能の強化を加速させ、国際物流拠点としての役割を引き続き果たしてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時二十五分開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十番増子ひろき君
   〔百二十番増子ひろき君登壇〕

○百二十番(増子ひろき君) 質問に先立ち、過日、元東京都知事である石原慎太郎氏がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 また、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたしますとともに、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念申し上げます。
 令和四年第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、警視総監、教育長、関係局長に質問いたします。
 新型コロナの本格的な流行から二年がたち、感染者は世界で四億二千万人を超え、死者は五百八十七万人に達しました。私たちは、いまだ人類史に残るパンデミックの渦中にありますが、同時に、新たな時代への転換点にもあります。特に、昨年のオリンピック・パラリンピック競技大会を終えた今、東京は次の十年先、二十年先の未来を描き、実現していかなければなりません。
 これまで私たち都民ファーストの会東京都議団は、デジタル、グリーン、そしてダイバーシティを軸に、都政において多くの政策を実現してきました。それらは、単にコロナ前の社会に戻るのではなく、コロナによる人々の価値観や社会の変化を踏まえて、新しい社会を目指すサステーナブルリカバリーの理念とも一致するものです。
 私たちはこれからも、新型コロナウイルス感染症の克服に全力で取り組んでいくとともに、多様性と包摂性にあふれた、強靱で持続可能な東京を築いていくことを改めてお誓いし、質問に入ります。
 感染力の強いオミクロン株の流行により、かつてない規模の感染の第六波を迎えています。ワクチン接種や抗体カクテル療法をはじめとした治療方法の導入により、重症化や死亡者の増加は一定程度抑えることができるようになっていますが、いまだ治療薬が確立された状況ではなく、新型コロナウイルスとの闘いは今後も継続していかざるを得ません。
 一方で、長引く感染症の影響に加えて、激甚化する自然災害への対応や、脱炭素、カーボンニュートラルや社会全体のデジタル化への対応など、日本、そして世界をリードしていく大胆な取組が都政に求められています。
 令和四年度予算案は、コロナ対策が初めて当初予算に盛り込まれ、また、今般バージョンアップされる長期戦略を力強く実行していくための重要な予算になります。
 来年度予算案によって、感染症や災害、気候変動から都民の命や暮らしを守り抜くとともに、サステーナブルリカバリーやデジタルによる構造改革など、東京の未来を示し、東京の成長や発展につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オミクロン株の感染拡大を受けて、都内の感染者の数は、これまでに経験したことがない規模となっています。重症化しづらい等の指摘もありますが、そもそもの感染者の数が増えていくことに伴い、社会的機能の停止が生じており、さらに、重症化リスクの大きい高齢者等にも感染拡大が見られ、改めて都民の理解、協力を得ながら、オミクロン株の感染抑制に向けてあらゆる取組を進めていく必要があります。
 都は、先日、オミクロン株の特性を踏まえた緊急事態宣言の要請の基準を策定、公表しました。都民の皆様のご協力を得る上で、科学的知見に基づいた一定の基準を設けて理解を得ることは極めて重要です。
 他方で、宣言の主体は国であり、本来は国が率先して、オミクロン株の特性を踏まえた対応の大方針を明確に示すべきですが、残念ながら、国の動きは極めて遅い状況です。
 これまで都は、東京iCDCやモニタリング会議の場などで、専門家の方の知見を積極的に取り入れ、対策に生かしてきましたが、ここ最近の国の対応は、専門家による科学的知見、迅速性のいずれも極めて不十分といわざるを得ません。
 改めて国に対し、専門家の意見を踏まえた科学的知見に基づいた迅速な対応が行われるよう、オミクロン株の特性に応じた対応方針を明確化するよう強く求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先週のモニタリング会議において、都が東京iCDCの議論を踏まえ、健康安全研究センターで実施していた変異株PCR検査の結果として、オミクロン株の亜種であるBA・2系統が都内で初めて確認されたことが報告されました。
 BA・2系統の実態はいまだ不明な点も多いですが、海外では、既に従来のオミクロン株から置き換わり、感染の主流となっている国もあり、従来株以上に感染力や重症化リスクが高いという可能性も指摘されています。現在の第六波が収まらないうちに、新たな第七波が生じる可能性も生じており、対策の見直しも検討しなければなりません。
 都が実施しているオミクロン株亜種、BA・2系統用の変異株検査の手法を近隣県含め、日本全体に広く共有するとともに、新たな変異株のリスクを踏まえ、先手先手で機動的に対策の見直しを行うべきと考えますが、見解を伺います。
 ワクチンのブースター接種は、オミクロン株に対しても重症化リスクを低減する効果があるといわれており、希望される方が一刻も早く接種できる体制の整備が必要不可欠です。
 本来は、これだけ感染が拡大し、医療現場が逼迫している中ではなく、感染が落ち着いている昨年末から早め早めに三回目接種を実施できていれば、感染の波を現在よりも抑えることができていた可能性があります。
 都は、ワクチンの二回接種の効果は七か月程度で低下するという科学的分析を踏まえ、国に対し、早期の三回目接種の実施を求めてきましたが、国は了解せず、迅速な対応がなされませんでした。準備ができている自治体から接種を迅速化する必要性は、一、二回目のワクチン接種の遅れから得られた教訓ですが、こうした取組に否定的な国の態度が現在の感染状況を招いた一因であることは疑いがなく、国の危機管理体制には大きな問題があります。
 接種を促進するためには、都民の精神的な安定感を後押しすることも極めて重要であり、モデルナワクチンによる三回目接種の効果、身体への影響等に関する正確な情報発信の強化や、接種会場の拡大など、総力を挙げて、三回目接種の体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 現在のように、感染状況が極めて厳しい中では、感染された方、濃厚接触者には、ご自身で適切な対応を取っていただく必要が生じています。
 しかしながら、自宅療養日数の変化や濃厚接触者への連絡ルートの変更など、状況が変化している中で、何が最新の適切な情報であるのか、都民にとって分かりづらい事態が生じています。
 保健所を通じた健康観察、自宅療養フォローの強化に加え、感染者、濃厚接触者が取るべき行動指針を、あらゆるチャネルを通じて、感染者、濃厚接触者に提供すべきと考えますが、見解を伺います。
 感染力の強いオミクロン株の流行においては、小さい子供への感染も拡大し、保育園等の休園も相次いでいます。小さい子供を安心して預けることができなくなることで、パパ、ママの出勤も困難となり、家庭や仕事での支障や社会的機能の低下につながりかねません。
 保護者が安心して子供を預け、働き続けることができるよう、保育園等への対策を強化すべきですが、見解を伺います。
 妊婦の感染例も増えています。ただでさえ出産を控えて不安を抱えている妊婦に対して、安心して出産できる環境を、感染拡大の状況下においても構築しなければなりません。
 感染した妊婦専用の病床の確保、医療的サポート体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 高齢者施設が、コロナに感染し、一度入院した高齢者の引取りに積極的ではない傾向があると聞いています。それにより、本来、退院に相当するような軽症者が入院の継続を余儀なくされてしまい、特に都立病院などの基幹病院において一般病床を逼迫させる要因となっています。
 都は今般、国と協力して、オミクロン株の特性に対応した臨時の医療施設を新たに設置することを踏まえ、高齢者及び高齢者施設への対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 患者の受入れが困難な医療機関が増えている状況を踏まえて、酸素・医療提供ステーションが病床を補完する役割を果たせるよう、処方薬の拡充や回復傾向にある患者の受入れの促進など、その機能拡充について、先般、我が会派から改めて要望したところです。
 この間、大きな課題となっているのが、救急搬送の要請数の急増です。救急隊の負担を軽減し、また、患者を迅速に医療機関へ搬送するためにも、酸素・医療提供ステーションの入所対象となる軽症者等の搬送体制を拡充していくことが必要です。
 そこで、我が会派からの要望をしっかりと受け止め、酸素・医療提供ステーションの機能拡充を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 オミクロン株においても、様々な後遺症が感染者から報告されています。我が会派はかねてより、コロナ後遺症の実態を正確に把握し、その後の支援につなげるべきと強く訴えており、都立病院での後遺症サポート体制の実現などにつなげてきました。
 改めて、オミクロン株含め、コロナ後遺症の実態把握を進めるため、調査、分析を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 感染症の長期化は、都民に多様な影響を及ぼしています。この間、インバウンドの急減やイベントの中止、飲食店等への休業要請などにより、経済活動が縮小したことで、厳しい状況に置かれている都民が大勢います。
 職を失ったり、収入が大きく減少したりするなど、困窮した生活を余儀なくされる都民を支援するために、様々な対策を都は講じてきました。例えば、我が会派の求めに応じ実現した水道、下水道料金の支払い猶予は、これまで二万四千件を超える支援となりました。
 現在の感染拡大の終息が明確に見通せない中、収入の大幅な減少などで厳しい生活を余儀なくされている都民、事業者に対して、感染防止対策の助成金については、中小企業の実情に応じて柔軟な対応を図るとともに、水道、下水道料金、都税等の支払い猶予などのコロナ対策の支援や補助を年度末にも切れ目なく実施していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都が実施してきた新型コロナ対応融資をはじめとした各種融資制度の中には、今後返済が始まるものもありますが、当初想定よりもコロナ禍の影響が長期化している中で、多くの事業者はいまだ返済が困難な状況にあります。
 そこで、都内中小企業の資金繰りを支えるため、借換え融資も含めた新たな制度融資や、企業の成長を促す支援の拡充など、金融支援のさらなる強化を図っていくべきですが、見解を伺います。
 今後の経営や事業活動へのさらなる影響が懸念される状況にある中で、BCPの策定など不測の事態への備えや、環境変化に対応した経営計画の見直し等にいち早く取りかかった企業こそ、今後の収益が回復する割合が高いと考えられます。
 そこで、都内の中小企業が、感染症に対応したBCP策定や経営計画の見直し、さらにはアフターコロナを見据えたデジタル技術を活用した新たな取組などができるよう、都として丁寧に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 蔓延防止等重点措置の期間を延長することとなり、時短要請の対象となっている飲食店など、引き続き厳しい状況に置かれています。
 協力金の迅速な支給、借換えを含む資金繰り支援、経営基盤の強化に向けた専門家による支援など、引き続き飲食事業者への支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 令和四年四月付の組織再編で、これまで政策企画局で担っていた国際広報と、生活文化局で担っていた広報広聴機能を、政策企画局に集約し、戦略広報部を設置するとしています。知事はこれまでも、伝える広報から伝わる広報、さらには届く広報へとおっしゃっており、私たちも強く賛同するものです。
 かねてより、都の広報の改善について、横断的広報、プッシュ型広報、アクセス解析等による改善など、都民に届く広報を様々な形で提案してきた我が会派として、組織再編を機に、広報の抜本的な機能強化を強く求めます。
 各局の広報に横串を刺すとともに、ノウハウ等の共有による全庁的な広報のレベルアップも求められます。ホームページやSNS投稿、自前のアプリなどのこれまでの自前の広報だけではなく、効果的に情報を拡散する上では、地域メディアの活用や地域SNSなどの民間デジタルアプリサービス等の活用にも取り組むべきです。
 戦略広報部を設置するに当たり、各局の取組を利用者の視点で関連づけた一体的な広報の実現や、民間のデジタルアプリサービス等の外部プラットフォームを新たに活用するなど、一人一人に伝わる、届く広報へ取組を強化していくべきですが、知事の見解を伺います。
 我が会派では、子育て支援策や教育、子供たちの居場所づくりなど、様々な提案を続け、成果を上げてきました。チルドレンファーストの視点で国全体で政策を進めていくべきですが、残念ながら、国における議論は、こども家庭庁への突然の名称変更など、ちぐはぐな対応が見受けられます。
 私たちはかねてより子供の意見表明、参加の促進や権利擁護を強化すべきと強く訴えてきました。都の次年度予算案において、子供の意見表明、権利擁護のための先駆的な取組について、補助率十分の十の区市町村支援策を設ける点は、大きな前進であり、今後も国に先駆け、子供たちの笑顔を守る未来を築く取組を展開していくべきです。
 新たに設置を予定している子供政策連携室においては、女性活躍や男性の育児参画、幼稚園や学童などの子供の居場所、公園活用など、局をまたがる政策を幅広く取り扱うべきであり、区市町村の先駆的、分野横断的取組を積極的に支援するなど、真にチルドレンファーストを進められるよう、権限を持って取り組んでいくべきですが、知事の見解を伺います。
 小池都知事の誕生、そして都民ファーストの会が、都議会において、小池知事と共に保育の待機児童解消を一丁目一番地として取り組み、保育の待機児童は統計開始以来初めて千人を切り、ほぼ解消するところまで進捗しました。
 一方で、学童の待機児童については、いまだ三千人規模で推移しており、学童の待機児童解消に向けて取組を強化すべきです。また同時に、保育との受入れ時間の差などの、いわゆる小一の壁を打破すべく、これまでの児童福祉と教育の垣根を超えて取り組むべきです。
 これまで都も、都型学童クラブの推進など、対策を進めてきましたが、都内各自治体は、地域の実情に応じて、学校施設の活用など様々な工夫を凝らしており、都としてもこうした取組を柔軟に後押しすべきです。
 そこで、早期に待機児童を解消するため、多様な取組を行う区市町村を支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 子供の安全な居場所の確保には、学童クラブの整備のみならず、保護者一人一人の事情に機動的に寄り添うことができるベビーシッターの活用も重要です。
 先月からオミクロン株の感染拡大に対する緊急対応として、保育園、幼稚園、小学校、学童保育の代わりとしてベビーシッターを利用する際の支援も開始し、保育、教育現場で奮闘する保育士、教員の方々と同様、大きな役割を果たしていただいています。
 東京都はまさにベビーシッター利用支援の先駆けであり、改めてこのコロナ禍における子育て環境をどのように確保していくのか、考えを伺うとともに、その鍵となるベビーシッター支援事業のさらなる充実に向けた見解を伺います。
 コロナ禍において外出や運動の機会が減り、子供たちやシニアの皆様を中心に、運動不足や体力の低下が深刻化しており、我が会派は、子供を起点に、家族、高齢者、地域コミュニティ全体による健康維持の支援を要望してまいりました。
 そうした中で、スポーツジム等と連携した取組や、安全、健康に外遊びをするための取組を推進していくべきですが、見解を伺います。
 コロナ禍を経て、改めて都として子供たちの外遊びの環境に注目する中で、今後、生活文化スポーツ局へと組織改正されることを機に、例えばプレーパークなどのNPOやボランティアなど、地域コミュニティと連携した子供たちの外遊びの機会の創出にも今後取り組むよう求めます。
 子供たちが世界に羽ばたいて活躍できるよう、グローバル人材育成の推進が求められます。単純な英語学習にとどまらず、国際コミュニケーションの技能を身につけることが重要であり、日常的に外国人と交流し、多様な異文化に接する経験を蓄積し、慣れる環境をつくることが重要です。
 そうした観点から、体験型英語学習施設であるTGG、TOKYO GLOBAL GATEWAYのさらなる機能強化とともに、オンラインでの体験的学びの強化を図るべきです。
 TGGの多摩地域への設置に当たっては、単に青海の施設と同じものをつくるという発想ではなく、外国人と交流し、異文化に接することに徹底的に慣れることのできる体験学習へとさらにバージョンアップさせるとともに、バーチャルTGGは、都内全域での展開も見据えて、島しょ部でモデルとなる取組を構築していくべきですが、見解を伺います。
 経済的に厳しい家庭において、高校や大学へ進学したい子供たちを支えているのが、受験生チャレンジ支援貸付事業です。
 各方面から評価を受け、子供や保護者から支持されている重要な事業ですが、世帯収入で生活保護基準の一・一倍以下の世帯に対する支援にとどまっていることから、我が会派は、予算要望の最重点項目の一つとして、子供たちの学びを支える塾代支援について、対象拡大など大幅な拡充を求めてまいりました。
 自立に向けて意欲的に取り組む子供たちが、高校や大学への進学を目指し、受験に挑戦することを一層支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、未就学児、小学生、中学生に対して医療費の助成を行っており、区市町村による助成と併せ、中学生まで子供の医療費無料化を実現している自治体もあります。我が会派はかねてより、子育ての家計負担の軽減を訴えており、今般、都が高校生に相当する十五歳から十八歳までを医療費助成の対象とすることについて制度設計を開始することを評価します。
 一方、これまでも小中学生の医療費に関して、自治体により差が生じており、財政力の弱い自治体との差がさらに広がることも懸念されます。持続可能な支援となるよう、基礎自治体とも丁寧に議論を進めていくことが必要です。
 また、助成を受けるためには、保険証と別に医療証を持参する必要があり、都外で受診した場合には、領収書を基に事後精算の手続をしなければならず、保護者と自治体側の双方が紙ベースで手続をしなければなりません。
 新たに高校生等への医療費助成制度を開始するに当たっては、自治体間格差の縮小に加えて、保険証と医療証を一体化し、デジタル化するなど、利便性向上にも取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派の提案を受けて、都が多摩都市モノレールにおける子育て応援事業として、小児特別運賃の実施を検討するとしたことを高く評価します。
 コロナ禍を契機として、自然豊かな郊外に住むことへのニーズも高まっている中で、延伸計画が進捗する多摩都市モノレールにおいて、沿線開発や多摩移住の促進、子育て応援といった観点で、戦略的な子供割引運賃の設定を具体的に進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 割引運賃の実施に当たっては、子供たちやその家族等がより多く多摩都市モノレールを利用して出かけられるよう、沿線地域と連携した魅力創出事業を併せて実施していくことも求めます。また、多摩都市モノレールでの子育て応援車両の導入も、これを機に取り組むことを求めます。
 我が会派では、都営地下鉄の子育て応援車両や、ベビーカーを折り畳まずに乗降できるバスの導入など、都営交通について様々な提言をしてきました。
 都営地下鉄の課題の一つに授乳室が少ないことが挙げられます。授乳室がないため、やむを得ずトイレで授乳したことがある方も少なくありません。駅係員に相談をすると事務室を案内してくれるそうですが、広く周知されているものではなく、全ての人に提供するサービスとは異なるものであり、改善が求められます。
 都営地下鉄において子育て支援を推進する上で、利用者の多い駅などに気軽に利用できる授乳室を設けるべきと考えますが、見解を伺います。
 令和三年度に都が実施した調査では、男女の家事、育児関連時間の差は五時間二十分へと拡大し、コロナ禍において、在宅時間が延び、家事総量が増加する中で、むしろ男女間の家事、育児の負担の差が深刻化している結果となりました。
 そうした中で、我が会派では、男性の家事、育児時間を延ばすための取組に加えて、かねてより、家事の効率化を実現する時短家電、スマート家電の導入や、家事代行サービスの活用などによる家事、育児時間の合理化、家庭のDXを促す取組を求めてきました。
 我が会派の提案により、今年度初めて実現した出産応援事業、赤ちゃんファーストにおいても、子供一人当たり十万円相当の支援を行う中で、選択肢としてスマート家電が導入されたのは重要な一歩であり、我が会派にも数多くの感謝の声が届いています。
 さらに、産後支援の一つである家事育児サポーターの派遣についても、コロナ禍における感染対策の観点から、人を家に呼ぶのではなく、スマート家電の力で家事負担を軽減することが重要であり、我が会派は支援の強化を訴えてまいりました。
 家事負担軽減となる時短家電、スマート家電の購入支援など、とうきょうママパパ応援事業を通じた産後支援をこれまで以上に強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 なお、家事支援用品の購入支援の対象は、一歳または二歳の子供を育てる対象家庭に限定することなく、ゼロ歳児まで拡大すべきであることを要望いたします。
 女性議員が約三割を占める我が会派では、かねてより、東京で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊治療等の経済的負担の軽減措置等の拡充を求めており、都が国に先駆けて、令和元年度予算より、不妊検査の年齢制限の緩和と、不妊治療費助成の所得制限の緩和を措置してきたことを評価しています。
 一方、国においても、ようやく本年四月より不妊治療が保険適用されることとなりましたが、国が先進医療として認めていない治療を組み合わせる混合診療は、基本的治療分も含めて、全額自己負担となります。また、国が認めた先進医療を組み合わせた治療においても、先進医療部分は全額自己負担となるなど、課題があります。
 東京に住み、働く様々な夫婦の実態を鑑み、子供を持ちたいという思いに応えて、負担や不安の軽減をしていくことは極めて重要ですが、国の保険適用の対象外となる治療等に対しても、都としての支援を実施していくべきですが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍では、飲食、宿泊などのサービス業において、非正規雇用で働く多くの女性が解雇や雇い止めにより離職を余儀なくされるなど、女性の就労に大きな影響が及んでいます。中でも、シングルマザーの方は、営業時間の短縮や休業によって勤務シフトが減少し、職を失うことで、経済的にも極めて困難な状況に追い込まれています。
 こうした女性の中には、育児や家事に追われ、求職活動などに十分な時間をかけることができない方や、非正規雇用が続き、キャリア形成の機会が少なかったために、再就職がなかなか進まない状況にあります。特に、通所が困難なシングルマザーの方などに対しては、オンラインによる支援など、特段の支援を実施すべきです。
 都は、女性が抱えるこうした実情に寄り添った就職相談やスキルの習得に向けた支援を地域において受けられるようにするなど、女性の再就職支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍は、ひとり親家庭にも大きな影響を及ぼしています。この間、都はひとり親家庭に向けた支援メニューの拡充を図ってきましたが、事業が各局にまたがること、制度の分かりにくさなどから、真に支援が必要な人に情報が届きにくいという課題があります。
 また、ひとり親家庭に必要な情報を的確に届けるためには、ひとり親家庭と直接接点を持つ各区市町村の福祉、子育て支援窓口や、各種子育て支援団体等への側面支援が欠かせません。児童扶養手当の現況届などでひとり親家庭と直接接点を持つ自治体窓口において、情報不足によって必要な支援策が伝え切れず、踏み込んだ支援につながらないというケースも聞いており、都として支援を行う必要があります。
 そこで、ひとり親支援に関する情報周知については、過不足なく必要な情報がひとり親家庭に届くよう、ICT等を活用し、利用者目線に立った情報提供を行うとともに、各自治体がひとり親向け施策を分かりやすく都民に伝えられるよう、支援をパッケージとして広報すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 長年、性教育など、若者の性に関する先進的な取組を行っているスウェーデンでは、子供や若者などのユース世代が、学校の性教育だけでは対応し切れない性や健康上の具体的な困り事などを幅広く相談することができる、ユースクリニックという公的医療機関が全国にあります。相談とともに、必要があれば検査や生理用品等の提供などにも対応し、性に関する正しい情報発信の機能も有しています。
 こうした取組により、子供や若者の段階から、自身の性を大切にするとともに、他者を同じように尊重できるようになり、スウェーデンの広くジェンダー平等が根づいた社会につながっています。
 我が会派はかねてより、東京版ユースクリニックを設立すべきと考えており、知事にも要望してきましたが、今後、海外事例を参考に、都として、子供や若者といったユースが親や友人などに相談できない性や健康上の困り事などの相談に対応する場をつくるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、先進的に取り組んできたスウェーデンの事例では、若者がユースクリニックの存在を知ったきっかけとして最も多いのが学校です。ユースクリニックと教育機関が車の両輪となる取組が求められています。
 そこで、都においても、スウェーデンのユースクリニックを参考に、子供や若者といったユースが性や健康上の悩みを解決できるよう、都教育委員会は福祉保健局と連携して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 先般、都のパートナーシップ制度素案が発表され、本年秋の制度開始に向けて、パブリックコメントが行われています。特に、我が会派の要望を踏まえて、アウティング防止の観点などから、全国で初めて手続を原則オンライン化したことを評価します。
 また、このパートナーシップ制度の活用を、都庁各局、政策連携団体、区市町村、民間事業者へ働きかけていくとしており、期待しています。
 今後、パートナーシップ制度の導入に当たり、都内在住者に限らず、広く通学、通勤者も含めることとし、また同性に限らず、広く性的マイノリティーを対象とすべきであり、加えて、当事者の子供も制度に含めるファミリーシップも併せて検討するとともに、先行自治体とも連携すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 多様性こそ成長の源であり、都市の魅力の源泉です。引き続き我が会派は、性別等によらず、一人一人が輝き、暮らしやすい東京を目指すダイバーシティの取組を進めてまいります。
 二〇一三年に制定されたいじめ防止対策推進法に基づき、いじめ問題に関して、様々な取組や対策が強化されましたが、いまだいじめの被害児童とその家族に寄り添った支援が行き届いているとはいえず、重大事態に該当する事案であっても、学校や自治体の教育委員会で適切かつ迅速な対応がなされていない事例が、我が会派の議員にも複数寄せられています。
 いじめの未然防止の努力に加えて、いじめが起きた場合の早期発見、早期認知、早期対応、早期支援が、被害に遭った児童やその家族を守るために極めて重要です。
 しかしながら、担任の先生、学年主任の先生、教頭、校長、そして自治体の教育委員会の指導課についても、いずれも多忙を極める中で、一人一人の児童とその家族に十分な対応ができているとはいえない状況です。また、学校や行政の立場ではなく、被害児童とその家族に寄り添う形での第三者による支援体制が求められます。
 我が会派の提案に応じ、来年度予算案において、専門家を活用してサポート体制を強化する区市町村の事業を支援するとしたことは前進であり、評価しますが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、弁護士などの専門家の知見を生かしながら、学校や行政側の立場ではなく、被害児童とその家族に寄り添う形での第三者による支援体制を構築していくことが重要ですが、見解を伺います。
 また、いじめ相談件数の増加、多様化、複雑化する相談内容に対応し、被害児童のケアや課題を解決するために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の心理や福祉の専門家について、全校への配備や常駐化など、小中学校への配置を支援する取組を強化していくべきですが、見解を伺います。
 不登校児童生徒も増加が続いています。令和二年度の統計によれば、都内小中学生だけでおよそ一万八千人もの児童生徒が不登校であることが分かっています。このうち、適応指導教室等、公的支援を受けている児童生徒が約二割いる一方、どこの支援にもつながっていない児童生徒も二割以上いるのが実態です。
 そのような中で、学校にも公的な支援の場にもなじむことができず、フリースクール等民間施設での支援を受けている児童生徒が一定数います。学校以外にも社会との接点を持ち、学びの場を確保できることは、本人やご家族にとって大変大きな希望ですが、こうした民間施設での授業料は全額自己負担であり、負担が重く、通いたくても通えない、あるいは必要なだけ通えないといった声が多数届いています。
 社会として、子供たちの学ぶ権利を保障する観点から、我が会派は、フリースクール等に通う児童生徒やご家庭への授業料支援を求めてきましたが、都の来年度予算案において、国や全国の自治体に先駆けて初めて支援の取組が計上されたことを高く評価します。
 フリースクール等に通う児童生徒のご家庭に対し、都として継続的な授業料支援を実現し、子供たちの学びの場を確保する体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、令和二年度に児童養護施設等退所者の実態調査を行い、その結果が先般公表されました。調査の中では、例えば、退所者の六割が生活費や学費の不安を感じているなど、施設との生活環境のギャップにより、住まいや金銭管理等に不安を抱えている実態が明らかになりました。
 今後、十八歳で措置解除となり、児童養護施設等を退所した、いわゆるケアリーバーが安定した生活を送れるよう、アフターケアを強化するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 平成二十四年に児童福祉法が改正され、障害児支援のためのサービス体系が再編されました。その中で、障害のある学齢期の児童が通う、療育機能と居場所機能を併せ持つ放課後等デイサービスが創設されました。
 現在、都内では一万八千人を超える子供たちが放課後等デイサービスを利用しています。利用者数は急激に増加しているものの、支援内容や提供時間は様々であり、質の確保が重要です。また、障害や家庭の状況により、必要なサービスも多様である、医療的ケア児への支援体制も強化する必要があります。
 都として、放課後等デイサービスの質の向上を支援するとともに、医療的ケア児への対応に特化したセンターの設置も検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、我が会派がかねてより求めてきたとおり、医療的ケア児の専用通学車両の拡充や、同乗する看護師の安定的な確保をはじめ、特別支援学校における支援体制をさらに強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 今後の労働力人口の減少を見据えると、東京の経済力を維持し、さらに成長させるには、社会全体のDX推進により生産力の向上を図ることが不可欠です。しかしながら、国の調査によれば、二〇三〇年に四十五万人のIT人材が不足する見通しとなっており、社会全体でより広くデジタル人材の育成に力を注がなければなりません。
 新型コロナウイルスの影響により失業した方々を対象に、デジタルスキル研修と再就職支援をセットにした雇用創出を行うことを、東京版ニューディールとして我が会派が提案し、都は昨年度より、デジタル人材育成支援事業を実施してきました。今年度も約四百名の方が、ITインフラコースやプログラミングコースに入校し、既に再就職が決定する方も出ており、着実な成果を上げていると聞いています。
 今後は、デジタル人材育成のための職業訓練やマッチングによる求職者支援を一層拡充するとともに、中小企業における従業員のデジタル技術の習得支援などを通じて、都内産業のDXを強力に後押しすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派はかねてより、東京で学び、働きたい方々の多様なニーズを支えている専修学校等への支援強化を訴え、実現につなげてきました。実践的な職業教育、デジタルスキル取得やリカレント教育等を担う専修学校等への社会的な期待は高まっており、都としても支援を一層強化すべきです。
 職業実践専門課程の強化を含め、私立専修学校への支援をさらに拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 一方、都庁においても、QOSの高いデジタルサービスの実現に当たり、デジタル人材の確保、育成が鍵となります。
