令和四年東京都議会会議録第二号

   午後六時十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君。
   〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して質問します。
 二月一日、元東京都知事の石原慎太郎氏が逝去されました。石原元都知事は在職中、都議会公明党が提案した新公会計制度を全国に先駆けて導入したほか、東京オリ・パラ大会の招致、ディーゼル車の排ガス規制など、都政に偉大な足跡を残されました。謹んで哀悼の意を表しますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 新型コロナの感染拡大は既に二年を超え、いまだ終息の兆しを見せていません。感染によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、現在も療養中の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 また、日夜、医療現場でご奮闘されている医療従事者の皆様をはじめ、感染防止にご協力いただいている都民の皆様に感謝申し上げます。
 最初に、財政について質問します。
 令和四年度当初予算案には、コロナ対策を万全にする医療提供体制等の構築、自然災害から都民を守る都市の強靱化、子供施策の充実など、都議会公明党の主張が随所に反映されています。
 今後、感染第六波の脅威を克服し、都民の暮らしを守るとともに、社会変革に適応したデジタル化や働き方の仕組みなど、制度を見直していかなければなりません。そのために、都財政において十分な財源を確保する必要があります。
 当初予算案における都税収入は、コロナ禍の厳しい経済状況にもかかわらず、前年度比約五千九百億円の増加となり、当初予算額としては、過去最高の約五兆六千三百億円となる見込みです。
 そこでまず、税収が増えると見込んだ要因について、都の見解を求めます。
 感染症や災害に強い都市づくり、社会保障関係費の増加への対応など、将来にわたり都民の暮らしを守っていくためには、基金や都債を戦略的に活用するなど、中長期を見据えた財政対応力の堅持が不可欠です。
 特に、コロナとの闘いに突入した令和元年度末におけるオリンピック・パラリンピック開催準備基金を除いた基金残高は約二兆三千億円、うち財政調整基金は九千三百四十五億円であり、この活用により、都独自の対策を迅速かつ的確に講じることが可能となりました。
 令和四年度予算の年度末基金残高は一兆六百九十七億円、うち財政調整基金は三千九百二十七億円となる見込みですが、コロナ禍での基金の活用の実績を踏まえれば、この基金残高では極めて低い水準であり、現状では財政面での備えが弱いといわざるを得ません。
 コロナ対策など、目の前の課題に全力で取り組むことはもとより、中長期を見据え、都税収入が大幅に増加したときこそ、財政調整基金や特定目的基金の残高確保に努めるべきと考えます。財務局長の見解を求めます。
 都議会公明党は、さきの都議選において、実現すべき八つの選挙公約、いわゆるチャレンジエイトを掲げて戦い、二十三名全員当選させていただきました。したがって、その一つ一つを実現させていくことが、当選させていただいた議員の大事な責務であると考えています。
 その中でも三つの無償化は、都民の皆様から実現を切望された大事な政策であり、その一つが、高校三年生世代までの医療費の無償化であります。
 都民の皆様からは、都の区市町村において、既に高校三年生世代までの医療費の無償化を実施している区市町村と、そうでない区市町村があり、同じ東京都民でありながら、恩恵を被れないのは不公平であり、都が率先して制度をつくってほしいという強い声をいただいております。
 十八歳まで成人年齢が引き下げられたとはいえ、十八歳まで子供たちを育て上げるのは保護者の責務です。
 その中で、病を抱えている子供たちの医療費の負担は少なくありません。そのような方たちにとって、高校三年生世代までの医療費の無償化は大きな願いであります。
 それを受け、都議会公明党は、都議選後、第三回定例会、第四回定例会の代表質問で無償化を取り上げ、知事への予算要望でも最重要の政策として要望させていただきました。
 今回、知事が令和五年四月から区市町村との合意の下、高校三年生世代までの医療費の無償化を決断され、その準備経費として、令和四年度予算案において区市町村のシステム改修費を都が十分の十負担をするとしたことを高く評価いたします。
 そこで、今回、令和五年四月から区市町村合意の下、高校三年生世代までの医療費の無償化を決断された知事の思いについて見解を求めます。
 都は、中学三年生まで医療費の無償化に伴う医療費助成をした際の補助スキームは、市町村については事業費の二分の一を補助し、区部については子供の医療費の無償化を中学三年生まで引き上げたタイミングで、都区財政調整の割合を五二%から五五%まで引き上げたため、都区財政調整支出で賄ったという経緯があります。
 今回、高校三年生世代までの医療費の無償化に伴う医療費助成を検討するに当たっては、区部についても都独自の補助のスキームをつくるべきです。
 また、区部に比べ、市町村の中には、自治体規模が小さく、財政力の弱いところもあります。そのため、都は、市町村総合交付金を出していますが、令和四年度予算でも、学童保育や消防団の資機材の更新などに使えるお金として、政策連携枠を三億円増額しています。
 そこで、財政力の弱い市町村を支援するために、令和五年四月より開始する高校三年生世代までの医療費の無償化の市町村負担分を市町村総合交付金の政策連携枠で見るべきです。併せて都の見解を求めます。
 次に、チャレンジエイトの一つである高速道路の渋滞対策を解消するための都内高速道路上の料金所の撤去について質問します。
 都市部における交通政策の課題の一つに渋滞対策があります。なかんずく、高速道路の渋滞は、長年の課題でもあります。
 高速道路については、無償化の議論がありますが、地方の交通量の少ない高速道路では可能かもしれませんが、都市部の高速道路で無償化をした場合、現在の渋滞がさらに悪化いたします。
 特に、首都高での無償化はやるべきではありません。むしろ、渋滞をいかに減らしていくかという議論をしなければなりません。
 この高速道路の渋滞要因の一つが、高速道路上にある料金所です。料金所を撤去するための大前提が高速の入り口及び出口でのETCの全面義務化です。
 二〇二〇年十二月、国土交通省と高速道路会社六社は、ETCの全面義務化のロードマップを発表し、都市部においては、五年後の概成を目標としました。これに向かって、首都高は、来月から一ツ橋インターチェンジをはじめ五か所、四月からは霞が関インターチェンジをはじめ二十九か所の入り口でETCの全面義務化が実施されます。
 二〇二一年十月現在の首都高のETCの利用状況は九六・七%です。この状況を踏まえ、都議会公明党は一月二十八日、斉藤国土交通大臣にETCの全面義務化と高速道路上の料金所の撤去の加速化の申入れを行い、国土交通大臣は、全力で対応していくと応じてくれました。
 都としても、国、首都高と協力して、ETCの全面義務化を加速化させ、都内七か所の高速道路上の料金所を撤去していくべきです。
 特に、ひどいときには下りの三鷹料金所付近まで渋滞している永福料金所を最優先で撤去すべきであります。その際、現金しか利用できない人のために、SuicaやPASMOのようなプリペイドカードをETCでも読み取れるよう技術開発を行うべきです。知事の見解を求めます。
 同じくチャレンジエイトの一つである駅ホームドアの設置について質問します。
 都議会公明党は、令和三年の第一回定例会の代表質問で、駅ホームドア整備がまだ道半ばである事実を指摘し、都がイニシアチブを取って事態の打開を図るべきと求め、都からは、事業者と技術的な方策の検討の場を設置するとの答弁がありました。
 昨年の質問時の未設置駅は、都内の全七百五十八駅のうち四百十一駅。これが直近では三百九十四駅となり、一年で十七駅に新設されたことは評価します。
 しかし、このまま順調に進んでも、全駅の設置にはあと二十数年を要します。特に、技術的に設置が困難な駅については、予算を投じても設置数が伸び悩む時期が到来することは必定です。
 都は、その後、検討の場を設置したとのことですが、令和四年度からは、駅ごとの課題の中身を把握し、実態に即した解決策を見いだすための、より本格的な調査検討に着手をし、令和四年度内には一定の結論を得るべきと考えます。
 加えて、我が党は、特別支援学校の最寄り駅などへの優先整備を求めてきましたが、調査すら実施されていない駅もあります。
 今後は、ホームの幅が狭く危険な駅、特急などが高速度で通過して、ホームが強い風圧にさらされる駅、さらにはホームの形状が湾曲して傾斜し、車椅子やつえ歩行での移動に注意を要する駅など、構造上の特徴などから、安全性が危惧される駅も優先整備する駅に加えるべきと考えます。
 整備の進捗に向け、令和四年度の検討到達点と、安全性が危惧される駅の優先的な整備について、併せて見解を求めます。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
 都は、当初、二月十三日までとした蔓延防止等重点措置期間を三月六日まで再延長しました。そのような中、都は二月三日、危機管理対策会議を開催し、オミクロン株の特性を踏まえた緊急事態宣言の基準を見直しました。
 その基準は、感染が終息傾向になく、医療提供体制の逼迫度が、重症病床使用率または酸素投与が必要な患者の割合が三〇%から四〇%になった場合、かつ社会経済活動への影響について、新規感染者の数が一週間平均で二万四千人になった場合に、緊急事態宣言の要請を検討するというものであります。
 新たな基準は、従来の緊急事態宣言の基準を大きく転換するものであり、本来であれば、都議会の災害対策連絡調整本部会議を開催し、丁寧に説明すべき事案であると思いますが、残念ながら、この手続は踏まれませんでした。
