令和三年東京都議会会議録第二十二号

   午後三時十分開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十九番小山くにひこ君。
〔百十九番小山くにひこ君登壇〕

○百十九番(小山くにひこ君) 令和三年第四回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事並びに副知事、警視総監、教育長及び関係局長に質問いたします。
 質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられました方々に対しまして、心からご冥福をお祈り申し上げます。また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復をご祈念申し上げます。
 未曽有のコロナ禍の中で、世界から、東京だからこそ開催できたと評価されました東京オリンピック・パラリンピック競技大会から、三か月余りが経過しました。一九六四年の東京大会は、戦後復興の象徴として開催され、その後の東京、日本の発展へと大きくつながりました。
 しかし今日、戦後日本を発展させてきた社会モデルは、大きな転換が迫られています。人口減少、超高齢社会の到来、日本経済や科学技術の国際競争力の低下、生産性の低さやデジタル対応の遅れなど、日本社会は多くの構造的な課題を抱えています。
 我が会派はかねてより、東京二〇二〇大会のレガシーを大会後の東京の新たな成長につなげていくべきと求めてきました。コロナ禍の中で開催された東京二〇二〇大会は、一九六四年大会を契機に発展を続けてきた東京、日本の時代の転換点であり、都政にはこれまでの延長線上でないポストオリ・パラ、ポストコロナの新しい時代を切り開いていく歴史的な責務があります。我が会派は、引き続きその先頭に立ち、東京、日本の構造改革、そしてサステーナブルリカバリーを全力で推進してまいります。
 新型コロナウイルスの感染状況は、国内では一時的終息を見せていますが、新たな変異株であるオミクロン株が世界各国で検出されるなど、感染再拡大の懸念は強く、第六波を想定した備えが求められています。
 今夏の第五波においては、強い感染力を持つデルタ株により、過去最大の感染拡大となり、全国で最大二万八千人の入院が必要となるなど、医療体制は逼迫し、都民、国民の命と健康が脅かされる状況となりました。第五波以上のさらなる感染拡大も想定し、医療提供体制の大幅な強化と運用の改善を進めなければなりません。
 そこで、都として、新型コロナウイルスの第五波への対応や課題を検証し、第六波に備え万全の対応を講ずるとともに、本定例会の補正予算をもって、都民の命と暮らしを守り抜くべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オミクロン株をはじめ、新型変異株の感染拡大を食い止めるために、国の水際対策は極めて重要です。
 我が会派から、いち早く知事に対して緊急要望を行い、措置対象国の拡大や入国制限も含めた国による徹底した水際対策を要請するよう求めました。
 それを受け、先般、小池都知事が岸田総理に対し政府の水際対策の強化を求め、再強化が発出されましたが、過去に幾度となく国の水際対策の遅れにより感染が拡大した経緯を踏まえ、都としても、これまでの水際対策の課題を独自に分析し、国に対して実効性の確保を強く求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、このオミクロン株対策として、都内での感染を広げないために、現在、陽性者数が限られている中で、全ての陽性判明者に変異株検査を行い、早期発見を行う特別体制を取るべきでありますが、知事の見解を伺います。
 行政検査での対応に加えて、早期発見を推進するため、民間の検査においても変異株PCR検査が安価に受けられるよう、都が支援するように求めておきます。
 第六波に備えて、ワクチンの追加接種、いわゆるブースター接種を迅速に進めていくことも重要です。先行するイスラエルで実施されましたファイザー社のワクチンに対する研究では、六十歳以上で追加接種を受けた場合、感染の発生率が約十一分の一、重症の発生率が約二十分の一であったと発表されています。こうした高い効果を踏まえ、同国では既に今年九月の段階で、十二歳以上の全ての年齢層に対象を拡大し、二回目接種後六か月経過した方へのブースター接種を進めています。
 一方、日本政府はようやく、二回目接種後八か月経過した者を対象として、十二月からの医療従事者等への追加接種を開始することを発表しています。
 都はこれまで、我が会派の要望を受けて、医療従事者のみならず、警察、消防職員、消防団員、介護従事者、教育関係者、清掃や交通運輸従事者をはじめ、対面で医療的行為を行う柔道整復師や鍼灸師など、都民の生活を支えるエッセンシャルワーカーの方々が安心して働くことができるように、独自に優先接種を実施してまいりました。
 まずは、三回目の追加接種においても、医療従事者、警察、消防職員、消防団員などのエッセンシャルワーカーの方々が着実かつ迅速に接種できるよう、都として体制を構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、東京都医学総合研究所の研究成果として、二回目接種から七か月以上経過で、中和抗体の抗体価が十三分の一まで低下すると先月発表されております。接種から八か月未満でも三度目のワクチン接種をできるよう取り組むべきであり、加えて、抗体量検査も活用して接種を促進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 第五波においては、コロナ患者の救急要請も大幅に増加し、保健所や医療機関との調整に長時間を要するケースも多発したと聞いています。現場を支える救急隊員や関係者の皆様が、多くの命を守るために厳しい環境の中でも奮闘していただいたことを改めて感謝申し上げます。
 一方、隊員の負担に加えて、コロナ以外の一刻を争う事故や急患の救急搬送が逼迫する要因となったことから、今後の感染再拡大に備えて、課題を整理、解消することは極めて重要です。
 そこで、救急搬送の観点から、特に現場滞在時間の長期化など、感染拡大第五波において生じた課題への対応とその経験を踏まえて、対策を講じていくべきですが、見解を伺います。
 今年九月、厚生労働省は、抗体カクテル療法について、自宅療養者への往診でも使用を認めると、都道府県などに通知いたしました。また、十一月五日には、投与する対象を患者に濃厚接触した家族等や無症状の患者とし、かつ重症化リスクがあることを原則として、発症を予防する目的での投与も条件付で承認しました。早期投与により、重症化を防ぐ効果が高いとされる抗体カクテル療法は、命を救うという面のみならず、病床負荷の軽減という観点からも重要な武器となります。今後はこうした状況の変化も踏まえて、抗体カクテル療法のさらなる活用を進めていくべきですが、見解を伺います。
 後遺症に苦しむ方々が多いことから、我が会派は都に対して、後遺症の相談窓口を設置するよう求め、今年三月より都立、公社病院における相談対応が実施されてまいりました。
 そこで、都立病院に設置した後遺症相談窓口の成果を伺うとともに、今後は後遺症の治療に関するデータや症例の分析を都として行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 新型コロナウイルスの影響により、厳しい経営状況にある事業者を支援するために、都は、新型コロナ対応融資をはじめとした各種融資制度を実施してきました。こうした融資制度の中には、今後返済が始まるものもありますが、当初の想定よりもコロナ禍の影響が長引く中で、多くの事業者はいまだ返済が困難な状況にあります。
 そこで、都内中小企業の資金繰りを支えるため、借換え融資も含めたさらなる支援策を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 緊急事態宣言等の解除で、飲食店はようやく通常営業に近づきましたが、テレワークや生活スタイルの変化で客足は戻っておらず、コロナ前の売上げは見込めない状況が続いています。感染拡大防止協力金の支給が終わり、コロナ融資の返済が始まると、ますます厳しい経営状況が想定をされます。
 そのような飲食業界を支える新たな支援策として、十一月からテークアウト専門店出店支援を開始しましたが、想定を上回る応募があったと聞いており、支援策の拡充が求められます。
 そこで、多くの申請があることを踏まえ、今後、飲食店の業態転換などの取組をさらに後押しするために、テークアウト等の飲食事業者向けの支援を一層強化、拡充して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症を経て、人々の生活スタイルのみならず、脱炭素社会の構築やデジタルトランスフォーメーションの加速など、世界がポストコロナを見据えて、大きく変わろうとしています。
 都は昨年度、ポストコロナにおける東京の構造改革をテーマに有識者会議を開き、そこでの議論も踏まえて、長期計画である未来の東京戦略を策定しました。東京が世界、日本を牽引し、デジタルの力をてこにイノベーションを生み出し、サステーナブルリカバリーを実現するための具体的な取組を進めなければなりません。
 デジタルの力を活用し、中小企業支援をはじめとする産業振興策を進め、新たな事業やサービスが次々と誕生するイノベーションを生み出す東京の創出に取り組んでいくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 都が、我が会派の提案した東京版ニューディールを採用し、本年度二万人規模の雇用対策を講じてきたことを高く評価します。特に、提案により新たに始めたデジタルスキルの研修と再就職支援をセットにした雇用創出事業について、今年度も百八十三名がITインフラコースやプログラミングコースに入校し、既に一部は再就職が決定するなど、着実な成果を上げていると聞いています。
 一方、長引くコロナ禍に対応する形で、都や国の支援策も延長されてきたことから、廃業を抑え、雇用もかなりの部分で維持されてまいりました。失業の増加等の雇用環境の悪化は、むしろ今後本格化してくると考えるべきであります。
 また、経済産業省が実施したIT人材需給に関する調査によれば、二〇三〇年に四十五万人のIT人材が不足する見通しとなっています。社会全体で、より広くデジタル人材を育成していかなければなりません。
 本年度の東京版ニューディールの成果を踏まえ、雇用対策において、デジタル人材育成のための職業訓練やマッチングによる求職者支援を一層拡充するなど、今後懸念される失業のさらなる増加に対して、対策を強化すべきでありますが、知事の見解を伺います。
 また、デジタル人材の裾野を広げるためにも、特に都立工業高校において、様々なデジタル分野で活躍できる人材育成を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 都立工業高校が職業選択上も優位性を持ち得ることを具体的な数字や事例を基に示していけるよう、卒業生の進路等を調査した上、魅力発信につながるよう求めておきます。
 教育のデジタル化を進めるTOKYOスマート・スクール・プロジェクトにおいて、高校生への一人一台端末の実現も急務であります。先般、都は、都立高校での導入に関して具体的方法を定めましたが、家庭への負担が大きな課題であります。
