令和三年東京都議会会議録第二十二号

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十二番小松大祐君。
〔百十二番小松大祐君登壇〕

○百十二番(小松大祐君) 令和三年第四回定例会に当たり、都議会自民党を代表して質問をいたします。
 新型コロナウイルスの発生から二年が経過しようとしています。この間、コロナ感染症の猛威は、世界を大きく変容させました。終息に向けて各国が懸命の取組を続けています。こうした中、新種の変異株であるオミクロン株も出現し、世界的な感染拡大も危惧され、人類の新たな脅威となっています。
 東京の感染者数も、今年八月の第五波ピーク時には一日五千九百名を超え、保健所をはじめ、医療提供体制が滞るなど、自宅療養中に亡くなる方がいたことを決して忘れてはいけません。
 現在、都内の感染者数は約一か月にわたり三十人を超えない日が継続し、飛躍的に改善しています。これまでの経験と教訓を踏まえ、新種株や第六波へ万全の対策を講じるべく、国、各自治体と連携の下、盤石の体制を取るとともに、東京の経済を取り戻す取組が急務です。
 都は、今月一日から、飲食店での会食人数の制限などの緩和をしました。引き続き、都民が安心して生活できる環境も堅持しなければなりません。
 都は、今後どのように病床の確保を進め、またこれを活用し、新型コロナ患者を必要な医療につなげていくのか、今後の医療提供体制について知事の見解を伺います。
 第六波においては、医療設備が整った既存施設の有効活用を図ることや新たな宿泊療養施設の確保を行い、無症状者でも希望する全ての方が利用できる体制整備の必要性を会派として強く求めてまいりましたが、都の見解を伺います。
 今後の感染再拡大に備え、自宅療養者への支援体制の拡充も行うべきです。また、保健所の対応力を一層向上させるため、保健所業務の効率化もさらに進める必要がありますが、どのように取組を進めるのか伺います。
 これから年末年始の忘年会や新年会シーズンを迎え、人流の増加や新たな変異株の拡大が懸念されます。昨年度の経験を踏まえて、年末年始の医療提供体制を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今月から、新型コロナウイルスワクチンの追加接種が始まりました。追加接種は、住民はもとより、医療従事者への接種も区市町村が担うため、一、二回目の接種体制とは取扱いが異なります。
 こうした中で、接種が円滑に進むよう、区市町村と連携した体制の整備や都の大規模接種会場の運営をどのように取り組むのか伺います。
 国の説明によると、追加接種に使用するワクチンは、前回の接種に用いたワクチンの種類にかかわらず、交互接種も選択肢の一つとしました。
 海外では交互接種を実施している事例があるものの、日本国内では異なるワクチンを追加接種した際の効果や副反応についての情報が乏しい状況です。都民が安心して追加接種できるよう、東京iCDCを活用するなど情報発信を強化すべきです。
 交互接種の効果や副反応に加え、接種率向上に向けて、追加接種まで確実に受けることのできる期間についても丁寧に情報発信を行うことは重要です。見解を伺います。
 国の新型コロナウイルス感染症対策本部が十一月十九日に決定した基本的対処方針には、都道府県は、感染が拡大傾向にある場合には、都道府県知事の判断により、法第二十四条第九項に基づき、感染に不安を感じる無症状者に対して、ワクチン接種者を含めて検査を要請するものとするとの記載があります。これにより、都道府県が要請に基づく検査費用を無料にすることができるよう、国が支援を行うことになります。
 しかし、これまでの教訓を踏まえれば、感染拡大期には限られた検査能力や資源を有効に活用する必要があります。検査対象は一律に希望者全員とするのではなく、客観的な事由があるものに限るなど、感染拡大を防止する上で合理的に判断すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 海外で新たな変異株であるオミクロン株が発生し、現在までに、検疫では三件報告がありました。政府は、海外からの入国者制限を強化するなど、危機感を持って水際対策などの取組を進めています。
 都もオミクロン株を判別できる独自の変異型PCR検査を東京都健康安全研究センターで開始しました。先手の対策を評価します。こうした成果は、近隣県にも共有を進め、広域的に対応力の強化を図るべきと考えます。見解を伺います。
 次に、都立、公社病院の独法化について伺います。
 現在の都立病院機能の延長ではなく、都全体や地域の役割分担の下、民間病院との差別化を図りつつ、各病院が提供する医療の特徴を際立たせることや機能を強化することが、都民の期待する都立病院の独法化と考えます。知事の所見を伺います。
 コロナ対策は、依然として喫緊かつ最重要課題でありますが、世界に目を向ければ、既にアメリカやヨーロッパは、ポストコロナに向けて、インフラ投資や環境対策、DXを強力に推し進めています。
 国政では、岸田首相が、五十兆円を超える大型の経済対策を策定し、コロナ対策に加えて、成長と分配の好循環を実行に移すべく、デジタルやクリーンエネルギー、さらには人への思い切った投資など、幅広い政策を盛り込み、スピード感を持って政策の具体化に着手しています。
 都も後れを取るわけにはいきません。医療、経済をはじめ、コロナ対策を迅速かつ着実に行うとともに、防災や成長戦略、気候変動対策など、短期、中長期両面の課題に対し、大胆に予算を投じるべきです。
 コロナ対策に加え、都政が抱える課題の解決や将来の東京のため、来年度予算では積極財政による予算編成を行っていくべきと考えます。都の見解を伺います。
 緊急事態宣言が解除となり、経済の回復、成長に向けて明るい兆しも見えつつあります。
 しかし、長引く感染症の影響により、飲食業からは、客足が戻らず、依然として経営は厳しいという声も聞かれるなど、経営体力が十分ではない中小企業にとって、予断を許さない状況が続いています。
 こうした中、国においては、コロナ禍をきっかけとした社会変化への対応とともに、厳しい経営環境にある中小企業への支援策を盛り込んだ経済対策を発表しました。
 都はこれまでも、コロナ禍で苦しむ中小企業者に向けてきめ細かい経営支援策を講じてきましたが、引き続きその手綱を緩めることなく支援を行い、コロナ後を見据えた企業の回復、成長への軌道を着実なものにする必要があります。
 国の動きと軌を一にし、引き続き中小企業支援を推し進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、コロナ禍の長期化で経済活動も停滞、加えて世界的な原油価格の高騰を受け、燃料価格が上昇しています。原材料の入手も困難になるなど、企業活動に深刻な影響が幾つも表面化しています。
 とりわけ中小企業の多くは、トラック配送や工場の稼働など、様々な事業活動において燃料を使用しており、燃料費等の高騰が大きな負担となっております。
 緊急事態宣言も明け、コロナ禍から抜け出す新たな成長への機運も高まりつつある中、経済活動にマイナスの影響を与えることが懸念されます。
 回復に向けて立ち上がろうとしている中小企業が、安定的に事業を進められるよう支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、観光関連の業界団体からは、昨年実施されたもっとTokyoについて、同時期に実施した国のGO TOトラベルの陰に隠れて目立たず、期待した効果が得られなかったとの厳しい指摘もありました。
 観光産業は、現在も非常に苦しい経営状況にあり、一日も早い観光需要喚起策の実施が期待されています。都内観光促進事業であるもっとTokyoは、昨年末から事業が停止されており、現時点でも活用できる予算が残っている状況です。
 都は、予算残額を有効に活用し、都内観光促進事業を速やかに再開すべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、東京の農家数は約一万戸。三十年前と比較して半分以下に減少をしています。
 また、都内における農業者の約四割が七十歳を超えるなど、高齢化も進展しており、農業従事者の後継者不足は深刻な状況です。東京の農業は、農地保全とともに、新たな担い手の確保が喫緊の課題といえます。
 こうした中、国は昨年十二月に、農林水産業・地域の活力創造プランを改定し、それを受けて、本年五月、農業経営を行う人材の確保や農地の適切な利用促進など、関連施策について見直しの方向性を示したところです。
 東京都は、農業にUターンする後継者などへの研修を通じて、定着や経営の安定化を図るなど、着実に成果を上げてきましたが、継続的な発展には、新規就農者など、新たな担い手確保や育成の拡充が不可欠です。今般の国の動きも踏まえ、都内での着実な就農と定着に向けた都の見解を伺います。
 障害者の中には、高い能力や就労意欲があっても、通勤の負担や社内勤務に困難を伴う様々な理由によって就職難が生じ、離職をせざるを得ない方がおります。
 一方、長引くコロナ禍で、テレワークやリモートワークなども定着しつつあり、こうしたツール利用の就業も有効ですが、実際には、障害者雇用やテレワークなどのノウハウの不足によって、足踏みをしているのが現状です。
 障害者が、その個性や能力を発揮しながら働き続けるためには、個々の障害に見合ったオーダーメード型の支援が必要です。障害者と雇用者双方に寄り添ったきめ細やかな支援により、障害者雇用を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 がんや難病に罹患された人たちも、就労に関し、多くの苦悩を抱えており、離職される方も少なくないと聞きます。
 しかし、抗がん剤投与や透析治療といった頻度や時間に一定のケースがあれば、それに応じた柔軟な対応いかんで就業継続や復職が可能になると考えます。
 これは、従業員が働き続けられるというだけではなく、スキル、ノウハウを持った働き手の確保という、雇用者側のメリットにもつながります。
 こうしたケースに応じた企業サイドの配慮により、雇用が継続できる取組を都の支援によって進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 障害者雇用では、都立知的障害特別支援学校の就業技術科及び職能開発科の職業教育が大きな成果を上げてまいりました。一方で、様々な事由から、障害者の離職率は高いのが実情です。定着につなげる施策が期待されます。
