令和四年東京都議会会議録第二号

   午後三時二十五分開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十番増子ひろき君。
   〔百二十番増子ひろき君登壇〕

○百二十番(増子ひろき君) 質問に先立ち、過日、元東京都知事である石原慎太郎氏がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 また、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたしますとともに、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念申し上げます。
 令和四年第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、警視総監、教育長、関係局長に質問いたします。
 新型コロナの本格的な流行から二年がたち、感染者は世界で四億二千万人を超え、死者は五百八十七万人に達しました。私たちは、いまだ人類史に残るパンデミックの渦中にありますが、同時に、新たな時代への転換点にもあります。特に、昨年のオリンピック・パラリンピック競技大会を終えた今、東京は次の十年先、二十年先の未来を描き、実現していかなければなりません。
 これまで私たち都民ファーストの会東京都議団は、デジタル、グリーン、そしてダイバーシティを軸に、都政において多くの政策を実現してきました。それらは、単にコロナ前の社会に戻るのではなく、コロナによる人々の価値観や社会の変化を踏まえて、新しい社会を目指すサステーナブルリカバリーの理念とも一致するものです。
 私たちはこれからも、新型コロナウイルス感染症の克服に全力で取り組んでいくとともに、多様性と包摂性にあふれた、強靱で持続可能な東京を築いていくことを改めてお誓いし、質問に入ります。
 感染力の強いオミクロン株の流行により、かつてない規模の感染の第六波を迎えています。ワクチン接種や抗体カクテル療法をはじめとした治療方法の導入により、重症化や死亡者の増加は一定程度抑えることができるようになっていますが、いまだ治療薬が確立された状況ではなく、新型コロナウイルスとの闘いは今後も継続していかざるを得ません。
 一方で、長引く感染症の影響に加えて、激甚化する自然災害への対応や、脱炭素、カーボンニュートラルや社会全体のデジタル化への対応など、日本、そして世界をリードしていく大胆な取組が都政に求められています。
 令和四年度予算案は、コロナ対策が初めて当初予算に盛り込まれ、また、今般バージョンアップされる長期戦略を力強く実行していくための重要な予算になります。
 来年度予算案によって、感染症や災害、気候変動から都民の命や暮らしを守り抜くとともに、サステーナブルリカバリーやデジタルによる構造改革など、東京の未来を示し、東京の成長や発展につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オミクロン株の感染拡大を受けて、都内の感染者の数は、これまでに経験したことがない規模となっています。重症化しづらい等の指摘もありますが、そもそもの感染者の数が増えていくことに伴い、社会的機能の停止が生じており、さらに、重症化リスクの大きい高齢者等にも感染拡大が見られ、改めて都民の理解、協力を得ながら、オミクロン株の感染抑制に向けてあらゆる取組を進めていく必要があります。
 都は、先日、オミクロン株の特性を踏まえた緊急事態宣言の要請の基準を策定、公表しました。都民の皆様のご協力を得る上で、科学的知見に基づいた一定の基準を設けて理解を得ることは極めて重要です。
 他方で、宣言の主体は国であり、本来は国が率先して、オミクロン株の特性を踏まえた対応の大方針を明確に示すべきですが、残念ながら、国の動きは極めて遅い状況です。
 これまで都は、東京iCDCやモニタリング会議の場などで、専門家の方の知見を積極的に取り入れ、対策に生かしてきましたが、ここ最近の国の対応は、専門家による科学的知見、迅速性のいずれも極めて不十分といわざるを得ません。
 改めて国に対し、専門家の意見を踏まえた科学的知見に基づいた迅速な対応が行われるよう、オミクロン株の特性に応じた対応方針を明確化するよう強く求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先週のモニタリング会議において、都が東京iCDCの議論を踏まえ、健康安全研究センターで実施していた変異株PCR検査の結果として、オミクロン株の亜種であるBA・2系統が都内で初めて確認されたことが報告されました。
 BA・2系統の実態はいまだ不明な点も多いですが、海外では、既に従来のオミクロン株から置き換わり、感染の主流となっている国もあり、従来株以上に感染力や重症化リスクが高いという可能性も指摘されています。現在の第六波が収まらないうちに、新たな第七波が生じる可能性も生じており、対策の見直しも検討しなければなりません。
 都が実施しているオミクロン株亜種、BA・2系統用の変異株検査の手法を近隣県含め、日本全体に広く共有するとともに、新たな変異株のリスクを踏まえ、先手先手で機動的に対策の見直しを行うべきと考えますが、見解を伺います。
 ワクチンのブースター接種は、オミクロン株に対しても重症化リスクを低減する効果があるといわれており、希望される方が一刻も早く接種できる体制の整備が必要不可欠です。
 本来は、これだけ感染が拡大し、医療現場が逼迫している中ではなく、感染が落ち着いている昨年末から早め早めに三回目接種を実施できていれば、感染の波を現在よりも抑えることができていた可能性があります。
 都は、ワクチンの二回接種の効果は七か月程度で低下するという科学的分析を踏まえ、国に対し、早期の三回目接種の実施を求めてきましたが、国は了解せず、迅速な対応がなされませんでした。準備ができている自治体から接種を迅速化する必要性は、一、二回目のワクチン接種の遅れから得られた教訓ですが、こうした取組に否定的な国の態度が現在の感染状況を招いた一因であることは疑いがなく、国の危機管理体制には大きな問題があります。
 接種を促進するためには、都民の精神的な安定感を後押しすることも極めて重要であり、モデルナワクチンによる三回目接種の効果、身体への影響等に関する正確な情報発信の強化や、接種会場の拡大など、総力を挙げて、三回目接種の体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 現在のように、感染状況が極めて厳しい中では、感染された方、濃厚接触者には、ご自身で適切な対応を取っていただく必要が生じています。
 しかしながら、自宅療養日数の変化や濃厚接触者への連絡ルートの変更など、状況が変化している中で、何が最新の適切な情報であるのか、都民にとって分かりづらい事態が生じています。
 保健所を通じた健康観察、自宅療養フォローの強化に加え、感染者、濃厚接触者が取るべき行動指針を、あらゆるチャネルを通じて、感染者、濃厚接触者に提供すべきと考えますが、見解を伺います。
 感染力の強いオミクロン株の流行においては、小さい子供への感染も拡大し、保育園等の休園も相次いでいます。小さい子供を安心して預けることができなくなることで、パパ、ママの出勤も困難となり、家庭や仕事での支障や社会的機能の低下につながりかねません。
 保護者が安心して子供を預け、働き続けることができるよう、保育園等への対策を強化すべきですが、見解を伺います。
 妊婦の感染例も増えています。ただでさえ出産を控えて不安を抱えている妊婦に対して、安心して出産できる環境を、感染拡大の状況下においても構築しなければなりません。
 感染した妊婦専用の病床の確保、医療的サポート体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 高齢者施設が、コロナに感染し、一度入院した高齢者の引取りに積極的ではない傾向があると聞いています。それにより、本来、退院に相当するような軽症者が入院の継続を余儀なくされてしまい、特に都立病院などの基幹病院において一般病床を逼迫させる要因となっています。
 都は今般、国と協力して、オミクロン株の特性に対応した臨時の医療施設を新たに設置することを踏まえ、高齢者及び高齢者施設への対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 患者の受入れが困難な医療機関が増えている状況を踏まえて、酸素・医療提供ステーションが病床を補完する役割を果たせるよう、処方薬の拡充や回復傾向にある患者の受入れの促進など、その機能拡充について、先般、我が会派から改めて要望したところです。
 この間、大きな課題となっているのが、救急搬送の要請数の急増です。救急隊の負担を軽減し、また、患者を迅速に医療機関へ搬送するためにも、酸素・医療提供ステーションの入所対象となる軽症者等の搬送体制を拡充していくことが必要です。
 そこで、我が会派からの要望をしっかりと受け止め、酸素・医療提供ステーションの機能拡充を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 オミクロン株においても、様々な後遺症が感染者から報告されています。我が会派はかねてより、コロナ後遺症の実態を正確に把握し、その後の支援につなげるべきと強く訴えており、都立病院での後遺症サポート体制の実現などにつなげてきました。
 改めて、オミクロン株含め、コロナ後遺症の実態把握を進めるため、調査、分析を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 感染症の長期化は、都民に多様な影響を及ぼしています。この間、インバウンドの急減やイベントの中止、飲食店等への休業要請などにより、経済活動が縮小したことで、厳しい状況に置かれている都民が大勢います。
 職を失ったり、収入が大きく減少したりするなど、困窮した生活を余儀なくされる都民を支援するために、様々な対策を都は講じてきました。例えば、我が会派の求めに応じ実現した水道、下水道料金の支払い猶予は、これまで二万四千件を超える支援となりました。
 現在の感染拡大の終息が明確に見通せない中、収入の大幅な減少などで厳しい生活を余儀なくされている都民、事業者に対して、感染防止対策の助成金については、中小企業の実情に応じて柔軟な対応を図るとともに、水道、下水道料金、都税等の支払い猶予などのコロナ対策の支援や補助を年度末にも切れ目なく実施していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都が実施してきた新型コロナ対応融資をはじめとした各種融資制度の中には、今後返済が始まるものもありますが、当初想定よりもコロナ禍の影響が長期化している中で、多くの事業者はいまだ返済が困難な状況にあります。
 そこで、都内中小企業の資金繰りを支えるため、借換え融資も含めた新たな制度融資や、企業の成長を促す支援の拡充など、金融支援のさらなる強化を図っていくべきですが、見解を伺います。
 今後の経営や事業活動へのさらなる影響が懸念される状況にある中で、BCPの策定など不測の事態への備えや、環境変化に対応した経営計画の見直し等にいち早く取りかかった企業こそ、今後の収益が回復する割合が高いと考えられます。
 そこで、都内の中小企業が、感染症に対応したBCP策定や経営計画の見直し、さらにはアフターコロナを見据えたデジタル技術を活用した新たな取組などができるよう、都として丁寧に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 蔓延防止等重点措置の期間を延長することとなり、時短要請の対象となっている飲食店など、引き続き厳しい状況に置かれています。
 協力金の迅速な支給、借換えを含む資金繰り支援、経営基盤の強化に向けた専門家による支援など、引き続き飲食事業者への支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 令和四年四月付の組織再編で、これまで政策企画局で担っていた国際広報と、生活文化局で担っていた広報広聴機能を、政策企画局に集約し、戦略広報部を設置するとしています。知事はこれまでも、伝える広報から伝わる広報、さらには届く広報へとおっしゃっており、私たちも強く賛同するものです。
 かねてより、都の広報の改善について、横断的広報、プッシュ型広報、アクセス解析等による改善など、都民に届く広報を様々な形で提案してきた我が会派として、組織再編を機に、広報の抜本的な機能強化を強く求めます。
 各局の広報に横串を刺すとともに、ノウハウ等の共有による全庁的な広報のレベルアップも求められます。ホームページやSNS投稿、自前のアプリなどのこれまでの自前の広報だけではなく、効果的に情報を拡散する上では、地域メディアの活用や地域SNSなどの民間デジタルアプリサービス等の活用にも取り組むべきです。
 戦略広報部を設置するに当たり、各局の取組を利用者の視点で関連づけた一体的な広報の実現や、民間のデジタルアプリサービス等の外部プラットフォームを新たに活用するなど、一人一人に伝わる、届く広報へ取組を強化していくべきですが、知事の見解を伺います。
 我が会派では、子育て支援策や教育、子供たちの居場所づくりなど、様々な提案を続け、成果を上げてきました。チルドレンファーストの視点で国全体で政策を進めていくべきですが、残念ながら、国における議論は、こども家庭庁への突然の名称変更など、ちぐはぐな対応が見受けられます。
 私たちはかねてより子供の意見表明、参加の促進や権利擁護を強化すべきと強く訴えてきました。都の次年度予算案において、子供の意見表明、権利擁護のための先駆的な取組について、補助率十分の十の区市町村支援策を設ける点は、大きな前進であり、今後も国に先駆け、子供たちの笑顔を守る未来を築く取組を展開していくべきです。
 新たに設置を予定している子供政策連携室においては、女性活躍や男性の育児参画、幼稚園や学童などの子供の居場所、公園活用など、局をまたがる政策を幅広く取り扱うべきであり、区市町村の先駆的、分野横断的取組を積極的に支援するなど、真にチルドレンファーストを進められるよう、権限を持って取り組んでいくべきですが、知事の見解を伺います。
 小池都知事の誕生、そして都民ファーストの会が、都議会において、小池知事と共に保育の待機児童解消を一丁目一番地として取り組み、保育の待機児童は統計開始以来初めて千人を切り、ほぼ解消するところまで進捗しました。
 一方で、学童の待機児童については、いまだ三千人規模で推移しており、学童の待機児童解消に向けて取組を強化すべきです。また同時に、保育との受入れ時間の差などの、いわゆる小一の壁を打破すべく、これまでの児童福祉と教育の垣根を超えて取り組むべきです。
 これまで都も、都型学童クラブの推進など、対策を進めてきましたが、都内各自治体は、地域の実情に応じて、学校施設の活用など様々な工夫を凝らしており、都としてもこうした取組を柔軟に後押しすべきです。