 我が会派は、家庭の状況により端末の整備状況に差が生じないよう、端末購入に対して、都として独自の支援策を導入することや私立高校に通う生徒たちへの支援も求めてまいりました。
 今般、知事は、都立高校の一人一台端末に係る保護者負担額を三万円とすることについて所信で表明されましたが、私立高校に通う生徒たちへの支援も行うべきであり、改めてデジタル端末購入に関する保護者支援策やその考え方について、知事の見解を伺います。
 デジタルを活用した教育が都内の学校において普及しつつありますが、質の高い学びを実現するためには、現場教員のスキルアップが欠かせません。また、授業だけではなく、校務や家庭とのやり取りの効率化も可能となるため、校長、副校長を含め、学校全体でデジタルリテラシーの向上を図ることが必要であります。
 学校長、副校長を含めた教員の評価の際にデジタル技術の到達度、活用状況等も考慮することで、教員のデジタル対応力を継続的に向上させるべきと考えますが、見解を伺います。
 都のデジタル人材の採用、育成も途上であり、現在都庁内のデジタル人材は八十一名にとどまります。今後デジタル人材の採用を一層拡充するとともに、ICT職以外の職員についても、デジタル技術に関する知識、スキルの向上が不可欠であります。
 また、経済産業省が定めるITスキル標準によれば、ICT人材のスキルレベルはおおむね七段階に区分されており、各レベルにおいて求められる業務経験や実務能力、知識は異なることから、より高度なスキルを要する人材も含めて都庁で採用できるよう、スキル区分や雇用条件を整えていくことも重要であります。
 今後、都庁内のデジタル人材の確保に当たっては、特に採用する人材のスキルレベルと分野を明確にするなど、人材確保に関する全庁的な戦略を策定すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 コロナ禍を通じて、高齢者の方々にとっても、スマートフォン等のデジタル機器は生活に必要不可欠なツールであるという認識が広がっており、都は今年度、我が会派の要望を受け、スマートフォンのデジタル機器の使い方、導入支援や、地域の町会、自治会活動、キャッシュレス決済、デジタルプレミアム商品券等の多くの取組を進めてまいりました。
 我が会派のデジタルPTが行ったエストニア外交官へのヒアリングにおいて、今やデジタル先進国として名高いエストニアでは、デジタル変革にかじを切る際に、当初は高齢者などのデジタルに不慣れな方々が多数いらっしゃって、そうした方々がデジタル活用できるように、大学生をサポーターとして伴走型の支援を行ったと聞きました。
 都も昨年度、コロナ禍において経済的に厳しい大学生を一時的に雇用し、様々な行政事務を担ってもらいましたが、デジタル世代である大学生の強みを生かして、こうした分野においてこそ雇用し、活用することを提案いたします。
 そこで、行政サービスやキャッシュレスサービスの利用など、シニアの皆様の暮らしや地域活動を豊かにする様々なデジタル活用支援について、都内大学生をサポーターとして雇用するなど、伴走型支援による取組を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 既存行政データの活用による、助成事業の迅速化等の実現についてお伺いをいたします。
 さきの決算特別委員会で我が会派から指摘をしました、飲食店等への協力金支給において、電子申請の場合も営業許可書の添付を求め、申請書類の入力情報を確認して審査する必要があったと聞いております。各保健所が管理している営業許可情報について、データベースがあり、データをインポートできれば、添付書類が要らないだけでなく、入力間違いもなくなり、審査側も確認作業を減らすことができます。すなわち、申請の電子化はしたものの、いまだデジタル化したとはいえない状況にあります。
 このような状況を改め、デジタルの力を使って、各局の行政サービスを都民にとって使いやすく簡便なものとするために、データ利活用や様々な技術的視点でのガイドラインを早期に策定し、各局に広げることで、例えば協力金支給のようなケースで、営業許可のデータを活用して、申請者や審査の負荷軽減ができるようにするなど、誰もが実感できる実際の行政サービスの改善を実現していくべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。
 協力金支給やワクチン接種アプリなど、業務委託先やベンダーを適切に選定し、より有効な仕組みをより安価に発注できるよう、目利きの機能を持つデジタルサービス局が事業スキームの構想段階からサポートし、各局事業の発注業務に対するアドバイスとアセスメントを強化する必要があります。
 また、発注段階に加えて、事後検証による改善やノウハウの蓄積も重要であることから、併せて一層のワイズスペンディングが実現できる取組を強く求めておきます。
 感染症対策において、協力金の支給やアートにエールを!東京プロジェクトといったこれまでにない規模の支援策が実施をされました。結果として、都は膨大な数の飲食店やアーティストとの直接の接点を得ることとなりました。これは大きな資産として、今後の支援策を迅速に多くの人に届けるために活用されることを提案いたします。
 既に、総務局の所管するコロナ対策リーダー制度においては、登録者の同意を取り付けるなどの工夫をすることで、各種支援情報を直接お知らせすることができていると聞いております。
 こうした取組を横展開し、感染症対策によって得た飲食店やアーティスト等との接点を活用し、今後は希望者には、新たな支援策などをプッシュ型で直接知らせることができるようにすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちはかねてより、所得向上の重要性を訴え、都議選において東京版所得向上計画を掲げてまいりました。今日の所得の向上には、新しい製品、サービスを生み出し、付加価値をつけ、収益力を高め、一人一人の生産性を上げていく、本質に立ち返った取組が重要であります。
 とりわけ、学生、若年層に対する、成長分野で働くためのデジタルスキルや世界を舞台に戦う力をつける語学等のスキルアップなど、所得向上につながる取組は極めて重要であります。
 一方、未来を担う学生、若年層は、コロナ禍でのアルバイト収入の減少やコロナ禍に対応するために増大した通信費等の厳しい現実に直面をしています。学生、若年層への支援強化により、若年世代の可処分所得を向上させることで、消費喚起や将来への投資を促すことは、東京や日本の経済成長の起爆剤にもなります。
 このように、学生、若年層の収入アップに資する取組と各種の負担の軽減策を同時に実行することで、自由に使える可処分所得を増やす東京版所得向上計画を強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先日、小田急電鉄は、子供の運賃を来春から全区間で一律五十円にすると発表いたしました。さらに、我が会派の提案により都営地下鉄で実施をされています子育て応援スペースと同趣旨の車両を常設化するとともに、駅にベビーカーシェアリングのサービスを本格導入するとしています。
 こうした取組は、子育て世代を呼び込むことで、沿線開発、沿線不動産価値の向上を図る意味でも戦略的な取組であります。コロナ禍を契機として、自然豊かな郊外へ住むことへのニーズも高まっている中で、延伸計画が進捗する多摩都市モノレールにおいて、そのような戦略的な観点で、子供や学生に対する割引制度を導入するなど、運賃制度を検討することは重要であります。
 多摩都市モノレールにおいて、沿線開発の促進や多摩移住促進の観点から、子供に対する割引制度を導入するなど、子育てに優しい環境をつくるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都営交通においても、さらなる子育て支援の取組が行われるよう求めておきます。
 我が会派の強い要望により実現をしましたコロナ禍の中での出産を後押しする東京都出産応援事業、赤ちゃんファーストが実施されており、都民の皆様から多くの感謝の声が届いております。
 都民から寄せられている声を踏まえ、都の施策展開に生かすとともに、サービスや育児用品の中身をさらに充実させ、来年度も引き続き東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方、応援事業の案内をお届けするのは、各自治体に任されておりまして、出産後二か月余り経過してから届いているとも聞いております。この点は迅速に支給されるよう改善を求めておきます。
 子育ての経済的な負担を軽減することは、少子化対策としても極めて重要です。しかしながら、子供の歯科矯正は多くの場合、公的保険の対象外となっており、多額の費用を要するため、断念する保護者の皆様がいるのも事実であります。歯科矯正は、見た目、審美性の観点だけで行われるものではなく、子供の将来にわたる健康を維持する観点から、歯科医師等の専門家から推奨されるものもあります。
 そこで、東京の子供の健やかな成長を後押しするため、専門家の判断など、一定の条件を満たす歯科矯正に対し補助を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 都内では、毎年五百名にも上る十八歳以下の子供たちが命を落としており、近年は小中高生の自死が増加しているなど、対策が急務であります。自殺予防はもとより、不慮の事故など、子供の死は予防できるものが数多く含まれます。
 子供の死亡を予防するために、死亡検証制度であるチャイルド・デス・レビューは、事故や虐待を含む全ての子供の死亡事例について調査、検証し、再発を予防する取組であり、厚生労働省のモデル事業として、二〇二〇年度から七府県で実施をされております。多くの命を守るとともに、近年増加している青少年の自殺対策や複雑化している児童の心身の課題解決につなげていく上でも、重要な取組と考えます。
 そこで、医療、教育、福祉の垣根を超えた連携を図り、未来を担う子供たちの命を守るため、都においてもチャイルド・デス・レビューの取組が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 令和三年度に都が実施した調査では、男女の家事、育児関連時間の差は五時間二十分へと拡大しています。コロナ禍により、むしろ男女間の家事、育児の負担の差が深刻化している結果となりました。男性の家事、育児時間を延ばすためには、これまでの普及啓発を中心とした取組では限界があります。
 改めて、スマート家電の導入支援や家事代行サービスの活用支援、家事、育児時間の合理化を促す施策など、取組の抜本的な強化を求めます。
 そこで、男性が家事、育児に取り組みやすく、男性の家庭での活躍をこれまで以上に強力に後押しすることで、男女平等参画社会の実現に向け、取組を加速すべきでありますが、見解を伺います。
 OECDの男女間賃金格差の二〇二〇年調査によると、日本は、女性の賃金が男性の賃金に対して二二・五%も低いとされ、主要先進国より格差が大きいことが改めて明らかとなりました。日本の状況は、妊娠、出産に伴いキャリアの断絶が生じやすい、女性は非正規雇用が多いなどが理由とされておりますが、海外先進諸都市の例も参考に、その是正に向けて取り組む必要があります。
