令和三年東京都議会会議録第十九号

○副議長(本橋ひろたか君) 六十一番斉藤やすひろ君。
〔六十一番斉藤やすひろ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○六十一番(斉藤やすひろ君) 気候危機や少子高齢、人口減少という都市の持続可能性が問われる中、都は、未来の東京戦略を策定しました。この戦略において、我が党の提案を受け、SDGsの目線で政策を展開することを掲げ、世界共通の目標であるSDGsの課題解決に向けて、正面から取り組んでいることを評価します。
 今、コロナ禍により、子供たちは学びの時間と居場所を、非正規雇用者は仕事を奪われ、友人同士の絆を深める飲食の機会が失われました。テレワークなどが進む一方で、男性の育休取得やデジタル化の必要性が痛感されるなど、質の高い暮らしや自然との共生、心の豊かさを求める都民が増えています。
 コロナ禍で浮き彫りになった諸課題を克服し、世界規模の危機を乗り越えて、持続可能な未来の東京に向けた取組を積極的に推進すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 本年六月に、イギリスのコーンウォールで開催されたG7サミットでは自然協約が合意され、生物多様性損失への対処が人間、野生生物の健康を守り、将来のパンデミックを予防することにつながるというワンヘルスの考え方が提示されました。気候変動の危機と並び、人類にとって生物多様性の危機は極めて重要な問題です。
 国連の報告書でも、野生動物がすむ森などが近年、都市化などにより大規模に破壊され、人や家畜が野生動物と接触するようになったことが、新型コロナウイルスなど新興感染症の根本原因の一つとされています。このことからも、生物多様性の保全が、世界的にも一層重要となっていることは明らかです。
 現在、都が改定に向けて検討を進めている生物多様性地域戦略も、こうした世界的な動向なども参考にしつつ、都内における緑施策中心の戦略ではなく、国内や世界の生物多様性を意識した、これからの時代にふさわしい地域戦略としていくべきです。都の見解を求めます。
 未来の東京戦略の実行には、財源確保の工夫も課題です。行政施策の主たる財源は税収ですが、未来の東京戦略にあるように、多様な社会の担い手と協働して大きな目標を達成していくに当たっては、財源確保においても都債を戦略的に活用し、国内外の投資家と連携していくことも必要と考えます。
 近年、環境問題や社会的課題の解決に協力したいという投資家の声は世界的に高まっており、そうした課題解決の資金調達に使われるESG債の発行額は、コロナ禍を受けて急激に増加し、総額約三千九百兆円ともいわれています。
 東京グリーンボンドはそのESG債の一つですが、都の豪雨対策や太陽光発電事業などの取組に賛同し、投資したことを都ホームページで公表する団体の数は毎年着実に増加し、こうした多様なサポーターと連携していくことが必要です。
 そこで、ESG債などの発行を通じて、より多くの投資家の参加を促進するべきと考えます。都の見解を求めます。
 SDGs教育とオリ・パラ教育について質問します。
 都教育委員会は、我が党の提案を受け、新たな学習指導要領の全面実施前から、SDGs、持続可能な社会づくりに向けた教育推進事業として、平成二十九年から五年間にわたり、私の地元目黒区立五本木小学校をはじめとした推進校を指定し、研究を進めてまいりました。
 持続可能な社会づくりの担い手の育成の充実を図るための、これまでの取組の成果と今後の取組について、都教育委員会の見解を求めます。
 また、東京二〇二〇大会において、子供たちがトップアスリートの競技を直接観戦することは、オリ・パラ教育のレガシーを構築する上で貴重な機会でした。特に、パラアスリートには、その競技のパフォーマンスはもちろん、競技後に発する言葉に、子供たちの心を動かす力があります。
 そこで、スポーツを通じて困難を克服してきたアスリートと直接触れ合い、話を聞くことなど、子供たちの心に残る取組を今後もオリ・パラ教育の一環として実施していくべきです。都の見解を求めます。
 目黒区において、平成三十年三月に、保護者からの虐待により五歳の女の子が死亡する事件が発生しました。こうした事故が再び起こらぬように、児童虐待防止条例はもとより、我が党が原案をつくり、全会一致で成立させた東京都こども基本条例により、縦割り行政を打破し、子供施策を総合的に推進することとなりました。
 コロナ禍による在宅増もあって、令和二年度の都内の虐待相談対応件数は、前年度よりも約四千件も増えています。
 都の児童相談所では、児童福祉司一人が対応する児童が百人を超える状況や、一時保護所に入所している児童の面会の機会もなかなか取れない状況もあると聞いています。
 そこで、児童相談所の体制を一層強化するため、人材の確保や育成をさらに進めるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、児童虐待に的確に対応するためには、児童相談所と地域の子供家庭支援センターの連携強化も不可欠です。両機関の連携強化を図るため、都は、児童相談所のサテライトオフィスを、地域の子供家庭支援センター内に設置するモデル事業に取り組んでいます。
