令和三年東京都議会会議録第十八号

○副議長(本橋ひろたか君) 百八番東村邦浩君。
〔百八番東村邦浩君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百八番(東村邦浩君) 今回は、都議選後初めての定例会代表質問となります。都議選において、都議会公明党は、八回連続で全員当選をさせていただきました。都民の皆様の熱きご期待にお応えするため、この四年間、二十三名一丸となって、都政前進のため全力を尽くすことをお誓いし、質問に入ります。
 多くの人々に勇気と感動を与え、世論調査で七〇%の方が開催してよかったと答えていただいた東京パラリンピック競技大会が九月五日閉会いたしました。都議会公明党はこれまで、パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功はないと、大会誘致から様々な主張をしてまいりました。
 本大会では、百六十二の国、地域及び難民選手団から、史上最高の四千四百五人のアスリートが参加し、自らの可能性に挑み、力と技を競い合いました。圧倒的な迫力と、選手一人一人の障害に向き合う力強い姿、生きざまに多くの感動、感激の声が寄せられています。
 このようなことから、オリンピックが平和の祭典であるならば、パラリンピックはまさに人間の可能性の祭典ともいえます。この感動を一過性のものとせず、今後の障害者スポーツの発展につなげていくべきです。
 そこで、パラリンピック大会のレガシーの具現化について、何点か質問します。
 第一に、バリアフリーによるまちづくりの推進です。
 パラリンピックの閉会式では、聖火台の炎が最後にオレンジ色から紫色に変わりました。これは、IPCが大会に合わせて行った、世界人口の一五%に当たる障害者の人権を考えるキャンペーン、WeThe15によるものです。十二億の障害者が差別されることなく、パラリンピックを契機に障害者全体への理解が広がり、多様性と調和の理念定着が重要です。
 大会を契機に、心やまちのバリアフリーやユニバーサルデザインなどの取組を一層進め、誰にでも優しいまちづくりを推進していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 第二に、選手を強化していくための練習環境等のさらなる充実です。
 IPCの関係者と話をしたところ、一番の懸念は、パラリンピックが終了した翌年からアスリートへの支援が激減するということでありました。今回の大会でも、海外選手のレベルアップが著しいため、五年前であればメダルが取れた種目が今回は取れなかったそうです。海外選手のレベルアップの要因として、練習環境や国際大会への参加、競技用具の技術革新などが挙げられています。
 二度目のパラリンピックを実現した東京から、アスリートのさらなる練習環境の充実や国際大会への参加、使用する競技用具の技術革新を徹底して支援していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 第三に、大会終了後のパラリンピック教育の継続です。
 専門家がパラスポーツ競技に関する意識調査を行ったところ、パラスポーツを実際にやったことがある人、または観戦や学んだことがある人は、そうでない人に比べて、障害のある人に対して肯定的な意識を持つという結果が出ました。
 パラリンピック教育は、人間の多様性を認め、社会の課題を解決することが目的であり、日本が共生社会を目指していく上でも継続していくべきであります。都の見解を求めます。
 第四に、体育教員の養成課程における障害者スポーツ科目の必修化です。
 障害者スポーツを体系的に学ぶ機会がなかった体育教員の中には、子供たちの可能性の芽を摘んでしまっている場合があります。体育教員が子供たちの可能性を早い段階から見いだしていけば、障害者スポーツ人口はさらに増え、裾野が広がっていきます。
 そこで、都としても、国に対して体育教員の養成課程における障害者スポーツ科目の必修化を強く求めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 さて、史上初めて一年延期となった東京二〇二〇大会は、世界的にコロナの感染が蔓延する中、世界中からアスリートを迎え、歴史に残る大会として成功を収めました。
 大会では、海外から一万五千人の選手を迎えることなどから、都民、国民に安全・安心を提供するため、コロナ対策は、水際対策、入国後検査と健康管理、選手等が一般都民と接触を回避するための行動管理、陽性者発生時の感染対策について厳格に進められました。
 東京二〇二〇大会開催が東京、そして国内の感染拡大につながったかのように主張するメディアもあります。実際に対策の結果はどうだったのか、そのエビデンスを示して明らかにすべきです。都の見解を求めます。
 コロナ禍での開催となった本大会では、多くの苦渋の決断をしました。三月に海外観客の受入れ中止を決定し、その後、最終的には国内観客も多くの会場で無観客開催となりました。これらは昨年末の大会経費の報告後に決まったものであり、今後、最終的な大会経費や負担について、都民、国民に丁寧に説明し、理解を得ていく必要があると考えます。
 また、コロナ禍という非常時での開催であるため、赤字が出た場合には国に応分の負担を求めるべきです。併せて知事に見解を求めます。
 東京二〇二〇大会は、くしくも東日本大震災から十年という節目の開催となりました。
 都議会公明党は、一貫して復興五輪としての開催を求め、その取組を推進してきました。
 今回、被災地での競技開催や福島県での聖火リレーのスタートなどを通して、大会の原点を見詰め直すとともに、改めて被災地に思いを寄せ、今後も共に歩んでいくことを決意する大きな契機となりました。同時に、震災のときに手を差し伸べてくださった世界中の方々に、大会を通じて感謝の気持ちとして伝えることができたと思います。
 大会の大きな意義の一つである復興オリンピック・パラリンピックとしての取組とその成果について、知事の見解を求めます。
 東京大会は文化の祭典でもありました。都議会公明党はこれまでも、文化プログラムの推進に力を入れ、コロナ禍で外出自粛や休業要請などによる心の疲労が広まる中で、心を豊かにする文化活動を盛り上げるべきと主張してきました。
 また、今年の第一回定例会では、コロナ禍での経験を生かした新たな文化政策の検討を提案しました。
 そこで、大会の重要な一翼を担う文化プログラムの成果と、コロナ禍での経験を生かした今後の文化政策について、都の見解を求めます。
 今回の東京大会では、性的マイノリティーを公表しているアスリートが過去最多、前回大会の三倍以上参加し、活躍しました。
 本年の第二回定例会で、我が党議員が紹介議員となった同性パートナーシップ制度の創設を求める請願が全会一致で趣旨採択され、知事も導入を進める方針を示しました。
 制度設計に当たっては、学識経験者や当事者から意見や要望を聞く取組が望まれます。それらを十分に反映させた上で、来年度にも制度をスタートさせるべきと考えます。制度創設に向けた都の取組について、見解を求めます。
 次に、新型コロナ対策について質問します。
 この一年八か月余り、東京においては三十七万六千六十人の方が感染をし、二千九百六十人の方がお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、現在治療中の方の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
 昨日、ようやく新規感染者数も二桁の八十七人、重症者も七十七人になりました。この間の医療従事者の方々のご奮闘に心より感謝を申し上げます。
 そこでまず、今後の出口戦略について質問します。
 初めに、飲食店等の営業規制緩和についてです。
 先般、都は都議会公明党の提案を受け、新宿区内において商店街の協力の下、繁華街の入り口でPCR検査を行うモデル事業を実施しました。私も九月十五日に視察をしましたが、予想をはるかに超える多くの方がPCR検査を受けていました。
 片や都は、都の基準による感染防止対策を行っている飲食店に対して、感染防止認証済みのステッカーを発行しています。
 そこで、繁華街の飲食店の出口戦略として、感染防止認証済みのステッカーを貼っている飲食店等については、まず、経営者、従業員が定期的にスクリーニング検査を実施し、お客さんについても、ワクチン接種済証を提示していただくか、接種をしていない方に対しては、都のPCR検査のモデル事業を参考に繁華街の入り口で短時間で結果が出る検査を行い、陰性であれば入店を認め、営業時間も元に戻すという新たなスキームによる事業を、繁華街の商店街で実施すべきです。都の見解を求めます。
 次いで、宿泊施設や観光バスを含む旅行業者に対する新たな支援策についてです。
 都内の中小宿泊施設、旅行業者にヒアリングをしたところ、都民の多くがGO TOキャンペーンを利用して地方の観光地に出かけたため、都内の宿泊施設や旅行業者には、あまりメリットがなかったということであります。