 欧州委員会では、罰則つきの男女間賃金格差の公表の法制化に向けた議論がなされておりますが、都内企業に対し、同一労働同一賃金の徹底、非正規雇用の割合が高い女性労働者の賃上げ、待遇改善を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の未来を担う子供たちへの教育の質を高めるため、教育現場の働き方改革も急務であります。前回の定例会では、中学校に着目し、都教委が実施をしている授業時数軽減の取組の拡大を求めたところでありますが、小学校においても同様の対応が必要であります。
 改めて、現在実施をしております授業時数軽減のモデル事業の成果を踏まえ、都内の全ての小学校、中学校への展開を目指して拡大をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 小中学校の在籍学級の支援の充実について伺います。
 都は今年度から、在籍学級にサポート人材を配置することを支援するため、区市町村に対して独自に補助する制度を開始しており、これは大きな一歩であります。
 しかし、区市町村からは、より活用しやすい補助制度の要件にしてほしいといった意見も聞かれており、制度の改善が必要であります。
 一人一人のニーズに即した支援を実現するため、都内小中学校において、特別支援教室に通う子供たちの在籍学級におけるサポート人材の配置への支援をさらに充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 都が開始をしました情報集約サイトの充実など、教員や保護者全体に対する特別支援教室に通う児童生徒への理解を深めるための取組について、改めて充実することを要望しておきます。
 我が会派では、医療的ケア児が学齢期になると、母親が就労を継続することが非常に難しくなる課題について、何度も質疑をし、取り組んでまいりました。昨年の第三回定例会での我が会派の代表質問に対して、知事より、支援の在り方について検討すると答弁があり、今年度から、障害児の放課後等支援事業として、親の就労支援に取り組む区市町村への支援が開始されたことは、画期的であり評価をいたしております。
 しかし、残念ながら、この事業を活用する自治体が限られており、就労支援体制を構築するには、まだ十分でないことも明らかとなっています。この事業は、医療的ケア児が特に多い自治体こそが有効に活用できる必要があり、事業内容の拡充と見直しをしていく必要があります。
 また、当事者団体からは、在宅レスパイトについても、親の就労のために活用できるようにしてほしいとの切実な要望もいただいております。
 この間、国において、医療的ケア児の健やかな成長と家族の離職防止を目的とする医療的ケア児支援法が六月に公布され、地方公共団体が主体的にこれに取り組むことが責務となりました。こうした状況を踏まえ、都は、医療的ケア児の親の就労支援について、より一層取り組む必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 また、医療的ケア児の利用する通学バスへの看護師配置は、保護者の負担を大幅に軽減するものでありますが、現場の看護師不足等により、十分な対応ができていない課題があります。
 免許を持ちながら現場を離れている、いわゆる潜在看護師の仕事への復帰がコロナ禍を経て進んでいることから、これを機に潜在看護師を活用し、特別支援学校や通学バスにおける看護師の配置強化につなげるべきであります。
 そこで、潜在看護師へのPR強化などを通じて、学校という職場の存在や魅力を広く浸透させるとともに、看護師の希望に添った働き方を可能とすることで、特別支援学校や通学バスにおける看護師不足を解消すべきと考えますが、見解を伺います。
 この夏に行われましたパラリンピックは、私たちに多様性を認め合うことの重要性を改めて教えてくれました。
 パラリンピックに引き続き、今月十二月十七日から、障害のある方々が職場や学校で培った技能を競い合う全国障害者技能競技大会、いわゆる全国アビリンピックが東京で開催されます。東京ビッグサイトを会場として全国から選手が集い、喫茶サービスやビルクリーニングなど二十五種目が実施をされます。そこで活躍する選手の姿を企業の関係者の皆様や障害者支援に携わる多くの方々に見ていただき、その職業能力の高さを知っていただくことができれば、障害者雇用のさらなる促進につながるものと考えます。
 コロナ禍において、競技会場への入場は、やむなく選手、関係者等に制限されることになりましたが、競技の様子はオンラインで全国に配信され、より多くの皆さんに気軽に大会を視聴していただくことが可能となっております。
 全国アビリンピックの開催が十日後に迫る中、企業関係者をはじめ、多くの方が大会に関心を持ち、競技を視聴して、選手の皆さんの職業能力の高さを実感していただけるような集中的な広報を展開し、大会を盛り上げ、障害者雇用の推進につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派ではかねてより、都における同性パートナーシップ制度導入を推進し、当事者の皆様のお声を聞きながら、各定例会で提案を重ねてまいりました。
 性的マイノリティー当事者の皆様は、都におけるパートナーシップ制度の導入を心待ちにしており、都として、当事者や有識者からの意見などが反映されるよう、しっかりとした制度構築が必要であります。また、制度構築だけでなく、都庁各局の提供するサービスについて対象を広げることにより、実効性のある制度とすることが不可欠であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 介護保険制度では、高齢者の多様なニーズに対応できるよう、一定の条件の下で介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することが認められております。東京都では、こうしたサービス形態を選択的介護と呼んで、平成三十年から豊島区と連携してモデル事業を実施してまいりました。
 我が国が超高齢化社会を迎えようとしている中で、自由度の高い保険外サービスも活用し、介護分野において個々の状態やニーズに応じた多様な生活支援サービスを提供できることは極めて重要であります。
 都が実施してまいりました選択的介護のモデル事業の成果も踏まえ、介護を必要とする方々が、それぞれ多様なニーズに合った柔軟性の高い生活支援サービスが受けられるよう、都として取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇二〇大会を終え、大会で新規に整備をしました恒久施設の後利用が極めて重要であります。これまでも我が会派から、新規恒久施設の有効活用と収支の改善を求めてまいりました。さらなる収支の改善に加えて、各スポーツの競技人口、観戦人口の増加や周辺のまちづくりへの展開、今後の国際大会、国内大会の誘致など、経済効果も含めた施設の価値の最大化に向けた取組が必要であります。
 また、大会が無観客となったことで、地域の皆様や競技関係者をはじめとして施設を体験してもらう機会を拡大することや、できる限り早期に、暫定利用も含めた利用開始ができるよう努めるべきであります。
 大会開催後の新規恒久施設の活用について、体験機会の提供、早期の暫定利用、利用開始後の国内外の大会開催誘致などを積極的に行っていくべきでありますが、見解を伺います。
 海の森水上競技場に隣接する海の森公園の再整備について伺います。
 海の森公園の最大の課題である交通アクセスについては、無観客開催となったため、我が会派がかねて提案しておりました舟運の利用など、交通面での様々な取組が大会時には実施をすることができませんでした。今後、本格開園前のイベント利用などにおいて、舟運を含む交通面での取組を求めておきます。
 一方、課題ばかりではなく、周辺に住宅やオフィス等が隣接していないことは、他の地域にない大きな強みでもあります。昨年の我が会派の代表質問での提案に応じ、大規模な音楽フェスの開催なども行っていくと答弁がありました。
 こうした海の森公園の立地特性や広大な公園敷地である制度的な柔軟性を生かし、ほかにはない魅力と価値を生み出していくべきであります。
 音楽フェスなどに加えて、東京ベイeSGプロジェクトとの整合も図り、ドローンや自動運転の活用など、新技術と豊かな海と森の自然空間の融合による国際的にもほかに類を見ない魅力を有するエリアへと取組を広げていくべきでありますが、知事の見解を伺います。
 デジタル技術によって社会の在り方は大きく変化し、交通分野においても、自動運転の実装が着実に進んでおります。
 昨年四月には、道路交通法と道路運送車両法がそれぞれ改正され、レベルスリーと呼ばれる条件付の自動運転が解禁され、高速道路など一定の条件下で、自動運転装置による公道走行が認められることになりました。将来的には、二〇三〇年代に一般道における完全自動運転の実現が期待をされております。
 自動運転では、例えば、道路の車線幅は現行基準より縮小することが可能となり、また、車間距離の削減により、交通容量を増大できるなど、道路整備の前提が変わってまいります。そのため、都は、自動運転社会を見据えた都市づくりのあり方検討会を設置し、自動運転等の社会実装に向けて、交通事故の減少や渋滞の緩和等に資する先端技術の展開の在り方と具体策を検討してまいりました。
 今後は、同検討会の議論を踏まえて、将来的な自動運転を見据えて、都市整備や道路整備を見直していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、自動車運転による環境負荷の低減を目的に、二百台以上の自動車を使用する都内の事業者に対して、特定低公害、低燃費車を一五%以上導入することを義務づけてきました。平成二十八年度から開始した現在の導入義務は、令和三年度末に達成期限を迎えますが、二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けては、より高い導入義務率の設定も検討すべきであります。
 一方、導入義務率の改定に当たっては、事業者の負担が増えないよう配慮しながら進める必要もあります。
 そこで、事業者等の負担軽減のため、ZEVに対する首都高速道路の無料化等を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 ZEVの普及にはインフラの整備が課題であります。電気自動車に必要な充電設備に関しては、集合住宅や月ぎめ駐車場等で充電できる環境の整備を進めていかなければなりません。特に、マンション管理組合や不動産業者等の意識改革も必要であります。
 昨年、都は、再開発等において、都市開発諸制度を活用する際、駐車場への急速充電器の設置を要件としましたが、開発の規模に対して十分な設置数が求められておらず、また、都市開発諸制度を使用しない郊外型の施設整備等も対象になっておりません。