 都立知的障害特別支援学校就業技術科及び職能開発科の取組と、定着支援に向けた今後の取組について見解を伺います。
 次に、障害を持った生徒への教育政策について伺います。
 就職を間近に控えた高校段階までに、発達障害のある子供が抱える困難を改善していく取組は必要です。
 台湾のコロナ感染拡大を阻止した立て役者でもある台湾IT担当大臣、オードリー・タン氏も、発達障害、特にASDの傾向が顕著に見られるそうです。
 このように、発達障害のある方の中には、苦手を克服しながら、特定の分野で秀でた才能を発揮するケースも多く、その才能が開花することは社会的にも大変有益です。
 しかし、現在の日本では、就業後に発達障害に適切に対応できる組織はごく僅かです。その結果、様々な困難を抱え、退職に追い込まれてしまうこともあります。これは個人にとっても社会にとっても大きな損失であります。就職を間近に控えた高校段階までに、発達障害のある子供が抱える困難を改善する取組が重要です。
 そこで、都立高校において、発達障害のある生徒への指導充実のため、都教育委員会の今後の取組について伺います。
 教育分野のデジタル活用は、障害のある子供たちの学びにこそ、新たな成果が期待されています。しかし、主体的に学びを深めるにも、盲学校の子供には点字ディスプレーなどの追加の学習支援機材が必要となります。今後の施策においてどのような取組を行うのか伺います。
 昨今のデジタル化は、通勤通学の制約を低減させるなど、障害者の社会進出にもつながることが期待をされています。しかし、その実現には、進学、就労など、障害児一人一人の適性に応じた進路選択をかなえるための長期にわたる準備も不可欠であります。
 都立の特別支援学校では、学校現場でのデジタル機器の整備も着実に進み始め、今後の成果が期待をされています。一方、国立、私立の特別支援学校に通う生徒や、在宅療養や長期入院中の障害児に対しても支援を行き届かせる社会こそが、真の共生社会だと考えます。
 さきの厚生委員会において、区市町村における日常生活用具給付等事業のメニューがデジタル時代に対応し切れていないことを認めた上で、利用者ニーズを踏まえ、より効果的な給付が行われるよう都からも働きかけていくとの答弁がありました。
 障害児のいる家庭の多くは、通学支援や療養のために共働きが制約され、自費によるデジタル機器の購入は大きな負担となります。障害児の学習や日常生活を支えるためのデジタル機器の普及に向けた環境整備について、より積極的に進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、この環境整備には、区市町村とより連携をして対応すべきと考えます。併せて見解を伺います。
 障害のある就学児童やその家庭を支えている放課後等デイサービスについて伺います。
 令和三年四月の報酬改定で、放課後等デイサービスの報酬はマイナス改定となり、都の調査でも減収となった事業所が約七割に及んでいます。次期報酬改定を待たずに、運営が厳しい状況にあっても真面目に取り組んでいる事業者には応えていくべきと考えますが、今後どのように対応していくのか伺います。
 次に、児童相談所に一時保護され、児童養護施設や里親家庭などで育った社会的養護の経験者であるケアリーバーの自立支援について伺います。
 現在、都内では、複数の法人などがケアリーバーに対し共同住宅を提供するなど、自主的な取組を行っています。都は、現下の状況を鑑み、ケアリーバーの自立支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新しい工業高校の実現に向けたプロジェクトについて伺います。
 科学技術が短期間で飛躍的に進んでいる現在、時代のニーズに即した進化が工業高校に求められています。
 都は、新たに、Society五・〇を支える工業高校の実現に向けた戦略プロジェクトの中間まとめを公表したところですが、今後、その役割を全うするためには抜本的改革が必要だと考えます。都立工業高校が向かうべき姿とその実現のための取組について伺います。
 工業高校は、それぞれの特色の中で子供たちの可能性を広げており、産業界からも人材育成に対して大きな期待があります。企業からの求人も増加をしております。また、転職のみならず、専門的知識を拡大するため、大学などへ進学する卒業生もいます。
 技術革新が進む中、将来を担う人材を輩出するためにも、こうした工業高校の魅力をさらに向上させて、入学希望者やその保護者に対し、その魅力をしっかりと発信すべきと考えます。多くの生徒が意欲を持って工業高校を選択できるための取組について伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 東日本大震災がきっかけで、東京都は平成二十四年に首都直下地震、平成二十五年に南海トラフ地震の被害想定を策定しました。この十年間で人口が増加するとともに高齢化も進み、また、大規模地震や災害に関しても新たな知見を蓄積しています。
 今後、震度七クラスの地震が三十年以内に発生する確率が七〇%から八〇%に引き上げられるなど、予断を許さない状況は続いています。今回の被害想定の見直しを通じて、この十年間の変化や課題などを明らかにし、都の防災対策の充実強化につなげるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 我が国は、過去の大規模災害から多くのことを学んできました。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの後には、災害対策基本法が改正され、地方公共団体間の相互協力の体制強化などが図られてきました。
 都は、全国自治体との協定などの枠組みに基づき、都内の区市町村とも連携し、被災地支援を行ってきました。
 一方、都内に目を向ければ、首都直下地震や南海トラフ地震の切迫性や河川氾濫、高潮、土砂災害などの水害リスク、伊豆諸島における火山噴火のリスクなど、様々な災害リスクを抱えています。これまでの被災地支援で得た知見や教訓を生かしつつ、これまでにも増して東京の総力を結集し、想定されるあらゆる災害リスクに立ち向かう必要があります。
 そこで、都と区市町村との間における相互協力体制を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、緊急輸送ルートについて伺います。
 大規模な地震や水害などの発災時には、道路や橋梁が被災し、陸上における救助活動や物資搬送に支障を来すことも想定されます。こうした緊急輸送ルートを多重化するためにも、船舶を活用した水上ルートの確保は大変重要です。
 都は、平成二十八年に災害時における緊急輸送確保に向けた基本方針を策定した上で、防災船着場等の運用マニュアルをつくり、基本的な運用ルールを定めました。
 しかし、国と関係機関との協議も道半ばであり、船舶を利用した災害時対応をより実効性のある取組にすべきです。都の見解を伺います。
 また、実効性を持たせるために必要な取組が防災船着場等の整備です。現状のままでは、道路との結節に不具合があることや、バリアフリー化がなされていないなど、発災時に機能できない場所がほとんどです。機能確保をいかに行っていくのか伺います。
 十月に発生した千葉県北西部地震では、震度五強で日暮里・舎人ライナーの脱輪事故が発生しました。十分な検証を行い、今後の対策につなげていくことは不可欠です。
 また、都営地下鉄が長期間運休すれば、都民生活への影響はさらに甚大なものとなり、地下鉄の耐震対策も重要です。東日本大震災を踏まえて対策を進めていることは承知をしていますが、施工が容易ではない箇所も残しており、工夫しながらも速やかに取り組むことが不可欠です。
 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーの震災対策を今後どのように進めていくのか、伺います。
 近年、気候変動の影響により、局地的な豪雨による大規模な浸水被害が全国各地で発生し、特に水管橋は、河川の氾濫等によって損傷を受けています。
 今年十月には、和歌山市において水管橋の崩落事故が発生、おおむね六万世帯、三万八千人が約一週間にわたる大規模な断水の影響を受けました。
 東京都では、強靭な水道システムの構築に向け、粘り強く強度の高いダクタイル鋳鉄管への取替えはほぼ完了し、現在は水道管の耐震継ぎ手化などを着実に進めていると聞いています。
 激しさを増し、頻発されると予想される風水害への備えに向けて、今後の水管橋等の風水害対策について伺います。
 東京の下水道は、汚水処理がほぼ一〇〇%普及し、都民の日常生活や都市活動になくてはならない極めて重要なインフラです。首都直下地震により、下水道管の機能に大きく影響があった場合には、都民生活や都市活動に与える影響は計り知れないものとなります。
 下水道局では、大規模震災時でも下水道の機能を確保するために、避難所等を対象に、その排水を受ける下水道管の耐震化を九割完了させるとともに、液状化する地区の交通機能を確保するため、救助活動車両等の通行に欠かせない緊急輸送道路などの対象路線で、マンホールの浮上を抑制する対策を全て完了させています。
 東京をさらに強靭な都市へと変えるために、下水道管の震災対策をより一層推し進めるべきです。今後の取組について伺います。
 次に、海岸保全施設の機能強化について伺います。
 東京の区部東部には、満潮時海面以下となる、いわゆるゼロメートル地帯が広がっています。その面積は二十三区の約二割に相当し、百五十万人が生活をしています。背後には、首都機能をはじめ、商業、インフラなどの都市機能が高度に集積しており、一たび浸水被害に遭遇した場合、我が国が受ける社会的、経済的損失は計り知れません。
 こうした事態を避けるため、これまで都議会自民党は、東京港を第一線で守る防潮堤や水門の整備、機能強化について、都に対し強く求め、現在、高潮や津波に対する安全性はおおむね確保されたところであります。
 その一方で、近年、海面上昇や台風の強大化など、気候変動による影響が顕在化してきており、高潮の浸水リスクがこれまで以上に高まっているようにも感じます。
