令和四年東京都議会会議録第一号

令和四年二月十六日(水曜日)
 出席議員 百二十三名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番森澤 恭子君
六番松田りゅうすけ君
八番上田 令子君
九番漢人あきこ君
十番岩永やす代君
十一番成清梨沙子君
十二番おじま紘平君
十三番もり  愛君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番西山  賢君
二十四番星  大輔君
二十五番磯山  亮君
二十六番龍円あいり君
二十七番あかねがくぼかよ子君
二十九番米川大二郎君
三十番清水やすこ君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番本橋たくみ君
四十二番渋谷のぶゆき君
四十三番林あきひろ君
四十四番伊藤しょうこう君
四十五番田村 利光君
四十六番菅野 弘一君
四十七番白戸 太朗君
四十八番たきぐち学君
四十九番田の上いくこ君
五十番関野たかなり君
五十一番後藤 なみ君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番川松真一朗君
六十五番清水 孝治君
六十六番三宅 正彦君
六十七番やまだ加奈子君
六十八番早坂 義弘君
六十九番山加 朱美君
七十番菅原 直志君
七十一番平けいしょう君
七十二番内山 真吾君
七十三番森口つかさ君
七十四番福島りえこ君
七十五番藤井あきら君
七十六番風間ゆたか君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番まつば多美子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番長橋 桂一君
八十七番鈴木あきまさ君
八十八番こいそ 明君
八十九番鈴木 錦治君
九十番ほっち易隆君
九十一番松田 康将君
九十二番山崎 一輝君
九十三番森村 隆行君
九十四番村松 一希君
九十五番入江のぶこ君
九十六番桐山ひとみ君
九十七番本橋ひろたか君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番小磯 善彦君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番柴崎 幹男君
百十二番小松 大祐君
百十三番小宮あんり君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番山田ひろし君
百十七番伊藤 ゆう君
百十八番荒木ちはる君
百十九番小山くにひこ君
百二十番増子ひろき君
百二十一番尾崎 大介君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 三名
二十八番 保坂まさひろ君
五十八番 原田あきら君
九十八番 石川 良一君
 欠員
    七番

 出席説明員

知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
政策企画局長野間 達也君
総務局長村松 明典君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監大石 吉彦君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
デジタルサービス局長寺崎 久明君
主税局長砥出 欣典君
生活文化局長武市 玲子君
オリンピック・パラリンピック準備局長延與  桂君
環境局長栗岡 祥一君
福祉保健局長中村 倫治君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
消防総監清水 洋文君
建設局長中島 高志君
港湾局長古谷ひろみ君
会計管理局長堤  雅史君
交通局長内藤  淳君
水道局長浜 佳葉子君
下水道局長神山  守君
都民安全推進本部長小西 康弘君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長西山 智之君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長桃原慎一郎君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長岡安 雅人君
労働委員会事務局長鈴木  勝君
収用委員会事務局担当部長松井  裕君
包括外部監査人青山 伸一君

二月十六日議事日程第一号
第一 第一号議案
  令和四年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  令和四年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  令和四年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  令和四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  令和四年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六 第六号議案
  令和四年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七 第七号議案
  令和四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第八 第八号議案
  令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
第九 第九号議案
  令和四年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第十 第十号議案
  令和四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  令和四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十二 第十二号議案
  令和四年度東京都と場会計予算
第十三 第十三号議案
  令和四年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十四 第十四号議案
  令和四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十五 第十五号議案
  令和四年度東京都都市開発資金会計予算
第十六 第十六号議案
  令和四年度東京都用地会計予算
第十七 第十七号議案
  令和四年度東京都公債費会計予算
第十八 第十八号議案
  令和四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  令和四年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  令和四年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  令和四年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  令和四年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  令和四年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  令和四年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  令和四年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  令和四年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  令和四年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  令和四年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  令和四年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都公文書館条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  東京都恩給条例及び東京都恩給条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例に基づく給付等の年額の改定に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都組織条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  東京都行政書士試験手数料条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  令和三年度分の都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都防災会議条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  東京都国民保護協議会条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計条例
第四十八 第四十八号議案
  東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  租税特別措置法施行令に基づく譲渡予定価額審査に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都消費者行政活性化基金条例を廃止する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  マンションの管理の適正化の推進に関する法律関係手数料条例
第六十一 第六十一号議案
  宅地建物取引業法等関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都国民健康保険事業費納付金条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都受動喫煙防止条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構に係る地方独立行政法人法に規定する重要な財産を定める条例
第七十六 第七十六号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都立病院条例を廃止する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都立皮革技術センター条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  電気工事士法関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  都営住宅三H—一一〇東(大田区東糀谷六丁目)工事請負契約
第九十一 第九十一号議案
  都営住宅三H—一〇一東(荒川区荒川七丁目)工事請負契約
第九十二 第九十二号議案
  都営住宅三H—一一四西(日野市平山四丁目第二)工事請負契約
第九十三 第九十三号議案
  都営住宅三H—一〇五西(八王子市大谷町)工事請負契約
第九十四 第九十四号議案
  都立小台橋高等学校(三)改修及び新築工事請負契約
第九十五 第九十五号議案
  包括外部監査契約の締結について
第九十六 第九十六号議案
  土地の信託の変更について
第九十七 第九十七号議案
  中野区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第九十八 第九十八号議案
  板橋区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第九十九 第九十九号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構中期目標について
第百 第百号議案
  地方独立行政法人東京都立病院機構に承継させる権利を定めることについて
第百一 第百一号議案
  東京都立有明親水海浜公園の指定管理者の指定について
第百二 第百二号議案
  東京都立晴海緑道公園の指定管理者の指定について
第百三 第百三号議案
  令和四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百四 第百四号議案
  令和三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区の負担の変更について
第百五 第百五号議案
  都道の路線の認定及び廃止について
第百六 第百六号議案
  多摩川流域下水道北多摩二号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百七 第百七号議案
  令和三年度東京都一般会計補正予算(第十八号)
第百八 第百八号議案
  令和三年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百九 第百九号議案
  令和三年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百十 第百十号議案
  令和三年度東京都国民健康保険事業会計補正予算(第一号)
第百十一 第百十一号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例

   午後一時開会・開議
○議長(三宅しげき君) ただいまから令和四年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において、
   五番   森澤 恭子さん 及び
   六十七番 やまだ加奈子さん
を指名いたします。

○議長(三宅しげき君) 謹んでご報告申し上げます。
 元東京都知事石原慎太郎氏は、去る二月一日、逝去されました。誠に哀悼痛惜の念に堪えません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 令和四年二月九日付、東京都告示第百三十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案百十一件の送付がありました。
 次に、知事及び教育委員会教育長並びに監査委員外五行政委員会より、令和四年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、収用委員会会長より、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定による東京都議会説明員の委任について、説明員後藤啓志に委任していたが、忌引のため、担当部長総務課長事務取扱松井裕に変更したとの通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、令和四年二月九日付で、令和三年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、令和三年定例監査、令和三年工事監査及び令和三年財政援助団体等監査の結果について、それぞれ報告がありました。
 次に、包括外部監査の結果に基づき知事が講じた措置の通知内容について、提出がありました。
 次に、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 令和三年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一五ページ)に掲載〕

○議長(三宅しげき君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る一月十三日付をもって、池川友一君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書の規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもってアオヤギ有希子さんを指名いたしました。

○議長(三宅しげき君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月二十五日までの三十八日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十八日間と決定いたしました。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 令和三年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、令和三年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、青山伸一包括外部監査人の出席を求めます。
   〔包括外部監査人青山伸一君入場、着席〕

○議長(三宅しげき君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 青山伸一さんでございます。
   〔包括外部監査人挨拶〕

○議長(三宅しげき君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためご出席いただき、誠にありがとうございます。

○議長(三宅しげき君) この際、知事より、令和四年度施政方針について発言の申出がありますので、これを許します。
 知事小池百合子さん。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 令和四年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を述べさせていただきます。
 二月一日、元東京都知事の石原慎太郎氏が逝去されました。オリンピック・パラリンピックの招致表明をはじめ、これまで残された数々のご功績は、貴重なレガシーとして東京に根づいています。改めて、ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 まず、コロナとの闘いの中で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、コロナ禍の厳しい状況の中にあっても日々努力を重ねておられる都民、事業者の皆様に敬意を表します。また、感染防止対策にご協力をいただいている皆様、昼夜を問わず奮闘いただいている医療従事者の皆様に改めて深く感謝を申し上げます。
 オミクロン株の脅威から命と暮らしを守るという強い思いの下、感染を止める、社会は止めないとの方針を掲げ、先手先手の対策を講じてまいりました。感染力が極めて強く、急速に拡大するのがオミクロン株であります。引き続き、その特性を踏まえた対策を素早く、まさにスピード勝負で戦略的に展開する。攻めと守りの総力戦でこの難敵に立ち向かいます。
 守りの要である医療提供体制につきましては、感染拡大緊急体制をしき、医療機関での受入れ、宿泊療養、自宅療養と、症状等に応じて的確に対応できる体制を整えるとともに、感染動向を踏まえ、先を見据えた対策も講じています。無症状、軽症者向けの療養施設の整備、自宅療養者の困り事に対応する、うちさぽ東京の開設、検査体制の拡充などに加え、今週より順次、臨時の医療施設を立ち上げ、高齢者や不安を抱える妊婦の受入れを拡大いたします。重層的な取組により、全ての方々が安心できる環境整備を進めてまいります。
 そして、今、力を注ぐべきは、感染が増加している高齢の方々や子供たちを守る取組であります。高齢者施設に対する往診を強化し、早期に中和抗体薬や経口薬を投与できる体制を確保するほか、ワクチンバスを運行して追加接種を強力に推進することで重症化を防ぎます。職員の感染などにより運営継続が困難となった施設に対しましては、人材派遣を活用した新たな応援の仕組みを築き、高齢者の安心へとつなげます。
 学校や保育現場での対策も強化します。教員や保育士等への定期的、集中的な検査を実施するほか、学校では、分散登校とオンラインのハイブリッド授業を推進し、感染防止と学びの両立を図ります。保育所につきましても、運営継続のための職員確保を後押しする一方、休園となった際は公民館等で子供を受け入れる区市町村を支援するなど、社会を止めないための取組に尽力します。
 一方で、攻めの武器となるワクチンの追加接種も加速いたします。命を守るため、さらには、日々の暮らしを継続していく観点からも重要な取組であり、医療従事者等に続き、今月から都の大規模接種会場において、教育、福祉関係者を含むエッセンシャルワーカーへの接種を開始いたしました。今後も、経済団体と連携し、中小企業の従業員向けの接種を進めるなど、一層の推進を図ります。
 これらの取組を着実に実行していくためにも、検査キット、ワクチン、経口薬、中和抗体薬の四点セットについて、早期の確保と確実な供給を国に求めています。特に、有効な武器となる経口薬につきまして、迅速かつ安定的な供給を図るべく、国産治療薬の治験協力を実施しており、国内承認や実用化のスピードアップにつなげてまいります。
 これまでの対策と皆様のご尽力により、夜間滞留人口や実効再生産数は減少傾向にあり、効果は着実に現われています。.都民、事業者の皆様には、引き続き、基本的な感染防止対策の徹底をはじめ、テレワークの一層の推進や、改めてのBCPの点検などにご理解とご協力をお願いしたいと存じます。これまでの経験を踏まえた実効性ある対策を推進し、あらゆる手だてを総動員することで、人々の活気やにぎわいにあふれる東京の日常を一日も早く取り戻してまいります。
 コロナとの闘いを乗り越え、いかに未来へと羽ばたくか。今、人類に突きつけられている命題に世界各国がいち早く答えを出そうと模索し、行動を重ねています。都は昨年より、サステーナブルリカバリーの旗の下、コロナ禍からただ元に戻るのではなく、より進化した都市として発展を続けていくための取組を加速してまいりました。私たちの未来を脅かす気候危機への対応。デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出すスマート東京の推進。「未来の東京」戦略に掲げた数々のプロジェクトは着実に進んでいます。
 加えて、多くの困難を乗り越えて成功裏に終えた東京二〇二〇大会は、多様性への理解の向上やバリアフリーの進展など、誰もが暮らしやすい社会の実現に向け、東京の都市としての成熟度を大きく高めるものとなりました。こうした都市の成熟は人の活力を生み、その活力は都市の成長の源泉となります。この成長と成熟の両立こそ、東京が持続的に発展していくための鍵であるとの確信の下、引き続き、その実現に向けた取組を推し進めてまいります。
 激化する国際競争の中での成長と、誰もが輝くさらなる高みの成熟。これを成し遂げる上で、何よりも大切なのはスピードです。大会の成功により国際的な信頼を高めたこの機を逃すことなく、世界に、そして、未来に飛躍する東京を築く取組に邁進し、結果を出さなくてはなりません。そのスピードこそが東京のこれからを決定づけます。強い決意を胸に、世界に輝き続ける東京の実現に向けた東京大改革を、まさに光のごとき速さで進めてまいります。
 その羅針盤となる「未来の東京」戦略について、このたび、さらなるバージョンアップを図りました。世界の潮流であるグリーンとデジタルをはじめ、都民の命と生活を守る危機管理や段差のない社会の実現、チルドレンファーストといった切り口からプロジェクトを進化させています。大会のレガシーを発展させ、サステーナブルリカバリーの視点からの取組を一段と強化することで、強靱で持続可能な社会を築き上げます。
 戦略はつくって終わりではありません。実行し、目指すべき社会を実現してこそ意味を持ちます。取り巻く環境の変化にもしなやかに対応しながら、磨き抜いた政策を力強く前進させてまいります。
 都庁自身も変わり続けます。役所の世界では常識となっている年度単位の思考や実証実験の繰り返しから脱却し、事業執行の徹底した迅速化を図る。課題が生じれば、素早く柔軟に対応し完成度を高めていく。こうしたアジャイルの発想を都庁全体に浸透させ、構造的な課題にも鋭く切り込みます。
 その鍵を握るのはデジタルの力です。DXは、単なる業務の効率化にとどまるものではありません。真の目的は、都政のQOS、サービスの質を爆速で上げること、そして都民のQOL、生活の質を高めることです。アップグレードしたシン・トセイの下、職員のデジタルスキルの底上げや伝わる広報への転換など、数々のプロジェクトを加速させ、常に時代の一歩先を読んだサービスを生み出します。
 そして、改革を断行し、新たな未来を創るのは、スピードと実行力を兼ね備えた課題解決型の組織です。子供目線の政策を総合的に推進する子供政策連携室を設置するほか、スポーツや芸術文化、治安対策等の業務を生活文化スポーツ局に集約し、安全・安心で豊かな都民生活のための政策を一体的に推進いたします。また、新型コロナ対策の最前線を担う福祉保健局の執行体制を充実させるとともに、未知なる感染症への適切な対応等を図るため、令和五年度に向け、組織の在り方の検討を進めてまいります。
 都政の新たなステージを果敢に切り開くべく、本定例会には一般会計総額七兆八千十億円となる予算案を提案いたしました。これまで以上にめり張りを利かせ、グリーンやデジタルの分野に重点的な投資を行う一方、事業の見直しを一層強化し、都債の発行抑制を図るなど、将来にわたる財政対応力にも目配りしています。セーフシティ、ダイバーシティ、スマートシティ、この三つのシティを実現し、東京を持続可能な都市へと変革させるために、施策を大胆にアップグレードしました。全庁一丸で、その成果を早期に形あるものとし、希望ある未来を導いてまいります。
 これより主要な政策について申し述べてまいります。
 国際政治学者イアン・ブレマー氏が提唱している主導国不在のGゼロの世界において、国際情勢は混沌とし、不確実性は増すばかりです。こうした中にあっても、市民の生活を守ることを使命とする世界の都市は、時に協調し、時に切磋琢磨しながら、人々を脅かす地球規模の課題を解決に導かなくてはなりません。その最たる例が気候危機です。私自身、世界大都市気候先導グループC40の副議長であり、こうした世界的ネットワークとも連携しながら、国際的な脱炭素化の潮流をリードし、混迷極める世界でのプレゼンスを高めてまいります。
 昨年のCOP26での合意の下、世界は一・五度C目標に向かって走り出しました。各国も次々と野心的な目標を打ち出していますが、大事なのはいかにそれを実行するか。まさに本気度が試される一年です。既に二〇三〇年カーボンハーフを表明している都は、一人一人の行動につながる共感を大切にしながら、あらゆる取組の抜本的な強化を図り、総力を挙げて挑みます。
 まずは、建築物のゼロエミッション化、とりわけ家庭部門への取組に一段と注力し、条例改正やそれに基づく制度の強化拡充を図ります。住宅政策の次期マスタープランでは、住宅市街地のゼロエミ化を最優先事項に掲げました。ドアや窓などの断熱改修や、太陽光パネル、蓄電池の設置等、様々な補助を拡大するほか、都営住宅などについても、環境性能を一段と高めます。また、人にも地球にも優しい東京ゼロエミ住宅の一層の拡大に向け、新たに不動産取得税を最大で全額減免し、助成金の拡充や耐震化促進税制とも併せて効果的なPRを行うなど、全庁一丸で住宅の省エネ、再エネを強力に推し進めます。
 次に、自動車の脱炭素化です。ZEVをもっと使ってみよう、人々がそう思えるよう、モビリティーとインフラの両面からの推進を図ります。一般車両も使える水素ステーションを設置するバス事業者に対し、FCバス導入の上乗せ補助を行い、自己負担をおおむねゼロにします。また、EV用の充電器につきまして、都有施設での設置をこれまで以上に加速するほか、短時間でフルチャージ可能な超急速充電器の普及促進、戸建て住宅への設置補助の開始など、質、量共に拡大を図り、ZEVの普及を力強く後押ししてまいります。
 CO2の排出削減のみならず、その吸収源となる緑の保全も両輪で進めます。いわゆる生産緑地の二〇二二年問題を乗り越えるべく、緑地を維持する区市を積極的に支えます。また、将来にわたり農地を脈々と引き継ぐためには、担い手たる農業者の育成が欠かせません。初めて農業を目指す方、農地を探している方、副業として農業に関心がある方などを幅広く掘り起こし、東京ならではの農業の維持発展につなげます。
 里山の美しい原風景、それがもたらす生物多様性の恵みなど、東京に残された豊かな自然環境を身近に感じることで、自然を守る共感を育てることも重要です。東京の魅力的な自然環境を最新技術を駆使して発信するデジタルミュージアム構想について、具体の検討を進めます。
 環境対策が経済の妨げになるという考えは、この令和の世では、もはや過去のものであります。むしろ、世界をリードする環境政策の推進が、未来を開く技術革新や新たな需要をもたらし、持続可能で力強い経済へとつながります。この環境と経済の好循環をつくり出すことこそ、これからの時代の重要な成長戦略であります。
 その流れを確かなものとするのが金融の力です。グリーンファイナンスを根づかせるべく、金融系外国企業の誘致や再エネ拡大に向けた投融資を加速させます。また、来年度からは、ベンチャー企業等の脱炭素イノベーションを促進するファンドを設立し、果敢なチャレンジを後押しする市場環境を醸成いたします。さらには、社会課題の解決と経済的利益の両立を目指すインパクト投資を活性化するなど、世界から選ばれる国際金融都市への道を切り開いてまいります。
 東京の経済を力強い成長軌道に乗せるため、都内の産業基盤を支え、稼ぐ力の源泉である中小企業のDXを加速します。ロボットやAIなどの設備投資を強力に後押しし、新たなビジネスモデルの創出につなげます。あわせて、直面する消費者ニーズの変化をチャンスに変え、デジタルをてこに変革を遂げようとする商店街の取組を促進するなど、世界を見据えた事業展開から日々の暮らしに根差した身近な場面に至るまで、次々とイノベーションを生み出していきます。
 デジタルの力を最大限に引き出すためには、それを巧みに操ることができる人が不可欠です。職業訓練による集中的、専門的な育成プログラムを実施し、先端IT分野を背負って立つ人材を輩出するとともに、大規模なマッチングイベントにより、デジタル分野への人材シフトを促します。また、企業内で変革を巻き起こすキーパーソンを育て上げるべく、DXのリスキリング支援を精力的に展開いたします。
 イノベーションの先導役となるスタートアップの支援も強化します。その最大の強みとなる独創的な技術やアイデアを国際競争の舞台で積極果敢に使いこなしていけるよう、知的財産の戦略策定から特許等の取得まで一気通貫でサポートしていきます。
 さらには、中小企業がこの先も持続的な成長を遂げていくため、人材育成や販路開拓等の支援機能を結集し、多様な主体と結びつけて新たな価値の創出を促すなど、総合的に支える仕組みを強化してまいります。
 東京の成長戦略を描く上で欠かせない観光産業の活性化も進めます。来るべき需要の回復を見据え、先般、新たな実行プランを策定しました。旅行者ニーズの変化を捉え、先端技術を取り入れた新時代のスタイルを確立するとともに、地域や環境にも配慮した持続可能な観光を推進するなど、世界を魅了し何度でも訪れたくなる観光都市を築き上げます。
 オリンピック・パラリンピックを契機に、世界から熱い視線が注がれる臨海地域のポテンシャルは、東京が秘める大きな強みです。魅力あふれるこの地を舞台に世界の最先端を走るサステーナブル都市のモデルをつくり出す東京ベイeSGプロジェクトは、来年度いよいよ先行プロジェクトを始動させます。中央防波堤エリアにテクノロジーの巨大実装フィールドを創出し、見る者の心を躍らせ、希望にあふれたこの先の未来を映し出します。あわせて、地下鉄八号線豊洲—住吉間の延伸及び品川地下鉄の整備について、来年度早々にも都市計画等の手続に着手いたします。臨海地域のさらなる魅力向上につなげるため、早期の事業化に向け取り組んでまいります。
 国際社会における東京のプレゼンスを一段と高めるための取組も進めます。循環型社会を形成し、独創的な文化が花開いた江戸のまち、その先進性を受け継ぎ発展する東京の未来像をデジタル技術を駆使しながら発信し、世界の範となる都市のモデルを示します。また、海外の企業や投資家など、様々なプレーヤーが集い、活躍できる東京を築くべく、英語が当たり前に使える環境を整えていきます。多彩な魅力が世界を引きつけ、異文化との融合が新たな価値を創造する、そんな真のグローバル都市へと飛躍してまいります。
 未来を担う子供たちが夢や希望を抱いて育ち、笑顔あふれる東京をつくりたい、そんな思いを込めたこどもスマイルムーブメントのキックオフイベントでは、子供政策を担当する野田大臣もお迎えし、三千六百人もの方々にご参加いただいて、子供の笑顔のために何をなすべきなのか、忌憚のない議論を交わしました。このムーブメントには、既に千を超える企業等に参画いただいています。子供目線に立ってスクラムを固く組みながら、チルドレンファーストの社会の実現に向けた取組を前へ前へと進めてまいります。
 誰一人取り残さないとの強い思いの下、あらゆる子供たちの健やかな成長を全力でサポートします。来年度、区部と多摩にそれぞれ設置する医療的ケア児支援センターは、保護者と自治体、受入れ施設を結ぶ相談拠点として、児童とその家族が抱える悩みを受け止め、必要な支援へと確実につなげます。また、放課後等デイサービスについては、国の報酬改定を踏まえ、都独自の財政的支援を講じます。実務経験のある職員の増員や預かり時間の延長、送迎の実施などを補助要件とすることで、事業者のサービスの質の向上を後押しいたします。
 孤独な状況に置かれているヤングケアラーへの支援も急務です。彼らの出す小さなサインを確実にキャッチするべく、福祉や教育現場との強固な連携の下、家事支援ヘルパーの派遣やソーシャルワーカー、相談体制の充実など、重層的な対策を講じてまいります。
 新たな時代を切り開く子供たちの力を引き出すため、教育現場のDXをさらに推進します。高校段階における一人一台端末整備に係る負担軽減策につきましては、私立においても都立と同等の助成を行い、誰一人取り残すことのない学習環境を整えます。さらに、来年度から必修となるプログラミング教育では、専門家によるオンライン講義や民間のデジタル補助教材等を活用し、子供たちの学ぶ意欲に応える実践的な授業を展開してまいります。
 コロナの影響で楽しみにしていた学校行事が中止になってしまった。こんなやりきれない思いを抱えている子供たちに再び笑顔を取り戻してほしい。都内の公立、私立全ての学校を対象に、芸術鑑賞やパラスポーツの体験など、多彩な活動の場を提供していく取組を今回の予算案に盛り込みました。見る、聞く、触れるの経験を通じて、級友と楽しい思い出を分かち合ってほしいと思います。
 子供の笑顔の源は、保護者の笑顔です。妊娠前から出産、子育て期に至るまで、それぞれが抱える悩みに寄り添った支援を展開します。
 都内の保育施設における待機児童は千人を切り、知事就任時からおおむね九割の削減を実現することができました。喫緊の課題となっているのは、小学校に通う子供たちの放課後の居場所づくりです。認証保育所での受入れやベビーシッターの活用など、長時間預かりにも対応した様々な選択肢をそろえ、共働き世帯が直面する小一の壁を取り払います。
 また、子供の成長に応じた切れ目のない支援を届けるべく、とうきょう子育て応援パートナー制度を創設します。各家庭の状況に合わせ、伴走型で支援をコーディネートする人材を育成し、安心して子育てができる環境を整えていきます。
 そして、子供を産み育てたいという願いを形にするためにも、若い頃から自らのライフプランを描いてほしいと思います。中高生や若年層が、年齢に応じた体の特徴など妊娠などに関する正しい知識を身につけ、将来に備えた健康管理を行えるよう、医療機関等と連携した相談体制の構築やさらなる普及啓発を図ります。
 こうした取組を含め、都政のあらゆる分野で子供の立場に立って施策を捉え直し、総合的な企画調整機能を持つ子供政策連携室を核として、実効性ある政策を力強く展開してまいります。
 違いを受け入れ、支え合うことで、東京が誇る人の力は何倍にも大きくなります。あらゆる場面での段差を解消し、全ての人々が輝ける、多様性が尊重された社会を築き上げます。
 誰もが自分らしく、人生を実り豊かなものにしてほしい。本年秋、新たに創設するパートナーシップ宣誓制度により、性的マイノリティーの方々が直面する様々な生きづらさを取り払い、多様性の輪を大きく広げます。全国で初めて証明書の発行に至る全ての手続をオンラインで完結させることにより、意図しない形で性自認や性的指向を知られてしまう、いわゆるアウティングへの対策を万全にします。行政のみならず、民間との幅広い連携の下、様々なサービスを提供するなど、当事者の思いに寄り添った制度を構築してまいります。
 女性も男性も自らの希望に応じて輝ける、誰にとっても住みやすい社会への取組も加速しなければなりません。来月、男女平等参画推進総合計画を改定し、働く場における女性の活躍推進、幅広い世代への意識改革、男女間のあらゆる暴力の根絶に向け、様々な主体と連携しながら、女性のさらなる輝きを引き出します。
 そして、本定例会には、東京都版のクオータ制ともいうべき取組に先鞭をつけるべく、防災会議及び国民保護協議会における女性委員の拡大につながる条例案を提案いたしました。これにより、女性任用率はいずれも四〇%を超えることとなります。今後、他の審議会等におきましても、女性参画を加速し、都の施策に多様な声を一層反映させてまいります。
 団塊の世代が初めて七十五歳を迎える本年、世界に誇る長寿社会の実現に向け、成熟都市としての真価がまさに問われようとしています。住み慣れた地域で仲間たちとボランティアや趣味の活動に励む。飽くなき探求心で大学での研究に打ち込む。様々な活動の機会を提供し、心身共に元気に生き生きと活躍できる社会づくりを進めます。
 また、高齢者にスマートウオッチなどを装着いただき、健康状態を可視化できる取組を開始いたします。コロナ禍でも自宅で手軽にできるセルフケアを通じて、日常生活での行動変容を促します。さらに、得られた情報をビッグデータとして蓄積し、健康管理アプリの開発などに生かすことにより、地域包括ケアシステムの基盤を強化します。
 そして、喫緊の課題である介護人材の確保に向けては、幅広い層に積極的に仕事の魅力を発信し、インターンシップからマッチング、その後の定着までの一貫した支援を開始いたします。あわせて、職員宿舎のさらなる拡大を促進し、職住近接の働きやすい職場環境を築いてまいります。
 まちの段差を取り払い、高齢の方も障害のある方も、誰もが移動しやすい環境を整備することで、活気あふれる都市への実現へとつなげます。目指すのは、何度でも出かけたくなるウオーカブルなまちです。人が憩い、集い、いつ来ても新たな出会いが待っている、そんなわくわくする東京にしていきたい。東京二〇二〇大会を機に進展したまちのバリアフリー化を加速し、地理情報システムを活用した整備状況の見える化を推進するなど、区市町村と連携を深めながら、さらなる面的拡大を図ります。また、周辺のまちをつなぎ、歩いて楽しめる空間として再生する東京高速道路、いわゆるKK線のプロジェクトにつきましては、来月、事業化に向けた方針の中間まとめを策定いたします。地元区等との調整を重ねながら、誰もが親しめる緑にあふれた空中回廊としてよみがえらせてまいります。
 昨年夏の大会の成果を東京のみんなのスポーツレガシーへ。全ての都民が、この先もスポーツを通じて感動を分かち合える社会を目指し、先般策定したスポーツレガシービジョンには、都立施設の戦略的活用など、スポーツ振興に向けた展望を示しました。来年度、その重要な取組の一つとして、パラスポーツトレーニングセンターを開設し、アスリートの活動を支えるとともに、誰もがパラスポーツに親しめる環境を整えます。大会で得たスポーツとのつながりを日常に溶け込ませ、健康で豊かに暮らせるスポーツフィールド東京を実現してまいります。
 世界に伍して成長を続ける都市の力も生き生きと輝く人の力も、全ては安全・安心という基盤の上に発揮されるものであります。差し迫る様々な脅威から人々の命と財産を守り、都市の強靱化をいち早く実現しなければなりません。ハード、ソフトの両面から、不断に備えを固めます。
 まず、気候危機の影響で深刻化する風水害への備えです。これまでの度重なる被害を踏まえ、最優先で整備を加速するべき調節池について、新たに目黒川流域で事業化に着手いたします。これと現在整備中の環状七号線地下広域調節池を連結させることで、地下調節池として国内最大を誇る貯留機能を発揮します。さらには、大型化する台風、頻発する集中豪雨に対抗するための河川施設の在り方について検討してまいります。あわせて、下水道についても、来月、浸水対策計画を策定し、区部十か所の重点整備地区を新たに設定するなど、時間七十五ミリ降雨に対応する整備水準へとレベルアップしてまいります。
 次に、まちの耐震化、不燃化です。緊急輸送道路の沿道に立地する大規模マンション等への補助を拡充し、耐震化をさらに加速します。燃えない、燃え広がらないまちづくりの主軸となる特定整備路線は、全二十八区間で工事着手となりました。令和七年度までの全線整備に向け、その手を緩めることなく邁進してまいります。
 無電柱化につきましても、昨年策定した加速化戦略を推進力として、さらなるスピードアップを図ります。とりわけ、電柱の倒壊が避難経路の遮断など深刻な事態を招く木密地域では、私道に係る整備を都が全額負担し、早期実現につなげます。また、南海トラフ地震の切迫性が増すとともに、台風の被害が頻発する島しょ地域の無電柱化は、まさに焦眉の課題であります。各島特有の課題を徹底調査し、地元町村等と精力的に調整を進めながら、先行整備を行う島を速やかに選定するなど、島内完全無電柱化の実現に向け、取組を推進してまいります。
 ソフト面の対策も強化します。大規模風水害の被害状況等をバーチャルで再現する3Dシミュレーターの開発に着手し、災害時のオペレーションの精度を高めます。風水害時の適切な避難行動につなげる東京マイ・タイムラインについては、スマホで手軽に操作できるアプリ版を追加するほか、区市町村や学校等との連携により、さらなる浸透を図ります。
 また、平時から都と企業とのつながりをつくり、一斉帰宅を控える呼びかけや職場内備蓄などを推進する防災リーダー制度を創設します。あわせて、GPSなどを活用し、道路や一時滞在施設等の混雑状況を可視化するシステムの構築も進めるなど、帰宅困難者対策を強化します。
 救護体制の充実に向けましては、救急災害医療の専門チームである東京DMATを増強するほか、救急患者の広域搬送を可能にするドクターヘリの運航を開始します。東京消防庁では、土砂災害の現場ですぐれた機能を発揮する土砂吸引車を消防機関として全国で初めて導入するなど、迅速かつ的確な救助につなげます。
 島しょ地域では、ドローンや人工衛星などDXの力を大いに活用し、港湾施設等の被災状況を速やかに把握できるようにします。さらに、得られたデータを集約し、リアルタイムに共有できる情報プラットフォームを構築することで、災害復旧の迅速化を図ってまいります。
 危機管理の要諦は、広く大きく構えることであります。都民の命と財産、そして、この先の未来を生きる人々にまで思いを巡らせ、都市強靱化のためのプロジェクトを始動させます。気候変動、地震、噴火、テロ、感染症など、東京が直面する危機を克服するため、蓄積したデータに基づく検証を行い、長期的展望に立って、取るべき施策を明らかにいたします。
 最後に、東京の持続的な発展に欠かすことのできない多摩・島しょ地域の活力を高めるための取組です。
 多摩地域は、緑に囲まれ、子育てもしやすく、豊かな住環境が整うなど、ゆとりある生活が過ごせるエリアとして注目を集めています。その魅力を一層引き出すための取組を推進します。
 まず、地域の強みを生かした産業の振興です。本年秋、多摩地域におけるイノベーション創出の中核となる多摩産業交流センターが八王子に誕生します。都域を超えた連携も深めながら、産学公の広域ネットワーク拠点を形成します。また、多摩産材をはじめ、住宅建設に国産木材の活用を促進する木材利用ポイント事業を開始します。東京の購買力を生かした需要創出により、全国各地が誇る国産木材の振興を図ってまいります。
 教育環境も充実させます。この四月、公立では全国初となる小中高一貫校が立川に開校します。十二年間という長期の課程を生かし、子供たちの豊かな国際感覚を養っていきます。
 人々の生活の足である多摩都市モノレールにつきましては、箱根ケ崎方面への延伸に向け、来年度、都市計画等の手続に着手するほか、子育て世帯を応援するべく、小児特別運賃を適用する取組を実施するなど地域のさらなる発展へとつなげます。
 山間部の土砂災害への備えも強化します。地域住民の生命線である山岳道路では、優先的に対策を講じる区間を選定し、落石防護柵の整備などを推進することで、集落の孤立などを未然に防いでまいります。
 豊かな自然環境がもたらす海や山の恵み、独自に育まれた伝統文化など、島しょ地域には数多くの宝物があふれています。これをさらに輝かせたい。十一の島々が持つ個性を生かし、島全体の持続的な発展につなげるため、新たなブランディング戦略となるサステナブル・アイランド創造事業をスタートさせます。町村と民間の協働を促しながら、地域資源を掘り起こし、東京が誇る宝島の新たな魅力をつくり出します。また、島しょにおけるMICE誘致を加速するための助成制度を創設し、産業活性化の起爆剤とします。国内外へのPRを戦略的に展開し、旅行者の誘客や国際的なプレゼンスの確立につなげます。
 さらに、時間や空間を超えるデジタルの力を存分に発揮させ、医療や教育など様々な分野での振興を図ります。通信困難地域の解消に向け、町村とも連携し、モバイル通信ネットワーク環境の整備を推進します。加えて、5Gの利用拡大に向けた小笠原村における情報通信基盤の大容量化、町立八丈病院での遠隔医療の実装、VRによる英語学習プログラムの展開など、幅広い取組をスピード感を持って進めます。
 テクノロジーの世界は日進月歩であります。特に人工知能、AIを活用したサービスが幅広く浸透し、生活の利便性を飛躍的に高めています。AIの進化は、単なるサービス向上やビジネスモデルの変革にとどまらず、二〇四五年には人間の知能を凌駕するともいわれています。人類が抱える様々な問題が解決される、一方で人間の仕事が奪われAIに社会が支配されるなど、様々な議論がなされる中にあって、今こそ私たちは、未来を担う多彩な人を育てていかなければなりません。真に豊かな未来を描ける発想力にあふれる人材や、画期的なイノベーションを社会に実装できる実行力に優れた人材。時代を切り開く人の力と進化し続けるテクノロジーの力が相まってこそ、誰もが心豊かで幸せを実感する未来を創り上げることができるのです。
 改めて、第七代東京市長後藤新平氏が繰り返し強調された、一に人、二に人、三に人の精神を受け継ぎ、人に光を当て、人の力を大いに引き出すための取組に力を入れてまいります。
 その先に、絶えず発展を続ける東京の姿があるとの確信の下、光のスピードで邁進する決意であります。都議会の皆様、都民の皆様のご理解、ご協力、よろしくお願いを申し上げます。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案三十三件、条例案六十一件など、合わせて百十一件の議案を提案しております。よろしくご審議のほどお願いをいたします。
 以上をもちまして私の施政方針表明を終わります。
 ご清聴誠にありがとうございました。
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(三宅しげき君) 以上をもって知事の発言は終わりました。
 静粛にしてください。

○議長(三宅しげき君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申出がありますので、これを許します。
 警視総監大石吉彦君。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 都内の治安状況についてご報告いたします。
 昨年、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に際しまして、警視庁では、大会の安全かつ円滑な開催の確保を最重要任務とし、組織の総力を挙げて各種対策に取り組んだ結果、任務を完遂し、大会成功に寄与することができました。
 この間、都民、国民の皆様には、大会に伴う諸対策に当たり、多大なるご理解とご協力をいただきました。改めて感謝を申し上げます。
 さて、昨年、都内においては、新型コロナの感染拡大に伴い、緊急事態宣言等が複数回発せられましたが、当庁では、早期のワクチン接種とともに徹底した感染防止対策により、各種警察活動に支障を生じさせることなく、首都東京の安全・安心を守ることができたものと考えております。
 以下、都内の治安情勢と対策等についてご説明いたします。
 第一は、サイバー空間の脅威に対する総合対策についてであります。
 現在、世界的にランサムウエア攻撃の脅威が広まっており、国内においても、徳島県下の病院がランサムウエア攻撃により、新規患者を受け入れることができなくなる事態に陥ったほか、政府機関に対する不正アクセス事案等も相次いで確認されており、サイバー空間の脅威は極めて深刻な情勢にあります。
 当庁では、サイバー関連事案の検挙はもとより、社会全体のサイバーセキュリティ意識の醸成を図り、被害を未然に防止するため、重要インフラ事業者等を対象とした共同対処訓練や中小企業に対するセミナーの開催、さらには、高齢者の方にも伝わりやすい広報啓発など、様々な取組を推進しております。
 また、組織全体のサイバーセキュリティ能力向上のため、様々な研修制度の充実を図るなど人的基盤の強化にも努めております。
 今後も、実効性のある各種対策を推進し、サイバー空間における安全・安心の確保に万全を期してまいります。
 第二は、犯罪抑止総合対策についてであります。
 昨年の都内における刑法犯認知件数は七万五千二百八十八件であります。平成十五年以降十九年連続で減少し、戦後最少を更新いたしました。
 以下、主な推進状況について三点申し上げます。
 その一は、特殊詐欺対策についてであります。
 刑法犯全体の認知件数が減少傾向にある中で、特殊詐欺については、昨年の認知件数が三千三百十九件、被害金額が約六十六億二千万円と、前年に比べいずれも増加しており、憂慮すべき状況にあります。
 手口別では、ATMに誘導して現金を振り込ませる還付金詐欺が最多で、全体の四分の一以上を占めているほか、被害者と対面した状況で現金やキャッシュカードをだまし取るオレオレ詐欺や預貯金詐欺についても増加をしております。
 当庁では、徹底した検挙対策により、受け子や出し子といった末端被疑者はもとより、それを突破口とした突き上げ捜査により、暴力団員等を含む犯行グループの中枢メンバーも多数検挙するなど、昨年は七百三十三人を検挙いたしました。
 また、被害防止対策については、ATMコーナーでは携帯電話の通話をしない、させないことを社会のルールとして定着させる、ストップ!ATMでの携帯電話運動をはじめとした各種取組を強力に推進しております。
 とりわけ、水際での被害防止については、金融機関の職員、コンビニ店員の方々、さらにはその場に居合わせた一般の方による積極的な声かけによりまして、約二千件、八億二千万円相当の被害を未然に食い止めていただきました。
 今後も、特殊詐欺は治安対策上の最重要課題であるとの認識の下、検挙と防犯の両面から各種対策を強力に推進してまいります。
 その二は、重要特異事件の検挙状況についてであります。
 昨年は、特別捜査本部を開設した山梨県下における女子高生殺人、死体遺棄事件など四つの事件のほか、地下鉄白金高輪駅構内における硫酸使用重傷傷害事件、経済産業省キャリアによる家賃支援給付金の不正受給詐欺事件など社会的反響の大きい事件についても被疑者を検挙いたしました。
 今後も、世田谷一家四人強盗殺人事件など長期未解決事件をはじめ、いまだ犯人検挙に至っていない事件の解決に向け、執念の捜査を尽くしてまいります。
 また、昨年から今年にかけて、電車内や大学入学試験会場において、無差別に危害を加える事案が発生しております。
 当庁では、こうした事案の発生を受け、鉄道事業者に対して対処要領の再点検や合同対処訓練の実施を働きかけるなど、事業者の対処能力向上を後押しする取組を推進しているほか、大学、高等学校等関係機関と連携した入試会場等における安全確保のための対策に取り組んでおります。
 今後も、関係機関と連携した取組を推進するとともに、積極的な街頭警察活動を展開し、同種事案の未然防止に努めてまいります。
 その三は、少年少女を犯罪被害から守るための取組についてであります。
 少年少女がSNS等を介して、児童買春や児童ポルノ事犯等の被害に遭う事案がいまだ後を絶ちません。
 当庁では、これらの犯罪から少年少女を守るため、福祉犯等の徹底した取締りのほか、性被害につながるおそれが高いと認められるSNS上の書き込みに対して個別に注意喚起文を送信するとともに、必要に応じて保護や補導などの措置を講じる対策に取り組んでおります。
 今後も、少年少女を犯罪から守るための取組を推進してまいります。
 第三は、人身安全関連事案総合対策についてであります。
 ストーカーやDV事案など人身安全関連事案については、昨年も相談件数は高止まりの傾向にあるほか、児童虐待事案に関する児童相談所への通告人数が年々増加の一途をたどっており、厳しい情勢が続いております。
 当庁では、相談者等の立場や心情に配意しながら、安全確保を最優先とした措置を徹底するとともに、加害者の早期検挙などによるさらなる加害行為の物理的防止を図っております。
 特に、児童虐待が疑われる事案には、捜査員が臨場し児童の安全を直接確認するなど、虐待の兆しを見逃さないための最大限の措置を講じております。
 今後も、相談者や児童等の安全確保を最優先とした迅速かつ的確な人身安全関連事案への対応を図ってまいります。
 第四は、災害警備諸対策についてであります。
 近年、全国で大規模な風水害や地震が頻発しているところ、昨年十月には、都内においても最大震度五強を観測する地震が発生したほか、小笠原諸島では、海底火山である福徳岡ノ場において噴火が確認されました。
 また、昨年七月、静岡県熱海市で発生した土石流災害では、当庁からも広域緊急援助隊を直ちに派遣し、十七人の被災者を救出するなど救出救助活動に尽力をいたしました。
 当庁では、首都直下地震や洪水、さらには富士山の噴火やこれら災害が同時に発生する複合災害への備えを計画的に進めるとともに、災害現場を再現した施設での訓練等による職員の対応能力向上やツイッターを活用した情報発信等による都民の防災意識向上にも努めております。
 今後も、関係機関と緊密に連携しながら、災害への的確な備えと対応に万全を期してまいります。
 第五は、テロ等不法事案の防圧検挙状況についてであります。
 昨年、当庁では、現下の厳しい外事情勢に的確に対応するため、アジア地域に関する業務を所掌する所属についての体制の強化を図りました。
 こうした中、事件捜査の過程において、中国人民解放軍が我が国に対するサイバー攻撃に関与しており、その準備行為として、サイバーセキュリティに関する情報収集を組織的に行っている可能性が高いと結論づけるに至りました。
 また、高度な技術情報等の流出といった経済安全保障上の脅威が一層顕在化しつつあることを踏まえ、被害を未然に防止するため、企業等に対しまして、検挙によって明らかになった具体的な手口や留意点を共有し、連携を強化するなどの対策も進めております。
 このほか、イスラム過激派組織は、現在も欧米諸国等へのテロの実行を呼びかけており、我が国に対するテロの脅威が継続する中、情報収集、分析、水際対策、官民連携といったテロ対策も推進しております。
 今後も、テロ等不法事案の検挙と未然防止に万全を尽くしてまいります。
 第六は、交通事故防止対策についてであります。
 当庁では、世界一の交通安全都市東京を目指してのスローガンの下、昨年は、歩行者の安全を確保するための対策や悪質、危険な交通違反の指導取締りなど、総合的な交通事故防止対策を推進した結果、交通事故死者数は前年より二十二人減少して百三十三人となり、令和元年と同じく戦後最少となりました。
 しかしながら、事故により亡くなられた方の態様を見ますと、歩行者の割合が最も多く、運転者に対する歩行者保護意識の醸成をより促す必要があるほか、自転車や電動キックボード利用者への対策など課題は山積しており、交通情勢は依然として厳しい状況にあります。
 今後も、悲惨な交通事故を一件でも減少させるため、歩行者保護に重点を置いた交通安全指導、事故抑止に資する効果的な交通指導取締り、交通実態に即した道路交通環境の整備など、総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。
 第七は、総合的な組織犯罪対策についてであります。
 暴力団や外国人犯罪集団などの犯罪組織は、実態の不透明化、非定型化、多国籍化の様相を強めながら、不法な資金獲得活動を敢行しています。
 中でも暴力団は、年間数十億円もの被害を発生させている特殊詐欺や覚醒剤等違法薬物の売買などに深く関与しており、これらの犯罪収益が組織の重要な資金源となっております。
 当庁では、こうした現状を踏まえ、全国警察初となる犯罪収益対策に特化した所属を設置するなど組織犯罪対策に係る体制を強化することといたしました。
 今後も、犯罪組織の実態を捉えた実効性の高い取組を推進し、犯罪組織の壊滅と薬物、銃器犯罪のない社会の実現に向け、総合的な組織犯罪対策を推進してまいります。
 第八は、変化し続ける社会に即した警察業務の推進についてであります。
 当庁では、各種手続のオンライン化に係る取組といたしまして、昨年十一月から一部の行政手続について、インターネットにより受付を行う警視庁行政手続オンラインの運用を開始しており、先月には七十五歳以上の方が運転免許証更新の際に受ける認知機能検査の受付についても運用を開始いたしました。
 また、キャッシュレス化に係る取組といたしまして、昨年七月から警察署や運転免許試験場などの窓口にキャッシュレス決済端末等を設置し、手数料の徴収方法にキャッシュレスを導入したほか、パーキングチケット発給設備のキャッシュレス決済への対応について、令和五年度からの導入を目指し、検討をしているところであります。
 今後も、社会の動きを鋭敏に捉えながら、都民の皆様のさらなる利便性の向上に向け、デジタル技術の活用をはじめとした取組を加速してまいります。
 以上、都内の治安状況について申し上げましたが、当庁では、複雑、多様化する治安事象に対処する警察力を確保するため、引き続き、警察基盤の強化を図り、世界一安全な都市東京の実現に努めてまいります。
 東京都議会の皆様には、今後とも一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況の報告を終わらせていただきます。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