 そこで、設置費用負担が妨げとならないよう、環境局において十分の十の補助を既に設けていることからも、大規模な開発においては、規模に応じた一定数の急速充電器の設置を、義務化も視野に求めるべきと考えます。まずは、都市開発諸制度の活用に当たり、充電器の設置義務台数を増やすべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都太陽光発電設備現況調査によりますと、太陽光発電設備の設置率は、官公庁施設で四・八%、教育施設で五・九%にとどまっており、まずは都が率先して取組を進めていかなければなりません。これまでも都営住宅等において、建て替え住宅を中心に太陽光発電設備の導入を進めてきておりますが、令和二年度末時点で、設置してある住棟は四百六十棟と、全体の約八%にとどまっております。
 また、発電容量については、現状では一棟当たり平均五キロワットの発電容量となっており、これは戸建て住宅の発電容量と変わらない水準となっております。
 そこで、今後、都営住宅において、一棟当たりの太陽光発電容量の拡大に努めるとともに、全体の設置棟数についても一層拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、今後の都立学校施設の整備に当たっては、百キロワット以上の太陽光パネルの設置を義務化し、エネルギーの地産地消を推進すべきであります。加えて、区市町村立の学校に対しても、環境局の補助事業について整備時に活用されるよう、取組を強化すべきでありますが、併せて見解を伺います。
 日本の二〇二〇年度のカロリーベースの食料自給率は、過去最低の三七%となりました。また、東京都は、二〇一九年度、実数で〇・四九%、公表時四捨五入されるため、初の〇%と発表されました。
 また、輸入が大きな比重を占める日本において、食料輸入の輸送行程において大量の温暖化ガスを発生させており、フードマイレージという観点からも、日本の農業振興、食料自給率の向上はまさに気候危機、環境問題として極めて重要であります。
 環境省が以前試算した数値によりますと、日本の食料輸入に伴うCO2排出量は、年間一千六百九十万トンに上り、これは夏の冷房を二十七度から二十八度に設定した際の効果の約十二年分に当たるとのことであります。
 加えて、東京の貴重な農地である生産緑地の多くが二〇二二年に期限を迎えるため、宅地化の懸念が高まっております。かねてより我が会派でもこの問題を取り上げ、都は、各農業委員会や東京都農業会議と連携して、農業者への特定生産緑地への移行を周知し、進めてきたと理解をしております。
 期限が来年に迫る中で、全ての農地が特定生産緑地に移行できるわけではなく、都市農地約三千ヘクタールの一割から二割でも仮に宅地化されるということになれば、影響は甚大であります。厳しい財政状況でありますが、特定生産緑地に移行できず、宅地化のおそれのある農地に対して、買取り等の取組に必要な財源は十分に確保されるべきであります。
 そこで、気候問題やフードマイレージという観点からも、東京における都市農業の一層の振興を図るとともに、農地の保全に向けて、生産緑地の買取り等の取組を強化すべきでありますが、知事の見解を伺います。
 超高齢社会を迎える東京が向き合うべき課題の一つが、個人の財産の適切な管理、承継を促すことであります。
 本年改正されました民法、不動産登記法は、相続登記などの罰則付義務化など、国民生活に重大な影響を及ぼす内容であることから、広報誌や地域の回覧板なども活用して、都民に対する周知徹底に努めていくことが必要であります。また、生前からの不動産の適切な管理を支援することで、空き家対策等にもつながってまいります。
 さきの定例会の代表質問では、今回の法改正を契機に、登記義務化の普及啓発を進めていくとの答弁を得たところでありますが、司法書士等の専門家による支援体制の強化も欠かすことができません。
 そこで、相続登記の義務化を踏まえて、空き家対策などにも資するよう、司法書士等の専門家と連携した相談支援などにより、個人の不動産の適正管理や生前からの整理、遺産相続等の促進を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 近年、震度七が断続的に発生しました熊本地震をはじめ、全国各地で大規模な地震が発生をしております。また、南海トラフ地震の今後の三十年以内の発生確率は七〇%から八〇%に引き上げられるなど、震災への備えは喫緊の課題であります。
 特に、二〇一六年に発生しました熊本地震では、被災後の避難生活による疲労やストレスで亡くなる方の割合が八割にも上っており、直接死よりも震災関連死への対策が大きな課題となりました。都は、平成二十四年に首都直下地震、平成二十五年に南海トラフ地震の被害想定を策定しており、この中で、建物の倒壊や火災による直接死については推計をしておりますが、震災関連死については想定がありませんでした。
 今般、都は、首都直下型地震等の震災における被害想定を見直すとのことでありますが、新たに策定される被害想定においては、震災関連死を明確に位置づけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派は、日々の都民の安全・安心を守るため、また、多くの来訪者が見込まれた二〇二〇大会への犯罪抑止やテロ対策等の観点からも、様々な施設やまち中に、防犯カメラの設置を進めてまいりました。特に町会、自治会、商店街等による防犯カメラの設置や維持管理費用の助成、特に子供たちの通学路等での取組の強化を求め、実現をしてまいりました。
 この間、犯罪抑止効果が発揮をされ、犯罪件数の大きな減少があり、また、犯罪解決についても効果を上げていると認識をいたしております。
 二〇二〇大会後も、必要性が高いものの、いまだ設置が進んでいない場所などで防犯カメラの設置拡大を進めるなど、防犯インフラを充実し、東京の安全性をより一層高めていくべきと考えますが、警視総監に見解を伺います。
 十月三十一日、走行中の京王線の電車内で刃物を持った男が乗客を刺した上、ライター用のオイルをまいて放火をする事件があり、十八人が重軽傷を負うこととなりました。また、八月には、小田急線内の車内で乗客が切りつけられ、十人が重軽傷を負っております。これらの事件により、改めて鉄道車両内の犯罪について課題が浮き彫りになりました。中でも、ホームドアの開閉の問題や車内の防犯カメラについて、注目をされております。
 特に、車内の防犯カメラの設置率には、都内鉄道各社間で大きな開きがあると聞いております。防犯カメラは、犯罪の未然防止の効果が高いことに加えて、犯罪発生時にも、列車内の状況を乗務員や鉄道事業者がリアルタイムに確認する上で有効であります。
 しかしながら、車内の防犯カメラの設置がほとんど進んでいない路線やリアルタイム映像を得るシステムが備わっていないことも多く、課題があることから、国や鉄道会社と連携し、こうした防犯体制の検証と対策の強化をしていくことが急務であります。
 先般の京王線での刺傷放火事件等を受けて、都内鉄道各線の防犯カメラの設置など、鉄道における防犯対策の強化をし、都民の安全・安心を守り抜いていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都営地下鉄において、率先して取組強化を図るとともに、多数の乗り入れ路線もあることから、私鉄各社と連携して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、鉄道を利用する都民の安全・安心を確保していくために、防犯対策を講じて、事件の未然防止を強化するべきであります。警視庁から鉄道会社に対しても、防犯対策面でアドバイスをするなど、連携して再発防止策に取り組んでいくべきでありますが、警視総監に見解をお伺いいたします。
 以上、私たち都民ファーストの会東京都議団は、都民の命と暮らしを守り、安全・安心な東京をつくるべく、引き続き全力を尽くすことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小山くにひこ議員の代表質問にお答えいたします。
 補正予算についてであります。
 各国でオミクロン株の感染が拡大する中、今後の感染拡大に備える。そのためにはこれまでの経験を生かして、医療提供体制を一層強化していくことが不可欠であります。同時に、社会経済活動との両立促進や厳しい状況にある方々への支援など、きめ細かな対策が必要でございます。
 また、昨今の原油価格高騰を踏まえました取組の実行も重要です。こうした考えの下で対策を取りまとめ、そして、総額一千四十七億円の今回の補正予算を編成したところであります。
 さきの定例会の補正予算では、危機管理の観点から、年度末までの確保病床の上積みなど、備えを強化したところであります。
 加えまして、今回は、感染再拡大時等への備えといたしまして、検査、診療体制のさらなる確保、そして、療養体制の増強とともに、三回目のワクチン接種や変異株の監視を推進してまいります。
 また、社会経済活動の両立に向けまして、検査の無料化や国と連携した旅行助成などの取組を進めると同時に、孤独、孤立状態の女性への相談支援等を充実させます。
 さらには、原油高に伴います資金繰り支援の拡充、脱炭素化に向け、再エネ設備導入の一層の促進を図ります。
 この本予算を、これまでの対策と一体的に実行いたしまして、第六波への備えを固め、都民の安全・安心の確保と東京の経済の再生、回復に全力を尽くしてまいります。
 次に、水際対策の強化についてのお尋ねがございました。
 現在、国内の感染状況は落ち着いておりまして、この状況を維持するためにも、新たな変異株の国内流入を抑えることは重要であります。
 そのため、先週、南アフリカなどで確認された新たな変異株の発生状況を踏まえまして、水際対策のさらなる強化について岸田総理に要望をし、これを受けて、政府も、外国人の新規入国の一時停止など、厳格な措置を講じているところであります。
 十一月三十日には、空港検疫におきまして、国内で初めてオミクロン株の陽性者が確認されました。陽性者は空港検疫により隔離され、都は、都内の濃厚接触者全員に、宿泊療養施設への入所を強く勧奨しておりまして、施設で経過観察を行うとともに、濃厚接触者に二日に一回の検査を実施するなど、健康観察を強化いたしております。
 さらに、変異株流入後の対応に万全を期すため、陽性者の検体のゲノム解析を行うなど、検査体制の充実を図っておりまして、今後、国や保健所と緊密に連携しまして、水際対策、そして防疫体制を強化してまいります。
 次に、オミクロン株への対応についてのお尋ねです。
 国内流入後の対応に万全を期すためには、いち早く探知をし、徹底して抑え込む必要がございます。
 都はこれまでも、新たな変異株が発生する都度、これに対応した検査やゲノム解析を東京都健康安全研究センターや民間検査機関等で実施をしてまいりました。
 今回取りまとめました緊急対応におきまして、陽性者の検体のゲノム解析を行うとともに、東京都健康安全研究センターが独自に構築をいたしました変異株PCR検査手法を用いまして、いち早く検査を開始いたしました。現在、都内の陽性検体を集めまして、持ち込まれた検体は全て検査をしているところであります。
 今後、この変異株PCR検査手法を近隣県と共有するほか、民間検査機関へ拡大をするなど、都内の監視体制を一層強化するとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げまして、積極的疫学調査を行うなど、感染拡大防止に取り組んでまいります。
 次に、中小企業の資金繰り支援についてであります。
 感染症の影響を受けて、厳しい経営環境にある中小企業が事業を継続するためには、その命綱となる資金繰りを後押しすることが不可欠であります。