 そこで、早期に待機児童を解消するため、多様な取組を行う区市町村を支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 子供の安全な居場所の確保には、学童クラブの整備のみならず、保護者一人一人の事情に機動的に寄り添うことができるベビーシッターの活用も重要です。
 先月からオミクロン株の感染拡大に対する緊急対応として、保育園、幼稚園、小学校、学童保育の代わりとしてベビーシッターを利用する際の支援も開始し、保育、教育現場で奮闘する保育士、教員の方々と同様、大きな役割を果たしていただいています。
 東京都はまさにベビーシッター利用支援の先駆けであり、改めてこのコロナ禍における子育て環境をどのように確保していくのか、考えを伺うとともに、その鍵となるベビーシッター支援事業のさらなる充実に向けた見解を伺います。
 コロナ禍において外出や運動の機会が減り、子供たちやシニアの皆様を中心に、運動不足や体力の低下が深刻化しており、我が会派は、子供を起点に、家族、高齢者、地域コミュニティ全体による健康維持の支援を要望してまいりました。
 そうした中で、スポーツジム等と連携した取組や、安全、健康に外遊びをするための取組を推進していくべきですが、見解を伺います。
 コロナ禍を経て、改めて都として子供たちの外遊びの環境に注目する中で、今後、生活文化スポーツ局へと組織改正されることを機に、例えばプレーパークなどのNPOやボランティアなど、地域コミュニティと連携した子供たちの外遊びの機会の創出にも今後取り組むよう求めます。
 子供たちが世界に羽ばたいて活躍できるよう、グローバル人材育成の推進が求められます。単純な英語学習にとどまらず、国際コミュニケーションの技能を身につけることが重要であり、日常的に外国人と交流し、多様な異文化に接する経験を蓄積し、慣れる環境をつくることが重要です。
 そうした観点から、体験型英語学習施設であるTGG、TOKYO GLOBAL GATEWAYのさらなる機能強化とともに、オンラインでの体験的学びの強化を図るべきです。
 TGGの多摩地域への設置に当たっては、単に青海の施設と同じものをつくるという発想ではなく、外国人と交流し、異文化に接することに徹底的に慣れることのできる体験学習へとさらにバージョンアップさせるとともに、バーチャルTGGは、都内全域での展開も見据えて、島しょ部でモデルとなる取組を構築していくべきですが、見解を伺います。
 経済的に厳しい家庭において、高校や大学へ進学したい子供たちを支えているのが、受験生チャレンジ支援貸付事業です。
 各方面から評価を受け、子供や保護者から支持されている重要な事業ですが、世帯収入で生活保護基準の一・一倍以下の世帯に対する支援にとどまっていることから、我が会派は、予算要望の最重点項目の一つとして、子供たちの学びを支える塾代支援について、対象拡大など大幅な拡充を求めてまいりました。
 自立に向けて意欲的に取り組む子供たちが、高校や大学への進学を目指し、受験に挑戦することを一層支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、未就学児、小学生、中学生に対して医療費の助成を行っており、区市町村による助成と併せ、中学生まで子供の医療費無料化を実現している自治体もあります。我が会派はかねてより、子育ての家計負担の軽減を訴えており、今般、都が高校生に相当する十五歳から十八歳までを医療費助成の対象とすることについて制度設計を開始することを評価します。
 一方、これまでも小中学生の医療費に関して、自治体により差が生じており、財政力の弱い自治体との差がさらに広がることも懸念されます。持続可能な支援となるよう、基礎自治体とも丁寧に議論を進めていくことが必要です。
 また、助成を受けるためには、保険証と別に医療証を持参する必要があり、都外で受診した場合には、領収書を基に事後精算の手続をしなければならず、保護者と自治体側の双方が紙ベースで手続をしなければなりません。
 新たに高校生等への医療費助成制度を開始するに当たっては、自治体間格差の縮小に加えて、保険証と医療証を一体化し、デジタル化するなど、利便性向上にも取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派の提案を受けて、都が多摩都市モノレールにおける子育て応援事業として、小児特別運賃の実施を検討するとしたことを高く評価します。
 コロナ禍を契機として、自然豊かな郊外に住むことへのニーズも高まっている中で、延伸計画が進捗する多摩都市モノレールにおいて、沿線開発や多摩移住の促進、子育て応援といった観点で、戦略的な子供割引運賃の設定を具体的に進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 割引運賃の実施に当たっては、子供たちやその家族等がより多く多摩都市モノレールを利用して出かけられるよう、沿線地域と連携した魅力創出事業を併せて実施していくことも求めます。また、多摩都市モノレールでの子育て応援車両の導入も、これを機に取り組むことを求めます。
 我が会派では、都営地下鉄の子育て応援車両や、ベビーカーを折り畳まずに乗降できるバスの導入など、都営交通について様々な提言をしてきました。
 都営地下鉄の課題の一つに授乳室が少ないことが挙げられます。授乳室がないため、やむを得ずトイレで授乳したことがある方も少なくありません。駅係員に相談をすると事務室を案内してくれるそうですが、広く周知されているものではなく、全ての人に提供するサービスとは異なるものであり、改善が求められます。
 都営地下鉄において子育て支援を推進する上で、利用者の多い駅などに気軽に利用できる授乳室を設けるべきと考えますが、見解を伺います。
 令和三年度に都が実施した調査では、男女の家事、育児関連時間の差は五時間二十分へと拡大し、コロナ禍において、在宅時間が延び、家事総量が増加する中で、むしろ男女間の家事、育児の負担の差が深刻化している結果となりました。
 そうした中で、我が会派では、男性の家事、育児時間を延ばすための取組に加えて、かねてより、家事の効率化を実現する時短家電、スマート家電の導入や、家事代行サービスの活用などによる家事、育児時間の合理化、家庭のDXを促す取組を求めてきました。
 我が会派の提案により、今年度初めて実現した出産応援事業、赤ちゃんファーストにおいても、子供一人当たり十万円相当の支援を行う中で、選択肢としてスマート家電が導入されたのは重要な一歩であり、我が会派にも数多くの感謝の声が届いています。
 さらに、産後支援の一つである家事育児サポーターの派遣についても、コロナ禍における感染対策の観点から、人を家に呼ぶのではなく、スマート家電の力で家事負担を軽減することが重要であり、我が会派は支援の強化を訴えてまいりました。
 家事負担軽減となる時短家電、スマート家電の購入支援など、とうきょうママパパ応援事業を通じた産後支援をこれまで以上に強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 なお、家事支援用品の購入支援の対象は、一歳または二歳の子供を育てる対象家庭に限定することなく、ゼロ歳児まで拡大すべきであることを要望いたします。
 女性議員が約三割を占める我が会派では、かねてより、東京で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊治療等の経済的負担の軽減措置等の拡充を求めており、都が国に先駆けて、令和元年度予算より、不妊検査の年齢制限の緩和と、不妊治療費助成の所得制限の緩和を措置してきたことを評価しています。
 一方、国においても、ようやく本年四月より不妊治療が保険適用されることとなりましたが、国が先進医療として認めていない治療を組み合わせる混合診療は、基本的治療分も含めて、全額自己負担となります。また、国が認めた先進医療を組み合わせた治療においても、先進医療部分は全額自己負担となるなど、課題があります。
 東京に住み、働く様々な夫婦の実態を鑑み、子供を持ちたいという思いに応えて、負担や不安の軽減をしていくことは極めて重要ですが、国の保険適用の対象外となる治療等に対しても、都としての支援を実施していくべきですが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍では、飲食、宿泊などのサービス業において、非正規雇用で働く多くの女性が解雇や雇い止めにより離職を余儀なくされるなど、女性の就労に大きな影響が及んでいます。中でも、シングルマザーの方は、営業時間の短縮や休業によって勤務シフトが減少し、職を失うことで、経済的にも極めて困難な状況に追い込まれています。
 こうした女性の中には、育児や家事に追われ、求職活動などに十分な時間をかけることができない方や、非正規雇用が続き、キャリア形成の機会が少なかったために、再就職がなかなか進まない状況にあります。特に、通所が困難なシングルマザーの方などに対しては、オンラインによる支援など、特段の支援を実施すべきです。
 都は、女性が抱えるこうした実情に寄り添った就職相談やスキルの習得に向けた支援を地域において受けられるようにするなど、女性の再就職支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍は、ひとり親家庭にも大きな影響を及ぼしています。この間、都はひとり親家庭に向けた支援メニューの拡充を図ってきましたが、事業が各局にまたがること、制度の分かりにくさなどから、真に支援が必要な人に情報が届きにくいという課題があります。
 また、ひとり親家庭に必要な情報を的確に届けるためには、ひとり親家庭と直接接点を持つ各区市町村の福祉、子育て支援窓口や、各種子育て支援団体等への側面支援が欠かせません。児童扶養手当の現況届などでひとり親家庭と直接接点を持つ自治体窓口において、情報不足によって必要な支援策が伝え切れず、踏み込んだ支援につながらないというケースも聞いており、都として支援を行う必要があります。
 そこで、ひとり親支援に関する情報周知については、過不足なく必要な情報がひとり親家庭に届くよう、ICT等を活用し、利用者目線に立った情報提供を行うとともに、各自治体がひとり親向け施策を分かりやすく都民に伝えられるよう、支援をパッケージとして広報すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 長年、性教育など、若者の性に関する先進的な取組を行っているスウェーデンでは、子供や若者などのユース世代が、学校の性教育だけでは対応し切れない性や健康上の具体的な困り事などを幅広く相談することができる、ユースクリニックという公的医療機関が全国にあります。相談とともに、必要があれば検査や生理用品等の提供などにも対応し、性に関する正しい情報発信の機能も有しています。
 こうした取組により、子供や若者の段階から、自身の性を大切にするとともに、他者を同じように尊重できるようになり、スウェーデンの広くジェンダー平等が根づいた社会につながっています。
 我が会派はかねてより、東京版ユースクリニックを設立すべきと考えており、知事にも要望してきましたが、今後、海外事例を参考に、都として、子供や若者といったユースが親や友人などに相談できない性や健康上の困り事などの相談に対応する場をつくるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、先進的に取り組んできたスウェーデンの事例では、若者がユースクリニックの存在を知ったきっかけとして最も多いのが学校です。ユースクリニックと教育機関が車の両輪となる取組が求められています。
 そこで、都においても、スウェーデンのユースクリニックを参考に、子供や若者といったユースが性や健康上の悩みを解決できるよう、都教育委員会は福祉保健局と連携して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 先般、都のパートナーシップ制度素案が発表され、本年秋の制度開始に向けて、パブリックコメントが行われています。特に、我が会派の要望を踏まえて、アウティング防止の観点などから、全国で初めて手続を原則オンライン化したことを評価します。
 また、このパートナーシップ制度の活用を、都庁各局、政策連携団体、区市町村、民間事業者へ働きかけていくとしており、期待しています。
 今後、パートナーシップ制度の導入に当たり、都内在住者に限らず、広く通学、通勤者も含めることとし、また同性に限らず、広く性的マイノリティーを対象とすべきであり、加えて、当事者の子供も制度に含めるファミリーシップも併せて検討するとともに、先行自治体とも連携すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 多様性こそ成長の源であり、都市の魅力の源泉です。引き続き我が会派は、性別等によらず、一人一人が輝き、暮らしやすい東京を目指すダイバーシティの取組を進めてまいります。
 二〇一三年に制定されたいじめ防止対策推進法に基づき、いじめ問題に関して、様々な取組や対策が強化されましたが、いまだいじめの被害児童とその家族に寄り添った支援が行き届いているとはいえず、重大事態に該当する事案であっても、学校や自治体の教育委員会で適切かつ迅速な対応がなされていない事例が、我が会派の議員にも複数寄せられています。
 いじめの未然防止の努力に加えて、いじめが起きた場合の早期発見、早期認知、早期対応、早期支援が、被害に遭った児童やその家族を守るために極めて重要です。
 しかしながら、担任の先生、学年主任の先生、教頭、校長、そして自治体の教育委員会の指導課についても、いずれも多忙を極める中で、一人一人の児童とその家族に十分な対応ができているとはいえない状況です。また、学校や行政の立場ではなく、被害児童とその家族に寄り添う形での第三者による支援体制が求められます。
 我が会派の提案に応じ、来年度予算案において、専門家を活用してサポート体制を強化する区市町村の事業を支援するとしたことは前進であり、評価しますが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、弁護士などの専門家の知見を生かしながら、学校や行政側の立場ではなく、被害児童とその家族に寄り添う形での第三者による支援体制を構築していくことが重要ですが、見解を伺います。
 また、いじめ相談件数の増加、多様化、複雑化する相談内容に対応し、被害児童のケアや課題を解決するために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の心理や福祉の専門家について、全校への配備や常駐化など、小中学校への配置を支援する取組を強化していくべきですが、見解を伺います。
