令和三年東京都議会会議録第二十二号

○副議長(本橋ひろたか君) 百七番高倉良生君。
〔百七番高倉良生君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百七番(高倉良生君) 都議会公明党を代表して質問します。
 昨年来の新型コロナウイルスの感染は、医療従事者、都民、事業者など幅広い皆様の感染防止への多大なるご協力や、世界でも群を抜くワクチン接種の進展により、しっかりと抑えられた状況が続いています。
 しかしながら、現在、オミクロン株が世界的に拡大の様相を見せています。今後、感染第六波から都民を守る万全の対策が急務であり、都議会公明党は十一月二十四日、知事宛てに緊急要望を行ったところです。
 知事は、これらの要望を反映した補正予算案を提出しました。これまで措置した予算と今回の補正予算で、万一、オミクロン株による感染が急拡大しても、監視体制の強化を含め、どう迅速に対応できるのか、知事の見解を求めます。
 新型コロナの恐ろしさは、感染拡大の波を重ねるごとに感染力が増し、医療提供体制を逼迫させてきたことです。とりわけ、災害級の第五波では、都の最大病床確保数は六千三百十九床であり、最大稼働率は七一・二%でしたが、患者、家族、医療現場に計り知れない大きなダメージを与えました。
 この経験を重要な教訓として、世界的な脅威が迫るオミクロン株も見据えて、感染再拡大期に備えなければなりません。
 そこで、都は医療機関と密に連携し、感染拡大状況や患者の病状に応じて、転退院も含め、病床を確実に確保、稼働するよう取り組むべきです。また、医療機関の協力を得て、受入れ可能な病床を一元化するシステムを活用し、効率的に入院調整すべきと考えます。併せて見解を求めます。
 第五波では、宿泊療養者、自宅療養者も過去最多となり、医療機関で受入れ切れない状況の中、残念ながら亡くなられる方も出ました。都は、宿泊、自宅療養者が安心して療養に専念できるよう、寄り添った支援策と体制の強化を一層図るべきです。見解を求めます。
 また、軽症者であっても症状が急激に悪化する場合があるため、都議会公明党は、宿泊、自宅療養者の容体変化の察知に有効なパルスオキシメーターの配備を求め、大幅に拡充されてきました。さらに、容体が急変したとき、自分で連絡することができないケースがあることから、身につけるウエアラブル機器で自動的に数値を送信し、異常を知らせるシステムを活用すべきと求めてきました。
 これに応え、都は、十月から宿泊療養施設でウエアラブル機器を活用した健康観察を試行していますが、その結果を踏まえ、早期に実用化を図り、宿泊療養者の容体急変に備える体制を構築すべきです。また、自宅療養における活用も図るべきです。見解を求めます。
 都議会公明党は、コロナ患者の重症化を防ぐ抗体カクテル療法を積極的に推進するよう求め、都は現在、入院患者はもとより、臨時の医療施設に加え、外来や往診でも投与が始まっています。
 今後、感染再拡大時には、高齢者など重症化リスクの高い方など、想定されるあらゆる面で抗体カクテル療法を速やかに投与できる体制を整備すべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、コロナの飲み薬についてです。
 懸念される第六波の脅威を大幅に緩和させるものとして期待されているのが、経口治療薬、飲み薬であり、公明党はその早期実用化を政府に求めてきました。また、開発が先行する海外から十分な量を調達できない事態も想定し、我が党は、国産薬の開発を支援して、国内自給を目指すことも提案しています。
 飲み薬の実用化により、患者の治療が自宅で、より簡単にできるようになり、医療従事者の負担も軽減されます。また、アレルギーや持病等で、ワクチンを接種したくてもできない人のためにも急がれる新たな切り札です。
 現在、都の宿泊療養施設では、複数の製薬会社が進める治験に協力していると聞いていますが、治験への参加を希望する患者への周知、説明を丁寧に進めるべきです。現在の取組状況について見解を求めます。
 三回目のワクチン接種が今月の一日から医療従事者を対象に開始され、接種券も区市町村から住民に順次発送されています。また、国は来年三月から職域接種を行うとしています。
 そこで、都は、一、二回目のワクチン接種の際の課題をしっかりと捉えた上で、三回目の接種を着実に進めていくべきです。
 そのために、都は、区市町村のワクチン追加接種を後押しするとともに、医療従事者への接種、大規模接種会場の設置、職域接種の推進など円滑な接種体制を構築すべきです。見解を求めます。
 次いで、検査体制の強化についてです。
 国内では、オミクロン株が発生しており、市中感染を防ぐため、これまで以上に動向等を注視していく必要があります。また、季節性インフルエンザの流行期に伴い、検査件数が増大することが懸念されます。第五波では感染が急拡大し、行政検査が追いつかず、検査処理能力を十分発揮できない状況がありました。
 そこで、感染再拡大に備え、今後、検査体制を一層強化すべきです。見解を求めます。
 一方、国は、感染拡大防止と経済社会活動との両立を図るため、ワクチン・検査パッケージを活用するとしています。
 公明党は、健康上の理由や十二歳未満でワクチン接種を受けられない人がいることから、無料で検査ができるようにすべきと国に要請してきました。
 そして、このほど都道府県が来年三月まで予約不要で無料検査を行うほか、感染拡大の傾向があるときには、都道府県の判断で感染に不安のある無症状者が無料で検査できるように国が支援するとしています。
 そこで、都は、この検査を促進するため、体制確保を急ぎ、具体的にすべきです。また、都民に丁寧に周知すべきです。見解を求めます。
 次いで、脱コロナ戦略の一環として、観光業界への支援についてです。
 国のGO TO事業については一定の評価があり、早期の再開を望む声があります。
 一方、都内の中小旅行事業者は、地元の企業から受注する団体旅行を主な取引内容としていますが、これまでのGO TO事業では、法人が実施主体となる旅行での法人負担分が支援対象から外されてしまい、加えて、社員の福利厚生の旅行までもが対象外とされ、キャンセルや企画の断念が相次ぎました。
 しかし、都内中小旅行事業者が抱える地元の関連事業者の裾野は広く、中小事業者が再び利益を上げられるようになれば、幅広い経済効果が期待できます。
 そこで、都は、今後支援事業を組む際には、都内中小旅行事業者にも効果が行き渡るよう支援を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 新規感染者数が急激に減少してきたとはいえ、大きな打撃を受けている事業者や仕事を失った都民にとって、この年末をどう迎え、年を越していくのか、厳しい状況は続いています。都は、事業者や厳しい生活の渦中にある都民に対して、適切な年末年始の支援策を講じていく必要があると考えますが、知事の見解を求めます。
 なお、年末年始の補正予算での対応に続き、その先の都民生活の安心、安定の確保をするため、来年度予算でもしっかりと対応していただくよう要望しておきます。
 次いで、雇用対策についてです。
 新型コロナは都民の雇用にも大きな影響を与えており、とりわけ非正規雇用として働いていた方々の解雇や雇い止めが顕著になっています。また、仕事を継続している方の中にも、これまでの営業時間の短縮やシフト勤務の減少により、生活が厳しい状況に直面している方々もおり、都議会公明党には、こうした方々から相談の声が数多く寄せられています。
 一方で、IT業界や介護、医療業界などでは、コロナ禍においても積極的に採用活動を展開しており、こうした業種への再就職支援が有効な対策となります。
 しかし、求職者にとっては、これまで働いた経験のない業種への再就職は、心理的な抵抗感があることに加え、雇い入れる企業からは、一定のスキルの取得を求められることが多いと思います。
 そこで、都は、雇用不安を抱える非正規雇用の方などに対して、新たな業界で働くためのスキルの取得を支援するなど、再就職支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 コロナ禍では、とりわけ飲食、宿泊など、サービス業に従事する非正規雇用の女性の方が深刻な影響を受けています。実際、国の調査によると、女性の非正規雇用者数は全国で五十万人も減少しています。
 都は、コロナ禍で厳しい雇用環境にある女性の早期の再就職に向けて、就業支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、自殺対策についてです。
 全国で去年一年間に自殺した人は、前の年より増加し、二万一千人を超えています。自殺対策白書は、新型コロナの感染拡大による労働環境の変化が関連した可能性があると指摘しています。
 今春に、公明党が取り組んだ十代から四十代の男女を対象にした都内でのアンケート調査では、これまでの人生で自殺を考えたことがあると回答した人が約四〇%に上り、このうち四人に一人が、過去一年以内で自殺を考えたことがあると回答しています。一方で、自殺者を減らす対策があれば協力したいと答えた人は九割を超えています。