○議長(三宅しげき君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申出がありますので、これを許します。
 監査委員山田ひろし君。
   〔百十六番山田ひろし君登壇〕

○百十六番(山田ひろし君) 監査委員を代表いたしまして、令和三年一月から十二月までの一年間に実施した監査の結果についてご報告申し上げます。
 監査委員の責務は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう、各局の事務事業を監査し、都民の信頼を確保していくことです。
 令和三年監査は、感染力が強い変異株の発生など新型コロナウイルスの感染が長期化かつ深刻化する中、大幅な計画変更が必要となりました。その結果、行政監査は令和三年、四年と二か年にまたがって実施することとし、また、財政援助団体等監査は東京二〇二〇大会関連団体の三団体に絞るなど、実施時期の変更や実施規模の縮小を行いましたが、本庁や事業所等三百二十二か所で実施し、百三十一件の指摘及び意見、要望を行いました。
 また、会計処理などについて指摘を行った総指摘金額は約五十六億三千万円で、このうち、経費削減が可能なものや収入漏れなどは約一億九千万円でした。
 第一に、定例監査について申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査です。令和三年は新型コロナウイルス感染症対策事業を重点監査事項として、各局の新型コロナウイルス感染症対策事業や同感染症により休止、縮小または延期などの影響を受けた事業の事務処理等について検証しました。
 その結果、重点監査事項に関しては、イベント配布用広報グッズについて、コロナ禍で多くのイベントの開催を中止したにもかかわらず、広報グッズを前年度と同規模で購入していたため、配布状況等に応じて購入するよう求めたものがありました。
 また、財団と共催で実施しているアーティスト等への支援事業において、財団へ既に概算払いにより支払っている経費の精算を行わないまま、重ねて概算払いを行っていたため、適正に行うよう求めたものなど、七十四件の指摘及び意見、要望を行いました。
 第二に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は、都が実施した工事等について、技術面から検証する監査です。
 令和三年は、各局の行う事業が所期の目的を達成し、また、効果を上げている工事となっているかという工事の有効性の検証を重点監査事項として設定し、監査を行いました。
 その結果、ホームドア設置に伴い実施する駅のプラットホームの補強工事に使用するアンカーボルトの設計において、より経済的なアンカーボルトを使用できるにもかかわらず、他路線の補強工事で使用したものと同じ規格のものをそのまま本工事でも使用していたため、設計等を適切に行うよう求めたものがありました。
 また、林道上の斜面を安定させるための補強工事の設計において、設計条件となる地質の確認が不十分であったため、設計を適正に行うよう求めたものなど、三十一件の指摘及び意見、要望を行いました。
 第三に、財政援助団体等監査について申し上げます。
 財政援助団体等監査は、都が出資や補助金の交付等を行っている団体や公の施設の指定管理者を対象とする監査です。
 令和三年は、東京二〇二〇大会関連の補助金等の交付を行っている二団体に対して監査を実施しました。
 監査の結果、指摘及び意見、要望事項は認められませんでした。
 また、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する監査も行っており、本監査については、令和四年も継続して実施していきます。
 第四に、決算審査等について申し上げます。
 令和二年度の決算について、数値の正確性や予算執行の適正性などを審査した結果、会計処理及び財産に関する調書の計数の一部誤りや決算書類の作成について是正、改善を要する事項など、二十六件の指摘及び意見、要望を行いました。
 また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づいて算定、公表が義務づけられている健全化判断比率及び公営企業など十二会計の資金不足比率の審査も行いました。
 その結果、国が定めた基準に対し、健全化判断比率、資金不足比率共に問題がないことが認められました。
 第五に、内部統制評価報告書審査について申し上げます。
 令和二年四月に改正地方自治法が施行され、知事部局において、内部統制の整備、運用が始まっています。令和三年からは、知事が作成した内部統制評価報告書について、これまでの監査で得られた知見に基づき、内部統制の評価手続及び重大な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われているか審査を行いました。
 その結果、知事による評価が評価手続に沿って行われており、評価結果に係る記載は相当であることが認められました。
 次に、監査結果に対する措置状況について申し上げます。
 監査は、指摘した問題点が改善されて初めて効果を発揮します。そこで、監査の実効性を担保するため、年二回、知事等関係機関から、指摘や意見、要望の改善状況の通知を受け、その内容を確認しています。
 過去三年間に行った指摘や意見、要望については、九六・三%の案件が改善済みとなりました。引き続き、改善に至っていない案件についても、その理由や進捗状況の確認を行うなどして、早期の改善を促しております。
 主な改善事例ですが、利便性の向上に向けた事例では、外国人旅行者等に向けた交通安全教育動画を九言語で作成したにもかかわらず、インターネットでは英語及び中国語のみで配信されていたため、九言語での配信に改善したものがありました。
 また、都施設のバリアフリー化に向けた事例では、公園に誰でもトイレを設ける場合は、戸の出入口の手前に一定水準以上の広さの水平面を設けることとされていたにもかかわらず、設計段階でこの水平面が設けられていなかったため、工事の契約変更や図面の修正を行ったものがありました。
 このほかに住民監査請求が九件ありましたが、いずれも監査を実施するための要件を満たしていませんでした。
 以上、この一年間に実施した監査等について述べてまいりましたが、今回の監査においては、コロナ禍という状況の中、特に、新型コロナウイルス感染症の影響などによる契約変更に伴う事務処理の誤りが複数の局で見られるとともに、これまでも繰り返し発生している財産管理の不備、契約履行の確認不足、積算の誤りなども認められました。
 こうした監査結果を踏まえ、指摘等の是正、改善に向けて、各局長及び管理者は、組織の責任者として先頭に立ち、自局の指摘事項のみならず、他局に対する監査結果等も参考にし、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直しを行うことで再発防止に取り組むなど、さらなる内部統制の充実強化を図り、都民サービスの一層の向上に努められるよう望みます。
 令和四年は、定例監査をはじめとした各種監査等を有機的に連携させ、都の事務及び事業を横断的、多角的に検証し、合規性はもとより、経済性、効率性、有効性の観点も踏まえ、相乗効果の高い監査を実施してまいります。とりわけ、新型コロナウイルス感染症対策事業や同感染症により影響を受けた事業については、令和三年に引き続き、重点的に検証を行ってまいります。
 今後とも、都政の公正かつ効率的な運営のため、監査委員の使命を全力で果たし、都民の信頼と期待に応えていく決意であることを申し上げ、報告を終わります。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

○議長(三宅しげき君) 次に、包括外部監査人より、令和三年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人青山伸一さん。
   〔包括外部監査人青山伸一君登壇〕

○包括外部監査人(青山伸一君) 令和三年度の包括外部監査人の青山伸一でございます。このたび、令和三年度の監査が終了いたしましたので、その結果について説明させていただきます。
 今年度は、下水道局の事業に関する事務の執行及び東京都下水道サービス株式会社の経営管理についてを監査テーマとして、監査を実施しております。
 公共下水道事業は、原則として市町村の事務とされていますが、都においては、特別区の存する区域は行政の一体性を確保する観点から、区部全体を都が市の立場で事業を行っています。一方、多摩地域では、市町村が公共下水道事業を行っていますが、水再生センターやポンプ所、下水道幹線などの基幹施設の建設、維持管理などの流域下水道事業を都が行っています。
 下水道は重要な都市基盤であり、これを整備し、良好に維持管理していくことは、都民が安全で快適な生活を送るために重要であるとともに、都民にとっての大きな関心事となっています。
 また、近年では、再生水や下水熱など下水道が持つ資源、エネルギーの有効利用や下水道施設の上部空間の利用などにより、良好な都市環境を創出するという新たな役割も担っています。
 一方で、下水道は、その整備及び維持管理に多大なコストがかかり、さらに、初期に整備された下水道管や水再生センターなどの老朽化による機能維持の必要性や、多発する豪雨やさらなる水環境の改善への対応など、課題が山積しております。加えて、東京の人口減少が目前に迫る中、事業を支える人材の確保などの課題に対応していく必要もあります。
 このような状況の中、下水道局では経営計画を策定し、安心で快適な生活を支えるために、老朽化施設の再構築、浸水対策、震災対策の推進や、合流式下水道の改善、高度処理、つまり処理水質の向上など、良好な水環境の創出に貢献する施策を進めるとともに、地球温暖化対策として温室効果ガスの排出をより一層削減する施策の推進に取り組んでいます。
 さらに、最少の経費で最良のサービスを安定的に提供するために、計画的な補修や施設の運転管理の工夫により、下水道機能を安定的に確保する維持管理の充実にも取り組んでいます。現在は、令和三年度から令和七年度までの五年間の計画である経営計画二〇二一を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。
 以上を踏まえると、下水道局の各事業が関連法令にのっとり適切に実施され、かつ経済性、有効性及び効率性を十分に考慮した上で執行されているか、さらには水再生センター等の各施設が適正に管理されているかについてチェックすることは意義があるものと考え、対象事件として選定しています。
 また、下水道サービスのより一層の維持向上のため、下水道事業を補完、代行する業務を東京都政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社が行っていることから、同社が関連法令にのっとり適正に運営され、また、都からの受託業務が、経済性、有効性、効率性を十分に考慮した上で執行されているかどうかについてチェックすることも意義があると考え、監査対象としています。
 監査は、監査人である私と補助者十四人で実施し、指摘事項八件、意見九十二件の計百件について監査報告書に記載しております。
 本日は、これらのうち、意見五件についてご説明申し上げます。
 まず一点目は、広報イベント等のオンライン開催についてです。
 令和二年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、下水道事業への理解を深めるための施設見学、イベントや学習事業の多くが中止され、一部の事業については動画等による情報発信を行いました。これらの事業は、令和三年度以降も継続して実施するほか、その他の事業についても、オンライン開催への切替えを予定または検討中とのことです。感染状況が収束した後も、社会全体としては直接の対面によらず、オンラインによるコミュニケーションが一定程度進むものと予想されます。
 したがって、オンラインイベントのような非接触、かつ双方向のコミュニケーションが可能な手段やツールを積極的に導入し、外部環境や想定される参加者の状況に応じて使い分ける体制とされ、また、オンライン化に当たっては、各地域の水再生センターにおける施設見学の受入れ中止時の代替手段としての利用も想定して、各地域の施設の特性を生かしたコンテンツの取り込み等も考慮されたいという意見を記載しています。
 二点目は、区部の下水道料金に関して、計画期間中に乖離があった場合の財政収支計画の見直しについてです。
 下水道局においては、現在、五年ごとに経営計画を策定していますが、その中で公表している財政収支計画では、計画期間の最終年度の累積資金過不足額に大きな過不足がないことが料金改定の判断基準の一つとなっており、財政収支計画は、財政運営のかじ取りを行う上で重要な情報となっています。一方で、当然に将来推計には一定の限界があり、経営環境の変化に伴い、計画策定時における前提条件が変わることにより、計画値どおりの実績とならないことはあり得ることです。そのような場合には、従前の計画を維持することなく、新たな前提条件に基づいて計画を補正する必要があります。
 今後、局の事業運営について外部有識者の意見を聴取する東京都下水道局アドバイザリーボードに対して、経営計画二〇二一の計画期間における実績報告を行う際に、財政収支計画における計画と実績が著しく乖離している場合においては、その原因の説明を行った上で、計画の補正の是非を含むその後の対応について、意見や助言をいただくよう検討されたいという意見を記載しています。
 三点目は、流域下水道の震災対策に関する震災時のバックアップ機能の強化についてです。
 多摩川を挟む二つの水再生センターを連絡管で結び、汚水管、送泥管、再生水管による相互融通機能を活用することで、震災時などに一方の水再生センターが被災した場合のバックアップ機能を確保しています。
 しかし、連絡管のない清瀬水再生センターでは、このようなバックアップ機能が確保されていないため、震災時に処理機能が低下した場合の対応が必要です。具体的には、汚水については耐震化を進め運転可能な施設で処理を継続し、汚泥については脱水処理し他の水再生センターへトラックで運搬し、再生水については可能な範囲で使用量を削減し不足分は上水で補給するといった対応が想定されます。
 これまでに耐震化により確保した最低限の下水道機能に加え、水処理施設の流入渠、導水渠、放流渠、汚泥処理関連施設などを対象に、新たに耐震化を行うことも水再生センターの被災を最小限にとどめることにつながりますが、バックアップ機能は確保されません。震災時に処理機能が低下することを想定し、清瀬水再生センターの震災時のバックアップ機能の強化策を検討されたいという意見を記載しています。
 四点目は、流域下水道の処理水質の向上に関する水質改善と省エネルギーを両立した技術の導入についてです。
 高度処理の導入等による下水処理水の水質改善と電力等のエネルギー消費量の増加は、トレードオフの関係にあります。よって、水質の改善が一定程度進んできた状況においては、エネルギー消費量の精緻な管理が必要になると予想されます。
 日々の状況に応じて、水質改善と省エネルギーを両立できるデジタル技術を活用した送風量制御技術等の新技術については、設備更新に合わせて導入を図られたいという意見を記載しています。
 最後は、東京都下水道サービス株式会社の財務状況に関するTGSにおける利益剰余金の発生構造の明確化とその対応についてです。
 東京都下水道サービス株式会社、TGSは、令和二年度末時点において約五十四億円の繰越利益剰余金を計上しており、現状におけるその残高は適切とは考えにくい状況にあります。例えば、今後、都との契約金額をTGSにおいて効率化された原価ベースへ引下げを行うといった形で見直すなど、利益が発生するプロセスやその財務構造等を都とTGSを一体的に捉えた上で根本的に分析する必要があります。
 下水道事務所出張所業務や水処理保全事業の受託などを主な要因として拡大してきたTGSの繰越利益剰余金の適正水準を今後どのように考えるべきなのか、都との関係、下請業者との関係、公益的な企業としての位置づけなど、総合的かつ根本的な財務構造の検討をすべく、法務や財務等の専門的知見を有する外部有識者を交えた検討委員会などで、利益剰余金の今後の在り方に係る基本的な考え方の整理、基本方針、様々な観点からの具体的な削減方策及びそのスケジュール等を検討されたいという意見を記載しております。
 以上をもちまして令和三年度の包括外部監査結果の説明といたします。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十七日から二十一日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり、決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十七日から二十一日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十二日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時二十七分散会


文書質問趣意書及び答弁書

3財主議第542号
令和4年2月8日
東京都議会議長
 三宅しげき 殿
東京都知事
小池 百合子

文書質問に対する答弁書の送付について

 令和3年第四回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

森澤恭子議員
松田りゅうすけ議員
上田令子議員
漢人あきこ議員
岩永やす代議員
清水とし子議員
五十嵐えり議員
原のり子議員
斉藤まりこ議員
藤田りょうこ議員
竹井ようこ議員
阿部祐美子議員
とくとめ道信議員
池川友一議員
宮瀬英治議員
とや英津子議員
尾崎あや子議員
酒井大史議員

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 森澤恭子
質問事項
一 令和4年度の予算編成について
二 首都直下地震等の被害想定の見直しについて
三 幼児・児童・生徒の送迎バスにおける安全管理について
四 コロナ禍の長期化をふまえた児童生徒のメンタルケアについて
一 令和4年度の予算編成について
8月の「令和4年度予算の見積りについて」の通達においては、「都の歳入の根幹をなす都税収入は景気動向に左右されやすい不安定な構造にあり(中略)今後の景気動向の不透明性を踏まえると、現時点では都の財政環境の先行きを見通すことは困難な状況」とし「各局における見積りの段階においても、見直すべき事業を確実に見直し、無駄を無くすための取組を一層強化する」とし、令和3年度予算額に対して事業実績が目標を大きく下回る事業について10%減で所要額を見積もる「マイナスシーリング」としました。一方で、新規事業等については、シーリングの枠外としています。
その結果、令和4年度の予算要求では大会経費を除いた総額は、7兆1,231億円で、令和3年度予算と比較し、717億円、1.0%の増となっています。
今後もコロナの変異株への対策など度々迫られ、更なる財政支出が想定される一方、都の不安定な歳入構造やコロナ対策財源の大部分を占める国の財源確保が不透明なことを考えると、将来的な備えとしての歳出見直しの観点から、当初予算のマイナスシーリングは対象を限定せず、全体的に10%減であっても良いくらいだと考えます。
財務局においては、各局から出された予算要求について新規事業においても、既存事業同様、見込まれる事業成果、本当に必要な事業なのか、といったタイミングなどを含め、厳しく査定していくべきと考えますが、見解を伺います。

二 首都直下地震等の被害想定の見直しについて
これまで、国や自治体が進めているのは1981年以前の「旧耐震」の木造住宅の耐震化です。
一方で、「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合」の調査(2019年1月)によれば、1981年から2000年の「新耐震基準」の住宅においても、倒壊する可能性が高いとされる総合評点0.7未満の建物が約64%に及び、合格ラインの評点1.0に満たない住宅は約86%にも及ぶということです。実際に、2016年に発生した熊本地震で甚大な被害が生じた益城町の調査では、現行の耐震基準になる前の1981年から2000年制定された「新耐震基準」の木造住宅についても2割の木造住宅が倒壊・大破していたということです。
都が進める首都直下地震等の被害想定見直しにおいては、1981年から2000年の、いわゆる「新耐震基準」の建物の熊本地震などにおける被害の状況を把握していくべきと考えますが、見解を伺います。

三 幼児・児童・生徒の送迎バスにおける安全管理について
7月に福岡県の保育園で5歳男児が送迎バス内に取り残され死亡した事件を受け、福岡県は9月、バス送迎などに関する独自ガイドライン(「福岡県保育施設による児童の車両送迎に係る安全管理標準指針」)を公表しました。運転手以外の職員を1名以上添乗させ、児童の乗降確認や走行時の安全管理等を行わせることなどを含め、乗降時の児童名や人数の確認などについて具体的な手順を定めることなど、細かく示しています。
その際、福岡県は、バス等での送迎に係る実態調査を実施し、送迎を実施していると回答があった施設のうち43%では送迎に係る安全管理マニュアル等が作成されていないという実態がわかったということです。
1 福岡県の保育園での事件を受け、都としても保育所の送迎バスについて、改めて安全管理について徹底すべく指導に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
2 都内では幼稚園においても多くの送迎バスが運行しています。幼稚園の送迎バスの安全管理について都として改めて徹底すべきだと考えますが、見解を伺います。
3 都立特別支援学校においても多くの送迎バスが運行しています。特別支援学校の送迎バスにおいて、安全管理マニュアルはあるのか、また改めて安全管理を徹底すべきと考えますが、取組について伺います。

四 コロナ禍の長期化をふまえた児童生徒のメンタルケアについて
国立成育医療研究センターが9月に実施したアンケートでは、「学校に行きたくない」と感じているこどもが38%にのぼることがわかりました。コロナ感染への恐れ、コロナに起因する対人関係や学校生活の変化なども要因となっています。
昨年度都は、「スクールカウンセラーとの面接を、まずは心配な様子が見られる子供から行い、年度内に小学五年生、中学一年生、高校一年生の全員と行うよう求め」ていましたが、引き続き、学校における子どもたちに対する丁寧なメンタルケアが必要です。都は、本定例会の補正予算において、スクールカウンセラーの追加派遣の予算を計上しています。アンケート結果にみられるように、コロナ禍が長引く中で、子どもたちへの心への影響は計り知れず、あらゆる角度から子どもたちの不調を把握するようつとめ、心のケアを強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

令和3年第四回都議会定例会
森澤恭子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 令和4年度の予算編成について
財務局においては、各局から出された予算要求について新規事業においても、既存事業同様、見込まれる事業成果、本当に必要な事業なのか、といったタイミングなどを含め、厳しく査定していくべきだが、見解を伺う。

回答
令和4年度予算編成に当たっては、これまで取り組んできた政策の成果を踏まえつつ、事業の妥当性や有効性を改めて検証し、今後注力すべき新たな課題等に対し、必要な見直し・再構築を行うことが重要です。
このため、予算編成過程における見直しの取組として実施してきた事業評価について、より実効性・効率性の高い施策構築を実現するため、政策評価と一体的に実施し、評価の取組を一層深化させるなど、施策の新陳代謝を促進することとしています。
こうした取組に加えて、最少の経費をもって最大の効果をあげる観点から、新規事業も含め、各局から予算要求された内容を、財務局において様々な角度から検証・精査することで、無駄を無くし、実効性の更なる向上につなげていきます。
これらの取組などを通じ、都政に課された使命を確実に果たすことで、希望ある未来を切り拓いていく予算を作り上げて行きます。

質問事項
二 首都直下地震等の被害想定の見直しについて
都が進める首都直下地震等の被害想定見直しにおいては、1981年から2000年の、いわゆる「新耐震基準」の建物の熊本地震などにおける被害の状況を把握していくべきだが、見解を伺う。

回答
被害想定における建物被害は、過去の地震の被害状況などを踏まえて算出しています。
今回の被害想定の見直しにおいても、熊本地震など、過去に発生した主な地震における建物の被害状況を把握し、専門家の意見を踏まえて、検討していきます。

質問事項
三 幼児・児童・生徒の送迎バスにおける安全管理について
1 福岡県の保育園での事件を受け、都としても保育所の送迎バスについて、改めて安全管理について徹底すべく指導に取り組んでいくべきだが、見解を伺う。

回答
国の保育所保育指針では、保育中の事故防止のため、子供の心身の状態等を踏まえつつ、施設内外の安全点検に努め、安全対策のために全職員の共通理解や体制づくりを図るとともに、家庭や地域の関係機関の協力の下に安全指導を行うこととされています。
国は、令和3年8月、福岡県の事案を受けて、上記の内容も踏まえ、送迎バスを運行する場合等の安全管理の徹底について、通知を発出しました。
都は、区市町村を通じて、保育所等にこの通知を周知し、事故の発生防止に向けた対応を依頼しました。
さらに、令和3年度に作成した認可保育所等に対する講習会の動画でも本事案を取り上げ、バス送迎時等の置き去り事故の防止について注意喚起しています。

質問事項
三の2 都内では幼稚園においても多くの送迎バスが運行している。幼稚園の送迎バスの安全管理について都として改めて徹底すべきだが、見解を伺う。

回答
福岡県の事故を受け、送迎バスを運行する場合の留意点を含む、園児等の安全管理について、厚生労働省、文部科学省、内閣府の連名で、令和3年8月25日付事務連絡「保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部における安全管理の徹底について」が発出されたため、都として知事所轄私立幼稚園設置者及び各区市私立幼稚園主管課長等に周知したところです。
今後も、園児等の安全管理の徹底について、注意喚起を図っていきます。

質問事項
三の3 都立特別支援学校においても多くの送迎バスが運行している。特別支援学校の送迎バスにおいて、安全管理マニュアルはあるのか、また改めて安全管理を徹底すべきだが、取組について伺う。

回答
都教育委員会は、障害のある児童・生徒が安心・安全に通学できるよう特別支援学校においてスクールバスを運行しています。
スクールバスの運行に当たっては、バス事業者との契約に関する仕様書において、安全管理に関する規定を設け、バス事業者に対し、都教育委員会が行う研修への参加や各特別支援学校が行う安全管理のための講習会及び定期的な打合せへの参加を義務付けるとともに、バス事業者が乗務員への研修・訓練等を実施することなどを定めています。
また、児童・生徒がスクールバス内に取り残されることを防ぐため、乗車する児童・生徒の情報や実際の乗降を確認するための様式を用いて、教員と乗務員が協力してバス車内の確認を行うなど、児童・生徒の引き渡しを確実に行うための手順を示した「スクールバス児童・生徒の引き渡しマニュアル」を定めています。
引き続き、安全管理の徹底に努めていきます。

質問事項
四 コロナ禍の長期化をふまえた児童生徒のメンタルケアについて 
国立成育医療研究センターが9月に実施したアンケートでは、「学校に行きたくない」と感じているこどもが38%にのぼることがわかった。コロナ禍が長引く中で、子どもたちへの心への影響は計り知れず、あらゆる角度から子どもたちの不調を把握するようつとめ、心のケアを強化していくべきだが、見解を伺う。

回答
学校では、教員が子供の小さな変化を見逃さないよう、積極的な対話や注意深い観察等を行っています。
また、不安な様子がうかがえる子供には、スクールカウンセラーが相談支援を実施しています。こうした取組について、都教育委員会は、令和4年1月から3月までの間、学校の要請に応じてスクールカウンセラーの派遣回数を増やすなど、子供の不安や悩みの解消に向けた取組を行うこととしています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松田りゅうすけ
質問事項
一 幹部職員の再就職状況について
二 都の庁有車について
三 東京都立病院での子供の取り違えについて
四 ギャンブル等依存症対策について

一 幹部職員の再就職状況について
1 令和3年11月30日に発表された「幹部職員の再就職状況について」によると、令和2年8月1日から令和3年7月31日までの間に都を退職した、局長等の再就職状況を見ると21人中、6人が政策連携団体、7名が事業協力団体等、7名が公益団体等、1名が再任用等となっています。また、部長級、課長級でも多くの方が政策連携団体、事業協力団体、公益団体等への再就職となっています。世間から見ると天下りと言わざるを得ない状況かと思いますが、都としてどのような認識なのかお伺いいたします。
2 制度には「元職員による働きかけの禁止」と記載があり、「営利企業等に再就職した元職員が、職員に対して、職務上の行為をする(しない)ように、要求又は依頼することが禁止されます。」が明記されていますが、これまでに該当事案はあったのかお伺いいたします。また、「元職員から働きかけを受けた職員は、人事委員会にその旨を届け出なければなりません。」と記載がありますが、これまでの届け出件数をお伺いいたします。
3 令和3年11月9日の都市整備委員会の住宅政策本部への事務事業質疑において、東京都住宅供給公社の理事長が東京都の元職員である必要性について質疑を行った際に、住宅政策本部からは「具体的な人事に関することは、当本部としてはお答えする立場にない」との答弁があったが、認識をお伺いいたします。

二 都の庁有車について
知事部局幹部職員の庁有車について、現在の台数と年間にかかる経費をお伺いいたします。また、使用基準については、どの様な規定があるのかお伺いいたします。

三 東京都立病院での子供の取り違えについて
東京都立病院で生まれた直後に別の新生児と取り違えられたと主張する男性が、生みの親を特定する調査を都が行わないのは人権侵害だとして11月5日、都を相手取り調査の実施や損害賠償などを求めて東京地裁に提訴しました。この事案に対するこれまでの経過をお伺いいたします。

四 ギャンブル等依存症対策について
都は令和3年第三回都議会定例会の私の文書質問において、「IRについては日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念があると認識しています。」との回答を行っています。ギャンブル等依存症の対策においては、公営ギャンブルやパチンコも同様の問題を抱えていると認識していますが、都はギャンブル等依存症に対してどの様な施策を実施してきたのか、お伺い致します。

令和3年第四回都議会定例会
松田りゅうすけ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 幹部職員の再就職状況について
1 令和2年8月1日から令和3年7月31日までの間に都を退職した、局長等の再就職状況は21人中、6人が政策連携団体、7名が事業協力団体等、7名が公益団体等、1名が再任用等となっている。部長級、課長級でも多くの方が政策連携団体、事業協力団体、公益団体等への再就職となっている。世間から見ると天下りと言わざるを得ない状況だが、認識を伺う。

回答
都を退職した職員が、これまで培ってきた知識、経験を社会に還元することは有意義であると考えています。
そうしたことから、政策連携団体をはじめとした都の事務事業と関連を有する団体に職員が再就職することは、都政の効果的、効率的な運営を図る観点から有益であると認識していますが、その人事については、団体自らの経営判断により決定しています。
なお、幹部職員の再就職については、毎年度、団体名及び役職名などを公表し、透明性を確保しています。

質問事項
一の2 制度には「元職員による働きかけの禁止」と記載があり、「営利企業等に再就職した元職員が、職員に対して、職務上の行為をする(しない)ように、要求又は依頼することが禁止されます。」が明記されているが、これまでに該当事案はあったのか伺う。また、「元職員から働きかけを受けた職員は、人事委員会にその旨を届け出なければなりません。」と記載があるが、これまでの届出件数を伺う。

回答
平成28年施行の改正地方公務員法では、営利企業等に再就職した元職員が、職務上の行為に関して働きかけをすることは原則として禁止されており、元職員から働きかけを受けた職員は、人事委員会にその旨を届け出る義務があります。改正法施行後、届出の実績はなく、働きかけに該当する事案は発生していません。

質問事項
一の3 令和3年11月9日の都市整備委員会の住宅政策本部への事務事業質疑において、東京都住宅供給公社の理事長が東京都の元職員である必要性について質疑を行った際に、「具体的な人事に関することは、当本部としてはお答えする立場にない」との答弁があったが、認識を伺う。

回答
東京都住宅供給公社の理事長は、地方住宅供給公社法に基づき、設立団体の長が任命することとされています。東京都住宅供給公社は、都の事務事業と密接な関連を有する政策連携団体であり、本団体に職員が再就職することは、都のガバナンスを確保し、都政の効果的、効率的な運営を図る観点から有益であると認識しています。

質問事項
二 都の庁有車について
知事部局幹部職員の庁有車について、現在の台数と年間にかかる経費を伺う。また、使用基準については、どの様な規定があるのか伺う。

回答
庁有車は、都政において重要な職責を担うものが、緊急時等において迅速かつ適切な行動がとれるなど機動的手段を確保し、その職責を全うするために万全を期す必要があることから、運用しています。
知事部局では、知事、副知事を初めとする特別職、特別秘書及び局長等の庁有車として22台を運行管理しており、令和3年度予算において、自動車の借入れ及び自動車運行委託経費として1億6千万円余を計上しています。
運用に当たっては、東京都自動車の管理等に関する規則に基づき、庁有車の運行管理を行っています。

質問事項
三 東京都立病院での子供の取り違えについて
都立病院で生まれた直後に別の新生児と取り違えられたと主張する男性が、生みの親を特定する調査を都が行わないのは人権侵害だとして、都を相手取り調査の実施や損害賠償などを求めて東京地裁に提訴したが、この事案に対するこれまでの経過を伺う。

回答
本事案は、昭和63年3月に廃止となった旧・都立墨田産院において、昭和33年に出生した男性が、平成16年にDNA鑑定により両親と親子関係がないことが判明し、当該産院で取り違えがあったと主張して、都に対し損害賠償を求めて訴訟を提起したものです。
一審の東京地方裁判所では、損害賠償請求権は時効が成立しているとして、平成17年5月27日、原告の請求は棄却されましたが、二審の東京高等裁判所では、時効の起算日を血液型の不整合が判明した平成9年10月頃と認定するとともに、取り違えの事実を推認することができるとして、平成18年10月12日、都に2千万円の賠償を命じる判決が出されました。これに対し、都は、当該男性の心情などを総合的にしんしゃくし、上告せず賠償金の支払を行いました。

質問事項
四 ギャンブル等依存症対策について
都は令和3年第三回都議会定例会の私の文書質問において、「IRについては日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念があると認識しています。」との回答を行っている。ギャンブル等依存症の対策においては、公営ギャンブルやパチンコも同様の問題を抱えているが、都はギャンブル等依存症に対してどの様な施策を実施してきたのか、伺う。

回答
都は、都内3か所の精神保健福祉センターを依存症相談拠点と位置付け、ギャンブル等を含めた依存症に関する専門相談や、認知行動療法の技法を取り入れた回復プログラム、本人への適切な対応方法などを学ぶ家族教室等を実施しています。
また、都民が正しい知識を身に付けることができるよう、ホームページやリーフレットによる情報発信、専門家による講演等を内容とする依存症対策フォーラムの開催などの普及啓発を実施しています。
さらに、地域で精神保健福祉に携わる行政機関や相談機関等を対象に、支援技術の向上を図るための研修を実施するとともに、医療機関や行政機関、民間団体等で構成する会議を開催して情報共有するなど、地域の関係機関との連携強化を図っています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子
質問事項
一 教育政策について
二 オリンピック・パラリンピックのレガシーについて
三 行政のデジタル化の推進について
四 知事のトップマネジメント・ガバナンスについて