 不登校児童生徒も増加が続いています。令和二年度の統計によれば、都内小中学生だけでおよそ一万八千人もの児童生徒が不登校であることが分かっています。このうち、適応指導教室等、公的支援を受けている児童生徒が約二割いる一方、どこの支援にもつながっていない児童生徒も二割以上いるのが実態です。
 そのような中で、学校にも公的な支援の場にもなじむことができず、フリースクール等民間施設での支援を受けている児童生徒が一定数います。学校以外にも社会との接点を持ち、学びの場を確保できることは、本人やご家族にとって大変大きな希望ですが、こうした民間施設での授業料は全額自己負担であり、負担が重く、通いたくても通えない、あるいは必要なだけ通えないといった声が多数届いています。
 社会として、子供たちの学ぶ権利を保障する観点から、我が会派は、フリースクール等に通う児童生徒やご家庭への授業料支援を求めてきましたが、都の来年度予算案において、国や全国の自治体に先駆けて初めて支援の取組が計上されたことを高く評価します。
 フリースクール等に通う児童生徒のご家庭に対し、都として継続的な授業料支援を実現し、子供たちの学びの場を確保する体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、令和二年度に児童養護施設等退所者の実態調査を行い、その結果が先般公表されました。調査の中では、例えば、退所者の六割が生活費や学費の不安を感じているなど、施設との生活環境のギャップにより、住まいや金銭管理等に不安を抱えている実態が明らかになりました。
 今後、十八歳で措置解除となり、児童養護施設等を退所した、いわゆるケアリーバーが安定した生活を送れるよう、アフターケアを強化するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 平成二十四年に児童福祉法が改正され、障害児支援のためのサービス体系が再編されました。その中で、障害のある学齢期の児童が通う、療育機能と居場所機能を併せ持つ放課後等デイサービスが創設されました。
 現在、都内では一万八千人を超える子供たちが放課後等デイサービスを利用しています。利用者数は急激に増加しているものの、支援内容や提供時間は様々であり、質の確保が重要です。また、障害や家庭の状況により、必要なサービスも多様である、医療的ケア児への支援体制も強化する必要があります。
 都として、放課後等デイサービスの質の向上を支援するとともに、医療的ケア児への対応に特化したセンターの設置も検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、我が会派がかねてより求めてきたとおり、医療的ケア児の専用通学車両の拡充や、同乗する看護師の安定的な確保をはじめ、特別支援学校における支援体制をさらに強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 今後の労働力人口の減少を見据えると、東京の経済力を維持し、さらに成長させるには、社会全体のDX推進により生産力の向上を図ることが不可欠です。しかしながら、国の調査によれば、二〇三〇年に四十五万人のIT人材が不足する見通しとなっており、社会全体でより広くデジタル人材の育成に力を注がなければなりません。
 新型コロナウイルスの影響により失業した方々を対象に、デジタルスキル研修と再就職支援をセットにした雇用創出を行うことを、東京版ニューディールとして我が会派が提案し、都は昨年度より、デジタル人材育成支援事業を実施してきました。今年度も約四百名の方が、ITインフラコースやプログラミングコースに入校し、既に再就職が決定する方も出ており、着実な成果を上げていると聞いています。
 今後は、デジタル人材育成のための職業訓練やマッチングによる求職者支援を一層拡充するとともに、中小企業における従業員のデジタル技術の習得支援などを通じて、都内産業のDXを強力に後押しすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派はかねてより、東京で学び、働きたい方々の多様なニーズを支えている専修学校等への支援強化を訴え、実現につなげてきました。実践的な職業教育、デジタルスキル取得やリカレント教育等を担う専修学校等への社会的な期待は高まっており、都としても支援を一層強化すべきです。
 職業実践専門課程の強化を含め、私立専修学校への支援をさらに拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 一方、都庁においても、QOSの高いデジタルサービスの実現に当たり、デジタル人材の確保、育成が鍵となります。
 さきの定例会で、我が会派は、人材のスキルレベルと分野を明確にするなど、人材確保に関する全庁的な戦略を策定するよう求めており、都からICT職等のスキルを可視化するデジタルスキルマップを導入する旨の答弁がありました。
 今後は、デジタルスキルマップを活用して、例えば、データやデザインなどに関する専門性の高い研修を実施するほか、先行する海外等の知見を積極的に取り入れるなど、デジタル人材の確保、育成を一層進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都庁の全職種を対象に、デジタルリテラシーの向上やリスキリングを目的とした研修を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 都庁職員のみならず、政策連携団体や区市町村においても、研修の仕組みやノウハウを活用できるよう求めます。また、民間の活用に加えて、都立大学などの都の教育機関にデジタル教育の知見を蓄積することも中長期的には重要であり、対応を求めます。
 自治体DXに取り組む区市町村を支援するため、都はこれまで、デジタル人材育成に向けた職員向け勉強会や窓口手続等のデジタル化に向けたモデル事業などの取組を実施してきました。
 特に、我が会派の要望も踏まえ、区市町村と連携した行政手続デジタル化の実証事業や都と区市町村のCIOによる意見交換を実施してきたことは評価します。
 今後は、令和三年度に実施した基礎自治体の窓口手続等におけるBPRのノウハウを都内の他自治体に横展開すると同時に、基礎自治体を支援する専門組織を設置するなど、区市町村のDXの取組を一層支援すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 都は今年度、我が会派の要望を受け、スマートフォンの使い方、導入支援や地域の町会、自治会活動のデジタル化支援、キャッシュレス決済の推進、デジタルプレミアム商品券の導入等の多くの取組を進めてまいりました。
 さきの定例会では、デジタル活用支援について、特に都内大学生をサポーターとして雇用するなど、伴走型支援による取組を強化するよう求め、都からは学生や地域のNPO団体などと連携して取り組むとの答弁がありました。
 今後、全てのシニア世代もデジタル化の恩恵を享受して、生き生きと暮らせるよう、大学生やNPOと連携して、デジタルデバイドの解消に一層努めるべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 デジタル技術は、高齢者の健康維持をサポートする役割も期待されています。例えば、睡眠時間、運動量、食事量など日常活動をデジタル機器で自動計測し、データを分析することで、高齢者や医療機関が手軽に健康状態や病気の予兆を把握できるようになります。
 我が会派が要望した、高齢者のバイタルや身体活動量を計測できるデジタル機器などを活用して、高齢者の健康維持につなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 高齢化の進展や病床機能の分化に伴い、訪問診療の必要性が議論されています。令和七年の都全体の訪問診療の必要量は、一日当たり十四万三千九百六十八人と試算されており、これは平成二十五年と比べて一・五倍となります。訪問診療の拡充のためには、人材の育成、地域の多職種連携、デジタル化などの課題があり、主治医と患者をバックアップする医療従事者や訪問看護体制の整備、さらに、在宅で最期を迎える場合のみとりまで含めた社会基盤づくりが必要です。
 今後は、区市町村、医療関係者等と連携して、各地域で切れ目のない在宅医療支援体制を構築するための支援を都として行うべきと考えますが、見解を伺います。
 介護業界の人手不足は深刻な状況にあり、令和二年度の有効求人倍率は、全産業一・一四に対し、介護関連は六・一五に上ります。特に、二〇二五年度には三万一千人の介護人材が不足する見込みであり、超高齢化社会を迎える日本、そして東京都にとって、介護人材の確保は喫緊の課題です。
 我が会派は、施設のデジタル化や災害時の福祉避難所としての在り方、在宅介護の拡充など、高齢者施策を社会全体で進めるための提言を行ってきました。
 特に、都が実施してきました介護職員の宿舎借り上げ支援は要件が厳しく、介護の現場で働く職員の待遇改善に十分につながっていないため、その大幅な拡充を昨年末の会派予算要望の最重点項目の一つとして強く求めてまいりました。
 また、介護職員の賃金面での処遇改善に加えて、長く勤務できる環境整備として、キャリアアップの教育の必要性も訴えてきました。
 介護職員の宿舎借り上げ支援の大幅な拡充に加えて、介護職員のさらなる処遇改善とともに、他業界からの転職者の支援に注力することで、介護人材の確保を強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 地域コミュニティや地域の防災対策の要である町会、自治会において、高齢化や加入率の減少に伴う担い手の不足は大きな課題となっています。特に、コロナ禍による交流機会の減少が課題の深刻化に拍車をかけており、町会、自治会の持つ重要な機能を維持していくためにも、新たな支援が必要です。
 町会、自治会を活性化するために、大学やNPOなど他の主体と連携して、地域の課題解決に取り組めるような新たな支援を実施するとともに、デジタルの力を使い、町会、自治会の運営をサポートしていくべきですが、見解を伺います。
 町会、自治会による地域防災の取組は極めて重要ですが、コロナ禍において、防災訓練や訓練の機会を通じた防災情報の提供等が、二年間十分に行われていない状況にあります。
 コロナ禍の長期化においても、地域の防災対策を強化するため、町会、自治会が地域住民に対して防災グッズの配布と併せて防災情報を提供するなど、人が集まらなくてもできる取組も強化し、町会、自治会と共に地域防災力を強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 昨年十二月に大阪市北区で発生したビル火災では、死者二十六名を出す大きな被害が発生しました。被害が拡大した背景には、地上への避難経路が一つしかない雑居ビルの四階階段付近での出火により、多数の逃げ遅れが生じたものと考えられます。
 都内には、こうした不特定多数の方が利用する、階段が一つしかない雑居ビル等が多数存在しており、危険性の高い建物から重点的に取組を強化し、今後、同様の火災が発生しないように、また、発生した際に被害が拡大しないようにすべきです。
 昨年十二月に発生した大阪の雑居ビル火災を踏まえ、雑居ビルでの安全対策を早急に強化すべきですが、見解を伺います。
 昨年来、全国各地で地震が頻発しており、南海トラフ地震や首都直下地震の前兆ではないかということも不安視されています。地震の正確な予知は困難ですが、首都直下地震が今後三十年以内に発生する確率は七〇%にも及ぶとされ、様々な分野で有事に備えたさらなる対策強化が求められます。
 警視庁としても、災害等の有事の際の危機対応力を高めるため、特に先端技術の導入や災害対応能力の高い最新鋭の資機材について充実強化を図り、有事においても都民を守り抜いていくべきですが、見解を伺います。
 都は、東日本大震災を教訓に、平成二十四年三月に帰宅困難者対策条例を制定し、帰宅困難者のための一時滞在施設を確保するとともに、企業等による一斉帰宅の抑制を働きかけるなど取組を推進してきました。
 しかし、大規模地震等の発生時における帰宅困難者の安全な誘導など、混乱を防ぐためには、都内の混雑状況や一時滞在施設の受入れ状況等を迅速に収集、把握することが重要です。
 今後、災害発生時に道路や一時滞在施設の混雑状況、災害状況などを十分活用できるよう、帰宅困難者対策オペレーションシステムを構築し、災害対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けた中間目標として、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフを昨年表明しました。
 このカーボンハーフの実現に向けて、分野別の目標等を定めるべく、東京都環境基本計画の改定が検討されていますが、分野別においても非常に高い目標設定となることが見込まれる中で、かねて我が会派が提案してきたように、義務化等のルール化の取組と都民や事業者の負担を軽減する支援策はセットで取り組まなければなりません。
 新築建築物に対する省エネ、再エネの制度化を進めるとともに、都民や事業者の負担が増加しないよう、制度化に先立って十分な補助制度を講ずるべきですが、知事の見解を伺います。
 加えて、ゼロエミッション、カーボンハーフに関する新たな取組元年として、都の危機感や支援策等が十分に都民に周知されるように、知事が旗を振り、有識者や著名人の活用も図りながら、企業や家庭など多様な主体を巻き込んだムーブメントを起こしていくべきと考えますが、併せて知事の見解を伺います。
 住宅の断熱性の向上は、住宅の省エネの観点に加えて、居住者の健康にもよい影響を与えるため、委員会質疑などの場において、環境、健康の双方によい住宅の普及を訴えてまいりました。
 昨年十一月の次期東京都住宅マスタープランの改定に向けた東京都住宅政策審議会の答申においても、住宅の温熱環境向上を図る取組の推進が盛り込まれています。
 二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向け、居住者の健康確保の観点からも、都内住宅の温熱環境を改善させる断熱性向上に向けた普及啓発や支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍の厳しい経営状況の中でも、商店街は感染症対策をはじめ、安全で快適に買物ができるよう、街路灯やアーケードを維持して、人々の生活を支えています。都では、ゼロエミッション東京の実現に向けて、社会全体で脱炭素化を進めていますが、電力を使用する商店街における取組も協力を得ながら進めていくことが欠かせません。