 自殺対策支援に取り組むNPOによると、自ら命を絶つ人は、日常の様々な問題をきっかけに別の問題が連鎖し、平均四つの要因を抱えているとのことです。
 こうした実態を踏まえ、自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、話を聞き、必要な支援につなげ、見守るなど、適切な支援をするゲートキーパーの存在も重要です。
 そこで、悩みを抱える相談者が全般的なサポートを受けられるよう、相談窓口と専門機関が連携して対応することが重要と考えますが、見解を求めます。
 次いで、子供たちの心をケアする体制についてです。
 コロナ禍で、多くの児童生徒が問題を抱え込んでいる可能性が専門家により指摘されています。都議会公明党は、潜在的なリスクを抱える児童生徒を教員が見過ごすことがないよう、支援する必要性を訴えてきました。
 これに対し、都教育委員会は今年度、生徒の心情やプライバシーに配慮して、都立高校生が日常生活の中での心身の状況を、デジタル機器に、手軽に、かつ継続的に入力して、学校がその変化を把握できる仕組みの検討に着手するとしています。
 そこで、全校への配備に向けた現在の取組状況を明らかにすべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、公立学校での換気や湿度管理の取組について質問します。
 気温も湿度も共に低くなりがちな冬場においては、夏場以上に細やかな気配りが必要であり、そうした調整を自動では行えない機器を使用している場合には、都が明確な方針を示して対策を図る必要があります。
 換気や湿度の管理は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、略してビル管法で定められており、湿度管理は、商業施設では三千平方メートル以上、学校では八千平方メートル以上の床面積の建物で必須とされています。法基準以下の学校においても、法の趣旨に沿った積極的な対応が必要と考えます。東京都設備設計事務所協会も、この点で強い警鐘を鳴らしています。
 換気や湿度の自動調整機能を備えた機器整備には一定の費用を要するため、都は、中長期的な課題と捉え、計画的に取り組むべきです。
 加えて、室内面積に応じて適切に台数を配置する必要もあります。また、二週間に一度程度のフィルター清掃を推奨する専門家の声もあり、都はこうした留意点が確実に励行されるよう支援すべきです。望ましい換気と湿度を各学校で具現化すべく、併せて二点、都教育委員会の見解を求めます。
 緊急事態宣言が繰り返される中、フィットネス施設などの利用自粛が長引き、都民が健康増進に汗を流す機会が減っています。都内のあるクリニックの調査で、二年連続で同クリニックを受診した約十五万人を対象に、コロナの前後でのメタボリックシンドロームの変化を比較したところ、一九年から二〇年の増加率は、それまでの約二倍に増えたと報道され、話題となりました。
 働き盛りの世代の方々は、コロナ禍でのテレワークなど働き方の変化やフィットネス施設の休業などにより、一層運動の機会が減っています。職場の近くや通勤途中のターミナル駅など、アプローチしやすい場所を活用し、広くスポーツの支援を行うことが重要です。
 東京二〇二〇大会が無事に成功し、都民のスポーツに対する機運の高まりをスポーツを通じた健康増進につなげていくべきと考えますが、見解を求めます。
 都議会公明党は、コロナ禍で活動の機会を失った芸術文化活動の関係者の切実な声に応え、様々な提案を行い、実現させてきました。
 今後は、感染拡大防止対策を継続しながら、上演の機会や観客数などの点で、一日も早く従前の活況を取り戻すことが、都内の芸術文化活動を支える人材の裾野を維持し、次代の担い手の育成を図る上で大事な課題です。ネームバリューが高く、話題性に富んだ企画であれば、感染状況さえ落ち着けば自然と多くの観客動員を期待できます。
 一方、あまり知られていない分野や出演者による企画などでは、すぐには観客動員の回復を期待できないと思われます。
 そこで、取組の内容を観客に歩み寄って分かりやすく展開しようとする企画や、担い手の拡大やリピーターの育成に向け工夫を凝らす企画に対しては、手厚い支援策を講じ、芸術文化活動への参画体験や鑑賞の機会の促進などの取組を進めることが重要であると考えますが、見解を求めます。
 公明党は、二十一世紀の我が国のあるべき姿として、文化芸術立国・日本をめざしてと題する政策提言を二〇〇一年に行い、基本法の策定をリードし、文化芸術振興に全力で取り組んでまいりました。
 都においても、二〇一五年に東京文化ビジョンを策定し、東京二〇二〇大会に向けた文化プログラムの取組を進めてきました。さきの第三回定例会では、文化プログラムの成果とコロナ禍で得た経験を基に、新たな文化戦略を策定すると表明があったところです。
 文化は人間を豊かにし、生きる力を与えてくれる。芸術は人々の魂を鼓舞する。心を豊かにし、前進への力をみなぎらせることは間違いありません。
 新たな文化戦略の策定に当たり、都議会公明党は、人間を豊かにし、魂を鼓舞する、文化芸術立都東京を実現する戦略としていくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 今後策定される文化戦略は、都の文化政策の方向性を示す重要な取組であり、明確なメッセージを発信する観点から、以下、提案します。
 一点目は、新進芸術家、芸術団体への支援の拡充です。
 都では、本年度よりスタートアップ助成を新設し、新たな芸術活動へのチャレンジを支援していますが、さらに多くの新進芸術家を応援するために、支援を拡充するとともに、稽古や制作、発表等の場を確保し、提供していく支援が必要です。見解を求めます。
 二点目は、情報発信の充実です。
 コロナ禍では、文化芸術に携わる方々にどのような支援策があるのか、必要な情報にたどり着けなかったとの声も聞いています。
 助成制度等の支援情報やアーティストが必要とする情報を分かりやすく手軽に入手できるようにするために、ポータルサイトを設置するなど、一元的な窓口を整備していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、政策目標として掲げているチャレンジエイトから三つのテーマについて質問します。
 まず、高校生までの医療費無償化です。
 都議会公明党は、さきの都議選で三つの無償化を高く掲げ、さきの第三回定例会でも都に見解を求めたところです。
 厚労省の調査によると、全国全ての区市町村が子供医療費助成を実施し、通院費については、半数の自治体が中学三年生まで、四割が高校三年生まで助成しています。
 国は、独自助成している区市町村に対し補助金を減額してきましたが、二〇一八年度から未就学児分のペナルティーが廃止され、その財源確保を追い風として、通院費助成を高校三年生までとする区市町村は、昨年四月時点で廃止前より二百五十九増加しています。
 助成対象を高校三年生まで広げつつある全国自治体の動きも踏まえ、都は、都内の各自治体とも必要な協議を行いながら、高校三年生までの医療費無償化を早期に実現し、全国をさらに牽引すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、重粒子線治療施設の導入についてです。
 先月、都議会公明党は、最新の設備が導入されている山形大学医学部東日本重粒子センターを視察しました。同施設は、超電導技術を用いた回転ガントリーにより、様々な角度からの照射が可能な回転ガントリー室と固定照射室があり、標的とする腫瘍の形状に合わせて塗り潰すようにビームを照射する最先端技術を結集して作られたものです。
 また、施設の建築面積は約二千平方メートルであり、一九九四年に日本で最初に作られた施設の約四分の一に縮小されています。
 前立腺がんの患者の場合、入室から退室まで十二分程度、一日当たり二十七回照射し、年間六百人の治療が可能との説明がありました。二人に一人ががんになる時代に、患者の負担を極力減らし、仕事をしながら、がん治療できるようにしていくことが重要です。
 都は、第三回定例会での我が党の代表質問に対し、施設を導入した他府県の状況等を調査し検討と答弁しましたが、現在の調査検討状況と併せて採算性の検証等の調査費を計上するなど、最新のがん対策について検討すべきです。知事の見解を求めます。
 次に、動物保護についてです。
 都の動物愛護相談センター本所の新設に当たって、都議会公明党は、本来の動物保護つきの施設にすべきと訴えています。
 保護される動物は、病気やけがをしているケースもあります。都議会公明党は、都内の獣医系大学と意見交換してきましたが、動物保護を進めるため、動物収容施設から生まれた獣医療、シェルターメディスンの重要性も確認してきました。
 適切に対処するには、医療を十分提供できる体制構築が不可欠です。センターの新設について、知事の見解を求めます。
 知事は、先日の所信表明で、全国各地で発生した震災を教訓に、被害想定の見直しに向けた検討に着手し、二〇二二年春を目途に取りまとめ、その成果を地域防災計画にも反映することを表明しました。