 目黒区においても、サテライトオフィスの設置に向けて都と協議を進めていく意向を示しており、都も前向きに進めるべきです。
 現在のサテライトオフィスの取組状況について、都の見解を求めます。
 ひきこもり施策について質問します。
 都は、学識経験者や関係機関だけでなく、我が党の提案により、当事者団体や家族会をメンバーとする東京都ひきこもりに係る支援協議会を立ち上げ、検討を行ってまいりました。
 協議会が初めてまとめた今回の提言には、誰一人取り残さないSDGsの理念に基づく支援を浸透させること、家族支援や地域家族会について記載されるなど、画期的な提言となりました。
 また、地域家族会は、ひきこもり経験のある元当事者や元当事者の親がピアサポーターとなって、当事者に寄り添った支援を行っております。
 目黒区でも、地域家族会の立ち上げ準備が行われており、区とひきこもり家族会が連携して合同相談会も実施しています。
 ひきこもりの方へのきめ細やかな支援を進めるためには、今後もご家族や当事者の声を丁寧に施策に取り入れながら、身近な地域である区市町村と連携して支援を行うべきと考えます。都の見解を求めます。
 昨今、都内では、原付バイクと同様にナンバープレートの装着が義務づけられている電動キックボード利用者が、プレート不装着の上、歩道をも通行し、歩行者が非常に危険な状態にさらされています。都内においては、自動車運転処罰法違反で書類送検される事案も発生するなど、今や社会問題化しています。
 利用者へのルール、マナーの徹底や走行空間の確保も重要ですが、歩行者の安全を最優先とするため、取締りを強化すべきと考えます。
 電動キックボードに対する交通安全対策について、警視総監の見解を求めます。
 MTBIについて質問します。
 交通事故やスポーツでの脳震盪、あるいは子供の揺さぶりなどでMTBI、軽度外傷性脳損傷を発症しながらも、脳の病変が画像に映っていないなどの理由で、後遺症がありながら、適切な治療や補償を受けることができず、苦しんでいる人が多数おります。
 基礎自治体が脳をMTBIから守るためにリーフレットを作成していることに鑑み、都が啓発を支援するべきだとの我が党の提案を受け、MTBIの理解促進事業を都の包括補助の対象としたことを評価いたします。
 その結果、これまで二十三区内の普及啓発は促進されてきたものの、市町村においては取組が遅れています。都は、市町村への啓発に一層取り組んでいくべきです。都の見解を求めます。
 また、我が党は、MTBIが学校での運動部活動中に発生する事例が多いことから、教員はMTBIの正しい対処法について理解することが必要だと提案してまいりました。都教育委員会及び生活文化局の取組状況について、見解を求めます。
 デジタル化の推進は、都政が直面する様々な課題を解決し、都政のQOS向上を図る上で非常に重要です。
 都政の構造改革では、双方向コミュニケーションで改革を進めるとしているように、行政サービスに対する満足度を上げていくためには、都政にとってのユーザーである都民の声に耳を傾け、その要望に寄り添うことを徹底するべきです。
 そこで、都民とのコミュニケーションを通じたサービス向上について、都の見解を求めます。
 また、大学研究者からの提案で採択されたインフラ運営の透明化に向けたICTを活用した市民協働システムの事業については、スマートフォンのアプリを活用したシステムとして、令和元年度から都道上での試行が始まり、昨年十月には、目黒区内の都道でも、道路利用者からの道路補修要望などの投稿が可能になりました。
 都民と道路管理者とが協働した道路の維持管理に向けた取組の一環として期待をしております。現在の取組状況について、都の見解を求めます。
 これまで我が党は、自転車を都市の交通手段として大いに活用すべきとの観点から、自転車通行空間の整備を促進することを繰り返し訴えてまいりました。
 自転車には、六つのK、気軽さ、経済性、健康増進、環境、観光振興、そして公共交通の補完という非常にすばらしいメリットがあります。
 目黒区では、平成三十年四月に、目黒区自転車走行環境整備計画を策定し、区内の都道について、平成二十四年に策定した都の計画を踏まえ、都道の自転車通行空間の計画整備延長を約三キロメートルとしています。
 都は、本年五月に、自転車通行空間の今後十年間に優先的に整備する区間などを取りまとめた新たな推進計画を策定しました。
 そこで、その新たな計画における目黒区内の都道について、優先整備区間などを含めて、今後の整備目標について、都の見解を求めます。
 春は桜の名所である目黒川において、夏場の臭気に対する改善要望が地元住民から多く寄せられており、水質の改善が大きな課題となっております。