 都では、感染症が拡大する中、昨年度は国と連携をいたしまして、実質無利子で保証料の負担のない融資制度によって、これまでの経済危機をはるかにしのぐ支援を行い、コロナ禍に苦しむ中小企業を支えてまいりました。
 これにより、多くの中小企業は当面の資金を確保できましたものの、感染症の影響が長引く中で、返済に不安を覚える事業者も出ております。
 金融機関には、そうした事業者からの返済条件の変更や資金の借換えの申出に対しまして、柔軟な対応を行うよう、都として要請を行うとともに、国に対しましても指導してほしい旨、求めております。
 また、今年度からは、感染症の影響で売上げの落ち込んだ中小企業のための融資メニューを新たに設けておりまして、その保証料の負担を抑える支援を年度末まで継続いたします。
 さらに、苦しい経営状況を打開するために新たな取組を始める事業者に対しましては、有利な条件で借入れのできるサポートも続けてまいります。
 借換えなどを含めました資金繰りに関する様々なニーズを受け止めて、中小企業の経営を金融面からしっかりと支えてまいります。
 雇用対策の一層の強化についてのお尋ねです。
 感染症の影響が長期化する中で、雇用情勢は予断を許さない状況が続いております。コロナ禍で離職を余儀なくされた方々に対し、早期に雇用を確保することは、喫緊の課題であります。
 新たな雇用の確保に当たりましては、今後あらゆる産業分野でのDXの進展を通じまして、東京の産業競争力の強化が実現いたしますよう、その担い手となるデジタル人材の育成に向けた集中的な雇用対策を講じていく必要がございます。
 現在、都におきましては、東京版ニューディールの取組の中で、デジタルスキルを習得できる訓練、そして再就職支援を一体的に実施する事業や、また、業界団体と協力をしまして、IT技術の講習と就職面接会を組み合わせました支援などを実施しております。
 こうした取組を含めまして、ニューディール全体では、年間約二万五千人の支援を見込んでおりまして、十月末までに約一万五千人の就職のサポートを行ってまいりました。
 今後は、デジタル人材の確保を促進するために、大規模な人材マッチングイベントを開催いたしますほか、オンライン訓練の拡充やプログラミングの新たな方法を学ぶ訓練の実施を検討してまいります。
 これらの取組を通じまして、東京版ニューディールを着実に進めるとともに、デジタル人材の育成を加速化するなど、雇用対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、高校におけます一人一台端末導入についてのご質問であります。
 世界の中で輝く東京、人が輝き、誰もが活躍できる東京、それを実現するために、都政のあらゆる分野におきましてDXを加速させております。
 教育の分野におきましても、DXをてこといたしまして、スピード感を持って教え方や学び方を転換し、子供たちの可能性を最大限引き出していくことが大切であります。
 こうした認識の下で、今般、都立高校におきましては、生徒が学習に不可欠なツールとして端末を自在に活用していくため、令和四年度の入学生から全世帯を対象に、端末購入に係る保護者負担額を定額とする補助制度を創設いたします。さらに、現在の低所得世帯への支援制度を活用しまして、全ての子供たちが安心して学べるように、工夫をしてまいります。
 私立高校におきましても、各学校の整備方法に応じまして、保護者の負担軽減にも配慮をしながら、一人一台端末の整備が確実に進みますよう、具体的な手法について検討を進めてまいります。
 Society五・〇の社会を担う高校生が端末を日常的に使って、課題解決を目指す力や他者と協働し新たな価値を創造する力を身につけることができる、そんな学びの環境を力強く実現してまいります。
 次に、デジタル活用の支援強化についてであります。
 今般のコロナ禍におきましては、都民の日常生活のデジタル化が急速に進展をし、人と人とのつながり方も変わりつつあります。その一方で、高齢者の中にはスマートフォンなどが使えないで、様々なデジタルサービスを利用できないという方もいらっしゃいます。
 このため、都では今年度から、区市町村や自治会などと連携をいたしまして、地域コミュニティでのSNS活用等の支援に加えて、スマホ教室や出張相談会を開催するなど、高齢者などのデジタル利用の促進に取り組んでいるところであります。
 十月に都内三十四か所で実施した相談会におきましては、学生やNPO団体などのご協力の下で五百四十名の方の相談に応じて、身近な場所に相談相手がいないなど、様々な声をいただいたところであります。
 今後、地域のNPO団体などと連携しまして、スマホの操作など、デジタル活用をサポートできる大学生やシニア人材を育成する仕組みづくりに取り組むなど、より一層の支援の充実を図っていくことで、全てのシニア世代がデジタル化の恩恵を享受して、生き生きと暮らせる社会を実現してまいります。
 感染症対策に関する情報発信についてのお尋ねでございます。
 コロナとの闘いが長引く中で、感染症に関する情報や支援策は多岐にわたっております。そして、都民の関心や支援ニーズに応じまして、一人一人が求める情報を、迅速に提供することは重要であります。
 このため、都は、都民、事業者等が適切な支援を受けられますように、新型コロナウイルス感染症支援情報ナビを開設しまして、個々のニーズに合った情報提供に取り組んでまいりました。
 また、十二万件を超える飲食店のコロナ対策リーダーに対しまして、登録の同意を得て、感染防止対策に係る注意喚起や支援情報を直接お知らせするなど、きめ細かな情報発信に努めているところであります。
 さらに、幅広い都政情報の中から、都民一人一人の興味や関心に応じたコンテンツにアクセスできますように、最適な情報をプッシュ型で表示する新たなウェブサイトの構築を進めておりまして、今年度中に運用を開始いたします。
 これらの取組も含めまして、ユーザー目線に立って、支援を必要とする方が情報を得られますよう、DXの力を活用した発信を都庁全体で展開してまいります。
 所得向上の取組についてのご質問がございました。
 我が国の国際競争力は長らく低迷をいたしておりまして、コロナ禍によって構造的な課題も浮き彫りになったところであります。
 こうした中で、若者たちは明るい未来を描くことができず、多くの不安を抱えている。この現状を打ち破って、希望に満ちた東京の明日を切り開くことは重要であります。そのためには、これからの時代を担う若者たちがその自由な発想や創造力を存分に発揮して、未来の可能性を広げていくための環境をつくらなければなりません。
 豊かな国際感覚を身につけ、グローバルに羽ばたく人材、新たな成長の柱となるデジタル分野を牽引するDX人材。一人一人に寄り添いながら多彩な人材を育て上げる。これこそ東京の稼ぐ力を高めて、若年層の所得向上につながる道であります。
 まずは、若者たちが希望を持って、新たなスタートを切れる基盤、それをつくるために、自ら希望する仕事に就くことができるようなマッチングや、ITなどのスキルアップ支援を充実してまいります。また、世界を舞台にして活躍できるように、学生の頃からの語学力向上を強力に進めてまいります。
 さらには、貯蓄から投資への流れを形成する中で、若者向けに金融リテラシー向上に資するためのセミナーを実施いたします。
 こうした取組によって、若者たちのチャレンジを力強く後押しする、人が輝き、発展を続ける東京を築き上げてまいります。
 次に、多摩都市モノレールの子育て支援策についてのお尋ねがございました。
 多摩地域は、自然に囲まれ都心へのアクセスがいい、多様な産業が集積するなど、バランスの取れた暮らしやすいまちであります。そして今後、人口減少が見込まれるという中においても、その特性を生かすことで、この地域をさらに発展させていく、そのためには未来を担う子供たちを守り育てていくことが不可欠であります。
 多摩地域を南北に結ぶ多摩都市モノレールは、多くの都民の足として多摩の活力や魅力を支えてきておりまして、沿線において子育て支援策を充実させていくことは、多摩地域の発展への効果が期待できるところであります。
 これまで運営会社では、車両基地見学会の開催や車両へのベビーカーマークの表示など、多くの子育て支援策を実施してまいりました。
 今後は、新型コロナウイルス感染症の状況などを踏まえながら、子供が乗車しやすくし、また多摩地域の子育て環境の充実を図るため、小児運賃の試行的な割引や、その効果検証などについて、都の関与の在り方も含めまして、運営会社等と協議をしてまいります。
 次に、東京都出産応援事業についてのお尋ねです。
 都は、コロナ禍で不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しをするため、今年度から東京都出産応援事業を開始いたしまして、十月末までに約七万二千世帯に利用のご案内を通知いたしております。
 この事業では、子育て支援サービスや育児用品などを提供しておりまして、お掃除ロボットで家事の負担が軽減された、離乳食の種類を増やしてほしいなど、ご意見をいただいたり、またご要望を踏まえまして、提供する用品などの充実を図っているところであります。
 また、令和五年三月三十一日までに出生した子供を対象としておりまして、来年度も継続して実施をする予定でございます。
 利用者へのアンケートでは、コロナ禍でも頑張ろうと思えた、子供を産むことが社会から歓迎されていると感じたなどのご意見のほか、子育て支援サービスの充実や育児関連の分かりやすい情報の提供など、ご要望いただいているところであります。
 こうした声を施策に反映いたしまして、引き続き、東京で生活する子供と家庭を支援してまいります。
 次に、CDR、チャイルド・デス・レビューについてのお尋ねがございました。
 子供は社会の宝です。そして、その命はかけがえのないものであります。しかしながら、毎年、不慮の事故など病気以外の理由で命を落とす子供がおられる。
 チャイルド・デス・レビューは、子供の死亡事例について、直接の死因のみならず、社会的背景や環境要因などを分析、検証することで、将来の子供の死を予防する重要な取組であります。
 一方、分析、検証に当たりましては、個人の尊厳に関わる情報を取り扱うことになりますため、ご家族や関係機関の理解と協力は不可欠でございます。
 今後、国が実施しているモデル事業の状況を把握するとともに、医療や教育、福祉など様々な機関と意見交換をしてまいります。
 防ぎ得る子供の死を減らすため、チャイルド・デス・レビューの検討も含め、関係機関と連携しまして、子供の安全と安心を支える施策を進めてまいります。
 医療的ケア児の保護者への就労支援についてであります。
 医療的ケア児を育てているご家庭にとりましては、仕事と子育ての両立はとても難しく、子供が放課後に安心して過ごすことができる受入先を確保することは重要です。
 このため、都は本年度、医療的ケア児が放課後の時間を安全・安心に過ごせますよう、看護師の配置や送迎サービスを行う放課後等デイサービスなどへの支援を開始いたしました。
 現在、都内の感染状況が改善する中、就労や復職に向けました機運も高まっておりまして、放課後等デイサービスなどへの支援についてさらなる拡充を図ってまいります。
 また、在宅で一時的に医療的ケア児の看護などを行う新たな取組も検討いたしまして、医療的ケア児を育てる家庭が仕事を諦めることがなく、地域で安心して暮らし続けられるように支援をしてまいります。