 このような事業者からは、都が都民以外の方たちを都内に誘致するためのインセンティブを与える施策を検討してもらいたいという強い要望がありました。
 そこで、現在実施している東京をもっと楽しもうキャンペーンを都内在住者に絞らず、東京に来る人に対してもインセンティブを与える新たな展開を検討していくべきです。
 また、今後の海外からの訪日客を見据えて、東京の新たな魅力を発信する事業についてもスタートさせるべきと考えます。併せて都の見解を求めます。
 八月の感染第五波では、新規感染者数や重症者数が過去最多となり、医療受入れ体制が間に合わず、自宅療養や宿泊療養の患者が死亡する事態も発生しました。
 その後、都民、国民の皆様や多くの事業者の方々、医療従事者の皆様のご尽力によって、新規感染者数や重症者数、入院患者数も減少傾向になりました。しかし、再びの感染爆発も想定した対策に取り組む必要があります。
 今後、新たな変異株も危惧される中、今、都がやるべきことは、これまでの様々な取組の総点検と体制の再構築、強化を図っていくことです。知事の見解を求めます。
 次の感染拡大への備えとしては、何よりも重症化を防ぐ治療体制を充実させなければなりません。都議会公明党は、九月十六日の知事への緊急要望では、抗体カクテル療法ができる機会や場所を増やすべきだと訴えました。
 そこで、抗体カクテル療法について、短期入院のほかに外来診療や自宅療養者にも積極的に実施できるよう、体制整備を急ぐべきです。さらに、患者の搬送についても必要な体制を整備すべきです。見解を求めます。
 次いで、保育所のPCR検査についてです。
 都は、子供の感染拡大を防ぐため、保育所において陽性者が発生した場合、濃厚接触の疑いのある人へのPCR検査を積極的に実施すべきです。また、既に自主的にPCR検査を実施した保育所については、遡って支援すべきと考えます。また、放課後等デイサービス等も対象にすべきと考えますが、見解を求めます。
 また、知事への緊急要望では、自宅、宿泊療養者へのきめ細やかな支援も求めました。品川区は、自宅療養者の不安解消と保健所業務の負担軽減につながるよう、保健所と医師会、薬剤師会が連携し、軽症者を円滑にオンラインで診療し、処方薬がその日のうちに配達される仕組み、いわゆる品川モデルを構築しました。
 都は、こうした品川モデルを参考に、自宅療養者のために酸素濃縮装置の確保を進めるとともに、薬の確保や妊産婦への支援など必要な体制を整備し、オンライン診療システムの活用を都内全域で進めるべきです。併せて見解を求めます。
 第五波の教訓を踏まえると、何よりも自宅療養者と宿泊療養者の容体急変への対応が重要です。
 都は、療養者が容体急変した場合に備えて、医療相談窓口の体制を強化するとともに、自分で連絡することが困難な人のために、酸素飽和度、心拍数、血圧などの計測と、関係部署への送信を自動で行うシステムや機器の活用を進めるべきです。見解を求めます。
 今回の補正予算案には、酸素・医療ステーションの増床、また、新たな臨時の医療施設の確保が計上されています。今後の感染再拡大の折には、速やかに対応できるよう準備を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、ワクチン接種体制についてです。
 都はこれまで、都議会公明党の求めに応じ、大規模接種の実施や区市町村へのワクチン配分調整などに努めてきました。
 また、いまだ接種率の低い若者世代への優先接種の継続や、まだ接種を受けられないあらゆる世代の接種を進めていくため、都は、我が党の要望に基づき、年齢や職業に関わりなく接種を希望する人が受けられる体制も整えました。それでもなお、仕事の都合などで時間が取れず、受けられない方もいます。
 そこで、都の大規模接種において夜間帯の接種時間延長など、きめ細やかな環境整備を行うべきです。都の見解を求めます。
 国では、三回目の接種、いわゆるブースター接種の検討が始まり、十二月にも医療従事者からスタートするとの動きがあります。
 これまで、医療従事者の先行接種や職域接種などで接種済情報が把握できず、区市町村へのワクチン供給に混乱が生じました。ブースター接種を円滑に実施していくには、まず、接種を希望する都民全てが十一月中に接種を完了できるよう、都が区市町村と積極的に広域調整を行うことが必要です。
 国は、公明党の求めに応じて、三回目もワクチンを無償化しました。今後は、自治体が発送する接種券を先行接種でも利用するなど、情報共有が必要です。
 そこで、接種対象者を把握するためのVRSへの接種実績の入力を積極的に進め、接種体制の整備やワクチン供給を確保していけるよう、都は、国や区市町村と積極的に調整を図り、課題に対応していくべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、新型コロナの後遺症についてです。
 都は四月より、都立、公社病院の八か所でコロナ後遺症相談窓口を設置し、電話での相談対応等を行っています。九月中旬までに二千四百七十六件の相談に応じてきており、今後、相談者も増加していくことが想定されます。また、後遺症で病院にかかっても、十分な診療を受けられなかったという話も聞いています。
 そこで、都立、公社病院の相談窓口において、後遺症に悩む都民がお住まいの地域で診療を受けられるようにすべきと考えます。また、これまで蓄積されてきたデータを活用して、後遺症の実態を調べるとともに、医療機関に向けて後遺症に関する正しい情報を周知すべきです。併せて都の見解を求めます。
 次いで、コロナ対策での空気清浄機への補助についてであります。
 都は、我が党の提唱を受け、業界団体のガイドラインに基づく室内感染防止を図る中小企業に対して補助を実施しています。
 しかし、業界団体が有効な先進技術の知見を自力で収集し、ガイドラインの改定を適宜実施していくことは、極めて困難であります。ガイドラインでの空気清浄機の取扱いにばらつきがあるため、業界や機種によっては助成対象にならないケースが生じています。
 こうした点の改善を求めた昨年の第四回定例会の我が党の代表質問に対し、都は、東京iCDCが有効性を認めた設備等の導入に対する支援についても検討すると答弁しました。
 そこで、検討に当たっては、コロナ対策として有効な空気清浄機への補助を業界団体のガイドラインに記載されていなくても、有効であれば認めるべきであります。
 加えて、既に対象外とされたケースや所属する団体のガイドラインに記載がないことから、補助を断念して機器を購入したケースへも適用すべきであります。
 東京iCDCの議論を踏まえたコロナ対策における空気清浄機の取扱いについて、都の見解を求めます。
 次に、奨学金の返済負担軽減を行い、中小企業の人材を確保する新たな施策について質問をします。
 大学を卒業し、就職をした若い世代の人たちの大きな負担が奨学金の返済です。片や、中小企業はコロナ禍においても人材が不足している業種があり、特に技術系の人材が足りないという声があります。
 介護職や看護師、保育士についても、人材が足りないという声がありますが、こういった職種に対しては、国や都による奨学金の返済負担軽減の制度などがあります。
 このような実態を踏まえ、都議会公明党は、第二回定例会において、若者の奨学金の負担軽減を行うことによる中小企業の人材を確保する事業を提案いたしました。知事は、実施に向けて検討を行う旨、答弁をいたしました。
 都は、今定例会において、若者の奨学金の負担軽減を行うことによる中小企業の人材を確保する事業の補正予算を計上しましたが、本事業を今定例会でスピード感を持って対応する意義について、知事の見解を求めます。
 また、この事業の具体的なスキームについて、都の見解を求めます。
 都議会公明党は、今回の都議選で全世代の都民の安全・安心を目指し、東京の未来を開く政策チャレンジエイトを強く主張し、多くの都民から期待と賛同をいただきました。
 八つの内容は、子育て家庭の経済的な負担を軽減する第二子の保育料無償化、高校三年生までの医療費無償化、高齢者の命を守るための肺炎球菌ワクチン無償化、働きながらがん治療ができる重粒子線治療の導入、障害がある方の命を守る駅ホームドアの整備の推進、渋滞を解消するための高速道路上の料金所の撤廃、人と動物の共生社会を目指すための保護シェルターつき動物愛護センターの設置、豪雨に備えるための地下調節池の設置推進であります。
 中でも、高校三年生までの医療費については、厚生労働省の調査によれば、既に区市町村の四割が通院費を助成しており、高校三年生までの医療費無償化は時代の流れであります。第二子の保育料や肺炎球菌ワクチン接種を含めた三つの無償化、がん重粒子線治療の導入など、子育て支援や都民の健康を守る取組は、都民の期待も大きくなっています。
 都議会公明党は、前の任期四年間に、私立高校の授業料実質無償化などを実現してきました。今回の任期四年間では、総力を挙げて三つの無償化をはじめ、チャレンジエイトの実現に取り組んでいく決意であります。都議会公明党が訴えるチャレンジエイトの認識について、知事の答弁を求めます。
 次いで、チャレンジエイトのうち、都立病院への重粒子線治療設備の導入についてです。
