令和三年東京都議会会議録第十九号

   午後五時五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三番石島秀起君。
〔三番石島秀起君登壇〕

○三番(石島秀起君) 自民党の石島秀起です。
 初めての一般質問になりますが、この機会を与えていただいた中央区民の皆様、そして都議会自民党の皆様に感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。
 最初の質問は、首都圏鉄道網の拡充、地下鉄ネットワーク、ここでは都心部・臨海地域地下鉄構想についてお伺いします。
 本年七月に公表された交通政策審議会答申第三百七十一号では、国際競争力の強化、豊かな国民生活、まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道などの観点から、地下鉄ネットワークの重要性が示されました。
 同構想は、第百九十八号答申以降、具体化に向けた調査は進められていませんが、銀座、築地、勝どき、豊海、晴海、豊洲、有明地区では、二〇二〇東京オリ・パラ選手村の住宅への転用をはじめとして、大規模かつ多様な開発計画が進展しています。
 そして、臨海部は都心部である東京や国内外の玄関口である羽田空港にも近く、今後の経済成長を創り出す場所として大きなポテンシャルを持ち、持続的な東京の成長には不可欠なエリアです。
 そこで、答申三百七十一号では、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべきであると示されましたが、今後、構想から計画への具体化に向けて、どのような取組を行っていかれるのか知事の所見をお願いいたします。
 次に、高速道路網の整備推進と周辺まちづくりとの連携についてお伺いします。
 本年七月に開催された首都高都心環状線の交通機能確保に関する検討会では、日本橋区間地下化に伴い必要となる環状機能を確保する対策として、新京橋連結路の具体的な事業スキームが公表されました。
 同連結路は日本橋区間の地下化に必要不可欠であり、接続する築地川区間の計画を速やかに具体化することが重要です。
 一方、中央区では築地川区間の上空空間を活用し、新たな緑のアメニティー空間の創出を図る築地川アメニティ整備構想を策定しています。
 そこで、地元区との連携を図り、築地川区間の機能更新を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いします。
 また、本年三月には東京高速道路、KK線の上部空間を歩行者中心の公共的空間として再生する東京高速道路再生方針が策定されました。さらに、中央区はKK線再生方針と築地川アメニティ整備構想の連携も含めた銀座、築地周辺緑のプロムナード構想を作成しました。
 そこで、いわゆるKK線再生に当たり、同構想との連携により、都心に広域的な緑のネットワークを創出することで、さらなる回遊性の向上、にぎわいや魅力の創出が期待されると考えますが、見解をお伺いします。
 次に、道路整備についてお伺いします。
 都市計画道路は東京の弱点である交通渋滞の解消により国際競争力を高めるとともに、快適で利便性が高く、環境負荷の少ない都市を実現する上で不可欠です。また、震災時には避難や緊急物資輸送、救援救護活動などを支え、首都機能を守るなど、多くの効果が期待される重要な都市基盤です。
 しかし、一部未開通の区間が存在することにより、その効果が十分に発現されていないところも見受けられます。とりわけ、放射方向に比べ整備の遅れている環状方向の整備を速やかに進めていくことが重要です。
 そこで、環状第六号線と七号線との間に位置し、木密地域を通る補助第二六号線の整備が重点的に進められていると聞いていますが、事業中箇所における現在の状況について見解をお伺いします。
 次に、マンション施策についてお伺いします。
 都内のマンションの総戸数は令和元年末時点で約百八十七万戸となり、約四世帯に一世帯はマンションに居住しています。
 東京では、一九五〇年代からマンションの供給が始まり、区部中心部など利便性の高い地域を中心に建設が進められてきましたが、建物の高経年化が進行し、更新時期を迎えるマンションが増大しています。
 このことから都では、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例を策定し、令和二年四月より管理状況届出制度を開始し、先頃その届出状況の概要を公表しました。
 そこで、管理状況届出制度により得た情報をマンション管理の適正化に向けて、今後どのように活用されていくのか見解をお伺いします。
 また、いまだ届出のないマンションに対し調査等を行うなど、実態を正しく把握し、支援していく必要があると考えますが、併せて見解をお伺いします。
 脱炭素社会の実現に向けて、マンションの省エネルギー化への取組も大きな課題です。
