○議長(三宅しげき君) 三十二番斉藤りえさん。
〔三十二番斉藤りえ君登壇〕
○三十二番(斉藤りえ君) 東京都議会立憲民主党の斉藤りえです。
まず初めに、飲食店向けの協力金についてお伺いいたします。
先日、銀座で飲食店を経営されている方と意見交換をしました。皆様、日本で最も地価が高い地域で商いをされていて、厳しい状況下にあると伺いました。他方で、協力金は地域の特異性を踏まえた設計ではないため、一人で営業している地方の店舗も、銀座で大人数が働く店も、同じ土俵で議論されます。
大都市である東京の特異性を踏まえて、協力金の検討をしていただく、そうした要望を国に対して行っていくべきだと感じました。
現場からは、売上げや納税額に応じた制度設計を期待する声がありました。今後、第六波などの可能性もある中で、東京で働く人たち、商売を行っている事業者の皆様を守っていく、そうした工夫は積極的に都から国へ提案、要望をする必要があると考えております。
また、苦境に立つ事業者に対し、協力金以外に融資優遇の措置が取られていますが、融資は借金であり、今般の見通しがつきにくい状況下において、借金を抱えることを事業者に迫ることは、事業者の救済の観点からは異なるのではないかと考えます。融資ではなく、協力金などの経済的支援策を拡充していく必要があると考えます。
東京都として、事業者を守ることを積極的に国に対して要望しているのか、交渉しているのか、お伺いいたします。
大手酒類販売業者からも話を伺いました。こちらも飲食店同様に、その商売の特殊性や規模に適していない経済的支援策が取られています。
また、中小企業への支援策は行われている一方で、大企業に対しては支援が限られています。大企業は、中小に比べ大丈夫と思われている場合がありますが、巨大企業ではない中堅企業などは、中小企業支援にも入らず支援が薄い中で、大幅な売上げ減で大変厳しい現実があります。
大企業を多く抱える東京都として、支援の必要性を訴えていくべきであり、国に対して要望をお願いいたします。
また、酒類を提供している店舗などが感染拡大の元凶かのように扱われたことに対して、私たちは、表現に注意する必要性があると感じています。
知事は度々、夜のまちという表現を用いて注意喚起をしました。強いメッセージで危機感を出すことは大切だと理解しています。
他方で、飲食を伴うお店で働く方から、子供が学校でいじめに遭ったという話も伺いました。私たちは、注意喚起を優先する中で、職業差別のようなメッセージを出していた可能性もあります。それぞれの職業に従事する方は、自身の仕事に誇りとやりがいを持っておられますので、今後、少なくとも東京都においては、こうした表現に配慮することが必要です。
知事の目指す多様性都市、ダイバーシティ東京に向けて、お考えをお伺いいたします。
続いて、子育て支援についてです。
感染症拡大時や災害などの有事においては、社会的に厳しい状況に置かれている方々がさらに困難に直面するケースがあります。
私も、一人で子供を育てる当事者として、とても不安に感じているのは、ひとり親家庭においてコロナ感染者が出た場合、自宅療養を含めて、子供は難しい状況に置かれるということです。
感染者数は減少傾向とはいえ、医療体制の問題など、深刻な状況であることには変わりありません。
あらゆるケースを想定して、救済策や制度設計はすべきではありますが、ひとり親家庭において感染者が出た場合のサポートについて、ご所見をお伺いいたします。
また、小池知事は、多様性と調和を尊重する東京都、誰一人取り残さない東京都を推進していくとよくおっしゃっています。
多様性の推進に向けて、障害者の情報保障を推進していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
手話言語条例の制定についてお伺いします。
都では、二〇一八年十月に制定された東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例に基づいて、言語としての手話の利用普及が進められています。
東京オリンピック・パラリンピックにおいても、開閉会式において、NHK、Eテレが、ろう通訳という、ろう者による手話通訳という画期的な方法を取りました。まさに、社会的にも手話言語について理解の機運が高まっていると感じています。
この機会に、多様性を推し進める東京都として、差別解消条例を基にした手話言語条例を制定し、さらなるメッセージの発信を検討すべきと考えますが、ご所見をお伺いさせてください。
また、障害者の状況を改善するためには、多様な方々にとって情報保障をしていく取組や意識の啓発が不可欠です。
聴覚障害者を例に挙げれば、聴覚に障害を持つ人が皆手話ができるイメージを多くの方がお持ちでありますが、手話を言語としている方ばかりではありません。中途失聴や難聴者などの多くは、手話ではなく文字や口の動きを読みながらコミュニケーションを取っています。
私自身も、大人になって手話を習い始めました。耳が聞こえないイコール手話という安易なイメージによって苦しまれている当事者も多いと感じています。
オリンピックの開会式でも会場でも手話通訳がついておりましたが、残念ながら、テレビのライブ中継にはそれが映りませんでした。テレビの場合は、各テレビ局の対応次第になるので、テレビの映像に手話通訳が映り込まない場合もあります。
都知事の会見では、現在、関係者の努力で全て手話通訳がつき、都のホームページやユーチューブの知事会見の映像には字幕もつくようになりました。聴覚障害者にとっては、都の情報を得る上で大きな助けになります。ただ、多くの都民は知事の記者会見をテレビのニュースなどで見ています。テレビでの発信を見据えることも重要だと考えます。
そこで、会見における手話通訳の都の取組について伺います。
学校教育における多様性の問題について伺います。
社会や地域が多様化する中で、学校教育においてもまた、多様性を尊重することが求められています。特に、性自認、性的指向については、近年、理解が深まってきたともいえますが、学校現場ではどうでしょうか。
自分はほかの人と違っているかと、誰にも相談できずに、ひそかに悩んだり傷ついている子供たちがいないでしょうか。