 都は、目黒川流域河川整備計画にのっとり、関係する目黒区、品川区など地元自治体と協力しながら、水質改善対策を進めていくべきです。都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えいたします。
 持続可能な社会の実現に向けた政策展開についてのお尋ねであります。
 私は、知事に就任して以来、人々の活力と都市の成長を生み続けるサステーナブルな東京の実現を大きなテーマとして掲げて政策を推し進めてきております。
 その実現に向けましては、環境、経済など、あらゆる分野における課題を地球規模で捉え、政策を実行していく必要がありますことから、国際的な共通目標であるSDGsを重要な視点と位置づけております。
 今、新型コロナの危機を乗り越えた先の東京をどう創り上げていくかが問われております。そのため、単にコロナ以前に戻るのではなく、強靭で持続可能な社会の創生を目指すサステーナブルリカバリーを未来の東京戦略のスタンスとして打ち出しております。
 いかなる状況でも学びを止めない環境の整備や、新しい時代にふさわしい働き方、自然と調和したウオーカブルなまちづくりなど、コロナ禍からの回復を契機に、質の高い生活や人々の心の豊かさにつながる取組を加速してまいります。
 先日、都道府県として初めての取組となります東京サステーナビリティーアクションを国連に提出をいたしまして、サステーナブルリカバリーに向けた都の政策をSDGsと結びつけて示したところであります。
 都自らの取組に加え、区市町村、都民、大学など多様な主体と協働した幅広い政策を展開し、成長と成熟が両立した都市の実現に取り組んでまいります。
 その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、関係局長から答弁をいたします。
〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 電動キックボードに対する交通安全対策についてでありますが、現在、電動キックボードは、原動機付自転車と同様の要件を満たすことにより、公道における利用が可能であるところ、都内において実施区域等を定め、特例で利用時の要件を緩和した実証実験が行われております。
 しかしながら、議員ご指摘のとおり、交通ルール、マナーを無視した走行が見られるところであり、警視庁におきましては、悪質、危険な行為を取り締まるとともに、街頭における指導警告を強化しております。
 また、電動キックボード利用者はもとより、実証実験の実施事業者や販売店に対しても交通ルール、マナーの周知を図るため、当該事業者や販売店から利用者に対し働きかけを行うことをお願いするとともに、警視庁ホームページやツイッターなど各種媒体を活用した広報啓発を行っております。
 警視庁といたしましては、今後も電動キックボードに関する総合的な交通安全対策をさらに強化してまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、SDGsに関する教育の推進についてでございますが、これからの持続可能な社会の創り手となる子供たちには、地域社会や地球規模の諸課題を自らの課題として受け止め、協働して解決するための資質や能力を身につけることが求められております。
 都教育委員会はこれまで、研究推進校を五十校指定し、地元の商店会と協働して、まちの活性化策を提案する身近な取組や、脱炭素社会の在り方について考察、発表を行う学習などの先導的な教育実践を事例集にまとめ、都内公立学校に向け、発信してまいりました。
 今後、今年度の研究推進校の成果について、オンライン開催による発表会で全公立学校に普及啓発し、各学校での実践を促進することで、持続可能な社会の実現に貢献する人材の育成に取り組んでまいります。
 次に、オリ・パラ教育における今後の取組についてでございますが、都教育委員会ではこれまで、パラリンピアン等を学校に派遣し、アスリートとの直接の交流を通して、子供のスポーツへの関心を高め、夢に向かって努力したり困難を克服したりすることへの意欲を培ってまいりました。
 パラリンピック競技大会では、公立学校約一万人の子供たちが連携観戦に参加し、競技する姿を目の当たりにし、ほかには代え難い高い教育効果を得ることができました。
 また、参加しなかった子供たちもテレビ観戦を行い、あわせて、オンライン画面を通じてアスリートと交流する取組や応援メッセージを届ける取組を行い、大会の感動を共有いたしました。
 今後、都教育委員会は、選手からの返礼の動画等を学校に届けるとともに、アスリート等と直接交流する機会を設け、子供たちが東京大会の感動を心に刻み、日々の活動に意欲的に取り組めるよう学校を支援してまいります。
 最後に、公立学校における軽度外傷性脳損傷への対応についてでございますが、学校には、教育活動において、児童生徒の生命と安全を確保する義務がございます。特に、体育活動中に頭部を打った場合は、脳に衝撃が伝わり、脳損傷を起こす可能性があることから、適切に対処することが重要でございます。
