令和三年東京都議会会議録第二十三号

○副議長(本橋ひろたか君) 二十三番西山賢君。
〔二十三番西山賢君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○二十三番(西山賢君) 初めに、地下水の実態把握についてお伺いをいたします。
 東京は、かつて膨大な量の地下水がくみ上げられ、区部を中心に地盤沈下が発生しましたが、揚水規制等を行うことで現在は鎮静化をしております。
 平成二十八年の地下水対策検討委員会の資料によりますと、地下水が流れる地層、いわゆる帯水層はつながっており、おおむね西から東へ、そして南から北へ向かって深くなっております。
 また、地層は連続しており、帯水層は面的に広がっていることから、一部の多摩での地下水のくみ上げが離れた区部の地下水位に影響を与えているといわれておりますが、現在進めている地下水の実態把握は都内だけを対象としており、帯水層の延長線上にある近隣県については、東京都として調査ができておりません。
 現在、区部や北多摩地域に近い埼玉東部地域では地下水採取規制が取られておりますが、埼玉西部地域では規制は一切なく、自由に地下水をくみ上げております。
 そこで、地盤沈下の要因が地下水にあるというのであるならば、地層のつながりを広域的に見る必要があり、地下水のくみ上げの影響を見るためには、都内のみの調査だけではなく近隣県を調査に加えるべきであり、その近隣県からも情報収集や情報の共有を行い、実態把握を進めるべきと考えますが、東京都の見解をお伺いします。
 次に、都立大学について伺います。
 現在抱えている都政の課題は多様であり、様々な分野において科学的知見の活用が重要でございます。
 東京都では、地盤沈下対策や空き家対策などの分野において都内大学と連携をしておりますが、アカデミズムの力は政策の裏づけとなっている一方で、都の政策課題にマッチした研究を進めてくれる研究者がすぐに見つかるわけではありません。
 そこで、都立大は、都が設立した公立大学として、都の様々な政策課題、とりわけそれがニッチな分野であっても東京都のニーズに積極的に応え、大学独自の研究や他の機関との共同研究を進めていくべきと考えますが、東京都の見解をお伺いします。
 現在、八王子市南大沢エリアには都立大という知の集積があるとともに、ローカル5G環境も整い、デジタル分野における最先端の研究拠点となっております。この環境を民間企業にも開放することで、ベンチャー企業やスタートアップ企業を誘致し、シリコンバレーのようなまちとしてDXを推進してもらうことを強く望むところです。
 そこで、都立大の有するローカル5G環境をより積極的に広く民間企業に活用していただきたいと考えますが、都の見解を伺います。
 また、この日本最大級のローカル5G環境や先進的な研究活動といった都立大のセールスポイントを積極的に発信していくべきと考えますが、併せて東京都の見解を伺います。
 次に、交通空白地域についてお伺いをします。
 近年、高齢者ドライバーの事故件数が増加をしております。この事故を未然に防ぐための一つの方策として免許証の自主返納がありますが、交通空白地域として公共交通機関が整っていない地域では、車は生活の大切な足であり免許証を手放させないことから交通弱者対策は急務であります。
 東京都でも地域公共交通の在り方について話を進めておりますが、ぜひ十年後、二十年後を予測し、広い視野で未来の公共交通を想像していただきたいと思います。
 そこで、公共交通空白地域をどう認識し対策に取り組んでいくのか、都の見解をお伺いいたします。
 公共交通空白地域の対策として重要な交通手段の一つを担うコミュニティバスでございますが、現在、新規に車両購入をする場合は、東京都が二分の一を負担しており、ほとんどの区市町村がこのコミュニティバス事業を始めているものの、車両老朽化に伴う更新補助制度がないなど、事業の維持には大きな負担となっております。また、ランニングコストを見ても収支は赤字であり、マイナス補填分は区市町村の財源で賄っているのが現状です。
 そもそも民間バス事業者の不採算地域の住民の足を確保するためバスを運行していることを考えると、路線を増やせば増やすほど区市町村の赤字が増加をします。
 こうした状況を踏まえ、公共交通空白地域の解消に効果的な移動手段を区市町村が持続可能な形で運行させることが重要と考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、太陽光発電の設置義務について伺います。
 さきの定例会で、一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始すると知事は表明されました。