 都民の皆様からも、当初打ち出した緊急事態宣言の基準である病床使用率が五〇%を超え、緊急事態宣言を要請しなければならなくなったために、新たな基準を設けたのではないかという声が寄せられています。
 そこで、なぜこのタイミングで基準を変更したのか、また、新たな基準は、今後、新たな変異株が拡大した場合にも適用するのか、併せて都議会の災害対策連絡調整本部会議の開催を要請する必要がないと判断された武市副知事の見解を求めます。
 新たな基準では、医療提供体制の逼迫度として、重症病床使用率または酸素投与が必要な患者の割合が三〇%から四〇%と幅を持たせていますが、なぜこのような幅を持たせているのか、また、ここでいう重症病床使用率は、オミクロンに対応した数字だとのことですが、都民からは内容がよく分からないという声があります。都民に分かりやすく説明すべきであります。併せて都の見解を求めます。
 もう一つの指標である社会活動の影響を及ぼす新規感染者の数が一週間平均で二万四千人とありますが、この数字はどのような根拠に基づいた数字なのか、都の見解を求めます。
 オミクロン株については、重症化リスクが低いといわれてきましたが、徐々に重症者の数は増えてきました。その要因として、やはり高齢者については、オミクロン株といえども、重症化するということが挙げられます。現に、毎日発表される重症者のうち、従来の基準においても、新たな基準においても、八割を超える方が高齢者です。
 特に、高齢者施設でのクラスターが重症者の数を増やしています。このことを捉え、都は、重症化を防ぐため、一月二十四日より、高齢者施設への往診治療を、在宅医療を行っている医師にお願いをしています。このことが功を奏して、現在、爆発的な重症者の増加を抑え込んでいるというのが実情です。
 ただ、在宅医療を行う医師の数が限られているため、今後、高齢者施設でのクラスターが増加することを想定すれば、高齢者施設が日常的に連携をしている医師や医療機関がクラスターが発生した高齢者施設の往診治療を行っていただくことが必要となってまいります。
 医師会に協力を求め、こういった体制を整備した上で、実効性のある取組として進めていく必要があると思いますが、都の見解を求めます。
 次いで、ワクチン接種についてです。
 都は、都議会公明党の要望に応え、昨年八月、十六歳から三十九歳までの若者を対象とした若者ワクチン接種センターを渋谷区に設置しました。地元自治体では予約が埋まっていたり、受付時間帯が合わずにいた若者がワクチンの接種を求め、行列ができるほどでした。
 オミクロン株の感染拡大が続く今、若者への三回目の接種を進めるために、渋谷区での若者接種センターの課題を踏まえ、都の大規模接種会場を設置し、学生等に対しても前倒しをして接種を加速するとともに、さらに、都の大規模接種会場の対象者を拡大すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 本年一月から急激に数が増え始めた第六波の感染者は、二月二十一日現在、五十三万二千三百五人で、オミクロン株の特性を踏まえた重症者の数は二百七十一人です。
 他方、二月二十一日現在の自宅療養者と調整中の方を合計した人数は十六万三百十四人で、そのうち医療機関が健康観察できている割合は一割にも満たないのが現状です。
 現在、抗ウイルス薬として、経口薬は、メルク社のモルヌピラビルが約百六十万人分、ファイザー社のニルマトレルビルが約二百万人分確保されており、二月中には国内企業の経口薬が条件付で特例承認されるとのことです。
 これらの抗ウイルス薬が全ての感染者に使用できるようになり、高齢者や持病のある重症化リスクのある人が三回目のワクチン接種を終えたならば、新型コロナの感染症法上の分類を二類から五類に見直すべきです。五類になれば、現在参画をしていない地域の医療機関が、インフルエンザと同様に自宅療養の感染者を健康観察することができるようになります。
 課題は、分類が二類から五類になると、治療費やワクチン接種が有償となります。このことについては、国に治療費やワクチン接種の無償化の特例措置を実施するよう求めていくべきです。併せて知事の見解を求めます。
 国内企業が開発中の経口薬について、都は、宿泊療養施設等で治験に協力をしています。その結果、同国内企業は、条件付早期承認申請を行うことで、早期の実用化を目指せるようになりました。
 コロナ禍では、次々と新しい変異株が発生しており、今後も絶えず新しい治療薬が必要になってくる事態が想定されます。
 都は、現在の治験協力を拡充するとともに、次なる感染拡大にも備え、治療薬の開発に継続的に協力していく体制を整えるべきです。見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 初めに、サプライチェーン対策についてです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界各地の生産活動や物流の停滞を引き起こし、中小企業では、サプライチェーンの供給が滞ることによる部品、部材の調達に支障を来しているところも少なくありません。
 一方で、在庫を保有していたり、代替品の生産や供給が可能な企業もあるとのことで、原材料等の確保が困難な企業と効果的にマッチングできるように、専門家や業界を活用することが必要になります。
 都議会公明党は、一月十三日、小池知事に、解決に向けての相談体制や専門家の派遣や情報提供のための業界団体との連携などの対策要望を行いました。
 これを受け、都は、サプライチェーンの維持と確保を支援する事業を開始するとのことですが、具体的な支援の内容について都の説明を求めます。
 次いで、中小企業への資金繰りについて質問いたします。
 都議会公明党が推進したコロナ禍における無利子、無保証料の融資により、令和二年度の新型コロナウイルス感染症対応の融資は、これまでの実績をはるかに上回る約五兆六千億であったと聞いており、資金繰りに苦しむ多くの中小企業の支援につながったものとして、都の対応を高く評価いたします。
 一方、いまだコロナ以前に売上げが回復していない事業者も多く、都議会公明党にも返済が厳しいといった声が多数寄せられています。
 据置期間終了に伴い、令和四年度から返済が始まる事業者も増加してくることから、都としても、据置期間のさらなる延長など、もう一歩踏み込んだ支援を実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、中小企業の人材の確保と奨学金の返済負担軽減制度についてです。
 この制度は、昨年の第二回定例会において、都議会公明党が、人材不足の中小企業に若手の技術者が就職することにより、負担の重い奨学金の返済の一部を都と企業で支援する仕組みを提案したもので、三年間で最大百五十万円の支援を受けることができる制度です。
 都は、早期に制度をスタートさせるために、昨年九月に補正予算を計上し、本年二月から制度を活用する事業者の募集を始めました。
 この事業を通して、多くの中小企業が優秀な若手技術者を採用できるようになると期待していますが、そのためには、中小企業の皆さんと、これから就職をする若者たちにこの事業を知ってもらい、応募していただくことが重要です。
 そこで、都として早期に若者の募集を開始するとともに、事業の周知を積極的に行うべきと考えますが、見解を求めます。
 中小企業支援の最後に、販路開拓支援について質問します。
 コロナ禍で止まっていた中小企業の事業を活発化させていくためには、販路開拓の支援が重要となってきます。特に首都圏西部エリアの中小企業にとっては、コロナ禍で移動が制限され、販路の開拓が困難であった中小企業も少なくありません。
 そのような中、いよいよ首都圏西部エリアのものづくりの販路開拓の拠点となる東京都多摩産業交流センター、通称東京たまメッセが十月十四日に八王子市にオープンいたします。
 そこで、東京都の産業交流展を、この東京たまメッセでも開催すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、子供政策の総合的な推進について質問します。
 都議会公明党の要望に応え、都は、局相当の子供政策連携室の設置を表明しました。都議会公明党が主導して制定された東京都こども基本条例を所管し、子供政策全般の総合的な企画立案機能を果たし、子供政策を全庁的に推進する総合調整機能を子供政策連携室が発揮することを大いに期待するものであります。
 今般発表された「未来の東京」戦略 version up 二〇二二では、子供の目線からの政策展開が示されています。こども基本条例を踏まえ、子供の笑顔あふれる社会の実現のためには、あらゆる視点からの議論が必要であり、全庁挙げて施策展開すべきです。
 そこで、「未来の東京」戦略を踏まえた子供政策の総合的な推進の方向性について、知事の見解を求めます。
 また、東京都こども基本条例について、子供の意見を取り入れた普及啓発を図るとともに、区市町村においても、子供の意見表明や権利擁護の取組を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、予防のための子供の死亡検証、いわゆるチャイルド・デス・レビュー、CDRについて質問します。
 これは、予防できる死から子供を守り、安全で安心な社会を構築するために重要な取組です。
 その実施に当たっては、遺族に十分に配慮した上で、子供が死に至った状況を多面的に検証、分析することはもとより、生前に受けていた医療や養育環境など幅広い情報を得ることが必要であり、医療、保健、福祉、教育、警察など、子供と家族に関わる様々な機関の連携が求められます。
 また、非常にデリケートな個人情報を取り扱うため、情報管理にも十分に配慮しなければなりません。
 都は、第一歩となる来年度、CDRの関係機関が総合して取り組む実施体制を構築すべきです。見解を求めます。
 次に、教育施策について質問します。
 子供たちによりよい教育を提供していくためには、教員自らの資質や能力を高め、授業の質の向上に取り組めるよう、教員の業務負担を大幅に軽減していく必要があります。