 がん治療には、手術療法、化学療法、放射線治療法がありますが、日本は主要先進国の中で放射線治療が極端に少ない状況です。
 中でも、放射線治療の一つである重粒子線治療は、がん病巣に重粒子線、すなわち炭素の原子核を照射するもので、大きな治療効果があります。
 エックス線などの光子線を照射する一般的な放射線治療よりも、がん病巣にピンポイントで照射できるので、周囲の正常組織への影響が少なく、治療期間が短縮できます。体内深部にも大きな治療効果が期待でき、一般的な放射線治療の半分の照射回数で治療が済みます。
 課題は、重粒子線治療は民間保険の先進医療の枠組みで給付金や特約が適用されますが、公的保険は、骨軟部腫瘍、前立腺がん等の一部にしか適用されません。また、設備導入においては高額な初期費用や、ある程度の広さの敷地の確保が必要なことです。
 現在、山形、群馬、千葉、神奈川、大阪、兵庫、佐賀の七県の施設にあるだけです。最も人口が多い東京都にも導入が必要と考えます。都は、独法化の議論の中でも検討を開始すべきです。都の見解を求めます。
 次に、教育支援について質問します。
 コロナ禍において、昨年には学校が一斉臨時休業となり、その後、長期休業に伴う学習の遅れや家庭における通信環境の差異などが浮き彫りとなりました。これを踏まえ、国は、全ての小中学校で一人一台の端末と校内の通信環境を整備するGIGAスクール構想を前倒しし、実施しました。そして、オンライン授業やICT教育などが展開されてきました。
 一方で、報道によれば、その端末を使ったいじめによって、都内の小学六年生の女子児童が遺書を残して亡くなるという、あってはならない事件が発生しました。こうしたことを二度と繰り返さないために、都は、まず児童生徒たちが正しくICTを活用するための情報モラル教育を一層強化するとともに、自分の端末から相談することができるよう工夫すべきです。さらに、教員の取組も一層強化すべきです。都の見解を求めます。
 都議会公明党は、小中学校におけるGIGAスクール構想の推進とともに、一貫して高校段階における一人一台端末の整備を求めてきました。これを受け、都は今年度、高校段階で途切れることなく学ぶ環境が円滑に接続できるよう、モデル事業を行っています。
 来年度からは、いよいよ本格実施となりますが、長期化するコロナ禍で多子世帯も含め、保護者の経済的負担にならないよう、十分に配慮すべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 また、私立高校においても、生徒一人一台端末の整備に向けた取組と支援が必要です。都の見解を求めます。
 次いで、特別支援教室についてです。
 発達障害支援については、都民の声を受け止めて、いち早く都議会で取り上げたのが公明党です。その結果、都教育委員会は、自閉症、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害のある児童生徒に対する支援の充実を図るため、これまでは通級指導学級で行っていた指導を、在籍校で受けられる特別支援教室を平成二十八年度から順次導入してきました。
 こうした中で、例えば特別支援教室での指導の開始や終了に関する検討や決定の方法が、区市町村によって異なっているという実態などが明らかになりました。
 そこで、都教育委員会は、本年四月に全ての都内公立小中学校で特別支援教室の導入が完了することを踏まえ、本年三月に特別支援教室の運営ガイドラインを策定しました。
 その中で、特別支援教室での指導開始後は、十分な評価がなされないまま指導が継続されることのないように、在籍学級での適応状況を把握する機会を設けるなど、その取組が強化されています。
 しかし、特別支援教室での原則指導期間が一年間と設定されたことについて、教育現場からは指導が必要な児童生徒も一年で終了させられてしまうのではないかという不安の声が寄せられています。
 また、都議会公明党には、発達障害は一年と期間を決められて改善するものではありませんといった心配する声も多く寄せられています。
 本ガイドラインの新たな取組により、障害による学習上または生活上の困難の改善をさらに進めていくためには、区市町村に対し、特別支援教室での原則の指導期間を設定した趣旨とその運用について、より丁寧に説明を尽くすべきです。見解を求めます。
 次に、土砂災害について質問します。
 七月の記録的な大雨により発生した静岡県熱海市の土石流については、開発による盛土の崩落が原因で、被害が拡大した可能性が指摘されています。
 都は、この土砂災害を受け、許可を受けていない盛土や安全対策が不十分な盛土など、同様の災害を引き起こすおそれのある盛土が都内に存在していないか、その状況を速やかに把握し、必要な対策を取るべきです。都の見解を求めます。
 都には、盛土の崩落を防ぐ規制条例がありません。都議会公明党は、七月上旬の大雨で盛土が崩落した都内の現場を調査し、規制の必要性を実感しました。
 多摩地域の八王子市や町田市など、六市町は独自に規制条例を設けています。特に、八王子市は、土砂等の埋立事業を許可する各法令を補完するために、現金預託制度を導入しています。保証金は三百万円及び土砂一立米当たり四百円を乗じた額の合計額となっています。また、関東六県は全て条例を定めています。
 条例のない自治体や条例の規制の緩やかな自治体に建設残土が持ち込まれやすい現状もあり、法規制の必要性が求められています。環境局が自然保護条例の規制を強化していますが、これはあくまで自然保護のためです。
 都は、東京の土砂災害を未然に防ぐために、国の検討を待つことなく、現行の法制度で十分対応できない事柄について検討すべきであります。都の見解を求めます。
 都は九月三日、大規模風水害に備えた広域避難先として、渋谷区にある国立オリンピック記念青少年総合センターと初めての協定を結びました。洪水や高潮による氾濫に備えたものであり、コロナ禍においても約三千人まで受入れ可能であり、江東五区などで七十四万人分の避難先を確保するものであります。
 都議会公明党は、公明党国会議員とも連携して、一年以上前から都に情報提供を行い、青少年総合センターなどを活用するよう提案し、本年六月にも現地を調査しました。
 今回の協定を実効性あるものとするために、都は、関係区とともに運用や活用の詳細を具体的に詰めていくべきです。また、民間も含めた広域避難先のさらなる確保を進めるべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、外堀の浄化について質問します。
 パラリンピックのマラソンコース沿道となった外堀は、毎年五月から九月頃に発生するアオコが水面を覆い、悪臭を放つなどの課題を抱えています。
 都議会公明党は、玉川上水の上流から隅田川まで河川水の導水で清流を復活させ、多摩地域から外堀、日本橋周辺まで水辺を楽しめる空間を創出する、水と緑あふれる豊かな都市東京の実現を提言しています。
 都はこれを受け、外濠浄化プロジェクトを未来の東京戦略に掲げ、外堀への導水に向けて取組を開始しました。
 そこで、大会に向けて実施した暫定対策の取組とともに、これまでの調査検討の進捗状況と今後の取組について、都の説明を求めます。
 次いで、再生可能エネルギーについてです。
 知事はさきの所信表明で、ゼロエミ東京の実現に向け、一定の新築建築物に太陽光発電の設備設置を義務づける制度の検討を開始すると述べました。自然エネルギーには太陽光に限らず、太陽熱や地熱などもあります。
 制度の検討では、一般の戸建て住宅も対象になると聞いており、都民に設備費用の負担を義務化することは、私権の制限にも踏み込むことであり、慎重な検討が必要です。
 都は、ゼロエミ東京を目指すため、乗用車の新車販売を二〇三〇年までに一〇〇%非ガソリン化するという画期的な施策を打ち出しましたが、こちらは義務化となっておらず、整合性がありません。
 そこで、太陽光発電設備の設置だけをなぜ義務化するのか、知事の見解を求めます。
 次に、都立、公社病院とがん検診センターの地方独立行政法人化について質問します。
 都議会公明党は、都立、公社病院に対し、今回の災害級の感染拡大に際し、行政医療の真価を発揮すべきと求めてきました。その結果、期待に応える重要な役割を果たしているものと評価をいたします。
 都立、公社病院は都民の命と健康を支える重要な医療基盤であり、独法化による今後の病院改革は、都民の安全・安心をより一層高めるために必要と認識する観点から、以下、質問します。
 今定例会には、定款の議案が提出されていますが、都民の理解を得ながら進めることが重要であります。まず、コロナ禍の中、なぜ今、独法化を進める必要があるのか、都民に分かりやすく説明すべきであります。都の見解を求めます。
 独法化により、都立病院と公社病院との壁がなくなり、より一体化した新しい都立の十四病院となり、スケールメリットとネットワーク力を生かした活躍が期待されます。その中で特に重要な行政的医療の役割を担い続けていくためには、不採算となる行政的医療の都による財政的裏づけが必要です。