 国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCでは、パリ協定の二度目標が達成された場合、世界の平均海面水位は、二一〇〇年には現在より最大で約〇・六メートル上昇すると報告をしています。また、国は、気温上昇によって台風が強大化するとともに、降雨量が増加するとも予測をしています。
 こうしたことから、今後予想される気候変動によって海面水位が上昇した場合、これまでと同じく高潮の危険から都民が守れるのか、心配する声もあります。
 将来の気候変動を見据え、今から海岸保全施設の機能強化に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会を契機に、都内のスポーツ環境は大きく改善をしました。世界に誇れる新規恒久施設が整備されるとともに、既存都立施設も機能強化が図られてまいりました。区市町村においても、都と連携し、施設整備や改修等が進められてきたところであります。
 こうした成果を大会後のレガシーとして、都民の健康増進や試合観戦の場として広く活用していくことが重要です。
 その中でも、新規恒久施設は今後のスポーツ振興の重要な役割を担います。国際大会の招致なども含め、積極的に活用していくべきですが、都の方針を伺います。
 さきの定例会でも指摘をしましたが、多くの関係者の支えと日本全体が一つになって取り組んだことで、コロナ禍での大会を成功に導くことができました。その思いに応えるためにも、大会の記憶と情熱、そして、日本だからこそできたという誇りを後世に伝えていくことは重要です。
 特に、無観客開催により会場で観戦する機会を失ったことも踏まえ、開催時にできなかった取組や大会の振り返り、開催への感謝を発信する一周年事業を実施するべきと考えます。都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会での文化プログラムは十六万件を超え、三千九百万人を超える参加者があったと伺っています。コロナ禍で開催が制限されたものの、五年間着実に大会に向けて取り組んできた成果だと思います。
 特に、東京のまち中で、パビリオン・トウキョウに代表されるようなダイナミックで、独創的な作品も展示されました。このような文化プログラムが展開されたことにより、今までよりも多くの都民が、気軽に文化に触れられる機会となったことを評価します。
 こうした流れを、今後も東京大会のレガシーとして、文化施設に限らず、都立公園や道路などの都民に身近な場所で事業を展開していくよう、都に求めておきます。
 第三回定例会では、今年度末に文化戦略を策定するとの答弁がありました。東京二〇二〇大会の成果や課題を踏まえ、東京が文化にあふれる魅力的なまちとなるような文化政策を今後も展開されることが期待されています。
 そこで、文化プログラムの取組の成果を生かし、都民が芸術文化を気軽に楽しむ機会をさらに増やしていくことを文化戦略の中で明確に示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方で、コロナの感染拡大により、昨年来、一部の文化プログラムが予定どおり実施することができませんでした。祭りや伝統芸能をはじめ、各地域で東京大会を盛り上げようと、様々なイベントの準備を担ってこられた方々にとって、多くの観客の前で直接発表する機会が失われてしまったことは、大変残念なことでありました。
 今後も、都内各地で、東京の芸術文化やエンターテインメントを支える担い手の活躍の場をつくることは、東京の文化振興に不可欠といえます。今後の取組について伺います。
 今般、東京ベイeSGまちづくり戦略のドラフトが公表されました。都市づくりのグランドデザインや東京ベイエリアビジョンとの関係性が整理され、また、世界に誇れる水と緑が豊かなまちなど、我が会派の主張と軌を一にした取組も盛り込まれたものとなっています。
 しかし、描いた戦略の実現には、人と物が円滑で活発に行き交うよう、鉄道、道路、空港、港、それぞれの機能強化も加速させていく必要があります。東京港や第二湾岸道路の整備はもとより、我が会派による国への働きかけによって位置づけが上がった臨海地下鉄構想については、羽田空港への延伸など、将来を見据え、大きな絵を描く必要があります。
 日本経済を立て直し、世界をリードする都市東京を実現する上で、ベイエリアのまちづくりは極めて重要です。こうした観点を踏まえ、今後、まちづくり戦略をどのように取りまとめ、実現に向けて取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 この戦略に合わせて、築地まちづくりの方向性も示されました。一体募集とし、民間の知見を最大限活用すべきとの我が会派の主張を十分踏まえたものと受け止めています。築地は都心に残された貴重な一等地です。都民のため、どのようなまちにしたいのか、具体的に示していくことが必要です。一方、過度な要求により、民間提案がなくなるようでは本末転倒といえます。
 臨海地下鉄構想などは、前提条件も定まっておらず、将来変更となる可能性もあります。気候変動のような危機への対応など、今後、都市づくりに求められる内容も変化します。
 社会経済情勢や計画条件の変化などに柔軟に対応し、良質な民間開発を誘導すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 先月、都税調より答申が示されました。税制においては、時代の急速な変化に対応する視点が重要です。今回、持続可能な社会を目指す税制を実現するための提言が幾つか挙げられています。
 我が国でも既に温暖化対策税が創設されたほか、従来の国税、地方税に対しても、環境に配慮した様々な特例措置を講じています。
 世界最大の都市の一つである東京都として、プレゼンスを高めていくためにも、税制のグリーン化の推進は不可欠と考えます。知事の見解を伺います。
 住宅等のCO2削減対策について、先日閉幕したCOP26において、いわゆる一・五度目標を追求していくことが合意をされました。今後、温室効果ガス削減に向けた取組の加速がさらに求められます。
 こうした中、都は、二〇三〇年カーボンハーフに向けた部門別目標等の素案を明らかにし、特に家庭部門においては、今後の世帯数の伸びを勘案すると、ほかの部門以上に高い水準が示されたといえます。
 知事は、住宅等の一定の新築建築物への太陽光発電設備の設置義務化に向け、環境確保条例の改正を審議会に諮問をしました。新たな施策を表明することも大切ですが、現状をしっかり分析した上で、それに見合う実効性のある施策を進めていくことが必要といえます。
 例えば、都内には共同住宅が多くありますが、同じ床面積であっても、立地によって建物の形や規模も様々で、太陽光発電設備の設置可能スペースにも大きな違いがあります。
 そこで、太陽光発電設備の設置を義務化する制度の検討に当たっては、東京の地域特性等を十分に踏まえた制度にすべきと考えます。知事の見解を伺います。
 都は、廃プラスチックの焼却量を、二〇三〇年までに二〇一七年度比で四〇%削減するとの目標を掲げ、昨年度、区市町村による分別収集を支援するプラ製容器包装・再資源化支援事業を開始いたしました。
 また、本年六月には、プラスチック資源循環促進法が成立し、容器包装プラスチックに加え、製品プラスチックを自治体が一括で回収する方向性が示されました。
 こうした中、容器包装プラスチックの分別収集を未実施の区市町村の中には、一括回収に意欲を示しつつも、コロナ禍や製品プラスチックの回収による負担増加もあり、都に支援の拡充を求める声があります。
 都は、区市町村への支援を拡充し、プラスチックのリサイクルをさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍からの経済回復を契機に、世界的にエネルギー需要が増大しており、エネルギー価格も高騰をしています。脱炭素化による電力不足が要因との指摘もあります。
 日本政府は、新たなクリーンエネルギーへの投資支援や再エネの最大限の導入促進に取り組むことを示しました。同時に、安定かつ安価な電力供給や気候変動問題への対応を考えれば、安全確保を大前提とした原子力利用は欠かせないとの原発再稼働についても言及をしています。
 東京都は、環境先進都市を掲げ、脱炭素社会を目指しています。一方で、我が国最大のエネルギー消費都市です。電力の供給源も地方に大きく依存をしています。
 東京都の首長として、エネルギー政策の中での原子力利用の在り方について、小池知事の見解を伺います。
 次に、国境離島について伺います。
 日本は、四方を海に囲まれた島国であり、国土面積の狭隘な我が国において、国境離島は、世界第六位の広さを誇る日本の広大な領海や排他的経済水域の根拠となっています。
 東京都には、伊豆諸島から小笠原諸島に至るまで、有人の離島はもとより、無人島を含め、数多くの国境離島が存在します。
 こうした東京の島々は、美しい自然に恵まれ、貴重な癒やしの空間であるだけではなく、海洋立国日本の実現を目指す我が国にとって、国家的見地からも重要な役割を担っています。
 我が会派はこれまでも、沖ノ鳥島や南鳥島などの国境離島の維持保全の重要性について都議会で取り上げてまいりました。都に属し、国家の要衝でもある沖ノ鳥島、南鳥島を守るため、都の果たすべき役割と今後の取組について、知事の見解を伺います。
 都は、かつて沖ノ鳥島周辺において、漁業の操業支援などにも取り組んでまいりました。こうした経済的活動が近年途絶えています。
 排他的経済水域を維持する観点からも、沖ノ鳥島や南鳥島周辺海域での経済的活動を推進すべきですが、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 小笠原諸島の海底火山である福徳岡ノ場の噴火によるものと見られる軽石が、現在、伊豆諸島に漂着をしています。幸い大きな被害は出ていないものの、先に漂着が確認された沖縄では、大量の軽石により甚大な影響が出ています。
 先般、我が会派も三宅島を訪問し、軽石の漂着状況を確認するとともに、島民の皆様からお話を伺ってきたところであります。仮に、沖縄県同様、大量の軽石が漂着した場合、自然環境が損なわれるほか、島民の足である船舶の運航や漁業、観光業など、住民生活にも重大な影響を及ぼすことも想定され、島民は不安を感じています。