 新築時の省エネ化の推進はもとより、既存ストックへの対応も同時に進めていかなくてはなりません。特に高経年マンションにおいて省エネ対策を進めていくためには、区分所有者の合意形成が重要であり、その難しさから専門家等の助言が不可欠です。
 マンション管理組合が省エネ対策を進めるためには、区部では省エネガイドブックの作成、省エネコンサルタントの派遣、省エネ機器導入費助成など、独自事業を展開する自治体が増えています。
 国や都でも様々な支援制度を実施していますが、これらの制度の活用を促すために、利用者の視点を意識した情報発信も重要です。
 そこで、高経年マンションの環境性能向上に向けて、区市町とも連携を図りながら分かりやすい情報発信も含め、管理組合に対して省エネ、再エネの取組を支援していくべきと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、ウミネコ対策についてお伺いします。
 沿岸部に生息するウミネコが、二〇〇〇年前後より上野公園不忍池周辺で繁殖したことを皮切りに、台東区、江東区、墨田区、中央区など広いエリアにわたりビルの屋上などに営巣しています。
 三月中旬から八月下旬までの繁殖期間中は、多いときには百羽近い数のウミネコが上空を旋回し、昼夜問わずの鳴き声による騒音や道路、車へのふん害などにより、周辺住民は生活被害に耐えており、衛生面においても深刻な状況となっています。
 一方、鳥獣保護管理法の規定により、駆除や卵の撤去ができないとされていることから、飛来及び営巣されると周辺住民は生活被害に耐えなければならない状況です。
 そこで、生息範囲も拡大しており、広域にわたり被害が発生していることから、都による積極的な対策が必要であると考えますが、見解をお伺いします。
 次に、消防団員の確保並びに消防操法大会の在り方についてお伺いします。
 本年八月、消防団員の処遇等に関する検討会最終報告書において、消防団員の処遇改善、幅広い団員確保について取りまとめが行われました。
 特別区におきましては、被用者、女性、学生団員の入団促進を図るために、特別区消防団協力事業所制度や特別区学生消防団活動認証制度が導入され、また女性の積極的な社会参加から一定の成果を上げ、減少する消防団員の確保に向けて重要な役割を果たしていると聞いています。
 そこで、被用者、女性、学生団員の入団促進に向けて、各種制度の充実、周知徹底に向けて今後さらなる取組が期待されますが、見解をお伺いします。
 また、応急救護訓練、防火防災訓練指導、広報活動など、その役割を特化した機能別団員制度は新規団員の入団促進を図ることが期待されます。
 一方、退団を希望する団員においても、団活動の負担軽減を図り、培った知識と経験を生かすことができることから、退団団員の減少にも歯止めをかけるとともに、大規模災害団員との連携をも見込むことができます。
 そこで、昨年八月、同制度がスタートして以降、多くの団において機能別団員が活動し、大きな成果を上げていると聞いています。今後のさらなる充実に向けての取組について見解をお伺いします。
 消防団員の処遇等に関する検討会最終報告書では、大会を過度に意識した訓練の実施、大会での行動の形式化など、消防操法大会の適切な運営の在り方について指摘がありました。
 消防操法は消防活動の基本であり、団員の技術の向上と士気を高めるためには大変有効であるとされる一方、拘束時間の長さや実際の災害活動に即していないという意見も寄せられています。
 総務省消防庁が実施した調査は全国一律のものであることから、必ずしも東京の実情に即したものであるか否かは不明です。
 そこで、的確に捉える必要があると考えますが、意向調査実施について見解をお伺いします。また、併せて今後の消防操法大会の在り方について見解をお伺いします。
 最後に、学校二〇二〇レガシーについてお伺いします。
 東京二〇二〇大会では、日本人選手たちは過去最高水準のメダルを獲得するなど、アスリートたちの姿は夢と感動、希望を与え、まさにスポーツと平和の祭典として私たちの記憶に深く刻まれました。
 これまで都教育委員会は、全ての公立学校においてオリ・パラ教育を推進し、ボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚の育成を目的に、開催都市として様々な取組を継続してきました。中でも大使館交流などは、多くの大使館が集まる東京ならではの取組であり、国際教育の醸成に寄与してきました。
 そこで、このような国際交流活動など各学校の特色ある取組を学校二〇二〇レガシーとして位置づけ、今後も継続して実施できるよう支援していくことが重要であると考えますが、その認識と学校等への支援について見解をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 石島秀起議員の一般質問にお答えいたします。