 さきの定例会で、我が会派は、人材のスキルレベルと分野を明確にするなど、人材確保に関する全庁的な戦略を策定するよう求めており、都からICT職等のスキルを可視化するデジタルスキルマップを導入する旨の答弁がありました。
 今後は、デジタルスキルマップを活用して、例えば、データやデザインなどに関する専門性の高い研修を実施するほか、先行する海外等の知見を積極的に取り入れるなど、デジタル人材の確保、育成を一層進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都庁の全職種を対象に、デジタルリテラシーの向上やリスキリングを目的とした研修を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 都庁職員のみならず、政策連携団体や区市町村においても、研修の仕組みやノウハウを活用できるよう求めます。また、民間の活用に加えて、都立大学などの都の教育機関にデジタル教育の知見を蓄積することも中長期的には重要であり、対応を求めます。
 自治体DXに取り組む区市町村を支援するため、都はこれまで、デジタル人材育成に向けた職員向け勉強会や窓口手続等のデジタル化に向けたモデル事業などの取組を実施してきました。
 特に、我が会派の要望も踏まえ、区市町村と連携した行政手続デジタル化の実証事業や都と区市町村のCIOによる意見交換を実施してきたことは評価します。
 今後は、令和三年度に実施した基礎自治体の窓口手続等におけるBPRのノウハウを都内の他自治体に横展開すると同時に、基礎自治体を支援する専門組織を設置するなど、区市町村のDXの取組を一層支援すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 都は今年度、我が会派の要望を受け、スマートフォンの使い方、導入支援や地域の町会、自治会活動のデジタル化支援、キャッシュレス決済の推進、デジタルプレミアム商品券の導入等の多くの取組を進めてまいりました。
 さきの定例会では、デジタル活用支援について、特に都内大学生をサポーターとして雇用するなど、伴走型支援による取組を強化するよう求め、都からは学生や地域のNPO団体などと連携して取り組むとの答弁がありました。
 今後、全てのシニア世代もデジタル化の恩恵を享受して、生き生きと暮らせるよう、大学生やNPOと連携して、デジタルデバイドの解消に一層努めるべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 デジタル技術は、高齢者の健康維持をサポートする役割も期待されています。例えば、睡眠時間、運動量、食事量など日常活動をデジタル機器で自動計測し、データを分析することで、高齢者や医療機関が手軽に健康状態や病気の予兆を把握できるようになります。
 我が会派が要望した、高齢者のバイタルや身体活動量を計測できるデジタル機器などを活用して、高齢者の健康維持につなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 高齢化の進展や病床機能の分化に伴い、訪問診療の必要性が議論されています。令和七年の都全体の訪問診療の必要量は、一日当たり十四万三千九百六十八人と試算されており、これは平成二十五年と比べて一・五倍となります。訪問診療の拡充のためには、人材の育成、地域の多職種連携、デジタル化などの課題があり、主治医と患者をバックアップする医療従事者や訪問看護体制の整備、さらに、在宅で最期を迎える場合のみとりまで含めた社会基盤づくりが必要です。
 今後は、区市町村、医療関係者等と連携して、各地域で切れ目のない在宅医療支援体制を構築するための支援を都として行うべきと考えますが、見解を伺います。
 介護業界の人手不足は深刻な状況にあり、令和二年度の有効求人倍率は、全産業一・一四に対し、介護関連は六・一五に上ります。特に、二〇二五年度には三万一千人の介護人材が不足する見込みであり、超高齢化社会を迎える日本、そして東京都にとって、介護人材の確保は喫緊の課題です。
 我が会派は、施設のデジタル化や災害時の福祉避難所としての在り方、在宅介護の拡充など、高齢者施策を社会全体で進めるための提言を行ってきました。
 特に、都が実施してきました介護職員の宿舎借り上げ支援は要件が厳しく、介護の現場で働く職員の待遇改善に十分につながっていないため、その大幅な拡充を昨年末の会派予算要望の最重点項目の一つとして強く求めてまいりました。
 また、介護職員の賃金面での処遇改善に加えて、長く勤務できる環境整備として、キャリアアップの教育の必要性も訴えてきました。
 介護職員の宿舎借り上げ支援の大幅な拡充に加えて、介護職員のさらなる処遇改善とともに、他業界からの転職者の支援に注力することで、介護人材の確保を強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 地域コミュニティや地域の防災対策の要である町会、自治会において、高齢化や加入率の減少に伴う担い手の不足は大きな課題となっています。特に、コロナ禍による交流機会の減少が課題の深刻化に拍車をかけており、町会、自治会の持つ重要な機能を維持していくためにも、新たな支援が必要です。
 町会、自治会を活性化するために、大学やNPOなど他の主体と連携して、地域の課題解決に取り組めるような新たな支援を実施するとともに、デジタルの力を使い、町会、自治会の運営をサポートしていくべきですが、見解を伺います。
 町会、自治会による地域防災の取組は極めて重要ですが、コロナ禍において、防災訓練や訓練の機会を通じた防災情報の提供等が、二年間十分に行われていない状況にあります。
 コロナ禍の長期化においても、地域の防災対策を強化するため、町会、自治会が地域住民に対して防災グッズの配布と併せて防災情報を提供するなど、人が集まらなくてもできる取組も強化し、町会、自治会と共に地域防災力を強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 昨年十二月に大阪市北区で発生したビル火災では、死者二十六名を出す大きな被害が発生しました。被害が拡大した背景には、地上への避難経路が一つしかない雑居ビルの四階階段付近での出火により、多数の逃げ遅れが生じたものと考えられます。
 都内には、こうした不特定多数の方が利用する、階段が一つしかない雑居ビル等が多数存在しており、危険性の高い建物から重点的に取組を強化し、今後、同様の火災が発生しないように、また、発生した際に被害が拡大しないようにすべきです。
 昨年十二月に発生した大阪の雑居ビル火災を踏まえ、雑居ビルでの安全対策を早急に強化すべきですが、見解を伺います。
 昨年来、全国各地で地震が頻発しており、南海トラフ地震や首都直下地震の前兆ではないかということも不安視されています。地震の正確な予知は困難ですが、首都直下地震が今後三十年以内に発生する確率は七〇%にも及ぶとされ、様々な分野で有事に備えたさらなる対策強化が求められます。
 警視庁としても、災害等の有事の際の危機対応力を高めるため、特に先端技術の導入や災害対応能力の高い最新鋭の資機材について充実強化を図り、有事においても都民を守り抜いていくべきですが、見解を伺います。
 都は、東日本大震災を教訓に、平成二十四年三月に帰宅困難者対策条例を制定し、帰宅困難者のための一時滞在施設を確保するとともに、企業等による一斉帰宅の抑制を働きかけるなど取組を推進してきました。
 しかし、大規模地震等の発生時における帰宅困難者の安全な誘導など、混乱を防ぐためには、都内の混雑状況や一時滞在施設の受入れ状況等を迅速に収集、把握することが重要です。
 今後、災害発生時に道路や一時滞在施設の混雑状況、災害状況などを十分活用できるよう、帰宅困難者対策オペレーションシステムを構築し、災害対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けた中間目標として、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフを昨年表明しました。
 このカーボンハーフの実現に向けて、分野別の目標等を定めるべく、東京都環境基本計画の改定が検討されていますが、分野別においても非常に高い目標設定となることが見込まれる中で、かねて我が会派が提案してきたように、義務化等のルール化の取組と都民や事業者の負担を軽減する支援策はセットで取り組まなければなりません。
 新築建築物に対する省エネ、再エネの制度化を進めるとともに、都民や事業者の負担が増加しないよう、制度化に先立って十分な補助制度を講ずるべきですが、知事の見解を伺います。
 加えて、ゼロエミッション、カーボンハーフに関する新たな取組元年として、都の危機感や支援策等が十分に都民に周知されるように、知事が旗を振り、有識者や著名人の活用も図りながら、企業や家庭など多様な主体を巻き込んだムーブメントを起こしていくべきと考えますが、併せて知事の見解を伺います。
 住宅の断熱性の向上は、住宅の省エネの観点に加えて、居住者の健康にもよい影響を与えるため、委員会質疑などの場において、環境、健康の双方によい住宅の普及を訴えてまいりました。
 昨年十一月の次期東京都住宅マスタープランの改定に向けた東京都住宅政策審議会の答申においても、住宅の温熱環境向上を図る取組の推進が盛り込まれています。
 二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向け、居住者の健康確保の観点からも、都内住宅の温熱環境を改善させる断熱性向上に向けた普及啓発や支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍の厳しい経営状況の中でも、商店街は感染症対策をはじめ、安全で快適に買物ができるよう、街路灯やアーケードを維持して、人々の生活を支えています。都では、ゼロエミッション東京の実現に向けて、社会全体で脱炭素化を進めていますが、電力を使用する商店街における取組も協力を得ながら進めていくことが欠かせません。
 そこで、買物客の利便性に加え、環境にも配慮した商店街づくりを後押しすることで、商店街の持続的発展を支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 カーボンニュートラルにも寄与する森林循環を促進するため、東京の林業における一層の生産性向上と木材利用の拡大が重要です。特に、都内の林業経営体の多くは小規模零細で、担い手の減少や高齢化も課題となっており、効率的な林業経営への転換を誘導する必要があります。
 また、CLTなど進化した木材の加工技術等を生かし、公共施設への活用促進に加え、民間建築物における多摩産材の利用拡大を図ることが重要です。
 今後、森林循環を促進し、持続可能な東京の森づくりと林業を実現するため、先進技術を活用し、施業の効率化や多摩産材の供給力の強化を図るとともに、民間住宅や中、大規模建築物などにおける多摩産材の利用を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍で観光需要の低迷が長期化して、観光業は厳しい状況に置かれており、支援の強化が求められています。一方で、長期滞在やワーケーション、マイクロツーリズムによる近場観光等、新たなスタイルやデジタル化の進展など観光産業を取り巻く環境は大きく変化しており、アフターコロナを見据えた機会として、観光産業における新たな取組や地域資源の磨き直しを行う必要があります。
 例えば、小笠原諸島の世界自然遺産などを活用し、周辺他県とも連携して、アフターコロナを見据えた観光プロモーションを実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、コンテンツの舞台である土地を訪れる観光行動も注目される中、例えば、アニメに関連した新たな観光資源やルートの開拓についても進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派は、かねて五輪経費の透明性を確保し、都民、国民が納得できるような説明を求めてまいりました。また、そうした観点から、大会経費の事後検証が可能となるよう、五輪文書保管条例の制定を推進し、都議会で可決、成立させてきました。
 今般、昨年十二月に東京二〇二〇大会の経費の見通しが公表されましたが、大会の成功を評価するとともに、今回の大会経費の見通しも含め、都民、国民に丁寧に説明し、五輪経費の透明性、納得感を高めるよう努力するべきですが、見解を伺います。
 新規恒久施設については、各競技分野の機運が継続していくように、東京二〇二〇大会開催の記憶が風化する前に国際大会を誘致していくとともに、スポーツでの活用のみならず、エンターテインメントやユニークベニューなど多様な活用や、周辺地域との連携など、レガシーとして施設の価値を最大化する取組を進めていくべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会では、新競技のスケートボードで日本人選手が金メダルを取り大きな話題となるなど、大会を通じて、アーバンスポーツの新たな魅力を都民、国民と共有することができました。
 仮称有明アーバンスポーツパークの整備に当たっては、大会時の仮設競技施設を活用して、スケートボードやボルダリングなどの国内外のトップレベルの競技者が、その技術を十分発揮できる競技環境を維持するとともに、新たに始める都民にもアーバンスポーツの魅力に親しんでいただけるエリアを整備し、多くの人が訪れて、様々な楽しみ方ができるような施設にしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、大会では、自転車競技のBMXも盛り上がりを見せ、新たな魅力を都民が感じることができましたが、仮設競技施設は取り壊すこととなったことから、新たに都内に適地を見つけ、BMX競技のできる施設についても整備を検討することを求めておきます。
 大会の影響を受け、スケートボード人口が増加しており、そうした都民ニーズの拡大を受けて、さきの第四回定例会において、都立公園のスケートボード利用について陳情が趣旨採択されました。
 現状、都立公園においては、駒沢公園内にスケートボード施設があるだけで、許可がない中で利用されている事例も多々あることから、公園設備の破損や他の公園利用者との接触などの問題を避けられるよう、利用拡大においては、適切な空間づくりやルールづくりが必要です。
 アーバンスポーツとしての魅力を損なうことがないように、規制ありきではなく、競技団体等とも協議の上、ガイドラインなど自律的な取組も促しながら適切なスケートボードの利用空間を創出していくべきです。分離した専用施設だけでなく、開かれた公開空間において、エリアとルールを定めてプレーできる場所をつくることも検討すべきと考えます。
 公園利用者の安全・安心と競技者のアーバンスポーツとしての魅力の両立を図れるよう、適切なスケートボード利用空間の創出と利用者の自律的な取組をセットで検討するなど、複数の都立公園においてスケートボードが楽しめる広場を整備していくべきと考えますが、見解を伺います。
 来年度は、東京二〇二〇大会開催から一周年の記念行事等を行い、大会の記憶や様々な価値を呼び覚ますとともに、今後のレガシー形成についても、都民、国民と共有する機会を設けていくべきです。
 特に、大会が無観客となり、臨場感ある体験を開催時には感じることが難しかったこともあり、一周年記念行事の開催に当たっては、最新の映像、音響技術など様々なデジタル技術を活用し、臨場感ある体験のできる工夫を凝らすなど、多くの都民が多様な楽しみ方ができるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
 パラリンピックでは、競技の奥深さに多くの人が魅了され、大会後に実施した都の調査では、パラスポーツに関心がある人の割合は五三%と、前回調査から約一〇%上昇しました。これは、大会に至るまでの都や関係者のパラスポーツ普及に向けた努力のたまものでもあります。
 東京は、世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催した都市として、歴史に残る大きな一歩を刻みましたが、重要なのは、大会後の次の一歩を着実に進めることです。
 来年度をパラスポーツの新たなステージの元年とし、高まった機運を減退させることなく、一層の振興を図る取組を実施していくべきですが、知事の見解を伺います。
 我が会派からは、パラリンピック開催の日をパラリンピックの日とし、継続的なパラスポーツの取組につなげることを提案いたします。
 東京二〇二〇大会の基本コンセプトには、多様性と調和が掲げられていました。大会期間中、病気や障害を抱える子供たちなどの手形や足形を集めて一つの大きな絵を描くハンドスタンプアートの展示など、まさに多様性や包摂性を感じさせるプログラムが展開されました。
 今後、パラリンピックのレガシーとして共生社会の実現を目指すためにも、芸術文化の役割はますます大きくなります。
 東京二〇二〇大会は無観客となり、様々なプログラムも制約を受けましたが、大会から一年を迎える機会を捉え、来年度に国際的なカンファレンスを開催するなど、東京の芸術文化と社会包摂に関する取組を世界に強く発信していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会に向けた取組や我が会派の提案により実現した、コロナ禍において芸術文化の灯を絶やさないアートにエールを!東京プロジェクトなどを通じて、近年、新たな文化振興の取組が行われ、様々な知見が蓄積されました。
 今般、東京文化戦略二〇三〇が策定されますが、得られた知見や課題を踏まえ、都の文化政策を様々な観点から見直し、強化していくことを期待します。
 コロナ禍では、これまで地域で地道に活動してきた小規模な芸術文化団体等も大きな影響を受け、その存続が危ぶまれる団体もあります。そうした状況に対し、地域の芸術文化団体等の行動を支える自由度の高い直接的な支援が必要であり、地域の芸術文化団体に対する新規の支援策の創設を求めます。
 また、全国有数の三味線の製造メーカーが廃業寸前に追い込まれる事例もありました。こうした用具などの芸術文化を支える周辺産業にまで目を配り、必要な支援が得られるよう、様々な形で情報収集や意見交換ができるネットワークづくりが必要です。
 都はこれまで、様々な創作活動に対する助成制度などの支援の拡充を図ってきましたが、今後は、様々な芸術文化団体等の要望や地域の実情を踏まえた新たな政策を展開していくべきですが、知事の見解を伺います。
 鉄道駅のバリアフリールートの複数化について伺います。
 都営地下鉄では、ホームから出入口までエレベーター等を利用してバリアフリーで移動可能なルート、いわゆるワンルート整備は既に全駅で完了しています。現行の経営計画では、九駅の乗換駅等のエレベーターが整備されていますが、加えて、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受け、バリアフリールートの複数化についても検討が進められています。
 誰しもが移動しやすいまちづくりの一環として、各駅の利用実態や、駅周辺の医療機関や障害者施設等の立地などを加味し、必要性の高い駅から順次バリアフリールートの複数化について新たに事業化を計画していくべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会では、共生社会の重要性を改めて世界に示し、大会のレガシーとして、誰もが安全かつ快適に生活できる環境づくりをさらに進めていく必要があります。
 一方、視覚障害者等がホームから転落する事故は後を絶ちません。これまで我が会派では、ホームドアの整備加速や補助対象の拡充などを求め、実現してきました。しかしながら、ホームドアの設置には一定の時間が必要であり、設置を待たず、デジタル等のテクノロジーを活用した安全対策を並行して講じていくことが重要です。
 例えば、東京メトロの一部の駅においては、視覚障害者の移動支援のために、点字ブロックに貼付されたQRコードをアプリで読み取ると、出口までの移動をサポートする案内音声が流れるシステムが導入されています。
 こうした先進事例を踏まえ、鉄道事業者と連携し、視覚障害者等、誰もが安心・安全に利用できる駅づくりにデジタルやテクノロジーの力を活用して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派では、障害者手帳をアプリで利用するミライロIDなどの導入を提案するなど、これまでも取り組んできました。こうした分野を指して、アシスティブテクノロジーやインクルーシブテクノロジーという新たな言葉も誕生しつつあります。海外でも、障害者をテクノロジーで支える取組が進展していることからも、今後、障害のある方の暮らしを支える面でも、デジタルツールやテクノロジーを導入していくことを、まちづくりをはじめ、都のあらゆる分野で検討し、取り組んでいくことを求めます。
 東京が国際競争力を高めることこそが、地方も含めた日本全体の発展や都市と地方の共存共栄につながります。国が東京から不合理な税収奪を繰り返し、地方をばらまきに依存させることから脱し、地域の実情を踏まえたまちづくりや災害対策、感染症対策を進めていくべきです。
 地域で決められることは地域で決めることを大原則として、財源と権限を移して、地域主権を確立することが必要です。
 私たちは、改めて、東京から日本を牽引していく東京大改革から日本大改革を進めていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えいたします。
 令和四年度予算についてのご質問です。
 コロナとの闘いが続く中、世界では、官民を問わず、気候変動対策が意欲的に展開され、また、都市間競争に生き残るための必須条件であるデジタル化は、まさに光の速さで進んでおります。
 東京の未来を希望の光に満ちたものとするために、時代の流れに遅れるわけにはいきません。こうした決意の下、令和四年度予算では、危機管理の強化、サステーナブルリカバリーの実現、あらゆる面で段差のない共生社会、この三点を軸に、デジタルの力も活用し、積極的な施策展開を図っております。
 具体的に申し上げますと、コロナ対策として、万全な医療提供体制等の構築を図るとともに、風水害や地震など災害の脅威から都民を守る都市の強靱化に一層取り組んでまいります。
 また、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、東京ゼロエミ住宅の導入促進やファンドを通じた脱炭素化ベンチャーの支援などに財源を重点的に振り向けるとともに、社会の隅々までデジタル化を浸透させる取組を大幅に増額し、都民のQOLの向上につなげてまいります。さらには、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが輝き、活躍できるよう先駆的な施策を展開いたします。
 この予算で掲げました施策を迅速に実行していくことで、東京大改革をさらに加速をし、三つのシティが実現した未来の東京への歩みを力強く進めてまいります。
 オミクロン株の特性を踏まえた対応についてのご質問です。
 オミクロン株は感染力が極めて強く、新規陽性者数が全国的に増大しております。一方、ワクチンや経口薬などの迅速な供給によって、感染の拡大防止や重症化の予防につながり、社会経済活動の継続も期待されております。
 こうしたオミクロン株の特性等を踏まえまして、国において感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた戦略を策定し、それに基づき、地域の実情に応じて各自治体が実効ある取組を行うことが求められております。
 このため、都は近隣三県とも連携し、全般的な対応方針を明確にするとともに、これまでの基本的対処方針を見直すよう、繰り返し国に要望してまいりました。
 あわせまして、現場を持つ都といたしまして、さらなる病床の確保を進めるとともに、宿泊療養、自宅療養に的確に対応できる体制を整えてまいりました。さらに、感染が増加している高齢者や子供たちを守る取組を強化するなど、先手を打った対策を講じております。
 感染スピードは落ちているものの、重症者の増加なども懸念されている中、今後の対応方針につきまして、改めて国に求めるとともに、都としても、さらに実効ある取組を進めることで、感染の終息に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、助成金や支払い猶予などの支援についてのお尋ねがございました。
 感染症との闘いが長期化する中で、厳しい環境に置かれている方々の命を守り、日々の暮らしを支えるためには、きめ細やかな対策が必要であります。
 都はこれまで、医療体制の充実、確保を図ることはもとより、都民の生活や事業の継続を支える多様な支援を実施してまいりました。
 また、水道、下水道料金や都税などにつきまして、支払いが困難な場合には、猶予制度を適用するなど、あらゆる手だてを総動員してまいりました。今もコロナ禍の厳しい状況にありまして、多くの都民、事業者の皆様が日々努力を重ねておられます。
 こうした方々を引き続き支えていくため、感染防止対策への助成について、支援対象となる期間の延長を図ってまいります。
 さらに、水道、下水道料金の支払い猶予につきましても、四月以降も延長いたしまして、都税などにつきましても、猶予制度を活用した支援を実施してまいります。
 伝わる広報への取組の強化についてのご質問でございます。
 都の事業や行政サービスは、その情報を必要とする人に届いてこそ意味がございます。
 そのためには、今、都民が何を知りたいのか、都として正しくタイムリーに伝える、その情報が都民に届く、これらを基本に伝わる広報を徹底することが重要であります。
 こうしたことから、戦略的な広報を強力に推進するため、生活文化局の広報広聴部門を政策企画局に集約することといたしました。
 これまでもウェブやSNSの活用、アクセス解析を踏まえたホームページの改善、動画を通じたメッセージの発信など様々な広報を行ってまいりました。
 また、都政全体の広報をマネジメントし、都の事業が展開されている現場を公開いたしまして、メディアに取り上げていただく工夫をするなど、広報の機能向上にも取り組んでおります。
 今後、新たな体制のもとで、アクセスの選択肢を増やすための新しい外部媒体の積極的な活用を進め、さらにDXを活用し、今後開設するデジタルポータルサイトやSNSでの双方向コミュニケーション実現にも取り組んでまいります。
 こうした取組により、都民目線での情報発信を実現する、伝わる広報を推進してまいります。
 子供政策についてであります。
 子供の笑顔があふれる社会を実現したい。そのためには、福祉や教育といった従来の枠組みにとらわれず、男性の育児参画や女性活躍、子供の居場所、まちづくりなど、あらゆる視点から政策を総動員していかなければなりません。
 こうした強い思いで、政策分野の垣根を超えた先進的な施策を強力に推進する子供政策連携室を新たに設置をするものであります。
 区市町村の先駆的、分野横断的な取組を支援し、公園、居場所、デジタルなど幅広い視点から、子供、子育てに優しいまちづくりを進め、都内各地へ広げてまいります。
 また、千を超える企業などが参画するこどもスマイルムーブメントを子供の目線から戦略的に展開をいたしまして、遊び、学びなど子供の成長を応援する取組や子育てと無理なく両立できる働き方など、様々なアクションを立ち上げてまいります。
 子供政策連携室を核に、これまでの延長線にとらわれることなく、都庁の総力を挙げて子供政策を展開してまいります。
 学童クラブの待機児童解消についてのご質問でございます。
 誰もが働きながら、地域で安心して子育てができる環境を整えていくことは重要であります。
 私はこれまで、都政の最重要課題として、保育所の待機児童解消に向けた取組を進めてまいりました。その結果、昨年四月の待機児童は千人を切っております。
 一方、学童クラブの待機児童はといいますと、現在三千人以上となっておりまして、その解消が課題となっております。
 そこで、来年度から学童クラブの待機児童対策計画を策定いたしまして、待機児童の解消に積極的に取り組む区市町村を支援することといたしました。
 学齢児を受け入れるため、既存の施設を活用した居場所づくりや、認証保育所やベビーシッターの利用を促すなど、地域の実情に応じた取組に対し、必要な経費を補助いたしてまいります。
 引き続き、区市町村としっかり連携しながら、小一の壁の打破に向け、全力で取り組んでまいります。
 受験生チャレンジ支援貸付についてであります。
 将来を担う子供たちが、家庭の経済状況などの環境にかかわらず、自分の希望する進路を選択できますよう、低所得世帯の子供の学習を支援していくことは重要です。
 都は、自立に向けて意欲的に進学に取り組む子供たちを支援するため、一定所得以下の世帯の中学三年生、高校三年生等を対象に、高校や大学等の受験料とオンライン形式を含めた学習塾受講料の無利子貸付を行っております。
 コロナ禍が長期化する中、より多くの子供たちが目指す道に挑戦できるよう、来年度から対象世帯の収入要件を生活保護基準の一・一倍から一・五倍に引き上げることといたしました。これにより、申込件数が約三・六倍へと大幅に増加することが見込まれるため、必要な経費を予算案に計上しております。
 今後とも、子供たちが生まれ育った環境に左右されることなく、希望する将来に向かって、自ら伸び、育つことができるよう支援してまいります。
 次に、たまモノ子育て応援事業についてでございます。
 多摩地域は、緑豊かな自然、多様な産業の集積など、バランスの取れた暮らしやすいまちです。その特性を生かして、子供の笑顔と子供を産み育てたい人であふれる地域にしていく、そのことが不可欠であります。
 子育てする世帯の応援策の一つといたしまして、多摩の基幹交通であり、地域振興を先導する多摩都市モノレールで、子供がより乗車しやすくする取組を実施してまいります。
 具体的には、まず、ゴールデンウイークなど学校が長期休暇となる期間を中心に、小児一日乗車券を百円で販売するとともに、利用者アンケートを行います。
 その後、アンケート結果や利用実態などから政策効果などを分析しまして、将来の小児運賃の在り方などにつきまして、運営会社等と協議してまいります。
 親子で出かけやすい環境を創出することで、地域の活力や魅力の向上を図ってまいります。
 続きまして、不妊治療への対応についてであります。
 子供を望みながら、授からない方々の願いに応えるため、都は、平成十六年度から、健康保険の適用とならない体外受精や顕微授精等に係る費用を助成してまいりました。
 本年四月から不妊治療に保険が適用されることとなりましたが、これまで助成対象としていた一部の治療につきましては、保険適用外となる見込みであります。
 今後、保険適用となる治療の詳細が明らかになった際に、不妊に悩む方々が安心して治療できるよう、都としての対応を検討してまいります。
 女性の再就職支援の強化についてであります。
 感染症の影響が長期化し、雇用情勢の改善は進まず、非正規雇用の女性やシングルマザーの方は、雇い止めなどにより離職を余儀なくされ、厳しい状況に直面している場合も多い。
 こうした女性の再就職支援に当たりましては、育児や介護と仕事の両立など、多様な就労ニーズに対応した就業相談とともに、再就職に必要なスキルの習得に向けたサポートなど、その実情を踏まえたきめ細かな支援が不可欠であります。
 このため、都は、女性の再就職の促進を図るため、組織の活動のノウハウを提供するセミナーと就業相談会をセットにした支援イベントや実践的なデジタルスキルを学ぶ講習を都内の各地域で新たに実施をいたします。
 また、シングルマザーの方に対しては、専門のカウンセリング窓口を設置し、柔軟な働き方が可能な企業の求人を開拓してマッチングを行うとともに、オンラインによる職業訓練を通じまして、キャリア形成に向けた資格取得を支援いたします。
 こうした重点的な施策展開によりまして、女性が生き生きと活躍できる東京を実現してまいります。
 次に、若者の健康上の悩みに対する支援であります。
 女性も男性も輝ける社会を実現するためには、若者のヘルスリテラシーの向上や心身の健康の保持増進は重要であります。
 都はこれまで、女性のための健康ホットラインにおいて、思春期から更年期に至る女性の心身の健康に関する悩みについて対応してまいりました。
 来年度は、女性に限らず、思春期特有の健康上の悩みなどに対応するため、若者の健康支援に詳しい有識者や医療機関等と意見交換し、スウェーデンのユースクリニックも参考に、新たな相談支援の開始に向け、支援の対象や方法などを検討いたしてまいります。
 また、妊娠適齢期などに関する相談支援に取り組む区市町村への支援を充実いたします。
 こうした取組により、若者が自らの心身の状態を知り、生き生きと活動できる社会を目指してまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてでございます。
 今般公表した制度素案は、当事者等の意見を踏まえるとともに、東京の特性を考慮するなど、様々な観点から検討し、策定をいたしました。
 まず、性の在り方は多様であることを踏まえて、広く性的マイノリティーを支援する観点から、同性同士に限らず対象を設定いたしました。
 また、近隣県からの通勤、通学者が多いという東京の実態を踏まえまして、都民のみならず、在勤、在学の方も対象といたしました。
 さらに、保育園の送迎時など、子供に関する困り事の軽減が図られますよう、都が発行する受理証明書に子供の名前を記載できることといたしました。
 今後は、こうした素案を基に、本年秋の運用開始を目指しまして、制度の構築を進めるとともに、制度導入済みの都内自治体とは、証明書の相互活用などについて丁寧に協議し、連携を図ってまいります。
 性的マイノリティーの方々が直面する様々な生きづらさを取り払い、誰もが生き生きと生活することができるダイバーシティ都市東京を実現してまいります。
 次に、フリースクールなどに通う子供への支援についてであります。
 将来を担う子供たちが自らの個性や能力を伸ばし、成長していくためには、学校だけではなく、一人一人に合った学びの場が必要であり、社会全体で取り組んでいくことが重要です。
 現在、フリースクールなどの民間施設では、一人一人のペースに合わせた様々な活動を行っており、利用する子供が増加しています。
 こうした状況を踏まえまして、来年度、フリースクールなどを利用している子供や保護者の意見などから支援ニーズを把握するための調査を実施いたしまして、これに協力いただける子供や保護者を支援してまいります。