 一部に、独法化すると経営効率優先となって、これまでの財源措置が縮小され、不採算な医療が後退するのではと懸念する声も聞かれますが、我が党は、独法化後も都が必要な財源を措置し続けることで、行政的医療が確実に都民に提供されるよう担保すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 独法化により、医師や看護師等の職員の方々が公務員ではなくなることから、一部に人員確保を不安視する声も聞かれます。独法化を通し、職員の方々の使命感に応えられるよう、より働きがいのある環境を整え、その労働意欲をさらに高めるとともに、独法化がもたらす人材確保の効果を都民に分かりやすく説明すべきであります。
 加えて、独法化による中長期的に人材の確保が図りやすくなるだけではなく、独法化以降、直後の人員確保も重要な課題です。長期的な視点で見た退職金や年金制度などの方針を明らかにするなどして人材の確保を図り、独法化直後の医療サービスの点でも、都民の安全・安心につなげるべきと考えます。併せて都の見解を求めます。
 独法化後の議会の関与は、病院法人を管理監督する都庁内の部局を通じて関与する間接的なものに移行します。
 これまでも我が党は、地域や患者の様々なニーズも議会での議論を通して、よりよい病院運営につなげてきました。独法化後も、都民ニーズを確実に反映した病院運営が求められます。
 加えて、災害時などには、都庁と一体となった取組が求められます。そのためには、地方独立行政法人法が求める法人運営の独立性に配慮しながらも、医療の専門家集団である法人本部に対し、効果的に折衝し、成果を上げられるだけの能力を備えた組織を都庁内のカウンターパートナーとして育成し、強化することが不可欠であります。
 議会をはじめ、都民の意見を法人運営に反映したサービスを提供し続けられる体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次いで、住宅セーフティーネットについて質問します。
 今後の東京の住宅政策を進めていくに当たって、住まいと地域を大切にする新たな住宅戦略の強力な展開が重要です。
 我が党は、高齢者やひとり親世帯、障害者などのような住宅確保に配慮が必要な方々への支援、さらには地域の資源として捉えた空き家対策について提言を重ねてきました。
 それを受けて都は、平成二十九年から住宅要配慮者向け賃貸住宅の登録を促す住宅セーフティーネット制度をスタートしました。
 しかし、民間の空き家、空き室を活用して、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録は四万戸に達しているのに対し、改修費補助や家賃軽減の補助がある要配慮者のみ入居可能な専用住宅の登録状況は六百戸にとどまっています。
 都は、要配慮者が安心して入居できる住まいをさらに増やしていくべきと考えますが、セーフティーネット住宅である東京ささエール住宅の登録状況についての認識と、専用住宅の登録戸数の増加に向けた今後の取組について都の見解を求めます。
 空き家を共同居住型住宅、いわゆるシェアハウスとして、地域コミュニティ活性化にも資していく先進的な取組を行っている居住支援法人もあり、そのような民間の取組と連携していくことが重要です。
 こうした民間の取組を生かしながら、既存の民間賃貸住宅ストックを活用して、要配慮者が入居できる住宅を増やし、安心して生活できる居住環境の実現を目指すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 最後に、都の組織改編について質問します。
 先ほど述べたとおり、居住の安定が全ての行政サービスの前提です。かつて都庁には住宅局が存在し、都営住宅の建設をはじめ、住宅政策で国をリードしてまいりました。その後、石原知事の時代に、住宅の供給量が需要量を上回り、これからはまちづくりと連動して住宅政策を展開すべきとの理由で、住宅局は都市整備局に吸収されました。
 しかし、その後も住宅確保に困難を抱えた人たちは後を絶たず、国がセーフティーネット法を策定し、住宅確保要配慮者支援に乗り出しても、まだその効果が十分に現れたとはいえません。したがって、今後は、大都市東京の状況に即した住宅政策の再構築が不可欠であります。
 まして、現在のコロナ禍においては、職を失い、住むところさえ不安定になっている人たちが世代を超えて広がっています。生活再建への支援、社会の活力の再生のためにも、安くて良質な住宅供給の拡大が不可欠です。そのために、局編成の変更のタイミングに合わせて、住宅政策本部をさらに発展させ、住宅局の復活を実現することが重要であります。知事の見解を求めます。
 昨年から、新型コロナウイルス感染症の対応への課題が浮き彫りになる中、現在の福祉保健局では、組織母体があまりにも大きく、迅速かつ柔軟な対応が難しい状況となっています。
 コロナ対策などの感染症対策、子供、高齢者、障害者支援、医療、福祉の多分野にわたる施策を展開する福祉保健局を分割し、実行性ある組織体制に再編成すべきであります。また、その際には、子供施策を総合的に推進する専管組織も必要であると考えます。
 第一回定例会において、都議会公明党が原案を作成し、審議では答弁に立ち、全会一致で可決、成立した東京都こども基本条例は、四月一日に施行され、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供施策を総合的に推進することを都の責務と定めています。総合的な推進体制、こども局をつくることを提案するものであります。
 新しい都政をつくるため、局編成を検討し、機能する都政へと転換すべきと考えます。知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 大会経費についてのご質問であります。
 大会の開催に当たり、組織委員会、国、東京都の三者は、平成二十九年五月の大枠の合意による役割、経費分担に基づき、連携協力して大会準備を進めてまいりました。
 大会の延期後も、延期に伴う追加経費や新型コロナウイルス感染症対策が必要となる中、これらの経費について明らかにし、それぞれの役割を果たしながら、組織委員会、国とも一体となって取り組んできたところであります。
 一方で、コロナの影響により、オリンピックとパラリンピックにおける観客は大部分が無観客となり、これに伴うチケット収入の減少が見込まれております。
 現在、組織委員会において、収入及び支出両面における精査を進めているところで、今後とも、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
 復興オリンピック・パラリンピックについてでございますが、私は一貫して、東京二〇二〇大会の原点は、復興オリンピック・パラリンピックであると申し上げてまいりました。
 都はこれまでも、スポーツを通じて被災地に元気を届けられるよう、青森から東京までをつなぐ千キロ縦断リレーや被災地と東京の子供たちとの交流、全国に先駆けた被災地でのフラッグツアーなど様々な事業を展開してまいりました。
 そして、東日本大震災から十年の節目に当たる今年三月、被災地復興の象徴として、福島県のJヴィレッジからオリンピック聖火リレーがスタートするとともに、大会におきましては、宮城県でサッカー競技が、福島県で野球・ソフトボール競技が実施されました。
 さらに、福島県で製造された水素が聖火をともし、被災地の花で彩られたブーケが選手の栄冠をたたえました。被災地の食材が選手村等で提供され、好評もいただいたところです。
 こうした取組をはじめとして、メインプレスセンターにおけます復興ブースなど様々な機会を通じまして、世界中の皆様にこれまでいただいた支援への感謝を伝えるとともに、復興に向けて力強く歩む被災地の姿を発信することができました。
 今後、オリンピックスタジアム横に設置をしておりました復興のモニュメントを被災地へ移設する予定でございまして、引き続き、被災県をはじめ、関係者と連携して復興の後押しとなる取組を進め、被災地との絆を次の世代へと引き継いでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制についてのご質問であります。
 新型コロナウイルス感染症は、中長期的に感染拡大の反復が見込まれることから、第五波の中で顕在化した課題や重症化予防効果のある治療薬の使用などの環境変化も踏まえまして、万全の備えを講じていくことが必要であります。
 重症、中等症の患者等を受け入れるため、症状に応じた病床を確保してまいります。
 比較的軽症な患者を受け入れる酸素・医療提供ステーションを増床するとともに、抗体カクテル療法等の実施により、重症化を予防し、医療への負荷を軽減いたします。
 また、宿泊療養施設におきましては、医師の往診による継続的な酸素投与や抗体カクテル療法の実施など、医療機能の向上を図ってまいります。
 さらに、自宅療養者には、フォローアップセンターの体制強化や酸素濃縮装置の拡充など支援体制を強化するほか、市町村との患者情報の共有による支援の充実、東京都医師会と連携したオンライン診療や助産師による妊産婦への健康観察の実施など、よりきめ細かに支援をしてまいります。
