令和三年東京都議会会議録第二十二号

令和三年十二月七日(火曜日)
 出席議員 百二十六名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番森澤 恭子君
六番松田りゅうすけ君
八番上田 令子君
九番漢人あきこ君
十番岩永やす代君
十一番成清梨沙子君
十二番おじま紘平君
十三番もり  愛君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番西山  賢君
二十四番星  大輔君
二十五番磯山  亮君
二十六番龍円あいり君
二十七番あかねがくぼかよ子君
二十八番保坂まさひろ君
二十九番米川大二郎君
三十番清水やすこ君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番本橋たくみ君
四十二番渋谷のぶゆき君
四十三番林あきひろ君
四十四番伊藤しょうこう君
四十五番田村 利光君
四十六番菅野 弘一君
四十七番白戸 太朗君
四十八番たきぐち学君
四十九番田の上いくこ君
五十番関野たかなり君
五十一番後藤 なみ君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番川松真一朗君
六十五番清水 孝治君
六十六番三宅 正彦君
六十七番やまだ加奈子君
六十八番早坂 義弘君
六十九番山加 朱美君
七十番菅原 直志君
七十一番平けいしょう君
七十二番内山 真吾君
七十三番森口つかさ君
七十四番福島りえこ君
七十五番藤井あきら君
七十六番風間ゆたか君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番まつば多美子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番長橋 桂一君
八十七番鈴木あきまさ君
八十八番こいそ 明君
八十九番鈴木 錦治君
九十番ほっち易隆君
九十一番松田 康将君
九十二番山崎 一輝君
九十三番森村 隆行君
九十四番村松 一希君
九十五番入江のぶこ君
九十六番桐山ひとみ君
九十七番本橋ひろたか君
九十八番石川 良一君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番小磯 善彦君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番柴崎 幹男君
百十二番小松 大祐君
百十三番小宮あんり君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番山田ひろし君
百十七番伊藤 ゆう君
百十八番荒木ちはる君
百十九番小山くにひこ君
百二十番増子ひろき君
百二十一番尾崎 大介君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 なし
 欠員
    七番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
政策企画局長野間 達也君
総務局長村松 明典君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監大石 吉彦君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
デジタルサービス局長寺崎 久明君
主税局長砥出 欣典君
生活文化局長武市 玲子君
オリンピック・パラリンピック準備局長延與  桂君
環境局長栗岡 祥一君
福祉保健局長中村 倫治君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
消防総監清水 洋文君
建設局長中島 高志君
港湾局長古谷ひろみ君
会計管理局長堤  雅史君
交通局長内藤  淳君
水道局長浜 佳葉子君
下水道局長神山  守君
都民安全推進本部長小西 康弘君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長西山 智之君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長桃原慎一郎君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長岡安 雅人君
労働委員会事務局長鈴木  勝君
収用委員会事務局長後藤 啓志君

十二月七日議事日程第二号
第一 第百九十八号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百九十九号議案
職員の配偶者同行休業に関する条例の一部を改正する条例
第三 第二百一号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百二号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五 第二百三号議案
東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第六 第二百四号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百六号議案
東京都給水条例の一部を改正する条例
第八 第二百七号議案
東京都下水道条例の一部を改正する条例
第九 第二百八号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十 第二百九号議案
東京都暴力団排除条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十号議案
都立光明学園(三)南棟改築工事請負契約
第十二 第二百十一号議案
都営住宅三H─一〇九東(大田区東糀谷六丁目)工事請負契約
第十三 第二百十二号議案
都営住宅三H─一一二西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
第十四 第二百十三号議案
都営住宅三H─一〇七西(世田谷区下馬二丁目)工事請負契約
第十五 第二百十四号議案
都営住宅三M─一〇一西及び三CM─一〇一西(杉並区天沼二丁目・杉並区施設)工事請負契約
第十六 第二百十五号議案
東京都しごとセンター(三)改修給水衛生設備工事その二請負契約
第十七 第二百十六号議案
志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事請負契約
第十八 第二百十七号議案
街路築造工事(三 一整─補三百十四ほか四路線晴海)請負契約
第十九 第二百十八号議案
当せん金付証票の発売について
第二十 第二百十九号議案
杉並区学校教育職員の教育管理職(副校長)任用審査に係る事務の受託について
第二十一 第二百二十号議案
土地の信託の受益権の売払いについて
第二十二 第二百二十一号議案
東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第二十三 第二百二十二号議案
品川ふ頭外貿岸壁外四施設の指定管理者の指定について
第二十四 第二百二十三号議案
有明客船ターミナル外一施設の指定管理者の指定について
第二十五 第二百二十四号議案
竹芝ふ頭船舶給水施設外七施設の指定管理者の指定について
第二十六 第二百二十五号議案
東京都立学校における柔道事故に伴う損害賠償の額の決定について
第二十七 第二百二十六号議案
令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十二番小松大祐君
〔百十二番小松大祐君登壇〕

○百十二番(小松大祐君) 令和三年第四回定例会に当たり、都議会自民党を代表して質問をいたします。
 新型コロナウイルスの発生から二年が経過しようとしています。この間、コロナ感染症の猛威は、世界を大きく変容させました。終息に向けて各国が懸命の取組を続けています。こうした中、新種の変異株であるオミクロン株も出現し、世界的な感染拡大も危惧され、人類の新たな脅威となっています。
 東京の感染者数も、今年八月の第五波ピーク時には一日五千九百名を超え、保健所をはじめ、医療提供体制が滞るなど、自宅療養中に亡くなる方がいたことを決して忘れてはいけません。
 現在、都内の感染者数は約一か月にわたり三十人を超えない日が継続し、飛躍的に改善しています。これまでの経験と教訓を踏まえ、新種株や第六波へ万全の対策を講じるべく、国、各自治体と連携の下、盤石の体制を取るとともに、東京の経済を取り戻す取組が急務です。
 都は、今月一日から、飲食店での会食人数の制限などの緩和をしました。引き続き、都民が安心して生活できる環境も堅持しなければなりません。
 都は、今後どのように病床の確保を進め、またこれを活用し、新型コロナ患者を必要な医療につなげていくのか、今後の医療提供体制について知事の見解を伺います。
 第六波においては、医療設備が整った既存施設の有効活用を図ることや新たな宿泊療養施設の確保を行い、無症状者でも希望する全ての方が利用できる体制整備の必要性を会派として強く求めてまいりましたが、都の見解を伺います。
 今後の感染再拡大に備え、自宅療養者への支援体制の拡充も行うべきです。また、保健所の対応力を一層向上させるため、保健所業務の効率化もさらに進める必要がありますが、どのように取組を進めるのか伺います。
 これから年末年始の忘年会や新年会シーズンを迎え、人流の増加や新たな変異株の拡大が懸念されます。昨年度の経験を踏まえて、年末年始の医療提供体制を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今月から、新型コロナウイルスワクチンの追加接種が始まりました。追加接種は、住民はもとより、医療従事者への接種も区市町村が担うため、一、二回目の接種体制とは取扱いが異なります。
 こうした中で、接種が円滑に進むよう、区市町村と連携した体制の整備や都の大規模接種会場の運営をどのように取り組むのか伺います。
 国の説明によると、追加接種に使用するワクチンは、前回の接種に用いたワクチンの種類にかかわらず、交互接種も選択肢の一つとしました。
 海外では交互接種を実施している事例があるものの、日本国内では異なるワクチンを追加接種した際の効果や副反応についての情報が乏しい状況です。都民が安心して追加接種できるよう、東京iCDCを活用するなど情報発信を強化すべきです。
 交互接種の効果や副反応に加え、接種率向上に向けて、追加接種まで確実に受けることのできる期間についても丁寧に情報発信を行うことは重要です。見解を伺います。
 国の新型コロナウイルス感染症対策本部が十一月十九日に決定した基本的対処方針には、都道府県は、感染が拡大傾向にある場合には、都道府県知事の判断により、法第二十四条第九項に基づき、感染に不安を感じる無症状者に対して、ワクチン接種者を含めて検査を要請するものとするとの記載があります。これにより、都道府県が要請に基づく検査費用を無料にすることができるよう、国が支援を行うことになります。
 しかし、これまでの教訓を踏まえれば、感染拡大期には限られた検査能力や資源を有効に活用する必要があります。検査対象は一律に希望者全員とするのではなく、客観的な事由があるものに限るなど、感染拡大を防止する上で合理的に判断すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 海外で新たな変異株であるオミクロン株が発生し、現在までに、検疫では三件報告がありました。政府は、海外からの入国者制限を強化するなど、危機感を持って水際対策などの取組を進めています。
 都もオミクロン株を判別できる独自の変異型PCR検査を東京都健康安全研究センターで開始しました。先手の対策を評価します。こうした成果は、近隣県にも共有を進め、広域的に対応力の強化を図るべきと考えます。見解を伺います。
 次に、都立、公社病院の独法化について伺います。
 現在の都立病院機能の延長ではなく、都全体や地域の役割分担の下、民間病院との差別化を図りつつ、各病院が提供する医療の特徴を際立たせることや機能を強化することが、都民の期待する都立病院の独法化と考えます。知事の所見を伺います。
 コロナ対策は、依然として喫緊かつ最重要課題でありますが、世界に目を向ければ、既にアメリカやヨーロッパは、ポストコロナに向けて、インフラ投資や環境対策、DXを強力に推し進めています。
 国政では、岸田首相が、五十兆円を超える大型の経済対策を策定し、コロナ対策に加えて、成長と分配の好循環を実行に移すべく、デジタルやクリーンエネルギー、さらには人への思い切った投資など、幅広い政策を盛り込み、スピード感を持って政策の具体化に着手しています。
 都も後れを取るわけにはいきません。医療、経済をはじめ、コロナ対策を迅速かつ着実に行うとともに、防災や成長戦略、気候変動対策など、短期、中長期両面の課題に対し、大胆に予算を投じるべきです。
 コロナ対策に加え、都政が抱える課題の解決や将来の東京のため、来年度予算では積極財政による予算編成を行っていくべきと考えます。都の見解を伺います。
 緊急事態宣言が解除となり、経済の回復、成長に向けて明るい兆しも見えつつあります。
 しかし、長引く感染症の影響により、飲食業からは、客足が戻らず、依然として経営は厳しいという声も聞かれるなど、経営体力が十分ではない中小企業にとって、予断を許さない状況が続いています。
 こうした中、国においては、コロナ禍をきっかけとした社会変化への対応とともに、厳しい経営環境にある中小企業への支援策を盛り込んだ経済対策を発表しました。
 都はこれまでも、コロナ禍で苦しむ中小企業者に向けてきめ細かい経営支援策を講じてきましたが、引き続きその手綱を緩めることなく支援を行い、コロナ後を見据えた企業の回復、成長への軌道を着実なものにする必要があります。
 国の動きと軌を一にし、引き続き中小企業支援を推し進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、コロナ禍の長期化で経済活動も停滞、加えて世界的な原油価格の高騰を受け、燃料価格が上昇しています。原材料の入手も困難になるなど、企業活動に深刻な影響が幾つも表面化しています。
 とりわけ中小企業の多くは、トラック配送や工場の稼働など、様々な事業活動において燃料を使用しており、燃料費等の高騰が大きな負担となっております。
 緊急事態宣言も明け、コロナ禍から抜け出す新たな成長への機運も高まりつつある中、経済活動にマイナスの影響を与えることが懸念されます。
 回復に向けて立ち上がろうとしている中小企業が、安定的に事業を進められるよう支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、観光関連の業界団体からは、昨年実施されたもっとTokyoについて、同時期に実施した国のGO TOトラベルの陰に隠れて目立たず、期待した効果が得られなかったとの厳しい指摘もありました。
 観光産業は、現在も非常に苦しい経営状況にあり、一日も早い観光需要喚起策の実施が期待されています。都内観光促進事業であるもっとTokyoは、昨年末から事業が停止されており、現時点でも活用できる予算が残っている状況です。
 都は、予算残額を有効に活用し、都内観光促進事業を速やかに再開すべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、東京の農家数は約一万戸。三十年前と比較して半分以下に減少をしています。
 また、都内における農業者の約四割が七十歳を超えるなど、高齢化も進展しており、農業従事者の後継者不足は深刻な状況です。東京の農業は、農地保全とともに、新たな担い手の確保が喫緊の課題といえます。
 こうした中、国は昨年十二月に、農林水産業・地域の活力創造プランを改定し、それを受けて、本年五月、農業経営を行う人材の確保や農地の適切な利用促進など、関連施策について見直しの方向性を示したところです。
 東京都は、農業にUターンする後継者などへの研修を通じて、定着や経営の安定化を図るなど、着実に成果を上げてきましたが、継続的な発展には、新規就農者など、新たな担い手確保や育成の拡充が不可欠です。今般の国の動きも踏まえ、都内での着実な就農と定着に向けた都の見解を伺います。
 障害者の中には、高い能力や就労意欲があっても、通勤の負担や社内勤務に困難を伴う様々な理由によって就職難が生じ、離職をせざるを得ない方がおります。
 一方、長引くコロナ禍で、テレワークやリモートワークなども定着しつつあり、こうしたツール利用の就業も有効ですが、実際には、障害者雇用やテレワークなどのノウハウの不足によって、足踏みをしているのが現状です。
 障害者が、その個性や能力を発揮しながら働き続けるためには、個々の障害に見合ったオーダーメード型の支援が必要です。障害者と雇用者双方に寄り添ったきめ細やかな支援により、障害者雇用を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 がんや難病に罹患された人たちも、就労に関し、多くの苦悩を抱えており、離職される方も少なくないと聞きます。
 しかし、抗がん剤投与や透析治療といった頻度や時間に一定のケースがあれば、それに応じた柔軟な対応いかんで就業継続や復職が可能になると考えます。
 これは、従業員が働き続けられるというだけではなく、スキル、ノウハウを持った働き手の確保という、雇用者側のメリットにもつながります。
 こうしたケースに応じた企業サイドの配慮により、雇用が継続できる取組を都の支援によって進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 障害者雇用では、都立知的障害特別支援学校の就業技術科及び職能開発科の職業教育が大きな成果を上げてまいりました。一方で、様々な事由から、障害者の離職率は高いのが実情です。定着につなげる施策が期待されます。
 都立知的障害特別支援学校就業技術科及び職能開発科の取組と、定着支援に向けた今後の取組について見解を伺います。
 次に、障害を持った生徒への教育政策について伺います。
 就職を間近に控えた高校段階までに、発達障害のある子供が抱える困難を改善していく取組は必要です。
 台湾のコロナ感染拡大を阻止した立て役者でもある台湾IT担当大臣、オードリー・タン氏も、発達障害、特にASDの傾向が顕著に見られるそうです。
 このように、発達障害のある方の中には、苦手を克服しながら、特定の分野で秀でた才能を発揮するケースも多く、その才能が開花することは社会的にも大変有益です。
 しかし、現在の日本では、就業後に発達障害に適切に対応できる組織はごく僅かです。その結果、様々な困難を抱え、退職に追い込まれてしまうこともあります。これは個人にとっても社会にとっても大きな損失であります。就職を間近に控えた高校段階までに、発達障害のある子供が抱える困難を改善する取組が重要です。
 そこで、都立高校において、発達障害のある生徒への指導充実のため、都教育委員会の今後の取組について伺います。
 教育分野のデジタル活用は、障害のある子供たちの学びにこそ、新たな成果が期待されています。しかし、主体的に学びを深めるにも、盲学校の子供には点字ディスプレーなどの追加の学習支援機材が必要となります。今後の施策においてどのような取組を行うのか伺います。
 昨今のデジタル化は、通勤通学の制約を低減させるなど、障害者の社会進出にもつながることが期待をされています。しかし、その実現には、進学、就労など、障害児一人一人の適性に応じた進路選択をかなえるための長期にわたる準備も不可欠であります。
 都立の特別支援学校では、学校現場でのデジタル機器の整備も着実に進み始め、今後の成果が期待をされています。一方、国立、私立の特別支援学校に通う生徒や、在宅療養や長期入院中の障害児に対しても支援を行き届かせる社会こそが、真の共生社会だと考えます。
 さきの厚生委員会において、区市町村における日常生活用具給付等事業のメニューがデジタル時代に対応し切れていないことを認めた上で、利用者ニーズを踏まえ、より効果的な給付が行われるよう都からも働きかけていくとの答弁がありました。
 障害児のいる家庭の多くは、通学支援や療養のために共働きが制約され、自費によるデジタル機器の購入は大きな負担となります。障害児の学習や日常生活を支えるためのデジタル機器の普及に向けた環境整備について、より積極的に進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、この環境整備には、区市町村とより連携をして対応すべきと考えます。併せて見解を伺います。
 障害のある就学児童やその家庭を支えている放課後等デイサービスについて伺います。
 令和三年四月の報酬改定で、放課後等デイサービスの報酬はマイナス改定となり、都の調査でも減収となった事業所が約七割に及んでいます。次期報酬改定を待たずに、運営が厳しい状況にあっても真面目に取り組んでいる事業者には応えていくべきと考えますが、今後どのように対応していくのか伺います。
 次に、児童相談所に一時保護され、児童養護施設や里親家庭などで育った社会的養護の経験者であるケアリーバーの自立支援について伺います。
 現在、都内では、複数の法人などがケアリーバーに対し共同住宅を提供するなど、自主的な取組を行っています。都は、現下の状況を鑑み、ケアリーバーの自立支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新しい工業高校の実現に向けたプロジェクトについて伺います。
 科学技術が短期間で飛躍的に進んでいる現在、時代のニーズに即した進化が工業高校に求められています。
 都は、新たに、Society五・〇を支える工業高校の実現に向けた戦略プロジェクトの中間まとめを公表したところですが、今後、その役割を全うするためには抜本的改革が必要だと考えます。都立工業高校が向かうべき姿とその実現のための取組について伺います。
 工業高校は、それぞれの特色の中で子供たちの可能性を広げており、産業界からも人材育成に対して大きな期待があります。企業からの求人も増加をしております。また、転職のみならず、専門的知識を拡大するため、大学などへ進学する卒業生もいます。
 技術革新が進む中、将来を担う人材を輩出するためにも、こうした工業高校の魅力をさらに向上させて、入学希望者やその保護者に対し、その魅力をしっかりと発信すべきと考えます。多くの生徒が意欲を持って工業高校を選択できるための取組について伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 東日本大震災がきっかけで、東京都は平成二十四年に首都直下地震、平成二十五年に南海トラフ地震の被害想定を策定しました。この十年間で人口が増加するとともに高齢化も進み、また、大規模地震や災害に関しても新たな知見を蓄積しています。
 今後、震度七クラスの地震が三十年以内に発生する確率が七〇%から八〇%に引き上げられるなど、予断を許さない状況は続いています。今回の被害想定の見直しを通じて、この十年間の変化や課題などを明らかにし、都の防災対策の充実強化につなげるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が国は、過去の大規模災害から多くのことを学んできました。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの後には、災害対策基本法が改正され、地方公共団体間の相互協力の体制強化などが図られてきました。
 都は、全国自治体との協定などの枠組みに基づき、都内の区市町村とも連携し、被災地支援を行ってきました。
 一方、都内に目を向ければ、首都直下地震や南海トラフ地震の切迫性や河川氾濫、高潮、土砂災害などの水害リスク、伊豆諸島における火山噴火のリスクなど、様々な災害リスクを抱えています。これまでの被災地支援で得た知見や教訓を生かしつつ、これまでにも増して東京の総力を結集し、想定されるあらゆる災害リスクに立ち向かう必要があります。
 そこで、都と区市町村との間における相互協力体制を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、緊急輸送ルートについて伺います。
 大規模な地震や水害などの発災時には、道路や橋梁が被災し、陸上における救助活動や物資搬送に支障を来すことも想定されます。こうした緊急輸送ルートを多重化するためにも、船舶を活用した水上ルートの確保は大変重要です。
 都は、平成二十八年に災害時における緊急輸送確保に向けた基本方針を策定した上で、防災船着場等の運用マニュアルをつくり、基本的な運用ルールを定めました。
 しかし、国と関係機関との協議も道半ばであり、船舶を利用した災害時対応をより実効性のある取組にすべきです。都の見解を伺います。
 また、実効性を持たせるために必要な取組が防災船着場等の整備です。現状のままでは、道路との結節に不具合があることや、バリアフリー化がなされていないなど、発災時に機能できない場所がほとんどです。機能確保をいかに行っていくのか伺います。
 十月に発生した千葉県北西部地震では、震度五強で日暮里・舎人ライナーの脱輪事故が発生しました。十分な検証を行い、今後の対策につなげていくことは不可欠です。
 また、都営地下鉄が長期間運休すれば、都民生活への影響はさらに甚大なものとなり、地下鉄の耐震対策も重要です。東日本大震災を踏まえて対策を進めていることは承知をしていますが、施工が容易ではない箇所も残しており、工夫しながらも速やかに取り組むことが不可欠です。
 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーの震災対策を今後どのように進めていくのか、伺います。
 近年、気候変動の影響により、局地的な豪雨による大規模な浸水被害が全国各地で発生し、特に水管橋は、河川の氾濫等によって損傷を受けています。
 今年十月には、和歌山市において水管橋の崩落事故が発生、おおむね六万世帯、三万八千人が約一週間にわたる大規模な断水の影響を受けました。
 東京都では、強靭な水道システムの構築に向け、粘り強く強度の高いダクタイル鋳鉄管への取替えはほぼ完了し、現在は水道管の耐震継ぎ手化などを着実に進めていると聞いています。
 激しさを増し、頻発されると予想される風水害への備えに向けて、今後の水管橋等の風水害対策について伺います。
 東京の下水道は、汚水処理がほぼ一〇〇%普及し、都民の日常生活や都市活動になくてはならない極めて重要なインフラです。首都直下地震により、下水道管の機能に大きく影響があった場合には、都民生活や都市活動に与える影響は計り知れないものとなります。
 下水道局では、大規模震災時でも下水道の機能を確保するために、避難所等を対象に、その排水を受ける下水道管の耐震化を九割完了させるとともに、液状化する地区の交通機能を確保するため、救助活動車両等の通行に欠かせない緊急輸送道路などの対象路線で、マンホールの浮上を抑制する対策を全て完了させています。
 東京をさらに強靭な都市へと変えるために、下水道管の震災対策をより一層推し進めるべきです。今後の取組について伺います。
 次に、海岸保全施設の機能強化について伺います。
 東京の区部東部には、満潮時海面以下となる、いわゆるゼロメートル地帯が広がっています。その面積は二十三区の約二割に相当し、百五十万人が生活をしています。背後には、首都機能をはじめ、商業、インフラなどの都市機能が高度に集積しており、一たび浸水被害に遭遇した場合、我が国が受ける社会的、経済的損失は計り知れません。
 こうした事態を避けるため、これまで都議会自民党は、東京港を第一線で守る防潮堤や水門の整備、機能強化について、都に対し強く求め、現在、高潮や津波に対する安全性はおおむね確保されたところであります。
 その一方で、近年、海面上昇や台風の強大化など、気候変動による影響が顕在化してきており、高潮の浸水リスクがこれまで以上に高まっているようにも感じます。
 国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCでは、パリ協定の二度目標が達成された場合、世界の平均海面水位は、二一〇〇年には現在より最大で約〇・六メートル上昇すると報告をしています。また、国は、気温上昇によって台風が強大化するとともに、降雨量が増加するとも予測をしています。
 こうしたことから、今後予想される気候変動によって海面水位が上昇した場合、これまでと同じく高潮の危険から都民が守れるのか、心配する声もあります。
 将来の気候変動を見据え、今から海岸保全施設の機能強化に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会を契機に、都内のスポーツ環境は大きく改善をしました。世界に誇れる新規恒久施設が整備されるとともに、既存都立施設も機能強化が図られてまいりました。区市町村においても、都と連携し、施設整備や改修等が進められてきたところであります。
 こうした成果を大会後のレガシーとして、都民の健康増進や試合観戦の場として広く活用していくことが重要です。
 その中でも、新規恒久施設は今後のスポーツ振興の重要な役割を担います。国際大会の招致なども含め、積極的に活用していくべきですが、都の方針を伺います。
 さきの定例会でも指摘をしましたが、多くの関係者の支えと日本全体が一つになって取り組んだことで、コロナ禍での大会を成功に導くことができました。その思いに応えるためにも、大会の記憶と情熱、そして、日本だからこそできたという誇りを後世に伝えていくことは重要です。
 特に、無観客開催により会場で観戦する機会を失ったことも踏まえ、開催時にできなかった取組や大会の振り返り、開催への感謝を発信する一周年事業を実施するべきと考えます。都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会での文化プログラムは十六万件を超え、三千九百万人を超える参加者があったと伺っています。コロナ禍で開催が制限されたものの、五年間着実に大会に向けて取り組んできた成果だと思います。
 特に、東京のまち中で、パビリオン・トウキョウに代表されるようなダイナミックで、独創的な作品も展示されました。このような文化プログラムが展開されたことにより、今までよりも多くの都民が、気軽に文化に触れられる機会となったことを評価します。
 こうした流れを、今後も東京大会のレガシーとして、文化施設に限らず、都立公園や道路などの都民に身近な場所で事業を展開していくよう、都に求めておきます。
 第三回定例会では、今年度末に文化戦略を策定するとの答弁がありました。東京二〇二〇大会の成果や課題を踏まえ、東京が文化にあふれる魅力的なまちとなるような文化政策を今後も展開されることが期待されています。
 そこで、文化プログラムの取組の成果を生かし、都民が芸術文化を気軽に楽しむ機会をさらに増やしていくことを文化戦略の中で明確に示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方で、コロナの感染拡大により、昨年来、一部の文化プログラムが予定どおり実施することができませんでした。祭りや伝統芸能をはじめ、各地域で東京大会を盛り上げようと、様々なイベントの準備を担ってこられた方々にとって、多くの観客の前で直接発表する機会が失われてしまったことは、大変残念なことでありました。
 今後も、都内各地で、東京の芸術文化やエンターテインメントを支える担い手の活躍の場をつくることは、東京の文化振興に不可欠といえます。今後の取組について伺います。
 今般、東京ベイeSGまちづくり戦略のドラフトが公表されました。都市づくりのグランドデザインや東京ベイエリアビジョンとの関係性が整理され、また、世界に誇れる水と緑が豊かなまちなど、我が会派の主張と軌を一にした取組も盛り込まれたものとなっています。
 しかし、描いた戦略の実現には、人と物が円滑で活発に行き交うよう、鉄道、道路、空港、港、それぞれの機能強化も加速させていく必要があります。東京港や第二湾岸道路の整備はもとより、我が会派による国への働きかけによって位置づけが上がった臨海地下鉄構想については、羽田空港への延伸など、将来を見据え、大きな絵を描く必要があります。
 日本経済を立て直し、世界をリードする都市東京を実現する上で、ベイエリアのまちづくりは極めて重要です。こうした観点を踏まえ、今後、まちづくり戦略をどのように取りまとめ、実現に向けて取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 この戦略に合わせて、築地まちづくりの方向性も示されました。一体募集とし、民間の知見を最大限活用すべきとの我が会派の主張を十分踏まえたものと受け止めています。築地は都心に残された貴重な一等地です。都民のため、どのようなまちにしたいのか、具体的に示していくことが必要です。一方、過度な要求により、民間提案がなくなるようでは本末転倒といえます。
 臨海地下鉄構想などは、前提条件も定まっておらず、将来変更となる可能性もあります。気候変動のような危機への対応など、今後、都市づくりに求められる内容も変化します。
 社会経済情勢や計画条件の変化などに柔軟に対応し、良質な民間開発を誘導すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 先月、都税調より答申が示されました。税制においては、時代の急速な変化に対応する視点が重要です。今回、持続可能な社会を目指す税制を実現するための提言が幾つか挙げられています。
 我が国でも既に温暖化対策税が創設されたほか、従来の国税、地方税に対しても、環境に配慮した様々な特例措置を講じています。
 世界最大の都市の一つである東京都として、プレゼンスを高めていくためにも、税制のグリーン化の推進は不可欠と考えます。知事の見解を伺います。
 住宅等のCO2削減対策について、先日閉幕したCOP26において、いわゆる一・五度目標を追求していくことが合意をされました。今後、温室効果ガス削減に向けた取組の加速がさらに求められます。
 こうした中、都は、二〇三〇年カーボンハーフに向けた部門別目標等の素案を明らかにし、特に家庭部門においては、今後の世帯数の伸びを勘案すると、ほかの部門以上に高い水準が示されたといえます。
 知事は、住宅等の一定の新築建築物への太陽光発電設備の設置義務化に向け、環境確保条例の改正を審議会に諮問をしました。新たな施策を表明することも大切ですが、現状をしっかり分析した上で、それに見合う実効性のある施策を進めていくことが必要といえます。
 例えば、都内には共同住宅が多くありますが、同じ床面積であっても、立地によって建物の形や規模も様々で、太陽光発電設備の設置可能スペースにも大きな違いがあります。
 そこで、太陽光発電設備の設置を義務化する制度の検討に当たっては、東京の地域特性等を十分に踏まえた制度にすべきと考えます。知事の見解を伺います。
 都は、廃プラスチックの焼却量を、二〇三〇年までに二〇一七年度比で四〇%削減するとの目標を掲げ、昨年度、区市町村による分別収集を支援するプラ製容器包装・再資源化支援事業を開始いたしました。
 また、本年六月には、プラスチック資源循環促進法が成立し、容器包装プラスチックに加え、製品プラスチックを自治体が一括で回収する方向性が示されました。
 こうした中、容器包装プラスチックの分別収集を未実施の区市町村の中には、一括回収に意欲を示しつつも、コロナ禍や製品プラスチックの回収による負担増加もあり、都に支援の拡充を求める声があります。
 都は、区市町村への支援を拡充し、プラスチックのリサイクルをさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍からの経済回復を契機に、世界的にエネルギー需要が増大しており、エネルギー価格も高騰をしています。脱炭素化による電力不足が要因との指摘もあります。
 日本政府は、新たなクリーンエネルギーへの投資支援や再エネの最大限の導入促進に取り組むことを示しました。同時に、安定かつ安価な電力供給や気候変動問題への対応を考えれば、安全確保を大前提とした原子力利用は欠かせないとの原発再稼働についても言及をしています。
 東京都は、環境先進都市を掲げ、脱炭素社会を目指しています。一方で、我が国最大のエネルギー消費都市です。電力の供給源も地方に大きく依存をしています。
 東京都の首長として、エネルギー政策の中での原子力利用の在り方について、小池知事の見解を伺います。
 次に、国境離島について伺います。
 日本は、四方を海に囲まれた島国であり、国土面積の狭隘な我が国において、国境離島は、世界第六位の広さを誇る日本の広大な領海や排他的経済水域の根拠となっています。
 東京都には、伊豆諸島から小笠原諸島に至るまで、有人の離島はもとより、無人島を含め、数多くの国境離島が存在します。
 こうした東京の島々は、美しい自然に恵まれ、貴重な癒やしの空間であるだけではなく、海洋立国日本の実現を目指す我が国にとって、国家的見地からも重要な役割を担っています。
 我が会派はこれまでも、沖ノ鳥島や南鳥島などの国境離島の維持保全の重要性について都議会で取り上げてまいりました。都に属し、国家の要衝でもある沖ノ鳥島、南鳥島を守るため、都の果たすべき役割と今後の取組について、知事の見解を伺います。
 都は、かつて沖ノ鳥島周辺において、漁業の操業支援などにも取り組んでまいりました。こうした経済的活動が近年途絶えています。
 排他的経済水域を維持する観点からも、沖ノ鳥島や南鳥島周辺海域での経済的活動を推進すべきですが、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 小笠原諸島の海底火山である福徳岡ノ場の噴火によるものと見られる軽石が、現在、伊豆諸島に漂着をしています。幸い大きな被害は出ていないものの、先に漂着が確認された沖縄では、大量の軽石により甚大な影響が出ています。
 先般、我が会派も三宅島を訪問し、軽石の漂着状況を確認するとともに、島民の皆様からお話を伺ってきたところであります。仮に、沖縄県同様、大量の軽石が漂着した場合、自然環境が損なわれるほか、島民の足である船舶の運航や漁業、観光業など、住民生活にも重大な影響を及ぼすことも想定され、島民は不安を感じています。
 都庁内の各局が連携し、実効性の高い対策を講じることはもとより、被害が生じた場合には国の各種支援制度も活用するなど、島民の安全・安心はもとより、事業者に寄り添った十分な対応が必要です。
 今後、伊豆諸島にも大量の軽石が漂着する可能性もあることから、都として万全を期すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、地域公共交通について伺います。
 都は、昨年、地域公共交通の在り方検討会を設置し、基本方針の取りまとめに向けて、今後の議論に期待するところであります。
 高齢社会、共生社会を見据え、都は、広域自治体として地域公共交通をどのように捉え、検討会では今後どのようなことを議論していくのか伺います。
 デジタル化について二点伺います。
 行政手続のデジタル化は、最も遅れている分野の一つであります。都民にオンラインサービスの利用をより積極的に促していくためには、利便性や今後の展開について、より分かりやすく伝えていく必要があります。今後の取組を伺います。
 国では、従来、各省庁で情報システムを構築、管理してきましたが、本年九月にデジタル庁が発足。情報システムの統括、管理を一元的に行い、DXの取組も加速をしています。
 都も、本年四月にデジタルサービス局を発足し、デジタルを活用した都政のQOSを飛躍的に向上させるDXの取組を強力に推し進めているところです。
 DXの推進に投資は必要ですが、その前に、デジタルサービス局において、各局の情報システムはもとより、デジタル関連経費を一元的に把握する見える化こそ必要です。その上で、投資が効果的、効率的であるのか、評価、分析につなげることが重要と考えます。宮坂副知事の見解を伺います。
 日朝首脳会談で北朝鮮が拉致を認め、五人の拉致被害者が帰国してから十九年以上が経過をしました。しかし、いまだ問題解決への道筋は見えておりません。
 この事件をリアルタイムで知らない子供たちが拉致問題への理解を深めるには、地方議会や教育活動を通じ、被害者奪還の機運を高めていくことが極めて重要だと専門家も指摘をしています。しかし、そのための資料として、政府が全国の学校に配布したアニメーションDVDも十分に活用されておりません。
 政府は、平成十八年に拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律を施行し、国及び地方自治体の責務等を定め、毎年十二月十日から十六日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間としました。都も毎年啓発活動に取り組んでいます。
 この期間、小池知事をはじめ、都幹部職員も率先してブルーリボンをつけるなど、都全体としての機運醸成を図っていくべきと考えます。
 また、亡き古賀俊昭都議が心血を注いで取り組んでこられた都議会超党派による拉致議連の活動再開についても、改めて呼びかけてまいりたいと思います。
 先日、岸田首相は講演の中で、拉致問題は、岸田内閣の最重要課題であり、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、総理大臣として自らが先頭に立ち、政府を挙げて全力で取り組むとの決意を述べられました。我々都議会自民党も、岸田総理と一体となり、拉致問題の解決に断固たる決意で取り組んでまいります。
 北朝鮮の地で救いの手を待っている被害者らの苦しみと我が国で帰りを待つ家族の苦痛は今もなお続いています。我が国の主権と国民の人権をいまだじゅうりんしている北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けた今後の取組について、小池知事の決意を伺います。
 コロナ禍の長期化による一番の被害者は子供たちです。子供の自殺件数は過去最悪の状況にあります。
 都は、今年三月に制定した東京都こども基本条例を受け、子供との対話を通じ、子供目線に立った政策を強化するとしています。その象徴的な取組として、東京都こどもホームページの作成プロセスに子供が参加し、意見やアイデアを反映させていくことが公表されました。
 子供の自殺が増える中、東京都は、子供の不安や悩み相談に多様な窓口を用意してまいりました。しかし、利用者であるはずの子供たちにとっては、分かりづらく使いにくいとの声もあります。こうした分野にこそ、子供目線を強化していただくよう、改めて強く求めておきます。
 都議会は、都民の皆様の思いを受け止め、コロナ対策に関する議論をさらに深め、都民の安心につながる実効性のある施策を進めていかなくてはなりません。
 都議会自民党は、都民の皆様をはじめ、国、区市町村、各種団体と緊密に連携し、新型コロナウイルスの終息と経済の再生、そして、首都東京の持続的発展に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松大祐議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、病床の確保についてのお尋ねでございます。
 現在、新たな変異株が発生するなど、引き続き緊張感を持って対応していく必要がございます。この夏の経験も踏まえまして、より厳しい感染状況も想定して備えを講じていかなければなりません。
 このため、都は、重症用五百十床を含めまして、六千八百九十一床の病床を確保いたしております。さらに、旧赤羽中央総合病院を活用いたしまして、人工透析や中期滞在が可能な高機能型酸素・医療提供ステーションを新たに整備するなど、多機能化を進めまして、合計で約九千四百四十床の医療提供体制を確保いたします。
 また、確保した病床を有効に活用するため、都の入院調整本部で転退院を促進しまして、より多くの患者を受け入れられるようにいたします。
 先手先手で対策を講じることで、都民の皆様が安心して暮らすことのできる日常を取り戻すために全力を尽くしてまいります。
 次に、独法後の都立病院の機能強化についてのお尋ねでございます。
 都立病院はこれまで、都民の医療ニーズに的確に応えるために、再編整備等の改革を通じまして、医療の質の向上やネットワーク機能の充実を図ってまいりました。