 これらの取組によって、多様な学びの場を創出することで、子供たちの可能性を最大限に引き出し、明るい未来を切り開いていけますよう、誰一人取り残さない教育を実現してまいります。
 次に、デジタル人材の育成についてであります。
 コロナ禍では、我が国のデジタルシフトの遅れが顕在化しており、今後、あらゆる産業分野においてDXを進展させる、その上で、その担い手となるデジタル人材の育成は欠かせません。
 人材育成に当たりましては、求職者の方や中小企業で働く従業員の方に対しまして、DXに対応するスキルの取得などに向けた重点的な支援を行うことが重要であります。
 このため、都は来年度、デジタル人材プロジェクトを展開し、年間で一万人の人材の育成と確保を進めてまいります。
 求職者の方への支援におきましては、実践的なデジタルスキルを取得する職業訓練と再就職支援を一体的に実施する事業を拡充いたします。
 また、業界と連携し、デジタル人材の確保に向けた大規模な就職面接会を開催いたします。
 さらに、中小企業のリスキリングの促進に向けましては、デジタル教育の計画づくりからその実施までを専門家が伴走型でサポートする取組や、従業員が社外でDXの講習を受ける費用等の助成を新たに開始をいたします。
 これらの取組を通じて、人材を集中的に育成し、DXの加速化につなげてまいります。
 次に、介護人材の確保についてであります。
 高齢者が住み慣れた地域で必要なサービスを利用しながら安心して暮らし続けるためには、介護サービスの担い手の確保が重要であります。
 都はこれまで、職場体験や資格取得支援のほか、デジタル機器の導入や介護職員の宿舎借り上げを行う事業者への支援など様々な施策に取り組んでおります。
 また、国に対しまして、介護人材の確保、定着、育成ができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求をしております。
 来年度は、宿舎借り上げの対象を、福祉避難所の指定を受けた介護施設に加えまして、区市町村と災害時協力協定を締結した事業者や、その他の在宅サービス事業所等にも拡大するほか、国による介護職員の処遇改善に対応しまして、賃金を月額九千円引き上げる措置を実施いたします。
 さらに、他の業界からの転職など未経験者の介護分野への入職、定着を促進するため、インターンシップから就業、定着までを一貫して支援する取組も新たに開始をいたします。
 こうした施策を総合的に推進し、介護人材の確保、定着、育成を図ってまいります。
 次に、町会、自治会の防災活動への支援についてでございます。
 いつ起きてもおかしくない災害から都民を守る、そのためには、都による公助の取組と併せて、自助、共助の担い手である都民や地域が一体となった取組が求められております。
 共助の中核である町会、自治会は、住民に最も身近な存在として、日頃から安否確認訓練や避難所運営訓練などに熱心に取り組み、防災講話会をオンラインで開催するなど工夫して活動しています。
 こうした活動を支えるとともに、来年度は、町会、自治会が地域住民に向けて、防災対策に係る情報提供と併せて防災グッズを配布する取組に対し、上限額を設けた上で、都が全額を支援いたします。
 この取組を通じまして、隣近所の助け合いを呼びかけながら、地域の一体感を高め、地域におけるさらなる防災意識の醸成を図ってまいります。
 次に、環境です。カーボンハーフに向けた取組についてであります。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けましては、今後数十年にわたって使用される新築建築物のゼロエミッション化が急務であります。
 このため、私は、全国初となる、住宅供給事業者等へ太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入など、新たなステップに踏み出すことを決断し、現在、環境審議会におきまして、事業者等の意見も伺いながら、丁寧に審議を重ねているところでございます。
 これら制度の導入に先駆けまして、都民や事業者の取組の起爆剤となる支援策を展開いたしまして、機運醸成を図ることが重要であります。
 そこで、来年度は、東京ゼロエミ住宅につきまして、より高い省エネ性能や太陽光パネル等を備える場合、助成額の拡充を図り、不動産取得税を最大で全額減免する新たな税制措置を講じてまいります。
 また、こうした住宅のメリットと支援策の積極的な周知を図るとともに、子供たちなどに我が家の環境局長に就任いただき、楽しみながら家庭のCO2削減に取り組める仕掛けを提供するなど、都民、事業者の行動を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、新築住宅のゼロエミッション化を、あらゆる主体にとって当たり前のものとしていくことによって、ゼロエミッション東京を実現してまいります。
 環境対策に取り組む商店街への支援についてでございます。
 ゼロエミッション東京を実現するため、地域社会や住民が環境配慮の行動を着実に進めることが必要であり、コミュニティの核である商店街での取組を後押しすることは大切です。
 環境負荷をまちじゅうで減らすため、商店街における太陽光パネルや風力発電設備の導入など再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取組等を円滑に行えるよう支援することが有効であります。
 こうして生み出される電気を商店街の街路灯やアーケードで活用するなど、環境に優しい商店街づくりに一層力を入れてまいります。環境負荷の少ない電力を使う場合などは、より性能の高いLEDランプの新たな導入や交換ができるようサポートを開始いたします。
 環境にも優しい魅力あふれる商店街を増やし、地域社会の持続的な発展に結びつけてまいります。
 次に、パラスポーツの振興についてでございますが、パラリンピックでは、自らの限界に挑戦するアスリートの活躍に多くの都民が魅了されました。パラスポーツへの関心の高まりや応援の機運を大会のレガシーとしてさらに高めていきたい。
 今後、パラスポーツの魅力を発信するチームビヨンドなどの取組を通じまして、競技体験や観戦の機会をさらに拡充してまいります。
 また、誰もが気軽に参加し、交流できるイベントなどを通じまして、パラスポーツに触れる多様な機会を創出してまいります。
 来年度は、パラリンピック一周年の機を捉えまして、都民にパラスポーツの観戦機会を提供し、競技の魅力や迫力を体感していただく。
 また、大会のレガシーともいえるデジタル技術も活用いたしまして、新たなスポーツの楽しみ方を提供するなど、パラスポーツファンの裾野を拡大してまいります。
 これまで大会を支えていただいた多様な主体の参画もいただきながら、あらゆる段差のない社会の実現につながりますよう、パラスポーツムーブメントをさらに発展させてまいります。
 芸術文化と社会包摂に関する取組の世界への発信についてのご質問がございました。
 芸術文化は人々に感動、生きる喜びをもたらすだけではありません。心のつながりを深める大きな力がございます。
 東京二〇二〇大会の文化プログラムでは、アール・ブリュットの作品の展示や、様々なバックグラウンドを持つ子供たちがアートを通じて交流するプログラムを通じ、多様な価値や一人一人の個性を認め合える社会に向けた歩みを進めることができました。
 これを文化のレガシーとして発展させ、東京で得られた知見や経験を世界と共有しまして、芸術文化の力で共生社会の実現を図るため、アジア初の総合国際カンファレンスを実施いたします。
 国、地域を超えた多様な表現を広く紹介する魅力的なショーケースや、創作活動を通じたアーティストと障害者との交流、海外の関係者とのネットワークづくりなど、世界をリードする先進的なプログラムを展開してまいります。
 パラリンピックを二度開催した東京だからこそ、ダイバーシティ、インクルージョンの新たな時代を切り開く取組を世界に広げてまいります。
 地域の芸術文化団体への活動について、最後にご質問がございました。
 都内には多くの芸術文化団体があり、その多種多様な活動は東京の魅力の源泉であります。
 都はこれまでも、特色ある文化イベントを地元の芸術文化団体と共につくり上げてきたほか、地域の文化資源を活用した創作活動への助成などにより、その支援に取り組んでまいりました。
 来年度は、さらに多くの芸術文化団体等の活動の後押しができますように、複数の団体が寄り添い力を合わせて開催する伝統芸能や音楽、演劇、ライブエンターテインメントなど様々なジャンルのフェスティバルや、アートプロジェクトなどに対する助成を新設いたします。
 加えまして、コロナ禍で立ち上がった芸術文化団体等とのネットワークを通じて得られた意見や提案などを今後の施策展開に生かしてまいります。
 こうした取組を通じまして、地域における芸術文化団体がさらに活躍できますよう支援をいたしまして、共に芸術文化で躍動する都市東京の実現を目指してまいります。
 その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村のデジタルトランスフォーメーション推進に向けた支援についてでございますが、東京のデジタルトランスフォーメーションの推進のためには、都と区市町村が共にデジタル化を実現していかなければなりません。
 このため、今年度、全区市町村が参加するCIOフォーラムを二回開催し、国の取組等を共有しました。さらに、個別に二十四自治体との間で意見交換を重ねてきました。
 その中で、私は、業務システムや人材育成手法等の標準化、共通化を図ることの重要性を改めて痛感しました。
 こうした中、今年度、五つの区市と連携し、保育事業者への給付などの窓口手続でデジタルを活用した見直しを行ってまいりました。
 来年度は、その成果を映像やハンドブックに取りまとめ、発表会を開催するなど、全区市町村へ横展開し、ノウハウなどを共有していきます。
 さらに、内容審査や交付手続などの業務もデジタル化の対象として拡大し、新たな成功事例を創出してまいります。
 あわせて、これらの取組を進めるため、支援体制を強化し、様々な課題を抱える区市町村に対して、新たに都の専門人材が現場と一体となって、継続的に伴走型の支援を実施します。
 また、デジタル人材の育成も、区市町村職員向け研修の充実を図るなど支援を強化してまいります。
 今後さらに、ニーズを聞きながら寄り添った支援を行い、区市町村のデジタルトランスフォーメーションを推進し、オール東京で取組を推進してまいります。
 次に、高齢者向けスマートフォン事業についてでございますが、デジタルデバイドの是正に当たっては、高齢者などのデジタルに不慣れな方々への支援とともに、誰もが使いやすいデジタルサービスの提供が重要です。
 国の調査では、スマートフォンを保有していない七十歳以上の方々のうち四割以上が使い方が分からないという状況です。
 このため、都は、スマホ利用を啓発すべく、区市町村や町会、自治会等と連携の上、体験会等を開催し、これまでに三千名を超える方々のサポートを行ってまいりました。
 来年度は、年間を通して開催し、一万五千名を超える方々のサポートを目標に、スマートフォンの良さを知っていただく機会をつくり、大学生やNPO法人等と連携して、新たに東京スマホサポーター認証制度を開始し、地域での支え合いにつなげてまいります。
 また、高齢者など誰もが使いやすく、質の高いデジタルサービスの提供に向け、サービスの開発や運用に関わる全ての職員が遵守すべき行動指針の策定を進めてまいります。
 今後、本指針の中で、サービスにおける文字の大きさや色などに対する配慮等、開発時における具体的な留意点などをガイドラインとしてまとめていきます。
 こうした取組を通じて、全てのシニア世代が生き生きと暮らせる、誰一人取り残されないデジタル社会の形成を目指してまいります。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 大規模災害への備えについてでありますが、近年、全国的に大規模な風水害や地震が頻発しており、都内におきましても、首都直下地震や、さらには火山の噴火など、大規模災害の発生が危惧されております。
 こうした中、警視庁では、過去に発生した大規模災害での教訓を踏まえ、実際の災害現場に近い環境を再現できる訓練施設において実践的な訓練を行うなど、平素から職員の災害対応能力の向上を図っております。
 また、先端技術を用いた災害用資機材として、倒壊家屋等での捜索に活用する多目的ロボットや悪天候の状況下等で活用する熱源探知機能付暗視ゴーグルの導入に加え、ライフラインの確保など、救出救助活動を支える基盤整備も進めております。
 警視庁といたしましては、都民の生命、身体を守り抜くため、各種訓練の励行、先端技術の導入、最新鋭資機材の充実はもとより、被災下においても災害応急対応を十分に行えるよう、備えを万全にしてまいります。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、体験型の英語学習機会の充実についてでございますが、TOKYO GLOBAL GATEWAYでは、外国人スタッフとの体験的な活動を通し、海外での生活や実社会を体験でき、世界に目を向けるきっかけとなるプログラムを数多く用意しております。
 来年一月に多摩地域で開業予定の施設では、これらの特徴に加え、映像を活用して、海外や未来を感じる空間や場面を演出し、臨場感のある体験学習の機会を創出するとともに、近隣施設や地元企業等との連携により、魅力あるプログラムを提供してまいります。
 また、島しょ地域につきましては、VRの活用により、学校に居ながら海外の都市や観光地等を舞台とした様々な体験ができるプログラムを提供し、その成果を今後の事業展開に生かしてまいります。
 次に、子供たちの健康への支援についてでございますが、心や体が成熟の過程にある思春期に、健康上の不安や悩みに対する支援を実施することは、子供たちが生涯にわたり心身の健康を保持増進していく上で重要でございます。
 そのため、来年度、新たに都立高校六校を指定し、ライフプランにおける健康上の課題について、産婦人科医等を招聘した専門的な授業を実施いたします。
 さらに、福祉保健局と緊密に連携し、子供たちの健康相談体制の充実に向け、プライバシーに配慮した相談しやすい環境の整備や、学校における効果的な相談先の周知などを進めてまいります。
 これらにより、子供たちが将来を見据えた自己の健康を管理する力を身につけられるよう、多様な支援体制を整備してまいります。
 次に、いじめ問題へのサポートの強化についてでございますが、いじめは重大な人権侵害であり、いじめを受けた子供の不安が解消され、安心して学校生活を送ることができるようになるまで、丁寧にケアすることが重要でございます。
 また、子供や保護者への支援を充実していくためには、法律等の専門家が子供や保護者に寄り添い、直接話をよく聞き、その思いを学校等に代弁するなど、保護者等が安心して相談できる環境を整えることが必要でございます。
 今後、他の自治体の取組や組織的対応の事例について調査をし、区市町村と連携して、保護者等がいじめ対応の初期の段階から、法律や医療等の専門家のサポートを受けて学校に相談できる仕組みづくりを行ってまいります。
 次に、小中学校における心理や福祉の専門家配置についてでございますが、子供の様々な悩みへのきめ細かなケアを行うためには、心理や福祉の専門家と協働した対応が重要でございます。
 現在、都教育委員会は、全ての小中学校がスクールカウンセラーを週一回程度活用できるようにするとともに、学校を巡回するスクールソーシャルワーカーの配置を支援しております。学校はこうした人材を活用して子供たちのケアを行っておりますが、支援をさらに充実させるためには、教員と専門家との連携の機会を増やす必要がございます。
 このため、スクールカウンセラーの勤務日数の増加やスクールソーシャルワーカーの訪問回数を増やす自治体への補助の拡充により、学校が子供たちの小さな変化を早期に発見し、速やかに専門家と連携した支援を開始できる体制を強化してまいります。
 最後に、特別支援学校での医療的ケア児の支援体制の強化についてでございますが、学校での支援のさらなる充実のためには、ケアを支える看護師の安定的な確保と通学車両の拡充が重要でございます。
 そのため、来年度から、看護師が働き方を柔軟に選択できるよう、週十九時間の勤務に加え、週三十一時間の勤務を設定いたします。
 また、登校時の通学車両乗車の報酬を現行の一時間三千百円から三千六百円に引き上げるなど処遇の改善を図り、看護師の安定的な確保を進めてまいります。
 さらに、通学車両につきましては、肢体不自由特別支援学校での増便を図るとともに、知的障害特別支援学校におきましても、知的障害の特性に応じた実施体制を整備し、運行を開始するなど、通学支援を充実してまいります。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 誰もが使いやすい駅づくりについてでございます。
 高齢者、障害のある方々をはじめとして、誰もが生き生きと活躍できる社会を実現するためには、安心して快適に移動できる環境整備は不可欠でございまして、多くの方が利用する駅の安全性や利便性を高めていくことが重要でございます。
 今年度の都民からの事業提案を受け、視覚障害者等がさらに便利で安全に利用できるよう、令和四年度に、鉄道事業者と連携いたしまして、スマホアプリや先進技術など、デジタルテクノロジーを活用した案内誘導などに取り組み、ユニバーサルデザインのまちづくりをさらに促進してまいります。
 こうした取組を通じて、誰もが安全かつ快適に生活できる都市づくりにつなげてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 七点のご質問にお答えいたします。
 オミクロン株亜種への対応についてでございますが、オミクロン株亜種、BA・2系統は、従来のオミクロン株よりも感染性がさらに高いといわれており、流行をいち早く探知することが必要でございます。
 都はこれまで、ゲノム解析によりまして、BA・2系統のオミクロン株も確認してまいりましたが、今般、東京都健康安全研究センターにおきまして、ゲノム解析よりも早く判別できる変異株PCR検査手法を独自に開発し、先月末から検査を開始しております。
 今後、この変異株PCR検査を一層進めまして、都内における変異株の感染状況を監視していくとともに、広域的な視点から、この検査手法を近隣県等と共有してまいります。
 さらに、東京iCDCの専門家の助言を踏まえまして、BA・2系統の特性に応じた適切な対策を講じることで、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、ワクチンの追加接種についてでありますが、接種を加速するためには、一、二回目接種と比べて供給量の多いモデルナ社製ワクチンの有効活用と接種体制のさらなる強化が必要でございます。
 このため、都は国に対し、モデルナにより接種が進むよう、交互接種の効果や副反応に関する情報発信を重ねて要望しているほか、引き続き、モニタリング会議などの場も活用し、きめ細かく情報を発信してまいります。
 また、区市町村に対しては、ワクチンチーム会議等を通じ、接種の加速に向けた認識や情報の共有を図るとともに、接種体制の強化を要請しております。
 さらに、都の大規模接種会場の新設や既存会場の接種能力の拡充を行うほか、移動が困難な高齢者施設等の入所者に対しては、ワクチンバスによる接種を今後増強してまいります。
 続きまして、自宅療養者の支援についてでございます。
 都は、今般の感染拡大への備えとして、自宅療養者フォローアップセンターの人員体制を拡充し、二十四時間、医療相談に対応するとともに、先月には、自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京を開設し、療養生活を送る上での様々な相談に応じております。
 また、療養者自身が気をつけるべきことや、同居者に知っていただきたいことなどを分かりやすくまとめたハンドブックやチェックリストを作成し、ホームページやSNSで情報発信するほか、医療機関を通じ、検査を受けに来た方や家族に提供しております。
 今後、療養期間終了日など、療養者にとってニーズの高い情報を分かりやすく、また、迅速にアクセスできるよう、ホームページの改善など情報提供の充実に努めてまいります。
 次に、妊婦向けの病床確保と医療的支援についてでございますが、オミクロン株は感染力が極めて高い特性を持っており、妊娠中に感染した場合でも安心して利用できる体制を強化することが重要でございます。
 今年一月の一か月間で、新型コロナウイルス感染症に感染した妊婦の方は約千百人と、昨年八月と比べてほぼ倍増しておりまして、早急に対策を講じる必要がございます。
 そのため、都は、保健師等による相談支援や地域の助産師による健康観察の取組に加えまして、新たに医師や看護師を配置した宿泊療養施設や都立、公社病院を活用し、主治医と連携しながら妊婦をサポートする療養施設を最大百床整備し、妊婦の治療や健康相談を実施いたします。
 妊婦の方が安心して出産を迎えられるよう、関係機関や区市町村と連携しながら、きめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、新たに設置する臨時の医療施設についてでありますが、今回のオミクロン株の流行では二百十を超える高齢者施設の入所者や職員合わせて約四千人の方が陽性になりまして、施設内の感染が広がっております。高齢者の方々は、たとえ軽度の肺炎であっても、併存する他の疾患のため、入院が長期化する傾向にございます。
 こうした状況を踏まえまして、都は昨日、旧東京女子医大東医療センターの建物を活用して、高齢者等医療支援型の臨時の医療施設を開設いたしまして、高齢者施設等への往診や治療、転退院の拠点として運営していくことにより、高齢者のケアと病床の効率的な活用を進めてまいります。
 開設に当たりましては、国所管の公的病院の人材活用も図っており、引き続き国と連携しながら、医療提供体制の充実を図ってまいります。
 続きまして、酸素・医療提供ステーションについてでありますが、オミクロン株による感染拡大に適切に対応するためには、病床を補完する酸素・医療提供ステーションの機能を拡充することが重要でございます。
 このため、都は、シャワー施設を整備するなど二泊以上の滞在を可能にするとともに、投薬種類の拡充、流動食などの食事の多様化、看護助手の配置などを通じまして、より多くの方を受け入れられる施設といたしました。
 また、患者搬送用の陰圧車両を三十台から五十一台に増強し、保健所やかかりつけ医と連携した外来患者の受入れや、病院で症状が軽快した患者の受入れを促進いたします。
 こうした様々な改善によりまして、病床の補完機能を強化し、救急搬送が必要な患者が迅速に医療機関へ搬送されるよう、療養患者の搬送体制の強化に寄与してまいります。
 最後になります、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございますが、都は、都立、公社病院に相談窓口を設置いたしまして、後遺症に悩む方の相談に応じるとともに、症状が重い場合には、院内の適切な診療科の外来受診につなげ、支援してまいりました。
 また、東京iCDC専門家ボードにおきましては、後遺症に関するリーフレットを作成し広く都民に周知するほか、相談窓口で蓄積いたしました約三千九百の相談データから、相談者の訴える症状を様々な角度から分析し、その結果をモニタリング会議等で公表をしております。
 今後は、東京iCDCにおきまして、相談窓口から外来受診につなげた症例データにつきまして、治療や症状の改善状況等の調査、分析を行ってまいります。
 また、オミクロン株に感染した方の後遺症につきましても、相談データの解析等による実態把握を進めまして、情報発信をしてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、保育所等の新型コロナウイルス対策についてであります。
 都では、保育所等が感染対策を徹底できるよう、動画やリーフレットを作成して消毒や換気方法等を周知するとともに、保育所等職員やベビーシッターの感染予防のため、三回目のワクチンの優先接種や集中的検査を実施しております。
 また、保育所等が休園した際には、ベビーシッターの活用を支援しておりまして、利用可能な区市町村をホームページで公開しているほか、必要時に迅速に利用できるよう、現在、手続の簡素化を進めております。
 さらに、今月からは、休園時に公民館や児童館等を活用して子供の預かり先を確保する区市町村への支援も開始しておりまして、引き続き、コロナ禍において保育サービスを必要とする保護者とその子供を支援してまいります。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてであります。
 都は、待機児童対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズにきめ細かく対応するため、平成三十年度からベビーシッター利用支援事業を開始し、さらにその後、交通費の支援や一時預かりの実施など、事業の充実を図ってきております。
 現在のコロナ禍においても、保護者が安心して働きながら子育てができるよう、臨時休園した保育所や臨時休業した小学校の児童にも利用対象を拡大しております。
 来年度は、夜間にも安心して保育サービスを利用できるよう夜間帯保育にも対応するとともに、学童クラブの閉所時間後に子供を預けられるよう、小学校まで対象を拡大いたします。
 今後も、ベビーシッターを一層活用し、区市町村と連携しながら、子供と子育て家庭を支援してまいります。
 次に、高校生等への医療費助成についてであります。
 都は、市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の基準の下で補助しております。
 高校生等への医療費助成の具体的な制度内容については、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、準備経費補助の詳細や事業実施に向けた制度の考え方や内容、経費を含めた課題等について、丁寧に議論を重ね調整してまいります。
 また、医療費助成の医療証と保険証とを一体化し、デジタル化するためには、国が昨年導入したオンラインでの資格確認の対象に、医療証が含まれるようになることが前提となるため、今後、区市町村の意見を聞きながら、必要に応じ、国へ働きかけてまいります。
 次に、とうきょうママパパ応援事業についてであります。
 都は、三歳未満の子供を育てる家庭に対し、家事、育児を支援するサポーターを派遣する区市町村の取組を支援しております。
 新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、活動可能な人材が十分確保できない、また、家の中に他者を招き入れることに不安を抱く家庭があるなど、サポーターの活動が困難な場合があります。
 そのため、来年度は、コロナ禍でサポーターの利用が難しい家庭に対し、家事時間の短縮による負担軽減を図れるよう、スマート家電等の家事支援用品の購入を支援いたします。
 コロナ禍においても、安心して子育てできるよう、区市町村と連携しながら、支援の充実を図ってまいります。
 次に、児童養護施設の退所者などケアリーバーへの支援についてであります。
 都が昨年度実施した児童養護施設等退所者の実態調査では、退所直後に困ったことを主に相談した相手は施設職員が約五割と最も多く、ケアリーバーへの支援では、施設職員が重要な役割を果たしております。
 国の事業では、十八歳を超えて二十歳まで入所等の措置を延長した方が、措置解除後も施設等の支援を受けながら安定した生活を送れるよう、アパート等を借り上げる施設等を支援しております。
 都は、国の事業の対象とならない退所者等へのアフターケアを強化するため、十八歳で措置解除となった方にアパート等を借り上げる施設等に対し、必要な経費を来年度から独自に支援してまいります。
 次に、障害児への支援についてであります。
 障害児とその家族が身近な地域で安心して生活していくためには、適切な療育の提供や、障害特性に応じた相談支援体制の整備が必要であります。
 都は来年度、都型放課後等デイサービス事業を開始し、自立した日常生活を営むために必要な訓練やコア人材の配置など、都が定める基準を満たす事業者を支援することで、サービスの質の向上を図ってまいります。
 また、医療的ケア児への支援の充実を図るため、家族等からの様々な相談に総合的に対応するとともに、保健、医療、福祉、教育等の関係機関との連絡調整などを行う医療的ケア児支援センターを開設いたします。
 今後、こうした取組を通じて、障害児とその家族を支援する施策の充実を図ってまいります。
 次に、デジタル機器による高齢者の健康管理についてであります。
 東京都健康長寿医療センターでは、地域の高齢者の健康状態を長期的、継続的に把握する追跡健康調査を二十年以上にわたり実施し、認知症やフレイルなどの老年症候群の早期発見とその予防に取り組んでまいりました。
 来年度からは、こうした知見等を活用し、追跡健康調査に参加する高齢者にスマートウオッチ等のデジタル機器を装着していただき、日常の血圧や脈拍、身体活動量等のデータを自動計測し、健康調査の結果と比較、分析するなど、フレイル等の多様な健康リスクとの関係性の解明に向けた取組を開始いたします。
 さらに、健康状態を可視化するアプリの開発等につなげ、日常生活での行動変容を促すなど、高齢者の健康の維持増進に向けたさらなる取組を進めてまいります。
 最後に、在宅医療体制の充実に向けた支援についてであります。
 在宅医療をさらに充実させていくためには、地域の医療、介護関係者が相互に連携して、切れ目のない支援体制を構築することが重要であります。
 都は来年度、区市町村と連携し、地域の医療、介護事業者等が在宅患者の急変時に二十四時間対応できるよう、在宅医療体制を充実させていくための手順書を作成いたします。
 手順書には、在宅医療の主治医と、それを補完し協働して診察等を行う医師や訪問看護師等が連携した往診、連絡体制を構築するための段階的な取組や、デジタル技術を活用した患者情報の共有などを盛り込むこととしており、今後とも、地域の実情に応じた在宅医療体制の構築に取り組む区市町村を支援してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えいたします。
 中小企業に対する金融支援についてですが、中小企業の事業の継続と発展を図る上で、コロナ禍の影響による厳しい経営状況の克服や将来の成長につながる事業展開を金融面から支援することが重要でございます。
 都では来年度、中小企業の事業継続を支援するため、昨年度の制度融資による実質無利子の資金を利用した事業者を対象に新たな借換えメニューを創設し、借入額八千万円までは信用保証料の全額を補助するとともに、金融機関に借換え等への柔軟な対応を要請いたします。
 一方で、将来の成長を見据え、DXやSDGsなどに関連した事業展開に必要となる資金ニーズに対応する制度融資メニューの充実を図ります。
 また、脱炭素化の取組を後押しするためのファンド設立も進めてまいります。
 これらの取組によりまして、中小企業を金融面から支え、都内経済の回復と発展につなげてまいります。
 次に、中小企業の経営の下支えについてですが、中小企業が厳しい環境を乗り越えて事業を継続するとともに、将来を見据えて積極的な事業展開もできるよう、適切な支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、コロナ禍における事業継続に向け、BCPの必要性や作成方法を学ぶセミナーや講座の規模を拡充いたします。
 また、多くの中小企業が現場の実態に合ったBCPを作成できるよう、専門家派遣の規模を拡充し、その助言に係る事業者の費用も無料といたします。
 さらに、中小企業が将来を見据え、生産性や製品の品質を高めるため、DX化を推進する設備等を導入する経費の助成について大幅な拡充を図ります。
 こうした取組によりまして、感染症の影響を受けた中小企業の経営を着実に後押ししてまいります。
 次に、飲食事業者への支援についてですが、長引く感染症の影響により、飲食事業者を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
 都では、営業時間の短縮等にご協力いただいた事業者に速やかに協力金を支給しているほか、その事業継続や経営の安定化に向けて支援を行っております。
 今後は、制度融資による資金繰りの支援の充実を図るとともに、感染防止対策に必要な経費の助成について、コロナ禍による影響が長引いていることを踏まえ、支援の対象となる工事期間等を延長いたします。
 また、飲食事業者の新たな事業展開を後押しするため、専門家による助言の実施に必要となる経費の助成などの拡充を図ります。
 こうした取組によりまして、飲食事業者の事業の継続と展開への支援を着実に行ってまいります。
 次に、多摩産材の供給力の強化と利用拡大についてですが、森林循環を進めるには、木材供給を担う林業の生産性を高めるとともに、木材利用を増やすことが重要でございます。
 このため、都は来年度、東京特有の急峻な地形において伐採、搬出作業を効率的に行えるよう、AIで画像を認識し自動で丸太を集めて運搬するなど、デジタル技術を活用した林業機械等の開発や、国内外の林業先進技術の導入を支援いたします。
 また、国産木材の需要拡大に向けて、多摩産材を使用し住宅を新築した方に対し、東京の特産物等と交換できるポイントを提供する事業を開始いたします。
 さらに、中、大規模の建築物について、設計費に加え、新たに建築費に助成を行うことで、木造、木質化を促進いたします。
 こうした取組によりまして、持続可能な森林循環の確立を図ってまいります。
 次に、世界自然遺産を活用した観光振興についてですが、東京の小笠原諸島などの世界自然遺産は、人類共通の貴重な財産として、環境に配慮しながら観光に活用することが重要でございます。
 そのため、都は、世界自然遺産のある四つの自治体と協議会をつくり、ウェブサイトを通じてそれぞれの自然環境や多様な生き物の情報とともに、観光地としての魅力を発信しています。
 また、環境への理解を深める旅行商品づくりに向け、地元の観光協会と都内の旅行会社のマッチングを行う商談会などを実施しています。