 今後、こうした対策をスピード感を持ちまして複合的に講じていくとともに、これまでの様々な取組の総点検と体制の再構築、強化を図り、都民の生命と健康を守ることに全力を尽くしてまいります。
 中小企業の人材確保等についてでございます。
 建設やITなどの業界におきまして、人手不足は深刻であり、専門性を有する技術者の確保が大きな課題となっております。
 一方、これから就職先を探す学生の中には、奨学金を受給している方も多く、コロナ禍におきまして、就職後の奨学金返還に不安を感じている方が多数存在されます。
 こうした学生の方々が、中小企業に技術者として就職した際の奨学金返済の負担軽減支援は、中小企業にとりましても、将来的に中核を担う優秀な人材の確保につながる効果的な取組です。
 いまだ予断を許さないコロナ禍におきまして、早急なサポートが必要との考え方に立って、来年度の採用活動に当たり、こうした支援が利用できますよう、今年度中に対応を開始することといたしました。
 この取組を通じまして、東京の持続的な発展を支える中小企業の人材確保を支援してまいります。
 次に、東京の未来を切り開く政策についてであります。
 都は目指すべき東京の姿とその実現のための幅広い戦略を盛り込みました未来の東京戦略に基づき、成長と成熟が両立した明るい未来の東京を創り上げる取組に日々邁進をしております。
 この戦略では、人が輝く東京を実現していくことを政策の基軸としております。いつの時代も、未来を切り開くのは人であり、誰もが安全・安心に包まれ、一人一人が生き生きと輝く社会を実現しなければ、明るい未来をつかみ取ることはできません。
 御党の今回の政策は、全世代の安全・安心を目指す都の理念の下、多岐にわたる分野におきまして、子供から高齢者まで、一人一人の暮らしをきめ細かく支えるための、人を大切にする視点に立ったものと理解をいたしております。
 今後とも、建設的な議論を積み重ねながら、人が輝く東京を創り上げてまいります。
 次に、広域避難先の確保についてでございます。
 近年、大規模風水害が頻発する中で、江東五区を中心とする東部低地帯におきましては、多くの都民の命を守るため、行政区域を越える広域避難先の確保が急務となっております。
 このため、都は、受入れ可能な都立施設を広域避難先として活用することはもとより、国、民間施設にも積極的に協力を求めていくことといたしました。
 その第一弾として、都は広域避難先に活用する施設として、渋谷区にあるオリンピックセンターとの包括協定を先月締結いたしました。
 今後は、この施設で広域避難者を円滑に受け入れられますよう、施設管理者や関係区などと具体的な検討を進めてまいります。
 また、広域避難先のさらなる確保に向け、避難誘導に要する都民負担等を考慮して、区部にある国、民間施設を中心に調整を図って、年度内の新たな協定締結に向けて取組を進めてまいります。
 いつ起こるとも知れない大規模風水害から都民の命を守るため、国や関係区などと緊密に連携し、広域避難対策に万全を期してまいります。
 次に、住宅等の一定の新築建築物への太陽光発電設備の導入義務化の検討についてのお尋ねでございます。
 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、二〇三〇年までの十年間の取組が極めて重要でありまして、今こそ行動を加速するときであります。
 都内CO2排出量の約七割は事業所や住宅などの建物を利用する際に消費するエネルギーに由来しておりまして、今後、新たに建てられる建築物は、その後何十年にもわたり使用されることから、二〇五〇年の東京の姿を形づくることとなります。
 とりわけ、新築される建物の九割超を占めます住宅等の中小建築物の対策が重要でして、省エネ性能の向上に加え、利用するエネルギーを再生可能エネルギーへと転換していくことが不可欠であります。
 都はこれまで、太陽光発電や太陽熱、地中熱などの設備への支援を実施することで、住宅などへの再エネ設備の導入を推進してまいりました。
 この間、太陽光発電設備の設置費用は年々低下するとともに、住宅などへ設置することで電気代削減や売電収入が得られ、停電時にも電気を使用できるメリットがあるなど、導入の機は熟しております。
 こうした状況を踏まえまして、住宅等の一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始いたします。
 今後、環境審議会の下に設置する分科会におきまして、法的な観点、太陽光発電以外も含め、効果的な再エネ設備の導入方法など、専門家等による審議を重ねてまいります。
 また、関係団体など、多様な立場の方々からのご意見なども伺いながら、円滑な導入に向けた支援等の在り方など、様々な課題も含めまして、幅広く議論を進めてまいります。
 こうした取組を通じて、広く都民、事業者の理解、共感を得た上で、住宅等の新築建築物への太陽光発電等を標準化していくための制度を構築するとともに、あらゆる主体の抜本的な取組強化策を結集、そしてゼロエミッション東京を実現してまいります。
 独法化後の財源措置についてのお尋ねです。
 感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは対応困難な行政的医療の提供は、都立病院が果たすべき重要な役割であります。
 超高齢社会が本格化し、医療環境が大きく変わる中でも、また、コロナのような緊急事態におきましても、行政的医療を確実に提供する役割を担い続けるために、地方独立行政法人東京都立病院機構を設立することといたしました。
 法人設立後は、医療ニーズに応じまして、柔軟で機動的な運営ができる独法化のメリットと都立病院と公社病院が一体となるスケールメリットを最大限活用することで、行政的医療を充実強化してまいります。
 また、行政的医療に必要な経費は、採算の確保が困難であることから、将来にわたりまして、都民に必要な医療を安定的、継続的に提供できますよう、法人設立後もこれまでと同様に、都が確実に財源を措置してまいります。
 次に、独法化後の都の組織についてのお尋ねでございました。
 法人を所管する都の組織は、行政的医療の安定的な提供など、都の医療政策と連携をしまして、法人がその役割を確実に果たせますよう、法人との調整を行って、運営を支援する役割を担うこととなります。
 また、医療環境が大きく変化していく中で、都に寄せられます都民や地域のニーズ、議会からの意見を法人の病院運営に的確に反映させることも都の役割でございます。
 こうした役割を踏まえながら、新たな法人が都民の医療ニーズに迅速かつ柔軟に対応し、質の高い医療を提供できますよう、都の組織体制について検討してまいります。
 次に、住宅部門を担う局の設置についてのお尋ねがございました。
 これまで都は、直面する課題に応じて、組織の在り方を戦略的に見直してまいりました。
 住宅部門につきましても、平成十六年度にまちづくりと一体となった住宅政策を推進するため、関係部署を再編統合しまして、都市整備局を設置したところであります。
 平成三十一年度には、東京の住宅を取り巻く環境変化に対応するために、都市整備局に住宅政策を専管する本部を設置して、まちづくりとの一体性を確保しながら、迅速に対応する執行体制を強化いたしました。
 これによりまして、都市づくり政策との連携の下で、都営住宅の建て替えによる創出用地を活用したまちづくりを進めるとともに、喫緊の課題であります老朽マンションや空き家への対策、セーフティーネットの構築など、住宅施策を機動的に推進をしております。
 今後は住宅確保要配慮者への居住支援の強化も図りつつ、都市づくり政策と住宅政策の連携の下、重層的な住宅セーフティーネット機能の強化など、未来の東京戦略に掲げます住宅戦略の展開に向けました新たな組織の在り方を検討し、執行体制を構築してまいります。
 次に、都庁の組織の在り方についてお尋ねがございました。
 新型コロナという未曽有の危機に直面しながら、皆様のご支援、ご協力によりまして、東京二〇二〇大会を成し遂げることができました。都政はこの経験を跳躍台として、東京の明るい未来を切り開く取組を加速させてまいります。
 そのために、まずは危機管理の徹底であります。新型コロナウイルスをはじめとした感染症、頻発化、激甚化する風水害や大規模地震など、いかなる災害からも都民の命を守るべく、万全の体制を構築しなければなりません。
 また、本年三月、議員提案により、東京都こども基本条例が成立をいたしました。未来を担う子供をあらゆる場面におきまして、権利の主体として尊重する、この条例の理念を踏まえまして、子供目線に立った総合的な政策を力強く進めていかなければなりません。
 東京二〇二〇大会を終えて、都政が次なるステージを迎える今、万全の危機管理、大会レガシーの発展を礎としまして、あらゆる政策のバージョンアップを図るとともに、様々な課題にも機動的に対応できる組織の在り方を来年度に向け検討を進め、戦略の実行を支える執行体制を構築してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、大会後のパラリンピック教育の実施についてでございますが、平成二十八年度から都内全公立学校で実施してきたオリ・パラ教育では、子供たちが多様性を尊重する態度を身につけることができるよう、知識の習得だけでなく、実際の体験や活動を重視した学びに取り組んでまいりました。