一 教育政策について
1 東京都立墨田工業高校プール事故について
2021年11月22日にかねてから私が指摘していた墨田工業高校のあってはならない教員の強要により頚椎損傷を与え生涯決して治ることのない障がいを負わせた重大事故において刑事事件の判決が下りました。
東京都立墨田工業高校で2016年7月、水泳の授業中に危険な飛び込みをさせ、高校3年生だった内川起龍さん(現在23歳)に重い障害が残るけがを負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた高校教諭・松崎浩史被告に対し、東京地方裁判所は2021年11月22日、求刑通り罰金100万円の判決を言い渡されました。当初、略式起訴となったものの東京簡裁は6日後にこれを「不相当」とし、被告人は在宅起訴され、正式裁判すなわち公開法廷で審理される異例の展開になっています。鏡味薫裁判官は「被害者が四肢を自由に動かせなくなった結果は重大だ」と述べており、よりにもよって教員が自らの指導権限を濫用して若者の将来も夢も奪ったことへの司法判断が下ったことになります。
内川さんは求刑を超える禁錮刑以上の判決を求めていましたが、地方公務員法は禁錮刑以上の刑が確定すれば教員は失職すると定めており、遺憾ながら判決は罰金刑を選びました。内川さんの母親は「判決には納得できず、息子も私も家族も次の一歩が進めません」と怒りのコメントをされておられます。
内川さんご本人は被害者参加制度を利用されて法廷で以下のように述べられました。ご本人の承諾を得て引用致します。
「心情に関する意見陳述書
1 はじめに
この発言の場を作って頂いたこと、私の体調に配慮いただきありがとうございます。事件から、5年3カ月、1,930日がたちました。最初の病院では、医師から「普通だったら死んでいた。」と言われ、周りや母からも、「体操を続けていなければ死んでいた。」と言われました。
私は、小学校から中学では、体操の部活に所属し都大会にも出場し、高校に入ってから週に1度中学校の部活に参加し、区のスポーツクラブや家で体を鍛えておりました。そのおかげで、死なずにすんだのかもしれません。母や私を応援してくれる方には、「何か大事な事をするために生かされた命だ」と言われました。
でも、こんなに医学が発達しているのに、残念ながら私の体が快復することはありません。
他のいくつかの病院では、医師からは、「悪くなる事はあっても、良くなる事はない。」と言われました。
この間の8月に東京で開催されたパラリンピックを見て私は愕然としました。
出場していた選手の障害の程度が皆、私より軽かったからです。3年前頃、私は、東京都パラリンピック選手発掘プロジェクトにも参加したとき、担当者からは、「できる競技に関して、障害者協会に相談して、連絡します。」と言われたまま、未だに連絡はありません。
2 普段の生活について
私の介護等の障害区分6です。介護保険の区分は、1から5までなので私の障害の重さが、わかるはずです。
私は事件の後、1日も安心して生活を送った事はありません。入院中は、午前中に調子が良くても午後には40℃の熱を出す事もざらでした。
最初の病院では、入院生活は半年と言われていましたが、結局1年半の入院に緊急転院など、施設入所に4度も延長し、事件から自宅に戻るのに2年半を要しました。
入院、検査、毎年の手術で10件以上の病院にかかり続いた日々が、あなたに想像できますか。
これからも一生続くんですよ。当たり前の日常の生活が失われた。想像を超えるものですよ。
3 被告人質問について
第2回目の裁判期日の被告人質問では、被告人が覚えていないなどの発言を繰り返したために、思い通りに質問をすることができず、とても不満が残りました。
また、被告人が法廷でも平気で何度も虚偽の発言をすることに、やはり被告人には教師を続けさせては、いけないと強く思いました。
第1回目の裁判で「認める」と言っていましたが、一体、何を認めるつもりなのか、わからない。反省もまったく感じない。
私から見ると、被告人は、教師を続けるために、何としても禁錮以上の刑を避けたいという自己中心的な考えのもと、形だけ反省しているようにしか見えません。
私の病状や私や家族の日々の暮らしの大変さを全く分かっておらず、他人事のようで、全く自らの罪に向き合っているとは思えません。
裁判官からも指摘のあった私の母への事故直後の発言についても、何が悪かったのか、いまだに被告人が理解できているのか非常に疑問です。
事件後の校長や東京都教育委員会の聞きとりや調査では、事件当日、自ら、デッキブラシの話しはせず、7月19日と21日にはデッキブラシではなくモップとの発言をするなど、毎回被告人の話しが変化していて、生徒の聞きとりと整合性が合わず、25日に、やっと認めたと報告を受けました。
しかし、7月27日には、「被告人が精神的におかしくなりドクターストップで学校を休む事になった」と校長から母に伝えられ、私も母も非常にショックを受けました。
被告人は、「デッキブラシが本当に危ないという認識がなかったから自ら話をしなかった」と発言しておりましたが、危ないという認識がなかったのであれば、むしろ、事実をありのまま言うはずではないでしょうか。自分に都合の悪いことは隠したかったに違いありません。
被告人は、「びびってんじゃねえよ」とからかわれた生徒がいたからデッキブラシを出したと言っておりますが、事件があった7月14日は、その週末に、自動車科の最終就職会議があるなど就職に向けてとても重要な時期でした。そのような大事な時期に、プールでからかったりするような生徒がいるはずはありません。
事前指導については、都教育委員会作成の資料で、被告人が水泳の事前指導をしたというようなことは書いてありませんし、なにより私自身が聞いていないということを断言できます。
また、被告人は私が飛び込む場面で指先を注視したといいましたが、私の前の持病を持っている生徒にどうしても意識がいってしまったとも言っておりました。これは矛盾しているのではないでしょうか。
それに、私の前に飛んだ生徒は、被告人に「やっぱりぶつかりますよ」と言っており、危険なことは誰の目にも明らかなのに危険な行為を続けておりました。
しかも、被告人は、私が頭をぶつけたのに、自分がプールに飛び込んで私を救助しようとはしませんでした。被告人はそれが正しい判断だったと考えているようですが、私を救助した生徒の1人は、プール内にいましたが、もう1人は、被告人の後ろあたりを歩いていました。つまり、被告人の方が私の近くにいたのに、溺れている私を助けるために飛び込もうとしなかったのです。
被告人は、いったい何を見て、何を考えていたのでしょうか。教員でありながら私を助けることを他の生徒に任せて、自ら飛び込もうともせずに、今なお正しい判断だったと繰り返す被告人の考えを、私は、全く理解できません。
どの生徒も他クラスの生徒も、被告人が入水するのは見ておりません。私の体を心配するより自分が濡れるのが、嫌だったのかもしれません。
また、私が他の生徒と違う海水パンツをはいていたということもありません。私が着用していたのは、学校指定の水着で他の生徒と同じです。
このことは、授業前に私が被告人に許可を取りに行きましたが、学校の物を使うように言われましたのではっきりと覚えております。
4 見舞金について
被告人は、私が常に許さないと言い続けていた教師に戻り、もとの生活に戻りましたが、一方、私を受け入れるために母は、店をつぶし、生活の場を作ってくれましたが、失業し、看護、介護の毎日です。どんなにつらくても教師での収入で得たお金、しかも、そのもとは、民事裁判の相手である東京都です。受け取る気などありません。
今でも教育の場に、地位にこだわり、自己保身する姿が情状証人の発言でわかり、私と家族は精神的な苦悩と憤りを感じます。聞いていて非常に不愉快です。
事実を語らず現実を見ることなく、自分の罪を軽くしたいために、お金だけの話をする事も私は許せず、一切あなたから一生貰うつもりはありません。
5 処罰について
私から何もかも奪って障害者にした被告人と、その被告人を教師として障害者を教育させるなど、都教育委員会も何を考えているのか理解できません。
教育委員会も、被告人も私のことを心配しているとは思えず、全く誠意が感じられません。
前回の裁判期日で、私は、被告人が4月から授業を受け持っていると聞きましたが、こちらには、一切連絡がありませんでした。
生徒を守るはずの教師、都教育委員会が保身に走りケガをした生徒の心配もなく、教育を語ってほしくはありませんし、その資格はないと思います。
被告人の刑事裁判は、もともと略式命令で請求されて始まりましたが、東京簡易裁判所により略式不相当と判断されて、正式裁判となりました。
このときの気持ちを記者の方に聞かれたことがありますが、私には嬉しいとかいう気持ちはありません。それは、正式裁判が開かれることが、極めて当然のことだと思っているからです。
正式裁判でなければ、私がこの法廷で被害者に質問や発言する機会もありませんでしたし、何より被告人が、全く十分とはいえない今よりも、さらに自らの罪と向き合うことはなかったでしょう。
被告人は、被告人質問で「教員をつづけるか、葛藤した」、「死ぬことも考えた」というようなことを言っておりましたが、もし本当に罪と向き合って、葛藤したのであれば、なぜ、教員以外の仕事をすることを考えたりしないのでしょうか。
私は、被告人に不幸になって欲しいとか、いなくなって欲しいと言っているわけではありません。ただ、自らの罪に向き合い、責任を取って教師を辞めて欲しいと言っているだけです。それが被害者による過大な望みなのでしょうか。「葛藤して」「死ぬことも考えた」が「教員を続けたい」などということは、自分勝手な考えではないでしょうか。
被告人は、禁錮以上で、教員免許がはく奪されますが、時間が経ち教員免許を再取得できれば、再び教師になる道は残ります。
でも私の体は一生戻りません。私の家族の平穏な生活も戻らないのです。私の夢だけでなく母や家族の夢を奪いました。
私が死んでいれば、禁錮以上の判決で決まりますが、生き残ったことで、軽い判決がなされるかもしれない。何のために、略式命令から、正式裁判になったのかの意味を、今一度考えてほしい。
私は、被告人に実刑判決を強く求めます。以上です。」
私は事故が報じられた直後の2016年第三回定例会でまず一般質問を皮切りに、討論、文書質問、一般質問と複数回にわたって、この前代未聞の「学校人災」を質してまいりました。中井教育長(当時)は「教育委員会は、当該生徒さんの一日も早い回復を願い、当該生徒さんや家族からの要望を真摯に受けとめ、あらゆる支援に最大限つとめてまいります。」との答弁を得ており、一瞬の光明を見出せたように思えました。ところが、その後の展開は、私の期待に反して、内川起龍さん、お母さまへの不誠実な対応を繰り返し、子どもの命や健康よりも、加害教員と当該高校管理職と東京都教育委員会を守ることに終始し詭弁を弄し、その結果、正式裁判へと及んだことを、はっきりと東京都知事・教育長、東京都は自覚して頂きたいと思います。また、私への答弁と、内川さん達への対応接遇にはあまりにも大きな乖離があったこともこの度独自調査で明らかになりました。都民の代表である、都議会議員をも愚弄するものです。つきましては、今度こそ事実に即した被害者にむきあった「当該生徒さんや家族からの要望を真摯に受けとめた」答弁を強く、強く求めるものです。
ア これまでの被害者への対応・接遇の経緯について
中井教育長(当時)の「教育委員会は、当該生徒さんの一日も早い回復を願い、当該生徒さんや家族からの要望を真摯に受けとめ、あらゆる支援に最大限つとめてまいります。」との答弁がありました。この言葉通りであるならば、放置をしたり、不誠実な対応をするとは考えられなかったはずですが、事実経過を確認させていただきます。事故発生時から、今日に至るまで、内川さん・保護者等被害者側(弁護士も含む)への対応、サポート、フォローアップをしたのか、年月日を入れて時系列で詳細をご報告下さい。なお、内川さんの了承は得ておりますので、事実を逐一明らかにして下さい。
イ 加害教員への対応について
加害教員への服務監察・懲戒処分、その後の研修、勤怠実績、現状に至るまでの経過をつまびらかにご報告のうえ、その理由や決定権者についても具体的に報告下さい。
また、これまでの加害教員の指導能力と評価、過去に服務事故、トラブルが報告されていないかについても確認いたします。
ウ 事故当日について
当日、体育が2時間続いており、最初の1限目は球技を行い、突如プールに入ると加害教員が思いついたとのことです。その証左として、当日水着をもってきた生徒のみが入水しており、約半数であったとのことです。内川さんは水泳部でしたから、学校の水着を持参しており参加することとなり、結果重大事故に遭遇することになったのです。そこで以下伺います。
a なぜ、体育の2時限目が水泳となったのか?当日の体育指導案はどのようになっていたのか?ご説明下さい。
b プールの水が1メートルしかなかったことが当時私も不可思議でなりませんでした。当然水泳の授業があれば、水は満たされなくてはならなかったはずです。この度、突如思い付きのように水泳を始めたという経緯がわかり、合点がいきました。つまり、想定されない水泳授業を突如実施するに至ったから、水が満水ではなかったということではないでしょうか。この時期は定期試験期間中であり、部活動もなかったことから、突如の思い付きで行われた水泳授業により、水位が達していなかったものと思料いたします。まず、水泳指導において、プールの水位について、各学校や教職員にどのような指導をしているのか、また、具体的な基準や指針があればご説明下さい。
c 本件では明らかに危険な水位しか無かったにも関わらず、水泳授業及び指導をなぜ行ったのか。また管理職は把握していたのか、誰が、プール使用を許可したのか学校管理権に基づき伺います。
d 事故が起こった日の体育の授業1限目から発生、発生直後の対応についてつまびらかに具体的に、誰がどう動いたのか、事故時内川さんを誰が救援したか等も含めご説明ください。
e 通常より低い水位の上、デッキブラシを使用しての飛び込み指導は明らかに不適切な指導と思料しますが、誰の判断でいかなる理由でデッキブラシを使用するに至ったのか管理職は把握していたのかも含め詳細のご説明をください。
f デッキブラシの使用を東京都教育委員会はいつどのような形で把握したのか、加害教員はいつ自ら報告をしたのか、事故報告書提出までの経過を年月日時間もいれた時系列でご説明下さい。
g デッキブラシがあることで、加害教員がさせたかったという「フラットスタート」は、飛び込んだらデッキブラシにぶつかりできなかったと思料致します。内川さんは、デッキブラシを避けるような無理な姿勢で飛び込まざるを得ず悲惨な大事故に至りました。この点につき裁判では、内川さん、加害教員の見解が一致していませんが、他の生徒も額をぶつけていたりと、無理な指導を目撃し平成28年10月3日付で当該校の校長が出した「通知書及び面談による確認事項に関する回答」によれば「自分は先生のせいだと思った」「この授業は、今までの授業の中で一番危ないと思った」と証言もしてくれています。また生徒が「(やっぱり)ぶつかります」と指摘していたにも関わらず、危険な飛び込みを当該教員は強要し続けていました。加害教員は、デッキブラシを使ってどのような飛び込み指導がしたかったのか、他の生徒から指摘があったのになぜ聞く耳をもたなかったのか、なぜ内川さんに強要したのか、事前の飛び込み指導はしていなかったはずなのに、していたとの報告をしたのか、すべて事実に基づいた報告をお願いいたします。
h 同通知書では、加害教員が「先生は、生徒に担架を持ってくるようにと指示をしていた。その時先生は水着を着ていなかった」とあります。さらに「F君とD君が助け」「内川君をD君と二人で助け上げ、プールサイドに運んだ」ともあります。なぜ加害教員がいち早く救助しなかったのでしょうか、水泳指導指針に反することはなかったのか、根拠を踏まえてご説明下さい。
i 同通知書では、加害教員が「やっちまった。」「俺だけのせいじゃない。」「上に飛ぶから落ちるのは当たり前だ。」と発言していたことが判明いたしました。まるで内川さんが勝手に飛び込んだような責任転嫁に他なりません。そもそも、デッキブラシを持ち出さなければ当然発生しなかったはずの大事故です。その経緯について事実を踏まえたご所見をお示し下さい。
j 救急車はいつだれが呼びいつ到着したのか、デッキブラシ使用の事実をその時に学校管理職は把握していたのかも含め時系列で時間を明記してご説明下さい。
k 同通知書では、救急車が到着し、救急隊員には加害教員は「みんながふざけていたからこういうことになった」と説明したとあります。デッキブラシのことを加害教員は救急隊員に伝えず生徒の責任としています。一人の生徒の生死が関わる大事故で虚偽の説明をしたとすれば責任は重大です。このような事実があるのか、あったとすれば、なぜこのような説明をするに至ったのか、この言動に関して服務監察を踏まえてご説明下さい。
l 事故後、病院で加害教員、養護教諭と内川さんの保護者3名で医師の話を聞いたそうです。「頚椎損傷でC5が折れた。緊急手術となる。二度と戻らず車椅子生活となる。」と宣告されました。加害教員と保護者がその後二人きりになった際に、加害教員はデッキブラシのことには触れずに「言い訳になりますが、危険のないフラットスタートを教えていた。指先が下をむいてパイクスタートになった。卒業はできる。担当教員もおり、就職は障がい者枠で入れるから大丈夫。保険はかけているか。母子家庭だから父親にも連絡した方がいいのではないか」と発言したとのことです。これが事実であれば、内川さん親子の尊厳を著しく傷つけるものではないでしょうか。その点について、把握しているか?把握しているとすれば、どのような対応を加害教員と、内川さん親子にしたのかを含めて東京都教育委員会の所見をお示し下さい。
m デッキブラシを持ち出していたことを、内川さんの保護者に話したのは6日後の2016年7月20日とのことです。東京都教育委員会が動いたのは5日後の同年7月19日でした。なぜ、速やかに保護者への説明もせず、なぜ、記憶が新しいうちに東京都教育委員会は事実確認・把握をすぐに行わなかったのか、ご説明下さい。
エ 事故の検証と処分について
2016年7月21日に学校で事故中間報告を保護者へした後、9月に事故報告書類を届けるまで連絡がなされていなかったようです。この2か月間は何をしていたのでしょうか、またその後、今日に至るまでの東京都教育委員会、当該校における、事故調査・検証の経緯と加害教員への対応をあわせ時系列で詳細につきご説明下さい。
オ 警察への対応について
危険行為の強要と、それにともない重度の障がいを負わされたことは、私は「行き過ぎた指導」を超えた傷害事件ではないかと指摘してまいりました。当然、内川さんは、警察へ被害届を提出したり、刑事告訴を行うことができたわけで、その選択肢を東京都は提示し、サポートすべきであったし、当然していると思っていましたが、なされていなかったようで、事故の翌年2017年2月に被害届を提出されるに至っています。内川さん本人は、青春時代のまっさかり、就職も内定し前途洋々たる未来が開けていたというのに、愚かな教員の思い付きの暴力的な一瞬の不適切指導の強要により、突如絶望の淵においやられ重篤な後遺症に苦しめられ、お母さまはその看病に追われているのですから提訴の有無にかかわらず積極的に、被害者の持っている権力行使の支援を都として行うべきではなかったでしょうか?令和2年4月に施行された「東京都犯罪被害者等支援条例」に基づく支援がおこなわれたのかどうかについてもご説明下さい。
カ 都の告発義務について
2018年(平成30年)9月19日第3回定例会文書質問で、上田は「ご家族のことを鑑みれば「停職6カ月」は規則に則っているとはいえ、あまりに軽いのではないかと考えざるを得ません。教育庁に告発義務がありますが、所見と告発の予定の有無についてお尋ねします。」と質し、「学校において重大事故が発生した場合、刑事訴訟法第239条第2項のとおり、教育委員会や学校は、告発をしなければならないと認識しています。都教育委員会は、今回の事故について、既に関係機関と連携して対応しているところです。」との答弁を頂いています。当然、刑事訴訟法に基づき都は、告発をしていると思い込んでいましたが、なぜ行わなかったのか、時効が到達していない以上今からでも告発すべきと考えますが、その後の対応とご所見をお示し下さい。
キ 部活動の選択の自由について
内川さんは、当初ずっと取り組まれていた体操を続けたく、「体操部」を作りたいと学校に働きかけましたが叶わなかったそうです。オリパラ教育も盛んな時期で、体操は日本の主力種目でもあります。なぜ、生徒の真摯な願いを一蹴したのでしょうか?学習指導要領にもあるように、部活動は学校判断でいかようにもできるはずですし、部活は生徒の自主性を重んじ実施するものであり教員の都合に振り回されるものでもありません。この件の経緯について、決裁者を明確にしてご説明下さい。
2 町田市立小学校6年女児自殺事案について
東京都町田市の小学6年女児が、2020年11月、いじめを訴える遺書を残して自殺した問題で、いじめと自殺の因果関係を再調査する石阪丈一町田市長直轄の第3者委員会は2021年11月22日に初会合を開き、「女児の両親の意向を踏まえた調査を目指す」という方針を確認しました。委員は弁護士や大学教授ら5人で、会合は非公開、終了後に委員長の相川裕弁護士は「調査方法などを決める前に遺族側の話を聞くのを第一歩に考えている」とのことです。
当初町田市教育委員会は2021年3月から調査をし、両親から聞き取りができないことなどを理由に同年10月に「調査継続は困難」との報告書をまとめたことから、市は市長直轄の第3者委員会を設置した経緯があり、当該児童保護者は同年11月4日、調査のやり直しを求める要望書を市教委や市に提出されていました。つまり、市教委や市の対応が極めて不十分であると批判されての行動です。これまでも上田は文書質問で確認をしており、その後の経過について確認させて頂きます。
ア 調査の状況とご遺族への対応を含めた対応状況・課題をお示し下さい。
イ 当該児童の保護者の要望書と町田市教育委員会の回答、何をもって当該児童の保護者の「意向を踏まえた」かも含めた対応状況を伺います。
ウ 臨時保護者会にて、当該校長が両親の話とは真逆の説明をし、両親に対し保護者会への参加を拒否したと報じられた件につき、明らかになったことをお示し下さい。
エ 当該児童の保護者は調査依頼を学校及び、町田市教育委員会にいつしたのか、また保護者へ解決済と報告した件につき、明らかになったことをお示し下さい。
オ 当該児童の保護者への対応・接遇について伺います。
a 「両親から聞き取りができないことなどを理由」とし「調査継続は困難」としたということですが、報道・記者会見等の当該児童の保護者の見解と相違しております。どのような、経緯があったのかご説明下さい。
b 第3者委員会の委員人選について、なぜ当該児童の保護者の要望が反映されなかったか理由と経緯を伺います。
カ 子どもの人権を度外視した、パスワード設定、その後の後手対応により尊い命が失われた事実を踏まえ、当該教員、管理職及び学校長(当時)の服務監察、懲戒処分、研修について明らかになったことをお示し下さい。
キ 学習端末の中傷を何者かが削除し操作者特定が困難であるとのことです。証拠物の取り扱いが適切だったのか、不適切だったのか、明らかになったことをお示し下さい。

二 オリンピック・パラリンピックのレガシーについて
1 東京都パラスポーツ次世代育成発掘プログラムについて
墨田工業高校重大事故で深刻な障がいを負った内川起龍さんは、公開された刑事裁判意見陳述の中で「他のいくつかの病院では、医師からは、「悪くなる事はあっても、良くなる事はない。」と言われました。
この間の8月に東京で開催されたパラリンピックを見て私は愕然としました。
出場していた選手の障害の程度が皆、私より軽かったからです。3年前頃、私は、東京都パラリンピック選手発掘プロジェクトにも参加したとき、担当者からは、「できる競技に関して、障害者協会に相談して、連絡します。」と言われたまま、未だに連絡はありません。」と、語られています。東京都の教育事業で、障がい者にさせてしまったにも関わらず、夢をもって同事業に申し込んでくれたというのに、なんら連絡もしないとは、許しがたく強い憤りを感じております。このような対応は、五輪憲章及び、社会福祉・障がい者支援・社会参加を促進しソーシャル・インクルージョン(共生社会)の実現を目指すパラリンピックの理念にも著しく反するものではないでしょうか。ついては以下につき伺います。
ア 同事業の目的と実施主体についてご説明下さい。
イ 同事業が開始された経緯と現在までの実績をご説明下さい。
ウ 同事業の応募者に対して採否に関わらず、結果を通知しているのか応募から通知までの時系列のフローをご説明下さい。
エ 同事業につき内川起龍さんの申請から今日まで何ら通知をしていない経緯、申し込みにあたり墨田工業高校の事故について都は把握していなかったのか、恣意的に放置したのかも含め、ご説明下さい。
オ 応募者全員が採用されるわけにはいかないにしても、パラスポーツに興味を持った障がい当事者がアプローチをしてきたのですから、何らかの形でパラスポーツにつながれるような配慮はなかったのか? 今後はどうするのかも含めてご所見を伺います。
カ 同事業において、重度の障がいを持っていても参加できる、障がい者権利条約第30条「文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加」に基づいた見直しを求めるものですが所見を伺います。
2 オリンピック・パラリンピック競技大会後の組織体制について
ア 大会終了後、都から公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に出向した職員が復帰してきますが、その人数と時期について現状と今後の見通しをお示し下さい。
イ 復帰に伴う総人件費への影響額の見込みをお示し下さい。
ウ オリンピック・パラリンピック準備局については、当然、解体・廃止も含め組織の縮小は見込まれますが、検討状況と今後の方向性をお示し下さい。
エ 他の自治体では、スポーツ行政部門を教育委員会や、生涯学習部門が所管するものが散見されます。都のスポーツ行政については教育委員会や生活文化局のほか、区市町村に移管できるものや、民営化できるものがないか、検討すべきと考えますがご所見をお示し下さい。
オ 復帰職員は、例えば課題山積の児童相談所やコロナ対策に忙殺された保健所等、慢性的に人員不足に悩んでいる部署へ配置すべきと考えますが所見を伺います。

三 行政のデジタル化の推進について
1 新型コロナウイルス感染症対策サイトについて
令和3年3月3日に公開をした新型コロナウイルス感染症対策サイトは、一般社団法人コードフォージャパンが受託し、当初副知事鳴り物入りとマスコミに取り上げられましたが、データを扱うIT技術のある層には玄人受けしても、中高年、一般都民にとっては非常にわかりづらく、区市町村サイトの方が断然わかりやすいという声も多々私のところに届いております。ちなみに、コードフォージャパン代表は、宮坂学副知事が、かつて社長を務めたヤフー株式会社の元社員です。つきましては以下について、お尋ねいたします。
ア 同社と宮坂学副知事は就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に確認致します。
イ 同社が参加した、入札の状況につき、入札参加可能事業者数、落札時期と内容の詳細について時系列でご説明下さい。
ウ 同サイトにつき、同社へこれまで初期経費と運営経費にわけて、いくら支出してきたのか、今後の支払い見込みも含め伺います。
2 医療従事者ワクチン接種予約システムについて
予約システムの構築・運用業務は、競争入札により、「株式会社デジタルガレージ」に16,506,875円で委託しています。現在、医療従事者の3度目の集団接種につき補正予算があがってきていますことから、情報漏洩などの重大過失事故を防ぐためにも以下確認致します。
ア 同社と宮坂学副知事は就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に確認致します。
イ 同社が参加した、入札等の状況につき、入札等参加可能事業者数、落札等時期と内容の詳細について時系列でご説明下さい。
ウ 同サイトにつき、同社へのこれまでの初期経費と運営経費に分け、支出の内訳をお示し下さい。その後追加など発生していないか、個人情報流出にかかるペナルティは課さなかったのか、課していないのであればその理由を、課しているのなら金額と積算根拠もお示し下さい。
3 営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金に係る運営事務局業務について
同システムについて、博報堂へ巨額を投じているにも関わらず遅配等のトラブルが多発し、事業者へ多大なるご迷惑をおかけしました。度々にわたり、私は指摘を続けた結果、「委託事業者については、2020年4月の協力金制度の開始以降、円滑に業務を遂行するため、構築した体制やノウハウを活かせる同一事業者に委託してきましたが、2021年10月1日から同年10月24日までのリバウンド防止措置期間における協力金については、より一層の支給迅速化を図るため、要請期間終了直後からの申請受付開始に対応できる事業者に委託しています。」との答弁を得て、委託先はトランスコスモス株式会社であることが判明しました。以下につき確認いたします。
ア 同社と宮坂学副知事は就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に確認致します。
イ この契約につき「新型コロナウイルス感染症への対応に係る調達で、緊急を要するものについては、「随意契約」による調達が認められておりまして、協力金の支給事務においては、協力金の迅速な支給により要請の実効性を高めることが重要であることから、短期間で十分な事業執行体制が構築可能な事業者を選定し、特命随意契約を行っております。」とのことでしたが、この事業者を選定した理由と経緯、決裁者、見積もりをとらなかったのか?も含め詳細につきご説明下さい。
ウ 同サイトにつき、同社へこれまで初期経費と運営経費にわけて、いくら支出したのか、伺います。
4 TOKYOワクションについて
約10億円もかけ、株式会社博報堂に委託契約した若年層向け「新型コロナウイルスワクチン接種推進キャンペーン事業」、「TOKYOワクション」について、かねてより私は、そもそも必要性に乏しい、接種率が7割を超えたのだから中止をすべきであると指摘をさせていただいておりました。また、同事業はLINE株式会社のサービスを利用していますが、同社は、度々の個人情報流出事件を起こしています。2021年12月7日には、系列会社「LINE(ライン)ペイ」株式会社では、国内外の約13万件の決済金額などの情報が漏洩し、インターネット上で一時閲覧できる状態になっていることが明らかになっています。一方LINE株式会社では、2021年3月に中国の関連会社から利用者の情報が閲覧可能になっていたことが発覚し、データの運用指針を改定したばかりでした。このデータ管理の不備は、中国の関連会社を通じて中国当局が利用者情報を収集する可能性があったほか、画像や動画ファイルを韓国で保管しながらも、中央省庁などに「日本の利用者のデータは国内で保管してある」と虚偽の説明をするなどしていたことも報道されています。LINEペイでも取引情報を韓国で保管していたとのことで、東京都がこのサービスを利用していることに、都民の個人情報について保持できるのか危惧するものです。
ついては以下確認致します。
ア 博報堂、LINE社と宮坂学副知事は就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に確認致します。
イ この2社を採用・選定するまでの、入札等の状況につき、入札参加可能事業者数、落札時期あるいは選定した時期と内容の詳細、決裁者等について時系列でご説明下さい。
ウ 約10億円の予算を計上していましたが、これまでの執行状況について、同社へこれまで初期経費と運営経費にわけて、いくら支出したのか、内訳の詳細のご説明をお願いいたします。
エ 申請者の本人確認システムにつき伺います。
a 本人確認をどのような手法・技術・手順で行っているのか、この作業にこの予算をいくら支出しているのか、確認します。
b 第三者による「なりすまし」をどのように防止しているのか、伺います。
c 「LINEで応募 TOKYOワクション キャンペーン概要」の「情報の取り扱いについて」には「TOKYOワクション」は、LINE社の「LINEで応募」機能を利用して実施するとされています。LINE社が本人確認書類とコロナワクチンの接種記録の情報をスマホのLINEアプリから収集し、東京都に当該情報を提供しないと東京都は「TOKYOワクション」の住民の確認と特典提供などのためのデータベースに登録できないことから、都民の個人情報を同社が結果的に管理することになり情報漏洩が再度行われないか危惧するものですが、この点についての対応策を伺います。
オ 2021年4月30日付の内閣官房・個人情報保護委員会・金融庁・総務省の「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」ですが、同ガイドラインは、国・自治体がLINEの行政サービスで国民の個人情報や機密情報を取扱う場合には、(1)監督官庁のセキュリティポリシーに適合することと、(2)LINE社以外の事業者にシステムを構築させ、当該システム上で個人情報・機密情報の保存などをすることを要求するものです。東京都の「TOKYOワクション」は、(1)(2)を満たしているのか、いないのか、満たしていなかったとしたらどのように、セキュリティを徹底できているのかうかがいます。
カ 東京都個人情報保護条例第7条第1項および第2項には「実施機関は、保有個人情報を取り扱う事務の目的を達成するため、保有個人情報を正確かつ最新の状態に保つよう努めなければならない。2 実施機関は、保有個人情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の保有個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じなければならない。」とあります。LINE社サービス利用による、都民の個人情報管理において、同条例が順守できているのか、順守するためにどのような手立てを講じているのか、順守できていないとすればどのような対応をするのか、確認いたします。
キ 新型コロナウイルス感染症から都民の命を守るためのはずの同事業において、コロナ対策に名を借りた特定企業に有利に働くようなLINEアカウントを増やすことが自己目的化していないか、デジタルサービス局長に伺います。(「なか2656のblog」https://www.naka2656-b.site/archives/31016041.htmlを参照)
5 システムの不具合へのペナルティについて
新型コロナウイルス対策にかかるシステムは、都民の命と、事業者の経済活動に直結するものですから、不正利用はもちろんのこと不具合や情報漏洩などは一度たりとも許されないものです。瑕疵をおかした事業者へ私はペナルティを課すべきと質したところ「契約書及び仕様書に基づき、申請や審査の過程で問題が発生した際は、都度、事業者から原因と解決策等を提出させ、迅速かつ適切に対応しておりまして、これまで、事業者に対してお話のようなペナルティを課した事例はございません。」とのことですが、このようなことが民間ではありえず、今の都の「無罪放免」の対応状況では事業者は反省することもなくミスを繰り返すことを危惧します。デジタルサービス局を所管する宮坂副知事において、反省を踏まえ、業者選定に過ちがなかったのか、これまでのシステムエラー、情報漏洩、事業者にペナルティを課してこなかったことにつき、今後再発防止をどうするかも踏まえ所見を伺います。
6 政策企画局職員及び戦略政策情報推進本部職員の業務処理不適正事故について
2021年2月10日付懲戒処分ですが、「事故者Aは、令和2年2月から同年3月までの間、委託業者に対して、必要な契約手続を経ることなく、契約外の業務の実施を指示した。事故者Bは、前記の業者の下請け業者に対して、本来は業者間で取り決める予算額をあらかじめ示し、委託業務の調整を行った。」とのことです。ついては、以下伺います。
ア 事故の発覚の経過と事故の詳細につきご説明下さい。
イ 事故者の採用時期と職種、採用の経緯をお示し下さい。
ウ 事故者は、利害関係人と接触していないのか、その中には、宮坂学副知事が含まれていないのか確認致します。
エ 再発防止に向けた対応状況、所見について政策企画局長の所見を伺います。

四 知事のトップマネジメント・ガバナンスについて
1 木下富美子元都議の辞職について
私は2021年10月11日提出文書質問にて、以下を質しました。
「令和3年8月19日都議会第二回臨時会にて私は、非違行為を犯した木下ふみこ都議の応援、抜てきをした政治責任と説明責任につき、知事の所見を確認したところ「お話の都議の事案についてでございますが、起こした本人がしかるべき対処すべきもの、このように考えます。」と、まったく都民への説明責任も果たさず、政治責任も放棄する無責任な答弁をされました。令和3年9月17日知事定例会見で記者に
記者「元都民ファーストの会のですね、木下ふみこ都議、本日、警視庁に書類送検されました。改めて伺うんですが、無免許事故、さらに救護義務違反、加えて今回5月とか6月にもですね、無免許運転していたということのようです。知事としてこういった行為をですね、どういうふうに改めてお考えになられるか。それから、こうした人物をですね、知事、今回の都議選の最終日に激励に行かれました。そういったことの悔いとかですね、反省とか、有権者への申し訳ないなっていうような気持ちありましたら、ちょっとお願いいたします。」
と、木下都議が書類送検されたことについて問われたところ、
知事「私自身は、そういった方を応援したっていうのは大変恥じるべきことだなと思っております。またやはりそういった、何ていうんでしょう、範を示すべき人が、そうでないこと、その逆をずっといくというのは、やっぱりこの世の中、厳しいの1点に尽きると思いますので、そのことをしっかり自身で受け止めて判断されることを期待しております。」
と小池知事は答えました。
つきましては、何を「大変恥じるべきこと」なのか、小池知事ご自身が何を誰に対して恥じているのかお答えください。また、「そのことをしっかり自身で受け止めて判断されることを期待」と述べていますが、木下ふみこ都議が何を「しっかり自身で受け止めて」何を「判断」されるべきとお考えなのでしょうか。起訴相当の意見付きで現職都議が異例の書類送検をされ、確実に自動車運転致傷罪や道路交通法違反を犯しながら、議会を欠席し続けているにも関わらず、都民の血税から今日現在報酬約1,872,567円、政務活動費100万円、総額約287万円を得て、今後も報酬が発生しつづける木下ふみこ都議を都政に送り出し、応援した小池知事として具体的に政治責任をふまえてご説明下さい。」
これに対し、小池百合子知事は2021年11月19日に「このたびの都議の事案については、起こした本人がしかるべく対処すべきものであり、既に都議会や会見の場で申し上げております。」と、当方へ回答をしました。再三再四にわたる私の確認において、知事は木下元都議とのやり取り他事実関係について認めませんでした。しかし、同年11月22日の木下元都議の記者会見にて、私への答弁に反する新事実が明らかになりました。
「小池都知事とお話をする機会を得ました。ここはいったん退いて、今回の交通事故の解決に専念されたらどうかとのご助言をいただき、また、これで人生が終わるわけではなく、今回の不祥事を反省し、再出発するときには相談に乗るというお話もいただきました。
小池都知事は私の政治の師であり、政治の舞台へのきっかけをつくってくださった方です。不祥事を起こし、大変なご迷惑をお掛けしました私を親身に考えてくださること、本当にありがたいと思っております。支援者の方々ともあらためてお話をし、小池都知事のご助言も踏まえました上で深く考え、今回、都議会議員の職を辞する決断にいたりました。」と、木下元都議が語ったのです。
つまり、同年10月中に木下元都議と接触していたにも関わらず、その点について同年11月19日の都民の代表たる東京都議会議員への答弁には全く触れておりませんでした。虚偽または、事実の隠蔽との批判は免れないのではないでしょうか?
答弁を受けた、私としては憤りを禁じえません。つきましては、今一度、木下元都議との接触、やりとりを含め、都民ファーストの会特別顧問として、応援した東京都知事として政治責任につき時系列で具体的に知事ご自身がご説明下さい。
2 「過度の疲労」による長期静養について
小池知事は、2021年6月につづき、同年10月28日から同年11月21日迄欠勤されました。コロナ禍にあり予算編成、各種団体や区市町村長の予算要望等が届く都民、都政事業を遅滞なく進める重要な期間でもありました。登庁していない間テレワークもされる時もあったとのことです。ついては以下につき小池百合子東京都知事に伺います。
ア テレワークをしていた、月日と時間数、内容につきご報告下さい。
イ モニタリング会議等、テレワークで参加も十分に可能であったはずですが、なぜ参加されなかったのでしょうか?ご説明下さい。
ウ テレワークで参加された会議はあったのでしょうか、あったとしたらどのような会議であったかお示し下さい。
エ 知事職の激務に耐えうるご体調なのか、都民を代表して確認いたします。

令和3年第四回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 教育政策について
1 東京都立墨田工業高校プール事故について
ア 事故発生時から、今日に至るまで、内川さん・保護者等被害者側への対応、サポート、フォローアップをしたのか、年月日を入れて時系列で詳細を伺う。

回答
事故発生後、学校及び都教育委員会は、当該生徒及び保護者に謝罪し、事故の経緯などについて説明するとともに、心情に寄り添いながら丁寧な対応や支援に努めてきました。
その後も、教員等が病院を訪問し、学校の様子を伝えるとともに、当該生徒及び保護者の要望を真摯に受け止めて対応してきました。
なお、詳細につきましては、個人情報に該当することや民事訴訟係属中であることからお答えできません。

質問事項
一の1のイ 加害教員への服務監察・懲戒処分、その後の研修、勤怠実績、現状に至るまでの経過を報告のうえ、その理由や決定権者について具体的に伺う。また、これまでの加害教員の指導能力と評価、過去に服務事故、トラブルが報告されていないかについても伺う。

回答
個別の教職員の身分の取扱いに係る情報等については、お答えできません。

質問事項
一の1のウ 事故当日について
a なぜ、体育の2時限目が水泳となったのか、当日の体育指導案はどのようになっていたのか、伺う。

回答
学校では、年度当初に年間授業計画の作成が義務付けられており、当該クラスは水泳の実施が計画されていました。

質問事項
一の1のウのb 水泳指導において、プールの水位について、各学校や教職員にどのような指導をしているのか、また、具体的な基準や指針があれば伺う。

回答
毎年、「安全な指導のための講習会」を開催し、各学校の水泳に関わる担当者や区市町村教育委員会に対し、水泳学習において、児童・生徒の体格や泳力を踏まえ、学習のねらいや学習活動に応じた水位で指導することが重要であることを周知しています。

質問事項
一の1のウのc 本件では明らかに危険な水位しか無かったにも関わらず、水泳授業及び指導をなぜ行ったのか。また管理職は把握していたのか、誰が、プール使用を許可したのか学校管理権に基づき伺う。

回答
当該教員個人の心情に関する内容については、お答えできません。
管理職は、年間授業計画において、水泳の実施が計画されていることを把握していました。

質問事項
一の1のウのd 事故が起こった日の体育の授業1限目から発生、発生直後の対応について具体的に、誰がどう動いたのか、事故時内川さんを誰が救援したか等も含め、伺う。

回答
事故発生後、学校は、救急車を要請する等、迅速な救助に努めました。
詳細につきましては、個人情報に該当することや民事訴訟係属中であることからお答えできません。

質問事項
一の1のウのe 通常より低い水位の上、デッキブラシを使用しての飛び込み指導は明らかに不適切な指導と思料するが、誰の判断でいかなる理由でデッキブラシを使用するに至ったのか、管理職は把握していたのかも含め詳細を伺う。

回答
都教育委員会及び学校が事故後に行った聞き取りの中で、当該教員が、水泳授業において、デッキブラシを使用し、飛び越えるよう指示したことを把握しました。
その他、当該教員個人の心情に関する内容については、お答えできません。

質問事項
一の1のウのf デッキブラシの使用を都教育委員会はいつどのような形で把握したのか、加害教員はいつ自ら報告をしたのか、事故報告書提出までの経過を年月日時間もいれた時系列で伺う。

回答
学校から事故発生当日、都教育委員会に対して事故発生の報告がありました。
また、都教育委員会及び学校は、当該教員からの聞き取りの中で、デッキブラシを使用した指導を行っていたことを把握しました。
事故報告書は、平成28年9月に提出されました。

質問事項
一の1のウのg 加害教員は、デッキブラシを使ってどのような飛び込み指導がしたかったのか、他の生徒から指摘があったのになぜ聞く耳をもたなかったのか、なぜ内川さんに強要したのか、事前の飛び込み指導はしていなかったはずなのに、していたとの報告をしたのか、伺う。

回答
当該教員はデッキブラシを飛び越えさせる指導を行っていました。
その他、当該教員個人の心情に関する内容については、お答えできません。

質問事項
一の1のウのh なぜ加害教員がいち早く救助しなかったのか、水泳指導指針に反することはなかったのか、根拠を踏まえて伺う。

回答
事故発生後、学校は、救急車を要請する等、迅速な救助に努めました。
当該教員個人の心情に関する内容については、お答えできません。

質問事項
一の1のウのi そもそも、デッキブラシを持ち出さなければ当然発生しなかったはずの大事故だが、その経緯について事実を踏まえた所見を伺う。

回答
今般、都立墨田工業高等学校において教員の不適切な指導により重大事故が発生したことについて、重く受け止めています。
今後とも、体育的活動における事故の未然防止を徹底していきます。

質問事項
一の1のウのj 救急車はいつだれが呼びいつ到着したのか、デッキブラシ使用の事実をその時に学校管理職は把握していたのかも含め、時系列で伺う。

回答
事故発生後、学校は、救急車を要請し、迅速な救助に努めました。
学校は、当該教員等からの事故後の聞き取りの中で、デッキブラシを使用した指導を行っていたことを把握しました。

質問事項
一の1のウのk デッキブラシのことを加害教員は救急隊員に伝えず生徒の責任とした事実があるのか、あったとすれば、なぜこのような説明をするに至ったのか、この言動に関して服務監察を踏まえた見解を伺う。

回答
個別の教職員の服務に関する事項については、お答えできません。

質問事項
一の1のウのl 加害教員はデッキブラシのことには触れずに「言い訳になりますが、危険のないフラットスタートを教えていた。指先が下をむいてパイクスタートになった。卒業はできる。担当教員もおり、就職は障がい者枠で入れるから大丈夫。保険はかけているか。母子家庭だから父親にも連絡した方がいいのではないか」と発言したとのことだが、その点について把握しているか伺う。把握しているとすれば、どのような対応を加害教員と内川さん親子にしたのかを含めて、見解を伺う。

回答
個人のプライバシーに関わる内容であるため、お答えできません。

質問事項
一の1のウのm なぜ、速やかに保護者への説明もせず、記憶が新しいうちに都教育委員会は事実確認・把握をすぐに行わなかったのか、伺う。

回答
学校は、事故発生時から事故の状況や事故の原因となった指導内容及び方法等を把握するため、当該教員及び関係者から聴取を実施しています。
都教育委員会は、速やかに報告を受けるとともに、学校と連携しながら事実の把握や確認に努めました。
把握した状況を基に校長は、保護者に対して事故の経過説明及び謝罪を行いました。

質問事項
一の1のエ 2016年7月21日に学校で事故中間報告を保護者へした後、9月に事故報告書類を受けるまで連絡していなかったようだが、この2か月間は何をしていたのか。その後の都教育委員会、当該校における事故調査・検証の経緯と加害教員への対応をあわせ時系列で伺う。

回答
学校は、事故発生直後から、管理職や教員等がこまめに病院を訪問し、お見舞いや学校の様子を伝え、また、要望を聞き取るなどの丁寧な対応を行いました。
また、学校及び都教育委員会は、事故当日の状況を詳細に把握するため、当該教員に加え、関係者からそれぞれ聴取を実施していました。

質問事項
一の1のオ 被害者に対して、警察への被害届の提出や刑事告訴の選択肢を都は提示し、提訴の有無にかかわらず積極的に被害者の持っている権力行使の支援を行うべきであったが、令和2年4月に施行された「東京都犯罪被害者等支援条例」に基づく支援がおこなわれたのかどうか伺う。

回答 
事故発生後、都教育委員会及び学校は、警察と連携し、必要な協力を行うとともに、事故報告書を提出しました。

質問事項
一の1のカ 平成30年第三回定例会文書質問で、「学校において重大事故が発生した場合、刑事訴訟法第239条第2項のとおり、教育委員会や学校は、告発をしなければならないと認識しています。都教育委員会は、今回の事故について、既に関係機関と連携して対応しているところです。」との答弁があったが、なぜ刑事告発を行わなかったのか、時効が到達していない以上今からでも告発すべきだが、その後の対応と見解を伺う。

回答
これまで都教育委員会及び学校は、警察からの要請に応じ、協力を行うとともに、事故の詳細について報告するなど適切に対応してきました。

質問事項
一の1のキ 内川さんは、体操部を作りたいと学校に働きかけたが叶わなかったとのことだが、学習指導要領にもあるように、部活動は学校判断でいかようにもでき、生徒の自主性を重んじ実施するものであり、教員の都合に振り回されるものでもないが、この件の経緯について、決裁者を明確にした見解を伺う。

回答
学校における部活動の設置については、学校長が部員数、顧問教諭、練習場所などを総合的に判断して決定しています。 

質問事項
一の2 町田市立小学校6年女児自殺事案について
ア 調査の状況と遺族への対応を含めた対応状況・課題について伺う。

回答
調査等につきましては、町田市長の附属機関である町田市いじめ問題調査委員会により、行われていると承知しています。

質問事項
一の2のイ 当該児童の保護者の要望書と町田市教育委員会の回答、何をもって当該児童の保護者の「意向を踏まえた」かも含めた対応状況について伺う。

回答
町田市長の附属機関である町田市いじめ問題調査委員会において、今後、調査が行われるものと考えています。

質問事項
一の2のウ 臨時保護者会にて、当該校長が両親の話とは真逆の説明をし、両親に対し保護者会への参加を拒否したと報じられた件について伺う。

回答
町田市長の附属機関である町田市いじめ問題調査委員会において、今後、調査が行われるものと考えています。

質問事項
一の2のエ 当該児童の保護者は、調査依頼を学校及び町田市教育委員会にいつしたのか、また保護者へ解決済と報告した件について伺う。

回答
町田市教育委員会は、町田市長に対し、重大事態調査経過報告書を提出し、町田市長は、市長の附属機関として町田市いじめ問題調査委員会を設置しております。
今後、町田市いじめ問題調査委員会において、調査が行われるものと考えています。

質問事項
一の2のオ 当該児童の保護者への対応・接遇について
a 「両親から聞き取りができないことなどを理由」とし「調査継続は困難」としたということだが、報道・記者会見等の当該児童の保護者の見解と相違している。どのような経緯があったのか伺う。

回答
町田市長の附属機関である町田市いじめ問題調査委員会において、今後、調査が行われるものと考えています。

質問事項
一の2のオのb 第三者委員会の委員人選について、なぜ当該児童の保護者の要望が反映されなかったか理由と経緯について伺う。

回答
調査委員会委員の人選については、町田市において行われたものです。

質問事項
一の2のカ 子どもの人権を度外視した、パスワード設定、その後の後手対応により尊い命が失われた事実を踏まえ、当該教員、管理職及び学校長(当時)の服務監察、懲戒処分、研修について伺う。

回答
町田市による調査を受けて、内容に応じて町田市教育委員会と連携して適切に対応していきます。

質問事項
一の2のキ 学習端末の中傷を何者かが削除し操作者特定が困難であるとのことだが、証拠物の取り扱いが適切だったのか、不適切だったのかについて伺う。

回答
町田市長の附属機関である町田市いじめ問題調査委員会において、今後、調査が行われるものと考えています。

質問事項
二 オリンピック・パラリンピックのレガシーについて
1 東京都パラスポーツ次世代育成発掘プログラムについて
ア 同事業の目的と実施主体について伺う。

回答
都は平成27年度から、東京都障害者スポーツ協会と共催で、パラリンピック等の国際大会で活躍する選手を輩出するため、選手発掘事業を実施しています。この事業では、専門家による一人ひとりに合った競技スポーツについての助言や各競技の体験機会等を提供しています。

質問事項
二の1のイ 同事業が開始された経緯と現在までの実績について伺う。

回答
都は平成27年度に、東京2020パラリンピック競技大会に向けて一人でも多くの東京ゆかりの選手を発掘するため、「東京都障害者スポーツ選手発掘事業」を開始しました。
平成31年度からは、大会後を見据えて、国際大会を目指すパラスポーツの次世代を担う選手を発掘するため「障害者スポーツ次世代ホープ選手発掘事業」として実施しています。両事業を通算して、これまでに競技体験会を19回開催、延べ1,325名が参加しています。
なお、この事業をきっかけに競技活動を始めた方の中から、東京2020パラリンピック競技大会に4名の代表選手を輩出しました。

質問事項
二の1のウ 同事業の応募者に対して採否に関わらず、結果を通知しているのか応募から通知までの時系列のフローについて伺う。

回答
本事業の競技体験会では、希望する方全員に御参加いただいています。
また、競技体験会に参加された全ての方に対して、本格的な競技活動につなげるため、障害種別に応じて参加できる競技の練習会を御案内しています。
参加者は、その練習会の中から希望の競技を選択し、東京都障害者スポーツ協会を通じて競技団体に申込みをする仕組みとなっています。その後、東京都障害者スポーツ協会から、申込みをした方に対して、日程や場所等をお知らせしています。

質問事項
二の1のエ 同事業につき内川起龍さんの申請から今日まで何ら通知をしていない経緯、申込にあたり墨田工業高校の事故について都は把握していなかったのか、恣意的に放置したのかも含め、伺う。

回答
本事業の競技体験会には、希望いただいた方全員に御参加いただいており、お尋ねの平成30年度の競技体験会においても、全員に御参加いただいています。
また、本事業への申込みに当たっては、障害種別やスポーツ経験など競技参加に必要な情報を全員にお聞きしていますが、受障の理由などの情報は求めていません。

質問事項
二の1のオ 応募者全員が採用されるわけにはいかないにしても、パラスポーツに興味を持った障がい当事者がアプローチをしてきたのだから、何らかの形でパラスポーツにつながれるような配慮はなかったのか、今後はどうするのかも含め見解を伺う。