 医療は日進月歩で進化していることに加えまして、高齢化の進展に伴って、医療ニーズが質的、量的に変化いたしますことから、都立病院はこうした状況に適切に対応していく必要がございます。
 このため、柔軟な人材確保など、医療提供体制の構築が迅速に行える独法化のメリットを生かしまして、各病院の特徴をより明確にしながら、行政的医療や高度専門的医療など、重点医療の一層の強化を図ってまいります。
 独法後を契機といたしまして、医療機能をさらに高め、都民の誰もが質の高い医療を受けられる体制を構築してまいります。
 次に、障害者の日常生活を支えるデジタル機器についてのお尋ねであります。
 障害の種別にかかわらず、また、どんなに障害が重くとも、必要とするサービスを利用しながら、希望する地域で安心して暮らせる社会、私はこうした社会の実現を目指しております。
 障害がある方には、円滑な情報の取得や意思疎通が難しい方もおられ、その自立や社会参加を進めるには、例えば、文字情報を点字や音声に変換する機器や、スマートフォンアプリ、遠隔ロボットなど、様々なツールの普及が一つの鍵となります。
 こうした機器を効果的に活用することで、障害者の日々の暮らしを支えて、将来にわたりまして生活の質を向上させることが期待できます。
 今後とも、デジタル技術の普及をさらに進めまして、あらゆるバリアが取り除かれた社会の実現を目指してまいります。
 防災関係で被害想定の見直しについてのお尋ねがございました。
 人口や経済機能が集積する東京で災害への備えを怠れば、首都直下地震等の大規模災害発生時に被害が拡大し、東京のみならず、国内外に多大な影響を及ぼしかねません。
 このため、被害想定の見直しに当たりましては、被害を最小限にするための実効性ある防災対策につなげられますよう、様々な工夫を行っていく必要がございます。
 具体的に申し上げますと、最新のデータを基にしまして、住居の倒壊、延焼、通信の途絶といった都民生活に直結する項目に加えまして、幹線道路、ライフライン、公共交通などの都市インフラの寸断といった救出救助活動において重要な項目について、今回新たに、発災後の時間軸に沿った被害の状況を示してまいります。
 発災後に家庭や地域で起こり得る状況の発信を通じまして、都民一人一人の防災意識の向上と自発的な防災活動を促すとともに、被災者支援などにおける都や関係機関が取るべき効果的な取組につなげてまいります。
 今後とも、備えよ常にの精神の下、より実効性の高い防災対策の構築に向けまして万全を期してまいります。
 次に、都と区市町村との相互協力体制についてのお尋ねでございます。
 大規模災害発生時は、被災自治体におきまして物資の受入れや避難所運営など、膨大な災害対応業務が発生をいたします。そのため、応援職員の派遣など自治体間の連携が重要となるわけです。
 都はこれまで、全国知事会や九都県市等との間で協定を締結いたしまして、災害時に全国の自治体からの応援を円滑に受け入れる体制を整備してまいりました。
 今後は、自治体間の協力体制や都の総合調整機能をより一層強化するため、年内を目途に、新たに都と全区市町村が参加する協定を締結いたします。
 この協定によりまして、職員の派遣や避難先の提供などに関します基本的な役割分担や実施手順を明確化いたしまして、速やかな支援につなげてまいります。さらに、区市町村をはじめ、国や他県市などと連携をいたしまして、様々な災害を想定した図上訓練等を実施することで、運用方法の改善を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、都と区市町村との相互協力体制を一層強固にしまして、東京全体の災害対応力を高めてまいります。
 次に、芸術文化に触れる機会の創出についてのお尋ねであります。
 芸術文化は、人々に喜びや感動をもたらし、心のつながりを深める大切なものであります。
 文化の祭典でもある東京二〇二〇大会では、コロナ禍にありましても、工夫をして、世代を問わず参加できる音楽祭や斬新なアートプロジェクトなどを都内各地で展開をいたしまして、芸術文化の魅力を発信いたしました。
 今後は、公園や道路、駅前などの都市の公共空間や商業施設、銭湯など、都民にとって身近な場所でパブリックアートやコンサート等の機会をさらに増やしていく必要がございます。
 また、最新のテクノロジーを活用しまして、どこにいても芸術文化を楽しめる取組を推進いたしまして、劇場や美術館などの場所や時間にとらわれないアクセシビリティーを実現いたします。
 こういった芸術文化の敷居を低くする取組の強化を新たな文化戦略に盛り込みまして、誰もが芸術文化に身近に触れられる環境を整えて、人々の幸せに貢献をしてまいります。
 次に、東京ベイeSGまちづくり戦略についてのお尋ねであります。
 国の発展を牽引することが首都東京の果たすべき使命であり、その中にあって、ベイエリアは世界から人と投資を呼び込み、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京をリードするエリアとして発展させることが重要であります。
 このため、先般公表したドラフトにおきましては、次世代の都市モデルとなる成長戦略として、質の高い緑と魅力的な水辺空間の形成、防災減災対策の推進、まちの魅力や活動の基盤となる移動手段の充実などを示しております。
 今後、パブリックコメントや関係団体へのヒアリングの意見なども踏まえまして、将来像を実現するための戦略や具体的な取組をブラッシュアップいたしまして、今年度中に取りまとめてまいります。
 まちづくり戦略の具体化に当たりましては、国をはじめ地元区、民間企業など様々な主体とも連携しまして、都市基盤整備などを進めるとともに、民間の創意工夫を生かした都市開発を誘導するなど、ベイエリアの将来像の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、税制のグリーン化についてであります。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて脱炭素化の取組を着実に進めていく、そのためには、排出量取引や規制、補助など、様々な政策手法を組み合わせていくことが必要であり、税制の活用も有効な手段の一つであると認識をいたしております。
 このため、都はこれまで、中小企業者向けの省エネ促進税制やZEV導入促進税制を創設するなど、都独自の措置を講じてまいりました。
 また、今般、東京都税制調査会からは、温室効果ガス排出量削減に向けましては、税制の一つの基軸に環境を据え、税制の仕組みの中に環境負荷に応じた負担という考え方を組み入れる、税制のグリーン化を推進していくことが不可欠だというご提言をいただいたところであります。
 今後とも、都といたしまして、カーボンプライシングをめぐる議論など、国の動向を注視するとともに、公平性とのバランスやインセンティブ効果なども踏まえながら、ゼロエミッション東京の実現を後押しする税制について検討を進めてまいります。
 新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化の検討についてのお尋ねであります。
 家庭部門のCO2削減には、さらなる省エネルギー対策と再生可能エネルギーへの転換が必要である一方、都内には、狭小な住宅用地や共同住宅が多いこと、日照条件が異なるなど、一律の設置が難しい地域特性などの問題、課題がございます。
 このため、中小規模の新築の建築物を一定以上供給する住宅供給事業者等に、個別の建物ごとではなく、事業者単位で設置を求める仕組みを環境審議会の分科会に提案をいたしました。
 これによりまして、事業者の弾力的な対応を可能としまして、太陽光発電設備の着実な設置につなげてまいります。
 今後も引き続き、関係団体等、様々な立場の方々からも意見等を伺いながら、制度構築に向けました検討をさらに進めてまいります。
 あわせまして、大規模新築建築物を対象とする建築物環境計画書制度につきましても、再エネ設備設置の義務化等の検討を進めてまいります。
 こうした取組を通じまして、新築建築物への太陽光発電設備等の設置を標準化いたしまして、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
 次に、脱炭素社会とエネルギー政策についてのお尋ねでございます。
 気候危機の影響は人々の生活領域まで深刻な影響を及ぼしており、もはや一刻の猶予もございません。ビジネス、そして日々の暮らし、都市づくりなど、あらゆる分野の社会経済構造を脱炭素型に移行することが必要であります。
 都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現など、世界をリードする目標を掲げまして、水素エネルギー技術の社会実装やグリーンファイナンスの活性化など、迅速かつ大胆な行動を進めてまいりました。
 今、世界におきましては、安定した電力供給と脱炭素社会との両立に向けまして、原子力発電を含めたエネルギー政策の在り方を模索する動きが起きております。
 我が国における電源構成につきましても、エネルギーの安定供給や経済効率性、さらには、脱炭素化への対応といった多岐にわたる観点を踏まえまして、総合的に検討していくことが必要と考えます。
 いずれにいたしましても、こうしたエネルギー政策の在り方につきましては、国レベルで議論、検討が行われるべきものでございまして、都は引き続き、脱炭素社会の実現に向け、なすべき取組を果敢に推し進めてまいります。
 次に、国境離島に関する取組についてのお尋ねであります。
 国益に直結する国境離島をはじめ、領土、領海を守ることは、国家の根幹的責務であり、都にはその維持保全に連携協力していくことが求められております。
 沖ノ鳥島、南鳥島は、それぞれが国土面積を上回る排他的経済水域を持つ国境離島でありまして、周辺海域も含めた維持保全や利活用、普及啓発は、都においても重要な課題であります。
 こうした諸課題への取組の方向性を検討するため、今般、国の直轄管理区域であります沖ノ鳥島の周辺海域におきまして、基礎的な調査を実施することといたしました。
 あわせまして、国境離島の重要性について広く都民、国民に発信していくため、関係省庁による取組の紹介も含むウェブサイトを新たに開設をいたしました。
 都民生活、そして東京の都市力の維持発展、ひいては、排他的経済水域等の権益を確保して、海洋国家である我が国の地位を堅持するためにも、国と緊密に連携しながら、持続可能な具体の取組について検討を深めまして、国境離島の維持保全等に、より一層尽力をしてまいります。
 次に、拉致問題の解決に向けた取組についてのお尋ねでございました。
 北朝鮮による拉致は、我が国の国家主権の侵害であると同時に、国民の生命と安全を脅かす重大な人権侵害であります。
 政府認定の拉致事案が発生してから四十四年の年月が経過し、拉致被害者やご家族の方々の現在の状況を考えますと、拉致問題の解決には、もはや一刻の猶予もございません。
 拉致問題の解決には、都民一人一人が自分自身の問題として考えることが重要でございます。
 このため、都は、今月十日からの啓発週間におきまして、集中的な広報活動、そして都庁舎のライトアップ、知事の会と連携いたしました幹部職員によるブルーリボンバッジの着用を行います。年明けには、拉致問題に関する舞台劇の上演など都民向けの啓発活動を行ってまいります。
 また、教育委員会では、教員への特別講演を実施したほか、啓発週間に合わせまして、映像資料等を活用した具体的な授業の実践モデルを全校に提示をしまして、子供たちの理解を深める学習を推進してまいります。
 今後も引き続き、政府及び関係機関と連携しまして、都民の機運の醸成を図るなど、一日も早い拉致問題の解決に向けまして力を尽くしてまいります。
 残余のご質問は、副知事、教育長、東京都技監、そして関係局長からの答弁といたします。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) デジタル関連経費についてお答えいたします。
 効果的、効率的なデジタルサービスの提供を行うためには、まず、各局のデジタルトランスフォーメーションの取組内容や経費の状況などについて、横断的に把握していくことが重要です。
 これまでデジタルサービス局では、開発経費が一億円以上の大規模システム等について、有効性、適切性、安全性を評価するためにシステムアセスメントを実施しており、本年度は十八件の評価を行っております。
 これに加え、現在、五百件を超える、各局が保有する全ての情報システムについて、予算額や機器構成、更新予定時期などを一元的に把握するため、令和四年度予算編成に合わせてシステム台帳の整備を進めております。
 さらに、情報システムの経費にとどまらず、ドローンなどのデジタル技術を活用した機器の導入や、デジタルの専門知識を持った人材の育成、活用に関する経費など、デジタルに関連する幅広い情報を集約し、来年度予算案の公表に合わせて取りまとめてまいります。
 こうして取りまとめたデータを活用し、例えば、人、物、ソフトウエアといった要素別や、新規、拡充、再構築などの状況別に区分することで取組状況を見える化し、効果的な事例を横展開するなど、各局のデジタルトランスフォーメーションの推進を支援してまいります。
 今後、このようにデジタル関連経費を全庁横断的に分析し、デジタル技術を活用した各局事業の企画、開発等の検証に活用することで、都政のクオリティー・オブ・サービスを向上させてまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立特別支援学校卒業生の職場定着の支援についてでございますが、都立特別支援学校の就業技術科及び職能開発科では、生徒が適性に合った仕事に就けるよう、一年次から段階的な就業体験を実施するなど、自ら主体的に進路を選択できる力を育んでおり、これまで三千名を超える生徒の企業就労を実現してまいりました。
 また、卒業後三年間を目途に、教員が職場開拓の際に卒業生の就労先を訪問し、職場におけるコミュニケーションがより円滑に進むよう、定着に向けた支援を行っております。
 今後、訪問の機会を増やし、支援の継続性を確保するため、都教育委員会は、学校の取組に加え、企業OB等による就労先の継続的な訪問によるきめ細かいサポートと、就労支援機関への円滑な引継ぎによる切れ目のない支援を充実させ、一層の職場定着を図ってまいります。
 次に、発達障害のある生徒への支援についてでございますが、高校段階では、卒業後の進路も見据えながら、専門的な知見の下で、生徒の障害特性に応じ、より適切に社会性等を身につけられるよう支援することが必要でございます。
 都教育委員会では、令和三年度から、都立高校の発達障害のある生徒を支援するため、外部の専門人材が教員と共に授業を行う仕組みを導入いたしました。この授業においては、他者との関わりが苦手な生徒が、自分の考えを言葉にし、仲間と協力することを学ぶなど、集団生活での適応力の向上を図っているところでございます。
 今後は、特別支援学校と高校との連携を強化し、多くの指導経験を有する特別支援学校が、高校に対して、生徒支援のための校内体制づくりや外部人材との連携について助言等を行うことで、指導の充実を図ってまいります。
 次に、盲学校におけるデジタルを活用した教育についてでございますが、視覚障害のある児童生徒がデジタルを活用するに当たりましては、情報のやり取りに音声や点字等を用いたアプリケーションの導入や支援機器の整備が不可欠でございます。
 学校に配備している学習者用端末には、文字を読み上げるアプリを装備しており、児童生徒が文章の読み書きに活用しております。
 また、文字を点字に変換して表示できる点字ディスプレーにつきましても、必要とする全ての児童生徒が、自らの端末と組み合わせて学校外でも使用できるよう、現在、必要な整備を進めているところでございます。
 今後、都教育委員会は、デジタル教科書等を用いた効果的な学習により、視覚障害のある児童生徒の主体的な学びが深まるよう、アプリや支援機器を活用した指導法等の研究開発に取り組んでまいります。
 次に、都立工業高校の将来像と実現に向けた取組についてでございますが、これからの時代にふさわしい工業高校においては、技術の習得はもとより、技術を駆使して、新たな価値を創出し、課題を解決していく人材を育成する必要がございます。
 このため、全ての工業高校において、産学連携による先端技術等に触れる学習や、生徒自らが課題を発見し、解決策の模索を通してものづくりの過程を学ぶ探究型の学習を推進してまいります。
 また、各学校の特色等を生かし、産業界の変化にも対応した先端分野の技術の学習や、IT分野とものづくりを組み合せた学習などの強化を図り、教育活動を発展させてまいります。
 今後、産業界とも連携しながら、工業高校における学びを進化させ、東京の未来を創り出す人材を輩出してまいります。
 最後に、都立工業高校における魅力の向上についてでございますが、工業高校は、ものづくりの楽しさを実感できる学習や、企業と連携した先端技術の体験を通して、生徒の学習意欲を高め、就職や進学など、多様な進路選択が可能となる実学を重視した教育を行っております。
 こうした教育をさらに充実させるため、DXに対応した実習設備を積極的に導入し、産業用ロボット、電動自動車等を用いた先進的な学習を充実させるとともに、企業や大学の施設等を活用し、プログラミングや最新の技術を体験する機会などを設けてまいります。また、工業高校の将来像にふさわしい学校名称への変更も検討していくこととしております。
 今後、新しい学校の姿を広く発信し、多くの生徒に選ばれる工業高校を目指してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、築地まちづくりについてでございます。
 築地では、中長期的に都民にとっての価値を向上させることとしておりまして、先般公表した実施方針の方向性で示しましたまちづくりのコンセプトを保持しながら、社会経済情勢の変化にも対応していくことが重要でございます。
 そこで、事業の具体化に当たりましては、気候変動の危機に対応したゼロエミッションの実現などにつきまして、効果的な取組を行うことを実施方針の方向性で示しました。
 また、臨海地域の地下鉄構想なども考慮しながら、広域交通結節点を形成することとしております。
 年度内に公表を予定しております実施方針などで、さらに配慮事項を示すなど、民間から優れた提案を引き出し、将来の変化にも柔軟に対応しながら、新しい文化を創造、発信する、築地ならではの拠点を形成してまいります。
 次に、地域公共交通についてでございます。
 超高齢社会の到来など、都民生活を取り巻く環境が変化する中、地域の公共交通につきましては、地域ごとの利用者ニーズに対応するとともに、技術革新も踏まえ、広域的課題にも応える必要があることから、区市町村が主体的に取り組むとともに、東京都としても役割を果たすことが重要でございます。
 このため、都は昨年、有識者等を交えた検討会を立ち上げ、地域特性に応じた移動手段の確保策やシームレスな移動に資する先端技術の活用方策、区市町村の区域を越える広域的な視点での都の役割等について議論しております。
 さらに検討を重ね、地域公共交通の目指すべき姿や支援策の方向性等につきまして、年度末を目途に基本方針として取りまとめてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 七点の質問にお答えいたします。
 まず、宿泊療養施設の体制確保についてでございますが、都は、新型コロナの感染再拡大に備え、患者の受入れ時間帯の拡大など運用面の見直しや、必要時に往診対応する施設など機能分化を進めまして、効率的に活用するとともに、感染状況を踏まえ、新たな施設の活用も進め、約三十一施設、約七千九百室を確保してまいります。
 また、先月には、宿泊療養を希望する患者が速やかに入所できるよう、保健所を介することなく、検査で陽性が判明した時点で患者自らが申込みのできる専用の窓口を開設いたしました。
 十一月三十日の国内で第一例目となるオミクロン株感染者発生を受け、濃厚接触者が待機する施設として速やかに宿泊療養施設を活用しており、今後も感染状況に応じて必要な体制の整備に取り組んでまいります。
 次に、自宅療養支援や保健所業務の効率化についてでございますが、都は、自宅療養者フォローアップセンターの人員につきまして、最大二百五十人体制を確保するとともに、診療や検査を行った医療機関による健康観察を実施することなどにより、自宅療養者への健康観察体制の強化を図ってまいります。
 また、感染拡大時に往診を広域的に行う医療機関との連携強化や、往診時に抗体カクテル療法を実施する医療機関に対する支援などにより、自宅療養者への医療提供体制を充実させてまいります。
 保健所業務につきましては、宿泊調整や夜間の入院調整などを都が行うことによる保健所の業務支援や、区市保健所が業務委託を行う際の経費の支援に加え、患者対応の進捗管理方法のデータ化など、デジタル技術を活用した業務の効率化により、保健所の対応力を強化してまいります。
 続いて、年末年始の医療提供体制についてでございますが、都は、昨年度と同様に、年末年始の診療、検査体制を確保するため、診療、検査を実施する医療機関及びこれらの機関と連携し開所いたします調剤薬局に対しては協力金を、入院患者を受け入れる医療機関に対しましては重症度に応じた謝金の加算を今回の補正予算案に計上しております。
 今年度は、より医療を受けやすくするため、協力金においては、医療機関情報の公表やかかりつけ患者以外の患者の診療等を支給条件としております。
 引き続き、医療機関や医師会、薬剤師会等の関係機関と緊密に連携し、都民の皆様が安心して年末年始を過ごせるよう、対策に万全を期してまいります。
 次に、ワクチンの追加接種についてのご質問にお答えいたします。
 都はこれまで、区市町村とのワクチンチーム会議を通じて、役割分担やワクチンの今後の供給見込み等につきまして認識の共有を図ったほか、医療従事者等の接種につきまして、都が関係団体と接種の実施方法を調整するなど、区市町村における接種の準備を精力的に支援してまいりました。
 また、区市町村の意向も踏まえ、今月中旬から都庁北展望室ほか多摩一か所に大規模会場を開設し、医療従事者や救急隊員等から接種を開始いたします。
 今後、ワクチンの供給計画等を踏まえ、さらなる対象者への接種が可能となるよう、会場を六か所程度まで順次拡大してまいります。
 引き続き、区市町村と緊密に連携しながら、今月から開始された追加接種が、円滑かつ安定的に行われるよう取り組んでまいります。
 次に、ワクチンに関する情報発信についてでございますが、都はこれまでも、ワクチンの効果や副反応につきまして、ホームページ等できめ細かく発信してまいりました。交互接種については、今回の追加接種で初めて実施されることから、自治体に対する迅速な情報提供と分かりやすい情報の発信を国に要望しております。
 今後、国から追加の情報が提供され次第、都におきましても、東京iCDCの専門家の知見も踏まえながら、ポータルサイトなどの様々なチャンネルを通じて幅広く発信してまいります。
 また、引き続き一人でも多くの方にワクチンを接種していただけるよう、三回目までの接種期間が延長されたことについて、接種会場や予約方法なども含めて、広く都民に周知をしてまいります。
 次に、感染拡大傾向時におけるPCR検査等についてでございますが、国によりますと、感染拡大傾向時における無料検査の対象を、感染リスクが高い環境にあるなどのため感染に不安を感じる無症状の住民としており、さらに、検査の実施に当たっては、検査の対象等が感染拡大防止の目的に対して合理的、効果的であることを求めております。
 都は、国に対して、無料検査について対象の例示等を求めるなど、現在、制度の具体化を進めております。
 新たな変異株の出現をはじめ、今後の感染拡大に備え、国の指針に基づき、感染拡大傾向時における無料検査の体制を構築し、感染拡大防止と都民の不安解消を図ってまいります。
 最後に、オミクロン株への対応についてでございますが、新たな変異株の感染拡大を防ぐためには、国による水際対策の強化と併せて、都として変異株の感染状況を迅速に把握していくことが重要でございます。
 このため、今回取りまとめました緊急対応におきまして、空港検疫で確認された濃厚接触者に宿泊療養施設への入所を勧奨するとともに、市中での流行を監視するため、ゲノム解析を実施するほか、東京都健康安全研究センターが独自に構築したオミクロン株対応のPCR検査手法を用いまして、いち早く検査を開始しております。
 今後、広域的な視点から、この手法を近隣県と共有するほか、民間検査機関へ拡大するなど、都内の監視体制を一層強化するとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げまして積極的疫学調査を行うなど、感染拡大防止に取り組んでまいります。
〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 来年度予算についてお答えいたします。
 都財政を取り巻く環境が不透明な中にあっても、医療提供体制の確保や経済を回復の軌道に乗せる取組などのコロナ対策を着実に実施すると同時に、多岐にわたる都政の課題に迅速かつ的確に対応することが必要でございます。
 具体的には、脱炭素社会や国際金融都市の実現、豪雨災害や首都直下地震等の自然災害への備え、デジタル化の推進、少子高齢化への対応など、東京の未来を切り開くための積極的な施策展開が求められております。
 このため、現在編成作業中の来年度予算では、持続可能な財政運営に留意した上で、今後の税収動向も注視しつつ、基金や都債など財政対応力も有効に活用し、東京が直面する課題を克服し、将来への発展につながる実効性の高い取組を財政面からしっかりと下支えしてまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、厳しい経営環境にある中小企業への支援ですが、感染症の状況が落ち着き、経済活動の再開が進む一方で、引き続き経営が厳しい中小企業は多く、その事業継続に向けた着実なサポートは必要でございます。
 このため、都は、コロナ禍により打撃を受けた飲食事業者に対して、専門家を派遣して助言を行い、新たな事業展開に必要となる経費に助成する取組について拡充を図ります。
 また、国の月次支援金等を受けた中小企業に対して、都は、その販路開拓に要する経費に助成を行っており、今後は国の事業復活支援金の支給を受けた中小企業も対象とすることを検討してまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業の事業継続に向けた支援を着実に行ってまいります。
 次に、原油価格高騰に係る中小企業への支援についてですが、原油価格の高騰が中小企業の経営に及ぼす影響を抑えるため、事業の改善や下支えを適切に支援することが必要でございます。
 このため、都は、中小企業の現場に専門家を派遣し、コスト高に対応するための経営上の知識やノウハウの提供を行います。また、中小企業の組合に専属のアドバイザーが出向いて、業界の実情に応じた助言を行うとともに、原油高への対策をつくり、業界内で共有する取組などに必要となる経費を助成いたします。
 さらに、収益が悪化した場合の資金繰りを支える制度融資のメニューについて、信用保証料の補助の拡充を図ります。
 こうしたきめ細かい対応によりまして、コスト高を含め、厳しい状況に直面する中小企業の経営のサポートを行ってまいります。
 次に、都内観光促進事業の再開についてですが、観光産業を速やかに回復する上で、感染状況を十分に踏まえながら支援策を適切に実施することが重要でございます。
 これからの時期は感染拡大のリスクが高くなる冬場であり、第六波への備えを固めることが必要でございます。特に年末年始は帰省等で多くの人流が生じ、会食の機会も増えるなど、感染拡大の防止に向け、十分な注意を払わなければなりません。
 そのため、こうした状況が落ち着いた時期に、感染状況の推移を見極めながら、GO TOトラベルの開始に合わせて事業を再開する予定としております。
 国と都の事業を併用することにより、旅行者の負担を抑え、観光の促進に結びつけてまいります。また、事業規模を昨年度に比べ大幅に拡充し、観光産業の回復に弾みをつけるサポートとすることで、支援の効果を高めてまいります。
 次に、農業の担い手の確保とその定着についてですが、東京農業の担い手を増やすため、農外から新たに農業を始める方に対するきめ細かな支援が重要でございます。
 このため、都は、農業を基礎から実践まで一貫して学べる二年間の研修を行うとともに、農業委員会や農業者の団体等と連携し、農地と担い手のマッチングを実施しております。
 また、特に就農初期は経営が不安定であることから、施設の整備に要する経費を手厚く支援するとともに、直売所や学校給食など、安定した販路の確保をサポートしているところでございます。
 今後は、マッチングの体制の強化とともに、農地を確保できない場合でも、生産の場を一定期間提供する新たな仕組みづくりを検討するなど、円滑な就農を後押ししてまいります。
 こうした取組を着実に進めることによりまして、持続可能な東京農業の実現に結びつけてまいります。
 次に、障害者雇用の促進についてですが、テレワークは時間や場所にとらわれず、柔軟な働き方が可能となるため、通勤や体調管理に困難を伴う場合も多い障害者の雇用を促進する上で有効な取組となるものです。
 このため、都は今年度より、中小企業が障害者を採用してテレワーク勤務を行う環境を整える場合、その採用から定着までをアドバイザーが伴走型で二年間支援するほか、テレワークに必要となる機器の助成も行うモデル事業を実施しております。
 今後は、支援を受けた企業の成果事例を取りまとめ、業界団体等を通じ、広く発信してまいります。
 また、障害者がテレワークを活用できる職場環境を整備する企業の取組を一層後押しするため、企業向けに新たな相談窓口を設けるとともに、専門家が助言を行うなどの支援体制の充実を検討してまいります。
 最後に、がん患者等が働く職場の環境整備についてですが、がんや難病患者の方が職場で安心して働くためには、通院や治療を行いながら、仕事を継続できる職場環境づくりが重要でございます。
 このため、都は、仕事と治療の両立を後押しするため、治療により休職した従業員を職場復帰させた企業や、がん患者等を新たに雇い入れる企業に対して奨励金を支給しております。
 この事業におきましては、企業の取組の効果を高めるため、医師の助言を基に、治療のための時間単位の休暇取得や、テレワークの活用などの配慮を盛り込んだ社員ごとの支援計画をつくる取組としております。
 今後は、こうした企業に従業員の病状等のケースに応じた柔軟な勤務制度の導入を働きかけるほか、仕事と治療を両立しながら活躍する方々の職場の事例を広く発信してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、障害児の日常生活を支えるデジタル機器についてであります。
 近年、デジタル技術の進歩により、障害者の地域での生活や社会活動等を支える様々な機器が普及しております。
 これらは、障害による生活上の困難を改善するとともに、成長の段階に応じて自分に合ったものを早い時期から使うことにより、日常生活の利便性を向上させる上でも有効となります。
 機器の高性能化や多機能化も進んでおりまして、今後、最新の情報を区市町村と共有するなど、デジタル技術の進歩に適切に対応し、障害者を支援してまいります。
 次に、放課後等デイサービスについてであります。
 障害児の自立を促進し、居場所を提供する放課後等デイサービスは、利用者のニーズが多様であり、事業所ごとに支援の内容は様々であります。
 こうした実態や今回の報酬改定等を踏まえまして、都は、本年七月に放課後等デイサービスの事業所の活動状況や報酬改定の影響について調査をしております。
 その結果、訓練や創作活動、余暇の提供など、多様なサービスを提供する事業所がある一方で、特定の活動に偏っている、学校との連携が十分でない事業所があることや、第三者評価の受審率が低いことなどが分かりました。
 今後、この調査結果も踏まえまして、サービスの質の向上に取り組む放課後等デイサービスへの都としての支援策について、早急に検討してまいります。
 最後に、児童養護施設の退所者など、ケアリーバーへの支援についてであります。
 都は、児童の自立を支援するため、進学や就職に向けた準備ですとか、退所後の継続的な支援を行うための専任の職員を配置する児童養護施設等に、必要な経費を補助しております。
 また、NPO等と連携いたしまして、ケアリーバーが気軽に集まって交流でき、専任のスタッフに生活や就労上の悩みを相談できるふらっとホーム事業を都内二か所で実施しております。
 今年度からは、十八歳を超えて措置延長した方が、退所後、社会生活を安定的に送ることができるよう、一定期間一人暮らしを体験するアパート等を借り上げる経費を支援することとしておりまして、現在、関係機関と調整を進めております。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、船舶を活用した災害時対応についてですが、首都直下地震から都民の命と財産を守るためには、救出救助や物資輸送が迅速かつ円滑に行われることが重要でございまして、陸路での活動が困難となった場合に備えて、河川や運河等の水上ルートを積極的に確保する必要がございます。
 都はこれまで、国や関係区、関係局等による検討会を設置し、発災時における防災船着場の利用等について、基本的な手順や役割分担等を整理してきたところでございます。
 今後は、検討会の中で国や関係機関と一層連携いたしまして、物資拠点等から各防災船着場までの個々の具体的なルートについて、実際の活用を想定した上で課題を検証し、必要な施設、機能等の整備や防災船着場ごとのルールづくりなどにつなげてまいります。
 こうした取組を通じまして、船舶を活用した水上ルートの活用の実効性を一層向上させてまいります。
 次に、沖ノ鳥島、南鳥島に関する取組についてですが、両島は、広大な排他的経済水域の根拠となります国境離島でございまして、周辺海域も含めた維持保全や利活用は重要な課題でございます。その取組の方向性の検討に当たりましては、基礎となる情報が不可欠でございます。
 一方、学識経験者からは、科学的研究という視点での調査、観測情報が不足しているとの意見を伺っております。なお、国の海洋基本計画においても、海洋調査の推進が掲げられているところでございます。
 こうしたことから、今般、様々な海洋分野の研究者の協力も得まして、海洋調査船で現地に赴き、沖ノ鳥島周辺の最新の状況を把握する調査を行うことといたしました。
 今後、現地調査を通じて得られた情報を基に分析を行い、両島及び周辺海域について、国と連携しながら、海洋資源の利活用などの可能性を検討してまいります。
 最後に、軽石対策についてですが、島民等への影響を最小限に抑えるためには、各局等が連携し、迅速に効果的な対策を実施することが重要でございます。
 このため、都は、軽石が漂着するおそれがある港湾、漁港にオイルフェンスを事前に設置するとともに、大量の軽石が港内に流入した場合にも備えて、除去用の重機を各島で確保いたしました。さらに、ドローンなどにより周辺状況を確認するなど、港内の警戒を行っているところでございます。
 また、漁業調査指導船によるモニタリングを強化いたしまして、漁業者等へ迅速に情報提供するとともに、操業継続に向け、漁船エンジンへの海水フィルター設置を支援してまいります。
 引き続き、関係機関及び各局が連携し、島しょ地域の町村の意向を踏まえるとともに、国の制度も活用しながら、軽石対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 防災船着場の機能確保に向けた取組についてでございますが、災害時に船舶による迅速な被災者の避難や緊急物資の輸送などを行うためには、これまで整備してきた船着場をより効率的に利用できるようにすることが重要でございます。
 このため、都は現在、災害拠点病院に近接する明石町など五か所の船着場で、車両によるアクセス等を可能とするため、スロープの新設や改築の設計を進めております。また、災害時の水上輸送をより効果的に機能させるため、箱崎町から朝潮運河の船着場へ物資を輸送する訓練などを行っております。
 今後、こうした取組を他の船着場でも実施していくとともに、訓練の結果を踏まえた施設改良の検討を進めるなど、国や区など関係機関とも連携して、災害対応力の強化に努めてまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄等の震災対策に関するご質問にお答えいたします。
 都営地下鉄では、阪神・淡路大震災を踏まえました対策を既に完了しており、追加対策としまして、高架部の橋脚及び中柱の補強を進めてございます。
 高架部では、大規模改修が必要な駅を除きまして本年七月に補強を完了し、全体では今年度末に累計千七百五十本、約五割の補強を完了する予定でございます。
 今後は、補強する柱が駅務室の壁などと一体となり、施工が難しい箇所がございまして、駅の大規模改修の機会も捉えながら、耐震補強を計画的に進めてまいります。
 日暮里・舎人ライナーでは、現在、国の運輸安全委員会による脱輪原因の分析が行われておりますが、交通局といたしましても被災状況の検証を進めており、例えば走行路の段差の軽減など、地震発生時の減災に向けまして、局独自に取り得る方策を検討してまいります。
 今後とも、安全・安心の確保に向け、震災対策に着実に取り組んでまいります。
〔水道局長浜佳葉子君登壇〕

○水道局長(浜佳葉子君) 水管橋等の風水害対策についてでございますが、都では現在、約二千八百か所の水管橋等を保有しており、定期的に点検を実施し、適切に管理をしておりますが、和歌山市での事故の教訓を踏まえた管理の充実強化に向けて、ICTの導入や民間の専門事業者への委託など、新たな点検方法を検討しております。
 また、長期的には、河川氾濫に伴う損傷のリスクを考慮し、河川を横断する水管橋等のうち、断水などの影響が大きい七十七か所を優先的に地中化していくこととしております。
 このうち十四か所については、令和十二年度までの十年間で地中化し、断水などの影響を受ける人口を約八割減少させます。さらに、そのほかの箇所につきましても、計画的に地中化を推進してまいります。
〔下水道局長神山守君登壇〕

○下水道局長(神山守君) 下水道管の震災対策についてでございますが、下水道局では、震災時の下水道機能や緊急輸送道路等の交通機能を確保するため、対象施設を重点化して耐震化を実施しているところでございます。これまでに避難所や災害復旧拠点等、順次対象を拡大しており、経営計画二〇二一に基づき、さらに取組を加速、強化いたします。
 具体的には、下水道機能確保のため、一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象に加えまして、下水道管とマンホールの接続部の耐震化等を前計画から二割増加させ、千二百か所で実施いたします。
 また、交通機能確保のため、緊急車両が通行する無電柱化している道路などを対象に加えまして、マンホールの浮上抑制対策を三割増加させ、二百五十キロメートルで実施いたします。
 これらにより、対象施設の約九割が対策を完了し、引き続き耐震化を進めることで、安全・安心のまちづくりに貢献してまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 海岸保全施設の機能強化についてでございますが、将来の気候変動に伴う海面水位の上昇や強大化する台風等の風水害から都民を守るためには、長期的な視点に基づいた対策を着実に進めていくことが重要でございます。
 このため、都は、有識者の意見を踏まえながら、国などの関係機関と連携し、東京港における海岸保全施設のさらなる機能強化に向けた検討を進めております。
 具体的には、今後予想される海面水位の上昇や台風の大型化傾向を踏まえ、段階的に防潮堤のかさ上げを行ってまいります。あわせて、降雨量の増加に備え、排水機場の機能を強化してまいります。
 今後、海岸保全施設の機能強化へ向けた施策の方向性を取りまとめ、将来の気候変動への対応を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新規恒久施設の活用方針についてでございますが、都は、平成二十九年に、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定し、アスリートや都民の視点から、施設ごとの後利用の考え方を取りまとめました。そして、早期に指定管理者等を決定するなど、大会後の利用に円滑に移行できる体制を整えてまいりました。再開業後には、各種大会等の開催も予定されております。
 さらに、今後幅広い活用方策の検討を深め、国際大会の誘致、スポーツの観戦や体験の機会の提供、文化やエンターテインメント等多様な施設活用など、各施設のポテンシャルを最大限発揮できるよう取り組んでまいります。
 新規恒久施設を、既存施設と併せ、多くの都民に末永く利用され親しまれる施設として活用し、東京二〇二〇大会のレガシーとしてまいります。
 次に、一周年記念事業の実施についてでございますが、東京二〇二〇大会は、大会史上初となる一年の延期、無観客での開催となりましたが、組織委員会や国、関係自治体等と緊密に連携するとともに、都民、国民のご協力を得て大会を安全に開催することができました。
 アスリートが輝いた競技会場をはじめ、大会を支えたボランティアなど、この大会を通じて生まれた数々のレガシーを確実に未来へ引き継いでいくことは重要でございます。
 ロンドン大会では、一年後のオリンピックパークのリニューアルに合わせて、多くの人が参加して音楽やスポーツのイベントを実施し、リオ大会の周年行事においてもフットサル大会や競技体験などが行われました。
 今後、これらも参考に、大会の感動と記憶を共有し、レガシーを未来につなげていく取組について検討してまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 芸術文化の担い手の活躍の場についてでございますが、東京二〇二〇大会の文化プログラムでは、都内各地の芸術文化の紹介を予定しておりましたが、コロナ禍でオンラインを活用して実施し、新たな表現が生まれた一方、直接観客の前で披露できず、魅力を十分に伝えられなかったものもございました。
 このため、今後、地域の芸術文化を支えている方々の協力を得て、各地に根差した魅力を大会後も改めて発信することが、東京の芸術文化の担い手の裾野を拡大するために重要でございます。
 また、祭りやイベント、伝統文化等の資源の活用は地域の振興にも寄与することから、エンターテインメントも含め、多くの都民が楽しめる事業への助成を検討いたします。
 地域で活動する担い手の活躍の場を広げまして、その魅力を発信し、東京の芸術文化の一層の振興を図ってまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) プラスチックリサイクルへの支援についてでございますが、持続可能なプラスチックの利用の実現を図るとともに、二〇三〇年カーボンハーフに向け、プラスチックのリサイクルを促進していくことは重要な取組でございます。
 そこで、都は昨年度から、プラスチックの分別収集経費等について区市町村を支援する事業を開始し、積極的な活用を働きかけたことで、多くの自治体で分別収集に向けた検討が進んでございます。
 一方、プラスチック資源循環促進法に基づき、容器包装と製品プラスチックの一括回収を実施した際の経費の増加や、コロナの影響による準備の遅れなどの課題も生じてございます。
 こうした課題に対応するため、プラスチックのリサイクルに取り組む区市町村への支援の拡充について検討を進めてまいります。
〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 行政手続のデジタル化についてでございますが、行政サービスの根幹ともいうべき手続のデジタル化に当たりましては、都民に対し、効果を分かりやすく伝えるとともに、進捗状況を共有していく必要がございます。