 都教育委員会ではこれまでも、働き方改革の取組を進めてきましたが、特に小学校は学級担任制のため、幅広い対応が担任一人に集中し、子供一人一人に向き合う時間を取ることが難しいという現状があります。
 小学校教員の業務負担軽減を図るためには、これまで以上に担任をサポートしていく外部人材を活用していく必要があります。教育長の見解を求めます。
 次いで、日本語教育支援についてです。
 都内在住の外国人は全国で最も多く、日本語支援が必要な高校生も、平成二十年からの十年間で全国平均の二・七倍を大きく上回る四倍に増加し、全国最多の状況です。
 都議会公明党はかねてより、在京外国人入試枠設置校の拡大や、学習や生活面で生徒をサポートし、教員も支援する多文化共生スクールコーディネーターの設置を求め、日本語指導体制を推進してきました。
 国もこのたび、小中学校に続き、高校でも、特別の教育課程による日本語指導を教育課程に加える方針を決定し、令和五年度から、対象生徒がいる全ての学校で実施するとしています。
 そこで、同スクールコーディネーターの対象校を拡大し、相談体制の充実とともに、生徒と教員への支援を拡充すべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、ヤングケアラー支援についてです。
 昨年の第二回定例会の我が党の代表質問で、ヤングケアラー支援のために、教育と福祉等の連携や、ワンストップ窓口相談などを提案し、前向きな答弁を得ました。
 都が、来年度予算において、ヤングケアラーに対して、周囲の大人が気づき、適切な支援につなぐため、ユースソーシャルワーカーやスクールソーシャルワーカー等の専門性の高い人材確保など、具体的支援に踏み出したことを評価するものであります。
 しかし、国の調査によると、中高生の約八割が、ヤングケアラーについて聞いたことがないと答えており、自分がヤングケアラーであっても気づいていないケースも多く、理解を深めるためのアンケート調査を行うなど、子供の気づきを促すと同時に、社会全体の認知度を高めることが必要です。
 都と区市町村、介護、医療等の関係機関などが一体となって、ヤングケアラーを支援する体制整備に向け、こうした取組を進めるべきです。都の見解を求めます。
 また、社会の中で孤立し、誰にも相談できずに悩むヤングケアラーの支援のために、相談窓口はもとより、元ヤングケアラーを含む交流の場を地域において整備すべきです。見解を求めます。
 次いで、フリースクール支援についてです。
 都教育委員会は、我が党の要請を受けて、フリースクール等との連携を推進するため、冊子、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてを作成し、理解啓発に努めてきました。
 今後さらに、フリースクール等であれば通うことができる子供たちと保護者への支援ニーズを充実させる必要があります。
 例えば、ニーズの実態調査や授業料への支援など、フリースクール等に通う不登校児童生徒支援の取組について答弁を求めます。
 次に、ハイリー・センシティブ・チャイルド、HSCともいわれる人一倍刺激を受けやすく敏感な子供について質問します。
 ここ数年、学校現場では、教室のざわつきが苦手で学校に行けない子供がいるとか、先生が他の子供を叱っている声を怖いと思い学校に行けなくなる子供がいるなど、発達障害や病気ではなく、学校生活に困難を来すHSCの子供たちの存在が認識されるようになってきました。
 都議会公明党は、二月五日、HSCの子供たちを抱える保護者の方々や子供たちとお会いし、HSCの子供たちのことをもっと知ってほしい、校内に居場所をつくってほしいとの声を伺いました。
 誰一人取り残さない学校教育を推進するためにも、人一倍刺激を受けやすく敏感な子供たちに対する支援策を講じるべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
 都議会公明党は、子供たちの安全及び災害時の避難所運営等の観点から、学校体育館への迅速な空調設置の推進を要請してきました。
 これを受け、都教育委員会は、区市町村に対し支援を実施し、区市町村立小中学校の整備率は大幅に向上しています。
 一方、都の支援期間を三年間としてスタートした事業です。いまだ設置が完了していない自治体もあり、支援期間を延長する必要があります。
 区市町村立小中学校の体育館空調設置について、令和三年度末の設置状況と併せて答弁を求めます。
 次いで、私立高校授業料の負担軽減についてです。
 都は、二〇一七年度から、都議会公明党の強い要請を受けて、私立高校授業料の実質無償化をスタートさせました。
 こうした中、授業料の実質無償化の対象となった保護者の方でも、現状では、四月から十二月まで九か月間の授業料を一旦納入する仕組みとなっており、その負担が重くのしかかっています。
 都議会公明党は、DXを活用するなど、この課題解決に向けた取組を再三にわたり訴えてきました。
 保護者の収入確認に一定の期間が必要ですが、保護者負担軽減をするためには、期間を大幅に縮減すべきです。見解を求めます。
 次いで、受験生チャレンジ支援貸付事業についてです。
 都議会公明党は、本事業の創設から今日に至るまで、一貫してその存続と充実を求め、応援してまいりました。
 本事業は当初、返済免除の仕組みがなかったことから、平成二十年度の第二回定例会で、我が党は、意欲を持って受験に取り組んだ子供たちの姿勢が認められた場合に、返済が免除になれば大いに励みになると提案し、都は、受験で合格するなど一定の要件を満たす場合には返済を免除するという画期的な答弁を行いました。
 結果、毎年七千人から一万人超の中学生と高校生の進学の夢を手助けする事業の礎となりました。
 スタート時の平成二十年が、中高生合わせても千二百十一人の利用にとどまっていたものが、合格すれば返済免除となることを打ち出した翌二十一年度には三千六百三十二人と、一挙に三倍に利用が伸びた事実が、何よりその効果を物語っています。
 今回、小池知事が本制度の対象基準を大きく見直し、対象者と予算規模の拡大を図ったことは、長年の我が党の要望に応えるものであり、高く評価いたします。
 都として、対象者の拡大の詳細を一日も早く都民に周知するとともに、利用申請の受付を担う区市町村との連携をより一層深め、実際の利用の促進を図るべきです。
 加えて、現行制度で求めている一定要件を満たす連帯保証人についても、利用申請者や区市町村等の負担軽減につながるよう緩和すべきです。併せて知事の見解を求めます。
 次に環境施策について質問します。
 都は、高い省エネ性能を持つ住宅を普及させるため、令和元年度から東京ゼロエミ住宅基準を定め、住宅の新築時に費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しています。
 本事業は、非常に多くのニーズがあったことから、都議会公明党は、昨年の第四回定例会において、取組の継続とさらなる断熱、省エネ性能の向上につながる施策の構築を求め、都からは、基準の多段階化など住宅の環境性能を高める方策を検討していくとの答弁がありました。
 そこで、この省エネ基準に対応する支援策を講じることで、新築住宅のゼロエミッション化をさらに強力に推進していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次いで、既存住宅でのカーボンハーフの取組についてです。
 我が党は、断熱改修への支援の創設を提言したところですが、新しい支援制度は、広く都内で活用される制度としなければなりません。
 加えて、カーボンハーフの実現には、現行の省エネ基準を満たすだけでは不十分であり、さらに高いレベルの省エネを目指す必要があります。
 そのためには、できる限り多くの区市町村に都の支援制度への参画を促し、同じ目的意識に立って取り組んでもらえるよう、都は積極的に後押しを図るべきです。
 さらに、区市町村における支援制度が整うまでの間も、都は、多くの地域で断熱改修の取組が開始されるよう工夫を凝らすべきです。併せて見解を求めます。
 次いで、太陽光発電についてです。
 都有施設の目標となる二〇三〇年に使用電力の再エネ一〇〇%化を達成するには、都内産卒FIT電力を都有施設で活用する、とちょう電力プランの実施のみにとどまらず、都自らが行う太陽光発電の設置もさらに加速化させていくことが重要です。
 都議会公明党はかねてより、都営住宅に太陽光発電を設置することを提案してきましたが、都は、都営住宅も含め、都有施設において率先して太陽光発電設備の設置を推進すべきです。
 また、都営住宅の居住者が太陽光発電設備の恩恵を実感できる取組も併せて行うべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、不妊治療の保険適用の拡大に関連して質問します。
 公明党の長年の取組により、いよいよ本年四月から不妊治療の保険適用が拡大されます。これにより、不妊治療や治療に関する相談への都民ニーズもますます高まることが見込まれますが、現在、都内でも対応できる医療機関が限られています。
 昨年の第二回定例会でも都議会公明党が指摘しましたが、都民に身近な都立、公社病院でも不妊治療の拡充に取り組むことが重要です。
 一方で、都立、公社病院で不妊治療を行う際には、生殖医療専門医などの人材や胚培養施設などの医療資源の確保等の課題があります。都立、公社病院は、七月に独法化を目指しており、柔軟な人員確保や機動的な設備投資などの独法化のメリットを生かして対応すべきです。
 地域医療を担う都立、公社病院で都民の不妊治療のニーズに的確に対応して、外来診療などを行うことが重要だと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、芸術文化施策について質問します。
 都は先日、文化に関する新年度から二〇三〇年度までの長期計画である東京文化戦略二〇三〇の案を公表しましたが、まず、この文化戦略で描く芸術文化都市東京の未来像について、知事の見解を求めます。