回答
本事業は、パラリンピック等の国際大会を目指す方を対象とし、競技活動を始めるきっかけづくりのために実施しています。
お尋ねの平成30年度の競技体験会には、希望する方全員に参加いただいています。また、競技体験会に参加した方のうち、練習会を後日御案内した方については、希望する全ての方に御参加いただいています。
また、上記練習会の参加者に対しては、競技に取り組む上で必要な知識の習得を目的とした講習会や競技団体が行う練習会等について、御案内しています。
その後の参加者の競技活動については、各人の意向に委ねており、東京都障害者スポーツ協会においては、障害のある方からの要望に応じて、スポーツ実施に係る相談に随時応じています。

質問事項
二の1のカ 同事業において、重度の障がいを持っていても参加できる、障がい者権利条約第30条「文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加」に基づいた見直しを求めるが、見解を伺う。

回答
本事業では、様々な競技スポーツへの取組を希望する方を対象としており、希望者全員が競技大会や練習会に参加できるように取り組んでいます。
その中で、例えば、重度脳性麻痺者が参加できるボッチャや、全盲の視覚障害者が参加できる視覚障害者柔道などの競技も体験できます。
なお、パラリンピック等の国際大会を目指して競技活動を行う方以外に、健康増進やレクリエーション等を目的とする方向けにも、都立特別支援学校の体育施設を活用し、重度障害の方も含め障害の程度にかかわらず参加できる体験教室などの機会の提供を行っています。

質問事項
二の2 オリンピック・パラリンピック競技大会後の組織体制について
ア 大会終了後、都から組織委員会に出向した職員が復帰しているが、その人数と時期について現状と今後の見通しについて伺う。

回答
大会終了後、組織委員会への派遣を解除した職員は、令和4年1月1日時点で、約400人です。
引き続き、今後の組織委員会における業務の内容や業務量等を踏まえ、組織委員会と協議を行いながら、段階的に派遣を解除していく予定です。

質問事項
二の2のイ 復帰に伴う総人件費への影響額の見込みについて伺う。

回答
都から組織委員会に派遣している職員の給与については、これまでも、都の歳出予算に計上し、都から直接本人に支給しています。
このため、共済費等の一部の経費を除き、組織委員会への派遣解除に伴う総人件費への影響はありません。

質問事項
二の2のウ オリンピック・パラリンピック準備局については、当然、解体・廃止も含め組織の縮小は見込まれるが、検討状況と今後の方向性について伺う。

回答
都における組織改正については、都政が抱える様々な課題に効果的に対応できるよう、不断の見直しを行っています。
オリンピック・パラリンピック準備局の在り方についても都庁の組織改正全体の中で検討していきます。

質問事項
二の2のエ 他の自治体では、スポーツ行政部門を教育委員会や、生涯学習部門が所管するものが散見されるが、都のスポーツ行政については教育委員会や生活文化局のほか、区市町村に移管できるものや、民営化できるものがないか、検討すべきだが、見解を伺う。

回答
都における組織改正については、都政が抱える様々な課題に効果的に対応できるよう、不断の見直しを行っており、スポーツ行政も含めて、都庁の組織改正全体の中で検討していきます。

質問事項
二の2のオ 復帰職員は、例えば課題山積の児童相談所やコロナ対策に忙殺された保健所等、慢性的に人員不足に悩んでいる部署へ配置すべきだが見解を伺う。

回答
大会終了後、組織委員会への派遣を解除した職員については、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、都政の喫緊の課題を抱える部署へ重点的に配置しています。

質問事項
三 行政のデジタル化の推進について
1 新型コロナウイルス感染症対策サイトについて
ア 新型コロナウイルス感染症対策サイトは、一般社団法人コードフォージャパンが受託したが、同社と宮坂学副知事就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に伺う。

回答
一般社団法人コード・フォー・ジャパンと宮坂副知事との間には、利害関係はありません。

質問事項
三の1のイ 同社が参加した、入札の状況につき、入札参加可能事業者数、落札時期と内容の詳細について時系列で伺う。

回答
対策サイトの初期開発については、令和2年3月2日に、5社による見積競争を行い、一般社団法人コード・フォー・ジャパンと委託契約「新型コロナウイルス感染症対策専用ホームページ作成・運用委託」を締結しました。以降入札に付した案件は以下のとおりです。
・内容:新型コロナウイルス感染症対策専用ホームページ運用等委託
参加事業者数:5社  落札時期:令和2年12月16日
・内容:新型コロナウイルス感染症対策専用ホームページ運用等委託
参加事業者数:5社  落札時期:令和3年3月23日
・内容:新型コロナウイルス感染症対策専用ホームページ運用等委託
参加事業者数:5社  落札時期:令和3年9月29日

質問事項
三の1のウ 同サイトにつき、同社へこれまで初期経費と運営経費にわけて、いくら支出してきたのか、今後の支払い見込みも含めて伺う。

回答
一般社団法人コード・フォー・ジャパンに対する支出の、令和元年度・2年度の決算額及び令和3年度の契約額は以下のとおりです。
・令和元年度・2年度決算額
初期費用:992,200円
運用経費:24,829,200円
・令和3年度契約額
運用経費:17,575,800円

質問事項
三の2 医療従事者ワクチン接種予約システムについて
ア 予約システムの構築・運用業務は、株式会社デジタルガレージに委託しているが、同社と宮坂学副知事は就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に伺う。

回答
株式会社デジタルガレージと宮坂副知事との間には、利害関係はありません。

質問事項
三の2のイ 同社が参加した、入札等の状況につき、入札等参加可能事業者数、落札等時期と内容の詳細について時系列で伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症ワクチン優先接種医療従事者向け予約システムの構築・運用について、令和3年2月12日、5社による見積競争を行い、株式会社デジタルガレージと委託契約を締結しました。
同システムの令和3年度の運用については、システムの全容を熟知し、障害発生時等も迅速な対応が期待できる同社と、医療従事者等への接種完了見込み時期の変更などに応じて、以下のとおり、特命随意契約を締結しました。
・契約期間:令和3年4月1日から同月30日まで
・契約期間:令和3年5月1日から同年6月30日まで
・契約期間:令和3年7月1日から同年8月31日まで

質問事項
三の2のウ 同サイトにつき、同社へのこれまでの初期経費と運営経費に分け、支出の内訳を伺う。また、その後追加など発生していないか、個人情報流出にかかるペナルティは課さなかったのか、課していないのであればその理由を、課しているのなら金額と積算根拠について伺う。

回答
都の株式会社デジタルガレージに対する支出について、令和2年度決算額並びに令和3年度契約額及び支出額は以下のとおりです。
〔1〕令和2年度決算額
 初期経費・運用経費:16,506,875円
〔2〕令和3年度契約額及び支出額
 運用経費:27,369,375円
なお、令和2年度及び令和3年度ともに、契約額からの追加の支出は発生していません。
また、システムの不具合に関して、同社は契約に基づき、ソフトウェアの脆弱性への対策を実施するなどの対応を図っており、ペナルティは課していません。

質問事項
三の3 営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金に係る運営事務局業務について
ア 感染拡大防止時間短縮金申請システムについて、委託先はトランスコスモス株式会社であることが判明したが、同社と宮坂学副知事は就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に伺う。

回答
委託先の事業者と宮坂副知事との間には、利害関係はありません。

質問事項
三の3のイ この契約につき「新型コロナウイルス感染症への対応に係る調達で、緊急を要するものについては、「随意契約」による調達が認められておりまして、協力金の支給事務においては、協力金の迅速な支給により要請の実効性を高めることが重要であることから、短期間で十分な事業執行体制が構築可能な事業者を選定し、特命随意契約を行っております。」とのことだが、事業者を選定した理由と経緯、決裁者、見積りをとらなかったのかも含め伺う。

回答
これまで、都は、利用者の円滑な申請手続と迅速な審査を実現するため、コールセンター業務や給付業務のノウハウを有する民間事業者に委託することで支給の迅速化を図ってきました。
一方で、緊急事態宣言等の要請が続き、それぞれの要請に係る支給事務が重複することで、業務が増大しふくそうすることとなったことから、「10月1日から10月24日までの要請に係る協力金」については、他自治体において協力金支給業務に経験のある事業者に委託することとし、契約事務のルールにのっとって、見積書を徴した上で、産業労働局長が決定し、契約を締結しています。

質問事項
三の3のウ 同サイトにつき、同社へこれまで初期経費と運営経費にわけて、いくら支出したのか、伺う。

回答
「10月1日から10月24日までの要請に係る協力金」の運営事務局に係る業務委託について、契約金額は約9億2千万円となっており、委託した業務は継続中であるため、現段階では支出は行っておりません。

質問事項
三の4 TOKYOワクションについて
ア 株式会社博報堂に委託契約した「TOKYOワクション」は、LINE株式会社のサービスを利用している。博報堂、LINE社と宮坂学副知事は就任以前も含めて、何らかの利害関係を有していないか、副知事に伺う。

回答
株式会社博報堂及びLINE株式会社と宮坂副知事との間には、利害関係はありません。

質問事項
三の4のイ この2社を採用・選定するまでの、入札等の状況につき、入札参加可能事業者数、落札時期あるいは選定した時期と内容の詳細、決裁者等について時系列で伺う。

回答
都は、令和3年9月17日、入札情報サービスにより発注予定を公表し、同月28日に開催した新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業企画・運営業務委託事業者選定審査委員会において、企画提案のあった6者からプレゼンテーションを受け、審査の結果、株式会社博報堂の提案が最も優れていると判断しました。
同月29日、福祉保健局長により同社を選定事業者として決定し、同日、委託契約を締結しました。
なお、LINE株式会社との間に本事業に関する契約関係はありません。

質問事項
三の4のウ 約10億円の予算を計上していたが、これまでの執行状況について、同社へこれまで初期経費と運営経費にわけて、いくら支出したのか、内訳の詳細について伺う。

回答
本事業の契約金額は税込みで約10億円であり、このうち、事業開始当初は実施せず、ワクチンの接種状況等を考慮しながら実施を検討する普及啓発の経費が約4億4千万円となっています。
都は、令和3年度末の契約期間終了後に実施内容を確認した上で、令和3年度予算により委託料を一括で支払うこととしています。

質問事項
三の4のエ 申請者の本人確認システムについて
a 本人確認をどのような手法・技術・手順で行っているのか、この作業にこの予算をいくら支出しているのか、伺う。

回答
利用者がアップロードした接種済証等と本人確認書類の2つの情報を委託事業者が目視で照合した後に、アプリで「登録済み」と表示されます。
委託料は、令和3年度末の契約期間終了後に実施内容を確認した上で、令和3年度予算により一括で支払うことになります。

質問事項
三の4のエのb 第三者による「なりすまし」をどのように防止しているのか、伺う。

回答
接種済証等と本人確認書類の2つの情報を委託事業者が目視で照合した後に、アプリで「登録済み」と表示されます。
これにより、他人の接種済証やネット上の接種済証の画像等を使って登録するなどの不適正な登録を防止しています。

質問事項
三の4のエのc LINE社が本人確認書類とコロナワクチンの接種記録の情報をスマホのLINEアプリから収集し都に当該情報を提供しないと、都は「TOKYOワクション」の住民の確認と特典提供などのためのデータベースに登録できないため、都民の個人情報を同社が結果的に管理することになり情報漏洩が再度行われないか危倶するが、対応策を伺う。

回答
登録される個人情報は、LINE株式会社が保有するサーバを経由しておらず、同社による取得及び同社への提供は行っていません。
本事業で得られた個人情報は、委託事業者である株式会社博報堂が確保する日本国内のサーバに保存するほか、データの経路・保存の暗号化、照合を行う事務所の入退室管理の徹底等の措置を講じ、安全性を担保しています。

質問事項
三の4のオ 2021年4月30日付の「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」には、(1)監督官庁のセキュリティポリシーに適合することと、(2)LINE社以外の事業者にシステムを構築させ、当該システム上で個人情報・機密情報の保存などをすること、とあるが、都の「TOKYOワクシヨン」は、(1)、(2)を満たしているのか、いないのか、満たしていなかったとしたらどのようにセキュリティを徹底できているのか伺う。

回答
国のガイドラインでは、行政主体(政府及び地方公共団体)が個人情報等を外部委託先に提供する際には、各行政主体のセキュリティポリシーへの合致が前提とされています。本委託契約の仕様書では、個人情報の取扱い及びデータの保護措置について定めており、委託事業者に対し、東京都サイバーセキュリティ基本方針及び東京都サイバーセキュリティ対策基準の趣旨を踏まえた業務の履行を求めています。
本事業における個人情報の収集は、委託事業者である株式会社博報堂が構築したシステム上で行われており、個人情報のLINE株式会社による取得及び同社への提供は行っていません。
本事業で得られた個人情報は、委託事業者である株式会社博報堂が確保する日本国内のサーバに保存するほか、データの経路・保存の暗号化、照合を行う事務所の入退室管理の徹底等の措置を講じ、安全性を担保しています。

質問事項
三の4のカ LINE社サービス利用による、都民の個人情報管理において、東京都個人情報保護条例第7条第1項および第2項が順守できているのか、順守するためにどのような手立てを講じているのか、順守できていないとすればどのような対応をするのか、伺う。

回答
本事業における個人情報の収集は、委託事業者である株式会社博報堂が構築したシステム上で行われており、個人情報のLINE株式会社による取得及び同社への提供は行っていません。

質問事項
三の4のキ 新型コロナウイルス感染症から都民の命を守るためのはずの同事業において、コロナ対策に名を借りた特定企業に有利に働くようなLINEアカウントを増やすことが自己目的化していないか伺う。

回答
新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業企画・運営業務委託事業者選定審査委員会において、審査の結果、株式会社博報堂の提案が最も優れていると判断し、同社を委託事業者として決定しました。
本事業では、ワクチン接種の機運醸成を社会全体で進めるため、既に広く普及しているアプリを活用することとしており、同社の提案内容において個人情報の取扱い及びデータの保護措置が適正に行われていることを確認した上で、LINE公式アカウントを利用しています。

質問事項
三の5 新型コロナウイルス対策にかかるシステムについて、業者選定に過ちがなかったのか、これまでのシステムエラー、情報漏洩、事業者にペナルティを課してこなかったことにつき、今後再発防止をどうするかも踏まえ、宮坂副知事の見解を伺う。

回答
事業者の選定に当たっては、地方自治法等の法令にのっとり、透明性等を確保しつつ手続を行っています。
また、システムの不具合については、契約に基づき適切に対応しています。
今後も、各局の取組に対し、デジタルサービス局において最適なデジタルツールの選定や仕様書作成等に関する技術的な助言を行い、質の高いデジタルサービスの提供に努めていきます。

質問事項
三の6 政策企画局職員及び戦略政策情報推進本部職員の業務処理不適正事故について
ア 事故の発覚の経過と事故の詳細について伺う。

回答
本件は、事故の疑いを持った職員が所属長に報告し、発覚しました。
事故の内容は、政策企画局職員が、令和2年2月から同年3月までの間、委託業者に対して、必要な契約手続を経ることなく、契約外の業務の実施を指示したものです。また、戦略政策情報推進本部職員が、上記業者の下請け業者に対して、本来は業者間で取り決める予算額をあらかじめ示し、業務の調整を行ったものです。

質問事項
三の6のイ 事故者の採用時期と職種、採用の経緯について伺う。

回答
事故者の情報については、以下の令和3年2月10日付け職員の懲戒処分等に関する公表資料に記載のとおりであり、その他の情報については事故者の特定につながるおそれがあるため、お答えを差し控えます。
令和3年2月10日付け職員の懲戒処分等に関する公表資料(一部抜粋)
5 政策企画局職員及び戦略政策情報推進本部職員の業務処理不適正事故
(1)懲戒処分の内容等
   事故者
区分 職層 年齢 性別 内容
事故者A 参事 56 女性 減給5分の1・1月
事故者B 副参事 55 男性 訓告

質問事項
三の6のウ 事故者は、利害関係人と接触していないのか、その中には、宮坂学副知事が含まれていないのか伺う。

回答
事故者はそれぞれ業者以外の利害関係者とは接触していません。また、宮坂副知事は利害関係者と接触していません。

質問事項
三の6のエ 再発防止に向けた対応状況、所見について、見解を伺う。

回答
政策企画局、戦略政策情報推進本部所属職員を対象に服務規律の遵守について周知徹底を図るほか、コンプライアンスに関する研修を実施するなど、再発防止に向けた取組を行いました。
引き続き、職員に対して事故の防止に向けた取組を行い、法令遵守等、全体の奉仕者としての意識を更に徹底していきます。

質問事項
四 知事のトップマネジメント・ガバナンスについて
1 木下元都議との接触、やりとりを含め、都民ファーストの会特別顧問として、応援した都知事として、政治責任について時系列で具体的に知事の見解を伺う。

回答
このたびの元都議の事案については、既に都議会や会見の場で申し上げています。

質問事項
四の2 「過度の疲労」による長期静養について
ア テレワークをしていた、月日と時間数、内容について伺う。

回答
11月2日に退院した後、当該週は自宅静養しました。その後のテレワークの期間中については、常に都政に思いを巡らせるとともに、様々な課題について、適時報告を受け、必要な指示をしてきました。

質問事項
四の2のイ モニタリング会議等、テレワークで参加も十分に可能であったはずだが、なぜ参加しなかったのか伺う。

回答
テレワークの期間中、コロナ対策はもとより、都政の様々な課題について、適時報告を受け、都庁職員に必要な指示をするなど、適切に対応してきました。

質問事項
四の2のウ テレワークで参加した会議があったのか、あったとしたらどのような会議であったか伺う。

回答
テレワークの期間中、都政の様々な課題について、適時報告を受け、都庁職員に必要な指示をするなど、適切に対応してきました。

質問事項
四の2のエ 知事職の激務に耐えうるご体調なのか、伺う。

回答
既に疲労も回復し、公務に励んでいます。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 漢人あきこ
質問事項
一 都市計画道路小金井3・4・1号線及び小金井3・4・11号線について
二 ゼロエミッション東京戦略2020 フロンについて
三 コロナ禍で浮き彫りになった生活・住宅支援の課題について
四 人権尊重・男女共同参画の視点からの公的広報のあり方について
五 児童相談所の現状と今後の整備について

一 都市計画道路小金井3・4・1号線及び小金井3・4・11号線について
第四次事業化計画において優先整備路線に選定された小金井3・4・1号線及び小金井3・4・11号線(以下「2路線」)は、国分寺崖線(はけ)と野川を縦断及び横断し、小金井市の宝ともいうべき貴重で大切な自然環境、景観、豊かな生態系を著しく損なうことになる道路計画です。しかし、第3回定例会の文書質問(以下、文書質問)答弁書及び情報公開請求の結果からは、選定時において、2路線について国分寺崖線と野川周辺の自然環境の保全の重要性からの検討や協議が行われたことを示すものはありませんでした。
当該路線を含む一帯は自然再生推進法に基づく「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」の対象区域です。「野川第一・第二調節池地区自然再生事業実施計画(北多摩南部建設事務所作成)」では、「野川第一・第二調節池のある事業対象地区(以下、対象地区)は、北側に国分寺崖線、南側に武蔵野公園、東側に野川公園を配し、さらに多磨霊園や国際基督教大学を含む広大な空間と豊かな緑に囲まれている。都市河川としては自然が残されている野川や、国分寺崖線からの湧水もあり、水と緑と土という環境が一体となって確保されており、都市化されたなかの数少ない貴重な自然環境である。」とし、「この地区で自然再生事業をおこなうことにより、広域的な生物多様性の向上に寄与できる可能性を秘めている。ここに対象地区において自然再生にとりくむ意義がある。」としています。
今年11月「環境概況調査委託報告書」(以下「報告書」)が取りまとめられました。この「報告書」でも、動植物の重要種、在来種が多く確認されたことが記されています。保全、再生すべき生物多様性が、ここには存在しています。「報告書」の「調査結果の考察」では、道路事業による動植物への直接的、間接的影響の可能性を指摘しています。「報告書」は、道路事業が、保全し、再生すべきとされている「都市化されたなかの数少ない貴重な自然環境」に危機をもたらすと、警鐘を鳴らしています。
1 小金井3・4・11号線に関する環境概況調査(動植物)の「報告書」について
ア 「報告書」の市民への公開は現在どのように行われていますか。また今後の予定があれば合わせてお示しください。
イ 11月末に小金井市内に全戸配布された「小金井3・4・11だより」では、「調査結果の考察」については記載がなく、「本調査に関する詳しい情報は、別途、北多摩南部建設事務所のホームページに掲載する予定です」とあり、北多摩南部建設事務所のホームページに「環境調査の詳しい情報」として「環境概況調査報告書抜粋」が掲載されています。しかし、ここにも「報告書」の「5 考察及びモニタリング計画案作成」が全く掲載されていません。その理由を伺います。
ウ 東京都としての「報告書」の評価、および「調査結果の考察」についての見解を明らかにしてください。
エ 東京都は3・4・11号線の道路事業は、「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」と連携するとしています。「報告書」は、当該道路事業が「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」に抵触する可能性を指摘しており、連携の必要性が高まっています。当該道路事業と、「武蔵野公園生物多様性保全利用計画」の検討や「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」との、これまでの連携及び情報の共有の現状と予定を示してください。
2 優先整備路線の選定理由とされる「地域の安全性」の調査について
2路線の選定理由として「周辺の道路に交通が侵入することにより、地域を安心して歩くことができない状況」「生活道路への通過交通の抑制による地域の安全性向上」を挙げながら、文書質問答弁書では、その根拠となる調査資料が示されませんでした。この度、「第四次事業化計画の検討にあたって策定検討会議等で作成・検討された文書のうち、2路線周辺の生活道路に通過交通が侵入していることについて検証した資料」を開示請求したところ、「実施機関では作成及び取得しておらず、存在しない」との結果でした。すなわち、調査も検討も行われていないことが明らかになりました。
改めて、2路線それぞれについて選定理由とした「地域の安全性」の根拠を示してください。
3 優先整備路線の選定にあたっての検討について
ア 「策定検討会議等で作成・検討された文書のうち、2路線の評価・選定に関する資料と記録」を開示請求しましたが、策定検討会議等で2路線について、具体的に俎上にあげ、小金井市と東京都などが意見交換をした形跡はありません。文書質問に対する答弁において都は「策定検討会議などの場で、小金井市を含む区市町と意見交換を行いながら選定し」たとしていますが、具体的にいつ、どのような意見交換が行われたのか、改めてその答弁の根拠をお示しください。
イ 当該2路線を含む一帯は自然再生推進法に基づく「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」の事業対象地区および関連する地区とされ、法に基づいて設置された協議会において全体構想ならびに二度にわたる実施計画が作成され、事業が進められてきました。優先整備路線の選定にあたって、この自然再生事業との整合についてどのように評価・検討されたのかお示しください。

二 ゼロエミッション東京戦略2020 フロンについて
エアコンや冷凍・冷蔵庫に使われる代替フロンは、温室効果がCO2の1万倍にもなり効果的抑制策が求められています。しかし、東京都の温室効果ガスの推移は、2019年に2000年比でCO2排出量は390万トン減少しているのですが、それを相殺するように代替フロンが78万トンから593万トンへ515万トンも増加しています。その結果、温室効果ガスは2000年比で、わずか0.2%の減少にとどまっています。
2016年の東京都環境基本計画では、フロンの削減目標は「2020年度までに2014年度値以下とする」とされていましたが、残念ながら2014年の392万トンから2019年の593万トンへ201万トンも増加しています。フロン対策が十分に取り組まれてこなかった、と言わざるをえません。ここまでフロンを増加させてしまった原因は何かが、改めて問われているのではないでしょうか。
また、何が気候危機対策として有効か、と問うた「ドローダウン」という書物があります。サブタイトルは「地球温暖化を逆転させる100の方法」です。その中では、一番効果があるとされたのはフロンの抑制で、国際的な協定であるキガリ改正を実現し、フロンを廃止できれば0.5℃ほどの抑制効果がある、と指摘しています。
11月のCOP26で提出された各国の目標を実現しても、1.5℃を超えてしまうことは確実で2℃を超えてしまうと言われています。1.5℃目標を実現するためには、フロン抑制・廃止の早急な対策が極めて重要であると考えています。
代替フロンの排出抑制のためには、「生産・消費の削減」「使用時の漏えい抑制」「廃棄時の回収の徹底」「廃棄・再生利用の促進」が求められています。
1 フロンの排出削減が進まなかった理由について
都の役割・責任は、「使用時の漏えい抑制」「廃棄時の回収の徹底」だとされています。
ア 2016から2019年までに、都としてどのような対策をされてきたのかうかがいます。
イ フロン排出量が大幅増加してしまった主な原因はどこにあると考えていますか。
2 「生産・消費の削減」について
ア モントリオール議定書キガリ改正によって「生産・消費の削減(蛇口規制)」が定められましたが、日本は2030年までに何%の削減が求められていますか。
イ 「生産・消費の削減」は国の役割・責任とされていますが、都の果たすべき役割を伺います。
3 使用時の漏えい対策について
使用されている代替フロンの全国の市中ストックは年々増加し、2020年で4億トンを超えているとされており、年間CO2排出量の3分の1にもなっています。この使用されている市中ストックからの漏えいを抑制することが求められています。
代替フロンの排出量は、全国では年間CO2排出量の5%弱、東京都では9.5%とされ、そのうち約7割が使用時の漏えいとされています。
ア 使用時の漏えい対策として、機器を利用する管理者は機器の点検が義務付けられていますが、そのことの認識および実施はどれほど徹底されていますか。
イ 点検実施を確実にするために、どのような対策が取られていますか。
4 廃棄時の回収の対策について
ア 廃棄時の回収が義務付けられているにもかかわらず、漏えいの3割が廃棄時とされています。廃棄・回収時に違法に廃棄される割合は、何割ですか。
イ 廃棄時の漏えいを防ぐため、どのような対策が行われていますか。
ウ 11月9日、改正フロン排出抑制法では初めて東京スバルなどが摘発・書類送検されています。この事件の経緯と評価を伺います。
5 ノンフロン機器の普及について
ア 代替フロンに代わる冷媒による機器の普及が急がれていますが、現在どの程度普及していますか。普及の目標数値はありますか。
イ ノンフロン冷媒は燃焼性や有毒性があり、対策にコストがかかるとされていますが、導入促進へ向けた助成策は行われていますか。
6 東京都のフロン排出量の削減目標について
東京都はゼロエミッション東京戦略において、代替フロンの排出量を2014年比で35%削減としています。他方で政府は今年10月に閣議決定した地球温暖化対策計画では、2030年に約55%削減としました。東京都としても削減目標の引き上げの検討はされていますか。
7 規制チェック体制の強化と経済インセンティブの導入について
ア 使用時と廃棄時の漏えい対策として様々な規制が作られていますが、チェック体制が十分ではないように思われます。チェック体制の強化に向けて、何が求められていると思いますか。
イ 規制だけではなく、管理者などに対してフロン税などの経済的インセンティブが働くことが必要だと思いますが、国で検討が進められていますか。また、東京都では検討していますか。

三 コロナ禍で浮き彫りになった生活・住宅支援の課題について
コロナ禍において、住まいを失う生活困窮者に対して、東京都が民間支援団体の要望も受け止めながら、他の道府県が実施しなかったビジネスホテルの提供事業を行ったことは大きな意義がありました。いわゆる「ハウジング・ファースト」型に近い形の支援になったとも言われています。そして、そのプロセスにおいて、様々な課題が浮き彫りになりました。
各区市の福祉事務所の間では受けられる支援の格差が存在しており、東京都が提供しているビジネスホテルの部屋を提供しているのは、実際には都内の福祉事務所の3分の1ほどです。都として支援の枠組みを用意していても、実際には使うことなく、無料低額宿泊所や自立支援センターしか選択肢を示さない違法な対応を行う自治体が大半です。多くの福祉事務所において、無料低額宿泊所、自立支援センターへの入所が生活保護申請受理の条件とされ、路上に居ただけで、「生活保護申請者に対する疑い」「偏見」が差別的な運用につながり、アパート転宅が長期的に阻まれる状況が頻発しています。東京五輪開催によってホテルの活用が危ぶまれる事態も発生しました。感染人数の減少に伴い、ビジネスホテルの需要回復による空き部屋減少を理由にして、ビジネスホテルの提供を取りやめた福祉事務所も多くあります。東京都は、こうした対応格差と支援実施縮小の実態の把握や、無料低額宿泊所の実態把握を早急に行うべきです。東京都には、この間の実情に即した真摯な検証を行い、今後の対策を改善、充実させていくことが求められています。
1 ホテル提供事業の「事業評価」と今後について
ア 前述のように、各区市の福祉事務所の間での対応格差と支援実施縮小の実態把握、無料低額宿泊所の実態把握を早急に行うべきと考えますが、いかがですか。
イ 来年度予算の要求にあたっての、ホテル提供事業のあり方、効果の検証内容を示してください。
ウ 外部の識者を入れた事業評価について、「前例がない」とのことですが、百年に一度と言われる未曾有のコロナ禍における支援事業として、前例主義ではなく、きちんと開かれた検証作業を行い、今後の対応に活かすことの意義は大きいと考えます。事業評価を行う意思はありませんか。
エ 今回、民間支援者が継続的に支援すれば、生活保護申請からビジネスホテルまたは個室シェルターへ、そしてアパートへという住宅確保の道筋ができたと言えます。コロナの終息後も今回の支援事業を継続する必要があると思いますが、都としてどのように考えていますか。
2 生活保護の広報について
ア 福祉保健局ホームページのトップページの下の欄に「犬と猫の飼い方講習会」などのリンク画像が並んでいますが、ここに「生活保護」も加えませんか。
イ 福祉保健局ホームページの「生活保護制度とは」のページでは、2行目に「生活保護を受けることは国民の権利です。」と書かれ、最後の3行には、「ただし、扶養義務者による扶養の可否等が、保護の要否の判定に影響を及ぼすものではなく、「扶養義務の履行が期待できない」と判断される扶養義務者には、基本的には扶養義務者への直接の照会を行わない取扱いとされています。」と書かれていますが、目立ちません。
例えば、足立区のホームページでは、「生活保護について」の冒頭に大きなカラーの文字で、「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにお住まいの地域を担当する福祉課にご相談ください。扶養義務者の扶養は「保護に優先して行われる」ものと定められており、『保護の要件』とは異なる位置づけのものとして規定されています。要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない場合等は基本的には扶養照会を行いませんので、担当する福祉課にご相談ください。」と書かれ、とりわけ「要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない場合等は基本的には扶養照会を行いません」が強調されています。東京都のホームページでも、こうした表現でわかりやすく書くべきと考えますが、いかがですか。
3 ネットカフェ利用者の調査について
ア 前回2017年の東京都による調査結果は、「チャレンジネット」のその後の取り組みにどのように反映されたのですか。具体的に示してください。
イ 本来なら毎年調査をするべきものです。少なくとも、未曾有のコロナ禍での貧困の拡大とホテル提供事業の実施を踏まえて、このタイミングで再度の調査を行うべきと考えますが、いかがですか。
4 相部屋から個室への転換について
ア 都区の共同事業である自立支援センターの個室化について、各区との協議の場で、いつ議題に載せようと考えているのですか、見通しを示してください。また、23区の足並みを揃えるために、都が行っている働きかけの内容と予定について伺います。
イ 首都圏では、住まいを失った生活困窮者が生活保護を申請した場合、無料低額宿泊所に誘導されることが多くあります。相部屋の場合も多く、人間関係のトラブルが起きやすい点などから、当事者に強い忌避感があります。そのため、現在、個室化が進められていますが、2020年4月1日に施行された厚労省の省令の附則において「個室化は3年間猶予する」との規定が盛り込まれたため、相部屋の解消期限は2022年度末とされています。東京都の条例も同様です。
これについて、都としての相部屋解消のロードマップ、数値目標を示してください。また、解消期限を前倒しする意向はありませんか。
ウ 厚生労働省のホームページには「施設に入ることに同意することが申請の条件ということはありません」と書かれています。東京都のホームページでもこうした表現でわかりやすく書くべきです。いかがですか。
5 都営住宅の拡充について
コロナ禍の貧困の拡大の中、若年単身者向けの都営住宅の必要性がさらに高まっています。都として、60歳未満単身者の入居に向けて入居要件を緩和するつもりはないのか。また、今まで全く進展していない若年単身者向けの都営住宅を新規に建設する意志はありませんか。検討はしていますか。困難だとするなら、何がネックになっているのですか、具体的に示してください。
6 一時生活支援事業との連携を基本とした速やかなアパート転宅について
生活困窮者自立支援事業における一時生活支援事業との連携を基本とした速やかなアパート転宅を行っている福祉事務所があります。他府県では、居住支援法人や非営利団体との連携による公営住宅の利用や、空き部屋など、生活保護利用に限らず生活困窮者が利用できる居宅を提供している事例も多くあります。一時生活支援事業によるアパート借り上げ、居住不安定者等居宅生活移行支援事業などを利用して個室を確保するよう、区市に働きかけ、都としても必要な支援を行なうことを検討してください。いかがですか。

四 人権尊重・男女共同参画の視点からの公的広報のあり方について
東京オリンピック競技大会においては、大会組織委員長が女性差別発言で交替し、開会式をめぐっては、女性差別、障害者差別、民族差別が露見し責任者をはじめ重要な立場にあった関係者が次々に辞任するという事態が発生しました。また、全国的に自治体など公的機関の広報において、女性を性的に消費し差別する表現を指摘され撤回する事例が繰り返されています。公的機関における人権尊重・男女共同参画の研修の強化と、公的広報のあり方に関する認識の共有、手引きの作成などが求められています。
1 東京都は2015年に東京都人権施策推進指針を改定しています。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、「世界一の都市・東京」の実現をめざすとして見直したもので、この指針の「施策展開に当たっての考え方」においても5つの項目の一つとして「公共性の視点」を掲げています。
ア 指針に定める17の人権課題について、総合的あるいは個別テーマに即した手引きを作成するなど、人権に配慮した公的広報のあり方の庁内への周知は行われていますか。
イ 東京都人権施策推進指針は、見直しの契機となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会の終了を受けて、改定するべきだと思いますがいかがですか。
ウ 人権尊重の視点からの広報に関する苦情には、どのように対応しているのか教えてください。
2 内閣府では、性別に基づく固定観念にとらわれない、男女の多様なイメージを社会に浸透させるため、公的機関が広報・出版物等を作成する際に、男女共同参画の視点を自主的に取り入れるよう、2003年に「男女共同参画の視点からの公的広報の手引 みんなに届く広報のために」を発行し、各自治体に配布しています。独自に作成している自治体も多く、豊島区では昨年、社会情勢の変化と「男女共同参画推進条例」の一部改正を受けて「男女共同参画の視点に立った表現ガイドライン」を改定更新しました。
ア 東京都には、独自の手引きなどはありませんが、広報・出版物等に男女平等参画の視点を取り入れるために、どのように対応していますか。また独自の手引きなどを作成するべきだと思いますがいかがですか。
イ 2017年度以降において、生活文化局都民生活部男女平等参画課が把握している、男女平等参画の視点からの広報に関する苦情はありましたか。あれば件数と都の対応を教えてください。

五 児童相談所の現状と今後の整備について
2019年の児童福祉法改正を踏まえ、都の児童相談所の現状と今後の課題について伺います。
1 同改正で児童相談所の管轄区域に係る参酌基準が法的に位置づけられ、それを受けて施行令で地理的条件、人口、交通事情についての基準の内容が示されました。
国が管轄区域に関する参酌基準を定めた趣旨について、都の認識を示してください。
2 国の参酌基準によると、人口については「管轄区域における人口が、基本としておおむね50万人以下であること」とされています。また、この基準の解釈運用については、国は通知『「児童福祉法施行令及び地方自治法施行令の一部を改正する政令」の公布について』(以下、通知)で「管轄人口20万人から100万人までの範囲が目安」とする一方、「管轄人口100万人以下の児童相談所が存する地域についても、児童相談所の新設等により管轄人口をおおむね50万人以下とするような管轄区域の見直しを積極的に検討されたい」とも指摘しています。
ア 現在、管轄区域の人口が100万人を超える児童相談所はどこですか。その管轄する人口、管轄する自治体も併せて示してください。
イ 参酌基準を定めた施行令は2023年4月1日に施行されます。管轄区域の適正化、適法化にむけた都の対応のスケジュールを示してください。
ウ 都立児童相談センターは23区中9区に加え島しょ部を管轄し、管轄区域人口が250万人を超えます。管轄区域内の豊島区が来年、児童相談所を開設する予定であり、また文京区が2025年度に児童相談所を設置する方針とのことですが、いずれにしても管轄人口が法の求める基準を大幅に超過する事態は解消されません。改正法令の施行時期を考え合わせれば、早急に管轄区域の抜本的な見直しが必要です。児童相談センターの管轄区域見直しの考え方と見通しを示してください。
3 都立児童相談所の管轄区域の見直しと深く関わっているのが、児童相談所の区移管の動向です。国は、児童福祉法等において中核市等への児童相談所の設置を促し支援する方針を明示してきましたが、管轄区域の見直しに当たっても、中核市や23区での児童相談所設置を促進するよう求め、通知でも次のように述べています。
「児童相談所は、都道府県、指定都市及び児童相談所設置市が設置するが、子育て支援施策の実施主体でもある基礎自治体が児童相談所を設置した場合は、これら関連部門との連携をより行いやすいと考えられる。
そのため、中核市等を含む地域の児童相談所の管轄区域を見直す場合には、こうした基礎自治体の役割も念頭に置きつつ、まずは当該中核市等が児童相談所設置市に移行することを積極的に検討されたいこと。」
2016年の児童福祉法改正で23区も児童相談所を設置することが可能となり、昨年度は世田谷、江戸川、荒川の3区で、また今年度は港区で区立の児童相談所が開設されました。区立の児童相談所が開設された場合は当該自治体は都児童相談所の管轄区域から外れることになり、都児童相談所の管轄区域の適正化は、区における児童相談所設置の動向によって大きく左右されます。
ア 23区における児童相談所設置の動向を示してください。また、基礎自治体でもある区が児童相談所を自ら設置することについて、都としての基本的な評価、認識を伺います。
イ 23区区長会は、『令和4年度都の施策及び予算に関する要望書』において「児童相談所設置の促進」、「特別区における児童相談所の設置・運営が円滑に行えるよう」にとして、
〔1〕 移管に必要な財源を確実に移譲すること
〔2〕 特別区児童相談所開設にあたっての立ち上げ支援を行うこと
〔3〕 児童養護施設等の相互利用等のための広域調整についても、見直すべき課題が生じるものと見込まれる。開設した4区の事例を活かし、より積極的に協力すること
〔4〕 特別区による児童相談所及び一時保護所の整備に伴う、都の施設の整理・転用について、施設所在区と協議の場を設け、未利用都有地や都の児童相談所等の既存施設等の無償譲渡・貸付、または減免措置等を行い提供すること
を求めています。これらの要望のそれぞれに対する都の認識、考え方を伺います。
ウ 世田谷児童相談所が昨年度、廃止されました。この旧世田谷児童相談所跡地・跡施設の現在の利活用状況と今後の方針を伺います。
4 多摩地域でも児童相談所の管轄区域の見直しは喫緊の課題です。管轄人口が100万人を超える児童相談所はありませんが、杉並区の児童相談所設置で行き場を失う武蔵野市、三鷹市の取り扱い、広大な管轄エリアを抱え、中核市を区域内に有する八王子児童相談所、さらに広大なエリアを有する上に児童相談所の位置が東端に偏った立川児童相談所など、課題が山積しています。
ア 法令改正を受け、三多摩地域の児童相談所の配置についての課題をどう考えますか。
イ 三多摩地域の児童相談所の管轄区域や配置の見直しの方向性を示してください。通知では児童相談所の新設のみならず、支所の配置についても言及していますが、これに対する都の見解も併せて示してください。
5 児童相談体制において、児童相談所と並んで核となるのが一時保護所です。一時保護所の整備状況について、都の児童福祉審議会は答申『新たな児童相談のあり方について』(2020.12.23)において以下のように述べています。
「一時保護所については、平成22年度に168名であった入所定員を令和2年度には237名まで拡充したものの、虐待通告の急増に伴う保護需要の高まりにより保護児童は恒常的に保護所の定員を超過している。
また、平均保護日数は全国の29.4日(平成30年度)を超える41.9日(平成31年度(平成30年度は40.8日))となるなど一時保護所のひっ迫状況が続いている。」
一時保護所の整備拡充、さらにはハード、ソフト両面での処遇の改善もまた喫緊の課題です。
ア 都の一時保護所の一覧(設置場所、定員)を示してください。また、今後、施設数ならびに施設定員を増やす計画があれば示してください。
イ 都の一時保護所における定員超過の状況を伺います。過去5年間の年平均入所率を示してください。
ウ 児童福祉審議会が指摘した「一時保護所のひっ迫状況」を解消していくための、都の基本的な対応方針を示してください。
エ 児童相談所の管轄区域の見直しの中で新たな児童相談所の設置が検討されることとなった場合、一時保護所併設の有無、是非についての考えを伺います。
児童相談所ならびに一時保護所の拡充・整備、管轄区域の適正化は、今や法の求める義務であり、児童相談体制とりわけ児童虐待をはじめとした困難な支援の課題を解決するために欠かせない前提です。また、児童相談所ならびに一時保護所を基礎自治体が設置していく動きは、今後もますます強まるだろうし、後押ししていくべきことでもあります。こうした視点から、積極的で明確な答弁を求めます。

令和3年第四回都議会定例会
漢人あきこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都市計画道路小金井3・4・1号線及び小金井3・4・11号線について
1 小金井3・4・11号線に関する環境概況調査(動植物)の「報告書」について
ア 「報告書」の市民への公開は現在どのように行われているか伺う。また今後の予定があれば合わせて伺う。

回答
都市計画道路小金井3・4・11号線の整備に当たっては、周辺の動植物の生息・生育状況等を把握する基礎的調査として環境概況調査を実施し、環境概況調査報告書を取りまとめました。
本報告書を基に、調査方法や結果の概要を記載した「小金井3・4・11だより」を令和3年11月に小金井市内の全戸に配布し、周知に努めました。
さらに、同年12月より、調査方法や結果の詳細を記載した「環境概況調査報告書の抜粋版」を小金井市役所や武蔵野公園サービスセンターの窓口に閲覧用として配置するとともに、北多摩南部建設事務所のホームページにも掲載し、広く周知に努めています。

質問事項
一の1のイ 11月末に小金井市内に全戸配布された「小金井3・4・11だより」では「調査結果の考察」については記載がなく、北多摩南部建設事務所のホームページに「環境概況調査報告書抜粋」が掲載されているが、ここにも「報告書」の「5 考察及びモニタリング計画案作成」が全く掲載されていない。その理由を伺う。

回答
環境概況調査報告書においては、環境概況調査の結果を取りまとめるとともに、調査結果について考察を行い、モニタリング計画案を作成しています。
令和3年4月に小金井市内の全戸に配布した「小金井3・4・11だより」において「秋頃には調査結果等をお知らせします」としていたため、調査方法や結果の概要を記載した「小金井3・4・11だより」を同年11月に小金井市内の全戸に配布し、周知に努めました。
さらに、同年12月より、調査方法や結果の詳細を掲載した「環境概況調査報告書の抜粋版」を小金井市役所や武蔵野公園サービスセンターの窓口に閲覧用として配置するとともに、北多摩南部建設事務所のホームページにも掲載し、広く周知に努めています。

質問事項
一の1のウ 都としての「報告書」の評価、および「調査結果の考察」についての見解を伺う。

回答
環境概況調査により、小金井3・4・11号線周辺の動植物の生息・生育状況等を把握する基礎的調査が実施できたと認識しています。
また、本報告書においては、現地調査結果等を踏まえ、希少種をはじめとする重要な動植物に関わる生息・生育環境の改変の程度を推定し、生じる影響及びその範囲等について考察を行い、今後、実施すべきモニタリング調査について計画案を作成しています。
今後、環境概況調査等の結果を基に、必要な保全対策の検討を実施するとともに、自然環境や景観に配慮しながら道路構造等の検討を進めることとしています。