 設置義務化に伴い、太陽光パネルを設置後、発電効率は二十五年ほど保証されておりますが、いずれ更新や廃棄の時期を迎えます。その後も継続的に設置をしなければ、再生可能エネルギーの利用拡大、さらにはCO2排出実質ゼロに向けた取組は滞ってしまいます。
 太陽光発電設備の継続的な設置について、東京都の見解を伺います。
 また、この義務化に伴い、都民に百万円以上もする太陽光パネルの設置費用負担を強いる影響は決して小さくありません。また、事業者ではない個人が、住宅に太陽光パネルを設置した場合でも全量売電を行うなど事業として判断された場合や、屋根と一体型の太陽光パネルを設置した場合は、固定資産税の税負担が生じることになります。
 対象となる建築物など、義務化の詳細についてはこれから検討していくとのことですが、義務化によって設置費用や税などの新たな負担が生じるケースがあることは問題であると思います。
 そこで、負担増となる場合の固定資産税の減免や、また補助による支援など、太陽光発電設備の設置に伴う軽減策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今後、太陽光発電が果たす役割はより一層大きくなっていく中で、忘れてはならないのはパネルの廃棄問題です。
 パネルの寿命はおおむね二十五年程度であり、二〇三〇年半ばあたりからその寿命を迎え始めます。
 今後、パネル設置が義務化されれば廃棄パネルはさらに増大していくため、不法投棄、そしてリサイクルといった課題に対応していかなければなりません。特に太陽光パネルには、ガラスをはじめ再利用可能な素材も多く含まれていることから、大量廃棄が始まる前に重要な資源の循環を図ることが重要です。
 そこで、都は、太陽光パネルのリユース、リサイクルルートの確立に向けた取組を推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 日本は二〇五〇年にカーボンニュートラルを目指しておりますが、その達成に向けて重要となるのがエネルギーの電源構成です。CO2を減らすために理想的なエネルギーミックスの形を求めると、おのずと再生可能エネルギーのウエートは高くなり、中でも最も割合が高まるのが太陽光発電です。
 現在、太陽光発電は五十六ギガワットですが、国は二〇三〇年までに百四から百十八ギガワットの導入が必要と試算しており、今後十年で六十ギガワット程度の導入を目指すとしております。六十ギガワットの大きさを例えるならば、必要となるパネル面積は東京ドームグラウンドの実に四万六千か所分ともいわれております。
 二〇三〇年までにカーボンハーフを目指す東京都としても、その実現に向けて様々な施策を組み合わせながら、使うエネルギーの総量を化石エネルギーと脱炭素エネルギーの導入拡大で賄っていくわけですが、私は、それ以上に徹底した省エネこそが実現に向けて大きな一歩に近づくものと考えております。
 そこで、都の省エネに対する考えとカーボンハーフに向けた具体的な目標を伺います。
 次に、南大沢スマートシティについて伺います。
 都が南大沢エリアで行っているスマートシティでの検討や実証実験で得たノウハウを、今後スマートシティ導入を考えているほかの地域にも展開していく必要があると考えますが、東京都の見解を伺います。
 また、都は、未来の東京戦略の中で、二〇三〇年までに都内に5Gネットワークの一〇〇%概成を目標に掲げておりますが、その分野は日進月歩で進化をしており、国においては、二〇二五年半ばからビヨンド5Gの開発、製造基盤を強化し、二〇三〇年以降の6G化につなげていこうとしております。
 こうした動きを踏まえ、東京都においても、まず5Gネットワークの早期構築に注力しつつ、その先を見据えることも必要と考えますが、都の見解をお伺いします。
 知事は、第四回定例会の所信表明におきまして、我が国の構造的な課題として、世界から周回遅れにあるデジタル対応を含め、失われた三十年と表現し、この現状を打ち破り、東京をその先の高みに導くと表明をされました。
 東京都は、未来の東京戦略を打ち出し、その一つであるスマート東京というビジョンでは、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることを目標に掲げております。
 都市全体のスマート化は世界でも取組途上であり、成功すればモデル都市としてその地位は揺るぎのないものになるとしておりますが、さきの所信表明でも、議論や掛け声ばかりに終始することなく、また実証実験の繰り返しに明け暮れるのではなく、具体の行動を起こすと述べておりましたが、世界からの遅れを取り戻すため、どのような目標値を掲げ、具体の行動を起こし、取り戻していこうと決意をしているのか、知事の見解を伺います。