 このため、本年七月に策定した推進計画では、手続の受付時間の拡充など、都民の利便性を高めるため、デジタル化の具体策や時期等を整理し、まずは、令和五年度末までに七割の手続をデジタル化することとしたところでございます。これまでに建設業許可証明の申請等について、デジタル化が進んでございます。これらの取組状況や今後の予定について、クラウドサービスを使い、行政分野別に見える化を図り、年内に公開してまいります。
 引き続き、全庁挙げて行政手続のデジタル化を着実に進め、都政のQOS向上につなげてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時十分開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十九番小山くにひこ君
〔百十九番小山くにひこ君登壇〕

○百十九番(小山くにひこ君) 令和三年第四回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事並びに副知事、警視総監、教育長及び関係局長に質問いたします。
 質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられました方々に対しまして、心からご冥福をお祈り申し上げます。また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復をご祈念申し上げます。
 未曽有のコロナ禍の中で、世界から、東京だからこそ開催できたと評価されました東京オリンピック・パラリンピック競技大会から、三か月余りが経過しました。一九六四年の東京大会は、戦後復興の象徴として開催され、その後の東京、日本の発展へと大きくつながりました。
 しかし今日、戦後日本を発展させてきた社会モデルは、大きな転換が迫られています。人口減少、超高齢社会の到来、日本経済や科学技術の国際競争力の低下、生産性の低さやデジタル対応の遅れなど、日本社会は多くの構造的な課題を抱えています。
 我が会派はかねてより、東京二〇二〇大会のレガシーを大会後の東京の新たな成長につなげていくべきと求めてきました。コロナ禍の中で開催された東京二〇二〇大会は、一九六四年大会を契機に発展を続けてきた東京、日本の時代の転換点であり、都政にはこれまでの延長線上でないポストオリ・パラ、ポストコロナの新しい時代を切り開いていく歴史的な責務があります。我が会派は、引き続きその先頭に立ち、東京、日本の構造改革、そしてサステーナブルリカバリーを全力で推進してまいります。
 新型コロナウイルスの感染状況は、国内では一時的終息を見せていますが、新たな変異株であるオミクロン株が世界各国で検出されるなど、感染再拡大の懸念は強く、第六波を想定した備えが求められています。
 今夏の第五波においては、強い感染力を持つデルタ株により、過去最大の感染拡大となり、全国で最大二万八千人の入院が必要となるなど、医療体制は逼迫し、都民、国民の命と健康が脅かされる状況となりました。第五波以上のさらなる感染拡大も想定し、医療提供体制の大幅な強化と運用の改善を進めなければなりません。
 そこで、都として、新型コロナウイルスの第五波への対応や課題を検証し、第六波に備え万全の対応を講ずるとともに、本定例会の補正予算をもって、都民の命と暮らしを守り抜くべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オミクロン株をはじめ、新型変異株の感染拡大を食い止めるために、国の水際対策は極めて重要です。
 我が会派から、いち早く知事に対して緊急要望を行い、措置対象国の拡大や入国制限も含めた国による徹底した水際対策を要請するよう求めました。
 それを受け、先般、小池都知事が岸田総理に対し政府の水際対策の強化を求め、再強化が発出されましたが、過去に幾度となく国の水際対策の遅れにより感染が拡大した経緯を踏まえ、都としても、これまでの水際対策の課題を独自に分析し、国に対して実効性の確保を強く求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、このオミクロン株対策として、都内での感染を広げないために、現在、陽性者数が限られている中で、全ての陽性判明者に変異株検査を行い、早期発見を行う特別体制を取るべきでありますが、知事の見解を伺います。
 行政検査での対応に加えて、早期発見を推進するため、民間の検査においても変異株PCR検査が安価に受けられるよう、都が支援するように求めておきます。
 第六波に備えて、ワクチンの追加接種、いわゆるブースター接種を迅速に進めていくことも重要です。先行するイスラエルで実施されましたファイザー社のワクチンに対する研究では、六十歳以上で追加接種を受けた場合、感染の発生率が約十一分の一、重症の発生率が約二十分の一であったと発表されています。こうした高い効果を踏まえ、同国では既に今年九月の段階で、十二歳以上の全ての年齢層に対象を拡大し、二回目接種後六か月経過した方へのブースター接種を進めています。
 一方、日本政府はようやく、二回目接種後八か月経過した者を対象として、十二月からの医療従事者等への追加接種を開始することを発表しています。
 都はこれまで、我が会派の要望を受けて、医療従事者のみならず、警察、消防職員、消防団員、介護従事者、教育関係者、清掃や交通運輸従事者をはじめ、対面で医療的行為を行う柔道整復師や鍼灸師など、都民の生活を支えるエッセンシャルワーカーの方々が安心して働くことができるように、独自に優先接種を実施してまいりました。
 まずは、三回目の追加接種においても、医療従事者、警察、消防職員、消防団員などのエッセンシャルワーカーの方々が着実かつ迅速に接種できるよう、都として体制を構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、東京都医学総合研究所の研究成果として、二回目接種から七か月以上経過で、中和抗体の抗体価が十三分の一まで低下すると先月発表されております。接種から八か月未満でも三度目のワクチン接種をできるよう取り組むべきであり、加えて、抗体量検査も活用して接種を促進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 第五波においては、コロナ患者の救急要請も大幅に増加し、保健所や医療機関との調整に長時間を要するケースも多発したと聞いています。現場を支える救急隊員や関係者の皆様が、多くの命を守るために厳しい環境の中でも奮闘していただいたことを改めて感謝申し上げます。
 一方、隊員の負担に加えて、コロナ以外の一刻を争う事故や急患の救急搬送が逼迫する要因となったことから、今後の感染再拡大に備えて、課題を整理、解消することは極めて重要です。
 そこで、救急搬送の観点から、特に現場滞在時間の長期化など、感染拡大第五波において生じた課題への対応とその経験を踏まえて、対策を講じていくべきですが、見解を伺います。
 今年九月、厚生労働省は、抗体カクテル療法について、自宅療養者への往診でも使用を認めると、都道府県などに通知いたしました。また、十一月五日には、投与する対象を患者に濃厚接触した家族等や無症状の患者とし、かつ重症化リスクがあることを原則として、発症を予防する目的での投与も条件付で承認しました。早期投与により、重症化を防ぐ効果が高いとされる抗体カクテル療法は、命を救うという面のみならず、病床負荷の軽減という観点からも重要な武器となります。今後はこうした状況の変化も踏まえて、抗体カクテル療法のさらなる活用を進めていくべきですが、見解を伺います。
 後遺症に苦しむ方々が多いことから、我が会派は都に対して、後遺症の相談窓口を設置するよう求め、今年三月より都立、公社病院における相談対応が実施されてまいりました。
 そこで、都立病院に設置した後遺症相談窓口の成果を伺うとともに、今後は後遺症の治療に関するデータや症例の分析を都として行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 新型コロナウイルスの影響により、厳しい経営状況にある事業者を支援するために、都は、新型コロナ対応融資をはじめとした各種融資制度を実施してきました。こうした融資制度の中には、今後返済が始まるものもありますが、当初の想定よりもコロナ禍の影響が長引く中で、多くの事業者はいまだ返済が困難な状況にあります。
 そこで、都内中小企業の資金繰りを支えるため、借換え融資も含めたさらなる支援策を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 緊急事態宣言等の解除で、飲食店はようやく通常営業に近づきましたが、テレワークや生活スタイルの変化で客足は戻っておらず、コロナ前の売上げは見込めない状況が続いています。感染拡大防止協力金の支給が終わり、コロナ融資の返済が始まると、ますます厳しい経営状況が想定をされます。
 そのような飲食業界を支える新たな支援策として、十一月からテークアウト専門店出店支援を開始しましたが、想定を上回る応募があったと聞いており、支援策の拡充が求められます。
 そこで、多くの申請があることを踏まえ、今後、飲食店の業態転換などの取組をさらに後押しするために、テークアウト等の飲食事業者向けの支援を一層強化、拡充して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症を経て、人々の生活スタイルのみならず、脱炭素社会の構築やデジタルトランスフォーメーションの加速など、世界がポストコロナを見据えて、大きく変わろうとしています。
 都は昨年度、ポストコロナにおける東京の構造改革をテーマに有識者会議を開き、そこでの議論も踏まえて、長期計画である未来の東京戦略を策定しました。東京が世界、日本を牽引し、デジタルの力をてこにイノベーションを生み出し、サステーナブルリカバリーを実現するための具体的な取組を進めなければなりません。
 デジタルの力を活用し、中小企業支援をはじめとする産業振興策を進め、新たな事業やサービスが次々と誕生するイノベーションを生み出す東京の創出に取り組んでいくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 都が、我が会派の提案した東京版ニューディールを採用し、本年度二万人規模の雇用対策を講じてきたことを高く評価します。特に、提案により新たに始めたデジタルスキルの研修と再就職支援をセットにした雇用創出事業について、今年度も百八十三名がITインフラコースやプログラミングコースに入校し、既に一部は再就職が決定するなど、着実な成果を上げていると聞いています。
 一方、長引くコロナ禍に対応する形で、都や国の支援策も延長されてきたことから、廃業を抑え、雇用もかなりの部分で維持されてまいりました。失業の増加等の雇用環境の悪化は、むしろ今後本格化してくると考えるべきであります。
 また、経済産業省が実施したIT人材需給に関する調査によれば、二〇三〇年に四十五万人のIT人材が不足する見通しとなっています。社会全体で、より広くデジタル人材を育成していかなければなりません。
 本年度の東京版ニューディールの成果を踏まえ、雇用対策において、デジタル人材育成のための職業訓練やマッチングによる求職者支援を一層拡充するなど、今後懸念される失業のさらなる増加に対して、対策を強化すべきでありますが、知事の見解を伺います。
 また、デジタル人材の裾野を広げるためにも、特に都立工業高校において、様々なデジタル分野で活躍できる人材育成を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 都立工業高校が職業選択上も優位性を持ち得ることを具体的な数字や事例を基に示していけるよう、卒業生の進路等を調査した上、魅力発信につながるよう求めておきます。
 教育のデジタル化を進めるTOKYOスマート・スクール・プロジェクトにおいて、高校生への一人一台端末の実現も急務であります。先般、都は、都立高校での導入に関して具体的方法を定めましたが、家庭への負担が大きな課題であります。
 我が会派は、家庭の状況により端末の整備状況に差が生じないよう、端末購入に対して、都として独自の支援策を導入することや私立高校に通う生徒たちへの支援も求めてまいりました。
 今般、知事は、都立高校の一人一台端末に係る保護者負担額を三万円とすることについて所信で表明されましたが、私立高校に通う生徒たちへの支援も行うべきであり、改めてデジタル端末購入に関する保護者支援策やその考え方について、知事の見解を伺います。
 デジタルを活用した教育が都内の学校において普及しつつありますが、質の高い学びを実現するためには、現場教員のスキルアップが欠かせません。また、授業だけではなく、校務や家庭とのやり取りの効率化も可能となるため、校長、副校長を含め、学校全体でデジタルリテラシーの向上を図ることが必要であります。
 学校長、副校長を含めた教員の評価の際にデジタル技術の到達度、活用状況等も考慮することで、教員のデジタル対応力を継続的に向上させるべきと考えますが、見解を伺います。
 都のデジタル人材の採用、育成も途上であり、現在都庁内のデジタル人材は八十一名にとどまります。今後デジタル人材の採用を一層拡充するとともに、ICT職以外の職員についても、デジタル技術に関する知識、スキルの向上が不可欠であります。
 また、経済産業省が定めるITスキル標準によれば、ICT人材のスキルレベルはおおむね七段階に区分されており、各レベルにおいて求められる業務経験や実務能力、知識は異なることから、より高度なスキルを要する人材も含めて都庁で採用できるよう、スキル区分や雇用条件を整えていくことも重要であります。
 今後、都庁内のデジタル人材の確保に当たっては、特に採用する人材のスキルレベルと分野を明確にするなど、人材確保に関する全庁的な戦略を策定すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 コロナ禍を通じて、高齢者の方々にとっても、スマートフォン等のデジタル機器は生活に必要不可欠なツールであるという認識が広がっており、都は今年度、我が会派の要望を受け、スマートフォンのデジタル機器の使い方、導入支援や、地域の町会、自治会活動、キャッシュレス決済、デジタルプレミアム商品券等の多くの取組を進めてまいりました。
 我が会派のデジタルPTが行ったエストニア外交官へのヒアリングにおいて、今やデジタル先進国として名高いエストニアでは、デジタル変革にかじを切る際に、当初は高齢者などのデジタルに不慣れな方々が多数いらっしゃって、そうした方々がデジタル活用できるように、大学生をサポーターとして伴走型の支援を行ったと聞きました。
 都も昨年度、コロナ禍において経済的に厳しい大学生を一時的に雇用し、様々な行政事務を担ってもらいましたが、デジタル世代である大学生の強みを生かして、こうした分野においてこそ雇用し、活用することを提案いたします。
 そこで、行政サービスやキャッシュレスサービスの利用など、シニアの皆様の暮らしや地域活動を豊かにする様々なデジタル活用支援について、都内大学生をサポーターとして雇用するなど、伴走型支援による取組を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 既存行政データの活用による、助成事業の迅速化等の実現についてお伺いをいたします。
 さきの決算特別委員会で我が会派から指摘をしました、飲食店等への協力金支給において、電子申請の場合も営業許可書の添付を求め、申請書類の入力情報を確認して審査する必要があったと聞いております。各保健所が管理している営業許可情報について、データベースがあり、データをインポートできれば、添付書類が要らないだけでなく、入力間違いもなくなり、審査側も確認作業を減らすことができます。すなわち、申請の電子化はしたものの、いまだデジタル化したとはいえない状況にあります。
 このような状況を改め、デジタルの力を使って、各局の行政サービスを都民にとって使いやすく簡便なものとするために、データ利活用や様々な技術的視点でのガイドラインを早期に策定し、各局に広げることで、例えば協力金支給のようなケースで、営業許可のデータを活用して、申請者や審査の負荷軽減ができるようにするなど、誰もが実感できる実際の行政サービスの改善を実現していくべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。
 協力金支給やワクチン接種アプリなど、業務委託先やベンダーを適切に選定し、より有効な仕組みをより安価に発注できるよう、目利きの機能を持つデジタルサービス局が事業スキームの構想段階からサポートし、各局事業の発注業務に対するアドバイスとアセスメントを強化する必要があります。
 また、発注段階に加えて、事後検証による改善やノウハウの蓄積も重要であることから、併せて一層のワイズスペンディングが実現できる取組を強く求めておきます。
 感染症対策において、協力金の支給やアートにエールを!東京プロジェクトといったこれまでにない規模の支援策が実施をされました。結果として、都は膨大な数の飲食店やアーティストとの直接の接点を得ることとなりました。これは大きな資産として、今後の支援策を迅速に多くの人に届けるために活用されることを提案いたします。
 既に、総務局の所管するコロナ対策リーダー制度においては、登録者の同意を取り付けるなどの工夫をすることで、各種支援情報を直接お知らせすることができていると聞いております。
 こうした取組を横展開し、感染症対策によって得た飲食店やアーティスト等との接点を活用し、今後は希望者には、新たな支援策などをプッシュ型で直接知らせることができるようにすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちはかねてより、所得向上の重要性を訴え、都議選において東京版所得向上計画を掲げてまいりました。今日の所得の向上には、新しい製品、サービスを生み出し、付加価値をつけ、収益力を高め、一人一人の生産性を上げていく、本質に立ち返った取組が重要であります。
 とりわけ、学生、若年層に対する、成長分野で働くためのデジタルスキルや世界を舞台に戦う力をつける語学等のスキルアップなど、所得向上につながる取組は極めて重要であります。
 一方、未来を担う学生、若年層は、コロナ禍でのアルバイト収入の減少やコロナ禍に対応するために増大した通信費等の厳しい現実に直面をしています。学生、若年層への支援強化により、若年世代の可処分所得を向上させることで、消費喚起や将来への投資を促すことは、東京や日本の経済成長の起爆剤にもなります。
 このように、学生、若年層の収入アップに資する取組と各種の負担の軽減策を同時に実行することで、自由に使える可処分所得を増やす東京版所得向上計画を強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先日、小田急電鉄は、子供の運賃を来春から全区間で一律五十円にすると発表いたしました。さらに、我が会派の提案により都営地下鉄で実施をされています子育て応援スペースと同趣旨の車両を常設化するとともに、駅にベビーカーシェアリングのサービスを本格導入するとしています。
 こうした取組は、子育て世代を呼び込むことで、沿線開発、沿線不動産価値の向上を図る意味でも戦略的な取組であります。コロナ禍を契機として、自然豊かな郊外へ住むことへのニーズも高まっている中で、延伸計画が進捗する多摩都市モノレールにおいて、そのような戦略的な観点で、子供や学生に対する割引制度を導入するなど、運賃制度を検討することは重要であります。
 多摩都市モノレールにおいて、沿線開発の促進や多摩移住促進の観点から、子供に対する割引制度を導入するなど、子育てに優しい環境をつくるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都営交通においても、さらなる子育て支援の取組が行われるよう求めておきます。
 我が会派の強い要望により実現をしましたコロナ禍の中での出産を後押しする東京都出産応援事業、赤ちゃんファーストが実施されており、都民の皆様から多くの感謝の声が届いております。
 都民から寄せられている声を踏まえ、都の施策展開に生かすとともに、サービスや育児用品の中身をさらに充実させ、来年度も引き続き東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方、応援事業の案内をお届けするのは、各自治体に任されておりまして、出産後二か月余り経過してから届いているとも聞いております。この点は迅速に支給されるよう改善を求めておきます。
 子育ての経済的な負担を軽減することは、少子化対策としても極めて重要です。しかしながら、子供の歯科矯正は多くの場合、公的保険の対象外となっており、多額の費用を要するため、断念する保護者の皆様がいるのも事実であります。歯科矯正は、見た目、審美性の観点だけで行われるものではなく、子供の将来にわたる健康を維持する観点から、歯科医師等の専門家から推奨されるものもあります。
 そこで、東京の子供の健やかな成長を後押しするため、専門家の判断など、一定の条件を満たす歯科矯正に対し補助を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 都内では、毎年五百名にも上る十八歳以下の子供たちが命を落としており、近年は小中高生の自死が増加しているなど、対策が急務であります。自殺予防はもとより、不慮の事故など、子供の死は予防できるものが数多く含まれます。
 子供の死亡を予防するために、死亡検証制度であるチャイルド・デス・レビューは、事故や虐待を含む全ての子供の死亡事例について調査、検証し、再発を予防する取組であり、厚生労働省のモデル事業として、二〇二〇年度から七府県で実施をされております。多くの命を守るとともに、近年増加している青少年の自殺対策や複雑化している児童の心身の課題解決につなげていく上でも、重要な取組と考えます。
 そこで、医療、教育、福祉の垣根を超えた連携を図り、未来を担う子供たちの命を守るため、都においてもチャイルド・デス・レビューの取組が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 令和三年度に都が実施した調査では、男女の家事、育児関連時間の差は五時間二十分へと拡大しています。コロナ禍により、むしろ男女間の家事、育児の負担の差が深刻化している結果となりました。男性の家事、育児時間を延ばすためには、これまでの普及啓発を中心とした取組では限界があります。
 改めて、スマート家電の導入支援や家事代行サービスの活用支援、家事、育児時間の合理化を促す施策など、取組の抜本的な強化を求めます。
 そこで、男性が家事、育児に取り組みやすく、男性の家庭での活躍をこれまで以上に強力に後押しすることで、男女平等参画社会の実現に向け、取組を加速すべきでありますが、見解を伺います。
 OECDの男女間賃金格差の二〇二〇年調査によると、日本は、女性の賃金が男性の賃金に対して二二・五%も低いとされ、主要先進国より格差が大きいことが改めて明らかとなりました。日本の状況は、妊娠、出産に伴いキャリアの断絶が生じやすい、女性は非正規雇用が多いなどが理由とされておりますが、海外先進諸都市の例も参考に、その是正に向けて取り組む必要があります。
 欧州委員会では、罰則つきの男女間賃金格差の公表の法制化に向けた議論がなされておりますが、都内企業に対し、同一労働同一賃金の徹底、非正規雇用の割合が高い女性労働者の賃上げ、待遇改善を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の未来を担う子供たちへの教育の質を高めるため、教育現場の働き方改革も急務であります。前回の定例会では、中学校に着目し、都教委が実施をしている授業時数軽減の取組の拡大を求めたところでありますが、小学校においても同様の対応が必要であります。
 改めて、現在実施をしております授業時数軽減のモデル事業の成果を踏まえ、都内の全ての小学校、中学校への展開を目指して拡大をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 小中学校の在籍学級の支援の充実について伺います。
 都は今年度から、在籍学級にサポート人材を配置することを支援するため、区市町村に対して独自に補助する制度を開始しており、これは大きな一歩であります。
 しかし、区市町村からは、より活用しやすい補助制度の要件にしてほしいといった意見も聞かれており、制度の改善が必要であります。
 一人一人のニーズに即した支援を実現するため、都内小中学校において、特別支援教室に通う子供たちの在籍学級におけるサポート人材の配置への支援をさらに充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 都が開始をしました情報集約サイトの充実など、教員や保護者全体に対する特別支援教室に通う児童生徒への理解を深めるための取組について、改めて充実することを要望しておきます。
 我が会派では、医療的ケア児が学齢期になると、母親が就労を継続することが非常に難しくなる課題について、何度も質疑をし、取り組んでまいりました。昨年の第三回定例会での我が会派の代表質問に対して、知事より、支援の在り方について検討すると答弁があり、今年度から、障害児の放課後等支援事業として、親の就労支援に取り組む区市町村への支援が開始されたことは、画期的であり評価をいたしております。
 しかし、残念ながら、この事業を活用する自治体が限られており、就労支援体制を構築するには、まだ十分でないことも明らかとなっています。この事業は、医療的ケア児が特に多い自治体こそが有効に活用できる必要があり、事業内容の拡充と見直しをしていく必要があります。
 また、当事者団体からは、在宅レスパイトについても、親の就労のために活用できるようにしてほしいとの切実な要望もいただいております。
 この間、国において、医療的ケア児の健やかな成長と家族の離職防止を目的とする医療的ケア児支援法が六月に公布され、地方公共団体が主体的にこれに取り組むことが責務となりました。こうした状況を踏まえ、都は、医療的ケア児の親の就労支援について、より一層取り組む必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 また、医療的ケア児の利用する通学バスへの看護師配置は、保護者の負担を大幅に軽減するものでありますが、現場の看護師不足等により、十分な対応ができていない課題があります。
 免許を持ちながら現場を離れている、いわゆる潜在看護師の仕事への復帰がコロナ禍を経て進んでいることから、これを機に潜在看護師を活用し、特別支援学校や通学バスにおける看護師の配置強化につなげるべきであります。
 そこで、潜在看護師へのPR強化などを通じて、学校という職場の存在や魅力を広く浸透させるとともに、看護師の希望に添った働き方を可能とすることで、特別支援学校や通学バスにおける看護師不足を解消すべきと考えますが、見解を伺います。
 この夏に行われましたパラリンピックは、私たちに多様性を認め合うことの重要性を改めて教えてくれました。
 パラリンピックに引き続き、今月十二月十七日から、障害のある方々が職場や学校で培った技能を競い合う全国障害者技能競技大会、いわゆる全国アビリンピックが東京で開催されます。東京ビッグサイトを会場として全国から選手が集い、喫茶サービスやビルクリーニングなど二十五種目が実施をされます。そこで活躍する選手の姿を企業の関係者の皆様や障害者支援に携わる多くの方々に見ていただき、その職業能力の高さを知っていただくことができれば、障害者雇用のさらなる促進につながるものと考えます。
 コロナ禍において、競技会場への入場は、やむなく選手、関係者等に制限されることになりましたが、競技の様子はオンラインで全国に配信され、より多くの皆さんに気軽に大会を視聴していただくことが可能となっております。
 全国アビリンピックの開催が十日後に迫る中、企業関係者をはじめ、多くの方が大会に関心を持ち、競技を視聴して、選手の皆さんの職業能力の高さを実感していただけるような集中的な広報を展開し、大会を盛り上げ、障害者雇用の推進につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派ではかねてより、都における同性パートナーシップ制度導入を推進し、当事者の皆様のお声を聞きながら、各定例会で提案を重ねてまいりました。
 性的マイノリティー当事者の皆様は、都におけるパートナーシップ制度の導入を心待ちにしており、都として、当事者や有識者からの意見などが反映されるよう、しっかりとした制度構築が必要であります。また、制度構築だけでなく、都庁各局の提供するサービスについて対象を広げることにより、実効性のある制度とすることが不可欠であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 介護保険制度では、高齢者の多様なニーズに対応できるよう、一定の条件の下で介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することが認められております。東京都では、こうしたサービス形態を選択的介護と呼んで、平成三十年から豊島区と連携してモデル事業を実施してまいりました。
 我が国が超高齢化社会を迎えようとしている中で、自由度の高い保険外サービスも活用し、介護分野において個々の状態やニーズに応じた多様な生活支援サービスを提供できることは極めて重要であります。
 都が実施してまいりました選択的介護のモデル事業の成果も踏まえ、介護を必要とする方々が、それぞれ多様なニーズに合った柔軟性の高い生活支援サービスが受けられるよう、都として取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇二〇大会を終え、大会で新規に整備をしました恒久施設の後利用が極めて重要であります。これまでも我が会派から、新規恒久施設の有効活用と収支の改善を求めてまいりました。さらなる収支の改善に加えて、各スポーツの競技人口、観戦人口の増加や周辺のまちづくりへの展開、今後の国際大会、国内大会の誘致など、経済効果も含めた施設の価値の最大化に向けた取組が必要であります。
 また、大会が無観客となったことで、地域の皆様や競技関係者をはじめとして施設を体験してもらう機会を拡大することや、できる限り早期に、暫定利用も含めた利用開始ができるよう努めるべきであります。
 大会開催後の新規恒久施設の活用について、体験機会の提供、早期の暫定利用、利用開始後の国内外の大会開催誘致などを積極的に行っていくべきでありますが、見解を伺います。
 海の森水上競技場に隣接する海の森公園の再整備について伺います。
 海の森公園の最大の課題である交通アクセスについては、無観客開催となったため、我が会派がかねて提案しておりました舟運の利用など、交通面での様々な取組が大会時には実施をすることができませんでした。今後、本格開園前のイベント利用などにおいて、舟運を含む交通面での取組を求めておきます。
 一方、課題ばかりではなく、周辺に住宅やオフィス等が隣接していないことは、他の地域にない大きな強みでもあります。昨年の我が会派の代表質問での提案に応じ、大規模な音楽フェスの開催なども行っていくと答弁がありました。
 こうした海の森公園の立地特性や広大な公園敷地である制度的な柔軟性を生かし、ほかにはない魅力と価値を生み出していくべきであります。
 音楽フェスなどに加えて、東京ベイeSGプロジェクトとの整合も図り、ドローンや自動運転の活用など、新技術と豊かな海と森の自然空間の融合による国際的にもほかに類を見ない魅力を有するエリアへと取組を広げていくべきでありますが、知事の見解を伺います。
 デジタル技術によって社会の在り方は大きく変化し、交通分野においても、自動運転の実装が着実に進んでおります。
 昨年四月には、道路交通法と道路運送車両法がそれぞれ改正され、レベルスリーと呼ばれる条件付の自動運転が解禁され、高速道路など一定の条件下で、自動運転装置による公道走行が認められることになりました。将来的には、二〇三〇年代に一般道における完全自動運転の実現が期待をされております。
 自動運転では、例えば、道路の車線幅は現行基準より縮小することが可能となり、また、車間距離の削減により、交通容量を増大できるなど、道路整備の前提が変わってまいります。そのため、都は、自動運転社会を見据えた都市づくりのあり方検討会を設置し、自動運転等の社会実装に向けて、交通事故の減少や渋滞の緩和等に資する先端技術の展開の在り方と具体策を検討してまいりました。
 今後は、同検討会の議論を踏まえて、将来的な自動運転を見据えて、都市整備や道路整備を見直していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、自動車運転による環境負荷の低減を目的に、二百台以上の自動車を使用する都内の事業者に対して、特定低公害、低燃費車を一五%以上導入することを義務づけてきました。平成二十八年度から開始した現在の導入義務は、令和三年度末に達成期限を迎えますが、二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けては、より高い導入義務率の設定も検討すべきであります。
 一方、導入義務率の改定に当たっては、事業者の負担が増えないよう配慮しながら進める必要もあります。
 そこで、事業者等の負担軽減のため、ZEVに対する首都高速道路の無料化等を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 ZEVの普及にはインフラの整備が課題であります。電気自動車に必要な充電設備に関しては、集合住宅や月ぎめ駐車場等で充電できる環境の整備を進めていかなければなりません。特に、マンション管理組合や不動産業者等の意識改革も必要であります。
 昨年、都は、再開発等において、都市開発諸制度を活用する際、駐車場への急速充電器の設置を要件としましたが、開発の規模に対して十分な設置数が求められておらず、また、都市開発諸制度を使用しない郊外型の施設整備等も対象になっておりません。
 そこで、設置費用負担が妨げとならないよう、環境局において十分の十の補助を既に設けていることからも、大規模な開発においては、規模に応じた一定数の急速充電器の設置を、義務化も視野に求めるべきと考えます。まずは、都市開発諸制度の活用に当たり、充電器の設置義務台数を増やすべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都太陽光発電設備現況調査によりますと、太陽光発電設備の設置率は、官公庁施設で四・八%、教育施設で五・九%にとどまっており、まずは都が率先して取組を進めていかなければなりません。これまでも都営住宅等において、建て替え住宅を中心に太陽光発電設備の導入を進めてきておりますが、令和二年度末時点で、設置してある住棟は四百六十棟と、全体の約八%にとどまっております。
 また、発電容量については、現状では一棟当たり平均五キロワットの発電容量となっており、これは戸建て住宅の発電容量と変わらない水準となっております。
 そこで、今後、都営住宅において、一棟当たりの太陽光発電容量の拡大に努めるとともに、全体の設置棟数についても一層拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、今後の都立学校施設の整備に当たっては、百キロワット以上の太陽光パネルの設置を義務化し、エネルギーの地産地消を推進すべきであります。加えて、区市町村立の学校に対しても、環境局の補助事業について整備時に活用されるよう、取組を強化すべきでありますが、併せて見解を伺います。
 日本の二〇二〇年度のカロリーベースの食料自給率は、過去最低の三七%となりました。また、東京都は、二〇一九年度、実数で〇・四九%、公表時四捨五入されるため、初の〇%と発表されました。
 また、輸入が大きな比重を占める日本において、食料輸入の輸送行程において大量の温暖化ガスを発生させており、フードマイレージという観点からも、日本の農業振興、食料自給率の向上はまさに気候危機、環境問題として極めて重要であります。
 環境省が以前試算した数値によりますと、日本の食料輸入に伴うCO2排出量は、年間一千六百九十万トンに上り、これは夏の冷房を二十七度から二十八度に設定した際の効果の約十二年分に当たるとのことであります。
 加えて、東京の貴重な農地である生産緑地の多くが二〇二二年に期限を迎えるため、宅地化の懸念が高まっております。かねてより我が会派でもこの問題を取り上げ、都は、各農業委員会や東京都農業会議と連携して、農業者への特定生産緑地への移行を周知し、進めてきたと理解をしております。
 期限が来年に迫る中で、全ての農地が特定生産緑地に移行できるわけではなく、都市農地約三千ヘクタールの一割から二割でも仮に宅地化されるということになれば、影響は甚大であります。厳しい財政状況でありますが、特定生産緑地に移行できず、宅地化のおそれのある農地に対して、買取り等の取組に必要な財源は十分に確保されるべきであります。
 そこで、気候問題やフードマイレージという観点からも、東京における都市農業の一層の振興を図るとともに、農地の保全に向けて、生産緑地の買取り等の取組を強化すべきでありますが、知事の見解を伺います。
 超高齢社会を迎える東京が向き合うべき課題の一つが、個人の財産の適切な管理、承継を促すことであります。
 本年改正されました民法、不動産登記法は、相続登記などの罰則付義務化など、国民生活に重大な影響を及ぼす内容であることから、広報誌や地域の回覧板なども活用して、都民に対する周知徹底に努めていくことが必要であります。また、生前からの不動産の適切な管理を支援することで、空き家対策等にもつながってまいります。
 さきの定例会の代表質問では、今回の法改正を契機に、登記義務化の普及啓発を進めていくとの答弁を得たところでありますが、司法書士等の専門家による支援体制の強化も欠かすことができません。
 そこで、相続登記の義務化を踏まえて、空き家対策などにも資するよう、司法書士等の専門家と連携した相談支援などにより、個人の不動産の適正管理や生前からの整理、遺産相続等の促進を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 近年、震度七が断続的に発生しました熊本地震をはじめ、全国各地で大規模な地震が発生をしております。また、南海トラフ地震の今後の三十年以内の発生確率は七〇%から八〇%に引き上げられるなど、震災への備えは喫緊の課題であります。
 特に、二〇一六年に発生しました熊本地震では、被災後の避難生活による疲労やストレスで亡くなる方の割合が八割にも上っており、直接死よりも震災関連死への対策が大きな課題となりました。都は、平成二十四年に首都直下地震、平成二十五年に南海トラフ地震の被害想定を策定しており、この中で、建物の倒壊や火災による直接死については推計をしておりますが、震災関連死については想定がありませんでした。
 今般、都は、首都直下型地震等の震災における被害想定を見直すとのことでありますが、新たに策定される被害想定においては、震災関連死を明確に位置づけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派は、日々の都民の安全・安心を守るため、また、多くの来訪者が見込まれた二〇二〇大会への犯罪抑止やテロ対策等の観点からも、様々な施設やまち中に、防犯カメラの設置を進めてまいりました。特に町会、自治会、商店街等による防犯カメラの設置や維持管理費用の助成、特に子供たちの通学路等での取組の強化を求め、実現をしてまいりました。
 この間、犯罪抑止効果が発揮をされ、犯罪件数の大きな減少があり、また、犯罪解決についても効果を上げていると認識をいたしております。
 二〇二〇大会後も、必要性が高いものの、いまだ設置が進んでいない場所などで防犯カメラの設置拡大を進めるなど、防犯インフラを充実し、東京の安全性をより一層高めていくべきと考えますが、警視総監に見解を伺います。
 十月三十一日、走行中の京王線の電車内で刃物を持った男が乗客を刺した上、ライター用のオイルをまいて放火をする事件があり、十八人が重軽傷を負うこととなりました。また、八月には、小田急線内の車内で乗客が切りつけられ、十人が重軽傷を負っております。これらの事件により、改めて鉄道車両内の犯罪について課題が浮き彫りになりました。中でも、ホームドアの開閉の問題や車内の防犯カメラについて、注目をされております。
 特に、車内の防犯カメラの設置率には、都内鉄道各社間で大きな開きがあると聞いております。防犯カメラは、犯罪の未然防止の効果が高いことに加えて、犯罪発生時にも、列車内の状況を乗務員や鉄道事業者がリアルタイムに確認する上で有効であります。
 しかしながら、車内の防犯カメラの設置がほとんど進んでいない路線やリアルタイム映像を得るシステムが備わっていないことも多く、課題があることから、国や鉄道会社と連携し、こうした防犯体制の検証と対策の強化をしていくことが急務であります。
 先般の京王線での刺傷放火事件等を受けて、都内鉄道各線の防犯カメラの設置など、鉄道における防犯対策の強化をし、都民の安全・安心を守り抜いていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都営地下鉄において、率先して取組強化を図るとともに、多数の乗り入れ路線もあることから、私鉄各社と連携して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、鉄道を利用する都民の安全・安心を確保していくために、防犯対策を講じて、事件の未然防止を強化するべきであります。警視庁から鉄道会社に対しても、防犯対策面でアドバイスをするなど、連携して再発防止策に取り組んでいくべきでありますが、警視総監に見解をお伺いいたします。
 以上、私たち都民ファーストの会東京都議団は、都民の命と暮らしを守り、安全・安心な東京をつくるべく、引き続き全力を尽くすことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小山くにひこ議員の代表質問にお答えいたします。
 補正予算についてであります。
 各国でオミクロン株の感染が拡大する中、今後の感染拡大に備える。そのためにはこれまでの経験を生かして、医療提供体制を一層強化していくことが不可欠であります。同時に、社会経済活動との両立促進や厳しい状況にある方々への支援など、きめ細かな対策が必要でございます。
 また、昨今の原油価格高騰を踏まえました取組の実行も重要です。こうした考えの下で対策を取りまとめ、そして、総額一千四十七億円の今回の補正予算を編成したところであります。
 さきの定例会の補正予算では、危機管理の観点から、年度末までの確保病床の上積みなど、備えを強化したところであります。
 加えまして、今回は、感染再拡大時等への備えといたしまして、検査、診療体制のさらなる確保、そして、療養体制の増強とともに、三回目のワクチン接種や変異株の監視を推進してまいります。
 また、社会経済活動の両立に向けまして、検査の無料化や国と連携した旅行助成などの取組を進めると同時に、孤独、孤立状態の女性への相談支援等を充実させます。
 さらには、原油高に伴います資金繰り支援の拡充、脱炭素化に向け、再エネ設備導入の一層の促進を図ります。
 この本予算を、これまでの対策と一体的に実行いたしまして、第六波への備えを固め、都民の安全・安心の確保と東京の経済の再生、回復に全力を尽くしてまいります。
 次に、水際対策の強化についてのお尋ねがございました。
 現在、国内の感染状況は落ち着いておりまして、この状況を維持するためにも、新たな変異株の国内流入を抑えることは重要であります。
 そのため、先週、南アフリカなどで確認された新たな変異株の発生状況を踏まえまして、水際対策のさらなる強化について岸田総理に要望をし、これを受けて、政府も、外国人の新規入国の一時停止など、厳格な措置を講じているところであります。
 十一月三十日には、空港検疫におきまして、国内で初めてオミクロン株の陽性者が確認されました。陽性者は空港検疫により隔離され、都は、都内の濃厚接触者全員に、宿泊療養施設への入所を強く勧奨しておりまして、施設で経過観察を行うとともに、濃厚接触者に二日に一回の検査を実施するなど、健康観察を強化いたしております。