 これは、東日本大震災の教訓を踏まえ、十年前に公表した被害想定を見直すとのことであり、現在、有識者で構成される地震部会において、想定する地震の震源や規模などについて検討を開始していると聞いています。
 今後取りまとめる被害想定は、都民の自助、共助の推進や、都の防災対策の見直しに有効に活用される必要があります。
 このため、被害想定の結果を都民に分かりやすく発信するとともに、被害想定後に実施する地域防災計画の修正に当たっては、女性、高齢者、障害者の視点など多様な視点を反映させ、区市町村とも一体となって、安全・安心な東京の実現を目指すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次いで、耐震化の促進についてです。
 都はこれまで、大地震発生時の救助、復興活動の円滑化を図るべく、特に重要な路線を特定緊急輸送道路として指定し、耐震診断の義務づけなどを実施して、倒壊による道路閉塞を未然に防ぐ沿道建築物の耐震化に取り組んできました。
 一方、特定以外の一般の緊急輸送道路は、警察署、消防署、備蓄倉庫など地域の防災拠点と特定緊急輸送道路との間を結ぶ路線であり、災害時には重要な役割が期待されています。
 都内各地で地域ごとの防災力をより高めていくためには、一般緊急輸送道路についても、建物倒壊による道路閉塞のおそれを可能な限り取り除いておく必要があります。
 そのためには、特定緊急輸送道路の取組で効果を上げている区市町村との連携を一般緊急輸送道路の取組でも推進することが効果的です。
 都は今後、区市町村の取組への支援を強化し、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を加速させていくべきと考えますが、見解を求めます。
 公明党はこれまで、党を挙げてドクターヘリの全国配備を推進し、東京都への導入について提案を重ね続けてきました。
 都議会公明党の第一回定例会の代表質問に、知事は、令和三年度内のできる限り早い時期に運用が開始できるよう、具体的な取組を進めていくと答弁されました。
 全国型ドクターヘリの導入に向けた進捗状況と開始時期、そして、今後の取組について、知事の見解を求めます。
 次に、高校生一人一台端末の導入についてです。
 新型コロナが教育環境にも影響を及ぼす中、都議会公明党は、次代を切り開く子供たちがひとしくデジタル機器を使いこなし、存分に学べる環境を整備するよう、一貫して求めてきました。また、その際には、保護者の経済的負担にならないよう十分な配慮を求めてきました。
 こうした要請に応え、知事は、先日の所信表明において、高校段階の一人一台端末に係る保護者負担額を三万円とし、さらに、多子世帯にも支援すると表明されました。
 そこで、改めて、一人一台端末導入の意義とその内容を明確にするとともに、低所得世帯への支援策も講じるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、予防のための子供の死亡登録検証制度、いわゆるCDR、チャイルド・デス・レビューについて質問します。
 二〇一八年に成育基本法、二〇一九年には死因究明等推進基本法が可決され、CDRの実施が明記されました。CDRは、予防できる死から子供を守り、安全で安心な社会を構築するため、十八歳以下の子供の全死亡例を対象に詳細な死因究明をし、その結果をデータベースに登録します。
 このデータベースを基に、死に至った環境要因や社会背景、精神心理的要因などを検証し、個別の死因究明から共通の危険因子や予防可能要因の抽出を進め、予防できる死から子供を守る社会を構築していくものです。
 実施に当たっては、多職種の専門家や市区町村との連携が大変に重要であり、都として、実施体制の整備に向けた検討に着手すべきです。都の見解を求めます。
 国は今年度、障害福祉サービス報酬改定を行い、医療的ケア児など、より手厚い支援を必要とする子供に応じてきめ細かく加算をしました。これにより、放課後デイサービスの事業所では、医療的ケア児への支援が強化されるなどの効果が期待できます。
 しかし一方で、長年にわたって障害児への支援を行い、地域や関係者から信頼を受けてきた事業所も含め、多くの事業所が経験を積んだ人材を確保するための加算が除外されたことなどが運営上の課題となっています。
 都は、状況を把握するため実態調査を行いましたが、その結果から、こうした課題に加え、サービスの質の向上の必要性も浮き彫りとなりました。
 そこで、コア人材の確保や第三者評価の審査、職員の知識、技術の向上を図るとともに、子供や保護者の満足感、安心感を高める事業運営を行うなどの質の向上に取り組む事業所に対して、都独自の支援策を講じるべきです。見解を求めます。
 公明党には、たんの吸引や人工呼吸器の管理などが日常的に必要な医療的ケア児を育てる家族から、どこに相談していいか分からないとの切実な声が寄せられています。
 こうした課題に対し、公明党が強力に推進した医療的ケア児支援法が本年九月に施行され、家族の相談に総合的にワンストップで対応する医療的ケア児支援センターが各都道府県に設置できることになりました。
 このセンターが設置されれば、家族の精神的な支えになることはもとより、医療的ケア児を医療、福祉、教育、保育などと連携したネットワークの中で共に支えていくことができるようになります。
 そこでまず、東京都医療的ケア児支援センターの設置へ向けて、行政と支援者である事業所や相談支援専門員、さらには当事者家族を交え、実効性を生み出す議論を開始し、深めるべきです。
 また、医療的ケア児とご家族の相談に丁寧に対応するために、東西に広く人口が集中する大都市東京の特性を踏まえ、区部、多摩地域のそれぞれにセンターを設置すべきです。
 加えて、支援に当たる人材の確保、育成と関係機関とのネットワークの構築にも早急に着手していくべきです。併せて見解を求めます。
 都立特別支援学校における医療的ケアの根幹を支えているのは学校看護師ですが、コロナ禍の人手不足もあり、十分確保できていません。こうした状況を改善するため、例えば介護の現場では、研修を受けたヘルパー等が医療的ケアを実施することもあると聞きます。
 そこで、特別支援学校においても、看護師確保に一層取り組むとともに、看護師以外にも視野を広げ、人材確保に取り組むべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
 次に、都営住宅について質問します。
 都営住宅に入居を希望しても、また幾度となく申込みをしても、なかなか入れないといった都民の皆様が多くいる一方で、多摩地域では、近隣の方々から、空き室がとても目立つといった声も大変数多く寄せられています。
 こうした声を踏まえて、都営住宅の入居状況を調べてみると、現在、多摩地域では、常時空き室が二割という団地が増えています。多摩地域では、都営住宅を定期募集しても、入居希望のない住宅が数多く存在し、こうした状況を改善するために、都は、年四回の定期募集で応募がなかった住戸を対象に毎月募集を開始し、それでも応募のなかった住戸では随時募集を実施するなど、入居希望者の方は抽せんをすることなく入居できる状況になっています。
 しかし、それでも、二DKを中心に空き室が続く原因として、二種類の二DKのうち、大きい方の住戸に入居できる対象世帯は三人世帯に限定されているという面も否めません。十年前に設けられた型別供給基準が、都民の住宅ニーズから大きくかけ離れていることがその要因となっています。
 都営住宅に入居を希望される方々に適宜適切に対応するために、多摩地域では、現在の入居基準の一つである型別供給基準を抜本的に見直すなど、早急に対応すべきです。答弁を求めます。
 なお、第一回定例会の我が党の質問に対し、都は、都営住宅のオンライン申請を実施すると答弁しています。具体的な運用開始時期と、オンラインによる応募の利便性向上及び都民の円滑な利用に向けた取組について答弁を求めます。
 次に、本格的なカーボンマイナス、ゼロエミッションの達成に向けた既存住宅での取組についてです。
 都内全体の消費電力の削減を図るため、夏や冬の外気による室内温度への影響を抑える断熱改修の促進に期待が寄せられているところです。それには、リフォームなどの機会を捉えて断熱改修を促す誘導策が必要です。
 ゼロエミッションの達成という高い目標を実現するためには強力な推進策が必要であり、既存住宅を対象に省エネ改修を支援できる新しい仕組みを構築すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、新築住宅について、都は令和元年度から、省エネ性能の高い住宅に対し、建築費用の一定額を助成していますが、温暖化対策に対する環境意識も相まって、予算の二倍近い申請があり、抽せんとなっています。
 都議会公明党は、より多くの都民の要望に応えられるよう、取組の継続とさらなる断熱、省エネ性能の向上につながる施策を構築すべきと考えます。
 そこで、ゼロエミ住宅のさらなる普及拡大のため、都は今後、来年度に向けた取組も含め、迅速に対応すべきですが、見解を求めます。
 次に、慢性的な人材不足に直面する建設、土木の業界での働き方改革についてです。