 これまで都教育委員会は、パラスポーツ競技応援校の指定やパラリンピアン等の派遣を通じて、スポーツ体験や選手との交流を推進してまいりました。各学校では、これらを契機として、特別支援学校や地域とのスポーツ交流等に取り組み、互いを認め合い、思いやる心を育んでおります。
 今後、都教育委員会は、子供たちのパラスポーツ体験を増やしていくため、競技団体と連携した教員向け講習会等を実施し、学校や地域での様々な体験を通じて、共生社会を担う子供たちに必要な資質、能力を育んでまいります。
 次に、教員の障害者スポーツに関する体系的な学びについてでございますが、障害者スポーツの裾野を広げていくためには、学校において、子供が障害者スポーツに親しむ機会を充実させ、教員が子供の興味や能力を引き出すことが重要でございます。
 都教育委員会では、東京二〇二〇大会の開催決定を受け、子供たちの障害者スポーツを通じた体験や交流をさらに促進してまいりました。また、競技団体と連携して講習会を開催し、延べ一千十三人の教員に、競技の魅力や安全な指導方法等を伝えるなど、教員の学ぶ機会を増やしてまいりました。
 今後、子供たちの発達段階に応じた可能性を見いだし、その能力を一層伸ばしていくためには、体育等の教員が大学の教員養成課程の段階から障害者スポーツの基礎的理論等を学ぶことが有効でありますことから、国に対して、障害者スポーツ科目の必修化について要望してまいります。
 次に、一人一台端末の適切な利用についてでございますが、子供たちが学習者用端末を用いて、安心・安全な学びを進めていくためには、学校における情報モラル教育の充実と適切な端末の管理が不可欠であります。
 都教育委員会は、発達段階に応じた情報モラル教育の教材、SNS東京ノートを全ての児童生徒に配布し、各学校では、SNS等を利用する際に、他者を傷つけないよう配慮することなど、指導を繰り返し行ってまいりました。
 また、今般、改めまして、各学校において、教員が端末上の書き込みを適切に把握するとともに、他者から容易に推測されないパスワードを設定することや、他者に知られないよう管理することなどの指導を行うよう徹底をいたしました。
 今後、情報モラルの意識を高めるため、SNS東京ノートをデジタル化し、端末上で活用して、日常的に指導を行えるようにしてまいります。
 また、子供が日頃抱える不安や悩みについて、端末を通じて相談できる仕組みについても検討いたします。こうした取組により、子供たちが端末を適切に活用して学習できるよう学校を支援してまいります。
 次に、高校段階の一人一台端末の整備についてでございますが、都教育委員会は、これまでの研究成果を踏まえ、今年度、都立学校十二校をモデルとして、既存の端末を活用し、教科学習や探求活動等での効果的な学習方法の開発を行っております。
 また、同一機種端末の使用により、生徒同士の学び合い、教員からの統一的な操作指示などにおいて、有用性が確認できております。
 令和四年度からの保護者負担による一人一台端末の整備に当たりましては、こうした成果を全校に普及させていくこととしております。
 また、端末の購入に当たっては、家庭の経済状況にかかわらず、全員が購入できるよう、給付型奨学金の活用に加え、全世帯を対象に負担額が一定となる補助制度の創設について詳細の検討を進めてまいります。
 最後に、特別支援教室における指導期間についてでございますが、特別支援教室での指導は、発達障害のある子供たちの学習上や生活上の困難等を改善し、より多くの時間を在籍学級で過ごせるようになることを目的に実施しております。
 子供たちが抱えているそれぞれの学習上等の困難さに応じて目標を設定し、指導を行い、学校生活の一年間のサイクルが終了する時点で必ず振り返りを行うという趣旨で、指導期間を原則一年間と定めたものでございます。
 必要な場合は、一年間指導を延長し、延長終了時には改めて支援策を検討し、特別支援教室での指導の継続を含め、子供の状況に応じた適切な支援を行うことといたしております。
 この内容を本年三月に策定したガイドラインに記載し、区市町村教育委員会に示しているところですが、今後、この趣旨を分かりやすく説明した資料を作成し、特別支援教室の適切な運営と指導の充実を支援してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、土砂災害の未然防止についてでございます。
 熱海市における土石流災害を受け、国は、例えば宅地造成等規制法による盛土がある一方、法律の網にかかっていない盛土にどのように対応していくのかという問題があり、各省のはざまになっている部分の総点検も必要としております。
 そのため、国におきましては、盛土による災害防止のための関係府省連絡会議を設け、災害防止の対応方策などに関しまして推進することといたしました。
 都といたしましては、現在進めている盛土総点検により現況の把握に努めるとともに、今後、関係局から成る会議体を早期に設置し、国の検討状況を見ながら、国や区市町村との役割分担も勘案しつつ、課題整理の上、対応の在り方などについて検討してまいります。
 次に、外堀浄化についてでございます。
 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力ある都市の顔づくりを進めることが重要でございます。
 外堀の水質改善に向けては、東京二〇二〇大会に合わせ、暫定対策として、水質改善処理剤の散布等を行い、アオコの発生を抑制いたしました。また、外堀への導水に向け、関係局が役割分担し、新たな導水路整備等に関する詳細調査を実施しておりまして、年度内に基本計画の検討を進め、取りまとめてまいります。
 あわせて、多摩川からの通水の可能性も展望し、玉川上水中流域におきまして、のり面における樹木の成長が進んでいることなどから、水量が増えた場合ののり面への影響調査に着手しております。
 引き続き、国や地元区とも連携しながら、水質改善を着実に進め、人が憩う外堀の水辺を再生してまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、バリアフリーの推進等についてでございますが、都は、東京二〇二〇大会の開催に当たり、競技会場周辺のバリアフリー整備を重点的に進め、都内のバリアフリー情報をまとめたポータルサイト、とうきょうユニバーサルデザインナビで広く周知いたしました。
 また、心のバリアフリーを推進するため、児童生徒向けのポスターコンクールの実施や、従業員の意識啓発等に取り組む企業等を登録、公表することなどに取り組んでおります。
 東京二〇二〇大会を契機に、障害者を含む当事者等の意見も聞きながら、利用者の視点に立って、バリアフリーのハード、ソフト両面の取組を進め、誰もが安全・安心、快適に暮らし、訪れることのできるユニバーサルデザインのまちづくりをより一層推進してまいります。
 次に、抗体カクテル療法についてでございますが、抗体カクテル療法は、重症化リスクがある軽症患者に中和抗体薬を投与するものであり、都のモニタリング会議で、他の要素も含まれるが、投与から十四日以上経過した方の約九五%が軽快したと報告されました。
 この治療薬は、発症後早期の投与が望ましいため、都は、保健所からの情報を基に、酸素・医療提供ステーションや医療機関との受入れ調整を行い、自宅と投与を行う施設との搬送体制の整備も進めております。
 また、宿泊療養施設に入所している基礎疾患を有する方にも、抗体カクテル療法の効果等を丁寧に説明し、酸素・医療提供ステーションで積極的に受け入れ、投与しております。
 こうした取組により、早期かつ確実に重症化リスクのある患者を抗体カクテル療法に結びつけてまいります。
 次に、保育所等でのPCR検査に対する支援についてでございますが、都は、保育所等において新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生した場合に、施設内での感染拡大を防止するため、児童や保育従事者に対し速やかにPCR検査を実施できる仕組みを整備いたしました。
 具体的には、都が購入した検査キットを、区市町村を通じて保育所等に送付し、濃厚接触の可能性のある方の検体を検査機関に返送していただくものであり、先週、その旨を区市町村に通知いたしました。現在、各自治体での意向を確認しており、必要数が確定次第、順次検査キットを送付いたします。
 今後、今回の取組以前に、陽性者の発生に伴い検査を行った保育所等への支援のほか、放課後等デイサービス等への支援についても検討してまいります。
 次に、自宅療養者への医療支援についてでございますが、都は現在、自宅療養者が緊急時に自宅で酸素投与を受けられるよう、酸素濃縮装置を七百六十台確保しており、今後の感染拡大に備え、千台を目途に確保してまいります。