 来年度は、新たに登録地となった沖縄県を協議会に加え、旅行者向けのマナー啓発や自然保護の活動を紹介する観光プロモーションを実施いたします。
 こうした取組によりまして、世界自然遺産を活用し、東京の観光振興を推進してまいります。
 最後になりますが、アニメを活用した観光振興についてですが、東京には、国内外から注目されるアニメや漫画の舞台となる場所などが数多く存在し、それらを観光資源として活用することは、旅行者の誘致を図る上で効果的でございます。
 今年度、都では、区市町村や各地域の観光協会がアニメをテーマとするイベントを開催する場合や、キャラクターのモニュメントを制作する取組に支援を行い、地元への誘客に結びつけているところでございます。
 また、キャラクターをデザインしたマンホールや、その周辺の観光スポットを巡るデジタルスタンプラリーなどを実施したところでございます。
 来年度は、アニメの人気作品などをきっかけに有名となった場所を訪れるツアーを行うことで、新しい観光の名所をつくり、旅行者の誘致を図ります。
 こうした取組によりまして、アニメを活用した観光振興を着実に進めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供や高齢者の運動不足等への対応についてでありますが、都民の誰もがスポーツに親しむことができる機会を確保し、健康の維持増進を図ることは重要でございます。
 このため、都は来年度、新たに子供や高齢者を対象として、気軽に楽しく取り組める運動を紹介し、継続的な健康づくりへつなげる事業を開始いたします。
 具体的には、スポーツジム事業者のノウハウ等を活用して、訴求力の高い動画を作成するとともに、SNS等を活用した効果的な広報を実施いたします。
 また、子供に人気の出演者を起用するなど、子供たちを引きつける動画を作成、発信し、子供同士や家族が身近な地域で外遊びを楽しむきっかけをつくってまいります。
 こうした取組によりまして、子供から高齢者まで広くスポーツ実施につなげ、都民の健康維持増進を図ってまいります。
 次に、大会経費についてであります。
 組織委員会、東京都、国の三者は、平成二十九年の大枠の合意や大会延期後の追加経費負担の合意に基づいて、毎年度、経費を精査し、総額と内訳を公表してまいりました。
 また、共同実施事業について、全ての事業の確認を契約前から行った上で、契約後は、事業の一覧や確認に用いた資料を公表するなど、透明性の確保にも努めてまいりました。
 今回、三者は、こうしたこれまでの経緯と、観客数の取扱いなどV5予算以降の後発事象を共有した上で、役割分担を踏まえた対応を図ることに合意し、これを反映した大会経費を公表いたしました。
 今回の三者合意により、新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなりました。
 引き続き、丁寧な説明に努め、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
 次に、新規恒久施設の活用についてであります。
 各施設を大会のレガシーとして最大限活用していくためには、戦略的に取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、先般公表したTOKYOスポーツレガシービジョンでは、各施設の特性に応じてスポーツでのさらなる活用を進めるとともに、エンターテインメント、ユニークベニューなど多様な活用を図ることとしております。
 例えば、スポーツ利用では、海の森水上競技場でのボート全日本選手権、大井ホッケー競技場でのマスターズホッケーワールドカップなど、数多くの主要大会が開催される予定でございます。
 国際大会の誘致、開催を促進するとともに、大規模な音楽イベントなど、一層幅広い活用を進め、施設のポテンシャルを最大限発揮させるよう取り組んでまいります。
 次に、アーバンスポーツパークの整備についてであります。
 日本選手の活躍もあり、スケートボードをはじめ、アーバンスポーツという新しいジャンルの競技が注目を集めました。
 こうしたレガシーを大会後に引き継いでいくため、スポーツクライミング、3x3バスケットボール、スケートボードに親しんでいただける仮称有明アーバンスポーツパークを整備していくこととしております。
 スケートボードは大会時に使用した施設を活用するとともに、初心者向けのエリアも整備いたします。また、ボルダリングは雨天時でも利用可能な屋内施設とするなど、より多くの方にご利用いただけるよう検討を進めております。
 今後、民間事業者の創意工夫も生かすなど、多くの人が訪れ、楽しめる施設となるよう取り組んでまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会一周年記念行事におけるデジタル技術の活用についてであります。
 令和四年七月から十月までの大会一周年記念期間は、都民、国民へ感謝を伝え、大会で活用されたデジタル技術を含めた数々のレガシーを発信する貴重な機会でございます。
 大会期間中、組織委員会と連携し、バーチャルな競技体験や、都内特別支援学校で会場に行くことのできない子供たち向けに、VRシアターの競技観戦等を行いました。
 こうした取組を踏まえ、七月二十三日の大会記念セレモニーや、八月のパラリンピック記念イベントなどにおいて、デジタル技術を活用した観覧や参加、スポーツ体験などの実施について検討してまいります。
 デジタルの力で新しいスポーツの楽しみ方を広げ、スポーツへの関心を高める取組を推進してまいります。
   〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営地下鉄駅への授乳室の設置についてでありますが、都営地下鉄ではこれまで、車両への子育て応援スペースの導入、駅トイレへのベビーチェアやベビーシートの設置など、子育てを支援する様々な取組を行ってきたところでございます。
 授乳室は、乳児をお連れのお客様に地下鉄をより安心してご利用いただくための施設でございます。その設置に当たりましては、駅構内という限られた空間の中で、場所の確保や給排水設備の整備などが必要となります。
 こうした課題を踏まえまして、駅の改良工事に合わせた授乳室の設置や、ツーリストインフォメーションセンター等、既存施設内でのスペースの確保につきまして検討してまいります。
 小さなお子様連れのお客様をはじめ、誰もが安心して利用できる環境づくりを進めてまいります。
 次に、バリアフリールートの複数化についてでありますが、都営地下鉄では、全駅でのワンルート整備後のさらなる取組といたしまして、乗換駅等でのエレベーター整備を進めております。
 また、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正などを踏まえ、移動距離を短縮する観点から、バリアフリールートの複数化につきまして検討しております。
 検討に当たりましては、駅周辺における病院や障害者施設等の立地状況、用地確保の可能性などを勘案しながら、新たな経営計画における整備対象駅の選定を進めてまいりました。
 今後、令和六年度までの三か年で、新宿線瑞江駅や大江戸線春日駅、光が丘駅など六駅でバリアフリールートを充実する計画であり、こうした取組を通じて、誰もが円滑に移動でき、より利用しやすい都営地下鉄を目指してまいります。
   〔政策企画局長野間達也君登壇〕

○政策企画局長(野間達也君) ひとり親支援に関する情報周知についてでございますが、各種支援策の広報に当たっては、情報を分かりやすく発信し、利用につなげることが重要でございます。
 このため、都は、行政機関や民間団体の支援情報を横断的に検索できるポータルサイトを開設し、リーフレットやウェブ広告で周知するなど、情報発信に努めてございます。
 今後、ホームページでの分かりやすい表示などの改善を積み重ねるとともに、入学シーズンなどの機を捉え、支援情報をSNS等で発信するなど、ひとり親家庭の目に留まりやすい広報を進めてまいります。
 また、区市との連携を深め、支援に携わる職員の意見も聞きながら、福祉や就労支援等の現場で活用しやすい広報素材を作成するなど、必要な人に情報を確実に届ける広報を推進してまいります。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立専修学校への支援についてでございますが、私立専修学校は、実践的な職業教育、専門的な技術教育を行い、東京の産業を支える専門人材の育成に一定の役割を果たしています。
 そのため、都は、国との役割分担を踏まえながら、耐震化工事や教育設備整備等への補助を行っております。
 平成三十年度からは、職業教育の質の向上を図るため、国が認定した職業実践専門課程を設置する専修学校への補助を実施しているところでございます。
 来年度は、これまでの認定校や認定課程数の増加を踏まえ、企業等と連携した、より実践的な職業教育のさらなる充実や教育環境の向上に向けて、補助を拡充しております。
 今後とも、未来の東京を支える多くの専門人材の育成が進むよう、私立専修学校への支援に努めてまいります。
 次に、町会、自治会支援についてでございますが、担い手不足や長引く感染症の影響などにより、活動が固定化している町会、自治会も多く、外部の新たな視点の導入やデジタルの活用が重要でございます。
 そこで、都は来年度、町会・自治会応援キャラバンを開始し、町会、自治会が企業やNPOなどと連携して、これまでにない工夫を取り入れた事業を行えるよう、企画段階から実施までトータルにサポートいたします。
 また、イベントの開催日時や役員会の参加確認、災害時の安否確認等、様々な情報を即時に共有できるよう、地域交流アプリの導入を支援いたします。
 こうした先駆的な取組を、区市町村やつながり創生財団などとも連携しながら進めていくことにより、町会、自治会活動の活発化を図ってまいります。
   〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、デジタル人材の確保、育成についてでございますが、東京のDXを戦略的かつスピード感を持って進めていくためには、専門人材の確保、育成が急務でございます。
 そこで、今般、新たに東京都デジタル人材確保・育成基本方針を策定し、取組の方向性を取りまとめたところでございます。
 今後、人材の確保につきましては、デジタルスキルマップを導入し、ニーズに合致した人材を戦略的に採用してまいります。
 また、人材育成につきましては、東京デジタルアカデミーを新設し、ICT職の海外大学院等への派遣や職員全体のリテラシーの底上げに加え、海外調査や区市町村との連携を一体的に進めてまいります。
 こうした取組を通じて、東京のDX推進を支えるデジタル人材を質、量ともに飛躍的に充実をさせてまいります。
 次に、デジタルに関する職員研修についてでございますが、都のDX推進に当たりましては、職員全体のデジタルに関する理解の底上げや、専門知識を持たない職員に対するリスキリングを進めることが必要でございます。
 そのため、全職員約四万人を対象に、オンライン学習ツール等を活用し、基礎的な知識を学ぶ研修を実施し、デジタルリテラシーの底上げを図ってまいります。
 また、専門的なプログラミングの知識がなくとも簡易なアプリ開発等が可能なノーコード、ローコードツールを活用したワークショップ型の研修などを実施し、五年で五千人のリスキリング人材を育成してまいります。
 こうした取組により、都のDX推進を支える職員の育成を迅速かつ着実に進めてまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 雑居ビル等の防火安全対策についてでございますが、東京消防庁では、大阪市のビル火災を受け、類似建物約八千棟に緊急の一斉立入検査を実施し、避難障害となる物件がある建物に対して直ちに除去命令を発令し、階段等の避難施設の安全確保を図ったところです。
 また、建物の用途や過去の立入検査の状況等から違反が想定される雑居ビル等に対し、集中的に立入検査を実施し、建物の防火安全対策を推進しております。
 さらに、来年度は、火災発生時の対応要領の動画等を新たに作成し、建物関係者に防火意識のさらなる啓発を図るとともに、産業労働局において、通常よりも高性能な消火器を設置する際の補助制度を開始いたします。
 今後とも、都民が安心して暮らせるセーフシティの実現に向け、建物の防火安全対策の強化に努めてまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 帰宅困難者対策のためのシステム構築についてですが、帰宅困難者対策を的確に進めるためには、火災や建物倒壊、道路上の帰宅困難者の滞留状況等を迅速に把握することが重要でございます。
 このため、都は現在、これらの災害関連情報を集約するシステムの開発に取り組んでいるところでございます。
 今年度は、道路上の帰宅困難者の滞留状況を分析した上でマップ上に可視化するシステムの技術実証を行いました。
 来年度からは、この仕組みを実際の災害や訓練で活用してまいります。
 さらに、一時滞在施設の混雑状況や火災、建物倒壊といった災害関連情報を同一のマップ上に一元的に表示できるよう、順次システムの機能強化を進めてまいります。
 デジタル技術の活用により、帰宅困難者のより一層の安全確保を図ってまいります。
   〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 環境、健康によい住宅の普及、支援についてでございますが、脱炭素化に加えまして、居住者の健康確保の観点からも、温熱環境が良好な断熱性能の高い住宅の普及は重要でございます。
 これまで都は、断熱リフォームの効果等を発信するとともに、窓などの断熱改修への支援や、高い環境性能を有する新築住宅の導入促進に取り組んでまいりました。
 今後は、こうした取組のさらなる拡大や、区市町村と連携した新たな断熱改修等の支援に着手いたします。
 あわせて、省エネ等の推進に向けたプラットフォームを設立し、住宅関係団体と連携した事業の推進を図ってまいります。
 来月策定いたします住宅マスタープランにも盛り込み、これらの施策を展開いたしまして、健康面の効果について積極的なPRを図りながら、住宅の温熱環境向上に取り組んでまいります。
   〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 都立公園におけるスケートボードが楽しめる広場の整備についてでございますが、都はこれまで、駒沢オリンピック公園などにおいて気軽にスケートボードが楽しめる広場を設けておりますが、東京二〇二〇大会後の人気の高まりなどを踏まえまして、都立公園における取組を拡充することといたしました。
 広場の整備に当たりましては、利用に伴う騒音や、安全に利用できる場所の確保等の課題に対応するとともに、他の公園利用者や地域住民の方の理解を得ることが必要でございます。
 このため、都は来年度、競技団体等とも意見交換を行いながら、場所の調査や整備内容の検討を進めてまいります。
 あわせて、安全に利用できるルールづくりも行っていきます。
 こうした取組により、アーバンスポーツを楽しめる新たな空間を創出してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十分休憩

   午後六時十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君
   〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して質問します。
 二月一日、元東京都知事の石原慎太郎氏が逝去されました。石原元都知事は在職中、都議会公明党が提案した新公会計制度を全国に先駆けて導入したほか、東京オリ・パラ大会の招致、ディーゼル車の排ガス規制など、都政に偉大な足跡を残されました。謹んで哀悼の意を表しますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 新型コロナの感染拡大は既に二年を超え、いまだ終息の兆しを見せていません。感染によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、現在も療養中の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 また、日夜、医療現場でご奮闘されている医療従事者の皆様をはじめ、感染防止にご協力いただいている都民の皆様に感謝申し上げます。
 最初に、財政について質問します。
 令和四年度当初予算案には、コロナ対策を万全にする医療提供体制等の構築、自然災害から都民を守る都市の強靱化、子供施策の充実など、都議会公明党の主張が随所に反映されています。
 今後、感染第六波の脅威を克服し、都民の暮らしを守るとともに、社会変革に適応したデジタル化や働き方の仕組みなど、制度を見直していかなければなりません。そのために、都財政において十分な財源を確保する必要があります。
 当初予算案における都税収入は、コロナ禍の厳しい経済状況にもかかわらず、前年度比約五千九百億円の増加となり、当初予算額としては、過去最高の約五兆六千三百億円となる見込みです。
 そこでまず、税収が増えると見込んだ要因について、都の見解を求めます。
 感染症や災害に強い都市づくり、社会保障関係費の増加への対応など、将来にわたり都民の暮らしを守っていくためには、基金や都債を戦略的に活用するなど、中長期を見据えた財政対応力の堅持が不可欠です。
 特に、コロナとの闘いに突入した令和元年度末におけるオリンピック・パラリンピック開催準備基金を除いた基金残高は約二兆三千億円、うち財政調整基金は九千三百四十五億円であり、この活用により、都独自の対策を迅速かつ的確に講じることが可能となりました。
 令和四年度予算の年度末基金残高は一兆六百九十七億円、うち財政調整基金は三千九百二十七億円となる見込みですが、コロナ禍での基金の活用の実績を踏まえれば、この基金残高では極めて低い水準であり、現状では財政面での備えが弱いといわざるを得ません。
 コロナ対策など、目の前の課題に全力で取り組むことはもとより、中長期を見据え、都税収入が大幅に増加したときこそ、財政調整基金や特定目的基金の残高確保に努めるべきと考えます。財務局長の見解を求めます。
 都議会公明党は、さきの都議選において、実現すべき八つの選挙公約、いわゆるチャレンジエイトを掲げて戦い、二十三名全員当選させていただきました。したがって、その一つ一つを実現させていくことが、当選させていただいた議員の大事な責務であると考えています。
 その中でも三つの無償化は、都民の皆様から実現を切望された大事な政策であり、その一つが、高校三年生世代までの医療費の無償化であります。
 都民の皆様からは、都の区市町村において、既に高校三年生世代までの医療費の無償化を実施している区市町村と、そうでない区市町村があり、同じ東京都民でありながら、恩恵を被れないのは不公平であり、都が率先して制度をつくってほしいという強い声をいただいております。
 十八歳まで成人年齢が引き下げられたとはいえ、十八歳まで子供たちを育て上げるのは保護者の責務です。
 その中で、病を抱えている子供たちの医療費の負担は少なくありません。そのような方たちにとって、高校三年生世代までの医療費の無償化は大きな願いであります。
 それを受け、都議会公明党は、都議選後、第三回定例会、第四回定例会の代表質問で無償化を取り上げ、知事への予算要望でも最重要の政策として要望させていただきました。
 今回、知事が令和五年四月から区市町村との合意の下、高校三年生世代までの医療費の無償化を決断され、その準備経費として、令和四年度予算案において区市町村のシステム改修費を都が十分の十負担をするとしたことを高く評価いたします。
 そこで、今回、令和五年四月から区市町村合意の下、高校三年生世代までの医療費の無償化を決断された知事の思いについて見解を求めます。
 都は、中学三年生まで医療費の無償化に伴う医療費助成をした際の補助スキームは、市町村については事業費の二分の一を補助し、区部については子供の医療費の無償化を中学三年生まで引き上げたタイミングで、都区財政調整の割合を五二%から五五%まで引き上げたため、都区財政調整支出で賄ったという経緯があります。
 今回、高校三年生世代までの医療費の無償化に伴う医療費助成を検討するに当たっては、区部についても都独自の補助のスキームをつくるべきです。
 また、区部に比べ、市町村の中には、自治体規模が小さく、財政力の弱いところもあります。そのため、都は、市町村総合交付金を出していますが、令和四年度予算でも、学童保育や消防団の資機材の更新などに使えるお金として、政策連携枠を三億円増額しています。
 そこで、財政力の弱い市町村を支援するために、令和五年四月より開始する高校三年生世代までの医療費の無償化の市町村負担分を市町村総合交付金の政策連携枠で見るべきです。併せて都の見解を求めます。
 次に、チャレンジエイトの一つである高速道路の渋滞対策を解消するための都内高速道路上の料金所の撤去について質問します。
 都市部における交通政策の課題の一つに渋滞対策があります。なかんずく、高速道路の渋滞は、長年の課題でもあります。
 高速道路については、無償化の議論がありますが、地方の交通量の少ない高速道路では可能かもしれませんが、都市部の高速道路で無償化をした場合、現在の渋滞がさらに悪化いたします。
 特に、首都高での無償化はやるべきではありません。むしろ、渋滞をいかに減らしていくかという議論をしなければなりません。
 この高速道路の渋滞要因の一つが、高速道路上にある料金所です。料金所を撤去するための大前提が高速の入り口及び出口でのETCの全面義務化です。
 二〇二〇年十二月、国土交通省と高速道路会社六社は、ETCの全面義務化のロードマップを発表し、都市部においては、五年後の概成を目標としました。これに向かって、首都高は、来月から一ツ橋インターチェンジをはじめ五か所、四月からは霞が関インターチェンジをはじめ二十九か所の入り口でETCの全面義務化が実施されます。
 二〇二一年十月現在の首都高のETCの利用状況は九六・七%です。この状況を踏まえ、都議会公明党は一月二十八日、斉藤国土交通大臣にETCの全面義務化と高速道路上の料金所の撤去の加速化の申入れを行い、国土交通大臣は、全力で対応していくと応じてくれました。
 都としても、国、首都高と協力して、ETCの全面義務化を加速化させ、都内七か所の高速道路上の料金所を撤去していくべきです。
 特に、ひどいときには下りの三鷹料金所付近まで渋滞している永福料金所を最優先で撤去すべきであります。その際、現金しか利用できない人のために、SuicaやPASMOのようなプリペイドカードをETCでも読み取れるよう技術開発を行うべきです。知事の見解を求めます。
 同じくチャレンジエイトの一つである駅ホームドアの設置について質問します。
 都議会公明党は、令和三年の第一回定例会の代表質問で、駅ホームドア整備がまだ道半ばである事実を指摘し、都がイニシアチブを取って事態の打開を図るべきと求め、都からは、事業者と技術的な方策の検討の場を設置するとの答弁がありました。
 昨年の質問時の未設置駅は、都内の全七百五十八駅のうち四百十一駅。これが直近では三百九十四駅となり、一年で十七駅に新設されたことは評価します。
 しかし、このまま順調に進んでも、全駅の設置にはあと二十数年を要します。特に、技術的に設置が困難な駅については、予算を投じても設置数が伸び悩む時期が到来することは必定です。
 都は、その後、検討の場を設置したとのことですが、令和四年度からは、駅ごとの課題の中身を把握し、実態に即した解決策を見いだすための、より本格的な調査検討に着手をし、令和四年度内には一定の結論を得るべきと考えます。
 加えて、我が党は、特別支援学校の最寄り駅などへの優先整備を求めてきましたが、調査すら実施されていない駅もあります。
 今後は、ホームの幅が狭く危険な駅、特急などが高速度で通過して、ホームが強い風圧にさらされる駅、さらにはホームの形状が湾曲して傾斜し、車椅子やつえ歩行での移動に注意を要する駅など、構造上の特徴などから、安全性が危惧される駅も優先整備する駅に加えるべきと考えます。
 整備の進捗に向け、令和四年度の検討到達点と、安全性が危惧される駅の優先的な整備について、併せて見解を求めます。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
 都は、当初、二月十三日までとした蔓延防止等重点措置期間を三月六日まで再延長しました。そのような中、都は二月三日、危機管理対策会議を開催し、オミクロン株の特性を踏まえた緊急事態宣言の基準を見直しました。
 その基準は、感染が終息傾向になく、医療提供体制の逼迫度が、重症病床使用率または酸素投与が必要な患者の割合が三〇%から四〇%になった場合、かつ社会経済活動への影響について、新規感染者の数が一週間平均で二万四千人になった場合に、緊急事態宣言の要請を検討するというものであります。
 新たな基準は、従来の緊急事態宣言の基準を大きく転換するものであり、本来であれば、都議会の災害対策連絡調整本部会議を開催し、丁寧に説明すべき事案であると思いますが、残念ながら、この手続は踏まれませんでした。
 都民の皆様からも、当初打ち出した緊急事態宣言の基準である病床使用率が五〇%を超え、緊急事態宣言を要請しなければならなくなったために、新たな基準を設けたのではないかという声が寄せられています。
 そこで、なぜこのタイミングで基準を変更したのか、また、新たな基準は、今後、新たな変異株が拡大した場合にも適用するのか、併せて都議会の災害対策連絡調整本部会議の開催を要請する必要がないと判断された武市副知事の見解を求めます。
 新たな基準では、医療提供体制の逼迫度として、重症病床使用率または酸素投与が必要な患者の割合が三〇%から四〇%と幅を持たせていますが、なぜこのような幅を持たせているのか、また、ここでいう重症病床使用率は、オミクロンに対応した数字だとのことですが、都民からは内容がよく分からないという声があります。都民に分かりやすく説明すべきであります。併せて都の見解を求めます。
 もう一つの指標である社会活動の影響を及ぼす新規感染者の数が一週間平均で二万四千人とありますが、この数字はどのような根拠に基づいた数字なのか、都の見解を求めます。
 オミクロン株については、重症化リスクが低いといわれてきましたが、徐々に重症者の数は増えてきました。その要因として、やはり高齢者については、オミクロン株といえども、重症化するということが挙げられます。現に、毎日発表される重症者のうち、従来の基準においても、新たな基準においても、八割を超える方が高齢者です。
 特に、高齢者施設でのクラスターが重症者の数を増やしています。このことを捉え、都は、重症化を防ぐため、一月二十四日より、高齢者施設への往診治療を、在宅医療を行っている医師にお願いをしています。このことが功を奏して、現在、爆発的な重症者の増加を抑え込んでいるというのが実情です。
 ただ、在宅医療を行う医師の数が限られているため、今後、高齢者施設でのクラスターが増加することを想定すれば、高齢者施設が日常的に連携をしている医師や医療機関がクラスターが発生した高齢者施設の往診治療を行っていただくことが必要となってまいります。
 医師会に協力を求め、こういった体制を整備した上で、実効性のある取組として進めていく必要があると思いますが、都の見解を求めます。
 次いで、ワクチン接種についてです。
 都は、都議会公明党の要望に応え、昨年八月、十六歳から三十九歳までの若者を対象とした若者ワクチン接種センターを渋谷区に設置しました。地元自治体では予約が埋まっていたり、受付時間帯が合わずにいた若者がワクチンの接種を求め、行列ができるほどでした。
 オミクロン株の感染拡大が続く今、若者への三回目の接種を進めるために、渋谷区での若者接種センターの課題を踏まえ、都の大規模接種会場を設置し、学生等に対しても前倒しをして接種を加速するとともに、さらに、都の大規模接種会場の対象者を拡大すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 本年一月から急激に数が増え始めた第六波の感染者は、二月二十一日現在、五十三万二千三百五人で、オミクロン株の特性を踏まえた重症者の数は二百七十一人です。
 他方、二月二十一日現在の自宅療養者と調整中の方を合計した人数は十六万三百十四人で、そのうち医療機関が健康観察できている割合は一割にも満たないのが現状です。
 現在、抗ウイルス薬として、経口薬は、メルク社のモルヌピラビルが約百六十万人分、ファイザー社のニルマトレルビルが約二百万人分確保されており、二月中には国内企業の経口薬が条件付で特例承認されるとのことです。
 これらの抗ウイルス薬が全ての感染者に使用できるようになり、高齢者や持病のある重症化リスクのある人が三回目のワクチン接種を終えたならば、新型コロナの感染症法上の分類を二類から五類に見直すべきです。五類になれば、現在参画をしていない地域の医療機関が、インフルエンザと同様に自宅療養の感染者を健康観察することができるようになります。
 課題は、分類が二類から五類になると、治療費やワクチン接種が有償となります。このことについては、国に治療費やワクチン接種の無償化の特例措置を実施するよう求めていくべきです。併せて知事の見解を求めます。
 国内企業が開発中の経口薬について、都は、宿泊療養施設等で治験に協力をしています。その結果、同国内企業は、条件付早期承認申請を行うことで、早期の実用化を目指せるようになりました。
 コロナ禍では、次々と新しい変異株が発生しており、今後も絶えず新しい治療薬が必要になってくる事態が想定されます。
 都は、現在の治験協力を拡充するとともに、次なる感染拡大にも備え、治療薬の開発に継続的に協力していく体制を整えるべきです。見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 初めに、サプライチェーン対策についてです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界各地の生産活動や物流の停滞を引き起こし、中小企業では、サプライチェーンの供給が滞ることによる部品、部材の調達に支障を来しているところも少なくありません。
 一方で、在庫を保有していたり、代替品の生産や供給が可能な企業もあるとのことで、原材料等の確保が困難な企業と効果的にマッチングできるように、専門家や業界を活用することが必要になります。
 都議会公明党は、一月十三日、小池知事に、解決に向けての相談体制や専門家の派遣や情報提供のための業界団体との連携などの対策要望を行いました。
 これを受け、都は、サプライチェーンの維持と確保を支援する事業を開始するとのことですが、具体的な支援の内容について都の説明を求めます。
 次いで、中小企業への資金繰りについて質問いたします。
 都議会公明党が推進したコロナ禍における無利子、無保証料の融資により、令和二年度の新型コロナウイルス感染症対応の融資は、これまでの実績をはるかに上回る約五兆六千億であったと聞いており、資金繰りに苦しむ多くの中小企業の支援につながったものとして、都の対応を高く評価いたします。
 一方、いまだコロナ以前に売上げが回復していない事業者も多く、都議会公明党にも返済が厳しいといった声が多数寄せられています。
 据置期間終了に伴い、令和四年度から返済が始まる事業者も増加してくることから、都としても、据置期間のさらなる延長など、もう一歩踏み込んだ支援を実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、中小企業の人材の確保と奨学金の返済負担軽減制度についてです。
 この制度は、昨年の第二回定例会において、都議会公明党が、人材不足の中小企業に若手の技術者が就職することにより、負担の重い奨学金の返済の一部を都と企業で支援する仕組みを提案したもので、三年間で最大百五十万円の支援を受けることができる制度です。
 都は、早期に制度をスタートさせるために、昨年九月に補正予算を計上し、本年二月から制度を活用する事業者の募集を始めました。
 この事業を通して、多くの中小企業が優秀な若手技術者を採用できるようになると期待していますが、そのためには、中小企業の皆さんと、これから就職をする若者たちにこの事業を知ってもらい、応募していただくことが重要です。
 そこで、都として早期に若者の募集を開始するとともに、事業の周知を積極的に行うべきと考えますが、見解を求めます。
 中小企業支援の最後に、販路開拓支援について質問します。
 コロナ禍で止まっていた中小企業の事業を活発化させていくためには、販路開拓の支援が重要となってきます。特に首都圏西部エリアの中小企業にとっては、コロナ禍で移動が制限され、販路の開拓が困難であった中小企業も少なくありません。
 そのような中、いよいよ首都圏西部エリアのものづくりの販路開拓の拠点となる東京都多摩産業交流センター、通称東京たまメッセが十月十四日に八王子市にオープンいたします。
 そこで、東京都の産業交流展を、この東京たまメッセでも開催すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、子供政策の総合的な推進について質問します。
 都議会公明党の要望に応え、都は、局相当の子供政策連携室の設置を表明しました。都議会公明党が主導して制定された東京都こども基本条例を所管し、子供政策全般の総合的な企画立案機能を果たし、子供政策を全庁的に推進する総合調整機能を子供政策連携室が発揮することを大いに期待するものであります。
 今般発表された「未来の東京」戦略 version up 二〇二二では、子供の目線からの政策展開が示されています。こども基本条例を踏まえ、子供の笑顔あふれる社会の実現のためには、あらゆる視点からの議論が必要であり、全庁挙げて施策展開すべきです。
 そこで、「未来の東京」戦略を踏まえた子供政策の総合的な推進の方向性について、知事の見解を求めます。
 また、東京都こども基本条例について、子供の意見を取り入れた普及啓発を図るとともに、区市町村においても、子供の意見表明や権利擁護の取組を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、予防のための子供の死亡検証、いわゆるチャイルド・デス・レビュー、CDRについて質問します。
 これは、予防できる死から子供を守り、安全で安心な社会を構築するために重要な取組です。
