令和三年東京都議会会議録第十九号

○議長(三宅しげき君) 十五番清水とし子さん。
〔十五番清水とし子君登壇〕

○十五番(清水とし子君) 今年二月、日野市の元副市長が、虚偽の土地区画整理事業計画を提出して、市の補助金八千万円をだまし取った容疑で逮捕されました。
 元副市長の不正は、違法な報酬だけで二億円以上に上ります。四月の市長選挙では、市民には財政が厳しいといいながら、巨額の不正を許していた政治の責任が厳しく問われ、都議選では、監督権限を持つ都政でも解明をとの願いが私に託されました。疑惑解明を求める日野市民の思いに応えていただくようお願いをして、質問に入ります。
 組合施行の土地区画整理事業の監督権者は東京都です。監督権者としての東京都の役割についてどのように認識していますか。
 元副市長の不正解明のために、日野市が設置した第三者委員会は、不正な会計処理、工事談合疑惑、業務委託に関する問題の三点を指摘しています。
 元副市長らが行っていた、多額の報酬を調査設計費や工事費の中に紛れ込ませて計上し、補助金をだまし取る操作は、逮捕容疑の二〇一八年度だけでなく、二〇一三年度から行われていたことが公判では指摘されています。
 東京都は、二〇一三年度から会計操作が行われていたという認識の下、二〇一三年度以降についても調査、是正すべきですが、どのような対応をされていますか。
 市の第三者委員会は、工事請負規定に基づかない工事契約について調査したが、談合はないとする組合の主張を裏づける事実確認は未了であると述べています。
 東京都として、工事契約について徹底解明が必要であると考えますが、どのような対応をされていますか。
 組合のコンサルタント業者は、日野市企業公社が随意契約で選定され、その職員二名が不正に協力していました。
 都は二〇〇七年、監査委員から、コンサルタント会社の選定方法について透明性を確保するよう求められ、指名競争入札など、具体的指針を盛り込み、手引に反映していました。それにもかかわらず、元副市長個人にも随意契約で業務委託が行われている事実も問題視されませんでした。手引の改正が全く生かされなかったのではありませんか。
 東京都として、このような事態に至ったことを重く受け止め、改めて、業者の選定方法について透明性が確保されるよう徹底すべきと考えますが、いかがですか。
 この区画整理事業は、今後、少なくとも二年以上の計画延伸を余儀なくされています。地権者や地域住民から、事業は最後までできるのか、草が茂ったままの公園予定地を早く整備してほしいといった不安や要望が寄せられています。東京都も必要な支援をすべきと考えますが、いかがですか。
 事業を完了させるためにも、不正の全容解明を早急に行うことを強く求めます。
 元副市長は、公立保育園の民営化に関する疑惑でも、主導的役割を果たしています。
 二〇一四年、日野市立たかはた保育園が閉園し、代替の民間保育園が新設されました。この保育園は地主から賃借する形なので、補助対象は内装費だけです。
 しかし、最初の見積りでは五千万円だった内装費は、最終的には二億九千四百万円、建設費の二倍にまで膨れ上がり、さらに、追加工事費三千二百万円を補助しています。
 また、地主には、建設費相当額二億四千万円が十五年分の家賃の一括前払い、こういう形で支払われ、これと別に、相場の二倍、月額二百六十万円の家賃が支払われ、その半分は補助金です。
 このほかにも、本来開発事業者が負担すべきアクセス道路一億円も市が負担するなど、ほかの保育園では考えられない、総額六億円に上る補助金が支出されています。
 現在、日野市は、第三者委員会を設置して、日野市立たかはた保育園の民営化に伴う一連の手続における違法性、元副市長の関与の実態について調査を行っています。
 東京都も、認可保育園の認可監督権者として、この保育園への補助金が適正であったのか精査するとともに、違法や不正が判明した場合には、直ちに是正すべきと考えますが、いかがですか。
 次に、北川原公園のごみ搬入路問題についてです。
 昨年十一月、東京地裁は、日野市が、都市計画公園である北川原公園の区域内に、都市計画変更をしないまま、ごみ焼却場に出入りする収集車の専用路を設置したことは、違法との判決を下しました。