 二〇二四年に労働基準法の改正法が施行され、努力義務であった時間外労働の上限規制にいよいよ罰則が適用されます。法改正を踏まえ、長時間労働の是正を進め、働き手不足の解消につなげねばなりません。
 まず、建設、土木の業界で週休二日制を促進するためには、経営者による努力に合わせ、週休二日制を実施しても、日給月給で働く現場作業者の月ごとの賃金が減らないように、発注者側として取り組む必要があります。
 これについて国は、労務単価を一・〇五に割増しすることによって対応するとしています。しかし、これは、週休二日制が実施されている工事全体での労務単価を調査した結果にすぎません。本来であれば、週休二日制に移行しても、日給月給の月単位の賃金に目減りが生じていない事例を抽出し、その場合での労務単価を調査すべきです。
 受注者側の団体としては、一・〇五の割増しでは、作業員の月額賃金の現行水準の維持は困難であり、週五日労働でも六日労働と同じ賃金になる五分の六、すなわち一・二倍の労務単価への見直しを強く希望しています。
 都は、国と連携しつつも、国任せとはせずに、働き方改革につながるような労務単価の割増しの目安を導き出すべきです。見解を求めます。
 さらに、我が党は、建設、土木業界の働き手不足の改善に向け、長時間労働の要因になっている書類の削減を、はんこレスやデジタル化の推進と併せて強く求めてまいりました。工事の終了確認の検査の際に、当初予定されていなかった書類の提出を求められる事例が依然続いているとの苦情も多く、こうした事態は完全に払拭すべきです。
 特に、工事後に大量の現場写真の提出を求められることがありますが、警備や監視の委託業務の際にカメラを導入したことによって、大幅な人的省力化が図られたとの実例もあります。こうした工夫を公共工事での書類の削減にも生かしていくべきです。
 工事関係書類の削減、簡素化に関するこれまでの取組の成果と、さらなる改善の見込みについて見解を求めます。
 時間外労働の上限規制への対応で、特に課題に直面しているのが、道路の路面補修や上下水道などの路上工事です。これらの工事では、現場に器具や資材などを置き続ける常設作業帯が設置できません。工事現場と資材置場との間の往復時間も当然労働時間となります。
 しかし、これまでは、工期に間に合わせるため、必要な場合には、時間外労働の時間数にかかわらず、超過勤務手当を支払うことで対応が図られてきました。しかし、二〇二四年以降は、正当な賃金の支払いの有無にかかわらず、規制違反には罰則が適用され、禁錮刑の可能性もあります。
 一方で、公共工事に関わる都内企業の多くは、地価の高さから、やむなく資材置場を近隣県に移しているのが実情です。これからの公共工事においては、この現実を踏まえて、日々の実作業時間や労務単価、工期設定を図る必要があり、具体的には、往復に要する時間が受注者ごとに異なるため、工事案件ごと、契約変更によっての対応となります。こうした契約変更を毎回ゼロベースから行うことは大変非効率的であり、取扱いの安定性を損なうことにもつながりかねません。
 都は、二〇二四年の改正労基法の施行前に、国の方針を踏まえ、契約変更の透明性、公正性、効率性を担保するルールを自ら確立するなどして、公共工事の適正な履行を阻害する要因を除去して混乱の未然防止を図るとともに、建設、土木の業界での働き方改革に水を差さないよう、最大限の注力を図るべきです。見解を求めます。
 国民健康保険制度は、平成三十年度、区市町村が個別に運営する形から、財政運営の責任主体が都道府県に移行し、都が国保財政の入りと出を管理しています。
 十一月二十九日に開かれた国保の運営協議会において、仮係数に基づく令和四年度の激変緩和措置後の納付金総額の算定結果が示されました。この結果、一人当たり保険料算定額は十七万二千百五十五円となり、令和三年度に比べて九・四%という大幅な伸び率になっています。
 最終的には年明けの一月、国からの確定係数提示後、納付金総額及び標準保険料率が決定され、区市町村へ提示されますが、都として、都民の保険料負担を軽減するための対策を早急に検討すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、我が党が繰り返し訴えてきた同性パートナーシップ制度の創設についてです。
 本年第二回定例会で、我が党議員が紹介議員になった制度創設を求める請願が全会一致で採択され、さらに、都は、性的マイノリティー当事者の方々を含めた意向調査を実施し、回答者の多くが導入に賛成と聞いています。また、有識者からの意見についても十分反映させる必要があると考えます。
 都議会公明党は本年第三回定例会でも主張しましたが、当事者や有識者から寄せられた意見を踏まえて検討を加速し、来年度から制度をスタートさせるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、スポーツを通じた被災地支援についてです。
 三か月前に、多くの感動と感謝の中、閉幕した東京二〇二〇大会は、くしくも東日本大震災から十年の節目の開催となりました。復興オリンピック・パラリンピックとして、被災地での競技開催や福島県からの聖火リレースタートなど、改めて被災地に思いを寄せるとともに、手を差し伸べてくださった世界中の方々に感謝の気持ちを伝える機会になったと思います。
 これまで都議会公明党は、東日本大震災の発災直後から支援策を探るべく、現地を訪れ、現場で寄せられた声を都政に届けてきました。その中で、スポーツを通じた被災地支援の重要性を指摘し、都は、被災地の方々、特に子供たちの交流を行うなど、スポーツを通じて被災地との絆を深めてきたところです。
 震災から十年という節目を迎え、これまでの事業成果を踏まえ、改めて被災地に寄り添いながら、今後もスポーツを通じた被災地支援事業を推進すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 最後に、都議会公明党の提案を受けて、東日本大震災直後の二〇一一年度から開始された被災地応援ツアーについて質問します。
 本事業はこれまで多くの方々に利用され、被災地の復興を後押ししてきました。被災地は復興の途上であります。福島県では、コロナ禍前の令和元年度でも旅行者数が震災前の水準に達していない地域もありました。これに加え、昨年度は、新型コロナの影響を受け、前年度に比べて旅行者数が約四割減となるなど、復興に向けてはさらなる試練が続いています。
 そこで、今年度の被災地応援ツアーの状況とともに、福島県の経済と住民生活の回復に寄与するという役割を果たしていくためにも、感染状況などを踏まえながら、令和四年度も事業を実施すべきと考えます。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高倉良生議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今後の感染拡大への対応についてのお尋ねがございました。
 現在、新たな変異株が発生するなど、引き続き緊張感を持って対応していく必要がございます。より厳しい感染状況も想定して、備えを講じなければなりません。
 そのため、感染拡大の状況に応じました病床や宿泊療養施設の確保とともに、自宅療養者への往診体制の強化や保健所業務のデジタル化推進によります負荷軽減などから成ります総合的な保健、医療提供体制を構築いたします。
 今回取りまとめましたオミクロン株に関する緊急対応におきましては、宿泊療養施設を都内の濃厚接触者の待機施設とするとともに、陽性者の検体のゲノム解析や、また、東京都健康安全研究センターが独自に構築いたしました変異株PCR検査手法を用いまして検査を開始するなど、迅速に対応しているところでございます。
 今後、この変異株PCR検査手法を近隣県と共有するほか、民間検査機関へ拡大するなど、都内の監視体制を一層強化するとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げ、積極的疫学調査を行ってまいります。
 こうした複合的な対策を先手先手で講じることで、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、年末年始の事業者や都民への支援についてでございます。
 都内の感染状況は低い水準にとどまっておりまして、経済の回復に向けた期待は高まりつつございます。
 一方で、長期にわたるコロナ禍や原油高の影響などによりまして、厳しい状況にある事業者や、また、不安を抱える都民もおられます。年末年始を迎えるこれからの時期は、こうした方々に必要な支援を届けることが大切でございます。
 年末は、事業者の支払いが集中するということもありまして、日々の資金を速やかに確保できるつなぎ融資による金融支援を行います。また、金融や経営に関します差し迫った相談を夜間や年末にも受け止められる体制を整えまして、きめ細やかに対応してまいります。
 あわせまして、原油高が経営に及ぼす影響を抑えるため、専門家を派遣いたしまして、事業者の状況に応じたアドバイスを行うとともに、資金繰りがつきますように支援を着実に行ってまいります。
 また、解雇や雇い止めに遭って、そのまま年末を迎え、不安を抱える方もおられます。このため、速やかな再就職を後押しする相談を実施するほか、緊急の就職面接会を開催いたします。