 そこで、買物客の利便性に加え、環境にも配慮した商店街づくりを後押しすることで、商店街の持続的発展を支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 カーボンニュートラルにも寄与する森林循環を促進するため、東京の林業における一層の生産性向上と木材利用の拡大が重要です。特に、都内の林業経営体の多くは小規模零細で、担い手の減少や高齢化も課題となっており、効率的な林業経営への転換を誘導する必要があります。
 また、CLTなど進化した木材の加工技術等を生かし、公共施設への活用促進に加え、民間建築物における多摩産材の利用拡大を図ることが重要です。
 今後、森林循環を促進し、持続可能な東京の森づくりと林業を実現するため、先進技術を活用し、施業の効率化や多摩産材の供給力の強化を図るとともに、民間住宅や中、大規模建築物などにおける多摩産材の利用を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍で観光需要の低迷が長期化して、観光業は厳しい状況に置かれており、支援の強化が求められています。一方で、長期滞在やワーケーション、マイクロツーリズムによる近場観光等、新たなスタイルやデジタル化の進展など観光産業を取り巻く環境は大きく変化しており、アフターコロナを見据えた機会として、観光産業における新たな取組や地域資源の磨き直しを行う必要があります。
 例えば、小笠原諸島の世界自然遺産などを活用し、周辺他県とも連携して、アフターコロナを見据えた観光プロモーションを実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、コンテンツの舞台である土地を訪れる観光行動も注目される中、例えば、アニメに関連した新たな観光資源やルートの開拓についても進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派は、かねて五輪経費の透明性を確保し、都民、国民が納得できるような説明を求めてまいりました。また、そうした観点から、大会経費の事後検証が可能となるよう、五輪文書保管条例の制定を推進し、都議会で可決、成立させてきました。
 今般、昨年十二月に東京二〇二〇大会の経費の見通しが公表されましたが、大会の成功を評価するとともに、今回の大会経費の見通しも含め、都民、国民に丁寧に説明し、五輪経費の透明性、納得感を高めるよう努力するべきですが、見解を伺います。
 新規恒久施設については、各競技分野の機運が継続していくように、東京二〇二〇大会開催の記憶が風化する前に国際大会を誘致していくとともに、スポーツでの活用のみならず、エンターテインメントやユニークベニューなど多様な活用や、周辺地域との連携など、レガシーとして施設の価値を最大化する取組を進めていくべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会では、新競技のスケートボードで日本人選手が金メダルを取り大きな話題となるなど、大会を通じて、アーバンスポーツの新たな魅力を都民、国民と共有することができました。
 仮称有明アーバンスポーツパークの整備に当たっては、大会時の仮設競技施設を活用して、スケートボードやボルダリングなどの国内外のトップレベルの競技者が、その技術を十分発揮できる競技環境を維持するとともに、新たに始める都民にもアーバンスポーツの魅力に親しんでいただけるエリアを整備し、多くの人が訪れて、様々な楽しみ方ができるような施設にしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、大会では、自転車競技のBMXも盛り上がりを見せ、新たな魅力を都民が感じることができましたが、仮設競技施設は取り壊すこととなったことから、新たに都内に適地を見つけ、BMX競技のできる施設についても整備を検討することを求めておきます。
 大会の影響を受け、スケートボード人口が増加しており、そうした都民ニーズの拡大を受けて、さきの第四回定例会において、都立公園のスケートボード利用について陳情が趣旨採択されました。
 現状、都立公園においては、駒沢公園内にスケートボード施設があるだけで、許可がない中で利用されている事例も多々あることから、公園設備の破損や他の公園利用者との接触などの問題を避けられるよう、利用拡大においては、適切な空間づくりやルールづくりが必要です。
 アーバンスポーツとしての魅力を損なうことがないように、規制ありきではなく、競技団体等とも協議の上、ガイドラインなど自律的な取組も促しながら適切なスケートボードの利用空間を創出していくべきです。分離した専用施設だけでなく、開かれた公開空間において、エリアとルールを定めてプレーできる場所をつくることも検討すべきと考えます。
 公園利用者の安全・安心と競技者のアーバンスポーツとしての魅力の両立を図れるよう、適切なスケートボード利用空間の創出と利用者の自律的な取組をセットで検討するなど、複数の都立公園においてスケートボードが楽しめる広場を整備していくべきと考えますが、見解を伺います。
 来年度は、東京二〇二〇大会開催から一周年の記念行事等を行い、大会の記憶や様々な価値を呼び覚ますとともに、今後のレガシー形成についても、都民、国民と共有する機会を設けていくべきです。
 特に、大会が無観客となり、臨場感ある体験を開催時には感じることが難しかったこともあり、一周年記念行事の開催に当たっては、最新の映像、音響技術など様々なデジタル技術を活用し、臨場感ある体験のできる工夫を凝らすなど、多くの都民が多様な楽しみ方ができるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
 パラリンピックでは、競技の奥深さに多くの人が魅了され、大会後に実施した都の調査では、パラスポーツに関心がある人の割合は五三%と、前回調査から約一〇%上昇しました。これは、大会に至るまでの都や関係者のパラスポーツ普及に向けた努力のたまものでもあります。
 東京は、世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催した都市として、歴史に残る大きな一歩を刻みましたが、重要なのは、大会後の次の一歩を着実に進めることです。
 来年度をパラスポーツの新たなステージの元年とし、高まった機運を減退させることなく、一層の振興を図る取組を実施していくべきですが、知事の見解を伺います。
 我が会派からは、パラリンピック開催の日をパラリンピックの日とし、継続的なパラスポーツの取組につなげることを提案いたします。
 東京二〇二〇大会の基本コンセプトには、多様性と調和が掲げられていました。大会期間中、病気や障害を抱える子供たちなどの手形や足形を集めて一つの大きな絵を描くハンドスタンプアートの展示など、まさに多様性や包摂性を感じさせるプログラムが展開されました。
 今後、パラリンピックのレガシーとして共生社会の実現を目指すためにも、芸術文化の役割はますます大きくなります。
 東京二〇二〇大会は無観客となり、様々なプログラムも制約を受けましたが、大会から一年を迎える機会を捉え、来年度に国際的なカンファレンスを開催するなど、東京の芸術文化と社会包摂に関する取組を世界に強く発信していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会に向けた取組や我が会派の提案により実現した、コロナ禍において芸術文化の灯を絶やさないアートにエールを!東京プロジェクトなどを通じて、近年、新たな文化振興の取組が行われ、様々な知見が蓄積されました。
 今般、東京文化戦略二〇三〇が策定されますが、得られた知見や課題を踏まえ、都の文化政策を様々な観点から見直し、強化していくことを期待します。
 コロナ禍では、これまで地域で地道に活動してきた小規模な芸術文化団体等も大きな影響を受け、その存続が危ぶまれる団体もあります。そうした状況に対し、地域の芸術文化団体等の行動を支える自由度の高い直接的な支援が必要であり、地域の芸術文化団体に対する新規の支援策の創設を求めます。
 また、全国有数の三味線の製造メーカーが廃業寸前に追い込まれる事例もありました。こうした用具などの芸術文化を支える周辺産業にまで目を配り、必要な支援が得られるよう、様々な形で情報収集や意見交換ができるネットワークづくりが必要です。
 都はこれまで、様々な創作活動に対する助成制度などの支援の拡充を図ってきましたが、今後は、様々な芸術文化団体等の要望や地域の実情を踏まえた新たな政策を展開していくべきですが、知事の見解を伺います。
 鉄道駅のバリアフリールートの複数化について伺います。
 都営地下鉄では、ホームから出入口までエレベーター等を利用してバリアフリーで移動可能なルート、いわゆるワンルート整備は既に全駅で完了しています。現行の経営計画では、九駅の乗換駅等のエレベーターが整備されていますが、加えて、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受け、バリアフリールートの複数化についても検討が進められています。
 誰しもが移動しやすいまちづくりの一環として、各駅の利用実態や、駅周辺の医療機関や障害者施設等の立地などを加味し、必要性の高い駅から順次バリアフリールートの複数化について新たに事業化を計画していくべきですが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会では、共生社会の重要性を改めて世界に示し、大会のレガシーとして、誰もが安全かつ快適に生活できる環境づくりをさらに進めていく必要があります。
 一方、視覚障害者等がホームから転落する事故は後を絶ちません。これまで我が会派では、ホームドアの整備加速や補助対象の拡充などを求め、実現してきました。しかしながら、ホームドアの設置には一定の時間が必要であり、設置を待たず、デジタル等のテクノロジーを活用した安全対策を並行して講じていくことが重要です。
 例えば、東京メトロの一部の駅においては、視覚障害者の移動支援のために、点字ブロックに貼付されたQRコードをアプリで読み取ると、出口までの移動をサポートする案内音声が流れるシステムが導入されています。
 こうした先進事例を踏まえ、鉄道事業者と連携し、視覚障害者等、誰もが安心・安全に利用できる駅づくりにデジタルやテクノロジーの力を活用して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派では、障害者手帳をアプリで利用するミライロIDなどの導入を提案するなど、これまでも取り組んできました。こうした分野を指して、アシスティブテクノロジーやインクルーシブテクノロジーという新たな言葉も誕生しつつあります。海外でも、障害者をテクノロジーで支える取組が進展していることからも、今後、障害のある方の暮らしを支える面でも、デジタルツールやテクノロジーを導入していくことを、まちづくりをはじめ、都のあらゆる分野で検討し、取り組んでいくことを求めます。
 東京が国際競争力を高めることこそが、地方も含めた日本全体の発展や都市と地方の共存共栄につながります。国が東京から不合理な税収奪を繰り返し、地方をばらまきに依存させることから脱し、地域の実情を踏まえたまちづくりや災害対策、感染症対策を進めていくべきです。
 地域で決められることは地域で決めることを大原則として、財源と権限を移して、地域主権を確立することが必要です。
 私たちは、改めて、東京から日本を牽引していく東京大改革から日本大改革を進めていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えいたします。
 令和四年度予算についてのご質問です。
 コロナとの闘いが続く中、世界では、官民を問わず、気候変動対策が意欲的に展開され、また、都市間競争に生き残るための必須条件であるデジタル化は、まさに光の速さで進んでおります。
 東京の未来を希望の光に満ちたものとするために、時代の流れに遅れるわけにはいきません。こうした決意の下、令和四年度予算では、危機管理の強化、サステーナブルリカバリーの実現、あらゆる面で段差のない共生社会、この三点を軸に、デジタルの力も活用し、積極的な施策展開を図っております。
 具体的に申し上げますと、コロナ対策として、万全な医療提供体制等の構築を図るとともに、風水害や地震など災害の脅威から都民を守る都市の強靱化に一層取り組んでまいります。
 また、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、東京ゼロエミ住宅の導入促進やファンドを通じた脱炭素化ベンチャーの支援などに財源を重点的に振り向けるとともに、社会の隅々までデジタル化を浸透させる取組を大幅に増額し、都民のQOLの向上につなげてまいります。さらには、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが輝き、活躍できるよう先駆的な施策を展開いたします。
 この予算で掲げました施策を迅速に実行していくことで、東京大改革をさらに加速をし、三つのシティが実現した未来の東京への歩みを力強く進めてまいります。
 オミクロン株の特性を踏まえた対応についてのご質問です。
 オミクロン株は感染力が極めて強く、新規陽性者数が全国的に増大しております。一方、ワクチンや経口薬などの迅速な供給によって、感染の拡大防止や重症化の予防につながり、社会経済活動の継続も期待されております。
 こうしたオミクロン株の特性等を踏まえまして、国において感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた戦略を策定し、それに基づき、地域の実情に応じて各自治体が実効ある取組を行うことが求められております。
 このため、都は近隣三県とも連携し、全般的な対応方針を明確にするとともに、これまでの基本的対処方針を見直すよう、繰り返し国に要望してまいりました。
 あわせまして、現場を持つ都といたしまして、さらなる病床の確保を進めるとともに、宿泊療養、自宅療養に的確に対応できる体制を整えてまいりました。さらに、感染が増加している高齢者や子供たちを守る取組を強化するなど、先手を打った対策を講じております。
 感染スピードは落ちているものの、重症者の増加なども懸念されている中、今後の対応方針につきまして、改めて国に求めるとともに、都としても、さらに実効ある取組を進めることで、感染の終息に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、助成金や支払い猶予などの支援についてのお尋ねがございました。
 感染症との闘いが長期化する中で、厳しい環境に置かれている方々の命を守り、日々の暮らしを支えるためには、きめ細やかな対策が必要であります。
 都はこれまで、医療体制の充実、確保を図ることはもとより、都民の生活や事業の継続を支える多様な支援を実施してまいりました。
 また、水道、下水道料金や都税などにつきまして、支払いが困難な場合には、猶予制度を適用するなど、あらゆる手だてを総動員してまいりました。今もコロナ禍の厳しい状況にありまして、多くの都民、事業者の皆様が日々努力を重ねておられます。