 判決は、日野市が都有地を借りるために、ごみ収集車の専用路を広場の管理用道路と称して申請したことを方便と断罪しています。そして、その方便を承知で、東京都が土地使用を許可したことが違法な専用路を可能にした、その点では、都の責任も免れません。
 知事は、都市計画法に照らして違法という判決をどう受け止めていますか。
 この北川原公園は、ごみ焼却場と下水処理施設という二つのいわゆる迷惑施設を受け入れざるを得なかった地域住民に対する感謝を込めて計画された市内最大級の公園計画です。
 日野市のみどりの基本計画に位置づけられ、東京都の都市計画公園・緑地の整備方針でも、今後十年間で優先的に整備する重点公園になっていますが、まだ浅川水再生センターの未利用地部分の多くが未整備です。
 九月二十一日の日野市議会で、市は、浅川水再生センターの未利用地について、地元住民から広場や公園として整備するよう強く要請を受けている、市としても地元の要請にかなうよう都と調整を進めていきたいと答弁しました。
 東京都としても、一日も早く公園を整備するため、日野市との協議、対応を始めていただきたいと思いますが、いかがですか。
 次に、多摩地域の保健所の充実を求めて質問します。
 感染拡大の第五波のとき、日野市では、陽性と分かった方に保健所から連絡が来るまで四日間もかかった事例もありました。その間、急変したらという不安を抱えながら、食料などの支援も受けられませんでした。
 東京都は、保健所への職員応援体制を組みましたが、五つの多摩地域の保健所への職員の応援は二十八人、会計年度任用職員のトレーサーは百二十二人と所管部署から伺いましたが、感染拡大による業務の増大には追いついていません。
 月百時間の過労死ラインを超える職員が、四月六人、五月四人、七月五人と、延べ十五人に上っていることからも、体制が十分でなかったことは明らかです。
 このコロナ禍で、保健所の重要性がより鮮明になり、その体制強化が強く求められていると思いますが、知事の認識を伺います。
 日野市では、かつて廃止された保健所の復活を求める署名が取り組まれていますが、署名は延べ一千五百筆に上っています。知事、日野市民の保健所の復活を求める要望をどう受け止めていますか。
 昨年九月の議会で、知事は、多摩地域の保健所は重要な役割を担っているとの認識を示し、保健所の取組の検証をした上で、その在り方を検討することを表明されました。
 検討に当たっては、感染拡大が起きた場合に備え、保健所業務が執行できる体制を平常時から確保することや、市町村や医師会等との積極的な連携協力といった視点が重要だと考えますが、知事、いかがですか。
 保健所を持つ八王子市では、市、医師会、市内医療機関が一体となり、自宅療養者、入院患者の情報を一元管理し、早期診療、入院をサポートすることで自宅療養者の重症化防止に取り組み、十月一日からは、保健所サテライト施設の設置も行っています。
 このように、地域を知り、ふだんから医師会、医療機関と連携している市町村が関わってこそ、総力を挙げた対策を進めることができるのではないでしょうか。
 しかし、保健所のない自治体ではそれができないとの切実な訴えが、日野、多摩、稲城の三市長から上がっています。保健所と市町村が連携し、総力を挙げた取組ができるようにすることが必要ですが、いかがですか。
 冬の感染拡大に備える取組は、在り方検討会の結論を待たずに行う必要があります。市町村と保健所が連携して、総力を挙げて取り組めるよう、市町村ごとに保健所と協議できる体制をつくるべきと考えますが、いかがですか。
 最後に、地域公共交通への支援について伺います。
 日野市の丘陵地に広がる住宅地では、高齢化の進展や、地域の商店や診療所がなくなったことによって、駅や繁華街まで行かないと日常生活が維持できない状況が生まれています。ミニバス、乗合タクシー等の地域公共交通は、今や生活の足として欠かせないものとなっており、路線の拡充や増便を求める声は高まっています。
 知事は、先日の所信表明で、誰もが円滑に移動できる、豊かさと活力に満ちたまちの実現と述べられましたが、地域公共交通の役割や重要性についてどのような認識をお持ちですか。
 一方、地域公共交通に対する市の財政負担は年々重くなり、市民の要望に応えることが難しくなっています。現在、東京都は、地域公共交通の在り方検討会を設置し、現状や課題の把握、地域特性に即した地域公共交通の目指すべき姿、在り方の検討が行われています。