質問事項
一の1のエ 都は3・4・11号線の道路事業は、「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」と連携するとしている。「報告書」は、当該道路事業が「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」に抵触する可能性を指摘しており、連携の必要性は高まっている。当該道路事業と、「武蔵野公園生物多様性保全利用計画」の検討や「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」との、これまでの連携及び情報の共有の現状と予定を伺う。

回答
小金井3・4・11号線の整備に当たっては、本路線周辺で実施している「武蔵野公園生物多様性保全利用計画」の検討や「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」と環境概況調査等の結果を適宜、共有するなど連携を図っており、引き続き、情報を共有していきます。
本報告書の調査結果の考察では、例えば植物相において、「道路事業による影響としては、道路構造によっては道路敷地内が直接改変により生育できなくなることのほか、道路周辺が日照や風況などの環境変化が生じるなど間接的影響を受ける可能性がある」としています。
今後は、これまでに共有している情報や環境概況調査等の結果を基に、必要な保全対策の検討を実施するとともに、自然環境や景観に配慮しながら道路構造等の検討を進めることとしています。

質問事項
一の2 2路線の選定理由として「地域の安全性向上」を挙げながら、文書質問答弁書では、その根拠となる調査資料が示されなかった。「2路線周辺の生活道路に通過交通が侵入していることについて検証した資料」を開示請求したところ「存在しない」との結果であり、調査も検討も行われていないことが明らかになった。改めて、2路線それぞれについて選定理由とした「地域の安全性」の根拠を伺う。

回答
連雀通りと東八道路との間では、東西方向の都市計画道路が十分整備されていないことから、連雀通りと小金井街道との交差点などで渋滞が発生しており、はけの道など、周辺の道路に交通が侵入することにより、地域を安心して歩くことができない状況となっています。
こうしたことから、事故削減に向け、通過交通を適切に処理するため、都内で発生している人身事故を踏まえ、人身事故密度が高い住宅エリアの街区を抽出し、その街区に接する都市計画道路を優先性の高い区間としています。
小金井3・4・1号線がこの区間に該当することから、地域の安全性の向上に資する路線として優先整備路線に選定しています。
なお、小金井3・4・11号線については、自動車交通の円滑化の視点で選定しています。

質問事項
一の3 優先整備路線の選定にあたっての検討について
ア 「策定検討会議等で作成・検討された文書のうち、2路線の評価・選定に関する資料と記録」を開示請求したが、策定検討会議等で2路線について、具体的に俎上にあげ、小金井市と東京都などが意見交換をした形跡はない。文書質問に対する答弁において都は「策定検討会議などの場で、小金井市を含む区市町と意見交換を行いながら選定し」たとしているが、具体的にいつ、どのような意見交換が行われたのか、答弁の根拠を伺う。

回答 
「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」の策定に当たり、東京都と小金井市を含む特別区及び26市2町は、合同の策定検討会議を平成25年10月に設置しました。
策定検討会議においては、第2回目の会議で優先整備路線選定の項目と指標について、第5回目で小金井3・4・1号線と小金井3・4・11号線を含む優先整備路線の案について、都と区市町で意見交換しながら、協働で調査検討を進め、第6回目で整備方針を策定しました。

質問事項
一の3のイ 当該2路線を含む一帯は自然再生推進法に基づく「野川第一・第二調節池地区自然再生事業」の事業対象地区および関連する地区とされ、協議会において全体構想・実施計画が作成され、事業が進められてきた。優先整備路線の選定にあたって、この事業との整合についてどのように評価・検討されたのか伺う。

回答 
小金井3・4・1号線、小金井3・4・11号線の2路線については、事業段階において、周辺の自然環境などに配慮し、整備形態等について適切に対応していくことを前提に、優先整備路線として選定しています。

質問事項
二 ゼロエミッション東京戦略2020 フロンについて
1 フロンの排出削減が進まなかった理由について
ア 都の役割・責任は、「使用時の漏えい抑制」「廃棄時の回収の徹底」だとされているが、2016年から2019年までに、都としてどのような対策をしてきたのか伺う。

回答
平成27年にフロン排出抑制法が施行され、管理者や廃棄実施者の責務が明確化されたことから、都では、充填回収業者などへのフロン講習会の開催、中小事業者等への周知を図るため地域商工団体と連携し専門技術を持つアドバイザー派遣などを行ってきました。
また、廃棄時のフロン回収を確実なものとするために、建設リサイクル法に基づく合同パトロールに併せて、解体現場への立入指導を実施するなどの対策を実施してきました。

質問事項
二の1のイ フロン排出量が大幅増加してしまった主な原因はどこにあるか、見解を伺う。

回答
特定フロンはオゾン層を破壊することから、モントリオール議定書により国際的に生産・輸入が禁止され、我が国においては、オゾン層保護法により令和2年までに製造・輸入が禁止されることとなりました。そのため、冷凍冷蔵空調設備等に使用される冷媒の特定フロンから代替フロンへの転換が急速に進み、その結果、代替フロンの排出量が増加してきたものと認識しています。

質問事項
二の2 「生産・消費の削減」について
ア モントリオール議定書キガリ改正によって「生産・消費の削減(蛇口規制)」が定められたが、日本は2030年までに何%の削減が求められているか伺う。

回答
2016年に採択されたモントリオール議定書キガリ改正では、日本を含む先進国は、2011年から2013年までを基準年として、2029年までに70パーセント、2034年までに80パーセント削減することが求められています。

質問事項
二の2のイ 「生産・消費の削減」は国の役割・責任とされているが、都の果たすべき役割を伺う。

回答
フロン排出抑制法では、フロン類の製造・輸入の規制等については国の役割、使用時や廃棄時の排出抑制に係る指導等は都道府県の役割と定められています。加えて、都では、ノンフロン機器の導入を促進するため、中小事業者等に対して補助を行っています。

質問事項
二の3 使用時の漏えい対策について
ア 代替フロン使用時の漏えい対策として、機器を利用する管理者は機器の点検が義務付けられているが、そのことの認識および実施はどれほど徹底されているか伺う。

回答
都が令和2年度に実施したアンケート調査の結果では、国への報告義務がない算定漏えい量CO2換算1,000トン未満の事業者においては、フロン排出抑制法やその内容について知っている事業者が全体の約3割でした。
また、国への報告義務がある大量排出事業者については、法定点検が実施されていることを確認していますが、その他の事業者については、点検が不十分と考えられるものも見受けられました。

質問事項
二の3のイ 点検実施を確実にするために、どのような対策が取られているか伺う。

回答
都では、事業者が確実に冷凍冷蔵空調機器の点検を実施するよう、中小事業者・個人事業主などを対象に商工団体を通じてアドバイザーを派遣し、法の周知徹底・点検等のアドバイスを実施してきました。また、管理者へ立入指導を行うとともに、動画配信により法や機器の適正管理を周知しています。さらに、令和3年度からは、フロン対策モデル事業として、大量排出事業者への技術支援を実施しています。

質問事項
二の4 廃棄時の回収の対策について
ア 廃棄時の回収が義務付けられているにもかかわらず、漏えいの3割が廃棄時とされている。廃棄・回収時に違法に廃棄される割合は、何割か伺う。

回答
国の調査によると、令和元年度における機器廃棄時の全国のフロンの回収率は約38パーセントと推計しており、残りは技術的に回収ができないものと、回収作業が実施されていないものと推定されています。

質問事項
二の4のイ 廃棄時の漏えいを防ぐため、どのような対策が行われているか伺う。

回答
令和2年4月に施行された改正フロン排出抑制法では、解体現場への法に基づく立入指導が可能となったことから、都ではフロンGメンを設置し、解体現場への集中的な立入指導や勧告等の措置を行っています。
また、建物解体業者等に対して説明会を実施し、法改正内容の周知を徹底しています。

質問事項
二の4のウ 11月9日、改正フロン排出抑制法では初めて東京スバルなどが摘発・書類送検されているが、この事件の経緯と評価を伺う。

回答
改正フロン排出抑制法の施行に伴い、都道府県の立入権限が強化され、直罰規定が定められたことから、都では警視庁との連携を強化してきました。本件は、令和3年3月に自動車販売業者の建物解体現場においてフロンの回収が適正に行われていない疑いがあったため、都が立入検査を実施し、みだり放出が確認されたことから、警視庁が捜査した結果、書類送致したものです。本件では、施工主に委託確認書の不交付、解体事業者にみだり放出の違法行為がありました。
これは、フロン排出抑制法改正後、全国で初めて書類送致に至った案件であることから、フロンの不適正処理防止に向けて大きな効果があったと考えています。

質問事項
二の5 ノンフロン機器の普及について
ア 代替フロンに代わる冷媒による機器の普及が急がれているが、現在どの程度普及しているか、普及の目標数値はあるか伺う。

回答
現在、国において、ノンフロン機器の開発や普及が進められていますが、家庭用冷蔵庫・自動販売機等についてはノンフロン冷媒への代替が進んでいる一方、業務用の大型・中型冷蔵庫や業務用エアコンはノンフロン製品の普及が進んでいない状況です。
また、国では、フロン排出抑制法に基づく指定製品制度により、製品区分に応じたノンフロンや低GWPの目標値、目標年度を定めています。

質問事項
二の5のイ ノンフロン冷媒は燃焼性や有毒性があり、対策にコストがかかるとされているが、導入促進へ向けた助成策は行われているか伺う。

回答 
ノンフロン機器の開発や普及は国の役割であり、現在、国が冷媒の開発や機器導入の助成を行っています。都においても、令和元年度から、中小事業者、個人事業主を対象に省エネ型冷凍冷蔵ノンフロンショーケース導入に対する補助事業を実施しています。

質問事項
二の6 都はゼロエミッション東京戦略において、代替フロンの排出量を2014年比で35%削減としているが、政府は今年10月に閣議決定した地球温暖化対策計画で、2030年に約55%削減とした。都としても削減目標の引き上げの検討はしているか伺う。 

回答 
都では、現在、東京都環境基本計画の見直しを行っており、その中でフロン排出量削減目標についても検討しています。

質問事項
二の7 規制チェック体制の強化と経済インセンティブの導入について
ア 使用時と廃棄時の漏えい対策として様々な規制が作られているが、チェック体制が十分ではないように思われる。チェック体制の強化に向けて、何が求められているか、見解を伺う。

回答
フロン排出抑制法では、CO2換算年間1,000トン以上の大量排出事業者は算定漏えい量、充填回収業登録事業者は充填回収量の国への報告が義務付けられています。また、令和2年4月施行の改正フロン排出抑制法では、点検簿の保存や、廃棄時の引取証明書の確認等が義務付けられたほか、都道府県の指導監督権限が強化されるとともに、直罰規定が追加されるなど、チェック体制が強化されました。都では、法に基づき、管理者や廃棄実施者への指導を適切に行っています。

質問事項
二の7のイ 規制だけではなく、管理者などに対してフロン税などの経済的インセンティブが働くことが必要だが、国で検討が進められているか伺う。また、都では検討しているか伺う。

回答
国では、フロン排出量の抑制を図るため、様々な施策の一つとして経済的手法も検討していると聞いています。都は引き続き国の動向を注視していきます。

質問事項
三 コロナ禍で浮き彫りになった生活・住宅支援の課題について
1 ホテル提供事業の「事業評価」と今後について
ア 各区市の福祉事務所の間での対応格差と支援実施縮小の実態把握、無料低額宿泊所の実態把握を早急に行うべきだが、見解を伺う。

回答
福祉事務所では、必要な方に確実に保護を実施するため、関係機関と連携し、相談者の状況を把握して、適切に対応することとされています。
都は、福祉事務所の対応や無料低額宿泊所について、定期的に指導検査等を実施し、実態把握を行っています。

質問事項
三の1のイ 来年度予算の要求にあたっての、ホテル提供事業のあり方、効果の検証内容を伺う。

回答
都は、令和2年度から、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う離職等により住まいを失った方に対して、TOKYOチャレンジネットを活用し、緊急的な一時宿泊場所としてビジネスホテルを提供しています。
令和3年度は、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響が見込まれることや、令和2年度の支援の状況に鑑み、必要経費を確保して対応しています。
令和4年度についても、必要経費を予算案に計上しています。

質問事項
三の1のウ 外部の識者を入れた事業評価について、百年に一度と言われる未曾有のコロナ禍における支援事業として、きちんと開かれた検証作業を行い、今後の対応に活かすことの意義は大きいが、事業評価を行う意思はないか、見解を伺う。

回答
都は、毎年度、予算編成の一環として、財務局が事業局等関係部局と連携し、事業の効率性、実効性を向上させる継続的な取組である事業評価を実施しています。

質問事項
三の1のエ 今回、民間支援者が継続的に支援すれば、生活保護申請からビジネスホテルまたは個室シェルターへ、そしてアパートヘという住宅確保の道筋ができたと言える。コロナの終息後も今回の支援事業を継続するべきだが、見解を伺う。

回答
都は、令和2年度から、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う離職等により住まいを失った方に対して、緊急事態宣言等の期間中に、TOKYOチャレンジネットを活用し、緊急的な一時宿泊場所としてビジネスホテルを提供しています。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況に応じて適切に対応していきます。

質問事項
三の2 生活保護の広報について
ア 福祉保健局ホームページのトップページの下の欄に「犬と猫の飼い方講習会」などのリンク画像が並んでいるが、ここに「生活保護」も加えないか。見解を伺う。

回答
都は、これまで、都民に生活保護制度について広く情報提供するため、ホームページに制度概要等を掲載しています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による生活困窮者向けに、支援情報をまとめて掲載した新型コロナウイルス感染症支援情報ナビにおいても、生活保護制度について情報提供しています。
引き続き、効果的な情報提供に努めていきます。

質問事項
三の2のイ 福祉保健局ホームページの「生活保護制度とは」のページでは、「扶養義務者による扶養の可否等が、保護の要否の判定に影響を及ぼすものではなく、『扶養義務の履行が期待できない』と判断される扶養義務者には、基本的には扶養義務者への直接の照会を行わない取扱いとされています。」と書かれているが、目立たない。わかりやすく書くべきだが、見解を伺う。

回答
福祉保健局のホームページでは、生活保護制度の基本的な考え方のほか、扶養義務に係る取扱いについて、国の通知の内容に基づき記載しています。
また、相談窓口である福祉事務所を掲載しており、福祉事務所では、生活保護申請者の個々の事情に応じて適切に説明することとなっています。

質問事項
三の3 ネットカフェ利用者の調査について
ア 2017年の都による調査結果は、「チャレンジネット」のその後の取組にどのように反映されたのか、具体的に伺う。

回答
都は、平成30年1月に公表した住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査を踏まえ、住まいを失った方に相談支援等を行っているTOKYOチャレンジネットにおいて、より必要な方に情報が届くよう周知方法の見直しを図っています。

質問事項
三の3のイ 本来なら毎年調査をするべきものであり、少なくとも、未曾有のコロナ禍での貧困の拡大とホテル提供事業の実施を踏まえて、このタイミングで再度の調査を行うべきだが、見解を伺う。

回答
都は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う離職等により住まいを失った方に対して、TOKYOチャレンジネットを活用し、緊急的な一時宿泊場所の提供等を行っており、こうした取組を通じて、相談に来たネットカフェの利用者の状況等の把握を行っています。

質問事項
三の4 相部屋から個室への転換について
ア 都区の共同事業である自立支援センターの個室化について、各区との協議の場で、いつ議題に載せようと考えているのか、見通しを伺う。また、23区の足並みを揃えるために、都が行っている働きかけの内容と予定について伺う。

回答
都と23区は、令和2年度、今後整備する自立支援センターの居室は個室を基本とすることとしました。ただし、用地面積など整備条件等の制約がある場合は、個室・多床室混合型の整備を可能とすることとしています。

質問事項
三の4のイ 首都圏では、住まいを失った生活困窮者が生活保護を申請した場合、無料低額宿泊所に誘導されることが多くある。現在、個室化が進められているが、2020年4月1日に施行された厚労省の省令の附則において「個室化は3年間猶予する」との規定が盛り込まれたため、相部屋の解消期限は2022年度末とされている。都の条例も同様だが、都としての相部屋解消のロードマップ、数値目標を伺う。また、解消期限を前倒しする意向はないか伺う。

回答
無料低額宿泊所の居室の定員は、東京都無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例施行規則により、配偶者等の親族と同居する場合等を除き、1人とすることとしています。
なお、既存施設については、同規則の附則により、令和5年3月31日まで適用除外の経過措置期間としています。
都は、各事業者に対し、同規則の内容を既に通知しており、経過措置期間内の対応を求めています。

質問事項
三の4のウ 厚生労働省のホームページには「施設に入ることに同意することが申請の条件ということはありません」と書かれている。都のホームページでもこうした表現でわかりやすく書くべきだが、見解を伺う。

回答
国の通知では、生活保護の相談・申請をした方が、直ちにアパート等の居宅を確保することが困難な場合などに、緊急的・臨時的な居所として保護施設や無料低額宿泊所等を紹介するなど、居所の確保に関する支援を行うこととされております。
具体的な居所の確保に当たっては、個々の状況に応じた支援が必要となるため、都は、ホームページに、相談窓口である福祉事務所を掲載しています。

質問事項
三の5 コロナ禍の貧困の拡大の中、若年単身者向けの都営住宅の必要性がさらに高まっている。都として、60歳未満単身者の入居に向けて入居要件を緩和するつもりはないのか。また、今まで全く進展していない若年単身者向けの都営住宅を新規に建設する意志はないか。検討はしているのか。困難だとするなら、何がネックになっているのか、具体的に伺う。

回答
都営住宅は、原則として、市場で適切な住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としており、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としています。
若い世代の単身者については、福祉施策や雇用就業施策による支援とともに、民間事業者等の多様な連携によって、市場において居住の確保が図られるべきと考えています。
なお、コロナ禍を踏まえ、TOKYOチャレンジネット事業に提供している都営住宅の戸数を拡大し、住まいを失った方の一時利用住宅として活用しています。
また、都営住宅の新規建設についてですが、都営住宅は、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてきました。これからも、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでいきます。

質問事項
三の6 一時生活支援事業によるアパート借り上げ、居住不安定者等居宅生活移行支援事業などを利用して個室を確保するよう、区市に働きかけ、都としても必要な支援を行なうことを検討することを求めるが、見解を伺う。

回答
生活困窮者自立支援法に基づく一時生活支援事業及び居住不安定者等居宅生活移行支援事業は、区市が地域の実情に応じて取り組むこととされており、都はこれまで、区市に対して同事業を周知しています。

質問事項
四 人権尊重・男女共同参画の視点からの公的広報のあり方について
1 東京都人権施策推進指針について
ア 指針に定める17の人権課題について、総合的あるいは個別テーマ に即した手引きを作成するなど、人権に配慮した公的広報のあり方の庁内への周知は行われているか伺う。

回答
誰もが認め合う共生社会を実現し、多様性を尊重する都市を作り上げるためには、職員一人ひとりが、人権尊重の理念を正しく理解した上で、行政サービスにおける情報発信を行っていくことが重要です。
都はこれまでも、人権意識の醸成を職員研修における重点事項として位置付け、人権に配慮した言動が身に付くよう、全ての職員を対象に、定期的に悉皆で受講する人権研修を実施しています。
今後とも、共生社会にふさわしい適切な広報が行われるよう、研修を通じて職員の人権感覚の一層の向上に努めていきます。

質問事項
四の1のイ 東京都人権施策推進指針は、見直しの契機となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会の終了を受けて、改定するべきだが、見解を伺う。

回答
東京都人権施策推進指針は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、国際都市にふさわしい人権尊重の理念が浸透した社会の実現を目指し、都が取り組むべき人権施策の基本方針を示したものであり、都は、この指針において17の人権課題を掲げ、様々な人権施策を展開しています。
今後の改定については、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じて対応していきます。

質問事項
四の1のウ 人権尊重の視点からの広報に関する苦情には、どのように対応しているのか伺う。

回答
都では、各局において人権に十分配慮しながら広報を行っています。都民から意見や苦情があった場合には、各局で適切に対応しています。

質問事項
四の2 男女共同参画について
ア 内閣府では、2003年に「男女共同参画の視点からの公的広報の手引みんなに届く広報のために」を発行し、各自治体に配布しており、独自に作成している自治体も多い。都には、独自の手引きなどはないが、広報・出版物等に男女平等参画の視点を取り入れるために、どのように対応しているか。また独自の手引きなどを作成するべきだが、見解を伺う。

回答
都では、広報資料の作成に当たり、東京都男女平等参画基本条例の趣旨を踏まえ、男女平等参画の視点をもって適切な表現を用いるよう、庁内各局に対し通知するとともに、必要に応じ国の手引を周知しています。
なお、男女平等参画の視点からの広報に関する独自の手引を作成する予定はありません。

質問事項
四の2のイ 2017年度以降において、生活文化局都民生活部男女平等参画課が把握している、男女平等参画の視点からの広報に関する苦情はあったか。あれば件数と都の対応を伺う。

回答
生活文化局都民生活部男女平等参画課で把握している、平成29年度以降の男女平等参画の視点からの広報に関する苦情の申立ての件数は2件です。
男女平等参画課に苦情が寄せられた場合には、当該所管部署に対し、事実確認の上、必要に応じて助言、国の手引の紹介等を行うとともに、庁内各局に対しても注意喚起を行っています。

質問事項
五 児童相談所の現状と今後の整備について
1 2019年の児童福祉法改正で児童相談所の管轄区域に係る参酌基準が法的に位置づけられ、それを受けて施行令で地理的条件、人口、交通事情についての基準の内容が示されたが、国が管轄区域に関する参酌基準を定めた趣旨について、都の認識を伺う。

回答
児童相談所の管轄区域に関する参酌基準を改正児童福祉法施行令で定めた趣旨について、国は、この政令と併せて発出した通知において、「児童相談所における児童虐待相談対応件数の増加や、依然として死亡事例・重傷事例が発生していることを踏まえ、本通知の第二に記載する参酌基準を定め、児童相談所の管轄区域の適正化を図るものであること。」としています。

質問事項
五の2 児童相談所管轄区域の見直しについて
ア 現在、管轄区域の人口が100万人を超える児童相談所はどこか。その管轄する人口、管轄する自治体も併せて伺う。

回答
管轄区域の人口が100万人を超える児童相談所は、令和3年1月1日現在、児童相談センター、品川児童相談所、足立児童相談所、杉並児童相談所、八王子児童相談所、小平児童相談所の6か所となっています。
各児童相談所の管轄人口及び管轄自治体は以下のとおりです。
児童相談所名 管轄人口 管轄自治体
児童相談センター 2,555,118人 千代田区、渋谷区、台東区、中央区、新宿区、港区、豊島区、文京区、練馬区、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村
品川児童相談所 1,421,393人 品川区、目黒区、大田区
足立児童相談所 1,154,693人 足立区、葛飾区
杉並児童相談所 1,245,905人 杉並区、中野区、武蔵野市、三鷹市
八王子児童相談所 1,178,007人 八王子市、町田市、日野市
小平児童相談所 1,153,107人 小平市、小金井市、東村山市、国分寺市、西東京市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市
 出典:「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」
    令和3年1月1日現在(東京都総務局)

質問事項
五の2のイ 参酌基準を定めた施行令は2023年4月1日に施行されるが、管轄区域の適正化、適法化にむけた都の対応のスケジュールを伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令において、人口や地理的条件、交通事情などの参酌基準が定められています。
都の児童相談所の管轄区域についても、こうしたことを総合的に考慮して検討する必要があると考えています。

質問事項
五の2のウ 都立児童相談センターは23区中9区に加え島しょ部を管轄し、管轄区域人口が250万人を超える。改正法令の施行時期を考え合わせれば、早急に管轄区域の抜本的な見直しが必要だが、児童相談センターの管轄区域見直しの考え方と見通しを伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令において、人口や地理的条件、交通事情などの参酌基準が定められています。
児童相談センターを含む都の児童相談所の管轄区域についても、こうしたことを総合的に考慮して検討する必要があると考えています。

質問事項
五の3 児童相談所の区移管について
ア 23区における児童相談所設置の動向を伺う。また、基礎自治体でもある区が児童相談所を自ら設置することについて、都としての基本的な評価、認識を伺う。

回答
令和2年4月に世田谷区及び江戸川区、同年7月に荒川区、令和3年4月に港区が児童相談所を開設しており、令和4年度に中野区、板橋区及び豊島区が児童相談所の開設を予定しています。
平成28年の児童福祉法の改正により、特別区は個別に政令指定を受けて児童相談所を設置できることとなっており、都は、区から申出があった場合、子供の安全・安心を確保する観点から適切に対応しています。

質問事項
五の3のイ 23区区長会は、『令和4年度都の施策及び予算に関する要望書』において「児童相談所設置の促進」、「特別区における児童相談所の設置・運営が円滑に行えるよう」にとして、〔1〕移管に必要な財源を確実に移譲すること、〔2〕特別区児童相談所開設にあたっての立ち上げ支援を行うこと、〔3〕児童養護施設等の相互利用等のための広域調整についても、見直すべき課題が生じるものと見込まれる。開設した4区の事例を活かし、より積極的に協力すること、〔4〕特別区による児童相談所及び一時保護所の整備に伴う、都の施設の整理・転用について、施設所在区と協議の場を設け、未利用都有地や都の児童相談所等の既存施設等の無償譲渡・貸付、または減免措置等を行い提供することを求めているが、これらの要望のそれぞれに対する都の認識、見解を伺う。

回答
(〔1〕について)
区立児童相談所の設置に伴う経費については、都区財政調整制度において、都区で合意した内容に基づき開設準備に係る経費や児童相談所運営に伴う経費を需要算定しています。
また、都区財政調整における配分割合については、令和4年度にその在り方について、改めて協議することで都区合意しています。
(〔2〕について)
特別区が児童相談所を設置する場合、それぞれの区で専門人材を確保、育成することが必要となります。
都は、子供の安全・安心を確保する観点から、特別区の取組を支援しています。
(〔3〕について)
児童養護施設等については、都区間で締結した協定に基づき広域で利用しており、引き続き協力して対応していきます。
(〔4〕について)
特別区が児童相談所を設置する場合、それぞれの区で必要な施設を整備することが必要となります。

質問事項
五の3のウ 昨年度廃止された旧世田谷児童相談所跡地・跡施設の現在の利活用状況と今後の方針を伺う。

回答
都立世田谷児童相談所は、令和2年4月1日に世田谷区が児童相談所を開設したことに伴い廃止しており、今後の利活用については、現時点で未定です。

質問事項
五の4 多摩地域の児童相談所の管轄区域見直しについて
ア 法令改正を受け、三多摩地域の児童相談所の配置についての課題をどう考えるか伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令において、人口や地理的条件、交通事情などの参酌基準が定められています。
多摩地域についても、こうしたことを総合的に考慮して検討する必要があると考えています。

質問事項
五の4のイ 三多摩地域の児童相談所の管轄区域や配置の見直しの方向性を伺う。通知では児童相談所の新設のみならず、支所の配置についても言及しているが、これに対する都の見解も併せて伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令等を踏まえ、人口や地理的条件、交通事情などを総合的に考慮することが必要と考えています。
児童相談所の設置形態については、様々であると考えています。

質問事項
五の5 一時保護所について
ア 都の一時保護所の設置場所、定員を伺う。また、今後、施設数ならびに施設定員を増やす計画があれば伺う。

回答
都の一時保護所は、児童相談センター、江東児童相談所、足立児童相談所、八王子児童相談所、立川児童相談所が所管しており、総定員は250名です。
都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を拡大してきており、令和3年度は、児童相談センターの一時保護所の拡張や、新宿区が所有する施設の借り上げを行いました。
現在、令和2年度まで使用していた立川児童相談所の一時保護所の改築に向け、基本計画を作成しています。
今後とも、一時保護需要等を踏まえ、必要な定員を確保していきます。

質問事項
五の5のイ 都の一時保護所における定員超過の状況を伺う。過去5年間の年平均入所率を伺う。

回答
都の一時保護所における過去5年間の年平均入所率は、平成28年度113.9パーセント、平成29年度109.1パーセント、平成30年度114.9パーセント、令和元年度113.6パーセント、令和2年度104.8パーセントとなっています。

質問事項
五の5のウ 児童福祉審議会が指摘した「一時保護所のひっ迫状況」を解消していくための、都の基本的な対応方針を伺う。

回答
都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を拡大してきました。
令和2年12月の児童福祉審議会の提言も踏まえ、令和3年度は、児童相談センターの一時保護所の拡張や、新宿区が所有する施設の借り上げにより定員を拡大するほか、現在、令和2年度まで使用していた立川児童相談所の一時保護所の改築に向け、基本計画を作成しています。
引き続き、一時保護需要等を踏まえ、必要な定員を確保していきます。

質問事項
五の5のエ 児童相談所の管轄区域の見直しの中で新たな児童相談所の設置が検討されることとなった場合、一時保護所併設の有無、是非についての見解を伺う。

回答
新たな児童相談所を設置する際の一時保護所併設の有無については、一時保護需要等を踏まえ検討することが必要と考えています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 岩永やす代
質問事項
一 性暴力被害者支援について
二 性教育の取り組みについて
三 ともに育ち学ぶインクルーシブ教育について
四 個人情報保護制度について

一 性暴力被害者支援について
内閣府が公表した「女性に対する暴力の現状と課題」によると、2020年度の配偶者暴力相談支援センターなどへのDV相談件数は、19万30件と19年度の11万7,420件から61.8%も増加しました。また、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの全国の相談件数の推移によると、2020年度の相談件数は5万1,141件と19年度の4万1,510件から23.2%も増加しています。
長引くコロナ禍でステイホームの生活が続き、在宅勤務やテレワークの推進など生活環境が変化したことや、コロナ禍による経済面への影響がDVや性暴力等の増加の要因になっています。また、複数の支援団体が「中高生から妊娠したかもしれないという相談が増えている」と公表しており、特に子どもへの性暴力の増加も懸念されています。身近な人からの被害を受けることも多く、言い出せるまでに長い時間がかかるなど見えにくいことに加えて、心身共に受けるダメージも大きく長期化するなど、性暴力は非常に深刻な問題です。
1 東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターに寄せられた、この3年間の性暴力被害の相談件数の推移と相談内容について伺います。
2 性犯罪や性暴力への対応は、迅速な対応と医療との連携が欠かせません。できるだけ身近な場所に相談場所が必要ですが、区部に設置されているワンストップ支援センターは多摩地域からは距離があるため、市部からも近い多摩地域の都立病院などを拠点としたワンストップ支援センターの増置を要望します。見解を伺います。
3 性犯罪・性暴力への対応は、多くの関係機関との連携が重要です。また、二次被害につながらない専門的な対応が求められます。自治体や関係機関との連携はどのように行われているか、現状と今後の取り組みを伺います。

二 性教育の取り組みについて
東京都教育委員会は2019年に「性教育の手引き」を改訂し、これまでより進んだ内容になりましたが、国際的には、ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした包括的性教育が、国連のいくつもの機関によって提唱されています。多様な性のあり方を認め合い、自分も相手も大事にできるパートナーシップを身につけるため、幼児期から成長に応じた包括的性教育が必要です。
学校現場においてもDVや虐待、望まない妊娠を避けるための予防的観点に立った性教育を、産婦人科医や助産師などと連携してすすめる必要があります。2018年8月に都が行った性教育(中学校)の実施状況調査では、「性に関する授業は、医師等の外部講師を活用することが効果的である」と回答した校長が89%、「性教育を行う際に、都教育委員会から医師等の外部講師を派遣して欲しい」と回答した校長は79%でした。
1 東京都教育委員会は2019年に「性教育の手引き」を改訂しました。都内中学校における東京都の産婦人科医などを登用した性教育のモデル授業の実施数、実施内容について伺います。
2 都内中学校で都の事業とは別に独自に行っている外部講師を活用した性教育について、実施校数、実施割合、実施内容など現状を伺います。また、デートDV防止教育の実施状況についても伺います。
3 内閣府主導で今年度から開始された「学校における生命(いのち)の安全教育推進事業」の事業内容や都内中学校の応募状況を伺います。
4 都の性教育プログラムの実施を、産婦人科医だけでなく助産師などにも広げるべきと考えますが、見解を伺います。

三 ともに育ち学ぶインクルーシブ教育について
「東京都こども基本条例」第8条では、子どもの学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、子どもの可能性を最大限に伸ばすことができるよう一人ひとりの個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備や、子どもに寄り添ったきめ細かな支援が言われており、都は重要な役割を担っています。
知事は第3回定例会の所信表明で、障がいのある子どももない子どもも、ともに学び支え合い互いを尊重する心を育むという理念のもと、誰一人取り残さないインクルーシブな教育を展開していくと明言されています。
ともに育ち学ぶインクルーシブ教育をすすめるために、障がいのある子どもや医療的ケアの必要な子どもが、地域の学校や通常学級に通うことを希望する場合に、都はバリアフリーなどの環境整備や相談支援、サポートする人員体制についてなど、障がいのあるなしにかかわらずともに学べる条件整備をどのように進めていくのか、現状と今後について伺います。

四 個人情報保護制度について
行政のデジタル化に伴って、オンラインで行き来する情報が大きく増加します。国はデジタル改革関連法を制定し、今年9月にデジタル庁が発足しました。東京都でもデジタルファースト条例をつくり、今年4月からデジタルサービス局を設置、デジタルファースト推進計画を策定しました。この中で「行政手続の原則デジタル化」には、「個人情報の保護等に留意しつつ、添付書類の提出、本人確認及び手数料納付も含む手続全体をオンライン等で実施できるようにすることを原則とする」とあります。
国は、個人情報保護法を抜本改正し、各自治体が個人情報保護条例でこれまで独自につくってきた規制を一元化しようとしています。規制が緩和され、知らないうちに自分の情報が勝手に収集されるのではないかという心配が広がっています。
1 今後、個人情報保護条例を改正することになると考えますが、改正までのスケジュールについて伺います。
2 条例改正に向けて、情報公開・個人情報保護審議会の役割について伺います。
3 先日、情報公開・個人情報保護審議会の専門部会が非公開で開かれ、会議の議題も明らかにされなかった、という報道がありました。審議会は制度や制度運営について検討する場であり、個別案件を審査する審査会とは違います。審議会専門部会の議題さえ開示しないことは、理解できるものではありません。非開示とした理由を伺います。

令和3年第四回都議会定例会
岩永やす代議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 性暴力被害者支援について
1 東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターに寄せられた、この3年間の性暴力被害の相談件数の推移と相談内容について伺う。

回答
東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターが受けた相談件数は、平成30年度に3,820件、令和元年度に4,123件、令和2年度に5,581件となっています。
相談内容は、毎年度、強制性交等に関する内容が最も多い傾向にありますが、令和2年度は、過去に受けた性被害に関する訴えが増加しました。

質問事項
一の2 できるだけ身近な場所に相談場所が必要だが、区部に設置されているワンストップ支援センターは多摩地域からは距離があるため、市部からも近い多摩地域の都立病院などを拠点としたワンストップ支援センターの増置を要望するが、見解を伺う。

回答
性犯罪等被害者ワンストップ支援センターでは、都内全域の被害者から24時間365日体制で電話相談を受けており、被害等の状況に応じて、都が協力を依頼している医療機関と連携し、支援を行っています。
被害者がより身近な地域で支援を受けられるよう、令和3年2月に策定した第4期東京都犯罪被害者等支援計画では、連携先を130か所に拡大する目標を掲げるなど、ワンストップ支援センターの機能向上を図ることとしています。

質問事項
一の3 性犯罪・性暴力への対応は、多くの関係機関との連携が重要である。また、二次被害につながらない専門的な対応が求められる。自治体や関係機関との連携はどのように行われているか、現状と今後の取組を伺う。

回答
都は、これまで、民間団体と協働で性犯罪等被害者ワンストップ支援センターを設置するとともに、医療機関をはじめ、警視庁、弁護士会、区市町村、民間支援団体など関係機関との連携により、性犯罪等の被害者に対する支援を行ってきました。
令和3年度は、新たに、関係機関のつなぎ役となる被害者等支援専門員を総務局人権部に配置するとともに、関係機関で構成する総合支援会議を設置し、支援を行ったケースの検証や課題を把握するなど、より効果的な支援を提供するよう検討しています。
二次的被害の防止に向けては、関係機関の職員を対象に、被害後の心情や対応方法等について研修を実施しています。
今後もこうした取組により、被害者に寄り添った支援を提供していきます。

質問事項
二 性教育の取組について
1 都教育委員会は2019年に「性教育の手引き」を改訂した。都内中学校における東京都の産婦人科医などを登用した性教育のモデル授業の実施数、実施内容について伺う。

回答
都教育委員会は、平成30年度は5校、令和元年度は10校の中学校において、産婦人科医を外部講師として招へいし、学習指導要領に示されていない内容を含む授業を、性教育のモデル授業として実施しました。こうした、モデル授業の実施状況については、区市町村教育委員会へ周知しています。
令和2年度は、都内公立中学校等に募集し、産婦人科医を招へいした性教育の授業を19校で実施しました。令和3年度は、29校で実施予定です。

質問事項
二の2 都内中学校で都の事業とは別に独自に行っている外部講師を活用した性教育について、実施校数、実施割合、実施内容など現状を伺う。また、デートDV防止教育の実施状況についても伺う。

回答
平成30年8月に都内全公立中学校等を対象に行った実施状況調査の結果によると、性教育について、外部講師を活用して生命尊重や人権尊重などの授業を実施したのは、624校中144校、全体の23パーセントでした。
デートDV防止に関する教育については、内閣府と文部科学省が共同で作成した教材や指導の手引等を都内全ての公立学校に配布し活用を促しています。

質問事項
二の3 内閣府主導で今年度から開始された「学校における生命(いのち)の安全教育推進事業」の事業内容や都内中学校の応募状況を伺う。

回答
文部科学省による「学校における生命(いのち)の安全教育推進事業」は、性犯罪・性暴力を根絶していくために、実践校において、内閣府と文部科学省が共同で作成した教材を活用し、発達段階に応じた指導モデルを作成する事業です。
都教育委員会は文部科学省からの依頼を受け、本事業の公募について、令和3年3月及び5月に募集を行いましたが、応募はありませんでした。

質問事項
二の4 都の性教育プログラムの実施を、産婦人科医だけでなく助産師などにも広げるべきだが、見解を伺う。

回答
都教育委員会は、産婦人科医に加えて助産師や保健師等を含め、学校の実態に応じた外部講師の活用について「性教育の手引」に掲載するなど、区市町村教育委員会等に周知し、性教育の適切な実施を支援しています。

質問事項
三 ともに育ち学ぶインクルーシブ教育について
ともに育ち学ぶインクルーシブ教育をすすめるために、障がいのある子どもや医療的ケアの必要な子どもが、地域の学校や通常学級に通うことを希望する場合に、都はバリアフリーなどの環境整備や相談支援、サポートする人員体制についてなど、障がいのあるなしにかかわらずともに学べる条件整備をどのように進めていくのか、現状と今後について伺う。

回答
都教育委員会では、区市町村教育委員会と連携して、地域の小・中学校における特別支援教育の充実を図っています。
具体的には、都立特別支援学校の教員の高い専門性を生かした小・中学校における指導内容等への助言や、通常の学級で発達障害のある子供をサポートする人材配置等への費用補助、施設のバリアフリー化など国の助成制度の周知による活用促進などに取り組んでいます。
今後は、特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画に基づき、引き続き区市町村教育委員会との適切な役割分担の下で、小・中学校を含めた多様な学びの場の充実等に取り組んでいくこととしています。

質問事項
四 個人情報保護制度について
1 今後、個人情報保護条例を改正することになると考えるが、改正までのスケジュールについて伺う。

回答
令和3年5月に個人情報保護法の改正が行われ、地方自治体に関係する規定については、2年以内に施行されることとなっています。
今後、国から施行に必要な政令、規則やガイドラインが示される予定です。これを踏まえ、政令で規定される期日までに、条例改正等の手続を進めます。

質問事項
四の2 条例改正に向けて、情報公開・個人情報保護審議会の役割について伺う。

回答
東京都情報公開・個人情報保護審議会は、その役割として、個人情報保護制度に関する重要な事項について、実施機関の諮問を受けて審議し、又は制度運営について実施機関に意見を述べることができるとされています。
個人情報保護法改正に伴う条例改正等については、審議会の意見を聴取することとしています。

質問事項
四の3 先日、情報公開・個人情報保護審議会の専門部会が非公開で開かれ、会議の議題も明らかにされなかった、という報道があった。審議会専門部会の議題さえ開示しないことは、理解できない。非開示とした理由を伺う。

回答
現在、東京都情報公開・個人情報保護審議会においては、改正個人情報保護法への対応や、開示請求における権利の濫用について検討を行うため、それぞれの専門部会が設置されています。
専門部会については、審議過程における委員の自由かつ率直な意見の交換と意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれや、審議途中の未成熟な情報などが公になることにより、専門部会の判断の正当性について誤解と混乱を招きかねないことから、部会の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとして、非開示としました。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 清水とし子
質問事項
一 川辺堀之内土地区画整理事業にかかわる不正疑惑について
二 市立たかはた保育園の民営化にかかわる問題について

一 川辺堀之内土地区画整理事業にかかわる不正疑惑について
2021年2月、日野市の元副市長が虚偽の土地区画整理事業計画を提出して市の補助金8,000万円をだまし取った容疑で逮捕されました。そして11月18日、懲役2年6か月の実刑判決がくだされました。この裁判のなかで、元副市長の逮捕容疑となった2018年以外にも不正な会計操作が行われていたことが判明しており、その全容解明が求められています。
また、組合業務を受託していた企業公社に関して、組合業務に従事していない本社職員に休日手当などが支払われていたことが判明しており、この問題についても調査、解明が求められます。
1 市職員が、区画整理組合の業務委託を受けることは、地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)の「職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。」に抵触すると考えますが、いかがですか。
2 日野市の臨時職員である元副市長が、区画整理組合の業務を受託することは、地方公務員法の兼業規定に抵触すると考えますが、いかがですか。
3 川辺堀之内土地区画整理組合が、元副市長個人と業務委託契約を結んでいたことは不適切であると考えますが、いかがですか。
4 元副市長の業務委託契約に関する事実を把握した段階で、都は組合と日野市に是正を求めるべきであったと考えますが、いかがですか。
当時、そうした対応がとられなかったのはなぜですか。

二 市立たかはた保育園の民営化にかかわる問題について
2021年11月15日に公表された「大坪市政における地方公務員法違反疑惑及び旧日野市立たかはた保育園の機能移転に伴う一連の疑惑に関する第三者実態調査委員会報告書」(以下、第三者委員会報告書)では、元副市長はたかはた保育園の民営化に伴う民間保育園の新設にも最初から最後まで関わっていたことが明らかになりました。この民間保育園に関して元副市長は、補助金増額をくり返し要求しており、都が交付した内装費や家賃への補助について、改めて調査することが求められています。
たかはた保育園の廃止に伴い、民間保育園が新設されました。
この民間園は、地主が建物を建設し、その一部に保育園が入るという形態でしたので、内装工事についての補助金申請を2013年に都に申請し、2億1,317万8千円の補助金が交付されました。
その後、2014年3月20日付けで内装工事に関する工事請負変更契約が行われました。
しかし、日野市は、そのことは東京都に報告せず、2014年4月10日付で2013年度保育所緊急整備事業補助金の実績報告書を提出し、工事の完了を報告しています。
都の「保育所緊急整備事業補助要綱」は、その第8の2項で「補助金交付決定後、事情の変更により、申請の内容を変更する場合は、別に定める期日までに必要な書類を添付して変更交付申請を行うものとする」と定めています。
補助要綱に照らして、日野市の対応は不適切であったと考えますが、いかがですか。

令和3年第四回都議会定例会
清水とし子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 川辺堀之内土地区画整理事業にかかわる不正疑惑について
1 市職員が、区画整理組合の業務委託を受けることは、地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)に抵触するが、見解を伺う。