 都教育委員会は、令和元年度、軽度外傷性脳損傷を含む頭部外傷に関する知識や、事故発生時の具体的な応急処置等を掲載した部活動に関する総合的なガイドラインを作成し、公立中学校及び都立学校に配布いたしました。
 また、毎年度実施をしております保健体育科教員の協議会等において、ガイドラインの内容と救急要請の徹底について説明をしております。
 今後、これらに加え、関係局と連携して、区市町村で作成した頭部外傷に関する普及啓発資料を協議会等で情報提供し、事故などの発生時における対応力を向上させてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 生物多様性地域戦略についてでございますが、東京は、食料など世界中の生物資源を大量に消費する国際的な大都市であることから、都内だけでなく、地球規模の生物多様性にも配慮する視点が必要でございます。
 都は現在、新たな国際目標や国家戦略の改定を見据え、地域戦略について改定に向けた検討を進めてございます。
 八月に意見募集の素材として公表したゼロドラフトでは、将来像実現に向けた基本戦略案の一つとして、環境配慮商品の選択や海ごみ対策など、地球規模の環境問題にも配慮した行動変容を都民や事業者に提示してございます。
 今後、国際的な動向や提出された都民意見などを踏まえ、さらに検討を進め、従来の緑施策にとどまらず、国内や世界の生物多様性も視野に入れた新たな地域戦略を取りまとめてまいります。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) ESG債の発行についてでございますが、都は平成二十九年度に、全国の自治体に先駆けてグリーンボンドを発行して以降、毎年発行を継続し、これまで多くの投資家の皆様にご参加をいただきました。
 また、今年七月には、社会的課題の解決を目的とした事業に充当するソーシャルボンドを国内自治体で初めて発行いたしましたが、応募倍率も高く、従来の都債の投資家とは異なる業態の方々も参加するなど、好評でございました。
 都は、ESG投資への旺盛な機運を捉え、国内外の投資家を対象としたオンラインによる個別面談や動画等による幅広い広報を行っており、投資家層の拡充に積極的に取り組んでおります。
 今後とも、多様な投資家と対話を重ね連携することにより、サステーナブルリカバリーの実現に貢献してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の体制強化についてでございますが、都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司及び児童心理司を増員するほか、困難ケースで職員に助言指導等を行う専門課長を配置するなど、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
 今年度は、意欲ある人材を継続的に確保するため専任チームを設置し、大学や養成機関への訪問や専門サイトの開設など、採用活動を積極的に展開しております。
 また、来年度以降の新任研修等に活用するため、児童福祉分野の専門家を交えた検討会を新たに立ち上げ、面接スキルの取得や事例検討を通したアセスメント力の向上を図る演習型のカリキュラムを現在作成しております。
 こうした取組により、児童相談所の体制強化に向け、人材の確保、育成を一層進めてまいります。
 次に、児童相談所のサテライトオフィスについてでございますが、都は昨年度、練馬区の子供家庭支援センター内に児童相談所のサテライトオフィスを設置し、児童相談所職員が虐待相談に対応するとともに、区と連携して合同調査や対応方針の検討会議等を実施しております。
 この取組により、子供家庭支援センターと児童相談所の間で情報共有や協議の機会が増え、迅速な一時保護や円滑な引継ぎにつながっております。
 今年度は、定期的に合同の通告受理会議を開催し、より適切な支援につながるよう、内容に応じて対応機関を決める通告の振り分けを試行的に実施しております。
 さらに、年内に台東区のセンターにもサテライトオフィスを設置する予定であり、今後ともこの取組を一層進め、区市町村と緊密に連携しながら児童虐待に対応してまいります。
 次に、ひきこもりの方への支援についてでございますが、都は令和元年度に、東京都ひきこもりに係る支援協議会を設置して、支援の在り方を検討しており、昨年度の中間の取りまとめを受け、今年度から多くの相談支援機関が参加する合同相談会の相談員やセミナーの講師として家族会に協力いただくなど、家族や当事者に寄り添った支援を進めております。
 本年八月、本協議会から、当事者や家族が早期に相談支援を受けられるようにするには、身近な地域の相談体制の充実と多様な関係機関の連携が必要であり、その際には、当事者団体や家族会の知識、経験を活用する視点が重要との提言をいただきました。
 今後、都と区市町村によるひきこもりに係る支援推進会議を新たに設置し、情報共有しながら提言を踏まえ、支援を推進してまいります。
 最後に、軽度外傷性脳損傷についてでございますが、いわゆるMTBIは、交通事故や外傷などで頭を強く打ったり、強く揺さぶられたりする衝撃により発症する脳損傷の一つでございます。