 また、東京都助産師会と連携し、地域の助産師が自宅療養中の妊産婦に対し、電話や訪問等により行う健康観察を新たに実施してまいります。
 さらに、東京都医師会や東京都薬剤師会と連携し、品川区での取組を参考に、先月多摩地域で開始したオンライン診療を、今後、都内全域での実施に向けて調整してまいります。
 加えて、平日夜間及び土曜休日に電話、オンライン診療等を受診し、薬を処方された自宅療養者に調剤や薬剤の配送、服薬指導を行う薬局に対し、配送に係る経費を新たに支援するなど、地域における自宅療養者の医療支援体制を強化してまいります。
 次に、療養者の容体急変への対応についてでございますが、都は、自宅療養者からの緊急の医療相談に対応するため、自宅療養者フォローアップセンターの電話回線数を増強し相談体制の拡充を図っております。
 また、パルスオキシメーターを確保し、保健所設置区市に配布するほか、地域のかかりつけ医が自宅療養者の健康観察で活用できるよう、東京都医師会へ貸与を開始するなど、フォローアップ体制を強化しております。
 さらに、宿泊療養施設では、療養者の体調急変を迅速に把握できるよう、さらなる安全管理体制の充実に向け、お話の機器の導入も含め検討を進めております。
 今後、検討結果等を踏まえ、自宅、宿泊療養者の容体急変に適切に対応する仕組みの強化を図ってまいります。
 次に、臨時の医療施設についてでございますが、現在、都内の新規陽性者数は減少しておりますが、今後、増加に転じた場合にも速やかに対応できるよう、患者を受け入れる病床の確保に加え、これを補完する臨時の医療施設を整備していくことが重要でございます。
 都は、入院待機ステーションや軽症、中等症患者を受け入れる酸素・医療提供ステーションの設置などに取り組んでおります。
 今後、感染の再拡大に備え、酸素・医療提供ステーションを増床するとともに、様々な症状の患者に対応するための機能等を勘案して、既存施設等を活用した臨時の医療施設等を整備し、医療提供体制を確保してまいります。
 次に、都の大規模接種会場の運営についてでございますが、希望する全ての方が、より早期に二回の接種を終えるには、区市町村と連携しながら、地域の実情を踏まえて接種体制の拡充を図ることが重要でございます。
 都は、区市町村と調整しながら、地域性や利便性を考慮して大規模接種会場を設置しており、その中でも利便性の高い行幸地下、立川北及び本日開設いたしましたNHK渋谷会場では、土曜日、日曜日も含め、夜八時まで接種しております。
 さらに、都内の区市町村が実施している夜間帯の接種実績なども参考にして、行幸地下会場の接種終了時刻を現行の夜八時から一時間延長することを検討してまいります。
 引き続き、区市町村と連携しながら、接種機会の拡大に努めてまいります。
 次に、三回目のワクチン接種についてでございますが、国は三回目の接種対象者は、二回目の接種終了後、おおむね八か月以上経過した方との考えを示しており、本年十二月から接種開始ができるよう、都道府県は区市町村を支援するとともに、進捗管理をすることとしております。
 対象者は、ワクチン接種記録システムⅤRSに二回目までの接種記録が登録されていることが前提となるため、区市町村等に早期の登録を改めて依頼してまいります。
 また、医療従事者等については、二回目までの接種と同様に、住所地以外の勤務先での接種も可能となっており、都は、区市町村と協働した接種体制を念頭に、具体的な役割分担や、ワクチンの安定的な供給等について、区市町村や国、関係機関等と調整してまいります。
 最後に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてでございますが、後遺症の実態は現段階では明確になっておらず、確立された治療法もございません。
 都は、都立、公社病院にコロナ後遺症相談窓口を設置して相談に応じるとともに、必要な方には診療を行うほか、東京iCDC専門家ボードで後遺症に関するリーフレットを作成し、幅広く都民に周知しております。
 今後は、コロナ後遺症に対応している医療機関の情報を収集し、相談窓口で活用するなど、後遺症に悩む都民が身近な医療機関で、より適切な医療を受けられるよう取り組んでまいります。
 また、東京iCDCにおいて、都立、公社病院と連携し、後遺症相談窓口等で蓄積したデータや症例を分析し、実態把握を進めるとともに、医療従事者にも後遺症に関する情報を提供するなど、後遺症に関する理解促進を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中村倫治君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラアスリートの競技力向上の支援についてでございます。
 都では、障害者スポーツ競技団体の練習の場の確保にも資するよう、特別支援学校活用促進事業を実施するとともに、身近な区市町村のスポーツ施設のバリアフリー化等を支援してまいりました。また、国際大会に出場する東京ゆかりの選手に対しまして、海外遠征費等を支援しております。
 さらに、障害者スポーツに供する優れた技術、製品の開発に取り組む中小企業や地域を支援しており、東京二〇二〇大会では、新たに開発した競技用車椅子等を使用したパラアスリートがメダルを獲得いたしました。
 引き続き、技術的なアドバイスや開発費の助成等により、用具等の開発に取り組む中小企業を支援いたします。
 また、今後、味の素スタジアム内の施設を練習拠点として整備するほか、引き続き、海外遠征など競技活動の支援も検討してまいります。
 次に、大会における感染防止対策についてであります。
 徹底した水際対策や定期的な検査等の結果、空港検疫の陽性率は〇・一%、スクリーニング検査で〇・〇三%と低く抑えられました。また、訪日大会関係者の都内の入院者数はピーク時で二人となっております。専門家からも、大会は安全に行われたと評価されております。
 また、ステイホームやテレワーク等の呼びかけを行い、道路、鉄道等の混雑が予想された重点取組地区において、昼間時間帯の滞在人口が大会前より約一割減少するなど、人流は減少、抑制されております。
 なお、感染状況の動向を示す指標であります実効再生産数は、七月二十一日の一・四をピークに下落傾向に転じ、九月九日には〇・六三まで減少しております。大会におけるこれらの対策は、専門家を含むラウンドテーブルにおいても有効に機能したと評価されております。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、文化プログラムについてでございますが、都は、リオ大会以降、多彩な文化プログラムを展開し、伝統と革新が融合した東京の文化の魅力を力強く発信することを目指してまいりました。
 国内外からアイデアを広く募集し、伝統と最先端技術が融合した展示、公演など、東京のまち中を舞台に実施したアートプロジェクト等、人々の記憶に残る企画を展開してまいりました。
 コロナ禍での制約もありましたが、様々な工夫をしながら、障害や年代を問わず、参加できる事業、海外アーティストや自治体と連携した公演など、多様な人々の力を合わせて築き上げた事業を都内全域で実施いたしました。
 今年度策定する文化戦略では、さきの定例会での御党のご提案も踏まえ、文化プログラムの成果とコロナ禍で得た経験等から、文化への参加機運が都民や地域に根づくための施策を盛り込み、芸術文化都市東京の実現に取り組んでまいります。
 次に、私立高校の一人一台端末の整備についてでございますが、教育におけるデジタル環境の整備は、動画や音声を用いた学習、海外等との生徒同士の交流など、これまでにない多様で充実した授業を提供する上で大変重要でございます。
 私立高校ではこれまでも、それぞれ独自の教育方針に基づき、電子黒板や無線LANなどのデジタル環境整備を行ってまいりました。
 生徒の端末整備においても、学校がまとめて整備する方法や、保護者が学校の指示する端末を購入する方法など、各学校で様々な手法を用いております。
 そのため、都として、各学校の整備方法に応じて、保護者の負担軽減に配慮しながら、生徒一人一台端末の整備が確実に進むよう、具体的な手法の検討を進めてまいります。
〔総務局長黒沼靖君登壇〕

○総務局長(黒沼靖君) 同性パートナーシップ制度創設に向けた取組でございます。
 制度の検討を進めるに当たりましては、性的マイノリティー当事者や有識者等から幅広い意見を適切に反映させていくことが重要であります。
 このため、都は今月から、学識経験者や当事者支援団体に対し、制度の設計や現行法制との整合性、当事者の立場に立った手続の在り方、活用が想定されるサービス分野等についてヒアリングを実施いたします。
 また、性的マイノリティー当事者等を対象とする実態調査を実施いたしまして、性的指向や性自認など多様な性に関する都民の認識のほか、当事者が直面する生活上の困り事や行政に求める支援策、他自治体の制度利用者の声などを幅広く把握をしてまいります。