回答
地方公務員法第38条第1項によれば、一般職に属する全ての地方公務員(同項ただし書の非常勤職員を除く。)は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならないとされています。

質問事項
一の2 日野市の臨時職員である元副市長が、区画整理組合の業務を受託することは、地方公務員法の兼業規定に抵触するが、見解を伺う。

回答
元副市長の任命権者であった日野市長によれば、元副市長が市立病院に勤務する臨時職員でありながら、報酬を得て当該区画整理組合の業務を受託したことは、地方公務員法第38条に違反する行為だとしています。

質問事項
一の3 川辺堀之内土地区画整理組合が、元副市長個人と業務委託契約を結んでいたことは不適切だが、見解を伺う。

回答
元副市長の任命権者であった日野市長によれば、元副市長が市立病院に勤務する臨時職員でありながら、報酬を得て当該区画整理組合の業務を受託したことは、地方公務員法第38条に違反する行為だとしていることからすれば、当該区画整理組合が元副市長と契約していたことは適切ではないと考えます。

質問事項
一の4 元副市長の業務委託契約に関する事実を把握した段階で、都は組合と日野市に是正を求めるべきだが、見解を伺う。当時、そうした対応がとられなかったのはなぜか伺う。

回答
都は、平成29年7月に都民から元副市長の当該区画整理組合の相談役への就任の有無について問合せを受け、当該区画整理組合に対して当該区画整理組合と元副市長との雇用関係を確認したところ、「元副市長の相談役への就任については、総会に諮り、組合員に了解を得ている」とのことでした。
元副市長と当該区画整理組合が業務を委託契約していた事実については、その際把握したものであり、書類上明白な法令違反は認められませんでした。
その後、都は、令和2年2月12日に日野市から日野市の元副市長の不正疑惑に関する第三者委員会の報告を踏まえた当該区画整理組合の事業運営に係る調査の依頼を受け、調査を進める中で組合の会計の不正に関して把握したことから、同年5月に是正の勧告を行いました。

質問事項
二 市立たかはた保育園の民営化にかかわる問題について
たかはた保育園の廃止に伴い新設された民間保育園は、内装工事についての補助金を都に申請し、交付された。その後、変更契約が行われたが、日野市は、そのことは都に報告せず、補助金の実績報告書を提出し、工事完了を報告している。都の補助要綱は「補助金交付決定後、事情の変更により、申請の内容を変更する場合は、別に定める期日までに必要な書類を添付して変更交付申請を行うものとする」と定めている。補助要綱に照らして、日野市の対応は不適切であったが、見解を伺う。

回答
平成25年度の保育所緊急整備事業における補助金の手続きは、保育事業者が区市町村に申請し、区市町村は施設整備計画や所要経費等を精査した上で、都に交付申請することとなっていました。
補助金を申請した工事等の内容に変更がある場合は、保育事業者は区市町村に変更申請し、区市町村は内容を確認した上で、都に変更交付申請することとなっていました。
申請手続きは、都の補助要綱に基づき行われており、都が改めて日野市に確認したところ、補助金交付申請に係る工事が申請どおりに完了したことを確認した上で、都に実績報告したとの説明を受けています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 五十嵐えり
質問事項
一 東京都の第5波におけるコロナ感染症対策について
二 月次支援金の職業差別について
三 東京版の都内観光促進事業「もっとTokyo」について
四 子どもの法教育・人権教育について
五 杉並児童相談所について
六 知事の所信表明について
七 多摩地域の保健所について

一 東京都の第5波におけるコロナ感染症対策について
令和3年7月23日に東京2020オリンピックが開催されたのち、都内では8月13日に一日の陽性者数が過去最多の5,908人となった。その後も陽性者数は増え続け、8月21日には都内の自宅療養者数は26,409人に上った。しかしながら、都知事が厚生労働大臣と連名で感染症法16条の2第1項に基づき、都内の全ての病院や診療所、医師や看護師の養成機関に対して病床確保や人材の派遣を要請(以下「法に基づく要請」という)したのは、8月23日になってからであった。
この間、多くの都民がコロナ感染症に罹患し症状が悪化して救急車を呼んでも入院先が見つからないという医療崩壊に陥り、自宅療養中に大勢の方が亡くなった。
この責任の所在について、以下、質問する。
1 東京都内において、第5波の8月中に自宅療養中(コロナ陽性者とされ、入院が必要と判断されたにも関わらず、入院先の調整等で入院できずに自宅にいた)に、都内で亡くなった方の人数を日ごとに示されたい。また、自宅療養者数が26,409人と最多となった8月21日における、都の入院調整本部の入院調整の状況(保健所からの調整依頼件数、入院決定件数、調整ができなかった件数)について伺う。
2 法に基づく要請について、都は「多くの医療機関及び医師、看護師養成機関から、医師、看護師の派遣やワクチン接種等への協力の意向が示された」等と答弁しているが、法に基づく要請の結果、病床数及び人材の確保について、要請日以降、どのように増えたのか。法に基づく要請の結果について、示されたい。
3 法に基づく要請の時期が、なぜ8月23日だったのかについての理由を示されたい。また、都は法に基づく要請の時期として、適切だったと考えているのか見解を示されたい。仮に、適切だったと考えている場合、もっと早くに法に基づく要請をしていれば、病床数等が確保でき、その分救われた命があったと思われるが、見解を伺う。
4 新型コロナウイルスに感染し、本来必要な医療や健康観察等を受けられないまま自宅で死亡した人の家族が遺族会を発足させるなど、医療崩壊の結果、自宅療養中に亡くなった多くの遺族が声をあげている。これらの者に対し、都は損害賠償や見舞金等のなんらかの支援が必要と考えるが、都はこうした遺族に対してどのように向き合っていくのか、見解を伺う。

二 月次支援金の職業差別について
都の月次支援金は、コロナ禍で都内経済を下支えする取り組みとして経営面で大きな影響を受けている事業者を支援するため、国の月次支援金に対して酒類販売事業者への支援の上乗せと対象要件の緩和によって、対象を拡大する独自の制度を打ち出してきた。
ただ、国は、給付の対象外に「風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者」をあげ、特定の風俗業者を対象外としている。しかし、国民は法の下に平等であり、職業に貴賤はない。仮に、異なる扱いをするのであれば、行政がその差別が合理的であることについて説明すべきである。
そのことを踏まえて、以下、質問する。
1 都は、対象外要件の緩和をして、上乗せ横出し支援として、「風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者」を対象とすることは、制度上、可能だと考えているか、都の見解を伺う。
2 都は、いかなる理由に基づいて、国と同様に「風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者」を対象外としてきたのか、見解を伺う。なお、単に国の制度に従うというのは都が上乗せ横出し支援をしてきた経緯を考慮すると、合理的な説明にならないと考える。
3 他の自治体では、コロナ感染症対策の対象に風営業者も含めて支援しているところがある。都も上乗せ横出し支援として、独自に特定の風俗業者も対象に含めて支援することが必要であると考えるが、見解を伺う。

三 東京版の都内観光促進事業「もっとTokyo」について
都内観光促進事業「もっとTokyo」は、令和2年12月13日にGoToトラベル事業の利用の一時停止や利用の自粛に伴い、全国一斉に本事業の適用の一時停止がなされてきた経緯があるところ、都でも来年の実施が予定されているところである。
そこで、当事業について、以下、質問する。
1 昨年同様に、コロナ感染症者が増加した場合、都はどのような基準で、東京版都内観光促進事業「もっとTokyo」の停止を想定しているか。誰がどのように、どのような基準で判断するかについて伺う。
2 GoToキャンペーンについては、旅行会社やホテルなどが個人に無断で氏名を冒用して援助分を虚偽申請していたという事例も生じている。都内観光促進事業「もっとTokyo」における、氏名冒用等の不正利用の防止について、都はどのような対策をとる予定か。
3 同事業の費用検証と効果について、どのように行うか、見解を伺う。

四 子どもの法教育・人権教育について
東京都では、都が定めた「いじめ総合対策」においていじめの未然発生として、弁護士等を活用した「いじめ防止授業」の実施や弁護士会が実施する「法教育プログラム」等の実施の活用を各自治体に促している。
そこで、子どもの法教育事業について、以下、質問する。
1 実際に、都内の公立学校が弁護士会等に依頼をした「いじめ防止授業」や「法教育プログラム」等について、直近5年の利用状況(回数や費用や内容等)を伺う。
2 いじめが許されない環境づくりは、東京都いじめ対策推進条例に基づく重要な措置であり、上記のような授業・プログラムの実施に対し、学校ないし弁護士会の過度な負担とならないよう、都は全部ないし一部の費用を賄う等の支援が必要と考えるが、都の見解を伺う。

五 杉並児童相談所について
平成28年5月の児童福祉法改正により特別区にも児童相談所を設置できることとなったことから、東京23区のうち22区が設置の意向を示しており、既に設置した特別区もあるところである。武蔵野市には単独の児童相談所がなく、杉並児童相談所が杉並区、中野区、武蔵野市、三鷹市を所管しており、人口は現在約130万人である。
児童相談所の設置は地方公共団体が定めるが、その参酌すべき基準を定める「児童福祉法施行令及び地方自治法施行令の一部を改正する政令」が、令和5年4月1日より施行される。
それによると、地理的条件については、都道府県の区域において、基礎自治体である市町村(特別区を含む。)が行政サービスの提供の基礎的な単位となっていることから、児童相談所の管轄区域は、一又は二以上の市町村の区域とすることとされ、人口については、「基本として概ね50万人以下」、また、管轄人口100万人以下の児童相談所が存する地域についても、児童相談所の新設等により管轄人口をおおむね50万人以下とするような管轄区域の見直しを積極的に検討されたいなどと示されている。
そこで、以下、質問する。
杉並区及び中野区が単独設置に移管した場合、武蔵野市及び三鷹市の児童相談所はどうするのか伺う。上記政令によると、児童相談所は武蔵野市単独、最低でも三鷹市との二市合同が望ましいと考えるが、見解を伺う。

六 知事の所信表明について
都知事は令和3年11月30日の所信表明演説で「様々な状況が改善されつつある中、第5波を経て、今に至っている」と述べたが、どんな状況が改善されつつあったと認識しているのか。

七 多摩地域の保健所について
武蔵野市を所管する多摩府中保健所は、隣接する六つの市を含む約106万人の都内最大規模になり、このコロナ禍で業務は逼迫した。保健所の所管人口は、地域保健法に基づく指針によると、都道府県が設置する保健所の所管区域は二次医療圏に一つを設置することが原則で、二次医療圏の人口が平均的な二次医療圏の人口を著しく超える場合には、地域の特性を踏まえて複数の保健所を設置できることを考慮すると定めている。
そこで、以下、質問する。
1 全国の二次医療圏の平均人口は約37万7千人であり、多摩府中保健所の所管人口は約106万人であるから、都は、多摩府中保健所の所管人口は平均的な二次医療圏の人口を著しく超えると認識しているか。
2 都は保健所の食品衛生などの一部の業務が行われている武蔵野三鷹地域センターを感染症対策等でも活用する等、二次医療圏における複数の保健所や支所の設置等の保健所の体制強化を検討すべきであるが、見解を伺う。
3 都は、多摩地域の都保健所について、「感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、改めてその在り方を検討し、今年度は、保健所の感染症対策業務に関する調査分析を実施する」としているが、その調査の内容と進捗状況を伺う。

令和3年第四回都議会定例会
五十嵐えり議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都の第5波におけるコロナ感染症対策について
1 都内において、第5波の8月中に自宅療養中(コロナ陽性者とされ、入院が必要と判断されたにも関わらず、入院先の調整等で入院できずに自宅にいた)に、都内で亡くなった方の人数を日ごとに伺う。また、自宅療養者数が26,409人と最多となった8月21日における、都の入院調整本部の入院調整の状況(保健所からの調整依頼件数、入院決定件数、調整ができなかった件数)について伺う。

回答
新型コロナウイルスに関連した死亡例として都が公表した方のうち、令和3年8月に自宅療養中に亡くなられた方で、入院調整を行っていた方の人数は4人であり、亡くなられた日はそれぞれ8月10日、18日、19日、20日です。
また、同年8月21日における都の入院調整本部の調整状況については、保健所からの調整依頼件数が616件あり、このうち入院決定件数が86件、入院決定に至らなかった件数が418件、その他調整の過程で取下げとなった件数などが112件です。

質問事項
一の2 法に基づく要請について、都は「多くの医療機関及び医師、看護師養成機関から、医師、看護師の派遣やワクチン接種等への協力の意向が示された」等と答弁しているが、法に基づく要請の結果、病床数及び人材の確保について、要請日以降、どのように増えたのか。法に基づく要請の結果について、伺う。

回答
令和3年8月23日、都は国とともに、感染症法に基づき都内医療機関等に対し、最大限の患者受入れや病床の転用を含めた更なる病床確保、宿泊療養施設や酸素・医療提供ステーション等の都が要請した施設への人材派遣、ワクチン接種への協力を要請しました。
要請日時点の確保病床数は5,967床、新型コロナウイルス感染症患者のために転用する病床を含めた最大確保病床数は6,406床で、このうち重症用病床はいずれも392床でしたが、要請の結果、同年9月末時点で確保病床数は6,651床、このうち重症用病床は503床となりました。
また、同年11月11日時点で、都が要請した施設等への人材派遣については、791機関から協力する旨の回答があり、ワクチン接種については、自院での実施は4,772機関、区市の設置会場等での実施は4,351機関から協力する旨の回答がありました。

質問事項
一の3 法に基づく要請の時期が、なぜ8月23日だったのかについての理由を伺う。また、都は法に基づく要請の時期として、適切だったと考えているのか見解を伺う。仮に、適切だったと考えている場合、もっと早くに法に基づく要請をしていれば、病床数等が確保でき、その分救われた命があったと思われるが、見解を伺う。

回答
都は、新型コロナウイルスの感染状況に応じて、都内医療機関に対し病床確保を働きかけており、通常医療との両立を図りながら、段階的に病床の確保を進めています。
昨夏の感染状況は、変異株の影響により過去最大のものとなり、まさしく災害レベルであったことから、国と協議を重ね、令和3年8月23日、全国で初めて、国との連名による感染症法に基づく協力要請を実施し、更なる病床確保を行いました。
加えて、回復期患者の転院促進や酸素・医療提供ステーションの設置、自宅・宿泊療養における医療機能の強化のほか、ワクチン接種や中和抗体薬の投与を積極的に実施し、医療・療養体制の拡充や重症化予防に取り組んでいます。

質問事項
一の4 新型コロナウイルスに感染し、本来必要な医療や健康観察等を受けられないまま自宅で死亡した人の家族が遺族会を発足させるなど、医療崩壊の結果、自宅療養中に亡くなった多くの遺族が声をあげている。損害賠償や見舞金等のなんらかの支援が必要だが、都はこうした遺族に対してどのように向き合っていくのか、見解を伺う。

回答
都は、自宅療養者が安心して療養できるよう、自宅療養者フォローアップセンターを設置して健康観察や24時間対応の医療相談を実施するほか、パルスオキシメーターを貸与してきました。
また、東京都医師会や地区医師会等と連携し、体調が悪化した方への往診等を実施するほか、緊急時に自宅で酸素を投与できるよう、酸素濃縮装置を確保してきました。
さらに、昨夏の感染拡大を踏まえ、自宅療養者フォローアップセンターの人員を増強するとともに、健康観察を行う医療機関への支援や感染拡大時に往診を広域的に行う医療機関との連携を強化しており、今後も自宅療養されている方の命を守り、死者を出さないことを最優先に、こうした取組を着実に実施していきます。

質問事項
二 月次支援金の職業差別について
1 対象外要件の緩和をして、上乗せ横出し支援として、「風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者」を対象とすることは、制度上可能か、見解を伺う。

回答
東京都中小企業者等月次支援給付金は、国の月次支援金に対して支給額の加算等を行うものであり、支給要件は国の制度に準拠して設定しています。
このため、国制度で支給の対象外としている事業者については、都も支給の対象外としています。

質問事項
二の2 都は、いかなる理由に基づいて、国と同様に「風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者」を対象外としてきたのか、見解を伺う。

回答
月次支援給付金は、国の月次支援金と連携することで、都内の中小企業等の経営を下支えするものであり、国の制度に準拠して支給要件を設定しています。

質問事項
二の3 他の自治体では、コロナ感染症対策の対象に風営業者も含めて支援しているところがある。都も上乗せ横出し支援として、独自に特定の風俗業者も対象に含めて支援するべきだが、見解を伺う。

回答
月次支援給付金は、国の月次支援金と連携することで、都内の中小企業等の経営を下支えするものであります。
このため、国の制度に準拠して支給要件を設定しており、現時点において国が支給対象としていない事業者については、支給する予定はありません。

質問事項
三 東京版の都内観光促進事業「もっとTokyo」について
1 昨年同様に、コロナ感染症者が増加した場合、都はどのような基準で、東京版都内観光促進事業「もっとTokyo」の停止を想定しているか。誰がどのように、どのような基準で判断するのかについて伺う。

回答
都は、国のコロナ分科会で示された5つのレベル分類に都独自でレベル2.5を設定しており、そうしたレベルの範囲内で、観光産業の回復への支援として、感染防止対策を徹底した上で観光を後押しすることとしています。
レベル2.5になった場合については、事業の進め方について、適切に判断していきます。

質問事項
三の2 都内観光促進事業「もっとTokyo」における、氏名冒用等の不正利用の防止について、都はどのような対策をとる予定か伺う。

回答
本事業において、旅行業者等が助成を受けるためには、対象となる旅行の実績報告を行うとともに、宿泊施設や利用した観光施設等の領収書の写し等の証拠書類を提出することとしています。
これに加えて、本事業は都民を対象とする都内観光を支援するものであるため、旅行業者等は対象旅行の販売時や宿泊施設の利用の際には身分証明書の提示を受け、都内在住者であることの確認を行い、その旨を実績報告書に明記することとしています。
こうした取組により、本事業の適切な運営を図っていきます。

質問事項
三の3 同事業の費用検証と効果について、どのように行うか、見解を伺う。

回答
都内観光促進事業は、国の「GoToトラベル事業」と併用し、旅行者の負担を抑えることにより、事業効果を高めていきます。
このため、100万泊の支援規模で、国の事業と連携して事業を実施していきます。
また、制度の周知のほか、観光ツアーで巡る地域の様々なスポットやイベントについて、都民向けのPRの強化を図り、旅行商品の販売促進につなげていきます。

質問事項
四 子どもの法教育・人権教育について
1 実際に、都内の公立学校が弁護士会等に依頼をした「いじめ防止授業」や「法教育プログラム」等について、直近5年の利用状況(回数や費用や内容等)を伺う。

回答
都教育委員会では、学校教育における「法」に関する教育の推進リーフレットを作成し、法律実務家が参画した授業展開例や、法律実務家を活用する際の相談窓口等について、都内公立学校へ周知しています。
「いじめ防止授業」や「法教育プログラム」等については、各学校が契約や消費者問題等に関して、児童・生徒の発達段階に応じて、直接、弁護士会等に依頼しています。

質問事項
四の2 いじめが許されない環境づくりは、東京都いじめ対策推進条例に基づく重要な措置であり、上記のような授業、プログラムの実施に対し、学校ないし弁護士会の過度な負担とならないよう、都は全部ないし一部の費用を賄う等の支援が必要だが、見解を伺う。

回答
各学校は、教育課程に位置付けられた学習等で外部講師を活用する場合、学校の予算の中から、各校長の権限で謝金を支払うことができるようになっています。

質問事項
五 杉並児童相談所について
杉並区及び中野区が単独設置に移管した場合、武蔵野市及び三鷹市の児童相談所はどうするのか伺う。上記政令によると、児童相談所は武蔵野市単独、最低でも三鷹市との二市合同が望ましいが、見解を伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令において、人口や地理的条件、交通事情などの参酌基準が定められています。
都の児童相談所の管轄区域内に区が児童相談所を設置した場合についても、こうしたことを総合的に考慮して検討する必要があると考えています。 

質問事項
六 知事の所信表明について
知事は令和3年11月30日の所信表明演説で「様々な状況が改善されつつある中、第5波を経て、今に至っている」と述べたが、どんな状況が改善されつつあったと認識しているのか伺う。 

回答
都はこれまで、感染状況を踏まえ、段階的に病床の確保を進めるとともに、ワクチン接種を積極的に推進するなど、医療提供体制の強化や重症化予防に取り組んできました。
新規陽性者数は、第五波で最多となった令和3年8月13日の5,908人から、同年11月30日時点で20人まで減少しました。

質問事項
七 多摩地域の保健所について
1 全国の二次医療圏の平均人口は約37万7千人であり、多摩府中保健所の所管人口は約106万人であるから、都は、多摩府中保健所の所管人口は平均的な二次医療圏の人口を著しく超えると認識しているか伺う。

回答
全国に335ある二次医療圏の人口は、令和2年10月現在、約377万7千人から約1万9千人までと様々です。
都道府県が設置する保健所の所管区域は、国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針等に基づき、各自治体が判断しているものと認識しています。
なお、都保健所は、住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施するという、地域保健法の考え方に基づき、二次保健医療圏に1か所設置しています。

質問事項
七の2 都は保健所の食品衛生などの一部の業務が行われている武蔵野三鷹地域センターを感染症対策等でも活用する等、二次医療圏における複数の保健所や支所の設置等の保健所の体制強化を検討すべきだが、見解を伺う。

回答
住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施するという、地域保健法の考え方に基づき、都保健所は、二次保健医療圏に1か所設置しており、広域的・専門的・技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っています。
なお、今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から収束に至るまでの都保健所の取組を検証した上で、改めてその在り方を検討していくこととしています。

質問事項
七の3 都は、多摩地域の都保健所について、「感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、改めてその在り方を検討し、今年度は、保健所の感染症対策業務に関する調査分析を実施する」としているが、その調査の内容と進捗状況を伺う。

回答
都は、都保健所の感染症対応における在り方検討に必要な情報を収集するため、現在、都保健所の感染症対策業務に関する調査・分析を実施しており、この中で、保健所の体制強化や市町村等との連携などに関する課題の把握などを行っています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原のり子
質問事項
一 パートナーシップ制度について
二 動物愛護について
三 既存の都営住宅へのエレベーター設置について
一 パートナーシップ制度について
パートナーシップ制度が全国で広がっています。共産党都議団としても、実施に向けて調査・質問を重ねてきました。今年の第2回定例会で、パートナーシップ制度を求める請願が全会一致で趣旨採択になりました。これを受け、ようやく知事が「検討する」と発言しました。パートナーシップ制度を東京都で実現した場合、日本の人口の約半分はパートナーシップ制度のある自治体で暮らすことになります。誰もが自分らしく生きる、愛する人と幸せになる権利があります。都営住宅などへの入居を認めることをはじめ、当事者のみなさんにとって必要な内容で、一日も早く実現できるように、以下質問します。
1 一日も早く、東京都としてパートナーシップ制度を実現すべきと考えますが、どのように考えていますか。
2 セクシュアルマイノリティの方々を広く対象にして、多くの人が利用できるようにしてほしいとの要望に応える制度にすべきと考えますが、見解をうかがいます。
3 都営住宅の入居、犯罪被害者等支援事業においての家族や遺族の対象など、都の事務事業や制度について、パートナーシップ制度にふさわしく改善すべきと考えますが、いかがですか。
4 10月から実施された都民等調査は、どのような内容で、対象は何人におこない、結果をどう分析しているのですか。この中で、パートナーシップ制度についてはどのような回答になっていますか。また、調査結果はいつ公表されるのですか。
5 パートナーシップ制度実施までのスケジュールはどのように考えていますか。
6 より良い内容にするために、今後当事者などにどのように聞き取りをしていきますか。
7 セクシュアルマイノリティのカップルの子どもたちの権利を守ることも大切です。ファミリーシップ制度について、今度どのように検討していく考えですか。

二 動物愛護について
地域では、地域猫ボランティアの方々が、飼い主のいない猫の対策を献身的に続けられています。ある公園では、子猫が増え続けると同時に、心無い飼い主が生まれたばかりの子猫をゴミ捨て場に置いていくなどの状態になっていました。そこへ、ボランティアの方々が入り、バザーなどで資金を集めながら猫の不妊・去勢手術を進め、地域猫として管理するなかで改善がはかられてきました。ボランティア団体の方々は、「ほかにも、猫が増えている地域もあり、対策をとっていきたいが、ボランティアの手も資金も足りないなか、困難に直面している」と話しています。
知事は、「殺処分ゼロ」を1期目の選挙公約で掲げ、2期目の選挙では成果として示されていました。そこでうかがいます。
1 現在、猫の殺処分・致死処分についての状況はどのようになっていますか。
2 改善がすすんできた土台には、地域のボランティアの方々の努力があります。こうした方々を支援し、育成していくことがなければ、殺処分ゼロの実現と継続はできません。東京都として、どのようなとりくみをしていますか。
3 2019年の第一回定例会で、星見てい子議員の一般質問で、「苦痛からの解放や著しい攻撃性、衰弱や感染症などにより動物福祉などの観点から致死処分した動物が、1月末時点で、犬が4頭、猫が126頭いる」「このような動物も飼育環境を工夫すれば、飼育や譲渡につなげることができる可能性があり、最大限の取り組みを進めるべき」と指摘しました。どのようなとりくみをおこなっていますか。
4 現在、飼い主のいない猫は都内にどのぐらいいると把握していますか。
5 東京都が実施している、「飼い主のいない猫対策」の内容はどういうものですか。また、都と区市町村の負担割合はどのようになっていますか。
6 この事業を活用している区市町村数はどのぐらいありますか。
7 この事業を推進しての効果はどのようにみていますか。
8 不妊・去勢手術費用の助成のみが目的とならないこと、ということが補助条件となっているのはどうしてですか。
9 地域猫ボランティアの方々の活動への理解を広げ、動物愛護の考え方の啓発を強化することが重要です。都としてのとりくみをうかがいます。

三 既存の都営住宅へのエレベーター設置について
清瀬市の竹丘2丁目の都営住宅の3つの号棟にエレベーターが設置されることになり、2020年の10月31日に工事の完了予定とされました。住民の方は10年越しの悲願であり、住民の方々自らが一生懸命設置の同意をお願いしてまわり、ようやくこれで住み続けられると安堵していましたが、入札の不調が続きいまだにめどがたっていません。高齢の住民の方にとっては、見通しもたたないなかで延期されることは大変な不安です。
病気のため週三回通院しなければならない人は、その都度家族が必死で支えて階段を上り下りしています。病院で治療を受けて帰ってきて、階段を上ることが困難で、家族が支え10分以上かけて家に入るといいます。ある方は、通院が難しくなり訪問診療になったといいます。階段で転んで骨折した方もいます。高齢になっても障害をもっても安心して住み続けられるようにとエレベーター設置を要望しているのに、これだけの時間がかかるという状況は、一日も早く改善すべきと考え、以下、質問します。
1 2017年10月の決算特別委員会第3分科会で、エレベーター設置について質問しましたが、その時点では、毎年65基分の予算を組みながら、30基程度しか設置されていないことを指摘し、エレベーター設置のスピードアップを求めました。
昨年度、エレベーター設置の予算は、何基分でたてていましたか。そして、実際に何基設置されましたか。
2 昨年度、予定していたが未設置になった分はどのような理由ですか。
3 多摩地域で契約不調になるケースが多いと聞きますが、竹丘2丁目都営住宅が、不調になっている原因などについて、どのように分析していますか。解決のためにどのように対策をとる考えですか。
4 現在、自治会からのエレベーター設置要請は何棟ですか。その内、不調により設置に至らない住棟は何棟かうかがいます。
5 今後、このような不調を無くし、エレベーター設置をスピードアップするために、公社の発注方法に対して抜本的な改善を行うよう指導すべきと考えますが、見解をうかがいます。

令和3年第四回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 パートナーシップ制度について
1 一日も早く、都としてパートナーシップ制度を実現すべきだが、見解を伺う。

回答
同性パートナーシップ制度の検討に当たり実施した都民等調査では、約7割の回答者が、性的マイノリティの方々への必要な施策として、同制度を挙げています。
こうした意見等を踏まえ、都は、当事者の生活上の困りごとの軽減や、多様な性に関する都民の理解促進の観点から、令和4年度内の制度導入に向けて検討しています。

質問事項
一の2 セクシュアルマイノリティの方々を広く対象にして、多くの人が利用できるようにしてほしいとの要望に応える制度にすべきだが、見解を伺う。

回答
制度対象者については、性的マイノリティの方々を広く認めて欲しいなど、当事者等からの意見を踏まえ、多くの方々が利用できる制度となるよう検討しています。

質問事項
一の3 都営住宅の入居、犯罪被害者等支援事業においての家族や遺族の対象など、都の事務事業や制度について、パートナーシップ制度にふさわしく改善すべきだが、見解を伺う。

回答
都が提供する住宅等の都民サービスについては、同性パートナーシップ制度の利用者が活用できるよう検討を行っています。

質問事項
一の4 10月から実施された都民等調査は、どのような内容で、対象は何人におこない、結果をどう分析しているのか。この中で、パートナーシップ制度についてはどのような回答になっているか。また、調査結果はいつ公表されるのか伺う。

回答
都は、多様な性に関する都民の認識のほか、性的マイノリティ当事者の生活上の困りごとや、行政に求める支援策等を把握するため、約16万人に調査票を送付し、回答が得られたものについて分析を行っています。
この調査では、約7割の回答者が、性的マイノリティの方々への必要な施策として、同性パートナーシップ制度を挙げ、当事者からも制度の導入を期待する声が多く寄せられています。
調査結果は取りまとめた上で、今後、公表する予定です。

質問事項
一の5 パートナーシップ制度実施までのスケジュールについて伺う。

回答
同性パートナーシップ制度については、令和4年度内の導入に向けて、令和3年度、制度の基本的な考え方を示します。

質問事項
一の6 より良い内容にするために、今後当事者などにどのように聞き取りをするか伺う。

回答
制度の検討に当たって、当事者を含む支援団体や学識経験者へのヒアリングを実施し、現在取りまとめ作業を行っていますが、多くの方々から制度導入に肯定的な意見が示されています。
今後も、当事者や有識者等から頂いた様々な意見を踏まえ、制度構築に向けて取り組んでいきます。

質問事項
一の7 セクシュアルマイノリティのカップルの子どもたちの権利を守ることも大切である。ファミリーシップ制度について、今後どのように検討していくか伺う。

回答
同性パートナーシップ制度の在り方について有識者ヒアリングや事例調査を行っており、ファミリーシップ制度についても、課題等を把握、整理しています。

質問事項
二 動物愛護について
1 現在、猫の殺処分・致死処分についての状況はどのようになっているのか伺う。

回答
都は、国が殺処分の分類方法として示した考え方と同様に、動物愛護相談センターに引取・収容した動物の致死処分のうち、「苦痛からの解放が必要、著しい攻撃性を有する、又は衰弱や感染症によって成育が極めて困難と判断される動物について、動物福祉等の観点から行うもの」及び「引取・収容後に死亡したもの」を除いたものを殺処分としています。
猫の殺処分は平成30年度からゼロを継続しており、致死処分数は令和2年度で241頭です。

質問事項
二の2 改善がすすんできた土台には、地域のボランティアの方々の努力がある。こうした方々を支援し、育成していくことがなければ、殺処分ゼロの実現と継続はできない。都として、どのような取組をしているか伺う。

回答
区市町村は、地域の飼い主のいない猫対策として、不妊去勢手術の実施、地域住民の理解と協力を得るための会議の開催や普及啓発などに、ボランティアと協力して取り組んでいます。
都は、こうした区市町村の取組を医療保健政策区市町村包括補助事業で支援しています。

質問事項
二の3 2019年の第一回定例会で、星見てい子議員の一般質問で、「苦痛からの解放や著しい攻撃性、衰弱や感染症などにより動物福祉などの観点から致死処分した動物が、1月末時点で、犬が4頭、猫が126頭いる」「このような動物も飼育環境を工夫すれば、飼育や譲渡につなげることができる可能性があり、最大限の取り組みを進めるべき」と指摘した。どのような取組を行っているか伺う。

回答
動物愛護相談センターでは、新たな飼い主に動物を健康な状態で譲渡できるよう、動物ごとに健康状態を把握して管理しており、職員のより専門的な能力の向上を図るため、動物の健康管理等に関する研修などを行っています。
また、獣医系大学の専門家等から技術的支援や助言を受けながら、感染症の防止や症状に応じた治療など、動物福祉の考え方を踏まえた飼養管理を行っています。

質問事項
二の4 現在、飼い主のいない猫は都内にどのぐらいいると把握しているか伺う。

回答
都が平成29年度に実施した飼育実態調査では、都内の飼い主のいない猫の個体数を約10万頭と推定しています。

質問事項
二の5 都が実施している、「飼い主のいない猫対策」の内容はどういうものか。また、都と区市町村の負担割合はどのようになっているか伺う。

回答
都は、不妊去勢手術の実施や町内会、自治会との会議の開催など、飼い主のいない猫を増やさないための対策を地域住民等の理解と協力を得て実施する区市町村を、医療保健政策区市町村包括補助事業で支援しています。
補助率は、基準額の範囲内で必要経費の2分の1となっています。

質問事項
二の6 この事業を活用している区市町村数はどのぐらいあるか伺う。

回答
「飼い主のいない猫対策」に取り組んでいる区市町村数は、令和2年度で45となっています。

質問事項
二の7 この事業を推進しての効果はどのようにみているのか伺う。

回答
「飼い主のいない猫対策」に取り組む区市町村数は、事業を開始した平成19年度は17、令和2年度は45となっています。
都内における拾得者からの子猫の引取数は、平成19年度は4,186頭でしたが、令和2年度には156頭に減少しました。

質問事項
二の8 不妊・去勢手術費用の助成のみが目的とならないこと、ということが補助条件となっているのはなぜか伺う。

回答
「飼い主のいない猫対策」を効果的に実施するには、地域住民等の理解と協力を得て飼い主のいない猫を増やさないための対策を行うことが有効であることから、普及啓発を含めた地域での取組を条件としています。

質問事項
二の9 地域猫ボランティアの方々の活動への理解を広げ、動物愛護の考え方の啓発を強化することが重要だが、都の取組を伺う。

回答
都は、区市町村に対し、ボランティアと連携した取組が進むよう、支援事例を紹介するほか、地域住民等に「飼い主のいない猫対策」への理解を広げるためのリーフレットの提供やガイドブックの配布を行い、支援しています。

質問事項
三 既存の都営住宅へのエレベーター設置について
1 2017年10月の決算特別委員会第3分科会で、エレベーター設置について質問したが、その時点では、毎年65基分の予算を組みながら、30基程度しか設置されていないことを指摘し、エレベーター設置のスピードアップを求めた。昨年度、エレベーター設置の予算は、何基分でたてていたか。そして、実際に何基設置されたか伺う。

回答
令和2年度における既存都営住宅へのエレベーター設置については、65基分の予算となっており、実績は31基です。

質問事項
三の2 昨年度、予定していたが未設置になった分はどのような理由か伺う。

回答
令和2年度、エレベーターが未設置となった主な理由は、設置による共益費の増加等について一部の居住者の同意が得られなかったことや、契約不調により工事に着手できなかったことです。

質問事項
三の3 多摩地域で契約不調になるケースが多いと聞くが、竹丘2丁目都営住宅が、不調になっている原因などについて、どのように分析しているか。解決のためにどのように対策をとるか伺う。

回答
都営清瀬竹丘二丁目アパートの昇降機設備設置工事の契約不調については、入札予定者へのヒアリングなどにより、発注規模が小さい割に鉄骨工事やコンクリート工事等、多くの工種が関連し、工程調整などに手間がかかることや、年度後半に発注した際には、技術者の確保が困難であったことが要因と把握しています。
これまで契約に至った実績と同様に、他の都営住宅の外壁改修などの修繕工事と併せて発注規模を大きくするとともに、技術者を確保しやすい年度当初から発注していくこととしています。

質問事項
三の4 現在、自治会からのエレベーター設置要請は何棟か。その内、不調により設置に至らない住棟は何棟か伺う。

回答
自治会からのエレベーター設置要望が出されている住棟は、令和3年11月末時点で108棟です。その中で、発注した工事35件の内、契約不調により工事着手に至っていない住棟は9棟です。

質問事項
三の5 今後、このような不調を無くし、エレベーター設置をスピードアップするために、公社の発注方法に対して抜本的な改善を行うよう指導すべきだが、見解を伺う。

回答
既存都営住宅へのエレベーター設置工事は、発注規模が小さい割に多くの工種が関連し、工程調整などに手間がかかることなどから、今後とも、他の工事と併せることによる発注規模の拡大など、発注を工夫するよう、東京都住宅供給公社を指導していきます。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤まりこ
質問事項
一 ケア労働者の待遇改善について
二 福祉施設でのコロナ対策と原油高・物価高への支援について
三 保育の質の向上について

一 ケア労働者の待遇改善について
コロナ禍で、保育や介護、障害者福祉など、都民の毎日の生活を支えるために欠かせないケア労働者の仕事の重要性が浮き彫りになりました。人との接触が避けられない仕事の中で、利用者に感染させてしまわないか、あるいは自分が感染してしまわないか、日々大きなプレッシャーのなかで、都民の生活を支えているのがケア労働者です。新型コロナの感染拡大の前から、ケア労働者の待遇の低さは問題となっていましたが、コロナ禍で、エッセンシャルワーカーとして果たしている役割に見合った待遇になっていないことが社会的にも大きく再認識されました。
岸田内閣は、2022年2月から介護士・保育士の賃上げをうちだし、ケア労働者の待遇改善に向けた議論が始まっていますが、賃上げの額は9,000円とされ、全産業との平均給与の格差からみれば、非常に不十分です。厚生労働省の2020年度賃金構造基本統計調査によると、ボーナス分を含めた月収換算の賃金は全産業の全国平均が40.6万に対し、保育士が31.2万円で9.4万円低く、介護職員が30.0万円で10.6万円低い状況です。しかし、東京都での比較でみると、格差はさらに大きくなっています。東京の全産業の月収換算は49.6万円、保育士は33.2万、介護職員は32.4万円と、その差はそれぞれ、16.4万円、17.3万円と、東京都での格差は全国での比較よりもさらに深刻な状況です。
1 ケア労働者の賃金上げについて、東京都内の実態に即したものになるよう、都として独自に上乗せをするべきですが、いかがですか。
2 福祉施設でケア労働を支えているのは保育士や介護士だけでなく、栄養士や調理員、事務員やケアマネージャー、心理相談員などさまざまな職種があります。これらの労働者、またパートや非正規で働く労働者にも賃上げが可能となる施策が必要です。
また、福祉施設の職員配置について、そもそも国の配置基準が低く、「1歳児6人を保育士1人でみるのはきつい」という切実な声があり、配置基準を上回る職員を配置しているところも少なくありません。しかし政府が打ち出している賃上げの仕組みでは、配置基準の人数分しか保障されません。都として、非正規労働者も含めて、福祉施設で働くすべての従事者を賃上げの対象とし、さらに実人員に対応して賃金を引き上げることができるように、都として支援するべきですが、いかがですか。
待遇が低いことに加え、職員の配置基準が低いために重労働となり、離職や人手不足が深刻化しています。介護従事者からは、「夜勤をする人が足りず、遅番の人が急遽夜勤をしたり、早番の人が遅番の時間まで働くことがあり、通常のシフトが組めない」、保育士からは「人員が少ないし賃金が低く、過重労働で保育士たちの精神が維持できなくなり、ゆく果ては退職。私たちの現実に向き合ってください」という切実な声が寄せられています。また、障害者施設で働く方々からも、コロナの影響による減収を挽回するために、「新しい仕事を受ける検討をしたが、職員が不足していてできなかった」という声や、グループホームにおいて複数体制で夜勤が可能になるように、加算をしてほしいという要望が寄せられています。
3 ケア労働者の離職を防ぎ、利用者にとっても安心してケアが受けられるようにするためにも、福祉施設での職員配置に都として加算を行うべきですが、いかがですか。

二 福祉施設でのコロナ対策と原油高・物価高への支援について
福祉施設では、昨年からの新型コロナの感染拡大以来、毎日、消毒などの感染防止のための業務に追われています。現在の感染は一旦収まっていても、本格的な冬の到来や、新型変異株による第6波へ懸念があるなか、緊張を強いられる状況が続いています。
1 とりわけ、この間の教訓からも、施設内での感染拡大はなんとしても防いでいかなければなりません。第6波を防止するためにも、保育園に対して定期的なPCR検査の実施などの予算措置を行う必要がありますが、いかがですか。
感染防止対策としてのかかり増し経費への支援も重要です。多くの福祉施設では、マスクや消毒などの感染防止策を引き続き行なっています。保育従事者の方に伺いましたが、保育園での仕事では1日1枚のマスクではなく、接している園児が咳をしたり、下痢をしている園児の対応をしたりするたびに、マスクを取り換えるので、通常の使用以上に経費がかかっているとのことでした。室内の消毒だけでなく、子どもたちが日常的に使うおもちゃなどの消毒も毎日欠かせません。
2 福祉施設では、こうした感染防止のための対策を恒常的に行なっている状況です。都として感染防止対策のためのかかり増し経費について、継続的に支援していくことが必要ですが、見解を伺います。
3 コロナ後の原油高による物価や燃料費の高騰も、福祉施設の運営に影響を与えています。引き続くコロナ対策のために、三密や人との接触が避けられない福祉施設では、真冬でも定期的に換気を行う必要があり、そのために暖房費もかさみます。都は中小事業者向けに燃料費を支援する補正予算を計上しました。福祉施設にたいしても、購入費補助などの支援を行なうべきですが、いかがですか。

三 保育の質の向上について
子どもの安全と健やかな成長を守るべき保育園で、園児の安全や安定した保育の継続が脅かされるような事態が私立の認可保育園で相次いでいます。足立区では、保育士の大量退職によって、安定した保育の継続ができない保育園や、園庭のない保育園で外出した先で園児を置き去りにしたまま警察の白バイに保護されるケース、また、遊具から転落事故を起こしても自らの責任を認めない保育園のケースなどが報告されています。
1 こうした認可保育園での重大な事故や事案について、どのように報告を受けているのか、また、その報告の内容と件数について、2020年度はどのようになっているか伺います。
2 報告を受けた件について、都はどのような指導や自治体との連携を行なっているのか伺います。
昨年11月に足立区の公設民営の保育園、「新田3丁目なかよし保育園」の指定管理者に定められた法人のずさんな運営が原因で、運営費が裁判所に差し押さえられ、法人が運営を続けられないという事態が起きました。同園は千葉県流山市に本部を置く社会福祉法人「南流山福祉会」が、区の委託を受けていましたが、法人が別に運営する「私立流山なかよし保育園」の元園長たちが、給与未払について法人側を提訴し、千葉地裁松戸支部が法人側に約5,000万円の賠償を命じる判決を出したものです。
運営費が差し押さえになってからは区が直接運営を行い、対応してきましたが、そもそも同法人を巡っては、同じ足立区内の別の園で飲食代や交際費など不適正な支出が過去に指摘され、2020年6月にも新田三丁目の保育園で賞与の遅配を区が指導しており、行政の対応の甘さに問題があったと言わざるをえません。
さらに、法人を所轄する千葉県も2020年8月に、不適切な支出や会計処理などを是正するよう求める改善勧告に従わなかったとして、県内初の法人名公表に踏み切っていました。法人が都道府県にまたがって複数以上の保育園を運営してる場合、他道府県との情報共有や連携した対応が欠かせません。
3 東京都はこうした問題のある法人の情報について、どのように他道府県と情報共有をおこなっているのか、また、この「南流山福祉会」の情報はいつから千葉県と共有していたのか伺います。
4 「南流山福祉会」が運営していた足立区内の保育園での不適正な支出や賞与の遅配の指導について、足立区からは報告があったのか伺います。
5 他道府県や区市町村からの情報にもとづいて、都はどのように対応を行なってきたのか伺います。
6 保育園の経営が広域化するなかで、他道府県や自治体との連携を強め、都として具体的な対策をおこなっていくことが必要ですが、見解を伺います。