 さらに、変異株流入後の対応に万全を期すため、陽性者の検体のゲノム解析を行うなど、検査体制の充実を図っておりまして、今後、国や保健所と緊密に連携しまして、水際対策、そして防疫体制を強化してまいります。
 次に、オミクロン株への対応についてのお尋ねです。
 国内流入後の対応に万全を期すためには、いち早く探知をし、徹底して抑え込む必要がございます。
 都はこれまでも、新たな変異株が発生する都度、これに対応した検査やゲノム解析を東京都健康安全研究センターや民間検査機関等で実施をしてまいりました。
 今回取りまとめました緊急対応におきまして、陽性者の検体のゲノム解析を行うとともに、東京都健康安全研究センターが独自に構築をいたしました変異株PCR検査手法を用いまして、いち早く検査を開始いたしました。現在、都内の陽性検体を集めまして、持ち込まれた検体は全て検査をしているところであります。
 今後、この変異株PCR検査手法を近隣県と共有するほか、民間検査機関へ拡大をするなど、都内の監視体制を一層強化するとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げまして、積極的疫学調査を行うなど、感染拡大防止に取り組んでまいります。
 次に、中小企業の資金繰り支援についてであります。
 感染症の影響を受けて、厳しい経営環境にある中小企業が事業を継続するためには、その命綱となる資金繰りを後押しすることが不可欠であります。
 都では、感染症が拡大する中、昨年度は国と連携をいたしまして、実質無利子で保証料の負担のない融資制度によって、これまでの経済危機をはるかにしのぐ支援を行い、コロナ禍に苦しむ中小企業を支えてまいりました。
 これにより、多くの中小企業は当面の資金を確保できましたものの、感染症の影響が長引く中で、返済に不安を覚える事業者も出ております。
 金融機関には、そうした事業者からの返済条件の変更や資金の借換えの申出に対しまして、柔軟な対応を行うよう、都として要請を行うとともに、国に対しましても指導してほしい旨、求めております。
 また、今年度からは、感染症の影響で売上げの落ち込んだ中小企業のための融資メニューを新たに設けておりまして、その保証料の負担を抑える支援を年度末まで継続いたします。
 さらに、苦しい経営状況を打開するために新たな取組を始める事業者に対しましては、有利な条件で借入れのできるサポートも続けてまいります。
 借換えなどを含めました資金繰りに関する様々なニーズを受け止めて、中小企業の経営を金融面からしっかりと支えてまいります。
 雇用対策の一層の強化についてのお尋ねです。
 感染症の影響が長期化する中で、雇用情勢は予断を許さない状況が続いております。コロナ禍で離職を余儀なくされた方々に対し、早期に雇用を確保することは、喫緊の課題であります。
 新たな雇用の確保に当たりましては、今後あらゆる産業分野でのDXの進展を通じまして、東京の産業競争力の強化が実現いたしますよう、その担い手となるデジタル人材の育成に向けた集中的な雇用対策を講じていく必要がございます。
 現在、都におきましては、東京版ニューディールの取組の中で、デジタルスキルを習得できる訓練、そして再就職支援を一体的に実施する事業や、また、業界団体と協力をしまして、IT技術の講習と就職面接会を組み合わせました支援などを実施しております。
 こうした取組を含めまして、ニューディール全体では、年間約二万五千人の支援を見込んでおりまして、十月末までに約一万五千人の就職のサポートを行ってまいりました。
 今後は、デジタル人材の確保を促進するために、大規模な人材マッチングイベントを開催いたしますほか、オンライン訓練の拡充やプログラミングの新たな方法を学ぶ訓練の実施を検討してまいります。
 これらの取組を通じまして、東京版ニューディールを着実に進めるとともに、デジタル人材の育成を加速化するなど、雇用対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、高校におけます一人一台端末導入についてのご質問であります。
 世界の中で輝く東京、人が輝き、誰もが活躍できる東京、それを実現するために、都政のあらゆる分野におきましてDXを加速させております。
 教育の分野におきましても、DXをてこといたしまして、スピード感を持って教え方や学び方を転換し、子供たちの可能性を最大限引き出していくことが大切であります。
 こうした認識の下で、今般、都立高校におきましては、生徒が学習に不可欠なツールとして端末を自在に活用していくため、令和四年度の入学生から全世帯を対象に、端末購入に係る保護者負担額を定額とする補助制度を創設いたします。さらに、現在の低所得世帯への支援制度を活用しまして、全ての子供たちが安心して学べるように、工夫をしてまいります。
 私立高校におきましても、各学校の整備方法に応じまして、保護者の負担軽減にも配慮をしながら、一人一台端末の整備が確実に進みますよう、具体的な手法について検討を進めてまいります。
 Society五・〇の社会を担う高校生が端末を日常的に使って、課題解決を目指す力や他者と協働し新たな価値を創造する力を身につけることができる、そんな学びの環境を力強く実現してまいります。
 次に、デジタル活用の支援強化についてであります。
 今般のコロナ禍におきましては、都民の日常生活のデジタル化が急速に進展をし、人と人とのつながり方も変わりつつあります。その一方で、高齢者の中にはスマートフォンなどが使えないで、様々なデジタルサービスを利用できないという方もいらっしゃいます。
 このため、都では今年度から、区市町村や自治会などと連携をいたしまして、地域コミュニティでのSNS活用等の支援に加えて、スマホ教室や出張相談会を開催するなど、高齢者などのデジタル利用の促進に取り組んでいるところであります。
 十月に都内三十四か所で実施した相談会におきましては、学生やNPO団体などのご協力の下で五百四十名の方の相談に応じて、身近な場所に相談相手がいないなど、様々な声をいただいたところであります。
 今後、地域のNPO団体などと連携しまして、スマホの操作など、デジタル活用をサポートできる大学生やシニア人材を育成する仕組みづくりに取り組むなど、より一層の支援の充実を図っていくことで、全てのシニア世代がデジタル化の恩恵を享受して、生き生きと暮らせる社会を実現してまいります。
 感染症対策に関する情報発信についてのお尋ねでございます。
 コロナとの闘いが長引く中で、感染症に関する情報や支援策は多岐にわたっております。そして、都民の関心や支援ニーズに応じまして、一人一人が求める情報を、迅速に提供することは重要であります。
 このため、都は、都民、事業者等が適切な支援を受けられますように、新型コロナウイルス感染症支援情報ナビを開設しまして、個々のニーズに合った情報提供に取り組んでまいりました。
 また、十二万件を超える飲食店のコロナ対策リーダーに対しまして、登録の同意を得て、感染防止対策に係る注意喚起や支援情報を直接お知らせするなど、きめ細かな情報発信に努めているところであります。
 さらに、幅広い都政情報の中から、都民一人一人の興味や関心に応じたコンテンツにアクセスできますように、最適な情報をプッシュ型で表示する新たなウェブサイトの構築を進めておりまして、今年度中に運用を開始いたします。
 これらの取組も含めまして、ユーザー目線に立って、支援を必要とする方が情報を得られますよう、DXの力を活用した発信を都庁全体で展開してまいります。
 所得向上の取組についてのご質問がございました。
 我が国の国際競争力は長らく低迷をいたしておりまして、コロナ禍によって構造的な課題も浮き彫りになったところであります。
 こうした中で、若者たちは明るい未来を描くことができず、多くの不安を抱えている。この現状を打ち破って、希望に満ちた東京の明日を切り開くことは重要であります。そのためには、これからの時代を担う若者たちがその自由な発想や創造力を存分に発揮して、未来の可能性を広げていくための環境をつくらなければなりません。
 豊かな国際感覚を身につけ、グローバルに羽ばたく人材、新たな成長の柱となるデジタル分野を牽引するDX人材。一人一人に寄り添いながら多彩な人材を育て上げる。これこそ東京の稼ぐ力を高めて、若年層の所得向上につながる道であります。
 まずは、若者たちが希望を持って、新たなスタートを切れる基盤、それをつくるために、自ら希望する仕事に就くことができるようなマッチングや、ITなどのスキルアップ支援を充実してまいります。また、世界を舞台にして活躍できるように、学生の頃からの語学力向上を強力に進めてまいります。
 さらには、貯蓄から投資への流れを形成する中で、若者向けに金融リテラシー向上に資するためのセミナーを実施いたします。
 こうした取組によって、若者たちのチャレンジを力強く後押しする、人が輝き、発展を続ける東京を築き上げてまいります。
 次に、多摩都市モノレールの子育て支援策についてのお尋ねがございました。
 多摩地域は、自然に囲まれ都心へのアクセスがいい、多様な産業が集積するなど、バランスの取れた暮らしやすいまちであります。そして今後、人口減少が見込まれるという中においても、その特性を生かすことで、この地域をさらに発展させていく、そのためには未来を担う子供たちを守り育てていくことが不可欠であります。
 多摩地域を南北に結ぶ多摩都市モノレールは、多くの都民の足として多摩の活力や魅力を支えてきておりまして、沿線において子育て支援策を充実させていくことは、多摩地域の発展への効果が期待できるところであります。
 これまで運営会社では、車両基地見学会の開催や車両へのベビーカーマークの表示など、多くの子育て支援策を実施してまいりました。
 今後は、新型コロナウイルス感染症の状況などを踏まえながら、子供が乗車しやすくし、また多摩地域の子育て環境の充実を図るため、小児運賃の試行的な割引や、その効果検証などについて、都の関与の在り方も含めまして、運営会社等と協議をしてまいります。
 次に、東京都出産応援事業についてのお尋ねです。
 都は、コロナ禍で不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しをするため、今年度から東京都出産応援事業を開始いたしまして、十月末までに約七万二千世帯に利用のご案内を通知いたしております。
 この事業では、子育て支援サービスや育児用品などを提供しておりまして、お掃除ロボットで家事の負担が軽減された、離乳食の種類を増やしてほしいなど、ご意見をいただいたり、またご要望を踏まえまして、提供する用品などの充実を図っているところであります。
 また、令和五年三月三十一日までに出生した子供を対象としておりまして、来年度も継続して実施をする予定でございます。
 利用者へのアンケートでは、コロナ禍でも頑張ろうと思えた、子供を産むことが社会から歓迎されていると感じたなどのご意見のほか、子育て支援サービスの充実や育児関連の分かりやすい情報の提供など、ご要望いただいているところであります。
 こうした声を施策に反映いたしまして、引き続き、東京で生活する子供と家庭を支援してまいります。
 次に、CDR、チャイルド・デス・レビューについてのお尋ねがございました。
 子供は社会の宝です。そして、その命はかけがえのないものであります。しかしながら、毎年、不慮の事故など病気以外の理由で命を落とす子供がおられる。
 チャイルド・デス・レビューは、子供の死亡事例について、直接の死因のみならず、社会的背景や環境要因などを分析、検証することで、将来の子供の死を予防する重要な取組であります。
 一方、分析、検証に当たりましては、個人の尊厳に関わる情報を取り扱うことになりますため、ご家族や関係機関の理解と協力は不可欠でございます。
 今後、国が実施しているモデル事業の状況を把握するとともに、医療や教育、福祉など様々な機関と意見交換をしてまいります。
 防ぎ得る子供の死を減らすため、チャイルド・デス・レビューの検討も含め、関係機関と連携しまして、子供の安全と安心を支える施策を進めてまいります。
 医療的ケア児の保護者への就労支援についてであります。
 医療的ケア児を育てているご家庭にとりましては、仕事と子育ての両立はとても難しく、子供が放課後に安心して過ごすことができる受入先を確保することは重要です。
 このため、都は本年度、医療的ケア児が放課後の時間を安全・安心に過ごせますよう、看護師の配置や送迎サービスを行う放課後等デイサービスなどへの支援を開始いたしました。
 現在、都内の感染状況が改善する中、就労や復職に向けました機運も高まっておりまして、放課後等デイサービスなどへの支援についてさらなる拡充を図ってまいります。
 また、在宅で一時的に医療的ケア児の看護などを行う新たな取組も検討いたしまして、医療的ケア児を育てる家庭が仕事を諦めることがなく、地域で安心して暮らし続けられるように支援をしてまいります。
 全国アビリンピックについてであります。
 この夏、東京で開催されたパラリンピックでは、競技で躍動する選手の姿が世界に勇気と希望を届けました。その熱気を引き継ぎまして、障害者が日頃培った技能を競い合う全国アビリンピックを、今月の十七日から東京ビッグサイトを会場として実施をいたします。
 この大会は、若者がものづくり等の技能を競う技能五輪全国大会と同時に開催されますことから、企業の関心がさらに高まっており、障害者の雇用を後押しする絶好の機会となります。
 このため、都は、大会の広報を幅広く行うことで、障害者に大会への参加を働きかける、技能を磨き上げるための支援を実施する、そして経済団体等と連携したPRを行って、大会機運の醸成を図ってまいりました。
 開催が間近となる中、大会への関心をさらに高めるため、企業経営者や特別支援学校の生徒、障害者福祉団体の関係者等に対しまして、多様な媒体を通じて集中的な広報を行ってまいります。また、大会期間中は、競技の様子をオンラインで配信いたしまして、障害者が様々な種目で技を競い合う姿や、その中で発揮される優れた技能を幅広く発信してまいります。
 こうした取組を通じまして、大会を成功に導き、障害者雇用に弾みをつけることで、ソーシャルファームをはじめとする様々な活躍の場を広げ、誰もが輝く東京を実現してまいります。
 同性パートナーシップ制度についてのお尋ねであります。
 人権尊重の理念を広く浸透させる上で、性的マイノリティーの方をはじめとする全ての都民が個人として尊重されることは重要であります。
 都はこれまで、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消のため、啓発の推進や相談、支援体制の充実に取り組むとともに、有識者へ多様な観点からヒアリングを実施するなど、同性パートナーシップ制度の検討を行ってまいりました。
 十月から実施の都民等調査では、約七割の回答者が性的マイノリティーの方々への必要な施策として同性パートナーシップ制度を挙げて、当事者からも制度の導入を期待する声が多く寄せられております。
 こうした都民の意向や当事者の思いを受け止めまして、同性パートナーシップ制度の来年度内の導入に向けまして、今年度、制度の基本的な考え方を示してまいります。また、住宅や医療等の都民サービスにつきまして、制度利用者が活用できるように検討を行ってまいります。
 今後も、有識者等の様々な意見を踏まえまして、制度の構築に向けて着実に取り組んでまいります。
 次に、海の森公園の整備活用についてであります。
 海の森公園は、東京港の中心部に浮かぶごみの島を、都民参加によって美しい森によみがえらせるプロジェクトでありまして、令和六年度末の完成を目指し、整備を進めております。
 多くの都民に親しまれる公園とするため、開園までの間は音楽フェス等の大規模イベントやデイキャンプ等、多様なレクリエーションの場として利用するとともに、開園後には、これらに加えまして、都心最大規模の緑のオープンスペースとして、ボランティア活動や環境学習の拠点としても活用してまいる予定でございます。
 加えまして、隣接する水上競技場と一体となったにぎわいの創出に取り組むとともに、今後、未来の東京を創る東京ベイeSGプロジェクトのコンセプトを踏まえまして、自動運転のモビリティーや燃料電池船の活用などにも取り組んでまいります。
 こうした取組を進め、海の森公園一帯を、都民が美しい水辺の景観や森の豊かさといった自然と親しめるとともに、最先端のテクノロジーを体感できるなど、にぎわいと魅力にあふれるエリアとして、東京のプレゼンス向上に努めてまいります。
 自動運転社会を見据えた都市づくりでございますが、少子高齢、人口減少社会となる二〇四〇年代に向けて、安全・安心、快適な、人を中心としたまちづくりが進展しますよう、自動運転などの先端技術をまちづくりや交通に生かすことが重要であります。
 これまで、自動運転技術の普及を都市づくりにどのように展開していくか検討を重ねてまいりました。例えば、自動運転技術が普及した道路の在り方として、車道空間の縮小が可能となります。ゆとりある歩行者空間や荷さばきなどの多目的利用ができる空間を創出ができるというわけです。
 このような基本的な考え方を先般公表したところでありまして、今後、都民の皆様からのご意見も踏まえまして、年度内に在り方を取りまとめ、区市町村に将来計画への反映を促すとともに、国に対しましては、関係法令の改正など必要な事項を要望してまいります。
 道路空間におけるゆとりやにぎわいの創出を図って、安心してまち歩きが楽しめるような都市を目指してまいります。
 次に、ZEVに対する首都高速道路の無料化についてであります。
 ZEVの普及には、導入時の負担を軽減する支援策に加え、その保有に対する経済的なインセンティブが有効です。
 都は現在、ZEVの取得を税制面から支援するため、自動車税の種別割を六年度分免除する独自の措置を講じております。
 ZEVに対する首都高速道路の無料化は、料金所でZEV車両を認識する技術的な対応などの課題があります一方、導入への強力なインセンティブとなりましょう。
 このため、都は、国に対しまして、ZEVの優遇措置を講じるよう提案要求しておりまして、今後さらに、九都県市を含め全国の自治体へ、首都高速道路をはじめとした道路利用料金割引の提案要求を働きかけてまいります。
 環境面からの農業振興と農地の保全についてのご質問です。
 食料の大消費地である東京は、農作物の大量輸送に伴い排出されるCO2が環境に大きな負荷を与え、その軽減に向けた具体的な行動を進めていくことは大切であります。
 都民に身近な場所で営まれ、地産地消を可能とする都市農業は、脱炭素化につながる東京の強みであります。加えて、都市の農地は、ヒートアイランド現象の緩和など環境保全の面でも重要な役割を担っております。これらの特徴を十分に理解して、農業振興や農地保全の施策を進めていく必要がございます。
 都は、先進技術を活用した東京型スマート農業の普及などにより、農業者の生産力を一層向上させる。あわせて、消費拡大に向け、東京産食材の魅力を発信し、フードマイレージの削減にもつながる地産地消を推進してまいります。
 加えまして、CO2の削減など環境保全に結びつく農業の普及に向けまして、東京都GAPの導入やエコ農産物の生産に取り組む農業者を支援しまして、消費者へのPRの強化も図ってまいります。
 また、農地を次の世代、次世代に引き継げますよう、特定生産緑地への移行を後押しいたします。さらに、区市が生産緑地を買い取って、市民農園などに活用できる支援を充実するほか、副業として農業を行う方を含め、多様な担い手によります農地の活用を検討するなど取組を加速化させてまいります。
 これらにより、都市農業の一層の振興と農地の保全を進め、気候変動によります影響の抑制に寄与することで、未来に向けて持続可能な東京農業を実現してまいります。
 被害想定の見直しについてのご質問がございました。
 東日本大震災から十年が経過をいたしまして、この間も熊本地震、大阪府北部地震など全国各地で大規模な地震災害が頻発をいたしております。
 こうした災害を通じまして、最新の知見が蓄積されてきたこと、この間の都内における社会環境などの変化、これらを踏まえまして、今後の都の防災対策の基礎となる被害想定を見直すことといたしました。
 熊本地震などの大規模災害では、被災後の避難生活によるストレスなどを原因とする、いわゆる震災関連死が多数発生しており、首都直下地震等に備え、都としても対策を講じる必要がございます。
 このため、被害想定の見直しの中で、新たに震災関連死を対象とし、専門家の意見を踏まえまして、原因分析を行ってまいります。
 その上で、避難所における段ボールベッドの配備や、車中泊を行っておられる方々の健康管理など、今後の具体的な対策につなげてまいります。
 こうしたきめ細かな取組を実施することで、より実効性の高い防災対策を推進してまいります。
 最後に、鉄道における防犯対策についてのお尋ねがございました。
 鉄道は、都民の社会活動や日常生活を支える重要な公共交通であります。利用者の安全・安心が確保されますように、鉄道事業者によりますセキュリティ対策を強化する必要がございます。
 都といたしましては、国に対して、鉄道事業者による駅構内や車内の巡回、防犯カメラの増備等の対策の実施を引き続き指導すること、事業者の取組を促進するための必要な措置を講じることを求めてまいりました。
 こうした中、今月三日に、国におきまして、この事件の発生を受けました今後の対応策が取りまとめられまして、乗客の安全な避難誘導の徹底、非常通報装置の表示の共通化など順次実施をする。また車内の防犯カメラなどの設備の充実についても検討を進めていくことといたしております。
 国、鉄道事業者に対しまして、事件の再発防止の観点から、対策の強化にスピード感を持って取り組むように働きかけまして、都民の安全・安心を守り抜いてまいります。
 残余のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、デジタルの力を活用した産業振興についてでございますが、我が国のインターネットの普及率は八割を超える一方、中小企業の受発注取引の約七割がFAXを使用しているなど、ビジネス面でのデジタルの利用は世界に比べて低い水準にあり、デジタルにより産業の力を伸ばしていく余地は大きいと認識しています。
 デジタル技術を使い、これまで人間や機械が行ってきた業務の中で多種多様なデータを活用することなどにより、新しい価値を提供する製品やサービスをつくり出すことが可能となります。実際、世界の企業の時価総額ランキングでは、平成の三十年間で、上位十社のうち七社がIT企業となるなど、デジタルを活用した企業は大きな成長を遂げています。
 デジタルの力を中小企業が取り入れ、業務の効率化などの守りのDXとともに、さらなる成長につなげるための攻めのDXも進め、東京の産業の発展を図ることが重要です。
 このため、都では、守りのDXとして、内部管理業務のシステム化による生産性の向上やオンラインでの新たな販売活動の実施など、中小企業のコア業務のレベルアップをサポートしております。
 また、攻めのDXとして、新たな事業展開に向け、DXを活用した設備の導入を支援するほか、中小企業によるIoTやロボットなど先端技術の社会実装を支援する拠点を立ち上げ、製品開発を後押ししております。
 今後は、より多くの中小企業がデジタルの活用で業務プロセスを根本から変革できるよう取り組むとともに、デジタル化の担い手が中小企業で広く活躍できるよう、人材育成とマッチングを加速化いたします。
 さらに、時代の最先端のニーズを捉えるスタートアップと行政との協働プロジェクトを次々と組成し、デジタルトランスフォーメーションの推進役であるスタートアップから、新たな産業やサービスが生み出される環境を創出してまいります。
 これらにより、東京の産業におけるデジタルトランスフォーメーションの活用を広めて、イノベーションを促進し、経済の力強い成長につなげてまいります。
 次に、デジタル人材の確保についてでございますが、都のDXを推進するに当たり、これまで、高度な専門性と豊富な経験を有する民間人材の登用や、デジタルに関する専門性を有するICT職の新たな採用など、様々な人材確保策を展開し、現在八十一名のデジタル人材が在籍しています。しかし、いまだ都庁内にデジタルに精通した人材が圧倒的に不足していると感じており、今後、より一層の人材確保を進めていくことが必要だと考えています。
 その際重要なことは、一言でデジタル技術といっても、その専門分野は、IT、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク、データ、デザインなど多岐にわたっており、また、技術の進歩も早いことから、都がDXを推進する上で必要となるスキルを明らかにすることです。
 そのため、今後、民間から登用した人材を含め、ICT職を対象に、技術分野ごとに、一人一人の職員がどういった水準のスキルを保有しているかを可視化するスキルマップを導入してまいります。
 これにより、現在庁内で不足している技術分野を把握するとともに、今後必要となるデジタル技術を見据え、よりニーズに的確に合致した人材の採用を進めてまいります。
 こうした取組を含め、デジタル人材の戦略的な確保策などについて、全庁的な取組の方針として、年度内に取りまとめ、都のDXを推進する体制づくりを迅速かつ着実に進めてまいります。
 最後に、技術ガイドラインの策定についてでございますが、デジタルの力を使って都政のクオリティー・オブ・サービスを上げていくためには、都庁全体で質の高いデジタルサービスを安定的に提供し続けることが重要です。
 一方で、これからのデジタルサービスの開発、運用には、民間経験を有する課長職やICTの知識を有する専門職など、様々なバックグラウンドを持つ職員が相互に連携して取り組んでいくことになることから、質の高いサービスを提供していくためには、共通の価値観や技術基準を定めていく必要があります。
 このため、先月、外部有識者を交えた東京デジタルサービス会議を設置し、まずはシステム開発、運用に関わる全ての職員が共有する価値観としての行動規範の策定に着手しました。
 あわせて、開発、運用の際に基準となる、障害のある方などがアクセスしやすいウェブページの作成や、利用者の意見を積極的に取り入れた開発、データの利活用の推進に関する技術ガイドラインの検討も開始しました。
 これにより、各種申請手続など、入力画面等の改善や審査時間の短縮、一度提供されたデータを二度要求しないことなど、都民の皆様の利便性と満足度を都庁全体で向上させてまいります。
 今後、年度内に行動規範を決定し、職員に啓発するとともに、順次技術ガイドラインを公表してまいります。
 これらの取組を通じて、各局の様々なデジタルサービスの持続的な品質の維持向上を図り、都民の皆様が利便性を実感できる社会を実現してまいります。
〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会後の防犯インフラの充実についてでありますが、防犯カメラは、設置地区における犯罪の減少も見られるなど犯罪の抑止効果が高いことから、警視庁では、より多くの防犯カメラが設置されるよう、自治体や町会等による防犯カメラ設置を促進する取組を行っております。
 具体的には、防犯カメラを設置する自治体や町会等に対しまして、犯罪発生状況を踏まえたカメラの設置場所や運用方法に関する助言を行っております。
 また、設置に係る費用負担の軽減を図るため、各種助成制度のさらなる拡充を自治体に働きかけております。
 警視庁といたしましては、こうした取組を通じて、犯罪を許さない機運の醸成に努めてまいります。
 次に、鉄道を利用する方々の安全・安心の確保についてでありますが、警視庁では、これまでも、警察官による鉄道施設内のパトロールや、列車に乗車しての警戒活動等を実施してまいりましたところ、先般の列車内における事件の発生を受け、これら警戒活動の徹底、強化を図っているところであります。
 また、こうした取組に加え、鉄道事業者に対しましては、防犯カメラや警備員の増強に関する働きかけのほか、同種事件発生を想定した合同訓練などを実施しております。
 警視庁といたしましては、鉄道事業者をはじめ、関係機関との連携をさらに強化し、鉄道を利用する方々の安全と安心を確保するための取組を推進してまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、都立工業高校におけるデジタル人材の育成についてでございますが、DXの推進のためのデジタル人材の確保が急務となる中、工業高校においては、デジタル分野の知識や技術を基礎とした実践的な教育活動を行い、様々な分野で活躍できる人材を育成していくことが必要でございます。
 このため、都教育委員会は、来年度から、全二十校で外部の専門人材等から情報技術や工業分野との関わりを学ぶ授業を実施してまいります。また、各学校の特色に応じ、製造業や建設業等におけるデジタル技術の学習も導入してまいります。さらに、専門学校と一貫した五年間で、企業等から専門的技術を学ぶTokyo P-TECHを町田工業高校に加え、新たに二校で実施いたします。
 これらの新たなカリキュラムにより、工業高校全体で毎年約三千人の入学生を受け入れ、東京の成長を支える産業分野のデジタル人材を輩出してまいります。
 次に、デジタル対応力を考慮した教員の人事評価についてでございますが、都教育委員会では、都内公立学校の管理職を含む全教員に対し、必要な能力や身につけるべき力を示すとともに、業績評価制度を通じて資質能力の向上を図っております。
 また、デジタル社会の担い手となる子供たちの力を最大限に伸ばすためには、教員のデジタル対応力の向上が不可欠でございます。
 このことから、都教育委員会では、校内の推進役となる教員向けの研修を実施するとともに、この内容を踏まえた各学校での研修を促し、デジタルを生かした授業を実践する力を高めてまいりました。
 今後は、教員に必要な資質や能力として、デジタルを活用する力を評価の要素に新たに加え、教員が実践した取組を毎年度適切に評価することで人材育成を図り、子供たち一人一人の学びをさらに充実させてまいります。
 次に、小中学校における教員の授業時数の軽減についてでございますが、都教育委員会は、学校が組織として、より効率的に運営されるよう、学校運営に係る業務のうち負担の大きい業務を担う教員について、担当する授業時間数を軽減する取組を全ての小中学校で実施してまいりました。
 令和元年度からは、働き方改革の一層の推進にも資するよう、小学校の校内研究を担う教員や中学校の学年主任などに対象を拡大し、担当する授業時間数を軽減するモデル事業を開始いたしました。実施校では、学校全体での一人当たりの在校時間数が月に五時間以上減少しましたほか、子供と向き合う時間が増えたなどの効果が見られております。
 今後、モデル事業の成果や学校のニーズ等を踏まえて、授業時間数を軽減する取組の拡充を検討し、教育活動の質を高め、子供たちの学びを充実させてまいります。
 次に、発達障害のある子供たちへの支援についてでございますが、発達障害のある子供たちが特別支援教室での学びの成果を発揮するためには、在籍する学級における支援を充実することが重要でございます。
 都教育委員会は、令和三年度から、子供をサポートする人材を配置する区市町村にその費用の一部を補助することで、在籍する学級での支援の充実に取り組んでおります。区市町村からは、手厚い人材の配置ができたという声や、より専門性の高い人材を採用したいなどの声が寄せられているところでございます。
 引き続き、区市町村に対して本事業の目的を周知し活用を促すとともに、今後は、事業のさらなる充実に向けた検討を進め、発達障害のある子供たちへの支援の強化を図ってまいります。
 次に、特別支援学校における看護師確保についてでございますが、医療的ケア児の増加やケアの高度化、複雑化に対応し、児童生徒が安全に学校生活を送れるようにするため、看護師を増員し、ケアの実施体制を拡充することが急務でございます。
 そのため、都教育委員会では、人材紹介会社の活用や関係団体との連携による求人情報サイトでの広告掲載を行いますとともに、看護師へのインタビュー記事により、学校職場における仕事内容の魅力を発信するなど、看護師の確保に努めてまいりました。
 今後、魅力をより効果的に伝える動画を作成するとともに、看護師確保の一層の強化を図るため、新たな広告媒体による広報活動の展開や、継続的に働くことができる勤務時間の設定についても検討してまいります。
 最後に、学校施設への太陽光パネルの設置についてでございますが、太陽光発電設備を整備することは、CO2排出量の削減や災害発生時のエネルギー供給の確保に有効でございます。
 このため、都立学校では、これまで百一校に合計二千六百キロワットを超える太陽光発電設備の整備を進めており、昨年開校いたしました八王子西特別支援学校などにおきましては、百キロワット以上の設備を設けたところでございます。
 今後、新築、改築工事の際には、屋上の面積や耐荷重等に応じて可能な限り百キロワット以上の規模となる太陽光発電設備の設置を進めてまいります。
 また、区市町村立学校については、各教育委員会等に対し、都と国の補助制度の併用により経費の四分の三を支援する仕組みの活用を関係局と連携して周知するなど、積極的な後押しをしてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 大規模開発における充電器の設置についてでございますが、都は、ゼロエミッション東京戦略に基づき、EV充電器などのインフラ整備によりまして、ZEVを普及することとしております。
 民間開発でのZEVの促進に向け、都市開発制度の運用方針を昨年十二月に改定しまして、EV充電器の設置を義務づけました。
 具体的には、事業性も勘案の上、駐車場の利用者が不特定多数である場合は、急速充電器を建物を構成する用途ごとに一台以上設置することなどといたしました。
 都市づくりにおける脱炭素化を推進するためにも、今後、EV市場の見通しや環境審議会での建築物全般への充電器の設置促進に関わる議論も踏まえ、ZEV普及の加速に向けて、都市開発制度を活用する大規模開発における充電器数の拡充につきまして検討してまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ワクチンの追加接種についてでございますが、ワクチンは、今後の感染拡大を防ぐための有効な手段でございます。また、新たな変異株に対しても、東京iCDCの専門家からは、少なくとも重症化予防効果は見込めるとのご意見も伺っており、三回目の接種を着実かつ迅速に進めていくことが重要でございます。
 このため、区市町村の意向も踏まえ、都においても、初回接種と同様に大規模接種会場を開設することとし、今月中旬から、都庁北展望室ほか多摩一か所におきまして、医療従事者や救急隊員等への接種を開始いたします。
 今後、職域接種の状況やワクチンの供給計画等を踏まえ、警察、消防職員や消防団員などを含めまして、東京の都市活動を支える方々への接種が可能となるよう、会場を六か所程度まで順次拡大してまいります。
 次に、ワクチンの追加接種の接種間隔についてのご質問でございます。
 国は、一部の例外を除きまして、原則八か月以上としておりますが、都が独自に実施した抗体保有調査におきましては、ワクチン接種後七か月程度経過いたしますと、抗体価が全ての年代で低下をいたしまして、年齢が高くなるに伴って低い値となっております。
 このため、接種間隔につきまして、都の調査結果等も参考に、感染リスク等に応じた柔軟かつ弾力的な対応ができるよう、国に対し重ねて要望しており、今後、新たな変異株や国の動向を注視しつつ、接種間隔の短縮も含め、時宜にかなった対応が可能となるよう、引き続き求めてまいります。
 現在、三回目のワクチン接種の着実かつ迅速な実施に向けて取り組んでおり、お話の抗体量検査につきましては、今後の感染症対策を進める中で、その活用について検討してまいります。
 次に、抗体カクテル療法についてでございますが、抗体カクテル療法は、発症後速やかに投与することで重症化を防ぐ効果が期待できることから、都は、中和抗体薬治療コールセンターを設置するなど、迅速な投与に結びつける仕組みを構築してまいりました。
 また、先般、無症状の感染者などへの発症抑制を目的とした投与が可能となったことから、今後、投与調整を実施する対象者の拡大を図ってまいります。さらに、往診で投与を行う医療機関や経過観察を行う訪問看護ステーション等への支援を本格的に開始し、自宅療養者や施設入所者等への投与を促進いたします。
 引き続き、抗体カクテル療法の対象者を円滑に投与に結びつけることで、軽症者の重症化を防ぎ、病床逼迫の防止に取り組んでまいります。
 最後に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございますが、都は、都立、公社病院にコロナ後遺症相談窓口を令和三年三月に設置をいたしまして、後遺症に悩む方の相談に応じるとともに、相談者の症状に応じて受診する診療科の助言のほか、症状が重い場合には、院内の適切な診療科の外来受診につなげるなどの支援を行ってまいりました。
 また、東京iCDC専門家ボードにおきましては、これまで後遺症に関する調査結果等を踏まえた議論を行うほか、リーフレットを作成いたしまして、都民に広く周知をしてまいりました。
 今後は、後遺症相談窓口で十月末までに蓄積した約三千九百件のデータや、外来受診につなげた約百五十件の症例につきまして、治療を行っている医療従事者と東京iCDCの専門家との間で議論を深めるなど、後遺症の実態の分析を進めまして、医療、研究機関等に情報発信してまいります。
〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 感染拡大第六波への備え等についてでございますが、第五波で急増した陽性患者の救急事案は、搬送先が決まらず、病院到着まで最大で二十三時間を要するなど活動が長時間化するとともに、ピーク時には約六割が保健所の判断等で不搬送となりました。
 このような中で、患者を目の前にして早期搬送という本来の任務が遂行できないことや、長時間活動に伴う感染危険の増大等が救急隊員の精神的、肉体的負担増の要因となりました。
 このため、保健所と調整することなく搬送先を判断できる基準を策定し運用することで、活動を効率化するとともに、非常用救急隊の追加の運用や長時間活動の救急隊の現場交替などにより、労務負担と感染危険の軽減を図ったところでございます。
 一方、中等症Ⅱの患者搬送先確保が課題として残ったことから、引き続き関係機関と連携し、感染再拡大時の対応に万全を期してまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、飲食事業者に対する支援についてですが、コロナ禍の影響を受けた飲食事業者が業務再開に向けた準備や、顧客ニーズに応じた新たな事業展開を行えるようサポートすることは重要でございます。
 このため、都では、飲食事業者が事業を円滑に再開できるよう、専門家が店舗に出向いて助言し、厨房機器の入替えやウェブサイトを通じた宣伝のほか、テークアウトなど新たな事業展開を行う場合の経費への助成を拡充いたします。また、飲食事業者のデリバリーなどの業態転換に係る経費への助成について規模を拡充し、申請の受付期間も延長いたします。
 これらに加え、今後は飲食事業者の経営基盤の強化につながる支援を検討し、安定した事業展開を後押ししてまいります。
 次に、女性労働者の就業面での支援についてですが、女性が安定した就業条件の下で、不合理な待遇を受けることなく活躍できる環境を整備することは重要でございます。
 このため、都では、中小企業が非正規雇用の従業員を正規雇用へ転換した際に実施するスキルアップ研修に対し助成を行うなど、正社員化を後押ししているところでございます。また、同一労働同一賃金に関する法令に対応できるよう、企業に専門家を派遣し助言を行うほか、人事担当者に対し、非正規の社員の待遇向上に結びつく実践的なノウハウを集中講座により提供しております。
 今後は、これらの支援を実施した企業の優れた取組事例を取りまとめ、広く発信するとともに、非正規雇用の社員が多い企業向けの特別講座を開催するなど、女性労働者が安心して意欲を持って働くことができる職場づくりを促進してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の歯科矯正についてであります。
 次世代を担う子供たちが健やかに成長するには、歯と口腔の健康な状態を保持することが重要です。
 歯科矯正は審美的な要素が多いため、原則、医療保険適用外でありますが、厚生労働大臣が定める疾患に起因した、かみ合わせ異常などの治療は保険適用となり、区市町村が実施する医療費助成制度を利用することで負担は軽減されます。
 また、保険適用外の場合も、子供の成長を阻害しないようにするための治療など、年齢、目的等から、必要と認められる場合は医療費控除の対象となっております。
 都といたしましては、今後、国や海外の動向を注視するとともに、専門家の意見を聞きながら、国への提案要求などを検討してまいります。
 次に、選択的介護についてであります。
 都では、豊島区と連携いたしまして、平成三十年度から令和二年度まで、介護保険サービスと保険外サービスとを柔軟に組み合わせた選択的介護のモデル事業を実施しております。
 例えば、訪問介護等の保険サービスと、ペットの世話や外出の付添い等の保険外サービスとを組み合わせて行うことによりまして、利用者と家族の利便性や事業者の運営効率の向上等の効果が認められております。
 一方で、書面によるサービス内容の説明や契約締結の徹底など、利用者保護の重要性も確認されました。
 こうした点も踏まえながら、選択的介護について区市町村や事業者に周知するとともに、今年度からは、区市町村が地域の実情に応じて取り組めるよう支援を開始するなど、高齢者の多様なニーズに合った柔軟なサービスが提供されるよう、さらに取り組んでまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 男性の家庭での活躍についてでございますが、女性活躍推進のためには、男性の家事、育児への積極的な取組が必要であり、都庁の率先行動として男性職員の育児休業取得を促進し、令和元年度に一八・三%だった取得率は、二年度には三三・六%となりまして、大幅に増加いたしました。
 また、企業での取組を進めるため、生活文化局では、総合評価方式により入札を行う契約において、女性活躍や男性の育児休業取得促進等を推進している企業に対し、インセンティブを設けることといたしました。
 現在、男女平等参画審議会では、男性の育児休業取得率を五割へ引き上げるなど意欲的な数値目標や、民間と連携した意識改革の取組が議論されており、これを踏まえまして、今年度改定する男女平等参画推進総合計画に企業の主体的な行動を促す具体的な施策も盛り込み、強力に推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 大会後の新規恒久施設の活用についてでございますが、施設が大会のレガシーとして多くの都民に利用され、親しまれるよう、都は、早期に指定管理者等を決定し、大会後の円滑な利用に向けた体制を整えており、再開業後には国際大会や全国大会等の開催も予定されております。
 各施設では現在、再開業に向けた改修工事などを行っておりますが、工事との調整が整った施設では、都民の皆様に施設に親しんでいただく見学会を実施しております。また、工事の進捗状況を踏まえ、海の森水上競技場やカヌー・スラロームセンターでは、可能な部分から一部再開業を行うこととし、早期の利用開始に努めてまいります。
 国内外の大会誘致やイベント開催等、幅広い活用方策の検討を進め、効率的な施設運営を行い、施設が都民の貴重な財産として末永く活用されるよう取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅での太陽光発電設備の設置についてでございますが、都は脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの利用に率先して取り組んでいく必要がございます。