 都庁内の各局が連携し、実効性の高い対策を講じることはもとより、被害が生じた場合には国の各種支援制度も活用するなど、島民の安全・安心はもとより、事業者に寄り添った十分な対応が必要です。
 今後、伊豆諸島にも大量の軽石が漂着する可能性もあることから、都として万全を期すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、地域公共交通について伺います。
 都は、昨年、地域公共交通の在り方検討会を設置し、基本方針の取りまとめに向けて、今後の議論に期待するところであります。
 高齢社会、共生社会を見据え、都は、広域自治体として地域公共交通をどのように捉え、検討会では今後どのようなことを議論していくのか伺います。
 デジタル化について二点伺います。
 行政手続のデジタル化は、最も遅れている分野の一つであります。都民にオンラインサービスの利用をより積極的に促していくためには、利便性や今後の展開について、より分かりやすく伝えていく必要があります。今後の取組を伺います。
 国では、従来、各省庁で情報システムを構築、管理してきましたが、本年九月にデジタル庁が発足。情報システムの統括、管理を一元的に行い、DXの取組も加速をしています。
 都も、本年四月にデジタルサービス局を発足し、デジタルを活用した都政のQOSを飛躍的に向上させるDXの取組を強力に推し進めているところです。
 DXの推進に投資は必要ですが、その前に、デジタルサービス局において、各局の情報システムはもとより、デジタル関連経費を一元的に把握する見える化こそ必要です。その上で、投資が効果的、効率的であるのか、評価、分析につなげることが重要と考えます。宮坂副知事の見解を伺います。
 日朝首脳会談で北朝鮮が拉致を認め、五人の拉致被害者が帰国してから十九年以上が経過をしました。しかし、いまだ問題解決への道筋は見えておりません。
 この事件をリアルタイムで知らない子供たちが拉致問題への理解を深めるには、地方議会や教育活動を通じ、被害者奪還の機運を高めていくことが極めて重要だと専門家も指摘をしています。しかし、そのための資料として、政府が全国の学校に配布したアニメーションDVDも十分に活用されておりません。
 政府は、平成十八年に拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律を施行し、国及び地方自治体の責務等を定め、毎年十二月十日から十六日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間としました。都も毎年啓発活動に取り組んでいます。
 この期間、小池知事をはじめ、都幹部職員も率先してブルーリボンをつけるなど、都全体としての機運醸成を図っていくべきと考えます。
 また、亡き古賀俊昭都議が心血を注いで取り組んでこられた都議会超党派による拉致議連の活動再開についても、改めて呼びかけてまいりたいと思います。
 先日、岸田首相は講演の中で、拉致問題は、岸田内閣の最重要課題であり、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、総理大臣として自らが先頭に立ち、政府を挙げて全力で取り組むとの決意を述べられました。我々都議会自民党も、岸田総理と一体となり、拉致問題の解決に断固たる決意で取り組んでまいります。
 北朝鮮の地で救いの手を待っている被害者らの苦しみと我が国で帰りを待つ家族の苦痛は今もなお続いています。我が国の主権と国民の人権をいまだじゅうりんしている北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けた今後の取組について、小池知事の決意を伺います。
 コロナ禍の長期化による一番の被害者は子供たちです。子供の自殺件数は過去最悪の状況にあります。
 都は、今年三月に制定した東京都こども基本条例を受け、子供との対話を通じ、子供目線に立った政策を強化するとしています。その象徴的な取組として、東京都こどもホームページの作成プロセスに子供が参加し、意見やアイデアを反映させていくことが公表されました。
 子供の自殺が増える中、東京都は、子供の不安や悩み相談に多様な窓口を用意してまいりました。しかし、利用者であるはずの子供たちにとっては、分かりづらく使いにくいとの声もあります。こうした分野にこそ、子供目線を強化していただくよう、改めて強く求めておきます。
 都議会は、都民の皆様の思いを受け止め、コロナ対策に関する議論をさらに深め、都民の安心につながる実効性のある施策を進めていかなくてはなりません。
 都議会自民党は、都民の皆様をはじめ、国、区市町村、各種団体と緊密に連携し、新型コロナウイルスの終息と経済の再生、そして、首都東京の持続的発展に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松大祐議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、病床の確保についてのお尋ねでございます。
 現在、新たな変異株が発生するなど、引き続き緊張感を持って対応していく必要がございます。この夏の経験も踏まえまして、より厳しい感染状況も想定して備えを講じていかなければなりません。
 このため、都は、重症用五百十床を含めまして、六千八百九十一床の病床を確保いたしております。さらに、旧赤羽中央総合病院を活用いたしまして、人工透析や中期滞在が可能な高機能型酸素・医療提供ステーションを新たに整備するなど、多機能化を進めまして、合計で約九千四百四十床の医療提供体制を確保いたします。
 また、確保した病床を有効に活用するため、都の入院調整本部で転退院を促進しまして、より多くの患者を受け入れられるようにいたします。
 先手先手で対策を講じることで、都民の皆様が安心して暮らすことのできる日常を取り戻すために全力を尽くしてまいります。
 次に、独法後の都立病院の機能強化についてのお尋ねでございます。
 都立病院はこれまで、都民の医療ニーズに的確に応えるために、再編整備等の改革を通じまして、医療の質の向上やネットワーク機能の充実を図ってまいりました。
 医療は日進月歩で進化していることに加えまして、高齢化の進展に伴って、医療ニーズが質的、量的に変化いたしますことから、都立病院はこうした状況に適切に対応していく必要がございます。
 このため、柔軟な人材確保など、医療提供体制の構築が迅速に行える独法化のメリットを生かしまして、各病院の特徴をより明確にしながら、行政的医療や高度専門的医療など、重点医療の一層の強化を図ってまいります。
 独法後を契機といたしまして、医療機能をさらに高め、都民の誰もが質の高い医療を受けられる体制を構築してまいります。
 次に、障害者の日常生活を支えるデジタル機器についてのお尋ねであります。
 障害の種別にかかわらず、また、どんなに障害が重くとも、必要とするサービスを利用しながら、希望する地域で安心して暮らせる社会、私はこうした社会の実現を目指しております。
 障害がある方には、円滑な情報の取得や意思疎通が難しい方もおられ、その自立や社会参加を進めるには、例えば、文字情報を点字や音声に変換する機器や、スマートフォンアプリ、遠隔ロボットなど、様々なツールの普及が一つの鍵となります。
 こうした機器を効果的に活用することで、障害者の日々の暮らしを支えて、将来にわたりまして生活の質を向上させることが期待できます。
 今後とも、デジタル技術の普及をさらに進めまして、あらゆるバリアが取り除かれた社会の実現を目指してまいります。
 防災関係で被害想定の見直しについてのお尋ねがございました。
 人口や経済機能が集積する東京で災害への備えを怠れば、首都直下地震等の大規模災害発生時に被害が拡大し、東京のみならず、国内外に多大な影響を及ぼしかねません。
 このため、被害想定の見直しに当たりましては、被害を最小限にするための実効性ある防災対策につなげられますよう、様々な工夫を行っていく必要がございます。
 具体的に申し上げますと、最新のデータを基にしまして、住居の倒壊、延焼、通信の途絶といった都民生活に直結する項目に加えまして、幹線道路、ライフライン、公共交通などの都市インフラの寸断といった救出救助活動において重要な項目について、今回新たに、発災後の時間軸に沿った被害の状況を示してまいります。
 発災後に家庭や地域で起こり得る状況の発信を通じまして、都民一人一人の防災意識の向上と自発的な防災活動を促すとともに、被災者支援などにおける都や関係機関が取るべき効果的な取組につなげてまいります。
 今後とも、備えよ常にの精神の下、より実効性の高い防災対策の構築に向けまして万全を期してまいります。
 次に、都と区市町村との相互協力体制についてのお尋ねでございます。
 大規模災害発生時は、被災自治体におきまして物資の受入れや避難所運営など、膨大な災害対応業務が発生をいたします。そのため、応援職員の派遣など自治体間の連携が重要となるわけです。
 都はこれまで、全国知事会や九都県市等との間で協定を締結いたしまして、災害時に全国の自治体からの応援を円滑に受け入れる体制を整備してまいりました。
 今後は、自治体間の協力体制や都の総合調整機能をより一層強化するため、年内を目途に、新たに都と全区市町村が参加する協定を締結いたします。
 この協定によりまして、職員の派遣や避難先の提供などに関します基本的な役割分担や実施手順を明確化いたしまして、速やかな支援につなげてまいります。さらに、区市町村をはじめ、国や他県市などと連携をいたしまして、様々な災害を想定した図上訓練等を実施することで、運用方法の改善を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、都と区市町村との相互協力体制を一層強固にしまして、東京全体の災害対応力を高めてまいります。
 次に、芸術文化に触れる機会の創出についてのお尋ねであります。
 芸術文化は、人々に喜びや感動をもたらし、心のつながりを深める大切なものであります。
 文化の祭典でもある東京二〇二〇大会では、コロナ禍にありましても、工夫をして、世代を問わず参加できる音楽祭や斬新なアートプロジェクトなどを都内各地で展開をいたしまして、芸術文化の魅力を発信いたしました。