 その実施に当たっては、遺族に十分に配慮した上で、子供が死に至った状況を多面的に検証、分析することはもとより、生前に受けていた医療や養育環境など幅広い情報を得ることが必要であり、医療、保健、福祉、教育、警察など、子供と家族に関わる様々な機関の連携が求められます。
 また、非常にデリケートな個人情報を取り扱うため、情報管理にも十分に配慮しなければなりません。
 都は、第一歩となる来年度、CDRの関係機関が総合して取り組む実施体制を構築すべきです。見解を求めます。
 次に、教育施策について質問します。
 子供たちによりよい教育を提供していくためには、教員自らの資質や能力を高め、授業の質の向上に取り組めるよう、教員の業務負担を大幅に軽減していく必要があります。
 都教育委員会ではこれまでも、働き方改革の取組を進めてきましたが、特に小学校は学級担任制のため、幅広い対応が担任一人に集中し、子供一人一人に向き合う時間を取ることが難しいという現状があります。
 小学校教員の業務負担軽減を図るためには、これまで以上に担任をサポートしていく外部人材を活用していく必要があります。教育長の見解を求めます。
 次いで、日本語教育支援についてです。
 都内在住の外国人は全国で最も多く、日本語支援が必要な高校生も、平成二十年からの十年間で全国平均の二・七倍を大きく上回る四倍に増加し、全国最多の状況です。
 都議会公明党はかねてより、在京外国人入試枠設置校の拡大や、学習や生活面で生徒をサポートし、教員も支援する多文化共生スクールコーディネーターの設置を求め、日本語指導体制を推進してきました。
 国もこのたび、小中学校に続き、高校でも、特別の教育課程による日本語指導を教育課程に加える方針を決定し、令和五年度から、対象生徒がいる全ての学校で実施するとしています。
 そこで、同スクールコーディネーターの対象校を拡大し、相談体制の充実とともに、生徒と教員への支援を拡充すべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、ヤングケアラー支援についてです。
 昨年の第二回定例会の我が党の代表質問で、ヤングケアラー支援のために、教育と福祉等の連携や、ワンストップ窓口相談などを提案し、前向きな答弁を得ました。
 都が、来年度予算において、ヤングケアラーに対して、周囲の大人が気づき、適切な支援につなぐため、ユースソーシャルワーカーやスクールソーシャルワーカー等の専門性の高い人材確保など、具体的支援に踏み出したことを評価するものであります。
 しかし、国の調査によると、中高生の約八割が、ヤングケアラーについて聞いたことがないと答えており、自分がヤングケアラーであっても気づいていないケースも多く、理解を深めるためのアンケート調査を行うなど、子供の気づきを促すと同時に、社会全体の認知度を高めることが必要です。
 都と区市町村、介護、医療等の関係機関などが一体となって、ヤングケアラーを支援する体制整備に向け、こうした取組を進めるべきです。都の見解を求めます。
 また、社会の中で孤立し、誰にも相談できずに悩むヤングケアラーの支援のために、相談窓口はもとより、元ヤングケアラーを含む交流の場を地域において整備すべきです。見解を求めます。
 次いで、フリースクール支援についてです。
 都教育委員会は、我が党の要請を受けて、フリースクール等との連携を推進するため、冊子、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてを作成し、理解啓発に努めてきました。
 今後さらに、フリースクール等であれば通うことができる子供たちと保護者への支援ニーズを充実させる必要があります。
 例えば、ニーズの実態調査や授業料への支援など、フリースクール等に通う不登校児童生徒支援の取組について答弁を求めます。
 次に、ハイリー・センシティブ・チャイルド、HSCともいわれる人一倍刺激を受けやすく敏感な子供について質問します。
 ここ数年、学校現場では、教室のざわつきが苦手で学校に行けない子供がいるとか、先生が他の子供を叱っている声を怖いと思い学校に行けなくなる子供がいるなど、発達障害や病気ではなく、学校生活に困難を来すHSCの子供たちの存在が認識されるようになってきました。
 都議会公明党は、二月五日、HSCの子供たちを抱える保護者の方々や子供たちとお会いし、HSCの子供たちのことをもっと知ってほしい、校内に居場所をつくってほしいとの声を伺いました。
 誰一人取り残さない学校教育を推進するためにも、人一倍刺激を受けやすく敏感な子供たちに対する支援策を講じるべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
 都議会公明党は、子供たちの安全及び災害時の避難所運営等の観点から、学校体育館への迅速な空調設置の推進を要請してきました。
 これを受け、都教育委員会は、区市町村に対し支援を実施し、区市町村立小中学校の整備率は大幅に向上しています。
 一方、都の支援期間を三年間としてスタートした事業です。いまだ設置が完了していない自治体もあり、支援期間を延長する必要があります。
 区市町村立小中学校の体育館空調設置について、令和三年度末の設置状況と併せて答弁を求めます。
 次いで、私立高校授業料の負担軽減についてです。
 都は、二〇一七年度から、都議会公明党の強い要請を受けて、私立高校授業料の実質無償化をスタートさせました。
 こうした中、授業料の実質無償化の対象となった保護者の方でも、現状では、四月から十二月まで九か月間の授業料を一旦納入する仕組みとなっており、その負担が重くのしかかっています。
 都議会公明党は、DXを活用するなど、この課題解決に向けた取組を再三にわたり訴えてきました。
 保護者の収入確認に一定の期間が必要ですが、保護者負担軽減をするためには、期間を大幅に縮減すべきです。見解を求めます。
 次いで、受験生チャレンジ支援貸付事業についてです。
 都議会公明党は、本事業の創設から今日に至るまで、一貫してその存続と充実を求め、応援してまいりました。
 本事業は当初、返済免除の仕組みがなかったことから、平成二十年度の第二回定例会で、我が党は、意欲を持って受験に取り組んだ子供たちの姿勢が認められた場合に、返済が免除になれば大いに励みになると提案し、都は、受験で合格するなど一定の要件を満たす場合には返済を免除するという画期的な答弁を行いました。
 結果、毎年七千人から一万人超の中学生と高校生の進学の夢を手助けする事業の礎となりました。
 スタート時の平成二十年が、中高生合わせても千二百十一人の利用にとどまっていたものが、合格すれば返済免除となることを打ち出した翌二十一年度には三千六百三十二人と、一挙に三倍に利用が伸びた事実が、何よりその効果を物語っています。
 今回、小池知事が本制度の対象基準を大きく見直し、対象者と予算規模の拡大を図ったことは、長年の我が党の要望に応えるものであり、高く評価いたします。
 都として、対象者の拡大の詳細を一日も早く都民に周知するとともに、利用申請の受付を担う区市町村との連携をより一層深め、実際の利用の促進を図るべきです。
 加えて、現行制度で求めている一定要件を満たす連帯保証人についても、利用申請者や区市町村等の負担軽減につながるよう緩和すべきです。併せて知事の見解を求めます。
 次に環境施策について質問します。
 都は、高い省エネ性能を持つ住宅を普及させるため、令和元年度から東京ゼロエミ住宅基準を定め、住宅の新築時に費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しています。
 本事業は、非常に多くのニーズがあったことから、都議会公明党は、昨年の第四回定例会において、取組の継続とさらなる断熱、省エネ性能の向上につながる施策の構築を求め、都からは、基準の多段階化など住宅の環境性能を高める方策を検討していくとの答弁がありました。
 そこで、この省エネ基準に対応する支援策を講じることで、新築住宅のゼロエミッション化をさらに強力に推進していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、既存住宅でのカーボンハーフの取組についてです。
 我が党は、断熱改修への支援の創設を提言したところですが、新しい支援制度は、広く都内で活用される制度としなければなりません。
 加えて、カーボンハーフの実現には、現行の省エネ基準を満たすだけでは不十分であり、さらに高いレベルの省エネを目指す必要があります。
 そのためには、できる限り多くの区市町村に都の支援制度への参画を促し、同じ目的意識に立って取り組んでもらえるよう、都は積極的に後押しを図るべきです。
 さらに、区市町村における支援制度が整うまでの間も、都は、多くの地域で断熱改修の取組が開始されるよう工夫を凝らすべきです。併せて見解を求めます。
 次いで、太陽光発電についてです。
 都有施設の目標となる二〇三〇年に使用電力の再エネ一〇〇%化を達成するには、都内産卒FIT電力を都有施設で活用する、とちょう電力プランの実施のみにとどまらず、都自らが行う太陽光発電の設置もさらに加速化させていくことが重要です。
 都議会公明党はかねてより、都営住宅に太陽光発電を設置することを提案してきましたが、都は、都営住宅も含め、都有施設において率先して太陽光発電設備の設置を推進すべきです。
 また、都営住宅の居住者が太陽光発電設備の恩恵を実感できる取組も併せて行うべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、不妊治療の保険適用の拡大に関連して質問します。
 公明党の長年の取組により、いよいよ本年四月から不妊治療の保険適用が拡大されます。これにより、不妊治療や治療に関する相談への都民ニーズもますます高まることが見込まれますが、現在、都内でも対応できる医療機関が限られています。
 昨年の第二回定例会でも都議会公明党が指摘しましたが、都民に身近な都立、公社病院でも不妊治療の拡充に取り組むことが重要です。
 一方で、都立、公社病院で不妊治療を行う際には、生殖医療専門医などの人材や胚培養施設などの医療資源の確保等の課題があります。都立、公社病院は、七月に独法化を目指しており、柔軟な人員確保や機動的な設備投資などの独法化のメリットを生かして対応すべきです。
 地域医療を担う都立、公社病院で都民の不妊治療のニーズに的確に対応して、外来診療などを行うことが重要だと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、芸術文化施策について質問します。
 都は先日、文化に関する新年度から二〇三〇年度までの長期計画である東京文化戦略二〇三〇の案を公表しましたが、まず、この文化戦略で描く芸術文化都市東京の未来像について、知事の見解を求めます。
 この文化戦略では、アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みづくりが重要な戦略の一つとされています。中でも、都議会公明党がさきの第四回定例会でも求めたとおり、若手アーティストの育成支援についての施策を充実させていくことが特に重要です。
 例えば、若手アーティストを対象として、都が今年度開始したスタートアップ助成は、応募倍率が十倍にも上っており、拡充することが急務です。
 加えて、東京で活動する多くの若手アーティストが抱える稽古場、アトリエなどの創作環境向上の課題解決に向けた具体的な取組も早急に進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 また、地域で芸術文化の裾野を広げるために活動されている方々や団体のことも忘れてはいけません。伝統芸能をはじめ、芸術文化活動においては、公演を行う実演家と併せて一般の都民の方々向けに教室などを開き、指導に従事する方たちも、その普及や継承に大きな役割を果たしておられます。
 都は今年度、伝統芸能の体験事業への助成を立ち上げるなど、こうした方々の活動の場の拡大を図っていますが、今後、さらにこの取組を強化していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピック東京大会について質問します。
 初めに、大会経費についてです。
 史上初めて一年延期となった本大会は、コロナ禍での開催となったため、厳格なコロナ対策の下で開かれました。世界中から多くのアスリートが集い、躍動する姿は、世界の多くの人々に勇気と感動を与えました。
 その後、昨年末に組織委員会から大会経費の見通しが公表されました。
 都議会公明党はこれまでも、経費の精査と併せてコロナ禍という非常時での開催であるため、国にも応分の負担を求めるべきであり、最終的な大会経費や負担については、都民、国民の皆様に丁寧に説明し、理解を得ていくよう主張してきました。
 こうした観点から、都の大会経費に対する取組について答弁を求めます。
 次いで、パラスポーツについてです。
 都議会公明党はこれまでも、東京二〇二〇大会の感動を一過性に終わらせるのではなく、レガシーの具現化を進め、今後のパラスポーツの発展につなげていくべきと主張してきました。
 そうした観点から、都が一月に発表したTOKYOスポーツレガシービジョンでは、パラスポーツの振興を明確に掲げており、高く評価するとともに、このビジョンを基に、より一層強力な取組を求めるものです。
 大会後に都が実施した調査では、パラリンピックを通して、約三割の人が障害のある人への理解が進んだ、約六割の人が都内のバリアフリー化が進んだと回答するなど、パラリンピックは、ソフト、ハードの両面で東京に大きな変化をもたらしました。
 しかし、一方で、障害者のスポーツ実施率は、都の今年度の調査によると三五・四%にとどまっており、二〇三〇年までの目標である五〇%に向けては、より一層の着実な取組が必要です。
 スポーツは、喜びや楽しさを感じることができるほか、健康の維持増進にも寄与するものです。とりわけ障害者の方々にとって、身体機能の維持向上や他者との関わりによる豊かな日常生活の実現など、その重要性は計り知れません。
 障害のある人が、より一層スポーツに親しめるよう、都の総力を挙げて取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問します。
 我が党は、住まいの安定や住環境の改善こそ全ての福祉施策の根幹であるとして、住宅政策の充実を強く求めてまいりました。その上で、今後、都が強力に推進を図るべき住宅課題の一つが、我が党が国で創設を推進して、都で制度の改善を主導してきたセーフティーネット住宅制度、いわゆるささエール住宅の充実です。
 住宅確保要配慮者のみ入居できる専用住宅を対象とする家賃低廉化補助は、都内ではまだ五区市でしか導入されていません。さらに、その対象となる専用住宅への登録は、物件の所有者の任意であるため、最大のメリットの一つである家賃低廉化補助の適用例はまだ少ない現状にあります。
 公明党は昨年、国土交通大臣に対し、UR都市機構でのセーフティーネット住宅家賃低廉化補助の適用を要望し、国は改めて交付金対応が可能である旨を明らかにしたところです。都内には、UR以外にも、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅が区部、市部に広く立地しています。
 また、公社施行型の都民住宅も、二十年間の事業期間を経て、公社一般賃貸住宅への移行が近々完了すると聞いています。公社住宅は、今後、住宅確保要配慮者向けの性格を強めていくとしており、公社住宅を家賃低廉化補助の適用を可能とする専用住宅として活用していくことが効果的です。
 また、こうした取組が家賃低廉化補助制度の設定自治体の拡大にもつながると考えます。都の見解を求めます。
 来年度予算案では、専用住宅において、住宅設備の改善に係る費用が盛り込まれています。住宅確保要配慮者の方々の居住環境を向上させていくためには、設備の充実を図り、住まいの快適性や安全性を高めることが重要です。
 さらに、貸主の間で手持ちの物件を専用住宅にすると補助が受けられるとの認識が広まれば、専用住宅の登録促進にもつながるものと考えます。
 都は、こうした専用住宅を活用した要配慮者に対する支援を、区市町村に補助制度があるなしにかかわらず、広く都内で展開すべきであります。見解を求めます。
 次いで、都営住宅の募集についてです。
 住宅政策本部は、我が党の提案に応え、年四回に限られていた定期募集において、新たに毎月や随時の募集を開始したほか、申請手続のオンライン化も開始しており、その成果が期待されているところであります。
 その上で、都営住宅の入居募集の抽せん倍率は、少しずつ改善の傾向が見られるものの、依然として高く、一層の工夫が必要です。
 令和四年度は、毎月募集について、さらなる募集拡大と募集方法の改善に努めるべきと考えますが、これまでの経緯を含め、見解を求めます。
 また、二DKなど狭い間取りの募集では、子育て生活を予定する都民からは、応募すること自体ためらいを覚えるといった声も聞かれます。
 若年夫婦世帯向けの定期使用住宅の募集で応募者数の比較的少ない地域では、今後、三人用または四人用の間取りの住戸であっても、若年夫婦世帯が応募し、入居できるよう柔軟に対処し、子育て支援に貢献するべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、都営住宅の浴室設備への対応についてです。
 都議会公明党は、令和二年の第一回定例会の代表質問で、都営住宅の入居者が自己資金で購入した浴室設備と、都が設置した浴室設備との間の不公平な取扱いの是正を求め、都は大きく見直しを図ったところです。
 具体的には、令和二年度と三年度の二年間、住棟単位での取替えと、浴室設備が故障した世帯ごとでの取替えを、都は試行的に実施してきました。いよいよ来年度は、この試行期間の状況を踏まえ、本格的な実施を図るべきと考えます。
 まず、予算を増強し、住棟単位での更新の対象戸数の拡大を図り、加えて、故障した浴室設備の更新の対象となる住戸の要件の緩和を図るべきと考えます。併せて見解を求めます。
 次に、ストーカー対策について質問します。
 警視庁の発表によると、令和二年度中におけるストーカー規制法による警告は四百九十五件で、前年に比べ八十五件、約二〇・七%増加、禁止命令は百三十七件で、前年に比べ四十二件、約四四・二%増加しました。
 加害者が被害者の車などにGPSを取り付け、居場所を特定する行為も最近では起きていると聞いています。
 そこで、現在のストーカー対策の取組について伺うとともに、GPSを使った犯罪への対応について、警視総監の見解を求めます。
 次いで、痴漢、盗撮被害防止についてです。
 男女平等参画審議会の答申を受け、都は、東京都男女平等参画推進総合計画素案を公表しました。痴漢、盗撮被害対策についても取組を進める必要があることを明記しています。痴漢、盗撮行為は、卑劣な犯罪にほかなりません。
 警視庁の発表によると、令和二年中、都内の痴漢、盗撮の検挙件数は約千三百件で、このうち約二五%が電車で発生しています。
 電車内や駅のエスカレーターなどで痴漢、盗撮被害防止に向けた警視庁の取組について、警視総監の見解を求めます。
 最後に、都営地下鉄への女性専用車両導入について質問します。
 二〇〇三年、都議会公明党は、痴漢被害から女性を守るために、都営地下鉄に女性専用車両の導入を提案しました。そして、二〇〇五年五月、都営地下鉄では、新宿線に女性専用車両を導入いたしました。
 あれから十七年、コロナ禍で乗客数が減る中でも、都営四線の痴漢行為に関する警察への通報件数は、二〇二〇年度は二十八件、今年度も一月末時点で二十五件となっています。
 これまで、女性専用車両の導入は、相互直通運転各社との調整のほか、他の車両の混雑を生むことが課題とされてきましたが、コロナの影響により、利用者は三割程度の減となっており、今後についても、新たな経営計画案では、コロナ禍前には戻らないことが見込まれているとしています。
 こうした機を捉え、都営地下鉄における女性専用車両の拡大に取り組むべきと考えます。都の見解を求め、都議会公明党の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、高校生等への医療費助成についてのご質問でありました。
 学齢期というのは、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であります。そして、高校生の世代は、自らの判断で医療機関を受診する機会も増えるということから、自身の健康をコントロールし、改善できるよう、子供たちを支援することは重要と考えます。
 昨年四月に施行した東京都こども基本条例におきましても、社会全体で子供を育む環境を整備することといたしております。
 今般のコロナ禍におきまして、改めて健康管理の重要性が認識される中、子育てを支援する福祉施策の充実の観点からも、高校生等を対象とした医療費助成の令和五年四月の開始を目指して、区市町村の準備経費等を来年度予算案に計上をいたしました。
 今後、子供の医療費助成の実施主体である区市町村と丁寧に意見交換等を実施していく予定であります。こうした取組を通じて、乳幼児から児童生徒へと切れ目なく子供や家庭を支える東京を実現してまいります。
 次に、高速道路上の本線料金所の撤去についてのご質問であります。
 本線料金所の撤廃などにつながるETCの普及促進とともに、ICT技術を活用した現金車への対応などについて、九都県市を代表して令和二年に私自ら国土交通大臣に要望をいたしております。
 こうした取組が実を結び、高速道路会社は、料金所のETC専用化を来月から順次拡大していく予定でございます。
 ご提案のプリペイドカードの活用でございますが、現行とは通信の方式などが異なり、システムの大幅な改修が必要となりますが、現金車への対応に資する手法と考えます。
 国などは、クレジットカードがなくとも利便性を向上できるよう、今後、デポジット額を三千円に引き下げるとしております。
 都といたしましては、引き続き、国などに対しましてETCの普及促進を強く働きかけるなど、永福料金所などの本線料金所のできる限り早期の撤廃に向けて取り組んでまいります。
 感染症法上の分類見直しについてのご質問がございました。
 現在、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上、医療費が公費で負担される反面、入院勧告、就業制限措置、外出自粛要請が可能で、一類感染症、二類感染症に近い対応が取られており、感染者の全数把握による保健所、医療機関の業務逼迫や、エッセンシャルワーカーのマンパワー不足など、社会活動等への影響が大きくなっております。
 一方、感染症法上の分類につきましては、都民の命を守るという観点から、ウイルスの変異の動向も含めました科学的知見や専門家による分析のほか、ご指摘の治療薬の開発、普及、ワクチン効果の状況などを踏まえるとともに、医療費が自己負担となった場合の患者の受診への影響についても考慮する必要がございます。
 今後、都として、東京iCDC等の専門家から知見を収集していくとともに、国に対しましても科学的知見の収集と必要な対応を求めてまいります。
 次に、子供政策の総合的な推進についてでございます。
 子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、社会の宝でございます。こども基本条例を踏まえまして、全ての子供の笑顔を育むチルドレンファーストの社会を実現させていかなければなりません。
 こうした思いから、子供政策連携室を設置いたしまして、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に政策を推進する体制を構築するとともに、「未来の東京」戦略 version up 二〇二二におきまして、この体制の構築をてこといたしました子供政策の方向性をお示ししているところであります。
 昨年来、全庁的な体制で検討を進めまして、教育、福祉に限らず、まちづくりや環境など都政のあらゆる分野において、子供との対話や子供目線からの政策を盛り込んでおります。
 また、子供が抱える様々な困難に寄り添って、誰一人取り残さない視点からの子供へのサポートや、一人一人の状況に合わせた学びの環境を充実してまいります。
 さらには、こどもスマイルムーブメントを官民一体で戦略的に展開してまいります。
 庁内各局の連携によりまして、一丸となって政策を推進し、子供たちが夢と希望を持って笑顔で生き生きと活躍ができる未来の東京をつくり上げてまいります。
 次に、受験生チャレンジ支援貸付についてでございます。
 未来を担う子供たちが、家庭の経済状況などの様々な環境にかかわらず、将来への希望を持って自ら伸び、育つことができる社会をつくり上げるというのは重要であります。
 コロナ禍にありましても、より多くの子供たちが自立に向けて目指す道に挑戦できますよう、本貸付けの対象となる世帯の収入要件を緩和しまして、貸付対象の拡大を図るとともに、申請窓口となる区市町村への補助を拡充いたします。
 対象の拡大に当たりましては、区市町村等とも連携しまして広く周知を図るとともに、貸付けの際の連帯保証人の見直しを検討し、利用を希望する方や区市町村等の負担軽減を図ってまいります。
 社会の宝である子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることがないように、低所得世帯の子供たちの学びを支援してまいります。
 次に、文化戦略が描く芸術文化都市東京の未来像についてのお尋ねがございました。
 二〇四〇年代の東京は、芸術文化の力で躍動と豊かさが両立した社会となることを目指しております。
 そこでは、芸術文化の鑑賞、体験を通じまして、人々の創造力が高まり、多様性と調和が浸透をしている。
 また、芸術文化が都民の心を豊かにし、日々の生活になくてはならないものとなっている。
 そして、芸術文化に関わる人々が社会のあらゆる分野で活躍し、魅力的な作品が世界に発信されることで、東京の芸術文化都市としての注目度が高まるという好循環が生まれている。
 このような文化戦略を着実に実行し、芸術文化で躍動する都市東京の実現を目指してまいります。
 最後に、障害者のスポーツ活動についてのお尋ねでございます。
 東京二〇二〇大会におきまして、パラアスリートは、様々な違いを超えて一人一人が輝けることを示してくれました。
 パラリンピックのレガシーとして、障害のある方がスポーツにチャレンジをし、楽しむことができるスポーツフィールド東京を築き上げてまいりたい。
 そのため、都立特別支援学校の活用拡大や区市町村スポーツ施設のバリアフリー化の後押しなど、身近な地域でスポーツに親しむ場を一層拡大してまいります。
 また、新たに、バリアフリーに配慮いたしましたウオーキングコースの提案や体を動かすことの重要性の発信など、スポーツに関心のない方が気軽に始めるきっかけを提供してまいります。
 さらに、今後、味の素スタジアム内に整備をいたします東京都パラスポーツトレーニングセンターを、競技力の向上だけではなく、様々なパラスポーツの体験の場として活用してまいります。
 こうした取組を幅広く展開いたしまして、TOKYOスポーツレガシービジョンで描きました、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツを楽しみ、活躍できる共生社会を実現してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) 都議会災害対策連絡調整本部会議などについてでございますが、これまでは、特措法に基づく行動制限等の措置を伴う場合に、調整本部会議の場で都議会の皆様と情報交換等を行ってまいりました。
 今般の指標の設定は、国がオミクロン株の特性に応じた緊急事態宣言の発出基準を明確に示さない中で、臨床現場等において少しずつ明らかになってきたその特性等を専門家に評価、検証いただき、都として指標を新たに設定したものでありますが、特措法による措置には該当しないと判断したものでございます。
 今後、新たな変異株による感染が拡大した場合には改めて対応していくとともに、措置には該当しないものの、特に重要なコロナ対策案件に関しましては、調整本部会議での説明も含めて丁寧な情報提供に努め、都議会の皆様と緊密な連携を図ってまいります。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ストーカー対策の取組状況等についてでありますが、警視庁では、平素より警視庁ホームページやリーフレット等の媒体を通じ、各種相談窓口や被害防止策等について周知を図っております。
 また、ストーカーに関する相談等を受理した場合、被害者等の安全確保を最優先とした保護対策を迅速に実施するとともに、各種法令を適用した加害者の検挙や再犯防止のための取組を推進しております。
 GPSを使いました犯罪への対応につきましては、改正ストーカー規制法により、恋愛感情等に起因してGPS機器を取り付ける行為等が新たに規制対象となったことから、同種事案に適切に対応するよう努めるとともに、取締り及び被害防止の実効性を高める資器材の整備を検討しております。
 さらに、改正ストーカー規制法では規制されない悪意の感情に起因してGPS機器を取り付ける行為等にも対応するため、いわゆる迷惑防止条例の改正についても検討しております。
 警視庁といたしましては、今後とも、関係機関等と連携し、これらの事案に的確に対応することにより、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
 次に、電車や駅構内等における痴漢、盗撮被害防止に向けた取組についてでありますが、警視庁では、被害が多発する通勤通学の時間帯を中心に駅構内において警戒活動を実施しているほか、被害の相談を受理した場合には、被害防止や犯人検挙のため、警察官が被害者と電車に同乗して警戒するなどの対策を実施しております。
 また、鉄道事業者と連携したキャンペーン等の機会を通じて、痴漢被害発生時に警告等を発する機能を有する警視庁防犯アプリ、Digi Policeの活用促進や、具体的な対応策を掲載したリーフレット等の配布、各種相談窓口の案内など、広報啓発活動を実施しております。
 今後とも、鉄道事業者と連携し、痴漢、盗撮被害防止に向けた取組を強力に進めてまいります。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、小学校における外部人材の活用についてでございますが、小学校では学級担任制を取っており、学級経営に係る教員の負担が大きい状況にあるため、教員が、授業そのものや子供の理解により力を注ぐことができるよう、外部人材を積極的に活用する必要がございます。
 このため、教員の教材準備の支援などを行うスクールサポートスタッフの活用を促進してまいりました。
 来年度は、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる一年生から三年生までの各学年に、家庭への連絡文書の作成や子供の出欠確認等、学級担任の業務を補佐する支援員を配置する事業を開始いたします。
 こうした取組により、教員が子供と向き合う時間をより増やし、教育活動の充実を図ってまいります。
 次に、都立高校における外国人生徒の支援についてでございますが、都教育委員会は、令和二年度から、在京外国人生徒向けの入試を行う四校に、NPO等と連携して、多文化共生スクールコーディネーターを派遣し、外国人生徒特有の悩みや不安に応じて専門家を活用する等の支援を行っております。
 来年度からは、支援対象を、在京外国人生徒向けの入試を行う八校全校に拡大いたします。
 また、各校からの日本語学習や在留資格の悩み等、様々な相談に対して、生徒や教員への具体的な支援方法を計画し、ニーズに応じた専門家の派遣を行うなど、事業内容を強化し、相談体制の充実を図ってまいります。
 次に、フリースクール等に通う子供への支援についてでございますが、学校に通うことができない子供の支援には、フリースクール等の知見を活用し、一人一人の状況に応じた多様な教育の機会を確保することが重要でございます。
 これまで、学校とフリースクール等との協議会を継続的に開催するなど、連携を深める取組を推進してきたところでございます。
 来年度、区市町村の教育支援センターによるフリースクール等と連携した相談事業などへの支援を充実いたします。
 また、フリースクール等に通う子供たちが増加していることを踏まえ、フリースクール等に通う子供や保護者の意見等から支援ニーズを把握する調査を実施し、これに協力いただける子供や保護者を支援してまいります。
 次に、音や光等に敏感な子供への対応についてでございますが、微細な刺激に敏感であることなどが要因となって集団での活動になじめない子供には、個別のきめ細かな配慮が必要でございます。
 このように、音や光等に敏感な特性は、いわゆるハイリー・センシティブ・チャイルドと呼ばれることもございまして、学校では、保護者と連携しながら、子供の状況に応じてできるだけ刺激が軽減されるよう、教室環境への配慮や相談室等での対応を行い、気持ちに寄り添い、安心して学習が行えるよう配慮しているところでございます。
 今後、多様な理由で教室に入れない子供がいることについて、改めて学校に理解を促すとともに、学習環境を適切に整え、安心な居場所づくりに向けた取組を推進し、子供の状況に応じた学びの確保に努めてまいります。
 最後に、学校体育館等への空調設置についてでございますが、学校体育館等は、児童生徒が日常的に活動する場であるとともに、非常災害時には地域住民の避難所等としての役割を果たしますことから、熱中症の予防や防災機能の強化を図る空調設置が重要となります。
 このことから、都教育委員会は、計画的な空調設置を行う区市町村に対し、平成三十年度から今年度末までを期間とする補助事業を実施しているところでございます。今年度末の設置率は八二・二%となる見込みでありますが、一部の自治体では、感染症の影響等により、予定していた工事を見送る事例が生じているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、補助事業を延長し、来年度も区市町村の空調設置の取組を支援してまいります。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) ホームドアの整備についてでございます。
 ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 都は、令和元年九月に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえ、事業者に整備計画の策定を求めるとともに、令和二年度から補助対象駅の拡大など、支援策を拡充いたしました。