 こうした方々を引き続き支えていくため、感染防止対策への助成について、支援対象となる期間の延長を図ってまいります。
 さらに、水道、下水道料金の支払い猶予につきましても、四月以降も延長いたしまして、都税などにつきましても、猶予制度を活用した支援を実施してまいります。
 伝わる広報への取組の強化についてのご質問でございます。
 都の事業や行政サービスは、その情報を必要とする人に届いてこそ意味がございます。
 そのためには、今、都民が何を知りたいのか、都として正しくタイムリーに伝える、その情報が都民に届く、これらを基本に伝わる広報を徹底することが重要であります。
 こうしたことから、戦略的な広報を強力に推進するため、生活文化局の広報広聴部門を政策企画局に集約することといたしました。
 これまでもウェブやSNSの活用、アクセス解析を踏まえたホームページの改善、動画を通じたメッセージの発信など様々な広報を行ってまいりました。
 また、都政全体の広報をマネジメントし、都の事業が展開されている現場を公開いたしまして、メディアに取り上げていただく工夫をするなど、広報の機能向上にも取り組んでおります。
 今後、新たな体制のもとで、アクセスの選択肢を増やすための新しい外部媒体の積極的な活用を進め、さらにDXを活用し、今後開設するデジタルポータルサイトやSNSでの双方向コミュニケーション実現にも取り組んでまいります。
 こうした取組により、都民目線での情報発信を実現する、伝わる広報を推進してまいります。
 子供政策についてであります。
 子供の笑顔があふれる社会を実現したい。そのためには、福祉や教育といった従来の枠組みにとらわれず、男性の育児参画や女性活躍、子供の居場所、まちづくりなど、あらゆる視点から政策を総動員していかなければなりません。
 こうした強い思いで、政策分野の垣根を超えた先進的な施策を強力に推進する子供政策連携室を新たに設置をするものであります。
 区市町村の先駆的、分野横断的な取組を支援し、公園、居場所、デジタルなど幅広い視点から、子供、子育てに優しいまちづくりを進め、都内各地へ広げてまいります。
 また、千を超える企業などが参画するこどもスマイルムーブメントを子供の目線から戦略的に展開をいたしまして、遊び、学びなど子供の成長を応援する取組や子育てと無理なく両立できる働き方など、様々なアクションを立ち上げてまいります。
 子供政策連携室を核に、これまでの延長線にとらわれることなく、都庁の総力を挙げて子供政策を展開してまいります。
 学童クラブの待機児童解消についてのご質問でございます。
 誰もが働きながら、地域で安心して子育てができる環境を整えていくことは重要であります。
 私はこれまで、都政の最重要課題として、保育所の待機児童解消に向けた取組を進めてまいりました。その結果、昨年四月の待機児童は千人を切っております。
 一方、学童クラブの待機児童はといいますと、現在三千人以上となっておりまして、その解消が課題となっております。
 そこで、来年度から学童クラブの待機児童対策計画を策定いたしまして、待機児童の解消に積極的に取り組む区市町村を支援することといたしました。
 学齢児を受け入れるため、既存の施設を活用した居場所づくりや、認証保育所やベビーシッターの利用を促すなど、地域の実情に応じた取組に対し、必要な経費を補助いたしてまいります。
 引き続き、区市町村としっかり連携しながら、小一の壁の打破に向け、全力で取り組んでまいります。
 受験生チャレンジ支援貸付についてであります。
 将来を担う子供たちが、家庭の経済状況などの環境にかかわらず、自分の希望する進路を選択できますよう、低所得世帯の子供の学習を支援していくことは重要です。
 都は、自立に向けて意欲的に進学に取り組む子供たちを支援するため、一定所得以下の世帯の中学三年生、高校三年生等を対象に、高校や大学等の受験料とオンライン形式を含めた学習塾受講料の無利子貸付を行っております。
 コロナ禍が長期化する中、より多くの子供たちが目指す道に挑戦できるよう、来年度から対象世帯の収入要件を生活保護基準の一・一倍から一・五倍に引き上げることといたしました。これにより、申込件数が約三・六倍へと大幅に増加することが見込まれるため、必要な経費を予算案に計上しております。
 今後とも、子供たちが生まれ育った環境に左右されることなく、希望する将来に向かって、自ら伸び、育つことができるよう支援してまいります。
 次に、たまモノ子育て応援事業についてでございます。
 多摩地域は、緑豊かな自然、多様な産業の集積など、バランスの取れた暮らしやすいまちです。その特性を生かして、子供の笑顔と子供を産み育てたい人であふれる地域にしていく、そのことが不可欠であります。
 子育てする世帯の応援策の一つといたしまして、多摩の基幹交通であり、地域振興を先導する多摩都市モノレールで、子供がより乗車しやすくする取組を実施してまいります。
 具体的には、まず、ゴールデンウイークなど学校が長期休暇となる期間を中心に、小児一日乗車券を百円で販売するとともに、利用者アンケートを行います。
 その後、アンケート結果や利用実態などから政策効果などを分析しまして、将来の小児運賃の在り方などにつきまして、運営会社等と協議してまいります。
 親子で出かけやすい環境を創出することで、地域の活力や魅力の向上を図ってまいります。
 続きまして、不妊治療への対応についてであります。
 子供を望みながら、授からない方々の願いに応えるため、都は、平成十六年度から、健康保険の適用とならない体外受精や顕微授精等に係る費用を助成してまいりました。
 本年四月から不妊治療に保険が適用されることとなりましたが、これまで助成対象としていた一部の治療につきましては、保険適用外となる見込みであります。
 今後、保険適用となる治療の詳細が明らかになった際に、不妊に悩む方々が安心して治療できるよう、都としての対応を検討してまいります。
 女性の再就職支援の強化についてであります。
 感染症の影響が長期化し、雇用情勢の改善は進まず、非正規雇用の女性やシングルマザーの方は、雇い止めなどにより離職を余儀なくされ、厳しい状況に直面している場合も多い。
 こうした女性の再就職支援に当たりましては、育児や介護と仕事の両立など、多様な就労ニーズに対応した就業相談とともに、再就職に必要なスキルの習得に向けたサポートなど、その実情を踏まえたきめ細かな支援が不可欠であります。
 このため、都は、女性の再就職の促進を図るため、組織の活動のノウハウを提供するセミナーと就業相談会をセットにした支援イベントや実践的なデジタルスキルを学ぶ講習を都内の各地域で新たに実施をいたします。
 また、シングルマザーの方に対しては、専門のカウンセリング窓口を設置し、柔軟な働き方が可能な企業の求人を開拓してマッチングを行うとともに、オンラインによる職業訓練を通じまして、キャリア形成に向けた資格取得を支援いたします。
 こうした重点的な施策展開によりまして、女性が生き生きと活躍できる東京を実現してまいります。
 次に、若者の健康上の悩みに対する支援であります。
 女性も男性も輝ける社会を実現するためには、若者のヘルスリテラシーの向上や心身の健康の保持増進は重要であります。
 都はこれまで、女性のための健康ホットラインにおいて、思春期から更年期に至る女性の心身の健康に関する悩みについて対応してまいりました。
 来年度は、女性に限らず、思春期特有の健康上の悩みなどに対応するため、若者の健康支援に詳しい有識者や医療機関等と意見交換し、スウェーデンのユースクリニックも参考に、新たな相談支援の開始に向け、支援の対象や方法などを検討いたしてまいります。
 また、妊娠適齢期などに関する相談支援に取り組む区市町村への支援を充実いたします。
 こうした取組により、若者が自らの心身の状態を知り、生き生きと活動できる社会を目指してまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてでございます。
 今般公表した制度素案は、当事者等の意見を踏まえるとともに、東京の特性を考慮するなど、様々な観点から検討し、策定をいたしました。
 まず、性の在り方は多様であることを踏まえて、広く性的マイノリティーを支援する観点から、同性同士に限らず対象を設定いたしました。
 また、近隣県からの通勤、通学者が多いという東京の実態を踏まえまして、都民のみならず、在勤、在学の方も対象といたしました。
 さらに、保育園の送迎時など、子供に関する困り事の軽減が図られますよう、都が発行する受理証明書に子供の名前を記載できることといたしました。
 今後は、こうした素案を基に、本年秋の運用開始を目指しまして、制度の構築を進めるとともに、制度導入済みの都内自治体とは、証明書の相互活用などについて丁寧に協議し、連携を図ってまいります。
 性的マイノリティーの方々が直面する様々な生きづらさを取り払い、誰もが生き生きと生活することができるダイバーシティ都市東京を実現してまいります。
 次に、フリースクールなどに通う子供への支援についてであります。
 将来を担う子供たちが自らの個性や能力を伸ばし、成長していくためには、学校だけではなく、一人一人に合った学びの場が必要であり、社会全体で取り組んでいくことが重要です。
 現在、フリースクールなどの民間施設では、一人一人のペースに合わせた様々な活動を行っており、利用する子供が増加しています。
 こうした状況を踏まえまして、来年度、フリースクールなどを利用している子供や保護者の意見などから支援ニーズを把握するための調査を実施いたしまして、これに協力いただける子供や保護者を支援してまいります。
 これらの取組によって、多様な学びの場を創出することで、子供たちの可能性を最大限に引き出し、明るい未来を切り開いていけますよう、誰一人取り残さない教育を実現してまいります。
 次に、デジタル人材の育成についてであります。
 コロナ禍では、我が国のデジタルシフトの遅れが顕在化しており、今後、あらゆる産業分野においてDXを進展させる、その上で、その担い手となるデジタル人材の育成は欠かせません。
 人材育成に当たりましては、求職者の方や中小企業で働く従業員の方に対しまして、DXに対応するスキルの取得などに向けた重点的な支援を行うことが重要であります。
 このため、都は来年度、デジタル人材プロジェクトを展開し、年間で一万人の人材の育成と確保を進めてまいります。
 求職者の方への支援におきましては、実践的なデジタルスキルを取得する職業訓練と再就職支援を一体的に実施する事業を拡充いたします。
 また、業界と連携し、デジタル人材の確保に向けた大規模な就職面接会を開催いたします。
 さらに、中小企業のリスキリングの促進に向けましては、デジタル教育の計画づくりからその実施までを専門家が伴走型でサポートする取組や、従業員が社外でDXの講習を受ける費用等の助成を新たに開始をいたします。
 これらの取組を通じて、人材を集中的に育成し、DXの加速化につなげてまいります。
 次に、介護人材の確保についてであります。
 高齢者が住み慣れた地域で必要なサービスを利用しながら安心して暮らし続けるためには、介護サービスの担い手の確保が重要であります。
 都はこれまで、職場体験や資格取得支援のほか、デジタル機器の導入や介護職員の宿舎借り上げを行う事業者への支援など様々な施策に取り組んでおります。
 また、国に対しまして、介護人材の確保、定着、育成ができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求をしております。
 来年度は、宿舎借り上げの対象を、福祉避難所の指定を受けた介護施設に加えまして、区市町村と災害時協力協定を締結した事業者や、その他の在宅サービス事業所等にも拡大するほか、国による介護職員の処遇改善に対応しまして、賃金を月額九千円引き上げる措置を実施いたします。
 さらに、他の業界からの転職など未経験者の介護分野への入職、定着を促進するため、インターンシップから就業、定着までを一貫して支援する取組も新たに開始をいたします。
 こうした施策を総合的に推進し、介護人材の確保、定着、育成を図ってまいります。
 次に、町会、自治会の防災活動への支援についてでございます。
 いつ起きてもおかしくない災害から都民を守る、そのためには、都による公助の取組と併せて、自助、共助の担い手である都民や地域が一体となった取組が求められております。
 共助の中核である町会、自治会は、住民に最も身近な存在として、日頃から安否確認訓練や避難所運営訓練などに熱心に取り組み、防災講話会をオンラインで開催するなど工夫して活動しています。
 こうした活動を支えるとともに、来年度は、町会、自治会が地域住民に向けて、防災対策に係る情報提供と併せて防災グッズを配布する取組に対し、上限額を設けた上で、都が全額を支援いたします。
 この取組を通じまして、隣近所の助け合いを呼びかけながら、地域の一体感を高め、地域におけるさらなる防災意識の醸成を図ってまいります。
 次に、環境です。カーボンハーフに向けた取組についてであります。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けましては、今後数十年にわたって使用される新築建築物のゼロエミッション化が急務であります。
 このため、私は、全国初となる、住宅供給事業者等へ太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入など、新たなステップに踏み出すことを決断し、現在、環境審議会におきまして、事業者等の意見も伺いながら、丁寧に審議を重ねているところでございます。
 これら制度の導入に先駆けまして、都民や事業者の取組の起爆剤となる支援策を展開いたしまして、機運醸成を図ることが重要であります。
 そこで、来年度は、東京ゼロエミ住宅につきまして、より高い省エネ性能や太陽光パネル等を備える場合、助成額の拡充を図り、不動産取得税を最大で全額減免する新たな税制措置を講じてまいります。
 また、こうした住宅のメリットと支援策の積極的な周知を図るとともに、子供たちなどに我が家の環境局長に就任いただき、楽しみながら家庭のCO2削減に取り組める仕掛けを提供するなど、都民、事業者の行動を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、新築住宅のゼロエミッション化を、あらゆる主体にとって当たり前のものとしていくことによって、ゼロエミッション東京を実現してまいります。
 環境対策に取り組む商店街への支援についてでございます。
 ゼロエミッション東京を実現するため、地域社会や住民が環境配慮の行動を着実に進めることが必要であり、コミュニティの核である商店街での取組を後押しすることは大切です。
 環境負荷をまちじゅうで減らすため、商店街における太陽光パネルや風力発電設備の導入など再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取組等を円滑に行えるよう支援することが有効であります。