 今後は、公園や道路、駅前などの都市の公共空間や商業施設、銭湯など、都民にとって身近な場所でパブリックアートやコンサート等の機会をさらに増やしていく必要がございます。
 また、最新のテクノロジーを活用しまして、どこにいても芸術文化を楽しめる取組を推進いたしまして、劇場や美術館などの場所や時間にとらわれないアクセシビリティーを実現いたします。
 こういった芸術文化の敷居を低くする取組の強化を新たな文化戦略に盛り込みまして、誰もが芸術文化に身近に触れられる環境を整えて、人々の幸せに貢献をしてまいります。
 次に、東京ベイeSGまちづくり戦略についてのお尋ねであります。
 国の発展を牽引することが首都東京の果たすべき使命であり、その中にあって、ベイエリアは世界から人と投資を呼び込み、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京をリードするエリアとして発展させることが重要であります。
 このため、先般公表したドラフトにおきましては、次世代の都市モデルとなる成長戦略として、質の高い緑と魅力的な水辺空間の形成、防災減災対策の推進、まちの魅力や活動の基盤となる移動手段の充実などを示しております。
 今後、パブリックコメントや関係団体へのヒアリングの意見なども踏まえまして、将来像を実現するための戦略や具体的な取組をブラッシュアップいたしまして、今年度中に取りまとめてまいります。
 まちづくり戦略の具体化に当たりましては、国をはじめ地元区、民間企業など様々な主体とも連携しまして、都市基盤整備などを進めるとともに、民間の創意工夫を生かした都市開発を誘導するなど、ベイエリアの将来像の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、税制のグリーン化についてであります。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて脱炭素化の取組を着実に進めていく、そのためには、排出量取引や規制、補助など、様々な政策手法を組み合わせていくことが必要であり、税制の活用も有効な手段の一つであると認識をいたしております。
 このため、都はこれまで、中小企業者向けの省エネ促進税制やZEV導入促進税制を創設するなど、都独自の措置を講じてまいりました。
 また、今般、東京都税制調査会からは、温室効果ガス排出量削減に向けましては、税制の一つの基軸に環境を据え、税制の仕組みの中に環境負荷に応じた負担という考え方を組み入れる、税制のグリーン化を推進していくことが不可欠だというご提言をいただいたところであります。
 今後とも、都といたしまして、カーボンプライシングをめぐる議論など、国の動向を注視するとともに、公平性とのバランスやインセンティブ効果なども踏まえながら、ゼロエミッション東京の実現を後押しする税制について検討を進めてまいります。
 新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化の検討についてのお尋ねであります。
 家庭部門のCO2削減には、さらなる省エネルギー対策と再生可能エネルギーへの転換が必要である一方、都内には、狭小な住宅用地や共同住宅が多いこと、日照条件が異なるなど、一律の設置が難しい地域特性などの問題、課題がございます。
 このため、中小規模の新築の建築物を一定以上供給する住宅供給事業者等に、個別の建物ごとではなく、事業者単位で設置を求める仕組みを環境審議会の分科会に提案をいたしました。
 これによりまして、事業者の弾力的な対応を可能としまして、太陽光発電設備の着実な設置につなげてまいります。
 今後も引き続き、関係団体等、様々な立場の方々からも意見等を伺いながら、制度構築に向けました検討をさらに進めてまいります。
 あわせまして、大規模新築建築物を対象とする建築物環境計画書制度につきましても、再エネ設備設置の義務化等の検討を進めてまいります。
 こうした取組を通じまして、新築建築物への太陽光発電設備等の設置を標準化いたしまして、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
 次に、脱炭素社会とエネルギー政策についてのお尋ねでございます。
 気候危機の影響は人々の生活領域まで深刻な影響を及ぼしており、もはや一刻の猶予もございません。ビジネス、そして日々の暮らし、都市づくりなど、あらゆる分野の社会経済構造を脱炭素型に移行することが必要であります。
 都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現など、世界をリードする目標を掲げまして、水素エネルギー技術の社会実装やグリーンファイナンスの活性化など、迅速かつ大胆な行動を進めてまいりました。
 今、世界におきましては、安定した電力供給と脱炭素社会との両立に向けまして、原子力発電を含めたエネルギー政策の在り方を模索する動きが起きております。
 我が国における電源構成につきましても、エネルギーの安定供給や経済効率性、さらには、脱炭素化への対応といった多岐にわたる観点を踏まえまして、総合的に検討していくことが必要と考えます。
 いずれにいたしましても、こうしたエネルギー政策の在り方につきましては、国レベルで議論、検討が行われるべきものでございまして、都は引き続き、脱炭素社会の実現に向け、なすべき取組を果敢に推し進めてまいります。
 次に、国境離島に関する取組についてのお尋ねであります。
 国益に直結する国境離島をはじめ、領土、領海を守ることは、国家の根幹的責務であり、都にはその維持保全に連携協力していくことが求められております。
 沖ノ鳥島、南鳥島は、それぞれが国土面積を上回る排他的経済水域を持つ国境離島でありまして、周辺海域も含めた維持保全や利活用、普及啓発は、都においても重要な課題であります。
 こうした諸課題への取組の方向性を検討するため、今般、国の直轄管理区域であります沖ノ鳥島の周辺海域におきまして、基礎的な調査を実施することといたしました。
 あわせまして、国境離島の重要性について広く都民、国民に発信していくため、関係省庁による取組の紹介も含むウェブサイトを新たに開設をいたしました。
 都民生活、そして東京の都市力の維持発展、ひいては、排他的経済水域等の権益を確保して、海洋国家である我が国の地位を堅持するためにも、国と緊密に連携しながら、持続可能な具体の取組について検討を深めまして、国境離島の維持保全等に、より一層尽力をしてまいります。
 次に、拉致問題の解決に向けた取組についてのお尋ねでございました。
 北朝鮮による拉致は、我が国の国家主権の侵害であると同時に、国民の生命と安全を脅かす重大な人権侵害であります。
 政府認定の拉致事案が発生してから四十四年の年月が経過し、拉致被害者やご家族の方々の現在の状況を考えますと、拉致問題の解決には、もはや一刻の猶予もございません。
 拉致問題の解決には、都民一人一人が自分自身の問題として考えることが重要でございます。
 このため、都は、今月十日からの啓発週間におきまして、集中的な広報活動、そして都庁舎のライトアップ、知事の会と連携いたしました幹部職員によるブルーリボンバッジの着用を行います。年明けには、拉致問題に関する舞台劇の上演など都民向けの啓発活動を行ってまいります。
 また、教育委員会では、教員への特別講演を実施したほか、啓発週間に合わせまして、映像資料等を活用した具体的な授業の実践モデルを全校に提示をしまして、子供たちの理解を深める学習を推進してまいります。
 今後も引き続き、政府及び関係機関と連携しまして、都民の機運の醸成を図るなど、一日も早い拉致問題の解決に向けまして力を尽くしてまいります。
 残余のご質問は、副知事、教育長、東京都技監、そして関係局長からの答弁といたします。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) デジタル関連経費についてお答えいたします。
 効果的、効率的なデジタルサービスの提供を行うためには、まず、各局のデジタルトランスフォーメーションの取組内容や経費の状況などについて、横断的に把握していくことが重要です。
 これまでデジタルサービス局では、開発経費が一億円以上の大規模システム等について、有効性、適切性、安全性を評価するためにシステムアセスメントを実施しており、本年度は十八件の評価を行っております。
 これに加え、現在、五百件を超える、各局が保有する全ての情報システムについて、予算額や機器構成、更新予定時期などを一元的に把握するため、令和四年度予算編成に合わせてシステム台帳の整備を進めております。
 さらに、情報システムの経費にとどまらず、ドローンなどのデジタル技術を活用した機器の導入や、デジタルの専門知識を持った人材の育成、活用に関する経費など、デジタルに関連する幅広い情報を集約し、来年度予算案の公表に合わせて取りまとめてまいります。
 こうして取りまとめたデータを活用し、例えば、人、物、ソフトウエアといった要素別や、新規、拡充、再構築などの状況別に区分することで取組状況を見える化し、効果的な事例を横展開するなど、各局のデジタルトランスフォーメーションの推進を支援してまいります。
 今後、このようにデジタル関連経費を全庁横断的に分析し、デジタル技術を活用した各局事業の企画、開発等の検証に活用することで、都政のクオリティー・オブ・サービスを向上させてまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立特別支援学校卒業生の職場定着の支援についてでございますが、都立特別支援学校の就業技術科及び職能開発科では、生徒が適性に合った仕事に就けるよう、一年次から段階的な就業体験を実施するなど、自ら主体的に進路を選択できる力を育んでおり、これまで三千名を超える生徒の企業就労を実現してまいりました。
 また、卒業後三年間を目途に、教員が職場開拓の際に卒業生の就労先を訪問し、職場におけるコミュニケーションがより円滑に進むよう、定着に向けた支援を行っております。
 今後、訪問の機会を増やし、支援の継続性を確保するため、都教育委員会は、学校の取組に加え、企業OB等による就労先の継続的な訪問によるきめ細かいサポートと、就労支援機関への円滑な引継ぎによる切れ目のない支援を充実させ、一層の職場定着を図ってまいります。