 これまで、平成十六年度から、原則全ての建て替え住棟に太陽光発電設備を設置し、平成二十五年度からは、耐用年数等を勘案して、既存住棟にも本格設置を開始いたしました。
 今後、発電容量の拡大に伴う整備費用増加の抑制に向け、新技術による低廉な製品の活用等を推進してまいります。
 また、既存住棟への設置拡大に向け、設置後の建物の構造上の安全性や日影規制への適合性を確保できるよう、荷重や設置高さを抑えられる新たな工法を採用してまいります。
 こうした取組や関係局等との連携により、事業採算性の確保を図りながら、太陽光発電設備のより一層の拡大へつなげてまいります。
 次に、相続登記に関する専門家と連携した不動産の適正管理促進についてでございますが、大切に使用されてきた建物につきまして、円滑な相続等の準備を支援することは、空き家対策などを効果的に進めるためにも重要でございます。
 都はこれまで、民間事業者を活用し、住まいを次世代に引き継ぐ準備を行うためのセミナーを都内各地で開催するとともに、今年度からは、相談者からの求めに応じ、法律、建築等の専門家を直接派遣する取組を開始いたしました。
 また、不動産取引に係る特別相談では、宅地をはじめとした所有不動産の整理や、相続を含む適正管理に関する都民からの相談に法律の専門家が対応しております。
 今後、相続登記の義務化につきまして、関係局と協力して周知するとともに、こうした専門家との連携を一層強化し、個人不動産の適正管理の促進に取り組んでまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄の安全対策に関するご質問にお答えいたします。
 迷惑行為の未然防止やテロ対策など、セキュリティ強化を図るため、車内への防犯カメラの設置を進めておりまして、年度末には約四割の車両に設置を完了する見込みでございます。
 また、他社線での事件を受けまして、お客様に非常通報器による通報にご協力いただけるよう、ポスターによる周知に取り組んでおりまして、今後は通報器の位置をより分かりやすく示すステッカーを作成し、車内に表示してまいります。
 さらに、駅停車時にホームドアと列車のドアがずれている場合の対応といたしまして、双方のドアを開け、お客様を安全に誘導、救出することを基本とし、マニュアルや訓練を充実してまいります。
 こうした取組を国や他の鉄道事業者とも連携しながら進めることで、一層の安全確保に努めてまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 百七番高倉良生君
〔百七番高倉良生君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百七番(高倉良生君) 都議会公明党を代表して質問します。
 昨年来の新型コロナウイルスの感染は、医療従事者、都民、事業者など幅広い皆様の感染防止への多大なるご協力や、世界でも群を抜くワクチン接種の進展により、しっかりと抑えられた状況が続いています。
 しかしながら、現在、オミクロン株が世界的に拡大の様相を見せています。今後、感染第六波から都民を守る万全の対策が急務であり、都議会公明党は十一月二十四日、知事宛てに緊急要望を行ったところです。
 知事は、これらの要望を反映した補正予算案を提出しました。これまで措置した予算と今回の補正予算で、万一、オミクロン株による感染が急拡大しても、監視体制の強化を含め、どう迅速に対応できるのか、知事の見解を求めます。
 新型コロナの恐ろしさは、感染拡大の波を重ねるごとに感染力が増し、医療提供体制を逼迫させてきたことです。とりわけ、災害級の第五波では、都の最大病床確保数は六千三百十九床であり、最大稼働率は七一・二%でしたが、患者、家族、医療現場に計り知れない大きなダメージを与えました。
 この経験を重要な教訓として、世界的な脅威が迫るオミクロン株も見据えて、感染再拡大期に備えなければなりません。
 そこで、都は医療機関と密に連携し、感染拡大状況や患者の病状に応じて、転退院も含め、病床を確実に確保、稼働するよう取り組むべきです。また、医療機関の協力を得て、受入れ可能な病床を一元化するシステムを活用し、効率的に入院調整すべきと考えます。併せて見解を求めます。
 第五波では、宿泊療養者、自宅療養者も過去最多となり、医療機関で受入れ切れない状況の中、残念ながら亡くなられる方も出ました。都は、宿泊、自宅療養者が安心して療養に専念できるよう、寄り添った支援策と体制の強化を一層図るべきです。見解を求めます。
 また、軽症者であっても症状が急激に悪化する場合があるため、都議会公明党は、宿泊、自宅療養者の容体変化の察知に有効なパルスオキシメーターの配備を求め、大幅に拡充されてきました。さらに、容体が急変したとき、自分で連絡することができないケースがあることから、身につけるウエアラブル機器で自動的に数値を送信し、異常を知らせるシステムを活用すべきと求めてきました。
 これに応え、都は、十月から宿泊療養施設でウエアラブル機器を活用した健康観察を試行していますが、その結果を踏まえ、早期に実用化を図り、宿泊療養者の容体急変に備える体制を構築すべきです。また、自宅療養における活用も図るべきです。見解を求めます。
 都議会公明党は、コロナ患者の重症化を防ぐ抗体カクテル療法を積極的に推進するよう求め、都は現在、入院患者はもとより、臨時の医療施設に加え、外来や往診でも投与が始まっています。
 今後、感染再拡大時には、高齢者など重症化リスクの高い方など、想定されるあらゆる面で抗体カクテル療法を速やかに投与できる体制を整備すべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、コロナの飲み薬についてです。
 懸念される第六波の脅威を大幅に緩和させるものとして期待されているのが、経口治療薬、飲み薬であり、公明党はその早期実用化を政府に求めてきました。また、開発が先行する海外から十分な量を調達できない事態も想定し、我が党は、国産薬の開発を支援して、国内自給を目指すことも提案しています。
 飲み薬の実用化により、患者の治療が自宅で、より簡単にできるようになり、医療従事者の負担も軽減されます。また、アレルギーや持病等で、ワクチンを接種したくてもできない人のためにも急がれる新たな切り札です。
 現在、都の宿泊療養施設では、複数の製薬会社が進める治験に協力していると聞いていますが、治験への参加を希望する患者への周知、説明を丁寧に進めるべきです。現在の取組状況について見解を求めます。
 三回目のワクチン接種が今月の一日から医療従事者を対象に開始され、接種券も区市町村から住民に順次発送されています。また、国は来年三月から職域接種を行うとしています。
 そこで、都は、一、二回目のワクチン接種の際の課題をしっかりと捉えた上で、三回目の接種を着実に進めていくべきです。
 そのために、都は、区市町村のワクチン追加接種を後押しするとともに、医療従事者への接種、大規模接種会場の設置、職域接種の推進など円滑な接種体制を構築すべきです。見解を求めます。
 次いで、検査体制の強化についてです。
 国内では、オミクロン株が発生しており、市中感染を防ぐため、これまで以上に動向等を注視していく必要があります。また、季節性インフルエンザの流行期に伴い、検査件数が増大することが懸念されます。第五波では感染が急拡大し、行政検査が追いつかず、検査処理能力を十分発揮できない状況がありました。
 そこで、感染再拡大に備え、今後、検査体制を一層強化すべきです。見解を求めます。
 一方、国は、感染拡大防止と経済社会活動との両立を図るため、ワクチン・検査パッケージを活用するとしています。
 公明党は、健康上の理由や十二歳未満でワクチン接種を受けられない人がいることから、無料で検査ができるようにすべきと国に要請してきました。
 そして、このほど都道府県が来年三月まで予約不要で無料検査を行うほか、感染拡大の傾向があるときには、都道府県の判断で感染に不安のある無症状者が無料で検査できるように国が支援するとしています。
 そこで、都は、この検査を促進するため、体制確保を急ぎ、具体的にすべきです。また、都民に丁寧に周知すべきです。見解を求めます。
 次いで、脱コロナ戦略の一環として、観光業界への支援についてです。
 国のGO TO事業については一定の評価があり、早期の再開を望む声があります。
 一方、都内の中小旅行事業者は、地元の企業から受注する団体旅行を主な取引内容としていますが、これまでのGO TO事業では、法人が実施主体となる旅行での法人負担分が支援対象から外されてしまい、加えて、社員の福利厚生の旅行までもが対象外とされ、キャンセルや企画の断念が相次ぎました。
 しかし、都内中小旅行事業者が抱える地元の関連事業者の裾野は広く、中小事業者が再び利益を上げられるようになれば、幅広い経済効果が期待できます。
 そこで、都は、今後支援事業を組む際には、都内中小旅行事業者にも効果が行き渡るよう支援を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 新規感染者数が急激に減少してきたとはいえ、大きな打撃を受けている事業者や仕事を失った都民にとって、この年末をどう迎え、年を越していくのか、厳しい状況は続いています。都は、事業者や厳しい生活の渦中にある都民に対して、適切な年末年始の支援策を講じていく必要があると考えますが、知事の見解を求めます。
 なお、年末年始の補正予算での対応に続き、その先の都民生活の安心、安定の確保をするため、来年度予算でもしっかりと対応していただくよう要望しておきます。
 次いで、雇用対策についてです。
 新型コロナは都民の雇用にも大きな影響を与えており、とりわけ非正規雇用として働いていた方々の解雇や雇い止めが顕著になっています。また、仕事を継続している方の中にも、これまでの営業時間の短縮やシフト勤務の減少により、生活が厳しい状況に直面している方々もおり、都議会公明党には、こうした方々から相談の声が数多く寄せられています。
 一方で、IT業界や介護、医療業界などでは、コロナ禍においても積極的に採用活動を展開しており、こうした業種への再就職支援が有効な対策となります。
 しかし、求職者にとっては、これまで働いた経験のない業種への再就職は、心理的な抵抗感があることに加え、雇い入れる企業からは、一定のスキルの取得を求められることが多いと思います。
 そこで、都は、雇用不安を抱える非正規雇用の方などに対して、新たな業界で働くためのスキルの取得を支援するなど、再就職支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 コロナ禍では、とりわけ飲食、宿泊など、サービス業に従事する非正規雇用の女性の方が深刻な影響を受けています。実際、国の調査によると、女性の非正規雇用者数は全国で五十万人も減少しています。
 都は、コロナ禍で厳しい雇用環境にある女性の早期の再就職に向けて、就業支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、自殺対策についてです。
 全国で去年一年間に自殺した人は、前の年より増加し、二万一千人を超えています。自殺対策白書は、新型コロナの感染拡大による労働環境の変化が関連した可能性があると指摘しています。
 今春に、公明党が取り組んだ十代から四十代の男女を対象にした都内でのアンケート調査では、これまでの人生で自殺を考えたことがあると回答した人が約四〇%に上り、このうち四人に一人が、過去一年以内で自殺を考えたことがあると回答しています。一方で、自殺者を減らす対策があれば協力したいと答えた人は九割を超えています。
 自殺対策支援に取り組むNPOによると、自ら命を絶つ人は、日常の様々な問題をきっかけに別の問題が連鎖し、平均四つの要因を抱えているとのことです。
 こうした実態を踏まえ、自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、話を聞き、必要な支援につなげ、見守るなど、適切な支援をするゲートキーパーの存在も重要です。
 そこで、悩みを抱える相談者が全般的なサポートを受けられるよう、相談窓口と専門機関が連携して対応することが重要と考えますが、見解を求めます。
 次いで、子供たちの心をケアする体制についてです。
 コロナ禍で、多くの児童生徒が問題を抱え込んでいる可能性が専門家により指摘されています。都議会公明党は、潜在的なリスクを抱える児童生徒を教員が見過ごすことがないよう、支援する必要性を訴えてきました。
 これに対し、都教育委員会は今年度、生徒の心情やプライバシーに配慮して、都立高校生が日常生活の中での心身の状況を、デジタル機器に、手軽に、かつ継続的に入力して、学校がその変化を把握できる仕組みの検討に着手するとしています。
 そこで、全校への配備に向けた現在の取組状況を明らかにすべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、公立学校での換気や湿度管理の取組について質問します。
 気温も湿度も共に低くなりがちな冬場においては、夏場以上に細やかな気配りが必要であり、そうした調整を自動では行えない機器を使用している場合には、都が明確な方針を示して対策を図る必要があります。
 換気や湿度の管理は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、略してビル管法で定められており、湿度管理は、商業施設では三千平方メートル以上、学校では八千平方メートル以上の床面積の建物で必須とされています。法基準以下の学校においても、法の趣旨に沿った積極的な対応が必要と考えます。東京都設備設計事務所協会も、この点で強い警鐘を鳴らしています。
 換気や湿度の自動調整機能を備えた機器整備には一定の費用を要するため、都は、中長期的な課題と捉え、計画的に取り組むべきです。
 加えて、室内面積に応じて適切に台数を配置する必要もあります。また、二週間に一度程度のフィルター清掃を推奨する専門家の声もあり、都はこうした留意点が確実に励行されるよう支援すべきです。望ましい換気と湿度を各学校で具現化すべく、併せて二点、都教育委員会の見解を求めます。
 緊急事態宣言が繰り返される中、フィットネス施設などの利用自粛が長引き、都民が健康増進に汗を流す機会が減っています。都内のあるクリニックの調査で、二年連続で同クリニックを受診した約十五万人を対象に、コロナの前後でのメタボリックシンドロームの変化を比較したところ、一九年から二〇年の増加率は、それまでの約二倍に増えたと報道され、話題となりました。
 働き盛りの世代の方々は、コロナ禍でのテレワークなど働き方の変化やフィットネス施設の休業などにより、一層運動の機会が減っています。職場の近くや通勤途中のターミナル駅など、アプローチしやすい場所を活用し、広くスポーツの支援を行うことが重要です。
 東京二〇二〇大会が無事に成功し、都民のスポーツに対する機運の高まりをスポーツを通じた健康増進につなげていくべきと考えますが、見解を求めます。
 都議会公明党は、コロナ禍で活動の機会を失った芸術文化活動の関係者の切実な声に応え、様々な提案を行い、実現させてきました。
 今後は、感染拡大防止対策を継続しながら、上演の機会や観客数などの点で、一日も早く従前の活況を取り戻すことが、都内の芸術文化活動を支える人材の裾野を維持し、次代の担い手の育成を図る上で大事な課題です。ネームバリューが高く、話題性に富んだ企画であれば、感染状況さえ落ち着けば自然と多くの観客動員を期待できます。
 一方、あまり知られていない分野や出演者による企画などでは、すぐには観客動員の回復を期待できないと思われます。
 そこで、取組の内容を観客に歩み寄って分かりやすく展開しようとする企画や、担い手の拡大やリピーターの育成に向け工夫を凝らす企画に対しては、手厚い支援策を講じ、芸術文化活動への参画体験や鑑賞の機会の促進などの取組を進めることが重要であると考えますが、見解を求めます。
 公明党は、二十一世紀の我が国のあるべき姿として、文化芸術立国・日本をめざしてと題する政策提言を二〇〇一年に行い、基本法の策定をリードし、文化芸術振興に全力で取り組んでまいりました。
 都においても、二〇一五年に東京文化ビジョンを策定し、東京二〇二〇大会に向けた文化プログラムの取組を進めてきました。さきの第三回定例会では、文化プログラムの成果とコロナ禍で得た経験を基に、新たな文化戦略を策定すると表明があったところです。
 文化は人間を豊かにし、生きる力を与えてくれる。芸術は人々の魂を鼓舞する。心を豊かにし、前進への力をみなぎらせることは間違いありません。
 新たな文化戦略の策定に当たり、都議会公明党は、人間を豊かにし、魂を鼓舞する、文化芸術立都東京を実現する戦略としていくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 今後策定される文化戦略は、都の文化政策の方向性を示す重要な取組であり、明確なメッセージを発信する観点から、以下、提案します。
 一点目は、新進芸術家、芸術団体への支援の拡充です。
 都では、本年度よりスタートアップ助成を新設し、新たな芸術活動へのチャレンジを支援していますが、さらに多くの新進芸術家を応援するために、支援を拡充するとともに、稽古や制作、発表等の場を確保し、提供していく支援が必要です。見解を求めます。
 二点目は、情報発信の充実です。
 コロナ禍では、文化芸術に携わる方々にどのような支援策があるのか、必要な情報にたどり着けなかったとの声も聞いています。
 助成制度等の支援情報やアーティストが必要とする情報を分かりやすく手軽に入手できるようにするために、ポータルサイトを設置するなど、一元的な窓口を整備していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、政策目標として掲げているチャレンジエイトから三つのテーマについて質問します。
 まず、高校生までの医療費無償化です。
 都議会公明党は、さきの都議選で三つの無償化を高く掲げ、さきの第三回定例会でも都に見解を求めたところです。
 厚労省の調査によると、全国全ての区市町村が子供医療費助成を実施し、通院費については、半数の自治体が中学三年生まで、四割が高校三年生まで助成しています。
 国は、独自助成している区市町村に対し補助金を減額してきましたが、二〇一八年度から未就学児分のペナルティーが廃止され、その財源確保を追い風として、通院費助成を高校三年生までとする区市町村は、昨年四月時点で廃止前より二百五十九増加しています。
 助成対象を高校三年生まで広げつつある全国自治体の動きも踏まえ、都は、都内の各自治体とも必要な協議を行いながら、高校三年生までの医療費無償化を早期に実現し、全国をさらに牽引すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、重粒子線治療施設の導入についてです。
 先月、都議会公明党は、最新の設備が導入されている山形大学医学部東日本重粒子センターを視察しました。同施設は、超電導技術を用いた回転ガントリーにより、様々な角度からの照射が可能な回転ガントリー室と固定照射室があり、標的とする腫瘍の形状に合わせて塗り潰すようにビームを照射する最先端技術を結集して作られたものです。
 また、施設の建築面積は約二千平方メートルであり、一九九四年に日本で最初に作られた施設の約四分の一に縮小されています。
 前立腺がんの患者の場合、入室から退室まで十二分程度、一日当たり二十七回照射し、年間六百人の治療が可能との説明がありました。二人に一人ががんになる時代に、患者の負担を極力減らし、仕事をしながら、がん治療できるようにしていくことが重要です。
 都は、第三回定例会での我が党の代表質問に対し、施設を導入した他府県の状況等を調査し検討と答弁しましたが、現在の調査検討状況と併せて採算性の検証等の調査費を計上するなど、最新のがん対策について検討すべきです。知事の見解を求めます。
 次に、動物保護についてです。
 都の動物愛護相談センター本所の新設に当たって、都議会公明党は、本来の動物保護つきの施設にすべきと訴えています。
 保護される動物は、病気やけがをしているケースもあります。都議会公明党は、都内の獣医系大学と意見交換してきましたが、動物保護を進めるため、動物収容施設から生まれた獣医療、シェルターメディスンの重要性も確認してきました。
 適切に対処するには、医療を十分提供できる体制構築が不可欠です。センターの新設について、知事の見解を求めます。
 知事は、先日の所信表明で、全国各地で発生した震災を教訓に、被害想定の見直しに向けた検討に着手し、二〇二二年春を目途に取りまとめ、その成果を地域防災計画にも反映することを表明しました。
 これは、東日本大震災の教訓を踏まえ、十年前に公表した被害想定を見直すとのことであり、現在、有識者で構成される地震部会において、想定する地震の震源や規模などについて検討を開始していると聞いています。
 今後取りまとめる被害想定は、都民の自助、共助の推進や、都の防災対策の見直しに有効に活用される必要があります。
 このため、被害想定の結果を都民に分かりやすく発信するとともに、被害想定後に実施する地域防災計画の修正に当たっては、女性、高齢者、障害者の視点など多様な視点を反映させ、区市町村とも一体となって、安全・安心な東京の実現を目指すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次いで、耐震化の促進についてです。
 都はこれまで、大地震発生時の救助、復興活動の円滑化を図るべく、特に重要な路線を特定緊急輸送道路として指定し、耐震診断の義務づけなどを実施して、倒壊による道路閉塞を未然に防ぐ沿道建築物の耐震化に取り組んできました。
 一方、特定以外の一般の緊急輸送道路は、警察署、消防署、備蓄倉庫など地域の防災拠点と特定緊急輸送道路との間を結ぶ路線であり、災害時には重要な役割が期待されています。
 都内各地で地域ごとの防災力をより高めていくためには、一般緊急輸送道路についても、建物倒壊による道路閉塞のおそれを可能な限り取り除いておく必要があります。
 そのためには、特定緊急輸送道路の取組で効果を上げている区市町村との連携を一般緊急輸送道路の取組でも推進することが効果的です。
 都は今後、区市町村の取組への支援を強化し、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を加速させていくべきと考えますが、見解を求めます。
 公明党はこれまで、党を挙げてドクターヘリの全国配備を推進し、東京都への導入について提案を重ね続けてきました。
 都議会公明党の第一回定例会の代表質問に、知事は、令和三年度内のできる限り早い時期に運用が開始できるよう、具体的な取組を進めていくと答弁されました。
 全国型ドクターヘリの導入に向けた進捗状況と開始時期、そして、今後の取組について、知事の見解を求めます。
 次に、高校生一人一台端末の導入についてです。
 新型コロナが教育環境にも影響を及ぼす中、都議会公明党は、次代を切り開く子供たちがひとしくデジタル機器を使いこなし、存分に学べる環境を整備するよう、一貫して求めてきました。また、その際には、保護者の経済的負担にならないよう十分な配慮を求めてきました。
 こうした要請に応え、知事は、先日の所信表明において、高校段階の一人一台端末に係る保護者負担額を三万円とし、さらに、多子世帯にも支援すると表明されました。
 そこで、改めて、一人一台端末導入の意義とその内容を明確にするとともに、低所得世帯への支援策も講じるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、予防のための子供の死亡登録検証制度、いわゆるCDR、チャイルド・デス・レビューについて質問します。
 二〇一八年に成育基本法、二〇一九年には死因究明等推進基本法が可決され、CDRの実施が明記されました。CDRは、予防できる死から子供を守り、安全で安心な社会を構築するため、十八歳以下の子供の全死亡例を対象に詳細な死因究明をし、その結果をデータベースに登録します。
 このデータベースを基に、死に至った環境要因や社会背景、精神心理的要因などを検証し、個別の死因究明から共通の危険因子や予防可能要因の抽出を進め、予防できる死から子供を守る社会を構築していくものです。
 実施に当たっては、多職種の専門家や市区町村との連携が大変に重要であり、都として、実施体制の整備に向けた検討に着手すべきです。都の見解を求めます。
 国は今年度、障害福祉サービス報酬改定を行い、医療的ケア児など、より手厚い支援を必要とする子供に応じてきめ細かく加算をしました。これにより、放課後デイサービスの事業所では、医療的ケア児への支援が強化されるなどの効果が期待できます。
 しかし一方で、長年にわたって障害児への支援を行い、地域や関係者から信頼を受けてきた事業所も含め、多くの事業所が経験を積んだ人材を確保するための加算が除外されたことなどが運営上の課題となっています。
 都は、状況を把握するため実態調査を行いましたが、その結果から、こうした課題に加え、サービスの質の向上の必要性も浮き彫りとなりました。
 そこで、コア人材の確保や第三者評価の審査、職員の知識、技術の向上を図るとともに、子供や保護者の満足感、安心感を高める事業運営を行うなどの質の向上に取り組む事業所に対して、都独自の支援策を講じるべきです。見解を求めます。
 公明党には、たんの吸引や人工呼吸器の管理などが日常的に必要な医療的ケア児を育てる家族から、どこに相談していいか分からないとの切実な声が寄せられています。
 こうした課題に対し、公明党が強力に推進した医療的ケア児支援法が本年九月に施行され、家族の相談に総合的にワンストップで対応する医療的ケア児支援センターが各都道府県に設置できることになりました。
 このセンターが設置されれば、家族の精神的な支えになることはもとより、医療的ケア児を医療、福祉、教育、保育などと連携したネットワークの中で共に支えていくことができるようになります。
 そこでまず、東京都医療的ケア児支援センターの設置へ向けて、行政と支援者である事業所や相談支援専門員、さらには当事者家族を交え、実効性を生み出す議論を開始し、深めるべきです。
 また、医療的ケア児とご家族の相談に丁寧に対応するために、東西に広く人口が集中する大都市東京の特性を踏まえ、区部、多摩地域のそれぞれにセンターを設置すべきです。
 加えて、支援に当たる人材の確保、育成と関係機関とのネットワークの構築にも早急に着手していくべきです。併せて見解を求めます。
 都立特別支援学校における医療的ケアの根幹を支えているのは学校看護師ですが、コロナ禍の人手不足もあり、十分確保できていません。こうした状況を改善するため、例えば介護の現場では、研修を受けたヘルパー等が医療的ケアを実施することもあると聞きます。
 そこで、特別支援学校においても、看護師確保に一層取り組むとともに、看護師以外にも視野を広げ、人材確保に取り組むべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 次に、都営住宅について質問します。
 都営住宅に入居を希望しても、また幾度となく申込みをしても、なかなか入れないといった都民の皆様が多くいる一方で、多摩地域では、近隣の方々から、空き室がとても目立つといった声も大変数多く寄せられています。
 こうした声を踏まえて、都営住宅の入居状況を調べてみると、現在、多摩地域では、常時空き室が二割という団地が増えています。多摩地域では、都営住宅を定期募集しても、入居希望のない住宅が数多く存在し、こうした状況を改善するために、都は、年四回の定期募集で応募がなかった住戸を対象に毎月募集を開始し、それでも応募のなかった住戸では随時募集を実施するなど、入居希望者の方は抽せんをすることなく入居できる状況になっています。
 しかし、それでも、二DKを中心に空き室が続く原因として、二種類の二DKのうち、大きい方の住戸に入居できる対象世帯は三人世帯に限定されているという面も否めません。十年前に設けられた型別供給基準が、都民の住宅ニーズから大きくかけ離れていることがその要因となっています。
 都営住宅に入居を希望される方々に適宜適切に対応するために、多摩地域では、現在の入居基準の一つである型別供給基準を抜本的に見直すなど、早急に対応すべきです。答弁を求めます。
 なお、第一回定例会の我が党の質問に対し、都は、都営住宅のオンライン申請を実施すると答弁しています。具体的な運用開始時期と、オンラインによる応募の利便性向上及び都民の円滑な利用に向けた取組について答弁を求めます。
 次に、本格的なカーボンマイナス、ゼロエミッションの達成に向けた既存住宅での取組についてです。
 都内全体の消費電力の削減を図るため、夏や冬の外気による室内温度への影響を抑える断熱改修の促進に期待が寄せられているところです。それには、リフォームなどの機会を捉えて断熱改修を促す誘導策が必要です。
 ゼロエミッションの達成という高い目標を実現するためには強力な推進策が必要であり、既存住宅を対象に省エネ改修を支援できる新しい仕組みを構築すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、新築住宅について、都は令和元年度から、省エネ性能の高い住宅に対し、建築費用の一定額を助成していますが、温暖化対策に対する環境意識も相まって、予算の二倍近い申請があり、抽せんとなっています。
 都議会公明党は、より多くの都民の要望に応えられるよう、取組の継続とさらなる断熱、省エネ性能の向上につながる施策を構築すべきと考えます。
 そこで、ゼロエミ住宅のさらなる普及拡大のため、都は今後、来年度に向けた取組も含め、迅速に対応すべきですが、見解を求めます。
 次に、慢性的な人材不足に直面する建設、土木の業界での働き方改革についてです。
 二〇二四年に労働基準法の改正法が施行され、努力義務であった時間外労働の上限規制にいよいよ罰則が適用されます。法改正を踏まえ、長時間労働の是正を進め、働き手不足の解消につなげねばなりません。
 まず、建設、土木の業界で週休二日制を促進するためには、経営者による努力に合わせ、週休二日制を実施しても、日給月給で働く現場作業者の月ごとの賃金が減らないように、発注者側として取り組む必要があります。
 これについて国は、労務単価を一・〇五に割増しすることによって対応するとしています。しかし、これは、週休二日制が実施されている工事全体での労務単価を調査した結果にすぎません。本来であれば、週休二日制に移行しても、日給月給の月単位の賃金に目減りが生じていない事例を抽出し、その場合での労務単価を調査すべきです。
 受注者側の団体としては、一・〇五の割増しでは、作業員の月額賃金の現行水準の維持は困難であり、週五日労働でも六日労働と同じ賃金になる五分の六、すなわち一・二倍の労務単価への見直しを強く希望しています。
 都は、国と連携しつつも、国任せとはせずに、働き方改革につながるような労務単価の割増しの目安を導き出すべきです。見解を求めます。
 さらに、我が党は、建設、土木業界の働き手不足の改善に向け、長時間労働の要因になっている書類の削減を、はんこレスやデジタル化の推進と併せて強く求めてまいりました。工事の終了確認の検査の際に、当初予定されていなかった書類の提出を求められる事例が依然続いているとの苦情も多く、こうした事態は完全に払拭すべきです。
 特に、工事後に大量の現場写真の提出を求められることがありますが、警備や監視の委託業務の際にカメラを導入したことによって、大幅な人的省力化が図られたとの実例もあります。こうした工夫を公共工事での書類の削減にも生かしていくべきです。
 工事関係書類の削減、簡素化に関するこれまでの取組の成果と、さらなる改善の見込みについて見解を求めます。
 時間外労働の上限規制への対応で、特に課題に直面しているのが、道路の路面補修や上下水道などの路上工事です。これらの工事では、現場に器具や資材などを置き続ける常設作業帯が設置できません。工事現場と資材置場との間の往復時間も当然労働時間となります。
 しかし、これまでは、工期に間に合わせるため、必要な場合には、時間外労働の時間数にかかわらず、超過勤務手当を支払うことで対応が図られてきました。しかし、二〇二四年以降は、正当な賃金の支払いの有無にかかわらず、規制違反には罰則が適用され、禁錮刑の可能性もあります。
 一方で、公共工事に関わる都内企業の多くは、地価の高さから、やむなく資材置場を近隣県に移しているのが実情です。これからの公共工事においては、この現実を踏まえて、日々の実作業時間や労務単価、工期設定を図る必要があり、具体的には、往復に要する時間が受注者ごとに異なるため、工事案件ごと、契約変更によっての対応となります。こうした契約変更を毎回ゼロベースから行うことは大変非効率的であり、取扱いの安定性を損なうことにもつながりかねません。
 都は、二〇二四年の改正労基法の施行前に、国の方針を踏まえ、契約変更の透明性、公正性、効率性を担保するルールを自ら確立するなどして、公共工事の適正な履行を阻害する要因を除去して混乱の未然防止を図るとともに、建設、土木の業界での働き方改革に水を差さないよう、最大限の注力を図るべきです。見解を求めます。
 国民健康保険制度は、平成三十年度、区市町村が個別に運営する形から、財政運営の責任主体が都道府県に移行し、都が国保財政の入りと出を管理しています。
 十一月二十九日に開かれた国保の運営協議会において、仮係数に基づく令和四年度の激変緩和措置後の納付金総額の算定結果が示されました。この結果、一人当たり保険料算定額は十七万二千百五十五円となり、令和三年度に比べて九・四%という大幅な伸び率になっています。
 最終的には年明けの一月、国からの確定係数提示後、納付金総額及び標準保険料率が決定され、区市町村へ提示されますが、都として、都民の保険料負担を軽減するための対策を早急に検討すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、我が党が繰り返し訴えてきた同性パートナーシップ制度の創設についてです。
 本年第二回定例会で、我が党議員が紹介議員になった制度創設を求める請願が全会一致で採択され、さらに、都は、性的マイノリティー当事者の方々を含めた意向調査を実施し、回答者の多くが導入に賛成と聞いています。また、有識者からの意見についても十分反映させる必要があると考えます。
 都議会公明党は本年第三回定例会でも主張しましたが、当事者や有識者から寄せられた意見を踏まえて検討を加速し、来年度から制度をスタートさせるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、スポーツを通じた被災地支援についてです。
 三か月前に、多くの感動と感謝の中、閉幕した東京二〇二〇大会は、くしくも東日本大震災から十年の節目の開催となりました。復興オリンピック・パラリンピックとして、被災地での競技開催や福島県からの聖火リレースタートなど、改めて被災地に思いを寄せるとともに、手を差し伸べてくださった世界中の方々に感謝の気持ちを伝える機会になったと思います。
 これまで都議会公明党は、東日本大震災の発災直後から支援策を探るべく、現地を訪れ、現場で寄せられた声を都政に届けてきました。その中で、スポーツを通じた被災地支援の重要性を指摘し、都は、被災地の方々、特に子供たちの交流を行うなど、スポーツを通じて被災地との絆を深めてきたところです。
 震災から十年という節目を迎え、これまでの事業成果を踏まえ、改めて被災地に寄り添いながら、今後もスポーツを通じた被災地支援事業を推進すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 最後に、都議会公明党の提案を受けて、東日本大震災直後の二〇一一年度から開始された被災地応援ツアーについて質問します。
 本事業はこれまで多くの方々に利用され、被災地の復興を後押ししてきました。被災地は復興の途上であります。福島県では、コロナ禍前の令和元年度でも旅行者数が震災前の水準に達していない地域もありました。これに加え、昨年度は、新型コロナの影響を受け、前年度に比べて旅行者数が約四割減となるなど、復興に向けてはさらなる試練が続いています。
 そこで、今年度の被災地応援ツアーの状況とともに、福島県の経済と住民生活の回復に寄与するという役割を果たしていくためにも、感染状況などを踏まえながら、令和四年度も事業を実施すべきと考えます。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高倉良生議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今後の感染拡大への対応についてのお尋ねがございました。
 現在、新たな変異株が発生するなど、引き続き緊張感を持って対応していく必要がございます。より厳しい感染状況も想定して、備えを講じなければなりません。
 そのため、感染拡大の状況に応じました病床や宿泊療養施設の確保とともに、自宅療養者への往診体制の強化や保健所業務のデジタル化推進によります負荷軽減などから成ります総合的な保健、医療提供体制を構築いたします。
 今回取りまとめましたオミクロン株に関する緊急対応におきましては、宿泊療養施設を都内の濃厚接触者の待機施設とするとともに、陽性者の検体のゲノム解析や、また、東京都健康安全研究センターが独自に構築いたしました変異株PCR検査手法を用いまして検査を開始するなど、迅速に対応しているところでございます。
 今後、この変異株PCR検査手法を近隣県と共有するほか、民間検査機関へ拡大するなど、都内の監視体制を一層強化するとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げ、積極的疫学調査を行ってまいります。
 こうした複合的な対策を先手先手で講じることで、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、年末年始の事業者や都民への支援についてでございます。
 都内の感染状況は低い水準にとどまっておりまして、経済の回復に向けた期待は高まりつつございます。
 一方で、長期にわたるコロナ禍や原油高の影響などによりまして、厳しい状況にある事業者や、また、不安を抱える都民もおられます。年末年始を迎えるこれからの時期は、こうした方々に必要な支援を届けることが大切でございます。
 年末は、事業者の支払いが集中するということもありまして、日々の資金を速やかに確保できるつなぎ融資による金融支援を行います。また、金融や経営に関します差し迫った相談を夜間や年末にも受け止められる体制を整えまして、きめ細やかに対応してまいります。
 あわせまして、原油高が経営に及ぼす影響を抑えるため、専門家を派遣いたしまして、事業者の状況に応じたアドバイスを行うとともに、資金繰りがつきますように支援を着実に行ってまいります。
 また、解雇や雇い止めに遭って、そのまま年末を迎え、不安を抱える方もおられます。このため、速やかな再就職を後押しする相談を実施するほか、緊急の就職面接会を開催いたします。
 さらに、年末年始の間、TOKYOチャレンジネットを活用し、失業等の影響により、住まいを失った方に一時的な宿泊場所を提供するなど支援を強化いたします。
 困難に直面している都民、そして事業者の方々に寄り添い、安心して年末年始を送るための様々な対策を講じてまいります。
 次に、新たな文化戦略についてでございますが、文化芸術は、都市の魅力を形成する要素となるだけではありません。人々の心を支え、生きる活力をももたらし、日々の生活になくてはならないものでございます。
 都は、コロナ禍におきまして支援事業を行い、東京の文化芸術はアーティストや団体、スタッフなど多様な方々の幅広い活動によって支えられている、このことを強く認識したところでございます。
 東京がこれからも成熟していくためには、こうした方々が生き生きと活動し、世界を魅了する東京独自の文化や芸術が絶えず生み出されるとともに、都民が喜び、感動し、新たな価値を発見するなど、その生活がより豊かになることが重要であります。
 そこで、二〇三〇年度までの文化戦略を今年度策定いたしまして、文化や芸術で躍動する都市をつくり上げてまいります。
 次に、子供の医療費助成に関してでございます。
 子供の医療費助成の実施主体は区市町村でありまして、それぞれの議会における審議を経て、条例を定めて実施しているところであります。都の助成事業につきましては、区市町村の状況を十分に踏まえたものである必要がございます。
 令和三年十月時点で、都内で高校生を対象に医療費助成を行っているのは三区二市七町村でございまして、今後、先行自治体を含め調査を行うなど、状況の把握に努めてまいります。
 次に、重粒子線の治療についてのお尋ねがございました。
 重粒子線治療は、がん病巣への集中的な照射が可能であり、また照射回数も少ないなど、患者にとってメリットがあるとされています。
 先月、都におきましても、他県の施設を調査いたしましたところ、採算性の検証をはじめ、専門人材や土地の確保などについての重要性を認識いたしました。
 中でも、採算性の検証に当たりましては、患者数の推計や施設規模等を十分考慮しながら、収入や費用を算出する必要がございます。
 今後、こうした観点を踏まえつつ、重粒子線治療の事業採算性等の検証を含め、保険適用の動向等も注視しながら、最新のがん対策について検討をしてまいります。
 次に、動物愛護相談センターについてのお尋ねであります。
 病気やけがをしている動物を保護する際、新たな飼い主に健康な状態で譲渡できますように、動物ごとに状態を把握し、それに応じた管理を行うことが重要です。
 このため、動物愛護相談センターにおきましては、獣医系大学の専門家等から助言を受けながら、ストレスへの配慮や感染症の防止、症状に応じた治療など、動物福祉を踏まえました飼養管理を行っております。
 センターは、動物愛護施策の推進の中核を担う施設でありまして、今後、その整備に向けて、飼養環境の向上や譲渡の促進をはじめ、必要な機能につきまして、専門家等の意見を十分に伺いながら検討を進めてまいります。
 次に、被害想定の見直しについてでございます。
 首都直下地震や南海トラフ地震の発生が懸念される中、今年の十月には、都内で震度五強の地震が十年ぶりに発生するなど、東京におけます巨大地震の発生が一層現実的なものとなっております。
 この十年の間、木密地域の不燃化など、地震に強いまちづくりが着実に進展する一方で、人口構造や世帯構成など社会環境が大きく変化をしていることから、今般、被害想定を見直すことといたした次第でございます。
 見直しに当たりましては、高齢化の進展など、最新の状況を反映するとともに、防災対策の実効性をより一層高めるため、防災に対する都民の意識などを新たに把握しまして、地域防災計画の修正につなげてまいります。
 また、今後、東京都防災会議につきまして、女性、高齢者、障害者の方々など、多様な意見を反映できる体制へと充実強化を図りまして、様々な視点から、地域防災計画の修正を検討してまいります。
 都民一人一人の目線に立った防災施策を区市町村とも緊密に連携しながら推進することで、東京の防災力を向上させてまいります。
 次に、ドクターヘリについてでございます。
 ドクターヘリは、医師が速やかに傷病者がいる現場に赴くことができるなど、救急医療の効率的な提供に寄与するものであります。
 都は現在、ドクターヘリの導入に向けまして、搭載する医療資器材の整備や、救急車から患者を引き継ぐランデブーポイントにつきまして、数か所現地調査をいたしております。
 また、今月末を目途に試行で運航いたしまして、出動要請からの一連の流れにつきまして、運航マニュアルを検証することといたしておりまして、着実に取組を進めております。
 来年三月のドクターヘリの運航開始に向けまして、患者搬送訓練やスタッフの研修を繰り返し実施するなど、安全の確保を最優先に取り組んでまいります。
 都立高校における一人一台端末導入についてであります。
 世界の中で輝く東京、人が輝いて、誰もが活躍できる東京を実現するため、都政のあらゆる分野でDXを強力に推進しております。
 教育の分野におきましても、DXをてことして、教え方や学び方を転換し、子供たちが主体的に学び、他者と協働して新たな価値を創造する力を養っていくことが大切です。