 昨年、東京都は、地域公共交通に関して、区市町村にアンケートを実施していますが、多摩地域の自治体は、課題としてどのような点を多く挙げていますか。
 これまで、東京都の支援は、事業立ち上げから三年間に限られていました。四年目以降は自治体の負担となるため、自治体負担は重く、継続的な財政支援が求められているということがアンケートから読み取れます。
 国交省や他県の支援制度を見ると、立ち上げの支援だけでなく、継続的な運行経費の支援をしています。
 例えば、石川県、福岡県、福島県では、経費から運賃収入などを除いた部分の二分の一を負担しています。
 こうしたことについて、東京都は把握していますか。継続的な支援が必要ですが、いかがですか。
 生産年齢人口の減少により利用者が減ったところに、コロナの影響でさらに利用者は激減し、多くの交通事業者が苦境に立たされています。二〇二一年、地域公共交通総合研究所が行った調査によると、六割を超える交通事業者が、三割以上利用者が減少したという結果が出ています。こうした事情を東京都は認識していますか。やはり支援が必要ではありませんか。
 地域公共交通は、赤字幅や乗車率といった採算面での指標で評価されがちですが、近畿運輸局は、コミュニティバスなど地域公共交通への補助は赤字ではなく、地域を支えるための支出ですと述べています。東京都も、地域公共交通の役割について多面的に評価すべきですが、いかがですか。
 以上、日野市民の皆さんの願いにお応えいただくことを求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水とし子議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩地域にある都の保健所についてのお尋ねがございました。
 多摩地域にある都の保健所は、二次保健医療圏におけます広域的、専門的、技術的拠点として地域の感染症対策の重要な役割を担っております。
 今後、都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から終息に至るまでの保健所の取組について検証した上で、改めて、その在り方を検討していくことといたしております。
 感染拡大に伴い、保健所の業務や役割が広く注目されることとなり、保健所に関しまして様々なご意見があることを承知しております。
 その他のご質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 十一点のご質問にお答えをいたします。
 まず、組合区画整理事業における都の役割につきましては、組合区画整理事業の着実な執行を図る観点から、土地区画整理法に基づき、地域のまちづくりを主体的に行う地元市とも連携し、組合に対して必要な指導等を行うことでございます。
 次に、区画整理事業の会計についてでございます。
 都は地元市と連携し、日野市川辺堀之内土地区画整理事業の組合設立認可時点に遡って、平成二十一年、二〇〇九年三月以降の会計を対象といたしまして調査を行っております。
 これまでのところ、損失補償費、互助会助成金の支払いにつきましては、令和二年五月に組合会計への返納を組合に対して勧告し、同年六月に全額返納されております。
 報酬、手当、委託料につきましては、会計操作の疑いがあるとされており、裁判の動向も見ながら、引き続き調査を進めてまいります。
 次に、工事契約の調査についてでございます。
 お話のあった件につきましては、地元市におきまして、捜査機関の捜査に全面的に協力し、真相解明に努めていくとしておりまして、都としては、その動向を注視してまいります。
 次に、業者選定の透明性の確保についてでございます。
 都は、改定した組合土地区画整理事業の実務手引に基づき、関係市などへの説明会を通じて、当該組合に対しても業者選定方法の透明性が確保されるよう指導を行っております。
 次に、本事業に関する都の支援についてでございます。
 都は、事業完了に向けて組合が事業運営を適切に進められるよう、地元市と連携し、組合の相談に応じながら、事業の進め方等につきまして指導助言を行ってまいりました。
 その中で、組合におきまして、新たなコンサルタントの選定に至っておりまして、引き続き、都は市と連携し、指導等を行ってまいります。
 次に、日野市立北川原公園の判決についてでございます。