 全国アビリンピックについてであります。
 この夏、東京で開催されたパラリンピックでは、競技で躍動する選手の姿が世界に勇気と希望を届けました。その熱気を引き継ぎまして、障害者が日頃培った技能を競い合う全国アビリンピックを、今月の十七日から東京ビッグサイトを会場として実施をいたします。
 この大会は、若者がものづくり等の技能を競う技能五輪全国大会と同時に開催されますことから、企業の関心がさらに高まっており、障害者の雇用を後押しする絶好の機会となります。
 このため、都は、大会の広報を幅広く行うことで、障害者に大会への参加を働きかける、技能を磨き上げるための支援を実施する、そして経済団体等と連携したPRを行って、大会機運の醸成を図ってまいりました。
 開催が間近となる中、大会への関心をさらに高めるため、企業経営者や特別支援学校の生徒、障害者福祉団体の関係者等に対しまして、多様な媒体を通じて集中的な広報を行ってまいります。また、大会期間中は、競技の様子をオンラインで配信いたしまして、障害者が様々な種目で技を競い合う姿や、その中で発揮される優れた技能を幅広く発信してまいります。
 こうした取組を通じまして、大会を成功に導き、障害者雇用に弾みをつけることで、ソーシャルファームをはじめとする様々な活躍の場を広げ、誰もが輝く東京を実現してまいります。
 同性パートナーシップ制度についてのお尋ねであります。
 人権尊重の理念を広く浸透させる上で、性的マイノリティーの方をはじめとする全ての都民が個人として尊重されることは重要であります。
 都はこれまで、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消のため、啓発の推進や相談、支援体制の充実に取り組むとともに、有識者へ多様な観点からヒアリングを実施するなど、同性パートナーシップ制度の検討を行ってまいりました。
 十月から実施の都民等調査では、約七割の回答者が性的マイノリティーの方々への必要な施策として同性パートナーシップ制度を挙げて、当事者からも制度の導入を期待する声が多く寄せられております。
 こうした都民の意向や当事者の思いを受け止めまして、同性パートナーシップ制度の来年度内の導入に向けまして、今年度、制度の基本的な考え方を示してまいります。また、住宅や医療等の都民サービスにつきまして、制度利用者が活用できるように検討を行ってまいります。
 今後も、有識者等の様々な意見を踏まえまして、制度の構築に向けて着実に取り組んでまいります。
 次に、海の森公園の整備活用についてであります。
 海の森公園は、東京港の中心部に浮かぶごみの島を、都民参加によって美しい森によみがえらせるプロジェクトでありまして、令和六年度末の完成を目指し、整備を進めております。
 多くの都民に親しまれる公園とするため、開園までの間は音楽フェス等の大規模イベントやデイキャンプ等、多様なレクリエーションの場として利用するとともに、開園後には、これらに加えまして、都心最大規模の緑のオープンスペースとして、ボランティア活動や環境学習の拠点としても活用してまいる予定でございます。
 加えまして、隣接する水上競技場と一体となったにぎわいの創出に取り組むとともに、今後、未来の東京を創る東京ベイeSGプロジェクトのコンセプトを踏まえまして、自動運転のモビリティーや燃料電池船の活用などにも取り組んでまいります。
 こうした取組を進め、海の森公園一帯を、都民が美しい水辺の景観や森の豊かさといった自然と親しめるとともに、最先端のテクノロジーを体感できるなど、にぎわいと魅力にあふれるエリアとして、東京のプレゼンス向上に努めてまいります。
 自動運転社会を見据えた都市づくりでございますが、少子高齢、人口減少社会となる二〇四〇年代に向けて、安全・安心、快適な、人を中心としたまちづくりが進展しますよう、自動運転などの先端技術をまちづくりや交通に生かすことが重要であります。
 これまで、自動運転技術の普及を都市づくりにどのように展開していくか検討を重ねてまいりました。例えば、自動運転技術が普及した道路の在り方として、車道空間の縮小が可能となります。ゆとりある歩行者空間や荷さばきなどの多目的利用ができる空間を創出ができるというわけです。
 このような基本的な考え方を先般公表したところでありまして、今後、都民の皆様からのご意見も踏まえまして、年度内に在り方を取りまとめ、区市町村に将来計画への反映を促すとともに、国に対しましては、関係法令の改正など必要な事項を要望してまいります。
 道路空間におけるゆとりやにぎわいの創出を図って、安心してまち歩きが楽しめるような都市を目指してまいります。
 次に、ZEVに対する首都高速道路の無料化についてであります。
 ZEVの普及には、導入時の負担を軽減する支援策に加え、その保有に対する経済的なインセンティブが有効です。
 都は現在、ZEVの取得を税制面から支援するため、自動車税の種別割を六年度分免除する独自の措置を講じております。
 ZEVに対する首都高速道路の無料化は、料金所でZEV車両を認識する技術的な対応などの課題があります一方、導入への強力なインセンティブとなりましょう。
 このため、都は、国に対しまして、ZEVの優遇措置を講じるよう提案要求しておりまして、今後さらに、九都県市を含め全国の自治体へ、首都高速道路をはじめとした道路利用料金割引の提案要求を働きかけてまいります。
 環境面からの農業振興と農地の保全についてのご質問です。
 食料の大消費地である東京は、農作物の大量輸送に伴い排出されるCO2が環境に大きな負荷を与え、その軽減に向けた具体的な行動を進めていくことは大切であります。
 都民に身近な場所で営まれ、地産地消を可能とする都市農業は、脱炭素化につながる東京の強みであります。加えて、都市の農地は、ヒートアイランド現象の緩和など環境保全の面でも重要な役割を担っております。これらの特徴を十分に理解して、農業振興や農地保全の施策を進めていく必要がございます。
 都は、先進技術を活用した東京型スマート農業の普及などにより、農業者の生産力を一層向上させる。あわせて、消費拡大に向け、東京産食材の魅力を発信し、フードマイレージの削減にもつながる地産地消を推進してまいります。
 加えまして、CO2の削減など環境保全に結びつく農業の普及に向けまして、東京都GAPの導入やエコ農産物の生産に取り組む農業者を支援しまして、消費者へのPRの強化も図ってまいります。
 また、農地を次の世代、次世代に引き継げますよう、特定生産緑地への移行を後押しいたします。さらに、区市が生産緑地を買い取って、市民農園などに活用できる支援を充実するほか、副業として農業を行う方を含め、多様な担い手によります農地の活用を検討するなど取組を加速化させてまいります。
 これらにより、都市農業の一層の振興と農地の保全を進め、気候変動によります影響の抑制に寄与することで、未来に向けて持続可能な東京農業を実現してまいります。
 被害想定の見直しについてのご質問がございました。
 東日本大震災から十年が経過をいたしまして、この間も熊本地震、大阪府北部地震など全国各地で大規模な地震災害が頻発をいたしております。
 こうした災害を通じまして、最新の知見が蓄積されてきたこと、この間の都内における社会環境などの変化、これらを踏まえまして、今後の都の防災対策の基礎となる被害想定を見直すことといたしました。
 熊本地震などの大規模災害では、被災後の避難生活によるストレスなどを原因とする、いわゆる震災関連死が多数発生しており、首都直下地震等に備え、都としても対策を講じる必要がございます。
 このため、被害想定の見直しの中で、新たに震災関連死を対象とし、専門家の意見を踏まえまして、原因分析を行ってまいります。
 その上で、避難所における段ボールベッドの配備や、車中泊を行っておられる方々の健康管理など、今後の具体的な対策につなげてまいります。
 こうしたきめ細かな取組を実施することで、より実効性の高い防災対策を推進してまいります。
 最後に、鉄道における防犯対策についてのお尋ねがございました。
 鉄道は、都民の社会活動や日常生活を支える重要な公共交通であります。利用者の安全・安心が確保されますように、鉄道事業者によりますセキュリティ対策を強化する必要がございます。
 都といたしましては、国に対して、鉄道事業者による駅構内や車内の巡回、防犯カメラの増備等の対策の実施を引き続き指導すること、事業者の取組を促進するための必要な措置を講じることを求めてまいりました。
 こうした中、今月三日に、国におきまして、この事件の発生を受けました今後の対応策が取りまとめられまして、乗客の安全な避難誘導の徹底、非常通報装置の表示の共通化など順次実施をする。また車内の防犯カメラなどの設備の充実についても検討を進めていくことといたしております。
 国、鉄道事業者に対しまして、事件の再発防止の観点から、対策の強化にスピード感を持って取り組むように働きかけまして、都民の安全・安心を守り抜いてまいります。
 残余のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、デジタルの力を活用した産業振興についてでございますが、我が国のインターネットの普及率は八割を超える一方、中小企業の受発注取引の約七割がFAXを使用しているなど、ビジネス面でのデジタルの利用は世界に比べて低い水準にあり、デジタルにより産業の力を伸ばしていく余地は大きいと認識しています。
 デジタル技術を使い、これまで人間や機械が行ってきた業務の中で多種多様なデータを活用することなどにより、新しい価値を提供する製品やサービスをつくり出すことが可能となります。実際、世界の企業の時価総額ランキングでは、平成の三十年間で、上位十社のうち七社がIT企業となるなど、デジタルを活用した企業は大きな成長を遂げています。
 デジタルの力を中小企業が取り入れ、業務の効率化などの守りのDXとともに、さらなる成長につなげるための攻めのDXも進め、東京の産業の発展を図ることが重要です。
 このため、都では、守りのDXとして、内部管理業務のシステム化による生産性の向上やオンラインでの新たな販売活動の実施など、中小企業のコア業務のレベルアップをサポートしております。
 また、攻めのDXとして、新たな事業展開に向け、DXを活用した設備の導入を支援するほか、中小企業によるIoTやロボットなど先端技術の社会実装を支援する拠点を立ち上げ、製品開発を後押ししております。
 今後は、より多くの中小企業がデジタルの活用で業務プロセスを根本から変革できるよう取り組むとともに、デジタル化の担い手が中小企業で広く活躍できるよう、人材育成とマッチングを加速化いたします。
 さらに、時代の最先端のニーズを捉えるスタートアップと行政との協働プロジェクトを次々と組成し、デジタルトランスフォーメーションの推進役であるスタートアップから、新たな産業やサービスが生み出される環境を創出してまいります。
 これらにより、東京の産業におけるデジタルトランスフォーメーションの活用を広めて、イノベーションを促進し、経済の力強い成長につなげてまいります。
 次に、デジタル人材の確保についてでございますが、都のDXを推進するに当たり、これまで、高度な専門性と豊富な経験を有する民間人材の登用や、デジタルに関する専門性を有するICT職の新たな採用など、様々な人材確保策を展開し、現在八十一名のデジタル人材が在籍しています。しかし、いまだ都庁内にデジタルに精通した人材が圧倒的に不足していると感じており、今後、より一層の人材確保を進めていくことが必要だと考えています。