 こうした認識のもと、今般、都立高校におきましては、生徒が学習に不可欠なツールとして端末を自在に活用していくため、令和四年度の入学生から、全世帯を対象に、端末購入に係る保護者負担額を定額とする補助制度を創設いたします。
 また、多子世帯の教育費の負担を軽減するため、二十三歳未満の子供が三人以上いる世帯の保護者負担額の二分の一を支援していく。さらに、現在の低所得世帯への支援制度を活用し、全ての子供たちが安心して学べるように工夫してまいります。
 未来を担う子供たちが、将来への希望を持って、自ら学び、自己の可能性を広げることができる教育環境を実現してまいります。
 最後に、同姓パートナーシップ制度についてであります。
 都はこれまで、誰もが認め合う共生社会を実現し、東京を、多様性を尊重する都市とするため、人権尊重条例に基づきまして、啓発等の推進や相談体制の充実を図ってまいりました。
 同性パートナーシップ制度の検討に当たりましては、支援団体や有識者へのヒアリングを実施いたしまして、多くの方々から制度の導入に肯定的な意見が示されたところであります。
 十月から実施の都民等調査では、約七割の回答者が性的マイノリティーの方々への必要な施策として、同性パートナーシップ制度を挙げておられます。
 こうした意見を踏まえまして、当事者の方々の生活上の困り事の軽減につなげることはもとより、多様な性に関する都民の理解促進の観点から、同性パートナーシップ制度の来年度内の導入に向けまして、今年度、基本的な考え方を示してまいります。
 制度の対象者につきましては、性的マイノリティーの方々を広く認めてほしいなど、当事者等からの意見を踏まえまして、多くの方々が利用できる制度となるように検討してまいります。
 今後も、有識者等の様々な意見を踏まえまして、制度構築に向けて着実に取り組んでまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、デジタルを活用した生徒の不安や悩みの把握についてでございますが、都教育委員会は今年度、生徒の心のサインを早期に把握するためのシステム開発に向けた実証研究に取り組んでいるところでございます。
 本システムは、生徒がスマートフォン等を活用して毎日簡単な質問に回答し、その解析されたデータから、教員が生徒の心の変化を見いだすという仕組みでございます。
 研究指定校六校では、気持ちを伝えることが苦手な生徒の不安の解消や、平素は気づきにくい家庭に起因する悩みの早期発見等の成果とともに、質問項目の精査や、データの効果的な解析方法の必要性などの課題も明らかになったところでございます。
 今後、これらの研究結果や専門家の意見を踏まえ、より精度の高いシステムとなるよう改善を図り、来年度、全都立高校への導入を目指してまいります。
 次に、学校における換気対策等についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対策においては、適切な換気が特に重要でございますことから、都教育委員会は、ガイドラインの中で、学校における具体的な換気方法を示しております。
 これに基づき、都立学校では、教室のドアと窓の常時開放や、サーキュレーターを使用した強制換気を行い、CO2測定器により換気状況を確認するなど、効果的な換気に取り組んでいるところでございます。
 今後は、冬場の対策として湿度を保つことも必要となることから、各学校に対して、湿度管理の方法や加湿器使用時の留意点などを周知してまいります。
 また、換気や湿度管理には、学校施設そのものの対策も必要でございまして、都立学校の新築、改築時に、施設規模を問わず、建築物衛生法の求める換気や湿度の基準を満たすよう、十分な機能を備えた空調設備等の整備を進めてまいります。
 区市町村教育委員会に対しましては、都立学校の取組を踏まえて、適切な換気や湿度の管理を行うことや、施設整備面での取組について情報を提供してまいります。
 最後に、医療的ケアを行う人材の確保についてでございますが、学校が医療的ケア児の増加に適切に対応し、児童生徒が保護者の付添いなく学校生活を送るためには、看護師をはじめとしたケアを担える人材を早急に確保し、ケアの実施体制の充実を図ることが必要でございます。
 都教育委員会では、これまで校内や専用通学車両内でケアを行う看護師の増員を図るとともに、たんの吸引など、法に基づく研修を修了した学校職員によるケアにも取り組んでまいりました。
 今後は、看護師のニーズを踏まえた勤務時間の設定について検討を行うとともに、看護師に加え、介護施設等での医療的ケア経験者を新たに活用することなどを検討し、医療的ケアを行う人材の一層の確保を図ってまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 一般緊急輸送道路沿道建築物についてでございますが、都は、震災時における応急対策の中枢施設などを結ぶ特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化に優先的に取り組んでまいりましたが、東京全体の防災力を高めるためには、警察、消防、病院など、地域の主要な防災拠点等を結ぶ一般緊急輸送道路の沿道の耐震化につきましても、さらに促進する必要がございます。
 これまで、区市と連携して、耐震改修等の費用助成を行っておりまして、特に倒壊の危険性が高い建築物に対する助成単価の引上げなどを今年度から開始いたしました。
 一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を加速するため、所有者への積極的な働きかけを行うなど、意欲のある区市町村をより一層後押しする支援の在り方につきまして、さらに検討を進めてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナの病床の確保についてでございますが、都は第六波に向けて、新たな国のレベル分類におきまして、都が独自に設定したレベル二・五の段階で先手を打って医療機関に病床確保を要請するとともに、酸素・医療提供ステーション等の受入れ規模を拡大することで、約九千四百四十床の医療提供体制を確保してまいります。
 また、確保した病床を有効活用するため、入院調整本部の転退院支援班におきまして、症状が改善したコロナ患者を軽症、中等症の患者を受け入れる病院や回復期支援病院への転院を促進させてまいります。
 さらに、これまで入院調整中の患者情報等を共有するため、都と保健所とで活用しているシステムにつきまして、十一月から医療機関も共有しており、一元管理している受入れ可能な病床数を活用いたしまして、転院を含め、効率的に入院調整を行ってまいります。
 次に、宿泊療養及び自宅療養への支援体制についてでございますが、都は、感染再拡大に備えまして、既存の宿泊療養施設の運用見直しや新規施設の開設によりまして、受入れ可能室数を約七千九百室確保していくとともに、希望する方を確実に宿泊療養につなげるため、患者自らが申込みのできる専用の窓口を先月開設いたしました。
 十一月三十日の国内で第一例目となるオミクロン株感染者発生を受け、濃厚接触者が待機する施設として、速やかに宿泊療養施設を活用しております。
 また、自宅療養者フォローアップセンターの人員につきまして、本年八月時点の百五十人体制から、最大二百五十人体制まで増強可能とするとともに、診療や検査を行った医療機関による健康観察の実施や、感染拡大時に往診を広域的に行う医療機関との連携強化などによりまして、安心して療養できる環境の整備に努めてまいります。
 次に、ウエアラブル機器による健康観察についてでございますが、宿泊療養施設でのウエアラブル機器の導入に向けた試行では、療養者の健康状態を常時計測し、遠隔でも正確に把握できるよう、安定的な装着方法に工夫を重ねた結果、容体急変の迅速な察知など、その有効性が確認できました。
 今後は全ての施設への導入を進め、特にきめ細やかな容体把握が必要な療養者の健康管理に効果的に活用してまいります。
 また、自宅療養につきましては、保健所が行う健康観察や入院決定から入院するまでの患者のフォロー等について、ウエアラブル機器の活用を先行実施し、有効な活用手法や今後の展開を検討してまいります。
 次に、抗体カクテル療法についてでございますが、抗体カクテル療法は、発症後速やかに投与することで重症化を防ぐ効果が期待できることから、都は、中和抗体薬治療コールセンターを設置するなど、迅速な投与に結びつける仕組みを構築してまいりました。今後、発症抑制を目的に、無症状の感染者などもこの仕組みに追加をいたします。
 また、自宅療養者等への迅速な投与を可能にするため、往診を行う医療機関や経過観察を行う訪問看護ステーション等への支援を本格的に実施し、高齢者施設等でクラスターが発生した際にも、速やかに対応できる体制を整備してまいります。
 引き続き、抗体カクテル療法の対象者を速やかに投与につなげることで、高齢者など、リスクの高い方の重症化を防いでまいります。
 続きまして、宿泊療養施設における経口治療薬の治験についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症の経口治療薬は患者の負担が少なく、自宅での服用が可能であるため、入院や受診の抑制効果が期待でき、医療体制の逼迫を避けられる点で有用でございます。
 そのため都は、国内の製薬会社による経口治療薬の治験が円滑に進むよう、宿泊療養施設を治験実施場所として提供しており、本年十一月からは治験を希望する療養者に対し、治療薬の投与が開始をされております。
 実施に当たりましては、治験に関わる人員体制の確保、健康観察の方法など、具体的な実施手順について、都は製薬会社ときめ細かく協議を重ね、療養者に対して治験薬の効能や副作用等に関する丁寧な説明を求めるなど、宿泊療養施設における安全な治験の実施を支援しております。
 次に、ワクチンの追加接種についてでございますが、今月から開始された追加接種では、医療従事者等も含め、全ての接種対象者につきまして、区市町村が主体となって調整していくことから、都は、区市町村とのワクチンチーム会議を精力的に開催し、実施方法を決定いたしました。
 また、区市町村の意向も踏まえ、今月中旬から都庁北展望室ほか、多摩一か所の大規模会場を開設し、医療従事者や救急隊員等から接種を開始いたします。
 今後、ワクチンの供給計画等を踏まえ、さらなる対象者への接種が可能となるよう、会場を六か所程度まで順次拡大してまいります。
 さらに国に対し、職域接種では、より多くの企業が参加するよう働きかけを行うことや、早急に実施規模を示すことについて重ねて要望するなど、今後とも追加接種が円滑かつ安定的に進められるよう取り組んでまいります。
 続いて、感染再拡大に備えた検査体制の強化についてでございますが、都は、本年十一月に検査体制の見直しを行いまして、第五波の最大新規陽性者数をベースに、インフルエンザとの同時流行も想定し、検査需要を一日当たり最大約八万八千件、検査処理能力を最大約十万件とする計画改定を行いました。
 本計画を踏まえまして、都医師会等とも連携をし、診療・検査医療機関等のさらなる拡充や公表とともに、インフルエンザと同時に検査可能な抗原検査キットの活用等も進めております。
 加えて、感染急拡大時には、医療機関等に対して要請を行い、迅速に体制強化を図ることとしております。
 なお、今般のオミクロン株の国内発生を受けまして、今後の感染拡大に備えるため、都は十二月三日付で関係機関に対し、速やかに検査体制の強化を図るよう要請をいたしたところでございます。
 最後に、社会経済活動を継続するための検査についてでございますが、国は、感染対策と日常生活の両立に向けて、ワクチン・検査パッケージ制度等の利用促進を図っております。
 制度利用に必要な無料検査のため、都は国の情報も活用して民間検査機関や薬局等に周知し、実施事業者として登録の上、十二月下旬以降を目途に事業を開始いたします。
 実施に当たっては、無料検査の対象となる方や実施事業者の一覧等をホームページ等で分かりやすく周知していくとともに、実施事業者に対して、検査費の交付と検査環境整備に対する支援を来年三月まで行ってまいります。
 また、感染拡大時には、国が示す、感染リスクが高い環境にあるなどのため感染に不安を感じる無症状者で、特措法による要請に応じた都民に対し、無料検査を実施し、感染拡大防止と都民の不安解消を図ってまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小の旅行業者への支援についてですが、観光産業の回復に向けた支援を行う上で、中小規模の事業者に着実に効果が及ぶような取組が重要でございます。
 都では、国のGO TOトラベルの開始に合わせ、都民による都内旅行に助成する事業、もっとTokyoの再開を予定しております。
 本事業について、今回の補正予算により支援規模を大幅に増やすとともに、引き続き、定額の助成を行う仕組みとし、中小の旅行業者が取り扱う比較的低廉なツアー等の利用の増加につなげてまいります。また、中小の旅行業者の取扱いが多い団体旅行などを広く支援の対象とすることで、そうした事業者のニーズにも応えてまいります。
 これらの取組により、中小の事業者を後押しし、観光産業の活性化に結びつけてまいります。
 次に、非正規雇用の方などへの就業支援についてでございますが、非正規雇用や失業中の方がコロナ禍においても人手不足となっている業種に再就職ができるよう、新たなスキルの取得を支援することは効果的な取組でございます。
 このため都は、コロナ禍でも採用意欲の高いITや介護などの業界の求人を重点的に開拓して、求職者に対し、一定期間の派遣就労を通じて業務スキルを身につける機会を提供し、派遣先での正社員としての就職ができるよう支援しております。
 また、成長産業であるデジタル関連の業界等で必要となる新たなスキルや資格を、非正規雇用の方などがeラーニングで取得できる事業を行っているところでございます。この支援は、働いている方や育児中の方でも受講が可能でございまして、利便性も高いことから、今後、事業規模の拡充を検討してまいります。
 次に、女性の再就職支援についてですが、女性は、育児や介護を行いながら仕事をするなど、多様な就労ニーズを抱えている場合が多く、そうした女性の早期の再就職の実現にはきめ細かい支援が必要でございます。
 このため、都は、しごとセンターにおいて、専任のアドバイザーが求職者の希望や適性をカウンセリングにより把握して、それを踏まえた職場体験の機会を提供し、職業紹介も実施しております。
 また、女性向けに求職活動のノウハウを分かりやすく提供するセミナーと就職面接会を一日で行うマッチングイベントを定期的に開催するなど支援を強化しているところでございます。
 今後はこれらに加えまして、女性の働きやすい職場として都が表彰した企業等が参加する新たな就職面接会の開催を検討するなど、マッチング機会の充実を図ってまいります。
 最後に、被災地応援ツアーについてでございますが、都は、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月から同ツアーを実施しております。平成二十四年度からは、観光を取り巻く環境が依然厳しい状況にあった福島県を対象に、宿泊、日帰り旅行の支援を行ってまいりました。平成二十八年度からは、県と連携して、都内学校の福島への教育旅行に対する支援を開始し、令和元年度からは、県が浜通り地方などの振興に向けて推進するホープツーリズムを対象に加えるなど、被災地の実情に応じた支援を行ってきたところでございます。
 こうした中、昨年末の新型コロナウイルスの感染拡大により、同事業は現在停止をしているところです。
 今後は、感染症の状況に留意し、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望等も踏まえて支援を検討してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 七点のご質問にお答えします。
 まず、自殺対策についてであります。
 自殺の背景には、健康問題や経済問題など様々な要因が複雑に絡み合っていることから、都では、地域や職場、学校などで困難を抱える方の周囲の人々がゲートキーパーとして悩みに気づき、声をかけ、必要な支援につなぐことの重要性を区市町村や事業者等に周知しております。
 今後、都民生活に関わる様々な分野の相談窓口が、相談者の複数の悩みに連携して対応できるよう、自殺対策や多重債務問題に取り組む民間団体、区市町村などが参加する連絡会等で、情報共有のためのシートの活用など、実践的な連携事例を紹介いたします。
 また、区市町村による企業等と連携したゲートキーパーの養成を支援するため、研修用動画や冊子も作成することとしておりまして、引き続き、区市町村や関係機関等と連携した自殺対策を推進してまいります。
 次に、チャイルド・デス・レビューについてであります。
 チャイルド・デス・レビューは、子供が亡くなられた後、直接の死因に加えまして、社会的背景や環境要因等を分析、検証し、効果的な予防対策を提言するものであります。
 その実施に当たりましては、死亡診断を行う医療機関をはじめ、福祉、保健、教育、警察など、子供と家族に関わる様々な機関の連携協力が不可欠であります。
 また、子供の死という特に配慮を要する情報を取り扱うため、収集する情報の範囲や入手、管理の方法、検証結果の共有、公表、施設での事故等を検証する既存の制度との関係などについて、あらかじめ整理する必要があります。
 今後、都としてどのような体制で取り組むべきか、区市町村や関係機関等の意見も聞きながら検討してまいります。
 次に、放課後等デイサービスについてであります。
 就学中の障害児の居場所である放課後等デイサービスは、児童や保護者のニーズが多様であり、事業所ごとに支援の内容は様々であります。
 こうした状況も踏まえまして、都が本年七月に実施した放課後等デイサービスの実態調査では、経験のある専門職による多様な訓練や創作活動などのサービスを提供する事業所がある一方で、職歴が短い職員が多い事業所もあることや、第三者評価の受審率が低いことなども分かりました。
 今後、この調査結果も踏まえ、サービスの質の向上に取り組む放課後等デイサービスへの都としての支援策について、早急に検討してまいります。
 次に、医療的ケア児支援センターについてであります。
 医療技術の進歩により、医療的ケア児の数は増加傾向にあるとともに、ニーズも多様化しておりまして、本人とその家族が地域で安心して暮らすには、保健、医療、福祉などの各分野が連携して支援する必要があります。
 都は本年度、医療的ケア児の支援に関する諸課題への対応や関係機関の連携強化などについて協議するため、各分野の代表などで構成する東京都医療的ケア児支援地域協議会を設置いたしました。
 現在、医療的ケア児支援法の制定を受けまして、専門的支援などを担う医療的ケア児支援センターの機能や役割についても議論を重ねておりまして、今後、多様なニーズを抱える当事者家族などの意見も聞きながら、センターの設置に向けて検討を進めてまいります。
 次に、センターの設置についてでありますが、医療的ケア児とその家族が抱える課題は多岐にわたっておりまして、その支援は専門性が高いことから、個々の相談窓口だけで適切な支援につなげることが難しい場合があります。
 このため、センターには、当事者家族からの多様な相談に応じ、的確な支援や助言等を行うとともに、多くの機関にまたがる支援の調整について、中核的な役割を果たすことも求められます。
 医療的ケア児支援地域協議会での議論も踏まえまして、今後、人口規模や利便性、当事者家族からのニーズなども考慮いたしまして、設置数を含めセンターについて検討してまいります。
 次に、人材の育成と関係機関との連携についてであります。
 都はこれまで、医療的ケア児の支援を担う事業所や行政機関の職員などを対象に、支援に関する基本的な研修に加えまして、地域での支援を総合的に調整する人材を養成してまいりました。
 また、区市町村が身近な地域で必要な支援を提供するために、地域の関係機関で協議する場を設置しており、都としては、こうした取組が進むよう、先行事例を紹介するなど区市町村を支援しております。
 今後、医療的ケア児支援センターの設置に当たりまして、医療的ケア児の支援に関わる人材の確保、育成や関係機関の連携がさらに進むよう検討してまいります。
 最後に、国民健康保険についてであります。
 国民健康保険制度では、都道府県は、一人当たり医療費の伸びや被保険者数等を推計して積算した保険給付の必要総額から、国や都道府県の公費等を差し引いて、区市町村の納付金総額及び標準保険料率を算出することとされております。
 今回の仮算定では、一人当たり医療費の大幅な増加や被保険者数の減少等により、一人当たり保険料算定額の伸びが大きくなっております。この算定に当たりましては、国の特例基金や都の繰入金等を活用しているところでございます。
 都はこれまでも、制度設計者である国に対し、今後の医療費の増加に耐え得る財政基盤の強化を要望しておりまして、引き続き国に求めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、スポーツを通じた健康増進の取組についてでございます。
 東京二〇二〇大会を契機に高まったスポーツへの興味、関心をスポーツ実施につなげていくことが重要でございます。
 都は、新たに、オフィス街等でビジネスパーソンに運動のきっかけを提供するアーバンフィットネス推進事業を実施いたします。
 具体的には、来年三月、フィットネスマシンの体験や身近なスポーツジムの情報の紹介、運動動画サイトの案内等を行うイベントを実施し、これにより、働き盛り世代の継続的な運動実施につなげてまいります。
 また、社員向けに職場での体操や、パラスポーツ体験会に取り組んでいる企業等をスポーツ推進企業として認定し、その取組事例を紹介するなど、広く運動機会の拡大に努めております。
 今後も、こうした取組を通じて、働き盛り世代をはじめとした都民の健康増進を図ってまいります。
 次に、スポーツを通じた被災地支援についてでございます。
 都は、東日本大震災後、スポーツを通じて被災地に元気を届けられるよう、様々な事業を展開し、復興の後押しをしてまいりました。
 具体的には、青森から東京までをたすきでつなぐ千キロ縦断リレーや、野球、サッカー等に取り組む被災地と東京の子供たちの交流等を継続的に実施してまいりました。
 今年度も、トップアスリートがスポーツ教室で直接指導するアスリート派遣事業を岩手県等で実施し、被災地の子供たちにとって、かけがえのない機会を提供することができました。
 今後、これまでの取組の成果や被災県の意向も踏まえながら、被災地と東京の絆を一層深める事業の実施に向けて検討してまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、芸術文化活動への参画体験等についてでございますが、東京の芸術文化活動を担うアーティスト等は、新型コロナウイルス感染症の影響により、現在もなお厳しい状況にございます。
 そこで、都では、音楽や演劇、映画、伝統芸能など幅広い分野のアーティストや団体を支援すると同時に、観客が芸術文化を楽しむ機運の醸成を目指し、今年度、大規模文化事業助成を立ち上げました。この助成は、多くの都民が参加、あるいは楽しめる工夫がされていることも採択のポイントとしております。
 今後、都民の芸術文化を楽しむマインドの回復を目指し、さらなる支援を検討してまいります。
 次に、新進芸術家、芸術団体への支援についてでございますが、今年度開始したスタートアップ助成では、新たに活動歴三年未満のアーティストを対象とするなど、若手アーティストの活動支援に力を入れております。
 今後、東京の多彩な文化や芸術を支える担い手の裾野をさらに広げるためには、若手アーティストが継続的に活動できる仕組みを構築することが重要でございます。
 アートにエールを!東京プロジェクトの参加者アンケートでは、都に求める支援内容として、約四割の方が作品づくりのための環境提供、約五割の方が発表の機会の提供と回答しております。
 そこで、新規に立ち上げた助成に加えまして、アトリエや稽古場等の制作環境や、発表機会を充実させるための方策を新たな文化戦略に盛り込み、若手アーティストの育成を強化してまいります。
 最後に、情報発信の充実についてでございますが、都はこれまでも、アーツカウンシル東京のホームページやリーフレット等により、助成制度などアーティストに対する支援情報を発信してまいりました。コロナ禍を契機に、こうした情報のニーズは高まっており、必要な情報をより速やかに、分かりやすく届けていく必要がございます。
 そこで、今後は、都や国などの支援情報を一覧できるようホームページに掲載するとともに、一人一人のアーティストにも届くよう、コロナ禍によって生まれたネットワークなども活用し、アーティストへの情報発信を強化してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の型別供給実施基準についてでございますが、都は、住宅に困窮する都民への都営住宅の的確な供給を図るため、平成五年度に型別供給実施基準を定め、それに合わせた基準設計により、世帯人数に応じた広さと間取りの住宅を整備してまいりました。この実施基準と基準設計につきましては、社会経済状況の変化等に応じて、これまでも数回にわたり見直しを行ってまいりました。
 また、令和二年二月からは、多摩地域での入居者の公募に当たりまして、応募状況の改善に向けて、住戸あっせん基準の弾力的運用を実施しております。
 今後、建て替え事業における居住者移転との整合を保ちつつ、あっせん基準の運用を工夫するとともに、建て替え事業で整備する住戸につきまして、基準設計の改善と併せて、型別供給実施基準の見直しを図ってまいります。
 次に、都営住宅募集のオンライン申請についてでございますが、現在、都では、オンライン申請システムの構築を進めており、今後、運用テストなどを行った後、令和四年二月の毎月募集から運用を開始し、五月以降、定期募集や随時募集におきましても活用していく予定でございます。
 この申請システムでは、スマートフォンやパソコン等から専用のポータルサイトにアクセスし、世帯人数や最寄り駅等の条件から、希望に合った住宅を検索して申し込めるとともに、抽せん番号や抽せん結果をメールで受け取れるなど、利便性の向上が期待できます。
 また、運用開始に当たりまして、利用案内チラシを募集パンフレットに折り込んで配布するなど広く周知するとともに、新たに専用のコールセンターを設置し、都民が円滑に利用できるようサービスの充実を図ってまいります。
 最後に、既存住宅の省エネ改修の促進についてでございますが、二〇五〇年までのゼロエミッション東京の実現に向け、家庭部門のCO2排出量を削減していくためには、既存住宅の断熱改修のさらなる促進が重要でございます。
 これまで都は、省エネリフォームの効果や優良事例等をまとめたガイドブックによる普及啓発に取り組むとともに、窓などの開口部の断熱改修工事やマンション共用部における照明のLED化への助成等を行ってまいりました。
 こうした取組を引き続き推進するとともに、壁面や天井などの断熱改修にも支援できる新たな事業の検討を進めております。
 今後、自治体と連携した事業の創設を目指している国の検討状況も踏まえながら、施策の具体化を図り、既存住宅の省エネ性能向上に取り組んでまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 東京ゼロエミ住宅導入促進事業についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、住宅等建物の脱炭素化を図ることが重要でございます。
 このため、都は、住宅用地が狭小など、東京の特性を踏まえ設定した、都独自の基準を満たす住宅を新築する際、建築主に費用の一定額を助成しており、毎回予算額を超える申込みがございます。こうした都民の省エネ意識の高まりをさらに後押しし、東京ゼロエミ住宅の一層の導入促進を図るため、今般の補正予算案でその総額を拡大いたします。
 また、来年度に向けて、より高いレベルの省エネ性能等を備えた住宅の建築を促進するため、その水準の多段階化などを進め、実効性を高めてまいります。
 こうした取組を通じて、住宅の脱炭素化を加速させ、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公共工事の週休二日の促進についてでございますが、建設業の働き方改革を推進していくことは、公共工事の担い手確保に向けた重要な責務と認識しております。
 都では、工事現場の週休二日の取組を促していくため、平成二十八年度から週休二日モデル工事を試行しており、必要となる経費として、国に準じて労務費を補正し、実態に即した経費を計上することとしております。
 モデル工事では、受注者に直接、補正の趣旨を説明し、さらに作業従事者まで着実に浸透を図るため、労務費の補正を行っていることを明示したポスターを工事現場に掲示しております。
 今後とも、関係団体の労務単価に関する声をお聞きしながら、試行を継続するとともに、国へ現場の声を伝えるなど意見交換を行い、連携を図ってまいります。
 次に、工事関係書類の削減、簡素化についてでございますが、都では、関係局が連携し、令和元年度から工事関係書類の削減等の効果を検証するモデル工事を行いました。
 あわせて、押印省略が可能となる書類についても検討を進め、財務局では、令和三年に基準等を改正し、統一様式三十二様式のうち十一様式と局独自に定める七様式の削減、簡素化を図りました。各局でも基準等の改正を行い、統一様式に加え、独自に定める延べ三十六様式の削減等を図りました。
 このほか、書類の提出や決裁等をネット上で行う情報共有システムを活用する試行工事を進めております。
 引き続き、各局と連携し監督員の意識向上を図りながら、工事関係書類の削減、簡素化に取り組んでまいります。
 また、工事現場の働き方改革等につながるカメラの活用方法などについては今後検討してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 建設業の働き方改革についてでございますが、若手や女性にとっても魅力的な職場として、建設業の働き方改革を推進し、担い手を確保することは重要でございます。
 改正労働基準法により、令和六年度に建設業の時間外労働の上限規制が施行されることから、工事現場における時間外労働の抑制を図ることは急務でございます。
 建設局では、常設の作業帯の設置が困難な路上工事の積算につきまして、国の基準が改定されたことに伴い、今年十月に基準を改定し、労務費の補正や工期の延伸等について、現場条件に合わせて必要な設計変更を行えることとし、受注者にもその旨をお知らせしております。
 また、下水道局は十一月に、水道局は十二月に同様の対応をしております。
 今後の運用状況を見つつ、関係団体の声も聞きながら、必要な改善を行い、建設業の働き方改革の取組を後押ししてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時三十二分休憩

   午後六時五十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百四番里吉ゆみさん
〔百四番里吉ゆみ君登壇〕

○百四番(里吉ゆみ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、都立、公社病院についてです。
 都民の命を守る都立、公社病院を大後退させる独立行政法人化に向けた定款が第三回定例会で可決されましたが、我が党をはじめ五会派、三十七人の議員が反対しました。可決後も都民による反対の声と運動はますます広がっています。
 ところが、知事は、まともな説明ができないのに聞く耳持たずで、都立病院条例を廃止して、来年七月に全ての都立、公社病院を独法化しようとしています。到底許されません。
 知事は、都立、公社病院の行政的医療を将来にわたって続けるための独法化だという意味不明の説明を繰り返しています。
 しかし、地方独立行政法人法第三十条は、三年から五年ごとに業務の継続や組織の存続の検討を行い、業務、組織の廃止などの措置を講ずると定めています。
 総務省は、廃止、民営化を含めた定期的見直しを行う条文だとしています。都立、公社病院の独法化には、この第三十条は適用されないのですか。
 都民を欺く説明はやめるべきです。独法化された国立精神・神経医療研究センターは、採算性の低い精神病床を段階的に七割削減しました。都の健康長寿医療センターは、百六十床以上の病床を削減する一方、差額ベッドを大幅に増やしました。宮城県立病院は、独法化されて十年になる今年、県内の公的病院との統合再編方針を突如発表しました。
 見直しの最大の指標にされるのが、効率性や採算性です。都の健康長寿医療センターを含め、独法病院の三七%が自治体からの運営費負担金が不足していると独法化後の現状調査に回答しています。
 一方、独法化されると、住民や議会の関与が弱くなります。独立法人の独立性が優先されるからです。地方独立行政法人法成立時の国会審議で、当時の担当大臣は、議会の関与を少なくすることが独法化のメリットの一つだと答弁しています。
 住民参加や議会の関与は、独法化によってどのように変わるのですか。地方独立行政法人法の規定では、住民監査制度、住民訴訟制度の対象外になるのではありませんか。お答えください。
 知事が来年七月までに独法化をすると決めたのは、コロナ感染第五波真っただ中の今年八月二十七日であることを、都は渋々認めました。
 モニタリング会議が、現在の感染状況が続けば、医療提供体制の限界を超え、救える命が救えない事態がさらに悪化すると切迫した状況を指摘していたときです。都内の入院患者が四千人を超え、重症患者がピークとなっているさなかに、独立行政法人設立の日程を知事が病院経営本部長と話し合っていたのは驚くべきことです。
 感染拡大が深刻になっていた日に、あえて独立行政法人の設立日を話し合って決めなければならなかった理由が何かあったのですか。
 知事は、所信表明で、コロナ禍であらわとなった構造的な課題は、デジタル化の遅れだと述べました。東京と日本の医療の脆弱さがコロナ禍であらわとなった構造的な課題だという認識が知事にはありません。そのことが、かけがえのない都立、公社病院を強引に独法化しようとすることにつながっています。
 感染症医療や災害医療、小児、周産期医療、難病、障害者医療、島しょ医療など、不採算であっても都民のために必要な医療が後退し、廃止、民営化への定期的見直しが迫られ、都民や議会の関与が弱くなる独法化は中止すべきです。都立、公社病院の抜本的充実を進めることを改めて厳しく求めるものです。
 新型コロナは、これまで何度も感染拡大を繰り返してきました。第五波では、入院できずに自宅で亡くなるケースも相次ぎました。二度と起こさない対策が必要です。新規陽性者が抑えられている今、大切なのは、ワクチンと検査で感染拡大させないこと、感染しても重症化させないことです。
 新たな変異株オミクロン株を早く見つけることが重要です。都の健康安全研究センターがオミクロン株のスクリーニング検査を始めたのは重要ですが、検体を広く集めることなどにより、可能な限り全ての陽性者の検体を調べるべきです。知事の見解を伺います。
 三回目のワクチン接種を着実に進めると同時に、今こそ感染拡大を防ぐための検査の拡充が必要です。
 補正予算案に盛り込まれた無料の検査は、ふだんは健康上の理由でワクチン接種ができない人などに限定されています。先日、話を伺った東京都医師会の尾崎会長は、検査は誰でも無料でできるようにした方がよいと話していました。
 都の研究で、ワクチン接種後七か月で抗体が大きく後退していることが分かりました。接種済みの人の感染が起きていることも踏まえれば、ワクチン接種した人も検査対象とすべきではありませんか。
 感染拡大の兆候を把握するため、徹底したモニタリング検査が必要です。現在の都のモニタリング検査は、繁華街や駅、空港、飲食店など全て合わせて一日平均一千件程度であり、思い切った拡充が必要です。いかがですか。
 都が実施する高齢者施設、障害者施設、医療機関の職員などへの定期的な検査は、検査事業者との契約が今年末までですが、継続すべきです。いかがですか。
 コロナ病床も宿泊療養も、第五波では大きく不足しました。最大の課題はマンパワー不足です。効率的に患者を診るためには、終息するまでの間、一千床規模の臨時医療施設を設置していくことが望ましいと尾崎会長は話されていました。都の見解を伺います。
 国は、コロナ病床の使用率が東京都平均の七割未満の医療機関に対し、病床確保の補助金を三割減らすことを決めました。しかし、都がやむを得ない事情があったと判断すれば、補助金は減らされません。
 中等症までの受入れを想定していたが、人手のかかる重症患者を受け入れざるを得ず、マンパワー不足になったなど、やむを得ない理由で病床使用率が下がった医療機関が多いのです。こうした実態を踏まえた対応が必要です。いかがですか。
 知事は、毎週開いていたモニタリング会議を突如、月二回に減らしました。オミクロン株が確認された新たな事態にもかかわらず、先週も開かれませんでした。これは、先手を打つと述べた知事の所信表明と逆行しているのではありませんか。
 モニタリング会議は、専門家による詳細な分析に基づき現状を評価する場であり、公開することで、都民との共通認識をつくる大事な役割も果たしています。毎週開くべきです。いかがですか。
 また、福祉保健局の感染症対策部を局相当の体制にするなど、感染症対策の体制強化を提案します。見解を伺います。
 都の保健所の拡充強化も急務です。都は、保健所の在り方検討に着手しましたが、市町村の意見も踏まえ、速やかに具体化することが必要です。
 来年度の保健所予算を大幅に増額し、保健師、公衆衛生医師を増員するとともに、計画的な増設に踏み出すべきです。知事の答弁を求めます。
 公衆衛生医師についても、大学医学部への寄附講座の開設、公衆衛生医師育成奨学金などに取り組むことを提案します。見解を伺います。
 コロナ禍による失業や収入減、倒産、廃業が深刻になる下で、原油高騰などによる物価高が都民の生活苦に追い打ちをかけています。
 都庁前をはじめ、都内各地で取り組まれている食料支援には、女性や若い人を含め、長い列ができています。四日間何も食べていない青年、仕事がなくなり体調を崩し、気持ちも不安定になり孤独の中に暮らしている女性など、多くの人が年を越せるかどうかの瀬戸際にあります。お店の客足も戻っていません。
 しかし、知事の所信表明には、こうした都民の実態が全くありませんでした。知事は、切迫している都民、中小、小規模事業者の暮らしの実態をどう認識しているのですか。
 人が大事というなら、食料支援や街頭相談の現場に足を運び、生の声を聞くべきです。いかがですか。
 自殺や貧困の増大など、問題が深刻なだけに、相談や申請を待つのではなく、支援を必要とする人に対し、行政から出向いて情報を届けて、悩みを聞いて解決策を考える。しかも、早くて簡易なプッシュ型の積極的支援が必要です。都はどう取り組むのですか。
 消費税五%への減税は、多くの人に効果が及び、しかも、最も困っている人の確かな助けになります。暮らしと営業を守り、消費を温める決め手になると思いますが、認識を伺います。
 岸田政権は、コロナでお困りの皆様への給付金の支給を総選挙の公約にしながら、生活に困っている非正規で働く多くの方々を支給対象にしない、極めて不十分な給付金制度を進めています。国に改善、再検討を求めるとともに、都独自の給付金を実施すべきではありませんか。
 こんなときに、国民健康保険料、保険税の値上げは許されません。法定外繰入れを行わない場合、都内の一人当たりの保険料が来年度九・四%も上がり、十七万二千百五十五円にもなる試算が示されました。
 都の国保運営協議会では、被保険者の複数の委員から、納得し難い状況、すごく大変なことなどの意見が出されました。都として、一般財源を投入し、国保料、国保税の引上げにならない手だてを取ることが必要です。見解を伺います。
 来年度から、子供の均等割保険料が五割軽減されますが、未就学児だけです。市長会は、都独自の軽減措置を要望しています。東京都も、対象拡大を国に求めています。東京都自身が必要性を認識しているのですから、率先して都として拡充すべきです。いかがですか。
 住まいの支援も重要です。TOKYOチャレンジネットは、臨時のアパートやホテルを確保し、住まいを失った人を支援する重要な役割を果たしています。補正予算だけでなく、来年度の予算を増やして事業を拡充すべきです。見解を伺います。
 国の住居確保給付金は、コロナ禍の緊急対策で対象者などが拡充され、利用が急増しています。家賃を直接支援する大事な制度であり、都独自に一年間の支給期間の制限をなくす、支給上限額を引き上げるなど拡充し、継続して実施することを提案します。いかがですか。
 都営住宅を四年間に二万戸規模で増設することを提案します。見解を伺います。
 東京商工リサーチは、コロナ関連の経営破綻は、緊急事態宣言解除後も減少する気配はなく、特に小規模事業者にコロナ破綻が集中していると指摘しています。知事はどう認識していますか。
 中小、小規模事業者が事業を再開し、軌道に乗るまでは、国や都の支援が欠かせません。持続化給付金、家賃支援給付金を再度支給するよう国に求めるべきですが、いかがですか。また、都独自の支援も行うべきです。答弁を求めます。
 コロナ禍で明らかになった女性への影響は、自殺や失業、DVの増加、ひとり親、若年女性、単身女性の状態の深刻化など多岐にわたります。家事、育児、介護などの負担が女性に大きくのしかかっています。
 コロナ禍による直接的影響だけでなく、日本の構造的な問題となっているジェンダー不平等がその背景にあるという認識が知事にはありますか。
 ジェンダーの視点をあらゆる政策や施策の基本に据えるジェンダー主流化が国連をはじめ世界の流れになっています。東京都も実践すべきです。知事、いかがですか。
 男女別賃金格差をはじめとしたジェンダーギャップを見える化して、事実に基づいて格差をなくしていくためのジェンダー統計の重要性をどう認識していますか。
 性犯罪、性暴力支援で重要な役割を果たしているのがワンストップ支援センターです。国は、第五次男女共同参画計画で、二〇二五年度までに十三か所増やし、六十か所にすることを目標としています。都はどう対応するのですか。
 国が作成したワンストップ支援センター開設・運営の手引は、病院拠点型を支援活動を行う足場となる重要な場所と位置づけています。
 しかし、都内には、その重要な病院拠点型ワンストップ支援センターが一か所もありません。都立、公社病院などにつくることを強く求めておきます。
 全会派共同で議員提案し、全会一致で可決、成立したこども基本条例が四月から施行されました。都政において、子供の権利を位置づけた条例ができたことは画期的な意義を持つものだと考えますが、知事はどう受け止めていますか。
 条例を具体化するために、ほぼ全ての局で構成する施策推進連携部会が設置されたことは重要です。この条例を生かし、子供の権利を保障する取組を東京都全体でどう進めるのですか。
 子供をはじめ、都民に広くこども基本条例を周知することが必要です。いかがですか。
 今年度二回目となったティーンズ・アクションのこどもシンポジウムでは、条例が生かされ、中学一年生から高校三年生が学校を超えてグループをつくり、アンケート調査も行い研究して、集団的に深めて提言を行っています。私たちもとても学ばされるものでした。
 子供の意見表明権は、子供の権利の大事な柱です。そして、子供たちの意見を聞くだけでなく、その意見を施策に適切に反映しなければなりません。
 知事は、乳幼児から十八歳までの多様な子供たちの意見表明権をどう保障していくのですか。また、子供たちの意見をどう都政に反映するのですか。
 子供とともに、若者の声を都政に反映する仕組みづくりが重要です。
 山形県は、若者の視点、考えが県政に反映されるよう、県の審議会等に三十九歳以下の若者委員を一名以上登用することを定め、実行しています。愛知県新城市などは若者議会、また、全国の多くの自治体が子供議会を実施しています。
 いずれも、未来を担う若者、子供たちの都政への参加を促す意義は大きいと思いますが、いかがですか。都も検討すべきではありませんか。