 こうして生み出される電気を商店街の街路灯やアーケードで活用するなど、環境に優しい商店街づくりに一層力を入れてまいります。環境負荷の少ない電力を使う場合などは、より性能の高いLEDランプの新たな導入や交換ができるようサポートを開始いたします。
 環境にも優しい魅力あふれる商店街を増やし、地域社会の持続的な発展に結びつけてまいります。
 次に、パラスポーツの振興についてでございますが、パラリンピックでは、自らの限界に挑戦するアスリートの活躍に多くの都民が魅了されました。パラスポーツへの関心の高まりや応援の機運を大会のレガシーとしてさらに高めていきたい。
 今後、パラスポーツの魅力を発信するチームビヨンドなどの取組を通じまして、競技体験や観戦の機会をさらに拡充してまいります。
 また、誰もが気軽に参加し、交流できるイベントなどを通じまして、パラスポーツに触れる多様な機会を創出してまいります。
 来年度は、パラリンピック一周年の機を捉えまして、都民にパラスポーツの観戦機会を提供し、競技の魅力や迫力を体感していただく。
 また、大会のレガシーともいえるデジタル技術も活用いたしまして、新たなスポーツの楽しみ方を提供するなど、パラスポーツファンの裾野を拡大してまいります。
 これまで大会を支えていただいた多様な主体の参画もいただきながら、あらゆる段差のない社会の実現につながりますよう、パラスポーツムーブメントをさらに発展させてまいります。
 芸術文化と社会包摂に関する取組の世界への発信についてのご質問がございました。
 芸術文化は人々に感動、生きる喜びをもたらすだけではありません。心のつながりを深める大きな力がございます。
 東京二〇二〇大会の文化プログラムでは、アール・ブリュットの作品の展示や、様々なバックグラウンドを持つ子供たちがアートを通じて交流するプログラムを通じ、多様な価値や一人一人の個性を認め合える社会に向けた歩みを進めることができました。
 これを文化のレガシーとして発展させ、東京で得られた知見や経験を世界と共有しまして、芸術文化の力で共生社会の実現を図るため、アジア初の総合国際カンファレンスを実施いたします。
 国、地域を超えた多様な表現を広く紹介する魅力的なショーケースや、創作活動を通じたアーティストと障害者との交流、海外の関係者とのネットワークづくりなど、世界をリードする先進的なプログラムを展開してまいります。
 パラリンピックを二度開催した東京だからこそ、ダイバーシティ、インクルージョンの新たな時代を切り開く取組を世界に広げてまいります。
 地域の芸術文化団体への活動について、最後にご質問がございました。
 都内には多くの芸術文化団体があり、その多種多様な活動は東京の魅力の源泉であります。
 都はこれまでも、特色ある文化イベントを地元の芸術文化団体と共につくり上げてきたほか、地域の文化資源を活用した創作活動への助成などにより、その支援に取り組んでまいりました。
 来年度は、さらに多くの芸術文化団体等の活動の後押しができますように、複数の団体が寄り添い力を合わせて開催する伝統芸能や音楽、演劇、ライブエンターテインメントなど様々なジャンルのフェスティバルや、アートプロジェクトなどに対する助成を新設いたします。
 加えまして、コロナ禍で立ち上がった芸術文化団体等とのネットワークを通じて得られた意見や提案などを今後の施策展開に生かしてまいります。
 こうした取組を通じまして、地域における芸術文化団体がさらに活躍できますよう支援をいたしまして、共に芸術文化で躍動する都市東京の実現を目指してまいります。
 その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村のデジタルトランスフォーメーション推進に向けた支援についてでございますが、東京のデジタルトランスフォーメーションの推進のためには、都と区市町村が共にデジタル化を実現していかなければなりません。
 このため、今年度、全区市町村が参加するCIOフォーラムを二回開催し、国の取組等を共有しました。さらに、個別に二十四自治体との間で意見交換を重ねてきました。
 その中で、私は、業務システムや人材育成手法等の標準化、共通化を図ることの重要性を改めて痛感しました。
 こうした中、今年度、五つの区市と連携し、保育事業者への給付などの窓口手続でデジタルを活用した見直しを行ってまいりました。
 来年度は、その成果を映像やハンドブックに取りまとめ、発表会を開催するなど、全区市町村へ横展開し、ノウハウなどを共有していきます。
 さらに、内容審査や交付手続などの業務もデジタル化の対象として拡大し、新たな成功事例を創出してまいります。
 あわせて、これらの取組を進めるため、支援体制を強化し、様々な課題を抱える区市町村に対して、新たに都の専門人材が現場と一体となって、継続的に伴走型の支援を実施します。
 また、デジタル人材の育成も、区市町村職員向け研修の充実を図るなど支援を強化してまいります。
 今後さらに、ニーズを聞きながら寄り添った支援を行い、区市町村のデジタルトランスフォーメーションを推進し、オール東京で取組を推進してまいります。
 次に、高齢者向けスマートフォン事業についてでございますが、デジタルデバイドの是正に当たっては、高齢者などのデジタルに不慣れな方々への支援とともに、誰もが使いやすいデジタルサービスの提供が重要です。
 国の調査では、スマートフォンを保有していない七十歳以上の方々のうち四割以上が使い方が分からないという状況です。
 このため、都は、スマホ利用を啓発すべく、区市町村や町会、自治会等と連携の上、体験会等を開催し、これまでに三千名を超える方々のサポートを行ってまいりました。
 来年度は、年間を通して開催し、一万五千名を超える方々のサポートを目標に、スマートフォンの良さを知っていただく機会をつくり、大学生やNPO法人等と連携して、新たに東京スマホサポーター認証制度を開始し、地域での支え合いにつなげてまいります。
 また、高齢者など誰もが使いやすく、質の高いデジタルサービスの提供に向け、サービスの開発や運用に関わる全ての職員が遵守すべき行動指針の策定を進めてまいります。
 今後、本指針の中で、サービスにおける文字の大きさや色などに対する配慮等、開発時における具体的な留意点などをガイドラインとしてまとめていきます。
 こうした取組を通じて、全てのシニア世代が生き生きと暮らせる、誰一人取り残されないデジタル社会の形成を目指してまいります。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 大規模災害への備えについてでありますが、近年、全国的に大規模な風水害や地震が頻発しており、都内におきましても、首都直下地震や、さらには火山の噴火など、大規模災害の発生が危惧されております。
 こうした中、警視庁では、過去に発生した大規模災害での教訓を踏まえ、実際の災害現場に近い環境を再現できる訓練施設において実践的な訓練を行うなど、平素から職員の災害対応能力の向上を図っております。
 また、先端技術を用いた災害用資機材として、倒壊家屋等での捜索に活用する多目的ロボットや悪天候の状況下等で活用する熱源探知機能付暗視ゴーグルの導入に加え、ライフラインの確保など、救出救助活動を支える基盤整備も進めております。
 警視庁といたしましては、都民の生命、身体を守り抜くため、各種訓練の励行、先端技術の導入、最新鋭資機材の充実はもとより、被災下においても災害応急対応を十分に行えるよう、備えを万全にしてまいります。
   〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、体験型の英語学習機会の充実についてでございますが、TOKYO GLOBAL GATEWAYでは、外国人スタッフとの体験的な活動を通し、海外での生活や実社会を体験でき、世界に目を向けるきっかけとなるプログラムを数多く用意しております。
 来年一月に多摩地域で開業予定の施設では、これらの特徴に加え、映像を活用して、海外や未来を感じる空間や場面を演出し、臨場感のある体験学習の機会を創出するとともに、近隣施設や地元企業等との連携により、魅力あるプログラムを提供してまいります。
 また、島しょ地域につきましては、VRの活用により、学校に居ながら海外の都市や観光地等を舞台とした様々な体験ができるプログラムを提供し、その成果を今後の事業展開に生かしてまいります。
 次に、子供たちの健康への支援についてでございますが、心や体が成熟の過程にある思春期に、健康上の不安や悩みに対する支援を実施することは、子供たちが生涯にわたり心身の健康を保持増進していく上で重要でございます。
 そのため、来年度、新たに都立高校六校を指定し、ライフプランにおける健康上の課題について、産婦人科医等を招聘した専門的な授業を実施いたします。
 さらに、福祉保健局と緊密に連携し、子供たちの健康相談体制の充実に向け、プライバシーに配慮した相談しやすい環境の整備や、学校における効果的な相談先の周知などを進めてまいります。
 これらにより、子供たちが将来を見据えた自己の健康を管理する力を身につけられるよう、多様な支援体制を整備してまいります。
 次に、いじめ問題へのサポートの強化についてでございますが、いじめは重大な人権侵害であり、いじめを受けた子供の不安が解消され、安心して学校生活を送ることができるようになるまで、丁寧にケアすることが重要でございます。
 また、子供や保護者への支援を充実していくためには、法律等の専門家が子供や保護者に寄り添い、直接話をよく聞き、その思いを学校等に代弁するなど、保護者等が安心して相談できる環境を整えることが必要でございます。
 今後、他の自治体の取組や組織的対応の事例について調査をし、区市町村と連携して、保護者等がいじめ対応の初期の段階から、法律や医療等の専門家のサポートを受けて学校に相談できる仕組みづくりを行ってまいります。
 次に、小中学校における心理や福祉の専門家配置についてでございますが、子供の様々な悩みへのきめ細かなケアを行うためには、心理や福祉の専門家と協働した対応が重要でございます。
 現在、都教育委員会は、全ての小中学校がスクールカウンセラーを週一回程度活用できるようにするとともに、学校を巡回するスクールソーシャルワーカーの配置を支援しております。学校はこうした人材を活用して子供たちのケアを行っておりますが、支援をさらに充実させるためには、教員と専門家との連携の機会を増やす必要がございます。
 このため、スクールカウンセラーの勤務日数の増加やスクールソーシャルワーカーの訪問回数を増やす自治体への補助の拡充により、学校が子供たちの小さな変化を早期に発見し、速やかに専門家と連携した支援を開始できる体制を強化してまいります。
 最後に、特別支援学校での医療的ケア児の支援体制の強化についてでございますが、学校での支援のさらなる充実のためには、ケアを支える看護師の安定的な確保と通学車両の拡充が重要でございます。
 そのため、来年度から、看護師が働き方を柔軟に選択できるよう、週十九時間の勤務に加え、週三十一時間の勤務を設定いたします。
 また、登校時の通学車両乗車の報酬を現行の一時間三千百円から三千六百円に引き上げるなど処遇の改善を図り、看護師の安定的な確保を進めてまいります。
 さらに、通学車両につきましては、肢体不自由特別支援学校での増便を図るとともに、知的障害特別支援学校におきましても、知的障害の特性に応じた実施体制を整備し、運行を開始するなど、通学支援を充実してまいります。
   〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 誰もが使いやすい駅づくりについてでございます。
 高齢者、障害のある方々をはじめとして、誰もが生き生きと活躍できる社会を実現するためには、安心して快適に移動できる環境整備は不可欠でございまして、多くの方が利用する駅の安全性や利便性を高めていくことが重要でございます。
 今年度の都民からの事業提案を受け、視覚障害者等がさらに便利で安全に利用できるよう、令和四年度に、鉄道事業者と連携いたしまして、スマホアプリや先進技術など、デジタルテクノロジーを活用した案内誘導などに取り組み、ユニバーサルデザインのまちづくりをさらに促進してまいります。
 こうした取組を通じて、誰もが安全かつ快適に生活できる都市づくりにつなげてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 七点のご質問にお答えいたします。
 オミクロン株亜種への対応についてでございますが、オミクロン株亜種、BA・2系統は、従来のオミクロン株よりも感染性がさらに高いといわれており、流行をいち早く探知することが必要でございます。
 都はこれまで、ゲノム解析によりまして、BA・2系統のオミクロン株も確認してまいりましたが、今般、東京都健康安全研究センターにおきまして、ゲノム解析よりも早く判別できる変異株PCR検査手法を独自に開発し、先月末から検査を開始しております。
 今後、この変異株PCR検査を一層進めまして、都内における変異株の感染状況を監視していくとともに、広域的な視点から、この検査手法を近隣県等と共有してまいります。
 さらに、東京iCDCの専門家の助言を踏まえまして、BA・2系統の特性に応じた適切な対策を講じることで、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、ワクチンの追加接種についてでありますが、接種を加速するためには、一、二回目接種と比べて供給量の多いモデルナ社製ワクチンの有効活用と接種体制のさらなる強化が必要でございます。
 このため、都は国に対し、モデルナにより接種が進むよう、交互接種の効果や副反応に関する情報発信を重ねて要望しているほか、引き続き、モニタリング会議などの場も活用し、きめ細かく情報を発信してまいります。
 また、区市町村に対しては、ワクチンチーム会議等を通じ、接種の加速に向けた認識や情報の共有を図るとともに、接種体制の強化を要請しております。
 さらに、都の大規模接種会場の新設や既存会場の接種能力の拡充を行うほか、移動が困難な高齢者施設等の入所者に対しては、ワクチンバスによる接種を今後増強してまいります。
 続きまして、自宅療養者の支援についてでございます。
 都は、今般の感染拡大への備えとして、自宅療養者フォローアップセンターの人員体制を拡充し、二十四時間、医療相談に対応するとともに、先月には、自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京を開設し、療養生活を送る上での様々な相談に応じております。
 また、療養者自身が気をつけるべきことや、同居者に知っていただきたいことなどを分かりやすくまとめたハンドブックやチェックリストを作成し、ホームページやSNSで情報発信するほか、医療機関を通じ、検査を受けに来た方や家族に提供しております。