 令和三年度には、技術的な課題に対応するため、事業者との検討会を新たに設置し、検討を進めております。
 令和四年度は、新規に調査費を予算計上いたしまして、技術的な方策を取りまとめてまいります。その検討状況も踏まえながら、さらなる整備対象駅の追加など、整備計画の見直しにつきまして、事業者と個別に調整を行ってまいります。
 こうした取組を通じて、ホームドア整備のより一層の推進を働きかけてまいります。
   〔主税局長砥出欣典君登壇〕

○主税局長(砥出欣典君) 令和四年度の都税収入についてでございますが、令和三年度当初予算に比べて一一・六%の増、五兆六千三百八億円と見込んでおります。中でも、法人二税が約四千八百億円、三三・〇%増加する見通しで、都税収入の増加に大きく寄与しております。
 法人二税につきましては、令和三年度の収入実績を基に、各種経済指標等を踏まえ算出しており、今後もIT関連産業や製造業を中心に、全体として企業収益が堅調に推移するものと考えております。
 また、雇用、所得環境の改善による個人都民税の増や、税額据置措置の終了による固定資産税、都市計画税の増なども都税収入を押し上げる要因となっており、来年度、都税収入総額は三年ぶりにプラスとなると見込んだものでございます。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 基金の残高確保についてでございますが、令和三年度最終補正予算では、予算の執行過程における歳出の精査などにより、特定目的基金の残高確保へとつなげるとともに、税収増を活用し、財政調整基金への積立てを実施しました。
 また、令和四年度予算では、特定目的基金を活用し、積極的な施策展開を図る一方で、財政調整基金への積立てを行った結果、令和四年度末における基金全体の残高は約一兆円を確保しております。
 こうした取組を進める中にあっても、今後のコロナとの闘いや、安全・安心な東京の実現など、様々な課題に対応していくためには、将来にわたる財政基盤の一層の強化は重要でございます。
 そのため、中長期を見据えながら基金の積立てを含め残高確保に努めるなど、持続可能な財政運営に向けた取組を進めてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療費助成を行う区市町村への支援についてでありますが、都はこれまで、市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の基準の下で補助しており、さらなる施策の充実に向け、来年度予算案に、高校生等への医療費助成の準備経費として、区市町村のシステム改修経費等を計上しております。
 具体的な制度内容につきましては、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、制度の考え方や内容、準備経費補助の詳細や事業実施に向けた課題等について丁寧に議論を重ね、調整してまいります。
 それらを踏まえ、必要な経費や仕組みについて検討してまいります。
 次に、東京都こども基本条例を踏まえた取組についてでありますが、都は来年度、子供自身が条例の内容を理解できるよう、年齢や発達段階に応じた普及啓発リーフレットを作成いたします。その作成に当たっては、子供の権利に関わる学識経験者や広報に関して知見を持つ有識者が参加する編集検討委員会を設置し、分かりやすい内容構成やデザイン等を検討するとともに、子供の意見を取り入れてまいります。
 また、身近な区市町村において、子供の権利を尊重し擁護するための取組が進むよう、子供の意見表明や参加の促進、権利擁護に取り組む区市町村への補助を拡充いたします。
 こうした取組により、子供があらゆる場面で社会の一員として尊重され、健やかに育つ環境を整備してまいります。
 次に、チャイルド・デス・レビューについてであります。
 チャイルド・デス・レビューを確実に実施するためには、収集する情報の範囲や入手、管理の方法などについて整理した上で、子供と家庭に関わる様々な機関の連携協力体制を構築することが必要であります。
 都は来年度、医療機関、保健所、警察等に対して、子供の死亡に関する情報の取扱いの状況をヒアリングし、情報共有の可能性や手法等について意見交換をいたします。
 また、体制構築の参考とするため、国のモデル事業に取り組む自治体の実施体制や、海外の事例等について調査いたします。
 それらを踏まえまして、チャイルド・デス・レビューの実施に向け、連携体制や役割分担など、関係機関と検討を進めてまいります。
 次に、ヤングケアラーへの支援でございます。
 ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないことなどの理由から、支援が必要であっても表面化しにくい構造があります。
 ヤングケアラーを早期に把握し、必要な支援に確実につなげるため、都は来年度、有識者や区市町村、福祉、教育、介護、医療等の関係機関等で構成する検討委員会を設置し、ヤングケアラーを把握する際のポイントや、アンケートなど子供の気づきを促す方策、各関係機関の役割や連携の在り方など、毎回テーマを設定して検討してまいります。
 検討した内容はマニュアルに取りまとめて周知し、関係機関等が地域で連携して、適切な支援につなげられるよう取り組んでまいります。
 最後に、ヤングケアラーの相談支援でございます。
 ヤングケアラーを支援するためには、不安や悩みを相談しやすい場づくりも必要です。
 都は来年度から、家庭や進学等の悩みを相談できるピアサポートや、元ヤングケアラーを含む当事者が相互に交流し、経験を共有できるオンラインサロンなどを行う民間団体を支援し、気軽に相談できる環境を整備してまいります。
 また、来年度取りまとめる支援マニュアルを、区市町村の子供家庭支援センターや学校など関係機関に周知し、地域における相談体制の整備を支援してまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、医療提供体制の逼迫度を測る指標についてですが、臨床現場等で従事する専門家の意見を踏まえ、まず、重症病床使用率は、たとえ軽度の肺炎であっても、併存する他の疾患のため集中治療を要する患者が増加してきたことから、この動向を注視するため、指標として設定いたしました。
 また、感染急拡大により酸素投与が必要な方が増加すれば、その中から一定程度の重症患者が発生する可能性がございまして、その推移を把握するため、酸素投与が必要な方の割合を新たに指標としたところでございます。
 感染拡大に伴い、医療従事者の欠勤が増加した場合には、重症病床使用率等が低い水準であっても、患者の受入れ対応など、現場の状況は厳しくなります。
 こうした要素等を考慮いたしまして、新たな指標には、それぞれ幅を持たせることといたしました。
 次に、社会経済活動の影響を測る指標についてですが、オミクロン株は、デルタ株と比較して罹患率が極めて高く、新規陽性者数や濃厚接触者が急増し、多くの方々が一定期間欠勤を余儀なくされることで、社会経済活動の停滞が懸念されていたところでございます。
 都内事業者へのヒアリングから、欠勤者が三割程度生じた場合、交通機関の一部運休などが行われ、社会経済活動の継続に大きな影響が生じることが分かりました。
 こうした状況を事前に回避するため、都の就業人口の一割程度の欠勤が想定されます新規陽性者数やその濃厚接触者数を試算いたしました。
 これに基づき、七日間移動平均の新規陽性者数二万四千人を、緊急事態宣言の発出を要請する指標の一つとして設定したものでございます。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者施設の新型コロナ対策についてでございますが、今回の感染拡大では、重症化リスクの高い高齢者の施設内感染が増加をしておりまして、その対応が急務となっております。
 そのため、都は、広域的に対応可能な医療機関との連携により強化をいたしました自宅療養者等への往診体制を活用し、高齢者施設での往診を積極的に進めております。
 さらに、特別養護老人ホーム等での対策を強化するため、施設の嘱託医等による診療を促進していくとともに、東京都医師会等と連携し、地区医師会の医療支援チームの医師が入所者への往診等を行う新たな取組を開始いたします。
 今後、地区医師会や保健所等と連携し、施設と嘱託医、地域の医師等のネットワークの構築を進めながら、この事業が多くの地域や施設で早期に実施されるよう働きかけてまいります。
 続いて、若者などへのワクチン追加接種についてでございますが、感染拡大を抑えるためには、あらゆる世代へのワクチン接種が重要でありまして、とりわけ行動範囲が広く活動的な若い世代に前倒しして接種を進めていく必要がございます。
 都は、昨年八月、都の大規模接種会場におきまして、三十九歳以下の若者や大学生等、また、四十歳以上の方に順次接種を進めてまいりました。
 追加接種におきましては、若者への早期接種のため、今月下旬以降、東京都立大学の南大沢及び荒川キャンパスに都内在住、在勤、在学の若者専用会場を設置し、大学生や専修、各種学校の学生等の予約枠も設けるなど、一日当たり計二千五百回程度の接種体制を整備いたします。
 あわせて、全世代への接種を加速するため、さらなる会場の開設及び対象者の拡大を早急に検討してまいります。
 最後に、国産経口薬の治験についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対策を進める上で、患者の心身への負担が少なく、自宅での服用が可能な経口薬が迅速に開発され、十分な量が供給されることが重要でございます。
 医薬品の承認過程におきまして、候補薬の有効性、安全性を確認する治験は、新たな医薬品の開発にとって必要不可欠な手続でございます。都は、公的な役割といたしまして、宿泊療養施設など三か所を治験の実施場所として提供するなど、円滑な実施に向け支援に努めてまいりました。
 今後、宿泊療養施設等や都立、公社病院での治験協力をさらに拡充するなど、国産経口薬の迅速な審査、承認につながるよう継続的に支援してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 サプライチェーンの維持と確保についてですが、感染症の拡大が経済活動に影響を与え、中小企業において部品や原材料の確保に支障を生じる場合がある中で、事業活動を継続できるよう支援することが重要でございます。
 このため、都では、二月から経営上の相談対応を行う窓口を設け、専門家の派遣も開始いたしました。また、これに合わせて、経済団体と連携し、専門家が様々な業界を巡回するほか、商社OBなどが個別の企業を訪問し、受注と発注のニーズを掘り起こす取組を進めているところでございます。
 来年度は、こうして掘り起こした企業同士を個別にマッチングする取組に加えて、商談会も開催し、新たな受発注のルートづくりを後押ししてまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業のサプライチェーンの維持と確保をサポートしてまいります。
 次に、中小企業制度融資についてですが、コロナ禍の影響が長期化し、中小企業の経営は厳しさを増しております。都が昨年度の制度融資で実施した保証料負担のない実質無利子融資について、その返済に苦慮する事業者に対し、きめ細かな金融支援が必要となっております。
 このため、来年度は、実質無利子融資の借入れを行った中小企業に関し、新たな借換えメニューを創設し、借入額八千万円までは信用保証料の全額に補助をいたします。このメニューを利用することにより、元本の返済を据え置く期間が延びることとなります。
 また、金融機関に対しては、引き続き、事業者からの返済猶予や借入れなどの申出に柔軟に対応するよう協力要請を行います。
 こうした取組によりまして、中小企業の資金繰りを着実に下支えしてまいります。
 次に、奨学金返還の負担の軽減についてですが、都は、中小企業の人材確保に向け、建設、IT、ものづくり分野の企業が技術者として学生等を採用した場合、その奨学金返還を支援する事業を今月より開始いたしました。
 現在、事業を利用する中小企業の募集を行っており、今後は各社の魅力などをウェブサイトで紹介いたします。また、事業の認知度向上に向けて、新聞やSNSでPRを行うとともに、業界団体等を通じた情報提供を実施いたします。
 四月からは、こうした企業への就職を希望する学生や卒業生の若者の募集を行うことに合わせて、大学のキャリアセンターやハローワークなどと連携し、本事業の利用を促してまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業の人材の確保と定着を支援してまいります。
 最後に、中小企業への販路開拓支援についてでございますが、多摩地域の中小企業が直面する厳しい経営環境を克服するため、新たな販路の開拓につながる支援を適切に行うことは重要でございます。
 本年十月には、八王子に広域的な産業交流を図る拠点として、東京たま未来メッセの開業を予定しております。同メッセの開業に先立ち、都では、近隣の自治体のほか、大学や経済団体も含めた意見交換の場を設け、様々なテーマで見本市や展示会を開催できるよう準備を行っているところでございます。
 都は現在、中小企業が幅広く販路を開拓できる大規模な商談会として、東京ビッグサイトにおいて産業交流展を行っております。
 今後、東京たま未来メッセにおいても、多摩地域を中心に数多くの企業が参加する展示会を開催できるよう検討し、中小企業の販路開拓につなげてまいります。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立高校授業料の保護者負担軽減についてでございますが、就学支援金及び特別奨学金の支給早期化に向けては、DXを活用した取組が重要でございます。
 このため、都はこれまで、補助金の支給事務やシステムに係る調査、分析を行った上で、申請手続の簡素化や審査事務の効率化を実現する方策について検討してまいりました。
 来年度は、申請、審査のオンライン化や所得審査に必要な税額取得の自動化のためのシステムを構築するとともに、学校への説明や保護者への周知を行うこととしておりまして、補助金支給までの期間短縮については、令和五年度から実施できるよう、着実に取り組んでまいります。
 次に、若手アーティスト支援についてでございますが、東京の芸術文化の振興のためには、担い手となるアーティストの持続的な活動に対する支援が必要でございます。
 新たに策定する文化戦略においては、アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みをつくることとし、特に若手アーティストへの段階的な支援を掲げております。
 来年度は、活動歴三年未満の若手に定額で支援を行うスタートアップ助成におきまして、より多くの若手アーティストの活動を後押しいたします。さらに、稽古場、アトリエなどの創作環境の提供についても、具体的な検討に着手いたします。
 このような取組を通じ、若手アーティストを多様な面から支援してまいります。
 最後に、芸術文化の指導者への支援についてでございますが、東京の多彩な芸術文化は、地域の実演家、指導者により支えられており、都の伝統文化、芸能体験事業にも様々な形でご協力いただいております。
 今年度立ち上げた伝統芸能活動体験助成は、助成を受けた団体から、今まで縁のなかった人にも広げることができた、稽古を続けたいという希望者が現れたとの声が上がるなど、地域の指導者等が活動する場の拡大につながっております。
 さらに来年度は、様々なジャンルの芸術文化の担い手が参加できるイベントへの助成により、活動の場を広げてまいります。
 こうした取組を通じ、地域で指導育成に取り組む方々を引き続き支援してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新築住宅のゼロエミッション化についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、二〇五〇年の東京の姿を形づくる新築建築物の環境性能の向上が重要であり、都はこれまで、東京ゼロエミ住宅基準を定め、支援を行ってまいりました。
 来年度は、新築住宅のゼロエミ化をさらに促進するため、より高い断熱性能や国内最高レベルの省エネ性能等を備えた水準を追加するなど、東京ゼロエミ住宅基準を三段階にし、それぞれの段階に応じた支援を講じるとともに、助成対象件数を大幅に拡充いたします。
 加えて、エネルギーの地産地消に資する太陽光発電設備等に対しても助成単価を増額するなど、積極的な設置を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、新築建築物の環境性能の向上をさらに加速させ、家庭部門のCO2削減に取り組んでまいります。
 次に、太陽光発電設備の率先導入等についてでございますが、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、都自身が隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギーの導入等の取組を一層強化していくことが重要でございます。
 このため、都は、太陽光発電設備について、知事部局等の都有施設における二〇二四年度までの設置目標を一万二千キロワットから二万キロワットへ大幅に引き上げ、設置を加速させてまいります。
 また、都営住宅におきましては、来年度、まずは約百棟に設置を進め、その際には、発電した電力を停電時に居住者等が使用できるよう、非常用コンセントを共用部に整備いたします。
 こうした都有施設への太陽光発電設備の率先的な設置によりまして、都内での再エネ導入拡大を牽引してまいります。
   〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、既存住宅の省エネ改修支援についてでございますが、住宅の脱炭素化に向けた改修を効果的に促進するためには、市区町村と連携した取組の推進が重要でございます。
 そこで、来年度から、既存住宅の省エネ診断や、省エネ基準適合レベル以上に引き上げる断熱改修工事等に対する補助事業を立ち上げる市区町村への支援を開始いたします。
 当面の間、市区町村の補助事業における都の補助率を上乗せし、住宅所有者の負担を軽減することにより、早期事業化を促進してまいります。
 また、市区町村の実施体制が整うまでの間、都内の全ての地域で補助が受けられるよう、都が直接補助を行う事業も実施いたします。
 こうした取組により、既存住宅の省エネ性能向上を促進し、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
 次に、専用住宅における公社住宅の活用についてでございますが、公社住宅は重層的な住宅セーフティーネット機能の一翼を担っており、その機能の一層の強化が必要でございます。
 公社は、これまで高齢者や子育て世帯等への優先入居や家賃軽減のほか、昨年、長くお住まいの高齢者世帯を対象に、低廉な家賃の住宅への住み替え支援を開始いたしました。
 新たな住宅マスタープラン案では、公社住宅について、住宅確保要配慮者向けの性格を重視するとともに、ストックを有効活用していくこととしておりまして、今後、専用住宅としての活用について、空き状況や地元自治体の意向を踏まえながら検討してまいります。
 都といたしましても、こうした取組と併せて専用住宅の家賃低廉化補助の実施を市区等に一層働きかけてまいります。
 次に、専用住宅を活用した住宅確保要配慮者への支援についてでございますが、要配慮者の居住の安定確保に向け、要配慮者のみ入居できる専用住宅の登録を着実に進めるとともに、居住支援の充実を図ることは重要でございます。
 このため、新たに専用住宅に登録される民間賃貸住宅を対象に、段差解消などのバリアフリー改修に加えまして、高齢者等のヒートショックを防止する設備のほか、モニター付インターホンなどの防犯設備やインターネット接続機器の設置など、住宅設備の改善を後押しするよう、来年度から都単独補助を都内全域で開始してまいります。
 こうした取組により、専用住宅への登録を促進しながら、要配慮者の居住環境の向上を図ってまいります。
 次に、都営住宅の毎月募集についてでございますが、都民の居住の安定を確保するため、住宅に困窮する子育て世帯等の入居機会の拡大を図ることが重要でございます。
 そこで、都は、子育て世帯等を対象に毎月募集を実施しており、現在、コロナ禍を踏まえ、臨時的に一般世帯も対象にしております。本年二月からは、オンラインでの受付も可能といたしました。
 さらに、本年四月から募集戸数を月百二十戸から二百戸、年間二千四百戸にし、この中で子育て世帯等の専用枠を増やします。一般世帯も引き続き対象とするとともに、拡大を図り、入居機会を一層広げます。
 今後、高齢者や障害者等の単身者も対象とするなど、毎月募集のさらなる拡充に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅における若年夫婦世帯向けの募集方法の改善についてでございますが、若年夫婦、子育て世帯向けの定期使用住宅の募集では、多人数世帯用の比較的広い住戸の応募倍率が低い傾向にあり、一倍を切る住戸もございます。
 そこで、定期使用住宅の募集におきまして、一倍を切った住戸は、その後の募集で世帯人数の条件を緩和し、若年夫婦など少人数の世帯でも、将来の家族の増加なども考慮して、より広い住戸を選択し応募できるようにいたします。
 こうした取組により、入居を希望する若年夫婦世帯等のニーズに即した募集方法に改善し、支援してまいります。
 最後に、都営住宅における浴室設備の更新についてでございますが、住戸を適切に維持管理するためには、居住者が設置した浴室設備も都が更新していくことが必要でございます。
 住棟ごとに更新する基本枠につきましては、昨年度の応募実績を踏まえまして、今年度は予定戸数と選定住棟数を拡大いたしました。また、故障した浴室設備につきましては、居住者の要望に応え、今年度は、居住年数要件から年齢要件に変更いたしました。
 令和四年度からは、基本枠の予定戸数を千五百五十戸から二千六百戸にさらに増やし、住棟選定数も拡大して実施いたします。
 また、故障した浴室設備につきましては、対象の全居住者が応募できるよう、年齢要件をなくして実施いたします。
 今後は、こうした本格的な取組を進め、浴室設備の更新を着実に実施してまいります。
   〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 都立、公社病院での不妊治療についてでありますが、都民のニーズの高い治療に都立、公社病院が取り組んでいくことは重要でございます。
 都立、公社病院は、これまで主に保険適用の診療に取り組んできており、本年四月からは患者支援センターで不妊治療の相談を開始し、不妊治療を希望する患者の悩みや不安に対応してまいります。
 一方、体外受精や顕微授精など新たに保険適用となる不妊治療を実施するには、専門医などの人材確保や専用設備の整備が課題でございます。
 このため、独法化を見据え本部内にPTを設置し、都立、公社病院が不妊治療において果たすべき役割などを検討するとともに、独法化のメリットも最大限生かしながら、不妊治療に対する都民の期待に応えてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 大会経費についてでございますが、組織委員会、東京都、国の三者は、平成二十九年の大枠の合意や、大会延期後の追加経費負担の合意に基づいて、毎年度、経費を精査し、総額と内訳を公表してまいりました。
 また、執行に当たりましては、共同実施事業管理委員会において、コスト管理と執行統制の強化等を図ってまいりました。
 今回、三者は、こうしたこれまでの経緯と、観客数の取扱いなどV5予算以降の後発事象を共有した上で、役割分担を踏まえた対応を図ることに合意いたしました。
 その中で、国は、関連するパラリンピック経費とコロナ対策経費を新たに支出することとしております。
 今回の三者合意によりまして、新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなりました。引き続き、経費精査を行い、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
   〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄での女性専用車両拡大に関するご質問にお答えいたします。
 交通局では、お客様により安心してご利用いただけるよう、平成十七年から新宿線におきまして朝のラッシュ時間帯に女性専用車両を導入してまいりました。他の路線につきましては、現在、相互直通運転を行っている事業者間で対応が異なっていることや、導入により他の車両が混雑するなどの課題がございます。
 一方、このたび策定いたします経営計画二〇二二では、都営地下鉄の乗客数は今後もコロナ禍前と比べまして一五%程度の減少が続き、旅客動向の変化が生じるものと見込んでおります。
 こうした状況を踏まえ、女性専用車両の導入拡大につきまして、朝のラッシュ時間帯の利用状況等を勘案しながら検討してまいります。
 今後とも、女性や子供、障害者をはじめ、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりに取り組んでまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後七時五十八分休憩

   午後八時二十分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十二番米倉春奈さん
   〔八十二番米倉春奈君登壇〕

○八十二番(米倉春奈君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、都立、公社病院の独立行政法人化の問題です。
 新型コロナ感染第六波さなかの今定例会に、知事は、都立病院条例の廃止条例など、あくまで七月一日に独法化を強行する議案七件を提出しました。新年度予算案も、都立・公社病院の予算は六月までしか組まれていません。断じて許されません。
 しかも、知事は、都政に臨む基本姿勢を表明する開会日の施政方針で、独法化の問題に一言も触れませんでした。
 知事、重要な案件ではない、説明するほどの問題ではないと考えているのですか。丁寧に説明するといってきたのはうそだったのですか。話題になるのを避けたいんですか。実際は、説明する言葉がない、説明できないのではありませんか。知事の答弁を求めます。
 都庁前や都内各地で独法化中止を求める行動が行われ、これまでに三十万筆を超える署名が提出されています。
 三つの障害者団体が連名で、都立病院条例廃止の中止を求める要望書を都議会の全会派に提出しました。いても立ってもいられず要望書を提出した、独法後に行政的医療が確実に継続される保証はない、都立、公社病院は障害者の命のとりでだと訴えています。
 都立大塚病院で出産した方は、重いつわりで夜に動けなくなり、近所の大学病院に電話したけれど次々断られ、最後に受け入れてくれたのが大塚病院、重い症状で即入院となったが、無事に出産できた、経営よりも、安心してかかれる今の都立病院を大事にしてほしいと話しています。
 知事、こうした声に耳を傾ける気はないのですか。都民の理解と納得が得られていないことをどう考えているのですか。
 都立、公社病院は、都民の命を守る重要な役割を果たしています。厚生労働省の資料で、都立、公社病院のコロナ病床確保数は、全国約二千三百病院中、何と一位から十一位を占めています。
 都立、公社病院では、なぜこのように全国で最も積極的、柔軟にコロナ病床を確保し、コロナ患者を受け入れることができたのですか。知事は、なぜ都立病院条例を廃止するのですか。独法化しても都立病院であることに変わりはないといってきたのですから、都立病院条例を廃止する必要などないのではありませんか。
 知事は、行政的医療を将来にわたって提供するために独法化すると説明してきました。しかし、地方独立行政法人法は、三年から五年ごとに業務の継続の必要性などを検討し、廃止を含めた措置を講ずるものと規定しています。継続の必要性を検討する業務の対象には、行政的医療も含まれるのではありませんか。
 都立、公社病院の現場の医師、看護師など職員は、この二年間、コロナ対応に忙殺されています。職員の合意、納得も得られていません。
 今年に入り、独法化後の給与や待遇の説明を、それぞれの病院で何回行いましたか。対象となるのは何人で、そのうち直接説明を受けたのは何人ですか。
 独法化に伴い、病院の現場の職員約七千人が、全体の奉仕者である公務員の立場を奪われます。知事は、コロナ禍で、昼夜を分かたず奮闘されている医療従事者への深い感謝を表明しました。そうであるなら、都立病院の職員に、コロナ禍の今、公務員の立場を奪う仕打ちをすべきではありません。知事、いかがですか。
 地方独立行政法人法の衆参両院の附帯決議では、独法への移行に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体と十分な意思疎通を行うこと、政府が必要な助言を行うことを定めています。コロナ禍で、十分な意思疎通などできていないことは明らかです。附帯決議違反を承知の上で、知事はあくまで強行するのですか。
 都立、公社病院の独法化は、医療費や公共サービスを削減する、自民党政権による新自由主義政策の具体化にほかなりません。
 知事が、新年度予算案に、政府の地域医療構想の方針に沿い、消費税を財源にして、都内の医療機関の病床を削減する病床機能再編支援事業一億六千万円を計上したことも重大です。
 コロナ禍の昨年実施された都民生活に関する世論調査で、都に対し特に力を入れてほしいことで最も多かったのは医療衛生対策でした。その中の一位が安心できる医療の確保、二位が医療施設の整備です。この調査結果をどう受け止めますか。この都民の要望に真っすぐに応えることが必要です。知事の答弁を求めます。
 私は、議場の全ての会派、議員の皆さんに呼びかけます。
 我が党は、都立、公社病院の独法化に反対ですが、独法化に対する意見の違いはいろいろあるでしょう。しかし、どこからどう考えても、コロナ禍の第六波さなかの今、やるべきことではありません。昨年の第三回定例会で、独立行政法人の定款に賛成された会派の皆さんも含めて、今は立ち止まることを心から訴えるものです。
 次に、新型コロナ対策です。
 岸田政権の対策の遅れは目に余ります。同時に、小池知事の施政方針も危機感が乏しいものでした。
 知事は、オミクロン株に対して、先手先手の対策を講じてきた、効果は着実に現われていますといいました。しかし、オミクロン株への対策は後手後手で、都民生活や医療、保健所、介護施設、学校、保育園などの現場の実態は極めて深刻です。重症者や亡くなる方が急増しています。症状のある方でも検査を迅速に受けるのが難しい事態が広がり、三回目のワクチン接種も遅れています。
 知事は、こうした現状をどう認識しているのですか。コロナ危機始まって以来、最も深刻になっているという認識の下に対策を講じる必要があります。いかがですか。
 都の説明では、都内で一日当たり最大十三万件の検査を行えるはずです。ところが、一日当たりの検査数は、一月第四週の約六万件をピークに減少し、二月第二週は約五万件にすぎません。
 都のモニタリング会議は、無症状や軽症で検査未実施の感染者が多数潜在している状況が危惧されると繰り返し指摘しています。
 知事、検査数が少な過ぎると思いませんか。検査能力を十分活用できていない原因を明らかにし、必要な方が迅速に検査を受けられるようすることを求めます。いかがですか。
 厚生労働省は昨年末、検査一件当たりの診療報酬を大幅に引き下げました。検査をすればするほど赤字になるという切実な声が医療機関から寄せられています。
 神奈川県海老名市は、医療機関が行うPCR検査一件当たり五千円の補助を行うと発表しました。都も検査への補助を実施すべきです。答弁を求めます。
 オミクロン株により、子供への感染から家庭内感染が広がっています。学校や保育園での定期的検査が始まったのは重要ですが、職員だけでなく、子供たちも検査の対象にすべきではありませんか。
 高齢者施設で感染して亡くなる方が増えています。潜伏期間が短いオミクロン株の特性を踏まえ、施設でのPCR検査を現在の週一回から二回に増やすことを求めますが、いかがですか。
 また、高齢者施設の入所者と職員等へのワクチンの三回目接種を急ぐことが必要です。都はどう対応するのですか。
 都が打ち出した自分で健康観察というのは、医療的には放置といわざるを得ません。自宅にいる陽性者への支援の強化が急務です。保健所やフォローアップセンター、食料配布などのさらなる体制強化を早急に進めることを求めますが、いかがですか。
 保健所の増設と体制強化もいよいよ急がれます。稲城市長は、参議院行政監視委員会に参考人として出席し、保健所体制について、いかに脆弱だったかが今回分かった、感染症対策が重要でないという中で減らされてきた、元の数に戻してほしいというのが一つの大きな要望だと述べました。知事、この国会での発言をどう受け止めますか。
 昨年の知事と市町村長との意見交換でも、一昨年に続き、多摩の自治体から保健所の増設や体制強化を求める意見が次々出されています。今こそ、保健所の増設を決断すべきです。いかがですか。
 コロナ禍で、都民の暮らしと営業は深刻です。都庁前や東池袋で行われている食料などの支援には、女性や若者を含め、毎回五百人前後の人が並んでいます。貧困の底が抜けたような感じだといわれています。
 一方で、IT企業や大手製造業などは業績好調で、新年度予算案の法人二税など都税収入は、今年度比五千八百五十八億円、一一・六%も増え、驚くことに史上最高水準です。
 貧しい者はさらに貧しく、富める者はさらに豊かにという、東京と日本社会における格差と貧困拡大の実態が浮き彫りになっていると思いますが、知事の認識を伺います。
 また、知事は、段差の解消という言葉を使いますが、格差の解消といいません。なぜですか。都として、格差と貧困の是正に取り組むことが必要です。知事の答弁を求めます。
 税収増を背景に、一般会計の予算規模は過去最高です。地方自治法は、住民福祉の増進が自治体の基本的役割だとしています。この税収増を、コロナ対策とともに、都民の暮らし、営業を守る給付や支援に思い切って使うべきです。知事いかがですか。