 日野市は、東京高等裁判所に控訴し、現在係争中であると認識しておりますが、本件につきましては、都市計画決定権者である日野市において対処されるべき事柄であると受け止めております。
 次に、地域公共交通の役割等についてでございます。
 地域公共交通は、都市活動や身近な地域での生活を支えるものでございます。
 超高齢社会の到来など、都民生活を取り巻く環境が変化する中、地域公共交通も時代にふさわしい役割を果たしていく必要がございまして、誰もが移動しやすい利便性の高い都市を実現する上で重要でございます。
 次に、区市町村アンケートについてでございます。
 都は昨年度、地域公共交通の在り方を検討するため、区市町村の課題認識等を調査いたしました。
 多摩地域の自治体では、地域公共交通の維持充実等に取り組む上での課題といたしまして、他の行政分野との連携や国等の財政支援に関することなどが挙げられております。
 次に、国や他県の支援制度についてでございます。
 国土交通省では、生活交通の存続が危機に瀕している主に地方部の過疎地域等におきまして、地域に最適な交通手段を確保、維持するために、年度ごとに予算の範囲内で支援をしております。他県では、地域の実情に応じて独自の支援を行っている事例もあると承知しております。
 都は、国の支援に合わせまして、西多摩地域で支援を行っております。
 次に、コロナの影響についてでございます。
 地域公共交通の利用者がコロナ前と比較して減少していることは承知しております。
 国におきましては、コロナ対策の一環として、例えば乗合バス事業者につきまして、資金繰りや雇用関連などにおける支援制度が用意されていると承知しております。
 最後に、地域公共交通の評価についてでございます。
 公共交通が果たす役割の評価の仕方につきましては、様々な考え方があり、地域公共交通の在り方を検討する中で多角的に検討しております。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、保育所の整備等に対する補助についてでございますが、本件は、日野市が公立保育園の民営化に伴い、整備費や賃借料について補助金を申請したものであり、都は、規則や要綱等に基づき審査し、適正に交付しております。
 仮に、偽りその他の不正な手段により補助金の交付を受けるなど、補助の取消し事由に該当する行為があった場合には返還を求めるなど、規定に基づき対応いたします。
 次に、多摩地域の都保健所の在り方検討についてでございますが、都は今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、改めてその在り方を検討していくこととしており、今年度は、必要な情報を収集するため、都保健所の感染症対策業務に関する調査分析を実施いたします。
 この中で、都保健所の平時及び有事における体制強化や市町村等との連携などに関する課題の把握、その要因の分析などを行う予定でございます。
 次に、都保健所と市町村の連携についてでございますが、新型コロナウイルス感染症に的確に対応するには、都保健所と管内の市町村が日頃から協力関係の下、連携して取り組むことが重要でございます。
 都は先月から、自宅療養者の支援に取り組む市町村に自宅療養者の情報を提供しており、その情報を活用した具体的な支援方法等について意見交換するなど、今後とも保健所と管内市町村が連携して取り組んでまいります。
 最後に、都保健所と市町村の協議体制についてでございますが、都保健所はこれまで、管内市町村との連絡会等で陽性者の発生状況、国の通知や都の施策などについて情報提供するほか、市町村からの個別の相談にも応じてございます。
 今後とも、保健所と市町村で緊密に意見交換するなど、一層の連携を図ってまいります。
〔下水道局長神山守君登壇〕

○下水道局長(神山守君) 浅川水再生センターの用地についてでございますが、当該用地は将来の下水道施設の建設用地として取得したものでございます。
 広場などの要望につきましては、既に地元市との協議などを行っており、将来にわたって安定的に下水道施設が運営できるよう、引き続き、地元市等に適切に対応してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十四分休憩

ページ先頭に戻る