 臨海地下鉄についてのお尋ねです。
 将来にわたり東京が持続的に発展し、日本全体の成長を牽引するためには、活発な都市活動を支える鉄道網のさらなる充実が必要でございます。
 臨海地下鉄は国際競争力の強化に不可欠な路線であって、都心部と大いなるポテンシャルを有する臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割が期待されるところであります。
 本年七月、国の審議会から、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべきと答申されたことを踏まえまして、私自ら国土交通大臣と面談を行いました。そして、本路線の実現に向けました都の取組に対して、国は協力するということで合意をいたしました。
 この合意に基づいて、先月、国の参画も得まして、事業計画の策定に向けた検討会を立ち上げたところでございます。
 関係者と連携して検討を積極的に進めるなど、本路線の具体化を加速して、日本の成長を確かなものへとつなげてまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) オリ・パラ教育の継続した取組についてでございますが、本教育は平成二十八年度から全公立学校において計画的、継続的に取り組んでおり、世界の多様性や様々な価値観を尊重する態度を育む上で重要でございまして、その活動を展開してきたところでございます。
 各学校では、世界ともだちプロジェクトとして、大会参加国を幅広く学ぶ学習を推進するとともに、都教育委員会が設置をいたしました国際交流コンシェルジュを活用し、大使館や海外の学校と互いの文化を紹介し合うなどの国際交流活動に取り組んでまいりました。
 今後、都教育委員会は、こうした豊かな体験活動が学校二〇二〇レガシーとして継続していけるよう、引き続き国際交流コンシェルジュによるコーディネートを行い、区市町村教育委員会と連携を図りながら、学校への取組の支援を行ってまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、首都高都心環状線の築地川区間についてでございます。
 東京を成熟した都市としていくためには、首都高の大規模更新の機会を捉えた日本橋周辺のまちづくりのように、円滑な交通と快適な環境の両立が重要でございます。
 築地川区間におきましては、老朽化した擁壁の取替えなどを行う大規模更新に合わせて、急カーブの解消等による走行安全性の向上とともに、道路上部空間の活用など、周辺まちづくりと連携した更新計画が検討されております。また、本区間と新京橋連結路の接続部につきましては、同連結路の整備と一体的に更新することとしております。
 都といたしましては、新京橋連結路の早期事業化に向け、関係する都市計画の手続を進めるとともに、地元のまちづくりと連携して本区間の大規模更新に取り組まれるよう、国などに対して働きかけてまいります。
 次に、東京高速道路、いわゆるKK線についてでございます。
 本年三月に都が策定いたしましたKK線の再生方針では、東京の新たな価値や魅力を創出するため目指すべき将来像といたしまして、大規模な緑のネットワークの構築などを掲げております。
 具体的な整備、誘導方針といたしましては、広域的な回遊性を高め、にぎわいと交流を促進するため、周辺の歩行者ネットワーク等との接続に配慮すること、また、地域資源を歩いて、見て、楽しめる新たな魅力を演出すること、さらに、周辺建物と一体感のある緑やオープンスペースを整備することなどとしております。
 こうした方向性につきましては、中央区のプロムナード構想とも整合しており、今後、区とも調整しながら、KK線再生の事業化に向けた検討を進めてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 都市計画道路補助第二六号線の整備についてでございますが、本路線は品川区から板橋区に至る延長約二十二キロメートルの環状方向の骨格幹線道路であり、広域的な道路ネットワークを形成する重要な路線でございます。
 現在十二か所、延長約六キロメートルで用地取得や工事を進めております。このうち、東海道新幹線などと立体交差する品川区二葉から豊町までの約六百七十メートルの区間につきまして、今月交通開放する予定でございます。
 これにより、第一京浜と第二京浜が結ばれることとなり、道路交通の円滑化が図られますとともに、住宅地など生活道路に入り込む通過交通を本路線に適切に誘導し、地域の環境改善、安全性や防災性の向上が図られます。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、事業効果の早期発現に向け、整備を推進してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、届出情報のマンション施策への活用についてでございますが、マンション管理の適正化を促進するためには、管理状況届出制度により把握した情報を基に個々のマンションの状況に応じた支援を行うことが重要でございます。