 この文化戦略では、アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みづくりが重要な戦略の一つとされています。中でも、都議会公明党がさきの第四回定例会でも求めたとおり、若手アーティストの育成支援についての施策を充実させていくことが特に重要です。
 例えば、若手アーティストを対象として、都が今年度開始したスタートアップ助成は、応募倍率が十倍にも上っており、拡充することが急務です。
 加えて、東京で活動する多くの若手アーティストが抱える稽古場、アトリエなどの創作環境向上の課題解決に向けた具体的な取組も早急に進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 また、地域で芸術文化の裾野を広げるために活動されている方々や団体のことも忘れてはいけません。伝統芸能をはじめ、芸術文化活動においては、公演を行う実演家と併せて一般の都民の方々向けに教室などを開き、指導に従事する方たちも、その普及や継承に大きな役割を果たしておられます。
 都は今年度、伝統芸能の体験事業への助成を立ち上げるなど、こうした方々の活動の場の拡大を図っていますが、今後、さらにこの取組を強化していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピック東京大会について質問します。
 初めに、大会経費についてです。
 史上初めて一年延期となった本大会は、コロナ禍での開催となったため、厳格なコロナ対策の下で開かれました。世界中から多くのアスリートが集い、躍動する姿は、世界の多くの人々に勇気と感動を与えました。
 その後、昨年末に組織委員会から大会経費の見通しが公表されました。
 都議会公明党はこれまでも、経費の精査と併せてコロナ禍という非常時での開催であるため、国にも応分の負担を求めるべきであり、最終的な大会経費や負担については、都民、国民の皆様に丁寧に説明し、理解を得ていくよう主張してきました。
 こうした観点から、都の大会経費に対する取組について答弁を求めます。
 次いで、パラスポーツについてです。
 都議会公明党はこれまでも、東京二〇二〇大会の感動を一過性に終わらせるのではなく、レガシーの具現化を進め、今後のパラスポーツの発展につなげていくべきと主張してきました。
 そうした観点から、都が一月に発表したTOKYOスポーツレガシービジョンでは、パラスポーツの振興を明確に掲げており、高く評価するとともに、このビジョンを基に、より一層強力な取組を求めるものです。
 大会後に都が実施した調査では、パラリンピックを通して、約三割の人が障害のある人への理解が進んだ、約六割の人が都内のバリアフリー化が進んだと回答するなど、パラリンピックは、ソフト、ハードの両面で東京に大きな変化をもたらしました。
 しかし、一方で、障害者のスポーツ実施率は、都の今年度の調査によると三五・四%にとどまっており、二〇三〇年までの目標である五〇%に向けては、より一層の着実な取組が必要です。
 スポーツは、喜びや楽しさを感じることができるほか、健康の維持増進にも寄与するものです。とりわけ障害者の方々にとって、身体機能の維持向上や他者との関わりによる豊かな日常生活の実現など、その重要性は計り知れません。
 障害のある人が、より一層スポーツに親しめるよう、都の総力を挙げて取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問します。
 我が党は、住まいの安定や住環境の改善こそ全ての福祉施策の根幹であるとして、住宅政策の充実を強く求めてまいりました。その上で、今後、都が強力に推進を図るべき住宅課題の一つが、我が党が国で創設を推進して、都で制度の改善を主導してきたセーフティーネット住宅制度、いわゆるささエール住宅の充実です。
 住宅確保要配慮者のみ入居できる専用住宅を対象とする家賃低廉化補助は、都内ではまだ五区市でしか導入されていません。さらに、その対象となる専用住宅への登録は、物件の所有者の任意であるため、最大のメリットの一つである家賃低廉化補助の適用例はまだ少ない現状にあります。
 公明党は昨年、国土交通大臣に対し、UR都市機構でのセーフティーネット住宅家賃低廉化補助の適用を要望し、国は改めて交付金対応が可能である旨を明らかにしたところです。都内には、UR以外にも、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅が区部、市部に広く立地しています。
 また、公社施行型の都民住宅も、二十年間の事業期間を経て、公社一般賃貸住宅への移行が近々完了すると聞いています。公社住宅は、今後、住宅確保要配慮者向けの性格を強めていくとしており、公社住宅を家賃低廉化補助の適用を可能とする専用住宅として活用していくことが効果的です。
 また、こうした取組が家賃低廉化補助制度の設定自治体の拡大にもつながると考えます。都の見解を求めます。
 来年度予算案では、専用住宅において、住宅設備の改善に係る費用が盛り込まれています。住宅確保要配慮者の方々の居住環境を向上させていくためには、設備の充実を図り、住まいの快適性や安全性を高めることが重要です。
 さらに、貸主の間で手持ちの物件を専用住宅にすると補助が受けられるとの認識が広まれば、専用住宅の登録促進にもつながるものと考えます。
 都は、こうした専用住宅を活用した要配慮者に対する支援を、区市町村に補助制度があるなしにかかわらず、広く都内で展開すべきであります。見解を求めます。
 次いで、都営住宅の募集についてです。
 住宅政策本部は、我が党の提案に応え、年四回に限られていた定期募集において、新たに毎月や随時の募集を開始したほか、申請手続のオンライン化も開始しており、その成果が期待されているところであります。
 その上で、都営住宅の入居募集の抽せん倍率は、少しずつ改善の傾向が見られるものの、依然として高く、一層の工夫が必要です。
 令和四年度は、毎月募集について、さらなる募集拡大と募集方法の改善に努めるべきと考えますが、これまでの経緯を含め、見解を求めます。
 また、二DKなど狭い間取りの募集では、子育て生活を予定する都民からは、応募すること自体ためらいを覚えるといった声も聞かれます。
 若年夫婦世帯向けの定期使用住宅の募集で応募者数の比較的少ない地域では、今後、三人用または四人用の間取りの住戸であっても、若年夫婦世帯が応募し、入居できるよう柔軟に対処し、子育て支援に貢献するべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、都営住宅の浴室設備への対応についてです。
 都議会公明党は、令和二年の第一回定例会の代表質問で、都営住宅の入居者が自己資金で購入した浴室設備と、都が設置した浴室設備との間の不公平な取扱いの是正を求め、都は大きく見直しを図ったところです。
 具体的には、令和二年度と三年度の二年間、住棟単位での取替えと、浴室設備が故障した世帯ごとでの取替えを、都は試行的に実施してきました。いよいよ来年度は、この試行期間の状況を踏まえ、本格的な実施を図るべきと考えます。
 まず、予算を増強し、住棟単位での更新の対象戸数の拡大を図り、加えて、故障した浴室設備の更新の対象となる住戸の要件の緩和を図るべきと考えます。併せて見解を求めます。
 次に、ストーカー対策について質問します。
 警視庁の発表によると、令和二年度中におけるストーカー規制法による警告は四百九十五件で、前年に比べ八十五件、約二〇・七%増加、禁止命令は百三十七件で、前年に比べ四十二件、約四四・二%増加しました。
 加害者が被害者の車などにGPSを取り付け、居場所を特定する行為も最近では起きていると聞いています。
 そこで、現在のストーカー対策の取組について伺うとともに、GPSを使った犯罪への対応について、警視総監の見解を求めます。
 次いで、痴漢、盗撮被害防止についてです。
 男女平等参画審議会の答申を受け、都は、東京都男女平等参画推進総合計画素案を公表しました。痴漢、盗撮被害対策についても取組を進める必要があることを明記しています。痴漢、盗撮行為は、卑劣な犯罪にほかなりません。
 警視庁の発表によると、令和二年中、都内の痴漢、盗撮の検挙件数は約千三百件で、このうち約二五%が電車で発生しています。
 電車内や駅のエスカレーターなどで痴漢、盗撮被害防止に向けた警視庁の取組について、警視総監の見解を求めます。
 最後に、都営地下鉄への女性専用車両導入について質問します。
 二〇〇三年、都議会公明党は、痴漢被害から女性を守るために、都営地下鉄に女性専用車両の導入を提案しました。そして、二〇〇五年五月、都営地下鉄では、新宿線に女性専用車両を導入いたしました。
 あれから十七年、コロナ禍で乗客数が減る中でも、都営四線の痴漢行為に関する警察への通報件数は、二〇二〇年度は二十八件、今年度も一月末時点で二十五件となっています。
 これまで、女性専用車両の導入は、相互直通運転各社との調整のほか、他の車両の混雑を生むことが課題とされてきましたが、コロナの影響により、利用者は三割程度の減となっており、今後についても、新たな経営計画案では、コロナ禍前には戻らないことが見込まれているとしています。
 こうした機を捉え、都営地下鉄における女性専用車両の拡大に取り組むべきと考えます。都の見解を求め、都議会公明党の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、高校生等への医療費助成についてのご質問でありました。
 学齢期というのは、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であります。そして、高校生の世代は、自らの判断で医療機関を受診する機会も増えるということから、自身の健康をコントロールし、改善できるよう、子供たちを支援することは重要と考えます。