また、教員も、性自認、性的指向についての理解を深めたいと望んだときに、その機会が得られるでしょうか。都は、公立学校における多様性教育にどのように取り組んでおられますか。
私は、こうした多様な存在への理解、その人たちとコミュニケーションを図ることの難しさなどは、教育の分野でも丁寧に取り組んでいくことが、条例などの運用をより充実したものにすると考えております。
そこで、性自認、性的指向に関わる都教育委員会の取組について、ご所見をお伺いいたします。
最後に、私のような聴覚障害者も議会活動がスムーズに行えるようにご理解とご配慮、工夫をいただきましたことを、議長はじめ、知事、職員、同僚議員の皆様に心から感謝申し上げ、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 斉藤りえ議員の一般質問にお答えいたします。
障害のある方への情報保障の推進についてのお尋ねがございました。
障害の有無にかかわらず、都民一人一人が自分らしく輝くことができる共生社会、これが私が目指す東京の姿でございます。
その実現のためには、障害のある方が円滑に意思疎通できる環境を整備し、社会参加を促していくことが必要です。
都は現在、聴覚障害者の意思疎通を図るため、タブレット端末を活用した遠隔手話通訳などに取り組んでおります。
今後、ICTの先端技術を活用するなど、サービス向上につなげまして、障害のある方々への情報保障をさらに進めてまいります。
その他のご質問については、教育長、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕
○教育長(藤田裕司君) 性自認、性的指向に悩む児童生徒への対応についてでございますが、学校において、性自認、性的指向に悩む児童生徒を適切に支援するためには、教員が正しい知識を持ち、個に応じた対応を行うことが重要でございます。
都教育委員会は、性の多様な在り方などを講演テーマとした研修会等を実施し、教員が正しい理解と認識を深め、学校における適切な対応を促しております。各学校では、多目的トイレの使用や更衣場所としての保健室等の利用など、児童生徒の心情等に配慮した対応を行っているところでございます。
今後とも、職層や経験年数に応じた研修等で教員の理解を深め、多様性を尊重する学校の風土を醸成し、全ての子供たちが自分らしさを発揮して、生き生きと学校生活を送ることができるよう支援してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕
○産業労働局長(村松明典君) 感染拡大防止協力金の支給についてですが、都は、事業規模に応じた協力金の制度構築に関して、一都三県で連携して国に要望を行い、本年四月には、国から売上高に応じて協力金を支給する仕組みが示されたところでございます。
これを受け、都では、飲食店の各店舗に一律に金額を支給する方法から、店舗ごとの売上高や売上高の減少額を基準として支給する方法に切り替え、事業者の経営状況を踏まえた支援を行っているところでございます。
引き続き、本制度に基づき事業者を着実に支援してまいります。
〔総務局長黒沼靖君登壇〕
○総務局長(黒沼靖君) 都民への情報発信における表現についてでございますが、誰もが認め合う共生社会を実現し、多様性を尊重する都市をつくり上げるためには、職員一人一人が人権尊重の理念を正しく理解した上で、行政サービスにおける情報発信を行っていくことが重要であります。
都はこれまでも、人権意識の醸成を職員研修における重点事項として位置づけ、人権に配慮した行動や言動が身につくよう、全ての職員を対象に具体的な事例を題材としたケーススタディーなどの手法を用いた人権研修を定期的に実施しております。
今後とも、職員の人権感覚をより一層高め、共生社会にふさわしい適切な情報発信に努めてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕
○福祉保健局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、保護者が陽性者になった場合のサポートについてでございますが、ひとり親をはじめ、保護者が新型コロナウイルスに感染し、家庭での養育が困難となった児童については、児童相談所が保健所と連携しながら、医療機関に一時保護委託を依頼しております。
また、都は宿泊施設等を確保し、児童を一時的に受け入れる体制を整備する区市町村を支援しております。
今後とも、ひとり親家庭を含め、新型コロナウイルスに感染した保護者が安心して療養に専念できるよう、区市町村とも連携しながら支援してまいります。
次に、手話言語の理解促進と普及についてでございますが、都は、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現を目指すため、平成三十年に障害者差別解消条例を制定し、手話などの情報保障についても本条例に位置づけております。
条例の制定に当たっては、障害者はもとより、事業者、学識経験者等から成る検討部会を設置したほか、障害者団体、交通、ホテル、飲食業等の事業者団体からヒアリングを実施いたしました。
こうした検討や多様な意見を踏まえ、条例では、手話は一つの言語であるとの認識に基づき、その利用が進むよう、必要な施策を講じることを定めております。
〔政策企画局長中嶋正宏君登壇〕
○政策企画局長(中嶋正宏君) 記者会見における手話通訳についてでございますが、都は障害の有無にかかわらず、誰もが情報を得やすい環境整備の一環として、昨年三月末から知事の記者会見に手話通訳者を配置しております。この手話を表示する会見は、都のホームページでライブ配信しており、さらにアーカイブでも配信をしております。これにより、聴覚に障害を持つ方も記者会見の内容をいつでも見ることができるようになっております。
また、一部のテレビ局におきましても、記者会見の中継の際に、都の手話通訳を表示して放映しております。
今後とも、誰もが支障なく必要な情報を入手できるよう、手話や字幕などを活用し、分かりやすい発信に努めてまいります。
○議長(三宅しげき君) 以上をもって質問は終わりました。
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