 次に、発達障害のある生徒への支援についてでございますが、高校段階では、卒業後の進路も見据えながら、専門的な知見の下で、生徒の障害特性に応じ、より適切に社会性等を身につけられるよう支援することが必要でございます。
 都教育委員会では、令和三年度から、都立高校の発達障害のある生徒を支援するため、外部の専門人材が教員と共に授業を行う仕組みを導入いたしました。この授業においては、他者との関わりが苦手な生徒が、自分の考えを言葉にし、仲間と協力することを学ぶなど、集団生活での適応力の向上を図っているところでございます。
 今後は、特別支援学校と高校との連携を強化し、多くの指導経験を有する特別支援学校が、高校に対して、生徒支援のための校内体制づくりや外部人材との連携について助言等を行うことで、指導の充実を図ってまいります。
 次に、盲学校におけるデジタルを活用した教育についてでございますが、視覚障害のある児童生徒がデジタルを活用するに当たりましては、情報のやり取りに音声や点字等を用いたアプリケーションの導入や支援機器の整備が不可欠でございます。
 学校に配備している学習者用端末には、文字を読み上げるアプリを装備しており、児童生徒が文章の読み書きに活用しております。
 また、文字を点字に変換して表示できる点字ディスプレーにつきましても、必要とする全ての児童生徒が、自らの端末と組み合わせて学校外でも使用できるよう、現在、必要な整備を進めているところでございます。
 今後、都教育委員会は、デジタル教科書等を用いた効果的な学習により、視覚障害のある児童生徒の主体的な学びが深まるよう、アプリや支援機器を活用した指導法等の研究開発に取り組んでまいります。
 次に、都立工業高校の将来像と実現に向けた取組についてでございますが、これからの時代にふさわしい工業高校においては、技術の習得はもとより、技術を駆使して、新たな価値を創出し、課題を解決していく人材を育成する必要がございます。
 このため、全ての工業高校において、産学連携による先端技術等に触れる学習や、生徒自らが課題を発見し、解決策の模索を通してものづくりの過程を学ぶ探究型の学習を推進してまいります。
 また、各学校の特色等を生かし、産業界の変化にも対応した先端分野の技術の学習や、IT分野とものづくりを組み合せた学習などの強化を図り、教育活動を発展させてまいります。
 今後、産業界とも連携しながら、工業高校における学びを進化させ、東京の未来を創り出す人材を輩出してまいります。
 最後に、都立工業高校における魅力の向上についてでございますが、工業高校は、ものづくりの楽しさを実感できる学習や、企業と連携した先端技術の体験を通して、生徒の学習意欲を高め、就職や進学など、多様な進路選択が可能となる実学を重視した教育を行っております。
 こうした教育をさらに充実させるため、DXに対応した実習設備を積極的に導入し、産業用ロボット、電動自動車等を用いた先進的な学習を充実させるとともに、企業や大学の施設等を活用し、プログラミングや最新の技術を体験する機会などを設けてまいります。また、工業高校の将来像にふさわしい学校名称への変更も検討していくこととしております。
 今後、新しい学校の姿を広く発信し、多くの生徒に選ばれる工業高校を目指してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、築地まちづくりについてでございます。
 築地では、中長期的に都民にとっての価値を向上させることとしておりまして、先般公表した実施方針の方向性で示しましたまちづくりのコンセプトを保持しながら、社会経済情勢の変化にも対応していくことが重要でございます。
 そこで、事業の具体化に当たりましては、気候変動の危機に対応したゼロエミッションの実現などにつきまして、効果的な取組を行うことを実施方針の方向性で示しました。
 また、臨海地域の地下鉄構想なども考慮しながら、広域交通結節点を形成することとしております。
 年度内に公表を予定しております実施方針などで、さらに配慮事項を示すなど、民間から優れた提案を引き出し、将来の変化にも柔軟に対応しながら、新しい文化を創造、発信する、築地ならではの拠点を形成してまいります。
 次に、地域公共交通についてでございます。
 超高齢社会の到来など、都民生活を取り巻く環境が変化する中、地域の公共交通につきましては、地域ごとの利用者ニーズに対応するとともに、技術革新も踏まえ、広域的課題にも応える必要があることから、区市町村が主体的に取り組むとともに、東京都としても役割を果たすことが重要でございます。
 このため、都は昨年、有識者等を交えた検討会を立ち上げ、地域特性に応じた移動手段の確保策やシームレスな移動に資する先端技術の活用方策、区市町村の区域を越える広域的な視点での都の役割等について議論しております。
 さらに検討を重ね、地域公共交通の目指すべき姿や支援策の方向性等につきまして、年度末を目途に基本方針として取りまとめてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 七点の質問にお答えいたします。
 まず、宿泊療養施設の体制確保についてでございますが、都は、新型コロナの感染再拡大に備え、患者の受入れ時間帯の拡大など運用面の見直しや、必要時に往診対応する施設など機能分化を進めまして、効率的に活用するとともに、感染状況を踏まえ、新たな施設の活用も進め、約三十一施設、約七千九百室を確保してまいります。
 また、先月には、宿泊療養を希望する患者が速やかに入所できるよう、保健所を介することなく、検査で陽性が判明した時点で患者自らが申込みのできる専用の窓口を開設いたしました。
 十一月三十日の国内で第一例目となるオミクロン株感染者発生を受け、濃厚接触者が待機する施設として速やかに宿泊療養施設を活用しており、今後も感染状況に応じて必要な体制の整備に取り組んでまいります。
 次に、自宅療養支援や保健所業務の効率化についてでございますが、都は、自宅療養者フォローアップセンターの人員につきまして、最大二百五十人体制を確保するとともに、診療や検査を行った医療機関による健康観察を実施することなどにより、自宅療養者への健康観察体制の強化を図ってまいります。
 また、感染拡大時に往診を広域的に行う医療機関との連携強化や、往診時に抗体カクテル療法を実施する医療機関に対する支援などにより、自宅療養者への医療提供体制を充実させてまいります。
 保健所業務につきましては、宿泊調整や夜間の入院調整などを都が行うことによる保健所の業務支援や、区市保健所が業務委託を行う際の経費の支援に加え、患者対応の進捗管理方法のデータ化など、デジタル技術を活用した業務の効率化により、保健所の対応力を強化してまいります。
 続いて、年末年始の医療提供体制についてでございますが、都は、昨年度と同様に、年末年始の診療、検査体制を確保するため、診療、検査を実施する医療機関及びこれらの機関と連携し開所いたします調剤薬局に対しては協力金を、入院患者を受け入れる医療機関に対しましては重症度に応じた謝金の加算を今回の補正予算案に計上しております。
 今年度は、より医療を受けやすくするため、協力金においては、医療機関情報の公表やかかりつけ患者以外の患者の診療等を支給条件としております。
 引き続き、医療機関や医師会、薬剤師会等の関係機関と緊密に連携し、都民の皆様が安心して年末年始を過ごせるよう、対策に万全を期してまいります。
 次に、ワクチンの追加接種についてのご質問にお答えいたします。
 都はこれまで、区市町村とのワクチンチーム会議を通じて、役割分担やワクチンの今後の供給見込み等につきまして認識の共有を図ったほか、医療従事者等の接種につきまして、都が関係団体と接種の実施方法を調整するなど、区市町村における接種の準備を精力的に支援してまいりました。
 また、区市町村の意向も踏まえ、今月中旬から都庁北展望室ほか多摩一か所に大規模会場を開設し、医療従事者や救急隊員等から接種を開始いたします。
 今後、ワクチンの供給計画等を踏まえ、さらなる対象者への接種が可能となるよう、会場を六か所程度まで順次拡大してまいります。
 引き続き、区市町村と緊密に連携しながら、今月から開始された追加接種が、円滑かつ安定的に行われるよう取り組んでまいります。
 次に、ワクチンに関する情報発信についてでございますが、都はこれまでも、ワクチンの効果や副反応につきまして、ホームページ等できめ細かく発信してまいりました。交互接種については、今回の追加接種で初めて実施されることから、自治体に対する迅速な情報提供と分かりやすい情報の発信を国に要望しております。
 今後、国から追加の情報が提供され次第、都におきましても、東京iCDCの専門家の知見も踏まえながら、ポータルサイトなどの様々なチャンネルを通じて幅広く発信してまいります。
 また、引き続き一人でも多くの方にワクチンを接種していただけるよう、三回目までの接種期間が延長されたことについて、接種会場や予約方法なども含めて、広く都民に周知をしてまいります。
 次に、感染拡大傾向時におけるPCR検査等についてでございますが、国によりますと、感染拡大傾向時における無料検査の対象を、感染リスクが高い環境にあるなどのため感染に不安を感じる無症状の住民としており、さらに、検査の実施に当たっては、検査の対象等が感染拡大防止の目的に対して合理的、効果的であることを求めております。
 都は、国に対して、無料検査について対象の例示等を求めるなど、現在、制度の具体化を進めております。
 新たな変異株の出現をはじめ、今後の感染拡大に備え、国の指針に基づき、感染拡大傾向時における無料検査の体制を構築し、感染拡大防止と都民の不安解消を図ってまいります。
 最後に、オミクロン株への対応についてでございますが、新たな変異株の感染拡大を防ぐためには、国による水際対策の強化と併せて、都として変異株の感染状況を迅速に把握していくことが重要でございます。
 このため、今回取りまとめました緊急対応におきまして、空港検疫で確認された濃厚接触者に宿泊療養施設への入所を勧奨するとともに、市中での流行を監視するため、ゲノム解析を実施するほか、東京都健康安全研究センターが独自に構築したオミクロン株対応のPCR検査手法を用いまして、いち早く検査を開始しております。