 昨年四月に施行した東京都こども基本条例におきましても、社会全体で子供を育む環境を整備することといたしております。
 今般のコロナ禍におきまして、改めて健康管理の重要性が認識される中、子育てを支援する福祉施策の充実の観点からも、高校生等を対象とした医療費助成の令和五年四月の開始を目指して、区市町村の準備経費等を来年度予算案に計上をいたしました。
 今後、子供の医療費助成の実施主体である区市町村と丁寧に意見交換等を実施していく予定であります。こうした取組を通じて、乳幼児から児童生徒へと切れ目なく子供や家庭を支える東京を実現してまいります。
 次に、高速道路上の本線料金所の撤去についてのご質問であります。
 本線料金所の撤廃などにつながるETCの普及促進とともに、ICT技術を活用した現金車への対応などについて、九都県市を代表して令和二年に私自ら国土交通大臣に要望をいたしております。
 こうした取組が実を結び、高速道路会社は、料金所のETC専用化を来月から順次拡大していく予定でございます。
 ご提案のプリペイドカードの活用でございますが、現行とは通信の方式などが異なり、システムの大幅な改修が必要となりますが、現金車への対応に資する手法と考えます。
 国などは、クレジットカードがなくとも利便性を向上できるよう、今後、デポジット額を三千円に引き下げるとしております。
 都といたしましては、引き続き、国などに対しましてETCの普及促進を強く働きかけるなど、永福料金所などの本線料金所のできる限り早期の撤廃に向けて取り組んでまいります。
 感染症法上の分類見直しについてのご質問がございました。
 現在、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上、医療費が公費で負担される反面、入院勧告、就業制限措置、外出自粛要請が可能で、一類感染症、二類感染症に近い対応が取られており、感染者の全数把握による保健所、医療機関の業務逼迫や、エッセンシャルワーカーのマンパワー不足など、社会活動等への影響が大きくなっております。
 一方、感染症法上の分類につきましては、都民の命を守るという観点から、ウイルスの変異の動向も含めました科学的知見や専門家による分析のほか、ご指摘の治療薬の開発、普及、ワクチン効果の状況などを踏まえるとともに、医療費が自己負担となった場合の患者の受診への影響についても考慮する必要がございます。
 今後、都として、東京iCDC等の専門家から知見を収集していくとともに、国に対しましても科学的知見の収集と必要な対応を求めてまいります。
 次に、子供政策の総合的な推進についてでございます。
 子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、社会の宝でございます。こども基本条例を踏まえまして、全ての子供の笑顔を育むチルドレンファーストの社会を実現させていかなければなりません。
 こうした思いから、子供政策連携室を設置いたしまして、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に政策を推進する体制を構築するとともに、「未来の東京」戦略 version up 二〇二二におきまして、この体制の構築をてこといたしました子供政策の方向性をお示ししているところであります。
 昨年来、全庁的な体制で検討を進めまして、教育、福祉に限らず、まちづくりや環境など都政のあらゆる分野において、子供との対話や子供目線からの政策を盛り込んでおります。
 また、子供が抱える様々な困難に寄り添って、誰一人取り残さない視点からの子供へのサポートや、一人一人の状況に合わせた学びの環境を充実してまいります。
 さらには、こどもスマイルムーブメントを官民一体で戦略的に展開してまいります。
 庁内各局の連携によりまして、一丸となって政策を推進し、子供たちが夢と希望を持って笑顔で生き生きと活躍ができる未来の東京をつくり上げてまいります。
 次に、受験生チャレンジ支援貸付についてでございます。
 未来を担う子供たちが、家庭の経済状況などの様々な環境にかかわらず、将来への希望を持って自ら伸び、育つことができる社会をつくり上げるというのは重要であります。
 コロナ禍にありましても、より多くの子供たちが自立に向けて目指す道に挑戦できますよう、本貸付けの対象となる世帯の収入要件を緩和しまして、貸付対象の拡大を図るとともに、申請窓口となる区市町村への補助を拡充いたします。
 対象の拡大に当たりましては、区市町村等とも連携しまして広く周知を図るとともに、貸付けの際の連帯保証人の見直しを検討し、利用を希望する方や区市町村等の負担軽減を図ってまいります。
 社会の宝である子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることがないように、低所得世帯の子供たちの学びを支援してまいります。
 次に、文化戦略が描く芸術文化都市東京の未来像についてのお尋ねがございました。
 二〇四〇年代の東京は、芸術文化の力で躍動と豊かさが両立した社会となることを目指しております。
 そこでは、芸術文化の鑑賞、体験を通じまして、人々の創造力が高まり、多様性と調和が浸透をしている。
 また、芸術文化が都民の心を豊かにし、日々の生活になくてはならないものとなっている。
 そして、芸術文化に関わる人々が社会のあらゆる分野で活躍し、魅力的な作品が世界に発信されることで、東京の芸術文化都市としての注目度が高まるという好循環が生まれている。
 このような文化戦略を着実に実行し、芸術文化で躍動する都市東京の実現を目指してまいります。
 最後に、障害者のスポーツ活動についてのお尋ねでございます。
 東京二〇二〇大会におきまして、パラアスリートは、様々な違いを超えて一人一人が輝けることを示してくれました。
 パラリンピックのレガシーとして、障害のある方がスポーツにチャレンジをし、楽しむことができるスポーツフィールド東京を築き上げてまいりたい。
 そのため、都立特別支援学校の活用拡大や区市町村スポーツ施設のバリアフリー化の後押しなど、身近な地域でスポーツに親しむ場を一層拡大してまいります。
 また、新たに、バリアフリーに配慮いたしましたウオーキングコースの提案や体を動かすことの重要性の発信など、スポーツに関心のない方が気軽に始めるきっかけを提供してまいります。
 さらに、今後、味の素スタジアム内に整備をいたします東京都パラスポーツトレーニングセンターを、競技力の向上だけではなく、様々なパラスポーツの体験の場として活用してまいります。
 こうした取組を幅広く展開いたしまして、TOKYOスポーツレガシービジョンで描きました、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツを楽しみ、活躍できる共生社会を実現してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) 都議会災害対策連絡調整本部会議などについてでございますが、これまでは、特措法に基づく行動制限等の措置を伴う場合に、調整本部会議の場で都議会の皆様と情報交換等を行ってまいりました。
 今般の指標の設定は、国がオミクロン株の特性に応じた緊急事態宣言の発出基準を明確に示さない中で、臨床現場等において少しずつ明らかになってきたその特性等を専門家に評価、検証いただき、都として指標を新たに設定したものでありますが、特措法による措置には該当しないと判断したものでございます。
 今後、新たな変異株による感染が拡大した場合には改めて対応していくとともに、措置には該当しないものの、特に重要なコロナ対策案件に関しましては、調整本部会議での説明も含めて丁寧な情報提供に努め、都議会の皆様と緊密な連携を図ってまいります。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ストーカー対策の取組状況等についてでありますが、警視庁では、平素より警視庁ホームページやリーフレット等の媒体を通じ、各種相談窓口や被害防止策等について周知を図っております。
 また、ストーカーに関する相談等を受理した場合、被害者等の安全確保を最優先とした保護対策を迅速に実施するとともに、各種法令を適用した加害者の検挙や再犯防止のための取組を推進しております。
 GPSを使いました犯罪への対応につきましては、改正ストーカー規制法により、恋愛感情等に起因してGPS機器を取り付ける行為等が新たに規制対象となったことから、同種事案に適切に対応するよう努めるとともに、取締り及び被害防止の実効性を高める資器材の整備を検討しております。
 さらに、改正ストーカー規制法では規制されない悪意の感情に起因してGPS機器を取り付ける行為等にも対応するため、いわゆる迷惑防止条例の改正についても検討しております。
 警視庁といたしましては、今後とも、関係機関等と連携し、これらの事案に的確に対応することにより、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
 次に、電車や駅構内等における痴漢、盗撮被害防止に向けた取組についてでありますが、警視庁では、被害が多発する通勤通学の時間帯を中心に駅構内において警戒活動を実施しているほか、被害の相談を受理した場合には、被害防止や犯人検挙のため、警察官が被害者と電車に同乗して警戒するなどの対策を実施しております。
 また、鉄道事業者と連携したキャンペーン等の機会を通じて、痴漢被害発生時に警告等を発する機能を有する警視庁防犯アプリ、Digi Policeの活用促進や、具体的な対応策を掲載したリーフレット等の配布、各種相談窓口の案内など、広報啓発活動を実施しております。
 今後とも、鉄道事業者と連携し、痴漢、盗撮被害防止に向けた取組を強力に進めてまいります。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、小学校における外部人材の活用についてでございますが、小学校では学級担任制を取っており、学級経営に係る教員の負担が大きい状況にあるため、教員が、授業そのものや子供の理解により力を注ぐことができるよう、外部人材を積極的に活用する必要がございます。