 食料支援などに取り組んでいる反貧困ネットワークによると、相談者の八割は住まいを失っているそうです。支援団体は、住まいの確保を特別に重視しています。住宅は生活の基盤だからです。知事は、格差、貧困対策における住宅支援の重要性をどう認識していますか。
 全ての都民に、適切な環境と広さがあり、安価な住宅に住むことができる権利を保障すること、とりわけ、住まいを失った人、失いかねない人に対し、急いで支援を行うことが必要です。答弁を求めます。
 住宅の困窮が広がっているのに、都営住宅は少な過ぎます。倍率が高く、入りたくても入れない状況は改善されていません。にもかかわらず、都営住宅の新規建設は、新年度予算案も含め、二十三年間ゼロです。
 都も、都営住宅のセーフティーネットとしての重要な役割を認めています。住宅に困っている人を支援するため、都営住宅を増やすべきです。見解を伺います。
 都営住宅に入りたいという若者が増えています。神奈川県横須賀市の市営浦賀団地は、築年数が古くエレベーターの設置が遅れているため、四階、五階の空き家が目立ちました。そのため、二〇一六年に住宅供給公社と神奈川県立保健福祉大学が連携協定を結び、学生が入居し、地域の活性化をサポートする取組が始まっています。
 都営住宅は、入居者の高齢化で自治会活動などへの参加ができない人が増えています。都営住宅のコミュニティの維持、再生のためにも、単身の青年、学生を入居対象とすべきです。検討を求めますが、いかがですか。
 高齢者や非正規の若者など所得の少ない人が多く加入している国民健康保険の保険料、保険税の負担軽減も切実です。ところが、先日東京都が示した試算では、区市町村が独自の負担軽減を行っていないとした場合、来年度の一人当たりの国保料、国保税は六・二%、約一万円も引き上げられます。
 特別区長会、市長会、町村会は、都に対し緊急要望を提出し、国に財政支援を求めるとともに、国民健康保険財政の責任主体として、東京都独自に必要な財源を講じるよう求めています。私の地元豊島区議会でも同じ内容の意見書が採択されました。
 都の国保運営協議会では、被保険者代表の複数の委員から、値上げについては非常に憤っている、年金は下がり税金が上がり、被保険者としては非常に困るなどの発言が出されています。こうした要望、意見を受け止めて応えるべきです。いかがですか。
 子供の医療費助成を十八歳まで広げるよう、我が党は繰り返し求めてきました。知事が新年度予算案で準備経費を計上したことは重要です。
 知事は、なぜ十八歳まで広げる必要があると思ったのですか。また、対象拡大による効果をどう考えていますか。
 早期に都内全ての区市町村でスタートすることが大切です。新たな多摩格差、地域間格差を生まないためには、区市町村の負担が重くならないようにすること、財源を都の責任で確保することが重要です。補助率を二分の一より高くするなどの対応を求めますが、いかがですか。
 子供の権利を守る都の児童相談所を多摩地域に増設する調査予算が、新年度予算案に盛り込まれたことも重要です。政令では、児童相談所の管轄人口は、おおむね五十万人以下とされています。多摩地域の人口は約四百二十万人です。現在の四か所を倍増させることが必要です。認識と対応を伺います。
 ひとり親家庭の暮らしは、長引くコロナ禍でとりわけ深刻です。都は、昨年度、食料などの支援をしましたが、残念ながら一回限りでした。様々な団体がフードバンクなどに取り組んでいます。本来なら行政が実施しなければならないことです。都として、ひとり親家庭への現金給付や再度の食料支援を行うことが必要です。いかがですか。
 格差、貧困の是正には、雇用、就労政策の拡充も求められます。コロナ禍で、就労環境は厳しい状況が続いています。非正規労働者の解雇、雇い止めが広がり、女性が男性に比べ不安定な就労状況に置かれていることも浮き彫りになっています。女性の賃金は、常用雇用でも男性の僅か四分の三、管理職の多くが男性、働く実態は女性に不利な状況が続いています。
 都は、男女平等参画推進総合計画改定の素案を踏まえ、改善にどう取り組むのですか。
 自治体が契約する公共工事や委託業務の適正な労働条件を確保し、最低賃金を引き上げる公契約条例は、千葉県野田市に始まり、全国二十五自治体、都内でも十一区市に広がっています。賃金条項を持つ公契約条例を実現すれば、都道府県初となり、全国に大きな影響を与えます。
 労働条件の改善、賃金引上げにつながるだけでなく、ダンピング防止による事業者の経営の安定、公共サービスの充実、ひいては住民生活の向上につながる公契約条例の実現に向け、都として踏み出すべきです。
 知事は、二〇二〇年の第四回定例会で我が党の代表質問に、公契約条例については整理、検討する課題があると答弁しました。その後、課題の整理、検討はどのように進んだのですか。
 経済政策で新年度予算案の最重点は、投資家への支援など国際金融都市の実現、海外企業の誘致です。一方、中小企業、小規模事業者をコロナ禍から守る固定費補助などの新たな支援策は見るべきものがありません。
 知事、これでは、富める者をさらに豊かにする政策ではありませんか。経済政策の転換が必要ではありませんか。
 東京の経済の八割を担い、地域社会を活性化させ、雇用の場を創出し、都民の暮らしや地域経済を支える役割を果たしている中小企業、小規模事業への支援に、都の振興条例に基づき正面から取り組むべきです。知事いかがですか。
 コロナ禍で海外から資材が入らず、建設業や町工場に大きな影響が出ています。ねじやボルト、窓サッシなど多くのものが不足し、家一軒建てるのも難しくなっています。資材の生産拠点を海外に移転し依存してきたことの弊害が、コロナ禍で浮き彫りになりました。
 資材の国内自給率を高めることが、危機に強い経済をつくります。そのためにも、国内、都内で資材を生産する中小製造業を守り、発展させていくことが重要です。認識を伺います。
 お話を伺った豊島区内のクリーニング店では、コロナ禍でリモートワークが増えたためワイシャツなどの仕事が減り、原油高騰や消費税もあり、従業員を減らさざるを得ない、融資を借りても返済の見通しがない、直接の支援が欲しいとおっしゃっていました。多くの事業者が、コロナ、原油高騰、消費税で苦しんでいます。家賃、人件費などの固定費補助を、都として実施すべきではありませんか。
 国の事業復活支援金は、対象が売上高三〇%以上減少した事業者です。都として、上乗せ、横出しを実施すべきではありませんか。
 また、事前確認の提出物が多いなどハードルが高いとの声が寄せられています。国に改善を求めるとともに、都として、手続の支援をすべきです。いかがですか。
 まちのお風呂屋さん、公衆浴場も苦しんでいます。一昨年の緊急事態宣言で利用者が激減し、今も戻らず、厳しい経営を強いられています。さらに原油高騰でガス代が上がり大変だと、切実な声を伺いました。日常生活になくてはならない公衆浴場への都の支援を強化すべきです。いかがですか。
 公衆浴場は、都民の入浴機会の確保とともに、健康づくりや高齢者の見守り、地域住民のコミュニケーションの場として大きな役割を果たしています。文化的、歴史的にも価値があり、銭湯を巡るファンをはじめ、都民の癒やしと楽しみの場にもなっています。
 知事は、公衆浴場の役割をどう考えていますか。そして、どのように銭湯の魅力を引き出し、活性化を進めていくのですか。答弁を求めます。
 教育条件整備について質問します。
 まず、少人数学級です。
 都教委は、オミクロン株の感染が子供たちに広がる中、クラスを二つに分けて分散登校を行い、午前と午後に対面授業とオンライン授業を入れ替えるなど、ハイブリッド授業を推奨しています。
 一方で、オンラインでは、子供の反応が分かりにくく、きめ細かい対応ができない、対面授業とは授業の定着度が全然違うなどの声が現場から寄せられています。
 知事は、施政方針で、誰一人取り残さないとの強い思いの下、あらゆる子供たちの健やかな成長を全力でサポートすると述べましたが、学校での学びの継続が、かつてなく厳しい状況に置かれていることをどう認識していますか。
 コロナ禍でもなるべく登校して対面の授業を受けることができて、友達とも交流できる教育条件の整備が必要です。
 小中学校の全クラスで少人数学級を実施している鳥取県の教育長は、二〇二〇年の一斉休校の後、学級の中が密でない状態で授業ができたため早期に学校が再開できたとして、コロナ禍では、この少人数学級がうまく機能していたように思うと述べています。この発言をどう受け止めますか。
 東京都でも少人数学級を前倒しで進めれば、感染の波のたびに分散登校などの応急的対応を繰り返す必要がなくなるのではありませんか。
 次に、心配や反対の声が広がっている英語スピーキングテストの問題です。
 都教委は、来年からテストの結果を都立高校入試に活用する方針です。今年度は、公立中学校など五百九十二校、約六万四千人がプレテストを受けました。このスピーキングテストは、問題の作成から試験監督、採点まで、全て都教委と協定を結んだ株式会社ベネッセコーポレーションが行います。
 これに対し、専門家や英語教員、保護者などから、家庭用教材を販売するベネッセの利益のために利用されないか、個人情報の漏えいが心配、採点を国外で行う予定だが公平性、透明性が確保できるのか、生徒が英語力を身につけることにはつながらない、吃音や聴覚障害を持つ生徒への対応など、多くの問題点や懸念が表明されています。
 昨年十二月には、英語教育の関係者が都庁で記者会見し、導入中止を訴えました。都民の合意があるとはとてもいえません。保護者や関係者などからの指摘や声をどう考えていますか。
 大学入試共通テストでも、ベネッセの子会社が記述式問題の採点を請け負っていました。しかし、文科省の検討会議は、採点事業者に知り得た情報を漏らしたり目的外使用したりすることを禁じ、違反した場合の損害賠償の契約を結んでもなお機密漏えいやグループ企業間での利益相反の懸念が指摘されたとする報告書をまとめ、これを理由の一つとして記述式問題の導入は中止されました。
 都教委は、ベネッセと協定を結んでいることを理由に利益相反などの問題は起こり得ないと説明していますが、基本的問題は、文科省検討会議が懸念を指摘し、採点の契約が中止された大学共通テストと同じです。きっぱり中止を決断すべきです。答弁を求めます。
 都立高校の校則について、都教委は、昨年四月、適宜見直しを行う必要があるとして、都立高校宛てに自己点検と計画的な校則見直しの通知を出しました。
 これは、子供の人権を尊重してほしいと願う多くの生徒や学校関係者が声を上げてきた成果であり、我が党もよりよい解決方法を求めてきました。通知を出した経緯と目的、どのような視点で見直しを求めたのか、お答えください。また、各学校が昨年十二月までに行った点検及び見直しの結果についても伺います。
 校則の見直しをきっかけに、各校で生徒も教員も当事者として議論が進むことを期待します。その際、生徒一人一人が話合いに参加することが重要です。今後も継続的に取り組むことを求めます。いかがですか。
 日本若者協議会と#みんなの生理の二団体が、学校での生理休暇の導入についてのアンケート調査を行いました。その結果、九割以上の生徒、学生が、生理によって学校、授業、部活、体育を休みたいと思ったことがあると答えています。ところが、そのうち七割が休むのを我慢していることが分かりました。
 その理由は、成績や内申点に悪影響が出ると思ったが最も多く、休めなかった結果、九割以上が体調が悪化した、授業などに集中できなかった、我慢して倒れた、学校で吐いたなど、大変だった経験をしています。
 一方で、授業や部活を休んだことで困ったこととしては、欠席扱いにされたことで成績や内申点が下げられたという回答が多く挙げられました。知事は、こうした実態をどう思いますか。労働者には生理休暇がありますが、中高生にはありません。しかし、中高生の生理痛が大人より軽いわけではありません。
 調査に取り組んだ皆さんは、国や都に対し、学校での生理休暇の導入などを求めています。女性の性に関わる健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツの尊重を求めるムーブメントとして大事な提起ですが、知事の認識を伺います。
 私たちは、高校生から直接話を聞きました。学校のプールを一日休むと、プールを泳いで十往復しなければならない、生理が重くておなかが痛いのに、泣きながらプールの授業に出る子もいたなどの声が寄せられました。こうしたことは改めるべきですが、いかがですか。
 学校での生理休暇や生理中の体育の対応についてガイドラインをつくる必要があります。都は、どう対応するのですか。その際、現場の実態を調査し、こども基本条例の立場で児童生徒の声を聞きながら検討することが大切です。いかがですか。
 生理は女子生徒だけの問題ではありません。児童生徒や教員に包括的性教育を行う必要があります。見解を求めます。
 東京都パートナーシップ宣誓制度の素案が今定例会に示されました。昨年の第二回定例会で、パートナーシップ制度創設を求める請願が全会一致で趣旨採択されたことをはじめとした都民の粘り強い努力が実ろうとしています。
 セクシュアルマイノリティーのカップルだということを隠して部屋を借りざるを得ない、いろいろ詮索されるため子供の存在を隠している、子供たち自身も親のことは話せない、愛する家族と暮らすことにこんな困難があるということは一日も早く解決しなければいけないことです。
 知事は、パートナーシップ制度を、今実現する意義についてどのように考えていますか。パートナーシップ制度構築の中で、子供の権利をどのように保障する考えですか。
 東京都こども基本条例の前文では、全ての子供が誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならないと定めています。こうしたことに照らして、子供たちの権利を守ることを強く求めます。
 次に、学生、若者への支援です。
 コロナ禍が長引き、大学生はこの二年間、授業の多くがオンラインで、サークル活動もできない中で孤立しています。私たちも学生から、話せる相手がいない、授業の取り方や進路について先輩と交流し情報を得ることもできない、やる気が出ず授業に全く出られない時期があったという声を聞いてきました。
 知事は、コロナ禍での学生の困窮や精神的な負担や不調が増えていることなどの実態をどう認識していますか。現状が改善されないままでは、この世代の学生、若者に将来にわたる影響をもたらすと知事は思いませんか。
 東京大学の学生生活実態調査でも、強い不安に襲われた、無気力状態になったなどの心の悩みが、コロナ前と比べ一〇ポイントも増える一方で、悩みを大学内のサークルや団体の友人に相談する人が減っています。学生の苦しさが現われています。都としても、こうした都内の学生の生活や状況を調査すべきではありませんか。
 対面の交流がないことが、学生を精神的に追い詰める要因となっています。都として、学内に対面で交流できる場やコミュニティをつくるための支援をコロナ対策として取り組むことが重要ですが、いかがですか。大学の感染症対策を支援し、安心して対面授業を実施できるよう支援すべきではありませんか。
 コロナ禍で深刻になった学生の困窮は、いまだに改善していません。来年度、過去最高水準の税収となる都の予算で、学生と若者に緊急給付を行うべきです。また、国に対しても、給付の支援を求めるべきです。いかがですか。
 東京都には、学生や若者への支援を所管する組織がありません。各局が適切に対応しているといいますが、総合的な企画調整を担う組織もありません。
 我が党は繰り返し提案してきましたが、重要で切実な問題です。知事は、今回の組織再編に当たり、どう検討したのですか。学生や若者の専管組織をつくるべきです。答弁を求めます。
 気候危機対策の都の新年度予算案は、前年度の三倍になりました。我が党が求めてきた二〇三〇年カーボンハーフのための部門別削減目標の具体化、既存都営住宅をはじめ、都有施設への太陽光発電設置などは重要です。知事は、施政方針で、国際的な脱炭素化の潮流をリードすると表明しましたが、国際社会の脱炭素の最大の焦点は石炭火力発電の廃止です。
 知事は、本気度が試される一年とも述べましたが、その本気度が問われます。東京電力の大株主である東京都の責任者として、東電に石炭火力発電からの撤退を強く働きかけることが重要です。いかがですか。
 水素バス、水素ステーションへの支援など、水素エネルギーの普及拡大に多くの予算が割かれています。しかし、水素利用の現状は化石燃料由来がほとんどであり、二〇三〇年カーボンハーフの実現には、ほとんど役立たないことを知事は認識しているのですか。
 大型車両の電気自動車の技術開発や社会実装も日進月歩で進んでいます。関東近県を見ても、来年度予算案で、水素や、特定の企業しか技術を持たず社会への定着が疑問視される水素車両に、東京都のように巨額の予算をつぎ込んでいる自治体はありません。確実に省エネ、脱炭素につながる対策は幾つもあり、その抜本的な拡充が求められる中、今、優先されることではありません。水素エネルギーへの偏重を改めるべきです。知事いかがですか。
 東京の主たるCO2発生要因の一つである住宅のゼロエミ化の施策、予算が拡充されたことは重要ですが、まだ多くの課題が残されています。中でも、都営住宅を建て替える際の断熱性能は従来基準のままです。
 国は、新年度予算案で、公的賃貸住宅の取組支援として、新築はゼロエネルギーハウスの水準を原則化し、その整備を支援するとしています。このチャンスも生かして、建て替える都営住宅の断熱性能基準をふさわしく引き上げるべきです。いかがですか。
 私たちは、フライデー・フォー・フューチャーの若者たちに都政に期待することを聞きました。若者たちの答えは、気候市民会議を設置してほしいということでした。
 市民が直接参加し、気候危機への対策を話し合い、計画や施策に反映していく気候市民会議はヨーロッパで盛んですが、日本でも札幌市や川崎市で取り組まれ、都内でも武蔵野市が来年度実施予定です。都が、気候市民会議を設置することを提案します。答弁を求めます。
 新年度予算案では、国際競争力を口実にした、臨海部、築地市場跡地、有楽町周辺、渋谷、青山などの大規模開発予算が四割増となっています。
 陥没事故を起こした外環道、住民の反対が強い特定整備路線などの大型幹線道路建設予算は今年度より増え、約一千億円に膨らんでいます。
 大型旅客機の都心上空での低空飛行を固定化、拡大する羽田空港機能強化の調査費も予算計上されています。
 このように大型開発を推進、拡大させるのではなく、東京五輪が終わった今、都民の福祉の向上など、地に足のついた施策を大事にする財政運営に転換すべきではありませんか。
 中でも、今、大問題になっているのが神宮外苑の再開発計画です。千本にも及ぶ樹木が伐採、移植されることが明らかになり、マスコミも大きく取り上げました。
 この再開発では、都市計画公園の面積を三・四ヘクタールも減らして、ホテルなど民間の超高層ビルが建設されます。今でもひどいビル風への対策は不透明です。有名なイチョウ並木の一部も伐採され、密接して巨大なホテルつきの新球場が建設されて、風格ある景観は台なしになります。その上、スポーツ拠点整備の再開発だといいながら、都民に親しまれている軟式野球場やフットサルコートなどが廃止されます。
 昨年末に都が行った説明会では、百五十人近くの参加者が、予定の一時間を大きく超える三時間、次々に怒りの声をぶつけ、誰も納得しないまま閉会しました。
 その後、市民の運動が広がり、二月九日の都市計画審議会には、異例の数のマスコミが殺到しました。市民の手によるネット署名が日に日に広がり、国内外の様々な分野の著名人からも批判の声が上がっています。
 世界遺産の保護、保存に取り組む日本イコモス国内委員会は、神宮外苑は国際社会に誇る公共性、公益性の高い文化的遺産であり、これを東京都が破壊することなく次世代へと力強く継承していくべきだと厳しく指摘をする、都知事と都議会議長宛ての提言を発表しています。知事は、この提言をどう受け止めていますか。
 知事は、施政方針で、CO2の吸収源となる緑の保全を進めると強調しました。再開発で、歴史を重ねた樹木を千本も伐採、移植するのは逆行ではありませんか。樹木を伐採して巨大建築物を造る神宮外苑再開発前後のCO2排出量は、どのように変化するのですか。
 都市計画決定の権限は小池知事にあります。SDGsの理念に反し、都心に残された貴重な自然や景観を破壊し、百年の歴史と文化的価値を踏みにじる時代錯誤の再開発計画は中止すべきです。答弁を求めます。
 陥没、空洞事故で工事が止まっている外環道について、国と事業者は今週二十五日以降、シールドトンネルの掘進工事を再開するとのチラシを地域に配布し、大問題になっています。
 昨年末の最終報告を受けた動きですが、多くの専門家が、情報開示に問題があり、説明の信憑性が問われるなどと批判し、事故が再び起きる危険性も指摘しています。実際、工事で緩んだ地盤の補修の着手さえ、見通しが立っていません。掘進再開に向け各地で開かれた住民説明会でも、住民からは不安と不満の声が次々出されています。
 知事、都民の命と暮らし、財産を守る立場から、工事の再開中止を国と事業者に申し入れるべきです。答弁を求めます。
 都内各地で反対運動が起きている特定整備路線について、知事は施政方針で、令和七年度までの全線整備に向け、その手を緩めることなく邁進していくと述べました。
 しかし、特定整備路線の多くは、立ち退きや商店街の分断など地元で反対の強い道路計画を、震災時に燃えない、燃え広がらないまちづくりと口実にして、都が強引に進めてきたものです。
 五つの路線で住民訴訟が起こされ、用地測量も買収も進んでいません。知事も最近まで、執行状況を踏まえ、特定整備路線に係る予算額を前年度比で減とするなど賢い支出を徹底していると答弁していました。
 知事、防災に名を借りたまち壊しの道路計画、邁進の発言は撤回するよう厳しく求めておきます。
 京都市は、歴史的な町家を守りながら、修復型の防災まちづくりを進めるとともに、自主防災組織を育て、子供たちへの防火防災教育を行っています。
 私の地元豊島区の千川中学では、十年ほど前から、小型ポンプによる消火訓練が放課後の部活動として行われ、先輩から後輩に受け継がれています。また、都内多くの地域で、町会や消防団を主体にしたスタンドパイプによる初期消火活動が効果を上げ、歓迎されています。
 災害に強いまちづくりは、住民の協力の下、地域に暮らし、まちを愛する住民主体の取組こそ重要ではありませんか。答弁を求めます。
 知事は、施政方針で、東京オリ・パラ大会は、多くの困難を乗り越えて、成功裏に終えたと述べました。しかし、ばら色、成功一色に描いてよいのですか。
 例えば、感染急拡大により、医療機関では、ベッドが空いていても医療スタッフ不足で稼働できず、救える命が救えない事態が起きていました。そのさなかに、都立、公社病院からの派遣を含め、実員で六千五百四十二人もの医療スタッフをオリ・パラ大会に派遣したことに、知事は何の痛みも感じていないのですか。
 コロナ患者の治療に奔走していた都立、公社病院から、東京オリ・パラ大会に何人派遣したのですか。実員と延べ人数について伺います。
 新型コロナ第五波の感染拡大のさなかに開催を強行し、開催期間に新規感染者が増え、医療にかかれず亡くなる方が何十人もいたことは、否定しようのない事実です。
 緊急事態宣言下の東京で開催されたオリ・パラ大会が、人間の尊厳を守り、平和な社会の実現を目指す五輪の目的に沿った大会になったのか、きちんと検証すべきです。知事、いかがですか。
 大会経費の総額は、立候補ファイルでの試算の約二倍、一兆四千五百三十億円にもなりました。このことを問われ、組織委員会の武藤事務総長は、やはりちょっと反省すべき問題があると強く思った、よくよく考えるべきことだと述べました。
 冬季五輪の招致を目指す札幌市長は、経費を小さく見せて、開催が決まったら増えましたというのは許されないと発言しています。知事はどう考えていますか。
 中でも、東京都の負担は二倍どころか、立候補ファイルで示した額の実に四倍、六千二百四十八億円に上りました。招致段階では、都が負担するのは、都民が後利用できる都立新規恒久施設の整備のみだといっていたのに、費用の膨張とともに、都と国、組織委員会の役割分担が変更され、都の負担が増やされてきました。さらに、負担を大きく見せないために、様々な理由をつけて五輪経費から外し、ほかの局に分散して支出することも行われました。
 五輪経費から外したものも含めて、何に幾ら使ったのか、全貌を都民の前に明らかにして、総括すべきですが、いかがですか。
 知事は施政方針で、全ての都民が、スポーツを通じて感動を分かち合える社会を目指すと表明しました。
 そうであるなら、誰もがスポーツをする権利を保障するスポーツ振興条例の制定が必要ではありませんか。全国で十八県が既に制定しています。いかがですか。
 沖縄県、山口県、広島県で感染が急拡大したオミクロン株は、米軍由来であることが明らかです。
 他国では、その国のルールに従って、米軍に対しても検査や待機が行われているのに、日本ではそれが行われていません。待機期間も短く、米軍関係者は待機期間中も基地内を自由に移動しているなど、感染防止対策が極めて緩いことが明らかになっています。米軍が昨年の九月以降、日本に向けて出国する際の検査を免除していたことも、昨年末に明らかになりました。
 知事、国民が様々な犠牲を払って、必死に感染拡大防止に取り組んでいるときに、米軍だけは検査もせずに入国するのはおかしいと思いませんか。
 知事は、横田基地周辺の五市一町と共に、米軍に対し、感染拡大防止の徹底を要請しました。米軍からはどのような回答があったのですか。
 日本に向けて出国する際の検査の免除について、米軍は事前に日本政府に伝えたと話しています。ところが岸田政権は、国会で追及されるまでこの事実を国民に知らせず、事前に知らされていたことも隠していました。
 知事、感染症から都民の安全を守る責任者として、このような、日本国民の安全軽視の米軍と、それを放置する日本政府に厳しく抗議し、是正を求めるべきです。答弁を求めます。
 検疫法を含め国内法の適用がないなど、不平等な日米地位協定の抜本的な見直しがいよいよ必要です。強く国に求めるべきです。
 答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 米倉春奈議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都立、公社病院の独立行政法人化についてのお尋ねに関して。
 独法化の目的は、医療環境が大きく変わる中にありましても、安定的かつ柔軟な医療人材の確保や機動的な運営によって、行政的医療をはじめとする質の高い医療を提供する役割を将来にわたり果たすことであります。
 こうした意義や役割については、これまでも度々、この都議会の場で考え方をお示しし、議論を深めてきたところであります。
 昨年の第三回定例会では、法人の定款について議決をいただいたところでありまして、本年七月の設立に向け、引き続き必要な準備を着実に進めてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 感染力が極めて強いオミクロン株の脅威から命と暮らしを守るという強い思いの下、先手先手の対策を講じてまいりました。
 第五波の経験を踏まえた備えを発展させ、一気に病床確保レベル三に引き上げたほか、高齢者向けの臨時の医療施設を先般開設いたしました。
 また、保健所やフォローアップセンターの強化、うちさぽ東京の新設など自宅療養体制を拡充したほか、都の大規模接種会場を開設するなどワクチンの追加接種も加速しているところであります。
 格差についてであります。
 私は、東京の活力の源である人に焦点を当てた政策を推進しており、あらゆるバリアが取り除かれ、誰もが自分らしく輝ける、段差のない社会の実現を目指しております。
 これまでも、セーフティーネットの強化充実のみならず、成長分野等への就労支援や子供たちの力を最大限に伸ばす学びなど、未来を担う人々の新たな挑戦を強力に後押しをしてきております。
 引き続き、こうした取組を着実に進めてまいります。
 次に、財政運営についてのお尋ねでございます。
 都はこれまでも、新型コロナ対策として、都民や事業者のセーフティーネットの強化充実に向けて、必要な対策を切れ目なく講じてまいりました。
 令和四年度予算案におきましても、子育て世帯への支援や再就職促進などの雇用対策、中小企業制度融資等の充実など、様々な施策に積極的に取り組んでおります。
 今後とも、都民生活と経済活動を守り抜くため、必要な施策に的確に財源を振り向けてまいります。
 次に、住宅支援の重要性についてであります。
 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素であり、都民生活の安定と東京の持続的な発展のためには、居住の場としての東京の魅力を高めていくことが重要であります。
 都民の居住の安定の確保に向けました住宅セーフティーネットの強化など、総合的な住宅施策を引き続き展開をしてまいります。
 次に、中小、小規模企業への支援についてでございます。
 東京の地域経済を支えて雇用を創出する中小、小規模企業の事業の継続と展開に向けた支援を的確に行うことは必要であります。
 都はこれまでも、資金繰り支援をはじめとする経営の下支えとなる対策を講じるとともに、販路の拡大や業態転換などのサポートを行ってまいりました。
 こうした取組を通じて、中小、小規模企業の経営を着実に支援をしてまいります。
 パートナーシップ宣誓制度についてのお尋ねがございました。
 多様性が尊重され、誰もが認め合う共生社会を実現することは重要です。制度を導入することで、パートナー関係にある性的マイノリティーの方々の生活上の困り事の軽減や多様な性に関する都民の理解を促進する効果が期待できます。
 今般公表いたしました素案に関するパブリックコメント等を踏まえまして、本年秋の運用開始を目指し、制度の構築を進めてまいります。
 続いて、学生、若者への支援についてであります。
 長期化する新型コロナウイルスは、未来を担う学生や若者の生活に大きな影響を及ぼしており、都はこれまでも、学びを止めない取組や就労支援などの対策を講じてまいりました。
 「未来の東京」戦略のversion upでも、困難を抱える若者への相談、生活支援の充実を盛り込んでおりまして、引き続き適切に対応してまいります。
 水素エネルギー施策についてのお尋ねがございました。
 二〇三〇年カーボンハーフとその先の二〇五〇年の脱炭素社会の実現のためには、あらゆる手段を総動員して取組を進める必要がございます。
 水素は、再生可能エネルギーの大量導入時代における調整力となり、電化が困難な熱やニーズが多様な運輸分野の脱炭素化にも不可欠なエネルギーでございます。
 将来の再生可能エネルギー由来のいわゆるグリーン水素の本格活用に向けましては、今からその基盤づくりを進めることが肝要です。
 現在、我が国をはじめ、世界の主要国で、燃料電池車両の開発やグリーン水素の製造等に関するプロジェクトが進められて、資金が投じられているところです。
 都は、エネルギーの大消費地として、今後も燃料電池車両の導入や水素ステーションの整備を支援いたしまして、水素関連技術の普及と水素需要の拡大を後押しすることで、将来のグリーン水素の本格活用に向けて世界を牽引してまいります。
 次に、神宮外苑地区のまちづくりについてであります。
 日本イコモス国内委員会からの提言は承知しております。
 東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくりでは、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点として、さらに発展させていくことといたしております。
 聖徳記念絵画館を望む四列のイチョウ並木を保全するなど、歴史と風格を継承しながら、誰もがスポーツに親しめる環境や広場空間などを整備する。その過程で、既存の樹木を極力保存、移植するとともに、新たに緑を創出し、従来よりも緑の量を増加させてまいります。
 民間の活力と創意工夫を生かして、魅力と価値をより高めながら、SDGsの考え方にも沿ったまちづくりを進めてまいります。
 東京二〇二〇大会についてでございます。
 史上初の一年延期、そしてコロナ禍という状況の中、徹底した感染防止対策の下、スポーツの力で人々に勇気と感動を届けることができました。
 また、大会ビジョンである多様性と調和の下、様々な取組が行われたほか、難民選手団の参加や休戦ムラールなどを通じまして、平和のメッセージを世界に伝えました。
 大会につきましては、都と組織委員会が、大会運営などの取組や成果を順次報告書等として作成、公表いたしております。
 米軍の出国前検査についてでございます。
 昨年九月から十二月までの間、出国前検査が実施されていなかったことに関し、国は、在日米軍に対し強い遺憾の意を申し入れています。
 水際対策は、国において講じるべきであり、都としては、改めて出国前検査の徹底などについて、国及び在日米軍に対し要請をしております。
 今後も、感染症対策の徹底と住民の不安の解消の観点から、引き続き、国や米軍に対して必要なことを申し入れてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 十一点のご質問にお答えいたします。
 初めに、コロナ禍での学びの継続についてでございますが、今般のオミクロン株の感染急拡大の状況にあっても、感染防止と学びの両立を図ることは重要でございます。
 各学校は、国や都のガイドライン等を踏まえ、基本的な感染症対策の徹底や教育活動におけるPCR検査の活用を図りながら、一人一台の学習者用端末を有効に使った分散登校とオンライン授業を組み合わせたハイブリッド授業等の工夫を行っているところでございます。
 次に、小中学校における学級編制についてでございますが、各学校では、国や都のガイドライン等を踏まえ、基本的な感染症対策を徹底するとともに、分散登校とオンラインのハイブリッド授業を行うなど、感染防止と学びの継続を図っております。
 義務教育における学級編制は、教育の機会均等や全国的な水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。
 次に、中学校英語スピーキングテストについてでございますが、本事業は、中学校における話すことの学習成果を的確に評価し、英語の総合的な指導の充実を図るとともに、その結果を都立高校入試に活用することで、高校での英語学習に円滑に接続し、生徒の学ぶ意欲を向上させることを目的としております。