 今後、療養期間終了日など、療養者にとってニーズの高い情報を分かりやすく、また、迅速にアクセスできるよう、ホームページの改善など情報提供の充実に努めてまいります。
 次に、妊婦向けの病床確保と医療的支援についてでございますが、オミクロン株は感染力が極めて高い特性を持っており、妊娠中に感染した場合でも安心して利用できる体制を強化することが重要でございます。
 今年一月の一か月間で、新型コロナウイルス感染症に感染した妊婦の方は約千百人と、昨年八月と比べてほぼ倍増しておりまして、早急に対策を講じる必要がございます。
 そのため、都は、保健師等による相談支援や地域の助産師による健康観察の取組に加えまして、新たに医師や看護師を配置した宿泊療養施設や都立、公社病院を活用し、主治医と連携しながら妊婦をサポートする療養施設を最大百床整備し、妊婦の治療や健康相談を実施いたします。
 妊婦の方が安心して出産を迎えられるよう、関係機関や区市町村と連携しながら、きめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、新たに設置する臨時の医療施設についてでありますが、今回のオミクロン株の流行では二百十を超える高齢者施設の入所者や職員合わせて約四千人の方が陽性になりまして、施設内の感染が広がっております。高齢者の方々は、たとえ軽度の肺炎であっても、併存する他の疾患のため、入院が長期化する傾向にございます。
 こうした状況を踏まえまして、都は昨日、旧東京女子医大東医療センターの建物を活用して、高齢者等医療支援型の臨時の医療施設を開設いたしまして、高齢者施設等への往診や治療、転退院の拠点として運営していくことにより、高齢者のケアと病床の効率的な活用を進めてまいります。
 開設に当たりましては、国所管の公的病院の人材活用も図っており、引き続き国と連携しながら、医療提供体制の充実を図ってまいります。
 続きまして、酸素・医療提供ステーションについてでありますが、オミクロン株による感染拡大に適切に対応するためには、病床を補完する酸素・医療提供ステーションの機能を拡充することが重要でございます。
 このため、都は、シャワー施設を整備するなど二泊以上の滞在を可能にするとともに、投薬種類の拡充、流動食などの食事の多様化、看護助手の配置などを通じまして、より多くの方を受け入れられる施設といたしました。
 また、患者搬送用の陰圧車両を三十台から五十一台に増強し、保健所やかかりつけ医と連携した外来患者の受入れや、病院で症状が軽快した患者の受入れを促進いたします。
 こうした様々な改善によりまして、病床の補完機能を強化し、救急搬送が必要な患者が迅速に医療機関へ搬送されるよう、療養患者の搬送体制の強化に寄与してまいります。
 最後になります、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございますが、都は、都立、公社病院に相談窓口を設置いたしまして、後遺症に悩む方の相談に応じるとともに、症状が重い場合には、院内の適切な診療科の外来受診につなげ、支援してまいりました。
 また、東京iCDC専門家ボードにおきましては、後遺症に関するリーフレットを作成し広く都民に周知するほか、相談窓口で蓄積いたしました約三千九百の相談データから、相談者の訴える症状を様々な角度から分析し、その結果をモニタリング会議等で公表をしております。
 今後は、東京iCDCにおきまして、相談窓口から外来受診につなげた症例データにつきまして、治療や症状の改善状況等の調査、分析を行ってまいります。
 また、オミクロン株に感染した方の後遺症につきましても、相談データの解析等による実態把握を進めまして、情報発信をしてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、保育所等の新型コロナウイルス対策についてであります。
 都では、保育所等が感染対策を徹底できるよう、動画やリーフレットを作成して消毒や換気方法等を周知するとともに、保育所等職員やベビーシッターの感染予防のため、三回目のワクチンの優先接種や集中的検査を実施しております。
 また、保育所等が休園した際には、ベビーシッターの活用を支援しておりまして、利用可能な区市町村をホームページで公開しているほか、必要時に迅速に利用できるよう、現在、手続の簡素化を進めております。
 さらに、今月からは、休園時に公民館や児童館等を活用して子供の預かり先を確保する区市町村への支援も開始しておりまして、引き続き、コロナ禍において保育サービスを必要とする保護者とその子供を支援してまいります。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてであります。
 都は、待機児童対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズにきめ細かく対応するため、平成三十年度からベビーシッター利用支援事業を開始し、さらにその後、交通費の支援や一時預かりの実施など、事業の充実を図ってきております。
 現在のコロナ禍においても、保護者が安心して働きながら子育てができるよう、臨時休園した保育所や臨時休業した小学校の児童にも利用対象を拡大しております。
 来年度は、夜間にも安心して保育サービスを利用できるよう夜間帯保育にも対応するとともに、学童クラブの閉所時間後に子供を預けられるよう、小学校まで対象を拡大いたします。
 今後も、ベビーシッターを一層活用し、区市町村と連携しながら、子供と子育て家庭を支援してまいります。
 次に、高校生等への医療費助成についてであります。
 都は、市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の基準の下で補助しております。
 高校生等への医療費助成の具体的な制度内容については、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、準備経費補助の詳細や事業実施に向けた制度の考え方や内容、経費を含めた課題等について、丁寧に議論を重ね調整してまいります。
 また、医療費助成の医療証と保険証とを一体化し、デジタル化するためには、国が昨年導入したオンラインでの資格確認の対象に、医療証が含まれるようになることが前提となるため、今後、区市町村の意見を聞きながら、必要に応じ、国へ働きかけてまいります。
 次に、とうきょうママパパ応援事業についてであります。
 都は、三歳未満の子供を育てる家庭に対し、家事、育児を支援するサポーターを派遣する区市町村の取組を支援しております。
 新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、活動可能な人材が十分確保できない、また、家の中に他者を招き入れることに不安を抱く家庭があるなど、サポーターの活動が困難な場合があります。
 そのため、来年度は、コロナ禍でサポーターの利用が難しい家庭に対し、家事時間の短縮による負担軽減を図れるよう、スマート家電等の家事支援用品の購入を支援いたします。
 コロナ禍においても、安心して子育てできるよう、区市町村と連携しながら、支援の充実を図ってまいります。
 次に、児童養護施設の退所者などケアリーバーへの支援についてであります。
 都が昨年度実施した児童養護施設等退所者の実態調査では、退所直後に困ったことを主に相談した相手は施設職員が約五割と最も多く、ケアリーバーへの支援では、施設職員が重要な役割を果たしております。
 国の事業では、十八歳を超えて二十歳まで入所等の措置を延長した方が、措置解除後も施設等の支援を受けながら安定した生活を送れるよう、アパート等を借り上げる施設等を支援しております。
 都は、国の事業の対象とならない退所者等へのアフターケアを強化するため、十八歳で措置解除となった方にアパート等を借り上げる施設等に対し、必要な経費を来年度から独自に支援してまいります。
 次に、障害児への支援についてであります。
 障害児とその家族が身近な地域で安心して生活していくためには、適切な療育の提供や、障害特性に応じた相談支援体制の整備が必要であります。
 都は来年度、都型放課後等デイサービス事業を開始し、自立した日常生活を営むために必要な訓練やコア人材の配置など、都が定める基準を満たす事業者を支援することで、サービスの質の向上を図ってまいります。
 また、医療的ケア児への支援の充実を図るため、家族等からの様々な相談に総合的に対応するとともに、保健、医療、福祉、教育等の関係機関との連絡調整などを行う医療的ケア児支援センターを開設いたします。
 今後、こうした取組を通じて、障害児とその家族を支援する施策の充実を図ってまいります。
 次に、デジタル機器による高齢者の健康管理についてであります。
 東京都健康長寿医療センターでは、地域の高齢者の健康状態を長期的、継続的に把握する追跡健康調査を二十年以上にわたり実施し、認知症やフレイルなどの老年症候群の早期発見とその予防に取り組んでまいりました。
 来年度からは、こうした知見等を活用し、追跡健康調査に参加する高齢者にスマートウオッチ等のデジタル機器を装着していただき、日常の血圧や脈拍、身体活動量等のデータを自動計測し、健康調査の結果と比較、分析するなど、フレイル等の多様な健康リスクとの関係性の解明に向けた取組を開始いたします。
 さらに、健康状態を可視化するアプリの開発等につなげ、日常生活での行動変容を促すなど、高齢者の健康の維持増進に向けたさらなる取組を進めてまいります。
 最後に、在宅医療体制の充実に向けた支援についてであります。
 在宅医療をさらに充実させていくためには、地域の医療、介護関係者が相互に連携して、切れ目のない支援体制を構築することが重要であります。
 都は来年度、区市町村と連携し、地域の医療、介護事業者等が在宅患者の急変時に二十四時間対応できるよう、在宅医療体制を充実させていくための手順書を作成いたします。
 手順書には、在宅医療の主治医と、それを補完し協働して診察等を行う医師や訪問看護師等が連携した往診、連絡体制を構築するための段階的な取組や、デジタル技術を活用した患者情報の共有などを盛り込むこととしており、今後とも、地域の実情に応じた在宅医療体制の構築に取り組む区市町村を支援してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えいたします。
 中小企業に対する金融支援についてですが、中小企業の事業の継続と発展を図る上で、コロナ禍の影響による厳しい経営状況の克服や将来の成長につながる事業展開を金融面から支援することが重要でございます。
 都では来年度、中小企業の事業継続を支援するため、昨年度の制度融資による実質無利子の資金を利用した事業者を対象に新たな借換えメニューを創設し、借入額八千万円までは信用保証料の全額を補助するとともに、金融機関に借換え等への柔軟な対応を要請いたします。
 一方で、将来の成長を見据え、DXやSDGsなどに関連した事業展開に必要となる資金ニーズに対応する制度融資メニューの充実を図ります。
 また、脱炭素化の取組を後押しするためのファンド設立も進めてまいります。
 これらの取組によりまして、中小企業を金融面から支え、都内経済の回復と発展につなげてまいります。
 次に、中小企業の経営の下支えについてですが、中小企業が厳しい環境を乗り越えて事業を継続するとともに、将来を見据えて積極的な事業展開もできるよう、適切な支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、コロナ禍における事業継続に向け、BCPの必要性や作成方法を学ぶセミナーや講座の規模を拡充いたします。
 また、多くの中小企業が現場の実態に合ったBCPを作成できるよう、専門家派遣の規模を拡充し、その助言に係る事業者の費用も無料といたします。
 さらに、中小企業が将来を見据え、生産性や製品の品質を高めるため、DX化を推進する設備等を導入する経費の助成について大幅な拡充を図ります。
 こうした取組によりまして、感染症の影響を受けた中小企業の経営を着実に後押ししてまいります。
 次に、飲食事業者への支援についてですが、長引く感染症の影響により、飲食事業者を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
 都では、営業時間の短縮等にご協力いただいた事業者に速やかに協力金を支給しているほか、その事業継続や経営の安定化に向けて支援を行っております。
 今後は、制度融資による資金繰りの支援の充実を図るとともに、感染防止対策に必要な経費の助成について、コロナ禍による影響が長引いていることを踏まえ、支援の対象となる工事期間等を延長いたします。
 また、飲食事業者の新たな事業展開を後押しするため、専門家による助言の実施に必要となる経費の助成などの拡充を図ります。
 こうした取組によりまして、飲食事業者の事業の継続と展開への支援を着実に行ってまいります。
 次に、多摩産材の供給力の強化と利用拡大についてですが、森林循環を進めるには、木材供給を担う林業の生産性を高めるとともに、木材利用を増やすことが重要でございます。
 このため、都は来年度、東京特有の急峻な地形において伐採、搬出作業を効率的に行えるよう、AIで画像を認識し自動で丸太を集めて運搬するなど、デジタル技術を活用した林業機械等の開発や、国内外の林業先進技術の導入を支援いたします。
 また、国産木材の需要拡大に向けて、多摩産材を使用し住宅を新築した方に対し、東京の特産物等と交換できるポイントを提供する事業を開始いたします。
 さらに、中、大規模の建築物について、設計費に加え、新たに建築費に助成を行うことで、木造、木質化を促進いたします。
 こうした取組によりまして、持続可能な森林循環の確立を図ってまいります。
 次に、世界自然遺産を活用した観光振興についてですが、東京の小笠原諸島などの世界自然遺産は、人類共通の貴重な財産として、環境に配慮しながら観光に活用することが重要でございます。
 そのため、都は、世界自然遺産のある四つの自治体と協議会をつくり、ウェブサイトを通じてそれぞれの自然環境や多様な生き物の情報とともに、観光地としての魅力を発信しています。
 また、環境への理解を深める旅行商品づくりに向け、地元の観光協会と都内の旅行会社のマッチングを行う商談会などを実施しています。
 来年度は、新たに登録地となった沖縄県を協議会に加え、旅行者向けのマナー啓発や自然保護の活動を紹介する観光プロモーションを実施いたします。
 こうした取組によりまして、世界自然遺産を活用し、東京の観光振興を推進してまいります。
 最後になりますが、アニメを活用した観光振興についてですが、東京には、国内外から注目されるアニメや漫画の舞台となる場所などが数多く存在し、それらを観光資源として活用することは、旅行者の誘致を図る上で効果的でございます。