 その際重要なことは、一言でデジタル技術といっても、その専門分野は、IT、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク、データ、デザインなど多岐にわたっており、また、技術の進歩も早いことから、都がDXを推進する上で必要となるスキルを明らかにすることです。
 そのため、今後、民間から登用した人材を含め、ICT職を対象に、技術分野ごとに、一人一人の職員がどういった水準のスキルを保有しているかを可視化するスキルマップを導入してまいります。
 これにより、現在庁内で不足している技術分野を把握するとともに、今後必要となるデジタル技術を見据え、よりニーズに的確に合致した人材の採用を進めてまいります。
 こうした取組を含め、デジタル人材の戦略的な確保策などについて、全庁的な取組の方針として、年度内に取りまとめ、都のDXを推進する体制づくりを迅速かつ着実に進めてまいります。
 最後に、技術ガイドラインの策定についてでございますが、デジタルの力を使って都政のクオリティー・オブ・サービスを上げていくためには、都庁全体で質の高いデジタルサービスを安定的に提供し続けることが重要です。
 一方で、これからのデジタルサービスの開発、運用には、民間経験を有する課長職やICTの知識を有する専門職など、様々なバックグラウンドを持つ職員が相互に連携して取り組んでいくことになることから、質の高いサービスを提供していくためには、共通の価値観や技術基準を定めていく必要があります。
 このため、先月、外部有識者を交えた東京デジタルサービス会議を設置し、まずはシステム開発、運用に関わる全ての職員が共有する価値観としての行動規範の策定に着手しました。
 あわせて、開発、運用の際に基準となる、障害のある方などがアクセスしやすいウェブページの作成や、利用者の意見を積極的に取り入れた開発、データの利活用の推進に関する技術ガイドラインの検討も開始しました。
 これにより、各種申請手続など、入力画面等の改善や審査時間の短縮、一度提供されたデータを二度要求しないことなど、都民の皆様の利便性と満足度を都庁全体で向上させてまいります。
 今後、年度内に行動規範を決定し、職員に啓発するとともに、順次技術ガイドラインを公表してまいります。
 これらの取組を通じて、各局の様々なデジタルサービスの持続的な品質の維持向上を図り、都民の皆様が利便性を実感できる社会を実現してまいります。
〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会後の防犯インフラの充実についてでありますが、防犯カメラは、設置地区における犯罪の減少も見られるなど犯罪の抑止効果が高いことから、警視庁では、より多くの防犯カメラが設置されるよう、自治体や町会等による防犯カメラ設置を促進する取組を行っております。
 具体的には、防犯カメラを設置する自治体や町会等に対しまして、犯罪発生状況を踏まえたカメラの設置場所や運用方法に関する助言を行っております。
 また、設置に係る費用負担の軽減を図るため、各種助成制度のさらなる拡充を自治体に働きかけております。
 警視庁といたしましては、こうした取組を通じて、犯罪を許さない機運の醸成に努めてまいります。
 次に、鉄道を利用する方々の安全・安心の確保についてでありますが、警視庁では、これまでも、警察官による鉄道施設内のパトロールや、列車に乗車しての警戒活動等を実施してまいりましたところ、先般の列車内における事件の発生を受け、これら警戒活動の徹底、強化を図っているところであります。
 また、こうした取組に加え、鉄道事業者に対しましては、防犯カメラや警備員の増強に関する働きかけのほか、同種事件発生を想定した合同訓練などを実施しております。
 警視庁といたしましては、鉄道事業者をはじめ、関係機関との連携をさらに強化し、鉄道を利用する方々の安全と安心を確保するための取組を推進してまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、都立工業高校におけるデジタル人材の育成についてでございますが、DXの推進のためのデジタル人材の確保が急務となる中、工業高校においては、デジタル分野の知識や技術を基礎とした実践的な教育活動を行い、様々な分野で活躍できる人材を育成していくことが必要でございます。
 このため、都教育委員会は、来年度から、全二十校で外部の専門人材等から情報技術や工業分野との関わりを学ぶ授業を実施してまいります。また、各学校の特色に応じ、製造業や建設業等におけるデジタル技術の学習も導入してまいります。さらに、専門学校と一貫した五年間で、企業等から専門的技術を学ぶTokyo P-TECHを町田工業高校に加え、新たに二校で実施いたします。
 これらの新たなカリキュラムにより、工業高校全体で毎年約三千人の入学生を受け入れ、東京の成長を支える産業分野のデジタル人材を輩出してまいります。
 次に、デジタル対応力を考慮した教員の人事評価についてでございますが、都教育委員会では、都内公立学校の管理職を含む全教員に対し、必要な能力や身につけるべき力を示すとともに、業績評価制度を通じて資質能力の向上を図っております。
 また、デジタル社会の担い手となる子供たちの力を最大限に伸ばすためには、教員のデジタル対応力の向上が不可欠でございます。
 このことから、都教育委員会では、校内の推進役となる教員向けの研修を実施するとともに、この内容を踏まえた各学校での研修を促し、デジタルを生かした授業を実践する力を高めてまいりました。
 今後は、教員に必要な資質や能力として、デジタルを活用する力を評価の要素に新たに加え、教員が実践した取組を毎年度適切に評価することで人材育成を図り、子供たち一人一人の学びをさらに充実させてまいります。
 次に、小中学校における教員の授業時数の軽減についてでございますが、都教育委員会は、学校が組織として、より効率的に運営されるよう、学校運営に係る業務のうち負担の大きい業務を担う教員について、担当する授業時間数を軽減する取組を全ての小中学校で実施してまいりました。
 令和元年度からは、働き方改革の一層の推進にも資するよう、小学校の校内研究を担う教員や中学校の学年主任などに対象を拡大し、担当する授業時間数を軽減するモデル事業を開始いたしました。実施校では、学校全体での一人当たりの在校時間数が月に五時間以上減少しましたほか、子供と向き合う時間が増えたなどの効果が見られております。
 今後、モデル事業の成果や学校のニーズ等を踏まえて、授業時間数を軽減する取組の拡充を検討し、教育活動の質を高め、子供たちの学びを充実させてまいります。
 次に、発達障害のある子供たちへの支援についてでございますが、発達障害のある子供たちが特別支援教室での学びの成果を発揮するためには、在籍する学級における支援を充実することが重要でございます。
 都教育委員会は、令和三年度から、子供をサポートする人材を配置する区市町村にその費用の一部を補助することで、在籍する学級での支援の充実に取り組んでおります。区市町村からは、手厚い人材の配置ができたという声や、より専門性の高い人材を採用したいなどの声が寄せられているところでございます。
 引き続き、区市町村に対して本事業の目的を周知し活用を促すとともに、今後は、事業のさらなる充実に向けた検討を進め、発達障害のある子供たちへの支援の強化を図ってまいります。
 次に、特別支援学校における看護師確保についてでございますが、医療的ケア児の増加やケアの高度化、複雑化に対応し、児童生徒が安全に学校生活を送れるようにするため、看護師を増員し、ケアの実施体制を拡充することが急務でございます。
 そのため、都教育委員会では、人材紹介会社の活用や関係団体との連携による求人情報サイトでの広告掲載を行いますとともに、看護師へのインタビュー記事により、学校職場における仕事内容の魅力を発信するなど、看護師の確保に努めてまいりました。
 今後、魅力をより効果的に伝える動画を作成するとともに、看護師確保の一層の強化を図るため、新たな広告媒体による広報活動の展開や、継続的に働くことができる勤務時間の設定についても検討してまいります。
 最後に、学校施設への太陽光パネルの設置についてでございますが、太陽光発電設備を整備することは、CO2排出量の削減や災害発生時のエネルギー供給の確保に有効でございます。
 このため、都立学校では、これまで百一校に合計二千六百キロワットを超える太陽光発電設備の整備を進めており、昨年開校いたしました八王子西特別支援学校などにおきましては、百キロワット以上の設備を設けたところでございます。
 今後、新築、改築工事の際には、屋上の面積や耐荷重等に応じて可能な限り百キロワット以上の規模となる太陽光発電設備の設置を進めてまいります。
 また、区市町村立学校については、各教育委員会等に対し、都と国の補助制度の併用により経費の四分の三を支援する仕組みの活用を関係局と連携して周知するなど、積極的な後押しをしてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 大規模開発における充電器の設置についてでございますが、都は、ゼロエミッション東京戦略に基づき、EV充電器などのインフラ整備によりまして、ZEVを普及することとしております。
 民間開発でのZEVの促進に向け、都市開発制度の運用方針を昨年十二月に改定しまして、EV充電器の設置を義務づけました。
 具体的には、事業性も勘案の上、駐車場の利用者が不特定多数である場合は、急速充電器を建物を構成する用途ごとに一台以上設置することなどといたしました。
 都市づくりにおける脱炭素化を推進するためにも、今後、EV市場の見通しや環境審議会での建築物全般への充電器の設置促進に関わる議論も踏まえ、ZEV普及の加速に向けて、都市開発制度を活用する大規模開発における充電器数の拡充につきまして検討してまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ワクチンの追加接種についてでございますが、ワクチンは、今後の感染拡大を防ぐための有効な手段でございます。また、新たな変異株に対しても、東京iCDCの専門家からは、少なくとも重症化予防効果は見込めるとのご意見も伺っており、三回目の接種を着実かつ迅速に進めていくことが重要でございます。
 このため、区市町村の意向も踏まえ、都においても、初回接種と同様に大規模接種会場を開設することとし、今月中旬から、都庁北展望室ほか多摩一か所におきまして、医療従事者や救急隊員等への接種を開始いたします。
 今後、職域接種の状況やワクチンの供給計画等を踏まえ、警察、消防職員や消防団員などを含めまして、東京の都市活動を支える方々への接種が可能となるよう、会場を六か所程度まで順次拡大してまいります。
 次に、ワクチンの追加接種の接種間隔についてのご質問でございます。
 国は、一部の例外を除きまして、原則八か月以上としておりますが、都が独自に実施した抗体保有調査におきましては、ワクチン接種後七か月程度経過いたしますと、抗体価が全ての年代で低下をいたしまして、年齢が高くなるに伴って低い値となっております。