 さらに、年末年始の間、TOKYOチャレンジネットを活用し、失業等の影響により、住まいを失った方に一時的な宿泊場所を提供するなど支援を強化いたします。
 困難に直面している都民、そして事業者の方々に寄り添い、安心して年末年始を送るための様々な対策を講じてまいります。
 次に、新たな文化戦略についてでございますが、文化芸術は、都市の魅力を形成する要素となるだけではありません。人々の心を支え、生きる活力をももたらし、日々の生活になくてはならないものでございます。
 都は、コロナ禍におきまして支援事業を行い、東京の文化芸術はアーティストや団体、スタッフなど多様な方々の幅広い活動によって支えられている、このことを強く認識したところでございます。
 東京がこれからも成熟していくためには、こうした方々が生き生きと活動し、世界を魅了する東京独自の文化や芸術が絶えず生み出されるとともに、都民が喜び、感動し、新たな価値を発見するなど、その生活がより豊かになることが重要であります。
 そこで、二〇三〇年度までの文化戦略を今年度策定いたしまして、文化や芸術で躍動する都市をつくり上げてまいります。
 次に、子供の医療費助成に関してでございます。
 子供の医療費助成の実施主体は区市町村でありまして、それぞれの議会における審議を経て、条例を定めて実施しているところであります。都の助成事業につきましては、区市町村の状況を十分に踏まえたものである必要がございます。
 令和三年十月時点で、都内で高校生を対象に医療費助成を行っているのは三区二市七町村でございまして、今後、先行自治体を含め調査を行うなど、状況の把握に努めてまいります。
 次に、重粒子線の治療についてのお尋ねがございました。
 重粒子線治療は、がん病巣への集中的な照射が可能であり、また照射回数も少ないなど、患者にとってメリットがあるとされています。
 先月、都におきましても、他県の施設を調査いたしましたところ、採算性の検証をはじめ、専門人材や土地の確保などについての重要性を認識いたしました。
 中でも、採算性の検証に当たりましては、患者数の推計や施設規模等を十分考慮しながら、収入や費用を算出する必要がございます。
 今後、こうした観点を踏まえつつ、重粒子線治療の事業採算性等の検証を含め、保険適用の動向等も注視しながら、最新のがん対策について検討をしてまいります。
 次に、動物愛護相談センターについてのお尋ねであります。
 病気やけがをしている動物を保護する際、新たな飼い主に健康な状態で譲渡できますように、動物ごとに状態を把握し、それに応じた管理を行うことが重要です。
 このため、動物愛護相談センターにおきましては、獣医系大学の専門家等から助言を受けながら、ストレスへの配慮や感染症の防止、症状に応じた治療など、動物福祉を踏まえました飼養管理を行っております。
 センターは、動物愛護施策の推進の中核を担う施設でありまして、今後、その整備に向けて、飼養環境の向上や譲渡の促進をはじめ、必要な機能につきまして、専門家等の意見を十分に伺いながら検討を進めてまいります。
 次に、被害想定の見直しについてでございます。
 首都直下地震や南海トラフ地震の発生が懸念される中、今年の十月には、都内で震度五強の地震が十年ぶりに発生するなど、東京におけます巨大地震の発生が一層現実的なものとなっております。
 この十年の間、木密地域の不燃化など、地震に強いまちづくりが着実に進展する一方で、人口構造や世帯構成など社会環境が大きく変化をしていることから、今般、被害想定を見直すことといたした次第でございます。
 見直しに当たりましては、高齢化の進展など、最新の状況を反映するとともに、防災対策の実効性をより一層高めるため、防災に対する都民の意識などを新たに把握しまして、地域防災計画の修正につなげてまいります。
 また、今後、東京都防災会議につきまして、女性、高齢者、障害者の方々など、多様な意見を反映できる体制へと充実強化を図りまして、様々な視点から、地域防災計画の修正を検討してまいります。
 都民一人一人の目線に立った防災施策を区市町村とも緊密に連携しながら推進することで、東京の防災力を向上させてまいります。
 次に、ドクターヘリについてでございます。
 ドクターヘリは、医師が速やかに傷病者がいる現場に赴くことができるなど、救急医療の効率的な提供に寄与するものであります。
 都は現在、ドクターヘリの導入に向けまして、搭載する医療資器材の整備や、救急車から患者を引き継ぐランデブーポイントにつきまして、数か所現地調査をいたしております。
 また、今月末を目途に試行で運航いたしまして、出動要請からの一連の流れにつきまして、運航マニュアルを検証することといたしておりまして、着実に取組を進めております。
 来年三月のドクターヘリの運航開始に向けまして、患者搬送訓練やスタッフの研修を繰り返し実施するなど、安全の確保を最優先に取り組んでまいります。
 都立高校における一人一台端末導入についてであります。
 世界の中で輝く東京、人が輝いて、誰もが活躍できる東京を実現するため、都政のあらゆる分野でDXを強力に推進しております。
 教育の分野におきましても、DXをてことして、教え方や学び方を転換し、子供たちが主体的に学び、他者と協働して新たな価値を創造する力を養っていくことが大切です。
 こうした認識のもと、今般、都立高校におきましては、生徒が学習に不可欠なツールとして端末を自在に活用していくため、令和四年度の入学生から、全世帯を対象に、端末購入に係る保護者負担額を定額とする補助制度を創設いたします。
 また、多子世帯の教育費の負担を軽減するため、二十三歳未満の子供が三人以上いる世帯の保護者負担額の二分の一を支援していく。さらに、現在の低所得世帯への支援制度を活用し、全ての子供たちが安心して学べるように工夫してまいります。
 未来を担う子供たちが、将来への希望を持って、自ら学び、自己の可能性を広げることができる教育環境を実現してまいります。
 最後に、同姓パートナーシップ制度についてであります。
 都はこれまで、誰もが認め合う共生社会を実現し、東京を、多様性を尊重する都市とするため、人権尊重条例に基づきまして、啓発等の推進や相談体制の充実を図ってまいりました。
 同性パートナーシップ制度の検討に当たりましては、支援団体や有識者へのヒアリングを実施いたしまして、多くの方々から制度の導入に肯定的な意見が示されたところであります。
 十月から実施の都民等調査では、約七割の回答者が性的マイノリティーの方々への必要な施策として、同性パートナーシップ制度を挙げておられます。
 こうした意見を踏まえまして、当事者の方々の生活上の困り事の軽減につなげることはもとより、多様な性に関する都民の理解促進の観点から、同性パートナーシップ制度の来年度内の導入に向けまして、今年度、基本的な考え方を示してまいります。
 制度の対象者につきましては、性的マイノリティーの方々を広く認めてほしいなど、当事者等からの意見を踏まえまして、多くの方々が利用できる制度となるように検討してまいります。
 今後も、有識者等の様々な意見を踏まえまして、制度構築に向けて着実に取り組んでまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、デジタルを活用した生徒の不安や悩みの把握についてでございますが、都教育委員会は今年度、生徒の心のサインを早期に把握するためのシステム開発に向けた実証研究に取り組んでいるところでございます。
 本システムは、生徒がスマートフォン等を活用して毎日簡単な質問に回答し、その解析されたデータから、教員が生徒の心の変化を見いだすという仕組みでございます。
 研究指定校六校では、気持ちを伝えることが苦手な生徒の不安の解消や、平素は気づきにくい家庭に起因する悩みの早期発見等の成果とともに、質問項目の精査や、データの効果的な解析方法の必要性などの課題も明らかになったところでございます。
 今後、これらの研究結果や専門家の意見を踏まえ、より精度の高いシステムとなるよう改善を図り、来年度、全都立高校への導入を目指してまいります。
 次に、学校における換気対策等についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対策においては、適切な換気が特に重要でございますことから、都教育委員会は、ガイドラインの中で、学校における具体的な換気方法を示しております。
 これに基づき、都立学校では、教室のドアと窓の常時開放や、サーキュレーターを使用した強制換気を行い、CO2測定器により換気状況を確認するなど、効果的な換気に取り組んでいるところでございます。
 今後は、冬場の対策として湿度を保つことも必要となることから、各学校に対して、湿度管理の方法や加湿器使用時の留意点などを周知してまいります。
 また、換気や湿度管理には、学校施設そのものの対策も必要でございまして、都立学校の新築、改築時に、施設規模を問わず、建築物衛生法の求める換気や湿度の基準を満たすよう、十分な機能を備えた空調設備等の整備を進めてまいります。
 区市町村教育委員会に対しましては、都立学校の取組を踏まえて、適切な換気や湿度の管理を行うことや、施設整備面での取組について情報を提供してまいります。