 このため、教員の教材準備の支援などを行うスクールサポートスタッフの活用を促進してまいりました。
 来年度は、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる一年生から三年生までの各学年に、家庭への連絡文書の作成や子供の出欠確認等、学級担任の業務を補佐する支援員を配置する事業を開始いたします。
 こうした取組により、教員が子供と向き合う時間をより増やし、教育活動の充実を図ってまいります。
 次に、都立高校における外国人生徒の支援についてでございますが、都教育委員会は、令和二年度から、在京外国人生徒向けの入試を行う四校に、NPO等と連携して、多文化共生スクールコーディネーターを派遣し、外国人生徒特有の悩みや不安に応じて専門家を活用する等の支援を行っております。
 来年度からは、支援対象を、在京外国人生徒向けの入試を行う八校全校に拡大いたします。
 また、各校からの日本語学習や在留資格の悩み等、様々な相談に対して、生徒や教員への具体的な支援方法を計画し、ニーズに応じた専門家の派遣を行うなど、事業内容を強化し、相談体制の充実を図ってまいります。
 次に、フリースクール等に通う子供への支援についてでございますが、学校に通うことができない子供の支援には、フリースクール等の知見を活用し、一人一人の状況に応じた多様な教育の機会を確保することが重要でございます。
 これまで、学校とフリースクール等との協議会を継続的に開催するなど、連携を深める取組を推進してきたところでございます。
 来年度、区市町村の教育支援センターによるフリースクール等と連携した相談事業などへの支援を充実いたします。
 また、フリースクール等に通う子供たちが増加していることを踏まえ、フリースクール等に通う子供や保護者の意見等から支援ニーズを把握する調査を実施し、これに協力いただける子供や保護者を支援してまいります。
 次に、音や光等に敏感な子供への対応についてでございますが、微細な刺激に敏感であることなどが要因となって集団での活動になじめない子供には、個別のきめ細かな配慮が必要でございます。
 このように、音や光等に敏感な特性は、いわゆるハイリー・センシティブ・チャイルドと呼ばれることもございまして、学校では、保護者と連携しながら、子供の状況に応じてできるだけ刺激が軽減されるよう、教室環境への配慮や相談室等での対応を行い、気持ちに寄り添い、安心して学習が行えるよう配慮しているところでございます。
 今後、多様な理由で教室に入れない子供がいることについて、改めて学校に理解を促すとともに、学習環境を適切に整え、安心な居場所づくりに向けた取組を推進し、子供の状況に応じた学びの確保に努めてまいります。
 最後に、学校体育館等への空調設置についてでございますが、学校体育館等は、児童生徒が日常的に活動する場であるとともに、非常災害時には地域住民の避難所等としての役割を果たしますことから、熱中症の予防や防災機能の強化を図る空調設置が重要となります。
 このことから、都教育委員会は、計画的な空調設置を行う区市町村に対し、平成三十年度から今年度末までを期間とする補助事業を実施しているところでございます。今年度末の設置率は八二・二%となる見込みでありますが、一部の自治体では、感染症の影響等により、予定していた工事を見送る事例が生じているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、補助事業を延長し、来年度も区市町村の空調設置の取組を支援してまいります。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) ホームドアの整備についてでございます。
 ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 都は、令和元年九月に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえ、事業者に整備計画の策定を求めるとともに、令和二年度から補助対象駅の拡大など、支援策を拡充いたしました。
 令和三年度には、技術的な課題に対応するため、事業者との検討会を新たに設置し、検討を進めております。
 令和四年度は、新規に調査費を予算計上いたしまして、技術的な方策を取りまとめてまいります。その検討状況も踏まえながら、さらなる整備対象駅の追加など、整備計画の見直しにつきまして、事業者と個別に調整を行ってまいります。
 こうした取組を通じて、ホームドア整備のより一層の推進を働きかけてまいります。
   〔主税局長砥出欣典君登壇〕

○主税局長(砥出欣典君) 令和四年度の都税収入についてでございますが、令和三年度当初予算に比べて一一・六%の増、五兆六千三百八億円と見込んでおります。中でも、法人二税が約四千八百億円、三三・〇%増加する見通しで、都税収入の増加に大きく寄与しております。
 法人二税につきましては、令和三年度の収入実績を基に、各種経済指標等を踏まえ算出しており、今後もIT関連産業や製造業を中心に、全体として企業収益が堅調に推移するものと考えております。
 また、雇用、所得環境の改善による個人都民税の増や、税額据置措置の終了による固定資産税、都市計画税の増なども都税収入を押し上げる要因となっており、来年度、都税収入総額は三年ぶりにプラスとなると見込んだものでございます。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 基金の残高確保についてでございますが、令和三年度最終補正予算では、予算の執行過程における歳出の精査などにより、特定目的基金の残高確保へとつなげるとともに、税収増を活用し、財政調整基金への積立てを実施しました。
 また、令和四年度予算では、特定目的基金を活用し、積極的な施策展開を図る一方で、財政調整基金への積立てを行った結果、令和四年度末における基金全体の残高は約一兆円を確保しております。
 こうした取組を進める中にあっても、今後のコロナとの闘いや、安全・安心な東京の実現など、様々な課題に対応していくためには、将来にわたる財政基盤の一層の強化は重要でございます。
 そのため、中長期を見据えながら基金の積立てを含め残高確保に努めるなど、持続可能な財政運営に向けた取組を進めてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療費助成を行う区市町村への支援についてでありますが、都はこれまで、市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の基準の下で補助しており、さらなる施策の充実に向け、来年度予算案に、高校生等への医療費助成の準備経費として、区市町村のシステム改修経費等を計上しております。
 具体的な制度内容につきましては、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、制度の考え方や内容、準備経費補助の詳細や事業実施に向けた課題等について丁寧に議論を重ね、調整してまいります。
 それらを踏まえ、必要な経費や仕組みについて検討してまいります。
 次に、東京都こども基本条例を踏まえた取組についてでありますが、都は来年度、子供自身が条例の内容を理解できるよう、年齢や発達段階に応じた普及啓発リーフレットを作成いたします。その作成に当たっては、子供の権利に関わる学識経験者や広報に関して知見を持つ有識者が参加する編集検討委員会を設置し、分かりやすい内容構成やデザイン等を検討するとともに、子供の意見を取り入れてまいります。
 また、身近な区市町村において、子供の権利を尊重し擁護するための取組が進むよう、子供の意見表明や参加の促進、権利擁護に取り組む区市町村への補助を拡充いたします。
 こうした取組により、子供があらゆる場面で社会の一員として尊重され、健やかに育つ環境を整備してまいります。
 次に、チャイルド・デス・レビューについてであります。
 チャイルド・デス・レビューを確実に実施するためには、収集する情報の範囲や入手、管理の方法などについて整理した上で、子供と家庭に関わる様々な機関の連携協力体制を構築することが必要であります。
 都は来年度、医療機関、保健所、警察等に対して、子供の死亡に関する情報の取扱いの状況をヒアリングし、情報共有の可能性や手法等について意見交換をいたします。
 また、体制構築の参考とするため、国のモデル事業に取り組む自治体の実施体制や、海外の事例等について調査いたします。
 それらを踏まえまして、チャイルド・デス・レビューの実施に向け、連携体制や役割分担など、関係機関と検討を進めてまいります。
 次に、ヤングケアラーへの支援でございます。
 ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないことなどの理由から、支援が必要であっても表面化しにくい構造があります。
 ヤングケアラーを早期に把握し、必要な支援に確実につなげるため、都は来年度、有識者や区市町村、福祉、教育、介護、医療等の関係機関等で構成する検討委員会を設置し、ヤングケアラーを把握する際のポイントや、アンケートなど子供の気づきを促す方策、各関係機関の役割や連携の在り方など、毎回テーマを設定して検討してまいります。
 検討した内容はマニュアルに取りまとめて周知し、関係機関等が地域で連携して、適切な支援につなげられるよう取り組んでまいります。
 最後に、ヤングケアラーの相談支援でございます。
 ヤングケアラーを支援するためには、不安や悩みを相談しやすい場づくりも必要です。
 都は来年度から、家庭や進学等の悩みを相談できるピアサポートや、元ヤングケアラーを含む当事者が相互に交流し、経験を共有できるオンラインサロンなどを行う民間団体を支援し、気軽に相談できる環境を整備してまいります。