 東京都に学生や若者の声を受け止める組織がないことは大きな課題です。私たちは、全国調査を行い、若者、青少年を専管する組織があるのは三十五道府県、学生を担当する組織は二十二道府県にあることが分かりました。
 三重県は、学生にアンケート調査を行い、施策に反映しています。また、奨学金を利用している学生に一万円の食事券を配布しています。徳島県は、継続的に食料配布をしているほか、県内の大学と連携し、大学や学生を支援しています。
 知事、若者や学生が最も多い東京都こそ、若者・学生政策推進局など、担当組織を設置し、声を反映することが必要ではありませんか。
 こども基本条例第八条は、都は、子供の学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、子供の可能性を最大限に伸ばすことができるよう、一人一人の個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備を図る、子供に寄り添ったきめ細かな支援に取り組むと定めています。
 知事は、条例第八条の重要性をどう考えていますか。
 都教育委員会が昨年度の公立小中学校の長期欠席の状況を発表しました。不登校の子供の数は八年連続で増加し、一万七千六百八十八人、九年前の二倍以上になっており、極めて深刻です。
 不登校は、過度に競争的で管理的な学校社会から自分の心と命を守るための緊急避難、自己防衛ともいわれ、文科省も、どの子にも起こり得るものと認めています。
 不登校の子供が、小中学生ともこれほど増え続けていることを知事はどう受け止めていますか。
 都の資料によれば、不登校の最も多い要因は、無気力、不安ですが、子供たちの多くは、登校しなければならない、進学や進路に不利になると頑張って登校し、心身とも疲弊して不登校になります。
 成績などで競争させられ、校則で管理される学校生活のプレッシャーなど、学校現場の要因を分析して改善を図るべきではありませんか。
 不登校となった子供たちに学校復帰を求めるだけでなく、様々な学びの場を保障することが重要です。見解を伺います。
 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの役割も重要です。人数を増やすとともに、研修の充実が必要です。いかがですか。
 何よりも子供たちが行きたくなる学校にすることが重要です。文科省の不登校児童生徒への支援の在り方について、各知事と教育長宛ての通知では、きめ細やかな指導が可能となるよう、適切な教員配置を行うことが必要と述べています。
 東京都市教育長会も、三十五人学級の前倒し等を国に要請するよう都に求めています。教育長会からの要望をどのように受け止めていますか。都として、小学校の三十五人学級前倒し実施を求めます。また、不登校加配教員の拡充が必要です。いかがですか。
 国は、今年九月、特別支援学校の設置基準を制定しました。教育条件を改善する上で大きな意義があります。
 しかし、これは最低基準です。この基準を踏まえ、障害者権利条約の障害のある人の最大限の発達と社会参加を保障する第二十四条にふさわしい条件整備を図ることが重要です。知事、いかがですか。
 教室をパーティションやカーテンで仕切り、一つの教室で学年の異なる生徒が学ばざるを得ない事態が続いています。音楽室など特別教室を普通教室に転用する状況も解消されていません。それぞれの教室数をお答えください。
 また、校舎や校庭が国の基準を満たさない学校は何校ですか。こうした状況は、一日も早く解消する必要があります。いかがですか。
 都は、今定例会に特別支援教育推進計画の実施計画素案を示しました。知的障害児の数は、十年後に約二千八百人増えるとされています。学校の新規建設や増改築等にどう取り組むのですか。一校二百人程度として、十校以上は増設が必要ではありませんか。
 生徒数三百人、四百人を超える大規模化に歯止めがかかっていないことも問題です。通学しやすく、落ち着いた小規模な特別支援学校の増設を求めます。そのために、全庁的に位置づけて、土地を洗い出して活用すべきです。見解を伺います。
 気候危機の打開は急務です。若者たちが行動に立ち上がっています。若者に残された時間は少ない、未来の自分が苦しんでいる姿を想像すると眠れないと訴えています。この若者たちの危機感を知事は共有していますか。
 COP26では、気温上昇を一・五度に制限する努力を追求することが初めて合意されました。
 イギリス、フランス、ドイツなど四十六の国と地域が石炭火力を段階的に廃止する宣言に賛同する中で、岸田首相は脱石炭に触れず、批判を招き、国際NGOから化石賞を贈られました。我が国政府の姿勢を、元環境大臣である知事はどう考えていますか。恥ずかしいと思いませんか。
 東京都が本気で脱炭素化を目指すというなら、知事が先頭に立ち、全庁一体となって取り組む局横断の気候危機対策本部をつくり、気候危機対策予算を抜本的に増やすことが必要です。知事、いかがですか。
 来年度に向け、消防庁は太陽光パネルの既存施設への設置を、環境局は既存都営住宅への設置を予算要求しています。全庁的指針をつくり、軽量パネルなども活用して、既存都有施設への太陽光パネル設置を促進すべきです。
 また、都内全自治体で、所有施設への太陽光パネルの設置も一気に進めるべきです。そのための財政支援の拡充を求めます。見解を伺います。
 補正予算案で、東京ゼロエミ住宅導入促進事業の予算を増やし、対象戸数を拡充したのは重要です。来年度予算でも増額、拡充すべきです。答弁を求めます。
 省エネ、再エネによるゼロエミ化を、新築、既存を含め、都営住宅でこそ率先して進めることを提案しますが、いかがですか。
 我が党は、首都直下地震などの被害想定見直しを進めている東京都防災会議地震部会長の平田直東大名誉教授から話を伺いました。平田氏は、高齢化や単身化、タワーマンション開発など、都内の状況の大きな変化をリアルに捉えた被害想定にすることを強調されました。
 都政新報のインタビューでは、東京が十年前より安全になっているとはいえないと述べています。
 同時に、死者数や建物被害などを中心とした従来の被害想定に加え、例えば災害関連死や長周期地震動による高層階被害など、都民がより実感を持って理解し、行動できる被害想定にすることが重要だと指摘されました。
 被害想定の見直しは、こうした指摘を踏まえて行うことが重要です。さらに、新たな被害想定を反映した地域防災計画に改定し、都の責務を明確にすることを求めます。知事、いかがですか。
 都は今年度、戸建て住宅の耐震化助成の上限額を引き上げ、区市町村の申請に基づく来年度予算案の見積り件数が前年度より増えています。この事実も踏まえ、助成額のさらなる引上げなど、区市町村や住民が使いやすい制度へさらに改善することが必要です。
 また、地震による通電火災を減らすため、区市町村が行う感震ブレーカー設置への助成を支援すべきです。見解を求めます。
 激甚化、頻発化する災害への対応力を強化するため、防災局の設置を提案します。答弁を求めます。
 横田基地にも度々飛来する米軍三沢基地所属のF16戦闘機が青森空港に緊急着陸し、着陸前に上空で燃料タンク二個を投棄しました。そのうち一つは、民家の近くに落下しました。青森県知事は、厳重に抗議しています。
 その翌日、横田基地所属のCV22オスプレイが千葉県館山航空基地に緊急着陸しました。横田基地のオスプレイは、これまでもエンジントラブルなどで山形空港や仙台空港に緊急着陸を繰り返しています。相次ぐ事故の背景には、日米合同の訓練の激化があります。
 重大事故が、人口密集地の横田基地周辺をはじめ、都内で起きる可能性もあります。米空軍によれば、CV22オスプレイの重大事故率は、三年連続右肩上がりです。都としても、F16の重大事故及び飛行再開に厳重に抗議するとともに、CV22オスプレイなど米軍機の横田基地での飛行中止を求めるべきです。知事の答弁を求めます。
 私の地元世田谷区をはじめ、都内では、米軍ヘリが危険な低空飛行を繰り返しています。世田谷区長は、区長会に二十三区内の低空飛行の実態調査を提起し、実施されました。世田谷区の調査結果には、早朝六時四十分頃から二機の米軍ヘリが爆音を立てて低空飛行、騒音の苦情五十件など、実態が記載されています。
 ところが、都が保有する区長会の調査結果を我が党が情報公開請求し、開示されたのは、全面黒塗りでした。貴重な調査結果です。区長会とも協議して、調査結果を公表し、危険な低空飛行の中止を米軍に厳しく求めるべきです。知事、いかがですか。
 米軍に航空法など日本の国内法を守らせる、基地内への立入調査を認めさせるなど、日米地位協定の抜本改正は、いよいよ緊急課題です。知事はどう認識していますか。具体的にどう行動するのですか。
 次に、外環道工事についてです。
 陥没事故から一年になります。新たな重大問題が浮かび上がっています。
 芝浦工大の稲積真哉教授が九月に行った調査で、本線ルート上から数十メートル離れた地点で、家を建ててはならないレベルの緩んだ地盤が発見されました。稲積教授は、振動が地盤に与えた可能性があるとしています。この調査結果は、有識者委員会の報告書にはなく、見逃されていました。
 知事、国と事業者が設置した有識者委員会ではなく、完全な第三者による検証が必要ではありませんか。
 国と事業者は、工事による振動や低周波の発生を建物被害や健康被害の原因と認めていません。都として調査すべきです。いかがですか。
 有識者委員会のずさんな調査報告を基に事業認可の継続をすべきでなかったことは明らかです。事故現場は現在、支持地盤といわれる固い地盤がないことが分かっています。都はそのことを把握していますか。
 我が党国会議員団の聞き取りに対し、国交省の担当者は、こうした緩んだ地盤が認可前に確認されれば、認可は難しいと答えています。
 そもそも外環道工事の環境アセスでは、本線直上のボーリング調査は行われていません。当時、支持地盤の特定は、事故現場から二百五十メートル以上離れた地点のボーリングに基づいて行われています。
 このような不十分な調査に基づいて事業認可した国と東京都の責任が厳しく問われます。知事、事業認可も認可継続もしてはならなかったのではありませんか。認可を取り消すべきです。答弁を求めます。
 外環と同じ大深度地下シールド工法で、リニア新幹線の工事が都内でも始まっています。品川区の現場では、今年度中にシールドマシンを実際に三百メートル動かす予定です。
 JRは調査掘進だと称していますが、民有地の下まで掘り進む、事実上の掘進工事開始ではありませんか。反対する住民の声に耳を傾けるべきです。都はどう認識していますか。
 岐阜県、静岡県の崩落事故、外環道工事の陥没、空洞事故の検証も不十分なまま、都内のリニア新幹線工事を始めるべきではありません。
 大深度法第七条は、大深度地下の適正かつ合理的な利用を図るため、大深度地下使用協議会の設置を定めています。小池知事は協議会の委員です。
 ところが、こうした重大局面なのに、協議会が開かれていません。知事、早急に開催を求めるべきではありませんか。
 都は、東京ベイまちづくり戦略のたたき台を発表しました。東京、千葉を結ぶ第二東京湾岸道路の建設をはじめ、築地、有明、お台場など、臨海地域全体の巨大開発計画です。
 知事は、所信表明で、世界のモデルとなる未来の都市づくりなどと述べましたが、壮大な無駄遣いを生み出し、大手ディベロッパー、開発事業者が利益を得るために描く夢物語ではありませんか。
 都は、かつてばら色に描いた臨海副都心開発に失敗し、都民に巨大な負の遺産をもたらしました。知事は、その教訓をどう考えているのですか。
 東京ベイまちづくり戦略は、官民連携チームの提案を参考にするとしています。この提案には、IR、カジノの誘致が盛り込まれています。知事、IR、カジノの具体化も考えているのですか。
 この戦略では、築地市場の跡地が陸の玄関口とされ、巨大開発の種地にされようとしています。二〇一七年都議選のとき、知事が表明した築地は守るの公約と全く違う姿になることを知事はどう考えているのですか。当時から想定していたのではありませんか。
 知事は、未来への投資だといいますが、五輪終了と同時に動き出した東京ベイまちづくり戦略などによる新たな巨大開発への財政投入はやめるべきです。
 そして、コロナ禍で都民の暮らしが深刻な中、地方自治体の本来の仕事である住民福祉の増進に都政の力を注ぐべきではありませんか。答弁を求めます。
 最後に、情報公開について質問します。
 都民の声窓口に寄せられた都民意見など、以前は開示されていたものが、最近、非開示扱いにされました。さらに、新たな問題が起きました。
 都が情報公開の要綱を変え、非開示部分の従来の黒塗りを白塗りにできるようにしたことに疑問の声が上がっています。
 知事は、非開示部分を白塗りに変えたら、ノリ弁をなくすという公約実現だと考えているのですか。単なる印象操作ではありませんか。非開示そのものを減らすことが、知事の公約ではないのですか。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 里吉ゆみ議員の代表質問にお答えいたします。
 都立病院、公社病院の独法化についてのお尋ねでございます。
 感染状況が大変厳しい中で、都立、公社病院は、コロナ患者の受入れに全力を挙げて取り組んでいました。
 感染状況の変動が著しく、臨機応変な対応が求められる今回のコロナ対応を踏まえますと、感染状況に応じた対応や、また、新たな感染症への備えなど、感染症医療提供体制のさらなる強化は急務であり、コロナ禍におきましても、独法化の準備を進め、早期に体制を整備することといたしました。
 オミクロン株への対応についてのお尋ねです。
 都はこれまで、新たな変異株の発生の都度、変異の有無を確認するためのPCR検査を実施してまいりました。
 今回取りまとめました緊急対応におきまして、東京都健康安全研究センターが独自に構築した変異株PCR検査手法によって、持ち込まれた検体は全て検査をいたしております。
 今後とも、検査手法の民間検査機関への拡大など、変異株PCR検査を進めてまいります。
 次に、都民、事業者等の暮らしについてのお尋ねであります。
 コロナ禍や原油高の影響を受けて、厳しい経営状況にある事業者や、失業等により生活に困窮する方がおられ、こうした方々を支援することは、感染症対策とともに重要な取組でございます。
 今回の補正予算案には、都民生活や経済活動を支えるセーフティーネットの強化を図るために必要な様々な経費を計上しておりまして、引き続き、都民や事業者の方々の生活の安定に取り組んでまいります。
 中小事業者の経営状況についてでございます。
 都内の感染状況は低い水準にとどまっておりまして、経済の回復に向けました期待は高まりつつある一方で、長期にわたるコロナ禍の影響などによって、中小事業者の経営は厳しい状況にございます。
 このため、都は、資金繰りの支援を行うほか、専門家が助言を行うサポートなどによりまして、中小企業の事業の継続を後押ししております。
 引き続き、都内経済を支える中小事業者の経営を着実に支援をしてまいります。
 次に、こども基本条例についてのお尋ねです。
 子供は、無限の可能性を秘めた未来を担う社会の宝であります。
 都は、未来の東京戦略におきまして、子供施策を中核に位置づけて、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援など多様な取組を展開しております。
 子供をあらゆる場面において権利の主体として尊重するこども基本条例の理念も踏まえまして、子供の目線に立った施策を推進してまいります。
 こども基本条例第八条についてのお尋ねです。
 子供たちの学ぶ権利を尊重し、社会全体で成長を支えていくことで、子供たちは、未来の社会の担い手として生き生きと活躍していく、こうした考え方で、誰一人取り残さず、全ての子供が将来への希望を持って自ら伸び、育つ教育を実現してまいります。
 不登校の子供が増えていることについてであります。
 学校に通えない子供が増加している要因や、また、背景は多様かつ複合的でありまして、教育のみならず、福祉などの視点も含めまして、様々な関係機関の協力を得て施策を講じていくことは重要です。
 今後とも、社会全体が一体となって、未来を担う子供たちを大切に育んでまいります。
 次に、気候危機への対応です。
 気候危機への対処は、一刻の猶予も許されないものであります。持続可能な社会経済を実現して、将来世代に引き継いでいくためにも、今後十年間の行動が極めて重要であります。
 このため、都は、二〇三〇年カーボンハーフを掲げ、現在、環境審議会におきまして、未来を担う若者等、多様な立場からの意見も聞き、施策の抜本的強化に向け、検討しております。
 タイム・ツー・アクト、今こそ行動を加速するとき、都民、企業、行政等あらゆる主体に行動の加速を呼びかけまして、ゼロエミッション東京を実現してまいります。
 被害想定と地域防災計画の見直しについてのお尋ねです。
 東日本大震災後の十年間、高齢化の進展など人口構造が変化する一方で、地震に強いまちづくりが着実に進展をしております。こうした状況を踏まえて、今般、被害想定を見直すことといたしました。
 都民生活に直結する項目や、救出救助活動において重要な項目につきまして、発災後の時間軸に沿った被害の状況を示してまいります。
 新たな被害想定の見直しを地域防災計画の修正につなげてまいります。
 F16の事故及び米軍機の横田基地での飛行中止についてのお尋ねがございました。
 今回のF16の事案は、青森県三沢基地所属の航空機により、青森県内で発生したもの。この緊急着陸及び燃料タンクの投棄につきまして、国は、住民の安全に関わる極めて遺憾な事案であるとしまして、安全を最大限優先することや、飛行の安全が確認されるまでの間のF16の飛行停止などを米軍に強く申し入れています。
 横田基地所属のCV22オスプレイの館山航空基地への予防着陸に対しましては、都は、地元自治体と共に国及び米軍に対しまして、安全確認までの間のCV22オスプレイの飛行中止等について要請を行っております。
 今後も都民の命や安全・安心を守る立場から、国や米軍に対しまして、必要なことを申し入れてまいります。
 東京ベイeSGまちづくり戦略でありますが、国の発展を牽引することが首都東京の果たすべき使命でありまして、その中にあって、ベイエリアは世界から人と投資を呼び込み、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京をリードするエリアとして発展させることが重要であります。
 先般公表いたしましたドラフトでは、次世代の都市モデルとなる成長戦略として、質の高い緑と魅力的な水辺の空間の形成、防災減災対策の推進、まちの魅力や活動の基盤となる移動手段の充実などを示しております。
 まちづくり戦略の具体化に当たりましては、国をはじめ、地元区、民間企業など様々な主体とも連携するとともに、民間の創意工夫を生かした都市開発を誘導するなど、ベイエリアの将来像の実現に向け取り組んでまいります。
 その他のご質問については、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 九点のご質問にお答えいたします。
 初めに、学校における不登校の要因の分析についてでございますが、不登校は取り巻く環境によって、どの子供にも起こり得ることとして捉える必要がございます。
 都教育委員会が実施している調査の中で、子供の意識を踏まえた教育活動の改善を行っているかなどの項目を設定しており、これらを踏まえ、区市町村の担当者の連絡会において、学校の取組の情報を共有し、不登校対策につなげております。
 次に、不登校の子供への多様な学びの場についてでございますが、子供たちが将来、社会的に自立できるようにするためには、一人一人の状況に応じた多様な教育の機会を確保することが大切であります。
 都教育委員会では、分教室型の不登校特例校を開設する場合や、教育支援センターを区市町村が新規に設置する場合に、経費の一部を補助しております。また、フリースクール等との連携を推進するための協議会を実施しております。
 次に、心理や福祉の専門家の活用についてでございますが、都教育委員会は、全ての小中高等学校にスクールカウンセラーを配置するとともに、平成二十八年度からは、勤務日数を拡充してまいりました。
 スクールソーシャルワーカーにつきましては、区市町村が策定する配置計画に沿って経費を補助しております。
 また、引き続き連絡会において、学識経験者による講演や参加者同士の協議を通して学び合う場を設定し、対応力の向上を図ってまいります。
 次に、小学校の三十五人学級等についてでございますが、義務教育における一学級の児童生徒数の標準は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により定められており、国は、小学校について、今年度から、学級編制を五年かけて学年進行で三十五人に引き下げることとしました。
 東京都市教育長会から要望のあった小学校の三十五人学級の前倒しを国に要請すること等について、都教育委員会は、義務教育における学級編制を教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えており、引き続き国の動向を注視してまいります。
 次に、不登校の生徒への支援に伴う教員の加配についてでございますが、都内公立学校では、管理職、学級担任、養護教諭等の教職員が、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家や、福祉等の関係機関と適切に連携して、児童生徒や保護者を支援しております。
 都教育委員会では、生徒の状況に応じたきめ細かい対応ができるよう、必要な中学校に教員の加配を行っております。
 引き続き、必要な教員の加配により、学校が組織的な支援体制を構築し、適切に対応できるようにしてまいります。
 次に、特別支援学校における施設の整備についてでございますが、障害のある子供の能力を最大限に伸ばしていくためには、子供たちの学びの場となる教育環境の整備が重要です。
 このため、これまでも、特別支援学校の新設や増改築、教室や体育館の冷房化など、施設の整備を図ってまいりました。
 国の設置基準も踏まえつつ、今後とも、障害のある子供たちの教育環境を整えてまいります。
 次に、特別支援学校における施設の状況についてでございますが、令和三年五月一日現在、特別支援学校において、間仕切りを行っている普通教室は百七十八教室、特別教室等の普通教室への転用は三百七十四教室でございます。
 また、国の設置基準は、令和五年四月一日以降に着工する学校に適用されるものでありますが、既存の学校に適用したとする場合、校舎面積が基準面積を下回る特別支援学校は二校、校庭面積が基準面積を下回る特別支援学校は四十一校でございます。
 今後とも、児童生徒数の将来推計等を踏まえ、特別支援学校の新設や増築、老朽校舎の改築等を行ってまいります。
 次に、今後整備を行う特別支援学校についてでございますが、都教育委員会が公表した東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)におきましては、令和四年度以降、特別支援学校五校の新設と五校の増改築等を予定しているところでございます。
 また、同素案に示したとおり、新たに必要な新設校や増改築等について、現在検討中でございます。
 最後に、特別支援学校の増設と土地の確保についてでございますが、都教育委員会は、児童生徒数の将来推計を踏まえ、都有地等の最新の情報を基に、配置のバランス等を勘案しながら、必要な学校用地の確保に努めております。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 九点のご質問にお答えをいたします。
 まず、住宅耐震化につきましては、これまでも必要な見直しを行いながら、改修助成などによりまして、所有者の主体的な取組を支援してきております。
 引き続き、住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、区長会調査結果と低空飛行中止についてでございます。
 区長会調査結果の開示請求につきましては、区長会に意見照会の上、東京都情報公開条例第七条の規定に基づき対応しております。
 安全保障に関することは、国の専管事項であり、米軍機による低空飛行につきましても、国において対応されるべきことであることから、都は、国への提案要求におきまして、従前から市街地上空での低空飛行の回避を求めております。
 また、国からは、米軍の運用に際しましては、安全性が最大限確保されることは極めて重要であり、米国にあらゆるレベルで累次にわたり申し入れていると聞いております。
 都といたしましては、国における事実関係の確認結果を踏まえ、必要に応じ、適切に対応してまいります。
 次に、日米地位協定の見直しについてでございます。
 日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、補足協定などにより運用の改善が図られているものの、国内法の米軍への適用がないなど、我が国にとって依然として十分とはいえない状況でございます。
 都はこれまで、国への提案要求のほか、全国知事会や米軍基地所在の都道府県で構成する渉外知事会を通じて、最低安全高度等を定めた航空法など日本の国内法の適用や、環境に影響を及ぼす事故が発生した場合の米軍基地への立入調査など、日米地位協定の見直しを国に求めてきております。
 引き続き、知事会等を通じて他の自治体とも連携し、日米地位協定の見直しを国に要請してまいります。
 次に、外環の事業認可についてでございます。
 都ではこれまで、高速道路会社に対し事業計画の認可及び変更認可を行い、いずれも都市計画法に定める基準に基づき、適切に対応しております。
 なお、外環では、地盤状況を把握するため、ボーリング調査に加えて物理探査を実施し、ボーリング調査地点間に地盤急変部が存在しないことを事業者において確認しております。
 次に、リニア中央新幹線のトンネル工事についてでございます。
 本事業の事業者であるJR東海は、シールド工事の本格的な掘進に先立ち、安全対策の実地確認を主眼に置いた調査掘進を行うとし、本年十月から作業に着手しております。
 調査掘進の範囲にある民有地は、JR東海や他の企業の用地でございまして、当該企業の理解を得て、作業を行っていると聞いております。
 なお、調査掘進での確認結果につきましては、結果がまとまり次第、計画路線周辺の住民の方々へ説明し、その上で本格的な掘進を開始するとしております。
 都といたしましては、事業者であるJR東海が安全対策を講じるなど、適切に対応していくものと考えております。
 次に、大深度地下使用協議会の開催についてでございます。
 本協議会は、議長である関東地方整備局長が招集するとされておりまして、対象となる議題等については、国において判断することでございます。
 次に、臨海地域のまちづくりについてでございます。
 臨海副都心は、臨海地域の都市づくりの計画などに基づき、世界中から人、物、情報が集まるMICE、国際観光機能が集積し、国内外の人々でにぎわうエリアとして発展してきております。
 東京ベイeSGまちづくり戦略は、世界から人と投資を呼び込み、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京をリードするベイエリアとして発展させていくための、次世代の都市モデルとなる成長戦略であり、その将来像の実現に向け、取り組んでまいります。
 次に、官民連携チームの提案についてでございます。
 まちづくり戦略の検討に当たりましては、若手の研究者や職員などが自由な発想で取りまとめた官民連携チームの提案を参考にしております。
 一方、まちづくり戦略は、東京二〇二〇大会の成功、気候危機、新型コロナ危機も踏まえ、次世代の都市モデルとなるベイエリアの成長戦略として策定するものでございます。
 なお、IRにつきましては、都は、メリット、デメリットの両面から総合的に検討しております。
 最後に、築地市場跡地についてでございます。
 平成二十九年六月に知事が基本方針でお示ししたのは、豊洲と築地の両方を生かすことを趣旨とする大きな方向性であり、豊洲と築地の両方を生かすという大きな方向性については変わっておりません。
 この基本方針をベースとして、これまで行政の取組として具体化を図るための検討を進め、今回実施方針の方向性を公表したものでございます。
〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地方独立行政法人法の適用についてでございますが、地方独立行政法人法に基づき設立される東京都立病院機構には、同法第三十条の規定が適用されます。
 この規定は、中期目標期間の終了時までに設立団体の長が地方独立行政法人の業務の継続や組織の存続など全般にわたる検討を行うことを明示的に定め、必要に応じて所要の措置を講ずることを趣旨としてございます。
 次に、地方独立行政法人に関する法制度についてでございますが、地方独立行政法人法では、地方自治法に定める住民監査請求や住民訴訟については規定がございません。
 一方、都から地方独立行政法人への財政支出などについては、都の財務会計上の行為に対して、地方自治法上の住民監査請求等を行うことができます。
 また、議会の関与につきましては、中期目標の策定や中期計画の認可等における議会の議決、評価結果の議会への報告が法定されているとともに、都が措置する運営費負担金などの予算、決算の議決がございます。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ワクチン・検査パッケージ等に伴う検査についてでございます。
 国は、無料検査の対象を、無症状者のうち、健康上の理由によりワクチン接種を受けられない者及び十二歳未満の子供としております。
 都は、この国の方針に沿いまして、検査無料化の取組を進めてまいります。
 続いて、モニタリング検査についてのご質問でございます。
 都は、感染の予兆を早期に探知するため、繁華街など様々な場所で実施をしておりまして、来年三月まで継続することとしております。
 続きまして、高齢者施設等における集中的検査についてのご質問でございます。
 既に来年三月まで引き続き実施することとしておりまして、現在、契約手続を進めているところでございます。
 次に、今後の感染拡大への対応についてでございます。
 都は、病床の確保に加えまして、これを補完する臨時の医療施設を、地域バランスや既存施設の活用などを考慮して整備を進めておりまして、合計で約九千四百四十床の体制を確保し、次の感染拡大に備えております。
 また、東京都医療人材登録データベースを設置し、人材確保にも取り組んでおります。
 最後に、病床確保料についてでございますが、都は、受入れ実績や病床使用率が低い医療機関に、個別のヒアリングや書面による理由確認を実施しており、国による通知も踏まえ、引き続き補助金に関する業務を適切に執行してまいります。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、モニタリング会議についてですが、現在、都内の感染状況や医療提供体制は改善傾向が継続しておりますが、第六波に備え、感染状況等を専門家が分析、評価し、感染再拡大の兆候などを見逃さないことが重要でございます。
 こうした状況を踏まえまして、日々の感染状況等を専門家がモニタリングし、その分析結果や評価を毎週木曜日に公表するとともに、モニタリング会議を月に二回開催することとしたところでございます。
 次に、モニタリング会議の今後の開催についてですが、感染の再拡大等の兆候が見られた場合には、専門家の意見を踏まえて、モニタリング会議の開催回数を含め、状況に応じて適切に対応してまいります。
 次に、感染症対策に係る執行体制についてですが、都はこれまで、新型コロナウイルス感染症対策本部の下で、全庁を挙げた職員の応援体制を構築するとともに、昨年七月、東京における感染症対策等の基盤を強化するため、福祉保健局に健康危機管理担当局長と感染症対策部を新規に設置したところでございます。
 また、今年度には、東京iCDC運営、防疫体制、保健所連携支援などについて、執行体制を大幅に強化してきたところでございます。
 引き続き、感染症対策等に係る万全の体制を確保してまいります。
 次に、ジェンダー統計についてですが、総務省が平成三十年三月に策定しました公的統計の整備に関する基本的な計画におきましては、施策上のニーズを踏まえ、可能な限り性別ごとのデータを把握し、年齢別、都道府県別にも把握、分析に資する統計の作成、提供を推進するとされているところでございます。
 都は、こうした国の方針を踏まえて、様々な統計業務を実施しており、今後も適切に対応してまいります。
 次に、性犯罪等被害者を支援する窓口についてですが、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターでは、都内全域からの電話相談を受け付けており、被害等の状況に応じて、都が協力を依頼している医療機関と連携し、支援を行っているところでございます。
 被害者がより身近な地域で受診できますよう、本年二月に策定した第四期支援計画では、連携先を百三十か所に拡大する目標を掲げるなど、支援センターの機能向上を図ることとしております。
 次に、学生、若者施策の推進体制についてですが、都は、若者等からの仕事や生活支援等の相談に対して、各所管局がきめ細かく対応しているところでございます。
 また、必要に応じて、都内にある専門の窓口や支援機関等につなぐなど、国や各関係機関と緊密に連携を図り対応しております。
 今後とも、都政を取り巻く状況変化等を見据え、適切な執行体制の確保に努めてまいります。
 次に、感震ブレーカーの設置助成についてですが、感震ブレーカーは、電気火災防止に一定の効果がある一方、揺れと同時に電源が遮断されることによる避難路の確保などの課題がございます。
 また、火災による被害を防止するためには、初期消火力の強化や建物の不燃化などを合わせた多面的な取組を進めることが重要でございます。
 このため、東京都防災ホームページなどにおいて、感震ブレーカーだけではなく、漏電遮断器や消火器の設置、建築物の耐火性向上への支援など様々な防火対策を周知しているところでございます。
 最後に、防災の組織体制強化についてですが、首都直下地震等の大規模な災害が発生し、または発生するおそれがある場合におきましては、直ちに知事を本部長とする災害対策本部を設置し、全庁を挙げて災害対策を行う体制を整備しているところでございます。
 また、平時から、災害種別ごとに地域防災計画の策定や総合防災訓練の実施など、全庁横断的に防災事業を行っております。
 引き続き、各局連携の下、防災施策に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 十二点のご質問にお答えします。
 まず、多摩地域の東京都保健所についてであります。
 都ではこれまでも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、保健師の増員、応援職員の配置、会計年度任用職員等の活用、業務の委託化など、体制強化や負担軽減に取り組んでおりまして、引き続き、感染状況に応じ、体制の確保を図ってまいります。
 なお、今後、感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、その在り方について検討していくこととしております。
 次に、公衆衛生医師の養成についてであります。
 都ではこれまでも、都内の医科大学で公衆衛生医師の業務に関する講義を行うとともに、保健所での実習の受入れや保健所業務説明会などを実施しております。
 また、国に対し、医師養成等において保健所での研修を必修とすることを提案要求しているところでございます。
 なお、将来、保健所に勤務しようとする医学生を対象に実施しておりました修学資金貸与は、社会情勢の変化等による貸与者数の低迷を受けまして、平成十一年度で終了しております。
 今後とも、多くの医学生が公衆衛生医師の業務に関心を持つ機会を提供してまいります。
 次に、生活に困窮されている方等への対応についてでございます。
 都ではこれまでも、様々な機会を通じて、コロナ禍の影響等により住まいを失うおそれのある方や、生活に困窮されている方々の状況を把握しております。
 今回の補正予算案においても、年末年始に支援を必要とする女性のための相談体制の拡充や、失業等により住まいを失った方への宿泊場所の提供に必要な経費を計上しておりまして、引き続き、きめ細かな支援を図ってまいります。
 次に、支援の手法についてでございます。
 都ではこれまでも、自立支援センターや、ひきこもりサポートネットなどの支援機関等において、巡回相談や訪問相談などのアウトリーチによる支援等を行っておりまして、引き続き、様々な手法で支援してまいります。
 次に、生活困窮者に対する給付金制度についてであります。
 先月十九日に公表された経済対策に盛り込まれている子育て世帯や非課税世帯への給付金等につきましては、現在、国においてその制度の詳細を検討しているところでございます。
 都としては、区市町村による給付が円滑に進むよう対応してまいります。
 次に、国民健康保険についてであります。
 国民健康保険制度では、都道府県は、見込んだ保険給付の必要総額から、国や都道府県の公費等を差し引いて、区市町村の納付金総額等を算出することとされております。
 保険料、税の賦課方式や料率は、区市町村が自ら定めるものでありまして、それぞれの議会での議決を経て決定されております。
 都といたしましては、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づく財政支援を行っているところであります。
 次に、子供の均等割保険料についてであります。
 国民健康保険制度は全国統一の制度でありまして、子供に係る均等割保険料の軽減措置を含め、その制度上の課題については、国が責任を持って対応すべきものであると考えております。
 国は、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、未就学児に係る均等割保険料を令和四年度から軽減することとしております。
 都は国に対し、全国知事会等を通じて、子育て世帯の負担を軽減するという趣旨に鑑み、対象年齢の拡大とそれに必要な財源措置を行うよう要請しているところであります。
 次に、TOKYOチャレンジネットについてであります。
 都は、ネットカフェで寝泊まりしながら不安定な就労に従事している方々を支援するため、TOKYOチャレンジネットを設置し、居住支援や就労支援などを一体的に提供しております。
 昨年度から、必要な都度、補正予算により経費を確保し、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、失業等により住まいを失った方に一時的な宿泊場所を提供するなど、事業を拡充しており、引き続き感染状況や社会経済動向に応じ、適切に対応してまいります。
 次に、住居確保給付金についてであります。
 住居確保給付金は、区市等が離職等により住居を喪失するおそれのある方に家賃相当分の給付金を支給するものでありまして、新型コロナウイルス感染症を受け、国において支給要件の緩和や支給期間の延長等が行われております。
 引き続き、区市等と連携して対応してまいります。
 次に、子供の権利を尊重した施策についてであります。
 都では、子供・子育て施策推進本部の下に設置した施策推進連携部会において、子供を権利の主体として尊重するこども基本条例の理念を共有し、各局が連携して、子供の目線に立った取組を展開しているところであります。
 次に、こども基本条例の周知についてであります。
 都では、条例成立後、区市町村や関係機関等に条例の内容を説明するほか、ホームページで広く周知しております。
 引き続き、子供をはじめ都民に対し、条例を分かりやすく周知してまいります。
 最後に、子供の意見表明についてであります。
 都では、こども基本条例に基づき、関係局が連携して施策を推進するため、子供・子育て施策推進本部の下に二十二局から成る部会を設置しております。
 この部会において、子供を対象とした広報広聴等の状況を共有しており、条例の趣旨を踏まえ、子供の意見を施策に反映する環境の整備を進めてまいります。
〔主税局長砥出欣典君登壇〕

○主税局長(砥出欣典君) 消費税の減税についてでございますが、先月、内閣府が発表した月例経済報告によりますと、景気は新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さが見られるとされております。
 一方、持続可能な社会保障制度の構築を図るには、安定財源の確保が必要であり、消費税は重要な役割を果たしております。
 消費税の在り方につきましては、こうした点に加え、経済や国民生活に与える影響など様々な観点を踏まえながら、国において議論されるべき問題であると認識しております。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の増設についてでございますが、都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。
 これからも既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 次に、都営住宅の省エネ、再エネの取組についてでございますが、現在、建て替え住棟では、いわゆる住宅の品確法に定める断熱性能につきまして、最上位の等級四とするとともに、高効率な給湯器や共用部のLED照明の採用と併せ、原則全ての住棟に太陽光発電設備を整備しております。
 また、既存住棟につきましては、共用部の照明をLED化するとともに、設置可能な住棟に太陽光発電設備の設置を進めております。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 中小、小規模事業者への支援についてですが、都はこれまで、感染症の影響を受ける事業者に十分な支援を行うよう、国に対し、様々な給付金の再開などについて要望を行ってまいりました。
 また、コロナ禍により打撃を受けた飲食事業者に対して、専門家による助言を行い、新たな事業展開に必要となる経費に助成するとともに、国の月次支援金等を受けた中小企業に対して、販路開拓に必要な経費の助成も行っております。
 こうした取組により、引き続き中小企業の事業継続に向けた支援を行ってまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ジェンダー平等に関する認識についてでございますが、全ての都民が性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会づくりは重要でございます。
 コロナ禍において、都は、困難な状況を抱える女性に対し、相談の拡充などを行ってまいりました。
 固定的な性別役割分担意識は、社会の中に今なお存在しており、今後も男女平等参画社会の実現に向け、取り組んでまいります。
 次に、ジェンダーの視点を基本に据えることについてでございますが、政策や施策の企画立案の段階から男女平等参画の視点を持って進めることは重要でございます。
 都は、男女が性別に関わりなく個人として尊重され、対等な立場で社会のあらゆる活動に参画し、責任を分かち合う男女平等参画社会の実現に向け、男女平等参画推進総合計画を策定し、幅広く様々な施策に取り組んでおります。
 最後に、情報公開についてでございますが、対象公文書の体裁によって、従来の方法のみでは開示部分と非開示部分の判別がしづらい事例があったことから、視認性の向上を図るために、非開示とする部分の表示方法を追加いたしました。
 情報公開の推進は重要でありまして、都はこれまでも、ICTを活用した積極的な情報提供を行うなど、様々な取組を進めております。
 引き続き、都民の負託に応えられるよう取り組んでまいります。
〔政策企画局長野間達也君登壇〕

○政策企画局長(野間達也君) 子供等の声の都政への反映についてでございますが、子供や若者の意見に耳を傾け、施策に生かしていく意義に鑑み、本年三月の未来の東京戦略の策定に当たっては、都内の小中学校で出前授業を実施するなどの取組を行ってきました。