令和3年第四回都議会定例会
斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 ケア労働者の待遇改善について
1 ケア労働者の賃金上げについて、都内の実態に即したものになるよう、都として独自に上乗せをするべきだが、見解を伺う。

回答
介護サービスや保育サービス等は、介護報酬や公定価格等により運営されることが基本であり、都は、国に対し、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができるよう、大都市の実情を踏まえた報酬等とすることを提案要求しています。

質問事項
一の2 福祉施設でケア労働を支えているのは保育士や介護士だけでなく、栄養士や調理員などさまざまな職種があり、これらの労働者、またパートや非正規で働く労働者にも賃上げが可能となる施策が必要である。また、政府が打ち出している賃上げの仕組みでは、配置基準の人数分しか保障されない。都として賃上げの対象を拡大し、実人員に対応して賃金を引き上げることができるように支援を行なうべきだが、見解を伺う。

回答
処遇改善の対象となる職種や職員数等については、国の方針に基づき、適切に対応していきます。

質問事項
一の3 ケア労働者の離職を防ぎ、利用者にとっても安心してケアが受けられるようにするためにも、福祉施設での職員配置に都として加算を行うべきだが、見解を伺う。

回答
都はこれまで、国制度に加え、都として望ましいサービス水準を確保できるよう、民間社会福祉施設サービス推進費補助等で支援しています。

質問事項
二 福祉施設でのコロナ対策と原油高・物価高への支援について
1 第6波を防止するためにも、保育園に対して定期的なPCR検査の実施などの予算措置を行う必要があるが、見解を伺う。

回答
都は、施設内での感染拡大を防止するため、保育所等において、新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生し、保健所による濃厚接触者の特定や検査が即時に実施されない場合に、児童や保育従事者にPCR検査を実施できるよう、区市町村に検査キットを送付しています。
加えて、令和4年1月7日付けの国の通知に基づき改訂した集中的実施計画において、保育所や小学校等を対象施設に追加し、検査を実施することとしています。

質問事項
二の2 福祉施設では、感染防止のための対策を恒常的に行なっている状況である。都として感染防止対策のためのかかり増し経費について、継続的に支援していくことが必要だが、見解を伺う。

回答
都は、介護保険施設や保育所等が、コロナ禍においても事業を継続できるよう、国制度を活用し、マスク等の衛生用品の購入や施設等の消毒・清掃費用、通常想定していない感染症対策に関する業務の実施に伴う手当の支給などのかかり増し経費を支援しています。

質問事項
二の3 コロナ後の原油高による物価や燃料費の高騰も、福祉施設の運営に影響を与えている。引き続くコロナ対策のために、三密や人との接触が避けられない福祉施設では、真冬でも定期的に換気を行う必要があり、そのために暖房費もかさむ。都は中小事業者向けに燃料費を支援する補正予算を計上した。福祉施設にたいしても、購入費補助などの支援を行なうべきだが、見解を伺う。

回答
介護保険施設等は、暖房費を含め、介護報酬等により運営されることが基本となっています。
保育所等については、感染防止用の備品を購入するために必要な経費を国の補助金により支援しており、感染症対策に必要な暖房費も補助対象となっています。

質問事項
三 保育の質の向上について
1 認可保育園での重大な事故や事案について、どのように報告を受けているのか、また、その報告の内容と件数について、2020年度はどのようになっているか伺う。

回答
保育所で事故が発生した場合、国の通知に基づき、施設は区市町村に、区市町村は都に、都は国に報告しています。
国への報告対象となる事案は、「死亡事故」及び「治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故等(意識不明(人工呼吸器をつける、ICUに入る等)の事故を含み、意識不明の事故についてはその後の経過にかかわらず、事案が生じた時点で報告すること。)」となっています。
加えて、都は独自に区市町村に対し、「感染症若しくは食中毒の発生又は発生が疑われる状況が生じたとき」「迷子、置き去り、連れ去り等が発生し、又は発生しかけた場合」「その他、児童の生命又は身体被害に係る重大な事故に直結するような事案が発生した場合」について報告するよう依頼しています。
報告件数は、令和2年度で、国の通知に基づく報告が167件、都の依頼に基づく報告が61件となっています。

質問事項
三の2 報告を受けた件について、都はどのような指導や自治体との連携を行なっているのか伺う。

回答
都は、事故が発生した保育施設からの報告書の提出を受け、事故発生後の対応や事故要因の分析、今後の改善策等が適切に講じられているかなどを確認し、必要な指導を行っています。
また、死亡事故等の重大な事故事案については、区市町村と連携し、速やかに児童福祉法等に基づく特別指導検査等を行い、その結果、指導検査基準に適合しない事項について指摘し、改善に向けて指導しています。

質問事項
三の3 都は問題のある法人の情報について、どのように他道府県と情報共有をおこなっているのか、また、「南流山福祉会」の情報はいつから千葉県と共有していたのか伺う。

回答
都は、指導検査等により、社会福祉法人の運営及び法人が運営する社会福祉事業等に著しい法令違反等が認められた場合において、関係道府県や区市町村等との間で、指導検査の結果等の情報収集・提供が必要と判断する事項について、随時、電話やメール等により情報共有しています。
社会福祉法人南流山福祉会については、令和元年7月から同法人を所轄していた千葉県と情報共有していました。

質問事項
三の4 「南流山福祉会」が運営していた足立区内の保育園での不適正な支出や賞与の遅配の指導について、足立区からは報告があったのか伺う。

回答
都は、社会福祉法人南流山福祉会が運営していた足立区立新田三丁目なかよし保育園及び日ノ出町保育園に対する足立区の指導状況等について、令和元年6月以降、同区と情報共有しています。

質問事項
三の5 他道府県や区市町村からの情報にもとづいて、都はどのように対応を行なってきたのか伺う。

回答
都は、他の道府県や区市町村等から提供された指導検査結果等に基づき、社会福祉法人や社会福祉施設への指導が必要と判断した場合は、関係自治体と連携して指導検査を実施し、運営状況等を確認の上、必要な指導を行っています。
また、運営等に重大な問題を有する場合には、速やかに特別指導検査を実施し、適正な運営の確保に向け、必要な指導を行っています。

質問事項
三の6 保育園の経営が広域化するなかで、他道府県や自治体との連携を強め、都として具体的な対策をおこなっていくべきだが、見解を伺う。

回答
都は、複数の自治体で施設を運営する社会福祉法人やその運営する施設への指導検査に当たり、必要に応じて関係道府県や区市町村と連携し、情報の収集・提供等を行っています。
また、他の道府県や区市町村が所轄する社会福祉法人に対して、指導検査等の適当な措置を執る必要がある場合には、書面により必要な意見を伝えています。
今後とも、必要に応じて関係自治体と連携し、指導検査を実施していきます。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤田りょうこ
質問事項
一 都保健所で実施している障害者施設等の利用者を対象とした健康診断および精神保健福祉相談について

一 都保健所で実施している障害者施設等の利用者を対象とした健康診断および精神保健福祉相談について
保健所は、その地域に暮らす住民が健康に生活できるよう、生活衛生と保健サービスを行う施設です。
全国保健所長会のホームページには、「都道府県型の保健所は、管内の市町村と協力して、関係機関と調整を行い、関係を構築して、食品衛生や感染症等の広域的業務、医事・薬事衛生や精神・難病対策等の専門的な業務を行うとともに、大規模で広域的な感染症や食中毒の他、自然災害や原因不明の健康危機管理にとりくみ、地域全体の住民の健康のレベルアップを図る。住民に身近なサービスとされる健康づくりや母子保健、生活習慣病対策やがん対策等の業務は市町村が主に行います。」と記載されています。
こうした中、感染症の専門的な対応を担ってきた都保健所では、新型コロナウイルス感染症の拡大によって通常業務も大きな影響を受けてきました。
多摩小平保健所は歴史的に、地域の障害者施設を利用している方の集団健診を行ってきました。知的障害者施設の職員は、「この健診で糖尿病の疑いのある人が治療につながった」「毎年受けられているので、知的障害の人たちが場所にも慣れて助かっている」と話しています。しかし昨年、新型コロナウイルス感染症が広がる中、毎年実施していた障害者健診は中止、今年は夏に再開を予定していましたが、第5波の拡大によって2年連続で実施できませんでした。
1 コロナ禍の中でも健診の実施は必要だと思いますが、都の認識を伺います。
2 多摩小平保健所で行ってきた障害者健診を再開することが期待されています。都はどう対応するのですか?再開を求めますが、いかがですか?
3 南多摩保健所管内でも、肝炎ウイルス検診の再開を求める声があがっています。都として継続すべきですがいかがですか。
4 どの保健所でも精神保健分野の対応に苦労されています。「緊急の対応はなんとかやったが、通常の訪問ができなかった」「電話はすべてコロナでいっぱいになってしまい、精神保健分野の相談を受けられなかった」「コロナ対策と並行して実施するのは難しい」との現場の声が聞かれます。市町村と連携して、対応を強化できるよう、都として支援をすべきです。いかがですか?
新型コロナ感染症の拡大が長期化する中、地域住民を守る機能を果たしている保健所を強力に支えることが求められています。来年度の保健所予算の増額と、大幅な増員を進めるよう求めます。

令和3年第四回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都保健所で実施している障害者施設等の利用者を対象とした健康診断および精神保健福祉相談について
1 コロナ禍の中でも健診の実施は必要だが、認識を伺う。

回答
国は、健康増進法に基づく健康診査などの健診について、その意義や実施主体の責務などの制度趣旨等にのっとり、コロナ禍にあっても地域において感染対策を講じた上で実施するよう都道府県等に通知しており、都は、この通知を踏まえ、区市町村に対し適切な対応を働きかけています。

質問事項
一の2 多摩小平保健所で行ってきた障害者健診を再開することが期待されているが、都はどう対応するのか。再開を求めるが、見解を伺う。

回答
都保健所では、障害者施設等の利用者が、各保険者等が実施する地域の医療機関や健診機関等での健診の機会を確保できない場合、管内の施設からの依頼を受け、健診を実施しています。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、集団検診による障害者の方々の感染リスクを考慮し、休止しています。
この間は、保健所から施設に対し、利用者のかかりつけ医等による個別健診の受診等を依頼しており、引き続きこうした働きかけを行っていきます。

質問事項
一の3 南多摩保健所管内でも、肝炎ウイルス検診の再開を求める声があがっている。都として継続すべきだが、見解を伺う。

回答
都保健所は、保健所設置市を除く市町村に居住地を有し、過去に肝炎ウイルス検診を受けたことがない方に対し、同検診を実施しています。
多摩地域における都保健所の肝炎ウイルス検診は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、実施を見合わせていましたが、検診を受ける機会の確保のため、令和4年1月から医療機関に委託して実施しています。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて、適切に対応していきます。

質問事項
一の4 どの保健所でも精神保健分野の対応に苦労されている。「緊急の対応はなんとかやったが、通常の訪問ができなかった」などとの現場の声が聞かれる。市町村と連携して、対応を強化できるよう、都として支援をすべきだが、見解を伺う。

回答
精神保健福祉相談は、市町村が一般相談を行い、保健所や精神保健福祉センターが専門的な相談を担っています。
この役割分担を基本としながら、都保健所は、市町村が関わりを持った事例のうち複雑困難な問題を含む事例等について、市町村と連携して対応しており、精神保健福祉センターは、市町村職員を対象とした専門的な研修を実施しています。
都はこれまで、精神保健福祉分野など感染症対策以外の業務も継続しながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に適切に対応できるよう、保健師の増員、応援職員の配置、会計年度任用職員等の活用、業務の委託化など、都保健所の体制強化や負担軽減に取り組んでおり、引き続き、感染状況に応じて体制の確保を図っていきます。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 竹井ようこ
質問事項
一 国分寺街道(小平市)における歩道の拡幅について
二 精神障害者サポートについて

一 国分寺街道(小平市)における歩道の拡幅について
喜平橋交差点は「交差点すいすいプラン」によって改良工事が進められており、国分寺街道両側は幅員2.5メートルから3.5メートルの歩道に拡幅する予定と理解しています。しかしながら交差点の東側にあるマンションの西側歩道は、未だ幅員が狭い上に、巨木が歩道上に生えており、ちょうど横断歩道の脇でもあるため、信号待ちの人だまりができると歩行が困難になります。歩道を自転車が通行する場合もあり、特に通学時には子どもたちにとっても大変危険な箇所となっています。早急な改善が望まれます。これまでと今後の取り組みについて伺います。

二 精神障害者サポートについて
都における精神障害者保健福祉手帳所持者数は、平成11年度の約14,000人から平成29年度には約109,000人と、約8倍に上っています。また、地域には依然として精神保健福祉につながらない人もいるため、潜在的な患者数はさらに多いものと考えます。
1 訪問診療を行うことによって精神保健福祉につなげていくことが必要であると考えますが、都におけるアウトリーチ事業の現状、またこの間の成果についてはどのように捉えているか、また、より一層の拡充が必要と考えますが、見解を伺います。
2 保健所においては、家族会、患者会、自助グループ等にどのような支援を行っているのか伺います。

令和3年第四回都議会定例会
竹井ようこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 国分寺街道(小平市)における歩道の拡幅について
喜平橋交差点は「交差点すいすいプラン」によって改良工事が進められており、国分寺街道両側は幅員2.5メートルから3.5メートルの歩道に拡幅する予定と理解しているが、交差点の東側にあるマンションの西側歩道は、信号待ちの人だまりができると歩行が困難になり、特に通学時には子どもたちにとっても大変危険な箇所となっている。早急な改善が望まれるが、これまでと今後の取組について伺う。

回答
喜平橋交差点は、第2次交差点すいすいプランに位置付け、平成17年度より整備を進めており、国分寺街道部分の約320メートルについては、歩道拡幅や無電柱化などを実施することとなっています。
このうち、南側の約300メートルの区間については、既に整備が完了しており、現在、残る区間について用地取得を進めています。
引き続き、関係権利者に対し分かりやすく丁寧な説明に努めるなど用地取得を推進し、地元の理解と協力を得て整備を進めていきます。

質問事項
二 精神障害者サポートについて
1 訪問診療を行うことによって精神保健福祉につなげていくことが必要だが、都におけるアウトリーチ事業の現状、またこの間の成果についてはどのように捉えているか、また、より一層の拡充が必要だが、見解を伺う。

回答
精神保健福祉センターでは、精神科の未受診や治療中断等のため地域社会での生活に困難を来している精神障害者等を対象に、医師、看護師、福祉職などの多職種で構成するアウトリーチチームが、区市町村等と連携して訪問型の支援を実施しており、支援者数は令和2年度で延べ84人となっています。
また、区市町村が地域の実情に応じて柔軟にアウトリーチ支援を実施できるよう、関係職員を対象とした研修や個別事例の検討会での助言などを行っており、アウトリーチ支援を実施している自治体数は、事業を開始した平成30年度の4から、令和2年度は12に増加しています。

質問事項
二の2 保健所においては、家族会、患者会、自助グループ等にどのような支援を行っているのか伺う。

回答
都は、地方自治法に基づき、平成15年度から精神保健福祉相談のうち一般相談を市町村に移譲しています。
都保健所では、処遇困難事例等の専門相談や、在宅生活が安定しない当事者の家族が当事者への適切な関わり方などを学ぶ家族教室等を実施するとともに、市町村や関係機関からの要望に応じて、保健師による技術支援、事例検討、講演会、地域ネットワークづくりなどにより地域の取組を支援しています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 阿部祐美子
質問事項
一 南部労政会館の現状と利便性の向上について
二 都立林試の森公園内の喫煙について
三 目黒川のしゅんせつについて
四 生活困窮者への携帯電話支援について
五 外国籍児童への教育機会の確保について
六 通学時の痴漢被害防止等について

一 南部労政会館の現状と利便性の向上について
東京都の労政会館は、労働組合や勤労者のための施設としてかつては都内に9館あったが、廃止等が相次ぎ、現在は南部、八王子、国分寺のみの3館のみとなっている。さらに八王子と国分寺は立川へ移転統合される計画がある。八王子と国分寺は長年活発に利用されており、地域に根付いた施設の縮小は行政サービスの後退。品川区大崎の南部労政会館はJR大崎駅前の大規模再開発ビル内にあり、会議室6室を抱え、建物も堅牢です。今後も労働活動の貴重な場として堅持させるべきと考える。現在も労働組合の会合や企業の研修等に積極的に利用されていると認識しているが、週末や夜間など、比較的すいている時間枠もあり、地域の非営利団体の利用ニーズにも積極的にこたえるべきと考える。
南部労政会館の空き状況は明示されず、日にちを決めて電話またはメールで問い合わせることとなっていますが、これでは柔軟な利用に結び付きません。東京都全体でIT化を進める中、HP上で空室状況確認や仮予約等ができるようにするなど施設の周知と利便性の向上を図るべきと考えますが、見解を伺います。

二 都立林試の森公園内の喫煙について
受動喫煙防止、とりわけ子どもたちの受動喫煙防止の観点から23区の区立公園は近年、全面禁煙化が進んでいる。東京都も2020年4月から受動喫煙防止条例が全面施行され屋内は原則禁煙となったが、屋外での喫煙は対象外で都立公園も喫煙スペースにおいて喫煙可能となっている。しかし都市部の都立公園は子どもや親子連れの利用が多く、また喫煙者も多いこともあり、子どもの遊び場の近くでの喫煙が散見される。品川区・目黒区にある都立林試の森公園においても、冒険広場やじゃぶじゃぶ池近くでの喫煙、園路での歩きたばこなどについて、地域住民から苦情が寄せられている。喫煙者と非喫煙者のトラブルを避けるためにも、対策の強化が必要と考える。
1 都立林試の森公園での喫煙状況をどう把握し、どのような対策をとってきたのか。
2 必ずしも「マナー」が守られていない実態が続く以上、禁煙エリアを定めて明示すべきと考えるがいかがか。
3 都市部の都立公園においては原則禁煙とし、必要に応じてコンテナ型等閉鎖式の喫煙所を設置することを検討すべきと考えるがいかがか。

三 目黒川のしゅんせつについて
東京都は都内低地の河川について、水質改善と臭気抑制の観点から5年に1度の汚泥の堆積調査結果に基づきしゅんせつを行っている。しかしその頻度ならびに対象水域は限定的である。目黒川においては平成30年に実施されたものの、対象は目黒区下目黒の太鼓橋から品川区西五反田の市場橋までに限られていた。しかし市場橋から下流においても多雨期や夏の高温期を中心に強い臭気がわく。五反田から大崎間周辺においては川に面した集合住宅が多く、生活への影響も大きい。
東京都は地元区と連携しながら、しゅんせつ等の臭気対策を積極的に進めていくべきと考えるがいかがか。

四 生活困窮者への携帯電話支援について
コロナの影響等により収入が激減したり、仕事や住まいを失ったりしている人たち、DV被害で逃げている人たちの中には携帯電話料金が払えず電話機能を使えなかったり、携帯電話そのものを持っていない人も少なくない。しかし携帯電話番号がなければアルバイトや就職先を探すのも極めて困難となっている。行政のさまざまな支援さえ、電話がなければ申請できなかったり事実上恩恵を受けたりすることができない。一定の期間、携帯電話を貸与することは生活再建のための重要なパーツであると考える。一部の支援団体が携帯電話貸与を行っているものの、民間では数に限りがあるのが実情である。
1 東京都が行うTOKYOチャレンジネットでも携帯電話貸与は行っているものの、非常時対応などに限られており、拡充すべきと考えるがいかがか。
2 東京つくろいファンドなどの団体が行う携帯電話貸与事業に対し、行政として必要な支援を行うべきと考えるがいかがか。

五 外国籍児童への教育機会の確保について
文科省の2019年の調査により、就学年齢の外国籍児童のうち2万人近くが学校教育を受けていない可能性があることが分かり、うち約4割が東京都であった。日本に暮らす子どもたちが学校教育を受ける機会を得られず言語その他の学習に支障をきたしたり義務教育の卒業資格を得られなければ、本人や家族の生涯にわたる不利益はもとより、日本社会にとっても多方面で損失が生じる可能性が高まる。外国籍児童の教育機会の確保と学習の質の向上は喫緊の課題である。
1 文科省の調査後、東京都はどのように外国籍児童の就学率の把握と向上に努めたのか。またその成果は。
2 小中学校に在籍する外国籍児童生徒のうち、日常生活のための日本語指導、学習言語としての日本語指導を必要とする児童生徒はそれぞれ何人いるのか。そのうち、必要な日本語指導を受けられている児童生徒はどの程度いるのか。
3 各自治体の実情に合わせ、日本語学級の増設や地域で日本語学習を行う団体等への支援の充実を図るべきと考えるが見解は。
4 東京都として日本語指導を必要とする子どもたちへの指導・支援の指針を設けるべきと考えるが見解は。
5 外国籍児童の都立高校への進学枠のさらなる拡大と、進学後の支援の充実が必要と考えるがいかがか。また支援にあたっては担当教師のみならず、学年・学校での共有を図るべきと考えるがいかがか。
6 給付型奨学金制度の外国籍生徒への周知に学校間で格差がみられる。資格取得は高校卒業後の在留資格にもかかわることから「やさしい日本語」や多言語での周知を徹底すべきと考えるが、見解は。
7 外国籍児童生徒の保護者が日本語を習得していないために学校とのコミュニケーションがとりづらい例も多い。公立小中学校では一人1台端末が配置されたことを踏まえ、学校からの連絡等はプリントでなくテキスト形式で送ることで保護者側が必要な言語に翻訳しやすくなることから、各学校や教育委員会で積極的に活用するよう都教委から働きかけるべきと考えるがいかがか。

六 通学時の痴漢被害防止等について
高校入学を機に電車通学になることで、痴漢被害のリスクが急増する。入学式前のオリエンテーションの機会をとらえて、すべての生徒に対し電車内外での痴漢について啓発を行うとともに具体的な対処方法や通報相談の方法などについて伝え、学校全体で生徒を守る姿勢を打ち出すことは効果的と考える。一方、服装や髪型など被害者本人に非があるかのような指導は逆効果であり、指導内容に十分注意を払う必要がある。
1 一般社団法人痴漢抑止活動センターでは、痴漢被害に遭う前の意識啓発のための短時間の講習プログラムを提供しており、こうした外部の知見も活用してはいかがか。
2 都立高校では一人一台端末が来年春から配備される計画である。すべての生徒の端末に、犯罪被害などの相談窓口に直接つながるリンク等をデスクトップその他分かりやすい場所にインストールしておくよう各学校に求めてはいかがか。

令和3年第四回都議会定例会
阿部祐美子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 南部労政会館の現状と利便性の向上について
南部労政会館の空き状況は明示されず、日にちを決めて電話またはメールで問い合わせることとなっているが、これでは柔軟な利用に結び付かない。都全体でIT化を進める中、HP上で空室状況確認や仮予約等ができるようにするなど施設の周知と利便性の向上を図るべきだが、見解を伺う。

回答
南部労政会館では、令和3年12月から、ホームページ上に、施設の利用案内や貸出会議室の予約状況等を掲載しており、利用者の方は、こうした内容を事前に確認の上、予約することが可能となっています。

質問事項
二 都立林試の森公園内の喫煙について
1 都立林試の森公園での喫煙状況をどう把握し、どのような対策をとってきたのか伺う。

回答
都立公園では、喫煙に関するルールを定め、歩きながらの喫煙、妊娠中の女性や子供の周辺での喫煙をしないよう呼び掛け、マナーの向上に取り組んでいます。
林試の森公園においても、定期的に園内を巡回し、指定の喫煙場所以外での喫煙は行わないよう声掛けを実施しています。また、主要な園路沿いや子供が使用する遊具の周辺にある吸い殻入れを撤去し、受動喫煙の防止に努めています。

質問事項
二の2 必ずしも「マナー」が守られていない実態が続く以上、禁煙エリアを定めて明示すべきだが見解を伺う。

回答
じゃぶじゃぶ池や遊具など子供が利用する場所については、受動喫煙の防止を徹底するための掲示を行っており、引き続き巡回に取り組んでいきます。

質問事項
二の3 都市部の都立公園においては原則禁煙とし、必要に応じてコンテナ型等閉鎖式の喫煙所を設置することを検討すべきだが、見解を伺う。

回答
都立公園のうち、動物園については平成30年から、文化財庭園についても令和2年から禁煙としています。
なお、都立公園内において、都が許可した上で地元自治体自らがコンテナ型の喫煙所を設置した事例があります。

質問事項
三 目黒川のしゅんせつについて
都は地元区と連携しながら、しゅんせつ等の臭気対策を積極的に進めていくべきだが、見解を伺う。

回答
都は、目黒川の臭気対策として、関係局が連携した清流復活事業等による流水の確保に加え、汚泥が堆積した区間を対象に船舶による大規模なしゅんせつを行っており、直近では平成29年度に、品川区の市場橋から目黒区の太鼓橋の区間において実施しました。
また、地元区が行う日常の維持管理としてのしゅんせつや、臭気の元となる硫化水素の発生を防止する対策等に対して、必要な財源措置を行うなど、地元区と連携して臭気対策に取り組んでいます。

質問事項
四 生活困窮者への携帯電話支援について
1 都が行うTOKYOチャレンジネットでも携帯電話貸与は行っているものの、非常時対応などに限られており、拡充すべきだが、見解を伺う。

回答
都は、ネットカフェ等で寝泊まりしながら不安定な就労に従事している方等を支援するため、TOKYOチャレンジネットを設置し、生活相談や居住支援、就労支援などを一体的に提供しており、就職活動等に携帯電話を必要とする場合は、利用者の個々の状況に応じて支援しています。

質問事項
四の2 東京つくろいファンドなどの団体が行う携帯電話貸与事業に対し、行政として必要な支援を行うべきだが、見解を伺う。

回答
TOKYOチャレンジネットでは、利用者が就職活動等で携帯電話を必要とする場合に、生活困窮者等へ低廉な料金で使用できる携帯電話等サービスを提供している事業者を紹介するほか、必要に応じて同行支援を行っています。

質問事項
五 外国籍児童への教育機会の確保について
1 文科省の2019年の調査により、就学年齢の外国籍児童のうち2万人近くが学校教育を受けていない可能性があることが分かり、うち約4割が東京都であった。文科省の調査後、都はどのように外国籍児童の就学率の把握と向上に努めたのか。またその成果について伺う。

回答
文部科学省は、外国人の子供の就学機会を確保するため、調査後の令和2年7月に「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」を策定し、就学状況の把握や就学案内の徹底等、地方公共団体が講ずべき事項を示しています。
都教育委員会は、本指針を踏まえ、外国人の子供の就学に関する標準的な事務手順を示したガイドラインを作成し、区市町村教育委員会に対して本ガイドラインに基づき、就学促進等に取り組むよう促しており、令和元年度調査後の就学状況については、現在、国において調査中です。

質問事項
五の2 小中学校に在籍する外国籍児童生徒のうち、日常生活のための日本語指導、学習言語としての日本語指導を必要とする児童生徒はそれぞれ何人いるのか。そのうち、必要な日本語指導を受けられている児童生徒はどの程度いるのか伺う。

回答
都教育委員会が、令和2年度に行った「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」では、都内公立小・中学校に在籍する外国籍児童・生徒のうち、日本語で日常会話が十分にできない児童・生徒、又は、日常会話ができても、学年相当の学習言語能力が不足し、学習活動への参加に支障が生じている児童・生徒の数は、3,025名です。
各学校では児童・生徒の実態に応じて、個別の指導や授業における指導を通して、生活や学習に必要な日本語の習得に向けた支援を行っています。

質問事項
五の3 各自治体の実情に合わせ、日本語学級の増設や地域で日本語学習を行う団体等への支援の充実を図るべきだが、見解を伺う。

回答
日本語学級の増設について、都教育委員会は、区市町村教育委員会が小中学校等に日本語学級を設置しようとする場合、「公立小学校・中学校・義務教育学校日本語学級設置要綱」の基準等に基づき、認証しています。
また、毎年度実施している区市町村教育委員会に対する説明会において、配布する資料に要綱を掲載し、設置に関する手続について周知を図っています。
地域で日本語学習を行う団体等への支援については、地域で民間団体が日本語学習を行うなど、在住外国人を支援する事業に対して、都は、一団体当たり5百万円を上限とした在住外国人支援事業助成により支援しています。引き続き、様々な団体に活用していただけるよう周知していきます。

質問事項
五の4 都として日本語指導を必要とする子どもたちへの指導・支援の指針を設けるべきだが、見解を伺う。

回答
都教育委員会は、日本語指導の基本的な指導方法等や指導時数例などを示した資料を各学校に対して示すとともに、子供たちへの日本語の初期指導に有効な映像教材を作成し活用を促しています。

質問事項
五の5 外国籍児童の都立高校への進学枠のさらなる拡大と、進学後の支援の充実が必要だ。また、支援にあたっては担当教師のみならず、学年・学校での共有を図るべきだが、見解を伺う。

回答
都立高校の在京外国人生徒対象募集枠は、令和4年2月実施の入学者選抜では8校に設置し、155名を募集しています。
引き続き、都内公立中学校における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の推移や居住地域、在京外国人生徒対象募集枠の募集校における入学者選抜の応募状況等を踏まえ、募集枠の設置校及び募集人員を決定していきます。
また、各学校において、入学した生徒が早期に授業内容を理解することができるよう、一人一人の日本語の習熟の程度や学校の実態に応じて、外部人材を活用しながら学習上の支援を行っており、日本語指導の教員と学年主任等とが連携し、学校全体で支援方法・内容等の共有を図っています。

質問事項
五の6 給付型奨学金制度の外国籍生徒への周知に学校間で格差がみられる。資格取得は高校卒業後の在留資格にもかかわることから「やさしい日本語」や多言語での周知を徹底すべきだが、見解を伺う。

回答
給付型奨学金制度のリーフレットは、英語、中国語、韓国語、タガログ語、ネパール語に翻訳し、生徒・保護者に周知しています。また、「やさしい日本語」で記載したリーフレットについても、現在、作成を進めています。

質問事項
五の7 外国籍児童生徒の保護者が日本語を習得していないために学校とのコミュニケーションがとりづらい例も多い。公立小中学校では一人1台端末が配置されたことを踏まえ、学校からの連絡等はプリントでなくテキスト形式で送ることで保護者側が必要な言語に翻訳しやすくなることから、各学校や教育委員会で積極的に活用するよう都教委から働きかけるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
各学校では、保護者の状況に応じて、連絡事項をメールで配信した上で、インターネット上の翻訳機能を活用して理解を促す方法や、通訳などの外部人材の活用等により、直接コミュニケーションを取る方法など、様々な工夫を行い、保護者と必要な情報を共有できるようにしています。

質問事項
六 通学時の痴漢被害防止等について
1 高校入学を機に電車通学になることで、痴漢被害のリスクが急増する。一般社団法人痴漢抑止活動センターでは、痴漢被害に遭う前の意識啓発のための短時間の講習プログラムを提供しており、こうした外部の知見も活用してはどうか、見解を伺う。

回答
都立高校等では、年度当初に、登下校時に遭遇する犯罪や危険について理解し、安全に行動できるようホームルーム活動等で指導を行っています。
また、警察署と連携した痴漢被害等の防止についての講話や護身術訓練など指導内容等を工夫して実施している学校もあります。

質問事項
六の2 都立高校では一人一台端末が来年春から配備される計画だが、すべての生徒の端末に、犯罪被害などの相談窓口に直接つながるリンク等をデスクトップその他分かりやすい場所にインストールしておくよう各学校に求めてはどうか、見解を伺う。

回答
現在、都立学校では、生徒所有のスマートフォンやタブレットなどの端末を活用し、一人1台端末体制の下、学習を進めています。
こうした状況を踏まえ、都教育委員会は、犯罪被害を相談できる相談窓口などを取りまとめたインターネット上のリンク集を作成し、生徒所有の端末などから犯罪被害などの相談窓口に直接アクセスできるよう、ブラウザに登録することを都立学校長に対し促しており、令和4年度以降も同様に取り組んでいくこととしています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とくとめ道信
質問事項
一 高齢者で難聴が増大する中で聞こえのバリアフリーをめざして、都が補聴器利用の普及・支援と、認知予防対策も一体的に推進することについて
二 東京警視庁関係手数料条例の一部改正の条例の今後の具体化・実施について

一 高齢者で難聴が増大する中で聞こえのバリアフリーをめざして、都が補聴器利用の普及・支援と、認知予防対策も一体的に推進することについて
板橋区内の高齢者を訪問して、お困りごとなどを伺う中で難聴者が増えていることを実感します。
「耳が遠くなって、友人・知人と会話することも大変な思いをしている」「補聴器を利用したいと思うけれども、高くて購入できずにガマンせざるを得ない」「高い金を払って補聴器を購入したけど、調整できなく大変」など、身近に相談できる人もいない中で困っている人の話も聞きます。
また、補聴器の利用をめぐって、認知症との関連も指摘を受けている人も増えています。
こうした中で板橋区では、「区民団体」のみなさんの補聴器購入の助成を求める署名などの取り組みが前進し、区議会で令和3年度から、都の包括補助事業を利用して補聴器購入の助成が開始されています。
この中で区内の耳鼻咽喉科医との協力が広がっています。「補聴器購入アフターケア証明書」などの活用も始まっています。
同時に多くの難聴者の補聴器購入・普及をめぐっては、認知症との関わりなど新しい課題や解決すべき問題も、専門家からも指摘されています。こうした点も踏まえて、質問を行います。
1 都の高齢社会対策の包括補助事業を活用しての都内区市町村の補聴器購入の助成が実現している最新の自治体数と補助対象経費の総額、その中で助成を受けている最新の高齢者数はどうなっているか、教えてください。
2 板橋区の補聴器使用が認められた難聴者へのフォロー事業(「補聴器購入アフターケア証明書」交付)は、補聴器店におけるアフターケアの実施を義務付けています。
板橋区の健康長寿生きがい部長寿社会推進課発行の「補聴器購入アフターケア証明書」に関わる通知文書では、「調整費用は購入費に含まれます」と書かれています。これは「令和2年1月31日事務連絡」の(6)を適用して、都の包括補助の対象なのでしょうか、教えてください。
3 最近、難聴者の補聴器利用の対応との関係において、難聴と認知症との関連が注目され、一体的な対応の重要性を指摘する専門家の見解もあります。
都は、こうした指摘や見解をどのように認識していますか。
4 都が行う高齢者の生活実態に関する調査において、聞こえの状況、補聴器使用の状況などを設問に加えて掌握し、対策に生かすべきではないかと思いますが、都の調査では掌握されているのか見解を伺います。
5 高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用している、補聴器使用に対する自治体の支援策について、先進事例を集約して、各自治体にも普及すべきではないかと思いますが、いかがですか。
6 いま高齢化で難聴者が増大し、日常生活に困難を抱えている人が増えています。こういう時だからこそ、補聴器の利用・普及と、認知症予防を一体にした取り組みが重要だと思います。
改めて聞こえに関する都の事業施策が重要になっていると考えますが、都の見解をうかがいます。

二 東京警視庁関係手数料条例の一部改正の条例の今後の具体化・実施について
今回の「警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例案」は、今年6月16日に「銃砲刀類所持等取締法の一部の法律改正」を受けて、条例案が提案され、改正されました。
わが党は、この法律と条例の改正を踏まえて、「クロスボウ」所持を原則禁止、所持許可となる場合の規定を設けた条令の改正には、国会での審議と都議会での検討を踏まえて賛成しています。
この立場から条例の具体化、実施にあたって、「クロスボウ」被害を防止するためにいくつか質問します。
1 条例改正の前提となる4月の法律改正の国会審議では、「クロスボウ」を使った殺人事件などについて指摘もある中で成立しているが、都内では、この「クロスボウ」を使用した事件、検挙件数はどのくらいあったのか伺う。
2 都内での「クロスボウ」の普及、購入の現状は、ネット販売が主流だと指摘されているが、「クロスボウ」はどのような経路、ルートを通して手に入り、所持者の実態はどう掌握されているのか伺う。
3 法律と条例の改正を通じて、全国で「クロスボウ」の所持は、原則禁止になるが、どのようにして改正の趣旨、手続きなどを普及・徹底して、「クロスボウ」の所持、使用の安全性を確保するのか伺う。
4 法律と条例の改正、施行に伴って、「クロスボウ」所持をやめて廃棄する人や他人に譲渡する人、あるいは改正を知らなかった人なども出てくるが、「クロスボウ」の廃棄の場合、他人への譲渡などを行う場合、改正を知らなかった場合など、「クロスボウ」の不法所持も広がる可能性への対応について具体的に検討しているのか伺う。

令和3年第四回都議会定例会
とくとめ道信議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 高齢者で難聴が増大する中で聞こえのバリアフリーをめざして、都が補聴器利用の普及・支援と、認知予防対策も一体的に推進することについて
1 都の高齢社会対策の包括補助事業を活用しての都内区市町村の補聴器購入の助成が実現している最新の自治体数と補助対象経費の総額、その中で助成を受けている最新の高齢者数はどうなっているか伺う。

回答
都は、高齢者への補聴器支給等に取り組む区市町村を、高齢社会対策区市町村包括補助事業で支援しています。
令和2年度の実績は、6区、約4,850万2千円、1,387人となっています。

質問事項
一の2 板橋区の補聴器使用が認められた難聴者へのフォロー事業は、補聴器店におけるアフターケアの実施を義務付けており、「補聴器購入アフターケア証明書」に関わる通知文書では、「調整費用は購入費に含まれます」と書かれているが、「令和2年1月31日事務連絡」の(6)を適用し、都の包括補助の対象になっているのか伺う。

回答
都は、区市町村に対し、令和2年1月31日付けの事務連絡で、高齢者への補聴器支給等に対する補助の考え方を通知しており、この中で、一人ひとりの聞こえ方に応じて補聴器の調整を受けられることが大切である旨を示しています。
お尋ねの板橋区の取組は、こうした趣旨に合致し、補助対象になるものと考えます。

質問事項
一の3 難聴者の補聴器利用の対応との関係において、難聴と認知症との関連が注目され、一体的な対応の重要性を指摘する専門家の見解もある。こうした指摘をどのように認識しているか伺う。

回答
令和元年に世界保健機関(WHO)が公表したガイドライン「認知機能低下および認知症のリスク低減」では、「認知機能低下や認知症のリスクを低減するために補聴器の使用を推奨するエビデンスは不十分である」とされています。
また、同年に国が取りまとめた認知症施策推進大綱では、認知症の予防、診断、治療、ケア等のための研究として、運動や難聴等の危険因子に対する予防介入研究などを行うとしています。

質問事項
一の4 都が行う高齢者の生活実態に関する調査において、聞こえの状況、補聴器使用の状況などを設問に加えて掌握し、対策に生かすべきだが、都の調査では掌握されているのか見解を伺う。

回答
都は、高齢者福祉施策推進のための基礎資料を得ることを目的として、5年に1回、高齢者の生活実態に関する調査を実施しており、この中で、聴力(耳の聞こえ方)についても調査しています。

質問事項
一の5 高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用している、補聴器使用に対する自治体の支援策について、先進事例を集約して、各自治体にも普及すべきだが、見解を伺う。

回答
都は、毎年5月頃、区市町村を対象に高齢社会対策区市町村包括補助事業に関する説明会を開催しており、その中で、他の区市町村の参考となる高齢者施策に関する取組についても紹介しています。

質問事項
一の6 いま高齢化で難聴者が増大し、日常生活に困難を抱えている人が増えており、改めて聞こえに関する都の事業施策が重要になっているが、見解を伺う。

回答
都は、情報バリアフリーガイドラインを策定し、聴力の弱い方にとって聞こえやすい環境の整備を行う事業者等の取組を促進するなど、高齢者の聞こえの支援を推進しています。

質問事項
二 東京警視庁関係手数料条例の一部改正の条例の今後の具体化・実施について
1 条例改正の前提となる4月の法律改正の国会審議では、「クロスボウ」を使った殺人事件などについて指摘もある中で成立しているが、都内では、この「クロスボウ」を使用した事件、検挙件数はどのくらいあったのか伺う。

回答
平成23年1月から令和3年11月までの間、都内においてクロスボウが犯罪供用物であると確認できた事件の件数は6件で、検挙した件数は3件です。

質問事項
二の2 都内での「クロスボウ」の普及、購入の現状は、ネット販売が主流だと指摘されているが、「クロスボウ」はどのような経路、ルートを通して手に入り、所持者の実態は、どう掌握しているか伺う。

回答
国内で販売されるクロスボウのほとんどは海外から輸入されたものであり、国内の販売事業者を通じて販売されています。
現在、クロスボウの所持に関して法律上の規制はなく、誰でも、どのような目的でもクロスボウを入手可能であるため、都内に流通しているクロスボウの正確な数量は明らかになっていません。

質問事項
二の3 法律と条例の改正を通じて、全国で「クロスボウ」の所持は、原則禁止になるが、どのようにして改正の趣旨、手続などを普及・徹底して、「クロスボウ」の所持、使用の安全性を確保するのか伺う。

回答
警視庁では改正法の公布後、都民の皆様に対しホームページ、SNS、ポスター等を活用して今回の法改正についての周知を図っています。
また、クロスボウ射撃団体に対して法改正の内容を説明しているほか、クロスボウ販売店には、店から顧客に対して許可の申請や処分を呼び掛けるよう促しています。

質問事項
二の4 法律と条例の改正、施行に伴って、「クロスボウ」所持をやめて廃棄する人や他人に譲渡する人、あるいは改正を知らなかった人なども出てくるが、「クロスボウ」の廃棄の場合、他人への譲渡などを行う場合、改正を知らなかった場合など、「クロスボウ」の不法所持も広がる可能性への対応について具体的に検討しているのか伺う。

回答
警視庁では、6か月の経過期間内に所持許可の申請等を適切に行っていただけるよう法改正について継続して周知していきます。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 池川友一
質問事項
一 児童相談所について

一 児童相談所について
児童福祉法施行令が改正され、「児童相談所と市町村及び学校、医療機関その他関係機関とが相互に緊密な連携を図ることができるよう、管轄区域内の主要な関係機関等の利用者の居住する地域を考慮したものであること」が位置づけられ、「管轄区域における人口が、基本としておおむね50万人以下であること」が示されました。
これに基づいて、東京都としてどう対応するのかについて以下、質問します。
1 改正児童福祉法等によって、新たな基準が示されたもとで東京都はどのように対応するのですか。
2 多摩地域の都立児童相談所の管轄人口は、八王子児童相談所が117万人、立川児童相談所が75万人、小平児童相談所が115万人、多摩児童相談所が82万人となっています。武蔵野市と三鷹市を管轄する杉並児童相談所の管轄人口も124万人です。管轄人口が、おおむね50万人以下(20万人から100万人)という点でも、移動距離という点でも改善すべき課題があると考えます。都としてどう認識していますか。
3 町田市を管轄する八王子児童相談所は、交通事情からみて速やかに当該通告を受けた児童の保護その他の対応を行う上で、改善が求められていると考えますがいかがですか。
4 町田市議会が2007年に全会一致で「町田児童相談所の早期設置を求める意見書」を可決しており、その後も児童相談所設置を求める声が寄せられ続けています。児童相談所について検討する際、多摩地域の自治体からはどのように意見を聞き、反映するのですか。

令和3年第四回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 児童相談所について
1 改正児童福祉法等によって、新たな基準が示されたもとで都はどのように対応するのか伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令等を踏まえ、人口や地理的条件、交通事情などを総合的に考慮して検討することが必要と考えています。

質問事項
一の2 多摩地域の都立児童相談所は、管轄人口がおおむね50万人以下(20万人から100万人)という点でも、移動距離という点でも改善すべき課題があるが、認識を伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令等を踏まえ、人口や地理的条件、交通事情などを総合的に考慮することが必要と考えています。 