 そのため、管理不全の兆候があると判断した場合には、引き続きマンション管理士等の専門家を五回まで無料で派遣し、管理組合の設立方法や計画的な修繕の進め方など、課題に応じ的確に助言等を行ってまいります。
 また、届出のないマンションに対しましては、区市等と連携し、速やかな届出を依頼するとともに、建物の外観や管理状況などに関する調査を行い、課題を明確にした上で、きめ細かく支援を実施してまいります。
 今後、こうした取組を通じまして、マンションの状況に即した必要な支援を展開し、管理の適正化を促進してまいります。
 次に、高経年マンションにおける省エネ、再エネの取組支援についてでございますが、住宅建築物におけるCO2排出量の削減には既存ストックの環境性能の向上を図ることが重要でございまして、マンションにおきましては、大規模修繕の機会を捉えて、省エネ対策や再エネ設備導入等を促進することが有効でございます。
 これまで都は、窓などの開口部の断熱性能向上に資する改修工事や共用部分における照明のLED化、EV充電設備の設置に向けた導入費用等への助成を行うとともに、専門家の派遣による助言や啓発等を行ってまいりました。
 今後は、区市町とも連携し、マンションポータルサイトを通じまして、省エネ等のPRに加え、支援制度や改修事例等につきまして分かりやすく一元的に情報発信するなど、マンションの省エネ、再エネの取組を支援してまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 都内におけるウミネコ被害についてでございますが、都は鳥獣保護管理法に基づき、人と野生鳥獣との共生の確保及び生物多様性の保全を基本として、野生鳥獣を保護、管理してございます。
 ウミネコについても原則として捕獲等の行為は禁止となっているため、都はこれまでも区と連携し、営巣前からの見回りと防除網設置等の対策を周知してまいりました。
 しかし、生活被害の地域と苦情件数は拡大し、大集団で営巣することから、被害が深刻化した場所も増えてきてございます。
 このため、改定を予定している次期鳥獣保護管理事業計画におきまして、繁殖期における巣の撤去やひなの捕獲を可能とするよう、自然環境保全審議会に諮り、検討してまいります。
 引き続き地元区と連携し、野生鳥獣との共生を図り、生活被害の軽減に取り組んでまいります。
〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、被用者等の入団促進に向けた取組についてでございますが、特別区消防団協力事業所制度や特別区学生消防団活動認証制度は、導入によって消防団への認知率が高まり、団員確保に寄与しております。
 加えて、対象に応じた募集活動を強化するため、事業所の勤務者、女性、学生などの対象別リーフレットの作成や現役消防団員のインタビューのホームページへの掲載などを行っております。
 さらに、今年度は、多くの都民に消防団を認知してもらうため、インターネット広告の規模をこれまでよりも拡充いたしました。
 今後とも、各制度の周知と活用を図るとともに、あらゆる機会を通じ、効果的な募集活動に取り組んでまいります。
 次に、機能別団員のさらなる充実に向けた取組についてでございますが、機能別団員制度は、消防団員の負担軽減や活動に参加しやすい環境を整備するため、特別区消防団に昨年八月から導入し、現在まで三十八団で運用されております。
 主な活動事例といたしましては、看護学生の消防団員による応急救護指導や消防団員OBの再入団による新入団員への教育訓練指導などがあり、消防団の総合的な活動力向上に成果を上げております。
 今後とも、機能別団員の事例等の周知により制度の導入を促進するとともに、今年度導入した大規模災害団員制度の効果的な活用にも取り組んでまいります。
 最後に、消防操法大会の在り方等についてでございますが、消防操法大会は、一般社団法人東京都消防協会の主催により例年開催されております。
 ここで競われる消防操法は、消火活動における基礎的な動作をまとめたもので、消防団員が火災現場の最前線で安全に活動するために不可欠なものであり、こうした大会を通じて練度を高めていくことが重要でございます。
 一方で、本年示された総務省消防庁の報告書では、大会を過度に意識した訓練の実施や大会での行動の形式化といった課題が抽出されております。
 今後、こうした課題や関係機関の動向を踏まえつつ、消防操法大会の在り方と意向調査の実施に関し、東京都消防協会と協議し、より充実した大会を目指し取り組んでまいります。

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