 さらに、東京都こども基本条例が制定されたことを受け、夏に公表した重点政策方針におきまして、子供の参加等を通じた政策強化の方向性を示してございます。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、COP26における国の対応についてでございますが、COP26における岸田首相のスピーチでは、二〇五〇年カーボンニュートラルを新たに策定した長期戦略の下、実現していくことが表明されてございます。
 全国の電源構成などのエネルギー政策の在り方につきましては、国レベルで議論、検討がなされるべきものでございます。
 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けて、引き続き、脱炭素エネルギーである再生可能エネルギーの基幹エネルギー化を図ってまいります。
 次に、全庁一体となった気候危機対策についてでございますが、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、ビジネス、市民生活、都市づくりなど、あらゆる側面の社会経済構造を脱炭素型に移行していくことが重要でございます。
 このため、都は、二〇三〇年カーボンハーフスタイルを提起し、都民、企業、行政等あらゆる主体に行動の加速を呼びかけてございます。
 都庁自身も、多くのエネルギーを消費する事業者として、ゼロエミッション都庁行動計画の下、再エネの導入拡大など、率先行動を加速させてございます。
 今後も全庁を挙げて、あらゆる施策を総動員し、ゼロエミッション東京の実現に取り組んでまいります。
 次に、既存都有施設への太陽光パネル設置についてでございますが、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、大量のエネルギーを消費する都自身が隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギーの導入等の取組を一層強化していくことが重要でございます。
 このため、既に全庁横断的に既存施設への設置を進めていくための指針の策定に着手してございます。
 次に、都内自治体における太陽光パネル設置への財政支援についてでございますが、都は、東京の広域的な環境課題の解決に資する取組や、地域特性、地域資源を活用した環境面の取組を行う区市町村に対して財政支援を行う地域環境力活性化事業を実施してございまして、公共施設への太陽光発電設備の導入もその対象としてございます。
 これまで本事業につきましては、事業説明会や課長会等での説明や個別の意見交換等を通じまして、積極的な活用を促しており、今後もこうした取組を進めることで、区市町村を支援し、一体となってゼロエミッション東京の実現に努めてまいります。
 最後に、東京ゼロエミ住宅導入促進事業についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、住宅等建物の脱炭素化を図ることが重要でございます。
 このため、都は、住宅用地が狭小など、都の特性を踏まえて設定した都独自の基準を満たす住宅を新築する建築主に費用の一定額を助成してございます。
 また、既にゼロエミッション東京戦略二〇二〇 Update & Reportにおきまして、東京ゼロエミ住宅基準の多段階化を掲げてございまして、環境審議会等において、住宅の高断熱化等を一層促進するための検討を進めてございます。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、陥没事故の第三者による検証についてでございますが、外環事業は、国及び高速道路会社により事業が進められております。
 昨年十月に発生した陥没事故を受けまして、有識者で構成される委員会により、公正、中立な立場から技術的な検討が行われ、本年三月に報告書が取りまとめられております。
 また、現在事業者は、住民の不安払拭のため、入間川東側において追加の地盤調査を実施していると聞いております。
 都は、国など事業者に対し、引き続き丁寧な説明やきめ細やかな対応を行うよう求めてまいります。
 次に、工事による振動等に伴う被害についてでございますが、これまで事業者は、陥没箇所周辺の約千件に対する戸別訪問などによりまして、個々の事情を聴きながら、家屋の調査や補修を進めております。
 令和三年九月末現在で、補償対象地域内約千件のうち、約二百五十五件から家屋調査の相談があり、既に約二百件につきまして、家屋の補修等を実施中もしくは完了したと事業者から聞いております。
 また、健康被害等に対する補償につきましても個別に事情を丁寧にお伺いし、誠意を持って対応すると聞いております。
 都は、国など事業者に対し、住民の不安払拭に向け、引き続き丁寧な説明や、きめ細やかな対応を行うよう求めてまいります。
 最後に、陥没、空洞箇所周辺の地盤についてでございますが、有識者委員会におきまして、陥没、空洞箇所周辺のトンネル直上の一定の範囲に地盤の緩みが生じている可能性があるとされました。
 事業者は、その後の地盤調査等から、本年九月に、今後、地盤補修が必要となる範囲が約二百二十メートルの区間であるとしております。
 現在、事業者におきまして、地盤補修工事の実施に向けて、補修範囲の土地所有者等に仮移転などの相談をしながら施工方法等の検討が行われております。
〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 財政運営についてでございますが、都はこれまでも、子育て環境の充実や高齢者の暮らしへの支援などに加えて、コロナ禍にある都民を支えるセーフティーネットの強化にも取り組んでおり、今回の補正予算においても、孤立、孤独状態の方々への支援など、都民生活を守るために必要な対策を講じております。
 あわせて、東京の都市機能を支えるインフラ整備は、都民の利便性と東京の活力の向上などに不可欠でございまして、真に必要な取組は着実に進めていくことが必要でございます。
 今後とも、都民福祉の向上をはじめ、都政の諸課題の解決に向けまして、必要な施策に的確に財源を振り向けてまいります。
〔百四番里吉ゆみ君登壇〕

○百四番(里吉ゆみ君) 再質問します。
 初めに、都立、公社病院の独法化についてです。
 東京都は、独法については制度上のデメリットはないと答弁してきました。病院経営本部長は、都立、公社病院の独法化に地方独立行政法人法第三十条が適用されることを認めました。
 つまり、都立、公社病院を独法化すれば、業務や組織の廃止や民営化を含めた見直しを定期的に行わなければならなくなるのです。このことは独法化のメリットですか、デメリットですか、お答えください。
 次に、都立病院を独法化すれば、住民監査制度、住民訴訟制度の対象外となる、このことは独法化のメリットですか、デメリットですか。
 以上二問、端的にお答えください。
 次に、東京ベイまちづくり戦略について知事に質問します。
 こういう巨大開発は、一旦動き出すと容易に止めることはできません。大手ディベロッパー、開発事業者は利益にしがみついて、何としても進めようとします。
 臨海副都心開発の大失敗の総括もしないまま、総事業費も示さず、ばら色に描いて既成事実にするようなことはやめるべきです。知事、いかがですか。
 最後に、情報公開についてです。
 ノリ弁をなくす、非開示をなくすという知事の公約について質問しましたが、知事は答弁に立ちませんでした。
 知事、思い出してください。情報公開は、都政大改革の一丁目一番地ではないのですか。非開示そのものをなくすことが知事の公約ではないのですか。知事、ぜひお答えください。
 以上、四問の答弁を求め、再質問を終わります。(拍手)
〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 繰り返しのご答弁になりますが、法三十条の規定は、中期目標期間の終了時までに設立団体の長が地方独立行政法人の業務、組織の全般にわたる検討を明示的に定め、業務の継続を含めて所要の措置を講ずることを定めているものであり、廃止、民営化のみを前提とした見直しを行うという趣旨ではございません。
 独法化の目的は、行政的医療をはじめとした質の高い医療の安定的、継続的な提供などの役割を将来にわたって果たし続けることにございます。
 次に、これも繰り返しのご答弁になりますが、住民監査請求や住民訴訟は、地方自治法に基づき、地方公共団体の違法または不当な財務会計上の行為に対し、住民が監査等を求める制度でございます。
 一方、都から地方独立行政法人への財政支出などについては、都の財務会計上の行為に対して、地方自治法上の住民監査請求等を行うことができ、住民の監視等については担保されてございます。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 東京ベイeSGまちづくり戦略についての再質問についてお答えいたします。
 臨海副都心は、臨海地域の都市づくりの計画などに基づき、国内外の人々でにぎわうエリアとして発展してきております。
 国の発展を牽引することが首都東京の果たすべき使命であり、その中にあって、ベイエリアは世界から人と投資を呼び込み、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京をリードするエリアとして発展させることが重要でございます。
 まちづくり戦略は、東京二〇二〇大会の成功、気候危機、新型コロナ危機も踏まえ、次世代の都市モデルとなるベイエリアの成長戦略として策定するものでございまして、その具体化に当たりましては、国をはじめ地元区、民間企業など、様々な主体とも連携しながら、ベイエリアの将来像の実現に向けて取り組んでまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 情報公開についてでございますが、先ほど答弁したとおり、情報公開の推進は重要であり、都はこれまでも、ICTを活用した積極的な情報提供を行うなど様々な取組を進めており、引き続き、都民の負託に応えられるよう取り組んでまいります。

○議長(三宅しげき君) 百二十四番中村ひろし君
〔百二十四番中村ひろし君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○百二十四番(中村ひろし君) 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 知事は、六月下旬の一週間の過労入院に続き、十月二十七日から十一月二日までの一週間、過労で入院されました。その後も二週間に及ぶ静養をされておりましたが、回復をされたとのことで安堵しております。一部メディアでは、重病説が取り沙汰されるなどしました。
 そこで、私は、都政の最前線からいなくなる場合においては、不要な臆測を招かないよう、その理由や期間なども含め、十分に説明すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新たに選任された副知事に不満を申し上げるわけではありませんが、突然の交代が知事のどんな考え方や哲学に基づいているのか、極めて分かりづらかったことは事実です。
 副知事の交代に伴う局長人事も突然の異動により、都政への影響が避けられなかったのではないかという懸念が拭い切れません。改めて、任命権者たる知事の考え方を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 これから迎える感染症が流行しやすい冬場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止、懸念される第六波への備えには、南アフリカで確認されたオミクロン株という不確定要素も加わります。
 一方、私たちが繰り返し求めてきた東京都の新型コロナウイルス感染症対策の検証を、都はいまだに行ってはいません。
 検証のないまま迎えた今夏の第五波では、都が確保しているとしていた病床や宿泊療養施設は、実際には人手不足などから受入れができず、必要な医療等を受けることができずに亡くなる方も出ました。
 検査体制と医療、宿泊療養体制の確保に万全を期すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オミクロン株については、病原性、感染力、ワクチンや抗体カクテル療法等の効果などがいまだ明らかになっておらず、世界的に分析が行われている途上にあります。
 都は、ゲノム解析数を増やすとしています。しかし、現時点で不明な点があまりにも多いオミクロン株については、都内感染者の全数ゲノム解析を行い、把握漏れのないように対応するとともに、徹底した拡大防止策を取るべきと考えますが、見解を伺います。
 新型コロナについて、知事の所信表明では、今なお厳しい状況にある方々への支援についてはあまり言及がなく、寄り添う姿勢に欠けているといわざるを得ません。
 飲食店の時間制限は解除されましたが、客足は十分戻っていません。協力金は給付されましたが、融資を受けた金額の返済は厳しいものがあります。また、個人の福祉貸付金についても同様の問題があります。
 長引くコロナ禍で厳しい状況にある企業や都民を支えるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 がんの早期発見について、十一月二十五日、国立がん研究センターは、二〇二〇年に新たにがんの診断、治療を受けた件数が前年と比べ六万四百九件減ったとする調査結果を発表しました。がん検診での発見例、検診以外の発見例ともに減少が認められたとのことです。
 診断と治療の進歩により、一部のがんでは、早期発見、早期治療が可能となってきていますが、今後、コロナ禍におけるがん検診の受診率等の低下により、進行したがんが見つかるケースが増加することが懸念されるとの指摘もあります。
 都としても早急にがん検診受診率向上の対応策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍のワクチン接種では、業種の垣根を超えた職域接種など、改めて職域での疾病予防が意識されました。
 そこで、健康づくりや生活習慣の改善、がん検診への取組支援など、職域でのがん予防対策に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 がん治療では、手術だけで治療が終わるケースは少なく、手術後も抗がん剤などの化学療法や放射線療法が継続的に行われます。また、診断後に退職、廃業した人は一九・八%にも上るとの調査結果があります。現役世代にとって就労継続、仕事と治療の両立は大変大きな課題です。
 都は、治療と仕事の両立に取り組んでいますが、がんの進行や治療による倦怠感、体力の低下などで、それまでできていた仕事ができなくなる場合もあり、事業者において保健医療専門職と連携した安全配慮や合理的配慮が広く行われることなど、就労継続を支援する取組をより一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、都は、二〇一八年三月策定の第二次改定、東京都がん対策推進計画に基づき、がん対策に取り組んでいますが、ゲノム解析などの科学技術の向上や高齢化等の進展、医療の進歩などを背景に、がん対策への社会のニーズは急速に高度化、多様化しています。
 がんの予防、がん治療の充実、がんとの共生、これらを支える基盤整備をより一層加速化し、都における総合的ながん対策をより積極的に進めるため、がん対策推進基本条例の制定を求めるものですが、知事の見解を伺います。
 次に、子供施策について伺います。
 杉並区が児童相談所を開設した場合、仮に三鷹、武蔵野を管轄する都立杉並児童相談所がなくなったとすると、例えば、先般、国が示した上限である人口百万を所管している都立小平児童相談所が三鷹市、武蔵野市を所管することになれば、この人口がさらに膨らむことになります。
 そのため、私は、現在多摩地域の児童相談所が抱える課題を解決する意味でも、新たな都立児童相談所を設置するなどの適正配置が必要と考えます。
 都立児童相談所の設置に当たっては、人口や地域性はもとより、面積が広範囲になり過ぎないこと、すなわち区域内に目が行き届き、効率的に業務が遂行できるよう交通事情も勘案するなど、新設も含めて適正な配置を実現すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 児童相談所については区立での設置も進んでおり、都立児童相談所の管轄区域や人口も変化が生じています。都立児童相談所では、従来から所管する区域の人口の多さ、児童福祉司一人当たりのケースの多さなど、多くの課題を抱えており、私たちも長年にわたって改善を強く求めてきましたが、いまだ解決には至っていません。
 児童福祉司等職員の増員など、都立児童相談所における多忙解消に向けても体制強化にしっかりと取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 核家族や高齢者のみ世帯が増える中で、介護離職や老老介護、ヤングケアラーなどに代表される家族の過大な負担や社会的孤立、サービスへのアクセスなどが課題となっています。ケアラー支援条例を制定して取組を進めるべきと考えます。
 私たちは、ケアを必要とする方の家族が介護するのは当たり前という根強い意識から脱却し、ケアラーを理解し支える社会へと転換しなければなりません。
 中でも、年若い子供が家族のケアを担うヤングケアラーについては、当事者や家族にとっては日常であるがゆえに、誰かに相談したり支援を求めるという発想や情報が乏しく、学校現場を含めた周囲の大人が気づいて支援につなげる体制づくりが大変重要であり、構築を急ぐべきと考えますが、見解を伺います。
 障害のある子供たちの放課後の居場所である放課後等デイサービスは、都内で約千事業者ありますが、令和三年四月に行われた障害福祉サービスの報酬改定によって、多くの事業者が多大なる影響を受けました。
 こうした中でも、放課後等デイサービスが閉所すれば、子供たちの居場所がなくなってしまうとの思いで必死に努力を続けている事業者も少なくありません。
 都として、療育の質の向上を含め、放課後等デイサービスを積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育について伺います。
 第三回定例会において、私たちは、来年度から高校段階で一人一台端末を整備するに当たって、東京の全ての高校生に支援を行うとともに、低所得者世帯にはより手厚く補助すべきと提案しました。
 本定例会では、知事の所信表明で、端末購入における保護者負担を三万円の定額負担とする補助制度の創設を明言されたことを評価いたしますが、低所得家庭への支援には言及がありませんでした。
 現在、既存の給付型奨学金の活用を検討しているとのことですが、今のままの金額では、デジタル端末の購入費用に奨学金を充てると、もともと充当していた教育活動には使うことができなくなるとの懸念にどう対応されるのでしょうか。
 奨学金制度は執行率が低い状況ですが、デジタル端末支援では、必要とする全ての生徒が使うことができるための工夫が必要ではないでしょうか。
 また、奨学金対象には入らないものの、家計が厳しく、端末を購入できない家庭への対応はどうするのか、その場合どのように教育活動を展開するのか、学校に貸与用の予備端末などを用意するのか、教育長の見解を伺います。
 学校現場における教育の多忙化は、深刻な状況にあります。子供たちと接する時間をもっと確保できるよう、東京都教育委員会として取り組まなければなりません。
 とりわけ業務が集中する副校長を直接補佐する人材配置については、配置の実績ある学校現場からは好評の声が届いており、希望する全学校への配置する声もあるため、早急に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、学校管理職が頭を悩ませる問題として、産休、育休、休職代替教員の任用業務があります。任用者の半数が東京都教育委員会の本来の選考による合格者ではなく、さらに現状では、東京都教育委員会が用意したリストの掲載者に管理職が連絡をしても、ほかで決まってしまっているケースが多々あるなど、業務ロスが極めて大きいと考えています。
 任用制度を早急に改善すべきと考えますが、見解を伺います。
 十一月二十五日、特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)が示され、この中で、発達の凸凹ともいわれる発達障害のある子供に対して特別な指導を行う特別支援教室の円滑な運営など、個別事業案が示されました。
 発達障害のある子供は増加傾向が続いており、多くの保護者から支援の充実を求める声が届いています。
 また、発達障害のある子供は、特別支援教室で指導を受けている場合もあれば、通常の学級のみで支援を受けている場合もあります。
 そのため、特別支援教室における教育の質の向上と、通常の学級におけるインクルーシブな教育環境の充実の両方を求めていくことが必要です。
 そこで、発達障害のある子供それぞれの障害の状態や程度に応じた支援をさらに充実していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、性犯罪について伺います。
 今年六月、教育職員による児童生徒性暴力防止法が公布されました。子供たちの心身を育むべき学校という場で、強い立場にある教職員から子供への性暴力、性犯罪は極めて悪質であり、根絶に全力を尽くさなければなりません。
 法施行は公布から一年以内となっていますが、信頼できる相談窓口の構築と周知、子供を守りながら事実確認を行う手続、校内通報者の保護、未然防止のための教職員、児童生徒双方に向けた啓発、さらには、かつての児童生徒が被害を申し出た際に、刑法上の時効にとらわれることなく相談に応じるなど、法の施行に向けて確実に対策を取る必要があると考えます。
 法を実際に機能させるための取組について、任命権者である都教育委員会の見解を伺います。
 東京都ワンストップ支援センターへの相談件数は、平成三十年度の四千二件から令和二年度の六千十四件へと、コロナ禍で五割もの増加となりました。
 また、東京都総合相談窓口の相談件数も、令和二年度五千三百八十九件のうち、性的被害が二千五百四十五件と約半数を占めており、深刻な状況です。
 概算要求での性犯罪等被害者支援コーディネーター配置の予算を計上されたことを評価しますが、相談体制を拡充すると件数が増えるということは、潜在的な需要がまだまだ多いということであり、さらなる体制の強化が必要と考えます。
 現在は電話相談のみとなっていますが、若い世代では、電話よりもSNSが利用されている傾向にあります。また、聴覚に障害があるなど、電話ではコミュニケーションが取りづらい人も一定数いることが想定され、SNSによる相談並びに広報の充実も必要と考えますが、見解を伺います。
 性犯罪の中でも件数が多いものの一つに、いわゆる痴漢があります。痴漢被害は毎年、検挙数だけで千件を超えています。昨年はコロナ禍による外出抑制で一時的に減少したものの、抜本的な改善には至っていません。
 また、その過半数は電車内や駅構内で発生しており、被害者は反復して被害に遭うことも少なくありません。痴漢被害への恐怖から、通学通勤ができなくなるなど、その影響は深刻です。
 今後、様々な視点でこの問題を取り上げたいと思いますが、まずは発生の抑止が肝要です。痴漢被害の防止に向けて積極的に取り組み、実績を上げている団体もあります。
 そこで、痴漢被害対策で効果を上げるために、痴漢被害防止活動に実績のある民間団体と連携する必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、困難を抱える人たちへの対策について伺います。
 コロナ禍によって、誰もが社会的に孤立しやすい状況となるなど、従来から課題となっていた都市部における孤独、孤立の課題がより一層顕著になりました。国際的にも、日本は孤立する人の比率が高いと見られており、家族以外の人との交流がない、介護や看護で頼れる人がいないとする人の割合が、単身の高齢者や現役世代、ひとり親世帯など幅広い年代や属性で高くなっています。
 孤独、孤立は、生きる意欲や自己肯定感の低下、経済的困窮と相まって生活困窮に陥るなど、社会的課題や健康リスクを高めるものであり、中長期的な課題としてしっかりと取り組まなければなりません。
 国でも担当大臣が置かれており、都においても、孤独、孤立担当部門を設置するなどして、孤独、孤立への対策を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍では、ひきこもりが増加し、八〇五〇問題も深刻化したといわれています。
 二〇一九年に内閣府が発表した四十歳以上のひきこもりが全国で六十一万三千人という調査結果は、三十九歳までと合わせると百万人以上といわれ、衝撃を与えました。
 また、都の支援協議会では、ここから想定される都内の推計数は約十一万人との数字も出ており、大変大きな課題です。
 現在、都は、福祉保健局において中高年のひきこもりを含めた支援に取り組んでいるところですが、ひきこもりの支援には、気軽に相談できる窓口をはじめ、悩みを話し合い、集える場所、生活の支援など、地域での取組が欠かせません。
 そこで、全ての市区町村での相談窓口設置促進など、都としてもひきこもり対策をさらに推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、脱炭素について伺います。
 COP26は、グラスゴー気候合意と名づけられた成果合意書が採択され、十一月十三日に閉幕をしましたが、一・五度をめぐり各国の意見調整が難航するなど、多くの課題を残しました。
 東京都としても、より一層、気候変動対策に取り組む必要があり、新型コロナウイルス感染拡大からの経済復興において、サステーナブルリカバリーを志向する都の方向性を評価いたします。
 私たちは、そうした取組を行う上で、とりわけ環境に配慮した回復を目指す景気刺激策として、欧州を中心に広がっているグリーンリカバリーを主軸に据えて取り組んでいくべきだと考えます。
 世界で見られるグリーンリカバリーの取組は、環境への配慮だけでなく、社会の繁栄や雇用の創出といった視点が盛り込まれており、具体的には、サーキュラーエコノミーやクリーンエネルギーなどの新規事業に対する助成、生態系の回復を促進する事業支援などが東京都としても考えられます。
 コロナ禍から社会経済を復興するグリーンリカバリーに向けた知事の見解を伺います。
 経済の回復、成長を希求する経済刺激策において、脱炭素、循環型社会への投資を同時実現するためには、グリーンリカバリーの視点に基づく具体策をしっかりと講じていくことが求められます。
 京都議定書の時代には世界の環境政策をリードしていた我が国でしたが、現在は再エネの利用も十分進んでおらず、他国に遅れを取っています。この現状を東京がリードして変えていかなければなりません。
 日本の産業の強みを殺さず、かつ炭素集約的な仕事に就く人の雇用にも配慮した公正な移行によって負の影響を回避しながら脱炭素を実現するには、欧州グリーンディール政策やグリーン産業革命のように都としての政策パッケージを示し、使い道を明らかにしたファンドによる脱炭素化ベンチャー支援など、具体策を早期に実行していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中村ひろし議員の代表質問にお答えをいたします。
 先般の静養等についてでございますが、十月二十七日に入院いたしまして、後は静養、テレワークを行ってまいりました。おかげさまで疲労も回復いたしまして、ご覧のとおり公務に励んでいるところでございます。
 その間の経過につきましては、プレス発表、また会見等により説明をいたしたところでございます。
 人事についてのご質問がございました。
 人事の要諦は、適材適所の配置、そして時機を逸することなく的確に行う必要がございます。
 先般の人事は、東京二〇二〇大会を終え、都政が次なるステージを迎える機を捉えまして、大会のレガシーの発展、そして万全の危機管理という礎を築き、あらゆる政策を進化させていくため、適時適切に行ったものでございます。
 検査体制と医療、宿泊療養体制の確保についてのご質問でした。
 現在、新たな変異株が発生するなど、引き続き緊張感を持って対応していく必要がございまして、この夏の経験も踏まえて、より厳しい感染状況も想定して備えを講じていかなければなりません。
 こうした中、感染急拡大時には、都が診療・検査医療機関等に要請をして、速やかに検査体制を拡充する仕組みを構築したものでございます。
 また、病床のさらなる確保や酸素・医療提供ステーションの多機能化などによりまして、約九千四百四十床の医療提供体制を確保してまいります。
 宿泊療養につきましては、既存の施設の運用見直しや新規施設を開設するなど、受入れ可能室数を約七千九百室確保してまいります。
 こうした複合的な対策を先手先手で講じることで、都民の安全・安心を確保してまいります。
 コロナ禍での企業や都民への支援についてでございます。
 都では昨年度、感染症の影響を受け、厳しい経営環境にある中小企業に対しまして、国と連携した融資制度により、資金繰りを支えてまいりました。
 コロナ禍が長引く中で、返済に不安を抱える中小事業者からの申出に金融機関が柔軟に対応するように要請をいたしております。
 また、今年度からは、売上げが落ち込んだ中小企業のための融資メニューを設けまして、その保証料の負担を抑える支援を年度末まで継続いたします。
 なお、生活に困窮した方への生活福祉資金の特例貸付につきましては、一定の要件での償還免除などの規定がございまして、都といたしましては、さらなる検討を国に求めているところであります。
 今後とも、コロナ禍で厳しい状況にある中小企業や都民をしっかりと支援してまいります。
 がん対策の推進についてのお尋ねがございました。
 都は、都民ががんになっても、罹患する前と変わらず自分らしく生活を送ることができますよう、東京都がん対策推進計画に基づきまして、総合的な対策を展開いたしております。
 計画では、科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会の構築の三つを全体目標といたしております。
 この目標を達成するため、専門家や患者団体などから成るがん対策推進協議会におきまして、評価、検証しながら着実に取組を進めております。
 今後とも、都民、医療機関及び関係団体等と連携を図りながら、都民の一人一人ががんを知り、がんの克服を目指す社会を実現してまいります。
 そして、グリーンリカバリーについてのお尋ねがございました。
 都は、気候危機に対応しながら、コロナ禍からの経済復興を目指すという世界の潮流を踏まえまして、環境はもとより、未来に向けた人々の持続可能な生活を実現することを目指すサステーナブルリカバリーを推進しております。
 本年一月には、二〇三〇年カーボンハーフを目指すことを表明しまして、現在、環境審議会において施策の強化に向けた検討を進めております。
 今後とも、条例によります制度の強化のほか、省エネ、再エネ設備の普及拡大策や新たな3Rビジネスモデルの構築支援など、あらゆる分野の取組の強化、拡充によりまして、環境投資を促し、社会経済の回復とともに強靭で持続可能な都市を構築してまいります。
 なお、その他のご質問については、教育長及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点の質問にお答えいたします。
 初めに、高校における一人一台端末の導入についてでございますが、今般創設する全世帯を対象とした補助制度は、令和四年度から、都立高校に入学する生徒全員が端末を学習に不可欠なツールとして活用できるようにするものでございます。
 現在の低所得者世帯への支援制度を活用し、全ての子供たちが安心して学べるように工夫をしてまいります。
 次に、副校長を補佐する人材の配置についてでございますが、都教育委員会は、平均の時間外労働が他の教員に比べ副校長が特に多くなっている状況を解消するため、副校長を直接補佐する支援員を学校に配置しております。
 支援員は、各種調査への回答、教員の勤務状況の整理、施設管理等の業務を分担しており、配置した学校では、副校長の一週間の在校時間が平均六時間三十分短縮されました。その結果、OJTによる若手教員の育成や地域及び関係機関との連携などに向けられる時間が増え、副校長業務により専念することができたとの評価を得ております。
 今後とも、区市町村教育委員会や学校の意向も踏まえ、支援員を活用した負担軽減に取り組んでまいります。
 次に、産休育休代替教員制度についてでございますが、都教育委員会は、教員の妊娠出産休暇、育児休業の取得に伴い必要となる代替教員の選考を事前に行い、候補者となり得る者の名簿を作成しております。各学校では、この名簿から適任者を選び、個別に勤務の諸条件の確認ができた者を代替教員として採用しております。
 近年は、産休、育休を取得する教員の数に名簿登載者数の確保が追いつかず、学校が独自に人材を探さざるを得ない状況となってございます。このため、都教育委員会としては、退職教員や大学などへの広報活動を積極的に行い、候補者数の確保に努めるとともに、名簿の情報の更新頻度を上げてまいりました。
 引き続き、人材の確保に取り組みますとともに、より使いやすい制度となるよう検討してまいります。
 次に、小中学校での発達障害のある子供への支援についてでございますが、発達障害のある子供が一人一人の障害の特性等による困難を改善し、適切な環境の下で学校生活を送るためには、特別支援教室や在籍学級での支援が重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、特別支援教室における指導の充実を図ることを目的として、発達障害教育に関する多くの経験等を有する職員の巡回による指導を行っております。
 また、在籍学級に区市町村がサポート人材を配置する場合に、その費用の一部を補助する事業を実施しております。
 さらに、支援のノウハウを普及するため、指導の事例を収集し、ホームページによる周知等も行っております。
 今後とも、こうした区市町村と連携した取組等を進めてまいります。
 最後に、児童生徒性暴力防止法の施行に向けた対応についてでございますが、子供たちを守り育てる立場にある教職員が、子供たちに不適切な行為を行うことは断じてあってはなりません。
 都教育委員会ではこれまでも、教職員による不適切な行為の未然防止に向け、採用後の経験年数に応じて規範意識を高める研修を実施するとともに、全学校で過去の発生事例に基づいた校内研修の実施を義務づけ、教職員としてあるべき行動を校長が指導しているところでございます。
 また、児童生徒に対しては、日常における会話や観察に加え、アンケート等により、教職員が子供の状況をきめ細かく把握し、気になる様子が見られるときはスクールカウンセラーによる面接等の支援を行っております。
 こうした取組を引き続き徹底するとともに、国が今後示す基本的な指針等を踏まえて対応を検討し、子供たちが安心して過ごせる環境を整えてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) オミクロン株への対応に関するご質問にお答えいたします。
 新たな変異株の感染拡大を防ぐためには、変異株の感染状況を迅速に把握していくことが重要でございます。
 都は、今回取りまとめた緊急対応におきまして、陽性者の検体のゲノム解析を行うとともに、東京都健康安全研究センターが独自に構築いたしました変異株PCR検査手法により、持ち込まれた検体は全て検査をしております。
 今後とも、この検査手法の民間検査機関への拡大など、変異株PCR検査等を進めるとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げまして、積極的疫学調査を行うなど、感染拡大防止に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 八点のご質問にお答えします。
 まず、コロナ禍におけるがん対策の推進についてです。
 がんを早期発見、早期治療し、死亡率減少につなげるには、がん検診の受診率の向上が重要です。都が本年六月に実施した調査によりますと、昨年四月、五月には、国の通知を踏まえ、検診を延期する区市町村が多くありました。一方、その後、全ての区市町村で検診が再開され、受診者が回復したことによりまして、昨年度は一昨年度と比較して九・五%の減にとどまっております。
 都は、区市町村に対し、感染対策を徹底した上で検診を実施し、受診機会の確保に努めるよう重ねて通知するほか、都民に向け、定期受診の重要性や検診会場での感染対策について、様々な媒体を活用して普及啓発しております。
 引き続き、がんの早期発見、早期治療につなげるため、受診率向上に取り組んでまいります。
 次に、職域におけるがん予防対策についてであります。
 事業所や就業者数が多い東京では、職域でのがんのリスクを下げる生活習慣の普及啓発を図ることや、がん検診の受診機会の確保を図ることは重要です。
 都は、職域におけるがん予防対策を推進するため、東京商工会議所と連携し、健康づくりやがんの早期発見、早期治療の重要性などについて、健康経営アドバイザーを通じて企業経営層に周知するとともに、従業員の健康に配慮した企業の取組を支援する職域健康促進サポート事業を実施しております。
 今後とも、企業や働く世代への普及啓発等を通じて、がん予防に取り組んでまいります。
 次に、児童相談所の管轄区域についてです。
 令和五年四月一日に施行予定の改正児童福祉法施行令では、児童相談所の管轄区域の人口は、基本としておおむね五十万人以下とされております。また、政令と併せて発出された通知では、管轄人口の目安は二十万人から百万人までの範囲とされているところです。
 都としては、児童相談所の管轄区域は、こうした法令等を踏まえ、人口や地理的条件、交通事情などを総合的に考慮する必要があると考えております。
 続いて、児童相談所の体制強化についてです。
 都はこれまでも、児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司及び児童心理司を増員するほか、困難ケースで職員に助言指導等を行う専門課長を配置するなど、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
 今年度は、意欲ある人材を確保するため、専任チームを設置し、大学や養成機関への訪問、専用サイトの開設など、採用活動を積極的に展開しております。
 また、就職希望者向けの動画等の発信や、若手職員向け専用住宅の借り上げを行うこととしておりまして、引き続き児童相談所の体制を強化してまいります。
 次に、ヤングケアラーについてです。
 都は、関係各局で構成する連絡会を本年立ち上げ、ヤングケアラーへの支援策について検討を進めております。連絡会では、有識者や当事者であった方、支援者団体から、家庭の状況に応じた様々な支援の必要性等についてお話を伺っております。
 また、現在ヤングケアラーへの支援を盛り込んだ第二期東京都地域福祉支援計画の策定を進めており、先日、パブリックコメントを実施しております。
 今後、これらの意見も踏まえながら、ヤングケアラーを早期に把握し、適切な支援につなぐことができるよう、様々な方策を検討してまいります。
 次に、放課後等デイサービスについてです。
 就学中の障害児の居場所である放課後等デイサービスは、事業所ごとに支援の内容は様々であり、都が実施した調査によりますと、経験のある専門職による多様なサービスを提供する事業所がある一方で、職歴が短い職員が多い事業所もあることなどが分かっております。
 今後、この調査結果も踏まえまして、放課後等デイサービスの質の向上に向けた支援策について検討してまいります。
 次に、孤独、孤立対策についてです。
 コロナ禍の影響で、あらゆる世代の人が孤独、孤立の状態に陥りやすい状況にあり、きめ細かな支援が必要であります。
 このため、都は、総合的な孤独、孤立対策について各局が連携し、組織横断的に検討を進めております。
 今般、女性や子供、ひとり親家庭等に対する相談体制の強化や、ひきこもりの方やその家族に対する理解促進のための広報、動画等を活用した自殺防止対策の拡充等に係る補正予算案を提案しております。
 最後に、ひきこもりの方への支援についてです。
 都は、令和元年度に設置した東京都ひきこもりに係る支援協議会で支援の在り方について検討を進め、本年八月、身近な地域での相談体制の充実を図るべきなどの提言をいただいております。
 これを受けまして、本年十月、都と区市町村によるひきこもりに係る支援推進会議を設置し、都の施策や区市町村の好事例を共有するなど、区市町村の取組を促進しております。
 引き続き、当事者やご家族に寄り添った支援の充実に向け、区市町村等と連携して、提言を踏まえた支援を行ってまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、がん患者の就労継続への支援についてですが、がん患者の方が職場で安心して働くためには、治療などを行いながら仕事を継続できる職場環境づくりが重要でございます。
 このため、治療により休職した従業員を職場復帰させるほか、がん患者を新たに雇い入れる企業に対して、都は奨励金を支給しております。
 この事業では、医師の助言を基に、時間単位の休暇取得等の配慮を盛り込んだ支援計画を社員ごとにつくる仕組みとしているところでございます。
 こうした取組によりまして、引き続き、がん患者の方の就労の継続を後押ししてまいります。
 次に、産業分野での脱炭素化に向けた支援についてですが、これまで都は、地域環境への負荷の低減に取り組んでいるベンチャー企業を含めた中小企業の経営を支援するため、制度融資にメニューを設け、保証料の負担の軽減などを行ってまいりました。
 今後は、新たな発想や優れた技術を持つベンチャー企業による脱炭素化への取組を後押しするため、ファンドによる資金提供と経営面からのサポートについて検討してまいります。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 性犯罪等被害者に対する相談対応等についてですが、現在、都が民間団体と協働で設置しているワンストップ支援センターでは、二十四時間三百六十五日相談を受け付けているほか、緊急時は被害者が受診する医療機関等に出向いて対応しているところでございます。
 また、これまでも若年層に対しては、都内の大学や中学、高校等においてセンターの連絡先を記載したカードを配布するほか、SNS広告等によりPRを行うなど、相談窓口の周知を図ってまいりました。
 さらに、本年二月に策定しました第四期支援計画では、SNSなど多様な相談方法を活用していくこととしており、現在、他の自治体の事例を収集するなど、検討を進めているところでございます。
 今後も引き続き、相談対応の充実や窓口の一層の周知に取り組んでまいります。
〔都民安全推進本部長小西康弘君登壇〕

○都民安全推進本部長(小西康弘君) 痴漢被害の防止に向けた取組についてお答えいたします。
 痴漢や性被害など、女性の生命、身体に関わる犯罪については、都民の安全・安心を脅かす重要な問題であると認識しております。
 都では、女性に対する犯罪被害防止のノウハウを持つ民間団体と連携し、被害の現状や具体的防止策等を学ぶ講習会を実施しております。
 また、犯罪被害防止リーフレットを十万部作成し、市区町村の窓口や警察署、学校等を通じて配布しており、こうした取組を通じて、防犯意識の向上と犯罪の抑止に努めております。
 今後とも、市区町村や警視庁、民間団体等と連携し、痴漢被害の防止に向け、効果的な対策に取り組んでまいります。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○副議長(本橋ひろたか君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(本橋ひろたか君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時八分散会

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