 最後に、医療的ケアを行う人材の確保についてでございますが、学校が医療的ケア児の増加に適切に対応し、児童生徒が保護者の付添いなく学校生活を送るためには、看護師をはじめとしたケアを担える人材を早急に確保し、ケアの実施体制の充実を図ることが必要でございます。
 都教育委員会では、これまで校内や専用通学車両内でケアを行う看護師の増員を図るとともに、たんの吸引など、法に基づく研修を修了した学校職員によるケアにも取り組んでまいりました。
 今後は、看護師のニーズを踏まえた勤務時間の設定について検討を行うとともに、看護師に加え、介護施設等での医療的ケア経験者を新たに活用することなどを検討し、医療的ケアを行う人材の一層の確保を図ってまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 一般緊急輸送道路沿道建築物についてでございますが、都は、震災時における応急対策の中枢施設などを結ぶ特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化に優先的に取り組んでまいりましたが、東京全体の防災力を高めるためには、警察、消防、病院など、地域の主要な防災拠点等を結ぶ一般緊急輸送道路の沿道の耐震化につきましても、さらに促進する必要がございます。
 これまで、区市と連携して、耐震改修等の費用助成を行っておりまして、特に倒壊の危険性が高い建築物に対する助成単価の引上げなどを今年度から開始いたしました。
 一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を加速するため、所有者への積極的な働きかけを行うなど、意欲のある区市町村をより一層後押しする支援の在り方につきまして、さらに検討を進めてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナの病床の確保についてでございますが、都は第六波に向けて、新たな国のレベル分類におきまして、都が独自に設定したレベル二・五の段階で先手を打って医療機関に病床確保を要請するとともに、酸素・医療提供ステーション等の受入れ規模を拡大することで、約九千四百四十床の医療提供体制を確保してまいります。
 また、確保した病床を有効活用するため、入院調整本部の転退院支援班におきまして、症状が改善したコロナ患者を軽症、中等症の患者を受け入れる病院や回復期支援病院への転院を促進させてまいります。
 さらに、これまで入院調整中の患者情報等を共有するため、都と保健所とで活用しているシステムにつきまして、十一月から医療機関も共有しており、一元管理している受入れ可能な病床数を活用いたしまして、転院を含め、効率的に入院調整を行ってまいります。
 次に、宿泊療養及び自宅療養への支援体制についてでございますが、都は、感染再拡大に備えまして、既存の宿泊療養施設の運用見直しや新規施設の開設によりまして、受入れ可能室数を約七千九百室確保していくとともに、希望する方を確実に宿泊療養につなげるため、患者自らが申込みのできる専用の窓口を先月開設いたしました。
 十一月三十日の国内で第一例目となるオミクロン株感染者発生を受け、濃厚接触者が待機する施設として、速やかに宿泊療養施設を活用しております。
 また、自宅療養者フォローアップセンターの人員につきまして、本年八月時点の百五十人体制から、最大二百五十人体制まで増強可能とするとともに、診療や検査を行った医療機関による健康観察の実施や、感染拡大時に往診を広域的に行う医療機関との連携強化などによりまして、安心して療養できる環境の整備に努めてまいります。
 次に、ウエアラブル機器による健康観察についてでございますが、宿泊療養施設でのウエアラブル機器の導入に向けた試行では、療養者の健康状態を常時計測し、遠隔でも正確に把握できるよう、安定的な装着方法に工夫を重ねた結果、容体急変の迅速な察知など、その有効性が確認できました。
 今後は全ての施設への導入を進め、特にきめ細やかな容体把握が必要な療養者の健康管理に効果的に活用してまいります。
 また、自宅療養につきましては、保健所が行う健康観察や入院決定から入院するまでの患者のフォロー等について、ウエアラブル機器の活用を先行実施し、有効な活用手法や今後の展開を検討してまいります。
 次に、抗体カクテル療法についてでございますが、抗体カクテル療法は、発症後速やかに投与することで重症化を防ぐ効果が期待できることから、都は、中和抗体薬治療コールセンターを設置するなど、迅速な投与に結びつける仕組みを構築してまいりました。今後、発症抑制を目的に、無症状の感染者などもこの仕組みに追加をいたします。
 また、自宅療養者等への迅速な投与を可能にするため、往診を行う医療機関や経過観察を行う訪問看護ステーション等への支援を本格的に実施し、高齢者施設等でクラスターが発生した際にも、速やかに対応できる体制を整備してまいります。
 引き続き、抗体カクテル療法の対象者を速やかに投与につなげることで、高齢者など、リスクの高い方の重症化を防いでまいります。
 続きまして、宿泊療養施設における経口治療薬の治験についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症の経口治療薬は患者の負担が少なく、自宅での服用が可能であるため、入院や受診の抑制効果が期待でき、医療体制の逼迫を避けられる点で有用でございます。
 そのため都は、国内の製薬会社による経口治療薬の治験が円滑に進むよう、宿泊療養施設を治験実施場所として提供しており、本年十一月からは治験を希望する療養者に対し、治療薬の投与が開始をされております。
 実施に当たりましては、治験に関わる人員体制の確保、健康観察の方法など、具体的な実施手順について、都は製薬会社ときめ細かく協議を重ね、療養者に対して治験薬の効能や副作用等に関する丁寧な説明を求めるなど、宿泊療養施設における安全な治験の実施を支援しております。
 次に、ワクチンの追加接種についてでございますが、今月から開始された追加接種では、医療従事者等も含め、全ての接種対象者につきまして、区市町村が主体となって調整していくことから、都は、区市町村とのワクチンチーム会議を精力的に開催し、実施方法を決定いたしました。
 また、区市町村の意向も踏まえ、今月中旬から都庁北展望室ほか、多摩一か所の大規模会場を開設し、医療従事者や救急隊員等から接種を開始いたします。
 今後、ワクチンの供給計画等を踏まえ、さらなる対象者への接種が可能となるよう、会場を六か所程度まで順次拡大してまいります。
 さらに国に対し、職域接種では、より多くの企業が参加するよう働きかけを行うことや、早急に実施規模を示すことについて重ねて要望するなど、今後とも追加接種が円滑かつ安定的に進められるよう取り組んでまいります。
 続いて、感染再拡大に備えた検査体制の強化についてでございますが、都は、本年十一月に検査体制の見直しを行いまして、第五波の最大新規陽性者数をベースに、インフルエンザとの同時流行も想定し、検査需要を一日当たり最大約八万八千件、検査処理能力を最大約十万件とする計画改定を行いました。
 本計画を踏まえまして、都医師会等とも連携をし、診療・検査医療機関等のさらなる拡充や公表とともに、インフルエンザと同時に検査可能な抗原検査キットの活用等も進めております。
 加えて、感染急拡大時には、医療機関等に対して要請を行い、迅速に体制強化を図ることとしております。
 なお、今般のオミクロン株の国内発生を受けまして、今後の感染拡大に備えるため、都は十二月三日付で関係機関に対し、速やかに検査体制の強化を図るよう要請をいたしたところでございます。
 最後に、社会経済活動を継続するための検査についてでございますが、国は、感染対策と日常生活の両立に向けて、ワクチン・検査パッケージ制度等の利用促進を図っております。
 制度利用に必要な無料検査のため、都は国の情報も活用して民間検査機関や薬局等に周知し、実施事業者として登録の上、十二月下旬以降を目途に事業を開始いたします。
 実施に当たっては、無料検査の対象となる方や実施事業者の一覧等をホームページ等で分かりやすく周知していくとともに、実施事業者に対して、検査費の交付と検査環境整備に対する支援を来年三月まで行ってまいります。
 また、感染拡大時には、国が示す、感染リスクが高い環境にあるなどのため感染に不安を感じる無症状者で、特措法による要請に応じた都民に対し、無料検査を実施し、感染拡大防止と都民の不安解消を図ってまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小の旅行業者への支援についてですが、観光産業の回復に向けた支援を行う上で、中小規模の事業者に着実に効果が及ぶような取組が重要でございます。
 都では、国のGO TOトラベルの開始に合わせ、都民による都内旅行に助成する事業、もっとTokyoの再開を予定しております。
 本事業について、今回の補正予算により支援規模を大幅に増やすとともに、引き続き、定額の助成を行う仕組みとし、中小の旅行業者が取り扱う比較的低廉なツアー等の利用の増加につなげてまいります。また、中小の旅行業者の取扱いが多い団体旅行などを広く支援の対象とすることで、そうした事業者のニーズにも応えてまいります。