 今後、広域的な視点から、この手法を近隣県と共有するほか、民間検査機関へ拡大するなど、都内の監視体制を一層強化するとともに、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げまして積極的疫学調査を行うなど、感染拡大防止に取り組んでまいります。
〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 来年度予算についてお答えいたします。
 都財政を取り巻く環境が不透明な中にあっても、医療提供体制の確保や経済を回復の軌道に乗せる取組などのコロナ対策を着実に実施すると同時に、多岐にわたる都政の課題に迅速かつ的確に対応することが必要でございます。
 具体的には、脱炭素社会や国際金融都市の実現、豪雨災害や首都直下地震等の自然災害への備え、デジタル化の推進、少子高齢化への対応など、東京の未来を切り開くための積極的な施策展開が求められております。
 このため、現在編成作業中の来年度予算では、持続可能な財政運営に留意した上で、今後の税収動向も注視しつつ、基金や都債など財政対応力も有効に活用し、東京が直面する課題を克服し、将来への発展につながる実効性の高い取組を財政面からしっかりと下支えしてまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、厳しい経営環境にある中小企業への支援ですが、感染症の状況が落ち着き、経済活動の再開が進む一方で、引き続き経営が厳しい中小企業は多く、その事業継続に向けた着実なサポートは必要でございます。
 このため、都は、コロナ禍により打撃を受けた飲食事業者に対して、専門家を派遣して助言を行い、新たな事業展開に必要となる経費に助成する取組について拡充を図ります。
 また、国の月次支援金等を受けた中小企業に対して、都は、その販路開拓に要する経費に助成を行っており、今後は国の事業復活支援金の支給を受けた中小企業も対象とすることを検討してまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業の事業継続に向けた支援を着実に行ってまいります。
 次に、原油価格高騰に係る中小企業への支援についてですが、原油価格の高騰が中小企業の経営に及ぼす影響を抑えるため、事業の改善や下支えを適切に支援することが必要でございます。
 このため、都は、中小企業の現場に専門家を派遣し、コスト高に対応するための経営上の知識やノウハウの提供を行います。また、中小企業の組合に専属のアドバイザーが出向いて、業界の実情に応じた助言を行うとともに、原油高への対策をつくり、業界内で共有する取組などに必要となる経費を助成いたします。
 さらに、収益が悪化した場合の資金繰りを支える制度融資のメニューについて、信用保証料の補助の拡充を図ります。
 こうしたきめ細かい対応によりまして、コスト高を含め、厳しい状況に直面する中小企業の経営のサポートを行ってまいります。
 次に、都内観光促進事業の再開についてですが、観光産業を速やかに回復する上で、感染状況を十分に踏まえながら支援策を適切に実施することが重要でございます。
 これからの時期は感染拡大のリスクが高くなる冬場であり、第六波への備えを固めることが必要でございます。特に年末年始は帰省等で多くの人流が生じ、会食の機会も増えるなど、感染拡大の防止に向け、十分な注意を払わなければなりません。
 そのため、こうした状況が落ち着いた時期に、感染状況の推移を見極めながら、GO TOトラベルの開始に合わせて事業を再開する予定としております。
 国と都の事業を併用することにより、旅行者の負担を抑え、観光の促進に結びつけてまいります。また、事業規模を昨年度に比べ大幅に拡充し、観光産業の回復に弾みをつけるサポートとすることで、支援の効果を高めてまいります。
 次に、農業の担い手の確保とその定着についてですが、東京農業の担い手を増やすため、農外から新たに農業を始める方に対するきめ細かな支援が重要でございます。
 このため、都は、農業を基礎から実践まで一貫して学べる二年間の研修を行うとともに、農業委員会や農業者の団体等と連携し、農地と担い手のマッチングを実施しております。
 また、特に就農初期は経営が不安定であることから、施設の整備に要する経費を手厚く支援するとともに、直売所や学校給食など、安定した販路の確保をサポートしているところでございます。
 今後は、マッチングの体制の強化とともに、農地を確保できない場合でも、生産の場を一定期間提供する新たな仕組みづくりを検討するなど、円滑な就農を後押ししてまいります。
 こうした取組を着実に進めることによりまして、持続可能な東京農業の実現に結びつけてまいります。
 次に、障害者雇用の促進についてですが、テレワークは時間や場所にとらわれず、柔軟な働き方が可能となるため、通勤や体調管理に困難を伴う場合も多い障害者の雇用を促進する上で有効な取組となるものです。
 このため、都は今年度より、中小企業が障害者を採用してテレワーク勤務を行う環境を整える場合、その採用から定着までをアドバイザーが伴走型で二年間支援するほか、テレワークに必要となる機器の助成も行うモデル事業を実施しております。
 今後は、支援を受けた企業の成果事例を取りまとめ、業界団体等を通じ、広く発信してまいります。
 また、障害者がテレワークを活用できる職場環境を整備する企業の取組を一層後押しするため、企業向けに新たな相談窓口を設けるとともに、専門家が助言を行うなどの支援体制の充実を検討してまいります。
 最後に、がん患者等が働く職場の環境整備についてですが、がんや難病患者の方が職場で安心して働くためには、通院や治療を行いながら、仕事を継続できる職場環境づくりが重要でございます。
 このため、都は、仕事と治療の両立を後押しするため、治療により休職した従業員を職場復帰させた企業や、がん患者等を新たに雇い入れる企業に対して奨励金を支給しております。
 この事業におきましては、企業の取組の効果を高めるため、医師の助言を基に、治療のための時間単位の休暇取得や、テレワークの活用などの配慮を盛り込んだ社員ごとの支援計画をつくる取組としております。
 今後は、こうした企業に従業員の病状等のケースに応じた柔軟な勤務制度の導入を働きかけるほか、仕事と治療を両立しながら活躍する方々の職場の事例を広く発信してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、障害児の日常生活を支えるデジタル機器についてであります。
 近年、デジタル技術の進歩により、障害者の地域での生活や社会活動等を支える様々な機器が普及しております。
 これらは、障害による生活上の困難を改善するとともに、成長の段階に応じて自分に合ったものを早い時期から使うことにより、日常生活の利便性を向上させる上でも有効となります。
 機器の高性能化や多機能化も進んでおりまして、今後、最新の情報を区市町村と共有するなど、デジタル技術の進歩に適切に対応し、障害者を支援してまいります。
 次に、放課後等デイサービスについてであります。
 障害児の自立を促進し、居場所を提供する放課後等デイサービスは、利用者のニーズが多様であり、事業所ごとに支援の内容は様々であります。
 こうした実態や今回の報酬改定等を踏まえまして、都は、本年七月に放課後等デイサービスの事業所の活動状況や報酬改定の影響について調査をしております。
 その結果、訓練や創作活動、余暇の提供など、多様なサービスを提供する事業所がある一方で、特定の活動に偏っている、学校との連携が十分でない事業所があることや、第三者評価の受審率が低いことなどが分かりました。
 今後、この調査結果も踏まえまして、サービスの質の向上に取り組む放課後等デイサービスへの都としての支援策について、早急に検討してまいります。
 最後に、児童養護施設の退所者など、ケアリーバーへの支援についてであります。
 都は、児童の自立を支援するため、進学や就職に向けた準備ですとか、退所後の継続的な支援を行うための専任の職員を配置する児童養護施設等に、必要な経費を補助しております。
 また、NPO等と連携いたしまして、ケアリーバーが気軽に集まって交流でき、専任のスタッフに生活や就労上の悩みを相談できるふらっとホーム事業を都内二か所で実施しております。
 今年度からは、十八歳を超えて措置延長した方が、退所後、社会生活を安定的に送ることができるよう、一定期間一人暮らしを体験するアパート等を借り上げる経費を支援することとしておりまして、現在、関係機関と調整を進めております。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、船舶を活用した災害時対応についてですが、首都直下地震から都民の命と財産を守るためには、救出救助や物資輸送が迅速かつ円滑に行われることが重要でございまして、陸路での活動が困難となった場合に備えて、河川や運河等の水上ルートを積極的に確保する必要がございます。
 都はこれまで、国や関係区、関係局等による検討会を設置し、発災時における防災船着場の利用等について、基本的な手順や役割分担等を整理してきたところでございます。
 今後は、検討会の中で国や関係機関と一層連携いたしまして、物資拠点等から各防災船着場までの個々の具体的なルートについて、実際の活用を想定した上で課題を検証し、必要な施設、機能等の整備や防災船着場ごとのルールづくりなどにつなげてまいります。
 こうした取組を通じまして、船舶を活用した水上ルートの活用の実効性を一層向上させてまいります。
 次に、沖ノ鳥島、南鳥島に関する取組についてですが、両島は、広大な排他的経済水域の根拠となります国境離島でございまして、周辺海域も含めた維持保全や利活用は重要な課題でございます。その取組の方向性の検討に当たりましては、基礎となる情報が不可欠でございます。
 一方、学識経験者からは、科学的研究という視点での調査、観測情報が不足しているとの意見を伺っております。なお、国の海洋基本計画においても、海洋調査の推進が掲げられているところでございます。
 こうしたことから、今般、様々な海洋分野の研究者の協力も得まして、海洋調査船で現地に赴き、沖ノ鳥島周辺の最新の状況を把握する調査を行うことといたしました。
 今後、現地調査を通じて得られた情報を基に分析を行い、両島及び周辺海域について、国と連携しながら、海洋資源の利活用などの可能性を検討してまいります。