 また、来年度取りまとめる支援マニュアルを、区市町村の子供家庭支援センターや学校など関係機関に周知し、地域における相談体制の整備を支援してまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、医療提供体制の逼迫度を測る指標についてですが、臨床現場等で従事する専門家の意見を踏まえ、まず、重症病床使用率は、たとえ軽度の肺炎であっても、併存する他の疾患のため集中治療を要する患者が増加してきたことから、この動向を注視するため、指標として設定いたしました。
 また、感染急拡大により酸素投与が必要な方が増加すれば、その中から一定程度の重症患者が発生する可能性がございまして、その推移を把握するため、酸素投与が必要な方の割合を新たに指標としたところでございます。
 感染拡大に伴い、医療従事者の欠勤が増加した場合には、重症病床使用率等が低い水準であっても、患者の受入れ対応など、現場の状況は厳しくなります。
 こうした要素等を考慮いたしまして、新たな指標には、それぞれ幅を持たせることといたしました。
 次に、社会経済活動の影響を測る指標についてですが、オミクロン株は、デルタ株と比較して罹患率が極めて高く、新規陽性者数や濃厚接触者が急増し、多くの方々が一定期間欠勤を余儀なくされることで、社会経済活動の停滞が懸念されていたところでございます。
 都内事業者へのヒアリングから、欠勤者が三割程度生じた場合、交通機関の一部運休などが行われ、社会経済活動の継続に大きな影響が生じることが分かりました。
 こうした状況を事前に回避するため、都の就業人口の一割程度の欠勤が想定されます新規陽性者数やその濃厚接触者数を試算いたしました。
 これに基づき、七日間移動平均の新規陽性者数二万四千人を、緊急事態宣言の発出を要請する指標の一つとして設定したものでございます。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者施設の新型コロナ対策についてでございますが、今回の感染拡大では、重症化リスクの高い高齢者の施設内感染が増加をしておりまして、その対応が急務となっております。
 そのため、都は、広域的に対応可能な医療機関との連携により強化をいたしました自宅療養者等への往診体制を活用し、高齢者施設での往診を積極的に進めております。
 さらに、特別養護老人ホーム等での対策を強化するため、施設の嘱託医等による診療を促進していくとともに、東京都医師会等と連携し、地区医師会の医療支援チームの医師が入所者への往診等を行う新たな取組を開始いたします。
 今後、地区医師会や保健所等と連携し、施設と嘱託医、地域の医師等のネットワークの構築を進めながら、この事業が多くの地域や施設で早期に実施されるよう働きかけてまいります。
 続いて、若者などへのワクチン追加接種についてでございますが、感染拡大を抑えるためには、あらゆる世代へのワクチン接種が重要でありまして、とりわけ行動範囲が広く活動的な若い世代に前倒しして接種を進めていく必要がございます。
 都は、昨年八月、都の大規模接種会場におきまして、三十九歳以下の若者や大学生等、また、四十歳以上の方に順次接種を進めてまいりました。
 追加接種におきましては、若者への早期接種のため、今月下旬以降、東京都立大学の南大沢及び荒川キャンパスに都内在住、在勤、在学の若者専用会場を設置し、大学生や専修、各種学校の学生等の予約枠も設けるなど、一日当たり計二千五百回程度の接種体制を整備いたします。
 あわせて、全世代への接種を加速するため、さらなる会場の開設及び対象者の拡大を早急に検討してまいります。
 最後に、国産経口薬の治験についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対策を進める上で、患者の心身への負担が少なく、自宅での服用が可能な経口薬が迅速に開発され、十分な量が供給されることが重要でございます。
 医薬品の承認過程におきまして、候補薬の有効性、安全性を確認する治験は、新たな医薬品の開発にとって必要不可欠な手続でございます。都は、公的な役割といたしまして、宿泊療養施設など三か所を治験の実施場所として提供するなど、円滑な実施に向け支援に努めてまいりました。
 今後、宿泊療養施設等や都立、公社病院での治験協力をさらに拡充するなど、国産経口薬の迅速な審査、承認につながるよう継続的に支援してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 サプライチェーンの維持と確保についてですが、感染症の拡大が経済活動に影響を与え、中小企業において部品や原材料の確保に支障を生じる場合がある中で、事業活動を継続できるよう支援することが重要でございます。
 このため、都では、二月から経営上の相談対応を行う窓口を設け、専門家の派遣も開始いたしました。また、これに合わせて、経済団体と連携し、専門家が様々な業界を巡回するほか、商社OBなどが個別の企業を訪問し、受注と発注のニーズを掘り起こす取組を進めているところでございます。
 来年度は、こうして掘り起こした企業同士を個別にマッチングする取組に加えて、商談会も開催し、新たな受発注のルートづくりを後押ししてまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業のサプライチェーンの維持と確保をサポートしてまいります。
 次に、中小企業制度融資についてですが、コロナ禍の影響が長期化し、中小企業の経営は厳しさを増しております。都が昨年度の制度融資で実施した保証料負担のない実質無利子融資について、その返済に苦慮する事業者に対し、きめ細かな金融支援が必要となっております。
 このため、来年度は、実質無利子融資の借入れを行った中小企業に関し、新たな借換えメニューを創設し、借入額八千万円までは信用保証料の全額に補助をいたします。このメニューを利用することにより、元本の返済を据え置く期間が延びることとなります。
 また、金融機関に対しては、引き続き、事業者からの返済猶予や借入れなどの申出に柔軟に対応するよう協力要請を行います。
 こうした取組によりまして、中小企業の資金繰りを着実に下支えしてまいります。
 次に、奨学金返還の負担の軽減についてですが、都は、中小企業の人材確保に向け、建設、IT、ものづくり分野の企業が技術者として学生等を採用した場合、その奨学金返還を支援する事業を今月より開始いたしました。
 現在、事業を利用する中小企業の募集を行っており、今後は各社の魅力などをウェブサイトで紹介いたします。また、事業の認知度向上に向けて、新聞やSNSでPRを行うとともに、業界団体等を通じた情報提供を実施いたします。
 四月からは、こうした企業への就職を希望する学生や卒業生の若者の募集を行うことに合わせて、大学のキャリアセンターやハローワークなどと連携し、本事業の利用を促してまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業の人材の確保と定着を支援してまいります。
 最後に、中小企業への販路開拓支援についてでございますが、多摩地域の中小企業が直面する厳しい経営環境を克服するため、新たな販路の開拓につながる支援を適切に行うことは重要でございます。
 本年十月には、八王子に広域的な産業交流を図る拠点として、東京たま未来メッセの開業を予定しております。同メッセの開業に先立ち、都では、近隣の自治体のほか、大学や経済団体も含めた意見交換の場を設け、様々なテーマで見本市や展示会を開催できるよう準備を行っているところでございます。
 都は現在、中小企業が幅広く販路を開拓できる大規模な商談会として、東京ビッグサイトにおいて産業交流展を行っております。
 今後、東京たま未来メッセにおいても、多摩地域を中心に数多くの企業が参加する展示会を開催できるよう検討し、中小企業の販路開拓につなげてまいります。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立高校授業料の保護者負担軽減についてでございますが、就学支援金及び特別奨学金の支給早期化に向けては、DXを活用した取組が重要でございます。
 このため、都はこれまで、補助金の支給事務やシステムに係る調査、分析を行った上で、申請手続の簡素化や審査事務の効率化を実現する方策について検討してまいりました。
 来年度は、申請、審査のオンライン化や所得審査に必要な税額取得の自動化のためのシステムを構築するとともに、学校への説明や保護者への周知を行うこととしておりまして、補助金支給までの期間短縮については、令和五年度から実施できるよう、着実に取り組んでまいります。
 次に、若手アーティスト支援についてでございますが、東京の芸術文化の振興のためには、担い手となるアーティストの持続的な活動に対する支援が必要でございます。
 新たに策定する文化戦略においては、アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みをつくることとし、特に若手アーティストへの段階的な支援を掲げております。
 来年度は、活動歴三年未満の若手に定額で支援を行うスタートアップ助成におきまして、より多くの若手アーティストの活動を後押しいたします。さらに、稽古場、アトリエなどの創作環境の提供についても、具体的な検討に着手いたします。
 このような取組を通じ、若手アーティストを多様な面から支援してまいります。
 最後に、芸術文化の指導者への支援についてでございますが、東京の多彩な芸術文化は、地域の実演家、指導者により支えられており、都の伝統文化、芸能体験事業にも様々な形でご協力いただいております。
 今年度立ち上げた伝統芸能活動体験助成は、助成を受けた団体から、今まで縁のなかった人にも広げることができた、稽古を続けたいという希望者が現れたとの声が上がるなど、地域の指導者等が活動する場の拡大につながっております。
 さらに来年度は、様々なジャンルの芸術文化の担い手が参加できるイベントへの助成により、活動の場を広げてまいります。