 これらの取組により、中小の事業者を後押しし、観光産業の活性化に結びつけてまいります。
 次に、非正規雇用の方などへの就業支援についてでございますが、非正規雇用や失業中の方がコロナ禍においても人手不足となっている業種に再就職ができるよう、新たなスキルの取得を支援することは効果的な取組でございます。
 このため都は、コロナ禍でも採用意欲の高いITや介護などの業界の求人を重点的に開拓して、求職者に対し、一定期間の派遣就労を通じて業務スキルを身につける機会を提供し、派遣先での正社員としての就職ができるよう支援しております。
 また、成長産業であるデジタル関連の業界等で必要となる新たなスキルや資格を、非正規雇用の方などがeラーニングで取得できる事業を行っているところでございます。この支援は、働いている方や育児中の方でも受講が可能でございまして、利便性も高いことから、今後、事業規模の拡充を検討してまいります。
 次に、女性の再就職支援についてですが、女性は、育児や介護を行いながら仕事をするなど、多様な就労ニーズを抱えている場合が多く、そうした女性の早期の再就職の実現にはきめ細かい支援が必要でございます。
 このため、都は、しごとセンターにおいて、専任のアドバイザーが求職者の希望や適性をカウンセリングにより把握して、それを踏まえた職場体験の機会を提供し、職業紹介も実施しております。
 また、女性向けに求職活動のノウハウを分かりやすく提供するセミナーと就職面接会を一日で行うマッチングイベントを定期的に開催するなど支援を強化しているところでございます。
 今後はこれらに加えまして、女性の働きやすい職場として都が表彰した企業等が参加する新たな就職面接会の開催を検討するなど、マッチング機会の充実を図ってまいります。
 最後に、被災地応援ツアーについてでございますが、都は、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月から同ツアーを実施しております。平成二十四年度からは、観光を取り巻く環境が依然厳しい状況にあった福島県を対象に、宿泊、日帰り旅行の支援を行ってまいりました。平成二十八年度からは、県と連携して、都内学校の福島への教育旅行に対する支援を開始し、令和元年度からは、県が浜通り地方などの振興に向けて推進するホープツーリズムを対象に加えるなど、被災地の実情に応じた支援を行ってきたところでございます。
 こうした中、昨年末の新型コロナウイルスの感染拡大により、同事業は現在停止をしているところです。
 今後は、感染症の状況に留意し、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望等も踏まえて支援を検討してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 七点のご質問にお答えします。
 まず、自殺対策についてであります。
 自殺の背景には、健康問題や経済問題など様々な要因が複雑に絡み合っていることから、都では、地域や職場、学校などで困難を抱える方の周囲の人々がゲートキーパーとして悩みに気づき、声をかけ、必要な支援につなぐことの重要性を区市町村や事業者等に周知しております。
 今後、都民生活に関わる様々な分野の相談窓口が、相談者の複数の悩みに連携して対応できるよう、自殺対策や多重債務問題に取り組む民間団体、区市町村などが参加する連絡会等で、情報共有のためのシートの活用など、実践的な連携事例を紹介いたします。
 また、区市町村による企業等と連携したゲートキーパーの養成を支援するため、研修用動画や冊子も作成することとしておりまして、引き続き、区市町村や関係機関等と連携した自殺対策を推進してまいります。
 次に、チャイルド・デス・レビューについてであります。
 チャイルド・デス・レビューは、子供が亡くなられた後、直接の死因に加えまして、社会的背景や環境要因等を分析、検証し、効果的な予防対策を提言するものであります。
 その実施に当たりましては、死亡診断を行う医療機関をはじめ、福祉、保健、教育、警察など、子供と家族に関わる様々な機関の連携協力が不可欠であります。
 また、子供の死という特に配慮を要する情報を取り扱うため、収集する情報の範囲や入手、管理の方法、検証結果の共有、公表、施設での事故等を検証する既存の制度との関係などについて、あらかじめ整理する必要があります。
 今後、都としてどのような体制で取り組むべきか、区市町村や関係機関等の意見も聞きながら検討してまいります。
 次に、放課後等デイサービスについてであります。
 就学中の障害児の居場所である放課後等デイサービスは、児童や保護者のニーズが多様であり、事業所ごとに支援の内容は様々であります。
 こうした状況も踏まえまして、都が本年七月に実施した放課後等デイサービスの実態調査では、経験のある専門職による多様な訓練や創作活動などのサービスを提供する事業所がある一方で、職歴が短い職員が多い事業所もあることや、第三者評価の受審率が低いことなども分かりました。
 今後、この調査結果も踏まえ、サービスの質の向上に取り組む放課後等デイサービスへの都としての支援策について、早急に検討してまいります。
 次に、医療的ケア児支援センターについてであります。
 医療技術の進歩により、医療的ケア児の数は増加傾向にあるとともに、ニーズも多様化しておりまして、本人とその家族が地域で安心して暮らすには、保健、医療、福祉などの各分野が連携して支援する必要があります。
 都は本年度、医療的ケア児の支援に関する諸課題への対応や関係機関の連携強化などについて協議するため、各分野の代表などで構成する東京都医療的ケア児支援地域協議会を設置いたしました。
 現在、医療的ケア児支援法の制定を受けまして、専門的支援などを担う医療的ケア児支援センターの機能や役割についても議論を重ねておりまして、今後、多様なニーズを抱える当事者家族などの意見も聞きながら、センターの設置に向けて検討を進めてまいります。
 次に、センターの設置についてでありますが、医療的ケア児とその家族が抱える課題は多岐にわたっておりまして、その支援は専門性が高いことから、個々の相談窓口だけで適切な支援につなげることが難しい場合があります。
 このため、センターには、当事者家族からの多様な相談に応じ、的確な支援や助言等を行うとともに、多くの機関にまたがる支援の調整について、中核的な役割を果たすことも求められます。
 医療的ケア児支援地域協議会での議論も踏まえまして、今後、人口規模や利便性、当事者家族からのニーズなども考慮いたしまして、設置数を含めセンターについて検討してまいります。
 次に、人材の育成と関係機関との連携についてであります。
 都はこれまで、医療的ケア児の支援を担う事業所や行政機関の職員などを対象に、支援に関する基本的な研修に加えまして、地域での支援を総合的に調整する人材を養成してまいりました。
 また、区市町村が身近な地域で必要な支援を提供するために、地域の関係機関で協議する場を設置しており、都としては、こうした取組が進むよう、先行事例を紹介するなど区市町村を支援しております。
 今後、医療的ケア児支援センターの設置に当たりまして、医療的ケア児の支援に関わる人材の確保、育成や関係機関の連携がさらに進むよう検討してまいります。
 最後に、国民健康保険についてであります。
 国民健康保険制度では、都道府県は、一人当たり医療費の伸びや被保険者数等を推計して積算した保険給付の必要総額から、国や都道府県の公費等を差し引いて、区市町村の納付金総額及び標準保険料率を算出することとされております。
 今回の仮算定では、一人当たり医療費の大幅な増加や被保険者数の減少等により、一人当たり保険料算定額の伸びが大きくなっております。この算定に当たりましては、国の特例基金や都の繰入金等を活用しているところでございます。
 都はこれまでも、制度設計者である国に対し、今後の医療費の増加に耐え得る財政基盤の強化を要望しておりまして、引き続き国に求めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、スポーツを通じた健康増進の取組についてでございます。
 東京二〇二〇大会を契機に高まったスポーツへの興味、関心をスポーツ実施につなげていくことが重要でございます。
 都は、新たに、オフィス街等でビジネスパーソンに運動のきっかけを提供するアーバンフィットネス推進事業を実施いたします。
 具体的には、来年三月、フィットネスマシンの体験や身近なスポーツジムの情報の紹介、運動動画サイトの案内等を行うイベントを実施し、これにより、働き盛り世代の継続的な運動実施につなげてまいります。
 また、社員向けに職場での体操や、パラスポーツ体験会に取り組んでいる企業等をスポーツ推進企業として認定し、その取組事例を紹介するなど、広く運動機会の拡大に努めております。
 今後も、こうした取組を通じて、働き盛り世代をはじめとした都民の健康増進を図ってまいります。
 次に、スポーツを通じた被災地支援についてでございます。