 最後に、学校避難所についてお伺いをいたします。
 私の住む八王子市では、令和元年東日本台風時において学校避難所を開放し、想定を超える方々が避難所に押しかけましたが、学校関係者が遠方であり、危険だから登校しないようにと、そのような連絡を受けたことで、体育館以外の避難所開放の方法を現場の方々が判断、そして把握できずに混乱を生じた事案がありました。
 都全体の学校避難所運営を考えた場合、教育管理職が学校近隣に居住をしていれば、緊急時、このような混乱を回避することができると思います。
 そこで、教育管理職の配置について都の見解を伺い、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西山賢議員の一般質問にお答えいたします。
 スマート東京の実現についてでございます。
 ポストコロナを見据え、デジタルを成長分野に世界の都市間競争はますます激化しております。DX、デジタルトランスフォーメーションをてこに我が国が抱える構造的な課題を克服し、東京が世界から選ばれる都市へと変貌を遂げていかなければなりません。
 強い危機感の下で、未来の東京戦略におきましては、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出して、都民が質の高い生活を送るスマート東京の実現を目指すべき未来の東京の姿として挙げまして、その実現に向けた戦略を盛り込んでおります。
 その戦略には、空飛ぶ車をはじめとした最先端モビリティーの都市実装や官民のデータを活用した多様なサービスの提供など、二〇三〇年に向けた政策目標を掲げておりまして、その実現に向け、先行実施エリアにおける様々な取組を強力に推進をしてまいります。
 戦略は、描いて終わりではありません。まさに実践することこそが重要であります。
 都の政策の各分野でDXを強力に推進するとともに、都市実装の成果を都内各地に展開していくなど、実効性ある政策を推し進め、世界のモデルとなるスマート東京を実現してまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 小中学校の管理職の配置についてでございますが、都教育委員会では、都内全域の教育水準の向上などを図るとともに、区市町村の人事構想を可能な限り尊重した配置を行っているところでございます。
 避難所として指定された小中学校につきましては、区市町村教育委員会が防災部局と連携を図りながら災害発生時の体制整備を行うこととなっており、災害発生時も想定した教育管理職等の配置についても、日常的な学校運営の充実と併せて検討することとなります。
 都教育委員会は、引き続き区市町村教育委員会の要望を踏まえた人事配置に努めるとともに、学校近隣に居住する管理職が災害時に早急に対応した具体的な事例を紹介するなど、防災部局と連携した災害時対応の視点を管理職配置要望に加えることについて十分に周知してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、公共交通空白地域についてでございます。
 公共交通空白地域は、駅やバス停から一定の距離を越えた地域でございまして、西多摩を中心に多摩地域では一部の地域に存在し、区部にも局所的に点在しております。
 その中でも、一定の利用者ニーズのある地域につきましては、都はこれまで、区市町村が行うコミュニティバスの導入に対しまして財政的な支援を行ってまいりました。また、昨年度からは、時間や場所にとらわれず機動的に利用できるデマンド交通の実証運行等につきましても支援を行っております。
 今後、都は、昨年立ち上げました地域公共交通の在り方に関する検討会におきまして、デマンド交通等の移動手段の選択肢の充実など、地域の特性に応じた移動手段の確保策につきまして、引き続き検討してまいります。
 次に、持続可能な移動手段についてでございます。
 地域公共交通を取り巻く今後の動向といたしまして、少子高齢、人口減少に伴う利用者減少が見込まれる一方、高齢運転手の免許返納の増加などによる利用ニーズの高まりもございます。
 社会経済状況も変化していく中、区市町村が引き続き地域における生活者の足を維持確保していくためには、財政支援だけに頼らない方策が求められます。
 また、地域公共交通の在り方に関する検討会におきましても、持続的な移動手段を確保する観点から、様々な主体の活力を活用した事業スキームの必要性などが課題として指摘されておりまして、今後さらに、移動手段の維持確保に向けた方策につきまして検討してまいります。