 事故直後のCT検査などに異常がなくても、数時間以上経過してから、集中できない、記憶できないなどの症状に苦しむことがあり、事故前と異なる症状が現れたら、速やかに医療機関を受診することが重要でございます。
 都は、この疾患の主な症状や、脳を衝撃から守り予防するための注意点、頭を打ったときの対応と受診方法等を分かりやすく記載した住民向けリーフレットの作成等に取り組む区市町村を支援しており、こうした取組が一層進むよう、説明会等で積極的に働きかけてまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 私立学校における頭部外傷への対処方法に関する理解促進についてでございますが、授業や運動部活動等の体育活動において、児童生徒の安全を守り、事故防止対策を徹底するとともに、事故発生時には迅速に適切な対処をすることが重要でございます。
 都はこれまでも、各学校に対して、国が作成した頭部外傷を含む事故防止に関する指導資料や事例集の周知、頭部外傷に関する知識等をまとめた日本脳神経外科学会の提言などを通じた注意喚起を行ってございます。
 今後は、都教育委員会の作成した軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIを含む頭部外傷に関する対処方法等を掲載したガイドラインを活用するなど、事故防止に関する情報を提供することで、各学校が適切に対応できるように支援してまいります。
〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 都民の声を踏まえたサービス向上についてでございますが、電子申請などのデジタルサービスをより利便性の高いものとしていくためには、ユーザーである都民の意見を踏まえた改善を続けることが重要でございます。
 このため、現在、都が進めております行政手続のデジタル化におきましては、全ての手続にユーザーレビュー機能を導入し、サービスの使い勝手など、利用者からの評価に基づき、継続的な改善を図ることといたしました。
 また、本年七月に正式リリースしたシン・トセイ都政の構造改革ポータルサイトでは、構造改革の取組に関するアンケートフォームを設置し、いただいたご意見を改革の推進に生かしていくこととしております。
 こうした取組によりまして、都民とのコミュニケーションを深め、都政のクオリティー・オブ・サービス、QOSの一層の向上につなげてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、ICTの活用による都民と協働した道路管理についてでございますが、大学提案による市民協働システムは、都民が、スマートフォンから道路の損傷や不具合などを投稿し、道路管理者による補修等の進捗状況を確認できる仕組みでございます。
 令和元年度の試行開始以来、順次対象エリアを拡大し、都道では、本年五月には、島しょ部を除く都内全域で実施しておりまして、利用者は千三百人を超えています。
 場所や時間を問わず、容易に投稿が可能なシステムであることから、休日、夜間も多く利用していただくなど、都民からの通報機会の拡大につながっております。
 引き続き、さらなる普及啓発に努めますとともに、投稿内容や使いやすさなどの観点から、システムの検証を進めてまいります。
 次に、目黒区内の自転車通行空間の整備についてでございますが、自転車は都市内の有効な交通手段であり、誰もが安全で快適に利用できるよう、自転車通行空間の整備を進めることが重要でございます。
 本年五月に策定しました東京都自転車通行空間整備推進計画では、目黒区道との通行空間の連続性を確保するため、都道目黒通りの約十キロメートルを優先整備区間に選定し、今後十年間で整備に取り組むことといたしました。
 また、駒沢通りなどにおきましても、無電柱化事業と併せて行うなどにより、約十キロメートルの通行空間の整備に取り組むこととしております。
 今後とも、区や交通管理者と連携しながら、自転車通行空間の整備を積極的に進めてまいります。
 最後に、目黒川の水質改善についてでございますが、都市の河川を、都民が親しみ憩える快適な水辺空間としていくためには、良好な河川環境の確保が重要でございます。
 都は、目黒川におきまして、関係局が連携した清流復活事業等による流水の確保や、船舶による大規模なしゅんせつを実施しますとともに、地元区や関係局等から成る水質浄化のための検討会において、技術的な助言を行っております。
 現在、目黒区は、臭気対策の一環として、令和五年度からの稼働を目標に、高濃度の酸素溶解水を供給する施設を計画しております。今年度は設計を実施しておりまして、都は必要な財源措置を行うなど、区と連携して取り組んでおります。
 今後とも、地域に親しまれる水辺の創出に向け、目黒川の水質改善に取り組んでまいります。

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