 都は、東日本大震災後、スポーツを通じて被災地に元気を届けられるよう、様々な事業を展開し、復興の後押しをしてまいりました。
 具体的には、青森から東京までをたすきでつなぐ千キロ縦断リレーや、野球、サッカー等に取り組む被災地と東京の子供たちの交流等を継続的に実施してまいりました。
 今年度も、トップアスリートがスポーツ教室で直接指導するアスリート派遣事業を岩手県等で実施し、被災地の子供たちにとって、かけがえのない機会を提供することができました。
 今後、これまでの取組の成果や被災県の意向も踏まえながら、被災地と東京の絆を一層深める事業の実施に向けて検討してまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、芸術文化活動への参画体験等についてでございますが、東京の芸術文化活動を担うアーティスト等は、新型コロナウイルス感染症の影響により、現在もなお厳しい状況にございます。
 そこで、都では、音楽や演劇、映画、伝統芸能など幅広い分野のアーティストや団体を支援すると同時に、観客が芸術文化を楽しむ機運の醸成を目指し、今年度、大規模文化事業助成を立ち上げました。この助成は、多くの都民が参加、あるいは楽しめる工夫がされていることも採択のポイントとしております。
 今後、都民の芸術文化を楽しむマインドの回復を目指し、さらなる支援を検討してまいります。
 次に、新進芸術家、芸術団体への支援についてでございますが、今年度開始したスタートアップ助成では、新たに活動歴三年未満のアーティストを対象とするなど、若手アーティストの活動支援に力を入れております。
 今後、東京の多彩な文化や芸術を支える担い手の裾野をさらに広げるためには、若手アーティストが継続的に活動できる仕組みを構築することが重要でございます。
 アートにエールを!東京プロジェクトの参加者アンケートでは、都に求める支援内容として、約四割の方が作品づくりのための環境提供、約五割の方が発表の機会の提供と回答しております。
 そこで、新規に立ち上げた助成に加えまして、アトリエや稽古場等の制作環境や、発表機会を充実させるための方策を新たな文化戦略に盛り込み、若手アーティストの育成を強化してまいります。
 最後に、情報発信の充実についてでございますが、都はこれまでも、アーツカウンシル東京のホームページやリーフレット等により、助成制度などアーティストに対する支援情報を発信してまいりました。コロナ禍を契機に、こうした情報のニーズは高まっており、必要な情報をより速やかに、分かりやすく届けていく必要がございます。
 そこで、今後は、都や国などの支援情報を一覧できるようホームページに掲載するとともに、一人一人のアーティストにも届くよう、コロナ禍によって生まれたネットワークなども活用し、アーティストへの情報発信を強化してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の型別供給実施基準についてでございますが、都は、住宅に困窮する都民への都営住宅の的確な供給を図るため、平成五年度に型別供給実施基準を定め、それに合わせた基準設計により、世帯人数に応じた広さと間取りの住宅を整備してまいりました。この実施基準と基準設計につきましては、社会経済状況の変化等に応じて、これまでも数回にわたり見直しを行ってまいりました。
 また、令和二年二月からは、多摩地域での入居者の公募に当たりまして、応募状況の改善に向けて、住戸あっせん基準の弾力的運用を実施しております。
 今後、建て替え事業における居住者移転との整合を保ちつつ、あっせん基準の運用を工夫するとともに、建て替え事業で整備する住戸につきまして、基準設計の改善と併せて、型別供給実施基準の見直しを図ってまいります。
 次に、都営住宅募集のオンライン申請についてでございますが、現在、都では、オンライン申請システムの構築を進めており、今後、運用テストなどを行った後、令和四年二月の毎月募集から運用を開始し、五月以降、定期募集や随時募集におきましても活用していく予定でございます。
 この申請システムでは、スマートフォンやパソコン等から専用のポータルサイトにアクセスし、世帯人数や最寄り駅等の条件から、希望に合った住宅を検索して申し込めるとともに、抽せん番号や抽せん結果をメールで受け取れるなど、利便性の向上が期待できます。
 また、運用開始に当たりまして、利用案内チラシを募集パンフレットに折り込んで配布するなど広く周知するとともに、新たに専用のコールセンターを設置し、都民が円滑に利用できるようサービスの充実を図ってまいります。
 最後に、既存住宅の省エネ改修の促進についてでございますが、二〇五〇年までのゼロエミッション東京の実現に向け、家庭部門のCO2排出量を削減していくためには、既存住宅の断熱改修のさらなる促進が重要でございます。
 これまで都は、省エネリフォームの効果や優良事例等をまとめたガイドブックによる普及啓発に取り組むとともに、窓などの開口部の断熱改修工事やマンション共用部における照明のLED化への助成等を行ってまいりました。
 こうした取組を引き続き推進するとともに、壁面や天井などの断熱改修にも支援できる新たな事業の検討を進めております。
 今後、自治体と連携した事業の創設を目指している国の検討状況も踏まえながら、施策の具体化を図り、既存住宅の省エネ性能向上に取り組んでまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 東京ゼロエミ住宅導入促進事業についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、住宅等建物の脱炭素化を図ることが重要でございます。
 このため、都は、住宅用地が狭小など、東京の特性を踏まえ設定した、都独自の基準を満たす住宅を新築する際、建築主に費用の一定額を助成しており、毎回予算額を超える申込みがございます。こうした都民の省エネ意識の高まりをさらに後押しし、東京ゼロエミ住宅の一層の導入促進を図るため、今般の補正予算案でその総額を拡大いたします。
 また、来年度に向けて、より高いレベルの省エネ性能等を備えた住宅の建築を促進するため、その水準の多段階化などを進め、実効性を高めてまいります。
 こうした取組を通じて、住宅の脱炭素化を加速させ、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公共工事の週休二日の促進についてでございますが、建設業の働き方改革を推進していくことは、公共工事の担い手確保に向けた重要な責務と認識しております。
 都では、工事現場の週休二日の取組を促していくため、平成二十八年度から週休二日モデル工事を試行しており、必要となる経費として、国に準じて労務費を補正し、実態に即した経費を計上することとしております。
 モデル工事では、受注者に直接、補正の趣旨を説明し、さらに作業従事者まで着実に浸透を図るため、労務費の補正を行っていることを明示したポスターを工事現場に掲示しております。
 今後とも、関係団体の労務単価に関する声をお聞きしながら、試行を継続するとともに、国へ現場の声を伝えるなど意見交換を行い、連携を図ってまいります。
 次に、工事関係書類の削減、簡素化についてでございますが、都では、関係局が連携し、令和元年度から工事関係書類の削減等の効果を検証するモデル工事を行いました。
 あわせて、押印省略が可能となる書類についても検討を進め、財務局では、令和三年に基準等を改正し、統一様式三十二様式のうち十一様式と局独自に定める七様式の削減、簡素化を図りました。各局でも基準等の改正を行い、統一様式に加え、独自に定める延べ三十六様式の削減等を図りました。
 このほか、書類の提出や決裁等をネット上で行う情報共有システムを活用する試行工事を進めております。
 引き続き、各局と連携し監督員の意識向上を図りながら、工事関係書類の削減、簡素化に取り組んでまいります。
 また、工事現場の働き方改革等につながるカメラの活用方法などについては今後検討してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 建設業の働き方改革についてでございますが、若手や女性にとっても魅力的な職場として、建設業の働き方改革を推進し、担い手を確保することは重要でございます。
 改正労働基準法により、令和六年度に建設業の時間外労働の上限規制が施行されることから、工事現場における時間外労働の抑制を図ることは急務でございます。
 建設局では、常設の作業帯の設置が困難な路上工事の積算につきまして、国の基準が改定されたことに伴い、今年十月に基準を改定し、労務費の補正や工期の延伸等について、現場条件に合わせて必要な設計変更を行えることとし、受注者にもその旨をお知らせしております。
 また、下水道局は十一月に、水道局は十二月に同様の対応をしております。
 今後の運用状況を見つつ、関係団体の声も聞きながら、必要な改善を行い、建設業の働き方改革の取組を後押ししてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時三十二分休憩

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