 最後に、南大沢のノウハウの他地域への展開についてでございます。
 当地区では、スマート東京実施戦略で、先行実施エリアといたしまして、最先端の研究とICT活用による住民生活の向上が融合したスマートなまちを目指すこととしております。
 この実現に向けまして、幅広い分野の参画が必要なことから、産学公連携による協議会を立ち上げ、モビリティー、まちのにぎわい、情報活用の三つの部会ごとの検討を進めるとともに、ウェブを活用した地域のニーズ調査や、先端技術に関わる様々な実証実験等を社会実装の主体となり得る事業者が中心となって行いながら、地域の課題に即した実践的なまちづくりを検討しております。
 この南大沢での取組をスマートシティの一つのモデルといたしまして、そこで得られたノウハウや技術を蓄積いたしまして、それらを都内の他地域にも横展開することで、スマート東京の実現につなげてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、地下水の実態把握についてでございますが、地下水のくみ上げに伴い沈んだ地盤は元に戻らないことから、揚水には慎重な対応が必要でございます。
 このため、都は、未解明な部分の多い地下水の実態把握に向け、有識者による専門家会議を設置し、都内の地下水位、地盤沈下の状況等、検証を継続してまいりました。
 平成二十九年度からは、都が直接学術機関と共に研究を進め、最新の研究成果では、都内東部の低地部において地下水位の低下が起これば地盤沈下が再発する可能性があるとの知見が得られてございます。
 地下水の帯水層は都県をまたいで存在しているため、研究の進捗に応じて、都内の状況を把握した上で、近隣自治体の地域の情報も含めて、さらなる地下水の実態把握を進めてまいります。
 次に、太陽光発電設備の継続的な設置についてでございますが、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、省エネや再エネ設備の設置など建物の脱炭素化の取組を継続していくことが重要でございます。
 太陽光発電設備につきましては、今後、保証年数を経過し、発電効率等の低下や破損により更新が必要となる設備の増加が見込まれます。
 このため、都は、住宅やビルの建築主に対しまして、改めて電気代削減や災害時の活用など、太陽光発電のメリットや最新の技術情報等を適切に伝えるなど普及啓発に努め、継続的な利用を促してまいります。
 また、住宅供給事業者や太陽光発電メーカー等に対しまして、住宅のメンテナンスの時期に合わせ、適切な設備更新の提案を行うよう積極的な働きかけを行ってまいります。
 こうした取組により、太陽光発電設備の継続的な設置につなげてまいります。
 次に、太陽光発電設備の設置への軽減策についてでございますが、住宅等への太陽光発電設備の設置は、停電時に電気を使用でき、電気代削減や売電収入が得られるメリットに加え、設置費用が低下するなど導入の機は熟してございます。
 こうした状況を踏まえまして、都は、住宅等の一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始いたしました。
 現在、環境審議会の下に分科会を設置し、専門家による審議を進めてございますが、関係団体などからのご意見等も伺いながら議論を深化させてまいります。
 都民負担軽減策としての固定資産税の減免につきましては、その効果が二十三区内にしか及ばないなどの課題があると認識してございます。
 今後、太陽光発電設備の導入促進に当たっての支援等の在り方について様々な検討を行ってまいります。
 次に、太陽光パネルのリサイクルについてでございますが、将来の大量廃棄を見据え、パネルについて廃棄物として適正に処理するだけでなく、適切にリユース、リサイクルできる体制を事前に確立することが重要でございます。
 これまでも都は、専門家や現場に精通した事業者と、パネルの取り外しから回収、処理に至る各工程をリユース、リサイクルにつなげていく方策の検討を進めてまいりました。
 具体的には、優先すべきリユースについて、発電性能をスムーズに診断する方法のほか、リサイクルについては、都内で七割を占める住宅用パネルの効率的な回収方法のシミュレーション等、様々な実証事業を行ってございます。
 今後も、適正処理はもとより、取組の成果や近年稼働し始めているリサイクル施設の状況を踏まえ、各工程が連携したリサイクルルートを事業者と共に構築してまいります。