 最後に、軽石対策についてですが、島民等への影響を最小限に抑えるためには、各局等が連携し、迅速に効果的な対策を実施することが重要でございます。
 このため、都は、軽石が漂着するおそれがある港湾、漁港にオイルフェンスを事前に設置するとともに、大量の軽石が港内に流入した場合にも備えて、除去用の重機を各島で確保いたしました。さらに、ドローンなどにより周辺状況を確認するなど、港内の警戒を行っているところでございます。
 また、漁業調査指導船によるモニタリングを強化いたしまして、漁業者等へ迅速に情報提供するとともに、操業継続に向け、漁船エンジンへの海水フィルター設置を支援してまいります。
 引き続き、関係機関及び各局が連携し、島しょ地域の町村の意向を踏まえるとともに、国の制度も活用しながら、軽石対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 防災船着場の機能確保に向けた取組についてでございますが、災害時に船舶による迅速な被災者の避難や緊急物資の輸送などを行うためには、これまで整備してきた船着場をより効率的に利用できるようにすることが重要でございます。
 このため、都は現在、災害拠点病院に近接する明石町など五か所の船着場で、車両によるアクセス等を可能とするため、スロープの新設や改築の設計を進めております。また、災害時の水上輸送をより効果的に機能させるため、箱崎町から朝潮運河の船着場へ物資を輸送する訓練などを行っております。
 今後、こうした取組を他の船着場でも実施していくとともに、訓練の結果を踏まえた施設改良の検討を進めるなど、国や区など関係機関とも連携して、災害対応力の強化に努めてまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄等の震災対策に関するご質問にお答えいたします。
 都営地下鉄では、阪神・淡路大震災を踏まえました対策を既に完了しており、追加対策としまして、高架部の橋脚及び中柱の補強を進めてございます。
 高架部では、大規模改修が必要な駅を除きまして本年七月に補強を完了し、全体では今年度末に累計千七百五十本、約五割の補強を完了する予定でございます。
 今後は、補強する柱が駅務室の壁などと一体となり、施工が難しい箇所がございまして、駅の大規模改修の機会も捉えながら、耐震補強を計画的に進めてまいります。
 日暮里・舎人ライナーでは、現在、国の運輸安全委員会による脱輪原因の分析が行われておりますが、交通局といたしましても被災状況の検証を進めており、例えば走行路の段差の軽減など、地震発生時の減災に向けまして、局独自に取り得る方策を検討してまいります。
 今後とも、安全・安心の確保に向け、震災対策に着実に取り組んでまいります。
〔水道局長浜佳葉子君登壇〕

○水道局長(浜佳葉子君) 水管橋等の風水害対策についてでございますが、都では現在、約二千八百か所の水管橋等を保有しており、定期的に点検を実施し、適切に管理をしておりますが、和歌山市での事故の教訓を踏まえた管理の充実強化に向けて、ICTの導入や民間の専門事業者への委託など、新たな点検方法を検討しております。
 また、長期的には、河川氾濫に伴う損傷のリスクを考慮し、河川を横断する水管橋等のうち、断水などの影響が大きい七十七か所を優先的に地中化していくこととしております。
 このうち十四か所については、令和十二年度までの十年間で地中化し、断水などの影響を受ける人口を約八割減少させます。さらに、そのほかの箇所につきましても、計画的に地中化を推進してまいります。
〔下水道局長神山守君登壇〕

○下水道局長(神山守君) 下水道管の震災対策についてでございますが、下水道局では、震災時の下水道機能や緊急輸送道路等の交通機能を確保するため、対象施設を重点化して耐震化を実施しているところでございます。これまでに避難所や災害復旧拠点等、順次対象を拡大しており、経営計画二〇二一に基づき、さらに取組を加速、強化いたします。
 具体的には、下水道機能確保のため、一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象に加えまして、下水道管とマンホールの接続部の耐震化等を前計画から二割増加させ、千二百か所で実施いたします。
 また、交通機能確保のため、緊急車両が通行する無電柱化している道路などを対象に加えまして、マンホールの浮上抑制対策を三割増加させ、二百五十キロメートルで実施いたします。
 これらにより、対象施設の約九割が対策を完了し、引き続き耐震化を進めることで、安全・安心のまちづくりに貢献してまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 海岸保全施設の機能強化についてでございますが、将来の気候変動に伴う海面水位の上昇や強大化する台風等の風水害から都民を守るためには、長期的な視点に基づいた対策を着実に進めていくことが重要でございます。
 このため、都は、有識者の意見を踏まえながら、国などの関係機関と連携し、東京港における海岸保全施設のさらなる機能強化に向けた検討を進めております。
 具体的には、今後予想される海面水位の上昇や台風の大型化傾向を踏まえ、段階的に防潮堤のかさ上げを行ってまいります。あわせて、降雨量の増加に備え、排水機場の機能を強化してまいります。
 今後、海岸保全施設の機能強化へ向けた施策の方向性を取りまとめ、将来の気候変動への対応を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新規恒久施設の活用方針についてでございますが、都は、平成二十九年に、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定し、アスリートや都民の視点から、施設ごとの後利用の考え方を取りまとめました。そして、早期に指定管理者等を決定するなど、大会後の利用に円滑に移行できる体制を整えてまいりました。再開業後には、各種大会等の開催も予定されております。
 さらに、今後幅広い活用方策の検討を深め、国際大会の誘致、スポーツの観戦や体験の機会の提供、文化やエンターテインメント等多様な施設活用など、各施設のポテンシャルを最大限発揮できるよう取り組んでまいります。
 新規恒久施設を、既存施設と併せ、多くの都民に末永く利用され親しまれる施設として活用し、東京二〇二〇大会のレガシーとしてまいります。
 次に、一周年記念事業の実施についてでございますが、東京二〇二〇大会は、大会史上初となる一年の延期、無観客での開催となりましたが、組織委員会や国、関係自治体等と緊密に連携するとともに、都民、国民のご協力を得て大会を安全に開催することができました。
 アスリートが輝いた競技会場をはじめ、大会を支えたボランティアなど、この大会を通じて生まれた数々のレガシーを確実に未来へ引き継いでいくことは重要でございます。
 ロンドン大会では、一年後のオリンピックパークのリニューアルに合わせて、多くの人が参加して音楽やスポーツのイベントを実施し、リオ大会の周年行事においてもフットサル大会や競技体験などが行われました。
 今後、これらも参考に、大会の感動と記憶を共有し、レガシーを未来につなげていく取組について検討してまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 芸術文化の担い手の活躍の場についてでございますが、東京二〇二〇大会の文化プログラムでは、都内各地の芸術文化の紹介を予定しておりましたが、コロナ禍でオンラインを活用して実施し、新たな表現が生まれた一方、直接観客の前で披露できず、魅力を十分に伝えられなかったものもございました。
 このため、今後、地域の芸術文化を支えている方々の協力を得て、各地に根差した魅力を大会後も改めて発信することが、東京の芸術文化の担い手の裾野を拡大するために重要でございます。
 また、祭りやイベント、伝統文化等の資源の活用は地域の振興にも寄与することから、エンターテインメントも含め、多くの都民が楽しめる事業への助成を検討いたします。
 地域で活動する担い手の活躍の場を広げまして、その魅力を発信し、東京の芸術文化の一層の振興を図ってまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) プラスチックリサイクルへの支援についてでございますが、持続可能なプラスチックの利用の実現を図るとともに、二〇三〇年カーボンハーフに向け、プラスチックのリサイクルを促進していくことは重要な取組でございます。
 そこで、都は昨年度から、プラスチックの分別収集経費等について区市町村を支援する事業を開始し、積極的な活用を働きかけたことで、多くの自治体で分別収集に向けた検討が進んでございます。
 一方、プラスチック資源循環促進法に基づき、容器包装と製品プラスチックの一括回収を実施した際の経費の増加や、コロナの影響による準備の遅れなどの課題も生じてございます。
 こうした課題に対応するため、プラスチックのリサイクルに取り組む区市町村への支援の拡充について検討を進めてまいります。
〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 行政手続のデジタル化についてでございますが、行政サービスの根幹ともいうべき手続のデジタル化に当たりましては、都民に対し、効果を分かりやすく伝えるとともに、進捗状況を共有していく必要がございます。
 このため、本年七月に策定した推進計画では、手続の受付時間の拡充など、都民の利便性を高めるため、デジタル化の具体策や時期等を整理し、まずは、令和五年度末までに七割の手続をデジタル化することとしたところでございます。これまでに建設業許可証明の申請等について、デジタル化が進んでございます。これらの取組状況や今後の予定について、クラウドサービスを使い、行政分野別に見える化を図り、年内に公開してまいります。
 引き続き、全庁挙げて行政手続のデジタル化を着実に進め、都政のQOS向上につなげてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

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