 今年度、都では、区市町村や各地域の観光協会がアニメをテーマとするイベントを開催する場合や、キャラクターのモニュメントを制作する取組に支援を行い、地元への誘客に結びつけているところでございます。
 また、キャラクターをデザインしたマンホールや、その周辺の観光スポットを巡るデジタルスタンプラリーなどを実施したところでございます。
 来年度は、アニメの人気作品などをきっかけに有名となった場所を訪れるツアーを行うことで、新しい観光の名所をつくり、旅行者の誘致を図ります。
 こうした取組によりまして、アニメを活用した観光振興を着実に進めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供や高齢者の運動不足等への対応についてでありますが、都民の誰もがスポーツに親しむことができる機会を確保し、健康の維持増進を図ることは重要でございます。
 このため、都は来年度、新たに子供や高齢者を対象として、気軽に楽しく取り組める運動を紹介し、継続的な健康づくりへつなげる事業を開始いたします。
 具体的には、スポーツジム事業者のノウハウ等を活用して、訴求力の高い動画を作成するとともに、SNS等を活用した効果的な広報を実施いたします。
 また、子供に人気の出演者を起用するなど、子供たちを引きつける動画を作成、発信し、子供同士や家族が身近な地域で外遊びを楽しむきっかけをつくってまいります。
 こうした取組によりまして、子供から高齢者まで広くスポーツ実施につなげ、都民の健康維持増進を図ってまいります。
 次に、大会経費についてであります。
 組織委員会、東京都、国の三者は、平成二十九年の大枠の合意や大会延期後の追加経費負担の合意に基づいて、毎年度、経費を精査し、総額と内訳を公表してまいりました。
 また、共同実施事業について、全ての事業の確認を契約前から行った上で、契約後は、事業の一覧や確認に用いた資料を公表するなど、透明性の確保にも努めてまいりました。
 今回、三者は、こうしたこれまでの経緯と、観客数の取扱いなどV5予算以降の後発事象を共有した上で、役割分担を踏まえた対応を図ることに合意し、これを反映した大会経費を公表いたしました。
 今回の三者合意により、新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなりました。
 引き続き、丁寧な説明に努め、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
 次に、新規恒久施設の活用についてであります。
 各施設を大会のレガシーとして最大限活用していくためには、戦略的に取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、先般公表したTOKYOスポーツレガシービジョンでは、各施設の特性に応じてスポーツでのさらなる活用を進めるとともに、エンターテインメント、ユニークベニューなど多様な活用を図ることとしております。
 例えば、スポーツ利用では、海の森水上競技場でのボート全日本選手権、大井ホッケー競技場でのマスターズホッケーワールドカップなど、数多くの主要大会が開催される予定でございます。
 国際大会の誘致、開催を促進するとともに、大規模な音楽イベントなど、一層幅広い活用を進め、施設のポテンシャルを最大限発揮させるよう取り組んでまいります。
 次に、アーバンスポーツパークの整備についてであります。
 日本選手の活躍もあり、スケートボードをはじめ、アーバンスポーツという新しいジャンルの競技が注目を集めました。
 こうしたレガシーを大会後に引き継いでいくため、スポーツクライミング、3x3バスケットボール、スケートボードに親しんでいただける仮称有明アーバンスポーツパークを整備していくこととしております。
 スケートボードは大会時に使用した施設を活用するとともに、初心者向けのエリアも整備いたします。また、ボルダリングは雨天時でも利用可能な屋内施設とするなど、より多くの方にご利用いただけるよう検討を進めております。
 今後、民間事業者の創意工夫も生かすなど、多くの人が訪れ、楽しめる施設となるよう取り組んでまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会一周年記念行事におけるデジタル技術の活用についてであります。
 令和四年七月から十月までの大会一周年記念期間は、都民、国民へ感謝を伝え、大会で活用されたデジタル技術を含めた数々のレガシーを発信する貴重な機会でございます。
 大会期間中、組織委員会と連携し、バーチャルな競技体験や、都内特別支援学校で会場に行くことのできない子供たち向けに、VRシアターの競技観戦等を行いました。
 こうした取組を踏まえ、七月二十三日の大会記念セレモニーや、八月のパラリンピック記念イベントなどにおいて、デジタル技術を活用した観覧や参加、スポーツ体験などの実施について検討してまいります。
 デジタルの力で新しいスポーツの楽しみ方を広げ、スポーツへの関心を高める取組を推進してまいります。
   〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営地下鉄駅への授乳室の設置についてでありますが、都営地下鉄ではこれまで、車両への子育て応援スペースの導入、駅トイレへのベビーチェアやベビーシートの設置など、子育てを支援する様々な取組を行ってきたところでございます。
 授乳室は、乳児をお連れのお客様に地下鉄をより安心してご利用いただくための施設でございます。その設置に当たりましては、駅構内という限られた空間の中で、場所の確保や給排水設備の整備などが必要となります。
 こうした課題を踏まえまして、駅の改良工事に合わせた授乳室の設置や、ツーリストインフォメーションセンター等、既存施設内でのスペースの確保につきまして検討してまいります。
 小さなお子様連れのお客様をはじめ、誰もが安心して利用できる環境づくりを進めてまいります。
 次に、バリアフリールートの複数化についてでありますが、都営地下鉄では、全駅でのワンルート整備後のさらなる取組といたしまして、乗換駅等でのエレベーター整備を進めております。
 また、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正などを踏まえ、移動距離を短縮する観点から、バリアフリールートの複数化につきまして検討しております。
 検討に当たりましては、駅周辺における病院や障害者施設等の立地状況、用地確保の可能性などを勘案しながら、新たな経営計画における整備対象駅の選定を進めてまいりました。
 今後、令和六年度までの三か年で、新宿線瑞江駅や大江戸線春日駅、光が丘駅など六駅でバリアフリールートを充実する計画であり、こうした取組を通じて、誰もが円滑に移動でき、より利用しやすい都営地下鉄を目指してまいります。
   〔政策企画局長野間達也君登壇〕

○政策企画局長(野間達也君) ひとり親支援に関する情報周知についてでございますが、各種支援策の広報に当たっては、情報を分かりやすく発信し、利用につなげることが重要でございます。
 このため、都は、行政機関や民間団体の支援情報を横断的に検索できるポータルサイトを開設し、リーフレットやウェブ広告で周知するなど、情報発信に努めてございます。
 今後、ホームページでの分かりやすい表示などの改善を積み重ねるとともに、入学シーズンなどの機を捉え、支援情報をSNS等で発信するなど、ひとり親家庭の目に留まりやすい広報を進めてまいります。
 また、区市との連携を深め、支援に携わる職員の意見も聞きながら、福祉や就労支援等の現場で活用しやすい広報素材を作成するなど、必要な人に情報を確実に届ける広報を推進してまいります。
   〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立専修学校への支援についてでございますが、私立専修学校は、実践的な職業教育、専門的な技術教育を行い、東京の産業を支える専門人材の育成に一定の役割を果たしています。
 そのため、都は、国との役割分担を踏まえながら、耐震化工事や教育設備整備等への補助を行っております。
 平成三十年度からは、職業教育の質の向上を図るため、国が認定した職業実践専門課程を設置する専修学校への補助を実施しているところでございます。
 来年度は、これまでの認定校や認定課程数の増加を踏まえ、企業等と連携した、より実践的な職業教育のさらなる充実や教育環境の向上に向けて、補助を拡充しております。
 今後とも、未来の東京を支える多くの専門人材の育成が進むよう、私立専修学校への支援に努めてまいります。
 次に、町会、自治会支援についてでございますが、担い手不足や長引く感染症の影響などにより、活動が固定化している町会、自治会も多く、外部の新たな視点の導入やデジタルの活用が重要でございます。
 そこで、都は来年度、町会・自治会応援キャラバンを開始し、町会、自治会が企業やNPOなどと連携して、これまでにない工夫を取り入れた事業を行えるよう、企画段階から実施までトータルにサポートいたします。
 また、イベントの開催日時や役員会の参加確認、災害時の安否確認等、様々な情報を即時に共有できるよう、地域交流アプリの導入を支援いたします。
 こうした先駆的な取組を、区市町村やつながり創生財団などとも連携しながら進めていくことにより、町会、自治会活動の活発化を図ってまいります。
   〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、デジタル人材の確保、育成についてでございますが、東京のDXを戦略的かつスピード感を持って進めていくためには、専門人材の確保、育成が急務でございます。
 そこで、今般、新たに東京都デジタル人材確保・育成基本方針を策定し、取組の方向性を取りまとめたところでございます。
 今後、人材の確保につきましては、デジタルスキルマップを導入し、ニーズに合致した人材を戦略的に採用してまいります。
 また、人材育成につきましては、東京デジタルアカデミーを新設し、ICT職の海外大学院等への派遣や職員全体のリテラシーの底上げに加え、海外調査や区市町村との連携を一体的に進めてまいります。
 こうした取組を通じて、東京のDX推進を支えるデジタル人材を質、量ともに飛躍的に充実をさせてまいります。
 次に、デジタルに関する職員研修についてでございますが、都のDX推進に当たりましては、職員全体のデジタルに関する理解の底上げや、専門知識を持たない職員に対するリスキリングを進めることが必要でございます。
 そのため、全職員約四万人を対象に、オンライン学習ツール等を活用し、基礎的な知識を学ぶ研修を実施し、デジタルリテラシーの底上げを図ってまいります。
 また、専門的なプログラミングの知識がなくとも簡易なアプリ開発等が可能なノーコード、ローコードツールを活用したワークショップ型の研修などを実施し、五年で五千人のリスキリング人材を育成してまいります。
 こうした取組により、都のDX推進を支える職員の育成を迅速かつ着実に進めてまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 雑居ビル等の防火安全対策についてでございますが、東京消防庁では、大阪市のビル火災を受け、類似建物約八千棟に緊急の一斉立入検査を実施し、避難障害となる物件がある建物に対して直ちに除去命令を発令し、階段等の避難施設の安全確保を図ったところです。
 また、建物の用途や過去の立入検査の状況等から違反が想定される雑居ビル等に対し、集中的に立入検査を実施し、建物の防火安全対策を推進しております。
 さらに、来年度は、火災発生時の対応要領の動画等を新たに作成し、建物関係者に防火意識のさらなる啓発を図るとともに、産業労働局において、通常よりも高性能な消火器を設置する際の補助制度を開始いたします。
 今後とも、都民が安心して暮らせるセーフシティの実現に向け、建物の防火安全対策の強化に努めてまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 帰宅困難者対策のためのシステム構築についてですが、帰宅困難者対策を的確に進めるためには、火災や建物倒壊、道路上の帰宅困難者の滞留状況等を迅速に把握することが重要でございます。
 このため、都は現在、これらの災害関連情報を集約するシステムの開発に取り組んでいるところでございます。
 今年度は、道路上の帰宅困難者の滞留状況を分析した上でマップ上に可視化するシステムの技術実証を行いました。
 来年度からは、この仕組みを実際の災害や訓練で活用してまいります。
 さらに、一時滞在施設の混雑状況や火災、建物倒壊といった災害関連情報を同一のマップ上に一元的に表示できるよう、順次システムの機能強化を進めてまいります。
 デジタル技術の活用により、帰宅困難者のより一層の安全確保を図ってまいります。
   〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 環境、健康によい住宅の普及、支援についてでございますが、脱炭素化に加えまして、居住者の健康確保の観点からも、温熱環境が良好な断熱性能の高い住宅の普及は重要でございます。
 これまで都は、断熱リフォームの効果等を発信するとともに、窓などの断熱改修への支援や、高い環境性能を有する新築住宅の導入促進に取り組んでまいりました。
 今後は、こうした取組のさらなる拡大や、区市町村と連携した新たな断熱改修等の支援に着手いたします。
 あわせて、省エネ等の推進に向けたプラットフォームを設立し、住宅関係団体と連携した事業の推進を図ってまいります。
 来月策定いたします住宅マスタープランにも盛り込み、これらの施策を展開いたしまして、健康面の効果について積極的なPRを図りながら、住宅の温熱環境向上に取り組んでまいります。
   〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 都立公園におけるスケートボードが楽しめる広場の整備についてでございますが、都はこれまで、駒沢オリンピック公園などにおいて気軽にスケートボードが楽しめる広場を設けておりますが、東京二〇二〇大会後の人気の高まりなどを踏まえまして、都立公園における取組を拡充することといたしました。
 広場の整備に当たりましては、利用に伴う騒音や、安全に利用できる場所の確保等の課題に対応するとともに、他の公園利用者や地域住民の方の理解を得ることが必要でございます。
 このため、都は来年度、競技団体等とも意見交換を行いながら、場所の調査や整備内容の検討を進めてまいります。
 あわせて、安全に利用できるルールづくりも行っていきます。
 こうした取組により、アーバンスポーツを楽しめる新たな空間を創出してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十分休憩

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