 最後に、省エネへの考え方と具体的な目標についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現には、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化とともに、エネルギー消費自体の最大限の削減が不可欠でございまして、誰もが当たり前に省エネ行動できる社会をつくり上げていく必要がございます。
 このため、都は、二〇三〇年カーボンハーフに向け、エネルギー消費量の削減目標を二〇〇〇年度比で業務、産業部門三五%程度、家庭部門三〇%程度、運輸部門六五%程度と、現在の環境基本計画の目標から一段強化する部門別の素案を審議会で提示いたしました。
 今後、環境審議会での議論を重ね、条例制度の強化や都民、事業者の取組を後押しする支援策、さらには都自らの率先行動など、抜本的な施策強化を図りながら目標達成を目指してまいります。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立大学における研究の推進についてですが、都政をめぐる諸課題の解決に向けて効果的な政策展開を図るためには、科学的アプローチに基づく検証や分析など、アカデミズムの力を活用することが重要でございます。
 これまで、都が設置いたしました総合大学でございます都立大学においては、例えばゲリラ豪雨に関する調査分析や島しょ地域の産業活性化に関する実証事業など、都政課題をテーマといたしました研究に重点的に取り組んでまいりました。
 来年からは、こうした研究をさらに推進していくための組織を立ち上げ、都立大学の研究資源に加え、他の研究機関や民間企業とも必要に応じ連携を図ることにより、都庁各局等の様々な研究ニーズに積極的に応えていくこととしております。
 都は、都立大のこうした取組を支援し、都のシンクタンクとして都政課題の解決に一層活用してまいります。
 次に、都立大学のローカル5Gの活用についてですが、5Gを活用した次世代型サービスの社会実装を進めるためには、大学や企業等が、先端技術の研究開発やその実用化に向け積極的に取り組んでいく必要がございます。
 現在、都立大では、南大沢キャンパス等にローカル5G環境を整備し、政策課題の解決に向けて5Gの活用を図る研究を進めるとともに、革新的なサービスの開発を目指す企業に対して、実証フィールドの無償提供やテスト運用への協力などの各種支援を行っているところでございます。
 今後は、この支援の対象企業を追加選定するほか、関係局と連携し、都が資金面や技術面で支援を行っている有望なスタートアップ企業に対して、ニーズに応じ実証フィールドを提供するなど、大学のリソースを活用した支援の推進に向け、さらなる取組を検討してまいります。
 最後に、ローカル5Gを活用した取組の発信についてですが、5G研究における都立大のプレゼンスを高めていくためには、先進的な研究や社会実装に向けた産学連携等の取組を効果的に発信し、学内外のリソースが集まる高度な研究拠点の形成へとつなげていくことが重要でございます。
 都立大では、本年二月、技術者、研究者など約八百名の参加を得て5Gの技術的優位性や今後の可能性等に関するシンポジウムを開催し、都立大の取組のPRも実施いたしました。
 今後は、5Gの研究内容について大規模な国際学会等で発表を行うほか、企業や研究者を対象とした技術フォーラムを開催することとしております。加えまして、都立大の支援を受けた企業によるプロジェクトの成果発表会も実施いたします。
 こうした様々な機会を捉え、都立大の取組を広く発信してまいります。
〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 5Gネットワークの早期構築についてでございますが、情報通信ネットワークは、防災、医療、教育などあらゆる分野のデジタルサービスを提供するために必要不可欠な基幹的な公共インフラであり、都はこれまで、5Gアンテナの設置場所として都有施設を開放し、通信事業者の基地局整備を後押ししてまいりました。
 現在、区市町村や民間事業者とも連携し、アセット開放の取組を拡大しております。
 また、西新宿ではスマートポールを面的に整備し、通信事業者とともに5Gエリアを拡充しておりまして、ロボットによる自動配送やまち歩きアプリなど、地域と連携した新たなサービスの開発も進めているところでございます。
 今後は、こうした取組に加えまして、各国等における6Gなど開発動向の把握にも努め、東京の高速モバイルインターネット網の整備の加速化を図ってまいります。

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