 こうした取組を通じ、地域で指導育成に取り組む方々を引き続き支援してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新築住宅のゼロエミッション化についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、二〇五〇年の東京の姿を形づくる新築建築物の環境性能の向上が重要であり、都はこれまで、東京ゼロエミ住宅基準を定め、支援を行ってまいりました。
 来年度は、新築住宅のゼロエミ化をさらに促進するため、より高い断熱性能や国内最高レベルの省エネ性能等を備えた水準を追加するなど、東京ゼロエミ住宅基準を三段階にし、それぞれの段階に応じた支援を講じるとともに、助成対象件数を大幅に拡充いたします。
 加えて、エネルギーの地産地消に資する太陽光発電設備等に対しても助成単価を増額するなど、積極的な設置を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、新築建築物の環境性能の向上をさらに加速させ、家庭部門のCO2削減に取り組んでまいります。
 次に、太陽光発電設備の率先導入等についてでございますが、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、都自身が隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギーの導入等の取組を一層強化していくことが重要でございます。
 このため、都は、太陽光発電設備について、知事部局等の都有施設における二〇二四年度までの設置目標を一万二千キロワットから二万キロワットへ大幅に引き上げ、設置を加速させてまいります。
 また、都営住宅におきましては、来年度、まずは約百棟に設置を進め、その際には、発電した電力を停電時に居住者等が使用できるよう、非常用コンセントを共用部に整備いたします。
 こうした都有施設への太陽光発電設備の率先的な設置によりまして、都内での再エネ導入拡大を牽引してまいります。
   〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、既存住宅の省エネ改修支援についてでございますが、住宅の脱炭素化に向けた改修を効果的に促進するためには、市区町村と連携した取組の推進が重要でございます。
 そこで、来年度から、既存住宅の省エネ診断や、省エネ基準適合レベル以上に引き上げる断熱改修工事等に対する補助事業を立ち上げる市区町村への支援を開始いたします。
 当面の間、市区町村の補助事業における都の補助率を上乗せし、住宅所有者の負担を軽減することにより、早期事業化を促進してまいります。
 また、市区町村の実施体制が整うまでの間、都内の全ての地域で補助が受けられるよう、都が直接補助を行う事業も実施いたします。
 こうした取組により、既存住宅の省エネ性能向上を促進し、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
 次に、専用住宅における公社住宅の活用についてでございますが、公社住宅は重層的な住宅セーフティーネット機能の一翼を担っており、その機能の一層の強化が必要でございます。
 公社は、これまで高齢者や子育て世帯等への優先入居や家賃軽減のほか、昨年、長くお住まいの高齢者世帯を対象に、低廉な家賃の住宅への住み替え支援を開始いたしました。
 新たな住宅マスタープラン案では、公社住宅について、住宅確保要配慮者向けの性格を重視するとともに、ストックを有効活用していくこととしておりまして、今後、専用住宅としての活用について、空き状況や地元自治体の意向を踏まえながら検討してまいります。
 都といたしましても、こうした取組と併せて専用住宅の家賃低廉化補助の実施を市区等に一層働きかけてまいります。
 次に、専用住宅を活用した住宅確保要配慮者への支援についてでございますが、要配慮者の居住の安定確保に向け、要配慮者のみ入居できる専用住宅の登録を着実に進めるとともに、居住支援の充実を図ることは重要でございます。
 このため、新たに専用住宅に登録される民間賃貸住宅を対象に、段差解消などのバリアフリー改修に加えまして、高齢者等のヒートショックを防止する設備のほか、モニター付インターホンなどの防犯設備やインターネット接続機器の設置など、住宅設備の改善を後押しするよう、来年度から都単独補助を都内全域で開始してまいります。
 こうした取組により、専用住宅への登録を促進しながら、要配慮者の居住環境の向上を図ってまいります。
 次に、都営住宅の毎月募集についてでございますが、都民の居住の安定を確保するため、住宅に困窮する子育て世帯等の入居機会の拡大を図ることが重要でございます。
 そこで、都は、子育て世帯等を対象に毎月募集を実施しており、現在、コロナ禍を踏まえ、臨時的に一般世帯も対象にしております。本年二月からは、オンラインでの受付も可能といたしました。
 さらに、本年四月から募集戸数を月百二十戸から二百戸、年間二千四百戸にし、この中で子育て世帯等の専用枠を増やします。一般世帯も引き続き対象とするとともに、拡大を図り、入居機会を一層広げます。
 今後、高齢者や障害者等の単身者も対象とするなど、毎月募集のさらなる拡充に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅における若年夫婦世帯向けの募集方法の改善についてでございますが、若年夫婦、子育て世帯向けの定期使用住宅の募集では、多人数世帯用の比較的広い住戸の応募倍率が低い傾向にあり、一倍を切る住戸もございます。
 そこで、定期使用住宅の募集におきまして、一倍を切った住戸は、その後の募集で世帯人数の条件を緩和し、若年夫婦など少人数の世帯でも、将来の家族の増加なども考慮して、より広い住戸を選択し応募できるようにいたします。
 こうした取組により、入居を希望する若年夫婦世帯等のニーズに即した募集方法に改善し、支援してまいります。
 最後に、都営住宅における浴室設備の更新についてでございますが、住戸を適切に維持管理するためには、居住者が設置した浴室設備も都が更新していくことが必要でございます。
 住棟ごとに更新する基本枠につきましては、昨年度の応募実績を踏まえまして、今年度は予定戸数と選定住棟数を拡大いたしました。また、故障した浴室設備につきましては、居住者の要望に応え、今年度は、居住年数要件から年齢要件に変更いたしました。
 令和四年度からは、基本枠の予定戸数を千五百五十戸から二千六百戸にさらに増やし、住棟選定数も拡大して実施いたします。
 また、故障した浴室設備につきましては、対象の全居住者が応募できるよう、年齢要件をなくして実施いたします。
 今後は、こうした本格的な取組を進め、浴室設備の更新を着実に実施してまいります。
   〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 都立、公社病院での不妊治療についてでありますが、都民のニーズの高い治療に都立、公社病院が取り組んでいくことは重要でございます。
 都立、公社病院は、これまで主に保険適用の診療に取り組んできており、本年四月からは患者支援センターで不妊治療の相談を開始し、不妊治療を希望する患者の悩みや不安に対応してまいります。
 一方、体外受精や顕微授精など新たに保険適用となる不妊治療を実施するには、専門医などの人材確保や専用設備の整備が課題でございます。
 このため、独法化を見据え本部内にPTを設置し、都立、公社病院が不妊治療において果たすべき役割などを検討するとともに、独法化のメリットも最大限生かしながら、不妊治療に対する都民の期待に応えてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 大会経費についてでございますが、組織委員会、東京都、国の三者は、平成二十九年の大枠の合意や、大会延期後の追加経費負担の合意に基づいて、毎年度、経費を精査し、総額と内訳を公表してまいりました。
 また、執行に当たりましては、共同実施事業管理委員会において、コスト管理と執行統制の強化等を図ってまいりました。
 今回、三者は、こうしたこれまでの経緯と、観客数の取扱いなどV5予算以降の後発事象を共有した上で、役割分担を踏まえた対応を図ることに合意いたしました。
 その中で、国は、関連するパラリンピック経費とコロナ対策経費を新たに支出することとしております。
 今回の三者合意によりまして、新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなりました。引き続き、経費精査を行い、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
   〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄での女性専用車両拡大に関するご質問にお答えいたします。
 交通局では、お客様により安心してご利用いただけるよう、平成十七年から新宿線におきまして朝のラッシュ時間帯に女性専用車両を導入してまいりました。他の路線につきましては、現在、相互直通運転を行っている事業者間で対応が異なっていることや、導入により他の車両が混雑するなどの課題がございます。
 一方、このたび策定いたします経営計画二〇二二では、都営地下鉄の乗客数は今後もコロナ禍前と比べまして一五%程度の減少が続き、旅客動向の変化が生じるものと見込んでおります。
 こうした状況を踏まえ、女性専用車両の導入拡大につきまして、朝のラッシュ時間帯の利用状況等を勘案しながら検討してまいります。
 今後とも、女性や子供、障害者をはじめ、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりに取り組んでまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後七時五十八分休憩

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