 こうした有識者や当事者の意見等を早期に取りまとめ、制度の検討を着実に進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症対策に取り組む商店街への支援についてですが、リバウンド防止措置期間の中にあって、感染症対策を行いながら経済活動の再開に向けた準備を進めていくことは重要でございます。
 先月、新宿区の商店街が来街者や近隣店舗の従業員等に対してPCR検査を行う取組を都が支援いたしました。三日間で約五百名の方が参加し、検査を受けながら商店街を利用できるという事例をつくることができたものと考えております。
 今後は、感染拡大の防止に向け、商店街が様々なガイドラインに基づいて実施する取組に加え、PCR検査やワクチンの接種済証を活用した商店街の主体的な取組の支援を検討してまいります。
 こうした取組により、地域での感染拡大の防止と商業活動の回復を着実に後押ししてまいります。
 次に、宿泊施設や旅行事業者に対する支援についてですが、都では、十月よりリバウンド防止措置期間となり、感染拡大を抑制しながら、観光需要の回復を図っていく必要がございます。
 昨年のGO TOトラベル事業は、お話のように、他道府県から都内への観光客の多くが大手の宿泊施設に泊まり、中小の宿泊事業者からは、期待したほど利用されなかったという声も聞いております。
 このため、都は、観光需要回復を見据えた準備といたしまして、中小のホテル、旅館が旅行者をより一層引きつけられますよう、魅力向上に資する取組への支援を開始いたします。
 具体的には、専門家を派遣するとともに、新たな宿泊プランづくりや、その広報経費などを助成いたします。
 また、海外に向けて、東京二〇二〇大会のレガシーや最新の観光情報等を、アニメなど東京の優れたコンテンツと組み合わせて効果的に発信してまいります。
 次に、中小企業の感染防止対策への支援についてですが、感染防止対策の助成事業において、業界ガイドラインに記載のない取組については、東京iCDCの意見を踏まえて、支援の適否を判断することとしております。
 このため、都は、本助成事業における空気清浄機の取扱いについて、東京iCDCの専門家による換気の補完に有効との意見を踏まえて、これまで対象外とされたものも含めて見直しを行ったところでございます。
 具体的には、ガイドラインの記載内容によらず、全ての業界に対して幅広く助成対象とするとともに、事業を開始いたしました本年一月四日以降に購入したものを適用することといたしました。また、冬場の感染症対策を徹底するため、申請受付期間を二か月間延長いたします。
 本助成制度のさらなる利便性の向上を図ることによりまして、中小企業の感染防止対策を着実に支援してまいります。
 最後に、奨学金返還の負担軽減を通じた中小企業の人材確保についてですが、都は、建設、IT、ものづくりの三分野の中小企業を対象に、これらの企業が奨学金を利用した学生等を技術者として採用した場合に、その返還をサポートする事業を新たに開始いたします。
 具体的には、奨学金の返還に必要な経費の一部について、都と中小企業がそれぞれ同額を負担し、一人当たり合計で百五十万円を上限として助成する方向で検討を進めているところでございます。
 今年度から、事業に参加する企業の募集を開始し、採用された方が一年間、その企業に勤務したことを見極めた上で、三年間にわたり支援を行ってまいります。
 こうした奨学金負担の軽減を通じて、コロナ禍において、中小企業における人材の確保と定着を図ってまいります。
〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、重粒子線治療についてでございますが、重粒子線治療は、放射線治療の一つで、照射回数が少ないため、日常生活との両立が可能な体への負担が少ない低侵襲な治療でございます。
 一方、施設の整備や運営には多大なコストを要するものであり、より多くの患者に治療を行うことが必要でございますが、現在、保険適用となる疾患が前立腺がんや骨軟部腫瘍など一部に限定されてございます。
 国では、重粒子線治療の実績や効果を基に、保険適用外の疾患に対する治療の有効性、安全性等について、秋以降に議論が行われる予定です。
 都としては、こうした国の議論も十分注視しつつ、施設を導入した他府県の状況等を調査し、検討してまいります。
 次に、独法化の必要性についてでございますが、都立、公社病院は、コロナ対応において、専用医療施設の開設など、二千床を確保し、他の医療機関で対応が困難な妊婦や小児、精神疾患等の合併症患者を積極的に受け入れてきました。
 一方、採用予定の医師が、他の医療機関での兼業ができないために直前で辞退する事例や、定数管理により専門看護師など必要な人材が採用しづらい状況があるなど、現在の経営形態では、法令等の制約の下での迅速、柔軟な人材の確保が改めて課題になりました。
 独法化のメリットは、法人独自の勤務制度や、より働きがいのある人事給与制度により、柔軟な人材確保等が可能となり、対応力を機動的に強化できることにございます。
 今後も、感染状況に応じて、さらなるコロナ対応が必要であり、新たな感染症の発生にも備えていかなければなりません。また、超高齢社会が本格化する中、医療環境の変化に迅速に対応できる体制を早期に整備する必要もございます。
 このため、独法化の準備を進め、感染症対応をはじめ、都民に必要な医療を確実に提供してまいります。
 最後に、独法化後の人材確保に向けた取組についてでございますが、質の高い医療の提供には、職員が高い意欲を持ちながらその能力を最大限に発揮し、安心して働き続けられる環境づくりが重要でございます。
 このため、地方公務員法等にとらわれない、働きやすい勤務時間制度や働きがいと能力、スキルの向上につながる人事給与制度等を構築いたします。
 具体的には、専門性に着目した手当やライフスタイルに応じた勤務時間の設定など職員のニーズに合わせた制度のほか、退職手当は、都と同制度とすることを検討してございます。
 また、社会保険は、引き続き東京都職員共済組合の組合員となるので、年金等の給付は都職員と同様でございます。
 新たな都立病院として、職員の意欲と能力をさらに引き出す制度を構築し、安定的な人材確保を図ってまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 既存の盛土の状況把握とその対策についてでございますが、盛土に起因する土砂災害を防止するためには、その状況を把握し、必要な対策を実施することが重要でございます。
 七月の熱海市における土石流災害を踏まえまして、都は土地利用の規制等に関する法律や条例を所管する四局が連携して、盛土による災害防止に向けた総点検を実施しているところでございます。
 具体的には、土砂災害警戒区域や山地災害危険地区の上流域、大規模盛土造成地等にある盛土約千六百か所を対象としまして、必要な措置の実施状況などについて、目視等により点検を行っております。今後、年内を目途に点検結果の暫定的な取りまとめを実施する予定でございます。
 なお、点検の過程で災害をもたらすおそれがある盛土の存在が判明した際には、法令に基づき、速やかに対応策を検討してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京ささエール住宅の今後の取組についてでございますが、住宅確保要配慮者の居住の安定のためには、民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、ささエール住宅の登録を着実に進めることが重要でございまして、都は計画を策定して登録促進に努め、現在、約四万戸が登録されております。
 しかし、要配慮者のみが入居できる専用住宅につきましては、ささエール住宅の登録事業者に対するアンケートによりますと、入居中の事故やトラブルの発生など、様々な不安があることから、積極的な登録がなされていないものと考えられます。
 今後は、家賃低廉化や改修費への補助等に加えまして、見守りサービスや単身高齢者等の死亡に伴う残置物処理等に関するモデル契約条項の普及促進などにより、貸主の不安軽減を図り、専用住宅への登録を促進してまいります。
 次に、民間住宅を活用した安心して生活できる居住環境の実現についてでございますが、民間住宅を含めた重層的な住宅セーフティーネットの構築に向け、既存住宅を東京ささエール住宅に登録するよう促すことは、空き家対策としても重要でございます。
 都は今年度、モデル事業といたしまして、空き家を改修して、ひとり親世帯向けのささエール住宅として登録する取組を採択し、防音性の向上など、子育てしやすい住宅への改修費の一部を民間事業者に補助する事業を実施しております。
 今後、居住支援法人等が行う、既存住宅の共同居住型のささエール住宅への改修や要配慮者の状況に応じたきめ細かい支援サービスなど、多様な取組との連携を強化することで、ささエール住宅への登録を促進し、要配慮者が安心して生活できる居住環境の実現を図ってまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時二十六分休憩

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