 このため、接種間隔につきまして、都の調査結果等も参考に、感染リスク等に応じた柔軟かつ弾力的な対応ができるよう、国に対し重ねて要望しており、今後、新たな変異株や国の動向を注視しつつ、接種間隔の短縮も含め、時宜にかなった対応が可能となるよう、引き続き求めてまいります。
 現在、三回目のワクチン接種の着実かつ迅速な実施に向けて取り組んでおり、お話の抗体量検査につきましては、今後の感染症対策を進める中で、その活用について検討してまいります。
 次に、抗体カクテル療法についてでございますが、抗体カクテル療法は、発症後速やかに投与することで重症化を防ぐ効果が期待できることから、都は、中和抗体薬治療コールセンターを設置するなど、迅速な投与に結びつける仕組みを構築してまいりました。
 また、先般、無症状の感染者などへの発症抑制を目的とした投与が可能となったことから、今後、投与調整を実施する対象者の拡大を図ってまいります。さらに、往診で投与を行う医療機関や経過観察を行う訪問看護ステーション等への支援を本格的に開始し、自宅療養者や施設入所者等への投与を促進いたします。
 引き続き、抗体カクテル療法の対象者を円滑に投与に結びつけることで、軽症者の重症化を防ぎ、病床逼迫の防止に取り組んでまいります。
 最後に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございますが、都は、都立、公社病院にコロナ後遺症相談窓口を令和三年三月に設置をいたしまして、後遺症に悩む方の相談に応じるとともに、相談者の症状に応じて受診する診療科の助言のほか、症状が重い場合には、院内の適切な診療科の外来受診につなげるなどの支援を行ってまいりました。
 また、東京iCDC専門家ボードにおきましては、これまで後遺症に関する調査結果等を踏まえた議論を行うほか、リーフレットを作成いたしまして、都民に広く周知をしてまいりました。
 今後は、後遺症相談窓口で十月末までに蓄積した約三千九百件のデータや、外来受診につなげた約百五十件の症例につきまして、治療を行っている医療従事者と東京iCDCの専門家との間で議論を深めるなど、後遺症の実態の分析を進めまして、医療、研究機関等に情報発信してまいります。
〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 感染拡大第六波への備え等についてでございますが、第五波で急増した陽性患者の救急事案は、搬送先が決まらず、病院到着まで最大で二十三時間を要するなど活動が長時間化するとともに、ピーク時には約六割が保健所の判断等で不搬送となりました。
 このような中で、患者を目の前にして早期搬送という本来の任務が遂行できないことや、長時間活動に伴う感染危険の増大等が救急隊員の精神的、肉体的負担増の要因となりました。
 このため、保健所と調整することなく搬送先を判断できる基準を策定し運用することで、活動を効率化するとともに、非常用救急隊の追加の運用や長時間活動の救急隊の現場交替などにより、労務負担と感染危険の軽減を図ったところでございます。
 一方、中等症Ⅱの患者搬送先確保が課題として残ったことから、引き続き関係機関と連携し、感染再拡大時の対応に万全を期してまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、飲食事業者に対する支援についてですが、コロナ禍の影響を受けた飲食事業者が業務再開に向けた準備や、顧客ニーズに応じた新たな事業展開を行えるようサポートすることは重要でございます。
 このため、都では、飲食事業者が事業を円滑に再開できるよう、専門家が店舗に出向いて助言し、厨房機器の入替えやウェブサイトを通じた宣伝のほか、テークアウトなど新たな事業展開を行う場合の経費への助成を拡充いたします。また、飲食事業者のデリバリーなどの業態転換に係る経費への助成について規模を拡充し、申請の受付期間も延長いたします。
 これらに加え、今後は飲食事業者の経営基盤の強化につながる支援を検討し、安定した事業展開を後押ししてまいります。
 次に、女性労働者の就業面での支援についてですが、女性が安定した就業条件の下で、不合理な待遇を受けることなく活躍できる環境を整備することは重要でございます。
 このため、都では、中小企業が非正規雇用の従業員を正規雇用へ転換した際に実施するスキルアップ研修に対し助成を行うなど、正社員化を後押ししているところでございます。また、同一労働同一賃金に関する法令に対応できるよう、企業に専門家を派遣し助言を行うほか、人事担当者に対し、非正規の社員の待遇向上に結びつく実践的なノウハウを集中講座により提供しております。
 今後は、これらの支援を実施した企業の優れた取組事例を取りまとめ、広く発信するとともに、非正規雇用の社員が多い企業向けの特別講座を開催するなど、女性労働者が安心して意欲を持って働くことができる職場づくりを促進してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の歯科矯正についてであります。
 次世代を担う子供たちが健やかに成長するには、歯と口腔の健康な状態を保持することが重要です。
 歯科矯正は審美的な要素が多いため、原則、医療保険適用外でありますが、厚生労働大臣が定める疾患に起因した、かみ合わせ異常などの治療は保険適用となり、区市町村が実施する医療費助成制度を利用することで負担は軽減されます。
 また、保険適用外の場合も、子供の成長を阻害しないようにするための治療など、年齢、目的等から、必要と認められる場合は医療費控除の対象となっております。
 都といたしましては、今後、国や海外の動向を注視するとともに、専門家の意見を聞きながら、国への提案要求などを検討してまいります。
 次に、選択的介護についてであります。
 都では、豊島区と連携いたしまして、平成三十年度から令和二年度まで、介護保険サービスと保険外サービスとを柔軟に組み合わせた選択的介護のモデル事業を実施しております。
 例えば、訪問介護等の保険サービスと、ペットの世話や外出の付添い等の保険外サービスとを組み合わせて行うことによりまして、利用者と家族の利便性や事業者の運営効率の向上等の効果が認められております。
 一方で、書面によるサービス内容の説明や契約締結の徹底など、利用者保護の重要性も確認されました。
 こうした点も踏まえながら、選択的介護について区市町村や事業者に周知するとともに、今年度からは、区市町村が地域の実情に応じて取り組めるよう支援を開始するなど、高齢者の多様なニーズに合った柔軟なサービスが提供されるよう、さらに取り組んでまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 男性の家庭での活躍についてでございますが、女性活躍推進のためには、男性の家事、育児への積極的な取組が必要であり、都庁の率先行動として男性職員の育児休業取得を促進し、令和元年度に一八・三%だった取得率は、二年度には三三・六%となりまして、大幅に増加いたしました。
 また、企業での取組を進めるため、生活文化局では、総合評価方式により入札を行う契約において、女性活躍や男性の育児休業取得促進等を推進している企業に対し、インセンティブを設けることといたしました。
 現在、男女平等参画審議会では、男性の育児休業取得率を五割へ引き上げるなど意欲的な数値目標や、民間と連携した意識改革の取組が議論されており、これを踏まえまして、今年度改定する男女平等参画推進総合計画に企業の主体的な行動を促す具体的な施策も盛り込み、強力に推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 大会後の新規恒久施設の活用についてでございますが、施設が大会のレガシーとして多くの都民に利用され、親しまれるよう、都は、早期に指定管理者等を決定し、大会後の円滑な利用に向けた体制を整えており、再開業後には国際大会や全国大会等の開催も予定されております。
 各施設では現在、再開業に向けた改修工事などを行っておりますが、工事との調整が整った施設では、都民の皆様に施設に親しんでいただく見学会を実施しております。また、工事の進捗状況を踏まえ、海の森水上競技場やカヌー・スラロームセンターでは、可能な部分から一部再開業を行うこととし、早期の利用開始に努めてまいります。
 国内外の大会誘致やイベント開催等、幅広い活用方策の検討を進め、効率的な施設運営を行い、施設が都民の貴重な財産として末永く活用されるよう取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅での太陽光発電設備の設置についてでございますが、都は脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの利用に率先して取り組んでいく必要がございます。
 これまで、平成十六年度から、原則全ての建て替え住棟に太陽光発電設備を設置し、平成二十五年度からは、耐用年数等を勘案して、既存住棟にも本格設置を開始いたしました。
 今後、発電容量の拡大に伴う整備費用増加の抑制に向け、新技術による低廉な製品の活用等を推進してまいります。
 また、既存住棟への設置拡大に向け、設置後の建物の構造上の安全性や日影規制への適合性を確保できるよう、荷重や設置高さを抑えられる新たな工法を採用してまいります。
 こうした取組や関係局等との連携により、事業採算性の確保を図りながら、太陽光発電設備のより一層の拡大へつなげてまいります。
 次に、相続登記に関する専門家と連携した不動産の適正管理促進についてでございますが、大切に使用されてきた建物につきまして、円滑な相続等の準備を支援することは、空き家対策などを効果的に進めるためにも重要でございます。
 都はこれまで、民間事業者を活用し、住まいを次世代に引き継ぐ準備を行うためのセミナーを都内各地で開催するとともに、今年度からは、相談者からの求めに応じ、法律、建築等の専門家を直接派遣する取組を開始いたしました。
 また、不動産取引に係る特別相談では、宅地をはじめとした所有不動産の整理や、相続を含む適正管理に関する都民からの相談に法律の専門家が対応しております。
 今後、相続登記の義務化につきまして、関係局と協力して周知するとともに、こうした専門家との連携を一層強化し、個人不動産の適正管理の促進に取り組んでまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄の安全対策に関するご質問にお答えいたします。
 迷惑行為の未然防止やテロ対策など、セキュリティ強化を図るため、車内への防犯カメラの設置を進めておりまして、年度末には約四割の車両に設置を完了する見込みでございます。
 また、他社線での事件を受けまして、お客様に非常通報器による通報にご協力いただけるよう、ポスターによる周知に取り組んでおりまして、今後は通報器の位置をより分かりやすく示すステッカーを作成し、車内に表示してまいります。
 さらに、駅停車時にホームドアと列車のドアがずれている場合の対応といたしまして、双方のドアを開け、お客様を安全に誘導、救出することを基本とし、マニュアルや訓練を充実してまいります。
 こうした取組を国や他の鉄道事業者とも連携しながら進めることで、一層の安全確保に努めてまいります。

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