 実施に当たりましては、事業主体である都教育委員会が、協定等に基づき、問題作成や採点、個人情報の管理等、テスト運営に係る事項について監修しております。これまでも、合理的配慮に基づく措置を設定しており、引き続き、関係者からの意見を聞きながら、適正に実施してまいります。
 次に、スピーキングテストの適切な実施についてでございますが、都教育委員会は、事業者と基本協定及び覚書を締結し、事業者が本スピーキングテストに関する模擬試験や関連教材の作成、販売をしたり、本テストのウェブサイトにおいて、教材の購買を誘導する表記を行ったりするなど具体的な禁止事項を明記し、利益相反行為を禁止しております。
 今後も、基本協定の条項に基づき、事業者に対して指導を継続することで、公平性、中立性を担保しながら、官民連携により、本事業を適切に実施してまいります。
 次に、校則等の自己点検及び見直しについてでございますが、都教育委員会は、学校の教育目標の実現に向け、学校の実情や生徒の意見、保護者の意識、社会の状況等を踏まえながら、校則の自己点検及び見直しに取り組むよう、都立高校等に通知をいたしました。
 各学校では、生徒の人権を保障したものであること、社会通念上合理的と認められる範囲であること、社会人として必要となる規範意識の醸成のために必要な内容であることなどを踏まえ、見直しに取り組んでおります。
 次に、校則等に関する生徒の話合いについてでございますが、自分たちのものとして守っていこうとする意識や姿勢を育むため、学校に対して、生徒会やホームルーム等において、校則について話し合う機会を設定するよう、引き続き促してまいります。
 次に、生徒の体調への配慮についてでございますが、生徒が生理によって授業に出席できなかった場合、プライバシーに配慮しながら、体調に応じて保健室で休ませるなど、養護教諭が中心となって、保護者、学級担任等と連絡を図り、対応していると認識しております。
 また、各教科等の評価につきましては、知識や技能及び学習意欲などで総合的に判断をしております。
 次に、学校における健康教育についてでございますが、生徒たちが性を含む健康に関する情報等を正しく選択して適切に行動できるよう、一人一人の状況を踏まえ、保護者と連携しながら、教育活動全体で取り組んでいるところでございます。
 次に、生徒への指導の事案についてでございますが、ご指摘の事案につきましては、把握をいたしておりませんため、見解を述べることはできません。
 なお、都教育委員会は、学校における指導上の課題についての情報を得た場合には、内容を確認し、学校に対して指導を行っております。ご指摘のような事実があったとすれば、断じて放置することができませんため、お知らせをいただければ適正に対応してまいります。
 次に、体育の授業における生徒の体調への配慮についてでございますが、生理中の体育授業の対応につきましては、一人一人の症状を踏まえ、生徒の意見を尊重するとともに、保護者と連携しながら、丁寧に対応しております。
 最後に、性教育についてでございますが、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、各学校が保護者の理解を得ながら、性を含む健康に関する情報等を正しく選択して適切に行動できる力を育めるよう、学校を支援しております。
 また、教員を対象とした研修会等を開催し、性教育の目的や意義、指導方法について周知し、性教育の適切な実施に向け、教員の資質、能力の向上を図っております。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、神宮外苑における樹木についてでございます。
 今回の計画では、当地区のまちづくり指針に基づき、神宮外苑のシンボルともいえる絵画館を望み、風格ある象徴的な景観を形成する四列のイチョウ並木を保全いたします。
 現況、緑や誰もが利用できるオープンスペースが不足している大規模スポーツ施設の集積地区におきましては、老朽化したスポーツ施設等の再編によりまして、中央広場などを新たに創出いたします。また、絵画館の前庭では、創建当初の趣旨を踏まえた芝生広場を整備いたします。これらの過程で、既存の樹木につきましては、樹木医の意見も聞きながら、樹木の状態など詳細な調査を行いまして、極力保存または移植いたします。
 これらによりまして、今回の計画は、地区全体として、従来よりも緑の量を増加させるなど、緑を充実強化し、緑を保全するものでございます。
 次に、神宮外苑地区のCO2の排出量についてでございます。
 当地区の従前の建築物からのCO2排出量につきましては、全体の実績値が把握できないため算定できません。整備後につきましては、本事業に関わる環境影響評価書案によれば、年間約四万七千トンとされております。
 事業者は、さらに、地域冷暖房の整備などに取り組むとともに、再生可能エネルギーの積極的な活用などによりまして、脱炭素化を図っていくこととしております。
 次に、神宮外苑の都市計画決定についてでございます。
 都市計画法によれば、都道府県は、都道府県都市計画審議会の議を経て、都市計画を決定するものとするとされております。
 本件につきましては、過日、東京都都市計画審議会におきまして、賛成の議決がされておりまして、都市計画法に基づき、適切に対応してまいります。
 次に、米軍の感染防止対策の徹底についてでございます。
 都などから、在日米軍司令部等に対しまして要請した後に、国を通じて、在日米軍関係者の外出制限、施設、区域内外でのマスク着用の義務化等、都と横田基地周辺自治体が要請した内容を含む、新型コロナウイルス感染症の拡大に対処するための措置に関しまして、日米合同委員会が共同声明を発出した旨、都に対し連絡がございました。
 次に、米軍の出国前検査の免除についてでございます。
 国によれば、米軍は国に伝えていたとの認識でありましたが、国はそのような認識は持っておらず、両者の認識にそごがあったとのことでございます。
 最後に、日米地位協定の抜本的な見直しについてでございます。
 日米地位協定は、検疫に関する国内法を含め、米軍への適用がないなど、我が国にとって依然として十分とはいえない状況にございます。
 都はこれまで、国への提案要求などを通じ、日米地位協定の見直しを国に求めてきておりまして、引き続き、知事会等、他の自治体とも連携し、日米地位協定の見直しを国に要請してまいります。
   〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 八点の質問にお答えをいたします。
 まず、都立、公社病院の独法化についてでございますが、様々な意見があることは承知してございます。
 独法化の目的は、超高齢社会の本格化など、医療課題がさらに深刻化していく中でも、行政的医療の安定的な提供などの役割を将来にわたって果たし続けることでございます。
 今後とも、都民をはじめ、様々な関係者の理解がより進むよう、独法化の意義や目的を説明してまいります。
 次に、都立、公社病院のコロナ対応についてでございますが、感染症医療は、行政的医療の代表的なものであり、都立、公社病院の重要な役割であるため、コロナ対応を最優先に取り組んでおります。
 一般病床をコロナ病床に転用し、他の診療科の医師も診療に参加するとともに、看護師については他の病棟からコロナ病棟への応援体制を構築し、感染リスクがある中でも職員が医療従事者としての使命感を持って患者を受け入れてございます。
 都立病院条例についてでございますが、地方自治法上、公の施設の設置、管理は条例で定める必要があり、都立病院条例により都立病院の設置を定めております。一方、地方独立行政法人法上、法人の設立に当たっては、定款を定める必要があり、定款により都立病院の設置を定めております。
 このため、本定例会で都立病院条例を廃止する条例等の議案をご審議いただくなど、所要の手続を行うものでございます。
 なお、独法化は、都立病院の使命を変えるものではなく、効率的で柔軟な病院運営を実現し、将来にわたって都民ニーズに的確に対応していくためのものでございます。
 次に、地方独立行政法人法第三十条の対象についてですが、法第三十条の規定は、PDCAサイクルを有効に機能させるため、法人の業務の継続など全般にわたる検討を行うことを定めたものであり、行政的医療の提供は、法人の業務であることから、他の医療と同様、対象となります。
 都立病院ではこれまでも、行政的医療の個々の医療課題について、社会的なニーズ等を踏まえ検討し、適切に対応してまいりました。
 行政的医療の提供は、定款において法人の目的として規定している都立病院の重要な役割であり、引き続き確実に提供してまいります。
 職員への説明についてですが、令和二年八月以降、法人の人事給与制度案をイントラネットを通じて順次説明をしており、常勤職員約七千人のうち、約六千人が確認しております。寄せられた質問等に対しては、約九百件の回答を全職員向けに公開しております。
 本年一月以降、職員の理解がより深まるよう、全都立病院において、計十六回の個別相談会などを実施し、職場の代表参加を含めて約二百名の参加を得ました。初回の大塚病院での説明会においては、職員約六百人のうち、会場には約三十人が参加をいたしました。
 引き続き、多くの職員が新法人の制度理解を深め、疑問を解消できるよう、一層丁寧な説明を行ってまいります。
 都立病院の職員についてでございますが、感染状況が大変厳しい中、都立病院で働く職員は、コロナ患者の受入れに全力を挙げて取り組んでおります。
 法人設立後は、そのメリットを生かし、より働きがいにつながる人事給与制度や柔軟な勤務制度など、職員にとってさらに働きやすく、安心して働ける環境を整備することとしてございます。
 職員に対しては、引き続き、勤務環境が充実することや行政的医療の提供など都立病院の役割を果たし続けるための独法化であることを丁寧に説明してまいります。
 地方独立行政法人法に関する附帯決議についてでございますが、法人設立後の職員の勤務制度等については、これまで、職員の声を踏まえながら制度づくりを行ってまいりました。
 また、職員団体との間では、勤務制度や人事給与制度等について十分な協議や意見交換を進めており、国会における附帯決議の趣旨に沿ったものでございます。
 今後とも、職員団体との意思疎通を十分に図ってまいります。
 最後に、都立、公社病院の東京二〇二〇大会への派遣についてですが、都立、公社病院からは、実員でオリンピックに二百名、パラリンピック百九十四名、合計で三百九十四名、延べ人員では合計で二千二百七十一名の医師、看護師等の派遣を行っております。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療、衛生に関する都民の要望についてであります。
 令和三年度の都民生活に関する世論調査におきまして、特に力を入れてほしい施策の第一位が、医療、衛生対策であったことは承知しております。
 都は、健康と保健医療に関する世論調査を実施いたしまして、公募委員を含む東京都保健医療計画推進協議会での議論を経て計画を策定しておりまして、これに基づいて救急医療、在宅医療などの医療提供体制の充実に取り組んでいるところでございます。
 次に、子供に対する検査についてであります。
 都は、ワクチン接種の対象外となっております十二歳未満の子供の感染対策として、国の通知に基づき、小学校や保育所等の職員に対し、集中的検査を実施しているところでございます。
 なお、学校や保育所等において、陽性者が発生し、保健所による濃厚接触者の特定等が実施されない場合には、施設内での感染拡大を防止するため、児童や教職員、保育従事者等にPCR検査を実施できるよう、各学校や区市町村に検査キットを送付しているところでございます。
 次に、高齢者施設等における検査についてであります。
 高齢者施設等の入所者は重症化リスクが高く、集団感染が発生した場合に影響が大きいことから、都は、高齢者施設等の職員を対象に、オミクロン株の流行も踏まえた国の通知に基づきまして、週一回の集中的検査を実施しております。
 次に、多摩地域の都保健所についてであります。
 国会での稲城市長のご発言については承知しております。
 都保健所は、住民に身近な保健サービスは市町村が行い、より専門的なサービスは保健所が実施するという地域保健法の考え方に基づきまして、現在、二次保健医療圏に一か所の体制となっております。
 次に、都保健所の体制についてでございます。
 多摩地域の都保健所は、二次保健医療圏における広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っております。
 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、保健師の増員、応援職員の配置、業務の効率化など、体制強化や負担軽減に取り組んでおりまして、引き続き、感染状況に応じ、体制の確保を図ってまいります。
 なお、今後、感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、その在り方について検討していくこととしております。
 次に、国民健康保険についてであります。
 国民健康保険は、相互扶助の考え方に立った社会保険制度でありまして、その財源は、保険料が二分の一、公費が二分の一が基本とされております。
 保険料、税の賦課方式や料率は、住民の様々な暮らし向きを踏まえながら、区市町村が自ら定めるものであり、それぞれの議会で十分な審議が行われ、決定されるものと認識しております。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づく財政支援を行うとともに、制度設計者である国に対し、構造的な問題の抜本的解決を図るよう、かねてより求めているところでございます。
 次に、高校生等への医療費助成についてであります。
 高校生の世代は、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、自らの健康をコントロールし、改善できるよう支援することは重要であります。
 このため、都は、子育てを支援する福祉施策の充実に向け、来年度予算案に、高校生等への医療費助成事業の準備経費として、区市町村のシステム改修経費等を計上いたしました。
 次に、医療費助成の制度についてであります。
 高校生等への医療費助成の具体的な制度内容については、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしておりまして、今後、制度の考え方や内容等について、丁寧に議論を重ね、調整してまいります。
 なお、乳幼児及び義務教育就学児に対する医療費助成は、実施主体である区市町村が、それぞれの議会における審議を経て、条例を定めて実施しているものでございます。
 次に、多摩地域の児童相談所についてであります。
 昨年七月に公布された政令では、児童相談所の管轄区域の人口は、おおむね五十万人以下とされ、併せて発出されました国の通知では、管轄人口の目安は、基本として二十万人から百万人までの範囲とされております。
 この法令等を踏まえ、都は、多摩地域において新たな児童相談所を設置するため、来年度、施設規模や設置場所、設置形態等に関する調査を実施いたします。
 最後に、ひとり親家庭への支援についてであります。
 ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手の二つの役割を一人で担っており、コロナ禍が長引く中、負担が大きくなっております。
 都は、生活資金の緊急貸付や納税猶予など、様々な制度や相談先をまとめたサイトを運営するほか、母子及び父子福祉資金の返済を猶予しております。
 また、今年度は、児童扶養手当を受給するひとり親家庭等を対象に、生活支援特別給付金を支給しております。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、検査件数でございますが、一日当たりの最大検査実績は、行政検査四万七千件、都の独自検査一万六千件、PCR等検査無料化事業一万二千件、合わせて七万五千件でございます。
 また、このほか、今般の感染急拡大に伴う措置として、無症状の濃厚接触者に対し、受診前に自宅で行う検査キットを一日最大四万件配布しているところでございます。
 続きまして、検査体制についてでございますが、都は、行政検査及び都の独自検査を合わせまして、一日当たり約十万件の処理能力を有するほか、PCR等検査無料化事業など、必要な検査を受けられる体制を確保してございます。
 続きまして、新型コロナウイルス感染症の検査料についてでございますが、診療報酬は、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて決定しているところでございます。新型コロナウイルス感染症の検査に係る保険収載価格につきましては、実勢価格を踏まえて検証を行い、その結果を踏まえて見直しが行われたものと聞いております。
 続きまして、高齢者施設の入所者等への追加接種についてでございますが、都は、区市町村に対し、施設入所者等への追加接種を早期に完了するよう、ワクチンチーム会議で重ねて要請をしております。
 また、都の大規模接種会場におきまして、職員への接種を行うとともに、入所者にワクチンバスによる接種を進めているところでございます。
 続きまして、自宅療養者への支援体制についてでございますが、都は、保健所や自宅療養者フォローアップセンターの体制強化に加えまして、医療機関による健康観察を先月から開始しているところでございます。
 また、新たに自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京を開設し、自宅療養者から直接、食料配送の依頼を受け付けるなど体制強化を図っております。
 最後に、大学と連携した感染症対策についてでございますが、都はこれまで、大学での感染拡大を防ぐため、学生への基本的な感染防止対策の徹底等の呼びかけや大教室の活用、クラスを分割した授業の実施による密の回避を大学に依頼したほか、ワクチン接種の推進やモニタリング検査の実施など、大学と連携した取組を進めてきております。
 また、学生寮などでの集団感染を防ぐため、感染対策のポイントをまとめたチェックリストを作成し、大学に周知を図っているところでございます。
   〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の増設についてでございますが、都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。
 これからも、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 次に、都営住宅への単身の青年等の入居についてでございますが、都営住宅は、原則として同居親族のある世帯を入居対象としており、単身者につきましては、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯等に限り入居の対象としております。
 なお、先日公表した東京都住宅マスタープランの案に、大学と連携した学生による地域コミュニティの支援の仕組みの検討につきまして、盛り込んでいるところでございます。
 最後に、都営住宅の断熱性能の引上げについてでございますが、現在、都営住宅につきましては、国の公営住宅等整備基準に基づき、いわゆる住宅の品確法の断熱等性能等級におきまして、最上位の等級四の基準を満たす仕様で整備してございます。
 今後とも、国の動向等を踏まえ、対応してまいります。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、改定男女平等参画推進総合計画における雇用の場の男女平等の取組についてでございます。
 計画素案では、間接差別や性別職務分離の是正など、事実上生じている格差の解消や、企業において女性が活躍できる機会の拡大等を取組の方向性として掲げております。
 改定計画に基づき、雇用機会の均等と女性の職域拡大、就業継続やキャリア形成、働く場の意識改革などの施策に取り組んでまいります。
 次に、公衆浴場に対する支援についてでございます。
 都はこれまでも、公衆浴場が行う施設整備や利用促進の取組に対して補助を行ってまいりました。
 また、今年度から、後継者の育成や利用者の拡大に向けた公衆浴場の取組に対する補助事業を拡充し、支援を強化しております。
 次に、公衆浴場の役割と活性化についてでございますが、公衆浴場は、都民への入浴機会の提供とともに、健康づくりや地域住民の交流の場として重要な役割を果たしていると認識しております。
 都は、人々が集い、リフレッシュする場、また、日本の伝統的な生活文化を身近に体感できる場など、銭湯の多様な魅力を発信する公衆浴場組合の取組への補助を通じて、浴場経営の活性化を図っております。
 今後とも、浴場組合の意見を聞きながら支援してまいります。
 最後に、大学生等への支援についてでございますが、国は、いわゆる高等教育無償化の制度において、新型コロナウイルス感染症の影響も含め、家計が急変した学生も対象として、授業料等の負担を軽減しています。都は、そのうち、都内私立専門学校等について、財政負担を行うとともに、学校が制度利用の申請をした場合の審査や負担金の交付等を実施しております。
 また、国は、学生等の学びを継続するための緊急給付金による支援を実施しております。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、公契約条例における課題についてでございますが、最低賃金法や労働基準法等との整合や、入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保の観点など、公契約条例の制定には、これまでと同様に多くの課題があると認識しております。
 次に、財政運営についてでございますが、都はこれまでも、人が輝く東京の実現に向けて積極的な施策展開を図っており、来年度予算案においても、子供に優しい社会の実現や、高齢者や障害者の暮らしへの支援、様々な悩みを抱える方々に対するサポート体制の強化など、必要な取組を行っております。
 同時に、東京の都市機能を支えるインフラの整備は、都民の利便性と東京の活力の向上などに不可欠であり、真に必要な取組は着実に進めていくことが必要でございます。
 今後とも、都民福祉の向上をはじめ、都政の諸課題の解決に向けまして、必要な施策に的確に財源を振り向けてまいります。
   〔政策企画局長野間達也君登壇〕

○政策企画局長(野間達也君) 経済政策についてでございますが、直面する危機への対応と東京の持続的な成長を実現するための取組の双方が重要でございます。
 これまでも、コロナ禍で影響を受けた中小企業等に対する多面的な支援を行うとともに、国際金融都市の実現など、世界をリードする政策を展開してきており、今後とも適切に対応してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 中小製造業への支援についてですが、優れた製品や技術を持つ中小製造業の事業の継続を支援することが必要でございます。
 このため、都は、資金繰り支援を行うほか、新たなニーズを獲得するための販路開拓などの取組を支援してきたところでございます。
 引き続き、中小製造業への支援を着実に行ってまいります。
 次に、中小企業の事業継続に対する支援についてですが、都はこれまでも、厳しい経営環境にある中小企業を下支えするため、資金繰り支援を行うほか、販路開拓の後押しや専門家派遣による原油高に関する助言を行ってまいりました。
 引き続き、中小企業を適切にサポートしてまいります。
 最後に、国の事業復活支援金への対応についてですが、都は、国の事業復活支援金を受けた中小企業に対して、販路開拓に必要な経費の助成を行っております。
 また、事業復活支援金の申請については、経済団体や専門家などがサポートを行っていると聞いております。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都のパートナーシップ宣誓制度における子供についての考え方ですが、今般公表いたしました制度素案では、都が発行する受理証明書に子供の名前を記載できるようにしたところでございます。
 性的マイノリティー当事者が、子供の保育園の送迎や病院の付添いなどに際しまして証明書を活用することで、困り事の軽減が図られるものと考えております。
 次に、学生、若者施策の推進体制についてですが、都では、その時々の行政課題や社会情勢等に応じて、常に効果的かつ効率的な執行体制の確保を図っておりまして、今回の組織改正におきましても、こうした考え方や各局との議論等を踏まえ、検討を行ったところでございます。
 また、都は、若者等からの仕事や生活支援等の相談内容に応じまして、各所管局が国や各関係機関と緊密に連携を図りつつ、きめ細かく対応しているところでございます。
 今後とも、適切な執行体制の下、学生、若者支援に取り組んでまいります。
 最後に、地域の防災に関する取組についてですが、災害時には、共助の要となる地域が果たす役割は大きいことから、都はこれまで、町会や自治会など自主防災組織のリーダーへの研修や地域の子育て世代を対象としたセミナーの実施など、地域の防災活動を後押ししてまいりました。
 今後も、こうした取組を通じまして、地域防災力の向上を図ってまいります。
   〔都民安全推進本部長小西康弘君登壇〕

○都民安全推進本部長(小西康弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 学生等若者の状況把握についてでありますが、都はこれまで、東京都子供・若者支援協議会の運営を通じて、各機関等が把握している若者の状況などの情報共有を図ってまいりました。
 また、東京都若者総合相談センター、若ナビαにおいては、約三割が学生からの相談でありますが、長引くコロナ禍にあって、オンライン授業によるストレスや不安の増大、活動制限による孤立といった相談が寄せられており、その時々の学生の状況を引き続き把握し、支援機関につなげてまいります。
 次に、学生等若者が交流できる場についてでありますが、こうした居場所づくりは、若者に身近な区市町村と連携し対応することが必要であります。
 都はこれまで、区市町村が地域のニーズに応じて行う学生等若者の居場所づくりなどに対する補助を実施してまいりました。
 また、東京都子供・若者支援協議会での情報提供や地域支援者向けの講習会の開催などにより、今後とも、地域における取組を後押ししてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、石炭火力発電についてでございますが、全国の電源構成などのエネルギー政策の在り方につきましては、国レベルで議論、検討されるべきものでございます。
 世界の大都市である東京は、エネルギーの大消費地の責務として、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けて、今後とも、より一層の省エネとともに、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化を図ってまいります。
 次に、気候変動対策への都民の参加、協働についてでございますが、気候変動対策の推進には、都民一人一人の行動が不可欠でございまして、都はこれまでも、自治体や環境団体等が実施する市民参加型のシンポジウムや勉強会等に参加することで、都民の生の声を聞きながら、都の取組についても発信し、共感と協働を呼びかけてまいりました。
 環境審議会におきましても、未来を担う若者等からのヒアリングなども実施しておりまして、引き続き、様々な場で多くの主体の参画を得て、カーボンハーフを実現してまいります。
   〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 外環事業についてでございますが、一昨年十月の陥没事故を受け、都は、事業者に対して、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明や対応を要望してまいりました。
 事業者はこれまで、陥没箇所周辺の家屋の補償や地盤補修等に取り組み、引き続き誠意を持って対応するとしております。また、事業者は、昨年末に大泉及び中央ジャンクションのシールド工事の再発防止対策等を取りまとめ、住民説明会を開催いたしました。今後、準備が整った工事から、まずは事業用地内で掘進作業を行うとしております。
 都は、事業者に対し、先月、再発防止対策等の確実な実施や住民への丁寧な対応などを要望いたしました。外環事業の必要性は変わらないと認識しており、引き続き適切な対応を求めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、大会時の医療体制についてでありますが、医療スタッフと配置については、コロナ対策調整会議での議論や感染状況を踏まえ、地域医療、ワクチン接種への支障のないよう、検討、精査を進めました。
 具体的には、競技会場等の医療スタッフ配置の合理化や勤務シフトの弾力化等の検討を行ったほか、医師については、スポーツドクターや整形外科医等を中心に、看護師については、いわゆる潜在看護師等に働きかけを行うなど、協力医療機関、関係団体と丁寧に調整を進めました。
 こうした対応により、大会の安全と地域の医療の両立を図ったところでございます。
 次に、大会経費についてであります。
 立候補ファイルでは、立候補都市間での比較を容易にするため、IOCが基礎的な要素のみを取り出した数値を要求していることなどから、制約が内在しており、大会経費と比較することは適当ではありません。
 大会経費につきましては、大会開催に必要な事業の総額を算定し、平成二十八年にV1予算として公表し、説明を行いました。また、V1予算から今回の見通しまで、毎年度精査を行い、総額と内訳を明らかにしてまいりました。
 次に、大会関連経費についてでありますが、大会に密接に関わる事業などの大会関連経費につきましても、毎年度の予算、決算を通じて明らかにしております。
 今後とも、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
 最後に、都民のスポーツ振興についてであります。都はこれまでも、スポーツ基本法に基づき、スポーツの力で東京の未来をつくるを基本理念とする東京都スポーツ推進総合計画を策定し、スポーツ振興に取り組んでまいりました。
 これに加えて、東京二〇二〇大会を通じて人々のスポーツに対する関心が高まったこの機会を捉え、スポーツを東京に一層根づかせるため、先般、スポーツレガシービジョンを公表いたしました。
 引き続き、こうした計画やビジョンに基づき、都民のスポーツ振興を着実に進めてまいります。
   〔八十二番米倉春奈君登壇〕

○八十二番(米倉春奈君) 知事に再質問をします。
 都立、公社病院の独立行政法人化についてです。
 私は、知事が施政方針で独法化について、なぜ一言も触れなかったのか質問しました。
 ところが知事は、聞いたことに答えませんでした。よく分からない答弁でしたが、知事は、定款が議決されたから、もう説明する必要はないといいたかったんですか。独法化の議案を何本も議会に出しておいて、開会日の施政方針でなぜ一言も触れなかったのか、私の質問に対し、都民の皆さんに分かるように、きちんと丁寧にご説明ください。
 二問目です。
 今年に入ってから、都立大塚病院で開かれた独法化についての説明会に参加したのは、六百人の職員のうち、僅か約三十人だったという答弁がありました。対象職員の五%にすぎません。
 知事、これで現場職員の理解と合意が得られていると思っているのですか。知事の見解を伺います。
 三問目です。
 独法化についての現場職員への説明について、引き続き一層丁寧に説明する、職員に対しては、引き続き丁寧に説明していく、今後とも、職員団体との意思疎通を図っていくという答弁が繰り返されました。
 知事、これは要するに、職員の理解と合意はいまだ得られていないということです。
 これから説明すればよいという話ではありません。都立病院条例廃止条例を議会に出す前に、丁寧な説明が終わって、理解と合意を得ることが必要ではありませんか。
 独法化について、以上三問、知事の答弁を求め、再質問を終わります。(拍手)
   〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 三点の再質問にお答えをいたします。
 まず、独法化の案件についてでございますが、独法化の目的は、医療環境が大きく変わる中にあっても、安定的かつ柔軟な医療人材の確保や機動的な運営によって、行政的医療をはじめとする質の高い医療を提供する役割を将来にわたって果たすためにございます。
 令和二年三月の新たな病院運営改革ビジョンの策定や東京都立病院機構の定款の議案など、節目、節目で都議会の場でも議論を深めてまいりました。引き続き、必要な準備を着実に進めてまいります。
 次に、大塚病院の件についてお話がございました。
 本年一月以降に実施いたしました個別の相談会や説明会は、これまで職員に説明を行ってきた中で、分からないことや疑問のある職員に対して、その理解を深めてもらうように行ったものでございます。
 当初は、集合形式を予定しておりましたが、感染状況を踏まえ、工夫してオンラインで実施をいたしました。コロナ禍を踏まえまして、これまで対面で行ってきた会議等をオンラインで対応するということが社会全体に根づいてきておりまして、各病院現場でも日常的にオンライン会議を活用している状況でございます。
 職員との必要なコミュニケーションを取ることは十分可能であり、個別相談会に参加した職員からも、丁寧に対応してもらい疑問が解消したといった声もございました。
 最後に、現場への説明に関しましては、既に多くの職員が説明資料を確認しているところでありますが、制度のポイントを短時間で解説した音声つきの資料を公開するなど、現在も、さらに多くの職員に理解をしていただくよう、対応を行っているところでございます。より多くの職員につながるよう、引き続き、丁寧な説明を行ってまいります。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 念のため申し上げます。
 会議規則第八条第一項の規定により、明二十三日は、東京都の休日に当たるため、休会となります。
 なお、次回の会議は、二月二十四日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後十時九分散会

ページ先頭に戻る