質問事項
一の3 町田市を管轄する八王子児童相談所は、交通事情からみて速やかに当該通告を受けた児童の保護その他の対応を行う上で、改善が求められているが、見解を伺う。

回答
児童相談所の管轄区域については、令和5年4月1日に施行予定の改正児童福祉法施行令において、人口や地理的条件、交通事情などの参酌基準が定められています。
八王子児童相談所を含む都の児童相談所の管轄区域についても、こうしたことを総合的に考慮して検討する必要があると考えています。

質問事項
一の4 町田市議会が2007年に全会一致で「町田児童相談所の早期設置を求める意見書」を可決しており、その後も児童相談所設置を求める声が寄せられ続けているが、児童相談所について検討する際、多摩地域の自治体からどのように意見を聞き、反映するのか伺う。

回答
児童相談所の管轄区域を変更する場合、関係自治体に対し、適時適切に情報提供することが必要と考えています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治
質問事項
一 水道メータの検針業務について
二 水道事業における地震対応について
三 スマートメータの取り組みについて
四 都営地下鉄の浸水対策について
五 都営地下鉄の空間活用について
六 都営地下鉄の危機管理について
七 シルバーパスについて
八 危険なバス停について
九 東武東上線の安全対策について
十 板橋区内における救急需要について

一 水道メータの検針業務について
1 水道メータの検針の際に行われている要支援者の見守り事業には期待しているが、その件数を確認すると、メータ検針の確認の際に異常を感じ福祉部署に情報提供した数はわずか数件である。改めて5か年での件数の推移を伺うとともに、もう何年前から抜本的な対策を求めているが改めて見解を求める。
2 またその異変を感じ取る検針委託業者の対応にも問題がある。これは私が経験したことであるが、我が家の水道メータを確認しに来た委託業者がいたが、こういったご時世であるため身元の確認を求めたところ「名刺は渡さない」「名前も確認させない」「制服を見れば水道メータ検針員だとわかるだろ」といった発言があり、とても都民に寄り添う対応とはいえるものではなかった。改めるべきと考えるが見解を求める。
3 見守り事業が不十分である点や、検針委託業者の対応の問題点は、特定の3、4会社が何年も同じ業務を特命随意契約で検針業務を受託していることが要因の一つと考える。総合評価方式によって特命随意契約は見直されたとはいえ未だに入札者は同じ顔触れである。改めていくべきと考えるが見解を伺う。

二 水道事業における地震対応について
1 10月7日に最大震度5強の地震が発生し、都民などの通報によって23か所で漏水し道路に水が溢れたことがわかった。私の問題意識としては、通報ベースでの23件以外にも漏水が起きているのではないかという疑問がぬぐえない。まずどのように漏水被害を把握することになっているのか伺う。
2 私は今回の地震ですべての管路で緊急一斉点検が行われていないのではないかという認識がある。災害時にはすべての管路で緊急一斉点検をすることになっているのか今回の件と合わせて伺う。

三 スマートメータの取り組みについて
見守り事業や地震発生時における被害状況の把握については、スマートメータが活躍する余地が十二分にあると考える。かねてよりスマートメータの実現に向けて提言を続けてきたが、改めてスマートメータの効果と取り組み内容について伺う。

四 都営地下鉄の浸水対策について
私の地元板橋区には浸水想定区域に都営三田線が走っていることから、私はかねてより都営地下鉄などの浸水対策において、地下でつながる民間ビルの出入り口に十分な止水対応がなされていないことや非常用発電機への防水対策など多くの指摘をしてきた。改めて都営地下鉄における浸水対策を強化すべきと考えるが、最新の取組についても伺う。

五 都営地下鉄の空間活用について
日々様々なNPOや区市町村が各種イベントや啓もう活動を行っているが集客に苦戦をしていると聞く。また東京メトロと比べ都営地下鉄の駅構内空間は賑わいが少ない。また板橋区をはしる西高島平駅など地上駅のある駅周辺が閑散としてしまっていることは大きな課題である。そこでまずは駅構内空間において、メトロでいうエチカなど店舗の賑わい創出や社会貢献への活用を交通局は検討すべきだが見解を伺う。

六 都営地下鉄の危機管理について
1 小田急や京王の殺傷事件を受けて確認するが、都営交通のこれまでの危機管理と今後の対応について伺う。
2 都営地下鉄には不審者不審物、サリン事件などを受けてのマニュアルはあると聞いている。一方、今回の小田急や京王電鉄での事件を想定した危機管理マニュアルはあるのか改めて伺う。
3 今回の一連の事件を受けて110番による通報で警察が来るまでの約10分間をどうするのか伺う。
4 そこで今回の他社線での傷害事件を受けて、マニュアルの追加改定など対応力向上が必要だと考えるが、見解を伺う。
5 さらには車内を確認すると非常通報ボタンの場所や位置がどこにあるのか分かりづらく、ポスターも何処に貼ってあるかわからない。また表記も多言語化するなど改善したほうがよいと思うが見解を伺う。

七 シルバーパスについて
1 シルバーパスに関連した不正があると聞いているが、都営地下鉄ではどのように防止しているのか伺う。
2 不正を抑止するため、またシルバーパスの実態を正確に把握するためにも現在のシルバーパス磁気カードをIC化すべきと考えるが見解を伺う。

八 危険なバス停について
1 危険なバス停は、横断歩道や交差点のそばにあり、停車したバスの車体で死角が生じて交通事故を引き起こす恐れがあるバス停とされる。国が危険度を3ランクに分類する実態調査を行い、計1万381か所に上ることがわかった。まず東京都内でのランク別の推移件数など現状とどのような対策を講じてきたかについて伺う。
2 私の地元である板橋区栄町では、バス停の移設が困難な箇所がありバス停廃止となれば住民の生活に甚大な影響を及ぼすことが懸念される。このようにバス事業者からは、単独での対応に限界を訴える意見もあり、行政や警察など関係機関と連携しながら対策を進めるべきと考えるが、そのような実績も含め都と警視庁の見解をそれぞれ伺う。

九 東武東上線の安全対策について
1 東武東上線下赤塚駅(東京都板橋区)で今年1月、視覚障害がある60代男性が準急電車にはねられて死亡事故が発生した。原因はどこにあると都は考えているのか伺う。
2 その理由の一つとしてホームの点字ブロックの敷き方が分かりにくいとの意見が当事者団体からあげられている。東武鉄道に対し改善を求めるなど都は行うべきと考えるが見解を伺う。
3 都内の人身障害事故と自殺による輸送障害の件数について伺う。
4 板橋区内では東武東上線やJR板橋駅をはじめホームドアが設置されておらず大変危険な状況が放置されている。ホームドア設置の進捗状況を伺うとともに早急に対応すべきと考えるが見解を伺う。

十 板橋区内における救急需要について
1 板橋区では救急の需要が多く、なかなか救急車が到着しないという実感がある。着電から現場到着まで平均何分たっているのか5か年の推移を伺う。
2 かねてより提言をしているが需要増大をうけて体制を強化すべきと考えるが消防庁の見解を伺う。

令和3年第四回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 水道メータの検針業務について
1 水道メータの検針の際の要支援者の見守り事業について、件数を確認すると、メータ検針の際に異常を感じ福祉部署に情報提供した数はわずか数件である。改めて5か年の件数の推移と、抜本的な対策について見解を伺う。

回答
都では、水道局が給水している全ての区市町と、平成28年度までに、「行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定」を順次締結しています。
これにより、水道局職員や検針業務受託事業者の検針員等が、お客さま宅等を訪問した際に、明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報を提供しています。
この協定に基づき、情報の提供を行った実績は、平成28年度は6件、29年度は7件、30年度は11件、令和元年度は9件、2年度は9件となっています。
今後も、水道メータの検針時等の要支援者の見守りについては、水道事業者としての業務を行っていく中で、可能な限り取り組んでいきます。

質問事項
一の2 検針委託業者の対応にも問題があり、都民に寄り添う対応とはいえるものではなく、改めるべきだが、見解を伺う。

回答
水道メータの検針業務委託の履行に当たっては、態度、言葉遣い等に十分注意することとし、接遇についての研修を行うことに加え、検針の際には検針員に身分証明書を携行させることを、受託事業者に義務付けています。
また、お客さまから接遇に関する苦情等があった場合には、事実確認を行った上で、必要に応じて、当該受託事業者に対して、お客さま対応を適切に行うよう指導しており、今後も引き続き、お客さまに寄り添った対応を心掛けるよう指導していきます。

質問事項
一の3 見守り事業が不十分である点や、検針委託業者の対応の問題点は、特定の3、4会社が何年も特命随意契約で同じ業務を受託していることが要因の一つである。総合評価方式によって特命随意契約は見直されたが、未だに入札者は同じ顔触れであり、改めていくべきだが見解を伺う。

回答
水道メータの検針業務受託事業者の選定については、競争入札における落札者決定方式の一つである総合評価方式に順次移行しています。
また、新規事業者の参入を促すため、これまで都における受注実績がなかった事業者も競争上不利な立場とならないよう、評価基準を適宜見直すとともに、事業者の募集に当たっては、仕様書や評価基準を水道局ホームページで公表し、広くPRを行ってきました。
引き続き、公平性、透明性、競争性を確保していきます。

質問事項
二 水道事業における地震対応について
1 10月7日に最大震度5強の地震が発生し、都民などの通報によって23か所で漏水したことがわかった。通報べースでの23件以外にも漏水が起きているのではないかという疑問がぬぐえないが、どのように漏水被害を把握することになっているのか伺う。

回答
都では、配水本管等に設置している、水圧や流量を計測するテレメータのデータを常時監視しており、地震発生後に水圧の低下などを確認した場合に、そのテレメータ周辺の漏水調査を実施することとしています。
また、重要な配水管については、職員による巡回パトロールを実施することにより、地表に漏水が発生していないか、点検を行っています。
このほか、通報等により把握した漏水については、速やかに対応しています。

質問事項
二の2 今回の地震ですべての管路で緊急一斉点検が行われていないのではないかという認識があるが、災害時にはすべての管路で緊急一斉点検をすることになっているのか、今回の地震の件とあわせて伺う。

回答
都では、テレメータによるデータの監視や巡回パトロールによる点検などの対応によって漏水被害を把握しており、10月7日に地震が発生した際も、この考え方で対応しました。
都が管理している水道管路の延長が非常に大きいことや、そのほとんどが地中に埋設されていることを考慮し、全ての管路を点検することは行っていません。 

質問事項
三 スマートメータの取組について
見守り事業や地震発生時における被害状況の把握については、スマートメータが活躍する余地が十二分にあるが、改めてスマートメータの効果と取組内容について伺う。

回答
お客さま宅等に給水スマートメータを導入することで使用水量の変化などをお客さまに通知することが可能となることから、離れて暮らしている御家族等の安否確認などに活用することについて、ニーズや技術的課題を、今後検討していきます。
また、配水小管にもスマートメータを設置することで、配水管内の流量や水圧の変化の常時監視が可能となり、事故や地震発生時等の漏水への対応を迅速に行うことができます。
水道スマートメータトライアルプロジェクト推進プランに基づき、着実にスマートメータの設置を進めていきます。

質問事項
四 都営地下鉄の浸水対策について
都営地下鉄における浸水対策を強化すべきだが、最新の取組について伺う。

回答
都営地下鉄では、中小河川のほか、荒川氾濫等の大規模水害を想定した浸水対策にも取り組んでおり、最新の浸水想定を踏まえ実施したシミュレーションにより、出入口やトンネル等を通じて被害が順次拡大する状況を把握しました。
これを踏まえ、現在、駅出入口の止水板のかさ上げや通風口の浸水防止機の増強、地下部の浸水拡大防止策等について検討を進めています。
今後、優先して対策を講じる施設や対策の手法、その工程等を定め、令和4年度策定予定の整備計画に盛り込むこととしています。あわせて、被災した際にも早期の運行再開が図れるよう、車両の避難や施設の復旧に関する手順を整理するなど、浸水対策を着実に進めていきます。

質問事項
五 都営地下鉄の空間活用について
東京メトロと比べ都営地下鉄の駅構内空間は賑わいが少なく、地上駅周辺が閑散としていることは大きな課題である。まずは駅構内空間において、店舗の賑わい創出や社会貢献への活用を検討すべきだが、見解を伺う。

回答
交通局では、駅構内の限られたスペースを有効活用し、売店、店舗、自動販売機など様々なサービスを提供することで、利便性向上と収益確保を図っています。
また、沿線の自治体と連携し、障害者の自立と雇用を支援する観点から、三田線高島平駅を含む五駅に障害のある方が働く店舗を設置するなど、駅構内を活用した社会貢献にも取り組んでいます。
今後も、地元区等の要望を踏まえながら、社会貢献にも資する事業展開を図るとともに、お客様のニーズを的確に捉え、駅のにぎわい創出にもつながるよう駅構内サービスの充実に取り組んでいきます。

質問事項
六 都営地下鉄の危機管理について
1 小田急や京王の殺傷事件を受けて、都営交通のこれまでの危機管理と今後の対応について伺う。

回答
都営地下鉄では、走行中に車内トラブルが発生した場合、お客様からの非常通報器での通報により、車内の状況把握に努めています。通報を受けた乗務員は、運輸指令に連絡し、指令は乗務員に必要な指示を行うとともに、状況に応じて駅係員の手配などを行います。
また、安全確保の観点から、原則、列車を次の駅に速やかに停車させるとともに、放送によりお客様へのご案内に努め、状況に応じて必要な救護や避難誘導等を行うこととしています。
現在は、お客様に非常通報器による通報に御協力いただけるようポスター等による周知に取り組んでおり、今後は、通報器の位置をより分かりやすく車内に表示していきます。

質問事項
六の2 都営地下鉄には不審者不審物、サリン事件などを受けてのマニュアルはあると聞いているが、今回の小田急や京王電鉄での事件を想定した危機管理マニュアルはあるのか改めて伺う。

回答
交通局では、テロ対策の基本方針を定めた危機管理対策計画を策定しており、これは、平素における備えやテロ発生により被害が生じた場合の応急復旧活動などの基本となる計画です。
都営地下鉄の各現場においては、この計画に基づき、異常時の対応に関するマニュアルを定めています。
今回の他社線での事件を踏まえ、防護盾等、暴漢対策用具の配備を進めており、これに伴い、マニュアルをより実践的なものとする予定です。

質問事項
六の3 今回の一連の事件を受けて、警察が来るまでの約10分間をどうするのか伺う。

回答
都営地下鉄では、省令に基づき、運転の安全の確保に関する規範を定めており、係員は、事故が発生した場合、その状況を冷静に判断し、速やかに安全適切な処置をとり、特に人命に危険が生じたときは、全力を尽くしてその救助に努めることとしています。
具体的には、車内で緊急事態が発生した際には、列車を最寄りの駅に停車させた後、お客様を速やかにホーム上に誘導し、駅構内の安全な場所等に避難させ、警察官が到着次第、連携して対処することとしています。

質問事項
六の4 今回の他社線での傷害事件を受けて、マニュアルの追加改定など対応力向上が必要だが、見解を伺う。

回答
都営地下鉄では、テロ対策として、危機管理対策計画に基づき、駅係員や警備員による巡回を行うとともに、警察や消防と連携し、不審者に対する訓練を実施するなど、様々な取組を進めています。
今回の他社線での事件を踏まえ、緊急対応として駅構内や車内巡回の態勢を増強するとともに、清澄白河駅や高島平駅などにおいて、警察と連携し、不審者への対応を想定した訓練を実施しました。
また、車両が非常停止した場合のホームドアや車両ドアの取扱いについても、国が取りまとめた今後の対策を踏まえ具体的な検討を進めています。
さらに、防護盾等、暴漢対策用具の配備を進めており、引き続き、マニュアルや訓練の充実を図っていきます。

質問事項
六の5 車内を確認すると非常通報ボタンの場所や位置がどこにあるのか分かりづらく、ポスターもどこに貼ってあるかわからない。また表記も多言語化するなど改善したほうがよいが、見解を伺う。

回答
都営地下鉄の車両には、急病人や車内トラブルなどの発生時に車内の状況を乗務員等へ伝えるための非常通報器を備えており、各車両に2か所以上設置しています。
交通局では、他社線での事件を受け、非常通報器付近の見やすい場所に、どなたにも分かりやすいようSOSと記したピクトグラムを表示する準備を進めています。
また、令和3年10月から、国の依頼に基づき、警戒警備や非常通報ボタンに関するポスターを全ての駅に掲出しており、11月には更なる周知を図るため、掲出箇所を増やしています。 
今後とも、国や他の鉄道事業者と連携しながら、より一層の安全確保に努めていきます。

質問事項
七 シルバーパスについて
1 シルバーパスに関連した不正があると聞いているが、都営地下鉄ではどのように防止しているのか伺う。

回答
都営地下鉄では、シルバーパスをお持ちのお客様には、原則、自動改札機を御利用いただくよう御案内しており、有効期間外のパスでは改札機を通過できません。
また、駅係員に券面を提示して御利用いただく際には、係員が有効期間等を確認し、不審な点がある場合には、お声掛けをしています。

質問事項
七の2 不正を抑止するため、またシルバーパスの実態を正確に把握するためにも現在のシルバーパス磁気カードをIC化すべきだが、見解を伺う。

回答
ICカード乗車券には、定期入れから乗車券を出すことなく自動改札機を通過できるといったメリットがあると考えています。
一方、シルバーパスのICカード化については、その実施に当たり、カードの発行や交付の手法、各鉄道・バス事業者との運賃精算に関わるシステムの開発、自動改札機やバス料金機のプログラム改修など、多くの課題があります。
また、PASMO協議会に加盟する関東の鉄道・バス事業者61者をはじめ、関係する事業者間の合意形成を図るなど、様々な調整が必要になるものと考えています。

質問事項
八 危険なバス停について
1 危険なバス停は、国が危険度を3ランクに分類する実態調査を行い、計1万381か所に上ることがわかったが、都内でのランク別の推移件数など現状とどのような対策を講じてきたか伺う。

回答
国は、全国の地方運輸支局ごとにバス停留所安全性確保合同検討会を設置し、バスが停留所に停車した際に車体が横断歩道にかかり、道路を横断する歩行者が対向車や追越車の死角に入るなど、安全対策を検討する必要がある停留所を抽出しています。
都内では、令和3年1月に224箇所の停留所が抽出され、この内、バスが停留所に停車した際に車体が横断歩道にかかるなどのAランクは20箇所、横断歩道の前後5メートルの範囲又は交差点にかかるBランクは110箇所、交差点の前後5メートルの範囲にかかるなどのCランクは94箇所となっています。
令和3年7月末時点では、Aランクは9箇所、Bランクは97箇所、Cランクは88箇所となっています。
これは、停留所の移設や横断歩道の移動、横断抑止柵の設置などの対策が検討及び実施された結果です。

質問事項
八の2 バス停の移設が困難な箇所もあり、バス停廃止となれば住民の生活に甚大な影響を及ぼすことが懸念され、バス事業者単独での対応に限界を訴える意見もあり、行政や警察などと連携しながら対策を進めるべきだが、実績も含め都と警視庁の見解をそれぞれ伺う。

回答
国が設置したバス停留所安全性確保合同検討会には、バス事業者、交通管理者、道路管理者とともに、交通政策担当者としての都も参画しています。
検討会は、これまで2回開催され、安全対策を検討する必要がある停留所を抽出するとともに、抽出した停留所における安全対策の進捗状況を共有しています。
停留所ごとの安全対策については、バス事業者が交通管理者、道路管理者、地元自治体と連携して検討を行い、調整が図れた箇所から順次対策を講じています。
さらに、必要に応じて、バス事業者や地元自治体に対し技術的な助言を行うなど、適切に対応していきます。
警視庁においても、バス停留所の安全確保に向けて、国土交通省東京運輸支局、道路管理者、バス事業者などの関係機関・団体と緊密に連携し、バス停留所の安全対策を推進しているところです。

質問事項
九 東武東上線の安全対策について
1 東武東上線下赤塚駅(東京都板橋区)で今年1月、視覚障害がある60代男性が準急電車にはねられて死亡事故が発生した原因はどこにあるか、見解を伺う。

回答
鉄道事業者が国土交通省関東運輸局に提出を義務付けられている鉄道運転事故等報告書において、東武鉄道は、原因について「旅客(身体障害者)がホームから転落し列車と衝撃したため(推定)」と記載し、提出したと聞いています。

質問事項
九の2 死亡事故の理由の一つとして、ホームの点字ブロックの敷き方が分かりにくいとの意見が当事者団体からあげられており、東武鉄道に対し改善を求めるべきだが、見解を伺う。

回答
令和3年1月の下赤塚駅での転落事故後、東武鉄道は、ホーム端部の危険性を注意喚起するため、ホーム端部に人が危険性を感じる色をペイントするとともに、視覚に障害をお持ちの利用者などへの声かけの改めての徹底などを行っています。
なお、視覚障害者団体・支援団体、学識経験者、鉄道事業者などからなる国の検討会において、線路と平行方向の安全な歩行経路を示す方法について検討が進められています。

質問事項
九の3 都内の人身障害事故と自殺による輸送障害の件数について伺う。

回答
国土交通省が公表している最新の「鉄軌道及び索道輸送の安全に関わる情報」(令和元年度)によれば、人身障害事故は「列車又は車両の運転により人の死傷を生じた事故」とされ、都内の件数は80件であり、また、輸送障害は「輸送に障害を生じた事態であって、運転事故以外のもの」とされ、このうち自殺による輸送障害の都内の件数は110件です。

質問事項
九の4 板橋区内では東武東上線やJR板橋駅をはじめホームドアが設置されておらず大変危険な状況が放置されている。ホームドア設置の進捗状況を伺うとともに早急に対応すべきだが見解を伺う。

回答
ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠です。
都は、令和元年度に鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を取りまとめ、令和2年度に補助対象駅の拡大と上限額を引き上げました。
また、令和3年5月には、支援策の積極的な活用に向けて、鉄道事業者との検討会を設置し、技術的な方策を検討しています。
こうした取組を通じて、ホームドア整備のより一層の推進を働きかけていきます。
なお、東京都内における令和2年度末時点のホームドアの整備率は48パーセントです。

質問事項
十 板橋区内における救急需要について
1 板橋区では救急の需要が多く、なかなか救急車が到着しないが、着電から現場到着まで平均何分たっているのか5か年の推移を伺う。

回答
板橋区内で発生した救急事案の通報を受けてから現場到着までの平均時間は、平成28年は10分46秒、平成29年は10分50秒、平成30年は11分07秒、令和元年は10分41秒、令和2年は10分28秒となっています。

質問事項
十の2 救急需要増大をうけて体制を強化すべきだが、見解を伺う。

回答
東京消防庁では、市街地が全都的に連続している管内特性を考慮し、区市町村単位ではなく、当庁管内を一つの地域とみなし、計画的に救急隊を整備してきました。
近年では、増大する救急需要に対応するため、救急隊の計画的な増隊に加え、曜日や時間帯による救急需要の変化を踏まえ効果的に運用する救急機動部隊やデイタイム救急隊を新たに整備しました。
直近の5年間では救急隊18隊、救急機動部隊及びデイタイム救急隊を計6隊増隊しています。
板橋区内の消防署では、令和元年に志村消防署高島平第2救急隊を、令和3年に板橋消防署デイタイム救急隊を増隊しています。
今後も救急需要に的確に対応した施策を積極的に展開し、救急活動体制の充実強化に努めていきます。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とや英津子
質問事項
一 外環の2事業について

一 外環の2事業について
外環の2は、東京都外環道(練馬区―世田谷区、約16キロ)の地上部道路(練馬区―三鷹市、約9キロ)として1966年に都市計画決定されました。
しかし、住民の強い反対運動があり、国は70年に外環道の本線と共に計画を凍結しました。その後、2007年に外環道を大深度地下構造に変更する都市計画変更を行いました。
ところが都は地上部の「外環の2」のうち、2012年に大泉区間の1㎞について一方的に事業認可申請し、同年7月に認可を取得しています。これに対して、該当地域の住民の方々が一部区間のみを作ろうとするのは認められないとして「事業認可取消訴訟」を起こしました。
この裁判は最高裁が上告を棄却しましたが、住民のみなさんは事業を進めることは認められないと、抗議の声を上げ続けています。
この間、都は都市計画決定された外環の2の練馬区部分の3キロについて、2014年に道幅を40メートルから22メートルに変更する都市計画変更を行いましたが、練馬区地域住民の「子どもや高齢者が自然に親しむ石神井公園のすぐそばを道路が通ることで、地域が分断され環境が守られなくなる」との訴えが寄せられ、都市計画素案の説明会などで「地上部街路はいらない」との意見が根強くあり、いまでも合意が得られているとは言えない状況です。
しかも都は21年6月に、コロナ禍を理由に住民説明会も開かず「外環の2の事業概要及び測量作業のご案内」と記述したチラシを突然配布し、説明会も開催しないまま測量を実施しました。オープンハウスが開かれたのは10月でした。
そもそも、住民の強い反対を受けて外環事業は凍結され、本線を地下化することで地上には迷惑をかけないと事業が再開した経緯を踏まえれば、地上につくる「外環の2」は廃止されるべき計画でした。ところが、外環本線事業が決まると「外環の2」は残っていると、まさにだましうちのように地上部にも幅員22メートルの大型道路をつくることは許されるものではありません。
1 外環の2のパンフには、「地域の課題解決」とありますが、地域の課題とは何か。
2 上石神井通りや井草通りなどが南北方向の道路としてありますが、道路幅員が狭く、歩道と車道とが十分に分離されていないという問題≒課題は、別の道路を新設することで解決出来るのでしょうか。
3 「石神井台地域から大泉ICまでの所要時間は、現在の約16分から約5分に短縮され、その分、高速道路を利用した各方面への移動時間の短縮が見込まれます。」とあるが、外環本線で青梅街道インターから大泉インターへは行ける計画があるので、指摘のような効果は重複しており、必要性の説明となっていないが、いかがですか。
4 外環の2の「よくあるご質問と回答」に掲載されている「Q『外環の2』を整備するのではなく、既存の道路を拡幅すれば良いのではないか。」に対し、「外環の2を代替するルートを検討した」とありますが、その検討内容と検討結果をお答えください。
よくあるご質問と回答には、「事業化後に、用地取得に関係する権利者の皆様へ「用地補償の説明」を行います」とあり、更に「現況測量や用地測量を実施する」としていますが、現況測量の目的は、「土地や建物と、都市計画線との位置関係をあきらかにすることを目的としています。このため、皆様方の土地や建物の位置、周辺道路の形状などの測量をさせていただきます。」とあります。また、用地測量についての都の説明では、「用地測量は、道路として取得させていただく土地の面積を決めることを目的としています。このため、道路を整備するために必要となる土地について、周辺の土地との境界を確認し、境界点の測量を行います。」とあります。
5 これらから考えると、「補償内容を知らされないままに、補償の為の測量に協力することが用地測量への協力になり」きちんと補償概要を説明するのが先とかんがえます。以上の理由から用地説明会の前に用地測量をすることは本末転倒ではないでしょうか。お答えください。
昨年10月に調布の住宅街で外環本線の直上で巨大陥没事故が発生しました。その二週間後には陥没箇所の北側に地表から5メートルの深さに厚さ3メートル×長さ30メートル×幅4メートルという大規模な空洞が発見されました。この事故により多くの住民がストレスと不安を抱え眠れぬ夜を過ごさざるを得ず、国・NEXCO、都の責任は重大です。
この事故によって調布のみならず、練馬でも住民は陥没事故が起きるのではないか、そうなれば自分の家はどうなるのかなど、不安の声を寄せています。
外環の2は本線の直上に計画されています。(いただいたご質問と回答に)「外環の2(石神井台)は地上部の街路であるため、地下の高速道路である外環のようなトンネル等の地下構造物はありません。このことから、調布のような陥没等は生じないものと考えております」とありますが、地下で異変が起きれば、当然、地上部道路の陥没や周辺家屋への影響が懸念されます。
そして現在、陥没事故の影響はトンネルの直上だけでおさまっているのか、誰も解明していません。
6 外環本線での大深度工事でもまだ事故が起きないという新たな工事方法などは発表されておらず、陥没事故がまた起きないとは言えないのではないでしょうか。

令和3年第四回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 外環の2事業について
1 外環の2のパンフレットには、「地域の課題解決」とあるが、地域の課題とは何か伺う。

回答
外環の2(石神井台)における主な地域の課題としては、都市計画道路の整備率が低く特に南北方向の整備が進んでいないこと、また、生活道路に自動車、自転車、歩行者がふくそうしているとともに電柱が歩行空間を狭くしていること、さらに、震災時に建物や電柱が倒壊し閉塞のおそれのある狭あい道路が多く安全な避難経路が確保されていないことなどがあります。

質問事項
一の2 上石神井通りや井草通りなどが南北方向の道路としてあるが、道路幅員が狭く、歩道と車道とが十分に分離されていないという課題は、別の道路を新設することで解決できるのか、見解を伺う。

回答 
現在、上石神井通りや井草通りをはじめとする既存の生活道路に流入している交通が、外環の2(石神井台)に転換されることで減少し、既存の生活道路の安全性が向上するものと考えています。

質問事項
一の3 「石神井台地域から大泉ICまでの所要時間は、現在の約16分から約5分に短縮され、その分、高速道路を利用した各方面への移動時間の短縮が見込まれます。」とあるが、外環本線で青梅街道インターから大泉インターへは行ける計画があるので、指摘のような効果は重複しており、必要性の説明となっていないが、見解を伺う。

回答 
パンフレットに記載している所要時間の短縮効果については、大泉インターチェンジから高速道路を利用する際に、青梅街道インターチェンジと大泉インターチェンジのおおむね中間地点から外環の2を利用することにより、大泉インターチェンジまでの移動時間の短縮が見込まれることを一例として示したものです。

質問事項
一の4 外環の2の「よくあるご質問と回答」に掲載されている「Q『外環の2』を整備するのではなく、既存の道路を拡幅すれば良いのではないか。」に対し、「外環の2を代替するルートを検討した」とあるが、その検討内容と検討結果について伺う。

回答
練馬区における外環の2については、平成22年6月から、地元との「話し合いの会」や「広く意見を聴く会」を開催し、広く意見を聴きながら検討を進め、平成26年11月に、幅員を40メートルから22メートルに縮小するなどの都市計画変更を行っています。
この中で、上石神井通りなどの代替ルート案について検討しましたが、代替機能を確保するためには現道の拡幅が必要であり、代替ルート案の沿道には、既に堅固かつ中層以上の建築物が立地していることなどから、代替機能を確保して都市計画を廃止することは困難との結論に至っています。

質問事項
一の5 外環の2の「よくあるご質問と回答」から考えると、きちんと補償概要を説明するのが先であり、用地説明会の前に用地測量をすることは本末転倒だが、見解を伺う。

回答
事業者として責任を持って説明を行う必要があることから、用地測量により取得する土地の面積や権利者が決まり、都市計画事業認可を取得した後に用地説明会等を開催し、用地補償の概要等の説明を行っています。
また、用地説明会等を開催する前であっても、関係権利者から用地補償の質問等があったときは、個別の事情をお伺いし、その時点で説明可能な範囲で用地補償の説明をしています。
なお、建設局で実施している他の事業においても同様に行っています。

質問事項
一の6 外環本線での大深度工事でも新たな工事方法などは発表されておらず、陥没事故がまた起きないとは言えないのではないか。見解を伺う。

回答
令和2年10月に発生した陥没事故を受け、現在、外環事業の事業者である国及び高速道路会社により今後のシールドトンネル施工を安全に行うために再発防止対策の検討が行われています。
都は引き続き、事業者に対し、住民の不安払拭やきめ細やかな対応を行うとともに、再発防止対策を確実に実施するよう求めていきます。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子
質問事項
一 化学物質過敏症への対応について
二 新型コロナ感染症の営業時間短縮要請に関わる協力金について

一 化学物質過敏症への対応について
「入居している都営住宅の近くで始まった建物の外壁と屋上の改装工事に伴い、工事に使われる材料が化学物質過敏症で耐えられない。避難場所が欲しい」と相談があり、「どこに相談していいのかわからず困っていた」「市役所に相談しても解決の見通しが見えない」など寄せられました。
工事現場の人たちにお願いし、被害の少ない材料に変えていただくことができましたが、それでも影響は大きく工事中は、日中は自宅にいることができませんでした。
化学物質過敏症に悩んでいる方は、この間、増えており、推計患者数は1,000万人以上とも言われています。通常では、問題にならないような低濃度の化学物質に敏感に反応し、頭痛、めまい、気分不良、倦怠感、脱力、体の痛み、腹痛、下痢、うつ病、集中力低下などさまざまな症状を繰り返し起こし、重症化すると、日常生活はおろか仕事や学業など社会的活動が困難になるとされています。
私に相談があった方も、仕事ができない状況であり、人が多く乗る電車には乗れないということでした。換気が不十分な会議室なども使えない、住宅を探すのも容易でなかったといいます。
私も、化学物質過敏症という言葉は知っていましたが、重症な方が日常生活を送ることさえとても苦労していることを、初めて実感をしました。
そこで、いくつか質問します。
1 都民に化学物質過敏症の理解を深めるため、化学物質過敏症の原因と考えられるものに洗剤、柔軟剤、芳香剤、化粧品、農薬、塗料などがあることを知らせる。そして都民に「理解」と「配慮」を促す「チラシ」などが必要だと思いますが、いかがですか。
2 東京都に、化学物質過敏症の方たちが困りごとを相談できる窓口はありますか。
3 ある日、突然発症するのが、化学物質過敏症の特徴でもあります。都内の専門外来はどこにあるのかなど相談できる窓口が必要だと思いますが、いかがですか。
4 化学物質過敏症の方は、安心してすめる住宅の確保に困難を感じています。住宅確保要配慮者の対象として支援することが求められています。都営住宅などの公的住宅で、化学物質過敏症の方でも安心して入れられる安全な住戸を提供することが求められますが、いかがですか。
5 災害時などで避難が必要な時に、障害のある方たちが安心して過ごせる福祉避難所が必要です。その中に化学物質過敏症に対応できる避難所も位置づけるべきですが、都の対応について伺います。
6 化学物質過敏症の方から「都営住宅に入ることができて安心しているが、都営住宅の外壁工事などがある場合、他の都営住宅の空き住戸に一時避難などできるように支援してほしい」との声も上がっています。これまで、このような事例はありますか。都の支援が求められますが、いかがですか。

二 新型コロナ感染症の営業時間短縮要請に関わる協力金について
長引くコロナ禍で、飲食店の営業時間短縮要請を行い、協力してくれた事業者には「協力金」を支給してきました。3月の確定申告を控え、中小業者の方々からは「協力金を都からいただいたが、税金を申告する際、収入とみなされ支払う税金が大幅に増えてビックリした」「商売で得たものではないのに、なぜ税金の対象になるのか。納得がいかない」の声が寄せられています。
そこで、いくつか質問します。
1 2020年11月27日の経済港湾委員会で私は、「陳情2第53号 東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金等の非課税を求める意見書に関する陳情」について質疑しました。その際、都は「新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上においても特例的な取り扱いを講じていただきたい旨、要望を行っております」と答弁しました。都は、その後、国に対し都独自の給付金や協力金などを課税対象外にすべきだと要望していますか。
2 昨年度の中小企業・小規模企業の税金の申告は、国税庁の指導のもと、都の給付金や協力金などを課税対象にしています。事業者の税金の負担は大きく、特に零細事業者の所得税は、国民健康保険料(税)、子どもの保育料などに連動し、「負担が重い。協力金は都の自粛要請にこたえたものであり、商売で得たものではない」など不満の声や「払える見込みがない」「税金を払うために借り入れた。返せるのか、今後も見通しが見えない」など不安の声がありました。このような状況は「事業効果を損なっている」と思いますが、認識を伺います。
3 3月の確定申告が近づくなか、「ほぼ1年近く通常の商売ができずに、都の協力金があったから助かった。しかし、税金はいくらになるのか」と、昨年以上に不安の声が広がっています。都として「都の給付金や協力金を課税対象外にするよう国に要望」することを強く求めますが、いかがですか。

令和3年第四回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 化学物質過敏症への対応について
1 都民の化学物質過敏症の理解を深めるため、化学物質過敏症の原因と考えられるものに洗剤、柔軟剤、芳香剤、化粧品、農薬、塗料などがあることを知らせ、「理解」と「配慮」を促す「チラシ」などが必要だが、見解を伺う。

回答
都は、住宅建材や防虫剤、殺虫剤、柔軟剤等の家庭用品から様々な化学物質が発生すること、必要以上に使用しないよう心掛けることなどを、居住環境に関するガイドラインに盛り込むとともに、その内容を要約したパンフレットを保健所で配布するなどして、都民に周知しています。
また、国が作成した、柔軟剤等の香りのある製品を使用する場合の周囲の人への配慮等に関する啓発ポスターも、都のホームページで周知しています。

質問事項
一の2 都に、化学物質過敏症の方たちが相談できる窓口があるか伺う。

回答
都は、保健所等において、住居など建築物内の化学物質に関する相談に対応しています。

質問事項
一の3 ある日、突然発症するのが、化学物質過敏症の特徴でもあり、都内の専門外来はどこにあるのかなど相談できる窓口が必要だが、見解を伺う。

回答 
都は、化学物質過敏症に対応できる医療機関の情報を、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」で提供しています。

質問事項
一の4 都営住宅などの公的住宅で、化学物質過敏症の方でも安心して入れられる安全な住戸を提供することが求められるが、見解を伺う。

回答
都営住宅及び公社住宅では、建築基準法の改正を踏まえ、平成15年7月以降に建築した住宅の居室には、ホルムアルデヒドが発散しにくい建築材料を使用するとともに、常時換気が可能な機械換気設備を設置しています。
また、住棟の外部にも同等の建築材料を使用するなど、シックハウスの原因となる化学物質の濃度を下げる対策をしています。

質問事項
一の5 災害時などで避難が必要な時に、障害のある方たちが安心して過ごせる福祉避難所が必要であり、その中に化学物質過敏症に対応できる避難所も位置づけるべきだが、対応について伺う。

回答
国の福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、福祉避難所の受入れ対象者は、「高齢者、障害者の他、妊産婦、乳幼児、医療的ケアを必要とする者、病弱者等避難所での生活に支障をきたすため、避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者、及びその家族」とされています。
化学物質過敏症と診断されている方など、健康上の理由から一般の避難所での生活に支障がある方も対象となります。

質問事項
一の6 化学物質過敏症の方から「都営住宅の外壁工事などがある場合、他の都営住宅の空き住戸に一時避難などできるように支援してほしい」との声も上がっているが、これまで、このような事例があるか伺う。また、都の支援が求められるが、見解を伺う。

回答
都営住宅の改修工事において、居住者から、医療機関からの化学物質過敏症の診断書を添えた一時的に移転したいとの申出を受け、工事実施に先立ち、空き住戸を提供し、御自身の費用負担で一時的に移転していただいた事例があります。

質問事項
二 新型コロナ感染症の営業時間短縮要請に関わる協力金について
1 2020年11月27日の経済港湾委員会で、都は「新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上においても特例的な取り扱いを講じていただきたい旨、要望を行っております」と答弁したが、その後、国に対し都独自の給付金や協力金などを課税対象外にすべきだと要望しているか伺う。

回答
都は国に対して、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望しました。
こうした中、これら協力金や給付金等は、法令の規定により非課税とされるものに該当しないことから、原則どおり非課税とはならないとの見解となっています。

質問事項
二の2 昨年度の中小企業・小規模企業の税金の申告は、国税庁の指導のもと、都の給付金や協力金などを課税対象にしているが、事業者の税金の負担は大きく、このような状況は事業効果を損なっているが、見解を伺う。

回答
都は国に対して、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望しました。

質問事項
二の3 都の給付金や協力金を課税対象外にするよう国に要望すべきだが、見解を伺う。

回答
都は国に対して、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望しました。
こうした中、これら協力金や給付金等は、法令の規定により非課税とされるものに該当しないことから、原則どおり非課税とはならないとの見解となっています。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 酒井大史
質問事項
一 新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業について

一 新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業について
令和3年8月20日に可決した令和3年度一般会計補正予算第11号において、都は「新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業」を行うとした。本事業は、20代、30代の方を対象にキャンペーンを実施。広報活動に7億5千万円を計上し、若年層に届くようネットを中心に様々なメディア手法によるプロモーションを展開した。具体的にはWeb広告、動画配信、興味関心マッチング、アプリ内での告知を予定しているとした。また、ワクチン接種記録を読み込めるアプリを活用した取り組みとして2億5千万円を計上するということでした。
そこで、12月8日現在、2回目の接種が完了した20代及び30代の接種率がそれぞれ71.98%、75.54%、12歳以上の全体では82.63%となり、大方の都民の接種が進んだ状況となったので、本事業の事業効果を確認するため、以下質問します。
1 まず広報活動について、Web広告、動画配信、興味関心マッチング、アプリ内での告知、他広報活動を行った媒体ごとに、契約金額、契約先、広報活動の開始日、回数及び今後の予定について、伺います。
2 ワクチン接種記録を読み込めるアプリを活用した取り組みはLINEを使い、「TOKYOワクション」と銘打って、11月1日正午から事業を開始していますが、契約金額はいくらでしょうか。また、一部報道では、利用率が低い旨の指摘もありますが、12月1日現在など、直近の年代別登録者数を伺います。
3 ワクチン接種率の推移を踏まえ、本事業の事業効果を現時点でどのように評価していますか。また、今後の展開について伺います。

令和3年第四回都議会定例会
酒井大史議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業について
1 広報活動について、Web広告、動画配信、興味関心マッチング、アプリ内での告知、他広報活動を行った媒体ごとに、契約金額、契約先、広報活動の開始日、回数及び今後の予定について伺う。

回答
本事業は、株式会社博報堂と一括して委託契約を締結しており、契約金額は税込みで約10億円です。
このうち、広報経費分の内訳は、特設サイトの制作や若者を対象とした動画によるターゲティング広告などの基本的な普及啓発が約2億円、事業開始当初は実施せず、ワクチンの接種状況等を考慮しながら実施を検討する普及啓発の経費が約4億4千万円となっています。
令和3年11月から令和4年1月までにかけて、基本的な普及啓発として、Yahoo!、Google等のポータルサイト、LINE、Twitter等のSNS、Youtube等の動画サイトなどで、都内在住の若年層をターゲットとした静止画広告及び動画広告を展開しました。

質問事項
一の2 ワクチン接種記録を読み込めるアプリを活用した取組は「TOKYOワクション」と銘打って事業を開始しているが、契約金額について伺う。また、一部報道では、利用率が低い旨の指摘もあるが、直近の年代別登録者数について伺う。

回答 
本事業は、株式会社博報堂と一括して委託契約を締結しており、契約金額は税込みで約10億円です。
登録者数は令和4年1月5日現在384,545人であり、その年代別内訳は、10代が6,036人、20代が41,996人、30代が62,236人、40代が79,163人、50代が103,927人、60代が65,894人、70代が22,456人、80代が2,734人、90代以上が103人となっています。 

質問事項
一の3 ワクチン接種率の推移を踏まえ、本事業の事業効果を現時点でどのように評価しているか、また、今後の展開について伺う。

回答 
令和4年1月5日時点で、TOKYOワクションの公式アカウントへの友だち登録者数は約65万人、接種記録及び本人確認書類の登録が完了した方の数は約38万人となっています。
TOKYOワクションは、街中での画面提示による特典の受け取り、アプリを通じた抽選特典への応募、飲食店やイベント会場での画面提示などに活用されています。
また、同日時点で、12歳以上の都民のうち約86パーセントの方がワクチンを2回接種済みとなっていますが、10代から30代の若年層の接種率が他の年代と比較して低いことから、引き続き、TOKYOワクションアプリを活用したワクチンに関する正しい知識の普及啓発や、協賛事業者による接種記録を登録した方への特典提供を通じ、接種について前向きに考えていただけるよう、取り組んでいきます。

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